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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】表示装置、車両及び車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/32 20060101AFI20241226BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20241226BHJP
   B60K 35/29 20240101ALI20241226BHJP
【FI】
G02B5/32
G02B5/00 Z
B60K35/29
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513009
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2022139849
(87)【国際公開番号】W WO2023125088
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111656373.0
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100216150
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 良樹
(72)【発明者】
【氏名】▲鐘▼益林
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼春芬
(72)【発明者】
【氏名】黄江
(72)【発明者】
【氏名】代▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼▲鋒▼武
【テーマコード(参考)】
2H042
2H249
3D344
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA05
2H042AA20
2H042AA26
2H249CA04
2H249CA08
2H249CA09
2H249CA22
3D344AA27
3D344AB01
3D344AD01
(57)【要約】
表示装置(100)、車両(200)及び車両(200)の制御方法をを開示し、表示装置(100)は、ビーム発生器(10)及びホログラフィック光導波路(20)を含み、ビーム発生器(10)は、ディスプレイ(11)を含み、ディスプレイ(11)によって表示される画像情報を有するビームを発生し、ディスプレイ(11)のサイズが第1所定のサイズであり、ホログラフィック光導波路(20)は、画像情報を有するビームに基づいて、表示装置(100)から後方に第1所定の距離離れた位置に第2所定のサイズの画像を表示し、第2所定のサイズが第1所定のサイズの所定の倍数のサイズであり、所定の倍数が1より大きい。これにより、該表示装置(100)は、目の瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がなく、疲労及び近視を引き起こすことがなく、家庭でテレビドラマを見るような体験を実現することができ、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有しないこともできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム発生器及びホログラフィック光導波路を含み、
前記ビーム発生器は、ディスプレイを含み、前記ディスプレイによって表示される画像情報を有するビームを発生し、前記ディスプレイのサイズが第1所定のサイズであり、
前記ホログラフィック光導波路は、前記画像情報を有するビームに基づいて、前記表示装置から後方に第1所定の距離離れた位置に第2所定のサイズの画像を表示し、
前記第2所定のサイズが前記第1所定のサイズの所定の倍数のサイズであり、
前記所定の倍数が1より大きい、ことを特徴とする、
表示装置。
【請求項2】
前記ホログラフィック光導波路は、光導波路内部結合構造及び光導波路外部結合構造を含み、
前記光導波路内部結合構造は、前記画像情報を有するビームを内部結合し、前記画像情報を有するビームを前記光導波路外部結合構造に伝播し、
前記光導波路外部結合構造は、前記表示装置から後方に前記第1所定の距離離れた位置に前記第2所定のサイズの画像を表示するように前記画像情報を有するビームを外部結合する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ビーム発生器は、前記光導波路内部結合構造に正対して設けられ、
前記光導波路内部結合構造及び前記光導波路外部結合構造は、同一平面内に設けられる、ことを特徴とする、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画像情報を有するビームは平行ビームであり、
前記光導波路外部結合構造は、ホログラフィック乾板を含み、
前記ホログラフィック乾板には物体光及び参照光の光情報が予め記録され、
前記物体光、前記参照光から前記ホログラフィック乾板までの距離と前記所定の倍数、前記第1所定の距離は下式を満たし、
【数1】
【数2】
ここで、Mは前記所定の倍数であり、l、lはそれぞれ前記物体光、前記参照光から前記ホログラフィック乾板までの距離であり、lは前記第1所定の距離である、ことを特徴とする、
