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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】高圧ガス充填/取出システム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20241226BHJP
   F17C 7/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
F17C7/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537067
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2022140271
(87)【国際公開番号】W WO2023116665
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111572969.2
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210857508.8
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522396333
【氏名又は名称】中石化安全工程研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】程龍軍
(72)【発明者】
【氏名】楊哲
(72)【発明者】
【氏名】陶彬
(72)【発明者】
【氏名】張健中
(72)【発明者】
【氏名】王振中
(72)【発明者】
【氏名】趙▲ウェン▼晴
(72)【発明者】
【氏名】丁莉麗
(72)【発明者】
【氏名】劉娟
(72)【発明者】
【氏名】李亮亮
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172EA02
3E172EA35
3E172EA50
3E172EB02
(57)【要約】
本発明が開示する高圧ガス充填・取出システムは、ガス充填ステーションに接続するための高圧ガス管路と、ガス置換のための置換ガス管路と、前記高圧ガス管路に設けられ、加圧下で回転可能に構成された複数の二重チャネル回転継手と、前記高圧ガス管路の自由端に設けられ、制御機構を備える充填・取出継手であり、前記充填・取出継手の内に制御機構を介して、置換作業チャネルまたは充填・取出作業チャネルを形成するように構成された充填・取出継手と、を備える。前記制御機構は、前記置換作業チャネルがガス置換のために前記置換ガス管路(500)と連通するか、または、前記充填・取出作業チャネルが高圧ガスの充填・取出のために前記高圧ガス管路(400)と連通するように、前記置換作業チャネルと前記充填・取出作業チャネルとを択一的に開口するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス充填ステーションに接続するための高圧ガス管路(400)、
ガス置換のための置換ガス管路(500)、
前記高圧ガス管路に設けられ、加圧下で回転可能に構成された複数の二重チャネル回転継手(600)、および
前記高圧ガス管路の自由端に設けられ、制御機構を備える充填・取出継手(100a)であり、前記充填・取出継手の内に前記制御機構を介して、置換作業チャネルまたは充填・取出作業チャネルを形成するように構成される充填・取出継手(100a)、を備え、
前記制御機構は、前記置換作業チャネルがガス置換のために前記置換ガス管路(500)と連通するか、または、前記充填・取出作業チャネルが高圧ガスの充填・取出のために前記高圧ガス管路(400)と連通するように、前記置換作業チャネルと充填・取出作業チャネルとを択一的に開口するように構成される、高圧ガス充填・取出システム。
【請求項2】
前記高圧ガスは10~50MPaの範囲の圧力を有し、
前記高圧ガスは好ましくは、水素、CNGまたはヘリウムである、請求項1に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項3】
前記充填・取出継手は、高圧ガス輸送車両またはガス燃料装置と接続するための雄端部ユニット(200)と、前記高圧ガス管路(400)と固定接続するための雌端部ユニット(300)とをさらに備え、
前記制御機構は、前記雌端部ユニットに配置される、請求項1または請求項2に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項4】
前記雌端部ユニットは、雌ハウジングと、前記雌ハウジング内の弁コアアセンブリと、前記雌ハウジング内に形成されたバイパス置換管路(40)とを備え、
前記雌端部ユニットの内部空洞は、前記バイパス置換管路と連通して、雌置換流路を形成することが可能であり、
前記弁コアアセンブリは、前記制御機構によって駆動されて前記雌ハウジングに対して軸方向に移動し、それによって、前記雌置換流路を閉鎖し、前記雌端部ユニット内に雌充填・取出流路を形成するように構成される、請求項3に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項5】
前記制御機構は、前記弁コアアセンブリを駆動して軸方向に移動させ、それによって、ガス置換のために前記雄端部ユニット内の雄パイロット流路と前記雌置換流路とが択一的に前記雌端部ユニットの内部空洞と連通し、高圧ガスの充填・取出のために前記雌充填・取出流路が前記雄端部ユニット内の雄充填・取出流路と連通して前記充填・取出作業流路が開口するように構成される、請求項4に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項6】
前記制御機構は、
前記雌ハウジングに設けられたハンドルギア(29)と、
前記ハンドルギアと噛合する伝達ギア(282)であり、前記伝達ギアは前記弁コアアセンブリの外周面に形成され、前記ハンドルギアを回転させることにより前記弁コアアセンブリを駆動して前記雌ハウジングに対して軸方向に移動させる伝達ギア(282)と、を含み、
前記ハンドルギアは、
前記ハンドルギアを第1位置と第2位置とに択一的に回転させることにより、前記雌置換流路が択一的に開閉され、これにより前記雌置換流路を通るガス置換が可能となり、
前記ハンドルギアが第3位置にあるとき、前記充填・取出作業チャネルが高圧ガスの前記充填・取出のために開口されるように、3つの制御位置を有する、請求項5に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項7】
前記雌ハウジングが、接続端部を有する雌ガンベース(34)と、前記雌ガンベースの前端部に順に固定されたガン本体(27)およびガンスリーブ(12)とを含み、
前記バイパス置換管路(40)が前記ガン本体内に配置される、請求項6に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項8】
前記弁コアアセンブリが、出口弁コア(13)と主弁コア(28)とを含み、
前記出口弁コア(13)が、出口弁コアスリーブ(15)を介して前記ガンスリーブ(12)内に設置され、
前記主弁コアが、主弁コアベース(33)を介して雌ガンベース上に設置され、前記ハンドルギアによって作動される、請求項7に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項9】
前記出口弁コアは、
中空管本体と、
前記中空管本体の一端部に設けられた中実傘部材であり、該中実傘部材の軸方向両側にそれぞれ第1傾斜貫通孔(131)及び第2傾斜貫通孔(132)が設けられる中実嵩部材と、を含み、
前記第1傾斜貫通孔と前記第2傾斜貫通孔は、
互いにシールされて、前記雌端部ユニットのセルフシール状態を形成し、それによって、前記出口弁コアを前記主弁コアからシールするか、または、
互いに連通して、前記出口弁コアと前記主弁コアとを接続するように構成される、請求項8に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項10】
前記出口弁コアと前記主弁コアとの間に、第3弾性部材(23)が設けられ、
前記中実傘部材は、第1傾斜貫通孔と第2傾斜貫通孔とが互いにシールされるか、または互いに連通するように、前記第3弾性部材の作用によって、前記出口弁コアスリーブ(15)内に形成された傾斜面に突き当たってシールを形成するように構成されるか、または、前記傾斜面から外れる、請求項9に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項11】
第3環状空間(333)が、前記主弁コアベース(33)と前記雌ガンベース(34)との間に形成され、前記雌ガンベースの前記接続端部と連通しており、
前記ハンドルギアが前記第3位置にあるとき、前記主弁コアは前記第3環状空間と連通し、それによって前記雌充填・取出流路が開口される、請求項8に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項12】
前記主弁コアベース(33)は、前記雌ガンベースの接続端部と連通する傾斜貫通孔(331)が設けられた閉鎖端を有するシリンダ構造を有し、
前記主弁コアベースの側壁に切替孔(332)が設けられ、
前記傾斜貫通孔(331)は、前記第3環状空間(333)を介して前記切替孔(332)と連通している、請求項11に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項13】
第3貫通孔(281)が、前記主弁コア(28)の側壁に分布し、
前記第3貫通孔は、前記雌ハウジングに対する前記主弁コアの軸方向移動によって、前記切替孔(332)からオフセットされるか、または前記切替孔(332)と整列し、それによって前記雌充填・取出流路を閉鎖または開口するように構成される、請求項12に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項14】
前記主弁コア(28)の側壁に第4貫通孔(283)がさらに設けられ、
前記主弁コアと前記出口弁コアスリーブとの間に第2アキュムレータシールリング(24)が設けられ、
前記第4貫通孔は、前記主弁コアの軸方向移動により、前記第2アキュムレータシールリングの軸方向内側に位置して前記雌置換流路を開口するか、または前記第2アキュムレータシールリングの軸方向外側に位置して前記雌置換流路を閉鎖する、請求項13に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項15】
前記雄端部ユニット(200)は、
雄ガンベース(1)と、
前記雄ガンベース(1)内に固定的に取り付けられたダイバータ弁(2)と、
前記ダイバータ弁と適応的に協働するパイロット弁(10)とを含み、
前記パイロット弁の軸方向端面が、前記雄端部ユニットが前記雌端部ユニットに接続されたときに前記弁コアアセンブリの軸方向端面に密接にフィットし、
前記パイロット弁は、
前記ハンドルギアが前記第2位置にあるときに前記雄端部ユニット内に前記雄パイロット流路を形成し、
前記ハンドルギアが前記第3位置にあるときに前記雄端部ユニット内に前記雄充填・取出流路を形成するように構成される、請求項6から14のいずれか1項に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項16】
前記パイロット弁が、パイロット弁座(4)と、前記パイロット弁座と適応的に協働するパイロット弁コア(101)とを含み、
前記ダイバータ弁と連通する第1環状空間(105)が、前記パイロット弁座と前記雄ガンベースとの間に形成され、
第2環状空間(106)が、前記パイロット弁コアと前記雄ガンベースとの間に形成され、
前記ハンドルギアが前記第1位置および前記第2位置にあるとき、前記第1環状空間および前記第2環状空間が互いにシールオフされ、それによって、前記雄充填・取出流路が閉鎖され、
前記ハンドルギアが前記第3位置にあるとき、前記第1環状空間が前記第2環状空間と連通し、それによって前記雄充填・取出流路が開口される、請求項15に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項17】
前記パイロット弁コアは、前記パイロット弁座に挿入される中空管と、前記中空管の一端部に接続される弁ヘッドとを備え、
前記弁ヘッドは、前記中空管と連通する中央貫通孔(102)と、前記弁ヘッドを貫通して延び、周方向に均等に分布する複数の傾斜孔(103)とを備え、
