(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】生分解性を有する金属酸化物被覆熱可塑性微粒子
(51)【国際特許分類】
C08J 3/16 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
C08J3/16 CFD
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534273
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2021086197
(87)【国際公開番号】W WO2023110106
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クノール,セバスティアン
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA47
4F070AC23
4F070DA37
4F070DC02
4F070DC07
4F070DC09
4F070DC16
(57)【要約】
本発明は、160℃未満の溶融範囲を有する熱可塑性ポリエステル(C)を含むコア(B)、及びメタノール価が30未満である、金属酸化物から作製され、部分的に水に湿潤することができる粒子(E)を含むシェル(D)から形成され、コア-シェル粒子(A)の金属含有率が、少なくとも2.5重量%である、コア-シェル粒子(A)に関する。本発明はまた、コア-シェル粒子(A)を製造する方法であって、第1の工程において、熱可塑性ポリエステル(C)は、前記溶融範囲を超えるまで加熱され、これによって流動性になり、水中で粒子(E)と共に乳化されて、溶融ポリエステル(C)を含む不連続相を有し、水を含む連続相を有する粒子安定化水中油型エマルジョン(G)が得られ、第2の工程において、該エマルジョン(G)をポリエステル(C)の溶融範囲未満まで冷却し、溶融した粒子安定化ポリエステル液滴(C)は凝固し、粒子(E)はポリエステル(C)の粒子の表面に付着し、コア-シェル粒子(A)が得られる方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェル粒子(A)であって、
溶融範囲が160℃未満である熱可塑性ポリエステル(C)を含むコア(B)、及び
メタノール値が30未満である、金属酸化物の部分的に水湿潤性の粒子(E)を含むシェル(D)
から形成され、
コア-シェル粒子(A)の金属含有率が、少なくとも2.5重量%である、コア-シェル粒子(A)。
【請求項2】
コア-シェル粒子(A)の製造方法であって、
該コア-シェル粒子(A)は、
溶融範囲が160℃未満である熱可塑性ポリエステル(C)を含むコア(B)、及び
メタノール値が30未満である、金属酸化物の部分的に水湿潤性の粒子(E)を含むシェル(D)
から形成され、
コア-シェル粒子(A)の金属含有率が、少なくとも2.5重量%であり、
第1の工程において、前記熱可塑性ポリエステル(C)は、その溶融範囲を超えるまで加熱され、これによって自由流動性になり、水中で粒子(E)と共に乳化されて、溶融ポリエステル(C)を含む不連続相及び水含有連続相を有する粒子安定化水中油型エマルジョン(G)を形成し、
第2の工程において、前記エマルジョン(G)を前記ポリエステル(C)の前記溶融範囲未満まで冷却し、溶融した粒子安定化ポリエステル液滴(C)は凝固し、前記粒子(E)は前記ポリエステル粒子(C)の表面に付着し、コア-シェル粒子(A)を形成する方法。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリエステル(C)の溶融温度が45~160℃の範囲である、請求項1に記載のコア-シェル粒子(A)又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリエステル(C)が、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート-アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンアジペート-テレフタレート)(PBAT)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBV)又はこれらの混合物から選択される、請求項1若しくは3に記載のコア-シェル粒子(A)又は請求項2若しくは3に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子(E)が、酸化アルミニウム(III)、酸化チタン(IV)又は酸化ケイ素(IV)の粒子である、請求項1、3若しくは4に記載のコア-シェル粒子(A)又は請求項2~4に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子(E)が、30~500m
2/gのBET比表面積を有する、請求項1若しくは3~5に記載のコア-シェル粒子(A)又は請求項2~5に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子(E)が、1を超えるモース硬度を有する、請求項1若しくは3~6に記載のコア-シェル粒子(A)又は請求項2~6に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子(E)が30未満のメタノール値を有する、請求項1若しくは3~7に記載のコア-シェル粒子(A)又は請求項2~7に記載の方法。
【請求項9】
ケイ素の含有率が、コア-シェル粒子(A)に基づいて少なくとも2重量%である、請求項1若しくは3~8に記載のコア-シェル粒子(A)又は請求項2~8に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子安定化水中油型エマルジョン(G)が、少なくとも80重量%の水を含有する連続水相を有する、請求項2~9に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子安定化水中油型エマルジョン(G)が、1重量%~20重量%の部分的に水湿潤性の粒子(E)を含有する、請求項2~10に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子安定化水中油型エマルジョン(G)が、50重量%~80重量%の溶融し、これによって自由流動性の熱可塑性ポリエステル(C)を含有する、請求項2~11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の工程において、前記溶融範囲を超えて加熱された前記ポリエステル(C)が、有機溶媒を排除して乳化される、請求項2~12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融範囲が160℃未満である熱可塑性ポリエステルのコア及び金属酸化物の部分的に水湿潤性の粒子のシェルから形成されるコア-シェル粒子、及びコア-シェル粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品用途において良好な皮膚感触を有するが、生分解性ではない様々な球状シリカ被覆ケイ素微粒子が先行技術から知られている。そのような粒子の使用は、持続可能ではなく、法的規制によって多くの用途で禁止又は制限されている。
【0003】
ケイ素系コア-シェル粒子、例えば、WO2021/121562及びWA11955S WO2021/121561に記載されているものは、部分的に疎水化された表面を有し、それらの両親媒性特性によりそれらは水性媒体及び有機媒体中に容易に分散可能である。加えて、そのような粒子は、事実上弱凝集せず、これによって、微細かつ自由流動性粉末を形成する。しかし、これらの粒子の欠点は、それらが生分解性でないことである。
【0004】
