(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】炎症を治療するための組成物
(51)【国際特許分類】
C07H 19/048 20060101AFI20241226BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20241226BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241226BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20241226BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241226BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20241226BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241226BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241226BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241226BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241226BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20241226BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241226BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20241226BHJP
C07F 9/09 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C07H19/048 CSP
A61K31/675
A61P29/00
A61P11/06
A61P11/00
A61P17/06
A61P17/00
A61P37/08
A61P1/04
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/10
A61P13/12
A61K31/706
C07F9/09 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537336
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022053680
(87)【国際公開番号】W WO2023122190
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518033082
【氏名又は名称】メトロ インターナショナル バイオテック,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッキーリン,ジェームズ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】リビングストン,デヴィッド,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェリー,カレン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
4H050
【Fターム(参考)】
4C057CC03
4C057DD01
4C057LL05
4C057LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA38
4C086EA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA62
4C086ZA68
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
(57)【要約】
炎症を治療するための新規の組成物及び方法が本明細書に開示される。前述の方法に有用な薬剤を特定するための方法も本明細書に記載される。本発明は、NAD+前駆体又はNAD+生合成に関与する薬剤などのNAD+レベルも増加させ得る薬剤を投与することによって炎症に関連する障害を治療及び予防するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される構造を有する化合物であって、
【化1】
式中、
Qが、H又はリン酸基(-PO(OH)
2若しくは-PO(OH)(O
-))であり、
Yが、-NH-又は-O-であり、
L
2が、(C1-6)アルキレン又は
【化2】
(式中、L
2aがアルキレンであり、R
1が各々独立して、OH、O
-、O-アルキル、NH-アルキル、又はアルキルであり、ZがO又はNHであり、nが0又は1であり、*が酸素原子への結合点であり、**がDへの結合点である)であるか、又は
Y及びL
2が不在であり、
Dが、任意選択的に置換されたキサンチンである、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Yが-O-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが-HN-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
L
2aが(C1-3)アルキレンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
L
2aがC3アルキレンである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
1が各々、OH又はO
-である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Zが各々、Oである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
nが1である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
nが0である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Y及びL
2が不在である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
L
2が(C1-6)アルキレン又は(C1-3)アルキレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式(II)で表される構造を有する化合物であって、
【化3】
式中、
Xが、NH
2又はOH又はO
-であり、
L
1が
【化4】
(式中、R
1が各々独立して、OH、O
-、O-アルキル、NH-アルキル、又はアルキルであり、ZがO又はNHであり、nが0又は1であり、*が酸素原子への結合点であり、**がDへの結合点である)であり、
Dが、任意選択的に置換されたキサンチンである、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
XがOH又はO
-である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
XがNH
2である、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
R
1が各々、OH又はO
-である、請求項12~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Zが各々、Oである、請求項12~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
nが1である、請求項12~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
nが0である、請求項12~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
Dが抗炎症薬である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
Dが置換キサンチンである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
Dがメチルキサンチンである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
前記メチルキサンチンが、カフェイン、テオブロミン、又はテオフィリンである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
前記メチルキサンチンがテオブロミンである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
Dが、キサンチン環の1位でL
1又はL
2に結合している、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
Dが、キサンチン環の3位でL
1又はL
2に結合している、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
Dが、キサンチン環の7位でL
1又はL
2に結合している、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
Dが式(III)で表され、
【化5】
式中、
R
1、R
2、R
3、及びR
4が各々独立して、H、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C(=O)(C1-6)アルキル、C(=O)(O)(C1-6)アルキル、不在、又はLへの結合点であるが、但し、R
1、R
2、R
3、及びR
4のうちの1つが結合点であることを条件とし、かつR
4が不在でない場合、又はLへの結合点である場合、それが結合している窒素が正電荷を帯びていることを更に条件とし、
R
5が、H、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はNR
6R
7であり、
R
6及びR
7が各々独立して、H、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、又はアリールである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
R
1及びR
3が各々独立して、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C(=O)(C1-6)アルキル、C(=O)(O)(C1-6)アルキル、又はLへの結合点である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
R
1、R
2、及びR
3が各々独立して、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C(=O)(C1-6)アルキル、C(=O)(O)(C1-6)アルキル、又は結合点である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
R
1、R
2、R
3、及びR
4が各々独立して、H、(C1-6)アルキル、又は不在である、請求項27に記載の化合物。
【請求項31】
R
1、R
2、R
3、及びR
4のうちの少なくとも1つが(C1-6)アルキルである、請求項27~30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
R
1、R
2、R
3、及びR
4のうちの少なくとも1つが-C(O)CH
3で置換された(C1-6)アルキルである、請求項27~31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
R
1、R
2、R
3、及びR
4のうちの少なくとも1つがメチルである、請求項27~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
R
4が、H又は不在である、請求項27~33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
R
5が、H又は(C1-6)アルキルである、請求項27~34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
R
5がHである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
R
1がLへの結合点である、請求項27~36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
R
1がL
2又はL
1への結合点であり、R
2がCH
3であり、R
3がCH
3であり、R
4が不在であり、R
5がHである、請求項27に記載の化合物。
【請求項39】
以下:
【化6】
のうちのいずれか1つの構造を有する、請求項1に記載の化合物、
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
先行請求項のいずれか一項に記載の化合物の薬学的に許容される塩であって、前記塩が、H
+、Li
+、Na
+、K
+、Mg
2+、及びCa
2+から選択されるカチオンを含む、薬学的に許容される塩。
【請求項41】
先行請求項のいずれか一項に記載の化合物の薬学的に許容される塩であって、前記塩が、酢酸塩、トリフレート、ハロゲン化物、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、H
2PO
4
-、HPO
4
2-、OH
-、HSO
4
-、SO
4
2-、NO
3
-、HCO
3
-、及びCO
3
2-から選択されるアニオンを含む、薬学的に許容される塩。
【請求項42】
先行請求項のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項43】
前記薬学的に許容される賦形剤が、抗接着剤、結合剤、コーティング、染料、崩壊剤、香味剤、流動促進剤、滑沢剤、防腐剤、吸着剤、甘味料、分散剤、希釈剤、充填剤、造粒剤、コーティング剤、ワックス、懸濁剤、湿潤剤、ビヒクル、液体担体、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記組成物が、錠剤、丸剤、カプセル、カプレット、トローチ、顆粒剤、粉末剤、サシェ、乾燥粉末剤吸入形態、チュアブル、パスティーユ、及びロゼンジから選択される固体形態である、請求項43に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
前記組成物が錠剤の形態である、請求項44に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
請求項1~41のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される塩のうちの1つ以上が、約0.001重量%~約90重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項42~45のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
対象における炎症を治療する方法であって、前記対象に、請求項1~41のいずれか一項に記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は請求項42~46のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項48】
前記炎症がホスホジエステラーゼによって媒介される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記炎症が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、狼瘡、急性腎障害(AKI)、慢性腎疾患、又は神経炎症の症状又は原因である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
対象における急性腎障害を治療する方法であって、前記対象に、請求項1~41のいずれか一項に記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は請求項42~46のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項51】
対象におけるNAD+を増加させる方法であって、前記対象に、請求項1~41のいずれか一項に記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は請求項42~46のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項52】
