(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】集積回路のための放射線シールドを採用したアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20241226BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20241226BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20241226BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H01Q23/00
H05K9/00 A
H05K1/02 P
H05K3/36 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024537131
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 US2021064969
(87)【国際公開番号】W WO2023121667
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フランソン,スティーブン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5E321
5E338
5E344
5J021
【Fターム(参考)】
5E321AA02
5E338AA03
5E338BB13
5E338CC05
5E338CD23
5E338EE11
5E344AA01
5E344AA22
5E344BB02
5E344CD02
5E344DD08
5E344EE07
5J021AA01
5J021FA13
5J021JA08
(57)【要約】
アンテナ装置が、アンテナ素子と、アンテナ素子に結合された少なくとも1つの無線周波数集積回路(RFIC)との間に放射シールドを含む。アンテナ基板が、対向する第1及び第2の表面を有する第1の誘電体層、並びにグランドプレーンを形成するための第2の表面に取り付けられた第1のメタライゼーション層を含む。ベース基板が、対向する第3及び第4の表面を有する少なくとも1つの第2の誘電体層、並びに第3の表面に取り付けられた第1の側面、及び放射線シールドを形成するために第1のメタライゼーション層に取り付けられた第2の側面を有する第2のメタライゼーション層を含む。RFICは、ベース基板を通して延在する少なくとも1つのビア、並びに第1及び第2のメタライゼーション層の位置合わせされた開口部内の結合要素を通してアンテナ要素にRF結合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置(100、200、300、300’、1000)であって、
アンテナ基板(40、340)であって、
対向する第1及び第2の表面を有する第1の誘電体層(42)と、
グランドプレーンを形成するために前記第2の表面に隣接する第1のメタライゼーション層(44、367)とを含む、アンテナ基板と、
前記第1の表面に取り付けられた少なくとも1つのアンテナ素子(20、320)と、
ベース基板(50、50’)であって、
対向する第3及び第4の表面を有する少なくとも1つの第2の誘電体層(52)と、
前記第3の表面に隣接する第1の側面及び放射シールドの少なくとも一部を形成するために前記第1のメタライゼーション層に取り付けられた対向する、第2の側面を有する第2の金属化層(54、369)とを含み、前記第1および第2のメタライゼーション層が、互いに位置合わせされ、前記少なくとも1つのアンテナ素子の下にある、それぞれ第1(81a、381a)および第2(81b、381b)の開口部を有する、ベース基板(50、50’)と、
前記ベース基板の前記第4の表面に隣接した少なくとも1つの無線周波数集積回路(RFIC)(32)であって、前記ベース基板を通して延在する少なくとも1つのビア(70)及び前記第1および第2の開口部内の結合要素(85、485)を通して前記少なくとも1つのアンテナ素子にRF結合される、無線周波数集積回路(RFIC)(32)とを備える、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のメタライゼーション層が、前記第1及び第2のメタライゼーション層の間の導電性接着剤(60、365)を通して取り付けられ、電気的に接続されている、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項3】
前記導電性接着剤が、前記第1及び第2のメタライゼーション層の各々よりも低い融点を有する材料である、請求項2に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項4】
前記導電性接着剤が、はんだキャップ層である、請求項2に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項5】
前記第1のメタライゼーション層が、金属柱ビルドアッププロセスによって形成された層である、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項6】
前記第2のメタライゼーション層が、金属柱ビルドアッププロセスによって形成された層である、請求項5に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項7】
前記金属柱ビルドアッププロセスが、銅柱ビルドアッププロセス、白金柱ビルドアッププロセス、又は金柱ビルドアッププロセスである、請求項5または6のいずれか一項に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項8】
前記第1及び第2のメタライゼーション層が、前記第1及び第2のメタライゼーション層の各々の厚さよりも大きな厚さを有する充填材料層(365)によって取り付けられる、請求項1に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項9】
前記充填材層が、導電性エポキシ、導電性エポキシとタンタルの混合物、アンダーフィル材、マイクロ波吸収材、又はそれらの任意の組み合わせを備える、請求項8に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項10】
前記充填材層が、さらに複数の金属柱(344、354)を備える、請求項9に記載のアンテナ装置(300’、1000)。
【請求項11】
前記金属柱(344_1、344_2)の少なくともいくつかが、前記金属柱(354_1、354_2)の他のものと垂直に位置合わせされている、請求項10に記載のアンテナ装置(300’、1000)。
【請求項12】
前記結合要素(85)が、前記ビアに取り付けられた一端を有する第1の金属柱(54a)と、前記第1の誘電体層(42)の前記第2の表面に取り付けられた一端を有するビアの第2の金属柱(44a)と、前記第1の金属柱の第2の端部を前記第2の金属柱の第2の端部に接続する導電性接着材(60a)とを含む、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項13】
前記アンテナ基板を通して延在し、前記アンテナ素子に接続された第1の端部を有するプローブフィードビア(47)と、前記アンテナ基板の前記第2表面の一部を形成し、前記第2金属柱の前記第1の端部に接続された第2端部とをさらに備える、請求項12に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項14】
前記第1のメタライゼーション層及び前記第2のメタライゼーション層の各々が、少なくとも50μmの厚さである、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項15】
前記第1のメタライゼーション層及び前記第2のメタライゼーション層の各々が、少なくとも100μmの厚さである、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアンテナ素子の各々が、1~5μmの範囲の厚さであるマイクロストリップパッチアンテナ素子である、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項17】
前記アンテナ基板及び前記ベース基板の周囲に延在する放射線シールド(104)をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項18】
前記放射シールドが金属ハウジングの一部である、請求項17に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項19】
前記少なくとも1つのRFIC(30)が、RFICチップ又はRFICウェーハの形態である、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項20】
前記ベース基板の前記第4の表面に取り付けられ、前記少なくとも1つのRFICに制御信号を出力するように構成された少なくとも1つのさらなるIC(160)をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項21】
前記少なくとも1つのアンテナ素子が、アンテナアレイ(120)を形成する複数のアンテナ素子(20_1から20_N)であり、
前記少なくとも1つのRFICが、各々が前記第2の誘電体層の前記第4の表面に取り付けられた、複数のRFIC(30_1から30_K)であり、