前記傾斜孔は、前記第2環状空間と連通している、請求項16に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項18】
前記中空管には、複数の第1貫通孔が周方向に均等に分布し、
前記パイロット弁座には、複数の第2貫通孔が周方向に均等に分布し、
前記ハンドルギアが前記第1位置および前記第3位置にあるとき、前記第1貫通穴は、前記第2貫通穴からオフセットされて、雄パイロット流路を閉鎖し、
前記ハンドルギアが前記第2位置にあるとき、前記第1貫通孔は前記第2貫通孔と連通し、雄パイロット流路を開口する、請求項17に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項19】
グリップスリーブアセンブリが、前記ガンスリーブ(12)の前端部に設けられ、前記ガンスリーブの外側に配置されたグリップスリーブ(16)と、前記ガンスリーブの内側に配置された顎支持スリーブ(14)と、前記ガンスリーブを貫通して延びる顎(18)とを含み、
前記グリップスリーブアセンブリは、
前記顎が前記グリップスリーブに対して軸方向の制限を形成し、それによって、前記雌端部ユニットにセルフシールを形成するように構成され
前記顎の径方向位置が前記顎支持スリーブを軸方向に押すことによって制限され、それによって、前記雌端部ユニットが前記雄端部ユニットに接続およびシールされるか、または、前記雄端部ユニットから切り離されるように構成される、請求項18に記載の高圧ガス充填及び取出システム。
【請求項20】
前記置換ガス管路と連通する置換ガス流路(600a)と、前記高圧ガス管路と連通する高圧ガス流路(600b)とが、前記二重チャネル回転継手(600)内に設けられる、請求項1に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項21】
前記二重チャネル回転継手は、
回転弁コア(601)であって、軸方向に沿って延びる中央盲孔(6011)および置換ガス流孔(6012)が設けられる、回転弁コア(601)と
前記回転弁コアの周囲に配置され、その側壁を貫通して延びるポート(607)を備える弁コアスリーブ(604)と、を備え、
前記弁コアスリーブは、前記置換ガス流孔が常に前記ポートと連通して前記置換ガス流路(600a)が形成されるように、前記回転弁コアに対して回転するように構成される、請求項20に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項22】
前記ポートは、側壁貫通孔と、前記弁コアスリーブ(604)の内壁に形成された環状溝とを含み、
前記ポートが前記置換ガス流孔と連通したままであるように、前記環状溝は前記側壁貫通孔と連通し、前記置換ガス流孔は前記環状溝と連通する、請求項21に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項23】
前記二重チャネル回転継手がさらに
前記弁コアスリーブに固定的に接続された弁コア座(612)であって、複数の軸方向貫通孔(6121)が前記弁コア座の内側に周方向に均等に分布する弁コア座(612)と、
前記弁コア座に固定的に接続された弁ヘッド(614)と、を備え、
前記回転弁コア内には、軸方向に沿って延びる中央盲孔(6011)と、周方向に均等に分布する複数の径方向貫通孔(6013)とが、設けられており、
前記中央盲孔、前記径方向貫通孔、前記軸方向貫通孔(6121)および前記弁ヘッドの内部空洞が順次連通して高圧ガス流路(600b)を形成している、請求項20または請求項21に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項24】
軸方向に延びる突出部(6015)が、前記回転弁コアの第2端部に設けられ、平面軸受(613)を介して前記弁コア座(612)に回転可能に接続される、請求項23に記載の高圧ガス充填・取出システム。
【請求項25】
前記弁コアスリーブ(604)と前記弁コア座(612)とは、相互に嵌合状に固定接続されてシールを形成し、
前記弁コアスリーブと前記弁コア座の軸方向端面との間にはスロット通路が形成され、
前記径方向貫通孔は、前記スロット通路を介して前記軸方向貫通孔と連通している、請求項24に記載の高圧ガス充填・取出システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、「水素管束車両用の迅速継手」と題され、2021年12月21日に出願された中国特許出願第202111572969.2号、および「二重チャネル高圧水素回転継手、積込・取出アーム、および水素積込・取出システム」と題され、2022年7月20日に出願された中国特許出願第202210857508.8号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、気体燃料充填取出装置の技術分野に関し、特に高圧気体充填取出装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、新エネルギー産業の急速な発展に伴い、新たなクリーンエネルギーとして水素やCNG(圧縮天然ガス)などの高圧ガスの需要が急増している。特に、水素燃料電池車両の模範的な運用と実用化が着実に進む中、国内外で水素充填ステーション(station)の建設が進んでいる。
【0004】
しかし、既存のガス充填ステーションには、ガス供給効率の低さ、不適切な安全リスク防止・管理措置、不健全な安全仕様システムなどの問題が依然として残っている。例えば、水素充填ステーションについて、水素は無色、無臭、可燃性、かつ爆発性のガスであり、密度が小さい、拡散係数が大きい、発火温度が低い、燃焼・爆発範囲が広い、火炎速度が速いなどの特徴がある。また、水素分子は小さく、金属や有機物を容易に透過して漏洩する。そのため、水素エネルギーの利用において、水素の漏洩や爆発に関する安全性の問題は極めて重要である。充填ステーションには大量の高圧ガスが貯蔵されるため、ひとたび漏洩が発生すると、大規模な可燃性ガス雲が容易に形成され、激しい爆発に繋がる可能性もあり、人々の安全と財産に深刻な脅威をもたらす。ガスは基本的に管束車両の道路輸送を通じて充填ステーションに供給され、充填ステーションでの高圧ガスの充填と取出とに長時間を要する。そのため、タンク車と充填取出管路(pipeline)の接続は、充填取出作業全体の安全性を左右する。
【0005】
現在、水素やCNGなどを充填・取出する用の高圧管束車両には通常、ホースとネジ継手が使用される。ネジ継手を接続した後、石鹸水で漏洩をテストする必要がある。バブリングなどの問題が発生したら、接続部を締め付け、再度漏洩テストを行う必要がある。接続が適格であることをテストした後、管路内の空気を窒素で置換できるように、充填管路をパージする必要がある。充填・取出作業を行う前に、空気含有量が所定の基準を満たす必要がある。しかし、上記の充填・取出方法にはまだいくつかの欠陥がある。例えば、置換ガス量が多い場合、空気と水素が共存する可能性があり、高速水素噴射は燃焼爆発事故につながる可能性がある。水素管束車両の充填圧力は20MPaであり、今後45MPaまで高まる予定である。高圧水素の充填取出時に水素漏洩が検知された場合、作業を中断して接続部の漏洩箇所を確認する必要がある。接続部が固定され、漏洩がゼロであることがテストされた後、充填・取出作業を続けることができる。高圧ガスの充填・取出作業のための接続部品の安全性は、充填・取出エリア全体の安全性を保証する。しかし、従来のネジ継手ホースによる接続は、操作が面倒であり、高圧ガスホースとネジ継手が締付(buckling)によって接続され、抜けやすい。その結果、接続部分から高圧ガスが漏洩することがあり、接続効率が悪く、接続部のシール信頼性も低い。さらに、高圧ガスホースとネジ継手は、結合解除後に自動的にシールされず、引き抜き弁が引き抜かれないため、高圧ガスが高速で噴出し、金属ホースが投げ飛ばされることになる。その結果生じる摩擦火花は、燃焼や爆発を引き起こす可能性が非常に高い。従って、高圧ガスの充填・取出におけるホースは、安全上大きなリスクをもたらすものであり、管束車両による高圧ガスの充填・取出の安全上の懸念に対処することが急務となっている。低密度・高圧輸送による高圧ガス充填・取出作業のために、新型の高圧ガス充填・取出システムが急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記技術的課題に鑑み、高圧ガス充填(filling)・取出(unloading)柱(column)と高圧ガス管束(tube bundle)車両(vehicle)との間に、二重チャネル(double-channel)回転継手(joint)、充填・取出アーム、充填・取出継手を介して硬管(hard-tube)接続できる高圧ガス充填・取出システムを提案することを目的とする。信頼できる接続、高圧ガスと置換ガスのための二重チャネル循環、高圧ガス安全リリーフと置換などの機能により、システムは高圧ガス管束車両の充填・取出作業の安全性を効果的に確保することができ、高圧ガスの充填・取出のための接続全体の信頼性を大幅に向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決することを目的として、本発明が提案しようと努める高圧ガス充填・取出システムは、ガス充填ステーションに接続するための高圧ガス管路と、ガス置換のための置換ガス管路と、前記高圧ガス管路に設けられ、加圧下で回転可能に構成された複数の二重チャネル回転継手と、前記高圧ガス管路の自由端に設けられ、制御機構を備える充填・取出継手であって、前記充填・取出継手の内に前記制御機構を介して、置換作業チャネルまたは充填・取出作業チャネルを形成するように構成される充填・取出継手と、を備える。前記制御機構は、前記置換作業チャネルがガス置換のために前記置換ガス管路と連通するか、または、前記充填・取出作業チャネルが高圧ガスの充填・取出のために前記高圧ガス管路(400)と連通するように、前記置換作業チャネルと充填・取出作業チャネルとを択一的に開口するように構成される。
【0008】
一実施形態では、前記高圧ガスは10~50MPaの範囲の圧力を有し、前記高圧ガスは好ましくは水素、CNGまたはヘリウムである。
【0009】
一実施形態では、前記充填・取出継手は、高圧ガス輸送車両またはガス燃料装置と接続するための雄端部ユニットと、前記高圧ガス管路と固定接続するための雌端部ユニットとをさらに備え、前記制御機構は前記雌端部ユニットに配置される。
【0010】
一実施形態では、前記雌端部ユニットは、雌ハウジングと、前記雌ハウジング内の弁コアアセンブリと、前記雌ハウジング内に形成されたバイパス置換管路とを備え、前記雌端部ユニットの内部空洞は、前記バイパス置換管路と連通して、雌置換流路を形成することができる。前記弁コアアセンブリは、前記制御機構によって駆動されて前記雌ハウジングに対して軸方向に移動し、それよって、前記雌置換流路を閉鎖し、前記雌端部ユニット内に雌充填・取出流路を形成するように構成される。
【0011】
一実施形態では、前記制御機構は、前記弁コアアセンブリを駆動して軸方向に移動させ、それによって、ガス置換のために前記雄端部ユニット内の雄パイロット流路と前記雌置換流路とが択一的に前記雌端部ユニットの内部空洞と連通し、高圧ガスの充填・取出のために前記雌充填・取出流路が前記雄端部ユニット内の雄充填・取出流路と連通して前記充填・取出作業流路が開口するように構成される。
【0012】
一実施形態では、前記制御機構は、前記雌ハウジングに設けられたハンドルギアと、前記ハンドルギアに噛合する伝達ギアであり、前記伝達ギアは、前記弁コアアセンブリの外周面に形成され、前記ハンドルギアを回転させることにより、前記弁コアアセンブリを駆動して前記雌ハウジングに対して軸方向に移動させる伝達ギアと、を含む。前記ハンドルギアは3つの制御位置を有し、前記ハンドルギアを第1位置と第2位置とに択一的に回転させることにより、前記雌置換流路が択一的に開閉され、これにより前記雌置換流路を介したガス置換が可能となり、前記ハンドルギアが第3位置にあるとき、高圧ガスの前記充填・取出のために前記充填取出作業チャネルが開口される。
【0013】
一実施形態では、前記雌ハウジングが、接続端部を有する雌ガンベースと、雌ガンベースの前端部に順に固定されたガン本体およびガンスリーブとを含み、バイパス置換管路はガン本体内に配置される。
【0014】
一実施形態では、前記弁コアアセンブリが、出口弁コアと主弁コアを含み、前記出口弁コアは出口弁コアスリーブを介して前記ガンスリーブ内に設置され、前記主弁コアは主弁コアベースを介して雌ガンベース上に設置され、前記ハンドルギアによって作動される。