前記化合物、前記薬学的に許容される塩、及び/又は前記薬学的組成物が経口投与される、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記経口投与が外来診療の場で起こる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が前記経口投与を行う、請求項52又は53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、全ての目的のために参照により全体が本明細書に組み込まれる、2021年12月22日に出願された米国仮出願第63/292,672号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は、必須の代謝補因子である。最近の研究では、NADレベルが年齢とともにある特定の哺乳類疾患状態において低下し、かつ治療的に増加するNADレベルが健康上の利益を有することが示されている。しかしながら、NADは細胞内代謝物であり、外部補給に容易には適さない。NADの自然合成に前駆体を利用することがNADを増加させる効果的な方法であり得ることが示唆されている。
【0003】
NADを増加させるために投与することができる2つの例示的な前駆体は、NADに直接合成されるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)及びNADが再生利用されてNMNになるニコチンアミドリボシド(NR)である。NMN又はNRの既知の食事源又は環境源は存在しない。したがって、これらの前駆体を薬物又は栄養補助剤として使用するためには、それらが製造されなければならない。
【0004】
β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)などのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)ブースト化合物は、近年、加齢性変性変化、例えば、加齢性肥満、加齢性血液脂質レベル増加、加齢性インスリン感受性低下、加齢性記憶機能低下、及び黄斑変性などの加齢性眼機能変化を含むが、これらに限定されない多種多様の疾患及び状態の治療、改善、緩和、減速、停止、予防、及び/又は逆転における使用で注目を集めている。
【発明の概要】
【0005】
キサンチン部分、又はキサンチン部分の類似体、及び兆候の中でもとりわけ炎症の治療のための投与に提供される追加の部分を含む化合物が本明細書に開示される。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(I)で表される構造を有する化合物であって、
【化1】
式中、
Qが、H又はリン酸基(-PO(OH)
2若しくは-PO(OH)(O
-))であり、
Yが、-NH-又は-O-であり、
L
2が、(C1-6)アルキレン又は
【化2】
(式中、L
2aがアルキレンであり、R
1が各々独立して、OH、O
-、O-アルキル、NH-アルキル、又はアルキルであり、ZがO又はNHであり、nが0又は1であり、*が酸素原子への結合点であり、**がDへの結合点である)であるか、又は
Y及びL
2が不在であり、
Dが、任意選択的に置換されたキサンチンである、化合物、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0007】
様々な実施形態では、化学変数は、本明細書で更に定義されるとおりである。
【0008】
様々な実施形態では、本開示は、先行条項のうちのいずれか1つに記載の化合物の薬学的に許容される塩であって、当該塩が、H+、Li+、Na+、K+、Mg2+、及びCa2+から選択されるカチオンを含む、薬学的に許容される塩に関する。様々な実施形態では、本開示は、先行条項のうちのいずれか1つに記載の化合物の薬学的に許容される塩であって、当該塩が、酢酸塩、トリフレート、ハロゲン化物、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、H2PO4
-、HPO4
2-、OH-、HSO4
-、SO4
2-、NO3
-、HCO3
-、及びCO3
2-から選択されるアニオンを含む、薬学的に許容される塩に関する。
【0009】
先行条項のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物も本明細書に開示される。様々な実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、抗接着剤、結合剤、コーティング、染料、崩壊剤、香味剤、流動促進剤、滑沢剤、防腐剤、吸着剤、甘味料、分散剤、希釈剤、充填剤、造粒剤、コーティング剤、ワックス、懸濁剤、湿潤剤、ビヒクル、液体担体、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0010】
様々な実施形態では、本組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、カプレット、トローチ、顆粒剤、粉末剤、サシェ、乾燥粉末剤吸入形態、チュアブル、パスティーユ、及びロゼンジから選択される固体形態である。上記の条項のうちのいずれか1つに記載の薬学的組成物であって、当該化合物及び当該薬学的に許容される塩のうちの1つ以上が、約0.001重量%~約90重量%の量で当該組成物中に存在する、薬学的組成物が更に本明細書に記載される。
【0011】
炎症の治療を必要とする対象における炎症を治療する方法であって、当該対象に、上記の条項のうちのいずれか1つに記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は上記の条項のうちのいずれか1つに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法を含む様々な治療方法も本明細書に開示される。様々な実施形態では、炎症は、ホスホジエステラーゼによって媒介される。様々な実施形態では、炎症は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、狼瘡、急性腎障害(AKI)、慢性腎疾患、又は神経炎症に関連している。対象における急性腎障害を治療する方法であって、当該対象に、上記の条項のうちのいずれか1つに記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は上記の条項のうちのいずれか1つに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法も本明細書に開示される。対象におけるNAD+を増加させるための治療方法であって、当該対象に、上記の条項のうちのいずれか1つに記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は上記の条項のうちのいずれか1つに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法も本明細書に開示される。様々な治療方法において、当該化合物、当該薬学的に許容される塩、及び/又は当該薬学的組成物は、経口投与される。様々な実施形態では、経口投与は、外来診療の場で起こる。様々な実施形態では、対象が経口投与を行う。
【0012】
いくつかの実施形態では、当該化合物は、1日当たり約100mg~約4グラムの用量で投与される。いくつかの実施形態では、当該化合物は、1日当たり約500mg~約2グラムの用量で投与される。いくつかの実施形態では、当該化合物は、1日1回、1日2回、1日3回、及び1日4回から選択される1日用量レジメンで投与される。いくつかの実施形態では、当該化合物は、最大5日間(境界値も含む)の期間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、当該化合物は、5日間を超える期間にわたって投与される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例B1に完全に記載される、化合物によるPDE4阻害の特異性を評価するために行われた研究からの結果を提供する。Y軸は、処理なしと比較した相対的PDE4活性を提供する(相対スケールでは阻害剤なし=1.0)。IBMXは、3-イソブチル-1,7-ビスメチル-キサンチンである。RLPMは、ロリプラムである。NRClは、ニコチンアミドリボシドクロリドである。 列1~4の対照:1)阻害剤なし、2)水、3)RLPM 60マイクロモル、4)IBMX 60マイクロモル。 0.6mMでの列5~11:5)テオフィリン、6)カフェイン、7)比較化合物、8)NRCl、9)化合物3、10)化合物1、11)化合物6。 6mMでの列12~18:12)テオフィリン、13)カフェイン、14)比較化合物、15)NRCl、16)化合物3、17)化合物1、18)化合物6。
【
図2】実施例B2に完全に記載される、急性腎障害(AKI)のシスプラチン誘導モデルからの結果を提供する。本試験からの読み出しは、(a)胆道尿窒素(BUN)、(b)血清クレアチニン(Cr)、(c)尿細管壊死について評価及び等級付けした腎臓切片の組織病理学、並びに(d)腎臓中のNAD濃度であった。(a)~(d)の各々において、列1はシスプラチンのみであり、列2はナイアシンアミド(Nam)であり、列3はニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)であり、列4は化合物4であった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示の技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、別段の指定がない限り、以下にそれらに帰属する意味を有する。
【0015】
本開示において、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含有すること(containing)」、及び「有すること(having)」などは、米国特許法で帰される意味を有することができ、「含む(includes)」、「含むこと(including)」を意味することができ、「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「本質的になる(consists essentially)」なども同様に、米国特許法で帰される意味を有し、この用語は、オープンエンドであり、列挙されるものの基本的な又は新規な特徴が、列挙されているもの以上の存在によって変化しない限り、列挙されるもの以上の存在を許すが、先行技術の実施形態は除外される。
【0016】
本明細書で示される範囲は、その範囲内の全ての値の略記であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群からの任意の数、数値の組み合わせ、又は部分範囲を含むと理解される。
【0017】
値及び範囲が本明細書に提供される場合はいつでも、これらの値及び範囲によって包含される全ての値及び範囲が、本発明の範囲内に包含されることを意味することを理解されたい。更に、これらの範囲内に入る全ての値、並びにある範囲の値の上限又は下限もまた、本出願によって企図される。
【0018】
「a」又は「an」実体という語句は、本明細書で使用される場合、1つ以上のその実体を指し、例えば、化合物(a compound)は、1つ以上の化合物又は少なくとも1つの化合物を指す。したがって、「a」(又は「an」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において互換的に使用されることができる。
【0019】
具体的に記載されていない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当該技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均値の2標準偏差以内として理解される。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内であると理解することができる。文脈から別途明確でない限り、本明細書に提供される全ての数値は、約という用語によって修正される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、その後に説明される事象又は状況が発生し得るが、発生する必要はなく、説明は、事象又は状況が発生する事例及び発生しない事例を含むことを意味する。例えば、「任意選択的な結合」とは、結合が存在しても存在しなくてもよく、かつその記載が単結合、二重結合、又は三重結合を含むことを意味する。
【0021】
本明細書に記載される「精製された」という用語は、所与の化合物の純度を指す。例えば、所与の化合物が組成物の主要成分である、すなわち、少なくとも約50w/w%純粋である場合、化合物は「精製された」ものである。したがって、「精製された」は、少なくとも約50w/w%の純度、少なくとも約60w/w%の純度、少なくとも約70%の純度、少なくとも約80%の純度、少なくとも約85%の純度、少なくとも約90%の純度、少なくとも約92%の純度、少なくとも約94%の純度、少なくとも約96%の純度、少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、少なくとも約99%の純度、少なくとも約99.5%の純度、及び少なくとも約99.9%の純度を包含し、「実質的に純粋」は、少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、少なくとも約99%の純度、少なくとも約99.5%の純度、及び少なくとも約99.9%の純度を包含する。
【0022】
本明細書に記載される「代謝物」という用語は、対象への投与後にインビボで産生される化合物を指す。
【0023】
本明細書に記載される「塩」という用語は、プロトン受容部分のプロトン化及び/又はプロトン供与部分の脱プロトン化によって生成され得る、カチオン及びアニオンを含む化合物を指す。プロトン受容部位のプロトン化により、生理学的アニオンの存在によって電荷が平衡化されているカチオン性種の形成がもたらされる一方で、プロトン供与部分の脱プロトン化により、生理学的カチオンの存在によって電荷が平衡化されているアニオン性種の形成がもたらされることに留意されたい。
【0024】
「薬学的に許容される塩」という語句は、薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸で形成された酸付加塩、若しくはグリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、サリチル酸、ムコン酸などの有機酸で形成された酸付加塩、又は(2)上に列記される無機酸のうちのいずれかの共役塩基で形成された塩基付加塩であって、当該共役塩基が、Na+、Mg2+、Ca2+、NHgR4-g
+(式中、RがC1-3アルキルであり、gが0、1、2、3、若しくは4から選択される数である)の中から選択されるカチオン性成分を含む、塩基付加塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩への全ての言及が、同じ酸付加塩の本明細書に定義される溶媒付加形態(溶媒和物)又は結晶形態(多形)を含むことを理解されたい。
【0025】
本発明は、代謝物、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、塩、具体的には薬学的に許容される塩、及び/又は共沈殿物などの本発明の化合物の有用な形態も含む。
【0026】
本発明の化合物は、水和物として、又は溶媒和物として存在することができ、この場合、本発明の化合物は、例えば、本化合物の結晶格子の構造要素として、極性溶媒の分子、特に水、メタノール、又はエタノールを含む結晶を形成する。極性溶媒の分子、特に水は、本化合物の分子と化学量論的又は非化学量論的な比率で存在し得る。化学量論的溶媒和物、例えば、水和物の場合、それぞれ、半、(半)、モノ、セスキ、ジ、トリ、テトラ、ペンタなどの溶媒和物又は水和物が可能である。本発明は、かかる全ての水和物又は溶媒和物を含む。
【0027】
更に、本発明の化合物が遊離形態で存在すること、例えば、遊離塩基として、若しくは遊離酸として、若しくは双性イオンとして存在すること、又は塩の形態で存在することが可能である。当該塩は、有機付加塩又は無機付加塩のいずれかの任意の塩であってもよく、具体的には、薬学で慣習的に使用されるか、又は例えば本発明の化合物を単離若しくは精製するために使用される、任意の薬学的に許容される有機付加塩又は無機付加塩であってもよい。
【0028】
