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特表2025-500244塩化合物およびこれを含む酸拡散抑制剤、フォトレジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】塩化合物およびこれを含む酸拡散抑制剤、フォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 311/04 20060101AFI20241226BHJP
   C07C 381/12 20060101ALI20241226BHJP
   C07C 311/17 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 319/20 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 319/12 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 261/20 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 213/34 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 307/87 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 211/54 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 327/08 20060101ALI20241226BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241226BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C07C311/04
C07C381/12 CSP
C07C311/17
C07D319/20
C07D319/12
C07D261/20
C07D213/34
C07D307/87
C07D211/54
C07D333/76
C07D327/08
G03F7/004 503A
G03F7/004 501
G03F7/039 601
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535880
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2021019567
(87)【国際公開番号】W WO2023113086
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0181042
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515068085
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGJIN SEMICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ホ ミョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンシク
(72)【発明者】
【氏名】ユ ミンジャ
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョングン
【テーマコード(参考)】
2H225
4H006
【Fターム(参考)】
2H225AF23P
2H225AF24P
2H225AF29P
2H225AF54P
2H225AF63P
2H225AF68P
2H225AF71P
2H225AF75P
2H225AF99P
2H225AH17
2H225AH19
2H225AJ13
2H225AJ47
2H225AJ48
2H225AJ54
2H225AJ58
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225AN42P
2H225AN57P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC15
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB80
4H006TN90
(57)【要約】
本発明は、化学式1で表される特定の構造を有する陰イオン、および化学式2で表される陽イオンを含む塩化合物およびこれを含む酸拡散抑制剤、およびフォトレジスト組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される陰イオン、および下記の化学式2で表される陽イオンを含む塩化合物:
[化学式1]
[化学式2]
前記化学式1および2中、
およびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ハロゲン、またはこれらの組み合わせのうちの1つであり、
Xは、直接結合、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、アリーレン基、またはこれらの組み合わせのうちの1つであり、
は、オニウムイオン、または金属イオンのうちの1つである。
【請求項2】
前記Xは、アルキレン基またはアルケニレン基である、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項3】
前記Xは、炭素数2~3のアルキレン基である、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項4】
前記Rは、少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~30のアルキル基、少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換された炭素数6~30のアリール基、または少なくとも1以上の水素原子がハロゲン化アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基のうちの1つである、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項5】
前記Rは、2個以上6個以下の水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~30のアルキル基、または2個以上6個以下の水素原子がハロゲンで置換された炭素数6~30のアリール基のうちの1つである、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項6】
前記Rは、置換もしくは非置換のアリール基である、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項7】
前記Rは、少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換されたアリール基、水素原子が非置換のアリール基、または少なくとも1以上の水素原子がヘテロアルキル基で置換されたアリール基のうちの1つである、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項8】
前記Rは、少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換されたアリール基である、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項9】
前記Rは、メチル、エチル、プロピル、ハロゲン、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、4-フルオロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、または1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニルのうちの1つである、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項10】
前記Rは、メチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、アダマンチル、アセチル-4-ピペリジニル、tert-ブトキシカルボニル-4-ピペリジニル、4-フルオロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニル、4-メトキシフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ピリジニル、6-ベンゾオキサゾリル、5-フタラニル、1,4-ジオキサン-2-イルエチル、または1,4-ベンゾジオキサン-6-イルのうちの1つである、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項11】
前記Mは、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン、またはアンモニウムイオンのうちの1つである、請求項1に記載の塩化合物。
【請求項12】
前記の化学式1で表される陰イオンは、下記から構成される群より選択されるいずれか1つである、請求項1に記載の塩化合物:
【化5】
【化6】
【請求項13】
前記化学式2で表される陽イオンは、下記から構成される群より選択されるいずれか1つである、請求項1に記載の塩化合物:
【化7】
【化8】
【請求項14】
請求項1に記載の塩化合物を含む、酸拡散抑制剤。
【請求項15】
請求項1に記載の塩化合物;
光酸発生剤;
ベースポリマー;および
有機溶媒を含む、フォトレジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化合物、これを含む酸拡散抑制剤(Quencher)およびフォトレジスト組成物に関する。より詳しくは、化学増幅型レジスト(resist)材料に使用される新規感光性塩化合物、これを含む酸拡散抑制剤(Quencher)およびフォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ(Lithography)技術は、基板上に感光性材料で作られたレジスト材料を塗布してレジスト膜を形成し、このレジスト膜にパターン形成されたマスクを用いて選択された光源を用いた露光および現像処理することによって、レジスト膜にマスクパターンを転写してパターンを形成する技術である。
【0003】
