(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】マルトペンタオース/マルトヘキサオースを形成するアルファ-アミラーゼバリアント
(51)【国際特許分類】
C12N 9/26 20060101AFI20241226BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241226BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241226BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241226BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241226BHJP
C12N 15/56 20060101ALI20241226BHJP
C12P 19/14 20060101ALI20241226BHJP
C11D 7/42 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C12N9/26 A ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/56
C12P19/14
C11D7/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535794
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 US2022081780
(87)【国際公開番号】W WO2023114988
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509240479
【氏名又は名称】ダニスコ・ユーエス・インク
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ラッシラ、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ベイト、マナシ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ホン キット
(72)【発明者】
【氏名】リーファン、クリス
(72)【発明者】
【氏名】ラメル、サンドラ ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】トラン、パトリシア
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H003
【Fターム(参考)】
4B064AF04
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA19
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA32
4B065CA57
4H003AC08
4H003BA09
4H003DA19
4H003EA15
4H003EA16
4H003EB04
4H003EB13
4H003EB24
4H003EB28
4H003EC01
4H003EE05
4H003FA43
(57)【要約】
マルトペンタオース/マルトヘキサオースを形成するα-アミラーゼに関連する組成物及び方法が開示される。α-アミラーゼバリアントは、例えば、デンプンの液化及び糖化のために、洗濯、食器洗浄、及び他の用途におけるデンプン質の染みを洗浄するために、布地処理(例えば、糊抜き)のために、動物飼料において消化性を改善するために、並びに製パン及び醸造のために有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親アルファ-アミラーゼの組換え型の天然に存在しないバリアントであって、配列番号5との80%同一性を有し、且つ配列番号5を基準として第51及び125位でのアミノ酸置換を有するアルファ-アミラーゼバリアント。
【請求項2】
前記アミノ酸置換が、配列番号5を基準としてT51V及びS125Rである、請求項1に記載のアルファ-アミラーゼバリアント。
【請求項3】
配列番号5を基準として第172、227、又は231位でのアミノ酸置換をさらに有する、請求項1又は2に記載のアルファ-アミラーゼバリアント。
【請求項4】
配列番号5を基準としてアミノ酸置換N172Q、N227R、又はF231Lをさらに有する、請求項1又は2に記載のアルファ-アミラーゼバリアント。
【請求項5】
親アルファ-アミラーゼの組換え型の天然に存在しないバリアントであって、配列番号5との80%同一性を有し、且つ配列番号5を基準としてアミノ酸置換:
(a)N29Q+T51V+S125R+N227R+S253L+G272E+K319R+S418A
(b)T51V+S125R+F231L;
(c)T51V+S125R+N172Q+N227R;
(d)N029Q+T051V+T244I+S253L+K268R+K319R+S418A;または
(e)E415G
を有するアルファ-アミラーゼバリアント。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のα-アミラーゼバリアントを含む洗剤組成物。
【請求項7】
アミノ酸置換X39E、X99R、X126A、X127E、及びX128Gを有する、バチルス・ギブソニー(Bacillus gibsonii)由来のサブチリシンプロテアーゼバリアントをさらに含む、請求項6に記載の洗剤組成物。
【請求項8】
デンプンをオリゴ糖に変換するための方法であって、デンプンを、請求項1~5のいずれか一項に記載の有効量のα-アミラーゼバリアントと接触させることを含む方法。
【請求項9】
表面からデンプン質の染み又は汚れを除去するための方法であって、前記表面を請求項1~5のいずれか一項に記載の有効量のα-アミラーゼバリアントと接触させることと、ポリペプチドに、前記デンプン質の染みに存在するデンプン成分を加水分解させて、水性組成物中に溶解する、より小さいデンプン由来の分子を生成し、それにより前記表面から前記デンプン質の染みを除去することとを含む方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載のα-アミラーゼバリアントをコードする核酸。
【請求項11】
請求項10に記載の核酸を含む宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月16日に出願された米国特許出願第63/290085号の利益を主張するものであり、この特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
マルトペンタオース/マルトヘキサオースを形成するα-アミラーゼバリアントに関連する組成物及び方法が開示される。α-アミラーゼバリアントは、例えば、デンプン質の染みの洗浄、デンプンの液化及び糖化、布地の糊抜き、製パン及び醸造のために有用である。
【背景技術】
【0003】
デンプンは、アミロース(15~30w/w%)とアミロペクチン(70~85w/w%)の混合物からなる。アミロースは、約60,000~約800,000の分子量(MW)を有するα-1,4-結合グルコース単位の直鎖からなる。アミロペクチンは、各24~30グルコース単位毎にα-1,6分岐点を含有する分岐状ポリマーであり、そのMWは1億にも達し得る。
【0004】
α-アミラーゼは、デンプン、グリコーゲン、及び関連する多糖を、内部のα-1,4-グルコシド結合をランダムに切断することによって加水分解する。特にバチルス属(Bacilli)由来のα-アミラーゼは、デンプンの液化及び糖化、布地の糊抜き、紙パルプ産業におけるデンプン改質、醸造、製パン、食品工業のためのシロップの製造、発酵プロセスのための供給原料の製造、並びに消化性を上昇させるための動物用飼料を含めた、様々な異なる目的のために使用されてきた。これらの酵素はまた、食器洗浄及び洗濯洗浄中にデンプン質の汚れ及び染みを除去するために使用することができる。
【0005】
α-アミラーゼによるデンプンの加水分解によって生成される生成物は、連続するグルコース分子の数から見ると異なる。大抵の市販のα-アミラーゼは、グルコース(G1)からマルトヘプタオース(G7)までの範囲の生成物を生成する。理由は完全には明らかでないが、相当量のマルトペンタオース及びマルトヘキサオースを生成するα-アミラーゼは、洗剤洗浄組成物への導入を含めたある種の商業的応用にとって特に有用であるように思われる。多数の刊行物が、マルトペンタオース/マルトヘキサオース生成α-アミラーゼ及びその他のものの変異を記載している。それにもかかわらず、これまで以上に頑強且つより高性能の改変されたα-アミラーゼ分子の必要性が存在し続ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本組成物及び方法は、マルトペンタオース/マルトヘキサオースを形成するアミラーゼポリペプチドバリアント、及びそれらの使用方法に関する。本発明の組成物及び方法の態様及び実施形態を、以下の個別に番号付けした段落で要約する。
1.一態様では、親アルファ-アミラーゼの組換え型の天然に存在しないバリアントが提供され、このアルファ-アミラーゼバリアントは、配列番号5との80%同一性を有し、且つ配列番号5に関して第51及び125位でのアミノ酸置換を有する。
2.第1項のアルファ-アミラーゼバリアントのいくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、配列番号5に関してT51V及びS125Rである。
3.いくつかの実施形態では、第1項又は第2項のアルファ-アミラーゼバリアントは、配列番号5に関して第172、227、又は231位でのアミノ酸置換をさらに有する。
4.いくつかの実施形態では、第1項又は第2項のアルファ-アミラーゼバリアントは、配列番号5に関してアミノ酸置換N172Q、N227R、又はF231Lをさらに有する。
5.他の態様では、親アルファ-アミラーゼの組換え型の天然に存在しないバリアントが提供され、このアルファ-アミラーゼバリアントは、配列番号5との80%同一性を有し、且つ配列番号5に関してアミノ酸置換:
(a)N29Q+T51V+S125R+N227R+S253L+G272E+K319R+S418A
(b)T51V+S125R+F231L;
(c)T51V+S125R+N172Q+N227R;
(d)N029Q+T051V+T244I+S253L+K268R+K319R+S418A;又は
(e)E415G
を有する。
6.別の態様では、第1~5項のいずれか1項のα-アミラーゼバリアントを含む洗剤組成物が提供される。
7.第6項の洗剤組成物のいくつかの実施形態では、アミノ酸置換X39E、X99R、X126A、X127E、及びX128Gを有する、バチルス・ギブソニー(Bacillus gibsonii)由来のサブチリシンプロテアーゼバリアントをさらに含む。
8.別の態様では、デンプンをオリゴ糖に変換するための方法であって、デンプンを第1~5項のいずれか1項の有効量のα-アミラーゼバリアントと接触させることを含む方法が提供される。
9.別の態様では、表面からデンプン質の染み又は汚れを除去するための方法であって、その表面を第1~5項のいずれか1項の有効量のα-アミラーゼバリアントと接触させることと、このポリペプチドに、デンプン質の染みに存在するデンプン成分を加水分解させて、水性組成物中に溶解する、より小さいデンプン由来の分子を生成し、それにより表面からデンプン質の染みを除去することとを含む方法が提供される。
10.別の態様では、第1~5項のいずれか1項のα-アミラーゼバリアントをコードする核酸が提供される。
11.別の態様では、第10項の核酸を含む宿主細胞が提供される。
【0007】
本組成物及び方法のこれら及び他の態様及び実施形態は、以下の説明及び添付の実施例から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】AA2560 α-アミラーゼ(配列番号1)、AA707 α-アミラーゼ(配列番号2)、AA560 α-アミラーゼ(配列番号3)、AAI10 α-アミラーゼ(配列番号4)、及び国際公開第2021/080948号パンフレットに記載されているAA2560 α-アミラーゼのバリアント(配列番号5)のアミノ酸配列のMUSCLEアラインメントを示す。
【0009】
【
図2】α-アミラーゼ AA2560におけるアミノ酸51及び125の位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
マルトペンタオース/マルトヘキサオースを形成するアミラーゼ酵素のバリアントに関連する組成物及び方法について記載する。このバリアントは、添付の実施例において詳述する通りの種々の実験的手法によって発見された。アミラーゼ酵素のバリアントの代表的な用途は、食器洗浄、洗濯、及び他の用途におけるデンプン質の染みを洗浄するための、デンプンの液化及び糖化のための、布地処理(例えば、糊抜き)のための、動物飼料において消化性を改善するための、並びに製パン及び醸造のためのものである。以下では、本組成物及び方法のこれら及び他の態様について詳細に記載する。
【0011】