【0015】
一実施形態では、前記出口弁コアは、中空管本体と、前記中空管本体の一端部に設けられた中実の傘部材であり、該中実傘部材の軸方向両側にそれぞれ、第1傾斜貫通孔と第2傾斜貫通孔とがそれぞれ設けられる中実傘部材とを含む。前記第1傾斜貫通孔と前記第2傾斜貫通孔は、前記雌端部ユニットのセルフシール状態を形成し、それによって、前記出口弁コアを前記主弁コアからシールするように互いにシールされるか、または、前記出口弁コアと前記主弁コアを接続するために互いに連通するように構成される。
【0016】
一実施形態では、前記出口弁コアと前記主弁コアとの間に第3弾性部材が設けられ、前記中実傘部材は、第1傾斜貫通孔と第2傾斜貫通孔とが互いにシールされるか、または互いに連通するように、前記第3弾性部材の作用によって、前記出口弁コアスリーブ内に形成された傾斜面に突き当たってシールを形成するように構成されるか、または、前記傾斜面から外れる。
【0017】
一実施形態では、第3環状空間が、前記主弁コアベースと前記雌ガンベースとの間に形成され、前記雌ガンベースの前記接続端部と連通し、前記ハンドルギアが前記第3位置にあるとき、前記主弁コアは前記第3環状空間と連通し、それによって前記雌充填・取出流路が開口される。
【0018】
一実施形態では、前記主弁コアベースは、前記雌ガンベースの前記接続端部と連通する傾斜貫通孔が設けられた閉鎖端を有するシリンダ構造を有し、前記主弁コアベースの側壁に切替孔が設けられ、前記傾斜貫通孔は、前記第3環状空間を介して切替孔と連通している。
【0019】
一実施形態では、第3貫通孔が、前記主弁コアの側壁に分布し、前記第3貫通孔は、前記雌ハウジングに対する前記主弁コアの軸方向移動によって、前記切替孔からオフセットされるか、または前記切替孔と整列し、それにより、前記雌充填・取出流路を閉鎖または開口するように構成される。
【0020】
一実施形態では、前記主弁コアの側壁に第4貫通孔がさらに設けられ、前記主弁コアと前記出口弁コアスリーブとの間に第2アキュムレータシールリングが設けられ、前記第4貫通孔は、主弁コアの軸方向移動により、前記第2アキュムレータシールリングの軸方向内側に位置して前記雌置換流路を開口するか、または前記第2アキュムレータシールリングの軸方向外側に位置して前記雌置換流路を閉鎖する。
【0021】
一実施形態では、前記雄端部ユニットは、雄ガンベースと、前記雄ガンベース内に固定的に取り付けられたダイバータ弁と、前記ダイバータ弁と適応的に協働するパイロット弁とを含み、前記パイロット弁の軸方向端面は、前記雄端部ユニットが前記雌端部ユニットに接続されたときに前記弁コアアセンブリの軸方向端面に密接にフィットする。前記パイロット弁は、前記ハンドルギアが前記第2位置にあるときに前記雄端部ユニット内に前記雄パイロット流路を形成し、前記ハンドルギアが前記第3位置にあるときに前記雄端部ユニット内に前記雄充填・取出流路を形成するように構成される。
【0022】
一実施形態では、前記パイロット弁が、パイロット弁座と、前記パイロット弁座と適応的に協働するパイロット弁コアとを含み、前記ダイバータ弁と連通する第1環状空間が前記パイロット弁座と前記雄ガンベースとの間に形成され、第2環状空間が前記パイロット弁コアと前記雄ガンベースとの間に形成される。前記ハンドルギアが前記第1位置および前記第2位置にあるとき、前記第1環状空間および前記第2環状空間は互いとシールオフ(off)され、それによって前記雄充填・取出流路が閉鎖される。前記ハンドルギアが前記第3位置にあるとき、前記第1環状空間は前記第2環状空間と連通し、それによって前記雄充填・取出流路が開口される。
【0023】
一実施形態では、前記パイロット弁コアは、前記パイロット弁座に挿入される中空管と、前記中空管の一端部に接続される弁ヘッドとを備え、前記弁ヘッドは、前記中空管と連通する中央貫通孔と、前記弁ヘッドを貫通して延び、周方向に均等に分布する複数の傾斜孔とを備え、前記傾斜孔は、前記第2環状空間と連通している。
【0024】
一実施形態では、複数の第1貫通孔が前記中空管の周方向に均等に分布し、複数の第2貫通孔が前記パイロット弁座の周方向に均等に分布する。前記ハンドルギアが前記第1位置と前記第3位置にあるとき、前記第1貫通孔は前記第2貫通孔からオフセットされて前記雄パイロット流路を閉鎖する。前記ハンドルギアが前記第2位置にあるとき、前記第1貫通孔は前記第2貫通孔と連通して前記雄パイロット流路を開口する。
【0025】
一実施形態では、グリップスリーブアセンブリが、前記ガンスリーブの前端部に設けられ、前記ガンスリーブの外側に配置されたグリップスリーブ(16)と、前記ガンスリーブの内側に配置された顎支持スリーブ(14)と、前記ガンスリーブを貫通して延びる顎(18)とを含む。前記グリップスリーブアセンブリは、前記顎が前記グリップスリーブに対して軸方向の制限を形成し、それによって、前記雌端部ユニットにセルフシール(self-sealing)を形成するように構成され、前記顎の径方向の位置が前記顎支持スリーブを軸方向に押すことによって制限され、それによって、前記雌端部ユニットが前記雄端部ユニットに接続され、シールされるか、または前記雄端部ユニットから切り離されるように構成される。
【0026】
一実施形態では、前記置換ガス管路と連通する置換ガス流路と、前記高圧ガス管路と連通する高圧ガス流路とが、前記二重チャネル回転継手内に設けられる。
【0027】
一実施形態では、前記二重チャネル回転継手は、軸方向に沿って延在する中央盲孔及び置換ガス流孔が設けられた回転弁コアと、前記回転弁コアの周囲に配置され、その側壁を貫通して延在するポートを備える弁コアスリーブとを備え、前記弁コアスリーブは、前記置換ガス流孔が常に前記ポートと連通して前記置換ガス流路が形成されるように、前記回転弁コアに対して回転するように構成される。
【0028】
一実施形態では、前記ポートは、前記側壁貫通孔と、前記弁コアスリーブの内壁に形成された環状溝とを含み、前記環状溝は前記側壁貫通孔と連通し、前記置換ガス流孔は前記環状溝と連通し、それによって、ポートが置換ガス流孔と連通したままである。
【0029】
一実施形態では、前記二重チャネル回転継手がさらに、前記弁コアスリーブに固定的に接続された弁コア座と、前記弁コア座の内側に周方向に均等に分布する複数の軸方向貫通孔と、前記弁コア座に固定的に接続された弁ヘッドとを備え、軸方向に沿って延びる中央盲孔と、周方向に均等に分布する複数の径方向貫通孔とが前記回転弁コア内に設けられ、前記中央盲孔、前記径方向貫通孔、前記軸方向貫通孔、および前記弁ヘッドの内部空洞が順次連通して前記高圧ガス流路を形成する。
【0030】
一実施形態では、軸方向に延びる突出部が前記回転弁コアの第2端部に設けられ、平面軸受を介して前記弁コア座に回転可能に接続される。
【0031】
一実施形態では、前記弁コアスリーブと前記弁コア座は、相互に嵌合状に(mutually-embedded)固定接続されてシールを形成し、前記弁コアスリーブと前記弁コア座の軸方向端面との間にスロット通路が形成され、前記径方向貫通孔は、前記スロット通路を介して前記軸方向貫通孔と連通している。
【発明の効果】
【0032】
先行技術と比較して、本発明には以下の利点がある。
【0033】
本発明に係る高圧ガス充填・取出システムに使用される二重チャネル回転継手は、高圧ガス流路と置換ガス流路とを備える。高圧ガス充填・取出システムの多重シール構造により、高圧ガスが存在するときでも、回転弁コアは弁コアスリーブと弁コア座の間で円滑に回転することができ、高圧ガスの充填・取出前後の置換ガスの安全な排出(discarge)と、高圧ガスの充填・取出中の管路の安全を効果的に確保することができる。本発明に係る高圧ガス充填・取出アームは、複数の二重チャネル回転継手による高圧ガス管路と置換ガス管路との組み合わせにより、高圧ガス流管路と置換ガス流路を形成し、充填・取出管路と高圧ガス管束車両との間の硬管路(hard-pipeline)接続を実現し、それによって、高圧ガス充填・取出時の管路の安全性を確保する。高圧ガス充填・取出アームと充填・取出継手の協力により、本発明に係る高圧ガス充填・取出システムは、充填・取出継手のハンドルを回転させることにより、高圧ガスの充填・取出前の雌端部ユニット内の空気の置換と、充填・取出後の雌端部ユニット内の高圧ガスの置換を実現することができる。置換ガスは高圧ガス充填・取出アームの置換ガス管路を通して頭上に排出され、高圧ガスの置換量とリスクを大幅に低減する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
図1】本発明に係る高圧ガス充填・取出システムの構造を模式的に示す。。
図2図1に示す高圧ガス充填・取出システムにおいて、その雄端部ユニットを雌端部ユニットから分離したときの充填・取出継手の構造を示す。
図3】充填・取出継手の雄端部ユニットと雌端部ユニットとの間の接続部を示す。
図4】開口状態の充填・取出継手のパイロット弁を示す。
図5】開口状態の充填・取出継手の内部チャネルを示す。
図6】開口状態の充填・取出継手のガス置換チャネルを示す。
図7】充填・取出継手の透視図である。
図8】本発明に係る高圧ガス充填・取出システムの二重チャネル(doubl-channel)回転継手の構造を示す。
図9図8に示す二重チャネル回転継手の外観構造を模式的に示す。
図10図1に示す高圧ガス充填・取出システムの上面図である。
図11】高圧ガス充填・取出システムにおける充填・取出アームと充填・取出継手との間の接続を模式的に示す。
【0035】
本出願において、全ての添付図面は、本発明の原理を説明するために提供される概略的なものに過ぎず、必ずしも実際の縮尺で描かれるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。以下の詳細な説明は、本発明の原理を説明する目的で提供されるものに過ぎず、それによって本発明の保護範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【0037】
図1は、本発明に係る高圧ガス充填・取出システム100の構造を概略的に示す。図1に示すように、高圧ガス充填・取出システム100は、充填・取出アーム100bと、充填・取出アーム100bの自由端に設けられた充填・取出継手100aとを含む。充填・取出アーム100bは、高圧ガス充填ステーション(即ち、水素ステーション)に接続するための高圧ガス管路(pipeline)400及び置換ガス管路500と、高圧ガス管路400に設けられた複数の二重チャネル回転継手600とを備え、二重チャネル回転継手600の各々は、高圧ガス管路400の回転継手として形成される。二重チャネル回転継手600の内部には、置換ガス流路(flow path)600aと高圧ガス流路600bが設けられており、高圧ガス管路400は高圧ガス流路600bと連通し、置換ガス管路500は置換ガス流路600aと連通している。従って、充填・取出アーム100bは、高圧ガス管路400と置換ガス管路500とを有する二重チャネル充填・取出アームとして形成される。二重チャネル回転継手600のそれぞれの回転中、高圧ガス管路400と置換ガス管路500は互いに独立し、影響を及ぼさないため、充填・取出アーム100bの柔軟性と安全性が著しく向上する。高圧ガス管路400は、二重チャネル回転継手600を介して加圧下で回転することができ、それにより充填・取出アーム100bの自由端が三次元空間内で移動することができる。充填・取出継手100aは、雄端部ユニット200と、雌端部ユニット300と、制御機構とを含む。雄端部ユニット200は、高圧ガス輸送車両またはガス燃料(gas-fuelled)装置に接続される。高圧ガス輸送車両は、例えば、高圧ガス管束車両であってよく、ガス燃料装置は、例えば、水素、天然ガス等の高圧ガスを燃料とする車両又は装置であってよい。雌端部ユニット300は、高圧ガス管路400に固定的に接続される。充填・取出継手100aは、充填・取出アーム100bの自由端に接続される。雄端部ユニット200は雌端部ユニット300と係合するように構成されており、充填・取出継手100aの内部に置換作業チャネルまたは充填・取出作業チャネルを形成することができる。充填・取出アーム100bを介して、雌端部ユニット300は雄端部ユニット200と整列するように自由に動くことができ、雄端部ユニット200と雌端部ユニット300を圧力で接続または取外すことができる。充填・取出継手100aは、制御機構により、置換作業(working)流路と充填・取出作業流路とを択一的に開口するように構成されており、置換作業流路がガス置換用の置換ガス管路500と連通するか、または、充填・取出作業流路が高圧ガス充填・取出用の高圧ガス管路400と連通する。このようにして、充填・取出継手100aは、チャネルを切り替え、充填・取出アーム100bの作業状態の自由な切り替えに適応することができ、それにより、管路内のガスの安全な置換と高圧ガスの充填・取出が実現される。なお、本願明細書において、「開口」には、開口または形成が含まれることに留意されたい。
