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特表2025-500230香料化合物としてのオキサ大環状ムスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】香料化合物としてのオキサ大環状ムスク
(51)【国際特許分類】
   C07D 313/00 20060101AFI20241226BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 321/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C07D313/00 CSP
C11B9/00 P
C07D321/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535796
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021086566
(87)【国際公開番号】W WO2023110132
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカラン,ヴィジャヤナンド
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシャー,ベルント
(57)【要約】
本発明は香料の分野にあり、ムスク系の香調を持ち、生分解性が改善され、さらに化学的安定性が改善された一般式(I)に係る新規のオキサ大環状香料化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物を調製する方法にも関する。さらに、本発明はまた、1以上の本発明の化合物を含む香料組成物にも関する。さらに、本発明は、匂い剤としての、または香料化合物もしくは香料組成物の定着性を改善するための、ならびに香料入り製品を調製するための、これらの化合物または香料組成物の使用に関する。加えて、本発明はまた、香料入り製品の調製のための前記化合物または組成物の使用、ならびに香料入り製品それ自体にも言及する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
のオキサ大環状化合物またはその立体異性体、特にエナンチオマーであって、
式中、
Xは任意でメチル基によって置換されたメチレンまたはエチレンを表し;
YはメチレンまたはOを表し;
R1はH、メチル基またはエチル基を表し;
R2はH、メチル基またはエチル基を表し;
Zは任意で置換されたC2、C3、C4、C5、C6またはC7のアルキル基を表し;
任意で点線の少なくとも1つの位置にてC=C二重結合がある、前記化合物。
【請求項2】
・前記化合物が14員環であり、Zが任意で置換されたC3アルキル基を表し;または
・前記化合物が15員環であり、Zが任意で置換されたC4アルキル基を表し;または
・前記化合物が16員環であり、Zが任意で置換されたC5アルキル基を表し;または
・前記化合物が17員環であり、Zが任意で置換されたC6アルキル基を表し;または
・前記化合物が18員環であり、Zが任意で置換されたC7アルキル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記一般式(I)にて
・Xがメチレンを表し;
・YがメチレンまたはOを表し;
・R1がHまたはメチル基を表し;
・R2がHまたはメチル基を表し;
前記化合物が点線のある位置のいずれかで少なくとも1つのC=C二重結合を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が15員環または16員環である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が
(a)純粋な光学的に活性があるエナンチオマー;
(b)前記エナンチオマーのラセミ混合物;または
(c)種々のエナンチオマーの光学的に活性がある混合物
の形態で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
一般式(I)の前記化合物が以下の化合物:
【化2】

から成る群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
香料組成物であって、
(a)請求項1~6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物と、任意で
(b)少なくとも1つのさらなる香料物質とを含む、前記香料組成物。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物を製造する方法であって、
(1)一般式(II):
【化3】
に係るオレフィン(式中、
・nは7または8であり;
・RはH、メチルまたはエチルを表し;
・YはメチレンまたはOを表す)を調製することと;
(2)工程(1)で調製したオレフィンのオレフィンメタセシスを行って一般式(I)の化合物を得ることとを含む、前記方法。
【請求項9】
一般式(II)に係る前記オレフィンが一般式(III):
【化4】
(式中、nは7または8である)のアリルアルコールから出発して調製され、
第1の工程では、前記アリルアルコールがハロゲン化酢酸エステルと反応してエーテルを生じ;
第2の工程では、前記第1の工程で得られた前記エーテルが置換されたまたは非置換のアリルハロゲン化物と反応してアリル化エーテル化合物を生じ;
第3の工程では、第2の工程から得られた前記アリル化エーテル化合物から脱炭酸される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
一般式(II)に係る前記オレフィンが一般式(III):
【化5】
(式中、nは7または8である)のアリルアルコールから出発して調製され、
第1の工程では、前記アリルアルコールがオキシランと反応し;
第2の工程では、前記第1の工程で得られた前記オキシランの開環反応がアリルアルコールと実施されて3級アルコールを生じ;
第3の工程では、前記第2の工程から得られた前記3級アルコールが酸化される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
製剤にてムスク臭を作り出す、増強するまたは改変する方法であって、
以下の工程:
・請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物または請求項7に記載の香料組成物を提供することと;
・他の構成成分を伴う組成物を提供することと;
・(a)得られた完全な混合物にてムスク臭を作り出すため;または
(b)前記他の構成成分の前記組成物に存在するムスク臭を増強するため;または
(c)前記他の構成成分の前記組成物に存在するムスク臭を改変するため
に十分である量の請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物または請求項7に記載の香料組成物と、前記他の構成成分の前記組成物とを混合することとを含む、前記方法。
【請求項12】
匂い剤としての請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物の使用、または請求項7に記載の香料組成物の使用。
【請求項13】
香料化合物の定着性を改善するための、または香料入り製品を調製するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物の使用、または請求項7に記載の香料組成物の使用。
【請求項14】
香料入り製品であって、任意で担体または基材と共に、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、または請求項7に記載の香料組成物を有効量で含む、前記香料入り製品。
【請求項15】
前記香料入り製品が、香油、香料基剤、個人の衛生用の製剤、洗浄剤または洗濯剤である、請求項14に記載の香料入り製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香料の分野にあり、ムスク(ジャコウ)系の香調を持つ、生分解性が改善された、さらに安定性が改善された、一般式(I)に係る新規のオキサ大環状の香料化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物を調製する方法にも関する。さらに、本発明は1以上の本発明の化合物を含む香料化合物に関する。その上、本発明は、匂い剤(an odorant)としての、または香料化合物もしくは香料組成物の定着性(fixasion)を改善するための、ならびに香料入り製品(a perfumed product)の調製のためのこれらの化合物または香料組成物の使用に関する。加えて、本発明は、香料入り製品の調製のための前記化合物または組成物の使用、ならびに香料入り製品自体に言及する。
【化1】
【背景技術】
【0002】
ムスク(ジャコウ)は香料業界で基本香調として確立された芳香族物質の部類である。それらには、ジャコウジカのような動物由来の腺分泌物、類似の芳香を放つ多数の植物、及び類似の匂いを持つ人工物質が含まれる。ムスクは元々、ジャコウジカの分泌腺から得られた強力な匂いを持つ物質に付与された名称であった。その物質はよく知られた芳香定着剤として古来から使用されており、世界で最も高価な動物生成物の1つである。それは類似の臭いの種々の植物及び動物(例えば、ジャコウウシ)に適用され、化学構造や分子形状が異なることが多いにもかかわらず、似たような匂いを持つ多種多様な香料物質を包含するようになった。