前記複数のRFICが、各々が前記ベース基板内の複数のビア(70)のうちの1つと、前記アンテナ基板内に形成された複数のアンテナフィード(47)のうちの1つとを含むそれぞれのRFフィード(70、72a、72b、80、380、47)を通して前記複数のアンテナ素子にRF結合される、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項22】
前記ベース基板の前記少なくとも1つの第2の誘電体層が、前記第2のメタライゼーション層に隣接する第1の誘電体サブ層(52a)と、前記RFICに隣接する第2の誘電体サブ層(52b)とを備え、前記ベース基板が、前記第1及び第2の誘電体サブ層の間に、RFICへ/RFICからRF信号をルーティングするように構成されたパターン化された導電層(98)をさらに備える、請求項21に記載のアンテナ装置(200、300、300’、1000)。
【請求項23】
前記RFフィードの各々が、グランド-信号(GS)接続又はグランド-信号-グランド(GSG)接続であって、
前記第2開口部内の前記第3表面の金属柱(54a)とRFICのうちの1つのRFICの信号接点(93s)との間の信号ビアを形成するビア(70)のうちの1つと、
前記信号ビアから離間され、前記第3表面と前記RFICの少なくとも1つのグランド接点(93g)との間に延在する少なくとも1つのグランドビア(72as、72b)とを備える、グランド-信号(GS)接続又はグランド-信号-グランド(GSG)接続を含む、請求項21に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項24】
前記結合要素(85、485)が、同軸伝送線セクション(80、380、380’、380’’、380’’’)の内部導体を形成する、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項25】
前記同軸伝送線セクションが、誘電体材料で充填された分離領域(81、381、481)を含む、請求項24に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項26】
前記同軸伝送線セクションが、各々が金属柱形成プロセスによって形成された上及び下部を有する外側導体(382、393)を含み、前記上及び下部が、導電性接着剤(60b)によって接続されている、請求項24に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項27】
前記同軸伝送線セクション(380’)が、複数の導電性壁セクション(392)に分割された外側導体(393)を含む、請求項24に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項28】
前記結合要素が複数のグランドロッド(396_1、396_2)の間に配置されている、請求項1に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項29】
前記複数のグランドロッドが、前記結合要素(85)を囲む少なくとも3つの円周方向に配置されたグランドロッド(396_1から396_N)を備える、請求項28に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項30】
前記同軸伝送線セクション(380’’’)が、単一の金属材料のみから構成される内側導体(485)と、単一の金属材料のみから構成される外側導体(482)とを含む、請求項24に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項31】
アンテナ装置(100、200、300、300’)を形成する方法(1100)であって、
対向する第1及び第2の表面を有する第1の誘電体層と、少なくとも1つのアンテナ素子のためのグランドプレーンを形成するための前記第2の表面に隣接する第1のメタライゼーション層とを備え、前記第1のメタライゼーション層には第1の開口部が形成されている、アンテナ基板を形成すること(S1102)と、
前記アンテナ基板の前記第1の表面に少なくとも1つのアンテナ素子を取り付けること(S1108)と、
対向する第3及び第4の表面を有する少なくとも1つの第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層を通して延在する少なくとも1つのビアと、前記第1のメタライゼーション層と併せて放射シールドの少なくとも一部を形成するための前記第3の表面に隣接した第2のメタライゼーション層とを備え、前記第2のメタライゼーション層には前記第1の開口部と位置合わせされた第2の開口部があり、少なくとも1つの信号ビアが前記第2の開口部内に、前記第2の誘電体層を通して延在する第1の端部を有する、ベース基板を形成すること(S1104)と、
前記信号ビアと前記アンテナ基板との間の前記第1及び第2の開口部内の結合素子を少なくとも接続することによって前記アンテナ基板を前記ベース基板に取り付け、前記第1のメタライゼーション層を前記第2のメタライゼーション層に取り付けること(S1110)と、
少なくとも1つの無線周波数集積回路(RFIC)を前記ベース基板の前記第4の表面に取り付け、前記少なくとも1つの信号ビアに電気的に接続すること(S1112)とを含む、方法(1100)。
【請求項32】
前記第1のメタライゼーション層を前記第2のメタライゼーション層に前記取り付けることが、導電性接着剤を用いて前記第1のメタライゼーション層を前記第2のメタライゼーション層に接着することによって行われ、前記第1のメタライゼーション層、前記第2のメタライゼーション層、及び前記導電性接着剤によって形成されたそれらの間の層が、前記少なくとも1つのRFICに対する放射線シールドを形成する、請求項31に記載の方法(1100)。
【請求項33】
前記導電性接着剤がはんだキャップである、請求項32に記載の方法(1100)。
【請求項34】
前記第1及び第2のメタライゼーション層の各々を金属柱ビルドアッププロセスによって形成することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記金属柱ビルドアッププロセスが、
前記第1又は第2の誘電体層の表面に銅シード層を形成することと、
フォトレジストを使用して銅柱及び前記第1又は第2のメタライゼーション層の周囲を定義することと、
前記銅シード層上に銅を電気めっきすることと、
前記電気めっきされた銅上にニッケル拡散バリアを形成することと、
前記ニッケル拡散バリア上にはんだキャップを形成することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1及び第2のメタライゼーション層の各々が、銅ビルドアッププロセスを用いて少なくとも50μmの厚さで形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記アンテナ基板が前記ベース基板に取り付けられた後、前記第1及び第2のメタライゼーション層の間の領域に液体充填材を挿入し、前記充填材を硬化させることによって、前記第1及び第2のメタライゼーション層が互いに取り付けられる、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的にはアンテナに関し、より具体的には、アンテナ素子と一体化された無線周波数(RF)回路のための放射線シールドを伴うアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙、軍事、及び一部の産業環境では、アンテナ素子及びそれに結合されたRF回路が、電離放射線、太陽放射線、宇宙背景放射線、波動放射線、粒子放射線、及び/又は電磁放射線などの放射線にさらされ得る。適切なシールドがない場合、RF回路は放射線に対して特に脆弱であり得る。例えば、アンテナ装置のための薄く、概ね平面構造は、外側に面した構成要素層に配置されたアンテナ要素、及びアンテナ要素層の後ろの平行な構成要素層にわたって分散された集積回路(IC)を含むサンドイッチ型の構成を有し得る。ICには、送信動作のためのRFパワーアンプ(PA)、受信動作のための低ノイズアンプ(LNA)、およびビームステアリングのための位相シフタなどのフロントエンド回路を伴うRFICを含み得る。最適なパフォーマンスのためには、RFICがアンテナ素子の近くであることが望ましい。他のICは、RFICにバイアス及び制御信号を提供する回路、又はベースバンド/デジタル信号処理回路を含み得る。
【0003】
アンテナ素子は、反対側にアンテナグランドプレーンが印刷されたアンテナ基板上に印刷されたマイクロストリップパッチ素子であってもよい。アンテナグランドプレーンは、ICに対していくらかの放射線耐性を提供し得る。しかしながら、高強度のある特定のタイプの放射線は引き続き、グランドプレーンを貫通してICを劣化させ得、アンテナシステムの信頼性を低下させる結果となる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様では、アンテナ装置は、アンテナ基板及びベース基板を含む。アンテナ基板は、対向する第1及び第2の表面を有する第1の誘電体層、並びにグランドプレーンを形成するための第2の表面に隣接する第1のメタライゼーション層を含む。少なくとも1つのアンテナ素子が第1の表面に取り付けられる。ベース基板は、対向する第3及び第4の表面を有する少なくとも1つの第2の誘電体層、並びに第3の表面に隣接する第1の側面、及び放射線シールドを形成するために第1のメタライゼーション層に取り付けられた、反対の第2の側面を有する第2のメタライゼーション層を含む。第1及び第2のメタライゼーション層は、それぞれ互いに位置合わせされ、アンテナ素子の下にある第1及び第2の開口部を有する。少なくとも1つのRFICは、ベース基板の第4の表面に隣接して配置され、ベース基板を通して延在する少なくとも1つのビア及び第1及び第2の開口部内の結合要素を介して、少なくとも1つのアンテナ素子にRF結合される。
