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  • 特表-アンモニア燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】アンモニア燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23J 7/00 20060101AFI20241226BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20241226BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20241226BHJP
   F23D 14/62 20060101ALI20241226BHJP
   F23D 14/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F23C99/00 317
F23K5/00 302
F23N1/00 102
F23D14/62
F23D14/02 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533799
(86)(22)【出願日】2021-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 RU2021000598
(87)【国際公開番号】W WO2023121501
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2021138240
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518312460
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“ロスエネルゴアトム”
(71)【出願人】
【識別番号】524212109
【氏名又は名称】フェデラルノエ ゴスダールストヴェンノエ ユニタルノエ プレドプリヤティエ“ロッシースキー フェデラルニー ヤデルニー ツェントル - フセロシィスキー ナウチノ - イッセルドヴァテルスキー インスティトゥート エクスペリメンタルノイ フィジキ”
(71)【出願人】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリジツキー,オレグ・フェドロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】テレントエフ,ヴァレリー・ヤコブレヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】モロゾフ,ユーリー・ヴァシリエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】クロボストフ,レフ・ニコラエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】フィリモノフ,セルゲイ・ウラジミロヴィッチ
【テーマコード(参考)】
3K017
3K065
3K068
【Fターム(参考)】
3K017CA04
3K017CE07
3K017DD06
3K065TA01
3K065TA12
3K065TC08
3K065TF09
3K065TJ01
3K065TJ06
3K065TJ07
3K068AA01
3K068HA01
(57)【要約】
本発明は、化学工学の分野に関し、特に、アンモニアを燃焼させるための装置に関し、熱を発生させるための発熱装置およびアンモニアを水素・窒素の混合物に分解する装置に使用できる。アンモニア燃焼装置は、円筒形の燃焼室と、アンモニア・空気の混合物を供給するための流路であり、出口に接線スワーラが設置されている、少なくとも一つの主供給路を含む、アンモニア・空気の混合物供給用装置と、燃焼室に取り付けられた点火プラグと、可燃性を高めた助燃料を供給するための助燃料供給路と、筒状ハウジングと、を備え、筒状ハウジングの内部かつ同軸上に円筒形の燃焼室があり、それらの間には、主供給路の入口と接線スワーラの間にアンモニア・空気の混合物を供給し加熱するための追加の環状流路が形成されており、筒状ハウジングと燃焼室の円筒側面には、点火プラグを取り付けるための少なくとも一つの貫通孔が設けられており、炎検知装置、二次空気を供給するための装置、保炎機構が導入され、燃焼室は冷却されており、その出口には、触媒ユニットが取り付けられている。達成される技術的成果は、バーナーの環境パラメータ、その動作の信頼性および安全性の向上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア燃焼装置であって、
円筒形の燃焼室と、
アンモニア・空気の混合物を供給するための流路であり、出口に接線スワーラが設置されている、少なくとも一つの主供給路を含む、アンモニア・空気の混合物供給用装置と、
燃焼室に取り付けられた点火プラグと、
可燃性を高めた助燃料を供給するための助燃料供給路と、
筒状ハウジングと、
を備え、
筒状ハウジングの内部かつ同軸上に円筒形の燃焼室があり、それらの間には、主供給路の入口と接線スワーラの間にアンモニア・空気の混合物を供給し加熱するための追加の環状流路が形成されており、
筒状ハウジングと燃焼室の円筒側面には、点火プラグを取り付けるための少なくとも一つの貫通孔が設けられており、
さらに、炎検知装置、二次空気を供給するための装置、保炎機構が導入され、
燃焼室は冷却されており、その出口には、触媒ユニットが取り付けられている
ことを特徴とするアンモニア燃焼装置。
【請求項2】
炎検知装置は、熱電対の形で作られていることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項3】
炎検知装置は、二次空気供給路内において装置の軸に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項4】
二次空気供給路が、炎検知装置と助燃料供給路との間の環状ギャップに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項5】
