(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】クロージャーシステムを有する履物具
(51)【国際特許分類】
A43C 11/00 20060101AFI20241226BHJP
A43B 5/00 20220101ALI20241226BHJP
A43B 11/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A43C11/00
A43B5/00
A43B11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535938
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 IB2022062550
(87)【国際公開番号】W WO2023119161
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジーギスムント,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】サスマン,ラインホルト
(72)【発明者】
【氏名】ジラード,ロメイン
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050AA02
4F050AA07
4F050AA11
4F050AA22
4F050BA01
4F050BA02
4F050BA53
4F050BC03
4F050BC07
4F050BC22
4F050HA18
4F050HA30
4F050HA53
4F050HA55
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA63
4F050HA70
4F050HA85
4F050JA01
4F050JA02
4F050JA04
4F050JA05
4F050JA06
4F050JA09
4F050JA13
4F050LA01
4F050MA01
4F050MA06
(57)【要約】
履物具のためのクロージャーシステムは、リールと、履物具のアッパーと動作可能に係合されるように構成されたコードとを含む。コードの第1のセグメントがリールに取り付けられ、リールは、コードの第1のセグメントを引っ張って履物具を締めることによって作動されるように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールと、
履物具のアッパーと動作可能に係合されるように構成されたコードと、
を含み、
前記コードの第1のセグメントは、前記リールに取り付けられ、
前記リールは、前記コードの前記第1のセグメントを引っ張って前記履物具を締め付けることによって作動されるように構成される、履物具のためのクロージャーシステム。
【請求項2】
前記コードは、前記リールと前記アッパーとの間に延在する第2のセグメントを有する、請求項1に記載のクロージャーシステム。
【請求項3】
前記コードの前記第1のセグメントは、前記リールから引き離され、
前記コードの前記第2のセグメントは、前記リールによって回収される、請求項2に記載のクロージャーシステム。
【請求項4】
前記コードの前記第2のセグメントは、前記コードの前記第1のセグメントとは異なる材料で形成される、請求項1に記載のクロージャーシステム。
【請求項5】
前記クロージャーシステムは、入力パラメータおよび出力パラメータを有する調整可能な巻き取り比を含み、
前記入力パラメータは、前記コードの前記第1のセグメントに関連付けられ、
前記出力パラメータは、前記コードの前記第2のセグメントに関連付けられる、請求項2に記載のクロージャーシステム。
【請求項6】
閉前記クロージャーシステムをロック解除するために、リリース機構が設けられている、請求項1に記載のクロージャーシステム。
【請求項7】
リングが前記コードの自由端に配置される、請求項1に記載のクロージャーシステム。
【請求項8】
外層およびベース層を有するアッパーに取り付けられたソールと、
クロージャーシステムと、
を含み、
前記クロージャーシステムは、
リールと、
第1のセグメントおよび第2のセグメントを有するコードと、
を含み、
前記第1のセグメントは、前記クロージャーシステムを作動させるように構成され、
前記第2のセグメントは、前記クロージャーシステムによって回収されるように構成され、
前記第1のセグメントは、前記リールによって前記第2のセグメントに動作可能に連結される、履物具。
【請求項9】
前記第2のセグメントが、前記アッパーの前記外層に動作可能に接続される、請求項8に記載の履物具。
【請求項10】
前記第2のセグメントが、前記アッパーの前記外層上に配置された複数のストラップを通して受容される、請求項8に記載の履物具。
【請求項11】
前記第2のセグメントが、前記履物具の内側に沿ってオフセットパターンで配置された複数のストラップによって形成された巻き経路に沿って、前記ソールおよび前記アッパーの前記外層に取り付けられる、請求項8に記載の履物具。
【請求項12】
前記アッパーの前記外層は、前記クロージャーシステムが作動されたときに、前記アッパーの前記ベース層に対して移動するように構成される、請求項8に記載の履物具。
【請求項13】
前記アッパーの前記外層が、第1の端部で前記ソールに取り付けられ、前記アッパーの前記ベース層の一部分の周りに巻き付けられ、
前記第2のセグメントが、前記外層の第2の端部に取り付けられ、前記第2の端部および前記第1の端部が、前記履物具の両側に配置される、請求項8に記載の履物具。
【請求項14】
リールと、
コードと、
前記コードによって前記リールに動作可能に連結されたラップと、
を含み、
前記ラップは、前記履物具を締め付けるために前記リールに動作可能に連結される、履物具のためのクロージャーシステム。
【請求項15】
前記リールが、前記履物具のアッパーに配置される、請求項14に記載のクロージャーシステム。
【請求項16】
前記コードが、前記ラップによって少なくとも部分的に隠される、請求項14に記載のクロージャーシステム。
【請求項17】
前記コードが、前記履物具を締め付けるために前記ラップに締め付け力を加えるように構成される、請求項14に記載のクロージャーシステム。
【請求項18】
前記コードが、前記履物具を締め付けるために前記クロージャーシステムを作動させるように引っ張られるように構成された第1のセグメントを含む、請求項14に記載のクロージャーシステム。
【請求項19】
前記コードの前記第1のセグメントは、複数の方向に前記リールから引き離されるように構成され、
第1の方向は、前記クロージャーシステムの第1の機能に関連付けられ、
第2の方向は、前記クロージャーシステムの第2の機能に関連付けられ、
前記第1の方向は、前記第2の方向とは異なり、前記第1の機能は、前記第2の機能とは異なる、請求項18に記載のクロージャーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、ひも締めシステムまたはクロージャーシステムを含む履物具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの従来の靴または他の履物具は、一般的に、アッパーと、アッパーの下端に取り付けられたソールとを備える。従来の靴は、靴を足に固定する前にユーザの足を受け入れる内部空間、すなわち、アッパーおよびソールの内部表面によって形成される空隙または空洞をさらに含む。ソールは、アッパーの下面または境界に取り付けられ、アッパーと地面との間に配置される。結果として、ソールは、典型的には、靴が着用されているときに、安定性およびクッション性をユーザに提供する。いくつかの事例では、ソールは、アウトソール、ミッドソール、および頂部などの複数の構成要素を含み得る。アウトソールは、ソールの底面に牽引力を提供することができ、ミッドソールは、アウトソールの内面に取り付けることができ、ソールにクッション性及び/又は追加の安定性を提供することができる。例えば、ソールは、ソールに沿った1つ以上の所望の位置での安定性を増加させ得る特定の発泡材料、またはユーザが走っている、歩いている、または別の活動に従事しているときに足もしくは脚への応力または衝撃エネルギーを減少させ得る発泡材料を含んでもよい。ソールはまた、ソールの全体的な剛性を増加させ、使用中のエネルギー損失を低減するために、ソールに埋め込まれたプレートなどの追加の構成要素を含んでもよい。
