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特表2025-500268改良されたガス透過性陽極板を有する鉄製造用電解装置
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  • 特表-改良されたガス透過性陽極板を有する鉄製造用電解装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】改良されたガス透過性陽極板を有する鉄製造用電解装置
(51)【国際特許分類】
   C25C 1/06 20060101AFI20241226BHJP
   C25C 7/06 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C25C1/06
C25C7/06 301B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536140
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 IB2022062222
(87)【国際公開番号】W WO2023111899
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/061763
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(71)【出願人】
【識別番号】524226771
【氏名又は名称】ジョン・コッカリル・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラブレーヌ・ドゥ・モーボウジュ,エルベ
(72)【発明者】
【氏名】バン・エエ,リュック
(72)【発明者】
【氏名】フランドル,セドリック
【テーマコード(参考)】
4K058
【Fターム(参考)】
4K058BA18
4K058BB04
4K058CA07
4K058CA18
4K058CA22
4K058ED01
4K058ED04
4K058FA02
4K058FA11
4K058FC02
(57)【要約】
本発明は、電解反応によって鉄鉱石を還元することによって鉄を製造するための装置(1)に関し、前記電解反応はガスを放出し、装置は、互いに対向しかつ電解液チャンバ(6)によって分離されている、ガス透過性の陽極板(2)と陰極板(3)とを含むケーシング(4)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解反応による鉄鉱石の還元を経て鉄を製造するための装置(1)であって、前記電解反応はガスを放出し、装置は、互いに対向しかつ電解液チャンバ(6)によって分離されている、ガス透過性陽極板(2)と陰極板(3)とを含むケーシング(4)を備え、
前記ケーシング(4)には、電解液チャンバ(6)内で電解液(5)を循環させるための手段(24、25)と、前記電解液チャンバ(6)に鉄鉱石を供給するための手段(24)とが設けられ、
ケーシング(4)は、ガス透過性陽極板(2)のチャンバ(6)とは反対側に沿って延び、ガス透過性陽極板(2)を通って逃げる電解反応からのガスを回収することができるガス回収部(8)を備える脱気ユニット(7)を更に含み、
前記ガス透過性陽極板(2)は、電解液チャンバ(6)からガス回収部(8)まで延びる複数のセル(9)を備えるセル状材料でできており、各セル(9)は、周壁(10)によって区切られ、ガス透過性陽極板(2)の対向する2つの側面で開口している、装置(1)。
【請求項2】
セル(9)はガス透過性陽極板(2)上で規則的かつ周期的に繰り返される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各セル(9)の周壁(10)は六角形の断面を有する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
2つの隣接するセル(9)は、それらのそれぞれの六角形の周壁(10)の一方の直線壁(11)を共有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
各セル(9)の六角形の周壁によって形成された六角形は正六角形である、請求項3及び4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
正六角形が、式e/h<0.1に従って画定され、eは六角形の壁(10)の厚さで、hは六角形の2つの対向する平行な直線壁(11)間の距離である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ガス透過性陽極板(2)を形成するセル状材料はハニカム構造を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
ガス透過性陽極板(2)のセル状材料は、複数の波形シート(12)を互いに溶接することによって製造される、請求項3~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