軸状のスワーラが、二次空気供給路の出口に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項6】
助燃料供給路は、外側ケーシングと二次空気供給路の内側シェルとの間の環状ギャップの形態で作られていることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項7】
助燃料供給路の出口には、軸方向のノズルが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項8】
助燃量として、H、CH、Cを使用できることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項9】
触媒ユニットは、メッシュ触媒と組み合わせた防火板を含むことを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項10】
触媒ユニットは、活性物質としてPt、Pdを含むことを特徴とする請求項9に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項11】
熱交換器は、二重管構造に形成されており、その管間の環状空間に、熱交換改善用の強調因子を含むアンモニア・空気の混合物が通過することを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項12】
点火プラグは、アンモニア・空気の混合物によって冷却されることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項13】
二次空気は、一次空気の体積の50%以下の量で当該装置に供給されることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【請求項14】
助燃料は、主燃料(アンモニア)の体積の5~15%の量で供給されることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工学の分野に関し、特に、アンモニアを燃焼させるための装置に関し、熱を発生させるための発熱装置およびアンモニアを水素・窒素の混合物に分解する装置に使用できる。
【背景技術】
【0002】
何年も前から、化石炭化水素、主に石油や天然ガスは、発電工業・熱工学の多種の燃焼装置の主燃料として使用されてきた。しかし、化石燃料資源は無限ではなく、炭化水素供給原料の燃焼中に発生される燃焼生成物には、主に地球温暖化の要因として環境を脅かす量の二酸化炭素が含まれている。それゆえ、再生可能な資源から作られ、使用中に二酸化炭素を排出しない、炭化水素の代替燃料を見つける必要がある。
【0003】
最近まで、水素は燃焼性が高く、水蒸気のみを生成する燃料であると考えられていた。しかし、炭化水素原料の代わりに水素を大規模に利用する場合、主に水素のエネルギー密度が低いことに関連して、このような代替品の経済的実現可能性に疑問が生じる。
【0004】
上記の認識を踏まえると、炭化水素原料の代わりに、水素を純粋な形ではなく、化学的に結合した形、つまり液体アンモニアの形で使用するのがより好都合であると考えられる。液体アンモニアは、低圧および室温、または、大気圧およびマイナス33℃の温度で液体の形で貯蔵することができる。
【0005】
ただし、純粋な水素とは異なり、アンモニアは引火性が低く、そのうえ、高品質の燃焼を確保することを目的とした技術的解決策を使用する必要がある。これは、アンモニアの火炎温度が低く(1955°K、ガソリンの場合は2336°K)、燃焼率が低く、かつアンモニア・空気の混合物の発火温度が高いことによるものである。
【0006】
アンモニアを燃焼させるために最も一般的な解決策の一つは、渦流式バーナーを使用することである。渦流式バーナーは、アンモニアと空気の混合物を、これらの成分を集中的に混合することにより高品質に調製できる。
【0007】
このような技術的解決策の例として、以下の出願が挙げられる。2018年4月10日付けのJP2018-155412号公報の「燃料燃焼装置及び燃焼方法」、2019年5月13日付けのJP2020-186843号公報の「燃焼装置」および2015年1月15日付けのJP2016-130619号公報の「低燃焼性燃料燃焼装置」である。
【0008】
上記の技術的解決策の分析は、窒素と水蒸気に加えて、窒素酸化物とアンモニア蒸気の残留物も含む排ガス中の量を最小限に抑えながら、高品質の燃焼が提供されることを示している。
【0009】
この問題の重要性に鑑み、この方向での研究が国際的な企業によって行われている。
【0010】
「アンモニア燃焼装置」としては、2018年2月13日付けの出願番号2018-22676号、2019年8月22日付けで公開されたJP2019-138565号公報が知られている。
【0011】
燃料燃焼装置には、燃焼シリンダと、混合ガスを旋回気流の形で供給する燃料インジェクタと、燃焼シリンダ内の混合ガスが滞留する場所に配置された点火装置14とが含まれる。第1の燃料はアンモニアで、第2の燃料は可燃性のものである。燃焼装置はさらに、混合機能を果たす混合器を含む。
【0012】
上記の装置は、本発明に技術的本質が最も近いため、試作品として選択された。
【0013】
このような既知の装置の欠点は、動作範囲が狭く、バーナーの側壁の過熱により耐用年数が短いことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2018-155412号公報
【特許文献2】特開2020-186843号公報
【特許文献3】特開2016-130619号公報
【特許文献4】特開2019-138565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、制御範囲が広く、寿命が長いアンモニア燃焼装置を開発することである。
【0016】
達成される技術的成果は、バーナーの環境パラメータ、その動作の信頼性および安全性の向上である。
【0017】
