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特表2025-500117不織繊維なしで機械的に交絡した織布から製造される防弾材料及びその製造方法
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  • 特表-不織繊維なしで機械的に交絡した織布から製造される防弾材料及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】不織繊維なしで機械的に交絡した織布から製造される防弾材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/08 20190101AFI20241226BHJP
   B32B 5/22 20060101ALI20241226BHJP
   D03D 23/00 20060101ALI20241226BHJP
   B32B 5/06 20060101ALI20241226BHJP
   D06M 17/00 20060101ALI20241226BHJP
   F41H 5/04 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B32B7/08
B32B5/22
D03D23/00
B32B5/06 A
D06M17/00 H
F41H5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525820
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022079140
(87)【国際公開番号】W WO2023191902
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】63/277,802
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520028531
【氏名又は名称】デュポン セイフティー アンド コンストラクション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ホヴァネク ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンコ スコット
(72)【発明者】
【氏名】シャカラミ シェコウフェ
(72)【発明者】
【氏名】マルケイヒー ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4F100
4L032
4L048
【Fターム(参考)】
4F100AD11A
4F100AD11B
4F100AJ01A
4F100AJ01B
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100AK47A
4F100AK47B
4F100AL01A
4F100AL01B
4F100BA02
4F100BA05
4F100BA31
4F100DG12A
4F100DG12B
4F100DG20A
4F100DG20B
4F100EC07
4F100EC09
4F100GB72
4F100JA13
4F100JA13A
4F100JA13B
4F100JK01A
4F100JK01B
4F100JK07A
4F100JK07B
4F100JK08A
4F100JK08B
4L032AA04
4L032AA05
4L032AA06
4L032AA07
4L032AA08
4L032AB02
4L032AB04
4L032AC01
4L032AC02
4L032AC03
4L032AC06
4L032BD05
4L032CA00
4L032DA00
4L032EA00
4L032EA06
4L048AA14
4L048AA19
4L048AA25
4L048AB11
4L048BA09
4L048BB06
4L048DA01
4L048DA24
4L048EB00
(57)【要約】
一体化された材料及び一体化された材料を形成する方法。一体化された材料は、機械的に互いに交絡した複数の織布層を含む。複数の織布層は繊維を含む。複数の織布層は、複数の織布層の繊維と、不織繊維なしで機械的に互いに交絡される。複数の織布層の少なくとも一部の繊維は、複数の織布層のx-y平面に対して垂直なZ方向に延在する。一体化された材料の形成方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化された材料であって、
機械的に互いに交絡した複数の織布層を含み、
前記複数の織布層が繊維を含み、
前記複数の織布層が、前記複数の織布層の繊維と、不織繊維なしで機械的に互いに交絡されており、
前記複数の織布層の少なくとも一部の繊維が、前記複数の織布層のx-y平面に対して垂直なZ方向に延在する、
一体化された材料。
【請求項2】
前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の中にZ方向に延在する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項3】
前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の少なくとも一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも2つの別の織布層の中にZ方向に延在する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項4】
前記複数の織布層がニードルによる一体化によって機械的に互いに交絡している、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項5】
前記複数の織布層が水流交絡によって機械的に互いに交絡している、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項6】
前記複数の織布層が空気交絡によって機械的に互いに交絡している、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項7】
前記複数の織布層が約2層~約50層を有する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項8】
前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約20g/m2~約1500g/m2の坪量を有する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項9】
前記複数の織布層が一方向構成である、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項10】
前記複数の織布層が疑似一方向構成である、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項11】
前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも10g/dtexの強度を有する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項12】
前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約100g/dtexの引張弾性率を有する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項13】
前記複数の織布層の前記繊維が約1~約550パーセントの破断伸びを有する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項14】
前記複数の織布層の前記繊維がポリマーである、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項15】
前記複数の織布層の前記繊維が、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアゾール、ポリエステル、グラフェン、スパイダーシルク、カーボンナノチューブ、コポリマー、多成分繊維、及びそれらの組み合わせの繊維のタイプのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項16】
約0.025インチ~約4.0インチの厚さを有する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項17】
約0.034kg/m2~約9.8kg/m2の面密度を有する、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項18】
MIL STD-662Fに準拠したV50が約500ft/s~約20000ft/sである、請求項1に記載の一体化された材料。
【請求項19】
請求項1に記載の少なくとも1つの一体化された材料を含む物品。
【請求項20】
一体化された材料であって、
不織繊維なしで機械的に互いに交絡した2つ以上の織布層を含み、
前記2つ以上の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の一部の繊維が、前記2つ以上の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層内にZ方向に延在する、
一体化された材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、概して防弾材料に関し、より具体的には、不織繊維なしで機械的に交絡した織布から製造される防弾材料、及びそのような材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防弾材料を形成するために、例えばニードルパンチのように不織繊維を使用して織布を機械的に互いに交絡させることは、当該技術分野で周知である。これは、有刺針、ウォータージェット、エアジェットなどの機械的手段によって織布に不織繊維を機械的に押し込むことを含む。機械的手段は繰り返し織布を貫通し、不織繊維が織布の繊維に織り込まれて機械的に交絡するように不織繊維を織布に通す。これにより、織布が機械的に一体化される。例えば、米国特許第7,101,818号明細書及び同第7,631,405号明細書、並びに米国特許出願公開第2017/0191803号明細書及び同第2020/0025530号明細書を参照のこと。これらには、防弾材料、及び不織材料の繊維を織布材料の間隙で機械的に交絡して織布材料を強化し、一体化された多層防弾材料を形成する方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、機械的に交絡した防弾材料を形成するために使用される不織材料は、望ましくない追加の重量を生じさせる。例えば、不織材料及びその中の不織繊維は、一般的にはそれ自体は防弾性能上の利点をもたらさず、機械的に交絡した防弾材料内の「寄生重量」とみなされる。防弾用途(例えばベストやヘルメットなど)の重量は、長時間使用した後の防弾用途の着用者の疲労に寄与し、疲労をもたらすため、重量は防弾材料にとって重要な要素である。重量は、防弾材料が使用されるヘリコプターやその他の航空機など、特定の防弾用途の性能及び持続性にも影響する。したがって、性能を維持又は向上させながら軽量化することが望ましい。加えて、不織材料は、織布材料と比較すると、より多量の液体(例えば水や汗など)を吸収するが、これは防弾用途では望ましくない。