ケーシング(4)は、ガス透過性陽極板(2)に面するカバー板(13)を備え、ガス透過性陽極板(2)は、ガス透過性陽極板(2)のチャンバ(6)とは反対側に沿って横方向に延び、対応するT字形ロッド(15)を受け入れる少なくとも1つのT字形溝(14)を備え、固定手段(16)は、カバー板(13)をT字形ロッド(15)まで横切る、したがってガス透過性陽極板(2)を陰極板(3)から必要な距離に維持する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ガス透過性陽極板(2)はニッケル合金でできている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
装置は再生可能エネルギーによって電気的に供給される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
ガス透過性陽極板(2)は5~50mmの厚さeを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解工程によって鉄を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、鋼は、2つの主要な製造ルートを通じて工業規模で製造することができる。今日、最も一般的に使用されている製造ルートは、酸化鉄を還元するために還元剤、主にコークスを使用して高炉で銑鉄を製造することである。この方法では、銑鉄1メートルトン当たり約450~600kgのコークスが消費されており、この方法では、コークス工場で石炭からコークスを製造する際にも、銑鉄を製造する際にも、大量のCOが排出される。
【0003】
第二の主要ルートは、いわゆる「直接還元法」を含む。その中には、MIDREX、FINMET、ENERGIRON/HYL、COREX、FINEXなどのブランドによる方法があり、酸化鉄キャリアの直接還元からHDRI(熱間直接還元鉄)、CDRI(冷間直接還元鉄)、HBI(熱間ブリケット鉄)の形でスポンジ鉄が製造される。HDRI、CDRI、及びHBIの形態のスポンジ鉄は、通常、電気アーク炉で更に処理される。この第二のルートが以前のルートよりもCO2排出量が少ないとしても、それでもいくらかは排出され、しかも炭素化石燃料に依存することになる。
【0004】
したがって、現在の開発では、COの排出が少ない、又は全くない、カーボンニュートラルな鉄を製造することを可能にする方法に焦点が当てられている。
【0005】
鉄鉱石から鋼を製造する既知の代替方法は、電気化学技術に基づいている。このような技術では、電流源に接続された2つの電極-陽極と陰極-を備えた電解槽ユニット、電解液回路、及び電解槽ユニットへの酸化鉄の投入口を使って、酸化鉄から鉄が生成される。陽極及び陰極は、前記電極間の良好な電気伝導を確保するために循環電解液に常に浸漬される。電解反応により、陰極で純鉄板が、陽極ではガス状酸素が生成される。このようにして得られた鉄板は、次いで、炭素含有材料及び/又は電気炉内のスクラップなど他の元素と共に溶融されて鋼を製造することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の電解セルの問題の1つは、ガスの蓄積である。実際、電解反応によって形成されたガスは、陽極と陰極との間に閉じ込められたまま蓄積する傾向がある。ガス状酸素は電気絶縁体であり、電極間の電気伝導、したがってセルの生産性に有害な影響を及ぼす。1つの解決策は、前記ガスを含有する電解液を連続的に抽出することであるが、これは常に新鮮な電解液を供給することを意味し、工程の生産性や環境フットプリントにも悪影響を及ぼす。
【0007】
別の解決策は、電解液が通過できる透過性の陽極を設け、陽極と陰極との間の空間からガスを抜き出すことである。しかしながら、電解反応を妨げることなくガスを連続的に排出できるようにするために、透過性を制御しなければならない。したがって、本発明の目的は、電解反応によって形成されたガスの抽出を改善したガス透過性陽極を提供することによって、従来技術の欠点を改善することである。本発明の目的はまた、製造が容易でコスト効果の高い陽極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の装置は、ケーシングであって、陽極板と陰極板とを含み、両者は互いに対向しかつ電解液チャンバによって分離されているケーシングを備え、前記ケーシングには、電解液チャンバ内で電解液を循環させるための手段と、前記電解液チャンバに鉄鉱石を供給するための手段とが設けられ、ケーシングは脱気ユニットを更に備え、脱気ユニットは、ガス透過性陽極板のチャンバとは反対側に沿って延び、ガス透過性陽極板を通って逃げる電解反応からのガスを回収することができるガス回収部を含む。本発明によれば、前記ガス透過性陽極板は、電解液流動チャンバからガス回収部まで延びる複数のセルを備えるセル状材料で作製され、各セルは、周壁によって区切られ、ガス透過性陽極板の2つの対向する側面が開口している。
