(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-08
(54)【発明の名称】シアノエチルトリメトキシシランの製造プロセス
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20241225BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20241225BHJP
C08K 5/5475 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
C07F7/18 P
C08L83/06
C08K5/5475
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531612
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022079675
(87)【国際公開番号】W WO2023102314
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】デピエロ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リュー、キティ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、シャオユアン
(72)【発明者】
【氏名】パナー、レザ
(72)【発明者】
【氏名】グライナー、アーロン
【テーマコード(参考)】
4H049
4J002
【Fターム(参考)】
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ41
4H049VR21
4H049VR43
4H049VS41
4H049VT53
4H049VU22
4H049VU23
4H049VV05
4H049VW02
4J002CP051
4J002EX076
4J002FD146
4J002GJ02
(57)【要約】
シアノエチルトリメトキシシランを調製するためのプロセスは、触媒の存在下でシアノエチルトリエトキシシランとメタノールとのエステル交換を介して行われる。シアノエチルトリメトキシシランは、接着促進剤、カップリング剤、又は架橋剤として有用である。シアノエチルトリメトキシシランは、ポリオルガノシロキサンシーラント組成物中に配合されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアノエチルトリメトキシシランを調製するプロセスであって、
1)
(A)シアノエチルトリエトキシシラン、
(B)化学量論的過剰量のメタノール、及び
(C)酸触媒を含む出発材料を合わせ、それによってエステル交換反応混合物を生成することと、
任意選択的に、2)前記エステル交換反応混合物に、
(D1)瀝青炭活性炭、
(D2)少なくとも1200mg/gのヨウ素価を有するココナッツ活性炭、並びに
(D3)(D1)及び(D2)の両方
からなる群から選択される(D)活性炭を添加することと、
3)前記エステル交換反応混合物から、メタノール、エタノール及び酸触媒を含む材料を除去することと、
4)工程1)~3)を1回以上繰り返すことと
を含む、プロセス。
【請求項2】
工程1)において、ある量の(A)シアノエチルトリエトキシシラン及びある量の(B)メタノールが、少なくとも5:1、あるいは5:1~30:1、あるいは>5:1~30:1、あるいは15:1~30:1のモル比(B):(A)で使用される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記(C)酸触媒が、HCl及びイオン交換樹脂からなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記(C)酸触媒がHClであり、前記HClが(A)シアノエチルトリエトキシシランの重量及び(B)メタノールの重量の合計に基づいて少なくとも30ppmの量で使用され、工程3)の時間が1~4時間である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
工程2)が存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記(D)活性炭が、(D1)ヨウ素価≧900mg/g(分)を有する瀝青炭活性炭である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記(D)活性炭が(D2)ココナッツ活性炭である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
工程2)の前に、(D)活性炭を処理することを更に含む、請求項5~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程4)が、工程1)~3)を1回又は2回繰り返す、請求項5~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセスによって調製されるシアノエチルトリメトキシシランを含む組成物。
【請求項11】
ポリオルガノシロキサンシーラント組成物における、請求項10に記載の組成物の使用。
【請求項12】
前記組成物が、接着促進剤、カップリング剤、又は架橋剤である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項10に記載の組成物をポリオルガノシロキサンシーラント組成物に添加することを含む方法。
【請求項14】
前記ポリオルガノシロキサンシーラント組成物が、アルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリオルガノシロキサンシーラント組成物が、アシルオキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年12月3日出願の米国仮特許出願第63/285,546号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/285,546号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シアノエチルトリメトキシシランの製造プロセスに関する。より具体的には、本発明は、シアノエチルトリエトキシシランのエステル交換によってシアノエチルトリメトキシシランを製造するプロセスに関する。
【0003】
序論
