(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】RFIDタグリーダのためのアンテナアレイ及び信号処理
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/28 20060101AFI20241226BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241226BHJP
H01Q 21/28 20060101ALI20241226BHJP
H01Q 1/12 20060101ALI20241226BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20241226BHJP
G01S 5/04 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H01Q3/28
H01Q21/06
H01Q21/28
H01Q1/12 D
G06K7/10 236
G06K7/10 240
G01S5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535804
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 US2022081761
(87)【国際公開番号】W WO2023114976
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519348060
【氏名又は名称】オートマトン, インク.
【氏名又は名称原語表記】AUTOMATON, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】モース ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ミュエラー ジョー
(72)【発明者】
【氏名】パナジオト プロコピオス
(72)【発明者】
【氏名】リンジー フィリップ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ペトルス ポール
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
5J062
【Fターム(参考)】
5J021AA04
5J021AA09
5J021AB06
5J021DB03
5J021FA06
5J021FA34
5J021GA02
5J021GA05
5J021GA08
5J021JA05
5J021JA08
5J047AB03
5J047AB13
5J047BE00
5J062CC14
5J062GG01
5J062GG02
(57)【要約】
無線周波数識別(RFID)システムは、リーダを使用して、店舗、倉庫、及び他の環境内のパッシブ型RFIDタグにクエリし、位置を特定する。リーダからアンテナアレイによって放射される問い合わせ信号は、タグに電力を供給し、これは入射放射線をリーダに向かって変調及び後方散乱させることによって応答する。リーダ内のアンテナアレイは、変調及び後方散乱された放射を検出し、これは通常、タグの応答として問い合わせ信号よりも数桁弱い。残念なことに、アンテナアレイ内のアンテナ素子間のクロストークは、リーダの感度を制限し、これは次に、リーダがタグを検出及び位置特定できる範囲を制限する。アンテナアレイのピッチを問い合わせ信号の波長の半分以上に増加させることは、クロストークを減少させるが、偽の応答を生成するグレーティングローブを導入する。幸いなことに、これらの偽の応答をフィルタリングすると、クロストークを抑制するのに十分なピッチを有するアンテナアレイから感度の高い測定値が得られる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数識別(RFID)タグリーダであって、
キャリア周波数で問い合わせ信号を生成するための信号発生器と、
前記信号発生器に動作可能に接続され、アンテナアレイのアンテナパターンの主ローブの方向に前記問い合わせ信号をRFIDタグに送信し、前記RFIDタグからの前記問い合わせ信号に対する応答を受信するためのアンテナアレイであって、前記アンテナアレイが、前記問い合わせ信号の前記キャリア周波数の波長の半分以上のピッチで配列されたアンテナ素子を備え、前記ピッチが、前記主ローブがボアサイトからステアリングされる時に、グレーティングローブを前記アンテナパターンに出現させる、アンテナアレイと、
前記アンテナアレイに動作可能に接続され、前記主ローブがボアサイトからステリングされる時に、前記RFIDタグからの前記問い合わせ信号に対する前記応答を前記グレーティングローブによって引き起こされる偽の応答と区別し、前記RFIDタグからの前記問い合わせ信号に対する前記応答に基づいて前記RFIDタグの位置を推定する、プロセッサと
を備える、RFIDタグリーダ。
【請求項2】
前記アンテナ素子の前記ピッチが少なくとも190ミリメートルである、請求項1に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項3】
前記アンテナ素子の前記ピッチを前記キャリア周波数の前記波長の半分以上に設定することが、前記アンテナ素子間のクロストークを低減する、請求項1に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項4】
前記アンテナアレイが、前記アンテナ素子に平行であり、かつ前記アンテナ素子から少なくとも22ミリメートルの距離だけ離間したグランドプレーンをさらに備える、請求項1に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項5】
前記グランドプレーンが円形グランドプレーンである、請求項4に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項6】
前記グランドプレーンが、少なくとも20インチ×少なくとも20インチの横方向寸法を有する、請求項4に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項7】
前記グランドプレーンが、24インチ×24インチの横方向寸法を有する、請求項4に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項8】
前記グランドプレーンが、595ミリメートル×595ミリメートルの横方向寸法を有する、請求項4に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項9】
前記グランドプレーンが、つり天井のサスペンショングリッドの開口部内に落下するように構成される、請求項4に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項10】
前記問い合わせ信号及び前記応答を送信し、前記アンテナアレイを隠す装飾パネルと、
前記グランドプレーンを前記装飾パネルに機械的に結合する少なくとも一つの垂直部材と
をさらに備える、請求項4に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項11】
前記アンテナアレイが、ボアサイトから仰角90°での前記アンテナゲインよりも少なくとも27dB大きいアンテナゲインをボアサイトに対して有する、請求項1に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項12】
前記プロセッサが、所定のボリュームの外側にある推定RFIDタグ位置に対応する信号を破棄することによって、前記RFIDタグからの前記問い合わせ信号に対する前記応答を前記偽の応答と区別するように構成される、請求項1に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項13】
前記プロセッサが、所定の閾値を超える到来角を有する信号を破棄することによって、前記RFIDタグからの前記問い合わせ信号に対する前記応答を前記偽の応答と区別するように構成される、請求項1に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項14】
前記プロセッサが、他のRFIDタグリーダによって測定される到来角に基づいて前記RFIDタグの可能な位置を決定し、所定のゾーンの外側にある前記RFIDタグの可能な位置を破棄することによって、前記RFIDタグからの前記問い合わせ信号に対する前記応答を前記偽の応答と区別するように構成される、請求項1に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項15】
前記信号発生器を前記アンテナアレイに動作可能に接続して、前記アンテナアレイが円偏光問い合わせ信号として前記問い合わせ信号を放射する第一のモードと、前記アンテナアレイが直線偏光問い合わせ信号として前記問い合わせ信号を放射する第二のモードとの間で前記アンテナアレイを切り替えるスイッチをさらに備える、請求項1に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項16】
前記スイッチが、前記第二のモードで、前記第一の直線偏光状態と前記第一の直線偏光状態に直交する第二の直線偏光状態との間で前記問い合わせ信号を切り替えるようにさらに構成される、請求項15に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項17】
請求項1に記載のRFIDタグリーダであって、
前記アンテナアレイに機械的に結合されて、天井に対して前記アンテナアレイを固定する、取付ブラケットをさらに備える、RFIDタグリーダ。
【請求項18】
天井に対する前記アンテナアレイの整列を調整するために、前記取付ブラケット及び/又は前記アンテナアレイに機械的に結合された調整機構をさらに備える、請求項17に記載のRFIDタグリーダ。
【請求項19】
無線周波数識別(RFID)タグを位置特定する方法であって、
キャリア周波数で問い合わせ信号を生成することと、
前記問い合わせ信号の前記キャリア周波数の波長の半分以上のピッチでアレイされたアンテナ素子を備えるアンテナアレイを用いて、前記問い合わせ信号を、前記アンテナアレイのアンテナパターンの主ローブの方向にRFIDタグに送信することと、
前記アンテナアレイによって、前記RFIDタグから前記問い合わせ信号に対する応答を受信することと、
前記主ローブが前記アンテナアレイの前記ピッチに起因してボアサイトからステアリングされた時に、前記RFIDタグからの前記問い合わせ信号に対する前記応答を、前記アンテナパターンに現れるグレーティングローブによって引き起こされる偽の応答と区別することと、
前記RFIDタグからの前記問い合わせ信号に対する前記応答に基づいて、前記RFIDタグの位置を推定することと、を含む、方法。