先行技術の生分解性ポリエステル微粒子、例えばEP3489281及びJP6543920B2に記載されているものは疎水性であり、水性生成物中に分散させることが困難である。また、そのような被覆されていない粒子は、弱凝集し、これによって互いに付着する高い傾向を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/121562号
【特許文献2】国際公開第2021/121561号
【特許文献3】欧州特許出願公開第3489281号明細書
【特許文献4】特許第6543920号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、コア-シェル粒子(A)であって、
溶融範囲が160℃未満である熱可塑性ポリエステル(C)を含むコア(B)、及び
メタノール値が30未満である、金属酸化物の部分的に水湿潤性の粒子(E)を含むシェル(D)
から形成され、該コア-シェル粒子(A)の金属含有率は少なくとも2.5重量%である、コア-シェル粒子を提供する。
【0007】
驚くべきことに、本発明のコア-シェル粒子(A)は易生分解性であり(「容易な生分解性」)、これはOECD 301BによるCO2発生試験(Sturm試験)によって測定することができる。生分解性熱可塑性ポリエステルのコア(B)の周りに永久に付着するシェル(D)を形成する部分的に水湿潤性の粒子(E)は、それ自体が溶解することが困難であり、生分解性ではないことが当業者に知られているので、これは非常に驚くべきものであり、予期できないものである。これによって、本発明のコア-シェル粒子(A)は、環境に優しい生分解性微粒子に対する化粧品産業の要求を満たす。
【0008】
部分的に水湿潤性の粒子(E)の永久に付着したシェル(D)は、固体状態で微細に分割された粒子、例えば、ブロッキング防止剤としての又は流動性向上剤としてのシリカで処理される先行技術の熱可塑性ポリエステル粒子に勝る有意な利点である。このような粒子では、シリカは表面に永久に付着しているわけではない。
【0009】
本発明のコア-シェル粒子(A)は両親媒性であり、すなわちそれらは親水性(すなわち水を好む)及び親油性(すなわち脂肪を好む)の両方である。これは、本発明のコア-シェル粒子(A)が、有機乳化剤又は他の表面活性物質などのさらなる分散助剤又は添加剤を添加することなく、極性溶媒、例えば水又はアルコール、及び非極性溶媒、例えば脂肪族炭化水素、又はポリジメチルシロキサンオイルの両方に容易に分散可能であることを意味する。これは、非常に疎水性であり、有機乳化剤などの望ましくない助剤を使用せずに極性溶媒、例えば水又はアルコールに分散できない、被覆されていない先行技術の粒子と比較して、粒子(A)の有意な利点である。本発明のコア-シェル粒子(A)では、粒子(E)が表面に強固に付着し、その結果、溶媒中での分散時に両親媒性が維持される。これは、硬化後にシリカによる後処理を受ける先行技術の熱可塑性ポリエステル粒子を上回る有意な利点であり、その理由は、シリカがこれらの非発明粒子中に永久に付着するわけではないからである。
【0010】
本発明のコア-シェル粒子(A)は、構造化された表面を有し、これによって、先行技術の従来の被覆されていない熱可塑性ポリエステル粒子、例えば、US11078338BB及びJP6794499B2に記載されているものと比較して改善された吸油性を有する。
【0011】
本発明はまたコア-シェル粒子(A)の製造方法に関し、コア-シェル粒子(A)は、
溶融範囲が160℃未満である熱可塑性ポリエステル(C)を含むコア(B)、及び
メタノール値が30未満である、金属酸化物の部分的に水湿潤性の粒子(E)を含むシェル(D)
から形成され、該コア-シェル粒子(A)の金属含有率は少なくとも2.5重量%であり、
第1の工程において、熱可塑性ポリエステル(C)は、その溶融範囲を超えるまで加熱され、これによって自由流動性になり、水中で粒子(E)と共に乳化されて、溶融ポリエステル(C)を含む不連続相及び水含有連続相を有する粒子安定化水中油型エマルジョン(G)を形成し、
第2の工程において、該エマルジョン(G)をポリエステル(C)の溶融範囲未満まで冷却して、溶融した粒子安定化ポリエステル液滴(C)は凝固し、粒子(E)はポリエステル粒子(C)の表面に付着し、コア-シェル粒子(A)を形成する。
【0012】
凝固した熱可塑性溶融物(C)はコア-シェル粒子(A)のコア(B)を形成し、粒子状乳化剤(E)はそのシェル(D)を形成する方法。
【0013】
原則として、任意の熱可塑性ポリエステル(C)又は異なる熱可塑性ポリエステル(C)のブレンドを使用することができる。溶融温度は、好ましくは45~160℃の範囲、好ましくは50~155℃の範囲、より好ましくは85~150℃の範囲である。
【0014】
溶融温度が45℃未満である場合、得られる粒子(A)は、もはや多くの用途、例えば高温で製造される製品、例えば口紅には適しておらず、これは貯蔵温度を監視しなければならないので貯蔵を複雑にする。溶融温度が160℃より高い場合、本発明の方法による加工は、非常に高い技術的複雑性及び高いコストでのみ可能である。また、熱可塑性ポリエステル(C)は、160℃より高い温度での加工中に変色又は分解するおそれもある。
【0015】
好適な熱可塑性ポリエステル(C)の例としては、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリ(ヒドロキシブチレートヒドロキシバレレート)コポリマー(PHBV)、又はこれらのブレンドが挙げられ、ブレンドされていないポリエステルが好ましい。
【0016】
ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)及びポリ(ヒドロキシブチレート-コ-ヒドロキシバレレート)又はこれらのブレンドが好ましく、ブレンドされていないポリエステルが好ましい。特に好ましいのは、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)及びポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)である。
【0017】
本明細書で使用される「生分解性」という用語は、生物、光、空気、水又はこれらの組み合わせの作用によって分解される全てのポリエステルを包含すると理解されるべきである。生分解反応は、通常、酵素によって触媒され、通常、水分の存在下で起こる。ポリマーの親水性/疎水性は、その生分解性に大きな影響を及ぼし、極性ポリマーは通常、より易生分解性である。生分解性に影響を及ぼす他の重要なポリマー特性は、結晶化度、鎖の柔軟性、及び鎖の長さである。
【0018】
好ましくは、熱可塑性ポリエステルCは、特に易生分解性(「容易な生分解性」)であり、これは、OECD 301BによるCO2発生試験(Sturm試験)によって測定することができる。この方法はCO2の生成に基づく。10日間の試験ウィンドウと呼ばれるものの終わりに、及び28日間の試験後に、生分解性を測定する。生成物が、10日間のウィンドウの終了時及びインキュベーションの28日後の両方で少なくとも60%の必要分解レベルを達成した場合、それは易生分解性であると記載される。
【0019】
本発明のコア-シェル粒子(A)は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%のOECD 301Bによる生分解性を達成する。
【0020】
熱可塑性ポリエステル(C)の加工性は、好適な添加剤、例えば可塑剤、流動性向上剤又は潤滑剤を添加することによって改善することができる。このための方法は、当業者に知られている。
【0021】
熱可塑性ポリエステル(C)に、熱可塑性の特性を改善するさらなる先行技術の添加剤を添加することができる。例としては、光安定剤、酸化防止剤、充填剤、染料及び顔料、可塑剤、及び帯電防止剤が挙げられる。他の添加剤は、加工性を改善することができる。例としては、潤滑剤、熱安定剤、及び発泡剤が挙げられる。
【0022】
好ましくは、さらなる助剤又は添加剤は添加されない。
【0023】