【0038】
本発明に係る高圧ガス充填・取出システム100は、高圧ガス(例えば、長筒トレーラーによって充填されたり、取り出されたり、輸送されたりする水素、CNGまたはヘリウム)を充填することができる。高圧ガスの圧力は10~50MPaである。
【0039】
図2は、本発明に係る充填・取出継手100aの雄端部ユニット200が雌端部ユニット300から分離されたとき(即ち、第1状態)の充填・取出継手100aの構造を示している。図2に示すように、充填・取出継手100aは、雄端部ユニット200と雌端部ユニット300とを含む。雄端部ユニット200は、高圧ガス管束車両(タンク車)に接続され、雌端部ユニット300は、ガス充填ステーションの充填・取出柱に接続される。雄端部ユニット200と雌端部ユニット300は、互いに迅速に着脱することができ、これにより、高圧ガス管束車両と高圧ガス充填管路との迅速な着脱を実現することができ、高圧ガス管束車両と高圧ガス充填管路との間での充填・取出の安全性、及び接続部のシールの信頼性を確保するために非常に役立つことができる。このようにして、高圧ガス管束車両について迅速な充填・取出が実現される。雄端部ユニット200が雌端部ユニット300から取り外されると、充填・取出継手100aは第1状態になる。雄端部ユニット200が雌端部ユニット300に接続されると、充填・取出継手100aは第2状態となる。
【0040】
本発明によれば、図2に示すように、雌端部ユニット300は、雌ハウジングと、雌ハウジング内に配置された弁コアアセンブリと、雌ハウジング内に形成されたバイパス置換管路40とを備える。雌端部ユニット300の内部空洞は、バイパス置換管路40と連通して雌置換流路を形成するように構成される。弁コアアセンブリは、雌ハウジングに対して軸方向に相対移動して雌置換流路を閉鎖し、雌端部ユニット300内に雌充填・取出流路を形成するように構成される。雌端部ユニット300に設けられた制御機構は、雄パイロット流路と雌置換流路とが択一的に雌端部ユニット200の内部と連通するように、弁コアアセンブリの軸方向移動を駆動するように構成され、ガス置換のための置換作業流路を制御する。さらに、制御機構により駆動される弁コアアセンブリの軸方向移動により、雄充填・取出流路が雌充填・取出流路と連通し、それによって、充填・取出作業チャネルが開口され、高圧ガスの充填または取出が行われる。制御機構は、雌ハウジングに設けられたハンドルギア29と、ハンドルギア29と噛み合う伝達ギア282とを含む。伝達ギア282は、弁コアアセンブリの外周面に形成される。ハンドルギアの回転は、弁コアアセンブリを雌ハウジングに対して軸方向に移動させるように駆動することができる。ハンドルギアは3つの制御位置を有する。ハンドルギア29が第1位置と第2位置とにそれぞれ回転されると、雌置換流路が択一的に開閉され、それによって雌置換流路を通るガス置換が可能になる。ハンドルギア29が第3位置にあるとき、充填・取出作業流路は高圧ガスの充填または取出のために開口される。
【0041】
図2に示すように、雌ハウジングは、取付端部を有する雌ガンベース34と、雌ガンベース34の前端部(図3において左端部)に取り付けられたガンスリーブ12と、雌ガンベース34とガンスリーブ12との間に固定連結されたガン本体27とを含む。バイパス置換管路40は、ガン本体27の内部に配置される。弁コアアセンブリは、ガンスリーブ12内に配置された出口弁コア13と、雌ガンベース34に設けられた主弁コア28とを含む。出口弁コア13は、出口弁コアスリーブ15を介してガンスリーブ12内に配置される。主弁コア28は、主弁コアベース33を介して雌ガンベース34上に配置され、ハンドルギア29によって作動可能である。本明細書において「前端部」という用語は、接続される際にガス充填ステーションの高圧ガス充填ラインから離れている雌端部ユニット300の端部を指し、本明細書において「後端部」という用語は、接続される際にガス充填ステーションの高圧ガス充填ラインに近い雌端部ユニット300の端部を指す。
【0042】
図2に示すように、ガンスリーブ12は筒状構造を有する。ガンスリーブ12の右端部には内ネジが設けられ、ガン本体27の左端部には外ネジが設けられており、ガンスリーブ12はネジを介してガン本体27に連結される。
【0043】
本発明によれば、図2に示すように、出口弁コア13は、中空管本体と、中空管本体の一端に設けられた中実傘部材とを含み、中実傘部材の軸方向両側それぞれに第1傾斜貫通孔131及び第2傾斜貫通孔132が設けられる。出口弁コアスリーブ15は、筒状構造を有する。出口弁コアスリーブ15の右側には外ネジが設けられ、ガン本体27の左側には内ネジが設けられ、出口弁コアスリーブ15はネジを介してガン本体27に接続される。出口弁コアスリーブ15の右端部に周方向に沿って弓形(arc)溝が設けられ、弓形溝にOリングシール25が装着され、出口弁コアスリーブ15とガン本体27との間の接続面におけるシール性が確保される。出口弁コアスリーブ15の内壁には、台形溝と矩形溝が設けられており、矩形溝は台形溝の軸方向内側に設けられる。台形溝にはOリングシール19が装着され、矩形溝にはOリングシール20が装着される。Oリングシール19には、出口弁コア13の左側筒部の外壁面が密着し、それによって、その間のシール性を実現している。出口弁コアスリーブ15の内壁の一部は傾斜面として形成され、その上に矩形溝が対応して設けられる。さらに、出口弁コア13と出口弁コアスリーブ15との間には、環状空間が形成される。
【0044】
出口弁コア13は、対応してガンスリーブ12内に配置され、主弁コア28は、雌ガンベース34に取り付けられ、対応してガン本体27内に配置される。第3弾性部材23、好ましくは圧縮ばねが、出口弁コア13と主弁コア28との間に設けられる。出口弁コア13の右側には第1凹段差が設けられ、主弁コア28の左端には第2凹段差が設けられる。従って、第3弾性部材23の左端は、出口弁コア13の第1凹段差に押し付けられ、その右側は、主弁コア28の第2凹段差に押し付けられる。第1状態では、中実傘部材は、第3弾性部材23の作用下で、出口弁コアスリーブ15内の傾斜面に突き当たってOリングシール20を強く押圧することによりシールを形成し、第1傾斜貫通孔131と第2傾斜貫通孔132とが互いに連通しないようにし、これにより、雌端部ユニット300がセルフシール状態にあることを保証する。しかしながら、第2状態において、出口弁コア13は、軸方向に沿って内側に移動して第3弾性部材23を圧縮することが可能であるため、中実傘部材は、出口弁コアスリーブ15内の傾斜面から外れる。したがって、第1傾斜貫通孔131と第2傾斜貫通孔132とは、出口弁コア13と出口弁コアスリーブ15との間に形成された環状空間を介して互いに連通している。
【0045】
本発明によれば、主弁コア28は、雌ガンベース34の内部に固定装着された主弁コアベース33を介して雌ガンベース34に装着される。第3環状空間333は、主弁コアベース33と雌ガンベース34との間に形成され、雌ガンベース34の接続端部と連通している。制御機構は、主弁コア28が第3環状空間333と連通したりしなかったりするように、主弁コア28の軸方向移動を作動させることが可能であり、それにより、雌端部ユニット300内の雌充填・取出流路をオフまたはオンにする。主弁コアベース33は、閉鎖端を有するシリンダ構造を有する。主弁コアベース33は、その右側に、主弁コア28の右端部が挿入される円形底面を有する。主弁コアベース33の閉鎖端には、複数の傾斜貫通孔331が設けられ、主弁コアベース33の側壁には、複数の切替孔332が周方向に沿って均等に分布して設けられる。傾斜貫通孔331は、第3環状空間333を介して切替孔332と連通している。複数の第3貫通孔281は、主弁コア28の軸方向内端部寄りの側壁に周方向に沿って均等に分布している。主弁コアベース33の側壁には、切替孔332の両側に2つの内凹段差が配置される。2つの内凹段差には、2つの第1アキュムレータシールリング31、32が装着され、主弁コア28と主弁コアベース33との間のシールを実現している。主弁コア28は、第3貫通孔281を切替孔332から軸方向にオフセットして、主弁コア28をオフにしたり、第3貫通孔281が対応する切替孔332と連通するように主弁コアベース33に対して軸方向に移動して、主弁コア28をオンにしたりすることができるように構成される。
【0046】
一実施形態では、主弁コアベース33の左側に外短ネジが設けられ、ガン本体27の右側に内短ネジが設けられ、主弁コアベース33がネジを介してガン本体27に接続される。雌ガンベース34は筒状構造を有する。雌ガンベース34の左側には外ネジが設けられ、ガン本体27の右側には内ネジが設けられており、雌ガンベース34はネジを介してガン本体27に接続される。主弁コアベース33は、雌ガンベース34の内側に配置される。主弁コアベース33の左側外壁には台形溝が設けられ、台形溝の内側に第3シール部材30が設置される。第3シール部材30は、好ましくはO型シールリング30であり、主弁コアベース33と雌ガンベース34との間のシールを実現する。
【0047】
本発明によれば、ガン本体27には、第3漏洩検知孔39が設けられる。好ましくは、第3漏洩検知孔39は、ガン本体27の後端部近傍のガン本体27の側壁に設けられる。具体的には、第3漏洩検知孔39は、ガン本体27の右側の内ネジの左端部に設けられる。携帯型ガス(水素等)検知器を用いて、充填・取出継手100aの対応するシールリングのシール性能を検知することができる。従って、第3漏洩検知孔39を通して、高圧ガスの充填・取出中にシールリングの漏洩をリアルタイムで検知することができ、第3漏洩検知孔39を使用して、Oリング30のシール不良の有無を監視することができる。
【0048】
図2に示すように、主弁コア28の外周面には、中央部近傍に環状ボスが設けられており、この環状ボスには、軸方向に沿って分布する伝達歯282が形成される。ハンドルギア29は、ガン本体27の内壁に設けられ、伝達歯282に噛合しており、ハンドルギア29を回転させることにより、主弁コア28を軸方向に移動駆動できる。ガン本体27の側壁には大きな円弧状溝が設けられており、ハンドルギア29はガン本体27の大きな円弧状溝に取り付けられる。ガン本体27の外側にはハンドル50が設けられ(図7参照)、ハンドルギア29に連結される。ハンドルギア29の回転は、ハンドル50によって0~180°の角度で制御される。具体的には、ハンドルギア29の回転角度が0°のとき、制御機構はゼロ位置、すなわちハンドルギア29は第1位置にある。ハンドルギア29の回転角度が45°のとき、ハンドルギア29は第2位置にある。ハンドルギア29の回転角度が180度のとき、ハンドルギア29は第3位置にある。
【0049】
本発明によれば、図2に示すように、バイパス置換管路40がガン本体27内に配置される。バイパス置換管路40の一端部は、ガン本体27の内部空間と連通しており、他端部は、置換ガス弁ポート35として形成される。バイパス置換管路40は、置換作業チャネルを開口することができ、充填・取出アーム100aの置換ガス管路500と連通しており、充填・取出前の雌端部ユニット300内部の空気の置換と、充填・取出後の雌端部ユニット300内部の高圧ガスの置換とを実現する。このようにすることで、高圧ガスの置換量および高圧ガスの置換におけるリスクを大幅に低減することができる。ガス置換チャネル40には、バイパス置換管路40のオン/オフ状態を制御するためのニードル弁36が設けられる。置換ガス弁ポート35は、ガス充填ステーションの充填・取出柱の弁の切り替えにより、頭上排出ラインまたは窒素ラインに接続することができる。
【0050】
