(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】接着フィルム、接着剤系、及び関連するプロセス
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20241226BHJP
C09J 133/06 20060101ALI20241226BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20241226BHJP
C09J 5/02 20060101ALI20241226BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/06
C09J133/14
C09J5/02
C08F265/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535661
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 IB2022062405
(87)【国際公開番号】W WO2023111992
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウンファーハウ,ケルスティン
(72)【発明者】
【氏名】メシェルミヒ,シルケ デー.
(72)【発明者】
【氏名】ケスター,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ガンゼフィンケル,オラフ ヴェー.
(72)【発明者】
【氏名】デッテ,ハンス ペテル
【テーマコード(参考)】
4J004
4J026
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004AB07
4J004CB04
4J004DB03
4J004FA08
4J026AA43
4J026AA45
4J026AC09
4J026AC23
4J026BA25
4J026BA27
4J026BA28
4J026BB03
4J026BB04
4J026BB07
4J026CA08
4J026DA02
4J026DA08
4J026DA12
4J026DB02
4J026DB09
4J026DB11
4J026DB24
4J026DB30
4J026DB36
4J026EA06
4J026FA05
4J026FA07
4J026GA07
4J026GA08
4J040DF021
4J040DF031
4J040DF061
4J040GA07
4J040HA306
4J040HA346
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA13
4J040KA37
4J040KA42
4J040LA02
4J040PA02
(57)【要約】
接着フィルムは第1の(メタ)アクリレートコポリマーを含み、その第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、少なくとも55重量パーセント(重量%)の、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位と、15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位と、0.1~5重量%の2つ以上の(メタ)アクリレート基を有する架橋モノマーのモノマー単位と、を含有する。第1の(メタ)アクリレートコポリマーが15重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む場合、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、少なくとも5重量%の、高Tgモノマーのモノマー単位を含む。接着フィルムは、5重量%以下の更なる(メタ)アクリレートコポリマーを含み、その更なる(メタ)アクリレートコポリマーは、0.1~15重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。接着フィルムは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの第1の層と、第1の層に隣接する第2の接着剤層と、を含む多層接着剤アセンブリであり得る。製造のためのプロセス、及び接着フィルムとプライマーと、を含む系も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の(メタ)アクリレートコポリマーを含む、接着フィルムであって、
前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、
前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも55重量%の、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位と、
前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位であって、前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーが15重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む場合、前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも5重量%の、ホモ重合したときに少なくとも50℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを提供する高T
gモノマーのモノマー単位を含む、(メタ)アクリル酸モノマー単位と、
前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1重量%~5重量%の、2つ以上の(メタ)アクリレート基を有する架橋モノマーのモノマー単位と、を含み、
前記接着フィルムは、5重量%以下の更なる(メタ)アクリレートコポリマーを含み、前記更なる(メタ)アクリレートコポリマーは、前記更なる(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1重量%~15重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、接着フィルム。
【請求項2】
前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%超の量で(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、請求項1に記載の接着フィルム。
【請求項3】
ホモ重合したときに少なくとも50℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを提供する高T
gモノマーのモノマー単位を更に含む、請求項2に記載の接着フィルム。
【請求項4】
前記接着フィルムが、25℃及び1ヘルツでレオメーターで測定して、0.5メガパスカルを超える貯蔵弾性率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項5】
少なくとも0.3ミリメートルの厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項6】
前記接着フィルムが発泡体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項7】
前記接着フィルムの総重量に基づいて2重量%~12重量%の、ポリマー微小球又はグラスバブルズのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の接着フィルム。
【請求項8】
第2の(メタ)アクリレートコポリマーを更に含み、前記第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、前記第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%超~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項9】
前記接着フィルムの総重量に基づいて、前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーが65重量%~99重量%の範囲で存在し、前記第2の(メタ)アクリレートコポリマーが1重量%~35重量%の範囲で存在する、請求項8に記載の接着フィルム。
【請求項10】
前記接着フィルムが、前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーの第1の層と、前記第1の層に隣接する第2の接着剤層と、を含む多層接着剤アセンブリである、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項11】
前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーの第1の層が、スキン-コア-スキン多層接着剤のコアである、請求項10に記載の接着フィルム。
【請求項12】
請求項8又は9に記載の接着フィルムを製造するためのプロセスであって、
前記第2の(メタ)アクリレートコポリマーを、前記直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、前記(メタ)アクリル酸モノマー、前記架橋モノマー、及び重合開始剤を含む、硬化性前駆体組成物に組み込むことと、
前記第2の(メタ)アクリレートコポリマーの存在下で、前記直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、前記(メタ)アクリル酸モノマー、前記架橋モノマーを重合させて、前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーを形成することと、
を含む、プロセス。
【請求項13】
前記接着フィルムが、熱又は放射線を使用せずに適用されたときに、プライマー処理された基材表面に接着する、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着フィルム。
【請求項14】
プライマー組成物と、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着フィルムと、を含む接着剤系であって、前記接着フィルムは、前記プライマー組成物と反応して共有結合を形成しない、接着剤系。
【請求項15】
前記プライマー組成物が、ポリアミド、ポリウレタン、又はポリアクリレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の接着剤系。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年12月16日に出願された米国特許仮出願第63/290205号の優先権を主張するものであり、その開示の全容が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
[背景技術]
接着剤は、多様なマーキング、保持、保護、封止、及び遮蔽目的のために使用されている。接着テープは概して、バッキング又は基材と、接着剤と、を含む。多くの用途に有用な接着剤の1つのタイプは、感圧接着剤である。感圧接着剤(PSA)が以下:(1)強力かつ持続的な粘着性、(2)指圧以下の圧力による接着性、(3)被着体を保持する十分な能力、及び(4)十分な凝集力、を含む、ある一定の特性を有することは、当業者には周知である。
【0003】
感圧接着剤として十分に機能を果たすことがわかっている材料は、粘着力、剥離接着力、及び剪断強度の所望のバランスをもたらすのに必要な粘弾性特性を示すように設計され、配合されたポリマーである。感圧接着剤の調製に最も一般的に使用されるポリマーは、様々な(メタ)アクリレート系コポリマー、天然ゴム、合成ゴム、及びシリコーンである。
【0004】
第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの組み合わせと、を含む感圧接着剤組成物は、米国特許出願公開第2021/0102099号(Unverhauら)において、様々なタイプの基材上で高い接着剥離及び剪断強度を示すことが報告されている。第2の感圧接着剤層上に重ね合わされた第1の感圧接着剤層を含む、多層感圧接着剤アセンブリは、米国特許第9,845,414号(Wienekeら)において、様々なタイプの基材上で高い接着剥離及び剪断強度を示すことが報告されている。
【発明の概要】
【0005】
基材表面に適用した後、感圧接着剤(PSA)は、典型的には、流れて表面を濡らし、接着力を作り出す。ダールキスト評価基準が、PSAのそのような挙動を説明するために一般に使用される。PSAについてのダールキスト評価基準は、剪断貯蔵弾性率G’が、PSAの線形粘弾性領域内で1ヘルツ(Hz)の振動ひずみを適用して25℃で、0.3メガパスカル(MPa)を超えるべきではないことを示唆している。ダールキスト評価基準を超える場合、PSAは通常その粘着性を失い、接着力の蓄積がもはや適切に起こらなくなる。したがって、ダールキスト評価基準は、PSA特性を得るための貯蔵弾性率の上限を表す。しかしながら、そのような貯蔵弾性率の制限により、PSAの全体的な凝集強度も同様に制限され、一般に1MPaの重なり剪断強度を超えない。
【0006】
本開示は、ダールキスト評価基準を超えるが、プライマーと組み合わせると基材に対して優れた湿潤接着性をもたらす、接着フィルムを提供する。プライマーと組み合わせた接着フィルムは、以下の実施例に示されるように、2.5MPa~3.5MPaの重なり剪断強度値を提供することができる。したがって、本開示の接着フィルムは、優れた凝集強度を有しており、典型的なPSAよりもはるかに高い重なり剪断接着値を提供することができる。本開示の接着フィルムは、プライマーの存在下において、上記(1)~(4)の特性に応じたPSAとして機能する。有利なことに、PSAとして機能する能力により、有益な接着特性を提供するために、プライマー又は接着フィルムにおいて熱又は放射線及び反応性化学物質は必要とされない。
【0007】
