(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20241226BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20241226BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C08L101/00
H01L21/30 502D
C08K3/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535633
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 US2022081799
(87)【国際公開番号】W WO2023114997
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505231659
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ マサチューセッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス、ジェームス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アインク、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】チョン、デオン
【テーマコード(参考)】
4J002
5F146
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002CP031
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE136
4J002GP00
4J002GP01
4J002HA06
5F146AA31
5F146AA33
(57)【要約】
構造化ナノ粒子複合体、ならびにそれを形成するための方法および配合剤に関する。構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤は、50nm未満の平均径を有するナノ粒子を含む。配合剤は、40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒を含む。また、配合剤は、ナノ粒子のための結合剤を含む。結合剤は溶媒であるか、またはその溶媒とは異なる化学構造を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤であって、
50nm未満の平均径を有するナノ粒子と、
40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒と、
前記ナノ粒子のための結合剤であって、40℃~300℃の沸点を有する前記少なくとも1つの溶媒とは異なる化学構造を有する前記結合剤と、
を備える配合剤。
【請求項2】
前記ナノ粒子が金属酸化物を含む、請求項1に記載の配合剤。
【請求項3】
前記配合剤が、前記ナノ粒子に結合したリガンドを含む、請求項1に記載の配合剤。
【請求項4】
前記配合剤が、前記ナノ粒子に結合した官能基を含む、請求項1に記載の配合剤。
【請求項5】
前記配合剤が界面活性剤を含む、請求項1に記載の配合剤。
【請求項6】
前記ナノ粒子が、TiO
2、ZrO
2、HfO
2、ZnO、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の配合剤。
【請求項7】
前記少なくとも1つの溶媒および/または前記結合剤が40℃~300℃の沸点を有する、請求項1に記載の配合剤。
【請求項8】
前記少なくとも1つの溶媒および/または前記結合剤が、エーテル官能基、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の配合剤。
【請求項9】
前記少なくとも1つの溶媒が、100℃~200℃の沸点を有する溶媒と、170℃~300℃の沸点を有する溶媒とを含む、請求項1に記載の配合剤。
【請求項10】
100℃~200℃の沸点を有する前記溶媒および/または170℃~300℃の沸点を有する前記溶媒が、光酸化によって分解可能である、請求項9に記載の配合剤。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、100℃~200℃の沸点を有する前記少なくとも1つの溶媒および/または170℃~300℃の沸点を有する前記溶媒のUV光への曝露時における光酸化のための触媒である、請求項1に記載の配合剤。
【請求項12】
前記結合剤が、前記ナノ粒子の材料の前駆体、金属酸化物前駆体、絶縁材料、透明光学接着剤、モノマー、アルコキシド、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機ポリマー、Si含有ポリマー、かご型ポリマー、分岐ポリマー、シランカップリング剤、シルセスキオキサン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の配合剤。
【請求項13】
構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤であって、
50nm未満の平均径を有する光触媒ナノ粒子と、
40℃~200℃の沸点を有する溶媒と、
前記光触媒ナノ粒子のための結合剤と、を備え、
前記結合剤は、40℃~200℃の沸点を有する前記溶媒とは異なる化学構造を有し、前記結合剤は、前記ナノ粒子の材料の前駆体、金属酸化物前駆体、絶縁材料、透明光学接着剤、モノマー、アルコキシド、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機ポリマー、Si含有ポリマー、かご型ポリマー、分岐ポリマー、シランカップリング剤、シルセスキオキサン、またはそれらの組み合わせを含む、配合剤。
【請求項14】
構造化ナノ粒子複合体を形成する方法であって、
請求項1に記載の前記配合剤を基板上に配置することと、
前記基板上に配置された前記配合剤をパターニングして、2ミクロン未満である少なくとも1つの寸法を含む構造を生成することと、
前記パターニングされた配合剤を光触媒酸化して、有機材料を実質的に含まないパターン化構造体を生成することと、
を備える方法。
【請求項15】
前記光触媒酸化がUV光を使用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記光触媒酸化が、5mW/cm
2の最小強度を有するUV光を使用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の配合剤から調製された構造化ナノ粒子複合体。
【請求項18】
前記構造化ナノ粒子複合体が1つまたは複数の波長において光学的に透明である、請求項17に記載の構造化ナノ粒子複合体。
【請求項19】
前記構造化ナノ粒子複合体が、メタレンズ、ホログラフィック素子、3Dセンサの構成要素、光学格子、またはそれらの組み合わせである、請求項17に記載の構造化ナノ粒子複合体。
【請求項20】
構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤であって、
50nm未満の平均径を有するナノ粒子と、
前記ナノ粒子のための結合剤であって、前記ナノ粒子のための溶媒および/または分散剤として作用し、40℃~300℃の沸点を有する前記結合剤と、
を備える配合剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤に関する。本出願は、2021年12月17日に出願された米国仮特許出願第63/265,603号に対する優先権の利益を主張するものであり、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は、直接的な接触を使用してポリマーおよび金属酸化物をパターニングするために一般的に使用されている技術である。NILは、典型的には、熱エンボス加工により、またはインプリントレジストの重合を誘発するためにUV硬化を用いて実施される。後者は、典型的にはUVアシストNILまたは単にUV NILと呼ばれる。UVアシストNILにおいて、UV光の役割は、多くの場合、重合のための光開始剤の使用を通じて重合を開始することにある。UVにより開始される重合は、適度な線量のUV光しか必要としないので、UV-NILツールは、典型的には、重水素、水銀、ハロゲン、蛍光、白熱もしくはキセノンランプなどの広帯域光源、またはLEDアレイを含むラインバンド光源のいずれかのような低強度UV源が備えられる。
【0003】
UV源を用いてまたはそれを用いずに実施することができるソフトコンフォーマルNILの場合、ポリマー、複合ナノ粒子(NP)インプリント材料、複合ナノ結晶(NC)インプリント材料、またはナノ粒子系分散インクをテンプレート化するために、エラストマーナノパターン化スタンプが使用される。しかしながら、ナノ粒子系分散インク中のナノ粒子の移動度には限界があるため、エラストマースタンプナノ構造のインプリントおよび毛細管作用による充填を可能にするのに十分な程度までインクの堆積後もインク中の1つまたは複数の溶媒がインク中に残存しなければならないだけでなく、インプリント後には容易に除去可能でなければならない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の種々の実施形態は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤(formulation)を提供する。前記配合剤は、50nm未満の平均径を有するナノ粒子(例えば、限定されないが、TiO2および/またはZrO2)を含む。また、前記配合剤は、前記ナノ粒子のための結合剤を含む。前記結合剤は、ナノ粒子のための溶媒および/または分散剤として作用し、40℃~300℃の沸点を有する。前記配合剤は、40℃~300℃の沸点を有するとともに前記結合剤とは異なる化学構造を有する少なくとも1つの溶媒を任意選択的に含む。
【0005】
本発明の種々の実施形態は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤を提供する。前記配合剤は、50nm未満の平均径を有するナノ粒子を含む。前記配合剤は、40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒を含む。また、前記配合剤は、前記ナノ粒子のための結合剤であって、40℃~300℃の沸点を有する前記少なくとも1つの溶媒とは異なる化合物である結合剤を含む。
【0006】
本発明の種々の実施形態は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤を提供する。前記配合剤は、50nm未満の平均径を有する光触媒ナノ粒子を含む。前記配合剤は、40℃~200℃の沸点を有する溶媒を含む。また、前記配合剤は、前記ナノ粒子のための結合剤であって、40℃~200℃の沸点を有する前記溶媒とは異なる化合物である結合剤を含む。前記結合剤は、前記ナノ粒子の材料の前駆体、金属酸化物前駆体、絶縁材料、透明光学接着剤、モノマー、アルコキシド、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機ポリマー、Si含有ポリマー、かご型ポリマー(caged polymer)、分岐ポリマー、シランカップリング剤、シルセスキオキサン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0007】
