(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】アンヒドロ糖アルコール、アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール及び芳香族ジオールから由来した単位を含む生分解性ポリカーボネート共重合体、及びその製造方法、並びにそれを含む成形品
(51)【国際特許分類】
C08G 64/00 20060101AFI20241226BHJP
C08L 101/16 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C08G64/00 ZBP
C08L101/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535213
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 KR2022021198
(87)【国際公開番号】W WO2023121395
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187813
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨ,スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジュンソブ
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ジェグク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,グァンソク
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ミンジョン
【テーマコード(参考)】
4J029
4J200
【Fターム(参考)】
4J029AA09
4J029AB01
4J029AB04
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD07
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4J029BB13A
4J029BD01
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4J029FA07
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4J200AA02
4J200AA06
4J200AA09
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4J200BA09
4J200DA16
4J200DA28
4J200EA01
4J200EA04
4J200EA11
(57)【要約】
本発明は、ポリカーボネート共重合体及びその製造方法、並びにそれを含む成形品に関し、より具体的には、アンヒドロ糖アルコール、アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール及び芳香族ジオールを特定の含量比で含むジオール成分と炭酸ジエステル成分から由来した繰り返し単位を含むことにより、従来のポリカーボネート共重合体と比較して、改善された引張強度及び伸率を示し、しかも生分解性を有する、ポリカーボネート共重合体及びその製造方法、並びにそれを含む成形品に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオール成分から由来した繰り返し単位;及び炭酸ジエステル成分から由来した繰り返し単位;を含み、
前記ジオール成分が、ジオール成分の合計100モル%に対して、(a)アンヒドロ糖アルコール0.3~66.9モル%、(b)アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール0.3~56.9モル%及び(c)芳香族ジオール32.1~99.4モル%を含むポリカーボネート共重合体。
【請求項2】
アンヒドロ糖アルコールが、ジアンヒドロヘキシトールである請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項3】
アンヒドロ糖アルコールが、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はそれらの混合物から選択される請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項4】
アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコールが、アンヒドロ糖アルコールとアルキレンオキシドとの付加反応によって得られるものである請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項5】
アルキレンオキシドが、炭素数2~18の直鎖状又は炭素数3~18の分岐状アルキレンオキシドである請求項4に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項6】
芳香族ジオールが、ビスフェノール系ジオール化合物、フルオレン系ジオール化合物、ベンゼン系ジオール化合物、フラン系ジオール化合物、ピリジン系ジオール化合物又はそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上である請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項7】
芳香族ジオールが、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、1,4-ビス(2-ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(2-ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フラン、2,5-ビス(ヒドロキシエチル)フラン、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン又はそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上である請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項8】
炭酸ジエステル成分が、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネート又はそれらの組み合わせから選択される請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項9】
炭酸ジエステル成分が、下記式(C)
【化1】
(式中、A及びA'は、それぞれ独立して、非置換又はハロゲン置換の、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数7~25のアラルキル基から選択され、A及びA'は、互いに同じであっても異なっていてもよい。)で示される化合物から選択される請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項10】
下記式(1)
【化2】
で示される構造を有する繰り返し単位;
下記式(2)
【化3】
(式中、R
1は、それぞれ独立して、水素又はアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、ただし、m+nは、1~25の整数を表す。)で示される構造を有する繰り返し単位;及び
下記式(3)
【化4】
(式中、Rは、炭素数6~40のアリレン基;又はN、O及びSからなる群から選択されるヘテロ原子を一つ以上含む炭素数5~40のヘテロアリレン基である。)で示される構造を有する繰り返し単位;
を含む請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
【請求項11】
ポリカーボネート共重合体の製造方法であって、
ジオール成分及び炭酸ジエステル成分を含む混合物を重合触媒存在下で反応させる工程を含み、
前記ジオール成分が、ジオール成分の合計100モル%に対して、(a)アンヒドロ糖アルコール0.3~66.9モル%、(b)アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール0.3~56.9モル%及び(c)芳香族ジオール32.1~99.4モル%を含む、ポリカーボネート共重合体の製造方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体を含む成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート共重合体及びその製造方法、及びそれを含む成形品に関し、より具体的には、アンヒドロ糖アルコール、アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール及び芳香族ジオールを特定の含量比で含むジオール成分と炭酸ジエステル成分から由来した繰り返し単位を含むことにより、従来のポリカーボネート共重合体と比較して、改善された及び伸率(elongation)を示し、しかも生分解性を有する、ポリカーボネート共重合体及びその製造方法、並びにそれを含む成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度が150℃前後の汎用の熱可塑性エンジニアリングプラスチックであり、引張強度及び衝撃強度などの機械的物性に優れ、寸法安定性、耐熱性及び光学的透明性を有する樹脂である。
【0003】
ポリカーボネートは、通常、石油系原料であるビスフェノールAとホスゲンの縮合重合によって製造される。しかし、石油資源の枯渇の加速、気候変動に伴う温室効果ガス排出量削減の要請、原料価格の高騰、再生可能な原料へのニーズの高まりなどの様々な理由から、ポリカーボネートを製造するための原料を環境にやさしい成分で部分的又は完全に代替する方法が求められている。
【0004】
アンヒドロ糖アルコールは、天然物由来の環境にやさしい素材であり、デンプンなどの天然物由来の水素化糖(例えば、ヘキシトール)を脱水反応により製造することができる。水素化糖(「糖アルコール」ともいう)は、糖の還元性末端基に水素を添加して得られる化合物を意味し、一般にHOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、nは2~5の整数)の化学式を有する。水素化糖は、炭素数によってテトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。このうち炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれ、ソルビトールとマンニトールは非常に有用な物質である。このように、アンヒドロ糖アルコールは、その幅広い応用範囲から大きな関心を集めており、その工業的実用化レベルは徐々に高まっている。
【0005】
アンヒドロ糖アルコールを利用してポリカーボネートを製造する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、アンヒドロ糖アルコールであるイソソルビドと環状ジオール化合物をジオール成分として用いてポリカーボネート共重合体を製造する技術が記載されている。また、特許文献2には、イソソルビドと直鎖状ジオール化合物をジオール成分として用いてポリカーボネート共重合体を製造する技術が記載されている。