一態様によれば、本開示は、第1の(メタ)アクリレートコポリマーを含む、接着フィルムであって、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも55重量%の、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位、(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位、及び(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1重量%~5重量%の、2つ以上の(メタ)アクリレート基を有する架橋モノマーのモノマー単位を含有する、接着フィルムに関する。第1の(メタ)アクリレートコポリマーが15重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む場合、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも5重量%の、ホモ重合したときに少なくとも50℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを提供する高Tgモノマーのモノマー単位を含む。接着フィルムは、5重量%以下の更なる(メタ)アクリレートコポリマーを含み、その更なる(メタ)アクリレートコポリマーは、更なる(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1重量~15重量パーセントの(メタ)アクリル酸モノマー単位を有する%。
【0008】
本開示の接着フィルムは発泡体の形態であってもよく、及び/又は多層接着剤アセンブリの一部を形成してもよく、接着フィルムは、発泡体層であってもよい第1の接着剤層の形態であり、多層接着剤アセンブリは、第1の接着剤層に隣接する第2の接着剤層を更に含む。
【0009】
別の態様によれば、接着フィルムは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの第1の層と、第1の層に隣接する第2の接着剤層と、を含む多層接着剤アセンブリである。
【0010】
いくつかの実施形態では、接着フィルムは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを更に含み、その第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%超~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を有する。別の態様では、本開示は、そのような接着フィルムを製造するためのプロセスを提供する。本プロセスは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、架橋モノマー、及び重合開始剤を含む、硬化性前駆体組成物に組み込むことと、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、架橋モノマーを重合して、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの存在下で第1の(メタ)アクリレートコポリマーを形成することと、を含む。
【0011】
更に別の態様では、本開示は、プライマー組成物及び前述の接着フィルムを含む接着剤系であって、接着フィルムは、プライマー組成物と反応して共有結合を形成しない、接着剤系を提供する。
【0012】
本開示の文脈において、「低表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり34ダイン未満の表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料の中でも、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE))、及びポリプロピレンのブレンド(例えば、PP/エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、熱可塑性オレフィン(TPO))が挙げられる。
【0013】
本開示との関連において、「中表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり34~70ダイン、典型的には、1センチメートル当たり34~60ダイン、より典型的には1センチメートル当たり34~50ダインに含まれる表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料の中でも、ポリアミド6(PA6)などのポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)/ABSブレンド、PC、ポリ塩化ビニル(PVC)、PUR、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、クリアコート表面、特に、自動車のようなビークル用のクリアコート又は産業用途のためのコーティング表面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料が挙げられる。
【0014】
本開示との関連において、「高表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり350ダイン超、典型的には1センチメートル当たり400ダイン超の表面エネルギーを有する基材、より典型的には1センチメートル当たり400~1100ダインに含まれる表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料の中でも、金属基材(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼)、及びガラスが挙げられる。
【0015】
表面エネルギーは、典型的には、例えばASTM D7490-08に記載されるような接触角測定から決定される。
【0016】
重ね合わせたという用語が使用される場合、本明細書全体を通して、多層接着剤アセンブリのポリマーの液体前駆体又はポリマー層の2つ以上の層が重なり合って配置されていることを意味する。重ね合わせた液体前駆体層又はポリマー層は、下層の上面が上層の下面に当接するように、互いに直接隣接して配置されてもよい。
【0017】
本明細書全体を通して使用される場合、隣接するという用語は、前駆体多層接着剤アセンブリ又は硬化多層接着剤アセンブリ内の重ね合わせた2つの層を指し、これらは互いに直接隣接して配置され、すなわち、互いに当接している。
【0018】
「ガラス転移温度」及び「Tg」という用語は、互換的に使用され、(コ)ポリマー材料又は混合物のガラス転移温度を指す。特に指示がない限り、ガラス転移温度値は、動的機械分析(DMA)により測定される。
【0019】
本明細書で使用するための例示的な「ウェット-イン-ウェット」製造プロセスは、例えば、国際公開第2011094385(A1)号(Hitschmannら)又は欧州特許第0259094(A1)号(Zimmermanら)に詳細に記載されており、これらの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
「アクリル系」という用語は、アクリル系及びメタクリル系の両方の、ポリマー、オリゴマー及びモノマーを指す。
【0021】
モノマー、オリゴマー又はポリマーに関する「(メタ)アクリレート」という用語は、アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸との反応生成物として形成されたビニル官能性アルキルエステルを意味する。「(メタ)アクリレート」は、個別に及び集合的に、メタクリレート及びアクリレートを含む。
【0022】
「ポリマー」という用語は、実際に、又は概念的に、1つ以上のモノマーから誘導された単位の複数の反復を含む構造を有する分子を指す。「モノマー」という用語は、他のものと組み合わせてポリマーを形成することができる、低相対分子量の分子を指す。「ポリマー」という用語には、ホモポリマー及びコポリマー、並びに例えば、共押出又は反応によって、混和性ブレンド中で形成され得るホモポリマー又はコポリマーが含まれる。「ポリマー」という用語は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー及び星型ポリマーを含む。「コポリマー」という用語は、オリゴマーを包含する。
【0023】
ポリマー又はオリゴマーの「モノマー単位」は、単一のモノマーに由来するポリマー又はオリゴマーのセグメントである。
【0024】
「架橋性」という用語は、通常、架橋性の分子又は基を介した化学的共有結合によってポリマー鎖が互いに繋がって、ネットワークポリマーが形成されることを指す。架橋されたポリマーは、全般的に不溶性という特徴があるが、適切な溶媒の存在下では、膨潤性となり得る。「架橋された」という用語は、部分的に架橋されていることを含む。
【0025】
「アルキル」という用語は、飽和炭化水素である、一価の基を指す。アルキルは、直鎖、分枝鎖、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、典型的には、1個~32個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~25個、1~20個、1~18個、1~12個、1~10個、1~8個、1~6個、又は1~4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2-オクチル、及び2-プロピルヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、用語「又は」は、そうでないことを内容が明示していない限り、全般的に、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0027】
本明細書で用いる場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、及び「含む(comprising)」は、オープンエンドの意味で用いられ、全般的に、「含むが、これらに限定されない」という意味である。「からなる」及び「から本質的になる」という用語は、「を含む」の用語に包括されることが理解される。
【0028】
本出願では、「a」、「an」及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、全般分類を含み、その具体例を、例示のために使用し得る。「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という用語は、「少なくとも1つ」という用語と互換的に使用される。列挙が後続する「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」及び「~のうちの少なくとも1つを含む(comprises at least one of)」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。全ての数値範囲は、別段の記述のない限り、それらの端点、及び端点間の非整数値を包含する(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4及び5を含む)。
【0029】
本開示の上記の概要は、開示される実施形態の各々、又は本開示の全ての実装形態を記載することを意図していない。以下の記載は、例示的実施形態をより特定的に例示する。したがって、以下の記載は、単に例示を目的とするものに過ぎず、本開示の範囲を不当に限定するように読解されるべきではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の接着フィルムにおいて、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも55重量%の、直鎖又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも60重量パーセント(重量%)、65重量%、又は70重量%の、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて85重量%未満、又は最大84重量%、83重量%、82重量%、81重量%、又は80重量%の、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、存在する場合、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも55重量%、60重量%、65重量%、又は70重量%の、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて85重量%未満、又は最大84重量%、83重量%、82重量%、81重量%、又は80重量%の、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位は、C1~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C1~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又はC1~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位である。
【0031】
好適なアルキル(メタ)アクリレートの例としては、式Iによって表されるものが挙げられる:
CH
2=C(R’)COOR (I)
[式中、R’は、水素又はメチル基であり、Rは、1~30個、4~30個、6~30個、8~30個、6~24個、6~20個、6~18個、8~24個、8~20個、又は8~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、直鎖若しくは分枝鎖であってもよい]。式Iによって表される好適なモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシルアクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレートが挙げられる。好適なモノマー単位としては、式IIの第二級アルキル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも2つ又は少なくとも3つの構造異性体の混合物が更に挙げられる:
【化1】
[式中、R
1及びR
2は、各々独立して、C
1~C
30飽和直鎖アルキル基であり、R
1及びR
2における炭素数の合計は7個~31個であり、R
3は、H又はCH
3である]。R
1及びR
2における炭素数の合計は、いくつかの実施形態では、7個~27個、7個~25個、7個~21個、7個~17個、7個~11個、7個、11個~27個、11個~25個、11個~21個、11個~17個、又は11個であり得る。そのようなモノマー及びモノマー混合物を作製及び使用するための方法は、米国特許第9,102,774号(Clapperら)に記載されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は任意選択の第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含む。
【0033】