【0005】
一実施形態では、第1及び第2のメタライゼーション層は、その間の導電性接着剤を通して取り付けられ、電気的に接続される。代替の実施形態では、第1及び第2のメタライゼーション層は、第1及び第2のメタライゼーション層の各々の厚さよりも大きな厚さを有する充填材料層によって取り付けられる。
【0006】
別の態様では、アンテナ装置を製造する方法は、対向する第1及び第2の表面を有する第1の誘電体層、並びに少なくとも1つのアンテナ素子のためのグランドプレーンを形成する第2の表面に隣接する第1のメタライゼーション層を含むアンテナ基板を形成することを含む。第1のメタライゼーション層には第1の開口部が形成される。少なくとも1つのアンテナ素子は、アンテナ基板の第1の表面に取り付けられる。ベース基板が形成され、これは、対向する第3及び第4の表面を有する少なくとも1つの第2の誘電体層、第2の誘電体層を通して延在する少なくとも1つのビア、及び第1のメタライゼーション層と併せて放射線シールドの少なくとも一部を形成するために第3の表面に隣接する第2のメタライゼーション層を含む。第2のメタライゼーション層は、第1の開口部と位置合わせされた第2の開口部を有する。第2の開口部内に第1の端部を有する少なくとも1つの信号ビアが、第2の誘電体層を通して延在して形成される。アンテナ基板は、信号ビアとアンテナ基板との間の第1及び第2の開口部内の結合要素を少なくとも接続することによってベース基板に取り付けられる。第1のメタライゼーション層は第2のメタライゼーション層に取り付けられ、少なくとも1つのRFICがベース基板の第4の表面に取り付けられ、少なくとも1つの信号ビアに電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
開示される技術の上記及び他の態様及び特徴は、同様の参照文字が同様の要素又は特徴を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。同一の又は類似の種類の様々な要素は、同一/類似の要素(例えば、_1、_2)の中で区別する下線/ダッシュ及び第2のラベルで参照ラベルを付加することによって、又は第2のラベルで参照ラベルを直接付加することによって区別され得る。しかしながら、所与の説明が第1の参照ラベルのみを使用する場合、このラベルは、第2のラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同一/類似の要素のうちのいずれにも適用可能である。要素及び特徴は、図面で縮尺どおりに描画されていない場合がある。
【0008】
【
図1】
図1は、アンテナ装置のICの放射線シールドのための層間構造の第1の例を示す、一実施形態による、アンテナ装置の断面図である。
【
図2】
図2は、線2-2に沿って取得された
図1のアンテナ装置の断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による多層ベース基板を有するアンテナ装置の断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による、放射線シールドの一部を形成する充填材を含むアンテナ装置の断面図である。
【
図5】
図5は、線5-5に沿って取得された
図4のアンテナ装置の断面図である。
【
図6】
図6は、
図4のアンテナ装置内に結合要素を組み込んだ代替の同軸構造の断面図である。
【
図7】
図7は、
図4のアンテナ装置内に結合要素を組み込んだ別の代替の同軸構造の断面図である。
【
図8】
図8は、
図4のアンテナ装置内に結合要素を組み込んださらなる代替の同軸構造の斜視図である。
【
図9】
図9は、一実施形態による放射線シールドの一部を形成する、充填材及び追加のシールド構造を含むアンテナ装置の断面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態によるフェーズドアレイアンテナ装置のレイアウト例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、別の実施形態によるアンテナ装置を製造する例示的な方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
説明の目的で本明細書に開示される技術の、ある特定の例示的な実施形態の包括的な理解を支援するために、添付の図面を参照しながら以下の説明が提供される。説明は、当業者が技術を理解するのを助けるための様々な具体的な詳細を含むが、これらの詳細は、単なる例示とみなされるべきである。単純化及び明確化の目的で、周知の機能及び構造の説明は、それらの包含が、当業者による技術の理解を曖昧にする可能性がある場合には、省略される場合がある。
【0010】
図1は、一実施形態によるアンテナ装置100の断面図である。アンテナ装置100は、アンテナ基板40、ベース基板50、アンテナ素子20、及びRFICチップ又はウェーハ30(以後、単に「RFIC30」)、例えばモノリシックマイクロ波IC(MMIC)を含み得る。1つのアンテナ素子20と1つのRFIC30が図示されているが、様々な実施形態において、アンテナ装置100は、複数のアンテナ素子20がアンテナ基板40の上面(
図1のx-y平面)にわたって配置され、複数のRFIC30がベース基板50の下面にわたって配置される、アクティブアンテナアレイ、例えばフェーズドアレイとして構成される。(本明細書では、説明と理解を容易にするために、「上」と「下」は相対的な用語として使用される。アンテナ基板40の上面は、自由空間とつなぐ外面である。)各RFIC30は、ベース基板50及びアンテナ基板40内の結合構造を通して少なくとも1つのアンテナ素子20にRF結合される。典型的な実施形態では、アンテナ装置100は、最大厚さ(Z方向)が(x-y平面において)最大直交方向よりも少なくとも1桁小さい薄い板状のプロファイルを有している。
【0011】
アンテナ基板40は、アンテナ素子20が取り付けられる第1の誘電体層42及び誘電体層42の下面に隣接する第1のメタライゼーション層44を含み得る。第1のメタライゼーション層44はアンテナ素子20のためのグランドプレーンを形成し、これ以後、「グランドプレーン44」とも呼ばれる場合がある。ベース基板50は、上及び下面を伴う第2の誘電体層52、並びにその上面に隣接する第2のメタライゼーション層54を含み得る。RFIC30は、第2の誘電体層52の下面に隣接している。いくつかの例では、誘電体層42及び52はガラス(例えば、溶融シリカ)又は石英から構成される。
【0012】
第1のメタライゼーション層44は、導電性接着剤60によって第2のメタライゼーション層54に取り付けられてもよい。集合的に、第1のメタライゼーション層44、接着剤60、及び第2のメタライゼーション層54は、第1の誘電体層42の上面を透過する放射線RからRFIC30を保護する放射線シールド64を形成する。このような放射線Rは、電離放射線、波動放射線、粒子放射線、太陽放射線、宇宙背景放射線、及び/又は電磁放射線の形態であり得る。第1及び第2のメタライゼーション層44及び54の厚さ及び組成は、第2の誘電体層52を透過してRFIC30に向かう有害な放射線のレベルを低減するように設計される。
【0013】
一例では、メタライゼーション層44及び54はそれぞれ、金属柱(又は金属「バンプ」)形成プロセス、例えば、銅柱、金柱、又は白金柱形成プロセスによって形成される。接着剤60は、はんだキャップ層であり得、通常、メタライゼーション層44及び54の各々よりも薄くなる。一実施形態では、メタライゼーション層44及び54は各々、少なくとも50μmの厚さである(厚さは
図1のz方向である)。別の実施形態では、層44及び54の各々は少なくとも100μmである。例えば、宇宙用途では、放射線により誘導された電荷生成/捕捉によって引き起こされる、総電離線量(TID)から保護することが望ましい。メタライゼーション層44及び54が各々、銅、タンタル、プラチナなどの純金属、又は金属合金などの厚くて、密度の高い材料から構成されているとき、このタイプの放射線から保護するのに十分なシールドが提供され得る。所与の材料に適した厚さを設計する1つの方法は、動作環境におけるアンテナ装置100の必要な寿命を考慮することである。軌道上の衛星に搭載されるとき、年間の放射線レベルをある特定の量まで減衰させるために必要な所与の材料の厚さと相関する放射線量深度曲線が参照され得る。所与の放射線環境におけるRFIC30の予想寿命又は最小寿命のための仕様も考慮され得る。このような情報により、メタライゼーション層44及び54の厚さ、並びにベース層50の誘電体層52の厚さ及び組成が設計され得る。
【0014】