【0003】
アッパーは、一般的に、ソールから上方に延び、足を完全にまたは部分的に包む内部空洞を画定する。ほとんどの場合、アッパーは、足の甲およびつま先領域にわたって、ならびにその内側および外側を横切って延在する。多くの履物具はまた、インステップ領域を横切って延在し、空洞内への開口部を画定する、アッパーの内側および外側の縁部間の間隙を架橋するシュータンを含んでもよい。シュータンはまた、靴の締め付けの調整を可能にするために、レーシングシステムの下、およびアッパーの内側と外側との間に配置されてもよい。シュータンはさらに、内部空間または空洞からの足の進入または退出を可能にするために、ユーザによって動作可能であってもよい。加えて、レーシングシステムは、ユーザがアッパーまたはソールの特定の寸法を調整することを可能にし、それによって、アッパーが、様々なサイズおよび形状を有する多種多様なフットタイプを収容することを可能にし得る。
【0004】
多くのシューズのアッパーは、アッパーを形成するために利用することができ、シューズの1つ以上の意図された用途に基づいて使用するために選択することができる多種多様な材料を含むことができる。アッパーはまた、アッパーの特定の領域に特有の様々な材料を含む部分を含んでもよい。例えば、より高い程度の抵抗または剛性を提供するために、追加の安定性が、アッパーの前部または踵領域の隣で望ましい場合がある。対照的に、靴の他の部分は、耐延伸性、可撓性、通気性、または吸湿性を有する領域を提供するために、柔らかい織布を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多くの場合、改善されたクロージャー機構と共に、向上した快適性およびより良好なフィット感を有するアッパーを有する履物具が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載の履物具は、様々な構成を有することができる。履物具は、アッパーと、アッパーに接続されたソール構造とを有してもよい。
【0007】
いくつかの態様では、履物具のためのクロージャーシステムは、リールと、履物具のアッパーと動作可能に係合されるように構成されたコードとを含む。コードの第1のセグメントがリールに取り付けられ、リールは、コードの第1のセグメントを引っ張って履物具を締めることによって作動されるように構成される。
【0008】
別の態様では、履物具は、外層およびベース層を有するアッパーに取り付けられたソールを含む。さらに、履物具は、リールとコードとを有するクロージャーシステムを含む。コードは、第1のセグメントおよび第2のセグメントを有し、第1のセグメントは、クロージャーシステムを作動させるように構成される。コードの第2のセグメントは、クロージャーシステムによって回収されるように構成され、コードの第1のセグメントは、リールによってコードの第2のセグメントに動作可能に連結される。
【0009】
さらに別の態様では、履物具のためのクロージャーシステムは、リールと、コードと、コードによってリールに動作可能に連結されたラップとを含む。ラップは、履物具を締め付けるためにリールに動作可能に連結される。
【0010】
その特徴および利点を含む、履物具の他の態様は、図面および本明細書の詳細な説明を検討すると、当業者には明らかになるであろう。したがって、履物具のそのような態様はすべて、詳細な説明およびこの概要に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態による、アッパーおよびソール構造を含む右靴として構成された履物具の底部および内側の斜視図である。
【
図3】
図1の履物具の上面図であり、アッパーが取り除かれ、ユーザの骨格足構造がその上に重ねられている図である。
【
図4】本開示の実施形態による、左靴として構成された履物具の側面および踵側面の斜視図の概略図である。
【
図5】
図4の履物具の内側の側面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明および添付の図面は、靴およびソール構造の様々な実施形態または構成を開示する。靴またはソール構造の実施形態は、ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどのスポーツシューズに関して開示されるが、靴またはソール構造の実施形態に関連する概念は、例えば、クロストレーニングシューズ、フットボールシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキーおよびスノーボードブーツ、サッカーシューズおよびクリート、ウォーキングシューズ、ならびにトラッククリートを含む、広範囲の履物具および履物具スタイルに適用され得る。靴またはソール構造の概念はまた、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、およびヒールを含む、非運動用であると考えられる履物具に適用されてもよい。履物具に加えて、本明細書に記載される特定の概念はまた、ヘルメット、パッドもしくは保護パッド、脛ガード、および手袋を含む、他のタイプの衣服または他の運動器具に適用され、組み込まれてもよい。さらに、本明細書に記載される特定の概念は、クッション、バックパックストラップ、ゴルフクラブ、または他の消費者製品もしくは工業製品に組み込まれてもよい。したがって、本明細書で説明される概念は、様々な製品において利用され得る。
【0013】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、本明細書の開示の実施形態を含み得る、履物具または他の製品のために使用される典型的な測定および製造手順、これらの手順における不注意な誤り、組成物または混合物を作製するために使用される成分の製造、供給源、または純度の差異、および同等物を介して生じ得る数値量の変動を指す。本開示を通して、「約」および「およそ」という用語は、その用語が先行する数値の±5%の値の範囲を指す。
【0014】
本開示は、アッパーおよび/またはソールまたはソール構造などの履物具および/または履物具の特定の構成要素を対象とする。アッパーは、ニット構成要素、織布、および/または不織布を含んでもよい。ニット構成要素は、糸の編み物、糸の製織による織布、および単一の不織ウェブの製造による不織布によって作製されてもよい。ニット織物は、縦編み、横編み、平編み、丸編み、および/または他の適切な編み作業によって形成される織物を含む。ニット織物は、例えば、プレーンニット構造、メッシュニット構造、および/またはリブニット構造を有してもよい。織布としては、限定されるものではないが、例えば、平織り、綾織り、サテン織り、ドビン織り、ジャカード織り、二重織り、および/または二重布織りなどの多数の織り形態のいずれかによって形成された織物が挙げられる。不織布としては、例えば、エアレイド法および/またはスパンレイド法によって製造された布地が挙げられる。アッパーは、様々な特性または様々な視覚特性を有し得る、第1の糸、第2の糸、および/または第3の糸などの様々な材料を備え得る。
【0015】
図1~
図3は、アッパー102およびソール構造104を含む履物具100の例示的な実施形態を示す。アッパー102は、ソール構造104に取り付けられ、足が挿入され得る内部空洞106(
