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特表2025-500274CH1ドメイン親和性リガンド及びエージェント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】CH1ドメイン親和性リガンド及びエージェント
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/00 20060101AFI20241226BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241226BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20241226BHJP
   C07K 17/10 20060101ALI20241226BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
C07K19/00
C07K16/00
C12N15/11 Z
C07K17/10
C07K1/22
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N1/21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536202
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 US2022053926
(87)【国際公開番号】W WO2023122327
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/293,718
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/308,707
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/407,563
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523099840
【氏名又は名称】アヴィタイド エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スキャンロン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベルク、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】カーンズ、ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティーニ、サラ
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA26X
4B065AA26Y
4B065AA77X
4B065AA77Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA60
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045BA54
4H045BA71
4H045BA72
4H045EA60
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、クロマトグラフィの分野に関し、より具体的には、重鎖第1定常領域(CH1)を含有する抗体及び抗体断片の単離における使用に適している新規の親和性リガンド及び親和剤に関する。本開示は、親和性リガンド、したがって、本開示に係る親和性リガンドを含むクロマトグラフィ分離マトリクス(親和剤)、及び本開示に係る親和性リガンドを使用する抗体、特にIgG、及びCH1含有抗体断片を単離するプロセスを包含する。親和性リガンド及び分離マトリクスを作成する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端からC末端に向かって、以下の式によって表されるアミノ酸配列、すなわち、
[A]-AERWYDLGAAYAARGDX17aDRAX21aEX23aYX25aRX27aLEX30aDPND-
AWAWWELGX9bAYAARGDYDRAIEYYQRALELDX32bNN-
AVAWARLGIAYAX13cRGDYDRAIEYYQRALELDPNN-
EVARX5dALEYARRX13d-[B]
を含み、
ここで、X17aは、F又はYであり;X21aは、I又はTであり;X23aは、Y又はFであり;X25aは、R又はQであり;X27aは、T又はAであり;X30aは、L又はHであり;
ここで、X9bは、V又はIであり;X32bは、L、P又はTであり;
ここで、X13cは、T又はAであり;
ここで、X5dは、D又はGであり;X13dは、A又はVであり;
ここで、[A]は、存在しているか又は不在であり、存在する場合、M、MDE、MGGGGSAAAGDE、MGDE、MGHHHHHHDE、MGLAEAAAREAAARAADE、又はMAWAEFRQRLAAIRTRLEALGGSEAELAAFEREIAAFESELQAYAGAGNPEVEALRREAAAIRDELQAYRHNDEを含み;[B]は、存在しているか又は不在であり、存在する場合、システイン、RRC、RRCHHHHHH、又はRRGQAGQGGGSGLNDIFEAQKIEWHECHHHHHHを含む、
親和性リガンド。
【請求項2】
17aは、Fであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Rであり;X27aは、Tであり;X30aは、Lであり;X9bは、Vであり;X32bは、Pであり;X13cは、Tであり;X5dは、Dであり;X13dは、Vである、請求項1に記載の親和性リガンド。
【請求項3】
17aは、Yであり;X21aは、Tであり;X23aは、Fであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Lであり;X9bは、Iであり;X32bは、Pであり;X13cは、Aであり;X5dは、Dであり;X13dは、Aである、請求項1に記載の親和性リガンド。
【請求項4】
17aは、Yであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Hであり;X9bは、Vであり;X32bは、Tであり;X13cは、Aであり;X5dは、Gであり;X13dは、Aである、請求項1に記載の親和性リガンド。
【請求項5】
17aは、Yであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Lであり;X9bは、Vであり;X32bは、Lであり;X13cは、Aであり;X5dは、Dであり;X13dは、Aである、請求項1に記載の親和性リガンド。
【請求項6】
[A]は、MGHHHHHHDEであり、[B]は、RRCである、請求項1に記載の親和性リガンド。
【請求項7】
[A]は、MGLAEAAAREAAARAADEであり、[B]は、RRCHHHHHHである、請求項1に記載の親和性リガンド。
【請求項8】
配列番号89、128、130、131又は132(リガンド129グループ)のうちの任意の1つを含む、請求項2に記載の親和性リガンド。
【請求項9】
配列番号90、133、135、136又は137(リガンド134グループ)のうちの任意の1つを含む、請求項3に記載の親和性リガンド。
【請求項10】
配列番号139、140、141又は143(リガンド141グループ)のうちの任意の1つを含む、請求項4に記載の親和性リガンド。
【請求項11】
配列番号86、91、138、142、144、145、146、147又は148(リガンド144グループ)のうちの任意の1つを含む、請求項5に記載の親和性リガンド。
【請求項12】
配列番号129、134、141又は144のうちの任意の1つを含む、請求項1に記載の親和性リガンド。
【請求項13】
C末端システイン又はリシンを更に含む、請求項1に記載の親和性リガンド。
【請求項14】
請求項1に記載の複数の親和性リガンドを含む多量体。
【請求項15】
二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体又は九量体である、請求項14に記載の多量体。
【請求項16】
前記親和性リガンド又は多量体は、前記親和性リガンドに作用可能に連結され、これによって複合又は融合タンパク質を形成する少なくとも1つの異種エージェントを更に含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の親和性リガンド又は請求項14又は15に記載の多量体。
【請求項17】
前記異種エージェントは、1つ又は複数の小分子診断又は治療剤;ペプチドタグ、DNA、RNA、又はハイブリッドDNA-RNA分子;追跡可能マーカ;放射性剤;抗体;単鎖可変ドメイン;及び免疫グロブリン断片からなる群から選択される、請求項16に記載の親和性リガンド又は多量体。
【請求項18】
少なくとも1つの請求項1~13のいずれか1項に記載の親和性リガンド又は少なくとも1つの請求項14又は15に記載の多量体を備える、分離マトリクス。
【請求項19】
前記親和性リガンド又は前記多量体は、固体担体に結合される、請求項18に記載の分離マトリクス。
【請求項20】
前記親和性リガンド又は多量体は、チオール連結を介して前記固体担体に結合される、請求項19に記載の分離マトリクス。
【請求項21】
前記固体担体は、クロマトグラフィ樹脂又はマトリクスである、請求項19に記載の分離マトリクス。
【請求項22】
前記固体担体は、架橋アガロースマトリクスである、請求項21に記載の分離マトリクス。
【請求項23】
CH1ドメインを含む抗体、又はCH1ドメインを含むその断片を単離する方法であって、前記抗体又は前記断片を請求項18に記載の分離マトリクスと接触させる段階、及び前記抗体又はその断片を回収する段階を備える、方法。
【請求項24】
(a)請求項18に記載の分離マトリクスを前記抗体又は前記断片を含む組成物と接触させる段階、(b)前記分離マトリクスを洗浄緩衝液で洗浄する段階、(c)前記分離マトリクスから前記抗体又は前記断片を溶出緩衝液で溶出する段階、及び(d)前記抗体又は前記断片を回収する段階を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(e)残留物質を前記分離マトリクスから除去するため及び前記分離マトリクスの抗体結合能力又は抗体断片結合能力の少なくとも80%を再生するための十分な時間、前記分離マトリクスをアルカリ性洗浄溶液で処理する段階を更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記アルカリ性洗浄溶液は、約0.1M NaOH~約0.5M NaOHを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記分離マトリクスは、段階(a)~(e)が少なくとも10回反復された場合、その抗体結合能力又は前記抗体断片結合能力の少なくとも80%を保持する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
段階(a)~(e)は、分離マトリクスの単一のバッチで少なくとも10回反復される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
請求項1~13のいずれか1項に記載の親和性リガンド又は請求項14又は15に記載の多量体をコードする核酸又はベクター。
【請求項30】
請求項29に記載の核酸又はベクターを含む発現ベクターであって、前記親和性リガンドのコード領域は、1つ又は複数の発現制御要素に作用可能に連結される、発現ベクター。
【請求項31】
請求項29に記載の核酸又はベクターを含む宿主細胞。
【請求項32】
宿主細胞は、大腸菌又はピキア酵母である、請求31に記載の宿主細胞。
【請求項33】
請求項1~13のいずれか1項に記載の親和性リガンド又は請求項14又は15に記載の多量体を固体表面に複合させる段階を含む、分離マトリクスを作成する方法。
【請求項34】
7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含むリガンドを含む親和剤であって、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、A、D、E、G、N、Q、S又はVであり;Xは、A、E、W又はYであり;Xは、D、G、H、I、N、T、V、W又はYであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、E又はWであり;Xは、D、E又はHであり;Xは、T、V、又はWであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、A、H、I、T又はVであり;Xは、A、F、N、S又はRであり;X10は、Rであり;X11は、F、I、H又はWであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、A、L、T又はVであり;X13は、A、D、E、H、Q、R、S又はYであり;X14は、A、E、I、L、N又はQであり;X15は、A、D、E、H、N、R、S、V又はYである、親和剤。
【請求項35】
CH1ドメインを含有するモノクローナル抗体、抗体断片及び抗体複合体に結合する、請求項34に記載の親和剤。
【請求項36】
配列番号6~152及び154~204のうちの少なくとも1つの配列、又は3つ以下、2つ以下、又は1つ以下の置換、追加、又は削除によって異なるアミノ酸配列を含むリガンドを含む、CH1ドメインを含有するモノクローナル抗体、抗体断片及び抗体複合体に結合するリガンドを含む親和剤。
【請求項37】
各サブユニットが請求項34に記載のポリペプチドである少なくとも2つのサブユニットを含む多量体ポリペプチドを含む、請求項34に記載の親和剤。
【請求項38】
前記サブユニットは、全て同じというわけではない、請求項37に記載の親和剤。
【請求項39】
前記リガンドは、固体表面に付着される、請求項34に記載の親和剤。
【請求項40】
前記固体表面は、樹脂又はビードである、請求項39に記載の親和剤。
【請求項41】
前記固体表面は、膜である、請求項39に記載の親和剤。
【請求項42】
前記固体表面は、モノリスである、請求項39に記載の親和剤。
【請求項43】
前記リガンドは、リンカーを介して前記固体表面に複合される、請求項39に記載の親和剤。
【請求項44】
CH1ドメインを含有するモノクローナル抗体、抗体断片及び抗体複合体の精製のために使用される、請求項34に記載の親和剤。
【請求項45】
請求項34~38のいずれか1項に記載のリガンドを固体表面に複合させる段階を含む、親和剤を作成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本PCT出願は、2021年12月24日に提出された米国仮特許出願第63/293,718号、2022年2月10日に提出された米国仮特許出願第63/308,707号、及び2022年9月16日に提出された米国仮特許出願第63/407,563号の利益を主張し、これらの各々の内容全体は、本明細書において参照によって組み込まれる。
【0002】
本開示は、クロマトグラフィの分野に関し、より具体的には、重鎖第1定常領域(CH1)を含有する抗体及び抗体断片の単離における使用に適している新規の親和性リガンド及び親和剤に関する。本開示は、親和性リガンド、したがって、本開示に係る親和性リガンドを含むクロマトグラフィ分離マトリクス(親和剤)、及び本開示に係る親和性リガンドを使用する抗体、特にIgG、及びCH1含有抗体断片を単離するプロセスを包含する。親和性リガンド及び分離マトリクスを作成する方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
生物学的に生成される治療薬の純度は、安全性及び有効性を保証するために当局によって精査及び規制される。それゆえ、生物学的に生成される治療薬を高純度に効率的に精製することが必要とされている。
【0004】
治療用タンパク質の臨床的労力を支援するために、組み換えソースからタンパク質を効率に精製するための組成及び方法が必要とされている。親和性精製は、少数の段階、又は単一の段階においてタンパク質の所望の純度を単離及び/又は達成する手段である。しかしながら、(例えば、親和性リガンドを含む)親和剤の開発は、資源集約的でかつ時間を要するタスクであり得、したがって、親和剤は、非常に少ないタンパク質のために存在する。親和剤の不在下で、精製は、典型的には、マルチカラムプロセス等の非効率的なプロセスを伴う。
【0005】
例示的な治療用タンパク質は、生物活性ポリペプチド/タンパク質、融合タンパク質、酵素、ホルモン、抗体、及び抗体断片を含むが、限定されるものではない。融合タンパク質等の特定のタンパク質は、生成均質性又は生成に関する不純物の存在に起因し精製について更なる課題を提示している。そのような不純物は、それらが所望の生成に密接に関連しているために特に除去が困難であり得る融合タンパク質及びタンパク質分解切断が不適切に組み合わされていることから生じ得る。
【0006】
タンパク質に結合し、単離のために有用である親和剤及び/又は親和性精製が本明細書において説明される。幾つかの実施形態では親和剤は、固体担体及びリガンドを含む。
【0007】