【0004】
したがって、同じ又は改善された防弾性能を有し、且つ製造がより効率的な、軽量で液体吸収が低減された、機械的に交絡した防弾材料が必要とされており、また望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本開示は、一体化された材料を提供する。一体化された材料は、機械的に互いに交絡した複数の織布層を含む。複数の織布層は繊維を含む。複数の織布層は、複数の織布層の繊維と、不織繊維なしで機械的に互いに交絡される。複数の織布層の少なくとも一部の繊維は、複数の織布層のx-y平面に対して垂直なZ方向に延在する。
【0006】
別の態様では、本開示は、一体化された材料を提供する。一体化された材料は、不織繊維なしで機械的に互いに交絡した2つ以上の織布層を含む。2つ以上の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の一部の繊維は、2つ以上の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層内にZ方向に延在する。
【0007】
別の態様では、本開示は、一体化された材料の形成方法を提供する。一体化された材料を形成する方法は、不織繊維を使用せずに2つ以上の織布層を機械的に互いに交絡させて一体化された材料を形成することを含む。
【0008】
一実施形態では、一体化された材料を形成する方法は、2つ以上の織布層を機械的に交絡させる前に、2つ以上の織布層を積み重ねて配置することをさらに含む。別の実施形態では、一体化された材料を形成する方法は、一体化された材料を熱処理及びカレンダー加工することをさらに含む。別の実施形態では、一体化された材料を形成する方法は、一体化された材料に1つ以上の二次加工ステップを適用することをさらに含む。
【0009】
別の態様では、一体化された材料を形成する方法は、複数の織布層を機械的に互いに交絡させて一体化された材料を形成することを含む。複数の織布層は繊維を含む。複数の織布層は、複数の織布層の繊維と、不織繊維なしで機械的に互いに交絡される。複数の織布層の少なくとも一部の繊維は、複数の織布層のx-y平面に対して垂直なZ方向に延在する。
【0010】
一実施形態では、一体化された材料を形成する方法は、複数の織布層を機械的に互いに交絡させる前に、複数の織布層を互いに積み重ねて配置することをさらに含む。別の実施形態では、一体化された材料を形成する方法は、一体化された材料を熱処理及びカレンダー加工することをさらに含む。別の実施形態では、一体化された材料を形成する方法は、一体化された材料に1つ以上の二次加工ステップを適用することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な実施形態による防弾材料の断面正面図である。
図2】例示的な実施形態による防弾材料を形成する方法のフローチャートである。
図3】例示的な実施形態による防弾物品の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部をなし、本発明の例示的な実施形態を示す添付図面を参照する。これらの実施形態について、当業者が実施形態を作成し、使用できるようにするのに十分に詳細に説明する。本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される例示的な実施形態に対する構造、論理、又は手順上の変更がなされ得ることも理解される。
【0013】
本明細書において使用される「ニードルによる一体化」とは、織布を通して有刺針を押し込み、それを引き抜いて織布の繊維を機械的に交絡させることで一体化された材料を形成することによって、不織繊維を使用せずに針を用いて織布を一体化するプロセスを指す。
【0014】
本明細書において使用される「繊維」は、幅及び厚さの横方向寸法よりもはるかに大きい長さ方向寸法を有する細長い物体である。繊維という用語には、モノフィラメント、マルチフィラメント、リボン、ストリップ、ステープル、及び規則的な若しくは不規則な断面を有する細断繊維、切断繊維、又は不連続繊維などの他の形態が含まれる。繊維という用語には、前述したいずれか又はそれらの組み合わせの複数も含まれる。繊維は、スプリットフィルム又はテープの形態であってもよい。
【0015】
本明細書で使用される「糸」とは、天然繊維又は人工繊維を含む、多くの繊維、同じ又は2種以上の異なる繊維から構成される連続ストランドである。糸は「トウ」又は「エンド」と呼ばれる場合もある。
【0016】
本明細書で使用される「層」とは、三次元で柔軟性を欠いた状態で又は柔軟に湾曲することができるが、平面に平らに置くと、厚さ寸法よりもはるかに大きい長さ及び幅寸法を有する物体である。
【0017】
本明細書で使用される「テープ」とは、幅よりも大きい長さを有し、且つ平均断面アスペクト比、すなわちテープ物品の長さにわたって平均化された断面の最大寸法対最小寸法の比が少なくとも約3:1である、平坦な狭い一体構造の材料のストリップである。本開示のテープの断面は、長方形、楕円形、多角形、不規則形、又は本明細書で概説する幅、厚さ、及びアスペクト比の要件を満たす任意の形状であってよい。市販のテープの例としては、Wilmington,DelawareにあるDuPont社のTensylon(登録商標)が挙げられる。
【0018】
本明細書において使用される「織布」とは、織り合わされた複数の同じ又は2つ以上の異なるタイプの繊維又は糸を含む任意の構造である。一般に、そのような織布は、横糸又は緯糸と呼ばれる1組の糸を織り合わせることによって製造される。織布は、平織り、千鳥綾織り、絡み織り、模紗織り、篭目織り、サテン織り、綾織り、アンバランスな織りなど、及びこれらの組み合わせのような本質的に任意の織りを有することができる。平織り及び綾織りが最も一般的であり、また好ましい。
【0019】
本明細書において使用される「被覆率」とは、織布の領域が糸又は繊維によって被覆される程度(例えばパーセント割合)を意味する。
【0020】
本明細書において使用される「V50」とは、防弾性能の標準試験であり、弾道標的に向けて発射された弾丸の50パーセントが標的を通り抜ける速度を指す。したがって、V50が高いほど防弾性能が優れていることを示す。本明細書で示されるV50データは、NIJ規格-0101.06(法執行機関発射体試験)及びMIL STD-662F(軍用破片試験)に従って得られたものである。
【0021】
本明細書において使用される「デシテックス」又は「dtex」とは、繊維又は糸の線密度の尺度であり、具体的には10,000メートルの繊維又は糸のグラム単位での質量である。「デニール」及び略語「d」は、デシテックスの9/10倍、具体的には9000メートルの糸のグラム単位での重量である。
【0022】
本明細書において使用される「初期引張弾性率」、「引張弾性率」、及び「弾性率」という用語は、ASTM D2256(一本鎖法による糸の引張特性に関する標準試験法)によって測定される弾性率を意味する。
【0023】
本明細書において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形を含み、文脈上明らかにそうでないことが示されていない限り、特定の数値への言及には少なくともその特定の値が含まれる。値の範囲が表現されている場合、別の実施形態では、ある特定の値から、及び/又は別の特定の値までが含まれる。同様に、値が近似値として表されている場合、先行詞「約(about)」の使用によって特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。全ての範囲は、包括的であり、且つ組み合わせ可能である。
【0024】
図1に例示的な防弾材料が示されている。防弾材料100は、織布層120の繊維130が織布層120の間隙で機械的に交絡して不織繊維及び材料を含まない一体化された材料を形成するように、不織繊維又は材料なしで機械的に互いに交絡した2つ以上の織布層120(例えば1201、1202、1203…120n)のスタック110を含む。機械的交絡の際に、織布層120の繊維130の一部は、織布層120のx-y平面に対して垂直なZ方向に延在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの織布層120の一部の繊維130は、Z方向に少なくとも1つの別の織布層120の中に延在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの織布層120の一部の繊維130は、Z方向に少なくとも2つの別の織布層120の中に延在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの織布層120の一部の繊維130は、少なくとも1つの別の織布層120の一部の繊維130と機械的に交絡している。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの織布層120の一部の繊維130は、少なくとも2つの別の織布層120の一部の繊維130と機械的に交絡している。
【0025】
ニードルによる一体化、又は水流交絡やエアジェットの使用(例えば空気交絡)などの(ただしこれらに限定されない)、不織繊維なしで織布を機械的に交絡するために使用され得る当該技術分野で公知の機械的交絡の任意の方法を、不織繊維なしで織布層120のスタック110を機械的に交絡させて一体化するために使用することができる。このような機械的交絡は、繊維130を所定の位置に固定し、織布層120のスタック110が互いから剪断分離及び/又は層間剥離することを防止するのに役立つ。加えて、そのような機械的交絡は、織布層120のスタック110の寸法安定性及び全体の強度を高める(例えば、機械的交絡は材料の密度を高め、それによって単位体積当たりより多くの繊維を係合させる)と同時に、織布層120のスタック110にある程度の柔軟性も付与する。
【0026】
機械的交絡の好ましい方法は、ニードルによる一体化である。ニードル織機は、織布層120のスタック110を一体化するために、ニードルによる一体化中に使用される。ニードル織機は、例えばOskar Dilo Maschinenfabrik KG社,Eberbach/N,Germany、Ferher AG社,Linz,Austria、及びAsselin社,Elbeuf,Franceで製造されている。ニードルによる一体化の際、有刺針が織布層120のスタック110に押し込まれ、織布層120の繊維130を絡ませたまま引き抜かれる。
【0027】
織布層