請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ビーム発生器は、順に設けられた光源、集光板、拡散板及びコリメータレンズをさらに含み、
前記ディスプレイは、前記拡散板と前記コリメータレンズとの間に設けられる、ことを特徴とする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源は、発光ダイオードLED光源、レーザ光源又はマイクロ発光ダイオードmicro LED光源を含み、
前記集光板は、集光レンズ又は反射鏡を含み、
前記ディスプレイは、薄膜トランジスタTFTディスプレイ、デジタルマイクロミラー素子DLPディスプレイ、シリコン上の液晶LCOSディスプレイ又は有機発光ダイオードOLEDディスプレイを含む、ことを特徴とする、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記所定の倍数の値は4~6であり、
前記第1所定の距離の値は2500~3500mmであり、
前記ホログラフィック光導波路の厚さは1.5~2.5mmである、ことを特徴とする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の表示装置を含む、ことを特徴とする、
車両。
【請求項9】
前記表示装置は、前記車両の前部座席のヘッドレストの位置又は背中の位置に設けられる、ことを特徴とする、
請求項8に記載の車両。
【請求項10】
車両の制御方法であって、
前記車両は、前部座席と、後部座席と、請求項1~7のいずれか一項に記載の表示装置とを含み、
前記表示装置は、前記前部座席のヘッドレストの位置又は背中の位置に設けられ、
前記方法は、
前記表示装置が動作状態にあると判定することと、
前記表示装置と前記後部座席の乗客の目との相対位置を取得することと、
前記相対位置が所定の条件を満たさない場合、前記前部座席と前記後部座席の少なくとも一方の位置を調整することと、
を含む、ことを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2021年12月30日に提出された出願番号202111656373.0、名称「表示装置、車両及び車両の制御方法」の中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、車両の技術分野に関し、特に、表示装置、車両及び車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、一部の高級車種では前部座席の後方にディスプレイが取り付けられ、主に後部座席の乗客が容易に見られるように動画を再生することに用いられ、車両のグレードを向上させ、後部乗客の娯楽性を向上させ、また、機能がより完備した高級車種は通信、オフィス事務、インターネット接続、ゲーム機外付けなどの機能を備える。関連技術において、後部ディスプレイは、例えば前部座席のヘッドレストの後方(図1に示す)、前部座席シートバックの後方、中央アームレストの後方、後部ルーフなどの位置に配置され、統一されていない。動画を見る最適な位置は前部座席のヘッドレストの後方、かつ前部座席シートバックの後方であり、後部ディスプレイの表示する画像は12インチ程度である。しかしながら、関連技術において、人間の目からディスプレイまでの観察距離が650mm程度しかなく、距離が短すぎて、人間の目は常に小さいスクリーンを見ると、視覚疲労及び近視を引き起こしやすく、特に車の走行中に揺れて、めまいを感じ、不快になりやすい。
【発明の概要】
【0004】
表示装置、車両及び車両の制御方法は、メガネの瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がなく、疲労及び近視を引き起こすことがなく、家庭でテレビドラマを見るような体験を実現することができ、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有しないこともできる。
【0005】
第1態様において、本開示に係る表示装置は、ビーム発生器及びホログラフィック光導波路を含み、前記ビーム発生器は、ディスプレイを含み、前記ディスプレイによって表示される画像情報を有するビームを発生し、前記ディスプレイのサイズが第1所定のサイズであり、前記ホログラフィック光導波路は、前記画像情報を有するビームに基づいて、前記表示装置から後方に第1所定の距離離れた位置に第2所定のサイズの画像を表示し、前記第2所定のサイズが前記第1所定のサイズの所定の倍数のサイズであり、前記所定の倍数が1より大きい。
【0006】
本開示の実施例に係る表示装置によれば、第2所定のサイズの画像を表示することにより、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有せず、表示装置から後方に第1所定の距離離れた位置に画像を表示することにより、全体的な体験が家庭でテレビドラマを見るような感覚に類似するようにし、メガネの瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がない。
【0007】
第2態様において、本開示に係る車両は、前記表示装置を含む。
【0008】
前記表示装置は、前記車両の前部座席のヘッドレストの位置又は背中の位置に設けられる。
【0009】