投与が企図される「対象」という用語としては、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性若しくは女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、子供、青少年)若しくは成人対象(例えば、若年成人、中年成人若しくは高齢成人))並びに/又は他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/若しくはイヌなどの商業上関連する哺乳動物を含む哺乳動物、並びに/又はニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、及び/若しくはシチメンチョウなどの商業上関連する鳥が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
「治療」、「治療すること」、「緩和すること」、及び「改善すること」という用語は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、治療的利益及び/又は予防的利益を含むが、これらに限定されない有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを指す。治療的利益とは、治療される基礎となる障害の根絶又は改善を意味する。また、治療的利益は、患者は依然として基礎障害に罹患している可能性があるが患者において改善が観察されるような基礎障害に関連する生理学的症状のうちの1つ以上の根絶又は改善で達成される。予防的利益の場合、薬学的化合物及び/又は組成物は、疾患の診断がなされていない場合でも、特定の疾患を発症するリスクのある患者、又は疾患の生理学的症状のうちの1つ以上を報告する患者に投与することができる。
【0030】
「調製物」又は「剤形」という用語は、活性化合物の固体製剤及び液体製剤の両方を含むよう意図されており、当業者であれば、所望の用量及び薬物動態パラメータに応じて、活性成分が異なる調製物中に存在する可能性があることを理解するであろう。
【0031】
「賦形剤」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的組成物を調製するために使用され、かつ一般に安全であり、非毒性であり、かつ生物学的にも別様にも望ましくないものではない化合物を指し、獣医学的使用にもヒト薬学的使用にも許容される賦形剤を含む。
【0032】
「最小有効用量」(MED)という用語は、本明細書で使用される場合、平均有効性において臨床的に有意な応答を提供し、かつプラセボによって提供される応答よりも統計的に有意に優れている医薬品の最小用量レベルを指す。
【0033】
「治験審査委員会」又は「IRB」という用語は、本明細書で使用される場合、倫理的であることを確認するための研究に対して提案された方法を審査することによって研究倫理を適用する委員会の種類を指す。
【0034】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題若しくは合併症を引き起こすことなく、対象の組織と接触して使用するのに適しており、かつ合理的なベネフィット/リスク比に見合った化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために使用される。
【0035】
「薬学的に許容される担体」という語句は、本明細書で使用される場合、液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、又は封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、対象に有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能することができる材料のいくつかの例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース、(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン、(3)セルロース及びその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロース、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、ココアバター及び坐剤ワックス、(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張生理食塩水、(18)リンガー溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸塩緩衝溶液、並びに(21)薬学的製剤に用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられる。
【0036】
「アシル」という用語は、当該技術分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)-、好ましくはアルキルC(O)-で表される基を指す。
【0037】
「アシルアミノ」という用語は、当該技術分野で認識されており、アシル基で置換されたアミノ基を指し、例えば、式ヒドロカルビルC(O)NH-で表され得る。
【0038】
「アシルオキシ」という用語は、当該技術分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)O-、好ましくはアルキルC(O)O-で表される基を指す。
【0039】
「アルコキシ」という用語は、それに結合した酸素を有するアルキル基、好ましくは低級アルキル基を指す。代表的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシなどを含む。
【0040】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基を指し、一般式アルキル-O-アルキルで表され得る。
【0041】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの二重結合を含む脂肪族基を指し、「非置換アルケニル」及び「置換アルケニル」の両方を含むことを意図し、後者は、アルケニル基の1個以上の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルケニル部分を指す。そのような置換基は、1つ以上の二重結合に含まれるか、又は含まれない1つ以上の炭素上で生じ得る。更に、そのような置換基には、安定性が禁制的である場合を除いて、以下で考察されるように、アルキル基に対して企図される全ての置換基が含まれる。例えば、1つ以上のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が企図される。
【0042】
「アルキル」基又は「アルカン」は、完全に飽和した直鎖状又は分岐状の非芳香族炭化水素である。典型的には、直鎖状又は分岐状のアルキル基は、別段の定義がない限り、1~約20個の炭素原子、好ましくは1~約10個の炭素原子を有する。直鎖状及び分岐状のアルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、及びオクチルが挙げられる。C1-C6直鎖状又は分岐状アルキル基は、「低級アルキル」基とも称される。
【0043】
更に、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲を通して使用される「アルキル」(又は「低級アルキル」)という用語は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を含むことが意図され、後者は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上に水素を置き換える置換基を有するアルキル部分を指す。そのような置換基は、別段の指定がない場合、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、又はチオホルメートなど)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、又は芳香族若しくは複素芳香族部分を含むことができる。適切であれば、炭化水素鎖上で置換された部分自体が置換され得ることが当業者には理解されるであろう。例えば、置換アルキルの置換基は、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイル及びスルホネートを含む)、並びにシリル基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、及びエステルを含む)、-CF3、-CNなどの置換及び非置換形態を含み得る。例示的な置換アルキルを以下に記載する。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、-CF3、-CNなどで更に置換されていてもよい。
【0044】
「Cx-y」という用語は、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアルコキシなどの化学部分と組み合わせて使用される場合、鎖中にx~y個の炭素を含有する基を含むことを意味する。例えば、「Cx-yアルキル」という用語は、例えば、トリフルオロメチル及び2,2,2-トリフルオロエチルなどのハロアルキル基を含む、鎖中にx~y個の炭素を含有する直鎖アルキル及び分岐鎖アルキル基を含む、置換又は非置換の飽和炭化水素基を指す。C0アルキルは、基が末端位置にある水素、内部であれば結合を示す。「C2-yアルケニル」及び「C2-yアルキニル」という用語は、上記のアルキルと長さ及び可能な置換が類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む置換又は非置換不飽和脂肪族基を指す。
【0045】
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基を指す。
【0046】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書で使用される場合、アルキル基で置換されたチオール基を指し、一般式アルキルS-で表され得る。
【0047】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの三重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルキニル」及び「置換アルキニル」の両方を含むことが意図され、後者は、アルキニル基の1つ以上の炭素上に水素を置き換える置換基を有するアルキニル部分を指す。そのような置換基は、1つ以上の三重結合に含まれるか、又は含まれない1つ以上の炭素上で生じ得る。更に、そのような置換基には、安定性が禁制的である場合を除いて、上で考察されたように、アルキル基に対して企図される全ての置換基が含まれる。例えば、1つ以上のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が企図される。
【0048】
「アミド」という用語は、本明細書で使用される場合、以下の基を指し、
【化3】
式中、R
30は各々独立して、水素若しくはヒドロカルビル基を表すか、又は2つのR
30は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0049】
「アミン」及び「アミノ」という用語は、当該技術分野で認識されており、非置換及び置換アミンの両方、並びにそれらの塩、例えば、以下で表され得る部分を指し、
【化4】
又は式中、R
31は各々独立して、水素若しくはヒドロカルビル基を表すか、又は2つのR
31は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成させる。「アミノアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、アミノ基で置換されたアルキル基を指す。
【0050】
「アラルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、アリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0051】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、環の各原子が炭素である置換又は非置換の単環芳香族基を含む。好ましくは、環は5~7員環、より好ましくは6員環である。また、「アリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環で共通している2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、環のうちの少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであり得る。アリール基は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどを含む。
【0052】
「カルバメート」という用語は、当該技術分野で認識されており、以下の基を指し、
【化5】
式中、R
32及びR
33は独立して、水素若しくはアルキル基などのヒドロカルビル基を表すか、又はR
32及びR
33は、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0053】
「炭素環」及び「炭素環式」という用語は、本明細書で使用される場合、環の各原子が炭素である飽和環又は不飽和環を指す。炭素環という用語は、芳香族炭素環及び非芳香族炭素環の両方を含む。非芳香族炭素環としては、全ての炭素原子が飽和しているシクロアルカン環、及び少なくとも1つの二重結合を含有するシクロアルケン環の両方が挙げられる。
【0054】
「炭素環」という用語は、5~7員単環式及び8~12員二環式環を含む。二環式炭素環の各環は、飽和環、不飽和環、及び芳香族環から選択され得る。炭素環は、2つの環の間で1つ、2つ又は3つ以上の原子が共有される二環式分子を含む。「縮合炭素環」という用語は、環の各々が他方の環と2つの隣接する原子を共有する二環式炭素環を指す。縮合炭素環の各環は、飽和環、不飽和環、及び芳香族環から選択され得る。例示的な実施形態では、芳香族環、例えば、フェニルは、飽和環又は不飽和環、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、又はシクロヘキセンに融合され得る。価が許す限り、飽和、不飽和及び芳香族の二環式環の任意の組み合わせが炭素環式の定義に含まれる。例示的な「炭素環」としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5-シクロオクタジエン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクト-3-エン、ナフタレン、及びアダマンタンが挙げられる。例示的な縮合炭素環としては、デカリン、ナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インデン、及びビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エンが挙げられる。「炭素環」は、水素原子を有し得る任意の1つ以上の位置で置換され得る。
【0055】
「シクロアルキル」基は、完全に飽和した環式炭化水素である。「シクロアルキル」には、単環式及び二環式の環が含まれる。典型的には、単環式シクロアルキル基は、別途定義されない限り、3~約10個の炭素原子、より典型的には3~8個の炭素原子を有する。二環式シクロアルキルの第2の環は、飽和環、不飽和環、及び芳香族環から選択され得る。シクロアルキルは、2つの環の間で1つ、2つ又は3つ以上の原子が共有される二環式分子を含む。「縮合シクロアルキル」という用語は、環の各々が他方の環と2つの隣接する原子を共有する二環式シクロアルキルを指す。縮合二環式シクロアルキルの第2の環は、飽和環、不飽和環、及び芳香族環から選択され得る。「シクロアルケニル」基は、1つ以上の二重結合を含有する環式炭化水素である。
【0056】
「カルボシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0057】
「カーボネート」という用語は、当該技術分野で認識されており、基-OCO2-R34を指し、式中、R34はヒドロカルビル基を表す。
【0058】
「カルボキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、式-CO2Hで表される基を指す。
【0059】
「エステル」という用語は、本明細書で使用される場合、基-C(O)OR35を指し、式中、R35はヒドロカルビル基を表す。
【0060】
「エーテル」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素を介して別のヒドロカルビル基に連結されたヒドロカルビル基を指す。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル-O-であり得る。エーテルは、対称又は非対称のいずれであってもよい。エーテルの例としては、複素環-O-複素環及びアリール-O-複素環が挙げられるが、これらに限定されない。エーテルとしては、一般式アルキル-O-アルキルで表され得る「アルコキシアルキル」基が挙げられる。