シアノエチルトリメトキシシラン(CETMS)は、室温加硫性(RTV)ポリオルガノシロキサンシーラント組成物などのシロキサン組成物中の接着促進剤又はカップリング剤として有用である。CETMSは、アクリロニトリルとトリクロロシランとのヒドロシリル化反応に後続して、メトキシル化を行うことによって製造することができる。CETMSは、トリメトキシシランとアクリロニトリルとのヒドロシリル化反応によっても製造することができる。しかしながら、これらのプロセスは、CETMSが商業的規模で広く利用できないという結果を伴う欠点を有する。
【発明の概要】
【0004】
シアノエチルトリメトキシシランの製造プロセスは、シアノエチルトリエトキシシラン、メタノール、及び酸触媒を合わせることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
より具体的には、CETMSを製造するプロセスは:
1)(A)シアノエチルトリエトキシシラン(CETES)、(B)化学量論的過剰量のメタノール、及び(C)酸触媒を含む出発材料を合わせ、それによってエステル交換反応混合物を生成することと、
任意選択的に、2)エステル交換反応混合物に(D)活性炭を添加することと、
3)エステル交換反応混合物から、メタノール、エタノール及び(C)酸触媒を含む材料を除去することと、
4)工程1)~3)を1回以上繰り返す(メタノール及び(C)酸触媒を総計で少なくとも2回添加し、その後メタノール、エタノール及び触媒を除去する)こととを含む。
【0006】
シアノエチルトリメトキシシランを製造するためのプロセスにおいて、CETESとメタノールとのエステル交換反応は、以下に示すエステル交換反応スキームに従って進行させてもよい。
【0007】
【化1】
アルコキシシラン生成物の式中、x=0のとき、この式はCETMSである。しかしながら、部分的にメトキシル化された種、例えば、シアノエチル-、ジエトキシ-、モノメトキシシラン(x=2の場合)及び/又はシアノエチル-、モノエトキシ-、ジメトキシシラン(x=1の場合)もまた、本明細書に記載のプロセス中に形成され得る。この反応スキームにおける二量体の式中、各Rは、独立して、メチル及びエチルからなる群から選択される。二量体は、本明細書に記載されるプロセス中に形成され得る副生成物であり、二量体の形成の増加は、CETMSの収率に悪影響を与える。CETES中のエトキシ基を高度にメトキシ基へ変換させ、高純度のCETMSをもたらし、かつ二量体形成を少量に抑えるように反応を進めることが望ましい。
【0008】
本明細書に記載のプロセスの工程1)において、(A)シアノエチルトリエトキシシラン及び(B)メタノールは、化学量論的過剰量のメタノールを与えるのに十分な量で使用される。(A)シアノエチルトリエトキシシラン及び(B)メタノールの量は、少なくとも5:1の(B):(A)(モル比)、あるいは少なくとも15:1であってもよく、一方で同時に、(B):(A)比は、最大30:1、あるいは最大15:1であってもよい。あるいは、(B):(A)比は、5:1~30:1、あるいは>5:1~30:1、あるいは15:1~30:1であってもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、工程1)は、室温又は最高70℃までなどの高温で実施され得ると考えられる。あるいは、温度は21℃~70℃であってもよい。工程1)におけるエステル交換反応の時間は、平衡に達するのに十分である。例えば、室温で、時間は1時間~4時間であり得る。しかしながら、正確な時間は、選択された温度並びに(C)酸触媒の選択及び量などの様々な因子に依存するであろう。理論に束縛されることを望むものではないが、工程1)におけるエステル交換反応を室温で行うことは、加熱及び冷却に関連する時間、エネルギー、及びコストの面で効率的であり得ると考えられる。酸触媒の使用は、室温での迅速な反応を可能にする利点をもたらすことができ、これは、時間及び操作コストを最小限に抑える。反応は、任意選択的に、高温下で実施してもよい。更に、工程1)は、水分の存在を最小限にするか又は排除する条件下で行われてもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、水分汚染が、二量体を形成する副反応を開始させ得ると考えられ、該副反応がCETMSの収率を低下させると思われる。
【0009】
出発材料(C)である酸触媒は、例えば式HX(式中、XはCl、Br又はIである)のハロゲン化水素、スルホン酸(例えば、トルエンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸)、及びイオン交換樹脂からなる群から選択し得る。あるいは、(C)酸触媒はハロゲン化水素であってもよく、あるいは、酸触媒はHClであってもよい。(C)酸触媒がハロゲン化水素、例えば、HClである場合、ハロゲン化水素(例えば、HCl)は、(A)CETESの重量及び(B)MeOHの重量の合計に基づいて、少なくとも1ppm、あるいは少なくとも5ppm、あるいは少なくとも10ppm、あるいは少なくとも30ppmの量で使用されてもよく、一方で同時にハロゲン化水素(例えば、HCl)の量は、最大100ppm、あるいは最大50ppm、あるいは最大30ppmであってもよい。あるいは、ハロゲン化水素(例えば、HCl)の量は、同じ基準で、10ppm~100ppm、あるいは10ppm~50ppm、あるいは30ppmであってもよい。あるいは、イオン交換樹脂が使用される場合、その量は、同じ基準で、液体に対して少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.5%の固体であってもよく、一方で同時に、その量は、最大30%であってもよい。あるいは、イオン交換樹脂の量は、0.1%~30%であってもよい。
【0010】
本プロセスの工程1)で使用される出発材料は、当該技術分野において公知であり、市販されている。CETESは、Gelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から入手可能である。MeOH及びHClは、Sigma-Aldrich,Inc.(St.Louis、Missouri、USA)を含む様々な供給元から入手可能である。イオン交換樹脂は、本明細書で使用するために、樹脂のイオン形態が水素(H+)ではない、強酸及び弱酸カチオン交換樹脂であってもよい。このようなイオン交換樹脂は市販されており、例えば、TDCCからDOWEX(商標)Monosphere 2030、DOWEX(商標)MARATHON(商標)1200(Na+型)、及びAMBERLITE IR122 Naが市販されている。
