(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-08
(54)【発明の名称】両親媒性ブロックコポリマーの合成及びそれから生成されるポリマーナノ繊維
(51)【国際特許分類】
C08F 293/00 20060101AFI20241225BHJP
C08F 20/06 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
C08F293/00
C08F20/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534122
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 AU2022051458
(87)【国際公開番号】W WO2023102600
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506093452
【氏名又は名称】ニューサウス イノベーションズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼタールンド,ペア ビー.
(72)【発明者】
【氏名】石塚 芙実
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンジン
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 俊介
(72)【発明者】
【氏名】新納 洋
【テーマコード(参考)】
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J026HA11
4J026HA12
4J026HA19
4J026HA20
4J026HA22
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4J026HA48
4J026HB06
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4J026HE04
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4J100AJ01P
4J100AL08Q
4J100AM15P
4J100BA08Q
4J100CA04
4J100FA03
4J100FA19
4J100JA11
(57)【要約】
本開示は、ブロックコポリマーの合成の分野、及びそれから生成されたコア-シェル形態を有するポリマーナノ繊維に関する。本開示は、一方のブロックが、他方のブロックよりも疎水性であり、かつ異なる組成である、ブロックコポリマーの合成の分野に関する。本開示はまた、ポリマーマトリックスを強化すること及びコーティング用途のためなどの、様々な用途におけるこれらのポリマーナノ繊維の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェル形態を有するポリマーナノ繊維であって、前記シェルが親水性であり、前記コアが、
a)疎水性コポリマー、又は
b)16℃未満のTgを有する疎水性ホモポリマー、を含む、ポリマーナノ繊維。
【請求項2】
親水性ホモポリマー又はコポリマーを含むブロック[A]と、
a)約75℃未満のTgを有する疎水性コポリマー、又は
b)16℃未満のTgを有する疎水性ホモポリマー、を含むブロック[B]と、
任意選択的に架橋剤と、を含む、両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項3】
ナノ繊維に自己組織化されたときの、請求項2に記載の両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項4】
請求項2に記載の両親媒性ブロックコポリマーを生成する方法であって、前記方法が、
a)親水性ブロック[A]を形成するように、RDRPを使用して少なくとも1つの親水性モノマーを反応させるステップと、
b)RDRPを使用して、少なくとも1つの疎水性モノマーを含む疎水性ブロック[B]を親水性ブロック[A]に添加するステップと、
c)任意選択的に、ステップb)で架橋剤を添加するステップと、を含む、方法。
【請求項5】
前記ブロックコポリマーが、請求項1に記載のナノ繊維に自己組織化するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
重合を、RAFT、ATRP、又はNMPとして行う、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記親水性ブロック[A]を、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(PEGA)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(PEGMA)、及びアクリル酸のうちの1つ以上から調製する、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項2若しくは3に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記疎水性ブロック[B]を、スチレン、n-ブチルアクリレート、メチルアクリレート、及びメチルメタクリレートのうちの1つ以上、好ましくは、スチレン、n-ブチルアクリレート(nBA)、及びtert-ブチルアクリレート(tBA)から調製する、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項2若しくは3に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記疎水性ブロック[B]が、約75℃未満、好ましくは-70℃~75℃の範囲の前記疎水性ブロックのTgを有するように選択される疎水性コポリマーを含む、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項2若しくは3に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記疎水性ブロック[B]が、16℃未満、好ましくは-70℃~16℃の範囲のTgを有するように選択される疎水性ホモポリマーを含む、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項2若しくは3に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記架橋剤が、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)又はポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)である、請求項4~10のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項12】
ステップc)の前記架橋剤を、前記重合の開始時又は前記重合の終盤のいずれかで導入する、請求項4~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記重合を、約3~約8の範囲、好ましくは約5のpHで行う、請求項4~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ブロックコポリマーの平均重合度(DP)が、約50~約300である、請求項4~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノ繊維が、約1nm~約100nmの幅を有する、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項2若しくは3に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項4~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ繊維が、約5μm~約1000μmの長さを有する、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項2若しくは3に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項4~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項4~16のいずれか一項に記載の方法によって生成された前記両親媒性ブロックコポリマーから自己組織化されたときのナノ繊維。
【請求項18】
フィルム又はコーティングを少なくとも部分的に生成するための、請求項1、3、又は5~17のいずれか一項に記載のナノ繊維の使用。
【請求項19】
請求項18に記載のフィルム又はコーティングを形成する方法であって、前記方法が、
分散体を形成するように、請求項1、3、又は5~17のいずれか一項に記載のナノ繊維を溶媒中に分散させるステップと、
前記分散体を表面に適用するステップと、
前記溶媒が実質的に若しくは完全に蒸発することを可能にするか又は引き起こすステップと、を含み、
それによって、前記フィルムを形成する、方法。
【請求項20】
マトリックス又はバインダーと、
前記マトリックス又はバインダー全体に分散した、請求項1、3、又は5~17のいずれか一項に記載のナノ繊維と、を含む複合材料を調製するための、請求項1、3、又は5~17のいずれか一項に記載のナノ繊維の使用。
【請求項21】
マトリックス又はバインダーの機械的特性を修飾又は改善するための、請求項1、3、又は5~17のいずれか一項に記載のナノ繊維の使用。
【請求項22】
複合材料を生成する方法であって、前記方法が、
ポリマー分散体を提供するステップと、
混合物を形成するように、請求項1、3、又は5~17のいずれか一項に記載のナノ繊維を前記ポリマー分散体中に分散させるステップと、
前記複合材料を形成するように前記混合物を乾燥させるステップと、を含む、方法。
【請求項23】
ポリマーと請求項1、3、又は5~17のいずれか一項に記載のナノ繊維とを含む複合材料を溶融押出によって生成する方法であって、前記方法が、
ポリマーと前記ナノ繊維とを前記ポリマーの溶融温度よりも高い温度に加熱するステッ
プと、
前記ポリマーと前記ナノ繊維とを混合するステップと、
前記複合材料を形成するように、前記混合物を押出するステップと、を含む、方法。
【請求項24】
粘度又はレオロジー修飾剤としてのポリマーナノ繊維の使用であって、前記ポリマーナノ繊維が、コア-シェル形態を含み、前記シェルが親水性であり、前記コアが疎水性ホモポリマー又はコポリマーを含む、使用。
【請求項25】
ブロックコポリマーを生成する方法であって、前記方法が、
a)実質的に疎水性のブロック[A]を形成するように、RDRPを使用して少なくとも1つの疎水性モノマーを反応させるステップであって、ブロック[A]が、20/80体積%の水/エタノール混合物中に実質的に可溶性である、反応させるステップと、
b)RDRPを使用して、少なくとも1つの疎水性モノマーを含む疎水性ブロック[B]を疎水性ブロック[A]に添加するステップであって、ブロック[B]が、ブロック[A]よりも疎水性であり、かつブロック[A]とは異なる組成である、添加するステップと、
c)任意選択的に、ステップb)で架橋剤を添加するステップと、を含む、方法。
【請求項26】
前記ブロックコポリマーが、コア-シェル形態を有するナノ繊維に自己組織化するステップを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記疎水性ブロック[A]が、水中に実質的に不溶性である、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
重合を、RAFT、ATRP、又はNMPとして行う、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ブロックコポリマーを、ベンジルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、及びメチルメタクリレートのうちの1つ以上から調製する、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ブロックコポリマーを、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ベンジルメタクリレート)(PBzMA)、及びポリ(2-エチルヘキシルメタクリレート)(PEHMA)のうちの1つ以上から調製する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
極性溶媒が、水、メタノール、エタノール、n-プロパノールイソプロピルアルコール、n-ブタノール、n-ペンタノール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ナノ繊維が、約1nm~約100nmの幅を有する、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ナノ繊維が、約0.5μm~約1000μmの長さを有する、請求項26~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
疎水性ブロック[A]であって、ブロック[A]が、20/80体積%の水/エタノール混合物中に実質的に可溶性である、疎水性ブロック[A]と、
少なくとも1つの疎水性モノマーを含む疎水性ブロック[B]であって、ブロック[B]が、ブロック[A]よりも疎水性であり、かつブロック[A]とは異なる組成である、疎水性ブロック[B]と、
任意選択的に架橋剤と、を含む、ブロックコポリマー。
【請求項35】
コア-シェル形態を有するポリマーナノ繊維であって、前記シェルが疎水性であり、前記シェルが、20/80体積%の水/エタノール混合物中に実質的に可溶性であるポリマーを含み、前記コアが疎水性であり、前記コアが、前記シェルの前記ポリマーよりも疎水性であり、かつ前記シェルの前記ポリマーとは異なる組成であるポリマーを含む、ポリマーナノ繊維。
【請求項36】
フィルム又はコーティングを少なくとも部分的に生成するための、請求項34に記載のブロックコポリマー又は請求項35に記載のポリマーナノ繊維の使用。
【請求項37】
マトリックス又はバインダーと、
前記マトリックス又はバインダー全体に分散した、請求項34に記載のブロックコポリマー又は請求項35に記載のポリマーナノ繊維と、を含む複合材料を調製するための、請求項34に記載のブロックコポリマー又は請求項35に記載のポリマーナノ繊維の使用。
【請求項38】
マトリックス又はバインダーの機械的特性を修飾又は改善するための、請求項34に記載のブロックコポリマー又は請求項35に記載のポリマーナノ繊維の使用。
【請求項39】
粘度又はレオロジー修飾剤としての、請求項34に記載のブロックコポリマー又は請求項35に記載のポリマーナノ繊維の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年12月6日に出願された豪国仮特許出願第2021903943号からの優先権を主張するものであり、その全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ブロックコポリマーの合成の分野、及びそれから生成されたコア-シェル形態を有するポリマーナノ繊維に関する。本発明は、ポリマーマトリックスを強化すること、及びコーティング用途のためなどの、様々な用途におけるこれらのポリマーナノ繊維の使用にも関する。しかしながら、本発明は、これらの特定の使用分野に限定されないと理解されるであろう。
【背景技術】
【0003】
従来技術に関する以下の考察は、本発明を適切な技術的文脈に置き、本発明の利点をより完全に理解するために提供される。しかしながら、本明細書全体にわたる従来技術に関するいかなる考察も、そのような従来技術が広く知られている、又は当該分野における共通の一般知識の一部を形成していることを明示的又は暗示的に認めるものとしてみなされるべきではないことを理解すべきである。
【0004】
重合誘導自己組織化(PISA)は、最近では、高固形分(最大50%)で複雑な形態を有する両親媒性ブロックコポリマーナノ粒子の合成に大きい関心を集めている。PISAは、原則的に、任意の可逆的不活性化ラジカル重合(RDRP)技術を使用して行うことができるが、可逆的付加断片化連鎖移動(RAFT)媒介PISAは、圧倒的に最も一般的に使用される方法である。PISAを、付加断片化連鎖移動(AFCT)重合、すなわち、「非リビング」重合技術を使用して実施することができることも注目に値する。RAFT PISAは、分散重合及び水性エマルション重合の両方として実践することができる。
【0005】
RAFT媒介PISAでは、親溶媒性マクロRAFT剤は、疎溶媒性コア形成モノマー(複数可)で鎖延長される。重合が進行すると、コア形成ブロックの不溶性の増加は、ブロックコポリマーナノ粒子をもたらすインサイチュ自己組織化を推進する。形態は、いくつかの要因によって決定されるが、親溶媒性ブロック(すなわち、「コロナ」又はシェル形成ブロック)及び疎溶媒性ブロック(コア形成ブロック)の相対分子量に基づいて大部分が合理的に説明され得る。形態は、典型的には、疎溶媒性ブロックの長さの増加に伴って、球体、繊維、及び小胞から変化する。
【0006】
ポリマー材料は、今日の社会では至る所にある。ポリマー材料の性能を調整及び改善するために、様々ないわゆる充填剤(添加剤)を用いることは、一般的な戦略であり、多くの場合、要件である。しかしながら、伝統的に用いられている充填剤、例えば、カーボンブラック及びガラス繊維は、最終的な強化ポリマー材料の高密度、比較的高い重量分率の充填剤の要件、及び/又は透明性の欠如などの著しい欠点を伴う。加えて、伝統的な充填剤は、高い破断ひずみ及び延伸性の点で、限られた材料改善のみを提供する傾向がある。更に、現在の充填剤は、典型的には、ポリマーマトリックスに分散することが困難であり、表面修飾が典型的には必要であり、プロセスにコストを追加する。
【0007】
従来技術は、両親媒性ブロックコポリマーにおける高Tgコア形成ブロックの使用、及
びRAFT水性エマルション重合におけるPISAによって調製されたナノ繊維の形成を教示している。世間一般の見解では、「硬質」コアが、ナノ繊維を形成するため、また充填剤として機械的特性を提供するためにも必要である。特に、PISAは、スチレン(Tg≒100℃)、メチルメタクリレート(MMA)(Tg≒105℃)、及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)(Tg≒72℃)などの高Tgモノマーの第2のブロック(コア形成ブロック)を使用して行われている。他の研究では、低次の球状形態のみが、水性エマルションRAFT PISAにおける低Tgコア形成ブロックの使用から生じた。これらは、MMA及びn-ブチルアクリレート(nBA)の統計的共重合、nBA(Tg≒-54℃)及びベンジルメタクリレート(BzMA)(Tg≒54℃)の単独重合、並びにポリ(エチレンオキシド)マクロRAFT剤によるnBA及びMMAの共重合によって形成されるコポリマーを含む。これらの研究に加えて、ポリ(アクリル酸)-b-ポリ(nBA)ジブロックコポリマーナノ粒子、ポリ(グリセロールモノメタクリレート)-ポリ(BzMA)ジブロックコポリマー、ポリ(2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート)-ポリ(メタクリル酸-stat-BzMA)、及びポリ(アクリル酸)-b-ポリ(nBA)-co-ポリ(スチレン)トリブロックコポリマーナノ粒子のコポリマーの報告がある。しかしながら、先の研究の全てで、球状のナノ粒子のみが得られた。
【0008】
本発明の目的は、従来技術の欠点のうちの1つ以上を克服若しくは改善するか、又は少なくとも有用な代替物を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