【請求項20】
部屋内で無線周波数識別(RFID)タグ位置特定システムを展開する方法であって、
RFIDタグリーダを前記部屋の天井に設置することと、
前記部屋内の前記RFIDタグリーダの位置を測定することと、
前記RFIDタグリーダを整列させることと、
前記RFIDタグリーダを電源及び/又はシステムコントローラに接続することと
を含む、方法。
【請求項21】
前記天井上にRFIDタグリーダを設置することが、前記RFIDタグリーダのうちの少なくとも一つをつり天井のサスペンショングリッドの開口部に配置することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記部屋内の前記RFIDタグリーダの位置を測定することが、
第一のRFIDタグリーダから床上の点までの距離を測定することと、
前記床上の前記点から前記部屋の隅までの距離を測定することと
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記RFIDタグリーダを整列させることが、前記天井に対する前記RFIDタグリーダのうちの少なくとも一つの配向を調整することを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年12月16日出願の米国特許出願第63/290,326号の米国特許法(35 U.S.C.)119条(e)の下での優先権利益を主張し、同出願は、あらゆる目的上、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)タグリーダは、RFIDタグインテロゲータ(interrogator)、単にリーダ、又はセンサとも呼ばれ、RFIDタグと通信するデバイスである。パッシブ型RFIDタグは、リーダによって送信される信号によって電力供給される。リーダのアンテナとパッシブ型RFIDタグとの間の最大距離又は範囲は、リーダによってRFIDタグに向けて送信されるRF信号の最大電力、RFIDタグの最小ターンオン電力又は感度、タグの応答の最大電力、リーダとRFIDタグとの間の通信チャネルの損失、ノイズ、干渉、及びリーダの感度に依存する。
【0003】
ラウンドトリップチャネル損失は、概して範囲とともに増加するため、リーダの範囲を増大させることは、概して、送信信号電力を増加させること、タグ後方散乱効率及び感度を増加させること、ノイズ及び干渉を減少させること、並びにリーダ感度を改善することの何らかの組み合わせを伴う。残念ながら、FCCはタグに送信される最大信号電力(したがって、タグの応答に利用可能な電力の量)を制限し、熱ノイズは基本的にリーダ感度を制限する。一部の従来的なシステムでは、最大送信電力及び経路損失に関するFCC規制は、リーダからパッシブ型RFIDタグまでの最大達成可能範囲を約15メートルに制限する。
【発明の概要】
【0004】
問い合わせ信号を送信し、RFIDタグ応答を受信するためのアンテナアレイを有するRFIDタグリーダでは、アンテナアレイ内のアンテナ間のクロストークが、最大ラウンドトリップ範囲を制限することもある。一般的に、クロストークは、通信チャネル間の望ましくない信号の伝達である。アンテナアレイでは、クロストークは、アンテナアレイ内の一つのアンテナ素子が、アンテナアレイ内の隣接するアンテナ素子によって送信される問い合わせ信号を受信するときに発生する。クロストークはまた、アンテナアレイ内の異なるアンテナ素子に接続された回路素子間の望ましくない結合(coupling)を介して発生し得る。
【0005】
ノイズとは異なり、アンテナ素子間のクロストークは、アンテナ素子によって送信される信号と相関するため、抑制が困難である。幸いなことに、アンテナ素子間のクロストークは、例えば、アンテナ素子が問い合わせ信号のキャリア周波数での波長の半分以上のピッチ、又は中心間の間隔でアレイされるように、隣接するアンテナ素子間の距離を大きくすることによって、低減することができる。残念なことに、ピッチを大きくすると、アンテナアレイがボアサイトから離れた角度にステアリングされたときに、グレーティングローブが現れる。グレーティングローブは、望ましくない方向にゲインを導入し、アンテナアレイからの信号に適用される方向探知プロセスを混同させることがある。幸いなことに、グレーティングローブによって引き起こされる偽(spurious)の測定値は、フィルタリングによって、又は以下でより詳述するように、いくつかのRFIDタグリーダによって同時になされる到来角(AOA)測定値を相関させることによって破棄することができる。
【0006】
グレーティングローブによって引き起こされる偽の信号をフィルタリングするRFIDタグリーダは、信号発生器、アンテナアレイ、及びプロセッサを備えることができる。動作中、信号発生器はキャリア周波数で問い合わせ信号を生成する。信号発生器に動作可能に接続されるアンテナアレイは、アンテナアレイのアンテナパターンの主ローブの方向にRFIDタグに問い合わせ信号を送信し、RFIDタグからの問い合わせ信号に対する応答を受信する。アンテナアレイは、問い合わせ信号のキャリア周波数の波長の半分以上のピッチ又は中心間の間隔で配列されたアンテナ素子を備え、そのため、主ローブがボアサイト(boresight)からステアリングされた(アンテナアレイに対して垂直)ときにアンテナパターンに現れるグレーティングローブの方向に沿って放射線を放射する。アンテナアレイに動作可能に接続されるプロセッサは、主ローブがボアサイトからステアリングされる時に、RFIDタグからの問い合わせ信号に対する応答をグレーティングローブによって引き起こされる偽の応答と区別し、RFIDタグからの問い合わせ信号に対する応答に基づいてRFIDタグの位置を推定する。
【0007】
アンテナ素子のピッチは、少なくとも190ミリメートルとすることができる。アンテナ素子のピッチをキャリア周波数の波長の半分以上に設定すると、アンテナ素子間のクロストークが低減される。アンテナアレイは、ボアサイトから仰角90°でのアンテナゲインよりも少なくとも27dB大きいアンテナゲインをボアサイトに対して有し得る。
【0008】
アンテナアレイはまた、アンテナ素子に平行であり、かつアンテナ素子から少なくとも22ミリメートルの距離だけ離間したグランドプレーンを含み得る。グランドプレーンは、少なくとも20インチ(508ミリメートル)×少なくとも20インチ(例えば、595ミリメートル×595ミリメートル又は24インチ(609.6ミリメートル)×24インチ)の横方向寸法を有し得る。グランドプレーンは、つり天井のサスペンショングリッドの開口部内に落下することができる。RFIDタグリーダはまた、少なくとも一つの垂直部材によってグループ平面に結合又はグループ平面から懸架され、問い合わせ信号及び応答を送信し、アンテナアレイを隠す装飾パネルを含むことができる。
【0009】
プロセッサは、いくつかの異なる技術のうちの一つ以上を使用して、問い合わせ信号に対する応答をRFIDタグと偽の応答から区別することができる。例えば、所定のボリューム(volume)の外側にある推定RFIDタグ位置に対応する信号を破棄することができる。また、所定の閾値を超える到来角を有する信号を破棄することができる。また、他のRFIDタグリーダによって測定される到来角に基づいてRFIDタグの可能な位置を三角測量し、所定のゾーンの外側にあるRFIDタグの可能な位置を破棄することができる。
【0010】
RFIDタグリーダはまた、信号発生器をアンテナアレイに接続するスイッチを含むことができる。スイッチは、アンテナアレイが円偏光問い合わせ信号として問い合わせ信号を放射する第一のモードと、アンテナアレイが直線偏光問い合わせ信号として問い合わせ信号を放射する第二のモードとの間で、アンテナアレイを切り替えることができる。第二のモードでは、スイッチはまた、第一の直線偏光状態と第一の直線偏光状態に直交する第二の直線偏光状態との間で、問い合わせ信号を切り替えることができる。
【0011】
RFIDタグリーダはまた、アンテナアレイに機械的に結合されて、天井に対してアンテナアレイを固定する取付ブラケットを含んでもよい。また、RFIDタグリーダは、天井に対するアンテナアレイの整列を調整するために、取付ブラケット及び/又はアンテナアレイに機械的に結合された調整機構を含むことができる。
【0012】
RFIDタグ位置特定システムは、RFIDタグリーダを部屋の天井上に設置し、部屋内のRFIDタグリーダの位置を測定し、RFIDタグリーダを整列させ、RFIDタグリーダを電源及び/又はシステムコントローラに接続することによって、店舗又は倉庫などの部屋内に配置することができる。RFIDタグリーダは、RFIDタグリーダの少なくとも一つをつり天井のサスペンショングリッドの開口部に設置することによって天井に取り付けることができる。RFIDタグリーダの位置は、第一のRFIDタグリーダから床上の点までの距離を測定し、床上の点から部屋の隅までの距離を測定することによって測定することができる。また、RFIDタグリーダは、天井に対するRFIDタグリーダのうちの少なくとも一つの配向を調整することによって整列させることができる。
【0013】
前述の概念、及び以下でより詳細に論じる追加的概念の全ての組み合わせは(このような概念が相互に矛盾していないという前提で)、本明細書に開示する本発明の主題の一部であると企図される。本開示の最後に現れる、特許請求の範囲に記載する主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示する発明主題の一部であると企図される。参照により本明細書に組み込まれる、あらゆる開示においても明示的に採用される用語は、本明細書に開示される概念と最も一致する意味を与える必要がある。
【0014】
当業者であれば、図面が主として例示的な目的であり、本明細書に記載の本発明の主題の範囲を制限することを意図していないことを理解するであろう。図面は必ずしも一定の比率ではなく、いくつかの例では、本明細書に開示する本発明の主題の様々な態様は、異なる特徴の理解を容易にするために、図面内で誇張又は拡大されて示される場合がある。図面では、同様の参照文字は概して、同様の特徴(例えば、機能的に類似した及び/又は構造的に類似した要素)を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】
図1Aは、RFIDタグリーダのセットに接続された中央コントローラを有するRFIDタグ位置特定システムを示し、その各々は、イーサネットローカルエリアネットワーク(LAN)を介して、インテロゲータモードとリスナモードとの間で切り替えることができる。
【
図1B】
図1Bは、インテロゲータモード及びリスナモードにおいて、センサがパッシブ型RFIDタグからの応答をトリガ及び検出できる方法を示す。
【
図1C】
図1Cは、インテロゲータモードの一つのセンサ及びリスナモードの他のセンサを用いて行われた到来角(AOA)測定を示す。
【
図2】