本発明の組成物及び方法の様々な態様及び実施形態について説明する前に、以下の定義及び略語について説明する。
【0012】
1.定義及び略語
この詳細な説明においては、以下の略語及び定義が適用される。文脈が明白に他のことを指示していない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、複数の対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「酵素(an enzyme)」への言及は、複数のそのような酵素を含み、「用量(the dosage)」への言及は、1つ以上の用量及び当業者に公知のその同等物などを含む。
【0013】
本明細書は、読み易くするために多くのセクションで編成されている。しかし、読者は、あるセクションでなされた記載を他のセクションに適用できることを理解できるであろう。このように、本開示の異なるセクションで使用された見出しを、限定的であると解釈すべきではない。
【0014】
他に特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。明確にするために次の用語が以下に定義される。
【0015】
1.1.略語及び頭字語
下記の略語/頭字語は、別途規定されない限り下記の意味を有する:
℃ 摂氏温度
ADW 自動食器洗浄
dH2O又はDI 脱イオン水
dIH2O 脱イオン水、Milli-Q濾過
DNA デオキシリボ核酸
EC 酵素番号
g又はgm グラム
GA グルコアミラーゼ
H2O 水
HDD 重質粉末洗剤
HDL 高密度液体洗剤
hr(s) 時間
HSG 高起泡性粒状洗剤
kDa キロダルトン
kg キログラム
M モル濃度
mg ミリグラム
min(s) 分
mL及びml ミリリットル
mm ミリメートル
mM ミリモル濃度
MW 分子量
MWU 修正ウォルゲムス単位;1.6×10-5mg/MWU=活性の単位
性能指数
ppm 百万分率、例えば、乾燥固体1グラム当たりのμgタンパク質
sec 秒
sp. 種
U 単位
v/v 体積/体積
w/v 重量/体積
w/w 重量/重量
wt% 重量%
μg マイクログラム
μL及びμl マイクロリットル
μm マイクロメートル
μM マイクロモル濃度
【0016】
1.2.定義
用語「α-アミラーゼ」又は「アミロース分解酵素」又は一般にはアミラーゼは、とりわけ、デンプンの分解を触媒することが可能な酵素を指す。α-アミラーゼは、デンプン内のα-D-(1→4)O-グリコシド結合を切断する加水分解酵素である。一般に、α-アミラーゼ(EC3.2.1.1;α-D-(1→4)-グルカングルカノヒドロラーゼ)は、デンプン分子内のα-D-(1→4)O-グリコシド結合をランダムに切断して3つ以上の(1-4)-α-結合型D-グルコース単位を含有する多糖類を生成する、エンド作用性酵素であると定義されている。一方、β-アミラーゼ(EC3.2.1.2;α-D-(1→4)-グルカンマルトヒドロラーゼ)及びいくつかの製品固有α-アミラーゼ様マルトース生成α-アミラーゼ(EC3.2.1.133)などのエキソ作用性アミロース分解酵素は、基質の非還元末端から多糖分子を切断する。β-アミラーゼ、α-グルコシダーゼ(EC3.2.1.20;α-D-グルコシドグルコヒドロラーゼ)、アミラーゼグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3;α-D-(1→4)-グルカングルコヒドロラーゼ)、並びに製品固有アミラーゼ様マルトテトラオシダーゼ(EC3.2.1.60)及びマルトヘキサオシダーゼ(EC3.2.1.98)は、特定の長さのマルト-オリゴ糖又は特定のマルトオリゴ糖の強化シロップを生成することができる。いくつかの細菌α-アミラーゼは、主に、デンプン及び関連するα-1,4-グルカンからマルトテトラオース(G4)、マルトペンタオース(G5)、又はマルトヘキサオース(G6)を生成するのに対して、大抵のα-アミラーゼは、これらをさらに、最終産物としてのグルコース及び/又はマルトースに変換する。Bacillus種DSM12649(すなわち、STAINZYMETMの親)に由来するAA560アミラーゼ及びBacillus種707アミラーゼなどのG6アミラーゼ(マルトヘキサオース生成α-アミラーゼ(EC3.2.1.98)とも呼ばれる)は、技術的にはエキソ作用性であるが、α-アミラーゼと比較して類似の構造を有し、場合によっては、同じ有益な変異のいくつかに反応するように思われる。
【0017】
本明細書の「酵素単位」は、アッセイの指定された条件下で1時間あたりに形成される生成物の量を指す。例えば、「グルコアミラーゼ 活性単位」(GAU)は、60℃、pH4.2で、可溶性のデンプン基質(4% DS)から、1時間あたり1gのグルコースを生成する酵素の量と定義される。「可溶性のデンプン単位」(SSU)は、50℃、pH4.5で、可溶性のデンプン基質(4% DS)から、1分あたり1mgのグルコースを生成する酵素の量である。DSは、「乾燥固体」を指す。
【0018】
用語「デンプン」は、式(C6H10O5)x(式中、Xは任意の数であり得る)を有するアミロース及びアミロペクチンから構成される、植物の複合多糖炭水化物から構成される、任意の物質を指す。この用語には、植物系物質、例えば穀物、穀草類、草類、塊茎及び根、より具体的には小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦、米、ソルガム、フスマ、キャッサバ、キビ、ミロ、ジャガイモ、サツマイモ及びタピオカから得られる物質が含まれる。用語「デンプン」には、粒状デンプンが含まれる。用語「粒状デンプン」は、生の、すなわち未調理のデンプン、例えば糊化を受けていないデンプンを指す。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「液化」又は「液化する」は、デンプンがより低い粘性及びより短い鎖のデキストリンに変換されるプロセスを意味する。
【0020】
ポリペプチドに関する「野生型」、「親」、又は「参照」という用語は、1つ以上のアミノ酸の位置での人為的な置換、挿入又は欠失を含まない、天然型ポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関する「野生型」、「親」、又は「参照」という用語は、人為的なヌクレオシド変化を含まない、天然型ポリヌクレオチドを指す。しかし、野生型、親又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然型ポリヌクレオチドに限定されず、野生型、親、又は参照ポリペプチドをコードするあらゆるポリヌクレオチドを包含することに留意されたい。
【0021】
野生型ポリペプチドへの言及は、成熟形のポリペプチドを含むと理解される。「成熟」ポリペプチド又はそのバリアントは、シグナル配列が存在しない、例えば、そのポリペプチドの発現中又は発現後の未熟型のポリペプチドから切断されたものである。
【0022】
ポリペプチドに関する用語「バリアント」は、アミノ酸の1つ以上の天然型又は人為的な置換、挿入若しくは欠失を含むという点で、特定の野生型、親又は参照ポリペプチドと異なるポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関する用語「バリアント」は、ヌクレオチド配列が、特定の野生型、親又は参照ポリヌクレオチドと異なる、ポリヌクレオチドを指す。野生型、親又は参照ポリペプチド又はポリヌクレオチドの同一性は、文脈から明らかになるであろう。
【0023】
本α-アミラーゼの場合、「活性」は、本明細書で記載するように測定できるα-アミラーゼ活性を指す。
【0024】
用語「性能利益」は、分子の望ましい特性の改良を指す。代表的な性能利益には、限定はされないが、デンプン基質の加水分解の増大、穀物の増大、穀草類又は他のデンプン基質の液化性能、洗浄性能の増大、熱安定性の増大、洗剤安定性の増大、貯蔵安定性の増大、溶解性の増大、pHプロファイルの変化、カルシウム依存性の低下、比活性の増大、基質特異性の改変、基質結合の改変、pH依存性活性の改変、pH依存性安定性の改変、酸化安定性の増大及び発現増大が含まれる。場合によっては、性能利益は、比較的低い温度で実現される。場合によっては、性能利益は、比較的高い温度で実現される。
【0025】
用語「プロテアーゼ」及び「プロテイナーゼ」は、タンパク質を形成するペプチド又はポリペプチド鎖内でアミノ酸を共に連結するペプチド結合の加水分解を指す「タンパク質分解」又は「タンパク質分解的切断」を実施する能力を有する酵素タンパク質を指す。タンパク質消化酵素としてのプロテアーゼのこの活性は、「タンパク質分解活性」と呼ばれる。
【0026】
用語「セリンプロテアーゼ」は、その酵素中でセリンが酵素活性部位で求核性アミノ酸として機能する、タンパク質中のペプチド結合を切断する酵素を指す。セリンプロテアーゼは、その構造に基づいて、2つの広いカテゴリー:キモトリプシン様(トリプシン様)又はサブチリシン様に分類される。洗濯用洗剤及び食器洗浄用洗剤中で最も一般的に使用されるのは、セリンプロテアーゼ、特にサブチリシン様である。
【0027】
「組み合わせバリアント」は、2つ以上の変異、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、又はそれを超える置換、欠失及び/又は挿入を含むバリアントである。
【0028】
用語「組換え」は、対象の細胞、核酸、タンパク質又はベクターに関して使用される場合、対象がその天然の状態から改変されていることを示す。したがって、例えば、組換え細胞は、天然(非組換え)型の細胞内には見られない遺伝子を発現するか、又は天然に見られるものとは異なるレベルで若しくは異なる条件下で天然の遺伝子を発現する。組換え核酸は、天然の配列と1つ以上のヌクレオチドが異なる、且つ/又は異種配列、例えば発現ベクター内の異種プロモーターに作動可能に連結されている。組換えタンパク質は、天然配列と1つ以上のアミノ酸が異なる可能性がある、且つ/又は異種配列と融合されている。アミラーゼをコードする核酸を含むベクターは、組換えベクターである。
【0029】
「回収(された)」、「単離(された)」、及び「分離(された)」という用語は、化合物、タンパク質(ポリペプチド)、細胞、核酸、アミノ酸、若しくは他の特定の物質又は構成要素であって、天然に見出されるようにそれが自然に同伴している少なくとも1つの他の物質又は構成要素から除去されるものを指す。それらの「単離された」ポリペプチドには、異種宿主細胞内で発現した分泌ポリペプチドを含有する細胞培養ブロスが含まれるが、それに限定されない。
【0030】
用語「精製された」は、相当に純粋な状態、例えば、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約98%純粋又は少なくとも約99%純粋でさえある物質(例えば、単離ポリペプチド又はポリヌクレオチド)を指す。
【0031】
用語「濃縮(された)」は、約50%純粋、少なくとも約60%純粋、少なくとも約70%純粋、又はさらに少なくとも約70%純粋である物質(例えば、単離ポリペプチド又はポリヌクレオチド)を指す。
【0032】
酵素に関連する用語「熱安定性の」及び「熱安定性」は、高温への曝露後に活性を保持する酵素の能力を指す。酵素、例えばアミラーゼ酵素の熱安定性は、その時間中に規定条件下で酵素活性の半分が失われる、分、時間又は日数で与えられるその半減期(t1/2)によって測定できる。半減期は、高温への曝露(すなわち、高温によるチャレンジ)後の残留α-アミラーゼ活性を測定することによって計算され得る。
【0033】
酵素に関連する「pH範囲」は、酵素が触媒活性を示すpH値の範囲を指す。
【0034】
酵素に関連する用語「pH安定性の」及び「pH安定性」は、所定の時間(例えば、15分間、30分間、1時間)にわたって広いpH範囲にわたり活性を保持する酵素の能力に関する。
【0035】
用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」と同義であり、互換的に使用される。そのようなアミノ酸配列が活性を示す場合、それらは「酵素」と呼ぶことができる。アミノ酸残基に対して従来の1文字コード又は3文字コードが使用され、アミノ酸配列は、標準のアミノからカルボキシ末端方向(すなわち、N→C)に表示される。
【0036】
「核酸」という用語は、ポリペプチドをコードできるDNA、RNA、ヘテロ二本鎖及び合成分子を含む。核酸は、一本鎖又は二本鎖であり得、化学修飾を含有することができる。用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用される。遺伝コードは縮重しているため、特定のアミノ酸をコードするために2個以上のコドンを使用し得、本発明の組成物及び方法は、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を包含する。他に規定しない限り、核酸配列は、5’-から-3’の方向に表示される。
【0037】
「合成」分子は、生物によってではなく、インビトロの化学合成又は酵素合成によって生成される。
【0038】
細胞内へ核酸配列を挿入する文脈での用語「導入された」は、当該技術分野において公知の通りの「遺伝子導入」、「形質転換」、又は「形質導入」を意味する。
【0039】