【0006】
しかし、前記した従来技術により製造されたポリカーボネート共重合体は、環境適合性が改善したにもかかわらず、機械的物性(特に、引張強度及び/又は伸率)が劣るため、エンジニアリングプラスチック用途として実際に利用することは困難である。
【0007】
そこで、原料としてアンヒドロ糖アルコールを利用することで、環境適合性を高め、生分解性を与えるとともに、引張強度及び伸率などの機械的物性を従来技術よりも改善させ、エンジニアリングプラスチック用途として実際に利用可能なポリカーボネート共重合体を製造する技術の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国 特開 第10-2009-0018788号
【特許文献2】韓国 特許 第10-1080669号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、アンヒドロ糖アルコール及びその誘導体から由来した単位を含むことにより、良好な環境適合性及び生分解性を示すとともに、従来のアンヒドロ糖アルコール-含有ポリカーボネート樹脂に比べて引張強度及び伸率などの機械的物性が改善されたポリカーボネート共重合体及びその製造方法、並びにそれを含む成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、ジオール成分から由来した繰り返し単位;及び炭酸ジエステル成分から由来した繰り返し単位;を含み、前記ジオール成分が、ジオール成分の合計100モル%に対して、(a)アンヒドロ糖アルコール0.3~66.9モル%、(b)アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール0.3~56.9モル%及び(c)芳香族ジオール32.1~99.4モル%を含むポリカーボネート共重合体を提供する。
【0011】
本発明の別の態様によれば、ポリカーボネート共重合体の製造方法であって、ジオール成分及び炭酸ジエステル成分を含む混合物を重合触媒存在下で反応させる工程を含み、前記ジオール成分が、ジオール成分の合計100モル%に対して、(a)アンヒドロ糖アルコール0.3~66.9モル%、(b)アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール0.3~56.9モル%及び(c)芳香族ジオール32.1~99.4モル%を含む、ポリカーボネート共重合体の製造方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、前記本発明のポリカーボネート共重合体を含む成形品が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるポリカーボネート共重合体は、アンヒドロ糖アルコールを含有する従来のポリカーボネート共重合体と比較して、良好な環境適合性及び生分解性を示すとともに、著しく改善された機械的物性(特に、引張強度及び伸率など)を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のポリカーボネート共重合体は、ジオール成分の合計100モル%に対して、(a)アンヒドロ糖アルコール0.3~66.9モル%、(b)アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール0.3~56.9モル%及び(c)芳香族ジオール32.1~99.4モル%を含むジオール成分から由来した繰り返し単位;及び炭酸ジエステル成分から由来した繰り返し単位;を含む。
【0015】
[ジオール成分]
(a)アンヒドロ糖アルコール
本発明において、前記アンヒドロ糖アルコールは、モノアンヒドロ糖アルコール、ジアンヒドロ糖アルコール又はそれらの混合物であってもよく、水素化糖の脱水反応によるアンヒドロ糖アルコールの製造過程で得ることができる。水素化糖(「糖アルコール」ともいう)は、糖の還元性末端基に水素を添加して得られる化合物を意味し、一般にHOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、nは2~5の整数)の化学式を有する。水素化糖は、炭素数によってテトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。このうち炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれる。
【0016】
前記モノアンヒドロ糖アルコールは、水素化糖の内部から1分子の水を除去して生成されるアンヒドロ糖アルコールであり、分子内に4つのヒドロキシ基を有するテトラオール形態をしている。本発明で使用可能なモノアンヒドロ糖アルコールの種類は特に限定されず、好ましくはモノアンヒドロヘキシトールであり、より具体的には1,4-アンヒドロヘキシトール、3,6-アンヒドロヘキシトール、2,5-アンヒドロヘキシトール、1,5-アンヒドロヘキシトール、2,6-アンヒドロヘキシトール又はこれらの2種以上の混合物であってもよい。
【0017】
前記ジアンヒドロ糖アルコールは、水素化糖の内部から2分子の水を除去して生成されるアンヒドロ糖アルコールであり、分子内に2つのヒドロキシ基を有するジオールをしており、デンプン由来のヘキシトールを用いて製造することができる。ジアンヒドロ糖アルコールは、再生可能な天然資源から得られる環境に優しい素材であるため、以前から多くの関心を集めており、その製造方法に関する研究が続けられたきている。このようなジアンヒドロ糖アルコールの中で、ソルビトールから製造されたイソソルビドは、現在最も工業的応用範囲が広い。本発明で使用可能なジアンヒドロ糖アルコールの種類は特に限定されず、好ましくはジアンヒドロヘキシトールであり、より具体的には1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールであってもよい。前記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは、イソソルビド(1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール)、イソマンニド(1,4:3,6-ジアンヒドロマンニトール)、イソイジド(1,4:3,6-ジアンヒドロイジトール)又はこれらの2種以上の混合物であってもよく、より好ましくはイソソルビドであってもよい。
【0018】
本発明のポリカーボネート共重合体に繰り返し単位として含まれるジオール成分中の前記アンヒドロ糖アルコール含量は、ジオール成分の合計100モル%に対して、0.3~66.9モル%である。ジオール成分中のアンヒドロ糖アルコール含量が、ジオール成分の合計100モル%に対して、0.3モル%未満であると、共重合体の引張強度が劣り、逆に66.9モル%を超えると、共重合体の引張強度及び伸率が劣る。
【0019】
一実施形態において、前記ジオール成分中のアンヒドロ糖アルコール含量は、ジオール成分の合計100モル%に対して、0.3モル%以上、0.4モル%以上又は0.5モル%以上であってもよく、また、66.9モル%以下、66モル%以下、65モル%以下、64モル%以下、63モル%以下、62モル%以下、61モル%以下、60モル%以下、59モル%以下、58モル%以下、57モル%以下、56モル%以下又は55モル%以下であってもよい。
【0020】
(b)アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール
本発明において、前記アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコールは、アンヒドロ糖アルコールとアルキレンオキシドとの付加反応により得られる。
一実施形態において、前記アルキレンオキシドは、炭素数2~18の直鎖状又は炭素数3~18の分岐状アルキレンオキシドであってもよく、より具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれの組み合わせであってもよい。
【0021】
本発明において、「アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール」とは、モノアンヒドロ糖アルコール又はジアンヒドロ糖アルコールの末端(例えば、一つ以上の末端)のヒドロキシ基とアルキレンオキシド(例えば、C2-C18のアルキレンオキシド、より具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの混合物)との反応により得られる付加物であり、モノアンヒドロ糖アルコール又はジアンヒドロ糖アルコールの末端(例えば、一つ以上の末端)のヒドロキシ基の水素が、アルキレンオキシドの開環体であるヒドロキシアルキル基で置換された形態の化合物を意味する。
【0022】
一実施形態において、アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコールは、下記式(A)
【化1】
(式中、R
1は、それぞれ独立して、水素又はアルキル基、より具体的には水素又は炭素数1~18のアルキル基であり、m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数であり、ただし、m+nは、1~25の整数、より具体的には2~20の整数、さらに具体的には3~15の整数である。)で示される化合物であってもよい。
【0023】
別の実施形態において、前記アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコールは、下記式(B)
【化2】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、炭素数2~18の直鎖状又は炭素数3~18の分岐状アルキレン基を表し、m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、ただし、m+nは、1~30の整数又は1~25の整数を表す。)で示される化合物であってもよい。
【0024】
より具体的には、前記式(B)において、
R1及びR2は、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基又はイソプロピレン基を表し、より具体的には、R1及びR2は同一であり、m及びnは、それぞれ独立して、0~14の整数を表し、ただし、m+nは、1~25の整数、2~20の整数又は3~15の整数である。
【0025】
一実施形態において、前記アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコールとして、以下のイソソルビド-プロピレングリコール、イソソルビド-エチレングリコール、又はそれらの混合物を使用することができる。
【0026】
[イソソルビド-プロピレングリコール]
【化3】
式中、a及びbは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、ただし、a+bは、1~30の整数又は1~25の整数であり、より具体的には、a及びbは、それぞれ独立して、0~14の整数を表し、ただし、a+bは、1~25の整数、2~20の整数又は3~15の整数であってもよい。
【0027】
[イソソルビド-エチレングリコール]
【化4】