図2は、インテロゲータモードとリスナモードとの間で切り替えることができるRFIDタグリーダを示す。
【
図3A】
図3Aは、クロストークの減少、及びアンテナ素子間の分離の増加のための波長の半分以上のピッチを有するRFIDタグリーダのためのアンテナアレイの平面図を示す。
【
図3B】
図3Bは、グランドプレーン、及び24インチ×24インチのアンテナアレイのアンテナ素子の写真である。
【
図3C】
図3Cは、
図3Aのアンテナアレイにおけるパッチアンテナ素子の二つの供給ピンを供給するために使用される、90°ハイブリッド結合器を示す。
【
図3D】
図3Dは、
図3Aに示すものなど、アンテナアレイを有するRFIDタグリーダの斜視図を示す。
【
図3F】
図3Fは、円形グランドプレーン及び4つの1インチ×3インチのプリント回路基板(PCB)を有する4要素アンテナアレイの斜視図であり、その各々は、
図3DのRFIDタグリーダでの使用に好適な90°ハイブリット分割回路を含む。
【
図3H】
図3Hは、
図3Fの4要素アンテナアレイのグランドプレーン側の4つの1インチ×3インチのPCBを示す写真である。
【
図3J】
図3Jは、つり天井のサスペンショングリッドの開口部に取り付けられたアンテナアレイの輪郭図を示す。
【
図3K】
図3Kは、つり天井のサスペンショングリッドの開口部に取り付けられた別のアンテナアレイの輪郭図を示す。
【
図3L】
図3Lは、金属シェルフ上のボックスによって保持され、ブラケットがつり天井のグリッドレールの上に取り付けられた、24インチ×24インチのアンテナアレイの写真である。
【
図4】
図4は、ボアサイトからステアリングされた波長の半分及び波長の半分以上のピッチを有する線形アンテナアレイ(線形アレイの座標系で0°)の指向性対角度のプロットである。
【
図5】
図5A~5Fは、ボアサイト(アンテナアレイの座標系において仰角180°及び方位角0°)で送信するようにステアリングされた波長の半分以上のピッチを有する4要素正方形アンテナアレイのゲインの線形プロット及び対数プロットである。
【
図6】
図6A~6Fは、仰角135°及び方位角0°で送信するようにステアリングされた波長の半分以上のピッチを有する4要素正方形アンテナアレイのゲインの線形プロット及び対数プロットである。
【
図7】
図7A~7Fは、仰角135°及び方位角45°で送信するようにステアリングされた波長の半分以上のピッチを有する4要素正方形アンテナアレイのゲインの線形プロット及び対数プロットである。
【
図8】
図8は、波長の半分以上のピッチを有するアンテナアレイからの主ローブ及びグレーティングローブが、望ましい方向及び望ましくない方向にRFIDタグからの応答を励起し得る方法を示す。
【
図9】
図9A~9Dは、ボアサイト(180°)で送信するようにステアリングされた波長の半分以上のピッチを有する4要素正方形アンテナアレイのゲインパターンの線形プロット及び対数プロットである。
【
図10】
図10A~10Cは、異なる角度にステアリングされ、異なる周波数で動作する線形アンテナアレイのビームスクイントを示す、振幅対角度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1A~
図1Cは、装置又はシステムコントローラとも呼ばれるシステムプロセッサ110に連結された、いくつかのRFIDタグリーダ120a~120d(集合的に、リーダ又はセンサ120)を有する一つ以上のRFIDタグ130の位置を特定するRFIDタグ位置特定システム100を示す。各リーダ又はセンサ120は、リーダ120によって送信及び受信される信号のキャリア周波数の波長の半分以上のピッチ又は中心間の間隔で配列されるアンテナ素子(アンテナとも呼ばれる)を有する、以下に詳述されるアンテナアレイを含む。言い換えれば、アンテナアレイ内の隣接するアンテナ素子の中心間の距離は、リーダ120によって送受信される信号のキャリア周波数の波長の半分よりも大きい。このピッチでは、隣接するアンテナ素子間の望ましくないクロストークはより低く、ビーム幅も同様であり、より微細な角分解能をもたらす。
【0017】
残念なことに、ピッチを増加させると、アンテナアレイがボアサイトから送信するときに、グレーティングローブ(アンテナローブの複製)が現れる。これらのグレーティングローブは、アレイに望ましくない方向にタグを励起させ、それゆえ、送信ステアリング方向の知識に基づいてタグ130の位置を特定するときにエラーをもたらす。さらに、グレーティングローブは、望ましい送信方向に利用可能な電力を低減し、これは、タグ130がRFIDリーダ120によって読み取られ得る範囲を低減させる可能性がある。受信側では、リーダ120によって検出された到来角(AOA)スペクトルに有意なサイドローブが現れ、誤ったAOA推定値をもたらし得る。システムコントローラ110のプロセッサは、ビームステアリング角を慎重に選択することによって、送信側グレーティングローブを低減することができる。システムコントローラ110はまた、AOAスペクトルの真ピークと偽ピークを区別できる高度な検索プロセスを使用することによって、例えば、各タグの推定可能な位置及び/又は他のリーダ120によって取得された情報についての先験的な情報を使用して、不正確な推定を排除することによって、AOA推定誤差を低減することができる。これにより、グレーティングローブにもかかわらず、より高いレベルで可能な範囲及び/又はより高い精度でのRFIDタグの位置を特定することができる。
【0018】
インテロゲータモード及びリーダモード
図1A~1Cの各リーダ120は、インテロゲータモードとリスナモード、又は受信専用モードとの間で切り替えることができる。インテロゲータモードでは、リーダ120は、キャリア周波数(例えば、米国では902~928MHz、又は欧州では865~868MHz)で問い合わせ信号を送信し、同じキャリア周波数でそれらの問い合わせ信号に対するタグ応答を受信する。また、リスナモードでは、リーダ120は、他のリーダ120からの問い合わせ信号及びそれらの他の問い合わせ信号に対するタグ応答の両方を受信する。
【0019】
典型的には、他方のリーダ120がリスナモードにある間に、一つのリーダ120のみがある時点でインテロゲータモードにある。インテロゲータモードにあるリーダ120は、タグ130に問い合わせ、そのリーダ120及び範囲内のリスナモードにあるリーダ120は、タグの応答を受信する。N個のリーダ120について、これは、一個のリーダ120のみが同時に問い合わせメッセージを送信し得るにもかかわらず、タグの応答のN個の測定を同時にこなすことを意味する。同時測定の数のこのN倍の増加は、システム100によって実行されるRFIDタグ位置特定の速度(例えば、N倍)、忠実度(例えば、非干渉性平均化による√N倍)、又は速度及び忠実度を増加させるために使用され得る。リーダ120は、ラウンドロビン様式でより同時測定を行ってもよく、各リーダ120は次に、インテロゲータとして機能し、一方で、他のリーダ120は、リスナとして機能し、測定速度及び/又は忠実度を更に増加させる。リスナはタグに電力供給していないため、同時に送受信しているアンテナ素子間のクロストークに悩まされないため、はるかに大きな範囲でタグ応答を検出することができ、従来のRFIDタグ位置特定システムでは単に不可能である距離/場所から測定を行うことが可能となる。
【0020】
リーダ120は、
図1Aに示すように、それぞれのイーサネット接続112を介するか、又は他の適切な(通常は有線の)接続を介してシステムコントローラ110に接続される。便宜上、これらは、リーダ120に電力及びネットワーク接続の両方を提供するパワーオーバーイーサネット(PoE)接続であってもよい。イーサネット接続112は、リーダ120も互いに接続し得る。システムコントローラ110は、ネットワーク時間に同期したクロックを有し、そのクロックを使用して、イーサネット接続112を介してリーダ120を同期させる。リーダ120は、異なるリーダ120が同時に送信された同じタグ130から受信した応答をタイムスタンプするとき、システムコントローラ110が、検出された応答を一緒にグループ化及び処理することができるように、十分に同期化されるべきである。同期化はまた、問い合わせサイクル、又はホップ間の過剰なガード時間を防止するのに十分良好でなければならない(例えば、最低1ミリ秒のホップ内間隔を許容する)。
【0021】
この同期化は、イーサネット接続112のうちの一つ以上の待ち時間、及び/又はイーサネット接続112間の待ち時間の変動が、RFIDタグ130がリーダ120からの問い合わせ信号又はコマンド121に応答するための割り当てられたウィンドウ又はガード時間を超えることを明らかにし得、リーダ120が、有線接続112を介したスケジューリングについて互いに通信することを実行不可能にする。これらの待ち時間が、割り当てられたタグ応答ウィンドウ/ガード時間よりも大きい場合、リーダ120は、有線接続112を介してコマンド121に関する別個の信号を互いに感知する代わりに、アンテナアレイにより単にブロードキャストコマンド121を検出し得る。リーダ120はまた、イーサネット接続112によって提供されるローカルエリアネットワークを介してではなく、リーダ固有のコマンドを使用して、(例えば、タグ130と通信するために使用される同じRFチャネルを介して)互いに無線で通信することもできる。例えば、リーダ固有のコマンドは、モバイルリーダを調整及び制御することができる(後述する)。
【0022】
システムコントローラ110はまた、RFIDタグ130に問い合わせるためのスケジュール113を生成するプロセッサを含む。スケジュールは、各リーダ120がインテロゲータモード及びリスナモードにあると考えられる時間をリスト化する。すなわち、スケジュール113は、各リーダ120が、クエリ及び他のインテロゲータコマンドを含む問い合わせ信号121を発すると考えられるときをリスト化する。スケジュール113はまた、各リーダ120が、他のリーダ120からの問い合わせ信号121、及びそれらの問い合わせ信号121によって促されるタグ応答を受信することを予期すべきであるときに、ウィンドウをリスト化し得る。システムコントローラ110は、イーサネット接続112を介して、このスケジュール113をRFIDタグリーダ120に送信する。これは、スケジュール113をプロセッサに接続されたローカルメモリに格納する。システムコントローラ110は、RFIDタグリーダ120から受信時間、周波数、電力、及びタグ位置特定情報を含む、タグ応答データ123を受信し、このデータ123を後の処理のためにメモリに格納する。
【0023】
