(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-08
(54)【発明の名称】微細特徴部を有するコンディショニングディスク
(51)【国際特許分類】
B24B 53/017 20120101AFI20241225BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20241225BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20241225BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B24B53/017 A
B24B53/12 Z
B24D3/00 330E
B24D3/00 320B
B24D3/00 340
H01L21/304 622M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539430
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2022062481
(87)【国際公開番号】W WO2023126761
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】シェー,ジュンチン
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ,マシュー シー.
(72)【発明者】
【氏名】ラグデュ,ウマ ラメス クリシュナ
【テーマコード(参考)】
3C047
3C063
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA15
3C047AA34
3C047EE11
3C047EE19
3C063AA10
3C063AB05
3C063AB07
3C063BB02
3C063BG01
3C063CC11
3C063FF23
5F057AA23
5F057DA02
5F057EB27
5F057FA39
(57)【要約】
微細特徴部を有するコンディショニングディスクが記載される。より具体的には、コンディショニングディスクは、少なくとも1つの離散研磨要素及び少なくとも1つの微細特徴部を有する。少なくとも1つの微細構造の非対称性は、向きに基づいて、表面粗さ及びパッド摩耗率などの広範囲のパッド研磨パラメータを可能にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドコンディショニングディスクであって、
基部及び上部を有する少なくとも1つの微細特徴部を備える、少なくとも1つの離散研磨要素を備え、
前記少なくとも1つの微細特徴部が、少なくとも3つの縁部を有する少なくとも3つのファセットを有し、各縁部が、ファセットの隣接する対の間にあり、前記基部から延び、
前記少なくとも3つの縁部が、全て同じ長さではなく、
前記少なくとも1つの微細特徴部が、前縁を有し、前記前縁が、
(i)前記少なくとも3つの縁部の上面図からの最も短い縁部と一致する、又は
(ii)上面図からの前記少なくとも3つの縁部のうちの2つの縁部が同じ長さであるが他の縁部より短い場合、前記2つの縁部の各々の間の回転の中間にあり、前記微細特徴部の前記基部から前記上部まで延びる、のいずれかであり、
前記少なくとも1つの離散研磨要素が、前記少なくとも1つの微細特徴部の前記前縁が前記パッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも5度の角度を形成するように、向けられて前記パッドコンディショニングディスク上に配置されている、
パッドコンディショニングディスク。
【請求項2】
前記少なくとも1つの微細特徴部が、切頭上部を有する、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項3】
前記少なくとも1つの微細特徴部が、4つの縁部を有する、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項4】
前記少なくとも1つの微細特徴部が、微細特徴部のアレイである、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項5】
微細特徴部の前記アレイ内の各微細特徴部が、同じ形状、サイズ、及び向きである、請求項4に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項6】
微細特徴部の前記アレイが、形状、サイズ、又は向きのうちの少なくとも1つによって変化する、請求項4に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項7】
前記少なくとも1つの離散要素が、少なくとも2つの離散要素を含み、前記少なくとも2つの離散要素が各々、同じサイズ及び形状を有するが、それぞれの基準点に対して異なる向きを有する、少なくとも1つの微細特徴部を含む、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項8】
前記少なくとも1つの離散要素が、接着剤によって前記パッドコンディショニングディスクに取り付けられている、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項9】