式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、ただし、c+dは、1~30の整数又は1~25の整数であってもよく、より具体的には、c及びdは、それぞれ独立して、0~14の整数を表し、ただし、c+dは、1~25の整数、2~20の整数又は3~15の整数であってもよい。
【0028】
本発明のポリカーボネート共重合体中に繰り返し単位として含まれるジオール成分中の前記アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール含量は、ジオール成分の合計100モル%に対して、0.3~56.9モル%である。ジオール成分中のアンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール含量が、ジオール成分の合計100モル%に対して、0.3モル%未満であると、共重合体の引張強度及び生分解性が劣り、逆に56.9モル%を超えると、共重合体の引張強度及び耐熱性が劣る。
一実施形態において、前記ジオール成分中のアンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール含量は、ジオール成分の合計100モル%に対して、0.3モル%以上、0.4モル%以上又は0.5モル%以上であってもよく、また、56.9モル%以下、56モル%以下、55モル%以下、54モル%以下、53モル%以下、52モル%以下、51モル%以下、50モル%以下、49モル%以下、48モル%以下、47モル%以下、46モル%以下、45モル%以下、44モル%以下、43モル%以下、42モル%以下、41モル%以下又は40モル%以下であってもよい。
【0029】
(c)芳香族ジオール
本発明において、前記芳香族ジオールは、2個のヒドロキシ基を有する芳香族化合物を意味する。
【0030】
一実施形態において、前記芳香族ジオールは、ビスフェノール系ジオール化合物、フルオレン系ジオール化合物、ベンゼン系ジオール化合物、フラン系ジオール化合物、ピリジン系ジオール化合物又はそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上であってもよい。
【0031】
一実施形態において、前記芳香族ジオールは、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン[以下、ビスフェノールAと称する]、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物(例えば、ビスフェノールA1モル当たりC2-C18アルキレンオキシド1モル~25モルを付加した付加物)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3,5-ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4'-ジヒドロキシ-ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルファイド、4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ4-3,3'-ジクロロジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-2,5-ジエトキシジフェニルエーテル、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ-2-メチル)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、1,4-ビス(2-ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(2-ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フラン、2,5-ビス(ヒドロキシエチル)フラン、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン又はそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0032】
より具体的には、前記芳香族ジオールは、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、1,4-ビス(2-ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(2-ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フラン、2,5-ビス(ヒドロキシエチル)フラン、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン又はそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0033】
本発明のポリカーボネート共重合体に繰り返し単位として含まれるジオール成分中の前記芳香族ジオール含量は、ジオール成分の合計100モル%に対して、32.1~99.4モル%である。ジオール成分中の芳香族ジオールの含量が、ジオール成分の合計100モル%に対して、32.1モル%未満であると、共重合体の引張強度及び伸率が劣り、逆に99.4モル%を超えると、共重合体の引張強度及び生分解性が劣る。
【0034】
一実施形態において、前記ジオール成分中の芳香族ジオール含量は、ジオール成分の合計100モル%に対して、32.1モル%以上、32.5モル%以上、33モル%以上、33.5モル%以上、34モル%以上、34.5モル%以上又は35モル%以上であってもよく、また、99.4モル%以下、99.3モル%以下、99.2モル%以下、99.1モル%以下又は99モル%以下であってもよい。
【0035】
(d)任意の追加のジオール成分
一実施形態において、前記ジオール成分は、(d)脂肪族ジオール、アンヒドロ糖アルコールとアンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール以外の脂環式ジオール又はそれらの混合物から選択される追加のジオールをさらに含むことができる。
一実施形態において、前記脂肪族ジオールは、エチレングリコール、プロパンジオール(例えば、1,2-プロパンジオール及び1,3-プロパンジオールなど)、ブタンジオール(例えば、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール及び1,4-ブタンジオールなど)、ペンタンジオール(例えば、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールなど)、ヘキサンジオール(例えば、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール及び1,5-ヘキサンジオール及び1,6-ヘキサンジオールなど)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチルグリコール又はそれらの混合物から選択され得るが、これらに限定されない。
【0036】
一実施形態において、前記アンヒドロ糖アルコールとアンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール以外の脂環式ジオールは、シクロヘキサンジメタノール(例えば、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなど)、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジオール、デカリンジメタノール(例えば、2,6-デカリンジメタノール、1,5-デカリンジメタノール及び2,3-デカリンジメタノールなど)、ノルボルナンジメタノール(例えば、2,3-ノルボルナンジメタノール及び2,5-ノルボルナンジメタノールなど)、アダマンタンジオール(例えば、1,2-アダマンタンジオール、1,3-アダマンタンジオール及び1,4-アダマンタンジオールなど)又はそれらの混合物から選択され得るが、これらに限定されない。
【0037】
本発明に用いられる前記(d)追加のジオール化合物は、前記例示に限定されなく、前記追加のジオール化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
一実施形態において、前記ジオール成分中の前記(d)追加のジオール含量は、ジオール成分の合計100モル%に対して、1モル%以上、2モル%以上、3モル%以上、4モル%以上、5モル%以上、6モル%以上、7モル%以上、8モル%以上、9モル%以上又は10モル%以上であってもよく、また、30モル%以下、29モル%以下、28モル%以下、27モル%以下、26モル%以下、25モル%以下、24モル%以下、23モル%以下、22モル%以下、21モル%以下又は20モル%以下であってもよいが、これらに限定されない。
【0039】
[炭酸ジエステル成分]
本発明において、前記炭酸ジエステル成分の種類は、本発明の効果を失わない限り特に限定されず、例えば、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネート又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0040】
一実施形態において、前記ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチルn-ブチルカーボネート及びエチルイソブチルカーボネートなどが挙げられ、前記ジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート及びジ(m-クレシル)カーボネートなどが挙げられ、前記アルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、1,3-ペンチレンカーボネート、1,4-ペンチレンカーボネート、1,5-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、2,4-ペンチレンカーボネート及びネオペンチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0041】
一実施形態において、前記炭酸ジエステル成分は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート又はそれらの組み合わせから選択することができ、より好ましくはジフェニルカーボネートであってもよい。
【0042】
一実施形態において、前記炭酸ジエステル成分は、下記式(C)
【化5】
(式中、A及びA'は、それぞれ独立して、非置換又はハロゲン置換の、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素 数7~25のアラルキル基から選択され、A及びA'は、互いに同じであっても異なっていてもよい。)で示される化合物から選択されてもよい。
【0043】
一実施形態において、前記式(C)で示される炭酸ジエステル成分としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-t-ブチルカーボネート又はそれらの混合物から選択して使用することができ、好ましくはジフェニルカーボネート又はジメチルカーボネートを使用することができる。
【0044】
