(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-08
(54)【発明の名称】イブプロフェンとアセトアミノフェンの組合せで小児において発熱を処置するための方法およびキット
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20241225BHJP
A61K 31/136 20060101ALI20241225BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241225BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241225BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20241225BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20241225BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K31/136
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P29/02
A61P29/00
A61K9/02
A61K9/06
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/70 401
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539501
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 US2022082453
(87)【国際公開番号】W WO2023129946
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524244041
【氏名又は名称】ゾンフリロ,マーク ロバート
【氏名又は名称原語表記】ZONFRILLO, Mark Robert
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】ゾンフリロ,マーク ロバート
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA30
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA71
4C076BB01
4C076CC03
4C076FF68
4C084AA22
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZA662
4C084ZC752
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA24
4C206GA02
4C206GA31
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA33
4C206MA36
4C206MA37
4C206MA41
4C206MA42
4C206MA43
4C206MA47
4C206MA48
4C206MA51
4C206MA52
4C206MA54
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA10
4C206ZA07
4C206ZC75
(57)【要約】
小児において発熱を処置するための投与方法および投与レジメンならびに製剤およびキットを含む様々な剤形を提供する。一つの発熱した小児を処置するための投与レジメンまたは投与方法は、小児にある用量を投与することを含み、該用量が、a)所定量のイブプロフェン、およびb)所定量のアセトアミノフェンを含み、所定量は、小児の体重により決定される。液体、固形および半固形などの様々な担体が、製剤において用いられ得る。製剤中のイブプロフェンおよびアセトアミノフェン化合物の量を含む投与量チャートを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児にある用量を投与することを含む、発熱した小児の処置のための投与レジメンであって、該用量が、所定量のイブプロフェン化合物および所定量のアセトアミノフェン化合物を含み、各化合物の所定量が、小児の体重により決定される、投与レジメン。
【請求項2】
単一投与製剤が、所定量のイブプロフェンおよび所定量のアセトアミノフェンを含む、請求項1に記載の投与レジメン。
【請求項3】
製剤が、所定量のイブプロフェンおよび所定量のアセトアミノフェンのための担体を含む、請求項2に記載の投与レジメン。
【請求項4】
担体が、液体である、請求項3に記載の投与レジメン。
【請求項5】
液体が、滴下剤、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項4に記載の投与レジメン。
【請求項6】
担体が、固形または半固形の組成物である、請求項3に記載の投与レジメン。
【請求項7】
担体が、ハードキャンディー、アイスキャンディー、ゼラチンベースのチュアブルキャンディー、チュアブル錠剤、ガム、溶解錠剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、溶解フィルム剤、浣腸剤、坐剤、軟膏剤、クリーム剤、パッチ剤、ゲル剤、マイクロニードル、分包剤、サシェ剤、鼻腔内スプレー剤、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項6に記載の投与レジメン。
【請求項8】
所定量のイブプロフェンおよび所定量のアセトアミノフェンを含む製剤が、熱が下がるまで6時間ごとに発熱した小児に投与される、請求項2に記載の投与レジメン。