図2および
図3参照)を一緒に画定する。参考のために、履物具100は、前足領域108、中足領域110、および踵領域112を画定する(
図2および
図3参照)。前足領域108は、一般的に、足指、母指球、および中足骨を足指または指骨に接続する関節を含む、足の部分を包む履物具100の部分に対応する。中足領域110は、前足領域108に近接して隣接し、一般的に、足のブリッジとともに、足のアーチを包む履物具100の部分に対応する。踵領域112は、中足領域110に近接して隣接し、一般的に、踵または踵骨、足首、および/またはアキレス腱を含む、足の後部を包む履物具100の部分に対応する。
【0016】
多くの従来の履物具のアッパーは、複数の要素、例えば、織物、ポリマー発泡体、ポリマーシート、皮革、および合成皮革から形成され、これらは、継ぎ目での接着又は縫合によって接合される。いくつかの実施形態では、履物具100のアッパー102は、ニット構造またはニット構成要素から形成される。様々な実施形態では、ニット構成要素は、アッパーに異なる特性を提供することができる様々なタイプの糸を組み込むことができる。例えば、アッパー102の1つの領域は、第1のセットの特性を付与する第1のタイプの糸から形成されてもよく、アッパー102の別の領域は、第2のセットの特性を付与する第2のタイプの糸から形成されてもよい。この構成を使用して、アッパー102の特性は、アッパー102の異なる領域に対して特定のヤーンを選択することによって、アッパー102全体にわたって変化し得る。
【0017】
アッパー102を構成する材料に関して、特定のタイプの糸がニット構成要素の領域に与える特定の特性は、糸の様々なフィラメントおよび繊維を形成する材料に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、綿は、編物材料に柔らかい効果、生分解性、または自然な美観を提供することができる。エラスタンおよび延伸ポリエステルは、それぞれ、所望の弾性および回復を有するニット構成要素を提供することができる。レーヨンは、高い光沢および吸湿性材料を提供し得、ウールは、増加した吸湿性を有する材料を提供し得、ナイロンは、耐摩耗性である耐久性材料であり得、ポリエステルは、疎水性で耐久性のある材料を提供し得る。
【0018】
ニット構成要素の他の態様もまた、ニット構成要素の特性に影響を及ぼし、所望の属性を提供するように変更され得る。例えば、ニット構成要素を形成する糸は、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸を含むことができ、または糸は、それぞれ2つ以上の異なる材料から形成されるフィラメントを含むことができる。加えて、ニット構成要素は、特定の特性を有するニット構成要素の領域を付与するために、特定の編みプロセスを使用して形成され得る。したがって、糸を形成する材料および糸の他の態様の両方は、アッパー102の特定の領域に様々な特性を付与するように選択され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、ニット構造体の弾性は、ニット構造体が外側にニット構造体に加えられる力を有した後の、第1の非延伸状態におけるニット構造体の幅または長さを、第2の延伸状態におけるニット構造体の幅または長さと比較することに基づいて測定され得る。さらなる実施形態では、アッパー102はまた、追加の構造要素を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ヒールプレートまたはカバー(図示せず)を踵領域112上に設けて、ユーザの踵に追加の支持を提供することができる。いくつかの例では、他の要素、例えば、プラスチック材料、ロゴ、商標などもまた、接着剤または熱成形プロセスを使用して外面に適用され、固定されてもよい。いくつかの実施形態では、アッパー102に関連する特性、例えば、ステッチの種類、糸の種類、または異なるステッチの種類もしくは糸の種類に関連する特性、例えば、弾性、審美的外観、厚さ、通気性、または耐擦り傷性を変えることができる。
【0020】
再び
図1を参照すると、ソール構造104は、アッパー102に接続または固定され、履物具100がユーザによって着用されるときに、ユーザの足と地面との間に延在する。ソール構造104は、アウトソール、ミッドソール、ヒール、バンプ、および/またはインソールを含むことができる1つまたは複数の構成要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ソール構造は、ソール構造に構造的完全性を提供するアウトソールと、ユーザに牽引力を提供するアウトソールと、クッションシステムを提供するミッドソールと、ユーザのアーチを支持するインソールとを含むことができる。また、インソールは、ストロベルボード、フォアフットボード、ラスティングボードなど、またはそれらの組み合わせであってもよく、インソールは、アッパー102とソール構造104との間に設けられてもよく、またはインソールは、アッパー102の一部として設けられてもよい。
【0021】
さらに、インソールは、アッパー102の内部空洞106内に配置することができ、これは、履物具100が着用されている間、ユーザの足と直接接触することができる。さらに、アッパー102はまた、例えば、ユーザの足とアッパー102、ソール104、インソールなどとの間の摩擦を低減することによって、および/または水分吸い上げ特性を提供することによって、快適性を高めることができるライナー(図示せず)を含んでもよい。ライナーは、内部空洞106の全体またはその一部分のみを裏ばりしてもよい。いくつかの実施形態では、バインディング(図示せず)は、ライナーをアッパー102に固定するため、および/または履物具100上に審美的要素を提供するために、内部空洞106の開口部を囲んでもよい。
【0022】
図2および
図3を参照すると、履物具100はまた、外側116および内側118を画定する。ユーザが靴を履いているとき、外側116は履物具100の外側に面する部分に対応し、内側118は履物具100の内側に面する部分に対応する。したがって、履物具100は、対向する外側116および内側118を有する。内側118および外側116は、
図1の長手方向軸Lと同一平面上にある履物具100の長手方向中心平面または軸120に沿って互いに隣接する。本明細書でさらに論じるように、長手方向中心平面または軸120は、履物具100の内側118と外側116との間の中心中間軸を画定することができる。言い換えると、長手方向平面または軸120は、履物具100の後部近位端122と履物具100の前部遠位端124との間に延在してもよく、履物具100のインソール126、ソール構造104、および/またはアッパー102の中央を連続的に画定してもよく、すなわち、長手方向平面または軸120は、踵領域112の後部近位端122を通って前足領域108の前部遠位端124まで延在する直線軸である。
【0023】
特に明記しない限り、
図2および
図3を参照すると、履物具100は、前足領域108、中足領域110、および踵領域112によって画定され得る。前足領域108は、一般的に、足指または指骨130、母指球132、および足128の中足骨136を足指または指骨130に接続する関節134のうちの1つまたは複数を含む足128の部分を包む履物具100の部分に対応し得る。中足領域110は、前足領域108に近接し、隣接する。中足領域110は、一般的に、足128のブリッジと共に、足128のアーチを包む履物具100の部分に対応する。踵領域112は、中足領域110に近接し、中足領域110に隣接する。踵領域112は、概して、踵または踵骨138、足首(図示せず)、および/またはアキレス腱(図示せず)を含む、足128の後部を包む履物具100の部分に対応する。
【0024】
さらに
図2および