本発明の種々の実施形態は、構造化ナノ粒子複合体を形成する方法を提供する。前記方法は、前記構造化ナノ粒子複合体を形成するための本明細書に記載された配合剤の一実施形態を配置することを含む。前記方法は、基板上に配置された前記配合剤をパターニングして、2ミクロン未満である少なくとも1つの寸法を含む構造を生成することを含む。また、前記方法は、前記パターニングされた配合剤を光触媒酸化して、有機材料を実質的に含まないパターン化構造体を生成することを含む。
【0008】
本発明の種々の実施形態は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤の実施形態から調製された、および/または本明細書に記載された構造化ナノ粒子複合体を形成する方法の実施形態を使用して調製された構造化ナノ粒子複合体を提供する。
【0009】
種々の実施形態において、本発明の配合剤および方法は、膜の使用可能時間を増加させる。膜の使用可能時間を増加させることにより、NILプロセスにおいてより高品質の材料を使用することが可能となり、製造するのにより効率的なより高品質の膜を提供することが可能となる。種々の実施形態において、本発明の配合剤および方法は、回折パターンを有する高屈折率ナノパターン化材料の構造化ナノ粒子複合体であって、眼鏡、ゴーグル、およびヘッドアップディスプレイ(HUD)などの拡張現実、仮想現実、および複合現実のための光学デバイスにおける用途を有する構造化ナノ粒子複合体を製造するのに使用することができる。種々の実施形態において、構造化ナノ粒子複合体は、バイナリ格子、傾斜格子、またはブレーズド格子とすることができる。ナノ構造の光学素子を組織化して、メタレンズなどの集束デバイスを作製することができる。いくつかの実施形態において、光学要素は径方向に配置される。構造化ナノ粒子複合体の種々の実施形態の高い熱的および機械的安定性により、レンズの用途は、カメラレンズの形態における消費者市場から航空宇宙および防衛市場まで及び得る。構造化ナノ粒子複合体を形成する方法は、3Dセンサ、構造化光センサ、およびLIDARに適用可能であり得る。本発明の溶媒工学技術を利用することで、エッチングベースの製品と比較して短時間かつ低コストで構造化ナノ粒子複合体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、種々の実施形態による、2つの低沸点溶媒(PGMEAおよびEL)と1つの高沸点溶媒(BEEA)とを含む多成分溶媒系に適した溶媒を示す。
【
図2A-2B】
図2Aおよび
図2Bは、D1.1(
図2A)配合剤およびV3.3(
図2B)配合剤による150mmのSiウェハ上のスピンコート膜の写真を示しており、種々の実施形態による、重溶媒であるBEEAを有する多成分溶媒系を用いた大規模なプロセスのスケーラビリティを示す。
【
図3A-3B】
図3Aおよび
図3Bは、種々の実施形態による、理想的コーシーモデル(
図3A)およびその段階的モデル(
図3B)に適合化されたD1.1配合剤から調製された膜の屈折率(RI)曲線を示す。
【
図4】
図4は、種々の実施形態による、150mm溶融シリカ基板上に製造されたD1.1配合剤からの膜のUV-vis透過率を裸基板によって比率化して示す。
【
図5A-5C】
図5A~
図5Cは、種々の実施形態による、D1.1配合剤から調製された膜の2D(
図5A)AFM画像および3D(
図5B)AFM画像と、2D画像において切断したラインから抽出された高さプロファイル(
図5C)を示す。
【
図6A-6B】
図6Aは、UV照射前(
図6A)およびUV照射後(
図6B)のナノ粒子溶液のNMRスペクトルを示しており、ピークの幅の広がりおよび十分に分解された新たなピークの出現は、種々の実施形態による溶媒の新たな種への分解を示す。
【
図7A-7D】
図7A~
図7Dは、パルスUVの15,000回の繰り返しの前後の差を示すTiO
2系インクの写真を示すものであって、D1.1配合剤(
図7A)は、UV露光前における3つの異なる溶媒PGMEA,EL,BEEAを含有するものであり、種々の実施形態によるUV露光後の写真を
図7B(PGMEA)、
図7C(PGMEAおよびEL)、および
図7D(PGMEAおよびBEEA)に示す。
【
図8A-8C】
図8A~
図8Cは、種々の実施形態による、パルスUVを15,000回繰り返した後の、結合剤も界面活性剤も添加されていない異なる溶媒の組み合わせを有する3つの異なるTiO
2系インクのNMRスペクトルを示しており、
図8Aの溶媒はPGMEAであり、
図8Bの溶媒はPGMEAおよびELであり、
図8Cの溶媒はPGMEAおよびBEEAである。
【
図9】
図9は、種々の実施形態による、UV処理の増加に伴うチタニア複合膜のIRスペクトルと、硬化、酸化可能な有機物の放出、および構造の緻密化を補助するために有機材料が膜中で分解されることによる有機カルボニルおよび脂肪族ピークの減少を示す。
【
図10A-10F】
図10A~
図10Fは、種々の実施形態による、UVパルスの数を0(UV前の堆積されたまま)から20,000に増加させる過程における、ν(-CH
2-)/ν(C=O)、ν(-CH
2-)/ν(-Si-O-)、およびν(C=O)/ν(-Si-O-)の領域内の2Dヘテロ領域同期(a,b,c)および非同期(d,e,f)相関スペクトルを示す。
【
図11A】
図11Aは、構造化ナノ粒子複合体を形成する方法を示すものであり、左の画像は、硬質および軟質PDMSを含むエラストマースタンプを示し、中央の画像は、ウェハ上のD1.1配合剤のスピンコーティング膜上へのスタンプのインプリントを示し、右の画像は、スタンプが除去されたウェハ上のインプリントされた膜を示す。
【
図11B】
図11Bは、種々の実施形態による、高沸点溶媒および低沸点溶媒を伴う3成分溶媒系(D1.1)を使用してインプリントされた可視波長(543nm)メタレンズの光学画像(左端の3つの画像)および対応する走査電子顕微鏡法(SEM)画像(各光学画像の右側の4つの画像)を示しており、延長された処理時間を使用して大型ウェハ上の高忠実度パターン複製を証明するものであり、インプリントされたメタレンズパターンは、元のマスターモールドから直接複製されたものではなく、インプリントマスタリング技術を使用して複製されたものである。
【
図12A-12F】
図12A~
図12Fは、種々の実施形態による、高沸点溶媒および低沸点溶媒を伴う3成分溶媒系(D1.1)を使用してインプリントされた別の可視波長(543nm)メタレンズのSEM画像を示しており、
図12Aおよび
図12Bは、10nmのTiO
2粒子サイズを示し、
図12C~
図12Fは、20nmのTiO
2粒子サイズを示す。
【
図13A-13F】
図13A~
図13Fは、種々の実施形態による、高沸点溶媒および低沸点溶媒を伴う3成分溶媒系(D1.1)を使用してインプリントされた、可視波長ピッチ光学格子を含む可視波長導波管の走査電子顕微鏡画像を示す。
【
図14】
図14は、種々の実施形態による、高沸点溶媒および低沸点溶媒を伴う3成分溶媒系(D1.1)を使用してインプリントされた、赤外線波長ピッチ光学格子を含む赤外線波長導波管の断面走査電子顕微鏡画像を示す。
【
図15A-15D】
図15A~
図15Dは、種々の実施形態による、高沸点溶媒および低沸点溶媒を伴う3成分溶媒系(D1.1)を使用してインプリントされた、赤外線波長ピッチ光学格子を含む赤外線波長導波管の走査電子顕微鏡画像を示すものであり、大面積パターニングに成功していることを示している。
【
図16A-16F】
図16A~
図16Fは、種々の実施形態による、高沸点溶媒および低沸点溶媒を伴う3成分溶媒系(D1.1)を使用してインプリントされた、赤外線波長ピッチ光学格子を含む赤外線波長導波管の走査電子顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の主題の特定の実施形態について詳細に参照する。本開示の主題を、列挙される特許請求の範囲と併せて説明するが、例示される主題は、特許請求の範囲を本開示の主題に限定することを意図していない。図面は概して、本発明の種々の実施形態を限定としてではなく例として図示するものである。
【0012】
本明細書を通して、範囲形式で表された値は、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけでなく、各数値および部分範囲が明示的に列挙されているものとして、その範囲内に包含されるすべての個々の数値または部分範囲も含むと柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」または「約0.1%~5%」の範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、および4%)および部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。「約X~Y」という記述は、別段の指示がない限り、「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、「約X、Y、または約Z」という記述は、別段の指示がない限り、「約X、約Y、または約Z」と同じ意味を有する。
【0013】
本明細書において、「1つ」という用語は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、1つまたは2以上を含むように使用される。「または」という用語は、別段の指示がない限り、非排他的な「または」を指すために使用される。「AおよびBのうちの少なくとも1つ」または「AまたはBのうちの少なくとも1つ」という記述は、「A、B、または、AおよびB」と同じ意味を有する。また、本明細書で使用され、他に定義されていない表現または用語は、説明のみを目的とし、限定を目的としないことが理解され得る。セクション見出しの使用は、本明細書の読解を助けることを意図しており、限定するものとして解釈されるべきではなく、セクション見出しに関連する情報は、その特定のセクションの内部または外部に存在し得る。
【0014】
本明細書で説明される方法では、時間的または動作的順序が明示的に記載されている場合を除き、本発明の原理から逸脱することなく、動作を任意の順序で実行することができる。さらに、指定された動作は、それらが別々に実行されることを明示的な請求項の文言が記載していない限り、同時に実行することができる。例えば、Xを行うという請求項の動作およびYを行うという請求項の動作は、単一の動作内で同時に行うことができ、それによる処理は、請求項の処理の文言範囲内に入る。
【0015】
本明細書で使用される「約」という用語は、値または範囲のある程度の変動性、例えば、記述された値または記述された範囲の限界の10%以内、5%以内、または1%以内を許容することができ、正確な記述された値または範囲を含む。