【0011】
工程1)で出発材料を合わせることは、回分式又は連続式で、混合などの任意の好都合な手段によって行ってもよい。混合は、撹拌器、並びに任意選択的なジャケットなどの加熱手段を備えた回分反応器などの従来の機器で行ってもよい。あるいは、本プロセスは、充填床反応器で行うことができ、例えば、固体触媒、例えばイオン交換樹脂が使用される場合、反応器に(C)酸触媒を充填することができ、かつ/又は工程2)が存在する場合、例えば活性炭が使用される。
【0012】
本プロセスの工程2)は、(D)活性炭と工程1)で調製したエステル交換反応混合物とを合わせることを含む。工程2)は、任意選択である。しかしながら、工程2)は、用いられる場合、室温で、例えば、活性炭と工程1)で調製したエステル交換反応混合物とを、該エステル交換反応混合物から酸HClを吸着するのに十分な時間をかけて混合することによって実施され得る。正確な時間は、工程2)に使用される容器(工程1)で使用された反応器と同じであってもよい)のサイズなどの様々な因子に依存するが、時間は、少なくとも1時間、あるいは少なくとも2時間、あるいは少なくとも4時間、あるいは少なくとも8時間、あるいは少なくとも16時間であってもよく、一方で同時に、時間は、最長48時間、あるいは最長24時間、あるいは最長16時間であってもよい。工程2)は、水分を最小限に抑える又は排除する条件下で実施され得る。
【0013】
工程2)が存在する場合、(D)活性炭は、(D1)瀝青炭活性炭、(D2)≧1200mg/gのヨウ素価を有するココナッツ活性炭、並びに(D3)(D1)及び(D2)の両方の組み合わせからなる群から選択され得る。(D1)瀝青炭活性炭及び(D2)ココナッツ活性炭は、当該技術分野において公知であり、General Carbon Corporation(Paterson,New Jersey,USA)又はCalgon Carbon(Pittsburgh,Pennsylvania,USA)などの様々な供給元から市販されている。瀝青炭活性炭は、少なくとも500mg/g(分)、あるいは少なくとも600mg/g(分)、あるいは少なくとも750mg/g(分)、あるいは少なくとも850mg/g(分)、あるいは少なくとも900mg/g(分)のヨウ素価を有し得、一方で同時に、瀝青炭活性炭は、最大1200mg/g(分)、あるいは最大1100mg/g(分)、あるいは最大1,000mg/g(分)、あるいは最大950mg/g(分)のヨウ素価を有し得る。あるいは、瀝青炭活性炭のヨウ素価は、600mg/g(分)~1200mg/g(分)、あるいは750mg/g(分)~1200mg/g(分)、900mg/g(分)~1200mg/g(分)、あるいは900mg/g(分)~1050mg/g(分)であってもよい。ココナッツ活性炭のヨウ素価は、≧1200mg/g(分)、あるいは1200mg/g(分)~1500mg/g(分)、あるいは1200mg/g(分)~1300mg/g(分)であってもよい。
【0014】
瀝青炭活性炭の例としては、900mg/g(分)のヨウ素価及び0.47~0.53g/ccの密度を有する顆粒形態の未使用活性炭であり、General Carbon Corporationから市販されているGC 12×40、並びに1000mg/g(分)のヨウ素価を有する再凝集冶金グレード瀝青炭であり、Calgon Carbonから市販されているCAL(商標)12×40顆粒状活性炭が挙げられる。Calgon Carbonからの他の瀝青炭活性炭としては、950mg/g(分)のヨウ素価を有するCPG(商標)LF 12×40、900mg/g(分)のヨウ素価を有するFILTRASORB(商標)300M、1000mg/g(分)のヨウ素価を有するFILTRASORB(商標)400M、900mg/gのヨウ素価を有するHPC MAXX、及び結合剤と組み合わされた瀝青炭から作製される顆粒状活性炭であり、900(分)mg/gのヨウ素価を有するSGL 8×20が挙げられる。ココナッツ活性炭は、1200mg/g(分)のヨウ素価及び0.45g/ccの密度を有するOLC Plus 12x30を含み、OLC Plus 12x30もCalgon Carbonから入手可能である。
【0015】
工程2)が存在する(すなわち、活性炭が使用される)場合、本プロセスは、工程2)で使用する前に活性炭を処理することを更に含んでもよい。処理は、例えば、活性炭を乾燥させる(例えば、炭素がエステル交換反応混合物と接触するときにアルコキシシラン生成物の加水分解の可能性を最小限にするために、任意の吸着水分の全て又は一部を除去する)ために行われてもよい。例えば、活性炭を、全ての水又は一部の水を除去するのに十分な時間をかけて、例えば1分間~24時間かけて、水の沸点より高い温度(例えば、>100℃、あるいは>100℃~200℃、あるいは120℃~160℃)に加熱してもよい。活性炭は、周囲圧力又は減圧下で加熱してもよい。活性炭は、工程2)で使用する前に、窒素などの不活性雰囲気下で加熱して貯蔵しておいてもよい。
【0016】
本プロセスの工程3)は、(過剰の)未反応の(B)メタノール、エタノール(副生成物として生成される)、及び(C)酸触媒を含む材料をエステル交換反応混合物から除去することを含む。工程3)を、任意の好都合な手段で実施してもよい。工程3)は、例えば、(C)酸触媒として使用した場合のイオン交換樹脂などの固体材料、及び/又は工程2)が存在する場合の活性炭を除去するための濾過を含んでもよい。工程3)はまた、メタノール、エタノール、及びHClなどの液体酸触媒を除去することができる、加熱下及び任意選択的に減圧下での、ストリッピング及び/又は蒸留も含んでよい。
【0017】
本プロセスの工程4)は、工程1)~3)を1回以上繰り返すことを含む。工程4)は、1)~3)を少なくとも1回、あるいは1~4回繰り返すことを含んでもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、メタノール及び酸触媒の添加、並びにその後の除去の工程1)~3)を多すぎる回数(例えば、五回以上(あるいは5回以上)、総計6~7回又はそれ以上繰り返すと、望ましくない多量の二量体の形成及び/又はプロセスを商業規模で非実用的にするコストの増加をもたらし得ると考えられる。あるいは、工程4)は、特に工程2)が存在する場合、工程1)~3)を1回又は2回繰り返すことを含んでもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、熱力学的平衡制限及びエタノールよりも高いメタノールの揮発性に起因して、(例えば、ストリッピング及び/又は蒸留を介した)工程3)の間、CETMS(上に示すアルコキシル化生成物の式中、x=0である場合)又は部分的にメトキシル化された種(x=1又は2である場合)とEtOH副生成物(より低い沸点のMeOHの全て又は大部分が最初に除去されるまで除去することができない)との反応を介して逆反応が起こり得ると考えられる。更に、本発明者らは、驚くべきことに、工程2)において、活性炭でエステル交換反応混合物を処理することにより、この逆反応が最小限に抑えられることを見出した。工程1)~3)の各繰り返しは、プロセスのコストを増し加え得るため、CETMS生成物の収率及び純度を達成するという条件で、効率化をはかって、工程4での繰り返しの数を最小限にすることが望ましい。
