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特表2025-500263コーティング装置及び対応する動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】コーティング装置及び対応する動作方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 16/40 20180101AFI20241226BHJP
   B25J 9/16 20060101ALI20241226BHJP
   B05C 15/00 20060101ALI20241226BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20241226BHJP
【FI】
B05B16/40
B25J9/16
B05C15/00
B05B12/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536099
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2022084515
(87)【国際公開番号】W WO2023110511
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133410.1
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】ティーツェ、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ビー、ズザンネ
(72)【発明者】
【氏名】フリーゼ、ハイコ
(72)【発明者】
【氏名】コンテ、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ビッツァ、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】イルマズ、エムラ
(72)【発明者】
【氏名】デュール、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】メルヒャー、ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント、サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーラー、ゼレン
(72)【発明者】
【氏名】ユースト、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン、ダニエル ティノ
【テーマコード(参考)】
3C707
4D073
4F035
4F042
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707AS23
3C707BS10
3C707BS15
3C707CS04
3C707CS05
3C707CS06
3C707CY37
3C707LV01
3C707LV15
4D073AA01
4D073BB03
4D073DD40
4F035AA03
4F035BC02
4F042AA09
4F042AB00
4F042DE01
4F042DE10
(57)【要約】
本発明は、部品(2)をコーティング剤でコーティングするためのコーティング装置に関する。本発明に係るコーティング装置は、コーティングブース(1)と、メンテナンスキャビン(13、14、15)の内部でメンテナンス措置を実行するための少なくとも1つの別個のメンテナンスキャビン(13、14、15)と、を備える。本発明は、メンテナンスキャビン(13、14、15)のための特別なアクセス保護を提供する。本発明は、対応する動作方法をさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(2)、特に自動車車体部品(2)に、コーティング剤、特に塗料、接着剤、シーラント、又は絶縁材料をコーティングするためのコーティング装置であって、
a)塗布中に塗布対象となる前記部品(2)を収容するための塗布ブース(1)、
b)前記塗布ブース(1)内に配置された少なくとも1台のロボット(3~8)、特に、
b1)部品(2)に塗布剤を塗布するための少なくとも1台の塗布ロボット(3、4)であって、前記塗布ロボット(3、4)は、塗布器、特に回転噴霧器又はプリントヘッドを案内する、塗布ロボット(3、4)、及び/又は、
b2)塗布対象の前記部品(2)をハンドリングするための少なくとも1台のハンドリングロボット(5、6、7、8)、特に、
i)自動車車体(2)のドアを開閉するためのドアオープナロボット(5、6)としての、又は、
ii)前記自動車車体(2)のボンネットを開閉するためのボンネットオープナロボット(7、8)としての
ハンドリングロボット(5、6、7、8)、
c)少なくとも1つのメンテナンスキャビン(12~15;29)であって、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の内部で整備処置を実行するためのメンテナンスキャビン(12~15;29)であり、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、
c1)コーティングブース(1)の内部に配置され、前記コーティングブース(1)の他の部分から隔離されており、
c2)アクセスドア(16~19)であって、前記アクセスドア(16~19)を通じてオペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に進入し得るアクセスドア(16~19)を有し、
c3)メンテナンス窓(20~22;23;30)を有し、それにより、前記ロボット(3~8)が、前記ロボット(3~8)のロボットアーム(27、28)(27、28)を、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に少なくとも部分的に導入し得る、
前記メンテナンスキャビン(12~15;29)、
d)前記コーティング装置の動作を制御するための制御システム(34)、
を備え、
e)前記制御システム(34)は、
e1)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)が閉鎖されたこと、
e2)前記コーティングブース(1)内の前記ロボット(3~8)が電源オフにされたこと、
のうち少なくとも1つの条件が満たされた場合にのみ、前記オペレータが前記アクセスドア(16~19)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にすること、及び/又は、
f)前記制御システム(34)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)が閉鎖されており、好ましくはロックもされている場合にのみ、前記ロボット(3~8)が前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にすること、
を特徴とする、
コーティング装置。
【請求項2】
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、前記アクセスドア(16~19)の開放状態を検出するためのドアセンサ(39)を備えること、及び/又は、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、制御可能なドアロック(38)であって、ロック状態において前記アクセスドア(16~19)が開放されることを防止し、それにより、アンロック状態においてのみ前記アクセスドア(16~19)が開放され得る、制御可能なドアロック(38)を備えること、
c)前記制御システム(34)は、好ましくは、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)へのアクセスを制御するために、前記ドアセンサ(39)に問い合わせ、前記ドアロック(38)を制御すること、
を特徴とする、
請求項1に記載のコーティング装置。
【請求項3】
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)は、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するか、又は、完全に、若しくは部分的に閉鎖するために、調整可能な窓閉鎖装置(37)を備えること、及び/又は、
b)前記窓閉鎖装置(37)は、任意選択で、移動可能又は枢動可能な閉鎖プレート(25)であって、前記閉鎖プレート(25)の位置に応じて、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するか、又は、完全に、若しくは部分的に閉鎖する閉鎖プレート(25)を有すること、及び/又は、
c)移動可能又は枢動可能な前記閉鎖プレート(25)は、前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)のロボットアーム(27、28)の断面に適合する切り欠き(26)を有し、それにより、前記閉鎖プレート(25)は、前記ロボットアーム(27、28)が前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内に突出しているときに、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を前記ロボットアーム(27、28)まで閉鎖し得ること、及び/又は、
d)前記閉鎖プレート(25)は、任意選択で、オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)から前記閉鎖プレート(25)を通して前記コーティングブース(1)内の工程を観察し得るように透明であること、及び/又は、
e)前記閉鎖プレート(25)は、垂直方向に移動可能であること、及び/又は、
f)前記制御システム(34)は、前記窓閉鎖装置(37)を制御すること、及び/又は、
g)前記閉鎖プレート(25)における前記切り欠き(26)は、前記閉鎖プレート(25)の端部から始まって、特に三角形又は半円形に先細りしていること
を特徴とする、
請求項1又は2に記載のコーティング装置。
【請求項4】
a)前記窓閉鎖装置(37)は、開放位置において、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を実質的に完全に開放し、それにより、前記コーティングロボット(3、4)、及び/又は、ロボットアーム(27、28)を備えた前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)が、妨げられることなく前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通って前記メンテナンスキャビン(12~15)に進入し得ること、及び、
b)前記窓閉鎖装置(37)は、閉鎖位置において、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を実質的に完全に閉鎖し、それにより、前記オペレータが、前記コーティングブース(1)内で前記部品(2)がコーティングされている間に前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内にいることができること、及び、
c)前記窓閉鎖装置(37)は、洗浄位置において、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)のロボットアーム(27、28)の輪郭まで覆い、それにより、前記ロボットアーム(27、28)が前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内に突出し得ること
を特徴とする、
請求項3に記載のコーティング装置。
【請求項5】
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記アクセスドア(16~19)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を前記コーティングブース(1)の他の部分に接続しており、それにより、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)が、前記コーティングブース(1)の内部から前記アクセスドア(16~19)を通じて進入可能であること、又は、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15:29)の前記アクセスドア(16~19)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を前記コーティングブース(1)の外側の外部空間に接続しており、それにより、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)が、前記コーティングブース(1)の外部から前記アクセスドア(16~19)を通じて進入可能であること
を特徴とする、
請求項1から4の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項6】
a)メンテナンス装置(31)が設けられており、特に、
a1)前記塗布器を洗浄するための塗布器洗浄装置(31)、特に、噴霧器洗浄装置(31)であって、洗浄対象の噴霧器を前記噴霧器洗浄装置(31)に挿入し、前記噴霧器洗浄装置(31)の内部で前記噴霧器を洗浄するための挿入開口部を備える噴霧器洗浄装置(31)、又は、
a2)プリントヘッドとして設計された前記塗布器によって放出された前記コーティング剤のジェットを試験するためのジェット試験装置、又は、
a3)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)のハンドリングツールを洗浄するための洗浄装置
として設けられていること、
b)前記メンテナンス装置(31)は、枢動機構によって前記メンテナンスキャビン(12~15;29)のキャビン壁(24)における枢動開口部に枢動可能に取り付けられていること、
c)前記メンテナンス装置(31)は、前記枢動機構(36)によって、前記コーティングブース(1)の内部の動作位置と前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の内部のメンテナンス位置との間で、特に、垂直枢動軸の周り、又は水平枢動軸(48)の周りに枢動され得ること、
d)前記枢動機構(36)は、任意選択で、前記動作位置と前記メンテナンス位置との両方において前記枢動開口部を閉鎖すること、
e)前記枢動機構(36)は、任意選択で、前記メンテナンス装置(31)が前記コーティングブース(1)の内部の前記動作位置に枢動されたときに前記枢動開口部を閉鎖するために第1の閉鎖プレート(32)を有すること、
f)前記枢動機構(36)は、任意選択で、前記メンテナンス装置(31)が前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の内部の前記メンテナンス位置に枢動されたときに前記枢動開口部を閉鎖するために第2の閉鎖プレート(33)を有すること、
g)前記枢動機構(36)の2枚の前記閉鎖プレート(32、33)は、任意選択で、互いに一定の角度を成し、一体的に枢動し、前記角度は、好ましくは、実質的に90°であること、
h)任意選択で、前記メンテナンス装置(31)を前記メンテナンスキャビン(29)の内部から前記メンテナンスキャビン(2)に引き入れることができるように、ハンドルが前記メンテナンス装置(31)に取り付けられていること、
i)前記枢動機構(36)は、任意選択で、前記メンテナンス装置(31)の枢動運動を減衰するためのダンパを有すること
を特徴とする、
請求項1から5の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項7】
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、前記アクセスドア(16~19)を開放するためのドアオープナボタン(41)を有すること、及び、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)から退出したことを確認するための確認ボタン(42)を有すること、及び、