前記少なくとも1つの離散要素が、前記パッドコンディショニングディスクに再配置可能に取り付けられている、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項10】
前記少なくとも1つの離散研磨要素が、少なくとも5つの離散研磨要素を含む、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項11】
前記少なくとも1つの離散研磨要素の前記少なくとも1つの微細特徴部が、超砥粒グリットを含む、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項12】
前記少なくとも1つの離散研磨要素の前記少なくとも1つの微細特徴部が、CVDダイヤモンドを含む、請求項11に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項13】
前記少なくとも1つの離散研磨要素の前記少なくとも1つの微細特徴部が、セラミック材料を含む、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項14】
前記少なくとも1つの離散研磨要素が、前記少なくとも1つの微細特徴部が配置されている作用面と、キャリアとを含み、前記キャリアが、金属基材を含む、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項15】
前記パッドコンディショニングディスクが、前記少なくとも1つの離散研磨要素が配置されているキャリアを含む、請求項1に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項16】
前記パッドコンディショニングディスクの前記キャリアが、ステンレス鋼である、請求項15に記載のパッドコンディショニングディスク。
【請求項17】
パッドコンディショニングディスクを形成する方法であって、
キャリアを準備することと、
少なくとも1つの離散研磨要素であって、前記少なくとも1つの離散要素が、基部及び上部を有する少なくとも1つの微細特徴部を含み、前記微細特徴部が、少なくとも3つの縁部を有する少なくとも3つのファセットを含み、各縁部が、ファセットの隣接する対の間にあり、前記基部から延び、前記少なくとも3つの縁部が、全て同じ長さではなく、前記少なくとも1つの微細特徴部が、前縁を有し、前記前縁が、
(i)前記少なくとも3つの縁部の最も短い縁部と一致する、又は
(ii)前記少なくとも3つの縁部のうちの2つの縁部が同じ長さであるが他の縁部より短い場合、前記2つの縁部の各々の間の回転の中間にあり、前記微細特徴部の前記基部から前記上部まで延びる、のいずれかである、
少なくとも1つの離散研磨要素を準備することと、
前記少なくとも1つの微細特徴部の前記前縁が前記パッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも5度の角度を形成するように、前記少なくとも1つの離散研磨要素を向けて前記キャリア上に配置することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの離散研磨要素を向けて配置することが、少なくとも2つの離散研磨要素を向けて前記キャリア上に配置することを含み、前記少なくとも2つの離散研磨要素の各々の少なくとも1つの微細特徴部の前縁が、前記パッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と異なる角度を形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの離散研磨要素を向けて配置することが、少なくとも2つの離散研磨要素を向けて前記キャリア上に配置することを含み、前記少なくとも2つの離散研磨要素の各々の少なくとも1つの微細特徴部の前縁が、前記パッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と同じ角度を形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの離散研磨要素を再配置することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特定のクラスのパッドが、高度の平坦度及び平滑度への半導体ウェハの化学機械研磨に使用される。これらのパッド(CMPパッド)は、回転され、スラリーと共に半導体表面と接触させて、ウェハから材料を研磨し、研磨表面を形成する。研磨スラリー及び研磨プロセス自体の摩耗の両方への曝露は、CMPパッドのトポグラフィを使用と共にシフトさせ得る。一貫した望ましい研磨性能を提供するために、これらのCMPパッドは、多くの場合、コンディショニングディスクを用いたコンディショニング(in-situ又はex-situのいずれか)を受ける。CMPパッドの作用面をその元の表面形状の近くに復元するために、コンディショニングディスク(これも回転され、表面に接触されるが、この場合にはCMPパッドの表面に接触される)の使用が用いられてもよい。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、本明細書は、パッドコンディショニングディスクに関する。