【0061】
「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを含む。
【0062】
「ヘタラルキル」及び「ヘテロアラルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、ヘタリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0063】
「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子の飽和又は不飽和鎖を指し、2つのヘテロ原子は隣接していない。
【0064】
「ヘテロアリール」及び「ヘタリール」という用語は、置換又は非置換の芳香族単環構造、好ましくは5~7員環、より好ましくは5~6員環を含み、その環構造は、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1~4つのヘテロ原子、より好ましくは1つ又は2つのヘテロ原子を含む。また、「ヘテロアリール」及び「ヘタリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環で共通している2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、環のうちの少なくとも1つは、複素芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであり得る。ヘテロアリール基は、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどを含む。
【0065】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素又は水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄である。
【0066】
「ヘテロシクリル」、「複素環」、及び「複素環式」という用語は、置換又は非置換の非芳香族環構造、好ましくは3~10員環、より好ましくは3~7員環を指し、その環構造は、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1~4つのヘテロ原子、より好ましくは1つ又は2つのヘテロ原子を含む。また、「ヘテロシクリル」及び「複素環式」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環で共通している2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、環のうちの少なくとも1つは複素環式であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基として、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
【0067】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、複素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0068】
「ヒドロカルビル」という用語は、本明細書で使用される場合、=O又は=S置換基を有さず、典型的には少なくとも1つの炭素-水素結合及び主に炭素骨格を有するが、任意選択的にヘテロ原子を含み得る炭素原子を介して結合される基を指す。したがって、メチル、エトキシエチル、2-ピリジル、及びトリフルオロメチルなどの基は、本出願の目的ではヒドロカルビルとみなされるが、アセチル(連結している炭素上に=O置換基を有する)及びエトキシ(炭素ではなく酸素を介して連結される)などの置換基は、ヒドロカルビルではない。ヒドロカルビル基には、アリール、ヘテロアリール、炭素環、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指す。
【0070】
「低級」という用語は、化学部分、例えば、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアルコキシと併用する場合、置換基中に10個以下、好ましくは6個以下の非水素原子が存在する基を含むことを意味する。「低級アルキル」は、例えば、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基を指す。特定の実施形態では、本明細書で定義されるアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアルコキシ置換基は、単独で現れるか、又はヒドロキシアルキル及びアラルキルなどの他の置換基と組み合わせて現れるかにかかわらず、それぞれ、低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、又は低級アルコキシである(この場合、例えば、アリール基内の原子は、アルキル置換基中の炭素原子をカウントする際に、カウントされない)。
【0071】
「ポリシクリル」、「多環」、及び「多環式」という用語は、2つ以上の原子が2つの隣接する環で共通しており、例えば、環が「縮合環」である、2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリル)を指す。多環の環の各々は、置換又は非置換であり得る。特定の実施形態では、多環の各環は、環内に3~10個の原子、好ましくは5~7個の原子を含有する。
【0072】
「シリル」という用語は、3つのヒドロカルビル部分が結合したシリコン部分を指す。
【0073】
「置換された」という用語は、骨格の1つ以上の炭素上に水素を置き換える置換基を有する部分を指す。「置換」又は「で置換された」は、そのような置換が、置換される原子及び置換基の許容される原子価に従い、かつその置換が、安定した化合物、例えば再配列、環化、脱離などによる転換を自然発生的には受けない化合物をもたらすという暗黙の条件を含むことが理解されるであろう。「置換された」という用語は、本明細書で使用される場合、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが企図される。広い観点では、許容される置換基としては、有機化合物の非環式及び環式、分岐及び非分岐、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族置換基が挙げられる。許容される置換基は、1つ以上で、同じ又は異なる適切な有機化合物であり得る。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の価を満たす本明細書に記載の有機化合物の水素置換基及び/又は任意の許容される置換基を有し得る。置換基は、本明細書に記載の任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、又はチオホルメートなど)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、又は芳香族若しくは複素芳香族部分を含むことができる。適切であれば、置換基自体が置換され得ることは、当業者には理解されるであろう。「非置換」と具体的に記載されない限り、本明細書における化学部分への言及は、置換バリアントを含むと理解される。例えば、「アリール」基又は部分への言及は、置換及び非置換バリアントの両方を暗黙的に含む。
【0074】
「スルフェート」という用語は、当該技術分野で認識されており、基-OSO3H、又はその薬学的に許容される塩を指す。
【0075】
「スルホンアミド」という用語は、当該技術分野で認識されており、以下の一般式で表される基を指し、
【化6】
式中、R
36及びR
37は独立して、水素若しくはアルキルなどのヒドロカルビルを表すか、又はR
36及びR
37は、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0076】
「スルホキシド」という用語は、当該技術分野で認識されており、基-S(O)-R38を指し、式中、R38はヒドロカルビルを表す。
【0077】
「スルホネート」という用語は、当該技術分野で認識されており、基SO3H、又はその薬学的に許容される塩を指す。
【0078】
「スルホン」という用語は、当該技術分野で認識されており、基-S(O)2-R39を指し、式中、R39はヒドロカルビルを表す。
【0079】
「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、チオール基で置換されたアルキル基を指す。
【0080】
「チオエステル」という用語は、本明細書で使用される場合、基-C(O)SR40又は-SC(O)R40を指し、式中、R10はヒドロカルビルを表す。
【0081】
「チオエーテル」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素が硫黄で置き換えられるエーテルと同等である。
【0082】
「キサンチン」とは、R
1、R
2、及びR
3が各々水素である以下の環構造に対応する部分を意味する。「置換キサンチン」は、以下のような様々な非限定的な置換パターンを含む、R
1位、R
2位、及びR
3位のうちのいずれか又は全てに以下のキサンチン二環式コア及び様々な置換基を有する化合物である:
【化7】
【0083】
式(I)で表される構造を有する化合物であって、
【化8】
式中、
Qが、H又はリン酸基(-PO(OH)
2若しくは-PO(OH)(O
-))であり、
Yが、-NH-又は-O-であり、
L
2が、(C1-6)アルキレン又は
【化9】
(式中、L
2aがアルキレンであり、R
1が各々独立して、OH、O
-、O-アルキル、NH-アルキル、又はアルキルであり、ZがO又はNHであり、nが0又は1であり、*が酸素原子への結合点であり、**がDへの結合点である)であるか、又は
Y及びL
2が不在であり、
Dが、任意選択的に置換されたキサンチンである、化合物、又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。
【0084】
ある特定の実施形態では、Yは、-O-である。他の実施形態では、Yは、-HN-である。ある特定の実施形態では、L2aは、(C1-3)アルキレンである。他の実施形態では、L2aは、C3アルキレンである。いくつかの実施形態では、R1は各々、OH又はO-である。ある特定の実施形態では、Zは各々、Oである。いくつかの実施形態では、nは、1である。他の実施形態では、nは、0である。ある特定の実施形態では、Y及びL2は、不在である。他の実施形態では、L2は、(C1-6)アルキレン又は(C1-3)アルキレンである。
【0085】
式(II)で表される構造を有する化合物であって、
【化10】
式中、
Xが、NH
2又はOH又はO
-であり、
L
1が
【化11】
(式中、R
1が各々独立して、OH、O
-、O-アルキル、NH-アルキル、又はアルキルであり、ZがO又はNHであり、nが0又は1であり、*が酸素原子への結合点であり、**がDへの結合点である)であり、
Dが、任意選択的に置換されたキサンチンである、化合物、又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。
【0086】
ある特定の実施形態では、Xは、OH又はO-である。他の実施形態では、Xは、NH2である。いくつかの実施形態では、R1は各々、OH又はO-である。ある特定の実施形態では、Zは各々、Oである。いくつかの実施形態では、nは、1である。他の実施形態では、nは、0である。ある特定の実施形態では、Dは、抗炎症薬である。他の実施形態では、Dは、置換キサンチンである。いくつかの実施形態では、Dは、メチルキサンチンである。ある特定の実施形態では、メチルキサンチンは、カフェイン、テオブロミン、又はテオフィリン、例えば、テオブロミンである。
【0087】
いくつかの実施形態では、Dは、キサンチン環の1位でL1又はL2に結合している。他の実施形態では、Dは、キサンチン環の3位でL1又はL2に結合している。いくつかの実施形態では、Dは、キサンチン環の7位でL1又はL2に結合している。
【0088】
ある特定の実施形態では、Dは、式(III)で表され、
【化12】
式中、
R
1、R
2、R
3、及びR
4が各々独立して、H、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C(=O)(C1-6)アルキル、C(=O)(O)(C1-6)アルキル、不在、又はLへの結合点であるが、但し、R
1、R
2、R
3、及びR
4のうちの1つが結合点であることを条件とし、かつR
4が不在でない場合、又はLへの結合点である場合、それが結合している窒素が正電荷を帯びていることを更に条件とし、
R
5が、H、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はNR
6R
7であり、
R
6及びR
7が各々独立して、H、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、又はアリールである。
【0089】
ある特定の実施形態では、R1及びR3は各々独立して、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C(=O)(C1-6)アルキル、C(=O)(O)(C1-6)アルキル、又はLへの結合点である。他の実施形態では、R1、R2、及びR3は各々独立して、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C(=O)(C1-6)アルキル、C(=O)(O)(C1-6)アルキル、又は結合点である。
【0090】
ある実施形態では、R1、R2、R3、及びR4は各々独立して、H、(C1-6)アルキル、又は不在である。他の実施形態では、R1、R2、R3、及びR4のうちの少なくとも1つは、(C1-6)アルキルである。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、及びR4のうちの少なくとも1つは、-C(O)CH3で置換された(C1-6)アルキルである。ある特定の実施形態では、R1、R2、R3、及びR4のうちの少なくとも1つは、メチルである。
【0091】
いくつかの実施形態では、R4は、H又は不在である。ある特定の実施形態では、R5は、H又は(C1-6)アルキルである。ある特定の実施形態では、R5は、Hである。いくつかの実施形態では、R1は、Lへの結合点である。他の実施形態では、R1は、L2又はL1への結合点であり、R2は、CH3であり、R3は、CH3であり、R4は、不在であり、R5は、Hである。
【0092】
以下:
【化13】
のうちの1つの構造を有する化合物、
又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。
【0093】
本明細書に開示される化合物は、本明細書の実施例に提供される様々な具体例を用いて、当該技術分野で既知の一般的な方法に従って合成され得る。本明細書に提供される方法の修正は、一般式Iの全範囲に到達するように使用され得る。
【0094】
本明細書に開示される化合物の薬学的に許容される塩であって、当該塩が、H+、Li+、Na+、K+、Mg2+、及びCa2+から選択されるカチオンを含む、薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される塩は、酢酸塩、トリフレート、ハロゲン化物、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、H2PO4
-、HPO4
2-、OH-、HSO4
-、SO4
2-、NO3
-、HCO3
-、及びCO3
2-から選択されるアニオンを含む。
【0095】
化合物又は薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、抗接着剤、結合剤、コーティング、染料、崩壊剤、香味剤、流動促進剤、滑沢剤、防腐剤、吸着剤、甘味料、分散剤、希釈剤、充填剤、造粒剤、コーティング剤、ワックス、懸濁剤、湿潤剤、ビヒクル、液体担体、及びそれらの組み合わせから選択される。ある特定の実施形態では、本組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、カプレット、トローチ、顆粒剤、粉末剤、サシェ、乾燥粉末剤吸入形態、チュアブル、パスティーユ、及びロゼンジから選択される固体形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は、錠剤の形態である。いくつかの実施形態では、化合物及び薬学的に許容される塩のうちの1つ以上は、約0.001重量%~約90重量%の量で当該組成物中に存在する。
【0096】
