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特表2025-500153細胞破砕モニタリング方法及びそれを用いたポリヒドロキシアルカノエートを製造する方法
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  • 特表-細胞破砕モニタリング方法及びそれを用いたポリヒドロキシアルカノエートを製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】細胞破砕モニタリング方法及びそれを用いたポリヒドロキシアルカノエートを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/625 20220101AFI20241226BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C12P7/625
C12Q1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533057
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 KR2022021206
(87)【国際公開番号】W WO2023121396
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187341
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512088051
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CheilJedang Corporation
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center, 330, Dongho-ro, Jung-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】キム, ダ ウン
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ドン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジュ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム, カ‐ヨン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QQ06
4B063QQ13
4B063QQ70
4B063QR45
4B063QR75
4B063QR80
4B063QX01
4B064AD83
4B064CA19
4B064CC05
4B064CC24
4B064CE02
4B064DA16
(57)【要約】
本発明は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法及び細胞破砕モニタリング方法に関し、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法であって、細胞又はPHAの屈折率の差を利用した三次元画像分析により、細胞又はPHAの長さ及び真球度を測定することを可能にしており、これにより、PHAの細胞の自己分解の程度、供給状態、又は破砕の程度が特定されることにより、最適な破砕条件が設定され、破砕プロセスの後プロセスである不純物除去プロセスの安定性を高めることができる、方法を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元画像分析によりポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析することによって、細胞破砕の程度が確認されるか、又は破砕条件が決定される、細胞破砕をモニタリングする方法。
【請求項2】
前記三次元画像分析が、ホロトモグラフィー分析を用いた三次元画像分析であり、前記形態学的パラメータが、長さ、真球度、体積、及び表面積からなる群から選択される1つ又は複数である、請求項1に記載の細胞破砕をモニタリングする方法。
【請求項3】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法であって、
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地を調製するステップ;
前記培養培地を含む供給溶液を調製するステップ;
前記供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップ;及び
前記細胞又は前記PHAの形態学的パラメータを、前記破砕ステップの前、間、又は後に分析するステップを含む、方法。
【請求項4】
前記培養培地に含まれる前記細胞又は前記PHAの形態学的パラメータを分析するステップが、前記破砕ステップの前に実施され、
前記方法が、分析された前記形態学的パラメータを定量化して自己分解の程度を検出するステップ;及び高圧ホモジナイザーの初期設定圧力又は破砕処理の回数を第1の破砕条件事前決定ステップとして前記自己分解の程度に応じて決定するステップを含む、請求項3に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項5】
前記供給溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAの形態学的パラメータの分析が、前記破砕ステップの前に実施され、
前記方法が、分析された前記形態学的パラメータを定量化して供給状態を検出するステップ;及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第2の破砕条件事前決定ステップとして前記供給状態に応じて決定するステップを含む、請求項3に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項6】
前記破砕生成物溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAの形態学的パラメータの分析が、前記破砕ステップの間又は後に実施され、
前記方法が、分析された前記形態学的パラメータを定量化して破砕の程度を検出するステップ;及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第1の破砕条件再決定ステップとして前記破砕の程度に応じて決定するステップを含む、請求項3に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項7】
前記破砕ステップにおける破砕圧力が、300~1,500barである、請求項3に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項8】
前記供給溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAの形態学的パラメータを分析する第1の分析ステップ;
高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を前記第1の分析結果に応じて決定する第2の破砕条件事前決定ステップ;
前記供給溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAを破砕するステップ;
前記破砕生成物溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAの形態学的パラメータを分析する第2の分析ステップ;及び
前記高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を前記第2の分析結果に応じて決定する第1の破砕条件再決定ステップを含む、請求項3に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項9】
下記式1:
[式1]
タンパク質可溶化度(%)=ABS1/ABS0×100(%)
(式中、ABS0は、前記培養培地、前記供給溶液又は前記破砕生成物溶液を800bar、室温で5回繰り返し破砕した後に測定した波長280nmの吸光度であり;ABS1は、前記培養培地、前記供給溶液又は前記破砕生成物溶液を300~1,500bar、室温で1回破砕した後に測定した波長280nmの吸光度である)
によるタンパク質可溶化度が75~110%である、請求項3~8のいずれか一項に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項10】
前記供給溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAの平均真球度が0.7以上である場合、又は下記式1:
[式1]
タンパク質可溶化度(%)=ABS1/ABS0×100(%)
(式中、ABS0は、前記培養培地、前記供給溶液又は前記破砕生成物溶液を800bar、室温で5回繰り返し破砕した後に測定した波長280nmの吸光度であり;ABS1は、前記培養培地、前記供給溶液又は前記破砕生成物溶液を300~1,500bar、室温で1回破砕した後に測定した波長280nmの吸光度である)
によるタンパク質可溶化度が80%以上である場合、前記第2の破砕条件事前決定ステップにおいて、圧力を前記供給溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAを破砕する前記ステップにおける初期設定圧力から10~100bar低下させる、請求項5に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項11】
前記破砕生成物溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAの平均真球度が0.9未満である場合、又は下記式1:
[式1]
タンパク質可溶化度(%)=ABS1/ABS0×100(%)
(式中、ABS0は、前記培養培地、前記供給溶液又は前記破砕生成物溶液を800bar、室温で5回繰り返し破砕した後に測定した波長280nmの吸光度であり;ABS1は、前記培養培地、前記供給溶液又は前記破砕生成物溶液を300~1,500bar、室温で1回破砕した後に測定した波長280nmの吸光度である)
