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特表2025-500119エアロゾル発生基材及び基材を含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】エアロゾル発生基材及び基材を含む物品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20241226BHJP
   A24B 15/12 20060101ALI20241226BHJP
   A24B 15/14 20060101ALI20241226BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20241226BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20241226BHJP
   A24F 40/42 20200101ALN20241226BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B15/12
A24B15/14
A24B15/30
A24D1/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526961
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2023050837
(87)【国際公開番号】W WO2023135285
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】22151546.3
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンキンソン, セシール
(72)【発明者】
【氏名】アンギアノ, オズワルド
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BB02
4B043BB14
4B043BB22
4B043BB25
4B043BB28
4B043BC12
4B043BC18
4B043BC20
4B045AA21
4B045AA41
4B045AB11
4B045AB16
4B162AA03
4B162AA05
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC14
(57)【要約】
第1のエアロゾル発生部分(28)と、第1のエアロゾル発生部分(28)に隣接して位置決めされた少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分(20)とを含む、非燃焼式エアロゾル発生デバイス用のエアロゾル発生基材(12)であって、第1のエアロゾル発生部分(28)及び第2のエアロゾル発生部分(20)は、エアロゾル発生剤と、それぞれ、互いに異なる第1の風味料及び第2の風味料とを含み、第1のエアロゾル発生部分(28)及び第2のエアロゾル発生部分(20)の少なくとも一方は、非タバコ風味料を含有する発泡体であり、発泡体は、加熱時にエアロゾルを生成するように構成され、発泡体は、エアロゾル発生デバイスの加熱温度範囲内に含まれる温度でのエアロゾル発生条件下では溶融できず、加熱温度範囲は180℃~350℃であり、発泡体は、寒天、ジェランガム、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び/又はそれらの混合物からなる群から選択される発泡体形成剤を含む、エアロゾル発生基材(12)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエアロゾル発生部分(28)と、前記第1のエアロゾル発生部分(28)に隣接して位置決めされた少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分(20)とを含む、非燃焼式エアロゾル発生デバイス用のエアロゾル発生基材(12)であって、
前記第1のエアロゾル発生部分(28)及び前記第2のエアロゾル発生部分(20)は、エアロゾル発生剤と、それぞれ、互いに異なる第1の風味料及び第2の風味料とを含み、
前記第1のエアロゾル発生部分(28)及び前記第2のエアロゾル発生部分(20)の少なくとも一方は、非タバコ風味料を含有する発泡体であり、前記発泡体は、加熱時にエアロゾルを生成するように構成され、前記発泡体は、前記エアロゾル発生デバイスの加熱温度範囲内に含まれる温度でのエアロゾル発生条件下では溶融できず、前記加熱温度範囲は180℃~350℃であり、
前記発泡体は、寒天、ジェランガム、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び/又はそれらの混合物からなる群から選択される発泡体形成剤を含む、
エアロゾル発生基材(12)。
【請求項2】
前記加熱温度範囲は、200~320℃、好ましくは230~320℃である、請求項1に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項3】