一実施形態では、ガン本体27は非対称管状構造を有する。例えば、ガン本体27の上部管状部の側壁は、その下部管状部の厚さよりも大きい厚さを有する。置換ガス弁ポート35は、ガン本体27の上部に設けられ、ガン本体27内に挿入された左傾斜管を有する。置換ガス弁ポート35の左傾斜管の端部は、出口弁コアスリーブ15の右端部の取付部に達している。ガン本体27において、置換ガス弁ポート35の左傾斜管の端部の右側には、矩形溝が設けられる。第2シール部材26、好ましくはOリングシールが矩形溝に取り付けられ、主弁コア28とガン本体27との間のシールを実現する。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、ガン本体27には、第2漏洩検知孔38が設けられる。好ましくは、第2漏洩検知孔38は、ガン本体27の中頃(middle)の下側管状部に設けられる。充填・取出継手100aの対応するシールの漏洩検知のために、携帯型ガス(例えば水素)検知器を使用することができる。第2漏洩検知孔38は、高圧ガスの充填・取出中にリアルタイムでシールの漏洩検知に使用することができ、これによりOリングシール26のシール性能を検知することができる。
【0052】
好ましくは、ハンドルギア29を取り付けるための大きな円弧状溝は、ハンドルギア29がガン本体27の側壁の上部内に取り付けられるように、ガン本体27の側壁の上部内に設けられる。
【0053】
本発明によれば、主弁コア28の軸方向外方端部近傍の側壁に第4貫通孔283が設けられる。例えば、主弁コア28の左側内壁に凹段差が設けられ、主弁コア28の左凹段差に複数の第4貫通孔283が周方向に沿って均等に分布する。出口弁コアスリーブ15の右側内壁に凹段差が設けられ、主弁コア28の左側外壁と出口弁コアスリーブ15の右端部の凹段差の表面との間に第2アキュムレータシールリング24が設けられ、それによって、主弁コア28と出口弁コアスリーブ15との間のシールが実現される。主弁コア28は、軸方向に沿って移動可能である。具体的には、ハンドルギア29を時計回りに45°の角度で回転させることにより、第4貫通孔283を第2アキュムレータシールリング24の軸方向外側に移動させ、雄パイロット流路を閉鎖する。ハンドルギア29がゼロ状態(図2参照)では、第4貫通孔283が第2アキュムレータシールリング24の軸方向内側に移動し、それによって、第4貫通孔283がバイパス置換管路40と接続し、雄パイロット流路が開口される。このようにして、雄パイロット流路を開閉することができる。
【0054】
本発明によれば、図2に示すように、ガンスリーブ12の前端部にグリップスリーブアセンブリが設けられる。グリップスリーブアセンブリは、グリップスリーブ16、顎(jaw)支持(support)スリーブ14、および顎18を含む。グリップスリーブアセンブリは、顎18がグリップスリーブ16の軸方向の制限を形成し、それによって雌端部ユニット300にセルフシールを形成するように構成され、および、顎支持スリーブ14を軸方向に押すことによって顎18の径方向の位置が制限され、雌端部ユニット300が雄端部ユニット200とシールしながら係合し、または雄端部ユニット200から切り離されることができるように構成される。全体としてガンスリーブ12の外側に配置されるグリップスリーブ16は、管状構造を有する。第4弾性部材21、好ましくは圧縮ばねが、グリップスリーブ16とガンスリーブ12との間に設けられる。グリップスリーブ16の内壁には、端面が右方向を向いた第1制限段差が設けられ、ガンスリーブ12の外壁には、端面が左方向を向いた第2制限段差が設けられる。第4弾性部材21の両端部はそれぞれ、第1制限段差及び第2制限段差に突き当たる。ガンスリーブ12の左側部分の周囲には弓形溝が配置され、弓形溝にはグリップスリーブ16の軸方向移動を制限するためのグリップスリーブ保持リング17が取り付けられる。
【0055】
図2に示すように、ガンスリーブ12の左端部近傍の側壁領域には、複数の取付孔が周方向に沿って均等に分布している。取付孔はガンスリーブ12の側壁を貫通して延びており、顎18はそれぞれ取付孔に取り付けられる。ガンスリーブ12と出口弁コアスリーブ15との間に設けられる顎支持スリーブ14は、管状構造を有する。顎支持スリーブ14の右側には外フランジが設けられる。第5弾性部材22、好ましくは圧縮ばねは、軸方向に沿って顎支持スリーブ14とガン本体27との間に設けられる。第5弾性部材22の両端は、それぞれ、外側フランジの右端およびガン本体27の左端面に突き当たる。一方、雄ガンベース1の外壁には、その前端部近傍に顎溝42が設けられる。第5弾性部材22のばね力の作用により、顎支持スリーブ14の外側フランジは、ガンスリーブ12の左側中頃の内側段差面に常に強く押し付けられる。雄端部ユニット200と雌端部ユニット300とが互いと切り離されるとき、爪(claw)支持スリーブ14は爪18を径方向に支持して、爪18の径方向外端の弓形面がグリップスリーブ16に密着し、これにより爪18のグリップスリーブ16に対する制限が実現される。
【0056】
第1状態において、顎支持スリーブ14は、顎18がグリップスリーブ16に対して軸方向の制限を形成するように、第5弾性部材22の作用下で顎18の支持部を形成している。このとき、第4弾性部材21のばね力の作用下で、グリップスリーブ16の左内側傾斜面が顎18の外側弓形面に密着して押圧されて、顎18はグリップスリーブ16の左方向への移動距離を制限する。
【0057】
第2状態において、雄ガンベース1は、複数の顎がそれぞれ対応する顎溝42に落ち込むまで、顎支持スリーブ14を軸方向に移動するように押し、第5弾性部材22を圧縮するので、雄ガンベース1はガンスリーブ12とロックされてセルフシールを形成し、それによって、雄端部ユニット200が雌端部ユニット300に連結される。雄端部ユニット200と雌端部ユニット300とが互いに連結され、顎18が雄ガンベース1の溝42に落ち込むと、グリップスリーブ16は、第4弾性部材21の作用下で、グリップスリーブ16の左内側傾斜面がグリップスリーブ保持リング17の外側弓形面に強く押し付けられるまで、左方向に移動し続ける。
【0058】
この実施形態では、グリップスリーブ16は、第2状態で力を加えることにより軸方向に移動するように構成されており、顎18は、グリップスリーブがその内壁面が取付孔から離れるまで移動すると、顎溝42から自動的に飛び出すように構成されるため、複数の顎18がリセットされてグリップスリーブ16に再び制限作用を及ぼし、そのため、雄端部ユニット200と雌端部ユニット300とがセルフシールを形成する。このようにして、顎18、顎支持スリーブ14およびグリップスリーブ16の協働により、充填・取出継手100aにおいて、雄端部ユニット200と雌端部ユニット300との間の迅速かつ緩み止め(anti-loosening)接続を実現することができる。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、雌端部ユニット300の雌ガンベース34、ガンスリーブ12、出口弁コア13、出口弁コアスリーブ15、主弁コア28、主弁コアベース33、ガン本体27、顎支持スリーブ14、グリップスリーブ16、およびその他の構成部品は全て316ステンレス鋼製であり、水素脆化を回避するのに非常に役立つ。
【0060】
好ましくは、本発明のOリングシールはUPE製であり、摩耗、衝撃、腐食、水素溶解膨潤(hydrogen dissolution and swelling)、プレス、高温に対して良好な耐性を有する。第1アキュムレータシールリング31、32および第2アキュムレータシールリング24は、内側が304ステンレス鋼、外側がUPE製であるため、水素溶解膨潤性、摩耗、衝撃および腐食に対して良好な耐性を有する。同時に、アキュムレータシールリングは自己補償特性を有しており、高圧ダイナミック・シールの要求を満たしている。
【0061】
図2に示すように、雄端部ユニット200は、高圧ガス管束車両に接続するための雄ガンベース1と、雄ガンベース1内に固定的に取り付けられたダイバータ(diverter)弁2と、ダイバータ弁2と協働するパイロット弁10とを含む。雄ガンベース1の一端(図2の左端)には、管束車両の充填・取出管路に接続するための内ネジが設けられる。雄端部ユニット200が雌端部ユニット300に接続されると、パイロット弁10の軸方向端面が、雌端部ユニット300内の弁コアアセンブリの軸方向端面に密接にフィットする。パイロット弁10は、ハンドルギア29が第2位置にあるときに雄端部ユニット200内に雄パイロット流路を形成し、ハンドルギア29が第3位置にあるときに雄端部ユニット200内に雄充填・取出流路を形成するように構成される。
【0062】
一実施形態では、ダイバータ弁2は筒状構造を有し、その左側を六角孔とし、右側の中央部を円孔とすることで、ダイバータ弁2の内部に段状のオーバーフローチャネルを形成している。また、ダイバータ弁2の前端部の内壁には径方向内方に延びる環状リップが設けられ、環状リップには周方向に均等に分布する複数のオーバーフロー孔201が設けられる。オーバーフロー孔201は、軸方向に沿って環状リップを貫通して延びている。ダイバータ弁2の外周面には外ネジが設けられており、この外ネジを介してダイバータ弁2が雄ガンベース1に固定接続される。本明細書において、「前端部」とは、雄端部ユニット200が高圧ガス管束車両に接続される際に、高圧ガス管束から離れた端部を指す。
【0063】
ダイバータ弁2と雄ガンベース1との接続部のシール性能を確保するため、ダイバータ弁2の右外リングに矩形溝を設け、この矩形溝にシール部材3を装着する。好ましくは、シール部材3はOリングシールである。一実施形態では、雄ガンベース1には、第1漏洩検知孔37が設けられる。好ましくは、第1漏洩検知孔37は、雄ガンベース1の側壁において、内部ネジ山の右端に設けられる。携帯型ガス検知器を用いて、充填・取出継手100aの対応するシールの漏洩検知を行うことができる。第1漏洩検知孔37は、高圧ガスの充填・取出中にリアルタイムでシール部材3の漏洩検知を行うことができ、Oリングシール3のシール性能を監視することができる。
【0064】
本発明によれば、パイロット弁10は、雄端部ユニット200内に雄パイロット流路または雄充填・取出流路を形成するために、制御機構によって駆動されて、ダイバータ弁2に対して軸方向に沿って移動するように構成される。図3に示すように、パイロット弁10は、パイロット弁座4と、パイロット弁座4に適応的に装着されたパイロット弁コア101とから構成され、パイロット弁座4と雄ガンベース1との間には、ダイバータ弁2と連通する第1環状空間105が形成され、パイロット弁コア101と雄ガンベース1との間には、第2環状空間106が形成される。ハンドルギア29が第1位置および第2位置にあるとき、第1環状空間105と第2環状空間106は互いと遮断され、それによって雄充填・取出流路が閉鎖される。ハンドルギア29が第3位置にあるとき、第1環状空間105は第2環状空間106と連通し、それによって雄充填・取出流路が開口される。
【0065】
図2に示すように、パイロット弁座4はシリンダ構造を有し、その左側面は円形底面を有し、右側面から左側面にかけて中央孔が設けられる。パイロット弁座4の左側のシリンダ壁面は、ダイバータ弁2の右側の円孔に密に挿入される。パイロット弁座4の内壁面の右側には2つの矩形溝が設けられ、2つの矩形溝にそれぞれOリングシール7とOリングシール8が装着される。2つの矩形溝の間のパイロット弁座4の側壁には、周方向に均等に配置された複数の第2貫通孔が設けられる。パイロット弁座4の一端部(図2では右端部)には、径方向外側に延びる円錐状突起が設けられており、円錐状突起の右端面は、円弧状溝を有する傾斜面として構成される。円形溝内にはOリングシール9が設けられる。第2弾性部材6はパイロット弁座4の外周の周りに配置され、第2弾性部材6の両端はそれぞれ円錐状突起と環状リップに接している。円錐状突起は、第2弾性部材6の作用により、雄ガンベース1の内壁に形成された傾斜面に突き当たり、強く押し付けられることにより、シールを形成する。好ましくは、第2弾性部材6は圧縮ばねである。
【0066】
図2に示すように、パイロット弁コア101は、パイロット弁座4に挿入される中空管と、中空管に接続される弁ヘッドとから構成される。弁ヘッドには、軸方向に沿って延びる中央貫通孔102を介して中空管と連通する内側円錐状面が設けられる。内側円錐状面には、弁ヘッドを貫通して延びる複数の傾斜孔103が設けられ、第2環状空間と連通している。傾斜孔103は、内側円錐状面から弁ヘッドの左端面まで延びており、それによって連通路を形成していることが理解されるべきである。パイロット弁10の左中空管はパイロット弁座4に挿入される。中空管には周方向に均等に分布した複数の第1貫通孔が設けられる。ハンドルギア29が第1位置および第3位置にあるとき、第1貫通孔は第2貫通孔からオフセットして雄パイロット流路を閉鎖する。ハンドルギア29が第2位置にあるとき、第1貫通孔は第2貫通孔と連通して雄パイロット流路を開口する。パイロット弁座4とパイロット弁コア101との間には、第1弾性部材5、好ましくは圧縮ばねが設けられる。第1弾性部材5の左端部はパイロット弁座4の左側の凹段面に押し付けられ、その右端部はパイロット弁コア101の左中空管の弓形面に押し付けられる。