によるタンパク質可溶化度が90%未満である場合、前記第1の破砕条件再決定ステップにおいて、圧力を前記供給溶液に含まれる前記細胞又は前記PHAを破砕する前記ステップにおける破砕圧力から10~100bar上昇させる、請求項6に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項12】
前記破砕生成物溶液の凝集の程度を測定する凝集試験を、前記第2の分析ステップを実施した後に実施するステップ;及び前記高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第2の破砕条件再決定ステップとして前記凝集の程度に応じて決定するステップをさらに含む、請求項8に記載のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法。
【請求項13】
三次元画像分析によりポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析することによって、細胞破砕の程度が確認されるか、又は破砕条件が決定される、細胞破砕をモニタリングするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞破砕をモニタリングする方法、及びそれを用いたポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、多数の微生物が産生する数種類のヒドロキシルカルボン酸から構成される生分解性ポリマーであり、細胞内貯蔵物質として利用されている。ポリヒドロキシアルカノエートは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、及びポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)等の従来の石油由来の合成ポリマーと同様の物理学的性質を有し、完全な生分解性を示し、生体適合性に優れている。
【0003】
PHAは、微生物細胞内に顆粒を形成し蓄積する特性を有するため、PHAの調製及び利用プロセスにおいて最も重要なステップは、細胞破砕により細胞内からPHA顆粒を抽出するステップである。
【0004】
このPHA顆粒の抽出方法は、主に有機溶媒抽出法、化学的抽出法、及び物理的破砕法の3種類に分類し得る。
【0005】
最初に、有機溶媒抽出法は、有機溶媒を用いてPHA顆粒を溶解及び抽出する方法である。これは高純度のPHAを得ることができるが、有機溶媒を使用するため専用の設備が必要という欠点がある。一方、化学的抽出法は、酸性又は塩基性の条件下で、高温で細胞壁を破壊することによりPHA顆粒を抽出する。PHA顆粒の回収は容易であるが、過酷な酸又は塩基条件及び温度条件により、抽出されたPHAの分子量が低下する等の問題が生じることがある。
【0006】
一方、物理的破砕法は、高圧等の物理的エネルギーで細胞壁を破壊した後、PHA顆粒を抽出する方法である。上記の方法に比べ、PHA顆粒に付着した不純物の除去能力が低いため、抽出されたPHA顆粒の純度が低いという欠点がある。しかし、温和な条件下で抽出されるため、PHAの分子量の低下及び分解を最小限に低下させることができるという利点がある。この物理的破砕法には、超音波破砕法、高圧破砕法、又は粉砕破砕法がある。高圧破砕には、高圧ホモジナイザー(HPH)を用いた細胞破砕が含まれ、粉砕破砕には、コロイド粉砕、ビーズ粉砕、及びボール粉砕が含まれる。
【0007】
しかし、物理的破砕法では、同じ物理的エネルギーを印加しても、細胞状態(大きさ、細胞中のPHA含有量、細胞壁の厚さ及び成分等)によって、細胞破砕の程度が異なる場合がある。そのため、プロセスの最適化及び安定化のためには、細胞破砕ステップの前、間、又は後において、細胞状態をリアルタイムで定量的及び定性的にモニタリングする必要がある。
【0008】
物理的破砕法に用いられる従来の破砕指標としては、具体的には、光学顕微鏡、タンパク質含有量の測定、標的物質濃度の変化の測定、誘電スペクトロスコピー、フローサイトメトリー、粒度分布の確認、及びSDS-page等が挙げられる。これらは、分析が煩雑であること、分析時間が長いこと、及び試料の前処理が必要であることという欠点がある。
【0009】
本発明者らは、高圧ホモジナイザーを用いた物理的破砕の際に、細胞破砕の程度に応じて即座にプロセス条件を変更することができない先行技術の問題点を解決し、有効な破砕指標法を提供することを目的として本発明を創案した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Britta、Eggenreich、「A combination of HPLC and automated data analysis for monitoring the efficiency of high-pressure homogenization」、Microbial Cell Factories、Volume 16、Article No.:134(2017)
【発明の詳細な説明】
【0011】
[技術的課題]
本発明は、細胞の屈折率の差を利用した三次元画像分析により細胞の長さと細胞真球度を測定することによって、細胞破砕の程度を決定する細胞破砕をモニタリングする方法;及びそれを用いて最適な細胞破砕条件を設定し、破砕ステップに続く不純物除去ステップの安定性を高めるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法を提供する。
[課題の解決方法]
【0012】
本発明の一態様によれば、三次元画像分析によりポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析することによって、細胞破砕の程度が確認されるか、又は破砕条件が決定される、細胞破砕をモニタリングする方法が提供される。
【0013】
一実施形態において、三次元画像分析が、ホロトモグラフィー分析を用いた三次元画像分析であり、形態学的パラメータが、長さ、真球度、体積、及び表面積からなる群から選択される1つ又は複数である、細胞破砕をモニタリングする方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法であって、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地を調製するステップ;培養培地(又は培養培地を遠心分離して得られる上清)を含む供給溶液を調製するステップ;供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップ;及び細胞又はPHAの形態学的パラメータを、破砕ステップの前、間、又は後に分析するステップを含む、方法が提供される。
【0015】
一実施形態において、培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータの分析は、破砕ステップの前に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して自己分解の程度を検出するステップ;及び高圧ホモジナイザーの初期設定圧力又は破砕処理の回数を第1の破砕条件事前決定ステップとして自己分解の程度に応じて決定するステップを含む。
【0016】
別の実施形態において、供給溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータの分析は、破砕ステップの前に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して供給状態を検出するステップ;及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第2の破砕条件事前決定ステップとして供給状態に応じて決定するステップを含む。
【0017】
別の実施形態において、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータの分析は、破砕ステップの間又は後に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して破砕の程度を検出するステップ;及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第1の破砕条件再決定ステップとして破砕の程度に応じて決定するステップを含む。
【0018】
別の実施形態において、破砕ステップにおける破砕圧力は、300~1,500barである。
【0019】
別の実施形態において、本方法は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地を調製するステップ;培養培地(又は培養培地を遠心分離して得られる上清)を含む供給溶液を調製するステップ;供給溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する第1の分析ステップ;高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第1の分析結果に応じて決定する第2の破砕条件事前決定ステップ;供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップ;破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する第2の分析ステップ;及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第2の分析結果に応じて決定する第1の破砕条件再決定ステップを含む。
【0020】
別の実施形態では、下記式1によるタンパク質可溶化度は75~110%である。
[式1]
タンパク質可溶化度(%)=ABS1/ABS0×100(%)
【0021】
式中、ABS0は、培養培地、供給溶液又は破砕生成物溶液を800bar、室温で5回繰り返し破砕した後に測定した波長280nmの吸光度であり;ABS1は、培養培地、供給溶液又は破砕生成物溶液を300~1,500bar、室温で1回破砕した後に測定した波長280nmの吸光度である。
【0022】
別の実施形態では、供給溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.7以上である場合、又は式1によるタンパク質可溶化度が80%以上である場合、第2の破砕条件事前決定ステップにおいて、圧力を、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップの初期設定圧力から10~100bar低下させる。
