(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】結腸の湾曲を低減する方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20241226BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61B1/00 620
A61B1/01 513
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536428
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022082300
(87)【国際公開番号】W WO2023122767
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518072597
【氏名又は名称】ネプチューン メディカル インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,フランシスコ・ジー
(72)【発明者】
【氏名】タナー,ニール
(72)【発明者】
【氏名】シーフ,マーク・シー
(72)【発明者】
【氏名】チルソン,アレキサンダー・キュー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF36
4C161GG22
4C161GG25
4C161JJ08
4C161JJ11
4C161LL02
(57)【要約】
本明細書では、ロボットシステムを使用して結腸などの身体管腔の湾曲を低減する方法および装置について記載する。特に、本明細書では、2つ以上を含む1つまたは複数の細長い剛性付与可能部材を備える装置を使用して、身体管腔(たとえば、結腸)の湾曲を低減する方法および装置について記載する。細長い剛性付与可能部材は、伸縮式に配置可能であり、陽圧および/または真空を印加することによって作動させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムを使用して結腸の湾曲を低減する方法であって、
細長い部材を遠位に前記結腸内へナビゲーションするステップと、
前記細長い部材のステアリング可能遠位端領域を前記結腸の壁に対して制御しながら、前記細長い部材の近位部分を近位に前記結腸から引き抜いて前記結腸の前記湾曲を低減するために、前記ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記細長い部材を使用して、前記結腸の前記湾曲の前記低減を維持しながら、1つまたは複数の動作を実行するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記細長い部材の剛性を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、一連の事前にプログラムされた移動を作動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細長い部材が、第1の細長い部材と、前記第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い部材とを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、第1の細長い部材および第2の細長い部材のうちの少なくとも1つが、前記結腸の外側にある前記細長い部材の近位端領域で自由に回転することを可能にすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記細長い部材が、第1の細長い部材および第2の細長い部材を備え、前記第2の細長い部材が、前記第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能であり、さらに前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記第1の細長い部材および前記第2の細長い部材の一方または両方を回転させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の細長い部材および前記第2の細長い部材の一方または両方を回転させることが、前記第1の細長い部材または前記第2の細長い部材が異なる回転方向に異なる曲げ剛性を有する方向に、前記第1の細長い部材または前記第2の細長い部材を回転させることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記細長い部材の前記近位部分を近位に前記結腸から引き抜きながら、前記細長い部材の遠位端領域の位置または構成を維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記細長い部材が、第1の細長い部材と、前記第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い部材とを備え、さらに前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記第1の細長い部材または前記第2の細長い部材のいずれかを部分的に剛性化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記結腸の前記壁に対して前記細長い部材の前記ステアリング可能遠位端領域を制御するために、前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記細長い部材の遠位端領域で湾曲またはフックを形成しながら、前記遠位端領域の近位で前記細長い部材の関節運動平面を変化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記結腸の前記壁に対して前記細長い部材の前記ステアリング可能遠位端領域を制御するために、前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記ステアリング可能遠位端領域の管腔中心性を維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記壁に対して前記細長い部材の前記ステアリング可能遠位端領域を制御するために、前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、膨張性バルーンまたは吸引のうちの1つまたは複数によって、前記遠位端領域を前記壁に対して固定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記結腸の壁に係合するように、前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記細長い部材を使用して前記結腸の前記壁を近位に引っ張ることによって、前記結腸内にひだを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記結腸内の前記細長い部材の形状を判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記細長い部材の形状を判定するステップが、前記細長い部材の前記形状を感知することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記一連の移動を作動させる前に、前記結腸内のループを検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、訓練された機械学習エージェントを使用して前記一連の移動を案内することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記細長い部材が、第1の細長い部材と、前記第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い部材とを備え、さらに細長い部材を遠位に前記結腸内へナビゲーションするステップが、前記第1の細長い部材および前記第2の細長い部材を交互に剛性化および非剛性化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数の動作が、前記結腸の前記壁を視覚化すること、前記結腸の前記壁から組織を除去すること、前記結腸の前記壁を処置すること、前記結腸の前記壁にエネルギーを印加すること、前記結腸の前記壁に材料を与えることのうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
ロボットシステムを使用して結腸の湾曲を低減する方法であって、
細長い部材を前記結腸に挿入するステップであり、前記細長い部材が、第1の細長い剛性付与可能部材および第2の細長い剛性付与可能部材を備え、前記第2の細長い剛性付与可能部材が、前記第1の細長い剛性付与可能部材内を軸方向に摺動可能である、挿入するステップと、
前記結腸の管腔を通って前記細長い部材を前進させるステップと、
前記結腸の前記管腔に対する前記細長い部材の遠位端の位置、向き、または位置および向きを維持しながら、前記細長い部材の近位端を前記結腸から引き抜くことによって、前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップと、
を含む方法。
【請求項22】
前記結腸内のループを検出するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップが、前記結腸に対して遠位の平面内でフックまたは湾曲形状を維持するように、前記ロボットシステムが前記第1または第2の細長い部材の前記遠位端を自動で関節運動させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップが、前記結腸の中心またはその付近で前記遠位端を維持するように、前記第1または第2の細長い剛性付与可能部材の前記遠位端をステアリングすることによって、管腔中心性を維持することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記細長い部材の遠位端の位置を維持することが、前記第1または第2の細長い剛性付与可能部材を前記結腸に固定するために、バルーンを膨張させるように、前記ロボットシステムを制御することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記細長い部材の遠位端の位置を維持することが、前記第1または第2の細長い剛性付与可能部材を前記結腸に固定するために、真空を印加するように、前記ロボットシステムを制御することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記結腸を通って前記細長い部材を前進させるステップが、
前記第1の細長い剛性付与可能部材が軟性形態である状態で前記第1の細長い剛性付与可能部材を前記結腸に挿入することと、
前記第1の細長い剛性付与可能部材を剛性形態に遷移させるために前記第1の細長い剛性付与可能部材に真空または圧力を供給することと、
前記第2の細長い剛性付与可能部材が前記剛性形態の前記第1の細長い剛性付与可能部材の形状をとるように、前記第1の細長い剛性付与可能部材が前記剛性形態である状態で前記第1の細長い剛性付与可能部材を通して軟性形態の第2の細長い剛性付与可能部材を挿入することと、
前記第2の細長い剛性付与可能部材を前記軟性形態から剛性形態に遷移させるために前記第2の細長い部材に真空または圧力を供給することと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記結腸内の前記湾曲を低減する前に、前記第1の細長い剛性付与可能部材および前記第2の細長い部材を前記軟性形態に遷移させるために、前記ロボットシステムを制御することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の細長い剛性付与可能部材の回転を駆動するために、ロボットシステムを制御するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の細長い剛性付与可能部材の回転中に前記第2の細長い部材を固定するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の細長い部材の回転を駆動するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の細長い部材の回転中に前記第1の細長い剛性付与可能部材を固定するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップが、前記第1の細長い剛性付与可能部材を後退させながら、前記第1の細長い剛性付与可能部材がハンドルに対してその近位端で自由に回転することを可能にするために、前記ロボットシステムを制御することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップが、前記第2の細長い部材を後退させながら、前記第2の細長い部材がハンドルに対してその近位端で自由に回転することを可能にするために、前記ロボットシステムを制御することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップが、前記第1の細長い部材を所望の回転まで自動で回転させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の細長い剛性付与可能部材を所望の回転まで自動で回転させることが、前記第1の細長い剛性付与可能部材が動いていることを収集データが確認するまで、前記第1の細長い剛性付与可能部材を回転させることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の細長い剛性付与可能部材を所望の回転まで自動で回転させることが、印加トルクが閾値レベルを超過することを収集トルクデータが示す場合、前記ロボットシステムが回転を停止することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記ロボットシステムを制御するステップが、前記第1の細長い剛性付与可能部材の周辺部分に比べて前記第1の細長い剛性付与可能部材のより柔軟な軸に対応する回転位置まで回転することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の細長い剛性付与可能部材を所望の回転まで自動で回転させることが、前記第1の細長い剛性付与可能部材をより柔軟な軸に沿って屈曲させる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の細長い剛性付与可能部材がハンドル内をその近位端で自由に回転することを可能にすることをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記結腸の前記管腔に対して前記細長い部材の前記遠位端の前記位置を維持することが、前記結腸内の湾曲に引っ掛かるように、前記第2の細長い部材の遠位端を撓ませるために、前記ロボットシステムを制御することを含み、前記ロボットシステムが、前記結腸の中心またはその付近で前記遠位端を維持するように前記第1または第2の細長い剛性付与可能部材の前記遠位端を自動で回転させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項42】
前記結腸の形状を感知するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の細長い剛性付与可能部材の近位端および/または前記第2の細長い部材の近位端に印加される回転トルクの量を感知するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項44】
前記第1および/または第2の細長い剛性付与可能部材の位置に対応する視覚フィードバックを受け取るステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項45】
前記視覚フィードバックに基づいて前記第1および/または第2の細長い剛性付与可能部材の位置を自動で調整または維持するステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記視覚フィードバックに基づいて前記第1および/または第2の細長い剛性付与可能部材の位置を調整するように医師に促すステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップが、前記遠位端が前記結腸に固定された状態で前記第2の細長い部材の遠位端を回転させながら、前記第1および第2の細長い剛性付与可能部材のうちの少なくとも1つがその近位端で自由に回転することを可能にするために、前記ロボットシステムを制御することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項48】
前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップが、前記第1の細長い剛性付与可能部材を第1の方向に回転させ、前記第2の細長い剛性付与可能部材を前記第1の方向とは逆の第2の方向に回転させるために、前記ロボットシステムを制御することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項49】
前記結腸内の前記湾曲を低減するために前記細長い部材を制御するステップが、前記第1および第2の細長い剛性付与可能部材を前記結腸内の湾曲へ前進させてから、前記第1または第2の細長い剛性付与可能部材を前記結腸に固定することと、前記第1および第2の端部の遠位端の近位にある前記結腸の少なくとも一部分が共に折り畳まれるように、前記第1および第2の細長い剛性付与可能部材を後退させるために、前記ロボットシステムを制御することとを含み、前記部分の長さが、前記第1および第2の細長い剛性付与可能部材が後退させられるにつれて低減される、請求項21に記載の方法。
【請求項50】
前記第1または第2の細長い剛性付与可能部材を前記結腸に固定することが、吸引を印加して前記第1の細長い剛性付与可能部材の遠位端を前記結腸に固定するために、前記ロボットシステムを制御することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1または第2の細長い剛性付与可能部材を前記結腸に固定することが、前記第1の細長い剛性付与可能部材上のバルーンを膨張させて前記第1の細長い部材の遠位端を前記結腸に固定するために、前記ロボットシステムを制御することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
結腸に挿入されるように構成された細長い部材と、
前記細長い部材の近位端に結合された基部と、
1つまたは複数のプロセッサを備えるコントローラと、
前記1つまたは複数のプロセッサに結合されたメモリと、を備えるシステムであって、
前記メモリが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記結腸の湾曲を低減するためのコンピュータ実装方法を実行するコンピュータプログラム命令を記憶しており、
前記方法が、
前記結腸の壁に対して前記細長い部材のステアリング可能遠位端領域を制御しながら、前記細長い部材の近位部分を近位に前記結腸から引き抜いて、前記結腸の前記湾曲を低減するために、前記ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップを含む、
システム。
【請求項53】
前記細長い部材が、第1の細長い剛性付与可能部材と、前記第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い剛性付与可能部材とを備える、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記細長い部材が、剛性付与可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
前記細長い部材が、第1の細長い剛性付与可能部材と、前記第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い剛性付与可能部材とを備える、請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記第1の細長い剛性付与可能部材および前記第2の細長い剛性付与可能部材のうちの少なくとも1つが、前記結腸の外側にある前記細長い部材の近位端領域で自由に回転することを可能にすることを含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記結腸の外側にある前記細長い部材の近位端領域で前記第1の細長い剛性付与可能部材および前記第2の細長い剛性付与可能部材の一方または両方を能動的に回転させることを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項58】
前記第1の細長い剛性付与可能部材および前記第2の細長い剛性付与可能部材の一方または両方を能動的に回転させることが、前記第1の細長い剛性付与可能部材または前記第2の細長い剛性付与可能部材が前記第1の細長い剛性付与可能部材または前記第2の細長い剛性付与可能部材の他の領域に対してより大きい曲げ剛性を有する方向に、前記第1の細長い剛性付与可能部材または前記第2の細長い剛性付与可能部材を能動的に回転させることを含む、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、一連の事前にプログラムされた移動を作動させることを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項60】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記細長い部材の遠位端にフックまたは曲げを形成することと、前記フックまたは曲げと前記結腸との間の角度を維持しながら、前記フックまたは曲げの近位で前記細長い部材の関節運動平面を変化させることとを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項61】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記細長い部材を少なくとも部分的に剛性化することを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項62】
さらに前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記第1の細長い剛性付与可能部材または前記第2の細長い剛性付与可能部材のいずれかを部分的に剛性化することを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項63】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記細長い部材の遠位端領域を前記結腸の前記壁に対して固定しながら、前記遠位端領域の近位で前記細長い部材の関節運動平面を変化させることを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項64】
前記細長い部材の前記遠位端領域が、膨張性バルーンまたは吸引のうちの1つまたは複数によって、前記壁に対して固定される、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記結腸の壁に係合するように前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、前記細長い部材を使用して前記結腸の前記壁を近位に引っ張ることによって、前記結腸内にひだを形成することを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項66】
前記結腸内の前記細長い部材の形状を判定するステップをさらに含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項67】
前記細長い部材の形状を判定するステップが、前記細長い部材の前記形状を感知することを含む、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記細長い部材の形状を判定するステップが、前記結腸内の前記細長い部材の前記個々の関節運動の履歴に基づいて、前記細長い部材の前記形状を推定することを含む、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記細長い部材上に、前記結腸内を視覚化するための1つまたは複数の撮像センサーをさらに含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項70】
前記ロボットシステムの前記一連の移動を作動させるステップが、機械学習エージェントを使用して前記一連の移動を案内することを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項71】
結腸に挿入されるように構成された細長い部材であり、第1の細長い剛性付与可能部材および前記第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い剛性付与可能部材を備える細長い部材と、
前記第1の細長い剛性付与可能部材および/または前記第2の細長い剛性付与可能部材の近位端に結合された基部と、
1つまたは複数のプロセッサを備えるコントローラと、
前記1つまたは複数のプロセッサに結合されたメモリと、を備えるシステムであって、
前記メモリが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記結腸の湾曲を低減するためのコンピュータ実装方法を実行するコンピュータプログラム命令を記憶しており、
前記方法が、
細長い部材を遠位に前記結腸内へナビゲーションするステップと、
前記結腸の壁に対して前記細長い部材のステアリング可能遠位端領域を制御しながら、前記細長い部材の近位部分を近位に前記結腸から引き抜いて、前記結腸の前記湾曲を低減するために、前記ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップと、
を含む、システム。
【請求項72】
細長いフレキシブルチューブと、
前記細長いフレキシブルチューブの上に配置されたブレード層と、
前記細長いフレキシブルチューブおよび前記ブレード層の上に位置する外層と、
前記細長いフレキシブルチューブと前記外層との間に位置し、真空または圧力の供給源に取り付けられるように構成された入口と、
前記細長いフレキシブルチューブと前記外層との間に位置する封止チャネルと、を備える剛性付与デバイスであって、
前記封止チャネルが、ワーキングチャネル、ケーブルガイド、または膨張管腔を備え、前記封止チャネルが、前記デバイスの近位端でハンドル領域に結合されたトルク伝達部材によって少なくとも部分的に形成され、したがって前記ハンドル領域に印加されたトルクが前記細長いフレキシブルチューブの遠位端領域へ伝達されており、
前記剛性付与デバイスが、前記入口を通して真空または圧力が印加される剛性形態と、前記入口を通して真空または圧力が印加されない軟性形態とを有するように構成されている、
剛性付与デバイス。
【請求項73】
前記トルク伝達部材が、前記封止チャネルを形成するレーザカットハイポチューブを備える、請求項72に記載の装置。
【請求項74】
前記封止チャネルが、前記入口を通して印加される前記真空または圧力から封止されている、請求項72に記載の装置。
【請求項75】
前記ブレード層が、前記細長いフレキシブルチューブがまっすぐであるとき、前記細長いフレキシブルチューブの長手方向軸に対して5~40度のブレード角度で共に編み合わされた複数の撚り糸を含む、請求項72に記載の装置。
【請求項76】
トルク伝達層および前記トルク伝達層を覆う封止層を備える細長いフレキシブルチューブと、
前記細長いフレキシブルチューブの上に配置されたブレード層と、
前記細長いフレキシブルチューブおよび前記ブレード層の上に位置する外層と、
前記細長いフレキシブルチューブと前記外層との間に位置し、真空または圧力の供給源に取り付けられるように構成された入口と、を備える剛性付与デバイスであって、
前記剛性付与デバイスが、前記入口を通して真空または圧力が印加される剛性形態と、前記入口を通して真空または圧力が印加されない軟性形態とを有するように構成されており、
前記トルク伝達層が前記デバイスの近位端でハンドル領域に結合され、したがって前記剛性付与デバイスが前記軟性形態にあるとき、前記ハンドル領域に印加されたトルクが前記細長いフレキシブルチューブの遠位端領域へ伝達される、
剛性付与デバイス。
【請求項77】
前記トルク伝達層が、レーザカットハイポチューブを備える、請求項76に記載の装置。
【請求項78】
細長いフレキシブルチューブと、
前記細長いフレキシブルチューブの上に配置されたブレード層と、
前記細長いフレキシブルチューブおよび前記ブレード層の上に位置し、トルク伝達層および前記トルク伝達層を覆う封止層を備える外層と、
前記細長いフレキシブルチューブと前記外層との間に位置し、真空または圧力の供給源に取り付けられるように構成された入口と、を備える剛性付与デバイスであって、
前記剛性付与デバイスが、前記入口を通して真空または圧力が印加される剛性形態と、前記入口を通して真空または圧力が印加されない軟性形態とを有するように構成されており、
前記トルク伝達層が前記デバイスの近位端でハンドル領域に結合され、したがって前記剛性付与デバイスが前記軟性形態にあるとき、前記ハンドル領域に印加されたトルクが前記細長いフレキシブルチューブの遠位端領域へ伝達される、剛性付与デバイス。
【請求項79】
前記トルク伝達層が、レーザカットハイポチューブを備える、請求項78に記載の装置。
【請求項80】
結腸の湾曲を低減する方法であって、
非剛性形態の細長い剛性付与可能部材を遠位に前記結腸内へ、前記結腸内の1つまたは複数の屈曲部の周囲にナビゲーションするステップと、
第1の大きさの陽圧または陰圧を印加して、前記結腸内の前記細長い剛性付与可能部材を第1の剛性まで剛性化するステップと、
前記細長い剛性付与部材を近位に前記結腸から引き抜きながら、前記1つまたは複数の屈曲部が低減されるように、前記第1の大きさより小さいが前記非剛性形態の大きさより大きい1つまたは複数の中間の大きさに前記陽圧または陰圧を調整することによって、前記細長い剛性付与部材の剛性を調整するステップと、
を含む方法。
【請求項81】
前記細長い剛性付与可能部材の形状を表示するステップをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記細長い剛性付与部材を近位に引き抜く際に、前記細長い剛性付与可能部材にかかる力を表示するステップをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
さらにユーザが、前記ユーザが前記細長い剛性付与部材を近位に引き抜くとき、前記剛性を手動で調整する、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記細長い剛性付与部材が近位に引き抜かれるとき、前記細長い剛性付与部材に作用する1つまたは複数の力が閾値を超過しないように、前記細長い剛性付与部材の前記剛性を調整するステップをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記1つまたは複数の力が、トルク力を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記1つまたは複数の力が、前記細長い剛性付与部材と前記結腸の壁との間の係合力を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
調整するステップが、前記細長い剛性付与部材の前記剛性を自動で調整することを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記細長い剛性付与部材をナビゲーションするステップが、前記細長い剛性付与部材を第2の細長い剛性付与部材から伸縮させることを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記細長い剛性付与部材を近位に引き抜きながら、前記第2の細長い剛性付与部材の剛性を調整するステップをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記細長い剛性付与部材を使用して、前記結腸の前記湾曲の前記低減を維持しながら、1つまたは複数の動作を実行するステップをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本特許出願は、2021年12月22日に出願された「METHODS AND APPARATUSES FOR REDUCING CURVATURE OF A COLON」という名称の米国仮特許出願第63/265、934号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による援用
[0002]本明細書に記載の公開文献および特許出願は、各個別の公開文献または特許出願が参照により組み込まれると具体的に個別に示されているかのように、参照によりその全体が同程度まで本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003]医療処置時、介入医療デバイスは生体構造内を湾曲またはループして通る場合があり、それによって医療デバイスの前進が難しくなることがある。胃腸管の過度の湾曲またはループに起因して内視鏡が前進しなくなるときに生じる胃腸ループは、特によく知られた内視鏡検査の臨床上の課題である。実際、ある1つの研究では、大腸内視鏡検査を受けている患者100人中91人にループが発生していることが判明した[Shah et al,「Magnetic Imaging of Colonoscopy:An Audit of Looping,Accuracy and Ancillary maneuvers」Gastrointest Endosc 2000;52:1-8]。胃腸管ループは処置を長引かせ、血管壁および腸間膜を引き延ばすことがあるために患者にとって痛みを生じさせる場合がある。また、腸管ループは、穿孔の発生率の増大につながる。腸管ループの重大事例では、ループが結腸の長さを引き延ばし、大腸内視鏡が終端まで達するのに十分に長くないため、完全な大腸内視鏡検査が不可能である。腸管ループは、精密な先端部制御の障害となり、ユーザがハンドルと内視鏡先端部との所望の1対1の動きの関係を把握することをできなくする。このような問題は、大腸内視鏡検査、食道胃十二指腸内視鏡検査(EGD)、小腸内視鏡検査、内視鏡的膵胆チューブ造影(ERCP)、介入的内視鏡処置(ESD(内視鏡粘膜下層剥離術)およびEMR(内視鏡粘膜切除)を含む)、ロボットフレキシブル内視鏡検査、経口ロボット手術(TORS)、建腸管症例(ルーY吻合を含む)、およびNOTES(経管腔的内視鏡手術)処置を含む、広範な内視鏡処置にわたって一般的に発生する。したがって、胃腸管へのより成功裏のアクセスを提供するために、胃腸管ループの防止に役立つデバイスが必要である。
【0004】
[0004]医療機器を前進させる際の同様の困難は、たとえば、肺、腎臓、脳、心窩部、およびその他の解剖学的構造部位における介入処置中に発生する可能性がある。したがって、通常では達するのが困難な解剖学的部位への安全で効率的で正確なアクセスを実現可能なデバイスが必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本明細書では、ロボットシステムを使用して結腸などの身体管腔の湾曲を低減する方法および装置について記載する。特に、本明細書では、2つ以上を含む1つまたは複数の細長い剛性付与可能部材を備える装置を使用して、身体管腔(たとえば、結腸)の湾曲を低減する方法および装置について記載する。細長い剛性付与可能部材は、伸縮式に配置可能であり、陽圧および/または真空を印加することによって作動させることができる。
【0006】
[0006]たとえば、本明細書では、ロボットシステムを使用して結腸の湾曲を低減する方法であって、細長い部材を遠位に結腸内へナビゲーションするステップと、細長い部材のステアリング可能遠位端領域を結腸の壁に対して制御しながら、細長い部材の近位部分を近位に結腸から引き抜いて結腸の湾曲を低減するために、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップとを含む方法について記載する。これらの方法のいずれも、細長い部材を使用して、結腸の湾曲の低減を維持しながら、1つまたは複数の動作を実行するステップを含むことができる。
【0007】