【請求項9】
担体が、液体であり、液体中のイブプロフェンの濃度が、5ml当たり100mgであり;液体中のアセトアミノフェンの濃度が、5ml当たり160mgである、請求項4に記載の投与レジメン。
【請求項10】
担体が、液体であり、液体中のイブプロフェンの濃度が、2.5ml当たり100mgであり;液体中のアセトアミノフェンの濃度が、2.5ml当たり160mgである、請求項2に記載の投与レジメン。
【請求項11】
製剤が、ビタミン、口腔ケア剤、着香剤、アルカリ性胃腸剤、制酸剤、他の医薬品、およびこれらの組合せからなる群より選択される添加物をさらに含む、請求項2に記載の投与レジメン。
【請求項12】
添加物が、アルカリ性胃腸剤または制酸剤である、請求項11に記載の投与レジメン。
【請求項13】
製剤を発熱した小児に投与した後、イブプロフェン化合物およびアセトアミノフェン化合物が、即時放出様式で放出される、請求項2に記載の投与レジメン。
【請求項14】
製剤を発熱した小児に投与した後、イブプロフェン化合物およびアセトアミノフェン化合物が、持続放出様式で放出される、請求項2に記載の投与レジメン。
【請求項15】
製剤を発熱した小児に投与した後、イブプロフェン化合物が、即時放出様式で放出され、アセトアミノフェン化合物が、持続放出様式で放出される、請求項2に記載の投与レジメン。
【請求項16】
製剤を発熱した小児に投与した後、イブプロフェン化合物が、持続放出様式で放出され、アセトアミノフェン化合物が、即時放出様式で放出される、請求項2に記載の投与レジメン。
【請求項17】
第1製剤が、所定量のイブプロフェンを含み、第2製剤が、所定量のアセトアミノフェンを含み、第1および第2製剤が、発熱した小児に別々に投与される、請求項1に記載の投与レジメン。
【請求項18】
第1および第2製剤が、6時間ごとに発熱した小児に投与される、請求項17に記載の投与レジメン。
【請求項19】
300mgのイブプロフェン化合物および480mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに液体担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の容量が、15mlであり、発熱した小児の体重が、72~95ポンド(33~43kg)である、医薬製剤。
【請求項20】
300mgのイブプロフェン化合物および480mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに固形または半固形担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の投与量が、3計量単位であり、発熱した小児の体重が、72~95ポンド(33~43kg)である、医薬製剤。
【請求項21】
250mgのイブプロフェン化合物および400mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに液体担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の容量が、12.5mlであり、発熱した小児の体重が、60~71ポンド(28~32kg)である、医薬製剤。
【請求項22】
250mgのイブプロフェン化合物および400mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに固形または半固形担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の投与量が、2.5計量単位であり、発熱した小児の体重が、60~71ポンド(28~32kg)である、医薬製剤。
【請求項23】
200mgのイブプロフェン化合物および320mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに液体担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の容量が、10mlであり、発熱した小児の体重が、48~59ポンド(22~27kg)である、医薬製剤。
【請求項24】
200mgのイブプロフェン化合物および320mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに固形または半固形担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の投与量が、2計量単位であり、発熱した小児の体重が、48~59ポンド(22~27kg)である、医薬製剤。
【請求項25】
150mgのイブプロフェン化合物および240mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに液体担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の容量が、7.5mlであり、発熱した小児の体重が、36~47ポンド(17~21kg)である、医薬製剤。
【請求項26】
150mgのイブプロフェン化合物および240mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに固形または半固形担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の投与量が、1.5計量単位であり、発熱した小児の体重が、36~47ポンド(17~21kg)である、医薬製剤。
【請求項27】