本開示の接着フィルムにおいて、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、15重量%~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも15重量%、15重量%超、少なくとも16重量%、又は少なくとも17重量%の量で(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、存在する場合、接着フィルム中の第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、15重量%超~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%超、少なくとも16重量%、又は少なくとも17重量%の量で(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、接着フィルム中の第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15.5~40重量%、16~40重量%、16~35重量%、16~30重量%、16~25重量%、17~25重量%、17~23重量%、又は17~20重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。いくつかの実施形態では、接着フィルム中の任意選択の第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15.5~40重量%、16~40重量%、16~35重量%、16~30重量%、16~25重量%、17~25重量%、17~23重量%、又は17~20重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。(メタ)アクリル酸モノマー単位の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、エタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、桂皮酸、β-カルボキシエチルアクリレート、及び2-メタクリロリルオキシエチルスクシネートが挙げられる。いくつかの実施形態では、(メタ)アクリル酸モノマー単位は、アクリル酸モノマー単位又はメタクリル酸モノマー単位である。(メタ)アクリル酸モノマー単位は、これらの酸の塩、例えば、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩を包含する。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、重合したときに、少なくとも50℃、60℃、又は70℃のガラス転移温度(Tg)を有するホモポリマーを提供する「高Tg」モノマーのモノマー単位を更に含む(すなわち、モノマーから形成されたホモポリマーが、少なくとも50℃、60℃、又は70℃のTgを有する)。第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を有する実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、少なくとも5重量%(いくつかの実施形態では、少なくとも7.5重量%、10重量%、12.5重量%又は15重量%)の「高Tg」モノマーのモノマー単位を更に含む。ホモポリマーのTgは、差動走査熱量測定によって測定され、多くは、polymerdatabase.comで見られるポリマー特性データベースに報告されている。いくつかの好適な高Tgモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルメタクリレート、3,3,5トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、テトラヒドロフルフィイル(tetrahydrofurfiiryl)メタクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。他の好適な高Tgモノマーは、様々なビニルエーテル(例えば、ビニルメチルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)、スチレン、置換スチレン(例えば、a-メチルスチレン)、ハロゲン化ビニル、及びそれらの混合物などの、(メタ)アクリロイル基ではない単一のビニル基を有する。いくつかの実施形態では、任意選択の第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、上記のもののいずれかを含む高Tgのモノマーのモノマー単位を、上記の重量百分率のいずれかで更に含む。
【0035】
本開示の接着フィルムにおいて、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.05重量%~5重量%の、2つ以上の(メタ)アクリレート基を有する架橋モノマーのモノマー単位を含む。好適な架橋モノマーとしては、ジオールのジアクリレートエステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、プロパンジオールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタン-1,3-ジイルジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを含む)、ヘプタンジオールジアクリレート、オクタンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、及び前述のジアクリレートのいずれかのジメタクリレートが挙げられる。更なる好適な多官能性モノマーとしては、ポリオールのポリアクリレートエステル、例えば、グリセロールトリアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、前述のアクリレートのメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更なる好適な多官能性架橋モノマーとしては、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフタレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更なる好適な多官能性架橋性モノマーとしては、2つ以上のアクリレート基を含む多官能性アクリレートオリゴマーが挙げられる。多官能アクリレートオリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリアクリル系アクリレート、前述のアクリレートのいずれかのメタクリレート、又はこれらの組み合わせであってもよい。これらの架橋モノマーのいずれかの組み合わせが有用であり得る。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマー中のモノマー単位の最大4重量%、3重量%、2重量%、又は1重量%が、架橋モノマーに由来する。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマー中のモノマー単位の少なくとも0.1重量%が、架橋モノマーに由来する。第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、存在する場合、架橋モノマー単位を含まなくてもよい。
【0036】
アクリル系ポリマーについては、核磁気共鳴スペクトル法(1H又は13C NMR)によって分析して、ポリマー中のモノマー単位を同定することができる。固体又は溶液NMRは、ポリマーにおける架橋性のレベルに応じて有用であり得る。固体NMRの場合、アクリル系ポリマーは、分析のために適切な溶媒中で膨潤させることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、存在する場合、各々独立して、2℃~100℃、2℃~80℃、2℃~60℃、2℃~50℃、2℃~45℃、5℃~45℃、5℃~40℃、5℃~35℃、又は10℃~30℃の範囲のTgを有する。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、存在する場合、各々独立して、100℃以下、80℃以下、60℃以下、50℃以下、45℃以下、又は更には40℃以下のTgを有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、接着フィルムは、少なくとも0.3ミリメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、接着フィルムは、300マイクロメートル~6000マイクロメートル、300マイクロメートル~4000マイクロメートル、300マイクロメートル~2000マイクロメートル、500マイクロメートル~2000マイクロメートル、800マイクロメートル~1500マイクロメートル、又は600マイクロメートル~1300マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムは、接着フィルムの線形粘弾性領域内で1ヘルツ(Hz)の振動ひずみを加えて、25℃でレオメーターで測定して、少なくとも0.5メガパスカル(MPa)又は0.5MPa超の剪断貯蔵弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムは、少なくとも1MPa又は1.5MPaの貯蔵弾性率を有する。いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムは、最大4MPa、3.5MPa、3MPa、2.5MPa、又は2MPaの貯蔵弾性率を有する。バルク接着フィルムの貯蔵弾性率は、以下の実施例に記載されるように都合よく測定することができる。接着フィルムが多層フィルムである実施形態では、以下により詳細に記載されるように、貯蔵弾性率は、セオロジー的に(Theologically)関連するレジームにおける振動数(0.1Hz~100Hz)及び温度での原子間力顕微鏡(AFM)ベースのナノインデンテーションによって決定することができる。
【0040】
本開示の接着フィルムは、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、又は1重量%以下の更なる(メタ)アクリレートコポリマーを含み、その更なる(メタ)アクリレートコポリマーは、更なる(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1重量%~15重量%(いくつかの実施形態では、0.1重量%~12重量%、0.1重量%~11重量%、0.1重量%~10重量%、0.2重量%~10重量%、0.2重量%~9重量%、0.2重量%~8重量%、0.3重量%~8重量%、0.5重量%~8重量%、0.5重量%~6重量%、1重量%~6重量%、又は更には1重量%~5重量%)の(メタ)アクリル酸モノマー単位を有する。本開示の接着フィルム中のそのような更なる(メタ)アクリレートコポリマーは、接着フィルムのTg及び/又は貯蔵弾性率を低下させる傾向があり、接着フィルムの凝集力も低下させる傾向がある。いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムは、更なる(メタ)アクリレートコポリマーを含まず、ただし、その更なる(メタ)アクリレートコポリマーは、更なる(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1重量%~15重量%(いくつかの実施形態では、0.1重量%~12重量%、0.1重量%~11重量%、0.1重量%~10重量%、0.2重量%~10重量%、0.2重量%~9重量%、0.2重量%~8重量%、0.3重量%~8重量%、0.5重量%~8重量%、0.5重量%~6重量%、1重量%~6重量%、又は更には1重量%~5重量%)の(メタ)アクリル酸モノマー単位を有するというものである。
【0041】
本明細書で使用するための第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、任意の従来のフリーラジカル重合法により調製してもよく、これには溶液、放射線照射、バルク、分散、エマルジョン、無溶媒、及び懸濁プロセスが含まれる。得られるコポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、溶液又はシロップコポリマー組成物のいずれかとして調製される。
【0042】
典型的な溶液重合法は、モノマー、好適な溶媒、及び任意選択の連鎖移動剤を反応容器に添加することと、フリーラジカル開始剤を添加することと、窒素でパージすることと、反応容器を反応が完了するまで、バッチサイズ及び温度に応じて、典型的には約1時間~24時間、高温に、典型的には約40℃~100℃の範囲内に維持することと、によって行われる。溶媒の例は、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルである。これらの溶媒は単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。
【0043】
シロップポリマー技術は、モノマーを部分的に重合して、第1の(メタ)アクリレートコポリマーと未重合モノマーと、を含むシロップポリマーを製造することを含む。シロップポリマー組成物を、有用なコーティング粘度となるよう重合させ、基材(テープバッキングなど)上にコーティングし、更に重合させることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、重合は、エチルアセテート、トルエン又はテトラヒドロフランなどの、シロップポリマーの成分の官能基と非反応性である溶媒が存在しない状態で行われる。
【0045】
いくつかの実施形態では、コーティング可能なシロップポリマーは、光開始フリーラジカル重合によって調製される。コーティング可能な粘度を達成するための重合は、モノマーからポリマーへの転化率が最大約10%になるように行うことができる。重合は、所望の転化率及び粘度が達成されたときに、光源を取り外すこと及び溶液に空気(酸素)をバブリングしてフリーラジカルの伝播を停止させることによって、終了させることができる。重合は、光開始剤の存在下でシロップポリマー組成物をエネルギーに曝露することによって達成することができる。エネルギーにより活性化される開始剤は、例えば、電離放射線を使用して重合を開始する場合には必要ないことがある。
【0046】
いくつかの実施形態では、フリーラジカル光開始剤は、I型(開裂型)光開始剤である。開裂型光開始剤としては、アセトフェノン、アルファ-アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アシル(例えば、ベンゾイル)ホスフィンオキシド、アシル(例えば、ベンゾイル)ホスフィネート及びこれらの混合物が挙げられる。有用なベンゾインエーテルの例としては、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインブチルエーテルが挙げられる。