対象における炎症を治療する方法であって、対象に、開示される化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を投与することを含む、方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、炎症は、ホスホジエステラーゼによって媒介される。他の実施形態では、炎症は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、狼瘡、急性腎障害(AKI)、慢性腎疾患、又は神経炎症に関連している。「に関連している」という語句は、炎症が、兆候の原因であるか、又は兆候の症状であるか、又はそれらの両方である場合を包含する。様々な実施形態では、炎症は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、狼瘡、急性腎障害(AKI)、慢性腎疾患、又は神経炎症を治療する方法が本明細書に開示される。
【0097】
対象における急性腎障害を治療する方法であって、当該対象に、上記の条項のうちのいずれか1つに記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は上記の条項のうちのいずれか1つに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法も本明細書に開示される。対象におけるNAD+を増加させるための治療方法であって、当該対象に、上記の条項のうちのいずれか1つに記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は上記の条項のうちのいずれか1つに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法も本明細書に開示される。
【0098】
ある特定の実施形態では、化合物、薬学的に許容される塩、及び/又は薬学的組成物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、経口投与は、外来診療の場で起こる。いくつかの実施形態では、対象が経口投与を行う。
【0099】
組成物及び薬学的製剤
活性成分を単独で投与することが可能であるが、薬学的製剤としてそれらを提示することが好ましい場合がある。獣医学的使用及びヒト使用の両方のための本発明の製剤は、上で定義された少なくとも1つの活性成分を、そのための1つ以上の許容される担体と一緒に含み、任意選択的に他の治療成分も含む。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに生理学的に無害であるという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0100】
いくつかの実施形態では、本組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、カプレット、トローチ、顆粒剤、粉末剤、サシェ、乾燥粉末剤吸入形態、チュアブル、パスティーユ、及びロゼンジから選択される固体形態である。ある特定の実施形態では、本組成物は、錠剤の形態である。他の実施形態では、本組成物は、硬ゼラチンカプセル又は軟ゼラチンカプセルの形態である。経口投与に好適な本発明の製剤は、所定量の活性成分を粉末剤又は顆粒剤として各々含有する、カプセル、カシェ、又は錠剤などの別個の単位として提示されてもよい。活性成分は、ボーラス、舐剤、又はペーストとして投与される場合もある。
【0101】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、抗接着剤、結合剤、コーティング、染料、崩壊剤、香味剤、流動促進剤、滑沢剤、防腐剤、吸着剤、甘味料、シロップ、エリキシル剤、分散剤、希釈剤、充填剤、造粒剤、コーティング剤、ワックス、懸濁剤、湿潤剤、増粘剤、及びビヒクル、並びにそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、賦形剤は、固体賦形剤である。
【0102】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、本組成物の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、又は少なくとも約60重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、本組成物の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、又は少なくとも約40重量%、好ましくは少なくとも約30重量%の量で存在する。他の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、本組成物の少なくとも約50重量%の量で存在する。
【0103】
本発明の化合物は、通常の慣行に従って選択することができる従来の担体及び賦形剤とともに製剤化される。錠剤は、賦形剤、流動促進剤、充填剤、結合剤などを含有することができる。全ての製剤は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(1986)に記載のものなどの賦形剤を任意選択的に含有する。好適な賦形剤は、米国食品医薬品局の不活性成分データベースにも記載されている。賦形剤としては、アスコルビン酸及び他の酸化防止剤、EDTAなどのキレート剤、デキストランなどの炭水化物、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などが挙げられる。製剤のpHは、約3~約11の範囲とすることができるが、通常は約7~約10である。
【0104】
錠剤は、任意選択的に1つ以上の補助成分を用いて、圧縮又は成形によって作製される。圧縮錠剤は、任意選択的に結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、表面活性剤、又は分散剤と混合される、粉末剤又は顆粒剤などの自由に流動する形態で活性成分を好適な機械内で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末活性成分の混合物を好適な機械内で成形することによって作製され得る。錠剤は、任意選択的にコーティング又は分割錠化されてもよく、任意選択的に、その錠剤からの活性成分の持続放出又は制御放出を提供するように製剤化される。
【0105】
本発明による薬学的製剤は、本発明による化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤と一緒に含み、任意選択的に他の治療薬も含む。活性成分を含有する薬学的製剤は、意図された投与方法に好適な任意の形態であってもよい。経口使用を意図した場合、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末剤若しくは顆粒剤、エマルジョン、硬カプセル若しくは軟カプセル、シロップ、又はエリキシルが調製され得る。経口使用を意図した組成物は、薬学的組成物の製造のための当該技術分野に既知の任意の方法に従って調製されてもよく、かかる組成物は、口当たりの良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、及び保存剤を含む1つ以上の薬剤を含有し得る。錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含有する錠剤は許容される。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム若しくはナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム若しくはナトリウム、造粒剤及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、若しくはアルギン酸、結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン若しくはアカシア、及び滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸若しくはタルクであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、又はマイクロカプセル化を含む既知の技術によってコーティングされて、胃腸管内の崩壊及び吸着を遅延させ、それにより、より長い期間にわたって持続的な作用を提供してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルのような時間遅延材料を、単独で、又はワックスとともに用いてもよい。
【0106】
経口使用のための製剤は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセルとして、又は有効成分が水若しくは油媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン、又はオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセルとして提示される場合もある。
【0107】
本発明の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤との混合物中に活性物質(複数可)を含有する。そのような賦形剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムなどの懸濁剤、並びに天然に存在するホスファチド(例えばレシチン)などの分散剤又は湿潤剤、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸に由来する部分エステル及びヘキシトール無水物との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。水性懸濁液はまた、1つ以上の防腐剤、例えば、エチル又はn-プロピルp-ヒドロキシ-ベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及び1つ以上の甘味剤、例えば、スクロース又はサッカリンを含有してもよい。
【0108】
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な本発明の分散性粉末剤及び顆粒剤は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1つ以上の防腐剤との混合物中に活性成分を提供する。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、上に開示されたものによって例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤、及び着色剤が存在する場合もある。
【0109】
単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わせてもよい活性成分の量は、治療される対象及び特定の投与様式に応じて変化する。例えば、ヒトへの経口投与を意図する時間放出型製剤は、全組成物の約5%~約95%(重量:重量)まで変動し得る適切かつ簡便な量の担体材料と混合したおよそ1~およそ1000mgの活性材料を含有し得る。薬学的組成物は、投与のために容易に測定可能な量を提供するように調製され得る。
【0110】
肺内又は経鼻投与に好適な製剤は、例えば、約0.1~約500ミクロン、例えば、約0.5、約1、約30、又は約35ミクロンなどの範囲の粒径を有し、肺胞嚢に到達するように、鼻腔を通って急速に吸入することによって、又は口を通って吸入することによって投与される。好適な製剤としては、活性成分の水溶液又は油性溶液が挙げられる。エアロゾル又は乾燥粉末剤投与に好適な製剤は、従来の方法に従って調製されてもよく、他の治療剤とともに送達されてもよい。
【0111】
製剤は、単位用量又は複数用量の容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルで提示され、使用直前に注射するために滅菌液体担体、例えば、水の添加のみを必要とする凍結させて乾燥した(凍結乾燥した)状態で保存されてもよい。即時注射溶液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末剤、顆粒剤、及び錠剤から調製される。好ましい単位投薬量製剤は、活性成分の1日用量又は1日単位の部分用量(本明細書で上に列挙される)、又はその適切な部分を含有する製剤である。
【0112】
治療方法及び化合物の投与方法
開示される化合物及びその薬学的組成物を使用するための方法が本明細書に提供される。開示される化合物及びその薬学的組成物は、例えば、炎症に関連する疾患又は障害を含む多種多様の疾患及び障害の治療及び/又は軽減を含む様々な治療用途に有用であり得る。本方法は、投与を必要とする対象に、開示される化合物及び/又はその薬学的組成物を投与することを含む。
【0113】
理論に束縛されるものではないが、ホホジエステラーゼはいくつかの炎症経路に関与していると考えられている。例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)が、環状グアノシン一リン酸(cGMP)及び環状アデノシン一リン酸(cAMP)を含む環状ヌクレオチドを分解することが報告されている。cAMP及びcGMPは、多くのシグナル伝達経路において重要な第2のメッセンジャーである。したがって、PDE4を標的とすることは、喘息、COPD、乾癬、アトピー性皮膚炎、IBD、関節リウマチ、狼瘡、急性腎障害(AKI)、慢性腎疾患、及び神経炎症を含む炎症性状態に対する有効な治療戦略であり得る。様々な実施形態では、本明細書に開示される化合物又は組成物の投与による急性腎障害(AKI)の治療方法が本明細書に提供される。
【0114】
対象における急性腎障害を治療する方法であって、当該対象に、上記の条項のうちのいずれか1つに記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は上記の条項のうちのいずれか1つに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法も本明細書に開示される。対象におけるNAD+を増加させるための治療方法であって、当該対象に、上記の条項のうちのいずれか1つに記載の化合物若しくは薬学的に許容される塩、又は上記の条項のうちのいずれか1つに記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法も本明細書に開示される。
【0115】
特に上述の成分に加えて、本発明の製剤は、問題となる製剤のタイプを考慮して、当該技術分野の従来の他の薬剤を含み得ることを理解されたい。
【実施例】
【0116】
【0117】
化合物1
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート。
【化15】
【0118】
2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)酢酸tert-ブチル。テオブロミン(8.00g、44.0mmol)、ブロモ酢酸tert-ブチル(10.64g、54.5mmol)、炭酸カリウム(12.16g、88.0mmol)、ヨウ化カリウム(7.30g、44.0mmol)、及び臭化ベンジルトリメチルアンモニウム(1.57g、4.4mmol)を100mLの一つ口丸底フラスコに充填した。磁気撹拌子を加え、その後、無水DMF(50mL)を添加し、撹拌を開始し、混合物を100℃で2時間加熱した。追加のブロモ酢酸tert-ブチル(1.06g、5.43mmol)を添加し、その後、反応物を100℃で1時間加熱した。加熱を中断し、反応物を周囲温度で一晩撹拌させた。混合物を真空中で濃縮して、ペースト状の固体を得た。ジクロロメタン(90mL)を添加し、その後、溶液を濾過し、固体を追加のジクロロメタンで洗浄した。濾液を水(2×60mL)で抽出し、その後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体から溶液をデカントし、真空中で濃縮して、濃厚な油を得た。油をヘプタンで2回粉砕し、その後、高真空下に置いて、黄褐色の固体を得た。固体を沸騰水(60mL)で処理して、油状の層及び溶液を得た。油から溶液をデカントした。冷却時に白色の固体が溶液から沈殿した。4Cで18時間静置させた後、冷溶液を濾過し、冷水で洗浄した。その後、固体をジクロロメタン中に溶解させ、層を分離した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、5.80gmのオフホワイトの固体(45%収率)を得た。
【0119】
LRMS(ESI)+ m/z:295[M+H]+.1H NMR(CDCl3)δ7.54(1H,s),4.68(2H,s),3.99(3H,s),3.60(3H,s),1.51(9H,s).
