(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-08
(54)【発明の名称】新規の抗微生物カーボンドット
(51)【国際特許分類】
C01B 32/15 20170101AFI20241225BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20241225BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241225BHJP
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A61P 31/10 20060101ALI20241225BHJP
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A61L 31/02 20060101ALI20241225BHJP
A61L 31/12 20060101ALI20241225BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20241225BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20241225BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20241225BHJP
A61K 33/44 20060101ALI20241225BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
C01B32/15
A61K9/51
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/00
A61P31/14
A61P31/20
A61P31/22
A61P31/16
A61L31/02
A61L31/12
A61L31/14
A61L31/16
A61K9/00
A61K47/04
A61K33/44
A61K33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531232
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2022061324
(87)【国際公開番号】W WO2023095013
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021000029591
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524194975
【氏名又は名称】フォンダツィオーネ セントロ セルビーツィ アッラ ペルソナ
(71)【出願人】
【識別番号】524194986
【氏名又は名称】イノセンツィ、プリーニオ
(71)【出願人】
【識別番号】524194997
【氏名又は名称】マルファッティ、ルカ
(71)【出願人】
【識別番号】524195008
【氏名又は名称】エコアイダ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イノセンツィ、プリーニオ
(72)【発明者】
【氏名】マルファッティ、ルカ
(72)【発明者】
【氏名】スタジー、ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】デ フォルニ、ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】ポッディージェ、マッテオ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C086
4G146
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076AA95
4C076BB01
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4C076BB16
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4G146AA01
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4G146AD40
4G146BA15
4G146BB04
4G146BC02
4G146CA11
(57)【要約】
本発明は、新規の抗ウイルスカーボンドット、前記カーボンドットを含む組成物、前記カーボンドットによりコーティングされた材料及びデバイス、医学的使用のための前記ナノ粒子、前記カーボンドット、組成物、材料、及びデバイスの調製のための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸を蒸留水中で溶解し、
b.a.において得られた混合物を、溶液が濁った灰色になるまで超音波処理し、
c.このようにして得られた前記濁った灰色の溶液を熱処理し、それによって得られた生成物を蒸留水中に溶解し、
d.c.において得られた混合物を、10~30μmの孔サイズフィルターにより濾過し、溶出物を収集し、
e.このようにして得られた前記溶出物を乾燥する、
ことを含む、カーボンドットの調製ためのプロセスであって、
グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、ホウ酸、及び水が、プロセスにおいて使用される唯一の化合物である、
前記プロセス。
【請求項2】
a.におけるグリシン:1,5-ジアミノナフタレン:ホウ酸の重量における比が、約1.0:2.0:0.8であり、好ましくは前記比が、1.0:2.06:0.8である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
0.15gのグリシン、0.31gの1,5-ジアミノナフタレン、及び0.12gのホウ酸が、15~25mlの蒸留水中で、好ましくは20mlの蒸留水中で溶解される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記熱処理が、マイクロ波オーブン中で、800~1200W、2~5分間の期間で、またはオーブン中で、200℃、12時間以上の時間範囲で、またはオートクレーブ中で、200℃の熱水条件下、少なくとも8時間、実行される、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記乾燥が、前記溶出物を、12~18時間の期間で50~70℃の温度に供することによって実行される、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセスにより得ることが可能な、カーボンドット。
【請求項7】
前記カーボンドットが、水中0.1mg/mlのカーボンドット濃度で測定した場合に、320nmの励起下で300~700nm波長範囲において357nmと425nmとの間で最大発光ピーク及び200~600nm波長範囲において310nmと340nmとの間で最大吸収ピークを有する、請求項6に記載のカーボンドット。
【請求項8】
請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットと、少なくとも1つの担体及び/または賦形剤とを含む組成物であって、好ましくは、前記組成物が医薬組成物であり、前記少なくとも1つの担体及び/または賦形剤が薬学的に許容される、前記組成物。
【請求項9】
請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは請求項8に記載の組成物によりコーティングまたはロードされた、製品。
【請求項10】
前記製品が、衛生化製品、清浄化製品、医療デバイス、医療装備、個人の保護デバイス、空気濾過のためのシステム、手術用マスク、濾過式フェイスピース呼吸用保護具、手術器具、前記カーボンドットまたは組成物の貯蔵のためのリザーバーを含むデバイス、及び前記カーボンドットまたは組成物の放出のための手段である、請求項11に記載の製品。
【請求項11】
請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは請求項8に記載の医薬組成物を含む医療デバイスであって、好ましくは、前記医療デバイスが薬物送達デバイスである、医療デバイス。
【請求項12】
可視光または紫外線の発光のための手段をさらに含むか、あるいは可視光及び/または紫外線に透過性がある薬物送達デバイスである、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
医学的処理における使用のための、請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項14】
微生物感染の治療における、または微生物感染の治療におけるアジュバントとしての、または微生物感染もしくは感染性疾患の予防のための治療における使用のための、請求項13に記載の使用のためのカーボンドットまたは医薬組成物であって、好ましくは、前記感染が動物または植物に影響する、前記カーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項15】
前記微生物感染が、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、ファイトプラズマ感染である、請求項13または14に記載の使用のためのカーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項16】
前記感染が、動物DNAウイルスまたは動物RNAウイルスによって引き起こされたウイルス感染である、請求項13~15のいずれか1項に記載の使用のためのカーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項17】
前記動物が哺乳動物である、請求項13~16のいずれか1項に記載の使用のためのカーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項18】
前記感染が、コロナウイルス、オルトミクソウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、ヘパドナウイルス、ヘペウイルス、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、ニューモウイルス、ポックシウイルス(Poxivirus)、ライノウイルス、レオウイルス、トガウイルス、インフルエンザウイルスによって引き起こされる、請求項15~17のいずれか1項に記載の使用のためのカーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項19】