リーダ120は、以下のように、タグ130に問い合わせる。繰り返しになるが、一つのリーダ120は、ある時点でインテロゲータモードにあり、他のリーダ120は、リスナモードにある。インテロゲータモードのリーダ120は、範囲内でタグ130に電力を供給する連続波RF信号をブロードキャストする。次いで、インテロゲータモードのリーダ120が、問い合わせ信号121をブロードキャストし、範囲内のタグ130は、システム100が展開される店舗、倉庫、工場、又は他の環境を通して、無線のマルチパスチャネル122を介して問い合わせ信号121を受信する。タグ130のうちの少なくとも一つは、問い合わせ信号121の後の所定の時間ウィンドウ内での、インテロゲータモードでリーダ120に到達するタグ応答131で問い合わせ信号121に応答する。タグ応答131は、例えば、タグ130を一意に識別する電子製品コード(EPC)を用いて、タグ130によって調節されるリーダ130からの信号の後方散乱バージョンである。問い合わせ/応答配列全体はホップと呼ばれる。リスナモードのリーダ120は、同じ無線のマルチパスチャネル122を介して問い合わせ信号121及びタグ応答131を検出する。異なるリーダ120によって検出されるタグ応答131は、従来のRFIDタグ位置特定システムで可能なよりも高速、かつ/又はより正確にタグ130を位置特定するために使用することができる。
【0024】
図1B及び1Cは、RFIDタグシステム100を使用して、より高速及び/又はより正確なタグ位置測定のために、単一のタグ応答131の複数のAOA測定を同時に行う方法を例示する。この場合、リーダ120は、小売店又は倉庫内の部屋などの部屋の天井上に配列される。環境内には、数十~数百のリーダ120が存在する可能性があり、各リーダ120は、その最も近い隣接体から最大120メートル(例えば、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、又は120メートル)分離され、イーサネット又は他の有線接続を介してコントローラ110(図示せず)に接続されている。リーダ120の各対を分離する距離は、タグ130に電力供給するための最大範囲に基づくことができ、例えば、タグ130に電力供給するための最大範囲が10メートルである場合、リーダ120は、互いから20メートル内であり得る。各リーダ120は、そのアンテナが、RFエネルギーが横向きに伝搬するのを少なくして、主に床に向かって問い合わせ信号121を発するように配向される。リーダ120が互いにより近い場合、それらのアンテナパターンは、より小さな角度範囲にわたってスキャンされ、グレーティングローブの外観(及び有害作用)を回避し得る。
【0025】
この実施例では、リーダ120aはインテロゲータモードにあり、リーダ120b~120dはリスナモードにある。リーダ120aは、一つ以上の反射を含み得る自由空間チャネル122を介して問い合わせ信号121をRFIDタグ130に送信する。リーダ120aは、問い合わせ信号121が検出可能な応答131を生成するのに十分な電力をタグ130に供給又は充電するために、パッシブ型であるタグ130に十分に近接しているべきである。最大電力、チャネル損失、及びタグ後方散乱効率に対する制約を考慮すると、自己干渉キャンセルの無いRFIDタグ130とリーダ120aとの間の距離は、約20メートル以下(例えば、15、10、又は5メートル)であり得る。効果的な自己干渉キャンセルは、ノイズフロアを低減し、リーダのアナログデジタル変換器(ADC)のダイナミックレンジを増加させ、リーダ120aからRFIDタグ130までの範囲を拡張する(例えば、ノイズフロアの6dBの低減に対して2倍)。
【0026】
他のリーダ120b~120dは、タグ130に電力を供給又は充電しないため、タグ130から遠く(例えば、最大25、50、75、又は100m)離れ得るため、自己干渉/送信信号漏洩の心配がない。結果として、それらは、応答131を検出するために、自己干渉キャンセルを実施する必要はない。他のリーダ120b~120dとタグ130との間の最大距離は、応答131の振幅、チャネル損失、及びリーダ120の感度に依存し、正しい受信機、アンテナ、及び経路損失条件で最大500メートルとすることができる。(タグ返信応答の振幅は、概して、そのターンオン電力より10dB低く、これは典型的には、-17dBm前後である(かつ半導体電力効率が向上するにつれて経時的に減少する)。チャネル損失は、1メートルで32dB前後であり、距離の2倍ごとに約6dB増加する。合理的なRFID受信機の感度は-80dBmである。)リーダ120は、すべてのリーダ120がすべてのタグ130からの応答を検出できるはずであるように、又はすべてのリーダ120が部屋の形状及びサイズに部分的に応じて、すべてのタグ130からの応答を検出できるわけではないように、部屋内に配列され得る。
【0027】
タグ130は、応答131をドーナツ形状のパターンで発するダイポールアンテナを有してもよい。リーダ120はタグ130に対して異なる場所にあるため、このRFフィールド(応答131)は、
図1Cの上部及び底部にそれぞれ示されるように、異なる方位角及び/又は仰角から各リーダ120に入射する。各リーダ120は、対応する方位角及び仰角AOAを計算し、各タグ130について計算されたAOAをコントローラ110に送信することができる。コントローラ110は、対応する方位角及び仰角を使用して、二次元(例えば、固定高さ)で各タグの位置を推定することができる。コントローラ110はまた、異なるリーダ120からのAOAを集約し、それらを使用して、例えば、三辺測量又は三角測量によって、タグの場所を推定し得る。単一の問い合わせ信号131は、システム100内のリーダ120の全てによって複数の同時AOA測定値をもたらすため、コントローラ110は、三次元でタグ130を位置特定するのに多くのホップを必要とし得る従来のRFIDシステムとは異なり、単に一つのホップ後に三次元でRFIDタグ130の位置を導出又は推定することができる。より多くのAOA測定値により、コントローラは、リーダ120に対するタグの位置をより正確に推定することができる。リーダの場所が既知である場合、コントローラ110は、それらを使用してタグの絶対的場所も推定することができる。
【0028】
リーダ120b~120dはまた、タグ応答131を検出する前に、リーダ120bからの問い合わせ信号121を検出する。リーダ120がリスナモードにあるとき、リーダ120は、関連するRFID通信帯域(例えば、米国では902~928MHz、又は欧州では865~868MHz)内の多くのチャネル(例えば、20又は50チャネル)のうちの一つでブロードキャストされ得る問い合わせ信号121について、その帯域をスキャンする。リスナモードのリーダ120が特定のチャネル上の問い合わせ信号121を検出すると、問い合わせ信号121の終了の所定の又は事前設定された時間ウィンドウ内で、同じチャネル上の応答131をリッスン(listen)する。リーダ120はまた、問い合わせ信号121を復調又は復号し、復号された問い合わせ信号121を使用して、タグ130から応答131を解釈してもよい。
【0029】
問い合わせ信号121は、タグ130に応答する方法(すなわち、応答123の変調、プリアンブルタイプ、及びビットレート)を伝える。リスナモードのリーダ120は、コマンド121をリッスンして、タグ130がコマンド121にどのように応答すべきかを知る。リスナモードのリーダ120はまた、コマンド121の終了時間を決定して、タグの応答123に配置されたタイミング制約に基づいて、タグ応答123をいつ予期するかを知る。
【0030】
リーダ120は天井に取り付けられ、問い合わせ信号131を下向きに(タグ130に向かって)ブロードキャストするため、それらは概して、非見通し線(NLOS)パスを介して他のリーダ120から問い合わせ信号131を検出する。
図1B及び1Cでは、例えば、リーダ120aは、問い合わせ信号131を下向きに発し、信号131の少なくとも一部分を床、棚、及び/又は他の物体に反射又は散乱させる。他のリーダ120b~120dは、別の表面を散乱又は反射することなく、場合によってはリーダ120aから直接伝搬するエネルギーを検出する代わりに、又はそれに加えて、この反射エネルギー又は散乱エネルギーを検出する。NLOSパスに沿った減衰を考慮するとしても、検出された問い合わせ信号131は、リスナモードでリーダ120b~120dによって高い忠実度(fidelity)(例えば、SNR>10dB)で検出されるのに十分な振幅を有する。
【0031】
RFIDタグ位置特定システム100はまた、手持ち式リーダ、車両若しくはカート搭載型リーダ、又は有線接続を介してシステムコントローラ110に接続されていない他のリーダを含むか、又はそれらと相互作用することができる。これらのリーダは、インテロゲータモードとリスナモードとの間で切り替え可能であり得る。それらはまた、独占的にインテロゲータとして、すなわち、他のリーダからの問い合わせ信号を検出又は処理することなく、問い合わせ信号を送信し、タグ応答を受信することによって動作する、従来のリーダであり得る。いずれの場合も、手持ち式又はモバイルリーダが問い合わせ信号を送信するとき、リスナモード及び範囲内の両方にあるリーダは、その問い合わせ信号及び任意のタグ応答の両方を検出する。これらのリーダは、タグ応答の推定されたAOA及びタグ応答からの応答するタグの位置を計算し、さらなる処理のために位置、AOA、及び/又はタグ応答パラメータ(例えば、大きさ、位相、到着時間)をシステムコントローラに報告し得る。
【0032】
静的リスナはまた、受信した問い合わせ信号に基づいて、手持ち式又はモバイルリーダに関連付けられたAOAを測定することができる。これは、手持ち式又はモバイルリーダの場所が正確に知られていない場合に特に有用であり得る。
【0033】
必要に応じて、手持ち式リーダは、問い合わせ信号を送信する前に、リーダをリスナモードに切り替えるコマンドをリーダにブロードキャストし得る。代替的に、リーダは、送信していないとき、手持ち式リーダのRFIDチャネルをスキャンすることができる。又は、リーダ(手持ち式リーダを含む)は、自己同期疑似雑音(PN)シーケンスを使用して周波数ホッピングを駆動することができ、その結果、全てのリーダ(固定及び/又は手持ち式)はホッピングパターンに同期することができる。
【0034】
RFIDタグリーダアーキテクチャ
図2は、リーダ120がインテロゲータモード又はリスナモードにある場合に有効化又は無効化することができる構成要素を含む、リーダ120をより詳細に図示する。リーダ120は、RFアンテナアレイ及びフロントエンド210、プロセッサ212、RF較正及び同調ブロック214、ホップ発生器220、並びにホップ受信機230を含む。RFアンテナアレイ及びフロントエンド210は、RFID問い合わせ信号121を送信し、タグ応答131及びRFID問い合わせ信号121を他のリーダから受信するための一つ以上のアンテナ素子、増幅器、フィルタ、及び/又は他のアナログRF構成要素を含み得る。プロセッサ212は、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の好適なデバイスに実装され得、望ましい場合は、リーダのアンテナアレイのステアリングを含め、リーダ120の動作を制御する。これは、メモリ(図示せず)に情報を格納し、メモリから情報を取得し、イーサネット接続などのネットワーク接続(図示せず)を介してシステムコントローラ110と通信する。また、プロセッサ212は、インテロゲータモードとリスナモードとの間でリーダ120を切り替え、ホップ発生器220は、リスナモードで無効化されるか、又はオフにされ、インテロゲータモードで有効化されるか、又はオンにされ、ホップ受信機230は、両方のモードで有効化されるか、又はオンにされる。RF較正及び同調ブロック214は、RF較正及び同調機能を実施する。