【0023】
別の実施形態において、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.9未満である場合、又は式1によるタンパク質可溶化度が90%未満である場合、第1の破砕条件再決定ステップにおいて、圧力を、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力から10~100bar上昇させる。
【0024】
別の実施形態において、本方法は、破砕生成物溶液の凝集の程度を測定する凝集試験を、第2の分析ステップを実施した後に実施するステップ;及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第2の破砕条件再決定ステップとして凝集の程度に応じて決定するステップをさらに含む。
【0025】
本発明の別の態様によれば、三次元画像分析によりポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析することによって、細胞破砕の程度が確認されるか、又は破砕条件が決定される、細胞破砕をモニタリングするシステムが提供される。
[発明の有利な効果]
【0026】
本発明の一実施形態に係るモニタリング方法によって、単純な測定方法及び少量の分析試料を用いた場合であっても、細胞又はPHAの状態を正確かつリアルタイムに決定することが可能となり、3D立体写真の実施により細胞破砕を可視化することができる。これにより、細胞又はPHAの状態に応じて破砕プロセス条件を即座に変更することが可能である。
【0027】
さらに、本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、上記モニタリング方法を利用するため、細胞又はPHAの状態を即座に決定することができ、細胞又はPHAの状態に応じて破砕プロセス条件を即座に変更することができる。具体的には、培養培地に含まれる細胞又はPHAの状態を測定して予め破砕条件が設定され、細胞又はPHAの供給状態又は破砕の程度を測定してリアルタイムに破砕条件が変更される。
【0028】
さらに、本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、さらに高温へ温度を操作することなく、上記モニタリング方法により最適な破砕圧力又は破砕処理の回数を決定するため、リアルタイムで効率的に破砕条件を変更することができる。
【0029】
本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、破砕の前、間、又は後に細胞又はPHAの状態を測定して、破砕、分離、及び不純物除去のプロセス条件を変更するため、破砕プロセス後の分離プロセス及び不純物除去プロセスにおけるPHAの凝集を防止し、プロセスの安定性を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法を簡略化して示す。
図2】本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法のアルゴリズムを示す。
図3】破砕条件事前決定ステップにおける破砕圧力を制御するアルゴリズムの一例を示す。
図4】破砕条件再決定ステップにおける破砕圧力を制御するアルゴリズムの一例を示す。
図5】破砕条件再決定ステップにおける破砕圧力を制御するアルゴリズムの別の例を示す。
図6】一実施形態に係るHTA画像の測定結果である。
図7】本発明のポリヒドロキシアルカノエートを製造する方法の一例を示し、実施例の培養培地を用いた場合の、細胞長及び真球度に応じた分離プロセス及び不純物除去プロセスにおけるリスク領域が図示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に示す開示内容に限定されるものではなく、本発明の要旨が変更されない限り、種々の形態に改変することができる。
【0032】
本明細書を通して、ある部分がある要素を「含む(comprising)」と称される場合、特に断らない限り、他の要素が除外されるのではなく、むしろ他の要素が構成されてもよいことが理解される。
【0033】
本明細書で使用される成分の量、及び反応条件等に関する全ての数値及び表現は、特に断らない限り、「約」という用語によって修飾されると理解される。
【0034】
本明細書において、ある要素が別の要素の「上(on)」又は「下(under)」に形成されると言及される場合、要素が別の要素の「上」又は「下」に直接形成されることだけでなく、要素が、それらの間に他の元素(複数可)を介在させて、別の元素の上又は下に間接的に形成されることも意味する。
【0035】
本明細書を通して、第1、及び第2等の用語は、種々の構成要素を説明するために使用される。しかし、構成要素は用語によって限定されるべきではない。用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0036】
細胞破砕をモニタリングする方法及び細胞破砕をモニタリングするシステム
本発明の一実施形態に係る細胞破砕をモニタリングする方法において、三次元画像分析によりポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析することによって、細胞破砕の程度が確認されるか、又は破砕条件が決定されることができる。
【0037】
本発明の別の実施形態に係る細胞破砕をモニタリングするシステムにおいて、三次元画像分析によりポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析することによって、細胞破砕の程度が確認されるか、又は破砕条件が決定されることができる。
【0038】
本発明の一実施形態に係る三次元画像分析は、ホロトモグラフィー分析(HTA)を用いた三次元画像分析であってもよく、形態学的パラメータは、長さ、真球度、体積、及び表面積からなる群から選択される1つ又は複数の種類である。
【0039】
ホロトモグラフィー分析は、細胞等の微小試料の三次元屈折率を測定するレーザー技術であり、三次元顕微鏡の一種である。測定された屈折率を介して、細胞の形態学的パラメータに関する定量的な画像情報を提供することができる。その結果、細胞の長さ、真球度、体積、表面積、密度、及び質量等を算出することができる。
【0040】
さらに、ホロトモグラフィー分析は、外因性標識を使用しなくても、細胞膜又は細胞内小器官を鮮明に画像化することができるため、光毒性、光漂白、又は光損傷の問題がない。ホロトモグラフィー分析により三次元立体写真を達成することにより、細胞破砕の程度を可視化することが可能である。
【0041】
さらに、ホロトモグラフィー分析は、使用する対物レンズの開口数及びイメージセンサの解像度に応じて、約100nmの空間分解能及び毎秒数百フレームの時間分解能を提供するため、希釈液10μlの少量の試料でも正確な測定が可能になっている。総測定時間が10分以内であるため、迅速な測定が可能である。このように、ホロトモグラフィー分析を使用して細胞状態をリアルタイムで確認することができる。そのため、破砕プロセス条件を即座に変更、又は予め設定することができる。
【0042】
ホロトモグラフィー分析は、蒸留水(DIW)を使用して分析する試料を10~100倍に希釈して三次元画像を撮影することにより行うことができ、三次元画像を撮影する際に用いる屈折率(RI)は、1.35~1.50、又は1.35~1.45のいずれでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0043】
三次元画像分析により、細胞又はPHAの長さ、真球度、体積、表面積、密度、又は質量を算出することができる。
【0044】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法
本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地を調製するステップ(培養培地調製ステップ);培養培地(又は培養培地を遠心分離して得られる上清)を含む供給溶液を調製するステップ(供給溶液調製ステップ);供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップ(破砕ステップ);及び細胞又はPHAの形態学的パラメータを、破砕ステップの前、間、又は後に分析するステップ(分析ステップ)を含む。
【0045】
破砕ステップの前、間、及び/又は後に、細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップ(分析ステップ)を含むポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法を、図1又は図2に示す。
【0046】
細胞破砕は、バッチ式反応として、又は連続製造プロセスとして実施することができる。連続製造プロセスでは、細胞又はPHAの形態学的パラメータをリアルタイムで分析し、分析結果に応じてリアルタイムで連続供給する供給溶液の破砕条件を調整することによって破砕ステップを実施することができる。
【0047】
破砕条件は同じであっても異なっていてもよい。上記の手順を繰り返し、リアルタイムで破砕条件を再決定することにより、破砕ステップを実施することができる。
【0048】
さらに、本発明のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、供給溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析すること(第1の分析ステップ);及び供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕すること(破砕ステップ)を含んでいてもよい。
【0049】
さらに、本発明のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法において、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータの分析は、破砕ステップの間又は後に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して破砕の程度を検出するステップ(第2の分析ステップ);及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第1の破砕条件再決定ステップとして破砕の程度に応じて決定するステップを含み得る。