ヒトモノクローナル抗体治療は、癌治療において非常に有望な臨床的応用でバイオ医薬品産業の急速に成長しているセグメントである。組み換え抗体精製のための従来的な方法は、タンパク質Aリガンドに基づいて親和性クロマトグラフィ樹脂を利用する。タンパク質Aベース親和性樹脂は、モノクローナル抗体の精製のための非常に効率的であり高収量のプロセスを提供し、産業的抗体生成プロセスにおけるそれらの有用性は、適した親和性精製デバイスの必要性を強調する。
【0008】
免疫グロブリンG(IgG)に基づくモノクローナル抗体治療の主要な欠点は、非常に大きいIgG分子(約150kDa)による不十分な腫瘍浸潤である。抗体断片は、IgGの大きい定常ドメイン(Fcドメイン)を欠くことがますます調査されている。このように構築された抗体断片は、それらの天然の抗原特異性を維持するが、Fc受容体に結合する能力を欠く。しかしながら、そのような抗体断片は、タンパク質Aベース親和性樹脂での精製を可能にするタンパク質A結合部位も欠き、それゆえ、タンパク質A樹脂に結合することができない抗体断片の精製のために新たな方法が必要されている。
【0009】
臨床試験において現在調査されている例示的な抗体断片フォーマットは、例えば、単一特異性Fab、単一特異性Fab、二重特異性Fab、二重特異性Fab、単一特異性及び二重特異性二量体、三量体、抗体断片-薬品複合体等を含む(Nelson, 2010, mAbs他において検討されている)。
【0010】
上記で言及された抗体断片の多くは、重鎖上の保存領域、CH1ドメインを含有する。CH1ドメインにおける抗体又は抗体断片に結合する親和剤は、そのような断片の単離及び/又は親和性精製に有用であろう。抗体又は抗体断片に結合し、単離及び/又は精製に有用である親和剤は、本明細書において説明される。幾つかの実施形態では、親和剤は、固体担体及びリガンドを含む。
【0011】
テトラトリコペプチド反復配列(TPR)タンパク質は、結合特異性を操作するための潜在的な骨格を提供し、そのような親和性精製に適した新たな結合リガンドを作成する。TPRは、ヘリックスターンヘリックス構造を採用する34アミノ酸配列の反復単位を含む。3つのそのようなドメインを第7のヘリックスと組み合わせることは、細長いスーパーヘリックス構造を形成し、ここで、ヘリックス1、3、5及び7は、スーパーヘリックスの内側面及びその標的のための結合界面を形成する(図1を参照されたい)。本開示に従って、天然に存在しないTPRに基づく一連の親和性リガンドは、CH1ドメインにおける抗体又は抗体断片に結合するために開発されてきた。その上、結果として得られるTPRドメインベースリガンドは、NaOHを用いたCIPに耐える能力を含む高安定性を有する。まとめると、これらの性質は、最新のバイオプロセスの厳格さに耐えることができる親和性リガンドの使用を可能にする。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、CH1ドメインを有するか又は含む抗体及び抗体断片に結合する親和性リガンドを提供する。そのような親和性リガンドは、N末端からC末端に向かって、以下の式によって表されるアミノ酸配列、すなわち、
[A]-AERWYDLGAAYAARGDX17aDRAX21aEX23aYX25aRX27aLEX30aDPND-
AWAWWELGX9bAYAARGDYDRAIEYYQRALELDX32bNN-
AVAWARLGIAYAX13cRGDYDRAIEYYQRALELDPNN-
EVARX5dALEYARRX13d-[B]
を含み、
ここで、X17aは、F又はYであり;X21aは、I又はTであり;X23aは、Y又はFであり;X25aは、R又はQであり;X27aは、T又はAであり;X30aは、L又はHであり;
ここで、X9bは、V又はIであり;X32bは、L、P又はTであり;
ここで、X13cは、T又はAであり;
ここで、X5dは、D又はGであり、X13dは、A又はVであり;
ここで、[A]は、存在しているか又は不在であり、存在する場合、M、MDE、MGGGGSAAAGDE、MGDE、MGHHHHHHDE、MGLAEAAAREAAARAADE、又はMAWAEFRQRLAAIRTRLEALGGSEAELAAFEREIAAFESELQAYAGAGNPEVEALRREAAAIRDELQAYRHNDEを含み;[B]は、存在しているか又は不在であり、存在する場合、システイン、RRC、RRCHHHHHH、又はRRGQAGQGGGSGLNDIFEAQKIEWHECHHHHHHを含む。
【0013】
親和性リガンドの幾つかの実施形態では、X17aは、Fであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Rであり;X27aは、Tであり;X30aは、Lであり;X9bは、Vであり;X32bは、Pであり;X13cは、Tであり;X5dは、Dであり;X13dは、Vである。
【0014】
親和性リガンドの幾つかの実施形態では、X17aは、Yであり;X21aは、Tであり;X23aは、Fであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Lであり;X9bは、Iであり;X32bは、Pであり;X13cは、Aであり;X5dは、Dであり;X13dは、Aである。
【0015】
親和性リガンドの幾つかの実施形態では、X17aは、Yであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Hであり;X9bは、Vであり;X32bは、Tであり;X13cは、Aであり;X5dは、Gであり;X13dは、Aである。
【0016】
親和性リガンドの幾つかの実施形態では、X17aは、Yであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Lであり;X9bは、Vであり;X32bは、Lであり;X13cは、Aであり;X5dは、Dであり;X13dは、Aである。
【0017】
特定の実施形態では、[A]は、MGHHHHHHDEであり、[B]は、RRCである。特定の実施形態では、[A]は、MGLAEAAAREAAARAADEであり、[B]は、RRCHHHHHHである。
【0018】
幾つかの実施形態では、親和性リガンドは、表9における任意のものを含む。
【0019】
好ましい実施形態では、前記親和性リガンドは、配列番号89、128、129、130、131又は132(リガンド129グループ)のうちの任意の1つを含む。
【0020】
好ましい実施形態では、前記親和性リガンドは、配列番号90、133、134、135、136又は137(リガンド134グループ)のうちの任意の1つを含む。
【0021】
好ましい実施形態では、前記親和性リガンドは、配列番号139、140、141又は143(リガンド141グループ)のうちの任意の1つを含む。
【0022】
好ましい実施形態では、前記親和性リガンドは、配列番号86、91、138、142、144、145、146、147又は148(リガンド144グループ)のうちの任意の1つを含む。
【0023】
より好ましい実施形態では、前記親和性リガンドは、配列番号129、134、141又は144のうちの任意の1つを含む。
【0024】
幾つかの実施形態では、本開示の親和性リガンドは、C末端システイン又はリシンを含む。
【0025】
本開示の更なる態様は、本開示に係る複数の親和性リガンドを含む多量体に関する。そのような多量体は、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体又は九量体を含む。
【0026】
本明細書において説明される他の態様では、本明細書において開示される親和性リガンド又は多量体は、前記親和性リガンド又は多量体に作用可能に連結されて、複合又は融合タンパク質を形成する少なくとも1つの異種エージェントを更に含む。
【0027】
本開示の更に他の態様は、分離マトリクスに関する。そのような分離マトリクスは、本開示の少なくとも1つの親和性リガンド又は本開示の少なくとも1つの多量体を含む。実施形態において、前記親和性リガンド又は多量体は、任意選択でチオール連結を介して、固体担体に結合される。
【0028】
さらにまた、本開示は、CH1ドメインを含む抗体、又はCH1ドメインを含むその断片を単離する方法を提供し、これは、前記抗体又は前記断片を本開示の分離マトリクスと接触させる段階を備える。
【0029】
幾つかの実施形態では、前記方法は、CH1ドメインを含む抗体、又はCH1ドメインを含むその断片を単離又は精製することに関し、前記方法は、(a)本開示の分離マトリクスを前記抗体又は前記断片を含む組成物と接触させる段階、(b)前記分離マトリクスを洗浄緩衝液で洗浄する段階、(c)前記分離マトリクスから前記抗体又は前記断片を溶出緩衝液で溶出する段階、及び(d)前記抗体又は前記断片を回収する段階を備える。
【0030】
幾つかの実施形態では、前記方法は、(e)残留物質を前記マトリクスから除去するため及び前記分離マトリクスの前記抗体結合能力又は前記抗体断片結合能力の少なくとも80%を再生するための十分な時間、前記分離マトリクスをアルカリ性洗浄溶液で処理する段階を更に備える。幾つかの実施形態では、前記アルカリ性洗浄溶液は、約0.1M NaOH~約0.5M NaOHを含む。例えば、前記分離マトリクスは、段階(a)~(e)が少なくとも10回反復された場合、その抗体結合能力又は前記抗体断片結合能力の少なくとも80%を保持することができる。幾つかの実施形態では、少なくとも85%、90%及び95%の結合能力が保持される。したがって、同じカラムは、樹脂の結合能力が保持されると仮定すると少なくとも10回以上まで、精製のために反復して使用することができる。そのような分離マトリクスは、アルカリ性安定であり、精製コストの削減を提供する。
【0031】
本開示の更なる態様は、本開示の親和性リガンド又は本開示の多量体をコードする核酸又はベクター、並びに1つ又は複数の発現制御要素に作用可能に連結される親和性リガンド又は多量体のコード領域を有するそれらの核酸又はベクターを含む発現ベクターに関する。本開示の更なる実施形態は、本開示の親和性リガンド又は多量体の組み換え生成のための宿主細胞、特に大腸菌又はピキア酵母に関する。
【0032】
幾つかの実施形態では、本開示は、本開示に係るリガンド又は本開示に係る多量体を固体表面に複合させる段階を備える、分離マトリクスを作成する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本開示の親和性リガンドによって例示されるような7つのαヘリックスを有するTPRドメインについての一般的なリボン構造を示す図である。7つのαヘリックスは、N末端において開始して、α1~α7と連続的にラベル付けされている。N末端及びC末端は、それぞれ、「N」及び「C」によっても示される。
【0034】
図2】例示的な親和剤についてのセンサグラムである。センサグラムは、溶液中のハーセプチンFabの示された濃度で滴定される配列番号89、配列番号90、及び配列番号92に対応するビオチン化リガンド(濃青色、栗色及び淡青色の線)のためのものである。淡赤色の線は、最も良好なフィット曲線である。
【0035】
図3】例示的な親和剤についてのセンサグラムである。センサグラムは、溶液中のトレムフィアFabの示された濃度で滴定される配列番号89、配列番号90、及び配列番号92に対応するビオチン化リガンド(濃青色、栗色及び淡青色の線)のためのものである。淡赤色の線は、最も良好なフィット曲線である。
【0036】
図4】24時間0.1M NaOH+1M NaClにおけるインキュベートの前(■)及び後(●)の配列番号129から調製される樹脂の吸着等温線を示す図である。
【0037】
図5】24時間0.1M NaOH+1M NaClにおけるインキュベートの前(■)及び後(●)の配列番号134から調製される樹脂の吸着等温線を示す図である。
【0038】
図6】24時間0.1M NaOH+1M NaClにおけるインキュベートの前(■)及び後(●)の配列番号144から調製される樹脂の吸着等温線を示す図である。
【0039】
図7】配列番号89のリガンドで親和性樹脂を使用するCHO細胞株において生成されるモノクローナル抗体のカラム精製実行から取得される様々な画分についての非還元条件下でのSDS-PAGEゲル実行を示す図である。各レーンにおけるサンプルは、(1)SeeBlue Plus2 分子量マーカ、(2)粗フィード流(CCCFとしても知られている)、(3)10x希釈粗フィード流、(4)流通画分プール、(5)洗浄画分プール、(6)溶出画分プール(6.4ug)、及び(7)ストリップ画分プールである。
【0040】
図8】配列番号129(青色線)、134(赤色線)及び144(黄色線)のリガンドを有する親和性樹脂から取得されるCHO細胞株において生成されるモノクローナル抗体の精製の数サイクルにわたって測定される残留HCP(上側パネル)及び残留HCDNA(下側パネル)を示す図である。
【0041】
図9】実施例8において説明されるようなIgG抗体の精製の数サイクルにわたって測定される収量を示す図である。
【0042】
図10】センサ上で固定化された配列番号157に対応するビオチン化リガンドへのトラスツズマブ及びトラスツズファブタンパク質の結合のForteBio投与量応答を示す図である。
【0043】
図11】配列番号181に対応するリガンドで調製され、3×50mmカラムに充填される親和性樹脂のDBC決定中に取得された破過曲線を示す図である。2g/Lの惹起濃度を使用して4分の滞留時間において取得したトラスツズマブ(上側グラフ)及びトラスツズファブ、Nucala(登録商標)及びBenlysta(登録商標)(下側グラフ)についての破過曲線が示されている。
【0044】
図12】NaOHでの曝露に対するDBCの安定性を示す図である。配列番号181に対応するリガンドで調製された親和性樹脂は、1M NaClを含有する1M NaOHに曝露し、DBCは、示されている時点で決定した。
【0045】
図13】カラムの反復サイクルでの粗HCCFからのトラスツズマブの精製中のサイクルごとに取得された相対収量を示す図である。カラムは、各サイクルの終了時に3.5時間、1M NaClを含有する1M NaOHに曝露した。
【0046】
図14】カラムの反復サイクルでの粗HCCFからのトラスツズマブの精製中のサイクルごとに取得された残留HCPを示す図である。カラムは、各サイクルの終了時に3.5時間、1M NaClを含有する1M NaOHに曝露した。
【0047】
図15】カラムの反復サイクルでの粗HCCFからのトラスツズマブの精製中のサイクルごとに取得された残留HCPを示す図である。カラムは、各サイクルの終了時に3.5時間、1M NaClを含有する1M NaOHに曝露した。
【発明を実施するための形態】
【0048】
定義
本開示がより容易に理解されるために、特定の用語が以下で定義される。本明細書において別段に定義されない限り、本明細書において使用される技術的及び科学的用語は、本開示が関連する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0049】
単位、接頭語、及び記号は、それらの国際単位系(SI)で認められた形式において表記される。数値範囲は、その範囲を画定する数値を包含する。別段示されない限り、アミノ酸配列は、左から右にアミノからカルボキシの配向で記述される。本明細書において提供される見出しは、本開示の様々な態様又は実施形態を限定するものではなく、これらは、全体として本明細書に対する参照によって理解され得る。したがって、直下で定義される用語は、本明細書全体に対する参照によってより完全に定義される。
【0050】
「一(「a」又は「an」)」エンティティという用語は、そのエンティティのうちの1つ又は複数を指し、例えば、「一親和性リガンド(an affinity ligand)」は、1つ又は複数の親和性リガンドを表すと理解されることに留意されたい。したがって、「一(a)」(又は「an」)、「1つ又は複数」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において交換可能に使用することができる。
【0051】
およそ(approximately)又は約
(about):本明細書において使用される場合、関心対象の1つ又は複数の値に適用されるような「およそ」又は「約」という用語は、言及された参照値と同様である値を指す。特定の実施形態では、「およそ」又は「約」という用語は、別段言及されないか又は別段文脈から明らかではない限り、言及された参照値のいずれかの方向(より大きい又はより小さい)における25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又はそれ未満内に含まれる値の範囲を指す(そのような数値が可能な値の100%を超えることになる場合を除く)。
【0052】
生物学的に活性(biologically active):本明細書において使用される場合、「生物学的に活性」という用語は、生物学的システム、特に生物における活動を有する任意のエージェントの特性を指す。例えば、生物に投与されるとその生物に対して生物学的又は生理学的効果を有するエージェントは、生物学的に活性であるとみなされる。
【0053】
バリアント及び突然変異体:「バリアント」という用語は、受け入れられた標準から何らかの方式で遺伝的に異なる生物を参照して、通常科学文献において定義されるとともに本明細書において使用され、「バリアント」は、遺伝子ではない表現型の差異を記述するのにも使用され得る(King及びStansfield, 2002, A dictionary of genetics, 6th ed., New York, New York, Oxford University Press)。
【0054】
