(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】鋼製部品と関連する鋼製部品とをバット溶接するための方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/322 20140101AFI20241226BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20241226BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20241226BHJP
【FI】
B23K26/322
B23K26/21 F
B23K26/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535817
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 IB2022061032
(87)【国際公開番号】W WO2023042188
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/061826
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビオー,イバン
(72)【発明者】
【氏名】ゲエド,サドック
(72)【発明者】
【氏名】カヌルグ,ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ルシヨン,シルビ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD00
4E168BA85
4E168BA88
4E168DA43
(57)【要約】
2つの鋼板をバット溶接するための方法であって、2つの鋼板(1、2)を提供するステップと、3.5ミクロンを超える亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnth及び炭素含有率が0.15%を超える若しくはケイ素含有率が0.5%を超えるか、又はその両方である鋼板基材(12)を有するすべての面上に、前記金属コーティングの少なくとも一部を除去して、3.5ミクロン以下であるアブレーション後の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabを有し、溶接後のアブレーション領域(8)の幅が0.5mm以上であるように、溶接前のアブレーション領域(6)を形成するステップと、少なくともレーザ源を使用して前記鋼板(1、2)をバット溶接するステップと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの鋼板(1、2)をバット溶接するための方法であって、各鋼板(1、2)が基材(12)を備え、少なくとも1つの前記鋼板(1、2)が、少なくとも片側に厚さZnthの亜鉛ベースの金属コーティング(5)を有し、少なくとも1つの前記鋼板が、0.15%を超える炭素含有率若しくは0.5%を超えるケイ素含有率、又はその両方を有する、重量%で表される前記基材(12)の化学組成を有し、
前記方法が、
-前記2つの鋼板(1、2)を提供するステップと、
-3.5ミクロンを超える亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnth、及び0.15%を超える炭素含有率若しくは0.5%を超えるケイ素含有率、又はその両方を有する鋼板基材(12)を有するすべての面上に、前記金属コーティングの少なくとも一部を除去して、3.5ミクロン以下であるアブレーション後の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabを有し、溶接後のアブレーション領域(8)の幅Wabfinが、0.5mm以上であるように、溶接前のアブレーション領域(6)を形成するステップと、
-少なくともレーザ源を使用して前記鋼板(1、2)をバット溶接するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記金属コーティング除去ステップが、パルスレーザビームを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属コーティング除去ステップが、機械的ブラッシングを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの溶接前のアブレーション領域(6)に隣接して、オフセット領域(9)が、前記溶接前のアブレーション領域(6)と前記鋼板の縁部との間に残され、前記溶接前のアブレーション領域(6)が、3.5ミクロン以下の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabを有し、前記オフセット領域(9)が、3.5ミクロンを超えるアブレーション前の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnthに等しい亜鉛ベースの金属コーティング厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのアブレーション領域(6)において、前記アブレーション後の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabが、0.5ミクロン以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記鋼板(1、2)のうちの少なくとも1つが、深さ20ミクロンでの表面炭素含有率が0.15重量%未満であるように、前記亜鉛ベースの金属コーティングの適用前に脱炭処理を受けている、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1及び第2の鋼板(1、2)であって、各々が基材(12)を備え、それらのうちの少なくとも1つが、少なくとも片側に亜鉛ベースの金属コーティング(5)を有する、第1及び第2の鋼板(1、2)と、溶接シーム(3)と、を備えるレーザ溶接ブランク(7)であって、3.5ミクロンを超える亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnth及び0.15%を超える炭素含有率若しくは0.5%を超えるケイ素含有率、又はその両方を有する鋼板基材(12)を有するすべての面が、3.5ミクロン以下であるアブレーション後の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnab及び0.5mm以上の溶接後のアブレーションされた領域の幅Wabfinを有する溶接後のアブレーション領域(8)を含む、レーザ溶接ブランク(7)。
【請求項8】
少なくとも1つの溶接後のアブレーション領域(8)について、前記亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabが、0.5ミクロン以上である、請求項7に記載のレーザ溶接ブランク(7)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のレーザ溶接ブランクを成形することによって製造される、成形部品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
レーザ溶接ブランクは、鋼板金属成形産業、特に自動車産業において広く使用されている解決策である。これにより、同じブランク、異なるグレード及び厚さのいくつかのサブブランクを組み合わせることが可能になる。これには多くの利点があり、最適な材料特性及び厚さがブランクの各領域で使用され、安全性、重量、環境フットプリントなどの点で最終部品の最適化された性能をもたらす。さらに、設計者がいくつかの部品を1つに組み合わせることを可能にする。また、材料の使用を最大限にし、それによってスクラップ、コスト及び環境フットプリントを削減することを可能にする。全体として、レーザ溶接ブランクは、生産工程を単純化し、部品の性能を改善し、乗客の安全性の向上、生産性の向上、コストの節約及びCO2排出量の削減をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
非常に高い強度及び非常に高い成形性も有する新しいグレードの出現は、レーザ溶接ブランクを製造するための新たな課題を提示する。実際、より高い強度のより高い成形性グレードは、より多くの合金元素を伴い、これは溶接シームに新しい特性、新しい現象及び破損リスクをもたらす。これは、亜鉛めっきされた、すなわち亜鉛コーティングされた鋼板の場合に特に重要である。実際、防食に使用される亜鉛コーティングは、溶接作業中に液体金属脆化(LME)を引き起こす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、結果として得られるレーザ溶接ブランクが、信頼性の高い耐性及び成形性を有するようにし、溶接シームが、後続の部品の構造的弱点を提示しないように、高強度を有する亜鉛コーティングされた鋼を使用してレーザ溶接ブランクを製造する問題に対処することを目的としている。
【0004】
本発明の目的は、請求項2~6の特徴を任意に含む、請求項1に記載の2つの鋼板をバット溶接するための方法を提供することによって達成される。本発明のさらなる目的は、請求項8の特徴を任意に含む、請求項7に記載のレーザ溶接ブランクである。本発明のさらなる目的は、請求項9に記載の成形部品である。
【0005】
以下の図を参照して、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】レーザ源を使用する突合せ溶接作業の概略図である。
【
図2A】溶接組立体を試験するための最先端の方法を表す図である。
【
図2B】溶接組立体を試験するために新たに開発された方法を表す図である。
【
図3A】本発明によるバット溶接前の鋼板準備の可能な実施形態の断面図である。
【
図3B】本発明によるバット溶接前の鋼板準備の可能な実施形態の断面図である。
【
図4】本発明に従って生産された溶接組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明、図面及び特許請求の範囲では、向き及び空間的参照はすべて、基準のX、Y、Z座標を使用して行われ、Zは、被溶接鋼板の上面及び下面に垂直な仰角方向であり、X及びYは、鋼板の上面及び下面の平面を定義する。基準は、各図に表されている。図が2D平面表現である場合、図の外側にある軸は、確立された慣習に従って、それが読者に向いているときは円内のドットによって表され、それが読者から外方に向いているときは円内の十字によって表される。