前記第1のエアロゾル発生部分(28)は、タバコ材料を含有する発泡体及び/又は非タバコ風味剤である、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項4】
前記第1のエアロゾル発生部分(28)及び前記少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分(20)は、共押出物であり及び/又は同心円状に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項5】
前記エアロゾル発生基材(12)に含まれる前記第1のエアロゾル発生部分(28)及び/又は前記少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分(20)の前記発泡体は、発泡体安定剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項6】
前記発泡体安定剤は、セルロースガム、ヒドロキシアルキル化炭水化物、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4又は5に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項7】
前記発泡体安定剤は、セルロースガム、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)若しくはその誘導体及び/又はセルロース繊維を含む、請求項6に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項8】
前記第1の部分(28)及び/又は前記少なくとも1つの第2の部分(20)中の前記エアロゾル形成剤は、少なくとも40重量%の量であり、好ましくは、プロピレングリコール、グリセリン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項9】
前記第1のエアロゾル発生部分(28)は、タバコ粉末を含み、好ましくは加工されたタバコ混合物、最も好ましくはタバコ発泡体である、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項10】
前記第2のエアロゾル発生部分(20)は、メントール、天然及び/又は人工植物の風味(例えば、ペパーミント、ベリー、フルーツ、根、又はナッツ)、動物由来、酵素由来、又は微生物由来の風味、甘味のような、アルコールの、又はデザートのような風味(例えば、チョコレート、クッキー生地、ピーナッツバター、キャロットケーキ、マシュマロ、バターポップコーン、プロセッコ、赤ワイン、ラム酒、ゼリービーンズ、ギネス、バーボン、蜂蜜、タフィー、プラリネ、バターフィンガー、黒パンなど)、並びにそれらの組み合わせのリストの中から選択される非タバコ風味剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項11】
前記第1のエアロゾル発生部分及び前記少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分は、加熱時に、前記第1のエアロゾル発生部分及び前記少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分(20)からの風味放出が時間的にずらされるように適合されるような同軸配置(20)にある、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生基材(12)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生基材(12)を含む加熱非燃焼式エアロゾル発生物品(10)であって、前記基材(12)は外側ラッパーで包まれる、加熱非燃焼式エアロゾル発生物品(10)。
【請求項13】
フィルタ(16)と、前記フィルタと前記エアロゾル発生基材(12)との間の間隔保持/冷却部分(14)とをさらに含む、請求項12に記載の加熱非燃焼式エアロゾル発生物品(10)。
【請求項14】
第1のエアロゾル発生部分(28)と、前記第1のエアロゾル発生部分(28)に隣接して位置決めされた少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分(20)とを含む、非燃焼式エアロゾル発生デバイス用のエアロゾル発生基材(12)を製造するための方法であって、前記第1のエアロゾル発生部分(28)及び第2のエアロゾル発生部分(20)は、エアロゾル発生剤と、それぞれ、互いに異なる第1の風味料及び第2の風味料とを含み、前記第1のエアロゾル発生部分(28)及び前記第2のエアロゾル発生部分(20)の少なくとも一方は、非タバコ風味料を含有する発泡体であり、前記発泡体は、加熱時にエアロゾルを生成するように構成され、前記発泡体は、前記エアロゾル発生デバイスの加熱温度範囲内に含まれる温度でのエアロゾル発生条件下では溶融できず、前記加熱温度範囲は180℃~350℃であり、前記第1のエアロゾル発生部分(28)及び前記少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分(20)は共押出される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生基材、及び非燃焼加熱式エアロゾル発生デバイス用の基材を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