c)前記ドアオープナボタン(41)及び前記確認ボタン(42)は、前記制御システム(34)に接続されていること
を特徴とする、
請求項1から6の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項8】
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、動作中における前記オペレータの安全を確保するために、複数の異なる動作モードで動作され得ること、及び、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の動作モードを選択するために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に動作モード選択スイッチ(43)が配置されていること
を特徴とする、
請求項1から7の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項9】
前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、
a)自動動作、
b)前記コーティングロボット(3、4)を洗浄するためのコーティングロボット洗浄動作、
c)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を洗浄するためのハンドリングロボット洗浄動作、
d)付属品、特に、前記塗布器洗浄装置(31)、又は、塗布された前記コーティング剤の外部静電帯電のための噴霧器用の外部帯電リングを洗浄するための付属品洗浄動作、
e)前記コーティングブース(1)内の工程を観察するための観察動作
のうち少なくとも1つの動作モードにおいて動作され得ることを特徴とする、
請求項8に記載のコーティング装置。
【請求項10】
前記自動動作において、前記制御システム(34)は、コーティングロボット(3、4)又はハンドリングロボット(5、6、7、8)についてのメンテナンス要求があるか否かを確認し、メンテナンス要求が行われると、
a)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)におけるコーティング動作を終了するステップ、
b)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)上の静電コーティング剤帯電システムを放電するステップ、
c)前記アクセスドア(16~19)が開放されること、及び、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への進入を防止するために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
d)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
e)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に導入するステップ、
f)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を前記洗浄位置まで閉鎖するステップ、
g)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をアンロックし、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)へ進入することを可能にするステップ、
h)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で洗浄措置を実行するステップ、
i)前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室して前記アクセスドア(16~19)を閉鎖した後、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
j)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室した後の前記オペレータによる、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)がロックされていることの確認のステップ、
k)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
l)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の外へ移動させるステップ、
m)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を閉鎖するステップ
のうち一部又は全部を、特に上記の順序で実行することを特徴とする、
請求項9に記載のコーティング装置。
【請求項11】
前記コーティングロボット洗浄動作において、前記制御システム(34)は、ユーザ側のコーティングロボット(3、4)についての洗浄要求があるか否かを確認し、洗浄要求がある場合、
a)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)におけるコーティング動作を終了するステップ、
b)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)上の静電コーティング剤帯電システムを放電するステップ、
c)前記アクセスドア(16~19)が未だロックされていなければ、前記アクセスドア(16~19)が開放されること、及び、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への進入を防止するために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
d)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
e)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15、29)に導入するステップ、
f)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を前記洗浄位置まで閉鎖するステップ、
g)前記コーティングロボット(3、4)を電源オフにするステップ、
h)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をアンロックし、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)へ進入することを可能にするステップ、
i)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で洗浄措置を実行するステップ、
j)前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室して前記アクセスドア(16~19)を閉鎖した後、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
k)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室した後の前記オペレータによる、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)がロックされていることの確認のステップ、
l)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
m)前記コーティングロボット(3、4)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の外へ移動させるステップ、
n)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を閉鎖するステップ
のうち一部又は全部を、特に上記の順序で実行することを特徴とする、
請求項9又は10に記載のコーティング装置。
【請求項12】
前記ハンドリングロボット洗浄動作において、前記制御システム(34)は、ユーザ側の前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)についての洗浄要求があるか否かを確認し、洗浄要求がある場合、
a)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)の現在のジョブを終了するステップ、
b)前記アクセスドア(16~19)が未だロックされていなければ、前記アクセスドア(16~19)が開放されること、及び、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への進入を防止するために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
c)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
d)洗浄対象の前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に導入するステップ、
e)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を電源オフにするステップ、
f)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22、23、30)を前記洗浄位置まで閉鎖するステップ、
g)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をアンロックし、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)へ進入することを可能にするステップ、
h)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で洗浄措置を実行するステップ、
i)前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室して前記アクセスドア(16~19)を閉鎖した後、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
j)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室した後の前記オペレータによる、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)がロックされていることの確認のステップ、
k)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
l)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の外へ移動させるステップ、
m)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を閉鎖するステップ
のうち一部又は全部を、特に上記の順序で実行することを特徴とする、
請求項9から11の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項13】
前記制御システム(34)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内でメンテナンス措置を実行するときに、
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で洗浄装置を使用して前記塗布器又は前記ロボットアーム(27、28)を洗浄するステップ、及び/又は、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で噴霧器の外部帯電リングを設置、及び/又は、交換するステップ
を実行することを特徴とする、
請求項10から12の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項14】
前記付属品洗浄動作において、
a)前記制御システム(34)は、前記噴霧器洗浄装置を前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内の前記メンテナンス位置まで枢動させ、
b)前記制御システム(34)は、任意選択で、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にするために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記アクセスドア(16~19)の前記ドアロックをアンロックする
と規定されていることを特徴とする、
請求項9から13の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項15】
前記観察動作において、
a)前記制御システム(34)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)の前記窓閉鎖装置(37)を、前記窓閉鎖装置(37)が前記閉鎖位置にあり、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)が完全に閉鎖されるように制御し、
b)前記制御システム(34)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記アクセスドア(16~19)の前記ドアロックをアンロックし、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にする
と規定されていることを特徴とする、
請求項9から14の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項16】
a)前記自動車車体(2)のボンネットを開閉するために、少なくとも1台のボンネットオープナロボット(7、8)が、任意選択で、前記コーティングブース(1)の上段に、特に、上部走行レール(9)上を移動可能に配置されており、
b)少なくとも1台のコーティングロボット(3、4)が、前記コーティングブース(1)の中段に、特に、中部走行レール(10)上を移動可能に配置されており、
c)前記自動車車体のドアを開閉するために、少なくとも1台のドアオープナロボット(5、6)が、任意選択で、前記コーティングブース(1)の下段に、特に、下部走行レール(11)上を移動可能に配置されている
ことを特徴とする、
請求項1から15の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項17】
前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)は、前記ボンネットオープナロボット(7、8)、前記コーティングロボット(3、4)、及び前記ドアオープナロボット(5、6)が、ロボットアーム(27、28)と共に前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の内部へ移動し得るような高さに配置されていることを特徴とする、
請求項16に記載のコーティング装置。
【請求項18】
a)前記コーティングブース(1)は、四隅を有する矩形の平面図を有し、前記コーティングブース(1)の前記四隅それぞれに前記メンテナンスキャビン(12~15;29)が配置されていること、及び/又は、
b)前記コーティングロボット(3、4)は、前記コーティングブース(1)内で走行レール(10)に沿って、移動可能であるか、又は、固定的に取り付けられていること、及び/又は、
c)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)は、前記コーティングブース(1)内で走行レール(9、11)に沿って、移動可能であるか、又は、固定的に取り付けられていること、及び/又は、
