(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】体外血液浄化処置のための体外循環路から液状生体サンプルを取得する方法、および関連する装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
A61M1/16 109
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535676
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 IB2022062318
(87)【国際公開番号】W WO2023119085
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021000032621
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506075182
【氏名又は名称】ポリテクニコ ディ トリノ
(71)【出願人】
【識別番号】524224021
【氏名又は名称】ウニベルシタ デグリ スタディ ディ フィレンツェ
(71)【出願人】
【識別番号】524222430
【氏名又は名称】アジエンダ オスペダリエロ ウニベルシタリア ディ カレッギ
(71)【出願人】
【識別番号】524222441
【氏名又は名称】アジエンダ オスペダリエラ ウニベルシタリア メイヤー アイアールシーシーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カウダ、ヴァレンティナ
(72)【発明者】
【氏名】アンコナ、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッラ、ジアンルカ
(72)【発明者】
【氏名】ロマグノリ、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】リッチ、ザッカリア
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD13
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH05
4C077HH12
4C077HH17
(57)【要約】
本発明は、患者(101)に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得する方法に関し、前記方法はサンプリングフェーズを備え、ここで:I)前記体外循環路の第1のサンプリングポート(131)は、第1の液圧機械(141)を介して第1の収集チャンバ(151)と流体連通しており、前記第1のサンプリングポート(131)は、前記体外循環路のヘモダイアフィルタ(115)へ入力されている第1の血液ライン(111)に動作可能に接続されており;II)前記体外循環路の第2のサンプリングポート(132)は、第2の液圧機械(142)を介して第2の収集チャンバ(152)と流体連通しており、前記第2のサンプリングポート(132)は、前記ヘモダイアフィルタ(115)から出力されている第2の血液ライン(112)に動作可能に接続されており;III)前記体外循環路の第3のサンプリングポート(133)は、第3の液圧機械(143)を介して第3の収集チャンバ(153)と流体連通しており、前記第3のサンプリングポート(133)は、前記ヘモダイアフィルタ(115)の排液ライン(113)に動作可能に接続されており、前記方法は、前記第1の液圧機械(141)が前記第1の収集チャンバ(151)を第1の生体サンプル(A)で充填し、前記第2の液圧機械(142)が前記第2の収集チャンバ(152)を第2の生体サンプル(B)で充填し、前記第3の液圧機械(143)が前記第3の収集チャンバ(153)を第3の生体サンプル(C)で充填し、前記第1の液圧機械(141)、前記第2の液圧機械(142)、および前記第3の液圧機械(143)がフローレート値(P)で同時にアクティブ化されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得する方法であって、前記方法はサンプリングフェーズを備え、ここで:
I)前記体外循環路の第1のサンプリングポートは、第1の液圧機械を介して第1の収集チャンバと流体連通しており、前記第1のサンプリングポートは、前記体外循環路のヘモダイアフィルタへ入力されている第1の血液ラインに動作可能に接続されており;
II)前記体外循環路の第2のサンプリングポートは、第2の液圧機械を介して第2の収集チャンバと流体連通しており、前記第2のサンプリングポートは、前記ヘモダイアフィルタから出力されている第2の血液ラインに動作可能に接続されており;
III)前記体外循環路の第3のサンプリングポートは、第3の液圧機械を介して第3の収集チャンバと流体連通しており、前記第3のサンプリングポートは、前記ヘモダイアフィルタの排液ラインに動作可能に接続されており、
前記第1の液圧機械が前記第1の収集チャンバを第1の生体サンプルで充填し、前記第2の液圧機械が前記第2の収集チャンバを第2の生体サンプルで充填し、前記第3の液圧機械が前記第3の収集チャンバを第3の生体サンプルで充填し、前記第1の液圧機械、前記第2の液圧機械、および前記第3の液圧機械がフローレート値で同時にアクティブ化される、方法。
【請求項2】
-分析フェーズ、この中で前記第1の生体サンプル、第2の生体サンプル、および第3の生体サンプルの各々が、それぞれ少なくとも第1のシェア、第2のシェア、および第3のシェアへと更に分割され、ここで前記第1のシェアは0~500ダルトンの第1の分子量値を有する第1の溶質に関係し、前記第2のシェアは、501~5,000ダルトンの第2の分子量値を有する第2の溶質に関係し、前記第3のシェアは、5,001~100,000ダルトンの第3の分子量値を有する第3の溶質に関係し、ここで前記第1の溶質の濃度値、前記第2の溶質の濃度値、および前記第3の溶質の濃度値が第1のシェア、第2のシェア、および第3のシェアの各々に関して判定される;
-第1の処理フェーズ、この中で第1の質量平衡誤差、第2の質量平衡誤差、および第3の質量平衡誤差が、前記第1の溶質の前記濃度値、前記第2の溶質の濃度値、および前記第3の溶質の濃度値のうちの少なくとも1つに基づいて判定され、前記第1の質量平衡誤差は前記第1の溶質に関係し、前記第2の質量平衡誤差は前記第2の溶質に関係し、前記第3の質量平衡誤差は、前記第3の溶質に関係する;
-第2の処理フェーズ、この中で前記第1の質量平衡誤差、第2の質量平衡誤差、および第3の質量平衡誤差の各々が-10%および+10%の間に含まれる場合、前記第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の各々に関して、クリアランス値および/またはふるい係数、または排液飽和係数が判定される
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の溶質の前記濃度値、前記第2の溶質の濃度値、および前記第3の溶質の濃度値の各々は、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、電位差測定法のうちの1または複数に従って判定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得する装置であって、前記装置は第1の液圧機械、第2の液圧機械、第3の液圧機械を備え、
I)前記第1の液圧機械を介して前記体外循環路の第1のサンプリングポートと流体連通しているように適合されている第1の収集チャンバ、前記第1のサンプリングポートは前記体外循環路のヘモダイアフィルタへ入力されている第1の血液ラインに動作可能に接続されている;
II)前記第2の液圧機械を介して前記体外循環路の第2のサンプリングポートと流体連通しているように適合されている第2の収集チャンバ、前記第2のサンプリングポートは前記ヘモダイアフィルタから出力されている第2の血液ラインに動作可能に接続されている;
III)前記第3の液圧機械を介して前記体外循環路の第3のサンプリングポートと流体連通しているように適合されている第3の収集チャンバ、前記第3のサンプリングポートは、前記ヘモダイアフィルタの排液ラインに動作可能に接続されている、
を備え、
前記第1の液圧機械が前記第1の収集チャンバを第1の生体サンプルで充填するように適合されており、前記第2の液圧機械が前記第2の収集チャンバを第2の生体サンプルで充填するように適合されており、前記第3の液圧機械(が前記第3の収集チャンバを第3の生体サンプルで充填するように適合されており、前記第1の液圧機械、前記第2の液圧機械、および前記第3の液圧機械がフローレート値で同時にアクティブ化可能である、装置。
【請求項5】
貯蔵ユニットは、前記第1の収集チャンバ、前記第2の収集チャンバ、および前記第3の収集チャンバを含み、前記貯蔵ユニットは液状生体サンプルの取得のための前記装置から取り外し可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