織布層120は、任意の数の層を含むことができる。いくつかの実施形態では、織布層120は、約2~約1000層、別の実施形態では約2~約500層、別の実施形態では約2~約100層、別の実施形態では約2~約50層、別の実施形態では約2~約25層、別の実施形態では約2~約10層を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、それぞれの織布層120は、約20g/m2~約1500g/m2、別の実施形態では約50g/m2~約1000g/m2、別の実施形態では約100g/m2~約800g/m2、別の実施形態では約130g/m2~約500g/m2の坪量を有する。
【0029】
それぞれの織布層120は、糸140(例えば縦糸140a及び横糸140b)を含み得る。いくつかの実施形態では、それぞれの織布層120は複数の糸140を有し、別の実施形態では、それぞれの織布層120は糸140を有さない。いくつかの実施形態では、それぞれの織布層120の糸140は、約50dtex~約5600dtex、別の実施形態では約500dtex~約5000dtex、別の実施形態では約50dtex~約1500dtex、別の実施形態では約100dtex~約850dtex、別の実施形態では約1000dtex~約3500dtexの線密度を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの織布層120の糸140は、約50dtex~約5600dtex、別の実施形態では約500dtex~約5000dtex、別の実施形態では約50dtex~約1500dtex、別の実施形態では約100dtex~約850dtex、別の実施形態では約1000dtex~約3500dtexの線密度を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、それぞれの織布層120の糸140は同じ線密度を有し、別の実施形態では、少なくとも1つの織布層120の糸140は別の織布層120の糸と同じ線密度を有し、別の実施形態では、少なくとも1つの織布層120の糸140は別の織布層120の糸140と異なる線密度を有し、別の実施形態では、それぞれの織布層120の糸140は異なる線密度を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの織布層120の糸140は、別の織布層120の糸140よりも少なくとも15%大きい、いくつかの実施形態では別の織布層120の糸よりも少なくとも35%大きい、いくつかの実施形態では別の織布層120の糸140よりも50%大きい線密度を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の織布層120の糸140は、1つ以上の別の織布層120の糸140よりも少なくとも15%大きい、いくつかの実施形態では1つ以上の別の織布層120の糸140よりも少なくとも35%大きい、いくつかの実施形態では1つ以上の別の織布層120の糸140よりも50%大きい線密度を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、それぞれの織布層120は、1インチ当たり約2~約39エンド(1センチメートル当たり5.08~99.06エンド)、別の実施形態では1インチ当たり約3~約24エンド(1センチメートル当たり7.62~60.96エンド)、別の実施形態では1インチ当たり約4~約18エンド(1センチメートル当たり10.16~45.72エンド)、別の実施形態では1インチ当たり約18~約39エンド(1センチメートル当たり45.72~99.06エンド)の、縦糸の糸番手を有する。いくつかの実施形態では、それぞれの織布層120は、1インチ当たり約2~約39エンド(1センチメートル当たり5.08~99.06エンド)、別の実施形態では1インチ当たり約3~約24エンド(1センチメートル当たり7.62~60.96エンド)、別の実施形態では1インチ当たり約4~約18エンド(1センチメートル当たり10.16~45.72エンド)、別の実施形態では1インチ当たり約18~約39エンド(1センチメートル当たり45.72~99.06エンド)の、横糸又は緯糸の糸番手を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、織布層120は、同じ方向に走る糸140を有する一方向構成である。いくつかの実施形態では、織布層120は、複数の方向に配置され得る糸140を有する疑似一方向構成である。本明細書で使用される「一方向」は、文脈上別段の必要がない限り、一方向布地と疑似一方向布地の両方を包含する。
【0033】
繊維
それぞれの織布層120は、複数の繊維130を有する。繊維130は糸140にすることができる。繊維130は任意の長さ又はテクスチャーであってよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、繊維130は、少なくとも10g/dtex(1デニール当たり11.1グラム(gpd))、別の実施形態では少なくとも15g/dtex(1デニール当たり16.7グラム(gpd))、別の実施形態では、少なくとも30g/dtex(1デニール当たり33.3グラム(gpd))、別の実施形態では少なくとも35g/dtex(1デニール当たり38.9グラム(gpd))、別の実施形態では少なくとも40g/dtex(1デニール当たり44.4グラム(gpd))、別の実施形態では少なくとも50g/dtex(1デニール当たり55.5グラム(gpd))の強度を有する。いくつかの実施形態では、繊維は、約10g/dtex~約80g/dtex(11.1gpd~約33.3gpd)、別の実施形態では約15g/dtex~約30g/dtex(16.7gpd~約33.3gpd)、別の実施形態では約35g/dtex~約50g/dtex(38.9gpd~約55.5gpd)、別の実施形態では約40g/dtex~約80g/dtex(44.4gpd~約88.8gpd)の強度を有する。いくつかの実施形態では、繊維130は、少なくとも約100g/dtexの引張弾性率を有する。別の実施形態では、繊維130は、約150g/dtex~約2700g/dtexの引張弾性率を有し、別の実施形態では、約200g/dtex~約2200g/dtexの引張弾性率を有する。いくつかの実施形態では、繊維130は、約0.1dtex~約5600dtex、別の実施形態では約0.1dtex~約2500dtex、別の実施形態では約0.1dtex~約1000dtex、別の実施形態では約0.1dtex~約100dtex、別の実施形態では約0.5dtex~約25dtexの線密度を有する。いくつかの実施形態では、繊維130は、約1~約550パーセント、別の実施形態では約1~約125パーセント、別の実施形態では約1~約10パーセント、別の実施形態では約2~約6パーセントの破断伸びを有する。
【0035】
繊維は、限定するものではないが、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアゾール、又はそれらのブレンド/混合物など、高強度繊維を生成する当該技術分野で公知の任意のポリマーから製造することができる。いくつかの実施形態では、繊維130は、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアゾール、ポリエステル、グラフェン、スパイダーシルク、カーボンナノチューブ、コポリマー、多成分繊維、及びそれらの組み合わせであってよい。
【0036】
ポリマーがポリアミドである場合、アラミドが好ましい。本明細書で使用される「アラミド」は、アミド(-CONH-)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直接結合しているポリアミドポリマーを意味する。パラアラミドポリマーは、アミド結合が互いに対してパラ位にあるアラミドポリマーである。1つの好ましいパラアラミドポリマーは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)又はPPD-Tである。アラミドと共に添加物を使用することができ、実際、10重量%と同量までのその他のポリマー系材料をアラミドとブレンドできること、或いはアラミドのジアミンを10%と同量のその他のジアミンで置き換えた又はアラミドの二酸塩化物を10%と同量のその他の二酸塩化物で置き換えたコポリマーを使用できることが見出された。適切なアラミド繊維は、Man-Made Fibers-Science and Technology,Volume 2,Section titled Fiber-Forming Aromatic Polyamides,page 297,W.Black et al.,Interscience Publishers,1968に記載されている。アラミド繊維及びそれらの製造は、米国特許第3,767,756号明細書;米国特許第4,172,938号明細書;米国特許第3,869,429号明細書;米国特許第3,869,430号明細書;米国特許第3,819,587号明細書;米国特許第3,673,143号明細書;米国特許第3,354,127号明細書;及び米国特許第3,094,511号明細書にも開示されている。
【0037】
他の有用なパラアラミドとしては、他の芳香族ジアミン及び他の芳香族二酸塩化物、例えば2,6-ナフタロイルクロリド又はクロロ-若しくはジクロロテレフタロイルクロリド又は3,4’-ジアミノジフェニルエーテルの組み込み及び/又は置換から得られるアラミドコポリマーが挙げられる。別の好ましいパラアラミドには、5(6)-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンズイミダゾール(DAPBI)、パラ-フェニレンジアミン(PPD)、及びテレフタロイルジクロリド(TCl又はT、一般にテレフタロイルクロリドとも呼ばれる)から誘導されるアラミドコポリマー、例えば米国特許出願公開第2014/0357834号明細書、露国特許出願公開第2,045,586号明細書の中にあるもの、並びに例えばSugak et al.,Fibre Chemistry Vol31,No1,1999;米国特許第4,018,735号明細書;国際公開第2008/061668号、及び米国特許出願公開第2014/357834号の中で示されている他のそのようなポリマーが含まれる。
【0038】
市販のパラアラミド繊維の例としては、Wilmington,DelawareのDuPont社からのKevlar(登録商標)及びArnhem,NetherlandsのTeijin Aramid社からのTwaron(登録商標)が挙げられる。アラミドコポリマー繊維の例としては、Kamensk-Shakhtinskii,RussiaのKamenskvolokno Company社からのArmos(登録商標)及びRusar(登録商標)が挙げられる。
【0039】