【0008】
「上(top)」、「上に(up)」、「上の(upper)」、「上方に(above)」、「下(bottom)」、「下に(low)」、「下の(lower)」、「下方に(below)」などの方向用語は、Z仰角方向に従って定義される。「前方」及び「後方」という方向用語は、図に示すように、X方向に従って、より詳細にはX軸に平行な溶接方向Wに従って定義される。「前方」又は「下流」という用語は、W方向にさらに沿っていることを意味し、「後方」又は「上流」という用語は、W方向の反対側にさらに沿っていることを意味する。
【0009】
「幅」又は「横」方向は、Y軸に平行な向きを指す。
【0010】
鋼板は、平坦な鋼板を指す。それは、上面及び下面を有し、上側面及び下側面又は上表面及び下表面とも呼ばれる。前記面の間の距離は、シートの厚さとして示される。厚さは、例えばマイクロメータを使用して測定することができ、そのスピンドル及びアンビルは、上面及び下面に配置される。同様に、厚さは、成形部品上で測定することもできる。本発明における鋼板の厚さは、例えば0.5~5.0mm、好ましくは0.5~4.0mm、さらにより好ましくは0.5~3.5mmである。
【0011】
テーラードブランクは、その異なる領域における部品の性能を最適化し、全体的な部品重量を低減し、全体的な部品コストを削減するために、例えばレーザ溶接によって、サブブランクとして知られる鋼のいくつかのシート又は切欠きブランクを一緒に組み立てることによって作製される。
【0012】
極限引張強度、降伏強度、伸び及び一様伸びは、2009年10月に公開されたISO規格ISO 6892-1に従って測定される。引張試験片を平坦領域から切り出す。必要に応じて、小サイズの引張試験サンプルを採取して、部品上の利用可能な全平坦領域を収容する。
【0013】
硬度は、機械的圧痕によって誘起される局所的な塑性変形に対する耐性の尺度である。これは、材料の機械的特性とよく相関しており、引張試験のために試料を切り出す必要がない有用な局所測定方法である。本発明では、硬度測定は、ISO 6507-1規格に従ってビッカース圧子を使用して行われる。ビッカース硬度は、単位Hvを使用して表される。
【0014】
図1を参照すると、突合せ溶接又は単にバット溶接は、2つの被溶接鋼板1、2がそれぞれの縁部E1、E2に沿って並んで配置され、溶接シーム3が、それぞれの縁部E1、E2を溶融して、両方の鋼板と場合によっては溶接工程をサポートするために使用される追加材料との混合物を含有する溶融プールを形成することによって作り出される、特定のタイプの溶接作業である。次いで、溶融プールは、凝固して溶接シーム3を形成する。
図1は、レーザビーム11を放射するレーザビーム10が溶融プールを作り出すためのエネルギー源として使用されるレーザ突合せ溶接の場合を表す。溶接縁部は、直線状又は曲線状のいずれかであり得る。被溶接鋼板及び鋼板を溶融するために使用されるエネルギー源は、溶接速度として知られる速度で方向Wに従って溶接作業中に互いに対して移動する。具体的な実施形態では、鋼板1、2の間に間隙4を残すことができる。これにより、例えば、溶接シームの厚さ超過を生じることなく、溶融プール内にフィラーワイヤなどのかなりの量の追加材料を組み込むことが可能になる。そのような厚さ超過は、幾何学的欠陥と見なされ、溶接ブランクのさらなる加工に有害であり、例えば、スタンピング作業に有害である。
【0015】
レーザ溶接は、少なくともレーザ源を使用して鋼板を溶融するのに必要なエネルギーを提供する溶接作業を示す。特定の実施形態では、溶接エネルギーを提供するために、電気アーク、赤外線加熱などのような他のエネルギー源をレーザ源に関連付けることができる。
【0016】
レーザ溶接は、被溶接鋼板1、2において、その縁部E1、E2の近傍で熱を発生させる。溶接工程によって発生した熱が温度上昇を誘起する鋼板1、2の領域は、熱影響ゾーンとして知られている。熱影響ゾーン内の所与の温度の等温線は、最大温度が前記所与の温度に達する鋼板の点を示す。例えば、鋼板1の熱影響ゾーンの400℃等温線は、溶接作業中に達した最高温度が400℃であった縁部E1に近い鋼板1のすべての点を示す。論理的には、400℃の等温線よりも縁部E1に近い任意の点は、溶接中に400℃を超える温度に達し、逆に、E1から遠い任意の点は、溶接中に400℃より低い最高温度に達する。
【0017】
幾何学的欠陥に関する溶接シームの品質は、「Laser welded tailored blanks-Technical delivery conditions」と題する欧州規格EN10359:2015によって定義される。
【0018】
本発明は、少なくとも1つが少なくとも片側に亜鉛コーティングを有する鋼板の溶接に関する。亜鉛コーティングとは、重量%で少なくとも80%の亜鉛を含む化学組成を有するコーティングを意味する。例えば、亜鉛コーティングは、以下のタイプの公知のコーティングを含む(リストは限定的ではない):