分析装置あって、
-第1の生体サンプルを備える第1の収集チャンバ、第2の生体サンプルを備える第2の収集チャンバ、および第3の生体サンプルを備える第3の収集チャンバを受け;
-前記第1の生体サンプル、第2の生体サンプル、および第3の生体サンプルの各々を、それぞれ少なくとも、第1のシェア、第2のシェア、および第3のシェアへと更に分割し、前記第1のシェアは、0~500ダルトンの第1の分子量値を有する第1の溶質に関係し、前記第2のシェアは、501~5,000ダルトンの第2の分子量値を有する第2の溶質に関係し、前記第3のシェアは、5,001~100,000ダルトンの第3の分子量値を有する第3の溶質に関係する;
-前記第1のシェア、第2のシェア、および第3のシェアの各々に関して、前記第1の溶質の濃度値、前記第2の溶質の濃度値、および前記第3の溶質の濃度値を判定し;
-第1の質量平衡誤差、第2の質量平衡誤差、および第3の質量平衡誤差を、前記第1の溶質の前記濃度値、前記第2の溶質の濃度値、および前記第3の溶質の濃度値のうちの少なくとも1つに基づいて判定し、前記第1の質量平衡誤差は前記第1の溶質に関係し、前記第2の質量平衡誤差は前記第2の溶質に関係し、前記第3の質量平衡誤差は、前記第3の溶質に関係する;
-前記第1の質量平衡誤差、第2の質量平衡誤差、および第3の質量平衡誤差の各々が-10%および+10%の間に含まれる場合、前記第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の各々に関して、クリアランス値、および/またはふるい係数、または排液飽和係数を判定する
ように適合されているアクチュエータ手段、センサ手段、メモリ手段、および処理手段を備える、分析装置。
【請求項7】
前記第1の溶質の前記濃度値、前記第2の溶質の濃度値、および前記第3の溶質の濃度値の各々は、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、および電位差測定法のうちの1または複数に従って判定され得る、請求項6に記載の分析装置。
【請求項8】
貯蔵ユニットは、前記第1の収集チャンバ、前記第2の収集チャンバ、および前記第3の収集チャンバを含み、前記貯蔵ユニットは前記分析装置から取り外し可能である、請求項6に記載の分析装置。
【請求項9】
患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するシステムであって、前記システムは、互いと動作可能に接続されている、患者に体外血液浄化処置を施すための機械、請求項4または5に記載の液状生体サンプルを取得する装置、および前記体外循環路を備える、システム。
【請求項10】
請求項6から8のうちの何れか一項に記載の分析装置を備える、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法に関する。特に、本明細書で説明されるのは、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法、液状生体サンプルを取得するための装置、取得した液状生体サンプルを分析するための装置、および対応するシステムである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、患者および/または当該患者に実施されている体外処置の1または複数のパラメータ、例えば、溶質の血中濃度、実現されたクリアランス値、および/またはふるい係数値などをモニタリングするために使用され得る。本発明は、例えば、血液透析(haemodialysis:HD)、血液ろ過(haemofiltration:HF)、血液透析ろ過(haemodiafiltration:HDF)のような体外血液浄化処置のために使用され得る。特に、本発明は、急性腎障害に悩まされる患者の腎臓機能を支援するために集中治療の場面で頻繁に使用される集中治療透析処置、例えば持続的腎機能代替療法(Continuous Renal Replacement Therapy:CRRT)処置、持続的動静脈血液ろ過(Continuous Artero Venous Haemofiltration:CAVH)処置、および持続的静静脈血液ろ過(Continuous Veno Venous Haemofiltration:CVVH)処置などのために使用され得る。そのようなCRRT、CAVHおよびCVVH処置は、体外血液浄化機械を用いて、患者の血液組織に連続的な体外処置を施す。患者の生理的腎機能と同様に、そのような処置は、体外循環路のヘモダイアフィルタ内の人工半透性血液透析ろ過膜を通じて廃棄溶質および物質の除去を可能にする。溶質は、濃度差によって(拡散クリアランス)、圧力差によって(対流クリアランス)、および直接吸収によってそのような膜を通過し得る。
【0003】
そのような透析処置の結果として必要な浄化の量は、浄化ドーズの概念を特定する。ポソロジを表す投薬ドーズとまさに同様に、浄化ドーズは、透析処置において、所与の溶質に関して得られるべきクリアランス量を規定する。クリアランス、すなわち時間単位あたりにある物質が浄化される血液の量は、血液透析ろ過膜が、例えば濃度または圧力勾配によって溶質を通す容量に主に関連する溶質依存の概念である。この現象は、溶質の分子サイズおよび膜の細孔サイズの間の比率に依存し;一般的に、溶質のサイズが大きければ、血液透析ろ過膜の細孔を通過する溶質の容量はより低くなり、したがって、患者の血液からそのような溶質が排除される可能性がより低くなる。
【0004】
特に、血液透析ろ過膜を通過し、次に処置によって生成される廃液と共に排除される溶質の容量は、処置中に、非常に劇的にかつ予期せず減少するので、患者に対し実際に実現される浄化ドーズ、すなわち、クリアランスは、処方された浄化ドーズとは体系的に異なることになる。この現象は、溶質のサイズに応じて溶質の除去に影響を与え、一般的に血液透析ろ過膜を通過することがより困難なより大きな溶質に関してより顕著である。そのような膜透過クリアランス低減の理由は、たんぱく質膜付着および局所凝固活性化を含む複数の現象が、患者の血液組織から除去される必要がある溶質の膜透過通過を著しく低減させる確率的プロセスである膜ファウリングとして公知の概念へと集約され得る。
【0005】
結果として得られる不本意なアンダートリートメントは、実現されたクリアランス(すなわち、現在の実効的な実現されたドーズ)を注意深く頻繁にモニタリングすることが急性透析品質イニシアチブ(Acute Dialysis Quality Initiative:ADQI)すなわちこの分野で最も権威ある国際科学団体によって現在強く推奨されているほどの程度まで、患者の臨床状態に悪影響を及ぼし得る。
【0006】
実現されたクリアランスを測定するための本技術分野で現在公知の技法は、特定の手続きに従って体外循環路の予め規定された点から、血液および排液とも称される廃液のサンプルを少なくとも1回は手動で採取することを必要とし;また、そのような生体サンプルは、検査下の溶質、すなわち急性腎臓疾患の最中に尿毒滞留を表す溶質として従来選択される尿素の濃度の定量化のために研究所へ送られなければならない。
【0007】
実現されたクリアランスを測定するための本技術分野で現在公知の技法は、下記に例示される複数の欠点に悩まされる。
【0008】
第1の欠点は、そのような技法が極めて複雑であるという事実に起因する:実際、適切な生体サンプリング手続きは、3人の医療専門家が互いに協働して、2つの血液サンプルおよび1つの排液液体サンプルを、体外循環路から、例えばシリンジを用いて手動で採取することを必要とする。そのような状況では、しばしば医療専門家にとっての高い生物学的リスクおよびまた評価プロセス全体を無効にし得るサンプリング誤差の高いリスクが存在する。さらに、空間が狭く職員が数において欠如している集中治療の場面において、サンプリングプロセスにおいて3人の異なる専門家が関与することはしばしば不可能である。
【0009】
第2の欠点は、検査下の溶質の濃度値は一般的に、リアルタイムにではなく、収集のおよそ4~6時間後になって入手可能になるという事実に由来する。実際のところ、取得された生体サンプルは、非標準の操作手続きに従って検査下の溶質の定量化のために分析研究所へ送られなければならない。そのような手続きは、多くの場合分析研究所へリクエストを正しく送信することが欠如しており、当該分析研究所では複数の異なる生体サンプルを受け取ったことおよび血液または尿のいずれにも相当しない排液液体のサンプルの性質に起因して混乱が起き得る。結果的に、リクエストの性質を明確化するために研究所との更なるやりとりがしばしば必要であり、ひいてはレスポンスタイムが更に延長され、医療従事者に要求される組織的エンゲージメントが増大する。これは実現されたクリアランスの過去の評価を可能にするだけである。しかしながら、体外クリアランスを調節することを目的として処方された浄化ドーズの患者の実際の代謝要求に対して動的に修正するには、実現されたクリアランスが実質的にリアルタイムでモニタリングされることが必要であることが公知である。
【0010】