【0047】
好適なアセトフェノン化合物の例としては、4-ジエチルアミノアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2ジメチルアミノ-4’-モルフォリノブチロフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1オン、2,2-ジメトキシアセトフェノン、及び2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンが挙げられる。好適なアシルホスフィンオキシド、アシルホスフィネート、及びアシルホスホネート化合物の例としては、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチルフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ジメチルピバロイルホスホネート及びポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、α,α’,α”-1,2,3-プロパントリイルトリス[コ-[[フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィニル]オキシ]が挙げられる。更なる好適な光開始剤としては、置換a-ケトール、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、芳香族スルホニルクロリド、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロリド、及び光活性オキシム、例えば1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシ-カルボニル)オキシムが挙げられる。多くの光開始剤が、例えば、BASF,Vandalia,III.から商品名「IRGACURE」で、IGM Resins,Waalwijk,Netherlandsから商品名「OMNIRAD」及び「ESACURE」で入手可能である。これらの光開始剤のいずれかの2種以上を、任意の組み合わせで併用してもよい。更なる光開始剤は、コポリマーが形成された後でコーティングされる混合物に添加することができる(すなわち、光開始剤はシロップポリマー混合物に添加することができる)。
【0048】
(コポリマーへのモノマーの)転化の程度は、照射中に、重合している混合物の屈折率を測定することによって監視することができる。
【0049】
本開示の接着フィルムのいくつかの実施形態では、接着フィルムは、65重量%~99重量%、70重量%~95重量%、75重量%~95重量%、75重量%~90重量%、又は更には75重量%~85重量%の第1の(メタ)アクリレートコポリマーを含み、重量百分率は、接着フィルムの総重量に基づく。いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムは、1重量%~35重量%、1重量%~30重量%、2重量%~25重量%、3重量%~25重量%、3重量%~20重量%、4重量%~20重量%、又は更には4重量%~15重量%の第2の(メタ)アクリレートコポリマーを含み、重量百分率は、接着フィルムの総重量に基づく。
【0050】
本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、任意の従来のフリーラジカル重合法により調製してもよく、これには溶液、放射線照射、バルク、分散、エマルジョン、及び懸濁プロセスが含まれる。得られる接着剤コポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。
【0051】
本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、溶媒重合、分散重合、及び無溶媒バルク重合の従来の技術を含むがこれらに限定されない技術により、重合することができる。モノマー混合物は、コモノマーを重合させるのに有効なタイプ及び量の重合開始剤、とりわけ熱開始剤又は光開始剤を含み得る。
【0052】
典型的な溶液重合法は、モノマー、好適な溶媒、及び任意選択の連鎖移動剤を反応容器に添加することと、フリーラジカル開始剤を添加することと、窒素でパージすることと、反応容器を反応が完了するまで、バッチサイズ及び温度に応じて、典型的には約1時間~20時間、高温に、典型的には約40℃~100℃の範囲内に維持することと、によって行われる。溶媒の例は、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルである。これらの溶媒は単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。
【0053】
第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、上述の方法及び光開始剤のいずれかを使用する光重合によって形成することができる。
【0054】
典型的な熱重合法では、モノマー混合物は、熱重合開始剤(すなわち、熱開始剤)の存在下で熱エネルギーに供され得る。好適な熱開始剤の例は、DuPontから商品名「VAZO」で入手可能なものである。
【0055】
無溶媒重合法、例えば、米国特許第4,619,979号及び同第4,843,134号(Kotnourら)に記載されている連続フリーラジカル重合法;米国特許第5,637,646号(Ellis)に記載されている、バッチ反応器を使用した本質的に断熱性の重合法;及び米国特許第5,804,610号(Hamerら)に記載されている、パッケージ化された予備接着剤組成物を重合するために記述された方法も、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの調製に利用してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムで使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、本質的に無溶媒のフリーラジカル重合法、特に本質的に無溶媒の熱フリーラジカル重合法を使用して調製される。いくつかの実施形態では、本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、本質的に断熱の重合法によって調製される。(コポリマーへのモノマーの)転化の程度は、重合中に、重合している混合物の屈折率を測定することによって監視することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムで使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、又は45%超のポリマー転化率を有するプレポリマー組成物として得られ、いくつかの実施形態では、10%~60%、20%~55%、30%~50%、又は更には35%~50%のポリマー転化率を有するプレポリマー組成物として得られる。
【0058】
所望であれば、連鎖移動剤を第1又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーのいずれかのモノマー混合物に添加して、コポリマーの分子量を制御してもよい。有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、連鎖移動剤は、イソオクチルチオグリコレート又は四臭化炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0059】
接着フィルムは、任意選択の成分として、粘着付与樹脂、特に水素化炭化水素粘着付与剤を含んでもよい。水素化炭化水素粘着付与剤の例としては、C9及びC5水素化炭化水素粘着付与剤が挙げられる。C9水素化炭化水素粘着付与剤の例としては、Eastman Chemical Co.,Middelburg,Netherlandsによって販売されている、商品名「REGALITE S-5100」、「REGALITE R-7100」、「REGALITE R-9100」、「REGALITE R-1125」、「REGALITE S-7125」、「REGALITE S-1100」、「REGALITE R-1090」、「REGALREZ 6108」、「REGALREZ 1085」、「REGALREZ 1094」、「REGALREZ 1126」、「REGALREZ 1139」、及び「REGALREZ 3103」;
Eastman Chemical Co.によって販売されている「PICCOTAC」及び「EASTOTAC」;Arakawa Chemical Inc.,Chicago,ILによって販売されている、「ARKON P-140」、「ARKON P-125」、「ARKON P-115」、「ARKON P-100」、「ARKON P-90」、「ARKON M-135」、「ARKON M-115」、「ARKON M-100」、及び「ARKON M-90」;並びにExxon Mobil Corp.,Irving,TXによって販売されている「ESCOREZ 5000シリーズ」で販売されているものが挙げられる。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、部分的に水素化されたC9水素化粘着付与剤、完全に水素化されたC9水素化粘着付与剤、又はこれらの組み合わせである。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示による接着フィルムは、粘着付与樹脂を実質的に含まず、特に炭化水素粘着付与樹脂を含まない。
【0061】
所望であれば、他の添加剤を本開示の接着フィルムに添加することができる。例えば、レベリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、酸素阻害剤、湿潤剤、レオロジー調整剤、消泡剤、殺生物剤、難燃剤、及び染料を含めることができる。これらの添加剤及びその使用は全て当業者に公知であり、接着剤特性に悪影響を及ぼさない限り使用することができる。
【0062】
いくつかの有利な態様では、本開示の接着フィルムは、充填材料、特に粒子状充填材料を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で使用するための任意選択の充填材料は、ポリマー微小球、グラスバブルズ、及びこれらの任意の組み合わせの群から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物の接着フィルムは、65重量%~98重量%、70重量%~95重量%、75重量%~95重量%、75重量%~90重量%、又は75重量%~85重量%の第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
0重量%~35重量%、1重量%~35重量%、1重量%~30重量%、2重量%~25重量%、3重量%~25重量%、3重量%~20重量%、4重量%~20重量%、又は4重量%~15重量%の第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、
任意選択で、2重量%~15重量%、2重量%~14重量%、又は2重量%~12重量%の、ポリマー微小球及びグラスバブルズのうちの少なくとも1つを含む充填材料と、を含み、重量百分率は、接着フィルムの総重量に基づく。
【0064】
本開示の接着フィルムは、第1及び第2の(メタ)アクリレートコポリマー成分を、任意選択で、充填材料及び粘着付与樹脂などの任意選択の成分と単純にブレンドすることによって調製することができる。コポリマーは、例えば、溶融ブレンド、溶媒ブレンド、又は任意の好適な物理的手段などのいくつかの従来の方法を使用してブレンドすることができる。
【0065】
分散混合、分配混合、又は分散及び分配混合の組み合わせをもたらす物理的ブレンド装置が、均質なブレンドの調製に有用である。物理的ブレンドのうち、バッチ法及び連続法の両方を使用することができる。バッチ法の例としては、BRAB ENDER(C.W.Brabender Instruments,Inc.;South Hackensack,NJから入手可能なBRAB ENDER PREP CENTERを使用)又はBANBURY内部混合及びロールミリング加工(FARREL COMPANY,Ansonia,CTから入手可能な装置を使用)が挙げられる。連続法の例としては、単軸押出、二軸押出、ディスク押出、プランジャー式(reciprocating)単軸押出及びピンバレル単軸押出が挙げられる。連続法は、空洞移動エレメント(例えば、RAPRA Technology,Ltd.,(Shrewsbury,England)より入手可能なCTM)及びピン混合エレメント、静的混合エレメント等の分配エレメント、並びに分散エレメント(例えば、「Mixing in Single-Screw Extruders」,Mixing in Polymer Processing,edited by Chris Rauwendaal(Marcel Dekker Inc.,New York(1991),pp.129,176~177及び185~186)に記載のMADDOCK混合エレメント又はSAXTON混合エレメント)の両方を利用することを含むことができる。
【0066】