市販の熱可塑性ポリエステルはしばしば、500000mPa・sを超える非常に高い溶融粘度を有する。そのようなポリマー溶融物は、本発明の方法によって加工することができるが、それらの加工及び乳化は、比較的高い技術的複雑性を伴い、一般に比較的大きい及び/又は不規則な形状の粒子しかもたらさない。そのような製品は、例えば、クレンジングクリーム、洗浄ゲル又は剥離スクラブに有用である。
【0024】
好ましい小型かつ本質的に球状の微粒子は、熱可塑性ポリエステル(C)から製造され、乳化中の温度での溶融粘度は、500000mPa・s未満、好ましくは250000mPa・s未満、より好ましくは150000mPa・s未満、特に100000mPa・s未満である。
【0025】
本発明のプロセスでは、部分的に水湿潤性の粒子(E)は、粒子状乳化剤として作用し、熱可塑性溶融物の水中油型エマルジョンを安定化させる。このようなエマルジョンはピッカリングエマルジョンとして知られている。
【0026】
粒子(E)は、金属-酸素結合中に共有結合成分を有する金属酸化物、例えば、主族及び遷移族元素の固体酸化物、例えば主族3の1つ、例えば酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム又は酸化インジウム、又は主属4の1つ、例えば二酸化ケイ素、二酸化ゲルマニウム、酸化スズ若しくは二酸化スズ、又は酸化鉛若しくは二酸化鉛、又は遷移属元素の酸化物、例えば、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化ハフニウム、酸化セリウム若しくは酸化鉄である。
【0027】
室温及び周囲雰囲気の圧力、すなわち1013hPaでは、粒子(E)は固体粒子として存在する。
【0028】
好ましくは、粒子(E)は、金属-酸素結合中に共有結合成分を有する金属酸化物、例えば、主族及び遷移族元素の固体酸化物、例えば主族3の1つ、例えば酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム若しくは酸化インジウム、又は主族4の1つ、例えば二酸化ケイ素、二酸化ゲルマニウム、酸化スズ若しくは二酸化スズ、又は酸化鉛若しくは二酸化鉛、又は遷移族元素の酸化物、例えば、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化ハフニウム、酸化セリウム若しくは酸化鉄である。
【0029】
好ましくは、粒子(E)は、酸化アルミニウム(III)、酸化チタン(IV)又は酸化ケイ素(IV)、例えば湿式化学生成、例えば沈降シリカ若しくはシリカゲル、又は酸化アルミニウム、二酸化チタン又は高温プロセスで生成される二酸化ケイ素、例えば焼成酸化アルミニウム、二酸化チタン又はシリカであり、ヒュームドシリカが特に好ましい。
【0030】
pH7.33、0.11molの電解質バックグラウンド、及び37℃の温度において、粒子(E)は、好ましくは、周囲雰囲気の圧力、すなわち1013hPaで、0.1g/l未満、より好ましくは0.05g/l未満の水への溶解度を有する。
【0031】
好ましくは、粒子(E)は、10000g/mol超のモル質量、より好ましくは50000~50000000g/mol、特に100000~10000000g/molのモル質量を有し、いずれの場合も好ましくは静的光散乱によって測定される。
【0032】
好ましくは、粒子(E)は、30~500m2/g、より好ましくは100~300m2/gのBET比表面積を有する。BET比表面積は、既知の方法に従って、好ましくはドイツ工業規格DIN66131及びDIN66132に準拠して測定される。
【0033】
好ましくは、粒子(E)は、1を超える、より好ましくは4を超えるモース硬度を有する。
【0034】
粒子(E)は、特に、好適な疎水化剤で表面処理され、結果として疎水性であることを特徴とする。疎水化は、粒子(E)が依然として部分的に水湿潤性であるように行わなければならない。本発明に従って、これは、粒子(E)のメタノール値が30未満、好ましくは25未満、より好ましくは20未満であることを意味する。
【0035】
表面処理の結果として、好ましい粒子(E)は、少なくとも0.2重量%~最大1.5重量%、好ましくは0.4重量%~1.4重量%の間、より好ましくは0.6重量%~1.3重量%の間の炭素含有率を有する。疎水性基は、例えば、Si結合したメチル又はビニル基である。シリカの疎水化のための方法は、当業者に知られている。
【0036】
非常に特に好ましいのは、EP1433749A1及びDE10349082A1に記載の部分的に水湿潤性のシリカである。
【0037】
特に好ましい粒子(E)は、30未満のメタノール値を有するシラン化ヒュームドシリカである。
【0038】
この場合、粒子(E)又は存在する場合粒子強凝集体の平均粒径は、好ましくは、微粒子を含まない液滴の中央径x50より小さい。
【0039】
粒子(E)の平均粒径は、好ましくは1000nm未満、より好ましくは10nm~800nmの間、特に好ましくは50nm~500nmの間、最も好ましくは75nm~300nmの間であり、いずれの場合もMalvern製のNanosizer ZSを用いて173°(後方散乱)での光子相関分光法によって平均流体力学的等価直径として測定される。
【0040】
メタノール値を測定するために、水とメタノールとの規定の混合物を調製し、次いでこれらの混合物の表面張力を既知の方法を用いて測定する。別の実験では、これらの水-メタノール混合物を規定量の粒子でオーバーレイヤー化し、規定条件下で振盪する(例えば、穏やかな手動振盪又はタンブルミキサーによる約1分間の振盪)。粒子がまだ沈んでいない水-アルコール混合物及び粒子がちょうど沈んだより高いアルコール含有率を有する水-アルコール混合物が測定される。後者のアルコール-水混合物の表面張力は、粒子の表面エネルギーγの尺度として臨界表面エネルギーγcritを与える。水中のそのメタノール含有量はメタノール値を与える。
【0041】
本発明のコア-シェル粒子(A)は、好ましくは1~100μm、好ましくは2~50μm、より好ましくは特に2~20μm、特に3~10μmのサイズx50を有する。
【0042】
本発明のコア-シェル粒子(A)は、好ましくは本質的に球状である。好ましくは、真球度SPHT3は、少なくとも0.80、好ましくは少なくとも0.82、特に少なくとも0.85であり、これは、Retsch Technology製のCamsizer X2を使用してISO9276-6に準拠して測定することができる。
【0043】
本発明の粒子(A)はコア-シェル構造を有し、熱可塑性ポリエステル(C)はコアを形成し、粒子状乳化剤(E)はシェルを形成する。
【0044】
本発明のコア-シェル粒子(A)のコアは、本質的に一杯に詰まっており、細孔を含まない。それらは、この点において、例えばJP6543920B2に記載されている多孔質粒子とは異なる。EP3489281A1に従って製造された粒子も多孔質構造を有することがわかっている。この種の多孔質粒子の欠点は、捕捉された気泡の結果として、液体製品に組み込まれたときに浮遊する傾向が高いことである。
【0045】
粒子(A)は、特に、使用される粒子(E)がポリマー粒子(A)の表面に本質的に付着し、それによって熱可塑性ポリエステル(C)のコア(B)の周囲にシェル(D)を形成することを特徴とする。使用される粒子(E)の分布は、本発明の埋め込まれた粒子の薄切片のTEM画像から得ることができる。粒子(E)のシェル(D)の平均直径は、好ましくは10nm超、より好ましくは20nm超、特に好ましくは30nm超である。
【0046】
本発明のコア-シェル粒子(A)は、シェル(D)が永久に付着していることを特徴とする。この関連において「永久に付着する」とは、粒子を水で3回洗浄した後であっても、シェルの平均直径(D)が、好ましくは10nm超、より好ましくは20nm超、特に好ましくは30nm超であることを意味する。
【0047】
好ましいコア-シェル粒子(A)は、部分的に水湿潤性のシリカのシェル(B)を有し、ケイ素含有率は、いずれの場合もコア-シェル粒子(A)に基づいて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも3重量%、特に好ましくは少なくとも4重量%である。