更なる欠点は、尿素が、実現されたクリアランスを測定するために評価対象になる唯一の溶質とみなされるので、そこで得られた結果は、尿素の分子量と類似の、すなわち数ダルトン程度の分子量を有する溶質とのみ一致する可能性があるという事実に起因する。しかしながら、集中治療の場面でのCRRT処置の対象は、主に例えば、ミオグロビンまたは循環血液サイトカインなどの中型から大型の溶質からなることが公知である。結果的に、尿素を使用して得られた実効的な実現された浄化ドーズの測定値は、透析処置の標的溶質の体外クリアランスを表さない。
【0011】
更に別の欠点は、実現されたクリアランスの計算には、複雑な数学モデルの使用が必要となり、これがサンプリングを行い、分析をリクエストする医療従事者にとって多くの場合未知であるという事実にある。これは、実現されたクリアランスの評価における誤差のより高いリスクを示唆する。
【0012】
サンプリングプロセスの複雑さ、サンプルを送ることおよび研究所分析を実行することのために必要な長い時間、および必要な数学的計算の複雑さに関しての上記の観察に照らして、実効的な実現された浄化ドーズは通常、現時点では、推奨されるにもかかわらず臨床業務中に定量化されない。また、尿素のみに関して体外クリアランスを定量化することは、得られる情報を、そのような溶質の分子サイズと類似の分子サイズを有する溶質に限定してしまう。
【発明の概要】
【0013】
したがって、本発明の1つの目的は、従来技術のこれらのおよび他の問題を解決することであり、特に、その複雑さを低減しその安全性を高めつつ、サンプリングプロセスを自動化することを可能にする、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法、取得装置、分析装置、およびシステムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、リアルタイムで、または従来技術よりもいずれにしても少ない時間で体外クリアランスを計算するために必要な結果を得ることを可能にする、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法、取得装置、分析装置、およびシステムを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、尿素のもの以上の分子サイズを有する2またはそれよりも多くの溶質に関して体外クリアランスを定量化することを可能にする、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法、取得装置、分析装置、およびシステムを提供することである。
【0016】
簡潔に述べると、本発明は、小、中、および大の分子量を有する溶質に関する体外クリアランス値の自動リアルタイム判定を用いた、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路からの液状生体サンプルの自動化された取得に関する。
【0017】
本発明の有利な特徴は、本明細書の不可欠な一部である添付の特許請求の範囲において記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで、本発明は、添付の図面を具体的に参照して、そのいくつかの非限定的な例示的な実施形態を通じて、詳細に説明される。
【
図1】本発明の1つの実施形態による、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するためのシステムの概略図である。
【
図2】
図1のシステムの分析装置の例示的なブロック図である。
【
図3】本発明の本実施形態による、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法の例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照すると、患者101に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するためのシステム100が示されている。システム100は、互いと動作可能に接続されている、血液透析機械110、液状生体サンプルの取得のための装置140、および体外循環路を備える。
【0020】
さらに、システム100は、取得装置140によって取得された生体サンプルを分析するための分析装置200を含んでよい。
【0021】
血液透析機械110、例えばCRRT(Continuous Renal Replacement Therapy:持続的腎機能代替療法)装置は、人工半透性血液透析ろ過膜によって互いから分離された第1のコンパートメントおよび第2のコンパートメントからなるヘモダイアフィルタ115を備える。処置下の患者101の血液組織が第1のコンパートメント内を流れ、一方で、透析液体(dialysis liquid)(または透析液(dialysate))と称される適切な組成および濃度の生理食塩水または廃液(排液)のいずれかが第2のコンパートメント内を流れる。ヘモダイアフィルタ115において、溶質の血中濃度の調節は、血液組織および透析液の間の濃度の平衡を保つ傾向にある濃度勾配の物理的原理に従って、血液組織および透析液の間の当該溶質の膜透過通過によって生じる。また、ヘモダイアフィルタ115における膜透過圧力勾配の好適な調節を通じて、液体およびその中に溶解している溶質の膜透過通過を強制することも可能である。血液透析ろ過膜は、例えば、セルロースまたは合成派生物のものであってよい。
【0022】
血液透析機械110は、ヘモダイアフィルタ115へ入力される第1の血液ライン111を介して患者101からヘモダイアフィルタ115への血液組織の循環を提供する第1のポンプ(
図1中に図示せず)を備え;第1のポンプは、ヘモダイアフィルタ115から出力される第2の血液ライン112を介してヘモダイアフィルタ115から患者101への血液組織の循環も提供する。例えば、第1の血液ライン111および第2の血液ライン112は、シリコーン、ゴム、またはPVCから作成された可撓性のおよび/または剛体の管を含んでよく、一方で第1のポンプは蠕動ポンプを含んでよい。
【0023】
さらに、血液透析機械110は、ヘモダイアフィルタ115へ入力される流入ライン114を介して、清浄な透析液を備える第1のタンク120からヘモダイアフィルタ115への透析液の循環を提供する第2のポンプ(
図1中に図示せず)を備え;第2のポンプは、ヘモダイアフィルタ115から出力される排液ライン113を介して、ヘモダイアフィルタ115から、排出された透析液を備える第2のタンク121への透析液の循環も提供する。例えば、流入ライン114および排液ライン113は、シリコーン、ゴム、またはPVCから作成された可撓性のおよび/または剛体の管を含んでよく、一方で第2のポンプは蠕動ポンプを含んでよい。
【0024】
体外循環路は、ヘモダイアフィルタ115、第1の血液ライン111(流れ込み血液ライン)、第2の血液ライン112(流れ出し血液ライン)、流入ライン114、排液ライン113、血管アクセス、例えば針またはカテーテル、およびヘモダイアフィルタ115内の血液組織および透析液の循環のための管および付属品を備える。特に、体外循環路は、ヘモダイアフィルタ115の第1のコンパートメント、第1の血液ライン111、および第2の血液ライン112を備える第1の循環路を備え;さらに、体外循環路は、ヘモダイアフィルタ115の第2のコンパートメント、流入ライン114および排液ライン113を備える第2の循環路を備える。
【0025】
第1の循環路および第2の循環路は、半透性血液透析ろ過膜によって互いから分離されている。
【0026】
本発明によれば、液状生体サンプルの取得のための装置140は、例えば電気的に動作可能な蠕動ポンプを各々備え得る第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143を含んでよく;装置140は、第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153を更に備える。
【0027】
第1の収集チャンバ151は、例えば第1の接続ライン116を介して第1のサンプリングポート131と動作可能に接続されていてよい第1の液圧機械141を介して、体外循環路の第1のサンプリングポート131と流体連通しているように適合されており;第1のサンプリングポート131は、ヘモダイアフィルタ115へ入力されている第1の血液ライン111に動作可能に接続されている。
【0028】
第2の収集チャンバ152は、例えば第2の接続ライン117を介して第2のサンプリングポート132と動作可能に接続されていてよい第2の液圧機械142を介して、体外循環路の第2のサンプリングポート132と流体連通しているように適合されており;第2のサンプリングポート132は、ヘモダイアフィルタ115から出力されている第2の血液ライン112に動作可能に接続されている。
【0029】