RAFT-PISAプロセスを介して形成される自己組織化ナノ繊維の合成が本明細書に開示されている。特に、本発明の一形態では、コアが、約75℃(以下)のTgを有するコポリマーである、両親媒性ブロックコポリマーが開示されている。本発明の別の形態では、コアが、ホモポリマーであり、約16℃(以下)のTgを有する、両親媒性ブロックコポリマーが開示されている。本発明の別の形態では、コアが、最大16℃のTgを有するコポリマー又はホモポリマーである、ナノ繊維が開示されている。加えて、本発明の更なる形態では、コア及びシェルが疎水性コポリマー又はホモポリマーから調製される、ブロックコポリマーが開示されている。
【0010】
本発明は、従来技術に対する著しい進歩である。本明細書に開示される本発明のコポリマーは、効率的に自己組織化して、様々な用途で使用することができる高濃度の安定したナノ繊維を形成することができる。本発明は、以下の利点のうちの1つ以上を提供する:より強靭であり、かつ/又はより高い耐衝撃性を有する、本発明のナノ繊維を含む複合材料;本発明のナノ繊維を含むより低密度の複合材料;より高い剛性を有し、かつ比較的軽量である(約10~20%ほどの重量減少であり、これは、著しい減少である;いくつかの実施形態では、重量減少は、5~40%である);より高い破断伸びを示すナノ繊維強化複合材;本明細書で開示されている本発明のナノ繊維の屈折率をこれらが分散されているポリマーマトリックスに適合させることによって実質的に透明であるナノ繊維強化複合材;及び/又は本発明のナノ繊維の使用によるエマルションのレオロジー的特性(チキソトロピー)の改善された制御。加えて、上述のように、複合材のための現在の充填剤は、ポリマーマトリックスに分散することが困難である場合があり、表面修飾が典型的には必要であり、プロセスにコストを追加する。しかしながら、本発明のナノ繊維は、外面又はシェルが、親溶媒性であり、極性ポリマー、溶媒、又は他のマトリックスによって濡らすことができ、これらが、ポリマーマトリックスに比較的容易に分散することができるため、表面修飾を必要としない。更に、本発明のナノ繊維から実質的に又は完全に形成される表面コーティング及びフィルムを調製することが可能である。
【0011】
第1の態様によると、本発明は、コア-シェル形態を有するポリマーナノ繊維であって
、シェルが親水性であり、コアが、
a)疎水性コポリマー、又は
b)16℃未満のTgを有する疎水性ホモポリマー、を含む、ポリマーナノ繊維を提供する。
【0012】
第2の態様によると、本発明は、
親水性ホモポリマー又はコポリマーを含むブロック[A]と、
a)約75℃未満のTgを有する疎水性コポリマー、又は
b)約16℃未満のTgを有する疎水性ホモポリマー、を含むブロック[B]と、
任意選択的に架橋剤と、を含む、両親媒性ブロックコポリマーを提供する。
【0013】
本発明の第1及び第2の態様の好ましい実施形態では、疎水性ホモポリマーは、約-70℃~最大16℃又は約16℃の範囲のTgを有する。本発明の第1及び第2の態様の好ましい実施形態では、疎水性コポリマーは、約-70℃~約75℃の範囲のTgを有する。
【0014】
第3の態様によると、本発明は、第2の態様の両親媒性ブロックコポリマーを生成する方法であって、方法が、
a)親水性ブロック[A]を形成するように、RDRPを使用して少なくとも1つの親水性モノマーを反応させるステップと、
b)RDRPを使用して、少なくとも1つの疎水性モノマーを含む疎水性ブロック[B]を親水性ブロック[A]に添加するステップと、
c)任意選択的に、ステップb)で架橋剤を添加するステップと、を含む、方法を提供する。
【0015】
第4の態様によると、本発明は、第3の態様の方法によって生成された両親媒性ブロックコポリマーから自己組織化されたときの、ナノ繊維を提供する。
【0016】
第5の態様によると、本発明は、フィルム又はコーティングを少なくとも部分的に生成するための、第1又は第4の態様のナノ繊維の使用を提供する。
【0017】
第6の態様によると、本発明は、第5の態様のフィルム又はコーティングを形成する方法であって、方法が、
分散体を形成するように、第1又は第4の態様のナノ繊維を溶媒中に分散させるステップと、
分散体を表面に適用するステップと、
溶媒が実質的に若しくは完全に蒸発することを可能にするか又は引き起こし、それによって、当該フィルムを形成するステップと、を含む方法を提供する。
【0018】
第7の態様によると、本発明は、
マトリックス又はバインダーと、
マトリックス又はバインダー全体に分散した、第1又は第4の態様のナノ繊維と、を含む複合材料を調製するための、第1又は第4の態様のナノ繊維の使用を提供する。
【0019】
第8の態様によると、本発明は、マトリックス又はバインダーの機械的特性を修飾又は改善するための、第1又は第4の態様のナノ繊維を提供する。
【0020】
第9の態様によると、本発明は、複合材料を生成する方法であって、方法が、
ポリマー分散体を提供するステップと、
混合物を形成するように、当該ポリマー分散体中に第1又は第4の態様のナノ繊維を分
散させるステップと、
複合材料を形成するように混合物を乾燥させるステップと、を含む、方法を提供する。
【0021】
第10の態様によると、本発明は、ポリマーと第1又は第4の態様のナノ繊維とを含む複合材料を溶融押出によって生成する方法であって、方法が、
ポリマーとナノ繊維とをポリマーの溶融温度よりも高い温度に加熱するステップと、
ポリマーとナノ繊維とを混合するステップと、
複合材料を形成するように、混合物を押出するステップと、を含む、方法を提供する。
【0022】
第11の態様によると、本発明は、粘度又はレオロジー修飾剤としてのポリマーナノ繊維の使用であって、ポリマーナノ繊維が、コア-シェル形態を含み、シェルが親水性であり、コアが疎水性ホモポリマー又はコポリマーを含む、使用を提供する。
【0023】
第12の態様によると、本発明は、粘度又はレオロジー修飾剤としての、第1又は第4の態様によるポリマーナノ繊維の使用を提供する。
【0024】
第13の態様によると、本発明は、ブロックコポリマーを生成する方法であって、方法が、
a)実質的に疎水性のブロック[A]を形成するように、RDRPを使用して少なくとも1つの疎水性モノマーを反応させるステップであって、ブロック[A]が、20/80体積%の水/エタノール混合物中に実質的に可溶性である、反応させるステップと、
b)少なくとも1つの極性溶媒の存在下でRDRPを使用して、少なくとも1つの疎水性モノマーを含む疎水性ブロック[B]を疎水性ブロック[A]に添加するステップであって、ブロック[B]が、ブロック[A]よりも疎水性であり、かつブロック[A]とは異なる組成である、添加するステップと、
c)任意選択的に、ステップb)で架橋剤を添加するステップと、を含む、方法を提供する。
【0025】
第13の態様によって生成されたブロックコポリマーは、コア-シェル形態を有するナノ繊維に自己組織化し得る。
【0026】
第13の態様の好ましい実施形態では、ブロック[A]は、水中に実質的に不溶性である。
【0027】
本発明のナノ繊維は、ポリマーから形成されている。モノマー単位は、単一タイプ(ホモポリマー)、又は様々なタイプ(コポリマー)のものであり得る。ポリマーの物理的挙動は、総分子量、ポリマーの組成(例えば、異なるモノマーの相対濃度)、各モノマー単位の化学的同一性、及び溶媒とのその相互作用、並びにポリマーのアーキテクチャ(例えば、これが、単鎖であるか、又は分岐鎖であるか)を含む、いくつかの特徴によって決定される。
【0028】
一態様では、本発明は、ブロック[A]及び[B]を含み、
ブロック[A]が、親水性ホモポリマー又はコポリマーであり、
ブロック[B]が、16℃未満若しくは約16℃のTgを有する疎水性ホモポリマー、又は約75℃未満の疎水性ブロックのTgを有する疎水性コポリマーであり、
プロセスが、RDRPによって、好ましくはエチレン性不飽和モノマーのRAFTを介してブロック[A]及び[B]を得ることを含み、
任意選択的に架橋剤を含む、両親媒性ブロックコポリマーを調製するためのプロセスを提供する。
【0029】
別の態様では、本発明は、ブロック[A]及び[B]を含み、
ブロック[A]が、疎水性ホモポリマー又はコポリマーであり、
ブロック[B]が、疎水性ホモポリマー又はコポリマーであり、
プロセスが、RDRPによって、好ましくはエチレン性不飽和モノマーのRAFTを介してブロック[A]及び[B]を得ることを含み、
任意選択的に架橋剤を含む、ブロックコポリマーを調製するためのプロセスを提供する。
【0030】
本発明のブロックコポリマーは、ナノ繊維に自己組織化すると理解されるであろう。
【0031】
第14の態様によると、本発明は、ブロック[A]が、20/80体積%の水/エタノール混合物中に実質的に可溶性である疎水性ブロック[A]と、ブロック[B]が、ブロック[A]よりも疎水性であり、かつブロック[A]とは異なる組成である、少なくとも1つの疎水性モノマーを含む疎水性ブロック[B]と、任意選択的に架橋剤と、を含む、ブロックコポリマーを提供する。
【0032】
第15の態様によると、本発明は、コア-シェル形態を有するポリマーナノ繊維であって、シェルが疎水性であり、シェルが、20/80体積%の水/エタノール混合物中に実質的に可溶性であるポリマーを含み、コアが疎水性であり、コアが、シェルのポリマーよりも疎水性であり、かつシェルのポリマーとは異なる組成であるポリマーを含む、ポリマーナノ繊維を提供する。
【0033】
フィルム又はコーティングを少なくとも部分的に生成するための、第14の態様のブロックコポリマー又は第15の態様のポリマーナノ繊維の使用。
【0034】
マトリックス又はバインダーと、マトリックス又はバインダー全体に分散した、第14の態様のブロックコポリマー又は第15の態様のポリマーナノ繊維と、を含む複合材料を調製するための、第14の態様のブロックコポリマー又は第15の態様のポリマーナノ繊維の使用。
【0035】
マトリックス又はバインダーの機械的特性を修飾又は改善するための、第14の態様のブロックコポリマー又は第15の態様のポリマーナノ繊維の使用。
【0036】
粘度又はレオロジー修飾剤としての、第14の態様のブロックコポリマー又は第15の態様のポリマーナノ繊維の使用。
【0037】
RAFT重合
RAFT重合は、ラジカル重合にリビング特性を提供するための最も堅牢な汎用性の高い方法のうちの1つである。モノマー及び反応条件のための連鎖移動剤(RAFT剤)の適切な選択によって、ラジカル重合の対象となるモノマーの大部分に適用可能である。このプロセスは、明確に定義されたホモ、グラジエント、ジブロック、トリブロック及び星型ポリマー、並びにマイクロゲル及びポリマーブラシを含むより複雑なアーキテクチャの合成に使用され得る。
【0038】
例えば、連鎖移動剤(RAFT剤)の存在下でブロックコポリマーを調製する場合、成長ブロックの末端には、RDRPによってブロックの成長を制御する特定の官能基が提供される。ブロックの末端の官能基は、重合プロセスの第2及び/又は第3の段階におけるブロックの成長を、例えば第1及び第2のブロック[A]と[B]との間に共有結合を提供する他のエチレン性不飽和モノマーによって、また任意の更なる任意選択的なブロックによって再活性化することができるような性質のものである。
【0039】
RAFTプロセスによるブロックコポリマーの合成の化学的性質についての更なる詳細は、以下の刊行物で見ることができ、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:Polymer,2008,volume 49,1079-1131;Chemical Society Reviews,2014,volume 43,496-505;Macromolecules,1998,volume 31,55
59-5562;及びPolymer,2013,volume 54,2011-20
19。
【0040】
1つの非限定的な実施形態では、開示されている及び/又は特許請求されている本発明の概念によるブロックコポリマーは、RAFT重合によって得られる。
【0041】
ラジカル開始剤
ラジカル開始剤は、重合を開始するのに十分な重合温度で適切な半減期を有するように選択される。
【0042】
本発明に好適なラジカル開始剤の非限定的な例は、以下の化合物のうちの1つ以上を含む:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シアノブタン)、ジメチル2,2’-アゾビス(イソブチレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、4,4’-アゾビス-(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(t-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-エチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2’-アゾビス(2,2,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-アミルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジクミルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ペルオキシ二硫酸カリウム、ペルオキシ二硫酸アンモニウム、次亜硝酸ジ-t-ブチル、次亜硝酸ジクミルなど。他の好適な開始系は、文書に記載されている。例えば、Moad and Solomon“the
Chemistry of Free Radical Polymerization”,Pergamon,London,1995,pp53-95を参照されたい。
【0043】
一実施形態では、ラジカル開始剤は、4,4’-アゾビス-(4-シアノペンタン酸)である。
【0044】
連鎖移動剤
連鎖移動剤は、一般に、重合すべきであるモノマーのタイプを考慮して選択される。本発明での使用のための好適な連鎖移動剤は、ニトロキシド媒介ラジカル重合(NMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、及びRAFTを含む、RDRPのための連鎖移動剤を含む。他の連鎖移動剤は、当業者に既知であろう。
【0045】
本発明に適合している連鎖移動剤の例は、(I)
【化1】
の構造を有し、式中、Zは、C=S部分の反応性を増強する基であり、
Rは、ラジカル重合を開始することができるホモロイティック(homoloytic)脱離基である。
【0046】
本発明の一実施形態では、Rは、二級シアノアルキル、例えば、シアノメチル、1-シアノエチル、2-シアノプロパン-2-イル、一級及び二級アルコキシカルボニルアルキル、例えば、エトキシカルボニルメチル、1-エトキシカルボニルエチル、並びに一級及び二級カルボキシアルキル、三級シアノアルキル、例えば、2-シアノブタン-2-イル、1-シアノシクロヘキシル、2-シアノ-4-メチルペンタン-2-イル、2-シアノ-4-メトキシ-4-メチルペンタン-2-イル、2-シアノ-4-カルボキシブタン-2-イル、2-シアノ-5-ヒドロキシペンタン-2-イル、二級シアノ(アリール)アルキル、例えば、シアノ(フェニル)メチル、三級アルコキシカルボニルアルキル、例えば、2-アルコキシカルボニルプロパン-2-イル、1-(ブチルアミノ)-2-メチル-l-オキソプロパン-2-イル、三級カルボキシアルキル、二級アリール(アルコキシルカルボニル)アルキル、例えば、フェニル(エトキシカルボニル)メチル、及び他の三級ラジカル、例えば、1-(シクロヘキシルアミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イル、1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イル、1-(1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルアミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イル、2-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)プロパン-2-イル、及び2-(1-(2-ヒドロキシエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)プロパン-2-イル;からなる群から選択され、
Zは、アリール、C1~30アルキル、-S-Cアルキル、-O-アリール、-N(C1~6アルキル)2、-N(アリール)(C1~6アルキル)、-ヘテロアリール、-ヘテロシクリル、-OC1~30アルキル、ヘテロシクリル、及びホスフェートからなる群から選択され、-アリール、-C1~30アルキル、-ヘテロアリール、及び-ヘテロシクリルは各々、C1~30アルキル、=O、-CN、アリール、及び-COOC1~6アルキルからなる群から独立的に選択される置換基で1~4回任意選択的に置換され得る。
【0047】
本発明の他の実施形態では、連鎖移動剤は、(II)、(III)、又は(IV)
【化2】
【化3】
【化4】
の構造を有し、式中、R、Z
1、Z
2、及びZ
3は、式(I)で定義される通りである。
【0048】
一実施形態では、連鎖移動剤は、RAFT剤である。
【0049】
非限定的な実施形態では、連鎖移動剤は、ジチオベンゾエート、ジチオエステル、チオエーテル-チオン、トリチオカーボネート、ジチオカルバメート、キサンテート、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物であり得る。
【0050】
一実施形態では、RAFT剤は、マクロRAFT剤である。
【0051】
本明細書で使用される場合、「マクロRAFT」又は「マクロRAFT剤」という用語は、1つ以上のモノマーを含むRAFT剤を意味する。
【0052】
ある特定の実施形態では、マクロRAFT剤は、RAFT剤の制御下で1つ以上の不飽和モノマーを重合してマクロRAFT剤を形成することを含む方法によって調製される。
【0053】
一実施形態では、マクロRAFT剤は、一般式(ブロック[A])-RAFTのものであり、式中、ブロック[A]は、本明細書に定義されるような親水性ポリマー又はコポリマーであり、RAFTは、本明細書に記載されるようなRAFT剤である。言い換えるなら、マクロRAFT剤は、本発明の親水性ブロックに結合したRAFT剤からなる。
【0054】
一実施形態では、マクロRAFT剤は、P(AA-stat-PEGA)-DDMATである。
【0055】
別の実施形態では、マクロRAFT剤は、P(AA-stat-PEGA)-TTCである。
【0056】
モノマー
本発明のための好適なポリマーは、任意の重合プロセスによって調製されたものを含む。所望であれば、モノマーはまた、他のモノマーと重合すること(例えば、コポリマー)が可能であるべきである。様々なモノマーの共重合性を決定する要因は、当技術分野において十分に文書化されている。例えば、Polymer Handbook 4th Edition(Brandup,J.及びImmergut.E.H.、Grulke,E.A.、John Wiley&Sons Ltd.,Hoboken,1999)の
Greenlee,R.Z.を参照されたい。
【0057】
本発明によって使用され得る好適なモノマーは、式(V):
【化5】
のものを含み、式中、U及びWは、-CO
2H、-CO
2R
1、-COR
1、-CSR
1、-CSOR
1、-COSR
1、-CONH
2、-CONHR
1、-CONR
1
2、水素、ハロゲン、及び任意選択的に置換されたC
1~C
4アルキルから独立的に選択されるか、又はU及びWは、それ自体が任意選択的に置換され得るラクトン、無水物、又はイミド環を一緒になって形成し、任意選択的な置換基は、ヒドロキシ、-CO
2H、-CO
2R
1、-COR
1、-CSR
1、-CSOR
1、-COSR
1、-CN、-CONH
2、-CONHR
1、-CONR
1
2、-OR
1、-SR
1、-O
2CR
1、-SCOR
1、及びOCSR
1から独立的に選択され、
Vは、水素;R
1、-CO
2H、-CO
2R
1、-COR
1、-CSR
1、-CSOR