-電着が施された純粋な亜鉛コーティング
-溶融亜鉛めっきが施された純粋な亜鉛コーティング
-溶融亜鉛めっきが直接施され、続いて鋼板と亜鉛コーティングとの間に合金化ステップを施して、コーティングの鉄含有率を重量%で、Feの約8~12%の値まで増加させた、亜鉛/鉄コーティング
-重量%で、1%~6%のアルミニウム、0.5%~5%のマグネシウムを含有し、残部がZnである亜鉛、アルミニウム、マグネシウム合金コーティング。
【0019】
以下の説明及び特許請求の範囲において、亜鉛コーティングは、その厚さによって特徴付けられる。亜鉛コーティングの厚さは、ISO規格1463「Metallic and oxide coatings-Measurement of coating thickness-Microscopical method」に記載されているような標準化された方法を使用して測定することができる。金属コーティングを基材から明確に区別するために、前述の規格の付属書Cのポイント1に記載されているように、ナイタルエッチングを使用することが可能である。
【0020】
図2Aは、溶接シームの強度が現在どのように評価されているかの最新技術を表す。2つの鋼板1及び2を接合する溶接シーム3が、引張強度Fと比較して試料の横方向の中央に配置された引張試験試料を準備する。この確立された方法は、試料を構成する異なる要素、すなわち2つの鋼板1、2及び溶接シーム3の相対強度の良好な評価を与える。この方法によれば、試料が溶接シームの外側で破断する場合、溶接シームは十分に強いと見なされる。言い換えれば、溶接シームは、2つの鋼板のうちの最も弱い鋼板よりも少なくとも硬い場合、良好な品質であると見なされ、これは、溶接が組立体内の弱いリンクではないことを意味する。
【0021】
上記の方法は、溶接シームの純粋な機械的強度の良好な評価を与えるが、実際には、溶接シームが実際の寿命条件で受ける異なる変形モードの現実を反映しない。レーザ溶接ブランクが打ち抜かれると、溶接シームは、横方向だけでなく全方向に変形する。
【0022】
本発明者らは、鋼板のうちの少なくとも1つが高強度、例えば590MPaを超える引張強度を有する鋼板をレーザ溶接する場合、溶接部が長手方向成分を有する変形を受ける領域において、溶接シームに対して垂直に小さな亀裂が開始される可能性があることを見出した。驚くべきことに、このタイプの亀裂は、高強度鋼でのみ観察され、低グレードでは観察されない。このタイプの亀裂が発生するリスクは、長手方向に変形されたときの溶接部の挙動が従来の試験方法では全く試験されないため、上記の方法を使用して評価することができない。さらに、このタイプの亀裂に関連する統計的要素がある。同じ鋼グレード及び同じレーザ溶接パラメータを伴う同じ部品形状の場合、一部の部品には亀裂がないが、他の部品には小さな亀裂が発生する可能性がある。これは、鋼板組成、溶接工程、スタンピング工程などの自然発生的な変動によるものである。したがって、これらの小さな亀裂は、完全には予測可能ではなく、それらを品質管理によって検出することは困難であるため、産業環境ではさらなる問題である。これらの亀裂は、成形部品上で小規模であり得るにもかかわらず、それらは部品の致命的な弱点を表し、部品の寿命の間に部品の破損をもたらし、場合によっては重大な安全上の問題を引き起こす。
【0023】
したがって、本発明者らは、これらの小さな亀裂が発生するリスクを評価するための新しい方法論を開発した。本発明者らは、
図2Bに示すように、溶接シームを引張強度に平行な引張試料の長手方向に配置すると、高強度鋼の少なくとも1つのブランクを伴うレーザ溶接組立体での小さな横方向の亀裂の発生に直面する可能性があることを見出した。さらに、本発明者らは、連続生産において小さな亀裂が発生しにくいことを確実にするための良好な基準が、長手方向に溶接された試料に対して一連の20回の引張試験が行われ、溶接組立体の一様伸びを鋼板の各々の一様伸びの加重平均と比較することであることを見出した。本発明者らは、溶接組立体の一様伸びUweldが、行われた20回の引張試験すべての加重平均(Usheet1*th1+Usheet2*th2)/(th1+th2)(式中、th1及びth2は、組み立てられた鋼板1、2の厚さであり、Usheet1、Usheet2は、それぞれの一様伸びである)の少なくとも50%である場合、亀裂発生のリスクが非常に低いことを見出した。
【0024】
説明の残りの部分では、Uweldが(Usheet1*th1+Usheet2*th2)/(th1+th2)よりも低い場合、試験試料は、脆性破損を示すと言われ、一方、Uweldが前記加重平均よりも高い場合、試験試料は、延性破損を示すと言われる。
【0025】
上述の新たに開発された溶接シームの統計的長手方向試験のおかげで、本発明者らは、多数の亜鉛コーティングされた鋼板における小さな亀裂の問題を調査することができた。
【0026】
本発明者らは、少なくとも1つの亜鉛コーティングされた鋼板を含む溶接組立体に発生する小さな亀裂のリスクが、前記鋼板のC含有率が、重量%で0.15%を超える場合及び/又はSi含有率が0.5%を超える場合に存在することを立証することができた。本発明は、鋼板のうちの少なくとも1つが少なくとも0.15重量%のC若しくは0.5重量%のSi、又はその両方を含む化学組成を有する亜鉛コーティングされた鋼板のレーザ溶接に適用される。説明を簡単にするために、少なくとも鋼板1がそのような化学組成を有することを本明細書の残りの部分で考慮する。