「突然変異」という用語は、遺伝子の構造に遺伝的変化を導入し(King & Stansfield, 2002)、これによって「突然変異体」を生成するプロセスを参照してほとんどの辞書によって定義されるとともに本明細書において使用される。「バリアント」という用語は、科学及び非科学文献において「突然変異」という用語の代わりに次第に使用されてきている。これらの用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0055】
保存的及び非保存的置換:「保存的」アミノ酸置換は、あるアミノ酸残基が、同様の側鎖を有する別のアミノ酸残基に置き換えられるアミノ酸置換である。塩基性側鎖(例えば、リシン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H));酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E));非荷電極性側鎖(例えば、グリシン(G);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、システイン(C));非極性側鎖(例えば、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、メニン(M)、トリプトファン(W)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン(T)、バリン(V)、イソロイシン(I));及び芳香族側鎖(例えば、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H))を含む、同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリが当該技術分野において定義されている。例えば、フェニルアラニンのチロシンへの置換は、保存的置換である。幾つかの実施形態では、リガンドの配列における保存的アミノ酸置換は、リガンド及び関心対象の標的の特異的結合を付与又は改善する。幾つかの実施形態では、リガンドの配列における保存的アミノ酸置換は、リガンドの関心対象の標的への結合を低減させないか又は破棄しない。幾つかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、リガンドの関心対象の標的への特異的結合に有意に影響を及ぼさない。選択的結合親和性を付与、変更又は維持するヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換及び非保存的置換を識別する方法が当該技術分野において既知である(例えば、Brummell, Biochem. 32:1180-1187 (1993); Kobayashi, Protein Eng. 12(10):879-884 (1999);及びBurks, PNAS 94:412-417 (1997)を参照されたい)。幾つかの実施形態では、リガンドの配列における非保存的アミノ酸置換は、リガンドの関心対象の標的への特異的結合を付与又は改善する。幾つかの実施形態では、リガンドの配列における非保存的アミノ酸置換は、リガンドの関心対象の標的への結合を低減させないか又は破棄しない。幾つかの実施形態では、非保存的アミノ酸置換は、リガンドの関心対象の標的への特異的結合に有意に影響を及ぼさない。
【0056】
親和性クロマトグラフィ:本明細書において使用される場合、「親和性クロマトグラフィ」という用語は、親和性リガンドが「ロックキー」様式において生物学的親和性を介して標的と相互作用するクロマトグラフィの特定のモードを指す。親和性クロマトグラフィにおける有用な相互作用の例は、例えば、酵素-基質相互作用、ビオチン-アビジン相互作用、抗体-抗原相互作用等である。
【0057】
親和性リガンド及びリガンド:「親和性リガンド」及び「リガンド」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。これらの用語は、本明細書において、それに対して特異的な部分、例えばポリペプチド又はタンパク質に、高い親和性で可逆的に結合することが可能である分子を指すのに使用される。
【0058】
タンパク質系リガンド:本明細書において使用される場合、「タンパク質系リガンド」という用語は、標的ポリペプチド又はタンパク質に可逆的に結合するペプチド又はタンパク質、又はペプチド又はタンパク質の部分を含むリガンドを意味する。本開示の「リガンド」は、タンパク質系リガンドであることが理解される。
【0059】
親和剤:本明細書において使用される場合、「親和剤」という用語は、生物特異的親和性リガンドが共有結合的に付着される固体担体又はマトリクスを参照する。典型的には、固体担体又はマトリクスは、標的分子が精製されるシステムにおいて不溶性である。「親和剤」及び「親和性分離マトリクス」及び「分離マトリクス」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0060】
リンカー:本明細書において使用される場合、「リンカー」は、本来であれば独立した機能ドメインを連結するように機能するペプチド又は他の化学連結を指す。幾つかの実施形態では、リンカーは、リガンド、及び本来であれば独立した機能又は構造ドメインを含有する別のポリペプチド成分の間に位置する。幾つかの実施形態では、リンカーは、リガンド及び表面の間に位置するペプチド又は他の化学連結である。
【0061】
天然に存在する(Naturally occurring):核酸分子、ポリペプチド、及び宿主細胞等の生物物質に関連して使用される場合の「天然に存在する」という用語は、天然で見出されるとともに、人間によって改変されていないものを指す。逆に、生物物質に関連して使用される場合の「非天然」又は「合成」は、天然では見出されず、及び/又は人間によって改変されたものを指す。
【0062】
「非天然アミノ酸」、「アミノ酸アナログ」及び「非標準アミノ酸残基」は、本明細書において交換可能に使用される。本明細書において提供されるようなリガンドにおいて置換され得る非天然アミノ酸は、当該技術分野において既知である。幾つかの実施形態では、非天然アミノ酸は、プロリンから置換することができる4-ヒドロキシプロリン;リシンから置換することができる5-ヒドロキシリシン;ヒスチジンから置換することができる3-メチルヒスチジン;セリンから置換することができるホモセリン;及びリシンから置換することができるオルニチンである。ポリペプチドリガンドにおいて置換することができる非天然アミノ酸の更なる例としては:一般的なアミノ酸のD体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、A-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、ランチオニン、デヒドロアラニン、γ-アミノ酪酸、セレノシステイン及びピロリシンフルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えば、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、及びNα-メチルアミノ酸等の分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」:本明細書において交換可能に使用される場合、ポリヌクレオチド及び核酸分子は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。これらの用語としては、DNA、RNA、cDNA(相補的DNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、rRNA(リボソームRNA)、shRNA(小ヘアピンRNA)、snRNA(核内低分子RNA)、snoRNA(核小体低分子RNA)、miRNA(マイクロRNA)、ゲノムDNA、合成DNA、合成RNA、及び/又はtRNA(転移RNA)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
作用可能に連結される:「作用可能に連結される」という用語は、本明細書において使用される場合、2つ又はそれよりも多くの成分が、その成分が正常に機能するとともに、成分のうちの少なくとも1つが他の成分のうちの少なくとも1つに加えられる機能を仲介することができるという実現性を可能にするように配置されることを示す。2つの分子は、それらが直接又は間接的に付着されるか否かにかかわらず「作用可能に連結される」。
【0065】
ペプチドタグ:「ペプチドタグ」という用語は、本明細書において使用される場合、結果として得られる融合に機能を提供するために、別のタンパク質の一部であるか又はこれに(例えば遺伝子工学を介して)付着されたペプチド配列を指す。そのような機能は、タンパク質の溶解度を変更すること、タンパク質の発現を緩和すること、及びタンパク質の別のエンティティへの付着又は相互作用を促進することを含むが、これらに限定されるものではない。ペプチドタグは、常にではないが通常、それが融合される相手であるタンパク質と比較して相対的に短い。幾つかの実施形態では、ペプチドタグは、4又はそれよりも長いアミノ酸長、例えば、5、6、7、8、9、10、15、20、又は25又はそれよりも長いアミノ酸である。幾つかの実施形態では、ペプチドタグは、本明細書において使用される場合、特定の性質の「タグ」(例えば、GFP)又は促進剤として作用することができる第2のタンパク質を含む。幾つかの実施形態では、リガンドは、ペプチドタグを含有するタンパク質である。本明細書において提供されるような用途を有する多数のペプチドタグが当該技術分野において既知である。リガンド融合タンパク質の成分又はリガンド(例えば、リガンド融合タンパク質)によって結合される標的であり得るペプチドタグの例としては、HA(ヘマグルチニン)、c-myc、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)、T7、GST、GFP、MBP、Strep-tags、His-tags、Myc-tags、TAP-tags及びFLAG tag(Eastman kodak, Rochester, N.Y.)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。同様に、タグエピトープに対する抗体は、例えば、親和性精製、ウェスタンブロット、ELISAアッセイ、及び細胞の免疫染色における融合タンパク質の検出及び局在化を可能にする。
【0066】
ポリペプチド:「ポリペプチド」という用語は、本明細書において使用される場合、ペプチド結合を介してともに連結されるアミノ酸の配列鎖を指す。この用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を指すのに使用されるが、当業者であれば、この用語が長い連鎖に限定されず、ペプチド結合を介してともに連結される2つのアミノ酸を含む最小連鎖を指すことができることを理解するであろう。当業者に知られているように、ポリペプチドは、処理及び/又は改変され得る。
【0067】
タンパク質:「タンパク質」という用語は、本明細書において使用される場合、不連続単位として機能する1つ又は複数のポリペプチドを指す。単一のポリペプチドが不連続機能単位であり、かつ不連続機能単位を形成するために他のポリペプチドとの永久的又は一時的物理的会合を要求しない場合、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、交換可能に使用され得る。不連続機能単位が、互いに物理的に会合する1つよりも多くのポリペプチドから構成される場合、「タンパク質」という用語は、物理的に結合され、不連続単位としてともに機能する複数のポリペプチドを指す。
【0068】
特異的に結合する:リガンドを参照して本明細書において使用される場合、「特異的に結合する」又は「に対して選択的親和性を有する」という用語は、リガンドが、未関連のタンパク質を含む代替的な物質を用いるよりも、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、より高い親和性で、又は上記の組み合わせで、特定のエピトープ、タンパク質、又は標的分子に対して反応又は会合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性に起因して、特異的結合は、1つよりも多くの種におけるタンパク質又は標的を認識する、例えば、二重又は三重特異である結合剤を含むことができる。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列の特定の領域内のホモロジーに起因して、特異的結合は、1つよりも多くのタンパク質又は標的を認識する結合剤を含むことができる。特定の実施形態では、第1の標的に特異的に結合する結合剤は、第2の標的に特異的に結合してもよいし、又はしなくてもよいことが理解される。したがって、「特異的結合」は、排他的結合、すなわち、単一の標的への結合を(含むことはできるが)必ずしも要求するわけではない。それゆえ、リガンド又は親和剤は、特定の実施形態では、1つよりも多くの標的に特異的に結合してよい。特定の実施形態では、複数の標的が、親和剤に対して同じ結合部位で結合されてよい。
【0069】
実質的に:本明細書において使用される場合、「実質的に」という用語は、関心対象の特性又は性質の全ての又はほぼ全ての範囲又は度合いを呈する定性的条件を指す。生物学分野における当業者であれば、生物学的及び化学的現象は、完了まで移行する、及び/又は完了まで進む、又は絶対的結果を達成又は回避することがたとえあるとしても滅多にないことを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、本明細書において、多くの生物学的及び化学的現象において内在的な完全性の潜在的欠如を捉えるのに使用される。
CH1ドメイン親和性リガンド
【0070】
本開示の様々な態様及び実施形態の親和性リガンドは、重鎖第1定常領域(CH1)(本明細書においてCH1ドメインと称される)を含有する抗体及び抗体断片に可逆的に結合する高親和性タンパク質リガンドである。そのような結合は、これらのタンパク質リガンドが、とりわけ、Fcドメインが欠如しているが重鎖のCH1領域を保持する抗体及び任意の抗体断片を単離及び/又は精製するのに使用されることを可能にする。
【0071】
本開示の親和性リガンドは、N末端からC末端に向かって、以下の式によって表されるアミノ酸配列、すなわち、
[A]-AERWYDLGAAYAARGDX17aDRAX21aEX23aYX25aRX27aLEX30aDPND-
AWAWWELGX9bAYAARGDYDRAIEYYQRALELDX32bNN-
AVAWARLGIAYAX13cRGDYDRAIEYYQRALELDPNN-
EVARX5dALEYARRV-[B]
を含み、
ここで、X17aは、F又はYであり;X21aは、I又はTであり;X23aは、Y又はFであり;X25aは、R又はQであり;X27aは、T又はAであり;X30aは、L又はHであり;
ここで、X9bは、V又はIであり;X32bは、L、P又はTであり;
ここで、X13cは、T又はAであり;
ここで、X5dは、D又はGであり、X13dは、A又はVであり;
ここで、[A]は、存在しているか又は不在であり、存在する場合、M、MDE、MGGGGSAAAGDE、MGDE、MGHHHHHHDE、MGLAEAAAREAAARAADE、又はMAWAEFRQRLAAIRTRLEALGGSEAELAAFEREIAAFESELQAYAGAGNPEVEALRREAAAIRDELQAYRHNDEを含み;[B]は、存在しているか又は不在であり、存在する場合、システイン、RRC、RRCHHHHHH、又はRRGQAGQGGGSGLNDIFEAQKIEWHECHHHHHHを含む。これらの親和性リガンドは、CH1ドメインを含む抗体及び抗体断片に結合する。
【0072】
本開示の親和性リガンドは、第7のヘリックスが後続する34アミノ酸TPRドメインの3つの反復配列を有するTPRドメイン含有タンパク質に由来する。各反復配列は、TPRドメイン含有タンパク質において生じるものに典型的なヘリックスターンヘリックスモチーフをコードする。明確にするために、3つの34アミノ酸ドメインは、リガンドにおいて共線であるが、その線上の第1のアミノ酸がその34アミノ酸ドメインのアミノ酸1であるように単一の線上に提示される。それゆえ、(上記で示されたような)第1のTPRドメインは、ヘリックス1及びヘリックス2を含有し、第2のTPRドメインは、ヘリックス3及びヘリックス4を含有し、第3のTPRドメインは、ヘリックス5及びヘリックス6を含有する。本開示では、「a」、「b」及び「c」は、これらの親和性リガンドにおける3つのTPRドメインを示すのにも使用される。
【0073】
幾つかの実施形態では、本開示の親和性リガンドは、上記の一般式を有し、ここで、X17aは、Fであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Rであり;X27aは、Tであり;X30aは、Lであり;X9bは、Vであり;X32bは、Pであり;X13cは、Tであり;X5dは、Dであり;X13dは、Vである。幾つかの実施形態では、これらの親和性リガンドは、配列番号89、128、129、130、131又は132を含むものを含むが、これらに限定されるものではない。そのような実施形態は、リガンド129グループとも称される。
【0074】