【0067】
本実施形態では、パイロット弁コア101の弁ヘッドの外周には、右向きの端面を有する外側環状段差が設けられ、一方、雄ガンベース1の内壁には、左向きの端面を有する内側環状段差が設けられる。第1弾性部材5のばね力により、パイロット弁コア101の弁ヘッドの外側環状段差は、雄ガンベース1の内部で内側環状段差に常に強く押し付けられる。従って、雄ガンベース1の内側環状段差は、パイロット弁コア101が右方向に移動する距離を制限することができる。
【0068】
本発明によれば、充填・取出継手100aは、雄端部ユニット200および雌端部ユニット300がそれぞれのセルフシールを形成する第1状態と、雄端部ユニット200および雌端部ユニット300が互いに突き当たるように適合された第2状態とを有する。第1状態では、パイロット弁コア101の第1の貫通孔はパイロット弁座4の第2の貫通孔からオフセットされており、したがってパイロット弁10はオフになっている。第2状態では、パイロット弁コア101が制御機構に押されて左方向に移動し、第1弾性部材5を圧縮して第1貫通孔が第2貫通孔と連通する。従って、ダイバータ弁2は、オーバーフロー孔201、パイロット弁座4と雄ガンベース1との間に形成された第1環状空間105、第2貫通孔、第1貫通孔、弁ヘッドの中央の中央貫通孔102と順に連通することができ、雄端部ユニット200内に雄パイロット流路を形成することができる。第2状態では、パイロット弁コア101は、制御機構を介してパイロット弁座4を押し続けて第2弾性部材6を圧縮するため、円錐状突起が雄ガンベースの内壁の傾斜面から外れ、その結果、第1環状空間105が第2環状空間106と連通する。このようにして、ダイバータ弁2は、オーバーフロー孔201、第1環状空間105、第2環状空間106及び傾斜孔103と連通することができ、これにより、雄端部ユニット200の内部に雄充填・取出流路が形成される。第2弾性部材6の弾性力は、第1弾性部材5の弾性力よりも大きい。このため、パイロット弁コア101が軸線方向に沿って左方に移動する際に、雄パイロット流路と雄充填・取出流路とを順次開口することができる。
【0069】
また、雄ガンベース1の右側面近傍の内壁には矩形溝が設けられ、この矩形溝にOリングシール11が装着されることにより、接続状態における雄端部ユニット200と雌端部ユニット300との間のシール性能が確保される。
【0070】
本発明によれば、雄ガンベース1、ダイバータ弁2、パイロット弁10および雄端部ユニット200の他の構成部品はすべて316ステンレス鋼製であり、水素脆化を回避するのに非常に役立つ。
【0071】
本発明によれば、充填・取出継手100aは、高圧ガス管束車両と高圧ガス充填管路との迅速な接続・分離を実現することができる。顎18、顎支持スリーブ14およびグリップスリーブ16の協働により、雄端部ユニット200と雌端部ユニット300との迅速な離脱および緩み止め接続を実現することができる。また、パイロット弁座4とパイロット弁コア101との協働動作により、雄端部ユニットと雌端部ユニットとが互いと接続された後に、出口弁コア13がパイロット弁座4を容易に押して開口し、高圧ガス流路を開口することができるため、雄端部ユニット200の内部に高圧ガスが存在する場合であっても、高圧ガスの迅速な充填・取出を実現することができる。また、充填・取出継手100aは、弾性部材を介して、雄端部ユニット200のダイバータ弁2と雌端部ユニット300の出口弁コア13の脱落及びセルフシールを実現している。雄端部ユニット200と雌端部ユニット300との出口弁間のガスバランスは、パイロット弁10を介して実現することができ、雄端部ユニット200と雌端部ユニット300は加圧下で連通することができる。ハンドルを回転させることにより、雄端部ユニット200を雌端部ユニット300から加圧下で切り離すことができる。充填・取出継手100aは、高圧ガスの安全な取出と置換を実現する。バイパス置換管路40とハンドルとの協働により、充填・取出前の雌端部ユニット300内の空気の置換と、充填・取出後の雌端部ユニット300内の高圧ガスの置換が実現できる、これにより、置換される高圧ガスの量と高圧ガスの置換の危険性を大幅に低減し、継手の不慮の脱落による漏洩を効果的に防止し、高圧ガス管束車両の安全な充填・取出作業を確保し、充填・取出作業における接続装置全体の信頼性を大幅に向上させることができる。また、高圧ガスの充填・取出中にリタルタイムで、第1漏洩検知孔37、第2漏洩検知孔38、第3漏洩検知孔39を通して、リングシールのシール性能と対応する漏洩を監視することができ、これは、充填・取出継手100aにおけるリングシールそれぞれのシール性能を検知するためのそれぞれの携帯型ガス検知器によって実現することができる。現行のロングホースのガス量に比べ、充填・取出継手100aは、高圧ガスの取出量と取出の危険性を大幅に低減する。本発明に係る充填・取出継手100aの操作手順を以下に示す。
【0072】
まず、高圧ガスの充填・取出時には、充填・取出継手100aの雄端部ユニット200を高圧ガス管束車両に接続し、その雌端部ユニット300をガス充填ステーションに配置された充填取出アーム100bの自由端に接続する。充填・取出アーム100bは、ガス充填ステーションの高圧ガス充填・取出柱と連通している。
【0073】
雄端部ユニット200を雌端部ユニット300に接続する前に、雌端部ユニット300のハンドル50が0°の角度で回転し、ハンドルギア29が第1位置にあり、雌端部ユニット300のハンドルギア29がゼロ状態にあることを確認する必要がある。作業者は両手で雌端部ユニット300のグリップスリーブ16を握り、ガンスリーブ12を雄端部ユニット200の雄ガンベース1に合わせる。雌端部ユニット300は全体として左側に押されるので、雄ガンベース1の右端面が顎支持スリーブ14の左端面に突き当たる。雄ガンベース1は、顎支持スリーブ14を右方向に移動させるように駆動するので、第4弾性部材21が圧縮される。雄ガンベース1の顎溝42が顎18の径方向内端に整合するとき、顎18の外側弓形面はグリップスリーブ16の左内側傾斜面から径方向の力を受けるので、顎18は瞬時に雄ガンベース1の顎溝42に落ち込む。その後、グリップスリーブ16は、第4弾性部材21の作用により、グリップスリーブ16の左内側傾斜面がグリップスリーブ保持リング17の外側弓形面に強く押し付けられるまで左方向への移動を続け、これにより制限が形成される。図3は、充填・取出継手100aの雄端部ユニット200と雌端部ユニット300とが互いと連結された状態を示している。この状態では、パイロット弁コア101はわずかに左方に移動するだけで、パイロット弁10は開口していない。出口弁コア13は、主弁コア28に対して右方向に移動する。第3弾性部材23はさらに圧縮される。出口弁コア13と雄ガンベース1との間のシールは、Oリングシール11によって実現される。
【0074】
高圧ガスの充填・取出に先立ち、出口弁コア13および主弁コア28内の空気を置換する必要がある。ガス充填ステーションの充填・取出柱の弁を切り替えることにより、充填・取出アーム100bの置換ガス管路500を介してバイパス置換管路40に圧力0.6MPaの窒素を流すことができる。すなわち、雌端部ユニット300のバイパス置換管路40は、充填・取出柱の窒素ガス管路に接続される。まず、ニードル弁36をオンにすることによって雌置換流路を開口し、圧力0.6MPaの窒素を雌置換流路を介して出口弁コア13および主弁コア28に補充(replenish)する。その後、ニードル弁36をオフにする。充填・取出柱の弁を切り替えることにより、バイパス置換管路40は、充填・取出アーム100bの置換ガス管路500を介して充填・取出柱の頭上排出ラインに接続される。その後、ニードル弁36が再びオンされることにより、出口弁コア13および主弁コア28内のガスが、雌置換流路および充填・取出アーム100bの置換ガス管路500を介して充填・取出柱の頭上排出ラインに排出される。以上の操作を少なくとも2回繰り返して窒素を補充することにより、出口弁コア13および主弁コア28内のガスを完全に窒素で置換する。
【0075】
次に、ハンドルが時計回りに45°回転され、ハンドルギア29が第2位置になる。ハンドルギア29によって主弁コア28上の伝達ギア282が駆動され、主弁コア28が左方に移動する。主弁コア28は第3弾性部材23を左方に押し、第3弾性部材23は出口弁コア13を左方に押し、出口弁コア13はパイロット弁10を左方に押す。パイロット弁10の中空管に設けられた第1貫通孔がパイロット弁座4の第2貫通孔と重なって整合するので、パイロット弁10の置換チャネルが開口され、雄端部ユニット200内の雄パイロット流路が開口される。図4は、充填・取出継手100aのパイロット弁10が開口した状態を示している。このとき、高圧ガス管束車両内の高圧ガスは、ダイバータ弁2の左六角孔を介してダイバータ弁2の内部に入り、ダイバータ弁2の右円孔、オーバーフロー孔201、第1環状空間105、パイロット弁座4の第2貫通孔、パイロット弁コア101の中空管の第1貫通孔、およびパイロット弁コア101の中央貫通孔102により形成される雄パイロット流路を介して、出口弁コア13および主弁コア28に入る。このとき、充填・取出アーム100bの高圧ガス管路400を介して雌端部ユニット300に接続された充填・取出柱からの高圧ガスは、2つの第1アキュムレータシールリング31,32の右側でシールされたままである。
【0076】
その後、ハンドルを反時計回りに45°回転させるので、ハンドルギア29は第1位置に戻り、ハンドル50は再びゼロ状態となる。充填・取出柱の弁を切り替えることにより、置換ガス弁ポート35は充填・取出アーム100bの置換ガス管路500を介して充填・取出柱の頭上排出ラインに接続される。そして、ニードル弁36をオンし、出口弁コア13および主弁コア28内のガスを排出する。以上の操作を繰り返し、高圧ガス管束車両から高圧ガスを2回補充することにより、高圧ガスによる出口弁コア13および主弁コア28内の窒素の置換が完了する。
【0077】
次に、ニードル弁36がオフにされる。図4に示すように、ハンドルを時計回りに45°回転させるので、ハンドルギア29が第2位置になる。パイロット弁10がオンにされ、雄パイロット流路が開口される。このとき、雄端部ユニット200内の高圧ガスは、雄パイロット流路を通って、雌端部ユニット300の出口弁コア13および主弁コア28に入る。パイロット弁10の左側と右側との間の気相空間において圧力バランスが実現される。次に、図5に示すように、ハンドルを続けて時計回りに180°回転させ、第3位置に到達させる。主弁コア28に設けられたハンドルギア29が駆動されて、主弁コア28が左方に移動する。主弁コア28は第3弾性部材23を左に押し、第3弾性部材23は出口弁コア13を左に押し、出口弁コア13はパイロット弁コア101を左に押す。パイロット弁コア101の左端面はパイロット弁座4内の左底面に突き当たるため、パイロット弁コア101はパイロット弁座4を左方に移動させるように駆動する。パイロット弁座4の右外側の環状面のボス上のOリングシール9は、雄ガンベース1の内側の傾斜面から離れる。すると、第1環状空間105が第2環状空間106と連通し、パイロット弁座4の外部ガス流路空間が開口され、それによって、雄充填・取出流路が開口される。一方で、ハンドルを180°回転させて主弁コア28を所定位置で左方に移動させると、主弁コア28の右側の第3貫通孔281と主弁コアベース33の中頃の切替孔332とが一致するため、主弁コア28の気相空間と主弁コアベース33の外部空間とが連通し、雌充填・取出流路が開口される。このように、雄充填・取出流路が雌充填・取出流路と連通することにより、充填・取出継手100a内の充填・取出作業チャネルが開口される。高圧ガスは、以下の方向(図5において左向き矢印で示す方向)に沿って充填される。充填・取出柱の充填・取出ラインの高圧ガスは、充填・取出アーム100bの高圧ガス管路400を介して雌端部ユニット300の雌ガンベース34の内部に入り、雌ガンベース34の内部から主弁コアベース33の右円形底面に設けられた傾斜貫通孔331を通過して、主弁コアベース33と雌ガンベース34との間の第3環状空間333に入る。そして、高圧ガスは、第3貫通孔281及び切替孔332を通って主弁コア28の内部に入り、出口弁コア13の中実傘部材の右側の第2傾斜貫通孔132、出口弁コア13と出口弁コアスリーブ15との間の環状空間、および第1傾斜貫通孔131を順に通って左方に移動し、出口弁コア13の内部に入る。そして高圧ガスは続いて、左方に移動してパイロット弁コア101の右側内円錐状空間に入り、パイロット弁10の弁ヘッドに設けられた傾斜孔103を通過してパイロット弁座4の外部空間に入る。次いでダイバータ弁2の右側に設けられたオーバーフロー孔201を通過して、ダイバータ弁2の内部空間に入り、ダイバータ弁2の左側六角孔を通過して高圧ガス管束車両の充填・取出管路に入る。高圧ガスは、充填ガスの上記流れ方向とは逆方向(図5中、右向き矢印で示す)に沿って取出される。図5は、充填・取出継手100aの内部チャネルを開口状態で示している。
