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特表2025-500148人間状態センサを較正する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】人間状態センサを較正する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/18 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
A61B5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532756
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 RU2021000604
(87)【国際公開番号】W WO2023128779
(87)【国際公開日】2023-07-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フィリモノフ, アンドレイ ヴィクトロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】シシャロフ, イヴァン セルゲーヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】フィラトヴァ, アナスタシヤ セルゲーヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ブロヴァ, アンジェーラ グリゴーレヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ブラシニコフ, エフゲニー パブロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】グロマジン, オレグ アンドレーヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】バフチナ, アナスタシヤ ブラディミロヴナ
(72)【発明者】
【氏名】クレシュニン, ミハイル セルゲーヴィチ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PQ03
(57)【要約】
人間状態センサを較正する方法及びシステムが提供され、方法は、センサの複数の出力値を検出することであって、出力値は、ユーザの精神的状態及び/または生理学的状態を示す、検出することと、検出された複数の出力値に基づいて、境界出力値を決定することであって、検出された出力値の予め定められた部分は、境界出力値よりも高いまたは低い、決定することと、境界出力値に基づいて、センサの閾値出力値を決定することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精神的状態センサ及び/または生理学的状態センサを較正する方法であって、
前記センサの複数の出力値を検出することであって、前記出力値は、ユーザの精神的状態及び/または生理学的状態を示す、前記検出することと、
前記検出された複数の出力値に基づいて、境界出力値を決定することであって、前記検出された出力値の予め定められた部分は、前記境界出力値よりも高いまたは低い、前記決定することと、
前記境界出力値に基づいて、前記センサの閾値出力値を決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記検出された複数の出力値の各々についての検出の頻度を決定することと、
前記決定された検出の頻度に基づいて、前記境界閾値出力値を決定することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定された検出の頻度に基づいて、検出された出力値範囲にわたる前記検出された出力値の積分分布を決定することと、
前記決定された積分分布に基づいて、前記境界出力値を決定することと、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
積分分布関数の前記積分分布は、
【数1】
または
【数2】
によって定義され、IH(i)は、検出された出力値iについての積分分布関数値であり、H(j)は、検出された出力データ値jについての前記決定された検出の頻度であり、Nは、検出された出力値の総数である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記出力値は、出力値の出力値範囲、特に、予め定められた幅の出力値範囲である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記複数の値の範囲は、異なる幅を有し、特に、前記複数の値の範囲は、低い出力値または高い出力値に対してサイズが減少する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記閾値の予め定められた精度要件に基づいて、特に、前記境界出力値よりも高いまたは低い前記検出された出力値の前記予め定められた部分に基づいて、値の範囲の数を決定することを更に含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記検出された複数の出力値が出力値の第1の閾値数を満たすかどうか、特に、前記センサの総出力値範囲内にあるかどうか、及び/または1つ以上の出力値範囲内にあるかどうか、より具体的には、前記決定された境界出力値を上回るかまたは下回るかどうかを決定することと、