【0018】
上記のプロセスは、任意選択的に、1つ以上の追加の工程を更に含み得る。例えば、工程4)の後に、プロセスは、5)CETMSを活性炭で処理することを更に含んでもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、工程5)は、CETMSを、活性炭を含有するドラム若しくは床などの容器に通してポンプ輸送することによって行ってもよい、又は活性炭を、工程4)で使用した容器に添加し、その後、生成物から濾別してもよい。工程5)で使用される活性炭は、工程2)に関して上述したものであってもよい。工程2)及び/又は工程5)が存在する場合、本プロセスは、任意選択的に、使用前に活性炭を乾燥させることを更に含んでもよい。
【0019】
上記のプロセスは、次式:
【0020】
【化2】
を有するシアノエチルトリメトキシシラン(CETMS)を含む組成物を生成する。CETES出発材料のエトキシ基のメトキシ基への変換率は、下記の試験方法により測定されかつ実施例において使用される場合、少なくとも90GC面積%、あるいは少なくとも91GC面積%、あるいは少なくとも92GC面積%、あるいは少なくとも93GC面積%、あるいは少なくとも94GC面積%であってもよく、一方で同時に、変換率は、最大100GC面積%、あるいは最大99GC面積%、あるいは最大98GC面積%、あるいは最大97GC面積%、あるいは最大96GC面積%であってもよい。CETMSの純度は、下記の試験方法により測定されかつ実施例において使用される場合、少なくとも72GC面積%、あるいは少なくとも81GC面積%、あるいは少なくとも86GC面積%、あるいは少なくとも89GC面積%、あるいは少なくとも90GC面積%であってもよく、一方で同時に、CETMSの純度は、最大100GC面積%、あるいは最大98GC面積%、あるいは最大95GC面積%、あるいは最大92GC面積%、あるいは最大90GC面積%であってもよい。二量体の量は、0、あるいは1重量%~10重量%、あるいは1.5重量%~9重量%、あるいは1.8重量%~6重量%、あるいは2重量%~3重量%であってもよい。しかしながら、二量体の量は、工程2)が存在するかどうかに応じて変化し得る。例えば、二量体の量は、プロセスの工程2)が省略される(処理剤が使用されない)場合、1重量%~3重量%、あるいは1.5重量%~2重量%、あるいは1.8重量%であり得る。処理剤(例えば、活性炭)が使用される場合、二量体の量は、5重量%~10重量%、あるいは6重量%~9重量%であってもよい。
【0021】
上記のように製造されたCETMSを含む組成物は、室温加硫性オルガノポリシロキサン組成物などのポリオルガノシロキサン組成物中に使用することができる。室温加硫性オルガノポリシロキサン組成物は、当該技術分野において公知であり、例えば、Lucasらの米国特許第4483973号、Lucasらの米国特許第5962559号、Hatanakaらの米国特許第7550548号、Kochらの米国特許第7674871号、Williamsらの米国特許出願公開第2007/0173597号、及びPCT特許出願公開WO2007/024792に開示されているものがある。CETMSは、ポリオルガノシロキサン組成物中の接着促進剤、カップリング剤、及び/又は架橋剤として機能し得る。あるいは、CETMSは、DSCからのXIAMETER(商標)SLT-5200などの市販の室温加硫性シーラントに添加されてもよい。
【実施例】
【0022】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを意図しており、請求項に記載されている発明を制限するものと解釈すべきではない。本明細書で使用した材料を表1に記載する。
【0023】
【0024】
この参考例では、活性炭の試料を使用前に以下のように処理した:活性炭の各試料を、使用前に真空オーブン中140℃で一晩乾燥させた。次いで、炭素をN2パージしたグローブボックス中に貯蔵して、水が空気から吸着されるのを防止した。理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載のプロセスを実施するとき、炭素中の水分のレベルが反応速度論に影響を与え得、場合によっては二量体レベルを増加させると考えられる。
【0025】
この実施例1では、172gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lの丸底フラスコ中の234gのCETESに添加した。次いで、115uLのMeOH中3M HClをフラスコに添加した。エステル交換反応を、室温で1時間後に完了した。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で反応混合物を蒸留してMeOH及びEtOHを除去した後、新たなMeOH及び触媒を添加した。この蒸留及び新たなMeOH添加のプロセスを更に4回(総計5回のMeOH添加)続けた後、CETMSの純度は81%に達した。
【0026】
この実施例2aでは、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、115uLのMeOH中3M HClをフラスコに添加し、室温で1時間後に反応を完了させた。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で反応混合物を蒸留してMeOH及びEtOHを除去した後、新たなMeOH及び触媒を添加した。この新たなMeOH添加及び蒸留のプロセスを更に2回繰り返した後、CETMSの純度は72%に達した。蒸留後に毎回フラスコの内容物を分析した。
【0027】
この実施例2bでは、実施例2aを、別のMeOHを添加して継続した(総計4回のMeOH添加)。同じ反応及び蒸留条件の後、材料は、純度90%のCETMSに達した。
