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特表2025-500172電動式インプラント送達装置、インプラント、装填システム、および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】電動式インプラント送達装置、インプラント、装填システム、および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534578
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 US2022080936
(87)【国際公開番号】W WO2023114659
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,586
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/369,011
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】クリス・シヴァーハス
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ・ザヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ザック・ガービー
(72)【発明者】
【氏名】トム・ジェロルド
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エリゾンド
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ミラー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097DD15
4C097EE20
4C097MM09
4C097SB02
4C097SB03
(57)【要約】
一人のオペレータが人工心臓弁を標的部位に送達することを可能にするモーターおよび駆動機構を有する心臓弁移植装置。モーターは、送達カテーテルとインプラントに取り付けられたインプラント解放機構との間の相対的位置を制御する。モーターは、二方向に動作することができ、必要に応じて、送達のためだけでなく、弁の装填および摘出のために、モーターを使用することを可能にする。弁インプラントおよび装置と共に使用するために設計された装填システムの実施形態も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁インプラントであって、
折り畳まれていない構成および折り畳まれた構成を有する管状編組支持構造であって、
各々が、高点と、前記高点の両側の低点とを有する複数の尖頂で形成された近位端と、
遠位端と、
前記管状編組支持構造の前記遠位端と近位端との間の第一および第二の円周方向の予め形成された折り目であって、前記円周方向の予め形成された折り目が前記管状編組支持構造を前記折り畳まれた構成に向かって付勢する、第一および第二の円周方向の予め形成された折り目と、を含む管状網組支持構造と、
弁尖組立品であって、
複数の交連点を含むワイヤフォームと、
前記ワイヤフォームに取り付けられた弁材料と、を含み
前記ワイヤフォームが、前記弁材料が前記ワイヤフォームに取り付けられたときに、前記弁材料を接合弁尖へと形作る、弁尖組立品と、を備え、
前記弁尖組立品が、前記ワイヤフォームの前記交連点が前記支持構造の前記尖頂と整列するように、前記支持構造の内面に取り付けられる、心臓弁インプラント。
【請求項2】
隣接する尖頂間の前記低点が、前記隣接する尖頂によって共有される、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項3】
完全なループが、前記編組支持構造の編組の遠位端を画定する、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項4】
前記完全なループが、前記複数の尖頂のうちの一つの前記高点を形成する編組に接続される、請求項3に記載の心臓弁インプラント。
【請求項5】
前記ワイヤフォームの前記交連点が、送達装置のための取り付け点を提供するループを有する先端を含む、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項6】
前記ワイヤフォームが、前記弁材料の全てが前記支持構造の内側に位置するように、前記支持構造内に入れ子にされる、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項7】
前記複数の交連点の各々が、弓状部分の中間点にループを含む弓状部分によって分離される、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項8】
前記ワイヤフォームが、コネクタと一緒に接続された端部を有する単一のワイヤで形成される、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項9】
前記折り畳まれていない構成では、前記第一の予め形成された折り目が前記第二の予め形成された折り目の近位に位置し、前記折り畳まれた構成では、前記第一の予め形成された折り目が前記第二の予め形成された折り目の遠位に位置する、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項10】
前記支持構造が前記折り畳まれた構成にあるとき、前記尖頂が前記第二の予め形成された折り目の近位に延びる、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項11】
前記弁材料が、各シートの近位端が弁尖を形成するように一緒に縫い合わされた複数のシートを含む、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項12】
前記弁材料が前記第一の予め形成された折り目で折り畳まれるように、前記弁材料が前記第一の予め形成された折り目の遠位に延びる、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項13】
前記第二の予め形成された折り目の遠位にある、前記支持構造の内面をライニングする遠位ライナーをさらに備える、請求項1に記載の心臓弁インプラント。
【請求項14】
心臓弁インプラントであって、
折り畳まれていない構成および折り畳まれた構成を有する管状編組支持構造であって、
前記管状編組支持構造の遠位端と近位端との間の第一および第二の円周方向の予め形成された折り目であって、前記円周方向の予め形成された折り目が前記管状編組支持構造を前記折り畳まれた構成に向かって付勢する、第一および第二の円周方向の予め形成された折り目を含む、管状網組支持構造と、
弁材料を接合弁尖へと形作るワイヤフォームに取り付けられた弁材料を含む弁尖組立品と、を備え、
前記弁尖組立品が、前記弁材料が前記支持構造によって送達カテーテルとの接触から保護されるように、前記支持構造の内面に取り付けられる、心臓弁インプラント。
【請求項15】
各々が、高点と、前記高点の両側の低点とを有する複数の尖頂を、前記管状編組支持構造の近位端が含む、請求項14に記載の心臓弁インプラント。
【請求項16】
前記複数の尖頂が、三つの尖頂を含む、請求項15に記載の心臓弁インプラント。
【請求項17】
前記弁尖組立品が、前記ワイヤフォームの交連点が前記支持構造の前記尖頂と整列するように、前記支持構造の前記内面に取り付けられる、請求項15に記載の心臓弁インプラント。
