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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】消費者アクセスデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20241226BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20241226BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241226BHJP
【FI】
G06F21/62 318
G06F21/60 360
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536195
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 GB2022053251
(87)【国際公開番号】W WO2023111575
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2118215.9
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2118216.7
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524122819
【氏名又は名称】クラーケン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】スティール・フィリップ・レンウェル
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC06
(57)【要約】
公益事業使用量データを受信する手段(204)及びデータを安全に記憶する手段(220X’)を含むアクセスデバイス(CAD)(200)が提供される。アプリケーション(218)は、プロセッサ(202)による実行のためにダウンロードされ、Docker(商標)コンテナに記憶されてよい。公益事業使用量データを入力データとして必要とするそのアプリケーションのために、プロセッサは、適切な正確性レベルで、取得する権利を有するアプリケーションにデータを安全に提供するようプログラムされる。アプリケーションをCAD(例えば、スマートフォンではなく)でホストすることで、顧客の機密データのセキュリティを侵害することなく、ダウンロード可能なアプリケーションの柔軟性がもたらされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートエネルギーシステム用の消費者アクセスデバイスであって、
プロセッサ、
複数のアプリケーションを記憶する第1のメモリ、
消費者の公益事業使用量を安全に記憶するための第2のメモリ、
公益事業使用量を表す保護データを受信する第1の通信手段、及び
少なくとも1つのサーバと通信し、前記消費者アクセスデバイス用の少なくとも新しいアプリケーションをダウンロードする第2の通信手段を含み、
前記プロセッサは、前記第1の通信手段を介して公益事業使用量を表す保護データを前記第2のメモリに記憶するようプログラムされ、
前記プロセッサは、複数のアプリケーションを前記第1のメモリにダウンロードし、前記第1のメモリに記憶されたアプリケーションを実行するようにもプログラムされ、
前記プロセッサは、アプリケーションからの保護データに対するリクエストに応じ、前記保護データを前記アプリケーションに提供するよう更にプログラムされる、消費者アクセスデバイス。
【請求項2】
ディスプレイを更に含む、請求項1に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項3】
前記プロセッサは、少なくとも1つのユーザデバイスとペアリングしてユーザインターフェースを提供するよう更にプログラムされる、請求項1又は2に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項4】
前記プロセッサは、公益事業使用量を表す保護データを暗号化された形式でユーザデバイスに伝送するようにのみ更にプログラムされる、請求項3に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項5】
前記プロセッサは、少なくとも2つのユーザデバイスとペアリングされてユーザインターフェースを提供するよう更にプログラムされる、請求項3又は4に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項6】
前記プロセッサは、少なくとも1つの前記ユーザデバイスの機能を制限するよう更にプログラムされる、請求項5に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項7】
短距離無線送受信機を含む第3の通信手段を更に含む、請求項1から6の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項8】
前記第3の通信手段は、Bluetooth(商標)送受信機を含む、請求項7に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項9】
前記プロセッサは、公開/秘密鍵ペアを使用してアプリケーションに前記保護データを提供するようプログラムされる、請求項1から8の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項10】
前記第1の通信手段は、ZigBee(商標)送受信機を含む、請求項1から9の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項11】
前記第2の通信手段は、WiFi(商標)送受信機を含む、請求項1から10の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項12】
電化製品と通信する第4の通信手段を更に含む、請求項1から11の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項13】
前記第4の通信手段は、マシンツーマシン送受信機を含む、請求項12に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項14】
前記第4の通信手段は、電力線送受信機を含む、請求項12に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項15】
前記プロセッサは、複数の公益事業の使用量を表すデータを受信するよう更にプログラムされる、請求項1から14の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項16】
前記プロセッサは、複数のアプリケーションを連続して実行するようプログラムされる、請求項1から15の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項17】
前記プロセッサは、所定時間後に連続するアプリケーションを実行するようプログラムされる、請求項16に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記複数のアプリケーションのうち1つ又は複数を自動的に実行し、消費者のリクエストで1つ又は複数の更なるアプリケーションを実行するようプログラムされる、請求項1から16の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス。
【請求項19】
少なくとも1つのスマートメーター、請求項1から18の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイス、及びユーザデバイスを含むホームエリアネットワークであって、前記少なくとも1つのスマートメーターは、公益事業使用量を表すデータを暗号化された形式で消費者アクセスデバイスに伝送するよう構成され、前記消費者アクセスデバイス及び前記ユーザデバイスは、サーバを介して交信するよう構成される、ホームエリアネットワーク。
【請求項20】
請求項1から18の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイスを操作する方法であって、
前記複数のアプリケーションのうちの1つのアプリケーションの制御下にある前記プロセッサによって、前記第2のメモリに記憶された公益事業使用量を表す保護データに対するリクエストを送信すること、
安全なソフトウェアの制御下にある前記プロセッサによって、保護データに対する前記リクエストを受信すること、
安全なソフトウェアの制御下にある前記プロセッサによって、前記リクエストを検証し、前記複数のアプリケーションのうちの前記1つのアプリケーションが前記リクエストされた保護データを取得する権利を有することを保証すること、及び
安全なソフトウェアの制御下にある前記プロセッサによって、前記リクエストされた保護データを前記複数のアプリケーションのうちの前記1つのアプリケーションに送信すること
を含む、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の消費者アクセスデバイスを操作する方法であって、前記リクエストされた保護データを送信する前記ステップは、前記第一のメモリ内のコンテナに前記保護データを記憶することを含み、前記コンテナは、前記複数のアプリケーションのうちの1つのアプリケーションに固有である、方法。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の消費者アクセスデバイスを操作する方法であって、前記データを前記複数のアプリケーションのうちの前記1つのアプリケーションに送信する前に、公益事業使用量を表す前記保護データを概念化することを更に含む、方法。
【請求項23】
請求項1から18の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイスにアプリケーションをダウンロードする方法であって、
ユーザデバイスからサーバへのメッセージによって、ダウンロードするアプリケーションをリクエストすること、
サーバから前記アプリケーションのソフトウェアを前記消費者アクセスデバイスで受信すること、
前記アプリケーションのソフトウェアを前記消費者アクセスデバイスにインストールすること、及び
前記インストールの承認を前記ユーザデバイスで受信すること
を含む、方法。
【請求項24】
請求項1から18の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイスをユーザデバイスとペアリングする方法であって、