【0016】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%以上、または100%のような、大部分またはほとんどを指す。本明細書で使用される「実質的に含まない」という用語は、存在する材料の量がその材料を含む組成物の材料特性に影響を及ぼさないように、その材料を全く有さないか、またはわずかな量を有することを意味することができ、組成物の約0重量%~約5重量%、約0重量%~約1重量%、約5重量%以下、約5重量%以下および約4.5重量%以上、または4重量%、3.5重量%、3重量%、2.5重量%、2、1重量%.5、1重量%、0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.01重量%、もしくは約0.001重量%以下、あるいは約0重量%の材料である。
【0017】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、少なくとも1つの繰り返し単位を有する分子を指し、コポリマーを含み得る。
複合およびNP分散インプリント材料は、それらの著しく高い屈折率のために光学においてポリマーを超える利点を提供し、より広い視野を可能にする。NP分散インクは、高い熱および酸化安定性を有する構造を可能にし、デバイス寿命を延ばすとともにハイエンド用途を可能にする。乾燥ナノ粒子インクの移動度は硬質球体充填または他の幾何学的充填配置に起因して制限されるため、基板上へのインク堆積のため、ならびにエラストマースタンプナノ特徴のインプリントおよび毛細管作用充填を可能にするには溶媒が必要とされる。沸点領域は、AutoSCIL150、EVG720、EVG7200、EVG7300、またはCanonFPA-1200などの自動製造ナノインプリントツールに必要なスピンコーティング条件およびプロセス時間要件に適合するように選択される。フルスケールのウェハで成功するためには、高沸点と低沸点の多成分溶媒ブレンドが、インプリントモジュールに転写するための膜の安定性を可能にする。高沸点の二次溶媒は、スピンコート後も膜中に存在し続け、均一な膜が長期間にわたってインプリントに適した粘度領域を維持することを可能にし、ナノ粒子複合体の処理ウィンドウを広げることを可能にする。高沸点を有する二次溶媒が存在することで、低沸点溶媒の単純な混合溶媒と比較して、スピンコーティング中に複合インクがより大きなウェハ上により均一に広がる。高沸点溶媒はインプリント構造から除去するのがより困難であるが、ナノ粒子(例えば、チタニアNP)によって触媒される強いUV硬化/露光による光酸化によって、複合体から残留溶媒が分解および除去され、親溶媒分子よりも迅速にインプリント中の小さい間隙細孔を通って溶媒が移動でき、また、スタンプ中により迅速に拡散することができるより小さな部分に溶媒が分解されることによって、さらなる緻密化が可能になる。
【0018】
表面張力、表面エネルギー、および基板の選択は、溶媒の選択において重要な役割を果たすが、低沸点成分の範囲は、100℃~200℃であってよく、高沸点成分の範囲は、170℃~300℃であってよい。配合剤の安定性、寿命、および安全性を最大限に高めるためには、2つ以上の成分が必要とされ得る。ナノ粒子のための結合剤は、低沸点溶媒および/または分散剤、および/または高沸点溶媒および/または分散剤などの、ナノ粒子のための溶媒および/または分散剤として作用し得る。種々の実施形態では、結合剤は、実質的に不揮発性であってよく、例えば、結合剤の分解温度は、その沸点未満であってよい。種々の実施形態では、結合剤は、構造化ナノ粒子複合体の形成中に不活性であってよい。種々の実施形態では、結合剤は、処理中に化学反応を起こし得る。このような反応の生成物は、形成された構造化ナノ粒子複合体中に残存してよく、あるいは、このような反応の1つまたは複数の生成物を部分的にまたは実質的に完全に除去することで、1つまたは複数の生成物を部分的にまたは実質的に含まない構造化ナノ粒子を得ることができる。
【0019】
ポリマーおよび有機含有複合体の使用は、デバイスの使用中の有機材料の酸化によるデバイス寿命、ならびに得られるデバイスおよび材料の安定性に関する懸念を生じさせる。実施例は、二酸化チタンの光酸化化学を利用し、高強度UV露光を使用して有機物を分解してインプリント材料から除去することができる配合技術を例示することを意図している。このような手法は、UV露光の目的が、化学変換の重合を誘発し、その重合または変換された材料が存在し続ける堅牢なパターン構造を形成することにある従来のUV NILとは異なる点に留意することが重要である。本明細書に記載される実施形態では、はるかに高い強度のUV光を使用して、膜から有機物を分解し、最終的に除去する。いくつかの実施形態では、得られたパターン化構造体は、高強度UV露光後に有機材料を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、低強度UV線量の後に高強度UV線量を続けることができる。いくつかの実施形態では、モールドまたはマスターの存在下で低強度UV線量を使用することができ、モールドまたはマスターの除去後に高強度UV線量を使用することができる。いくつかの実施形態では、膜からの有機材料の分解および除去を助けるために、TiO2などの触媒ナノ粒子が光触媒として使用される。この研究とNILにおける従来技術との1つの違いは、パターン化構造体から材料を除去するために破壊的な方法でUV露光を使用することである。いくつかの実施形態では、触媒ナノ粒子の光触媒活性を増強し、成分の架橋ならびに膜からの有機材料の分解および除去を助けるために、光開始剤が使用され得る。いくつかの実施形態では、得られるパターン化構造体が有機材料を完全に含まないようにするために、焼成、UVオゾン、O2プラズマ、またはそれらの組み合わせを含むインプリント後処理が、UV照射後およびモールドまたはマスターの除去後に使用され得る。
【0020】
有機種は、溶媒、リガンド、および結合剤の成分として生じるが、UV照射により、IRおよびNMRは膜および溶液の両方における有機種の分解を確認するものであたった。有機物の分解により、二酸化チタンナノ結晶複合マトリックスからの有機物の放出が促進され、文献に記載されているような(例えば、チタニアラジカルの生成による)自浄挙動を示す無機マトリックスをもたらす。
【0021】
ナノ粒子複合体を堆積してインプリントする間、ナノ粒子複合体溶液の調合には、ある時間間隔にわたってインプリントするのに適した粘度領域を提供する溶媒混合物を選択することが必要とされる。このような状況には、基板とスピンコート膜とのアセンブリをインプリントまたは硬化のための別個のモジュールに移すための時間間隔を必要とするプロセス、サンプルがウェブまたは製造ラインを伝搬しなければならないプロセス、液体転写リソグラフィまたはスクリーン印刷などの後続のステップにおいて溶液粘度または硬化が使用されるパターニング技術、湿潤持続時間に一致するように乾燥速度を調整する必要がある高または低表面エネルギーを有する基板上のパターニング、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0022】
一例として、本発明者らは、NILおよびパルスUV硬化機構を使用して結晶性ナノ粒子を直接パターニングすることができるプロセスを開発した。このプロセスは、UV光がラジカルチタノール種に変換される化学的メカニズムを使用しており、これは、インプリント材料における共有無機結合を可能にし、さらに、チタニアナノ結晶内でのUVの吸収によって引き起こされる局所的な熱勾配によって、溶媒および分解生成物を分解してマトリックスから追い出す。硬化の固化は、高アスペクト比(>8)のナノピラーを生成する能力、および単一のエラストマーPDMS系スタンプから10個以上のインプリントを生成する能力によって証明できる。
【0023】
硬化の機構は、多くの反応が並行しておよび連続して起こることを可能にするフリーラジカル化学を含む。2つの主なレジームが硬化にとっては重要であり、第1は、有機種のラジカル種への分解と無機ネットワークの形成であり、第2は、無機マトリックスの焼結である。第1の段階では、インプリントが行われ、これにより、全無機構造への変換のためのテンプレートとして機能するナノ粒子間の初期無機ネットワークが作製される。このプロセスの間、溶媒は、UV露光下でのチタニアナノ粒子の加熱された表面に起因して排出され、溶媒、リガンド、および結合剤の有機結合/官能基(例えば、酸化によるエステル基およびエーテル基)と相互作用するチタニアラジカルによって分解される。第2の段階では、スタンプが除去され、いくつかの場合には、スタンプ除去後の第2の段階における拡張UVが選択的に使用され得る。UVによるスタンプの望ましくない過度の劣化を回避するために、インプリントされたナノ構造がスタンプから離型されるのに十分に機械的に堅牢になると、長いUV露光の前にスタンプが除去され、これにより、スタンプの寿命を延ばして、プロセス全体の生産性の向上に役立てることができる。拡張UVは、マトリックス中の残留有機物質を除去し、カルボニルおよび脂肪族基を特性決定スペクトルから変換する。これは、溶媒の分解が無機ナノ結晶複合体の無機マトリックスの製造を補助する使用事例である。
【0024】
基板面積を増加させる方法では、剪断凝集を起こすことなく均一に被覆するのに必要なコーティング時間が長くなり、インプリント用の膜の堆積が妨げられる。単一の低沸点配合剤を利用することで、小さな試料については良好に機能するが、プロセスを大きなウェハにスケーリングするには、コーティングおよびインプリントの全体にわたって膜流動性を維持するために、重溶媒(heavy solvent)の形態で配合剤に追加の成分を加える必要がある。より高いBP溶媒であるBEEAを用いたさらなる配合剤は、直径150mm以上のウェハ上でのインプリント性を損なうことなく、作業時間を10倍増加させた。これは、溶媒の含有量を調整することで、製造用の金型にあわせて配合を調整できる1つの使用事例である。
【0025】
[構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤]
本発明の種々の実施形態は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤を提供する。配合剤は、50nm未満の平均径を有するナノ粒子を含む。平均径は体積平均径とすることができる。ナノ粒子の平均径は、動的光散乱法、電子顕微鏡法、Zygo社、Malvern社、および他の製造業者からの市販の粒径分析ツール、または他の適切な技術を使用して得ることができる。配合剤は、40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒を含み得る。追加的にまたは代替的に、配合剤は、40℃~500℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒を含み得る。また、配合剤は、ナノ粒子のための結合剤を含む。結合剤は、溶媒または分散剤として役立ち得る。結合剤は、上記少なくとも1つの溶媒とは別の成分であってよく、異なる化学構造を有し得る。他の態様において、結合剤は、上記少なくとも1つの溶媒と同じ成分である。
【0026】