【請求項18】
完全なループが、前記編組支持構造の編組の遠位端を画定する、請求項14に記載の心臓弁インプラント。
【請求項19】
前記ワイヤフォームが、送達装置のための取り付け点を提供するループを有する先端を含む交連点を有する、請求項14に記載の心臓弁インプラント。
【請求項20】
心臓弁インプラント用の支持構造であって、
各々が、高点と、前記高点の両側の低点とを有する複数の尖頂で形成された近位端と、
遠位端と、
前記支持構造の前記遠位端と近位端との間の第一および第二の円周方向の予め形成された折り目であって、前記円周方向の予め形成された折り目が、前記支持構造を折り畳まれた構成に向かって付勢する、第一および第二の円周方向の予め形成された折り目と、を備え、
前記支持構造が前記折り畳まれた構成にあるとき、前記支持構造が、三層中間領域、単層近位領域、および単層遠位領域を形成し、
前記単層近位領域が、前記高点を含む前記複数の尖頂の近位部分を含む、心臓弁インプラントのための支持構造。
【請求項21】
前記単層遠位領域が、心室フレアループを備える、請求項20に記載の支持構造。
【請求項22】
前記三層中間領域が、前記第一の円周方向の予め形成された折り目から前記第二の円周方向の予め形成された折り目まで延びる、請求項20に記載の支持構造。
【請求項23】
前記三層中間領域が、前記低点を含む、請求項20に記載の支持構造。
【請求項24】
前記単層遠位領域が外側層である、請求項20に記載の支持構造。
【請求項25】
前記単層遠位領域が内側層である、請求項20に記載の支持構造。
【請求項26】
インプラントのための送達装置であって、
インプラントに取り付け可能な遠位端と、近位端とを有する制御ケーブルと、
前記制御ケーブルを取り囲み、遠位端および近位端を有する送達カテーテルと、
前記制御ケーブルの前記近位端および前記送達カテーテルに調整可能に接続されたハンドル組立品であって、
モーターと、
前記モーターに給電することができるバッテリーパックと、
前記バッテリーパックと前記モーターとの間に接続され、前記モーターを第一の方向に給電する第一の極性を有する電力を提供するために使用可能であり、前記モーターを第二の方向に給電する第二の極性を有する電力を提供するために使用可能な少なくとも一つの制御部と、
前記モーターが前記第一の方向に給電されるとき、ハンドルに対して前記制御ケーブルを遠位方向に、および前記送達カテーテルを近位方向に移動させ、前記モーターが前記第二の方向に給電されるとき、前記制御ケーブルを近位方向に、および前記送達カテーテルを遠位方向に移動させる駆動機構とを含む、ハンドル組立品と、を備える送達装置。
【請求項27】
インプラントを患者内の標的部位に送達するための送達システムであって、
ハンドルと、前記ハンドルから遠位に延びる送達カテーテル組立品と、前記ハンドル内に含まれ、装填手順中に送達カテーテルの中にコネクタを引っ張り、送達手順中に前記インプラントに対して前記送達カテーテルを格納するように動作可能なモーターと、を有する電動送達装置と、
前記インプラントを前記送達装置に装填するのを支援するために使用可能な装填トレイであって、
前記ハンドルを所望の位置に保持するようにサイズ設定され形作られているハンドル区画と、
装填手順中に溶液を包含するために使用可能な装填容器と、
前記ハンドル区画から前記装填容器に通じ、装填手順中に前記送達カテーテルを保持するようにサイズ設定されているチャネルとを含む、装填トレイと、を備える、送達システム。
【請求項28】
インプラントを標的位置に送達する方法であって、
インプラントを送達カテーテルの遠位端に装填することと、
前記送達カテーテルの前記遠位端を標的位置にナビゲートすることと、
前記インプラントに対して格納する、前記送達カテーテルの近位端に関連付けられたハンドル内の第一の方向にモーターを起動し、それによって前記インプラントが前記標的位置内で拡張することを可能にすることと、
前記インプラントを解放することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
経皮的アプローチを使用した心臓血管手術の開発および実施に向かって、かなりの動きがあった。例えば、大腿動脈を通して導入される一つ以上のカテーテルの使用を通して、ツールおよび装置を心臓血管系の所望の領域に送達して、そうでなければ通常は侵襲的外科処置を必要とする任意の数の複雑な処置を実施することができる。こうしたアプローチは、患者がさらされる外傷を大幅に低減し、回復期間を大幅に低減することができる。経皮的アプローチは、開心術の実施の代替として特に魅力的である。
【背景技術】
【0002】
弁置換術は、経皮的解決策が開発されている領域の一例を提供する。いくつかの疾患は、心臓弁尖の肥厚、およびその後の不動または可動性低下をもたらす。こうした不動はまた、弁を通る通路の狭小化または狭窄をもたらし得る。狭窄した弁が呈する血流に対する抵抗の増加は、やがては心不全、および最終的に死につながり得る。
【0003】
弁狭窄または逆流の治療は、従来、開心処置による既存の天然弁の完全な除去に続いて、人工弁の移植を伴う。当然、これは侵襲性の高い処置であり、身体に大きな外傷を生じさせ、通常は大きな不快感およびかなりの回復時間をもたらす。また、実施するために優れた専門知識および能力を必要とする複雑な処置である。
【0004】
歴史的には、こうした弁置換術は、胸部を開き、心臓を停止させ、患者を心肺バイパスにつなぎ、天然弁を切除し、置換弁を取り付ける、従来の開心術を使用して実施される。一方で、提案された経皮的弁置換代替方法は、Andersenらに対して発行された米国特許第6,168,614号(その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。この特許では、人工弁は、カテーテル内に収まるサイズに折り畳まれたステント上に取り付けられる。カテーテルは次に、患者の脈管構造に挿入され、折り畳まれたステントを天然弁の位置に位置付けるように移動される。置換弁を含むステントを弁尖に逆らって拡張する展開機構が起動される。拡張構造は、弁形状を有するように構成されたステントを含み、弁尖支持体が天然弁の機能を引き受け始める。結果として、完全な弁置換が達成されているが、患者への身体的影響は著しく低減される。
【0005】
しかしながら、このアプローチには明らかな欠点がある。Andersen ’614特許に開示されている経皮的アプローチの一つの特定の欠点は、移植後に新しい弁の周囲の周りの漏れを防止するのが困難であることである。天然弁の組織は内腔内に留まるため、弁組織の交連接合部および融合点が(ステントによって押し離されて固定される際に)、人工弁の周りの封止を困難にする可能性が高い。実際には、これは多くの場合、ステント装置の周りの血液の重度の漏れをもたらした。
【0006】
Andersen ’614アプローチの他の欠点は、人工弁の支持足場としてのステントへの依存に関する。第一に、ステントは拡張時に塞栓を形成し得る。第二に、ステントは、典型的には、塞栓を捕捉するのに効果的ではなく、展開中または展開後のいずれかに、塞栓が外れる。第三に、ステントは、典型的には、それらが配置される天然内腔の特徴に適合せず、ステント内に収容された人工弁が弁周囲漏出をしやすくする。第四に、ステントは強度と圧縮性との間のトレードオフを受ける。第五に、ステントは一旦展開すると、回収することはできない。第六に、ステントは、調整可能ではない固有の強度を有する。
【0007】