リソグラフィ技術を適用して製造される半導体デバイスは、半導体素子のより微細なパターンを製造できるように短波長の光源を用いる。例えば、過去には近紫外線(g-line(436nm)、i-line(365nm))を用いたが、現在は深紫外線(KrF(248nm)、ArF(193nm)エキシマレーザを用い、ArF液浸(ArF immersion)およびこれを用いた多重パターニング(multi-patterning)方法が半導体素子の量産に幅広く使用されている。最近は、極紫外線(EUV(13.5nm))波長を用いたリソグラフィ技術まで量産工程に導入され始めた。
【0004】
レジスト材料は、露光光源に対する感度、微細マスクパターンを再現できる解像力のような特性が要求される。このような特性を示すことができるレジスト構成成分には、露光工程によって酸を発生する光酸発生剤、発生した酸の作用でアルカリ現像液に溶解度の変化が発生するポリマー樹脂、酸拡散距離を調節可能な酸拡散抑制剤、および各構成成分を溶解できる溶媒を含む化学増幅型(chemically-amplified photoresist、CAR)レジスト組成物が用いられる。
【0005】
従来の化学増幅型レジスト組成物分野では、レジスト性能向上のために光酸発生剤から発生した酸拡散距離を調節可能なアミン、アミドなど窒素を含有している有機物質を使用してきた。
【0006】
しかし、最近は、窒素含有有機化合物の代わりに光酸発生剤と類似の構造で露光源によって分解される光分解性酸拡散抑制剤が開発されている。このような光分解性塩基酸拡散抑制剤は、非露光部では酸拡散を抑制するクエンチャー(Quencher)として作用し、露光部では光分解されて酸として作用して露光部の酸濃度を相対的に高く維持して、露光部と非露光部の酸分布コントラストを増加してリソグラフィ特性が向上できる。
【0007】
しかし、レジスト材料から所望する大きさのパターンを形成することは依然として理想的な程度に達していない。この観点から、微細パターン形成時の高いコントラスト確保のために、新たな構造を有する感光性酸拡散抑制剤を開発する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、向上した極性によって、露光時に発生する陰イオンの拡散長さが短く、高いコントラストを確保して限界解像力が向上し、低い感度およびLER値と高い工程マージンを有するフォトレジスト組成物を得ることができる塩化合物を提供する。
また、本発明は、前記塩化合物を含む酸拡散抑制剤を提供する。
さらに、本発明は、前記塩化合物を含むフォトレジスト組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、下記の化学式1で表される陰イオン、および下記の化学式2で表される陽イオンを含む塩化合物が提供される。
[化学式1]
[化学式2]
【0010】
本明細書ではまた、前記塩化合物を含む酸拡散抑制剤が提供される。
本明細書ではさらに、前記塩化合物を含むフォトレジスト組成物が提供される。
本明細書ではまた、前記フォトレジスト組成物を用いたフォトレジストパターン形成方法が提供される。
【0011】
以下、発明の具体的な実施形態による塩化合物およびこれを含む酸拡散抑制剤、フォトレジスト組成物、およびフォトレジストパターン形成方法についてより詳細に説明する。
【0012】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0013】
本明細書において、ポリマー(Polymer)という用語は、高分子、重合体という用語と混用される。
【0014】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0015】
本明細書において、「置換」という用語は、化合物中の水素原子、あるいは炭素原子の代わりに他の原子や官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子あるいは炭素原子の置換される位置つまり、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なっていてもよい。
【0016】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アルキルカルボニル基;アルコキシカルボニル基;スルホニルオキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示した置換基のうち2以上の置換基が連結された置換もしくは非置換であることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。つまり、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2つのフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0017】
本明細書において、
、または
は、他の置換基に連結される結合を意味する。
【0018】
本明細書において、ハロゲンの例としては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素がある。
【0019】
本明細書において、イミド基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であってもよい。具体的には、下記のような構造の化合物になってもよいが、これに限定されるものではない。
【化1】
【0020】
本明細書において、アミド基は、アミド基の窒素が水素、炭素数1~30の直鎖状、分枝鎖状、または環鎖状アルキル基、または炭素数6~30のアリール基で置換されていてもよい。具体的には、下記の構造式の化合物になってもよいが、これに限定されるものではない。
【化2】
【0021】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であってもよい。具体的には、下記のような構造の化合物になってもよいが、これに限定されるものではない。
【化3】
【0022】
本明細書において、エステル基は、エステル基の酸素が炭素数1~25の直鎖状、分枝鎖状、または環鎖状アルキル基、または炭素数6~25のアリール基で置換されていてもよい。具体的には、下記の構造式の化合物になってもよいが、これに限定されるものではない。
【化4】
【0023】
本明細書において、スルホンアミド基は、-SONR’R”であってもよいし、前記R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;ニトリル基;置換もしくは非置換の炭素数3~30の単環状または多環状のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖状または分枝鎖状アルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環状または多環状アリール基;および置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環状または多環状ヘテロアリール基からなる群より選択できる。
【0024】
本明細書において、アルキル基は、直鎖状または分枝鎖状であってもよいし、前記直鎖状アルキル基の炭素数は特に限定されないが、1~20であってもよい。また、前記分枝鎖状アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。前記アルキル基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0025】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~60であってもよいし、一実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。もう一つの実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。もう一つの実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~6である。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されない。前記シクロアルキル基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0026】
本明細書において、アルコキシ基は、エーテル基(-O-)の一末端に前述したアルキル基が結合した官能基であって、これらは、エーテル基(-O-)と結合した官能基であることを除けば、前述したアルキル基の説明が適用可能である。例えば、直鎖状、分枝鎖状または環鎖状であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であってもよい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、シクロヘプトキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどがあるが、これらに限定されない。前記アルコキシ基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0027】
本明細書において、アミン基は、-NH、モノアルキルアミン基、ジアルキルアミン基、N-アルキルアリールアミン基、モノアリールアミン基、ジアリールアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基、N-アルキルヘテロアリールアミン基、モノヘテロアリールアミン基、およびジヘテロアリールアミン基からなる群より選択可能であり、炭素数は特に限定されないが、1~30であってもよい。アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルビフェニルアミン基、N-フェニルナフチルアミン基、N-ビフェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、N-ナフチルフルオレニルアミン基、N-フェニルフェナントレニルアミン基、N-ビフェニルフェナントレニルアミン基、N-フェニルフルオレニルアミン基、N-フェニルターフェニルアミン基、N-フェナントレニルフルオレニルアミン基、N-ビフェニルフルオレニルアミン基などがあるが、これらに限定されるものではない。前記アミン基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0028】
本明細書において、N-アルキルアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびアリール基が置換されたアミン基を意味する。
本明細書において、N-アリールヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアリール基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。