気化器などのエアロゾル発生デバイスが、従来の喫煙具に代わるものとして普及している。そのようなデバイスでは、例えば電子ヒータを用いてエアロゾルが加熱される。これに関連して、蒸気吸入したときにユーザが強い及び/又は多様な風味を体験できることが望ましい。
【0003】
先行技術
ムースとして提供されるエアロゾル発生基材が、国際公開第2018/122375A1号パンフレット及び国際公開第2020/002607A1号パンフレットに開示されている。国際公開第2020/254582A1号パンフレット、国際公開第2021/083844A1号パンフレット、国際公開第2021/094453A1号パンフレット、及び国際公開第2021/094365A1号パンフレットは、それぞれ、かかるムース及び高温圧縮タバコ基材に関する。国際公開第2020/127261A1号パンフレットは、タバコムースを形成するための押出を教示しており、国際公開第2021/105449A1号パンフレットは、各々が、ゲル化剤で形成された非晶質固体を含む、組成の異なる少なくとも2つのエアロゾル発生材料を含むエアロゾル発生デバイス用の消耗品に関する。同様に、国際公開第2021/128828A1号パンフレット及び国際公開第2021/053029A1号パンフレットは、溶融し得るゲルを含む消耗品に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の教示にもかかわらず、強度及び/又は多様性などの、風味の放出に関して改良されたエアロゾル発生基材及び物品を提供する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、請求項1の主題によって達成される。
【0006】
したがって、非燃焼式エアロゾル発生デバイス用のエアロゾル発生基材は、第1のエアロゾル発生部分と、第1のエアロゾル発生部分に隣接して位置決めされた少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分とを含み、第1のエアロゾル発生部分及び第2のエアロゾル発生部分は、エアロゾル発生剤と、それぞれ、互いに異なる第1の風味料及び第2の風味料とを含み、第1のエアロゾル発生部分及び第2のエアロゾル発生部分の少なくとも一方は、非タバコ風味料を含有する発泡体であり、発泡体は、加熱時にエアロゾルを生成するように構成され、発泡体は、エアロゾル発生デバイスの加熱温度範囲内に含まれる温度でのエアロゾル発生条件下では溶融できず、加熱温度範囲は180℃~350℃であり、発泡体は、寒天、ジェランガム、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び/又はそれらの混合物からなる群から選択される発泡体形成剤を含む。考えられる例では、第1のエアロゾル発生部分と第2のエアロゾル発生部分の両方は、それぞれ第1の非タバコ風味料及び第2の非タバコ風味料を含む。
【0007】
発泡体は、液体よりも著しく安定しており、液体が漏出し得るのと同程度に容易に漏出することはないので、発泡体の形態のエアロゾル発生基材を提供することによって、漏出を防止できるという重要な利点がもたらされる。特に、この利点は、安定した発泡体であって、発泡体が加熱温度範囲内の少なくとも1つの値の温度まで耐えるような、エアロゾル発生デバイスの加熱温度範囲内に含まれる温度では溶融できない発泡体を提供することによって達成することができる。その上、発泡体の量は、ユーザが慣れているセッション時間、すなわち通常の紙巻きタバコのセッション時間に対応するように調整することができる。また、風味料などの、エアロゾルの望ましい原料を発泡体中に容易に供給できることが分かっている。
【0008】
少なくとも2つのエアロゾル発生部分中に供給される異なる風味料によって、風味を全体として増強及び/又は多様化することができる。特に、エアロゾル発生部分、特に発泡体は、特定の、好ましくは異なる時間又は少なくともずらした時間の間に風味のかなりの部分を放出するように設けることができ、その結果、経時的に変化する優勢な風味を体験することができる。その上、風味の総放出時間を延長することができ、蒸気吸入の間の風味の一貫性が達成される。最後に、異なるエアロゾル発生部分中に異なる風味料を供給することによって、風味を異なるエアロゾル発生部分中に別々に保持することができ、異なる風味に関するユーザの体験を劣化させ得る、風味の混合を行う必要がない。要約すると、風味の品質と強度を以前と比較して長期間にわたって高いレベルに保つことができる。
【0009】
さらなる請求項において、好ましい実施形態が記載されている。
【0010】