図3を参照すると、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側118、および外側116は、履物具100の境界または領域を画定することが意図される。そのために、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側118、および外側116は、一般的に、履物具100のセクションを特徴付ける。本開示のいくつかの態様は、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側118、および/または外側116のうちの1つまたは複数と同一の広がりを有する部分または要素を指し得る。さらに、アッパー102およびソール構造104の両方は、前足領域108、中足領域110、踵領域112、ならびに/または内側118および/もしくは外側116に沿った部分を有するものとして特徴付けられ得る。したがって、アッパー102およびソール構造104、ならびに/またはアッパー102およびソール構造104の個々の部分は、前足領域108、中足領域110、踵領域112、ならびに/または内側118および/もしくは外側116に沿って配置されるその部分を含むことができる。
【0025】
さらに
図2および
図3を参照すると、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側118、および外側116が詳細に示されている。前足部領域108は、履物具100のつま先端部140から最も広い部分142まで延在する。最も広い部分142は、つま先端部140の遠位部分からつま先端部140とは反対側の踵端部146の遠位部分まで延在する長手方向軸120に対して垂直である第1の線144に沿って画定または測定される。中足領域110は、履物具100の最も広い部分142から最も薄い部分148まで延在する。履物具100の最も薄い部分148は、長手方向軸120に対して垂直な第2の線150にわたって測定された履物具100の最も薄い部分として定義される。踵領域112は、履物具100の最も薄い部分148から踵端部146まで延在する。
【0026】
前述の説明を考慮すると、当業者には数多くの変形例が明らかであり、その個々の構成要素は、数多くの履物具に組み込まれ得ることを理解されたい。したがって、履物具100およびその構成要素の態様は、本明細書に記載されるように、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側118、および/または外側116の境界を理解しながら、履物具100の一般的な領域または部分を参照して説明され得る。しかしながら、履物具100およびその個々の構成要素の態様はまた、履物具100の正確な領域または部分を参照して説明されてもよく、本明細書の添付の特許請求の範囲の範囲は、本明細書で論じられる前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側118、および/または外側116のこれらの境界に関連する制限を組み込んでもよい。
【0027】
さらに
図2および
図3を参照すると、内側118は、遠位つま先端140から始まり、履物具100の内側に沿って前足領域108に沿って中足領域110に向かって外側に湾曲する。内側118は、第1の線144に達し、その点で、内側118は、中心の長手方向軸120に向かって内側に曲がる。内側118は、第1の線144、すなわち、最も広い部分142から、第2の線150、すなわち、最も薄い部分148に向かって延在し、その点で、内側118は、中足領域110に入り、すなわち、第1の線144を横断する。第2の線150に達すると、内側118は、長手方向の中心軸120から離れるように外側に湾曲し、その点で、内側118は、踵領域112内に延在し、すなわち、第2の線150を横断する。次いで、内側118は、外側に曲がり、次いで踵端部146に向かって内側に曲がり、内側118が長手方向中心軸120と交わる点で終端する。
【0028】
外側116はまた、遠位つま先端140から始まり、履物具100の外側に沿って前足領域108に沿って中足領域110に向かって外側に湾曲する。外側116は、第1の線144に達し、その点で、外側116は、長手方向の中心軸120に向かって内側に曲がる。外側116は、第1の線144、すなわち最も広い部分142から第2の線150、すなわち最も薄い部分148に向かって延び、その時点で、外側116は、中足領域110に入り、すなわち、第1の線144を横断する。一旦第2の線150に達すると、外側116は、縦方向の中心軸120から離れるように外側に湾曲し、その点で、外側116は、踵領域112内に延在し、すなわち、第2の線150を横断する。外側116は、次いで、外側に曲がり、次いで、踵端部146に向かって内側に曲がり、外側116が長手方向中心軸120と交わる点で終端する。
【0029】
さらに
図2および
図3を参照すると、アッパー102は、外側116および内側118に沿って、前足領域108、中足領域110、および踵領域112を横切って延在し、ユーザの足を収容し、包囲する。完全に組み立てられると、アッパー102はまた、内面162および外面164を含む。内面162は、内側に面し、概して内部空洞106を画定し、アッパー102の外面164は、外側に面し、概してアッパー102の外周または境界を画定する。アッパー102はまた、履物具100の踵領域112に少なくとも部分的に位置する開口部166を含み、これは、内部空洞106へのアクセスを提供し、そこを通して足を挿入および取り出すことができる。いくつかの実施形態では、アッパー102はまた、踵領域112の開口部166から、足の甲に対応する領域にわたって、前足領域108に近接する領域まで延在するインステップ領域168を含んでもよい。インステップ領域168は、本実施形態のシュータン170が配置される領域と同様の領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アッパー102は、シュータン170を含まず、すなわち、アッパー102は、シュータンがない。
【0030】
図示の実施形態では、ソール構造104は、ミッドソール172およびアウトソール174を含む。アウトソール174は、踵領域112、中足領域110、および前足領域108を横切るソール構造104の底端または底面176を画定してもよい。さらに、アウトソール174は、ソール構造104の地面係合部分であってもよいし、または地面係合表面を含んでもよく、ソール構造104のインソールの反対側であってもよい。
図1に示すように、アウトソール174の底面176は、様々な形状および構成を含むことができるトレッドパターン178を含むことができる。アウトソール174は、ソール構造104に耐久性、耐摩耗性、摩擦抵抗、または牽引力を付与するために、1つ以上の材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、アウトソール174は、任意の種類のエラストマー材料、例えば、熱硬化性エラストマーもしくは熱可塑性エラストマーを含むゴム、または熱可塑性材料、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成され得る。いくつかの実施形態では、アウトソール174は、95までのショアA硬度を画定してもよい。さらに、アウトソール174は、射出成形、加硫、層ごとの印刷、すなわち、アディティブ製造システムまたは方法などを含むプロセスによって製造されてもよい。
【0031】
さらに
図1を参照すると、ミッドソール172は、例えばポリウレタン(PU)などの熱可塑性材料、および/またはエチレン-酢酸ビニル(EVA)、それらのコポリマー、または類似のタイプの材料から個々に構築され得る。他の実施形態では、ミッドソール172は、EVA-Solid-Sponge(「ESS」)材料、EVA発泡体(例えば、PUMA(登録商標)ProFoam Lite