【0120】
【化16】
2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)酢酸。2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)酢酸tert-ブチル(3.00g、10.2mmol)及び97%ギ酸(10.98g、239mmol)の混合物を、磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコに入れた。反応物を55℃で18時間加熱し、その後、これを冷却し、真空中で濃縮した。結果として得られた白色の固体をジクロロメタンで洗浄し、濾過し、真空中で乾燥させて、2.35gの生成物(97%収率)を得た。
【0121】
LRMS(ESI)+ m/z:239[M+H]+.
【0122】
【化17】
2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)酢酸3-ブロモプロピル。2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)酢酸(2.35g、9.84mmol)を、24/40セプタム及び磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコに入れ、アルゴン下に置いた。アセトニトリル(無水、12mL)をシリンジで添加し、塩化チオニル(2.34g、19.7mmol)を5分間かけて滴加した。反応物をアルゴンバルーン下で保持し、40℃の油浴で1時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、その後、乾燥アセトニトリル(10mL)を添加し、再度蒸発させて、残りの微量の酸を除去した。更なる分量の乾燥アセトニトリル(20mL)を添加した。3-ブロモ-1-プロパノール(1.43g、10.3mmol)及びトリエチルアミン(1.09g、10.8mmol)をシリンジで連続して室温で滴加した。20分間撹拌した後、反応物を50℃の油浴で2時間加熱した。反応物を真空中で濃縮し、残渣をジクロロメタン(20mL)中に溶解させた。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液をデカントし、その後、真空中で濃縮して、固体を得て、これを最小量の酢酸エチル中に溶解させた。その後、ヘキサンを添加して、2.21gの黄褐色の固体(63%収率)を得た。
【0123】
LRMS(ESI)+ m/z:360[M+H]+.
【0124】
【化18】
3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロピルニコチネート。2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)酢酸3-ブロモプロピル(2.43g、6.77mmol)、ニコチン酸ナトリウム(1.00g、6.91mmol)、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム(0.48g、1.35mmol)、及びヨウ化カリウム(0.224g、1.35mmol)を、アルゴンバルーン下で、磁気撹拌子及び14/40ゴムセプタムを備えた100mLの一つ口丸底フラスコに入れた。DMF(無水、15mL)を添加し、反応物を撹拌し、95℃の油浴で2時間加熱した。反応物を真空中で濃縮し、アセトニトリル(2×20mL)と同時蒸発させた。結果として得られた泡をMTBE(3×20mL)で粉砕し、高真空下に置き、その後、DCM中に溶解させた。結果として得られた溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をDCM中に再度溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム(2×20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、2.53gmの粗生成物を得た。これを100%ジクロロメタン-5%メタノール/ジクロロメタンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(20gカラム)により精製した。生成物が1%MeOH/DCMで溶離し、適切な画分を収集し、濃縮して、1.93g(71%)の生成物を得た。
【0125】
LRMS(ESI)+ m/z:402[M+H]+.
【0126】
【化19】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート。
【0127】
3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロピルニコチネート(1.80g、4.48mmol)及びβ-D-リボフラノース-1,2,3,5-テトラアセテート(1.43g、4.48mmol)を、磁気撹拌子を備え、かつ24/40ゴムセプタムでキャップした100mLの一つ口24/40丸底フラスコに入れた。ヘッドスペースを真空にし、アルゴン下に置き、その後、ジクロロメタン(18mL)をシリンジで添加した。トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(2.11g、9.50mmol)をシリンジで5分間かけて添加しながら、混合物を室温で撹拌した。反応物を1時間撹拌し、その後、溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1×20mL)で抽出した。層を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、黄色の泡(3.62g、100%収率)を得た。LRMS(ESI)+ m/z:660[M]+.
【0128】
【化20】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート。
【0129】
塩化アセチル(2.11g、26.9mmol)を撹拌しながら乾燥冷無水メタノール(20mL)に滴加し、この冷酸性溶液を、試薬を冷たい状態かつアルゴン下で保持しながら、全て1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(3.62g、4.48mmol)に添加した。4℃で一晩撹拌した後、MTBEを使用して生成物を沈殿させた。2.30gの泡又はガラスが得られるまで、粗生成物をメタノール中に溶解させてMTBEで沈殿させるこのプロセスを繰り返した。100%ジクロロメタン-30%メタノール/70%ジクロロメタン溶媒系の勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物(0.665g、21.7%収率)を得た。
【0130】
LRMS(ESI)+ m/z:534.2[M]+.1H NMR(D2O)δ9.70(s,1H),9.30(d,1H),9.07(d,1H),8.29(m,1H),7.80(s,1H),6.23(d,1H),5.19(s,2H),4.47(m,2H),4.39(m,4H),4.33(t,1H),4.01(二重線の二重線,1H),3.90(二重線の二重線,1H),3.51(s,3H),3.21(s,3H),2.16(m,2H).
【0131】
【0132】
化合物2
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート。
【化22】
【0133】
2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エチルニコチネート。磁気撹拌子及びゴムセプタムを備えた100mLの一つ口丸底フラスコに、7-(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(5.00g、22.3mmol)、ニコチン酸(2.75g、22.3mmol)、及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(4.28g、22.3mmol)を充填し、その後、ヘッドスペースをアルゴンでパージした。ジクロロメタン(40mL)を添加し、撹拌を開始して、懸濁液を得た。次に、4-N,N-ジメチルアミノピリジン(0.55g、4.50mmol)を添加し、反応物を周囲温度で2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム(30mL)を添加し、その後、混合物を分液漏斗に移した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、6.70gの粗生成物を得た。これを、シリカゲル(65g)及び100%ジクロロメタン-97:3(v:v)ジクロロメタン:メタノールの勾配での溶出を利用して精製して、5.50gの白色の固体(74.9%収率)を得た。
【0134】
LRMS(ESI)+ m/z:330[M+H]+.
【0135】
【化23】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート。
【0136】
2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エチルニコチネート(5.50g、16.70mmol)及びβ-D-リボフラノース-1,2,3,5-テトラアセテート(5.31g、16.70mmol)を、磁気撹拌子及び24/40セプタムを備えた500mLの一つ口丸底フラスコ内で合わせ、アルゴン下に置いた。乾燥ジオキサン(50mL)をシリンジで添加し、トリメチルシリルトリフルオロメチルスルホネート(7.42g、33.4mmol)を10分間かけて滴加した。反応物を40℃の油浴で15時間加熱し、その後、室温まで冷却させた。MTBEを添加して、生成物を沈殿させた。固体から溶媒をデカントし、これをACN(最小量)中に溶解させ、MTBEを添加して再沈殿させた。固体から溶媒をデカントした後、ACN及びMTBEを使用してこのプロセスを繰り返した。結果として得られた固体を高真空下に置いて、19.3g(157%、いくらかの溶媒を依然として含有)を得た。
【0137】
LRMS(ESI)+ m/z:588[M]+.
【0138】
【化24】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート。
【0139】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートに使用した手順と同様の手順を使用して調製した。収率は、8.66g、85%であった。
【0140】
LRMS(ESI)+ m/z:462[M]+.1HNMR(D2O)δ9.62(s,1H),9.25(d,1H),8.98(d,1H),8.25(二重線の二重線,1H),8.07(s,1H),6.20(d,1H),4.86(m,1H),4.75(m,1H),4.42(t,1H),4.28(t,1H),3.90(二重線の二重線,1H),3.81(二重線の二重線,1H)3.46(s,3H),3.14(s,3H).
【0141】
【0142】
化合物2P
((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素
【0143】
化合物2(5.00g、8.18mmol)を、磁気撹拌子及びゴムセプタムとともに氷水浴中の200mLの一つ口丸底フラスコに添加した。フラスコを真空にし、アルゴン下に置いた。乾燥TMP(25mL)をシリンジで添加し、撹拌した。混合物が半固体塊になった。オキシ塩化リンをシリンジで滴加したが、塊は分解しなかった。固体を撹拌することができるまで、スパチュラを使用して固体を慎重に分解した。6.5時間後、出発材料の8%が残存した。反応開始後7時間時点で、水(4.42g、245mmol)を10分間かけて冷反応物に緩徐に滴加した。反応物を5分間撹拌し、その後、-25℃の冷凍庫に一晩入れた。反応物を氷水浴に入れ、ゲル状の塊になった。IPA(25mL)を添加し、スパチュラを使用してゲルを分解した。トリエチルアミン(4.98g、49.2mmol)をIPA(15mL)に添加した。pHが3.0になるまでこの溶液を冷反応混合物に慎重に添加した。そのpHに達した時点で、反応物を氷水浴中で30分間撹拌し、その後、濾過し、単離した固体をIPA、その後、MTBEで洗浄した。薄黄色の固体を真空中で乾燥させて、4.03gの粗生成物を得た。この一部を、溶離液として5-30%メタノール/水の勾配で40gのC-18カラムを使用して精製した。
【0144】
LRMS(ESI)+ m/z:542.2
【0145】
【0146】
化合物3
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【化27】
【0147】
1-(2-ヒドロキシエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン
【0148】
500mLの一つ口丸底フラスコに、テオブロミン(10.0g、55.5mmol)及び炭酸カリウム(8.50g、61.5mmol、粉砕)を充填した。磁気撹拌子を加え、その後、ヘッドスペースをアルゴンでパージした。次に、DMF(100mL)をシリンジで添加し、撹拌を開始した。フラスコを140℃の油浴で40分間加熱し、この間に混合物が濃厚になった。この間に、DMFの別のアリコート(40mL)を添加して、撹拌を容易にした。40分間加熱した後、2-ヨードエタノール(9.53g、55.5mmol)を10分間かけて滴加した。第1のアリコートを添加した50分後に、2-ヨードエタノールの第2のアリコート(1.47g、8.54mmol)を5分間かけて添加した。更に30分間撹拌した後、2-ヨードエタノールの第3のアリコート(2.47g、14.4mmol)を添加した。反応物を更に30分間撹拌し、その後、2-ヨードエタノールの第4のアリコート(1.88g、10.9mmol)を添加した。混合物を140℃で18時間撹拌し、その後、周囲温度まで冷却した。反応物を濾過し、真空中で濃縮し、その後、残渣を高真空下に一晩置いた。これにより、オフホワイトの固体を得て、これをアセトン(50mL)で旋回させた。結果として得られた固体を濾過し、アセトンで洗浄し、その後、高真空下に置いた。結果として得られた固体(29.59g)を沸騰EtOH(500mL)中に溶解させ、その後、溶液を冷却させた。結果として得られた固体を濾過し、追加のエタノールで洗浄し、高真空下乾燥させて、14.63gの生成物(110%収率)を得た。
【0149】
LRMS(ESI)+ m/z:225[M+H]+.1H NMR(D2O)δ7.85(1H,s),4.1(2H,t),3.9(3H,s),3.7(2H,t),3.5(3H,s).