前記第1の閾値数が満たされる場合、前記境界出力値に基づいて、前記閾値出力値を決定することと、
を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
予め定められた時間間隔内に前記センサの前記複数の出力値を検出することと、
前記予め定められた時間間隔が満了した後、前記境界出力値に基づいて、前記閾値出力値を決定することと、
を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
出力値の第2の閾値数が1つ以上の特定の、特に異なる、センサ環境、ユーザシナリオ、及び/または時間フレーム内で検出されたかどうかを決定することと、
前記第2の閾値数が満たされる場合、前記境界出力値に基づいて、前記閾値出力値を決定することと、
を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1の閾値及び/または前記第2の閾値が満たされない場合、及び/または前記時間間隔が満了していない場合、予め定められた境界出力値に基づいて、前記閾値出力値を定義することを更に含む、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の方法を実行するように構成されたプロセッサを含むデバイス。
【請求項13】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されるとき、請求項1~11のいずれかに記載の方法を前記コンピュータに実施させる、前記コンピュータプログラム。
【請求項14】
命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、コンピュータによって実行されるとき、請求項1~11のいずれかに記載の方法を前記コンピュータに実施させる、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、精神的状態センサ及び/または生理学的状態センサなどの人間状態センサ、ならびにその較正に関し、特に、人間状態センサをパーソナライズすることに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の精神的状態検知、生理学的状態検知、または心理的状態検知は、特に、自動車領域内で急速に発展しているエリアである。より良好な状態検知は、例えば、車両のユーザの運転の安全性及び快適性を高めることを可能にし、また、ウェルビーイング及び健康関連のアプリケーションを活用し得る。その上、それは、特に、健康診断に関して、なおも別の生活空間として車両を探索することを支援し得る。
【0003】
人間の精神的状態、生理学的状態、または心理的状態は、高度にパーソナライズされる。人間はそれぞれ異なる背景を有し、異なる効率で問題を管理するために使用される。環境条件は、人間によって影響が異なる。あるユーザにとってストレスを与えるものが、他のユーザにとっては容易なタスクであったり、あるユーザにとってかなりの認知的努力を必要とするものが、他のユーザにとっては日常的な作業であったりする。
【0004】
よって、パーソナライズされた精神的状態、生理学的状態、または心理的状態指標または兆候を考慮に入れる、改善された、及び/またはより信頼できるセンサまたは検知方法が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
多くの実施形態の1つによれば、精神的状態センサ及び/または生理学的状態センサを較正する方法が提供され、方法は、センサの複数の出力値を検出することであって、出力値は、ユーザの精神的状態及び/または生理学的状態を示す、検出することと、検出された複数の出力値に基づいて、境界出力値を決定することであって、検出された出力値の予め定められた部分は、境界出力値よりも高い、または低い、決定することと、境界出力値に基づいて、センサの閾値出力値を決定することと、を含む。
【0006】
例えば、パーソナライズされた閾値出力値は、境界出力値として決定され得、または境界出力値プラス(予め定められた及び/または動的)オフセット値もしくはオフセット値範囲として決定され得る。言い換えると、境界値の周りのガードバンドが設けられ得る。よって、閾値出力値は、パーソナライズされた閾値出力値を表し得る。閾値出力値は、ユーザの閾値(例えば、重篤な)精神的状態及び/または生理学的状態を決定するために(使用可能)であり得る。言い換えると、方法は更に、決定された閾値出力値に基づいて、ユーザの精神的状態及び/または生理学的状態を決定することを含み得る。それによって、方法は、精神的状態センサ及び/または生理学的状態センサを介して、ユーザの人間状態を決定する方法に拡張される。
【0007】