【0048】
本発明のコア-シェル粒子(A)の亜麻仁油吸収量は、EP3489281A1に記載の方法に従って測定して、粒子(A)100g当たり150ml~300mlの範囲であることが好ましく、粒子(A)100g当たり160ml~250mlの範囲であることがより好ましく、粒子(A)100g当たり200ml~250mlの範囲であることが特に好ましい。
【0049】
粒子(A)の亜麻仁油吸収量は、JIS K5101-13-2-2004の測定方法から改変した方法を用いて測定され、そこでは沸騰亜麻仁油の代わりに精製亜麻仁油が使用され、終点は、測定プレートが直立位置にあるときに精製亜麻仁油と混合され混練された粒子(A)のペーストが流動し始める点である。亜麻仁油吸収量の詳細な測定は以下の通りである。
【0050】
(A) 機器及びツール
測定板:300×400×5mmより大きい平滑なガラス板
パレットナイフ(スパチュラ):鋼又はステンレス鋼から作製され、刃及びハンドルを有する
化学天秤:10mgまでの測定を可能にする
ビュレット:JIS R3505:1994に従い、容量は10mlである
【0051】
(B) 試薬
精製亜麻仁油:ISO150:1980(本実施例では、第1グレードの亜麻仁油(和光純薬によって製造される)が使用される)に従う。
【0052】
(C) 測定方法
(1) 測定板の中央に粒子(A)1gを置き、粒子(A)の中央に精製亜麻仁油をビュレットで4~5滴ずつ徐々に添加し、各滴下後に粒子(A)及び精製亜麻仁油をパレットナイフでよく混練する。
【0053】
(2) 滴下及び混練を繰り返した後、粒子(A)と精製亜麻仁油がパテ状の固形塊となった時点で、精製亜麻仁油を滴下し、精製亜麻仁油を滴下した後、ペースト(精製亜麻仁油と混合、混練された粒子(A))が急に柔らかくなり流動を開始する時点を終点とする。
【0054】
(3) 流動の判断
ペーストが急に柔らかくなり、精製亜麻仁油の滴の添加後に測定板が直立位置にあるときに移動すると、ペーストは流動していると考えられる。測定プレートが直立位置にあるときにペーストが移動しない場合、精製亜麻仁油の別の滴を添加する。
【0055】
(4) 終点で消費された精製亜麻仁油の量を読み取り、これは液体がビュレット中に落下した量である。
【0056】
(5) 7~15分以内に測定が完了するように測定を行う。測定が15分より長くかかる場合、別の測定を行い、その結果を規定時間内に完了した測定から得られた値とする。
【0057】
(D) 亜麻仁油吸収量の計算
試料100g当たりの亜麻仁油吸収量を、以下の式に従って計算する。
O=(V/m)×100
式中、O:亜麻仁油吸収量(ml/100g)、m:粒子(A)の重量(g)、V:消費された精製亜麻仁油の体積(ml)
【0058】
コア-シェル粒子(A)の製造方法は、有機助剤、乳化剤又は溶媒の使用を必要としない。
【0059】
好ましくは、三相混合物が形成され、この中で、水溶性及び水不混和性が乏しく、溶融し、これによって自由流動性の熱可塑性ポリエステル(C)のエマルジョン(G)が生成され、水相中で部分的に水湿潤性の粒子(E)によって安定化される(ピッカリングエマルジョン)。
【0060】
驚くべきことに、本発明のプロセスによって、高温で溶融熱可塑性ポリエステルのピッカリングエマルジョン(G)を製造することが可能であり、それによって有機溶媒の不利な使用を回避する。
【0061】
したがって、好ましい実施形態では、溶融範囲を超えて加熱されたポリエステル(C)は、有機溶媒を排除して乳化される。
【0062】
粒子安定化水中油型エマルジョン(G)は連続水相を有し、第2の工程において連続水相は変化しない。
【0063】
好ましくは、連続相は、少なくとも80重量%、特に少なくとも90重量%の水を含有する。
【0064】
粒子(A)のサイズは、例えば、乳化技術によって、これによって、例えば、入力された剪断エネルギー、熱可塑性ポリエステル(C)の体積分率、部分的に水湿潤性の粒子(E)の量、連続水相のpH及びそのイオン強度、粘度、投与順序、投与速度などの変数によって、又はプロセスレジームによって、すなわち例えば温度、混合時間、及び使用される原料の濃度によって測定することができる。
【0065】
比較的小さい液滴の生成を可能にする乳化技術を使用する場合、このプロセスは、小さい表面構造化粒子(A)を与える。この目的のために、例えば、異なる剪断エネルギー又は異なる部分的に水湿潤性の粒子(E)の選択を用いて、溶融し、これによって自由流動性の熱可塑性ポリエステル(C)を水中で安定化させることが可能である。
【0066】
エマルジョン(G)は、任意選択で有機乳化剤を含んでもよい。
【0067】
ここで、有機乳化剤とは、粒子及びコロイドではなく、むしろ、Dispersionen and Emulsionen(分散物及び乳化物)、G.Lagaly、O.Schulz、R.Zindel、Steinkopff、Darmstadt 1997、ISBN 3-7985-1087-3、pp.1~4において与えられる分子、ポリマー、コロイド、及び粒子の規定に従う分子及びポリマーであることを意味する。
【0068】
一般に、これらの有機乳化剤は、1nm未満のサイズ、10000g/mol未満のモル質量、50重量%超の炭素含有率(元素分析により測定可能である)、及び1未満のモース硬度を有する。
【0069】
同時に、本発明のエマルジョン中に本質的に存在しない有機乳化剤は、一般に20℃及び周囲雰囲気の圧力、すなわち1013hPaで1重量%を超える、均質又はミセル形態での水への溶解度を有する。
【0070】
エマルジョン(G)は、そのような有機乳化剤を、水相中のこれらの有機乳化剤の臨界ミセル濃度の0.1倍未満、好ましくは0.01倍未満、より好ましくは0.001倍未満、特に0.0001倍未満の最大濃度まで含有することができ、これは、本発明の分散物の総重量に基づいて、10重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に0重量%のこれらの有機乳化剤の濃度に相当する。
【0071】
好ましくは、粒子安定化ピッカリングエマルジョン(G)は、非イオン性、カチオン性、及びアニオン性乳化剤(「有機乳化剤」)などの、室温及び周囲雰囲気の圧力で非粒子状液体及び固体である従来の有機界面活性物質を本質的に含まない。
【0072】
第1のプロセス工程
【0073】
熱可塑性ポリエステル(C)は、溶融範囲を上回るまで加熱され、溶融して自由流動性になり、水中で部分的に水湿潤性の粒子(E)と共に乳化され、粒子安定化水中油型エマルジョン(ピッカリングエマルジョン)を形成する。
【0074】
好ましくは、水中の部分的に水湿潤性の粒子(E)の分散物(H)は、溶融し、これによって自由流動性の熱可塑性ポリエステル(C)と混合する前に生成される。
【0075】
分散物(H)は、原則として、粒子分散物を製造するための既知の方法、例えば、高速撹拌機、高速溶解機、ローター-ステーターシステム、超音波分散機又はボール/ビーズミルなどの高剪断効果を有する撹拌機を使用する組み込みなどに従って製造することができる。
【0076】
ここで、分散物(H)中の部分的に水湿潤性の粒子(E)の濃度は、1重量%~80重量%の間、好ましくは10重量%~60重量%の間、より好ましくは10重量%~40重量%の間、最も好ましくは12重量%~30重量%の間である。
【0077】
第1工程における粒子安定化ピッカリングエマルジョン(G)の製造には、当業者に既知の任意のエマルジョンの製造方法を用いることができる。しかし、粒子(A)を製造するのに特に好適なエマルジョンは、以下のプロセスに従って得ることができることが見出された。
【0078】
プロセス1:
- 高濃度分散物(H)を最初に仕込み、最初に仕込まれる体積は、必要とされる粒子(E)の総量及び水の体積の一部のみを含有するようなものである。
- ポリエステル(C)の総体積を、例えば高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて、一定の均質化下でゆっくりと計量投入する。