ナノ粒子は、任意の適切なナノ粒子であり得る。ナノ粒子は、1nm~50nm未満、または、50nm未満かつ1nm、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または49nm以上の平均径(例えば、体積平均)を有し得る。配合剤は、ナノ粒子に結合したリガンドを含み得る。化合物は、ナノ粒子に結合した官能基を含み得る。ナノ粒子は金属酸化物を含み得る。すなわち、ナノ粒子は金属酸化物ナノ粒子であってよい。ナノ粒子は、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0027】
配合剤は、溶媒とナノ粒子と結合剤との任意の適切な重量比、例えば、(1~90):(10~90):(1~20)、(1~80):(20~85):(1~15)、(50~80):(10~30):(1~10)、例えば、74:21:5を有し得る。配合剤は、ナノ粒子と結合剤との任意の適切な重量比、例えば、(70~95):(5~30)、または(80~90):(10~20)、例えば、85:15を有し得る。
【0028】
40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒、および/または40℃~300℃の沸点を有する結合剤は、エーテル官能基、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせを含み得る。40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒、および/または40℃~300℃の沸点を有する結合剤は、エーテル、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、ヒドリド、フェニル、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0029】
40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒は、1つの溶媒(例えば、1つ以下の溶媒)を含み得る。または、少なくとも1つの溶媒は、1つ以上の溶媒(例えば、2つの溶媒、3つの溶媒、またはそれ以上)を含み得る。40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒は、40℃~200℃、100℃~200℃、170℃~300℃、または、300℃以下かつ40℃、50、60、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、または290℃以上の沸点を有し得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒は、2つの溶媒(例えば、2つの溶媒と任意の1つまたは複数の追加の溶媒、または2つの溶媒と2つ以下の溶媒)を含み得る。少なくとも1つの溶媒は、100℃~200℃(例えば、200℃以下かつ100℃以上、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、または195℃以上)の沸点を有する溶媒、および170℃~300℃(例えば、300℃以下かつ170℃以上、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、または295℃以上)の沸点を有する溶媒を含み得る。
【0031】
100℃~200℃の沸点を有する溶媒、および/または100℃~200℃の沸点を有する結合剤は、エーテル官能基、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせを含み得る。100℃~200℃の沸点を有する溶媒、および/または100℃~200℃の沸点を有する結合剤は、エーテル、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせであり得る。100℃~200℃の沸点を有する溶媒、および/または100℃~200℃の沸点を有する結合剤は、光酸化によって分解可能であり得る。
【0032】
170℃~300℃の沸点を有する溶媒、および/または170℃~300℃の沸点を有する結合剤は、エーテル官能基、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせを含み得る。170℃~300℃の沸点を有する溶媒、および/または170℃~300℃の沸点を有する結合剤は、エーテル、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせであり得る。170℃~300℃の沸点を有する溶媒、および/または170℃~300℃の沸点を有する結合剤は、光酸化によって分解可能であり得る。
【0033】
ナノ粒子は触媒であり得る。ナノ粒子は光触媒であり得る。ナノ粒子は、40℃~300℃の沸点を有する配合剤における少なくとも1つの溶媒の光酸化のための触媒、および/または40℃~300℃の沸点を有する配合剤における結合剤の光酸化のための触媒であり得る。また、ナノ粒子は、40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒のUV光への曝露時における光酸化のための触媒、および/または40℃~300℃の沸点を有する結合剤のUV光への曝露時における光酸化のための触媒であり得る。ナノ粒子は、100℃~200℃の沸点を有する溶媒の光酸化のための触媒、および/または100℃~200℃の沸点を有する結合剤の光酸化のために触媒であり得る。また、ナノ粒子は、170℃~300℃の沸点を有する溶媒の光酸化のための触媒、および/または170℃~300℃の沸点を有する結合剤の光酸化のための触媒であり得る。また、ナノ粒子は、100℃~200℃の沸点を有する溶媒のUV光への曝露時における光酸化のための触媒、および/または100℃~200℃の沸点を有する結合剤のUV光への曝露時における光酸化のための触媒であり得る。ナノ粒子は、170℃~300℃の沸点を有する溶媒のUV光への曝露時における光酸化のための触媒、および/または170℃~300℃の沸点を有する結合剤のUV光への曝露時における光酸化のための触媒であり得る。ナノ粒子は、ナノ粒子の表面に結合したリガンドの光酸化のための触媒であり得る。ナノ粒子は、結合剤の光酸化のための触媒であり得る。
【0034】
結合剤は、任意の適切な1つまたは複数の結合剤であり得る。結合剤は、ナノ粒子の材料の前駆体、金属酸化物前駆体、絶縁材料、透明光学接着剤、モノマー、アルコキシド、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機ポリマー、Si含有ポリマー、かご型ポリマー、分岐ポリマー、シランカップリング剤、シルセスキオキサン、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0035】
配合剤は、1つまたは複数の界面活性剤を任意選択的に含み得る。界面活性剤は、イオン性、アニオン性、高分子電解質、フッ素化、疎水性、および/または吸湿性を含む1つまたは複数の領域を含む、直鎖、分岐、超分岐、ブラシブロック、星形、またはネットワークポリマーの範囲のポリマー構造を含み得る。界面活性剤は、荷電もしくは中性である頭部基、および/または荷電もしくは中性官能基を含む尾部を含み得る。
【0036】
[構造化ナノ粒子複合体を形成する方法]
本発明の種々の実施形態は、構造化ナノ粒子複合体を形成する方法を提供する。本方法は、本明細書に記載された構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤から構造化ナノ粒子複合体を形成する任意の適切な方法であり得る。本方法は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための本明細書に記載された配合剤の実施形態を基板上に配置することを含み得る。本方法は、2ミクロン未満である少なくとも1つの寸法を含む構造を提供するように基板上に配置された配合剤をパターニングすることを含み得る。本方法はさらに、パターニングされた配合剤を光触媒酸化して、有機材料を実質的に含まないパターン化構造体を製造することを含み得る。
【0037】
光触媒酸化は、溶媒、ナノ粒子に結合されたリガンド、結合剤、安定剤、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、パターニングされた配合剤における有機材料を分解することができる。パターニングされた配合剤において分解される有機材料は、溶媒、リガンド、ナノ粒子に結合されたリガンド、結合剤、安定剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0038】
光触媒酸化は、任意の適切な方法で実施され得る。光触媒酸化は、UV光を使用することを含み得る。光触媒酸化は、パルスUV光を使用することを含み得る。光触媒酸化は、5mW/cm2の最小強度を有するUV光を使用することを含み得る。例えば、UV光またはパルスUV光は、5mW/cm2以上、または10mW/cm2、15、20、25、50、100、150、200、250、500、750、もしくは1,000mW/cm2以上の強度を有する。光触媒酸化は、100nm~450nm、300nm~400nm、350nm~380nm、365nm、または、450nm以下かつ100nm以上、125、150、175、200、225、250、275、300、310、320、330、340、350、355、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、375、380、390、400、410、420、430、もしくは440nm以上である少なくとも1つの波長を有する光を使用することを含み得る。光触媒酸化は、1,000~20,000回のパルス繰り返し、例えば、20,000回以下かつ1,000、2,000、5,000、7,500、10,000、12,500、15,000、17,500、もしくは19,000回以上のパルス繰り返しを含むパルスUV光を使用することを含み得る。光触媒酸化は、発光ダイオード(LED)で発生するUV光を使用することを含み得る。光触媒酸化は、フラッシュランプまたは広帯域光源を使用して生成される光を使用することを含み得る。
【0039】
[構造化ナノ粒子複合体]
本発明の種々の実施形態は、構造化ナノ粒子複合体を提供する。構造化ナノ粒子複合体は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための本明細書に記載された配合剤および/または方法から調製された任意の適切な構造化ナノ粒子複合体であり得る。
【0040】
構造化ナノ粒子複合体は、1つまたは複数の波長において光学的に透明であり得る。構造化ナノ粒子複合体は、1ミクロンよりも小さい少なくとも1つの寸法を有する特徴を含み得る。構造化ナノ粒子複合体は、電磁放射線を操作する、可視光を操作する、赤外光を操作する、またはこれらの組み合わせを行うように配置され得る(例えば、1ミクロンよりも小さい少なくとも1つの寸法を有する構造化ナノ粒子複合体上の特徴が配置/パターニングされ得る)。構造化ナノ粒子複合体は、光学格子を含み得るか、または光学格子であり得る。構造化ナノ粒子複合体は、メタレンズまたはホログラフィック構成要素を含み得るか、またはそれらであり得る。構造化ナノ粒子複合体は、3Dセンサに含まれる構成要素であり得る。
