(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ビールを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C12C 5/02 20060101AFI20241226BHJP
C12N 9/08 20060101ALI20241226BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20241226BHJP
C12N 15/53 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
C12C5/02
C12N9/08 ZNA
C12N15/31
C12N15/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536515
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022087117
(87)【国際公開番号】W WO2023118227
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060588
【氏名又は名称】インターナショナル エヌ アンド エイチ デンマーク エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー、ジェイコブ フライホーム
【テーマコード(参考)】
4B128
【Fターム(参考)】
4B128CP16
4B128CP21
4B128CP31
4B128CP37
(57)【要約】
本発明は、ビール及びビール関連飲料を製造する方法であって、完成したビールの風味及び/又は風味安定性を改善するために、醸造プロセスのマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵段階、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌段階中若しくは後にカタラーゼ酵素を添加することを含む方法に関する。カタラーゼは、追加的又は代替的に、完成したビール自体に添加され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビールを製造する方法であって、前記ビールのマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/又は安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後にカタラーゼ組成物を添加することを含み、且つ/又は最終ビールにカタラーゼ組成物を添加することを含む方法。
【請求項2】
前記カタラーゼ組成物がマッシュ煮沸調製物中、及び/又は麦汁調製物中、及び/又は発酵調製物中、及び/又は熟成調製物中、及び/又は安定化調製物中、及び/又は低温殺菌調製物中、及び/又は前記最終ビール中で少なくとも0.1U/mlのカタラーゼ活性を有し;及び/又は前記カタラーゼ組成物が前記マッシュ煮沸調製物、及び/又は前記麦汁調製物、及び/又は前記発酵調製物、及び/又は前記熟成調製物、及び/又は前記安定化調製物、及び/又は前記低温殺菌調製物、及び/又は前記最終ビールに少なくとも0.1U/mlのカタラーゼ活性を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カタラーゼが微生物カタラーゼである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カタラーゼが微生物カタラーゼであり、前記微生物カタラーゼが細菌又は真菌由来である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カタラーゼが微生物カタラーゼであり、前記微生物カタラーゼが真菌、好ましくはアスペルギルス属(Aspergillus sp.)又はトリコデルマ属(Trichoderma sp.)、好ましくはA.ニガー(A.niger)又はT.リーゼイ(T.reesei)由来である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カタラーゼが、配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の配列又はそれと少なくとも70%の同一性を有する配列を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カタラーゼが、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有する配列を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カタラーゼが組換え技術によって産生される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記カタラーゼ組成物がグルコースオキシダーゼをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記カタラーゼが前記ビールの熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中並びに/又は前記最終ビールに添加される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
プロリン特異的プロテアーゼが前記ビールの製造中に添加される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ビールの酸化安定性が改善される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記マッシュ煮沸調製物、及び/又は前記麦汁調製物、及び/又は前記発酵調製物、及び/又は前記熟成調製物、及び/又は前記安定化調製物、及び/又は前記低温殺菌調製物、及び/又は前記最終ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記最終ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記マッシュ煮沸調製物、及び/又は前記麦汁調製物、及び/又は前記発酵調製物、及び/又は前記熟成調製物、及び/又は前記安定化調製物、及び/又は前記低温殺菌調製物、及び/又は前記最終ビール中のトランス-2-ノネナール生成が低減される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記最終ビール中のトランス-2-ノネナール生成が低減される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
トランス-2-ノネナール生成が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減され、好ましくはトランス-2-ノネナール生成が少なくとも50%低減される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記マッシュ煮沸調製物、及び/又は前記麦汁調製物、及び/又は前記発酵調製物、及び/又は前記熟成調製物、及び/又は前記安定化調製物、及び/又は前記低温殺菌調製物、及び/又は前記最終ビール中のトランス-ベンズアルデヒド生成が低減される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記最終ビール中のトランス-ベンズアルデヒド生成が低減される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ベンズアルデヒド生成が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減され、好ましくはベンズアルデヒド生成が少なくとも50%低減される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記ビールの貯蔵寿命が延長される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ビールの貯蔵寿命が少なくとも約4ヶ月まで及び/又は少なくとも約4ヶ月だけ延長される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ビールの風味安定性が改善される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ビールの製造におけるカタラーゼの使用であって、前記カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後に添加され、且つ/又は最終ビールに添加される、使用。
【請求項25】
前記カタラーゼが、請求項1~23のいずれか一項に記載のカタラーゼ組成物中にある、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記ビールの風味安定性が改善される、請求項24又は25に記載の使用。
【請求項27】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法によって得られるか又は得ることができるビール。
【請求項28】
カタラーゼを含む、請求項27に記載のビール。
【請求項29】
カタラーゼを含むビール。
【請求項30】
グルコースオキシダーゼを含む、請求項27~29のいずれか一項に記載のビール。
【請求項31】
前記ビールの貯蔵寿命が少なくとも約4ヶ月まで延長されるか又は少なくとも約4ヶ月だけ延長される、請求項27~30のいずれか一項に記載のビール。
【請求項32】
前記ビールの風味安定性が改善される、請求項27~31のいずれか一項に記載のビール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール及びビール関連飲料を製造する方法であって、完成したビールの風味及び/又は風味安定性を改善するために、醸造プロセスのマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵段階、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌段階中若しくは後にカタラーゼ酵素を添加することを含む方法に関する。カタラーゼは、追加的又は代替的に、完成したビール自体に添加され得る。
【背景技術】
【0002】
ビールを製造するプロセスは、いくつかの段階を含む。一般に、醸造プロセスは、麦汁を形成するために、粉砕麦芽及び他の穀物をマッシング中に水で加熱することを含み得る。次いで、麦汁中に存在する任意の発酵性糖をアルコールに発酵させるために、麦汁に酵母を添加する。次いで、ビールは、所望の風味及び風味安定性を達成するために、瓶詰め前にさらに熟成及び/又は安定化され得る。熟成及び安定化段階は、「ラガーリング」期間と呼ばれることがある。
【0003】
醸造で直面し得る1つの問題は、製造されるビールの風味及び安定性に対する酸化の潜在的な有害な影響である。好ましくは、完成したビールの風味は、完成した製品の所望の貯蔵寿命に見合った安定性を有するべきである。したがって、当技術分野では、酸化安定性の増加(したがってフリーラジカル産生の減少)、したがって最終生成物の貯蔵寿命全体にわたる風味及び風味安定性の改善を促進する改善された醸造プロセスを提供する必要がある。
【0004】
色、清澄化、風味又は食感の点でビールの品質に寄与する酵素が醸造中に添加されることが多い。様々な酵素の用途は、広範囲に及ぶ。カタラーゼは、過酸化水素の水及び酸素への分解反応を触媒する抗酸化酵素である。さらに、カタラーゼは、低い過酸化水素レベルでペルオキシダーゼとして作用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、驚くべきことに、醸造プロセス中又は醸造プロセス後、カタラーゼ酵素を添加することがビール風味及び風味安定性に有利な効果を及ぼすことを見出した。したがって、本発明は、ビールのマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/又は低温殺菌中若しくは後又は最終ビール自体にカタラーゼを添加することに関する。有利には、ストレッカーアルデヒドの低減及び/又は風味安定性による風味へのプラスの効果は、最終ビールでその貯蔵寿命を通して達成される。
【0006】
カタラーゼの有利な効果は、酸化効果に関連し得る。酸化は、ビールの風味及び風味安定性に有害な影響を及ぼし得る。理論に拘束されることを望むものではないが、カタラーゼは、例えば、内因性抗酸化電位(EAP)の消費後に過酸化水素が形成された場合にのみ、酸化促進性ラジカル生成に作用し得ると考えられる。Frederiksenらは、ビールへのマッシュ中にカタラーゼを適用すると、ラジカル形成率の低下をもたらし得ることを示唆した(Frederiksen et al.Journal of Agricultural and Food Chemistry,56(2008),18,pp.8514-8520)。
【0007】
貯蔵寿命指標としてのビールのラグ時間又は内因性抗酸化電位(EAP値)を決定するために、電子スピン共鳴分光法(ESR)によって分析を行うことができる。ESRは、温度の上昇を介して強制エージングを与え、その結果、試験されているビールのエージング工程が生じる。ESR測定に関して、ラグ時間又はEAP値の値は内因性抗酸化ビール安定性を決定し、これは、ビールの風味安定性と相関する。
【0008】
本発明は、改善された風味及び/又は風味安定性を有するビールを製造する方法を提供し、前記方法は、マッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後にカタラーゼ組成物を添加することを含み、且つ/又は最終ビールにカタラーゼ組成物を添加することを含む。
【0009】
ビール醸造を改善するためにビール製造中に酵素組成物を添加することは、当産業で一般的な慣行である。特にマッシング工程で外因性酵素を添加できることも周知である。
【0010】
しかしながら、カタラーゼがマッシング工程で添加される場合、プロセスからの熱影響は酵素の変性及びさらに鉄イオンの増加をもたらす。鉄イオンは酸素活性化を促進し、より高いエージング感受性をもたらす。
【0011】
有利には、カタラーゼは、ビールのマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後に活性であり得る。抽出プロセスの初期におけるカタラーゼの不活性化を回避するために、マッシュの煮沸後にカタラーゼを添加し得る。本発明の一態様では、麦汁煮沸後にカタラーゼを添加することができる。一態様では、麦汁煮沸前にカタラーゼをさらに添加し得る。
【0012】
本発明の一態様では、カタラーゼを醸造プロセスの2つ以上の段階で添加することができる。例えば、カタラーゼは、マッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後に添加すべきであるが、例えばマッシング中及び/又は発酵前に添加することもできる。カタラーゼを最終ビールに直接添加することもできる。
【0013】