本発明のポリカーボネート共重合体を製造する際に、炭酸ジエステル成分は、全ジオール成分1モル当量に対して、0.90~1.10のモル当量、好ましくは、0.96~1.04のモル当量で使用ことができる。全ジオール成分1モル当量に対する炭酸ジエステル成分のモル当量が0.90未満であると、製造されるポリカーボネート共重合体末端のOH基が増加して、ポリカーボネート共重合体の熱安定性が悪化したり、所望の高分子量が得られなかったりする。逆に、炭酸ジエステル成分のモル当量が1.10を超えると、同一条件下でのエステル交換反応速度が低下したり、所望の高分子量を得られなかったりするほか、製造されたポリカーボネート共重合体中の残留炭酸ジエステル量が増加し、このような残留炭酸ジエステルは、ポリカーボネート共重合体を用いた成形工程中に悪臭が発生したり、成形品の悪臭を生じさせたりすることがあり、好ましくない。
【0045】
一実施形態において、本発明のポリカーボネート共重合体は、下記式(1)
【化6】
で示される構造を有する繰り返し単位;
下記式(2)
【化7】
(式中、R
1は、それぞれ独立して、水素又はアルキル基、より具体的には水素又は炭素数1~18のアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、ただし、m+nは、1~25の整数、より具体的には2~20の整数、さらに具体的には3~15の整数を表す。)で示される構造を有する繰り返し単位;及び
下記式(3)
【化8】
(式中、Rは、炭素数6~40のアリレン基;又はN、O及びSからなる群から選択されるヘテロ原子を一つ以上含む炭素数5~40のヘテロアリレン基である。)で示される構造を有する繰り返し単位;
を含むことができる。
また、一実施形態において、本発明のポリカーボネート共重合体は、下記式(4)
【化9】
(式中、R'は、炭素数2~12のアルキレン基、炭素数3~30のシクロアルキレン基、又はそれらの組み合わせである。)で示される構造を有する繰り返し単位をさらに含むことができる。
【0046】
本発明はまた、ジオール成分と炭酸ジエステル成分とを含む混合物を重合触媒の存在下で反応させる工程を含み、前記ジオール成分が、ジオール成分の合計100モル%に対して、(a)アンヒドロ糖アルコール0.3~66.9モル%、(b)アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール0.3~56.9モル%及び(c)芳香族ジオール32.1~99.4モル%を含む、ポリカーボネート共重合体の製造方法を提供する。
【0047】
一実施形態において、前記ポリカーボネート共重合体の製造方法で使用される前記ジオール成分は、(d)脂肪族ジオール、アンヒドロ糖アルコールとアンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール以外の脂環式ジオール又はそれらの混合物から選択される追加のジオールをさらに含むことができる。
【0048】
本発明のポリカーボネート共重合体の製造方法において使用可能なアンヒドロ糖アルコール、アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール、芳香族ジオール、追加のジオール及び炭酸ジエステル成分の種類及びその使用量は、前述した通りである。
【0049】
本発明のポリカーボネート共重合体製造方法において、前記重合触媒としては、エステル交換触媒を用いることができ、例えば、アルカリ金属塩化合物、アルカリ土類金属塩化合物又はそれらの混合物が使用することができる。
【0050】
一実施形態において、アルカリ金属塩化合物、アルカリ土類金属塩化合物又はそれらの混合物から選択される重合触媒とともに、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物又はそれらの混合物から選択される塩基性化合物を補助的に使用することもできるが、塩基性化合物を補助的に使用せずに、重合触媒のみを使用することが好ましい。
【0051】
一実施形態において、重合触媒として使用されるアルカリ金属塩化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、タンサンスソリテュム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ほう素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、リン酸水素二セシウム、亜リン酸水素二ナトリウム、亜リン酸水素二カリウム、亜リン酸水素二リチウム、亜リン酸水素二セシウム、フェニルリン酸二ナトリウム、フェニルリン酸二カリウム、フェニルリン酸二リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコールレート、フェノールレート、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二リチウム塩又は二セシウム塩などが挙げられる。
【0052】
一実施形態において、重合触媒として使用されるアルカリ土類金属塩化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸ストロンチウムなどが挙げられる。
【0053】
前記アルカリ金属塩化合物及びアルカリ土類金属塩化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0054】
一実施形態において、前記重合触媒と組み合わせて使用される塩基性ホウ素化合物は、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素及びブチルトリフェニルホウ素などのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、又はストロンチウム塩などが挙げられる。
【0055】
一実施形態において、塩基性リン化合物は、例えば、トリエチルホスフィン、トリ-n-プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、又は第四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
【0056】
一実施形態において、塩基性アンモニウム化合物は、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド又はブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0057】
一実施形態において、アミン系化合物は、例えば、4-アミノピリジン、2-アミノピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、2-ヒドロキシピリジン、2-メトキシピリジン、4-メトキシピリジン、2-ジメチルアミノイミダゾール、2-メトキシイミダゾール、イミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、2-メチルイミダゾール又はアミノキノリンなどが挙げられる。
【0058】
重合触媒と組み合わせて使用される前記塩基性化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0059】
本発明によるポリカーボネート共重合体を用いることにより、環境適合性に優れ、生分解性を示すとともに、従来のアンヒドロ糖アルコール-含有ポリカーボネート共重合体と比較して改善された機械的物性(特に、引張強度及び伸率)を示す成形品を得ることができる。
【0060】
したがって、本発明のさらに別の態様によれば、前記本発明のポリカーボネート共重合体を含む成形品が提供される。
【0061】
前記成形品は、本発明のポリカーボネート共重合体を押出成形、射出成形などの公知の成形方法で加工することにより製造することができる。
【0062】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0063】
実施例
実施例1
窒素ガス管、副産物除去用トラップ及び減圧用真空ポンプが接続され、撹拌トルクを確認できる撹拌機、温度計及びヒータを含む1,000mLの4口反応器に、イソソルビド95.8mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmol、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmol、ジフェニルカーボネート1,916.0mmol及び塩化カルシウム(全ジオール量に対して100ppm)を加え、窒素雰囲気下で100℃まで昇温した後、必要に応じて、撹拌しながら反応原料を溶解した。反応原料を溶解した後、反応器の温度を160℃に上げ、1時間の間反応させた後、常圧から20torrまで減圧して発生される副産物であるフェノールの一部を除去した。
【0064】
次に、反応器温度を240℃まで昇温させ、圧力を3torr以下に減圧し、さらに1時間反応を行った。撹拌機の撹拌トルクが所定の撹拌トルクに到達した後、反応を終了し、反応の結果、数平均分子量24,200g/mol、PDI2.9で、ガラス転移温度123℃の透明なポリカーボネート共重合体約410gが得れれた。
【0065】
前記で得られたポリカーボネート樹脂を用いて、ASTM D638に従って5個の同一の引張試片を作製し、前記5個の引張試片の引張強度及び伸率を、万能試験機(UTM)を使用して測定した。5個の引張強度測定値の平均引張強度は78.7MPa、5個の伸率測定値の平均伸率は84.1%、3個の生分解性測定値の平均重量減少率は3カ月後と6カ月後にそれぞれ4.8%と6.8%であることが確認された。結果を下記表1に示した。
【0066】
実施例2
イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物95.8mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、数平均分子量が25,500g/mol、PDIが3.1、ガラス転移温度が110℃であるポリカーボネート共重合体489gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が85.7MPa、平均伸率が92.2%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率はそれぞれ8.3%及び15.2%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0067】
実施例3
イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物95.8mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が22,100g/mol、PDIが3.2、ガラス転移温度が115℃であるポリカーボネート共重合体500gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が91.1MPa、平均伸率が88.5%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率はそれぞれ7.2%及び13.9%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0068】
実施例4