[0007]本明細書に記載の方法のいずれにおいても、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材の剛性を調整することを含むことができる。たとえば、この方法は、細長い部材(たとえば、外側剛性付与部材内に入れ子になった内側剛性付与部材)に柔軟性を与えるステップを含むことができる。これらの実施例のいずれにおいても、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、一連の事前にプログラムされた移動を作動させることを含むことができる。これらの方法のいずれも、細長い部材の近位部分を近位に結腸から引き抜きながら、細長い部材の遠位端領域の位置および/または構成を維持することによって、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップを含むことができる。位置および/または構成は、ステアリング可能遠位端領域を使用してフックを形成および維持することによって維持可能である。実施例によっては、位置および/または構成は、遠位端領域を結腸の壁に取り付けることによって維持可能である。実施例によっては、位置および/または構成は、結腸内で遠位端領域の管腔中心性を維持するようにステアリング可能遠位端領域をステアリングすることによって維持可能である。
【0008】
[0008]たとえば、本明細書では、ロボットシステムを使用して結腸の湾曲を低減する方法であって、細長い部材を遠位に結腸内へナビゲーションするステップと、結腸の壁を細長い部材に係合して結腸の湾曲を低減するために、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップと、細長い部材を使用して、結腸の湾曲の低減を維持しながら、1つまたは複数の動作を実行するステップとを含む方法について記載する。
【0009】
[0009]ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、一連の事前にプログラムされた移動(たとえば、マクロ)を作動させることを含むことができる。細長い部材は、第1の細長い部材と、第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い部材とを備えることができ、さらに、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、第1の細長い部材および第2の細長い部材のうちの少なくとも1つが、結腸の外側にある細長い部材の近位端領域で自由に回転することを可能にすることを含む。これらの実施例のいずれにおいても、第1の細長い部材および第2の細長い部材は、自由に回転するように、回転駆動されるように、および/もしくはアドミタンス回転制御で動作するように、またはこれらのいずれかの任意の組合せを行うように構成可能である。細長い部材は、第1の細長い部材および第2の細長い部材を備えることができ、第2の細長い部材は、第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能であり、さらに、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、結腸の外側にある細長い部材の近位端領域で、第1の細長い部材および第2の細長い部材の一方または両方を能動的に回転させることを含む。実施例によっては、第1の細長い部材および第2の細長い部材の一方または両方を能動的に回転させることは、第1の細長い部材または第2の細長い部材が異なる回転方向に異なる曲げ剛性を有する方向に、第1の細長い部材または第2の細長い部材を能動的に回転させることを含む。ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、一連の事前にプログラムされた移動を作動させることを含むことができる。たとえば、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材の遠位端にフックまたは曲げを形成することと、フックまたは曲げと結腸との間の角度を維持しながら、フックまたは曲げの近位で細長い部材の関節運動平面を変化させることとを含むことができる。フックまたは曲げは、遠位組織領域に係合することができる。これに代えて、またはこれに加えて、細長い部材(たとえば、任意の細長い部材)の遠位端が、拡張型部材(たとえば、バルーン、拡張型フレームなど)を介して、および/または吸引によって、結合してもよい。
【0010】
[0010]実施例によっては、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材を少なくとも部分的に剛性化することを含む。細長い部材は、第1の細長い部材と、第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い部材とを備えることができ、さらに、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、第1の細長い部材または第2の細長い部材のいずれかを部分的に剛性化することを含む。部分的な剛性化は、ユーザが1つまたは複数の細長い部材(たとえば、ロボット部材)の剛性を調整する(場合により、動的に調整する)ことを可能にすることができ、それにより結腸の湾曲および/または細長い部材の湾曲を低減するためのより安全な技法を提供することができる。たとえば、細長い部材を操作するとき、部分的な剛性化により、細長い部材と結腸との間の力を制限することができる。
【0011】
[0011]ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材の遠位端領域で湾曲またはフックを形成しながら、遠位端領域の近位で細長い部材の関節運動平面を変化させることを含むことができる。たとえば、細長い部材の遠位端領域は、膨張性バルーンまたは吸引のうちの1つまたは複数によって、壁に対して固定することができる。たとえば、真空チャックを含むことができる。実施例によっては、結腸の壁に係合するようにロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材を使用して結腸の壁を近位に引っ張ることによって、結腸内にひだを形成することを含む。
【0012】
[0012]これらの方法のいずれも、結腸内の細長い部材の形状を判定するステップを含むことができる。細長い部材の形状を判定するステップは、細長い部材の形状を感知することを含むことができる。実施例によっては、細長い部材の形状を判定するステップは、結腸内での細長い部材の個々の関節運動の履歴に基づいて、細長い部材の形状を推定することを含む。
【0013】
[0013]これらの方法のいずれも、細長い部材上の1つまたは複数の撮像センサーを使用して、結腸を視覚化するステップを含むことができる。ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、機械学習エージェントを使用して一連の移動を案内することを含むことができる。移動は、軸方向/遠位移動(たとえば、前進/後退)および/または回転移動(時計回り/反時計回り)および/または細長い部材のステアリング(たとえば、一実施例では、プルワイヤによる1つまたは複数の細長い部材の遠位端領域のステアリング)を含むことができる。移動は、自動もしくは手動で、または自動支援と共に手動で行うことができる。
【0014】
[0014]細長い部材は、第1の細長い部材と、第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い部材とを備えることができ、さらに、細長い部材を遠位に結腸内へナビゲーションするステップは、第1の細長い部材および第2の細長い部材を交互に剛性化および非剛性化することを含む。1つまたは複数の動作は、結腸の壁を視覚化すること、結腸の壁から組織を除去すること、結腸の壁を処置すること、結腸の壁にエネルギーを印加すること、結腸の壁に材料を与えることのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0015】
[0015]たとえば、ロボットシステムを使用して結腸の湾曲を低減する方法は、細長い部材を結腸に挿入するステップであり、細長い部材が、第1の細長い部材および第2の細長い部材を備え、第2の細長い部材が、第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能である、挿入するステップと、結腸の管腔を通って細長い部材を前進させるステップと、結腸の管腔に対する細長い部材の遠位端の位置を維持するステップと、結腸内の湾曲を低減するために細長い部材を制御するステップとを含むことができる。
【0016】
[0016]結腸内の湾曲を低減するために細長い部材を制御するステップは、結腸に対して遠位の平面内でフックまたは湾曲形状を維持するように、ロボットシステムの第1または第2の細長い部材の遠位端を自動で関節運動させることを含むことができる。結腸の中心またはその付近で遠位端を維持するように第1または第2の細長い部材の遠位端を自動で回転させることは、収集された画像または形状感知データを使用することを含むことができる。細長い部材の遠位端の位置を維持することは、第1または第2の細長い部材を結腸に固定するために、バルーンを膨張させるように、ロボットシステムを制御することを含むことができる。
【0017】
[0017]細長い部材の遠位端の位置を維持することは、第1または第2の細長い部材を結腸に固定するために、真空を印加するように、ロボットシステムを制御することを含むことができる。結腸を通して細長い部材を前進させることは、第1の細長い部材が軟性形態である状態で第1の細長い部材を結腸に挿入することと、第1の細長い部材を剛性形態に遷移させるために第1の細長い部材に真空または圧力を供給することと、第2の細長い部材が剛性形態の第1の細長い部材の形状をとるように、第1の細長い部材が剛性形態である状態で第1の細長い部材を通して軟性形態の第2の細長い部材を挿入することと、第2の細長い部材を軟性形態から剛性形態に遷移させるために第2の細長い部材に真空または圧力を供給することとを含むことができる。これらの方法のいずれも、結腸内の湾曲を低減する前に、第1の細長い部材および第2の細長い部材を軟性形態に遷移させるためにロボットシステムを制御することを含むことができる。
【0018】
[0018]本明細書に記載の方法は、第1の細長い部材の回転を駆動するためにロボットシステムを制御するステップを含むことができる。実施例によっては、本明細書に記載の方法は、第1の細長い部材の回転中に第2の細長い部材を固定するステップを含むことができる。これらの方法のいずれも、第2の細長い部材の回転を駆動するステップを含むことができる。たとえば、これらの方法のいずれも、第2の細長い部材の回転中に第1の細長い部材を固定するステップを含むことができる。
【0019】
[0019]結腸内の湾曲を低減するために細長い部材を制御するステップは、第1の細長い部材を後退させながら、第1の細長い部材がハンドルに対してその近位端で自由に回転することを可能にするために、ロボットシステムを制御することを含むことができる。たとえば、結腸内の湾曲を低減するために細長い部材を制御するステップは、第2の細長い部材を後退させながら、第2の細長い部材がハンドルに対してその近位端で自由に回転することを可能にするために、ロボットシステムを制御することを含む。結腸内の湾曲を低減するために細長い部材を制御するステップは、第1の細長い部材を所望の回転まで自動で回転させることを含むことができる。
【0020】
[0020]第1の細長い部材を所望の回転まで自動で回転させることは、第1の細長い部材が動いていることを収集データが確認するまで、第1の細長い部材を回転させることを含むことができる。たとえば、第1の細長い部材を所望の回転まで自動で回転させることは、印加トルクが閾値レベルを超過することを収集トルクデータが示す場合、ロボットシステムが回転を停止することを含むことができる。ロボットシステムを制御するステップは、第1の細長い部材の周辺部分より柔軟な第1の細長い部材の軸に対応する回転位置まで回転することを含むことができる。たとえば、第1の細長い部材を所望の回転まで自動で回転させることは、第1の細長い部材をそのより柔軟な軸に沿って屈曲させる可能性がある。
【0021】
[0021]これらの方法のいずれも、第1の細長い部材がハンドル内をその近位端で自由に回転することを可能にするステップを含むことができる。結腸の管腔に対して細長い部材の遠位端の位置を維持することは、結腸内の湾曲に引っ掛かるように、第2の細長い部材の遠位端を撓ませるために、ロボットシステムを制御することを含むことができ、ロボットシステムが、結腸の中心またはその付近で遠位端を維持するように第1または第2の細長い部材の遠位端を自動で回転させることをさらに含むことができる。
【0022】
[0022]これらの方法のいずれも、結腸の形状を感知するステップ、ならびに/または第1の細長い部材の近位端および/もしくは第2の細長い部材の近位端に印加される回転トルクの量を感知するステップを含むことができる。
【0023】
[0023]これらの方法のいずれも、第1および/または第2の細長い部材の位置に対応する視覚フィードバックを受け取るステップを含むことができる。たとえば、この方法は、視覚フィードバックに基づいて第1および/もしくは第2の細長い部材の位置を自動で調整もしくは維持するステップ、ならびに/または視覚フィードバックに基づいて第1および/もしくは第2の細長い部材の位置を調整するように医師に促すステップを含むことができる。
【0024】
[0024]これらの方法のいずれにおいても、結腸内の湾曲を低減するために細長い部材を制御するステップは、第2の細長い部材の遠位端が結腸に固定された状態でその遠位端を回転させながら、第1および第2の細長い部材のうちの少なくとも1つがその近位端で自由に回転することを可能にするために、ロボットシステムを制御することを含むことができる。結腸内の湾曲を低減するために細長い部材を制御するステップは、第1の細長い部材を第1の方向に回転させ、第2の細長い部材を第1の方向とは逆の第2の方向に回転させるために、ロボットシステムを制御することを含むことができる。実施例によっては、結腸内の湾曲を低減するために細長い部材を制御するステップは、第1および第2の細長い部材を結腸内の湾曲へ前進させてから、第1または第2の細長い部材を結腸に固定することと、第1および第2の端部の遠位端の近位にある結腸の少なくとも一部分が共に折り畳まれるように、第1および第2の細長い部材を後退させるために、ロボットシステムを制御することとを含み、その部分の長さは、第1および第2の細長い部材が後退させられるにつれて低減される。第1または第2の細長い部材を結腸に固定することは、吸引を印加して第1の細長い部材の遠位端を結腸に固定するために、ロボットシステムを制御することを含むことができる。たとえば、第1または第2の細長い部材を結腸に固定することは、第1の細長い部材上のバルーンを膨張させて第1の細長い部材の遠位端を結腸に固定するために、ロボットシステムを制御することを含むことができる。
【0025】
[0025]本明細書では、これらの方法のいずれかを実行するシステムについても記載する。たとえば、システムは、結腸に挿入されるように構成された細長い部材と、細長い部材の近位端に結合された基部と、1つまたは複数のプロセッサを備えるコントローラと、1つまたは複数のプロセッサに結合されたメモリとを含むことができ、メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、結腸の湾曲を低減するためのコンピュータ実装方法を行うコンピュータプログラム命令を記憶しており、この方法は、結腸の壁を細長い部材に係合して結腸の湾曲を低減するために、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップと、細長い部材を使用して、結腸の湾曲の低減を維持しながら、1つまたは複数の動作を実行するステップとを含む。
【0026】
[0026]細長い部材は、第1の細長い部材と、第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い部材とを含むことができる。細長い部材は、剛性付与可能であってよい。細長い部材は、第1の細長い剛性付与可能部材と、第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い剛性付与可能部材とを備えることができる。
【0027】
[0027]ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、第1の細長い部材および第2の細長い部材のうちの少なくとも1つが、結腸の外側にある細長い部材の近位端領域で自由に回転することを可能にすることを含むことができる。ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、結腸の外側にある細長い部材の近位端領域で、第1の細長い部材および第2の細長い部材の一方または両方を能動的に回転させることを含むことができる。実施例によっては、第1の細長い部材および第2の細長い部材の一方または両方を能動的に回転させることは、第1の細長い部材または第2の細長い部材が第1の細長い部材または第2の細長い部材の他の領域に対してより大きい曲げ剛性を有する方向に、第1の細長い部材または第2の細長い部材を能動的に回転させることを含むことができる。ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、一連の事前にプログラムされた移動を作動させることを含むことができる。ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材の遠位端にフックまたは曲げを形成することと、フックまたは曲げと結腸との間の角度を維持しながら、フックまたは曲げの近位で細長い部材の関節運動平面を変化させることとを含むことができる。実施例によっては、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材を少なくとも部分的に剛性化することを含む。ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、第1の細長い部材または第2の細長い部材のいずれかを部分的に剛性化することを含むことができる。実施例によっては、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材の遠位端領域を結腸の壁に対して固定しながら、遠位端領域の近位で細長い部材の関節運動平面を変化させることを含む。
【0028】
[0028]細長い部材の遠位端領域は、膨張性バルーンまたは吸引のうちの1つまたは複数によって、壁に対して固定することができる。
【0029】
[0029]実施例によっては、結腸の壁に係合するようにロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、細長い部材を使用して結腸の壁を近位に引っ張ることによって、結腸内にひだを形成することを含む。
【0030】
[0030]これらのシステムのいずれも、結腸内の細長い部材の形状を判定するように構成可能である。たとえば、細長い部材の形状を判定するステップは、細長い部材の形状を感知することを含むことができる。細長い部材の形状を判定するステップは、結腸内の細長い部材の個々の関節運動の履歴に基づいて、細長い部材の形状を推定することを含むことができる。
【0031】
[0031]これらのシステムのいずれも、細長い部材上に、結腸内を視覚化するための1つまたは複数の撮像センサーを含むことができる。
【0032】
[0032]ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップは、機械学習エージェントを使用して一連の移動を案内することを含むことができる。たとえば、システムは、システム内で動作する機械学習エージェントの訓練に基づいて、システムが結腸の湾曲の低減をもたらす可能性が高いとき、特定の一連の移動を実行するように、または特定の一連の移動を実行することをユーザに提案するように訓練することができる。
【0033】
[0033]たとえば、システムは、結腸に挿入されるように構成された細長い部材であり、第1の細長い部材および第1の細長い部材内を軸方向に摺動可能な第2の細長い部材を備える細長い部材と、第1の細長い部材および/または第2の細長い部材の近位端に結合された基部と、1つまたは複数のプロセッサを備えるコントローラと、1つまたは複数のプロセッサに結合されたメモリとを含むことができ、メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、結腸の湾曲を低減するためのコンピュータ実装方法を行うコンピュータプログラム命令を記憶しており、この方法は、細長い部材を遠位に結腸内へナビゲーションするステップと、結腸の壁を細長い部材に係合して結腸の湾曲を低減するために、ロボットシステムの一連の移動を作動させるステップと、細長い部材を使用して、結腸の湾曲の低減を維持しながら、1つまたは複数の動作を実行するステップとを含む。
【0034】
[0034]前述のように、本明細書では、細長い部材(たとえば、細長い剛性付与可能部材)を部分的に剛性化することによって、結腸の湾曲を低減する方法および装置について記載する。たとえば、本明細書では、結腸の湾曲を低減する方法であって、非剛性形態の細長い剛性付与可能部材を遠位に結腸内へ、結腸内の1つまたは複数の屈曲部の周囲にナビゲーションするステップと、第1の大きさの陽圧または陰圧を印加して、結腸内の細長い剛性付与可能部材を第1の剛性まで剛性化するステップと、細長い剛性付与部材を近位に結腸から引き抜きながら、1つまたは複数の屈曲部が低減されるように、第1の大きさより小さいが非剛性形態の大きさより大きい1つまたは複数の中間の大きさに陽圧または陰圧を調整することによって、細長い剛性付与部材の剛性を調整するステップとを含む方法について記載する。
【0035】
[0035]これらの方法のいずれも、細長い剛性付与部材を近位に引き抜く際に、細長い剛性付与可能部材の形状、および/または細長い剛性付与可能部材にかかる力を表示するステップを含むことができる。力は、細長い剛性付与可能部材に作用するトルク、および/または細長い剛性付与可能部材と結腸の壁との間の係合力を含むことができる。
【0036】
[0036]陽圧または陰圧の大きさは、典型的には、この陽圧または陰圧の絶対値である。中間圧力は、以前(たとえば、第1)の大きさからの差分の圧力であってよく、したがって細長い剛性付与可能部材を引き抜くとき、剛性の変化が徐々に低減される(または場合により増大される)。たとえば、中間の大きさは、第1の大きさから小さい割合だけ異なってよい(たとえば、第1の大きさより2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などだけ低い)。剛性を調整するステップは、細長い剛性付与可能部材に作用する力が、ユーザによる感覚によって測定または検出することができる閾値を下回るまで、反復的に実行することができる。
【0037】
[0037]一般に、剛性は、手動、自動、または半自動で調整することができる。たとえば、ユーザは、ユーザが細長い剛性付与部材を近位に引き抜くとき、剛性を手動で調整することができる。装置(たとえば、システム)は、細長い剛性付与可能部材に作用する力、および/もしくは細長い剛性付与可能部材の形状を表示することができ、ユーザは、それらを監視することができ、かつ/もしくはユーザは、後退の感覚に基づいて調整を行うことができ、またはこれらの何らかの組合せであってよい。たとえば、これらの方法のいずれも、細長い剛性付与部材が近位に引き抜かれるとき、細長い剛性付与部材に作用する1つまたは複数の力が閾値を超過しないように、細長い剛性付与部材の剛性を調整するステップを含むことができる。
【0038】
[0038]1つまたは複数の力は、トルク力、および/または細長い剛性付与部材と結腸の壁との間の係合力を含むことができる。調整するステップは、細長い剛性付与部材の剛性を自動で調整することを含むことができる。細長い剛性付与部材をナビゲーションするステップは、細長い剛性付与部材を第2の細長い剛性付与部材から伸縮させることを含むことができる。第2の細長い剛性付与部材の剛性はまた、細長い剛性付与部材を近位に引き抜きながら調整することもできる。
【0039】
[0039]これらの方法のいずれも、細長い剛性付与部材を使用して、結腸の湾曲の低減を維持しながら、1つまたは複数の動作を実行するステップを含むことができる。たとえば、結腸を低減形態で保持するために、遠位領域は結腸内に残った状態で、細長い剛性付与可能部材を部分的に近位に引き抜くことができる。細長い剛性付与可能部材は、この形態で剛性化することができる。細長い剛性付与可能部材(「第1」または外側の細長い剛性付与可能部材)を通して、第2の細長い剛性付与可能部材(たとえば、内側の細長い剛性付与可能部材)を前進させることができ、低減された生体構造を通して遠位にステアリングすることができる。次いで、第2の細長い剛性付与可能部材は、定位置で保持することができ、実施例によっては剛性化することができ、(任意選択で)第2の細長い剛性付与可能部材の上に第1の細長い剛性付与可能部材を遠位に再び前進させることができる。あるいは、次いで第1(または任意選択で第2)の細長い剛性付与可能部材を通して、1つまたは複数の処置(たとえば、撮像、生検、組織切除、組織除去など)を結腸壁上で実行することができる。
【0040】
[0040]本明細書では、細長い剛性付与可能部材、特に非剛性形態で互いの上を摺動して非剛性形態でのトルク伝達を不十分なものにするブレード層を含む複数の層から形成された細長い剛性付与可能部材内でトルクを伝達する方法および装置についても記載する。たとえば、剛性付与デバイスが、細長いフレキシブルチューブと、細長いフレキシブルチューブの上に配置されたブレード層と、細長いフレキシブルチューブおよびブレード層の上に位置する外層と、細長いフレキシブルチューブと外層との間に位置し、真空または圧力の供給源に取り付けられるように構成された入口と、細長いフレキシブルチューブと外層との間に位置する封止チャネルとを含むことができ、封止チャネルは、ワーキングチャネル、ケーブルガイド、または膨張管腔を備え、封止チャネルは、デバイスの近位端でハンドル領域に結合されたトルク伝達部材によって少なくとも部分的に形成され、したがってハンドル領域に印加されたトルクが細長いフレキシブルチューブの遠位端領域へ伝達されており、剛性付与デバイスは、入口を通して真空または圧力が印加される剛性形態と、入口を通して真空または圧力が印加されない軟性形態とを有するように構成されている。トルク伝達部材は、封止チャネルを形成するレーザカットハイポチューブを備えることができる。実施例によっては、トルク伝達部材は、広いトルク伝達ブレード角度(たとえば、60度、65度などより大きいブレード角度)を有するブレード部材を備える。封止チャネルは、入口を通して印加される真空または圧力から封止することができる。剛性付与可能部材のブレード層は、細長いフレキシブルチューブがまっすぐであるとき、細長いフレキシブルチューブの長手方向軸に対して5~40度のブレード角度で共に編み合わされた複数の撚り糸を含むことができる。
【0041】
[0041]剛性付与デバイスは、トルク伝達層およびトルク伝達層を覆う封止層を備える細長いフレキシブルチューブと、細長いフレキシブルチューブの上に配置されたブレード層と、ブレード層に隣接して位置するスリップ層と、細長いフレキシブルチューブおよびブレード層の上に位置する外層と、細長いフレキシブルチューブと外層との間に位置し、真空または圧力の供給源に取り付けられるように構成された入口とを含むことができ、剛性付与デバイスは、入口を通して真空または圧力が印加される剛性形態と、入口を通して真空または圧力が印加されない軟性形態とを有するように構成されており、スリップ層は、剛性付与デバイスが軟性形態にあるとき、ブレード層と細長いフレキシブルチューブまたは外層との間の摩擦を低減させるように構成されており、さらに、トルク伝達層は、デバイスの近位端でハンドル領域に結合され、したがって剛性付与デバイスが軟性形態にあるとき、ハンドル領域に印加されたトルクが、細長いフレキシブルチューブの遠位端領域へ伝達される。トルク伝達層は、近位ハンドル領域で取り付けられることに加えて、遠位端領域で、および/またはその長さに沿って、細長いフレキシブルチューブに結合することができる。トルク伝達層は、レーザカットハイポチューブを備えることができる。非常に高い柔軟性を有し、トルクを効率的に伝達する任意の適当なレーザカットパターンを使用することができる。たとえば、トルカビリティを犠牲にすることなく高度の柔軟性を提供する円周のレーザカット切り口のパターンを使用することができる。
【0042】
[0042]剛性付与デバイスは、細長いフレキシブルチューブと、細長いフレキシブルチューブの上に配置されたブレード層と、ブレード層に隣接して位置するスリップ層と、細長いフレキシブルチューブおよびブレード層の上に位置し、トルク伝達層およびトルク伝達層を覆う封止層を備える外層と、細長いフレキシブルチューブと外層との間に位置し、真空または圧力の供給源に取り付けられるように構成された入口とを含むことができ、剛性付与デバイスは、入口を通して真空または圧力が印加される剛性形態と、入口を通して真空または圧力が印加されない軟性形態とを有するように構成されており、スリップ層は、剛性付与デバイスが軟性形態にあるとき、ブレード層と細長いフレキシブルチューブまたは外層との間の摩擦を低減させるように構成されており、さらに、トルク伝達層は、デバイスの近位端でハンドル領域に結合され、したがって剛性付与デバイスが軟性形態にあるとき、ハンドル領域に印加されたトルクが、細長いフレキシブルチューブの遠位端領域へ伝達される。トルク伝達層は、レーザカットハイポチューブを備えることができる。
【0043】
[0043]本明細書に記載の方法および装置、特に動的に剛性化する方法および装置は、装置の態様を含むことができ、または装置と共に使用することができ、動的に剛性化する方法および装置は、たとえば2020年1月16日に出願された「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の国際出願第PCT/US2020/013937号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
[0044]本明細書に記載の方法および装置のすべてが任意の組合せで本明細書で企図されており、本明細書に記載のような利点を実現するために使用することができる。
【0045】
[0045]本発明の新規な特徴については、以下の特許請求の範囲に具体的に記載する。本発明の原理が利用される例示的な実施形態について記載する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって、本発明の特徴および利点をよりよく理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】[0046]剛性付与デバイスを示す図である。
【
図2A】[0047]剛性付与デバイスの例示の剛性化形状を示す図である。
【
図2B】剛性付与デバイスの例示の剛性化形状を示す図である。
【
図3A】[0048]本明細書に記載の真空剛性付与装置の一部分の一実施例を示す、装置の例示的な真空剛性付与部材の断面図である。
【
図3B】本明細書に記載の真空剛性付与装置の一部分の一実施例を示す、非剛性形態における層の配置を示す断面図の一部分の拡大図である。
【
図3C】[0049]本明細書に記載の複数のブレード層を有する真空剛性付与装置の一部分の一実施例を示す、外層が除去された(最も外側のブレード層を示す)真空剛性付与部材の斜視図である。
【
図3D】本明細書に記載の複数のブレード層を有する真空剛性付与装置の一部分の一実施例を示す、
図3Cの一部分の拡大図である。
【
図3E】本明細書に記載の複数のブレード層を有する真空剛性付与装置の一部分の一実施例を示す、
図3Cの真空剛性付与部材の縦断面図である。
【
図3F】本明細書に記載の複数のブレード層を有する真空剛性付与装置の一部分の一実施例を示す、
図3Cの剛性付与部材の横断面図である。
【
図4A】[0050]例示の圧力剛性付与デバイスを示す図である。
【
図4B】例示の圧力剛性付与デバイスを示す図である。
【
図5】[0051]遠位端部を有する剛性付与デバイスを示す図である。
【
図6】[0052]複数の能動的に制御される連結部を有する遠位端部を備えた剛性付与デバイスを示す図である。
【
図7】[0053]入れ子状剛性付与システムを示す図である。
【
図8】[0054]内側剛性付与デバイスと外側剛性付与デバイスとの間にカバーを備えた入れ子状剛性付与システムを示す図である。
【
図9A】[0055]外側剛性付与デバイスがステアリングおよび撮像機能を含む入れ子状剛性付与システムを示す図である。
【
図9B】外側剛性付与デバイスがステアリングおよび撮像機能を含む入れ子状剛性付与システムを示す図である。
【
図10A】[0056]入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10B】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10C】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10D】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10E】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10F】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10G】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10H】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図11A】[0057]ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図11B】ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図11C】ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図11D】ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図12A】[0058]ロボット制御剛性付与システムを作動させる機構を示す図である。
【
図12B】ロボット制御剛性付与システムを作動させる機構を示す図である。
【
図13】[0059]ロボット制御剛性付与システムの駆動ユニットを示す図である。
【
図14】[0060]ロボット制御剛性付与システムと共に使用するスライドを示す図である。
【
図15A】[0061]ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図15B】ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図16】[0062]ロボット制御剛性付与システム用の旋回アームを示す図である。
【
図17】[0063]ロボット制御剛性付与システムのための例示のユーザ作動コントロールを示す図である。
【
図18A】[0064]軟性形態たるみ状態の剛性付与システムを示す図である。
【
図18B】[0065]たるみを防ぐ駆動ホイールを備えた剛性付与システムを示す図である。
【
図19A】[0066]結腸におけるねじり操作を示す図である。
【
図19B】結腸におけるねじり操作を示す図である。
【
図19C】結腸におけるねじり操作を示す図である。
【
図20A】[0067]結腸のモデルにおける低減操作の一実施例を示す図である。
【
図20B】結腸のモデルにおける低減操作の一実施例を示す図である。
【
図21A】[0068]細長い剛性付与可能部材が細長い剛性付与可能部材の遠位端領域に固定バルーンを含む一実施例を概略的に示す図である。
【
図21B】[0069]細長い剛性付与可能部材が細長い剛性付与可能部材の遠位端領域に固定吸引ポートを含む一実施例を概略的に示す図である。
【
図21C】[0070]本明細書に記載の方法および装置の一部として使用することができる吸引ポートの一実施例を示す図である。
【
図21D】本明細書に記載の方法および装置の一部として使用することができる吸引ポートの一実施例を示す図である。
【
図21E】本明細書に記載の方法および装置の一部として使用することができる吸引ポートの一実施例を示す図である。
【
図21F】本明細書に記載の方法および装置の一部として使用することができる吸引ポートの一実施例を示す図である。
【
図22A】[0071]細長い剛性付与可能部材がハンドルドライバに対して回転することを可能にするように構成された細長い剛性付与可能部材の近位端の一実施例を示す図である。
【
図22B】細長い剛性付与可能部材がハンドルドライバに対して回転することを可能にするように構成された細長い剛性付与可能部材の近位端の一実施例を示す図である。
【
図22C】細長い剛性付与可能部材がハンドルドライバに対して回転することを可能にするように構成された細長い剛性付与可能部材の近位端の一実施例を示す図である。
【
図22D】細長い剛性付与可能部材がハンドルドライバに対して回転することを可能にするように構成された細長い剛性付与可能部材の近位端の一実施例を示す図である。
【
図22E】[0072]回転することができるように細長い剛性付与可能部材を固定するハンドルドライバの一実施例を示す図である。
【
図22F】回転することができるように細長い剛性付与可能部材を固定するハンドルドライバの一実施例を示す図である。
【
図23A】[0073]近位端で回転する細長い剛性付与可能部材を使用して湾曲(たとえば、ループ)を低減する方法の一実施例を示す図である。
【
図23B】近位端で回転する細長い剛性付与可能部材を使用して湾曲(たとえば、ループ)を低減する方法の一実施例を示す図である。