「宿主株」又は「宿主細胞」は、その中に当該のポリペプチド(例えば、アミラーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター、ファージ、ウイルス、又は他のDNA構築物が導入されている生物である。代表的な宿主株は、当該のポリペプチドを発現する及び/又は糖類を発酵させることが可能な微生物細胞(例えば、細菌、糸状菌、及び酵母)である。用語「宿主細胞」には、細胞から作製されたプロトプラストが含まれる。
【0040】
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関連する用語「異種の」は、宿主細胞中で自然には生じないポリヌクレオチド又はタンパク質を指す。
【0041】
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関連する用語「内在性の」は、宿主細胞中で自然に生じるポリヌクレオチド又はタンパク質を指す。
【0042】
用語「発現」は、核酸配列に基づいてポリペプチドが生成されるプロセスを指す。このプロセスには、転写と翻訳の両方が含まれる。
【0043】
「シグナル配列」は、細胞外部へのタンパク質の分泌を容易にする、タンパク質のN末端部分に結合しているアミノ酸の配列である。成熟形態の細胞外タンパク質は、分泌プロセス中に切断除去されるシグナル配列を欠如している。
【0044】
「生物活性」は、例えば酵素活性などの特定の生物活性を有する配列を指す。
【0045】
用語「比活性」は、特定条件下で単位時間当たりの酵素又は酵素調製物によって生成物に変化され得る基質のモル数を指す。比活性は、一般に単位(U)/mg(タンパク質)として表示される。
【0046】
本明細書で使用する場合、「水の硬度」は、水中に存在する無機質(例えば、カルシウム及びマグネシウム)の尺度である。
【0047】
「アミラーゼを含む培養細胞物質」又は類似の言葉は、構成成分としてアミラーゼを含む細胞溶解物又は上清(培地を含む)を指す。細胞物質は、アミラーゼを生成する目的のために培養で増殖された異種宿主由来であり得る。
【0048】
「配列同一性(パーセント)」は、デフォルトのパラメータを用いるMUSCLEアルゴリズムなどのソフトウェアプログラムを使用して整列させた場合に、特定の配列が、指定された参照配列内のアミノ酸残基と同一の少なくともある一定のパーセンテージのアミノ酸残基を有することを意味する。例えば、Edgar,R.C. (2004)Nucleic Acids Research 32:1792-97を参照されたい。
【0049】
欠失は、参照配列と比較した場合に非同一である残基として計数される。
【0050】
用語「乾燥固体含量」(ds)は、乾燥重量パーセントベースでのスラリーの総固体を指す。用語「スラリー」は、不溶性固体を含有する水性混合物を指す。
【0051】
語句「同時糖化発酵(SSF)」は、エタノール産生微生物などの微生物有機体と、アミラーゼなどの少なくとも1種の酵素が、同一プロセス工程中に存在する、生化学物質の製造におけるプロセスを指す。SSFには、同一反応容器内における同時の、グルコースを含めた糖類へのデンプン基質(粒状、液化、又は可溶化されたもの)の加水分解と、アルコール又は他の生化学物質若しくは生体物質への糖類の発酵とが含まれる。
【0052】
「エタノール産生微生物」は、糖又はオリゴ糖をエタノールに変換する能力を備える微生物を指す。
【0053】
用語「発酵飲料」は、微生物発酵、例えば細菌及び/又は真菌発酵などの発酵プロセスを含む方法によって生成されるあらゆる飲料を指す。
【0054】
用語「麦芽」は、あらゆる穀粒麦芽、例えば大麦麦芽又は小麦麦芽を指す。
【0055】
用語「マッシュ」は、後に麦汁と使用済み穀物とに分離されることとなる、水と混和された、任意のデンプン及び/又は糖を含有する植物性物質、例えば、例えば粉砕された大麦麦芽、粉砕された大麦、及び/又は他の添加物又はそれらの組み合わせを含む製粉用穀物の水性スラリーを指す。
【0056】
用語「麦汁」は、マッシュ過程で製粉用穀物を抽出した後に流出する、未発酵の酒を指す。
【0057】
用語「約」は、基準とされる値に対する±15%を指す。
【0058】
2.マルトペンタオース/マルトヘキサオースを形成するα-アミラーゼバリアント
記載されるのは、自動食器洗浄(ADW)用途において高度な性能を示す、マルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼの組み合わせバリアントである。このバリアントは、本明細書ではAA2560と称され、以前は国際公開第2018/184004号パンフレットにおいてBspAmy24(配列番号1)と認識されていた、バチルス属(Bacillus)の種由来のα-アミラーゼと最も密接に関連する。AA2560α-アミラーゼの成熟アミノ酸配列は、配列番号1として、以下に示される:
【化1】
【0059】
密接に関連するマルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼは、本明細書で「AA707」と称されるバチルス属(Bacillus)の種707由来である。AA707α-の成熟アミノ酸配列は、配列番号2として、以下に示される:
【化2】
【0060】
別の密接に関連するマルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼは、AA560と称されるバチルス属(Bacillus)の種由来である。AA560の成熟アミノ酸配列は、配列番号3として、以下に示される:
【化3】
【0061】
アミノ酸配列同一性に基づくと、別の推定されるマルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼは、別のバチルス属(Bacillus)の種由来であり、本明細書ではAAI10と称される。AAI10α-アミラーゼの成熟アミノ酸配列は、配列番号4として、以下に示される:
【化4】
【0062】
これらの4種のα-アミラーゼのMUSCLEアラインメントを、
図1に示す。アミノ酸配列同一性を、表1にまとめて示す。AA707、AA560、及びAAI10はすべて、AA2560に対する80%超のアミノ酸同一性を有する。
【表1】
【0063】
優れた洗浄性能を示すことが国際公開第2021/080948号パンフレットに記載されている、AA2560 α-アミラーゼのバリアントを、配列番号5として下に示す:
【化5】
【0064】
このバリアントは、番号付けのために野生型のAA2560 α-アミラーゼ(配列番号1)を使用すると、AA2560 α-アミラーゼを基準として変異T40N、S91R、Y100F、W116R、Q172N、ΔR181、ΔG182、S244Q、及びH281Sを有する。
【0065】
出発点として前述のAA2560 α-アミラーゼバリアントを使用して、さらに改良された洗浄性能を示す、さらなるAA2560 α-アミラーゼバリアントを設計した。新規バリアントのほとんどには、2つの変異T51V及びS125Rが含まれる。これらの位置での変異は、分子のデンプン結合溝内のヒドロキシル基の喪失をもたらす。酵素の構造モデルでは、T51及びS125のヒドロキシル基は、溶媒曝露され、デンプン結合溝内の水素結合に利用可能である(
図1)。
【0066】
ある理論に制限されないが、本発明者らは、T51V変異とS125R変異の組み合わせが、デンプン結合溝における水素結合のための、そうでなければ曝露される可能性があるヒドロキシル基を除去することによって、活性部位における非生産的な結合型のデンプンを減少させるように共に働くことができることを提唱する。これらのヒドロキシル基の喪失は、触媒作用のための求核剤に関する分子及び一般の酸/塩基側鎖の最適な配置と相いれない構造のデンプンの結合を防止することができる。この理論に基づくと、これらの位置のヒドロキシル基を除去する他の置換も、類似の洗浄利益を提供する可能性があり、したがって、置換は、より一般的に、T51X及びS125X(ここでは、Xは、SでもTでもない)と記述することができる。
【0067】
本発明のバリアントの別の特徴は、引き続き、第91位の変異及び/又はα-アミラーゼTIMバレル構造の底部(基部)の少なくとも1つの変異である。バレル底部残基は、ゼロよりも大きい溶媒接近可能表面積を有し、且つ活性部位と逆のバレルの側で、及び各ストランドのN末端を含有する側で、コアβ-バレル構造内にある又はβ-バレル構造に隣接している。関連する残基は、番号付けについて配列番号1を参照すると、第6、7、40、96、98、100、229、230、231、262、263、285、286、287、288、322、323、324、325、362、363、及び364位である。すべての場合において、これらの残基は、TIMバレル構造の基部に並び、これは、α-アミラーゼ及び多くの他の酵素の主要な構築的特徴に相当する。残基91の例示的な変異は、極性残基から、荷電残基、特に正の電荷を持つ残基、例えばアルギニンへの置換(すなわち、X91R)であり、AA2560の場合には、これは、特定の置換S91Rである。
【0068】
バリアントは、さらに、ループ内(番号付けについて配列番号1を参照すると、表面が曝露される残基167、169、171、172、及び176が含まれる)の変異を特徴とすることができる。バリアントは、さらに、溶解度に影響を与えると考えられている、第116及び281位での変異を特徴とすることができる。
【0069】
バリアントは、さらに、番号付けについて配列番号1を参照すると、第190及び/又は244位での安定化変異を特徴とすることができる。こうした変異は、十分に特徴付けられており、現在の、洗浄、穀物加工、及び繊維処理の両方のために使用される市販品として入手可能なα-アミラーゼに含まれている。これらの残基における例示的変異は、置換X190P及びX244A、E又はQ、特にE190P、S244A、S244E、及びS244Qである。第190位での変異と組み合わせた、第275及び279位での変異も、興味深いものである。
【0070】
バリアントは、さらに、番号付けについて配列番号1を参照すると、第1、7、118、195、202、206、321、245、及び459位での変異を特徴とすることができ、これは、現在の、市販品として入手可能なα-アミラーゼに含まれているか、又はこうした用途について提案されている。
【0071】
バリアントは、番号付けについて配列番号1を使用すると、R181、G182、T183、及びG184に対応するカルシウム結合ループに隣接するX1G/S1X2G2モチーフ内に1つの欠失をさらに含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、R181及びG182、又はT183及びG184に対応するアミノ酸残基の隣接するペアでの欠失を含む。R181及びG182に対応するアミノ酸残基内の欠失は、「ΔRG」と称することができるのに対して、第183位の残基(通常、T、D、又はH)及びG184に対応するアミノ酸残基内の欠失は、必要に応じて「ΔTG」、「ΔDG」、「ΔHG」などと称することができる。両方のペアの欠失は、α-アミラーゼにおいて、同じ影響を生じるように思われる。
【0072】
バリアントには、類似の折り畳みを有する、及び/又は(i)例えばB.リケニホルミス(B.lichenifomis)(すなわち、BLA及びLAT)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)(すなわち、BSG)及びB.アミロリケファシエンス(B.amyloliquifaciens)(すなわち、P00692、BACAM、及びBAA)由来の、周知のバチルス属(Bacillus)α-アミラーゼのいずれか、又はそのハイブリッド、(ii)糖質関連酵素データベース(CAZy)ファミリー13 α-アミラーゼと分類されるいずれかのα-アミラーゼ、又は(iii)以下では記述用語「Termamyl様」によって称されているいずれかのアミラーゼ、との60%以上のアミノ酸配列同一性を有する、他のα-アミラーゼにおける使用について上に記載された変異がさらに含まれ得る。例示的なα-アミラーゼには、限定はされないが、バチルス属(Bacillus)の種SG-1,バチルス属(Bacillus)の種707からのもの、及びA7-7、SP722、DSM90 14、及びKSM AP1378と称されるα-アミラーゼが含まれる。同様に、本明細書に記載された変異の組み合わせのいずれかが、マルトペンタオース/マルトヘキサオース生成α-アミラーゼとして記載されているかどうかにかかわらず、これらのα-アミラーゼにおいて性能利益をもたらすことができる。
【0073】
特に企図される組み合わせバリアントを、配列番号5を基準として、及び番号付けのために配列番号5を使用して、以下に列挙する。配列番号5のバリアントは、既に欠失ΔR181及びΔG182を有しており、したがって、配列番号1を基準とすると第183位以降の各位の数は2つ減っていることに留意されたい。
T51V+S125R+F231L
T51V+S125R+N172Q+N227R
【0074】
関連実施形態において、特に企図される組み合わせバリアントを、配列番号5を基準として、及び番号付けのために配列番号5を使用して、以下に列挙する。
N29Q+T51V+S125R+N227R+S253L+G272E+K319R+S418A