一例として、取り付けられたメタライゼーション層44及び54を利用しない従来のアンテナ装置の場合、アンテナ基板40の後ろのMMIC(例えば、アンテナ基板40の下面に直接取り付けられている)は、年間約500kradの放射線を受け得る。100μmの銅を含む厚さを有する放射線シールド64、及び溶融シリカから構成される誘電体層522を組み込まれたアンテナ装置100では、RFIC30は年間約150kradの放射線を受け得る。放射線シールド64の厚さが200μmの銅を含むように増加すると、RFIC30は年間約75kradの放射線を受け得る。したがって、これらの例では、時間の経過による総入射放射線が大幅に低減し、それによって、RFIC30の寿命が増大する。他の例では、メタライゼーション層44及び54内の銅が、同じ厚さのタンタルやプラチナなどのより密度の高い材料に置き換えられると、RFIC30に入射する放射線はもっとさらに低減する。溶融シリカは放射線に対してかなりのシールドも提供する材料の一例であることにも留意されたい。したがって、ベース基板50の誘電体層52は、溶融シリカ又は類似の材料から構成されるとき、放射線シールドの一部を提供する。例えば、250μmの溶融シリカは密度が約60μmの銅と同等であり、放射線においてほぼ同じ減衰を提供し得る。
【0015】
一般に、メタライゼーション層44及び54の厚さは、アンテナ素子20の厚さよりも少なくとも1桁大きい場合がある(この厚さは、
図1では層44及び54に対して誇張して示されている)。典型的な実施形態では、アンテナ素子20は、薄膜プロセスによって形成された印刷素子であってもよい。アンテナ装置100は、周辺方向から入射する放射線を低減するために、全体の構造を囲む周辺シールド104(
図1に概略的に示す)も含まれる場合がある。周辺シールド104は、連続した金属ハウジングの形態であってもよい。
【0016】
第1のメタライゼーション層44は、第2のメタライゼーション層54内の開口部81bと位置合わせされた開口部81aを有し得、開口部81a及び81bはアンテナ素子20の下にある。結合要素85は、開口部81a及び81bの領域の同軸構造内の中央に形成されてもよい。結合要素85は、上部金属柱44a、下部金属柱54a、及び金属柱44a及び54aを導電的に取り付ける導電性接着剤60aを含み得る。金属柱44a及び54aは、それぞれ金属柱層44及び54の一部であり、それぞれの層44及び54を形成したのと同じプロセスの一部として形成され得る。導電性接着剤60aは接着剤60の一部であってもよい。
【0017】
結合要素85は、以下でさらに説明する短い同軸伝送線(「同軸線」)80の内部導体として理解され得る。「信号ビア」70は、ベース基板52を垂直に通して延在し、その下端で、はんだキャップなどの導電性接合部91を通してRFIC30の「信号接点」93sに電気的に接続し得る。プローブフィード47は、第1の誘電体層42を通して形成されたビアであり得、その下端は金属柱44aの上端に接続され、上端はアンテナ素子20に接続され得る。したがって、RFIC30は、ビア70、結合要素85、及びプローブフィード47を通してアンテナ素子20にRF結合され得る。他の実施形態では、プローブフィード47は省略されるか、又は、誘電体層42の下面から誘電体層42を部分的にのみ貫通する。この場合、結合要素85は、アンテナ素子20に電磁的に(EM)結合される(すなわち、アンテナ素子20はビア70及び結合要素85を通してEM励起される)。
【0018】
ここで、金属柱プロセスで形成された同軸線80を反対側の端部に設け、その端部を導電性エポキシ60aで取り付ける代わりに、挿入可能な同軸線セクションの形態の事前形成された同軸結合構造が代用されてもよいことに留意されたい。このアプローチについては、以下、
図8に関連して説明する。挿入可能なセクションは、誘電体層42及び52に適切に取り付けられた反対側の端部を有していてもよい。
【0019】
RFIC30の1つ以上のグランド接点93gは、第2のメタライゼーション層54及びグランドプレーン44に(接着剤60を通して)結合され得る。このような結合は、信号ビア70の1つ以上の側面にある第2の誘電体層52を通して延在する1つ以上の「グランドビア」72a及び/又は72bを通して行われる。2つ以上のグランドビア72a及び72bが含まれる実施形態では、RFIC30とグランドプレーン44との間の「グランド-信号-グランド(GSG)」遷移又は「GSG接続」は、グランドビア72a及び72b並びに信号ビア70を含む。他の実施形態で単一のグランドビアのみが含まれる場合、RFIC30とグランドプレーン44との間の接続は、「グランド-信号(GS)遷移」又は「GS接続」として説明され得、これは1つのグランドビア72a又は72b並びに信号ビア70を含む。
【0020】
図2は、
図1の線2-2に沿って取得されたアンテナ装置100の断面図である。
図2では、アンテナ素子20、RFICチップ30、第1及び第2のグランドビア72a及び72bの例示的なプロファイルがファントムで示されている。
図1及び
図2を集合的に参照すると、環状の分離領域81が、結合要素85を囲み、第1及び第2のメタライゼーション層44及び54の円周縁部87まで延在する。円周縁部87は、第1及び第2のメタライゼーション層44及び54に開口部81a及び81bを定義する。分離領域81は、空気で満たされた領域であってもよく、又は誘電体材料で満たされていてもよい。分離領域81は、開口部81a及び81bの外側環状部分(結合要素85を除く部分)並びにそれらの間の垂直空間(接着剤60の厚さを伴う)を囲む空間として理解され得る。結合要素85は、分離領域81並びにメタライゼーション層44及び54の円周縁部87と併せて同軸線80を形成し、ここで、結合要素85は内側導体であり、円周縁部87は外側導体であり、分離領域81は同軸線80の誘電体スペーサー又は空気充填スペーサーである。そこでは、放射線Rが分離領域81を貫通し得るが、領域81の直径はx-y平面においてアンテナ装置100の寸法に比べて小さく、したがって、貫通する放射線はRFIC30及びベース基板50の下のその他の回路にほとんど影響を与えない可能性があることに留意されたい。
【0021】
RFIC30とグランドプレーン44との間の上述のGSG遷移は、RFIC30と同軸線80との間のGSG遷移として理解され得る。同軸線80の分離領域81は、信号ビア70とグランドビア72a及び72bとの間の環状分離領域73と垂直に位置合わせされ得る。したがって、RF信号エネルギーは、GSG遷移、同軸結合構造、及び誘電体基板42内のアンテナフィード(プローブフィード47又はEM結合アンテナフィード)を囲むRFフィードを通して流れ得る。言い換えれば、信号エネルギーは、RFIC30から分離領域73、及び分離領域81、並びに誘電体層42を通して流れ、アンテナ素子20を励起する。信号漏れ/ノイズを低減するために、縁部87の外側で隣接する他の円周位置(z軸に沿った離れた点から見て)に追加のグランドビア(図示せず)が配置され得ることに留意されたい。
【0022】
アンテナ素子20は、円形プロファイルを伴うマイクロストリップパッチアンテナ素子であり得、
図2に示すようにプローブフィード47によってオフセット給電され得る。他の例では、アンテナ素子20は長方形、正方形、又は他の多角形の形状を有しており、或いは長方形又は不規則な形状をしており、或いはダイポール又は他のタイプのアンテナ素子である。パッチアンテナ素子は薄膜プロセスによって形成され得、1~5μmの範囲の厚さを有し得る。RFIC30及びその接点93は、RFIC309とアンテナ素子20との間に短い全体的な接続を提供するために、アンテナ素子20の真下に配置することが望ましい。RFIC30は少なくとも1つのRFフロントエンド回路パス32(これ以後「RF回路32」)を含む。RF回路32は、増幅器33、位相シフタ37、アクティブ又はパッシブフィルタ、送信/受信(T/R)スイッチ、インピーダンス整合回路、減衰器、アイソレータなどの少なくとも1つのRFフロントエンド回路構成要素を含む。RFIC30は、結合器/分配器、アップコンバータ、ダウンコンバータなどの他の回路を含み得る。
【0023】
アンテナ素子20のタイプ及び構成、グランドプレーン44からの間隔、並びに偏波は、動作に必要な周波数帯域に応じて異なり得る。同様の設計上の考慮が、RFIC30及びRF回路32の回路にも適用可能である。典型的な実施形態では、アンテナ装置100は、マイクロ波又はミリ波(mm)帯域での動作のために構成され、マイクロ波周波数は一般に300MHzから30GHzと見なされ、mm波周波数は一般に30GHzから300GHzと見なされる。ただし、本明細書の技術は、サブマイクロ波周波数、例えばUHF又はVHF帯域のために設計されたアンテナにも適用され得る。
【0024】
アンテナ装置100は、送信アンテナシステム、受信アンテナシステム、又は送信及び受信両方のアンテナシステムとして構成されてもよい。アクティブアレイの実施形態では、各RF回路32は、アンテナ素子20に提供される及び/又はそれから提供される送信信号及び/又は受信信号を調整するための増幅器33及び/又は位相シフタ37を含む。複数のRFIC30がアンテナ100の有効開口部の背後に分散され得、各々が1つ以上のアンテナ素子20に結合され、この場合、アンテナ100はアクティブアンテナアレイとして理解され得る。RF回路32が信号の動的な位相シフトのための位相シフタを含む実施形態では、アンテナ100はフェーズドアレイとして機能する。そのようなフェーズドアレイの実施形態では、アンテナ100によって形成されたビームは、主に位相シフタの位相シフトに従って設定された所望のビーム指向角に操縦される。アンテナパターンを調整するために、RFIC30内の追加の振幅調整能力も含まれる場合もある。
【0025】