【0003】
ムスクの特徴的な匂いを持つ既知の有機化合物は、3位にメチル置換基を1つ持つ15員環のケトンから成るムスコンである。それは天然には(-)エナンチオマー、(R)-3-メチル-シクロペンタデカノンとして見いだされる油性液体である。短所としては、ムスコンは水に非常に難溶性であり、ほぼ生分解性ではない。
【0004】
しかしながら、強いムスクの匂いがする特性を有し、且つ化学的に安定で生分解性である合成物質に対する探求は非常に高い。
【0005】
特に、製品配合内での香料材料、ひいては香料入り製品自体の安定性を保証するために、次に一貫した匂いを持つ高い製品品質を確保するために十分な化学的安定性(すなわち、高い匂い安定性)が必要とされる。香料材料の分解は望ましくない外れた香調、色変化などを引き起こし得る。
【0006】
さらに、持続可能性という点では、十分に改善された生分解性を有する化合物、特に香料に対する高い要求がある。したがって、化合物の増強された水溶性は計り知れない強みである。
【0007】
したがって、本発明の主要な目的は、最高の匂い特性を示す一方で同時に化学的に安定であり且つ生分解性である新しいムスク香料化合物を提供することである。
【0008】
今や驚くべきことに、一般式(I)に係る新規のオキサ大環状化合物は、顕著な天然の、バランスが取れて強力なムスク臭を有するだけでなく高い安定性及び増強された固着性(テナシティ、tenacity)を有するので、幅広い用途に好適な優れた香料材料を提供することが見いだされている。さらに、一般式(I)に係る新規の化合物は改善された水溶性を有するのでさらに良好に生分解性である。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様では、本発明は一般式(I):
【化2】
の化合物またはその立体異性体、特にエナンチオマーに関するものであり、
式中、
Xは任意でメチル基によって置換されたメチレンまたはエチレンを表し;
YはメチレンまたはOを表し;
R1はH、メチル基またはエチル基を表し;
R2はH、メチル基またはエチル基を表し;
Zは任意で置換されたC2、C3、C4、C5、C6またはC7のアルキル基を表し;
任意で点線の少なくとも1つの位置にてC=C二重結合がある。
【0010】
第2の態様では、本発明は本発明に係る少なくとも1つの化合物と少なくとも1つのさらなる香料物質とを含む香料組成物に関する。
【0011】
第3の態様では、本発明は本発明に係る一般式(I)の化合物を製造する方法に関する。方法は
(1)一般式(II):
【化3】
(式中、nは7または8であり;RはH、メチルまたはエチルを表し;YはメチレンまたはOを表す)に係るオレフィンを調製する工程と
(2)工程(1)で調製したオレフィンのオレフィンメタセシスを行って一般式(I)の化合物を得る工程とを含む。
【0012】
第4の態様では、本発明は、匂い剤もしくは香料化合物としての、または香料化合物もしくは香料化合物を含む組成物の定着性を改善するための、または香料入り製品を調製するための本発明に係る化合物の使用または本発明に係る化合物を含む香料組成物の使用に関する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、本発明に係る化合物、または本発明に係る化合物を含む香料組成物を含む香料入り製品に関する。
【0014】
さらに別の態様では、本発明は、有効量での本発明に係る化合物、または本発明に係る化合物を含む香料組成物と、担体または基材とを含む香料入り製品に関する。
【0015】
最後に、本発明は、本発明に係る化合物または本発明に係る化合物を含む香料組成物を含むと定義される香料入り製品に関するものであり、その際、香料入り製品は香油、香料基剤、個人の衛生に関する製剤、洗浄剤または芳香剤である。
【0016】
本発明者らは今や、一般式(I)に係る新規の化合物が、高い固着性と共に部分的にクリーミィで動物系で白粉のような香調を持つ顕著なムスク臭を有することを確証した。さらに、本発明に係る化合物は、改善された化学的安定性及び改善された水溶性を示すので、その生分解性という点で改善されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によれば、上記の目的は一般式(I):
【化4】
のオキサ大環状化合物またはその立体異性体、特にエナンチオマーによって達成され、
式中、
Xは任意でメチル基によって置換されたメチレンまたはエチレンを表し;
YはメチレンまたはOを表し;
R1はH、メチル基(CH)またはエチル基を表し;
R2はH、メチル基またはエチル基を表し;
Zは任意で置換されたC2、C3、C4、C5、C6またはC7のアルキル基を表し;
任意で点線の少なくとも1つの位置にてC=C二重結合がある。
【0018】
一般式(I)の化合物は、傑出した、バランスの取れた且つ特徴的なムスク臭のプロファイルを有し、動物系の、クリーミィな、白粉のような及びエルゴン(ergon)の香調、ならびに顕著な固着性を持つ。追加的なクリーミィな且つ白粉のようなニュアンスに基づいて、現在開発されている化合物は増強された二次的な特性、ひいては、幅広い製剤に有利に組み込まれてさらに鮮やかな香りを作り出すことができるクリーミィな且つ白粉のようなアコードをもたらすさらに天然の匂いプロファイルを持つ代替の香料材料としての使用に好適である。したがって、本発明は動物系の且つムスクの香調と一緒にクリーミィで且つ白粉のような香調を提供する。
【0019】
さらに、本明細書に記載されているさらにケトンを含むオキサ大環状化合物は予期に反して、化学的に安定である一方で強力なムスク臭と有意に改善された水溶性の双方を有する。したがって、これらの化合物は香料として、香料混合物にて、及びこれらの香料または香料混合物を含む調製物での使用のために高度に好適であり、香料または香料混合物がさらに良好に生分解性であるということはさらに持続可能であることを意味する。
【0020】
本発明に係るそのような化合物(一般式(I)にて
Xがメチレンを表し;
YがメチレンまたはOを表し;
R1がHまたはメチル基を表し;
R2がHまたはメチル基を表し;
点線の位置のいずれかにて化合物は少なくとも1つのC=C二重結合を有する)は水に高度に溶解性であり、化学的に安定である一方で非常に強力なムスク臭を予想外に示したことが見いだされている。
【0021】
一般に、YがOを表す場合、R1は空であることは当業者に明らかである。
【0022】
本発明者らは洗濯物への付着性は本発明に係るオキサ大環状化合物の環サイズに依存することを見いだした。
【0023】
したがって、驚くべきことに、15員環または16員環である式(I)に係る化合物は強力なムスク臭を含有しながら洗濯物への付着特性の改善と併せて有意に改善された水溶性を有することが見いだされた。
【0024】
したがって、一般式(I)に係る化合物は好ましくは13~18員環、さらに好ましくは14~17員環、特に15または16員環である。
【0025】
一般式(I)に係るオキサ大環状化合物の環サイズはZで表される任意で置換されたC2、C3、C4、C5、C6またはC7のアルキル基に関係するので、一般式(I)に係る化合物は14員環であり、Zは任意で置換されたC3アルキル基を表し;または一般式(I)に係る化合物は15員環であり、Zは任意で置換されたC4アルキル基を表し;または一般式(I)に係る化合物は16員環であり、Zは任意で置換されたC5アルキル基を表し;または一般式(I)に係る化合物は17員環であり、Zは任意で置換されたC6アルキル基を表し;または一般式(I)に係る化合物は18員環であり、Zは任意で置換されたC7アルキル基を表す。
【0026】
好ましい変形では、本発明に係る一般式(I)の化合物は分子にて示される他の点線の位置にてC=C二重結合を含む。
【0027】
点線は構造式にてこれらの選択肢を表現する最も簡潔な方法である。意味も当業者に明らかであり、その実施形態は実施例から特定することができる。
【0028】
しかしながら、水溶性特性、化学的安定性及び匂いプロファイルの最良の組み合わせは、RがHを表す式(I)の実施形態について達成された。
【0029】
驚くべきことに、改善された水溶性及び匂いプロファイルは、R2がHを表し、Xがメチレンを表す式(I)の実施形態について見いだされた。
【0030】
しかしながら、水溶性特性、化学的安定性及び匂いプロファイルの最良の組み合わせは、Xがメチレンを表し、Yがメチレンを表し、R2がHを表し、ZがC4アルキル基を表し、C=C二重結合が6位及び7位にある式(I)の実施形態について達成された。
【0031】
特に、本発明に係る好ましい実施形態は1-オキサシクロペンタデク-6-エン-3-オン(A)である。
【0032】
代わりの変形では、優れた水溶性特性、化学的安定性及び匂いプロファイルは、Xがメチレンを表し、Yがメチレンを表し、R2がHを表し、ZがC5アルキル基を表し、C=C二重結合が6位及び7位にある式(I)の実施形態について達成された。
【0033】
特に、本発明に係る別の好ましい実施形態は1-オキサシクロヘキサデク-6-エン-3-オン(B)である。
【0034】
双方の化合物A及びBはそれぞれ親水性特性と疎水性特性の最適化され、且つバランスが良く取れた比を有するので強力なムスク臭に加えて改善された生分解性を有する。
【0035】
R2がアルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基を表す一般式(I)の実施形態は良好な水溶性及び化学的安定性の双方を有する。さらに、これらの実施形態は強力なムスク臭を示した。