例えば第3の収集チャンバ153は、第3の接続ライン118を介して第3のサンプリングポート133と動作可能に接続されていてよい第3の液圧機械143を介して、体外循環路の第3のサンプリングポート133と流体連通しているように適合されており;第3のサンプリングポート133は、ヘモダイアフィルタ115の排液ライン113に動作可能に接続されている。
【0030】
第1の接続ライン116、第2の接続ライン117、および第3の接続ライン118は、例えば、シリコーン、ゴム、またはPVCから作成された可撓性のおよび/または剛体の管を含んでよい。
【0031】
例えば、第1の収集チャンバ151、ならびに第2の収集チャンバ152および第3の収集チャンバ153は、プラスチックまたはガラス質の材料から作成されてよく、0.1ml~2mlの範囲の体積Vを有してよい。
【0032】
特に、第1の収集チャンバ151、ならびに第2の収集チャンバ152および第3の収集チャンバ153は、液体状態の物質、例えば患者101の血液組織または透析液がそれを通じて入るおよび/または出ることができる少なくとも1つの開口部を含んでよく;当該開口部は、第1の収集チャンバ151を気密封止するように適合されている蓋を含んでよい。本発明の1つの実施形態において、針および/またはカニューレは、蓋へと密封されて挿入され得、第1のサンプリングポート131と流体連通し得る。例えば、上記蓋は第1の収集チャンバ151を密閉するのに好適な弾性材料、例えば、ゴムおよび/またはシリコーンから作成され得る。第1の収集チャンバ151を参照して上記で説明された実施形態の同じ例は、第2の収集チャンバ152および第3の収集チャンバ153にも準用される。本発明の1つの実施形態において、第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153の各々は、他の収集チャンバ151、152、153から独立して、装置140から個別に取り外され得る。さらに、第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153は、使い捨てであるか、または代替として、例えば殺菌工程の後に再利用可能であるかのいずれかであり得る。
【0033】
さらにまたは代替的に、貯蔵ユニット150が第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153を含んでよく、ここで当該貯蔵ユニット150は、液状生体サンプルの取得のための装置140から取り外し可能であってよい。例えば、第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153は、第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153の各々の蓋に入っている針および/またはカニューレへのアクセスを可能にするのに適切に形成されている、貯蔵ユニット150のプラスチック支持部上に収容されていてよい。
【0034】
このようにして、本発明によれば、第1の液圧機械141は第1の収集チャンバ151を第1の生体サンプルAで充填するように適合されており、第2の液圧機械142は第2の収集チャンバ152を第2の生体サンプルBで充填するように適合されており、第3の液圧機械143は第3の収集チャンバ153を第3の生体サンプルCで充填するように適合されている。特に、第1の生体サンプルAはヘモダイアフィルタ115に入力される第1の血液ライン111から来る血液組織のサンプルを含んでよく、第2の生体サンプルBはヘモダイアフィルタ115から出力される第2の血液ライン112から来る血液組織のサンプルを含んでよく、第3の生体サンプルCはヘモダイアフィルタ115から出力される排液ライン113から来る排出された透析液のサンプルを含んでよい。
【0035】
有利には、本発明によれば、第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143は、フローレート値Pで同時にアクティブ化され得る。
【0036】
例えば、第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143は、例えば、サンプリング時間間隔Tの間それらを同時にアクティブ化する制御ユニットを備える装置140の制御ユニットによって電気的に制御され得る。例えば、第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143は、装置140内に含まれるサンプリング開始ボタンを用いて医療専門家によって生成される電気指令信号を受信すると、同時にアクティブ化され得る。上記フローレート値Pは、例えば、第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143の各々に関して、0.1ml/min~2ml/minの範囲であり得、当該第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143の制御手段を介して設定され得る。結果的に、サンプリング時間間隔Tは、第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153の各々のフローレート値Pおよび体積Vに基づいて、例えば、下記の関係:T=V/Pに従って判定され得、分単位で表される。
【0037】
有利には、本発明による液状生体サンプルの取得のための装置140は、3人の医療専門家が関与する現在公知の手動の方法で得られ得るよりもはるかに高い精度で、第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCをサンプリングすることを可能にする。さらに、有利には、本発明による液状生体サンプルの取得のための装置140は、上記の手動の方法を実行する医療職員によって生じる生物学的リスクにおける大幅な低減を確実にする。
【0038】
図2は、本発明の本実施形態による、第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCを分析するための分析装置200の例示的なブロック図を示す。当該分析装置200は、アクチュエータ手段210、センサ手段220、インターフェース手段230、メモリ手段240、および処理手段250を含んでよい。これらは、通信バス201を用いて相互接続されていてよい。
【0039】
アクチュエータ手段210は、分析装置200内の上記第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCのうちの少なくとも1つに対して、物理的および/または化学的操作を実行するように適合されている。
【0040】
例えば、アクチュエータ手段210は、下記の物理的および/または化学的操作:ハンドリング、遠心分離、分割、加熱および冷却、1または複数の化学物質との混合のうちの少なくとも1つを実行し得る。さらに、アクチュエータ手段210は、分析装置200内の上記第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCのうちの少なくとも1つに分析法を実行してよい。特に、アクチュエータ手段210は、下記の分析法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、および電位差測定法のうちの1または複数を実行してよい。アクチュエータ手段210は、下記のデバイス:電気機械サーボ機構、電気サーボモータ、自動把持アーム、電気ポンプ、UVランプ、IRランプ、LASER光源、冷却装置、および加熱装置のうちの1または複数を含んでよい。
【0041】
センサ手段220は、上記第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、第3の生体サンプルCおよびそこから得られ得る任意の更なるサンプルのうちの少なくとも1つに関する1または複数の物理量を測定するように適合されている。センサ手段220は、下記のセンサ:慣性計測装置(inertial measurement unit:IMU)、ジャイロスコープ、加速度計、高度計、温度計、気圧計、圧電センサ、伸縮計、ロードセル、電圧計、電流計、分光計、pH計のうちの1または複数を含んでよい。
【0042】
インターフェース手段230は、分析装置200を管理および構成するためのオペレータを動作可能に連結するように適合されている。インターフェース手段230は、例えば、キーボード、スクリーン、タッチスクリーン、マウスデバイス等を含んでよい。
【0043】
さらに、インターフェース手段230は、分析装置200およびサーバ(
図2中に図示せず)の間の通信を可能にする通信手段を備えてもよい。通信手段は、例えば、イーサネット(登録商標)インターフェース、WiFi(登録商標)インターフェース、USBインターフェース、モバイルネットワークインターフェース(GSM(登録商標)、UMTS、LTE、5G)等を含んでよい。
【0044】
メモリ手段240は、分析装置200の情報および命令を記憶するように適合されている。
【0045】
そのような情報は、アクチュエータ手段210、センサ手段220、およびインターフェース手段230に関するデータおよび/またはパラメータを含んでよい。メモリ手段240内に記憶される命令は、