最初の欠点に関して、ステントは通常、自己拡張ステントおよびバルーン拡張型ステントの二つのカテゴリーのうちの一つに分類される。自己拡張ステントは、カテーテルに装填されたときに圧縮され、カテーテルから解放されたときに元の非圧縮サイズに拡張する。これらは典型的にはニチノールで作製される。バルーン拡張型ステントは、圧縮されているが弛緩状態でカテーテルに装填される。これらは、典型的には、ステンレス鋼または他の可鍛性金属から作製される。バルーンはステント内に配置される。展開時に、カテーテルは格納され、バルーンは膨張し、それによってステントを所望のサイズに拡張する。これら両方のステントタイプは、拡張時にかなりの力を示す。力は通常、血栓症を分解または変形させるのに十分な強度であり、それによってアテローム動脈硬化プラークの断片が外れて塞栓になる。ステントが狭窄した血管を治療するために移植されている場合、ある程度のこうした拡張が望ましい。しかしながら、ステントが単に天然弁を置換するために移植されている場合、塞栓を作り出す可能性を低減するためにより少ない力が望ましい場合がある。大動脈弁の置換に関する追加的な懸念は、伝導経路が天然弁構造に近接していることによる、伝導障害(すなわち、左脚ブロック)のリスクである。天然弁部位において加えられる過剰な半径方向の力は、伝導経路に対する刺激または損傷および心臓ブロックのリスクを増加させる。
【0008】
第二の欠点に関して、塞栓が作り出された場合、拡張したステントは、離間しすぎていて、どのような外れた材料も捕捉するのには効果的でない部材を、通常は有する。多くの場合、ネットや灌注ポートの使用を含め、二次的予防措置を講じなければならない。
【0009】
第三の欠点は、ステントの相対的な不撓性に起因する。ステントは、典型的には、ステントの周りに適合する天然脈管の弾性の性質に依存する。狭く閉ざされた脈管を開くために使用されるステントは、脈管とステントとの間の封止を必要としない。しかしながら、ステントを使用して天然弁を置換し、人工弁を収容する場合、弁周囲漏出を防止するためにステントと脈管との間の封止が必要である。ステントの不適合性のため、この封止は、特に狭窄した弁尖を置換する場合、達成が困難である。
【0010】
第四の欠点は、圧縮性と強度との間のトレードオフである。ステントは、より厚い部材で製造することによって、より強くまたはより大きくされる。よって、より強力なステントは、より弱いステントほど圧縮可能ではない。弁での使用に適したほとんどのステントは、18Frカテーテルなどの薄いカテーテル中に配置するのに十分なほど圧縮可能ではない。より大きな送達カテーテルは、標的エリアへの操作がより困難であり、また患者へのより大きな外傷をもたらす。
【0011】
ステントの第五の欠点は、それらが容易に回収できないことである。一旦展開されると、ステントは、非弾性変形(ステンレス鋼)またはステントを所定位置に維持するために必要な半径方向の力(ニチノール)のために、再位置付けのために再圧縮してカテーテルの中へと引き戻せない場合がある。よって、医師がステントの展開場所または配向に不満がある場合、問題を解決するためにできることはほとんどない。
【0012】
上記に列挙した第六の欠点は、ステントが固有の強度を有し、よって調整可能ではないことである。前述したように、より強力なステントはより強力な部材で作製される。ステントが選択されて展開されると、ステントが強すぎるまたは弱すぎることが判明した場合、医師ができることはほとんどない。
【0013】
これらの問題を解決する装置の様々な実施形態は、米国特許第8,974,523号、第9,271,831号、第9,180,002号、第9,439,761号、第9,168,132号、第9,439,760号を含む、「Stentless Support Structure」と題された、Thillらの特許ファミリー、ならびに多数の係属中の出願および外国の出願および特許中にあり、それらの内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。これらの特許は、前後に折り畳んで、それ自体を原位置で、天然弁の弁尖を十分に保持し、置換弁を首尾よく展開するのに十分に強力な支持構造へと構築する能力を有し、よって天然弁の切除の必要性を排除する編組メッシュ管を教示する。有利なことに、これらの装置の反転性のために、細長い送達構成の編組メッシュは、反転プロセスが起こるまで、天然弁の置換を達成する強度を有する必要がない。これにより、細長い送達状態で、管を18Frまたはそれより小さいカテーテルなどの非常に小さなカテーテルの中に圧縮することができるように、メッシュ管を構成することが可能になる。こうした小さなカテーテルは、患者の外傷を著しく低減し、血管を通した容易で経皮的な管腔内ナビゲーションを可能にする。当然のことながら、本明細書で使用される場合、経管的および経皮的などの用語は、標的脈管または心臓を外科的に切り開いて、装置を手動で設置するのではなく、血管もしくは複数の血管の内腔を通り軸方向に沿った標的位置へのナビゲーションとして明示的に定義される。本明細書で使用される場合、「メッシュ」という用語は、一つ以上の編組または織られたストランドから構築された材料を説明することがさらに理解されるべきである。
【0014】
この装置の前後への折り畳み特徴を達成するために、装置には予め形成された円周方向の折り目がある。一実施形態は、拡張構成において長手方向に離間した二つの円周方向の折り目を有する。これらの折り目のうちの一方は、内向きに折り畳まれるように予め形成され、他方は、外向きに折り畳まれるように予め形成されている。これらの予め形成された折り目は、カテーテルから解放されると、z様の断面を有する折り畳まれた構成に戻る傾向がある。この断面設計は、内向きに予め形成された折り目が内向きに折り畳まれ、外向きに予め形成された折り目が外向きに折り畳まれるためだけでなく、これらの折り目が折り畳まれると長手方向の位置が逆になるため、結果として生じる。内向きに予め形成された折り目が、拡張位置で、外向きに予め形成された折り目の遠位である場合、折り畳まれた位置では、内向きに予め形成された折り目は外向きに予め形成された折り目の近位となる。この設計は、折り畳まれた時に、弁自体を反転させるまたは裏返す必要なく、装置の遠位端上の弁を装置の中に引き出すことを可能にする。よって、二つの予め形成された折り目を有する一実施形態では、反転プロセスは、折り目の間隔に応じて、拡張された長さよりも著しく短い可能性がある三層構成をもたらす。
【0015】
送達装置は、こうしたインプラントの送達のために特に開発された。この送達装置の初期の反復は、「Inversion Delivery Device and Method for a Prosthesis」と題された、Wilsonらに対する米国特許第9,795,478号に少なくとも示され、説明されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。この送達装置は、医師が、装置の遠位端からインプラントが排出される速度を制御することを可能にし、またインプラントを完全に解放する前に、移植された弁の適切な動作を可能にする、複数の制御ケーブルを含んでいた。医師がインプラントの位置付けに満足しなかった場合、ケーブルを使用して弁を送達カテーテルの中に引き戻し、弁を所望の部位に再配置することができる。
【0016】
しかしながら、前述の装置は、いくつかの異なるノブおよびボタンを含み、結果として適切な使用法を学習するために時間がかかった。さらに、医師は、視覚的蛍光透視フィードバックと組み合わせた触覚フィードバックに依存して、手順の様々な工程のタイミングを決定した。
【0017】