【0050】
具体的には、本発明のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地を調製するステップ(培養培地調製ステップ);培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップ(予備分析ステップ);培養培地の初期設定条件を予備分析結果に応じて決定するステップ(第1の破砕条件事前決定ステップ);培養培地(又は培養培地を遠心分離して得られる上清)を含む供給溶液を調製するステップ(供給溶液調製ステップ);供給溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する第1の分析ステップ(第1の分析ステップ);高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第1の分析結果に応じて決定するステップ(第2の破砕条件事前決定ステップ);供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップ(破砕ステップ);破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する第2の分析ステップ(第2の分析ステップ);高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第2の分析結果に応じて決定するステップ(第1の破砕条件再決定ステップ);破砕生成物溶液の凝集の程度を測定する凝集試験を実施するステップ(凝集試験ステップ);及び/又は、高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を凝集の程度に応じて決定するステップ(第2の破砕条件再決定ステップ)を含み得る。
【0051】
予備分析ステップ、第1の破砕条件事前決定ステップ、第1の分析ステップ、第2の破砕条件事前決定ステップ、第2の分析ステップ、第1の破砕条件再決定ステップ、凝集試験ステップ、及び第2の破砕条件再決定ステップは、それぞれ独立しており、選択的に実施することができる。
【0052】
本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、以下の例示的な方法により実施することができる。
(1)培養培地調製ステップ;予備分析ステップ;及び破砕ステップ
(2)培養培地調製ステップ;破砕ステップ;及び第2の分析ステップ
(3)培養培地調製ステップ;第1の分析ステップ;破砕ステップ;及び第2の分析ステップ
(4)培養培地調製ステップ、第1の分析ステップ;破砕ステップ;第2の分析ステップ;及び第1の破砕条件再決定ステップ
(5)培養培地調製ステップ;供給溶液調製ステップ;第1の分析ステップ;及び破砕ステップ
(6)培養培地調製ステップ;予備分析ステップ;供給溶液調製ステップ;第1の分析ステップ;及び破砕ステップ
(7)培養培地調製ステップ;供給溶液調製ステップ;第1の分析ステップ;第2の破砕条件事前決定ステップ;及び破砕ステップ
(8)培養培地調製ステップ;第1の分析ステップ;第2の破砕条件事前決定ステップ;破砕ステップ;第2の分析ステップ;及び第1の破砕条件再決定ステップ
(9)培養培地調製ステップ;供給溶液調製ステップ;第1の分析ステップ;第2の破砕条件事前決定ステップ;破砕ステップ;第2の分析ステップ;及び第1の破砕条件再決定ステップ
(10)培養培地調製ステップ;予備分析ステップ;供給溶液調製ステップ;第1の分析ステップ;第2の破砕条件事前決定ステップ;破砕ステップ;第2の分析ステップ;及び第1の破砕条件再決定ステップ
【0053】
さらに、本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、上記に例示したステップに加えて、種々のステップによって実施することができる。必要に応じて、第1の分析ステップ、第1又は第2の破砕条件事前決定ステップ、第1又は第2の破砕条件再決定ステップ、及び破砕ステップを繰り返し実施してもよい。
【0054】
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0055】
培養培地調製ステップ
本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む培養培地を調製することを含む。
【0056】
一般に、ポリヒドロキシアルカノエートは、微生物発酵プロセスによって製造することができる。ポリヒドロキシアルカノエートの粗生成物は、発酵によって得ることもできる。
【0057】
発酵によりポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、公知の方法で実施することができる。例えば、ポリヒドロキシアルカノエートは、特定の基質上で培養した野生型又は遺伝子組換え微生物を用いて発酵により製造することができ、特に限定されない。微生物は、エシェリヒア(Escherichia)属の微生物又は大腸菌(Escherichia coli)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
培養培地は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を産生可能な種々の微生物と共に培養される。培養培地は、炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸、及び/又はビタミンを適宜含む通常の培地中で、バイオリアクターを用いて微生物を15~50℃又は30~40℃で1~160時間培養する従来の方法により調製することができる。培地のpHを調整するために、微生物の培養中に水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、及び硫酸等の化合物を適当な様式で培地に添加してもよいが、これに限定されるものではない。
【0059】
炭素源の例としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、フルクトース、スクロース、及びマルトース等の炭水化物;マンニトール、及びソルビトール等の糖アルコール;ピルビン酸、乳酸、及びクエン酸等の有機酸;グルタミン酸、メチオニン、及びリジン等のアミノ酸が挙げられる。さらに、デンプン加水分解物、糖蜜、黒糖蜜、米ぬか、キャッサバ、バガス、及びコーンスティープリカー等の天然有機栄養源を使用してもよい。適切な量の他の炭素源は、限定することなく種々の方式で使用することができる。これらの炭素源は、単独で用いても、又は2種以上の組合せで用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0060】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、生細胞内で1つ又は複数のモノマー繰り返し単位の酵素触媒重合によって形成されてもよい。その分子構造により、結晶性、半結晶性、又は非晶性のポリヒドロキシアルカノエートに分類することができる。
【0061】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を構成する繰り返し単位の例としては、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシブチレート(2-HB)、3-ヒドロキシブチレート(3-HB)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)、3-ヒドロキシバレレート(3-HV)、3-ヒドロキシヘキサノエート(3-HH)、3-ヒドロキシヘプタノエート(3-HHep)、3-ヒドロキシオクタノエート(3-HO)、3-ヒドロキシノナノエート(3-HN)、3-ヒドロキシデカノエート(3-HD)、3-ヒドロキシドデカノエート(3-HDd)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)、4-ヒドロキシバレレート(4-HV)、5-ヒドロキシバレレート(5-HV)、及び6-ヒドロキシヘキサノエート(6-HH)が挙げられる。PHAは、上記から選択される1つ又は複数の繰り返し単位を含んでいてもよい。例えば、PHAは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート(以下、3HB-co-4HBと称する)であってもよい。
【0062】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。一実施形態によれば、ポリヒドロキシアルカノエートは、コポリマー、具体的には、ポリマー鎖中にランダムに分布する異なる繰り返し単位を有する2つ以上の異なる繰り返し単位を含むコポリマーを含み得る。
【0063】
さらに、ポリヒドロキシアルカノエートは異性体を含んでいてもよい。例えば、ポリヒドロキシアルカノエートは、構造異性体、エナンチオマー、又は幾何異性体を含んでいてもよい。具体的には、ポリヒドロキシアルカノエートは構造異性体を含んでいてもよい。
【0064】
一例として、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰り返し単位を含んでいてもよい。例えば、ポリヒドロキシアルカノエート中の4-HB繰り返し単位の含有量は、ポリヒドロキシアルカノエートの総重量に基づいて0.1重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、又は60重量%以上;100重量%以下、99重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は60重量%以下;及び0.1~60重量%、0.1~55重量%、0.5~60重量%、0.5~55重量%、1~60重量%、1~55重量%、1~50重量%、2~55重量%、3~55重量%、3~50重量%、5~55重量%、5~50重量%、10~55重量%、10~50重量%、又は1~40重量%であり得る。4-HB繰り返し単位の含有量が上記範囲を満たすことにより、最終的に調製されるPHAは、土壌及び海中での生分解性に優れ、機械的性質を低下させることなく、熱的特性、生産性、及び加工性等をさらに向上させることが可能となる。
【0065】