【0035】
ホップ発生器220は、リーダ120がRFIDタグ130及び他のリーダ120に送信する問い合わせ信号121を生成する(
図1A~1C)。ホップ発生器220はまた、例えば、専用リーダ通信チャネル上、又は特定のプリアンブルもしくはペイロードで、他のリーダ120を意図したコマンド又は通信信号を生成してもよい。これは、問い合わせ信号121によって伝達されるデジタルクエリ、コマンド、及び/又は他の情報を生成するデジタルコマンド発生器222と、コマンド発生器222からのデジタル信号をアンテナ210による送信に好適なアナログ信号に変換するためのRF電子機器224とを含む。RF電子機器224は、デジタル信号をベースバンドアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器(DAC)と、ベースバンドアナログ信号をブロードキャストのための中間周波数まで混合するためのミキサ及びローカル発振器と、サイドバンド及び/又はスパーを除去するためのフィルタ及び/又はパルスシェーパを含み得る。
【0036】
ホップ受信機230は、コマンド復調器234及びタグ応答復調器236に結合された受信機フロントエンド232を含む。概して、受信機フロントエンド232は、アンテナによって検出されたRF信号のデジタル化、ダウンコンバート、及び位相を推定する。これはまた、インテロゲータモードにおいて、例えば、受信機内の漏洩に起因して、問い合わせ信号121によって引き起こされる任意の自己干渉をキャンセルする。残念なことに、クロストークは問い合わせ信号121と相関しているため、受信機フロントエンド232は、一般に、異なるアンテナ素子又はそれらのアンテナ素子に接続された回路間のクロストークをキャンセルすることができない。幸いなことに、このクロストークは、以下でより詳細に説明するように、アンテナ素子を互いにさらに離間させることによって低減又は抑制され得る。
【0037】
リーダ120がリスナモードにあるとき、受信機フロントエンド232は、問い合わせ信号を送信せず、また自己干渉キャンセルも実施しない。リスナモードでは、リーダ120は、他のリーダ120が問い合わせ信号121を送信するチャネルを検出し、それらの他の問い合わせ信号121の周波数を推定する。
【0038】
受信機フロントエンド232を構成する種々の方法があり、この実施例では、これは、以下により詳細に説明されるように、40MHzでアナログ同相及び直交(I/Q)信号を受信し、それらをベースバンド(5MHz)でデジタルI/Qサンプルに変換する。コマンド復調器234は、リーダ120がリスナモードにあり、ベースバンドコマンドI/Qサンプルを復調して、コマンドビットレート(例えば、40kbp~160kbp)で問い合わせ信号231を作成するときに有効化される。コマンド復調器234は、コマンドペイロードを使用して、インテロゲータモードのリーダ120がタグ130について尋ねているもの(例えば、変調、プリアンブルタイプ、予想される応答タイプなど)を判定する。例えば、インテロゲータモードのリーダ120は、標準プリアンブルを用いて320kHzの後方散乱リンク周波数(BLF)におけるMiller-2変調を使用して、タグ130に、その電子製品コード(EPC)の最初の64ビットを送信するように要求し得る。リスナモードのリーダ120は、その情報を使用してタグ応答131を復号する。コマンド復調器234は、リーダ120がインテロゲータモードにあるときに無効化される。タグ応答復調器236は、インテロゲータモード及びリスナモードの両方で有効化され、ベースバンドタグ応答I/Qサンプルを復調して、タグ応答ビットレートにおいてタグ応答信号233を作成する。
【0039】
分離が増加したアンテナアレイ
図3A及び3Bは、上述のRFIDタグリーダ120で使用できるアンテナアレイ300を図示する。
図3A及び3Bに示すように、このアンテナアレイ300は、4つのパッチアンテナ素子310a~310d(パッチアンテナ又はアンテナ素子とも呼ばれる)及びグランドプレーン320を含む。各パッチアンテナ310は、w=120.4mmの横方向寸法を有する正方形の形状であり、0.04mmの厚さの銅トレースを有する約1.57mmの厚さの片面プリント回路基板(PCB)から作製される(PCBの残りの厚さは構造に対して誘電性である)。一般的に、各パッチアンテナ素子310は、約0.02~0.08mmの厚さの導電性材料を含むべきである。この厚さで、導電性材料は通常、剛性のためにガラス繊維などの非導電性材料上に配置、埋め込み、又は積層される。
【0040】
グランドプレーン320はまた、正方形であり、W=20インチ(508mm)、595mm、24インチ(609.6mm)以上の横方向寸法を有する。円形、湾曲した(例えば、球状又は円錐セクションの部分)、又は異なる面上にパッチアンテナ素子を有する面のある(例えば、ピラミッド状の)グランドプレーンを含む、他のグランドプレーン形状も可能である。グランドプレーン320は、任意の導電性材料で作製することができ、その剛性及び平坦性を保持するのに十分な厚さを有すべきである。例えば、グランドプレーン320は、1/16インチの厚さを有するアルミニウムシートとすることができる。グランドプレーン320は、パッチアンテナ素子310と平行であり、距離h=22ミリメートルだけ離間している。アンテナ素子310とグランドプレーン320との間のこの距離hは、アンテナ性能のゲイン、分離、及び一般的な特性に影響を与える。ゲインの減少を犠牲にして、3mm程度に小さくてもよい。概して、この距離は、アンテナ及びアプリケーションのサイズに応じて、約h=3mm~約h=50mm(例えば、20~25mm)とすることができる。
【0041】
図3Aはまた、アンテナアレイのアンテナパターンの主ローブをステアリングするために使用される位相シフタ312a~312d及び90°ハイブリッド結合器314a~314dを示す。アンテナアレイ300が送信すると、位相シフタ312a~312dは、ホップ発生器220(
図2)によって生成されるホップを受信し、アンテナアレイによって放射されるビームを望ましい方向にステアリングする位相遅延を付与する。同様に、アンテナアレイ300が受信すると、位相シフタ312a~312dは、アンテナアレイの受信感度パターンをステアリングし、特定の方向から来るタグ応答がより高いアンテナゲインを経験する。リーダは、インテロゲータモード、リスナモード、又はインテロゲータモードとリスナモードの両方においてステアリングを実行することができる。
【0042】
そのうちの一つが
図3Cにより詳細に示される90°ハイブリッド結合器314a~314dを使用して、パッチアンテナ素子310a~310dを供給することができる。各90°ハイブリッド結合器314は、対応するパッチアンテナ310が、例えば、ホップ発生器220から送信するべきRF信号を受信する。90°ハイブリッド結合器314は、入力RF信号を二つのコピーに分割し、その一方は他方に対して90°位相シフトされる。これらのコピーは、対応するパッチアンテナ素子310上で、一対の供給ピン又は供給端394(
図3G、以下に説明)を駆動する。90°ハイブリッド結合器314を使用して位相遅延と同時に供給ピン又は供給端394の両方を供給することにより、アンテナアレイ300は、円偏光の問い合わせ信号を放射する。
【0043】
いくつかの余分なスイッチでは、アンテナアレイ300は、円偏光、垂直偏光、又は水平偏光を有する問い合わせ信号の放射間で切り替えることができる。垂直偏光及び水平偏光は、各タグを2回(各偏光に対して1回)問い合わせるという条件で、受信したタグ応答強度を最大約3dB増加させて、放射信号の偏光と整列しないダイポールアンテナを有するRFIDタグの欠落を回避する。円偏光を使用することにより、RFIDタグをより迅速に問い合わせることが可能となるが、RFIDタグのダイポールアンテナへの問い合わせ信号の偏光状態の不完全な投影に起因して、おそらく低い受信タグ応答強度を有する。必要に応じて、アンテナアレイ300は、より迅速な読み出しのために、日中に円偏光された問い合わせ信号を放射することができ、より感度の高い測定のために、夜間に垂直偏光と水平偏光を交互に放射することができる。
【0044】
各パッチアンテナ素子310は、120mm×120mm正方形であるが、望ましいゲインに基づいて、わずかに大きくても小さくてもよい。パッチアンテナ310は、最も低い周波数(最も短い波長)問い合わせ信号のキャリア周波数の波長の半分以上の中心間の間隔、又はピッチdで、正方形グリッド上にアレイされる。米国では、キャリア周波数は、典型的には902MHz~928MHzの範囲であり、これは約166mm(902MHz)を超える最大ピッチdに変換される。欧州では、キャリア周波数は、典型的には865MHz~868MHzの範囲であり、これは約173mm(865MHz)を超える最大ピッチdに変換される。ピッチをキャリア周波数波長の半分よりも5、10、15、20、25、30、35、又は40mm大きく増加させることは、分離を増加させ、隣接するパッチアンテナ素子310間のクロストークを低減する。ピッチを増加させることはまた、所与の到来角について異なるパッチアンテナ素子310で受信された信号間の相対位相差を増加させ、位相差を(さらに)ノイズ床の上方に上昇させる。また、空間サンプリング周波数がナイキストサンプリング限界未満に減少し、可能性としては結果として以下に説明されるようにエイリアシングが生じ、ピッチが大きくなるとエイリアシングが悪化する。ピッチd=190mmは、902MHz~928MHzのキャリア周波数で過度のエイリアシングを行うことなく、良好な分離をもたらす。
【0045】
当業者によって容易に理解及び認識されるように、本発明のRFIDタグリーダでの使用に適した他のアンテナアレイが存在する。例えば、他のアンテナアレイは、より多く又はより少ないアンテナ素子(例えば、3、5、6、又はより多くのアンテナ素子)を有してもよい。これらのアンテナ素子は、異なる形状(例えば、長方形、十字形状、又は六角形)を有してもよく、又は異なるタイプ(例えば、パッチアンテナの代わりにダイポールアンテナ)であってもよい。それらは、異なる形状(例えば、線形、長方形、六角形、又は円形アレイ)のアレイで配設され得る。また、それらのサイズ、形状、及び動作(キャリア)周波数に応じて、異なる寸法及び異なるピッチを有することができる。