d)コーティング対象の前記部品(2)を、前記コーティングブース(1)を通って搬送するための、特に無人輸送システムを備えるコンベヤが設けられていること、及び/又は、
e)前記塗布器は、噴霧器、特に回転噴霧器、又は、プリントヘッドであること、及び/又は、
f)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で呼吸可能な空気を確保するために、前記コーティングブース(1)内で前記コーティング剤が塗布されたときに、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を外気でパージする外気パージシステムが設けられていること、及び/又は、
g)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)のキャビン壁(24)は、前記コーティング剤に対して不透過性であること、及び/又は、
h)前記ハンドリングロボット(5、6)のうち1台は、前記自動車車体(2)のドアを開閉するように設計されたスカラロボットであること、及び/又は、
i)前記ハンドリングロボット(7、8)のうち1台は、前記自動車車体(2)のボンネットを開閉するように設計された多関節ロボットであること
を特徴とする、
請求項1から17の何れか一項に記載のコーティング装置。
【請求項19】
a)前記制御システム(34)は、
a1)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)が閉鎖されたこと、
a2)前記コーティングブース(1)内の前記コーティングロボット(3、4)及び前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)が、全て電源オフにされたこと、及び/又は、
a3)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)が、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に導入されたこと、
a4)前記コーティングロボット(3、4)、又は、前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)、及び/又は、前記閉鎖プレートの位置が安全に監視されたこと、
a5)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)の電源ユニットが安全に電源オフにされたこと、
a6)前記窓閉鎖装置(37)が、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を閉鎖したこと、
a7)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)の前記ロボットアーム(27、28)が、前記窓閉鎖装置の前記閉鎖プレート(25)の前記切り欠き(26)を閉鎖したこと
のうち少なくとも1つの条件が満たされた場合のみ、前記オペレータが前記アクセスドア(16~19)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にすること、及び/又は、
b)前記制御システム(34)は、前記コーティングロボット(3、4)及び前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)が、監視されており、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)が閉鎖されており、好ましくはロックされてもいる場合にのみ開放される前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にすること
を特徴とする、
請求項1から18の何れか一項に記載のコーティング装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品(例えば、自動車車体部品)にコーティング剤(例えば、塗料)をコーティングするためのコーティング装置に関する。さらに、本発明は、そのようなコーティング装置のための対応する動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体部品を塗装するための現代の塗装設備では、通常、回転噴霧器が塗布装置として使用され、この回転噴霧器は、塗装対象の部品表面上を塗装ロボットによって案内される。塗装対象の車体部品は、通常、リニアコンベヤによって塗装ブースを通って搬送され、この塗装ブース内では、複数台の塗装ロボットと複数台のハンドリングロボット(ボンネットオープナロボット、ドアオープナロボット)とがリニアコンベヤの両側に配置されている。
【0003】
このような塗装設備のさらなる展開が、特許文献1から知られている。ここでは、複数のメンテナンスキャビン(「キュービクル」)が塗装ブースの隅に配置されており、これらのメンテナンスキャビンは、塗装ブースから隔離されており、各メンテナンスキャビンの内部でロボットに対してメンテナンス措置又は洗浄措置を実行することを可能にする。
【0004】
この目的のために、個々のメンテナンスキュービクルは、それぞれ、メンテナンス窓を有し、塗装ブース内に配置されたロボットは、そのロボットのロボットアームを、メンテナンスキュービクルのメンテナンス窓を通じてメンテナンスキュービクルに挿入することができる。例えば、静電外部帯電用の外部帯電リングは、この方法によりメンテナンスキャビン内で交換され得る。メンテナンスキャビン内部におけるメンテナンス措置の別の例は、回転噴霧器又はハンドリングロボットのハンドリングツールがメンテナンスキャビン内で洗浄され得ることである。
【0005】
メンテナンスキャビン内のメンテナンス措置又は洗浄措置それぞれは、オペレータによって実行され得、このオペレータは、アクセスドアを通じてメンテナンスキャビンに進入し得る。但し、ここで、オペレータがメンテナンスキャビン内にいる場合、動作の安全性が問題になる。
【0006】
さらに、本発明の技術的背景については、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2021/063444号
【特許文献2】独国特許出願公開第10237747号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3140043号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第112019002282号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、上述の既知のコーティング装置を適宜改良し、関連する動作方法を特定するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、主請求項に係るコーティング装置によって、又は、対応する動作方法によって解決される。
【0010】
本発明に係るコーティング装置は、部品をコーティングするために設計されており、この部品は、例えば、自動車車体部品であり得る。但し、本発明は、コーティング対象の部品の種類に関して自動車車体部品に限定されない。
【0011】
この場合、コーティング対象の部品(例えば、自動車車体部品)にコーティング剤がコーティングされ、このコーティング剤は、好ましくは塗料であり得る。但し、塗布されるコーティング剤に関して、本発明は、塗料に限定されるものではなく、ほんの数例を挙げれば接着剤、シーラント、絶縁材料等の他の種類のコーティング剤を塗布するコーティング装置においても実施可能である。
【0012】
冒頭で説明した特許文献1に係る既知のコーティング装置に従って、本発明に係るコーティング装置は、コーティング中にコーティング対象の部品を収容するコーティングブース(例えば、塗装ブース)も備え、コーティングブースは、塗布されたコーティング剤に対して不透過性のブース壁を有することが好ましい。
【0013】
コーティング対象の部品は、従来技術から知られているように、コンベヤによってコーティングブースを通って輸送されることが好ましい。但し、本発明の範囲内で、無人輸送システム(FTS)をコンベヤとして使用することもでき、これらは、自動制御される独自の走行駆動装置を備えたフロアバウンドコンベヤである。このようなコンベヤは、無人輸送車(FTF)又は無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)とも称される。
【0014】
さらに、冒頭で説明した既知のコーティング装置に従って、本発明に係るコーティング装置は、コーティングブース内に配置された少なくとも1台のロボットを備える。
【0015】
例えば、コーティングロボット(例えば、塗装ロボット)が、コーティングブース内に配置され、部品にコーティング剤(例えば、塗料)をコーティングし得、このコーティングロボットは、コーティング剤を塗布するための塗布器(例えば、回転噴霧器、プリントヘッド)を案内する。
【0016】
さらに、ハンドリングロボットが、コーティングブース内に配置され得、このハンドリングロボットは、コーティング対象の部品をハンドリングするために使用される。例えば、ハンドリングロボットは、コーティング対象の自動車車体部品のドアを開閉するドアオープナロボットであり得る。ハンドリングロボットの別の例は、自動車車体部品のボンネット(例えば、ボンネット、トランクリッド)を開閉するために使用されるボンネットオープナロボットである。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、コーティングブース内に配置されるのは単一のロボットだけではない。むしろ、コーティングブース内に複数台のコーティングロボットが存在し、リニアコンベヤの両側に配置されることが好ましい。さらに、コーティングブース内に複数台のハンドリングロボット(例えば、ボンネットオープナロボット、ドアオープナロボット)も存在することが好ましく、これらのハンドリングロボットも、リニアコンベヤの何れかの側に配置され得る。例えば、2台の塗装ロボット、2台のドアオープナロボット、及び2台のボンネットオープナロボットをリニアコンベヤの両側に配置して、塗装ブース内に合計12台のロボットが存在するようにしてもよい。
【0018】
冒頭で説明した特許文献1に係る既知のコーティング装置に従って、本発明に係るコーティング装置は、少なくとも1つのメンテナンスキャビン(「キュービクル」)も有し、このメンテナンスキャビンは、少なくとも1台のロボットに対するメンテナンス措置を実行するために使用され、各メンテナンス措置が、メンテナンスキャビン内で実行され得る。
【0019】
本発明の文脈で使用されるメンテナンス措置という用語は、一般的な意味で理解されるべきであり、例えば、塗布器(例えば、回転噴霧器、プリントヘッド)の洗浄、ハンドリングロボットのハンドリングツールの洗浄などの洗浄工程も含む。さらに、本発明の文脈で使用されるメンテナンス措置の概念は、例えば、静電外部帯電に使用される外部帯電リングの交換又は廃棄も含む。例えば、ほんの一例を挙げると、外部塗装用の外部帯電リングを内部塗装用の外部帯電リングに交換し得る。
【0020】
この場合、メンテナンスキャビンは、閉鎖可能なメンテナンス窓を有し、ロボットは、このロボットのロボットアームを、メンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビンに少なくとも部分的に挿入し得、その後、メンテナンス措置がメンテナンスキャビン内で実行され得る。
【0021】
さらに、メンテナンスキャビンは、アクセスドアを有し、このアクセスドアを通じてオペレータがメンテナンスキャビンに進入し得る。
【0022】
さらに、本発明に係るコーティング装置は、コーティング装置の動作を制御するための制御システムも有する。本発明の文脈で使用される制御システムという用語も、一般的な意味で理解されるべきであり、単一の構成要素に限定されるものではない。むしろ、本発明に係るコーティング装置内の制御システムは、様々な制御構成要素にわたって分散することもでき、ハードウェア又はソフトウェアとして任意に実装することもできる。
【0023】
本発明は、動作の安全性を高めるために、メンテナンスキャビンについての特別なウォークイン保護を特徴とする。例えば、動作中、メンテナンスキャビン内でメンテナンス措置を実行すると、メンテナンスキャビン内のオペレータが負傷する危険性がある。
【0024】
本発明に係るコーティング装置において、制御システムは、従って、オペレータにとって危険がない場合にのみ、オペレータがアクセスドアを通じてメンテナンスキャビンにアクセスすることを可能にする。これは、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓が閉鎖されている場合、及び/又は、コーティングブース内の全てのロボットが、電源オフにされており、潜在的な危険のない安全な動作状態にある場合に当てはまる。
【0025】
さらに、制御システムは、ロボットによるメンテナンス窓を通じたメンテナンスキャビンへのアクセスを制御することが好ましい。この場合、制御システムは、ロボットがメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビンにアクセスすることを、それによってオペレータに危険が及ばない場合にのみ可能にする。この条件は、メンテナンスキャビンへのアクセスドアが閉鎖されており、好ましくはロックもされているときに満たされる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、メンテナンスキャビンは、アクセスドアの開放状態を検出するドアセンサも有し、ドアセンサは、アクセスドアの開放状態を制御システムに通知することが好ましい。
【0027】
さらに、メンテナンスキャビンは、制御可能なドアロックを有し得、このドアロックは、ロック状態においてアクセスドアが開放されることを防止し、それにより、アンロック状態においてのみアクセスドアが開放され得る。ドアロックは、制御システムによって制御されることが好ましく、この場合、制御システムは、メンテナンスキャビンへのアクセスを制御するために、ドアセンサに問い合わせ、ドアロックを制御する。
【0028】
メンテナンスキャビンが、メンテナンス窓を有し、ロボットが、このロボットのロボットアームを、メンテナンス窓を通じて少なくとも部分的にメンテナンスキャビンに挿入し得る旨を上述した。本発明の好ましい実施形態において、このメンテナンス窓は、メンテナンス窓を選択的に開放するか、又は、完全に若しくは部分的に閉鎖するための調整可能な窓閉鎖装置を備え、この窓閉鎖装置は、制御システムによって制御されることが好ましい。
【0029】
例えば、この窓閉鎖装置は、移動可能又は枢動可能な閉鎖プレートを有し得、この閉鎖プレートは、この閉鎖プレートの位置に応じて、メンテナンス窓を開放するか、又は、完全に若しくは部分的に閉鎖する。
【0030】
移動可能又は枢動可能な閉鎖プレートは、ロボットのロボットアームの断面に適合する切り欠きを有し得、それにより、閉鎖プレートが、ロボットアームがメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビン内に突出しているときに、メンテナンス窓をロボットアームまで閉鎖し得る。この場合、閉鎖プレートにおける切り欠きにより、各ロボットのロボットアームがメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビン内に案内されるときであっても、メンテナンス窓をほぼ完全に閉鎖することが可能になる。閉鎖プレートにおける切り欠きが、閉鎖プレートの端部から、特に三角形又は半円形に先細りしていることも可能である。
【0031】
オペレータがメンテナンスキャビンから閉鎖プレートを通してコーティングブース内の工程を観察できるように、窓閉鎖装置の閉鎖プレートが透明であることが可能である。これにより、観察モードも可能にし、この観察モードでは、メンテナンスキャビン内でメンテナンス措置が実行されない。むしろ、この観察モードでは、メンテナンスキャビン内にオペレータがおり、このオペレータが、透明な閉鎖プレートを通してコーティングブース内のコーティング動作を観察することができ、閉鎖プレートがメンテナンス窓を閉鎖している。ここで、閉鎖プレート自体が透明であり得るだけでなく、メンテナンスキャビンのキャビン壁も透明であり得ることに言及しなければならない。さらに、本発明の範囲内で、メンテナンスキャビンのキャビン壁が透明である一方、閉鎖プレートが不透明であることも可能である。