TM、IGNITE発泡体)、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、有機シート、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン)、または超臨界泡。ミッドソール172は、単一のポリマー材料であってもよく、またはEVAコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)コポリマー、および/またはオレフィンブロックコポリマーなどの材料のブレンドであってもよい。PEBA材料の一例は、PEBAX(登録商標)である。いくつかの実施形態では、ミッドソール172は、射出成形、加硫、層ごとの印刷、すなわち、アディティブ製造システムまたは方法などを含むプロセスによって製造される。
【0032】
ミッドソール172が超臨界発泡プロセスから形成される実施形態では、超臨界発泡体は、オートクレーブ、射出成形機、または超臨界流体(例えば、CO2、N2、またはそれらの混合物)と、好ましくは溶融している材料(例えば、TPU、EVA、ポリオレフィンエラストマー、またはそれらの混合物)との混合を処理することができる任意の十分に加熱/加圧された容器内で実施されるプロセスを使用して製造される、TPU、EVA、PEBAX(登録商標)、またはそれらの混合物などの微細孔発泡体または粒子発泡体を含み得る。1つの例示的なプロセスでは、超臨界流体および溶融材料の溶液は、加圧容器内にポンプで送り込まれ、その後、容器内の圧力が解放され、その結果、超臨界流体の分子は、ガスに急速に変換して、材料内に小さなポケットを形成し、材料を発泡体に膨張させる。さらなる実施形態では、ミッドソール172は、膨張プレス、射出成形機、ペレット膨張プロセス、冷間発泡プロセス、圧縮成形技術、ダイカット、またはそれらの任意の組合せの使用を含む、当技術分野で公知の代替方法を使用して形成され得る。例えば、ミッドソール172は、材料を発泡させるために超臨界ガスが使用され、次いで、特定の形状に圧縮成形またはダイカットされる初期発泡ステップを含むプロセスを使用して形成され得る。
【0033】
図4は、ユーザの足の周りで履物具200を締め付けおよび/または緩めるためにコード212と動作可能に係合されるリール208の形態のクロージャー機構を含む締結システムまたはクロージャーシステム204を有する履物具200の概略図を示す。図示の実施形態では、リール208は、他の構成も可能であるが、履物具200のアッパー102に、外側116上で、中足領域110および/または踵領域112内に取り付けられる。コード212は、ユーザによってリール208から引き離されてクロージャーシステム204を作動させるように構成された第1のセグメント216を含む。図示の実施形態では、コード212の第1のセグメント216は、ユーザの指228を挿入して、コード212をリール208から離す操作、例えば、引っ張ることを容易にすることができるリング224を有する自由端220を含む。さらに、コード212の第2のセグメント232は、リール208とアッパー102および/またはソール104との間に延在する。第2のセグメント232は、リール208と動作可能に係合され、さらに、リール208をアッパー102および/またはソール104に接続して、ユーザの足の周りで履物具200を締めるための張力をその上に伝達する。特に、クロージャーシステム204が作動して履物具200を締め付けると、リール208は、回転軸Rを中心に回転することによってコード212の第2のセグメント232に作用し、これにより、コード212の第2のセグメント232の一部分がリール208によって回収される。コード212の第2のセグメント232がアッパー102および/またはソール104に連結されるので、リール208の回転によって生じる張力がアッパー102および/またはソール104に伝達される。
【0034】
コード212の第1のセグメント216および第2のセグメント232は、リール208によって動作可能に連結される別々の、別個のコードとして提供されてもよいことが企図される。いくつかの実施形態では、第1のセグメント216は、リール208の第1の開口部236から延在し、第2のセグメント232は、リール208の第2の開口部240から延在する。第1の開口部236および第2の開口部240は、例えば、リール208を通って中心に延びる回転軸Rの周りに互いに180度離れて配置されるなど、互いに半径方向に離間している。しかしながら、他の実施形態では、第1の開口部236および第2の開口部は、互いに放射状に離間してもよい。いくつかの実施形態では、コード212の第1のセグメント216および第2のセグメント232は、同じコード212の一部として一体的に形成される。例えば、コード212は、第1のセグメント216がリール208から引き離されるときに、リール208が回転軸Rを中心に反時計回り方向に回転し、それによって履物具200を締め付けるように、リール208の一部分の周りに巻き付けられ得る。さらに、コード212は、例えば、弾性材料もしくは熱可塑性材料、織布もしくは不織布もしくは繊維材料、またはそれらの何らかの組合せなど、様々な弾性材料および可撓性材料から形成され得る。コード212の第1のセグメント216および第2のセグメント232は、異なる材料で形成され得ることが企図される。さらに、コード212は、様々な厚さまたは直径、断面形状、およびそれらの組み合わせを備えることができることが企図される。
【0035】
図4に示されるように、コード212の第1のセグメント216は、ユーザの足の周りで履物具200を締め付けるおよび/または緩めるためにクロージャーシステム204を作動させるために、リール208から引き離されてもよい。参照のために、仮想的な座標系には、3つの軸X、Y、Zが設けられ、これらの軸は、それぞれ互いに直交して配置され、対向する方向、例えば、正(+)および負(-)で示される方向を画定する。図示の実施形態では、コード212の第1のセグメント216は、+Z方向にリール208から外向きに引っ張られ、これは、前方またはつま先方向と考えることができる。ユーザがコード212のリング224および/または第1のセグメント216を解放すると、リターン機構(図示せず)が、コード212の第1のセグメント216を-Z方向にリール208に向かって自動的に後退させることが企図され、これは、後方または踵方向と考えることができる。さらに、リール208は、アッパー102の外側116に配置されているように図示されているので、コード212の第1のセグメント216は、例えば、前方+Z方向および外側-X方向など、座標系によって示される方向のいくつかの組合せでリール208から外側に引っ張ることができることが企図される。結果として、コード212の第1のセグメント216は、内側+Xおよび踵方向-Zにリール208に向かって自動的に後退させることができる。その目的のために、コード212の第1のセグメントは、リール208から離れる1つまたは複数の方向に引かれ、クロージャーシステム204の締め付け機能および/または緩め機能を作動させる。
【0036】