本明細書において、N-アルキルヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびヘテロアリールアミン基が置換されたアミン基を意味する。
【0029】
本明細書において、モノアルキルアミン基、ジアルキルアミン基、N-アリールアルキルアミン基、アルキルチオキシ基、アルキルスルホキシ基、N-アルキルヘテロアリールアミン基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示の通りである。具体的には、アルキルチオキシ基としては、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert-ブチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、オクチルチオキシ基などがあり、アルキルスルホキシ基としては、メシル、エチルスルホキシ基、プロピルスルホキシ基、ブチルスルホキシ基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、前記アルケニル基は、直鎖状または分枝鎖状であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~40であってもよい。前記アルケニル基は、官能基内に少なくとも1つ以上の不飽和結合(二重結合、または三重結合)を含むことを除けば、前述したアルキル基の説明が適用可能である。一実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。もう一つの実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。もう一つの実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~6である。具体例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。前記アルケニル基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0031】
本明細書において、シクロアルケニル基は、炭素数3~60であってもよいし、一実施形態によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~30である。もう一つの実施形態によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~20である。もう一つの実施形態によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~6である。前記シクロアルケニル基は、官能基内に少なくとも1つ以上の不飽和結合(二重結合、または三重結合)を含むことを除けば、前述したシクロアルキル基の説明が適用可能である。前記シクロアルケニル基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0032】
本明細書において、シリル基は、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されない。前記シリル基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0033】
本明細書において、ホウ素基は、具体的には、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などがあるが、これらに限定されない。前記ホウ素基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0034】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、具体的には、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。前記ホスフィンオキシド基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0035】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~60であってもよいし、単環状アリール基または多環状アリール基であってもよい。一実施形態によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施形態によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基が、単環状アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。前記多環状アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。前記アリール基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0036】
本明細書において、モノアリールアミン基、ジアリールアミン基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基、N-アリールアルキルアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基およびアリールホスフィン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の通りである。具体的には、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチル-フェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基などがあり、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2-メチルフェニルチオキシ基、4-tert-ブチルフェニルチオキシ基などがあり、アリールスルホキシ基としては、ベンゼンスルホキシ基、p-トルエンスルホキシ基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本明細書において、ヘテロ環基は、異種元素としてO、N、SeおよびSのうちの1つ以上を含むヘテロ環基であって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60であってもよい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0038】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子は、O、N、SeおよびSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60であってもよいし、前記ヘテロアリール基は、単環状または多環状であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基、アジリジル基、アザインドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリン基(purine)、プテリジル基(pteridine)、ベータ-カルボリル基、ナフチリジル基(naphthyridine)、ター(ter)-ピリジル基、フェナジニル基、イミダゾピリジル基、ピロピリジル基、アゼピン基、ピラゾリル基およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。前記ヘテロアリール基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0039】
本明細書において、モノヘテロアリールアミン基、ジヘテロアリールアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基、N-アルキルヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基の例示は、前述したヘテロアリール基の例示から選択できる。
【0040】
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に由来する2価の官能基であり、例えば、直鎖状、または分枝鎖状であって、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基などになってもよい。前記アルキレン基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0041】
本明細書において、ハロアルキレン基は、上述したアルキレン基にハロゲン基が置換された官能基を意味し、例えば、パーフルオロプロパン-2,2-ジイル(perfluoropropane-2,2-diyl)などになってもよい。
【0042】
本明細書において、アルケニレン基は、アルケニルに由来する2価の官能基であり、2価の官能基であることを除けば、前述したアルケニル基の説明が適用可能である。前記アルケニレン基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0043】
本明細書において、シクロアルキレン基は、シクロアルカン(cycloalkane)に由来する2価の官能基であり、2価の官能基であることを除けば、前述したシクロアルキル基の説明が適用可能である。前記シクロアルキレン基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0044】
本明細書において、シクロアルケニレン基は、シクロアルケニルに由来する2価の官能基であり、2価の官能基であることを除けば、前述したシクロアルケニル基の説明が適用可能である。前記シクロアルケニレン基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0045】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるものつまり、2価の官能基を意味する。これらはそれぞれ2価の官能基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。前記アリーレン基は、置換もしくは非置換であってもよいし、置換される場合、置換基の例示は上述した通りである。
【0046】
1.塩化合物
本発明の一実施形態によれば、下記の化学式1で表される陰イオン、および下記の化学式2で表される陽イオンを含む塩化合物を提供することができる。
[化学式1]
[化学式2]
【0047】