【0028】
この実施例2cでは、実施例2bを、別のMeOHを添加して継続した(総計5回のMeOH添加)。同じ反応及び蒸留条件の後、材料は、純度95%のCETMSに達した。
【0029】
この実施例3では、336gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の76gのCETESに添加した。次いで、115μLの3M HClをフラスコに添加し、反応を室温で1時間後に完了させた。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で反応混合物を蒸留してMeOH及びEtOHを除去した後、更なるMeOH及び触媒を添加した。この新たなMeOH添加及び蒸留のプロセスを更に3回繰り返した後、CETMSの純度は94%に達した。蒸留後に毎回フラスコの内容物を分析した。
【0030】
この実施例4aでは、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、25重量%のNaOMe 0.11gを反応器に添加し、室温で1時間後に反応を完了させた。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で反応混合物を蒸留してMeOH及びEtOHを除去した後、更なるMeOH及び触媒としてのNaOMeを添加した。このMeOH添加及び蒸留のプロセスを更に2回繰り返した後、CETMSの純度は79%に達した。蒸留後に毎回フラスコの内容物を分析した。
【0031】
この実施例4bでは、実施例4aを、別のMeOHを添加して継続した(総計4回のMeOH添加)。同じ反応及び蒸留条件の後、材料は、純度90%のCETMSに達した。
【0032】
この実施例5では、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、115μLのMeOH中3M HClをフラスコに添加し、反応を室温で1時間後に完了させた。モル当量のNaOMeを反応混合物に添加し、1時間撹拌してHClを中和した。中和塩を、6μmの濾紙及びブフナー漏斗を使用して反応混合物から除去した。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で、濾過した材料を蒸留してEtOH及びMeOHを除去した後、更なるMeOH及び触媒としてのHClを添加した。新たなMeOH/HCl触媒の添加、中和、濾過、及び蒸留のプロセスを更に2回続けた後、CETMSの純度は49%に達した。蒸留後に毎回フラスコの内容物を分析した。
【0033】
この実施例6では、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、115μLのMeOH中3M HClをフラスコに添加し、反応を室温で1時間後に完了させた。次いで、0.15gのNaHCO3を反応混合物に添加し、1時間撹拌してHClを中和した。6umの濾紙及びブフナー漏斗を使用して、塩を反応混合物から除去した。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で、濾過した材料を蒸留してEtOH及びMeOHを除去した後、更なるMeOH及び触媒を添加した。NaHCO3の添加、濾過、蒸留、及び新たなMeOH/触媒の添加のプロセスを更に2回続けた後、CETMSの純度は53%に達した。蒸留後に毎回フラスコの内容物を分析した。
【0034】
この実施例7では、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、115uLのMeOH中3M HClを反応器に添加し、反応を室温で1時間後に完了させた。20gのCal 12×40炭素を反応混合物に添加し、一晩撹拌した。0.45umのセルロースベースのNalgene使い捨てフィルターを使用して、炭素を反応混合物から除去した。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で、濾過した材料を蒸留してEtOH及びMeOHを除去した後、更なるMeOH及び触媒を添加した。炭素の添加、濾過、蒸留、及び新たなMeOH/触媒の添加のプロセスを更に2回続けた後、CETMSの純度は89%に達した。蒸留後に毎回フラスコの内容物を分析した。
【0035】
この実施例8aでは、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、115uLのMeOH中3M HClを反応器に添加し、反応を室温で1時間後に完了させた。20gのOLC Plus 12×30炭素を反応混合物に添加し、一晩撹拌した。0.45umのセルロースベースのNalgene使い捨てフィルターを使用して、炭素を反応混合物から除去した。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で、濾過した材料を蒸留してEtOH及びMeOHを除去した後、更なるMeOH及び触媒を添加した。炭素の添加、濾過、蒸留、及び新たなMeOH/触媒の添加のプロセスをもう1回続けた後、CETMSの純度は86%に達した。
【0036】
この実施例8bでは、この後、実施例8aにおける炭素の添加、濾過、蒸留、及び新たなMeOH/触媒の添加のプロセスをもう1回続け(総計3回)、結果として純度92%のCETMSを得た。
【0037】
【0038】
この実施例9では、172gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1L中の234gのCETESに添加した。次いで、115uLの3M HClをフラスコに添加し、室温で1時間後に反応を完了させた。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で反応混合物を蒸留してMeOH及びEtOHを除去した。蒸留後、材料は、純度10%のCETMSに達した。
【0039】
この実施例10では、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、115uLの3M HClをフラスコに添加し、室温で1時間後に反応を完了させた。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で反応混合物を蒸留してMeOH及びEtOHを除去した。蒸留後、材料は、純度23%のCETMSに達した。
【0040】