繊維がポリオレフィンである場合、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。「ポリエチレン」という用語は、好ましくは100万を超える分子量の主に直鎖状のポリエチレン系材料であって、主鎖炭素原子100個当たり5修飾単位を超えない少量の鎖分岐又はコモノマーを含んでいてもよく、またこれに混合された状態でアルケン-1-ポリマー、特に低密度ポリエチレン、プロピレンなどのような1種以上のポリマー系添加剤、又は一般的に配合される酸化防止剤、滑剤、紫外線遮蔽剤、着色剤などのような低分子量添加剤も約50重量%以下含有していてもよいポリエチレン系材料を意味する。そのようなものは、一般に延長鎖ポリエチレン(ECPE)又は超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)として知られている。ポリエチレン繊維の調製については、米国特許第4,478,083号明細書、同第4,228,118号明細書、同第4,276,348号明細書、及び特公昭60-047,922号公報、特公昭64-008,732号公報に記載されている。高分子量直鎖ポリオレフィン繊維は市販されている。ポリオレフィン繊維の調製については、米国特許第4,457,985号明細書に記載されている。市販されているポリエチレン繊維の例としては、Morristown,N.J.,U.S.A.のHoneywell International Inc.社によるSpectra(登録商標)繊維、及びHeerlen,NetherlandsのKoninklijke DSM N.V.社によるDyneema(登録商標)が挙げられる。
【0040】
繊維がポリアゾールである場合、ポリベンザゾール及びポリピリダゾールが好ましい。適切なポリアゾールには、ホモポリマーだけでなくコポリマーも含まれる。ポリアゾールと共に添加剤を使用することができ、最大10重量%の他のポリマー系材料をポリアゾールとブレンドすることができる。また、ポリアゾールのモノマーを10パーセント以上他のモノマーで置き換えたコポリマーを使用することもできる。適切なポリアゾールホモポリマー及びコポリマーは、公知の手順、例えば米国特許第4,533,693号明細書(Wolfeら、1985年8月6日)、同第4,703,103号明細書(Wolfeら、1987年10月27日)、同第5,089,591号明細書(Gregoryら、1992年2月18日)、同第4,772,678号明細書(Sybertら、1988年9月20日)、同第4,847,350号明細書(Harrisら、1992年8月11日)、及び同第5,276,128号明細書(Rosenbergら、1994年1月4日)に記載されている、又はこれらから派生した手順によって製造することができる。
【0041】
好ましいポリベンザゾールは、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、及びポリベンゾオキサゾールである。ポリベンザゾールがポリベンゾチアゾールである場合、好ましくはポリ(p-フェニレンベンゾビスチアゾール)である。ポリベンザゾールがポリベンゾオキサゾールである場合、好ましくはポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)であり、より好ましくはPBOと呼ばれるポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)である。
【0042】
好ましいポリピリダゾールは、ポリピリジイミダゾール、ポリピリドチアゾール、及びポリピリドオキサゾールである。いくつかの実施形態では、好ましいポリピリダゾールはポリピリドビスアゾールである。好ましいポリ(ピリドビソザゾール(pyridobisozazole))は、PIPDと呼ばれるポリ(1,4-(2,5-ジヒドロキシ)フェニレン-2,6-ピリド[2,3-d:5,6-d’]ビスイミダゾールである。ポリピリドビスアゾールを含む適切なポリピリダゾールは、米国特許第5,674,969号明細書に記載されているものなどの公知の手順によって製造することができる。パラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維の例としては、Zylon(登録商標)(東洋紡株式会社、大阪)が挙げられる。
【0043】
他の有用な芳香族ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリエステルアミドイミド、芳香族ポリエーテルアミドイミド、及び芳香族ポリエステルイミドなどの芳香族不飽和ポリエステルが挙げられる。上述した分類の材料のいずれかのコポリマーを使用することもできる。
【0044】
繊維がポリエステルである場合、ビニルエステル樹脂及びオルトポリエステル樹脂が好ましい。ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と、メタクリル酸やアクリル酸などの不飽和脂肪酸との反応生成物である。最も好ましくは、使用されるエポキシ樹脂は、ジグリシジルエーテル/ビスフェノールA型のものである。エポキシノボラックやハロゲン化エポキシなどの他のエポキシ樹脂も好ましい。オルトポリエステルは、グリコール、不飽和脂肪族二塩基酸又はその無水物、及び飽和オルト芳香族酸又はその無水物の反応生成物である。グリコールは、通常プロピレングリコールであるが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの他のグリコールが使用されてもよい。不飽和二塩基酸又は無水物は、通常、マレイン酸、フマル酸、又は無水マレイン酸であるが、他の類似の酸又は無水物であってもよい。オルト芳香族酸又は無水物は、好ましくはオルトフタル酸又は無水物であるが、他の飽和オルト芳香族酸、及び塩素によるハロゲン化により修飾された酸であってもよい。ビニルエステル樹脂、並びにオルトフタル酸及びイソフタル酸のポリエステル樹脂は、一般に、スチレン又は置換スチレン、例えばビニルトルエン若しくはα-メチルスチレンなどのモノマーとの反応により硬化するが、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートなどの他のモノマーとの反応によっても硬化する。
【0045】
繊維がグラフェンである場合、ハニカムパターンで一体に結合した炭素原子の単一シートの多層が好ましい。
【0046】
繊維がカーボンナノチューブである場合、それらはナノメートルの範囲の直径を有する単層カーボンナノチューブからなる。単層カーボンナノチューブは炭素の同素体の1つであり、フラーレンケージと平坦なグラフェンとの中間に位置する。
【0047】
繊維がスパイダーシルクである場合、天然シルク又は合成シルクを使用することができる。天然シルクは、通常巣を作るためにクモがシルクへと紡いだタンパク質繊維である。合成シルクは、限定するものではないが、ボンビックス・モリ(Bombyxmori)カイコ、大腸菌(E.coli)、ヤギ、タバコ植物、及びジャガイモ植物などの他の生物に由来する繊維からなる。
【0048】
防弾材料
防弾材料100の厚さ及び重量は、限定するものではないが、織布層120の層の種類及び層の数、機械的交絡の程度、織布層120の布地構造、面密度、並びに織布被覆率などの様々な要因に応じて変化し得る。
【0049】
防弾材料100は、任意の厚さ又は重量であってよい。いくつかの実施形態では、防弾材料100の厚さは、約0.025インチ(0.0635cm)~約4.0インチ(10.06cm)であり、別の実施形態では約0.10インチ(0.254cm)~約2.0インチ(5.03cm)である。いくつかの実施形態では、防弾材料100は、約0.034kg/m2(0.0070lb/ft2)~約9.8kg/m2(2.0lb/ft2)、別の実施形態では約0.034kg/m2(0.0070lb/ft2)~約3.1kg/m2(0.63lb/ft2)、別の実施形態では約0.17kg/m2(0.035lb/ft2)~約9.8kg/m2(2.0lb/ft2)、別の実施形態では約0.17kg/m2(0.035lb/ft2)~約2.2kg/m2(0.45lb/ft2)、別の実施形態では約0.17kg/m2(0.035lb/ft2)~約0.85kg/m2(0.17lb/ft2)の面密度を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、防弾材料100は、NIJ規格-0101.06(法執行機関発射体試験)による9mmの発射体、又はMIL STD-662F(破片試験)による17グレインの破片をシミュレートした発射体のいずれかで攻撃したときに、約750ft/s~約3000ft/s、別の実施形態では約600ft/s~約4000ft/s、別の実施形態では約500ft/s~約20,000ft/sの範囲のV50を有する。
【0051】
性能上の利点に加えて、防弾材料100は織布層120をさらに組み立てる必要がない。例えば、防弾ベスト製造業者が防弾ベストを製造するために防弾材料100を使用する場合、製造業者は、特定の防弾要件を満たすように試験された単一のロールから防弾材料100のユニットを切り出すことができる。この方法では、防弾生地の多数の層を裁断し、積み重ね、数を数え、層を一緒にキルティングする又は縫い合わせる追加の労力が回避される。したがって、防弾材料100は、経済上及び性能上の利点を提供する「既製の」防弾材料であり、これはその後防弾用途のための多数の潜在的な製品における様々な構造を作り出すためのビルディングブロックとして使用することができる。
【0052】
製造方法
図2は、防弾材料を形成する例示的な方法のフローチャートである。ステップ21において、2つ以上の織布層120がスタック110に配置される。
【0053】
織布層120の糸140は、好ましくは、織布層120が分離せず、個々のトウ又は糸140が曲がらずに製造プロセス中に扱いやすいままであるように、互いに対して90度の角度でクロス積層され、軽量糸を軽く縫合、縫製、又は織り合わせることによって所定の位置に保持される。
【0054】
ステップ22において、織布層120のスタック110は、ニードルによる一体化、又は水流交絡やエアジェットの使用(例えば空気交絡)などの(ただしこれらに限定されない)、不織繊維なしで織布を機械的に交絡するために使用され得る当該技術分野で公知の機械的交絡の任意の方法によって、不織繊維なしで機械的に互いに交絡し、一体化された材料を形成する。したがって、織布層120の繊維130は、織布層120の隙間で機械的に交絡して不織繊維及び材料を含まない一体化された材料を形成する。
【0055】
ステップ23では、一体化された材料を熱処理し、カレンダー加工することができる。熱処理及びカレンダー加工は、一体化された材料の密度を高めるために行われる。いくつかの実施形態では、一体化された材料の密度は約5%~約55%、別の実施形態では約8%~約40%、別の実施形態では約10%~約40%増加する。
【0056】
ステップ24では、1つ以上の二次加工ステップを一体化された材料に適用することができる。二次加工ステップには、限定するものではないが、1つ以上の処理又はコーティング(例えば撥水コーティング)の適用、並びに一体化された材料の縫製及び/又はラミネートなど、当該技術分野で公知の任意のステップが含まれ得る。
【0057】
ステップ21、22、23、及び24は、好ましくはこのような順序で行われる。しかしながら、これらのステップは、任意の順序で、及び/又は別のステップと組み合わせて行われてもよい。
【0058】
防弾物品及び産業上の利用可能性