これらの懸念に対処するために、次世代の送達装置が開発された。この送達装置は、「Inversion Delivery Device and Method for a Prosthesis」と題された、Czysconらに対する米国特許第10,820,995号に少なくとも示され、説明されている。この送達装置は、インプラントの所定の長さが送達カテーテルを出ると、反転プロセスを自動的に開始する位置決め機構を提供することによって、それを使用するための学習曲線を平坦化するように設計された。装置は、キャリッジと、親ねじと相互作用してキャリッジ移動の方向を変更する一方、親ねじを回転させるためのノブの手動回転を単一方向に維持するフォロアアームとの組み合わせを使用した。
【0018】
この装置は、送達中の使用の容易さを大幅に向上させたが、最低でも両手操作を必要とし、多くの場合、操作には二人を必要とした。一人で安全かつ効果的に操作できる装置に対するニーズがある。
【0019】
改良された送達システムに対するニーズに加えて、機械的心臓弁は、有効性を達成するために克服しなければならない多数の設計上の課題を呈する。これらの課題のうちのほんのいくつかには、簡単、正確、かつ非外傷的に送達できること、装置を損傷することなく送達装置に装填できること、性能低下を被ることなく何億ものサイクルに耐えることができること、および弁の移動または弁周囲漏出が生じないようにしっかりと移植できることが含まれる。設計上の考慮事項のリストは長く、健康な天然弁と同様に機能する機械的心臓弁は決して作り出されないかもしれない。このため、改善された人工弁が常に必要とされている。
【0020】
人工心臓弁の設計が呈する一つの困難は、インプラントを標的取り付け部位に取り付けるか、または固定することである。天然弁の弁尖はしなやかであり、それを通して流体が調節される導管から直接伸びる。人工弁、特にカテーテルから送達される人工弁は、典型的には、ステントもしくはワイヤフォームまたはそれらの組み合わせなどの剛性支持構造に取り付けられたしなやかな弁尖材料を含む。こうした装置を送達することは、それが送達カテーテルから排出される際に、柔らかい弁尖材料にストレスをかけ得る。よって、送達プロセス中に繊細な弁尖を保護するインプラント設計に対するニーズがある。
【0021】
弁周囲漏出は、対処する必要がある別の懸念である。弁周囲漏出とは、弁尖を通らずに、人工弁インプラントの周りを回る血液を指す。この漏れは、逆流性の流れおよび弁有効性の低下をもたらす。最適な非外傷性移植技術は、弁尖を切除せずに、天然弁尖を邪魔にならない所に押し出すことを伴う。これはしばしば、不規則な移植部位の幾何学的形状をもたらす。支持構造は、移植部位の幾何学的形状に適合するのに十分にしなやかである必要があり、よって、インプラントと標的部位との間に封止を形成する一方で、なおも接合弁尖を形成し、インプラントをしっかりと固定するのに十分な支持を提供する。設計はまた、弁尖と支持構造の内面との間の漏れを防止しなければならない。
【発明の概要】
【0022】
本出願は、片手操作を可能にする自動送達装置に対するニーズに対処する装置を対象とする。このニーズは、モーターを起動するボタンを押すことによって、送達工程のすべてまたはほとんどを完了する電動送達装置を提供することによって対処される。加えて、弁尖材料と送達カテーテルとの間の接触を防止することによって、送達中に柔らかい弁尖材料を保護するよう構築された送達装置と協働するように開発された心臓弁が本明細書に記載される。インプラントはまた、インプラントが折り畳まれた構成にあるときに、弁周囲漏出を防止するスカートおよびライナーを含む。
【0023】
本発明の一態様は、折り畳まれていない構成および折り畳まれた構成を有する管状編組支持構造を含む心臓弁インプラントである。管状支持構造は、複数の尖頂で形成された近位端を有する。各尖頂は、高点と、高点の両側の低点とを有する。支持構造は、遠位端と、管状編組支持構造の遠位端と近位端との間の第一および第二の円周方向の予め形成された折り目とをさらに含む。円周方向の予め形成された折り目は、管状編組支持構造を折り畳まれた構成に向かって付勢する。
【0024】
本発明の少なくとも一つの実施形態では、心臓弁インプラントはまた、弓状部分によって分離された複数の交連点を有するワイヤフォームと、ワイヤフォームに取り付けられた弁材料とを有する弁尖組立品を含む。ワイヤフォームは、弁材料がワイヤフォームに取り付けられたときに、弁材料を接合弁尖に形作る。
【0025】
少なくとも一つの実施形態では、弁尖組立品は、ワイヤフォームの交連点が支持構造の尖頂と整列するように、支持構造の内面に取り付けられる。これは、編組支持構造がカテーテルと弁組立品との間のバリアとして作用するため、装填または送達中に柔らかい弁材料が送達カテーテルと接触しないことを確実にする。
【0026】
本発明の一態様は、折り畳まれていない構成および折り畳まれた構成を有する管状編組支持構造を含む心臓弁インプラントを提供する。支持構造は、遠位端と、近位端と、管状編組支持構造の遠位端と近位端との間の第一および第二の円周方向の予め形成された折り目とを有する。円周方向の予め形成された折り目は、管状編組支持構造を折り畳まれた構成に向かって付勢する。
【0027】
少なくとも一つの実施形態では、インプラントはまた、弓状部分によって分離された複数の交連点を含むワイヤフォームと、ワイヤフォームに取り付けられた弁材料とを有する弁尖組立品を含む。ワイヤフォームは、弁材料がワイヤフォームに取り付けられたとき、弁材料を接合弁尖へと形作り、弁尖組立品は、弁材料が支持構造によって送達カテーテルとの接触から保護されるように、支持構造の内面に取り付けられる。
【0028】
本発明の別の態様は、各々が高点および高点326の両側の低点を有する複数の尖頂から形成される近位端と、遠位端と、支持構造の遠位端と近位端との間の第一および第二の円周方向の予め形成された折り目と、を有する心臓弁インプラントのための支持構造であり、円周方向の予め形成された折り目は支持構造を折り畳まれた構成に向かって付勢する。
【0029】
少なくとも一つの実施形態では、支持構造が折り畳まれた構成にあるとき、支持構造は、三層中間領域、単層近位領域、および単層遠位領域を形成する。単層近位領域は、複数の尖頂の近位部分を含み、これは高点を含む。
【0030】
少なくとも一つの実施形態では、本発明は、インプラントに取り付け可能な遠位端および近位端を有する制御ケーブルと、制御ケーブルを取り囲み、遠位端および近位端を有する送達カテーテルと、制御ケーブルの近位端および送達カテーテルに調整可能に接続されたハンドル組立品であって、モーターと、モーターに給電することができるバッテリーパックと、バッテリーパックとモーターとの間に接続された少なくとも一つの制御部であって、モーターを第一の方向に給電する第一の極性を有する電力を提供するために使用可能であり、かつモーターを第二の方向に給電する第二の極性を有する電力を提供するために使用可能である、制御部と、モーターが第一の方向に給電された時に、ハンドルに対して制御ケーブルを遠位方向に、送達カテーテルを近位方向に移動させ、モーターが第二の方向に給電された時に、制御ケーブルを近位方向に、送達カテーテルを遠位方向に移動させる駆動機構と、を含むハンドル組立品と、を備えるインプラントのための送達装置を提供する。
【0031】