本開示の実施例に係る車両によれば、表示装置により、メガネの瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がなく、疲労及び近視を引き起こすことがなく、家庭でテレビドラマを見るような体験を実現することができ、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有しないこともできる。
【0010】
第3態様において、本開示に係る車両の制御方法において、前記車両は前部座席、後部座席及び前記表示装置を含み、前記表示装置は前記前部座席のヘッドレストの位置又は背中の位置に設けられ、前記方法は、前記表示装置が動作状態にあると判定することと、前記表示装置と前記後部座席の乗客の目との相対位置を取得することと、前記相対位置が所定の条件を満たさない場合、前記前部座席と前記後部座席の少なくとも一方の位置を調整することとを含む。
【0011】
本開示の実施例に係る車両の制御方法によれば、モータによってホログラフィック光導波路を調整することにより、表示装置と後部座席の乗客の目との相対位置をそのまま保持し、メガネの瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がなく、疲労及び近視を引き起こすことがなく、家庭でテレビドラマを見るような体験を実現することができ、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有しないこともできる。
【0012】
本開示の付加的な態様及び利点については、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明から明らかになるか又は本開示の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】関連技術においてディスプレイを前部座席のヘッドレストの後方に配置した概略図である。
図2】本開示の一実施例の表示装置の概略構成図である。
図3】本開示の一実施例の表示装置が表示する画像のサイズの概略図である。
図4】本開示の一実施例のビーム発生器の概略構成図である。
図5】本開示の一実施例のホログラフィック光導波路の概略構成図である。
図6】本開示の一実施例のホログラフィック光導波路の光線の概略図である。
図7】本開示の一実施例のホログラフィック乾板に記録された物体光及び参照光の光情報の概略図である。
図8】本開示の一実施例の物体光、参照光からホログラフィック乾板までの距離の概略図である。
図9】本開示の一実施例のホログラフィック乾板の再生光の概略図である。
図10】本開示の一実施例の車両の概略構成図である。
図11】本開示の一実施例の表示装置が前部座席のヘッドレストの位置に設けられる概略図である。
図12】本開示の一実施例の表示装置が前部座席の背中の位置に設けられる概略図である。
図13】本開示の別の実施例の車両の概略構成図である。
図14】本開示の一実施例の車両の制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、前記実施例の例は図面に示されるが、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の素子、或いは、同一又は類似の機能を有する素子を表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものであり、本開示を解釈するためのものであり、本開示を限定するものとして理解してはならない。
【0015】
以下、図2図14に示すように、本開示の実施例の表示装置、車両及び車両の制御方法を説明する。
【0016】
図2は、本開示の一実施例の表示装置の概略構成図である。図2に示すように、表示装置100は、ビーム発生器10及びホログラフィック光導波路20を含み、ビーム発生器10はディスプレイ11を含み、ディスプレイ11によって表示される画像情報を有するビームを発生し、ディスプレイ11のサイズが第1所定のサイズであり、ホログラフィック光導波路20は、画像情報を有するビームに基づいて、表示装置100から後方に第1所定の距離離れた位置に第2所定のサイズの画像を表示し、第2所定のサイズが第1所定のサイズの所定の倍数のサイズであり、所定の倍数が1より大きい。所定の倍数の値は4~6であり、第1所定の距離の値は2500~3500mmである。
【0017】
具体的には、関連技術において、座席ディスプレイは、液晶ディスプレイ(例えば12インチ)を直接使用し、表示サイズはディスプレイのサイズ(12インチ)であり、人間の目はディスプレイを直接見る。
【0018】
図3に示すように、本開示において、ホログラフィック光導波路20は、ビーム発生器10によって発生されディスプレイ11(ディスプレイ11のサイズ、即ち、第1所定のサイズは、例えば12インチ)によって表示される画像情報を有するビームに基づいて、表示装置100から後方に第1所定の距離離れた位置にある第2所定のサイズ(例えば50インチ)の画像R1を人間の目Eに見せる。これにより、第2所定のサイズの画像を表示することで、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有せず、表示装置100から後方に第1所定の距離離れた位置に画像を表示することにより、全体的な体験が家庭でテレビドラマを見るような感覚に類似するようにし、メガネの瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がない。