図3に、例示的な防弾物品が示されている。防弾物品300は、1つ以上の防弾材料305(例えば3051…305n)を含む。それぞれの防弾材料305は、織布層320の糸340(例えば縦糸340a及び横糸340b)の繊維330が織布層320の間隙で機械的に交絡して不織繊維及び材料を含まない一体化された材料を形成するように、不織繊維又は材料なしで機械的に互いに交絡した2つ以上の織布層320のスタック310を含む。
【0059】
1つ以上の防弾材料305は、任意の数の個々の防弾材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の防弾材料305は、1~5個の防弾材料、別の実施形態では1~50個の防弾材料、別の実施形態では1~100個の防弾材料、別の実施形態では1~500個の防弾材料を含む。
【0060】
1つ以上の防弾材料305が1つより多い防弾材料(すなわち2つ以上)を含む場合、1つ以上の防弾材料305は、縫合又は当該技術分野で公知の他の形態の機械的結合によって機械的に一体に結合させることができる。そのような1つ以上の防弾材料305が縫合によって機械的に一体に結合される場合、限定するものではないが、平縫い、キルト縫い、及び十字縫いなど、当該技術分野で公知の任意のタイプの縫合を使用することができる。
【0061】
本明細書で開示される物品及び防弾材料は、広範囲の用途で有用であり、限定するものではないが、発射体から体の一部を保護する防護服又防弾衣、例えばベストやジャケットなど;硬質装甲又は硬質複合装甲;硬質及び軟質の格納構造;爆弾格納構造;緩和パネル;及び航空機など、当該技術分野で公知の任意の防弾用途で使用することができる。「発射体」という用語は、本明細書では、銃から発射されるものなどの弾丸又は他の物体又はその破片を意味するために使用される。
【0062】
試験方法
以下の実施例では、以下の試験方法を使用した。
【0063】
線密度:糸又は繊維の線密度は、ASTM D1907-97に記載の手順に基づいて、既知の長さの糸又は繊維の重量を測定することによって決定される。
【0064】
面密度:布地層の面密度は、選択されたサイズ、例えば10cm×10cmの各単一層の重量を測定することによって決定される。複合構造の面密度は、個々の層の面密度の合計によって決定される。
【0065】
弾道貫通性能:多層の一体化された材料の防弾試験は、NIJ規格-0101.06(発射体試験)及びMIL STD-662F(軍用破片試験)に従って実施した。各実施例について4つの標的を試験し、各乾燥標的に対して0度の傾斜で6~9発を発射した。報告されたV50値は、各実施例の発射数についての平均値である。
【0066】
以下の実施例は、本発明の例示的な実施形態を示すために与えられ、決してそれを限定すると解釈されるべきでない。
【実施例
【0067】
実施例1
アラミドコポリマーの7つの織布層(それぞれ厚さ0.070インチ)を積み重ね、ニードルによる一体化を行った。得られた一体化された材料の重量は約0.19lb/ft2であった。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する一体化された材料のV50を試験した。V50の結果を表1に示す。
【0068】
比較例2
パラアラミド繊維の1つの不織布層(厚さ0.02インチ)を、アラミドコポリマーの7つの織布層(それぞれ厚さ0.070インチ)の上に重ねてスタックを形成した。次いで、このスタックに対してニードルパンチを行った。得られた一体化された材料の重量は約0.21lb/ft2(実施例1よりも10%重い)であった。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する一体化された材料のV50を試験した。V50の結果を表1に示す。
【0069】
実施例3
UHMWPEポリマーの7つの織布層(それぞれ厚さ0.050インチ)を積み重ね、ニードルによる一体化を行った。得られた一体化された材料の重量は約0.15lb/ft2であった。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する一体化された材料のV50を試験した。V50の結果を表1に示す。
【0070】
比較例4
パラアラミドの1つの不織布層(厚さ0.020インチ)を、UHMWPEポリマーの7つの織布層(それぞれ厚さ0.050インチ)の上に重ねてスタックを形成した。次いで、このスタックに対してニードルパンチを行った。得られた一体化された材料の重量は約0.16lb/ft2(実施例3よりも10%重い)であった。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する一体化された材料のV50を試験した。V50の結果を表1に示す。
【0071】
実施例5
パラアラミドの7つの織布層(それぞれ厚さ0.070インチ)を積み重ねる。スタックに対してニードルによる一体化を行う。得られた一体化された材料の重量は約0.20lb/ft2である。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する一体化された材料のV50を試験する。V50の結果を表1に示す。
【0072】
比較例6
パラアラミド繊維の1つの不織布層(厚さ0.020インチ)を、パラアラミドの7つの織布層(それぞれ厚さ0.070インチ)の上に重ねてスタックを形成した。次いで、このスタックに対してニードルパンチを行った。得られた一体化された材料の重量は約0.22lb/ft2(実施例7よりも10%重い)である。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する一体化された材料のV50を試験する。V50の結果を表1に示す。
【0073】
実施例7
アラミドコポリマーの2つの織布層(それぞれ厚さ0.070インチ)を積み重ねる。スタックに対して高圧水流(最大圧力6.9MPa)により水流交絡を行う。得られた一体化された材料の重量は約0.07lb/ft2である。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する一体化された材料のV50を試験する。V50の結果を表1に示す。
【0074】
比較例8
パラアラミド繊維の1つの不織布層(厚さ0.02インチ)を、アラミドコポリマーの2つの織布層(それぞれ厚さ0.070インチ)の上に重ねてスタックを形成する。スタックに対して高圧水流(最大圧力6.9MPa)により水流交絡を行う。得られた一体化された材料の重量は約0.09lb/ft2(実施例7よりも10%重い)である。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する一体化された材料のV50を試験する。V50の結果を表1に示す。
【0075】
表1は、MIL STD-662Fに準拠した17グレインの破片をシミュレートした発射体を使用した、実施例1、3、5、7及び比較例2、4、6、8で得られた一体化された材料のV50性能を示す。示されているように、実施例1、3、5、及び7で得られた一体化された材料は、それぞれ比較例2、4、6、及び8と比較した場合に10%低い重量で同様の防弾性能を示す。
【0076】
【表1】
【0077】
実施例9
3つの一体化された材料を実施例1に従って別々に形成し、一緒に積み重ねた。次いで、3つの一体化された材料のスタックを角で縫い合わせて、重さ約0.57lb/ft2の防弾パネル(シュートパック)を形成した。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する防弾パネルのV50を試験した。V50の結果を表2に示す。
【0078】
比較例10
3つの一体化された材料を比較例2に従って別々に形成し、一緒に積み重ねた。次いで、3つの一体化された材料のスタックを角で縫い合わせて、重さ約0.62lb/ft2の防弾パネル(シュートパック)を形成した。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する防弾パネルのV50を試験した。V50の結果を表2に示す。
【0079】
実施例11
10個の一体化された材料を実施例7に従って別々に形成し、一緒に積み重ねる。10個の一体化された材料のスタックを角で縫い合わせて、重さ約0.70lb/ft2の防弾パネル(シュートパック)を形成する。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する防弾パネルのV50を試験する。V50の結果を表2に示す。
【0080】
比較例12
10個の一体化された材料を比較例8に従って別々に形成し、一緒に積み重ねる。10個の一体化された材料のスタックを角で縫い合わせて、重さ約0.90lb/ft2の防弾パネル(シュートパック)を形成する。その後、MIL STD-662Fに従って、17グレインの破片をシミュレートした発射体に対する防弾パネルのV50を試験する。V50の結果を表2に示す。
【0081】
表2は、MIL STD-662Fに準拠した17グレインの破片をシミュレートした発射体を使用した、実施例9及び11、並びに比較例10及び12で得られた防弾パネルのV50性能を示す。示されているように、実施例9及び11で得られた防弾パネル(シュートパック)は、それぞれ比較例10及び12と比較した場合、より軽い重量で同様の防弾性能を示す。
【0082】
【表2】
【0083】
したがって、本明細書に記載の防弾材料は改良であり、不織繊維及び材料を用いて機械的に交絡させた防弾材料と比較して、限定するものではないが、同様の防弾性能を有しながらも軽量であること、望ましくない液体(例えば水や汗など)を吸収しにくいこと、防弾用途の製造に必要な布地ロールが少なくて済むこと、製造が容易で低コストであること、及び全体の層が少ないために防弾用途の製造におけるエラーのリスクが低減されることなどの多くの利点を有している。
【0084】
本出願の別の実施形態
実施形態1.いくつかの実施形態では、一体化された材料は、機械的に互いに交絡した複数の織布層を含み、前記複数の織布層は繊維を含み、前記複数の織布層は、前記複数の織布層の繊維と、不織繊維なしで機械的に互いに交絡されており、前記複数の織布層の少なくとも一部の繊維は、前記複数の織布層のx-y平面に対して垂直なZ方向に延在する。
【0085】
実施形態2.前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の中にZ方向に延在する、実施形態1に記載の一体化された材料。
【0086】
実施形態3.前記複数の織布層のうちの1つの織布層の少なくとも一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも2つの別の織布層の中にZ方向に延在する、実施形態1又は2に記載の一体化された材料。
【0087】
実施形態4.前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の一部の繊維と機械的に交絡している、実施形態1~3のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0088】