本開示の態様によれば、接着フィルムは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを、直鎖又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、架橋モノマー、任意選択で重合開始剤、及び任意選択で粒子状充填材料を含む、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの硬化性前駆体組成物に組み込み、それによって接着フィルムの硬化性前駆体組成物を形成することによって調製され得る。次いで、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第2の工程において、直鎖又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、架橋モノマーを重合させて、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの存在下で第1の(メタ)アクリレートコポリマーを形成することによってインサイチューで形成される。いくつかの実施形態では、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの硬化性前駆体組成物に希釈され、振盪により混合される。いくつかの実施形態では、直鎖又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、架橋モノマーを重合して、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの存在下で第1の(メタ)アクリレートコポリマーを形成することは、化学線を用いて行われる。本開示のフィルム接着剤を製造するためのプロセスのいくつかの実施形態では、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、フリーラジカル重合、特に本質的に無溶媒の重合法によって、より詳細には、本質的に断熱の重合反応によって得られる。いくつかの実施形態では、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、又は10%~60%、20%~55%、30%~50%、若しくは35~50%の範囲のポリマー転化率を有するプレポリマー組成物として得られる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムは発泡体の形態をとる。発泡体は空隙を含み、これは連続気泡であっても又は独立気泡であってもよい。いくつかの実施形態では、空隙は、少なくとも5体積%、10体積%~55体積%、10体積%~45体積%、15体積%~45体積%、又は20体積%~45体積%の量で発泡体中に存在する。発泡体の形態の接着フィルムは、典型的には、0.45g/cm3~1.5g/cm3、0.45g/cm3~1.10g/cm3、0.50g/cm3~0.95g/cm3、0.60g/cm3~0.95g/cm3、又は0.70g/cm3~0.95g/cm3の範囲の密度を有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、発泡体の形態の接着フィルムは、100マイクロメートル~6000マイクロメートル、200マイクロメートル~4000マイクロメートル、500マイクロメートル~2000マイクロメートル、又は800マイクロメートル~1500マイクロメートルの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、発泡体の形態の接着フィルムは、少なくとも300マイクロメートルの厚さを有する。本記述を踏まえて当業者には明白であるように、発泡体になった接着フィルムの厚さは、意図する用途に応じて異なる。
【0069】
発泡体内の空隙又は気泡は、当該技術分野において記載されている公知の方法のいずれかで作製することができ、気体若しくは発泡剤の使用、及び/又は発泡体用の組成物中に中空粒子を含めることが挙げられる。例えば、米国特許第4,415,615号(Esmayら)に記載されている発泡体を作製するための1つの方法によれば、アクリル系発泡体は、アクリレートモノマー及び任意選択のコモノマーを含有する組成物を泡立てることと、泡をバッキング上にコーティングすることと、泡立てられた組成物を重合させることと、によって得ることができる。アクリレートモノマーと任意選択のコモノマーとの未発泡組成物をバッキングにコーティングし、次いで、その組成物の発泡と重合とを同時に行うこともできる。組成物を泡立てることは、発泡体を安定化させるために、任意選択で界面活性剤(例えば、炭化水素若しくはフルオロケミカル界面活性剤)又は表面改質ナノ粒子の存在下で、重合性組成物中にガスを起泡させることによって達成されてもよい。窒素、アルゴン、及び二酸化炭素などの不活性ガスは、特に重合が光開始される場合に有用であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、発泡体の形態の接着フィルムは、中空ポリマー粒子、中空ガラス微小球、及び中空セラミック微小球などの中空充填剤を組み込む。中空ポリマー微小球としては、エラストマー粒子、例えば、Akzo Nobel,Amsterdam,The Netherlandsから商品名「EXPANCEL」で入手可能なものが挙げられる。中空セラミック微小球の例としては、5ミクロン~300ミクロンの範囲内の粒径及び0.7の比重を有するアルミナ/シリカ微小球(「FILLITE」、Pluess-Stauffer International)、約0.45~約0.7の比重を有するケイ酸アルミニウム微小球(「Z-LIGHT」)、0.13の比重を有する炭酸カルシウムコーティングポリビニリデンコポリマー微小球(「DUALITE 6001AE」、Pierce & Stevens Corp.)、並びに3M Company,Saint Paul,Minnesotaにより「3M GLASS BUBBLES」として、等級K1、K15、K20、K25、K37、K46、S15、S22、S32、S35、S38、S38HS、S38XHS、S42HS、S42XHS、S60、S60HS、iM30K、iM16K、XLD3000、XLD6000及びG-65で市販されているグラスバブルズ、並びに「3M GLASS BUBBLES」のHGSシリーズのいずれかが挙げられる。中空微小球を含む発泡体は、シンタクチックフォームと呼ばれる。発泡接着剤は、米国特許第5,024,880号(Vesleyら)に記載されている炭化水素エラストマーも含んでもよい。
【0071】
別の態様によれば、本開示は、多層接着剤アセンブリであって、上述した接着フィルムを含み、その上述した接着フィルムが、第1の接着フィルム層の形態であり、いくつかの実施形態では、第1の接着剤発泡体層の形態であり、多層接着剤アセンブリが、第1の接着フィルム層に隣接する第2の接着剤層を更に踏む、多層接着剤アセンブリを対象とする。
【0072】
このタイプの多層接着剤アセンブリ、及び特に二重層又はスキン-コア-スキン発泡体テープアセンブリは、接着力(瞬間接着力)を第2の接着剤層(一般にスキン層とも呼ばれる)の配合によって調整することができ、一方で、適用の問題、変形の問題、及びエネルギー分布などの総合的なアセンブリのその他の特性/要件が、第1の接着フィルム層(一般にコア層とも呼ばれる)の適切な配合によって対処され得るという点で、単層接着剤と比較すると有利である。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多層接着剤アセンブリは、スキン/コア多層接着剤アセンブリの形態であり、第1の層は、本開示の接着フィルムであり、いくつかの実施形態では、発泡体の形態であり、多層接着剤アセンブリのコア層であり、第2の接着剤層は、多層接着剤アセンブリのスキン層である。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多層接着剤アセンブリは、第3の接着剤層を更に含む、多層接着剤アセンブリの形態であり、それによって、例えば、3層多層接着剤アセンブリを形成する。いくつかの実施形態では、第3の接着剤層は、第2の接着剤層に隣接する第1の接着剤層の面の反対側である、第1の接着剤層の面で第1の接着剤層に隣接する。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の接着剤層は、重ね合わせられる。
【0075】
いくつかの実施形態では、多層接着剤アセンブリは、スキン/コア/スキン多層接着剤アセンブリの形態であり、第1の接着剤層は、発泡体の形態の本開示の接着フィルム層であり、また多層接着剤アセンブリのコア層であり、第2の接着剤層は、多層接着剤アセンブリの第1のスキン層であり、第3の接着剤層は、多層接着剤アセンブリの第2のスキン層である。
【0076】
第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、当該技術分野において共通して既知の任意の組成を有してもよい。したがって、本開示の多層接着剤アセンブリに使用するためのこれらの様々な層の組成は、特に限定されない。
【0077】
いくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリビニルピロリドン、天然ゴム、合成ゴム、及びにこれらの任意の組み合わせ、コポリマー又は混合物からなる群から独立して選択されるポリマー母材を含む。いくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、ポリアクリレート、ポリウレタン、及びこれらの任意の組み合わせ、コポリマー又は混合物からなる群から選択されるポリマー母材を含む。いくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、ポリアクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ、コポリマー又は混合物からなる群から選択されるポリマー母材を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び第3の接着剤層は、独立して、ポリアクリレートポリマー母材を含み、その主なモノマー成分が直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルを含み、いくつかの実施形態では、1個~32個、1個~20個、又は更には1個~15個の炭素原子を含む直鎖若しくは分枝鎖アルキル基を有する、非極性の直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び第3の接着剤層は、独立してポリマー基材を含み、その主なモノマー成分が、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルを含むポリアクリレートからなる群から選択され、その直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソ-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソ-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルは、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、又は2-オクチル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含み、いくつかの実施形態では、イソオクチルアクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、又は2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含む。
【0080】
本開示の多層接着剤アセンブリのいくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、本開示の接着フィルムについて上述した組成と同一又は類似の(コ)ポリマー組成を有する。
【0081】
本開示の多層接着剤アセンブリのいくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、極性モノマー単位を更に含む、ポリアクリレート母材を含む。いくつかの実施形態では、極性コモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、窒素含有アクリレートモノマー、特にアクリルアミド及び置換アクリルアミド、アクリルアミン及び置換アクリルアミン、並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0082】
本開示の多層接着剤アセンブリのいくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、高Tgモノマー単位を更に含む、ポリアクリレート母材を含む。いくつかの実施形態では、高Tgモノマー単位は、イソボルニル(isobomyl)(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含み、いくつかの実施形態では、イソボルニル(メタ)アクリレートを含む。
【0083】
本開示の多層接着剤アセンブリのいくつかの態様によれば、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、粘着付与樹脂、特に炭化水素粘着付与樹脂を更に含む。粘着付与樹脂は、上記のもののいずれかであり得る。有利には、粘着付与樹脂は、C5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物若しくは水素化型からなる群から選択される。
【0084】
本開示の多層接着剤アセンブリのいくつかの実施形態では、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層を製造するために使用される重合性材料は、50重量%~99.5重量%、又は60重量%~95重量%の、第1/主モノマーとしての直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルであって、主モノマーが、好ましくは、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレートからなる群から選択される、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルと、任意選択で、1.0重量%~50重量%、3.0重量%~40重量%、5.0重量%~35重量%、又は10重量%~30重量%の、エチレン性不飽和基を有する第2のモノマーであって、いくつかの実施形態では、高Tgモノマーである、第2のモノマーと、任意選択で、0.1重量%~15重量%、0.5重量%~15重量%、1.0重量%~10重量%、2.0重量%~8.0重量%、2.5重量%~6.0重量%、又は3.0重量%~6.0重量%の、極性モノマー、例えば、極性(メタ)アクリレートと、任意選択で、粘着付与樹脂と、を含み、重量百分率は、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層を製造するために使用される重合性材料の総重量に基づいている。
【0085】
本開示の多層接着剤アセンブリの有利な態様によれば、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層は、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーを更に含む、ポリマー母材を含む。第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層の硬化性前駆体に塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーを組み込むことにより、得られる接着剤層の、特に低表面エネルギー(LSE)基材上での熱結合老化及び熱/湿気結合老化時の安定性を改善することができる。
【0086】