【
図23C】近位端で回転する細長い剛性付与可能部材を使用して湾曲(たとえば、ループ)を低減する方法の一実施例を示す図である。
【
図23D】近位端で回転する細長い剛性付与可能部材を使用して湾曲(たとえば、ループ)を低減する方法の一実施例を示す図である。
【
図23E】近位端で回転する細長い剛性付与可能部材を使用して湾曲(たとえば、ループ)を低減する方法の一実施例を示す図である。
【
図23F】近位端で回転する細長い剛性付与可能部材を使用して湾曲(たとえば、ループ)を低減する方法の一実施例を示す図である。
【
図23G】近位端で回転する細長い剛性付与可能部材を使用して湾曲(たとえば、ループ)を低減する方法の一実施例を示す図である。
【
図24A】[0074]ロボットシステムの細長い部材がその遠位端で関節運動および回転する一実施例を示す図である。
【
図24B】ロボットシステムの細長い部材がその遠位端で関節運動および回転する一実施例を示す図である。
【
図24C】ロボットシステムの細長い部材がその遠位端で関節運動および回転する一実施例を示す図である。
【
図25A】[0075]1対の伸縮式の細長い剛性付与部材を含むロボットシステムがひだの低減を実行する一実施例を示す図である。
【
図25B】1対の伸縮式の細長い剛性付与部材を含むロボットシステムがひだの低減を実行する一実施例を示す図である。
【
図25C】1対の伸縮式の細長い剛性付与部材を含むロボットシステムがひだの低減を実行する一実施例を示す図である。
【
図26A】[0076]細長い剛性付与部材が結腸モデル内で高度に剛性化されて近位に引っ張られる一実施例を示す図である。
【
図26B】細長い剛性付与部材が結腸モデル内で高度に剛性化されて近位に引っ張られる一実施例を示す図である。
【
図27A】[0077]細長い剛性付与部材が非剛性化されて近位に引っ張られる一実施例を示す図である。
【
図27B】細長い剛性付与部材が非剛性化されて近位に引っ張られる一実施例を示す図である。
【
図28A】[0078]部分的に剛性化されるように構成された細長い剛性付与部材を使用してモデル結腸を低減する一実施例を示す図である。
【
図28B】部分的に剛性化されるように構成された細長い剛性付与部材を使用してモデル結腸を低減する一実施例を示す図である。
【
図28C】部分的に剛性化されるように構成された細長い剛性付与部材を使用してモデル結腸を低減する一実施例を示す図である。
【
図29】[0079]真空によりねじり剛性部材を含む細長い装置を剛性化する一実施例を示す図である。
【
図30A】[0080]ねじり剛性部材を含む細長い剛性付与可能部材の別の実施例を示す図である。
【
図30B】[0081]本明細書に記載のねじり剛性部材の一部として使用することができるレーザカットハイポチューブの一実施例を示す図である。
【
図31】[0082]本明細書に記載の結腸のループを低減する方法の一実施例を概略的に示す図である。
【
図32】[0083]本明細書に記載の結腸のループを低減する方法の一実施例を概略的に示す図である。
【
図33】[0084]本明細書に記載の結腸のループを低減する方法の一実施例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[0085]一般に、本明細書では、1つまたは複数、好ましくは1対の入れ子状の細長い剛性付与部材の移動を制御する方法および装置(ソフトウェアを含むデバイスおよびシステム)について記載する。これらの方法および装置、ならびにそれらを使用する方法は、スコープ(たとえば、内視鏡)、またはその他の医療器具を、身体の湾曲部またはループ部、たとえば結腸を含むがこれには限定されない消化管の一部分を通して移送するのを支援するように構成可能である。特に、本明細書では、結腸などの身体領域の湾曲を低減する方法および装置について記載する。これらの処置を本明細書では「低減」と呼ぶ場合があり、これらの処置により、内視鏡などのスコープが身体内に挿入されて追跡されるときに普通なら発生し得る過度のループを低減することができる。本明細書に記載の方法および装置は、普通なら曲がりくねった身体領域をナビゲーションするときに特に有益となり得る方式で、低減を簡略化、自動化(または部分的に自動化)、および維持することができる。これらの方法は、従来の内視鏡検査では可能でない改善および技法を提供する。
【0048】
[0086]本明細書に記載の細長い剛性付与部材を、本明細書では剛性付与デバイスと呼ぶ場合もあり、長く、細く、中空とすることができ、軟性形態(すなわち、弛緩した、柔軟な、または曲げやすい状態)から、剛性形態(すなわち、堅い、および/または剛性化されたときの形状を保持する状態)に迅速に遷移することができる。実施例によっては、剛性付与装置は、複数の層(たとえば、コイル層または強化層、スリップ層、ブレード層、ブラダー層、および/または封止シース)を含むことができ、これらの複数の層が組み合わさって剛性付与デバイスの壁を形成することができ、剛性付与デバイスを「層状剛性付与装置」と呼ぶ場合がある。文脈が他の解釈を明らかにしない限り、本明細書に記載の方法および装置は、層状剛性付与装置を含む任意の適当な剛性付与デバイスを指すことができる。たとえば、本明細書に記載の剛性付与デバイス(部材、装置など)は、ジャミング粒子、相変化、連動構成要素(たとえば、円板または円錐を有するケーブルなど)、または任意の他の剛性付与機構によって剛性化することができる。剛性付与デバイスは、たとえば、剛性付与デバイスの壁に対して、または剛性付与デバイスの壁内に、真空または圧力を供給することによって軟性形態から剛性形態に遷移することができる。実施例によっては、真空または圧力が取り除かれた状態では、層は互いに対して相対的に容易に剪断または移動することができ、真空または圧力が加えられた状態では、層は剪断、移動、屈曲、トルクおよび座屈に対して実質的に強化された抵抗能力を示す状態に遷移することができ、それによりシステムに剛性付与をもたらす。
【0049】
[0087]本明細書に記載の剛性付与装置の実施例は、圧力(陽圧および/または陰圧)を使用して選択的かつ制御可能に剛性化するが、任意の適当な剛性付与装置が、本明細書に記載の低減を実行するように適合されてもよい。
【0050】
[0088]本明細書に記載の剛性付与(たとえば、選択的剛性付与)装置は、カテーテル、シース、スコープ(たとえば、内視鏡)、ワイヤ、オーバーチューブ、トロカール、または腹腔鏡器具を含む、様々な医療用途のために剛性付与をもたらすことができる。剛性付与デバイスは、別個の付加デバイスとして機能することができ、または、カテーテル、シース、スコープ、ワイヤまたは腹腔鏡器具の本体に組み込むことができる。本明細書に記載のデバイスは、非医療用構造体にも剛性付与をもたらすことができる。
【0051】
[0089]例示の剛性付与装置が
図1に示されている。示されているシステムは、ブレード層と、外層(下にあるブレードを示すためにその一部がこの実施例では切り取られている)と、内層とを含む複数の層を備えた壁を有する剛性付与デバイス300を含む。システムは、さらに、剛性付与デバイス300に真空または圧力を供給するための真空または圧力供給口344を有するハンドル342を含む。真空または圧力をオンおよびオフにし、それによって剛性付与デバイス300を軟性形態と剛性形態との間で遷移させるために、作動要素346を使用することができる。剛性付与デバイス300の遠位先端部339は、身体を通過する剛性付与デバイス300の遠位端移動を容易にするために、滑らかで柔軟性があり、非外傷性のものとすることができる。また、先端部339は、身体を通る剛性付与デバイス300の遠位端移動をさらに容易にするために、遠位端から近位端にかけて先細とすることができる。この実施例では、剛性付与装置は、オーバーチューブとして構成されているが、他の構成が使用されてもよい。
【0052】
[0090]剛性付与された形態の例示の剛性付与デバイスを、
図2Aおよび
図2Bに示す。剛性付与デバイスは剛性付与されるとき、真空または圧力が加えられる前の形状に固まり、すなわち剛性付与デバイスはまっすぐにならず、屈曲せず、またはその他により実質的にその形状を変えない(たとえば、
図2Aに示すようなループ形態または
図2Bに示すような蛇行形状で硬くなってもよい)。(たとえばコイル巻きチューブからなる)内層または外層に及ぼす空気硬化作用を、屈曲状態の剛性付与デバイスの最大荷重能力のわずかな割合(たとえば5%)とすることができ、それによって剛性付与デバイスがまっすぐに伸びることに対して抵抗することができる。真空または圧力が解放されると、デバイスを形成する層内のブレードまたは撚り糸が互いに対してロック解除し、剛性付与デバイスの屈曲を可能にするように再び移動することができる。この場合も、剛性付与デバイスが真空または圧力の解放によってより柔軟にされるとき、真空または圧力が解放される前の形状で柔軟になり、すなわち剛性付与デバイスはまっすぐにならず、屈曲せず、またはその他により実質的にその形状を変えない。したがって、本明細書に記載の剛性付与デバイスは、ブレードの撚り糸間の動きを制限することによって(たとえば真空または圧力を加えることによって)、柔軟性のある、より硬くない形態からより剛性が高い剛性形態に遷移することができる。
【0053】
[0091]本明細書に記載の剛性付与装置は、剛性形態と軟性形態との間で迅速に、実施例によっては不定遷移サイクル数でトグルすることができる。実施例によっては、装置の剛性付与の程度(たとえば、剛性)もまた、たとえば陽圧(陽圧によって剛性化される実施例の場合)または真空(真空によって剛性化される実施例の場合)を調整することによって調整することができる。介入医療デバイスがより長くされ、人体内に深く挿入されるようになるにつれ、また、より厳密な治療処置を行うことが期待されるにつれて、精度と制御の必要性が増している。本明細書に記載の選択的剛性付与デバイス(選択的剛性付与オーバーチューブを含む)は、(必要な場合に)柔軟性の利点と(必要な場合に)剛性の利点の両方をもたらすことができるので有利である。また、本明細書に記載の剛性付与デバイスは、たとえば、参照により本明細書にその全体が組み込まれる、2016年9月2日に出願された「DEVICE FOR ENDOSCOPIC ADVANCEMENT THROUGH THE SMALL INTESTINE」という名称の国際特許出願第PCT/US2016/050290号に記載されているものなど、従来型の内視鏡、大腸内視鏡、ロボットシステムおよび/またはナビゲーションシステムと共に使用することができる。
【0054】
[0092]本明細書に記載の剛性付与デバイスは、上記に加えて、または上記に代えて、WO2017/041052として公開された「DEVICE FOR ENDOSCOPIC ADVANCEMENT THROUGH THE SMALL INTESTINE」という名称の2016年9月2日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/050290号、WO2019/018682として公開された「DYNAMICALLY RIGIDIZING OVERTUBE」という名称の2018年7月19日に出願された国際特許出願第PCT/US2018/042946号、WO2020/018934として公開された「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURE」という名称の2019年7月19日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/042650号、および2020年1月16日に出願された「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の国際特許出願第PCT/US2020/013937号に関連して記載されている特徴のいずれも含むことができ、これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0055】
[0093]本明細書に記載の剛性付与デバイスは、異なる長さおよび直径を含む、複数の構成で提供可能である。実施例によっては、剛性付与デバイスは、(たとえば、剛性付与デバイスの本体内で典型的な内視鏡ツールの通過を可能にするための)ワーキングチャネル、バルーン、入れ子要素および/またはサイドローディング機構を含むことができる。
【0056】
[0094]たとえば、剛性付与装置100(剛性付与可能部材を含む、装置、たとえばシステムおよび/またはデバイスとも呼ばれる)が、真空、たとえば陰圧の印加によって剛性化されるように構成可能である。これらの装置は、概して、陰圧が印加されると積層構造を形成するように構成された層から形成することができ、したがって1つまたは複数のブレード層または織り層を可逆的に融合して柔軟な外層にすることができ、この外層がより剛性の強い内層に押し付けられる。
図3A~
図3Bは、真空の印加によって剛性化された装置(たとえば、デバイス、システム)の剛性付与部材の断面の一実施例を示す。
図3Bは、非剛性形態にある
図3Aの層の配置の拡大図を示す。この実施例では、剛性付与可能部材は、(たとえば、真空が印加されたとき)残りの層をそれに接して圧密にすることができる内面を提供するように構成された最内層115を含む。最内層115は、強化要素またはコイルを含むことができる。剛性付与部材はまた、最内層の上(たとえば、その半径方向外側)に任意選択のスリップ層113を含むことができる。スリップ層は、たとえば、内層115の外面および/または間隙層111内に位置する、潤滑油、コーティング、および/または粉末(たとえば、タルカムパウダー)とすることができる。半径方向の間隙層111は、実施例によっては、ブレード、ニット、および/または織り層109(本明細書では、便宜上「ブレード層」と呼ぶ)である可変剛性層から、内層および/またはスリップ層113を分離して、ブレード層とスリップ層および/または内層との間に空間を提供し、たとえば圧力が印加されていないとき、ブレード層が中を動くことができるようにすることができ、この空間または間隙は、圧力が印加されると除去されて、圧力(たとえば、真空)が印加されると、可変剛性層が半径方向内側に動くことを可能にする。第2の間隙層107が、可変剛性層109との間に存在してもよく、層111に類似したものであってよい。
図3C~
図3Fに関連して記載するように、複数の可変剛性層(たとえば、ブレード層)を含むことができ(たとえば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のブレード層を含むことができる)、追加の間隙層および/またはスリップ層によって分離することができる。最外層101は、間隙層によって可変剛性層から分離することができ、実施例によっては、ブレード層に対して引き下げるように真空が印加されると半径方向内側に移動し、ブレード層の表面に従うように構成可能である。そのような実施例では、最外層101は、柔らかく、非外傷性とすることができ、最内層115と共に真空気密チャンバを形成するように両端で封止することができる。実施例によっては、最外層をブラダーまたはブラダー層と呼ぶ場合がある。最外層101は、エラストマー、たとえばウレタン製とすることができる。最外層101の硬度は、たとえば30Aから80Aとすることができる。さらに、最外層101は、約0.0025cm(0.001インチ)、0.0051cm(0.002インチ)、0.0076cm(0.003インチ)、または0.0102cm(0.004インチ)など、0.0003cm(0.0001インチ)~0.0254cm(0.01インチ)の厚さを有することができる。あるいは、最外層は、たとえばLDPE、ナイロン、またはPEEKを含む、プラスチックとすることができる。実施例によっては、最外層と可変剛性層との間に別個のブラダー層を含むことができ、したがって最外層は比較的滑らかなままであり、別個のブラダー層は、可変剛性層にロックされると、圧力、たとえばブラダー層と内層との間の陰圧、または実施例によっては外層とブラダー層との間の陽圧の印加によって、可変剛性層を硬くする。
【0057】
[0095]
図3C~
図3Fは、複数のブレード層を含む装置100のチューブ状剛性付与部材の一実施例を示す。
図3A~
図3Bと同様に、装置は、(たとえば、中を通して器具または内視鏡を配置するための)管腔120の周囲に配置された複数の層から形成された壁を有するチューブを含む。実施例によっては、剛性付与デバイス100に剛性を付与するために、これらの層の間に真空を供給することができる。代わりに、本明細書に記載のチューブ状装置のいずれも、内層115を形成する固体の芯を含むことができる。
【0058】
[0096]最内層115は、たとえば剛性付与デバイス100の壁内に真空が印加されると残りの層をそれに接して圧密にすることができる内面を提供するように構成可能である。この構造体は、非真空状態において屈曲力を最小化および/または柔軟性を最大化するように構成することができる。実施例によっては、最内層115は、上述のようにマトリックス内に強化要素150zまたはコイルを含むことができる。
図3Eに示す実施例では、最内層115の上の(すなわち半径方向外側の)層113は、スリップ層とすることができる。層111は、半径方向空隙(すなわち空間)とすることができる。空隙層111は、その上のブレード層が(真空が印加されていないときに)内部で動くための空間と、(真空の印加時に)ブレード層または織り層が半径方向内側に動くことができる空間とを提供することができる。
【0059】
[0097]前述のように、可変剛性層109は、互いに交差する複数の撚り糸の長さを含む。撚り糸の長さは、単一の撚り糸(繊維、ワイヤ、フィラメント、フィラメントの束など)の一部、および/または別個の撚り糸の一部とすることができる。実施例によっては、可変剛性層は、本明細書の他の箇所に記載されているものと同様のブレード撚り糸133を含む第1のブレード層として構成される。可変剛性層(たとえば、ブレード層)は、たとえば、0.0025cm(0.001インチ)から0.1016cm(0.040インチ)の厚さとすることができる。たとえば、可変剛性層は、0.0025cm(0.001インチ)、0.0076cm(0.003インチ)、0.0127cm(0.005インチ)、0.0254cm(0.010インチ)、0.0381cm(0.015インチ)、0.0508cm(0.020インチ)、0.0635cm(0.025インチ)、または0.0762cm(0.030インチ)の厚さとすることができる。実施例によっては、
図3Dに示すように、ブレードは張力繊維またはフープ繊維137を有することができる。フープ繊維137は、ブレード層となるようにらせん状とし、および/または織ることができる。また、フープ繊維137は、2.54cm(1インチ)当たり2~50個、たとえば20~40個のフープで配置可能である。フープ繊維137は、半径方向に(座屈または湾曲に耐える)高い圧縮剛性を示すことができるが、剛性付与デバイス100の長手方向軸135の方向には柔軟なままであることができるので有利である。すなわち、剛性付与デバイス100に圧縮が加えられた場合、ブレード層109は圧縮しながら直径を拡大しようとする。フープ繊維137はこの直径拡張に耐えることができ、したがって圧縮に耐えることができる。したがって、フープ繊維137は、屈折時に柔軟であるがそれでも張力と圧縮の両方に耐えるシステムを提供することができる。
【0060】
[0098]実施例によっては、本明細書に記載の剛性付与デバイスは複数の可変剛性層を有することができる。たとえば、剛性付与デバイスは2層、3層または4層の可変剛性層を含むことができる。
図3Eを参照すると、層105は第2のブレード層105とすることができる。第2のブレード層105は、第1のブレード層109に関連して記載されている特徴のいずれでも有することができる。実施例によっては、第2のブレード層105のブレードは第1のブレード層109のブレードと同じとすることができる。他の実施例では、第2のブレード層105のブレードは第1のブレード層109のブレードと異なっていてもよい。たとえば、第2のブレード層105のブレードは、第1のブレード層109のブレードよりも少ない撚り糸を含み、より大きいブレード角度αを有することができる。撚り糸の本数が少ないことにより、剛性付与デバイス100の柔軟性を(同等またはより多数の撚り糸を有する第2の撚り糸と比較して)増しやすくすることができ、より大きいブレード角度αは、剛性付与デバイス100の柔軟性を増大させ/維持した状態で、(たとえば、第1のブレード層が圧縮された場合に)第1のブレード層109の直径を収縮させやすくすることができる。別の例として、第2のブレード層105のブレードは、第1のブレード層109のブレードよりも多数の撚り糸を含み、より大きいブレード角度αを有することができる。より多数の撚り糸を有する結果として、比較的強靱で滑らかな層となり、一方、より大きいブレード角度αを有することで第1のブレード層109の直径を収縮させやすくすることができる。
【0061】
[0099]層103は、層111と同様の別の半径方向空隙とすることができる。空隙層103は、約0.0762cm(0.03インチ)など、0.0005cm(0.0002インチ)~0.1016cm(0.04インチ)の厚さを有することができる。この範囲内の厚さは、ブレード層の撚り糸133が、剛性付与デバイス100の屈曲時に柔軟性を確保するように、互いに対して容易にスリップし、および/または膨らむことができるように保証することができる。
【0062】
[0100]最外層101は、ブレード層105、109に対して引き下げるように真空が印加されると半径方向内側に移動し、ブレード層105、109の表面に従うように構成可能である。最外層101は、柔らかく、非外傷性とすることができ、層115と共に真空気密チャンバを形成するように両端で封止することができる。最外層101は、エラストマー、たとえばウレタン製とすることができる。最外層101の硬度は、たとえば30Aから80Aとすることができる。また、最外層101は、約0.0025cm(0.001インチ)、0.0051cm(0.002インチ)、0.0076cm(0.003インチ)、または0.0102cm(0.004インチ)など、0.0003cm(0.0001インチ)~0.0254cm(0.01インチ)の厚さを有することができる。あるいは、最外層は、たとえばLDPE、ナイロンまたはPEEKを含む、プラスチックとすることができる。
【0063】
[0101]実施例によっては、最外層101は、たとえば、その中を延びる張力繊維またはフープ繊維137を有することができる。フープ繊維137は、たとえばアラミド(たとえばテクノーラ、ナイロン、ケブラー(登録商標))、ベクトラン、ダイニーマ、炭素繊維、グラスファイバーまたはプラスチック製とすることができる。また、フープ繊維137は、2.54cm(1インチ)当たり2~50フープ、たとえば20~40フープで配置することができる。実施例によっては、フープ繊維137はエラストマーシース内に積層させることができる。フープ繊維は、別の繊維と比較して一方向により高い剛性を示すことができるので有利である(たとえばフープ方向にはきわめて硬いが、剛性付与デバイスの長手方向軸の方向ではきわめて柔軟とすることができる)。さらに、フープ繊維は、フープ繊維が突然高いフープ剛性を示し得る引張荷重下に置かれるまでは、低いフープ剛性を示すことができるので有利である。
【0064】
[0102]実施例によっては、最外層101は、生体構造を通る剛性付与デバイスのスライド移動を向上させるために、その外面に潤滑油、コーティングおよび/または粉末(たとえばタルカムパウダー)を含むことができる。コーティングは、親水性(たとえばHydromer(R)コーティングまたはSurmodics(R)コーティング)または疎水性(たとえばフッ素重合体)とすることができる。コーティングは、たとえばコーティングを上にディップ、ペイントまたはスプレーすることによって塗布することができる。
【0065】
[0103]最内層115も同様に、柔軟性を最大限にするために、特に剛性付与デバイス100に真空が印加されていないときに境界層が互いに対してより容易に剪断することができるように構成された、潤滑油、コーティング(たとえば親水性または疎水性コーティング)および/または粉末(たとえばタルカムパウダー)をその内面上に含むことができる。
【0066】
[0104]実施例によっては、最外層101は半径方向内側の層の上で緩みがあってもよい。たとえば、層101(チューブを構成すると想定して)の内径は、半径方向内側の次の層との間で(たとえばブレード層との間で)0cm(0インチ)~0.508cm(0.200インチ)の直径空隙を有してもよい。これにより、高い剛性付与倍数を維持しながら、真空下にないときに真空剛性付与システムにより柔軟性を与えることができる。他の実施例では、最外層101は、半径方向内側の次の層(たとえばブレード層)上で多少伸張されてもよい。たとえば、層101を構成するチューブのゼロ歪み直径は、半径方向内側の次の層よりも直径が0cm(0インチ)から0.508cm(0.200インチ)小さくてもよく、次いでその上で伸張されてもよい。真空下にないとき、このシステムは、外層101がより緩いシステムよりも低い柔軟性を有し得る。しかし、より滑らかな外観も有することができ、使用中に裂ける可能性を低くすることもできる。
【0067】
[0105]実施例によっては、最外層101は半径方向内側の層の上で緩みがあってもよい。層101を徐々に拡張し、剛性付与デバイスが軟性形態でより自由に屈曲することができるようにするために、層101の下にわずかな陽圧が加えられてもよい。この実施例では、最外層101はエラストマーとすることができ、ブレード上で圧縮力を維持することができ、それによって剛性を与えることができる。(シースをブレードから離れるように名目的に拡張するのに十分な、たとえば2psiの)陽圧が加えられた後は、最外層101は剛性には寄与しなくなり、それによってベースライン柔軟性を強化することができる。剛性付与が必要になった後は、剛性を与えるために陽圧を陰圧(真空)によって置き換えることができる。
【0068】
[0106]剛性付与デバイス100内で真空を最小から完全気圧真空(たとえば約14.7psi)まで保持することができる。実施例によっては、可変剛性機能をもたせるために真空が任意の中間レベルまで解放されるように、ブリード弁、レギュレータまたはポンプ制御を備えることができる。この真空圧は、ブレードスリーブの層を隣接層に接して圧縮することによって、剛性付与デバイス構造体に剛性を与えるために有利に使用することができる。ブレードは、屈曲時に(すなわち、その長手方向軸に対して垂直に屈曲するときに)自然に曲がることができ、ブレードが内層上に載っている状態で屈曲形状に従うように、スリーブが曲げられると、織り合わさった撚り糸によって形成された格子構造が変形する。この結果、ブレードスリーブが曲がるにつれて各格子要素のコーナー角が変化する格子幾何形状となる。本明細書に記載の層などのコンフォーマルな材料の間で圧縮されると、格子要素はそれぞれの現在の角に固定され、真空の印加時に変形に耐えることができる強化された機能を有し、それによって真空が印加されたときの屈曲において構造全体に剛性を付与する。また、実施例によっては、ブレード中またはブレード上のフープ繊維は、高い印加曲げ荷重でのブレードの局部座屈を防止するのに役立つ引張荷重を支えることができる。
【0069】
[0107]剛性付与デバイス100の剛性は、軟性形態から剛性形態に遷移させると、2倍から30倍超、たとえば10倍、15倍、または20倍に増大することができる。特定の一実施例において、剛性付与デバイス100と同様の剛性付与デバイスの剛性を試験した。試験剛性付与デバイスの壁厚は1.0mm、外径は17mmであり、剛性付与デバイスの長さ9.5cmのカンチレバー部の端部に、剛性付与デバイスが10度撓むまで力を加えた。軟性モードのときにこれを行うのに要した力は30グラムに過ぎなかったが、剛性(真空)モードでこれを行うのに要した力は350グラムであった。
【0070】
[0108]真空剛性付与デバイス100の一部の実施例では、ブレード層は1層のみであってもよい。真空剛性付与デバイス100の他の実施例では、2層、3層またはそれより多くのブレード層を備えることができる。実施例によっては、剛性付与デバイス100の半径方向空隙層またはスリップ層のうちの1つまたは複数の層をなくすことができる。実施例によっては、剛性付与デバイス100のスリップ層のうちの一部または全部の層をなくすことができる。
【0071】
[0109]本明細書に記載のブレード層は、可変剛性層の役割を果たすことができる。可変剛性層は、作動させると(たとえば真空が印加されると)曲げ剛性および/または剪断抵抗が増大し、その結果剛性がより高くなる、1つまたは複数の可変剛性要素または構造体を含むことができる。ブレード層に加えて、またはブレード層に代えて他の可変剛性要素を使用することができる。実施例によっては、参照により全体が本明細書に組み込まれる2018年7月19日に出願された「DYNAMICALLY RIGIDIZING OVERTUBE」という名称の国際特許出願第PCT/US2018/042946号に記載されているように、係合部を可変剛性要素として使用することができる。これに代えて、またはこれに加えて、可変剛性要素は、粒子または顆粒、ジャミング層、薄片、剛性付与軸部材、剛性付与部品、長手方向部材または実質的に長手方向の部材を含むことができる。
【0072】
[0110]本明細書に記載の剛性付与可能装置はまた、真空ではなく陽圧の印加によって剛性付与することができる。たとえば、
図4A~
図4Bを参照すると、剛性付与装置(たとえば、デバイスまたはシステム)2100は、剛性付与のために真空ではなく圧力(たとえば、1気圧を超える圧力)を保持するように構成可能な点を除き、上述の剛性付与装置100と同様とすることができる。圧力作動式の剛性付与デバイス2100はまた、(たとえば、中を通して器具または内視鏡を配置するための)管腔2120の周囲に配置された複数の層を含むことができる。
【0073】
[0111]たとえば、
図4A~
図4Bは、剛性付与装置の圧力作動式の剛性付与可能部材の一実施例の長手方向断面および半径方向断面を示す。
図4Aおよび
図4Bに示す剛性付与デバイス2100は、(最内層115に類似した)最内層2115と、(スリップ層113に類似した)任意選択のスリップ層2113と、圧力間隙2112と、ブラダー層2121と、(間隙層111に類似した)間隙層2111と、(可変剛性層109に類似した)可変剛性層2109と、(層107に類似した)間隙層2107と、最外(たとえば、閉じ込め)層2101とを含むことができる。
【0074】
[0112]圧力空隙2112は、剛性付与デバイス2100の層への圧力印加のための空隙を与える封止チャンバとすることができる。圧力は、流体または気体膨張/圧力媒体を使用して圧力空隙2112に供給することができる。膨張/圧力媒体は、水または生理食塩水、あるいは、たとえば油またはグリセリンなどの潤滑流体とすることができる。潤滑流体は、たとえば、剛性付与デバイス2100の層が軟性形態において互いの上を動きやすくすることができる。膨張/圧力媒体は、剛性付与デバイス2100の剛性付与時に空隙2112に供給することができ、剛性付与デバイス2100を軟性形態に変形し戻すために部分的にまたは完全に排出させることができる。実施例によっては、剛性付与デバイス2100の圧力空隙2112は、事前充填シリンジまたは事前充填吸入器などの事前充填圧力源に接続可能であり、それによって医師の要する準備時間を短縮することができる。
【0075】
[0113]ブラダー層2121は、たとえば(たとえばショア硬度20A~70Aの)低デュロメータエラストマーまたは薄いプラスチックシート製とすることができる。ブラダー層2121は、チューブを形成するように長さ方向に封止されたプラスチックまたはゴムの薄いシートから形成することができる。長さ方向の封止は、たとえば突き合わせ継手または重ね継ぎとすることができる。たとえば、重ね継ぎは、重ね継ぎにおけるゴムを溶融させることによって、または接着剤を使用することによって、ゴムシートに長手方向に形成することができる。実施例によっては、ブラダー層2121は、厚さ約0.0127cm(0.005インチ)など、0.0005cm(0.0002インチ)~0.0508cm(0.020インチ)の厚さとすることができる。ブラダー層2121は、柔らかい、高摩擦性の、伸縮性のある、および/またはしわが寄りやすいものとすることができる。実施例によっては、ブラダー層2121は、ポリオレフィンまたはPETである。ブラダー2121は、たとえば、基材の押し出し成形などの熱収縮チューブを形成するために使用される方法を使用し、次に熱、圧力および/または放射による壁薄化によって形成することができる。圧力空隙2112を通して圧力が供給されると、ブラダー層2121は、空隙層2111を通して拡張して、ブレード撚り糸の相対運動が低減されるようにブレード層2109を閉じ込め最外層2101に押し付けることができる。
【0076】
[0114]閉じ込め最外層2101は、押し出し成形チューブなどのチューブとすることができる。あるいは、閉じ込め最外層2101は、本明細書に記載の他の実施例の最内層に関連して説明したものと類似した補強部材(たとえば、円形または矩形断面を備えた金属ワイヤ)がエラストマーマトリックス内に封入されたチューブとすることができる。実施例によっては、閉じ込め最外層2101は、(たとえばラウンドワイヤまたはフラットワイヤ製の)つる巻きばね、および/またはチューブ状ブレード(ラウンド金属ワイヤまたはフラット金属ワイヤからなるものなど)と、層内の他の要素に結合されていない薄いエラストマーシートとを含むことができる。閉じ込め最外層2101は、連続した滑らかな表面を備えたチューブ状構造体とすることができる。これにより、近接し、局所的に高い接触荷重を有するそれに接してスライドする外側部材(たとえば本明細書でさらに説明するような入れ子構成)に好都合にすることができる。また、外層2101は、ピンチングなどの圧縮荷重を支持するように構成可能である。さらに、(たとえば補強要素を中に備えた)外層2101は、圧力が加えられても剛性付与デバイス2100が直径を変化させるのを防止するように構成可能である。
【0077】
[0115]外層2101と内層2115の両方が補強要素を中に含むため、ブレード層2109は(引張荷重下での)直径の縮小と(圧縮荷重下での)直径の増大の両方が適度に抑制され得る。
【0078】
[0116]軟性状態から剛性状態への遷移のために真空ではなく圧力を使用することによって、剛性付与デバイス2100の剛性を増すことができる。たとえば、実施例によっては、圧力空隙2112に供給される圧力は、2気圧と40気圧の間、4気圧と20気圧の間、5気圧と10気圧の間など、1気圧と40気圧の間とすることができる。実施例によっては、供給される圧力は、約2気圧、約4気圧、約5気圧、約10気圧、約20気圧である。実施例によっては、剛性付与デバイス2100は、(単純なカンチレバー構成で測定されたときに)10倍~80倍、20倍~50倍など、2倍から100倍の、軟性形態から剛性形態への相対曲げ剛性の変化を示すことができる。たとえば、剛性付与デバイス2100は、約10倍、15倍、20倍または25倍、30倍、40倍、50倍あるいは100倍を超える、軟性形態から剛性形態への相対曲げ剛性の変化を有し得る。
【0079】
[0117]本明細書に記載の剛性付与デバイスのいずれも、遠位端部または、剛性付与デバイスの細長い本体とは異なる設計の部分を有することができる。たとえば、
図5に示すように、剛性付与デバイス5500は、細長い本体5503zと遠位端部5502zとを有することができる。遠位端部5502zのみ、細長い本体5503zのみ、または遠位端部5502zと細長い本体5503zの両方が、本明細書に記載のように(たとえば真空および/または圧力により)剛性付与することができる。実施例によっては、一方の部分5502z、5503zが圧力によって作動し、他方の部分5502z、5503zが真空によって作動する。他の実施例では、両方の部分5502z、5503zが圧力または真空によって作動する。
【0080】
[0118]
図6を参照すると、他の実施例では、遠位端部7602zが、剛性付与デバイス7600のステアリングのためにケーブル7624を介するなどして能動的に制御される複数の連結部7604zを含むことができる。デバイス7600は、デバイスの動きを制御するように構成されたケーブル7624を含む点を除き、デバイス5800と類似している。
図6には細長い剛性付与本体7603z(すなわち外壁7601、ブレード層7609および内層7615を備える)を通るケーブル7624の通過が図示されていないが、ケーブル7624は本明細書の他の箇所に記載されているようないずれかの方式で延びることができる。実施例によっては、細長い剛性付与本体7603zの1つまたは複数の層が、遠位端部7602z内に続くことができる。たとえば、
図26に示すように、内層7615が遠位端部7602z内に続くことができ、たとえば連結部7604zの半径方向内側に位置することができる。同様に、剛性付与近位部からの追加の層のうちのいずれかの層(たとえば、ブレード層7609もしくは外層7601が遠位部7602z内に続いてもよく、および/または、連結部7604zの半径方向内側に位置してもよい)。他の実施例では、細長い剛性付与本体7603zの層のいずれも遠位部7602z内まで続いていない。連結部7604zは(および本明細書に記載のいずれの連結部も)その上に被覆材7627zを含むことができる。被覆材7627zは、遠位部7602zを非外傷性および/または滑らかにすることができるので有利である。被覆材7627zは、延伸PTFEなどのフィルムとすることができる。延伸PTFEは、屈曲に対する抵抗が低いが座屈に対する抵抗が高い、滑らかで低摩擦性の表面を与えることができるので有利である。