N29Q+T51V+T244I+S253L+K268R+K319R+S418A
E415G
【0075】
α-アミラーゼが、上に列挙した変異を天然に有する場合(すなわち、野生型α-アミラーゼが、変異であると特定された残基を既に含んでいた場合)、その特定の変異は、そのα-アミラーゼには適用されないことが理解されるであろう。しかし、他の記載された変異は、その位置での天然に存在する残基と組み合せて機能することができる。
【0076】
本α-アミラーゼバリアントには、アミノ酸配列内の1個又は数個のアミノ酸の置換、欠失、又は付加、例えば、10個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満、5個未満、4個未満、3個未満、又は更には2個未満の置換、欠失、又は付加も含まれ得る。こうしたバリアントは、それが由来するα-アミラーゼと同様の活性を有することが期待される。本α-アミラーゼバリアントには、そのN又はC末端での1個又は数個の残基の少しの欠失及び/又は伸長も含まれ得る。こうした少しの変化は、本明細書に記載された発明概念を無効にする可能性は低い。
【0077】
本発明のアミラーゼは、「前駆体」、「未成熟」、若しくは「完全長」(これらの場合にはシグナル配列が含まれる)、又は「成熟」(この場合にはシグナル配列が欠如している)であり得る。成熟形態のポリペプチドが、一般に、最も有用である。他に記載がない限り、本明細書で使用するアミノ酸残基の番号付けは、それぞれの成熟形態のアミラーゼポリペプチドを基準とする。
【0078】
いくつかの実施形態では、α-アミラーゼバリアントは、配列番号1、2、3、4、又は5との、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%、ただし100%よりも小さいアミノ酸配列同一性を有する。
【0079】
2.5.アミラーゼポリペプチドバリアントをコードするヌクレオチド
別の態様では、α-アミラーゼポリペプチドバリアントをコードする核酸が提供される。この核酸は、ある特定のアミラーゼポリペプチド、又はその特定のα-アミラーゼとの指定された程度のアミノ酸配列同一性を有するα-アミラーゼをコードすることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号1、2、3、4、又は5との、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%、ただし100%よりも小さいアミノ酸配列同一性を有するα-アミラーゼをコードする。遺伝子コードの縮重に起因して、複数の核酸が同じポリペプチドをコードし得ることが理解されるであろう。
【0081】
いくつかの実施形態では、核酸は、ストリンジェント又は非常にストリンジェントな条件下で、配列番号1、2、3、4、又は5との、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%、ただし100%よりも小さいアミノ酸配列同一性を有するα-アミラーゼをコードする(又はコードする核酸に相補的である)核酸にハイブリダイズする。
【0082】
3.α-アミラーゼバリアントの産生
本発明のα-アミラーゼバリアントは、例えば、当該技術分野で周知の方法を使用して、分泌又は細胞内発現によって、宿主細胞中で生成することができる。発酵、分離、及び濃縮技術は、当該技術分野に周知であり、従来法を使用して、濃縮されたα-アミラーゼポリペプチドバリアント含有溶液を調製することができる。
【0083】
生産規模での回収のために、α-アミラーゼポリペプチドバリアントは、ポリマーを用いた綿状沈殿を介して細胞を除去することによって上に一般に記載した通りに濃縮又は部分的に精製することができる。或いは、酵素は、精密濾過、それに続く利用可能な膜及び装置を使用する限外濾過による濃縮によって、濃縮又は精製することができる。しかし、一部の用途では、酵素は濃縮又は精製する必要がなく、全ブロス培養物を溶解させ、それ以上の処理を行わずに使用することができる。その後、酵素は、例えば顆粒に加工処理することができる。
【0084】
4.α-アミラーゼバリアントを含有する洗浄組成物
本発明の組成物及び方法の一態様は、例えば自動及び手動食器洗浄(ADW)、洗濯洗浄、及び他の硬質表面洗浄のための構成成分としてα-アミラーゼバリアントを含む、洗浄組成物を含む。
【0085】
4.1.概要
好ましくは、α-アミラーゼバリアントは、公知のα-アミラーゼについて従来使用される濃度で又はそれ未満の濃度で、洗剤配合物に組み込まれる。記載されるα-アミラーゼバリアントは、性能において、以前から入手可能なあらゆるものよりも優れているので、既存のα-アミラーゼと比較して、標準の用量で優れた性能を、また、より低用量で同様の性能を発揮することが期待される。以下では、本発明のα-アミラーゼの包含のための、洗剤組成物の特定の形態及び配合について記載する。
【0086】
4.2.自動食器洗浄(ADW)洗剤組成物
代表的なADW洗剤組成物には、0~10重量%の量で存在する、エトキシル化非イオン性界面活性剤、アルコールアルコキシル化界面活性剤、エポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコール、若しくはアミンオキシド界面活性剤を含めた、非イオン性界面活性剤;リン酸塩ビルダー(例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、三ポリリン酸塩、他のオリゴマーポリリン酸塩、トリポリリン酸ナトリウム-STPP)及びリン酸を含まないビルダー(例えば、0.5重量%~50重量%の範囲内のメチル-グリシン-二酢酸(MGDA)並びにその塩及び誘導体、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)並びにその塩及び誘導体、イミノジコハク酸(IDS)並びにその塩及び誘導体、カルボキシメチルイヌリン並びにその塩及び誘導体、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、β-アラニン二酢酸(β-ADA)及びその塩、ポリ-カルボン酸のホモポリマー及びコポリマー並びにそれらの部分的若しくは完全中和塩、モノマーのポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸並びにその塩を含めた、アミノ酸をベースとする化合物)を含めた、5~60%の範囲内のビルダー;寸法安定性を提供するための約0.1重量%~約50重量%の範囲内のスルホン化/カルボキシル化ポリマー;約0.1重量%~約10重量%の範囲内の乾燥助剤(例えば、任意選択的に3~6官能基-典型的には重縮合を促進する酸、アルコール若しくはエステル官能基を有するさらなるモノマーと一緒の、ポリエステル、特にアニオン性ポリエステル、ポリカーボネート-、ポリウレタン-及び/又はポリ尿素-ポリオルガノシロキサン化合物若しくはその、特に反応性環状炭酸塩及び尿素タイプの前駆体化合物)、約1重量%~約20重量%の範囲内のケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム若しくはケイ酸カリウム、例えば二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び結晶性フィロケイ酸塩が含まれる);無機漂白剤(例えば、過水和物塩、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩)及び有機漂白剤(例えば、ジアシル及びテトラアシルペルオキシドを含めた有機ペルオキシ酸、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸及びジペルオキシヘキサデカン二酸);漂白活性剤(すなわち、約0.1重量%~約10重量%の範囲内の有機過酸前駆体);漂白触媒(例えば、トリアザシクロノナンマンガン及び関連錯体、Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連錯体並びに酢酸ペンタミンコバルト(III)及び関連錯体);約0.1重量%~5重量%の範囲内の金属ケア剤(例えば、ベンザトリアゾール、金属塩及び錯体及び/又はケイ酸塩);自動食器洗浄用洗剤組成物1g当たり約0.01~5.0mgの活性酵素の範囲内の酵素(例えば、プロテアーゼ、α-アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ラッカーゼ、ホスホリパーゼ、リソホスホリパーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ペルヒドロラーゼ、アリールエステラーゼ及びそれらの混合物);並びに酵素安定剤成分(例えば、オリゴ糖、多糖及び無機二価金属塩)が含まれる。
【0087】
ある特定の例示的なADW組成物(その中で、本バリアントの少なくともいくつかが試験されている)を、表2に示す。
【表2】
【0088】
4.3.重質液体(HDL)洗濯用洗剤組成物
代表的なHDL洗濯用洗剤組成物は、アニオン性洗浄性界面活性剤(直鎖、分岐鎖若しくはランダム鎖の、置換若しくは非置換アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシル化アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩及び/又はそれらの混合物の群から選択される)、及び任意選択的に、非イオン性界面活性剤(直鎖、分岐鎖若しくはランダム鎖の、置換若しくは非置換アルコキシル化アルキルアルコール、例えばC8~C18エトキシル化アルキルアルコール及び/又はC6~C12アルキルフェノールアルコキシレートの群から選択される)を含めた、洗浄性界面活性剤(10wt/wt%~40wt/wt%)を含み、ここで、アニオン性洗浄性界面活性剤(6~9の親水性指数(HIc)を有する)と非イオン性洗浄性界面活性剤との重量比は、1:1より大きい。好適な洗浄性界面活性剤としてはまた、カチオン性洗浄性界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル第三級スルホニウム化合物及び/又はこれらの混合物の群から選択される);双性イオン性及び/又は両性洗浄性界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインの群から選択される);両性界面活性剤;半極性非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
本組成物は、任意選択的に、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー(分枝状の親水性及び疎水性性質を有するアルコキシル化ポリマー、例えば0.05wt%~10wt%の範囲のアルコキシル化ポリアルキレンイミンなどの群から選択される)及び/又はランダムグラフトポリマー(典型的には、不飽和C1~C6カルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、グリセロールなどの飽和ポリアルコール及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む親水性骨格と、C4~C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C1~C6モノ-カルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC1~C6アルキルエステル及びそれらの混合物からなる群から選択される疎水性側鎖とからなる)からなる界面活性増強性ポリマーを含むことができる。
【0090】
本組成物は、例えば、防汚ポリマー(非イオン性末端キャップ化ポリエステル、例えばSRP1、ランダム若しくはブロック構造の糖、ジカルボン酸、ポリオール及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマー、ランダム又はブロック構造のエチレンテレフタレート系ポリマー及びそれらのコポリマー、例えばRepel-o-tex SF、SF-2及びSRP6、Texcare SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300及びSRN325、Marloquest SLが含まれる)、再付着防止ポリマー(0.1wt%~10wt%;500~100,000Daの範囲内の分子量の、カルボン酸ポリマー、例えばアクリル酸、マレイン酸(又はマレイン酸無水物)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸及びそれらの任意の混合物、ビニルピロリドンホモポリマー及び/又はポリエチレングリコールなどから選択される少なくとも1つのモノマーを含むポリマーなどのカルボン酸ポリマーが含まれる);セルロースポリマー(アルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルカルボキシアルキルセルロース(その例にはカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース及びそれらの混合物が含まれる)から選択されるポリマーが含まれる)、並びにカルボキシレートポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸ランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマー)などの追加のポリマーを含むことができる。