【0027】
小さな亀裂は、溶接シームの近傍、熱影響ゾーン又は溶接シーム自体に現れる。これは、溶接作業の熱の影響下で液体になる亜鉛の存在に関連する高強度鋼の特定の金属学と微細構造との組み合わせに関連するLMEの問題を指摘している。実際、レーザバット溶接におけるLMEの発生は、LMEが3つの要因の組み合わせに起因することが知られており、そのうちの1つは、レーザバット溶接の場合に発生するようには意図されていないため、驚くべきことである:
-大量のSi及び/又はCを含有する鋼板冶金(これは、実際には前述の高強度鋼の場合である)、
-液体金属、特に液体亜鉛の存在(これは、亜鉛がレーザビームによって発生する熱の影響下で420℃を超えて溶融する場合に実際に当てはまり得る)、
-残留応力の存在(これは一方で、この技術は、例えば特定の溶接力が加えられるスポット溶接とは対照的に、溶接部を生成するためのいかなる機械的圧力も伴わないため、レーザバット溶接の場合には当てはまらないように思われる)。
【0028】
したがって、本発明者らは、亜鉛コーティングされた高強度鋼のレーザ溶接組立体に発生するLME型亀裂を見ることは驚くべきことであった。LMEを誘起するのに必要な残留応力は、溶接作業後のブランクの相変態によって誘起される熱歪み及び歪みに起因する可能性がある。
【0029】
亜鉛コーティングされた高強度鋼をレーザ溶接するときにLMEが実際に発生する可能性があることを知って、本発明者らは、LMEの発生に対する対策の開発を支援するために、溶接シームの新たに開発された統計的長手方向試験を適用しようと努めた。
【0030】
本発明者らは、LME誘起亀裂を抑制するために、溶接シームの近傍の亜鉛コーティングを除去しようとした。亜鉛コーティングを除去するために、いくつかの可能な方法を適用することができる。亜鉛コーティングを払い落とすために、シートの表面を機械的にブラッシングすることが可能である。亜鉛コーティングを除去するためにパルスレーザビームを使用することも可能である。本発明者らは、驚くべきことに、LME誘起亀裂の発生を完全に抑制するために、溶接シームの近傍の亜鉛コーティングを完全に除去する必要はないことを見出した。実際、著者らは、亜鉛コーティング厚さが3.5ミクロン以下になると、LMEのリスクがなくなることを見出した。
【0031】
図3Aを参照すると、鋼板1は、ミクロンで表されるZnコーティング厚さZnthを有する亜鉛コーティング5で覆った基材12からなる。なお、図では、説明を簡単にするために、鋼板1の上面のコーティングのみを参照している。鋼板1及び2の他のすべての面、すなわち、鋼板1の下面並びに鋼板2の上面及び下面についても同様である。実際、重要なのは、亜鉛コーティング厚さが3.5ミクロンよりも高く、鋼板の基材12が、0.15%を超える炭素含有率若しくはが0.5%を超えるケイ素含有率、又はその両方を有する重量%で表される、化学組成を有するすべての面で亜鉛コーティングの少なくとも一部を除去することによって、本発明を適用及び実施することである。
【0032】
亜鉛コーティング5は、幅Wabini(初期アブレーション幅)にわたって少なくとも部分的に除去され、したがってアブレーションされた領域6を作り出す。アブレーションされた領域6におけるコーティング厚さは、Znab(アブレーションされた領域におけるコーティングの厚さ)である。なお、アブレーションされた領域におけるコーティング厚さは、アブレーションされた領域における最大厚さを指す。アブレーション工程がアブレーションされた領域6に不均一なコーティング厚さを残す場合、Znabは、断面の顕微鏡検査によって測定されるように、アブレーションされた領域におけるZnの平均量に対応する。
【0033】
先に説明したように、本発明者らは、LMEの非存在を保証するために、アブレーション厚さZnabを3.5ミクロン未満に制御することが必要であることを見出した。
【0034】
ここで
図4を参照すると、
図4は、鋼板1及び2並びに溶接シーム3からなるレーザ溶接ブランク7の断面図である。
【0035】
溶接後のアブレーションされた領域8は、溶接前のアブレーションされた領域6の幅Wabiniよりも小さい幅Wabfin(最終的なアブレーション幅)を有する。実際、鋼板1の縁部E1の一部は、溶融によって溶接シーム3に組み込まれており、その結果、溶接前のアブレーションされた領域の一部6も溶接シーム3に組み込まれている。
【0036】
亜鉛の融点が420℃であり、液体Znの存在下でのみLMEが発生する可能性があるという事実を考慮すると、LMEは、420℃を超える表面温度に達した領域における熱影響ゾーンにわたってレーザ溶接ブランク7に関する潜在的な問題である。本発明者らは、レーザ溶接を適用する場合、鋼板の表面における420℃等温線の場所は、常に溶接シーム3から0.2~0.5mmの距離内にあることを見出した。したがって、LMEの発生を防止するためには、Wabfinが0.5mm以上であることが必要である。
【0037】