図3のフローチャートを参照して後ほど詳細に説明される。メモリ手段240は、例えば、フラッシュタイプのソリッドステートメモリを含んでよい。
【0046】
処理手段250は、メモリ手段240内に記憶される、インターフェース手段230、センサ手段220、およびアクチュエータ手段210に関する情報および命令を処理するように適合されており、例えば、マルチコアARMプロセッサ、マイクロコントローラなどを含んでよい。通信バス201は、上記メモリ手段240、インターフェース手段230、センサ手段220、およびアクチュエータ手段210を処理手段250と相互接続するように適合されている。
【0047】
本発明によれば、アクチュエータ手段210、インターフェース手段230、センサ手段220、メモリ手段240および処理手段250は、第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCを分析するために必要なすべての操作を実行するように適合されている。
【0048】
特に、アクチュエータ手段210は、第1の生体サンプルAを備える第1の収集チャンバ151、第2の生体サンプルBを備える第2の収集チャンバ152、および第3の生体サンプルCを備える第3の収集チャンバ153を受けるように適合されている。例えば、上記第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153は、例えば、流入ボックスまたは流入スロットを備える分析装置200の流入部内に、1つずつ収容されてよい。代替的に、上記第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153は、例えば、第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153を備える貯蔵ユニット150を用いて、分析装置200の流入部内にまとめて同時に収容されてよい。特に、貯蔵ユニット150は、分析装置200へと導入され、次に第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCの分析の完了の際に当該分析装置200から取り外され得る。
【0049】
さらに、アクチュエータ手段210は、上記第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCの各々を、少なくとも、第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3へと更に分割するように適合されている。例えば、各生体サンプルA、B、およびCは、上記第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153の各々から等体積で採取され、分析装置200の、例えばガラスから作成されている少なくとも2またはそれよりも多くの試験管へと注がれ得、その結果、第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3の各々は、センサ手段220によって、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、および電位差測定法のうちの1または複数に従って分析され得る。特に、第1のシェアA1、B1、C1は、0~500ダルトンの第1の分子量値を有する第1の溶質に関係してよく、一方で第2のシェアA2、B2、C2は、501~5,000ダルトンの第2の分子量値を有する第2の溶質に関係してよく、最後に、第3のシェアA3、B3、C3は、5,001~100,000ダルトンの第3の分子量値を有する第3の溶質に関係してよい。下記の表は、本発明による分析装置200によって分析され得る可能な第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の1つの例を示す。
【表1】
例えば、表1中に列挙された分析の方法は、上記第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3に対して同時に実行され得る。
【0050】
さらに、上記に列挙された分析に続いて、センサ手段220は、第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3の各々に関して、例えばmg/lで表される、第1の溶質の濃度値C_A1、C_B1、C_C1、第2の溶質の濃度値C_A2、C_B2、C_C2、および第3の溶質の濃度値C_A3、C_B3、C_C3を判定するように適合されている。例えば、そのような濃度値C_A1、C_B1、C_C1、C_A2、C_B2、C_C2、C_A3、C_B3、およびC_C3は、センサ手段220を介して、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、および電位差測定法のうちの1または複数に従って判定され得る。
【0051】
処理手段250は、第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2、および第3の質量平衡誤差Err3を、上記第1の溶質の濃度値C_A1、C_B1、C_C1、第2の溶質の濃度値C_A2、C_B2、C_C2、および第3の溶質の濃度値C_A3、C_B3、C_C3のうちの少なくとも1つに基づいて判定するように適合されている。特に、第1の質量平衡誤差Err1は第1の溶質に関係し、第2の質量平衡誤差Err2は第2の溶質に関係し、第3の質量平衡誤差Err3は、第3の溶質に関係する。例えば、第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2および第3の質量平衡誤差Err3は、パーセンテージとして表され、下記の関係に従って判定され得る:
【0052】
【数1】
ここで、M_A1、M_B1、M_C1、M_A2、M_B2、M_C2、M_A3、M_B3、およびM_C3は、それぞれシェアA1、B1、C1、A2、B2、C2、A3、B3、およびC3に関する第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の質量値を示す。例えば、そのような質量値M_A1、M_B1、M_C1、M_A2、M_B2、M_C2、M_A3、M_B3、およびM_C3は、下記の関係を用いて判定され得る:
【0053】
【数2】
ここで、Q_A1、Q_B1、Q_C1、Q_A2、Q_B2、Q_C2、Q_A3、Q_B3およびQ_C3は、それぞれ、所与の時間間隔tにおいて血液透析プロセス中に血液透析機械110から得られ例えばml/hで表され得る、シェアA1、B1、C1、A2、B2、C2、A3、B3、およびC3に関する流量値を示す。
【0054】
さらに、処理手段250は、上記第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2、および第3の質量平衡誤差Err3の各々が-10%および+10%の間に含まれる場合、上記第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の各々に関して、クリアランス値K1、K2、K3、および/またはふるい係数H1、H2、H3を判定するように適合されている。
【0055】
例えば、そのようなクリアランス値K1、K2、およびK3は、下記の関係に従って判定され得る:
【数3】
ここで、C_A1、C_B1、C_A2、C_B2、C_A3、およびC_B3は、それぞれシェアA1、B1、A2、B2、A3、およびB3に関する第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の濃度値である。
【0056】
例えば、そのような濃度値C_A1、C_B1、C_A2、C_B2、C_A3、およびC_B3は、センサ手段220を介して、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、および電位差測定法のうちの1または複数に従って判定され得る。
【0057】
特に、Qbは、ml/minで表される血液流量値を示し、一方でQufは:Quf = Qr_pre + Qr_post + Qnetとして判定され得る限外ろ過流量値を示し、ここでQr_preはml/hで表される前希釈置換流量値であり、Qr_postはml/hで表される後希釈置換流量値であり、Qnetはml/hで表される正味限外ろ過流量値である。Qr_pre、Qr_post、QnetおよびQbのそのような値は、血液透析プロセス中に血液透析機械110から得られ得る。
【0058】
有利には、本発明によれば、クリアランス値K1、K2、K3は:I)様々な分子量、すなわち小、中、大(表1を参照)の分子量を有する溶質の瞬間的クリアランス値;II)そのようなクリアランス値の経時的な変動;III)currentDose = Qr_pre + Qr_post + Qnet + Qdとして計算され得、ここでQdは、血液透析プロセス中に血液透析機械110から取得可能である、ml/hで表される透析液流量値である、排液流量から推定されるクリアランス(現在のドーズ)と比較した、溶質に対して測定されたそのようなクリアランス値の変動(現在の実効的な実現されたドーズ)を直接評価することを可能にする。血液透析機械110の流量Qr_pre、Qr_post、Qnet、およびQbの処方の変動が、様々な標的溶質の実際のクリアランスにどのように影響を与えるのかを、簡単かつ瞬時の方法で評価することも可能である。