前記ユーザデバイスと前記消費者アクセスデバイスとのペアリングをリクエストするメッセージを前記ユーザデバイスからサーバに送信すること、
前記サーバからの応答であって、前記消費者アクセスデバイスのユーザアクティブ化を指示する応答を前記ユーザデバイスで受信すること、
前記消費者アクセスデバイスによって、少なくとも1つのメッセージを前記ユーザデバイスに送信すること、
前記ユーザデバイスによって、少なくとも1つのメッセージを前記消費者アクセスデバイスに送信すること、
前記消費者アクセスデバイスからの前記少なくとも1つのメッセージを前記ユーザデバイスで受信すること、
前記ユーザデバイスからの前記少なくとも1つのメッセージを前記消費者アクセスデバイスで受信すること、
前記ユーザデバイスから受信するペアリング情報を前記消費者アクセスデバイスに記憶すること、及び
前記費者アクセスデバイスからのペアリング情報を前記ユーザデバイスに記憶すること
を含む、方法。
【請求項25】
請求項1から18の何れか1項に記載の消費者アクセスデバイスをユーザデバイスとペアリングする方法であって、
前記ユーザデバイスからのメッセージであって、前記ユーザデバイスと識別された消費者アクセスデバイスとのペアリングをリクエストするメッセージをサーバで受信すること、
前記ユーザデバイスが前記消費者アクセスデバイスと同じ消費者に関連付けられていることを前記サーバで確認すること、及び
前記サーバにおいて、前記ユーザデバイスと前記識別された消費者アクセスデバイスとのペアリング情報を記憶すること
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのスマートユーティリティメーター又は他の使用量測定装置と共に使用するための消費者アクセスデバイス(consumer access device:CAD)、CADを利用するホームエリアネットワーク、及びCADを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者アクセスデバイスは、最新のエネルギー消費量を消費者に通知し、且つデータの一部をクラウドに伝えるために、家庭用公共事業の消費者に提供されるデバイスとして知られる。より高度な事例において、消費者アクセスデバイスは、より安価な料金プランが利用可能になった際に消費者に通知することもできる。CADは、敷地内のエネルギー消費量に関して局所的に取得されたデータを単純に表示する家庭内ディスプレイ(in-home display:IHD)と混同されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、そのようなデバイス(CAD及びIHDの両方)上の表示は、通常、様々な簡潔な事実を示すことに制限され、消費者の特定の関心又は消費量データを消費者に表示する最適な方法を考慮するものではない。その結果、消費者が情報に有意義に関与し、利用可能な有益な措置を講じる可能性は低い。
【0004】
消費者データの取り扱いに関するセキュリティ上の懸念、及びCADのコストが本分野における革新を妨げてきた。
【0005】
本発明の目的は、これらの問題を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、スマートエネルギーシステム用の消費者アクセスデバイスが提供され、消費者アクセスデバイスは、
プロセッサ、
複数のアプリケーションを記憶する第1のメモリ、
消費者の公益事業使用量を安全に記憶するための第2のメモリ、
公益事業使用量を表す保護データを受信する第1の通信手段、及び
少なくとも1つのサーバと通信し、消費者アクセスデバイス用の少なくとも新しいアプリケーションをダウンロードする第2の通信手段を含み、プロセッサは、第1の通信手段を介して公益事業使用量を表す保護データを第2のメモリに記憶するようプログラムされ、
プロセッサは、複数のアプリケーションを第1のメモリにダウンロードし、第1のメモリに記憶されたアプリケーションを実行するようにもプログラムされ、
プロセッサは、アプリケーションからの保護データに対するリクエストに応じ、保護データをアプリケーションに提供するよう更にプログラムされる。本明細書で言及される消費者アクセスデバイスは、スマートユーティリティメーター及び家庭内ディスプレイ(IHD)と異なる。スマートメーターは、敷地内の公益事業使用量に関して収集されるデータの正確且つ安全なアップロードに関する。公益事業の顧客にとって、(公益事業会社を欺くために)このデータを修正することは有益であるため、スマートメーターは堅牢なデバイスである必要がある。正確で完全なデータが公益事業供給元に伝送されることを保証するため、通常、スマートメーターには様々な改ざん防止及び暗号化技術が配備される。例えば、公益事業の顧客は、スマートメーターに常駐するデータ又はソフトウェアを更新することができない。スマートメーターの更新がオーバージエア(over-the-air:OTA)で行われてよいが、これは、公益事業会社又はその代理人によって完全に管理される安全なプロセスである。しかし、スマートメーターは、例えばZigBee(商標)経由で局所的に読み取り専用のデータを提供してよい。
【0007】
家庭内ディスプレイは、典型的にはスマートメーターから使用量データを受信し、これを公益事業の顧客に表示する装置である。このような装置は、現在の電気使用量、1日単位、週単位、又は月単位のその時点までの使用量といった、異なる表示モードを有してよい。家庭内ディスプレイは、いつ使用量の閾値を超えたかを示してよい。しかし、家庭内ディスプレイは、スマートメーターから(例えばZigBee(商標)経由で)データを受信し、それを顧客に表示することしかできない。
【0008】
スマートメーターとは対照的に、消費者アクセスデバイス、即ちCADにおいては、消費者による修正が可能である。公益事業使用量データの公益事業会社のサーバへの安全な中継は、スマートメーターによって直接行われるため、CADは、公益事業使用量データが公益事業会社のサーバに安全に中継されるよう構成される必要はない。これは、CADが消費者のリクエストに応じて(例えばソフトウェアのダウンロードによって)修正されてよいことを意味する。
【0009】
家庭内ディスプレイとは対照的に、CADは、消費者の指示でプログラムされ得るスマートデバイスである。この文脈において、「プログラムされる」という用語は、消費者に提供される時点でデバイスに含まれなかったソフトウェアのインストールを意味する。これは、例えばメニューから特定の情報の表示を選択することによるデバイスの「プログラミング」とは異なる。この選択又はカスタマイズは、全てのそのような表示を提供するソフトウェアが既にインストールされているか、又は少なくとも消費者のリクエストでインストールされていないため、「データ処理能力のない」プロセスである。インストールのためのソフトウェアは、好ましくは、公益事業会社に関係のない第三者の開発者によって開発され、アプリケーションストアといった遠隔ソースから消費者によって選択される。ソフトウェアは、好ましくはインターネットを介して(例えば敷地内のWiFiルータを介して)ダウンロードされ、スマートメーターを介しては決して提供されない。これは、そのような安全な接続を必要としないデータ通信のためにスマートメーターと公益事業会社との間の安全な接続を使用しないという利点を有する。
【0010】
CADは、例えばZigBee(商標)経由で、スマートメーターから直接公益事業消費量情報を受信できる。これにより、公益事業会社のサーバから公益事業消費量情報(即ち、スマートメーターによって既にアップロードされ、消費者のデバイス上のアプリケーションによって提供される情報)を受信するタブレット又はスマートフォンといった別のデバイスとCADとが区別される。これにより、CADは、ほぼリアルタイムのデータを使用して操作可能となるが、スマートメーターは通常24時間毎(典型的には、48時間の半時間毎の期間)にのみデータをアップロードするため、既存の基礎設備では不可能である。理論的には、スマートメーターから(例えばDCCを介して)より頻繁にデータをアップロードすることは可能であるが、通信ネットワークへの負荷は持続不可能なものである。
【0011】
消費者が選択するソフトウェアは、好ましくは、スマートメーターから直接データを受信するCADのセキュア部分によって提供される公益事業消費量データを利用する。これにより、第三者のソフトウェア開発者による、消費者に直接関連するアプリケーション、例えば、改善された消費量データ表示又はエネルギー削減ゲームの開発が可能となる。CADに「セキュア」部分及び「オープン」部分を設けることにより、公益事業使用量データのセキュリティを確保しながら第三者の開発者によるプラットフォームへのアクセスを可能にすることができる。開発コミュニティに消費者向けアプリケーションを提供する権限を与えることにより、顧客の関与が強化され、(消費者がアプリケーションに対して料金を支払う場合)公益事業提供者に収益源を提供することも可能となる。
【0012】
エネルギー消費量データを利用することができるアプリケーションをダウンロードし、記憶し、且つ実行することができる安全な消費者アクセスデバイスを提供することにより、第三者によるアプリケーションの開発を可能にするといった、多くの可能性が広がる。第三者のアプリケーションは、消費者によって更にカスタマイズされてよい、容易に理解されるフォーマットによる使用量データの提示に焦点を合わせることができる。エネルギー使用の低減及び/又はよりスマートなエネルギーの使用を促すゲームが開発され得、消費者に特定のイベントを警告する警報が提供され得る。そのようなイベントは、故障した電化製品、昼間に点灯したままの照明、又は無人の部屋でつけっぱなしのTVであり得る。そのようなイベントはまた、閾値を上回る、及び/又は所定の期間を上回る電力の使用であり得る。警報は、少なくとも可聴警報を含むことが好ましい。
【0013】
消費者アクセスデバイスは、ディスプレイを含んでよいが、好ましくは、より高度なUIオプションを消費者に提供するよう、スマートフォン、タブレット、又はPCといったユーザデバイスとペアリングするようプログラムされる。ユーザデバイスへのインターフェースは、好ましくは、暗号化された形式の保護データを伝えるようにのみ構成される。これにより、消費者の機密データの安全性を損なうことなく、(高度なUIオプションを提供する必要がないため)適度なコストでCADの提供が可能となる。CADは、エネルギー使用量を表す保護データを、そのデータをユーザデバイスに提供する前に概念化するよう更に構成されてよい。データの概念化は、時間の経過及び/又は使用量の多少に関して実行されてよい。
【0014】
CADは、好ましくは、複数のユーザデバイスとペアリングされ得、消費者は、好ましくは、そのようなデバイスの数を制限することができる。ユーザデバイスは、各デバイスに許可されるCADへのアクセス権レベル及び/又はCADの制御レベルが異なるよう、階層的にペアリングされてもよい。例えば、単一のユーザデバイスが、アプリケーションのダウンロード/更新及び消去を指示することができ、他のユーザデバイスが、どのアプリケーション(複数可)が実行されるかを制御することができ、且つゲームをプレイすることができるようにしてよい。CADとペアリングされる第1のユーザデバイスは、そのようなマスタ又は管理者デバイスであってよい。