本発明は、人間状態、例えば、心理的状態とも称され得る精神的状態及び/または(身体的)健康状態とも称され得る生理学的状態が、異なる人間に対して異なって表面に出る場合があるということの発見に基づいている。それに加えて、人間はそれぞれ状況によって反応が異なり得る。特定の人間またはユーザの以前に検出されたセンサデータまたは履歴センサデータを考慮することによって、人間の状態(精神的状態及び/または生理学的状態)センサを具体的に較正、すなわち、特定のユーザ向けにパーソナライズすることができる。それに加えて、センサの使用の間でさえ、定義された較正方法が連続して実行され得、それによって、連続して制御及び改善される。そのようにして、センサの妥当性が高まる。
【0008】
センサは、車両内に設置され得る。言い換えると、ユーザは、車両のドライバであり得る。
【0009】
実施形態によれば、方法は更に、検出された複数の出力値の各々についての検出の頻度を決定することと、決定された検出の頻度に基づいて、境界閾値出力値を決定することと、を含む。
【0010】
検出の頻度は、値密度関数または値ヒストグラムなど、検出関数の頻度を表し得る。全ての検出されたセンサ出力値の1%または5%など、予め定められた部分または割合が境界出力値としてより高い(または、低い)、境界出力値を介して履歴センサデータの制限エリアまたは境界エリアを考慮することによって、較正方法は、検出可能な人間の状態指標または兆候の個人的な変動を考慮に入れる。よって、センサを較正またはパーソナライズする単純でロバストな方法が提供され、それによって、センサの妥当性を更に高める。
【0011】
実施形態によれば、方法は更に、決定された検出の頻度に基づいて、出力値範囲にわたる検出された出力値の積分分布を決定することと、決定された積分分布に基づいて、境界出力値を決定することと、を含む。
【0012】
出力値範囲は、検出された出力値範囲、推定された出力値範囲、予測された出力値範囲、または予め定められた出力値範囲であり得る。積分分布は、検出された出力値についての検出(関数)の頻度の積分(関数)であり得る。言い換えると、積分分布は、積分密度関数または積分値ヒストグラムであり得る。積分分布関数は、特定の検出された出力データ値について、特定の決定された出力データ値よりも大きいまたは小さい決定された出力データ値の割合または部分を示し得る。それによって、境界出力を決定する有効な、単純な、かつ信頼できる方法が提供される。
【0013】
実施形態によれば、積分分布関数の積分分布は、
【化1】
によって定義され、IH(i)は、検出された出力値iについての積分分布関数値であり、H(j)は、検出された出力データ値jについての決定された検出の頻度であり、Nは、検出された出力値の総数である。代わりに、積分分布関数は、
【化2】
によって定義される連続した積分分布関数であり得、離散的な形式及び連続した形式の両方にあるIH(i)は、iよりも大きい出力値についての検出の頻度を示す。同様に、離散的かつ連続した積分分布関数値IH(i)は、iよりも小さい出力値についての検出の頻度を示し得る。それによって、積分分布を決定する有効な、単純な、かつ信頼できる方法が提供される。
【0014】
実施形態によれば、出力値は、出力値の出力値範囲、特に、予め定められた幅の出力値範囲である。
【0015】
複数の値範囲は、センサの(総)出力値範囲内にあり得、及び/または(総)出力値範囲にまたがって拡張し得る。言い換えると、各々の出力値は、対応する値範囲に割り当てられ得る。そのようにして、出力値のサブグループは、1つの出力値または出力値の1つのグループとして考えられ得る。それによって、方法を実行するために必要な処理電力または時間が低減する。言い換えると、方法の効率が向上する。
【0016】
実施形態によれば、複数の値範囲は、異なる幅を有し、特に、複数の値範囲は、低い出力値または高い出力値に対してサイズが減少する。
【0017】
例えば、複数の値範囲は、境界値または推定された境界値にそれらがより近いとサイズが減少する。そのようにして、より高い(または、低い)出力値エリア内、特に、境界出力値に相対的に近い、例えば、境界出力値と隣のエリア内でのより良好な分解能を達成することができる。
【0018】
実施形態によれば、方法は更に、閾値の予め定められた精度要件に基づいて、特に、境界出力値よりも高いまたは低い検出された出力値の予め定められた部分に基づいて、値範囲の数を決定することを含む。
【0019】
例えば、値の範囲の総数が10である場合、例えば、検出された(または、検出可能な)出力値の総範囲は、10で除算され、先端に最も近い(すなわち、最高または最低)の値の範囲は、検出された値の範囲の4%を含むが、境界出力値が検出された出力値の99%よりも高い(または、小さい)ことが必要とされ、値の範囲の数が増大することになる。それによって、精度要件を考慮に入れると共に、方法を実行するために必要な処理電力または時間が低減する。
【0020】
実施形態によれば、方法は更に、検出された複数の出力値が出力値の第1の閾値数を満たすかどうか、特に、センサの総出力値範囲内にあるかどうか、及び/または1つ以上の出力値範囲内にあるかどうか、より具体的に、決定された境界出力値を上回るかまたは下回るかどうかを決定することと、第1の閾値数が満たされる場合、境界出力値に基づいて、閾値出力値を決定することと、を含む。