エアロゾル発生デバイスの加熱温度範囲に関して、この範囲は、例えば200~320℃、好ましくは230~320℃とすることができる。この範囲内において、エアロゾルを確実に生成することができ、同時に発泡体の溶融を回避することができる。特に、これらの温度では、発泡体は、焦げる及び褐変することがあるが、溶融時に通常生じる変形を起こさない可能性がある。
【0011】
エアロゾル発生基材は、特に均質化されたタバコ材料中にタバコ材料を有することができるが、タバコ材料を含まず、及び/又は非タバコ風味剤を含むこともできる。タバコ材料は、一般的に少量の葉を含み得るが、葉タバコよりもむしろ、再構成タバコ又は加工されたタバコ混合物を含むので、通常の紙巻きタバコに含まれるタバコ材料と異なる。これに関連して、ユーザがニコチンの摂取を制御することを可能にする、ニコチンの量も変化する可能性がある。これに関連して、ニコチン源とは、加熱されたときにニコチンを放出することが可能な任意の物質を意味する。かかる物質は必ずしもタバコである必要はないが、ニコチンをタバコから抽出し、発泡体として服用することができる。妥当なニコチンレベルを提供するために、エアロゾル発生基材の乾燥基準でのニコチンの量は、0.1~10重量%、好ましくは0.1~4重量%であることが好ましい。円筒状とすることができ、プラグと呼ぶことができる、エアロゾル発生基材の製造は、第1のエアロゾル発生部分及び少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分を共押出物として及び/又は同心円状に設けることによって特に効率的になる可能性がある。
【0012】
結果として、特に漏出の可能性が低い安定した発泡体を提供するために、少なくとも1つのエアロゾル発生部分は、好ましくは、発泡体形成剤及び/又は発泡体安定剤を含む。
【0013】
以下、簡潔に「ガム」と称される、好ましい発泡体形成剤は、限定されるものではないが、寒天、ジェランガム、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び/又はそれらの混合物からなる群から選択される。発泡体形成剤の量は、発泡体の1~15重量%、より好ましくは発泡体の2~10重量%、最も好ましくは3~8重量%であることが好ましい。
【0014】
好ましい発泡体安定剤は、セルロースガム、ヒドロキシアルキル化炭水化物、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択され、並びに/或いは、セルロースガム、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)若しくはその誘導体(本出願では「結合剤」とも称される)及び/又はセルロース繊維を含む。CMCの誘導体は、その塩、好ましくは、ナトリウム塩及び/又はカリウム塩などのアルカリ金属塩であり得る。発泡体安定剤としてのセルロース繊維は、好ましくは、発泡体の5重量%~15重量%の量で存在する。発泡体安定剤の量は、発泡体の5~30重量%、好ましくは8~28重量%であることが好ましい。考えられる例では、発泡体安定剤は、発泡体中に約1:1の比率のセルロース繊維及びカルボキシメチルセルロースを含む。別の例では、発泡体安定剤は、カルボキシメチルセルロースのみを含み、発泡体中にセルロース繊維を含まない。
【0015】
第1の試験では、エアロゾル形成剤に関して、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは60重量%の量の少なくとも1つのエアロゾル発生部分及びプロピレングリコール、グリセリン、又はそれらの組み合わせが有益であると分かっている。
【0016】
少量の水及び/又は酸及び/又はエステル、例えばジアセチンが、発泡体に含まれ得る。好ましい例では、発泡体は、発泡体の0~15重量%、例えば9~10重量%の量の水を含み得る。
【0017】
第1のエアロゾル発生部分は、好ましくは、タバコ粉末を含む。より好ましくは、第1のエアロゾル発生部分は、加工されたタバコ混合物である。タバコ粉末の量は、好ましくは、第1のエアロゾル発生部分の少なくとも50重量%である。一例では、第1のエアロゾル発生部分は、タバコ発泡体である。タバコ発泡体の利点は、同じく発泡体又は発泡材料である第2のエアロゾル発生部分と共にタバコ発泡体を容易に押出又は共押出できることである。
【0018】
好ましい(非タバコ)風味剤発泡体は、メントール、天然及び/又は人工植物の風味(例えば、ペパーミント、ベリー、フルーツ、根、又はナッツ)、動物由来、酵素由来、又は微生物由来の風味、甘味のような、アルコールの、又はデザートのような風味(例えば、チョコレート、クッキー生地、ピーナッツバター、キャロットケーキ、マシュマロ、バターポップコーン、プロセッコ(Prosecco)、赤ワイン、ラム酒、ゼリービーンズ、ギネス(Guinness)、バーボン、蜂蜜、タフィー、プラリネ、バターフィンガー、黒パンなど)、並びにそれらの組み合わせのリストの中から選択される。風味剤の量に関して、現時点では、0.2~18重量%、好ましくは0.6~13重量%であることが好ましい。
【0019】
好ましいレシピに関して、非タバコエアロゾル発生部分は、