【0036】
したがって、代わりの変形では、R2がメチル基を表す式(I)の実施形態は良好な水溶性及び化学的安定性を示す一方で、はっきりと異なる匂いプロファイルを示す。
【0037】
好ましい実施形態では、優れた水溶性特性、化学的安定性及び強力な匂いプロファイルは、Xがメチレンを表し、Yがメチレンを表し、R2がメチル基を表し、ZがC5アルキル基を表し、C=C二重結合が6位及び7位にある一般式(I)に係る化合物から達成された。
【0038】
したがって、本発明に係るさらに好ましい実施形態は6-メチル1-オキサ-シクロヘキサデク-6-エン-3-オン(C)である。
【0039】
さらに、本発明者らはYがOを表す式(I)の実施形態は強力な匂いプロファイル及びさらに改善された水溶性を有することを発見した。
【0040】
したがって、改善された水溶性特性を持つ本発明に係る代わりの変形は、Xがメチレンを表し、YがOを表し、化合物が分子にて示される他の点線の位置でC=C二重結合を含む、一般式(I)の化合物によって得られる。
【0041】
好ましくは、Xがエチレンを表し、YがOを表し、化合物が化合物にて分子において示された他の点線の位置でC=C二重結合を含み、化合物にてZがC5アルキル基を表す、一般式(I)の化合物。
【0042】
そのような16員環の化合物は水にて改善された溶解性挙動及び高い耐化学性を有する。
【0043】
特に、本発明に係るさらに好ましい実施形態は1,5-ジオキサシクロヘキサデク-14-エン-3-オン(D)である。
【0044】
化合物にて改善された水溶性挙動及び耐化学性及び洗濯物に対するさらに改善された付着性を有する一般式(I)に係る化合物を得るために、ZはC6アルキル基を表す。
【0045】
好ましくは、Xがエチレンを表し、YがOを表し、化合物が分子にて示された他の点線の位置でC=C二重結合を含み、化合物にてZがC6アルキル基を表す、一般式(I)の化合物。
【0046】
特に、本発明に係るさらに好ましい実施形態は1,5-ジオキサシクロ-ヘプタデク-15-エン-3-オン(E)である。
【0047】
第3の態様では、本発明は本発明に係る一般式(I)の化合物を製造する方法に関する。方法は
(1)一般式(II):
【化5】
(式中、nは7または8であり;RはH、メチルまたはエチルを表し;YはメチレンまたはOを表す)に係るオレフィンを調製する工程と
(2)工程(1)で調製したオレフィンのオレフィンメタセシスを行って一般式(I)の化合物を得る工程とを含む。
【0048】
本発明に係る方法は、ムスクに基づく香調と改善された生分解性を持ち、さらに化学的安定性が改善されている一般式(I)に係るオキサ大環状香料化合物への簡素で安価なアクセスを提供する。
【0049】
一般式(II)に係るオレフィンの調製は一般式(III):
【化6】
(式中、nは7または8である)のアリルアルコールから出発して得られ得る。
【0050】
第1の工程では、一般式(III)に係るアリルアルコールはハロゲン化酢酸エステルと反応してエーテルを生じる。
【0051】
第2の工程では、第1の工程から得られたエーテルを置換または非置換のアリルハロゲン化物と反応させてアリル化したエーテル化合物を得る。
【0052】
そして第3の工程では、第2の工程で得られたアリル化エーテル化合物から脱炭酸する。
【0053】
したがって、一般式(II)のオレフィンは一般式(III)の市販で安価なアリルアルコールから容易に利用可能である。
【0054】
代わりに、一般式(I)の所望の化合物に応じて、一般式(II)に係るオレフィンは一般式(III):
【化7】
(式中、n=7またはn=8)のアリルアルコールから出発して得られ得る。
【0055】
第1の工程では、アリルアルコールはオキシランと反応する。
【0056】
第2の工程では、第1の工程で得られたオキシランの開環反応をアリルアルコールと行って(a ring opening reaction of the oxirane obtained from the first step is conducted with an allylalcohol)3級アルコールを得る。
【0057】
第3の工程では、第2の工程で得られた3級アルコールを酸化する。
【0058】
こうして、一般式(II)のオレフィンは一般式(III)の市販で安価なアリルアルコールから容易に利用可能である。
【0059】
一般式(II)に係るオレフィンのオレフィンメタセシスは市販の触媒、例えば、Grubbsの触媒の使用によって実現し得る。
【0060】
本明細書で一般式(I)の化合物に言及する場合、これは、異性体として純粋な立体異性体またはそれら立体異性体のいずれかの混合物には関心なく、すべての立体異性体、特にすべてのエナンチオマーを指すものとする。経済的な理由で、それらの立体異性体の混合物、特にそれらのエナンチオマーの混合物として化合物を使用することが好ましい。
【0061】
したがって、一般式(I)の化合物は
(a)光学的に活性がある純粋なエナンチオマー;
(b)エナンチオマーのラセミ混合物;または
(c)種々のエナンチオマーの光学的に活性がある混合物
の形態で存在する。
【0062】
したがって、本発明はまた、上記化合物のいずれかの混合物及び/または上記立体異性体のいずれかの混合物、ならびにそのような化合物及び/または混合物の本出願の意図での使用も開示する。
【0063】
一般に、本発明の文脈では、「式(I)の化合物」という用語は、式(I)の個々の化合物(ならびにその異性体形態)及び任意の混合比での式(I)の化合物(及びその異性体形態)の混合物すべての双方を意味する。換言すると、「式(I)の化合物」に関する以下の記載における言及は式(I)の単一の化合物、単一の異性体形態及び任意の混合比で式(I)の化合物とそれらの異性体形態とから成るまたはそれらを含む混合物の双方に適用される。したがって、本発明は、それ自体個々に本発明に係る化合物に、また本発明に係る化合物の混合物に関する。
【0064】
さらに、一般式(I)及びそれに含有される任意のC=C二重結合を参照して、化合物は幾何異性体、すなわち、Z配置及びE配置の形態で存在する。
【0065】
本発明に係る一般式(I)の化合物は個々の物質として使用することができ、または香料組成物における匂い剤と併せて従来使用されている1以上の成分または賦形剤、例えば、当該技術分野で共通して使用される担体物質及び他の補助剤との多数の香料混合物及び/または混和物にて利用可能な広範な範囲の天然の及び合成の物質から選択される少なくとも1つの他の既知の香料物質との混合物にて使用することができる。
【0066】
したがって、第2の態様では、本発明は、本発明に係る少なくとも1つの化合物と少なくとも1つのさらなる香料物質とを含む香料組成物に言及する。
【0067】
以下の指定された香料物質は、個々の物質として、または広範な範囲の天然の及び合成の物質から選択される多数の香料混合物における少なくとも1、2、3またはそれ以上の香料物質とも混合物にて使用することができる。
【0068】
組み合わせることに有利に好適である香料物質はS.Arctander,Perfume and Flavor Materials,volumes I and II,Montclair,N.J.1969,private publication,and/or in H.Surburg,J.Panten,Common Fragrance and Flavor Materials,6th edition,Wiley-VCH,Weinheim,2016における例に列挙されている。以下のリストは本発明の化合物及びそれらの混合物と組み合わせるのに有利に好適である既知の匂い物質の例を含む:
例えば、アンバーグリスチンキ;アミリス油;アンジェリカ種子油;アンジェリカ根油;アニス油;バレリアン油;バジル油;木コケアブソリュート;ベイ油;ヨモギ油;ベンゾイン樹脂;ベルガモット油;蜜蝋アブソリュート;バーチタール油;ビターアーモンド油;セイバリー油;ブッコリーフ油;カブリューバ油;カデ油;ショウブ油;樟脳油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カッシア油;キャシーアブソリュート;カストリウムアブソリュート;セダー葉油;セダーウッド油;シスタス油;シトロネラ油;レモン油;コパイババルサム;コパイババルサム油;コリアンダー油;コスタス根油;クミン油;サイプレス油;ダバナ油;ディルウィード油;ディル種子油;オーデブロウツアブソリュート;オークモスアブソリュート;エレミ油;トラゴン油;ユーカリシトリオドラ油;ユーカリ油;フェンネル油;松葉油;ガルバナム油;ガルバナム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グアヤク木油;グルユンバルサム;グルユンバルサム油;ヘリクリサムアブソリュート;ヘリクリサム油;ジンジャー油;イリス根アブソリュート;イリス根油;ジャスミンアブソリュート;ショウブ油;カメリア油ブルー;カメリア油ローマン;ニンジン種子油;カスカリラ油;松葉油;スペアミント油;キャラウエイ油;ラブダナム油;ラブダナムアブソリュート;ラブダナム樹脂;ラバンジンアブソリュート;ラバンジン油;ラベンダーアブソリュート;ラベンダー油;レモングラス油;ロベージ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロール油;アオモジ油;ベイリーフ油;マシ油;マジョラム油;マンダリン油;マッソイアバーク油;ミモザアブソリュート;アンブレット油;ムスクチンキ;マスカットセージ油;ナツメグ油;没薬アブソリュート;没薬油;マートル油;クローブ葉油;クローブ花油;ネロリ油;オリバナムアブソリュート;オリバナム油;オポパナックス油;オレンジブロッサムアブソリュート;オレンジ油;オレガノ油;パルマローザ油;パチョリ油;シソ油;ペルーバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレイン油;ペパーミント油;コショウ油;ピメント油;パイン油;ペニーロイヤル油;ローズアブソリュート;ローズウッド油;ローズ油;ローズマリー油;セージ油ダルメシアン;セージ油スペイン;サンダルウッド油;セロリ種子油;スパイクラベンダー油;スターアニス油;スチラックス油;タジェット油;ファーニードル油;ティーツリー油;テレピン油;タイム油;トルバルサム;トンカアブソリュート;チューベローズアブソリュート;バニラ抽出物;バイオレットリーフアブソリュート;バーベナ油;ベチバー油;ジュニパーベリー油;コニャック油;ヨモギ油;ウィンターグリーン油;イランイラン油;イソップ油;シベットアブソリュート;シナモン葉油;シナモンバルク油のような精油、コンクリート、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキのような天然原材料からの抽出物、及びそれらの画分またはそれらから単離された成分;