1、COSR
1、-CONH
2、-CONHR
1、-CONR
1
2、-OR
1、-SR
1、-O
2CR
1、-SCOR
1、及び-OCSR
1から選択され、
各R
1は、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルケニル、任意選択的に置換されたアルキニル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたカルボシクリル、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアリールアルキル、任意選択的に置換されたヘテロアリールアルキル、任意選択的に置換されたアルキルアリール、任意に置換されたアルキルヘテロアリール、及び任意選択的に置換されたポリマー鎖から独立的に選択される。
【0058】
R1についての任意選択的な置換基の例には、アルキレンオキシジル(エポキシ)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アルキルカルボニル、カルボキシ、スルホン酸、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、アミノ(その塩及び誘導体を含む)から選択されるものが挙げられる。
【0059】
ポリマー鎖の例には、ポリアルキレンオキシド、ポリアリーレンエーテル、及びポリアルキレンエーテルから選択されるものが挙げられる。
【0060】
モノマーの非限定的な例には、無水マレイン酸、N-アルキルマレイミド、N-アリールマレイミド、ジアルキルフマレート及び環化重合性モノマー、アクリレート及びメタクリレートエステル、アクリル酸及びメタクリル酸、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びメタクリロニトリル、これらのモノマーの混合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(全ての異性体)、ブチルメタクリレート(全ての異性体)、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルファ-メチルスチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート(全ての異性体)、ブチルアクリレート(全ての異性体、例えば、n-ブチルアクリレート)、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン、
官能性メタクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(全ての異性体)、ヒドロキシブチルメタクリレート(全ての異性体)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、無水イタコン酸、イタコン酸、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(全ての異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(全ての異性体)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレートから選択されるアクリレート、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-エチロールメタクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-n-ブチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-エチロールアクリルアミド、ビニル安息香酸(全ての異性体)、ジエチルアミノスチレン(全ての異性体)、アルファ-メチルビニル安息香酸(全ての異性体)、ジエチルアミノ-アルファ-メチルスチレン(全ての異性体)、p-ビニルベンゼンスルホン酸、p-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレートリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、無水マレイン酸、N-フェニルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール、ブタジエン、エチレン、及びクロロプレンなどが挙げられる。
【0061】
アクリレートモノマーの非限定的な例には、メチルアクリレート、メチルアルファ-ブロモアクリレート、メチル2-(ブロモメチル)アクリレート、メチル2-(クロロメチル)アクリレート、メチル2-(トリフルオロメチル)アクリレート、エチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、アルコキシル化フェノールアクリレート、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、エトキシル化ヒドロキシエチルアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールエチルエーテルアクリレート、エチル2-(ブロモメチル)アクリレート、エチルシス-(ベータ-シアノ)アクリレート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、ジアセトンアクリレート、モノ-2-アクリロイルオキシアルキルスクシネート、モノ-2-アクリロイルオキシエチルスクシネート、モノ-2-アクリロイルオキシアルキルフタレート、モノ-2-アクリロイルオキシエチルフタレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、エチル2-エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、エチル2-プロピルアクリレート、4-アセトキシフェネチルアクリレート、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、2-(4-
ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、ベンジル2-プロピルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチル2-ブロモアクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、2-カルボキシエチルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)2-エチルヘキシルエーテルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェネチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、tert-オクチルアクリレート、n-デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、10-ウンデセニルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、パルミチルアクリレート、オクタデシルアクリレート、n-エイコシルアクリレート、イソノルボルニルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,5,5-トリメチルヘキシルアクリレート、アセトニルアクリレート、2-カルボキシエチルアクリレート、カルボキシメチルアクリレート、オキサゾリジニルエチルアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルオキシメチルアクリレート、メトキシメトキシエチルアクリレート、ベンジルオキシメチルアクリレート、2-ブトキシエチルアクリレート、2-エトキシエトキシメチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、アリルオキシメチルアクリレート、2,3-ジブロモプロピルアクリレート、4-ブロモフェニルアクリレート、1,3-ジクロロ-2-プロピルアクリレート、2-ブロモエチルアクリレート、2-ヨードエチルアクリレート、クロロメチルアクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレート、2-アセトアセトキシエチルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、例えば、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルアクリレートなど;ジアルキルアミノアルキルアクリレートの四級アンモニウム塩、例えば、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリロイルオキシプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリド、アクリロイルオキシエチルエチルジメチルアンモニウムエチルスルフェート、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムスルフェート、及びアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェート、リン含有アクリレート、例えば、ジエチル[(アクリロイルオキシ)メチル]ホスホネート、ジエチル[(アクリロイルオキシ)エチル]ホスホネート、ジエチル(アクリロイルオキシ)メチルホスフェート、及びジエチル(アクリロイルオキシ)エチルホスフェート、硫黄含有アクリレート、例えば、4-チオシアナトブチルアクリレート、チオシアナトメチルアクリレート、2-メチルチオエチルアクリレート、2-メチルスルホニルエチルアクリレート、2-エチルチオエチルアクリレート、2-エチルスルホニルエチルアクリレート、2-プロピルチオエチルアクリレート、4-メチルチオブチルアクリレート、2,3-ビス(メチルチオ)プロピルアクリレート、2,3-ビス(メチルスルホニル)プロピルアクリレート、2,3-ビス(エチルチオ)プロピルアクリレート、2,3-ビス(ブチルスルホニル)プロピルアクリレート、及び2-メチルチオ-3-エチルチオプロピルアクリレート、ケイ素含有アクリレート、例えば、2-(トリメチルシリルオキシ)エチルアクリレート、トリメチルシリルメチルアクリレート、ジフェニルメチルシリルメチルアクリレート、エチル2-(トリメチルシリルメチル)アクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアクリレート、及び3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、メチルアルファ-ブロモメタクリレート、メチル2-(ブロモメチル)メタクリレート、メチル2-(クロロメチル)メタクリレート、メチル2-(トリフルオロメチル)メタクリレート、エチルメタクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、アルコキシル化フェノールメタクリレート、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、エトキシル化ヒドロキシエチルメタクリレート、エトキシル化ノニルフェノールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート、エチル2-(ブロモメチル)メタクリレート、エチルシス-(ベータ-シアノ)メタクリレート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルメタクリレート、ジアセトンメタクリレート、モノ-2-メタクリロイルオキシエチルスクシネート、モノ-2-メタクリロイルオキシアルキルスクシネート、モノ-2-メタクリロイルオキシエチルフタレート、モノ-2-メタクリロイルオキシアルキルフタレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、エチル2-エチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、エチル2-プロピルメタクリレート、4-アセトキシフェネチルメタクリレート、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、2-(4-ベンゾイル1-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルメタクリレート、ベンジル2-プロピルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、tert-ブチル2-ブロモメタクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、2-カルボキシエチルメタクリレート、2-クロロエチルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)2-エチルヘキシルエーテルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキレンメタクリレート、例えば、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、及び3-(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキレンメタクリレートの四級アンモニウム塩、例えば、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチルエチルジメチルアンモニウムエチルスルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムスルフェート、及びメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェート、n-ペンチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、tert-オクチルメタクリレート、n-デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、10-ウンデセニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、n-エイコシルメタクリレート、イソ-ノルボルニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、エチル2-(トリメチルシリルメチル)メタクリレート、3,5,5-トリメチルヘキシルメタクリレート、アセトニルメタクリレート、2-カルボキシエチルメタクリレート、カルボキシメチルメタクリレート、オキサゾリジニルエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、メトキシメ
トキシエチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエトキシメチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、2,3-ジブロモプロピルメタクリレート、4-ブロモフェニルメタクリレート、1,3-ジクロロ-2-プロピルメタクリレート、2-ブロモエチルメタクリレート、2-ヨードエチルメタクリレート、クロロメチルメタクリレート、2-イソシアナトエチルメタクリレート、2-アセトアセトキシエチルメタクリレート、リン含有メタクリレート、例えば、ジエチル[(アクリロイルオキシ)メチル]ホスホネート、ジエチル[(アクリロイルオキシ)エチル]ホスホネート、ジエチル(アクリロイルオキシ)メチルホスフェート、及びジエチル(アクリロイルオキシ)エチルホスフェート、硫黄含有メタクリレート、例えば、4-チオシアナトブチルメタ
クリレート、チオシアナトメチルメタクリレート、2-メチルチオエチルメタクリレート、2-メチルスルホニルエチルメタクリレート、2-エチルチオエチルメタクリレート、2-エチルスルホニルエチルメタクリレート、2-プロピルチオエチルメタクリレート、4-メチルチオブチルメタクリレート、2,3-ビス(メチルチオ)プロピルメタクリレート、2,3-ビス(メチルスルホニル)プロピルメタクリレート、2,3-ビス(エチルチオ)プロピルメタクリレート、2,3-ビス(ブチルスルホニル)プロピルメタクリレート、及び2-メチルチオ-3-エチルチオプロピルメタクリレート、ケイ素含有メタクリレート、例えば、2-(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート、トリメチルシリルメチルメタクリレート、ジフェニルメチルシリルメチルメタクリレート、エチル2-(トリメチルシリルメチル)メタクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
本明細書におけるラジカル重合性モノマーとしての使用に好適な、例示的なメタクリレートモノマー、アクリレートモノマー、メタクリルアミドモノマー、アクリルアミドモノマー、スチレン系モノマー、ジエンモノマー、ビニルモノマー、反応性官能基を有するモノマー、及び架橋モノマーのより広範な一覧は、Moad et al.,“Living Radical Polymerization by the RAFT Process-a Third Update,”Australian Journal of Chemistry 65:985-1076(2012)に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0063】
ブロックコポリマー
第1の実施形態では、本発明は、ブロック[A]及び[B]を含み、
ブロック[A]が、親水性ホモポリマー又はコポリマーであり、
ブロック[B]が、16℃未満のTgを有する疎水性ホモポリマー、又は約75℃未満の疎水性ブロックのTgを有する疎水性コポリマーであり、
プロセスが、RDRPによって、好ましくはエチレン性不飽和モノマーのRAFT重合を介してブロック[A]及び[B]を得ることを含む、両親媒性ブロックコポリマーを調製するためのプロセスを提供する。
【0064】
この第1の実施形態では、ブロック[A]は、本明細書に記載されているような1つ以上のモノマーの重合によって形成されている親水性ポリマー又はコポリマーである。
【0065】
第1の実施形態の一例では、ブロック[A]は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(PEGA)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(PEGMA)、及びアクリル酸のうちの1つ以上から調製される。
【0066】
この第1の実施形態では、ブロック[B]は、本明細書に記載されているような1つ以上のモノマーの重合によって形成されている疎水性ポリマー又はコポリマーである。
【0067】
第1の実施形態の一例では、ブロック[B]は、n-ブチルアクリレート(nBA)、tert-ブチルアクリレート(tBA)、及びスチレンのうちの1つ以上から調製される。
【0068】
第2の実施形態では、本発明は、ブロック[A]及び[B]を含むブロックコポリマーを調製するためのプロセスであって、
ブロック[A]が、疎水性ホモポリマー又はコポリマーであり、
ブロック[B]が、疎水性ホモポリマー又はコポリマーであり、
プロセスが、RDRPによって、好ましくはエチレン性不飽和モノマーのRAFT重合を介してブロック[A]及び[B]を得ることを含む、プロセスを提供する。
【0069】
第2の実施形態の一例では、ブロック[A]は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)から調製される。
【0070】