【0081】
[0119]実施例によっては、本明細書に記載の剛性付与デバイスは、本明細書に記載の1つまたは複数の他の剛性付与デバイスと共に使用することができる。たとえば、内視鏡が本明細書に記載の剛性付与機構を含むことができ、剛性付与デバイスが本明細書に記載の剛性付与機構を含むことができる。これらを併用することにより、次々に前進することができ、それによってループが減らされるかまたはなくなるように常に要素のうちの1つが硬化されたままであることができるようにする、入れ子状システムを形成することができる(すなわち順次に前進する入れ子状システムを形成することができる)。
【0082】
[0120]例示の入れ子状システム2300zを
図7に示す。システム2300zは、同心円状にまたは非同心円状に互いに対して軸方向に移動可能な外側剛性付与デバイス2300と内側剛性付与デバイス2310(ここでは剛性付与スコープとして構成される)とを含むことができる。外側剛性付与デバイス2300と内側剛性付与デバイス2310は、本明細書に記載のような剛性付与機構のいずれでも含むことができる。たとえば、外側剛性付与デバイス2300は、最外層2301aと、可変剛性層2309aと、巻かれた補強コイルを含む内層2315aとを含むことができる。外側剛性付与デバイス2300は、たとえば、剛性付与をもたらすように最外層2301と内層2315aとの間で真空を受けるように構成することができる。同様に、内側スコープ2310は、(たとえばコイルが巻かれた)外層2301bと、可変剛性層2309bと、ブラダー層2321bと、(たとえばコイルが巻かれた)内層2315bとを含むことができる。内部スコープ2310は、たとえば、剛性付与をもたらすためにブラダー2321bと内層2315bとの間で圧力を受けるように構成可能である。また、空気/水チャネル2336zとワーキングチャネル2355とが内側剛性付与デバイス2310を通って延びることができる。さらに、内部剛性付与スコープ2310は、カメラ2334zと、ライト2335zと、ステアリング可能連結部2304zとを備えた遠位部2302zを含むことができる。遠位部2302zの上にカバー2327zが延びていてもよい。別の実施例では、カメラおよび/または照明は別個のアセンブリで送達可能である(たとえば、カメラと照明とがカテーテル内に束ねられ、ワーキングチャネル2355および/または追加のワーキングチャネルを通して最遠位端2333zまで送達されてもよい)。
【0083】
[0121]内側剛性付与デバイス2310と外側剛性付与デバイス2300との間に境界2337zを配置することができる。境界2337zは、たとえば、0.0051cm(0.0020インチ)、0.0127cm(0.005インチ)または0.0508cm(0.020インチ)の厚さなど、0.0025cm(0.001インチ)~0.127cm(0.050インチ)の寸法d(
図5参照)を有する空隙とすることができる。実施例によっては、境界2337zは、低摩擦性とすることができ、たとえば摩擦を低減するために粉末、コーティングまたはラミネーションを含むことができる。実施例によっては、内側剛性付与デバイス2310と外側剛性付与デバイス2300との間に封止材があってもよく、介在空間は静圧軸受を形成するようにたとえば流体または水によって加圧されてもよい。他の実施例では、内側剛性付与デバイス2310と外側剛性付与デバイス2300との間に封止材があってもよく、介在空間は摩擦を低減するために小球で満たされてもよい。
【0084】
[0122]内側剛性付与デバイス2310と外側剛性付与デバイス2300は、入れ子状システム2300zの長さに沿って屈曲または形状を伝達するように、互いに対して相対的に移動可能であり、交互に剛性化することができる。たとえば、内側デバイス2310を管腔に挿入することができ、所望の形状に屈曲またはステアリング可能である。可変剛性層にこの形態における内側剛性付与デバイス2310を係合させ、ロックさせるために、内側剛性付与デバイス2310に圧力を加えることができる。次に、(たとえば軟性状態の)剛性付与デバイス2300を、剛性内側デバイス2310の上を前進させることができる。外側剛性付与デバイス2300が内側デバイス2310の先端部に達すると、剛性付与デバイスの形状を固定するように層を係合させ、ロックするために、剛性付与デバイス2300に真空を印加することができる。内側デバイス2310は、軟性状態に遷移し、前進することができ、このプロセスが繰り返される。システム2300zについて剛性付与デバイスと、スコープとして構成された内側デバイスとを含むものとして説明しているが、他の構成も可能であることを理解されたい。たとえば、システムは、2つのオーバーチューブ、2つのカテーテル、またはオーバーチューブとカテーテルとスコープの組合せを含んでもよい。これらの実施例では、内側部材と外側部材との両方が剛性付与部材である。
【0085】
[0123]
図8に別の例示の入れ子状システム2700zを示す。システム2700zは、内側剛性付与デバイスと外側剛性付与デバイス2710、2700の両方に取り付けられたカバー2738zを含む点を除いてシステム2300zと類似している。カバー2738zは、たとえば、弾性と伸縮性を可能にするように、低デュロメータで薄壁であってもよい。カバー2738zは、ウレタン、ラテックスまたはシリコーンなどのゴムであってもよい。カバー2738zは、内側デバイスと外側デバイス2710、2700との間の境界/半径方向空隙を保護してもよい。カバー2738zは、内側チューブと外側チューブとの間の空間に汚染物質が入るのを防いでもよい。カバー2738zは、さらに、内側チューブと外側チューブとの間の空間に組織およびその他の物質が閉じ込められるのを防いでもよい。カバー2738zは、内側デバイス2710と外側デバイス2700が互いに独立して移動することができるようにするために材料の弾性限界内で伸びてもよい。カバー2738zは、カバー2738zが常に最小限のわずかに伸びた状態にあるようにして、剛性付与デバイス2710、2700に接着されるかまたは取り付けられてもよい。この実施例は、清浄化のために外側を拭くことができてもよい。実施例によっては、カバー2738zは、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第US6447491号で開示されているものなどの、「ローリング」封止材として構成可能である。
【0086】
[0124]
図9A~
図9Bに別の例示の入れ子状システム9400zを示す。このシステム9400zでは、外側剛性付与デバイス9400が(たとえばスコープに類似した)ステアリングおよび撮像機能を含み、一方、内側デバイスは剛性付与機能のみを含む(ただし、本明細書の他の箇所に記載されているような追加のステアリング要素を含むことができる)。したがって、外側デバイス9400は本明細書で開示されている連結部またはその他のステアリング手段9404zと、カメラ9434zと照明9435zとを含む。外側デバイス9400は、さらに、内側デバイス9410にアクセスするための中央通路9439z(たとえばその中のワーキングチャネルなどの管腔)を含むことができる。実施例によっては、チューブのベローまたはループが通路9439zを内側デバイス9410の管腔に接続することができる。他の入れ子状システムと同様に、一度にデバイス9410、9400の少なくとも一方が剛性付与可能であり、他方は剛性付与に従い、および/または生体構造を通って移動することができる。ここで、外側デバイス9400は内側デバイス9410を導くことができる(
図9Aでは内側デバイス9410が外側デバイス9400に対して相対的に引き込まれている様子が示されており、
図7Bでは外側デバイス9400とほぼ等しく伸張されている)。システム9400zは、生体構造を挟むのを回避し、および/または内側デバイスと外側デバイス9410、9400との間に流体が流入するのを回避するように、滑らかな外表面を与えることができるので有利である。外側デバイス9400にステアリング機能を有することで、先端部のステアリングのために追加のてこ力を与えることもできる。また、外側デバイスは、外側デバイス9400のより大きな直径と、より大型のカメラを収容することができることにより、より優れた撮像機能をもたせるのを容易にすることができる。
【0087】
[0125]
図10A~
図10Hに、本明細書に記載のような入れ子状システム2400zの使用例を示す。
図10Aでは、ステアリング可能内側剛性付与デバイス2410の遠位端が外側剛性付与デバイス2400の外側に延びるように、内側剛性付与デバイス2410が外側剛性付与デバイス2400内に配置されている。
図10Bでは、内側剛性付与デバイス2410の遠位端が(たとえばケーブル7624などのステアリングケーブルを介して)所望の方向/向きに曲げられ、次に(たとえば本明細書に記載のように真空または圧力を使用して)剛性化される。
図10Cでは、(軟性形態の)外側剛性付与デバイス2400が剛性付与された内部剛性付与デバイス2410の上(屈曲遠位部の上を含む)を前進させられる。外側剛性付与デバイス2400の遠位端が内側剛性付与デバイス2410の遠位端上で十分に前進させられた後、外側剛性付与デバイス2400に(たとえば本明細書に記載のように真空または圧力を使用して)剛性付与することができる。
図10Dでは、次に、(たとえば本明細書に記載のように真空または圧力を取り除くことによって、および、先端部が容易に動くことができるようにステアリングケーブルが緩むことができるようにすることによって)内側剛性付与デバイス2410を軟性状態に遷移させることができ、希望の通りに前進させ、方向づけ/向かせ/ステアリングすることができる。あるいは、
図10Dで、剛性付与された外側チューブにかかる荷重を最小限にするように、内側剛性付与デバイス2410が出現すると、内側剛性付与デバイス2410を(手動またはコンピュータ制御により)能動的にステアリングすることができる。外側剛性付与デバイス2400にかかる荷重を最小限にすることで、このチューブが剛性付与された形状を保持するのが容易になる。内側剛性付与デバイス2410が剛性付与された後は、外側剛性付与デバイス2400を軟性状態に遷移させることができ、(
図10Eに示すように)その上を前進させることができる。次に、
図10F~
図10Hに示すようにこのプロセスを繰り返すことができる。繰り返されたプロセスの結果、軟性形態の内側および外側の剛性付与デバイス2410、2400が、デバイス2410、2400のうちのいずれか剛性形態にある方の形状に連続して従う(またはコピーする)「形状コピー」を生じさせることができる。
【0088】
[0126]実施例によっては、
図10A~
図10Hに示すシーケンスの完了時に、最初の2つの剛性付与デバイス(2400、2410)の上に第3の剛性付与デバイスをスライドさせ、剛性付与することができる。次に、剛性付与デバイス2400および2410を引き抜くことができる。最後に、第3のチューブの内部管腔に第4の剛性付与デバイスを挿入することができる。この第4の剛性付与デバイスは、剛性付与デバイス2410よりも大きい直径とより多くの機構を有してもよい。たとえば、第4の剛性付与デバイスは、より大きいワーキングチャネル、より多くのワーキングチャネル、より高性能なカメラまたはこれらの組合せを有してもよい。この技術は、より柔軟性があり操作しやすい傾向がある2つのより小型のチューブが身体の深部に達することを可能にすることができる一方、治療目的のためにより大型のチューブを最終的に送達することができる。あるいは、上記の例において、第4の剛性付与デバイスは、当技術分野で知られているような通常の内視鏡であってもよい。
【0089】
[0127]実施例によっては、
図10A~
図10Hに示すシーケンスの完了時に、外側剛性付与デバイス2400が剛性付与されてもよく、次に内側剛性付与デバイス2410が取り外されてもよい。たとえば、剛性付与デバイス2410は、カメラと照明と遠位ステアリング部とを含む「ナビゲーション」デバイスであってもよい。「ナビゲーション」デバイス2410は処置と処置との間に洗浄しやすいように、十分に密閉されていてもよい。その場合、第2の内側デバイスが剛性付与外側デバイス2400の内側に配置されてもよく、外側デバイス2400の遠位端を越えて前進させられてもよい。第2の内側デバイスは、カメラ、ライト、水、吸引ツールおよび様々なツールなどの要素を含む「治療」チューブであってもよい。「治療」デバイスは、ステアリング部または剛性付与能力を有していなくてもよく、それによって治療チューブの本体内に他の機構、たとえば治療を行うためのツールを含めるための追加の空間を与えてもよい。所定位置に配置された後は、「治療」チューブ上のツールが、たとえば人体の消化管における粘膜切除または切開などの身体の治療を行うために使用されてもよい。
【0090】
[0128]別の実施例では、
図10A~
図10Hに示すシーケンスの完了後または完了時に、第3のデバイスが内側チューブ2410内に挿入されてもよい。第3のデバイスは剛性付与デバイスおよび/または内視鏡であってもよい。
【0091】
[0129]実施例によっては、
図10A~
図10Hに示すシーケンスの完了およびシステム2400zを使用して所定位置で行われた任意の治療の完了後、システム2400z全体を生体構造から取り外すことができる。引き抜きの方法の一例では、システム2400zを軟性形態に遷移させることができ(すなわち、内側と外側の両方のデバイス2410、2400を軟性形態に遷移させることができる)、軟性システム2400zを近位側に引っ張ることができる。この方法では、患者の身体(たとえば肛門)とロボットアーム(たとえば後述するアーム1023y)との間の張力が、(たとえば、軟性システム2400zのより多くの部分が身体の内部よりも身体の外部に位置づけられるため)システム2400zが取り外されるときに身体から落ちるのを防ぐことができる。
【0092】
[0130]引き抜き方法の別の例として、
図10A~
図10Hを参照しながら説明したのと同様であるが、それとは逆の形状コピーを行うことができる。この例では、たとえば、内側剛性付与デバイス2410を剛性化することができ、内側剛性付与デバイス2410の上で外側剛性付与デバイス2400を(軟性形態にある状態で)近位側に引き抜くことができる。次に外側剛性付与デバイス2400を剛性化することができ、内側剛性付与デバイス2410を弛緩させ、外側剛性付与デバイス2400内で(たとえば内側剛性付与デバイス2410の遠位端が外側剛性付与デバイス2400の遠位端と面一になるまで)近位側に移動させることができる。この実施例では、内側剛性付与デバイス2410が外側剛性付与デバイス2400内に引き込まれると、外側剛性付与デバイス2400の固定形状を損なわずにステアリング可能遠位端部が外側剛性付与デバイス2400の形状に確実に移行するように、ステアリングケーブルの張力を一定に(たとえば0.1kg(1/4ポンド)未満などの低い値に)保持することができる。これに代えて、またはこれに加えて、外側剛性付与デバイス2400がまっすぐな形状で剛性化される場合、内側剛性付与デバイス2410を外側剛性付与デバイス2400内に引き込むことができ、ステアリングケーブルのそれぞれの張力を等しくする(すなわち、同じ値、したがって子形状を母形状の内側の形状に従わせる)ことができる。
【0093】
[0131]引き抜き方法の別の例として、内側剛性付与デバイス2410のステアリング可能遠位先端部が外側剛性付与デバイス2410内に後退させられるとき、またはその後で、その遠位先端部を近位側に能動的にステアリングして外側剛性付与デバイス2400の既知、想定または測定形状とすることができる。すなわち、外側剛性付与デバイス2400の、内側剛性付与デバイス2410の遠位先端部の直近位にある部分の形状と一致するように、内側剛性付与デバイス2410の遠位先端部をステアリングすることができる。特定の一実施例では、内側剛性付与デバイス2410は、外側剛性付与デバイス2400から10.16cm(4インチ)だけ突出していてもよく、外側剛性付与デバイス2400の最後の10.16cm(4インチ)が、6.35cm(2.5インチ)の曲率半径に沿った90度湾曲を形成してもよい。この実施例では、内側剛性付与デバイス2410を6.35cm(2.5インチ)の曲率半径に沿った90度湾曲になるようにステアリングすることができ、次に外側剛性付与デバイス2400内に(その形状で)引き込むことができる。これは、内側剛性付与デバイス2410が外側剛性付与デバイス2400内に確実に容易に引き込まれるようにすることができる(すなわち両者の形状が一致させられているため)ので有利となり得る。
【0094】
[0132]剛性と移動(たとえば、時計回り方向の回転、反時計回り方向の回転、遠位への前進、近位への後退)との両方が、内側および外側剛性付与部材に対して別個に制御されてよい。実施例によっては、内側および外側部材のうちの一方または両方がステアリング可能であってもよい。たとえば、内側剛性付与部材もしくは外側剛性付与部材のいずれか、または内側剛性付与部材と外側剛性付与部材との両方が、それらの遠位端でステアリング可能であってよい。場合により、ステアリングは、1つまたは複数のワイヤ(たとえば、テンドン)によって制御されてよい。本明細書により詳細に記載されるように、遠位端のステアリングを含む、剛性および移動は、低減を含む本明細書に記載の方法を実行するように、コントローラによって制御および/または連係されてよい。コントローラはまた、内側および外側剛性付与部材のうちの一方または両方における1つまたは複数の形状センサーから、入力を受け取ることができる。たとえば、光ファイバ形状センサーは、内側剛性付与部材または外側剛性付与部材のいずれかまたは両方の一部であってよい。内側および外側剛性付与部材のうちの一方または両方はまた、内側および/または外側部材を動かすために必要とされる力を検出する1つまたは複数の力センサーを含むことができる。これらの装置のいずれも、時計回りおよび/または反時計回り方向に内側剛性付与部材にかかるトルクまたは回転への抵抗を検出するように構成された1つまたは複数のトルクセンサーを含むことができる。これらの装置のいずれも、時計回りおよび/または反時計回り方向に外側剛性付与部材にかかるトルクまたは回転への抵抗を検出するように構成された1つまたは複数のトルクセンサーを含むことができる。加えて、装置は、内側および/または外側剛性付与部材の前進および/または後退への抵抗を検出するための1つまたは複数のセンサーを含むことができる。一般に、本明細書に記載のコントローラは、これらの形状感知および/またはトルクもしくは他の力センサーからの入力に少なくとも部分的に基づいて、低減を含む移動を連係させることができる。本明細書に記載のコントローラはまた、内側および/または外側剛性付与部材の剛性を制御して連係させることができる。
【0095】
[0133]実施例によっては、本明細書に記載の剛性付与デバイス(たとえば、システム2400zなどの入れ子状システム)をロボット制御することができる。任意の適当な制御サブシステムを使用して、遠位端のステアリング、剛性付与部材の前進および/もしくは後退、および/または内側および/もしくは外側剛性付与部材の回転を含む、移動を制御することができる。
図11A~
図11Dに、ロボット制御または操作(たとえば剛性化、ステアリング、移動、回転など)可能な
図10A~
図10Hに示すもののような入れ子状システム9300zの使用例を示す。
図11A~
図11Dに示すように、外側剛性付与デバイス9300と内側剛性付与デバイス9310とが共にカセット9375などの共通構造体において終端されてもよい。外側剛性付与デバイス9300は、カセット9357に取り付けられたディスク9389の回転によって、内側剛性付与デバイス9310に対して相対的に移動可能である。たとえば、ディスク9389はピニオンとすることができ、外側剛性付与デバイス9300は外部に複数の微小な歯を含むラック9382を有してもよい。ディスク9389を歯9382に接して回転させると、外側剛性付与デバイス9300を内側剛性付与デバイス9310に対して相対的に前方または後方に進めることができる。実施例によっては、剛性付与デバイス9300、9310の可能な移動または平行移動は、カセット9357の大きさまたは設計によって制限される。
【0096】
[0134]カセット9357は、内側剛性付与デバイス9310(および/または外側剛性付与デバイス9300)の先端部をステアリングする(たとえば屈曲または撓ませる)ためのケーブル9363a、9363bにそれぞれ接続可能な追加のディスク9371a、9371bをさらに含むことができる。他のステアリング機構(たとえば空気圧、水圧、形状記憶合金、EAP(電気活性ポリマー)またはモータ)も可能である。この場合も、異なるステアリング機構を備えた実施例では、カセット9357の1つまたは複数のディスク(たとえばディスク9371a、9371b)が、ステアリングを作動させるために使用されてもよい。
【0097】
[0135]カセット9357は、それぞれ、内側剛性付与デバイス9310および外側剛性付与デバイス9300の圧力空隙に接続可能なベロー9303a、9303bをさらに含むことができる。ベロー9303a、9303bを圧搾することにより、圧力管路9305zを通る流体を駆動することができ、それによって内側剛性付与デバイス9310、9300の圧力空隙内の圧力を上昇させ、剛性付与デバイス9310、9300が剛性になるようにすることができる。ベロー9303a、9303bの起動は順次および/または同時に適用されてもよい。
図9A~
図9Dに示すように、カセット9357はベロー9303a、9303bを制御するための偏心カム9374a、9374bを含むことができる。あるいは、
図12Aに示すように、(たとえばカセット9357上または駆動ユニット9517y上の)1つまたは複数のリニアアクチュエータ9316yを、ベロー9303a、9303bを作動させるように構成することができる。別の代替形態として、
図12Bに示すように、デバイス9300、9310は、(本明細書に記載のような)1つまたは複数のサンプまたは(たとえば圧力管路9305zを介した)圧力源9306zを介して剛性付与および剛性付与解除されることができる。内側および外側剛性付与デバイス9310、9300の剛性化を生じさせる他の機構も可能である。たとえば、実施例によっては、カセット9357が、剛性付与のための圧力を加えるように内側および外側剛性付与デバイス9310、9300に送達可能な流体を含むシリンジまたはその他の容器を含むことができる。実施例によっては、シリンジまたはその他の容器は、カセット9357内の流体を引き出し、それによって内側および外側剛性付与デバイス9310、9300に印加可能な真空を生じさせるために使用可能である。
【0098】
[0136]
図11A~
図11Dに戻って参照すると、カセット9357は内側剛性付与デバイス9310における追加の管腔および/または配線に接続するためのコネクタ9315yを含むことができる。コネクタ9315yは、内側剛性付与デバイス9310の先端部に吸気と水の両方を送達するための接続部を含んでもよい。コネクタ9315yは、内側剛性付与デバイス9310の先端部に取り付けられたカメラを外部モニタおよび/または映像処理ユニットに接続する電気コネクタを含んでもよい。コネクタ9315yは、内側剛性付与デバイス9310の先端部までずっと続く中空のチューブ(たとえばワーキングチャネル)に接続する機械コネクタを含んでもよい。コネクタ9315yを含めることによって、システム9300zのすべての構成要素の制御を、カセット9357を使用して行うことができる。
【0099】
[0137]
図93Bの側面透視図に最もよく示すように、ディスク9389、9371a、9371bおよびカム9374a、9374b(または対応するベロー)にはカセット9357の底部からアクセス可能であってもよい。ディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bは、トルクを伝達するために、スプライン、ピンまたは歯などの機構を有してもよい。これらの機構は、ディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bを(たとえば駆動ユニットによって)操作することができるようにすることができる。
【0100】
[0138]
図13に、ディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bを駆動するために使用可能な駆動ユニット9517yの例を示す。たとえば、駆動ユニット9517yは、カセット9357のディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bと整列し得る駆動パドル9519yを含むことができる。駆動パドル9519yは、カセット9357のディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bにトルクを伝えるように、駆動ユニット9517yの1つまたは複数のモータによって駆動(すなわち回転)可能である。駆動パドル9519yは、カセット9357のディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bにトルクを伝達するための機構9518y(たとえばスプライン、ピン、歯など)を含むことができる。駆動ユニット9517yは、たとえば、クリップ、ねじまたは磁石を使用してカセット9357に結合してもよい。
【0101】
[0139]
図14を参照するとともに
図11A~11Dに戻って参照すると、実施例によっては、ロボットシステム(たとえば、内側と外側の剛性付与デバイス9310、9300と、カセット9357とを含むシステム9300z)が線状のスライド1002y上に配置されてもよい。リニアスライド10020yは、内側および外側剛性付与デバイス9310、9300を制御するように構成された(駆動ユニット9517yに類似した)駆動ユニット10017yをさらに含むことができる。スライド10020yは、内側および外側剛性付与デバイス9310、9300が共に(すなわち同時に)並進することを可能にすることができる。実施例によっては、外側剛性付与デバイス9300に対して相対的な内側剛性付与デバイス9310の相対移動を生じさせるために、システム9300zを第1の方向(スライド10020yに沿って前方または後方)に並進させることができ、それと同時に外側剛性付与デバイス9300上のディスク9389とラック9382とを使用して外側剛性付与デバイス9300を第1の方向とは反対の第2の方向に移動させることができる。すなわち、内側剛性付与デバイス9310を外側剛性付与デバイス9300に対して相対的に前進させるために、両方の剛性付与システム9300、9310を含むシステム9300zをスライド10020yに沿って前進させ、それと同時に、ディスク9389とラック9382とを使用して外側剛性付与デバイス9300を後退させる。逆に、内側剛性付与デバイス9310を外側剛性付与デバイス9310に対して相対的に後退させるために、両方の剛性付与システム9300、9310を含むシステム9300zをスライド10020yに沿って後退させることができ、それと同時に外側剛性付与デバイス9033を前進させることができる。
【0102】
[0140]実施例によっては、駆動ユニット1017y、ラック9382および/またはディスク9389が、その上にフォースゲージを含むことができる。フォースゲージは、内側および/または外側剛性付与デバイス9310、9300を挿入または引き出しするのに要する力の量を測定するように構成可能である。フォースゲージは、たとえば、力の量が閾値(たとえば、超えた場合に生体構造に傷害を生じさせる可能性がある力の閾値量)を超えた場合、1つまたは複数の警報をトリガするために使用することができる。実施例によっては、1つまたは複数の警報は、段階的に大きくなる警報とすることができる。たとえば、第1の警報が警告を示すことができ、第2の警報が傷害の起こり得る危険性を示すことができる。実施例によっては、警報の閾値は、システム9300zの状態またはモードに応じて異なり得る。たとえば、内側部材9310と外側部材9300の交互の剛性によって尺取り虫式に前進する場合、警報は第1の1組の閾値を有することができる。それに対して、引き出しおよび後退の場合(たとえば、内側部材と外側部材9310、9300の両方が軟性である)、警報は第2の1組の閾値を有することができる。警報は、たとえば画面上の画像の変化(たとえば仮想光または色の変化)、1つまたは複数の物理光源からの光の変化(たとえば輝度または色)、コントローラの振動または振動音、および/または特定の運動または機能の遮断によって表すことができる。駆動ユニット1017y、ラック9382および/またはディスク9389上にあるものとして説明しているが、フォースゲージは、挿入力および/または引き出し力の測定を可能にしながらシステム9300z内の他の場所に配置することも可能であることを理解されたい。
【0103】
[0141]
図14を参照すると、リニアスライド10020yは、内側および外側剛性付与デバイスと共に使用される1つまたは複数のツール(たとえばツール9980)を制御するように構成された第2の駆動ユニット10030yをさらに含むことができる。実施例によっては、第1の駆動ユニット10017yと第2の駆動ユニット10030yはリニアスライド10020yに沿って独立して並進することができる。駆動ユニット10030Yには、1つ、2つまたはそれ以上のツール9980が接続してもよい。リニアスライド10020yは、外側剛性付与デバイスがどのような並進をしても、入れ子状剛性付与システムと共に使用されるツールが外側剛性付与デバイスの遠位端における所定位置に確実に留まるようにすることができるので有利である。たとえば、ツール駆動ユニット10030yは、外側剛性付与デバイスがスライド10020yに対して相対的に前進するときに、ツールを前方に並進させるように構成することができる。同様に、ツール駆動ユニット10030yは、外側剛性付与デバイスがスライド10020yに対して相対的に後退するときにツールを後退させるように構成することができる。これにより、たとえば、ツールが確実に取り付け具(たとえば取り付け具9823y)にロックされるようにすることができる。
【0104】
[0142]
図15Aおよび
図15Bに、入れ子状剛性付与デバイス10100、10110の制御のために駆動ユニット10117yに取り付けられたカセット10157を備えたスライド10120y上に配置された例示のロボットシステム10100zの透視図と上面図とをそれぞれ示す。2つの異なるツール10180の制御のための2つのカセット10125yが、駆動ユニット10130yに取り付けられている。ツール10180は、ガイド1021yに挿入され、取り付け具10123yにおいてポート10124yにロックされる。
【0105】
[0143]
図16に、スライド10120yと、したがってロボットシステムの他の部分(入れ子状剛性付与デバイス10100、10110および/またはツール10180を含む)を患者に対して適切な向きにするようにリニアスライド10120yに接続可能な例示の旋回アーム10231yを示す。したがって、リニアスライド10120yは、垂直、水平またはその間の角度に配置されてもよい。
【0106】
[0144]システム10100zは、以下のような例示の方式で使用されてもよい。カセット10157が内側および外側剛性付与デバイス10110、10100に取り付けられ、内側および外側剛性付与デバイス10110、10100が(たとえば
図65A~
図65Hに詳細に示すように)患者の身体内に前進させられる。実施例によっては、内側および外側剛性付与デバイス10110、10100は、患者の結腸または上部胃腸管内に前進させられる。内側剛性付与デバイス10110と外側剛性付与デバイス10100の往復運動が、カセット10157内のディスクディスクの動きとスライダ10120yに沿った剛性付与デバイス10110、10100の並進とによってもたらされる。剛性付与はカセット10157内のベローを圧搾することによってもたらされる。ステアリングは、カセット10157内のディスクによってもたらされる。医療従事者が、処置を行う身体内の部位に達すると、ツールをガイド10121yを通して挿入することができ、ポート10124yにロックすることができる。次に、カセット10125yがツールの制御のために駆動ユニット10130yに取り付けられる。
【0107】
[0145]本明細書に記載の駆動ユニットは、コントローラまたは制御サブシステムに接続することができ、コントローラまたは制御サブシステムは、本明細書に記載の低減の実行を含む、装置の剛性および移動を制御して連係させるためのコンピュータ(たとえば、コンピュータ、タブレット、ラップトップなど)を含むことができる。駆動ユニットと通信するコントローラは、臨床医がシステムおよび使用している任意のツールを制御するように対話するためのユーザインターフェースを提供するソフトウェアを含んでもよい。本明細書に記載のカセットおよび/または駆動ユニットの、コンピュータ制御によるものなどの自動化を使用して、反復作業を実施しやすくすることができる。たとえば、水を放出しながら円弧状に剛性付与デバイスの遠位端を自動的に動かすプログラムを開発することができる。次に、胃腸管から水と物質を吸引するために第2の円弧を形成することができる。これは、たとえば胃腸管を洗浄するのに有用な場合がある。操作者がたとえばデバイスの遠位端を含むデバイスの動作を誘導するためにジョイスティック(それだけに限定されるものではない)などの入力を使用して入力を与えるだけで済むように、本明細書に記載の剛性付与を含む操作のうちのいずれかを自動または半自動で順次実行するソフトウェアを提供することができる。
【0108】
[0146]タッチスクリーン、キーボード、ジョイスティック、ペダルなどを含む、任意の適当な入力を使用することができる。
図17を参照すると、実施例によっては、システム2400zまたは9300zの制御(たとえば、
図10A~
図10Hに示すものを含む本明細書に記載のシーケンスのいずれか)は、コンピュータデバイス1737xを含むコントローラ(すなわち、コントローラまたはコンピュータ)に(たとえば、オンボード電子装置1744xを介して無線で)接続された入力1736xを使用して実行することができる。入力1736xは、内側剛性付与デバイス2410/9310の(たとえば上下および左右の)ステアリングを可能にするように構成されたステアリングアクチュエータ1738x(たとえばトグル)を含む手持ち型入力1736xとすることができる。入力1736xは、内側剛性付与デバイス2410/9310の前進/後進移動を可能にするように構成された運動アクチュエータ1739x(たとえばトグル)をさらに含むことができる。
【0109】
[0147]実施例によっては、入力1736xは、外側剛性付与デバイス2400/9300が自動的に内側剛性付与デバイス2410/9310を形状コピーすることができるようにするように構成されたアクチュエータ1740x(たとえばボタン、ノブ、スライダなど)をさらに含むことができる。すなわち、アクチュエータ1740xを作動させる(たとえばボタンを押す)と、内側剛性付与デバイス2410/9300が軟性形態から剛性形態に遷移することができ、次に外側剛性付与デバイス2400/9300が剛性形態から軟性形態に遷移することができ、外側剛性付与デバイス2400/9300を内側剛性付与デバイス2410/9310の上で前進させることができる。実施例によっては、外側剛性付与デバイス2400/9300の前進は、外側剛性付与デバイス2400/9300が内側剛性付与デバイス9410/9310に対して相対的な事前設定位置に達すると(たとえば、外側剛性付与デバイス2400/9300の遠位端が内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位端と一致すると)終了させることができる。他の実施例では、外側剛性付与デバイス2400/9300の前進は、センサー読み取りによって自動的に終了させることができる。たとえば、センサー読み取りは、(たとえば、カメラがカメラ画像に外側剛性付与デバイス2400/9300が映っているのを検知したときの)内側剛性付与デバイス2410/9310のカメラからの出力とすることができる。別の実施例として、センサー読み取りは、外側剛性付与デバイス2400/9300を前進させるのに要する(すなわち、必要な力が事前設定閾値を満たすときの)力の量とすることができる。外側剛性付与デバイス2400/9300が形状コピーシーケンスを完了すると、自動形状コピーシーケンスを完了するために自動的に外側剛性付与デバイス2400/9300を剛性化させることができ、内側剛性付与デバイス2410/9310を非剛性化させることができる。実施例によっては、外側剛性付与デバイス2400/9300の自動形状コピーシーケンス(アクチュエータ1740xの作動により)が行われる間に、アクチュエータ1738x、1739を作動停止させることができる(すなわち、内側剛性付与デバイス2410/9310の移動を防止するため)。
【0110】
[0148]