【0150】
【化28】
2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネート
【0151】
2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネートを、2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エチルニコチネートを調製するために使用した方法と同様の方法を使用して調製した。12.6g(52.9mmol)の1-(2-ヒドロキシエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン、6.59g(53.5mmol)のニコチン酸、11.35g(59.20mmol)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、及び1.31gのDMAP(10.7mmol)のDCM(75mL)溶液を利用して、82%収率の2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネート(13.58g)を得た。
【0152】
LRMS(ESI)+ m/z:330.
【0153】
【化29】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【0154】
反応が完了するのに40℃で1時間しか要しなかったことを除いて、1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートと同様の手順を使用して調製した。
【0155】
2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネート(13.00g、39.5mmol)及びβ-D-リボフラノース-1,2,3,5-テトラアセテート(12.94g、40.7mmol)を合わせ、乾燥ジオキサン(100mL)を添加した。撹拌を開始した後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(9.66g、43.45mmol)を10分間かけて滴加した。代替の後処理を用いた。反応物を温油浴から取り出し、室温まで冷却させた。DCM(50mL)、その後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)を添加した。この二相溶液を10分間撹拌し、その後、分離し、有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶液を真空中で濃縮して、黄色の泡(29.17g、97.2%)を得た。
【0156】
LRMS(ESI)+ m/z:588
【0157】
【化30】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【0158】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートの調製に使用した手順と同様の手順を使用して調製した。
【0159】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(29.17g、39.5mmol)を、塩化アセチル(18.63g、237mmol)の冷メタノール(120mL)溶液から生成した冷メタノールHCl溶液で処理して脱保護した。MTBE(およそ400mL)を使用して沈殿させ、溶媒をデカントした後に、最小量のメタノール中で再溶解させてガラスを得て、MTBEを使用して更に合計4回再沈殿させて、高真空下に18時間置いた後、オフホワイトの固体(15.20g、62.9%)を得た。
【0160】
LRMS(ESI)+ m/z:462
【0161】
【0162】
化合物4
((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素
【0163】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(3.00g、4.91mmol)を、磁気撹拌子及び24/40セプタムを備えた100mLの一つ口24/40丸底フラスコに入れ、アルゴン下で氷/水浴中に置いた。TMP(20mL、篩上及びアルゴン下)をシリンジでフラスコに添加した。全反応期間中、反応物を氷/水浴中に保持する。これにより、撹拌時に不均一溶液を得た。10分後、2をシリンジで5分間かけて滴加した。1時間後、3をシリンジで2分間かけて滴加した。3時間後、HPLCが、反応がほぼ完了したことを示した。3時間10分後、4を5分間かけて滴加し、この時点で反応物が不均一から均一になった。5を500mLのエルレンマイヤーフラスコ中のIPA(200mL)に添加し、この溶液を冷浴に入れ、アルゴンブランケット下で、パラフィルムで密封した。反応混合物をIPA溶液に8分間かけて滴加し、その後、30分間撹拌した。pHが2(pH0~14ペーパー)になった。結果として得られた懸濁液を冷たい状態で30分間撹拌し、その後、濾過し、冷IPAで洗浄し、その後、高真空下に置いた。これにより、3.39gmの粗生成物(131%収率)を得た。2.50gmの粗生成物を、95%ACN:H2O(100mMギ酸)-95:5 H2O:ACN(100mMギ酸)の溶媒系を使用したInterchimクロマトグラフィーシステムで精製した。適切な画分を合わせ、高真空下20~23℃で濃縮して、1.62gの生成物を得た。
【0164】
1H NMR(D2O)δ9.41(s,1H),9.32(d,1H),8.99(d,1H),8.28(m,1H),7.85(s,1H),6.17(d,1H),4.72(m,1H),4.62(m,1H),4.50(m,1H),4.37(m,3H),4.06(m,2H),3.83(s,3H),3.42(s,3H);31P(D2O)δ-0.1;LRMS(ESI)+ m/z:462
【0165】
【0166】
化合物5
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【化33】
【0167】
1-(3-ヒドロキシプロピル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン
【0168】
テオブロミン(6.00g、33.3mmol)、ヨウ化カリウム(11.06g、66.7mmol)、及び粉砕炭酸カリウム(5.08g、36.8mmol)を、磁気撹拌子及び24.40ゴムセプタムとともに100mLの24/40一つ口丸底フラスコに入れた。フラスコを真空にし、アルゴン下に置いた。乾燥DMF(70mL)をシリンジで添加し、反応物を140℃の油浴中で加熱した。15分後、3-クロロ-1-プロパノールの第1のアリコート(3.14g、33.3mmol)をシリンジで5分間かけて滴加した。2時間後、3-クロロ-1-プロパノールの別のアリコート(0.88g、9.32mmol)を滴加した。反応物をこの温度で更に45分間保持し、その後、温度を90℃まで18時間低下させた。反応物を熱濾過し、溶媒を高真空下で除去した。エタノール(100mL)をペースト状の白色の固体に添加し、この溶液を80℃の油浴中で加熱した。この溶液を熱濾過し、エタノールを真空中で除去して、ゴム状の半固体を得た。これをMTBEで3回粉砕し、結果として得られた固体を高真空下に置いて、残りの微量のMTBEを除去した。固体をエタノール(70mL)で加熱し、固相及び液相を得て、固体からデカントした。固体を5%メタノール/DCM(50mL)で洗浄し、液体をエタノール溶液と合わせ、真空中で濃縮した。結果として得られた固体(8.05g)をアセトン(50mL)で処理し、30分間撹拌し、濾過し、固体を単離し、真空中で乾燥させて、5.95gの生成物を得た。
【0169】
LRMS(ESI)+ m/z:239
【0170】
【化34】
3-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)プロピルニコチネートを、2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エチルニコチネートの調製と同様の様式で調製した。
【0171】
1-(3-ヒドロキシプロピル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(5.95g、25.0mmol)、ニコチン酸(3.07g、25.0mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(5.03g、26.2mmol)、及びジメチルアミノピリジン(0.614g、5.02mmol)を、磁気撹拌子及び24/40ゴムセプタムを備えた100mLの24/40一つ口丸底フラスコ内で合わせ、アルゴン下に置いた。DCM(40mL)を添加し、反応物を室温で1.5時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウムで後処理し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、7.47gの生成物(87.2%収率)を得た。
【0172】
LRMS(ESI)+ m/z:344.
【0173】
【化35】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【0174】
これを、1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを調製するために使用した方法と同様の方法を使用して調製した。
【0175】
3-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)プロピルニコチネート(7.37g、21.5mmol)及びβ-D-リボフラノース-1,2,3,5-テトラアセテート(6.83g、21.5mmol)をアルゴン下で合わせ、乾燥ジオキサン(40mL)を添加した。トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(9.76g、43.91mmol)をシリンジで滴加し、反応物を42℃で18時間加熱した。これにより、二相反応混合物を得て、これを十分に撹拌したMTBE(150mL)に添加した。結果として得られたゴム状の固体を最小量のACN中に溶解させ、撹拌しながら溶液をMTBEに添加して沈殿させ、これを3回繰り返し、結果として得られたゴムを高真空下に置いて、黄色の泡(16.62g、103%収率)を得た。
【0176】
LRMS(ESI)+ m/z:602.
【0177】
【化36】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【0178】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートの調製に使用した手順と同様の手順を使用して調製した。
【0179】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(16.62g、22.1mmol)により、10.83gの粗生成物(78.4%収率)を得た。
【0180】
この生成物の試料(2.50g)を、シリカゲル(25g)及び溶離液としてDCM-20%メタノール/DCMを使用して精製して、1.15gの精製生成物を得た。
【0181】
LRMS(ESI)+ m/z:476;1H NMR(D2O)δ9.70(1H,s),9.27(1H,d),9.03(1H,s),8.24(1H,二重線の二重線),7.82(1H,s),6.20(1H,d),4.50-4.44(4H,m),4.32(1H,t),4.13(1H,t),4.00(1H,二重線の二重線),3.98(1H,二重線の二重線),3.82(3H,s),2.98(3H,s),2.16(2H,t).
【0182】
【0183】
化合物5P
((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((3-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素
【0184】
これを、化合物9Pの合成の手順の変更を使用して調製した。
【0185】
化合物5(2.5g、4.00mmol)をオキシ塩化リン(1.23g、8.00mmol)の乾燥リン酸トリメチル(15mL)溶液と0℃で7時間反応させた。反応物を水(3.36g、24.0mmol)でクエンチし、トリエチルアミン(2.43g、24.0mmol)で中和した。この反応混合物をイソプロパノール(400mL)に滴加し、結果として得られた沈殿物を濾過により単離し、イソプロパノール、その後、MTBEで洗浄した。乾燥時に2.00gの粗生成物を得て、この一部を、5-30%メタノール/水溶媒の勾配を使用した40gのC-18逆相カラムでのクロマトグラフィーにより精製した。これにより、330mgの精製生成物を得た。
【0186】
LRMS(ESI)+ m/z:556.1;1H NMR(D2O)δ9.44(s,1H),9.33(d,1H),9.01(d,1H),8.25(m,1H),7.80(s,1H),6.13(d,1H),4.59(m,1H),4.49(m,3H),4.39(m,1H),4.21(m,1H),4.13(m,3H),3.81(s,3H),3.36(s,3H),2.16(m,2H).