【0021】
実施形態によれば、方法は更に、予め定められた時間間隔内にセンサの複数の出力値を検出することと、予め定められた時間間隔が満了した後、境界出力値に基づいて、閾値出力値を決定することと、を含む。
【0022】
そのようにして、検出された履歴的データが、パーソナライズされた閾値出力値を決定する有意な基準を設けることを保証することができる。
【0023】
実施形態によれば、方法は更に、出力値の第2の閾値数が1つ以上の特定の、特に異なる、センサ環境、ユーザシナリオ、及び/または時間フレーム内で検出されたかどうかを決定することと、第2の閾値数が満たされる場合、境界出力値に基づいて、閾値出力値を決定することと、を含む。
【0024】
そのようにして、検出された履歴的データが、典型的な状況及び/またはユーザの経験に関して検出され、センサまたはセンサシステムが次いで動作することが保証される。例えば、環境、ユーザシナリオ、及び/または時間フレームは、ユーザの1つ以上の正規通勤(例えば、職場と家との間の)、典型的な経路、(例えば、幹線道路及び都市エリアなどの経路の種類)、典型的な日時、及び/またはユーザが電話をかけること、運転中に認知が散漫になることもしくは空想にふけること(例えば、問題について考えることによって引き起こされる重い内的認知)などの認知的負荷シナリオを含む。よって、閾値出力値を決定する有益な、すなわち、現実的な基準が設けられる。
【0025】
実施形態によれば、方法は更に、第1の閾値及び/または第2の閾値が満たされない場合、及び/または時間間隔が満了していない場合、予め定められた境界出力値に基づいて、閾値出力値を定義することを含む。
【0026】
それによって、十分な履歴データがなおも検出されていない場合でさえ、較正方法がセンサ出力値の解釈を可能にする。
【0027】
別の実施形態によれば、上記説明された方法を実行するように構成されたプロセッサを含むデバイスが提供される。デバイスは、車両内に配列され得、または車両に備えられ得る。
【0028】
別の実施形態によれば、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、上記説明された方法をコンピュータに実施させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。コンピュータは、車両内に配列され得、または車両に備えられ得る。
【0029】
別の実施形態によれば、コンピュータによって実行されるとき、上記説明された方法をコンピュータに実施させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0030】
本開示の特徴、目的、及び利点は、図面と併用するときに以下に示される非限定的な実施形態の詳細な説明から明らかになり、図面では、同一の参照符号は、類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】精神的状態センサ及び/または生理学的状態センサを較正する方法のフローチャートを示す。
図2】較正方法の妥当性を改善する方法のフローチャートを示す。
図3】センサ、メモリ、及びプロセッサを含むデータ処理デバイスを示す。
図4】センサの例示的な出力値を示す。
図5】例示的な出力値についての検出ヒストグラムの頻度を示す。
図6】例示的な総出力値範囲内の全ての例示的な出力値についての検出ヒストグラムの第1の頻度を示す。
図7】検出ヒストグラムの第1の頻度の第1の例示的な積分分布ヒストグラムを示す。
図8A】例示的な総出力値範囲内の全ての例示的な出力値についての異なる幅の出力値範囲を有する検出ヒストグラムの第2の頻度を示す。
図8B】異なる幅の出力値範囲を有する検出ヒストグラムの第2の頻度の第2の例示的な積分分布ヒストグラムを示す。
図9】決定された5%の決定的な出力値を有するセンサの例示的な出力値を示す。
図10】検出ヒストグラムの第2の頻度の第3の例示的な積分分布ヒストグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、人間状態センサとも称される、精神的状態センサ及び/または生理学的状態センサを較正する方法100のフローチャートを示す。説明される方法ステップは、いずれかの適切な異なる順序において実行され得る。
【0033】
ステップ110では、センサの複数の出力値が検出される。人間状態センサまたは検出器は、時間間隔内の連続した出力を有し得る。センサの出力値は、ユーザの人間状態、すなわち、ユーザの精神的状態及び/または生理学的状態を示す。より具体的には、出力値は、出力値の数量に応じて、または出力値に対応して検出される状態の強度を示す。出力値は、特定の出力値範囲にわたって拡張する。好ましい実施形態では、複数の出力値は、2つよりも多い異なる出力値を含む。例として、ユーザの心拍数または心拍数パターンが検出され得る。
【0034】