- 60~70重量%、好ましくは約63~68重量%の量のエアロゾル形成剤、
- 5~10重量%の水、好ましくは約9重量%の精製水、
- 1~6重量%のガム、好ましくは約4.5重量%のガム、及び
- 8~20重量%の結合剤、好ましくは約18重量%の結合剤を含む。
【0020】
代替的に、エアロゾル発生部分は、
- 60~70重量%、好ましくは約63~68重量%の量のエアロゾル形成剤、
- 5~10重量%の水、好ましくは約9重量%の精製水、
- 1~6重量%のガム、好ましくは約4.5重量%のガム、
- 8~20重量%の結合剤、好ましくは約11重量%の結合剤、及び
- 8~15重量%のセルロース繊維、好ましくは約12重量%のセルロース繊維を含む。
【0021】
上記のそれらのレシピでは、ガムは、より好ましくはジェランガムであり、及び/又は結合剤は、好ましくはカルボキシメチルセルロース及びその誘導体である。
【0022】
セルロース繊維の添加は、セルロース繊維がバイオポリマーであるが「溶融」せず、焦げ(二重結合C-Cの形成)及び劣化を意味する、分解を比較的高い温度でのみ起こすに過ぎないので、加熱中に形状の完全性を維持するのに特に有利である。
【0023】
第1のエアロゾル発生部分又はタバコ部分は、加工されたタバコ混合物で形成された均質化されたタバコ材料を含み得る。混合物は、タバコ粉末と、エアロゾル形成剤(例えば、グリセリン)と、結合剤(例えば、グアーガム)と、任意選択的にセルロースパルプとを含み得る。例えば、タバコ混合物は、50重量%~80重量%のタバコ粉末、8重量%~15重量%のエアロゾル形成剤、1重量%~10重量%の結合剤、及び0重量%~10重量%のセルロースパルプを含む。
【0024】
既に述べたように、経時的な風味放出を延長し、同時に一定の強度を保つために、第1のエアロゾル発生部分及び少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分からの風味放出は、好ましくは、時間的にずらされるように適合される。この適合は、特に第1のエアロゾル発生部分及び第2のエアロゾル発生部分の隣接配置によって促進され、特にこれらの部分は、物品及び/又は空気流の横断方向に、例えば連続する隣接層として配置される。特に、重ね合わせた管状層などによる、第1のエアロゾル発生部分及び第2のエアロゾル発生部分の同軸配置は、風味の時差放出に特に有利であると分かる。
【0025】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、ラッパーに包まれた上記の基材を含む。物品は、ラッパー内に収容することもできる、マウスピースをエアロゾル発生基材の下流にさらに含むことができる。さらに、マウスピースは、フィルタと、エアロゾル発生基材とフィルタとの間に設けられた間隔保持及び/又は冷却要素とを含むことができる。ラッパーは、例えば、紙巻きタバコ用巻紙から作製することができ、金属化することもしないこともできる。いずれの場合も、ラッパーは、発泡体の焼け焦げを回避するように設計することができ、この発泡体は、電子タバコで使用される発泡体であるため、eムースと呼ぶこともできる。
【0026】
マウスピース内に設けられたフィルタに関して、このフィルタは、比較的低い、いずれの場合も、許容できる圧力損失をもたらすように適合させることができ、その結果、風味の強度とニコチン収量が最適なままである。追加的に、間隔保持及び/又は冷却要素の存在によって、まず、発生したエアロゾルが冷却され、その結果、不快なほど高温のエアロゾルがユーザの口に流入することが防止される。その上、物品を使用できる、良好に確立されたエアロゾル発生デバイスに適合した大きさを、間隔保持要素を用いて、本発明による物品に与えることができる。本明細書に記載する物品を本エアロゾル発生デバイスと共に使用できるという事実に起因して、ユーザには、単一のデバイスがあれば十分であり、1つのデバイスのみをメンテナンスすればよいという利点がある。
【0027】
間隔保持及び/又は冷却要素が中空紙管である場合、これは、物品全体の堆肥化可能性に寄与する。これは、物品に紙フィルタを設けるという好ましい対策にも適用される。
【0028】
間隔保持及び/又は冷却要素の長さに関して、現時点では、10~25mm、好ましくは18~22mmであることが好ましい。
【0029】
エアロゾル発生基材は、任意の適切な延長部を有することができるが、エアロゾル発生基材が物品の上流端から下流端に向かって延びる場合には、本明細書に記載する物品をコンパクトに保つ。また、物品の好ましい全長は、50mm~70mm、より好ましくは55mm~65mm、さらにより好ましくは58mm~62mmであり、エアロゾル発生基材又はプラグは、好ましくは約15mm~25mmであり、フィルタは、好ましくは約15mm~25mmである。
【0030】
エアロゾル発生物品の形状に関して、円筒又は平板は、製造が容易であるので好ましい。
【0031】