イソソルビドの含量を95.8mmolから89.0mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,779.1mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから1,601.2mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド25モルを付加物89.0mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が23,800g/mol、PDIが4.5、ガラス転移温度が92℃であるポリカーボネート共重合体595gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が73.6MPa、平均伸率が110.9%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率はそれぞれ13.8%及び28.0%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0069】
実施例5
イソソルビドの含量を95.8mmolから219.0mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,189.7mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,532.8mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物437.9mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が23,800g/mol、PDIが3.2、ガラス転移温度が104℃であるポリカーボネート共重合体531gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が85.3MPa、平均伸率が77.9%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ16.1%及び30.5%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0070】
実施例6
イソソルビドの含量を95.8mmolから157.4mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,573.8mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,101.7mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド25モルを付加物314.8mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が27,300g/mol、PDIが4.2、ガラス転移温度が83℃であるポリカーボネート共重合体677gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が73.5MPa、平均伸率が96.0%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ19.3%及び33.4%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0071】
実施例7
イソソルビドの含量を95.8mmolから479.0mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,395.0mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,676.5mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド1モル付加物239.5mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が21,600g/mol、PDIが3.4、ガラス転移温度が151℃であるポリカーボネート共重合体485gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が75.4MPa、平均伸率が42.4%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ5.6%及び7.3%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0072】
実施例8
イソソルビドの含量を95.8mmolから479.0mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,395.0mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,676.5mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物239.5mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が23,200g/mol、PDIが3.4、ガラス転移温度が118℃であるポリカーボネート共重合体546gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が83.7MPa、平均伸率が56.3%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ8.9%、16.8%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0073】
実施例9
イソソルビドの含量を95.8mmolから786.9mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,967.3mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン688.6mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物491.8mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が24,200g/mol、PDIが3.1、ガラス転移温度が105℃であるポリカーボネート共重合体471gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が96.4MPa、平均伸率が49.9%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ17.6%及び32.2%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0074】
実施例10
イソソルビドの含量を95.8mmolから786.9mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,967.3mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン688.6mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物491.8mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が21,600g/mol、PDIが3.4、ガラス転移温度が108℃であるポリカーボネート共重合体463gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が98.1MPa、平均伸率が45.6%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ13.3%及び24.5%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0075】
実施例11
イソソルビドの含量を95.8mmolから479.0mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン670.6mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物766.4mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が26,100g/mol、PDIが3.5、ガラス転移温度が81℃であるポリカーボネート共重合体466gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が77.0MPa、平均伸率が77.2%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ27.9%及び43.6%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0076】
実施例12
イソソルビドの含量を95.8mmolから479.0mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン670.6mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物766.4mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が25,500g/mol、PDIが3.6、ガラス転移温度が80℃であるポリカーボネート共重合体472gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が74.6MPa、平均伸率が78.1%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ23.7%及び40.3%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0077】
実施例13
イソソルビドの含量を95.8mmolから1,026.4mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,866.2mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから653.2mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物186.6mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が25,300g/mol、PDIが3.2、ガラス転移温度が86℃であるポリカーボネート共重合体503gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が81.0MPa、平均伸率が48.7%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ14.9%及び26.1%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0078】
実施例14