【0015】
CADと1つ又は複数のそのようなユーザデバイスとの安全なペアリングが可能となるよう、消費者アクセスデバイスは、第3の通信手段としてBluetooth(商標)送受信機といった短距離無線送受信機も備えることが好ましい。
【0016】
一実施形態において、プロセッサは、アプリケーションに固有な第1のメモリの一領域にそのデータを記憶することによって、アプリケーションにそのデータを提供するようプログラムされる。これにより、他のアプリケーションが、付与されるアクセス権を超えてデータを取得することが防止される。代わりに(又は加えて)、プロセッサは、公開/秘密鍵ペアを使用してアプリケーションに保護データを提供するようプログラムされてよい。
【0017】
第1の通信手段は、好ましくはZigBee(商標)送受信機を備える。これにより、スマートメーターとCADとの間の安全な通信がもたらされる。
【0018】
第2の通信手段は、好ましくはWiFi(商標)送受信機を含む。これにより、インターネットへのアクセスが低コストでもたらされるが、これは、モバイルデータリンクによって同様に置換又は増強され得る。
【0019】
消費者アクセスデバイスは、好ましくは、敷地上の電化製品と通信する第4の通信手段も備える。第4の通信手段は、マシンツーマシン(M2M)送受信機及び/又は電力線送受信機を備えることができる。
【0020】
CADは、好ましくは、複数の公益事業に関する消費量データを受信するようプログラムされる。例えば、CADは、2つのスマートユーティリティメーターからデータを受信するようプログラムされてよい。
【0021】
CADは、複数のアプリケーションを連続して実行するようプログラムされてよい。連続して実行されるアプリケーションは、所定時間(所定時間は、アプリケーションにより異なってよい)の経過後に、又はユーザ入力に応答して起動されてよい。これにより、消費者は、待機を必要とせずに関心のあるアプリケーションに切り替えることができる。代わりに、CADは、消費者が選択する順番でアプリケーションの一部又は全てを実行するようプログラムされてよい。一部のアプリケーション(「背景アプリケーション」)は、ゲームといった特定のアプリケーション(「前景アプリケーション」)の実行を消費者がリクエストするまで連続して実行されるよう構成されてよい。ユーザは、1つのディスプレイ(「カード」)を選択し、また、カード上に表示される特定の情報を選択することによって、アプリケーション内でユーザの体験をカスタマイズしてもよい。
【0022】
CADは、好ましくは、消費者プライバシーの義務が確実に侵害されないよう、ダウンロード前に特定のアプリケーションと共有されるデータを消費者に通知するようプログラムされる。特定のアプリケーションに関し、消費者は、データが共有される範囲を選択するか、又は共有されるデータの正確性をカスタマイズすらしてよい。消費者がデータ共有を正確性がより低いデータ共有に制限する場合、アプリケーションの品質又は応答性に影響を与える可能性がある。アプリケーションの提供者は、データ正確性の最低レベルを指定してよい。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つのスマートメーター、本発明の第1の態様に係る消費者アクセスデバイス、及びユーザデバイスを含むホームエリアネットワークが提供され、少なくとも1つのスマートメーターは、公益事業使用量を表すデータを暗号化された形式で消費者アクセスデバイスに伝送するよう構成され、消費者アクセスデバイス及びユーザデバイスは、サーバを介して交信するよう構成される。
【0024】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様に係る消費者アクセスデバイスを操作する方法であって、
複数のアプリケーションのうちの1つのアプリケーションの制御下にあるプロセッサによって、第2のメモリに記憶された公益事業使用量を表す保護データに対するリクエストを送信すること、
安全なソフトウェアの制御下にあるプロセッサによって、保護データに対するリクエストを受信すること、
安全なソフトウェアの制御下にあるプロセッサによって、リクエストを検証し、複数のアプリケーションのうちの1つのアプリケーションがリクエストされた保護データを取得する権利を有することを保証すること、及び
安全なソフトウェアの制御下にあるプロセッサによって、リクエストされた保護データを複数のアプリケーションのうちの1つのアプリケーションに送信すること
を含む、方法が提供される。
【0025】
リクエストされた保護データを送信するステップは、好ましくは、第一のメモリ内のコンテナに保護データを記憶することを含み、コンテナは、複数のアプリケーションのうちの1つのアプリケーションに固有である。
【0026】
本方法は、好ましくは、データを複数のアプリケーションのうちの1つのアプリケーションに送信する前に、公益事業使用量を表す保護データを概念化することを更に含む。
【0027】
プロセッサが2つの異なる役割(即ち、アプリケーションの実行及び保護データの管理)を有するよう構成されることにより、ユーザの消費量データの機密性が保護される。
【0028】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様に係る消費者アクセスデバイスをユーザデバイスとペアリングする方法であって、
ユーザデバイスと消費者アクセスデバイスとのペアリングをリクエストするメッセージをユーザデバイスからサーバに送信すること、
サーバからの応答であって、消費者アクセスデバイスのユーザアクティブ化を指示する応答をユーザデバイスで受信すること、
消費者アクセスデバイスによって、少なくとも1つのメッセージをユーザデバイスに送信すること、
ユーザデバイスによって、少なくとも1つのメッセージを消費者アクセスデバイスに送信すること、
消費者アクセスデバイスからの少なくとも1つのメッセージをユーザデバイスで受信すること、
ユーザデバイスからの少なくとも1つのメッセージを消費者アクセスデバイスで受信すること、
ユーザデバイスから受信するペアリング情報を消費者アクセスデバイスに記憶すること、及び
費者アクセスデバイスからのペアリング情報をユーザデバイスに記憶すること
を含む、方法が提供される。
【0029】
消費者アクセスデバイスとユーザデバイスとをペアリングすることによって、消費者は、例えばスマートフォン上で提供される高度なユーザインターフェースを使用してCADを制御してよい。これにより、CADをより単純なデバイスとすることができ、完全なインターフェース(例えば、タッチスクリーン)を有するCADと比較してコストを節約することができる。
【0030】
ペアリングする方法は、代わりに、
ユーザデバイスからのメッセージであって、ユーザデバイスと識別された消費者アクセスデバイスとのペアリングをリクエストするメッセージをサーバで受信すること、
ユーザデバイスが消費者アクセスデバイスと同じ消費者に関連付けられていることをサーバで確認すること、及び
サーバにおいて、ユーザデバイスと識別された消費者アクセスデバイスとのペアリング情報を記憶すること
を含んでよい。
【0031】
本方法の本変形形態は、消費者アクセスデバイスにそれほど高度なハードウェアを必要としないという利点を有する。
【0032】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様に係る消費者アクセスデバイスにアプリケーションをダウンロードする方法であって、
ユーザデバイスからサーバへのメッセージによって、ダウンロードするアプリケーションをリクエストすること、
サーバからアプリケーションのソフトウェアを消費者アクセスデバイスで受信すること、
アプリケーションのソフトウェアを消費者アクセスデバイスにインストールすること、及び
インストールの承認をユーザデバイスで受信すること
を含む、方法が提供される。
【0033】
ユーザデバイスからのCADアプリケーションのダウンロードを制御することにより、CADは、基本的なユーザインターフェース(UI)のみを備え、コスト及び複雑さを低減し得る。
【0034】
本発明の第6の態様によれば、スマートエネルギーシステム用の消費者アクセスデバイスであって、
プロセッサ、
少なくとも1つのアプリケーションを記憶する第1のメモリ、
公益事業使用量を表すデータを安全に記憶する第2のメモリ、
公益事業使用量を表す保護データを受信する第1の通信手段、及び
少なくとも1つのサーバと通信する第2の通信手段を含み、
プロセッサは、第1の通信手段を介して受信される公益事業使用量を表す保護データを第2のメモリ内に記憶するようプログラムされ、
プロセッサは、第1のメモリ内に記憶される少なくとも1つのアプリケーションを実行するようにもプログラムされ、
プロセッサは、サーバが別の消費者アクセスデバイスへのリンクを確立することをリクエストするよう更にプログラムされ、
加えて、プロセッサは、サーバからのリクエストに応答して少なくとも1つの更なる消費者アクセスデバイスとのリンクを確立し、リクエストを受け入れるようプログラムされる、消費者アクセスデバイスが提供される。
【0035】
好ましくは、消費者アクセスデバイスは、ディスプレイを更に含む。
【0036】
本発明の本態様は、友人又は家族の住宅といった別の敷地に位置する別のCADと交信可能な消費者アクセスデバイス(CAD)を提供する。可能な交信の1つは、エネルギー使用量の削減又はより賢い使い方に関するゲームといったゲームをプレイすることである。別の可能な交信は、一人で生活する脆弱な人といった別の家庭のエネルギー使用量をCADを介して誰かが監視することを許可することである。これにより、脆弱な人の敷地における問題に関し早期な警告を提供することができる。
【0037】
アカウンタビリティを向上させるため、消費者アクセスデバイスは、好ましくは、サーバからのリクエストを受け入れる前に、消費者から承認を取得するようプログラムされる。
【0038】
CADは、予めインストールされたアプリケーションを少なくとも1つ含むが、消費者アクセスデバイス用の新しいアプリケーションをダウンロードするようプログラムされてもよい。
【0039】
CADは、少なくとも1つのユーザデバイスとペアリングされてユーザインターフェースを提供するよう更にプログラムされることが好ましい。これにより、CADは、コストを削減するために基本的なI/O又はUI機能のみを備えることが可能となる。
【0040】
CADは、好ましくは、Bluetooth(商標)送受信機といった短距離無線送受信機を含む第3の通信手段を更に備える。
【0041】