さらに、少なくとも2つのエアロゾル発生部分を設け、例えば同軸に形成することができ、エアロゾル発生基材内に1つ以上の中空管を設けることができる。この場合、2つのエアロゾル発生部分は、中心中空管を取り囲むエアロゾル発生材料の2つの重ね合わせた層として設けることができる。中空管は、円筒状ロッド内では、発泡体又はムースが実質的に単一の半固体要素である、円筒状ロッドを通って流れる熱と比較して、中空を通る熱流が、より多くの風味及びニコチンを抽出できるという利点をもたらす。発泡体からのより多くの風味及びニコチンの抽出を可能にする効果は、プラグと呼ぶこともできる、実質的に基材全体を貫通して延びる、長手方向の複数の貫通路、貫通流路又は貫通孔によってさらに高められる。また、この効果は、発泡体又はムースが細断された、ビーズ又は小さな要素などの、複数の個片の形態のエアロゾル発生基材を提供することによって達成することもできる。これらの要素は、実質的に同じ又は異なる形状及び/又は大きさを有することができる。例えば、要素は、1又は2ミリメートルの大きさを有し得る。
【0032】
フィルタは、紙フィルタ又はフィラメントトウフィルタであり得る。紙フィルタは、包まれた紙のギャザー付きシートであり得る。快適な蒸気吸入体験を提供するために、特に風味の強度とニコチンの放出を損なわないように、好ましくは5mm水柱/mm未満、より好ましくは3mm水柱/mm未満、最も好ましくは2.5mm水柱/mm以下の圧力損失を有するフィルタが有利である。これらの値のうちの最高値によって、アセテートフィルタの使用が可能となり、紙フィルタは、より低い値を達成することができる。圧力損失は、Coresta Recommended Method No.41(2007)及びCoresta Guide No.4(2019)によって規定された標準条件下で測定される。
【0033】
これに関連して、20~40g/mの坪量を有する紙フィルタの紙シートが有益であることが分かっている。代替的に又は紙フィルタに加えて使用できる、セルロースアセテートフィルタなどのフィラメントトウフィルタに関連して、許容できるほど低い圧力損失を有するフィルタを提供するために、フィラメントトウは、フィラメント当たり6を超えるデニール、好ましくは最大でも8以下のデニールを有し、及び40,000未満、好ましくは30,000以下の総デニールが好ましい。フィルタは、場合により、欧州特許出願公開第1906775号明細書に記載されているものなどの、要求に応じた風味の放出のための、風味剤(例えば、親油性溶媒に分散された香気、芳香)を含む易破壊性カプセルを含み得る。
【0034】
上記から明らかであるように、本明細書に記載する物品は、好ましくは、物品を挿入してエアロゾル発生基材を加熱するためのエアロゾル発生デバイスを含むエアロゾル発生システムと一緒に使用される。このデバイスは、典型的には、チャンバ内の基材を加熱するように、及び基材を通して空気が引き込まれると基材からフィルタを通過するエアロゾルを発生させるように構成されたヒータにおいて少なくともエアロゾル発生基材を受け入れるためのチャンバを含む。ヒータは、例えば、外部管状ヒータ、及び/又は誘導コイルによって加熱されるように適合された物品内のサセプタと物品の外側の誘導コイルとの組み合わせとすることができる。
【0035】
本発明はさらに、本明細書に記載するエアロゾル発生デバイスを製造するための方法であって、少なくとも2つのエアロゾル発生部分は共押出され、好ましくは、少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分は、風味の付いた発泡体であり、好ましくはタバコを含まず、第1のエアロゾル発生部分は、タバコ材料を含み、好ましくは加工されたタバコ混合物、最も好ましくはタバコ発泡体である、方法を提供する。
【0036】
最後に、エアロゾルを放出するための新規な方法であって、第1の風味料及び第2の風味料は、時間的にずらして放出されるように適合される、方法が提示され、特に、電気式エアロゾル発生デバイス内の加熱非燃焼式エアロゾル発生基材又は物品からエアロゾルを放出するための方法であって、デバイス内での物品の加熱時に、第1のエアロゾル発生部分及び少なくとも1つの第2のエアロゾル発生部分からの第1の風味料及び少なくとも第2の風味料は、時間的にずらして風味を放出する、方法が説明される。
【0037】
最後に、エアロゾル発生基材、物品、基材を製造するための方法、及び/又はエアロゾルのみを放出するための方法に関して上述した又は後述する任意の特徴は、本開示の他の主題にも等しく適用可能である。
【0038】
以下では、非限定的な例及び図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】物品の第1の実施形態の斜視図を示す。
図2】本発明の物品による経時的な風味の放出を示す図である。
図3】本発明の物品のさらなる実施形態を断面図で示す。