一態様では、カタラーゼは微生物カタラーゼである。好ましい態様では、前記微生物カタラーゼは、細菌又は真菌から誘導可能である。一態様では、微生物カタラーゼは、アスペルギルス属(Aspergillus sp.)、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロミセス属(Saccharomyces sp.)、エスケリキア属(Escherichia sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、トリコデルマ属(Trichoderma sp.)又はスキタリジウム属(Scytalidium sp.)に由来する。一態様では、微生物カタラーゼは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・フラジリス(Bacillus fragilis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)、サッカロミセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)又はスキタリジウム・セルモフィルム(Scytalidium thermophilum)に由来する。好ましい態様では、微生物カタラーゼは、アスペルギルス属(Aspergillus sp.)又はトリコデルマ属(Trichoderma sp.)、好ましくはA.ニガー(A.niger)又はT.リーゼイ(T.reesei)由来である。より好ましくは、カタラーゼは、A.ニガー(A.niger)由来である。
【0014】
好ましい態様では、前記カタラーゼは、配列番号1、2、3若しくは4のいずれかによる配列又はそれと少なくとも70%の同一性を有する配列を有するか又は含む。例えば、前記カタラーゼは、配列番号1、2、3又は4のいずれかと少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有する配列を有し得る。一態様では、カタラーゼは、配列番号1、2、3若しくは4による配列又はそれと少なくとも70%の同一性を有する配列を含むか又はそれからなり得る。最も好ましくは、本発明によるカタラーゼは、配列番号1の配列を有する。カタラーゼは、当技術分野の当業者に周知である組換え技術によって産生され得る。
【0015】
本発明の一態様では、カタラーゼ組成物は、グルコースオキシダーゼをさらに含む。
【0016】
本発明は、本発明による方法によって得られるか又は得ることができるビールも包含する。一態様では、最終ビールは、本明細書に記載のカタラーゼを含む。最終ビールは、同様に又は代替的に、グルコースオキシダーゼを含み得る。
【0017】
本発明の一態様では、ビールの酸化安定性が改善される。
【0018】
本発明の一態様では、ベンズアルデヒド及び/又はトランス-2-ノネナールの生成の低減を含めて、ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される。
【0019】
本発明は、ビールの製造における本明細書に記載のカタラーゼ組成物の使用も包含し、前記カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後に添加され、且つ/又は最終ビールに添加される。
【0020】
一態様では、カタラーゼ組成物は、少なくとも0.1U/mlのカタラーゼ活性を有する。
【0021】
一態様では、カタラーゼ組成物は、少なくとも1U/mlのカタラーゼ活性を有する。
【0022】
一態様では、カタラーゼ組成物は、少なくとも10U/mlのカタラーゼ活性を有する。
【0023】
一態様では、カタラーゼ組成物は、少なくとも100U/mlのカタラーゼ活性を有する。
【0024】
一態様では、カタラーゼ組成物は、少なくとも1,000U/mlのカタラーゼ活性を有する。
【0025】
一態様では、カタラーゼ組成物は、少なくとも10,000U/mlのカタラーゼ活性を有する。
【0026】
一態様では、カタラーゼ組成物は、少なくとも100,000U/mlのカタラーゼ活性を有する。
【0027】
一態様では、カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビールに少なくとも0.1U/mlのカタラーゼ活性を提供する。
【0028】
一態様では、カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビールに少なくとも1U/mlのカタラーゼ活性を提供する。
【0029】
一態様では、カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビールに少なくとも10U/mlのカタラーゼ活性を提供する。
【0030】
一態様では、カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビールに少なくとも100U/mlのカタラーゼ活性を提供する。
【0031】
一態様では、カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビールに少なくとも1,000U/mlのカタラーゼ活性を提供する。
【0032】
一態様では、カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビールに少なくとも10,000U/mlのカタラーゼ活性を提供する。
【0033】
一態様では、カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビールに少なくとも100,000U/mlのカタラーゼ活性を提供する。
【0034】
一態様では、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される。
【0035】
一態様では、最終ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される。
【0036】
一態様では、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビール中のトランス-2-ノネナール生成が低減される。
【0037】
一態様では、最終ビール中のトランス-2-ノネナール生成が低減される。
【0038】
一態様では、トランス-2-ノネナール生成が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減され、好ましくはトランス-2-ノネナール生成が少なくとも50%低減される。
【0039】
一態様では、マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビール中のトランス-ベンズアルデヒド生成が低減される。
【0040】
一態様では、最終ビール中のトランス-ベンズアルデヒド生成が低減される。
【0041】
一態様では、ベンズアルデヒド生成が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減され、好ましくは少なくとも50%のベンズアルデヒド生成が低減される。
【0042】
一態様では、ビールの貯蔵寿命が延長される。
【0043】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約4ヶ月まで、又は少なくとも約6ヶ月まで、又は少なくとも約9ヶ月まで、又は少なくとも約12ヶ月まで、又は少なくとも約24ヶ月まで延長される。
【0044】
本発明は、ビールの製造におけるカタラーゼ組成物の使用も提供し、前記カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後に添加され、且つ/又は最終ビールに添加される。
【0045】
一態様では、本発明による使用において、カタラーゼ組成物は、本発明によるカタラーゼ組成物である。
【0046】
本発明は、本発明による方法によって得られるか又は得ることができるビールも提供する。
【0047】
本発明は、カタラーゼを含むビールも提供する。
【0048】
本発明は、カタラーゼ及びグルコースオキシダーゼを含むビールも提供する。
【0049】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約4ヶ月まで延長される。
【0050】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約6ヶ月まで延長される。
【0051】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約9ヶ月まで延長される。
【0052】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約12ヶ月まで延長される。
【0053】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約24ヶ月まで延長される。
【0054】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約4ヶ月だけ延長される。
【0055】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約6ヶ月だけ延長される。
【0056】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約9ヶ月だけ延長される。
【0057】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約12ヶ月だけ延長される。
【0058】
一態様では、ビールの貯蔵寿命は、少なくとも約24ヶ月だけ延長される。
【0059】
一態様では、ビールの風味安定性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】凡例に示すように、0.0、4.4、8.8、22.1及び44.2U/mlを使用して60℃及び3.5mM POBNに試験を強制することによる、配列番号1に示すカタラーゼの添加による酸化麦汁安定性におけるPOBNによるEAP及びT600決定の結果を示す。
【
図2】凡例に示すように、0.0、0.9、1.8、2.7、3.5、4.4及び6.2U/mlを使用して60℃及び3.5mMのPOBNに試験を強制することによる、配列番号1に示すカタラーゼの添加による酸化麦汁安定性におけるPOBNによるEAP及びT600決定の結果を示す。
【
図3】凡例に示すように、0.0、0.2、0.4、0.8、1.6、2.4、3.1及び3.9U/mlを使用して60℃及び3.5mMのPOBNで試験を強制することによる、配列番号1に示すカタラーゼの添加による酸化的低EAPビール(ピルスナータイプ)安定性におけるPOBNによるEAP及びT600決定の結果を示す。
【
図4】凡例に示すように、0.0、0.2、0.39、0.79及び1.97U/mlを使用して60℃及び3.5mMのPOBNを強制試験することによる、配列番号1に示すカタラーゼの添加による酸化媒体EAPビール(ピルスナータイプ)安定性におけるPOBNによるEAP及びT600決定の結果を示す。
【
図5】保存安定性試験に使用したTuborg及びOdenseピルスナー(Denmark)の標準的なMEBAKビール分析を示す。
【
図6】(Odenseピルスナーフレッシュ、650μlのH
2O及び1ヶ月の貯蔵を伴うOdense、650μlの配列番号1に示されるカタラーゼを伴うOdense及び1ヶ月の貯蔵;Tuborg新鮮、650μlのH
2O及び1ヶ月の貯蔵を含むTuborg、650μlの配列番号1に示されるカタラーゼを含むTuborg及び1ヶ月の貯蔵)を使用したESR測定貯蔵試験を示す。
【
図7】実験室規模のマルトベースマッシング試験に使用されるマッシングプログラムを示す。
【
図8】配列番号1に示すカタラーゼを含む及び含まないダークビール麦汁の麦汁分析(抽出物、pH及び色)を示す。
【
図9】マッシュ調製中の配列番号1に示すカタラーゼ添加の有無による黒ビール麦汁(0.63U/mlカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))添加黒ビール麦汁、1.26U/mlカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))添加黒ビール麦汁、0.63U/mLカタラーゼ(T.リーゼイ((T.reesei))添加黒ビール麦汁、1.26U/mlカタラーゼ(T.リーゼイ((T.reesei)))添加黒ビール麦汁、0.63U/mLカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))添加煮沸後黒ビール麦汁、0.63U/mlカタラーゼ(T.リーゼイ((T.reesei))添加煮沸後黒ビール麦汁及び対照/参照黒ビール麦汁)のESR測定マッシング試験を示す。
【
図10】加速ビール酸化試験における以下のストレッカーアルデヒドオフフレーバーのGCMS-SPME相対定量化を示す:2-メチルフラン、ヘキサナール、2-ブテナール、トランス-3-ペンテン-2-オン、4-ヘキセン-3-オン、フルフラール、トランス-2-ノネナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド及びニコチン酸エチル並びに2つの未同定物質(イオン、RT:10.21;イオン:95.00/未同定及びRT:9.25;イオン:81.00/未同定)。対照ビールを開封せず、室温(RT)で14日間保持した。ヘッドスペース酸化ビール試料を30℃又は60℃のいずれかで最大14日間インキュベートして、ラベルによって示されるように酸化を促進した。
【
図11a】以下の添加剤を用いたビールの鮮度試験のための、uMで測定されたフリーラジカル発生に関するビールの鮮度を示す:Foodpro CAT A.ニガー(A.niger)カタラーゼ、FL002_GC119 T.リーゼイ((T.reesei))カタラーゼ、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
5)及びFL003 Guardian Acerolaアセロラ・ジュース濃縮物。これらを、ヘッドスペース空気フラッシュを用いて14日間又は30℃で14日間、冷蔵室に保存したボトルに添加した。
【
図11b-11d】
図11aと同じデータを示すが、同様のフリーラジカル生成を有する試料が一緒にグループ化されている。
図11bは、試料O1FA22及び鮮度保護がなく、酸化速度が遅いO1FA22_noを示す。
図11cは、許容可能な鮮度性能を有するが、不十分な酸化を有する試料を示す。
図11dは、低~許容可能な鮮度保護であるが、より良好な酸化性能を有する試料を示す。
【
図11e】最低から最高までランク付けされたビール試料の酸化速度を示し、ビールにはより低い酸化速度が好ましいことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
ビール醸造のプロセスは、当技術分野の当業者に周知である。標準的な方法は、グリストと呼ばれる、麦芽処理された大麦及び/又は麦芽処理されていない補助剤を提供することを含み得る。プロセスの次の段階は、炭水化物が麦芽中に天然に存在する酵素を用いて発酵性糖に分解されるように、(加熱及び撹拌しながら)グリストを水とマッシングすることを含み得る。醸造プロセスにおける酵素の影響は重要な役割を果たす。通常、麦芽は多くの酵素を含有し、これらは穀粒が麦汁と接触するときに最も活性である(麦汁濾過は麦汁を固形物から分離するプロセスである)。これは、マッシング期と呼ばれ得る。マッシング工程の後の段階中の温度は、75℃を超え得る。
【0062】