【0032】
上述した窓閉鎖装置は、異なる位置の間で、すなわち、開放位置、閉鎖位置、及び洗浄位置の間で調整可能であることが好ましい。
【0033】
開放位置において、窓閉鎖装置は、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を実質的に全体的に開放し、それにより、メンテナンス対象のロボットが、このロボットのロボットアームを、メンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビン内に支障なく移動させ得、それにより、各メンテナンス措置が、その後、メンテナンスキャビン内で実行され得る。
【0034】
一方、閉鎖位置において、窓閉鎖装置は、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を実質的に完全に閉鎖し、それにより、オペレータが、部品がコーティングブース内でコーティングされている間、メンテナンスキャビンに留まることができる。
【0035】
一方、洗浄位置では、各ロボットのロボットアームがメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビン内に突出しており、窓閉鎖部がロボットアームの輪郭までメンテナンス窓を閉鎖している。
【0036】
メンテナンスキャビンが、アクセスドアを有し、このアクセスドアを通じてオペレータがメンテナンスキャビンに出入りできることは既に上述した。
【0037】
本発明の一変形例において、アクセスドアは、メンテナンスキャビンをコーティングブースに接続し、すなわち、メンテナンスキャビンは、コーティングブースの内部からアクセスドアを通じて進入される。
【0038】
一方、本発明の別の変形例において、メンテナンスキャビンのアクセスドアは、メンテナンスキャビンをコーティングブースの外側の外部空間に接続し、それにより、メンテナンスキャビンは、コーティングブースの外側からアクセスドアを通じて進入され得る。これは、まずコーティングブースに進入せずともメンテナンスキャビンに進入し得るため有利である。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、コーティング装置は、メンテナンス動作を実行するためのメンテナンス装置を備える。
【0040】
例えば、これは、塗布器(例えば、回転噴霧器、プリントヘッド)を洗浄するために使用される塗布器洗浄装置であり得る。この目的のために、塗布器洗浄装置は、洗浄対象の塗布器(例えば、噴霧器)を塗布器洗浄装置に挿入し、その後、塗布器洗浄装置の内部で塗布器を洗浄するための挿入開口部を有し得る。このような噴霧器洗浄装置それ自体は、従来技術から知られており、例えば、独国特許出願公開第102014016364号明細書、欧州特許第1671706号明細書、及び欧州特許第2643096号明細書に記載されている。
【0041】
但し、メンテナンス装置は、プリントヘッドとして設計された塗布器によって放出されたコーティング剤のジェットを試験するためのジェット試験装置であってもよい。このようなジェット試験装置は、従来技術からも知られており、例えば、独国特許出願公開第102019135360号明細書、欧州特許出願公開第3689474号明細書、及び欧州特許出願公開第3890895号明細書に記載されている。
【0042】
さらに、メンテナンス装置が、ハンドリングロボットのハンドリングツールを洗浄するために使用される洗浄装置であることも可能である。
【0043】
この場合、メンテナンス装置は、メンテナンスキャビンのブース壁における枢動開口部に取り付けられ、コーティングブースの内部の動作位置とメンテナンスキャビンの内部のメンテナンス位置との間で枢動機構によって枢動され得ることが好ましく、枢動は、垂直枢動軸又は水平枢動軸の周りで行われることが好ましい。メンテナンス装置としての噴霧器洗浄装置の場合、噴霧器を洗浄するために噴霧器洗浄装置が外向きにコーティングブース内へ枢動され、回転噴霧器が噴霧器洗浄装置に挿入され得るようになる。噴霧器洗浄装置においてメンテナンス措置を実行するために、噴霧器洗浄装置が、その後、内向きにメンテナンスキャビン内へ枢動される。
【0044】
枢動メンテナンスユニット用の枢動機構は、メンテナンスキャビンのキャビン壁における枢動開口部が、動作位置とメンテナンス位置との両方において枢動機構によって閉鎖されるように設計されていることが好ましい。この目的のために、枢動機構は、互いに向かって角度をなす2枚の閉鎖プレートを有し得、一方の閉鎖プレートは、動作位置において枢動開口部を閉鎖し、他方の閉鎖プレートは、メンテナンス位置において枢動開口部を閉鎖する。この目的のために、2枚の閉鎖プレートは、互いに一定の角度を成し、一体的に枢動し得、2枚の閉鎖プレートの間の角度は、実質的に90°であることが好ましい。
【0045】
さらに、メンテナンス装置をメンテナンスキャビンの内部からメンテナンスキャビンに引き入れることができるように、メンテナンス装置にハンドルが取り付けられていることが可能である。
【0046】
さらに、枢動機構は、メンテナンス装置の枢動運動を減衰するダンパを含み得る。
【0047】
さらに、メンテナンスキャビンは、アクセスドアを開放するためのドアオープナボタンを含み得る。オペレータがメンテナンスキャビンに進入することを所望する場合、オペレータは、ドアオープナボタンを押さなければならず、そうすると、制御システムが、メンテナンスキャビンへのアクセスドアを開放し、但し、これは本発明に係るアクセス保護がこれを許容する場合に限られる。
【0048】
さらに、メンテナンスキャビンは、オペレータがメンテナンスキャビンから退出したことを確認するための確認ボタンを有し得る。この場合、オペレータは、メンテナンスキャビンを退出した後に確認ボタンを押さなければならず、これによりウォークスルーガードが、ロボットがメンテナンス窓を通じて再びアクセスすることを許可できるようになる。従って、ドアオープナボタン及び確認ボタンは、制御システムに接続されていることが好ましい。
【0049】
さらに、本発明の好ましい実施形態では、動作中のオペレータの安全を確保するために、メンテナンスキャビンが複数の異なるモードで動作され得ることに言及しなければならない。メンテナンスキャビンの各動作モードを選択するために、動作モード選択スイッチがメンテナンスキャビンに配置され得る。本発明の好ましい実施形態において、メンテナンスキャビンは、以下の動作モードのうち少なくとも1つで動作され得、これらについては詳しく後述する:
・自動モード、
・コーティングロボットを洗浄するためのコーティングロボット洗浄動作、
・ハンドリングロボットを洗浄するためのハンドリングロボット洗浄動作、
・付属品、特に塗布器洗浄装置、又は、塗布されたコーティング剤の静電外部帯電のための噴霧器用の外部帯電リングを洗浄するための付属品洗浄動作、
・コーティングブース内の工程を観察するための観察動作。
【0050】
自動モードでは、メンテナンス措置が実行される必要があるか否かを判定するための確認が自動的に行われることが好ましい。制御システムは、コーティングロボット又はハンドリングロボットについてのメンテナンス要求があるか否かを確認する。メンテナンス要求は、ユーザによってトリガーされるか、又は自動的に生成される。メンテナンス要求がある場合、制御システムは、以下のステップのうち一部又は全部を、特に以下の順序で実行する:
・洗浄対象のコーティングロボットにおけるコーティング動作を終了するステップ、
・静電コーティング剤帯電システムが設けられている場合、洗浄対象のコーティングロボットにおける静電コーティング剤帯電システムを放電するステップ、
・アクセスドアが未だロックされていない場合、アクセスドアが開放されること、及び、メンテナンスキャビンへの進入を防止するために、メンテナンスキャビンへのアクセスドアをロックするステップ(このステップについて、メンテナンスキャビンへのアクセスドアは、自動モードにおいて常時ロックされ得ることに言及しなければならない)、
・メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を開放するステップ、
・洗浄対象のロボットを、このロボットのロボットアームと共に、開放されたメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビンに挿入するステップ、
・メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を洗浄位置まで閉鎖するステップ、
・メンテナンスキャビンの動作モードを自動モードから洗浄モードへ変更して、メンテナンスキャビンへのアクセスドアをアンロックし、オペレータがメンテナンスキャビンに進入することを可能にするステップ、
・メンテナンスキャビン内で洗浄動作を実行するステップ、
・オペレータがメンテナンスキャビンを退出し、アクセスドアを閉鎖した後に、確認し、メンテナンスキャビンへのアクセスドアをロックし、メンテナンスキャビンの動作モードを変更するステップ、
・メンテナンスキャビンを退出した後、保守員がメンテナンスキャビンへのアクセスドアがロックされていることを確認するステップ、
・メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を開放するステップ、
・ロボットを、開放されたメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビンの外へ移動させるステップ、及び、最後に、
・メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を閉鎖するステップ。
【0051】
上述の自動動作に関して、オペレータが不要であることが好ましいことに言及しなければならない。ロボットは、全て(例えば、外部帯電の変更)を自身で行うことが好ましい。閉鎖プレート(ディスク)は、開放されたままであることが好ましい。ロボットが安全に電源オフされていないため、この工程中に人間がメンテナンスキャビン(「キュービクル」)に進入することはできない。これと比較すると、洗浄モードでは、オペレータがメンテナンスキャビン(「キュービクル」)に進入しなければならない。従って、安全上の理由から、ロボットは安全に電源オフされなければならず、窓は閉鎖されなければならない。
【0052】
一方、簡単に上述したコーティングロボット洗浄動作では、ユーザの側にコーティングロボットについての洗浄要求があるか否かが確認される。例えば、オペレータは、オペレータがコーティングロボットの汚れを検出した場合、洗浄工程を要求し得る。ユーザからそのような洗浄要求がある場合、制御システムは、以下のステップのうち一部又は全部が、好ましくは以下の順序で実行されるようにコーティング装置を制御することが好ましい:
・メンテナンスキャビン(「キュービクル」)の動作モードを自動モードから洗浄モードに変更し、対応するロボットを要求し、洗浄対象のコーティングロボットにおけるコーティング動作を終了するステップ、
・静電コーティング剤帯電システムが設けられている場合、洗浄対象のコーティングロボットにおける静電コーティング剤帯電システムを放電するステップ、
・アクセスドアが未だロックされていない場合、アクセスドアが開放されること、及び、メンテナンスキャビンへの進入を防止するために、メンテナンスキャビンへのアクセスドアをロックするステップ(自動動作に関する上記の所見を参照)、
・メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を開放するステップ、
・洗浄対象のコーティングロボットを、開放されたメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビンに挿入するステップ、
・メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を洗浄位置まで閉鎖するステップ、
・コーティングロボットを電源オフにし、コーティングロボットを、コーティングロボットが危険を及ぼさない安全な動作状態にするステップ、
・メンテナンスキャビンへのアクセスドアをアンロックし、オペレータがメンテナンスキャビンに進入することを可能にするステップ、
・メンテナンスキャビン内で洗浄動作を実行するステップ、
・オペレータがメンテナンスキャビンを退出し、アクセスドアを閉鎖した後に、確認し、メンテナンスキャビン内のアクセスドアをロックし、キュービクルの動作モードを自動モードに変更し、オペレータがメンテナンスキャビンを退出し、アクセスドアを閉鎖した後に、メンテナンスキャビン内のアクセスドアをロックするステップ、
・メンテナンスキャビンを退出した後に、オペレータが、メンテナンスキャビンへのアクセスドアがロックされていることを確認するステップ、
・メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を開放するステップ、
・コーティングロボットを、開放されたメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビンの外へ移動させるステップ、及び、最後に、
・メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を閉鎖するステップ。
【0053】
簡単に上述したハンドリングロボット洗浄モードでは、ユーザがハンドリングロボットの洗浄を要求したか否かを判定するために確認が行われる。例えば、オペレータは、オペレータがハンドリングロボットの汚れを検出した場合、そのような洗浄を要求し得る。この場合、制御システムは、コーティング装置を適宜制御してハンドリングロボットを洗浄し、それにより、コーティングロボットを洗浄するための上述のステップが、ハンドリングロボットを洗浄するために適宜実行される。
【0054】
但し、上述の付属品洗浄モードでは、枢動可能なメンテナンス装置(例えば、噴霧器洗浄装置)が、メンテナンスキャビンの内部でメンテナンス装置を整備できるようにするために、メンテナンスキャビンの内部のメンテナンス位置に枢動される。好ましくは、オペレータがメンテナンスキャビンに進入し、メンテナンス装置においてメンテナンス措置を実行できるように、メンテナンスキャビンのアクセスドアのドアロックがアンロックされる。現在の手動工程では、全ての条件が満たされたときにアクセスが要求され、続いて、アンロックされ、その後、洗浄機がオペレータによって旋回されてメンテナンスキャビン(「キュービクル」)に入れられる。自動化された動作において、これは説明したとおりであり、まず洗浄機を旋回させ、続いてアクセスするが、但し、旋回させることが安全でない場合、これは他の方法で行われる。図12は、この自動化された動作を示す。
【0055】
本発明に係るコーティング装置では、コーティングブースの内部に複数のロボットが配置されていることは既に上述した。異なる種類のロボット(コーティングロボット、ボンネットオープナロボット、ドアオープナロボット)が、垂直に分散され、異なる段に上下に配置されていることが好ましい。
【0056】
ボンネットオープナロボットは、自動車車体のボンネット(例えば、ボンネット、トランクリッド)を開閉するために上段に配置されることが好ましく、ボンネットオープナロボットは、上部走行レール上を移動可能であることが好ましい。ボンネットオープナロボットが上部に配置されていることにより、ボンネットオープナロボットは、開放され得る自動車車体のボンネットに、簡単に、且つ、ほとんど邪魔されずにアクセスすることができる。
【0057】
一方、コーティングロボットは、コーティングブースの中段に配置されることが好ましく、中部走行レールに沿って移動され得ることが好ましい。コーティングロボットが中部に配置されていることにより、コーティングロボットが、ほとんど邪魔されずに動作することも可能になる。
【0058】