前記コロナウイルスが、SARS、MERSまたはSARS-CoV-2、FCoVである、請求項18に記載の使用のためのカーボンドットまたは組成物。
【請求項20】
表面、物体、空気、水、領域の消毒、衛生化、及び/または滅菌のための、請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは請求項8に記載の組成物の使用。
【請求項21】
表面、物体、空気、水、領域の消毒、衛生化、及び/または滅菌のための方法であって、
消毒、衛生化、及び/または滅菌される前記物体を、好適な量の請求項6~7のいずれか1項において定義されるカーボンドットまたは請求項8における定義される組成物と接触させ、
少なくとも5分間の期間、可視光線及び/または紫外線を照射する、ことを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の抗ウイルスカーボンドット、前記カーボンドットを含む組成物、前記カーボンドットによりコーティングされた材料及びデバイス、医学的使用のための前記ナノ粒子、前記カーボンドット、組成物、材料、及びデバイスの調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感染性疾患は世界の死亡率の20%を占め、ウイルスは感染性疾患の死亡の約3分の1を担う。最もよくみられる死因には、下気道感染及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)があり、国民保健制度の主な費用となる。これらの周知のウイルスに加えて、新たなものが、毎年出現する(例えばより最近ではSARS-CoV-2)。ウイルス感染と戦うのに最も良いアプローチは、まず第一に、多数の衛生的及び行動的なルールの尊重によって感染の蔓延を予防すること、ならびにワクチンに代表される治療法に関するものであるが、有効なワクチンの数は限定的であり、多くの場合世界のすべての地域において利用可能ではない。
【0003】
抗ウイルス薬及び/または抗ウイルス化合物は、この戦いの応答の成功においてさらに重要な役割を示す。しかしながら、前記薬物は、多くの場合ウイルス特異性によって限定され、新たな未知のウイルス株の出現に効果がない多数の事例がある。疾患(例えばSARS-CoV-2等)の蔓延の防止は、多数の行為によって促進される。好適な個人保護装備を着用すること、ならびに表面及び環境を清浄な及び消毒した状態に維持することは、感染性疾患の蔓延に対する戦いにおいて意義のある部分である。パンデミックの事例において、空気中のそして表面(生物及び非生物の(animated and non-animated))上のウイルスの迅速且つ有効な不活性化を可能にする強い活性のある抗ウイルス性化合物の必要性が、強く感じられている。
【0004】
予防(ワクチン接種を介する予防が挙げられるがこれらに限定されない)が、感染性疾患の蔓延に対する唯一の有効な武器であることが証明されており、このことは、有効な治療が利用可能でないかまたは世界的に利用可能でない疾患について及び感染性病原体と戦うための治療の有効性にもかかわらず、身体に強力なダメージが共存する疾患については、特に当てはまる。
【0005】
有効且つ非毒性の抗微生物性の(特に殺ウイルス性、抗真菌性、及び/または殺菌性の)化合物が、常に必要性があり、特に、病原体特異的であるというよりむしろ病原体のクラスに対して有効なメカニズムを介して作用する化合物は、SARS-CoV-2の世界的な蔓延が実証したように、新たな病原体の常時の進化及びそれらの可能性のある破壊的な効果の進化を考慮すると、好ましいものである。
【0006】
近年、カーボンベースのナノマテリアルについての活発な研究により、いくつかのシステムはナノ医学の目的のために興味深い特性を有することが明らかになった。これらのものとしては、カーボンドット(C-ドット)が挙げられる。
【0007】
カーボンドット(CD)は、非晶質カーボンナノ粒子、部分的に黒鉛化されたコアシェルカーボンナノ粒子、非晶質蛍光ポリマーナノ粒子、及びグラフェン量子ドットを包含するカーボンベースの材料の大きなファミリーである。CDの合成は、グラファイト標的のレーザーアブレーションまたはグラファイト電極の電気化学的酸化を介するトップダウン法によって、または有機前駆体の炭化によるビアボトムアップ法によってのいずれかで達成される。後者の経路は、特に、化学試薬の適切な選択を介して、容易なCDのテーラーメイドを可能にする。ここ数年で抗菌剤としてのCDの適用に大きな注目が集まっていた。これまでのところ、抗菌効果は表面上の官能基に起因し、当該官能基は、今度は、フルオロフォアとしての並外れた光学的特性を担う。CDは、実際、感染に対する積極的役割を示し、CDが紫外線源へ曝露された場合に、さらに増加するように思われた(Innocenzi Chem Sci 2020)。この証拠により、科学界では、CDが光励起される場合に活性酸素種ROSが産生されるという仮説が立てられた。その仮説以来、したがって、CDの大部分は、効率的且つ生体適合性があり、UVまたは少数の事例において可視光線による励起下で活性酸素種を産生することが可能である、光増感物質ナノマテリアルとして認識されてきた。特に、高燐光収率のCDは、効率的な一重項酸素(SO)光増感物質であることが証明されており、UV促進抗微生物物質としての有望な特徴を示す(ACS Biomater.Sci.Eng.2018,4,12,3983-3993)。実際、異なるROSの中でも、SOは、膜の構成の変更を引き起こす強力な抗菌剤及び抗微生物剤を代表するものである(Muller-Breitkreutz J Photochem PhotoBiol B 1995,Ogilby Chem Soc Rev 2010)。SOは、エンベロープに直接作用する有効な広域スペクトラム抗ウイルス剤でもある。
【0008】
電気化学的に産生されたグラフェン量子ドット(GQD)は、可視光線(470nm、1W)で光励起された場合に、ROSを生成することは既に証明されている。光生成ROSは、この場合は、メチシリン耐性Staphylococcus aureus及びEscherichia coliを死滅させることが可能であった。熱の放出によって腫瘍細胞を死滅させる得るグラフェンまたは酸化グラフェンの応答とは対照的に、照射されたGQDは、細菌懸濁物において有意な温度増加を引き起こさない(B.Z.Ristic et al./ Biomaterials 35(2014)4428-4435)一方で、ROS濃度の意味のある増加を生ずる。これまでに出版された研究の大部分は、CDの酸化促進活性がSO形成に起因すると考える。特にGQDについて、SOはエネルギー伝達及び電子伝達の経路による光励起を介して生成されることが提案されている。これは、ヒドロキシルラジカル及びスーパーオキシドアニオンの両方が、電子-正孔対及び電荷分離の生成から生じ、それぞれ周囲の分子状酸素またはH2Oと反応することを意味する(ACS Nano 2016,10,9,8690-8699)。現在のところ、CDの光励起によって誘導されるROS産生の包括的な説明はないが、いくつかの結果から、ROS生成がCDSの構造中の酸素官能基に関し得ることを示す。酸素官能基(特にGQDの表面上のケトン性カルボニル基について)の除去が、細胞中でのGQDによるROS形成を阻害し、光誘導性細胞傷害性を低下させることが証明されている(Chem.Commun.,2017,53,10588-10591。
【0009】
Shanaz et al 2013(Shanaz et al“Oxidative Synthesis of Highly Fluorescent Boron/Nitrogen Co-Doped Carbon Nanodots Enabling Detection of Photosensitizer and Carcinogenic Dye”Analytical Chemistry 85(21)2013)は、ホウ酸及びN-(4-ヒドロキシフェニル)グリシンから出発するカーボンドットの熱水条件下での合成を開示する。この文書は、前記カーボンドットの様々な特徴評価パラメーターを開示する。
【0010】
Das et al 2021(Das et al“Carbon Dots:An Emerging Smart Material for Analytical Application”Micromachines 2021 2(1):84)は、分解反応(熱分解または燃焼等)を誘導する、水熱合成、ソルボサーマル合成、マイクロ波合成、及び純粋な熱合成から得られる多数の異なるカーボンドット合成を報告する。異なるプロトコルの中でも、カーボンドットを形成するためにグリシン及びクエン酸のみを必要とする合成の方法が開示される。
【0011】
Kovacova et al 2018(Kovacova et al“Carbon Quantum Dots Modified Polyurethane Nanocomposite as Effective Photocatalytic and Antibacterial Agents”ACS Biomater.Sci.Eng.2018,4,12,3983-3993)は、ポリウレタンポリマーマトリックス中にナノ粒子を埋め込むことによって得られたカーボンドットベースのナノ合成物の合成を開示する。カーボンドットは、リン酸の存在下におけるトリ-ブロックコポリマーの水熱合成によって得られる。
【0012】
Xiaolin Nie et al 2020(Xiaolin Nie et al“Carbon quantum dots:A bright future as photosensitizers for in vitro antibacterial photodynamic inactivation”Photochem Photobiol B.2020 Mar 23;206:111864)は、既に出版されたカーボンドット合成の修飾バージョンを報告する。プロトコルは、1:2のクエン酸対1,5-ジアミノナフタレンの質量比を用いるワンポットソルボサーマル手順を含む。文書は、カーボンドットの抗菌活性に注目する。
【0013】
Innocenzi and Stagi 2020(Innocenzi and Stagi“Carbon-based antiviral nanomaterials:graphene,C-dots,and fullerenes.A perspective”Chem Sci.2020 Jul 14;11(26):6606-6622)は、代替の革新的な抗ウイルスシステムとしてのカーボンベースの抗ウイルスナノマテリアル(カーボンドット、グラフェン、フラーレン、及びナノダイヤモン(nanodiamon)等)についての総説である。