イソソルビドの含量を95.8mmolから1,026.4mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,866.2mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから653.2mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物186.6mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が24,700g/mol、PDIが3.4、ガラス転移温度が83℃であるポリカーボネート共重合体474gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が83.4MPa、平均伸率が39.5%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ13.2%及び21.8%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0079】
実施例15
イソソルビドの含量を95.8mmolから1,060.6mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,928.4mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA674.9mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物192.8mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が24,600g/mol、PDIが3.0、ガラス転移温度が101℃であるポリカーボネート共重合体463gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が84.9MPa、平均伸率が35.6%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ12.1%及び24.5%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0080】
実施例16
イソソルビドの含量を95.8mmolから1,060.6mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,928.4mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA674.9mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物192.8mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が22,800g/mol、PDIが3.2、ガラス転移温度が100℃であるポリカーボネート共重合体491gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が85.4MPa、平均伸率が34.1%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ10.2%及び22.2%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0081】
実施例17
イソソルビドの含量を95.8mmolから9.6mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから1,896.8mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物9.6mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が27,900g/mol、PDIが2.7、ガラス転移温度が120℃であるポリカーボネート共重合体669gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が73.2MPa、平均伸率が94.9%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ4.5%及び9.9%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0082】
実施例18
イソソルビドの含量を95.8mmolから11.6mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,326.5mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA2,303.3mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物11.6mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が29,500g/mol、PDIが2.2、ガラス転移温度が146℃であるポリカーボネート共重合体585gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が74.4MPa、平均伸率が88.3%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ2.9%及び6.8%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0083】
実施例19
イソソルビドの含量を95.8mmolから615.9mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,052.8mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから1,026.4mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物410.6mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が25,000g/mol、PDIが2.8、ガラス転移温度が93℃であるポリカーボネート共重合体625gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が86.7MPa、平均伸率が64.7%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ17.1%及び30.8%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0084】
実施例20
イソソルビドの含量を95.8mmolから650.1mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,166.9mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,083.4mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物433.4mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が23,800g/mol、PDIが2.5、ガラス転移温度が111℃であるポリカーボネート共重合体580gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が88.8MPa、平均伸率が66.2%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ14.2%及び28.3%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0085】
実施例21
イソソルビドの含量を95.8mmolから143.7mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,874.0mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに1,4-ビス(2-ヒドロキシメチル)ベンゼン2,586.6mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物143.7mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が28,400g/mol、PDIが2.3で、ガラス転移温度が101℃であるポリカーボネート共重合体500gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が81.6MPa、平均伸率が94.8%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ6.9%及び14.1%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0086】
実施例22
イソソルビドの含量を95.8mmolから260.0mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,600.3mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フラン1,820.2mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物520.1mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が21,500g/mol、PDIが3.0で、ガラス転移温度が109℃であるポリカーボネート共重合体563gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が80.2MPa、平均伸率が62.7%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ9.4%及び18.9%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0087】
実施例23
イソソルビドの含量を95.8mmolから992.2mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,480.5mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン868.2mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物620.1mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が26,600g/mol、PDIが3.3で、ガラス転移温度が99℃であるポリカーボネート共重合体558gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が90.5MPa、平均伸率が57.8%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ16.7%及び35.3%であることが確認された。その結果を下記表1に示した。
【0088】
比較例
比較例1