第1の通信手段は、好ましくは、ZigBee(商標)送受信機を含み、第2の通信手段は、好ましくは、WiFi(商標)送受信機を含む。
【0042】
柔軟性を高めるため、CADは、好ましくは、複数のスマートユーティリティメーターと通信し、複数の公益事業の消費量を表す公益事業データを受信するよう更に構成される。
【0043】
本発明の第7の態様によれば、消費者の消費者アクセスデバイスを介して各々の消費者が交信できるよう、離れた敷地に位置する少なくとも2つの消費者アクセスデバイスをリンクする方法であって、
第1の消費者アクセスデバイスから、又は第1の消費者アクセスデバイスに関連付けられた第1のユーザデバイスから別の消費者の識別情報表示を受信すること、
別の消費者が第2の消費者アクセスデバイスを有することを確認すること、
第2の消費者アクセスデバイスに、又は第2の消費者アクセスデバイスに関連付けられた第2のユーザデバイスに、第1の消費者アクセスデバイスに関連付けられた消費者を識別する招待を送信すること、及び
第2の消費者アクセスデバイスから、又は第2の消費者アクセスデバイスに関連付けられた第2のユーザデバイスからの肯定的応答に応答し、第1の消費者アクセスデバイスと第2の消費者アクセスデバイスがリンクされていることを識別するデータを記憶し、且つ第1の消費者アクセスデバイス及び第2の消費者アクセスデバイスにリンクデータを伝えること
を含む、方法が提供される。
【0044】
別の消費者の識別情報表示は、住所、顧客番号、顧客名、郵便番号及び不動産番号、並びに固有の消費者アクセスデバイス識別情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0045】
本発明の第8の態様において、本発明の第6の態様に係る第1の消費者アクセスデバイス及び本発明の第6の態様に係る第2の消費者アクセスデバイスの両方にデータを伝える方法であって、
第1の消費者アクセスデバイスから、又は第1の消費者アクセスデバイスに関連付けられた第1のユーザデバイスからリクエストをサーバで受信し、第1の消費者アクセスデバイス及び第2の消費者アクセスデバイスにデータを伝えること、
第1の消費者アクセスデバイス及び第2の消費者アクセスデバイスが、リンクした消費者アクセスデバイスを含むことを確認すること、及び
第1の消費者アクセスデバイス及び第2の消費者アクセスデバイスにデータを伝えること
を含む、方法が提供される。
【0046】
リンクデータは、第1の消費者アクセスデバイス及び第2の消費者アクセスデバイスをピアツーピアを通じてリンクするためのアドレスデータを含んでよい。
【0047】
この方法により、2つの離れたCAD間での2人参加型ゲームを提供することが可能となる。各プレーヤは、各々のユーザデバイス(又はCADに組み込まれたインターフェース)を使用してゲームプレイを制御し、ゲームが両方のCADに表示される。好ましくは、サーバは、第2の消費者アクセスデバイスに関連付けられたユーザデバイスからデータを伝え、第1の消費者アクセスデバイス及び第2の消費者アクセスデバイスにデータを伝えるようにもプログラムされる。
【0048】
特定のゲーム、例えばポン(PONG)といったアクションゲームに関し、サーバは、第1の消費者アクセスデバイス及び第2の消費者アクセスデバイスに同じデータを定期的に伝送するよう更にプログラムされることが好ましい。これにより、CADの表示を実質的に同時に更新し、同じ画像を表示することが可能となる。一部の状況において、勝者に勝利(YOU WIN)、敗者に敗北(YOU LOSE)といった異なる画像を提示することが望ましい。
【0049】
本発明の第9の態様において、本発明の第6の態様に係る第1の消費者アクセスデバイスと本発明の第6の態様に係る第2の消費者アクセスデバイスの間で通信する方法であって、
第1の消費者アクセスデバイスからのリクエストをサーバで受信し、第2の消費者アクセスデバイスにデータを伝えること、
第1の消費者アクセスデバイス及び第2の消費者アクセスデバイスがリンクされた消費者アクセスデバイスを含むことを確認すること、及び
第2の消費者アクセスデバイスにデータを送信すること
を含む方法が提供される。
【0050】
本態様は、CAD-CAD間の伝送に関し、脆弱な消費者の保護に特に応用される。第1のCADが、脆弱な消費者の住宅で異常なエネルギー消費量パターンを検出すると、介護者、友人、又は家族の各々のCADに送られる警報信号によって介護者、友人、又は家族に通知することができる。
【0051】
介護者は住宅にいない可能性があるので、サーバは、好ましくは、第2の消費者アクセスデバイスに関連付けられた少なくとも1つのユーザデバイスにデータを送信するようにもプログラムされる。
【0052】
本発明の第10の態様によれば、少なくとも本発明の第6の態様に係る第1の消費者アクセスデバイスと本発明の第6の態様に係る第2の消費者アクセスデバイスとの間でエネルギー使用量データを共有する方法であって、
第1の消費者アクセスデバイスからエネルギー使用量データを受信すること、及び
第2の消費者アクセスデバイスにエネルギー使用量データを送信すること
を含む方法が提供される。
【0053】
エネルギー使用量データの送信は、サーバの負荷を低減するためにピアツーピア接続を介して行われてよい。
【0054】
エネルギー使用量データの送信は、データ共有プロセスの可視性及び制御を強化するためにサーバを介して行われてよい。
【0055】
何れの場合においても、第1の消費者アクセスデバイスからのエネルギー使用量データは、好ましくは、第2の消費者アクセスデバイスに送信される前に概念化される。この概念化は、データの正確性又は精度を低減し、消費者のデータの安全性を向上させる。
【0056】
次に、添付の図面を参照して本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るスマートエネルギーシステム又はホームエリアネットワークのブロック概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る消費者アクセスデバイス(CAD)のブロック概略図である。
図3図3は、どのようにCADがユーザデバイスとペアリングされるかを説明するフロー図である。
図4図4は、第三者のアプリケーションをダウンロードするステップを示す図である。
図5図5は、CADにダウンロードされた第三者のアプリケーションを実行するステップを示す図である。
図6図6は、各々がホームエリアネットワークを有する3つの住宅を示す図である。
図7図7は、CADを有する別の消費者を識別するステップを示す図である。
図8図8は、2つの離れたCADで交信するアプリケーションを実行するステップを示す図である。
図9図9は、リンクされたCAD間のCAD-CAD通信ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、消費者アクセスデバイス(CAD)を含むホームエリアネットワーク(HAN)100のブロック概略図を示す。家屋102は、スマートメーター106を介してグリッド104から電力を受信する。スマートメーターは、少なくとも消費量データを頻繁に提供し、任意選択で料金プラン情報に関する知識といった他の機能を有してよい。スマートメーターは、例えばデータ通信会社(DCC:Data Communication Company)設備を介して消費量データを電力供給元108に送信する。典型的には、このデータは、夜間に送信され、日中の30分間毎の公益事業使用量データを含む。このデータは、消費者の使用量について消費者に少なくとも請求するために供給元に使用される。また、スマートメーターは、より頻繁に、例えば、ZigBee(商標)を介して10秒毎に、消費者アクセスデバイス(CAD)110にデータを提供する。この頻繁に提供されるデータは、データが伝送される正確な頻度にかかわらず、本明細書を通して「10秒データ」と称される。ZigBee(商標)は、スマートメーターに使用される安全な短距離(約100メートル)無線プロトコルであり、更なる詳細は、https://zigbeealiance.org/solution/zigbee/から入手可能である。本実施形態におけるCADは、2つの更なる無線インターフェース、Bluetooth及びWiFiを備える。
【0059】
Bluetoothインターフェースは、以下で更に説明するように、CADをスマートフォン又はタブレットといった消費者のユーザデバイス112とペアリングするために使用される。WiFiインターフェースは、WiFiルータ114を介して、CADにインターネットアクセスを提供するために使用される(しかし、加えて、又は代わりに、セルラーデータが使用されてもよい)。これにより、CADがインターネット116を介して供給元サーバから料金プランデータを取得すること、アプリケーションをダウンロードすること、及び供給元サーバ118を介して消費者のデバイスとインターフェース接続することが可能となる。当然、消費者のユーザデバイス112は、WiFiを通じ、及び/又はセルラー無線システム120を介してインターネット及び供給元サーバにアクセスしてよい。スマートフォン又はタブレットの代わりに、消費者は、ラップトップ又は他のデバイスを介してCADとインターフェース接続してよい。本明細書において、スマートフォン又はユーザデバイス上でアプリケーションを使用することへの言及は、ウェブインターフェースを介してラップトップ又は同様のデバイスを使用することも包含する
【0060】
CADは、タッチスクリーンといった高度なユーザインターフェース(UI)を備えてよく、これは、ユーザデバイス112に対する要件がないことを意味する。しかし、CADのコストを低減するためにユーザデバイス112のUIを利用することが好ましい。好ましい実施形態において、CADは、24×12ピクセルのディスプレイ及び起動ボタンのみを含む。別の好ましい実施形態において、CADは、ディスプレイや警報を有さず、1つ又は複数のユーザデバイスのユーザインターフェース(UI)を使用して消費者と交信する。
【0061】
CADは、特定のタスクが行われるタイミングを管理するため、家屋内の電化製品(不図示)への通信手段を備えてよい。例えば、食器洗浄機の運転又は電気自動車の充電は、最も都合の良い利用可能な料金プランに従って時間調整されてよい。
【0062】
本例示においては、電力源にインターフェース接続するCADが示されるが、代わりに又は加えて、ガスといった他の計量公益事業と関係し得ることが理解されるだろう。また、CADは、多数の不動産が共用のヒートポンプアレイから熱を受け取るサービスとしての熱といった他の公益事業とインターフェース接続することもできる。そのような公益事業は、典型的には、各不動産に提供される流体の流れ及び/又は流体の温度を測定し、これらのパラメータの一方又は両方がCADに提供され、必要に応じて処理される。
【0063】