例えば、3-カレン;α-ピネン;β-ピネン;α-テルピネン;γ-テルピネン;p-シメン;ビサボレン;カンフェン;カリオフィレン;セドレン;ファメセン;リモネン;ロンギフォレン;ミルセン;オシメン;バレンセン;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタンのような炭化水素;
例えば、ヘキサノール;オクタノール;3-オクタノール;2,6-ジメチルヘプタノール;2-メチル-2-ヘプタノール;2-メチル-2-オクタノール;(E)-2-ヘキセノール;(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール;1-オクテン-3-オール;3,4,5,6,6-ペンタメチル-3,4-ヘプテン-2-オール及び3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールの混合物;(E,Z)-2,6-ノナジエノール;3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール;9-デセノール;10-ウンデセノール;4-メチル-3-デセン-5-オールのよう脂肪族アルコール;
例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;1-(1-メトキシプロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセンのような脂肪族アルデヒド及びそのアセタール;
例えば、2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オンのような脂肪族ケトン及びそのオキシム;
例えば、3-メチルチオ-ヘキサノール;酢酸3-メチルチオヘキシル;3-メルカプトヘキサノール;酢酸3-メルカプトヘキシル;酪酸3-メルカプトヘキシル;酢酸3-アセチルチオヘキシル;1-メンテン-8-チオールのような脂肪族イオウ含有化合物;
例えば、2-ノネン酸ニトリル;2-ウンデセン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;3,12-トリデカジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリルのような脂肪族ニトリル;
例えば、ギ酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;酢酸3,5,5-トリメチルヘキシル;酢酸3-メチル-2-ブテニル;酢酸(E)-2-ヘキセニル;酢酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;酢酸オクチル;酢酸3-オクチル;酢酸1-オクテン-3-イル;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル-イソ酪酸;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;ペンタン酸エチル-2-メチル;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル-(E,Z)-2,4-デカジエノエート;メチル-2-オクチネート;メチル-2-ノニネート;アリル-2-イソアミルオキシ酢酸;メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート;4-メチル-2-ペンチル-クロトネートのような脂肪族カルボン酸のエステル;
例えば、シトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバンデュロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール;2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール;及びそれらのギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、クロトン酸、チグル酸及び3-メチル-2-ブテン酸とのエステルのような非環式テルペンアルコール;
例えば、ゲラニアル;ネラル;シトロネラル;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトン;及びゲラニアル、ネラル、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチルアセタール及びジエチルアセタールのような非環式テルペンのアルデヒド及びケトン;
例えば、メントール;イソプレゴール;α-テルピネオール;テルピネノール-4;メンタン-8-オール;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;酸化リナロール;ノポール;セドロール;アムブリノール;ベチベロール;グアイオール;及びそれらのギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、クロトン酸、チグル酸及び3-メチル-2-ブテン酸とのエステルのような環状テルペンアルコール;
例えば、メントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;カンフォー;フェンコン;α-イオノン;β-イオノン;α-n-メチルイオノン;β-n-メチルイオノン;α-イソメチルイオノン;β-イソメチルイオノン;α-イロン;α-ダマスコン;β-ダマスコン;β-ダマスセノン;δ-ダマスコン;γ-ダマスコン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;ノートカトン;ジヒドロノートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン;α-シネンサール;β-シネンサール;アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)のような環状テルペンのアルデヒド及びケトン;
例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール;3-イソカムフィルシクロヘキサノール;2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール;2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールのような環状アルコール;
例えば、α-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール;1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-ペンタン-2-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オールのような脂環式アルコール;
例えば、シネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;α-セドレンエポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカ-ヒドロナフト[2,1-b]フラン;1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;ローズオキシド;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンのような環状及び脂環式のエーテル;
例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチルシクロ-ペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-シス-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタデカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert-ペンチルシクロヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノンのような環状及び大環状ケトン;