【0041】
構造化ナノ粒子複合体を作製する方法においてパターニングを通じて形成された構造化ナノ粒子複合体上のパターンは、2ミクロン未満の1つの寸法を有する特徴を含み得る。寸法は、特徴の高さ、幅、および/または長さであってよく、0.001ミクロン~2ミクロン未満、または、2ミクロン未満かつ0.001ミクロン以上、0.002、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、1、1.05、1.10、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、もしくは1.96ミクロン以上のサイズを有し得る。
【0042】
構造化ナノ粒子複合体を作製する方法においてパターニングを通じて形成された構造化ナノ粒子複合体上のパターンは、任意の適切な高さ:幅のアスペクト比を有する特徴、例えば、約0.5:1~約10:1、約1.5:1~約10:1、約2:1~約10:1、約3:1~10:1、約4:1~約10:1、約5:1~約10:1、約6:1~約10:1、約7:1~約10:1、約9:1~約10:1、または、これらの値の間の任意の範囲もしくは部分範囲におけるアスペクト比を有する特徴を含み得る。いくつかの実施形態では、特徴は、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約15:1、またはこれらの値の間の任意の範囲もしくは部分範囲の高さ:幅のアスペクト比を有し得る。特徴は、ゼロ(二値)~45の角度で傾斜したナノ構造を含み得るか、または傾斜特徴と二値特徴との組み合わせを有することができる。
【0043】
特徴の高さは、約0.05ミクロン~約30ミクロン、約0.5ミクロン~約25ミクロン、約1ミクロン~約22ミクロン、約2ミクロン~約20ミクロン、約3ミクロン~約18ミクロン、約4ミクロン~約16ミクロン、約5ミクロン~約14ミクロン、約6ミクロン~約12ミクロン、またはこれらの値の間の任意の範囲もしくは部分範囲であり得る。特徴の高さは、約0.05ミクロン、1ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、約9ミクロン、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロン、約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロン、約20ミクロン、約21ミクロン、約22ミクロン、約23ミクロン、約24ミクロン、約25ミクロン、またはこれらの値の間の任意の範囲もしくは部分範囲であり得る。
【0044】
特徴の幅は、約0.03ミクロン~約30ミクロン、約0.5ミクロン~約25ミクロン、約1ミクロン~約22ミクロン、約2ミクロン~約20ミクロン、約3ミクロン~約18ミクロン、約4ミクロン~約16ミクロン、約5ミクロン~約14ミクロン、約6ミクロン~約12ミクロン、またはこれらの値の間の任意の範囲もしくは部分範囲であり得る。特徴の幅は、約0.03ミクロン~約1ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、約9ミクロン、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロン、約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロン、約20ミクロン、約21ミクロン、約22ミクロン、約23ミクロン、約24ミクロン、約25ミクロン、またはこれらの値の間の任意の範囲もしくは部分範囲であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、特徴は周期的パターンで配置される。いくつかの実施形態において、特徴はランダムに配置される。いくつかの実施形態において、特徴は、非周期的パターンで配置される。いくつかの実施形態において、モールド上の特徴は、モールドの部分が、互いに近接して離間した特徴の高い面密度を有するとともに、モールドの別の部分が、特徴を含まないか、または特徴サイズに対して遠くに離間した比較的少数の特徴を含むパターンを有するように配置され得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、任意の2つの特徴間の分離は、約0.03ミクロン~約1000ミクロン、約5ミクロン~約900ミクロン、約10ミクロン~約800ミクロン、約20ミクロン~約700ミクロン、約50ミクロン~約600ミクロン、約75ミクロン~約500ミクロン、約100ミクロン~約400ミクロン、またはこれらの値の間の任意の範囲もしくは部分範囲であり得る。任意の2つの特徴間の分離は、約0.03ミクロン、約1ミクロン、約5ミクロン、約10ミクロン、約15ミクロン、約25ミクロン、約35ミクロン、約45ミクロン、約55ミクロン、約65ミクロン、約75ミクロン、約85ミクロン、約95ミクロン、約105ミクロン、約115ミクロン、約125ミクロン、約135ミクロン、約145ミクロン、約155ミクロン、約165ミクロン、約175ミクロン、約185ミクロン、約195ミクロン、約205ミクロン、約215ミクロン、約225ミクロン、約235ミクロン、約245ミクロン、約255ミクロン、約265ミクロン、約275ミクロン、約285ミクロン、約295ミクロン、約305ミクロン、約315ミクロン、約325ミクロン、約335ミクロン、約345ミクロン、約355ミクロン、約365ミクロン、約375ミクロン、約385ミクロン、約395ミクロン、約405ミクロン、約415ミクロン、約425ミクロン、約435ミクロン、約445ミクロン、約455ミクロン、約465ミクロン、約475ミクロン、約485ミクロン、約495ミクロン、またはこれらの値の間の任意の範囲もしくは部分範囲であり得る。
【0047】
[実施例]
本発明の種々の実施形態は、例示として提供される以下の実施例を参照することによってさらに理解され得る。本発明は、本明細書に示される実施例に限定されない。
【0048】
ポリマーまたはモノマーが粘度決定成分として作用するポリマーマトリックス系複合材料とは異なり、純粋な無機複合材料は、過渡粘度を維持することによってパターンをインプリントするために溶媒を必要とする。また、それらの有機内容物は、最終構造から除去される必要がある。したがって、チタニア系インクのための溶媒の選択および量は重要であり、それらが適切な粘度領域をもたらすとともに、構造体を硬化し焼結するためのUV条件下で分解するように設計され得る。加えて、溶媒のいくつかの組み合わせ、特に高沸点溶媒と低沸点溶媒との混合物は、より長い処理ウィンドウを可能にするとともに、より大きな面積のウェハおよびパネルの使用を可能にし、これにより、より信頼性の高い製造および商業規模のツールでのより高いスループットを可能にする。光学用途の場合、ナノ粒子は、ヘイズ制限領域を回避するために50nm未満のままであることが重要であり、Pixelligent社によるこの研究で使用される全てのナノ粒子は、直径20nm未満である。加えて、ナノ粒子は、高濃度での安定性を増加させるために共有結合され、ナノ粒子表面にアクセスして有機含有物を排除するために、溶媒に加えてリガンドの分解を必要とする。
【0049】
この研究における3つの主要な溶媒を
図1に示すが、それらの沸点は、配合剤の機能的沸点範囲を代表するものである。良好な被膜およびインプリンティングを達成するために、シクロヘキサノン、1,2プロパンジオール、N-メチルピロリドン、3-エトキシプロピオン酸エチル、ダワノール、ガンマブチロラクトン、酢酸アミル、2-ヘプタノン、4-メチル2-ペンタノン、酢酸n-ブチル、および4-メチル2-ペンタノールを含むがこれらに限定されない多くの他の溶媒およびブレンドが使用され得る。
【0050】
図2Aおよび
図2Bは、
図2Bの2つの低沸点溶媒を含むインクおよび
図2Aの追加の重溶媒BEEAを含むインクによる150mmSiウェハ上のスピンコート膜を比較するものであり、重溶媒の存在下でのより大きい面積の基板へのプロセスのスケーラビリティを示す。
図2Aに示された膜は、150mmウェハの端部までのより広い領域にわたって、点欠陥がより少なく、インクの被膜がより滑らかであり、外見上より良好である。以下において、
図2Aおよび
図2Bの膜を製造するために使用される溶液を、それぞれ、D1.1(Pixelligent社TiO
2、ナノ結晶21重量%、PGMEA 21重量%、乳酸エチル45.5重量%、キャップストーンFS66 0.001重量%、BEEA7.5重量%、および3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート3.7重量%)およびV3.3(Pixelligent社TiO
2、ナノ結晶21重量%、PGMEA 21重量%、乳酸エチル54重量%、キャップストーンFS66 0.001重量%、および3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート3.7重量%)と呼ぶ。D1.1は、2000rpm、1500ランプ速度、30秒のスピン条件を使用してスピンコーティング後に安定した膜を提供するものであり、最大4分の広いインプリントウィンドウを与え、V3.3は、4000rpm、1500ランプ速度、3秒を使用して、20+/-5秒のより狭いインプリントウィンドウを提供するものであり、次の製造工程のための別個のモジュールへのより長い移送時間を必要とするいくつかのツール設計には不十分である。両方とも、連続UV(33V、40mJ/cm
2)またはパルスUV(35V、5msオンおよび15msオフのパルス、2000回の繰り返し、40mJ/cm
2)モードで硬化させることができるが、本開示で提示される図は、Carpe Diem Technologies社のパルスUVツールを用いたパルスUVによってのみ硬化されている。明らかな違いは、溶媒を分解してインプリント材料を硬化させる上で、必要なエネルギー入力に影響を及ぼすことなく膜を安定化させるために、設計された量の膜安定化高沸点溶媒を使用して最適化されていることである。UV線量を増加させることは、それなしでは完全に硬化することができない多量のより重溶媒を含有するインプリント材料に必要であることが見出された。したがって、ナノ粒子複合体の適切な堆積およびパターニングのためには、膜安定性と硬化性との間のバランスが必要である。
【0051】
図3は、40秒間にわたってパルスUVを2,000回繰り返した後の、150mmSiウェハ上のD1.1から調製されたスピンコート膜の屈折率(RI)曲線を示す。
図3Aに示されたRI曲線は、理想的なコーシーモデル化関数に適合されており、一方、
図3Bに示されたRI曲線は、傾斜関数に適合されており、この傾斜関数は、膜の粗さおよび不均一性をさらに考慮に入れ、膜の上部および下部に2つのRI曲線を提供する。543nmでの理想モデルおよび傾斜モデルから計算されたRIは、それぞれ1.916および1.918(上)/1.914(下)であり、膜全体にわたってRIの有意な勾配がなく、膜が非常に均一であることを示している。膜厚は約590nmである。
【0052】