パッドコンディショニングディスクは、少なくとも1つの離散研磨要素を含む。少なくとも1つの離散研磨要素は、基部及び上部を有する少なくとも1つの微細特徴部を含み、少なくとも1つの微細特徴部は、少なくとも3つの縁部を有する少なくとも3つのファセットを有し、各縁部は、ファセットの隣接する対の間にあり、基部から延びる。少なくとも3つの縁部は、全て同じ長さではなく、少なくとも1つの微細特徴部は、前縁を有する。前縁は、(i)少なくとも3つの縁部のうちの最も短い縁部と一致する、又は(ii)少なくとも3つの縁部のうちの2つの縁部が同じ長さであるが他の縁部より短い場合、2つの縁部の各々の間の回転の中間にあり、微細特徴部の基部から上部まで延びる、のいずれかである。少なくとも1つの離散研磨要素は、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも5度の角度を形成するように、向けられてパッドコンディショニングディスク上に配置されている。
【0003】
別の態様では、本明細書は、パッドコンディショニングディスクを形成する方法に関する。この方法は、キャリアを準備することと、少なくとも1つの離散研磨要素を準備することとを含む。少なくとも1つの離散要素は、基部及び上部を有する少なくとも1つの微細特徴部を含み、少なくとも1つの微細特徴部は、少なくとも3つの縁部を有する少なくとも3つのファセットを有し、各縁部は、ファセットの隣接する対の間にあり、基部から延びる。少なくとも3つの縁部は、全て同じ長さではなく、少なくとも1つの微細特徴部は、前縁を有する。前縁は、(i)少なくとも3つの縁部のうちの最も短い縁部と一致する、又は(ii)少なくとも3つの縁部のうちの2つの縁部が同じ長さであるが他の縁部より短い場合、2つの縁部のそれぞれの間の回転の中間にあり、微細特徴部の基部から上部まで延びる、のいずれかである。この方法はまた、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも5度の角度を形成するように、少なくとも1つの離散研磨要素を向けてキャリア上に配置することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】微細特徴部を有するコンディショニングディスクの概略上面図である。
【
図2A】例示的な微細特徴部形状の概略上面図である。
【
図2B】例示的な微細特徴部形状の概略上面図である。
【
図2C】例示的な微細特徴部形状の概略上面図である。
【
図2D】例示的な微細特徴部形状の概略上面図である。
【
図2E】例示的な微細特徴部形状の概略上面図である。
【
図2F】例示的な微細特徴部形状の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
化学機械研磨プロセス、コンディショニングプロセス、及び関連する仕様は、半導体製造業者によって異なる。したがって、これらの製造業者の異なるターゲット表面プロファイルは、それらが異なるパッドコンディショナディスク設計を必要とし得ることを意味する。例えば、半導体製造業者は、結果として得られるパッド摩耗率(pad wear rate、PWR)及び表面粗さ(Ra)に対して異なる所望の仕様を有し得る。従来の無機研磨粒子ベースのコンディショニングディスクでは、これは、所望の仕様に近づくために、研磨粒子サイズ、分布、又は組成を変更することを意味し得る。代替的な微細特徴部(例えば、高精細(microreplicated)研磨特徴部)ベースのコンディショニングディスクでは、これは、微細特徴部の形状、サイズ、及び分布を変化させることを意味し得る。
【0006】
本明細書に記載されているのは、パッドコンディショニングディスクに対する驚くべきアプローチであり、微細特徴部の形状は、微細特徴部自体の回転によって、又はそのような微細特徴部をその上に有する研磨要素の回転によって、性能を調整することができるように選択される。したがって、製造プロセス全体をカスタマイズする必要なく、所望の性能を慎重に較正することができる。
【0007】
驚くべきことに、これはまた、RaとPWRとの組み合わせを達成することを困難にする。いくつかの実施形態では、高い粗さ及び低いパッド摩耗率、又は逆に、低い粗さ及び高いパッド摩耗率が達成可能である。従来、これらのパラメータは、共に増加又は減少すると考えられていた。
【0008】
図1は、(CMPパッド)コンディショニングディスクの概略上面図である。コンディショニングディスク100は、キャリア110上に配置された少なくとも1つの離散研磨要素120を含み、少なくとも1つの離散研磨要素120は、少なくとも1つの微細特徴部122を含む。少なくとも1つの微細特徴部122の前縁とコンディショニングディスク100の瞬間回転の方向との間の角度は、角度θとして表される。
【0009】
キャリア110は、金属若しくは金属合金、ポリマー材料若しくはブレンド、又は他の好適な基材を含む、任意の好適な材料であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、キャリアは、ステンレス鋼であってもよく、又はステンレス鋼を含んでもよい。いくつかの実施形態では、キャリアは、通常の動作条件下で実質的に剛性かつ非可撓性であってもよい。いくつかの実施形態では、キャリアは、通常の動作条件下で可撓性又は適合性であってもよい。