一方、自動車車体のドアを開閉するドアオープナロボットは、コーティングブースの下段に配置されることが好ましく、ドアオープナロボットは、スカラロボット(SCARA:Selective Compliance Assembly Robot Arm)として設計されており、例えば、下部走行レールに沿って移動され得ることが好ましい。ドアオープナロボットがこのように下部に配置されていることにより、ドアオープナロボットが、ほとんど邪魔されずに開放対象のドアにアクセスできる。
【0059】
メンテナンスキャビンのメンテナンス窓は、全ての種類のロボット(ボンネットオープナロボット、コーティングロボット、ドアオープナロボット)が、これらのロボットのロボットアームと共に、メンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビンに全て乗り入れることができるような高さに配置されることが好ましいことにも言及しなければならない。
【0060】
さらに、既に上述した特許文献1から基本的に知られているように、コーティングブースが、矩形の平面図を有し、コーティングブースの四隅それぞれにメンテナンスキャビンが配置されていることが好ましいことに概略的に言及しなければならない。メンテナンスキャビン(「整備キュービクル」)は、2つのステーションの間にも配置され得、2つのステーションの間において、メンテナンスキャビンは、両側からアクセスされ得る。
【0061】
コーティングロボット及びハンドリングロボットは、固定的に取り付けられているか、又は、走行レールに沿って移動可能であり得る。
【0062】
さらに、塗布器は、回転噴霧器などの噴霧器であることが好ましいことに言及しなければならない。但し、本発明の範囲内で、塗布器が、いわゆるプリントヘッドであり、このプリントヘッドが、オーバースプレーをほとんどせずに(すなわち、ほぼ100%の塗布効率で)コーティング剤を塗布し、コーティング剤のスプレージェットを使用せず、空間的に狭く限定されたコーティング剤ジェットを使用するという別の可能性もある。このようなプリントヘッドが最近開発されており、例えば、欧州特許第2953732号明細書、欧州特許第2566627号明細書、欧州特許第3112176号明細書、欧州特許出願公開第3554714号明細書、国際公開第2018/108572号、国際公開第2018/108568号、及び欧州特許出願公開第3698881号明細書に記載されている。
【0063】
さらに、メンテナンスキャビンは、外気パージシステムを有し得、この外気パージシステムは、コーティングブース内でコーティング剤が塗布されるときにメンテナンスキャビン内で呼吸可能な空気を確保するために、メンテナンスキャビンを外気でパージすることに言及しなければならない。これは、観察動作において、コーティングブース内でコーティング剤が塗布されている間にオペレータがメンテナンスキャビン内で観察するときに特に有利である。
【0064】
上述した本発明に係るコーティング装置に加えて、本発明は、対応する動作方法についての保護も請求する。本発明に係る動作方法の個々の工程ステップは、本発明に係るコーティング装置の上記の説明から既に明らかであるため、本発明に係る動作方法の別個の説明は省略され得る。
【0065】
本発明の他の有利な展開が、従属請求項において特定されるか、又は、図面を参照して本発明の好ましい例示的な実施形態の説明と共に以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、本発明に係るコーティングブースの切り欠き斜視図を示す。
図2図2は、図1のコーティングブースの上面図を示す。
図3A図3Aは、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を閉鎖するための窓閉鎖装置を示しており、窓閉鎖装置は、開放位置にある。
図3B図3Bは、塗装ロボットを洗浄するときの洗浄位置にある図3Aの窓閉鎖装置を示す。
図3C図3Cは、スカラロボットとして設計されたドアオープナロボットを洗浄するための洗浄位置にある図3Aの窓閉鎖装置を示す。
図3D図3Dは、閉鎖位置にある図3Aの窓閉鎖装置を示し、この閉鎖位置では、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓が閉鎖されている。
図4図4は、枢動可能な噴霧器洗浄装置を備えたメンテナンスキャビンの斜視図を示す。
図5図5は、制御システムを備えた本発明に係るコーティング装置の簡略化した概略図を示す。
図6図6は、コーティングブースにおける制御パネルの概略図を示す。
図7図7は、本発明に係るメンテナンスキャビンのウォークイン保護を説明するためのフローチャートを示す。
図8図8は、メンテナンスキャビンへのロボットのアクセスの制御を説明するためのフローチャートを示す。
図9図9は、自動動作を図示するためのフローチャートを示す。
図10図10は、塗装ロボット洗浄動作を説明するためのフローチャートを示す。
図11図11は、ハンドリングロボット洗浄動作を説明するためのフローチャートを示す。
図12図12は、噴霧器洗浄装置の自動洗浄動作を説明するためのフローチャートを示す。
図13図13は、観察動作を説明するためのフローチャートを示す。
図14A図14Aは、図3A図3Dの変形例を示す。
図14B図14Bは、図3A図3Dの変形例を示す。
図15図15は、図3A図3Dのさらなる変形例を示す。
図16図16は、図4の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下では、図1及び図2に係る例示的な実施形態についてまず説明し、図1及び図2は、本発明に係る塗装ブース1を示し、この塗装ブース1内で自動車車体2が塗装され、塗装対象の自動車車体2は、リニアコンベヤ(図示せず)によって塗装ブース1を通って矢印の方向に搬送される。
【0068】
塗装ブース1内では、2台の塗装ロボット3、4がリニアコンベヤの両側にあり、塗装ロボット3、4のそれぞれは、塗布装置としての回転噴霧器(図示せず)を自動車車体2の表面上で案内する。
【0069】
さらに、2台のドアオープナロボット5、6が、塗装ブース1内でリニアコンベヤの両側に配置されており、このドアオープナロボット5、6は、スカラロボットとして設計されており、塗装対象の自動車車体2のドアを開閉する役割を担い、これにより自動車車体2の内部が塗装され得る。
【0070】
さらに、2台のボンネットオープナロボット7、8が、塗装ブース1内でリニアコンベヤの両側に配置されており、このボンネットオープナロボット7、8は、自動車車体2の内部を塗装することを可能とするために、自動車車体2のボンネット及びトランクリッドを開放する役割を担う。
【0071】
ボンネットオープナロボット7、8は、塗装ブース1内で上段に配置されており、リニアコンベヤと平行な上部走行レール9に沿って移動され得る。
【0072】
一方、塗装ロボット3、4は、塗装ブース1内で中段に配置されており、リニアコンベヤと平行な中部走行レール10に沿って移動され得る。
【0073】
一方、ドアオープナロボット5、6は、塗装ブース1内で下段に配置されており、下部走行レール11に沿って移動され得る。
【0074】
異なる種類のロボット(塗装ロボット3、4、ドアオープナロボット5、6、及びボンネットオープナロボット7、8)を上下の3つの段に分散することは、異なる種類のロボットが互いに最小限にしか干渉しないため有利である。
【0075】
塗装ブース1の四隅それぞれにメンテナンスキャビン12、13、14、15があり、メンテナンスキャビン12~15は、ブース壁によって塗装ブース1の他の部分から隔離されている。
【0076】
メンテナンスキャビン12~15は、それぞれ、オペレータがアクセスドア16~19を通じてアクセス可能であり、アクセスドア16~19により、塗装ブース1に進入せずとも外部からメンテナンスキャビン12~15にアクセスできる。
【0077】
さらに、メンテナンスキャビン12~15は、それぞれ、メンテナンス窓20~22を有し、メンテナンス窓20~22は、塗装ブース1内の異なる種類のロボットが、詳細に後述するように、各メンテナンスキャビンにおいてメンテナンス措置又は洗浄措置を実行するために、これらのロボットのロボットアームを、メンテナンス窓20~22を通じて各メンテナンスキャビン内へ移動させ得ることを保証する役割を果たす。
【0078】
例えば、メンテナンス措置は、塗装ロボット3が外部帯電リングをメンテナンスキャビン14内で堆積するか、又は交換することからなっていてもよい。この目的のために、塗装ロボット3は、走行レール10に沿ってメンテナンスキャビン14の方向へ移動され、その後、塗装ロボット3のロボットアームと共に、メンテナンス窓21を通じてメンテナンスキャビン14に挿入され、これにより、メンテナンスキャビン14内の外部帯電リングが交換又は変更され得るようになる。
【0079】
さらに、例えば、ドアオープナロボット5も、ドアオープナロボット5のハンドリングツールがメンテナンスキャビン14内で洗浄されるように、ドアオープナロボット5のロボットアームと共に、メンテナンス窓21を通じてメンテナンスキャビン14内に導入され得る。
【0080】
さらに、メンテナンスキャビン12~15は、観察動作を可能にし、この観察動作では、オペレータが、メンテナンスキャビン12~15のうち1つにおり、メンテナンス窓20~22を通して塗装ブース1における塗装動作を観察する。
【0081】
次に、図3A図3Dについて以下で説明し、図3A図3Dは、メンテナンス窓23用の窓閉鎖装置を示し、図1図2を参照して上述したように、メンテナンス窓23は、メンテナンスキャビンのキャビン壁24に配置されている。
【0082】
窓閉鎖装置は、実質的に閉鎖プレート25からなり、この閉鎖プレート25は、矢印の方向に変位可能であり、閉鎖プレート25の変位は、詳細に後述するように、例えば、塗装装置の制御システムによって制御される電気モータによって駆動され得る。
【0083】
閉鎖プレート25の下端には、ロボットアーム27の断面に適合する切り欠き26があり、この切り欠き26の意味についてはより詳細に後述する。
【0084】
図3Aは、開放位置にある窓閉鎖装置を示し、開放位置では、閉鎖プレート25が一番上まで移動しており、従って、キャビン壁24のメンテナンス窓23を完全に露出させている。これにより、ロボットが、このロボットのロボットアーム27を、メンテナンスキャビン内でメンテナンス措置又は洗浄措置を実行するために、メンテナンス窓23を通じてメンテナンスキャビン内へ移動させることが可能になる。
【0085】
図3Bは、洗浄位置にある窓閉鎖装置を示し、洗浄位置では、閉鎖プレート25が下方に移動しており、洗浄対象のロボットのロボットアーム27が、閉鎖プレート25の切り欠き26を通じてメンテナンスキャビン内に突出している。切り欠き26の形状がロボットアーム27の外輪郭に適合しているため、閉鎖プレート25は、メンテナンス窓23をほぼ完全に閉鎖する。
【0086】
図3Cは、より細いロボットアーム28を有するスカラロボットにおける洗浄のための対応する洗浄位置を示す。この洗浄位置でも、閉鎖プレート25は、メンテナンス窓23をほぼ完全に閉鎖する。
【0087】
最後に、図3Dは、窓閉鎖装置の閉鎖位置を示し、この閉鎖位置では、閉鎖プレート25が、一番下まで移動しており、メンテナンス窓23を完全に閉鎖している。ここで、閉鎖プレート25が透明であることに言及しなければならない。これは、メンテナンスキャビン内のオペレータが、図3Dに係る閉鎖位置にある場合でも、透明な閉鎖プレート25を通して塗装ブース1内の塗装工程を観察できるという利点を提供する。
【0088】
次に、図4に係る斜視図について以下に説明し、図4は、メンテナンス窓30を備えるメンテナンスキャビン29を示し、メンテナンス窓30の技術的意味については既に上述した。
【0089】
メンテナンス窓30の下方では、メンテナンスキャビン29のキャビン壁に枢動開口部があり、噴霧器洗浄装置31(「洗浄機」)が枢動開口部内に枢動可能に取り付けられている。
【0090】
この図面は、動作位置にある噴霧器洗浄装置31を示し、この動作位置では、噴霧器洗浄装置31が、メンテナンスキャビン29の外へ枢動され、従って、周囲の塗装ブース内に位置する。この洗浄位置において、回転噴霧器が噴霧器洗浄装置31に挿入され得、噴霧器洗浄装置31の内部で洗浄され得る。
【0091】
但し、噴霧器洗浄装置31は、枢動機構によって両矢印の方向にメンテナンスキャビン29内へ内向きに枢動されることも可能である。メンテナンスキャビン29の内部のこの内部メンテナンス位置では、例えば、噴霧器洗浄装置31が整備され得る。
【0092】
噴霧器洗浄装置31を枢動させるための枢動機構は、2枚の閉鎖プレート32、33を有し、この閉鎖プレート32、33は、互いに対して一定の角度位置に配置されており、噴霧器洗浄装置31と一体的に枢動する。図に示す洗浄位置では、閉鎖プレート32が、メンテナンスキャビン29のキャビン壁における枢動開口部を閉鎖する。但し、内部メンテナンス位置では、他方の閉鎖プレート33が、メンテナンスキャビン29のキャビン壁における枢動開口部を閉鎖する。従って、メンテナンスキャビン29のキャビン壁における枢動開口部は、噴霧器洗浄装置31の両方の枢動位置において閉鎖される。これは、塗料ミスト(オーバースプレー)が塗装ブースからメンテナンスキャビン29内へ侵入することを防ぐため有利である。
【0093】
次に、図5に係る本発明に係る塗装設備の概略図について以下で説明する。
【0094】
本発明に係る塗装設備は、制御システム34を有し、この制御システム34は、塗装設備の動作を制御する。ここで、制御システム34が、単一の構成要素として図示されていることに言及しなければならない。但し、実際には、制御システム34の機能は、複数の構成要素にわたって分散され得る。
【0095】
制御システム34は、ロボットコントローラ35に接続されており、ロボットコントローラ35は、それぞれ、図1及び図2に係る塗装ブース1内のロボット、すなわち、塗装ロボット3、4のうち1台、ドアオープナロボット5、6、又はボンネットオープナロボット7、8のうち1台を制御する。
【0096】
さらに、制御システム34は、枢動機構36に接続されており、枢動機構36は、図4に係る例示的な実施形態における噴霧器洗浄装置31の枢動運動を制御する。
【0097】
さらに、制御システム34は、個々のメンテナンスキャビン12~15それぞれにおける窓閉鎖装置37を制御し、窓閉鎖装置37の機能については、図3A図3Dを参照して上述した。
【0098】
さらに、制御システム34は、ドアロック38を制御し、ドアロック38は、各アクセスドア16~19が開放されることを防止するために、メンテナンスキャビン12~15の個々のアクセスドア16~19用の各アクセスドア16~19をロックする。
【0099】
ドアセンサ39が、メンテナンスキャビン12~15への個々のアクセスドア16~19に配置されており、各アクセスドア16~19の開放状態を検出して制御システム34に通知する。
【0100】
制御パネル40が、動作のユーザ側制御のために設けられており、この制御パネル40は、図6に概略的に示されており、より詳細に後述される。この時点では、制御パネル40が塗装ブース1の動作を制御することについてのみ簡単に言及しなければならない。
【0101】
さらに、要求ボタン41が設けられており、この要求ボタン41は、ユーザが、各メンテナンスキャビン12~15への各アクセスドア16~19の開放を要求することを可能にする。
【0102】
さらに、確認ボタン42が設けられており、この確認ボタン42は、オペレータが、メンテナンスキャビン12~15のうち1つから退出した後に、メンテナンスキャビン12~15から退出したこと、及び、対応するアクセスドア16~19を閉鎖したことを確認することを可能にし、それにより、各メンテナンスキャビン12~15へのアクセスがロボットに対して解放され得る。
【0103】
制御パネル40には、詳細に後述するように、所望の動作モードを選択するための動作モード選択スイッチ43もある。
【0104】
さらに、詳細に後述するように、ユーザから様々なロボットに対する洗浄工程を要求するために、複数の要求ボタン44、45、46、47が設けられている。
【0105】
図6は、動作モード選択スイッチ43と、異なる種類のロボット又は洗浄工程用の洗浄装置を要求するための要求ボタン44~47と、を備える制御パネル40の概略図を示す。