いくつかの実施形態では、リール208は、様々な機能を提供するために様々な方法で作動され得る。一つの態様では、リール208は、コード212の第1のセグメント216を特定の方向に引っ張ることが、特定の出力を達成するためにリール208の特定の機能を作動させるように構成され得る。例えば、コード212の第1のセグメント216が主に前方+Z方向に引っ張られると、リール208は、コード212の第2のセグメント232を回収して履物具200を締め付け、次いで、コード212の第1のセグメント216が主に上方+Y方向に引っ張られると、リール208がロック解除されて、コード212の第2のセグメント232が解放され、緩められるようになり、それによって履物具200を緩めることができる。追加的または代替的に、コード212の第1のセグメント216を外側-X方向または内側+X方向に引っ張ることは、リール208の締め付けまたは緩め出力を調整することができ、それにより、コード212の第2のセグメント232を回収または解放するためのリール208のその後の作動は、コード212の第1のセグメント216をリール208からより大きいまたはより小さい距離で引っ張ることによって、または異なる方向に引っ張ることによって、または異なる締め付け境界もしくは緩め境界、すなわち、ユーザの好みに応じて調整された締め付け閾値を与えることによって、達成することができる。このようにして、コード212の第1のセグメント216は、複数の機能に関連付けることができる複数の方向にリール208から引き離されるように構成される。そのために、方向-Z、+Z、-X、+X、-Y、および+Yのいずれかは、第1の機能に関連する第1の方向、例えば、締め付けまたは緩めまたは解放または調整とみなすことができ、残りの方向-Z、+Z、-X、+X、-Y、および+Yのいずれかは、第1の機能とは異なる第2の機能に関連する第2の方向とみなすことができる。
【0037】
さらに、クロージャーシステム204は、履物具200の締め付けおよび/または緩めをロック解除または調節するために押すことができるボタン(図示せず)を備えることができることが企図される。例えば、一旦、リール208が、履物具200を締めるように作動されると、ユーザは、リール208と一体に、またはリール208の近くの上部102に配置され得るボタン(図示せず)を押して、クロージャーシステム204が、コード212の第2のセグメント232によって伝達される締め付け力をロック解除および/または解放し、それによって、ユーザが履物具200を緩めることができるようにすることができる。いくつかの実施形態では、ボタン(図示せず)は、踵領域112内のアッパー102上に配置された一対のボタン(図示せず)として提供されてもよく、一方は外側116上に配置され、他方は内側118上に配置される。多くの場合、ユーザは、履物具200をユーザの足から取り外すときにアッパー102の踵領域112を握る自然な傾向を有し、その結果、親指および人差し指は、履物具200の対向する側部、すなわち、外側および内側に配置されて、履物具200から足を圧迫し引っ張る。この自然な傾向を利用して、一対のボタン(図示せず)は、クロージャーシステム204の人間工学に基づいた直観的な解放を提供するように、そのような領域に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、一対のボタン(図示せず)は、一対のボタン(図示せず)の一方のみを押すことがクロージャーシステム204を解放するのに十分ではないように、同時に作動されることが必要とされ得る。
【0038】
別の態様では、クロージャーシステム204は、コード212の第1のセグメント216をリール208から所定の距離だけ離すことによって、ロック解除および/または解放され得る。例えば、リール208は、コード212の第1のセグメント216をリール208から第1の距離だけ引き離すことによって作動されてもよく、その後、クロージャーシステム204のロック解除および/または解放は、コード212の第1のセグメント216をリール208から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ引き離すことによって達成されてもよい。このようにして、履物具200を締め付けて緩めるためのクロージャーシステム204の作動は、例えば、子供など特定の年齢のユーザ、または器用さが限られているユーザ、または運動の範囲および/または柔軟性が限られているユーザなど特に適し得る、反復的で馴染みのある運動によって達成することができる。
【0039】
加えて、クロージャーシステム204は、履物具200を締めたり緩めたりすることができるパラメータを選択的に調整するためのいくつかの調整機能を備えることができることが企図される。例えば、クロージャーシステム204は、リール208内に収容された可変比ギアシステム、例えば、内部ギアおよび/またはラチェット構成要素(図示せず)を有するように構成され得、クロージャーシステム204は、調節可能な巻き比WRを提供する。回転運動学の周知の原理、すなわち、固定軸の周りの剛体の半径方向および線形変位を説明する機械的原理を適用すると、リール208の巻き比WRは、履物具200の締め付けおよび/または緩みに影響を与えるための入力パラメータと出力パラメータとの間の比率として理解され得ることが理解されよう。1つの特定の態様では、入力パラメータは、コード212の第1のセグメント216がリール208から引き離される距離、すなわち長さであり、出力パラメータは、コード212の第2のセグメント232がリール208の中に、またはそれに向かって引っ張られる距離、すなわち長さである。そのために、リール208は、第1のセグメント216がリール208から引き離される距離がリール208によって取り出される第2のセグメント232の長さに等しいように、1:1の巻き比に設定されてもよい。
【0040】
さらに、巻き比WRは、増加または減少するように調整されてもよく、巻き比WRの増加は、第1のセグメント216が引かれる距離が、リール208によって回収されるコード212の第2のセグメント232の長さよりも短いことを意味する。いくつかの実施形態では、巻き比WRは、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、またはそれ以上の範囲であってもよい。コード212の第1のセグメント216を引っ張ることは、ユーザがエネルギーを加えることを必要とするので、巻き比WRを増加させることは、履物具200を締めるために必要とされるエネルギーの量を減少させる。同様に、巻き比WRは、履物具200の締め付けのより細かい調節を可能にするために、下方に調節されるか、または減少され得る。例えば、第1のセグメント216がリールから引き離される距離は、第2のセグメント232がリール208によって回収される長さよりも長く、ユーザによる注意深い微妙な動きを必要とすることなく、より小さい調整を可能にする。
【0041】
巻き比WRは、コード212の第1のセグメント216を特定の方向に引っ張ることによって調整されてもよいことがさらに企図される。例えば、巻き比WRを1:1から2:1に漸増的に増加させることができる、または、例えば、リール208は、上述のように、ユーザによって解放された後、コード212の第1のセグメント216を自動的に後退させるように構成されることができる。さらに、リール208は、特定の範囲内で、コード212、ひいては履物具200の第2のセグメント232に一定の締め付け力または圧力を与えるように調整される自動調整機能を備えることができる。例えば、履物具200の締め付けを維持するために、リール208は、特定の半径方向位置に設定され、コード212の第2のセグメント232の短縮された距離に応じた位置にロックされるのではなく、リール208は、代わりに、ユーザによって所望されるように、締め付け設定点を維持するためにコード212の第2のセグメント232と動作可能に係合される付勢部材(図示せず)を有してもよい。このようにして、ユーザは、所定の設定点の範囲から締め付け設定点を選択することができ、この締め付け設定点は、所定の帯域または範囲内の偏差を可能にしながら、締め付け設定点を維持するための付勢部材(図示せず)の調整と組み合わせて、コード212の第2のセグメント232の距離によって部分的に影響され得る。このようにして、リール208は、ユーザが履物具200の締め付けの範囲を選択するためのダイヤルとして働くことができる。
【0042】