【0010】
キャリア110は、1つ以上の離散研磨要素を配置するように特に適合された1つ以上の取り付け領域を含んでもよい。これらの領域は、(機械加工、エッチング、又は他の方法で形成された)キャリアの高くなった領域若しくは低くなった領域、又は接着若しくは取り付けを改善するための粗面化された領域を含むことができる。
【0011】
少なくとも1つの離散研磨要素120は、キャリアに取り付けられている、又はキャリア上に配置されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの離散研磨要素は、好適な接着剤の使用によって取り付けられている。接着剤は、キャリア及び離散研磨要素との接着剤の適切な適合性、並びに恒久的又は取り外し可能/再配置可能な接着力、耐薬品性、通常の使用温度の範囲下での接着力などを提供する能力などの他の特性のために選択されてもよい。接着剤は、少なくとも1つの離散研磨要素のための重要なクラスの取り付け機構を可能にするが、取り付け方法は限定されない。溶接(超音波溶接を含む)、又は機械的取り付け(フックアンドループなど)などの他の選択肢が、少なくとも1つの離散研磨要素の取り付けのために企図される。
【0012】
離散研磨要素(単数又は複数)は、少なくとも1つの微細特徴部122又は複数の微細特徴部を有する作用面を含む基部を含む(説明を容易にするために、少なくとも1つの微細特徴部122のサイズは、少なくとも1つの微細特徴部、少なくとも1つの離散研磨要素、及びキャリアの間の典型的な関係と比較して大幅に誇張されている)。離散的であるため、これらの研磨要素は、パッドコンディショニングディスクのキャリア上に連続面を形成しない。いくつかの実施形態では、これらの離散研磨要素は、キャリア上に配置されたディスク又はパックとして見えてもよい。いくつかの実施形態では、離散研磨要素の各々は、複数の微細特徴部を有する作用面を含む。いくつかの実施形態では、微細特徴部は、精密に成形された特徴部である。これらの微細特徴部は、微細加工、ウォータージェット切断、射出成形、押出、微細複製、又はセラミックダイプレスを含む、種々の好適なプロセスによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、離散研磨要素は、金属母材中の超砥粒グリット、少なくとも85重量%の量のセラミック材料を含むセラミック体、及びダイヤモンドコーティングを含むセラミック体を含む。超砥粒グリットの例としては、立方晶窒化ホウ素(cubic boron nitride、CBN)及び化学蒸着(chemical vapor disposition、CVD)ダイヤモンドが挙げられる。他のコーティングの例、並びに一般的な特性及び精密に成形された微細特徴部の形成の更なる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10710211号(Lehuuら)に記載されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの微細特徴部122の形状は、回転非対称である。少なくとも1つの微細特徴部122の形状は、基部及び上部を有する。基部から離れるように延びて、上部は、そのz方向に沿って基部から最も遠い(遠位の)1つ又は複数の点を含む。上部は、(角錐の場合のように)点であってもよく、又は線であってもよく、又は切頭されている場合には閉じた形状(すなわち、0次元、1次元、又は2次元)であってもよい。この実施形態では、微細特徴部は、少なくとも3つの縁部を有する少なくとも3つのファセット。各縁部は、ファセットの隣接する対の間にあり、基部から上部まで延びる。この実施形態では、少なくとも3つの縁部は、全て同じ長さではない。この実施形態では、少なくとも1つの微細特徴部は、前縁を有し、前縁は、(i)少なくとも3つの縁部の上面図からの最も短い縁部と一致する、又は(ii)少なくとも3つの縁部のうちの2つの縁部が同じ長さであるが他の縁部より短い場合、2つのより短い縁部の各々の間の回転の中間にあり、微細特徴部の基部から上部まで延びる、のいずれかである。
【0014】
図2A~
図2Fは、本明細書に記載される微細特徴部のいくつかの潜在的な実施形態を示す。各実施形態では、本明細書に記載される前縁は、破線で象徴的に識別されている。
図2Aは、切頭された上部を有する微細特徴部の一実施例を示す。
図2Bは、上部として点を有する微細特徴部の一実施例を示す。
図2Cは、上部として縁部又は線を有する微細特徴部の一実施例を示す。
図2Dは、(基部の具体的な形状は特に限定されないので)正方形の基部に対して三角形の基部を有する例示的なピラミッド状の微細特徴部を示し、
図2Eは、基部として五角形を有する微細特徴部を示す。
図2Fは、等しい長さであるが他の縁部よりも長い2つの縁部が存在する微細特徴部の一実施例を示す。
【0015】
いくつかの実施形態では、離散研磨要素の向きは、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも1度の角度を形成するようなものである。瞬間回転の方向(典型的には2つの方向)は、任意の所与の微細特徴部について、コンディショニングディスクが時計回り又は反時計回りに回転されるときに、微細特徴部が瞬間的に移動する方向である。瞬間回転の方向は、任意の方向に無限小に変化するが、この説明の目的のために、瞬間回転の方向は、例えば、離散研磨要素の中心又は微細特徴部の中心を基準点として考慮することによって近似することができる。典型的な場合及び用途では、これらの近似のいずれも、離散研磨要素の向きに有意に影響せず、使用者の要件に応じて、一方又は両方が好適であり得る。この方向は、大きな矢印として