RFICチップ30は、任意の適切な接続機構によって、増幅、位相シフト、T/Rスイッチングなどを制御するためのバイアス電圧及び制御信号を受信し得る。例えば、1つ以上の制御ICチップ(図示せず)が誘電体層52の下面に取り付けられ、RFIC30に電気的に接続されてバイアス/制御信号を提供し得る。バイアス/制御信号は、誘電体層52の下部内のパターン化されたメタライゼーション層によって形成された(又は誘電体層52の下面の追加の薄い誘電体層内に形成された)信号線59を通してルーティングされ、相互接続58(概略的に示す)を通してRFICチップ30に接続され得る。これらの制御ICチップは、同様に、メタライゼーション層44及び54の放射線シールドによって入射放射線Rから保護され得る。複数のRFIC30が誘電体層52の下面全体に分散されているとき、それらは各々、アンテナ素子20によって受信された信号を結合して受信ビームを形成したり、及び/又はアンテナ素子20を通して送信される信号を分割して送信ビームを形成したりするための結合器/分割器ネットワーク(図示せず)に結合され得る。結合器/分配器ネットワークは、RFIC30の間又はその下に位置する伝送線基板(複数可)内に配置されてもよいし、又は誘電体層52内のパターン化された金属層によって形成されてもよい。
【0026】
図3は、一実施形態による多層ベース基板を有するアンテナ装置200の断面図である。アンテナ装置200は、上述のアンテナ装置100と同じ構成及び機能を有し得るが、ベース基板50’には複数の誘電体層52a及び52b、並びにそれらの間のパターン化されたメタライゼーション層98を含む。メタライゼーション層98は、1つ以上のブラインドビア95及びRFIC30の1つ以上のコンタクト93aを通してRFIC30に結合され得る。メタライゼーション層98は、RFIC30へ/そこからRF信号をルーティングするための結合器/分配器ネットワークの一部を形成するようにパターン化され得る。メタライゼーション層98は、代替的に又は追加的に、誘電体層52bの下面に取り付けられ得、バイアス/制御信号を提供し得る1つ以上の制御ICチップ(図示せず)に結合され得る。
【0027】
図4は、別の実施形態によるアンテナ装置300の断面図である。アンテナ装置300は、環境条件の広範な範囲にわたって製造歩留り及び構造的完全性を改善するための充填材層365を含む。
図5は、
図4の線5-5に沿って取得されたアンテナ装置300の断面図である。
図4及び
図5を参照すると、アンテナ装置300は、アンテナ基板340、ベース基板350、充填材層365、少なくとも1つのアンテナ素子20、RFIC32を含む少なくとも1つのRFICチップ30(又はウェーハ)、及び結合要素85を含む同軸結合構造380(例えば、短い同軸線)を含み得る。冗長性を避けるため、上記と同じ凡例を伴う要素の説明は省略される場合がある。
【0028】
アンテナ基板340は、第1の誘電体層42、及び誘電体層42の下面に隣接する第1のメタライゼーション層367を含み得、第1のメタライゼーション層367は、アンテナ素子20のグランドプレーンとして機能する。第1のメタライゼーション層367は、
図1の第1のメタライゼーション層44よりも薄くてもよく、薄膜堆積プロセスなどにより誘電体層42の下面に形成されている場合がある。ベース基板350は、第2の誘電体層52及び第2のメタライゼーション層369を含み得る。第2のメタライゼーション層369は、
図1の第2のメタライゼーション層54よりも薄くてもよく、第1のメタライゼーション層367と同様のプロセスによって誘電体層52の上面に形成されている場合がある。充填材層365は、同軸結合構造380がアンテナ基板340及びベース基板350と統合された後、同軸結合構造380の周囲の空間を完全に埋めるために、メタライゼーション層367と369との間に挿入されるコンプライアント材料から構成され得る。したがって、第1及び第2のメタライゼーション層367及び369は、充填材料層365によって互いに取り付けられ得る。
【0029】
集合的に、第1及び第2のメタライゼーション層367及び369並びに充填材料層365は、放射線シールド364を形成し、RFIC30及びベース基板350の下の任意の他の回路に対する入射放射線Rの影響を低減する。充填材料層365は、製造中の誘電体層42及び/又は52の亀裂の可能性を低減するコンプライアント材料層であってもよい。これにより、充填材層365は、アンテナ装置100に対して製造歩留りを改善し得る。例えば、充填材365がない場合、金属と誘電体材料との間の熱膨張係数(CTE)の不一致により、誘電体層42と52との間の厚い金属は、誘電体層42及び52よりも高い速度で膨張及び収縮し得る。CTEの不一致により、アンテナ装置が高温にさらされると亀裂が生じ得る。対照的に、充填材層365は、誘電体層42及び52のCTEに近いCTEを有し得、そのような亀裂を防止し得る。充填材層365の組成のいくつかの例には、導電性エポキシ、タンタルと導電性エポキシの混合物、マイクロ波吸収材、及びアンダーフィル材が含まれる。充填材層365の材料及びその厚さの選択は、メタライゼーション層44及び54に関連して前述したように、所望の放射線減衰量を考慮して行い得る。例えば、年間の放射線レベルをある特定の量まで減衰させるために必要な充填材層365の材料の厚さと相関する放射線量深度曲線が参照され得る。その適合性により、充填材層365は、厚い金属が結合要素85及び充填材層365とつなぐ周囲の外側導体382(中空管又はリングの形状)に使用される場合でも、同軸結合構造380を囲む領域での亀裂も防止し得る。
【0030】
垂直に位置合わせされた開口部381a及び381bが、それぞれ第1及び第2のメタライゼーション層367及び369に形成され得る。開口部381aと381bの内部及びそれらの間に部分を有する同軸結合構造380は、結合要素85、外側導体382、及び環状分離領域381を含み得る。前述のように、結合要素85は、上部金属柱44a、下部金属柱54a、及び金属柱44a及び54aを導電的に取り付ける導電性接着剤60aを含み得る。
【0031】
外側導体382は、結合要素85と同じ厚さ(z方向)であり、同じ処理動作を使用して結合要素85と同時に形成され得る。このため、外側導体382は、アンテナ素子20と反対側の誘電体層42の表面に金属柱ビルドアッププロセスで形成された上部リング部分44b、誘電体層52の上面に金属柱ビルドアッププロセスで形成された下部リング部分54b、並びに上部及び下部リング部分44b及び54bを取り付ける導電性接着層60bを含み得る。この構造により、同軸結合構造380は、内側導体としての結合要素85、外側導体382、並びに内側及び外側導体を分離する分離領域381を伴う短い同軸線セクションとして形成され得る。分離領域381は、開口部381a及び381bの一部、並びにそれらの間の容積領域381cを含み得る。分離領域381は、低損失誘電体材料で充填され得、信号ビア70とグランドビア72a及び72bとの間の環状分離領域73と垂直に位置合わせされ得る。
図8に関連して以下で説明する別の例では、同軸結合構造380を金属柱プロセスで反対側の端部に構築し、その端部を導電性エポキシ60aで取り付ける代わりに、同軸結合構造は、誘電体層42及び52に取り付けられた反対側の端部を有する挿入可能な同軸プラグの形態になっている。
【0032】
外側導体382の上端は第1のメタライゼーション層367に接続され、外側導体382の下端は第2のメタライゼーション層369並びにグランドビア72a及び72bの各々に接続されている。(グランドビア72a及び72bは
図5にファントムで示されている。)第1及び第2のメタライゼーション層367及び369への結合は、任意の適切な方法で行い得る。例えば、
図4では層367及び369に隣接して示されているが、第1及び第2のメタライゼーション層367及び369の一部は、外側導体382の上及び下に存在し得、リング部分44b及び54bは、層367及び369のこれらの部分上に金属柱プロセスで構築されている場合がある。同軸構造380の領域の上下での応力亀裂の可能性をさらに低減するために、上部リング部分44bと誘電体層42との間、及び下部リング部分54bと誘電体層52との間にアンダーバンプメタライゼーション(UBM)が存在し得ることに、ここでは留意されたい。同様に、UBMは、結合要素85の上端及び下端と隣接する誘電体層との間に存在してもよい。
【0033】
アンテナ装置300の他の構成要素、例えば、RF回路(複数可)32、RFIC(複数可)30、アンテナ素子(複数可)20、プローブフィード47などは、アンテナ装置100について本明細書で説明したものと同じであってもよい。誘電体層52は、
図3に示すような多層誘電体(層52a、52bを備える)に置き換えて、RFIC30へ/それからRF信号をルーティングし得る。
【0034】
図6は、アンテナ装置300内の同軸構造380の代わりに使用され得る代替の同軸結合構造380’を示す断面図である。(
図6は、
図4の線5-5に沿って取得された同軸結合構造380’の図である。)この実施形態は、同軸結合構造の内部及び近傍の領域における亀裂の発生をさらに低減し得る。
【0035】
同軸結合構造380’は、外側導体382の代わりにスロット付き外側導体393を使用することによって結合構造380と異なる。同軸構造380’の高さ(z方向において)は、同軸構造380の高さと同じであってもよい。外側導体393は、スロット付き中空管の一般的な形状を有し、複数のスロット391が導電性壁セクション392と円周方向に交互に配置されている。壁セクション392は、内側導体85に使用されるのと同じ金属柱形成プロセスを使用して、誘電体層42と52との間に各々形成され得る。したがって、各壁セクション392は、それらの間の導電性接着剤層部分(層部分60aに類似)によって一緒に取り付けられる上部及び下部の金属柱形成セクションを有し得る。各壁セクション392の上及び下面は、それぞれ第1及び第2のメタライゼーション層367及び369に電気的に接続されてもよい。分離領域381は、低損失誘電体材料で充填されることが望ましい。一例では、スロット391は、分離領域381内の誘電体材料と同じ誘電体材料で充填される。これは、外側導体393を囲む空間に液体状の充填材層365の充填材の挿入前に行われ得る。別の例では、スロット391は充填材層365の充填材で充填される。どちらのアプローチでも、アンテナ装置300の製造中に発生する亀裂が少なくなり得る。これは、外側導体393が、全体が連続した金属で構成されている外側導体383よりも適合性があり得、周囲の構造とのより優れたCTEの一致を有しているためである。