前記化学式1および2中、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、またはこれらの組み合わせのうちの1つであり、Xは、直接結合、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、アリーレン基、またはこれらの組み合わせのうちの1つであり、Mは、オニウムイオン、または金属イオンのうちの1つである。
【0048】
前記RおよびR、Xにおける官能基の組み合わせとは、2以上の官能基が共に含まれている組み合わせ性官能基を意味し、例えば、アリール基とアルキル基が同時に含まれているアリールアルキル基などが挙げられる。
【0049】
前記アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、およびアリーレン基に含まれている少なくとも1以上の水素原子は、それぞれ独立して、重水素;ハロゲン;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アルキルカルボニル基;アルコキシカルボニル基;スルホニルオキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換もしくは非置換であり、
【0050】
前記アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、およびアリーレン基に含まれている少なくとも1以上の炭素原子は、それぞれ独立して、ヘテロ元素で置換もしくは非置換であり、
前記アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、およびアルケニレン基は、それぞれ独立して、直鎖状、または分枝鎖状であり、
前記シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、およびアリーレン基は、それぞれ独立して、単環状または多環状である。
【0051】
本発明者らは、前記一実施形態の塩化合物は、化学式1で表されるように、陰イオン構造内に含まれているスルホニルオキシ基(-SO-)によって極性がより与えられることによって、露光時、酸拡散抑制剤から発生する陰イオンの拡散長さが短くなり、これによって高いコントラストを確保して限界解像力が向上し、低い感度およびLER値と高い工程マージンを得ることができるという点を、実験を通して確認して、発明を完成した。
【0052】
これに対し、上述したスルホニルオキシ基(-SO-)の代わりにスルホニル基(-SO-)を含有する場合、酸素原子の減少によって極性が減少し、露光時、酸拡散抑制剤から発生する陰イオンの拡散長さが十分な水準に短くなりにくい限界がある。
【0053】
また、前記一実施形態の塩化合物は、化学式1で表される陰イオン構造においてスルホニルオキシ基(-SO-)と窒素(N)原子とが直接結合する場合より、Xで表される媒介官能基を介して結合する場合、レジストを構成する他の構成成分と混和性が向上してレジスト薄膜内に分布する均一性が向上するだけでなく、酸拡散抑制効果が増加する理由によって、露光部/非露光部のコントラスト(contrast)が改善され、ライン線幅粗さが改善された効果が実現できる。
【0054】
これに対し、上述したスルホニルオキシ基(-SO-)と窒素(N)原子とが直接結合するか、窒素(N)原子に2つのスルホニル基(-SO-)がそれぞれ直接結合する場合、酸素原子の減少によって極性が減少し、酸拡散抑制効率が減少し、レジスト構成成分と混和性が低下して薄膜内の分布均一性が悪くなる理由によって、露光部/非露光部のコントラストが不足するにつれ、工程マージンの減少、ライン線幅粗さが大きくなる問題が発生することがある。
【0055】
具体的には、前記化学式1で表される陰イオンにおいて、Xは、直接結合、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、アリーレン基、またはこれらの組み合わせのうちの1つであってもよい。具体的には、前記化学式1中、Xは、炭素数1~30のアルキレン基、1~30のアルケニレン基、炭素数3~30のシクロアルキレン基、3~30のシクロアルケニレン基、または炭素数6~30のアリーレン基のうちの1つであってもよい。
【0056】
前記Xは、具体的には、アルキレン基またはアルケニレン基であってもよく、この場合、反応性に優れて高収率を得ることができる。
前記炭素数1~30のアルキレン基は、炭素数1~20、または1~10、または1~8、または1~3、または2~6のアルキレン基であってもよい。より具体的には、前記化学式1中、Xは、炭素数2~3のアルキレン基である。
【0057】
前記化学式1中、Xの具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、エチレン、またはプロピレンが挙げられる。前記化学式1中、Xが炭素数2~3のアルキレン基を満足することによって、精製時、結晶性が向上して高純度物質を高収率で得ることができる。これに対し、前記化学式1中、Xが炭素数3超過のアルキレン基の場合、副反応およびGel性の物性で精製が難しくて収率が減少する問題が発生することがある。
また、前記化学式1中、Xの具体例として、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレンなどが挙げられる。
【0058】
一方、前記化学式1で表される陰イオンにおいて、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ハロゲン、またはこれらの組み合わせのうちの1つであってもよい。
【0059】
具体的には、前記化学式1中、Rは、水素原子が非置換の炭素数1~30のアルキル基であってもよい。前記水素原子が非置換の炭素数1~30のアルキル基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、メチル、エチル、またはプロピルのうちの1つが挙げられる。
【0060】
また、前記化学式1中、Rは、水素原子が非置換の炭素数6~30のアリール基であってもよい。前記水素原子が非置換の炭素数6~30のアリール基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、フェニルが挙げられる。
【0061】
また、前記化学式1中、Rは、ハロゲンであってもよい。前記ハロゲンの具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0062】
さらに、前記化学式1中、Rは、水素原子が非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基であってもよい。前記水素原子が非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、シクロヘキシルまたはアダマンチルが挙げられる。
【0063】
また、前記化学式1中、Rは、少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~30のアルキル基、または少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換された炭素数6~30、または少なくとも1以上の水素原子がハロゲン化アルキル基で置換された炭素数1~30のアリール基であってもよい。これによって露光光源吸収効率が増加して解像力が改善できる。
【0064】
前記少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~30のアルキル基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、トリフルオロメチルが挙げられる。
【0065】
前記少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換された炭素数6~30のアリール基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、4-フルオロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、または1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニルのうちの1つが挙げられる。
【0066】
具体的には、前記化学式1中、Rは、2個以上6個以下の水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~30のアルキル基、または2個以上6個以下の水素原子がハロゲンで置換された炭素数6~30のアリール基のうちの1つであってもよい。これによって、露光部では、露光光源吸収効率が増加して酸拡散抑制効率が増加する理由によって、露光部/非露光部のコントラストが改善されて解像力が増加する効果が発生することがある。
【0067】
前記2個以上6個以下の水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~30のアルキル基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、トリフルオロメチルのうちの1つが挙げられる。
【0068】
前記2個以上6個以下の水素原子がハロゲンで置換された炭素数6~30のアリール基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、4-トリフルオロメチルフェニル、4-フルオロフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、または1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニルのうちの1つが挙げられる。
【0069】
具体的には、前記化学式1中、Rは、メチル、エチル、プロピル、ハロゲン、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、4-フルオロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、または1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニルのうちの1つであってもよい。
【0070】
一方、前記化学式1中、Rは、置換もしくは非置換のアリール基であってもよい。前記化学式1中、不飽和芳香族基Rが選択されて置換される場合、電子線やEUV光子吸収が大きくなることによって、レジスト薄膜内により多くの二次電子が発生可能で、感度が向上できる。
【0071】
具体的には、前記Rは、少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換されたアリール基、水素原子が非置換のアリール基、または少なくとも1以上の水素原子がヘテロアルキル基で置換されたアリール基のうちの1つであってもよい。