例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドのような脂環式アルデヒド;
例えば、1-(3,3-ジメチル-シクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン;1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトンのような脂環式ケトン;
例えば、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸2-tert-ペンチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ペンチルシクロヘキシル;酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル;酢酸デカヒドロ-2-ナフチル;クロトン酸2-シクロペンチルシクロペンチル;酢酸3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル;酢酸デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチル;酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニル;プロピオン酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニル;イソ酪酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニル;酢酸4,7-メタノオクタヒドロ-5-または6-インデニルのような環状アルコールのエステル;
例えば、クロトン酸1-シクロヘキシルエチルのような脂環式アルコールのエステル;
例えば、プロピオン酸アリル-3-シクロヘキシル;オキシ酢酸アリルシクロヘキシル;ジヒドロジャスミン酸cis-及びtrans-メチル;ジャスミン酸cis-及びtrans-メチル;カルボン酸メチル-2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタン;カルボン酸エチル-2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセン;カルボン酸エチル-2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセン;2-酢酸エチル-2-メチル-1,3-ジオキソランのような脂環式カルボン酸のエステル;
例えば、ベンジルアルコール;1-フェニルエチルアルコール;2-フェニルエチルアルコール;3-フェニルプロパノール;2-フェニルプロパノール;2-フェノキシエタノール;2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール;2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール;1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール;1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール;1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール;2-メチル-5-フェニルペンタノール;3-メチル-5-フェニルペンタノール;3-フェニル-2-プロペン-1-オール;4-メトキシベンジルアルコール;1-(4-イソプロピルフェニル)エタノールのような芳香脂肪族アルコール;
例えば、酢酸ベンジル;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;酢酸2-フェニルエチル;プロピオン酸2-フェニルエチル;イソ酪酸2-フェニルエチル;イソ吉草酸2-フェニルエチル;酢酸1-フェニルエチル;酢酸α-トリクロロメチルベンジル;酢酸α,α-ジメチルフェニルエチル;酪酸α,α-ジメチルフェニル-エチル;酢酸シンナミル;イソ酪酸2-フェノキシエチル;酢酸4-メトキシベンジルのような芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル;
例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチルイソアミルエーテル;2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドラトロプアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシンのような芳香脂肪族エーテル;
例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドラトロプアルデヒド;4-メチルベンズ-アルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール;3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;α-ブチルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールのような芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド;
例えば、アセトフェノン;4-メチル-アセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン;4-フェニル-2-ブタノン;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1-(2-ナフタレニル)エタノン;2-ベンゾフラニルエタノン;(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン;6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトンのような芳香族及び芳香脂肪族ケトン;
例えば、安息香酸;フェニル酢酸;安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;酢酸メチルフェニル;酢酸エチルフェニル;酢酸ゲラニルフェニル;酢酸フェニルエチルフェニル;桂皮酸メチル;桂皮酸エチル;桂皮酸ベンジル;桂皮酸フェニルエチル;桂皮酸シンナミル;フェノキシ酢酸アリル;サリチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;サリチル酸cis-3-ヘキセニル;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル-2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート;グリシド酸エチル-3-フェニル;グリシド酸エチル-3-メチル-3-フェニルのような芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸及びそれらのエステル;
例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセト-フェノン;シンナモニトリル;3-メチル-5-フェニル-2-ペンテン酸ニトリル;3-メチル-5-フェニルペンタン酸ニトリル;アントラニル酸メチル;アントラニル酸メチル-N-メチル;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド6-イソプロピルキノリンとのアントラニル酸メチルのSchiff塩基;6-イソブチルキノリン;6-sec-ブチルキノリン;2-(3-フェニルプロピル)ピリジン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジンのような含窒素芳香族化合物;
例えば、エストラゴール;アネトール;ユーゲノール;ユーゲニルメチルエーテル;イソユーゲノール;イソユーゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;β-ナフチルメチルエーテル;β-ナフチルエチルエーテル;β-ナフチルイソブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゼン;酢酸ユーゲニル;2-メトキシ-4-メチルフェノール;2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール;フェニル酢酸p-クレシルのようなフェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル;
例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンのような複素環化合物;
例えば、1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカノリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカノリド;1,4-ドデカン-オリド;1,5-デカノリド;1,5-ドデカノリド;4-メチル-1,4-デカノリド;1,15-ペンタ-デカノリド;cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド;cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド;1,16-ヘキサデカノリド;9-ヘキサデセン-1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン1,12-ドデカンジオエート;エチレン1,13-トリデカンジオエート;クマリン;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリンのようなラクトン;を含む群に由来する個々の香料物質ならびに上記物質の混合物。