【0059】
さらにまたは代替的に、処理手段250は、上記第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の各々に関して、ふるい係数H1、H2、H3を判定するように適合されており、これらは下記の関係に従って判定され得る:
【数4】
ここで、C_C1、C_C2、およびC_C3は、それぞれシェアC1、C2およびC3に関する第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の濃度値である。例えば、そのような濃度値C_C1、C_C2、およびC_C3は、センサ手段220を介して、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、および電位差測定法のうちの1または複数に従って判定され得る。血液透析処置の文脈において、そのようなふるい係数H1、H2、H3は、排液飽和係数として公知であり、関係4)に従って判定され得る。
【0060】
有利には、本発明によれば、ふるい係数H1、H2、H3は、例えば、様々な時間間隔で採取された様々な測定値から取得可能なそのようなふるい係数H1、H2、H3が重ね合わせられる画像比較を用いて、血液透析ろ過膜に対するファウリング効果を評価することを可能にする。
【0061】
本発明によれば、1または複数の更なるクリアランス値および/または1または複数のふるい係数を判定する目的で、1または複数の更なる溶質が、第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質に加えて、検討され得ることが、当業者には明らかであろう。有利には、これは、血液透析ろ過膜に対するファウリング効果のより効果的な評価を可能にする。そのような1または複数の更なる溶質は、0~100,000ダルトンの範囲の分子量値を有し得る。
【0062】
本発明によれば、分析装置200は、当該技術分野で公知の、分析装置200を参照して前もって本明細書で説明されたように第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCを分析するのに必要な操作を共に実行する2またはそれよりも多くの装置に置き換えられ得る。例えば、第1の装置は、上記第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCの各々を、第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3へと更に分割してよい。続いて、第2の装置は、第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3を別個に分析して、関係1)に従って、第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2、および第3の質量平衡誤差Err3が得られ得る。最後に、第3の装置は、上記第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2、および第3の質量平衡誤差Err3の各々が-10%および+10%の間に含まれる場合、上記第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の各々に関して、例えばそれぞれ関係3)および4)に従ってクリアランス値K1、K2、K3、および/またはふるい係数H1、H2、H3を判定し得る。
【0063】
図3を参照して、下記で患者101に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得する方法を説明する。
【0064】
段階300において、初期化フェーズが実行され、この中で血液透析機械110および液状生体サンプルの取得のための装置140が、例えば、医療専門家によって、体外循環路へ動作可能に接続される。このフェーズ中に、医療専門家は、患者101に血液透析処置を施すための血液透析機械110および液状生体サンプルの取得のための装置140の両方を初期化してよい。
【0065】
このフェーズ中に、医療専門家は、例えば、分析装置200に殺菌工程を施すことによって、分析装置200を初期化してもよい。
【0066】
段階310において、サンプリングフェーズが実行され、この中で体外循環路の第1のサンプリングポート131が、取得装置140の第1の液圧機械141を介して第1の収集チャンバ151と流体連通しており;特に、第1のサンプリングポート131は、体外循環路のヘモダイアフィルタ115へ入力されている第1の血液ライン111と動作可能に接続されている。体外循環路の第2のサンプリングポート132が、取得装置140の第2の液圧機械142を介して第2の収集チャンバ152と流体連通しており;特に、第2のサンプリングポート132は、ヘモダイアフィルタ115から出力されている第2の血液ライン112と動作可能に接続されている。体外循環路の第3のサンプリングポート133が、取得装置140の第3の液圧機械143を介して第3の収集チャンバ153と流体連通しており;特に、第3のサンプリングポート133は、ヘモダイアフィルタ115の排液ライン113と動作可能に接続されている。
【0067】
このフェーズ中に、第1の液圧機械141は第1の収集チャンバ151を第1の生体サンプルAで充填し、一方で第2の液圧機械142は第2の収集チャンバ152を第2の生体サンプルBで充填し、第3の液圧機械143は第3の収集チャンバ153を第3の生体サンプルCで充填する。有利には、第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143は、例えば、好ましくは0.1ml/min~2ml/minの範囲であり得かつ当該第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143の制御手段を介して設定され得る、フローレート値Pで同時にアクティブ化される。
【0068】
このフェーズ中に、例えば、第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143は、例えば、サンプリング時間間隔Tの間それらを同時にアクティブ化する制御ユニットを備える装置140の制御ユニットによって、電気的に制御され得る。
【0069】
例えば、第1の液圧機械141、第2の液圧機械142、および第3の液圧機械143は、装置140に含まれるサンプリング開始ボタンを用いて医療専門家によって生成される電気指令信号を受信すると、同時にアクティブ化され得る。結果的に、サンプリング時間間隔Tは、例えば、第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153の各々のフローレート値Pおよび体積Vに基づいて、例えば、下記の関係:T=V/Pに従って判定され得、分単位で表される。
【0070】
有利には、本発明による液状生体サンプルの取得のための装置140は、3人の医療専門家が関与する現在公知の手動の方法で得られ得るよりもはるかに高い精度で、第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCをサンプリングすることを可能にする。さらに、有利には、本発明による液状生体サンプルの取得のための装置140は、上記の手動の方法を実行する医療職員によって生じる生物学的リスクにおける大幅な低減を確実にする。
【0071】
本発明によれば、下記のステップが更に実行されてよい。
【0072】