図17にはステアリングアクチュエータおよび運動アクチュエータ1738x、1739xがトグルとして示されており、自動形状コピーアクチュエータ1740xがボタンとして示されているが、アクチュエータのいずれも代替アクチュエータ(たとえば、トグル、ボタン、ジョイスティック、スライドまたはトラックボール)に置き換えてもよいことを理解されたい。アクチュエータ1738x、1739x、1740xのいずれも、触覚フィードバックを備えることができる。たとえば、運動アクチュエータ1739xの作動は、内側剛性付与デバイス2410/9310を前方または後方に移動させるのに必要な力の量に比例する、運動に対する抵抗を含むことができる。
【0111】
[0149]実施例によっては、入力1736xは、アクチュエータ1740xに加えてまたは代えて、アクチュエータ1742x(たとえばボタン)を含むことができる。アクチュエータ1742xは、外側剛性付与デバイス2400/9300が自動的に内側剛性付与デバイス2410/9310を形状コピーすることを可能にするように構成可能である。アクチュエータ1742xは、ボタン1742xが、外側剛性付与デバイス2400/9300の所望の前進に達するまでユーザによって押下されるように構成可能である点を除き、ボタン1740xと類似し得る。アクチュエータ1742xを放すと、外側剛性付与デバイス2400/9300は自動的に剛性化することができ、内側剛性付与デバイス2410/9310は非剛性化することができる。アクチュエータ1742xを作動させると、(たとえば、内側と外側の剛性付与デバイス2410/9310、2400、9300の遠位端の位置合わせにより、またはカメラ読み取りにより、または力センサーにより)前進を終了させる信号がシステム2400z/9300zによって検出される前にユーザがアクチュエータ1742xを放さない場合に、形状コピーシーケンスが(たとえばボタン1740xに関して説明したように)自動的に停止することができる。したがってアクチュエータ1742xは、自動形状コピーシーケンスに、アクチュエータ1740xよりもより多くの外側剛性付与デバイス2400/9300の移動に対するユーザによる入力を与えることができる。
【0112】
[0150]実施例によっては、入力1736xは、アクチュエータ1740x、1742xに加えてまたは代えて、アクチュエータ1745x(たとえばレバー)を含むことができる。アクチュエータ1745xは、作動させると、アクチュエータ1739xが内側剛性付与デバイス2410/9310の前進/後進運動と外側剛性付与デバイス2400/9300の前進/後進運動を可能にすることを切り換えるように、アクチュエータ1739xのモードを切り換えるように構成可能である。この実施例では、ユーザがモードをトグルさせると、コンピュータデバイス1737xおよび/またはオンボード電子装置1744xが自動的に前のデバイス(すなわち、アクチュエータ1739xによって制御されなくなったデバイス)を剛性化し、現在のデバイス(すなわちアクチュエータ1739xによって制御されているデバイス)を非剛性化することができる。
【0113】
[0151]実施例によっては、内側剛性付与デバイス2410/9310が設定時間間隔よりも長い時間、移動を停止しているとき、または内側剛性付与デバイス2410/9310カセットが外側剛性付与デバイス2400/9300に対して相対的な事前設定された移動終わりに達したときなどに、外側剛性付与デバイス2400/9300の前進を自動的に作動させることができる。
【0114】
[0152]実施例によっては、システム2400z/9300zは、外側剛性付与デバイス2400/9300が内側剛性付与デバイス2410/9310の上で前進させられるときに、外側剛性付与デバイス2400/9300が内側剛性付与デバイス2410/9310の設定形状(たとえば、ステアリング可能遠位端部の形状および/または本体の剛性化形状)を損なわないように保証するように設計された機構を含むことができる。例示の一実施例では、外側剛性付与デバイス2400/9300を前進させるときに、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部の位置/向きに調整を加えることができるようにするためにコンピュータデバイス1737xが張力センサーを使用することができる。使用方法の一例では、(たとえばケーブル7624に類似した)ステアリングケーブルの張力を最初に(すなわち、内側剛性付与デバイス2410/9310が剛性化された後、外側剛性付与デバイス2400/9300が前進させられる前に)測定することができる。次に、外側剛性付与デバイス2400/9300を内側剛性付与デバイス2410/9310の上で前進させることができ、ケーブルの張力を測定することができる。ケーブル張力の変化を(たとえばケーブルの剛性と共に)、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部の意図しない変位の量を判定するために使用することができる。意図しない変位が判定された後、内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位端部の位置を別の位置に調整するためにケーブルによって逆変位を作動させることができる。たとえば、その開始位置に戻る。実施例によっては、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部の形状を感知するために、張力センサーの代わりにまたは張力センサーに加えて、光ファイバーセンサーなどのセンサーを使用してもよい。
【0115】
[0153]本明細書に記載の剛性付与部材のいずれかはまた、光センサー(たとえば、カメラ)を含む1つまたは複数のセンサーを含むことができる。たとえば、これらの剛性付与部材のいずれも、張力センサーに加えて、または張力センサーの代わりに、外側剛性付与デバイス2400/9300がその上で前進させられるときに内側剛性付与デバイス2410/9310の移動(たとえば、半径方向移動)を制御するために使用することができるカメラを、内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位先端部に含むことができる。すなわち、外側剛性付与デバイス2400/9300がその上で前進させられている間、固定位置を維持するために所定位置において内側剛性付与デバイス2410/9310上のカメラを視覚サーボすることができる(すなわち、外側剛性付与デバイス2400/9300が内側剛性付与デバイス2410/9310の形状を変形させるのを防ぐために、内側剛性付与デバイス2410/9310のカメラからの視覚画像をフィードバックとして使用することができる)。実施例によっては、画像変位が特定の閾値に達した場合、コンピュータデバイス1737xが、外側剛性付与デバイス2400/9300が前進するのを防止することができ、それによって外側剛性付与デバイス2400/9300が、内側剛性付与デバイス2410/9310の固定形状に影響を与え過ぎるのを防ぐ。他の実施例では、コンピュータデバイス1737xが、画像の移動に基づいてベクトルを計算することができ、遠位先端部に(ステアリングケーブルを調節することによって)元の位置に戻るように指令することができる。内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位先端部の固定位置を維持するためにカメラを使用することは、ユーザが生体構造内の固定視覚位置を確実に維持することができるようにするのにも役立ち得るため、有利である。
【0116】
[0154]同様に、実施例によっては、システム2400z/9300zは、内側剛性付与デバイス2410/9310がその中を前進するときに、内側剛性付与デバイス2410/9310が外側剛性付与デバイス2400/9300の設定形状(すなわち剛性形状)を損なわないように保証するように設計された機構を含むことができる。たとえば、コンピュータデバイス1737xが、内側剛性付与デバイス2410/9310が前進するときに内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリングケーブルの張力が閾値未満(0.1kg(1/4ポンド)未満の低い値など)に一様に維持されるように保証し、それによって内側剛性付与デバイス2410/9310が外側剛性付与デバイス2400/9300に大き過ぎる力を加えないように保証することができる。実施例によっては、ケーブルの張力は、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部が外側剛性付与デバイス2400/9300の遠位端に対して完全に遠位になるまでの間だけ、特定の(低い)閾値に制限することができる。実施例によっては、外側剛性付与デバイス2400/9300が剛性化された直後にステアリングケーブルが持っていた張力を保持している間、ステアリングケーブルを前進させることができる。
【0117】
[0155]実施例によっては、より高い曲げ剛性は形状コピー忠実度、間隙のずれなどの劣化につながる可能性があるため、形状コピーされた湾曲はシステム2400z/9300zに沿って近位側に伝播されるにつれて次第にまっすぐになることができる。このように次第にまっすぐになること(または「弛緩」)は、曲がりくねった生体構造を通ってナビゲーションしやすくするのに(たとえばキャプスタン抗力を低減するために)有利になり得る。一実施例では、近位端においてこのようにまっすぐに伸びるのを促すために、システム2400z/9300zは、デバイス2400/9300(およびシステム2400z/9300z)が近位端におけるより大きな直径と遠位端においてより小さい直径を備えるように、外側デバイス2400/9300の直径の漸進的な先細りを備えることができる。近位端における直径を大きくすることによって、システム2400z/9300zは、遠位端より近位端においてより硬くなることができ、それによって弛緩を促すことができる。別の実施例では、近位端においてこのようにまっすぐに伸びるように促すために、内側剛性付与デバイス2410/9310または外側剛性付与デバイス2400/9300のうちの一方または両方が、最内層115と最外層101との間のデバイス壁(
図3Eの例示の壁のレイアウトを参照)に先細の空間または間隙を含むことができる。間隙は、それぞれのデバイス2410/9310、2400/9300の近位端においてより大きく、デバイス2410/9310、2400/9300の遠位端においてより小さくすることができる。近位端におけるより小さい間隙によって、近位端の柔軟性がより低くなり、したがってまっすぐに伸びやすくなる。
【0118】
[0156]一般に、内側の細長い部材(「子」)および外側の細長い部材(「親」)の柔軟性および剛性は、両方が弛緩(非剛性)形態にあるとき、可能な限り大きくすることができる各々の細長い部材の柔軟性の範囲がほぼ同じになり、第1の細長い部材が第2の細長い部材と同程度に柔軟になるように、整合させることができる。
【0119】
[0157]実施例によっては、システム2400z/9300zは、システム2400z/9300zが生体構造内にある状態で、形状コピーされた形態の湾曲の指令された弛緩を可能にするように構成可能である。たとえば、湾曲を弛緩させること、すなわち、デバイス2410/9310、2400/9300が互いに対して相対的にスライドさせられるとき、および/またはシステム2400z/9300zに第3のデバイスが通されるときに、キャプスタン抗力を低減するために、両方のデバイス2410/9310、2400/9300の剛性状態を部分的にまっすぐに伸ばすことが望ましい場合がある。湾曲弛緩は、システム2400z/9300zがその中に配置されている生体構造(たとえば直腸)を損傷せずに生体構造をわずかに引っ張るかまたはまっすぐに伸ばすように構成することができるので有利である。
【0120】
[0158]指令湾曲弛緩の例示の一実施例では、内側剛性付与デバイス2410/9310と外側剛性付与デバイス2400/9300の両方を同時に弛緩させることができ、それによってシステム2400z/9300z全体がまっすぐに伸びやすくなるようにすることができる(ただし、生体構造によって部分的に制約される)。この実施例では、軟性形態の内側と外側の剛性付与デバイス2410/9310、2400/9300の複合剛性は、生体構造において安全であることがわかっているデバイスの剛性より小さく設計することができる。たとえば、直腸での使用のために、システム2400z/9300zはたとえば標準の成人用結腸鏡の複合剛性より低い複合剛性を有することができ、それによってシステム2400z/9300zが湾曲弛緩時に安全であることがわかっているデバイスよりも多くの力を加えることがないように保証することができる。
【0121】
[0159]指令湾曲弛緩の別の例示の実施例では、いずれのデバイス2410/9310、2400/9300も並進させずに、内側剛性付与デバイス2410/9310と外側剛性付与デバイス2400/9300とを交互に剛性化および非剛性化させることができ、それによって湾曲の漸進的な弛緩を生じさせることができる(コピーサイクルごとに必然的にシステム2400z/9300zがわずかずつまっすぐに伸びることができるようになるため)。たとえば、まず、両方のデバイス2410/9310、2400/9300を剛性化することができる。次に、内側または外側剛性付与デバイス2410/9310、2400/9300のうちの第1のデバイスを弛緩させ、その後、剛性化させることができる。次に、内側または外側剛性付与デバイス2410/9310、2400/9300のうちの第2のデバイスを弛緩させ、その後、剛性化させることができる。システム2400z/9300zの形状が所望の形状まで平滑になる(すなわち湾曲が弛緩する)までこの剛性化/弛緩のループを繰り返すことができる。
【0122】
[0160]指令湾曲弛緩の別の例示の実施例では、剛性状態と非剛性状態との間の移行を段階づけるために上記の2つのメカニズムの組合せを使用することができる。すなわち、システム2400z/9300zは、両方のデバイス2410/9310、2400/9300を剛性化させ、次に一方のデバイス2410/9310、2400/9300のみを剛性化させ、次にいずれのデバイス2410/9310、2400/9300も剛性化させず、次に一方のデバイス2410/9310、2400/9300のみを剛性化させ、次に両方のデバイス2410/9310、2400/9300を剛性化させるなどのように変動することができる。
【0123】
[0161]本明細書に記載の指令湾曲弛緩方法のいずれも、所望の弛緩量を調整するために変更を加えることができる。たとえば、弛緩の量を変えるために、(弛緩と非弛緩の)サイクルの数を変更することができる。別の実施例として、サイクルの周波数および/またはデューティサイクル(たとえば、非剛性形態がどれだけ長く維持されるか)を変更することができる。別の実施例として、剛性化段階および非剛性化段階に印加される圧力および/または真空に変更を加えることができる(たとえば、非剛性化段階における真空/圧力のすべてを解放するのではなく、最も曲率が大きい領域のみでブレードがスリップすることができるように部分的解放を行うことができる)。
【0124】
[0162]指令湾曲弛緩の一部の実施例では、弛緩は特定の閾値まで加えることができる。たとえば、設定半径(たとえば5.08cm(2インチ))より急な屈曲のみが弛緩されるまで弛緩シーケンスを行うことができる。
【0125】
[0163]指令湾曲弛緩の一部の実施例では、外側剛性付与デバイス2400/9300の形状に選択的に変更を加えるために(たとえば、特定の場所における湾曲を弛緩させるために)内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部を使用することができる。
【0126】
[0164]実施例によっては、システム2400z/9300zに作業ツールを通しやすくするために指令湾曲弛緩を使用することができる。たとえば、作業ツールが当たるねじ曲がりを減らすように、作業ツールがシステム2400z/9300zを通過するまでシステム9300zを弛緩させることができる。
【0127】
[0165]実施例によっては、システム2400z/9300zは、生体構造内で低減操作を行うために(すなわち、結腸内などの生体構造内のねじ曲がった経路をまっすぐに伸ばすために)使用することができる。低減操作の一部の実施例では、システム2400z/9300zの遠位端を(たとえば脾湾曲部などの結腸内の屈曲部の周りで角度をつけることによって)固定することができ、次に、軟性形態である状態でシステム2400z/9300z全体(すなわち内側と外側の剛性付与デバイス2410/9310、2400/9300)を近位側に引くことができる。遠位端が固定された状態でシステム2400z/9300zを近位側に引くことによって、アンカーポイントに対して遠位にある管腔をまっすぐに伸ばすことができ、それによって曲がりくねった経路をまっすぐにすることができる。
【0128】
[0166]実施例によっては、挿入中に、および/または低減の一部として、生体構造を展開するため、またはループを展開するために、システム2400z/9300zを使用することができる。たとえば、患者の結腸に患者の右側から入り、折り畳まれたS字結腸を開くようにα型ループを形成するためにシステム2400z/9300zを使用することができる。
【0129】
[0167]実施例によっては、(たとえば生体構造を展開またはループを展開しやすくするため)近位端からシステム2400z/9300z全体をねじるのと類似した操作を行うために、システム2400z/9300zを使用することができる。すなわち、この操作は、システム2400z/9300zが固定した角度に曲げられ、次に屈曲の固定角度を維持した状態で近位端からシステム全体が(たとえば90度~180度)回転させられた場合に起こることになる運動を、システム2400z/9300zが模倣することができるようにすることができる。たとえば、
図19A~
図19Cは、N字ループなどの湾曲ループの展開を可能にすることができるねじり操作の一実施例を示す。すなわち、
図19Aに示すようにシステム2400z/9300zをN字ループの最初の湾曲部まで結腸内に進めることができる。
図19Bに示すように、システム2400z/9300zは、ねじり操作(すなわちねじりを模倣するために)を作動させ、結腸内にさらに進めることができ、それによって結腸を引っ張り、結腸自体の上でループさせ、N字ループにおける急な曲率半径ではなく、より大きな曲率半径を通したナビゲーションを可能にすることができる。次に、システム2400z/9300zをこの大きい曲率半径を通って結腸内にさらに前進させることができる。N字ループをまっすぐに伸ばすために結腸内で使用されるものとして示されているが、この実施例では、本明細書に記載の生体構造の一部分を低減する方法および装置(ねじり操作を含むが、それに限定されるものではない)は他の解剖学的部位でも使用可能であることを理解されたい。
【0130】
[0168]一実施例では、ねじり操作は内側剛性付与デバイス2410/9310の複数のケーブルを同時に作動させることによって行うことができる。たとえば、ある実施例では、内側剛性付与デバイス2410/9310は、4本のケーブル(「x面」における作動を制御するための2本のケーブルと、「y面」における作動を制御するための2本のケーブル)を作動させることによって制御されるステアリング可能遠位端部を含むことができる。「x面」(または水平動)はアクチュエータ1738xを左右に動かすことによって制御することができ、「y面」(または上下動)は、アクチュエータ1738xを上下に動かすことによって制御することができる。アクチュエータ1738xを上に動かすと、指示されたy正ケーブルを引っ張ることができ、内側剛性付与デバイス2410/9310を「北」に傾けることができる。(たとえば入力1736x上のボタンなどのアクチュエータを押すことによって)ねじり操作が作動させられると、アクチュエータ1738xの運動とx、y出力を同じように相関させることができなくなる。逆に、屈曲が形成され、ねじり操作が作動させられると、コンピュータデバイス1737x(たとえばコントローラ)が、以下の式を使用して極座標半径rと角度θを計算することができる。
【数1】
これらの値が計算された後、新たなx座標とy座標とを出力する計算器として機能することになる固有コサインおよびサインカーブを計算することができ、ここでrはy軸の振幅として機能し、θは区間(-180°、180°]間のx軸に沿った初期位置である。このねじり操作では、アクチュエータ1738xは、屈曲部を作動させるのに必要なx値とy値の両方を出力するのに1つの軸(θ)を必要とするだけで済む。コンピュータデバイス1737xは、以下の式を使用して範囲(-180°、180°]をサイクルし、xとyを出力することができる。
x=rcos(θ)およびy=rsin(θ)
【0131】
[0169]この実施例では、アクチュエータ1738xの左または右への動きによって、コンピュータデバイス1737xに上述のように値θを(-180°と180°]の範囲の間で上または下にサイクルさせることができ、それによってケーブルの動きのためにx値とy値を計算することができる。したがって、アクチュエータ1738xを左右に動かすことによって、屈曲部を回転またはねじる(すなわち、時計回りまたは反時計回りに回転/ねじる)ことができる。
【0132】
[0170]ある実施例では、ねじり操作の前に、形成される円弧の長さを延長するために外側剛性付与デバイス2400/9300の先端を内側剛性付与デバイス2410/9310の先端に対して遠位に前進させることができる。
【0133】
[0171]ある実施例では、システム2400z/9300zは、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部が単独で実現可能なよりも急カーブに操作するように構成可能である。たとえば、内側剛性付与デバイス2410のステアリング可能遠位端部は、外側剛性付与デバイス2400/9310によって部分的にのみ覆われるように配置することができる。(内側剛性付与デバイス2410のステアリング可能遠位端部が部分的に覆われた状態で)剛性付与デバイス2400/9300が剛性形態にされた場合、外側剛性付与デバイス2400/9300の高い剛性が、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部の覆われた部分が屈曲するのを防ぐことができる。その結果、遠位端部の露出部分のみが屈曲することになり、それによって遠位端部における急な(すなわち低曲率半径)小さい屈曲または湾曲を可能にする。
【0134】
[0172]実施例によっては、システム2400z/9300zを通す生体構造(たとえば結腸)の形状をマッピングするためにシステム2400z/9300zを使用することができる。たとえば、外側剛性付与デバイス2400/9300の配置と剛性化の後、内側剛性付与デバイス2410/9310を軟性状態で剛性外側デバイス2400/9300内に引き込むことができる。デバイス2410/9310が外側剛性付与デバイス2400/9300内で引き抜かれるとき(および/または引き抜き後に再び挿入されるとき)、剛性化した外側デバイス2400/9300の形状を(したがってそれに応じて生体構造の形状も)マッピングするためにステアリングケーブルの張力を(たとえば本明細書に記載のように張力センサーおよびコンピュータデバイス1737xを使用して)監視することができる。別の実施例として、外側剛性付与デバイス2400/9300を引き抜き、次に再挿入することができる。デバイス2400/9300が(軟性形態で)剛性内側デバイス2410/9310の上で再挿入されるとき、内側剛性付与デバイス2410/9310の屈曲の程度(したがってそれに応じて生体構造の形状)を測定するために、力センサーを使用して外側剛性付与デバイス2400/9300の挿入力を測定することができる。
【0135】
[0173]同様に、実施例によっては、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端の指令された遠位関節運動とその後の形状コピーシーケンス(内側および外側デバイス2410/9310、2400/9300の軸方向運動を含む)がわかっているため、システム2400z/9300zの集積された全体形状の推定値を出すことができ、制御、視覚化および/または全体的状況認識のために使用することができる。さらに、形状コピーの効率および/または正確度を経験的にまたは分析的にモデル化することができ、全体形状推定に適用することができる。あるいは、実施例によっては、視覚化なしに、および/または場合により視覚化と共に、形状を推定するための形状センサーを使用することができる。
【0136】
[0174]実施例によっては、システム2400z/9300zをステアリングおよび/または制御するためのコンピュータビジョンアルゴリズムの一部として(たとえばコンピュータデバイス1737xによって)内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位端部におけるカメラを使用することができる。たとえば、コンピュータデバイス1737xは、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部が移動しているときを判定するためにコンピュータビジョンアルゴリズムを使用することができる。コンピュータデバイス1737xは、次に、既知の範囲または概算範囲におけるカメラ映像内の要素の運動からカメラの回転運動と直線運動を計算することができる。これは、たとえば、ステアリングのキャリブレーションを確実にするために、ステアリングケーブルの運動がステアリング可能遠位端部のステアリングにどのように作用するかを検出するのに有用となり得る。別の実施例として、コンピュータデバイス1737xは、自動管腔追従モード(すなわちコンピュータビジョンアルゴリズムを使用した管腔の検出による)を可能にするために、コンピュータビジョンアルゴリズムを使用することができる。この実施例では、たとえば、ユーザ(たとえば医師)がシステム2400z/9300zの挿入軸に指令することができ、システム2400z/9300zは指令された経路に従って自動的に関節運動することができる。別の実施例では、システム2400z/9300zは、ユーザに、最適管腔追従のために内側剛性付与デバイス2410/9310をどこに駆動するべきかを示唆する視覚ガイドを与えることができる。この実施例では、医師がカメラを向けるための標的として内視鏡映像上に視覚ガイドを描画することができる。別の実施例では、システム2400z/9300zは、所望の場合には医師がガイドを「突破する」(すなわち無視する)ことができるようにもしながら、内側剛性付与デバイス2410/9310のための駆動指令を最適軌道に向かってバイアスさせるステアリングガイド(たとえばポテンシャル場)をユーザに提供することができる。
【0137】
[0175]実施例によっては、システム2400z/9300zは、診断モードになるように構成可能である。たとえば、診断モードでは、内側剛性付与デバイス2410/9310を部分的にまたは完全に外側剛性付与デバイス2400/9310内に引き込むことができる(および/または外側剛性付与デバイス2400/9300をその上で部分的に移動させることができる)。内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリングケーブルが破損していると疑われる場合、ステアリングケーブルとそのそれぞれのアクチュエータの診断テストを行うことができる。たとえば、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリングケーブルを制御するモータを、内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位屈曲部が剛性化した外側デバイス2400/9300の内部を圧迫するように作動させることができる。この操作中に、ステアリングケーブルの張力の対応する上昇が見られるはずである。張力の上昇がない場合、その個別ステアリングケーブルが破損している可能性があると判定することができる。
【0138】
[0176]
図18Aを参照すると、実施例によっては、システム2400z/9300zが(たとえば取り外しのため、または低減操作のため)完全に軟性形態で引き抜かれるときに、システム2400z/9300zが患者の身体1846xの外部でたるむ場合がある。このたるみを補償するために、身体の外部でシステム2400z/9300zを支持するために支持デバイスおよび/または座屈防止デバイスを使用することができる。他の実施例では、
図18Bを参照すると、たるみを補償するために、システム2400z/9300zは、それを通してシステム2400z/9300zが操作される身体管腔への入口点(たとえば口または肛門)において複数の駆動ホイール1847xまたはその他の把持機構を含むことができる。駆動ホイール1847xは、システム2400z/9300zが引き抜かれるときにシステム2400z/9300zの張力を維持することができ、それによってシステム2400z/9300zの身体1846xの外部にある部分を身体1846xから近位終端点(たとえばカセット1837)まで比較的まっすぐに、自己支持するように維持することができる。他の実施例では、システム2400z/9300zは、システム9400zを完全に軟性形態に遷移させないことによって、身体外部のシステム2400zを支持するための座屈防止デバイスおよび/またはその他の機構なしに使用することができる。すなわち、システム2400zは、少なくとも1つのデバイス2400、2410が常に剛性化しているように使用し、構成することができる(すなわち、デバイス2410、2400が交互に前進させられ、剛性化させられるため)。したがって、システム2400z全体の長さの大部分が使用中に剛性であることができる。その剛性状態のため、システム2400zは、外部座屈防止デバイスおよび/または支持機構なしに、身体の外部で(すなわち挿入時)安定していることができる。
【0139】
[0177]実施例によっては、内側剛性付与デバイス2410/9310が前進しているときは常に、ステアリングケーブルの部分を正確に制御することができる。それに対して、内側剛性付与デバイス2410/2400が後進しているかまたは外側剛性付与デバイス2400が前進しているときは常に、ケーブルの張力を正確に制御することができる。
【0140】
[0178]本明細書でステアリングケーブルに関して「張力」(たとえば張力を監視する)と記載されている場合、ケーブルを作動させるための他のメカニズム(たとえば水圧)が考えられることを理解されたい。
【0141】
[0179]実施例によっては、細かいステップ(たとえば2.54cm(1インチ)未満のステップ)を使用して内側剛性付与デバイスと外側剛性付与デバイスとが本明細書に記載のロボットシステムによって前進させられてもよい。細かいステップは、剛性付与デバイスの配置と方向づけのより精密な制御を可能にし得るので有利である。たとえば、ユーザは内側チューブを所望の方向にステアリングしてもよく、内側チューブがアウターチューブのわずかに前方(たとえば1.27cm(1/2インチ)、1.905cm(3/4インチ)、または2.54cm(1インチ)をわずかに下回って)に前進すると、アウターチューブの剛性付与と前進または後退のシーケンスが自動的にトリガされてもよい。実施例によっては、必要であれば現在の細かいステップのシーケンスを無効化することができる。実施例によっては、内側剛性付与デバイスと外側剛性付与デバイスとが、中間ステップ(たとえば2.54cm(1インチ)~7.62cm(3インチ)ステップ)または大きなステップ(たとえば7.62cm(3インチ)超)を使用してロボットシステムによって前進させられてもよい。
【0142】
[0180]本明細書に記載のカセットおよび/またはツールは、使い捨てであってもよく、または再使用可能であってもよく、または限られたサイクル数だけ使用と洗浄が繰り返されてもよい。
【0143】
[0181]本明細書に記載のリニアスライドは、実施例によっては、対応するU字形の管を有するU字形とすることができる。あるいは、リニアスライドは、実施例によっては、対応する円形の管を有する円形とすることができる。
【0144】
[0182]実施例によっては、外側剛性付与デバイスの先端部は、ロボットシステムと共に使用されるツールのエンドエフェクタを見るための1つまたは複数のカメラを含むことができる。これにより、ロボットシステムのコントローラが、制御入力とエフェクタ出力との関係を計算し、それに応じて、歯の経路にかかわりなく(たとえば屈曲時のツール制御ケーブルにかかる抗力にかかわりなく)同じエフェクタ運動を与えるように調整できるようにすることができる。
【0145】
[0183]本明細書に記載の入れ子状システムのための外側剛性付与デバイスは、真空により剛性付与すると称し、内側スコープ剛性付与デバイスは圧力により剛性付与すると称する場合が多いが、その逆も成立し(すなわち外側剛性付与デバイスが圧力により、内側剛性付与デバイスが真空により剛性付与可能である)、および/または両方が同じ剛性付与源(圧力および/または真空)を有することができる。
【0146】
[0184]入れ子状システムの内側要素および外側要素について、統合された剛性付与要素を含むものとして一般的に記述しているが、(たとえば、撮像スコープ要素と剛性付与要素との間で相対的なスライドを可能にするように)剛性付与要素は別々とすることができる。
【0147】
[0185]本明細書に記載の入れ子状システムの剛性付与システムは、組み立てられると内側剛性付与デバイスが外側剛性付与デバイス内で実質的に回転することができないように設計することができる。たとえば、内側剛性付与デバイスの外面は、スパインを形成する長手方向の隆起と溝とを有してもよい。外側剛性付与デバイスの内面は、外側剛性付与デバイスの同じ機構と嵌め合う対応する隆起と溝とを有することができる。
【0148】
[0186]本明細書に記載の入れ子状システムの剛性付与デバイスの一方または両方が、ステアリング可能とすることができる。両方の剛性付与デバイスがステアリング可能である場合、柔軟性があり長手方向に動く剛性付与デバイスの方をステアリングするアルゴリズムを実装してもよい。アルゴリズムは、剛性付与されたデバイスの形状を予測するために柔軟性のある剛性付与デバイスをステアリングすることができ、それによって、移動する柔軟性のある剛性付与デバイスが剛性デバイスをまっすぐに伸ばす傾向を最小限にすることができる。
【0149】
[0187]本明細書に記載の入れ子状システムの一方の剛性付与デバイスが真空を必要とし、他方の剛性付与デバイスが圧力を必要とする場合、一方と他方(外側と内側)のいずれかを動かすことがスイッチを入れることを必要とするユーザ制御を構成することができ、その場合スイッチは、たとえば一方が柔軟性をもたせるために排気されると他方が剛性をもたせるために加圧される第1の状態と、一方が柔軟性をもたせるために排気され、他方が剛性をもたせるために真空引きされる第2の状態との間でトグルする。これは、たとえばフットペダルまたはハンドスイッチであってもよい。
【0150】
[0188]実施例によっては、本明細書に記載の入れ子状システムの交替移動を手動で制御することができる。他の実施形態では、交替移動はコンピュータによって、および/または電動式モーションコントロールシステムを使用して自動的に制御することができる。
【0151】
[0189]本明細書に記載の入れ子状システムは、類似した剛性とすることができるので有利である。これにより、入れ子状システムの全体剛性が比較的連続的であるように保証することができる。本明細書に記載の入れ子状システムは、様々な異なる生体構造に収まるように小型とすることができる。たとえば、神経用途の場合、システムの外径は、約0.254cm(0.1インチ)など、0.127cm(0.05インチ)と0.381cm(0.15インチ)の間とすることができる。心臓用途の場合、システムの外径は、約0.508cm(0.2インチ)など、0.254cm(0.1インチ)と0.762cm(0.3インチ)の間とすることができる。胃腸用途の場合、システムの外径は、2.032cm(0.8インチ)など、0.762cm(0.3インチ)と2.54cm(1.0インチ)の間とすることができる。また、本明細書に記載の入れ子状システムは、微小プロファイルであっても高い剛性を維持することができる。たとえば、軟性形態から剛性形態への相対的剛性の変化は、10倍、20倍、30倍およびさらに大きい倍数とすることができる。さらに、本明細書に記載の入れ子状システムは、互いに対して円滑に動くことができるので有利である。
【0152】
[0190]本明細書に記載の入れ子状システムは、任意の経路、または開放空間、複雑な空間もしくは曲がりくねった空間をナビゲートすることができ、一連の自立した複雑な形状を形成することができるので有利である。入れ子状システムは、さらに、形状伝播をもたらすことができ、それにより1つの要素から別の要素に形状記憶を伝えることを可能にするので有利である。実施例によっては、たとえばシステムの半径または曲率が増大し、周囲の生体構造がシステムに支持を与えるように、周期的に両方のチューブを部分的にまたは完全に柔軟状態にすることができる。チューブを部分的に、または完全に柔軟状態にするように、チューブに剛性を与えるために使用される圧力または真空を低減または停止することができる。この一時の弛緩(たとえば1~10秒)により、システムが、システムが通過している生体構造とより密接に合致する形状を見つけることができるようにしてもよい。たとえば、結腸では、この弛緩により生体構造における急カーブを緩やかに開くことができる。
【0153】