この実施例11では、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、0.11gの25重量%NaOMeをフラスコに添加し、室温で1時間後に反応を完了させた。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で反応混合物を蒸留してMeOH及びEtOHを除去した。蒸留後、材料は、純度21%のCETMSに達した。
【0041】
この実施例12では、273gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の173gのCETESに添加した。次いで、2gのDowex Monosphere 2030(Dowex)をフラスコに添加し、室温で1時間後に反応を完了させた。6umの濾紙及びブフナー漏斗を使用して、Dowexを反応混合物から除去した。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で、濾過した材料を蒸留してEtOH及びMeOHを除去した。蒸留後、材料は、純度20%のCETMSに達した。
【0042】
この実施例13では、172gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の234gのCETESに添加した。次いで、0.35gのTyzor Pita SMをフラスコに添加し、室温で8時間後に反応を完了させた。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で、この材料を蒸留してEtOH及びMeOHを除去した。蒸留後、材料は、純度9%のCETMSに達した。
【0043】
この実施例14では、172gのMeOHを、撹拌子による撹拌下で、1Lフラスコ中の234gのCETESに添加した。次いで、0.4gのTi(IV)ブトキシドをフラスコに添加し、室温で10時間後に反応を完了させた。次いで、75~150mmHgの真空下、30~50℃で、この材料を蒸留してEtOH及びMeOHを除去した。蒸留後、材料は、純度9%のCETMSに達した。
【0044】
実施例9~14における触媒スクリーニングの結果を、以下の表3に示す。HCl及びイオン交換樹脂が、試験した条件下で最も高い純度のCETMS及び最も少ない二量体形成を示した。
【0045】
【0046】
この実施例15では、520gのMeOH及び235gのCETESの源液を2LのHDPEボトルに添加した。次いで50gを源液から取り、対照試料を保持した。次いで、0.2gの3M HClを源液に添加し、撹拌子を用いて1時間混合した。次に、50gを13本の4オンスHDPEボトルに分注し、表4に示す各炭素又は活性化アルミナ2.5gをそれぞれのボトルに添加した。次いで、材料をリストアクションシェーカー上に一晩置いた。炭素又はアルミナを除去するために、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを使用した。次いで、濾過した材料を滴定して塩化物含有量を決定した。
【0047】
【0048】
理論に束縛されることを望むものではないが、例えば、ストリッピング又は蒸留による揮発性物質の除去前のエステル交換反応混合物中のHClなどの残留酸が、ルシャトリエの化学平衡の原理に起因して、揮発性物質の除去が生じている間のCETESの形成を促進すると考えられる。メタノールが最初に除去され、エステル交換反応混合物がエタノール及び触媒を含有するため、CETESを形成する逆反応が起こり得る。残留酸、例えばHClを効果的に吸着することによって触媒を除去すると、ストリッピング中に逆反応を開始する能力も除去される。表4は、残留Cl含有量を見ることによって、HClを除去するのに最良だった吸着剤(活性炭)を把握するための炭素スクリーニングのリストを示す。好適な活性炭は、塩基性溶液を生成することなくCl含有量を<38ppm(対照)まで減少させたものであった。
【0049】
試験方法
ガスクロマトグラフィ(GC)を使用して、アセトニトリル中1重量%ノナンの内部標準組成物により材料の組成を検証した。全ての報告された組成は、他に示されない限り、GC面積%に基づく。ヘリウムキャリアガス及びFID検出器を備えたAgilent 7890A GCシステムを、Restek Rtx-1 30m×0.25mm×1umと共に使用した。流量は、1.5mL/分の一定流量に設定した。勾配は40℃で2分間開始し、次いで20℃/分で260℃まで上昇させた。260℃の最終温度を2分間保持した。他の条件は、以下の通りであった:
1.注入量1μL
2.溶媒A及びB洗浄のためのアセトニトリルによるニードル洗浄
3.スプリット/スプリットレス入口温度及びFID温度260℃
4.分割比50:1の分割注入
【0050】
Metrohm Brinkmann 776 Dosimatを用いて滴定を行い、BCP指示薬及び0.1N KOHを用いて塩化物レベルを決定した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
CETESとMeOHとのエステル交換を介したCETMSへの変換を高い変換率で達成するために、反応並びにその後のEtOH及び他の材料の除去を数回繰り返してもよい。熱力学的平衡制限及びEtOHよりも高いMeOHの揮発性に起因して、(例えば、ストリッピング及び/又は蒸留を介した)EtOHの除去の間に、CETMS(上記の反応スキームにおいて、x=0の場合)又は部分的にメトキシル化された種(x=1又は2の場合)とEtOH副生成物(より低い沸点のMeOH反応物が最初に除去されるまで除去することができない)との反応を介して逆反応が起こり得る。
【0052】
本発明者らは、活性炭処理が、良好な変換率(例えば、高純度のCETMSによって示される)及び選択性(例えば、少量の二量体によって示される)を達成するために必要な繰り返し回数を劇的に減少させることを見出した。代替の中和方法(例えば、ナトリウムメチラート又は重炭酸ナトリウムの添加)は、上記の実施例に示されるものと同じ減少をもたらさなかったので、これは特に驚くべきことであった。
【0053】
上記の実施例は、Ti系触媒がエステル交換反応を触媒することを示したが、この系は、試験した条件下(室温で行われるエステル交換反応)で酸又は塩基触媒を使用した場合(<1時間)よりも平衡に達するのにはるかに長い時間(>8時間)を要した。更に、上記の実施例は、塩基触媒が酸触媒と同等の反応速度をもたらしても、塩基触媒は、同じ条件下で使用される酸触媒よりも多くの不純物(例えば、二量体)の形成を促進するという欠点を被ることを示した。触媒なしでは、エステル交換反応は、実施例で試験した条件下で高温(>70℃)であっても起こらなかった。
【0054】
用語の定義及び使用法