【0069】
そのような香料組成物では、本発明に係る化合物は、動物系の香調を伴い、同時に良好な固着性、定着性及び持続性(substantivity)を提供する最終組成物のムスク性を明瞭に増強することによって芳香コード全体に対する好影響を示す。したがって、本発明に係る現在記載されている化合物は効率的な且つ安定性の高い香料化合物として使用することができる。
【0070】
香料組成物では、使用される本発明に係る化合物の量は、香料組成物の総量に対して好ましくは0.0001~90重量%、好ましくは0.01~70重量%、特に好ましくは0.1~50重量%の範囲である。
【0071】
本発明に係る香料化合物及び本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むまたは含有する香料組成物は溶媒で希釈されていないまたは希釈された液体形態で香り付け用途に使用されてもよい。この目的に好適な溶媒は、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリアセチン、植物油などである。
【0072】
さらに、本発明に係る香料化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する香料組成物は、最終製品における香料物質の微細分布及び使用の際の制御放出の双方を保証する担体に吸着されてもよい。そのような担体は、例えば、硫酸ナトリウム、シリカゲル、ゼオライト、石膏、粘土、粘土顆粒、気泡コンクリートなどのような多孔性の無機材料、あるいは、例えば、木材、セルロース系の物質、糖類、デキストリン(例えば、マルトデキストリン)、またはPVC、ポリ酢酸ビニル、もしくはポリウレタンのようなプラスチックのような有機材料であってもよい。
【0073】
式(I)によって示される本発明に係る香料化合物及び本発明に係る化合物(複数可)を含むまたは含有する香料組成物はまた、マイクロカプセル化されてもよく、噴霧乾燥させてもよく、包接錯体としてまたは押出製品(すなわち、本発明に係る製品)として提供されてもよい。
【0074】
任意で、そのように改変された香料化合物または香料組成物の特性は、好適な材料で「コーティング」することによって、さらに標的化された香料放出に関してさらに最適化されてもよく、この目的のために、例えばポリビニルアルコールのようなワックス状プラスチックが好ましくは使用される。得られた製品は今度は本発明に係る製品である。
【0075】
本発明に係る香料化合物または本発明に係る香料組成物は、例えば、ポリウレタン型の物質または軟質ゼラチンから出来たカプセル材の助けを借りてコアセルベート法によってカプセル化されてもよい。
【0076】
本発明に係る香料化合物及び本発明に係る香料化合物(複数可)を含むまたは含有する香料組成物に基づく噴霧乾燥させた香料製剤は、例えば、香料化合物または香料組成物を含むまたは含有するエマルションまたは分散系を噴霧乾燥させることによって製造されてもよく、その際、修飾デンプン、タンパク質、デキストリン及び植物ガムが担体として使用されてもよい。包接錯体は、例えば、香料化合物または香料組成物及びシクロデキストリンまたは尿素誘導体を好適な溶媒、例えば、水に導入することによって製造されてもよい。
【0077】
押出製品は、香料化合物または香料組成物を好適なワックス状物質と共に融解し、任意で好適な溶媒、例えば、イソプロパノールにて押し出し、その後固化させることによって製造されてもよい。
【0078】
別の態様では、したがって、本発明は、一般式(I)に係る化合物、または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する香料組成物の効率的な匂い剤または香料化合物としての使用に関する。上記で作成されたコメントは好ましい化合物及び混合物に相応に適用される。
【0079】
本発明は、香料化合物の定着性を改善する一方で同時に、香料物質として本発明の係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する組成物を使用するための、及び香料入り製品を調製するための、一般式(I)に係る化合物または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むもしくは含有する香料組成物の使用に関する。本発明に係る化合物及び混合物の好ましい選択に関して、上記のコメントは当然相応に適用される。
【0080】
したがって、本発明は、香料化合物の定着性を改善するための、または香料入り製品を調製するための、前記化合物及び組成物の使用に関する。
【0081】
本発明に係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する組成物は、香料入りである製品、または香料を入れることを目的としている製品、特に個人の衛生に役立つ製剤、例えば、香油、香料基剤、個人の衛生用の製剤、洗浄剤または芳香剤に組み込まれてもよい。
【0082】
したがって、別の態様では、本発明はまた、式(I)に係る化合物、または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むもしくは含有する香料組成物を含む、または含有する香料入り製品にも言及する。
【0083】
好ましい変形によれば、本発明に係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する香料組成物を含む、または含有する本発明に係る香料入り製品は、例えば、洗浄剤などのような個人の衛生に役立つ基本標品を形成するために、溶媒を含まない純粋な形態で、固形もしくは液体の担体、及び任意で他の補助剤及び/または安定剤を伴う溶液として、または混合物の形態で本発明に係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する組成物を組み込むことによって製造される。
【0084】
したがって、本発明はまた、担体または基材と組み合わせて有効量で一般式(I)の化合物、または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むもしくは含有する香料組成物を含む、または含有する香料入り製品も提供する。
【0085】
感覚有効量は、一般式(I)に係る物質の比率がすでに、心地よく知覚できる香料の印象、特にムスク臭の印象を発散するのに十分であることを意味する。この知覚的印象は一般に、少なくとも0.001重量%の一般式(I)に係る化合物が最終的な標品/製剤に存在する場合に達成される。
【0086】
本明細書に記載されている式(I)の化合物は、その強烈な感覚特性に加えて、例えば、特定の適用条件下での高い安定性のような追加の有益な二次的特性を有する。この安定性によって特に、酸性媒体にて本発明の化合物は幅広い用途での使用及び加工に適する。
【0087】
本発明に係る香料入り製品は、例えば、香料入りの酸性、アルカリ性及び中性の洗浄剤、例えば、床洗浄剤、窓ガラス洗浄剤、皿洗い洗剤、風呂及びトイレ洗浄剤、汚れ落としクリーム、固形及び液体のトイレ洗浄剤、粉末及び泡状のカーペット洗浄剤、織物脱臭剤、アイロンがけ助剤、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯前処理剤、例えば、漂白剤、浸漬剤及び染み抜き剤、洗濯柔軟剤、洗濯石鹸、洗濯錠剤、消毒剤、表面消毒剤、ならびに液体またはゲルの形態での空気清浄剤のためのものを含む、例えば、香料抽出物、オードパフューム、オードトワレ、髭剃りローション、オーデコロン、髭剃り前製品、スプラッシュコロン及び香料入り清涼ワイプであり;または固形担体、エアゾールスプレー、ワックス及び艶出し剤、例えば、家具艶出し剤、床ワックス及び靴磨き剤、ならびに、ボディケア製品、例えば、固形及び液状の石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、水中油、油中水及び水中油中水の型の化粧品エマルション、例えば、皮膚のクリーム及びローション、顔面のクリーム及びローション、日焼け止めのクリーム及びローション、日焼け後クリーム及びローション、手のクリーム及びローション、足のクリーム及びローション、脱毛のクリーム及びローション、髭剃り後のクリーム及びローション、日焼けのクリーム及びローション、毛髪ケア製品、例えば、毛髪スプレー、毛髪ジェル、強化毛髪ローション、ヘアリンス、永続的な及び半永続的な毛髪染料、毛髪成形剤、例えば、コールドパーマ剤及び縮毛矯正剤、ヘアトニック、毛髪のクリーム及びローション、脱臭剤及び制汗剤、例えば、腋下スプレー、ロールオン、脱臭スティック、脱臭クリームまたは装飾的な化粧製品、例えば、アイシャドウ、マニキュア、メイク用品、リップスティック、マスカラ、ならびにロウソク、ランプ油、線香、殺虫剤、防虫剤及び燃料、または口腔及び/または歯科のケア製品、例えば、練り歯磨き、歯科ジェル、歯科粉末、洗口剤、チューインガム、及び他の経口ケア製品に適用されるものである。
【0088】