マッシング後、麦汁と呼ばれる液体抽出物は、透明な麦汁を得るために固体(使用済みの穀粒粒子及び補助剤)から分離される。次いで、ホップを麦汁に添加することができる。ホップを添加した後、麦汁を煮沸し、冷却して酵母の添加を容易にする。発酵段階は、酵母による発酵性糖のアルコールへの発酵を含む。典型的には5~10日間続く主発酵後、酵母の大部分が除去され、いわゆる「グリーンビール」が形成される。
【0063】
この一次発酵から得られる「グリーン」ビールは、依然として、いくらかの沈降していない酵母並びに比較的高レベルの望ましくない香味成分、例えばジケトン、例えばジアセチル及びアセチルアルデヒドを含有する。熟成期中、これらの望ましくない風味成分は、刺激の少ない味のある化合物に変換される。例えば、熟成中、ジアセチルの量は、バターのようなオフフレーバーを有する化合物は、無味のアセトインに変換され得る。その後の安定化段階では、ビールのコロイド安定性を高めることができる。これに関して、ビールは、タンパク質ポリフェノール凝集体の形成を促進するために保持され、その後、例えば濾過/沈殿によって沈殿した凝集体が除去され得る。ビール生産の熟成段階と安定化段階の両方を組み込んだ段階は、ラガーリング期間と呼ばれ得る。
【0064】
本発明によれば、カタラーゼを含む酵素組成物は、マッシング工程より後及び/又は麦汁煮沸より後の時点でブリューイングプロセス中に添加される。
【0065】
カタラーゼは、マッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後に添加することができ、且つ/又は最終ビールに添加される。
【0066】
本発明による方法によって製造されるビールは、任意の種類のビールであり得る。本明細書で使用される「ビール」という用語は、少なくとも、麦芽処理されていないシリアルから調製されたマッシュから調製されたビール並びに麦芽処理されたシリアルから調製された全てのマッシュ及び麦芽処理されたシリアルと麦芽処理されていないシリアルの混合物から調製された全てのマッシュを網羅することを意図している。「ビール」という用語は、底部発酵ビールだけでなく、上部発酵ビール並びに補助材で調製されたビール及び全ての可能なアルコール含有量を有するビールも包含する。
【0067】
好ましいビールの種類には、ビール、ストロングビール、スタウト、ポーター、黒ビール、ピルスナー、レージャー、ビッター、エクスポートビール、麦芽酒、発泡酒、高アルコールビール、低アルコールビール、低カロリービール又はライトビールが含まれる。本発明は、非アルコール又は低アルコールビールにも及ぶ。好ましい態様では、ビールは、IPA、ピルスナービール又は低アルコール若しくは無アルコールビールであり得る。
【0068】
本発明の一態様では、ビールの貯蔵寿命を改善又は延長することができる。一態様では、貯蔵寿命は、4、6、9、12又は24ヶ月まで延長され得る。
【0069】
本発明の一態様では、ストレッカーアルデヒドの生成は、トランス-2-ノネナール及び/又はベンズアルデヒドの生成の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%の低減を含めて低減され得る。好ましくは、トランス-2-ノネナール及び/又はベンズアルデヒドの生成は、少なくとも50%減少する。
【0070】
有利には、本発明は、醸造プロセスで使用されるか又は最終ビール製品中に存在する亜硫酸塩の量の減少を促進することができる。
【0071】
本発明により得られるビールは、典型的には包装される。任意の適切な包装、例えばボトル、樽又は缶を使用することができる。本発明に従って調製されたビールは、バルクタンクに包装され得る。したがって、本発明は、本発明に従って得られたビールを含む包装品、例えばこのようなビールを含むボトル、樽又は缶を提供する。
【0072】
一般的な定義
特に定義しない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本開示は、本明細書中で開示した例示的な方法及び原材料によって限定されず、本明細書中に記載されるものと類似の又は均等ないかなる方法及び原材料も本開示の実施形態の実施又は試験に用いることができる。数値範囲は、範囲を定義する数字を含む。
【0073】
本明細書中で提供される見出しは、本明細書を全体として参照することによって理解することができる本開示の種々の態様又は実施形態を限定するものではない。したがって、直下で定義される用語は、本明細書を全体として参照することによってより詳細に定義される。本明細書中で用いられる用語「ポリヌクレオチド」は、用語「ヌクレオチド配列」及び/又は用語「核酸配列」と同義である。特に示されない限り、いずれの核酸配列も、左から右に向けて5’から3’の向きに記す。
【0074】
本明細書中で用いられる用語「タンパク質」は、タンパク質、ポリペプチド及びペプチドを含む。本明細書中で用いられる用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」及び/又は用語「タンパク質」と同義である。本開示及び特許請求の範囲において、アミノ酸の名前、アミノ酸残基についての従来型の1文字コード及び3文字コードを用いることができる。アミノ酸についての3文字コードは、IUPACIUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN)に準拠して定義される通りである。ポリペプチドは、遺伝子コードの縮重に起因して2つ以上のヌクレオチド配列によってコードできることも理解される。特に示されない限り、いずれのアミノ酸配列も、左から右に向けてアミノからカルボキシの向きに記す。
【0075】
本明細書の全体を通して、用語の他の定義が出現する場合がある。例示的な実施形態をより詳細に記載する前に、本開示は、記載の特定の実施形態に限定されず、当然ながら、それ自体変動し得ることを理解すべきである。本明細書中で用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、限定的であることは意図されないことも理解されたい。なぜなら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。
【0076】
値の範囲が与えられる場合、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値も下限の単位の少数第一位まで具体的に開示されていると理解される。記載された範囲内の記載されたいずれかの値又は介在値と、その記載された範囲内の記載された他のいずれかの値又は介在値との間のより小さい範囲のそれぞれは、本開示内に包含される。これらのより小さい範囲の上限値及び下限値は、独立してその範囲に含まれるか又は除外され得、記載された範囲におけるいずれかの具体的に除外された限界値に従い、より小さい範囲にいずれかの限界値が含まれるか、いずれも含まれないか又は両方とも含まれるそれぞれの範囲も本開示内に包含される。表示範囲が限界値の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方又は両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0077】
本明細書中で、且つ添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、前後関係が明らかに特に指示しない限り、複数形指示対象を含むことが留意されなければならない。
【0078】
本明細書中で用いられる用語「含んでいる」、「含む」、「有する」、「有している」及び「構成される」は、「包含している」、「包含する」又は「含有している」、「含有する」と同義であり、包含的又はオープンエンドであり、列挙されていない追加の部材、要素又は方法工程を除外しない。用語「含んでいる」、「含む」、「有する」、「有している」及び「構成される」は、用語「からなる」も含む。
【0079】
本明細書中で考察される刊行物は、専らその開示について本出願の出願日よりも前に提供されている。本明細書中では、そのような刊行物のいずれも、本明細書に添付の特許請求の範囲に対する先行技術を構成することの容認と解釈されるべきでない。
【0080】
本明細書で使用される場合、「低温殺菌」という用語は、加熱による水溶液中の微生物の死滅を意味する。醸造プロセスにおける低温殺菌の実施は、典型的には、フラッシュ低温殺菌装置又はトンネル低温殺菌装置の使用によるものである。本明細書で使用される場合、「低温殺菌ユニット又はPU」という用語は、低温殺菌の定量的尺度を指す。ビールの1つの低温殺菌ユニット(1PU)は、摂氏60度で1分間の保温と定義される。これは、以下のように計算する。
PU=t×1.393^(T)、式中、
t=低温殺菌装置における低温殺菌温度での時間(分)
T=低温殺菌装置内の温度(摂氏) - ここでは60℃
[^(T)は、(T)の指数を表す]
【0081】
ビールの種類、原材料及び微生物汚染、醸造者及びビール風味に対する知覚された効果に応じて、異なる最小PUを使用することができる。典型的には、ビールの低温殺菌には、14~15PUが必要である。低温殺菌装置に応じて、低温殺菌温度は典型的には摂氏60度~72度の範囲であり、それに応じて低温殺菌時間が計算される。さらなる情報は、Research and Teaching Institute of Brewing, Berlin(VLB)のWolfgang Kunzeによる「Technology Brewing and Malting」、第3版完全更新、2004、ISBN 3-921690-49-8に見出すことができる。
【0082】
カタラーゼ
カタラーゼ酵素は、一次反応を触媒する。
2H2O2→2H2O+O2
【0083】
本発明に従って使用するためのカタラーゼは、EC 1.11.1.6に属し得る。
【0084】
好ましい実施形態では、カタラーゼは、微生物カタラーゼ、例えば真菌又は細菌から単離又は誘導可能なカタラーゼである。一態様では、微生物カタラーゼは、アスペルギルス属(Aspergillus sp.)、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロミセス属(Saccharomyces sp.)、エスケリキア属(Escherichia sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、トリコデルマ属(Trichoderma sp.)又はスキタリジウム属(Scytalidium sp.)に由来する。一態様では、微生物カタラーゼは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・フラジリス(Bacillus fragilis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)、サッカロミセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)又はスキタリジウム・セルモフィルム(Scytalidium thermophilum)に由来する。
【0085】
好ましい態様では、カタラーゼは、アスペルギルス属(Aspergillus sp.)又はトリコデルマ属(Trichoderma sp.)、好ましくはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)に由来する。より好ましくは、カタラーゼはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来である。カタラーゼは組換え技術によって産生され得、そのような方法は当技術分野で周知である。一態様では、カタラーゼは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)で発現され得る。
【0086】
本発明による使用に適したカタラーゼは、例えば硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィー法を含む当業者に周知の方法によって組換え細胞培養物から回収することができる。
【0087】
本発明による使用に適したカタラーゼは、原核宿主又は真核宿主、例えば細菌、酵母、真菌、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞から組換え技術によって産生された天然精製産物、産物又は化学合成産物であり得る。
【0088】
カタラーゼは、カタラーゼの意図する目的を妨害しない担体又は希釈剤と混合され得る。一態様では、本発明による使用に適したカタラーゼは、実質的に精製された形態であり得る。一態様では、カタラーゼは、精製されていなくてもよい。以下にさらに論じるように、本発明は、有利には、カタラーゼ組成物中のグルコースオキシダーゼ側活性の存在を可能にし、すなわちグルコースオキシダーゼの存在に対する耐性が増加する。これは、グルコースオキシダーゼをカタラーゼ組成物から精製する必要がなく、さらなる精製のコストを節約できることを意味するため、経済的に有益である。
【0089】
カタラーゼ活性は、Baker単位/gで測定することができ、1Baker単位は、過酸化水素によるカタラーゼの同時不活性化及びpH7.0及び25.0℃で60分間インキュベートした後のカタラーゼによる過酸化水素の分解に基づく「二重排気」分析で264mgの過酸化水素を分解するカタラーゼの量として定義される。本発明の一態様では、カタラーゼを少なくとも約7000U/lの麦汁の用量で添加する。一態様では、カタラーゼを少なくとも約5000U/lの麦汁の用量で添加する。一態様では、カタラーゼを少なくとも約2000U/lの麦汁の用量で添加する。一態様では、カタラーゼを少なくとも約1000U/lの麦汁の用量で添加する。一態様では、カタラーゼを少なくとも約500U/lの麦汁の用量で添加する。一態様では、カタラーゼを少なくとも約7000U/lの麦汁の用量で添加する。
【0090】
代わりに、カタラーゼ活性をCIUで測定し得る。過酸化水素の分解は、240nmで分光光度法を使用してモニターすることができる。特定のH2O2濃度での吸光度の特定の減少にかかる時間は、カタラーゼ活性の発現である。1つのCIUは、pH7.0及び25℃で毎分1μMのH2O2を分解し、H2O2濃度を10.3mMから9.2mMに低下させる酵素活性と定義される。
【0091】
反応条件:
酵素濃度 約100CIU/ml
基質濃度 10.3mM H2O2
緩衝液 50mMリン酸塩
温度 25℃
pH7.0
【0092】
検出:
波長 240nm
吸光度範囲 0.450~0.400
時間範囲 0.267~0.400分(16~24秒)
【0093】
好ましい態様では、カタラーゼは、配列番号1若しくは配列番号2の配列又はそれと少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。好ましい態様では、カタラーゼは、本明細書で以下に定義される配列番号1又は配列番号2の配列のバリアント、断片、誘導体又はホモログを含む。本発明によるバリアント、断片、誘導体又はホモログは、カタラーゼ活性を有する。カタラーゼは、単離された形態であり得る。
【0094】
配列同一性
本明細書中で言及される特定のアミノ酸配列及びポリヌクレオチドに加えて、本発明は、そのバリアント、相同体、誘導体及び断片を包含する。「バリアント」という用語は、野生型配列とは異なるヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を意味するために使用される。
【0095】