図1に象徴的に示されており、この方向と前縁との間の角度は、θとして示されている。いくつかの実施形態では、離散研磨要素の向きは、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも2度の角度を形成するようなものである。いくつかの実施形態では、離散研磨要素の向きは、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも5度の角度を形成するようなものである。いくつかの実施形態では、離散研磨要素の向きは、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも10度の角度を形成するようなものである。いくつかの実施形態では、離散研磨要素の向きは、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも20度の角度を形成するようなものである。いくつかの実施形態では、離散研磨要素の向きは、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも30度の角度を形成するようなものである。いくつかの実施形態では、離散研磨要素の向きは、少なくとも1つの微細特徴部の前縁がパッドコンディショニングディスクの瞬間回転の方向と少なくとも45度の角度を形成するようなものである。驚くべきことに、前縁を瞬間回転の方向に正確に整列しても、典型的には、PWR又はRaの最大値又は最小値が得られない。いくつかの実施形態及び用途では、これは、CMPパッドの表面の上のパッドコンディショニングディスクによる掃引及び回転の両方の複雑な運動のためであり得る。
【0016】
少なくとも1つの微細特徴部の非対称性は、その前縁が瞬間回転の基準方向に対して異なる位置に配置されることを可能にする。用途に応じて、この前縁は、任意の所望の角度に向けられてもよく、パッドコンディショニングディスクの特性は、同様に、この向きが変化するにつれて変化してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、離散研磨要素は、微細特徴部のアレイを含み、アレイ内の微細特徴部の各々は、本明細書の他の箇所で少なくとも1つの微細特徴部について説明したように、基部及び上部、少なくとも3つの縁部を有する少なくとも3つの面、並びに前縁を有する形状を有する。いくつかの実施形態では、微細特徴部のアレイ内の微細特徴部の各々は、同じ形状を有する。いくつかの実施形態では、微細特徴部のアレイ内の微細特徴部の各々は、同じサイズを有する。いくつかの実施形態では、微細特徴部のアレイ内の微細特徴部の各々は、同じ方向に向けられた前縁をそれぞれ有してもよい。いくつかの実施形態では、サイズ、形状、又は向きのうちの1つ以上は、擬似ランダムに、又は1つ以上の面内方向に沿った勾配で変化してもよい。
【0018】
離散研磨要素は、キャリアの円周の周りに等間隔でパッドコンディショニングディスク上に離間していてもよい。いくつかの実施形態では、キャリア上に取り付けられた5つの離散研磨要素があり、したがって、円周の周りに約72度(中心に対して)離れている。しかしながら、離散研磨要素の数は、限定されず、所望の用途及び使用に基づいて調整することができる。いくつかの実施形態では、わずか1つがあってもよく、又は16個もの離散研磨要素があってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの微細特徴部の回転は、結果として生じるRa(表面粗さ)又はPWR(パッド摩耗率:例えば、典型的な使用条件下、例えば、4~5psiの圧力下で、1時間あたりマイクロメートル又は1分あたりオングストロームの単位の)のうちの少なくとも1つを調整する。非対称性(例えば、前縁の識別可能性)のために、所与の形状に基づいて、所望の性能パラメータを調整する(増加又は減少させる)ために必要な回転を決定することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、離散研磨要素の形成後、キャリア上の回転(すなわち、向き)は、所望の又は予測される性能を達成するように調整されてもよい。任意の整列、向き、又は回転は、1つ以上の基準マーク、光学走査、又は任意の他の精密整列技術を用いて実行することができる。いくつかの実施形態では、これにより、離散研磨要素の向きのみを調整しながら、同じ構成要素を広範囲の所望の性能を提供するように構成することができるため、製造プロセスを合理化することができる。2つ以上の離散研磨要素を含むいくつかの実施形態では、これらの離散研磨要素の向きは、2つの向きの間のブレンドされた性能を達成するために異なってもよいが、他の点では同じ方法で形成されている。この概念は、n個の離散研磨要素に一般化可能であり、各離散研磨要素の微細特徴部の向きは、コンディショニングディスクの全体的な性能に寄与する。いくつかの実施形態では、向きは、製造誤差及び潜在的な欠陥を考慮して、製造された離散研磨要素の実際の形状に関するリアルタイム又はほぼリアルタイムの情報に基づいて決定又は調整することができる。例えば、製造における変動により、所望よりも低いPWRに寄与する離散研磨要素を生産する場合、その離散研磨要素は、そうでなければ潜在的に仕様外の性能を補償するために、その元の目標向きに対して回転されてもよい。いくつかの実施形態では、離散研磨要素は、コンディショニングディスクのキャリア上に再配置可能に取り付けられ、所望の性能を調整するために、又は摩耗を補償するために、任意選択的に取り外し、回転させ、任意選択的に再取り付けすることができる。