【0009】
本発明の装置はまた、個別に、又はあらゆる可能な技術の組合せに従って考慮される、以下の任意の特性を含んでもよい。
-セルは、ガス透過性陽極板上で規則的かつ周期的に繰り返される。
-各セルの周壁は、六角形の断面を有する。
-隣接する2つのセルは、セルのそれぞれの六角形の周壁の1つの直線壁を共有する。
-各セルの六角形の周壁によって形成される六角形は、正六角形である。
-正六角形は、式e/h<0.1に従って定義され、ここで、eは六角形の壁の厚さ、hは六角形の2つの対向する平行な直線壁の間の距離である。
-ガス透過性陽極板を形成するセル状材料は、ハニカム構造を有する。
-ガス透過性陽極板のセル状材料は、複数の波形シートを互いに溶接することによって製造される。
-ケーシングは、ガス透過性陽極板に対向するカバー板を備え、ガス透過性陽極板は、ガス透過性陽極板のチャンバとは反対側に沿って横方向に延び、対応するT字形ロッドを受け入れる少なくとも1つのT字形溝を備える。固定手段は、カバー板をT字形ロッドまで横切るため、ガス透過性陽極板は陰極板から必要な距離に維持される。
-ガス透過性陽極板は、ニッケル合金から作られる。
【0010】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明において、示唆として、決して限定するものではなく、添付の図面を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による装置の縦方向断面図を表す。
図2】陽極板を構成するセル状材料の斜視図を表す。
図3図2のセル状材料の上面図を表す。
図4図2のセル状材料で作られた1つのブロックを表し、陽極板は、複数のこのようなブロックで作られる。
図5】ケーシング内の陽極板の固定手段を示す、本発明のケーシングの一部の縦方向断面図を表す。
図6】1つのブロックのセル材料の主な製造工程を表す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第一に、図では、同じ参照符号は、その要素が描かれている図に関係なく、またこれらの要素の形態に関係なく、同じ要素を示していることに留意されたい。同様に、要素が1つの図に特に言及されていない場合、それらの参照符号は、別の図を参照することによって簡単に見つけることができる。
【0013】
図は、本発明の目的の主に1つの実施形態を表すが、本発明の定義に対応する他の実施形態も存在し得ることに留意されたい。
【0014】
図中の要素は例示であり、縮尺通りに描かれていない場合がある。
【0015】
本発明は、電気分解反応による、特にヘマタイト(Fe)及び他の鉄酸化物又は水酸化物を含有する鉄鉱石の還元による鉄金属(Fe)の製造のために提供される装置1に関する。前記化学反応は周知であり、以下の式(1)によって記述することができる。
【数1】
【0016】
したがって、電解反応によってガス-主に酸素-が放出され、それを装置1から抽出する必要があると考えられる。
【0017】
図1を参照すると、装置1は、電解反応が起こる、長手方向軸線Xに沿って延びるケーシング4を備える。前記ケーシング4は、ベース板20、カバー板13、及び2つの側板21によって区切られる。更に、ケーシング4は、電解液5中に完全に浸漬されるように意図されたガス透過性陽極板2及び陰極板3を含み、両板は互いに対向し、固定手段(この図には示されていない)によって必要な距離に保たれる。ケーシング4はまた、陽極板2と陰極板3との間で排出チャンバ22まで長手方向に延びる電解液チャンバ6を含む。装置1は、最終的に、陽極板2及び陰極板3に接続された電源(図示せず)を備える。
【0018】
電解反応によって鉄を生成するために、電解液5-好ましくは水酸化ナトリウム水溶液のような水性溶液-は、装置1が動作している間、電解液チャンバ6内のケーシング4を通って流れる。したがって、装置1は、電解液を循環させるための手段を備えており、この手段は、ケーシング4内で管理されかつ電解液チャンバ6に流体的に接続された、入口24及び出口25に接続された電解液回路(図示せず)を備えてもよい。鉄鉱石は、入口24を介して電解液5内の粉末懸濁物として装置1に優先的に導入される。
【0019】
電解反応中、酸化鉄は反応(1)により鉄に還元され、還元された鉄は陰極板3上に析出し、ケーシング4の内部でガス状酸素が放出される。これらのガスは、電気絶縁体であるため、電解反応の良好な作用を妨げることになり、ケーシング4の外部に絶えず排出されなければならない。
【0020】
この目的のために、ケーシング4は脱気ユニット7を含み、脱気ユニット7は、電解液チャンバ6に対して陽極板2とは反対側の面27に沿って長手方向に延びるガス回収部8を備えている。このガス回収部8は、電解液5が充填されるように設けられた区画であり、陽極板2とカバー板13との間に配置される。したがって、前記ガス回収部8は、陽極板2を通って逃げるガスを回収するために設けられる。
【0021】