【0019】
一例として、ビーム発生器10は、順に設けられた光源12、集光板13、拡散板14及びコリメータレンズ15をさらに含んでもよく、ディスプレイ11は、拡散板14とコリメータレンズ15との間に設けられる。
【0020】
具体的には、従来の手段において、LEDは導光板により12インチの液晶ディスプレイに照射され、人間の目はディスプレイを直接見る。図4に示すように、本開示において、光源12は、集光板13によって集光され、拡散板14によって均一に拡散され、小サイズのディスプレイ11(例えば、5インチ)に照射され、さらに、ディスプレイ11によって表示される画像情報を有するビームをコリメータレンズ15によって取得する。光源12は、発光ダイオードLED光源、レーザ光源又はマイクロ発光ダイオードmicro LED光源を含んでもよく、集光板13は、集光レンズ又は反射鏡を含んでもよく、ディスプレイ11は小さく、外観において表示しない。ディスプレイ11は、薄膜トランジスタTFTディスプレイ、デジタルマイクロミラー素子DLPディスプレイ又はシリコン上の液晶LCOSディスプレイ又は有機発光ダイオードOLEDディスプレイを含んでもよく、ビーム発生器10の体積を減少させ、色表示性を向上させる場合、有機発光ダイオードOLEDディスプレイをさらに使用することができる。
【0021】
一例として、ホログラフィック光導波路20は、光導波路内部結合構造21及び光導波路外部結合構造22を含んでもよく、光導波路内部結合構造は画像情報を有するビームを内部結合し、画像情報を有するビームを光導波路外部結合構造22に伝播し、光導波路外部結合構造22は、画像情報を有するビームを外部結合して、表示装置100から後方に第1所定の距離離れた位置に第2所定のサイズの画像を表示する。画像情報を有するビームは平行ビームであり、ビーム発生器10は、光導波路内部結合構造21に正対して設けられ、前記光導波路内部結合構造21及び前記光導波路外部結合構造22は、同一平面内に設けられる。
【0022】
具体的には、図5図6に示すように、ビーム発生器10によって発生されたディスプレイ11によって表示される画像情報を有するビームは、ホログラフィック回折格子をビームとして利用する光導波路内部結合構造21に入り、ホログラフィック回折格子をビームとして利用する光導波路外部結合構造22を経て、最終的に第2所定のサイズの画像が表示装置100から後方に第1所定の距離離れた位置に結像される。ディスプレイ11のサイズである第1所定のサイズ(例えば、12インチ)から、ホログラフィック回折格子による記録及び結像原理により、画像の第2所定のサイズ(例えば、50インチ)の拡大表示が実現され、人間の目Eに第2所定のサイズの画像が見られる。
【0023】
なお、光導波路の役割では、光情報が導波路内で伝播し、導波路の一端から他端に伝播するが、界面から出ることがない。干渉生成及び回折再生によりホログラフィック回折格子を実現し、さらにホログラフィック回折格子を光導波路表面に貼り付け、元の全反射の界面規則を破ることにより、光情報伝播の方向及びエネルギーが変えられ、光情報が導波路内部から外部に伝送されて人間の目に入る。
【0024】
具体的には、光導波路外部結合構造22は、ホログラフィック乾板221を含み、ホログラフィック乾板221には物体光及び参照光の光情報が予め記録され、物体光、参照光からホログラフィック乾板221までの距離と所定の倍数と、第1所定の距離とは下式を満たし、
【数1】
【数2】
ここで、Mは所定の倍数であり、l、lはそれぞれ物体光、参照光からホログラフィック乾板221までの距離であり、lは第1所定の距離である。
【0025】
以下、図7及び図8を参照してホログラフィック乾板221の記録及び結像原理を説明する。
【0026】
具体的な原理として、図7に示すように、ビームスプリッタS1は、レーザLからのレーザ光を2つに分割して干渉コヒーレント光を生成する。反射鏡S2~S3は光路を折り畳み、ビームエキスパンダS4~S5は集光レーザ光を大面積の光源に拡散させて、全ての物体Aを照明し、拡大レンズS6は、物体Aを拡大して第2所定のサイズの画像に結像した画像を、表示装置100から後方に第1所定の距離離れた位置に結像させ、ホログラフィック乾板221には物体光O及び参照光Rの光情報が記録される。
【0027】
図8に示すように、物体Aは拡大レンズS6により結像される位置が物体光Oの位置であり、ビームエキスパンダS4の位置が参照光Rの位置である。物体光O及び参照光Rはいずれもコヒーレント光であり、物体光の式O(x,y)と参照光の式R(x,y)は式(1)、(2)に示す通りであり、
【数3】
【数4】
ここで、O
【数5】
は、物体光Oがホログラフィック乾板221に到達する振幅及び位相であり、R
【数6】
は、参照光Rがホログラフィック乾板221に到達する振幅及び位相である。
【0028】
干渉場の振幅は、両者のコヒーレント重畳であり、式(3)に示す通りであり、
U(x,y)=O(x,y)+R(x,y) (3)
ホログラフィック乾板221に記録された露光光量は、式(4)に示す通りであり、
I(x,y)=U(x,y)*U(x,y)=|O|+|R|+O*R+O*R (4)
ここで、U(x,y)はU(x,y)の共役であり、RはRの共役であり、OはOの共役である。
【0029】