結論として、LMEを防止するためには、溶接後のアブレーションされた領域の幅Wabfinが0.5mm以上になるように、幅Wabiniにわたって縁部の近傍のZnコーティング厚さを3.5ミクロン未満の厚さZnabに減少させることが必要である。縁部E1から溶融される材料の量を知ることにより、当業者は、溶接前に鋼板1上の必要なアブレーション幅Wabiniを決定することができる。
【0038】
したがって、第1及び第2の鋼板1及び2であって、各々が基材12を備え、それらのうちの少なくとも1つが、少なくとも片側に亜鉛ベースの金属コーティング5を有する、第1及び第2の鋼板1及び2を備え、3.5ミクロンを超える亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnth及び0.15%を超える炭素含有率若しくは0.5%を超えるケイ素含有率、又はその両方を有する鋼板基材12を有するすべての面が、3.5ミクロン以下であるアブレーション後の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnab及び0.5mm以上の溶接後のアブレーションされた領域の幅Wabfinを有する溶接後のアブレーション領域8を含む、溶接シーム3の近傍にLMEを含まないレーザ溶接ブランクを得ることが可能である。
【0039】
また、上述のレーザ溶接ブランクを形成することによって、溶接部の近傍にLME割れのリスクなしに部品を製造することも可能である。例えば、レーザ溶接ブランクは、コールドスタンピング又は熱間成形によって部品に製造することができる。
【0040】
特定の実施形態では、亜鉛コーティングアブレーションは、コーティングの少なくとも一部を除去するために鋼板上で回転する研磨ブラシを使用して行われる。例えば、ブラシは、例えば酸化アルミニウム又は炭化ケイ素などの硬質セラミック粒子を封入するポリマーウェブで作製される。この場合、ブラッシングのための重要なパラメータは、ブラシの研磨力、ブラシによってコーティングに及ぼされる力及びブラシが表面を移動する速度である。使用される材料及び亜鉛コーティングに応じて、所望のアブレーションされた厚さZnabを得るために、前記パラメータを調整することが必要である。より多くのコーティングを除去するために、いくつかのブラッシングパスを実行することも可能である。
【0041】
特定の実施形態では、アブレーションは、パルスレーザビームを使用して行われる。本発明者らは、短いレーザパルスとコーティングとの間の相互作用が、コーティングの少なくとも一部を蒸発させ、鋼板の表面から排出させることを見出した。例えば、400W~1500Wのレーザ出力を、5~15kHzのパルス周波数及び2~15m/分のアブレーション速度で使用することができる。
【0042】
特定の実施形態では、
図3Bに示すように、溶接前の鋼板上のアブレーションされた領域6は、鋼板の縁部E1から始まるわけではない。代わりに、アブレーションが行われない幅Woffsetを有するオフセット領域9がある。言い換えれば、オフセット領域9におけるコーティング厚さは、材料のバルクZnthと同じである。本発明者らは、オフセット領域9全体が溶融して溶接シーム3に組み込まれる限り、かつWabfinが0.5mm以上のままである限り、そのようなオフセットの存在がLME割れをもたらさないことを見出した。たとえ金属コーティングからのいくらかの亜鉛が溶接シームに組み込まれたとしても、溶接シーム自体にはLMEがないことを見出した。溶接前にオフセットが存在し、オフセット領域9全体が溶接プールに組み込まれると、溶接後のアブレーションされた領域8は、
図4に示すように、オフセットがない場合と同じ特徴を有する。有利には、そのようなオフセットの存在は、溶接前に縁部E1のより良好な防食を確実にすることができる。実際、亜鉛防食の犠牲的性質のおかげで、オフセット領域9における亜鉛コーティングは、縁部E1のコーティングされていない露出部分を保護するために利用可能である。
【0043】
特定の実施形態では、鋼板の表面に近い前記鋼板の炭素含有率を低下させるために、脱炭ステップが鋼板1、2のうちの少なくとも1つに適用される。この脱炭ステップは、亜鉛コーティングを適用する前に行われる。例えば、脱炭ステップは、鋼板をコーティングする前にそれを焼鈍するために使用される炉内で行われる。例えば、脱炭ステップは、前記焼鈍炉内の露点を-10℃以上の値に制御することによって行われる。有利には、表面に近いより低い炭素含有率を有する鋼板を使用することにより、LMEのリスクが低減される。例えば、各側面上の鋼板の表面から20ミクロンの深さにおける炭素含有率は、0.15重量%未満、好ましくは0.10重量%未満であり、前記鋼板の中心における鋼板の炭素含有率(例えば、鋼板の中央厚さから+/-100ミクロンのストリップで測定された炭素含有率)は、0.15重量%を超える。
【0044】