公益事業消費量データは、本例示においてはスマートメーターによって提供されるが、CTクランプといった他の手段によって提供されてもよい。そのようなデバイスは、幹線電源ケーブルのうちの1つを取り囲み、典型的には、30秒毎に電流読取値を提供する。
【0064】
図2は、図1に示すスマートエネルギーシステムにおける使用に適したCAD200のより詳細な図を示す。プロセッサ202は、多くの半導体製造業者から入手可能なメモリ及び1つ又は複数のプロセッサを含むシステムオンチップ(SoC)を含む。プロセッサは、通信用に、ZigBee(登録商標)送受信機204、WiFi送受信機206、及びBluetooth(登録商標)送受信機208とインターフェース接続する。明確化のため、これらの送受信機は、各々が独自のアンテナを有するものとして示されているが、送受信機は、コスト及びスペースを節約するためにアンテナを共有してよい。また、特定の製造業者は、単一チップ上のWiFi及びBluetooth(登録商標)送受信機を提供する。消費者と交信するため、CADは、ディスプレイ210及び起動ボタン212も含む。この例において、ディスプレイは12×24LEDのマトリクスであるが、他のディスプレイも同様に適切である。ディスプレイは、「カード」として知られる画像を示す。一部の実施形態において、消費者のユーザデバイスを使用して消費者に情報を表示することができるため、ディスプレイは任意選択的である。また、CADは、音声起動インターフェース(不図示)を備えてよい。5ボルト電源214は、所望によりバックアップ電池を備えてよいUSBソケットを介して提供される。CADが電力線送受信機(不図示)を備える場合、電源は、敷地内の電気ケーブルを介し、例えば敷地上の電化製品とデータを送受信することもできる。安全メモリ220は、SoC上に、又は独立して提供され、可聴警報といった任意選択的な警報222が、消費者に警告するために提供される。
【0065】
図は点線内に、プロセッサ202のメモリに記憶される多数のアプリケーション218も示す。これらのアプリケーションは、プロセッサ内のカーネル関数を共有しながら(「コンテナ」に配置された)異なるソフトウェアが別々に動作することを可能にするDocker(商標)216によって管理され実行される。注意すべき重要な点は、特定のアプリケーションのコンテナにデータを置くことによって、特定のアプリケーションにデータを提供できることである。アプリケーションは、他のアプリケーションのコンテナの内容にアクセス不可能であってよく、安全性が保たれる。更なる情報は、https://www.docker.com/.から入手できる。Docker(商標)は、仮想マシン(VM)アーキテクチャと比較するとコンピュータ資源を節約するが、VMアーキテクチャも同様に使用されてよい。アプリケーションのダウンロード及び削除は、以下でより詳細に説明される。
【0066】
各CADは、MACアドレス、インストールコード、シリアル番号、及びセキュリティ証明書(ZigBee(商標)通信用)を有し、これらは全てデバイスに固有であり、一般的に安全メモリ220に記憶される。
【0067】
プロセッサ202は、少なくとも2つの役割を担う。第1の役割は、消費者の消費量又は使用量データがZigBee(商標)送受信機204を介して受信され、安全メモリ220に記憶される安全保証役であり、第2の役割は、(Docker(商標)216と協働して)アプリケーション218を実行するアプリケーション実行役である。
【0068】
CADは、好ましくは、起動ボタン212が押下されると終了するスリープモードを含む。代わりに、CADは常時動作してよく、その場合、起動ボタンは省略されてよい。以下で更に説明されるように、起動ボタンは、所望のアプリケーションを実行するよう切り替えるよう、又はユーザデバイスへのペアリングを指示するようプロセッサに指示するために消費者に使用されてもよい。
【0069】
一度起動されると、CADのプロセッサは、供給元によって設定されたポリシーに従ってアプリケーションを実行するが、これは消費者によってカスタマイズされてよい。最も単純な例において、アプリケーションは交代して実行され、各アプリケーションには、ディスプレイが空白になる前に消費者に任意の出力を表示するのに十分な時間が与えられ、別のアプリケーションにはプロセッサ及びディスプレイへのアクセス権が与えられる。代わりに、アプリケーションは、優先順に実行されてよく、且つ/又は表示する重要な情報を有するアプリケーションにプロセッサへの排他的なアクセス権を与えるオーバーライド機能が提供されてよい。多数の「背景」アプリケーションは、ゲーム等の「前景」アプリケーションによってオーバーライドされるまで連続的に実行されるよう構成されてよい。スマートメーターからの10秒のデータの到着によって、任意のポリシーがある程度管理されてよい。
【0070】
アプリケーションによって生成される表示画面はカードとして知られる。消費者は、どのカードを各アプリケーションで表示するか、そのカードの生成にどのデータを使用するかを(例えば、ペアリングされたユーザデバイス上のユーザインターフェースを介して)制御する。例えば、消費者は、消費者のCADにインストールされた3つのアプリケーション:
-10秒データ、
-電気自動車バッテリー状態、及び
-天気予報
を有する。
【0071】
10秒データアプリケーションは、「リアルタイム」エネルギー消費量を表示し、異なるグラフ表示を使用する多数の異なるカードを含む。ユーザは、これらのカードのうちの1つを選択し、10秒アプリケーションが少なくとも20秒間表示されるよう設定する。
【0072】
車のバッテリの充放電状態は、それほど頻繁に変わらないため、ユーザは、車のバッテリ状態アプリケーションを毎分実行し、バッテリ状態を10秒間表示するよう設定する。
【0073】
天気予報は、それほど頻繁に変化しないが、消費者は、天気予報により注意する必要がある。この場合、消費者は、天気予報アプリケーションが2分毎に30秒間表示されるよう設定する。正確なスケジューリングは、消費者の要求に適応させるため、若干の変更を要する場合がある。
【0074】
アプリケーションは、以下で更に説明されるように、インストール又は削除されてよい。
【0075】
好ましくは、CADには、スネークゲーム(Snake game)といった少なくとも1つのアプリケーションが予めプログラムされる。消費者は、ボタン又はタッチスクリーンといったCAD(不図示)上の制御手段を使用してゲームを制御してよい。しかし、好ましくは、ユーザインターフェースは、CADアプリケーションを含み、且つCADとペアリングされているスマートフォンといった別のデバイスを使用して提供される。更なるCAD機能を、以下のフロー図を参照して説明する。
【0076】
ディスプレイ210及び警報222を有するCADが説明されたが、これらの要素は省略されてよく、ユーザインターフェースは、以下で更に説明されるように、ペアリングされたユーザデバイス(112、図1)上に提供されてもよい。
【0077】
CADは、追加のセンサ及びユーザインターフェース機能といったハードウェアアップグレードを可能にするインターフェースを備えてよい。当業者は、そのような構成に精通しているであろう。
【0078】
図3は、CADをスマートフォン、タブレット、又はPCといったユーザデバイスとペアリングするためのステップを示すフロー図300を示す。ユーザデバイスは、CAD自体のコストを低く保ちながら、高度なUIを有するホームエリアネットワークを消費者に提供する。CADとユーザデバイスがペアリングされると、CADは、一般的に、単純な入力/出力デバイスとしてのみユーザデバイスを使用し、又は少なくともユーザデバイスに提供されるデータの精度を制限し、消費者の機密データの制御を維持する。
【0079】
図は、プロセスに関与するユーザデバイス302、CAD304、アプリケーションストア306、及び公益事業会社のサーバ308の4者、並びに任意選択的な更なるユーザデバイス310を示す。
【0080】
ステップ312において、ユーザデバイス302は、消費者によるリクエストに応答し、公益事業会社のCADアプリケーションをダウンロードするためのリクエストをアプリケーションストア306に送信する。アプリケーションストアは、ユーザデバイスにアプリケーションを提供する既存の存在であり、既知の方法でアクセス及び検索することができる。ステップ314において、アプリケーションストアは、関連するアプリケーションの所在を探し出し、ステップ316において、それをユーザデバイスに送信し、ユーザデバイスは、ステップ318において、それをインストールする。明確化のため、当業者に知られる幾つかのステップは、このアプリケーションのダウンロード及びインストールプロセスから省略されている。
【0081】
アプリケーションがユーザデバイス302にインストールされると、ステップ320において、ユーザデバイスは、供給元のサーバ308に接触し、ユーザデバイスを正しい公益事業会社の消費者アカウントにリンクさせる。サーバは、ステップ324において、詳細を確認し、ユーザデバイスを消費者のアカウントにリンクさせ、ステップ326において、確認メッセージをユーザデバイスに送り返す。
【0082】
この時、ユーザデバイス302は、CAD304とペアリングする準備ができた状態にある。ユーザデバイスのアプリケーションのメニューから、消費者は、ステップ328において、「新しいCADを追加する」を選択するが、(ユーザデバイス内のアプリケーションで確認されるペアリングされたCADが存在しないため)この機能は自動的であり得る。次いで、アプリケーションは、ユーザデバイスのBluetooth(商標)機能をアクティブ化してCADへのBluetooth接続を確立する。ここでも、明確化のために幾つかの工程が省略されている。例えば、ユーザデバイスは、典型的には、公益事業会社のアプリケーションがユーザデバイスのBluetooth(商標)機能にアクセスしてよいかを消費者に問い合わせる必要がある。ステップ330において、アプリケーションは、ユーザデバイス画面を介し、CAD上の「ペアリング」ボタンを押下するよう消費者に指示する。これは、例えば、15秒間といった所定の期間、起動ボタンを長押しすることによって行うことができる。これにより、CAD上に別途「ペアリング」ボタンを設ける必要性がなくなるが、消費者が通常の使用時にCAD/ユーザデバイスペアリングを誤って開始することを確実に防ぐ。
【0083】
ステップ332において、消費者がペアリング動作に入るようにCADに指示すると、CADとユーザデバイスは、ステップ334において、通常のBluetooth(商標)プロトコル(不図示)に従ってペアリングされる。CADとユーザデバイスがペアリングされると、ステップ336において、CADは、Bluetoothを介してCADのMACアドレス、シリアル番号、及びインストールコードといった識別及び/又は構成データを伝送する。任意選択で、ユーザデバイス上のアプリケーションは、CAD304上のラベルに対して詳細を検証することができるよう、これらの詳細を消費者に表示してよい。Bluetooth(商標)といった短距離無線接続を使用することで、ユーザデバイスとCADがこのプロセスにおいて正しくペアリングされることを保証する。