図9に示すように、ビーム発生器10におけるコリメータレンズ15から出射された再生光Cは、上記情報を凍結するホログラフィック乾板221に照射される。再生光Cの式C(x,y)は、式(5)に示す通りであり、再生光Cがホログラフィック乾板221を透過した光の式U’(x,y)は、式(6)に示す通りである。
【数7】
U’(x,y)=C(x,y)*I(x,y) (6)
【0030】
【数8】
上式(7)の第1項及び第2項は、再生光C(x,y)と類似し振幅が異なるため、再生光Cと同様に伝播する。第3項は、物体Aの位相情報を含むが、付加情報もあり、この項が最も物体光Oを再現する可能性がある。第4項は、物体Aの共役位相情報を含み、この項が共役像を形成する可能性が最も高い。再生光Cと参照光Rとが一致する(即ち
【数9】
)場合、第3項が物の位相情報であるため、再生物体光Oは虚像Cであり、再生光Cと参照光Rとが共役である(即ち
【数10】
)場合、第4項は物体の実像R1であるが、被写界深度が反転し、即ち近い箇所が遠い箇所となり、再生光Cと参照光Rとが一致せず共役でない(即ち
【数11】
)場合、第3項は1つの拡大又は縮小可能な薄いレンズに相当する。
【0031】
なお、本開示において、反射鏡又はレンズによって拡大された光情報を感光性材料でホログラフィック乾板221に予め記録し、再生過程にレンズ又は反射鏡を必要とせず、即ち、図7図8におけるホログラフィック乾板221の記録及び結像過程は、表示装置100が動作を開始する前に完了され、これにより、ホログラフィック光導波路20は1.5~2.5mmのみの厚さで光路記録を行い、反射鏡又はレンズが占める結像空間を減少させる。
【0032】
図8図9に示すように、l、l、lはそれぞれ、物体光O、再生光C及び参照光Rからホログラフィック乾板221までの距離である。lは、画像が表示装置100から後方に離れた第1所定の距離である。
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
【0033】
一般的なレンズの物象関係は、式(12)~(13)に示す通りである。
【数16】
【数17】
【0034】
拡大倍数Mは、式(14)に示す通りである。
【数18】
【0035】
本開示において、ビーム発生器10は、再生光Cが平行光であり、距離が無限遠になるように、最後に設けられたコリメータレンズ15を含んでもよい。再生光Cからホログラフィック乾板221までの距離lが∞である場合、式(14)は
【数19】
であり、目標の拡大倍数が10倍であり、即ち拡大倍数M=10である場合、参照光Rからホログラフィック乾板221までの距離はl=1.11*lとなる。これにより、画像を5インチから50インチに拡大することを実現することができる。
【0036】
なお、他の設計要件に応じて、以上のような原理で設計してもよい。例えば、結像距離(即ち、第1所定の距離)が3メートルであり、画像が5インチから50インチに拡大される(即ち、拡大倍数M=10)要件を実現するために、再生光Cと参照光Rとの波長が一致し、即ち、l=3000mmであり、lが∞である場合、(12)式及び(13)式に基づいてf’=3000mmを取得し、l=1.11*lに基づいてl=297.3mm、l=330mmをさらに取得する。また、異なるシステムにより異なる拡大倍数及び異なる距離での結像を実現することができ、これは設計目標に関連するが、その原理方法は同じである。
【0037】
以上より、表示装置100は、結像距離を増加させることができ、メガネの瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がなく、疲労及び近視を引き起こすことがなく、家庭でテレビドラマを見るような体験を実現する。また、形成された画像が虚像であるため、受信スクリーンで受信する必要がなく、直接に空気中の対応位置で画像を見ることができ、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有しないこともでき、物理空間に大きなサイズのディスプレイを置くことができないという問題も解決し、実体空間に1つの座席があっても、結像画像を遮蔽したり、結像輝度を低下させたりすることがない。
【0038】
図10は、本開示の一実施例の車両の概略構成図である。図10に示すように、車両200は、上記表示装置100を含む。具体的には、図11図12に示すように、表示装置100は、車両200の前部座席のヘッドレストの位置H又は背中の位置Bに設けられ、これは、主に車両全体のマンマシンチェック、人間の目Eの視覚チェック、快適性チェックにより、最適な配置位置が確認される。
【0039】
以上より、車両200は、表示装置100により、メガネの瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がなく、疲労及び近視を引き起こすことがなく、家庭でテレビドラマを見るような体験を実現することができ、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有しないこともできる。
【0040】
図14は、本開示の一実施例の車両の制御方法のフローチャートである。図13に示すように、車両200は、前部座席210、後部座席220及び上記表示装置100を含み、表示装置100は、前部座席210のヘッドレストの位置又は背中の位置に設けられる。図14に示すように、車両の制御方法は、以下のステップS101~S103を含む。
【0041】