- 次いで、所望の体積の水の残りを、例えば高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて、任意選択で一定の均質化下でゆっくりと計量投入する。
【0079】
プロセス2:
- 粒子(E)の分散物(H)を最初に仕込み、最初に仕込まれる体積は、必要とされる粒子(E)及び水の総量を含有するようなものである。
- ポリエステル(C)の総体積を、例えば高速撹拌機、高速溶解機、ローター-ステーターシステム又は毛細管乳化機を用いて、一定の均質化下でゆっくりと計量投入する。
【0080】
プロセス3:
- ポリエステル(C)の総体積を最初に仕込む。
- 水中の粒子(E)の高濃度分散物(H)を、例えば高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて、一定の均質化下でゆっくりと計量投入し、最初に仕込まれる体積は、必要とされる粒子(E)の総量及び水の体積の一部のみを含有するようなものである。
- 次いで、所望の体積の水の残りを、例えば高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて、任意選択で一定の均質化下でゆっくりと計量投入する。
【0081】
プロセス4:
- ポリエステル(C)の総体積を最初に仕込む。
- 水中の粒子(E)の分散物(H)を、例えば高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて、一定の均質化下でゆっくりと計量投入し、最初に仕込まれる体積は、必要とされる粒子(E)及び水の総量を含有するようなものである。
【0082】
プロセス5:
- ポリエステル(C)の総体積及び粒子(E)の水中分散物(H)を最初に仕込み、最初に仕込まれる体積は、必要とされる粒子(E)及び水の総量を含有するようなものである。
- 例えば、高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムによって両者の均質化を一緒に行う。
【0083】
プロセス6:
- ポリエステル(C)の総体積及び水中の粒子(E)の高濃度分散物(H)を最初に仕込み、最初に仕込まれる体積は、必要とされる粒子(E)の総量及び水の体積の一部を含むようなものである。
- 例えば、高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムによって両者の均質化を一緒に行う。
- 次いで、所望の体積の水の残りを、例えば高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて、任意選択で一定の均質化下でゆっくりと計量投入する。
【0084】
プロセス1、2、5及び6が好ましく、プロセス2及び5がより好ましく、プロセス5が特に好ましい。
【0085】
均質化は、好ましくは、少なくとも1つのプロセス工程において、少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも1分間行われる。
【0086】
エマルジョン(G)中で均質相を形成する、水中の粒子(E)の分散物(H)は、原則として、粒子分散物を製造するための既知のプロセス、例えば、高速撹拌機、高速溶解機、ローター-ステーターシステム、超音波分散機又はボール/ビーズミルなどの高剪断効果を有する撹拌機を使用する組み込みに従って製造することができる。
【0087】
記載のプロセスは、連続的又は不連続的のいずれかで実施することができる。連続的実施が好ましい。
【0088】
第1の工程における温度は、熱可塑性ポリエステル(C)の溶融温度を上回り、その温度を超えると熱可塑性ポリエステル(C)は、好ましくは45~180℃、好ましくは50℃~170℃、より好ましくは85℃~165℃の温度範囲内で自由流動状態になる。好ましくは、第1の工程における温度は、熱可塑性ポリエステル(C)の溶融温度より少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃高い。より高い加工温度は、熱可塑性ポリエステルの変色及び分解をもたらす可能性があり、加工の技術的複雑さを著しく増大させる。
【0089】
第1の工程における乳化プロセスは、標準圧力で、すなわち900~1100hPaで、高圧で、又は減圧下で実施することができる。プロセス温度が100℃未満である場合、標準圧力でのプロセスが好ましい。プロセス温度が100℃を超える場合、高圧でのプロセスが好ましく、選択される圧力は、好ましくは、沸騰温度がプロセス温度を超えるほど充分に高い。圧力及び温度に対する水の物理的状態の依存性は、当業者に知られている。例えば、水は、160℃の温度及び10バールの圧力で液体状態にある。好ましくは、乳化プロセスにおける圧力は、50バール未満、より好ましくは20バール未満、特に好ましくは10バール未満である。
【0090】
第1の工程からの分散物(H)と熱可塑性ポリエステル(C)との三相混合物(G)中の部分的に水湿潤性の粒子(E)の濃度は、1重量%~20重量%の間、好ましくは2重量%~15重量%の間、より好ましくは3重量%~12重量%の間である。
【0091】
第1の工程からの分散物(H)と熱可塑性ポリエステル(C)との三相混合物(G)中の溶融し、これによって自由流動性の熱可塑性ポリエステル(C)の濃度は、50重量%~80重量%の間、好ましくは53重量%~70重量%の間、より好ましくは55重量%~68重量%の間である。
【0092】
第1の工程からの分散物(H)と熱可塑性ポリエステル(C)との三相混合物(G)中の水の濃度は、10重量%~48重量%の間、好ましくは15重量%~45重量%の間、より好ましくは23重量%~40重量%の間、最も好ましくは25重量%~36重量%の間である。
【0093】
任意選択のプロセス工程において、ピッカリングエマルジョン(G)は、例えば高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて、任意選択で一定の均質化下で水で希釈される。
【0094】
任意選択の上流プロセス工程(溶融粘度の低下):
熱可塑性ポリエステル(C)の溶融粘度は、三相混合物(G)を製造する前の任意のプロセス工程で低下させることができ、これにより乳化性を向上させることができる。好適なプロセスは当業者に知られている。
【0095】
好ましくは、溶融粘度は、エステル交換反応によって、例えば、比較的高い溶融粘度を有する熱可塑性ポリエステルを比較的低い溶融粘度を有する熱可塑性ポリエステルと反応させ、それによって溶融粘度を低下させることによって低下し、前記ポリエステルは化学的に同一であるか又は化学的に異なることが可能である。
【0096】
同様に、高い溶融粘度を有する熱可塑性ポリエステルは、エステル交換反応において、好適なエンドストッパー(I)、好ましくは単官能アルコール又は単官能カルボン酸と反応させ、それによって溶融粘度を低下させることができる。ここで、単官能アルコール又は単官能カルボン酸は末端基として作用する。比較的低い溶融粘度を有する熱可塑性ポリエステル(C)と、単官能アルコール及び単官能カルボン酸との任意の所望の組み合わせを使用することもできる。単官能アルコールが好ましい。
【0097】
熱可塑性ポリエステル(C)の溶融粘度は、比較的低い溶融粘度を有する熱可塑性ポリエステル及びアルコール又はカルボン酸の種類及び量によって調整することができ、使用されるものが多いほど、得られる溶融粘度は低くなる。これは当業者に知られている。当業者はまた、反応のために選択される比較的低い溶融粘度を有する熱可塑性ポリエステル又はアルコール若しくはカルボン酸の種類及び量もまた、得られる熱可塑性ポリエステルの化学的、物理的、及び機械的特性に影響を及ぼすことを知っている。例えば、硬度、靭性、弾性又は極性を増加又は減少させることができる。
【0098】
好ましくは、単官能アルコール又は単官能カルボン酸の沸点は、熱可塑性ポリエステル(C)の溶融温度より高い。
【0099】