【0014】
C-ドットは、フォトニクス、オプトエレクトロニクス、及び光触媒作用におけるそれらの優れた特性について広範囲に調査されている。加えて、C-ドットは、ルミネッセンスのマーカーとして及びウイルス剤に対する活性システムとしての両方に決定的な役割を果たすと思われる。C-ドットの重要な特色の1つは実装の容易性及び低費用であり、これにより、化学組成及びサイズ(典型的には10nm未満)の制御されたシステムの実現が可能になる。一般的な合成において、カーボンベースの前駆体は、湿潤条件または乾燥条件下で、制御された熱分解を起こす。生成物は、窒素源を炭素前駆体と反応させることによって、または合成後官能化の遂行によって、操作され得る。Vero細胞、MOLT-4 A549、MARC-145、PK-15、及びその他の多数のもので遂行された研究から、数百μg/mLの高濃度ででさえ非細胞傷害性であり、C-ドットの優れた生体適合性が確認される。様々なモノマーに由来する、制御された形態を備えたC-ドットは、HSV-1、HIV-1、PRRSV、PRV、HCoV-229E、及びフラビウイルス(JEV)に対して有効であることが示された。多数の有望な結果があるが、C-ドットによるウイルス阻害のメカニズムは物議を醸しており、依然として論争されている。特に、表面上の特異的な官能基を備えたC-ドットは、細胞膜と相互作用し、ビリオンがシステムを攻撃することを防止し得ると考えられている。より最近では、その一方で、ベンゾオキサジン由来C-ドットは、ビリオンと直接相互作用することによってウイルス活性を妨害することに有効であり、ウイルス粒子に能動的に対抗し、広域スペクトラム抗ウイルス活性を示すことが可能な真の最初のドットシステムを構成することが示されている。
【0015】
従来技術の水準に基づいて、したがって、CDが、正確なCDタイプに依存して、非常に変動する抗微生物効果を有し得ること、及び、抗微生物性の(例えば抗菌性及び/または抗ウイルス性及び/または抗真菌性の)効果としてのCDの有効性は、演繹的に予測可能ではないことは明白である。
【0016】
環境及び安全性により優しい手法で感染性疾患の蔓延を向上させるという欲求の増加を考慮すると、前記要件を満たし、病原体において耐性を惹起する可能性が高くない新規の化合物を今後開発することは、植物界及び動物界の両方を包含する地球規模の健康のために非常に重要である。
【発明の概要】
【0017】
本発明者らは、熱水条件下で類似の前駆体の炭化によって得られた、SARS-COV 2に対する抗ウイルス性材料としての3つの異なるタイプのCDの可能性を調査した。これまでのところ文献中で使用されている複数のCD前駆体の中でも、本発明者らは、クエン酸(恐らくCDのボトムアップ合成のために最も使用される前駆体)、1,5-ジアミノナフタレン、及びグリシン(低温で熱重合され得るアミノ酸)を選択した(スキーム1)。
【0018】
本発明に記載のグリシンは、官能化されていないグリシンである。
【化1】
【0019】
本発明者らは、2つの異なる酸(塩酸またはホウ酸)を使用して同じ前駆体から得られた2つのCDを、調製プロセスにおける2つの前駆体のうちの1つを置換して得られたCDとも比較し、驚いたことには、前駆体の特異的な組み合わせを、前記選択された酸のうちの1つまたは他のものと一緒に使用することは、UVまたは可視光線のいずれかによる照射に際して、強力な殺ウイルス効果を備えたCDを提供することを見出した。
【0020】
特に、選択された酸に依存するにしても、ホウ酸により調製されたCDは、可視光線による照射に際しての殺ウイルス効果において、同じ前駆体であるが塩酸により調製されたものに対して、強力な差を示した。
【0021】
特に、可視光線または紫外線の暴露下での異なるCDの殺ウイルス作用は、化学消毒物質の試験のためにEN14476中で報告されたガイドラインに従って、SARS-CoV-2(ヒト2019-nCoV株INMI1、Istituto“L.Spallanzani”、Rome、Italyから)に対して評価された。
【0022】
したがって、本発明の目的物は、
a.グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸または塩酸を蒸留水中で溶解すること、
b.a.において得られた混合物を、溶液が濁った灰色になるまで超音波処理すること、
c.このようにして得られた濁った灰色の溶液に熱処理を受けさせ、それによって得られた生成物を蒸留水中で可溶化すること、
d.10~30μmの孔サイズフィルターによりc.において得られた混合物を濾過し、溶出物を収集すること、
e.このようにして得られた溶出物を乾燥させること、
を含むカーボンドットの調製ためのプロセスであって、
グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸または塩酸、ならびに水が、このプロセスにおいて使用される唯一の化合物である、前記プロセス;
本明細書において開示及び請求される実施形態のうちの任意のものにおけるカーボンドットの調製のためのプロセスによって得ることが可能な、カーボンドット;
本明細書において開示及び請求されるカーボンドットならびに少なくとも1つの担体及び/または賦形剤を含む、組成物;
前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物によりコーティングまたはロードされた、製品、
前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物を含む、医療デバイス、
医学的処理における使用のための、前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物、
表面、物体、空気、水、領域の消毒、衛生化、及び/または滅菌のための、カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物の使用、
表面、物体、空気、水、領域の消毒、衛生化、及び/または滅菌のための方法であって、
消毒、衛生化、及び/または滅菌される物体を、好適な量の前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物と接触させて置くこと、ならびに少なくとも5分間の期間可視光線及び/または紫外線による照射へ供することを含む、前記方法、
感染性疾患の治療のために医学的処理であって、前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される医薬組成物が、それを必要とする患者へ投与され、前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物が、紫外線及び/または可視光線を照射されるかまたはそれらへ曝露される、前記処理;
植物の医学的処理であって、前記植物またはその部分が、前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物により処理され、前記植物またはその部分が、可視光線へ曝露される、前記処理、
である。
【0023】
本発明によれば、本明細書において開示及び請求されるプロセスにおいて使用される唯一有の化合物は、グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、蒸留水、及びホウ酸または塩酸のうちの1つである。
【0024】
用語解説
本明細書において、UVまたは紫外線は、当技術分野において一般的に意図される意味を有し、すなわち、10nm(30PHz付近の対応する周波数で)~400nmの波長の電磁放射線の形態である。
【0025】
本明細書において、可視光線は、当技術分野において一般的に意図される意味を有し、すなわち、可視光線スペクトルは、ヒトの眼が見ることができる電磁スペクトルのセグメントである。より単純には、この範囲の波長は、可視光線と呼ばれる。典型的には、ヒトの眼は、約400~700ナノメートルの波長を検出し得る。
【0026】
カーボン量子ドット(CQD、C-ドット、またはCD)は、小さなカーボンナノ粒子(10nm未満のサイズ)であり、2004年に見出され、新たなクラスの蛍光カーボンナノマテリアルである。CQDは、高い安定性、良好な導電率、低い毒性、環境への優しさ、単純な合成経路、そして量子ドットに匹敵する光学的特性の魅力的な特性を保持する。
【0027】
本明細書において、(例えばUV及び/または可視光線)により照射されたという用語は、任意の部分において、(例えばUV及び/または可視光線)へ曝露されるという用語により置換され得る。本発明におけるグリシンという用語は、官能化されていないアミノ酸グリシンを指す。
【0028】
本明細書におけるGly-DiaNは、以下のセクションの実施例における実施例「Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAの合成」中で記載されるように、蒸留水中で溶解されたグリシン、1,5-ジアミノナフタレン、HClから調製されたカーボンドットを指す。
【0029】
本明細書におけるDiaN-CAは、以下のセクションの実施例における実施例「Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAの合成」中で記載されるように、蒸留水中で溶解されたクエン酸、1,5-ジアミノナフタレン、及びHClから調製されたカーボンドットを指す。
【0030】
本明細書におけるGly-DiaN-BAは、以下のセクションの実施例における実施例「Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAの合成」中で記載されるように、蒸留水中で溶解されたグリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸から調製されたカーボンドットを指す。
【0031】
本明細書における抗微生物性という用語は、殺ウイルス活性及び/または殺真菌活性及び/または殺菌活性を有する化合物またはそれらの混合物、あるいは前記活性それ自体として意図され得る。本発明に記載の抗微生物物質は、殺ファイトプラズマ(phytoplasmicidal)活性を有する化合物または活性それ自体も指し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実験的なセットアップ。ウイルス懸濁物及びナノマテリアルのドロップを、異なる処理(可視光線、紫外線への曝露、または暗所で放置した)のために、96ウェルプレートの蓋上に置いた。
【