S101では、表示装置100が動作状態にあると判定する。
【0042】
S102では、表示装置100と後部座席220の乗客の目との相対位置を取得する。
【0043】
S103では、相対位置が所定の条件を満たさない場合、前部座席210及び後部座席220の少なくとも一方の位置を調整する。
【0044】
具体的には、座席が角度及び上下位置の一定の調整範囲を有し、結像位置が1つの固定された視野領域であるため、モータによってホログラフィック光導波路20を調整することにより、相対位置をそのまま保持する必要がある。
【0045】
なお、本開示の実施例の車両の制御方法の他の具体的な実施形態は、本開示の実施例の表示装置100の具体的な実施形態を参照することができる。
【0046】
以上より、車両の制御方法は、メガネの瞳孔を長期間にわたって大きく開いた不快な状態にする必要がなく、疲労及び近視を引き起こすことがなく、家庭でテレビドラマを見るような体験を実現することができ、画像のサイズを増加させるとともに、車両の物理空間を占有しないこともできる。
【0047】
なお、フローチャートに示されるか又は本開示で他の方式で説明されたロジック及び/又はステップは、例えば、ロジック機能を実現するための実行可能な命令の順序付けられたリストとしてみなされてもよく、具体的には、任意のコンピュータ可読媒体に具体的に実現されることにより、命令実行システム、装置若しくは機器(例えば、コンピュータに基づくシステム、プロセッサを含むシステム、又は命令実行システム、装置若しくは機器から命令を読み取って実行できる他のシステム)によって使用されるか、又はこれらの命令実行システム、装置若しくは機器と組み合わせて使用されてもよい。本明細書では、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置又は機器によって使用されるか、これらの命令実行システム、装置又は機器と組み合わせて使用されるためのプログラムを格納、記憶、通信、伝播又は伝送することができる任意の装置であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、1つ以上の配線を有する電気接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスクボックス(磁気装置)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ装置、及びポータブル読み取り専用メモリ(CDROM)を含む。また、コンピュータ可読記憶媒体はさらに、例えば、紙又は他の媒体を光学的にスキャンし、次に編集し、解釈するか、又は必要に応じて他の適切な方式で処理することにより、上記プログラムを電子的に取得し、その後にコンピュータメモリに記憶することができるため、上記プログラムを印刷することができる紙又は他の適切な媒体であってもよい。
【0048】
本開示の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせによって実現することができることを理解されたい。上記実施形態では、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶され、かつ適切な命令実行システムにより実行されるソフトウェア又はファームウェアによって実現することができる。例えば、ハードウェアによって実現される場合、別の実施形態と同様に、データ信号に対してロジック機能を実現するためのロジックゲート回路を有する離散ロジック回路、適切な組み合わせロジックゲート回路を有する特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの本分野の公知技術のうちのいずれか一項又はそれらの組み合わせによって実現することができる。
【0049】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」又は「いくつかの例」などの用語を参照した説明は、該実施例又は例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0050】
なお、本開示の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、操作されなければならないと指示するか又は暗示するものではないため、本開示を限定するものとして理解してはならない。
【0051】
また、用語「第1」、「第2」は、説明目的のためのみに用いられ、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数量を示唆すると理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本開示の説明において、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0052】
本開示において、明確な規定及び限定がない限り、用語「装着」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、明確な限定がない限り、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続、電気的な接続であってもよく、直接的な連結、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本開示における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0053】