【0106】
さらに、図6は、要求ボタン41及び確認ボタン42を示し、これらの2つのボタンは、メンテナンスキャビン12~15のそれぞれに設けられている。
【0107】
図6に関して、図中に示された構成要素は、全て、各メンテナンスキャビンに設けられることが好ましいことに言及しなければならない。
【0108】
動作モード選択スイッチ43は、自動動作A、観察動作B、又は洗浄動作Rの何れかを有効にする。自動動作Aは、図9に示されており、以下で詳細に後述される。洗浄動作Rは、図10及び図11に示されており、同じく詳細に後述される。最後に、観察動作が、図13に示されており、同じく後述される。
【0109】
図7は、本発明に係るウォークイン保護を説明するための簡略化されたフローチャートを示す。
【0110】
最初のステップS1では、ウォークイン保護がオフにされているか否かが確認される。これは、例えば、塗装ブース内の全てのロボットが電源オフにされており、従って、安全な状態にある場合に当てはまる。そうである場合、ステップS4において、アクセスドアを通じた各メンテナンスキャビンへのアクセスが可能とされる。
【0111】
そうでない場合、ステップS2において、各メンテナンスキャビンのメンテナンス窓が閉鎖されているか否かが確認される。そうである場合、ステップS4において、各メンテナンスキャビンへのアクセスが同じく可能とされる。
【0112】
そうでない場合、ステップS3において、アクセスドアを通じたメンテナンスキャビンへのアクセスがブロックされ、アクセスドアはロックされたままとなる。
【0113】
これにより、メンテナンスキャビン内のオペレータが危険にさらされることが防止される。
【0114】
図8は、メンテナンス窓を通じたロボットのアクセスの制御に関連するウォークイン保護を説明するためのフローチャートを示す。
【0115】
ステップS1において、各メンテナンスキャビンのアクセスドアが閉鎖されてロックされており、且つ、メンテナンスキャビン内にオペレータがいないかが確認される。
【0116】
そうである場合、ステップS2において、各メンテナンス窓を通じたアクセスがロボットに対して解放される。
【0117】
そうでない場合、ステップS3において、各メンテナンス窓を閉鎖された状態に保つ窓閉鎖装置によって、メンテナンス窓を通じた各メンテナンスキャビンへのアクセスがロボットに対してブロックされる。
【0118】
次に、自動動作を説明する図9に係るフローチャートについて以下で説明する。
【0119】
最初のステップS1では、各メンテナンスキャビンへのアクセスドアが閉鎖されてロックされており、メンテナンスキャビンにはオペレータがいない。
【0120】
ステップS2において、各メンテナンスキャビンのメンテナンス窓が、未だ閉鎖されていなければ、閉鎖される。
【0121】
ステップS3において、例えば回転噴霧器の外部帯電リングを交換するように、ロボットのうち1台からのメンテナンス要求があるか否かが確認される。
【0122】
そうである場合、安全な動作状態を確立するために、ステップS4において塗装動作がまず終了され、ステップS5において静電塗料帯電がオフにされて放電される。
【0123】
次のステップS6において、各メンテナンスキャビンのメンテナンス窓が開放される。
【0124】
ステップS7において、整備対象のロボットが、開放されたメンテナンス窓を通じて各メンテナンスキャビン内へ移動される。
【0125】
次のステップS8において、例えば外部帯電リングを変更することによって、メンテナンスキャビン内でメンテナンスが行われる。
【0126】
次のステップS9において、ロボットが再びメンテナンスキャビンの外へ移動される。
【0127】
最後に、最終ステップS10において、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓が再び閉鎖される。
【0128】
図10及び図11は、それぞれ、塗装ロボット(図10)及びハンドリングロボット(図11)を洗浄するためのフローチャートを示し、これらのプロセスが対応しているため、以下では2つのフローチャートをまとめて説明する。塗装ロボットを洗浄するための図10に係るフローチャートは、静電塗料帯電を放電する追加のステップを含む点においてのみ、ハンドリングロボットを洗浄するための図11に係るフローチャートと相違しており、この追加のステップが、ハンドリングロボットにおいて役割を果たさないことは言うまでもない。
【0129】
最初のステップS1において、ユーザが、塗装ロボット又はハンドリングロボットの洗浄を要求する。これは、ユーザにより、制御パネル40上の対応する要求ボタン44、45、又は46を押すことによって行われる。
【0130】
このような洗浄工程についてのユーザ要求の場合、ステップS2において、塗装動作又はハンドリングロボットの進行中のジョブが終了される。
【0131】
次に、塗装ロボットに静電塗装電荷が供給されている場合には、ステップS3において静電塗装電荷が任意選択で放電される。
【0132】
次のステップS4において、対応するメンテナンスキャビンのメンテナンス窓が開放される。
【0133】
次のステップS5において、洗浄対象のロボットを潜在的な危険のない安全な動作状態にするために、洗浄対象のロボットが、開放されたメンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビン内へ移動され、電源オフにされる。
【0134】
次のステップS6において、先ほど開放されたメンテナンス窓が洗浄位置まで閉鎖され、この洗浄位置では、ロボットアームが、メンテナンス窓を通じてメンテナンスキャビン内に突出しており、窓閉鎖装置は、依然としてメンテナンス窓をほぼ完全に閉鎖している。
【0135】
次のステップS7において、メンテナンスキャビンへのアクセスドアが解放され、ステップS8において、オペレータがメンテナンスキャビンに進入し、メンテナンスキャビンの内部の塗装ロボットを洗浄することができる。
【0136】
次のステップS9において、オペレータが、再びメンテナンスキャビンから退出する。
【0137】
次のステップS10において、メンテナンスキャビンへのアクセスドアがオペレータによって閉鎖されてロックされ、「終了」ボタンを押すことによってメンテナンスキャビンからの退出が確認される。
【0138】
次に、ステップS11において、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓が再び開放され得る。
【0139】
次に、ステップS12において、塗装ロボットが再びメンテナンスキャビンの外へ移動する。
【0140】
最後に、ステップS13において、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓が閉鎖される。
【0141】
次に、図4の記載を参照しつつ、自動洗浄機洗浄動作を説明する図12に係るフローチャートについて以下で説明する。
【0142】
最初のステップS1において、オペレータが、制御パネル40上の対応する要求ボタン47を押すことによって、噴霧器洗浄装置31の洗浄を要求し得る。
【0143】
次に、ステップS2において、メンテナンスキャビン29の対応するメンテナンス窓30が閉鎖される。
【0144】
次のステップS3において、噴霧器洗浄装置31がメンテナンスキャビン29内へ枢動される。
【0145】
次に、ステップS4において、メンテナンスキャビン29へのアクセスドアが解放される。
【0146】
次のステップS5において、オペレータが、メンテナンスキャビン29に進入し、メンテナンスキャビン29内の噴霧器洗浄装置31を洗浄し得る。
【0147】
次に、ステップS6において、オペレータが、再びメンテナンスキャビン29から退出する。
【0148】
メンテナンスキャビン29から退出した後、オペレータは、対応する終了ボタン42を押し、それによりメンテナンスキャビン29が空であることを制御システム34に通知する。
【0149】
次のステップS8において、噴霧器洗浄装置31が、再びメンテナンスキャビン29の外へ枢動される。
【0150】
最後に、図13に係るフローチャートについて説明し、このフローチャートは、いわゆる観察動作を説明し、この観察動作は、動作モード選択スイッチ43が観察動作Bを選択することによって制御パネル40上で選択され得る。
【0151】
最初のステップS1において、所望のメンテナンスキャビンのメンテナンス窓が閉鎖される。
【0152】
次に、ステップS2において、メンテナンスキャビンへのアクセスドアが解放される。
【0153】
次のステップS3において、オペレータがメンテナンスキャビンに進入し、塗装ブース内の塗装工程をメンテナンスキャビンから観察し得る。
【0154】
次に、ステップS4において、オペレータが、再びメンテナンスキャビンから退出し、ステップS5において、確認ボタン42を押すことによってメンテナンスキャビンから退出したことを確認し、するとアクセスドアがロックされる。
【0155】
次に、図14A及び図14Bに係る例示的な実施形態について以下で説明し、この実施形態は、上述した、図3A図3Dに示す例示的な実施形態に概ね対応しているので、繰り返しを避けるために、上記の説明が参照され、対応する細部については同一の参照番号が使用される。
【0156】
図14Aは、図3Aの状態に対応する閉鎖プレート25の開放状態を示し、図14Bは、図3Bの状態に対応する閉鎖プレート25の閉鎖状態を示す。
【0157】
この例示的な実施形態の特別な特徴は、閉鎖プレート25における切り欠き26の形状である。切り欠き26は、図3A図3Dに係る例示的な実施形態におけるように矩形ではない。その代わりに、切り欠き26は、切り欠き26の上端に向かって三角形の形状で先細になっている。これは、メンテナンス窓23が異なるロボット(種類)に適していなければならないという問題に対処する。一方では、メンテナンス窓23は、ロボットのサイズに関わらず、メンテナンス窓23が各ロボットにとって十分な大きさとなるように広く開放され得なければならない。他方では、メンテナンス窓23は、安全規制により、自由断面が、手が通らない程度に小さくなければならないため、不必要に大きくあるべきではない。可動閉鎖プレート25における切り欠き26の三角形の形状により、ロボットのサイズに応じて、手が通らない程度にメンテナンス窓23が閉鎖され得る。ここで、閉鎖プレート25における切り欠き26を通じて突出するロボットアーム27が、代わりに円形の断面を有し得ることに言及しなければならない。
【0158】
図15は、図14に係る例示的な実施形態のさらなる変形例を示しているので、繰り返しを避けるために、上記の説明が再び参照され、対応する細部については同一の参照番号が使用される。
【0159】
この例示的な実施形態の特別な特徴は、閉鎖プレート25における切り欠き26が、切り欠き26の上部に向かって半円形に先細になっていることである。これは、図14に係る例示的な実施形態における三角形の形状のテーパと同じ技術的意味を有するため、図14に関する上記の技術的説明が参照される。
【0160】
図16は、図4に係る例示的な実施形態の変形例を示しているので、繰り返しを避けるために、上記の説明が再び参照され、対応する細部については同一の参照番号が使用される。
【0161】
この例示的な実施形態の特別な特徴は、噴霧器洗浄装置31が垂直枢動軸の周りで枢動され得ず、噴霧器洗浄装置31の下方にある水平枢動軸48の周りに枢動され得ることである。従って、噴霧器洗浄装置31は、両矢印の方向に、枢動軸48の周りに、メンテナンスキャビン29内へ枢動されるか、又は、メンテナンスキャビン29の外へ枢動され得る。
【0162】
これと比較すると、図4に示す実施形態には、噴霧器洗浄装置31が外側又は内側へ枢動されている間に、噴霧器洗浄装置31の側面に大きな自由空間が生じ、これにより手が通ることができるようになってしまい、安全規制に違反するという欠点がある。その一方、噴霧器洗浄装置31が水平枢動軸48を中心として傾斜している場合、すなわち、垂直位置からメンテナンスキャビン29の内部へ斜めに向いた位置へ動かされた場合、噴霧器洗浄装置31の上方に、安全規制を満たすために十分な程度に小さい自由空間が形成される。逆方向の動きについても同様である。噴霧器洗浄装置31がメンテナンスキャビン29内に完全に折り畳まれると(メンテナンス位置)、噴霧器洗浄装置31の外側上端が閉鎖部を形成する(これは気密である必要はない)。噴霧器洗浄装置31を折り畳むために、噴霧器洗浄装置31の保持プレートが、メンテナンスキャビン29内に向いたハンドルを具備している。傾斜機構は、(家のドアにおけるモーションダンパと同様の)ダンパを具備し得る。傾斜した変形例の他の利点は、メンテナンスキャビン29の外壁において必要なスペースがわずかに少なくて済むことである。
【0163】
本発明は、上述した好ましい実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は、同じく本発明の概念を利用しており、従って保護の範囲内に含まれる多数の変形例及びさらなる展開を請求する。特に、本発明は、それぞれの場合に参照される請求項とは独立して、特に主請求項の特徴を伴わくとも、従属請求項の主題及び特徴の保護も請求する。従って、本発明は、本発明の様々な態様を包含し、これらの態様は、互いに独立して保護を享受する。保護に値する本発明の一態様は、例えば、メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を閉鎖するための窓閉鎖装置の構造設計及び機能に関する。保護に値する本発明の別の態様は、例えば、噴霧器洗浄装置を、メンテナンスキャビン内へ枢動するか、又はメンテナンスキャビンの外へ枢動させるための枢動機構に関する。
【0164】
(付記)
(付記1)
部品(2)、特に自動車車体部品(2)に、コーティング剤、特に塗料、接着剤、シーラント、又は絶縁材料をコーティングするためのコーティング装置であって、
a)塗布中に塗布対象となる前記部品(2)を収容するための塗布ブース(1)、
b)前記塗布ブース(1)内に配置された少なくとも1台のロボット(3~8)、特に、
b1)部品(2)に塗布剤を塗布するための少なくとも1台の塗布ロボット(3、4)であって、前記塗布ロボット(3、4)は、塗布器、特に回転噴霧器又はプリントヘッドを案内する、塗布ロボット(3、4)、及び/又は、
b2)塗布対象の前記部品(2)をハンドリングするための少なくとも1台のハンドリングロボット(5、6、7、8)、特に、
i)自動車車体(2)のドアを開閉するためのドアオープナロボット(5、6)としての、又は、
ii)前記自動車車体(2)のボンネットを開閉するためのボンネットオープナロボット(7、8)としての
ハンドリングロボット(5、6、7、8)、
c)少なくとも1つのメンテナンスキャビン(12~15;29)であって、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の内部で整備処置を実行するためのメンテナンスキャビン(12~15;29)であり、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、
c1)コーティングブース(1)の内部に配置され、前記コーティングブース(1)の他の部分から隔離されており、
c2)アクセスドア(16~19)であって、前記アクセスドア(16~19)を通じてオペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に進入し得るアクセスドア(16~19)を有し、
c3)メンテナンス窓(20~22;23;30)を有し、それにより、前記ロボット(3~8)が、前記ロボット(3~8)のロボットアーム(27、28)(27、28)を、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に少なくとも部分的に導入し得る、
前記メンテナンスキャビン(12~15;29)、
d)前記コーティング装置の動作を制御するための制御システム(34)、
を備え、
e)前記制御システム(34)は、
e1)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)が閉鎖されたこと、
e2)前記コーティングブース(1)内の前記ロボット(3~8)が電源オフにされたこと、