さらに、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、重量平均分子量が10,000~1,200,000g/モルであってもよい。例えば、PHAの重量平均分子量は、10,000~1,200,000g/モル、50,000~1,200,000g/モル、100,000~1,000,000g/モル、100,000~900,000g/モル、200,000~800,000g/モル、10,000~600,000g/モル、又は600,000~1,200,000g/モルであってもよい。
【0066】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を産生するための微生物細胞は、正常状態の細胞であってもよいが、過培養又は自己消化反応により細胞壁が弱くなっているか、又は細胞が破裂している状態である自己分解状態の細胞であってもよい。本発明の一実施形態に係る方法では、細胞が正常状態又は自己分解状態にある場合であっても、破砕ステップを効果的に実施することができ、最終的に得られるPHAの生産性を向上させることができる。
【0067】
供給溶液調製ステップ
本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、培養培地(又は培養培地を遠心分離して得られる上清)を含む供給溶液を調製することを含む。
【0068】
供給溶液は、細胞とPHAを蒸留水で希釈したものである。pH調整剤及び/又は界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0069】
供給溶液が培養培地を遠心分離して得られた上清を含む場合、遠心分離は、3,000~8,000rpm、4,000~6,000rpm、又は4,000~5,000rpmの速度で、10~50分間、20~40分間、又は25~35分間実施することができるが、これに限定されるものではない。
【0070】
供給溶液の細胞及びPHAは、全固形分含有量が5~20重量%、好ましくは全固形分含有量が10~15重量%となるように蒸留水と混合することができる。全固形分含有量が上記含有量範囲を満たす場合、破砕ステップを効率的に実施することができる。
【0071】
供給溶液は、pH調整剤を含んでいてもよい。pH調整剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される1つ又は複数の塩基性溶液であってもよい。さらに、塩基性溶液の濃度は、塩基性溶質が塩基性溶液の総重量に基づいて20~60w/w%、30~50w/w%、又は35~45w/w%となるような濃度である。
【0072】
pH調整剤を含む供給溶液のpHは、pH8~pH13、又はpH9~pH12、好ましくはpH10~pH11であり得る。供給溶液のpHが上記範囲に調整されると、細胞破砕ステップ及び後続ステップをより容易に実施することができる。
【0073】
供給溶液は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される1つ又は複数のアニオン性界面活性剤であり得る。
【0074】
界面活性剤は、供給溶液の総重量に基づいて、0.05~0.5重量%、0.1~0.2重量%、好ましくは0.13~0.15重量%の量で採用することができる。界面活性剤の含有量が上記範囲に調整されると、細胞破砕ステップ及び後続ステップをより容易に実施することができる。
【0075】
細胞又はPHAを破砕するステップ(破砕ステップ)
本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕することを含む。
【0076】
破砕ステップは、高圧ホモジナイザーを使用する物理的細胞破砕ステップである。高圧ホモジナイザーは、細胞に高圧を加えることによって細胞を破砕するデバイスである。破砕圧力は、300~1,500bar、300~600bar、300~500bar、400~1,000bar、400~700bar、400~600bar、400~500bar、600~1,000bar、又は600~800barであり得る。
【0077】
破砕圧力が上記範囲を満たす場合、目標とする細胞破砕の程度に達することができ、適切な粘度範囲を維持することができるため、後続ステップを容易に実施することができ、PHAの生産性を高めることができる。
【0078】
破砕圧力の下限に達した場合、破砕生成物溶液の分析ステップ及び凝集試験ステップを行うことなく、破砕ステップの直後に粗ポリヒドロキシアルカノエート溶液が得られる。
【0079】
破砕圧力の上限に達した場合、凝集試験工程を実施することなく、破砕生成物溶液の分析ステップを実施した後、粗ポリヒドロキシアルカノエート溶液が得られる。
【0080】
さらに、破砕温度は0~40℃、5~35℃、10~30℃、20~40℃又は23~35℃であり得る。高圧破砕による温度上昇を防ぐため、冷却水を流して温度を一定に保つ。
【0081】
高圧ホモジナイザーに出入りする流量又は時間当たりの処理量に応じて破砕時間は変化し得る。
【0082】
高圧ホモジナイザーを通過した供給溶液に対して、破砕ステップを1回実施する。破砕条件事前決定ステップ及び/又は破砕条件再決定ステップにより、破砕条件を1回又は複数回変更して破砕ステップを実施する場合、決定される破砕条件(圧力等)は同一であっても異なっていてもよい。
【0083】
破砕条件は、形態学的パラメータの分析結果に応じて決定してもよい。具体的には、細胞又はPHAの形態学的パラメータを、破砕ステップの前、間、又は後に分析し、破砕の回数及び条件をその分析結果に応じて決定することができる。その詳細については、後述の破砕条件事前決定ステップ及び破砕条件再決定ステップで説明する。
【0084】
細胞破砕生成物溶液を遠心分離して粗ポリヒドロキシアルカノエート溶液を得るステップ(分離ステップ)
本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、細胞破砕生成物溶液を遠心分離して粗ポリヒドロキシアルカノエート溶液を得ることを含む。
【0085】
粗ポリヒドロキシアルカノエート溶液を調製するステップは、細胞破砕生成物溶液を遠心分離して、不純物と、破砕生成物溶液に含まれる細胞とPHAとを分離するステップである。
【0086】
遠心分離は、10,000~20,000rpm、12,000~18,000rpm、又は15,000~16,000rpmの速度で、10~30分間又は10~20分間実施することができる。さらに、遠心分離は、0~40℃、5~35℃、10~30℃、20~40℃又は23~35℃の温度で実施することができる。
【0087】
遠心分離により形成した留出液を含む粗ポリヒドロキシアルカノエート溶液が得られる。このようにして得られた粗ポリヒドロキシアルカノエート溶液は、次いで、洗浄ステップ及び追加の化学的又は酵素的処理による不純物除去ステップに付され、製剤化される。
【0088】
細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップ(分析ステップ)
本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法は、細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析することを含む。
【0089】
形態学的パラメータを分析するステップは、ホロトモグラフィー分析を用いた三次元画像分析であってもよいが、これに限定されない。さらに、形態学的パラメータは、長さ、真球度、質量、タンパク質濃度、体積及び表面積からなる群から選択される1つ又は複数であってもよい。
【0090】
ホロトモグラフィー分析(HTA)の詳細は上述の通りである。
本発明の一実施形態において、細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップは、破砕ステップの前に実施される予備分析ステップ及び第1の分析ステップ;及び/又は破砕ステップの間又は後に実施される第2の分析ステップを含んでいてもよい。
【0091】
分析ステップは、培養培地、供給溶液、及び/又は破砕生成物溶液から複数の分析試料を採取し、分析試料採取点に応じて培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する予備分析ステップ;供給溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する第1の分析ステップ;及び/又は破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する第2の分析ステップを含み得る。
【0092】
各分析ステップは個別のステップであり、必要に応じて個々に選択される。1つのプロセスで複数の分析ステップを同時に採用する場合、各分析ステップは、予備分析ステップ、第1の分析ステップ、第2の分析ステップ、及び補助分析ステップの順に実施することができる。
【0093】
1)培養培地中に含まれる細胞又はPHAの分析(予備分析ステップ)
予備分析ステップは、培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析し、分析した形態学的パラメータを定量化して自己分解の程度を検出するステップである。
【0094】
培養培地に含まれる細胞の平均真球度は、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上であり得る。さらに、細胞の平均長さは3.0μm以上、3.5μm以上であってもよく、6.0μm以下、5.0μm以下、4.0μm以下であってもよい。
【0095】
培養培地に含まれるPHAの平均真球度は、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上であり得る。
【0096】
自己分解の程度が高くなると、培養培地中の細胞の平均長さが短くなり、細胞又はPHAの平均真球度が高くなる。
【0097】
2)供給溶液中の細胞又はPHAの分析(第1の分析ステップ)
本発明の一実施形態において、細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップは、破砕ステップの前に実施される第1の分析ステップを含むことができる。第1の分析ステップは、供給溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析し、分析された形態学的パラメータを定量化して供給状態を検出するステップである。