【0046】
図3D及び3Eは、それぞれ、天井又は他の構造から取り付けられるか又は懸架され得るハウジング又はエンクロージャ380内のパッチアンテナ素子310及びグランドプレーン320を有するRFIDリーダ120の斜視図及び斜視断面図を示す。エンクロージャ380はまた、アルミニウムフレーム内に位置し、位相シフタ312及び90°ハイブリッド結合器314を保持する、一つ以上の13インチ(330.2mm)×13インチのPCBを含む(
図3A及び3C)。エンクロージャ380は、ほぼドーム形状であり、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ビニル、又は問い合わせ信号及び応答の周波数で実質的に透明な別の適切な材料で作製することができる。エンクロージャ380は、パッチアンテナ素子310の反対側により薄いセクション382を含み得る。これらのセクション382は、可能な限り薄く(例えば、<1/8インチ又は3.175mmの厚さ)、その結果、それらは、エンクロージャの構造的完全性を損なうことなく、可能な限り多くの帯域内RFエネルギーをパッチアンテナ素子310との間で送信する(すなわち、これらのセクション382は、可能な限り少ない問い合わせ信号及び可能な限り少ないタグ応答を減衰させるべきである)。
【0047】
図3F~3Iは、
図3A及び3Cのリーダ120での使用に適したアンテナアレイ300’をより詳細に示す。
図3Fは、スタンドオフ322を有する円形グランドプレーン320’に取り付けられたパッチアンテナ素子310を示すアンテナアレイ300’の斜視図である。
図3Gは、反対側からのアンテナアレイ300’の分解図を示し、4つの1インチ×3インチ(25.4mm×76.2mm)のPCB 392が、
図3Cに示すより大きなPCB 390を置き換えている。これらのPCB 392は、直径520mmの円形アルミニウムパネルであるグランドプレーン320’の背面上に取り付けられる。各PCB 392は、対応するアンテナ素子310の対応する位相シフタ312及び90°ハイブリッド結合器314を含み、ハイブリッド結合器出力は、対応する一対の供給ピン394によってアンテナ素子310に接続される。
図3H及び3Iはそれぞれ、グランドプレーン側及びアンテナ素子側からの完全に組み立てられたアンテナアレイ300’の写真である。
【0048】
図3J~3Lは、アンテナアレイ300をつり天井に取り付けるための技術を示す。吊り天井、Tバー天井、又は吊り下げ天井とも呼ばれるつり天井は、主天井から吊り下げられる二次的な天井である。つり天井は、小売環境及びオフィス環境で非常に一般的である。つり天井は、典型的には、主天井から吊り下げられ、正方形及び/又は長方形の開口部を画定するサスペンショングリッド30を有する。米国及びカナダでは、これらの開口部は通常、24インチ×24インチ(609.6mm×609.6mm)又は24インチ×48インチ(609.6mm×1219.2mm)であり、天井タイル、照明器具、及び蛍光光管は同じサイズである。欧州では、サスペンショングリッド内のセルサイズは600mm×600mmであり、一方で天井タイル及び器具は、595mm×595mm又は1195mmのいずれかでわずかに(5mm)小さい。
【0049】
アンテナアレイ300は、つり天井のサスペンショングリッド30の開口部内、開口部の上方、又は開口部から取り付けられ得る。
図3Jでは、アンテナアレイ300は、サスペンショングリッド30の縁部上に位置し、開口部の周囲を取り囲むボックス内に収容される。グランドプレーン320は、24インチ×24インチ(米国)又は595mm×595mm(欧州)であり得る開口部に嵌合する。これらのサイズ及びより大きなサイズについては、グランドプレーン300は、13インチ(330.2ミリメートル)×13インチのプリント回路基板(PCB)をアルミニウムフレーム内又はその上に嵌合し、より長いトレースを同軸ケーブルで置き換えることによって作製することができる。
【0050】
図3Jに示すように、グランドプレーン320は、ボックスの一方の側を形成し、ブラケット又は側壁330及び問い合わせ信号に対して透明な審美パネル332と、ボックスの他方の側を形成するタグ応答とを有する。審美パネル332は、ABS、PVC、ビニル、又はそれらの混合物などのプラスチックで作製することができる。アンテナアレイのRF性能に対するその効果を可能な限り薄い必要があるが、安定性のための強度又は構造を有するのに十分な厚さを有すべきである(例えば、<1/8インチの厚さ)。ボックスは、サスペンショングリッド30と主天井(図示せず)との間にあり、照明器具のように、アンテナアレイ300全体がつり天井内に隠されている。別の方法として、アンテナアレイ300は、
図3Kに示すように、つり天井の下方に部分的に突出して、ボックス内に取り付けることができ、グランドプレーン320は、サスペンショングリッド30によって画定される開口部に嵌合するようにサイズ設定されている。繰り返しになるが、グランドプレーン320はボックスの一部を形成し、RF透明審美パネル340及び側壁342はボックスの他方の側面を形成する。
【0051】
両方の場合において、審美パネル及び側壁は、アンテナアレイ300を隠し、デバイス全体がより魅力的かつ目立たないようにするのに役立つ。また、両方の場合において、ボックスは、
図2に示すものを含めて、残りのフロントエンド、プロセッサ、及び他の構成要素を含め、RFIDタグリーダの他の構成要素を含むか、及び/又はそれに接続され得る。RFIDタグリーダは、つり天井及び主天井の間に存在し、
図1A~1Cに関して上述するように、電力及び通信信号の両方を伝達するイーサネットケーブルを介して、システムコントローラ及び/又は他のRFIDタグリーダに接続することができる。
【0052】
図3Lは、アンテナアレイを通常の天井グリッドタイルの上方の天井グリッドレール(サスペンショングリッド30)の上部に取り付けるために、グランドプレーン320から延在するブラケット330’を有するアンテナアレイを示す。(
図3Lでは、アンテナアレイは、金属ワイヤシェルフ上にあるボックス上に置かれる。)試験は、典型的な天井グリッド材料が、アンテナアレイによって送信及び受信されるRF信号を減衰又は散乱させないことを示す。減衰及び散乱が十分に低い場合、アンテナアレイは、従来の天井の上に取り付けることができ、アンテナアレイは視界から完全に隠れたままになる。アンテナアレイは、上述のように、つり天井と主天井との間に存在するイーサネットケーブルを介して、システムコントローラ及び/又は他のRFIDタグリーダに接続され得る。
【0053】
アンテナアレイの展開
アンテナアレイを含むRFIDタグリーダは、小売店、倉庫、供給室、ライブラリ、又はRFIDタグでオブジェクトを追跡するための他の環境で使用することができる。一般に、アンテナアレイは、天井から、例えば、床から11、12、13、14、又は15フィートの高さで取り付けられるか、又は吊り下げられ、その結果、それらは棚、テーブル、衣服ラック、又は他の貯蔵ユニットのRFIDタグに向かって下向きに問い合わせ信号を発する。アンテナアレイは、店舗又は他の環境の全体の容積又は実質的に全体の容積内のタグを問い合わせることができるように選択された間隔を有するグリッド上で、空間全体の適切なカバレッジを提供するように配設される。RFIDタグリーダが10メートルのインテロゲータモードの最大範囲を有する場合、これは、互いに10メートル以内である隣接するRFIDタグリーダ、又は100平方メートルごとに少なくとも一つのセンサなどに変換され得る。アンテナアレイを地面の近くに(例えば、14フィート又は15フィートではなく11フィートで)取り付けることは、その範囲を短縮又は縮小させ、適切なカバレッジのためにより高密度の設置(平方フィート当たりにより多くのセンサ)をもたらし得る。より高密度の設置におけるアンテナアレイは、より小さなスキャン範囲にわたってビームをステアリングし、オフボアサイトスキャンによるグレーティングローブの減少(及び低下)をもたらし得る。
【0054】
RFIDタグリーダは、規則的(周期的)な様式で配列されてもよく、又は天井にわたって不規則に分配されてもよい。典型的な設置では、設置者は、RFIDタグでタグ付けされたオブジェクトを保持する器具の位置に基づいて、最適なセンサ配置のための空間を評価し得る。衣服店では、例えば、RFIDタグリーダは、ラベル又は価格タグがRFIDタグを含む衣服を保持する衣服ラック又は棚の上に位置付けられてもよい。これらの位置は、より完全又は均一なセンサカバレッジを提供するように、及び/又はアンテナアレイによる測定を閉塞又は妨げ得る壁、家具、又は他の器具などの障害物を考慮するように、シフト又は調整され得る。より大きな設置では、アンテナアレイの配置は、カバレッジがより高密度である場合、重要ではない場合がある。定位置に来ると、各センサは、パワーオーバーイーサネット(PoE)対応ケーブル又は他のケーブルもしくはコネクタを介して、電力及びデータのためにシステムコントローラに接続され得る。
【0055】
RFIDタグリーダが設置されると、設置者は、互いに対して、及び/又はRFIDタグを見つけるために使用される座標系の原点に対して、それらの実際の位置を測定する。この原点は、座標系内のすべての座標が正になるように、リーダが取り付けられた部屋の一つの隅として選択することができる。各アンテナアレイの位置は、位置を床上に投影し(例えば、アンテナアレイから吊り下げられたストリングを用いて)、次いで、床上の投影位置から基点(例えば、レーザ測定量を用いて)又は二つの壁までの距離及び/又は角度を測定することによって、測定することができる。
【0056】
アンテナアレイの実際の位置が望ましい精度レベルに決定されると、各アンテナアレイは、他のアンテナアレイに対して、床に対して、天井に対して、及び/又は座標系を通して選択されたスライスもしくは平面に対して整列され得る。例えば、各アンテナアレイは、正確な角度アライメントのために、その取付ブラケット内に構築されたねじ又は他の調整機構を使用して、傾け、傾斜、及び/又は回転され得る。各ブラケットはまた、アンテナアレイを一次元、二次元、又は三次元で並進させるための、及び/又はアンテナアレイを一軸、二軸、又は三つの異なる軸の周りで回転させるための、一つ以上のねじを有してもよい。これらのブラケットは、プロジェクタ又はディスプレイを整列させるために使用されるものと類似していてもよい。
【0057】
波長の半分以上のピッチを有するアンテナアレイのグレーティングローブ
図4は、アンテナアレイ内のアンテナ素子間のピッチ又は間隔を増加させることによって、グレーティングローブがアンテナパターンにどのように現れるかを示す。これは、この座標系での仰角0°に対応する、ボアサイトから仰角30°にステアリングされたグレーティングピッチd=0.5λ及びd=0.7λを有する32要素線形アンテナアレイのトレースを示す。(これらのアレイは線形であり、