[0191]実施例によっては、内側または外側剛性付与デバイスの剛性機能は、先端部で内側剛性付与デバイスによって形成される急カーブが、外側剛性付与デバイスによってコピーされると、その形状が外側チューブを通って近位に伝播するにつれて徐々に開かれる(より大きな半径を有するようにする)ように設計されてもよい。たとえば、外側剛性付与デバイスは、剛性付与されると最小曲率半径が大きくなるように設計されてもよい。
【0154】
[0192]入れ子状システムは連続的であり(すなわち分節がない)、したがって身体(たとえば腸)を通る円滑で連続的な移動をもたらす。入れ子状システムは使い捨てで、低コストとすることができる。
【0155】
[0193]実施例によっては、外側剛性付与デバイスは(たとえば、参照により全体が本明細書に組み込まれるPCT/US18/42946に記載されているような)動的に剛性付与するオーバーチューブとすることができる。実施形態によっては、内側剛性付与デバイスは、剛性付与システムまたは市販のスコープ、たとえば5mm径の鼻腔鏡とすることができる。剛性付与および入れ子状システムを使用することで、十二指腸内視鏡と比較して、必要ならより高い柔軟性、必要ならより高い剛性、強化された操作性、および、はるかに小さい曲率半径で関節運動する能力を示す、より小型のスコープの使用を可能にする。
【0156】
[0194]実施例によっては、目的部位に達すると、入れ子状システムの内側剛性付与デバイスを引き抜くことができる。外側剛性付与デバイスは剛性付与された状態を維持することができ、蛍光透視撮像のために内部要素の空間を通して造影剤を注入することができる。
【0157】
[0195]入れ子状システムがとるどのような形状の3D表現でも提供するように、本明細書に記載の入れ子状システムのいずれにおいてもRFコイルを使用することができる。その表現は、(たとえば自動大腸内視鏡検査後の医師による見直しのために)形状を再現するため、または所与の点まで戻るために使用することができる。
【0158】
[0196]実施例によっては、本明細書に記載の入れ子状システムは、ワーキングチャネル、加圧管路、真空管路、先端洗浄、および照明と撮像(視覚システム、超音波、X線、MRI)のための電子部品のペイロードを担持する内部構造体を備えた、完全内視鏡として有用となり得る。
【0159】
[0197]本明細書に記載の入れ子状システムは、たとえば大腸内視鏡検査のために使用可能である。そのような大腸内視鏡検査用入れ子状システムは、ループを低減またはなくすことができる。このシステムは内視鏡的低減術の必要をなくすことも可能である。ループがないので、処置はS状結腸鏡検査の速度および低コストと大腸内視鏡検査の有効性とを兼ね備えることができる。さらに、大腸内視鏡検査用入れ子状システムは、意識下鎮静術とそれに付随するコスト、時間、リスクおよび設備要件をなくすことができる。また、本明細書に記載の入れ子状システムを使用することによって、そのような大腸内視鏡検査処置のための処置技術を著しく軽減することができる。また、実施例によっては、本明細書に記載の入れ子状システムは、視覚システムがポリープを探しながら自動的に入れ子状システムを結腸の中央を通して駆動する自動大腸内視鏡検査を実現することができる。そのような自動システムは、鎮静剤も基礎検査のための医師も必要としないことになる一方、必要であればさらなる検査のために医師が経過観察することを可能にするので有利である。
【0160】
[0198]上述のように、実施例によっては、システム(たとえば、システム2400z/9300z)は、結腸などの身体管腔を通る湾曲を低減するために使用することができる。この動作は、身体管腔の低減を含む。従来の身体管腔の内視鏡検査(たとえば、結腸鏡検査)中、ループが形成され、ループ内に急カーブがある場合、概して臨床医は、低減を実行しようとする。ループを低減するために、臨床医は、抵抗が最も小さい方向に一貫してトルクをかける。
【0161】
[0199]たとえば、α型ループの低減を実行するとき、臨床医は、スコープまたはカテーテルの屈曲部を急カーブの周囲に引っ掛けることができる。臨床医は次いで、抵抗が最も小さい方向(通常は、反時計回り)にスコープにトルクをかける。このようにしてスコープにトルクをかけることで、ループを「リフト」し、「モーメントアーム」を増大させてループを低減する。臨床医は次いで、時間全体にわたって、スコープにトルクをかけながら、スコープを手動で後退させようとすることがある。理論上、これは、これらの運動中に抵抗がほとんどまたはまったくない場合のみ実行されるべきである。臨床医は、屈曲部の遠位端を作動させて、低減中の管腔中心性を維持することができる。低減された後、臨床医はループを患者の外へ取り出し、引き続き注意深く前進する。このプロセスは、患者への損傷を回避するように遠位領域、中間領域、および近位領域の移動を連係させることが難しいため、従来の内視鏡では扱いにくく実行するのが難しい場合がある。ワーキングチャネルに沿ってツールを伝達するように装置をさらに挿入する/引き抜くこと、向ける(回転させる)こと、または使用することを可能にするために、実行された後の低減を維持することも、特に難しい場合がある。
【0162】
[0200]本明細書に記載の剛性付与装置は、たとえば結腸の簡単、安全、かつ確実な低減を実行するのに特に有用で役に立つ場合がある。本明細書に記載の方法および装置は、複雑な操作を最小化する簡単な技法を提供することができ、装置の遠位端のスリップを確実に最小化することができる。これらの方法および装置は、剛性付与装置が結腸を低減するために遠位端にフックを形成することができる実施例を含めて、結腸が動けなくなってねじれることを防止するように構成可能である。
【0163】
[0201]大腸内視鏡検査を実行するとき、ループは頻繁に発生する問題であり、スコープが前方(遠位)に前進することに応答して大腸内視鏡が結腸を引き延ばして膨張させるときに生じる場合がある。典型的には、ループが形成されると、処置を継続するためには、ループをまっすぐに伸ばさなければならない(「低減」)。しかし、入れ子状の大腸内視鏡によってループを低減することは特に困難な場合がある。本明細書に記載の方法および装置は、入れ子状の細長い部材の剛性と相対位置(軸方向および/または回転方向)との両方を制御することによって、ループの低減を初めて提供することができる。これらの技法のいくつかまたはすべてを自動化または半自動化することができることが有利である。
【0164】
[0202]たとえば、
図20Aおよび
図20Bは、結腸2000のモデルで形成されるα型ループ2002の例示的な低減を示す。
図20Aにおいて、結腸モデルは、約360度ループの場合の結腸内のα型ループ2002を含み、結腸内に入れ子状剛性付与部材が配置される。以下により詳細に記載するように、選択的剛性付与装置を使用する低減技法を用いてループを低減することができ、その結果、
図20Bのモデル結腸に示すように、結腸形状の湾曲がより小さくなる。本明細書に記載の装置および方法は、本明細書に記載の低減を実行するために、選択的剛性付与装置に伴う様々な特徴を使用することができる。これらの特徴については以下により詳細に記載しており、これらの特徴は、浮動(非拘束回転)式の近位(たとえば、「ハンドル」)領域を含むことができる。本明細書に記載の装置のいずれも、2つ以上入れ子状(たとえば、伸縮)チューブを使用することができ、チューブ(またはチューブおよび内側部材)の各々が選択的に剛性化する。伸縮部材のいくつかまたはすべての近位端領域は、たとえば近位クランプ領域で、自由に回転するように構成可能である。実施例によっては、装置は、剛性化する外側(「母」)部材と、別個に剛性化する内側(「子」)部材とを含み、外側部材および内側部材のうちの一方または両方が、自由に回転、または浮動するように構成可能である。実施例によっては、内側部材のみまたは外側部材のみを自由に回転させることができる。装置は、近位端での回転を自動または手動で行い、装置が回転ロック(または制御)形態から自由回転形態へ遷移することを可能にするように構成可能である。
【0165】
[0203]これらの装置のいずれも、剛性付与部材(または複数の伸縮部材)を装置によって能動的に回転させるまたは回転駆動することができるように構成可能である。2つの伸縮部材(内側および外側)が含まれる実施例では、内側および外側部材のうちの一方または両方が、近位端領域から回転駆動されるように構成可能である。
【0166】
[0204]上述のように、装置は、低減に使用することができる1つまたは複数の事前設定された運動を実行するように構成可能である。たとえば、「スピン運動」を装置内に事前設定またはプログラムすることができ、手動または自動でトリガすることができる。スピン運動を手動でトリガすることで、遠位端領域が平面内にフックまたは湾曲形状を形成するように、システムが(たとえば、たとえば上述のようにテンドンを動作させることによって、装置の遠位端領域を制御するためのステアリングサブシステムの)一連の所定の移動を実行することを可能にすることができる、装置は、遠位端領域のこの湾曲またはフック形態を結腸に対して同じ平面内で維持しながら、より近位の領域を回転させることができ、またはより近位の領域がこの平面から回転することを可能にすることができる。たとえば、装置は、装置の遠位端、または実施例によっては内側(たとえば、子)部材の遠位端領域を、湾曲(フックまたはJ字形)にステアリングすることができるように構成可能であり、システムは、この関節運動角度を維持しながら、関節運動平面を手動または自動で変化させるように構成可能である。これは、ステアリング部材(たとえば、テンドン)を使用して遠位端領域を能動的にステアリングすることによって実現することができる。装置は、これらの技法をロボットで実行するように構成可能である。
【0167】
[0205]本明細書に記載の装置のいずれもまた、またはあるいは、細長い硬化部材の長軸に沿って半径方向に不均一の曲げ剛性を提供するように構成可能である。1対の硬化部材(たとえば、内側および外側部材)を含む装置の一実施例では、これらの部材のうちの一方または両方が、長軸に沿って向けられた第1の平面内で非常に柔軟になるように構成可能であり、たとえば装置は、0および180度の半径方向位置で非常に柔軟になることができるが、これに直交する平面内で、たとえば90および270の半径方向位置でより硬くなる(たとえば、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍など)。複数の伸縮部材が含まれるいくつかの実施例では、比較的硬い半径方向位置および比較的より柔軟な半径方向位置を互いに対して半径方向にずらすことができる。
【0168】
[0206]本明細書に記載の装置のいずれも、部分的に剛性化することができる。たとえば、剛性付与量は、印加される吸引(いくつかの実施例)または陽圧(他の実施例)を調整または選択することによって調整可能または選択可能とすることができる。たとえば、陽圧を増大させる結果、長さ全体に沿って剛性が増大する。これらの実施例のいずれにおいても、装置は、部分的に剛性化する伸縮部材によって構成可能である。これにより、装置が可変の入れ子状の塑性変形を実現することを可能にすることができる。
【0169】
[0207]本明細書に記載の装置は、これに代えて、またはこれに加えて、装置の遠位端領域にバルーンなどのアンカーを含むことができ、複数の伸縮部材を含む変形例では、1つまたは複数のバルーンを使用することができる。たとえば、伸縮装置内で、外側部材は、(たとえば、膨張性バルーンまたは他の拡張構造として)拡張するように構成可能である。実施例によっては、内側部材の遠位端領域が拡張するように構成可能である(たとえば、バルーン)。したがって、これらの装置および方法のいずれにおいても、バルーンなどのアンカーを低減に使用することができる。たとえば、
図21Aは、細長い剛性付与可能部材2108の一実施例を示し、細長い剛性付与可能部材2108は、たとえば外側の細長い剛性付与可能部材2400または内側の細長い剛性付与可能部材2410とすることができ、遠位端にバルーン2128を含み、バルーン2128は、部材の外側、部材の内側、または部材の壁の間に延びる膨張管腔(図示せず)に結合することができる。固定バルーン2128は、細長い剛性付与可能部材の遠位端に、またはより近位に配置することができる。単一のドーナツ形(たとえば、環状)のバルーンが示されているが、細長い部材の周囲に半径方向に、および/または場合により細長い部材に沿って長手方向に、複数のバルーンを使用および配置することもできる。バルーンは、生理食塩水を含む任意の適当な膨張材料によって膨張させられるように構成可能である。
【0170】
[0208]本明細書に記載の装置および方法はまた、またはあるいは、結腸管腔の壁を保持または把持するように吸引を印加するための吸引チャックまたは開口(または複数の開口)を通した吸引を含むことができる。これにより、装置が結腸壁の一部分に制御可能な方式(ロボット制御可能な方式を含む)で固定されることを可能にすることができる。たとえば、
図21Bは、細長い剛性付与可能部材の遠位端領域に真空ポート(または真空チャック)2138を含む、細長い剛性付与可能部材2108の一実施例を示す。
図21C~
図21Fは、使用可能な真空ポート2138の代替図を示す。
図21Cで、真空ポート2138は複数の開口2139を含み、複数の開口2139を通して真空を送達することができる。真空ポートはまた、真空(吸引)ラインへの接続2140を含み、接続2140はポートに吸引を提供することができる。この実施例では、結腸の壁への半径方向の結合を可能にするために、多数の小さい開口2139を含むことができる。近位端から延びる真空ライン(図示せず)は、真空ポート2318に結合することができる。
図21Cおよび
図21Eは、それぞれ近位斜視図および遠位斜視図を示す。
図21Dは真空ポートの側面図を示し、
図21Fは断面図を示す。
【0171】
[0209]あるいは、実施例によっては、装置は、装置の長さに沿って剛性を変動させることができるように構成可能である。たとえば、これらの装置は、部材の長さに沿って、装置が長さ全体ではなく一部分(たとえば、遠位10cm)を剛性化することを可能にする剛性付与区間を含むことができる。これは、装置の長さ範囲内に、別個にアドレス指定可能な、および/または多重化された、圧力/吸引領域を含むことによって実現することができる。装置(たとえば、コントローラ)を使用して、陽圧(または実施例によっては、吸引)を印加して1つの領域のみまたは複数(たとえば、すべて)の領域を剛性化することができる。複数の領域が含まれる場合、異なる圧力レベル、したがって異なる剛性を実現することができる。
【0172】
[0210]本明細書に記載の装置のいずれも、形状感知を含むことができ、装置は、細長い部材が帯びる形状を判定することができる。たとえば、装置の長さのすべてまたは一部分に沿って光ファイバ形状感知要素を含むことができ、これを使用して、装置を形成する細長い剛性付与可能部材(または複数の部材)の形状を判定することができる。光ファイバ形状センサー(FOSS)を使用することができ、これは、歪みセンサーが埋め込まれたマルチコア光ファイバ(MCF)または複数のシングルコア光ファイバに基づくことができる。形状感知を使用して、ユーザが現在のシステムおよびコントローラ(たとえば、装置を制御するおよび/または装置に結合されたプロセッサ)の形状を見て、ロボット装置がとった経路を解釈することを可能にすることができる。またこれを使用して、装置が本明細書に記載の低減を実行することを支援することもできる。本明細書に記載の方法および装置のいずれもまた、またはあるいは、個々の関節運動、移動、および母と子との間の形状のコピーの履歴に基づいて、形状推定と共に使用することができ、同じ追加の特徴およびアルゴリズムのうちのいくつかが形状感知によって可能になる。
【0173】
[0211]一般に、本明細書に記載の装置および方法は、身体管腔内にあるときの入れ子状の内側および外側剛性付与部材の形状を使用して、本明細書に記載のように低減をたとえば自動または半自動で実行することを制御または支援することができる。たとえば、これらの方法および装置のいずれにおいても、ディスプレイが、入れ子状の内側および外側剛性付与部材の長さの実際のまたは推定された形状を示すことができる。したがって、ユーザは、低減に成功するために、どのタイプの低減またはどの組の低減操作を選択または使用することができるかを見ることができる。あるいは、装置は、入れ子状の内側および外側剛性付与部材の推定されたまたは判定された形状を使用して、ループを低減するために印加されるべき低減操作を選択または示唆することができる。たとえば、入れ子状の内側および外側剛性付与部材がα型ループを形成する場合、装置は、
図31~
図32で後述するように、入れ子状の内側および外側剛性付与部材を柔軟にするステップと、入れ子状の内側および外側剛性付与部材のいずれかまたは両方(または内側剛性付与部材のみ)を回転させるステップと、入れ子状の内側および外側剛性付与部材の近位端を引き抜くステップとを示唆または実行することができる。実施例によっては、入れ子状の内側および外側剛性付与部材がN字ループを形成する場合、装置は、後述するように、入れ子状の内側および外側剛性付与部材を柔軟にするステップと、入れ子状の内側および外側剛性付与部材の近位端を引き抜くステップとを示唆または実行することができる(たとえば、入れ子状の内側および外側剛性付与部材を回転させない)。
【0174】
[0212]本明細書に記載の方法および装置はまた、力/トルクフィードバックと共に使用することができる。たとえば、本明細書に記載の装置のいずれも、細長い部材(たとえば、内側部材)の屈曲部から、ならびに/または内側部材および外側部材を含む変形例では外側部材および内側部材ハンドルの両方からの、力/トルクフィードバックを含むことができる。
【0175】
[0213]本明細書に記載のように湾曲を低減する(たとえば、湾曲をロボットで低減する)方法および装置のいずれに対しても、他の感知および/またはフィードバックも同様に使用することができる。たとえば、これらの方法および装置のいずれも、視覚フィードバックと共に使用することができる。たとえば、装置(たとえば、装置のコントローラ)による管腔の解釈ならびに/または視野の配置および/もしくは維持を可能にするカメラの視野からの視覚フィードバックを使用することができる。
【0176】
[0214]これらの方法および装置のいずれもまた、またはあるいは、結腸鏡検査中の移動および/または関節運動のパターンを識別するために、機械学習または機械学習エージェント(たとえば、人工知能)の使用を含むことができる。たとえば、複数の結腸鏡検査事例を使用してシステムを訓練することができ、これらの事例にマークして、成功した低減を示すことができる。この訓練は、連続的または周期的に更新することができ、機械学習エージェントが結腸を低減するために、本明細書に記載の性能を含む1つまたは複数の操作の性能を識別し、実行または示唆することを可能にすることができる。
【0177】
[0215]概して、本明細書に記載の装置をロボット装置と呼ぶ場合があり、手動または自動(または半自動)でトリガされる本明細書に記載の操作のうちの1つまたは複数を実行するためのコントローラを含むことができる。たとえば、これらの装置または方法のいずれも、ユーザが低減および/または低減の維持のための一連の連係動作を実行するように作動させることができる制御またはコマンド(たとえば仮想または実際の制御、たとえばボタン)を、ユーザに提示することを含む。これに代えて、またはこれに加えて、装置または方法は、低減操作を実行するタイミングを自動で判定するように構成可能であり、たとえば機械学習エージェントまたはAIを使用して、それが最善に実行されるはずであることをシステムが検出したとき、それを実行することができる。
【0178】
[0216]本明細書に記載の方法および装置のいずれかによって使用することができる技法のうちの1つは、ハンドル領域における細長い部材のうちのいずれか(たとえば、内側の細長い部材、外側の細長い部材)の自由な回転(「浮動」)を可能にしながら、ステアリング可能な遠位端に遠位フックまたは遠位端を形成し、軟性形態の細長い部材を引っ張ることを含むことができる。本明細書では、この操作を浮動式ハンドル操作と呼ぶ場合があり、単独で、または他の操作と組み合わせて、使用することができる。装置は、自由に回転可能であってよい、または自由回転可能な形態へ遷移することができる、ハンドルを有することを含む、操作を実行するように構成可能である。装置はまた、装置の細長い剛性付与可能部材(たとえば、実施例によっては、剛性付与可能な内側部材)のステアリング可能遠位端領域にフックを形成するように構成可能である。装置および方法はまた、ユーザがこれ(および/または本明細書に記載のものを含む低減技法を含む、他の所定の技法)を選択することを可能にする制御を含むように構成可能である。
【0179】
[0217]使用可能な別の技法は、ステアリング可能な遠位端にフックまたは曲げを形成し、細長い部材を引っ張る間、またはその後、(たとえば、伸縮式の剛性付与可能部材を有する実施例の場合)装置の剛性付与可能部材のうちの1つまたは複数を回転(「スピン」)させながら、細長い部材を近位に引っ張ることを含む。装置または方法は、細長い部材の近位領域が回転するとき、遠位端において身体に対して同じ平面内でフックまたは曲げを維持することができる。これをスピン運動と呼ぶ場合がある。
【0180】
[0218]一般に、これらの装置および方法のいずれも、剛性付与可能部材の能動的な回転を可能にするように構成可能である。内側および外側部材を有する変形例では、装置および方法は、内側および外側部材、たとえば伸縮部材の能動的な回転を可能にすることができる。実施例によっては、装置は、外側(母)部材の能動的な回転を実行するように構成可能であり、近位に引っ張りながら、フックまたは湾曲を形成することができる。実施例によっては、装置は、不均一の曲げ剛性を含むように構成可能であり、したがって装置は、ループを反転させ、結腸の湾曲を低減するために、不均一の曲げ剛性による内側および/または外側部材の能動的な回転を含むことができる。
【0181】
[0219]能動的な回転を含む他の技法は、外側の細長い部材および内側の細長い部材を有することが、外側および/または内側部材を剛性化または弛緩することと組み合わされて、遠位端(ステアリング可能領域内)にフックまたは湾曲を形成し、近位に引っ張る変形例では、外側の細長い部材(母)の能動的な回転を含むことができる。これらの方法のいずれもまた、操作の一部として自由な回転を可能にすることを含むことができる。
【0182】
[0220]これらの技法のいずれも、細長い部材が普通なら回転するときに遠位屈曲または湾曲の平面を維持するためのスピン運動の使用を含むことができる。前述のように、装置は、テンドンなどのステアリング要素を作動させて、ステアリング可能な遠位先端部領域を身体に対して特有の平面内で屈強または湾曲した状態で維持することができる。
【0183】
[0221]これらの装置および方法のいずれもまた、または加えて、上述の湾曲またはフックの代わりに、またはそれに加えて、拡張型部材(たとえば、バルーン、拡張型ケージ、またはメッシュなど)および/または吸引などの遠位アンカーを含むことができる。たとえば、これらの技法のいずれも、たとえばバルーンを拡張し、および/または管腔壁に対して遠位吸引を印加することによって、遠位端領域を固定し、次いで近位に引っ張って湾曲を低減することを含むことができる。
【0184】
[0222]本明細書に記載の方法および装置は、結腸に「ひだを付ける」ことによって、結腸の湾曲を低減するように構成可能である。たとえば、方法または装置は、装置(たとえば、細長い剛性付与可能部材、または2つ以上のたとえば伸縮式の細長い部材を有する変形例では、内側の細長い剛性付与可能部材および/もしくは外側の細長い剛性付与可能部材)の遠位端領域に固定することができる。ひだを付けることは、結腸を折り畳み、および/またはしわを付けて、結腸、したがって結腸の湾曲の長さを短くすることを含むことができる。本明細書に記載の方法および装置は、細長い剛性付与可能部材の遠位端を固定して近位に引っ張ることによって、結腸にひだを付けることを含むことができ、剛性付与可能部材の遠位端は、拡張型アンカー(たとえば、バルーン)によって、および/または吸引を印加することによって、固定することができる。
【0185】
[0223]実施例によっては、装置または方法は、低減中に支援するために、フィードバック(たとえば、力/トルクフィードバック、視覚フィードバック、形状感知フィードバックなど)を含むことができる。これは、患者の安全を確保することに役立つことができる。本明細書に記載の技法のいずれかを実行することを助けるために、形状感知を使用することができる。本明細書では、低減を自動化することを助けるための視覚フィードバックを含む方法および装置についても記載する。上述のように、低減は、機械学習エージェント(たとえば、人工知能、AI)を使用することを含めて、完全に自動化することができ、または推奨される低減技法を考慮するようにユーザ(たとえば、医師)に促すことを含めて、部分的に自動化することができる。
【0186】
[0224]本明細書に記載の結腸の低減を含む、自動化または半自動化された方法および装置は、結腸内の内視鏡検査および関連処置のための現在の方法に比べて、多数の利点を提供する。たとえば、いくつかの内視鏡は現在、スコープの曲げ剛性を調整する能力を有する。曲がりくねった生体構造を通ってナビゲーションするために、柔軟性を増大させることができる。曲がりくねった生体構造を通ってナビゲーションした後、剛性を増大させることで、ループを「ロックアウト」することを可能にすることができる。しかし、ループが再形成された場合、概して臨床医が現在可能な手法の数は制限されている。たとえば、臨床医は、遠位および近位端でより良好な1対1の効果または相互運動を実現するために、さらなる低減を試みることができる。臨床医は、低減中に誰かに腹圧を印加させることができる。最終的に、臨床医はループを通過することができる可能性がある。この手法はあまり推奨されないが、それでも一般に実施されている。あるいは、本明細書に記載のものなどのシステム(たとえば、システム2400z/9300z)を使用して、結腸などの身体管腔内の湾曲の完全に自動化または半自動化された低減を提供することができることが有益である。このシステムは、現在利用可能なデバイスおよび技法を使用して可能な低減に比べて、安全でより確実な湾曲の低減を可能にする様々な特徴および能力を含むことができる。
【0187】
[0225]実施例によっては、内側および外側の細長い部材(たとえば、2410/9310、2400/9300)の近位端が、浮動式ハンドルまたはカラー内で自由に回転することが可能である。低減中、システムは、ループまたは円の周囲にナビゲーションされている。これを低減するために、システムは、ナビゲーションした曲がりくねった経路と同じ度数だけ回転しなければならない。内側部材(たとえば、2410、9310)が湾曲部または急カーブに引っ掛けられた場合、浮動式ハンドルまたはハンドルを内側部材(たとえば、2410、9310)に追加することで、システムがシステムの能動的な回転なしに低減することが可能になるはずである。システムが引き出されると、フックは生体構造によって遠位端で支持される。浮動式ハンドルは次いで、代わりに近位端でシステムのねじれが戻ることを可能にする。内側部材が十分なねじり剛性を有する実施例では、低減の終了によって、ハンドルは約360度回転しているはずである。
【0188】
[0226]
図21Aおよび
図21Bに示す例示的な細長い剛性付与可能部材2108において、細長い剛性付与可能部材は、時計回りまたは反時計回り方向2125に自由に回転および/または駆動されるように構成可能である回転可能な接続を有する近位端を有する。たとえば、近位端コネクタ2122を装置のハンドル領域に固定することができ、近位端コネクタと細長い剛性付与可能部材の本体との間の接合により、これら2つに対する回転を可能にすることができる。
【0189】
[0227]
図22A~
図22Dは、本明細書に記載の装置の細長い剛性付与可能部材の近位端の別の実施例を示す。この実施例では、装置は、細長い剛性付与可能部材のより遠位のハンドル領域2210に対して回転可能な近位端コネクタ2122を含む。近位端コネクタ2122と遠位ハンドル領域2210との間の接合は、ロック(回転を防止)するように、または解放されて回転を可能にするように、構成可能である。回転ロックは、システムによって自動で動作させることができ、および/または手動で操作することができる。近位端コネクタ2122に対する遠位ハンドル領域2210の回転2225の結果、細長い剛性付与可能部材が身体内で回転することが可能である。
図22Aおよび
図22Bで、細長い剛性付与可能部材の遠位端領域は、側面図および遠位端斜視図で示されている。
図22A~
図22Bで、マーカ2212が第1の位置に示されている。
図22Cおよび
図22Dで、遠位ハンドル領域2210は、マーカ2212の位置の変化によって示すように、近位端コネクタ2122に対して回転させられている。
【0190】
[0228]実施例によっては、たとえば、伸縮式または入れ子状の(親/子)対の細長い剛性付与可能部材を含むことができ、細長い剛性付与可能部材のうちの一方または両方は、
図22A~
図22Dに示すように、回転するように構成可能である。内側の細長い剛性付与可能部材は、自由に回転および/もしくは駆動することができ、ならびに/または外側の細長い剛性付与可能部材は、自由に回転および/もしくは駆動するように構成可能である。たとえば、システムは、遠位ハンドル領域2210および近位端コネクタ2122のうちの一方または両方によって細長い剛性付与可能部材に係合することができるハンドル結合器を含むことができる。
図22E~
図22Fは、細長い剛性付与可能部材の遠位ハンドル領域2210がハンドル結合器2200内に保持され、締め付けられた、細長い剛性付与可能部材の一実施例を示す。ハンドル結合器は、近位端コネクタ2122に係合して定位置で固定することができ、および/または実施例によっては、近位端コネクタ2122に係合して遠位ハンドル領域2210に対する回転を駆動することができ、実施例によっては、ハンドル結合器はまた、遠位ハンドル領域2210に係合することができる。遠位ハンドル領域2210もしくは近位端コネクタ2122および/または両方の間の係合は解放可能であってよく、遠位ハンドル領域2210または近位端コネクタ2122のうちの一方のみを解放することで、細長い剛性付与可能部材が自由に回転することを可能にすることができる。
図22Eおよび
図22Fに近位ハンドル領域2210の異なる回転位置によって示すように、この実施例に示す細長い剛性付与可能部材は、ハンドル結合器内で自由に回転することができる。伸縮式の第2の細長い剛性付与可能部材(たとえば、内側または外側の細長い剛性付与可能部材)に対して、類似しているが別個に制御される構成を(一列で)使用することができる。
【0191】
[0229]自由に回転することに加えて、本明細書に記載の装置のいずれも、アドミタンス制御回転向けに構成可能であり、感知されたトルクの方向に駆動することによって自由に回転する体験を提供することができる。たとえば、アドミタンス制御回転では、ユーザ(医師、技師など)が細長い剛性付与可能部材を回転させると、1つまたは複数のセンサー(たとえば、トルクセンサー)が、細長い剛性付与可能部材にかかるトルクを検出することができ、感知されたトルクに基づいて、回転を駆動することができる。自由な回転とアドミタンス制御回転との両方のハンドルは、所定の駆動位置もしくは向きをもたないことがあり、および/または拘束されずに回転することがあるため、本明細書ではこれらを浮動式ハンドルと呼ぶ場合がある。
【0192】
[0230]浮動式(自由回転式)ハンドルを使用する例示的な方法について次に説明する。実施例によっては、内側部材(たとえば、2410/9310)を、管腔内の屈曲(たとえば、脾臓またはS字/下行移行部など)の周囲に引っ掛けることができる。あるいは、バルーンを使用して、システムを管腔に固定することができる。バルーンを使用することで、システムを屈曲の周囲以外の箇所に固定することを可能にすることもできる。
【0193】
[0231]システムが引っ掛けられた後、内側および外側部材(たとえば、2410/9310、2400/9300)を非剛性化することができる。内側部材のハンドルを(たとえば、把持することによって)作動させて、内側部材の近位端がハンドル内で自由に回転することを可能にすることができる。実施例によっては、内側部材の近位端は常に自由に回転することができる。システムは、湾曲が十分に低減されるまで引き戻される。湾曲が低減されると、内側部材は回転する。
【0194】
[0232]
図23A~
図23Gは、細長い剛性付与可能部材2400が近位端で回転しながら、近位端を近位に引っ張ることを可能にすることによる、ループまたは湾曲の低減を示す。実施例によっては、細長い剛性付与可能部材の遠位端領域は、近位に固定または保持することができる。たとえば、遠位端領域は、結腸の管腔に対して利用することができるフックもしくは湾曲に形成することができ、および/あるいは遠位端領域は、上述のように、拡張もしくは膨張部材(たとえば、バルーンアンカー)を使用することによって、または吸引によって、固定することができる。
図23A~
図23Gは、例示的なデバイスを示し、便宜上体外にあるが、同じまたは類似の処置を結腸内で実行することができる。
【0195】
[0233]
図23Aで、細長い剛性付与可能部材2400は、単一の細長い剛性付与可能部材とすることができ、または内側の細長い剛性付与可能部材2410に結合して、本明細書に記載のシステムを形成することができる。細長い剛性付与可能部材は、
図23Aに示すループまたは湾曲形状を保持するために、最初に剛性化することができる。
図23Aで、細長い剛性付与可能部材は、回転(たとえば、自由に駆動、および/またはアドミタンス制御回転)することができるように、遠位ハンドル領域2210に回転可能に結合された近位端コネクタ2122を有する近位端を含む。この実施例では、遠位端領域は、上述のように定位置に保持(たとえば、固定)される(2361)。細長い剛性付与可能部材2410は次いで、近位に引っ張りながら(2364)、遠位ハンドル領域2210が近位端コネクタ2122に対して自由にまたはアドミタンス制御回転で回転することを可能にすることができ、したがって細長い剛性付与可能部材が回転する(2363)。これを
図23Bおよび
図23Cに示す。
図23Bで、近位端コネクタ2122が(この実施例では手動で)保持されるが、ハンドル結合器を使用することもできる。
図23D~
図23Gは、このプロセスを継続し、近位端コネクタ2122を近位に引っ張りながら、細長い剛性付与可能部材が回転し(2363)、その結果、ループ2369が解ける。
【0196】
[0234]実施例によっては、ロボットシステム(たとえば、システム2400z/9300z)は、引き戻されるとき、および/または回転させられるとき、内側部材の遠位端の管腔中心性を維持するように構成される。システムを引き戻すことで、撓んだまたは引っ掛かった遠位端が管腔側壁(たとえば、結腸壁)に接触し、または食い込むことができる。内側部材の遠位端を回転させることで、身体管腔の中心またはその付近に留まることを可能にすることができる。
【0197】
[0235]
図24A~
図24Cは、細長い硬化部材2400の一実施例を示す。
図24Aには、まっすぐなまたは撓んでいない遠位端2402を示す。
図24Bは、撓んだまたは屈曲した遠位端2402を示す。遠位端の屈曲は、上述のように、コントローラ1736xによって制御することができる。そのような操作を使用して、遠位端2402を管腔壁に引っ掛けることができる。
図24Cは、システムが管腔中心性を維持するときと同様に回転する細長い部材2400を示す。
【0198】
[0236]内側部材の遠位端の管腔中心性を維持するための一実施例は、内側部材の遠位端を身体管腔の屈曲(たとえば、脾臓またはS字/下行移行部など)の周囲に引っ掛けることを含む。内側部材の遠位端またはその付近にあるカメラまたはセンサーが、管腔を見ることを可能にすることができる。臨床医は、システムを非剛性化し、システムを引き戻すことができる。管腔の視野が動くと、臨床医は休止し、「遠位端関節運動」マクロまたはプログラムを作動させることができる。このマクロを実行することで、管腔中心性を維持するように、内側部材の遠位端またはその付近で屈曲部を作動させる。臨床医は、引き続きシステムを引き戻して、ループが十分に低減されるまで屈曲部を作動させることができる。
【0199】
[0237]実施例によっては、収集データに基づいて、遠位端の回転をシステムによって自動で行うことができる。たとえば、内側部材の遠位端からの視覚フィードバックを分析することができ、システムが特定のパラメータ範囲内で視野を維持するように遠位端を自動で回転させることを可能にすることができる。別の実施例では、内側部材および/または身体管腔の形状に関する形状感知フィードバックを分析することができ、システムが内側部材の遠位端を身体管腔内の所望の位置へ自動で回転させることを可能にすることができる。管腔中心性は、結腸壁への損傷のリスクを最小化するのに役立つことができ、たとえば装置(たとえば、細長い剛性付与可能部材の遠位端)の視覚化が難しい場合、または処置中に失われた場合、結腸壁への損傷を防止するために、管腔中心性を維持することができる。
【0200】
[0238]実施例によっては、システムは、管腔中心性を自動で維持するのではなく、収集データ(たとえば、視覚または形状感知フィードバック)に基づいて内側部材の端部を手動で回転させるように、臨床医に促すことができる。
【0201】