第2の実施形態の一例では、ブロック[B]は、ベンジルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、及びメチルメタクリレートのうちの1つ以上、好ましくは、PMMA70-b-PBzMA40又はPMMA70-b-P(EHMA90-stat-MMA10)から調製される。
【0071】
ガラス転移温度
当業者であれば理解するように、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、ポリマー鎖の長い範囲のセグメント運動、並びに鎖のセグメントのコイル化(coiling)及び脱コイル化(uncoiling)の両方が「凍結」され、ポリマーが「固体ガラス」のように挙動するか、又は結晶特性を有する、温度として定義される。そのTg未満では、ポリマーは、流動又はゴム弾性を呈さないが、そのTg超では、ポリマーは、流動又はゴム弾性を呈する。言い換えるなら、そのTg未満の温度のポリマーは、そのTg超の温度の同じポリマーよりも硬く、より弾性が低い。ポリマーのTgは、例えば、示差走査熱量測定(DSC)及び動的機械熱分析(DMTA)を使用して、当技術分野で既知の任意の標準的な方法によって決定され得る。
【0072】
実施形態では、ブロック[B]は、約75℃未満、好ましくは-70℃~75℃の範囲の疎水性ブロックのTgを有するように選択される疎水性コポリマーを含む。
【0073】
他の実施形態では、ブロック[B]は、16℃未満、好ましくは-70℃~16℃の範囲のTgを有するように選択される疎水性ホモポリマーを含む。
【0074】
反応条件
RAFT重合によるポリマーの調製に使用される従来の技術、条件、及び試薬は、本発明によって有利に使用することができる。重合のための条件を選択する際の一般的な指針として、開始剤(複数可)の濃度、モノマー、及び他の反応条件(存在する場合は溶媒(複数可)、反応温度、反応圧力、存在する場合は界面活性剤、他の添加剤)は、ポリマー特性、例えば、狭分散ポリマー(満足できるRDRP(RAFT)プロセスに基づいて良好な制御/リビング性(livingness))を最適化するために選択されるべきである。
【0075】
ブロック[A]のモノマーについての好適な比率(M1:M2)は、1:100~100:1を含むか、あるいは約1:100~1:1、又は約1:1~1:100、又は約5
0:1~1:50であり得るか、あるいは約1:100、1:95、1:90、1:85、1:80、1:75、1:70、1:65、1:60、1:55、1:50、1:45、1:40、1:35、1:30、1:25、1:20、1:15、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1若しくは100:1、又はその中の任意の範囲であり得る。
【0076】
ブロック[B]のモノマーについての好適な比率(M1:M2)は、1:100~100:1を含むか、あるいは約1:100~1:1、又は約1:1~1:100、又は約50:1~1:50であり得るか、あるいは約1:100、1:95、1:90、1:85、1:80、1:75、1:70、1:65、1:60、1:55、1:50、1:45、1:40、1:35、1:30、1:25、1:20、1:15、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1若しくは100:1、又はその中の任意の範囲であり得る。
【0077】
連鎖移動剤は、例えば、約1mmol・L-1~約1000mmol・L-1、又は約10mmol・L-1~約1000mmol・L-1、例えば、約5mmol・L-1~20mmol・L-1、又は約7mmol・L-1~約13mmol・L-1、又は約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20mmol・L-1、又はその中の任意の範囲の任意の好適な濃度で存在し得る。
【0078】
一実施形態では、[疎水性モノマー]:[連鎖移動剤]の比率は、約10~約400、又は約100~約150、又は約75~約100の範囲であるか、あるいはこれは、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195若しくは200、又はその中の任意の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、この比率は、約40~約200の範囲である。
【0079】
重合温度は、重合されている特定のモノマー(複数可)及び重合又は反応媒体の他の成分を考慮して、当業者によって最適化可能であろう。
【0080】
重合は、一般に、20~100℃、例えば、約0~180℃、又は約50~150℃の範囲、又は約20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100℃、又はその中の任意の範囲、好ましくは40~100℃の範囲の温度で行われる。
【0081】
反応時間は、1~48時間、例えば、1~20時間、1~12時間、若しくは1~8時間、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23若しくは24時間、又はその中の任意の範囲であり得る。
【0082】
重合は、任意の好適なpH範囲で行われ得る。一実施形態では、pHは、3~8の範囲であるか、あるいはこれは、約3.5~約6、又は約4~約7、又は約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5若しくは8、又はその中の任意の範囲であり得る。
【0083】
一実施形態では、重合は、6時間にわたって、350rpmの撹拌速度で、油浴中で、80℃で実行された。
【0084】
反応媒体は、使用されているモノマー(複数可)に適するように、広範囲の媒体から選択され得る。例えば、水及びアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、n-ペンタノール、及びそれらの混合物。
【0085】
反応媒体は、酸、塩基、触媒、界面活性剤、及び/若しくはカップリング剤、又は任意の他の好適な成分のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0086】
疎水性及び親水性
当業者であれば、本明細書で使用される「親水性」及び「疎水性」という用語は、特定の物質の絶対的な性質を定義することを意図してはおらず、むしろ、好ましい又は好ましくない相互作用(すなわち、引き付ける又は反発する相互作用)の指標であると理解するであろう。言い換えるなら、「親水性」及び「疎水性」という用語は、本明細書では、互いに引き付けるもの及び互いに反発するものなどの特性を定義するための主要な指標として使用される。
【0087】
単に好都合な参照点としてではあるが、当業者は、「親水性」液体が25℃で少なくとも5g/Lの水への溶解度を有すること及び「疎水性」液体が25℃で5g/L未満の水への溶解度を有することを考慮し得る。固体の観点から、「親水性」及び「疎水性」という用語は、それぞれ、親水性液体及び疎水性液体によって濡らすことが可能であり得る(すなわち、反発しない)固体への言及であると当業者によって考慮され得る。
【0088】
分子量及び分散指数
当業者であれば、ポリマーは、鎖長及び分子量の分布として存在すると理解するであろう。したがって、ポリマーの分子量は、試料中の全ての鎖の分子量から計算された平均分子量として記載する必要がある。
【0089】
本発明において、ブロック[A]又はブロック[B]の分子量(MW)は、5000~100,000の範囲であり得るか、あるいはこれは、約10,000~100,000、又は約25,000~約75,000であり得るか、あるいはこれは、約5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000、19000、20000、25000、30000、35000、40000、45000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、125000、150000、175000、200000、225000、250000、275000、300000、350000、400000、450000若しくは500000、又はその中の任意の範囲であり得る。好ましい実施形態では、ブロック[A]又はブロック[B]の分子量は、5000~40,000の範囲である。
【0090】
本発明では、本明細書に記載されているようなブロックコポリマーの平均重合度(DP)は、約10~約1000の範囲、若しくは約20~約500、若しくは約50~750、若しくは約300~約800、又は約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195若しくは200、又はその中の任
意の範囲の値である。好ましい実施形態では、ブロックコポリマーの重合度(DP)は、約50~約300の範囲である。
【0091】
本発明によって調製されたポリマーは、有利には、明確に定義された分子アーキテクチャ、所定の分子量、重量、及び狭い分子量分布、又は低い分散度(D)を呈し得る。
【0092】
ナノ繊維の寸法
当業者であれば理解するように、本発明のナノ繊維は、ナノ繊維の幅を上回る又は大幅に上回る長さを有すると定義される。ナノ繊維の長さの幅に対する比率は、5超:1、又は10超:1、又は25超:1、又は50超:1、又は100超:1、又は250超:1、又は500超:1、又は1000超:1であり得るか、あるいはこれは、5:1~200,000:1、若しくは100:1~10,000:1、若しくは500:1~5,000:1、又はその中の任意の範囲であり得る。
【0093】
ナノ繊維の幅は、約1nm~約250nm、若しくは約3nm~約100nm、若しくは5nm~約50nm、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245若しくは250nm、又はその中の任意の範囲であり得る。
【0094】
ナノ繊維の各々の長さは、約5nm~2mm、若しくは約10nm~約1mm、若しくは約50nm~約500μm、若しくは約20nm~約100μm、又は約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900若しくは1000nm、又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900若しくは1000μm、又は約1.5若しくは2mm、又はその中の任意の範囲であり得る。
【0095】
架橋剤
ある特定の実施形態では、両親媒性ブロックコポリマーは、得られたナノ繊維を永続的に安定させ、したがって、これらに長期安定性を与えるために、架橋され得る。架橋剤は、2つの異なるポリマー鎖間に共有結合架橋を提供することができる。任意の好適な架橋剤が使用され得る。当業者であれば理解するように、架橋剤は、ラジカル重合、したがって、本発明のポリマー鎖への組み込みが可能である2個の末端基を有する必要がある。好適な架橋剤の例は、モノマー材料がアクリレートエステルである場合のエチレングリコールジアクリレートエステル(例えば、エチレングリコールジメチルアクリレート)、又はモノマー材料がアクリル酸である場合のエチレングリコールジアクリル酸(例えば、エチレングリコールジメタクリル酸)を含むが、これらに限定されない。架橋剤が存在する実施形態では、溶媒中の架橋剤に対するモノマー材料の比率は、10:1~50:1、例えば、20:1~40:1であり得る。
【0096】
架橋剤の非限定的な例には、(メタ)アクリル酸無水物、エチレングリコール、エチレ
ングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物のジビニルエーテル;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、及びポリアルキレングリコールのジビニルエーテル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリルアミド;ジプロピレングリコールジアリルエーテル;ポリグリコールジアリルエーテル;ヒドロキノンジアリルエーテル;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジアリルエーテル;ペンタエリトリトールトリアリルエーテル;アリル(メタ)アクリレート;トリアリルシアヌレート;ジアリルマレエート、ポリアリルエステル;テトラアリルオキシエタン;トリアリルアミン;テトラアリルエチレンジアミン;ジビニルベンゼン;グリシジル(メタ)アクリレート;1,7-オクタジエン;1,9-デカジエン;1,13-テトラデカジエン;ジビニルベンゼン;ジアリルフタレート;トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン;N,N’-ジビニルイミダゾリドン、1-ビニル-3(E)-エチリデンピロリドン;2,4,6-トリアリルオキシ-1,3,5-トリアジン;並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0097】
1つの非限定的な実施形態では、架橋剤は、(メタ)アクリル酸無水物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリルアミド、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0098】
本発明では、架橋剤は、最初、中間、又は最後を含む、第2のブロックの重合の任意の時点で添加され得る。一実施形態では、架橋剤は、t=0時間で添加される。他の実施形態では、架橋剤は、t=2時間で添加される。当業者であれば、求められる効果に応じて、架橋剤の添加のタイミングを最適化することができると想定され、例えば、重合プロセスで後に架橋剤を添加すると、架橋剤によって最終的な形態に及ぼされる影響が小さくなり得、その逆もまた同様である。
【0099】
1つの非限定的な実施形態では、架橋剤(複数可)は、ブロックコポリマーの約0.001重量%~約20重量%の量で存在し得る。別の非限定的な実施形態では、架橋剤(複数可)は、ブロックコポリマーの約0.001重量%~約10重量%の量で存在し得る。更なる別の非限定的な実施形態では、架橋剤(複数可)は、ブロックコポリマーの約0.001重量%~約5重量%の量で存在し得る。架橋剤は、約0.001、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20重量%、又はその中の任意の範囲で存在し得る。
【0100】
一実施形態では、架橋剤は、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)又はエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)である。
【0101】
別の実施形態では、架橋剤は、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)である。
【0102】
本発明のナノ繊維の使用
本明細書に開示されているナノ繊維は、活性剤のためのビヒクルとして使用され得る。言い換えるなら、当該ナノ繊維は、ナノ繊維にカプセル化された活性剤を更に含み得る。本明細書で使用される場合、「カプセル化された」という用語は、本明細書に記載されているナノ繊維の本体のコア内の活性剤の封入を指す。例えば、ナノ繊維が固体コアを有する本発明の実施形態では、活性剤は、当該ナノ繊維のコア内のナノ繊維のポリマーマトリックス内に保持されるであろう。
【0103】
本発明の実施形態では、活性剤を更に含むナノ繊維組成物は、全体としてのナノ繊維の重量に対して、0.01~50重量%の活性剤を含有し得る。例えば、活性剤は、全体としてのナノ繊維の重量に対して、1~30重量%、例えば5~10重量%の量で存在し得る。活性剤は、ビタミンC、ペプチド、グリセロール、染料、フレーバー、香油、シトロネラール、シリコーン油(silicon oils)、有機ケイ素、農薬、ベータ-カロテン、及び薬理学的に活性な薬剤からなる群のうちの1つ以上から選択され得る。
【0104】
「薬理学的に活性な薬剤」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト又は他の動物が罹患する状態の治療又は予防に有用な物質を指し得る。当該状態は、疾患、障害、又は生理学的状態であり得る。活性剤は、基礎状態に直接影響を与えなくてもよいが、他の活性剤の有効性を高めるために、更なる活性剤と一緒にアジュバントとして使用され得ると理解されるであろう。したがって、本明細書における「薬理学的に活性な薬剤」という用語は、アジュバント又は治療剤にかかわらず、経口投与を通じて対象に提供され得る、薬理学的に活性な薬剤の全てのクラスを含む。本明細書で使用される場合、「薬理学的に活性な薬剤」及び「薬物」という用語は、互換的に使用されてもよく、そのため、「薬物」という用語は、「活性薬剤」の定義に基づいて解釈されてもよい。薬理学的に活性な薬剤の例は、イブプロフェン、フェノフィブラート、及びイソトレンチノインを含むが、これらに限定されない。
【0105】
本明細書で言及され得る更なる活性剤は、炭素代謝物(例えば、グルコース、フルクトース、フマレートなど)、電子受容体(例えば、ニトレート、ペルオキシドなど)、並びにビタミン、例えば、ビタミンA、B1、B2、B3、B6、B12、D、E、ビオチン、フォレート、及びパントテン酸塩(panothenate);鉱物、例えば、カルシウム、マグネシウム、セレン、及び亜鉛;アミノ酸、例えば、アスパラギン、カルニチン、グルタミン、及びセリン;コエンザイムQ10、グルタチオン、及びシステインから選択される酸化防止剤;又は代謝物、例えば、リポ酸、オレイン酸、コリン、イノシトール、フルクトース、グルコース、インスリン、没食子酸エピガロカテキン、及びそれらの混合物を含み得るが、これらに限定されない。
【0106】
本発明の実施形態では、ナノ繊維は、活性剤を含み得るコア領域を有し得る。コア内の活性剤の性質は、形成されたナノ繊維の性質によって決定されるであろう。例えば、両親媒性ブロックコポリマーの親水性ブロックがナノ繊維の表面に配置されるように形成されたナノ繊維は、疎水性活性剤の封入に好適であり得る(前述の通り)。代替的に、ナノ繊維は、両親媒性ブロックコポリマーの疎水性ブロックがナノ繊維の表面に配置されるように形成され、親水性活性剤の封入に好適であり得る(前述の通り)。本発明のナノ繊維は、50~200nm、例えば、70~150nmの平均直径を有し得る。
【0107】
いくつかの材料では、疎水性繰り返し単位がナノ繊維の表面を形成し、親水性繰り返し単位がコアを形成する。反対の配置を有する他の実施形態では、親水性繰り返し単位がナノ繊維の表面を形成し、疎水性繰り返し単位がコアを形成する。更に更なる実施形態では、疎水性繰り返し単位がナノ繊維の表面を形成し、疎水性繰り返し単位がコアも形成する。
【0108】
本発明のナノ繊維の他の使用は、サンケア組成物、フェイスケア組成物、リップケア組成物、アイケア組成物、スキンケア組成物、アフターサン組成物、ボディケア組成物、ネイルケア組成物、アンチエイジング組成物、防虫剤、口腔ケア組成物、消臭剤組成物、ヘアケア組成物、コンディショニング組成物、カラー化粧品組成物、色保護組成物、セルフタンニング組成物、及びフットケア組成物に関する。
【0109】
本明細書に開示されているナノ繊維は、複合材料のための充填剤及び/又は強化剤としても使用され得る。言い換えるなら、当該ナノ繊維は、マトリックス材料にカプセル化され得るか、又はマトリックス材料を通して分散され得る。ナノ繊維は、形成される複合材料の物理的特性を変更し得る。ナノ繊維は、マトリックスが水などの溶媒全体に溶解若しくは分散している場合又は溶融している場合などに、複合材料の製造中にマトリックスに添加され得るか、又はマトリックス全体に分散され得る。一例では、マトリックスは、フィルム、又はコーティング、又は形成された物品などの複合ポリマー材料を形成するように、本明細書に記載されているようなポリマーを含み得る。ポリマーマトリックスは、ナノ繊維の親水性シェルが生成中にマトリックスによって湿潤されるように、好ましくは、親水性であり得るか、又は水性分散体から形成され得る。ポリマーマトリックスが水性分散体(すなわち、ラテックス)から形成される場合、ナノ繊維は、硬化前に水性分散体と混合され得る。ポリマーマトリックスが溶融される場合、ナノ繊維は、ポリマーペレットと一緒に押出機に添加され、ポリマーマトリックス材料の溶融中又はその後に混合され得る。