【0036】
図7は、アンテナ装置300内の同軸結合構造380の代わりに使用され得る別の代替の同軸結合構造380’’の断面図である(
図7は、
図4の線5-5に沿って取得された同軸結合構造380’’の図である)。この実施形態は、カップリング構造380’の実施形態と同様に、同軸カップリング構造380を伴う実施形態と比較して、亀裂の発生を低減し得る。
【0037】
同軸結合構造380’は、結合構造380の連続した外側導体382の代わりとして、複数Nの円筒形グランドロッド396_1から396_Nを含む。
図7の例では、N=8であるが、他の例では、Nは8より大きいか、又はわずか2である。同軸構造380’の長さ(z方向において)は、同軸構造380の長さと同じであってもよい。ロッド396は、隔離領域381の周囲のすぐ外側に円周方向に均一な間隔で配置されてもよい。ロッド396は、内側導体85に使用されるのと同じ金属柱形成プロセスを使用して、誘電体層42と52との間に各々形成されている場合がある。したがって、各ロッド396は、それらの間の導電性接着剤層部分(層部分60aに類似)によって一緒に取り付けられる上部及び下部の金属柱形成セクションを有し得る。各ロッド396の上及び下面は、それぞれ第1及び第2のメタライゼーション層367及び369に電気的に接続されてもよい。分離領域381は、低損失誘電体材料で充填されることが望ましい。隣接するロッド396間の空間371は、充填材層365の充填材で充填されてもよい。このアプローチにより、アンテナ装置300の製造中に発生する亀裂が少なくなり得、それは、その間にコンプライアント充填材を伴うロッド396_1から396_Nの散在構造が、外側導体383よりも適合性があり、周囲の構造とのより優れたCTEの一致となり得るという点においてである。
【0038】
N=2の最小の場合、ロッド396_1はロッド396_2の反対側にあり、グランドビア72a及び72b並びに信号ビア70によって形成される下部GSG接続から延在するGSG接続を形成する。さらに別の例では、同軸結合構造380は、結合要素85及び1つのロッド396のみを含むGS接続に置き換えられる。
【0039】
図8は、アンテナ装置300の同軸結合要素380の代替となる同軸線セクション380’’’を示す斜視図である。同軸線セクション380’’’は、銅などの連続した金属で構成された内側導体485、連続した金属で構成された外側導体482、及びそれらの間の誘電体スペーサー領域481を有し得る。アンテナ装置300内に統合される場合(充填材料層365の形成前)、内部導体485の上及び下面は、それぞれプローブフィード47及び信号ビア70に電気的に接続され得る。外側導体482の上面は、第1のメタライゼーション層367に接続され得る。外側導体482の下面は、第2のメタライゼーション層369並びにグランドビア72a及び/又は72bの各々に接続され得る。誘電体充填層365は、同軸結合構造380の場合と同じ方式で、外側導体482を囲み得る。
【0040】
図9は、一実施形態による追加のシールド構造を伴う充填材を含むアンテナ装置300’の断面図である。アンテナ装置300’は、それぞれ第1及び第2のメタライゼーション層367及び369上に形成された344及び354などの複数の金属柱を含むことによって、アンテナ装置300と異なる。金属柱344及び354は、層365の充填材によって囲まれ得、ベース基板350の下の回路に対して放射線Rからの追加の放射線シールドを提供し得る。したがって、改良された放射線シールド364’は、第1及び第2のメタライゼーション層367及び369、充填材料層365、並びに金属柱344及び/又は354を含み得る。金属柱344及び354は、金属柱44a及び54aと同様の寸法を有していてもよい。
図9に示すようないくつかの例では、金属柱344は、60aなどの導電性接着剤を用いて、任意の垂直に位置合わせされた金属柱354に電気的に接着されていない。他の例では、344_1及び354_1などの垂直に位置合わせされた金属柱が電気的に接着されている。
【0041】
いくつかの例では、金属柱はx-y平面に均一に配置され、垂直に(z方向に)位置合わせされる。例えば、金属柱344_1及び344_2は、金属柱354_1及び354_2と垂直に位置合わせされており、各々が、x-y平面で、それぞれ、メタライゼーション層367及び369にわたって分散された均一な金属柱グリッドの一部であり得る。他の例では、上部金属柱344は下部金属柱354に対して交互に配置される。例えば、金属柱344_3及び344_4は、金属柱354_3及び354_4に対して交互に配置される。金属柱344及び354のレイアウトは、アンテナ素子120、RFIC30、ベース基板350の下の他のIC(存在する場合)などのレイアウトに基づいて、望ましいシールド性能を達成するように最適化され得る。
【0042】
図10は、一実施形態によるフェーズドアレイアンテナ装置のアンテナ素子及びRFICのレイアウト例を示すアンテナ装置1000の底面図である。アンテナ装置1000のレイアウトは、フェーズドアレイとして具体化されたアンテナ装置100、200、300、及び300’のいずれか1つのレイアウト例である。この例において、アンテナ装置1000は、アンテナアレイ120を形成する複数Nのアンテナ素子20_1から20_N、複数KのRFIC30_1から30_K(K≦N)、及びRFIC30間にセクションが散在する結合器/分配器ネットワーク181を含む。結合器/分配器ネットワーク181は、誘電体層52の下面に接着されたアルミナなどの基板180内に形成されてもよい。
【0043】
図10に示すように、x-y平面において、放射線シールド1064(例えば、放射線シールド64、364、又は364’)は、アンテナ装置100のプロファイルとほぼ同一の広がりを持つプロファイルを有し得る。これにより、放射線シールド64は、誘電体層52の表面に接続されているか、或いは誘電体層52の表面の下に位置するすべての回路をシールドし得る。RFIC30の他に、このような回路はさらに、1つ以上の制御ICチップ160を含み得、これは誘電体層52に取り付けられ、信号線59を介してRFIC30_1から30_Kに制御/バイアス信号を提供し得る。制御ICチップ160は、RFIC30とは異なるタイプの半導体材料で構成され得る。例えば、制御ICチップ160はシリコン(Si)又はシリコンゲルマニウム(SiGe)で構成され得、一方、RFIC30はリン酸インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、又は他のタイプのIII-V半導体材料で構成され得る。周辺シールド104は、誘電体層52及び42を囲み、入射放射線からの追加の保護を提供し得る。
【0044】
示されている例では、30_1などの各RFICは、(N/K)のRF回路32を通して、複数(N/K)のアンテナ素子(例えば、20_1及び20_2)に結合される。RFIC30はさらに、結合器/分配器181に適切に結合された(N/K):1の結合器/分配器セクション153(例えば、2:1の結合器/分配器)を含み得る。例えば、結合器/分配器181は、ワイヤボンド141を用いて結合器/分配器セクション153に結合された共平面導波管で形成されてもよい。他の例では、結合器/分配器181又は代替の結合器/分配器は、マイクロストリップに形成される、及び/又は別の層、例えば、誘電体層52内の層、又はRFIC30の下側に隣接する層に形成されたビア及び信号パスを通して結合器/分配器セクション153に結合される。送信アンテナシステムでは、結合器/分配器181は、コネクタ170によって受信された入力信号をK個の分割信号に分割し得、各々はRFIC30の1つに提供され、調整(例えば、増幅及び位相シフト)及びアンテナ素子120を通した送信ためにそこでさらに分割される。受信アンテナシステムでは相互結合動作が発生する場合がある。
【0045】
図11は、実施形態によるアンテナ装置を製造する例示的な方法、1100、を示すフロー図である。方法1100は、アンテナ装置100、200、300、又は300’のいずれか1つを製造するために利用され得る。
図11に示す動作の順序は重要ではなく、必要に応じて変更され得る。
【0046】
方法1100では、アンテナ基板(例えば、40/340)が形成される(S1102)。アンテナ基板は、第1の誘電体層(42)、第1の開口部(181a/381a)を伴う第1のメタライゼーション層(44/367)、及びアンテナ素子に直接接続する場合にはプローブフィードビア(47)を含み得る。アンテナ装置100の場合、結合要素85が金属柱ビルドアッププロセスで形成される場合、上部金属柱44aは、第1のメタライゼーション層44を形成するのと同じプロセスの一部として層ごとに形成されてもよい。一方、アンテナ装置300又は300’を製造するために、第1のメタライゼーション層367が、薄膜堆積によって、又は金属柱ビルドアッププロセスの初期金属ビルドアップ段階によって、誘電体層42の下面に形成されてもよい。後者の場合、最初の金属ビルドアップ段階はまた、同軸線セクション(80/380)の上部金属柱(44a)及び上部リング部分(44b)を製造するための最初の段階であってもよい。他の例において、結合要素85は、事前に形成された同軸構造の一部であり、アンテナ基板40/340が形成されるときに、上部金属柱部分及び上部リング部分が形成されない場合がある。