【0098】
供給溶液に含まれる細胞の平均真球度は、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、又は0.9以上であり得る。また、細胞の平均長さは、3.28μm以上、3.4μm以上、3.6μm以上、3.8μm以上、4.0μm以上、又は4.2μm以上であってもよく、6.0μm以下、5.5μm以下、5.0μm以下、又は4.8μm以下であってもよい。
【0099】
具体的には、供給溶液に含まれる細胞の平均長さは、3.28μm~4.8μm、3.28μm~4.2μm、又は4.0μm~4.8μmであってもよく、細胞の平均真球度は0.6~0.99、0.65~0.9、0.7~0.9、0.6~0.7、又は0.75~0.85であってもよい。
【0100】
より具体的には、供給溶液に含まれる細胞は、40~90%、40~80%、45~70%、50~70%、55~65%、又は60~65%の割合で、0~0.8の真球度を有する細胞を含み得る。さらに、10~60%、20~55%、30~55%、30~50%、又は35~45%の割合で、0.8~1.0の真球度を有する細胞を含み得る。
【0101】
さらに、供給溶液に含まれるPHAの平均真球度は、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、又は0.9以上であってもよい。
【0102】
さらに、PHAは、23%以上、25%以上、30%以上、34%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、又は65%以上の割合で、0~0.8の真球度を有するPHAを含んでいてもよく、77%以下、75%以下、70%以下、66%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、又は35%以下の割合で0.8~1.0の真球度を有するPHAを含んでいてもよい。
【0103】
3)破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの分析(第2の分析ステップ)
本発明の一実施形態において、細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップは、破砕ステップの間又は後に実施される第2の分析ステップを含んでもよい。第2の分析ステップは、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析し、分析された形態学的パラメータを定量化して破砕の程度を検出するステップである。
【0104】
このようにして調製された破砕生成物溶液に含まれる最終細胞及びPHAは、本発明の一実施形態に係るポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を製造する方法により得ることができる。
【0105】
破砕生成物溶液に含まれる細胞の平均真球度は、0.65以上、0.7以上、0.8以上、又は0.9以上であり得る。また、細胞の平均長さは3.0μm以上、又は3.5μm以上であってもよく、4.5μm以下、又は4.0μm以下であってもよい。
【0106】
さらに、破砕生成物溶液に含まれるPHAの平均真球度は、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、又は0.9以上であり得る。PHAは、34%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上の割合で、0.8~1.0の真球度を有するPHAを含んでいてもよく、66%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、又は35%以下の割合で、0~0.8の真球度を有するPHAを含んでいてもよい。
【0107】
細胞破砕の前及び後で測定した三次元画像を図6に示す。明るい部分(緑)は細胞壁又は細胞質を示し、暗い部分(赤)はPHAを示す。三次元画像から、破砕時に細胞又はPHAの長さが短くなり、細胞又はPHAの真球度が高くなっていることが視覚的に確認できる。
【0108】
タンパク質可溶化度又は凝集の程度を分析するステップ(補助分析ステップ)
1)タンパク質可溶化度の分析
破砕生成物溶液に含まれる細胞及びPHAが十分に破砕されており、後続ステップに進むことができるかを決定し、プロセスの安定性を確保するための補助的な指標として、タンパク質可溶化度の分析又は凝集試験を実施してもよい。
【0109】
具体的には、タンパク質可溶化度は、細胞の破裂及び細胞破砕を決定するための補助的な指標であり、UV分光計を用いて波長280nmにおける吸光度を測定することにより、下記式1に従って算出することができる。
【0110】
[式1]
タンパク質可溶化度(%)=ABS1/ABS0×100(%)
【0111】
式中、ABS0は、培養培地、供給溶液又は破砕生成物溶液を800bar、室温で5回繰り返し破砕した後に測定した波長280nmの吸光度であり;ABS1は、培養培地、供給溶液又は破砕生成物溶液を300~1,500bar、室温で1回破砕した後に測定した波長280nmの吸光度である。より具体的には、ABS0及びABS1はそれぞれ、培養培地、供給溶液又は破砕生成物溶液を上記条件で破砕した後、15,000rpmで5分間遠心分離し、上清を蒸留水で100倍希釈して測定した吸光度である。
【0112】
本発明において、室温とは一定の温度を指し、10~40℃、20~35℃、23~35℃又は25℃程度の温度であってもよい。本発明において、高圧破砕による温度上昇を防止するため、外部から冷却水を流して熱交換を行い、高圧ホモジナイザー等の装置の温度を一定に保つ。
【0113】
上記式1による本発明の一実施形態に係る破砕生成物溶液のタンパク質可溶化度は、75~110%である。具体的には、破砕生成物溶液のタンパク質可溶化度は、85%以上、90%以上、又は95%以上であってもよい。タンパク質可溶化度が85%未満である場合、細胞破砕効率が低下するため、PHA製造方法においてPHA顆粒を得る効率が低下し得る。
【0114】
2)凝集試験
凝集試験は、細胞破砕後の固液分離の安定性を確認する補助的な指標として用いることができる。高圧ホモジナイザーを用いた物理的細胞破砕後の細胞破砕生成物溶液に、せん断力又は遠心力を加えることにより、細胞又はPHAが凝集しているか、及びその凝集の程度を測定し、そこから後続の洗浄ステップ、及び不純物除去ステップの安定性を確認することができる。
【0115】
この試験では、細胞破砕生成物溶液を3,800rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、粗ポリヒドロキシアルカノエート溶液を洗浄水を用いて150μmのふるいを通過させる。そのようなイベントにおいて、洗浄水に溶解せず、ふるいを通過しなかった残渣から凝集の程度を確認することができる。凝集の程度が高ければ、後続の洗浄ステップ及び不純物除去ステップで凝集が発生する可能性が高い。従って、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の製造は、破砕圧力を調整すること、又は洗浄ステップ及び不純物除去ステップのプロセス条件を変更することによって実施される。
【0116】
破砕条件事前決定ステップ
本発明の一実施形態において、培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータの分析は、破砕ステップの前に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して自己分解の程度を検出するステップ(予備分析ステップ);及び高圧ホモジナイザーの初期設定圧力又は破砕処理の回数を第1の破砕条件事前決定ステップとして自己分解の程度に応じて決定するステップを含む。
【0117】
本発明の別の実施形態では、供給溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータの分析は、破砕ステップの前に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して供給状態を検出するステップ(第1の分析ステップ);及び供給溶液について高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第2の破砕条件事前決定ステップとして供給状態に応じて決定するステップを含む。各破砕条件事前決定ステップは個別のステップであり、必要に応じて個別に選択される。第1の事前決定ステップ及び第2の事前決定ステップを同時に1プロセスで採用する場合は、第1の事前決定ステップの後に第2の事前決定ステップを実施する。
【0118】
1)形態学的パラメータの分析に応じた第1の破砕条件事前決定ステップ
一例として、培養培地に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップで分析した細胞又はPHAの平均真球度が0.7以上である場合、初期設定圧力を700bar以下又は600bar以下に決定してもよい。
【0119】
細胞破砕後の遠心分離及び不純物除去ステップにおいて、細胞の自己分解の程度に応じてPHAの凝集が生じることがある。そのため、破砕ステップの後続ステップでは、形態学的パラメータを分析し、破砕条件を調整することで、配管の詰まり等を防止することができる。
【0120】
2)形態学的パラメータの分析に応じた第2の破砕条件事前決定ステップ
一例として、供給溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.7以上の場合、第2の破砕条件事前決定ステップは、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおいて、圧力を初期設定圧力から10~100bar低下させてもよい。
【0121】
別の例として、供給溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.7未満の場合、第2の破砕条件事前決定ステップは、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力を、初期設定圧力と同じ圧力に決定してもよい。
【0122】
3)タンパク質可溶化度の分析に応じた第2の破砕条件事前決定ステップ