上述のように、クロージャーシステム204のリール208は、履物具200の締め付けおよび緩めを達成するために内部構成要素(図示せず)を組み込むことができる。そのような内部構成要素は、例えば、他の適切な構成要素の中でも、ディスクまたはギア、シャフトまたはスプール、バネまたは磁気要素または弾性部材などの付勢機構、ラチェットまたはラック、ファスナ、およびボタンを含み得る。いくつかの実施形態では、リール208は、内部構成要素(図示せず)を露出させるために、半透明または透明のハウジングを備えることができる。他の実施形態では、リール208は、不透明構造によって隠され、アッパー102および/またはソール104内に埋め込まれてもよい。さらに、リール208は、円筒形状のハウジング内の集中構成要素として構成され得るか、またはリール208は、履物具200の様々な領域またはセクション間で分散され得ることが企図される。
【0043】
図5を参照すると、コード212は、巻取り領域252内でアッパー102およびソール104と係合される。図示の実施形態では、コードの第2のセグメント232は、リール208から踵領域112の外側116に沿って踵方向に延び、踵端部146の上部102の形状を模倣する湾曲した形で踵端部146を横断し、内側118に向かって、履物具200の内側118に沿って延びる巻取り領域252内に延びるが、他の構成も可能である。巻取り領域252内で、コード212は、アッパー102およびソール104に沿って取り付けられた複数のストラップ256と係合する。特に、アッパー102は、履物具200の外側116に配置された第1の端部264から履物具200の内側118に配置された第2の端部268まで延びる外側層またはラップ260を含む(
図4および
図5参照)。
図4および
図5の図示の実施形態では、ラップ260の第1の端部264は、アッパー102およびソール104に直接取り付けられるが、他の構成も可能である。さらに、ラップ260の第2の端部268は、コード212の第2のセグメント232によってアッパー102およびソール104に取り付けられる。さらに、コード212の第2のセグメント232は、ラップ260をリール208に動作可能に連結して、履物具200を締め付ける。このように、ラップ260は、クロージャーシステム204の一部である。そのために、ラップ260は、タブ270の形態のリリース機構を含むことができ、タブは、締め付けられていないとき、ラップ260の締め付け力を緩めて履物具200を緩めることができる。加えて、複数のフラップ272が、湾曲した指状部分の形態でラップ260の第2の端部268から延びるが、他の構成も可能である。図示の実施形態では、ラップ260は、
図5に示すように、アッパー102のベース層276の上に沿って延在する。さらに、ラップ260の第1の端部264は、履物具200の外側116に沿ってソール104に接触し、ラップ260の第2の端部268は、履物具200の内側118に沿ってソール104から離間している。タブ270は、閉じた位置(
図4参照)でアッパー102のベース層276に締め付けられ、ラップ260によってユーザの足に加えられる締め付け力および圧縮力を維持し、タブ270は、開いた位置(
図5参照)に締め付け解除されて、ラップ260によってユーザの足に加えられる締め付け力/圧縮力を解放することができることが企図される。図示の実施形態では、タブ270は、踵端部146において踵領域112内に配置されるが、他の構成も可能である。
【0044】
図5に示されるように、各フラップ272にはストラップ256が1つ付いており、このストラップ256を通してコード212の一部が、例えば、くくられ、案内され、又は、通されて受容される。加えて、ソール104は、上部周縁280を有し、この上部周縁280に沿ってストラップ256が結合され、互いに間隔をあけて配置され、踵領域112から中足領域110を経て前足領域108に渡って広がっているが、他の構成も可能である。本開示の範囲内で、より多くのまたはより少ないストラップ256が履物具200上に提供され得ることがさらに企図される。図示の実施形態では、複数のストラップ256は、ソール104上に配置された第1の組のストラップ284と、アッパー102のラップ260の第2の端部268上に配置された第2の組のストラップ288とを含む。
図5に示されるように、第1の組のストラップ284および第2の組のストラップ288は、互いに対してオフセットパターンで離間するように配置される。このようにして、ストラップ256は、コード212が履物具200に沿ってアッパー102とソール104との間に締め付け力を分散させるためにたどる巻き経路292を形成する。図示の実施形態では、コード212は、前足領域108内のアッパー102のラップ260の最前フラップ300上のアンカー296で終端するが、他の構成も可能である。
【0045】
図4および
図5を参照すると、リール208は、ラップ260とアッパー102のベース層276との間に配置されてもよく、コード212の第2のセグメント232は、ラップ260とベース層276との間に延在して、部分的または全体的に隠蔽されてもよい。コード212の第1のセグメント216は、ラップ260に形成された開口部(図示せず)を通って延在することができ、リング224は、開口部を通過することを防止するようなサイズおよび形状にすることができる。いくつかの実施形態では、ラップ260は、上部102のベース層276を形成するために使用される材料とは異なり得る、可撓性かつ弾性の材料から形成される。いくつかの実施形態では、ラップ260は、踵領域112から中足領域110を経て前足領域108に渡って、およびアッパー102のベース層276を越えて外側116から内側118まで連続的に延在する。そのために、ラップ260は、アッパー102のベース層276に対して、かつ独立して移動するように構成される。コード212がラップ260を締め付けると、ラップ260は、アッパー102のベース層276に沿って、外側116から内側118まで、および踵領域112から履物具200の前足領域108まで圧縮力を分散させ、これは、ユーザの足の周りに締め付け力の分散を提供する。
【0046】
ラップ260は、ベース層276に、したがって、ユーザの足に望ましい圧縮力を与えるために、様々な形態で提供され得ることが企図される。例えば、ラップ260は、異なる材料特性または組成を有する別個のセクションから形成されてもよい。さらに、ラップ260は、履物具200の特定のセクションまたは領域に向かって、またはそこから離れるように、引張力および/または圧縮力をガイドまたは方向付けるための継ぎ目またはストランド(図示せず)を備えてもよい。加えて、ラップ260は、一体部品として、または互いに連結もしくは締結された複数の部分として提供されてもよい。さらに、ラップ260は、アッパー102のベース層276上に直接重ねられてもよく、あるいは、中間基材または層が、ラップ260とアッパー102のベース層276との間に提供されてもよい。
【0047】
図5に示すように、ラップ260は、互いに異なる様々なサイズおよび形状のフラップ272を備えることができる。このようにして、ラップ260のフラップ272は、コード212からラップ260、そして足に加えられる締め付け力および/または圧縮力を制御するように構成される。さらに、フラップ272は、コード212がフラップ272に対して締め付け力を及ぼすときに変形することができ、その結果、フラップ272は、ベース層276を横切って異なる方向に引っ張られるか、または伸ばされる。このようにして、フラップ272およびラップ260は、ベース層276に対して移動して、コード212の巻き経路292をさらに画定および制御するように構成され、これにより、ベース層276に沿った圧縮力のさらなる分散が可能になる。
【0048】