本発明の別の態様は、インプラントを患者内の標的部位に送達するための送達システムであって、ハンドルと、ハンドルから遠位に延びる送達カテーテル組立品と、ハンドル内に含まれ、装填手順中に送達カテーテルの中にコネクタを引っ張り、送達手順中にインプラントに対して送達カテーテルを格納するように動作可能なモーターとを有する電動送達装置と、インプラントを送達装置に装填するのを支援するために使用可能な装填トレイであって、ハンドルを所望の位置に保持するようにサイズ設定および形作られたハンドル区画と、装填手順中に溶液を包含するために使用可能な装填容器と、ハンドル区画から装填容器に通じ、装填手順中に送達カテーテルを保持するようにサイズ設定されたチャネルと、を含む装填トレイと、を備える、送達システムである。
【0032】
本発明のさらに別の態様は、インプラントを標的位置に送達する方法であって、インプラントを送達カテーテルの遠位端に装填することと、送達カテーテルの遠位端を標的位置にナビゲーションすることと、インプラントに対して格納する、送達カテーテルの近位端に関連付けられたハンドル内の第一の方向にモーターを起動し、それによってインプラントが標的位置内で拡張するのを可能にすることと、インプラントを解放することと、を含む、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の実施形態のこれらおよび他の態様、特徴、および利点は、添付図面を参照して、本発明の実施形態の以下の記載から明らかとなり、解明される。
【0034】
図1図1は、本発明の実施形態の基本的な構成要素の概略図である。
図2図2は、本発明の送達カテーテル組立品の実施形態の平面図である。
図3図3は、本発明によるノーズコーンの実施形態の平面図である。
図4図4は、本発明による親ねじの実施形態の平面図である。
図5図5は、本発明による、内部構成要素を示すためにカバーが取り除かれた、ハンドル組立品の実施形態の側面図である。
図6図6は、本発明によるハンドル組立品の実施形態の斜視図である。
図7図7は、本発明による弁コネクタの実施形態の斜視図である。
図8図8は、本発明によるインプラントの実施形態の斜視図である。
図9図9は、折り畳まれていない構成における本発明による支持構造の実施形態の正面図である。
図10図10は、本発明による支持構造の実施形態の斜視図である。
図11図11は、弛緩状態にある本発明のインプラントの実施形態の斜視図である。
図12図12は、本発明の折り畳まれた支持構造の実施形態の断面プロファイル図である。
図13図13は、ワイヤフォームおよび弁材料を示す、本発明による弁組立品の実施形態の斜視図である。
図14図14は、本発明によるワイヤフォームの実施形態の正面図である。
図15図15は、非圧縮の折り畳まれていない構成における、本発明によるインプラントの実施形態の遠位端図である。
図16図16は、本発明の付属品キットの実施形態中に包装された送達装置の斜視図である。
図17図17は、本発明による装填ツールの実施形態の側面図である。
図18図18は、切断線A-Aに沿って切り取られた図17の装填ツールの断面図である。
図19図19は、本発明による装填ツールアダプタの実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで、本発明の具体的な実施形態を、添付図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全となるように、および本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように提供される。添付図面に例示される実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。図面では、同様の数字は同様の要素を指す。
【0036】
まず図1を参照すると、本発明の基本的な構成要素の概略図がある。本発明は一般的に、送達装置10、インプラント300、および付属品キット500を含む。
【0037】
送達装置
送達装置10は一般的に、送達カテーテル組立品20、ノーズコーン50、およびハンドル組立品100を含む。図2は、送達カテーテル組立品20を示し、これは少なくとも一つの実施形態では、形成された送達カテーテル22を含む。送達カテーテル22は、その長さに沿って軸方向繊維で補強され、改善された強度、耐久性、および送達性を提供する。加えて、送達カテーテル22は、追従性を向上させる親水性被覆を有する。
【0038】
送達カテーテル22は、その近位端から遠位端のカプセル30までの、ハンドル組立品100(図5を参照)から延びる直線セクション24を有する。少なくとも一つの実施形態において、直線セクション24は0.150インチ~0.250インチの外径を有する。最適な結果は、約0.185インチの外径で達成されている。直線セクション24は、0.100インチ~0.200インチの内径を有する。最適な結果は、約0.155インチの内径で達成されている。見て分かる通り、カプセル30は弁を所望の位置に運ぶため、わずかに大きな内径および外径を有する。このように、直線セクション24はカプセル30に移行し、その遠位端にテーパー26を有し、長さは約1.0インチである。
【0039】
カプセル30は、直線セクション24から遠位に延び、弁インプラント300を運ぶカテーテル22の予め形作られた湾曲セクションである(図8参照)。湾曲したカプセル30は、少なくとも一つの実施形態では、1.5インチ~2.5インチの平均半径を有する。最適な結果は、約1.92インチの平均半径で達成されている。少なくとも一つの実施形態において、曲線は近位端から遠位端まで減少する半径を有する。例えば、一実施形態では、カプセル30は、直線セクション24から約45度で約2.3インチの半径から、直線セクション24から約90度の約1.85インチの半径へ、直線セクション24から約135度の約1.4度の半径まで、直線セクション24から移行する。
【0040】
少なくとも一つの実施形態では、湾曲したカプセル30は、0.200インチ~0.300インチの外径を有し、最適な結果は約0.236インチの外径で達成される。少なくとも一つの実施形態では、湾曲したカプセル30は、0.150~0.250インチの内径を有し、最適な結果は約0.208インチで示されている。送達カテーテル22は、ハンドル組立品100に接続された外側シース32内で摺動する。
【0041】
ノーズコーン50は、図3に最もよく示される。ノーズコーン50は、湾曲したカプセル30の遠位端に位置し、カプセル30の遠位端に挿入され、そこから容易に取り外されるように形作られている。形成されたカテーテル22は、標的部位にナビゲートされたガイドワイヤ40の上を通過するように設計される。ノーズコーン50は、ガイドワイヤ40の上を通過しながら、カテーテルの標的位置への非外傷性送達を提供する。
【0042】
ノーズコーン50は、柔らかい材料で作製されることが好ましい。少なくとも一つの実施形態において、ノーズコーン50は40D未満のデュロメータを有する。最適な結果は、35Dのデュロメータを有する材料で達成されている。ノーズコーン50は、遠位先導テーパー52、近位テーパー54、および先導テーパー52と近位テーパー54との間の円筒部分56を有する。近位テーパー54は、移植が発生した後に、ノーズコーン50の再捕捉を支援する。加えて、近位テーパー54は、組立中、カテーテル22の遠位端へのノーズコーンの挿入を容易にする。
【0043】
円筒部分56は、カテーテル22の遠位端の適切な整列を維持する一方で、インプラントが送達された時にカテーテル22の端部から前進させることができるようにサイズ設定されている。例えば、その遠位端で0.208インチの内径を有するカテーテルと共に使用される場合、0.200インチ~0.206インチの外径を有する円筒部分56で最適な結果が実証されている。
【0044】