[0239]実施例によっては、システムが後退させられている間に、内側部材を部分的に剛性化することができる。この部分的な剛性化は、ループの突然の展開を防止し、システムが内側部材の遠位端の管腔中心性をより良好に監視することを可能にすることを助けることができる。
【0202】
[0240]実施例によっては、システム(たとえば、システム2400z/9300z)は、身体管腔内のループまたは湾曲が低減されるまで、外側部材の回転を駆動するように構成される。回転は、ループが平面から出ることを可能にし、ループまたは湾曲を低減するための「モーメントアーム」を増大させる。臨床医は、管腔内のループまたは湾曲を通ってナビゲーションすることができる。臨床医は次いで、内側部材(たとえば、2410/9310)の遠位端を湾曲(たとえば、脾臓もしくはS字/下行移行部、または肝臓湾曲部など)の周囲に引っ掛けることができる。実施例によっては、所望される場合、バルーンを使用して管腔内に固定し、臨床医が湾曲から離れた箇所で固定することを可能にすることができる。システムを非剛性化することができる。臨床医は、指定の回転(たとえば、約180°)への外側部材の回転を作動させるようにシステムを制御することができる。
【0203】
[0241]実施例によっては、システムは、形状感知を利用して、システム、したがって身体管腔が動いているかどうかを判定する。システムが動いていないとシステムが判定した場合、システムが動いていると判定されるまで回転が継続する。
【0204】
[0242]実施例によっては、システムは、トルクフィードバックを利用して、外側部材(たとえば、2400/9300)を回転させることが安全であることを確認する。特有の量の回転(たとえば、30°)後、測定されたトルクが上限を超過し、形状変化が検出されなかった場合、システムは、外側部材の回転を停止することができる。
【0205】
[0243]臨床医は、ループまたは湾曲が低減されるまで、引き続きシステムを引き戻すことができる。
【0206】
[0244]実施例によっては、システム(たとえば、システム2400z/9300z)が内側部材(たとえば、2410/9310)および外側部材(たとえば、2400/9300)のうちの少なくとも1つに不均一の曲げ剛性を有することによって、記載の機能性をいずれかを実行することができる。
【0207】
[0245]外側部材が不均一の曲げ剛性を有する実施例では、システムがループまたは湾曲を通って前進させられるとき、外側部材がより柔軟な軸に沿って屈曲すると想定することができる。臨床医は、低減を開始したいと考えたとき、システムに外側部材を回転させてトルクを印加し、ループまたは湾曲を反転させることができる。システムが引き戻されると、外側部材は、外側部材を反転させるのに十分なトルクが印加されるまで、ループに沿って屈曲したままになる傾向があり、柔軟な屈曲軸に沿って反対の方向に屈曲し、ループまたは湾曲を低減する。
【0208】
[0246]内側部材(たとえば、2410/9310)もまた、不均一の曲げ剛性を含むことができ、したがって内側部材は、外側部材の回転時にシステムを反転させ、それによって管腔内の湾曲を低減することが理解されよう。
【0209】
[0247]実施例によっては、不均一の曲げ剛性は、方形の断面を有する要素を細長い部材の壁に挿入することによって形成される。他の構成も可能である。たとえば、細長い部材の壁の中にワイヤまたは繊維を巻き、または配置して、好ましい、および好ましくない屈曲軸を生じさせることができる。
【0210】
[0248]湾曲またはループを低減するために不均一の曲げ剛性を有する外側部材(たとえば、2400/9300)を利用する例示的な方法は、ループまたは湾曲を通ってシステムをナビゲーションすることを含む。臨床医は、内側部材の遠位端をループまたは湾曲(たとえば、脾臓またはS字/下行移行部など)で引っ掛け、または固定することができる。実施例によっては、バルーンを使用してシステムを身体管腔に固定することができ、それにより固定箇所を湾曲またはループから離すことが可能になることが有利である。固定後、臨床医は、システムを非剛性化することができる。臨床医は、システムに、外側部材のより柔軟な屈曲軸に対応する指定の量の回転へ外側部材の近位端(たとえば、ハンドル)を回転させることができる。
【0211】
[0249]実施例によっては、システムは、形状感知を利用して、システム、したがって身体管腔が動いているかどうかを判定する。システムが動いていないとシステムが判定した場合、システムが動いていると判定されるまで回転が継続する。
【0212】
[0250]実施例によっては、システムは、トルクフィードバックを利用して、外側部材を回転させることが安全であることを確認する。特有の量の回転(たとえば、30°、または20~40°など)後、測定されたトルクが上限を超過し、形状変化が検出されなかった場合、システムは、外側部材の回転を停止することができる。
【0213】
[0251]臨床医は、ループまたは湾曲が低減されるまで、引き続きシステムを引き戻すことができる。
【0214】
[0252]本明細書に記載の様々な特徴および機能を組み合わせることができることが理解されよう。たとえば、実施例によっては、システム(たとえば、システム2400z/9300z)は、身体管腔内のループまたは湾曲が低減されるまで、外側部材(たとえば、2400/9300)の回転を駆動するように構成され、システムはまた、「浮動式」ハンドルを備え、内側部材の近位端がその近位端でハンドルまたはカラー内を自由に回転することを可能にする。浮動式ハンドルを追加することで、浮動式ハンドルにより子がねじれて、普通なら近位端に生じ得るあらゆるねじれを除去しながら、低減中に遠位端アンカーの相対位置を定常状態で維持することが可能になるはずであるため、低減を強化することができることが有利である。
【0215】
[0253]そのような実施例では、臨床医は、管腔内のループまたは湾曲を通ってナビゲーションすることができる。臨床医は次いで、内側部材の遠位端を湾曲(たとえば、脾臓またはS字/下行移行部など)の周囲に引っ掛けることができる。実施例によっては、所望される場合、バルーンを使用して管腔内に固定し、臨床医が湾曲から離れた箇所で固定することを可能にすることができる。システムを非剛性化することができる。臨床医は、指定の回転(たとえば、約180°)への外側部材の回転を作動させるようにシステムを制御することができる。
【0216】
[0254]実施例によっては、システムは、形状感知を利用して、システム、したがって身体管腔が動いているかどうかを判定する。システムが動いていないとシステムが判定した場合、システムが動いていると判定されるまで回転が継続する。
【0217】
[0255]実施例によっては、システムは、トルクフィードバックを利用して、外側部材を回転させることが安全であることを確認する。特有の量の回転(たとえば、30°)後、測定されたトルクが上限を超過し、形状変化が検出されなかった場合、システムは、外側部材の回転を停止することができる。
【0218】
[0256]臨床医は、(たとえば、ハンドルをその近位端で把持することによって)システムを作動させて、内側部材の近位端が自由に回転することを可能にすることができる。臨床医は次いで、内側部材がその近位端で回転してねじれが戻るとき、ループまたは湾曲が低減されるまで、引き続きシステムを引き戻すことができる。
【0219】
[0257]本明細書に記載のように、実施例によっては、システム(たとえば、システム2400z/9300z)は、バルーンを利用して、内側または外側部材を身体管腔に固定することができる。内側部材の遠位端を管腔内の湾曲に引っ掛ける代わりに、バルーンを利用することで、湾曲またはループから離れた箇所を含む身体管腔内の任意の箇所で固定することを可能にすることができることが有利である。
【0220】
[0258]実施例によっては、システム(たとえば、システム2400z/9300z)は、吸引を利用(たとえば、空気チャックを使用)して、内側または外側部材を身体管腔に固定することができる。内側部材の遠位端を管腔内の湾曲に引っ掛ける代わりに、吸引を利用することで、湾曲またはループから離れた箇所を含む身体管腔内の任意の箇所で固定することを可能にすることができることが有利である。吸引の開始はまた、たとえばバルーンの膨張より迅速に実行することができることが有利である。
【0221】
[0259]実施例によっては、システム(たとえば、システム2400z/9300z)は、管腔の部分を後退させ、それによってしわを付ける、折り合わせる、またはひだを付けることによって、管腔のうち後退部分に近位の部分の長さを低減することによって、管腔内の湾曲またはループを低減するように構成される。
【0222】
[0260]
図25A~
図25Cは、そのような方法が結腸内で実行される一実施例を示す。この実施例では、臨床医が、
図25Aに示すように、湾曲または屈曲2502をナビゲーションするように、外側の細長い剛性付与可能部材および内側の細長い剛性付与可能部材を含むシステム(たとえば、システム2400z/9300z)を制御することができる。外側の細長い剛性付与可能部材(たとえば、2400/9300)は、伸縮式の内側部材(たとえば、2410/9310)の近位で保持することができる。内側の細長い剛性付与可能部材上のアンカー(たとえば、バルーン2128’または他の拡張型部材)を作動(たとえば、拡張)させて、システムを管腔に固定することができる。
図25Aで、遠位アンカーは、結腸内で拡張した環状バルーン2128’である。システムは、内側(および/または外側)の細長い剛性付与可能部材の剛性を除去または低減することができ、固定された内側の細長い剛性付与可能部材を近位に引き抜いて、湾曲を低減することができる。実施例によっては、内側の細長い剛性付与可能部材は、それ以上引き戻されることがなくなるまで、または外側部材の位置まで引き抜かれたという内側部材の遠位端からの視覚フィードバックまで、近位に引っ張ることができる。実施例によっては、内側および外側の細長い剛性付与可能部材の両方を近位に引き抜くことができる。単一の遠位アンカーを使用することができ、または1対のアンカーを使用することができ、内側の細長い剛性付与可能部材の遠位端領域上の第1の(遠位)アンカー2128’、および外側の細長い剛性付与可能部材上の第2の(近位)アンカー2128を使用することができる。
図25A~
図25Cは、遠位アンカー2128’および近位アンカー2128の両方を示す。遠位アンカー2128’を近位アンカー2128の方へ近位に引っ張って、結腸を低減することができる。その結果生じる
図25Cに示す結腸のひだは、それほど曲がりくねっていないより短い経路を提供し、システムを通した1つまたは複数の治療ツールの挿入を簡略化し、ならびに結腸の視覚化を改善することができる。
図25Bで、内側の細長い剛性付与可能部材2400zを引き戻し、湾曲2502を低減し、ひだまたはしわ2506を形成することによって、結腸は部分的に低減されている。
【0223】
[0261]本明細書に記載のシステムのいずれも、妥当な力の下で管腔の後退が実行されることを確実にするために力フィードバックを提供する1つまたは複数のセンサーを含むことができる。測定された力が所定の閾値を上回って急激に増大した場合(たとえば、癒着または傷痕による)、後退を停止することができる。これに代えて、またはこれに加えて、部分的に剛性化する実施例(以下により詳細に説明)は、システム2400zと結腸の壁との間の力を低減させることによって、結腸への損傷を防止することができる。
【0224】
[0262]結腸が十分に低減されたことは、管腔内へのもしくは管腔を通した撮像をユーザが手動で使用することによって、および/またはシステムの形状感知によって判定することができ、あるいは自動で実行することができ、たとえばシステムは、はっきりしたもしくは十分にまっすぐに伸ばされた管腔、および/または結腸に印加される力に基づいた境界を示し、結腸が十分に低減された後、システムは、内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材を剛性化して、さらなる前進を可能にすることによって、結腸の低減状態を維持することができる。たとえば、内側の細長い剛性付与可能部材は前進させることができ、外側の細長い剛性付与可能部材は、内側の細長い剛性付与可能部材が別の湾曲または屈曲に到達するまで、結腸を低減形態で保持するように剛性化されたままである。このプロセスを繰り返すことができる。
【0225】
[0263]実施例によっては、バルーンを使用して管腔に固定する代わりに、吸引を使用することができる。吸引ポートの実施例は、上記の
図21B~
図21Fに図示および記載されている。吸引は、内側部材のワーキングチャネルまたは吸引チャネルを通して印加することができる。吸引チャネルは、細長い剛性付与可能部材の周囲に螺旋状に巻き付けることができる。実施例によっては、吸引は、内側部材と外側部材との間の環状空間を通して印加される。吸引は、
図25A~
図25Cに示すバルーンアンカーについて記載したのと同様に、内側の細長い部材を結腸の管腔に固定するように印加することができる。実施例によっては、内側の細長い剛性付与可能部材のみが吸引ポート/アンカーを含む。実施例によっては、内側の細長い剛性付与可能部材および外側の細長い剛性付与可能部材の両方が、結腸の壁に固定することができる吸引ポートを含むことができる。内側の細長い剛性付与可能部材は、結腸の円周領域全体に、または結腸管腔の円周の一部分に固定することができる。
【0226】
[0264]本明細書に記載の低減技法のいずれにおいても、装置が結腸のねじ曲がりを安全かつ迅速に低減する能力を強化するために、細長い剛性付与可能部材の剛性は、たとえば完全な柔軟性でも完全な剛性でもなく、中間の剛性に設定することができる。本明細書では、これを部分的な剛性化と呼ぶ場合がある。たとえば、システム(たとえば、システム2400z/9300z)は、内側の細長い剛性付与可能部材および外側の細長い剛性付与可能部材の剛性を変動させるように構成可能であり、したがってこれらの剛性付与可能部材は、完全な軟性形態(すなわち、自由かつ容易に屈曲可能)から、完全な剛性ではなく所定の実施例によっては選択可能な力の範囲内で変形可能とすることができるより剛性の形状(ユーザが装置をステアリングすることによって任意に形成することができる)へ遷移することができる。これにより装置は、結腸への損傷を引き起こす可能性のある力より小さい力で、部分的に剛性の形状から変形する(たとえば、「へこむ」)ことが可能になる。ユーザは、この相対的な剛性を選択する(剛性を増大/減少させる)ことができ、および/またはシステムは、低減操作の実行中に相対的な剛性を動的に調整することができ、それによって患者への障害をさらに防止することができる。
【0227】
[0265]部分的な(または可変の)剛性付与を使用して結腸の湾曲を低減するシステムおよび方法は、形状感知、力感知、および/またはトルク感知を使用して実行することができる。たとえば、システムは、内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材を剛性形態または部分的剛性形態で近位に引き抜きながら、装置の形状感知を使用して、内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材の形状の画像を提供することができる。近位の引き抜きに耐える内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材に作用する力が、事前設定またはユーザ定義することができる閾値(たとえば、5N、7N、10N、12N、15Nなど)まで増大し、かつ内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材の形状が湾曲したままである(たとえば、展開していない)場合、システムは、剛性を自動または手動で調整することができ、たとえば内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材にかかる力が減少し、かつ形状センサーによって検出される形状が変化するまで、剛性を増分(たとえば、5%、10%など)だけわずかに減少させる。力が減少し過ぎた場合、および/または形状が所望より屈曲した場合、剛性は、たとえば元の剛性より小さいが現在の剛性より大きい剛性まで、再び増大する可能性がある。
【0228】
[0266]剛性を増大または減少させる増分は、印加される陽圧または陰圧に応じたものとすることができる。たとえば、装置は、内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材を剛性化するために装置によって印加される最大圧力(陽圧または陰圧)に基づいて、実際のまたは推定される最大剛性を含むことができる。内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材の剛性は、最小(たとえば、印加圧力なし)とこの最大圧力、したがって最大剛性との間に設定することができる。装置は、あるいは、内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材の任意の中間圧力、したがって中間剛性の選択を可能にすることができる。たとえば、装置は、最大圧力または剛性のたとえば10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%など、最大圧力(陽圧または陰圧)の割合、または場合により最大剛性の割合の選択を可能にすることができる。装置は、ユーザが剛性/印加圧力を手動で調整することを可能にするために、制御(たとえば、ボタン、ダイヤル、ノブなど、仮想であっても実際のものであってもよい)を含むことができる。
【0229】
[0267]実施例によっては、印加圧力と剛性との間の関係は非線形となり得るため、剛性の割合を印加圧力(陽圧または陰圧)にマッピングすることができる。こうした装置、たとえば内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材の剛性に対する印加圧力のマッピングは、装置によって事前に較正することができる。したがって、装置は、このマッピングを使用して印加圧力を調整し、中間剛性付与を含む低減処置中を含む動作中に、手動または自動(または半自動)で選択された剛性を送達することができる。
【0230】
[0268]
図26Aおよび
図26Bは、内側および外側の細長い剛性付与可能部材が完全に剛性化されたシステムの一実施例を示す。この実施例では、
図26Aに示すように、形状は、結腸内の屈曲2602の周囲にナビゲーションした後、高度に(または完全に)剛性化されるように設定することができる。装置は、湾曲形態で剛性化されたシステム2400z(内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材)の形状を示すことができる。
図26Bに示すように、剛性化されたシステムが近位に引っ張られた場合、内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材は結腸の管腔に接した状態で駆動される可能性があり、1つまたは複数の領域2615、2615’にかかる力が、結腸を損傷するおそれがある。この実施例では、剛性化されたシステム2400zは、管腔壁に接した状態で引っ張る力に応答してわずかに屈曲することもできるが、この力は大きいことがあり、その結果、結腸を損傷する可能性がある。対照的に、
図27A~
図27Bに示すように、システムが完全に非剛性化されてから近位に引き抜かれる場合、内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材は、湾曲を低減するのに十分な力を印加することができない可能性がある。
図27Aは
図26Aと同一であるが、
図27Bでシステム2400zは剛性化されていない。装置は、システム2400zと結腸の管腔との間に作用する力およびシステム2400zの形状(形状センサーに基づく)を表示することができ、システム2400zと結腸の管腔との間に作用する力は比較的小さい可能性がある。
【0231】
[0269]
図28A~
図28Cは、結腸の湾曲の低減における部分的(または増分的)な剛性付与装置の使用を示す。
図28Aは、
図26Aおよび
図27Aと同じ開始形態を示し、結腸の管腔内のシステム2400z(たとえば、内側および外側の細長い剛性付与可能部材を有する)は、最初に高度に剛性の湾曲を形成する。装置は、実施例によっては細長い剛性付与可能部材に作用するトルクを含む、細長い剛性付与可能部材に作用する力を、ユーザに表示することができる。装置はまた、細長い剛性付与可能部材の形状の画像を表示することができる。処置中、ユーザは、システム2400z(たとえば、内側および/または外側の細長い剛性付与可能部材)を近位に引き抜きながら、同時にシステムにかかる力および/または細長い剛性付与可能部材の形状を表示することによって、結腸の湾曲を低減することができる。力の測定に加えて、場合により明確な力の測定の代わりに、ユーザは、システムを近位に引き抜くことに対する抵抗を感じることができる。感知された力が閾値を超過した場合、装置は、
図28B(部分的に剛性化されたシステム2400zを示す)に示すように、細長い剛性付与可能部材を剛性化する圧力を低減させ、それによってシステムの剛性を低減させることができる。剛性および/または圧力は、割合(たとえば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%など、または前述の任意の増分)だけ低減させることができ、これは、圧力および剛性を動的に低減させながら、システムを近位に引っ張り、場合によりシステムの形状を観察することを含む。したがって、装置(たとえば、内側の細長い剛性付与可能部材)は、外側部材の自然の曲げ剛性にほんのわずかに打ち勝つことができるように剛性化することができるが、細長い剛性付与可能部材によって印加される力が普通なら結腸を損傷し得る閾値を超過しないように、依然として変形させることができる。
図28Bで、剛性/圧力は、システム2400zが屈曲し(矢印2850によって示す)、わずかに「へこむ」ことを可能にしながら、屈曲に対して十分な抵抗を保持するように減少させることができ、したがってシステムを近位に引っ張ると、システムは引き続き結腸を近位に引っ張る。実施例によっては、ユーザは、近位に引っ張ることに応答してシステムによって作用される力(たとえば、引っ張りに対する抵抗)を感じることができ、力の感覚が大き過ぎる場合、制御(たとえば、ボタン、ダイヤル、スライダなど)をトリガして、システムを剛性化する追加の圧力を解放することができる。これに代えて、またはこれに加えて、システムは、(1つまたは複数の力センサーからの)力を自動または半自動で検出することができ、圧力を低減させ、したがって剛性を減少させるように、ユーザに警報することができ、またはシステムを剛性化する圧力を自動で低減させることができる。いくつかの事例では、感知された力の一方または両方が低過ぎる(たとえば、最小力閾値を下回る)場合、装置は、システムの圧力、したがって剛性を増大させることができる。
図28Cで、剛性を低減させた後、示されているように結腸を低減するために、システムをさらに引き抜くことができる。さらなる低減は、システムを回転または他の方法で操作することによって実現することができる。任意選択で、システムは、1つまたは複数の処置を実行することが可能になるように、低減された結腸内で、内側の細長い部材および/またはシステムを前進させることができるように、たとえば外側の細長い剛性付与可能部材の剛性を回復して、低減された形状を維持する。
【0232】
[0270]部分的な剛性化を使用する低減の一実施例では、ユーザは、システムを身体管腔内の湾曲またはループへナビゲーションすることができる。システムの遠位端を管腔の一部分に引っ掛けることができ、システムを近位に引き抜くことができる。臨床医は、外側または内側の細長い剛性付与可能部材を非剛性化することができ、他方の部材(たとえば、内側の細長い剛性付与可能部材)は、圧力(たとえば、陽圧または陰圧)の印加によって部分的に剛性化される。ユーザは、システムを近位に引っ張って後退させながら、触覚フィードバック(たとえば、近位への引っ張りおよび/もしくは回転に対する抵抗)、視覚フィードバック(たとえば、たとえば形状センサーによって検出されたシステムの形状を見る)、ならびに/または近位に引き抜かれるおよび/もしくは回転させられるときにシステムに印加された実際の力の測定に基づいて、ならびに/またはたとえばシステムの遠位端に位置し、管腔がはっきりとした視野内にあることを確認することができる、デバイス上の1つもしくは複数のカメラからの視野に基づいて、他方の部材の剛性を調整することができる。
【0233】
[0271]前述のように、形状感知フィードバックを使用して、この低減技法を実行している間にループまたは湾曲が低減されたことを確認することができる。光学(光ファイバ)形状設定を使用することができる。実施例によっては、力に関するフィードバックを使用して、引き抜く際に遠位先端部システムハンドルまたはその周囲で力が所定の範囲内にあることを確認することができる。感知されたフィードバックは、ディスプレイまたはスクリーンに表示することができ、絶対のまたは正規化された数値および/または図による数として提示することができる。実施例によっては、ロボットシステム(たとえば、2400z/9300z)は、システム内の様々な構成要素および様々な箇所で印加された力に関するフィードバックを受け取るように構成される。印加された力についての情報を収集することで、ロボットシステムは、システムの移動が安全かつ確実であることを確かにすることを可能にすることができる。
【0234】
[0272]実施例によっては、ロボットシステムは、内側および/または外側部材のハンドルまたは近位端に印加される回転トルクを感知するように構成される。ロボットシステムは、収集された力データを使用して、低減中の臨床医を支援し、臨床医が試そうとしている何らかの操作が妥当な力/トルクの所定の範囲を超過する場合、臨床医に通知することができる。
【0235】
[0273]たとえば、実施例によっては、ループ(たとえば、α型ループ)の低減中に、外側部材(たとえば、2400/9300)に回転を印加することができる。外側部材ハンドルまたは近位端に印加されたトルクでは、システムが必要な量だけ回転することができない場合、システムは、管腔移動を防止する結腸上の癒着または傷痕組織が存在し、管腔壁を操作するシステムの能力を制限していると推論することができる。特定のそのような実施例では、ロボットシステムは、低減技法を自動で停止することができる。
【0236】
[0274]上述のように、実施例によっては、ロボットシステム(たとえば、2400z/9300z)は、システムの形状に関するフィードバックを受け取るように構成される。このフィードバックは、内側部材(たとえば、2410/9310)、外側部材(たとえば、2400/9300)、または内側および外側部材の両方の形状を感知することを含むことができる。形状感知は、光ファイバ形状感知を含むことができる。他の実施例(たとえば、EM形状感知)も可能である。
【0237】
[0275]実施例によっては、身体管腔全体におけるシステムの移動の記録に基づいて、形状感知を実行することができる。ロボットシステムは、移動の履歴記録を分析し、それらの記録に基づいて、システムの現在の形状を推定するように構成可能である。
【0238】
[0276]形状感知能力は、身体管腔を通ってナビゲーションされるときのシステムの正確な解釈を可能にすることができることが有利である。システムの形状は、システムがナビゲーションされた身体管腔の形状であると想定することができる。システムが身体管腔の形状を判定することが可能であることと、本明細書に記載の低減技法とを組み合わせることで、ロボットシステムが低減プロセスを部分的または完全に自動化することを可能にすることができる。
【0239】
[0277]形状感知を使用して自動化された低減プロセスを容易にする例示的な方法について次に説明する。実施例によっては、結腸を通ってシステムをナビゲーションしている間に、α型ループが形成される。臨床医は、結腸内の好適なまたは安定した位置(たとえば、脾臓湾曲部付近)に到達した後、内側および外側部材を非剛性化することができる。システムは、形状感知フィードバックを使用して、十分な低減が実現されるまで低減技法(たとえば、外側部材の回転、内側部材遠位端の関節運動など)を実行する程度または時間を自動で判定することができる。
【0240】
[0278]低減技法に失敗し、システムが逆戻りし始めた場合、システムは定位置で自動で剛性化し、その位置をさらに失うことを防止することができる。
【0241】
[0279]形状を感知することによって、ロボットシステムは、低減中の臨床医を支援し、十分な低減にどれだけ近づいているかを臨床医に通知することが可能である。ロボットシステムはまた、1つまたは複数の特有の低減技法を臨床医に推奨するように構成可能である。
【0242】
[0280]実施例によっては、ロボットシステムは、ループ(たとえば、N字ループ、α型ループ、逆α型ループ、γ型ループ、横行ループなど)の形状を感知し、ループを低減するために必要な低減技法を選ぶように構成される。
【0243】
[0281]上述のように、実施例によっては、ロボットシステム(たとえば、2400z/9300z)は、システムから視覚フィードバックを受け取るように構成される。
【0244】
[0282]ロボットシステムは、内側および/または外側部材(たとえば、2410/9310、2400/9300)の遠位端から視覚フィードバックを受け取ることができる。実施例によっては、ロボットシステムは、先端部の後ろの状況にかかわらず、管腔の中心視野を自動で維持することができる。たとえば、α型ループの低減中、システムが引き戻されるときに、管腔壁に固定された内側部材の遠位端を関節運動させると、内側部材は自動で作動して管腔の視野を維持するはずである。
【0245】
[0283]実施例によっては、ロボットシステムが視覚フィードバックを使用して、低減技法中の臨床医に支援を提供することができる。ロボットシステムは、視覚フィードバックを使用して、管腔の中心視野を維持するためにステアリングするべき方向を臨床医に通知することができる。
【0246】
[0284]実施例によっては、ロボットシステムは、管腔中心性を維持するために、視覚フィードバックを利用してステアリングシステムを作動させることができる。たとえば、実施例によっては、ロボットシステムは、管腔中心性を維持するために、人工知能アルゴリズムを用いてステアリングケーブルを作動させることができる。
【0247】
[0285]上述のように、実施例によっては、人工知能および/または機械学習を使用することで、ロボットシステム(たとえば、2400z/9300z)は、以前の低減から収集した情報に基づいて、低減を自律的に実行する。
【0248】
[0286]ロボットシステムは、システムのセンサーから収集されるフィードバック(たとえば、力/トルクフィードバック、形状感知フィードバック、視覚フィードバックなど)の任意の組合せを使用することができる。
【0249】
[0287]たとえば、実施例によっては、臨床医は、湾曲またはループを通ってナビゲーションすることができる。ロボットシステムは、挿管全体にわたって管腔(たとえば、結腸)の形状を感知することができる。挿管の途中で、ロボットは、ループ(たとえば、N字ループ、α型ループ、逆α型ループ、γ型ループ、横行ループなど)が形成されたと判定する。たとえば、装置は、1つまたは複数のセンサー(形状センサー、視覚センサーなど)によって、ループが形成されたと判定することができる。ロボットシステムは次いで、人工知能および/または機械学習に基づいて臨床医が低減を実行することを推奨することができる。実施例によっては、ロボットシステムはまた、人工知能および/または機械学習アルゴリズムに基づいて、低減を実行する方法を推奨することができる。
【0250】
[0288]臨床医は、推奨を受け入れることができ、または継続するには力が強くなり過ぎるまで前方へ進むことができる。臨床医は、推奨を受け入れると決定した場合、システムを非剛性化することができる。臨床医は次いで、多数の以前の低減から収集したフィードバックおよびデータの組合せに基づく推奨に基づいて、低減を実行することができる。実施例によっては、ロボットシステムは、力/トルクフィードバックを使用して、低減中の回転するおよび引き抜く力がループおよび/または管腔の形状に対して妥当であることを一貫して確認することができる。
【0251】
[0289]実施例によっては、低減を実行するかどうかまたは低減を実行する方法をロボットシステムが推奨する代わりに、ロボットシステムは、1つまたは複数の低減技法または操作を自動で実行することができる。ロボットシステムは、人工知能および/または機械学習アルゴリズムを使用して、多数の以前実行された低減からの記憶された情報に基づいて、低減技法を選択することができる。
【0252】
[0290]実施例によっては、低減が完了した後、ロボットシステムは臨床医に制御を返す。臨床医は次いで、1:1の相互移動を検証し、引き続き挿管することができる。
【0253】
[0291]身体管腔内の湾曲部、湾曲、屈曲、ループなどを含むがこれには限定されない特徴に関する「低減」および「低減する」という用語は、その特徴が完全に除去されることを必ずしも意味するとは限らないことが理解されよう。代わりに、これらの用語は、特徴がよりまっすぐなまたはそれほど湾曲もしくは屈曲していない形態へ変えられることを意味することができる。
【0254】
[0292]実施例によっては、本明細書に記載の装置および方法は、内側および外側剛性付与部材のいずれか(または両方)の遠位端を引っ掛けるのではなく、1対の入れ子状剛性付与部材を使用する処置中に、ループ(たとえば、N字ループ、α型ループ、逆α型ループ、γ型ループ、横行ループなど)を低減するために使用することができる。これは、ロボットシステムによる内側(たとえば、子)剛性付与部材および外側(たとえば、母)剛性付与部材のいずれかもしくは両方の能動的な回転、または内側剛性付与部材のみの能動的な回転によって実行することができる。
【0255】
[0293]
図31は、身体管腔内で1対の入れ子状剛性付与部材のループを低減する方法の第1の実施例を示し、これを身体管腔(たとえば、結腸)の湾曲の低減と呼ぶ場合もある。この方法は、本明細書に記載のシステム、たとえばロボットシステムによって実行することができる。
図31に示す方法は、α型または逆α型ループを低減するのに特に有用となることができ、たとえば引っ掛けによる、入れ子状装置の遠位端領域による管腔の取り付けを必要としない。実際には、システムは、入れ子状装置にトルクを、たとえばトルクに対する抵抗が最小になる方向に印加することができ、その後、近位に引っ張ることができ、トルクの印加により、最初にループが存在した平面内からループが出ることが可能になり、ループを低減するためにモーメントアームを増大させることができる。
図31で、入れ子状装置の外側および内側の細長い部材の両方に回転が印加される。
【0256】
[0294]たとえば、入れ子状装置は、上述のように、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材を交互に剛性化して柔軟にし、内側または外側(または両方)の剛性付与部材をステアリングすることによって、結腸を通って少なくとも下行結腸へ前進させることができる(3101)。入れ子状装置のループを検出することができる(3103)。任意の適当な検出機構を使用することができる。たとえば、実施例によっては、装置は、形状センサー、視覚センサー、マッピングシステムなどのうちの1つまたは複数によって、ループ(たとえば、α型ループまたは逆ループ)の存在を検出または判定することができる。ループを低減するために、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材の両方を非剛性化する(たとえば、弛緩形態へ遷移させる)ことができる(3105)。次いで、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材の両方を(各々の近位ハンドル領域の回転によって)約160~540度の回転角度へ回転させることができる(3107)。実施例によっては、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材のいずれか(または両方)の形状感知を監視して、結腸が動いていることを確認することができ、移動が確認されない場合、ループが動き始めるまで、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材を同じ方向にさらに回転させることができる。これらの実施例のいずれにおいても、トルク感知を使用してフィードバックを提供し、内側剛性付与部材および/または外側剛性付与部材の回転が安全なパラメータ範囲内に留まっていることを保証することができる。感知されたトルク、または感知されたトルクの変化の速度が、安全閾値を超過する場合、回転を停止させることができる(3109)。安全閾値は、ユーザが定義することができ、または設定することができる(たとえば、約1N*m、約2N*m、約3N*m、約4N*m、約5N*m、約6N*m、約7N*m、約8N*m、約9N*m、約10N*mなど)。最初にループが存在した平面からループが出た後(たとえば、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材が160~540度まで共に回転させられた後)、入れ子状装置を近位端から引き戻すことができる(3111)。入れ子状装置の近位端を引き抜く際、内側剛性付与部材または外側剛性付与部材のいずれかのステアリング可能遠位端領域を連続してステアリングして、遠位端領域の管腔中心性を維持することができる。任意選択で、遠位端領域が近位に動き始める(たとえば、引き抜きを開始する)場合、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材を、たとえばさらに40~60度、さらに回転させることができ、ループが十分に低減されるまで、近位端の引き抜きを継続することができる(3113)。