【0047】
ベース基板(50/50’/350)が形成され(S1104)、これは第2の誘電体層(52、52’)、第1の開口部と位置合わせされた第2の開口部(81b/381b)を伴う第2のメタライゼーション層(54/369)、誘電体層内の信号ビア(70)及び少なくとも1つのグランドビア(72a及び/又は72b)を含む。アンテナ基板についてちょうど説明したのと類似の考慮事項が、第2のメタライゼーション層の形成と併せて、下部金属柱54a及び下部リング部分54bの任意選択の形成に適用される。
【0048】
第1及び第2のメタライゼーション層(及び該当する場合、同軸結合要素層部分)が金属柱ビルドアッププロセスで形成される実施形態の場合、例えば、アンテナ装置100について説明したように、第1及び第2のメタライゼーション層を形成するためのプロセス動作は、銅の例では、以下のようになり得る。(i)それぞれの誘電体層(42/52)層の表面に銅シード層を形成する、(ii)フォトレジストを使用して、形成されるメタライゼーション層/柱の各々の周囲を定義する、(iii)銅シード層の上に銅を電気めっきする、(iv)電気めっきされた銅の上にニッケル拡散バリアを形成する、及び(v)ニッケル拡散バリアの上にはんだキャップを形成する。代替の金属、例えばプラチナ又は金で構成された金属層の場合、上記の動作において銅の代わりに代替の金属が使用され得る。
【0049】
事前に形成された同軸結合構造(380’’’)を利用する実施形態では、結合構造の一端が第1又は第2の誘電体層に取り付け、例えば、はんだ付けされ得る(S1106)。
【0050】
少なくとも1つのアンテナ素子(20)がアンテナ基板の上面に取り付けられ、プローブフィードビア(含まれる場合)の第2の端部に接続される(S1108)。アンテナ素子がマイクロストリップパッチ素子である場合、薄膜金属堆積プロセスによってアンテナ基板上に形成され得る。
【0051】
アンテナ基板はベース基板に取り付けられ、第1のメタライゼーション層は第2のメタライゼーション層に取り付けられる(S1110)。アンテナ装置100の場合、アンテナ基板及びベース基板は、第1及び第2のメタライゼーション層との間の導電性接着層(60)、例えば、導電性エポキシ又ははんだキャップ層を通して、またさらに上部金属柱と下部金属柱との間の導電性接着部(60a)を用いて、第1及び第2のメタライゼーション層の取り付けと同時に取り付けられてもよい。アンテナ装置300/300’の場合、第1及び第2のメタライゼーション層を互いに接着する前に、導電性接着部を通して上部及び下部の金属柱(44a、54a)を互いに取り付けることにより、アンテナ基板及びベース基板が互いに取り付けられ得る。
【0052】
別個の外側導体382が形成されるべきとき、上部及び下部金属柱部分(44a、54a)が取り付けられると同時に、上部及び下部部分(44b、54b)が導電性接着部分(60b)で互いに取り付けられ得る。同軸構造に誘電体充填分離領域(381)が設けられるべき場合、アンテナ基板とベース基板とを互いに接続する前に、誘電体は第1/第2の誘電体基板上に成長させたり、開口部381内に配置したりされ得ることにさらに留意されたい。
【0053】
金属柱ベースの構造の代わりに、事前に形成された同軸構造(380’’’)が使用される実施形態では、アンテナ基板及びベース基板は、同軸構造の接続されていない端部をベース基板とアンテナ基板の他方に接続することによって接続されるようになり得る(S1110)。これらの場合のいずれでも(同軸結合構造が金属柱ベースであるか、又は事前に形成された構造であるかにかかわらず)、アンテナ装置300又は300’の場合、金属柱層365は、ベース基板をアンテナ基板に取り付けた後、上部及び下部メタライゼーション層の間の、同軸結合構造を囲む空間に液体形態の充填材を挿入し、次いで得られた構造を加熱して充填材を硬化させることによって形成され得る。充填材が硬化すると、第1及び第2のメタライゼーション層も互いに取り付けられ得る。
【0054】
少なくとも1つのRFIC(30)が、例えば、加熱及び冷却されるそれぞれのはんだキャップ(91)を通して信号及びグランドコンタクト(93s、93g)を信号及びグランドビアに電気的に接続することによって、ベース基板の下面に取り付けられる。さらに、この取り付けは、制御ICからの制御/バイアス信号を搬送するための信号線(59)を接続するための追加の接点を第2の誘電体層上の相互接続に取り付けることも含み得る。
【0055】
本明細書に記載される技術は、その例示的な実施形態を参照しながら特に示され、説明されているが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって定義される特許請求の範囲の主題の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更がその中で行われ得ることを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置(100、200、300、300’、1000)であって、
アンテナ基板(40、340)であって、
対向する第1及び第2の表面を有する第1の誘電体層(42)と、
グランドプレーンを形成するために前記第2の表面に隣接する第1のメタライゼーション層(44、367)とを含む、アンテナ基板と、
前記第1の表面に取り付けられた少なくとも1つのアンテナ素子(20、320)と、
ベース基板(50、50’)であって、
対向する第3及び第4の表面を有する少なくとも1つの第2の誘電体層(52)と、
前記第3の表面に隣接する第1の側面及び放射シールドの少なくとも一部を形成するために前記第1のメタライゼーション層に取り付けられた対向する、第2の側面を有する第2の金属化層(54、369)とを含み、前記第1および第2のメタライゼーション層が、互いに位置合わせされ、前記少なくとも1つのアンテナ素子の下にある、それぞれ第1(81a、381a)および第2(81b、381b)の開口部を有する、ベース基板(50、50’)と、
前記ベース基板の前記第4の表面に隣接した少なくとも1つの無線周波数集積回路(RFIC)(32)であって、前記ベース基板を通して延在する少なくとも1つのビア(70)及び前記第1および第2の開口部内の結合要素(85、485)を通して前記少なくとも1つのアンテナ素子にRF結合される、無線周波数集積回路(RFIC)(32)とを備え、
前記第1及び第2のメタライゼーション層が、前記第1及び第2のメタライゼーション層の間の導電性充填材料層(60、365)を使用して互いに取り付けられ、電気的に接続されている、アンテナ装置。
【請求項2】
前記導電性接着剤が、前記第1及び第2のメタライゼーション層の各々よりも低い融点を有する材料である、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項3】
前記導電性接着剤が、はんだキャップ層である、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項4】
前記第1のメタライゼーション層が、金属柱ビルドアッププロセスによって形成された層である、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項5】
前記第2のメタライゼーション層が、金属柱ビルドアッププロセスによって形成された層である、請求項4に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項6】
前記金属柱ビルドアッププロセスが、銅柱ビルドアッププロセス、白金柱ビルドアッププロセス、又は金柱ビルドアッププロセスである、請求項4または5のいずれか一項に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項7】
前記導電性充填材料層が、前記第1及び第2のメタライゼーション層の各々の厚さよりも大きな厚さを備える、請求項1に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項8】
前記導電性充填材層が、導電性エポキシ、導電性エポキシとタンタルの混合物、アンダーフィル材、マイクロ波吸収材、又はそれらの任意の組み合わせを備える、請求項7に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項9】
前記導電性充填材層が、さらに複数の金属柱(344、354)を備える、請求項8に記載のアンテナ装置(300’、1000)。
【請求項10】
前記金属柱(344_1、344_2)の少なくともいくつかが、前記金属柱(354_1、354_2)の他のものと垂直に位置合わせされている、請求項9に記載のアンテナ装置(300’、1000)。
【請求項11】
前記結合要素(85)が、前記ビアに取り付けられた一端を有する第1の金属柱(54a)と、前記第1の誘電体層(42)の前記第2の表面に取り付けられた一端を有するビアの第2の金属柱(44a)と、前記第1の金属柱の第2の端部を前記第2の金属柱の第2の端部に接続する導電性接着材(60a)とを含む、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項12】