ステップ120では、センサの総値範囲内または検出された出力値の総値範囲内の出力値範囲の数が決定される。言い換えると、ステップ110において検出される出力値は、部分範囲にグループ化される。加えてまたは代わりに、検出可能な出力値(すなわち、センサの出力値範囲)は、部分範囲に分割される。例えば、[0…1]の範囲は、3つの部分範囲[0…0.33]、(0.33…0.66]、及び(0.66…1]に分割される。更に別の言い方をすると、部分範囲内の検出された出力値は、部分範囲内の値、例えば、部分範囲内の最高出力値、最低出力値、または平均出力値の1つによって表される。出力値範囲内の部分範囲は、等しい幅またはサイズを有し得る。代わりに、部分範囲は、異なるサイズを有し得、特に、より高い部分範囲またはより低い部分範囲に対してより小さくまたは大きくなり得る。
【0035】
図4を参照して、センサの例示的な出力値が経時的に提示される。0.4及びおおよそ0.4の検出器の出力値が0.4の出力値の部分範囲に共にグループ化されることが例示される。言い換えると、0.4に近似する値は、0.4に丸められる。本実施例では、示される時間間隔内に3回検出される全ての出力値は各々、0.4の3つの別個の値に丸められる。別の言い方をすると、相互に直後にまたは連続して一度に検出される0.4に近似する出力値(0.4にある出力値を含む)は、1つの出力値0.4と見なされる。
【0036】
再度、図1を参照して、ステップ130では、検出された出力値の検出の頻度が決定される。言い換えると、(予め定められた)時間間隔内で各々の出力値が何回検出されたかが決定される。
【0037】
図4及び5では、出力値範囲0.4(図5)及び総出力値範囲内の全ての出力値範囲(図6)についての検出ヒストグラムの頻度が示される。例示される時間間隔内に、出力値または部分範囲0.4が3回検出されたことが例示される。図6に例示されるように、検出の頻度は、検出された出力値の範囲内の部分範囲ごとに決定される。本実施例では、その目的のために、7つの等しく離れた部分範囲が決定されている。図8Aに例示されるように、部分範囲は、異なるサイズを有し得る。
【0038】
再度、図1を参照して、ステップ140では、検出された出力値の積分分布関数が決定される。積分分布関数は、積分値ヒストグラムであり得る。
【0039】
図7は、図6に例示されるように、センサ出力値の検出の以前に決定された頻度に基づいて決定される例示的な積分分布ヒストグラムを示す。図8Bは、図8Aに例示されるように、センサ出力値の検出の以前に決定された頻度に基づいて決定される例示的なヒストグラムを示す。
【0040】
示されるように、特定の出力値または出力値の部分範囲について、特定の出力値を下回るまたは上回る他の出力値の数、部分、または割合を示すとして積分分布関数を説明することができる。例えば、例示されるヒストグラムは、0~1に分散した値を示す。最も左の部分範囲を考慮して、出力値の100%は、出力値0よりも大きい。最も右の部分範囲を考慮して、出力値の0%は、出力値1よりも大きい。別の言い方をすると、積分分布は、特定の出力値または出力値の部分範囲について、好ましくは検出された出力値の総数により除算される、特定の出力値または出力値の部分範囲を上回るまたは下回る(及び、含む)出力値についての検出の全ての頻度にわたる総計を示す。式として、そのような積分分布は、
【化3】
として表現され得、IH(i)は、検出された出力値または部分範囲iについての積分分布関数値であり、H(j)は、検出された出力データ値または部分範囲jについての検出の決定された頻度であり、Nは、検出された出力値の総数であり、Mは、最高または最低出力データ値である。
【0041】
再度、図1を参照して、ステップ150では、境界出力値が決定される。境界出力値は、決定された積分分布に基づいて決定され得、検出された出力値の予め定められた部分は、境界出力値よりも高いまたは低い。例えば、検出された出力値の5%が境界出力値よりも高いように、境界出力値が決定され得る。より具体的には、特定の値よりも高いもしくは低い検出された出力値の5%の割合と関連付けられる、または検出された出力値の5%未満である積分分布の特定の値は、境界出力値として選択され得る。
【0042】
積分分布の部分範囲のいずれもが、部分範囲よりも高いまたは低い検出された出力値の予め定められた、または所望の部分または割合と関連付けられない場合、方法は、ステップ120に戻り得、ステップ120では、異なる、特により多くの数の出力値範囲が決定される。そのようにして、値の範囲の数は、閾値の精度要件に基づき得る。
【0043】
図9及び10を参照して、本実施例では、境界出力値が0.86に設定され得ることが示される。図10に示される積分ヒストグラムは、全ての検出された出力値の5%を含む、0.86~1の部分範囲、例えば、[0.86,1)または[0.86,1]または(0.86,1]または(0.86,1)を示す。言い換えると、全ての検出された出力値の95%は、境界出力値0.86を下回る。
【0044】
再度、図1を参照して、ステップ160では、以前に決定された境界出力値に基づいて、センサについての閾値出力値が決定される。閾値出力値は、境界出力値0.86に、すなわち、境界出力値0.86に等しくなるように設定され得る。代わりに、閾値出力値は、境界出力値へのオフセットを含み得、オフセットは、境界出力値ごとに予め定められ、固定され得、または(絶対)境界出力値もしくはその数量に依存し得る。
【0045】