図2】A、B、及びCは、主吸収帯によって特色付けた3つのサンプルのUV-Visスペクトルを示す。320nmでピークに達する吸収帯は、カルボニル結合及びアミド結合(C=O及びC=N)のn⇒π*遷移に起因する[1]。
【
図3】Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-Dian-BAの水溶液(それぞれa、b、及びc)中での励起-発光強度スペクトル。フォトルミネッセンス強度を、青色から赤色への疑似色スケールで報告する。図は、サンプルA)Gly-DiaN、B)DiaN-CA、及びC)Gly-Dian-BAのカーボンドットの3D励起-発光強度マップをそれぞれ示す。パネルA及びBは、454nmの発光及び360nmの励起で最大のフォトルミネッセンス強度を呈する。これとは対照的に、サンプルCは、350nmで励起された場合の404nmでピークの最大のフォトルミネッセンス発光を示す。CDフォトルミネッセンスに関して、3つのシステムは、より狭い励起範囲を示す。これまでには、CDSの励起依存的発光は、炭化プロセスの制御されない反応により形成されるナノ粒子中の様々な発光中心に起因している。この解釈に従えば、狭い励起範囲は、より制御された化学的な組成及び構造を備えた特定のタイプのCDを示し得る。
【
図4】A、B、及びC は、それぞれ4000~400cm-1の範囲におけるGly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAのFTIRスペクトルである。4Dは、参照として使用されるホウ酸のものと比較した、3700~2500cm-1の範囲におけるGly-DiaN-BAサンプルのスペクトルである。3005及び2823cm-1の帯域はC-H結合ストレッチに起因し、一方、1413cm-1の帯域はCO-NHアミド基に起因する。Gly-DiaN-BA(4C)と他の2つのサンプル(4A及び4B)との間の意味のある違いは、ホウ酸の存在である。これにより、酸のO-Hストレッチに割り当てられた3215cm-1の帯域を説明可能である(
図4D)。
【
図5】150℃及び250℃で2時間の熱処理後の、Gly-DiaN(5A及び5B)及びGly-DiaN-BA(5C及び5D)のFTIRスペクトルである。以前に観察されるように、ホウ酸の存在は、低温での試薬の重合を触媒する。
図5のFTIRスペクトルは、150℃及び250℃で2時間それぞれ処理された場合の、Gly-DiaN-BAとGly-DiaNとの間の差を示す。
【
図6】Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAのEPRスペクトルを、暗所条件(a、c、及びe)で、及びUV照射(b、d、及びf)下で、収集した。粉末のサンプルから得られたEPRスペクトル(
図6)は、すべての3つのシステムが暗所及びUV照射の存在下の両方でラジカル種を産生することを示す。
【
図7】Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAサンプル(それぞれa、b、及びc)の25℃~500℃のTGA(黒色線)及びDTA(点線)分析。
図7におけるTG-DTA分析は、a)Gly-DiaN、b)DiaN-CA、及びc)Gly-DiaN-BAの熱分解を示す。
【
図8】紫外線(365nmで5分間)及び可視光線(450nmで5分間)に曝露された、カーボンドットGly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAの殺ウイルス効果。#1=Gly-DiaN#2=DiaN-CA#3=Gly-DiaN-BA
【
図9】300~700nmの範囲の蛍光分析。ドットの水溶液(0.1mg/mLの濃度を有する)の発光を、300~700nmの波長範囲において評価した。Gly-DiaNの最大発光は450nmで、DiaN-CAは445nmで、及びGly-Dian-BAは404nmで中心となる。各々のドットの発光を、3つの異なる励起波長:320、340、及び360nmで測定した。
図9aはGly-DiaN、
図9bはDiaN-CA、
図9cはGly-DiaN-Baである。
【
図10】200~600nmの範囲のUV-Vis分析。ドットの水溶液(0.1mg/mLの濃度を有する)の吸収を、200~600nmの波長範囲において測定した。吸収の最大ピークは310nm~340nmであり、最大吸収は330nmで中心となる。図は、使用される試験条件での最大ピークにおいて0.5を超える吸収を示す。
【
図11】経時的な安定性。Gly-Dian-BAの経時的な安定性を40日間にわたって評価した。0.1mg/mLの濃度を有するドットの水溶液の330nmでの吸収を、時間0、7日後、31日後、及び40日後に測定した。観察することができるように、吸収は、その期間にわたって一貫していた。
【
図12】Gly-DiaN-BAにより官能化された表面の抗ウイルス性効果(SARS-CoV-2ウイルスのWuhan株)。一定の体積のSARS-CoV-2ウイルス(Wuhan株)のウイルス懸濁物(5μL)を、96ウェルプレートの蓋(12×8cm)上に流し込んだ。次いで、ウイルス懸濁物を、コートしたプレートに添加した。次いで、基材を、暗所で放置、または5分間の紫外線(UV=365nm)もしくは可視光線(VL=450nm)へ曝露した。追加の5分間のインキュベーション後に、ウイルス懸濁物を収集し、ウイルス力価を下で記載される方法論に従って決定した。Gly-DiaN-BA CDにより官能化された表面がUVにより照射された場合に、ウイルス力価は0へ低下し、Gly-DiaN-BA CDにより官能化された表面が可視光線へ曝露された場合も、明らかに減少する。
【
図14】同じ果実(イチゴ)からの非処理(14a)及び処理(14b)のスライスを、異なる条件下で室温で維持し、スライスの変化を経時的にモニタリングした。図は、3日後の大規模なカビ増殖及び腐敗のある非処理スライス(14a)を示すが、処理されたスライス(14b)は、196日後に乾燥の徴候を示すが、カビまたは腐敗を示さない。
【
図15】Gly-DiaN及びDiaN-CAのTEM分析を示す。透過電子顕微鏡法の画像を、200kVでの電界放出電子銃の操作を行なうFEI TECNAI 200顕微鏡の使用によって得た。超音波処理によってエタノール中でナノ粒子を分散し、次いで、カーボンをコートした銅グリッドの上へそれらを滴下し、観察のためにそれらを乾燥することによって、サンプル調製を行った。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、
a.グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸または塩酸を蒸留水中で溶解すること、
b.a.において得られた混合物を、溶液が濁った灰色になるまで超音波処理すること、
c.このようにして得られた濁った灰色の溶液に熱処理を受けさせ、それによって得られた生成物を蒸留水中で可溶化すること、
d.10~30μmの孔サイズフィルターによりc.において得られた混合物を濾過し、溶出物を収集すること、
e.このようにして得られた溶出物を乾燥させること、
を含むカーボンドットの調製のためのプロセスであって、
グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、水、及びホウ酸または塩酸のいずれかが、前記プロセスにおいて使用される唯一の化合物である、前記プロセスに関する。
【0034】
したがって、本発明の一実施形態において、プロセスは、化合物グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、水、及びホウ酸により実行され第2の実施形態において、プロセスは、化合物グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、水、及び塩酸により実行される。
【0035】
他の化合物は、本発明のプロセスにおいて使用されず、したがって、ステップa.から生じる混合物は、蒸留水中で溶解されたグリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸または塩酸からなる。他の試薬、触媒、溶媒は、プロセス全体において使用されない。
【0036】
要約において示され、実験パート及び図において実証されたように、本発明のプロセスにおけるホウ酸または塩酸の存在は、注目すべき殺ウイルス活性を備えたカーボンドットを提供する。特に、同じ方法で、及び同じ量のグリシン及び1,5-ジアミノナフタレンを使い、ホウ酸がHClの代わりに使用される場合に、殺ウイルス活性はさらに促進される。特に、本明細書において開示及び請求されるプロセスにより得ることが可能なカーボンドットは、可視光線による照射に際して予想外の卓越した殺ウイルス性の特性を示す。
【0037】
本発明の一実施形態において、ホウ酸がステップa.において使用される場合に、a.において使用されるグリシン:1,5-ジアミノナフタレン:ホウ酸の比(重量)は、約1.0:2.0:0.8であり、好ましくは比は、1.0:2.06:0.8である。
【0038】
換言すれば、本発明のプロセスにおいて、前記グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸の重量で100%は、したがって、
重量で25~26%のグリシン、
重量で53~54%の1,5-ジアミノナフタレン、
重量で20~21%のホウ酸
で構成される。
【0039】
一実施形態において、ステップa.において、0.15gのグリシン、0.31gの1,5-ジアミノナフタレン、及び0.12gのホウ酸は、15~25mlの蒸留水中で、好ましくは20mlの蒸留水中で溶解される。グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、ホウ酸、及び水の混合物は、それによって得られる。上記のもののうちの複数が、使用され得る。
【0040】
塩酸がステップa.において使用される場合に、ステップa.におけるグリシン:1,5-ジアミノナフタレン:塩酸のモル比は、約1.0:1.0:0.25~0.75であり、好ましくは比は、1.0:1.0:0.5である。
【0041】
一実施形態において、0.15gのグリシン、0.31gの1,5-ジアミノナフタレン、及び0.0415~0.1245mL(好ましくは0.083mL)の1MのHCLは、20mlの蒸留水中で溶解される。
【0042】
明細書及び請求項から明らかであるように、ホウ酸及び塩酸は相互に排他的であり、したがって、ステップa.において、1つまたは他の酸のいずれかは、グリシン、1,5ジアミノナフタレン、及び水のみと一緒に使用されるだろう。上記のもののうちの複数が、使用され得る。
【0043】