例えば、バリアントは、野生型配列と比較して1つ以上の位置での置換、挿入、欠失、切断、転換及び/又は逆位を含み得る。バリアントは、当技術分野で公知の方法、例えば部位走査突然変異誘発、挿入突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発及び指向性進化を使用して且つ当技術分野で周知の組換え方法を使用して作製することができる。バリアントアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列は、当技術分野で公知の方法を使用して容易に合成され得る。
【0096】
いくつかの態様では、バリアントは、野生型配列とは異なる天然に存在するヌクレオチド配列又はアミノ酸配列である。例えば、バリアントは天然の遺伝的バリアントであり得る。
【0097】
用語「単離」は、配列が天然で、天然に会合し、天然に見出される少なくとも1つの他の構成成分を少なくとも実質的に含まないことを意味する。一態様では、本明細書で使用される「単離されたバリアント」又はその単離された活性断片は、SDS-PAGEによって決定される場合、少なくとも30%純粋、少なくとも40%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも80%純粋、少なくとも90%純粋及び少なくとも95%純粋なポリペプチドを指す。
【0098】
いくつかの態様では、バリアントは操作されたバリアントである。例えば、バリアントは、組換え法によって操作され得る。
【0099】
一実施形態では、「野生型配列」は配列番号1である。
【0100】
用語「ホモログ」は、対象ヌクレオチド配列と特定の相同性を有する実体を意味する。ここで、用語「相同性」は、「同一性」と同じであると見なすことができる。
【0101】
これに関連して、相同配列は、対象配列と少なくとも70%、75%、80%、85%又は90%同一、好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一であり得るアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を含むと解釈される。典型的には、相同体は、例えば、対象アミノ酸配列と同じ活性部位等を含む。相同性は、類似性(すなわち類似の化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)の観点から考慮することもできるが、本発明に関連して配列同一性の観点から相同性を表現することが好ましい。
【0102】
適切には、本発明によるカタラーゼのホモログは活性カタラーゼである。すなわち、本発明のバリアントのホモログは、カタラーゼ活性を有する。一態様では、相同配列は、対象配列と比較して1つ又はいくつかの付加、欠失及び/又は置換を有するアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を含むと解釈される。相同性の比較は、目視によって又はより一般的には容易に利用可能な配列比較プログラムを使用して行うことができる。この市販のコンピュータプログラムは、2つ以上の配列間の相同性%を算出することができる。
【0103】
相同性パーセントは、連続した配列にわたって計算することができ、すなわち一方の配列を他方の配列と整列させ、一方の配列中の各アミノ酸を他方の配列中の対応するアミノ酸と一度に1残基ずつ直接比較する。これは、「ギャップなし」アラインメントと呼ばれる。典型的には、そのようなギャップなしアラインメントは、比較的少数の残基の全体にわたってのみ実行される。
【0104】
これは、非常に簡易且つ一貫した方法であるが、例えば、配列の通常同一の対において、ある挿入又は欠失により、後続のアミノ酸残基がアラインメントから外されることを考慮し得ないため、グローバルアラインメントを実施する場合に相同性%の大きい低減を潜在的にもたらす。結果的に、ほとんどの配列比較法は、相同性スコア全体を過度にペナルティ化せずに、考えられる挿入及び欠失を考慮する最適なアラインメントを作成するように設計される。これは、配列アラインメント内に「ギャップ」を挿入して、局所相同性の最大化を試みることによって達成される。
【0105】
しかしながら、これらのより複雑な方法は、同数の同一アミノ酸について、可能な限り少ないギャップを有する配列アラインメント(2つの比較配列間のより高い関係性を反映する)が、多くのギャップを有するものよりも高いスコアを達成するように、そのアラインメント内で生じる各ギャップに「ギャップペナルティ」を割り当てる。典型的には、あるギャップの存在に比較的高いコストを、且つそのギャップ内の後続の残基毎により小さいペナルティを課す「アファインギャップコスト」が用いられる。これは、最も一般的に用いられるギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティは、当然のことながら、ギャップがより少ない最適化されたアラインメントを生成する。ほとんどのアラインメントプログラムは、ギャップペナルティが変更されることを許容する。しかしながら、配列比較のためにそのようなソフトウェアを用いる場合、デフォルト値を用いることが好ましい。
【0106】
したがって、最大相同性%又は最大同一性%の計算は、ギャップペナルティを考慮して、最適なアラインメントの生成を最初に必要とする。
【0107】
タンパク質配列間の関係は、通常、それらを一緒に整列させ、この整列にスコアを割り当てることによって発見される。配列アラインメントには主に2つのタイプがある。ペアワイズ配列アラインメントは、一度に2つの配列を比較するのみであり、多重配列アラインメントは、多くの配列を比較する。配列の対をアラインメントするための2つの重要なアルゴリズムは、Needleman-Wunschアルゴリズム及びSmith-Watermanアルゴリズムである。配列アラインメントのための一般的なツールには、ペアワイズアラインメントのためのBLAST及び多重アラインメントのためのClustalW、MUSCLE又はMAFFTが含まれる。
【0108】
ペアワイズアラインメントには2つのタイプがある。局所アラインメント及びグローバルアラインメント。局所アラインメントは、配列対の2つのサブ領域のアラインメントである。このタイプのアラインメントは、非相同配列のバックグラウンドに埋め込まれた局所的な類似性領域を有し得る2つの配列をアラインメントする場合に適している。局所アラインメントの場合、Smith-Watermanアルゴリズムが最も一般的に使用される。他のペアワイズアラインメントツールとしては、BLASTが挙げられる。グローバルアラインメントは、2つ以上のタンパク質配列の全長にわたる配列アラインメントである。グローバルアラインメントでは、配列はそれらの全長に沿って相同であると仮定される。グローバルアラインメントの効率的なアルゴリズムはNeedleman and Wunsch 1970に記載されている。複数のタンパク質配列にわたる類似性を評価するために、CLUSTALW、MAFFT及びMUSCLEなどの複数のタンパク質配列アラインメントツールが適用される。
【0109】
そのようなアラインメントを実施するための適切なコンピュータプログラムは、CLUSTAL W反復多重配列アラインメントアルゴリズム(Higgins DG&Sharp PM(1988)、Gene 73(1)、237-244)に匹敵するアルゴリズムを使用するVector NTI(インビトロジェン社)ソフトウェアパッケージで利用可能である。配列比較を実行し得るソフトウェアの例として、以下に限定されないが、例えば、BLASTパッケージ(Ausubel et al.,1999,Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed-Chapter 18を参照されたい)、BLAST2(FEMS Microbiol Lett,1999,174(2):247-50;FEMS Microbiol Lett,1999,177(1):187-8を参照されたい)、FASTA(Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.,403-410)及びAlignXが挙げられる。少なくともBLAST、BLAST 2及びFASTAは、オフライン及びオンライン検索に利用可能である(Ausubel et al.,1999,pages(7)58 to(7)60を参照されたい)。
【0110】
相同性%を同一性に関して測定することができるが、アラインメントプロセスそれ自体は、典型的には、オールオアナッシングのペア比較に基づくものではない。代わりに、化学的類似性又は進化的距離に基づいて、各ペアワイズ比較にスコアを割り当てる数値換算類似性スコアマトリックスが一般に用いられる。一般に用いられるそのようなマトリックスの例として、BLOSUM62マトリックス(BLASTプログラムスイートのためのデフォルトマトリックス)がある。Vector NTIプログラムは、一般に、パブリックデフォルト値又は供給されている場合にはカスタムシンボル比較表を用いる(さらなる詳細について、ユーザマニュアルを参照されたい)。一部の用途については、Vector NTIパッケージのためのデフォルト値を用いることが好ましい。
【0111】
ソフトウェアが最適なアラインメントを生成すると、相同性%、好ましくは配列同一性%を算出することが可能である。ソフトウェアは、典型的に、それを配列比較の一部として実行して数的結果を生成する。
【0112】
配列同一性を求める場合、ギャップペナルティが用いられ得る。ペアワイズアラインメントに使用されるパラメータの例は、以下の表1及び2に示す通りである。
【0113】
【0114】
【0115】
一実施形態では、ギャップペナルティ及びギャップエクステンションが先の定義の通り設定されたCLUSTALを用いることができる。
【0116】
適切には、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度は、少なくとも20個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも30個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも40個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも50個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも60個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも100個の連続ヌクレオチドの全体にわたって求められる。
【0117】
適切には、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度は、少なくとも100個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも200個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも300個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも400個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも500個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも600個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも700個の連続ヌクレオチドの全体にわたって、好ましくは少なくとも800個の連続ヌクレオチドの全体にわたって求められる。
【0118】
適切には、タンパク質(アミノ酸)配列に関する同一性の程度は、少なくとも100個の連続アミノ酸の全体にわたって、好ましくは少なくとも200個の連続アミノ酸の全体にわたって、好ましくは少なくとも300個の連続アミノ酸の全体にわたって求められる。
【0119】
例えば、断片のアミノ酸配列に関する同一性の程度は、断片配列の長さにわたって決定され得る。換言すれば、断片のアミノ酸配列に関する同一性の程度は、より短い配列の長さにわたって決定され得る。
【0120】
好ましくは、アミノ酸又はタンパク質配列に関する同一性の程度は、本明細書中で教示される熟成配列全体にわたって、例えば、本明細書中で開示される配列番号1の全体にわたって求められ得る。
【0121】
これに関連して、用語「クエリー配列」は、それが本発明の範囲内に入るかを把握するために対象配列とアラインされる相同配列又は外来配列を意味する。したがって、そのようなクエリー配列は、例えば、先行技術配列又は第三者配列であり得る。
【0122】
好ましい一実施形態では、配列は、グローバルアラインメントプログラムによってアラインされて、配列同一性は、プログラムによって特定される正確なマッチの数を特定することにより、対象配列の長さで割って算出される。
【0123】
一実施形態では、クエリー配列と対象配列間の配列同一性の程度は、1)デフォルトスコアリング行列及びデフォルトギャップペナルティを用いて適切なあらゆるアラインメントプログラムによって2つの配列をアラインし、2)正確なマッチの数を特定し(正確なマッチは、アラインメントプログラムがアラインメント内の所与の位置上の2つのアラインされる配列内の同一のアミノ酸又はヌクレオチドを特定した場合である)、且つ3)対象配列長との正確なマッチの数を割ることによって求められる。
【0124】
さらに好ましい実施形態では、グローバルアラインメントプログラムは、CLUSTAL及びBLAST(好ましくはBLAST)からなる群から選択されて、配列同一性は、プログラムによって特定される正確なマッチの数を特定することにより、対象配列の長さで割って算出される。
【0125】
バリアント配列又はそのカタラーゼ活性断片などの配列は、サイレント変化を生成し、機能的に等価な物質をもたらすアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換も有し得る。物質の二次的結合活性が保持される限り、意図的なアミノ酸置換は、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の性質の類似性に基づいてなされ得る。例えば、負荷電アミノ酸として、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ;正荷電アミノ酸として、リシン及びアルギニンが挙げられ;類似の親水性値を有する非荷電極性頭部基を有するアミノ酸として、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン及びチロシンが挙げられる。
【0126】
保存的置換は、例えば、以下の表に従ってなされ得る。表3に示すように、第2列の同じブロック、好ましくは第3列の同じ行のアミノ酸を互いに置換し得る。
【0127】
【0128】
本発明は、起こり得る相同置換(置換及び置き換えは、本明細書中では両方とも既存のアミノ酸残基を代替の残基と交換することを意味するために用いられる)、すなわち塩基性のものと塩基性のもの、酸性のものと酸性のもの、極性のものと極性のもの等の同種置換も包含する。非相同置換は、すなわち、あるクラスの残基から別のクラスの残基に起こり得るか、又は代わりにオルニチン(以降、Zと称する)、ジアミノ酪酸オルニチン(以降、Bと称する)、ノルロイシンオルニチン(以降、Oと称する)、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン及びフェニルグリシン等の非天然アミノ酸の包含を伴う。