本発明に係る製品はまた、一般式(I)の化合物、または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含有するもしくは含む香料組成物を有効量で含む半製品であってもよい。
【0089】
一般式(I)の化合物、または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含有するもしくは含む香料組成物が使用される割合は、例えば、洗浄剤のような大量市場製品における千分の2、3から上質の香水製造業のためのアルコール性抽出物における最大2、3%までに及ぶ幅広い制限内で変化してもよい。しかしながら、本発明に係る新規の化合物、または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むもしくは含有する香料組成物は少量であっても香料入り製剤/製品に対して豊かなビャクダンの香調または木々のような香調を効率的に提供する。好ましくは、一般式(I)の化合物、または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むもしくは含有する香料組成物は、最終(製品)製剤の総重量を基にして0.0001~90重量%、好ましくは0.01~70重量%、特に好ましくは0.1~50重量%の量で使用される。
【0090】
最後に、本発明は香料入り製品に関するものであり、その際、香料入り製品は好ましくは香油、香料基剤、個人の衛生用の製剤、洗浄剤または芳香剤である。
【実施例
【0091】
次の化合物は以下に示されている方法に従って調製された。分光法による構造決定は既知の技法によって実施した。
【0092】
上記に示されているように、本明細書に開示されている化合物すべて、ならびに化学式すべては純粋な立体異性体、特にエナンチオマー、及び立体異性体の混合物、特にエナンチオマーの混合物の双方を一般に包含すべきである。また、プロセスから得られる中間体はすべてさまざまな異性体形態で発生することができるので、純粋な立体異性体及び立体異性体の混合物の双方を包含すべきである。
【0093】
実施例1:1-オキサシクロペンタデク-6-エン-3-オン(A)の調製
【0094】
工程1:4-デク-9-エノキシ-3-オキソ-ブタン酸2 エチルの調製
【0095】
20℃にてNのもとで無水THF及びDMFにおける9-デセン-1-オール(0.64mol)の混合物にNaH(1.28mol)を数回に分けて加えた。混合物を20℃で1時間撹拌し、次に20℃で4-クロロアセトアセトン酸エチル(0.77mol)を一滴ずつ加え、混合物を25℃で一晩撹拌した。HOで反応混合物の反応を止め、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、45℃での真空にて濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して4-デク-9-エノキシ-3-オキソ-ブタン酸2 エチルを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.19-1.23(m,11H),1.47-1.56(m,4H),1.94-1.99(m,2H),3.40-3.45(m,4H),4.01(s,2H),4.09-4.15(m,2H),4.84-4.94(m,2H),5.70-5.77(m,1H).
【0096】
工程2:2-(2-デク-9-エノキシアセチル)ペント-4-エン酸エチルの調製
【0097】
無水EtOHにおける4-デク-9-エノキシ-3-オキソ-ブタン酸2 エチル(0.56mol)に20℃にてNのもとでEtONa(2.25mol)を数回に分けて加えた。混合物を20℃にて1時間撹拌し、次に3-ブロモプロプ-1-エン(1.12mol)を一滴ずつ加え、混合物を80℃で一晩撹拌した。HOで反応混合物の反応を止め、濃縮してEtOHを取り除き、水性層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、45℃での真空にて濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して2-(2-デク-9-エノキシアセチル)ペント-4-エン酸エチルを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.23-1.36(m,13H),1.56-1.60(m,2H),2.02-2.05(m,2H),2.57-2.63(m,2H),3.45(t,J=6.8Hz,2H),3.71(t,J=7.2Hz,1H),4.09-4.19(m,4H),4.90-5.11(m,4H),5.74-5.83(m,2H).
【0098】
工程3:1-デク-9-エノキシヘクス-5-エン-2-オンの調製
【0099】
20℃にてNのもとでDMSO及びHOにおける2-(2-デク-9-エノキシアセチル)ペント-4-エン酸エチル(0.092mol)の混合物にLiCl(0.18mol)を一気に加え、次に混合物を200℃で一晩撹拌した。HOで反応混合物の反応を止め、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、45℃での真空にて濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して1-デク-9-エノキシヘクス-5-エン-2-オンを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.24-1.36(m,10H),1.57-1.62(m,2H),2.00-2.03(m,2H),2.32-2.34(m,2H),2.54-2.58(m,2H),3.44-3.47(m,2H),4.00(s,2H),4.90-5.05(m,4H),5.76-5.83(m,2H).
【0100】
1-オキサシクロペンタデク-6-エン-3-オン(A)の調製
【0101】
無水DCMにおける1-デク-9-エノキシヘクス-5-エン-2-オン(0.039mol)とHoveyda-Grubbs 2ndとの混合物を45℃にてArのもとで一晩撹拌した。40℃での真空にて反応混合物を濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーとそれに続く再結晶化及び分取用HPLCによって精製して1-オキサシクロペンタデク-6-エン-3-オン(A)を得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.25-1.34(m,8H),1.43-1.45(m,2H),1.53-1.57(m,2H),2.01-2.04(m,2H),2.34-2.36(m,2H),2.53-2.56(m,2H),3.55-3.58(t,J=5.6Hz,2H),4.02(s,2H),5.37-5.46(m,2H).
匂い:クリーミィ、動物系及びムスク
【0102】
実施例2:1-オキサシクロヘキサデク-6-エン-3-オン(B)の調製
【0103】
工程1:3-オキソ-4-ウンデク-10-エノキシ-ブタン酸エチルの調製
【0104】
20℃にてNのもとで無水THF及びDMFにおける化合物10-ウンデセン-1-オール(0.58mol)の混合物にNaH(1.17mol)を数回に分けて加えた。混合物を20℃で1時間撹拌し、次に20℃で4-クロロアセトアセトン酸エチル(0.70mol)を加え、混合物を25℃で一晩撹拌した。HOで反応混合物の反応を止め、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、45℃での真空にて濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して3-オキソ-4-ウンデク-10-エノキシ-ブタン酸エチルを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.25-1.36(m,15H),1.56-1.60(m,2H),2.01-2.03(m,2H),3.45-3.48(m,2H),3.51(s,2H),4.07(s,2H),4.15-4.21(m,2H),4.90-4.99(m,2H),5.76-5.83(m,1H).
【0105】
工程2:2-(2-ウンデク-10-エノキシアセチル)ペント-4-エン酸エチルの調製
【0106】
20℃にてNのもとで無水EtOHにおける2-(2-ウンデク-10-エノキシアセチル)ペント-4-エン酸エチル(0.33mol)の混合物にEtONa(1.34mol)を数回に分けて加えた。混合物を20℃で1時間撹拌し、次に3-ブロモプロプ-1-エン(0.67mol)を一滴ずつ加え、混合物を80℃で一晩撹拌した。HOで反応混合物の反応を止め、濃縮してEtOHを取り除き、水性層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、45℃での真空にて濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して2-(2-ウンデク-10-エノキシアセチル)ペント-4-エン酸エチルを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.24-1.36(m,15H),1.57-1.60(m,2H),2.00-2.03(m,2H),2.57-2.63(m,2H),3.43-3.46(m,2H),3.70(t,J=7.2Hz,1H),4.09-4.17(m,4H),4.90-5.10(m,4H),5.74-5.83(m,2H).