原則として、任意の単官能アルコールが適切である。例えば、これらは、脂肪族又は芳香族基を有する第一級、第二級、又は第三級アルコール、好ましくは第一級又は第二級アルコール、より好ましくは第一級アルコールであり得る。アルコールは、分岐又は直鎖であり得、芳香族又は官能基を有し得、飽和又は不飽和であり得る。それはまた、一端でヒドロキシ官能性であるポリエーテルであってもよい。単官能アルコールの混合物を使用することもできる。
【0100】
好ましいアルコールは、脂肪族又は芳香族基、好ましくはC4~C30、好ましくはC6~C26を有する単官能飽和又は不飽和アルコールである。特に好ましいのは、第一級脂肪族C6~C12アルコール及びその混合物、並びに第一級脂肪族C16~C24アルコール及びその混合物である。
【0101】
原則として、任意の単官能カルボン酸が適切である。例えば、それらは、脂肪族基又は芳香族基を有するカルボン酸であることができる。カルボン酸は、分岐又は直鎖であり得、芳香族又は官能基を有し得、飽和又は不飽和であり得る。また、それは一端がカルボキシ官能性であるポリエステルであってもよい。単官能カルボン酸の混合物を使用することもできる。
【0102】
好ましいカルボン酸は、脂肪族又は芳香族基、好ましくはC4~C30、好ましくはC6~C26を有する単官能飽和又は不飽和カルボン酸である。単官能脂肪族C6~C12カルボン酸及びその混合物、並びに単官能脂肪族C16~C24カルボン酸及びその混合物が特に好ましい。
【0103】
エステル交換反応は、好ましくは適切な触媒で加速される。これらは当業者に知られている。適切な触媒は、例えば無機又は有機の酸又は塩基、金属塩及び例えばリチウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ又は鉛の金属錯体である。
【0104】
このような触媒の例は、特にスズ又は亜鉛のカルボン酸塩であって、炭化水素基がスズに直接結合している、ジ-n-ブチルスズジラウレート、スズオクトエート、ジ-2-エチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジ-2-エチルヘキソエート、又はジ-2-エチルヘキシルスズジ-2-エチルヘキソエート、ジブチル-若しくはジオクチルスズジアシレート(ここで、アシレート基は、いずれの場合も1つの酸当たり3~16個の炭素原子を有するアルカン酸に由来し、カルボキシル基に結合した炭素原子の原子価の少なくとも2つは、カルボキシル基の原子価以外の少なくとも2つの炭素原子によって占められている)、及び亜鉛オクトエートである。触媒(3)の他の例は、アルコキシチタネート、例えばブトキシチタネート及びトリエタノールアミンチタネート、並びにジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物、特にそのカルボン酸塩及びそのアルコキシドである。
【0105】
好ましくは、縮合触媒は、ポリエステル(C)とアルコール又はカルボン酸との合計に基づいて0.1重量%~10重量%の量で使用される。
【0106】
エステル交換反応は、好ましくは40~200℃の間の温度範囲内で30分~48時間の間、好ましくは60~180℃の間の温度範囲内で60分~24時間の間行われる。より長い反応時間は、多分散性を低減し、品質を改善する。
【0107】
エステル交換反応では、熱可塑性ポリエステル(C)は、好適な溶媒に溶解させることができる。好ましくは、エステル交換反応は、溶媒の添加なしで行われる。
【0108】
好ましい実施形態では、エステル交換反応は、熱可塑性ポリエステル(C)の溶融範囲を超える温度で溶媒を添加することなく行われる。
【0109】
適切なミキサーの例は、実験用撹拌機、混錬機、遊星型ミキサー又は溶解機、ローター-ステーターシステム、又は押出機などである。
【0110】
好ましい実施形態では、任意選択の上流プロセス工程(溶融粘度の低下)を行う。
【0111】
上記の三相混合物(G)から出発して、粒子(A)は、第2のプロセス工程において、ピッカリングエマルジョン(G)を熱可塑性ポリエステル(C)の溶融温度未満まで冷却することによって得られる。
【0112】
好ましくは、三相混合物(G)は、第2のプロセス工程において、熱可塑性ポリエステル(C)の溶融温度より10℃低い、好ましくは溶融温度より20℃低い、より好ましくは溶融温度より30℃低い温度まで冷却される。特に好ましい実施形態では、三相混合物(G)の温度は、粒子(A)がさらに単離又は加工される前に、40℃未満、好ましくは30℃未満まで冷却される。
【0113】
第2の工程では、プロセスは、冷却中に、不連続相を安定化する部分的に水湿潤性の粒子(E)が、コアを形成する熱可塑性ポリエステル(C)の表面と安定な相互作用、例えば水素結合、ファンデルワールス相互作用、若しくは任意の他の方向性相互作用、又はそのような方向性相互作用の組み合わせに入るように実施されなければならず、その結果、部分的に水湿潤性の粒子(E)は、熱可塑性ポリエステル(C)から形成されたコアに永久に固定される。
【0114】
第2のプロセス工程の持続時間は、好ましくは24時間より短く、好ましくは0時間~18時間、より好ましくは0.1時間~6時間であり、具体的な実施では0.15時間~2時間である。
【0115】
任意選択で、水を三相混合物(G)に添加し、それによって混合物を冷却することができる。
【0116】
任意選択で、分散助剤、保護コロイド及び/又は界面活性剤を三相混合物(G)に添加してもよい。これらは、第1の工程において、又は第2の工程の前若しくは第2の工程の間に添加され得る。
【0117】
好ましくは、三相混合物(G)は、5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に0.1重量%未満の分散剤、保護コロイド、及び界面活性剤を含有する。具体的な実施において、三相混合物は、分散助剤、保護コロイド、及び界面活性剤を含まない。
【0118】
任意選択で、三相混合物(G)は、無機又は有機電解質を含む。これらは、第1の工程の後、第2の工程の間、又は第2の工程の完了後のいずれかに添加され得る。
【0119】
この場合、三相混合物のイオン強度は、0.01mmol/l~1mol/lの間、好ましくは0.1mmol/l~500mmol/lの間、より好ましくは0.5mmol/l~100mmol/lの間である。
【0120】
任意選択で、粒子(A)の表面は、反応性シラン又はシロキサンによる処理によって改質されてもよい。これらは、第1の工程でのピッカリングエマルジョン(G)の製造完了直後、反応段階中、第2の工程での反応段階完了後、粒子(A)の単離前、又は液相若しくは固相での粒子の単離後のいずれで添加してもよい。処理は、シラン又はシロキサンの粒子(A)への共有化学結合が生じるように行われなければならない。適切な方法及びプロセスは、当業者に知られている。
【0121】
三相混合物(G)中の粒子(A)の固形分は、熱可塑性ポリエステル(C)と部分的に水湿潤性の粒子(E)の合計からなる。好ましくは、第2のプロセス工程中の三相混合物の固形分は、5重量%~70重量%の間、好ましくは20重量%~60重量%の間、より好ましくは35重量%~50重量%の間の範囲である。
【0122】
固形分が高いと、粒子(A)同士が固着するおそれがある。
【0123】
任意選択で、第2の工程後の三相混合物(G)は、撹拌しながら継続して保存してもよい。これは、例えば、パドル撹拌機又はアンカー撹拌機を用いて行うことができる。
【0124】
好ましい実施形態では、粒子(A)は、好ましくは沈降、濾過又は遠心分離によって、より好ましくは濾過又は遠心分離によって、特に好ましくは遠心分離によって単離される。
【0125】
単離後に、粒子(A)は、好ましくは脱塩水、メタノール、エタノール、及びこれらの混合物から選択される洗浄液で洗浄されることが好ましい。
【0126】
好ましい実施形態では、粒子(A)は、粉末形態で水相から単離される。これは、例えば濾過、沈降、遠心分離によって、又はオーブン若しくは乾燥機での乾燥によって、又は噴霧乾燥によって、又は適切な減圧を適用することによって揮発性物質を除去することによって行うことができる。