【実施例】
【0020】
本開示について、単なる例示を目的とする以下の実施例でより詳細に記述するが、それは、本開示の範囲内の多数の変更及び変形が、当業者に明らかにされるからである。
【0021】
CMPツールのパッド摩耗速度及びパッド表面粗さの試験方法
Applied Materials製200mmREFLEXION研磨ツール上の調整されたパッドについて測定を実施した。調整サイクルを、コンディショナの速度87rpm及びパッドの速度93rpmで2.5ポンド(1.13kg)の下向き力で脱イオン水を使用して実施した。コンディショナのアーム掃引レシピは、1.00インチ(2.5cm)の開始位置及び12.75インチ(32.4cm)の終了位置を有していた。1.20、1.10、1.00、1.00、1.00、1.00、1.00、1.00、1.00、1.00、1.00、1.20、及び1.55の相対静止時間をそれぞれ有する13個のゾーンに掃引を区分した。サイクル時間は、毎分13回の掃引とした。使用したパッドは、30インチFujibo H800パッドであった。パッド摩耗率は、渦電流ゲージを使用して、初期及び使用後のパッドの厚さを比較することによって決定した。12の試験位置(各3、7、及び11インチ半径で0、90、180、及び270度)にわたって平均した最終のパッド厚さ対初期のパッド厚さの差を試験時間で割ったものを、パッド摩耗率として報告した。パッドの表面粗さを決定するために、NanoFocus共焦点顕微鏡を使用して、調整されたばかりのパッドの中心から2インチ(5.1cm)、5インチ(12.7cm)、8インチ(20.3cm)、11インチ(27.9cm)、及び14インチ(35.6cm)の距離でRaを測定した。これら5つの位置の平均としてRaを報告した。
【0022】
例示的なパッドコンディショニングディスクについて10個のサンプルを調製した。研磨要素は、実施例10に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9965664号(Lehuuら)に記載されているように調製したが、表1に記載されているように研磨特徴部の幾何形状のみが異なり、以下の通りである。要素当たりの一次特徴部の数:944、一次特徴部高さ:150マイクロメートル、オフセット高さ:10マイクロメートル、一次微細特徴部の切頭部深さ:0マイクロメートル、アスペクト比:0.50。一次研磨特徴部と二次研磨特徴部との間のオフセット高さは、一次特徴部と二次特徴部との間の高さの差として定義される。アスペクト比は、特徴部高さをその基部幅で割ったものとして定義される。一次特徴部の切頭部深さは、角錐の側面を一点に収束させた場合の理論上の頂点が形成される深さによって定義される。これらの幾何形状の抜き勾配は、研磨特徴部の前縁(これらの幾何形状では、最も短い縁部と一致する)に隣接する2つの基部縁部要素(すなわち、0の抜き勾配を有する理論上の垂直側壁)に垂直な平面と形成される角度として定義される。向きは、瞬間回転の方向に対する度単位の角度として定義される(2つの基準方向が可能であるが、選択された方向は、適用及び試験された実際の回転方向に基づく)。各研磨要素は、少なくとも1つの一次特徴部高さを有する精密に成形された特徴部を有し、これは、二次レベルの特徴部又は特徴部間の平坦な基部領域のいずれよりも高く、それに対してオフセットしていた。各実施例について5個の研磨要素を調製し、研磨物品に組み立てた。各要素上の最も高い精密に成形された、全てが同じ特徴部設計高さを有する特徴部が平面状になるように、組立プロセスを開発した。平面状のサファイア表面を位置合わせプレートとして使用した。要素を、精密に成形された特徴部を有する主面が、それらの第2の平坦な主面を上向きにして位置合わせプレートと(下向きにして)直接接触するように、位置合わせプレート上に配置し、所望の向きに整列するように必要に応じて回転した。研磨要素を円形パターンで配置し、それらの中心点が、半径約1.75インチ(44.5mm)の円の円周に沿って、約72°の等間隔で円周上に配置されるようにした。次いで、中央領域にある研磨要素の露出面に固定要素を適用した。固定要素は、3M Company(St.Paul,Minnesota)から商品名3M SCOTCH-WELD EPOXY ADHESIVE DP420で入手可能なエポキシ接着剤であった。次いで、直径4.25インチ(108mm)及び厚さ0.22インチ(5.64mm)の円形のステンレス鋼担体を、固定要素の上に下向きに配置した(担体の裏面は、REFLEXION研磨機の担体アームに取り付けられ得るように、機械加工されている)。10ポンド(4.54kg)の荷重を担体の露出面全体に均一に加え、接着剤を約4時間にわたって室温で硬化させた。
【表1】
【表2】
【国際調査報告】