本明細書で使用するために好適な塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーの例としては、下記の商品名で販売されているもの:Eastman Chemical Co.により販売されている「CPO 343-1」;Toyo Kasei Kogyo Co.により販売されている「13-LP」、「15-LP」、「16-LP」及び「17-LP」;DuPont Co.により販売されている「HYPALON CP 827B」、「HYPALON CP 163」及び「HYPALON CP 183」;並びにDow Chemical Co.により販売されている「TYRIN CPE 421 IP」、「TYRIN CPE 6323A」及び「TYRIN CPE 3615P」が挙げられる。好適な塩素化ポリオレフィンとしては、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン/酢酸ビニルコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又はコポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーは、塩素化ポリプロピレンである。
【0087】
いくつかの実施形態では、それらの実施形態のいずれかにおいて上述した多層接着剤アセンブリは、ウェット-オン-ウェットコーティングプロセス工程によって得られる。本明細書で使用するための例示的な「ウェット-イン-ウェット」製造プロセスは、例えば、国際公開第2011094385(A1)号(Hitschmannら)又は欧州特許第0259094(A1)号(Zimmermanら)に記載されている。いくつかの実施形態では、多層接着剤アセンブリを製造するための方法は、ウェット-オン-ウェットコーティングプロセス工程を含む。
【0088】
別の態様によれば、本開示は、その実施形態のいずれかにおいて上述したような多層接着剤アセンブリを製造するためのプロセスであって、プロセスが、第1の接着剤ポリマー層の(液体)前駆体、第2の接着剤層の(液体)前駆体、及び任意選択で第3の接着剤層の(液体)前駆体を重ね合わせ、それによって多層接着剤アセンブリの硬化性前駆体を形成することと、多層接着剤アセンブリの硬化性前駆体を硬化させること、いくつかの実施形態では化学線で硬化させることと、を含む、プロセスである。
【0089】
多層接着剤アセンブリを製造するためのプロセスのいくつかの実施形態では、第2の接着剤層の硬化性(液体)前駆体の(下部)層が、第1の接着剤層の硬化性液体前駆体の隣接(上部)層によって、それぞれ、本質的に、第2の接着剤層の硬化性(液体)前駆体の(下部)層を露出させないで、被覆される。
【0090】
多層接着剤アセンブリを製造するためのプロセスのいくつかの実施形態では、プロセスは、多層接着剤アセンブリを製造するための連続的かつ自己計量式のプロセスである。これらの実施形態のいくつかでは、プロセスは、
基材から互いに独立してオフセットされて基材の表面に垂直な間隙を形成する、2つ以上のコーティングナイフを用意することと、
基材をコーティングナイフに対して下流方向に移動させることと、
第1の接着剤層の硬化性(液体)前駆体、第2の接着剤層の硬化性(液体)前駆体、任意選択で、第3の接着剤層の硬化性(液体)前駆体を、コーティングナイフの上流側に提供し、それによって、2つ以上の硬化性液体前駆体を、基材上に重ね合わせた層としてそれぞれの間隙を通してコーティングすることと、を含む。上記のような多層接着剤アセンブリを製造するための連続的かつ自己計量式の方法を実施することは、国際公開第2011094385(A1)号(Hitschmannら)の開示と共に本開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。特に、多層接着剤アセンブリを製造するための方法のこの特定の態様で使用するためのコーティング装置、コーティングナイフ及びコーティングステーションの好適な設定及び構成は、国際公開第2011094385(A1)号(Hitschmannら)の開示と共に本開示に照らして、当業者によって、容易に識別されるであろう。
【0091】
多層接着剤アセンブリを製造するためのプロセスのいくつかの実施形態では、第1の接着剤ポリマー層、第2の接着剤層、及び任意選択で第3の接着剤層が、別々に調製され、続いて互いに積層される。多層接着剤アセンブリを製造するためのプロセスの他の実施形態では、プロセスは、(共)押出加工工程を含む。多層接着剤アセンブリを製造するためのプロセスの他の実施形態では、プロセスは、米国特許第4,818,610号(Zimmermanら)に記載されている通りである。米国特許第4,818,610号(Zimmermanら)の接着テープは、各々が少なくとも1つの光重合性モノマーを含む液体組成物を、基材上に順次コーティングすることによって調製される。ライナーを最上層に取り付けることができ、複数の重ね合わされた層は、それを照射に供することによって硬化され、接着テープを提供する。
【0092】
接着フィルムは、剥離コーティングで処理されてもよいライナー上に又はライナー間に都合よくコーティングすることができる。ライナー及び剥離コーティングのための任意の好適な材料を使用することができる。いくつかの実施形態では、接着フィルムは、各表面上に異なる剥離特性を有するライナー上にコーティングすることができ、任意選択でロールに巻き取ることができる。
【0093】
本開示の接着フィルム(いくつかの実施形態では、発泡体)及び多層アセンブリは、様々な基材に適用することができる。基材は、可撓性であっても非可撓性であってもよく、ポリマー材料、ガラス若しくはセラミック材料、金属、又はこれらの組み合わせから形成することができる。好適なポリマー基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、及びエチルセルロースから調製されたものなどのポリマーフィルムが挙げられる。発泡体基材を使用してもよい。他の基材の例としては、ステンレス鋼などの金属、金属又は金属酸化物をコーティングしたポリマー材料、及び金属又は金属酸化物をコーティングしたガラスが挙げられる。
【0094】
上記のように、プライマーの存在下で、本開示の接着フィルムは、PSAとして機能する。本開示は、プライマー組成物と、その実施形態のいずれかにおいて上述された接着フィルムと、を含む接着剤系を提供する。接着フィルムは、概して、熱又は放射線を使用せずに適用される場合、プライマー処理された基材表面に接着する。接着フィルムは、概して、共有結合を形成することなく、プライマー処理された基材表面に接着する。例えば、接着フィルムは、概して、プライマー組成物と反応して共有結合を形成しない。接着剤系は、例えば、基材を結合するために有用であり得る。基材を結合する方法は、プライマー組成物を基材に適用することと、次いで接着フィルムを基材に適用することと、を含み得る。プライマー組成物は、接着フィルムが適用される前に、少なくとも5分間、10分間、15分間、30、又は60分間分間、基材上に静置されてもよい。
【0095】
接着剤系及び関連する方法のいくつかの実施形態では、プライマー組成物は、ポリアミド、ポリウレタン、又はポリアクリレートのうちの少なくとも1つを含む。ポリウレタンプライマーは、それらが基材に適用された後に湿気硬化を受けることができるが、それがプライマーに適用されるときに接着フィルムと必ずしも反応しない。他のプライマー組成物は、適用時に反応性ではなく、接着フィルムと反応性ではない。好適なポリアミドプライマーとしては、3M Companyから商品名「3M PRIMER 4297」で入手されるものが挙げられる。好適なポリウレタンプライマーとしては、3M Companyから商品名「3M PRIMER P591」で、Henkelから商品名「TEROSON 8519」及び「TEROSON 8517」で、並びにSikaから商品名「SIKA 210」で入手されるものが挙げられる。好適なポリアクリレートプライマーとしては、3Mから商品名「3M PRIMER 9348」で、及びTesaから商品名「TESA 60153」で入手されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、表面DMT弾性率は、上述の技術を使用してAFMによって決定されると、少なくとも0.5GPa、0.75GPa、0.8GPa、1GPa、又は少なくとも1.5GPaである。
【0096】
本開示の接着フィルム及び多層接着剤アセンブリは、ラベル、テープ、標識、カバー、マーキングの印、ディスプレイの構成成分、及びタッチパネルなどの任意の従来から公知の物品に使用され得る。
【0097】
本開示の接着フィルム及び多層接着剤アセンブリは、特定の基材に対して適宜改変した任意の従来のコーティング技術を使用して、基材上にコーティング/適用され得る。例えば、接着フィルムは、ローラーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、及びダイコーティングなどの方法により、様々な固体基材に適用/コーティングされ得る。これらの様々なコーティング法により、接着剤組成物及びアセンブリを基材上に厚さを変えて定置することが可能となり、それによってアセンブリのより広範な使用が可能となる。
【0098】
本開示による接着フィルム及び多層接着剤アセンブリは、低表面エネルギー(LSE)基材に対する強力な接着結合を形成するのに有用であり得る。このような材料の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン又はHDPE)、ポリプロピレンのブレンド(例えば、PP/EPDM、TPO)、又は更には一部のクリアコート面が挙げられる。基材の表面上にある油性残留物などの残留物又は塗装などのフィルムにより、他の基材も低表面エネルギー特性を有し得る。
【0099】
本開示の接着フィルム及び多層接着剤アセンブリはまた、例えば、ポリアミド6(PA6)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)/ABSブレンド、PC、PVC、ポリウレタン(PUR)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリオキシメチレン(POM)ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などの中表面エネルギー(MSE)基材、一部のクリアコート面、特に自動車のようなビークルのクリアコート又は産業用途用のコート面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料に結合するのに有用であり得る。
【0100】
本開示の接着フィルム及び多層接着剤アセンブリはまた、例えば、セラミック、ガラス、及び金属などの高表面エネルギー(HSE)基材を結合するのに有用であり得る。
【0101】
したがって、本開示は、低表面エネルギー基材、中表面エネルギー基材、及び/又は高表面エネルギー基材への結合のための、上述のような接着剤組成物及びアセンブリの使用を更に対象とする。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルム及び多層接着アセンブリは、実験セクションに記載された静的剪断試験法に従って110℃で測定した場合、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は更には10000分超の静的剪断強度値を有する。
【0103】
本開示の接着フィルム及び多層接着アセンブリを適用することができる基材は、特定の用途に応じて選択される。例えば、多層接着剤アセンブリは、特にその第2及び/又は第3の接着剤層によって、シート製品(例えば、装飾用グラフィック及び反射性製品)、ラベル素材、及びテープのバッキングに適用され得る。加えて、本開示の接着フィルム及び多層接着剤アセンブリは、金属パネル(例えば、自動車パネル)又はガラス窓などの他の基材上に直接適用して、更に別の基材又は物体をパネル又は窓に取り付けることができるようにし得る。
【0104】
したがって、本開示の接着フィルム及び多層接着剤アセンブリは、自動車製造業(例えば、外装品又はウェザーストリップの取り付けのため)、建設業、又はソーラーパネル構築業において特に利用することができる。
【0105】
したがって、本開示は、産業用途、特に建設用途、自動車用途(例えば、トラック、列車、及びバスなどの特殊ビークルを含む)、電化製品、クラッディング、及びディスプレイのための、上記の接着フィルム及びアセンブリの使用を更に対象とする。
【0106】
上述したように、接着フィルムは、概して、熱又は放射線を使用せずに適用された場合、プライマー処理された基材表面に接着する。接着フィルムは、概して、共有結合を形成することなく、プライマー処理された基材表面に接着する。有利には、接着強度を構築するために、接着フィルム中に架橋剤又は反応性化学物質は必要ない。したがって、接着フィルムは、概して、多官能性アジリジン、イソシアネート、若しくはエポキシなどの熱架橋添加剤、又は過酸化物などの化学架橋剤を含まない。また、接着フィルムは、概して、基材に適用された後に活性化される光化学架橋添加剤を含まない。いくつかの実施形態では、本開示の接着フィルムは、多官能性アジリジン、多官能性イソシアネート、多官能性エポキシド、ベンゾフェノン、トリアジン、多官能性カルボキシレート、オキセタン、又はオキサゾリンを含まない。
【0107】
以下の実施例に示されるように、本開示の接着剤系は、少なくとも2MPa又は少なくとも2.5MPaの、アルミニウム上の重なり剪断接着強度を提供することができる。対照的に、比較接着フィルムが、接着フィルムの主成分として、例えば、更なる(メタ)アクリレートコポリマーを含み、その更なる(メタ)アクリレートコポリマーが、更なる(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1重量%~15重量%(いくつかの実施形態では、0.1~11重量%、0.1~10重量%、0.2~10重量%、
0.2~9重量%、0.2~8重量%、0.3~8重量%、0.5~8重量%、0.5~6重量%、1~6重量%、又は更には1~5重量%)の(メタ)アクリル酸モノマー単位を有する場合、アルミニウム上での重なり剪断接着強度は、概ね1.5MPa以下である。
【0108】
項目1は、第1の(メタ)アクリレートコポリマーを含む、接着フィルムであって、
第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、
第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも55重量%の、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位と、
第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位であって、第1の(メタ)アクリレートコポリマーが15重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む場合、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて少なくとも5重量%の、ホモ重合したときに少なくとも50℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを提供する高Tgモノマーのモノマー単位を含む、(メタ)アクリル酸モノマー単位と、