【0110】
別の例では、マトリックスは、セメント(例えば、ポートランドセメント)又はフライアッシュなどの水硬性バインダーを含んでいてもよく、そこでは、ナノ繊維は、本発明のナノ繊維を含むセメント質材料を生成するために、水の添加前に、又は水の添加後に、又は水と連続して、水硬性バインダーに添加され、次いで、混合され得る。
【0111】
別の例では、マトリックスは、石膏ボード/乾式壁などの石膏ベースの物品の生成における硫酸カルシウム(すなわち、石膏)などの鉱物材料を含み得る。
【0112】
更なる別の例では、マトリックスは、マトリックスの粘度及び/又はレオロジーの修飾から利益を得る任意の物質であり得る。言い換えるなら、ナノ繊維は、ゲル、油圧流体などのある範囲の液体又は半固体材料のための粘度調整剤として使用され得る。
【0113】
当業者であれば理解するように、本発明のナノ繊維は、低Tgコアの効果が有益な効果をもたらし得る、他の既知の材料における充填剤及び/又は強化剤を置き換えるために使用され得る。
【0114】
本発明の好ましい特徴、実施形態、及び変形は、当業者が本発明を実施するのに十分な情報を提供する以下の詳細な説明から識別することができる。詳細な説明は、如何様にも前述の発明の概要の範囲を限定するものとみなされるべきではない。詳細な説明は、以下のように、いくつかの図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【
図1】pH3.5、pH5、及びpH7のP(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下でのスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合についての全モノマー変換(表1も参照)。
【
図2】pH3.5、pH5、及びpH7のP(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下でのスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合の分子量分布(w(logM)対logM)(表1も参照)。
【
図3】pH3.5、pH5、及びpH7で実施されたP(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下でのスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合のTEM画像([スチレン]/[nBA]=70/30、[疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0=200)(表1も参照)。スケールバー:A-1=500nm、A-2=2μm、A-3=500nm。
【
図4】異なる[疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0(マクロRAFT剤、左から右に[疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0=50(B-1)、100(B-2)、130(B-3)、150(B-4)、170(B-5)、200(B-6))を有するP(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下でのスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合の分子量分布(w(logM)対logM)(表2も参照)。
【
図5】異なる[疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0([疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0=50(B-1)、100(B-2)、130(B-3)、150(B-4)、170(B-5)、200(B-6))を有するP(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下でのスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合のTEM画像(表2も参照)。スケールバー:B-1=200nm、B-2=1μm、B-3=1μm、B-4=2μm、B-5=2μm、B-6=2μm。
【
図6】t=0時間における方法(i)(項目C-x及びD-x;上枠)及びt=2時間における方法(ii)(項目E-x及びF-x;下枠)([疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0=100)において、EGDA又はPEGDAを用いて、pH5で、P(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下で、スチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合を介して合成されたナノ粒子のTEM画像。スケールバー:B-2=1μm、C-1=1μm、C-2=1μm、D-1=1μm、D-2=1μm、D-3=100nm、E-1=1μm、E-2=1μm、F-1=1μm、F-2=1μm、F-3=500nm。
【
図7】THFに溶解したEGDA又はPEGDA架橋P(AA-stat-PEGA)-b-P(S-stat-nBA)ナノ粒子(a)架橋剤を添加せず、t=0時間で1mol%のPEGDAを添加、t=0時間で2.5mol%のPEGDAを添加(左上から右)、(b)架橋剤を添加せず、t=0時間で0.5mol%のEGDAを添加、t=0時間で1mol%のEGDAを添加、t=0時間で10mol%のEGDAを添加(左上から右)、(c)架橋剤を添加せず、t=2時間で1mol%のPEGDAを添加、t=2時間で10mol%のPEGDA(左下から右)、 (d) 架橋剤を添加せず、t=2時間で3mol%のEGDAを添加、t=2時間で5mol%のEGDAを添加、t=2時間で10mol%のEGDAを添加(左下から右)。
【
図8】異なる固形分([疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0=130、固形分15.2%(H-1)、24.7%(H-2)、32.7%(H-3))で、2時間の重合後に、5mol%のEGDA(マクロRAFT剤に対する)を用いて、pH5で、P(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下で、スチレン及びnBA([スチレン]
0/[nBA]
0=20/80)のRAFT水性エマルション重合を介して合成されたナノ粒子のTEM画像。スケールバー:H-1=200nm、H-2=200nm、H-3=200nm。
【
図9】P(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤(M
n=13,400g/mol;D=1.20)の分子量分布(w(logM)対logM)。
【
図10】異なる[疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0([疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0=80(G-1)、100(G-2)、115(G-3)、130(G-4)、150(G-5)、180(G-6)、200(G-7)、250(G-8)、300(G-9))で、2時間の重合後に、5mol%のEGDA(マクロRAFT剤に対する)を用いて、pH5で、P(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下で、スチレン及びnBA([スチレン]
0/[nBA]
0=20/80)のRAFT水性エマルション重合を介して合成されたナノ粒子のTEM画像。スケールバー:G-1=200nm、G-2=1μm、G-3=100nm、G-4=1μm、G-5=1μm、G-6=1μm、G-7=2μm、G-8=1μm、G-9=2μm。
【
図11】ナノ繊維強化ナノ複合材ポリマー材料の調製に使用される親水性外側「シェル」部分及び疎水性内側「コア」部分を有するナノ繊維に自己組織化された第1の親水性ブロック及び第2の疎水性ブロックを有するブロックコポリマーの概略図。
【
図12】(A)PMMA-b-P(EHMA-stat-MMA)のTEM顕微鏡写真及び(B)PMMA-b-PBzMAのSEM顕微鏡写真。
【0116】
定義
本発明の説明及び特許請求において、以下の用語は、以下に示される定義に従って使用される。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することは意図されていないことも理解されるべきである。
【0117】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0118】
別段文脈が明らかに要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対に、包括的な意味、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるものとする。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス又は方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない、又はそのような組成物、混合物、プロセス又は方法に固有ではない他の要素を含む場合がある。
【0119】
「~からなる」という移行句は、特定されていない任意の要素、ステップ又は成分を除外するものである。特許請求の範囲にある場合、そのようなものは、通常伴う不純物を除いて、列挙されたもの以外の材料の包含に対してその請求項を閉ざすであろう。前文の直後ではなく、特許請求の範囲の本文の節に出現する場合、「~からなる」という語句は、その節に記載される要素のみを限定し、他の要素は、全体として特許請求の範囲から除外されない。
【0120】
「本質的に~からなる」という移行句は、文字通りに開示されるものに加えて、材料、ステップ、特徴、構成成分又は要素を含む組成物、プロセス又は方法を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加の材料、ステップ、特徴、構成成分又は要素が、特許請求された発明の基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響を与えないことを条件とする。「本質的に~からなる」という用語は、「含む」と「~からなる」の間の妥協点を占める。
【0121】
出願人らが「含む」などの制限のない用語を用いて発明又はその一部を定義した場合、(別段の記載がない限り)本明細書は、「本質的にからなる」又は「からなる」という用語を使用してそのような発明を説明するものとも解釈されるべきであることは容易に理解されるべきである。換言すれば、「含む」、「からなる」及び「本質的に~からなる」という用語に関して、これらの3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、現在
開示され、特許請求される主題には、他の2つの用語のうちのいずれかの使用が含まれてもよい。したがって、別段他に明示的に記載されないいくつかの実施形態では、「含む」の任意の例は、「からなる」又は代替的に「本質的にからなる」に置き換えられてもよい。
【0122】
更に、明示的に反対の記載がない限り、「又は(or)」は、包括的な又は(or)を指し、排他的な又は(or)を指さない。例えば、条件「A又はB」は、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真(又は存在する)かつBが偽(又は存在しない)である、Aが偽(又は存在しない)かつBが真(又は存在する)である、並びにA及びBの両方が真(又は存在する)である。
【0123】
また、本発明の要素又は構成要素に先行する不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、要素又は構成要素の例(すなわち、出現)の数に関して非制限的であることが意図されている。したがって、「a」又は「an」は、1つ又は少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、数値が明らかに単数であることが意図されない限り、要素又は構成要素の単数形は、複数も含む。
【0124】
操作例、又は別段の指示がある場合以外では、本明細書で使用される成分又は反応条件の量を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図しない。以下において、又は別段の記載がある場合、「%」は「重量%」を意味し、「比率」は「重量比」を意味し、「部」は「重量部」を意味する。
【0125】
本明細書で使用される場合、「大部分」及び「実質的に」という用語は、別段の指示がない限り、50重量%超を含むことを意味するものとする。
【0126】
本明細書で使用される場合、ある範囲の数値に関連して、「約」、「およそ」、及び「実質的に」という用語は、参照数値の-10%~+10%、好ましくは参照数値の-5%~+5%、より好ましくは参照数値の-1%~+1%、最も好ましくは参照数値の-0.1%~+0.1%の範囲を指すものと理解される。更に、数値範囲に関連して、これらの用語は、その範囲内の任意の数又は数のサブセットに関する請求項への支持を提供するものとして解釈されるべきである。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9、8~10などの範囲を支持するものとして解釈すべきである。
【0127】
本明細書で使用される場合、重量%は、参照組成物の総重量に対する特定の成分の重量を指す。
【0128】
「X及び/又はY」の文脈で使用される「及び/又は」という用語は、「X」、又は「Y」、又は「X及びY」として解釈されるべきである。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」、又は「Y」、又は「X及びYの両方」として解釈されるべきである。
【0129】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、ある特定の状況下である特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下では、他の実施形態も好ましい場合がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、また、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものではない。
【0130】
本明細書で引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、各々が個別に組み
込まれたかのように、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0131】
本明細書で使用される場合、「ナノ繊維」という用語は、固体コア及び固体シェル/コロナを有する(すなわち、円筒の内部部分は中空ではない)点でミセルに類似している固体ナノ粒子材料を指す。言い換えるなら、コア及びシェルは、ポリマー材料から形成されており、親水性ブロックが(シェルを形成するために)ナノ繊維の外面にあり、疎水性ブロックが(又はその逆のために)ナノ繊維のコアを形成する。別の実施形態では、疎水性ブロックがナノ繊維の外面にあり、疎水性ブロックはナノ繊維のコアも形成する。シェルが固体である一方で、これらのナノ繊維は、他の分子(例えば、活性剤)が、(例えば、拡散又は他の好適な手段によって)なおも円筒形ナノ繊維のコア内に分散することができ、それによって、円筒形ナノ繊維が活性剤のための担体として機能することが可能になることから、担体として使用される能力を有し得る。
【0132】
「~からなる群から各々独立的に選択される」という用語は、群が構造内に1回よりも多く現れるとき、その群が、それが現れるたびに独立的に選択され得ることを意味する。
【0133】
「アルキル」という用語は、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に有する、官能化又は非官能化の、一価の、直鎖、分岐鎖、又は環状C1~C60ヒドロカルビル基を指す。1つの非限定的な実施形態では、アルキルは、C1~C45ヒドロカルビル基である。別の非限定的な実施形態では、アルキルは、C1~C30ヒドロカルビル基である。アルキルの非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、tert-オクチル、イソ-ノルボミル、n-ドデシル、tert-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。「アルキル」の定義はまた、直鎖、分岐鎖、及び/又は環状構造の組み合わせによって得られる基を含む。
【0134】
「アリール」という用語は、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に有する官能化又は非官能化の一価の芳香族ヒドロカルビル基を指す。アリールの定義は、炭素環式及び複素環式芳香族基を含む。アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2-ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、1,3,5-トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニルル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H-インダゾリル、エンズイミダゾリル(enzimidazolyl)、ベンゾチアゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル基、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8-ナフトリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキシアジニル、ピラゾロ[1,5-c]トリアジニルなどが挙げられる。
【0135】
「アルキレン」という用語は、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に有する、官能化又は非官能化の、二価の、直鎖、分岐鎖、又は環状C
1~C
40ヒドロカルビル基を指す。1つの非限定的な実施形態では、アルキレンは、C
1~C
30基である。別の非限定的な実施形態では、アルキレンは、C
1~C
20基である。アルキレン基の非限定的な例は、以下のものを含む。
【化6】
【0136】
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、又はハロゲンを指す。ヘテロ原子(複数可)は、1個以上のヘテロ原子含有官能基の一部として存在し得る。ヘテロ原子含有官能基の非限定的な例には、エーテル、ヒドロキシ、エポキシ、カルボニル、カルボキサミド、カルボン酸エステル、カルボン酸、イミン、イミド、アミン、スルホン、スルホンアミド、ホスホン、及びシラン基が挙げられる。ヘテロ原子(複数可)は、ヘテロアリール及びヘテロアリーレン基などの環の一部としても存在し得る。