100mgのイブプロフェン化合物および160mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに液体担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の容量が、5mlであり、発熱した小児の体重が、24~35ポンド(11~16kg)である、医薬製剤。
【請求項28】
100mgのイブプロフェン化合物および160mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに固形または半固形担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の投与量が、1計量単位であり、発熱した小児の体重が、24~35ポンド(11~16kg)である、医薬製剤。
【請求項29】
50mgのイブプロフェン化合物および80mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに液体担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の容量が、2.5mlであり、発熱した小児の体重が、15~23ポンド(6~10kg)である、医薬製剤。
【請求項30】
50mgのイブプロフェン化合物および80mgのアセトアミノフェン化合物、ならびに固形または半固形担体を含む、発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、製剤の投与量が、0.5計量単位であり、発熱した小児の体重が、15~23ポンド(6~10kg)である、医薬製剤。
【請求項31】
小児の体温を測定して、熱を処置し得るか決定すること、
小児の体重を量ること、
請求項18~30のいずれか一項に記載の医薬製剤を小児に投与すること、
所定の時間後、小児の体温を再測定して、小児が処置し得る熱があるかを決定すること、および
小児の発熱がなくなるまで、請求項18~30のいずれか一項に記載の医薬製剤を小児に投与すること
を含む、熱のある小児を処置する方法。
【請求項32】
発熱した小児を処置するための医薬製剤であって、該製剤が、所定量のイブプロフェン化合物および所定量のアセトアミノフェン化合物を含む、医薬製剤、および
投与量チャートであって、該チャートが、医薬製剤中のイブプロフェン化合物の量およびアセトアミノフェン化合物の量、ならびに小児の例示的体重に関する情報を有し、医薬製剤の投与量が、処置される発熱した小児の体重に基づく、チャート
を含む、発熱した小児を処置するための医薬キット。
【請求項33】
キットが、測定した投与量を発熱した小児に投与できるように、医薬製剤の投与量を測定するための手段をさらに含む、請求項32に記載の医薬キット。
【請求項34】
発熱した小児を処置するための第1医薬製剤であって、所定量のイブプロフェン化合物を含む第1製剤、
発熱した小児を処置するための第2医薬製剤であって、所定量のアセトアミノフェン化合物を含む第2製剤、および
投与量チャートであって、該チャートが、第1製剤中のイブプロフェン化合物の量、および第2医薬製剤中のアセトアミノフェン化合物の量、ならびに小児の例示的体重に関する情報を有し、第1および第2医薬製剤の投与量が、処置される発熱した小児の体重に基づく、チャート
を含む、発熱した小児を処置するための医薬キット。
【請求項35】
キットが、測定した投与量を発熱した小児に投与できるように、第1および第2医薬製剤の投与量を測定するための手段をさらに含む、請求項34に記載の医薬キット。
【請求項36】
発熱した小児を処置するための第1医薬製剤であって、所定量のイブプロフェン化合物を含む第1製剤、
発熱した小児を処置するための第2医薬製剤であって、所定量のアセトアミノフェン化合物を含む第2製剤、ここで、第1および第2製剤は、製剤を小児に同時に投与できるように、容器に入れられており、
投与量チャートであって、該チャートが、第1製剤中のイブプロフェン化合物の量、および第2医薬製剤中のアセトアミノフェン化合物の量、ならびに小児の例示的体重に関する情報を有し、第1および第2医薬製剤の投与量が、処置される発熱した小児の体重に基づく、チャート
を含む、発熱した小児を処置するための医薬キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月28日出願の米国仮出願第63/294,286号に基づく優先権を主張し、この全開示は出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的には、小児において発熱を処置するための投与方法および投与レジメンならびに製剤および製剤キットを含む様々な剤形に関する。より具体的には、剤形は、特定量でイブプロフェンとアセトアミノフェンの組合せを含む。
【背景技術】
【0003】
近年、親たちは、熱を下げるために子供を鎮痛薬および解熱薬でいつ、どのように処置するべきかについて、より関心を持つようになってきている。発熱は、最も一般的な小児の症状の1つであり(Schmidtt BD, (1984), Pediatrics, 74(5 Pt 2):929-36)、親たちが子供のために医療処置を求める最も一般的な理由の1つであり、その多くは救急外来である。医療専門家はこの現象を「発熱恐怖症」、または子供の発熱に対する親の誤解と呼んでいる(Doria M et al., (2019), Int J Environ Res Public Health, 16(22):4487 (9 pages))。知識が不足していると、親が発熱した子供に過剰な処置をするか、または治療量以下の用量の解熱薬を与えることがある。その結果、これらの薬の毒性作用に苦しむ危険がある子供もいれば、従来の薬に反応しないと考えられる発熱のために救急室または診療所に頻繁に運ばれる子供もいる。
【0004】