【0129】
置換は、合成アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸)によってもなされ得、これとして、アルファ*及びアルファ二置換*アミノ酸、N-アルキルアミノ酸*、乳酸*、天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体、例えば、トリフルオロチロシン*、p-Cl-フェニルアラニン*、p-Br-フェニルアラニン*、p-I-フェニルアラニン*、L-アリル-グリシン*、β-アラニン*、L-a-アミノ酪酸*、L-g-アミノ酪酸*、L-a-アミノイソ酪酸*、L-e-アミノカプロン酸#、7-アミノヘプタン酸*、L-メチオニンスルホン#*、L-ノルロイシン*、L-ノルバリン*、p-ニトロ-L-フェニルアラニン*、L-ヒドロキシプロリン#、L-チオプロリン*、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、例えば、4-メチル-Phe*、ペンタメチル-Phe*、L-Phe(4-アミノ)#、L-Tyr(メチル)*、L-Phe(4-イソプロピル)*、L-Tic(1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)*、L-ジアミノプロピオン酸#及びL-Phe(4-ベンジル)*が挙げられる。
【0130】
記号*は、誘導体の疎水性を示すために先の考察の目的(相同又は非相同置換に関する)で利用されている一方、#は、誘導体の親水性を示すために利用されており、#*は、両親媒性の特徴を示す。
【0131】
バリアントアミノ酸配列は、配列の任意の2つのアミノ酸残基間に挿入され得る適切なスペーサー基を含み得、例として、アミノ酸スペーサー、例えばグリシン又はb-アラニン残基に加えて、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基又はプロピル基が挙げられる。変異のさらなる形態は、ペプトイド形態の1つ以上のアミノ酸残基の存在を含み、当業者であれば十分に理解されるであろう。疑義を回避するため、「ペプトイド形態」は、a炭素置換基が、a炭素ではなく、残基の窒素原子上に存在する変異型アミノ酸残基を指すために用いられる。ペプトイド形態のペプチドを調製するプロセスは、当技術分野で知られており、例えばSimon RJ et al.,PNAS(1992)89(20),9367-9371及びHorwell DC,Trends Biotechnol.(1995)13(4),132-134がある。
【0132】
本発明に用いられるヌクレオチド配列は、その中に合成又は修飾ヌクレオチドを含み得る。オリゴヌクレオチドに対するいくつかの異なるタイプの修飾が当技術分野で知られている。これらとして、メチルホスホナート骨格及びホスホロチオアート骨格並びに/又は分子の3’末端及び/若しくは5’末端でのアクリジン鎖若しくはポリリジン鎖の付加が挙げられる。本発明の目的のため、本明細書中に記載されるヌクレオチド配列は、当技術分野で利用可能なあらゆる方法によって修飾され得ることが理解されるべきである。そのような修飾は、本発明のヌクレオチド配列のインビボ活性又は寿命を増強するように実行され得る。
【0133】
本発明は、本明細書中に提示される配列に対して相補的なヌクレオチド配列の使用も包含する。
【0134】
本明細書中に記載される配列の他のバリアントは、例えば、広範な個体、例えば、様々な集団由来の個体から作製されたDNAライブラリーをプロービングすることによって得ることができる。加えて、他の相同体を得ることができ、そのような相同体及びその断片は、一般に、本明細書中の配列表に示される配列に選択的にハイブリダイズし得る。そのような配列は、他の動物種から作製されたcDNAライブラリー又は他の動物種由来のゲノムDNAライブラリーをプロービングして、そのようなライブラリーを、添付の配列表の配列のいずれか1つの全て又は一部を含むプローブにより、中~高ストリンジェンシーの条件下でプロービングすることによって得ることができる。類似の考えは、本発明のポリペプチド配列又はヌクレオチド配列の種相同体及び対立遺伝子バリアントを得ることにも当てはまる。
【0135】
バリアント及び株/種相同体は、本発明の配列内の保存アミノ酸配列をコードするバリアント及び相同体内の配列を標的とするように設計されたプライマーを用いる縮重PCRを用いて得ることもできる。保存配列は、例えば、いくつかのバリアント/相同体由来のアミノ酸配列をアラインすることによって予測することができる。配列アラインメントは、当技術分野で知られているコンピュータソフトウエアを用いて実行することができる。例えば、GCG Wisconsin PileUpプログラムが広く使用される。
【0136】
縮重PCRに用いられるプライマーは、1つ以上の縮重位置を含有し、既知の配列に対する単一配列プライマーによる配列のクローニングに用いられるものよりも低いストリンジェンシー条件で用いられる。
【0137】
代わりに、そのようなポリヌクレオチドは、特徴付けされた配列の部位特異的変異誘発によって得ることができる。これは、例えば、ポリヌクレオチド配列が発現される特定の宿主細胞についてのコドン選好性を最適化するためにサイレントコドン配列変化が要求される場合に有用であり得る。制限酵素認識部位を導入するか、又はポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの特性若しくは機能を変更するような他の配列変化が望まれることがある。
【0138】
グルコース酸化酵素活性
本明細書に記載の本発明の一態様では、カタラーゼ組成物は、グルコースオキシダーゼ(GOX)活性も含み得る。
【0139】
一態様では、GOXは、例えば、カタラーゼがT.リーゼイ(T.reesei)などの宿主細胞で発現される場合、カタラーゼに対する副活性を表し、GOX副活性は、カタラーゼ組成物に残る。
【0140】
一態様では、グルコースオキシダーゼ:カタラーゼ活性の比率は、0.001超、より好ましくは0.0001超、さらにより好ましくは0.00001超であり得る。
【0141】
一態様では、GOXは、本明細書に記載される配列番号5(T.リーゼイ(T.reesei)GOX)の配列又はそのバリアント、誘導体、ホモログ若しくは活性断片を有し得る。
【0142】
グルコース-オキシダーゼ単位(GODU)は、1分あたり1μmolのβ-D-グルコースを酸化する酵素の量である。グルコース酸化酵素(β-D-グルコース:酸素-1-オキシドレダクターゼ、EC 1.1.3.4.)は、酸素の存在下でβ-D-グルコースを酸化してδ-グルコノ-ラクトン及び過酸化水素にする。生成された過酸化水素は、ペルオキシダーゼ(POD)の存在下でABTS-R(2,2-アジノ-ジ-(3-エチルベンズチアゾリン)-6-スルホネート)を酸化する。これにより、緑色-青色が生成され、これを405nmで測光的に測定する。
β-D-グルコース+O2 GOD、30℃、pH5.6→δ-グルコノラクトン+H2O2
H2O2+ABTSred POD→2H9O+ABTSr
【0143】
反応条件:
基質グルコース 90mM(16.2g/l)
ABTS 1.25mM(688mg/l)
グルコースオキシダーゼ 0.0061~0.0336GODU/ml
ペルオキシダーゼ(POD) 2930U/l
緩衝酢酸塩、100mM
PH5.60±0.05
温度 30℃±1 反応時間 36秒(8×4.5秒)
波長 405nm
【0144】
追加の酵素
本明細書に記載の本発明の一態様では、醸造プロセス中に追加の酵素を使用することができる。
【0145】
例えば、プロリン特異的プロテアーゼを、例えばビールの濁りの低減又は除去のために使用することができる。適切なプロリン特異的プロテアーゼは、当技術分野の当業者に公知である。一態様では、プロリン特異的プロテアーゼは、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12及び配列番号13のいずれか又はその活性断片と少なくとも75、80、85、90、95、98、99又は100%の配列同一性を有する酵素である。
【0146】
この方法は、ALDC(αアセト乳酸脱炭酸酵素)酵素、グルコアミラーゼ、マルトース生成性α-アミラーゼ、プルラナーゼ又はトランスグルコシダーゼの1つ以上を添加することも含み得る。任意選択的に、ALDC酵素は、EC 4.1.1.5に記載のアセト乳酸脱炭酸酵素である。任意選択的に、グルコアミラーゼは、EC 3.2.1.3に記載の1,4-α-グルコシダーゼである。任意選択的に、マルトース生成性αアミラーゼは、EC 3.3.1.133に記載のグルカン1,4-α-マルトヒドロラーゼである。任意選択的に、プルラナーゼは、EC 3.2.1.41に記載されているアルファ-デキストリンエンド-1、6-アルファ-グルコシダーゼ、限界デキストリナーゼ、アミロペクチン6-グルカノヒドロラーゼ、脱分岐酵素である。任意選択的に、トランスグルコシダーゼは、EC 2.4.1.24に記載の1,4-α-グルカン分岐酵素、オリゴグルカン分岐グルコシル転移である。
【0147】
本発明は、特に示されない限り、当業者の能力の範囲内である生化学、分子生物学、微生物学及び組換えDNAの従来技術を使用する。そのような技術は、文献中に説明されている。例えば、J.Sambrook,E.F.Fritsch,and T.Maniatis,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Books 1-3,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.et al.(1995 and periodic supplements;Current Protocols in Molecular Biology,ch.9,13,and 16,John Wiley&Sons,New,York,N.Y.);B.Roe,J.Crabtree,and A.Kahn,1996,DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley&Sons;M.J.Gait(Editor),1984,Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach, Irl Press;及びD.M.J.Lilley and J.E.Dahlberg,1992,Methods of Enzymology:DNA Structure Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology,Academic Pressを参照されたい。これらの一般的なテキストは、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれる。
【0148】
以下の実施例で本開示をさらに詳細に説明するが、それらの実施例は、本開示の特許請求の範囲を決して限定するものではない。添付の図面は、本開示の明細書及び説明に組み込まれたその一部と見なされるべきである。以下の実施例は、特許請求の範囲に記載の開示を説明するために提示されたものであり、その開示を限定するものではない。
【0149】
ストレッカーアルデヒド
本発明は、得られるビール中のストレッカーアルデヒドのレベルの低下も包含する。風味はビールの主要な品質特性であり、ブランド認識及び識別にとって重要である。ビールの焙煎中の1つの十分に確立された観察は、アルデヒド又はいわゆるストレッカーアルデヒドの増加であり、これらはビールの風味低下に関連することが示されている。本発明のさらなる態様では、ビールのマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後又は最終ビール自体にカタラーゼ組成物を添加すると、ストレッカーアルデヒドの生成が減少する。ストレッカーアルデヒドとしては、2-ブテナール、ヘキサナール、トランス-3-ペンテン-2-オン、4-ヘキセン-3-オン、ノナナール、フルフラール、デカナール、トランス-2-ノネナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド及びニコチン酸エチルが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0150】
本発明の好ましい態様では、ストレッカーアルデヒドは、カタラーゼ組成物をビールに添加することによって減少させることができ、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%のトランス-2-ノネナール及び/又はベンズアルデヒドの生成の減少を含む。
【実施例】
【0151】
実施例1 - 酵素
配列番号1に示すアミノ酸配列を有するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来の高活性カタラーゼ調製物(IFF、Food Enzymes、Denmarkから入手可能)。カタラーゼ調製物は、1,000(Baker)単位/gを保持し、1Baker単位は、pH7.0及び25.0℃で60分間インキュベートした後の過酸化水素によるカタラーゼの同時不活性化及びカタラーゼによる過酸化水素の分解に基づく「二重排気」分析で264mgの過酸化水素を分解するカタラーゼの量として定義される。
【0152】
さらに、配列番号1に示されるアミノ酸配列(IFF、Food Enzymes、Denmarkから入手可能)も有するトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesie)由来の別の高活性カタラーゼ調製物を9,250単位/gで利用した。以下の実施例では、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesie)由来のカタラーゼ(カタラーゼ-2)を利用した場合を選択的に特定し、他の全ての実施例では、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のカタラーゼ調製物(カタラーゼ-1)を使用した。
【0153】
実施例2 - カタラーゼ活性の測定
カタラーゼ活性は、Megazymes(Ireland)によって供給されるカタラーゼ検定手順「K-CATAL 07/19」を使用して決定した。このアッセイでは、H2O2の減少に基づいてカタラーゼの活性を評価した。2つの別個の反応が必要である。第1の反応では、カタラーゼ試料を既知の濃度のH2O2(約65mM)と混合する。設定時間後、カタラーゼを阻害する15mMアジ化ナトリウムで反応を停止する。第2の反応では、残りのH2O2を、3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-ベンゼンスルホン酸(DHBS)、4-アミノアンチピリン(AAP)及びペルオキシダーゼを使用して測定し、これにより、520nmでの酵素結合比色検出が得られる。対照として、ブランク反応を同時に行う。このようにして、基質溶液(165mM H2O2、Megazymeに従って調製)50μlを、反応アッセイ緩衝液(150mMリン酸カリウム緩衝液pH7.0、Megazymeから供給)で希釈したカタラーゼ溶液50μlと混合し、iEMSインキュベータ/シェーカー(Thermo Scientific,Rockford,IL,USA)中、25℃で5分間インキュベートした。反応を停止させるために、反応溶液20μlを15mMアジ化ナトリウム180μlと混合し、次いで、停止した反応溶液3μlを比色試薬溶液225μl(Megazymeによって供給されるペルオキシダーゼ、4-アミノアンチピリン及び3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシベンゼンスルホネート(DHBS)溶液)と混合した。比色反応物をiEMSインキュベータ/シェーカー中25℃で15分間インキュベートし、SpectraMAX MTPリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)を使用してブランク試料及びカタラーゼ反応試料について520nmでの吸光度を記録した。