本発明のプロセスによれば、b.において、a.において得られた混合物は、濁った灰色になるまで超音波処理され、次いで、それは、c.の熱処理へ供され、熱処理後に得られた生成物は、蒸留水中で懸濁される。
【0044】
本明細書において開示されるカーボンドットの調製のためのプロセスの実施形態のうちの任意のもののc.における熱処理は、当業者によって一般的に使用される手法のうちの任意のものにおいて実行され得、当該手法は、好適なW-時間のバランスでマイクロ波で、または12時間以上の時間範囲で200℃のオーブン中で、または少なくとも8時間で200℃の熱水条件下のオートクレーブ中で等である。
【0045】
好ましい実施形態において、熱処理は、マイクロ波オーブン中で800~1200Wで2~5分間の期間で、より好ましくは1000Wで約2分間の期間で実行される。
【0046】
一旦熱処理が実行されたならば、それによって得られた生成物は、蒸留水中で懸濁された。
【0047】
好ましくは、c.において使用される蒸留水の量は、a.において使用される蒸留水の量に類似するかまたは同じである。
【0048】
d.において、c.において得られた混合物は乾燥され、生じたカーボンドットは、黒色~紫色の粉末の形態である。
【0049】
混合物の乾燥手順は、プロトコルにおけるカーボンドットの調製に一般的に使用される任意の乾燥手順に従って実行され得る。一例として、混合物は、好適な期間の加熱によって、または約48時間室温の空気中で、または約24時間真空下で、乾燥され得る。
【0050】
一般的な乾燥手順は、12~18時間の期間で50~70℃の温度を前記溶出物に受けさせることによって、前記乾燥を実行することである。
【0051】
本発明は、したがって、上で開示された及び請求項におけるプロセスにより得ることが可能なカーボンドットに関する。
【0052】
以下の実験の実施例及び図において示されるように、UV及び/または可視光線により照射された場合に、本発明のカーボンドットは、強力な抗ウイルス性効果を示す。
【0053】
本方法に従って調製されたカーボンドット(本発明のGly-DiaN-BAとしても本明細書及び図において示される)は、ステップa.において、ホウ酸触媒が、HCl触媒により置換されて、カーボンドットが調製される、上で開示されるプロセスにより調製されたカーボンドット(Gly-DiaNとして本明細書及び図において定義される)へ比較され、ステップa.において、触媒が使用されず、クエン酸が、グリシンの代わりに1:0.81のクエン酸:1,5-ジアミノナフタレンのw:w比で使用される、上で開示されるプロセスにより調製されたカーボンドット(DiaN-CAとして本明細書及び図において定義される)へ比較された。本発明のプロセスに従って調製されたCD Gly-DiaN-BA及びGly-DiaNは、CD DiaN-CAへ比較した場合に、予想外且つ予測不可能な抗ウイルス性特性の改善を示し、特に、Gly-DiaN-BAは、CD Gly-DiaN及びDiaN-CAへ比較した場合に、抗ウイルス性特性のさらなる改善を示す。
【0054】
本発明のCDそして匹敵するCDは、
図2~8、9、10、及び15において開示されるように特徴付けられた。
【0055】
水中で可溶化したサンプルの紫外線-可視光線(UV-vis)スペクトルは、「Nicolet Evolution 300」UV-vis分光光度計(Thermo Fisher)の使用によって、200~600nmの吸収モードで測定された(
図2)。
【0056】
サンプルのフーリエ変換赤外分光(FTIR)分析は、4cm-1の分解能により、4000~400cm-1の範囲において「Vertex 70」干渉計(Bruker)によって実行された(
図4及び5)。
【0057】
水中で可溶化したサンプルの蛍光分析は、300~700nmの励起波長及び発光波長により、「Horiba Jobin Yvon NanoLog」分光蛍光計によって実行された。
【0058】
透過電子顕微鏡解析は、200kVでの電界放出電子銃操作により行なう「Fei Technai G2 F20 Twin TMP」によって実行された。
【0059】
熱重量分析(TGA)は、SDT-Q600装置(TA Instruments)によって、20mL分-1の窒素フロー下で10℃分-1の傾斜率により室温~500℃で測定された(
図7)。
【0060】
本発明のCD及び対照CDのTEM特徴評価が実行され、すべてのCDは5~6nm付近の平均サイズを有することをもたらし、結晶構造の証拠は観察されなかった。
【0061】
300nm~700nmの範囲において蛍光分析が実行された。測定は、水中で0.1mg/mlのCD濃度で実行された。Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAのCDの水溶液(0.1mg/mLの濃度を有する各々の溶液)の発光は、
図9において報告されるように300~700nmの波長範囲において評価された。Gly-DiaNについて観察された最大発光ピークは、360nmの励起波長でのものであり、ピークは425と475との間であり、最大発光は450nmで中心となる(
図9a)。DiaN-CAについて観察された最大発光ピークは、360nmの励起波長でのものであり、ピークは425と475との間であり、最大発光は445nmで中心となる(
図9b)。Gly-Dian-BAについて観察された最大発光ピークは、320nmの励起波長でのものであり、ピークは375nmと425nmとの間であり、最大発光は404nmで中心となる(
図9c)。各々のドットの発光は、3つの異なる励起波長:320、340、及び360nmで測定された。得られたデータは、測定された波長でピークのシフトが観察されないことを示す。
【0062】
Gly-DiaN-BA発光ピークは、320nmでの励起に際して、357nmと425nmとの間で、1.6×107よりも高く、最大約1.8×107の強度/任意単位を示す。
【0063】
UV.vis分析も、
図10において報告されるように、Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BA CDについて200nm~600nmの範囲において実行された。ドットの水溶液(0.1mg/mLの濃度を有する)の吸収を、200~600nmの波長範囲において測定した。試験されたすべてサンプルについて、最大吸収は330nmで中心となる。
【0064】
すべてのCDは、310nmと340nmとの間で吸収の最大ピークを示し、ピークは約330nmで中心となる。
【0065】
図11は、Gly-DiaN-BAの経時的な安定性を報告するものである。
【0066】
【0067】
一旦特徴付けられたならば、本発明のCD及び対照CDの細胞傷害性は査定され、紫外線及び可視光線によるそれらの殺ウイルス性の有効性(
図8、12、及び13)は様々な実験において分析された。本発明のCD及び対照CDの殺ウイルス活性は、SARS-Cov2(様々な株)を感染させたVero E6細胞(アフリカミドリザルからの腎臓上皮細胞、ATCC CRL-1586)で査定され、
図8、12、及び13、ならびに以下の実験セクション中の表において示される結果から、本発明のCD Gly-DiaN-BA及びCD Gly-DiaNの殺ウイルス活性は、紫外線による照射後に匹敵することを示し(0%のウイルス力価)、本発明のCD Gly-DiaN-BAのみは、可視光線による照射後に等しい殺ウイルス活性を示す(0%のウイルス力価)、が、CD Gly-DiaNは、より低い殺ウイルス活性を示す(30%のウイルス力価)。CD DiaN-CAは、可視光線による照射後に非常に低い殺ウイルス活性を示す(63%のウイルス力価)。
【0068】
したがって、本発明のCDは予想外の有利な特性を示し、特に、殺ウイルス効果が可視光線において試験される場合に、Gly-DiaN-BAは、Gly-DiaNに対してさらなる予想外の利点を示す。
【0069】
本発明のさらなる目的物は、本発明のカーボンドットならびに少なくとも1つの担体及び/または賦形剤を含む組成物である。
【0070】
組成物の最終的な形態に依存して、当業者であれば、容易に好適な担体(複数可)及び/または賦形剤(複数可)を選択するだろう。
【0071】
この組成物は、一例として、ゲル、溶液、エマルション、スプレー、エアロゾル、粉末の形態であり得る。
【0072】
本発明の実施形態によれば、組成物は、衛生化組成物または清浄化組成物、ペンキ、ニス、グロス、色素であり得る。一実施形態において、組成物は、衛生化ワイプもしくは衛生化フィルター、または同種のものを形成するために、吸着性基材の上へロードされ得る。組成物は、その貯蔵のためのリザーバー、及び1つまたは複数の期間においてあらかじめ定義された量で空気または液体中に放出されるように、好ましくは用量で制御された様式で、さらにより好ましくは時間でも制御された様式での放出のための手段を含む、分配デバイス中にもロードされ得る。さらなる実施形態において、衛生化組成物または清浄化組成物は、食品グレードの質であり得る。
【0073】
さらなる実施形態において、前記担体(複数可)及び/または賦形剤(複数可)は、植物または植物の選択された部分上への組成物の投与に好適であり、植物感染性疾患(植物ウイルスによって引き起こされる疾患、または植物細菌性疾患、または植物真菌性疾患、またはファイトプラズマによって引き起こされる植物疾患等)の処理をそれによって可能にする。
【0074】
植物が処理される場合に、植物の感染部分については、一例として、影響を受けた植物部分上に振りかけられ得るかまたは噴霧され得、次いで、もし処理の間及び処理の後に可視光線下にまだ置かれていなければ、植物は可視光線へ曝露される。
【0075】
したがって、本発明は、植物の医学的処理であって、前記植物またはその部分が、前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物により処理され、前記植物またはその部分が、可視光線へ曝露される、前記処理にも関する。
【0076】
好ましい実施形態において、前記好適な担体(複数可)及び/または賦形剤(複数可)は、医薬品グレード(すなわち薬学的に許容される)であり、組成物は、医薬組成物である。
【0077】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、皮下、静脈内、吸入、局所、直腸、膣内の投与に好適な組成物であり得る。
【0078】
故にしたがって、前記カーボンドットまたは本明細書において定義及び請求される組成物は、経口的に、全身的に、非経口的に、注射によって、静脈内注射によって、エアロゾルによって、ネブライゼーションによって、局所的に、鼻内に、鼻咽頭に、及び/または口咽頭に、経直腸的に、膣内に投与され得る。