図4は、パルスUVを2,000回繰り返した後の150mm溶融シリカ基板上のD1.1から調製されたスピンコート膜の光透過率を示す。データの再現性を示すために、5つの異なる膜が調製されている。透過率は、ベア基板で規格化されたものである。図に示されるように、可視波長400~800nmの全域にわたって高い透過率を有している。これらの曲線におけるリップルは、膜と基板との間の界面における入射光と反射光との干渉によるものである。それらは互いにほぼ完全に重なり合っている。サンプル間のグラフの非常にわずかなずれは、膜質の変化を示すものではなく、各測定における特定のスポットでの条件のわずかな変化の結果である。%ヘイズも、積分球を備えた同じUV-vis分光計(Perkin Elmer社、Lambda1050)を用いて測定および計算されている。表1は、これらの5つの膜で測定された%ヘイズを列挙するものである。表に示されるように、ヘイズ値は、
図4に示された透過率の変動を補償するために、400~800nmの範囲に亘る平均値と共に、2つの特定の波長543nmおよび633nmで得られている。%ヘイズは、測定セットアップの4つの異なる構成(T1~T4)を使用して、以下の式で計算される。%ヘイズ=(T4/T2-T3/T1)×100、ここで、T1は、積分球の出口において白色標準で閉じられた構成であり、T3は、標準のない構成であり、T2およびT4は、それぞれT1およびT4と同じ構成を有するが、膜は球の入口に位置するものである。この式は、項T3/T1を引くことによって、機器自体から生じるヘイズを排除する。これに加えて、裸基板の%ヘイズを差し引くことによって、基板によって引き起こされるヘイズをさらに無視する。これらの減算処理の後において、表に列挙された全てのヘイズ値は1%未満であり、これは、膜自体による無視できる程度の散乱を証明している。
【0053】
【0054】
D1.1配合剤から調製された膜は、広い面積にわたって優れた表面平滑性を有し、その平滑性は、原子間力顕微鏡(AFM)によって特徴付けられる。
図5A~
図5Cは、20μm×20μmの走査面積を有する膜の2D(
図5A)および3D(
図5B)AFM画像、ならびに高さプロファイル(
図5C)を示す。この領域におけるRMS粗さおよびRa粗さは、それぞれ0.439および0.348nmと算出されている。
【0055】
硬化機構および初期有機種の分解は、溶液状態についてはNMRによって、Siウェハ上の固体スピンコート膜についてはIRによって特徴付けられる。ナノ粒子、リガンド、および溶媒の間の溶液中で起こる化学反応を調べるために、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)スペクトルを、ガラス皿中でのUV照射の前後に、他の溶媒または結合剤を含まないPGMEAのみで配合された溶液について測定した。これらは、
図6Aおよび
図6Bに見ることができ、ここで、
図6AはUV照射前であり、
図6BはUV照射後である。この調査のために、50重量%の充填レベルでPGMEA中に分散されたPixelligent社TiO
2ナノ粒子を受け取ったまま使用した。使用した硬化条件は、35V、5msオンおよび15msオフのパルス、15,000回の反復であり、5分間にわたって約300mJ/cm
2の線量を送達した。
図6Aに示されるように、UV照射なしのNMRは、PGMEAの溶媒構造と一致するカルボニルおよびエチレンピークを含有する十分に分解されたスペクトルを示す。
図6Bの最初の評価において、UV分解溶液では、芳香族、ビニルおよびトリメチルシロキサンで保護された領域に明確なピークが現れることが分かる。これらは、光分解、局所加熱、またはフリーラジカル化学のいくつかの典型的な副生成物である。加えて、PGMEAからの溶媒ピークは広くなり、複数の少量の副生成物ピークに分裂し、元の溶媒とは異なる種への制御されない分解を示す。スペクトルにおける滑らかなベースラインおよび十分に精密化されたピークは、ピークの広がりがノイズではないことを示し、UV露光後の元の生成物と分解生成物との混合物であることが確認される。UVに曝露された溶液は、1週間後に周囲条件および暗条件で貯蔵された後にゲルになり、これは、ナノ粒子に付着したリガンドがUVによっても部分的または完全に除去され、高負荷ナノ粒子溶液のゲル化をもたらすことを実証している。対照の露光されていない溶液は、同じ時間の後にも流体のままである。
【0056】
低沸点のELおよび高沸点のBEEAなどのTiO
2ナノ粒子の存在下での他の溶媒のUV誘起分解はNMRによって調べられた。Pixelligent社から受け取ったままのTiO
2インクは、
図7Aに示されるように、NMR分析のために以下の溶媒、PGMEA、EL、またはBEEAのうちの1つで希釈されたものである。パルスUVを15,000回繰り返した後のこれらの溶液の写真を
図7B~
図7Dに示す。
図7BはPGMEAを示し、
図7CはPGMEAおよびELを示し、
図7DはPGMEAおよびBEEAを示している。UV硬化前、PGMEA、EL、およびBEEAの3つの溶媒を全て含有するD1.1配合剤は、透明で淡黄色である(
図7A)が、パルスUVを15,000回繰り返した後、溶液は、暗黄色で不透明になり、溶媒の組成に関係なく、いくらかの不溶性粒子を生成している(
図7B~
図7D)。3つのUV分解溶液は1H-NMRによって分析された。溶液を5μmのPTFEシリンジフィルターで濾過して不溶性粒子を除去し、次いで重水素化クロロホルム(CDCl
3)で希釈した。
図8A~
図8Cは、PGMEA、EL、およびBEEAの3つの異なる溶媒の組み合わせを有するUV硬化溶液のNMRスペクトルを示しており、ここで、
図8Aの溶媒はPGMEAであり、
図8Bの溶媒はPGMEAおよびELであり、
図8Cの溶媒はPGMEAおよびBEEAである。PGMEAのみで希釈したインクは、予想されたように、
図6Bに示すNMRスペクトルと比較して同様のプロファイルを示している。低沸点溶媒の1つであるELで希釈したインクのNMRスペクトルは、PGMEAおよびELの両方を含有するので、PGMEAのみで希釈したインクと比較して、4ppm付近にいくつかの追加のピークを有している。同様に、高沸点溶媒の1つであるBEEAで希釈したインクも、1.5ppmおよび3.5ppm付近にいくつかの追加のシグナルを示している。これらのさらなるピークは、一次溶媒であるPGMEAに加えて、二次溶媒であるELまたはBEEAの存在によるものである。
図6Bに示されたNMR結果と一致して、PGMEA、EL、およびBEEAに由来するこれらの溶媒ピークは、各プリスティン溶媒からの元のピークの隣に複数の少量の副生成物ピークを有しており、高強度UV源への曝露時の他の種への制御されない分解を示している。スペクトル中の滑らかなベースラインおよび十分に精製されたピークは、ピークの広がりを確認するものであり、複数のサイドピークはノイズではなく、各溶媒またはそれらの組み合わせの元の生成物と分解生成物との混合物を示している。
【0057】
UV下での有機部分の分解プロセスおよび結果として生じる全無機膜への変換が150mmSi基板上のD1.1配合剤から調製された平面スピンコート膜を用いて調査された。IRスペクトルは、UV線量に関して有機物からのIRピークの消失を追跡するために、様々な数のパルスUV反復後に得られたものである。膜を基材からこすり取り、回収した固体粉末をIR測定に使用した。
図9は、UV曝露前の堆積されたままの膜(黒線)が、UV曝露された膜と比較してより多くのIRシグナルを有することを示しており、溶媒、リガンド、および結合剤に由来する豊富な有機部分および官能基を示している。しかしながら、UV硬化処理の後には、特に2900、1715、および1100cm
-1付近でピーク強度のいくつかの顕著な変化がある。分解処理の複雑さおよび未知のリガンド構造のために、これらのピークを正確な構造に割り当てることは困難であるが、これらの強度変化は、本発明者らがD1.1に使用した溶媒、リガンドおよび結合剤の重要な構成要素であるメチレン-CH
2-結合、共役エステル基、およびSi-O結合の消失に起因するものである。有機物含有量は、2000回の繰り返し後でさえも著しく減少し(赤線)、NMRによって溶液状態で示される有機種の効果的な分解が再確認された。さらなるUV露光は、3300cm
-1での広く対称的なチタノールピークによって示されるように、無機構造を焼結する。6000回を超える繰り返し(黄色の線)では、有機物からのほぼすべてのIRシグナルが有意に消失し、より具体的には2900および1715cm
-1付近で消失する。これらのピークの強度は、UV線量が20,000回の反復(400mJ/cm
2)まで増加するにつれて劇的に弱くなる。パルスUVを20,000回繰り返した後、溶媒、リガンド、および結合剤からのシグナルは、IRによって無視できるほど検出され、TiO
2ナノ粒子間の無機マトリックスの形成を示唆し、構造を作製する際のこの研究の破壊的な様式を支持する。このIR結果は、チタニアナノ粒子複合体の焼結および光酸化活性を実証し、全有機TiO
2系膜への変換の成功をもたらすものである。
【0058】
UV下での有機種の詳細な分解機構は、UVパルスの数に関するIRの二次元相関分光法(2DーCOS)によって実証することができる。2DーCOSを使用することによって、UV線量の増加中に検査される一連のスペクトル変化を、
図9に示されるIRスペクトルのセットを用いて追跡することができる。
【0059】
図10A~
図10Fは、2900cm
-1付近のメチレン-CH
2-結合(ν(-CH
2-))、1715cm
-1付近のカルボニルC=O基(ν(C=O))、および1100cm
-1付近のSi-O結合(ν(-Si-O-))の伸縮バンドなどの、
図6Bおよび
図8A~
図8Cの1Dスペクトルに見られる顕著な変化を示したIRバンドの領域における2D相関スペクトルを示す。1Dスペクトルに見られるように、これらのピークの強度は、UV線量の増加と共に全て減少し、それらがUVによって分解されることを示している。これらのバンドのヘテロ領域同期および非同期スペクトルから、メチレン-CH
2-結合、カルボニルC=O基、およびSi-O結合の分解の順序を明らかにすることができる。原理的には、同期および非同期のこれらのグループのクロスピーク(ν
1、ν
2)の符号が同じである場合、ν
1で観察されるスペクトル強度変動は、ν
2で観察されるスペクトル強度変動の前に発生する。符号が異なる場合、シーケンスは逆になる。例えば、
図10Aおよび
図10Dにおける(2928、1715)cm
-1および(2874、1715)cm
-1での交差ピークの同じ正(赤色)の符号から、メチレン-CH
2-結合(2928および2874cm
-1)とカルボニルC=O基(1715cm
-1)との間のシーケンスは、2928&2874cm
-1→1715cm
-1によって与えられる。この原理に基づいて、
図10Bおよび
図10Eにおける同じ正の符号は、-CH
2-の強度変化がSi-Oの強度変化の前に起こること、すなわち、2928&2874cm
-1→1100cm
-1を示し、一方、
図10Cおよび
図10Fにおける反対の符号は、1100cm
-1→1715cm
-1のシーケンスを明らかにする。全体として、D1.1から調製された膜中の有機部分の分解プロセスの全順序は、以下の通りである。2928&2874cm