先導テーパー52は、カテーテルの外径と同じ高さになるようにサイズ設定され、それによってカテーテルとノーズコーン50との間の滑らかな移行を作り出す。円筒部分56と先導テーパー52の近位端との間の直径の差は、カテーテル22の遠位端とほぼ同じ高さである肩部58を作り出す。これは、前述の滑らかな移行をもたらし、ノーズコーン50をカテーテル22の遠位端に挿入するときに停止部を提供する。一実施形態では、先導テーパー52は、0.232~0.238インチの直径を有し、約0.040インチの直径を有する遠位端へと先細りする。
【0045】
カテーテル22と同様に、ノーズコーン50は、追従のために潤滑性を向上させる親水性コーティングを含む。加えて、ノーズコーン50は、ノーズコーン50の長さを通って延びるガイドワイヤ内腔60およびガイドワイヤ内腔60の遠位端を有し、ここで弁は近位テーパー54に接触し、また、弁とガイドワイヤ内腔60との間の摺動摩擦を低減するための親水性コーティングを有する。少なくとも一つの実施形態では、ノーズコーン50およびガイドワイヤ40は、バルブ作動から分離されて、インプラント展開中にノーズコーンの深さ安定性を提供する。
【0046】
ハンドル組立品100は、図4~6に示され、一般的に、駆動組立品110と、駆動組立品110に給電するモーター組立品200と、ハウジング132と、モーター組立品200を制御し、移植中にインプラント300を解放するための複数の制御部140と、を含む。モーター組立品200は、バッテリーパック210によって給電される。
【0047】
駆動組立品110は、回転時にインプラント300とカテーテル22との間に相対運動を作り出す親ねじ112を含む。図4を参照すると、親ねじ112は、近位部分114および遠位部分116を含むことが分かる。近位部分114は、変化するピッチの左ねじ山118を含む。弁ナット122は、ねじ山と係合し、親ねじ112が回転するときに軸方向に並進運動する。弁ナット122は、弁保持ケーブル150に接続された隣接する弁キャリッジ124に対して作用する。弁保持ケーブル150は、三叉である、弁保持ケーブル150の遠位端から延びる三つの弁コネクタ152を介してインプラント300に接続される。
【0048】
親ねじ112の遠位端は、変化するピッチの右ねじ山120を含む。カテーテルナット126は、右ねじ山120と係合し、親ねじ112が回転するときに軸方向に並進運動する。カテーテルナット126は、送達カテーテル22に接続された隣接するカテーテルキャリッジ128(図5を参照)に対して作用し、外側シース32内で軸方向に並進移動する。外側シース32は、ハンドルハウジング132の遠位端に固定される。
【0049】
図5にさらに示すように、弁キャリッジ124およびカテーテルキャリッジ128は、カテーテル組立品20と軸方向に整列している。弁キャリッジ124の遠位端は、弁保持ケーブル150の近位端に接続される。弁保持ケーブル150は、カテーテルキャリッジ128を通過し、送達カテーテル22の内腔の近位端に入る。
【0050】
左ねじ山118および右ねじ山120の変化するピッチは、キャリッジ124および128が並進する速度および方向を制御する。これらの速度は、移植および格納中のインプラント300に対する送達カテーテル22の最適な速度によって決定される。これらの速度は、以下の操作の考察でさらに詳細に説明される。左ねじ山118および右ねじ山120の異なる長さは、キャリッジ124および128の両方がそれぞれの移動限界に達するために、親ねじ112の同数の回転が必要であるように、変化するピッチに適応する。
【0051】
ハンドル組立品100の制御部140は、少なくとも前進ボタン142および格納ボタン144を含む。前進ボタン142は、バッテリーパック210からモーター組立品200に電力を接続し、第一の方向の親ねじ112の回転をもたらすスイッチである。格納ボタン144は、前進ボタン142の近位に位置し、前進ボタンの極性とは反対の極性でバッテリーパック210からモーター組立品200に電力を接続し、それによってモーター組立品200を第二の方向に回転させ、親ねじ112を第二の方向に回転させるスイッチである。当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、この結果を達成するために、多数のスイッチおよびボタン構成が使用され得ることを認識するであろう。
【0052】
ハンドル組立品100は、ハウジング132の近位端の近くにガイドワイヤポート134を含む。ガイドワイヤポート134は、送達装置10がガイドワイヤ40の上を通過することを可能にする。そうするとき、ガイドワイヤ40は、コーン組立品を通り、送達カテーテル22内に形成されたガイドワイヤ内腔60を通って、ガイドワイヤポート134を出る。
【0053】
図6に見られるように、ハンドル組立品100はまた、ハンドルハウジング132の側面上に三つのフラッシュポート146、147および148を含む。フラッシュポート146、147、148は、患者で使用する前に、送達システム内の管腔空間から空気を流し出すために使用される。フラッシュポート146、147、148は、インプラントを装填した後に、空気を送達システムの管腔空間から押し出すために、洗浄用シリンジを接続するためのルアーコネクタ160、162、および164を含む。
【0054】
図7は、弁コネクタ152が各々、口部156から延びてインプラント300を解放することができる歯154を有することを示す。
【0055】
インプラント
ここで図8を参照すると、インプラント300は一般的に、カテーテル22から解放されると折り畳まれる支持構造320と、弁尖材料382および弁尖材料382が取り付けられるワイヤフォーム360を含む弁組立品380とを含む。弁尖材料382およびワイヤフォームは、弁尖材料382およびワイヤフォームが互いに取り付けられているときに、健康なヒト心臓弁の機能に似た弁尖を含む弁組立品380が形成されるように構成されている。
【0056】
支持構造320は、長手方向に折り畳まれ、送達カテーテル22から解放されたときに、天然弁組織を外向きに押し、それ自体を定位置に固定し、ワイヤフォームおよび弁尖組立品を最適な位置に保持および配向し、血液が人工弁の周りを逆方向に漏れること(本明細書では「弁周囲漏出」と呼ばれる)を防止するように、半径方向に拡張する。
【0057】
図9を参照すると、折り畳まれていない構成における本発明の支持構造320の実施形態の正面図が示されている。編組パターンを明確に示す目的で、図9の支持構造320はまだ熱硬化されておらず、よって円筒形である。また、図9の支持構造320は、中実のダボまたは心棒上に配置されているかのように示されており、その結果、構造の後部半分が視界から隠されていることにも留意されたい。これは、支持構造320の編組パターンのより明確な図を提供する。
【0058】
支持構造320は、第一の端部322および第二の端部324を有する編組構造である。第一の端部322は、三つの高点326を含み、図9では支持構造320の後方部分が示されていないため、そのうちの一つのみが見える。図10は、三つのすべての高点326を示す。高点326の各々は、反対方向に延び、それらが互いに交差して高点326を形成する場所で終了する、二つの長い編組330Aおよび330Bによって形成される。残りの全ての編組は、高点326を形成する編組330Aおよび330Bとほぼ整列した点で終了する(方向を変える)ように、様々な長さである。結果は、三つの尖頂332A、332Bおよび332C(図9および図10を参照)を有する三叉の第一の端部322であり、その機能は以下で説明される。
【0059】