段階320において、第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCを分析するフェーズが実行される。例えば、第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCは、貯蔵ユニット150内に収容されている場合、取得装置140から同時に抽出され、次に分析装置200へと移送され得る。代替として、第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCは、1つずつ、個別に分析装置200へと移送され得る。このフェーズ中に、上記第1の生体サンプルA、第2の生体サンプルB、および第3の生体サンプルCの各々は、少なくとも、第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3へと更に分割され、ここで第1のシェアA1、B1、C1は0~500ダルトンの第1の分子量値を有する第1の溶質に関係し、第2のシェアA2、B2、C2は501~5,000ダルトンの第2の分子量値を有する第2の溶質に関係し、第3のシェアA3、B3、C3は5,001~100,000ダルトンの第3の分子量値を有する第3の溶質に関係する。例えば、各生体サンプルA、B、およびCは、上記第1の収集チャンバ151、第2の収集チャンバ152、および第3の収集チャンバ153の各々から等体積で採取され、次に、分析装置200の、例えばガラスから作成されている2またはそれよりも多くの試験管へと注がれ得、その結果、第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3の各々は、センサ手段220を介して、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、および電位差測定法のうちの1または複数に従って分析され得る。この段階中に、例えば分析の上記で言及された方法を使用して、第1のシェアA1、B1、C1、第2のシェアA2、B2、C2、および第3のシェアA3、B3、C3の各々に関して、第1の溶質の濃度値C_A1、C_B1、C_C1、第2の溶質の濃度値C_A2、C_B2、C_C2、および第3の溶質の濃度値C_A3、C_B3、C_C3が判定される。例えば、第1の溶質の上記濃度値C_A1、C_B1、C_C1、第2の溶質の濃度値C_A2、C_B2、C_C2、および第3の溶質の濃度値C_A3、C_B3、C_C3の各々は、センサ手段220を介して、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、電位差測定法のうちの1または複数に従って判定される。
【0073】
段階330において、第1の処理フェーズが実行され、この中で第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2、および第3の質量平衡誤差Err3が、上記第1の溶質の濃度値C_A1、C_B1、C_C1、第2の溶質の濃度値C_A2、C_B2、C_C2、および第3の溶質の濃度値C_A3、C_B3、C_C3のうちの少なくとも1つに基づいて判定され;第1の質量平衡誤差Err1は第1の溶質に関係し、第2の質量平衡誤差Err2は第2の溶質に関係し、第3の質量平衡誤差Err3は、第3の溶質に関係する。例えば、第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2および第3の質量平衡誤差Err3は、パーセンテージとして表され、関係1)および2)に従って判定され得る。
【0074】
段階340において、処理手段250は、上記第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2、および第3の質量平衡誤差Err3の各々が-10%および+10%の間に含まれるか否かを検証する。含まれる場合、それらは段階350を実行し、そうでなければそれらは段階345を実行する。
【0075】
段階345において、インターフェース手段230は、第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2、および第3の質量平衡誤差Err3が絶対値において各々5%を超えていることをオペレータに警告するために、エラーメッセージを発行する。例えば、上記エラーメッセージは、インターフェース手段230のスクリーン上に表示され得る。続いて、段階360が実行される。
【0076】
段階350において、第2の処理フェーズが実行され、この中で、上記第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の各々に関して、例えば、それぞれ関係2)および3)に従って、クリアランス値K1、K2、K3および/またはふるい係数H1、H2、H3が判定される。
【0077】
段階360において、処理手段250は、終了フェーズを実行し、この中で本発明による方法を終了させるために必要なすべての操作が実行される。例えば、このフェーズ中に、第1の質量平衡誤差Err1、第2の質量平衡誤差Err2、および第3の質量平衡誤差Err3は、メモリ手段240へと記憶され、および/またはインターフェース手段230のスクリーン上に医療職員によって表示され得る。さらに、クリアランス値K1、K2、K3、および/またはふるい係数H1、H2、H3は、メモリ手段240へと記憶されおよび/またはインターフェース手段230のスクリーン上に医療専門家によって表示され得る。例えば、このフェーズの最後に、分析装置200は、アクチュエータ手段210およびセンサ手段220を清浄および/または殺菌するために必要なすべての操作を実行してよい。
【0078】
図3を参照して上記で説明された方法の1または複数のフェーズは、例えば、コンピュータ、タブレット、Raspberry PIユニットなどのようなターミナルのメモリへとロードされ得るソフトウェアコードの部分を備えるコンピュータプログラム製品を例えば用いて実装され得、そのようなターミナルは、取得装置140および/または分析装置200を制御するために使用可能である。
【0079】
有利には、本発明によれば、クリアランス値K1、K2、K3は:I)様々な分子量、すなわち小、中、および大(表1を参照)の分子量を有する溶質の瞬間的クリアランス値;II)そのようなクリアランス値の経時的な変動;III)排液流量から推定されるクリアランス(現在のドーズ)と比較した、溶質に対して測定されたそのようなクリアランス値の変動(現在の実効的な実現されたドーズ)の直接評価を可能にする。また、有利には、本発明によれば、ふるい係数H1、H2、H3は、例えば、様々な時間間隔で採取された様々な測定値から取得可能なそのようなふるい係数H1、H2、H3が重ね合わせられる画像比較を用いて、血液透析ろ過膜に対するファウリング効果を評価することを可能にする。
【0080】
本発明の利点は、上記の説明から明らかである。
【0081】
本発明は、有利には、1つのフローレート値で同時にアクティブ化され得る第1の液圧機械、第2の液圧機械、および第3の液圧機械を用いて、生体サンプルをサンプリングするプロセスを自動化することを可能にする、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法、取得装置、分析装置、およびシステムを提供する。
【0082】
本発明の別の利点は、有利には尿素のもの以上の分子サイズを有する2またはそれよりも多くの溶質に関して体外クリアランスを定量化することを可能にする、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法、取得装置、分析装置、およびシステムを本発明が提供するという事実にある。実際、有利には、本発明に従って得られるクリアランス値は、様々な分子量(小、中、および大)を有する溶質の瞬間的クリアランス、当該クリアランス値の経時的な変動、排液流量から推定されるクリアランス(現在のドーズ)と比較した、溶質に対して測定された当該クリアランス値の変動(現在の実効的な実現されたドーズ)の直接評価を可能にする。
【0083】
本発明の更なる利点は、本発明の上記の説明に従って取得された生体サンプルがオペレータによって容易にハンドリングされ容易に分析され得るので、有利には、リアルタイムで、または従来技術よりもいずれにしても少ない時間で体外クリアランスを得ることを可能にする、患者に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するための方法、取得装置、分析装置、およびシステムを本発明が提供するという事実に由来する。
【0084】
当然ながら、本発明の原理を損なうことなく、実施形態の形態および実装の詳細は、本明細書で単に非限定的な例として説明および図示されたものから大幅に、しかしながら添付の特許請求の範囲において記載される本発明の保護範囲から逸脱せずに、変更され得る。
(他の可能な項目)
[項目1]
患者(101)に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得する方法であって、前記方法はサンプリングフェーズを備え、ここで:
I)前記体外循環路の第1のサンプリングポート(131)は、第1の液圧機械(141)を介して第1の収集チャンバ(151)と流体連通しており、前記第1のサンプリングポート(131)は、前記体外循環路のヘモダイアフィルタ(115)へ入力されている第1の血液ライン(111)に動作可能に接続されており;
II)前記体外循環路の第2のサンプリングポート(132)は、第2の液圧機械(142)を介して第2の収集チャンバ(152)と流体連通しており、前記第2のサンプリングポート(132)は、前記ヘモダイアフィルタ(115)から出力されている第2の血液ライン(112)に動作可能に接続されており;
III)前記体外循環路の第3のサンプリングポート(133)は、第3の液圧機械(143)を介して第3の収集チャンバ(153)と流体連通しており、前記第3のサンプリングポート(133)は、前記ヘモダイアフィルタ(115)の排液ライン(113)に動作可能に接続されており、