図3Aのアンテナアレイよりも多くの素子を有するが、同じ原理が、以下に説明するように、2Dパッチアンテナアレイにも適用される。)両方のアンテナアレイの主ローブは、30°を中心とする。より大きいピッチ(d=0.7λ)を有するアンテナアレイの主ローブは、他のアンテナアレイの主ローブよりも狭く、これはより微細な角分解能に変わり得る。しかしながら、より大きなピッチ(d=0.7λ)を有するアンテナアレイのアンテナパターンはまた、-70°を中心とするグレーティングローブを含む。主ローブをステアリングする(例えば、アンテナ素子の相対位相を調整することによって)ことで、グレーティングローブもステアリングし、グレーティングローブの振幅を変化させる。
【0058】
図5A~5F、6A~6F、及び7A~7Fは、
図3Aに示すものなどの、4要素パッチアンテナアレイのための送信角度の関数としての、主ローブ及びグレーティングローブを示す。プロットの各セットでは、アンテナアレイは、異なる仰角及び方位角に沿って送信するようにステアリングされる。(この座標系では、ボアサイトは仰角180°及び方位角0°である。)アンテナアレイがボアサイトからステアリングされると、アンテナ素子がキャリア周波数で波長の半分以上のピッチでアレイされるので、グレーティングローブが現れる。また、アンテナアレイは正方形アレイ(したがって、ボアサイト方向の周りでの360°の回転対称性を欠く)であるため、グレーティングローブは、方位角の関数として形状を分割及び/又は変化させる。
【0059】
図5A~5Fは、アンテナアレイが、ボアサイト方向に沿って、すなわち、仰角180°及び方位角0°で送信するときのゲインを示す。
図5A及び5Bはそれぞれ、線形スケール及び対数スケールでデカルト座標にプロットされたゲインパターンを示す。主ローブはかなり狭く、真っ直ぐに向いている。
図5C~5Fは、線形スケール又は対数スケールにおける仰角及び方位角の関数としてプロットされたゲインパターンを示す。小さなサイドローブは、
図5D及び5Fの対数プロット上で可視である。
【0060】
図6A~6Fは、アンテナアレイが、仰角約155°及び方位角0°に沿って送信するときのゲインを示す。
図6A及び6Bは、仰角155°及び方位角0°に沿って向いている主ローブと、仰角20°及び方位角0°に沿って向いているグレーティングローブの両方を示す。
図6C~6Fは、グレーティングローブのピーク振幅が、主ローブのピーク振幅よりも約3dB低いことを示す。
【0061】
図7A~7Fは、アンテナアレイが、仰角135°及び方位角45°に沿って送信するときのゲインを示す。
図7A及び7Bは、仰角約155°及び方位角45°に沿って向いている主ローブと、仰角約135°及び方位角約150°及び約290°に沿って向いているグレーティングローブとの両方を示す。アンテナアレイは、方位軸の周りで360°の回転対称性を欠くため、この方位角には二つのグレーティングローブがある。
図7C~7Fは、グレーティングローブのピーク振幅が、主ローブのピーク振幅よりも約4.5dB低いことを示す。
【0062】
主ローブ及びグレーティングローブによるRFIDタグの問い合わせ
図4、
図6A~
図6F、及び
図7A~
図7Fでは、アンテナアレイは、振幅が主ローブの振幅と等しいか、又はそれに近づく、主ローブ及びグレーティングローブを有する放射線(ゲイン)パターンを有する。各実施例では、グレーティングローブの振幅が非常に高いため、アンテナアレイは、主ローブの仰角及び方位角に沿って送信される問い合わせ信号とほぼ同じゲインで、対応する仰角及び方位角に沿って信号を送信する。結果として、アンテナアレイは、主ローブの方向(望ましい方向)及びグレーティングローブの方向(望ましくない方向)にRFIDタグを起動することができる。
【0063】
これらの方向のすべてにおけるタグが問い合わせ信号に応答する場合、望ましい方向でのタグからの応答を望ましくない方向でのタグからの応答から区別することは困難である場合がある。マルチパス効果及びその他の効果は、特に主ローブの方向にタグへの見通し線パスがない場合、この問題を悪化させ得る。幸いなことに、タグに対する真の仰角は、グレーティングローブがアンテナパターン内に存在するときでさえも、追加的な測定値及び/又は以下に説明するようにタグの可能性の高い位置の先験的な知識によって決定することができる。
【0064】
図8は、問い合わせ信号のキャリア周波数で波長の半分以上のピッチを有するアンテナアレイ300a及び300bがRFIDタグ130a~130cを問い合わせる方法を示す。この実施例では、アンテナアレイ300a及び300bは、天井内又は天井上(例えば、
図3J又は3Kに示すつり天井内の天井タイルの代わりに)に取り付けられ、床に向かって下向きに放射する。各アンテナアレイ300a及び300bによって送信される問い合わせ信号は、上述のように、パッチアンテナ素子に供給されるRF信号の位相を調整することによってステアリングされることができる。ホップ周波数を変更することはまた、以下に説明するように、ビームスクイントによってアンテナパターンをステアリングする。
【0065】
図8では、アンテナアレイ300aは、インテロゲータモードにあり、アンテナアレイ300bは、リスナモードにある。アンテナアレイ300aの主ローブ301aは、仰角135°及び方位角0°でRFIDタグ130aの方向にステアリングされる。アンテナゲインは、グレーティングローブ301bが現れる仰角に到達するまで、主ローブ301aから離れるように急激に(例えば、27~30dBだけ)落下する。グレーティングローブ301bは、主ローブ301aの振幅から少数のデシベル数内の振幅を有してもよい。
【0066】
このステアリング角では、アンテナアレイ300aによって送信される問い合わせ信号は、主ローブ301aの方向にタグ130aから、及びグレーティングローブ301bの方向にタグ130bから応答する。インテロゲータモードでのアンテナアレイ300aは、それぞれAOA 131a及び131bに沿ったタグ130a及び130bからの応答を検出する。同様に、リスナモードのアンテナアレイ300bは、それぞれAOA 131a’及び131b’に沿ってタグ130a及び130bからの応答を検出する。各アンテナアレイ300a、300bはまた、環境内の壁及び/又は他の表面から反射又は散乱する応答によって引き起こされるマルチパス信号133aを検出し得る。
【0067】
インテロゲータモードのアンテナアレイ300aは、問い合わせ信号を送信し、いくつかの異なるキャリア周波数の各々でRFIDタグ130a及び130bからの応答を検出し得る。(リスナモードのアンテナアレイ300bは、これらの問い合わせ信号を検出し、同様に応答する。)アンテナアレイ300a及び300bに接続されたシステムコントローラ(図示せず)及び/又はRFIDタグリーダ電子機器は、アンテナアレイ300a及び300bの異なるパッチアンテナ素子によって検出された信号の相対位相及び周波数に基づいて、検出された各信号についてAOA 131a、131b、131a’、131b’、及び133を推定する。この実施例では、インテロゲータモードでアンテナアレイ300aによって受信される信号の角スペクトルは、三つのピーク、すなわち、タグ130aへの見通し線(LOS)パス131aの一つのピーク、タグ130bへのLOSパス131bの一つのピーク、及びタグ130aへの非LOSパス133の一つのピークを有する。これらのピークの相対振幅は、他の要因の中でも特に、タグ130a及び130bの範囲、障害物の存在、ならびにタグ130a及び130b自体(例えば、それらの配向及び効率)に依存する。送信された問い合わせ信号に対する主ローブの仰角及び方位角が分かっているとしても、どのピークが主ローブの方向にタグ130aに対する真のAOA 131aを表すかを決定することは、より多くの情報なしには困難である場合がある。
【0068】
幸いなことに、偽のAOAは、ボクシング、角度フィルタリング、及び他のリーダによるAOA測定値を用いた三角測量を含む、多くの異なる技術を使用してフィルタリングすることができる。ボクシングには、部屋のサイズ、障害物の場所、及び/又はリーダの範囲(アンテナアレイ300a)の先験的な知識が関与する。この例では、マルチパスAOA 133は、そのサイズ及び位置が事前に既知である壁から反射された信号によって生成される。このAOA 133に沿って直線的に外挿すると、タグ位置がリーダ300aから壁の遠方側に配置される。したがって、RFIDタグリーダ電子機器は、(壁がボックスの一方の側を提供する)部屋によって画定されるボックスの外側にあるとしてこの位置を破棄し、(AOA 131b及びグレーティングローブ方向のタグ130bの位置に加えて)真のAOA 131a及びタグ130aの位置を残す。ボックスは、部屋内の障害物の移動、又は障害物の導入又は除去など、部屋への変更に基づいて更新することができる。
【0069】
角度フィルタリングでは、システムコントローラ及び/又はRFIDタグリーダ電子機器は、所定の仰角の範囲外(例えば、天井の平面の1°、5°、10°、15°、20°、25°、又は30°以内)にあるAOAを破棄する。この範囲は、天井の配向、隣接するリーダ300aと300bとの間の距離、及び/又は各リーダの有効範囲に基づいてもよい。例えば、各リーダが有効範囲R(例えば、10メートル)を有し、その最も近い隣接体からある距離D(例えば、メートル)だけ分離されている場合、閾値はtan-1(D/R)に設定されてもよい(例えば、天井の約38°以内のAOAを除く)。閾値はまた、RFIDタグを保持する棚又は他の器具の高さ及び位置に基づいて設定して、現実的には天井に近すぎるタグ位置を排除することができる。
【0070】
この閾値仰角は、送信パターンにおける主ローブの角度及びリーダの相対位置によって変化し得る。
図8では、例えば、システムコントローラ及び/又はRFIDタグリーダ電子機器は、主ローブ301aのステアリング角及びリーダ300aと300bとの間の距離を考慮すると、ボアサイトに近すぎるとして、AOA 131b’を破棄し得る。閾値仰角はまた、
図7A~7Fに示すアンテナアレイのアンテナゲインにおける方位角の変化を説明するために、方位角が変化してもよい。
【0071】
三角測量には、複数のアンテナアレイを有するRFIDタグへのAOAを測定することが関与する。これは、上述のように、一つのリーダがインテロゲータモードで、かつ一つ以上のリーダがリスナモードで、逐次的又は同時に達成され得る。