支持構造320は、三つの長手方向セクション340、342および344に分割される。長手方向セクションは、図9では点線として示され、図11では折り畳まれていない弛緩状態で見ることができる、二つの予め形成された折り目346および348によって分離される。予め形成された折り目346および348は、最低でも、支持構造320が、展開中の折り畳まれていない構成から、送達装置10から解放されるときの折り畳まれた構成へと再構成するのを支援する。
【0060】
第一の長手方向セクション340は、支持構造320の第一の端部322を含み、尖頂332A、332Bおよび332Cが隣接する尖頂と交差する場所の下方まで延びる。第二の長手方向セクション342は、第一の折り目346と第二の折り目348との間に位置する。第三の長手方向セクション344は、支持構造320の第二の折り目348から第二の端部324に延びる。
【0061】
支持構造320の第二の端部324は、第二の長手方向セクション342のものとは異なる編組パターンを有する複数の編組で終了する。編組のピッチは、支持構造320を天然弁に固定するのを支援する心室フレアループ328をもたらす。図10に示すように、これらのループは、外向きに広がってインプラント300の固定を支援する。
【0062】
図10は、折り畳まれた構成の支持構造320を示す。説明の明瞭化の目的で、また典型的な非経心尖送達の間、第二の端部324が最初に送達装置を出るため、第二の端部324は遠位端として指定され、第一の端部322は近位端として指定されることになる。折り畳まれていない状態では、第一の予め形成された折り目346は、第二の予め形成された折り目348の近位に位置する。折り畳まれた構成では、第二の長手方向セクション342は、第二の長手方向セクションの外面が内向きに面するように反転する。第一および第三の長手方向セクションの外面は、反転せず、外向きに面したままである。第二の長手方向セクション342が反転するとき、第一のセクション340は第二のセクションの中に引きずり込まれ、第一および第二のセクションは第三のセクション344の中に引き込まれる。よって、図12に示すように、三つの長手方向セクションは、互いに入れ子になり、もはや長手方向に隣接しない。むしろ、セクション340は内側層になり、セクション342は中間層になり、セクション344は外側層になる。図12は、折り畳まれた構成にある三つのセクション340、342および344を示す単純断面図である。
【0063】
図10および図12にさらに示すように、支持構造320の三つのセグメントは、折り畳まれたときに、三層中間領域350、単層近位領域352、および単層遠位領域354を有する装置をもたらす。近位領域352は、尖頂332A、332Bおよび332Cの先端によって形成される。遠位領域354は、心室フレアループ328の端部によって形成される。
【0064】
上述のように、インプラント300は、ワイヤフォーム360と、ブタ組織などの組織382を含む弁組立品380(図13)とを含む。図14は、本発明のワイヤフォーム360の実施形態を示す。ワイヤフォーム360は、三つの交連点362A、362B、および362Cを含む。交連点は、その先端に、人工弁インプラント300を送達装置10の弁コネクタ152に接続するための取り付け点として使用されるループ364A、364Bおよび364Cを有する。ループ364A、364Bおよび364Cの各々は、送達装置10の接続と最適に動作するために、角度付けが異なる。ループ364A、364Bおよび364Cの各々は、ループを大まかに含む垂直平面が、ワイヤフォーム360の軸中心の近くの二つの他のループの類似の平面と交差するように角度付けられる。交連点362A、362Bおよび362Cは、弓状部分366A、366Bおよび366Cによって分離される。各弓状部分366A、366B、366Cの中間点に、ループ368A、368B、および368Cがそれぞれある。図14の実施形態では、ワイヤフォーム360は、単一のワイヤで作製され、その二つの端部は、コネクタ370と端と端をつないで接続される。
【0065】
再び図13を参照すると、ワイヤフォーム360は、弁材料382を使用して弁組立品380を作り出すために使用され、弁材料は、ブタまたはウシ組織などの採取組織であってもよく、または合成組織であってもよい。少なくとも一つの実施形態では、弁材料382は、互いに縫われ、溶接され、またはその他の方法で接合され、かつワイヤフォーム360と共に三つの弁尖386A、386Bおよび386Cを形成する、材料384A、384Bおよび384Cの三つの別々のシートを含む。図13では、シート384Aおよび弁尖386Aが明確に示され、シート384Cおよび弁尖386Cは左側にあり、シート384Bおよび弁尖386Bは視界から隠されている。
【0066】
少なくとも一つの実施形態では、シート384A、384Bおよび384Cの各々は、ワイヤフォーム360よりも長手方向に長い。シート384A、384B、および384Cは各々、縫合糸または他の取り付け技術または材料を使用して、近位縁388A、388Bおよび388Cがループ364A、364Bおよび364Cのすぐ遠位に位置するように、ワイヤフォーム360に取り付けられる。近位縁388A、388Bおよび388Cは、弁組立品380の接合縁を形成する。縁388A、388Bおよび388Cの近位のループ364A、364Bおよび364Cの位置は、ループ、および送達装置10の対応するコネクタ152が、送達中に弁尖386A、386Bおよび386Cの開閉を妨害しないことを確実にする。これにより、インプラント300が送達装置10にまだ接続されている間であっても、インプラント300が完全に機能することが可能になる。よって、正しい配置および機能の検証を、解放前に行うことができる。インプラント300が正しく配置されない場合、インプラント300は送達装置10内に引き戻され、再配置され得る。
【0067】
ワイヤフォーム360の遠位に延びるシート384A、384Bおよび384Cの材料は、縫い合わせるか、または別の方法で一緒に接合されて、遠位縁392を有するスカート390を形成する。少なくとも一つの実施形態では、遠位縁392は、より近位の予め形成された折り目346の遠位に位置する。よって、図12および図15に示すように、支持構造320が折り畳まれると、スカート390が折り畳まれ、弁周囲漏出を防止する支持構造320内の内部封止を形成する。
【0068】
図15は、インプラント300の非圧縮の折り畳まれていない構成の遠位端図である。スカート390の遠位縁392の内側図が示されていて、近位の予め形成された折り目346も見ることができる。インプラント300の非圧縮の折り畳まれていない構成の外側の斜視図である図11を再び参照すると、スカート390、ワイヤフォーム360、ならびに近位および遠位の予め形成された折り目346および348の配置をそれぞれ見ることができる。図11はまた、弁組立品380が、支持構造320によって、送達装置10の内表面との接触からどのように完全に保護されているかを示す。
【0069】
加えて、支持構造320の遠位端の内面の周りに延びる随意の遠位ライナー394がある。図12を再び参照すると、遠位ライナー394は、スカート390と併せて作用して、「連接したスカート」を形成する。折り畳まれた構成では、組織層は、弁尖386A、386Bおよび386C、ならびに第一の予め形成された折り目346まで遠位に延びるスカート390の部分から成る内部層400を有するものとして説明され得る。組織スカート390は、折り目346の周りに従い、近位へと続いて、中間層402を作り出す。ライナー394は、支持構造320の遠位端の内面上に位置し、中間層402に面する最外部層404として説明され得る。支持構造320が移植部位によって折り畳まれ圧縮されると、中間層402および最外部層404は一緒に圧縮されて、弁周囲漏出を防止する封止を形成する。ライナー394の近位縁とスカート390の遠位縁392との間のギャップは、支持構造320が折り畳まれたときに、バンチングまたは他の悪影響が発生しないことを確実にする。