一例として、上記式1による供給溶液のタンパク質可溶化度が80%以上である場合、第2の破砕条件事前決定ステップは、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおいて、圧力を初期設定圧力から10~100bar低下させてもよい。
【0123】
別の例として、上記式1による供給溶液のタンパク質可溶化度が80%未満である場合、第2の破砕条件事前決定ステップは、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力を、初期設定圧力と同じ圧力に決定してもよい。
【0124】
第2の破砕条件事前決定ステップにおける破砕圧力の制御する方法を具体的に図3に示す。
【0125】
図3は、高圧ホモジナイザーの初期設定圧力(P0)に対して、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(P1)を決定するステップ(第2の破砕条件事前決定ステップ)に関する。
【0126】
供給溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.7未満の場合、又はタンパク質可溶化度が80%未満の場合、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(P1)は、初期設定圧力(P0)と同じに維持される。
【0127】
供給溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.7以上の場合、又はタンパク質可溶化度が80%以上の場合、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(P1)を、初期設定圧力(P0)から10~100bar、例えば50bar低下させる。
【0128】
破砕条件再決定ステップ
本発明の別の実施形態において、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータの分析は、破砕ステップの間又は後に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して破砕の程度を検出するステップ;及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を第1の破砕条件再決定ステップとして破砕の程度に応じて決定するステップを含み得る。
【0129】
本発明の別の実施形態において、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップは、破砕ステップの間又は後に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して破砕の程度を検出するステップの後に、破砕生成物溶液の凝集の程度を測定する凝集試験を実施するステップ;及び高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を凝集の程度に応じて決定する第2の破砕条件事前決定ステップをさらに含み得る。各破砕条件再決定ステップは個別のステップであり、必要に応じて個別に選択される。1プロセスで第1の再決定ステップと第2の再決定ステップを同時に採用する場合、第1の再決定ステップの後に第2の再決定ステップを実施する。
【0130】
1)形態学的パラメータの分析による第1の破砕条件再決定ステップ
破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップは、破砕ステップの間又は後に実施され、本方法は、分析された形態学的パラメータを定量化して、連続的に供給される供給溶液に対する高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を再決定する第1の破砕条件再決定ステップを含み得る。
【0131】
一例として、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.9未満の場合、第1の破砕条件再決定ステップは、圧力を供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップの破砕圧力から10~100bar上昇させてもよい。
【0132】
2)タンパク質可溶化度の分析による第1の破砕条件再決定ステップ
一例として、上記式1による破砕生成物溶液のタンパク質可溶化度が90%未満の場合、第1の破砕条件再決定ステップは、圧力を供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力から10~100bar上昇させてもよい。
【0133】
破砕の程度は、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度、又はそのタンパク質可溶化度によって測定することができる。測定結果に基づいて破砕条件を調整してもよく;破砕の程度が不十分と判断された場合は破砕圧力を上げてもよく;又は破砕の程度が過剰と判断された場合は破砕圧力を低下させてもよい。
【0134】
3)凝集の程度に応じた第2の破砕条件再決定ステップ
本発明の別の実施形態では、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析するステップは破砕ステップの間又は後に実施され、本方法は、破砕生成物溶液の凝集の程度を測定する凝集試験を実施するステップ;連続的に供給される供給溶液についての高圧ホモジナイザーの破砕圧力又は破砕処理の回数を凝集の程度に応じて決定する第2の破砕条件再決定ステップを含み得る。
【0135】
一例として、破砕生成物溶液に含まれるPHAの平均真球度が0.9以上の場合、又はタンパク質可溶化度が90%以上の場合、凝集試験を実施する。凝集の程度が所定値以上と測定された場合、第2の破砕条件再決定ステップは、圧力を、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力から10~100bar低下させてもよい。
【0136】
別の例として、凝集の程度が所定値以下であると測定された場合、第2の破砕条件再決定ステップは、圧力を、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力を維持しても、又は10~100bar上昇させてもよい。
【0137】
破砕ステップにおける過剰な物理的破砕により細胞破砕の程度が高くなると、PHAの凝集が生じ得る。そのため、形態学的パラメータ分析によりリアルタイムに破砕条件を決定することで、後続ステップでの配管の詰まり等を防止することができる。
【0138】
破砕条件再決定ステップにおける破砕圧力の制御する方法を図4及び図5に具体的に示す。
【0139】
図4は、連続的に供給される供給溶液に対する高圧ホモジナイザーの破砕圧力(P2)を、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(P1)に対して再決定するステップに関する。
【0140】
供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップ(P1);及び破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する分析ステップが実施される。
【0141】
破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.9未満の場合、又はタンパク質可溶化度が90%未満の場合、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(P1)から50bar上昇させた圧力を、連続的に供給される供給溶液に対する高圧ホモジナイザーの破砕圧力(P2)と決定する。
【0142】
破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.9以上である場合、又はタンパク質可溶化度が90%以上である場合、破砕生成物溶液の凝集の程度を測定する凝集試験を実施する。
【0143】
凝集の程度が所定値以下であると測定された場合(Y)、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(P1)から50bar上昇させた圧力を、連続的に供給される供給溶液に対する高圧ホモジナイザーの破砕圧力(P2)と決定する。
【0144】
凝集の程度が所定値(N)を超えることが測定された場合、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(P1)から50bar低下させた圧力を、連続的に供給される供給溶液についての高圧ホモジナイザーの破砕圧力(P2)と決定する。
【0145】
図5は、本発明の別の実施形態における凝集試験により圧力を調整した後の破砕条件再決定ステップを示す。供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップの破砕圧力(Pn)で、事前設定した破砕圧力(Pn-1)より圧力を10~100bar増加又は低下させて破砕生成物溶液を調製した後に、連続的に供給される供給溶液に対する高圧ホモジナイザーの破砕圧力(Pn+1)を再決定するステップに関する。
【0146】
具体的には、事前設定した破砕圧力(Pn-1)から50bar低下させた破砕圧力(Pn)で、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップ;及び破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの形態学的パラメータを分析する分析ステップが実施される。
【0147】
次に、破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.9未満の場合、又はタンパク質可溶化度が90%未満の場合、第1の破砕条件再決定ステップは、事前設定した破砕圧力(Pn-1)と、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(Pn)との間と決定される圧力を、連続的に供給される供給溶液についての高圧ホモジナイザーの破砕圧力(Pn+1)として決定する。
【0148】
破砕生成物溶液に含まれる細胞又はPHAの平均真球度が0.9以上である場合、又はタンパク質可溶化度が90%以上である場合、破砕生成物溶液の凝集の程度を測定する凝集試験が実施される。
【0149】