【0084】
CADをWiFiに接続する必要があるため、ステップ338において、ユーザデバイスは、消費者にWiFi認証情報をリクエストし、消費者からWiFi認証情報を受信し、WiFi証明書は、ステップ340においてCADに提供される。次いで、CADは、ステップ342において、WiFiルータ(不図示)に接続する。明確化のため、WiFiルータ及びWiFiルータとCADとの間の通信は省略される。CADは、同様に、WiFiプロテクテッドセットアップ(WPS)を使用してWiFiルータに接続することができる。
【0085】
CADがインターネットに接続されると、CADは、CADのMACアドレス、シリアル番号、及びセキュリティキーといった認証情報を含むリクエスト344を公益事業会社のサーバ308に送信する。これらの認証情報は、サーバに対してCADを一意的に識別し、サーバは、ステップ346において、必要に応じて詳細を確認及び記憶し、ステップ348において、確認メッセージをCADに送信する。次いで、CADは、ステップ350において、Bluetooth接続を切断する。WiFiが正常に接続されたことを保証するため、CADは、Bluetooth(商標)接続が切断される前にインターネットを通じてサーバと通信する必要がある。
【0086】
更なるユーザデバイス310が同様にセットアップされてよく、ステップ352及び354において、手順が開始されたことが表示される。その後、アプリケーションをCADにダウンロードできない、又はCADの設定を変更できないなど、ペアリングされたユーザデバイスの機能を制限してよい。
【0087】
Bluetooth(商標)に基づくペアリングについて説明したが、CADがワンタイムコードを生成し、消費者がユーザデバイスにコードを入力できるようCAD上にそのコードを表示するなど、ユーザデバイスを安全に識別する他の技術も利用可能であることを当業者は理解するだろう。他の可能な例において、CADは、CADの製造又は配達中にCAD上に印刷された固有のコードを有し、消費者がこのコードを入力すると、サーバは、ペアリングされるCAD及びユーザデバイスを一意に識別することができる。この状況において、CADはBluetooth送受信機を必要としない。
【0088】
図4は、CADへのアプリケーションのダウンロード及びCADからのアプリケーションの消去を示すフロー図400を示す。CADに関連付けられたユーザデバイスは、目的を達成するために公益事業会社のサーバとインターフェース接続する。換言すると、アプリケーションをダウンロード及び消去する指示は、アプリケーションをホストするデバイス(CAD)とは異なるデバイスから送信される。
【0089】
アプリケーションをダウンロードするプロセスには、公益事業会社のCADアプリケーションがインストールされたスマートフォンといったユーザデバイス402、消費者のCAD404、公益事業会社のサーバ406、及びCADアプリケーションストア408の4者が関与する。このうちの最初の3者のみが、CADからのアプリケーションの消去に関与する。図は、CADアプリケーションの費用を回収する工程を含まないが、この工程は既知の方法に実装されてよい。例えば、費用は、ダウンロード時又はアプリケーションの実行時に適用されてよい。収入は、アプリケーション提供者とエネルギー会社又はCADアプリケーションストア提供者との間で共有されてよい。
【0090】
アプリケーションをCADにダウンロードするプロセスは、ユーザデバイスがアプリケーションメニューリクエスト410をサーバ406に送信することによって開始される。サーバは、ステップ412において、CAD404に既にインストールされているアプリケーションの記録を参照し、CAD404内のメモリが不足している場合、ユーザデバイス402を介して消費者(不図示)に通知する。異なる機能又は世代のCADがあり、全てのアプリケーションを実行できないCADが存在する場合、サーバは、特定のCAD404に適するアプリケーションのチェックも実行する(しかし、これはCADアプリケーションストアによっても同様に実行され得る)。次いで、サーバは、ステップ414において、CADアプリケーションストア408からのアプリケーションメニューをリクエストする。リクエストは、適宜、適切なアプリケーションに関するあらゆる制限を示してよい。CADアプリケーションストアは、ステップ416において、アプリケーションの適切なメニューと共に返答し、サーバ406は、ステップ418において、メニューをユーザデバイス402に転送する。
【0091】
次いで、消費者は、ステップ420において、消費者のデバイス上で利用可能なCADアプリケーションを閲覧し、ダウンロードするアプリケーションを選択することができる。この閲覧は、アプリケーションに提供される消費量保護データの量、及びアプリケーションの費用(存在する場合)が許容可能か否かを考慮することを含み得る。ステップ422において、ユーザーデバイスは、サーバにダウンロードリクエストを送信し、サーバは、ステップ424において、そのリクエストをCADアプリケーションストアに転送する。CADアプリケーションストアは、ステップ426において、関連する画像を取得し、ステップ428において、この関連する画像をCAD404に送信する。その後、CADは、ステップ430において、消費者のユーザーデバイス及びサーバを介する消費者からの任意選択的な承認(不図示)の後にアプリケーションをインストールする。
【0092】
好ましい実施形態において、アプリケーション及び付随するファイルは、Docker(商標)コンテナに記憶され、CADによって実行される準備が整えられる。Docker(商標)は、アプリケーション(又はコンテナ)間でカーネルリソースを共有することによりプロセッサ及びメモリリソースを効率的に使用するが、代わりに仮想マシンアーキテクチャを使用することができる。
【0093】
CADは、ステップ432において、インストールが成功したことをサーバに確認し、サーバは、ステップ434において、CAD404にインストールされたアプリケーションのログを更新する。また、サーバは、ステップ436において、アプリケーションがCADに正常にインストールされたことを示す確認メッセージをユーザデバイス402に送信し、CADは、ステップ438において、この確認メッセージを消費者に伝える。以下の図5は、CADによるアプリケーションの実行を示す。
【0094】
CADアプリケーションストアは、既知の方法で内部アプリケーション及び第三者のアプリケーションによって実装されるが、セキュリティに関し、公益事業会社(又はCADアプリケーションストアの他の管理者)によって特に注意が払われる。以下で説明されるように、特定のCADアプリケーションは、それらの実行中に消費者の機密データを受信し、無許可でこのデータが取得され得ないことを保証するよう注意を払う必要がある。
【0095】
図4は、CADからアプリケーションを消去するプロセスも示す。ステップ450において、消費者は、消費者のユーザデバイス402上のスマートエネルギーアプリケーションを介し、インストールされたCADアプリケーションのリストを閲覧する。図に示されるステップは、ユーザデバイスがCAD上にインストールされたアプリケーションのローカルリストを維持すると仮定する。そのようなリストがない場合、ユーザデバイスは、公益事業会社のサーバ406(又は場合によってCADアプリケーションストア408)からリスト(不図示)をリクエスト及び受信することができる。消費者は、消費者のユーザデバイスのUIを使用し、ステップ452において、CADアプリケーションのうち、CADから削除する1つを識別する。ユーザデバイスは、ステップ454において、削除リクエストをサーバ406に送信し、サーバは、ステップ456において、承認をリクエストする。消費者は、ステップ458において消去を承認し、これは、ステップ460においてサーバに伝えられる。次いで、サーバは、ステップ462において、アプリケーション消去メッセージをCADに送信し、CADは、ステップ464において、アプリケーション削除動作を実行し、メモリからアプリケーションを消去する等を行う。
【0096】
CADは、ステップ466において、アプリケーションの消去をサーバに確認し、これは、ステップ468において、ユーザデバイスに中継される。ステップ470において、ユーザデバイスは、アプリケーションが消去されたことを消費者に確認し、インストールされたCADアプリケーションのローカルリストが維持される場合、当該リストを更新する。
【0097】
当業者は、本明細書で説明される他のフロー図と同様に、ハンドシェイク並びにセキュリティ要件、例えばセキュアトークンの交換及び確認といった様々なステップが明確化のために省略されていることを理解するであろう。
【0098】
図5は、CADによるアプリケーションの実行のフロー図500を示す。プロセスには、スマートメーター502、セキュアCAD504、オープンCAD506、ユーザデバイス508、及び公益事業会社のサーバ510の5者が関与する。セキュアCAD及びオープンCADは、実際には同じデバイスを指すが、図4を参照して記載されるように、スマートメーター(又はCTクランプ)から10秒データを受信する安全な部分と、CADアプリケーションストアからの第三者のアプリケーションをダウンロード及び実行するようプログラムされるオープンな部分に分割される。従って、図5では、CADは2つの異なる役割を果たす。オープンCAD506と称される第1の役割において、プロセッサは、従来の方法でアプリケーションのうちの1つに制御される。この役割において、プロセッサは、エネルギー消費量保護データへのアクセス権を有さず、既存のアプリケーション用にDocker(商標)コンテナに記憶されるようなデータへのアクセス権のみを有する。セキュアCAD504と呼ばれる第2の役割において、プロセッサは、安全なソフトウェアに制御され、スマートメーターから保護データを受信し、記憶し、更にアプリケーションからのデータに対するリクエストに応答するように動作可能である。
【0099】
ステップ512において、スマートメーターは、10秒データをセキュアCADに伝送し、これは、CAD内のプロセッサ202がZigBee(商標)送受信機204から保護データを受信し、その保護データを安全メモリに記憶することを意味する。このステップは、10秒(又は他の頻繁な間隔)毎に自動的に繰り返され、図中では繰り返されない。
【0100】
ステップ514において、消費者は、消費者のユーザデバイス508を使用して実行するアプリケーションを選択し、ユーザデバイスは、ステップ516において、このリクエストをサーバ510に送信する。この例においてリクエストされるアプリケーションは、実行にエネルギー消費量データを必要とするアプリケーションである。次いで、サーバは、ステップ518において、消費者がアプリケーションの実行を望むことをオープンCADに通知し、オープンCADは、ステップ520において、アプリケーションをロードし実行する。