第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1重量%~5重量%の、2つ以上の(メタ)アクリレート基を有する架橋モノマーのモノマー単位と、を含み、
接着フィルムが、5重量%以下の更なる(メタ)アクリレートコポリマーを含み、その更なる(メタ)アクリレートコポリマーが、更なる(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて0.1重量%~15重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、接着フィルムである。
【0109】
項目2は、第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量パーセント(重量%)超、少なくとも15.5重量%、少なくとも16重量%、又は少なくとも17重量%の量で、(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、項目1に記載の接着フィルムである。
【0110】
項目3は、第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15.5重量%~40重量%、16重量%~40重量%、from 16重量%~35重量%、from 16重量%~30重量%、from 16重量%~25重量%、from 17重量%~25重量%、from 17重量%~23重量%、又は17重量%~20重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、項目1又は2に記載の接着フィルムである。
【0111】
項目4は、ホモ重合したときに少なくとも50℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを提供する高Tgモノマーのモノマー単位を更に含む、項目2又は3に記載の接着フィルムである。
【0112】
項目5は、接着フィルムが、25℃及び1ヘルツでレオメーターで測定して、少なくとも0.5メガパスカル又は0.5メガパスカルを超える貯蔵弾性率を有する、項目1~4のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0113】
項目6は、第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、2℃~100℃、2℃~80℃、2℃~60℃、2℃~50℃、2℃~45℃、5℃~45℃、5℃~40℃、5℃~35℃、又は10℃~30℃の範囲のTgを有する、項目1~5のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0114】
項目7は、少なくとも0.3ミリメートル、且つ任意選択で最大6ミリメートル、4ミリメートル、又は2ミリメートルの厚さを有する、項目1~6のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0115】
項目8は、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位が、直鎖若しくは分枝鎖C1~C32(メタ)アクリレートモノマー単位、C1~C24(メタ)アクリレートモノマー単位、又はC1~C18(メタ)アクリレートモノマー単位を含む、項目1~7のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0116】
項目9は、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位が、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、又はイソオクチル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含む、項目1~8のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0117】
項目10は、接着フィルムが発泡体である、項目1~9のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0118】
項目11は、接着フィルムの総重量に基づいて2重量%~30重量%の、ポリマー膨張性微小球又はグラスバブルズのうちの少なくとも1つを含む、項目10に記載の接着フィルムである。
【0119】
項目12は、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを更に含み、その第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15重量%超~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、項目1~11のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0120】
項目13は、接着フィルムの総重量に基づいて65重量%~99重量%、70重量%~95重量%、75重量%~95重量%、75重量%~90重量%、又は75重量%~85重量%の第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、1重量%~35重量%、1重量%~30重量%、2重量%~25重量%、3重量%~25重量%、3重量%~20重量%、4重量%~20重量%、又は4重量%~15重量%の第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、を含む、項目12に記載の接着フィルムである。
【0121】
項目14は、第1の(メタ)アクリレートコポリマー又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの少なくとも1つが、第1又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて15.5重量%~40重量%、16重量%~40重量%、16重量%~35重量%、16重量%~30重量%、16重量%~25重量%、17重量%~25重量%、17重量%~23重量%、又は17重量%~20重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位と、第1又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて60重量%~84.5重量%、65~84重量%、又は77~83重量%の、直鎖若しくは分枝鎖C1~C32(メタ)アクリレートモノマー単位、C1~C24(メタ)アクリレートモノマー単位、又はC1~C18(メタ)アクリレートモノマー単位と、を含む、項目12又は13に記載の接着フィルムである。
【0122】
項目15は、
接着フィルムの総重量に基づいて65重量%~99重量%、70重量%~95重量%、75重量%~95重量%、75重量%~90重量%、又は更には75重量%~85重量%の第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
1重量%~35重量%、1重量%~30重量%、2重量%~25重量%、3重量%~25重量%、3重量%~20重量%、4重量%~20重量%、又は4重量%~15重量%の第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、
任意選択で、2重量%~30重量%、2重量%~20重量%、又は2重量%~15重量%の、膨脹性微小球又はグラスバブルズのうちの少なくとも1つを含む充填剤材料と、を含む、項目12~14のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0123】
項目16は、粘着付与樹脂を実質的に含まず、特に炭化水素粘着付与樹脂を含まない、項目1~15のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0124】
項目17は、接着フィルムが、第1の(メタ)アクリレートコポリマーを含む第1の層と、第1の層に隣接する第2の接着剤層と、を含む多層接着剤アセンブリである、項目1~16のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0125】
項目18は、スキン/コア多層接着剤アセンブリの形態であり、第1の(メタ)アクリレートコポリマーを含む第1の層が多層接着剤アセンブリのコア層であり、第2の接着剤層が多層接着剤アセンブリのスキン層である、項目17に記載の接着フィルムである。
【0126】
項目19は、第2の接着剤層に隣接する第1の接着剤層の側とは反対の第1の接着剤層の側で、第1の接着剤層に隣接する第3の接着剤層を更に含む、多層接着剤アセンブリの形態である、項目17又は18に記載の接着フィルムである。
【0127】
項目20は、スキン/コア/スキン多層接着剤アセンブリの形態であり、第1の接着剤層が多層接着剤アセンブリのコア層であり、第2の接着剤層が多層接着剤アセンブリの第1のスキン層であり、第3の接着剤層が多層接着剤アセンブリの第2のスキン層である、項目19に記載の接着フィルムである。
【0128】
項目21は、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層が、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリビニルピロリドン、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの任意の組み合わせ、コポリマー又は混合物からなる群から選択されるポリマー母材を含む、項目17~20のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0129】
項目22は、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層が、1個~32個、1個~20個、又は1個~15個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル基を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレート単位を含む、ポリアクリレートポリマーを含む、項目17~21のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0130】
項目23は、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレート単位が、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、又はブチルアクリレート単位のうちの少なくとも1つを含む、項目22に記載の接着フィルムである。
【0131】
項目24は、ポリアクリレートポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、窒素含有アクリレートモノマー、特にアクリルアミド及び置換アクリルアミド及びアクリルアミン及び置換アクリルアミン並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物のうちの少なくとも1つのモノマー単位を含む、極性モノマー単位を更に含む、項目22又は23に記載の接着フィルムである。
【0132】
項目25は、ポリアクリレートポリマーが、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキシル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つのモノマー単位を更に含む、項目22~24のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0133】
項目26は、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層が、粘着付与樹脂、特に炭化水素粘着付与樹脂を含む、項目17~25のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0134】
項目27は、粘着付与樹脂が、C5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、又はC5/C9系炭化水素樹脂のうちの少なくとも1つを含む、項目26に記載の接着フィルムである。
【0135】
項目28は、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層が、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、又は塩素化エチレン/酢酸ビニルコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーを更に含む、項目17~27のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0136】
項目29は、第2の接着剤層及び/又は第3の接着剤層が独立して、項目1~16のいずれか1つに記載の接着フィルムである、項目17~28のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0137】
項目30は、ウェット-オン-ウェットコーティングプロセス工程によって得られる、項目17~29のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0138】
項目31は、項目12~16のいずれか1つに記載の接着フィルムを製造するためのプロセスであって、
第2の(メタ)アクリレートコポリマーを、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、架橋モノマー、及び重合開始剤を含む、硬化性前駆体組成物に組み込むことと、
第2の(メタ)アクリレートコポリマーの存在下で、直鎖若しくは分枝鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、架橋モノマーを重合させて、(メタ)アクリレートコポリマーを形成することと、を含む、プロセスである。
【0139】
項目32は、第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、フリーラジカル重合、特に本質的に無溶媒の重合法によって、特に本質的に断熱の重合反応によって得られる、項目31に記載のプロセスである。