幾つかの実施形態では、本開示の親和性リガンドは、上記の一般式を有し、ここで、X17aは、Yであり;X21aは、Tであり;X23aは、Fであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Lであり;X9bは、Iであり;X32bは、Pであり;X13cは、Aであり;X5dは、Dであり;X13dは、Aである。幾つかの実施形態では、これらの親和性リガンドは、配列番号90、133、134、135、136又は137を含むものを含むが、これらに限定されるものではない。そのような実施形態は、リガンド134グループとも称される。
【0075】
幾つかの実施形態では、本開示の親和性リガンドは、上記の一般式を有し、ここで、X17aは、Yであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Hであり;X9bは、Vであり;X32bは、Tであり;X13cは、Aであり;X5dは、Gであり;X13dは、Aである。幾つかの実施形態では、これらの親和性リガンドは、配列番号139、140、141又は143を含むものを含むが、これらに限定されるものではない。そのような実施形態は、リガンド141グループとも称される。
【0076】
幾つかの実施形態では、本開示の親和性リガンドは、上記の一般式を有し、ここで、X17aは、Yであり;X21aは、Iであり;X23aは、Yであり;X25aは、Qであり;X27aは、Aであり;X30aは、Lであり;X9bは、Vであり;X32bは、Lであり;X13cは、Aであり;X5dは、Dであり;X13dは、Aである。幾つかの実施形態では、これらの親和性リガンドは、配列番号86、91、138、142又は144~148を含むものを含むが、これらに限定されるものではない。そのような実施形態は、リガンド144グループとも称される。
【0077】
親和性リガンドの幾つかの実施形態では、[A]は、MGHHHHHHDEであり、[B]は、RRCである。親和性リガンドの幾つかの実施形態では、[A]は、MGLAEAAAREAAARAADEであり、[B]は、RRCHHHHHHである。
【0078】
幾つかの実施形態では、本明細書において、7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤が提供され、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、A、D、E、G、N、Q、S又はVであり;Xは、A、E、W又はYであり;Xは、D、G、I、N、T、V、W又はYであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、E又はWであり;Xは、D、E又はHであり;Xは、T、V、Wであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、A、H、I、T又はVであり;Xは、A、F、N、S又はRであり;X10は、Rであり;X11は、F、I、H又はWであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、A、L、T又はVであり;X13は、A、D、E、H、Q、R、S又はYであり;X14は、A、E、I、L、N又はQであり;X15は、A、D、E、H、N、R、S、V又はYである。
幾つかの実施形態では、本明細書において、7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤が提供され、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、D又はE、Q又はVであり;Xは、E又はYであり;Xは、D、I又はNであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、Wであり;Xは、Eであり;Xは、I又はVであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、H、T又はVであり;Xは、A、F又はSであり;X10は、Rであり;X11は、H、I、又はWであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、A、L、T又はVであり;X13は、D、H、R、又はYであり;X14は、A、I、V又はLであり;X15は、D、H、V又はYである。
幾つかの実施形態では、本明細書において、7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤が提供され、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、Nであり;Xは、Yであり;Xは、V又はYであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、F、又はYであり;Xは、Dであり;Xは、Eであり;Xは、N又はSであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、Vであり;Xは、N、又はSであり;X10は、Rであり;X11は、H、又はQであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、T又はVであり;X13は、H又はTであり;X14は、Lであり;X15は、Q又はWである。
幾つかの実施形態では、本明細書において、7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤が提供され、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、Aであり;Xは、Eであり;Xは、F又はVであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、Eであり;Xは、Hであり;Xは、Wであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、Hであり;Xは、Fであり;X10は、Rであり;X11は、Fであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、L又はQであり;X13は、A、又はEであり;X14は、E又はQであり;X15は、S又はHである。
幾つかの実施形態では、本明細書において、7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤が提供され、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、A、D、E、L、Q又はVであり;Xは、A、D、E又はWであり;Xは、A、D、F、I、N、V、W又はYであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、E又はWであり;Xは、D、E又はHであり;Xは、L、V又はWであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、H、R又はVであり;Xは、Fであり;X10は、Rであり;X11は、F又はWであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、L、又はTであり;X13は、A、D、E、又はRであり;X14は、E、I、Q、又はVであり;X15は、D、E、G、H、S又はNである。
【0079】
幾つかの実施形態では、本明細書において、7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤が提供され、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、D、E又はSであり;Xは、Yであり;Xは、D、Y又はHであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、Wであり;Xは、Eであり;Xは、V、T又はAであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、V又はIであり;Xは、A、F又はSであり;X10は、Rであり;X11は、H又はWであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、A、L又はVであり;X13は、A、H、又はSであり;X14は、A、E、L又はNであり;X15は、A、N、V又はYである。
【0080】
幾つかの実施形態では、親和剤は、モノクローナル抗体分子及び断片のCH1ドメインに結合する。
【0081】
幾つかの実施形態では、本明細書において、配列番号153
&&&&&&&XRWX&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&XAWXLGX&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&XAWX10LGX11&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& X12ARX1314LEX15
ここで、&は、任意のアミノ酸を示し;Xは、A、D、E、G、N、Q、S又はVであり;Xは、A、E、W又はYであり;Xは、D、G、H、I、N、T、V、W又はYであり;Xは、Wであり;Xは、E又はWであり;Xは、D、E又はHであり;Xは、T、V、Wである;XAWX10LGX11、ここで、Xは、A、H、I、T又はVであり;Xは、A、F、N、S又はRであり;X10は、Rであり;X11は、F、I、H又はWである;X12ARX1314LEX15、ここで、X12は、A、L、T又はVであり;X13は、A、D、E、H、Q、R、S又はYであり;X14は、A、E、I、L、N又はQであり;X15は、A、D、E、H、N、R、S、V又はYである、
を含む抗体又は抗体断片に結合するリガンドを含む親和剤が提供される。
【0082】
幾つかの実施形態では、本明細書において、配列番号5
RWXLGAAYAARGDYDRAIEYYQRALELDPNNAXAWXLGXAYAARGDYDRAIEYYQRALELDPNNAXAWX10LGX11AYAARGDYDRAIEYYQRALELDPNNEX12ARX1314LEX15、ここで、Xは、Q、D、A、G、E、V、Nであり;Xは、E、A、Y、Qであり;Xは、D、N、G、V、I、T、W、Yであり;Xは、Wであり;Xは、W、Eであり;Xは、E、D、Hであり;Xは、V、W、Tであり;Xは、V、H、T、A、Iであり;Xは、F、R、S、A、Nであり;X10は、Rであり;X11は、H、W、F、Iであり;X12は、L、T、Vであり;X13は、E、Y、R、A、D、S、Qであり;X14は、Q、L、E、I、Aであり;X15は、H、D、Y、S、E、又はRである、
を含む抗体又は抗体断片に結合するリガンドを含む親和剤が提供される。
【0083】
幾つかの実施形態では、親和剤は、表1に示されているアミノ酸配列のうちの任意の1つ、例えば、配列番号6~152のうちの任意の1つを含むリガンドを含む。
【0084】
幾つかの実施形態では、本明細書において、配列番号6~152、又は3つ以下、2つ以下、又は1つ以下の置換、追加、又は削除によって異なるアミノ酸配列を含むリガンドを含む親和剤が提供される。
【0085】
幾つかの実施形態では、本開示の親和性リガンドは、C末端システイン又はリシン、及び好ましくはシステインを含む。
【0086】
本開示の別の態様は、少なくとも2つのサブユニット(例えば、本開示の少なくとも2つの親和性リガンド)を含む多量体を提供する。そのような複数性は、同種(すなわち、本開示の単一のリガンド)とすることもできるし、又は異種(すなわち、本開示の2つ又はそれよりも多くの異なるリガンドを含む)とすることもできる。換言すれば、幾つかの実施形態では、本明細書において、サブユニットが全て同じというわけではない多量体ポリペプチドを含む親和剤が提供される。実施形態において、多量体は、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体又は九量体とすることができる。
【0087】
本開示の更なる態様では、本発明の親和性リガンド又は多量体は、当該親和性リガンドに作用可能に連結され、これによって複合又は融合タンパク質を形成する少なくとも1つの異種エージェントを更に含む。異種エージェントの例としては、1つ又は複数の小分子診断又は治療剤;(本明細書において定義されるような)ペプチドタグ、DNA、RNA、又はハイブリッドDNA-RNA分子;追跡可能マーカ;放射性剤;抗体;単鎖可変ドメイン;又は免疫グロブリン断片が挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのような複合及び融合タンパク質は、当該技術分野において既知の方法によって作成することができる。
CH1ドメインを有する抗体又は抗体断片へのリガンド結合
【0088】
CH1ドメインを有する抗体又はその断片等の標的に結合するリガンド又は多量体の特性は、既知の又は改変されたアッセイ、バイオアッセイ、及び/又はそのような活性を評価するための当該技術分野において既知の動物モデルを使用して決定することができる。
【0089】
本明細書において使用される場合、「標的のための結合親和性」、「標的への結合」、「CH1ドメインを有する抗体又はその断片への結合」及び同様のもの等の用語は、例えば親和性定数(例えば、所与の抗原濃度において会合及び解離するリガンドの量)の決定を通して直接測定され得る本開示のリガンドの性質を指す。そのような分子相互作用を特性評価するために幾つかの方法、例えば、競合分析、平衡分析及び微小熱量分析、及び表面プラズモン共鳴相互作用に基づく(例えば、BIACORE計器を使用する)リアルタイム相互作用分析が利用可能である。これらの方法は、当業者に周知であり、Neri D他(1996) Tibtech 14:465-470及びJansson M他(1997) J Biol Chem 272:8189-8197等の文献において論述されている。
【0090】
所与のリガンド結合事象のための親和性要件は、限定されるものではないが、結合マトリクスの組成及び複雑性、リガンド及び標的分子の両方の結合価及び密度、及びリガンドの機能的応用を含む様々な因子次第である。幾つかの実施形態では、本開示のリガンドは、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、又は10-5M未満又はそれに等しい解離定数(KD)でCH1ドメインを有する抗体又はその断片に結合する。幾つかの実施形態では、リガンドは、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、又は10-8M未満又はそれに等しいKDで関心対象の標的に結合する。幾つかの実施形態では、リガンドは、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、又は10-15M未満又はそれに等しいKDで関心対象の標的に結合する。幾つかの実施形態では、本明細書において開示される方法によって生成されるリガンドは、約10-4M~約10-5M、約10-5M~約10-6M、約10-6M~約10-7M、約10-7M~約10-8M、約10-8M~約10-9M、約10-9M~約10-10M、約10-10M~約10-11M、又は約10-11M~約10-12Mの解離定数を有する。
【0091】
及びオフレートを決定する結合実験は、複数の条件において実行することができる。これらの溶液をその中で作成するための緩衝液は、当業者によって容易に決定され、最終溶液の所望のpHに大きく依存することができる。低pH溶液(<pH5.5)は、例えば、クエン酸緩衝液、グリシン-HCl緩衝液、又はコハク酸緩衝液中で作成することができる。高pH溶液は、例えば、Tris-HCl、リン酸緩衝液、又は重炭酸ナトリウム緩衝液中で作成することができる。例えば、最適なpH及び/又は塩濃度を決定する目的でK及びオフレートを決定するために複数の条件が使用されてよい。
【0092】
幾つかの実施形態では、本開示のリガンド又は多量体は、0.1sec-1~10-7sec-1、10-2sec-1~10-7sec-1、又は0.5×10-2sec-1~10-7sec-1の範囲のkoffでCH1ドメインを有する抗体又はその断片に特異的に結合する。幾つかの実施形態では、リガンドは、5×10-2sec-1、10-2sec-1、5×10-3sec-1、又は10-3sec-1未満のオフレート(koff)で関心対象の標的に結合する。幾つかの実施形態では、リガンドは、5×10-4sec-1、10-4sec-1、5×10-5sec-1、又は10-5sec-1、5×10-6sec-1、10-6sec-1、5x10-7sec-1、又は10-7sec-1未満のオフレート(koff)で関心対象の標的に結合する。
【0093】
幾つかの実施形態では、リガンド又は多量体は、約10-1sec-1~10-1sec-1、10-1sec-1~10-1sec-1、又は10-1sec-1~10-1sec-1の範囲のkonでCH1ドメインを有する抗体又はその断片に特異的に結合する。幾つかの実施形態では、リガンド(例えば、リガンド融合タンパク質)は、10-1sec-1、5×10-1sec-1、10-1sec-1、又は5×10-1sec-1を超えるオンレート(kon)で関心対象の標的に結合する。更なる実施形態では、リガンドは、10-1sec-1、5×10-1sec-1、10-1sec-1、5×10-1sec-1、又は10-1sec-1を超えるkonで関心対象の標的に結合する。
リンカー
【0094】