【0257】
[0295]実施例によっては、
図31に記載する方法は、
図32に示すように、内側剛性付与部材のみが能動的に回転させられ、外側剛性付与部材は能動的に回転させられず、浮動することが可能にされるように修正することができる。この実施例は、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材の両方が回転させられる
図31に示す技法と比べて、1つ少ない自由度を有する。上述のように、この技法は、たとえば内側剛性付与部材または外側剛性付与部材のステアリング可能遠位端領域内にフックを形成することによって、入れ子状装置の遠位端領域を引っ掛ける(または他の方法で取り付ける)ことなく、実行することができる。代わりに、α型または逆α型ループの低減中、入れ子状装置の遠位端領域が下行結腸へまたは下行結腸を越えてナビゲーションされた後(上述)、わずかに時計回り(または抵抗が最も少ない方向)のトルクを内側剛性付与部材に印加し、次いで引っ張ることができる。上述のように、トルクの印加により、最初にループが存在した平面からループが出て、ループを低減するためのモーメントアームを増大させることができる。
【0258】
[0296]入れ子状装置の遠位端を保持する必要をなくしながら、それでもなおループの一貫した低減の成功を可能にすることで、ユーザまたはシステムが低減プロセス中に内側剛性付与部材の遠位端領域をステアリングすることによって、管腔中心性を維持することを可能にすることができる。これらの方法のいずれにおいても、外側剛性付与部材のハンドルは、基部/ハンドルで自由に回転(たとえば、「浮動」)することを可能にすることができ、もしくはそのように設定することができ、または、実施例によっては、外側剛性付与部材は、内側剛性付与部材によって回転させることができるように、回転方向に十分に柔軟とすることができる。
【0259】
[0297]
図32に示すように、入れ子状装置(たとえば、入れ子状の内側剛性付与部材および外側剛性付与部材)は、ループを通ってナビゲーションすることができ、入れ子状装置の遠位端領域は、少なくとも下行結腸へまたはそれを越えて延びることができる(3201)。入れ子状装置のループを検出することができる(3203)。ループを低減するために、まず内側剛性付与部材および外側剛性付与部材の両方を非剛性化する(たとえば、弛緩形態へ遷移させる)ことができる(3205)。次いで、内側剛性付与部材のみ(外側剛性付与部材ではない)を、たとえば近位ハンドル領域の回転によって、約160~540度の回転角度へ回転させることができる(3207)。実施例によっては、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材(または両方)の形状を監視して、結腸が平面から出たことを確認することができ、移動が確認されない場合、ループが動き始めるまで、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材を同じ方向にさらに回転させることができる(3209)。これらの実施例のいずれにおいても、トルク感知を使用してフィードバックを提供し、内側剛性付与部材および/または外側剛性付与部材の回転が安全なパラメータの範囲内に留まっていることを保証することができる。感知されたトルク、または感知されたトルクの変化の速度が、安全閾値を超過する場合、回転を停止させることができる。最初にループが存在した平面からループが出た後(たとえば、内側剛性付与部材が160~540度まで共に回転させられた後)、入れ子状装置を近位端から引き戻すことができる(3211)。入れ子状装置の近位端を引き抜く際、内側剛性付与部材または外側剛性付与部材のいずれかのステアリング可能遠位端領域を連続してステアリングして、遠位端領域の管腔中心性を維持することができる。任意選択で、遠位端領域が近位に動き始める(たとえば、引き抜きを開始する)場合、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材をたとえばさらに40~60度、さらに回転させることができ、ループが十分に低減されるまで、近位端の引き抜きを継続することができる(3213)。
【0260】
[0298]本明細書に記載の方法は、内側剛性付与部材または内側および外側剛性付与部材を回転させることなく(たとえば、
図31および
図32に示す)、ループが少なくとも部分的に低減されるように修正することができる。たとえば、ユーザがループ(たとえば、α型ループまたは逆α型ループ)を低減するための位置にあるとき、内側および外側剛性付与部材を柔軟にすることができ、内側および外側剛性付与部材の両方を回転させることなく(後方へ)引き戻すことができる。これにより、まずループの直径を低減することができる。内側および外側剛性付与部材の遠位端が近位に動き始めた(たとえば、逆戻りし始めた)後、上述のように、内側の細長い剛性付与部材または内側および外側の細長い剛性付与部材を、たとえば約160~540度回転させることができ、次いで内側および外側剛性付与部材を再び近位に引っ張ることができる。
【0261】
[0299]たとえば、
図33は、身体管腔内の1対の入れ子状剛性付与部材のループを低減する(たとえば、結腸などの身体管腔の湾曲を低減する)方法の一実施例を示し、
図31および
図32を修正して、最初の引き戻しステップを含む。
図33で、入れ子状装置(たとえば、入れ子状の内側剛性付与部材および外側剛性付与部材)は、ループを通ってナビゲーションすることができ、入れ子状装置の遠位端領域は、少なくとも下行結腸へまたはそれを越えて延びることができる(3301)。入れ子状装置のループを検出することができる(3303)。ループを低減するために、まず内側剛性付与部材および外側剛性付与部材の両方を非剛性化する(たとえば、弛緩形態へ遷移させる)ことができる(3305)。
【0262】
[0300]その後、内側および外側剛性付与部材を近位に引っ張る(引き抜く)ことによって、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材の両方を引き戻すことができる(3306)。内側および外側剛性付与部材は、各々の近位端(たとえば、ハンドル)領域から引っ張ることができる。内側剛性付与部材(または実施例によっては、内側および外側剛性付与部材)のステアリング可能な遠位端をステアリングして、管腔中心性を維持しながら、近位端を近位に引っ張ることができる。遠位端領域位置を監視することができる。内側剛性付与部材または内側および外側剛性付与部材の遠位端領域が(たとえば、真空などによって)管腔に引っ掛けられたり取り付けられたりしない実施例では、引っ張りながら遠位端領域が近位に戻り始めるとき、近位への引っ張りを停止させることができ、ループが完全には低減または最小化されない場合、内側剛性付与部材のみ(
図32に示す)または内側剛性付与部材および外側剛性付与部材の両方(
図31に示す)のいずれかを、たとえば近位ハンドル領域の回転によって、約160~540度の回転角度へ回転させることができる(3307)。実施例によっては、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材(または両方)の形状を監視して、結腸が平面から出たことを確認することができ、移動が確認されない場合、ループが動き始めるまで、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材を同じ方向にさらに回転させることができる(3309)。これらの実施例のいずれにおいても、トルク感知を使用してフィードバックを提供し、内側剛性付与部材および/または外側剛性付与部材の回転が安全なパラメータの範囲内に留まっていることを保証することができる。感知されたトルク、または感知されたトルクの変化の速度が、安全閾値を超過する場合、回転を停止させることができる。最初にループが存在した平面からループが出た後(たとえば、内側剛性付与部材が160~540度まで共に回転させられた後)、入れ子状装置を近位端から引き戻すことができる(3311)。前述のように、入れ子状装置の近位端を引き抜く際、内側剛性付与部材および/または外側剛性付与部材のステアリング可能遠位端領域を連続してステアリングして、遠位端領域の管腔中心性を維持することができる。任意選択で、遠位端領域が近位に動き始める(たとえば、引き抜きを開始する)場合、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材をたとえばさらに40~60度、さらに回転させることができ、ループが十分に低減されるまで、近位端の引き抜きを継続することができる(3313)。
【0263】
[0301]本明細書に記載の方法の実施例によっては、外側剛性付与部材および/または内側剛性付与部材の遠位端領域は、本明細書に記載のように、たとえば真空によって、またはフックを形成することによって、管腔(たとえば、結腸)の壁または領域に少なくとも緩く固定することができる。これらの実施例では、ループを任意選択で検出すること、遠位端領域を取り付けること、または少なくとも緩く固定することを含む、類似の技法を使用することができる(たとえば、ステアリング可能遠位端領域を引っ掛けること、真空を印加すること、拡張型部材を拡張することなどができる)。その後、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材の両方を非剛性化する(たとえば、柔軟にする)ことができる。ステアリング可能な遠位端を有するフック領域を形成する変形例では、フック形状(ステアリング可能遠位端領域によって形成される)を維持することができることに留意されたい。次いで、説明したように、内側剛性付与部材および外側剛性付与部材を引き抜くことができる。
【0264】
ねじり剛性化
[0302]本明細書に記載の1つまたは複数の剛性付与部材を含む装置のいずれも、ねじり剛性を増大させるために、および/または低いねじり剛性を補償するために、1つまたは複数の構成要素を有するように構成可能である。上述のように、剛性付与装置100(剛性付与可能部材を含む)は、複数の層から形成することができ、これらの層は、非剛性形態では概して互いの上を摺動することができる。特に、ブレード層(ブレードまたは織り物から形成される)を含む装置は、非剛性形態で高度な柔軟性を有するように構成可能であり、したがって部材の長軸に対して低いブレード角度αを有することができる。たとえば、ブレード角度は、約40度未満、約35度未満、約5~40度、約5~35度、約10~40度、約15~40度、約5~35度未満などとすることができる。
【0265】
[0303]したがって、非剛性形態で、剛性付与可能部材は、低いねじり剛性を有することがあり、したがって特に剛性付与可能部材の長さに沿って(たとえば、近位端から遠位端へ)うまくトルクを伝達しないことがある。したがって、非剛性化された部材の柔軟性を実質的に減少させることなく、非剛性形態でねじり剛性を提供する1つまたは複数のトルク伝達特徴(たとえば、ブレード、レーザカットハイポチューブなど)を提供することが有益なはずである。実施例によっては、剛性化するブレード層とは別個のトルク伝達要素を含むことができる。
【0266】
[0304]これらの装置のいずれも、内部チャネル(それだけに限定されるものではないが、ワーキングチャネル壁または強化剤など)として構成されたトルク伝達特徴を含むことができる。たとえば、ワーキングチャネルは、トルク伝達チャネルとして構成可能であり、本明細書ではトルク伝達ワーキングチャネルと呼ぶ場合がある。トルク伝達ワーキングチャネルなどのトルク伝達内部チャネルは、たとえば高いねじり剛性を有するが高い曲げ柔軟性を有するレーザカットハイポチューブから形成することができる。トルク伝達ワーキングチャネルは、ワーキングチャネルの壁がトルク伝達特徴(たとえば、レーザカットハイポチューブ)から形成されるように構成可能である。この高いねじり剛性の部材を、より低いねじり剛性の壁に、たとえば剛性付与可能部材の外壁に結合することができる。たとえば、高いねじり剛性の部材は、内層115などの細長い剛性付与可能部材の隔壁で結合することができる。
【0267】
[0305]
図29は、最内層2915または最内層に隣接する層(たとえば、最内層の半径方向外側)が、高い伝達トルクも有した高度に柔軟性の部材を形成するように切断されたカットハイポチューブとして構成される装置の一実施例を示す。この構成は、真空作動形態(
図3A~
図3Fおよび
図29に示す)または陽圧作動形態(
図4A~
図4Bに示す)で使用することができる。剛性付与可能部材の壁の中で印加圧力(陽圧および/または陰圧)を維持することができる材料2922(たとえば、ポリマー材料)の追加の封止層を含むことができる。
図29で、この封止層は、高ねじり剛性層2915の内面に示されているが、スリップ層113に隣接して外層に配置することもできる。たとえば、封止層2922は、レーザカットハイポチューブの柔軟性を著しく減少させることなく、レーザカットハイポチューブ2915に積層または封止することができる。
【0268】
[0306]これに代えて、またはこれに加えて、本明細書に記載の装置のいずれも、トルクを伝達するように構成された長軸に対して高角度(たとえば、35より大きい、40より大きい、45より大きい角度など)を有するブレードを含むトルク伝達特徴を含むことができる。実施例によっては、トルク伝達特徴は、半径方向に拘束された太い逆巻きのワイヤを含むように構成される。これは、たとえば内側の細長い剛性付与可能部材および外側の細長い剛性付与可能部材が含まれる伸縮形態で使用することができる。
【0269】
[0307]上述のように、高ねじり剛性部材は、上述のように結腸の湾曲を自動または半自動で低減することを含む、低減時に役立つことができる。ねじり剛性は、予測可能かつ制御可能な方式で装置が回転および反転することを可能にすることができる。ねじり剛性はまた、ユーザが非剛性形態の装置を回転方向に向けることを可能にすることができる。たとえば、これらの装置のいずれも、細長い剛性付与可能部材の遠位端の高さまたは向きを自動で合わせる(たとえば、細長い剛性付与可能部材を動かしながら、湾曲させるまたは引っ掛けることができる遠位端の平面を結腸に対して維持する)ように構成可能である。たとえば、装置は、細長い剛性付与可能部材の遠位端領域が患者または外部基準枠(たとえば、重力)に対して事前定義された方式で向けられるように、一連の移動を実行して細長い剛性付与可能部材の高さを合わせる制御を含むことができる。いくつかの実施例では、一連の移動は、伸縮式の細長い剛性付与可能部材などの2つ(またはそれ以上)の細長い剛性付与可能部材を含む変形例において、内側の細長い剛性付与可能部材を外側の細長い剛性付与可能部材に対して回転させるように構成可能である。装置は、内側の細長い剛性付与可能部材を外側の細長い剛性付与可能部材に対して、たとえば30~180度、精密に回転させることができる(または逆も同様である)。装置は、たとえば細長い剛性付与可能部材の遠位端領域に位置することができる形状センサー、視覚センサー(たとえば、カメラ)、および/もしくは加速度計、または他の重量測定センサーを含む1つまたは複数のセンサーに基づいて、基準枠を判定することができる。実施例によっては、装置は、装置の動作中に、身体管腔(たとえば、結腸)の湾曲を低減するときを含むがこれには限定されない、内側の細長い剛性付与可能部材を外側の細長い剛性付与可能部材に対して回転させることによって(または逆も同様である)身体管腔内で装置を動かすとき、(重力などの基準枠に対する)向きを維持するように構成可能である。
【0270】
[0308]本明細書に記載のワーキングチャネルねじり剛性部材などのねじり剛性部材は、剛性付与可能部材の長さに沿ってワーキングチャネルの壁を形成するカット(たとえば、レーザカット)ハイポチューブなどの別個のねじり剛性部材を含むことによって、装置の曲げ柔軟性を回転ねじり剛性から切り離すことを可能にすることができる。たとえば、装置のワーキングチャネルを形成するねじり剛性部材(たとえば、レーザカットハイポチューブ)は、細長い剛性付与可能部材の近位端および遠位端で結合することができる。いくつかの実施例では、ねじり剛性部材は、(たとえば、1つまたは複数のテンドン駆動要素を使用することによって)屈曲可能またはステアリング可能な遠位端領域に対して遠位に結合することができ、たとえば細長い剛性付与可能部材の隔壁部分、たとえば内層、たとえば支持層に結合することができる。近位端領域は、細長い剛性付与可能部材のハンドル領域に結合することができる。複数の細長い剛性付与可能部材(たとえば、内側および外側の細長い剛性付与可能部材)を含む実施例では、細長い剛性付与可能部材(たとえば、内側または外側)のうちの1つのみ、または細長い剛性付与可能部材のうちのいくつかもしくはすべてが、ねじり剛性部材を含むことができる。
【0271】
[0309]たとえば、本明細書に記載の装置のいずれも、細長い剛性付与可能部材を回転させることによって、遠位端領域(細長い剛性付与可能部材の先端部を含む)を標的部位に向けるように構成可能である。したがって、本明細書に記載のように、細長い剛性付与可能部材内または細長い剛性付与可能部材の一部にねじり剛性部材を含む細長い剛性付与可能部材を回転させることによって、細長い剛性付与可能部材のカメラおよび/またはワーキングチャネルを向けることができる。これは、ユーザが標的構造(たとえば、ポリープ)または他の基準枠(重力を含むが限定されるものではない)に対して、ワーキングチャネルおよびカメラのクロック位置を向け直すことを可能にすることができる。上述のように、装置は、剛性化形態または非剛性形態で細長い剛性付与可能部材の回転を駆動するように構成可能である。たとえば、装置の細長い剛性付与可能部材を±180度回転させることができる。
【0272】
[0310]
図30A~
図30Bは、内部ワーキングチャネル3083を形成するねじり剛性部材3081を含む細長い剛性付与可能部材の一実施例を示す。この実施例では、ワーキングチャネルは内層115内に示されている。実施例によっては、ワーキングチャネルは、間隙層111、107、ブレード層109、スリップ層113などの他の層(または、層のうちの2つ以上)のうちのいずれかに結合または形成される。これに代えて、またはこれに加えて、ねじり剛性部材は、外層101などの細長い剛性付与可能部材100の外面に結合することができる。
【0273】
[0311]
図30Bは、本明細書に記載の細長い剛性付与可能部材の一部として使用することができるレーザカットハイポチューブの一実施例を示す。らせんパターン、交互カットなどを含む、レーザカットハイポチューブの任意の適当なパターンを使用することができる。カット(切り口)間の空間も同様に、任意の適当なサイズとすることができる。ハイポチューブのカットの形状は、ねじり剛性を維持しながら曲げやすさ(柔軟性)を最適化するように選択することができる。ハイポチューブは、たとえばステンレス鋼材料、形状記憶材料(たとえば、ニチノールなどのニッケルチタン合金など)を含む、任意の適当な材料から形成することができる。
【0274】
[0312]前述のように、これらの実施例のいずれも、剛性付与に2つのブラダーを使用することができるときなど、ワーキングチャネルを陽圧作動形態のレーザカットハイポチューブに置き換えることができる。一般に、トルク伝達特徴を有する装置は、たとえばハンドル領域から近位に回転することによって、細長い剛性付与可能部材の遠位端の回転を可能にすることができる。トルク伝達特徴は、近位ハンドルのトルク(回転)と遠位ハンドルの回転との間の1:1の対応を可能にすることができる。内壁(たとえば、最内層115、2115)または外壁(たとえば、最外層101、2101)にレーザカットハイポチューブが使用される変形例では、層を薄くしながら、ハイポチューブから形成された層の膨張および/または収縮に耐える強度を維持することができる。特にレーザカットハイポチューブが使用されるときを含む、これらの構成のいずれにおいても、外側の細長い剛性付与部材は、剛性化されたとき、ねじれにおいて剛性であり得、内側剛性付与部材の微細な回転制御を強化するように、ハンドルを回転ロックする(たとえば、回転を防止する)ことができる。実施例によっては、外側の細長い剛性付与部材が剛性化されたときにねじれにおいて剛性になっておらず、ハンドルが回転ロックされていない限り、内側剛性付与部材は、内側剛性付与部材の微細な回転制御を可能にすることができない。
【0275】
[0313]細長い剛性付与可能部材の内部チャネルを形成するねじり剛性部材の使用に対する代替として、またはそれに加えて、実施例によっては、細長い剛性付与可能部材内にねじり剛性部材を挿入し、回転させて細長い剛性付与可能部材へトルクを伝達することができる。たとえば、細長い剛性付与可能部材の管腔にねじり剛性部材を挿入し、回転させて細長い剛性付与可能部材の遠位端へトルクを伝達することができる。これらの装置のいずれにおいても、細長い剛性付与可能部材の遠位端領域は、内側ねじり剛性部材に結合する(解放可能に結合することを含む)ように構成可能である。したがって、細長い剛性付与可能部材が挿入された身体管腔が低減された後を含む、細長い剛性付与可能部材が配置された後、ねじり剛性部材を細長い剛性付与可能部材に挿入することができる。
【0276】
[0314]たとえば、ねじり剛性部材(トルク伝達要素)は、細長い剛性付与可能部材の芯に接続されたトルクケーブルまたはトルク要素(レーザカットハイポチューブ、ブレードカテーテル、速度計ケーブル、トルクケーブル、シャフトなど)として含むことができ、装置のワーキングチャネルまたはワーキングラインに沿ってねじ山を付けることができる。これらの装置のいずれも、ハンドル部分が浮動(たとえば、自由に回転)すること、および/または回転駆動されることが可能になるように構成可能である。たとえば、ハンドル領域は、低減中などに自由な回転を可能にするための軸受を含むことができる。
【0277】
[0315]実施例によっては、ねじり剛性部材は、細長い剛性付与可能部材内で回転するように構成可能であり、必ずしも細長い剛性付与可能部材を回転させるのではなく、芯のみの回転を可能にするように、軸受、ブッシング、またはスリーブを通って細長い剛性付与可能部材の遠位端領域に他の方法で接続することができる。たとえば、ねじり剛性部材は、芯に結合することができ、装置のワーキングチャネルまたはラインに沿ってねじ山を付けることができる。この形態は、先端部領域(芯のねじり剛性部材に剛性結合することができ、回転により低いトルクを必要とすることができる)のみの回転を可能にすることができる。実施例によっては、装置の遠位端領域は、回転するように構成可能である。
【0278】
[0316]これに代えて、またはこれに加えて、2つ以上の伸縮式の細長い剛性付与可能部材を含む本明細書に記載の装置のいくつかでは、細長い剛性付与可能部材のうちの1つ(たとえば、内側の細長い剛性付与可能部材)は、低いトルク伝達を有するように構成可能であり、第2の細長い剛性付与可能部材(たとえば、外側の細長い剛性付与可能部材)は、より高いトルク伝達を有することができる。内側および外側の細長い剛性付与可能部材を逆にすることができる(たとえば、内側の細長い剛性付与可能部材は、より高いトルク伝達を有することができ、外側の細長い剛性付与可能部材は、より低いトルク伝達を有することができる)。いくつかの実施例では、近位端を回転させることによって生成されるトルクの結果、より高いトルク伝達を有する細長い剛性付与可能部材を回転させることによって、遠位端の1:1の回転を得ることができる。たとえば、実施例によっては、内側の細長い剛性付与可能部材は、外側の細長い剛性付与可能部材の内径上の対応する特徴に結合することができるスプライン特徴を含むことができる。
【0279】
[0317]本明細書に記載の装置のいくつかでは、装置は、細長い剛性付与可能部材の遠位端領域の周囲に半径方向にずれたカメラおよび/またはワーキングチャネルを提供することによって、低いトルク伝達に対応することができる。たとえば、装置は、装置の遠位端領域の周囲に配置された複数のカメラを、および/または細長い剛性付与可能部材の遠位端領域の周囲の異なる半径方向位置に出口を有するように配置された異なるワーキングチャネルにカメラを挿入することによって、切り換えることができる。たとえば、互いから180度ずれた半径方向箇所に配置された「ワーキングチャネル」または「カメラチャネル」内で、カメラを交換することができる。実施例によっては、ワーキングチャネルおよびカメラチャネルの両方をほぼ同じサイズとすることができ、カメラは、標的組織または領域(たとえば、ポリープ)の箇所に応じて、カメラチャネルから滑り出させて、別のチャネル(たとえば、ワーキングチャネルまたは別のカメラチャネル)に再挿入することができる。
【0280】
[0318]これに代えて、またはこれに加えて、実施例によっては、装置は、上述のように、細長い剛性付与可能部材の遠位屈曲部を関節運動させて、まず遠位端領域からの細長い剛性付与可能部材の回転(回すこと)を駆動しながら、より近位の端領域が自由に回転することを可能にするように構成可能である。たとえば、これらの装置のいずれも、細長い剛性付与可能部材(内側または子の細長い剛性付与可能部材など)の屈曲部内に力および/または位置センサーを含むことができる。装置はまた、上述のように、自由な回転を可能にするために、ハンドル領域に軸受を含むことができる。
【0281】
[0319]本明細書に記載の装置のいくつかでは、システムは、上述のように、外側の細長い剛性付与可能部材に対する内側の細長い剛性付与可能部材の伸縮式の独立した回転を提供するように構成可能である。実施例によっては、装置は、身体管腔の壁に外側の細長い剛性付与可能部材を固定した後に外側の細長い剛性付与可能部材を回転させることによって、装置の周囲で身体管腔(たとえば、結腸)を回転させるように構成可能である。たとえば、外側の細長い剛性付与可能部材の遠位端上のバルーンを使用して、細長い剛性付与可能部材を近位端から回転させることによって、管腔壁を回転させることができる。これは、内側の細長い剛性付与可能部材を回転させることと共に、またはその代わりに行うことができ、内側の細長い剛性付与可能部材は、逆方向に回転させることができる。これにより、装置は、特にワーキングおよび/またはカメラチャネルが内側の細長い剛性付与可能部材に位置するとき、組織に対するこれらのチャネルの向きを変えることを可能にすることができる。これらの変形例のいくつかでは、外側の細長い剛性付与可能部材は、内側の細長い剛性付与可能部材より大きいねじり剛性を有することができる。
【0282】
[0320]上述のように、本明細書に記載の細長い剛性付与可能部材のいずれも、剛性化の確認において、ねじり剛性を有することができる。したがって、実施例によっては、装置は、たとえば装置の近位端領域に沿って、細長い剛性付与可能部材を部分的に剛性化するように構成可能である。これにより、より低いねじり剛性を有する細長い剛性付与可能部材の長さを低減させることができる。たとえば、装置は、装置の長さに沿って異なる剛性付与可能領域を含むことができる。細長い剛性付与可能部材の遠位端の回転を実行するために、湾曲領域が開始する(たとえば、または肛門括約筋などの身体内の装置の挿入)まで、装置を剛性化することができる。これにより、ねじりに柔軟なシステムの長さを実質的に短くし、より大きいトルク伝達を可能にすることができる。
【0283】
[0321]一実施形態に関して本明細書に記載の特徴は、別の実施形態に関して本明細書に記載の特徴と組み合わせることができ、またはそれに取って代わることができることを理解されたい。たとえば、本明細書に記載の剛性付与デバイスの様々な層および/または機構は組合せ、代替、および/または他の層に対して相対的に配置変更することができる。
【0284】
[0322]本明細書において機構または要素が別の機構または要素「上」にあると言う場合、それはその別の機構もしくは要素の直接上に存在することができ、または介在機構および/もしくは要素も存在してもよい。それに対して、機構または要素が別の機構または要素の「直接上」にあるという場合、介在する機構または要素は存在しない。また、機構または要素が別の機構または要素に「接続される」、「取り付けられる」または「結合される」と言う場合、それはその別の機構もしくは要素に直接接続、取り付けもしくは結合可能であり、または介在する機構もしくは要素が存在してもよいことを理解されたい。それに対して、機構または要素が別の機構または要素に「直接接続される」、「直接取り付けられる」または「直接結合される」と言う場合、介在する機構または要素は存在しない。一実施形態に関して説明、または図示しているが、そのように説明、または図示されている機構および要素は、他の実施形態にも適用可能である。また、当業者には、別の機構に「隣接して」配置されている構造体または機構と言う場合、隣接している機構の上に重なるかまたは下にある部分を有し得ることもわかるであろう。
【0285】
[0323]本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態について説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していない。たとえば、本明細書で使用されている単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他の解釈を示していない限り、複数形も含むことが意図されている。「含んでいる」および/または「含む」という用語は、本明細書で使用されている場合、記載されている機構、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を規定しているが、1つまたは複数の他の機構、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことを、さらに理解されたい。本明細書で使用されている「および/または」という用語は、関連付けられている列挙事項のうちの1つまたは複数のいずれかまたは全部の組合せを含み、「/」と略される場合がある。
【0286】
[0324]「下」、「下方」、「下部」、「上」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図面に示されているような1つの要素または機構の別の要素または機構との関係を説明しやすいように使用されている場合がある。これらの空間的に相対的な用語は、図面に示されている向きに加えて、使用時または動作時のデバイスの異なる向きも包含することが意図されていることを理解されたい。たとえば、図中のデバイスが逆にされた場合、別の要素または機構の「下」、「下方」であると記載されている要素はその別の要素または機構の「上」の向きになることになる。したがって、「下」という例示の用語は、上と下の両方の向きを包含し得る。デバイスは、他の向き(90°回転またはその他の向き)とされてもよく、本明細書で使用されている空間的に相対的な記述語はそれに応じて解釈される。同様に、「上方へ」、「下方へ」、「垂直」、「水平」などの用語は、本明細書では、特に別様に示されていない限り、説明のみを目的として使用されている。
【0287】
[0325]本明細書では、様々な機構/要素(ステップを含む)について記述するために「第1」および「第2」という用語が使用されている場合があるが、文脈が別の解釈を示していない限り、これらの機構/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの機構/要素を別の機構/要素から区別するために使用されている場合がある。したがって、以下で説明する第1の機構/要素は、第2の機構/要素と称することも可能であり、同様に、以下で説明する第2の機構/要素は、本発明の教示から逸脱することなく第1の機構/要素と称することも可能である。
【0288】
[0326]本明細書およびそれに続く特許請求の範囲全体を通じて、文脈が他の解釈を要求しない限り、「comprise(含んでいる)」という語および「comprises(含んでいる)」および「comprising(含む)」などの変形は、方法および物(たとえばデバイスおよび方法を含む構成物および装置)において様々な構成要素を一緒に採用することができることを意味する。たとえば、「comprising(含む)」という用語は、任意の記載されている要素またはステップの包含を含意するが、いかなる他の要素またはステップの排除も含意しないものと理解されたい。
【0289】
[0327]一般に、本明細書に記載の装置および方法のいずれも包括的であることを理解すべきであるが、あるいは構成要素および/またはステップのすべてまたはサブセットは排他的である場合があり、様々な構成要素、ステップ、部分構成要素、またはサブステップ「からなること」または、あるいは、それら「から本質的になること」と表現される場合がある。
【0290】
[0328]実施例で使用されているものを含み、別に明示的に規定されていない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用されているすべての数値は、「約」または「ほぼ」という語が明示的に記載されていない場合であっても、この用語が前置されているかのように解釈され得る。「約」または「ほぼ」という語句は、大きさおよび/または位置を説明するときに、記載されている値および/または位置が、値および/または位置の妥当な期待範囲内にあることを示すために使用されていることがある。たとえば、数値は、記載されている値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載されている値(または値の範囲)の+/-1%、記載されている値(または値の範囲)の+/-2%、記載されている値(または値の範囲)の+/-5%、記載されている値(または値の範囲)の+/-10%などの値を有し得る。本明細書で示されているいずれの数値も、文脈が他の解釈を示さない限り、「約」または「おおよそ」その値を含むものとも理解されるべきである。たとえば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に記載のいずれの数値範囲もその範囲に含まれるすべての部分範囲を含めることが意図されている。また、値が開示されている場合、当業者にはしかるべく理解されるように、その値「以下」、「その値以上」、および値の間の考えられる範囲も開示されていると解釈される。たとえば、値「X」が開示されている場合、「X以下」および「X以上」(たとえば、ここでXは数値である)であることも開示されている。本出願全体を通じてデータがいくつかの異なる形態で示されていることと、このデータが終点と始点、およびデータ点の任意の組合せの範囲を表すことも理解されたい。たとえば、特定のデータ点「10」と特定のデータ点「15」とが開示されている場合、10と15の間のほかに、10および15を超えること、それ以上であること、それ未満であること、それ以下であること、およびそれに等しいことも開示されているとみなされるものと理解されたい。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されているものと理解されたい。たとえば、10と15が開示されている場合、11、12、13および14も開示されている。
【0291】
[0329]上記では様々な例示の実施形態が開示されているが、特許請求の範囲によって説明されている本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態にいくつかの変更のうちのいずれも加えることができる。たとえば、記載されている様々な方法ステップが実行される順序は、代替実施形態では多くの場合、変更されてもよく、他の代替実施形態では、1つまたは複数の方法ステップが完全に省かれてもよい。様々なデバイスおよびシステム実施形態の任意による機能は、ある実施形態には含まれ、他の実施形態には含まれなくてもよい。したがって、以上の説明は、主として例示を目的として示されており、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0292】
[0330]本明細書に含まれる実施例と例示は、本主題を実施することができる具体的な実施形態を例として示すものであり、限定的ではない。前述のように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的置換および変更を加えることができるように他の実施形態も使用可能であり、それらから導き出すことができる。本発明の主題のそのような実施形態を、本明細書では、単に便宜上、実際に複数の発明または発明概念が開示されている場合に本出願の範囲を自発的にいかなる単一の発明または発明概念に限定することも意図せずに、個別にまたは総称して「発明」という用語で呼ぶ場合がある。したがって、本明細書では特定の実施形態を図示し、説明したが、同じ目的を達成することを意図した任意の構成を、示されている特定の実施形態の代わりに用いてもよい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる改変または変形を対象として含むことが意図されている。当業者には、上記の説明を検討すれば上記の実施形態の組合せおよび本明細書に具体的に記載されていないその他の実施形態も明らかであろう。
【国際調査報告】