実施形態5.前記複数の織布層のうちの1つの織布層の一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも2つの別の織布層の一部の繊維と機械的に交絡している、実施形態1~4のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0089】
実施形態6.前記複数の織布層がニードルによる一体化によって機械的に互いに交絡している、実施形態1~5のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0090】
実施形態7.前記複数の織布層が水流交絡によって機械的に互いに交絡している、実施形態1~6のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0091】
実施形態8.前記複数の織布層が空気交絡によって機械的に互いに交絡している、実施形態1~7のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0092】
実施形態9.前記複数の織布層が約2層~約100層を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0093】
実施形態10.前記複数の織布層が約2層~約50層を有する、実施形態9に記載の一体化された材料。
【0094】
実施形態11.前記複数の織布層が約2層~約25層を有する、実施形態10に記載の一体化された材料。
【0095】
実施形態12.前記複数の織布層が約2層~約10層を有する、実施形態11に記載の一体化された材料。
【0096】
実施形態13.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約20g/m2~約1500g/m2の坪量を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0097】
実施形態14.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約50g/m2~約1000g/m2の坪量を有する、実施形態13に記載の一体化された材料。
【0098】
実施形態15.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約100g/m2~約800g/m2の坪量を有する、実施形態14に記載の一体化された材料。
【0099】
実施形態16.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約130g/m2~約500g/m2の坪量を有する、実施形態15に記載の一体化された材料。
【0100】
実施形態17.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が複数の糸を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0101】
実施形態18.前記複数の織布層の少なくとも1つの織布層の前記糸が、約50dtex~約5600dtexの線密度を有する、実施形態17に記載の一体化された材料。
【0102】
実施形態19.前記複数の織布層の少なくとも1つの織布層の前記糸が、約50dtex~約1500dtexの線密度を有する、実施形態18に記載の一体化された材料。
【0103】
実施形態20.前記複数の織布層の少なくとも1つの織布層の前記糸が、約100dtex~約850dtexの線密度を有する、実施形態19に記載の一体化された材料。
【0104】
実施形態21.前記複数の織布層の少なくとも1つの織布層の前記糸が、約1000dtex~約3500dtexの線密度を有する、実施形態17又は18に記載の一体化された材料。
【0105】
実施形態22.前記複数の織布層のそれぞれの織布層の前記糸が同じ線密度を有する、実施形態17~21のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0106】
実施形態23.前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の前記糸が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の糸と同じ線密度を有する、実施形態17~22のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0107】
実施形態24.前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の前記糸が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の糸とは異なる線密度を有する、実施形態17~21のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0108】
実施形態25.前記複数の織布層のそれぞれの織布層の前記糸が異なる線密度を有する、実施形態17~21又は24のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0109】
実施形態26.前記複数の織布層が一方向構成である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0110】
実施形態27.前記複数の織布層が疑似一方向構成である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0111】
実施形態28.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも10g/dtexの強度を有する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0112】
実施形態29.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも15g/dtexの強度を有する、実施形態28に記載の一体化された材料。
【0113】
実施形態30.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも30g/dtexの強度を有する、実施形態29に記載の一体化された材料。
【0114】
実施形態31.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも40g/dtexの強度を有する、実施形態30に記載の一体化された材料。
【0115】
実施形態32.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも50g/dtexの強度を有する、実施形態31に記載の一体化された材料。
【0116】
実施形態33.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約100g/dtexの引張弾性率を有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0117】
実施形態34.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約150g/dtex~約2700g/dtexの引張弾性率を有する、実施形態1~33のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0118】
実施形態35.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約200g/dtex~約2200g/dtexの引張弾性率を有する、実施形態34に記載の一体化された材料。
【0119】
実施形態36.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約0.1g/dtex~約5600g/dtexの線密度を有する、実施形態1~35のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0120】
実施形態37.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約0.1g/dtex~約2500g/dtexの線密度を有する、実施形態36に記載の一体化された材料。
【0121】
実施形態38.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約0.1g/dtex~約1000g/dtexの線密度を有する、実施形態37に記載の一体化された材料。
【0122】
実施形態39.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約0.1g/dtex~約100g/dtexの線密度を有する、実施形態38に記載の一体化された材料。
【0123】
実施形態40.前記複数の織布層の前記繊維が約1~約550パーセントの破断伸びを有する、実施形態1~39のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0124】
実施形態41.前記複数の織布層の前記繊維が約1~約125パーセントの破断伸びを有する、実施形態40に記載の一体化された材料。
【0125】
実施形態42.前記複数の織布層の前記繊維が約1~約10パーセントの破断伸びを有する、実施形態41に記載の一体化された材料。
【0126】
実施形態43.前記複数の織布層の前記繊維がポリマーである、実施形態1~42のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0127】
実施形態44.前記複数の織布層の前記繊維が、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアゾール、ポリエステル、グラフェン、スパイダーシルク、カーボンナノチューブ、コポリマー、多成分繊維、及びそれらの組み合わせの繊維のタイプのうちの1つ以上を含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0128】
実施形態45.前記複数の織布層の前記繊維が、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアゾール、ポリエステル、グラフェン、スパイダーシルク、カーボンナノチューブ、コポリマー、多成分繊維、及びそれらの組み合わせの繊維のタイプのうちの1つ以上からなる、実施形態1~44のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0129】
実施形態46.前記複数の織布層の前記繊維が、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアゾール繊維、ポリエステル繊維、グラフェン繊維、スパイダーシルク繊維、カーボンナノチューブ繊維、コポリマー繊維、多成分繊維、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~45のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0130】