【0072】
好ましくは、前記Rは、少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換されたアリール基であってもよい。特に、二次電子の発生効率向上の面で、ハロゲン元素のうちヨウ素が好ましい。前記少なくとも1以上の水素原子がハロゲンで置換されたアリール基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、4-フルオロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、または1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニルが挙げられる。
【0073】
一方、前記Rは、水素原子が非置換のアリール基であってもよい。前記水素原子が非置換のアリール基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、1-ナフチル、または2-ナフチル、4-ピリジニル、6-ベンゾオキサゾリル、5-フタラニル、1,4-ベンゾジオキサン-6-イル、アセチル-4-ピペリジニル、またはtert-ブトキシカルボニル-4-ピペリジニルが挙げられる。
【0074】
また、前記Rは、少なくとも1以上の水素原子がヘテロアルキル基で置換されたアリール基であってもよい。前記ヘテロアルキル基の具体例としては、アルコキシ基が挙げられ、前記少なくとも1以上の水素原子がヘテロアルキル基で置換されたアリール基の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、4-メトキシフェニルが挙げられる。
【0075】
一方、前記Rは、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはこれらの組み合わせのうちの1つであってもよい。より具体的には、前記アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基は、水素原子が非置換であってもよい。前記水素原子が非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはこれらの組み合わせの具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、メチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、アダマンチル、または1,4-ジオキサン-2-イルエチルが挙げられる。
【0076】
また、前記Rは、少なくとも1以上の水素原子がヘテロアルキル基で置換されたアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはこれらの組み合わせのうちの1つであってもよい。前記ヘテロアルキル基の具体例としては、アルコキシ基が挙げられる。
【0077】
より具体的には、前記化学式1中、Rは、メチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、アダマンチル、アセチル-4-ピペリジニル、tert-ブトキシカルボニル-4-ピペリジニル、4-フルオロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニル、4-メトキシフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ピリジニル、6-ベンゾオキサゾリル、5-フタラニル、1,4-ジオキサン-2-イルエチル、または1,4-ベンゾジオキサン-6-イルのうちの1つであってもよい。
【0078】
前記化学式1で表される陰イオンの具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、下記から構成される群より選択されるいずれか1つであってもよい。
【化5】
【化6】
【0079】
一方、前記化学式2中、Mは、オニウムイオン、または金属イオンのうちの1つであってもよい。具体的には、前記化学式2中、Mは、オニウムイオンであるスルホニウムイオン、ヨードニウムイオン、またはアンモニウムイオンのうちの1つであってもよい。
【0080】
前記化学式2で表される陽イオンの具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、下記から構成される群より選択されるいずれか1つであってもよい。
【化7】
【化8】
【0081】
前記塩化合物を合成する方法の具体例が大きく限定されるものではないが、一例として、下記の反応式1によって合成される。
[反応式1]
【0082】
前記反応式1中、R、R、X、Mはそれぞれ、塩化合物のR、R、X(化学式1)、M(化学式2)と同一である。Yは、カウンター陰イオン(counter anion)であり、Baseは、塩基である。
【0083】
まず、化合物1-aと化合物1-bまたは化合物1-cとを反応させて、化合物1-dを得ることができる。化合物1-dは、再び化合物1-eまたは化合物1-fと反応して、化合物1-gを得ることができ、この時、化合物1-e、1-fは、化合物1-b、1-cと同一であるか、それぞれ異なっていてもよい。化合物1-gは、化合物1-hと反応させて、化合物Aを得ることができる。
【0084】
前記反応中において、化合物1-dを得るための合成反応でアミン基の親核性反応がアルコール基の親核性反応よりもよく起こるが、選択的に、アミン基置換反応を誘導するために、反応温度は-40℃以下、-78℃以上を維持しながら化合物1-bまたは化合物1-cをゆっくり滴加することができる。化合物1-bと化合物1-eの構造が同一の場合には、反応温度は0℃で化合物1-bまたは1-eをすべてゆっくり滴加した後、自然にゆっくり常温に昇温すれば十分であり、化合物1-gを得る方法も、これと同様の方法で得ることができる。
【0085】
化合物1-gと化合物1-hとを反応させて塩化合物を得る方法は特に限定されず、適当なアルカリ金属水酸化物の存在下で化合物1-gを適当な有機溶媒と水に溶解させ、化合物1-hを添加した後、有機層と水層とがよく混ざるように撹拌して得ることができる。
【0086】
前記反応におけるアルカリ金属水酸化物は特に限定されるものではなく、一般的な水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することができ、その使用量は、化合物1-gの1モルに対して1モル以上2モル以下で使用することができる。
【0087】
前記反応において、有機溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルムのように生成物である塩化合物をよく溶かす溶媒を使用することができ、使用量は、化合物1-gに15質量部以上20質量部以下であってもよい。
【0088】
前記反応における化合物1-hの使用量は、通常、化合物1-gの1モルに対して1モル以上3モル以下であってもよく、反応時間は、反応性や反応濃度などによって異なるが、一般に、10時間以上24時間以下であってもよく、反応温度は、20℃以上50℃以下であってもよい。
【0089】
反応終了後には、水層と有機層とを分離し、有機層に溶けている化合物Aは、従来公知の溶媒抽出、濃縮、クロマトグラフィー、結晶化、再結晶、方法のような精製法から選択された方法を単独または組み合わせて精製することができ、この方法は、最終化合物Aだけでなく、各段階で合成された化合物1-d、化合物1-g、化合物1-hの精製にも適用可能である。
【0090】
2.酸拡散抑制剤
一方、本発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態の塩化合物を含む酸拡散抑制剤(Quencher)が提供できる。
前記塩化合物に関する内容は、前記一実施形態に関して上述した内容を含む。
【0091】
前記酸拡散抑制剤は、酸拡散距離を調節可能な物質であって、非露光部では酸拡散を抑制するクエンチャーとして作用し、露光部では光分解されて酸として作用して露光部の酸濃度を相対的に高く維持して、露光部と非露光部の酸分布コントラストを増加してリソグラフィ特性が向上できる。
【0092】
本発明に使用される酸拡散抑制剤としては、前記塩化合物以外にも、通常のフォトレジスト用酸拡散抑制剤を制限なく追加混合して使用可能である。前記通常のフォトレジスト用酸拡散抑制剤の例を挙げると、1級、2級、3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する窒素含有化合物、スルホニル基を有する窒素含有化合物、ヒドロキシ基を有する窒素含有化合物、ヒドロキシフェニル基を有する窒素含有化合物、アルコール性窒素含有化合物、アミド類、イミド類、カルバメート類などを使用することができる。
【0093】
3.フォトレジスト組成物
一方、本発明のさらに他の実施形態によれば、前記一実施形態の塩化合物;光酸発生剤;ベースポリマー;および有機溶媒を含むフォトレジスト組成物を提供することができる。
【0094】
前記塩化合物に関する内容は、前記一実施形態に関して上述した内容を含む。前記塩化合物またはこれを含む酸拡散抑制剤の含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して、0.01重量部以上30重量部以下、または0.1重量部以上23重量部以下であってもよい。前記塩化合物またはこれを含む酸拡散抑制剤の含有量が前記範囲を超えると、酸が多量発生して断面が不良なパターンを得てしまう恐れがあり、パターンのコントラストが低下する恐れがある。
【0095】
一方、前記ベースポリマーは、酸の作用によって現像液に溶解性が変化する性質を有し、通常のフォトレジスト組成物に使用される感光性高分子を制限なく使用可能である。
【0096】
具体的な一例として、前記ベースポリマーは、下記の化学式a、または化学式bで表される繰り返し単位を含むことができる。前記ベースポリマーは、前記化学式aで表される繰り返し単位1種からなる単独重合体、前記化学式bで表される繰り返し単位1種からなる単独重合体、前記化学式aで表される繰り返し単位2種以上からなる共重合体、前記化学式bで表される繰り返し単位2種以上からなる共重合体、または前記化学式aで表される繰り返し単位1種以上および化学式bで表される繰り返し単位1種以上からなる共重合体であってもよい。
[化学式a]
【0097】