【0091】
本組成物は、飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和又は不飽和C12~C24脂肪酸(0wt%~10wt%);沈着助剤(その例には、多糖類、好ましくはセルロースポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物(DADMAC)、及びランダム又はブロック構造の、DAD MACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハロゲン化物及びそれらの混合物とのコポリマー、カチオン性グアーガム、カチオン性セルロース、例えばカチオン性ヒドキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアクリルアミド及びそれらの混合物が含まれる)をさらに含むことができる。
【0092】
本組成物は、染料移動阻害剤(その例として、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール及び/又はそれらの混合物が含まれる);キレート剤(その例として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸N,N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA))、ニトリロ三酢酸(NTA)、4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸、クエン酸及びそれらの任意の塩、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)並びにそれらの誘導体が含まれる)をさらに含むことができる。
【0093】
本組成物は、好ましくは、プロテアーゼ、α-アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ラッカーゼ、ホスホリパーゼ、リソホスホリパーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ペルヒドロラーゼ、アリールエステラーゼ及びそれらの任意の混合物から選択される酵素(一般に、約0.01wt%の活性酵素~0.03wt%の活性酵素)を含んでいた。本組成物は、酵素安定剤(その例としては、プロピレングリコール若しくはグリセロールなどのポリオール、糖若しくは糖アルコール、乳酸、可逆性プロテアーゼ阻害剤、ホウ酸若しくはホウ酸誘導体、例えば芳香族ホウ酸エステル又は4-ホルミルフェニルホウ酸などのフェニルホウ酸誘導体が挙げられる)を含むことができる。
【0094】
本組成物は、任意選択的に、シリコーン系又は脂肪酸系起泡抑制剤;色相染料(hueing dyes)、カルシウムカチオン及びマグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤(0.001wt%~約4.0wt%)及び/又は構造化剤/増粘剤(0.01wt%~約5wt%;ジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶セルロース、セルロース系材料、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガム及びそれらの混合物からなる群から選択される)を含むことができる。
【0095】
本組成物は、任意の液体形態、例えば、液体若しくはゲル形態又はそれらの任意の組み合わせであり得る。本組成物は、任意の単位用量形態、例えばパウチであり得る。
【0096】
4.4.重質乾燥/固体(HDD)洗濯用洗剤組成物
典型的なHDD洗濯用洗剤組成物には、アニオン洗浄性界面活性剤(例えば、直鎖若しくは分岐鎖若しくはランダム鎖の置換若しくは非置換のアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアルコキシル化硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩及び/又はそれらの混合物)、非イオン洗浄性界面活性剤(例えば、直鎖若しくは分岐鎖若しくはランダム鎖の置換若しくは非置換のC8~C18アルキルエトキシレート及び/又はC6~C12アルキルフェノールアルコキシレート)、カチオン性洗浄性界面活性剤(例えば、アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル第三スルホニウム化合物及びこれらの混合物)、両性イオン性及び/又は両性洗浄性界面活性剤(例えば、アルカノールアミンスルホベタイン)、両性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びそれらの混合物を含む洗浄性界面活性剤;リン酸を含まないビルダー(例えば、その例に、0wt%~10wt%未満の範囲内のゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP及びゼオライトMAPが含まれる、ゼオライトビルダー)、リン酸塩ビルダー(例えば、0wt%~10wt%未満の範囲内のトリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸、クエン酸塩及びニトリロ三酢酸、ケイ酸塩(例えば、0wt%~10wt%未満の範囲内のケイ酸ナトリウム若しくはケイ酸カリウム又はメタケイ酸ナトリウム、又は層状ケイ酸塩(SKS-6))を含むビルダー;炭酸塩(例えば、0wt%~80wt%未満の範囲内の炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウム);並びに光脱色剤を含めた漂白剤(例えば、スルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン染料及びそれらの混合物)、疎水性若しくは親水性漂白活性剤(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、デカノイルオキシ安息香酸若しくはその塩、3,5,5-トリメチヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、テトラアセチルエチレンジアミン-TAED、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩-NOBS、ニトリルクワット及びそれらの混合物);過酸化水素源(例えば、その例に、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩若しくは過ケイ酸塩の、ナトリウム塩一水和物若しくは四水和物が含まれる、無機過水和塩)、予備形成された親水性及び/又は疎水性過酸(例えば、過カルボン酸及び塩、過炭酸及び塩、ペリミド酸及び塩、ペルオキシモノ硫酸及び塩及びそれらの混合物)及び/又は漂白触媒(例えば、イミン漂白増強剤(その例には、イミニウムカチオン及びポリイオンが含まれる)、イミニウム両性イオン、変性アミン、変性アミンオキシド、N-スルホニルイミン、N-ホスホニルイミン、N-アシルイミン、チアジアゾール二酸化物、ペルフルオロイミン、環状糖ケトン及びそれらの混合物、並びに金属含有漂白触媒(例えば、亜鉛若しくはアルミニウムなどの補助金属カチオン、並びにエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びその水溶性塩などの封鎖剤と共に、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、若しくはマンガンカチオン)を含めた漂白剤が含まれる。
【0097】
本組成物は、好ましくは、酵素、例えば、プロテアーゼ、α-アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ラッカーゼ、ホスホリパーゼ、リソホスホリパーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ペルヒドロラーゼ、アリールエステラーゼ及びそれらの混合物を含む。
【0098】
本組成物は、任意選択的に、香料マイクロカプセル、デンプン封入香料アコード、色相剤、布地完全性及びカチオンポリマーを含めた追加のポリマー、ダイロック成分、布地柔軟剤、増白剤(例えば、C.I.蛍光増白剤)、凝集剤、キレート剤、アルコキシル化ポリアミン、布用沈殿助剤、及び/又はシクロデキストリンを含めた、追加の洗剤成分を含むことができる。
【0099】
4.5.追加の酵素
本明細書に記載した洗浄組成物はいずれも、任意の数の追加の酵素を含むことができる。一般に、酵素は、選択された洗剤と(例えば、他の酵素成分及び非酵素成分などとのpH最適性、適合性に関して)適合するべきであり、且つ、酵素は、有効量で存在するべきである。例として、下記の酵素を挙げる。
【0100】
プロテアーゼ:
好適なプロテアーゼには、動物、野菜、又は微生物起源のプロテアーゼが含まれる。天然に処理されたタンパク質だけでなく、化学的に修飾された又はタンパク質改変された変異体が含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又は金属プロテアーゼ、アルカリ性微生物プロテアーゼ、トリプシン様プロテアーゼ、又はキモトリプシン様プロテアーゼであり得る。アルカリ性プロテアーゼの例は、サブチリシン、特にバチルス属(Bacillus)由来のプロテアーゼ(例えば、サブチリシンNovo、サブチリシンCarlsberg、サブチリシン309、サブチリシン147、バチルス・ギブソニー(Bacillus gibsonii)、及びサブチリシン168である(例えば、国際公開第1989/06279号パンフレット、国際公開第20200242858号パンフレットを参照されたい)。例示的なプロテアーゼには、限定はされないが、国際公開第1995/23221号パンフレット、国際公開第1992/21760号パンフレット、国際公開第2008/010925号パンフレット、国際公開第2010/0566356号パンフレット、国際公開第2011/072099号パンフレット、国際公開第2011/13022号パンフレット、国際公開第2011/140364号パンフレット、国際公開第2012/151534号パンフレット、国際公開第2015/038792号パンフレット、国際公開第2015/089441号パンフレット、国際公開第2015/089447号パンフレット、国際公開第2015/143360号パンフレット、国際公開第2016/001449号パンフレット、国際公開第2016/001450号パンフレット、国際公開第2016/061438号パンフレット、国際公開第2016/069544号パンフレット、国際公開第2016/069548号パンフレット、国際公開第2016/069552号パンフレット、国際公開第2016/069557号パンフレット、国際公開第2016/069563号パンフレット、国際公開第2016/069569号パンフレット、国際公開第2016/087617号パンフレット、国際公開第2016/087619号パンフレット、国際公開第2016/145428号パンフレット、国際公開第2016/174234号パンフレット、国際公開第2016/183509号パンフレット、国際公開第2016/202835、国際公開第2016/205755、国際公開第2008/0090747号パンフレット、国際公開第2018/118950号パンフレット、国際公開第2018/169750号パンフレット、国際公開第2018/118917号パンフレット、米国特許第5,801,039号明細書、米国特許第5,340,735号明細書、米国特許第5,500,364号明細書、米国特許第5,855,625号明細書、RE第34606号明細書、米国特許第5,955,340号明細書、米国特許第5,700,676号明細書、米国特許第6,312,936号明細書、米国特許第6,482,628号明細書、米国特許第8,530,219号明細書に記載されているプロテアーゼ、並びに、国際公開第2007/044993号パンフレット、国際公開第2009/058303号パンフレット、国際公開第2009/058661号パンフレット、国際公開第2014/071410号パンフレット、国際公開第2014/194032号パンフレット、国際公開第2014/194034号パンフレット、国際公開第2014/194054号パンフレット、及び国際公開第2014/194117号パンフレットに記載されているメタロプロテアーゼが含まれる。
【0101】