【0137】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、先に定義されたようなエチレン性一価、二価、又は多価不飽和アルキル又はシクロアルキル基、好ましくはC2~20アルケニル(例えば、C2~10又はC2~6)を含む、少なくとも1個の炭素と炭素との二重結合を含有する直鎖、分岐状、又は環状炭化水素残基から形成された基を示す。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1-メチルビニル、ブテニル、イソ-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、シクロペンテニル、1-メチル-シクロペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、シクロヘキセニル、1-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、シクロオクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、3-デセニル、1,3-ブタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1,3-シクロペンタジエニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、及び1,3,5,7-シクロオクタテトラエニルが挙げられる。アルケニル基は、本明細書で定義されるような1個以上の任意選択的な置換基によって任意選択的に置換され得る。
【0138】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、先に定義されたようなエチレン性一価、二価、又は多価不飽和アルキル又はシクロアルキル基を含む、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有する直鎖、分岐状、又は環状炭化水素残基からの基を示す。炭素原子の数が指定されていない限り、この用語は、好ましくは、C2~20アルキニル(例えば、C2~10又はC2~6)を指し、例は、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、及びブチニル異性体、並びにペンチニル異性体を含む。アルキニル基は、本
明細書で定義されるような1個以上の任意選択的な置換基によって任意選択的に置換され得る。
【0139】
「カルボシクリル」という用語は、非芳香族単環式、多環式、縮合、又は共役炭化水素残基、好ましくはC3~20(例えば、C3~10又はC3~8)を指す。環は、飽和、例えば、シクロアルキルであり得るか、又は1つ以上の二重結合(シクロアルケニル)及び/又は1つ以上の三重結合(シクロアルキニル)を有し得る。特に好ましいカルボシクリル部分は、5~6員又は9~10員の環系である。好適な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエニル、インダニル、デカリニル、及びインデニルが挙げられる。カルボシクリル基は、本明細書で定義されるような1個以上の任意選択的な置換基によって任意選択的に置換され得る。「カルボシクリレン」という用語は、カルボシクリルの二価形態を示すことが意図されている。
【0140】
「ヘテロシクリル」という用語は、炭素原子、並びに窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1~5個のヘテロ原子からなる安定な3員~18員の環(ラジカル)を指す。複素環は、単環式、又は多環式環系であってもよく、これは、縮合、架橋、又はスピロ環系を含んでもよく、複素環内の窒素、炭素、又は硫黄原子は、任意選択的に酸化されてもよく、窒素原子は、任意選択的に四級化されてもよく、環は、部分的に又は完全に飽和されてもよい。そのような複素環の例には、アゼピニル、アゾカニル、ピラニル、ジオキサニル、ジチアニル、1,3-ジオキソラニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピロリジニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、及びチアモルホリニルスルホンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
「ヘテロアリール」という用語は、環系内の原子のうちの1個以上が、炭素以外の元素(複数可)、例えば、窒素、酸素、又は硫黄である、約5~約19個の環原子、又は約5~約10個の環原子の芳香族単環式又は多環式環系を意味する。多環式環系の場合、環系が「ヘテロアリール」として定義されるためには、環のうちの1個だけが芳香族である必要がある。特定のヘテロアリールは、約5~6個の環原子を含有する。それぞれ、ヘテロアリールの前の接頭辞アザ、オキサ、チア、又はチオは、少なくとも1個の窒素、酸素、又は硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリール環内の窒素、炭素、又は硫黄原子は、任意選択的に酸化されてもよく、窒素は、任意選択的に四級化されてもよい。代表的なヘテロアリールは、ピリジル、2-オキソ-ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリニル、2-オキソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、キノキサリニルなどを含む。
【0142】
「アシル」という用語は、C(O)-Reなどの部分C=Oを含有する基を示し、「ア
シル」基はまた、カルボン酸、エステル、アミドなどの酸素原子-C(O)O-Reを通じて結合されている。好ましいアシル基は、Reが、水素、又はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル残基であることを含む。アシルの例には、ホルミル、直鎖又は分岐状アルカノイル(例えば、C1~20)、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、及びイコサノイル;シクロアルキルカルボニル、例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、及びシクロヘキシルカルボニル;アロイル、例えば、ベンゾイル、トルオイル、及びナフトイル;アラルカノイル、例えば、フェニルアルカノイル(例えば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイル、及びフェニルヘキサノイル)、及びナフチルアルカノイル(例えば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイル、及びナフチルブタノイル);アラルケノイル、例えば、フェニルアルケノイル(例えば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイル、及びフェニルヘキセノイル)、及びナフチルアルケノイル(例えば、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイル、及びナフチルペンテノイル);アリールオキシアルカノイル、例えば、フェノキシアセチル及びフェノキシプロピオニル;アリールチオカルバモイル、例えば、フェニルチオカルバモイル;アリールグリオキシロイル、例えば、フェニルグリオキシロイル及びナフチルグリオキシロイル;アリールスルホニル、例えば、フェニルスルホニル及びナフチルスルホニル;複素環式カルボニル;複素環式アルカノイル、例えば、チエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチル、及びテトラゾリルアセチル;複素環式アルケノイル、例えば、複素環式プロペノイル、複素環式ブテノイル、複素環式ペンテノイル、及び複素環式ヘキセノイル;並びに複素環式グリオキシロイル、例えば、チアゾリグリオキシロイル及びチエニルグリオキシロイルが挙げられる。Re残基は、本明細書に記載されているように任意選択的に置換され得る。
【0143】
「スルホキシド」という用語は、Rfが、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、及びアラルキルから選択される、基-S(O)Rfを指す。好ましいRの例には、C1~20アルキル、フェニル、及びベンジルが挙げられる。
【0144】
「スルホニル」という用語は、Rfが、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、及びアラルキルから選択される、基S(O)2-Rfを指す。好ましいRfの例は、C1~20アルキル、フェニル、及びベンジルを含む。
【0145】
「スルホンアミド」という用語は、各Rfが、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、及びアラルキルから独立的に選択される、基S(O)NRfRfを指す。好ましいRfの例は、C1~20アルキル、フェニル、及びベンジルを含む。一実施形態では、少なくとも1個のRfが水素である。別の実施形態では、両方のRfが水素である。
【0146】
ここで、「アミノ」という用語は、当技術分野で理解されているように、その最も広い意味合いで使用され、式NRaRbの基を含み、式中、Ra及びRbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、及びアシルから独立的に選択され得る。また、Ra及びRbは、
これらが結合される窒素と一緒になって、単環式、又は多環式環系、例えば、3~10員の環、特に、5~6及び9員の環系を形成し得る。「アミノ」の例には、NH2、NHアルキル(例えば、C1~20アルキル)、NHアリール(例えば、NHフェニル)、NHアラルキル(例えば、NHベンジル)、NHアシル(例えば、NHC(O)C1~20アルキル、NHC(O)フェニル)、Nアルキルアルキル(各アルキル、例えば、C1~20は、同一であっても、又は異なっていてもよい)、及び1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子(例えば、O、N、及びS)を任意選択的に含有する5又は6員の環が挙げられる。
【0147】
ここで、「アミド」という用語は、当技術分野で理解されているように、その最も広い意味合いで使用され、式C(O)NRaRbを有する基を含み、式中、Ra及びRbは、先に定義された通りである。アミドの例には、C(O)NH2、C(O)NHアルキル(例えば、C1~20アルキル)、C(O)NHアリール(例えば、C(O)NHフェニル)、C(O)NHアラルキル(例えば、C(O)NHベンジル)、C(O)Nアシル(例えば、C(O)NHC(O)C1~20アルキル、C(O)NHC(O)フェニル)、C(O)Nアルキルアルキル(各々のアルキル、例えば、C1~20は、同じであっても、又は異なっていてもよい)、及び1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子(例えば、O、N、及びS)を任意選択的に含有する5又は6員の環が挙げられる。「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、Cl、Br、I、又はFを指す。
【0148】
「[基A][基B]」と書かれた用語は、基Bの二価形態によって連結されている場合の基Aを指す。例えば、「[基A][アルキル]」は、二価アルキル、すなわちアルキレンによって連結されている場合の特定の基A(例えば、ヒドロキシ、アミノなど)を指す(例えば、ヒドロキシエチルは、HO-CH2-CH-を示すことが意図されている)。したがって、「[基]オキシ」と書かれた用語は、酸素によって連結されている場合の特定の基を指し、それぞれ、例えば、「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」、「アルケンオキシ」又は「アルケニルオキシ」、「アルキンオキシ」又は「アルキニルオキシ」、「アリールオキシ」、及び「アシルオキシ」という用語は、酸素によって連結されている場合、先に定義されたようなアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びアシル基を示す。同様に、「[基]チオ」と書かれた用語は、硫黄によって連結されている場合の特定の基を指し、それぞれ、例えば、「アルキルチオ」、「アルケニルチオ」、「アルキニルチオ」、及び「アリールチオ」という用語は、硫黄によって連結されている場合、先に定義されたようなアルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリール基を示す。
【0149】
「置換された」又は「任意選択的に置換された」という用語は、基が基の各置換可能な原子(単一の原子上の1個よりも多くの置換基を含む)に置換基を有し得ることを示すために使用されるが、ただし、指定された原子の通常の価数を上回らず、各置換基の同一性が他のものとは独立していることを条件とする。置換基及び/又は可変要素の組み合わせは、そのような組み合わせが安定した化合物をもたらす場合のみ許容される。「安定した化合物」又は「安定した構造」という用語は、反応混合物からの有用な純度までの単離及び有効な薬剤への製剤化に耐えるのに十分に堅牢な化合物を意味する。
【0150】
任意の部分に関連する「官能化された」という用語は、部分における1個以上の官能基の存在を指す。様々な官能基が、当業者に既知の1つ以上の官能化反応によって部分に導入され得る。官能化反応の非限定的な例には、アルキル化、エポキシ化、スルホン化、加水分解、アミド化、エステル化、ヒドロキシル化、ジヒドロキシル化、アミノ化、アンモノリシス、アシル化、ニトロ化、酸化、脱水、脱離、水和、脱水素化、水素化、アセタール化、ハロゲン化、脱ハロゲン化、マイケル付加、アルドール縮合、カニッツァロ反応、マンニッヒ反応、クラシエン縮合、スズキカップリングなどが挙げられる。1つの非限定的な実施形態では、任意の部分に関連する「官能化された」という用語は、アルキル、ア
ルケニル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、イミノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1個以上の官能基の存在を指す。
【0151】
「モノマー」という用語は、重合中に同じ又は異なる種類の1つ以上のモノマーに化学的に結合してポリマーを形成する小分子を指す。
【0152】
「ポリマー」という用語は、共有化学結合によって接続された1つ以上のタイプのモノマー残基(繰り返し単位)を含む大分子を指す。この定義によると、ポリマーは、モノマー単位の数が非常に少ない(より一般的にはオリゴマーと呼ばれ得る)から非常に多いまでの範囲であり得る化合物を包含する。ポリマーの非限定的な例は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、及びより高度な類似体を含む。ポリマーは、ランダム、ブロック、及び/又は交互のアーキテクチャを有し得る。
【0153】
「ホモポリマー」という用語は、単一のモノマータイプからなるポリマーを指す。
【0154】
「コポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるモノマータイプを含むポリマーを指す。
【0155】
「ターポリマー」という用語は、3つの異なるモノマータイプを含むコポリマーを指す。
【0156】
「分岐状」という用語は、任意の非線状ポリマー構造を指す。この用語は、分岐状構造及び超分岐状構造の両方を含む。
【0157】
「ブロックコポリマー」という用語は、重合モノマーの少なくとも2個のブロックを含むポリマーを指す。任意のブロックは、ホモポリマーサブユニットをもたらす単一のモノマー、又はブロックコポリマー内のコポリマー(若しくは非ホモポリマー)サブユニットをもたらす2つ以上のモノマーのいずれかに由来し得る。ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー(すなわち、モノマーの2個のブロックを含むポリマー)、トリブロックコポリマー(すなわち、モノマーの3個のブロックを含むポリマー)、マルチブロックコポリマー(すなわち、モノマーの3個よりも多くのブロックを含むポリマー)、及びそれらの組み合わせであり得る。ブロックコポリマーは、線状、分岐状、星型、又はくし状であり得、[A][B]、[A][B][A]、[A][B][C]、[A][B][A][B]、[A][B][C][B]などの構造を有し得る。ブロックコポリマーの例示的な表現は、[A]x[B]y又は[A]x[B]y[C]zであり、x、y、及びzは、対応するブロック[A]、[B]、及び[C]の重合度(DP)である。ブロックコポリマーの化学的性質、特性、及び応用に関する更なる洞察は、‘Block Copolymers:Synthetic Strategies, Physical Properties,and Applications’,by Nikos Hadjichristidis,Stergios Pispas,and George Floudas,John Wiley and Sons(2003)の書籍で見出すことができ、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0158】
「可逆的不活性化ラジカル重合」(RDRP)、「制御ラジカル重合」、又は「制御/リビングラジカル重合」という用語は、「リビングラジカル重合」という用語によっても示される特定のラジカル重合プロセスを指し、このプロセスでは、形成されているポリマー鎖が、可逆的転写又は可逆的停止反応によってフリーラジカルの形態で再活性化することが可能な末端基によって官能化され、したがって、例えばブロックコポリマーの合成を可能にするように、制御剤が使用される。
【0159】
「付加断片化」という用語は、重合中の2ステップの連鎖移動機構を指し、ラジカル付加に続いて、断片化が行われて、新しいラジカル種が生成される。
【0160】
「少なくとも1つの架橋剤の残基」という用語は、重合後にポリマー骨格の一部になる1つ以上の架橋部分を指す。残基は、一価、二価、又は多価であり得る。
【0161】
「ラジカル付加重合開始剤」という用語は、ラジカル付加重合を開始するために触媒量で使用される化合物を指す。開始剤の選択は、主にその溶解度及びその分解温度に依存する。
【0162】
「アルキルアクリレート」という用語は、アクリル酸又はアルキルアクリル酸のアルキルエステルを指す。
【0163】
「アルキルアクリルアミド」という用語は、アクリル酸又はアルキルアクリル酸のアルキルアミドを指す。
【0164】
「部分」という用語は、分子の一部又は官能基を指す。
【0165】
「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの薬学的に活性な成分を含む任意の組成物、並びに任意の2つ以上の成分の組み合わせ、複合化、若しくは凝集から、又は1つ以上の成分の解離から、又は1つ以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用から直接的又は間接的に生じる任意の生成物を指す。
【0166】
「コーティング組成物」という用語は、基材に適用され、その後、(例えば、放射線、空気硬化、後架橋、又は周囲温度乾燥によって)固化されて、硬化したコーティングを基材上に形成することができる、水性又は溶媒ベースの液体組成物を指す。
【0167】
本明細書で使用される場合、「重合度」(DP)という用語は、一般に、当業者によって容易に理解されるように、平均の数平均重合度を指す。
【発明を実施するための形態】
【0168】
当業者であれば、本発明が、本明細書に開示されている実施形態及び特徴、並びに開示されている実施形態及び特徴の全ての組み合わせ及び/又は並び替えを含むと理解するであろう。
【実施例】
【0169】
これより、本発明を、あらゆる点で例解的かつ非限定的なものとして考慮されるべきである以下の例を参照して説明する。
【0170】
材料