閾値出力値に基づいて、閾値出力値を上回る決定的な出力値を検出することができる。そのようにして、ユーザの決定的な精神的状態または生理学的状態が検出され得る。よって、センサ出力値の標準的変動または決定的でない変動が無視され得、出力値の外れ値のみが決定的であると決定され得る。そのようにして、センサ出力値を解釈するとき、ユーザ振る舞いまたは特性と、センサ振る舞いまたは特性との両方が考慮される。
【0046】
ここで図2を参照して、図1の例示的な方法100の更なるステップ200が示される。更なるステップ200は、図1の較正方法100の妥当性を改善する方法200とも称され得る。方法200は、方法100のいずれかの方法ステップ110~160の間、特にステップ110の後の方法100に含まれ得る。
【0047】
方法100は、方法ステップ210により開始し、ステップ210では、方法100のステップ110において検出された出力値が閾値を満たすかどうかが決定される。閾値は、出力値の第1の閾値数であり得る。出力値の第1の閾値数は、検出された出力値または検出可能な出力値の全範囲内の総数であり得、あるいは、検出された出力値または検出可能な出力値の部分範囲内、例えば、最高部分範囲もしくは最低部分範囲、または決定された境界出力値、予測された境界出力値、もしくは推定された境界出力値よりも高いもしくは低い部分範囲内総数であり得る。言い換えると、妥当な閾値出力値または適切な閾値出力値を決定するために、十分な出力値が検出されたかどうかがステップ210において決定される。
【0048】
代わりにまたは加えて、ステップ210の閾値は、(24時間)1日の間に異なるセンサ環境、異なるユーザシナリオ、及び/または異なる時間フレームもしくは間隔において検出される出力値の第2の閾値数であり得る。例えば、第2の閾値数は、(i)ラッシュアワーの間、(ii)ユーザによって行われる電話呼び出しの間、(iii)平日もしくは週末の間、(iv)ユーザの職場へのもしくは職場からの通勤の間、(v)特定の経路上で、及び/または(vi)特定の夜間もしくは日中の時間の間に、車両内で検出されることになる最小数の出力値を示し得る。言い換えると、どの閾値出力値が決定されるかに基づいて履歴的出力値の代表的なセットを取得するために、ユーザの異なる精神的状態及び/または生理学的状態、特にストレス状態の間に、十分な出力値が検出されることが保証される。
【0049】
代わりにまたは加えて、ステップ210の閾値は、複数の出力値が検出される時間間隔であり得る。言い換えると、特定の時間期間の間に、特に、著しい数の出力値の検出を可能にするために十分に長い時間期間の間に、センサの出力値が検出されたかどうかが決定される。
【0050】
ステップ210において、閾値が満たされると決定される場合(yes分岐)、図1に関して上記説明されたような決定された境界出力値に基づいて、閾値出力値が決定される。ステップ210において、閾値が(なおも)満たされないと決定される場合(no分岐)、予め定められた境界出力値に基づいて、閾値出力値が決定される。代わりに、境界出力値は、予め定められた参照データまたは予め計算された参照データに基づいて決定され得る。代わりに、閾値出力値は、予め定められた閾値出力値、予測された閾値出力値、または推定された閾値出力値に設定され得る。
【0051】
図3は、データ処理デバイス300、例えば、コンピュータを示す。データ処理デバイス300は、プロセッサ310と、プロセッサ310に通信可能に結合された1つ以上の人間状態センサ320とを含む。プロセッサ310、センサ320、またはデータ処理デバイス300は、車両に配列され得、または車両に備えられ得る。プロセッサ310は、センサ320の出力値を使用して、図1及び2を参照して説明された方法100及び200の方法ステップのうちの1つ以上を実行するように構成される。
【0052】
データ処理デバイス300は更に、プロセッサ310及びセンサ(複数可)320のうちの少なくとも1つと通信可能に結合されるメモリ330を含む。メモリ330は、特に、非一時的な、コンピュータ可読記憶媒体である。メモリ330は、データ処理デバイス300によって、特にプロセッサ310によって実行されるとき、図1及び2を参照して説明された方法100及び200の方法ステップのうちの1つ以上をデータ処理デバイス300に実施させる命令を含む、すなわち、命令を記憶する。言い換えると、メモリ330は、コンピュータプログラムを備え、すなわち記憶し、コンピュータプログラムは、データ処理デバイス300によって、特にプロセッサ310によってプログラムが実行されるとき、図1及び2を参照して説明された方法100及び200の方法ステップのうちの1つ以上をデータ処理デバイス300に実施させる命令を含む。
【符号の説明】
【0053】
100 精神的状態センサ及び/または生理学的状態センサを較正する方法
100~160 方法100の方法ステップ
200 較正方法100の妥当性を改善する方法
210~230 方法100の方法ステップ
300 データ処理デバイス
310 プロセッサ
320 センサ
330 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
【国際調査報告】