図1に示すように、脱気ユニット7はまた、ケーシング4内で管理されるガス出口29までガス回収部8と連続して延びる電解液再循環部28を備える。電解液再循環部28は、少なくとも一部が電解液5で充填されるように設けられている。更に、前記再循環部28は、電解液チャンバ6と流体的に接続している。装置1が動作しているとき、再循環部28は、ガス回収部8から流れる電解液5を、例えば、陽極板2に隣接してかつ電解液チャンバ6に流体的に接続された電解液再循環部28のエルボダクト30を介して、電解液チャンバ6の方向に向け直すことができる。
【0022】
図2及び図3を参照すると、本発明によれば、ガス透過性陽極板2は、複数のセル9を備えるセル状材料で作られる。各セル9は、周壁10で区切られ、陽極板2の対向する両側で開口しているため、電解液チャンバ6からガス回収部8まで延びている(図1参照)。このような構成により、ガス気泡は、ガス排出のために電解液5と共に陽極板2を通って流れることができる。
【0023】
全てのセルは、好ましくは同じ高さを有し、したがって陽極は一定の厚さeを有する。陽極の厚さeは、陽極の上部と底部との間の距離として定義され、底部側は電解液チャンバ6に面する側であり、上部はガス回収部8に面する反対側である。陽極の厚さeは、好ましくは5~50mm、より好ましくは10~20mmである。これにより、装置のコンパクトな設計を維持しつつ、ガス排出を改善することができる。
【0024】
ガス透過性陽極板2は、ガス気泡を排出する役割に加えて、鉄析出物を均一に成長させるために均一な電解反応に寄与しなければならない。更に、ガス透過性陽極板2は、環境条件、特に、電解液への連続的な浸漬及び陽極電流への連続的な通電に耐えるために、十分に堅牢でなければならない。特に、電解液は、濃度50%の苛性ソーダ及び薄い酸化鉄粒子(直径10~40μm)を含有してもよい。ケーシング内の温度は、100~130℃であってよい。電極に供給される電力は、約1000A/m2の電流強度に対して5VDCであってよい。
【0025】
この目的のため、ガス透過性陽極板2を構成するセル状材料は、ガス排出と均一な電気伝導との両方の目的のために、セル9が陽極板2上で規則的かつ周期的に繰り返されるハニカム構造を有することが好ましい。より正確には、各セル9は六角形の断面を有し、好ましくは各六角形は正六角形である。このような構成により、陽極板の効果的な堅牢性を高める完全な構造的均一性が実現され、かつ電気的性能が向上する。更に、このような構成により、各セル9の周囲が最大となり、より良好なガス排出が可能になる。
【0026】
更に、セル状材料の隣接する2つのセル9は、1つの共通の直線壁11を共有することにより、直接隣接している。したがって、各セル9は、陽極板2の周囲に位置するセル9を除いて、6つの同一のセル9によって直接囲まれている。このような構成により、ガス排出セル9の数を最大化することができる一方、電気伝導性を高めるために金属の厚さを均一にすることができる。このような構成はまた、陽極板が受け得る力がその表面全体にわたって均一に分布するため、陽極板の堅牢性の点でも役立つ。
【0027】
図4及び図5の実施形態では、陽極板2は、複数のブロック32から作製され、それらの各々は、全体が上述のセル状材料から作製された四辺形板である。陽極板2を形成し、かつ各ブロック32(及び結果として得られる陽極板2)を装置1内の陰極板3から必要な距離に維持するために固定手段が使用され、固定手段は、ブロック32の厚さで管理され、ブロック32の電解液チャンバ6とは反対側の面27に沿って横方向に延びる2つのT字形溝14を含み得る。
【0028】
図5に示すように、各T字形溝14には、T字形ロッド15が収容されており、T字形ロッド15は、その一方の端部31からスライドして、対応するT字形溝14に挿入される。T字形溝14に係止されると、T字形溝14からT字形ロッド15を上部から抜くことはできない。固定手段16は、対応する孔に沿ってカバー板13をT字形ロッド15まで横切る。したがって、ブロック32は、陰極板3から必要な距離をおいてケーシング4内に確実に保持される。この工程がブロック32毎に繰り返される。ブロック32の数は、陽極板2の必要な寸法に応じて当業者によって調整される。
【0029】
次に、ブロック32の製造方法について図6を参照して説明する。第一に、金属シートが歯付きローラ33の間でプレスされる。得られた波形シート12は、互いに溶接されて初期ブロック34を形成し、この初期ブロックは、厚さが陽極板2の所望の厚さに対応する暑さにスライスして切断され、したがって、前述のように陽極板2を形成するために組み立てられる準備ができたブロック32を提供する。図4のブロック32(図6には図示せず)を得るために、T字形溝14は最終的に機械加工されてもよい。
【0030】
このような方法は、陽極板の堅牢性を意味すると同時に、実装が容易でコスト効果が高い。
【0031】
セル状材料、したがって結果として得られる陽極板は、好適には、例えば、ニッケル200(R)又はニッケル201(R)の商品名で市販されているニッケル合金で作られる。
【0032】