前記化学式a中、Rは、水素またはメチル基であってもよく、Arは、少なくとも1以上の水素原子が置換もしくは非置換のアリール基であってもよい。前記アリール基は、単環状または多環状であってもよい。前記置換基の例が大きく限定されるものではなく、例えば、重水素;ハロゲン;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アルキルカルボニル基;アルコキシカルボニル基;スルホニルオキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;からなる群より選択された1つ以上の置換基が挙げられる。より具体的には、前記置換基としては、ハロゲン、またはヒドロキシ基を使用することができる。
[化学式b]
【0098】
前記化学式b中、Rは、水素またはメチル基であり、Rは、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはアリール基のうちの1つであってもよい。前記アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびアリール基に含まれている少なくとも1以上の水素原子は、それぞれ独立して、重水素;ハロゲン;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アルキルカルボニル基;アルコキシカルボニル基;スルホニルオキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換もしくは非置換であってもよい。
【0099】
前記アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびアリール基に含まれている少なくとも1以上の炭素原子は、それぞれ独立して、ヘテロ元素で置換もしくは非置換であってもよい。
【0100】
前記アルキル基、アルケニル基は、それぞれ独立して、直鎖状、または分枝鎖状であり、前記シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基は、それぞれ独立して、単環状または多環状であってもよい。
【0101】
より具体的には、前記ベースポリマーは、下記の化学式cで表される感光性高分子(ベース樹脂)を使用することができる。
[化学式c]
【0102】
前記化学式c中、R~Rは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Arは、少なくとも1以上の水素原子が置換もしくは非置換のアリール基であり、RおよびR10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはアリール基のうちの1つであってもよい。前記Arは、前記化学式aのArと同一であり、前記RおよびR10は、前記化学式bのRと同一である。
【0103】
より具体的には、前記化学式c中、Arは、少なくとも1以上の水素原子がヒドロキシ基で置換された炭素数6~11の単環状アリール基であってもよい。
【0104】
前記化学式c中、前記Rは、少なくとも1以上の炭素原子がヘテロ元素で置換された単環状または多環状のシクロアルキル基、または少なくとも1以上の水素原子がヒドロキシ基で置換された多環状のシクロアルキル基であってもよい。
前記化学式c中、前記R10は、単環状または多環状のシクロアルキル基であってもよい。
【0105】
前記化学式c中、繰り返し単位の下に記載されたa、bおよびcは、前記高分子をなす全体単量体(繰り返し単位)に対する各繰り返し単位のモル%であって、aは、10モル%以上60モル%以下、または35モル%以上40モル%以下であり、bは、1モル%以上30モル%以下、または5モル%以上20モル%以下であり、cは、30モル%以上60モル%以下、または40モル%以上55モル%以下であってもよい。前記繰り返し単位のモル%が前記範囲を超える場合、フォトレジスト膜の物性が低下したり、フォトレジスト膜の形成が困難であり、パターンのコントラスト(contrast)が低下する恐れがある。通常、前記感光性高分子の重量平均分子量(Mw)は、2,000以上20,000以下、または3,000以上12,000以下であってもよい。
【0106】
前記化学式cで表される感光性高分子(ベース樹脂)のより具体的な例を挙げると、下記の化学式d、e、f、gで表される感光性高分子(ベース樹脂)が挙げられる。
[化学式d]
[化学式e]
[化学式f]
[化学式g]
【0107】
前記ベースポリマーの含有量は、全体フォトレジスト組成物に対して2重量%以上30重量%以下、または4重量%以上10重量%以下であってもよい。前記ベースポリマーの含有量が2重量%未満であれば、フォトレジスト膜およびパターンの形成が難しくなる恐れがあり、30重量%超過であれば、ウエハ上に形成されたパターンの厚さ分布が均一でない恐れがある。
【0108】
光酸発生剤としては、スルホニウム塩やヨードニウム塩などのオニウム塩系、ジアゾメタン系、オキシム系、ニトロベンジルスルホネート系、イミノスルホネート系、ジスルホン系酸発生剤などがあり、これらは単独または2種以上を混用することができる。
【0109】
前記光酸発生剤の含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対して、0.05重量部以上30重量部以下、または0.1重量部以上15重量部以下であってもよい。前記光酸発生剤の含有量が、前記ベースポリマー100重量部に対して0.05重量部未満であれば、フォトレジストの光に対する敏感度が弱くなり、酸拡散距離が長くなる恐れがあり、30重量部超過であれば、光酸発生剤が遠紫外線を多く吸収し、酸が多量発生してパターンの断面が不良になる恐れがある。
【0110】
本発明に使用される有機溶媒としては、ベースポリマー、光酸発生剤、塩化合物、その他の添加剤などを容易に溶解できる、通常のフォトレジスト組成物に使用される有機溶媒を制限なく使用可能である。例えば、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン類、2-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルアセテートなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどのラクトン類溶媒を単独または2種以上混合して使用することができるが、これに限定されるものではない。前記有機溶媒の例が大きく限定されるものではないが、一例として、酸拡散抑制剤に対する溶解性に最も優れたPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、EL(エチルラクテート)、CyH(シクロヘキサノン)のいずれか1つ、またはこれらの混合物などが使用できる。
【0111】
前記有機溶媒の含有量は、全体フォトレジスト組成物100重量%に対して、ベースポリマー、光酸発生剤、塩化合物、その他の添加剤を除いたフォトレジスト組成物の含有量を除いた残りである。
【0112】
前記添加剤の例が大きく限定されるものではないが、例えば、付加的樹脂、安定剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、密着剤、酸化防止剤、溶解抑制剤などを使用することができる。
【0113】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記他の実施形態のフォトレジスト組成物を塗布および加熱してフォトレジスト膜を形成する段階と、前記フォトレジスト膜を露光する段階と、前記露光したフォトレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを形成する段階とを含むフォトレジストパターン形成方法を提供することができる。
前記フォトレジスト組成物に関する内容は、前記他の実施形態に関して上述した内容を含む。
【0114】
前記パターン形成方法は、公知の技術を適用可能であるが、例えば、スピナー(spinner)などを用いて塗布し、所定のフォトマスクを用いて波長300nm以下の高エネルギー線で露光し、露光したフォトレジスト膜を通常の現像液(例えば、0.1重量%以上10重量%以下のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液)で現像する。
【0115】
前記波長300nm以下の高エネルギー線は特に限定されるものではないが、紫外線、遠紫外線、極紫外線(EUV)、電子線、X線、エキシマレーザ、γ線、またはシンクロトロン放射線などを例示することができる。70nm以下の微細パターン形成のために、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザまたはEUVなどの短波長の高エネルギー線の発生源を備えた露光装置を用いることが好ましい。
【0116】
より具体的には、高エネルギー露光源は、248nmの波長を有するKrF、193nmの波長を有するArF、電子線(e-beam)、13.5nmの波長を有するEUVから選択して用いることができる。
【発明の効果】
【0117】
本発明によれば、向上した極性によって、露光時に発生する陰イオンの拡散長さが短く、高いコントラストを確保して限界解像力が向上し、低い感度およびLER値と高い工程マージンを有するフォトレジスト組成物を得ることができる塩化合物およびこれを含む酸拡散抑制剤、およびフォトレジスト組成物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0118】
以下、本発明の理解のための一実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0119】
<実施例1:塩化合物の製造>
実施例1-1~1-12、比較例1-1~1-3で得られた塩化合物の構造は、下記表1の通りである。
【0120】
【表1】
【0121】
実施例1-1:塩化合物1
段階1)1,1,1-トリフルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミド(1,1,1-trifluoro-N-(2-hydroxyethyl)methanesulfoneamide)の製造
【化9】
【0122】
エタノールアミン(Ethanolamine、20g)をジクロロメタン(Dichloromethane、150g)に溶解して混合物1を製造し、この混合物1を-78℃に冷却し撹拌させた。その後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Trifluoromethanesulfonic anhydride、97g)とジクロロメタン(150g)とを混合して混合物2を製造し、約1時間混合物2を前記混合物1にゆっくり滴加した。滴加を完了した後、1時間-78℃の温度を追加的に維持させた後、徐々に0℃まで昇温し、5時間追加的に撹拌した。蒸留水で反応を終結し、有機層を蒸留水で3回洗浄して未反応物を除去した後、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて、1,1,1-トリフルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミド(35.7g、56.4%収率)を得た。