のうち少なくとも1つの条件が満たされた場合にのみ、前記オペレータが前記アクセスドア(16~19)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にすること、及び/又は、
f)前記制御システム(34)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)が閉鎖されており、好ましくはロックもされている場合にのみ、前記ロボット(3~8)が前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にすること、
を特徴とする、
コーティング装置。
【0165】
(付記2)
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、前記アクセスドア(16~19)の開放状態を検出するためのドアセンサ(39)を備えること、及び/又は、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、制御可能なドアロック(38)であって、ロック状態において前記アクセスドア(16~19)が開放されることを防止し、それにより、アンロック状態においてのみ前記アクセスドア(16~19)が開放され得る、制御可能なドアロック(38)を備えること、
c)前記制御システム(34)は、好ましくは、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)へのアクセスを制御するために、前記ドアセンサ(39)に問い合わせ、前記ドアロック(38)を制御すること、
を特徴とする、
付記1に記載のコーティング装置。
【0166】
(付記3)
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)は、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するか、又は、完全に、若しくは部分的に閉鎖するために、調整可能な窓閉鎖装置(37)を備えること、及び/又は、
b)前記窓閉鎖装置(37)は、任意選択で、移動可能又は枢動可能な閉鎖プレート(25)であって、前記閉鎖プレート(25)の位置に応じて、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するか、又は、完全に、若しくは部分的に閉鎖する閉鎖プレート(25)を有すること、及び/又は、
c)移動可能又は枢動可能な前記閉鎖プレート(25)は、前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)のロボットアーム(27、28)の断面に適合する切り欠き(26)を有し、それにより、前記閉鎖プレート(25)は、前記ロボットアーム(27、28)が前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内に突出しているときに、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を前記ロボットアーム(27、28)まで閉鎖し得ること、及び/又は、
d)前記閉鎖プレート(25)は、任意選択で、オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)から前記閉鎖プレート(25)を通して前記コーティングブース(1)内の工程を観察し得るように透明であること、及び/又は、
e)前記閉鎖プレート(25)は、垂直方向に移動可能であること、及び/又は、
f)前記制御システム(34)は、前記窓閉鎖装置(37)を制御すること、及び/又は、
g)前記閉鎖プレート(25)における前記切り欠き(26)は、前記閉鎖プレート(25)の端部から始まって、特に三角形又は半円形に先細りしていること
を特徴とする、
付記1又は2に記載のコーティング装置。
【0167】
(付記4)
a)前記窓閉鎖装置(37)は、開放位置において、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を実質的に完全に開放し、それにより、前記コーティングロボット(3、4)、及び/又は、ロボットアーム(27、28)を備えた前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)が、妨げられることなく前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通って前記メンテナンスキャビン(12~15)に進入し得ること、及び、
b)前記窓閉鎖装置(37)は、閉鎖位置において、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を実質的に完全に閉鎖し、それにより、前記オペレータが、前記コーティングブース(1)内で前記部品(2)がコーティングされている間に前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内にいることができること、及び、
c)前記窓閉鎖装置(37)は、洗浄位置において、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)のロボットアーム(27、28)の輪郭まで覆い、それにより、前記ロボットアーム(27、28)が前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内に突出し得ること
を特徴とする、
付記3に記載のコーティング装置。
【0168】
(付記5)
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記アクセスドア(16~19)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を前記コーティングブース(1)の他の部分に接続しており、それにより、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)が、前記コーティングブース(1)の内部から前記アクセスドア(16~19)を通じて進入可能であること、又は、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15:29)の前記アクセスドア(16~19)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を前記コーティングブース(1)の外側の外部空間に接続しており、それにより、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)が、前記コーティングブース(1)の外部から前記アクセスドア(16~19)を通じて進入可能であること
を特徴とする、
付記1から4の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0169】
(付記6)
a)メンテナンス装置(31)が設けられており、特に、
a1)前記塗布器を洗浄するための塗布器洗浄装置(31)、特に、噴霧器洗浄装置(31)であって、洗浄対象の噴霧器を前記噴霧器洗浄装置(31)に挿入し、前記噴霧器洗浄装置(31)の内部で前記噴霧器を洗浄するための挿入開口部を備える噴霧器洗浄装置(31)、又は、
a2)プリントヘッドとして設計された前記塗布器によって放出された前記コーティング剤のジェットを試験するためのジェット試験装置、又は、
a3)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)のハンドリングツールを洗浄するための洗浄装置
として設けられていること、
b)前記メンテナンス装置(31)は、枢動機構によって前記メンテナンスキャビン(12~15;29)のキャビン壁(24)における枢動開口部に枢動可能に取り付けられていること、
c)前記メンテナンス装置(31)は、前記枢動機構(36)によって、前記コーティングブース(1)の内部の動作位置と前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の内部のメンテナンス位置との間で、特に、垂直枢動軸の周り、又は水平枢動軸(48)の周りに枢動され得ること、
d)前記枢動機構(36)は、任意選択で、前記動作位置と前記メンテナンス位置との両方において前記枢動開口部を閉鎖すること、
e)前記枢動機構(36)は、任意選択で、前記メンテナンス装置(31)が前記コーティングブース(1)の内部の前記動作位置に枢動されたときに前記枢動開口部を閉鎖するために第1の閉鎖プレート(32)を有すること、
f)前記枢動機構(36)は、任意選択で、前記メンテナンス装置(31)が前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の内部の前記メンテナンス位置に枢動されたときに前記枢動開口部を閉鎖するために第2の閉鎖プレート(33)を有すること、
g)前記枢動機構(36)の2枚の前記閉鎖プレート(32、33)は、任意選択で、互いに一定の角度を成し、一体的に枢動し、前記角度は、好ましくは、実質的に90°であること、
h)任意選択で、前記メンテナンス装置(31)を前記メンテナンスキャビン(29)の内部から前記メンテナンスキャビン(2)に引き入れることができるように、ハンドルが前記メンテナンス装置(31)に取り付けられていること、
i)前記枢動機構(36)は、任意選択で、前記メンテナンス装置(31)の枢動運動を減衰するためのダンパを有すること
を特徴とする、
付記1から5の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0170】
(付記7)
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、前記アクセスドア(16~19)を開放するためのドアオープナボタン(41)を有すること、及び、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)から退出したことを確認するための確認ボタン(42)を有すること、及び、
c)前記ドアオープナボタン(41)及び前記確認ボタン(42)は、前記制御システム(34)に接続されていること
を特徴とする、
付記1から6の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0171】
(付記8)
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、動作中における前記オペレータの安全を確保するために、複数の異なる動作モードで動作され得ること、及び、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の動作モードを選択するために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に動作モード選択スイッチ(43)が配置されていること
を特徴とする、
付記1から7の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0172】
(付記9)
前記メンテナンスキャビン(12~15;29)は、
a)自動動作、
b)前記コーティングロボット(3、4)を洗浄するためのコーティングロボット洗浄動作、
c)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を洗浄するためのハンドリングロボット洗浄動作、
d)付属品、特に、前記塗布器洗浄装置(31)、又は、塗布された前記コーティング剤の外部静電帯電のための噴霧器用の外部帯電リングを洗浄するための付属品洗浄動作、
e)前記コーティングブース(1)内の工程を観察するための観察動作
のうち少なくとも1つの動作モードにおいて動作され得ることを特徴とする、
付記8に記載のコーティング装置。
【0173】
(付記10)
前記自動動作において、前記制御システム(34)は、コーティングロボット(3、4)又はハンドリングロボット(5、6、7、8)についてのメンテナンス要求があるか否かを確認し、メンテナンス要求が行われると、
a)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)におけるコーティング動作を終了するステップ、
b)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)上の静電コーティング剤帯電システムを放電するステップ、
c)前記アクセスドア(16~19)が開放されること、及び、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への進入を防止するために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
d)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
e)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に導入するステップ、
f)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を前記洗浄位置まで閉鎖するステップ、
g)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をアンロックし、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)へ進入することを可能にするステップ、
h)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で洗浄措置を実行するステップ、
i)前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室して前記アクセスドア(16~19)を閉鎖した後、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
j)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室した後の前記オペレータによる、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)がロックされていることの確認のステップ、
k)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
l)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の外へ移動させるステップ、
m)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を閉鎖するステップ
のうち一部又は全部を、特に上記の順序で実行することを特徴とする、
付記9に記載のコーティング装置。
【0174】
(付記11)
前記コーティングロボット洗浄動作において、前記制御システム(34)は、ユーザ側のコーティングロボット(3、4)についての洗浄要求があるか否かを確認し、洗浄要求がある場合、
a)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)におけるコーティング動作を終了するステップ、
b)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)上の静電コーティング剤帯電システムを放電するステップ、
c)前記アクセスドア(16~19)が未だロックされていなければ、前記アクセスドア(16~19)が開放されること、及び、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への進入を防止するために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
d)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
e)洗浄対象の前記コーティングロボット(3、4)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15、29)に導入するステップ、