【0079】
医薬組成物は、したがって、粉末、顆粒、溶液、エマルション、クリーム、ゲル、軟膏、スプレー、エアロゾル、懸濁物、シロップ、注射可能な液体、または同種のものの形態であり得る。
【0080】
医薬品調製の当業者であれば、本発明の組成物の調製に好適な担体及び/または賦形剤を容易に同定するだろう。
【0081】
組成物は、単回投薬量もしくは単回投薬量分割に既に小分けされても提供され得るか、または単回投薬量もしくは単回投薬量分割を放出しやすい分配器(一例として、噴霧物の形態であらかじめ定義された量の溶液を放出しやすい分配器等)中で提供され得る。
【0082】
本発明の目的物は、前記カーボンドットまたは本明細書において開示される実施形態のうちの任意のものに従うかもしくは請求項において定義される組成物によりコーティングされた製品でもある。
【0083】
それらに限定されるものではないが、前記製品は、衛生化製品または清浄化製品、医療デバイス、医療装備、個人の保護デバイス、空気濾過用のシステム、ファブリック、薬用救急絆、薬用パッチ、表面、物体であり得る。
【0084】
好ましい実施形態において、薬用救急絆または薬用パッチは、UV及び/または可視光線に透過性があり、それによって本発明のカーボンドットが抗微生物活性を発揮することを可能にするだろう。
【0085】
各々の及び任意の前記製品の曝露(単なる可視光線へでさえ)は、本発明のカーボンドットの活性化をもたらし、それによって、それらの抗微生物活性を誘発するだろう。
【0086】
本発明は、カーボンドットまたは本明細書において開示される実施形態のうちの任意のものに従うかもしくは請求項において定義される組成物を含む/ロードされる医療デバイスにも関する。好ましい実施形態において、前記医療デバイスは、薬物送達デバイスであり、したがって、前記カーボンドットまたは組成物の貯蔵のためのリザーバー、及び用量制御された手法または用量制御可能な手法でのそれらの放出のための手段を含む。薬物送達デバイスは、自己投与デバイスまたは手術用デバイス(例えば腹腔鏡デバイス)であり得る。
【0087】
好ましくは、デバイスは、所望される期間にわたるUV及び/または可視光線の発光のための手段をさらに含むだろう。
【0088】
一例として、デバイスは、鼻咽頭送達のためのデバイスであり得、本発明のカーボンドットをインサイチューで活性化し、それらが抗微生物活性を発揮することを可能にするために、薬物が投与される場合に光を産生するようにデザインされた光を放出する部分を装備し得る。
【0089】
他の実施形態において、デバイスが腹腔鏡のための手術用デバイスである場合に、デバイスは、光を放出する部分を装備し得るか、または本発明のカーボンドットの活性化に好適な光は、腹腔鏡において一般的に使用されるような追加装置によって放出され得る。光は、UV及び/または可視光線であり得る。
【0090】
本発明のカーボンドットの抗微生物活性の活性化に必要な時間が非常に短い量であることを考慮すると、カーボンドット、またはカーボンドットを含む医薬組成物は両方とも、手術それ自体に由来する感染の予防のために、腹腔鏡手術に非常に好適であるが、それは、カーボンドットの活性化が、腹腔鏡それ自体によって導入される可能性のある微生物感染性病原体を死滅させるからであり、そして、局所的な内部感染上に作用して、それによって抗生物質及び/または抗ウイルス薬の使用を回避するかまたは強く限定するからである。
【0091】
本発明の目的物は、したがって、医学的処理における使用のための、前記カーボンドットまたは本明細書において開示される実施形態のうちの任意のものに従うかもしくは請求項において定義され組成物によって表わされる。
【0092】
本発明の医学的処理は、前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される医薬組成物をそれを必要とする患者へ投与し、前記カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される組成物が、紫外線及び/または可視光線を照射されるかまたはそれらへ曝露されることを含む。
【0093】
本発明の実施形態によれば、カーボンドットまたは本明細書において開示及び請求される医薬組成物は、微生物感染の治療において、または微生物感染の治療におけるアジュバントとして、または微生物感染もしくは感染性疾患の予防のための治療において使用され得る。
【0094】
観察された抗ウイルス活性に起因して、前記カーボンドットまたは本明細書において提供される実施形態のうちの任意のものにおける本発明の組成物は、治療もしくは予防、または細菌、真菌、もしくはウイルスの感染の治療または予防のアジュバント効果において使用され得る。
【0095】
以下の実施例において実証される単純な可視光線によって誘発された抗ウイルス活性は、前記カーボンドット及び本発明の組成物の予防効果そして治療効果を支援する。
【0096】
したがって、本発明は、治療または予防のための、あるいは細菌、真菌、もしくはウイルスの感染、または細菌性、真菌性、もしくはウイルス性の疾患の治療または予防のアジュバント効果のための方法も網羅し、そこで、治療有効用量の前記カーボンドットまたは上で記載された組成物は、それを必要とする対象へ治療有効投薬量で投与され、UVまたは可視光線により照射される(曝露される)。
【0097】
投与は、1日あたり反復され得る複数回であり得、カーボンドットまたは組成物は、既に単回投薬量の形態でまたは単回用量ディスペンサーにより供給され得る。
【0098】
治療有効量は、治療において有効な量、または所望される治療効果を提供するのに十分な量を意味する。治療において有効な量は、疾患の治療または予防の間に1つまたは複数の所望される生物学的活性を産生する量である。
【0099】
医療デバイス/手術用デバイスに関連する部分において上で記載されるように、前記カーボンドットまたは本発明の組成物は、光を放出するツールの存在下において、通常実行される治療である腹腔鏡手術を介して投与され得る。
【0100】
好ましい実施形態において、医学的処理は、本明細書において定義されるようなウイルス性感染症の治療または予防である。
【0101】
一実施形態によれば、前記ウイルスは、動物DNAウイルスまたは動物RNAウイルスである。
【0102】
ウイルス性疾患は、前記動物が、哺乳動物、魚類、爬虫類動物、トリである動物疾患であり得る。
【0103】
特に、動物は、ヒト、ウマ、ブタ、トリ、小反芻動物(ヤギ、ヒツジ、及び他の野生の小反芻動物等)、大反芻動物(ウシ、ウマ、または他の野生の大反芻動物等)、齧歯動物、イヌ、ネコ、霊長動物、ネコ科の動物、小さなまたは大きなトリ、ニワトリ、魚類、昆虫であり得る。
【0104】
一例として、昆虫はハチであり得、本発明のカーボンドットはハチのウイルス感染を処理するために使用され得る。
【0105】
好ましい実施形態によれば、前記動物は、ヒトである。
【0106】
一例として、疾患は、アフリカウマ病(ASH)、アフリカ豚コレラ(ASF)、鳥インフルエンザ(AIV)、ブルータング(BT)、クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)、口蹄疫(FMD)、ニューカッスル病(ND)、小反芻動物病(PPPR)、ブタ伝染性下痢(PED)、リフトバレー熱(RFV)、牛疫(RPV)、シュマレンベルクウイルス(SBV)、シュマレンベルクウイルス(SBV)、水産養殖におけるウイルス性疾患、西ナイルウイルス(WNV)、犬ジステンパー、犬インフルエンザ、犬パルボウイルス、狂犬病、犬コロナウイルス胃腸炎、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ネコ白血病ウイルス(FelV)、ネココロナウイルス、ネコ伝染性腹膜炎(FIP)、ネコパルボウイルス、肝炎、出血熱(エボラ)、脳炎、単核症、Covid-19、MERS、ヘルペスウイルス病巣、HIV、水痘、胃腸炎、及びその他であり得る。
【0107】
好適な動物ウイルスの非限定例は、以下の表において提供される。
【表1】
“Classification of Human Viruses”R,D,Siegel;Principles and Practice of Pediatric Infectious Diseases.2018:1044-1048.e1の表201.2から。
【0108】
さらなる実施形態において、ウイルスは、動物またはヒトのコロナウイルス、オルトミクソウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、ヘパドナウイルス、ヘペウイルス、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、ニューモウイルス、ポックシウイルス(Poxivirus)、ライノウイルス、レオウイルス、及び/またはトガウイルスである。
【0109】
特に好ましい実施形態において、前記コロナウイルスは、SARS、MERSまたはSARS-CoV-2、FCoVのうちの1つのである。
【0110】
本発明によれば、カーボンドットまたは組成物は、経口的に、全身的に、非経口的に、注射によって、エアロゾルによって、ネブライゼーションによって、局所的に鼻内に、鼻咽頭に、及び/または口咽頭に、経直腸的に、膣内に投与され得る。
【0111】
本発明の目的物は、表面、物体、空気、水、領域の消毒、衛生化、及び/または滅菌のための前記カーボンドットまたは本明細書において定義及び請求される組成物の使用でもある。
【0112】
一例として、それらは、水(飲料水及び動物育種用の水等)の処理に使用され得、前記水を前記カーボンドットもしくは前記組成物と混合するか、または前記水を前記カーボンドットもしくは前記組成物により処理し、前記水を可視光線及び/または紫外線を受けさせることによる。
【0113】
したがって、本発明は、表面、物体、空気、水、領域の消毒、衛生化、及び/または滅菌のための方法であって、消毒、衛生化、及び/または滅菌される物体を、好適な量の定義されるカーボンドットまたは本明細書及び請求項において定義される組成物と接触させて置くこと、ならびに少なくとも5分間の期間可視光線及び/または紫外線による照射へ供するかまたはそれらへ曝露することを含む、前記方法にも関する。
【0114】
以下の実施例におけるすべての実験は、商業的に入手可能な細胞株Vero E6で実行された。
【0115】
本明細書及び請求項の任意の部分において、含むという用語は、「~からなる」という用語によって置換され得る。
【0116】
すべての実施例は、「リジン-Bナノマテリアル」としても示される実施例7に従って調製されたL-リジン(超)分岐鎖ナノポリマーを含むナノ粒子により実行された。
【0117】