アクリル酸(「AA」、99%、Sigma-Aldrich)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(「PEGA」、平均9個のエチレングリコール単位を有する、Mn=480gmol-1、Sigma-Aldrich)、4,4’-アゾビス-(4-シアノペンタン酸)(「ACPA」、98%、Aesar)、重炭酸ナトリウム(「NaHCO3」、Sigma-Aldrich)、1,3,5-トリオキサン(99%、Sigma-Aldrich)、ジエチルエーテル(100%、Chem Supply)、エタノール(EtOH、100%、Chem Supply)、テトラヒドロフラン(「THF」、100%、RCL Labscan)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(「PEGDA」、平均3個のエチレングリコール単位を有する、Mn=250gmol-1、Sigma-Aldrich)、及びエチレングリコールジ
アクリレート(「EGDA」、90%、Sigma-Aldrich)を受け取った状態のまま使用した。スチレン(「S」、99%、Sigma-Aldrich)、n-ブチルアシレート(「nBA」、99%、Sigma-Aldrich)、メチルメタクリレート(「MMA」、99%、Sigma-Aldrich)、ベンジルメタクリレート(「BzMA」、99%、Sigma-Aldrich)、及び2-エチルヘキシルメタクリレート(「EHMA」、99%、Sigma-Aldrich)中の阻害剤を、使用前に酸化アルミニウムカラムに通すことによって除去した。アセトン中のアゾビス(イソブチロニトリル)(「AIBN」、Sigma-Aldrich)を水中で沈殿させた。水を使用前に脱イオン化した(milli-Q水)。RAFT剤2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸(「DDMAT」)及び4-シアノ-4-(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタン酸(「CPADB」)を文献に従って合成した。
【0171】
P(AA-stat-PEGA)-b-P(S-stat-nBA)両親媒性ブロックコポリマーの2ステップの合成
実験を、A-x、B-x、C-x、D-x、E-x、及びF-xと標識する(xは、実験番号である)。項目A-xは、異なるpHで実施されたスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合である。項目B-xは、異なるモル比率[疎水性モノマー]:[マクロRAFT]で、pH5にて実施されたスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合である(スキーム1)。項目C-x、D-x、E-x、及びF-xは、架橋P(AA-stat-PEGA)-b-P(S-stat-nBA)ナノ繊維の合成を指す(スキーム2)。
【0172】
P(AA-stat-PEGA)-DDMATマクロRAFT剤の合成
DDMAT RAFT剤(0.2g、0.55mmol)(モノマー/RAFT剤のモル比率=44)、ACPA(0.0154g、0.055mmol)の存在下で、EtOH(5.0309g)を溶媒として使用して、AA(0.8882g、12.3mmol)及びPEGA(5.9164g、12.3mmol)(モル比率=50/50)の溶液共重合によって、マクロRAFT剤を調製した。加えて、1H NMR分析のための内部基準として、1,3,5-トリオキサン(0.1650g、1.8mmol)を重合混合物に添加した。溶液を、10分間にわたって、周囲温度で、25mLのガラスバイアル内で混合し、続いて、氷浴中で、窒素で、30分間パージした。重合を、3時間にわたって、500rpmの撹拌速度で、油浴中で、70℃で実行した。AA及びPEGAの最終的な全変換は、1H NMRによって決定して、95%であった。得られた最終的な重合混合物を、50mLの遠心管内で35mLのジエチルエーテルに滴加し、5分間にわたって7000rpmで遠心分離した。遠心分離後に、生成物をジエチルエーテル中に沈殿させ、上清を捨てた。次いで、これを、35mLの新鮮なジエチルエーテルで再充填し、遠心分離前に十分に混合した。このプロセスを3回繰り返した。精製した試料を、50℃の真空オーブン内で一晩かけて乾燥させた。
【0173】
スチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合([スチレン]0/[nBA]0=70/30)(項目A-x及びB-x)
P(AA-stat-PEGA)-b-P(S-stat-nBA)両親媒性ブロックコポリマーを、スチレン及びnBAのRAFT媒介水性エマルション重合([スチレン]0/[nBA]0=70/30)によって調製した。この例では、ACPA、NaHCO3、P(AA-stat-PEGA)-DDMAT、及びmilli-Q水を25mLのガラスバイアルに添加した。溶液を、10分間にわたって超音波処理浴を使用して混合した。pHの効果を観察するために、異なる量の1MのNaOHを項目A-xにおいて添加した。A-1については、溶液のpHを調節しなかった(0μLの1MのNaOH)。A-2及びA-3については、pHを調節するために、1MのNaOH溶液を添加した(A
-2については290μLの1MのNaOHを添加し、A-3については930μLを添加した)。溶液に、pH調節後にスチレン及びnBA([疎水性モノマー]0/[マクロRAFT]0=200)を添加した。疎水性ブロックに対するDPの効果を、項目B-xにおいて検討した。290μLの1MのNaOHを添加することによって、溶液のpHをpH5に調節した。pHを調節した後に、異なる[疎水性モノマー]0/[マクロRAFT]0を有するスチレン及びnBAを溶液に添加した。重合を、6時間(項目A-x)及び4時間(項目B-x)にわたって、350rpmの撹拌速度で、油浴中で、80℃で実行した。続いて、フラスコを氷浴に入れることによって、重合混合物をクエンチした。スチレン及びnBAの変換を重量分析によって決定した。全ての実験は、表1(項目A-x)及び表2(項目B-x)に要約されている。
【0174】
理論上の数平均分子量(M
n,th)は、式(1):
【数1】
によって決定し、式中、M
マクロRAFT、M
S、M
nBAは、それぞれ、マクロRAFT剤、スチレン、及びnBAのモル質量であり、[マクロRAFT]
0、[スチレン]
0、[nBA]
0は、それぞれ、マクロRAFT剤、スチレン、及びnBAの初期濃度であり、X
変換は、重量測定によって決定される総モノマー変換を示す。
【0175】
架橋P(AA-stat-PEGA)-b-P(S-stat-nBA)ナノ繊維([スチレン]0/[nBA]0=70/30)の合成(項目C-x、D-x、E-x、及びF-x)
架橋P(AA-stat-PEGA)-b-P(S-stat-nBA)ナノ繊維を、架橋剤EGDA(170.16gmol-1)又はPEGDA(Mn=250gmol-1)を架橋剤として使用してインサイチュ化学架橋によって合成した。2つの異なるアプローチを使用した。第1のアプローチは、スチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合前にEGDAを導入することであり、第2のアプローチは、2時間の重合後にEGDAを導入することであった(変換>90%)。比率[疎水性モノマー]0/[マクロRAFT]0を100で固定した。重合後に、120μLのラテックスを1mLのTHF(体積比率≒10/90)に添加して、ポリマー粒子がTHFに溶解するかどうかを観察した。不溶性は、架橋が達成されていることを示す。
【0176】
架橋P(AA-stat-PEGA)-b-P(S-stat-nBA)ナノ繊維([スチレン]0/[nBA]0=20/80)の合成(項目G-x、及びH-x)
スチレンのnBAに対するモル比率が20/80([スチレン]0/[nBA]0=20/80)であることを除いて、上記のスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合について合成を行い、2時間の重合後に、(マクロRAFT剤に対して)5mol%のEGDAを添加することによって、ナノ粒子を架橋した。項目G-xについては290μLの1MのNaOH(表SI-1)、H-1、H-2、及びH-3については290μL、580μL、及び870μLの1MのNaOH(表SI-2)を添加することによって、溶液のpHをpH5に調節した。項目G-xについてpHを調節した後に、異なる[疎水性モノマー]0/[マクロRAFT]0を有するスチレン及びnBAを溶液に添加した。固定された([疎水性モノマー]0/[マクロRAFT]0=130)で異なる固形分を有するスチレン及びnBAを項目H-xについて実行した。スチレン及びnBAの変換を重量分析によって決定した。理論Mn,thは、式(SI-1)によって決定した。全ての実験は、表SI-1(項目G-x)及び表SI-2(項目H-x)に要約されている。
【0177】
重量分析
スチレン及びnBAの総変換を重量分析によって決定した。異なる時間間隔でラテックスを採取して、経時的なモノマー変換の進行を観察した。950μLのラテックスを、予め秤量したアルミニウムパンに秤量し、50℃の真空オーブン内で一晩かけて乾燥させた。
【0178】
核磁気共鳴(NMR)
t=3時間でのAA及びPEGAの最終的な総変換を、内部基準として1,3,5-トリオキサンを使用したBruker Avance III300MHzNMRを使用して、1H NMR分光法によって決定した。50μLの反応混合物(t=0時間及びt=3時間)を600μLの重水素化ジメチルスルホキシド(d6-DMSO)に溶解させることによって試料を調製した。
【0179】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
数平均(Mn)及び重量平均(Mw)の分子量及び分散度(D)を、SIL-10ADオートインジェクタ、LC-10ATポンプ、DGU-12A脱気装置、CTO-10Aカラムオーブン、及びRID-10A示差屈折率検出器を備えるShimadzuモジュラーシステムを使用して、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。Polymer Laboratoriesの5.0μmビーズサイズガードカラム(50×7.8mm)、続いて、4つの線状PLカラム(300×7.8mm、500、103、104、及び105Å、5μmの細孔径)からなるカラム配置を分析に使用した。N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、0.03%w/vのLiBr、0.05%w/vの2,6-ジブチル-4-メチルフェノール(BHT))を50℃及び1mL分-1の流量の移動相として使用した。SECシステムを、500~106gmol-1(Polymer Laboratories)の範囲の線状ポリスチレン標準を使用して較正した。クロマトグラムを、Cirrus2.0ソフトウェア(Polymer Laboratories)を使用して処理した。試料をメチル化して、アクリル酸中のカルボン酸基を修飾し、カラムとの相互作用を低減した。乾燥したラテックス(10mg)を25mLのガラスバイアル内の1mLのmilli-Q水に添加し、HClを添加して、pH3~4に調節した。次いで、20mLのTHFを混合物に添加した。トリメチルシリルジアゾメタンメチル化剤を一滴ずつバイアルに添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。メチル化後に、溶液を一晩かけて周囲温度にて、アルミニウムパン内で乾燥させた。更に、高真空オーブンを1時間使用してこれを35℃で乾燥させて、水を除去した。試料を、DMAcに溶解させ、GPCシステムへの注入前に、シリンジフィルタ(0.45μm)を使用して濾過した。
【0180】
透過型電子顕微鏡(TEM)
TEM試料を、10μLの希釈したラテックス(1mLのmilli-Q水中の10μLのラテックス)をグロー放電formvarコーティングされた銅グリッドに滴下することによって調製し、これを周囲温度で乾燥させた。グリッドをグロー放電して、グリッド表面を疎水性から親水性に修飾して、グリッドの周囲におけるブロックコポリマーナノ粒子の蓄積を回避した。JEOL1400透過型電子顕微鏡を使用して、100kVの加速電圧下でTEM画像を得た。
【0181】
pHの効果
PISAを、マクロRAFT剤P(AA-stat-PEGA)-TTC(親水性ブロック;Mn=13,400g/mol;D=1.20)及びACPAを開始剤として使用して、80℃で、水性エマルション重合として行った(スキーム1)。この例では、マクロRAFT剤を、70℃で、EtOH中での溶液重合によって調製した(スキーム1、図
9;Mn=13,400g/mol;D=1.20)。RAFT水性エマルション重合(項目A-x)における65.5:34.5の重量比率(Fox方程式に基づく完全変換で27.1℃の理論Tg値に対応)でのスチレン及びnBAの共重合を3つの異なるpH(3.5、5、及び7)で実行して、ナノ繊維の形成のための最も好適なpHを決定した。標的重合度(DP)を[疎水性モノマー]0/[マクロRAFT]0=200で固定した(表1)。
【0182】
【化7】
スキーム1。P(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下でのスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合
3つのpH値全てについて、6時間後の全モノマー変換は、90%超に達し、最高変換は、pH3.5で達した(表1、
図1)。理論に縛られることを望むものではないが、自己組織化挙動自体は、pHによって影響を受け得ると考えられる。
【0183】
PH3.5では、分子量分布(MWD)は、低分散(D=1.18)でより高い分子量に向かってシフトし、良好な制御/リビング性を示した(表1、
図2)。しかしながら、pH5の場合(
図2.A-2)及びpH7(
図2.A-3)、顕著な低分子量のショルダーが存在し、残りの未反応のマクロRAFT剤と一致した。
【0184】
TEM画像は、球状の形態のみが、pH3.5(
図3.A-1)及びpH7(
図3.A-3)で得られ、粒子直径が、それぞれ、約50nm及び120nmであったことを示す。しかしながら、ナノ繊維及び小胞の混合物が、pH5(
図3.A-2)で得られた。pH3.5で、マクロRAFTのAA単位のプロトン化のために、このブロックは、セグメントが粒子内に埋められるほど十分に疎水性になったため、高次の形態への再編成を推進しないことが可能であると考えられる。更に、マクロRAFT剤上の電荷の不在によるマクロRAFT剤(親水性ブロック)とコア形成ブロック(疎水性ブロック)との間の分離強度の低下から、好ましい球状形態につながり得た。高次の形態なしの球状ミセルの形成は、pH3.5でポリ(メタクリル酸-stat-ポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート)を使用したスチレン及びMMAの共重合についても以前に報告されている。pH5では、親水性ブロックの部分的イオン化は、粒子内に埋められているAA
部分の発生を最小限に抑え、したがって、疎水性ブロックの長さが十分に長かったため、ナノ繊維/小胞への変形をもたらすと考えられる。理論に縛られることを望むものではないが、pH7で得られる球状形態は、おそらく、静電気反発による高次の形態への球体の再編成を妨げるAAの脱プロトン化によって生成された負電荷によって合理化され得る。
【表1】
【0185】
疎水性ブロックのDPの効果
続いて、混合形態とは対照的に純粋なナノ繊維を得ることを目的として、固定のマクロRAFT剤濃度(項目B-x、表2)で、pH5で、様々な[疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0で重合を実行した(
図3.A-2)。標的DPは、50~200で変化し、固形分は、結果として、10重量%~17.5重量%に増加した。最終的な分散体の色は、疎水性モノマーの量が増加するにつれて、黄色から白色に変化した。実験M
n値は、M
n,thに類似しており、D=1.54~1.93であった(表2)。MWDにおける低分子量ショルダーは、上で考察された理由から、未反応のマクロRAFTの存在を実証する全ての場合において存在していた(
図4)。
【0186】
TEMイメージングによって、形態が球体(
図5.B-1)からナノ繊維(
図5.B-2及びB-3)に、そして最終的に小胞(
図5.B-4、B-5、及びB-6)に変形し、標的DPが予想通りに増加したことが明らかになった。理論に縛られることを望むものではないが、これは、コア形成ブロックの長さの増加によるパッキングパラメータ(P)の増加を理由に生じると考えられる。ラテックスの粘度は、ナノ繊維が得られたときに増加した。全てのラテックスは、凝固及び沈降なしで安定したままであった。ナノ繊維は、100~200の広範囲のDPにわたって観察されたが、比較的純粋なナノ繊維に対応するパラメータウィンドウは狭かった。ほとんどの場合、ナノ繊維は、少量の球体(
図5.B-2)又は小胞(
図5.B-3~B-6)と共に存在していた。DPが130~200に増加するほど、小胞の量は増加した。相対的に純粋なナノ繊維が、DP=100(
図5.B-2)及び130(
図5.B-3)で得られた。
【0187】
より狭いMWDが減少した標的DPを伴って達成され、その時、球体(
図5.B-1、D=1.54)又は比較的純粋なナノ繊維(
図5.B-2、D=1.56)(表2及び
図4)が得られた。より高い分散性が、ナノ繊維及び小胞の混合物(
図5.B-3~B-6
)で観察され、より広いMWDをもたらした。以前の報告では、RAFT水性エマルション重合における親水性マクロRAFT剤の存在下でのスチレンのホモポリマー化について、同様の結果が報告されている。
【表2】
【0188】
架橋ナノ繊維([スチレン]0/[nBA]0=70/30)の合成
PISAによって調製されたポリマーナノ繊維を、様々なアプローチを使用して架橋することができる。一例では、本発明では、ジビニル架橋剤EGDA及びPEGDAを利用して、ナノ繊維のコア断面を架橋した(スキーム2)。2つの単純なインサイチュ架橋方法を検討した:(i)乳化重合の開始時の架橋剤の添加(項目C-x及びD-x)、及び(ii)2時間の重合後の架橋剤の添加(変換>90%)(項目E-x及びF-x)。架橋方法に応じて、異なる架橋構造が予想され得る。コア形成ブロック全体は、方法(i)に基づいて架橋され、その一方で、コア形成ブロックは、方法(ii)を使用して部分的に架橋されるだけである(最高変換範囲で形成するブロックの部分、すなわち、RAFT末端基に最も近い鎖のセグメントのみ)。
【0189】
【化8】
スキーム2。EGDA又はPEGDAを架橋剤として使用した、P(AA-stat-PEGA)-TTCマクロRAFT剤の存在下でのスチレン及びnBAのRAFT水性エマルション重合の概略図での架橋ステップ([疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0=100、pH5)。
架橋剤なしの塩基条件は、TEM画像B-2(
図5)に対応し、これは、架橋剤の不在下で比較的純粋なナノ繊維を生成した([疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0=100)。重合の開始時に添加される場合(方法(i))、EGDA及びPEGDA(項目C-x、及びD-x)は、PISAプロセスに干渉し、最終的な形態に影響を与えた。PEGDAの場合、より薄い(
図6;C-2)及びより短い(
図6;C-3)ナノ繊維が、1又は2.5mol%のPEGDAで得られた。EGDA(項目D-x)の場合、比較的純粋なナノ繊維(
図6;D-1、及びD-2)が、0.5又は1mol%のEGDAで得られ、その一方で、球状ミセルが、10mol%のEGDAを導入したときに得られた(
図6;D-3)。理論に縛られることを望むものではないが、架橋が、最終的な形態に影響を与えると考えられる。
【0190】
重合の2時間後に添加される場合(方法(ii))、EGDA及びPEGDA(項目E-x、及びF-x)は、10mol%のEGDAを除いて、方法(i)の場合よりも最終的な形態に比較的少ない影響を及ぼした。ここでも、ほぼ純粋なナノ繊維が、架橋剤(