【0154】
実施例3 - 低温殺菌後のビール中のカタラーゼ活性の決定
ビール発酵後のカタラーゼ活性に対する低温殺菌の影響を評価するために、配列番号1に示すカタラーゼ調製物660μl(1000U/g)を通常の330mlのピルスナータイプのビール(Carlsberg、Denmark、4.6%(v/v)アルコール)に添加して、2U/mLのビールを得た。ビールを62.1℃の水浴中でインキュベートした。試料を、Carlsbergビールの低温殺菌中に0、10、20、30、40、45、50及び55分で抜き取った。
【0155】
本実験で使用した条件下での酵素熱安定性を測定するために、実施例2に従って、ビールの低温殺菌前後にカタラーゼ活性を測定した。カタラーゼを添加しないビールを対照として使用した。蓄積されたエネルギー入力は、以下の式によって計算されるように、エネルギー等価指数である低温殺菌ユニット(PU及び蓄積PU)に変換された。
【0156】
低温殺菌単位又はPUは、低温殺菌の定量的尺度を指す。ビールの1つの低温殺菌ユニット(1PU)は、摂氏60度で1分間の保温と定義される。これは、以下のように計算する。
PU=t×1.393^(T)、式中、
t=低温殺菌温度での時間(分)
T=低温殺菌の温度(摂氏) - ここでは60℃
[^(T)は、(T)の指数を表す]
【0157】
したがって、通常のCarlsbergピルスナー(Denmark、4.6%(v/v)アルコール)中のカタラーゼの熱安定性を決定した。データを、低温殺菌時間0で測定された活性と比較した相対活性%として計算し、結果を表4に示した。配列番号1に示すカタラーゼ調製物は、62℃までの温度で実施した24PU低温殺菌に耐える(98.7%の残存活性)のに十分に熱安定性であることが明らかであった。
【0158】
【0159】
実施例4 - 電子スピン共鳴(ESR)測定:内因性抗酸化能及びT600決定
EAP決定の機能原理は、特定のスピントラップ試薬α(4-ピリジル-1-オキシド)-N-tert-ブチルニトロン(POBN)の適用に基づいており、これは、ラジカル発生に対するpH効果により、前者のスピントラップ試薬α-ピリジル-N-tert-ブチルニトロン(PBN)によって引き起こされるビール中のいわゆるラグタイム値の歪みを減少させる(16,38)。
【0160】
PBNによるラグ時間測定及びPOBNによるEAP測定には、以下のESR分光計を使用した:Xバンド分光器;Bruker(ESP-300);キャビティタイプ:Bruker 4108 TMH番号:8603及びXバンド分光計;Magnettech Miniscope MS 100。ラジカルの人工的生成に関する照射実験は、X線照射(Seifert Debyflex製のX線管)によって行った。ラジカルを生成するための「X線システム」という用語は、本明細書で使用される場合、従来技術で知られているように、電離放射線(X線放射)を介したラジカルの人工的な生成を説明する。
【0161】
試薬
N-tert-ブチル-α-(4-ピリジル)ニトロンN-オキシド(POBN)99%、C10H14N2O2、194.23g/mol(Sigma Aldrich、1g、少なくとも99%、No.215430、CAS No.66893-81-0、EC No.266-512-3)。
エタノールプロ分析99.8%、C2H5OH、46.07g/mol、密度:1リットル=0.79kg(Merck Darmstadt)。
【0162】
ESR分光法を用いた内因性抗酸化電位(EAP値)の決定は、加速ビール熟成(60℃)中のラジカル発生の間接的検出に基づく。一定期間、ラジカル発生は、ビールの内因性抗酸化活性によって遅延又は防止することができる。酸化防止剤の消費後、スピントラップ付加物、主にヒドロキシエチルラジカルが形成されると、ESRシグナルが増加する。2つの線形勾配の交点は安定性の相対的尺度を与え、交点における時間はEAP値として定義される(Deutsches Patent und Markenamt DE 10 2005 043 113 A1,2005.米国特許第20080248580号明細書、Method for determining the Endogenous Antioxidative Potential of beverages by means of ESR spectroscopy)、2008)。T600値は、600分アッセイ後のESR信号強度として定義され、強制エージング条件下(60℃)で生成されるラジカルの含有量を定性的に示す(Deutsches Patent und Markenamt DE 10 2005 043 113 A1、2005)。米国特許第20080248580号明細書、Method for determining the Endogenous Antioxidative Potential of beverages by means of ESR spectroscopy)、2008)。
【0163】
ビール試料を超音波浴中で15分間脱気した(最大20℃)。各試料について、8.4mgのPOBNを50μlの再蒸留水(最終3.5~3.6mM POBN)で希釈した。ESRビール試料の調製のために、156μlのエタノール(99%)及び12mlのビール試料を含有する琥珀色バイアルを使用した。測定開始時に直接、POBN溶液52μlを添加し、酵素試料0.5mlをオートサンプラー内の全体積12.708mlに60℃で入れた。ESR麦汁試料の調製には、10mlの麦芽ベースの麦汁抽出物及び700μlのエタノールを含有する琥珀色バイアルを使用した。測定開始時に直接、POBN溶液105μlを添加し、酵素試料0.5ml溶液をオートサンプラー内の総体積11.305mlに60℃で入れた。
【0164】
実施例5 - 麦芽抽出物中のカタラーゼのESR分析
ビール発酵中のカタラーゼの影響を評価するために、配列番号1に示す様々なカタラーゼを様々な希釈液の二重蒸留水中で調製し、麦汁試料に添加し、ESRによって分析した。ESR麦汁試料の調製のために、10mlの麦芽ベースの麦汁抽出物、700μlのエタノールを含有する琥珀色バイアルを使用し、測定を開始する前に、105μlのPOBN溶液及び0.5mlの希釈した酵素試料を添加し、溶液をオートサンプラー、総量11.305ml、60℃に入れた。麦汁への種々のカタラーゼ添加の結果を、種々の投与量で
図1(0.0から44.2U/ml)及び
図2(0.0から6.2U/ml)の両方に示す。驚くべきことに、非常に低レベルのカタラーゼ(0.9U/ml麦汁)からの全ての投与量は、非常に良好な酸化保護及びESRシグナルの完全な低下を示した。T600は、割り当て可能なEAPなしで、7.6×10
6~0.35×10
6(
図1)及び64.43×10
5~34.17×10
4(
図2)へのカタラーゼ添加によって低下し、明らかに、麦汁中に形成された過酸化水素を低下させることによってカタラーゼが酸化促進性ラジカル生成に作用し得るが、内因性抗酸化能(EAP)を増加させないことを示唆した。したがって、麦汁におけるビール発酵中のカタラーゼの添加は、麦汁及び最終ビールの酸化安定性を有意に改善し得る。
【0165】
実施例6 - 低EAPを有する暗色ピルスナーのカタラーゼのESR分析
麦芽製造における枯死及びキルニング工程中の温度は、完成した麦芽中の安定な有機ラジカルの生成を増加させ、その結果、最終ビールの内因性抗酸化能値及び二酸化硫黄含有量を減少させることは周知である。低い内因性抗酸化能値を有するビールに対するカタラーゼの影響を評価するために、配列番号1に示す様々なカタラーゼを様々な希釈液の二重蒸留水中で調製し、黒ピルスナー試料(Koestritzer pilsner、4.6%(v/v)アルコール、Germany)を添加し、ESRによって分析した。ESRビール試料の調製のために、156μlのエタノール(99%)及び12mLの脱気したビール試料を含有する琥珀色バイアルを使用した。
【0166】
測定開始時に直接、52μlのPOBN溶液を添加し、希釈した酵素試料0.5mlを60℃のオートサンプラーに入れ、総体積を12.708mlとした。低EAPの黒ピルスナーゲルへの種々のカタラーゼ添加の結果を
図3に示す(0.0~3.9U/ml)。カタラーゼの非常に明確な効果が観察され、非常に良好な酸化保護及びESRシグナルの低下を示した。カタラーゼを含まないビール試料は、割り当て可能なEAPなしで経時的にESRシグナルの増加を示した。0.2U/mlのカタラーゼの添加でさえ、ESRシグナルの非常に有意な減少(17.96×10
5から46.80×10
4へのT600の低下)を示し、0.8U/mlを超えるカタラーゼの添加は、ESRシグナルの完全な減少(17.96×10
5から26.35×10
4へのT600の低下)を示した。これらの結果は、低い酸化安定性を有するビールへのカタラーゼの添加が味及び貯蔵寿命を大幅に改善し得ることを明確に示している。
【0167】
実施例7 - EAPを用いたビール中のカタラーゼのESR分析
中程度の内因性抗酸化能を有するビールに対するカタラーゼの影響を評価するために、配列番号1に示す様々なカタラーゼ希釈液を様々な希釈液中の二重蒸留水中で調製し、ピルスナービール(Heinekenピルスナー、4.6%(v/v)アルコール、Germany及びBecks、4.6%(v/v)アルコール、Germany)試料に添加し、ESRによって分析した。
【0168】
ESRビール試料の調製のために、182μlのエタノール(99%)及び14mlの脱気したビール試料を含有する琥珀色バイアルを使用した。測定開始時に直接、POBN溶液61μlを添加し、希釈した酵素試料0.5mlを60℃のオートサンプラーに入れ、総体積を14.743mlとした。低EAPの黒ピルスナーゲルへの種々のカタラーゼ添加の結果を
図4に示す(0.0から1.97U/ml)。カタラーゼの明確な効果が観察され、非常に良好な酸化保護及びESRシグナルの低下を示した。さらに0.2U/mlのカタラーゼの添加は、ESRシグナルの完全な減少を示した(9.5×10
5から1.7×10
5へのT600の低下)。これらの結果は、中程度の酸化安定性(72分及び116分のEAP)を有するビールへのカタラーゼの追加が、ビールの安定性並びにこれによる味及び貯蔵寿命を大幅に改善し得ることを明確に示している。
【0169】
実施例8 - 貯蔵安定性試験におけるSO2含有量の低いビール中のカタラーゼのESR分析
未知の内因性抗酸化能を有するがSO2が低いビールへのカタラーゼ添加の影響を評価するために、配列番号1のカタラーゼをある範囲の希釈で二重蒸留水中において調製し、2つのピルスナービール試料(Odenseピルスナー、4.6%(v/v)アルコール、Denmark及びTuborgピルスナー、4.5%(v/v)アルコール、Denmark)を添加し、貯蔵後にESRによって分析した。カタラーゼ添加後、試料をCO2でガス処理し、次いで、28℃で1ヶ月間保存した。1ヶ月後、ESR分光法及び焙煎アルデヒド測定を行った。以下の濃度及び試料を利用した。
1.添加なしのOdense(未使用、貯蔵なし)
2.添加なしのTuborg(未使用、貯蔵なし)
3.0.19U/ml(28℃で1ヶ月)に相当する、Odense+配列番号1の650μlカタラーゼ
4.Tuborg+650μl H2O(28℃で1ヶ月)
5.Odense+650μl H2O(28℃で1ヶ月)
6.0.19U/mlに相当(28℃で1ヶ月)する、Tuborg+配列番号1のカタラーゼ650μl
【0170】
Tuborg及びOdense試料の標準的なビール特性は、「Mitteleuropaeischen Brautechnischen Analyse Kommission」(MEBAK;Brautechnische Analysenmethoden.Wuerze,Bier,Biermischgetraenke/herausgegeben vom Vorsitzenden Prof.Fritz Jacob,MEBAK,Freising-Weihenstephan,2012)に従って、新鮮なビールについて
図5に示すように測定した。これらは、新鮮なTuborgピルスナーが、10°Pの重力、3.2%w/wの実際の抽出物、4.5%v/vの体積によるアルコール含有量、85%の発酵度、2.5EBCの色、4.2のpH、17BUの苦味単位、決定不可能なEAP値、1.1×10
6のTmax値及び決定不可能なSO
2値を有していたことを示している。新鮮なOdenseは、10.6の重力、3.5の実抽出物、4.6%v/vの体積によるアルコール含有量、83%の発酵度、2.6EBCの色、4.2のpH値、20BUの苦味単位、68のEAP値、0.89×10
6のTmax値及び2.8mg/lのSO
2含有量を有していた。ビール試料のESR分析を実施例7に記載のように実施し、結果を
図6に示す。ここで、Tmaxが1.1×10
6でEAP値が68分の新鮮なOdense、続いてTmaxが0.89×10
6の新鮮なTuborgが最も高いシグナル強度を有した。一ヶ月間貯蔵したOdenseは、0.88×10
6のTmax値を有し、続いてで添加したカタラーゼを添加したOdenseが0.8×10
6のTmaxを有した。2番目に低いTmax値は、0.57×10
6のTmaxで1ヶ月間貯蔵したTuborgで見られ、続いてカタラーゼを添加したTuborgが0.40×10
6のTmaxを有した。この非常に低用量(0.19U/ml)のカタラーゼ及び28℃での1ヶ月間の貯蔵でさえ、カタラーゼを添加した又は添加していないビール試料を比較した場合のT800値の有意差を考慮すると、酸化安定性の明らかな改善が観察された。
【0171】
実施例9 - 醸造マッシングプロセス中のカタラーゼの使用及び麦汁試料のESR分析
マッシング中のカタラーゼの作用を調べるために、実験室規模の麦芽ベースのマッシング設定で配列番号1を有する様々な量のカタラーゼを試験し、得られた麦汁をESRで分析して酸化安定性を評価した。
【0172】
マッシング試験中、黒ビール麦汁をもたらす混合物を使用した。これらの混合物について、3.75gのCaraaroma麦芽及び71.25gのピルスナー麦芽を375mlの二重蒸留水と混合した。その後、これらを
図7に従って粉砕した。
【0173】
カタラーゼを添加した試料をカタラーゼと混合した後、マッシングした。試験のために以下のマッシュ試料を生成した。
【0174】
黒ビールマッシュ(総量375ml):
1.95%ピルスナー麦芽+5%Caraaroma
2.95%ピルスナー麦芽+5%Caraaroma麦芽+0.63U/mlカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))
3.95%ピルスナー麦芽+5%Caraaroma麦芽+1.26U/mlカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))
4.95%ピルスナー麦芽+5%Caraaroma麦芽+0.63U/mlカタラーゼ(T.リーゼイ(T.reesei))