【0107】
工程3:1-ウンデク-10-エノキシヘクス-5-エン-2-オンの調製
【0108】
20℃にてNのもとでDMSO及びHOにおける2-(2-ウンデク-10-エノキシアセチル)ペント-4-エン酸エチル(0.088mol)の混合物にLiCl(0.18mol)を一気に加え、混合物を200℃で一晩撹拌した。HOで反応混合物の反応を止め、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、45℃での真空にて濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して1-ウンデク-10-エノキシヘクス-5-エン-2-オンを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.27-1.36(m,12H),1.56-1.62(m,2H),2.00-2.03(m,2H),2.33-2.36(m,2H),2.54-2.58(m,2H),3.44-3.47(m,2H),4.02(s,2H),4.90-5.05(m,4H),5.76-5.85(m,2H)
【0109】
(6)-1-オキサシクロヘキサデク-6-エン-3-オン(B)の調製
【0110】
無水DCMにおける1-ウンデク-10-エノキシヘクス-5-エン-2-オン(0.037mol)とHoveyda-Grubbs 2ndの混合物を45℃にてArのもとで一晩撹拌した。40℃での真空にて反応混合物を濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーとその後に続く再結晶化、蒸留及び分取用HPLCによって精製して(6)-1-オキサシクロヘキサデク-6-エン-3-オン(B)を得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.26-1.45(m,12H),1.64(m,2H),2.03(m,2H),2.32(m,2H),2.62-2.64(m,2H),3.53(m,2H),3.98(s,2H),5.31-5.41(m,2H)
匂い:ムスク、動物系
【0111】
実施例3:6-メチル1-オキサシクロヘキサデク-6-エン-3-オン(C)の調製
【0112】
3-ブロモ-2-メチルプロペンを使用して1-オキサシクロペンタデク-6-エン-3-オン(B)に類似して6-メチル1-オキサシクロヘキサデク-6-エン-3-オン(C)を調製した。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ1.17-1.41(m,10H),1.41-1.52(m,2H),1.62(s,3H),1.64(t,J=6.4Hz,2H),2.03(q,J=6.8Hz,2H),2.27(t,J=7.4Hz,2H),2.69(t,J=7.4Hz,2H),3.52(t,J=5.5Hz,2H),3.97(s,2H),5.15(tt,J=5.9,1.4Hz,1H).

13C-NMR(101MHz,CDCl)δ16.4,25.5,26.8,27.0,27.4,27.7,28.0,28.5,29.2,32.9,38.1,71.2,76.4,125.8,133.8,210.6.
匂い:強いムスク、エルゴン、粉っぽい(powdery)。クリーミィ
【0113】
実施例4:1,5-ジオキサシクロヘキサデク-14-エン-3-オン(D)の調製
【0114】
2-(デク-9-エノキシメチル)オキシランの調製
【0115】
NaOH(0.96mol)及び9-デセン-1-オール(0.32mol)の混合物を20℃で4時間撹拌した。次いで2-(クロロメチル)オキシラン(0.64mol)を加え、混合物を40℃で18時間撹拌した。次いで混合物を蒸発させて粗生成物を得たが、それをクロマトグラフィーによって精製して2-(デク-9-エノキシ-メチル)オキシランを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.22-1.30(m,11H),1.49-1.53(m,2H),1.96-1.98(m,2H),2.53-2.55(m,1H),2.72(t,J=4.4Hz,1H),3.05-3.11(m,1H),3.32-3.43(m,3H),3.61-3.64(m,1H),4.85-4.94(m,2H),5.71-5.77(m,1H).
【0116】
工程2:1-アリルオキシ-3-デク-9-エノキシ-プロパン-2-オールの調製
【0117】
のもとで2-プロペン-1-オール(350mL)に、Na(0.85mol)を少しずつ加えた。溶液を2時間撹拌した後、混合物に2-(デク-9-エノキシメチル)オキシラン(0.28mol)を加え、混合物を20℃で2時間撹拌した。混合物を蒸発させて粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して1-アリルオキシ-3-デク-9-エノキシ-プロパン-2-オールを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.18-1.32(m,12H),1.45-1.48(m,2H),1.94-1.99(m,2H),3.37-3.44(m,6H),3.88-3.96(m,3H),4.84-4.94(m,2H),5.11-5.23(m,2H),5.73-5.87(m,2H).
【0118】
工程3:1-アリルオキシ-3-デク-9-エノキシ-プロパン-2-オンの調製
【0119】
1-アリルオキシ-3-デク-9-エノキシ-プロパン-2-オール(0.26mol)のDCM溶液に0℃にてDMP(0.4mol)を加え、混合物を20℃で一晩撹拌した。次いで混合物をブライン及び5%NaHCOで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させて粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して無色の油として1-アリルオキシ-3-デク-9-エノキシ-プロパン-2-オンを得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.18-1.30(m,12H),1.53-1.55(m,2H),1.94-1.99(m,2H),3.41(t,J=6.8Hz,2H),3.99(d,J=5.6Hz,2H),4.13(s,2H),4.17(s,2H),4.84-4.94(m,2H),5.16-5.25(m,2H),5.70-5.84(m,2H).
【0120】
1,5-ジオキサシクロヘキサデク-14-エン-3-オン(D)の調製
【0121】
無水DCMにおける1-アリルオキシ-3-デク-9-エノキシ-プロパン-2-オン(0.029mol)、Hoveyda-Grubbs 2ndの混合物を45℃にてArのもとで一晩撹拌した。40℃での真空にて反応混合物を濃縮して粗生成物を得たが、それをカラムクロマトグラフィーとそれに続く再結晶化及び分取用HPLCによって精製して1,5-ジオキサシクロヘキサデク-14-エン-3-オン(D)を得た。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.25-1.47(m,12H),2.04-2.07(m,2H),3.39-3.43(m,2H),3.94(s,2H),4.02-4.03(m,2H),4.35(s,2H),5.36-5.43(m,1H),5.54-5.60(m,1H)
【0122】
実施例5:1,5-ジオキサシクロヘプタデク-15-エン-3-オン(E)の調製
【0123】
10-ウンデセン1-オールから出発することによって1,5-ジオキサシクロヘキサデク-14-エン-3-オン(D)に類似して1,5-ジオキサシクロヘプタデク-15-エン-3-オン(E)を調製した。
H-NMR:(400MHz,CDCl)δ1.26-1.40(m,H),1.40-1.49(m,4H),1.55-1.64(m,2H),2.09-2.16(m,2H),3.49(dd,J=5.8,4.9Hz,2H),4.02(s,2H),4.10(dd,J=6.5,1.1Hz,2H),4.40(s,2H),5.48(dtt,J=15.6,6.5,1.4Hz,1H),5.65(dtt,J=15.1,6.9,1.3Hz,1H).
13C-NMR(101MHz,CDCl)δ26.6,27.1,27.8,28.2,28.5,28.6,29.0,31.6,71.4,71.7,72.1,75.8,126.5,136.8,206.6.
匂い:粉っぽい、ムスク状
【国際調査報告】