-1(メチレン-CH
2-結合)→1100cm
-1(Si-O結合)→1715cm
-1(カルボニルC=O基)。2D COS分析から、分解機構および得られた全無機膜への変換機構がさらに特定された。
【0060】
D1.1配合剤およびプロセスを用いてアクセス可能なパターン化構造体のインプリント可能性を実証するために、
図11Aは、構造化ナノ粒子複合体を形成する方法を示すものであり、ここで、左の画像は、硬質および軟質PDMSを含むエラストマースタンプを示し、中央の画像は、ウェハ上のD1.1配合剤のスピンコーティングされた膜上へのスタンプのインプリントを示し、右の画像は、スタンプが除去されたウェハ上のインプリントされた膜を示す。
図11Bは、高沸点溶媒および低沸点溶媒を有する3成分溶媒系(D1.1)を使用してインプリントされた可視波長(543nm)メタレンズの光学画像(最も左側の3つの画像)および対応する走査型電子顕微鏡(SEM)画像(各光学画像の右側の4つの画像)を示し、長い処理時間を使用した大型ウェハ上での高忠実度パターン複製を証明している。インプリントされたメタレンズパターンは、元のマスターモールドから直接複製されたものではなく、インプリントマスタリング技術を使用して複製されたものとなっている。この研究のために、前述によるD1.1配合剤およびスピンコーティング工程を使用して、膜を堆積させた。次いで、ガラスバッキング上に硬質および軟質PDMS層を含むエラストマースタンプを用いて膜を積層した。積層後、35Vで5msオンと15msオフを2000回繰り返すパルスUV源を、スタンプを通して複合層に露光した。UV硬化後、スタンプを表面から剥離して、パターン形成されたナノ粒子複合体を露出させた。これらの特徴は、シラン結合剤、界面活性剤、2つの低沸点溶媒および1つの高沸点溶媒と共に、複数のナノ粒子を含む高アスペクト比(>8)および高屈折率特徴(n
D>1.9)を含有する。実際に、この製造プロセスで使用される150mmマスターは、マスターがインプリントマスタリング技術を用いて作製されたものであるので、より大きいスケールでのスピンコーティング後の長期間に亘るD1.1の安定性およびインプリント可能性も示すものである。4mmの13個のレンズを含む150mmマスターを、元の単一の4mmマスターから1インチ×1インチのクーポン上に作製した。13個のクーポンサイズのスタンプをこのマスターから個々に作製し、これらの13個のスタンプをD1.1のスピンコートされた150mm膜上に1つずつ置いた。13個のスタンプのこの全積層プロセスは4分を超えてかかり、このインプリントマスターからでさえ達成される高忠実度ナノパターンは、重BEEA溶媒の存在下で拡張されたインプリントウィンドウを明らかにする。このインプリントマスターをフッ素化剤で表面改質してマスターとした。
【0061】
図12A~
図12Fは、別の4mmメタレンズマスターを用いたインプリント結果を示す。
図11に示すSEM画像とは異なり、
図12A~
図12Fに示すインプリントされたメタレンズ構造は、インプリントマスタリング技術を用いて元の4mmマスターモールドから直接複製されたものとなっている。
図12A~
図12Fは、高沸点溶媒および低沸点溶媒を有する3成分溶媒系(D1.1)を使用してインプリントされた可視波長(543nm)メタレンズのSEM画像を示しており、ここで、
図12A~
図12Bは10nmのTiO
2粒径を示し、
図12C~
図12Dは20nmのTiO
2粒径を示している。異なる粒子サイズにかかわらず、4mmのメタレンズ構造体は、特徴の破損を観察することなく、マスターモールドから首尾よく複製されたものとなっている。
【0062】
図11と同じ手順を使用するが、目に見えるピッチ線パターンを有するテンプレートを使用して、光学格子を製造した。
図13A~
図13Fは、様々な高さ、ピッチ、および幅を有する3つの異なる格子を示しており、可視スペクトルにおける光格子および導波路のための線構造の大面積パターニングの成功を実証している。
【0063】
IRメタサーフェスの製造のために、ピッチおよび特徴高さは、変調のための増加した波長に一致するように増加されなければならない。
図14は、
図11、
図12A~
図12F、および
図13A~
図13Fに使用されたD1.1手順を使用して製造された例示的な構造を示す。
図13A~
図13Fは、40nmの特徴高さおよび220nmの幅を有する0.2のアスペクト比を示す。増加した高さおよびピッチは、ナノスケールで達成されるアスペクト比(>8)を維持しながら、赤外光を操作するために、数ミクロン領域における広範囲の潜在的な構造を可能にする。
図15A~
図15Dは、高い一貫性と、8.5(4.4μmの高さ/520nmの幅)の達成された最大アスペクト比と、6.1(4.4μmの高さ/0.72μmの幅)の平均アスペクト比とを有するIRスケールのナノ粒子複合材料をパターニングすることの大きな領域の成功を示すSEM画像を示す。
【0064】
図16A~
図16Fは、異なる設計の光学格子を有する別の赤外線波長導波路を用いて同じプロセスを使用したD1.1からのインプリントのSEM画像を示す。パターンは、異なるアスペクト比および特徴幅を有するが、同じ高さを有する様々な格子を有する。0.4(高さ1.85μm/幅4.33μm)、1.8(高さ1.87μm/幅1.05μm)、および5(高さ1.87μm/幅0.37μm)のアスペクト比に対応する最大、最小、および中間サイズの特徴が全て
図16A~
図16Fに示されている。また、これらの画像は、ナノメートル(可視)からマイクロメートル(IR)スケールまでの広範囲の特徴サイズにわたってD1.1のインプリント性をさらに確認する。
【0065】
採用された用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され、説明される特徴またはその一部の任意の均等物を除外する意図はなく、種々の修正が、本発明の実施形態の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明は、特定の実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の変更および変形が、当業者によって用いられてもよく、そのような変更および変形は、本発明の実施形態の範囲内であると見なされる。
【0066】
(例示的態様)
以下の例示的態様が提供される。なお、例示的態様の番号付けは、重要性のレベルを指すものとして解釈されるべきではない。
【0067】
態様1は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤であって、
50nm未満の平均径を有するナノ粒子と、
前記ナノ粒子のための結合剤であって、前記ナノ粒子のための溶媒および/または分散剤として作用し、40℃~300℃の沸点を有する前記結合剤と、
任意選択で、40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒と、を備える前記配合剤を提供する。
【0068】
態様2は、前記配合剤が、前記結合剤以外に、40℃~300℃の沸点を有する溶媒を含まない、態様1の配合剤を提供する。
態様3は、前記配合剤が、前記結合剤に加えて、40℃~300℃の沸点を有する1つまたは複数の溶媒を含む、態様1の配合剤を提供する。
【0069】
態様4は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤であって、
50nm未満の平均径を有するナノ粒子と、
40℃~300℃の沸点を有する少なくとも1つの溶媒と、
前記ナノ粒子のための結合剤と、を備える前記配合剤を提供する。
【0070】
態様5は、前記ナノ粒子のための前記結合剤が、40℃~300℃の沸点を有する前記少なくとも1つの溶媒とは異なる化学構造を有する、態様4の配合剤を提供する。
態様6は、前記ナノ粒子のための前記結合剤が、40℃~300℃の沸点を有する前記少なくとも1つの溶媒である、態様4の配合剤を提供する。
【0071】
態様7は、前記ナノ粒子のための前記結合剤が、前記ナノ粒子のための溶媒および/または分散剤として作用し、40℃~300℃の沸点を有するものであり、40℃~300℃の沸点を有する前記少なくとも1つの溶媒が、前記結合剤とは異なる化学構造を有する、態様4の配合剤を提供する。
【0072】
態様8は、前記ナノ粒子が金属酸化物を含む、態様1~7の配合剤を提供する。
態様9は、前記配合剤が、前記ナノ粒子に結合したリガンドを含む、態様1~8のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0073】
態様10は、前記配合剤が、前記ナノ粒子に結合した官能基を含む、態様1~9のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様11は、前記配合剤が界面活性剤を含有する、態様1~10のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0074】
態様12は、前記ナノ粒子が、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、またはそれらの組み合わせを含む、態様1~11のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様13は、前記少なくとも1つの溶媒または前記結合剤が40℃~200℃の沸点を有する、態様1~12のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0075】
態様14は、前記少なくとも1つの溶媒または前記結合剤が、エーテル官能基、エステル、酢酸塩、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、炭酸塩、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせを含む、態様1~13のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0076】
態様15は、前記少なくとも1つの溶媒または前記結合剤が、100℃~200℃の沸点を有する溶媒および/または結合剤と、170℃~300℃の沸点を有する溶媒および/または結合剤とを含む、態様1~14のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0077】
態様16は、100℃~200℃の沸点を有する前記溶媒または結合剤が、エーテル官能基、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせを含む、態様15の配合剤を提供する。
【0078】
態様17は、100℃~200℃の沸点を有する前記溶媒または結合剤が、エーテル、エステル、酢酸塩、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、炭酸塩、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせである、態様15~16のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0079】