5.95%ピルスナー・麦芽+5%Caraaroma麦芽+1.26U/mlカタラーゼ(T.リーゼイ(T.reesei))
【0175】
麦汁濾過及びワールプールレスト後に試料を採取し、ESR分光法及び精密比重計DMA4500M(Alcoholizer ME,colour-&pH-module,Anton Paar GmbH,AT-8054 Graz)を使用したビール分析により、MEBAK(実抽出物:Vol.II 2.9.6.3、色:Vol.2.12.2及びpH:Vol.2.13)に従って検討した。麦汁分析の結果を
図8に示す。ここで、カタラーゼを添加しなかった麦汁は、13.2°Pの抽出物、37.4EBCの色及び5.6のpHを有していた。0.63U/mlのカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))を添加した麦汁は、12.6°P、37.1EBC色及びpH5.5の抽出物を得たが、1.23U/mlのカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))を添加した麦汁は、15.5°P、40.2EBC色及びpH5.5の抽出物を有していた。さらに、0.63U/mLのカタラーゼ(T.リーゼイ(T.reesei))を添加した麦汁は、13.6°P、色36EBC及びpH値5.5の抽出物を得たが、1.23U/mlのカタラーゼ(T.リーゼイ(T.reesei))を添加した麦汁は、13.4°P、36.7EBC及びpH値5.5の抽出物を有していた。
【0176】
対照として、麦汁煮沸後の黒ビール麦汁に0.63U/mLカタラーゼ(T.リーゼイ(T.reesei))又は0.63U/mlカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))のいずれかを添加した。
【0177】
図9は、麦汁煮沸後の黒ビール麦汁に添加したカタラーゼを用いた対照を含む、マッシュ試験黒ビール麦汁のESR分光法によるT600値の測定を示す。
【0178】
1.26U/mlのカタラーゼ(T.リーゼイ(T.reesei))を添加した麦汁は、2.6×106の最も高いシグナル強度を得、続いて1.26U/mlのカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))を添加した麦汁は、2.4×106のシグナル強度を得た。0.63U/mlのカタラーゼ(T.リーゼイ(T.reesei))を添加した麦汁のシグナル強度は2.3×106であり、0.63U/mlのカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))を添加した麦汁のシグナル強度は2.1×106であった。比較のために、参照麦汁から1.6×106のシグナル強度を得た。2番目に低い2.4×105のシグナル強度は、煮沸後に0.63U/mlのカタラーゼ(T.リーゼイ(T.reesei))を添加した麦汁から得られたのに対して、2.0×105の最も低いシグナル強度は、煮沸後に0.63U/mlのカタラーゼ(A.ニガー(A.niger))を添加した麦汁から得られた。したがって、マッシング中のカタラーゼの添加が酸化安定性に悪影響を及ぼし、ESR分析で高いT600値をもたらしたことは非常に驚くべきことである。これは、マッシュ中に添加されたカタラーゼが著しく低い酸化安定性を有するビールをもたらし、したがってビールの貯蔵寿命を短縮しながら味の変化を改善する可能性があることを明確に示している。例えばビールの発酵中の添加と同様に、カタラーゼをマッシング後の最終麦汁に添加した場合、結果は、代わりに、カタラーゼの添加がビール/麦汁の安定性、したがって得られるビールの貯蔵寿命を大幅に改善することを示す。カタラーゼが醸造プロセスに添加される条件及びタイミングは、酵素の機能にとって重要である。
【0179】
実施例10 - GC-MSによるビール中の促進された酸化オフフレーバー生成の分析
風味は、ビールの主要な品質特性であり、ブランド認識及び識別にとって重要である。ビールの焙煎中の1つの十分に確立された観察は、アルデヒド又はいわゆるストレッカーアルデヒドの増加であり、これらはビールのオフフレーバーに関連することが示されている。酸素及び酸化は、ビール中のストレッカーアルデヒド形成を著しく促進することが示されている。この実施例では、加速されたオフフレーバー発生のための条件を、通常のピルスナータイプのビール(Carlsberg、Denmark、4.6%(v/v)アルコール)で試験した。
【0180】
新たに製造した4.6%(v/vアルコールCarlsberg(Denmark)(製造から一か月以内)穏やかに開封し、ヘッドスペース33clのビール瓶を、ヘッドスペースCO2を大気と交換するために空気フラッシングした。瓶を20秒間開いたままにし、次いでクラウンコルクでしっかりと閉じた。均一な酸化を確実にするために、瓶を1分間繰り返し反転させて、液体とヘッドスペース酸素との混合を確実にした。未開封対照を室温(RT)で14日間維持した。ヘッドスペースの酸化後、酸化を促進するために、ビール試料を30℃又は60℃のいずれかで最大14日間インキュベートした。次いで、以下の6つの処理を実施し、GC-MS-SPMEによるオフフレーバー生成について分析した。
・FL.ブランク-室温で保存され、開封されていないCarlsbergピルスナー
・FL.1-Carlsbergピルスナー_フラッシュ30℃_1日
・FL.2-Carlsbergピルスナー_フラッシュ30℃_3日
・FL.3-Carlsbergピルスナー_フラッシュ30℃_7日
・FL.4-Carlsbergピルスナー_フラッシュ30℃_14日
・FL.5-Carlsbergピルスナー_フラッシュ60℃_5日
【0181】
揮発性オフフレーバーをSPME-GCMSによって定量化し、これを以下に記載されるようにカルボゲン/PDMS繊維を用いてフルスキャン及びSIMモードで行った。
【0182】
揮発性物質の分析
各処理試料(1.0g)を22mlのヘッドスペースのバイアルに秤量した。5-メチル-2-ヘキサノン(3.3μg/ml)及びo-クレゾール(2.3μg/ml)を含有する標準溶液(100μl)をバイアル圧着前に各バイアルに添加した。SPMEは、SPME繊維(85μmカルボセン/PDMS、Supelco)を備えたGerstel MultiPurpose Robotic PRO(Gerstel、Muelheim Germany)を使用して実施した。バイアルを10℃の冷却トレイに保存した後、50℃で1分間インキュベートした。撹拌(250rpm)しながら50℃で30分間抽出を行った。繊維をGC入口(Agilent、7890)で30秒間脱着した。入口には、5:1のスプリット比で300℃において動作するSPMEライナーを装備した。分離はCP-WAX 52B(50m×0.32μm×1.2μm、Agilent CP77731)で行った。オーブンプログラムは70℃で開始し(2分間保持)、次いで12℃/分で240℃まで上昇させた(10分間保持)。ヘリウムをキャリアガスとして2ml/分(39.4cm/秒)で使用した。質量選択検出(Agilent、5977B)を検出に使用した。それぞれイオン源の温度は230℃、四重極の温度は150℃であった。質量分析計は、スキャンモード(m/z 29~250)と選択的イオンモニタリング(SIM)モードの両方で動作させ、全てのイオンについて100msの滞留時間を設けた。モニターされたイオン及び開始時間を表5に示す。
【0183】
【0184】
クロマトグラムのデコンボリューションから分析物を暫定的に同定した。分析物の特徴的なイオンをChemStationにおけるピーク積分に使用した。
【0185】
以下のオフフレーバーの相対定量化を行った:2-メチルフラン、ヘキサナール、2-ブテナール、トランス-3-ペンテン-2-オン、4-ヘキセン-3-オン、フルフラール、トランス-2-ノネナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド及びニコチン酸エチル並びに2つの未同定物質(イオン、RT:10.21;イオン:95.00/未同定及びRT:9.25;イオン:81.00/未同定)。結果を
図10に示す-これらから明らかなように、ビール瓶のヘッドスペースを大気で洗い流し、続いて60℃で5日間インキュベートすると、酸化オフフレーバー生成が最も増加した。30℃で14日後にも有意なオフフレーバーが形成されたが、60℃未満であった。30℃でのインキュベーション時間が減少するにつれて、徐々にオフフレーバーの減少が観察された。
【0186】
実施例11 - ビール中のオフフレーバー生成を減少させるためのカタラーゼの使用
ビール中の加速ストレッカーアルデヒド及びオフフレーバー生成に対するカタラーゼの作用を調べるために、様々な濃度のカタラーゼを通常のピルスナータイプのビール(Carlsberg、Denmark、4.6%(v/v)アルコール)に添加した。オフフレーバーを、30℃で14日間のインキュベーションを使用して、実施例10に記載されるように定量化した。比較のために、ビールに一般的に見られる非常に強力な酸化防止剤である亜硫酸塩をメタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)の形態で過剰に添加した。メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5、Sigma Aldrich)10gを二重希釈H2O 100mlに溶解し、ビール中のSO2の濃度が10ppmになるように添加した。アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来の配列番号1のカタラーゼを以下の濃度に従って添加した。以下の処理を使用した。
・O1GC_1_no;対照-室温で保存され、開封されていないCarlsbergピルスナー
・O1GC_4;Carlsbergピルスナー_フラッシング、30℃で14日間
・O1GC_5;Carlsbergピルスナー+0.64U/mlカタラーゼ(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger))フラッシング、30℃で14日間
・O1GC_10;Carlsbergピルスナー+29.6U/mlカタラーゼ(トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei))フラッシング、30℃で14日間
・O1GC_12;Carlsbergピルスナー+3.7U/mlカタラーゼ(トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei))フラッシング、30℃で14日間
・O1GC_16;Carlsbergピルスナー+10 ppm亜硫酸塩_フラッシング、30℃で14日間
【0187】
14日後に30℃のビール中に生成されたオフフレーバーの相対量を実施例10に記載のように分析し、結果を表6に示す。結果から、カタラーゼの添加は、特に2-ブテナール、4-ヘキセン-3-オン、トランス-3-ペンテン-2-オン、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド及びトランス-2-ノネナールについて、オフフレーバー生成を有意に減少させたことが明らかである。カタラーゼの作用は、10ppm添加亜硫酸塩の効果も超え、この効果は、増加した用量で最も顕著であった。分析した全てのオフフレーバーについて、最高用量のカタラーゼ(29.6U/ml)は、添加していない対照と比較して、顕著に低いレベルのオフフレーバーを示した。これは、カタラーゼが酸化安定性を大幅に改善し、ビールで生成される幅広い一連のオフフレーバーを減少させ、したがってビールの貯蔵寿命を延ばすことができることを明確に示唆している。
【0188】
【0189】
実施例12 - フリーラジカルを減少させるための複数の潜在的な添加剤を用いたビールの鮮度分析
以下の手順を用いて、330mlボトルのカールスベルグピルスナーボトル(依然として賞味期限内の鮮度)を試験した。
【0190】
O1FA_1_無対照処理を除いて、全てのビール瓶を開封した。ヘッドスペースに含まれるCO2を瓶詰めから置き換えるために、ヘッドスペースを大気で10秒間穏やかに洗い流した。これは、ビールの酸化を確実にするためであった。洗浄は、汚染を避けるために抽出フード内で行い、ビールの損失を避けるために穏やかに行った。次いで、開封ビールに、以下の表7に列挙する添加剤を投入した。
【0191】
次いで、全てのビールをクラウンコルクでしっかりと閉じ、次いで逆さにして、液体のボトル内でヘッドスペース空気と確実に混合した。次いで、全てのビールを30℃で14日間インキュベートした。
【0192】
14日後、分析までビールを冷蔵室に入れた-これは各ビール試料の最終的な鮮度指標を提供する。Bruker自動マイクロESRシステムを使用して、試料を互いに比較した。試料を調製及び分析のために2連で実行したが、官能試験は行わなかった。
【0193】
【0194】
【0195】
各ビール試料について以下の測定を行い、結果を表8に示す。フリーラジカル発生結果を
図11aに示し、
図11b、
図11c及び
図11dにグループ化された試料内の共通の傾向によって分離された同じデータを示す。酸化速度を
図11eに示す。
【0196】
ビール試料間で鮮度に関して非常に明確な差があった。大部分の試料は、許容される保護に対して、不十分な鮮度/鮮度保護なしのいずれかを有する。しかしながら、酸化は、試料範囲にわたって減少する。これは、保護が失われた後に生成されるフリーラジカルがより少ないことを示唆している。
【0197】
【0198】
【0199】
番号付き段落
ここで、本発明の態様を番号付き段落として述べる。
【0200】
1.ビールを製造する方法であって、ビールのマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後にカタラーゼ組成物を添加することを含み、且つ/又は最終ビールにカタラーゼ組成物を添加することを含む方法。
【0201】
2.カタラーゼ組成物がマッシュ煮沸調製物中、及び/又は麦汁調製物中、及び/又は発酵調製物中、及び/又は熟成調製物中、及び/又は安定化調製物中、及び/又は低温殺菌調製物中、及び/又は最終ビール中で少なくとも0.1U/mlのカタラーゼ活性を有し;及び/又はカタラーゼ組成物がマッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビールに少なくとも0.1U/mlのカタラーゼ活性を提供する、段落1に記載の方法。
【0202】
3.カタラーゼが微生物カタラーゼである、段落1又は2に記載の方法。
【0203】
4.前記微生物カタラーゼが細菌又は真菌由来である、段落1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
5.微生物カタラーゼが真菌、好ましくはアスペルギルス属(Aspergillus sp.)又はトリコデルマ属(Trichoderma sp.)、好ましくは、A.ニガー(A.niger)又はT.リーゼイ(T.reesei)由来である、段落1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
6.前記カタラーゼが、配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の配列又はそれと少なくとも70%の同一性を有する配列を有する、段落1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