図4】2つのエアロゾル発生部分を共押出するためのデバイスを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1から分かるように、本明細書に記載する物品10は、典型的には、円筒状であり、各々がほぼ同じ長さを有することができる、実質的に3つのセクション、すなわち、プラグと呼ぶこともできる、発泡体又はムースセクション12と、間隔保持及び/又は冷却要素を構成する紙管14と、風味を含む蒸気が蒸気吸入中にフィルタ16を通してユーザに放出される、物品の口側端に位置するフィルタ16とを有する。これらのセクションは、特にチップペーパーを含む紙ラッパーによって実質的に取り付けられる。通気ゾーン(図示せず)は、ラッパー、フィルタ及び/又は紙管を貫通する少なくとも1列の通気孔などによって設けられ得る。その形成に従って、発泡体は、連続気泡構造(すなわち、多孔質3次元網目構造を形成するように互いに連通する気泡)を有する。図示の実施形態では、プラグ12は、例えばヒータ管とすることができる、加熱要素18で取り囲まれる。矢印Aで示すように、口側端に負圧を加えることによって、加熱された空気が物品内を流れると、熱流によって、プラグから、まず第1のエアロゾル発生部分28から風味と任意選択的にニコチンが抽出され、ユーザに送達される。
【0041】
これは、複数の第2のエアロゾル発生部分20について図3に示すように、好ましくはプラグ12の中心に位置し、単一の第2のエアロゾル発生部分が存在する場合、プラグの直径のおよそ3分の1の直径を有することができる、第2のエアロゾル発生部分20によって高められる。これらの1つ以上の第2のエアロゾル発生部分20は、典型的には円筒形状を有するプラグの軸方向又は長手方向と必ずしも完全に位置合わせされて延びる必要はない。むしろ、第2のエアロゾル発生部分20は、長手方向に対してある角度をなして延びることができ、第2のエアロゾル発生部分20の延長部に沿って1つ以上の湾曲部又は屈曲部を含むことができる。考えられる態様では、中空管、例えば紙管はさらに、中心空気流路を形成するようにプラグに挿入され得、2つ以上のエアロゾル発生部分は、管(図示せず)の上に被せられる。貫通孔の表面が発泡体を有する結果として、熱流を増加させ、多くの風味及びニコチンを抽出することができる。
【0042】
矢印Bで示すように、熱は、矢印Aで示すプラグを通る加熱された空気流によってエアロゾル発生部分に伝達されるだけでなく、横方向又は径方向にも伝達される。このように、タバコ風味は、まず、径方向外側の第1のエアロゾル発生部分(28)において放出され、次いで、一定期間後に、2次的な、典型的には非タバコの風味が放出される。
【0043】
図2には、タバコ風味及び任意選択的にニコチンが、短時間で比較的集中的に放出され、特定のピークに達した後も高く且つ比較的一定のレベルにある、風味の時差放出が示されている。その上、1つ以上の2次的風味が後に、好ましくはずらされた時点に同様の風味強度で経時的に放出され、風味の増強と多様化の両方が可能となる。特に、各エアロゾル発生部分は、ピークと減少を伴う比較的持続的な放出を提供する。この減少は、有利には、第2のエアロゾル発生部分のピークによって補償される。その利点は、風味又は味の滴が知覚できないように、全体的な蒸気吸入動作の間に揮発性物質の放出を高く且つ可能な限り一定に維持することである。
【0044】
図3は、実質的に同心円状に設けられた複数のエアロゾル発生部分を有するプラグ12の例を示している。プラグの中心を中空のままにすることができ、このために、プラグの中心を例えば中空紙管が占有できることに留意すべきである。
【0045】
図4は、第2の風味を提供するeムース24が、デバイス22の送給ポンプによって供給されるタバコ含有ブレンド26中に実質的に送給され、その結果、図1に示す実施形態のプラグ12を実質的に製造できる、共押出デバイス22を示す。
【0046】
実施例
図4に示す共押出機を用いてタバコブレンド(タバコ発泡体)中にeムースを共押出することによって、エアロゾル発生基材を調製した。eムースは、共押出ノズルの手前で(第2の押出機又はピストンを介して)押出機に原料を送り込む前に混合機内で原料を混合することによって調製される。
【0047】
【0048】
eリキッドは、1:1の比率のPG/VGであり、風味剤及び/又はニコチンを含有していた。風味剤の量は、eムースの重量に対して0.5%~14重量%、好ましくは3重量%~14重量%とすることができる。eムースはまた、0.45重量%~3.4重量%、最も好ましくは1.14重量%の量のニコチンを含み得る。
【0049】
異なるタバコブレンドを以下のレシピに従って(国際公開第2020/002607号パンフレットのように)試験した。タバコブレンドは、好ましくは、共押出機の入口に原料を導入する前に混合機内で原料を混合することによって又は、代替的に押出機の異なるセクションに時差式に原料を導入することによって調製される。
【0050】
【0051】
eムースの耐溶融性
直径7mm、長さ10mmの小さな円筒状のeムース(実施例1~実施例3のレシピ)を生成し、200℃の温度で60秒間オーブンに入れた。周囲温度まで冷却した後の円筒体の視覚的観察によって、ある程度の褐変が見られたが、著しい変形も、10%を超える体積の変化も見られていない。実施例1では、多量の結合剤によって材料の溶融が防止される。実施例2及び実施例3では、結合剤及びセルロースの量によっても材料の溶融が防止される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】