1H-NMR(CDCl3, TMS(標準物質), 600MHz): 8.2(NH, s, 1H), 4.5(CH2, t, 2H), 3.7(CH2, t, 2H), 1.3(OH, s, 1H)
【0123】
段階2)2-(トリフルオロメチルスルホンアミド)エチル4-ヨードベンゼンスルホネート(2-(trifluoromethylsulfoneamido)ethyl4-iodobenzenesulfonate)の製造
【化10】
【0124】
段階1)から得られた1,1,1-トリフルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミド(30g)をジクロロメタン(200g)に溶解して撹拌しながら、4-ヨードベンゼン-1-スルホニルクロライド(4-Iodobenzene-1-sulfonylchloride、50g)およびジクロロメタン(200g)の混合物をゆっくり滴加し、3時間反応させた。その後、有機層を中性(約pH6~7)になるまで蒸留水で洗浄し、有機層を減圧濃縮して、2-(トリフルオロメチルスルホンアミド)エチル4-ヨードベンゼンスルホネート(62.3g、87.3%収率)を得た。
1H-NMR(CDCl3, TMS, 600MHz): 8.5(NH, s, 1H), 8.2(CH, d, 2H), 7.5(CH, d, 2H), 4.5(CH2, t, 2H), 3.9(CH2, t, 2H)
【0125】
段階3)トリフェニルスルホニウム(2-(4-ヨードフェニルスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(triphenylsulfonium(2-(4-iodophenylsulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide)(塩化合物1)の製造
【化11】
【0126】
段階2)から得られた2-(トリフルオロメチルスルホンアミド)エチル4-ヨードベンゼンスルホネート(30g)をアセトニトリル(Acetonitrile、200g)に溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液(28g)を徐々に添加し、常温で3時間撹拌後、減圧蒸留して、ナトリウム(2-(4-ヨードフェニルスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド塩(Sodium(2-(4-iodophenylsulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide salt、約30.1g、98.54%収率)を得た。その後、トリフェニルスルホニウムクロライド(Triphenylsulfoniumchloride、20.56g)、蒸留水(200g)およびジクロロメタン(300g)と、触媒としてテトラブチルアンモニウムフルオライド(Tetrabutylammonium fluoride、0.5g)を添加し、常温で約12時間十分に撹拌させた。有機層を分離して中性(約pH6~7)になるまで蒸留水で洗浄した後、減圧濃縮した。これから得られた濃縮液に酢酸エチル(Ethyl acetate、100g)を加えて撹拌させた後、有機溶媒を除去する過程を3回繰り返した後、減圧濃縮して、トリフェニルスルホニウム(2-(4-ヨードフェニルスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(4-iodophenylsulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide、塩化合物1)(39g、87.2%収率)を得た。
1H-NMR(CDCl3, TMS, 600MHz): 8.24(CH, d, 2H), 7.54(CH, d, 2H), 7.27-7.78(CH, m, 15H), 4.5(CH2, t, 2H), 3.7(CH2, t, 2H)
【0127】
実施例1-2:塩化合物2
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、4-ヨードベンゼン-1-スルホニルクロライドの代わりにアダマンタンスルホニルクロライド(Adamantanesulfonylchloride)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(アダマンタンスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(4-iodophenylsulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide、塩化合物2)を得た。
【0128】
実施例1-3:塩化合物3
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、4-ヨードベンゼン-1-スルホニルクロライドの代わりに4-メトキシベンゼンスルホニルクロライド(4-Methoxybenzenesulfonyl chloride)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(4-メトキシフェニルスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(4-methoxyphenylsulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide、塩化合物3)を得た。
【0129】
実施例1-4:塩化合物4
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、4-ヨードベンゼン-1-スルホニルクロライドの代わりにベンゾ-1,4-ジオキサンスルホニルクロライド(Benzo-1,4-dioxanesulfonyl chloride)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(ベンゾ-1,4-ジオキサンスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(4-methoxyphenylsulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide、塩化合物4)を得た。
【0130】
実施例1-5:塩化合物5
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、1,1,1-トリフルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミドの代わりに2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)ベンゼンスルホンアミド(2,3,4,5,6-Pentafluoro-N-(2-hydroxyethyl)benzenesulfoneamide)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(4-ヨードフェニルスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロベンゼンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(4-iodophenylsulfonyloxy)ethyl)(trifluorobenzenesulfonyl)amide、塩化合物5)を得た。
【0131】
実施例1-6:塩化合物6
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、4-ヨードベンゼン-1-スルホニルクロライドの代わりにナフタレン-スルホニルクロライド(Naphthalene-sulfonyl chloride)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(ナフタレンスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(naphthalenesulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide、塩化合物6)を得た。
【0132】
実施例1-7:塩化合物7
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階3)において、トリフェニルスルホニウムクロライドの代わりにジフェニル(4-(1-ヨードベンゼン-4-スルホニルオキシ)フェニル)スルホニウムクロライドを用いて、イオン交換反応により、ジフェニル(4-(1-ヨードベンゼン-4-スルホニルオキシ)フェニル)スルホニウム(2-(4-ヨードフェニルスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Diphenyl(4-(4-iodobenzene-1-sulfonyloxy)phenyl)sulfonium(2-(naphthalenesulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide、塩化合物7)を得た。
【0133】
実施例1-8:塩化合物8
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、4-ヨードベンゼン-1-スルホニルクロライドの代わりにプロパンスルホニルクロライド(Propanesulfonyl chloride)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(プロパンスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(propanesulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide、塩化合物8)を得た。
【0134】
実施例1-9:塩化合物9
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、4-ヨードベンゼン-1-スルホニルクロライドの代わりに2-(1,4-ジオキサン-2-イル)-エタンスルホニルクロライド(2-(1,4-dioxan-2-yl)ethanesulfonyl chloride)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(1,4-ジオキサン-2-イル)-エタンスルホニルオキシ)エチル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(1,4-dioxan-2-yl)ethanesulfonyloxy)ethyl)(trifluoromethanesulfonyl)amide、塩化合物9)を得た。