【0078】
高圧ガス充填・取出作業終了後、ハンドルを反時計回りに180°回転させ、ハンドルをゼロ状態にする。この時、高圧ガス管束車両の端部の高圧ガスは再びOリングシール9の左側でシールされる。充填・取出アーム100bの高圧ガス管路400を介して雌端部ユニット300と接続された充填・取出柱からの高圧ガスは、再び2つの第1アキュムレータシールリング31、32の右側でシールされる。充填・取出柱の弁を切り替えることにより、置換ガス弁ポート35が充填・取出アーム100bの置換ガス管路500を介して充填・取出柱の頭上排出ラインに接続される。そして、ニードル弁36がオンされ、出口弁コア13および主弁コア28内の高圧ガスは、雌置換流路を通って排出される。高圧ガスは以下のように流れる。高圧ガスは、出口弁コア13及び主弁コア28の内部空間から主弁コア28の左凹段差の第4貫通孔283を通り、主弁コア28と置換ガス弁管35の左傾斜管の端部との間のスリットに入る。そして、高圧ガスは、置換ガス弁管35の左傾斜管とバイパス置換管路40の水平管に入り、ニードル弁36を通過して充填・取出アーム100bの置換ガス管路500に入り、充填・取出柱の充填・取出管路に入る。図6は、充填・取出継手100aの置換ガス弁ポート35とニードル弁36を開口状態で示している。
【0079】
出口弁コア13および主弁コア28内のガスが排出されて大気圧に達すると、ニードル弁36がオフになる。充填・取出柱の弁を切り替えることにより、置換ガス弁ポート35は充填・取出アーム100bの置換ガス管路500を介して充填・取出柱の窒素管路に接続される。ニードル弁36が再びオンされ、0.6MPaの圧力下の窒素が雌置換流路を介して出口弁コア13および主弁コア28に補充される。次いで、ニードル弁36をオフされて、充填・取出柱の弁を切り替えることにより、置換ガス弁ポート35が充填・取出アーム100bの置換ガス管路500を介して充填・取出柱の頭上排出管路に接続される。その後、ニードル弁36を再びオンされるので、出口弁コア13および主弁コア28内のガスが雌置換流路を介して排出される。以上の操作を繰り返して、窒素が2回補充されることによって、出口弁コア13および主弁コア28内の気体の窒素による置換が完了する。
【0080】
ガス置換が完了した後、操作者はグリップスリーブ16を両手で握って左方向に移動する。グリップスリーブ16の左内側傾斜面が顎18の真上に位置すると、第5弾性部材22のばね力が顎支持スリーブ14の右端面に作用し、顎支持スリーブ14は押されて左方向に移動する。顎支持スリーブ14は雄ガンベース1に対して左向きの軸力を作用させ、雄ガンベース1の顎溝42の傾斜面は顎18に対して外向きの軸力を作用させる。従って、爪18は瞬時に跳ね上がり、顎18の内底面は爪支持スリーブ14の外壁面に支持される。一方、爪18の外側弓形面はグリップスリーブ16の左内側傾斜面に強く押し付けられる。グリップスリーブ16の左方への移動は、顎18によって制限される。雄ガンベース1がガンスリーブ12から外れた後、出口弁コア13の中実傘部材の外側弓形面は、Oリングシール20に密着してシールを実現する。したがって、雄端部ユニット200は、雌端部ユニット300から離脱することができる。
【0081】
図4図5の矢印の方向はガスの流れ方向を示す。
【0082】
図8および図9は、二重チャネル回転継手600の構造を示している。図8及び図9に示すように、二重チャネル回転継手600は、回転弁コア601、弁コアスリーブ604、弁コア座612及び弁ヘッド614を含む。回転弁コア601の内部には、軸方向に沿って延びる中央盲孔6011と置換ガス流孔6012とが設けられる。置換ガス流孔6012の第1端部(図8において左端部)は、第1置換ガスポート602として形成される。弁コアスリーブ604は、回転弁コア601の周囲に配置され、回転弁コア601に対して相対回転可能である。弁コアスリーブ604の側壁には、第2置換ガスポート607が設けられており、この第2置換ガスポート607は、置換ガス流孔6012の第2端部(図1では右端部)と一貫して連通している。弁コア座612は、弁コアスリーブ604に固定的に接続されており、弁コア座612の内部には、周方向に均等に分布した複数の軸方向貫通孔6121が設けられる。一方、回転弁コア601には、周方向に均等に分布した複数の径方向貫通孔6013が設けられており、径方向貫通孔6013の両端部は、それぞれ中央盲孔6011および軸方向貫通孔6121と連通している。弁ヘッド614は、弁コアスリーブ604に固定的に接続されており、弁ヘッド614の内部空洞は、軸方向貫通孔6121と連通している。第1置換ガスポート602、置換ガス流孔6012および第2置換ガスポート607は、順次連通して置換ガス流路600aを形成する。中央盲孔6011、径方向貫通孔6013、軸方向貫通孔6121および弁ヘッド614の内部空洞は、順次連通して高圧ガス流路600bを形成する。
【0083】
図8に示すように、回転弁コア601の第1端部には、円盤状(disk-shaped)ベース6014が設けられる。置換ガス流孔6012は、第1ダクトと、第1ダクトと連通する第2ダクトとを備え、第1ダクトは、円盤状ベース6014の径方向に沿って延び、第2ダクトは、回転弁コア601の軸方向に沿って延びている。第1置換ガスポート602は、第1ダクトの端部に形成される。
【0084】
本実施形態では、図9に示すように、円盤状ベース6014には、締結具を取り付けるために複数のネジ取付孔6016が周方向に沿って均等に分布して設けられる。このように、円盤状ベース6014は、高圧ガス管路(後述)などの他の管路に接続するためのフランジ接続構造を有している。また、円盤状ベース6014と他の管路との間のシール性を確保するために、円盤状ベース6014の端面上かつ中央盲孔6011の径方向外側の位置にシール溝を設け、このシール溝内にシール部材を設置してもよい。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、弁コアスリーブ604の内壁面には、第2置換ガスポート607の径方向内側の位置に環状溝が設けられる。第2置換ガスポート607の底部には、弁コアスリーブ604の側壁を貫通して延びる連通開口が設けられる。第2置換ガスポート607は連通開口を介して環状溝と連通し、第2ダクトの端部は環状溝と連通している。従って、第2置換ガスポート607は置換ガス流孔6012と連通している。弁コアスリーブ604が回転弁コア601に対して相対的に回転するとき、第2置換ガスポート607は、環状溝を介して置換ガス流孔6012と常に連通したままである。
【0086】
図8に示すように、弁コアスリーブ604の内壁には、互いに間隔をあけて第1シール溝が設けられ、環状溝の軸方向両側にそれぞれ配置される。各第1シール溝には第1シール部材605が取り付けられる。好ましくは、第1シール溝は台形溝であり、第1シール部材はOリングシールである。少なくとも2つの第1シール溝を設けてもよい。弁コアスリーブ604と回転弁コア601が組み立てられた後、各Oリングシール605が押圧されてシールが形成されることにより、置換ガス流孔6012のシール性能が確保され、置換ガスは、第1置換ガスポート602と第2置換ガスポート607との間の置換ガス流孔6012内と、環状溝内に形成された気相空間内のみを流れることができ、置換ガスの漏洩や拡散が回避される。
【0087】
本発明によれば、回転弁コア601の外壁に、端面が第2端部に向かう第1外側段差が設けられ、弁コアスリーブ604の内壁に、端面が第1端に向かう第1内側段差が設けられる。第1外側段差と第1内側段差との間には軸受603が設けられる。筒状構造を有する弁コアスリーブ604は、全体として回転弁コア601の外周面の周囲に配置される。弁コアスリーブ604の第1端部と回転弁コア601との間には、軸受603を介して回転接続部が形成され、弁コアスリーブ604と回転弁コア601との間の円滑な回転が実現される。
【0088】
図8に示すように、回転弁コア601の第2端部には、軸方向に延びる突出部6015が設けられる。一方、弁コア座612の中頃には中空空洞が形成され、中空空洞の径方向外側には、弁コア座612の複数の軸方向貫通孔6121が設けられる。中空空洞内には平面軸受613が設置され、回転弁コア601の端部の突出部6015は平面軸受613を貫通した後、中空空洞内に挿入される。平面軸受613の外リングが中空空洞の内壁に固定連結され、その内リングが突出部6015に固定連結されるので、回転弁コア601と弁コア座612との間に平面軸受613を介して回転連結が形成される。従って、弁コア座612と回転弁コア601との間のより円滑な回転が実現される。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、弁コア座612と弁コアスリーブ604は、相互に埋め込まれた構造として組み立てられ、締結具611で締結される。締結具611は好ましくは締結ボルトである。軸方向内側に延びる環状スロットが弁コアスリーブ604の第2端部に設けられ、軸方向外側に延びる管状接続部が弁コア座612の第1端部に設けられ、管状接続部が環状スロット内に係合可能(engageably)に取り付けられる。管状接続部の内壁には第2シール溝が設けられ、第2シール部材610が第2シール溝に取り付けられる。好ましくは、第2シール溝は台形溝であり、第2シール部材はOリングシールである。弁コアスリーブ604と弁コア座612は、締結具611を介して固定接続を形成し、管状接続部を貫通する環状スロットに嵌合して第2シール部材610を強固に押圧し、それにより弁コアスリーブ604と弁コア座612の間にシールを形成する。
【0090】
図8に示すように、弁コアスリーブ604の軸方向端面と弁コア座612との間にはスロット通路が形成される。回転弁コア601の径方向貫通孔6013は、スロット通路を介して弁コア座612の軸方向貫通孔6121と連通している。このようにして、二重チャネル回転継手600内には、互いに順次連通する中央盲孔6011、径方向貫通孔6013、スロット通路、軸方向貫通孔6121および弁ヘッド614の内部空洞からなる高圧ガス流路600bが形成される。
【0091】
一実施形態では、第2内側段差も、第2端部に向かって端面を有する弁コアスリーブ604の内壁に設けられ、第3内側段差は、第1端部に向かって端面を有する弁コア座612の内壁に設けられる。二重チャネル回転継手600が組み立てられた後、回転弁コア601と第2内側段差との間、および回転弁コア601と第3内側段差との間には、それぞれ第1環状溝および第2環状溝が形成される。第1環状溝と第2環状溝は、それぞれ径方向貫通孔6013の軸方向両側に配置され、第1環状溝と第2環状溝のそれぞれの内側に第3アキュムレータシールリング608が装着される。したがって、回転弁コア601と弁コアスリーブ604との間のシールおよび回転弁コア601と弁コア座612との間のシールは、対応する第3アキュムレータシールリング608を介して実現され、これにより、二重チャネル回転継手600内の高圧ガス流路600bのシール性能が確保される。好ましくは、第3アキュムレータシールリング608は、超高分子量ポリエチレン製とすることができ、自己潤滑性を有する。
【0092】
したがって、回転弁コア601は、軸受603、突出部6015および平面軸受613の作用下で、弁コアスリーブ604に回転可能に接続される。径方向貫通孔6013は、第3アキュムレータシールリング608間のチャネルを介して、弁コア座612の軸方向貫通孔6121との連通を保持する。従って、上記構造を有する回転弁コア601は、二重チャネル高圧ガス回転継手600内に高圧ガスが存在するとき、弁コアスリーブ604に対して円滑に回転することができ、二重チャネル高圧ガス回転継手600が加圧下で回転することができる。
【0093】