図8では、例えば、各リーダ300a、300bは、各問い合わせ信号に対して少なくとも二つの可能なAOAを識別し、一方のAOA 131a、131a’は主ローブ301aの方向にタグ130aに向かっており、他方のAOA 131b、131b’はグレーティングローブ301bの方向にタグ130bに向かっている。システムコントローラ及び/又はリーダ電子機器は、可能性のあるAOAを計算し、それらが交差するか、又は交差に近づく(例えば、ある特定の半径又は許容誤差内)かどうかを決定する。真のAOAは、タグの真の位置で交差するか、又は交差に近づくべきである。他のAOAは、全く交差しないか、又は許容される角度範囲外、又はタグが位置するべき部屋の外側の位置で、交差してもよい。計算されたAOAがタグに対して複数の可能な位置(例えば、タグ130a及び130bの両方の位置)をもたらす場合、システムコントローラは、主ローブ301aの仰角及び方位角(例えば、タグ130aの位置)と交差する又は交差に最も近い推定位置を選択することができる。
【0072】
AOAが交差しない場合、システムコントローラは、最も近い閾値距離だけ分離されたAOAを選択し得る。この閾値距離は、AOAに関連付けられた測定誤差及び/又はアンテナアレイの角分解能に基づいてもよい。システムコントローラはまた、曖昧性を解決するために、一つ以上の他のリーダからのAOAで三角測量を更新することができる。これは、計算の複雑さ、計算負荷、及び/又は処理時間を増加させるが、アンテナ素子の間隔の増加によるクロストークの分離/減少の増加は、計算ペナルティを上回る。
【0073】
図9A~9Dは、線形スケール及び対数スケールでのAOAスペクトルを示す。各プロットにはいくつかのピークがある。
【0074】
ビームスクイント
図10A~10Cは、アンテナアレイに関連する別の問題、つまりビームスクイントを図示する。より具体的には、
図10A、10B、及び10Cは、それぞれ20°、40°、及び60°の角度でボアサイトからステアリングされた32要素線形アンテナアレイのアンテナパターンを示す。各プロットは、9GHz、10GHz、及び11GHzでのアンテナパターンのトレースを示す。いずれの場合も、位相遅延は、主ローブをより高い周波数でより遠くにステアリングする。この周波数依存性ビームステアリングは、より大きな角度でより顕著になり、ビームスクイントと呼ばれる。ビームスクイントは、送信及び/又は受信する信号の位相(時間遅延とは対照的に)を調整することによって、ステアリングされるアンテナアレイで発生する。位相は周波数に依存するため(時間遅延は、線形位相シフト対周波数)、位相を調整することは、アンテナアレイが送受信中の信号の周波数の関数としてステアリング角をシフトさせる。
図3のアンテナアレイ300は、可変位相シフタ312a~312dを使用してステアリングされ、したがってビームスクイントに悩まされる。
【0075】
ビームスクイントは決定的であり、これは反復可能であり、計算又は測定することができ、そのためグレーティングローブを主ローブと区別するために使用することができる。方法を見るには、
図4、6A~6F、及び7A~7Fに示すアンテナパターンの主ローブ及びグレーティングローブを考慮する。周波数を変更すると、両方のローブに関連付けられた角度がシフトするが、
図10A~10Cに示すように、異なる量だけシフトする:主ローブ及びグレーティングローブは、異なる角度にステアリングされるため、同じ周波数シフトに対して異なる量だけシフトする。
【0076】
結論
発明に関するさまざまな実施形態を本明細書に記述し、かつ例示してきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施するための、ならびに/又は結果及び/もしくは利点の一つ以上を得るための、さまざまな他の手段及び/又は構造を容易に想定し、またこうした変形及び/又は修正のそれぞれは、本明細書に記載の発明に関する実施形態の範囲内であるものと見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載の全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示であることを意味することと、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が、本発明の教示が使用される一つ以上の特定の用途に依存することとを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載の特定の発明に関する実施形態の多くの同等物を、単に通常の実験を使用して認識し、又は確認することができるであろう。従って、前述の実施形態は、例としてのみ提示されていて、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内で、発明に関する実施形態は、具体的に記述及び特許請求される以外の形で実践され得ることが理解される。本開示の発明に関する実施形態は、本明細書に記載の各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。加えて、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0077】
また、さまざまな発明に関する概念が、一つ以上の方法として具現化されてもよく、その例を提供してきた。方法の一部として実施される行為は、任意の好適なやり方で順序付けられ得る。その結果、行為が例示するものとは異なる順序で実施される実施形態を構築してもよく、それは、例示的な実施形態に連続する行為として示されている場合であってさえも、一部の行為を同時に実施することを含んでもよい。
【0078】
本明細書で定義及び使用されるすべての定義は、辞書による定義、参照により組み込まれる文書中の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を統制するものと理解されるべきである。
【0079】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する不定冠詞「a」及び「an」は、明確にそうでないと示されない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解されるべきである。
【0080】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する「及び/又は」という語句は、結合された要素の「いずれか又は両方」を意味し、すなわち一部の場合において接続的に存在し、他の場合において離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」で挙げられる複数の要素は、同じ様式、すなわち等位接続された要素のうちの「一つ以上」と解釈されるべきである。具体的に識別される要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、「及び/又は」節によって具体的に識別される要素以外に、他の要素が任意選択的に存在し得る。それゆえに、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む」などの制限のない語法と連動して使われる時に、一実施形態においてAのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態においてBのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態においてAとBの両方(任意選択的に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0081】
本明細書及び特許請求の範囲において使用する場合、「又は」は、上で定義した「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離する時、「又は」又は「及び/又は」は包括的なもの、すなわち多数の要素又は要素のリスト、及び任意選択的にリストに無い追加の項目のうちの少なくとも一つを含むが、2つ以上も含むと解釈されるものとする。それとは反対であると明確に指示される用語、例えば「のうちの一つのみ」若しくは「のうちのまさに一つ」、又は特許請求の範囲において使用するときの「から成る」などの用語のみ、多数の要素又は要素のリストうちのまさに一つの要素を包含することを指す。概して、本明細書で使用する「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの一つ」、「のうちの一つのみ」、又は「のうちのまさに一つ」など、排他的な用語が先行する時に、排他的な選択肢(すなわち「両方ではなく一方又は他方」)を示すとのみ解釈されるものとする。「から基本的に成る」は、特許請求の範囲で使用する場合、特許法の分野において使用される通常の意味を有するものとする。
【0082】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、一つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも一つ」という語句は、要素のリストの中の要素のいずれか一つ以上から選択される、少なくとも一つの要素を意味するが、要素のリスト内で具体的に列挙したありとあらゆる要素のうちの、少なくとも一つを必ずしも含むわけではなく、要素のリストのいかなる要素の組み合せも除外するものではないと理解されるべきである。またこの定義によって、「少なくとも一つ」という語句が指す、要素のリスト内で具体的に識別される要素以外が、具体的に識別される要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、任意選択的に存在し得ることも許容される。それゆえに、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも一つ」(又は等価的に「A又はBのうちの少なくとも一つ」、もしくは等価的に「A及び/又はBのうちの少なくとも一つ」)は、一実施形態において、Bは存在せず、任意選択的に二つ以上のAを含む、少なくとも一つのA(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態において、Aは存在せず、任意選択的に二つ以上のBを含む、少なくとも一つのB(任意選択的にA以外の要素を含む)、また別の実施形態において、任意選択的に二つ以上のAを含む、少なくとも一つのA、及び任意選択的に二つ以上のBを含む、少なくとも一つのB(任意選択的に他の要素を含む)を指すことなどができる。
【0083】
特許請求の範囲、ならびに上記の明細書で、すべての移行句、例えば、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「収容する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」、及び類似のものは制約がないと理解され、すなわち、含むがそれに限定はされないということを意味する。「から成る(consisting of)」及び「から本質的に成る(consisting essentially of)」という移行句のみが、米国特許局の特許審査手続便覧、セクション2111.03に規定の通り、それぞれ閉鎖的又は半閉鎖的な移行句であるものとする。
【国際調査報告】