f)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を前記洗浄位置まで閉鎖するステップ、
g)前記コーティングロボット(3、4)を電源オフにするステップ、
h)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をアンロックし、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)へ進入することを可能にするステップ、
i)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で洗浄措置を実行するステップ、
j)前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室して前記アクセスドア(16~19)を閉鎖した後、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
k)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室した後の前記オペレータによる、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)がロックされていることの確認のステップ、
l)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
m)前記コーティングロボット(3、4)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の外へ移動させるステップ、
n)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を閉鎖するステップ
のうち一部又は全部を、特に上記の順序で実行することを特徴とする、
付記9又は10に記載のコーティング装置。
【0175】
(付記12)
前記ハンドリングロボット洗浄動作において、前記制御システム(34)は、ユーザ側の前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)についての洗浄要求があるか否かを確認し、洗浄要求がある場合、
a)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)の現在のジョブを終了するステップ、
b)前記アクセスドア(16~19)が未だロックされていなければ、前記アクセスドア(16~19)が開放されること、及び、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への進入を防止するために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
c)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
d)洗浄対象の前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に導入するステップ、
e)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を電源オフにするステップ、
f)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22、23、30)を前記洗浄位置まで閉鎖するステップ、
g)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をアンロックし、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)へ進入することを可能にするステップ、
h)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で洗浄措置を実行するステップ、
i)前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室して前記アクセスドア(16~19)を閉鎖した後、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)をロックするステップ、
j)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を退室した後の前記オペレータによる、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)がロックされていることの確認のステップ、
k)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を開放するステップ、
l)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)を、開放された前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の外へ移動させるステップ、
m)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を閉鎖するステップ
のうち一部又は全部を、特に上記の順序で実行することを特徴とする、
付記9から11の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0176】
(付記13)
前記制御システム(34)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内でメンテナンス措置を実行するときに、
a)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で洗浄装置を使用して前記塗布器又は前記ロボットアーム(27、28)を洗浄するステップ、及び/又は、
b)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で噴霧器の外部帯電リングを設置、及び/又は、交換するステップ
を実行することを特徴とする、
付記10から12の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0177】
(付記14)
前記付属品洗浄動作において、
a)前記制御システム(34)は、前記噴霧器洗浄装置を前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内の前記メンテナンス位置まで枢動させ、
b)前記制御システム(34)は、任意選択で、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にするために、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記アクセスドア(16~19)の前記ドアロックをアンロックする
と規定されていることを特徴とする、
付記9から13の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0178】
(付記15)
前記観察動作において、
a)前記制御システム(34)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)の前記窓閉鎖装置(37)を、前記窓閉鎖装置(37)が前記閉鎖位置にあり、前記メンテナンス窓(20~22;23;30)が完全に閉鎖されるように制御し、
b)前記制御システム(34)は、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記アクセスドア(16~19)の前記ドアロックをアンロックし、前記オペレータが前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にする
と規定されていることを特徴とする、
付記9から14の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0179】
(付記16)
a)前記自動車車体(2)のボンネットを開閉するために、少なくとも1台のボンネットオープナロボット(7、8)が、任意選択で、前記コーティングブース(1)の上段に、特に、上部走行レール(9)上を移動可能に配置されており、
b)少なくとも1台のコーティングロボット(3、4)が、前記コーティングブース(1)の中段に、特に、中部走行レール(10)上を移動可能に配置されており、
c)前記自動車車体のドアを開閉するために、少なくとも1台のドアオープナロボット(5、6)が、任意選択で、前記コーティングブース(1)の下段に、特に、下部走行レール(11)上を移動可能に配置されている
ことを特徴とする、
付記1から15の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0180】
(付記17)
前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)は、前記ボンネットオープナロボット(7、8)、前記コーティングロボット(3、4)、及び前記ドアオープナロボット(5、6)が、ロボットアーム(27、28)と共に前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の内部へ移動し得るような高さに配置されていることを特徴とする、
付記16に記載のコーティング装置。
【0181】
(付記18)
a)前記コーティングブース(1)は、四隅を有する矩形の平面図を有し、前記コーティングブース(1)の前記四隅それぞれに前記メンテナンスキャビン(12~15;29)が配置されていること、及び/又は、
b)前記コーティングロボット(3、4)は、前記コーティングブース(1)内で走行レール(10)に沿って、移動可能であるか、又は、固定的に取り付けられていること、及び/又は、
c)前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)は、前記コーティングブース(1)内で走行レール(9、11)に沿って、移動可能であるか、又は、固定的に取り付けられていること、及び/又は、
d)コーティング対象の前記部品(2)を、前記コーティングブース(1)を通って搬送するための、特に無人輸送システムを備えるコンベヤが設けられていること、及び/又は、
e)前記塗布器は、噴霧器、特に回転噴霧器、又は、プリントヘッドであること、及び/又は、
f)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)内で呼吸可能な空気を確保するために、前記コーティングブース(1)内で前記コーティング剤が塗布されたときに、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)を外気でパージする外気パージシステムが設けられていること、及び/又は、
g)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)のキャビン壁(24)は、前記コーティング剤に対して不透過性であること、及び/又は、
h)前記ハンドリングロボット(5、6)のうち1台は、前記自動車車体(2)のドアを開閉するように設計されたスカラロボットであること、及び/又は、
i)前記ハンドリングロボット(7、8)のうち1台は、前記自動車車体(2)のボンネットを開閉するように設計された多関節ロボットであること
を特徴とする、
付記1から17の何れか一つに記載のコーティング装置。
【0182】
(付記19)
a)前記制御システム(34)は、
a1)前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)が閉鎖されたこと、
a2)前記コーティングブース(1)内の前記コーティングロボット(3、4)及び前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)が、全て電源オフにされたこと、及び/又は、
a3)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)が、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)に導入されたこと、
a4)前記コーティングロボット(3、4)、又は、前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)、及び/又は、前記閉鎖プレートの位置が安全に監視されたこと、
a5)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)の電源ユニットが安全に電源オフにされたこと、
a6)前記窓閉鎖装置(37)が、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)の前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を閉鎖したこと、
a7)前記コーティングロボット(3、4)又は前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)の前記ロボットアーム(27、28)が、前記窓閉鎖装置の前記閉鎖プレート(25)の前記切り欠き(26)を閉鎖したこと
のうち少なくとも1つの条件が満たされた場合のみ、前記オペレータが前記アクセスドア(16~19)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にすること、及び/又は、
b)前記制御システム(34)は、前記コーティングロボット(3、4)及び前記ハンドリングロボット(5、6、7、8)が、監視されており、前記メンテナンスキャビン(12~15;29)への前記アクセスドア(16~19)が閉鎖されており、好ましくはロックされてもいる場合にのみ開放される前記メンテナンス窓(20~22;23;30)を通じて前記メンテナンスキャビン(12~15;29)にアクセスすることを可能にすること
を特徴とする、
付記1から18の何れか一つに記載のコーティング装置の動作方法。
【符号の説明】
【0183】
1 塗装ブース
2 自動車車体
3、4 塗装ロボット
5、6 ドアオープナロボット(スカラロボット)
7、8 ボンネットオープナロボット
9 ボンネットオープナロボット用の上部走行レール
10 塗装ロボット用の中部走行レール
11 ドアオープナロボット(スカラロボット)用の下部走行レール
12~15 メンテナンスキャビン(「キュービクル」)
16~19 メンテナンスキャビンへのアクセスドア
20~22 メンテナンスキャビンのメンテナンス窓
23 メンテナンスキャビンのメンテナンス窓
24 メンテナンスキャビンのキャビン壁
25 メンテナンスキャビンのメンテナンス窓を閉鎖するための閉鎖プレート
26 閉鎖プレートにおける切り欠き
27 塗装ロボットのロボットアーム
28 ドアオープナロボット(スカラロボット)のロボットアーム
29 メンテナンスキャビン
30 メンテナンスキャビンのメンテナンス窓
31 噴霧器洗浄装置(「洗浄機」)
32 噴霧器洗浄装置が外側に旋回されたときの枢動開口部を閉鎖するための閉鎖プレート
33 噴霧器洗浄装置が内側に旋回されたときの枢動開口部を閉鎖するための閉鎖プレート
34 制御システム
35 ロボットコントローラ
36 噴霧器洗浄装置の枢動機構
37 メンテナンスキャビンのメンテナンス窓の窓閉鎖装置
38 メンテナンスキャビンアクセスドアのドアロック
39 メンテナンスキャビンアクセスドアのドアセンサ
40 コントロールパネル
41 メンテナンスキャビンアクセスドアの開放を要求するための要求ボタン
42 メンテナンスキャビンアクセスドアの閉鎖を確認するための確認ボタン
43 メンテナンスキャビン動作モード選択スイッチ
44 ボンネットオープナロボットを要求するための要求ボタン
45 塗装ロボットを要求するための要求ボタン
46 ドアオープナロボット(スカラロボット)を要求するための要求ボタン
47 噴霧器洗浄装置を要求するための要求ボタン
48 噴霧器洗浄装置(「洗浄機」)を枢動させるための枢動軸
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
【国際調査報告】