「リンカー」及び「スペーサ」という用語は、本来であれば独立した機能ドメインを連結するように機能するペプチド又は他の化学連結を指すために、本明細書において交換可能に使用される。幾つかの実施形態では、リンカーは、リガンド、及び本来であれば独立した機能ドメインを含有する別のポリペプチド成分の間に位置する。2つ又はそれよりも多くの連結されたリガンドを結合するための適したリンカーは、概して、ペプチド、タンパク質又は他の有機分子を連結するために当該技術分野において使用される任意のリンカーであってよい。幾つかの実施形態では、そのようなリンカーは、医薬用途のために意図されているタンパク質又はポリペプチドを構築するのに適している。
【0095】
リガンド、及び単鎖アミノ酸配列におけるリガンド融合タンパク質の更なる成分を作用可能に連結するための適したリンカーは、ポリペプチドリンカー、例えばグリシンリンカー、セリンリンカー、混合グリシン/セリンリンカー、主に極性ポリペプチド断片から構成された単数又は複数のグリシンリッチ及びセリンリッチリンカーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0096】
幾つかの実施形態では、リンカーは、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、及びリシンから選択されるアミノ酸の大部分を含む。幾つかの実施形態では、リンカーは、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン、及びリシンから選択されるアミノ酸の大部分を含む。幾つかの実施形態では、リガンドリンカーは、立体障害がないアミノ酸の大部分から構成される。幾つかの実施形態では、リンカーは、グリシン、セリン、及び/又はアラニンから選択されるアミノ酸の大部分を含む。幾つかの実施形態では、リンカーは、ポリグリシン(例えば、(Gly)、及び(Gly)、ポリ(Gly-Ala)、及びポリアラニンから選択される。
【0097】
リンカーは、それらが、リガンドが関心対象の標的に結合することを可能にするようにリガンドを作用可能に連結することが可能である限り、任意のサイズ又は組成であり得る。幾つかの実施形態では、リンカーは、約1~50のアミノ酸、約1~20のアミノ酸、約1~15のアミノ酸、約1~10のアミノ酸、約1~5のアミノ酸、約2~20のアミノ酸、約2~15のアミノ酸、約2~10のアミノ酸、又は約2~5のアミノ酸である。リンカーの長さ、柔軟度及び/又は他の性質は、関心対象の標的のため、又は1つ又は複数の他の関心対象の標的タンパク質のため、又は関心対象ではないタンパク質(すなわち、非標的タンパク質)のための親和性、特異性又はアビディティ等の、親和剤における使用のためのリガンドの特定の性質に影響を与え得ることを明確にするべきである。幾つかの実施形態では、2つ又はそれよりも多くのリンカーが利用される。幾つかの実施形態では、2つ又はそれよりも多くのリンカーは同じである。幾つかの実施形態では、2つ又はそれよりも多くのリンカーは異なる。
【0098】
幾つかの実施形態では、リンカーは、非ペプチドリンカー、例えば、アルキルリンカー、又はPEGリンカーである。例えば、アルキルリンカー、例えば、-NH-(CH-C(O)-を使用することができ、ここで、s=2~20である。これらのアルキルリンカーは、任意の非立体障害基、例えば、低級アルキル(例えば、C-C)低級アシル、ハロゲン(例えば、Cl、I、Br、F)、CN、NH、フェニル等に更に置換されてよい。例示的な非ペプチドリンカーは、PEGリンカーである。幾つかの実施形態では、PEGリンカーは、約100kDa~5000kDa、又は約100kDa~500kDaの分子量を有する。
【0099】
リンカーは、本明細書において説明され、及び/又はそうでなければ当該技術分野において既知である技法を使用して評価することができる。幾つかの実施形態では、リンカーは、標的分子に結合するリガンドの能力を変更しない(例えば、妨害しない)。
複合リガンドを含む親和剤:親和性分離マトリクス
【0100】
関心対象の標的への特異的結合を促進するリガンド又は多量体は、親和剤を調製するために、クロマトグラフィにおいて使用される様々な表面、例えば、ビード、樹脂、ゲル、膜、モノリス、等に化学的に複合することができる。本開示の親和剤は、CH1ドメインを有する抗体又はその断片の精製及び製造応用に特に有用である。
【0101】
幾つかの実施形態では、本開示のリガンド(例えば、リガンド融合タンパク質)は、少なくとも1つの反応性残基を含有する。反応性残基は、例えば、化学療法薬又は診断剤等の複合体の付着のための部位として有用である。例示的な反応性アミノ酸残基は、例えば、リシン又はシステインを含む。反応性残基は、いずれかの端部においてリガンドに、又はリガンド配列内に、追加することができ、及び/又は、リガンド配列内の別のアミノ酸から置換することができる。適した反応性残基(例えば、リシン、システイン等)は、追加又は置換を必要とせずに、識別されたリガンドの配列内に位置することもできる。
固体表面への付着
【0102】
「固体表面」、「担体」、又は「マトリクス」は、本明細書において交換可能に使用され、限定することなく、任意のカラム(又はカラム材料)、ビード、試験管、マイクロタイター皿、固体粒子(例えば、アガロース又はセファロース)、マイクロチップ(例えば、ケイ素、ケイ素-ガラス、又は金チップ)、又は、本開示のリガンド又は多量体が、直接又は間接的に(例えば、リンカー等の他の結合パートナー仲介を通して)のいずれかで付着(すなわち、結合、連結、又は接着)され得る、又はリガンド又は多量体が(例えば、受容体又はチャネルを通して)組み込まれ得る膜(合成(例えば、フィルタ)又は元来からの生物学的製剤(例えば、リポソーム又は小胞))を指す。ポリペプチドを固体担体に付着するための試薬及び技法、例えば、カルバメート結合は、当該技術分野において周知である。適した固体担体は、クロマトグラフィ樹脂又はマトリクス(例えば、SEPHAROSE-4 FFアガロースビード)、プラスチックマイクロタイター皿におけるウェルの壁部又は床部、シリカ系バイオチップ、ポリアクリルアミド、アガロース、シリカ、ニトロセルロース、紙、プラスチック、ナイロン、金属、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。リガンド及び他の組成物は、当該技術分野において既知の試薬及び技法を使用して、非共有結合性会合又は共有結合によって、担体物質上で付着されてよい。幾つかの実施形態では、リガンドは、リンカーを使用してクロマトグラフィ材料に結合される。
【0103】
1つの態様では、本開示は、不溶性担体に結合された上記で説明されたようなリガンド又は多量体から構成される親和剤(親和性分離マトリクス)を提供する。そのような担体は、1つ又は複数の粒子、例えば、ビード;膜;フィルタ;キャピラリ;モノリス;及びクロマトグラフィにおいて一般的に使用される他の任意のフォーマットであってよい。親和性分離マトリクスの有利な実施形態では、担体は、ビードとしても既知である、実質的に球形の粒子から構成される。適した粒子サイズは、5μm~500μm、例えば10μm~100μm、例えば、20μm~80μmの直径範囲であってよい。代替的な実施形態では、担体は、膜である。高吸着能力を取得するために、担体は、好ましくは多孔性であり、リガンドは、外部表面及び孔表面に結合されてよい。この態様の有利な実施形態では、担体は、多孔性である。
【0104】
別の態様では、本開示は、クロマトグラフィ親和剤を調製する方法に関し、この方法は、上記で説明されたようにリガンドを提供すること、及びリガンドを担体に結合することを備える。結合は、例えばリガンドの窒素又は硫黄原子を介して実行されてよい。リガンドは、直接、又は担体表面及びリガンドの間の適切な距離を提供するためにスペーサ要素を介して間接的に担体に結合されてよい。多孔性又は非多孔性表面へのタンパク質リガンドの固定化のための方法は、この分野において周知である。
リガンドの生成
【0105】
本開示の幾つかの実施形態を実践する際に有用であるリガンド及び多量体の生成は、当該技術分野において既知の化学合成、半合成方法、及び組み換えDNA方法論のための様々な標準的な技法を使用して実行されてよい。リガンド又は多量体を、個々に又は多ドメイン融合タンパク質の一部として、可溶性剤及び細胞会合タンパク質として、生成するための方法も提供される。幾つかの実施形態では、リガンド又は多量体のための全体生成スキームは、参照タンパク質骨格を取得すること、及び改変のために骨格内の複数の残基を識別することを含む。実施形態に依存して、参照骨格は、1つ又は複数のαヘリックス領域、又は他の三次構造を有するタンパク質構造を含んでよい。識別されると、複数の残基のうちの任意のものを、例えば1つ又は複数のアミノ酸の置換によって、改変することができる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の保存的置換が行われる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の非保存的置換が行われる。幾つかの実施形態では、天然アミノ酸(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、又はバリンのうちの1つ)は、改変のために標的位置において参照骨格に置換される。幾つかの実施形態では、改変は、システイン又はプロリンのいずれかにおける置換を含まない。改変が特定の実施形態において所望される識別された位置において行われた後、結果として得られる改変されたポリペプチド(例えば、候補リガンド)は、(例えば、改変されたポリペプチドの各々の数を増加させるために)例えばプラスミド、細菌、ファージ、又は他のベクターにおいて組み換えで発現させることができる。その後、改変されたポリペプチドは、関心対象の特定の標的、例えば、CH1ドメインを有する抗体又はその断片への特異的結合を有するそれらの改変されたポリペプチドを識別するために精製及びスクリーニングすることができる。改変されたポリペプチドは、参照骨格と比較してCH1ドメインを有する抗体又はその断片のための向上した結合特異性を示してもよいし、又は所与の関心対象の標的に(又は非標的タンパク質に)ほとんど又は全く結合を呈さなくてもよい。幾つかの実施形態では、関心対象の標的に依存して、参照骨格は、関心対象の標的との幾分かの相互作用(例えば、非特異相互作用)を示してよく、一方、特定の改変されたポリペプチドは、関心対象の標的のための少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、又は少なくとも約100倍(又はそれよりも大きい)増加した結合特異性を呈することになる。リガンドの生成、選択、及び単離に関する更なる詳細が以下でより詳細に提供される。
リガンドの組み換え発現
【0106】
幾つかの実施形態では、リガンド融合タンパク質等のリガンドは、「組み換えで生成される」(すなわち、組み換えDNA技術を使用して生成される)。リガンド融合タンパク質を合成するために利用可能な例示的な組み換え方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベース合成、コンカテマー化、シームレスクローニング、及び再帰的定方向リゲーション(recursive directional ligation:RDL)(例えば、Meyer他、Biomacromolecules 3:357-367(2002)、Kurihara他、Biotechnol. Lett. 27:665-670(2005)、Haider他、Mol. Pharm. 2:139-150(2005);及びMcMillan他、Macromolecules 32(11):3643-3646(1999)を参照されたい)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0107】
別の態様では、上記で開示された実施形態に係るリガンド又は多量体をコードするポリヌクレオチド配列を含有する核酸も提供される。それゆえ、本開示は、ポリペプチド(リガンド)又は多量体をコードするRNA及びDNA等の本核酸配列の全ての形態を包含する。本開示は、ベクター、例えばプラスミドを提供し、これは、コード配列に加えて、本開示に係るポリペプチド又は多量体の発現のための要求されるシグナル配列を含む。そのようなポリヌクレオチドは、任意選択で、1つ又は複数の発現制御要素を更に含む。例えば、ポリヌクレオチドは、発現制御要素として、1つ又は複数のプロモータ又は転写エンハンサ、リボソーム結合部位、転写終結シグナル、及びポリアデニル化シグナルを含むことができる。ポリヌクレオチドは、任意の適したベクター内に挿入することができ、これは、発現のための任意の適した宿主細胞内に含めることができる。1つの実施形態では、ベクターは、本開示に係る多量体をコードする核酸を含み、ここで、各ユニットをコードする別個の核酸は、同種又は異種DNA配列を有してよい。
【0108】
リガンド及び多量体をコードする核酸の発現は、典型的には、リガンドをコードする核酸を発現ベクターにおけるプロモータに作用可能に連結することによって達成される。典型的な発現ベクターは、転写及び翻訳ターミネータ、開始配列、及び所望の核酸配列の発現の調節に有用なプロモータを含む。大腸菌における発現のために有用な例示的なプロモータは、例えば、T7プロモータを含む。
【0109】
当該技術分野において既知の方法は、適切な転写/翻訳制御シグナルとともにリガンドをコードする核酸配列を含有する発現ベクターを構築するのに使用することができる。これらの方法は、in vitro組み換えDNA技法、合成技法及びin vivo組み換え/遺伝子組み換えを含むが、これらに限定されるものではない。ポリヌクレオチドの発現は、限定されるものではないが、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞又は哺乳類細胞を含む当該技術分野において既知の任意の適した発現宿主において実行することができる。幾つかの実施形態では、リガンドをコードする核酸配列は、核酸配列が宿主においてリガンドに転写及び/又は翻訳されるように、適したプロモータ配列に作用可能に連結される。
【0110】
リガンドをコードする核酸を発現するために様々な宿主発現ベクターシステムを利用することができる。リガンド(例えば、個々のリガンドサブユニット又はリガンド融合体)又はその部分又は断片をコードする核酸を含有するベクターは、プラスミドベクター、単鎖及び二本鎖ファージベクター、並びに単鎖及び二本鎖RNA又はDNAウイルスベクターを含む。ファージ及びウイルスベクターは、感染及び形質導入のための既知の技法を使用してパッケージング又はカプセル化ウイルスの形態で宿主細胞に導入されてもよい。その上、ウイルスベクターは、複製可能であるか、又は代替的には、複製欠損であってよい。代替的には、DNA発現構築物に由来するRNAを使用してタンパク質を生成するために無細胞翻訳システムも使用されてよい(例えば、WO86/05807及びWO89/01036;及び米国特許第5,122,464号を参照されたい)。
【0111】
概して、本明細書において提供されるリガンド又は多量体を発現するのに任意のタイプの細胞又は培養細胞株を使用することができる。幾つかの実施形態では、操作された宿主細胞を生成するのに使用されるバックグラウンド細胞株は、ファージ、細菌細胞、酵母細胞、又は哺乳類細胞である。リガンド融合タンパク質のコード配列を発現するために様々な宿主発現ベクターシステムが使用されてよい。哺乳類細胞は、関心対象の標的のコード配列及び融合ポリペプチドのコード配列を含有する組み換えプラスミドDNA又はコスミドDNA発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞システムとして使用することができる。細胞は、形質転換された又は遺伝子組み換えの性質の生物、培養、又は細胞株からの一次単離とすることができる。
【0112】
適した宿主細胞は、リガンドコード配列を含有する組み換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA又はコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌、枯草菌);リガンドコード配列を含有する組み換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミケス属、ピキア属);リガンドコード配列を含有する組み換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞システム;リガンドコード配列を含有する組み換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染された又は組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞システム等の微生物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0113】