組成物中の全ての出発材料の量は、総計100重量%である。発明の概要及び要約は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は各々、明細書の文脈によって特に指示されない限り、1つ以上を指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。本明細書に提示される各実施形態又は代替形態は、任意の他の実施形態又は代替形態と組み合わせてもよい。用語「含むこと(comprising)」及びその派生語、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「から本質的になる(consist(ing)essentially of)」、及び「からなる(consist(ing)of))という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記するための「例えば(for example)」「例えば(e.g.)」、「など(such as)」、及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「~などであるが、それらに限定されない(such as,but not limited to)」を意味し、他の同様又は同等の例を包含する。
【0055】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、かつそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。様々な実施形態の特定の特徴又は態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュ群に関して、全ての他のマーカッシュ要素から独立したそれぞれのマーカッシュ群の各要素から、異なる、特別な、かつ/又は予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュ群の各要素は、個別に、及び/又は組み合わせて依拠されてよく、添付の特許請求の範囲内の具体的な実施形態のための適当なサポートを提供する。
【0056】
本出願で使用される略語は、以下の表5に定義される。
【0057】
【0058】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、シアノエチルトリメトキシシランの調製プロセスは、
1)
(A)シアノエチルトリエトキシシラン、
(B)少なくとも15:1のメタノール:シアノエチルトリメトキシシランのモル比、すなわち(B):(A)のモル比をもたらすのに十分な化学量論的過剰量のメタノール、並びに
(C)(A)シアノエチルトリエトキシシラン及び(B)メタノールの合計重量に基づいて少なくとも30ppmの量のHClを含む出発材料を合わせ、それによってエステル交換反応混合物を生成することと、
2)エステル交換反応混合物に、
(D1)少なくとも900mg/gのヨウ素価を有する瀝青炭活性炭、
(D2)少なくとも1200mg/gのヨウ素価を有するココナッツ活性炭、並びに
(D3)(D1)及び(D2)の両方
からなる群から選択される(D)活性炭を添加することと、
3)エステル交換反応混合物から、メタノール、エタノール及び酸触媒を含む材料を除去することと、
4)工程1)~3)を1~4回繰り返すことと
を含む。
【0059】
第2の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、(B):(A)のモル比は、15:1~30:1である。
【0060】
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスにおいて、HClは30ppm~100ppmの量で使用される。
【0061】
第4の実施形態では、第1~3の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、工程1)は、21℃~70℃で実施される。
【0062】
第5の実施形態では、第1~4の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、工程2)は、21℃~70℃で実施される。
【0063】
第6の実施形態では、第1~5の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、(D)活性炭は、(D1)900mg/g(分)~1200mg/g(分)のヨウ素価を有する瀝青炭活性炭である。
【0064】
第7の実施形態では、第1~5の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、(D)活性炭は、(D2)1200mg/g(分)~1300mg/g(分)のヨウ素価を有するココナッツ活性炭である。
【0065】
第8の実施形態では、第1~7の実施形態のいずれか1つのプロセスは、工程2)の前に(D)活性炭を処理することを更に含む。
【0066】
第9の実施形態では、第8の実施形態のプロセスにおいて、(D)活性炭を処理することは、>100℃~200℃の温度で加熱することを含む。
【0067】
第10の実施形態では、第1~9の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、工程4)は、工程1)~3)を1回又は2回繰り返す。
【0068】
第11の実施形態では、シアノエチルトリメトキシシランを含む組成物は、第1~10の実施形態のいずれか1つのプロセスによって調製される。
【0069】
第12の実施形態では、ポリオルガノシロキサンシーラント組成物における第11の実施形態の組成物の使用が提供される。
【0070】
第13の実施形態では、第12の実施形態において、組成物は、接着促進剤、カップリング剤、又は架橋剤である。
【0071】
第14の実施形態では、プロセスは、第11の実施形態の組成物を室温加硫性ポリオルガノシロキサンシーラント組成物に添加することを含む。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアノエチルトリメトキシシランを調製するプロセスであって、
1)
(A)シアノエチルトリエトキシシラン、
(B)化学量論的過剰量のメタノール、及び
(C)酸触媒を含む出発材料を合わせ、それによってエステル交換反応混合物を生成することと、
任意選択的に、2)前記エステル交換反応混合物に、
(D1)瀝青炭活性炭、
(D2)少なくとも1200mg/gのヨウ素価を有するココナッツ活性炭、並びに
(D3)(D1)及び(D2)の両方