細胞を伴うすべての実験は商業的に入手可能なアフリカミドリザルVero E6細胞で実行されたことが、本明細書において表明される。
【実施例】
【0118】
Gly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAの合成
CDを得るために、異なる前駆体を含有する3つの異なる溶液:グリシン及び1,5-ジアミノナフタレン(Gly-DiaN)、1,5-ジアミノナフタレン及びクエン酸(DiaN-CA)、ならびにグリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸(Gly-DiaN-BA)を調製した。
Gly-DiaN:0.15gのグリシン及び0.31gの1,5-ジアミノナフタレン及び0.83mLの1MのHClを、蒸留水(20mL)中で溶解した。
DiaN-CA:0.38gのクエン酸及び0.31gの1,5-ジアミノナフタレン及び0.83mLの1MのHClを、蒸留水(20mL)中で溶解した。
Gly-DiaN-BA:0.15gのグリシン及び0.31gの1,5-ジアミノナフタレン及び0.12gのホウ酸を、蒸留水(20mL)中で溶解した。
【0119】
溶液を濁った灰色になるまで超音波処理し、次いで、マイクロ波オーブン中で1000Wで2分間処理した。得られた生成物を、20mLの蒸留水中で可溶化し、0.22μmの孔サイズのフィルターにより濾過し、60℃のオーブン中で15時間乾燥させて、黒色~紫色粉末を得た。
【0120】
0.15gのグリシン及び0.31gの1,5-ジアミノナフタレンから得たカーボンドットを、本明細書及び図面においてGly-DiaNとして表示する。
【0121】
0.38gのクエン酸及び0.31gの1,5-ジアミノナフタレンから得たカーボンドットを、本明細書及び図面においてDiaN-CAとして表示する。
【0122】
00.15gのグリシン、0.31gの1,5-ジアミノナフタレン、及び0.12gのホウ酸から得たカーボンドットを、本明細書及び図面においてGly-DiaN-BAとして表示する。
【0123】
材料の特徴評価
水中で可溶化したカーボンドットサンプルGly-DiaN、DiaN-CA、及び Gly-DiaN-BAの各々の紫外線-可視光線(UV-vis)スペクトルを、「Nicolet Evolution 300」UV-vis分光光度計(Thermo Fisher)の使用によって、200~600nmの吸収モードで測定した。
【0124】
サンプルのフーリエ変換赤外分光(FTIR)分析を、4cm-1の分解能により、4000~400cm-1の範囲において「Vertex 70」干渉計(Bruker)によって実行した。
【0125】
水中で可溶化したサンプルの蛍光分析を、300~700nmの励起波長及び発光波長により、「Horiba Jobin Yvon NanoLog」分光蛍光計によって実行した。
【0126】
透過電子顕微鏡解析を、200kVでの電界放出電子銃操作により行なう「Fei Technai G2 F20 Twin TMP」によって実行した。
【0127】
熱重量分析(TGA)を、SDT-Q600装置(TA Instruments)によって、20mL分-1の窒素フロー下で10℃分-1の傾斜率により室温~500℃で測定した。
【0128】
【0129】
細胞傷害性分析
カーボンドットサンプルGly-DiaN、DiaN-CA、及びGly-DiaN-BAの各々の細胞傷害性を、Vero E6細胞(Cercopithecus aethiops、腎臓、ATCC CRL-1586)において研究した。細胞株を、1%のグルタミン、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、及び10%の胎仔ウシ血清を補足したDMEM中でルーチンに維持する。
【0130】
指数関数増殖のVero E6細胞を、完全培地中で最適な密度で96ウェルプレートの中へ接種し、24時間後に、細胞を異なる濃度のナノマテリアルへ72時間曝露した。各々の濃度点についての重複を調査した。細胞傷害性効果を、顕微鏡観察(細胞単層全体性の決定)を介して評価した。薬物希釈を培養培地中で遂行した。細胞傷害性濃度50%(CC50、無処理対照へ比較して、細胞生存率の50%の損失をもたらす濃度)を計算した。
【0131】
以下の表は、示された濃度で72時間の処理後の細胞単層全体性に関して、細胞生存率に対するナノマテリアルの効果を示す。
【0132】
カーボンドット#1及び#3について、試験することができる最高濃度は、水溶解度の制約に起因して5mg/mLであり、したがって、細胞傷害性濃度50%(CC50)を用量-応答曲線の補間を介して計算した。#2については、25mg/mLに達することは可能であった。
【表2】
【0133】
殺ウイルス活性の決定
医学領域における化学消毒物質及び防腐物質についての殺ウイルス性の定量的懸濁物試験を、EN 14476:2013+A2:2019/UNI EN 14476:2019中のガイドラインに従って遂行した。
【0134】
一定の体積のSARS-CoV-2(Wuhan株)のウイルス懸濁物(結果セクションにおける以下の各々の実験について指摘されるように)を、96ウェルプレートの蓋(12×8cm)上に置いた。一定の体積ナノマテリアルを、ウイルス懸濁物(結果セクションにおける以下の示された体積及び最終的な濃度で)へ添加した。
【0135】
次いで懸濁物を、暗所で放置するか、または各々の実験中で示した時間(2~5分間の範囲)の間可視光線(450nm)もしくは紫外線(365nm)へ曝露した。
【0136】
培養培地を対照として使用し、ウイルス懸濁物へ添加し、ナノマテリアルと同様に暗所または可視光線/紫外線へ曝露した。一般的な実験セットアップを
図1において示す。
【0137】
追加の5分間のインキュベーション後に、ウイルス懸濁物を収集し、ウイルス力価を下で記載される方法論に従って決定した。
【0138】
ウイルス力価の決定
インビトロのシステムを用いて、SARS-CoV-2懸濁物のウイルス力価を決定した。
【0139】
Vero E6細胞(アフリカミドリザルからの腎臓上皮細胞、ATCC CRL-1586)を、ATCCデータシートに基づいての最適な密度で維持した。実験の1日目に、細胞を96ウェルプレート(1ウェルあたり20.000細胞)中に移した。2日目に、各々の条件について、6つのウェル重複で連続的なウイルス希釈(10-2、10-3、10-4...)で、細胞を感染させた。重要なことには、細胞へ添加された第1の連続希釈物で非細胞傷害性濃度を得るように、各々のナノマテリアルの処理濃度を決定した。
【0140】
追加の3日間後に、各々の試験ウェルにおける感染を、細胞変性効果の観察によって決定した。次いでデータを使用して、Reed and Muench方法(Reed,L.J.;Muench,H.(1938).“A simple method of estimating fifty percent endpoints.”The American Journal of Hygiene.27:493-49)に従って、処理ウイルス及び対照ウイルスの力価を決定した。
【0141】
感染データを用いて、以下の表を作成した。
【表3】
【0142】
ウイルス力価の決定は、以下の通りである。
第1の行に6/6の影響を受けたウェルのウイルス希釈及び最後の行に0/6の影響を受けたウェルのウイルス希釈を置く。
B列に影響を受けたウェルの数及びC列に影響を受けないウェルの数を記入する。
D列は、B列の一番下で出発した数値を加えること及び上に足していくことによって計算された、影響を受けたウェルの累積数を表わす。
E列は、C列の一番上で出発した数値を加えること及び下に足していくことによって計算された、影響を受けないウェルの累積数を表わす。
F列は、影響を受けたウェル(%)の累積比を表わす:D列からの数値をD列の数値+E列の数値の合計で割って、%として表わす。
【0143】
F列からの値を使用して、50%に最も近い2つの希釈間の比例距離(proportionate distance)を計算する。
【表4】
50%を超えた次のウイルス希釈の負の指数を加える。
【0144】
計算値を底10の指数として使用して、感染体積内のウイルス力価(すなわちTCID50/100μL)を得た。
【0145】
UV及び可視光線によるナノマテリアルの殺ウイルス性の有効性
ウイルス力価決定実験の間に細胞へ添加された第1の連続稀釈物で非細胞傷害性濃度を得るように、各々のナノマテリアルの処理濃度を選択した。以下の表及び関連する図は、異なる実験における可視光線(450nm)または紫外線(365nm)のいずれかの存在または非存在下におけるナノマテリアルの殺ウイルス効果を示す。
対照=ウイルスにより感染させた細胞
#1=グリシン+1,5-ジアミノナフタレン+HCl
#2=クエン酸+1,5-ジアミノナフタレン+HCl
#3=グリシン+1,5-ジアミノナフタレン+ホウ酸
【0146】
紫外線曝露
実験パラメーター:
5μLのウイルス懸濁物+10μLカーボンドット(3.3mg/mLで#1、#2、及び#3)。
条件:紫外線365nm(または暗所)
曝露時間:5分間光をつける(または暗所)+5分間のインキュベーション
【表5】
【0147】
【0148】
可視光線曝露
実験パラメーター:5μLのウイルス懸濁物+10μLカーボンドット(3.3mg/mLで#1、#2、及び#3)。
条件:可視光線(VL)450nm(または暗所)
曝露時間:5分間光をつける(または暗所)+5分間のインキュベーション
【表6】
【0149】
【0150】
Gly-DiaN-BA CDにより官能化された表面の抗ウイルス効果(SARS-CoV-2ウイルスWuhan株)
表面官能化
シリコン基材を、最初に、ゾル-ゲルプロセスを介してアミノ基を持つハイブリッドシリカフィルムによりコーティンし、次いでEDC/NHSカップリング反応を介してGly-Dian-BAにより官能化した。
【0151】
実験パラメーター:
一定の体積のSARS-CoV-2ウイルス(Wuhan株)のウイルスに対しての懸濁物(5μL)を、96ウェルプレートの蓋(12×8cm)上に流し込んだ。次いで、ウイルス懸濁物を、コートしたプレートに添加した。
【0152】
次いで、基材を、暗所で放置、または5分間の紫外線(UV=365nm)もしくは可視光線(VL=450nm)へ曝露した。追加の5分間のインキュベーション後に、ウイルス懸濁物を収集し、ウイルス力価を下で記載される方法論に従って決定した。
【0153】
ウイルス力価の決定
インビトロのシステムを用いて、SARS-CoV-2懸濁物のウイルス力価を決定した。
【0154】