また、本明細書に記載されたクロージャーシステム204のいずれも、米国特許第5,325,613号明細書、米国特許第5,600,875号明細書、米国特許第5,606,778号明細書、米国特許第5,638,588号明細書、第5,651,198号明細書、および米国特許第5,669,116号明細書(これらは全て、PumaSEに共通に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に開示されたものと同様のクロージャーメカニズムを組み込むことができることが企図される。例えば、リール208は、コード212と共に使用され、本開示の履物具200に取り付けられたとき、さらなる締め付けまたは緩め機能を提供するために、クロージャー機構の1つまたは複数の態様を含むように修正され得ることが企図される。
【0049】
他の実施形態では、他の構成が可能である。例えば、上記の議論における特定の実施形態に関して提示される特定の特徴および特徴の組み合わせは、必要に応じて、他の実施形態および他の組み合わせにおいて利用することができる。さらに、本明細書に記載される実施形態のいずれかは、他の実施形態に関連して開示される構造または方法のいずれかを含むように修正され得る。加えて、本開示は、具体的に示されるタイプの履物具に限定されない。さらに、本明細書に開示される実施形態のいずれかの履物具の態様は、任意のタイプの履物具、衣服、または他の運動用機器で機能するように修正され得る。
【0050】
前述のように、本発明は、特定の実施形態および実施例に関連して上述されているが、本発明は必ずしもそのように限定されるものではなく、多数の他の実施形態、実施例、使用、変形例、および実施形態、実施例や使用からの逸脱は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって包含されることが意図されることが、当業者によって理解されるであろう。本明細書に引用される各特許および刊行物の全開示は、そのような各特許または刊行物が参照により個々に本明細書に組み込まれるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0051】
前述の説明を考慮すると、本発明に対する多数の変形例が当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、当業者が本発明を実施および使用することを可能にする目的で提示される。添付の特許請求の範囲内にあるすべての変形例に対する排他的権利が留保される。
【0052】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年12月21日に出願された米国仮出願第63/292,284号の優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロージャーシステムを有する履物具であって、
前記クロージャーシステムは、
前記履物具の外側で前記履物具のアッパーに取り付けられたリールと、
前記アッパーと動作可能に係合されるように構成されたコードと、
を含み、
前記コードの第1のセグメントは、前記リールに取り付けられ、
前記リールは、前記コードの前記第1のセグメントを引っ張って前記履物具を締め付けることによって作動されるように構成さ
れ、
前記アッパーは、ベース層に対して移動可能な外層を含み、
前記外層は、外側に配置された第1端から内側に配置された第2端まで延び、
前記第1端はソールに直接取り付けられ、前記第2端は前記コードの第2のセグメントによって前記ソールに取り付けられる、履物
具。
【請求項2】
前記
第2のセグメントは、前記リールと前記アッパーとの間に延在す
る、請求項1に記載の
履物具。
【請求項3】
前記コードの前記第1のセグメントは、前記リールから引き離され、
前記コードの前記第2のセグメントは、前記リールによって回収される、請求項2に記載の
履物具。
【請求項4】
前記コードの前記第2のセグメントは、前記コードの前記第1のセグメントとは異なる材料で形成される、請求項1に記載の
履物具。
【請求項5】
前記クロージャーシステムは、入力パラメータおよび出力パラメータを有する調整可能な巻き取り比を含み、
前記入力パラメータは、前記コードの前記第1のセグメントに関連付けられ、
前記出力パラメータは、前記コードの前記第2のセグメントに関連付けられる、請求項2に記載の
履物具。
【請求項6】
閉前記クロージャーシステムをロック解除するために、リリース機構が設けられている、請求項1に記載の
履物具。
【請求項7】
リングが前記コードの自由端に配置される、請求項1に記載の
履物具。
【請求項8】
外層およびベース層を有するアッパーに取り付けられたソールと、
クロージャーシステムと、
を含み、
前記クロージャーシステムは、
履物具の外側で前記アッパーに取り付けられたリールと、
第1のセグメントおよび第2のセグメントを有するコードと、
を含み、
前記第1のセグメントは、前記クロージャーシステムを作動させるように構成され、
前記第2のセグメントは、前記クロージャーシステムによって回収されるように構成され、
前記第1のセグメントは、前記リールによって前記第2のセグメントに動作可能に連結され、
前記外層は、前記ベース層に対して移動可能であり、
前記外層は、前記外側に配置された第1端から内側に配置された第2端まで延び、
前記第1端は前記ソールに直接取り付けられ、前記第2端は前記コードの前記第2のセグメントによって前記ソールに取り付けられる、履物具。
【請求項9】
前記第2のセグメントが、前記アッパーの前記外層に動作可能に接続される、請求項8に記載の履物具。
【請求項10】
前記第2のセグメントが、前記アッパーの前記外層上に配置された複数のストラップを通して受容される、請求項8に記載の履物具。
【請求項11】
前記第2のセグメントが、前記履物具の内側に沿ってオフセットパターンで配置された複数のストラップによって形成された巻き経路に沿って、前記ソールおよび前記アッパーの前記外層に取り付けられる、請求項8に記載の履物具。
【請求項12】
前記アッパーの前記外層は、前記クロージャーシステムが作動されたときに、前記アッパーの前記ベース層に対して移動するように構成される、請求項8に記載の履物具。
【請求項13】
前記外層が
、前記アッパーの前記ベース層の一部分の周りに巻き付けら
れる、請求項8に記載の履物具。
【請求項14】
クロージャーシステムを有する履物具であって、
前記クロージャーシステムは、
リールと、
コードと、
前記履物具の第1の側に配置された第1の端部と前記履物具の第2の側に移動可能に取り付けられた第2の端部とを有し、前記第2の端部が前記履物具の前足領域に配置された最前方のフラップを含む複数のフラップを含み、前記コードによって前記リールに動作可能に連結されたラップと、
を含み、
前記ラップは、前記履物具を締め付けるために前記リールに動作可能に連結さ
れ、
前記コードは、前記最前方のフラップ上のアンカーで終端している、履物
具。
【請求項15】
前記リールが、前記履物具のアッパーに配置される、請求項14に記載の
履物具。
【請求項16】
前記コードが、前記ラップによって少なくとも部分的に隠される、請求項14に記載の
履物具。
【請求項17】
前記コードが、前記履物具を締め付けるために前記ラップに締め付け力を加えるように構成される、請求項14に記載の
履物具。
【請求項18】
前記コードが、前記履物具を締め付けるために前記クロージャーシステムを作動させるように引っ張られるように構成された第1のセグメントを含む、請求項14に記載の
履物具。
【請求項19】
前記コードの前記第1のセグメントは、複数の方向に前記リールから引き離されるように構成され、
第1の方向は、前記クロージャーシステムの第1の機能に関連付けられ、
第2の方向は、前記クロージャーシステムの第2の機能に関連付けられ、
前記第1の方向は、前記第2の方向とは異なり、前記第1の機能は、前記第2の機能とは異なる、請求項18に記載の
履物具。
【国際調査報告】