イソソルビドの含量を95.8mmolから157.4mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,573.8mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから1,416.5mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で数平均分子量が28,800g/mol、PDIが2.7、ガラス転移温度が118℃であるポリカーボネート共重合体458gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が68.1MPa、平均伸率が73.9%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、0%及び0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0089】
比較例2
イソソルビドの含量を95.8mmolから184.8mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,847.5mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,662.8mmolを用い、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で数平均分子量が26,100g/mol、PDIが2.2、ガラス転移温度が141℃であるポリカーボネート共重合体444gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が59.7MPa、平均伸率が70.4%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ0%及び0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0090】
比較例3
イソソルビドの含量を95.8mmolから136.9mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,368.55mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン1,231.7mmolを用い、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で数平均分子量が23,100g/mol、PDIが2.5、ガラス転移温度が168℃であるポリカーボネート共重合体450gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が61.2MPa、平均伸率が10.2%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ0%及び0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0091】
比較例4
イソソルビドの含量を95.8mmolから506.4mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,687.9mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから1,181.5mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で数平均分子量が27,500g/mol、PDIが2.6、ガラス転移温度が120℃であるポリカーボネート共重合体454gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が70.0MPa、平均伸率が22.4%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ0%及び0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0092】
比較例5
イソソルビドの含量を95.8mmolから581.6mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,938.8mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,357.2mmolを用い、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で数平均分子量が27,300g/mol、PDIが2.3、ガラス転移温度が146℃であるポリカーボネート共重合体423gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が62.1MPa、平均伸率が20.1%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ0%及び0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0093】
比較例6
イソソルビドの含量を95.8mmolから444.8mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,482.6mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン1,037.8mmolを用い、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で数平均分子量が23,900g/mol、PDIが2.5、ガラス転移温度が158℃であるポリカーボネート共重合体436gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が63.8MPa、平均伸率が2.5%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ0%及び0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0094】
比較例7
イソソルビドの含量を95.8mmolから8.2mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,642.3mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから1,634.1mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で数平均分子量が29,400g/mol、PDIが2.6、ガラス転移温度が117℃であるポリカーボネート共重合体441gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が60.4MPa、平均伸率が74.1%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ0%及び0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0095】
比較例8
イソソルビドの含量を95.8mmolから8.9mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,779.1mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,770.2mmolを用い、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で数平均分子量が27,700g/mol、PDIが2.3、ガラス転移温度が142℃であるポリカーボネート共重合体450gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が56.5MPa、平均伸率が71.5%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ0%及び0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0096】
比較例9
イソソルビドの含量を95.8mmolから3.8mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,505.4mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから1,497.9mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物3.8mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が26,200g/mol、PDIが2.7、ガラス転移温度が115℃であるポリカーボネート共重合体459gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が61.7MPa、平均伸率が74.7%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ1.9%及び4.1%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0097】
比較例10
イソソルビドの含量を95.8mmolから4.5mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,779.1mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA1,770.2mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物4.5mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が28,100g/mol、PDIが2.3、ガラス転移温度が140℃であるポリカーボネート共重合体460gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が59.4MPa、平均伸率が72.6%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ1.3%及び3.5%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0098】
比較例11
イソソルビドの含量を95.8mmolから1,642.3mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,451.1mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから784.4mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物24.5mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が26,400g/mol、PDIが2.5、ガラス転移温度が113℃であるポリカーボネート共重合体545gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が67.6MPa、平均伸率が10.4%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ2.5%及び5.7%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0099】