凝集の程度が所定値以下であると測定された場合(Y)、第2の破砕条件再決定ステップは、連続的に供給される供給溶液の高圧ホモジナイザーの破砕圧力(Pn+1)として、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(Pn)と同じ圧力を決定する。
【0150】
凝集の程度が所定値(N)を超えることが測定された場合、第2の破砕条件再決定ステップは、供給溶液に含まれる細胞又はPHAを破砕するステップにおける破砕圧力(Pn)から50bar低下させた圧力を、連続的に供給される供給溶液についての高圧ホモジナイザーの破砕圧力(Pn+1)として決定する。
【0151】
破砕条件事前決定ステップ及び破砕条件再決定ステップにおいて、細胞又はPHAの形態学的パラメータ、タンパク質可溶化度、又は凝集の程度に応じた破砕条件の決定基準は、全プロセスに供給される培養培地に応じて調整することができる。
【発明を実施するための実施形態】
【0152】
以下、本発明を以下の実施例を参照してより詳細に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、実施例の範囲はこれのみに限定されるものではない。
【実施例
【0153】
1.培養培地の調製
遺伝子操作した大腸菌株を用いて、PHA培養培地を調製した。まず、PHA産生株を種培養して一定量を確保し、本発酵を実施した。PHA産生株の発酵には、炭素源としてスクロースを用い、栄養素として種々のミネラル成分を添加した。発酵pHの調整には、水酸化ナトリウム溶液又はアンモニアガスを用いた。PHA産生株を用いた発酵プロセスは、30~40℃、pH6~9で実施した。
【0154】
実施例1及び2では、遺伝子操作した大腸菌株と炭素源としてのスクロースを用いた個別の培養培地を用いた。実施例1と実施例2の培養培地は、同じ培養条件で調製されたものであるが、菌株の生細胞としての性質により、実施例1又は実施例2で測定された細胞又はPHAの形態学的パラメータは異なる可能性がある。
【0155】
2.培養培地の自己分解のシミュレーション
自己分解の程度は、自己分解によって細胞壁が弱くなったり、又は細胞が破裂したりする程度を指す。これを実験的にシミュレーションするために、超音波分散器(SONICS、Vibra cell)を用いて自己分解条件をシミュレーションした。通常発酵した培養物を超音波分散器で振幅40%及びパルス10/10で1又は2分間処理し、細胞を破裂させて自己分解の程度をシミュレーションし、その後細胞破砕プロセスを実施した。
【0156】
実施例1-1~1-3では、下記表1に従って超音波処理した培養培地を用いた。具体的には、実施例1-1は、超音波分散器による処理を行わない実施例1の培養培地であり、実施例1-2又は1-3は、それぞれ1分間又は2分間超音波分散器で処理した実施例1の培養培地である。実施例2-1~2-3は、下記表2に従って超音波処理した培養培地である。
【0157】
3.細胞破砕プロセス
各培養培地について、遠心分離機(Hanil、Combi-514 R)を用いて、培養培地中に含まれる細胞及び/又はPHAを含むバイオマスからの不純物の分離に供した。分離されたバイオマスは、蒸留水を用いて、全固形分含有量が10~15重量%になるように希釈した。希釈溶液を、水酸化ナトリウム(40w/w%、Deoksan Science)を用いてpHを10~11に調整した後、アニオン性界面活性剤であるラウレス硫酸ナトリウム(30w/w%、Miwon)を液相中に0.13~0.15重量%添加し、供給溶液を調製した。この破砕用供給溶液を十分に撹拌し、高圧ホモジナイザー(Bertoli、ATOMO 3.0)を用いた、それぞれ600~1,000bar、1~5回における物理的細胞破砕に供した。
【0158】
[試験例]
1.三次元画像分析及び測定用試料の調製
実施例及び比較例の分析試料(培養培地、供給溶液、又は破砕生成物溶液)を、それぞれ蒸留水(DIW)を用いて1.5mlのマイクロチューブで10倍又は100倍に希釈した。希釈試料20μlをTomoDish(Tomo Cube Co.,Ltd.)に分注し、カバースライドで覆った。ホロトモグラフィー分析(Tomo Cube Co.,Ltd.、HT-1H)を用いて調製した試料の三次元画像を撮影し、細胞の長さ及び真球度を測定した。
【0159】
三次元画像の実施及びデータ測定に使用した屈折率(RI)は、1.3513~1.3745(細胞)、及び1.3748~1.4081(PHA)であった。各試料につき、10枚の三次元画像を撮影した。トモスタジオ(TomoStudio)(商標)(Tomo Cube Co.,Ltd.)を用いて三次元画像を作成し、画像の真球度を分析した。細胞及びPHAの平均質量、体積、長さ、及び真球度を算出した。
【0160】
2.細胞破砕の前及び後のタンパク質含有量の測定
実施例及び比較例の分析試料(供給溶液又は破砕生成物溶液)を、それぞれ300~1,500bar、室温での条件で破砕した後、微量遠心分離機(Eppendorf、5414R)を用いて15,000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離した上清を2.0mlのマイクロチューブに蒸留水で100倍に希釈し、UV分光計(HACH、DR6000)を用いて波長280nmの吸光度を測定した。吸光度を測定する際、蒸留水でキャリブレーションを実施した。
【0161】
タンパク質可溶化度は、下記式1に従って算出した。
[式1]
タンパク質可溶化度(%)=ABS1/ABS0×100(%)
【0162】
式中、ABS0は、800bar、室温で分析試料を5回繰り返し破砕した後に測定した波長280nmの吸光度であり;ABS1は、300~1,500bar、室温で分析試料を1回破砕した後に測定した波長280nmの吸光度である。
【0163】
3.凝集試験
分析試料(溶解物)50mlを3,800rpmで20分間遠心分離(Hanil、Combi-514R)し、上清を除去した。底に残った留出液は、洗浄水と共に150μmのふるいに通した。そのようなイベントにおいて、水に溶解せず、ふるいを通過しなかった残渣を肉眼で観察した。残存の程度により、凝集の程度を×、△、○、及び◎に分類し、以下の表3及び表4に示した。凝集の程度が×、又は△の場合は、所定値(図4、及び図5のY)以下と決定した。
【0164】
1)自己分解のシミュレーションの結果及び分析
実施例1-1~1-3及び実施例2-1~2-3の培養培地における細胞の長さ及び真球度の分析結果を以下の表1及び表2にまとめた。再現性を確認するため、培養培地を変えて2回実験を行った。その結果、超音波分散処理時間が長くなるにつれて、培養培地中の細胞の平均長さは短くなり、細胞の平均真球度は高くなった。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
2)細胞破砕の程度の分析
実施例1及び2の培養培地をそれぞれ用いて、供給溶液を調製した。
高圧ホモジナイザーの供給点における供給溶液の細胞及びPHA;並びに高圧ホモジナイザーの破砕圧力600~1,000barで1回細胞破砕を実施した後の細胞破砕生成物溶液の細胞及びPHAについて、形態学的パラメータ、タンパク質可溶化度、及び凝集の程度を測定した。結果を以下の表3及び表4に示す。
【0168】
【表3】
【0169】
【表4】
【0170】
分析の結果、培養培地の自己分解の程度と破砕ステップの破砕圧力に応じて、凝集の程度の傾向が変動することが見出された。
【0171】
具体的には、供給溶液又は破砕生成物溶液の平均細胞長が4.00μm以上である場合、及び供給溶液の平均細胞真球度又は破砕生成物溶液の平均PHA真球度が0.85以下の場合、凝集の程度はほとんど認められず、下流プロセスでの高いプロセス安定性がもたらされる。
【0172】
供給溶液又は破砕生成物溶液の平均細胞長が3.28~4.20μmである場合、及び供給溶液の平均細胞真球度又は破砕生成物溶液の平均PHA真球度が0.75~0.85である場合、凝集の程度が若干認められ、下流プロセスでのプロセス安定性が若干低下するが、通常のプロセス操作は可能である。
【0173】
供給溶液又は破砕生成物溶液の平均細胞長が3.92μm以下である場合、及び供給溶液の平均細胞真球度又は破砕生成物溶液の平均PHA真球度が0.83~1.00である場合、有意又は高いレベルの凝集の程度が観察され、下流プロセスでのプロセス安定性が著しく低下し、配管の詰まり等の問題が発生する可能性が高い。
【0174】
さらに、細胞真球度が0~0.8の細胞の数が全体の50.0%以上である場合、凝集の程度は低いレベルで観察されるか、又はほとんど観察されなかった。特に70.0%以上の場合、凝集の程度はほとんど認められなかった。
【0175】
実施例1又は2において、タンパク質可溶化度は、それぞれ超音波処理に供さない培養培地である実施例1-1又は実施例2-1のABS0に基づいて算出した。高圧ホモジナイザーを用いて600bar以上の破砕圧力で細胞を破砕した場合、実施例1-1、1-2、及び2-1ではタンパク質可溶化が90%以上であったのに対し、自己分解の程度が高い実施例1-3、2-2、及び2-3ではタンパク質可溶化が90%未満であった。これは、超音波処理に供した培養培地では、培養培地を遠心分離して得られた上清を含む供給溶液を調製するプロセスで、比較的多量のタンパク質が分離されるため;超音波処理に供さなかった培養培地と比較して、残存タンパク質含有量が低くなったと理解される。
【0176】
実施例2-1~2-3において、タンパク質可溶化度が100%を超えているのは、吸光度測定方法による誤差であり、これは、タンパク質可溶化度が90%以上であることを意味すると理解すべきである。
【0177】
以上の結果に基づいて、プロセス安定性を決定するための供給溶液に含まれる細胞又はPHAの長さ(平均細胞長又は平均PHA長)及び真球度(平均細胞真球度又は平均PHA真球度)の範囲を3つのゾーンに分類し、図7に示した。
1.安全ゾーン:長さ4.00μm以上、及び真球度0.00~0.85
2.慎重ゾーン:長さ3.28~4.20μm、及び真球度0.75~0.85
3.高リスクゾーン:長さ3.92μm以下、及び真球度0.83-1.00。
【0178】
しかし、図7は発酵中の実施例1及び2の培養培地に基づいて調製した例であり、培養培地は比較的よく凝集する傾向があるため;図7では長さ及び真球度の慎重ゾーン及び安全ゾーンの範囲が比較的狭く見える。各ゾーンの値は、菌株又は培養培地中の炭素源の種類が変わると変動し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】