特定の実施形態では、アブレーションステップは、残存亜鉛厚さZnabが0.5ミクロンを超える、より好ましくは1.0ミクロンを超えるように行われる。先に説明したように、本発明者らは、Znabが3.5ミクロン未満である限り、アブレーションされた領域6に少量の亜鉛が残存していても、LMEのリスクがないことを見出した。有利には、アブレーションされた領域6にいくらかの亜鉛を残すことにより、溶接前にアブレーションされた鋼板のある程度の防食を確実にすることが可能である。亜鉛コーティングの犠牲的性質のおかげで、この防食は、鋼板の側面上の縁部のコーティングされていない裸の領域に及ぶ。さらに、アブレーションされた領域6にいくらかの亜鉛コーティングを残すアブレーション工程を適用することは、アブレーションされた領域6の下の鋼板の下地基材12を除去する(ブラッシングによって)又は溶融する(レーザアブレーションによって)リスクがないことを意味する。コーティングの下の基材12自体をアブレーションすると、局所的な幾何学的欠陥及び局所的な厚さ不足を生じることによってレーザ溶接ブランクを弱めるので、これは興味深い。
【0045】
特定の実施形態では、レーザ溶接工程は、アブレーション工程が行われた後1分未満、好ましくはさらに30秒未満で行われる。例えば、アブレーション工程及び溶接工程は、アブレーションステップ及び溶接ステップのための設備を備える同じ装置上で行われる。例えば、アブレーション工程及び溶接工程は、同じクランピング作業下で行われ、これは、鋼板1、2が、アブレーションステップのために適所に保持されるようにクランプされ、溶接工程のために同じクランピングが適所に保持されることを意味する。有利には、場合によっては同じクランピング作業下であっても、迅速な順序でアブレーション及び溶接することによって、生産性を高め、材料取り扱いステップの量を低減し、また、アブレーションステップに起因して発生する腐食のリスクを低減することが可能になる。
【0046】
特定の実施形態では、アブレーション工程は、鋼板の縁部で直接行われるのではなく、鋼板の中央で行われ、前記鋼板は、続いて、アブレーション工程が行われた領域で切断され、その結果、アブレーションされた領域は、切断された試料の縁部に(場合によってはオフセットを伴って)位置する。
【0047】
特定の実施形態では、化学組成、微細構造及び機械的特性に関する被溶接鋼板のうちの少なくとも1つの特徴は、以下の表の行のうちの1つに対応する(化学組成は重量%で表され、残部はFe及び精緻化工程に由来する不可避不純物であり、鋼板の微細構造中の%残留オーステナイトは、断面の表面%で表され、YPはMPaで表される降伏点を表し、UTSはMPaで表される極限引張強度を表し、El%は上記のISO 6892規格に従って測定される伸びである)。
【0048】
【0049】
ここで、本発明を以下の実施例によって説明するが、これらは決して限定的なものではない。
【0050】
使用した鋼板の化学組成を表1に示す。
【0051】
【0052】
Si含有率は、0.5%超であり、炭素含有率は、0.15%超であり、これは鋼板が亜鉛コーティングで溶接する場合のLMEリスクに関して重要であることを意味する。グロー放電発光光学分光分析(GDOES)を使用して鋼板表面から20ミクロンで測定した炭素含有率が、0.05重量%になるように、溶融めっき純亜鉛コーティングを適用する前に鋼板を脱炭した。
【0053】
鋼板の初期コーティング厚さは、試料に応じて7~11ミクロンである(実際には、生産ラインに自然に発生する工程変動のために、工業的に生産された鋼板を使用する場合にコーティング厚さの変動があり得る)。
【0054】
鋼板は、1.0mmの厚さを有する。同じ鋼板及び厚さの均質な組立体が、本試行のために生産される(言い換えれば、鋼板1及び鋼板2の特徴は同じである。)。
【0055】
表2は、使用したアブレーション工程パラメータを列挙している。
【0056】
【0057】
試料の参照符号は、本発明に従って生産された試料の場合は、発明を表すIで始まり、本発明の範囲外の反例の場合は、参照を表すRで始まる。Znコーティングアブレーションは、低出力パルスレーザを使用して、又は機械的ブラッシングを使用して行われた。
【0058】
機械的ブラッシングは、直径76.2mm、幅12.7mm及び6000rpmで回転する、ロボットに取り付けられた3Mスコッチブライト「Deburr and Finish pro 4C MED+」ブラシを使用して行われた。ブラッシング速度は、ロボットアームがブラッシングされるシートに沿って移動する速度に対応する。
【0059】
表3は、溶接前のアブレーションされた領域6及び溶接後のアブレーションされた領域8の結果、並びに溶接部の機械的試験の結果を示す。
【0060】
【0061】
下線の値は、参照試料の場合に本発明の範囲外である特徴に対応する。
【0062】
試料R1は、アブレーションされず、初期参照として機能し、LMEを防止するための対策がとられていない溶接組立体の非常に不十分な機械的性能を表す。上記の革新的な試験方法による長手方向に試験した試料の40%は、LME亀裂のために不合格であった。
【0063】
試料R2~R4は、アブレーションを行われたが、LMEの発生を防止するために、アブレーション後の残存亜鉛厚さZnabが厚すぎる場合である。
【0064】
試料I1~I9は、本発明の技術的効果を示す。溶接後に0.5mm以上の幅で3.5ミクロン未満まで亜鉛コーティングを除去することにより、LMEが防止され、構造的に健全な組立体が生産される。
【0065】