発熱のある小児は、触ると熱く感じたり、皮膚が汗をかくかまたは湿っぽくなったり、震え始めたり、心拍数が増加したり(頻脈として知られる)、呼吸が速くなったり(頻呼吸として知られる)することがある。これらの症状は、ほとんどの場合比較的無害であるが、親は子供が実際よりも病気が悪いと信じて不安になる原因となる。小児の発熱はより危険な状態を示している場合があり、発熱は小児科医に発熱の根本的な原因に関する貴重な情報を提供し得る。アセトアミノフェン(別名パラセタモール)は、解熱鎮痛作用があり、比較的安全であるため、小児に最も広く使用されている解熱薬である。
【0005】
Linderら(Linder M et al., (1999), Isr Med Assoc J, 1(3):158-60)は、解熱薬の投薬に関する親の知識レベル、その知識の源、親が自分の子供の処置をいつ、どのように決定するか、そして報告されたその処置の効果を評価するために試験を実施した。Linderらは、24.1%の親が発熱した自分の子供にアセトアミノフェンの1日の推奨用量より少なく与えていることを明らかにした。試験集団の親たちは、他の試験の親たちと同様に、家庭用ティースプーンの正しい容量は3mlであるにもかかわらず、5ml入ると誤って推測していた。過少投与の第2の原因は、小児の年齢と体重の増加に伴い親が投与量を修正しなかったことである。不適切に低い用量は、熱が処置に抵抗すると考え、心配した親が連れてきた小児が、不必要に診療所または救急室へ来院することにつながる可能性がある。
【0006】
最近、イブプロフェンとアセトアミノフェンの組合せが、発熱した小児の熱を下げるのにより効果的であることが示唆されている。しかしながら、医学文献でコンセンサスが得られていない。
【0007】
例えば、Erleqyn-Lajeunessら(Arch Dis Child, (2006), Arch Dis Child, 91(5):414-6)は、生後6か月から11歳までの発熱した小児において、15mg/kgのパラセタモール、5mg/kgのイブプロフェン、またはパラセタモールとイブプロフェンの組合せを投与する試験を報告している。併用投与した群は、イブプロフェンまたはパラセタモールのみを投与した群と比較して、より大きな熱の減少を示したが、その減少は0.5℃未満であり、誤差範囲内であった。Erleqyn-Lajeunessらは、0.5℃の差は、組合せのルーチン使用を正当化するほど臨床的に有意ではないとの意見を述べている。
【0008】
Sarrell EMら(Arch Pediatr Adolesc Med, 160(2):197-202)は、小児の発熱をアセトアミノフェンとイブプロフェンを交互に投与して処置することが、小児の発熱をどちらか一方の薬物のみで処置するより効果的であると報告している。Sarrell EMらは、長期的な合併症は認めなかった。Sarrell EMらは、試験参加者全員が処置のために医師を訪れたため、過少投与の危険性を最小限に抑えられたと指摘している。
【0009】
Hay ADら(BJM, (2008), 2008 Sep 2, 337:a1302)は、発熱のある小児におけるパラセタモールとイブプロフェンの併用をそれぞれの単独使用と比較した3つの試験レビューを実施した。Hay ADらは、発熱のある小児に対してイブプロフェンとアセトアミノフェンの併用療法を検討することを親たちおよび臨床医が望んでいるにもかかわらず、併用療法による臨床的に重要な発熱低下を実証するには3つの試験から得られた証拠は不十分であったと結論付けている。Hay ADらは、過剰投与および/または過少投与の潜在的な危険性、コストの増加、潜在的な有害作用、発熱恐怖症の潜在的な増強を含む、併用療法で観察された欠点について忠告している。
【0010】
Pursell E(Arch Dis Child, (2011), 96(12):1175-9)は、パラセタモールおよびイブプロフェンの併用処置をパラセタモール単独またはイブプロフェン単独の処置と比較した研究の体系的レビューを行った。Pursellによれば、レビューした6つの研究のうち、発熱した小児の体温を下げる効果について3つの処置を評価するのに有用なデータを有するものは、統計的に有意な利益を証明したが、臨床的に有意な利益はわずかであった。Pursellは、1剤ではなく2剤投与することに対する親の不安から発熱恐怖症が増すことによる過剰投与の潜在的危険性が、観察されたわずかな利益を上回ると提言した。
【0011】
Wong T(Cochrane Database Syst Rev, (2013), 2013(10):CD009572)は、発熱を呈する小児におけるパラセタモールとイブプロフェンの併用治療(1回の投与で併用または交互に投与)をパラセタモールおよびイブプロフェンの単独治療と比較する試験の介入レビューを完了した。Wongは、併用治療は個々の単独療法より小児の発熱状態を軽減するのにより効果的であり得るという発見を裏付ける証拠がいくつかある一方で、患者の不快感の改善を比較する決定的な証拠はなく、また、両方の薬物を1回で投与するのではなく交互に投与することの有効性についても決定的な証拠がないと結論付けた。
【0012】
小児および思春期の発熱の管理に関する国内および国際的なガイドラインは入手可能であるが、親および医療従事者の両方の一部に不適切な慣行が残っている。小児の体温を正常に戻すという主要目標は、不適切な薬物の選択または解熱処置の不必要な組合せ/変更、すなわち非科学的な情報およびSNSの流布によっても引き起こされる発熱恐怖症につながり得る。一般用医薬品のアセトアミノフェンおよびイブプロフェンは、小児の発熱処置に市販されているが、投与量および投与頻度については大きな混乱が広がっている。アセトアミノフェンおよびイブプロフェンの標準的な体重に基づく投与量(それぞれ15mg/kgおよび10mg/kg)および投与頻度(それぞれ4時間ごとおよび6時間ごと)が異なるため、発熱恐怖症を増加させ、介護者がいずれかの薬物を過剰または過少に投与する可能性が生じ、それぞれ不適切な処置または危険な副作用を引き起こし得る。