本開示において、明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することであってもよく、第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことを表すことを含んでもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含んでもよく、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことを表すことを含んでもよい。
【0054】
以上、本開示の実施例を示し説明したが、上記実施例は、例示的なものであり、本開示を限定するものであると理解すべきではなく、当業者であれば、本開示の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
図1
図2
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図4
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図14
【手続補正書】
【提出日】2024-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム発生器及びホログラフィック光導波路を含み、
前記ビーム発生器は、ディスプレイを含み、前記ディスプレイによって表示される画像情報を有するビームを発生し、前記ディスプレイ第1所定のサイズを有し
前記ホログラフィック光導波路は、前記画像情報を有するビームに基づいて、前記表示装置から後方に第1所定の距離離れた位置に第2所定のサイズの画像を表示し、
前記第2所定のサイズが前記第1所定のサイズの所定の倍数のサイズであり、
前記所定の倍数が1より大きい、ことを特徴とする、
表示装置。
【請求項2】
前記ホログラフィック光導波路は、光導波路内部結合構造及び光導波路外部結合構造を含み、
前記光導波路内部結合構造は、前記画像情報を有するビームを内部結合し、前記画像情報を有するビームを前記光導波路外部結合構造に伝播し、
前記光導波路外部結合構造は、前記表示装置から後方に前記第1所定の距離離れた位置に前記第2所定のサイズの画像を表示するように前記画像情報を有するビームを外部結合する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ビーム発生器は、前記光導波路内部結合構造に正対して設けられ、
前記光導波路内部結合構造及び前記光導波路外部結合構造は、同一平面内に設けられる、ことを特徴とする、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画像情報を有するビームは平行ビームであり、
前記光導波路外部結合構造は、ホログラフィック乾板を含み、
前記ホログラフィック乾板には物体光及び参照光の光情報が予め記録され、
前記物体光、前記参照光から前記ホログラフィック乾板までの距離と前記所定の倍数、前記第1所定の距離は下式を満たし、
【数1】
【数2】
ここで、Mは前記所定の倍数であり、l、lはそれぞれ前記物体光、前記参照光から前記ホログラフィック乾板までの距離であり、lは前記第1所定の距離である、ことを特徴とする、
請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ビーム発生器は光源、集光板、拡散板及びコリメータレンズをさらに含み、
前記ディスプレイは、前記拡散板と前記コリメータレンズとの間に設けられる、ことを特徴とする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源は、発光ダイオードLED光源、レーザ光源又はマイクロ発光ダイオードmicro LED光源を含み、
前記集光板は、集光レンズ又は反射鏡を含み、
前記ディスプレイは、薄膜トランジスタTFTディスプレイ、デジタルライトプロセッションDLPディスプレイ、シリコン上の液晶LCOSディスプレイ又は有機発光ダイオードOLEDディスプレイを含む、ことを特徴とする、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記所定の倍数の値は4~6であり、
前記第1所定の距離の値は2500~3500mmであり、
前記ホログラフィック光導波路の厚さは1.5~2.5mmである、ことを特徴とする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の表示装置を含む、ことを特徴とする、
車両。
【請求項9】
前記表示装置は、前記車両の前部座席のヘッドレストの位置又は背中の位置に設けられる、ことを特徴とする、
請求項8に記載の車両。
【請求項10】
車両の制御方法であって、
前記車両は、前部座席と、後部座席と、請求項1~のいずれか一項に記載の表示装置とを含み、
前記表示装置は、前記前部座席のヘッドレストの位置又は背中の位置に設けられ、
前記方法は、
前記表示装置が動作状態にあると判定することと、
前記表示装置と前記後部座席の乗客の目との相対位置を取得することと、
前記相対位置が所定の条件を満たさない場合、前記前部座席と前記後部座席の少なくとも一方の位置を調整することと、
を含む、ことを特徴とする、
方法。
【国際調査報告】