7.前記カタラーゼが、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有する配列を有する、段落6に記載の方法。
【0207】
8.前記カタラーゼが組換え技術によって産生される、段落1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
9.カタラーゼ組成物がグルコースオキシダーゼをさらに含む、段落1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
10.前記カタラーゼがビールの熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中並びに/又は最終ビールに添加される、段落1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
11.プロリン特異的プロテアーゼがビールの製造中に添加する、段落1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
12.ビールの酸化安定性が改善される、段落1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
13.マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される、段落1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
14.最終ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される、段落1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
15.マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビール中のトランス-2-ノネナール生成が低減される、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
16.最終ビール中のトランス-2-ノネナール生成が低減される、段落1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
17.トランス-2-ノネナール生成が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%、好ましくはトランス-2-ノネナール生成が少なくとも50%低減される、段落15~16のいずれか1つに記載の方法。
【0217】
18.マッシュ煮沸調製物、及び/又は麦汁調製物、及び/又は発酵調製物、及び/又は熟成調製物、及び/又は安定化調製物、及び/又は低温殺菌調製物、及び/又は最終ビール中のトランス-ベンズアルデヒド生成が低減される、段落1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
19.最終ビール中のトランス-ベンズアルデヒド生成が低減される、段落1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
20.ベンズアルデヒド生成が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減され、好ましくはベンズアルデヒド生成が少なくとも50%低減される、段落18~19のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
21.ビールの貯蔵寿命が延長される、段落1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
22.ビールの貯蔵寿命が少なくとも約4ヶ月まで及び/又は少なくとも約4ヶ月だけ延長される、段落1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
23.ビールの風味安定性が改善される、段落1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
24.ビールの製造におけるカタラーゼの使用であって、前記カタラーゼ組成物がマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後に添加され、且つ/又は最終ビールに添加される、使用。
【0224】
25.カタラーゼ組成物が、段落1~23のいずれか1つで定義されたカタラーゼ組成物中にある、段落24に記載の使用。
【0225】
26.ビールの風味安定性が改善される、段落24~25のいずれか1つに記載の使用。
【0226】
27.段落1~23のいずれか1つに記載の方法によって得られるか又は得ることができるビール。
【0227】
28.カタラーゼを含む、段落27に記載のビール。
【0228】
29.カタラーゼを含むビール。
【0229】
30.グルコースオキシダーゼを含む、段落27~29のいずれか1つに記載のビール。
【0230】
31.ビールの貯蔵寿命が少なくとも約4ヶ月まで延長されるか又は少なくとも約4ヶ月だけ延長される、段落27~30のいずれか1つに記載のビール。
【0231】
32.ビールの風味安定性が改善される、段落27~31のいずれか1つに記載のビール。
【0232】
上記の本明細書に記載した全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の記載される方法及びシステムの種々の変更形態及び変形形態が当業者に明らかであろう。
【0233】
本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、生化学、分子生物学又は関連分野の当業者に明らかである、本発明を実施するための記載された態様の様々な改変形態は、以下の態様の範囲内であることが意図される。
【0234】
配列
配列番号1(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のカタラーゼの熟成アミノ酸配列を示す):
【化1】
【0235】
配列番号2(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のカタラーゼの推定アミノ酸配列を示し、切断された潜在的な切断型N末端領域に下線を引いて太字で示す):
【化2】
【0236】
配列番号3(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から発現されたカタラーゼの推定アミノ酸配列を示す):
【化3】
【0237】
配列番号4(トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)から発現されたカタラーゼの推定アミノ酸配列を示す):
【化4】
【0238】
【0239】
配列番号6(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)):
【化6】
【0240】
配列番号7(アスペルギルス・トランスモンタネンシス(Aspergillus transmontanensis)):
【化7】
【0241】
配列番号8(アスペルギルス・ホモモルフス(Aspergillus homomorphus)):
【化8】
【0242】
配列番号9(ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)):
【化9】
【0243】
配列番号10(ペニシリウム・アンタークティカム(Penicillium antarcticum)):
【化10】
【0244】
配列番号11(ペニシリウム・オキサリカム(Penicillium oxalicum)):
【化11】
【0245】
配列番号12(アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)):
【化12】
【0246】
配列番号13(アスペルギルス・ベルソレティウス(Aspergillus bertholletius)):
【化13】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビールを製造する方法であって、前記ビールのマッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/又は安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後にカタラーゼ組成物を添加することを含み、且つ/又は最終ビールにカタラーゼ組成物を添加することを含む方法。
【請求項2】
前記カタラーゼ組成物がマッシュ煮沸調製物中、及び/又は麦汁調製物中、及び/又は発酵調製物中、及び/又は熟成調製物中、及び/又は安定化調製物中、及び/又は低温殺菌調製物中、及び/又は前記最終ビール中で少なくとも0.1U/mlのカタラーゼ活性を有し;及び/又は前記カタラーゼ組成物が前記マッシュ煮沸調製物、及び/又は前記麦汁調製物、及び/又は前記発酵調製物、及び/又は前記熟成調製物、及び/又は前記安定化調製物、及び/又は前記低温殺菌調製物、及び/又は前記最終ビールに少なくとも0.1U/mlのカタラーゼ活性を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カタラーゼが微生物カタラーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カタラーゼが微生物カタラーゼであり、前記微生物カタラーゼが細菌又は真菌由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カタラーゼが微生物カタラーゼであり、前記微生物カタラーゼが真菌、好ましくはアスペルギルス属(Aspergillus sp.)又はトリコデルマ属(Trichoderma sp.)、好ましくはA.ニガー(A.niger)又はT.リーゼイ(T.reesei)由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カタラーゼが、配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の配列又はそれと少なくとも70%の同一性を有する配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カタラーゼが、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有する配列を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カタラーゼが組換え技術によって産生される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カタラーゼ組成物がグルコースオキシダーゼをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カタラーゼが前記ビールの熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中並びに/又は前記最終ビールに添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プロリン特異的プロテアーゼが前記ビールの製造中に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ビールの酸化安定性が改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記マッシュ煮沸調製物、及び/又は前記麦汁調製物、及び/又は前記発酵調製物、及び/又は前記熟成調製物、及び/又は前記安定化調製物、及び/又は前記低温殺菌調製物、及び/又は前記最終ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記最終ビール中のストレッカーアルデヒドの生成が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記マッシュ煮沸調製物、及び/又は前記麦汁調製物、及び/又は前記発酵調製物、及び/又は前記熟成調製物、及び/又は前記安定化調製物、及び/又は前記低温殺菌調製物、及び/又は前記最終ビール中のトランス-2-ノネナール生成が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記最終ビール中のトランス-2-ノネナール生成が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
トランス-2-ノネナール生成が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減され、好ましくはトランス-2-ノネナール生成が少なくとも50%低減される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記マッシュ煮沸調製物、及び/又は前記麦汁調製物、及び/又は前記発酵調製物、及び/又は前記熟成調製物、及び/又は前記安定化調製物、及び/又は前記低温殺菌調製物、及び/又は前記最終ビール中のトランス-ベンズアルデヒド生成が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記最終ビール中のトランス-ベンズアルデヒド生成が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ベンズアルデヒド生成が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低減され、好ましくはベンズアルデヒド生成が少なくとも50%低減される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ビールの貯蔵寿命が延長される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ビールの貯蔵寿命が少なくとも約4ヶ月まで及び/又は少なくとも約4ヶ月だけ延長される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ビールの風味安定性が改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ビールの製造におけるカタラーゼの使用であって、前記カタラーゼ組成物は、マッシュ煮沸後並びに/又は麦汁調製、及び/若しくは発酵、及び/若しくは熟成、及び/若しくは安定化、及び/若しくは低温殺菌中若しくは後に添加され、且つ/又は最終ビールに添加される、使用。
【請求項25】
前記カタラーゼが、請求項1~23のいずれか一項に記載のカタラーゼ組成物中にある、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記ビールの風味安定性が改善される、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法によって得られるか又は得ることができるビール。
【請求項28】
カタラーゼを含む、請求項27に記載のビール。
【請求項29】
カタラーゼを含むビール。
【請求項30】
グルコースオキシダーゼを含む、請求項29に記載のビール。
【請求項31】
前記ビールの貯蔵寿命が少なくとも約4ヶ月まで延長されるか又は少なくとも約4ヶ月だけ延長される、請求項29に記載のビール。
【請求項32】
前記ビールの風味安定性が改善される、請求項29~31のいずれか一項に記載のビール。
【国際調査報告】