【0013】
したがって、小児科医は、体温だけに注目するのではなく、小児が不快感の可能性のある状態の兆候の発現を評価するために、親に適切な情報を提供し続けることがますます重要になっている。実際、文献上で不快感について明確かつ明白な定義はない。したがって、発熱した小児の不快感の程度、およびそれを評価するのに使用できるツールを明らかにすることは、発熱が不快感を伴う場合にのみ解熱処置が適切であることを推奨するのに役立つだろう。
【0014】
発熱恐怖症を軽減しながら、イブプロフェンとアセトアミノフェンの組合せによる発熱した小児の処置で観察された改善を活用する投与レジメンが必要とされている。また、特定の患者に対して正しい投与を保証し、潜在的に有害な過少投与または過剰投与を防ぐシステムも必要とされている。本発明の目的は、小児の発熱処置にアセトアミノフェンとイブプロフェンの組合せの利点を活用し、安全かつ効果的な最大有効量を投与することである。本発明は、体重に基づく投与システムを提供することにより、親などの健康管理者による発熱恐怖症の問題を克服する。本発明は、アセトアミノフェンとイブプロフェンを最も安全でかつ最大限の量で併用投与することで熱児を処置する手段を提供し、どちらか一方の薬物単独の投与量および投与頻度レジメンに関する推測および不安を解消するものである。
【発明の概要】
【0015】
一般的には、本発明は、発熱した小児患者の処置に関する。小児において発熱を処置するための投与方法および投与レジメンならびに製剤および製剤キットを含む様々な剤形を提供する。
【0016】
一実施態様において、発熱した小児を処置するレジメンまたは方法は、小児にある用量を投与することを含み、該用量が、a)所定量のイブプロフェン、およびb)所定量のアセトアミノフェンを含み、所定量が、小児の体重により決定される。単一投与製剤は、所定量のイブプロフェンおよび所定量のアセトアミノフェンを含み得る。製剤は、液体、固形および半固形などの様々な担体を含み得る。
【0017】
例えば、液体担体、例えば、滴下剤、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、およびこれらの組合せが製剤において用いられ得る。他の例において、固形および半固形、例えば、ハードキャンディー、アイスキャンディー、ゼラチンベースのチュアブルキャンディー、チュアブル錠剤、ガム、溶解錠剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、溶解フィルム剤、浣腸剤、坐剤、軟膏剤、クリーム剤、パッチ剤、ゲル剤、マイクロニードル、分包剤、サシェ剤、鼻腔内スプレー剤、およびこれらの組合せが用いられ得る。
【0018】
他の実施態様において、第1製剤は、所定量のイブプロフェンを含み、第2製剤は、所定量のアセトアミノフェンを含み、第1と第2製剤は、発熱した小児に別々に投与される。
【0019】
本発明はまた、製剤中のイブプロフェン化合物およびアセトアミノフェン化合物の量、ならびに処置される発熱した小児の例示的体重に関する情報を含む様々な医薬製剤および投与量チャートを提供する。投与量チャートは、処置される発熱した小児の体重に基づいて、製剤の正確な投与量を示す。発熱した小児を処置するための医薬キットもまた、提供される。一実施態様において、キットは、a)発熱した小児を処置するための製剤であって、該製剤が、所定量のイブプロフェン化合物および所定量のアセトアミノフェン化合物を含む、製剤、およびb)投与量チャートであって、該チャートが、第1製剤中のイブプロフェン化合物の量および第2医薬製剤中のアセトアミノフェン化合物の量、ならびに小児の例示的体重に関する情報を有し、第1および第2医薬製剤の投与量が、処置される発熱した小児の体重に基づく、チャートを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明を特徴づける新規な特徴は、特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明の好ましい実施態様は、更なる目的および付随する利点とともに、図面と関連した以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に従ったイブプロフェンとアセトアミノフェンを組み合わせた投与量の投与の一実施態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、一般的に、小児において発熱を処置するための投与方法および投与レジメンならびに製剤および製剤キットを含む様々な剤形に関する。より具体的には、剤形は、特定量でイブプロフェンとアセトアミノフェンの組合せを含む。
【0023】
一実施態様において、本発明は、小児にある用量を投与することを含む、発熱した小児を処置する投与レジメンまたは投与方法であって、該用量が、a)所定量のイブプロフェン、およびb)所定量のアセトアミノフェンを含み、所定量が、小児の体重により決定される、投与レジメンまたは投与方法に関する。本発明はまた、発熱した小児を処置するための製剤および処方適性を含む。
【0024】
本明細書で用いる用語「発熱した」は、患者の体温が38.0℃(≧100.4°F)以上であることを意味する。
【0025】
用語「子供」または「小児」の患者は、年齢が少なくとも6か月かつ12歳未満である人を意味する。
【0026】