からなる群から選択される(D)活性炭を添加することと、
3)前記エステル交換反応混合物から、メタノール、エタノール及び酸触媒を含む材料を除去することと、
4)工程1)~3)を1回以上繰り返すことと
を含む、プロセス。
【請求項2】
工程1)において、ある量の(A)シアノエチルトリエトキシシラン及びある量の(B)メタノールが、少なくとも5:1、あるいは5:1~30:1、あるいは>5:1~30:1、あるいは15:1~30:1のモル比(B):(A)で使用される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記(C)酸触媒が、HCl及びイオン交換樹脂からなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記(C)酸触媒がHClであり、前記HClが(A)シアノエチルトリエトキシシランの重量及び(B)メタノールの重量の合計に基づいて少なくとも30ppmの量で使用され、工程3)の時間が1~4時間である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
工程2)が存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記(D)活性炭が、(D1)ヨウ素価≧900mg/g(分)を有する瀝青炭活性炭である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記(D)活性炭が(D2)ココナッツ活性炭である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
工程2)の前に、(D)活性炭を処理することを更に含む、請求項5~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程4)が、工程1)~3)を1回又は2回繰り返す、請求項5~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
ポリオルガノシロキサンシーラント組成物を調製するための方法であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実践し、それによってシアノエチルトリメトキシシランを含む組成物を調製することと、
ポリオルガノシロキサンシーラント組成物に、前記シアノエチルトリメトキシシランを含む組成物を添加することと
を含む、方法。
【請求項11】
前記ポリオルガノシロキサンシーラント組成物が、アルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリオルガノシロキサンシーラント組成物が、アシルオキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程2)が、少なくとも1時間から最長16時間までの時間にわたって実施される、請求項5~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアノエチルトリメトキシシランを調製するプロセスであって、
1)
(A)シアノエチルトリエトキシシラン、
(B)化学量論的過剰量のメタノール、及び
(C)酸触媒を含む出発材料を合わせ、それによってエステル交換反応混合物を生成することと、
任意選択的に、2)前記エステル交換反応混合物に、
(D1)瀝青炭活性炭、
(D2)少なくとも1200mg/gのヨウ素価を有するココナッツ活性炭、並びに
(D3)(D1)及び(D2)の両方
からなる群から選択される(D)活性炭を添加することと、
3)前記エステル交換反応混合物から、メタノール、エタノール及び酸触媒を含む材料を除去することと、
4)工程1)~3)を1回以上繰り返すことと
を含む、プロセス。
【請求項2】
工程1)において、ある量の(A)シアノエチルトリエトキシシラン及びある量の(B)メタノールが、少なくとも5:1、あるいは5:1~30:1、あるいは>5:1~30:1、あるいは15:1~30:1のモル比(B):(A)で使用される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記(C)酸触媒が、HCl及びイオン交換樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記(C)酸触媒がHClであり、前記HClが(A)シアノエチルトリエトキシシランの重量及び(B)メタノールの重量の合計に基づいて少なくとも30ppmの量で使用され、工程3)の時間が1~4時間である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
工程2)が存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記(D)活性炭が、(D1)ヨウ素価≧900mg/g(分)を有する瀝青炭活性炭である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記(D)活性炭が(D2)ココナッツ活性炭である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
工程2)の前に、(D)活性炭を処理することを更に含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
工程4)が、工程1)~3)を1回又は2回繰り返す、請求項5に記載のプロセス。
【請求項10】
ポリオルガノシロキサンシーラント組成物を調製するための方法であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実践し、それによってシアノエチルトリメトキシシランを含む組成物を調製することと、
ポリオルガノシロキサンシーラント組成物に、前記シアノエチルトリメトキシシランを含む組成物を添加することと
を含む、方法。
【請求項11】
前記ポリオルガノシロキサンシーラント組成物が、アルコキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリオルガノシロキサンシーラント組成物が、アシルオキシ官能性ポリオルガノシロキサンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程2)が、少なくとも1時間から最長16時間までの時間にわたって実施される、請求項5~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【国際調査報告】