リガンドを生成する際の宿主細胞として有用な原核生物は、大腸菌及び枯草菌等のグラム陰性又はグラム陽性生物を含む。原核生物宿主細胞における使用のための発現ベクターは、概して、1つ又は複数の表現型選択可能マーカ遺伝子(例えば、抗生物質耐性を付与する又は独立栄養要件を供給するタンパク質をコードする遺伝子)を含有する。有用な原核生物宿主発現ベクターの例としては、pKK223-3(Pharmacia、ウプサラ、スウェーデン)、pGEMl(Promega、ウィスコンシン州、米国)、pET(Novagen、ウィスコンシン州、米国)及びpRSET(Invitrogen、カリフォルニア州、米国)シリーズのベクトルが挙げられる(例えば、Studier, J. Mol. Biol. 219:37 (1991)及びSchoepfer, Gene 124:83 (1993)を参照されたい)。原核生物宿主細胞発現ベクターにおいて頻繁に使用される例示的なプロモータ配列は、T7、(Rosenberg他、Gene 56:125-135 (1987))、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモータシステム(Chang他、Nature 275:615 (1978));及びGoeddel他、Nature 281 :544 (1979))、トリプトファン(trp)プロモータシステム(Goeddel他、Nucl. Acids Res. 8:4057, (1980))、及びtacプロモータ(Sambrook他、1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.)を含む。
【0114】
幾つかの実施形態では、リガンドのコード配列を含有する組み換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母細胞を含む真核生物宿主細胞システムが使用される。本開示の組成を生成するために使用することができる例示的な酵母は、サッカロミケス属、ピキア属、放線菌属及びクルイウェロマイセス属からの酵母を含む。酵母ベクターは、典型的には、2mu酵母プラスミドからの複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモータ領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、及び選択可能マーカ遺伝子を含有する。酵母発現構築物におけるプロモータ配列の例としては、メタロチオネイン、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman、J.Biol.Chem.255:2073 (1980))及び他の解糖酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼのプロモータが挙げられる。酵母発現における使用のための更なる適したベクター及びプロモータ並びに酵母形質転換プロトコルが当該技術分野において既知である。例えば、Fleer, Gene 107:285-195 (1991)及びHinnen, PNAS 75:1929 (1978)を参照されたい。
【0115】
昆虫及び植物宿主細胞培養システムも、本開示の組成を生成するために有用である。そのような宿主細胞システムは、例えば、リガンドのコード配列を含有する組み換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞システム;リガンドのコード配列を含有する組み換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染された又は組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞システムを含み、これは、限定されるものではないが、米国特許第6,815,184号;米国出願公開第60/365,769号及び同第60/368,047号;及びWO2004/057002、WO2004/024927、及びWO2003/078614において教示されている発現システムを含む。
【0116】
幾つかの実施形態では、二重微小染色体(例えば、マウス細胞株)において安定して増幅された(CHO/dhfr)か又は不安定に増幅されたリガンドをコードするDNAの複数のコピーを含有するように操作された細胞株を含む組み換えウイルス発現ベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス)で感染された動物細胞システムを含む宿主細胞システムが使用されてよい。幾つかの実施形態では、リガンドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、ポリシストロン性である。これらの組成を生成するために有用な例示的な哺乳類細胞は、293細胞(例えば、293T及び293F)、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6(Crucell、オランダ)細胞VERY、Hela細胞、COS細胞、MDCK細胞、3T3細胞、W138細胞、BT483細胞、Hs578T細胞、HTB2細胞、BT20細胞、T47D細胞、CRL7O30細胞、HsS78Bst細胞、ハイブリドーマ細胞、及び他の哺乳類細胞を含む。本開示の実施形態を実践する際に有用である更なる例示的な哺乳類宿主細胞は、T細胞を含むが、これに限定されるものではない。例示的な発現システム及び選択方法は、当該技術分野において既知であり、以下の参照文献及びそれらの中で引用されている参照文献において記載されているものを含む:Borth他、Biotechnol. Bioen. 71(4):266-73 (2000), in Werner他、Arzneimittelforschung/Drug Res. 48(8):870-80 (1998)、Andersen他、Curr. Op. Biotechnol. 13:117-123 (2002)、Chadd他、Curr. Op, Biotechnol. 12:188-194 (2001)、及びGiddings, Curr. Op. Biotechnol. 12:450-454 (2001)。発現システム及び選択方法の更なる例は、Logan他、PNAS 81:355-359 (1984)、Birtner他、Methods Enzymol. 153:51-544 (1987)において記載されている。哺乳類宿主細胞発現ベクターのための転写及び翻訳制御配列は、頻繁にウイルスゲノムに由来する。哺乳類発現ベクターにおいて一般に使用されるプロモータ配列及びエンハンサ配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)、及びヒトサイトメガロウイルス(CMV)に由来する配列を含む。哺乳類宿主細胞における使用のための例示的な市販の発現ベクターは、pCEP4(Invitrogen)及びpcDNA3(Invitrogen)を含む。
【0117】
核酸を宿主細胞(例えば、哺乳類宿主細胞)に導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝突、マイクロインジェクション、電気穿孔、及び同様のものを含む。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を生成するための方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Sambrook他(2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)を参照されたい。
【0118】
関心対象のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法は、DNAベクター及びRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、及び特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳類(例えば、ヒト)細胞に挿入するための最も広く使用される方法になっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI型、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス、及び同様のものに由来することができる。例えば、米国特許第5,350,674号及び同第5,585,362号を参照されたい。
【0119】
関心対象のDNA及びRNAポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための方法は、細胞の電気穿孔を含み、これにおいて、細胞膜の透過性を高めるために細胞に電界が印加され、化学薬品、薬品、又はポリヌクレオチドが細胞に導入されることが可能になる。DNA又はRNA構築物を含有するリガンドが、電気穿孔を使用して哺乳類又は原核生物細胞に導入されてよい。
【0120】
幾つかの実施形態では、細胞の電気穿孔は、T細胞、NK細胞、NKT細胞の表面上のリガンド-CARの発現をもたらす。そのような発現は、一時的なものであってもよいし、又は細胞の一生にわたって安定したものであってもよい。電気穿孔は、MaxCyte GT(登録商標)及びSTX(登録商標)トランスフェクションシステム(MaxCyte、ゲイザースバーグ、メリーランド州、米国)を含む、当該技術分野において既知の方法を用いて達成されてよい。
【0121】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する化学的手段は、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビード、及び水中油乳濁液、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベース系等のコロイド分散系を含む。in vivo及びin vitroで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。非ウイルス送達系が利用される場合、例示的な送達ビヒクルは、リポソームである。核酸の(in vitro、ex vivo、又はin vivoでの)宿主細胞への導入のために脂質製剤の使用が企図される。幾つかの実施形態では、核酸は、脂質と会合する。脂質と会合する核酸は、リポソームの水性内部にカプセル化され、リポソームの脂質二重層内に散在され、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方と会合する連結分子を介してリポソームに付着し、リポソーム中に取り込まれ、リポソームと複合化され、脂質を含有する溶液中に分散され、脂質と混合され、脂質と化合され、脂質中に懸濁物として含有され、ミセルとともに含有されるか又は複合化され、又は別様に脂質と会合され得る。脂質、脂質/DNA又は脂質/発現ベクターを会合した組成は、溶液中での任意の特定の構造に限定されるものではない。例えば、それらは、ミセルとして又は「潰れた」構造で、二重層構造中に存在し得る。それらはまた、溶液中で単に散在し得、場合によっては、サイズ又は形状が均一ではない凝集体を形成する。脂質は、天然に存在し得る脂肪物質又は合成脂質である。例えば、脂質は、細胞質中に天然に存在する脂肪小滴、並びに脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒド等の長鎖脂肪族炭化水素及びそれらの誘導体を含有する化合物のクラスを含む。
【0122】
使用に適した脂質は、市販の供給源から入手することができる。例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma、St.Louis、MOから入手することができ;リン酸ジセチル(「DCP」)は、K&K Laboratories(プレインビュー、ニューヨーク州)から入手することができ;コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから入手することができ;ジミリストイルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(バーミンガム、アラバマ州)から入手されてよい。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質保存液は、約-20℃で保存することができる。クロロホルムは、メタノールよりも容易に蒸発するので、唯一の溶媒として使用されてよい。「リポソーム」は、封入された脂質二重層又は凝集体の生成によって形成された様々な単層状及び多層状脂質ビヒクルを包含する総称的な用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内部水性媒質を有する小胞構造を有することを特徴とすることができる。多層状リポソームは、水性媒質によって隔てられた複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液中に懸濁すると、自発的に形成する。脂質成分は、自己再編成を経て、閉じた構造を形成し、脂質二重層の間に水及び溶解溶質を取り込む(Ghosh他、Glycobiology 5:505~510(1991))。しかしながら、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造を呈するか、又は単に脂質分子の非均一な凝集体として存在し得る。リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0123】
外因性核酸を宿主細胞に導入するために使用される方法にかかわらず、宿主細胞中の組み換え核酸配列の存在は、当該技術分野において既知の様々なアッセイを通じて通常どおりに確認することができる。そのようなアッセイは、例えば、サザン及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCR等の「分子生物学的」アッセイ;例えば免疫学的手段(ELISA及びウェスタンブロット)による又は本開示の範囲内に含まれるエージェントを同定するための本明細書において説明されるアッセイによる、特定のペプチドの存在又は不在の検出等の「生化学的」アッセイを含む。
【0124】
レポーター遺伝子は、潜在的にトランスフェクトされた細胞を同定するため、及び調節配列の機能性を評価するために使用される。一般的に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物、組織、又は細胞中には存在しないか、又はそれらによって発現されない遺伝子であり、発現が、ある程度容易に検出可能な性質、例えば酵素的活性によって表されるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後、適した時点において測定される。適したレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない(例えば、Ui-Tei他、FEBS Lett.479:79~82(2000))。適した発現システムは、当該技術分野において既知であり、既知の技法を使用して調製することもできるし、又は商業的に入手することもできる。一般的に、レポーター遺伝子の最も高い発現レベルを示す最小限の5'フランキング領域を有する構築物が、プロモータとして同定される。そのようなプロモータ領域は、レポーター遺伝子に通常どおりに連結され、プロモータ駆動の転写を調節する能力についてエージェントを評価するのに使用され得る。
【0125】
哺乳類宿主-ベクター発現システムでは、限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy他、Cell 22:817(1980))遺伝子を含む、複数の選択システムが使用され得る。加えて、例えば、dhfr、gpt、neo、hygro、trpB、hisD、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)、及びグルタミンシンターゼシステムのための選択の基礎として、代謝拮抗物質抵抗性が使用され得る。
【0126】
幾つかの実施形態では、開始剤N末端メチオニンが、リガンドのNH末端において含まれる。多くの例では、リガンドは、N末端メチオニン残基を伴わずに単離され、これは、発現中に切断されると推定される。多くの例では、精製リガンドのうちの一部の割合のみがN末端メチオニンを含む状態で、混合物が取得される。N末端メチオニンの存在又は不在は、本明細書において説明されるリガンド及び親和剤の機能性に影響を及ぼさないことが当業者には明らかである。
リガンド精製
【0127】
リガンド又はリガンド融合タンパク質又は多量体が組み換え発現によって生成されると、それは、組み換えタンパク質の精製のための当該技術分野において既知の方法によって、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、親和性、及びサイジングカラムクロマトグラフィ(sizing column chromatography))、遠心分離、溶解度の違いによって、又はタンパク質の精製のための他の任意の標準的な技法によって、精製することができる。幾つかの実施形態では、リガンドは、任意選択で、本明細書において具体的に開示されるか又は別様に当該技術分野において既知の異種ポリペプチド配列に融合されて、精製が促進される。幾つかの実施形態では、親和性精製のためのリガンド親和性カラムのためのリガンド(例えば、抗体及び他の親和性マトリクス)、及び、任意選択で、これらのリガンドに結合しているリガンド融合組成のリガンド又は他の成分は、組成物から取り除かれ、その後、リガンドは、当該技術分野において既知の技法を使用して最終調製される。
リガンドの化学合成
【0128】