本明細書で用いる用語「用量」または「投与量」は、固体、半固形および液体の組成物を含むがこれらに限定されない、本発明の医薬製剤の摂取可能なあらゆる形態を意味する。好ましくは、液体形態は、標準濃度のイブプロフェン(5ml当たり100mg)およびアセトアミノフェン(5ml当たり160mg)、または標準濃度の2倍のイブプロフェン(2.5ml当たり100mg)およびアセトアミノフェン(2.5ml当たり160mg)のいずれかである。本発明に従って、これらの製剤は、下記でさらに説明する特定の所定量のイブプロフェンおよびアセトアミノフェンを含む。適切な液体剤形としては、例えば、滴下剤、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤などが挙げられる。固形および半固形剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、ゼラチンベースのカプセル剤、散剤、サシェ剤、分包剤などが挙げられる。
【0027】
好ましい一実施態様において、単一投与製剤は、所定量のイブプロフェンおよび所定量のアセトアミノフェンを含む。多種多様な担体が製剤中に含まれ得る。好ましい一形態において、担体は、液体である。例えば、液体は、滴下剤、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、およびこれらの組合せからなる群より選択され得る。これらの剤形は、眼科投与用滴下剤および静脈内液剤を含む。好ましい別の形態において、担体は、固形または半固形である。例えば、固形または半固形担体は、経口投与用のハードキャンディー、アイスキャンディー、ゼラチンベースのチュアブルキャンディー、チュアブル錠剤またはガム;食品への添加用または口腔内での保持用の溶解性錠剤、散剤、粒状物のカプセル剤(ペレットまたは顆粒)、トローチ剤または溶解性フィルム剤;直腸投与用の直腸内カプセル剤、浣腸剤または坐剤;全身分布のための皮膚を通る拡散用の軟膏剤、クレーム剤、パッチ剤、ゲル剤またはマイクロニードル;分包剤;サシェ剤;および吹送用の鼻腔内スプレー剤からなる群より選択され得る。
【0028】
所定量のイブプロフェンと所定量のアセトアミノフェンを含む単一製剤は、熱が下がるまで6時間ごとに発熱した小児に投与され得る。
【0029】
一実施態様において、剤形は、イブプロフェン化合物を含む特定の部分とアセトアミノフェン化合物を含む特定の部分を有し、これにより、このような組成物は、製剤を発熱した小児に投与した後、即時放出様式で送達される。第2実施態様において、製剤の剤形は、イブプロフェン化合物を含む特定の部分とアセトアミノフェン化合物を含む特定の部分を有し、これにより、このような両化合物の組成物は、製剤を発熱した小児に投与した後、持続放出様式で送達される。第3実施態様において、イブプロフェン化合物は、即時放出様式で放出され、アセトアミノフェン化合物は、持続放出様式で放出される。さらに別の実施態様において、イブプロフェン化合物は、持続放出様式で放出され、アセトアミノフェン化合物は、即時放出様式で放出される。
【0030】
一実施態様において、用量は、10mg/kg部のイブプロフェン対約15mg/kg部のアセトアミノフェンの割合で投与される。上記のとおり、一例において、担体は、液体であり得て、液体中のイブプロフェンの濃度は、5ml当たり100mgであり;液体中のアセトアミノフェンの濃度は、5ml当たり160mgである。別の例において、液体中のイブプロフェンの濃度は、2.5ml当たり100mgであり;液体中のアセトアミノフェンの濃度は、2.5ml当たり160mgである。
【0031】
上記のとおり、一実施態様において、イブプロフェンおよびアセトアミノフェン化合物は、1つの剤形で投与され得る。すなわち、単一投与製剤は、イブプロフェンおよびアセトアミノフェン化合物を含有する。イブプロフェンおよびアセトアミノフェンは、1つの投与に組み合わされる。別の実施態様において、第1化合物(イブプロフェンまたはアセトアミノフェン)の投与量が投与され得て、その後、第2化合物(イブプロフェンまたはアセトアミノフェン)の投与量が投与され得る。すなわち、第1製剤は、イブプロフェンを含有し、第2製剤は、アセトアミノフェンを含有し、これら製剤は、別々に投与される。
【0032】
所定量のイブプロフェンを含む第1製剤と所定量のアセトアミノフェンを含む第2製剤は、それぞれ、熱が下がるまで6時間ごとに発熱した小児に投与され得る。
【0033】
イブプロフェンおよびアセトアミノフェンの投与量は、製剤に特定の特性を付与するために、多種多様な添加物を含有し得る。これらの添加物は、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンに加えて含まれる。添加物の適切な例としては、ビタミン、口腔ケア剤、着香剤、アルカリ性胃腸剤、制酸剤、他の医薬品、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
アルカリ性胃腸剤、制酸剤は、胃酸を中和し、薬物が十二指腸から小腸に入るとすぐに、薬物製剤が放出して、吸収に利用できるようにするために用いられ得て、吸収の増加に役立つ。
【0035】
図1には、a)所定量のイブプロフェンおよびb)所定量のアセトアミノフェンを含み、所定量が小児の体重により決定される用量を投与するためのフローチャートを示す。第1過程において、小児患者を検査する。本発明において、剤形は、少なくとも6か月の年齢で、38.0℃(≧100.4°F)以上の発熱を有する小児患者を対象とする。第2過程において、医療提供者は、さらに以下に記載するキットで提供され得る、投与量チャートを参照する。投与量チャートは、患者の重量に基づいて正確な投与量を提供する。さらに以下に記載するとおり、表1、2および3は、異なる投与量チャートに関する情報を示している。その後、第3過程において、健康管理者は、小児患者を診て、患者に対する投与量の効果を決定し、特に熱が下がったかをみる。次に、第4過程において、健康管理者は、小児患者を検査し、患者の体温を測定する。この第4過程は、第1の投与量を投与した約6時間後に実施される。