典型的な市販のプロテアーゼには、限定はされないが、MAXATASE、MAXACAL、MAXAPEM、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT(登録商標)OXP、PURAMAX(登録商標)、EXCELLASE(登録商標)、PREFERENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P100、P110、P280、P300)、EFFECTENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000、P1050、P2000)、EXCELENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000)、ULTIMASE(登録商標)、及びPURAFAST(Danisco US);ALCALASE(登録商標)、ALCALASE(登録商標)ULTRA、BLAZE(登録商標)、BLAZE(登録商標)EVITY(登録商標)、BLAZE(登録商標)EVITY(登録商標)16L、CORONASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)ULTRA、SAVINASE(登録商標)EVITY(登録商標)、SAVINASE(登録商標)EVERIS(登録商標)、PRIMASE、DURAZYM、POLARZYME(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、KANNASE(登録商標)、LIQUANASE(登録商標)、EVERIS(登録商標)、NEUTRASE(登録商標)、PROGRESS UNO(登録商標)、RELASE(登録商標)、及びESPERASE(登録商標)(Novozymes);BLAP(商標)及びBLAP(商標)バリアント(Henkel);LAVERGY(商標)PRO 104L(BASF)、及びKAP(登録商標)(B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)サブチシリン)(Kao)が含まれる。好適なプロテアーゼには、天然に存在するプロテアーゼ、又は相当に低い温度で機能するように特異的に選択又は遺伝子改変された操作されたバリアントが含まれる。
【0102】
本発明の組成物及び方法の特定の実施形態では、記載されるα-アミラーゼバリアントは、アミノ酸置換X39E、X99R、X126A、X127E、及びX128Gを有し、且つ、N74D-M211L-N253P、R179Q-M211L-N253P、N74D-N253P、N85R-G160Q-R179Q-M211L-N212S-N253P、R179Q-N253P、G160Q-R179Q-M211L-N212S-N253P、R179Q-M211L、G160Q-R179Q-M211L-N253P、G160Q-R179Q-N212S-N253P、N74D-M211L、M211L-N242D、G160Q-R179Q-M211L-N212S、N74D-R179Q-M211L-N253P、G160Q-R179Q-M211L、G160Q-R179Q-N253P、N74D-Q200L-M211L、N74D-G160Q-N212S-N253P、N74D-G160Q-M211L-N253P、G160Q-R179Q、G160Q-R179Q-N212S、N74D-G160Q-N253P、N74D-G160Q-R179Q-M211L-N212S-N253P、N74D-N085R-G160Q-R179Q-M211L、N74D-G160Q-M211L-N212S-N253P、N74D-N085R-N116R-Q200L-Q256E、N74D-G160Q-R179Q-N212S-N253P、N74D-G160Q-M211L-N212S、N74D-G160Q、N74D-G160Q-R179Q-M211L-N253P、N74D-R179Q-M211L、N74D-G160Q-N212S、N74D-G160Q-M211L、N74D-G160Q-R179Q-N253P、N74D、N74D-G160Q-R179Q-M211L-N212S、N74D-N085R-M211L-N212S、N74D-G160Q-R179Q-N212S、N74D-G160Q-R179Q-M211L、N74D-M211L-Q256E、N74D-G160Q-R179Q、R179Q-M211L-N212S-N253P、R179Q-M211L-N212S、N74D-N085R-R179Q-M211L-N212S、N74D-M211L-N212S、N74D-R179Q-M211L-N212S、N74D-M211L-N242D、N74D-Q200L-M211L-Q256E、N74D-Q200L-M211L-N242D-Q256E、N74D-Q200L、N74D-M211N-N212Q、N74D-M211N-N212Q-Q256E、N74D-M211N-Q256E、N74D-M211Q、N74D-M211Q-N212Q、N74D-M211Q-N212Q-Q256E、N74D-M211Q-Q256E、N74D-N198A-M211Q、N74D-N198A-M211Q-N212Q、N74D-N198A-M211Q-Q256E、N74D-N198G-M211Q、N74D-N198G-M211Q-N212Q、N74D-N198G-M211Q-Q256E、N74D-N198K-M211Q-N212Q、N74D-N198L-M211Q-N212Q、N74D-N198Q-M211Q-N212Q、N74D-N198R-M211Q-N212Q、N74D-N198T-M211Q-N212Q、N74D-N198V-M211Q-N212Q、N74D-N212Q-Q256E、N74D-Q256E、N74D-R207Q、N74D-R207Q-M211N、N74D-R207Q-M211N-N212Q、N74D-R207Q-M211N-N212Q-Q256E、N74D-R207Q-M211N-Q256E、N74D-R207Q-M211Q、N74D-R207Q-M211Q-N212Q、N74D-R207Q-M211Q-N212Q-Q256E、N74D-R207Q-N212Q、N74D-R207Q-N212Q-Q256E、N74D-R207Q-Q256E、N74D-N198S-M211Q、及びN74D-N198L-M211Qからなる群から選択される1つ以上の追加の置換をさらに有する、バチルス・ギブソニー(Bacillus gibsonii)由来のサブチリシンプロテアーゼバリアント(BG46と称される)と組み合わせて使用される。ここで、アミノ酸位置は、配列番号5のアミノ酸配列との対応によって番号付けされ、ここで、このバリアントは、配列番号6のアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を有する。これらのアミノ酸配列を、以下に示す。
【0103】
BG46プロテアーゼのアミノ酸配列(配列番号6):
【化6】
【0104】
置換S39E、S99R、S126A、D127E、及びF128Gを有するBG46のアミノ酸配列(配列番号7):
【化7】
【0105】
リパーゼ:
好適なリパーゼには、細菌又は真菌起源のリパーゼが含まれる。化学修飾された、タンパク質分解的に修飾された、又はタンパク質改変された変異体が含まれる。有用なリパーゼの例としては、限定はされないが、フミコラ属(Humicola)(異名:サーモマイセス属(Thermomyces))由来の、例えば、H.ラヌギノサ(H.lanuginosa)(T.ラヌギノーサス(T.lanuginosus))(例えば、欧州特許第258068号明細書及び欧州特許第305216号明細書を参照されたい)由来の、H.インソレンス(H.insolens)(例えば、国際公開第96/13580号パンフレットを参照されたい)由来のリパーゼ;シュードモナス属(Pseudomonas)リパーゼ(例えば、P.アルカリゲネス(P.alcaligenes)又はP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)(例えば、欧州特許第218272号明細書を参照されたい)、P.セパシア(P.cepacia)(例えば、欧州特許第331376号明細書を参照されたい)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)(例えば、英国特許第1,372,034号明細書を参照されたい)、P.フルオレセンス(P.fluorescens)、シュードモナス属(Pseudomonas)の種、SD705株(例えば、国際公開第95/06720号パンフレット及び国際公開第96/27002号パンフレットを参照されたい)、P.ウィスコンシネンシス(P.wisconsinensis)(例えば、国際公開第96/12012号パンフレットを参照されたい)由来);バチルス属(Bacillus)リパーゼ(例えば、B.スブチリス(B.subtilis)(例えば、Dartois et al.(1993)Biochemica et Biophysica Acta 1131:253-360を参照されたい)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)(例えば、JP64/744992号公報)又はB.プミルス(B.pumilus)(例えば、国際公開第91/16422号パンフレットを参照されたい)由来)が挙げられる。この配合物中での使用が企図される追加のリパーゼバリアントには、例えば:国際公開第92/05249号パンフレット、国際公開第94/01541号パンフレット、国際公開第95/35381号パンフレット、国際公開第96/00292号パンフレット、国際公開第95/30744号パンフレット、国際公開第94/25578号パンフレット、国際公開第95/14783号パンフレット、国際公開第95/22615号パンフレット、国際公開第97/04079号パンフレット、国際公開第97/07202号パンフレット、欧州特許第407225号明細書、及び欧州特許第260105号明細書に記載されているものが含まれる。
【0106】
代表的な市販のリパーゼとしては、限定はされないが、M1リパーゼ、LUMA FAST及びLIPOMAX(Genencor);LIPEX(登録商標)、LIPOCLEAN(登録商標)、LIPOLASE(登録商標)及びLIPOLASE(登録商標)ULTRA(Novozymes);並びにリパーゼP(Amano Pharmaceutical Co.Ltd)が挙げられる。
【0107】
ポリエステラーゼ:
本組成物に、例えば国際公開第01/34899号パンフレット、同第01/14629号パンフレット、及び米国特許第6,933,140号明細書に記載されているものなどの、好適なポリエステラーゼを含めることができる。
【0108】
アミラーゼ:
本組成物は、他のα-アミラーゼを含めた、他のアミラーゼと組み合わせることができる。こうした組み合わせは、異なるα-アミラーゼが、異なる性能特性を示し、異なる複数のα-アミラーゼの組み合わせが、異なるα-アミラーゼの利点を提供する組成物をもたらす場合に、特に望ましい。他のα-アミラーゼとしては、市販品として入手できるα-アミラーゼ、例えば、STAINZYME(登録商標)、NATALASE(登録商標)、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、及びBAN(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S);RAPIDASE(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、及びPREFERENZ(商標)(DuPont Industrial Biosciences.)などが挙げられる。例示的なα-アミラーゼは、国際公開第94/18314A1号パンフレット、国際公開第2008/0293607号パンフレット、国際公開第2013/063460号パンフレット、国際公開第10/115028号パンフレット、国際公開第2009/061380A2号パンフレット、国際公開第2014/099523号パンフレット、国際公開第2015/077126A1号パンフレット、国際公開第2013/184577号パンフレット、国際公開第2014/164777号パンフレット、国際公開第95/10603号パンフレット、国際公開第95/26397号パンフレット、国際公開第96/23874号パンフレット、国際公開第96/23873号パンフレット、国際公開第97/41213号パンフレット、国際公開第99/19467号パンフレット、国際公開第00/60060号パンフレット、国際公開第00/29560号パンフレット、国際公開第99/23211号パンフレット、国際公開第99/46399号パンフレット、国際公開第00/60058号パンフレット、国際公開第00/60059号パンフレット、国際公開第99/42567号パンフレット、国際公開第01/14532号パンフレット、国際公開第02/092797号パンフレット、国際公開第01/66712号パンフレット、国際公開第01/88107号パンフレット、国際公開第01/96537号パンフレット、国際公開第02/10355号パンフレット、国際公開第2006/002643号パンフレット、国際公開第2004/055178号パンフレット、及び国際公開第98/13481号パンフレットに記載されている。
【0109】
セルラーゼ:
セルラーゼを、本組成物に添加することができる。好適なセルラーゼには、細菌又は真菌起源のセルラーゼが含まれる。化学修飾された又はタンパク質改変された変異体が含まれる。好適なセルラーゼとしては、例えば、米国特許第4,435,307号;第5,648,263号;第5,691,178号;第5,776,757号明細書;及び国際公開第89/09259号パンフレットに開示されている、バチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)由来のセルラーゼ、例えば、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、及びフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)由来の真菌セルラーゼが挙げられる。使用が企図される代表的なセルラーゼは、布地にとっての色保護利益を有するセルラーゼである。こうしたセルラーゼの例は、例えば、欧州特許第0495257号明細書、欧州特許第0531372号明細書、国際公開第96/11262号パンフレット、国際公開第96/29397号パンフレット、及び国際公開第98/08940号パンフレットに記載されているセルラーゼである。他の例は、例えば国際公開第94/07998号パンフレット;国際公開第98/12307号パンフレット;国際公開第95/24471号パンフレット;PCT/DK98/00299号明細書;欧州特許第531315号明細書;米国特許第5,457,046号;第5,686,593号;及び第5,763,254号明細書に記載されたものなどの、セルラーゼバリアントである。代表的なセルラーゼとしては、国際公開第2005054475号パンフレット、国際公開第2005056787号パンフレット、米国特許第7,449,318号明細書、米国特許第7,833,773号明細書、米国特許第4,435,307号明細書;欧州特許第0495257号明細書;及び米国仮特許出願第62/296,678号及び第62/435340号明細書に記載されたセルラーゼが挙げられる。代表的な市販のセルラーゼとしては、限定はされないが、CELLUCLEAN(登録商標)、CELLUZYME(登録商標)、CAREZYME(登録商標)、CAREZYME(登録商標)PREMIUM、ENDOLASE(登録商標)、及びRENOZYME(登録商標)(Novozymes)、REVITALENZ(登録商標)100、REVITALENZ(登録商標)200/220、及びREVITALENZ(登録商標)2000(Danisco US);並びにKAC-500(B)(Kao Corporation)が挙げられる。
【0110】
マンナナーゼ:
典型的なマンナナーゼとしては、限定はされないが、例えば、国際公開第2016007929号パンフレット;米国特許第6566114号、第6602842号、及び第6440991号明細書;並びに国際出願PCT/US2016/060850号明細書及び国際出願PCT/US2016/060844号明細書に記載されているようなものなどの、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。典型的なマンナナーゼとしては、限定はされないが、例えば、国際公開第2016007929号パンフレット;米国特許第6566114号、第6602842号、及び第6440991号明細書;並びに国際出願PCT/US2016/060850号明細書及び国際出願PCT/US2016/060844号明細書に記載されているようなものなどの、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。
【0111】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:
本組成物中での使用が企図される好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼには、植物、細菌、又は真菌起源のものが含まれる。化学修飾された又はタンパク質改変された変異体が含まれる。有用なペルオキシダーゼの例としては、国際公開第93/24618号パンフレット、国際公開第95/10602号パンフレット、及び国際公開第98/15257号パンフレットに記載されたもののような、コプリヌス属(Coprinus)由来、例えばC.シネレウス(C.cinereus)由来のペルオキシダーゼ、及びそのバリアントが挙げられる。商業的に入手できるペルオキシダーゼには、例えば、GUARDZYME(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S)が含まれる。
【0112】
洗剤組成物はまた、家庭用及び/又は工業用布地/洗濯物上に存在するバイオフィルムを除去/洗浄するために有効である、2,6-β-D-フルクタンヒドロラーゼも含むことができる。
【0113】
洗剤用酵素は、1種以上の酵素を含有する別々の添加物を添加することによって、又はこれらの酵素のすべてを含む組み合わせられた添加物を添加することによって、洗剤組成物中に含めることができる。洗剤添加物、すなわち別々の添加物又は組み合わせられた添加物は、例えば、顆粒、液体、スラリーなどとして調製することができる。代表的な洗剤添加物調製物としては、限定はされないが、顆粒、特に非発塵性の顆粒、液体、特に安定化された液体又はスラリーが挙げられる。
【0114】
ペルヒドロラーゼ:
ペルヒドロラーゼとしては、例えば、国際公開第2005/056782号パンフレット、国際公開第2007/106293号パンフレット、国際公開第2008/063400号パンフレット、国際公開第2008/106214号パンフレット、及び国際公開第2008/106215号パンフレットに記載されているものが挙げられる。
【0115】
ヌクレアーゼ:
好適なヌクレアーゼとしては、限定はされないが、国際公開第2015/181287号パンフレット、国際公開第2015/155350号パンフレット、国際公開第2016/162556号パンフレット、国際公開第2017/162836号パンフレット、国際公開第2017/060475号パンフレット(例えば配列番号21)、国際公開第2018/184816号パンフレット、国際公開第2018/177936号パンフレット、国際公開第2018/177938号パンフレット、国際公開第2018/185269号パンフレット、国際公開第2018/185285号パンフレット、国際公開第2018/177203号パンフレット、国際公開第2018/184817号パンフレット、国際公開第2019/084349号パンフレット、国際公開第2019/084350号パンフレット、国際公開第2019/081721号パンフレット、国際公開第2018/076800号パンフレット、国際公開第2018/185267号パンフレット、国際公開第2018/185280号パンフレット、及び国際公開第2018/206553号パンフレットに記載されているものが挙げられる。
【0116】
本発明のα-アミラーゼバリアントと組み合わせて使用することができる他のヌクレアーゼとしては、Nijland,R.et al.(2010)PLoS ONE 5-e15668及びWhitchurch、C.B. etal.(2002)Science 295:1487に記載されたものが挙げられる。
【0117】
4.6.洗浄組成物の形態
本洗剤組成物は、あらゆる好都合な形態、例えば、バー、錠剤、粉末、顆粒、ペースト、又は液体であり得る。液体洗剤は、典型的には約70%までの水と0%~約30%の有機溶媒を含有する、水性のものであり得る。約30%以下の水を含有するコンパクトな洗剤ジェルも企図される。本発明のα-アミラーゼバリアントは、公知の形態及び配合の洗剤組成物と適合性があり、特定の形態及び配合は、本明細書に記載されている。
【0118】
本明細書のα-アミラーゼを添加することができる(又は一部の場合にはその構成成分であると特定される)多くの例示的な洗剤配合物は、国際公開第2013063460号パンフレットに記載されている。これらには、PUREX(登録商標)UltraPacks(Henkel)、FINISH(登録商標)Quantum(Reckitt Benckiser)、CLOROX(商標)2 Packs(Clorox)、OxiClean Max Force Power Paks(Church&Dwight)、TIDE(登録商標)Stain Release、TIDE(登録商標)Pods、CASCADE(登録商標)Action Pacs、CASCADE(登録商標)Platimun、及びCASCADE(登録商標)及びPure essential(Procter & Gamble)などの、市販品として入手できる単位用量洗剤配合物/包装が含まれる。単位用量配合物及び包装は、例えば、米国特許出願公開20090209445A1号明細書、米国特許出願公開20100081598A1号明細書、米国特許第7001878B2号明細書、欧州特許第1504994B1号明細書、国際公開第2001085888A2号パンフレット、国際公開第2003089562A1号パンフレット、国際公開第2009098659A1号パンフレット、国際公開第2009098660A1号パンフレット、国際公開第2009112992A1号パンフレット、国際公開第2009124160A1号パンフレット、国際公開第2009152031A1号パンフレット、国際公開第2010059483A1号パンフレット、国際公開第2010088112A1号パンフレット、国際公開第2010090915A1号パンフレット、国際公開第2010135238A1号パンフレット、国際公開第2011094687A1号パンフレット、国際公開第2011094690A1号パンフレット、国際公開第2011127102A1号パンフレット、国際公開第2011163428A1号パンフレット、国際公開第2008000567A1号パンフレット、国際公開第2006045391A1号パンフレット、国際公開第2006007911A1号パンフレット、国際公開第2012027404A1号パンフレット、EP1740690B1号パンフレット、国際公開第2012059336A1号パンフレット、US6730646B1号パンフレット、国際公開第2008087426A1号パンフレット、国際公開第2010116139A1号パンフレット、及び国際公開第2012104613A1号パンフレットに記載されている。
【0119】
5.α-アミラーゼバリアントを使用する炭水化物プロセシング
本α-アミラーゼバリアントは、様々な産業用炭水化物プロセシング用途に有用であり得る。例えば、α-アミラーゼバリアントは、デンプン変換プロセスにおいて、特に液化を受けているデンプンの糖化プロセスにおいて有用であり得る。所望の最終生成物は、デンプン基質の酵素的変換によって生成することができるあらゆる製品であり得る。例えば、所望の生成物は、他のプロセス、例えばHFCSの調製などにおいて使用できる、又はたくさんの有用な製品、例えばアスコルビン酸中間物(例えば、グルコン酸塩;2-ケト-L-グロン酸;5-ケト-グルコン酸;及び2,5-ジケトグルコン酸塩);1,3-プロパンジオール;芳香族アミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、及びトリプトファン);有機酸(例えば、乳酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、イソクエン酸塩、及びオキサロ酢酸塩);アミノ酸(例えば、セリン及びグリシン);抗生物質;抗菌剤;酵素;ビタミン剤;及びホルモン剤などに変換させることができる、グルコース及びマルトースが豊富なシロップであり得る。
【0120】
デンプン変換プロセスは、燃料用アルコール又は飲料用アルコール(すなわち飲用アルコール)を製造するために設計された発酵プロセスの前に又はそれと同時に行うことができる。当業者であれば、これらの最終生成物の製造において使用することができる様々な発酵条件を認識している。α-アミラーゼバリアントは、食品調製物の組成物及び方法においても有用である。α-アミラーゼバリアントのこれらの様々な使用を、以下で、より詳細に説明する。
【0121】
5.1.デンプン基質の調製
本明細書に開示されるプロセスで使用するためのデンプン基質を調製するための方法は、周知である。有用なデンプン基質は、塊茎、根、茎、マメ科植物、穀類、又は全粒から得ることができる。より具体的には、粒状デンプンは、トウモロコシ、トウモロコシ穂軸、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、ミロ、サゴ、キビ、キャッサバ、タピオカ、ソルガム、コメ、エンドウマメ、マメ、バナナ、又はジャガイモから得ることができる。特に企図されるデンプン基質は、コーンスターチ及びコムギデンプンである。穀物からのデンプンは、粉砕されているか又は全粒であり得、核種、フスマ、及び/又は穂軸などのトウモロコシ固体が含まれる。デンプンはまた、高度に精製された生デンプン又はデンプン精製プロセスからの供給原料であり得る。
【0122】
5.2.デンプンのゼラチン化及び液化
ゼラチン化は一般に、デンプン基質をα-アミラーゼと接触させるのと同時に又はその前に実施されるが、追加の液化誘導酵素を任意選択的に加えてもよい。いくつかの実施形態では、上に記載した通りに調製したデンプン基質は、水を用いてスラリー化される。α-アミラーゼの安定性及び活性を最適化するために、典型的にはスラリーのpHはpH約4.5~6.5に調整され、使用されるα-アミラーゼバリアントの特性に応じて、約1mMのカルシウム(約40ppmの遊離のカルシウムイオン)を添加することもできる。液化後にスラリー中に残存するα-アミラーゼは、それに続く反応ステップにおいてpHを下げることを含めたいくつかの方法を介して、又は酵素がカルシウム依存性である場合にはスラリーからカルシウムを除去することによって、失活させることができる。デンプン+α-アミラーゼのスラリーは、105℃に蒸気加熱されるジェットクッカーを通して、継続的にポンプ輸送することができる。次いで、このスラリーは、室温に冷却される。