組み換え方法に加えて、リガンド生成は、当該技術分野において既知の様々な液相及び固相の化学的プロセスを使用して、所望のポリペプチドの有機化学合成を使用して実行されてもよい。様々な自動合成装置が市販されており、既知のプロトコルに従って使用され得る。例えば、Tam他、J. Am. Chem. Soc., 105:6442 (1983); Merrifield, Science, 232:341-347 (1986); Barany及びMerrifield, The Peptides, Gross and Meienhofer, eds, Academic Press, New York, 1- 284; Barany他、Int. J. Pep. Protein Res., 30:705 739 (1987); Kelley他、in Genetic Engineering Principles and Methods, Setlow, J. K., ed. Plenum Press, NY. 1990, vol. 12, pp. 1-19; Stewart他、Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., San Francisco, 1989を参照されたい。これらの方法論の1つの利点は、それらがリガンドの配列中への非天然アミノ酸残基の組み込みを可能にすることである。
【0129】
本開示の方法において使用されるリガンド及び多量体は、合成又は翻訳の間又は後に、例えば、グリコシル化、アセチル化、ベンジル化、リン酸化、アミド化、ペグ化、ホルミル化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、抗体分子への連結、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、ユビキチン化等によって、修飾されてよい(例えば、Creighton、Proteins:Structures and Molecular Properties,2d Ed(W.H.Freeman and Co., N.Y., 1992);Postranslational Covalent Modification of Proteins、Johnson, ed.(Academic Press, New York, 1983), pp1-12;Seifter, Meth.Enzymol.,182:626-646(1990);Rattan, Ann.NY Acad.Sci., 663:48-62 (1992)を参照されたい)。幾つかの実施形態では、ペプチドは、N末端においてアセチル化され、及び/又はC末端においてアミド化される。
【0130】
限定されるものではないが、アセチル化、ホルミル化等を含む多数の化学的修飾のうちのいずれかが、既知の技法によって実行されてよい。加えて、誘導体は、1つ又は複数の非従来型のアミノ酸を含有してよい。
【0131】
幾つかの実施形態では、側鎖対側鎖の連結形成によって、ペプチド骨格の環化又は大環状化が達成される。これを達成する方法は、当該技術分野において周知であり、天然及び非天然アミノ酸を含んでよい。手法は、ジスルフィド形成、ランチオニン形成又はチオールアルキル化(例えば、マイケル付加)、アミノ側鎖及びカルボン酸側鎖の間のアミド化、クリックケミストリー(例えば、アジド-アルキン縮合)、ペプチドステープル化、閉環メタセシス及び酵素の使用を含む。
精製のための親和剤
【0132】
親和性クロマトグラフィに基づく精製では、関心対象の標的(例えば、タンパク質又は分子)は、典型的にはクロマトグラフィマトリクスに共有結合的に結合されたリガンドに、特異的かつ可逆的に結合するそれらの能力に従って選択的に単離される。本開示の親和性リガンドは、清澄化細胞培養流体(CCCF)、又は生物学的サンプル(例えば、血清)等の天然ソースから、例えば、そのような抗体断片の合成又は組み換え生成、又は抗体全体の従来的な酵素消化からの、CH1ドメインを有する抗体又はその断片の親和性精製のための試薬として使用することができる。
【0133】
幾つかの実施形態では、CH1ドメインを有する抗体又はその断片に特異的に結合するリガンド又は多量体は、親和性分離マトリクスを形成するためにアガロースビード等のビード上に固定化され、その後、標的を親和性精製するために使用される。
【0134】
タンパク質を表面に共有結合的に結合させる方法は、当業者には既知であり、リガンドを固体表面に付着させるために使用することができるペプチドタグは、当業者には既知である。さらに、当該技術分野において既知の任意の試薬又は技法を使用して、リガンドを固体表面に付着させる(すなわち、結合、連結、又は接着させる)ことができる。幾つかの実施形態では、固体担体は、ビード、ガラス、スライド、チップ、及び/又はゼラチンを含む。それゆえ、当該技術分野において既知の技法を使用して固体表面上にアレイを作成するために、一連のリガンドを使用することができる。例えば、参照によって本明細書において組み込まれる米国出願公開第2004/0009530号は、アレイを調製する方法を開示している。
【0135】
幾つかの実施形態では、リガンド又は多量体は、親和性クロマトグラフィによってCH1ドメインを有する抗体又はその断片を単離するために使用される。幾つかの実施形態では、リガンド又は多量体は、固体担体上に固定化されている。本明細書において説明されるか又は別様に当該技術分野において既知の技法及び試薬を使用して、リガンド又は多量体を固体担体上に固定化することができる。適した固体担体は、本明細書において説明されるか又は別様に当該技術分野において既知であり、特定の実施形態では、クロマトグラフィカラムを充填するのに適している。親和剤は、様々なサイズのカラムに充填され、様々な線形速度において作用され得、又は固定化された親和性リガンドは、リガンド及びCH1ドメインを有する抗体又はその断片の間に複合体を形成するために好都合な条件下で、溶液と接触され得る。非結合物質は、洗い流すことができる。適した洗浄条件は、当業者によって容易に決定され得る。適した洗浄条件の例は、Shukla及びHinckley、Biotechnol Prog.2008 Sep-Oct;24(5):1115-21.doi:10.1002/btpr.50において記載されている。
【0136】
幾つかの実施形態では、クロマトグラフィは、関心対象の標的を含有する溶液及びリガンドを混合し、その後、関心対象の標的及びリガンド、例えば、CH1ドメインを有する抗体又はその断片及びリガンドの複合体を単離することによって実行される。例えば、リガンド又は多量体は、ビード等の固体担体上に固定化され、その後、ろ過によって溶液からCH1ドメインを有する抗体又はその断片とともに分離される。幾つかの実施形態では、リガンド又は多量体は、ポリ-Hisテール又はストレプトアビジン結合領域等のペプチドタグを含有する融合タンパク質であり、このペプチドタグを使用して、固定化金属親和性クロマトグラフィ樹脂又はストレプトアビジンをコートした基質を使用して複合体が形成された後、リガンド又は多量体を単離することができる。分離されると、CH1ドメインを有する抗体又はその断片は、溶出条件下でリガンド又は多量体から切り離し、精製された形態で回収することができる。
【0137】
幾つかの実施形態では、本開示のリガンド又は多量体は、バイオプロセス応用のために有用な高度に架橋されたアガロースベースマトリクスに結合される。ベースマトリクスへのリガンド又は多量体の付着は、リガンドへの接近性を確保し、その後高い結合能力をもたらす柔軟なスペーサを介して行うことができる。本開示のリガンド及び多量体の親和性は、中性付近のpH(pH6~9)でのCH1ドメインを有する抗体又はその断片の高度に特異的な結合を確保しつつ、4.5という高いpHでの溶出を可能にする。その上、本開示のリガンドは、アルカリ安定性を向上させるように設計されており、定置洗浄(CIP)及び消毒応用での0.1M~0.5M NaOHの反復した使用を可能にする。
【0138】
別の態様では、本開示は、CH1ドメインを有する抗体又はその断片を単離する方法を提供し、ここで、上記で開示されたような分離マトリクスが使用される。特定の実施形態では、方法は、(a)CH1ドメインを有する抗体又はその断片を含む液体サンプルを上記に開示された分離マトリクスと接触させる段階、(b)分離マトリクスを洗浄液で洗浄する段階、(c)CH1ドメインを有する抗体又はその断片を溶出液で分離マトリクスから溶出する段階、及び(d)代替的に定置洗浄(CIP)液と呼ばれ得る洗浄液で、例えば、少なくとも1分、例えば1分~4分以上の接触(インキュベーション)時間、分離マトリクスを洗浄する段階を含む。
【0139】
液体サンプル、洗浄液及び溶出液の適した組成、並びに分離を実行するための一般的な条件は、親和性クロマトグラフィの技術分野で周知である。CH1ドメインを有する抗体又はその断片を含む液体サンプルは、例えば、HEK293T細胞等の宿主細胞タンパク質(HCP)を含んでよい。宿主細胞タンパク質は、段階(b)中に脱着されてよい。
【0140】
CH1ドメインを有する抗体又はその断片の結合は、広範囲のイオン強度(例えば、100mM~400mM NaCl)にわたって中性付近のpH(6~9)の緩衝液で実証されている。従来的な緩衝液、例えばリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、Trisが平衡化及び充填に使用されてよい。
【0141】
幾つかの実施形態では、CH1ドメインを有する抗体又はその断片を含有する溶液又はサンプルは、溶液を分離マトリクスと接触させる前に、例えば限外ろ過によって濃縮される。例えば、抗体又は抗体断片含有溶液、例えば、清澄化細胞培養フィードは、20倍まで濃縮され得る。抗体又は抗体断片の濃縮は、親和性クロマトグラフィの充填時間を削減する。濃度の増加は、熱力学的平衡効果に起因して結合能力にも有益な影響を与える可能性があり、これは、精製に必要とされる分離マトリクスのより低い容量をもたらし得る。抗体又は抗体断片溶液のフィードを濃縮することは、処理時間を大幅に増加させる可能性もある。
【0142】
代替的には、CH1ドメインを有する抗体又はその断片を含有する溶液又はサンプルは、非濃縮又は希釈溶液、例えば、清澄化細胞培養フィード(CCCF)である。図4に示されるように、本開示の親和性分離マトリクスは、CCCFを高い体積流量で処理する能力によって特徴付けられ、希薄CCCFフィード流からの捕捉を可能にする。
【0143】
抗体又はその断片の溶出は、pHを、例えば2.0~3.0に下げることによって概して達成されるが、より高いpHを使用することもできる。CH1ドメインを有する抗体又はその断片の溶出のための最適条件は、当業者によって容易に決定され得る。
【0144】
本開示の親和剤は、耐アルカリ性であり、洗浄のために最大0.5Mの濃度のNaOHの使用を可能にする。特定の実施形態では、例えば、1サイクル当たり最大30分~60分の0.5M NaOH曝露のCIPレジメンは、数サイクル、例えば、15サイクル~30サイクルで一貫したクロマトグラフィ性能を保証し、これは、70%~90%の初期結合能力及び低い残留DNA及びHCPレベル、並びに流動能力の実質的な変化がないことを含む。
【0145】
本発明の幾つかの実施形態が例示によって説明されたが、本発明は、本発明の趣旨から逸脱することも又は特許請求の範囲における範囲を超えることもせずに、多くの修正、変更、及び適応を伴って、及び当業者の範囲内にある多数の均等物又は代替の解決手段の使用を伴って、本発明を実践することができることが明らかである。
【0146】
全ての文献、特許、及び特許出願は、各個々の文献、特許又は特許出願がその全体として参照によって組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、その全体として参照によって本明細書において組み込まれる。
例示的な数字付き実施形態
【0147】
1.幾つかの実施形態では、本明細書において、7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含むリガンドを含む親和剤であって、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、A、D、E、G、N、Q又はVであり;Xは、A、E、W又はYであり;Xは、D、G、H、I、N、T、V、W又はYであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、E又はWであり;Xは、D、E又はHであり;Xは、T、V、Wであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、A、H、I、T又はVであり;Xは、A、F、N、S又はRであり;X10は、Rであり;X11は、F、I、H又はWであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、A、L、T又はVであり;X13は、A、D、E、H、Q、R、S又はYであり;X14は、A、E、I、L、N又はQであり;X15は、A、D、E、H、N、R、S、V又はYである、親和剤。
【0148】
2.7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤であって、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、E、Q又はVであり;Xは、E又はYであり;Xは、D、I又はNであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、Wであり;Xは、Eであり;Xは、I又はVであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、H、T又はVであり;Xは、A、F又はSであり;X10は、Rであり;X11は、H、I、又はWであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、L、T又はVであり;X13は、D、R、又はYであり;X14は、A、I又はLであり;X15は、D、H又はYである、親和剤。
【0149】
3.7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤であって、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、Nであり;Xは、Yであり;Xは、V又はYであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、F、又はYであり;Xは、Dであり;Xは、Eであり;Xは、N又はSであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、Vであり;Xは、N、又はSであり;X10は、Rであり;X11は、H、又はQであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、T又はVであり;X13は、H又はTであり;X14は、Lであり;X15は、Q又はWである、親和剤。
【0150】
4.7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤であって、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、Aであり;Xは、Eであり;Xは、F又はVであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、Eであり;Xは、Hであり;Xは、Wであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、Hであり;Xは、Fであり;X10は、Rであり;X11は、Fであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、L又はQであり;X13は、A、又はEであり;X14は、E又はQであり;X15は、S又はHである、親和剤。
【0151】
5.7つのヘリックスを含むTPRリガンドを含む親和剤であって、これらのヘリックスにおいて、第1のヘリックスは、配列番号1
RWXを含み、ここで、Xは、A、D、E、L、Q又はVであり;Xは、A、D、E、又はWであり;Xは、A、D、F、I、N、V、W又はYであり;
第3のヘリックスは、配列番号2
AWXLGXを含み、ここで、Xは、Wであり;Xは、E又はWであり;Xは、D、E又はHであり;Xは、L、V又はWであり;
第5のヘリックスは、配列番号3
AWX10LGX11を含み、ここで、Xは、H、R、又はVであり;Xは、Fであり;X10は、Rであり;X11は、F又はWであり;
第7のヘリックスは、配列番号4
12ARX1314LEX15を含み、ここで、X12は、L、又はTであり;X13は、A、D、E、又はRであり;X14は、E、I、Q、又はVであり;X15は、D、E、G、H、S又はNである、親和剤。
【0152】
6.CH1ドメインを含有するモノクローナル抗体、抗体断片及び抗体複合体に結合する実施形態1の親和剤。
【0153】
7.配列番号5
RWXLGAAYAARGDYDRAIEYYQRALELDPNNAXAWXLGXAYAARGDYDRAIEYYQRALELDPNNAXAWX10LGX11AYAARGDYDRAIEYYQRALELDPNNEX12ARX1314LEX15
を含み、ここで、Xは、A、D、E、G、N、Q又はVであり;Xは、A、E、W又はYであり;Xは、D、G、I、N、T、V、W又はYであり;Xは、Wであり;Xは、E又はWであり;Xは、D、E又はHであり;Xは、T、V、Wであり;Xは、A、H、I、T又はVであり;Xは、A、F、N、S又はRであり;X10は、Rであり;X11は、F、I、H又はWであり;X12は、L、T又はVであり;X13は、A、D、E、Q、R、S又はYであり;X14は、A、E、I、L又はQであり;X15は、D、E、H、R、S又はYである、リガンドを含む、親和剤。