前記方法は、前記第1の液圧機械(141)が前記第1の収集チャンバ(151)を第1の生体サンプル(A)で充填し、前記第2の液圧機械(142)が前記第2の収集チャンバ(152)を第2の生体サンプル(B)で充填し、前記第3の液圧機械(143)が前記第3の収集チャンバ(153)を第3の生体サンプル(C)で充填し、前記第1の液圧機械(141)、前記第2の液圧機械(142)、および前記第3の液圧機械(143)がフローレート値(P)で同時にアクティブ化されることを特徴とする、方法。
[項目2]
-分析フェーズ、この中で前記第1の生体サンプル(A)、第2の生体サンプル(B)、および第3の生体サンプル(C)の各々が、それぞれ少なくとも第1のシェア(A1、B1、C1)、第2のシェア(A2、B2、C2)、および第3のシェア(A3、B3、C3)へと更に分割され、ここで前記第1のシェア(A1、B1、C1)は0~500ダルトンの第1の分子量値を有する第1の溶質に関係し、前記第2のシェア(A2、B2、C2)は、501~5,000ダルトンの第2の分子量値を有する第2の溶質に関係し、前記第3のシェア(A3、B3、C3)は、5,001~100,000ダルトンの第3の分子量値を有する第3の溶質に関係し、ここで前記第1の溶質の濃度値(C_A1、C_B1、C_C1)、前記第2の溶質の濃度値(C_A2、C_B2、C_C2)、および前記第3の溶質の濃度値(C_A3、C_B3、C_C3)が第1のシェア(A1、B1、C1)、第2のシェア(A2、B2、C2)、および第3のシェア(A3、B3、C3)の各々に関して判定される;
-第1の処理フェーズ、この中で第1の質量平衡誤差(Err1)、第2の質量平衡誤差(Err2)、および第3の質量平衡誤差(Err3)が、前記第1の溶質の前記濃度値(C_A1、C_B1、C_C1)、前記第2の溶質の濃度値(C_A2、C_B2、C_C2)、および前記第3の溶質の濃度値(C_A3、C_B3、C_C3)のうちの少なくとも1に基づいて判定され、前記第1の質量平衡誤差(Err1)は前記第1の溶質に関係し、前記第2の質量平衡誤差(Err2)は前記第2の溶質に関係し、前記第3の質量平衡誤差(Err3)は、前記第3の溶質に関係する;
-第2の処理フェーズ、この中で前記第1の質量平衡誤差(Err1)、第2の質量平衡誤差(Err2)、および第3の質量平衡誤差(Err3)の各々が-10%および+10%の間に含まれる場合、前記第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の各々に関して、クリアランス値(K1、K2、K3)および/またはふるい係数(H1、H2、H3)、または排液飽和係数が判定される
を備える、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記第1の溶質の前記濃度値(C_A1、C_B1、C_C1)、前記第2の溶質の濃度値(C_A2、C_B2、C_C2)、および前記第3の溶質の濃度値(C_A3、C_B3、C_C3)の各々は、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、電位差測定法のうちの1または複数に従って判定される、項目2に記載の方法。
[項目4]
患者(101)に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得する装置(140)であって、前記装置(140)は第1の液圧機械(141)、第2の液圧機械(142)、第3の液圧機械(143)を備え、
I)前記第1の液圧機械(141)を介して前記体外循環路の第1のサンプリングポート(131)と流体連通しているように適合されている第1の収集チャンバ(151)、前記第1のサンプリングポート(131)は前記体外循環路のヘモダイアフィルタ(115)へ入力されている第1の血液ライン(111)に動作可能に接続されている;
II)前記第2の液圧機械(142)を介して前記体外循環路の第2のサンプリングポート(132)と流体連通しているように適合されている第2の収集チャンバ(152)、前記第2のサンプリングポート(132)は前記ヘモダイアフィルタ(115)から出力されている第2の血液ライン(112)に動作可能に接続されている;
III)前記第3の液圧機械(143)を介して前記体外循環路の第3のサンプリングポート(133)と流体連通しているように適合されている第3の収集チャンバ(153)、前記第3のサンプリングポート(133)は、前記ヘモダイアフィルタ(115)の排液ライン(113)に動作可能に接続されている、
を備え、
前記装置(140)は、前記第1の液圧機械(141)が前記第1の収集チャンバ(151)を第1の生体サンプル(A)で充填するように適合されており、前記第2の液圧機械(142)が前記第2の収集チャンバ(152)を第2の生体サンプル(B)で充填するように適合されており、前記第3の液圧機械(143)が前記第3の収集チャンバ(153)を第3の生体サンプル(C)で充填するように適合されており、前記第1の液圧機械(141)、前記第2の液圧機械(142)、および前記第3の液圧機械(143)がフローレート値(P)で同時にアクティブ化可能であることを特徴とする、装置(140)。
[項目5]
貯蔵ユニット(150)は、前記第1の収集チャンバ(151)、前記第2の収集チャンバ(152)、および前記第3の収集チャンバ(153)を含み、前記貯蔵ユニット(150)は液状生体サンプルの取得のための前記装置(140)から取り外し可能である、項目4に記載の取得装置(140)。
[項目6]
分析装置(200)であって、
-第1の生体サンプル(A)を備える第1の収集チャンバ(151)、第2の生体サンプル(B)を備える第2の収集チャンバ(152)、および第3の生体サンプル(C)を備える第3の収集チャンバ(153)を受け;
-前記第1の生体サンプル(A)、第2の生体サンプル(B)、および第3の生体サンプル(C)の各々を、それぞれ少なくとも、第1のシェア(A1、B1、C1)、第2のシェア(A2、B2、C2)、および第3のシェア(A3、B3、C3)へと更に分割し、前記第1のシェア(A1、B1、C1)は、0~500ダルトンの第1の分子量値を有する第1の溶質に関係し、前記第2のシェア(A2、B2、C2)は、501~5,000ダルトンの第2の分子量値を有する第2の溶質に関係し、前記第3のシェア(A3、B3、C3)は、5,001~100,000ダルトンの第3の分子量値を有する第3の溶質に関係する;
-前記第1のシェア(A1、B1、C1)、第2のシェア(A2、B2、C2)、および第3のシェア(A3、B3、C3)の各々に関して、前記第1の溶質の濃度値(C_A1、C_B1、C_C1)、前記第2の溶質の濃度値(C_A2、C_B2、C_C2)、および前記第3の溶質の濃度値(C_A3、C_B3、C_C3)を判定し;
-第1の質量平衡誤差(Err1)、第2の質量平衡誤差(Err2)、および第3の質量平衡誤差(Err3)を、前記第1の溶質の前記濃度値(C_A1、C_B1、C_C1)、前記第2の溶質の濃度値(C_A2、C_B2、C_C2)、および前記第3の溶質の濃度値(C_A3、C_B3、C_C3)のうちの少なくとも1に基づいて判定し、前記第1の質量平衡誤差(Err1)は前記第1の溶質に関係し、前記第2の質量平衡誤差(Err2)は前記第2の溶質に関係し、前記第3の質量平衡誤差(Err3)は、前記第3の溶質に関係する;
-前記第1の質量平衡誤差(Err1)、第2の質量平衡誤差(Err2)、および第3の質量平衡誤差(Err3)の各々が-10%および+10%の間に含まれる場合、前記第1の溶質、第2の溶質、および第3の溶質の各々に関して、クリアランス値(K1、K2、K3)、および/またはふるい係数(H1、H2、H3)、または排液飽和係数を判定する
ように適合されているアクチュエータ手段(210)、センサ手段(220)、メモリ手段(240)、および処理手段(250)を備える、分析装置(200)。
[項目7]
前記第1の溶質の前記濃度値(C_A1、C_B1、C_C1)、前記第2の溶質の濃度値(C_A2、C_B2、C_C2)、および前記第3の溶質の濃度値(C_A3、C_B3、C_C3)の各々は、下記の方法:免疫蛍光法、比色法、UV法、電気化学的手法、免疫比濁法、および電位差測定法のうちの1または複数に従って判定され得る、項目6に記載の分析装置(200)。
[項目8]
貯蔵ユニット(150)は、前記第1の収集チャンバ(151)、前記第2の収集チャンバ(152)、および前記第3の収集チャンバ(153)を含み、前記貯蔵ユニット(150)は前記分析装置(200)から取り外し可能である、項目6または7に記載の分析装置(200)。
[項目9]
患者(101)に体外血液浄化処置を施すための体外循環路から液状生体サンプルを取得するためのシステム(100)であって、前記システム(100)は、互いと動作可能に接続されている、患者(101)に体外血液浄化処置を施すための機械、項目4および5のうちの1または複数に記載の液状生体サンプルの取得のための装置(140)、および前記体外循環路を備える、システム(100)。
[項目10]
項目6から8のうちの1または複数に記載の分析装置(200)を備える、項目9に記載のシステム(100)。
【国際調査報告】