【0101】
オープンCAD上で動作するアプリケーションの第1の機能は、ステップ522において、セキュアCADに消費量データをリクエストすることである。アプリケーションのこのリクエストには、典型的には、セキュアCADが、アプリケーションがそのような情報を取得する権限を有することを検証できるよう、セキュリティ認証情報を含む。これは、オープンCADからのリクエストが秘密鍵を使用して暗号化され、セキュアCADが公開鍵を使用して秘密鍵を復号化することができる公開/秘密鍵ペアを使用して行うことができる。エネルギー会社は、データを請求してよく、アプリケーションのセキュリティ認証情報は、支払い拒否を巡る争いを解決するために記憶されてよい。
【0102】
アプリケーションの認証情報が有効であると仮定すると、セキュアCADは、ステップ524において、リクエストされたデータで応答する。データは、そのデータへのアクセス権がそのアプリケーションのみに制限されることを保証すべきアプリケーションに対応するDocker(商標)コンテナに直接提供され得る。(第三者のソフトウェアが権利のないデータを「傍受」できないことを保証することが重要であることが理解されるだろう。)
【0103】
代わりに、データは、暗号化された形式で提供され、オープンCAD上で動作するアプリケーションは、処理されたデータをステップ528において消費者に表示する前に、ステップ526において、データを復号化及び処理する。データの表示は、消費者がより多くの情報を望むか否かに関する質問を伴う。ステップ530において、消費者は、消費者のユーザデバイスを介してサーバ510の更なる情報をリクエストし、ステップ532において、サーバは、このリクエストをオープンCADに転送する。
【0104】
これが、前述のステップ522及び524に類似するステップ534及び536において、新しいデータのリクエスト及び返送の引き金となる。次いで、新しいデータは、ステップ540で表示される前に、ステップ538において復号化及び処理される。アプリケーションは、更なる消費者のリクエストが受信されない所定時間の後に終了する。
【0105】
本実施形態においては、公開/秘密鍵セキュリティを説明したが、当業者は、セキュアCADからオープンCAD上で動作するアプリケーションに消費者の機密データを伝達するために他の技術が利用可能であることを理解するだろう。
【0106】
図5は、消費者のリクエストに応答して実行されているアプリケーションを示すが、CADは、消費者からの介入なしに自動的にアプリケーションを実行してよいことが理解されるだろう。1つの選択肢は、各アプリケーションを一定の期間CADが順番に実行し、次いで次のアプリケーションに進むことである。一定の期間は、異なるアプリケーションで異なってよい。図2の文脈で与えられる例も参照されたい。
【0107】
別の選択肢は、背景アプリケーションをCADが連続的に実行し、次いで消費者のリクエストに応答してのみ他のアプリケーション(例えば、ゲーム)を実行することである。ある種の背景アプリケーションは、消費量データを監視し、そのデータを履歴データ及び/又は所定のパラメータ限界値と比較する警告アプリケーションを含む。その結果、普段とは異なる消費量又は過剰な消費量が、警報の引き金となる。例えば、背景アプリケーションは、電力消費量全体を監視し、それを時刻毎に異なる限界値と比較することができる。午前6時前又は午後11時以降の消費量が1kWを超える場合に、警報を作動させることができる。人工知能(AI)を利用して1日、1週間、1年間の家庭の消費量パターンを学習し、実際の消費量がこれらの学習されたパターンから著しく逸脱した場合に警報を作動させることができる。消費者が電気自動車を購入し、車の充電によって警報が作動するかもしれない。その場合、消費者は、警報を無効にすることができ、AIはこの新しい挙動パターンが許容可能であることを学習する。
【0108】
図6は、各々が先に開示されたCADを主として有する多数のプロパティ600を示す。3つの家屋602、604、606は各々、電気ネットワーク608からの電力供給を有する。家屋は、各々のCAD610、612、614も有し、CAD610、612、614は、全てインターネット616を介して供給元のサーバ618に接続され、且つ10秒データを受信する。この構成により、3つの家屋に居住する消費者は、消費者のCADをリンクさせることができ、消費者が互いにメッセージを送り、エネルギー使用量について、又はゲームを介して競争することができる。
【0109】
CAD610、612、及び614は、前述のCADと2つの点で異なる。第1に、CAD610、612、及び614は、CAD間のリンクリクエストを開始し、且つ応答するようプログラムされる。第2に、CAD610、612、及び614は、アプリケーションのダウンロードを許可する必要はないが、必要に応じてこの特徴も含まれてよい。
【0110】
供給元のサーバは、その供給元から供給される全ての消費者のデータベース620へのアクセス権を有するか、又はホストする。データベースは、どの消費者のCADがリンクされているかの詳細を記憶する。図7を参照し、リンク処理を説明する。
【0111】
図7は、CADリンク方法の例を示すフロー図である。不動産602の消費者が、自分のCAD610を友人の不動産604のCAD612にリンクさせることを望む場合を想定する。プロセスにはCAD610、公益事業供給元のサーバ618、データベース620、及びCAD612の4者が関与する。
【0112】
プロセスは、ステップ702において、友人のCAD612を識別することによって開始される。不動産602の消費者は、CAD610に友人の識別情報を通知する。これは、様々な方法、例えば、固有のCADID、友人の家屋604の住所、家屋604に設置されたスマートメーターに固有のID、又は不動産604における消費者の氏名によって行うことができる。ステップ704において、CAD610は、CAD612を識別するリンクリクエスト信号をサーバ618に送信する。
【0113】
次いで、サーバは、データベース620と照合し、不動産602及び604の消費者が適切に識別されたか(即ち、データベースに存在するか)、良好な状態であるか(即ち、公益事業供給元に対する未払い債務がないか)を判定する。ステップ706において、サーバ618は、データベースに対して2人の消費者について照会し、データベースは、ステップ708において、この場合は「はい」、2人の消費者が存在し、良好な状態であると応答する。任意選択で、データベースは、2人の消費者が既にリンクされているか否かを判定し、サーバ618に通知してもよい(ステップ710)。2人の消費者のCADが既にリンクされている場合、サーバは、ステップ712において消費者に通知し、プロセスは終了する。
【0114】
2つのCADがまだリンクされていないと仮定すると、サーバ618は、CAD612に招待714を送信する。不動産604の消費者が、リクエストを行う人物の名前、住所等、リクエストを行う人物を識別することを可能にするために、この招待には、不動産602の消費者に関する十分なデータが含まれる。この招待は、ステップ716において、不動産604の消費者に伝えられる。不動産604の消費者が、不動産604の消費者のCAD612をCAD610にリンクすることを望まない場合、CAD612は拒否メッセージ718を公益事業サーバに送信し、公益事業サーバは拒否メッセージ720を次にCAD610に送信する。ステップ722において、CAD610は、この知らせを不動産602の消費者に伝え、プロセスは終了する。
【0115】
不動産604の消費者が、不動産604の消費者のCADをCAD610にリンクすることを望んでいると仮定すると、CAD612は、承認応答724をサーバ618に送信する。サーバは、ステップ726において、2人の消費者の記録をリンクされているものとしてマークすることをデータベース620に通知し、データベースは、ステップ728において、リンクが行われたことを確認する。次いで、サーバは、メッセージ730をCAD610に送信し、CAD610が現在CAD612にリンクされていることを確認し、CAD610は、ステップ732において、これを消費者に伝える。また、サーバは、メッセージ734をCAD612に送信し、CAD612が現在CAD610にリンクされていることを確認し、これをステップ736において消費者に伝達する。
【0116】
当業者は、これらのステップの一部を除外することができることを理解するだろう。例えば、CAD612は、承諾メッセージ724が送信される際に、CAD612が現在CAD610にリンクされていると推測してよい。応答がない場合に可能性のある更なるメッセージ、ハンドシェイク、リマインダ等も、当業者には明らかであろう。例えば、サーバは、2つのCADのそれぞれに、どのアプリケーションが他方のCADにインストールされるかを通知するか、又は特定のアプリケーションが他方のCADにインストールされることを一方のCADに確認してよい(関連する消費者からの同意を必要とする)。サーバ618及び/又はデータベース620は、顧客の請求書作成といった他の公益事業供給元の機能と共有されてよく、又はされなくてよい。
【0117】
プロセスは、敷地606(図6)内のCAD614にもリンクするように拡張され得、当業者は、複数の消費者が、消費者の各々のCADを介してゲームに参加することを可能にするために、CADのグループ(即ち、2つを超えるCAD)がリンクされ得ることを理解するだろう。
【0118】
図8は、上述のようにリンクされたCAD上でゲームをどのようにプレイされてよいかを示すフロー図である。多くの2人(又はより多人数)参加型ゲームは、CADに適切なアプリケーションを提供するが、ゲームは、より少ない公益事業使用量、又は公益事業消費量の改善(例えば、低料金プラン(複数可)と一致する消費量の時間的推移)の何れかについて家族及び友人が実際に競合するよう、エネルギー消費量に関連することが好ましい。公益事業会社のサーバは、他の消費者のエネルギー消費量の概要、又は単純にWIN/LOSEの指標であり得る、誰が勝っているかの指標の何れかのみを他の当事者のCADに提供することにより、消費者のデータの機密性を保存するよう構成されてよい。
【0119】
好ましくは、ポンといった多人数参加型ゲームがCADに事前にプログラムされ、消費者に消費者のCADを家族や友人のCADとリンクさせるよう促す。第三者によって開発されたアプリケーションといったアプリケーションは、そのような機能が提供されていれば、CADにダウンロードされてよい。図4のプロセスが適用される。
【0120】
図8は、ゲーム(この例ではポン)の提供に関与する5者、第1のユーザデバイス802、第1のCAD804、公益事業会社のサーバ806、第2のCAD808、及び第2のユーザデバイス810を示す。第1のユーザデバイスは、第1のCADに関連付けられ、第2のユーザデバイスは、第2のCADに関連付けられる。