実施形態47.前記複数の織布層の前記繊維がアラミド繊維を含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0131】
実施形態48.前記複数の織布層の前記繊維がポリエチレン繊維を含む、実施形態1~44、46、又は47のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0132】
実施形態49.前記複数の織布層の前記繊維がコポリマー繊維を含む、実施形態1~44、又は46~48のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0133】
実施形態50.前記複数の織布層の前記繊維が多成分繊維を含む、実施形態1~44、又は46~49のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0134】
実施形態51.前記複数の織布層の前記繊維がポリエチレン繊維である、実施形態1~46のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0135】
実施形態52.前記複数の織布層の前記繊維がコポリマー繊維である、実施形態1~46のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0136】
実施形態53.前記複数の織布層の前記繊維が多成分繊維である、実施形態1~46のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0137】
実施形態54.約0.025インチ~約4.0インチの厚さを有する、実施形態1~53のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0138】
実施形態55.約0.10インチ~約2.0インチの厚さを有する、実施形態54に記載の一体化された材料。
【0139】
実施形態56.約0.034kg/m2~約9.8kg/m2の面密度を有する、実施形態1~55のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0140】
実施形態57.約0.034kg/m2~約3.1kg/m2の面密度を有する、実施形態56に記載の一体化された材料。
【0141】
実施形態58.約0.17kg/m2~約9.8kg/m2の面密度を有する、実施形態56に記載の一体化された材料。
【0142】
実施形態59.約0.17kg/m2~約2.2kg/m2の面密度を有する、実施形態58に記載の一体化された材料。
【0143】
実施形態60.約0.17kg/m2~約0.85kg/m2の面密度を有する、実施形態59に記載の一体化された材料。
【0144】
実施形態61.MIL STD-662Fに準拠したV50が約750ft/s~約3000ft/sである、実施形態1~60のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0145】
実施形態62.MIL STD-662Fに準拠したV50が約600ft/s~約4000ft/sである、実施形態1~61のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0146】
実施形態63.MIL STD-662Fに準拠したV50が約500ft/s~約20000ft/sである、実施形態1~62のいずれか1つに記載の一体化された材料。
【0147】
実施形態64.実施形態1~63のいずれか1つに記載の少なくとも1つの一体化された材料を含む物品。
【0148】
実施形態65.実施形態1~63のいずれか1つに記載の少なくとも1つの一体化された材料を含む防弾物品。
【0149】
実施形態66.1~5個の一体化された材料を含む、実施形態65に記載の防弾物品。
【0150】
実施形態67.1~50個の一体化された材料を含む、実施形態65に記載の防弾物品。
【0151】
実施形態68.1~100個の一体化された材料を含む、実施形態65に記載の防弾物品。
【0152】
実施形態69.いくつかの実施形態では、一体化された材料は、不織繊維なしで機械的に互いに交絡した2つ以上の織布層を含み、前記2つ以上の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の一部の繊維は、前記2つ以上の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層内にZ方向に延在する。
【0153】
実施形態70.いくつかの実施形態では、一体化された材料を形成する方法は、不織繊維を使用せずに2つ以上の織布層を機械的に互いに交絡させて一体化された材料を形成することを含む。
【0154】
実施形態71.前記2つ以上の織布層を機械的に交絡させる前に、前記2つ以上の織布層を積み重ねて配置することをさらに含む、実施形態70に記載の方法。
【0155】
実施形態72.前記一体化された材料を熱処理及びカレンダー加工することをさらに含む、実施形態70又は71に記載の方法。
【0156】
実施形態73.前記一体化された材料に1つ以上の二次加工ステップを適用することをさらに含む、実施形態70~72のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態74.いくつかの実施形態では、一体化された材料を形成する方法は、複数の織布層を機械的に互いに交絡して一体化された材料を形成することを含み、前記複数の織布層は繊維を含み、前記複数の織布層は、前記複数の織布層の繊維と、不織繊維なしで機械的に互いに交絡され、前記複数の織布層の少なくとも一部の繊維は、前記複数の織布層のx-y平面に対して垂直なZ方向に延在する。
【0158】
実施形態75.前記複数の織布層を機械的に互いに交絡させる前に、前記複数の織布層を積み重ねて配置することをさらに含む、実施形態74に記載の方法。
【0159】
実施形態76.前記一体化された材料を熱処理及びカレンダー加工することをさらに含む、実施形態74又は75に記載の方法。
【0160】
実施形態77.前記一体化された材料に1つ以上の二次加工ステップを適用することをさらに含む、実施形態74~76のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
実施形態78.前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の中にZ方向に延在する、実施形態74~77のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
実施形態79.前記複数の織布層のうちの1つの織布層の少なくとも一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも2つの別の織布層の中にZ方向に延在する、実施形態74~78のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
実施形態80.前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の一部の繊維と機械的に交絡している、実施形態74~79のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
実施形態81.前記複数の織布層のうちの1つの織布層の一部の繊維が、前記複数の織布層のうちの少なくとも2つの別の織布層の一部の繊維と機械的に交絡している、実施形態74~80のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
実施形態82.前記複数の織布層がニードルによる一体化によって機械的に互いに交絡している、実施形態74~81のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
実施形態83.前記複数の織布層が水流交絡によって機械的に互いに交絡している、実施形態74~82のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
実施形態84.前記複数の織布層が空気交絡によって機械的に互いに交絡している、実施形態74~83のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
実施形態85.前記複数の織布層が約2層~約100層を有する、実施形態74~84のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
実施形態86.前記複数の織布層が約2層~約50層を有する、実施形態85に記載の方法。
【0170】
実施形態87.前記複数の織布層が約2層~約25層を有する、実施形態86に記載の方法。
【0171】
実施形態88.前記複数の織布層が約2層~約10層を有する、実施形態87に記載の方法。
【0172】
実施形態89.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約20g/m2~約1500g/m2の坪量を有する、実施形態74~88のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
実施形態90.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約50g/m2~約1000g/m2の坪量を有する、実施形態89に記載の方法。
【0174】
実施形態91.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約100g/m2~約800g/m2坪量を有する、実施形態90に記載の方法。
【0175】
実施形態92.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が約130g/m2~約500g/m2坪量を有する、実施形態91に記載の方法。
【0176】
実施形態93.前記複数の織布層のそれぞれの織布層が複数の糸を含む、実施形態74~92のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
実施形態94.前記複数の織布層の少なくとも1つの織布層の前記糸が、約50dtex~約5600dtexの線密度を有する、実施形態93に記載の方法。
【0178】
実施形態95.前記複数の織布層の少なくとも1つの織布層の前記糸が、約50dtex~約1500dtexの線密度を有する、実施形態94に記載の方法。
【0179】
実施形態96.前記複数の織布層の少なくとも1つの織布層の前記糸が、約100dtex~約850dtexの線密度を有する、実施形態95に記載の方法。
【0180】
実施形態97.前記複数の織布層の少なくとも1つの織布層の前記糸が、約1000dtex~約3500dtexの線密度を有する、実施形態93又は94に記載の方法。
【0181】
実施形態98.前記複数の織布層のそれぞれの織布層の前記糸が同じ線密度を有する、実施形態93~97のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