前記アンテナ基板を通して延在し、前記アンテナ素子に接続された第1の端部を有するプローブフィードビア(47)と、前記アンテナ基板の前記第2表面の一部を形成し、前記第2金属柱の前記第1の端部に接続された第2端部とをさらに備える、請求項11に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項13】
前記第1のメタライゼーション層及び前記第2のメタライゼーション層の各々が、少なくとも50μmの厚さである、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項14】
前記第1のメタライゼーション層及び前記第2のメタライゼーション層の各々が、少なくとも100μmの厚さである、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、1000)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアンテナ素子の各々が、1~5μmの前記範囲の厚さであるマイクロストリップパッチアンテナ素子である、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項16】
前記アンテナ基板及び前記ベース基板の周囲に延在する放射線シールド(104)をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項17】
前記放射シールドが金属ハウジングの一部である、請求項16に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項18】
前記少なくとも1つのRFIC(30)が、RFICチップ又はRFICウェーハの前記形態である、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項19】
前記ベース基板の前記第4の表面に取り付けられ、前記少なくとも1つのRFICに制御信号を出力するように構成された少なくとも1つのさらなるIC(160)をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項20】
前記少なくとも1つのアンテナ素子が、アンテナアレイ(120)を形成する複数のアンテナ素子(20_1から20_N)であり、
前記少なくとも1つのRFICが、各々が前記第2の誘電体層の前記第4の表面に取り付けられた、複数のRFIC(30_1から30_K)であり、
前記複数のRFICが、各々が前記ベース基板内の複数のビア(70)のうちの1つと、前記アンテナ基板内に形成された複数のアンテナフィード(47)のうちの1つとを含むそれぞれのRFフィード(70、72a、72b、80、380、47)を通して前記複数のアンテナ素子にRF結合される、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項21】
前記ベース基板の前記少なくとも1つの第2の誘電体層が、前記第2のメタライゼーション層に隣接する第1の誘電体サブ層(52a)と、前記RFICに隣接する第2の誘電体サブ層(52b)とを備え、前記ベース基板が、前記第1及び第2の誘電体サブ層の間に、RFICへ/RFICからRF信号をルーティングするように構成されたパターン化された導電層(98)をさらに備える、請求項20に記載のアンテナ装置(200、300、300’、1000)。
【請求項22】
前記RFフィードの各々が、グランド-信号(GS)接続又はグランド-信号-グランド(GSG)接続であって、
前記第2開口部内の前記第3表面の金属柱(54a)とRFICのうちの1つのRFICの信号接点(93s)との間の信号ビアを形成するビア(70)のうちの1つと、
前記信号ビアから離間され、前記第3表面と前記RFICの少なくとも1つのグランド接点(93g)との間に延在する少なくとも1つのグランドビア(72as、72b)とを備える、グランド-信号(GS)接続又はグランド-信号-グランド(GSG)接続を含む、請求項20に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項23】
前記結合要素(85、485)が、同軸伝送線セクション(80、380、380’、380’’、380’’’)の内部導体を形成する、請求項1に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項24】
前記同軸伝送線セクションが、誘電体材料で充填された分離領域(81、381、481)を含む、請求項23に記載のアンテナ装置(100、200、300、300’、1000)。
【請求項25】
前記同軸伝送線セクションが、各々が金属柱形成プロセスによって形成された上及び下部を有する外側導体(382、393)を含み、前記上及び下部が、導電性接着剤(60b)によって接続されている、請求項23に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項26】
前記同軸伝送線セクション(380’)が、複数の導電性壁セクション(392)に分割された外側導体(393)を含む、請求項23に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項27】
前記結合要素が複数のグランドロッド(396_1、396_2)の間に配置されている、請求項1に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項28】
前記複数のグランドロッドが、前記結合要素(85)を囲む少なくとも3つの円周方向に配置されたグランドロッド(396_1から396_N)を備える、請求項27に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項29】
同軸伝送線セクション(380’’’)が、単一の金属材料のみから構成される内側導体(485)と、単一の金属材料のみから構成される外側導体(482)とを含む、請求項23に記載のアンテナ装置(300、300’、1000)。
【請求項30】
アンテナ装置(100、200、300、300’)を形成する方法(1100)であって、
対向する第1及び第2の表面を有する第1の誘電体層と、少なくとも1つのアンテナ素子のためのグランドプレーンを形成するための前記第2の表面に隣接する第1のメタライゼーション層とを備え、前記第1のメタライゼーション層には第1の開口部が形成されている、アンテナ基板を形成すること(S1102)と、
前記アンテナ基板の前記第1の表面に少なくとも1つのアンテナ素子を取り付けること(S1108)と、
対向する第3及び第4の表面を有する少なくとも1つの第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層を通して延在する少なくとも1つのビアと、前記第1のメタライゼーション層と併せて放射シールドの少なくとも一部を形成するための前記第3の表面に隣接した第2のメタライゼーション層とを備え、前記第2のメタライゼーション層には前記第1の開口部と位置合わせされた第2の開口部があり、少なくとも1つの信号ビアが前記第2の開口部内に、前記第2の誘電体層を通して延在する第1の端部を有する、ベース基板を形成すること(S1104)と、
前記信号ビアと前記アンテナ基板との間の前記第1及び第2の開口部内の結合素子を少なくとも接続することによって前記アンテナ基板を前記ベース基板に取り付け、前記第1のメタライゼーション層を前記第2のメタライゼーション層に取り付けること(S1110)と、
少なくとも1つの無線周波数集積回路(RFIC)を前記ベース基板の前記第4の表面に取り付け、前記少なくとも1つの信号ビアに電気的に接続すること(S1112)とを含み、
前記第1のメタライゼーション層を前記第2のメタライゼーション層に前記取り付けることが、導電性接着剤充填材料層(60、365)を用いて前記第1のメタライゼーション層を前記第2のメタライゼーション層に接着することによって行われる、方法(1100)。
【請求項31】
前記第1のメタライゼーション層、前記第2のメタライゼーション層、及び前記導電性接着剤によって形成されたそれらの間の層が、前記少なくとも1つのRFICに対する放射線シールドを形成する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記導電性接着剤がはんだキャップである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1及び第2のメタライゼーション層の各々を金属柱ビルドアッププロセスによって形成することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記金属柱ビルドアッププロセスが、
前記第1又は第2の誘電体層の表面に銅シード層を形成することと、
フォトレジストを使用して銅柱及び前記第1又は第2のメタライゼーション層の周囲を定義することと、
前記銅シード層上に銅を電気めっきすることと、
前記電気めっきされた銅上にニッケル拡散バリアを形成することと、
前記ニッケル拡散バリア上にはんだキャップを形成することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1及び第2のメタライゼーション層の各々が、銅ビルドアッププロセスを用いて少なくとも50μmの厚さで形成される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記アンテナ基板が前記ベース基板に取り付けられた後、前記第1及び第2のメタライゼーション層の間の領域に液体充填材を挿入し、充填材を硬化させることによって、前記第1及び第2のメタライゼーション層が導電性接着剤充填材料層を用いて互いに取り付けられる、請求項30に記載の方法。
【国際調査報告】