【0121】
ステップ812において、第1の消費者が第1の消費者のアプリケーションを使用してリクエスト(リクエストは、CAD808及び提案されたゲームを何らかの方法で識別する)をサーバに送信し、第2の消費者とのゲームをリクエストすることでプロセスは開始される。ステップ814において、サーバは、第2のCAD808の識別情報、並びに第1のCAD及び第2のCADが上記のようにリンクされていることを確認する。CADがリンクされていると仮定すると、サーバは、ステップ816において、第1のCADに関連付けられた消費者とゲームをプレイするためのリクエストを第2のユーザデバイス上のアプリケーションに送信する。ユーザデバイス810は、ステップ818において、質問を消費者に提示し、ステップ820における応答が肯定的であると仮定すると、サーバは、ステップ822において、ゲームをセットアップする。ゲームのセットアップは、各CAD及び各ユーザデバイスへのメッセージを含む。これに応答し、2つのユーザデバイスは、ステップ824及び830において、必要なコントロール(パドルを制御するUP/DOWNボタン)を表示し、CADは、ステップ826及び828において、(ボール及び2つのパドルを含む)ゲーム並びにスコアを表示する。この時点から、サーバは、2人の消費者が正確に同じゲームプレイを見るよう、同じ指示を各CADに送信する。
【0122】
サーバは、ステップ832において、ボールが2つのCADのディスプレイ上で移動するよう更新信号を送信する。ボールは、第1の消費者によって防御されたコートの側面に向かって移動しているので、消費者は、消費者のユーザデバイス上のUPボタンを押下し、これはステップ834においてサーバに伝えられる。その結果、サーバは、ステップ836において、両方のCADに更新信号を送信し、第1の消費者のパドルが上昇したことを示す。この更新信号は、典型的には、ボールの位置も更新する。
【0123】
ボール(及びパドルが移動した場合にはパドル)の位置に関してCADに指示するサーバからの定期的な更新でゲームは継続される(図中の点線)。また、サーバは、第1のデバイス及び第2のデバイスからのパドル制御メッセージに応答する。第1の消費者がボールを第1の消費者のパドルで打つことに成功すると仮定すると、ボールは、第2の消費者によって防御されるコートの側面に向かって進む。次いで、第2のユーザデバイスは、ステップ840において、パドルを下に移動させるようリクエストし、サーバによって提供される次の更新842で反映される。これらのステップは、1人のプレーヤがボールを逃すまで繰り返される。第2のプレーヤがボールを逃すと仮定すると、サーバは、ステップ844において、第1のCADに「YOU WIN」を表示するよう指示し、ステップ846において、第2のCADに「YOU LOSE」を表示するよう指示する。任意選択で、サーバは、ステップ848及び850において、第1のユーザデバイス及び第2のユーザデバイスの各々のプレーヤにメッセージを表示するよう、第1のユーザデバイス及び第2のユーザデバイスに指示してもよい。次いで、サーバは、ステップ852において、スコアを更新するよう各CADに指示し、ステップ854において、別の得点を開始する。
【0124】
プレーヤのうちの1人が所定の目標スコアに達すると、ステップ856において、ゲームは終了する。理解されるように、別のゲームをプレイする、ハイスコア表に入力する、又は終了するための様々な選択肢(不図示)がプレーヤーに提示されてよい。説明を容易にするため、図8を参照して説明される2人参加型ゲームは、エネルギー消費量データを参照しない。そのようなデータを参照するゲーム又は他のアプリケーションを提供するため、CADは、図5を参照して説明される安全なデータ伝送プロセスを行うよう更に構成され得る。第1のCADからの機密データが第2のCADに確実に伝送されない(逆も同様)よう、サーバは、そのようなデータを隠匿又は少なくとも概念化する役割を果たすことができる。2つの世帯がエネルギー消費量に基づくゲームをプレイするため、2つの世帯の各々が、必然的に互いのエネルギー使用量について多少の情報を知ることが理解されるだろう。最も低い(且つ最も安全な)レベルにおいて、これは、他方の敷地が(24時間といった)所定の期間に自身よりも多くのエネルギーを使用したことを知る程度の簡単なものであり得る。
【0125】
しかし、プレーヤ間のより良好な交信を提供するため、各CADは、他の敷地内でのエネルギー消費量をより高精度に伝達する何らかの情報を取得する必要がある。この場合、発信元CAD又はサーバの何れかは、ある程度まで情報を概念化し、それによりデータの機密性を保存してよい。代わりに、又は加えて、サーバは、どちらか一方のCADからの生データが他方のCADに伝達されないよう、各敷地からのデータ間で裁定し、結果を提供してよい。
【0126】
適用されてよい概念化技術の1つは、時間的なデータの精度を低減すること、即ち、より長期間に亘る使用量データを集約することである。どの電化製品がどの時点で作動されるかにまで至る、世帯に関する多大な情報を推測するためにスマートメーターからの10秒データを分析してよい。時間的なデータの精度を、例えば、1分間又は5分間に低減することにより、そのような推測の精度は、より大幅に低下する。データの精度は、代わりに、又は加えて、範囲を使用することにより、エネルギーの観点で低減されてよい。例えば、世帯消費量を4.7kWと報告する代わりに、3kW~6kWと報告することができる。以下の表は、時間的及び正確性の両方における10秒データの精度の低減を示す。
【0127】
【表1】
【0128】
30秒間の電力消費量を平均化することにより、データの精度は時間的に低減される。次いで、これらの平均値を別々の「ビン」に置くことにより、データの精度も定量的に低減される。平均をとる時間の長さ及び「ビン」の大きさは、ゲームプレイの要件と情報共有に対する消費者の感受性とのバランスをとるよう調整され得る。
【0129】
この概念化プロセスは、サーバが敷地内のスマートメーターから直接受信する可能性のあるデータ、及びCADを介してサーバに伝達されるデータにも適用可能である。
【0130】
消費者は、ゲームをダウンロードし、ゲームに参加するために、消費量情報の提供に同意するよう求められてよい。エネルギー供給元又はCADの製造業者は、このプロセスを簡略化するための多数の選択肢を消費者に提供してよい。例えば、頻繁な時間間隔で正確なデータを提供することは、低セキュリティオプションに対応し、一方、広い「ビン」及び低頻度の時間でのみ消費量を識別することは、高セキュリティオプションに対応する。その結果、アプリケーションの開発者は、そのニーズに必要な情報の頻度及び正確性を決定することができる。
【0131】
そのようなデータは、競争相手の消費者に示されるリアルタイム比較ダッシュボード用に使用されてよく、ダッシュボードは、勝っている(すなわち、友人よりもエネルギー使用量が少ない)場合に緑に変化し、負けている場合に赤に変化してよい。そのような比較は、1日、1週間、又はより長い期間に亘って行ってよく、過去の成績が比較できるようチャートを提供することができる。この種の「ゲーム」は、(アプリケーションを開始し、場合により表示させる特定のカード(複数可)を選択することを除き)消費者からの交信を必要としない。従って、2つ以上のCAD間の交信型アプリケーションは、「背景」アプリケーションでもあり得る。
【0132】
より重大な用途のため、友人又は家族は、友人又は家族のCADを高齢な消費者といった脆弱な消費者のCADにリンクしてよい。次いで、潜在的に問題のある幾つかの状況を友人又は家族のCADに警告するアプリケーションが、脆弱な消費者のCAD上に提供される。これらの問題には、ガスの継続的な供給といった(おそらくガスコンロの消し忘れを示す)過剰なエネルギー消費量、又はエネルギー消費量の不足(おそらく、脆弱な人が動くことができないために家電を作動させることができないことを示す)が含まれてよい。当然ながら、おそらく人工知能を使用して脆弱な消費者の挙動を学習し、より高度なポリシーが実装され得る。
【0133】
図9は、そのようなプロセスの一例のフロー図900を示す。図には関与する4者、(例えば、脆弱な消費者の住宅に位置する)第1のCAD902、公益事業会社のサーバ904、(例えば、脆弱な消費者の親族の家屋に位置する)第2のCAD906、及び第2のCADに関連付けられたユーザデバイス908が示される。
【0134】
公益事業消費量の異常な挙動を識別するアプリケーションが第1のCAD902にロードされる。これは、所定の限界値を超える家庭内エネルギー消費量、現在のエネルギー使用量を過去の挙動と比較するよう構成された機械学習アルゴリズム、又はその2つの組合せに基づくものであり得る。ステップ910において、第1のCADは、このアプリケーションを実行し、現在の挙動が消費者の特徴と異なると判定する。ステップ912において、第1のCADは、警報信号をサーバ904に送信し、サーバは、ステップ914において、警報信号を第2のCADに転送する。第2のCADは、ステップ916において、(視覚的及び/又は聴覚的)警報を提供することによって応答する。これにより、第2の消費者は、脆弱な消費者の様子を見る機会が与えられる。送信ステップ914は、脆弱な人の他の家族に関連付けられたCADといった他のCADのために繰り返されてよい。
【0135】
図9は、サーバが、第2のCADに関連付けられたユーザデバイス(複数可)に警報信号も送信し、ユーザデバイスがステップ910において警報を鳴らす、任意選択的なステップ918も示す。これにより、第2のCADに関連する消費者は、住宅にいなくても脆弱な消費者について警告を受ける機会が与えられる。
【0136】
本実施形態の変形例において、サーバは、脆弱であると識別された消費者の消費量データを評価し、異常なパターンに応答して1つ又は複数の指定されたCAD及びユーザデバイスに警報メッセージを送信するよう更にプログラムされてよい。脆弱な消費者は、脆弱な消費者の友人又は家族が不必要に心配しないよう、脆弱な消費者のCADの警報状態を解除する選択肢を有してもよい。
【0137】
図8及び図9は、サーバを介したCAD間の通信を説明する。これは、公益事業会社の観点から見ると優れたプロセス制御を提供するが、計算及び通信に著しい間接費がかかることを意味する。代わりに、CADは、サーバによって管理されるピアツーピアアーキテクチャを介してリンクされてよい。時間又は活動で制限されるCAD間の接続は、サーバからの指示に基づいてセットアップされ、適宜再設定される。サーバは、要望通りに監視を維持してよい。データが共有される場合、発信元CAD(複数可)は、伝送されるデータに必要な抽象化を行わなければならない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】