【0036】
本発明の投与レジメン、方法、製剤およびキットは、単純でありながら効果的である。本発明の投与レジメン、方法、製剤およびキットは、親および医療提供者にとって混乱が少なく、より費用効率が高くなる。本発明は、過少投与、過剰投与の可能性、および患者に対する重篤な副作用の可能性を最小限にする。
【0037】
本発明を以下の実施例によって例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0038】
実施例1
【0039】
この実施例1において、a)イブプロフェンとb)アセトアミノフェンを含む第1医薬製剤の投与量を決定した。下記表1は、医療提供者が使いやすいチャートまたは他の表示媒体で容易に見ることができるように、様々な方法で配置できる投与量情報を示している。表1の情報は、患者の正確な体重に基づく正確な投与量を含む。特に、表1の体重例1aを参照すると、体重が43.2kg(95.0ポンド)の小児に対する医薬製剤の正確な投与量が示されている。体重例1aにおいて、投与量は、432mgの量のイブプロフェンおよび648mgの量のアセトアミノフェンを含む。投与量は、経口液剤の形態であり、活性成分(イブプロフェンおよびアセトアミノフェン)を含む液体の量は、20.9mLである。別の例の体重例3gにおいて、小児の体重は、24.0kg(52.8ポンド)である。投与量は、11.6mLの液体担体中に240mgの量のイブプロフェンおよび360mgの量のアセトアミノフェンを含む。
【0040】
【0041】
*注:体重に基づくmgでの投与量は、個々の投薬の場合と同じであるが、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンの濃度は、従来の経口液剤形態の2倍(5ml中100mgに代わり2.5ml中100mgのイブプロフェン、5ml中160mgに代わり2.5ml中160mgのアセトアミノフェン)であり、組合せ薬物の容量を個々の薬物いずれかのものと同様にしている。
【0042】
実施例2
【0043】
実施例2において、表2を参照して、第2投与量チャートに関する情報を決定した。表2の情報は、小児患者の体重範囲に基づく正確な投与量を含む。すなわち、上記実施例1の表1と表2との主な違いは、表1の情報は小児患者の正確な体重に基づいているのに対し、表2の情報は小児患者の体重範囲に基づいている点である。表1の投与量は「正確な投与量」と呼ばれ、一方、表2の投与量は「標準投与量」と呼ばれ得る。
【0044】
特に、表2の体重例1a~1uを参照すると、体重が43.2kg(95.0ポンド)~32.5kg(71.6ポンド)までの小児に対する医薬製剤の標準投与量範囲が示されている。体重例1a~1uにおいて、投与量は、300mgの量のイブプロフェンおよび480mgの量のアセトアミノフェンを含む。投与量は、経口液剤の形態であり、活性成分(イブプロフェンおよびアセトアミノフェン)を含む液体の量は、15.0mLである。表2の体重例3a~3kを参照すると、体重が27.2kg(59.8ポンド)~21.9kg(48.1ポンド)までの小児に対する医薬製剤の標準投与量範囲が示されている。体重例3a~3kにおいて、投与量は、10mLの液体中に200mgの量のイブプロフェンおよび320mgの量のアセトアミノフェンを含む。
【0045】
【0046】
*注:体重に基づくmgでの投与量は、個々の投薬の場合と同じであるが、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンの濃度は、従来の経口液剤形態の2倍(5ml中100mgに代わり2.5ml中100mgのイブプロフェン、5ml中160mgに代わり2.5ml中160mgのアセトアミノフェン)であり、組合せ薬物の容量を個々の薬物いずれかのものと同様にしている。
【0047】
実施例3
【0048】
実施例3において、表3に示すとおり、第3の投与量チャートに関する情報を決定した。表3の情報は、小児患者の体重範囲に基づく正確な投与量を含む。ポンドからキログラムへの変換は正確ではなく、使いやすいように整数範囲に丸めていることに留意されたい。表3の情報には、上記表2に含まれる情報が組み込まれている。特に、表2の体重例1a~1u、2a~2i、3a~3k、4a~4k、5a~5iおよび6a~6hが表3に含まれている。また、表3は小児患者の年齢情報も含む。年齢は参照として使用できるが、体重範囲から主に投与する用量を導くべきである。
【0049】
【0050】
*注:体重に基づくmgでの投与量は、個々の投薬の場合と同じであるが、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンの濃度は、従来の経口液剤形態の2倍(5ml中100mgに代わり2.5ml中100mgのイブプロフェン、5ml中160mgに代わり2.5ml中160mgのアセトアミノフェン)であり、組合せ薬物の容量を個々の薬物いずれかのものと同様にしている。ポンドからキログラムへの変換は正確ではなく、使いやすいように整数範囲に丸めていることに留意されたい。
【0051】