I2の場合、鋼板の縁部に0.3mmのオフセット領域を残してアブレーションを行われた。鋼板の縁部にこのアブレーションされていない領域が存在するにもかかわらず、オフセット領域全体が溶接シームに吸収され、溶接後のアブレーションされた幅が0.5mmを超えるため、最終組立体はLMEを含まない。
【0066】
試料I9の場合、アブレーション後の残存コーティング厚さZnabは、3.2ミクロンである。残存亜鉛コーティング厚さが存在するにもかかわらず、結果として得られる組立体ではアブレーションは観察されない。
【0067】
結論として、鋼板が溶接前にアブレーションされて、最終溶接組立体上で0.5mmを超える幅にわたって3.5ミクロン以下の残存厚さZnabを有するアブレーションされた領域を生産する場合、LMEは発生しない。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの鋼板(1、2)をバット溶接するための方法であって、各鋼板(1、2)が基材(12)を備え、少なくとも1つの前記鋼板(1、2)が、少なくとも片側に厚さZnthの亜鉛ベースの金属コーティング(5)を有し、少なくとも1つの前記鋼板が、0.15%を超える炭素含有率若しくは0.5%を超えるケイ素含有率、又はその両方を有する、重量%で表される前記基材(12)の化学組成を有し、
前記方法が、
-前記2つの鋼板(1、2)を提供するステップと、
-3.5ミクロンを超える亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnth、及び0.15%を超える炭素含有率若しくは0.5%を超えるケイ素含有率、又はその両方を有する鋼板基材(12)を有するすべての面上に、前記金属コーティングの少なくとも一部を除去して、3.5ミクロン以下であるアブレーション後の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabを有し、溶接後のアブレーション領域(8)の幅Wabfinが、0.5mm以上であるように、溶接前のアブレーション領域(6)を形成するステップと、
-少なくともレーザ源を使用して前記鋼板(1、2)をバット溶接するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記金属コーティング除去ステップが、パルスレーザビームを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属コーティング除去ステップが、機械的ブラッシングを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの溶接前のアブレーション領域(6)に隣接して、オフセット領域(9)が、前記溶接前のアブレーション領域(6)と前記鋼板の縁部との間に残され、前記溶接前のアブレーション領域(6)が、3.5ミクロン以下の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabを有し、前記オフセット領域(9)が、3.5ミクロンを超えるアブレーション前の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnthに等しい亜鉛ベースの金属コーティング厚さを有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのアブレーション領域(6)において、前記アブレーション後の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabが、0.5ミクロン以上である、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記鋼板(1、2)のうちの少なくとも1つが、深さ20ミクロンでの表面炭素含有率が0.15重量%未満であるように、前記亜鉛ベースの金属コーティングの適用前に脱炭処理を受けている、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1及び第2の鋼板(1、2)であって、各々が基材(12)を備え、それらのうちの少なくとも1つが、少なくとも片側に亜鉛ベースの金属コーティング(5)を有する、第1及び第2の鋼板(1、2)と、溶接シーム(3)と、を備えるレーザ溶接ブランク(7)であって、3.5ミクロンを超える亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnth及び0.15%を超える炭素含有率若しくは0.5%を超えるケイ素含有率、又はその両方を有する鋼板基材(12)を有するすべての面が、3.5ミクロン以下であるアブレーション後の亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnab及び0.5mm以上の溶接後のアブレーションされた領域の幅Wabfinを有する溶接後のアブレーション領域(8)を含む、レーザ溶接ブランク(7)。
【請求項8】
少なくとも1つの溶接後のアブレーション領域(8)について、前記亜鉛ベースの金属コーティング厚さZnabが、0.5ミクロン以上である、請求項7に記載のレーザ溶接ブランク(7)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のレーザ溶接ブランクを成形することによって製造される、成形部品。
【国際調査報告】