【0127】
粒子(A)が、例えば噴霧乾燥、コーン乾燥、パドル乾燥又は流動床乾燥の場合のように乾燥中に混合される場合、さらなる加工なしに非常に高い粒子の細かさ(A)を達成することができる。静的に乾燥された粒子(A)は、ふるい分け又は混合などの穏やかなプロセスによって解弱凝集され得る緩い弱凝集物を形成する傾向がある。任意選択で、粒子(A)は、ボールミル又はエアジェットミルなどの好適な粉砕プロセスによって解弱凝集することもできる。
【0128】
粒子(A)は、とりわけ、ファンデーション、制汗剤、及び剥離スクラブなどの化粧品の成分、塗料用の助剤、塗料用の平坦化剤又はレオロジー改変剤、レオロジー調整剤、ブロッキング防止剤、潤滑剤、光散乱剤、焼結成形又はファインセラミックの構成成分などのファインセラミック用の助剤、接着剤用の充填剤、医療診断用薬剤など、自動車材料、建材等の成形品用添加剤として使用することができる。
【0129】
<測定方法>
【0130】
- 中央粒径(x50値):
粒径(中央直径x50)及び球形度SPHT分析は、Retsch Technology社製のCamsizer X2(測定原理:動的画像解析)を用いて、ISO13322-2及びISO9276-6(分析タイプ:粉末及び顆粒の乾式測定;測定範囲:0.8μm~30mm;「X-Jet」での圧縮空気分散;分散圧力=0.3バール)に従って行った。xc minモデルに従って体積基準で評価を行った。
【0131】
- 融点
Netzsch DSC 214Polyma分析器を用いたDIN EN ISO11357-3による示差走査熱量測定(DSC)による測定:試料重量:8.5mg、温度範囲-70~150℃、加熱/冷却速度10K/分;測定は、2回の実行(各運転は、以下の加熱及び冷却サイクルからなる:-70℃(10K/分)~150℃及び150℃(10K/分)~-70℃)を含んでいた;第2の実行を評価に使用した。
【0132】
- 分子量測定
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、Waters USA製のStyragel HR1-HR3-HR4-HR5カラムセット上で、注入体積10μl及び試料濃度10mg/ml、60℃、流速0.4ml/分で、THF中のポリスチレン標準物質に対するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定し、RI(屈折率検出器)による検出を伴う。
【0133】
- 溶融粘度
溶融粘度を、DIN EN ISO3219-1/2及びDIN53019に準拠して、平行板/板を用いて、減少する変形及び一定の周波数で、温度勾配を使用して、Anton Paar MCR 302レオメーターで測定した。
【0134】
測定パラメータは以下のように選択した。
- 測定系PP25(計算モード:最大半径での変換定数)
- 測定点を30秒毎に記録した
第1セクション
- 温度勾配:180℃~-50℃(2K/分)
- 変形勾配:0.2%~0.1%の対数
- 周波数:1Hz
- 垂直抗力検出→試料収縮の結果として10Nを超える場合、パラメータを変更したさらなるセクションにジャンプした(第2のセクションを参照)
第2セクション
- 温度勾配:2K/分で-50℃までさらに冷却する。
- 変形:一定0.01%
- 周波数:1Hz
- 垂直抗力調整-1N(これは、ギャップが調整され、材料の熱収縮が補償されることを可能にする)
【0135】
報告された溶融粘度(mPa・s)は、80℃又は120℃の温度における複素粘度の補間値である。
【0136】
- ケイ素含有率(重量%Si)
ケイ素含有率は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光法によって測定した。試料を、過酸化ナトリウムによる閉鎖溶融消化(Wurzschmitt消化)によって消化した。ICP-OES測定は、酸性水溶液(例えば、酸性化飲料水、廃水、及び他の水試料並びに土壌及び堆積物の王水抽出物)の分析に使用されるISO11885(「水質-誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)による選択された元素の測定(ISO11885:2007)、独逸語版EN ISO11885:2009」)に基づく。
【0137】
- メタノール値:メタノール値の測定のために、水とメタノールの規定の混合物を調製する。別の実験では、これらの水-メタノール混合物を同体積の乾燥粒子でオーバーレイヤー化し、規定の条件下で振盪する(例えば、手で又はタンブルミキサーで約1分間穏やかに振盪する)。粒子がまだ沈んでいない水-アルコール混合物及び粒子がちょうど沈んだより高いアルコール含有量を有する水-アルコール混合物を測定する。水中の後者のメタノール含有量はメタノール値を与える。
【0138】
- 動粘度は、DIN53019に準拠して25℃で測定する。
【0139】
以下の実施例において、いずれの場合も別段の記載がない限り、全ての量及びパーセンテージは重量に基づき、全ての圧力は0.10MPa(絶対)であり、全ての温度は20℃である。
【実施例】
【0140】
【0141】
シリカ1は、本発明に従って使用されるEP1433749A1による部分的に疎水化され、部分的に水湿潤性のヒュームドシリカ(E)である。
【0142】
シリカ2は、US11078338BBに従う非発明の疎水性ヒュームドシリカである。
【0143】
【0144】
[実施例1:20重量%のシリカ1(本発明)を含有する水性シリカ分散物(H)の調製]
200m2/gのBET比表面積を有する親水性出発シリカ(Wacker-Chemie GmbH、ミュンヒェンからHDK(R)N20の名称で入手可能)をEP1433749A1に従ってジメチルジクロロシランと反応させることによって得られた1300gの0.9%の炭素含有率及び5重量%のメタノール値を有する部分的に水湿潤性のシリカ1を、650rpmで溶解機中で5200gの脱塩水中に少しずつ撹拌する。シリカの添加の終了時に、混合物を650rpmでさらに60分間さらに分散させる。20%の固形分及び4.2のpHを有する高粘度分散物が得られる。
【0145】
<ポリエステルのエステル交換のための一般作業指示書AA1(本発明)>
熱可塑性ポリエステル(C)及びエンドストッパー(I)を、市販の垂直混練機(Grieser Maschinenbau-und Service GmbH、独国68623ランペルテイム ケミーシュトラーセ19-21)中で、内部温度150℃で溶融する。次いで縮合触媒を添加し、混合物を150℃で16時間混練する。反応中、混合物の溶融粘度が低下し、その結果、混練機の消費電力が減少する。電力消費は、約2時間後に安定している。混合時間の終了時に、高温溶融物をテフロン(R)フィルム上に注ぎ、室温まで冷却し、次いで破砕する。
【0146】
【0147】
[実施例7:シリカ被覆ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)粒子(A)(本発明)の調製]
実施例1からの120gのシリカ分散物及び160gのPlaccel H1P((株)ダイセル)を、パドル撹拌機、溶解機ディスク及びスクレーパーを備えた市販のLabotop遊星型ミキサー(PC Laborsystem GmbH、スイス4312マグデン マイスプラヒェルシュトラーセ6)中で80℃まで加熱した。ポリエステルが完全に溶融したら、混合物を6000rpmで10分間分散させた。高粘度の白色ポリマーエマルジョンを製造する。
【0148】
得られた均質なエマルジョンを、3000rpmの溶解機速度で230gの高温(80℃)脱塩水で希釈し、室温まで冷却した。単離のために、本発明の粒子(A)を濾別し、乾燥オーブン中40℃で24時間乾燥させた。微細な白色粉末が得られる。電子顕微鏡(SEM)による検査は、粒子表面がシリカで完全に被覆されていること、及び粒子が非多孔性であることを示す。分析データを表4に要約する。
【0149】
[実施例8:シリカ被覆ポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)(PBSA)粒子(A)(本発明)の調製]