比較例12
イソソルビドの含量を95.8mmolから1,779.1mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,655.4mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA849.7mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物26.6mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が28,700g/mol、PDIが2.3、ガラス転移温度が132℃であるポリカーボネート共重合体568gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が64.9MPa、平均伸率が9.1%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ2.2%及び4.0%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0100】
比較例13
イソソルビドの含量を95.8mmolから150.5mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,881.7mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含量を1,724.4mmolから658.6mmolに変更し、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物1,072.6mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が27,100g/mol、PDIが3.8、ガラス転移温度が48℃であるポリカーボネート共重合体673gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が46.8MPa、平均伸率が110.1%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ32.9%及び56.7%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0101】
比較例14
イソソルビドの含量を95.8mmolから150.5mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから1,881.8mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりにビスフェノールA658.6mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物1,072.6mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が23,400g/mol、PDIが3.8、ガラス転移温度が55℃であるポリカーボネート共重合体517gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が51.7MPa、平均伸率が103.8%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ30.2%及び46.3%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0102】
比較例15
イソソルビドの含量を95.8mmolから2,463.4mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,737.1mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに1,4-シクロヘキサンジメタノール136.9mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物136.9mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が29,700g/mol、PDIが3.1、ガラス転移温度が125℃であるポリカーボネート共重合体499gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が88.1MPa、平均伸率が12.8%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ3.0%及び4.9%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0103】
比較例16
イソソルビドの含量を95.8mmolから2,463.4mmolに変更し、ジフェニルカーボネートの含量を1,916.0mmolから2,737.1mmolに変更し、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1,724.4mmolの代わりに1,4-ブタンジオール136.9mmol、イソソルビドのエチレンオキシド1モル付加物95.8mmolの代わりにイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物136.9mmolを用いた以外は、実施例1と同様の方法で数平均分子量が24,300g/mol、PDIが2.3、ガラス転移温度が115℃であるポリカーボネート共重合体497gを得た。実施例1と同様の方法により、前記得られたポリカーボネート共重合体の引張強度、伸率及び生分解性を測定したところ、平均引張強度が72.6MPa、平均伸率が16.5%、3カ月後及び6カ月後の平均重量減少率は、それぞれ14.4%及び27.2%であることが確認された。その結果を下記表2に示した。
【0104】
[成分説明]
ISB:イソソルビド
EI 1:イソソルビドのエチレンオキシド 1モル付加物
EI 5:イソソルビドのエチレンオキシド 5モル付加物
EI 25:イソソルビドのエチレンオキシド 25モルを付加物
PI 1:イソソルビドのプロピレンオキシド 1モル付加物
PI 5:イソソルビドのプロピレンオキシド 5モル付加物
PI 25:イソソルビドのプロピレンオキシド 25モルを付加物
BPA(EO)2:ビスフェノールAのエチレンオキシド 2モル付加物
BPA:ビスフェノールA
BHEPF:9,9-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン
1,4-BHMB:1,4-ビス(2-ヒドロキシメチル)ベンゼン
2,5-BHMF:2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フラン
2,6-BHMP:2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
CHDM:1,4-シクロヘキサンジメタノール
1,4-BD:1,4-ブタンジオール
DPC:ジフェニルカーボネート
CaCl2:塩化カルシウム
【0105】
[物性測定方法]
-数平均分子量(Mn、g/mol)及び多分散指数(PDI):前記実施例及び比較例で製造された各ポリカーボネート共重合体をクロロホルムに1~3重量%で溶解し、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置(アジレント社製)を使用して数平均分子量(Mn)及び多分散指数(PDI)を測定した。このとき、使用したカラムはPLgel 5μM IXED-D 300×7.5mm(アジレント社製)であり、カラム温度は35℃、溶出溶媒はクロロホルム、流速0.5mL/分、標準物質はポリスチレン(シグマアルドリッチ社製)を使用した。
【0106】
-ガラス転移温度(Tg):示差走査熱量計(DSC Q100、TA Instrument社製)を使用して、10℃/分の加熱速度で20℃から300℃まで温度を上昇させ、その後20℃まで急冷し、再び300℃まで上昇させるという具体的な条件でガラス転移温度を測定した。
【0107】
-引張強度及び伸率:ASTM D638に準じて、UTM(Instron社製、Instron5967)を使用して5mm/分の速度で引張強度及び伸率を測定した。具体的には、実施例及び比較例で作製された各試片について、計5回の引張強度及び伸率を測定し、各試片の5回測定結果値の平均値を算出した。
-生分解性評価:前記実施例及び比較例で得られたポリカーボネート共重合体をホットプレス(ミニテストプレス-10、Toyoseiki社製)を使用して厚さ約100μmのフィルムに加工し、横8cm×縦4cmの大きさに切断して生分解性測定用試片を作製した。
【0108】
堆肥条件下での生分解を測定するために、前記生分解性測定用試片を50℃の温度及び60%の湿度に保たれる恒温組内の堆肥に埋設し、6カ月間2週間隔で生分解性を測定した。このときの堆肥及び埋設条件は、下記の条件に準じ、生分解性(%)は下記式のように各試片の重量減少率(%)として測定し、各試片の3個の測定値の平均値を求めた。
【0109】
【0110】
[堆肥及び埋設条件]
有機性廃棄物処理用の好熱性細菌であるバチルス・スミチイ株のスターター培養組成物(フードクリーナー、Hanmi Flexible社製)をから微生物発酵分解装置(リンクル、Hanmi Flexible社製)を使用して堆肥を製造した。このとき、微生物の活動を持続的に維持するために、生分解性の測定に使用した堆肥は、1週間ごとに新しく製造した堆肥に入れ替えた。
【0111】
また、本生分解性評価の信頼性を確認のために、セルロース(α-セルロース、≧98%)を基準物質として、前記生分解性評価方法と同様に生分解性を測定した。その結果、4週間後には重量減少が始まり、10週間後には回収不可能なレベルまで生分解が進行することが確認された。
【0112】
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【0113】
前記表1に示すように、本発明による実施例1~23のポリカーボネート共重合体は、ジオール成分として、アンヒドロ糖アルコール、アンヒドロ糖アルコール-アルキレングリコール及び芳香族ジオールを特定の含量範囲で含んでおり、平均引張強度が73.2MPa以上、平均伸び率が34.1%以上と高く、ガラス転移温度が80℃以上であり、6カ月後の生分解性が6.8%以上と高いなど、引張強度、伸び、耐熱性及び生分解性の側面でバランスのとれた良好な物性を示した。
【0114】
しかし、前記表2に示すように、比較例1~8のポリカーボネート共重合体、平均引張強度が70.0MPa以下と悪く、6カ月経過後の生分解性が0%、すなわち生分解がしていなことを示し、特に、比較例3~6のポリカーボネート共重合体も、平均伸率が22.4%以下と悪かった。比較例9及び10のポリカーボネート共重合体は、実施例のポリカーボネート共重合体と比較して、平均引張強度が61.7MPa以下と非常に悪く、6カ月後の生分解性も4.1%以下と悪かった。比較例11及び12のポリカーボネート共重合体は、平均引張強度が67.6MPa以下と悪く、平均伸率も10.4%以下と悪かった。比較例13及び14のポリカーボネート共重合体は、平均引張強度及びガラス転移温度が非常に悪く、比較例15及び16のポリカーボネート共重合体は、平均伸率が非常に悪かった。
【国際調査報告】