【0135】
実施例1-10:塩化合物10
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、トリフルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミドの代わりにN-(2-ヒドロキシエチル)プロパンスルホンアミド(N-(2-hydroxyethyl)propanesulfoneamide)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(4-ヨードフェニルスルホニルオキシ)エチル)(プロパンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(4-iodophenylsulfonyloxy)ethyl)(propanesulfonyl)amide、塩化合物10)を得た。
【0136】
実施例1-11:塩化合物11
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、トリフルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミドの代わりにN-(2-ヒドロキシエチル)ベンゼンスルホンアミド(N-(2-hydroxyethyl)benzenesulfoneamide)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(4-ヨードフェニルスルホニルオキシ)エチル)(ベンゼンスルホニル)アミド(Triphenylsulfonium(2-(4-iodophenylsulfonyloxy)ethyl)(benzenesulfonyl)amide、塩化合物11)を得た。
【0137】
実施例1-12:塩化合物12
実施例1-1と同様の方法で製造し、段階2)において、トリフルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミドの代わりにトリフルオロ-N-(2-ヒドロキシブチル)メタンスルホンアミド(1,1,1-trifluoro-N-(2-hydroxybutyl)methanesulfoneamide)を用いて、イオン交換反応により、トリフェニルスルホニウム(2-(4-ヨードフェニルスルホニルオキシ)ブチル)(トリフルオロメタンスルホン)アミド(Triphenylsulfonium(2-(4-iodophenylsulfonyloxy)butyl)(trifluoromethanesulfone)amide、塩化合物12)を得た。
【0138】
比較例1-1:塩化合物13
下記の構造の塩化合物13を使用した。
【化12】
【0139】
比較例1-2:塩化合物14
下記の構造の塩化合物14を使用した。
【化13】
【0140】
比較例1-3:塩化合物15
下記の構造の塩化合物15を使用した。
【化14】
【0141】
<合成例:ベースポリマーの製造>
合成例1:ポリマー1の製造
下記表2に記載された繰り返し単位により、単量体を組み合わせてテトラヒドロフラン(THF)に溶解して反応溶液を製造し、共重合反応させた。その後、低分子除去および固体化のために、メタノール、n-ヘキサンまたはヘキサン/イソプロピルアルコール、メタノール/水の混合溶媒に前記反応溶液を滴加し、同一の溶媒で洗浄を繰り返した後、分離乾燥して、ベースポリマー(ポリマー1と称する)を製造した。ヒドロキシスチレン基を含有する単量体については、これをアセトキシ基で保護した状態で使用し、一次重合後、二次加水分解反応を追加的に行って、水に沈澱させる工程を追加した。
【0142】
合成例2~4:ポリマー2~4の製造
下記表2に記載された繰り返し単位により、単量体の種類および量を変更した以外は、前記合成例1と同様の方法でポリマー2~4を製造した。
【0143】
前記合成例1~4で製造したベースポリマーを乾燥した後、Hまたは13C-NMR分光法で単量体の構成成分を分析し、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)でMwおよびPDI(多分散指数、polydispersity index、Mw/Mnで表示)を分析し、THF溶媒を用いて標準ポリスチレン換算の高分子分子量(Mw)を求めた。ポリマー1~4の繰り返し単位の種類および分析結果を下記表2に記載した。
【0144】
【表2】
【0145】
<実施例2:フォトレジスト組成物の製造>
下記表3に記載された成分により、ベースポリマー、光酸発生剤、および酸拡散抑制剤を有機溶媒に溶解し、0.2μmサイズの気孔を有するポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)フィルタを通して濾過して、実施例2-1~2-25、および比較例2-1~2-6のフォトレジスト組成物を製造した。
【0146】
<<ベースポリマー>>
実施例2-1~2-25、および比較例2-1~2-6では、前記合成例1~4で製造したポリマー1~4のうちの1つを選択してベースポリマーとして使用した。
【0147】
<<光酸発生剤>>
実施例2-1~2-25、および比較例2-1~2-6では、次のような構造を有する化合物のうちの1つを選択して光酸発生剤(Photoacid generator、PAG)として使用した。
【化15】
【0148】
<<酸拡散抑制剤>>
実施例2-1~2-25では、前記実施例1-1~1-12で製造した塩化合物1~12を酸拡散抑制剤(Quencher)として使用した。比較例2-1~2-6では、比較例1-1~1-3に記載された塩化合物13~15を酸拡散抑制剤として使用した。
【0149】
<<有機溶媒>>
実施例2-1~2-25、および比較例2-1~2-6では、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、EL(エチルラクテート)、CyH(シクロヘキサノン)のうちの1つ以上を選択して有機溶媒として使用した。
【0150】
【表3】
【0151】
<実験例>
実験例1:レジストパターン形成実験
レジストパターン特性を分析するために、シリコンウエハにレジスト下部有機薄膜をコーティングして基板を製造し、前記基板上に、実施例2-1~2-20、および比較例2-1~2-6のフォトレジスト組成物をスピンコーティングしてレジスト薄膜を形成した。その後、ホットプレートを用いて100℃~130℃の温度で60秒間加熱(プリベーク(prebaking))し、(i)開口数(Numerical Aperture、N.A.)が0.33のASML NXE:3400EUV露光装置で露光させた後、100℃~130℃の温度で60秒間加熱(post exposure bake、PEB)した。このように加熱したウエハを、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Tetramethylammonium hydroxide、TMAH)水溶液で30秒間現像することによって、フィルム厚さ寸法40nm、ライン幅寸法20nmの1:1ラインおよびスペース(L/S:line/space)パターンを形成した。
【0152】
実験例2:レジストパターン特性評価
実験例1のパターン形成ウエハは、パターンサイズを測定するために、日立社(Hitachi High-Technologies Corp.)の走査電子顕微鏡(Critical Dimension Scanning Electron Microscope:CD-SEM、製品名:CG-5000)を用いてパターンサイズを測定して、感度、ラインエッジ粗さ(LER)、および工程マージン(ELおよびDOF)を次のように評価した。
【0153】
(1)感度評価
レジストライン幅20nmに対する同一サイズのスペース(ピーチ40nm)を有するレジストパターンが形成される最適露光量エネルギー、Eop(mJ/cm)のサイズを測定した。低い感度値を有しかつ、低いLER、工程マージン(EL、DOF)が大きいほど優れていると評価することができる。
【0154】
(2)LER評価(Line Edge Roughness、ラインエッジ粗さ)
最適露光量エネルギー(Eop)で形成された20nmのパターンでライン幅パターンの長手方向にラインエッジ粗さを200個の測定ポイントで測定した値に対する標準偏差(s)の3倍(3s)に対する平均値を算出した。LER値が低いほど優れていると評価することができる。
【0155】
(3)ELマージン評価(Exposure Latitude、露光余裕度、単位:%)
最適露光量エネルギー(Eop)で形成された20nmサイズのパターンでライン幅20nm±5%(19nm以上21nm以下)の範囲内で形成される時の露光エネルギー値を用いて、下記の計算式で計算した。ELマージン値が高いほど優れていると評価することができる。
ELマージン(%)=(|E-E|/Eop)×100
:ライン幅19nmパターン形成時の露光エネルギー値(mJ/cm
:ライン幅21nmパターン形成時の露光エネルギー値(mJ/cm
【0156】
(4)DOFマージン評価(Depth of focus、焦点深度、単位:nm)
前記最適露光量エネルギー(Eop)で焦点深度(DOF)に変化(±)による20nmパターンライン幅20nmの±1.5%(19.7nm以上20.3nm以下)の範囲以内に含まれる値を有する焦点深度の変化値で計算した。これに関する式は次の通りである。DOFマージン値が高いほど優れていると評価することができる。
DOFマージン(nm)=D+D
ここで、D:ライン幅±1.5%以内のパターンが形成された時+焦点深度値(nm)
:ライン幅±1.5%以内のパターンが形成された時-焦点深度値(nm)
上述したレジストパターン特性評価結果を下記表4に並べた。
【0157】
【表4】
【0158】
前記表4を参照すれば、実施例2-1~2-25によるフォトレジスト組成物を用いた場合、55mJ/cm以上74mJ/cm以下の感度、2.34nm以上2.84nm以下のLER、9.1%以上12.4%以下のELマージン、および80nm以上100nm以下のDOFマージンを示した。
【0159】
これに対し、比較例2-1~2-5のフォトレジスト組成物を用いた場合、79mJ/cm以上86mJ/cm以下の感度、3.25nm以上3.58nm以下のLER、9.3%以上11.9%以下のELマージン、および70nm以上80nm以下のDOFマージンを示して、実施例に比べて不良な物性を有することを確認することができ、特に、塩化合物14を用いた比較例2-6は、感度には優れているが、3.61nmのLER、60nmのDOFマージンで実施例と比較してより不良な物性を有することを確認することができた。
【国際調査報告】