実施例1からの240gのシリカ分散物及び実施例2からの320gのエステル交換されたポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)(PBSA)を、パドル撹拌機、溶解機ディスク及びスクレーパーを備えた市販のLabotop遊星型ミキサー(PC Laborsystem GmbH、スイス4312マグデン マイスプラヒェルシュトラーセ6)中で90℃まで加熱した。ポリエステルが完全に溶融したら、混合物を6000rpmで10分間分散させた。高粘度の白色ポリマーエマルジョンを製造する。
【0150】
得られた均質なエマルジョンを500gの熱(90℃)脱塩水で3000rpmの溶解機速度で希釈し、室温に冷却した。単離のために、本発明の粒子Aを濾別し、乾燥オーブン中40℃で24時間乾燥させた。微細な白色粉末が得られる。電子顕微鏡(SEM)による検査は、粒子表面がシリカで完全に被覆されていること、及び粒子が非多孔性であることを示す。分析データを表4に要約する。
【0151】
[実施例9:90~160℃の溶融温度を有するポリエステルのシリカ被覆ポリエステル粒子(A)の調製]
Versoclave実験室圧力反応器(Buechi AG、スイス8610ウステル グシュヴァデルシュトラーセ12)に、実施例1からの113gのシリカ分散物及び発明例3~6のいずれかからの191gのエステル交換ポリエステルを仕込んだ。ユニットを閉じ、窒素で10バールまで加圧し、内部温度150℃まで加熱した。次いで、混合物を2500rpmで10分間混合した。撹拌速度を500rpmまで低下させ、混合物を室温まで冷却し、減圧した。得られた均質な粒子分散物を脱塩水200gで500rpmで希釈した。単離のために、本発明の粒子Aを濾別し、乾燥オーブン中40℃で24時間乾燥させた。微細な白色粉末が得られる。電子顕微鏡(SEM)による検査は、粒子表面がシリカで完全に被覆されていること、及び粒子が非多孔性であることを示した。分析データを表4に要約する。
【0152】
[比較例V1:EP3489281A1からの実施例3の修正(非発明)]
EP3489281A1の実施例3に準拠して、40gのBioPBS(商標)FZ71(三菱ケミカル・パフォーマンス・ポリマーズ)、60gの3-メチル-3-メトキシブタノール(99%、Acros Organics(商標))、及び100gの脱塩水中の3gの疎水性シリカ2の分散物を、Versoclave実験室圧力反応器(Buechi AG、スイス8610ウステル グシュヴァデルシュトラーセ12)内で混合した。混合物を120℃及び400rpmで90分間撹拌し、次いで撹拌しながら急速に室温まで冷却した。単離のために、非発明の粒子を濾別し、乾燥オーブン中40℃で24時間乾燥させた。塊状の白色粉末が得られる。電子顕微鏡(SEM)による検査は、粒子表面がシリカで部分的にのみ被覆されていること、及び粒子が多孔質構造を有することを示す。分析データを表4に要約する。
【0153】
[比較例V2:EP3489281A1からの実施例5の修正(非発明)]
EP3489281A1の実施例5と同様に、60gのBioPBS(商標)FZ71(三菱ケミカル・パフォーマンス・ポリマーズ)、180gの3-メチル-3-メトキシブタノール(99%、Acros Organics(商標))、及び360gの脱塩水中の3gの疎水性シリカ2の分散物を、Versoclave実験室圧力反応器(Buechi AG、スイス8610ウステル グシュヴァデルシュトラーセ12)中で混合した。混合物を120℃及び400rpmで90分間撹拌し、次いで撹拌しながら急速に室温まで冷却した。単離のために、非発明の粒子を濾別し、乾燥オーブン中40℃で24時間乾燥させた。塊状の白色粉末が得られる。電子顕微鏡(SEM)による検査は、粒子表面がシリカで部分的にのみ被覆されていること、及び粒子が多孔質構造を有することを示す。分析データを表4に要約する。
【0154】
[比較例V3:20重量%のシリカ2を含有する水性シリカ分散物の調製(非発明)]
手順は実施例1の手順と同様であったが、シリカ1の代わりにシリカ2を使用した。シリカ2は水に完全には分散できず、適切なシリカ分散物を製造することは不可能であった。
【0155】
[比較例V4:1.1重量%のシリカ2を含有する水性シリカ分散物(非発明)の調製]
手順は実施例1の手順と同様であったが、シリカ1の代わりに52gのシリカ2を使用した。1%の固形分及び4.5のpHを有する低粘度分散物が得られる。
【0156】
[比較例V5(非発明)]
手順は、実施例1の本発明のシリカ分散物の代わりに比較例V4の非発明のシリカ分散物を使用したことを除いて、本発明の実施例3の手順と同様であった。均質で微細に分割された粒子分散物を製造することは不可能であった。
【0157】
[比較例V6:EP3489281A1の実施例6と類似の様式(非発明)]
この手順は、シリカ1を使用した以外は、EP3489281A1の実施例6の手順と同様であった。120gのBioPBS(商標)FZ71(三菱ケミカル・パフォーマンス・ポリマーズ)、210gの3-メチル-3-メトキシブタノール(99%、Acros Organics(商標))、及び270gの脱塩水中の9gの部分的に水湿潤性のシリカ1の分散物を、Versoclave実験室圧力反応器(Buechi AG、スイス8610ウステル グシュヴァデルシュトラーセ12)内で混合した。混合物を120℃及び400rpmで90分間撹拌し、次いで撹拌しながら急速に室温まで冷却した。単離のために、非発明粒子を濾別し、乾燥オーブン中40℃で24時間乾燥させた。塊状の白色粉末が得られる。電子顕微鏡(SEM)による検査は、粒子表面がシリカで部分的にのみ被覆されていること、及び粒子が多孔質構造を有することを示す。分析データを表4に要約する。
【0158】
【0159】
[実施例14:亜麻仁油吸着量の測定]
亜麻仁油吸着量をEP3489281A1に記載の手順に従って測定した。
【0160】
【0161】
[実施例17:生分解性の測定]
発明例8、9、10、及び11からのコア-シェル粒子の生分解性を、OECD301Bに準拠してCO2発生試験によって測定した。発明例8、9、10、及び11からのコア-シェル粒子は、「容易な生分解性」の基準を満たした。
【0162】
[実施例18:水への分散性の評価]
試料容器に20mlの脱塩水を入れ、0.5gの評価対象の粒子を添加する。容器を閉じ、混合物を10回激しく振盪する。粒子が完全に水相に入り、均質な単相分散物が製造されると、試験に合格する(+)。
【0163】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本発明のコア-シェル粒子(A)は、好ましくは1~100μm、好ましくは2~50μm、より好ましくは2~20μm、特に3~10μmのサイズx50を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
このような触媒の例は、特にスズ又は亜鉛のカルボン酸塩であって、炭化水素基がスズに直接結合している、ジ-n-ブチルスズジラウレート、スズオクトエート、ジ-2-エチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、又はジ-2-エチルヘキシルスズジ-2-エチルヘキサノエート、ジブチル-若しくはジオクチルスズジアシレート(ここで、アシレート基は、いずれの場合も1つの酸当たり3~16個の炭素原子を有するアルカン酸に由来し、カルボキシル基に結合した炭素原子の原子価の少なくとも2つは、カルボキシル基の原子価以外の少なくとも2つの炭素原子によって占められている)、及び亜鉛オクトエートである。触媒(3)の他の例は、アルコキシチタネート、例えばブトキシチタネート及びトリエタノールアミンチタネート、並びにジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物、特にそのカルボン酸塩及びそのアルコキシドである。
【国際調査報告】