【0123】
5.3.糖化
液化デンプンは、任意選択的に別の酵素の存在下で、α-アミラーゼバリアントを使用して糖化して、より低いDPの(例えば、DP1+DP2)糖が豊富なシロップにすることができる。糖化の生成物の正確な組成は、使用する酵素の組み合わせ及び加工処理される粒状デンプンのタイプに依存する。
【0124】
液化が、一般に連続プロセスとして実行されるのに対して、糖化は、バッチプロセスとして行なわれることが多い。糖化は、典型的には約60~65℃の温度且つ約4.0~4.5のpH、例えばpH4.3で最も効果的であり、液化デンプンを冷却すること及びpH調整することが必要になる。糖化は、通常、撹拌槽(これは、充填又は空にするのに数時間を要する可能性がある)中で行う。酵素は、典型的には、タンクを充填しながら乾燥固体に対する固定された比率で添加されるか、又は充填段階の開始時に単一量として添加される。シロップを製造するための糖化反応は、典型的には、約24~72時間、例えば24~48時間かけて実行される。最大の又は所望されるDEに到達したら、反応を、例えば5分間85℃に加熱することによって停止させる。さらなるインキュベーションは、酵素的解重合反応を介して及び/又は熱力学的平衡のアプローチにより、蓄積されたグルコースがイソマルトース及び/又は他の解重合生成物に再重合するので、より低いDE(最終的には約90DEまで)をもたらすこととなる。
【0125】
5.4.異性化
α-アミラーゼでの処理によって生成される可溶性デンプン加水分解物は、高フルクトースデンプン系シロップ(HFSS)、例えば高フルクトースコーンシロップ(HFCS)に変換することができる。この変換は、グルコースイソメラーゼ、特に固体担体上に固定されたグルコースイソメラーゼを使用して達成することができる。pHを、(イソメラーゼに応じて)約6.0~約8.0、例えばpH7.5に上昇させ、Ca2+を、イオン交換によって除去する。好適なイソメラーゼには、SWEETZYME(登録商標)、IT(Novozymes A/S);G-ZYME(登録商標)IMGI、並びにG-ZYME(登録商標)G993、KETOMAX(登録商標)、G-ZYME(登録商標)G993、G-ZYME(登録商標)G993液体、及びGENSWEET(登録商標)IGIが含まれる。異性化後、混合物は、典型的には約40~45%のフルクトース、例えば42%のフルクトースを含有する。
【0126】
5.5.発酵
可溶性デンプン加水分解物、特に高グルコースシロップは、デンプン加水分解物を、発酵を行う生物と、典型的にはおよそ32℃、例えばアルコール産生酵母については30℃~35℃の温度で接触させることによって発酵させることができる。発酵の温度及びpHは、発酵を行う生物に依存することとなる。EOF生成物には、代謝産物、例えばクエン酸、乳酸、コハク酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、イタコン酸及び他のカルボン酸、グルコノΔ-ラクトン、エリソルビン酸ナトリウム、リシン及び他のアミノ酸、Ω3脂肪酸、ブタノール、イソプレン、1,3-プロパンジオール並びに他の生体材料が含まれる。
【0127】
5.6.α-アミラーゼバリアントと他の酵素との組み合わせ
α-アミラーゼバリアントを、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)と組み合わせることができる。例示的なグルコアミラーゼは、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、タラロマイセス属(Talaromyces)、クロストリジウム属(Clostridium)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、サーモマイセス属(Thermomyces)、アテリア属(Athelia)、フミコラ属(Humicola)、ペニシリウム属(Penicillium)、アルトマイセス属(Artomyces)、グロエオフィルム属(Gloeophyllum)、ピクノポルス属(Pycnoporus)、ステッケリヌム属(Steccherinum)、トラメテス属(Trametes)などから得られる。好適な市販のグルコアミラーゼには、AMG 200L;AMG 300 L;SAN(商標)SUPER、及びAMG(商標)E(Novozymes);OPTIDEX(登録商標)300及びOPTIDEX L-400(Danisco US Inc.);AMIGASE(商標)及びAMIGASE(商標)PLUS(DSM);G-ZYME(登録商標)G900(Enzyme Bio-Systems);並びにG-ZYME(登録商標)G990 ZRが含まれる。
【0128】
α-アミラーゼバリアントと共に使用することができる他の好適な酵素には、フィターゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、β-アミラーゼ、イソアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、他のヘミセルラーゼ、β-グルコシダーゼ、トランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、エステラーゼ、酸化還元酵素、別のα-アミラーゼ、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0129】
本発明のα-アミラーゼを含む組成物は、バッファー、塩、保存料、水、共溶媒、界面活性剤などと一緒に、本明細書に列挙した追加の酵素のいずれか1つ以上をさらに含むことができる、水性又は非水性の配合物、顆粒、粉末、ゲル、スラリー、ペーストなどであり得る。
【0130】
6.布地を糊抜きする組成物及び使用
さらに企図されているのは、アミラーゼを使用して織物を処理する(例えば、布地を糊抜きする)組成物及び方法である。織物を処理する方法は、当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第6,077,316号明細書を参照されたい)。例えば、織物の感触及び外観は、布地を溶液中のα-アミラーゼと接触させることを含む方法によって改良することができる。織物は、この溶液で加圧下で処理することができる。
【0131】
α-アミラーゼは、織物の機織り中若しくは機織り後に、又は糊抜き段階中に、又は1つ以上の追加の織物加工処理工程中に適用することができる。布地の機織り中、糸は、かなりの力学的ひずみに曝される。織機で織る前に、縦糸は、その引張強度を増大させるために、及び破壊を防止するために、糊付けデンプン又はデンプン誘導体でコーティングされることが多い。α-アミラーゼは、これらの糊付けデンプン又はデンプン誘導体を除去するために、機織り中又は機織り後に適用することができる。製織後、均質な及び抗洗浄性の結果を確実にするために、織物のさらなる加工処理前に、糊付けコーティングを除去するためにアミラーゼを使用することができる。
【0132】
α-アミラーゼを、単独で、又は他の糊抜き化学試薬及び/又は糊抜き酵素と共に使用して、洗剤添加物として、綿を含有する織物を含めた織物を、例えば水性組成物中で糊抜きすることができる。α-アミラーゼを、インジゴ染色デニム織物及び衣服上にストーンウォッシュ加工された外観を作り出すための組成物及び方法において使用することもできる。衣類を製造するために、織物を、裁断して衣類又は衣服に縫製することができ、その後、これを仕上げ処理する。特に、デニムジーンズを製造するために、様々な酵素による仕上げ方法が開発されている。デニム衣類の仕上げは、通常、酵素による糊抜き工程で開始され、その間に、衣服は、アミロース分解酵素の作用を受けて、織物に柔らかさがもたらされ、また、綿は、その後の酵素による仕上げ工程を受け易くなる。α-アミラーゼは、デニムの衣服を仕上げる(例えば、「バイオストーン加工」)、酵素による糊抜きを行う、及び織物への柔らかさを与える、及び/又は工程を仕上げる方法において使用することができる。
【0133】
7.製パン及び食品調製のための組成物及び方法
本発明の組成物及び方法はまた、食品組成物(限定はされないが、α-アミラーゼバリアントを含む、食料製品、動物飼料、及び/又は食品/飼料添加物が含まれる)、並びにα-アミラーゼバリアントと1つ以上の食品成分とを混合することを含む、こうした食品組成物を調製するための方法、又はそれらの使用に関する。さらに、本発明の組成物及び方法は、限定はされないが、パン製造用小麦粉、パン生地、製パン添加物、及び/又は焼成パン製品を含めた、製パン組成物に関する。
【0134】
9.醸造組成物
本発明のα-アミラーゼバリアントは、醸造のプロセスにおいて、すなわち発酵麦芽飲料を製造する際に使用される、醸造組成物の構成成分であり得る。非発酵性炭水化物は、最終のビール中の溶存固形分の大半を形成する。この残渣は、麦芽アミラーゼがデンプンのα-1,6-結合を加水分解することができないために残留する。α-アミラーゼは、グルコアミラーゼ、並びに任意選択的にプルラナーゼ及び/又はイソアミラーゼと任意選択的に組み合わせて、デンプンをデキストリン及び発酵性糖に変換させ、最終ビール中の残留非発酵性炭水化物を減少させることを助ける。
【0135】
本明細書で引用した全ての参考文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本組成物及び方法、並びにその利点についてさらに説明するために、下記の特定の実施例は、これらが限定的ではなく例示的であるとの理解の下で提供される。
【実施例】
【0136】
実施例1.AA2560 α-アミラーゼバリアント
タンパク質の発現、精製、及び定量化:
国際公開第2021/080948号パンフレットに記載されているAA2560 α-アミラーゼのバリアント(本明細書では配列番号5)をベースにするAA2560 α-アミラーゼコンビナトリアルバリアントを、合成遺伝子として作製し、標準の手順を使用して好適なバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細胞に導入した。すべての変異を、DNAシークエンシングによって確認した。細胞を、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主におけるタンパク質発現及び分泌に適した培地中で、72時間増殖させた。分泌されたタンパク質を、遠心分離によって回収した。精製は、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow樹脂(GE Healthcare)を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーを通して達成した。精製されたタンパク質を、pH8の、緩衝剤としてのHEPES、塩化カルシウム、及びプロピルプロピレングリコールを含有する標準の調製用緩衝液中で安定化させた。タンパク質濃度は、アミノ酸分析と、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と、280nmでの吸光度との混合によって決定した。
【0137】
酵素性能分析:
α-アミラーゼの活性を、洗剤バックグラウンド中の白色のメラミンタイルからの染色されたデンプンの染みの除去によって決定した。Center for Testmaterialsから購入した食品着色料(カタログ番号DM277)を用いる、トウモロコシ/コメ混合物着色デンプン(mixed corn/rice colored starch)タイル及びトウモロコシ/コメ混合物デンプン(mixed corn/rice starch)タイルを使用して、α-アミラーゼの洗浄活性を決定した。水性緩衝液で作用範囲に希釈し且つWFKB洗剤(WFK Testgewebe GmbH,Brueggen,Deutschland)のあらかじめ作製された洗剤溶液に添加したアミラーゼ溶液を含有する(総体積は300μLとなった)、96ウェルプレートに、これらのタイルを貼り付けた。次いで、着色されたデンプンの染みを有するあらかじめ画像化されたメラミンタイルを、この集合体の撹拌が、デンプン染色された表面上での酵素含有洗剤のはねかかり(splashing)をもたらすように、96ウェルプレートの最上部に貼り付けた。洗浄反応は、250rpmで振盪しながら50
oCで15時間行った。洗浄反応の後、次いで、メラミンタイルを、水中で簡単にすすぎ、乾燥させ、再び画像化した。α-アミラーゼの活性は、洗浄前と洗浄後の画像のRGB(色)値の差として算出する。洗浄後の画像が白いほど、酵素活性が高い。性能指数(PI)は、以下の通りに算出する:
【数1】
ΔRGバリアントに対するコンビナトリアルバリアントの性能指数:
配列番号5のバリアントに対する、性能指数に関するバリアントの洗浄性能を、表3に列挙する。
【表3】
【0138】
表3中のすべてのバリアントは、配列番号5のバリアントよりも性能が高い。