好ましい実施形態では、装置1に供給するこの電力源は、太陽光、風、雨、潮汐、波、及び地熱などの供給源を含む、人間の時間スケールで自然に補充される再生可能資源から収集されるエネルギーとして定義される再生可能エネルギーを使用する。或る実施形態では、産出されるCO2を放出しないため、原子力由来の電力の使用が利用されることができる。これにより、鉄の製造工程のCO2フットプリントが更に制限される。
【0033】
実施例
各ブロック32は、ニッケル200(R)又はニッケル201(R)で作られる。セル状材料は、前述のようにハニカム構造で作られる。各セル9の六角形の壁10の厚さeは0.25mmで、1つのセル9の対向する2つの平行な直線壁11間の距離hは3.175mmである。したがって、厚さeと距離hとの比は0.079である。
【0034】
各ブロック32の寸法は以下の通りである。
-高さ、20mm+/-0.5mm
-幅、250mm+/-0.5mm
-長さ、250mm+/-0.5mm
【0035】
各ブロック32は、図6に示すように前述の方法で得られる。
【0036】
陽極板2は、44個のブロックで作られており、陽極板2の結果として得られる表面積は2.75mである。
【0037】
本発明による陽極板は、電解液チャンバの外部へのガスの良好な排出を促進し、したがって、電解液セルの良好な生産性を可能にする一方で、製造が容易でありコスト効果が高い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解反応による鉄鉱石の還元を経て鉄を製造するための装置(1)であって、前記電解反応はガスを放出し、装置は、互いに対向しかつ電解液チャンバ(6)によって分離されている、ガス透過性陽極板(2)と陰極板(3)とを含むケーシング(4)を備え、
前記ケーシング(4)には、電解液チャンバ(6)内で電解液(5)を循環させるための手段(24、25)と、前記電解液チャンバ(6)に鉄鉱石を供給するための手段(24)とが設けられ、
ケーシング(4)は、ガス透過性陽極板(2)のチャンバ(6)とは反対側に沿って延び、ガス透過性陽極板(2)を通って逃げる電解反応からのガスを回収することができるガス回収部(8)を備える脱気ユニット(7)を更に含み、
前記ガス透過性陽極板(2)は、電解液チャンバ(6)からガス回収部(8)まで延びる複数のセル(9)を備えるセル状材料でできており、各セル(9)は、周壁(10)によって区切られ、ガス透過性陽極板(2)の対向する2つの側面で開口している、装置(1)。
【請求項2】
セル(9)はガス透過性陽極板(2)上で規則的かつ周期的に繰り返される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各セル(9)の周壁(10)は六角形の断面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
2つの隣接するセル(9)は、それらのそれぞれの六角形の周壁(10)の一方の直線壁(11)を共有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
各セル(9)の六角形の周壁によって形成された六角形は正六角形である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
正六角形が、式e/h<0.1に従って画定され、eは六角形の壁(10)の厚さで、hは六角形の2つの対向する平行な直線壁(11)間の距離である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ガス透過性陽極板(2)を形成するセル状材料はハニカム構造を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
ガス透過性陽極板(2)のセル状材料は、複数の波形シート(12)を互いに溶接することによって製造される、請求項3~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
ケーシング(4)は、ガス透過性陽極板(2)に面するカバー板(13)を備え、ガス透過性陽極板(2)は、ガス透過性陽極板(2)のチャンバ(6)とは反対側に沿って横方向に延び、対応するT字形ロッド(15)を受け入れる少なくとも1つのT字形溝(14)を備え、固定手段(16)は、カバー板(13)をT字形ロッド(15)まで横切る、したがってガス透過性陽極板(2)を陰極板(3)から必要な距離に維持する、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ガス透過性陽極板(2)はニッケル合金でできている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
装置は再生可能エネルギーによって電気的に供給される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
ガス透過性陽極板(2)は5~50mmの厚さeを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】