【0140】
項目33は、第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、10%~60%、20%~55%、30%~50%、又は50%までの範囲のポリマー転化率を有するプレポリマー組成物として得られる、項目31又は32に記載のプロセスである。
【0141】
項目34は、項目17~30のいずれか1つに記載の接着フィルムを製造するためのプロセスであって、
第1の接着剤層の(液体)前駆体、第2の接着剤層の(液体)前駆体、及び任意選択で第3の接着剤層の(液体)前駆体を重ね合わせ、それによって、多層接着剤アセンブリの硬化性前駆体を形成することと、
多層接着剤アセンブリの硬化性前駆体を硬化させることと、を含む、プロセスである。
【0142】
項目35は、硬化性前駆体の硬化が化学線を用いて実施される、項目34に記載のプロセスである。
【0143】
項目36は、第2の接着剤層の硬化性(液体)前駆体の(下部)層が、第1の接着剤ポリマー層の硬化性液体前駆体の隣接(上部)層によって、それぞれ、本質的に、第2の接着剤層の硬化性(液体)前駆体の(下部)層を露出させないで、被覆される、項目34又は35に記載のプロセスである。
【0144】
項目37は、(共)押出加工工程を含む、項目36に記載のプロセスである。
【0145】
項目38は、第1の接着剤層、第2の接着剤層、及び任意選択で第3の接着剤層が、別々に調製され、続いて互いに積層される、項目37に記載のプロセスである。
【0146】
項目39は、接着フィルムが、熱又は放射線を使用せずに適用される場合に、プライマー処理された基材表面に接着する、項目1~30のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0147】
項目40は、接着フィルムが、共有結合を形成することなく、プライマー処理された基材表面に接着する、項目1~30又は39のいずれか1つに記載の接着フィルムである。
【0148】
項目41は、プライマー組成物と、項目1~30、39、及び40のいずれか1つに記載の接着フィルムと、を含む接着剤系であって、接着フィルムが、プライマー組成物と反応して共有結合を形成しない、接着剤系である。
【0149】
項目42は、プライマー組成物が、ポリアミド、ポリウレタン、又はポリアクリレートのうちの少なくとも1つを含む、項目41に記載の接着剤系である。
【0150】
項目43は、基材を結合するための、項目41又は42に記載の接着剤系の使用又は使用方法である。
【0151】
項目44は、基材が、低表面エネルギー基材、中表面エネルギー基材、及び/又は高表面エネルギー基材である、項目43に記載の使用又は方法である。
【0152】
項目45は、基材が建設産業又は自動車産業において有用である、項目43又は44に記載の使用又は方法である。
【0153】
以下の実施例により本開示を更に例示する。これらの実施例は、単に例示する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0154】
【0155】
試験方法:
試験に使用する試験基材:
ステンレス鋼(SS)プレート(「Edelstahl 1.4301 IIID」、150mm×50mm×2mm)を、Rocholl GmbH,Eschenbronn,Germanyから入手した。
【0156】
アルミニウム(Al)基板(1インチ×2インチ×0.064インチ(2.5cm×5cm×1.1mm))を、Rocholl GmbH,Eschenbronn,Germanyから入手した。
【0157】
試験に先立って、基材を以下のように洗浄した:まず、Al及びSSプレートを、MEK及びn-ヘプタンで洗浄し、ティッシュで乾燥させ、次いで、MEKで洗浄し、ティッシュで乾燥させた。
【0158】
300mm/分での90°剥離試験(試験法Finat No.2による)
本開示による接着フィルムであり幅10mm及び長さ>175mmを有するものを、試料材料から縦方向に切り出した。
【0159】
試験試料の調製のために、ライナーを最初に一方の接着剤側から取り外し、以下の寸法22×1.6cmのアルミニウムストリップ上に置いた。次いで、各PSAストリップの接着剤コーティングされた側を、ライナーが取り外された後、その接着剤側が、軽い指圧を使用してプライマー処理されたステンレス鋼試験パネル(「3M PRIMER 4297」でプライマー処理された)上で下になる状態にして置いた。次に、試験試料を、標準FINAT試験ローラー(重量6.8kg)を用い、毎秒およそ10mmの速度で各方向に2回ロール掛けし、接着剤の塊と表面との間で密着させた。接着剤組成物及びアセンブリのストリップを試験パネルに適用した後、試験に先立って周囲室温(23℃+/-2℃、相対湿度50%+/-5%℃)にて24時間又は72時間、試験試料を放置した。
【0160】
剥離試験のために、第1の工程おいて、Zwick引張試験機(Model Z020、Zwick/Roell GmbH,Ulm,Germanyから市販)の下方可動掴み具に、試験試料を締め付け固定した。感圧接着剤フィルムストリップを、90°の角度にて折り返し、その自由端を、90°剥離測定用に一般に利用される構成で引張試験機の上方掴み具内に把持した。引張試験機を、毎分300mmの掴み具分離速度に設定した。試験結果を、10mm当たりのニュートン(N/10mm)で表した。記録した剥離値は、2回の90°剥離測定値の平均であった。
【0161】
1000g、110℃での静的剪断試験(FINAT試験法No.8.第8版2009)
静的剪断は、接着剤の凝集性又は内部強度の尺度であった。静的剪断は、接着フィルムの基準面積を、一定の標準荷重の応力下で試験パネルから引っ張るのに要する時間の単位(分)で測定された。
【0162】
幅25mm及び長さ12.7mmのストリップを、接着フィルムから縦方向に切り出した。1つの剥離ライナーをストリップから取り外し、PSA試料を、その露出した接着剤表面を通して陽極酸化アルミニウムバッキング上に付着させた。次いで、第2の剥離ライナーを取り外し、PSA試料を「3M PRIMER 4297」でコーティングされた試験基材に付着させ、25mm×12.7mmの接着領域を提供し、軽い指圧を使用した。標準的なFINAT試験ローラー(6.8kg)で、毎秒およそ10mmの速度で各方向に1回ロール掛けし、接着剤の塊と基材表面との間で密着させた。PSAストリップを試験プレートに適用した後、試験プレートを試験前に24時間にわたって室温で放置した。規定の重量を保持するために、試験ストリップの末端にループを作った。試験パネルを、剪断保持デバイスに定置した。110℃の試験温度で15分間の放置時間後、1000gの荷重がループに取り付けられた。タイマーをスタートさせた。結果を分単位で記録した。結果は、3回の剪断測定値の平均である。「10000+」という記録時間は、接着剤が10000分後に損傷しないことを示した。
【0163】
ASTMD 1002/DIN EN 1465に基づくシングルラップ剪断試験(重なり剪断試験)
重なり剪断(OLS)を使用して、接着フィルムの凝集性又は内部強度を測定した。上述したアルミニウム基材をMEKで洗浄し、次いでグリッドサンドブラストし、MEKで洗浄し、続いて10分間空気乾燥させた。次いで、基材を「3M PRIMER 4297」プライマーでプライマー処理した。約2インチがコーティングされるように、3M Companyによって供給されたウールダバーによってプライマー処理を行った。接着剤を適用する前に、プライマー処理した基材を最低10分間空気乾燥させた。接着剤の1インチ(2cm)ストリップを切断することによって、試験片を作製した。1つのライナーを取り外し、基材のプライマー処理された部分にわたって接着剤を置いた。2インチ(5.1cm)の堅いゴムローラーを使用して、接着剤の完全な接触を確実にした。上部剥離ライナーを取り外して接着剤を露出させ、それを第2のプライマー処理された基材に導入することによって、結合を形成した。次いで、閉じた結合部に約150Nの圧力を30秒間加え、結合した試験アセンブリを室温(23℃+/-2℃、50%相対湿度+/-5%℃)で3日間放置した後、試験した。Zwick引張試験機(Zwick/Roell GmbH,Ulm,Germanyから市販されているModel Z020)を使用して、23℃で動的重なり剪断試験を実施した。試験片をグリップに装填し、クロスヘッドを1分当たり1インチ(2.5mm)で動作させ、試験片に荷重をかけて破壊した。破断応力は、ASTM D1002に開示されている試験方法を使用して、MPaの単位で記録した。結果を下記の表4及び表5に報告する。各実施例及び比較例の破壊モードは凝集破壊であった。
【0164】
剪断貯蔵弾性率
平行板形状(8mm)を備えた、1Hzの一定振動数での振動剪断モードの歪み制御レオメーターを使用した(TA Instruments,159 Lukens Drive,New Castle,DE 19720,USAから入手可能なモデルARES G2)。直径8mm及び厚さ0.6mmの円形ダイカット試料を、5℃/分の加熱速度を適用して-50℃~+150℃の温度勾配に曝露させた。振動歪み及び法線力制御を、試料と測定幾何形状との間の適切な接触及び試料材料の線形粘弾性領域内の変形レベルが全温度範囲にわたって維持されるように調整した。ガラス転移を、損失正接のピーク温度として決定した。複素弾性率、貯蔵弾性率及び損失正接を全温度範囲にわたって監視し、具体的には25℃で決定した。テープ配合物の比較のために、複素弾性率を評価した。複素弾性率を、ダールキスト評価基準を反映する貯蔵弾性率、及び損失弾性率と貯蔵弾性率との比であるそれぞれの損失正接tan5によって決定した。
【0165】
第2のアクリレートコポリマーの調製:
第2の(メタ)アクリレートコポリマー(以下、コポリマー2と呼ぶ)を以下のように調製した。重合は、Buchi Poly caveステンレス鋼反応器(Buchi Labortechnik GmbH,City,The Netherlandsから入手可能)を使用して行った。重合の第1工程において、Btichi反応器に、EHA(80重量%)、AA(20重量%)、IOTG(0.04重量%)及び3ppmの「VAZO 52」開始剤の混合物250グラムを投入した。反応器を封止し、酸素をパージし、次いで、およそ1バールの窒素圧を保持した。反応混合物を60℃に加熱し、反応は断熱的に進行した。反応ピーク温度は110℃であった。反応が完了したとき、混合物を50℃未満に冷却した。重合転化率はおよそ35%前後であった。
【0166】
実施例1~6への前駆体:
実施例1~6の前駆体組成物は、最初に、C8アクリレート(EHA)及びアクリル酸(15重量%~20重量%)並びに以下の表2に示す他の高Tgモノマーを含む、重合前駆体組成物中に、上述のコポリマー2を希釈することによって調製した。常に、得られた組成物を、ローリングベンチ(Labortechnik Frobel,Germanyから入手可能なModel LD 209)プロペラ撹拌機で約24時間振盪することによって(150U/分)混合し、透明な均質混合物が得られると混合を停止した。次いで、光開始剤OMNIRAD 651、HDDA架橋剤、及びヒュームドシリカ粒子を添加し、再度約24時間振盪することによって混合した。第3の工程では、グラスバブルズを添加し、混合物をプロペラ撹拌機(300U/分)で5分間撹拌して分散させた。実施例1~6の重合前駆体組成物の正確な配合を、下記の表2に列挙する。対応する第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの存在下で、in-situで形成された。
【0167】
実施例7、例示的実施例8、実施例FL-9、及びスキン層1~6の前駆体:
実施例7及びFL-9、例示的実施例8、並びにスキン層1~6の前駆体は、C8アクリレート(2-EHA)とアクリル酸とIBOAと、を含むモノマー組成物を、0.04pphの光開始剤とガラス容器内で組み合わせることによって調製した。UV曝露を開始する前に、混合物に窒素を10分間流した。また、空気をシロップに加えることによって重合プロセスを停止させるまで、混合物中に窒素を常にバブリングした。常に、混合物をプロペラ撹拌機(300回転/分(U/分))で撹拌し、ブルックフィールド粘度計(Model DV1 Digital Viscosimeter,Hadamar-Steinbach,Germany)、T=25℃、スピンドル4.12rpmで測定して、2800mPas~4000mPasの粘度に達したときに反応を停止させた。次いで、光開始剤OMNIRAD 651、HDDA架橋剤、DCPA、及びヒュームドシリカ粒子を添加し、再び混合した。第3の工程では、グラスバブルズを添加し、混合物をプロペラ撹拌機(300U/分)で5分間撹拌して溶解/分散させた。重合前駆体組成物の正確な配合を以下の表2及び表3に列挙する。
【0168】
【0169】
【0170】
実施例1~実施例7及び例示的実施例8(Ex1~Ex7及びIE8)の調製
実施例1~実施例7及び例示的実施例8の液体前駆体を、基材表面から計算して、米国特許第4,818,610号(Zimmermanら)に記載されている方法に従って、実験室コーター上で600マイクロメートルのギャップにてコーティングした。接着フィルムを、2つのポリエステルフィルムライナー(「HOSTAPHAN 2SLK」、Mitsubishi Polyester Film GmbH,Wiesbaden,Germany)の間で硬化させた。硬化は、0.70m/分に設定されたライン速度で、300cmの長さを有するUV硬化ステーションにおいて、上面と下面との両方から実現された。上面から下面まで累積的に照射される総照射強度は、およそ3mW/cm2であった。
【0171】
実施例9~実施例14(Ex9~Ex14)の多層感圧接着剤アセンブリの調製
感圧接着剤層スキン層SL-1~SL-6及び実施例9の発泡体の前駆体を、米国特許第4,818,610号(Zimmermanら)に記載されている方法に従って、実験室コーター内で互いに重ね合わせた。これにより、感圧接着剤スキン層(例えば、SL-1)の液体前駆体を、発泡体コア層EX-9の底部にコーティングした。ナイフ高さ設定は、第1のナイフ(感圧接着剤スキン層SL-1~SL-6用)については120pmであり、第2のナイフ(ポリマー発泡体コア層EX-9用)については620~640pmであり、両方のレベルは、基材表面から計算された。実施例1~7について上述された2つのライナー間の硬化は、1.00m/分に設定されたライン速度で、300cmの長さを有するUV硬化ステーションにおいて、上面と下面との両方から実現された。上部から底部まで累積的に照射される総照射強度は、およそ3mW/cm2であった。
【0172】
結果:
【0173】
【0174】
【0175】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲及びその均等物のいずれかに示される限定によって制限されるべきものである。
【国際調査報告】