Vero E6細胞(アフリカミドリザルからの腎臓上皮細胞、ATCC CRL-1586)を、ATCCデータシートに基づいての最適な密度で維持した。実験の1日目に、細胞を96ウェルプレート(1ウェルあたり20.000細胞)中に移した。2日目に、各々の条件について、6つのウェル重複で連続的なウイルス稀釈(10-2、10-3、10-4...)で、細胞を感染させた。重要なことには、細胞へ添加された第1の連続稀釈物で非細胞傷害性濃度を得るように、各々のナノマテリアルの処理濃度を決定した。
【0155】
追加の3日間後に、各々の試験ウェルにおける感染を、細胞変性効果の観察によって決定した。次いでデータを使用して、Reed and Muench方法(参照文献Reed,L.J.;Muench,H.(1938).“A simple method of estimating fifty percent endpoints.”The American Journal of Hygiene.27:493-49)に従って、処理ウイルス及び対照ウイルスの力価を決定した。
【0156】
【0157】
Gly-DiaN-BA CDにより官能化された表面の抗ウイルス効果(SARS-CoV-2ウイルスデルタ株)。
表面官能化
シリコン基材を、最初に、ゾル-ゲルプロセスを介してアミノ基を持つハイブリッドシリカフィルムによりコーティンし、次いでEDC/NHSカップリング反応を介してGly-Dian-BAにより官能化した。
【0158】
実験パラメーター:
一定の体積のSARS-CoV-2ウイルス(デルタ株)のウイルスに対しての懸濁物(5μL)を、96ウェルプレートの蓋(12×8cm)上に流し込んだ。次いで、ウイルス懸濁物を、コートしたプレートに添加した。
【0159】
次いで、基材を、暗所で放置、または5分間の紫外線(UV=365nm)もしくは可視光線(VL=450nm)へ曝露した。追加の5分間のインキュベーション後に、ウイルス懸濁物を収集し、ウイルス力価を下で記載される方法論に従って決定した。
【0160】
ウイルス力価の決定
インビトロのシステムを用いて、SARS-CoV-2懸濁物のウイルス力価を決定した。
【0161】
Vero E6細胞(アフリカミドリザルからの腎臓上皮細胞、ATCC CRL-1586)を、ATCCデータシートに基づいての最適な密度で維持した。実験の1日目に、細胞を96ウェルプレート(1ウェルあたり20.000細胞)中に移した。2日目に、各々の条件について、6つのウェル重複で連続的なウイルス稀釈(10-2、10-3、10-4...)で、細胞を感染させた。重要なことには、細胞へ添加された第1の連続稀釈物で非細胞傷害性濃度を得るように、各々のナノマテリアルの処理濃度を決定した。
【0162】
追加の3日間後に、各々の試験ウェルにおける感染を、細胞変性効果の観察によって決定した。次いでデータを使用して、Reed and Muench方法(参照文献Reed,L.J.;Muench,H.(1938).“A simple method of estimating fifty percent endpoints.”The American Journal of Hygiene.27:493-49)に従って、処理ウイルス及び対照ウイルスの力価を決定した。
【0163】
【0164】
Gly-DiaN-BA CDの殺菌効果
スライスの果実を、本発明に従うGly-DiaN-BA Cドットの水溶液(濃度1mg/mL)により処理した。水溶液を、イチゴスライス上に20cmの距離で、室温の空気へ噴霧した。
【0165】
同じ果実(イチゴ)からの非処理スライス及び処理スライスを、異なる条件下で室温で維持し、スライスの変化を経時的にモニタリングした。
【0166】
時間的な観察の結果を
図14において報告する。図は、3日後の大規模なカビ増殖及び腐敗のある非処理スライス(14a)を示すが、処理されたスライス(14b)は、196日後に乾燥の徴候を示すが、カビまたは腐敗を示さない。
【0167】
本発明のCDの抗真菌性効果及び一般的な抗微生物効果は、実験の結果から明白である。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、及びホウ酸を蒸留水中で溶解し、
b.a.において得られた混合物を、溶液が濁った灰色になるまで超音波処理し、
c.このようにして得られた前記濁った灰色の溶液を熱処理し、それによって得られた生成物を蒸留水中に溶解し、
d.c.において得られた混合物を、10~30μmの孔サイズフィルターにより濾過し、溶出物を収集し、
e.このようにして得られた前記溶出物を乾燥する、
ことを含む、カーボンドットの調製ためのプロセスであって、
グリシン、1,5-ジアミノナフタレン、ホウ酸、及び水が、プロセスにおいて使用される唯一の化合物である、前記プロセス。
【請求項2】
a.におけるグリシン:1,5-ジアミノナフタレン:ホウ酸の重量における比が、約1.0:2.0:0.8であり、好ましくは前記比が、1.0:2.06:0.8である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
0.15gのグリシン、0.31gの1,5-ジアミノナフタレン、及び0.12gのホウ酸が、15~25mlの蒸留水中で、好ましくは20mlの蒸留水中で溶解される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記熱処理が、マイクロ波オーブン中で、800~1200W、2~5分間の期間で、またはオーブン中で、200℃、12時間以上の時間範囲で、またはオートクレーブ中で、200℃の熱水条件下、少なくとも8時間、実行される、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記乾燥が、前記溶出物を、12~18時間の期間で50~70℃の温度に供することによって実行される、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
水中0.1mg/mlのカーボンドット濃度で測定した場合に、320nmの励起下で300~700nm波長範囲において357nmと425nmとの間で最大発光ピーク及び200~600nm波長範囲において310nmと340nmとの間で最大吸収ピークを有する
、カーボンドット。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセスにより得ることが可能な、
請求項6に記載のカーボンドット。
【請求項8】
請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットと、少なくとも1つの担体及び/または賦形剤とを含む組成物であって、好ましくは、前記組成物が医薬組成物であり、前記少なくとも1つの担体及び/または賦形剤が薬学的に許容される、前記組成物。
【請求項9】
請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは請求項8に記載の組成物によりコーティングまたはロードされた、製品。
【請求項10】
前記製品が、衛生化製品、清浄化製品、医療デバイス、医療装備、個人の保護デバイス、空気濾過のためのシステム、手術用マスク、濾過式フェイスピース呼吸用保護具、手術器具、前記カーボンドットまたは組成物の貯蔵のためのリザーバーを含むデバイス、及び前記カーボンドットまたは組成物の放出のための手段
からなる群から選択される、請求項
9に記載の製品。
【請求項11】
請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは請求項8に記載の医薬組成物を含む医療デバイスであって、好ましくは、前記医療デバイスが薬物送達デバイスである、医療デバイス。
【請求項12】
可視光または紫外線の発光のための手段をさらに含むか、あるいは可視光及び/または紫外線に透過性がある薬物送達デバイスである、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
医学的処理における使用のための、請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項14】
微生物感染の治療における、または微生物感染の治療におけるアジュバントとしての、または微生物感染もしくは感染性疾患の予防のための治療における使用のための、請求項13に記載の使用のためのカーボンドットまたは医薬組成物であって、好ましくは、前記感染が動物または植物に影響する、前記カーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項15】
前記微生物感染が、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、ファイトプラズマ感染である、請求項14に記載のカーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項16】
前記感染が、動物DNAウイルスまたは動物RNAウイルスによって引き起こされたウイルス感染である、請求項13~15のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項17】
前記動物が哺乳動物である、請求項13~16のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項18】
前記感染が、コロナウイルス、オルトミクソウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、ヘパドナウイルス、ヘペウイルス、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、ニューモウイルス、ポックシウイルス(Poxivirus)、ライノウイルス、レオウイルス、トガウイルス、またはインフルエンザウイルスによって引き起こされる、請求項15~17のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは医薬組成物。
【請求項19】
前記コロナウイルスが、SARS、MERS、SARS-CoV-2、またはFCoVである、請求項18に記載の使用のためのカーボンドットまたは組成物。
【請求項20】
表面、物体、空気、水、領域の消毒、衛生化、及び/または滅菌のための、請求項6~7のいずれか1項に記載のカーボンドットまたは請求項8に記載の組成物の使用。
【請求項21】
表面、物体、空気、水、領域の消毒、衛生化、及び/または滅菌のための方法であって、
消毒、衛生化、及び/または滅菌される前記物体を、好適な量の請求項6~7のいずれか1項において定義されるカーボンドットまたは請求項8における定義される組成物と接触させ、
少なくとも5分間の期間、可視光線及び/または紫外線を照射する、
ことを含む、前記方法。
【国際調査報告】