本発明によれば、図8に示すように、弁ヘッド614は、円錐状本体と、円錐状本体の第2端部に接続された管状溶接部とを含む。円錐状本体の内径は、その第1端部から第2端部に向かって小さくなるように構成され、それにより、弁ヘッド614の内部に円錐状空洞が形成される。弁ヘッド614の第1端部には段差状接続部が設けられ、段差状接続部が外ネジを有する。一方、弁コア座612の第2端部の内壁には内ネジが設けられ、弁ヘッド614と弁コア座612はネジを介して互いに係合可能に固定的に接続される。弁ヘッド614は、管状溶接部を介して高圧ガス管路に溶接される。
【0094】
本発明によれば、図1および図10に示すように、充填・取出アーム100bは、二重チャネル回転継手600、高圧ガス管路400、置換ガス管路500、および固定柱70を含む。高圧ガス管路400は、複数の高圧ガス副(sub-)管路401、402、403、404、405、406、407を含み、これらは順に接続される。隣接する高圧ガス副管路は、二重チャネル回転継手600の1つを介して互いに回転可能に接続されており、これらの高圧ガス副管路は、二重チャネル回転継手600の前記1つ内の高圧ガス流路600bと連通している。置換ガス管路500は、複数の置換ガス副管路51、52、53、54、55、56および57を含み、これらの副管路はそれぞれ、対応する二重チャネル回転継手600内の置換ガス流路600aと連通している。固定柱70は、フットボルト(foot bolt)によって高圧ガス充填・取出用サイトに固定され、高圧ガス管路400の第1端部は、支持フレームを介して固定柱70に接続される。支持フレームは、固定柱70上に間隔を空けて固定された上部固定プレートと下部固定プレートとを含む。高圧ガス管路400の第1端部は高圧ガスポート73として形成され、置換ガス管路500の第1端部は置換ガスポート72として形成される。高圧ガス管路400は、二重チャネル回転継手600を介して加圧下で回転可能であるため、充填・取出アーム100bは伸縮可能かつ回転可能であり、その自由端は三次元的に移動可能である。高圧ガス管路400は、硬質管であってもよい。高圧ガス副管路の一端部はフランジとして形成され、このフランジを介して高圧ガス副管路は二重チャネル回転継手600の第1端の円盤状ベース6014に係合可能に接続され、これにより固定接続が形成される。副高圧ガス管路の他端部は、溶接によって弁ヘッド614の管状溶接部に固定接続される。
【0095】
充填・取出アーム100bは、高圧ガス管路400と二重チャネル回転継手600の姿勢を維持するためのバネ付きバランサー75をさらに備える。図1に示すように、バネ付きバランサー75の一端部はクランプを介して対応する弁コアスリーブ604に取り付けられ、その他端部は対応する高圧ガス管路に取り付けられる。
【0096】
図1および図10に示すように、高圧ガス管路400は、順に接続された第1高圧ガス副管路401、第2高圧ガス副管路402、第3高圧ガス副管路403、第4高圧ガス副管路404、第5高圧ガス副管路405、第6高圧ガス副管路406および第7高圧ガス副管路407を含む。各高圧ガス副管路は、対応する二重チャネル回転継手600内の高圧ガス流路600bと連通しており、これにより高圧ガスの流路が形成される。隣接する2本の管路は、二重チャネル回転継手600を介して互いに接続される。従って、各二重チャネル回転継手600は、汎用(universal)二重チャネル回転継手として形成され、充填・取出アーム100bの対応する継手としても形成される。置換ガス管路500は、順次接続された第1置換ガス副管路51、第2置換ガス副管路52、第3置換ガス副管路53、第4置換ガス副管路54、第5置換ガス副管路55、第6置換ガス副管路56及び第7置換ガス副管路57を含む。各置換ガス副管路は、対応する二重チャネル回転継手600の置換ガス流路600aと連通しており、これにより置換ガスの流路が形成される。このように、充填・取出アーム100bは、二重チャネル充填・取出アームとして形成されており、長尺管トレーラーと充填・取出管路との間の迅速な接続が可能であるとともに、高圧ガスの充填・取出前後のガス置換、および高圧ガスの充填・取出が可能である。
【0097】
図1に示すように、第1高圧ガス副管路401は、第1汎用二重チャネル回転継手6001を介して第2高圧ガス副管路402に接続される。第1高圧ガス副管路401は直管路であり、下部固定板にその中央孔を通って接続される。第1高圧ガス副管路401の下端部は、充填・取出管路の高圧ガス管路に接続するための高圧ガスポート3として形成される。第1高圧ガス副管路401の上端部は、溶接により第1汎用二重チャネル回転継手6001の弁ヘッド614に接続される。一方、第1置換ガス副管路51の上端部は、ネジによって第1汎用二重チャネル回転継手6001の第2置換ガスポート607に接続され、第1置換ガス副管路51の下端部には、充填・取出管路内の置換管路に接続される置換ガスポート2が設けられる。
【0098】
図1に示すように、第2高圧ガス副管路402はZ字型管路であり、その下端部フランジを介して第1汎用二重チャネル回転継手6001の円盤状ベース6014に固定接続される。第2高圧ガス副管路402の垂直端部の上部には固定管が設けられ、固定柱1に取り付けられた上部固定板には減衰ベアリング71が設けられる。第2高圧ガス副管路402の垂直端部の上部の固定管は、制振軸受71に挿入されており、第2高圧ガス副管路402は、Z型垂直管路を軸として水平方向に回転可能である。一実施形態では、第2高圧ガス副管路402の中頃に傾斜ブラケット72が設けられ、第2高圧ガス副管路402を支持する。第2置換ガス副管路52は、傾斜ブラケット72に沿って固定される。
【0099】
図1及び図10に示すように、第2高圧ガス副管路402は、第2汎用二重チャネル回転継手6002を介して第3高圧ガス副管路403に接続されており、第2高圧ガス副管路402の上端部は、第2汎用二重チャネル回転継手6002の弁ヘッド614に溶接される。第3高圧ガス副管路403は直角に曲げられた管路であり、下端部がフランジを介して第2汎用二重チャネル回転継手6002の円盤状ベース6014に固定接続される。一方、第2置換ガス副管路52の下端部は、第1汎用二重チャネル回転継手6001の第1置換ガスポート602にネジを介して接続され、第2置換ガス副管路52の上端部は、第2汎用二重チャネル回転継手6002の第2置換ガスポート607にネジを介して接続される。
【0100】
図10に示すように、第3高圧ガス副管路403は、第3汎用二重チャネル回転継手6003を介して第4高圧ガス副管路404に接続されており、第3高圧ガス副管路403の上端部は、第3汎用二重チャネル回転継手6003の弁ヘッド614に溶接される。第4高圧ガス副管路404は特殊なZ字型管路であり、水平な左端がフランジを介して第3汎用二重チャネル回転継手6003の円盤状ベース6014に固定接続される。第4高圧ガス副管路404の右側管路と第3汎用二重チャネル回転継手6003の姿勢を維持するため、バネ付きバランサー10の一端部は第3汎用二重チャネル回転継手6003にクランプを介して取り付けられ、その他端部は第4高圧ガス副管路404に取り付けられる。一方、第3置換ガス副管路53の一端部は、ネジによって第2汎用二重チャネル回転継手6002の第1置換ガスポート602に接続され、その他端部は、ネジによって第3汎用二重チャネル回転継手6003の第2置換ガスポート607に接続される。
【0101】
第4高圧ガス副管路404は、第4汎用二重チャネル回転継手6004を介して第5高圧ガス副管路405に接続される。第4高圧ガス副管路404の垂直右端部は、第4汎用二重チャネル回転継手6004の弁ヘッド614に溶接される。第5高圧ガス副管路405は直角に屈曲した管路であり、下端部がフランジを介して第4汎用二重チャネル回転継手6004の円盤状ベース6014に固定接続される。第4置換ガス副管路54の一端部は、ネジを介して第3汎用二重チャネル回転継手6003の第1置換ガスポート602に接続され、その他端部は、ネジを介して第4汎用二重チャネル回転継手6004の第2置換ガスポート607に接続される。
【0102】
図10及び図11に示すように、第5高圧ガス副管路405は、第5汎用二重チャネル回転継手6005を介して第6高圧ガス副管路406に接続され、上端部が第5汎用二重チャネル回転継手6005の弁ヘッド614に溶接される。第6高圧ガス副管路406は、直角に屈曲した管路であり、左端部がフランジを介して第5汎用二重チャネル回転継手6005の円盤状ベース6014に固定接続される。第5置換ガス副管路55の一端部は、ネジを通して第4汎用二重チャネル回転継手6004の第1置換ガスポート602に接続され、その他端部は、ネジを通して第5汎用二重チャネル回転継手6005の第2置換ガスポート607に接続される。
【0103】
図11に示すように、第6高圧ガス副管路406は、第6汎用二重チャネル回転継手6006を介して第7高圧ガス副管路407に接続される。第7高圧ガス副管路407は、直管路であり、その左端部がフランジを介して第6汎用二重チャネル回転継手6006の円盤状ベース6014に固定接続され、その右端部がネジを介して充填・取出継手100aの雌端部ユニット300に接続される。第6高圧ガス副管路406の上側右端部は、第6汎用二重チャネル回転継手6006の弁ヘッド614に溶接される。このように、各高圧ガス副管路は、対応する汎用二重チャネル回転継手内の高圧ガス流路600bと連通している。第6置換ガス副管路56の一端部は、ネジを介して第5汎用二重チャネル回転継手6005の第1置換ガスポート602に接続され、その他端部は、ネジを介して第6汎用二重チャネル回転継手6006の第2置換ガスポート607に接続される。一方、第7置換ガス副管路57の一端部は、ネジを介して第6汎用二重チャネル回転継手6006の第1置換ガスポート602に接続され、その他端部は、ネジを介して充填・取出継手100aの置換ガス弁ポート35に接続される。
【0104】
本発明に係る高圧ガス充填・取出システム100に使用される二重チャネル回転継手600は、高圧ガス流路600bと置換ガス流路600aとを含む。高圧ガス充填・取出システム100の複数のシール構造により、高圧ガスが存在するときでも、回転弁コア601は弁コアスリーブ604と弁コア座612との間で円滑に回転することができ、高圧ガスの充填・取出前後の置換ガスの安全な排出、及び高圧ガスの充填・取出中の管路の安全を効果的に確保することができる。高圧ガス管路400と置換ガス管路500と複数の二重チャネル回転継手600との組み合わせにより、本発明に係る高圧ガス充填・取出アーム100bは、高圧ガス流管路と置換ガス流路を形成し、充填・取出管路と高圧ガス管束車両との硬管路接続を実現し、高圧ガスの充填・取出の安全を確保する。高圧ガス充填・取出アーム100bと充填・取出継手100aとの協働により、本発明に係る高圧ガス充填・取出システム100は、充填・取出継手100aのハンドル50を回転させることにより、高圧ガスの充填・取出前の雌端部ユニット300内の空気の置換と、充填・取出後の雌端部ユニット300内の高圧ガスの置換とを実現することができる。置換ガスは高圧ガス充填・取出アーム100bの置換ガス管路500を通して頭上に排出され、高圧ガスの置換量とリスクを大幅に低減する。
【0105】
本発明において、「第1」及び「第2」という用語は、例示の目的に使用されているに過ぎず、相対的な重要性を示唆または暗示したり、た技術的特徴の数を暗示的に特定したりすることを意図していないことを理解されたい。したがって、「第1」または「第2」という用語で定義される技術的特徴は、明示的または暗示的に、1つまたは複数のこのような技術的特徴を含み得る。本発明の説明において、「複数の」とは、特に断りのない限り、2つ以上を意味する。また、本願明細書において、「上」、「下」、「左」、「右」などの方向を示す用語または断定子は、すべて対応する図面に向けられたものであり、本発明の例示目的および簡略化された説明のために使用されているものに過ぎず、関係する構成要素の絶対的な位置を限定することを意図するものではなく、特定の状況に応じて変化させることができることに留意されたい。
【0106】
最後に、上述の説明は、本発明の好ましい実施形態を単に例示するものであり、本発明を制限することを意図するものではないことに留意されたい。本発明は、上記の実施形態を参照して詳細に説明されるが、当業者であれば、上記の実施形態で定義された技術的解決策を修正したり、技術的特徴の一部を同等のものに置き換えたりすることは依然として可能である。本発明の精神および原理の範囲内にある修正、同等の置換、改良などは、本発明の保護範囲内に含まれることが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】