上記の表1、2および3に記載するとおり、本発明に従って、異なる投与量チャートを示す。本明細書で用いる用語「投与量チャート」は、カード、シート、パッド、ポスター、表、アウトライン、タブレット、グラフィックなどを含むがこれらに限定されない、投与量情報を含むあらゆる表示媒体を意味する。投与量チャートは、電子形式または非電子形式であり得る。投与量チャートは、例示的な医薬製剤中のイブプロフェン化合物およびアセトアミノフェン化合物の量と、処置対象となる発熱した小児の例示的医薬製剤および例示的体重に関する情報を含む。(表1および表2は、正確な小児の体重を含み、表3は、小児の体重範囲を含む。)投与量チャートは、処置される発熱した小児の体重に基づく製剤の正確な投与量を示している。表1および表2に示す例では、製剤は液体担体を含み、投与量はミリリットル(ml)単位で示されている。表3に示す例では、一部の例は液体担体を含む製剤に関するものであり、投与量はミリリットル(ml)単位で示されている。他の例は、固形または半固形担体を含む製剤に関するものであり、投与量は測定単位で示されている。
【0052】
投与量チャートは、本発明に従って、熱のある小児を処置するために用いられ得る。例えば、一方法において、介護者はまず小児の体温を測定して、熱を処置し得るか決定し得る。熱を処置し得る場合、小児の体重を量り、その後、医薬製剤の正確な投与量(上記表1、2および3に示す)を小児に送達する。その後、介護者は、所定の時間後、小児の体温を測定して、小児が処置し得る熱があるかを決定する。小児が処置し得る熱がまだある場合、医薬製剤の正確な投与量(上記表1、2および3に示す)を、小児の発熱がなくなるまで、小児に送達する。
【0053】
本発明はまた、発熱した小児を処置するための医薬キットを含む。一実施態様において、キットは、a)発熱した小児を処置するための製剤であって、該製剤が、所定量のイブプロフェン化合物および所定量のアセトアミノフェン化合物を含む、製剤、およびb)投与量チャートであって、該チャートが、第1製剤中のイブプロフェン化合物の量および第2医薬製剤中のアセトアミノフェン化合物の量、ならびに小児の例示的体重に関する情報を有し、第1および第2医薬製剤の投与量が、処置される発熱した小児の体重に基づく、チャートを含む。別の実施態様において、キットは、a)発熱した小児を処置するための第1医薬製剤であって、所定量のイブプロフェン化合物を含む第1製剤、b)発熱した小児を処置するための第2医薬製剤であって、所定量のアセトアミノフェン化合物を含む第1製剤、およびc)上記投与量チャートを含む。キットは、測定した投与量を発熱した小児に送達できるように、製剤の投与量を測定するための手段(例えば、計量カップ、計量スプーン、バイアル、チューブ、シリンジなど)をさらに含み得る。キットはまた、第1および第2製剤が、製剤を小児に同時に投与できるように、容器、例えばアンプル、バイアルまたはチューブに入れられている、送達システムを有し得る。
【0054】
本発明は、主にイブプロフェンとアセトアミノフェンを組み合わせた剤形に関するものであるが、投与量を製剤中の特定の薬物に応じて調整すれば、イブプロフェン以外の非ステロイド性抗炎症化合物(ナプロキセンなど)も使用し得て、また、アセトアミノフェン以外の鎮痛解熱化合物も使用し得ることを理解されたい。
【0055】
6か月から12歳までの小児患者の場合、イブプロフェン(それ自体)の簡略化され丸められた標準的な経口用量は、典型的には、約50mg~約300mgの範囲である(表3)。液体剤形(例えば、滴下剤、液剤、乳剤、懸濁剤またはエリキシル剤)の場合、これは2.5ml~15mlに相当する。イブプロフェンは、6時間ごと以下の頻度で投与される。同様に、6か月から12歳までの小児患者の場合、アセトアミノフェン(それ自体)の簡略化され丸められた標準的な経口用量は、典型的には、約80mg~約480mgの範囲である(表3)。液体剤形(例えば、滴下剤、液剤、乳剤、懸濁剤またはエリキシル剤)の場合、これは2.5ml~15mlに相当する。アセトアミノフェンは、4時間ごと以下の頻度で投与される。
【0056】
ここで、本発明によれば、組合せ液体剤形(例えば、滴下剤、液剤、乳剤、懸濁剤またはエリキシル剤)の濃度は、標準投与量の2倍である。したがって、イブプロフェンとアセトアミノフェンの組合せ液体剤形で用いられる容量は、イブプロフェンを単独で投与する場合のイブプロフェンの標準投与量で用いられる容量と同一である(すなわち、それ以下)。同様に、イブプロフェンとアセトアミノフェンの組合せ剤形で用いられる容量は、アセトアミノフェンを単独で投与する場合のアセトアミノフェンの一般的投与量で用いられるアセトアミノフェンの量と同一である(すなわち、それ以下)。例えば、55.1ポンド(25kg)の小児は、200mg(10ml)のイブプロフェンの簡略化され丸められた標準的な用量が投与される(表3の行3(a~k)を参照)。同じ小児は、320mg(10ml)のアセトアミノフェンの簡略化され丸められた標準的な用量が投与される(表3の行3(a~k)を参照)。組合せ液体剤形(例えば、滴下剤、液剤、乳剤、懸濁剤またはエリキシル剤)中の各薬物の濃度が標準投与量の2倍であることを考慮すると、組合せ容量の最終容量は、イブプロフェン200mgおよびアセトアミノフェン320mgのいずれかの標準投与量で用いられる容量以下であり、総容量は10mlである(2回の個々の簡略化され丸められた液体用量を別々に投与する場合)。
【0057】
本発明は、小児患者をイブプロフェンおよびアセトアミノフェンにより安全かつ治療的方法で効果的に処置するための効果的な投与レジメン、方法、製剤およびキットを提供する。本明細書に記載および例示する化合物、組成物、製剤、レジメン、方法、キットなどは、本発明の一部の実施態様を表すに過ぎないことを理解されたい。当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、化合物、組成物、製剤、レジメン、方法、キットなどに様々な変更および付加がなされ得ることを理解する。このような実施態様はすべて、特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【国際調査報告】