技術的成果を達成するために、アンモニア燃焼装置は、円筒形の燃焼室と、アンモニア・空気の混合物を供給するための流路であり、出口に接線スワーラが設置されている、少なくとも一つの主供給路を含む、アンモニア・空気の混合物供給用装置と、燃焼室に取り付けられた点火プラグと、可燃性を高めた助燃料を供給するための助燃料供給路と、筒状ハウジングと、を備え、筒状ハウジングの内部かつ同軸上に円筒形の燃焼室があり、それらの間には、主供給路の入口と接線スワーラの間にアンモニア・空気の混合物を供給し加熱するための追加の環状流路が形成されており、筒状ハウジングと燃焼室の円筒側面には、点火プラグを取り付けるための少なくとも一つの貫通孔が設けられており、さらに、炎検知装置、二次空気を供給するための装置、保炎機構が導入され、燃焼室は冷却されており、その出口には、触媒ユニットが取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
また、炎検知装置は、熱電対の形で作られており、二次空気供給路内において装置の軸に沿って配置されており、二次空気供給路が、炎検知装置と助燃料供給路との間の環状ギャップに形成されている。
【0019】
軸状のスワーラが、二次空気供給路の出口に配置されている。助燃料供給路が、外側ケーシングと二次空気供給路の内側シェルとの間の環状ギャップの形態で作られており、助燃料供給路の出口には、軸方向のノズルが設けられている。
【0020】
助燃量として、H、CH、Cを使用でき、触媒ユニットは、メッシュ触媒と組み合わせた防火板を含み、または活性物質としてPt、Pdを含む。
【0021】
熱交換器が、二重管構造に形成されており、その管間の環状空間に、熱交換改善用の強調因子を含むアンモニア・空気の混合物が通過する。点火プラグが、アンモニア・空気の混合物によって冷却される。二次空気が、一次空気の体積の50%以下の量で当該装置に供給され、助燃料が、主燃料(アンモニア)の体積の5~15%の量で供給される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る装置の縦断面図である。
図2】A-A平面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
アンモニア燃焼装置(図1)は、冷却された円筒形の燃焼室1と、燃焼室1に配置され、作動試薬として使われるアンモニアと一次空気の供給路を備えた接線入力付きのバーナー装置3と、その円筒形の表面に配置された1つ以上の点火プラグ2と、バーナー装置3の軸に沿って配置された炎検知装置4と、二次空気供給路6および助燃量供給路5と、保炎機構7と、触媒を備えたメッシュブロック8を備える。
【0024】
二次空気供給路6の出口には、軸状スワーラ12が設置され、助燃料供給路5の出口には、軸方向のノズル13が設置されている。
【0025】
アンモニアと一次空気の混合ガスは、継手11を通って、内側シリンダ14と外側シリンダ15とによって形成される管間の環状空間に供給される。
【0026】
二次空気は、継手10を介して、シリンダ17とシリンダ18とによって形成される管間の環状空間に供給され、助燃料は、継手9を介して、シリンダ16とシリンダ17とによって形成される管間の環状空間に供給される。
【0027】
この装置は、次のように作動する。
【0028】
始動時には、アンモニア・空気の混合物が継手11を介して環状空間18に供給され、燃焼室1内に排出され、同時に点火プラグ2に電圧が印加される。必要または要求に応じて、助燃料が、継手9を介して燃焼室1に供給され、軸方向のノズル13を通じて燃焼室1内に入る。
【0029】
装置の軸に沿って配置された炎検知装置4は、装置内の発火の有無を検出する。
【0030】
アンモニア・空気のガス混合物、助燃料および二次空気の供給を調整することにより、アンモニア燃焼装置の点火と動作モードの調整が行われる。
【0031】
環状空間に供給されたアンモニア・空気の混合ガスは、接線スワーラに至る前に、ガス冷却のハウジングを通過し、そこでさらに混合、加熱される。これにより、アンモニアの燃焼速度が増加し、燃焼の完全性が高まり、NOとNHの排出量の減少につながる。同時に、内側シリンダと点火プラグ本体も冷却されるため、寿命が長くなる。
【0032】
装置の内側シリンダには、ワッシャーの形をした安定化装置があり、燃焼生成物を再循環させる領域を作り、燃料の燃焼時間を延長し、その結果、燃焼効率を増進するのに役立つ。
【0033】
点火プラグが主に端面の空気・燃料の混合物の供給源付近に配置される炭化水素原料の燃焼装置とは異なり、本発明に係る装置では、少なくとも1つの点火プラグが側面に配置される。これにより、より安定した点火が可能になり、1つまたは複数の点火プラグを異なる高さ位置に取り付けることができる。
【0034】
アンモニア・空気の混合物の燃焼生成物中に煤が存在しないため、この解決策により点火プラグの長寿命化を達成できる。
【0035】
内側シリンダの面積が広いため、必要に応じて、シリンダの周方向と高さ方向の両方に沿って複数の点火プラグを取り付けることができ、このことは、アンモニア・空気の混合物の点火の信頼性を高めるのにも役立つ。
【0036】
アンモニア・空気の混合物の高品質かつ完全な燃焼を確保するには、アンモニアと空気の完全かつ均一な混合とその点火に加えて、長い燃焼プロセスも必要である。
【0037】
この要求を満たすため、シリンダ内にワッシャーの形をした安定化膜が設置される。これにより、燃焼生成物の旋回が確実になり、燃焼室内での燃焼生成物の滞留時間が長くなる。アンモニア・空気の混合物の完全燃焼の生成物は、NとHOであり、不完全燃焼の生成物は、NOとNH残留物になる。
【0038】
燃焼生成物を完全に除去するには、燃焼生成物中のNOとNHの含有量を最小限に抑える必要がある。
【0039】
この要求を満たすため、燃焼生成物の出口に、ステンレス鋼またはニクロムなどの耐熱性材料で作られたメッシュと、そのメッシュ上に配置されたアフターバーニング触媒の両方を含むメッシュブロックを設置することが提案されている。
【0040】
本発明者らが提案する発明は、アンモニアの高品質燃焼の問題を解決することを目的とした技術的解決策である。
【0041】
本発明は、安定した、信頼性の高い、環境に優しいアンモニアの燃焼を提供し、装置の動作寿命を延ばし、安全性を高める。
図1
図2
【国際調査報告】