【0070】
付属品キット
ここで図16を参照すると、付属品キット500は、装填トレイ510、装填ツール540、および装填ツールアダプタ560を含み得る。リッド(図示せず)と組み合わせられた装填トレイ510はまた、システムの包装として機能する。装填トレイ510は剛直であり、単一のオペレータがインプラント300を送達装置10に装填することを可能にするように開発されている。トレイ510は、ハンドル区画512、装填容器514、およびハンドル区画512から装填容器514に通じるチャネル516を含む。チャネル516は湾曲しており、送達カテーテル22を収容する。チャネル516は、リッドが取り外された後に送達カテーテル22がチャネル516内に留まるように、チャネル516を覆う保持クリップ518を有する。装填容器514は、装填前にインプラント300をすすいでもよい場所を提供する。
【0071】
図17および図18は、インプラント300を送達カテーテル22の遠位端に装填することを可能にする漏斗様の装置である、装填ツール540の実施形態を示す。装填ツール540は、広い側542と狭い側544とを有する。装填ツール540は、図19に示す装填ツールアダプタ560と併せて働き、これは、カテーテル22の先端を所望の高さに上昇させ、インプラントを装填する間に先端を支持するようにサイズ設定された直径を有するフランジ562を有する。少なくとも一実施形態では、装填ツール540は、透明なポリカーボネートから作製され、装填ツールアダプタ560は、デルリンから作製される。フランジ562は、送達カテーテル22の遠位先端を受容するようにサイズ設定された中央内腔564を有する。他方の端部568は、装填ツール540の狭い側544の中に適合するようにサイズ設定された外径を有する。
【0072】
操作
操作は、インプラント300の装填で始まる。リッドをトレイ510から取り外し、すすぎ容器514を生理食塩水などの溶液で満たす。次いで、インプラント300を溶液中に配置し、送達カテーテル22の遠位端を弁装填ツールアダプタ560のフランジ端部の中に配置する。アダプタ560の他方の端部を、弁装填ツール540の狭い側544に挿入する。
【0073】
次に、オペレータは前進ボタン142を押して、親ねじ112を、カテーテル22キャリッジおよび弁キャリッジ124を互いから遠ざかるように、親ねじ112の外側範囲まで並進させる方向に回転させる。キャリッジの分離は、バルブ制御ケーブルを遠位に前進させながらカテーテル22を近位に格納し、インプラント300を装填するためにバルブ制御ケーブルの三叉端部を露出させる。
【0074】
次に、オペレータは、弁コネクタ制御部を使用して弁コネクタを開く。交連点のループは、各々、開いたコネクタのうちの一つに配置され、弁コネクタ制御部を使用して、コネクタを閉じる。
【0075】
これで、インプラント300は、送達装置10への装填のための準備が整った。オペレータが格納ボタン144を押すと、モーター組立品200が親ねじ112を駆動して、弁キャリッジ124およびカテーテルキャリッジ128を互いから離れるように並進させ、弁装填ツール540および弁装填ツールアダプタ560を通して、インプラント300をカテーテル22の遠位端部の中に近位に引き込む。
【0076】
オペレータは、インプラント300が完全にカプセル30の内側にあり、送達の準備ができるまで、格納ボタン144を押し続ける。次いで、弁装填ツール540およびアダプタ560を、カテーテル22の遠位端から取り外すと、送達装置10は、医師がインプラント300を実施する準備ができると、保持クリップ518を開いた後に、トレイ510から取り外される準備が整う。
【0077】
準備ができたら、医師は損傷した天然弁を通してガイドワイヤ40をナビゲートする。次に、ガイドワイヤ40の近位端をノーズコーン50の遠位端に挿入し、ノーズコーン50の近位テーパー54の助けにより、ノーズコーン50をカテーテル22の遠位端に挿入する。カテーテル22の遠位端が、外側シース32の遠位端の放射線不透過性バンドを用いて、蛍光透視法によって検証される標的部位に行くまで、送達装置10をガイドワイヤ40上で前進させる。送達装置10がガイドワイヤ40上を前進するにつれて、ガイドワイヤ40の近位端は、ハンドルのガイドワイヤポートを通過する。
【0078】
送達装置10の遠位端の位置に満足すると、医師は前進ボタン142を押し、これが親ねじ112を回転させ、弁ならびにカテーテルキャリッジ124および128を互いに向かって並進させ、インプラント300が送達カテーテル22の遠位端から現れ始める。インプラント300の第三の長手方向セクションは、損傷した弁に寄せて拡張し、天然弁を拡張し始める。
【0079】
医師が前進ボタン142を保持し続けると、第三の長手方向セクションと天然弁との間の相互作用は、インプラント300の第二のセクションが前進して、第三の長手方向セクションの中に反転する間、インプラント300を定位置に保持するのを支援する。反転は、付勢される折り畳まれた構成を再び取る第二の予め形成された折り目によって助けられる。
【0080】
インプラント300を解放する前の処置の任意の時点で、医師は前進ボタン142を放し、インプラント300の配置に不都合な場合、格納ボタン144を押して、インプラント300を送達カテーテル22の中に引き戻すことができることに留意することが重要である。これはまた、医師が迅速に処置を完全に中止し、送達装置10を患者から取り出すことを可能にする。
【0081】
前進ボタン142を押し続けると、送達カテーテル22は近位に移動し続け、インプラント300の第一のセクションおよび弁コネクタを露出させる。次に、医師は前進ボタン142を放し、インプラント300を解放する前に、蛍光透視装置を介してインプラント300の位置および動作を見ることができる。インプラント300および送達装置10の設計は、インプラント300を解放する前に、インプラント300が完全に機能するのを見る能力を医師に提供する。
【0082】
医師がインプラント300の動作に不満がある場合、医師が格納ボタン144を押すと、装填ツール540およびアダプタ560が使用されないことを除いて、インプラント300は装填シーケンス中に説明されたように送達カテーテル22の中に引き戻される。医師がインプラント300の動作に満足する場合、インプラント300は、最初にロックピン541を引っ張ってから弁コネクタ制御部を操作することによって、コネクタから解放される。ロックピン541は、インプラント装置が、インプラントが解放される解放点まで親ねじを前進させることを防止することによって、インプラントの早期解放を防止する。
【0083】
本発明は、特定の実施形態および用途に関して説明されてきたが、当業者であれば、この教示を考慮して、特許請求される本発明の趣旨から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく、追加の実施形態および修正を生成することができる。したがって、本明細書の図面および説明は、本発明の理解を容易にするために例として提供され、その範囲を限定すると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】