実施形態99.前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の前記糸が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の糸と同じ線密度を有する、実施形態93~98のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
実施形態100.前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの織布層の前記糸が、前記複数の織布層のうちの少なくとも1つの別の織布層の糸とは異なる線密度を有する、実施形態93~97のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
実施形態101.前記複数の織布層のそれぞれの織布層の前記糸が異なる線密度を有する、実施形態100に記載の方法。
【0185】
実施形態102.前記複数の織布層が一方向構成である、実施形態74~101のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施形態103.前記複数の織布層が疑似一方向構成である、実施形態74~101のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
実施形態104.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも10g/dtexの強度を有する、実施形態74~103のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
実施形態105.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも15g/dtexの強度を有する、実施形態104に記載の方法。
【0189】
実施形態106.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも30g/dtexの強度を有する、実施形態105に記載の方法。
【0190】
実施形態107.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも40g/dtexの強度を有する、実施形態106に記載の方法。
【0191】
実施形態108.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも50g/dtexの強度を有する、実施形態107に記載の方法。
【0192】
実施形態109.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約100g/dtexの引張弾性率を有する、実施形態74~108のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
実施形態110.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約150g/dtex~約2700g/dtexの引張弾性率を有する、実施形態109に記載の方法。
【0194】
実施形態111.前記複数の織布層の前記繊維が少なくとも約200g/dtex~約2200g/dtexの引張弾性率を有する、実施形態110に記載の方法。
【0195】
実施形態112.前記複数の織布層の前記繊維が約0.1g/dtex~約5600g/dtexの線密度を有する、実施形態74~111のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
実施形態113.前記複数の織布層の前記繊維が約0.1g/dtex~約2500g/dtexの線密度を有する、実施形態112に記載の方法。
【0197】
実施形態114.前記複数の織布層の前記繊維が約0.1g/dtex~約1000g/dtexの線密度を有する、実施形態113に記載の方法。
【0198】
実施形態115.前記複数の織布層の前記繊維が約0.1g/dtex~約100g/dtexの線密度を有する、実施形態114に記載の方法。
【0199】
実施形態116.前記複数の織布層の前記繊維が約1~約550パーセントの破断伸びを有する、実施形態74~115のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
実施形態117.前記複数の織布層の前記繊維が約1~約125パーセントの破断伸びを有する、実施形態116に記載の方法。
【0201】
実施形態118.前記複数の織布層の前記繊維が約1~約10パーセントの破断伸びを有する、実施形態117に記載の方法。
【0202】
実施形態119.前記複数の織布層の前記繊維がポリマーである、実施形態74~118のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
実施形態120.前記複数の織布層の前記繊維が、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアゾール、ポリエステル、グラフェン、スパイダーシルク、カーボンナノチューブ、コポリマー、多成分繊維、及びそれらの組み合わせの繊維のタイプのうちの1つ以上を含む、実施形態74~119のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
実施形態121.前記複数の織布層の前記繊維が、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアゾール、ポリエステル、グラフェン、スパイダーシルク、カーボンナノチューブ、コポリマー、多成分繊維、及びそれらの組み合わせの繊維のタイプのうちの1つ以上からなる、実施形態74~120のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
実施形態122.前記複数の織布層の前記繊維が、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアゾール繊維、ポリエステル繊維、グラフェン繊維、スパイダーシルク繊維、カーボンナノチューブ繊維、コポリマー繊維、多成分繊維、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態74~121のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
実施形態123.前記複数の織布層の前記繊維がアラミド繊維を含む、実施形態74~120のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
実施形態124.前記複数の織布層の前記繊維がポリエチレン繊維を含む、実施形態74~120、又は123のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
実施形態125.前記複数の織布層の前記繊維がコポリマー繊維を含む、実施形態74~120、123、又は124のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
実施形態126.前記複数の織布層の前記繊維が多成分繊維を含む、実施形態74~120、又は123~125のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
実施形態127.前記複数の織布層の前記繊維がポリエチレン繊維である、実施形態74~121のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
実施形態128.前記複数の織布層の前記繊維がコポリマー繊維である、実施形態74~121のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
実施形態129.前記複数の織布層の前記繊維が多成分繊維である、実施形態74~121のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
実施形態130.約0.025インチ~約4.0インチの厚さを有する、実施形態74~129のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
実施形態131.約0.10インチ~約2.0インチの厚さを有する、実施形態130に記載の方法。
【0215】
実施形態132.約0.034kg/m2~約9.8kg/m2の面密度を有する、実施形態74~131のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
実施形態133.約0.034kg/m2~約3.1kg/m2の面密度を有する、実施形態132に記載の方法。
【0217】
実施形態134.約0.17kg/m2~約9.8kg/m2の面密度を有する、実施形態74~132のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
実施形態135.約0.17kg/m2~約2.2kg/m2の面密度を有する、実施形態134に記載の方法。
【0219】
実施形態136.約0.17kg/m2~約0.85kg/m2の面密度を有する、実施形態135に記載の方法。
【0220】
実施形態137.MIL STD-662Fに準拠したV50が約750ft/s~約3000ft/sである、実施形態74~136のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
実施形態138.MIL STD-662Fに準拠したV50が約600ft/s~約4000ft/sである、実施形態74~136のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
実施形態139.MIL STD-662Fに準拠したV50が約500ft/s~約20000ft/sである、実施形態74~136のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
本発明の種々の実施形態について上述したが、限定ではなく、例として提示されていることを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部における種々の変更形態がなされ得ることが当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明について、例示的な上記の実施形態を参照して説明したが、他の実施形態も特許請求の範囲内であることを理解されたい。更に、本明細書に記載の例示的な実施形態を組み合わせて他の実施形態を形成し得ることを理解されたい。上記の説明を読んだ後、本発明を代替の実施形態で実施する方法が当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明は例示的な上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】