図6.B-2)なしで得られた。PEGDAの場合、ナノ繊維及び少量の小胞が、1及び10mol%のPEGDAについて得られた(
図6;E-2及びE-3)。比較的純粋なナノ繊維が、3及び5mol%のEGDAについて得られた(
図6;F-1及びF-2)。しかしながら、10mol%のEGDAは、小胞の形成をもたらした(
図6;F-3)。架橋ナノ繊維/小胞は、重合の開始時に架橋剤を導入すること(方法(i))、及び所望の形態が形成されたら架橋剤の導入を遅らせること(方法(ii))によって得ることができる。
【0191】
ナノ粒子ラテックスをTHFと混合して、架橋を確認した。THFは、線状ジブロックコポリマーのための良好な溶媒であり、すなわち、透明な溶液は、最小限の(存在する場合)架橋を示し、その一方で、濁った溶液は、著しい架橋と一致する。ほぼ純粋なナノ繊維は、3及び5mol%のEGDAをt=2時間で導入した場合(方法(ii))に得られた(
図6;F-1、及びF-2)。これらのラテックスにTHFを添加すると、濁った溶液が得られ(
図7;(d))、成功した架橋が確認された。t=0時間で添加した場合(方法(i))、濁った溶液(
図7;(a)、及び(b))が全ての場合で観察されたため、架橋は、EGDA及びPEGDAの両方の全ての場合で成功した。t=2時間で添加した場合(方法(ii))、架橋は、EGDA(
図7;(d))で成功し、その一方で、PEGDAは、THFの添加時に透明な溶液によって証明されるように、著しい架橋をもたらさなかった(
図7;(c))。
【0192】
EGDA及びPEGDAは、THF(
図7)中の最終的な分散体を溶解することによっ
て決定されるように、異なる挙動を示した。架橋は、t=0時間又はt=2時間で添加した場合(方法(i)及び(ii))にEGDAで成功し、その一方で、PEGDAは、t=0時間で添加した場合(方法(i))にのみ、成功した架橋をもたらした。理論に縛られることを望むものではないが、考えられる説明は、これらの架橋剤間の疎水性の違いであり得る。架橋剤は、最初は、連続相に液滴として存在し、重合が進行するにつれて、乳化重合機構に従って徐々にポリマー粒子に拡散する。PEGDAのより高い親水性(より高い水溶性)のために、水相への過度の分割が架橋度を制限する可能性がある。
【0193】
全体として、方法(i)を使用することによってt=0時間で添加された1mol%のEGDA、又は方法(ii)を使用することによってt=2時間で添加された3及び5mol%のEGDAが、架橋ナノ繊維を達成するための最良の方法であると結論付けることができる。
【0194】
架橋ナノ繊維([スチレン]0/[nBA]0=20/80)の合成
0℃未満のコア形成ブロックのTgを有するポリマーナノ粒子を、スキーム1及び2の方法に基づいて、16.9:83.1の重量比率(Fox方程式に基づく完全変換で-37.6℃の理論Tg値に対応)でのスチレン及びnBAの共重合によって合成した。架橋が、2時間の重合後に、5mol%EGDAを導入すること(方法(ii))によって達成した(変換>90%)。ベースポリマーの低いTgにもかかわらず、構造安定性が架橋によって達成され、それによって、クライオTEMを必要とすることなく、TEMイメージングが可能になった。
【0195】
まず、重合を、ナノ繊維を標的とするpH5の固定マクロRAFT剤濃度([マクロRAFT]
0=6.2mmol/L)で、[疎水性モノマー]
0/[マクロRAFT]
0を変化させることによって行った(項目G-x、表SI-1)。標的DPは、80から300で変化し、固形分は、12.2%から23.5%に増加した。全ての場合において、モノマー変換は、90%超であった(表SI-2)。形態は、標的DPの増加に伴って、球体(
図10;G-1、G-2、及びG-3)から、ナノ繊維(
図10;G-4)に、そして、最終的に小胞(
図10;G-8、及びG-9)に変化した。ナノ繊維は、130~180の標的DPの範囲にわたって観察された(
図10)。ほとんどの場合、ナノ繊維は、小胞と共に存在しており、小胞の量は、DPの増加に伴って増加した(
図10;G-5、G-6、G-7、G-8、及びG-9)。少量の球体及び小胞を有するナノ繊維がDP=130で得られた(
図10;G-4)。最終的な分散体は、沈降又は凝固なく安定しており、粘度は、予想通りに、ナノ繊維の量の増加に伴って増加した。最終的な分散体(項目G-x)をTHFに溶解させると、全ての場合において、成功した架橋を示す濁った溶液が得られた。
【0196】
固形分が15.2%であった場合([マクロRAFT]
0=6.2mmol/L)、球体及び小胞を有するナノ繊維が、上述のようにDP=130(
図10;G-4)で得られた。続いて、固形分を、24.7%([マクロRAFT]
0=11.5mmol/L)、及び32.7%([マクロRAFT]
0=17.7mmol/L)に更に増加させ、標的DPを130で固定した(項目H-x、表SI-2)。モノマー変換は、全ての場合において、90%超であり(表SI-2)、得られたラテックスは、安定していた。固形分が24.7%であった場合、ほぼ純粋なナノ繊維が形成された(
図8.H-2)が、32.7%では、ナノ繊維をほとんど有しない多量の球体が得られた(
図8.H-3)。濁った溶液がTHF中で得られ(項目H-x)、成功した架橋が示された。
【0197】
結論
本明細書で示されるように、水性RAFTエマルション重合として実践されるPISAは、マクロRAFT剤P(AA-stat-PEGA)-TTCを使用した低いTgのナ
ノサイズのポリマー繊維の合成に利用されている。しかしながら、異なるタイプのマクロRAFT剤を代替物として使用することができることが理解されるであろう。先に示されるように、2つのタイプのナノ繊維を、27.1℃(S:nBA=70:30)及び-37.6℃(S:nBA=20:80)の理論ガラス転移温度に対応する、異なるモル比率S:nBA、すなわち70:30及び20:80からなるコア形成ブロックを用いて調製した。高収率のナノ繊維を生成した好ましい実施形態では、pHは5であった。加えて、好ましい実施形態は、それぞれ、PISAプロセスの開始時又はコア形成ブロックの成長の終盤のいずれかで導入されたジビニルモノマーポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)及びエチレングリコールジアクリレート(EGDA)を使用したコアブロックの架橋を利用した。架橋剤の性質及び添加の時間は、ナノ繊維の形態に影響を及ぼし得る。好ましい実施形態では、重合の開始時又は後期における架橋剤の添加は、成功裏に架橋しながら、ナノ繊維の形態を維持した。
【0198】
【0199】
理論上の数平均分子量(M
n,th)は、式(SI-1)によって決定した。
【数2】
【表4】
【0200】
例SI-1。この例では、疎水性モノマーを含むブロックコポリマーを分散重合によって調製した。以前の研究によって、PISAを、疎水性モノマーを使用してドデカン及び鉱油などの非極性溶媒中で行うことができることが示された。しかしながら、そのような非極性溶媒は、通常、高い沸点を有し、除去が困難である。本明細書では、水とアルコールとの混合物中での疎水性ブロックコポリマーの調製について説明する。好ましい実施形態では、疎水性モノマーは、水中に実質的に不溶性であり、及び/又は80/20体積%のエタノール/水混合物中に実質的に可溶性である。
【0201】
PMMA-CPADBマクロRAFT剤の合成
マクロRAFT剤を、CPADB RAFT剤(0.2g;0.72mmol;モノマー/RAFT剤のモル比率=85)、AIBN(0.0117g;0.07mmol;CPADB/AIBNのモル比率=10.0)の存在下でトルエン(6.0g)を溶媒として使用したMMA(6.0926g;60.8mmol)の溶液重合によって調製した。溶液を、10分間にわたって、周囲温度で、25mLのガラスバイアル内で混合し、続いて、氷浴中で、窒素で、30分間パージした。重合を、20時間にわたって、500rpmの撹拌速度で、油浴中で、70℃で実行した。MMAの最終的な変換は、1H NMRによって決定して、78%であった。最終的な重合混合物を、50mLの遠心管内で35mLのジエチルエーテルに滴加し、5分間にわたって7000rpmで遠心分離した。遠心分離後に、沈殿した生成物を回収し、上清を捨てた。沈殿後に、生成物を、トルエンに再溶解させ、続いて、35mLの新鮮なジエチルエーテルに滴加し、遠心分離前に十分に混合した。このプロセスを3回繰り返した。精製した試料を50℃の真空オーブン内で一晩かけて乾燥させた。屈折率検出器及びポリ(メチルメタクリレート)標準を使用したTHF GPC分析によって、8,200gmol-1のMn及び1.17のMw/Mnが示された。
【0202】
EHMA及びMMAのRAFT分散重合([EHMA]0/[MMA]0=90/10)
PMMA-b-P(EHMA-stat-MMA)ブロックコポリマーを、EtOH及びmilli-Q水混合物(EtOH/水=80/20v/v)中のEHMA及びMMA([EHMA]0/[MMA]0=90/10)のRAFT媒介分散重合によって調製した。固体10%w/wで標的重合度(DP)100を有するPMMA-b-P(EHMA
-stat-MMA)の以下の例が代表的であり、以下のように行われる。PMMA-CPADB(0.2624g;0.04mmol)、1,3,5-トリオキサン(0.0477g;0.53mmol)、EtOH(6.3120g)、及びmilli-Q水(2.0g)を25mLのガラスバイアルに秤量した。1,3,5-トリオキサンを、1H NMRによるモノマー変換を決定するための内部基準として添加した。溶液を、10分間にわたって、70℃で、予熱した油浴中で撹拌した。次いで、EHMA(0.6299g;3.18mmol)、MMA(0.0353g;0.35mmol)、及びAIBN(0.0029g;0.02mmol;マクロRAFT/AIBN=2.0)を溶液に添加し、続いて、氷浴中で、窒素で、30分間パージした。重合を、21時間にわたって、300rpmの撹拌速度で、油浴中で、70℃で実行した。
【0203】
BzMAのRAFT分散重合
PMMA-b-PBzMAブロックコポリマーを、EtOH/水混合物中のPMMA-CPADBマクロRAFT剤及びAIBNの存在下でのBzMAの分散重合によって調製した。この例では、BzMA(0.4603g、2.6mmol)、PMMA-CPADBマクロRAFT剤(0.4650g、0.065mmol)、AIBN(5.4mg、0.033mmol)、及び10mlのEtOH/水混合物(体積で80/20)を25mlのガラスバイアル内で混合して、40:1:0.5の[BzMA]:[RAFT]:[AIBN]モル比率を与えた。混合物を、氷浴中で、30分間にわたって、窒素ガスでパージし、それから、70℃の油浴中に置いて、磁気撹拌した。18時間後に、油から除去することによって重合を停止し、空気に開放した。モノマー変換は、d6-DMSO中での1H NMRを介して、約98%であると決定された。合成されたままの状態のブロックコポリマーをTEM/SEMによって分析した。
【0204】
疎水性コロナ及びコアを含むポリマーナノ繊維を、EtOH及び水混合物中の疎水性モノマーの分散重合を介して合成した。ナノ繊維に自己組織化されたブロックポリマー及び形態を、TEM/SEMによって確認した(
図12)。
【化9】
スキームSI-1.PMMAマクロRAFT剤の存在下での疎水性モノマー(複数可)のRAFT分散重合
【0205】
本発明を、特定の例を参照して説明してきたが、本発明が多くの他の形態で具現化され得ること、特に、様々な説明されている例のうちのいずれもの1つの特定の特徴が、他の説明されている例のうちのいずれかの任意の組み合わせで提供され得ることが当業者によって理解されるであろう。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明に対する様々な修正や変更が当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載の例解的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではないこと、そのような実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する本発明の範囲に関する例としてのみ提示されることを理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェル形態を有するポリマーナノ繊維であって、前記シェルが親水性
ホモポリマー又はコポリマーを含み、前記コアが、
a)
約65℃未満のTgを有する疎水性コポリマー、又は
b)16℃未満のTgを有する疎水性ホモポリマー、を含む、ポリマーナノ繊維。
【請求項2】
親水性ホモポリマー又はコポリマーを含むブロック[A]と、
a)約
65℃未満のTgを有する疎水性コポリマー、又は
b)16℃未満のTgを有する疎水性ホモポリマー、を含むブロック[B]と、
任意選択的に架橋剤と、を含む、
ナノ繊維に自己組織化されたときの、両親媒性ブロックコポリマー。
【請求項3】
請求項2に記載の両親媒性ブロックコポリマーを生成する方法であって、前記方法が、
a)親水性ブロック[A]を形成するように、RDRPを使用して少なくとも1つの親水性モノマーを反応させるステップと、
b)RDRPを使用して、少なくとも1つの疎水性モノマーを含む疎水性ブロック[B]を親水性ブロック[A]に添加するステップと、
c)任意選択的に、ステップb)で架橋剤を添加するステップと、を含む、方法。
【請求項4】
前記ブロックコポリマーが、請求項1に記載のナノ繊維に自己組織化するステップを更に含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
重合を、RAFT、ATRP、又はNMPとして行う、請求項
3又は
4に記載の方法。
【請求項6】
前記親水性
ホモポリマー又はコポリマーを、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(PEGA)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(PEGMA)、及びアクリル酸のうちの1つ以上から調製する、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項
2に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項
3~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記疎水性
ホモポリマー又はコポリマーを、スチレン、n-ブチルアクリレート、メチルアクリレート、及びメチルメタクリレートのうちの1つ以上、好ましくは、スチレン、n-ブチルアクリレート(nBA)、及びtert-ブチルアクリレート(tBA)から調製する、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項
2に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項
3~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記疎水性
コポリマーが
、-70℃~
65℃の範囲
のTgを有するように選択され
る、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項
2に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項
3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記疎水性ホモポリマ
ーが、-70℃~16℃の範囲のTgを有するように選択され
る、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項
2に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項
3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記架橋剤が、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)又はポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)である、請求項
3~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップc)の前記架橋剤を、前記重合の開始時又は前記重合の終盤のいずれかで導入する、請求項
3~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記重合を、約3~約8の範囲、好ましくは約5のpHで行う、請求項
3~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ブロックコポリマーの平均重合度(DP)が、約50~約300である、請求項
3~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノ繊維が、約1nm~約100nmの幅を有する、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項
2に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項
3~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノ繊維が、約5μm~約1000μmの長さを有する、請求項1に記載のポリマーナノ繊維、請求項
2に記載の両親媒性ブロックコポリマー、又は請求項
3~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項
3~
15のいずれか一項に記載の方法によって生成された前記両親媒性ブロックコポリマーから自己組織化されたときのナノ繊維。
【請求項17】
フィルム又はコーティングを少なくとも部分的に生成するための、請求項1、
2、又は
4~
16のいずれか一項に記載のナノ繊維の使用。
【請求項18】
請求項
17に記載のフィルム又はコーティングを形成する方法であって、前記方法が、
分散体を形成するように、請求項1、
2、又は
4~
16のいずれか一項に記載のナノ繊維を溶媒中に分散させるステップと、
前記分散体を表面に適用するステップと、
前記溶媒が実質的に若しくは完全に蒸発することを可能にするか又は引き起こすステップと、を含み、
それによって、前記フィルムを形成する、方法。
【請求項19】
マトリックス又はバインダーと、
前記マトリックス又はバインダー全体に分散した、請求項1、
2、又は
4~
16のいずれか一項に記載のナノ繊維と、を含む複合材料を調製するための、請求項1、3、又は
4~
16のいずれか一項に記載のナノ繊維の使用。
【請求項20】
マトリックス又はバインダーの機械的特性を修飾又は改善するための、請求項1、
2、又は
4~
16のいずれか一項に記載のナノ繊維の使用。
【請求項21】
複合材料を生成する方法であって、前記方法が、
ポリマー分散体を提供するステップと、
混合物を形成するように、請求項1、
2、又は
4~
16のいずれか一項に記載のナノ繊維を前記ポリマー分散体中に分散させるステップと、
前記複合材料を形成するように前記混合物を乾燥させるステップと、を含む、方法。
【請求項22】
ポリマーと請求項1、
2、又は
4~
16のいずれか一項に記載のナノ繊維とを含む複合材料を溶融押出によって生成する方法であって、前記方法が、
ポリマーと前記ナノ繊維とを前記ポリマーの溶融温度よりも高い温度に加熱するステップと、
前記ポリマーと前記ナノ繊維とを混合するステップと、
前記複合材料を形成するように、前記混合物を押出するステップと、を含む、方法。
【請求項23】
粘度又はレオロジー修飾剤としてのポリマーナノ繊維の使用であって、前記ポリマーナノ繊維が、コア-シェル形態を含み、前記シェルが親水性であり、前記コアが疎水性ホモポリマー又はコポリマーを含む、使用。
【国際調査報告】