態様18は、100℃~200℃の沸点を有する前記溶媒または結合剤が、光酸化によって分解可能である、態様15~17のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様19は、170℃~300℃の沸点を有する前記溶媒または結合剤が、エーテル官能基、エステル、アセテート、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、カーボネート、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせを含む、態様15~18のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0080】
態様20は、170℃~300℃の沸点を有する前記溶媒または結合剤が、エーテル、エステル、酢酸塩、ケトン、メチレン、エチレン、プロピレン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ヒドロキシル、カルボン酸、無水物、尿素、炭酸塩、シラン、シロキサン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、水素化物、フェニル、またはそれらの組み合わせである、態様15~19のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0081】
態様21は、170℃~300℃の沸点を有する前記溶媒または結合剤が、光酸化によって分解可能である、態様1~20のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様22は、前記ナノ粒子が触媒である、態様1~21のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0082】
態様23は、前記ナノ粒子が光触媒である、態様1~22のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様24は、前記ナノ粒子が、40℃~300℃の沸点を有する前記少なくとも1つの溶媒の光酸化および/または前記結合剤の光酸化のための触媒である、態様15~23のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0083】
態様25は、前記ナノ粒子が、40℃~300℃の沸点を有する前記少なくとも1つの溶媒のUV光への曝露時における光酸化および/または前記結合剤のUV光への曝露時における光酸化のための触媒である、態様15~24のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0084】
態様26は、前記ナノ粒子が、100℃~200℃の沸点を有する前記溶媒の光酸化および/または前記結合剤の光酸化のための触媒である、態様15~25のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0085】
態様27は、前記ナノ粒子が、170℃~300℃の沸点を有する前記溶媒の光酸化および/または前記結合剤の光酸化のための触媒である、態様15~26のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0086】
態様28は、前記ナノ粒子が、100℃~200℃の沸点を有する前記溶媒のUV光への曝露時における光酸化および/または前記結合剤のUV光への曝露時における光酸化のための触媒である、態様15~27のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0087】
態様29は、前記ナノ粒子が、170℃~300℃の沸点を有する前記溶媒のUV光への曝露時における光酸化および/または前記結合剤のUV光への曝露時における光酸化のための触媒である、態様15~28のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0088】
態様30は、前記ナノ粒子が、前記ナノ粒子の表面に結合したリガンドの光酸化のための触媒である、態様1~29のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様31は、前記ナノ粒子が前記結合剤の光酸化のための触媒性である、態様1~30のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0089】
態様32は、前記結合剤が、前記ナノ粒子の材料の前駆体を含む、態様1~31のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様33は、前記結合剤が金属酸化物前駆体を含む、態様1~32のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0090】
態様34は、前記結合剤が絶縁材料を含む、態様1~33のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様35は、前記結合剤が透明な光学接着剤を含む、態様1~34のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0091】
態様36は、前記結合剤が、モノマー、アルコキシド、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機ポリマー、Si含有ポリマー、かご型ポリマー、分岐ポリマー、シランカップリング剤、シルセスキオキサン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上である、態様1~35のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
【0092】
態様37は、前記結合剤がシランカップリング剤を含む、態様1~36のうちのいずれか1つの配合剤を提供する。
態様38は、構造化ナノ粒子複合体を形成するための配合剤であって、
50nm未満の平均径を有する光触媒ナノ粒子と、
40℃~200℃の沸点を有する溶媒と、
前記ナノ粒子のための結合剤と、を備え、前記結合剤が、40℃~200℃の沸点を有する前記溶媒とは異なる化合物であり、前記結合剤が、前記ナノ粒子の材料の前駆体、金属酸化物前駆体、絶縁材料、透明光学接着剤、モノマー、アルコキシド、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機ポリマー、Si含有ポリマー、かご型ポリマー、分岐ポリマー、シランカップリング剤、シルセスキオキサン、またはそれらの組み合わせを含む、前記配合剤を提供する。
【0093】
態様39は、構造化ナノ粒子複合体を形成する方法であって、
態様1~38のうちのいずれか1つの前記配合剤を基板上に配置することと、
前記基板上に配置された前記配合剤をパターニングして、2ミクロン未満である少なくとも1つの寸法を含む構造を生成することと、
前記パターニングされた配合剤を光触媒酸化して、有機材料を実質的に含まないパターン化構造体を生成することと、を備える方法を提供する。
【0094】
態様40は、溶媒、ナノ粒子に結合したリガンド、結合剤、安定剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない前記パターニングされた配合剤中の有機材料を前記光触媒酸化により分解する、態様39の方法を提供する。
【0095】
態様41は、前記パターニングされた配合剤中において分解された前記有機材料が、溶媒、リガンド、ナノ粒子に結合したリガンド、結合剤、安定剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む、態様39~40のうちのいずれか1つの方法を提供する。
【0096】
態様42は、前記光触媒酸化が、UV光を使用することを含む、態様39~41のうちのいずれか1つの方法を提供する。
態様43は、前記光触媒酸化が、パルスUV光を使用することを含む、態様39~42のうちのいずれか1つの方法を提供する。
【0097】
態様44は、前記光触媒酸化が、5mW/cm2の最小強度を有するUV光を使用することを含む、態様39~43のうちのいずれか1つの方法を提供する。
態様45は、前記光触媒酸化が、UV光を使用することであって、各パルスが5mW/cm2の最小強度を有する前記UV光を使用することを含む、態様39~44のうちのいずれか1つの方法を提供する。
【0098】
態様46は、前記光触媒酸化が、365nmの波長を有するUV光を使用することを含む、態様39~45のうちのいずれか1つの方法を提供する。
態様47は、前記光触媒酸化が、100~450nmの少なくとも1つの波長を有する光を使用することを含む、態様39~46のうちのいずれか1つの方法を提供する。
【0099】
態様48は、前記光触媒酸化が、1000~20000回のパルス反復を使用するパルスUV光源を使用することを含む、態様39~47のうちのいずれか1つの方法を提供する。
【0100】
態様49は、前記光触媒酸化が、発光ダイオードを使用して生成されたUV光を使用することを含む、態様39~48のうちのいずれか1つの方法を提供する。
態様50は、前記光触媒酸化が、フラッシュランプを使用して生成された光を使用することを含む、態様39~49のうちのいずれか1つの方法を提供する。
【0101】
態様51は、態様1~38のうちのいずれか1つの前記配合剤から調製された、および/または態様33~44のうちのいずれか1つの方法を使用して調製された、構造化ナノ粒子複合体を提供する。
【0102】
態様52は、前記構造化ナノ粒子複合体が1つまたは複数の波長において光学的に透明である、態様51の構造化ナノ粒子複合体を提供する。
態様53は、前記構造化ナノ粒子複合体が、1ミクロン未満の少なくとも1つの寸法を有する特徴を含む、態様51~52のうちのいずれか1つの構造化ナノ粒子複合体を提供する。
【0103】
態様54は、前記構造化ナノ粒子複合体が、電磁放射を操作するように構成されている、態様51~53のうちのいずれか1つの構造化ナノ粒子複合体を提供する。
態様55は、前記構造化ナノ粒子複合体が、可視光を操作するように構成されている、態様51~54のうちのいずれか1つの構造化ナノ粒子複合体を提供する。
【0104】
態様56は、前記構造化ナノ粒子複合体が、赤外光を操作するように構成されている、態様51~55のうちのいずれか1つの構造化ナノ粒子複合体を提供する。
態様57は、前記構造化ナノ粒子複合体が光学格子である、態様51~56のうちのいずれか1つの構造化ナノ粒子複合体を提供する。
【0105】
態様58は、前記構造化ナノ粒子複合体がメタレンズまたはホログラフィック素子である、態様51~57のうちのいずれか1つの構造化ナノ粒子複合体を提供する。
態様59は、前記構造化ナノ粒子複合体が3Dセンサの構成要素である、態様51~58のうちのいずれか1つの構造化ナノ粒子複合体を提供する。
【0106】
態様60は、列挙された全ての要素または選択肢が使用可能または選択可能となるように任意選択的に構成された、態様1~59のうちのいずれか1つまたは任意の組み合わせの配合剤、方法、または構造化ナノ粒子複合体を提供する。
【国際調査報告】