【0154】
8.配列番号6~152及び154~204のうちの少なくとも1つの配列、又は3つ以下、2つ以下、又は1つ以下の置換、追加、又は削除によって異なるアミノ酸配列を含むリガンドを含む、CH1ドメインを含有するモノクローナル抗体、抗体断片及び抗体複合体に結合するリガンドを含む親和剤。
【0155】
9.各サブユニットが実施形態1~2のいずれかに係るポリペプチドである少なくとも2つのサブユニットを含む多量体ポリペプチドを含む、請求項1~8のいずれか1項の親和剤。
【0156】
10.サブユニットは、全て同じというわけではない、実施形態9の親和剤。
【0157】
11.リガンドは、固体表面に付着される、実施形態1~10のいずれかに係る親和剤。
【0158】
12.固体表面は、樹脂又はビードである、実施形態11の親和剤。
【0159】
13.固体表面は、膜である、実施形態11の親和剤。
【0160】
14.固体表面は、モノリスである、実施形態11の親和剤。
【0161】
15.リガンドは、リンカーを介して固体表面に複合される、実施形態11~14の任意の1つの親和剤。
【0162】
16.CH1ドメインを含有するモノクローナル抗体、抗体断片及び抗体複合体の精製のために使用される、実施形態1~15の任意の1つの親和剤。
【0163】
17.実施形態1~14のいずれかに係るリガンドを固体表面に複合させる段階を含む、親和剤を作成する方法。
実施例
【0164】
本明細書において提示される実施例は、本発明の特定の実施形態を表す。しかしながら、これらの実施例は、単に例示の目的のものであり、本発明の条件及び範囲について完全に決定的であるとは意図せず、そのように解釈されるべきでもないことが理解されるべきである。実施例は、別段詳細に説明される場合を除き、当業者にとって周知であるとともに日常的である標準的な技法を使用して実行した。
実施例1.方法
【0165】
ペプチドは、標準的なFmoc固相ペプチド合成技法によって合成され、分取用逆相HPLCによって精製される。ペプチドの純度は、UV及び四重極飛行時間型質量分析検出の両方を備えたRP-UPLCによって評価される。
【0166】
組み換え親和性リガンドは、標準的な技法を使用して大腸菌又はピキア酵母において発現される。リガンドは、マルチカラムクロマトグラフィを使用して精製することができる。Hisタグ付きリガンドの場合、固定化金属親和性クロマトグラフィ(IMAC)を一次捕捉ステップとして使用される。ビオチン化リガンドが、AviTag(商標)システム(Avidity,Aurora,CO)で生成される。AviTag(商標)配列を持つ非ビオチン化リガンドは、外因性ビオチンを省略することによって調製される。組み換えタンパク質リガンドの純度及び同一性は、SDS-PAGE、RP UPLC、四重極飛行時間型質量分析及びサイズ排除クロマトグラフィ(SEC);Sephadex S75, Cytiva, Marlborough, MAの組み合わせによって評価される。多くの例では、リガンドは、発現中に切断されると推定されるN末端メチオニン残基なしで単離される。
実施例2.例示的なCH1ドメイン親和性リガンド
【0167】
この実施例は、バイオレイヤー干渉法(ForteBio,Menlo park,CA)を使用して、CH1ドメインを有するFab断片又はIgGへのビオチン化リガンドの結合を実証する。ビオチン化親和性リガンドは、センサ上で固定化し、様々な濃度を有するFab断片又はIgGを含有する溶液でインキュベートした。結合部位が軽鎖上又はパラトープ(抗原結合部位)上で生じていないことを実証するために、異なる軽鎖及びパラトープを有する2つのFabを、結合について照合した。図2及び図3は、それぞれ、(a)(モノクローナル抗体トラスツズマブからの)κ軽鎖(κ)及びHer2/neuのための結合特異性を有するハーセプチンFab、又は(b)(モノクローナル抗体グセルクマブからの)λ軽鎖(λ)及びIL23のための結合特異性を有するトレムフィアFabへの、親和性リガンド89、90及び92の結合についてのセンサグラムプロットを示している。
【0168】
結合曲線は、結合親和性を決定するためにForteBioソフトウェアを使用して1:1結合モデルに適合し、結果として得られるデータは、表1に示されている。予期されたように、親和性リガンド剤は、概して100nM未満、多くの場合10nM未満の結合親和性において、異なる軽鎖を有する両方のFabに結合した。
二量体ヒトIgG-λ(Southern Biotech, Birmingham AL)に結合する類似の実験は、試験された全ての試薬の最高親和性を有した。
表1
Fab及び抗体のための選択されたリガンドの親和性(K
【表1】
実施例3.親和性リガンドのアルカリ安定性
【0169】
この実施例は、親和性リガンドの水酸化ナトリウム安定性を実証する。示された親和性リガンドは、0.1M NaOHで24時間インキュベートし、その後中和した。NaOH処理リガンドの結合を実施例2において説明されたように測定し、未処理リガンドと比較した。保持された結合は、以下の式に従って計算した;
%結合保持=(NaOH処理後に測定された応答)÷(未処理の測定された応答)×100
【0170】
表2におけるデータは、試験した親和性リガンドの多くが試験条件下で高い安定性を呈することを示している。
表2
アルカリ性条件下でのパーセンテージ(%)結合保持
【表2】
実施例4.例示的な親和性樹脂の構築
【0171】
この実施例は、本明細書において識別及び説明されるリガンドを含む親和剤の生成及び特性評価を実証する。親和性樹脂は、ブロモアセチル又はエポキシ活性化Praesto(登録商標)Jetted A50ビード(Purolite,King of Prussia,PA)又はABT700(Agarose Bead Technologies,Madrid,Spain)アガロースビードのいずれかにリガンドを複合させることによって調製した。
【0172】
ブロモアセチル活性化ビードは、ジスクシンイミジルカーボネートで活性化し、過剰なエチレンジアミンと結合させ、その後、ブロモアセテートと結合させ、フリーアミンを官能基化するために洗浄した。親和性リガンドは、室温において、EDC活性化(EDCは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライドである)を使用して、そのカルボキシ末端システインを介してブロモアセチル活性化ビードに複合させた。エポキシ活性化ビードは、ベンダーから入手したか、又は当該技術分野において周知の標準的な方法を使用して調製した。リガンドは、37℃~40℃においてエポキシ活性化ビードに結合した。標的リガンド密度は、5g/L~40g/Lで変動した。洗浄後、ビードは、過剰なチオグリセロールで不活性化した。実際のリガンド密度は、以下の式に従って減算RP-HPLC法を使用して測定した。
実際のリガンド密度=(フィード中の測定された[リガンド]-流出物中の測定された[リガンド])
実施例5.親和性樹脂のアルカリ安定性
【0173】
この実施例は、本明細書において説明される親和性リガンドから調製される親和性クロマトグラフィ樹脂の結合特徴及び水酸化ナトリウム安定性を実証する。
要約すると、10μLの親和性樹脂を、96ウェルフィルタプレート上の複製ウェルにアリコートし、中性pH緩衝液中又は1M NaClとの0.1M NaOH中で24時間インキュベートした。インキュベートの後、親和性樹脂は、中性pH緩衝液で広範囲に洗浄し、バッチフォーマットで結合について照合した。表3において概略されたように、PBSとの平衡化の後、樹脂は、結合の反復的サイクルにおいて1結合サイクル当たり15分、0.5mg/mL~2mg/mLの範囲の濃度のIgGで惹起した。各結合惹起後、マルチウェルフィルタプレートは、樹脂から非結合IgGを分離するために遠心分離し、非結合IgGの量を、流出物の280nmにおける吸光度測定によって定量した。
表3
親和性樹脂の結合特徴及びアルカリ安定性を試験する手順
【表3】
【0174】
様々な惹起条件において、樹脂に結合されたIgGの量に対する樹脂でのインキュベート後の溶液中に残存するIgGの濃度をプロットすることによって、吸着等温線曲線を構築した。図4図6は、それぞれ、配列番号129、134及び144を有するリガンドを有する親和性樹脂についての吸着等温線を示している。結果は、1M NaClを有する0.1M NaOHに対する24時間の曝露の後の初期Qmaxに対して、配列番号129を有する樹脂は、94%超の結合を保持し、配列番号134を有する樹脂は、88%超の結合を保持し、配列番号144を有する樹脂は、95%超の結合を保持することを示した。
実施例6.モノクローナル抗体精製
【0175】
2.5g/Lの力価においてモノクローナル抗体(MAb1)を含有するCHO細胞株からの清澄化細胞培養フィード流(CCCF)を、配列番号129に対応するリガンドから調製された親和性樹脂上に充填して使用した。樹脂は、0.3×10cm(0.707mL)カラムに充填し、表4に示されるように操作した。
表4
MAb1の親和性精製
【表4】
表4~表6のための略語:CV、カラム容量;V、速度;CIP、定置洗浄。
【0176】
非還元条件下で実行した4~12%Bis-Tris SDS-PAGEゲルに対して画分を解析した。各レーンに充填されたサンプルは、(1)SeeBlue Plus2 分子量マーカ、(2)粗フィード流(すなわち、CCCF)、(3)10x希釈粗フィード流、(4)流通画分プール(すなわち、チェイス)、(5)洗浄画分プール、(6)溶出画分プール(6.4ug)、及び(7)ストリップ画分プール(すなわち、CIPプール)である。
実施例.7CIP樹脂上のモノクローナル抗体精製
【0177】
CHO CCCF中で2.5mg/mlの力価においてモノクローナル抗体を精製するために充填カラムを使用した。樹脂は、例4において説明されたように配列番号129、134及び144に対応するリガンドから調製し、0.3×10cm(0.7mL)カラムに充填し、表5に示されるように操作した。
表5
モノクローナル抗体の親和性精製
【表5】
各精製サイクル間で、樹脂は、4CIPサイクルをシミュレートするために合計60分CIP剤に曝露した。
【0178】
各精製サイクルからの溶出画分を、収集し、それぞれ、Cygnus(商標)CHO Host Cell Proteins 3rd Generationアッセイ、及びThermoFisher Quant-iT(商標)PicoGreen(商標)アッセイを使用して残留宿主細胞タンパク質(HCP)及び残留宿主細胞DNA(HCDNA)について純度を解析した。図8の上側パネルは、60シミュレートサイクルに対して親和性樹脂剤から取得された溶出画分の純度を示しており、全てのサイクルが、700ppm未満のHCPを有し、ほとんどのサイクルは、300ppm未満のHCPを有する。同様に、図8の下側パネルに示されているように、全てのサイクルにおいて3つの樹脂について、HCDNAは、5ppm未満に削減された。データは、樹脂がNaOHで洗浄され、複数のサイクルにわたって再使用され得ることを確定している。
実施例8.精製収量
【0179】
この研究のために、2.36mg/mlの濃度における精製されたモノクローナル抗体を、配列番号144の親和性リガンドを有する親和性樹脂で充填された0.3×10cm(0.7mL)カラムに充填した。表6において説明されるように、10精製サイクルを実行した。各サイクル間で、樹脂は、60分CIP剤0.1M NaOH、1M NaClに曝露し、これは、4シミュレートCIPサイクルと同等である。収量は、10サイクルの各々の後に決定し、図9におけるシミュレートサイクルとしてプロットした。データは、一貫した収量を維持しながら、樹脂がNaOHで洗浄され、複数のサイクルにわたって再使用され得ることを示している。
表6
収量決定のための操作条件
【表6】
実施例9.ヘリックス樹脂の役割
【0180】
この実施例は、ヘリックス2、4及び6が結合に重要ではないことを実証する。ヘリックス2、4又は6に対して改変が加えられてよく、これらの改変により、TPRが内側面を形成するヘリックス1、3、5及び7とともに積層ヘリックスバンドルを形成することが更に可能になる限り、リガンドは、結合を維持する。
実施例10.ヘリックス樹脂の役割
【0181】
これらのTPRドメイン含有リガンドの7つヘリックスのヘリックス2における配列変動の役割は、ヘリックス1、3、5及び7のための同一の配列を有するが、ヘリックス2のための配列において異なる4つのビオチン化リガンドの結合親和性を決定することによって評価した。結合親和性は、例2において説明されたように決定し、結果は、表7に示されている。これらの結果は、ヘリックス2において加えられた改変がリガンド結合を維持することを示している。
表7
Fab及びIgGについてのヘリックス2を有するリガンドの親和性(K
【表7】
実施例11.モノクローナル抗体へのビオチン化リガンドの結合
【0182】
この実施例は、バイオレイヤー干渉法を使用してIgG1(Praluent(登録商標)、IgG2(Ajovy(登録商標))及びIgG4(Dupixent(登録商標))モノクローナル抗体へのビオチン化リガンドの結合を実証する。McKesson Supply Manager (Irving, Tx)から抗体を入手した。ビオチン化リガンドは、センサ上で固定化し、様々な濃度におけるモノクローナル抗体タンパク質を含有する溶液でインキュベートした。結合親和性が以下の表に示されている。
【表8】
実施例12.mAB及びFabへのビオチン化リガンドの結合
【0183】
この実施例は、全体のmAb及びFab分子へのビオチン化リガンドの結合を実証する。配列番号181に対応するビオチン化リガンドは、センサ上で固定化し、様々な濃度におけるトラスツズマブ又はトラスツズファブタンパク質のいずれかを含有する溶液でインキュベートした。リガンドが両方の分子に高い親和性で結合することは、図10に示される結合の投与量応答曲線から明らかである。
実施例13.高結合能力を有する親和性樹脂
【0184】
この実施例は、高結合能力を有する親和性樹脂が本発明のリガンドを用いて達成され得ることを実証する。親和性樹脂は、エポキシ活性化Jetted A50アガロースビードに複合された配列番号181に対応するリガンドで調製し、3×50mmカラムに充填した。トラスツズマブ、トラスツズファブ、Nucala(登録商標)及びBenlysta(登録商標)の結合能力は、2g/Lの惹起濃度を使用して4分の滞留時間において取得した。破過曲線が、図11に示されており、10%破過値が以下の表において列挙されている。
【表9】
実施例14.親和性樹脂カラムのNaOH安定性
【0185】
この実施例は、直前の実施例における親和性樹脂カラムのNaOH安定性を実証する。決定された10%破過における1M NaCl及びDBCを含有する0.1M NaOHへの樹脂の曝露の後の示された時点において反復DBCサイクルを実行した。図12に示されるデータは、樹脂が、1M NaClを含有する0.1M NaOHへの24時間曝露にわたって結合能力において損失がないことを示していることを実証する。
実施例15.抗体の精製
【0186】
この実施例は、粗フィード流からの抗体の精製、及び樹脂が多くの回数再使用され得ることを実証する。例13の親和性樹脂は、0.3×10cmカラムに充填し、0.8g/Lの力価においてトラスツズマブを含有する宿主細胞清澄化フィード(HCCF)で惹起した。カラムは、以下の表に示されるように操作した。
【表10】
【0187】
「ストリップ」段階中、フローは、1M NaClを含有する0.1M NaOHへの樹脂の合計曝露が1サイクル当たり3.5時間となるように停止し、カラムは、8サイクル操作した。各サイクルにおいて取得された収量は、図13に示されている。各サイクルにおいて取得された残留HCP及びDNA不純レベルは、それぞれ図14及び図15に示されている。まとめると、データは、高い純度、及び性能損失を伴うことなくカラムをサイクルする能力を示している。
【0188】
本明細書において記載された本開示の多くの修正及び他の実施形態は、前述の説明及び関連付けられた図面において提示される教示の利益を有する、これらの開示に関係する当業者には想到されるであろう。したがって、本開示は開示された特定の実施形態に限定されるべきではないこと、及び、改変及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲に記載の範囲及び本明細書において開示された実施形態のリスト内に含まれるように意図されることが理解されるべきである。本明細書において具体的な用語が利用されているが、それらは単に汎用的かつ説明的な意味で使用されており、限定の目的ではない。
【0189】
本明細書において開示される任意の方法は、列挙された順序において実行される必要はない。本明細書において開示された方法は、実行者によって取られる特定のアクションを含み;しかしながら、それらは、明示的又は暗黙的のいずれかで、それらのアクションの任意の第3者の命令も含むことができる。
表8
配列
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【表11-7】
【表11-8】
【表11-9】
【表11-10】
図1
図2
図3
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図10
図11
図12
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図14
図15
【配列表】
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【国際調査報告】