【0187】
【0188】
化合物6
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【化39】
【0189】
2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)酢酸3-クロロプロピル
【0190】
2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)酢酸(2.40g、10.1mmol)を、磁気撹拌子及び24/40ゴムセプタムを備えた200mLの一つ口24/40丸底フラスコに添加した。フラスコを真空にし、アルゴン下に置いた。クロロホルム(25mL)をシリンジで添加し、その後、塩化チオニル(3.44g、29mmol)をシリンジで滴加した。その後、触媒量の乾燥DMF(1mL)を慎重に添加し、この混合物を60℃の油浴中で穏やかに加熱した。1時間後、反応物を真空中で濃縮し、クロロホルム(25mL)と同時蒸発させて、オレンジ色のガラスを得た。追加のクロロホルム(25mL)を添加してガラスを溶解させ、3-クロロプロパノール(1.02g、10.8mmol)をシリンジで添加した。トリエチルアミン(2.04g、20.2mmol)をシリンジで添加し、添加の後半中に発熱が観察され、色が濃くなって濃いオレンジ色になった。反応物を室温で48時間撹拌させ、その後、飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)でクエンチした。層を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、3.6gの粗生成物を得た。これを、シリカゲル(40g)を使用して精製し、DCM、その後、EtOAcで溶出した。これにより、1.90g(60%)の生成物を得た。
【0191】
LRMS(ESI)+ m/z:315.
【0192】
【化40】
3-(2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)アセトキシ)プロピルニコチネートを、一旦終了した後に反応物を真空中で濃縮し、DCM中に溶解させ、濾過して、ガラス、2.77gの粗生成物を得たことを除いて、3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロピルニコチネートと同様の様式で、上記の塩化物から調製した。これを、シリカゲル(30g)及び溶離液としてDCM-4%MeOH/DCMを利用して精製した。画分を収集して、濃縮時に1.90gの生成物を得た。
【0193】
LRMS(ESI)+ m/z:402
【0194】
【化41】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを、反応が完了するのに2時間要したことを除いて、1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートと同様の様式で調製した。3-(2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)アセトキシ)プロピルニコチネート(1.90g、4.73mmol)をβ-D-リボフラノース-1,2,3,5-テトラアセテート(1.51g、4.73mmol)の乾燥ジオキサン(24mL)溶液と反応させ、トリメチルシリルトリフルオロスルホネート(2.32g、10.4mmol)を滴加した。前述に従う後処理により、4.32g(113%)の粗生成物を得た。
【0195】
LRMS(ESI)+ m/z:660.
【0196】
【化42】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【0197】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートと同様の様式で調製した。
【0198】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(3.83g、4.73mmol)を冷(2~6℃)メタノールHCl中で18時間反応させた。MTBE(120mL)を添加して沈殿させた後、デカントし、最小量の冷メタノール中で溶解させ、MTBE(2回)で再沈殿させ、結果として得られた残渣を高真空下に置いて、1.99g(61.9%)の粗生成物を得た。これを、シリカゲル(30g)及び溶離液としてDCM-20%メタノール/DCMを使用して精製して、0.665gの精製生成物を得た。
【0199】
LRMS(ESI)+ m/z 534;1H NMR(D2O)δ9.96(1H,s),9.30(1H,d),9.07(1H,d),8.29(1H,二重線の二重線),7.98(1H,s),6.23(1H,d),5.19(2H,s),4.48-4.44(2H,m),4.41-4.38(4H,m),4.44(1H,t),4.02(1H,二重線の二重線),3.86(1H,二重線の二重線),3.51(3H,s),3.21(3H,s),2.16(2H,m).
【0200】
【0201】
化合物6P
((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((3-(2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素
【0202】
これを、化合物9Pの合成の手順の変更を使用して調製する。
【0203】
【0204】
化合物7
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-プロピル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【化45】
【0205】
3-メチル-7-プロピル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを以下のように合成した。3-メチルキサンチン(15.0g、90.3mmol)及び炭酸カリウム(粉砕、12.48g、90.3mmol)を、磁気撹拌子及び24/40ゴムセプタムを備えた200mLの一つ口丸底フラスコ内で合わせ、内容物をアルゴン下に置いた。乾燥DMF(120mL)をシリンジで添加し、反応物を70℃の油浴中で10分間加熱した。1-ヨードプロパンを反応混合物に10分間かけて滴加し、1時間後、更に1.75g(10.3mmol)の1-ヨードプロパンを滴加し、その後、40分後に更に1.2g(8.7mmol)の粉砕炭酸カリウムを添加した。更に1時間後、更に1.00g(7.24mmol)の粉砕炭酸カリウムを添加し、反応を70℃の油浴中で18時間継続させた。反応混合物を油浴から取り出し、温かい間に濾過し、濾液を真空中で濃縮して、白色の固体を得た。この固体をDMFで洗浄し、その後、固体を高真空下で保持した後、生成物をエタノール/水から再晶出させた。これにより、8.28g(44%収率)の生成物を得た。
【0206】
LRMS(ESI)+ m/z 209.
【0207】
【化46】
1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-7-プロピル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを1-(2-ヒドロキシエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンと同様の様式で合成した。
【0208】
3-メチル-7-プロピル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(6.24g、30mmol)を炭酸カリウム(粉砕、4.14g、30mmol)と合わせ、乾燥DMF(60mL)を添加し、これを100℃の油浴中で2時間加熱した。2-ヨードエタノール(5.16g、30mmol)を室温の反応混合物に10分間かけて滴加した。30分後、これを100℃の油浴中に戻し、更に1時間加熱した。更に0.90g(5.2mmol)の2-ヨードエタノールを熱反応物に滴加した。反応物を更に2時間加熱し、その後、熱濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をトルエン(3×30mL)と同時蒸発させて、3.31gの白色の固体(43.8%収率)を得た。
【0209】
LRMS(ESI)+ m/z 253.
【0210】
【化47】
2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-プロピル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネートを2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エチルニコチネートと同様の様式で調製した。キサンチン(3.23g、12.8mmol)、ニコチン酸(1.61g、13.1mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.58g、13.44mmol)、及びジメチルアミノピリジン(0.313g、2.56mmol)を合わせ、DCM(30mL)を添加した。反応物を撹拌し、アルゴン下で短時間(5分間)加熱して還流させ、その後、室温で撹拌させた。更に0.5g(2.61mmol)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を添加した後、更に0.22g(0.87mmol)のキサンチンを添加した。更に2.5時間後、飽和炭酸水素ナトリウム(30mL)を添加し、二相反応物を10分間撹拌した。層を分離し、有機相を炭酸水素溶液で3回再洗浄した。その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、4.91g(107%収率)のガラスを得た。
【0211】
LRMS(ESI)+ m/z.358
【0212】
【化48】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-プロピル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートと同様の様式で調製した。2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-プロピル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネート(4.57g、12.8mmol)及びβ-D-リボフラノース-1,2,3,5-テトラアセテート(4.28g、13.4mmol)を、アルゴン下で、磁気撹拌子及び24/40ゴムセプタムを備えた200mLの一つ口丸底フラスコに入れた。乾燥ジオキサン(24mL)をシリンジで添加した後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(3.13g、14.1mmol)をシリンジで滴加した。室温で18時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム(20mL)及びDCM(40mL)を添加し、これを10分間撹拌した。層を分離し、下方の有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、黄色の泡(10.22g、104%収率)を得た。
【0213】
LRMS(ESI)+ m/z 616
【0214】
【化49】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-プロピル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【0215】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートと同様の様式で調製した。
【0216】
塩化アセチル(6.03g、76.8mmol)をアルゴン下で冷乾燥メタノール(50mL)に10分間かけて慎重に添加して冷HCl/メタノール溶液を調製した。この溶液を冷泡1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-プロピル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(9.80g、12.8mmol)に添加し、結果として得られた溶液を氷水浴中で10分間撹拌した後、これを冷蔵庫(5℃)に18時間入れた。MTBE(120mL)を添加した結果、生成物が沈殿した。溶媒をデカントし、濃厚なシロップを最小量の冷メタノール中に溶解させ、MTBEを再度使用して、生成物を沈殿させた。固体が得られるまでこれをもう2回繰り返し、これを真空中で乾燥させて、4.55g(55.6%収率)の生成物を得た。
【0217】
LRMS(ESI)+ m/z 490;1H NMR(D2O)δ9.75(1H,s),9.28(1H,d),9.01(1H,d),8.27(1H,m),7.94(1H,s),6.22(1H,d),4.78-4.74(1H,m),4.70-4.63(1H,m),4.44-4.43(1H,t),4.41-4.33(3H,m),4.30(1H,t),4.12(2H,t),3.83(1H,二重線の二重線),3.77(1H,二重線の二重線),3.45(3H,s),1.62(2H,m),0.71(3H,t).
【0218】
【0219】
化合物7P
((2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(3-((2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-プロピル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素
【0220】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-プロピル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(2.00g、3.12mmol)を、アルゴン下で、磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコに入れた。TMP(12mL)をシリンジで添加し、黄褐色の不均一溶液を氷水浴で10分間冷却した。反応混合物を脱気し、アルゴン下に置いた。オキシ塩化リン(0.960g、6.26mmol)を4分間かけて滴加した。7.5時間後、水(1.65mL、91.7mmol)を10分間かけて慎重に滴加した。反応物を冷浴中で5分間撹拌し、その後、冷蔵庫(5℃)に一晩に入れた。トリエチルアミン(2.62mL、1.90g、18.8mmol)を250mLのエルレンマイヤーフラスコ内のイソプロピルアルコール(175mL)に添加し、これを氷水浴で冷却した。10分後、冷反応混合物をイソプロピルアルコール溶液に10分間かけて滴加した。これにより、沈殿物を得た。1時間撹拌した後、この溶液を濾過し、固体をイソプロピルアルコール、その後、MTBEで洗浄した。固体を乾燥させて、1.43gの粗生成物を得た。これを、((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((3-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素と同様の様式で逆相クロマトグラフィーを使用して精製した。
【0221】
LRMS(ESI)+ m/z.570.1
【0222】
【0223】
【0224】
化合物8P
【化53】
3-メチル-7-ペンチルキサンチンを以下のように合成した。3-メチルキサンチン(2.00g、12.0mmol)及び炭酸セシウム(3.92g、12.03mmol)を、卵形の磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコに入れ、アルゴン下に置いた。DMSO(25mL)をシリンジで添加し、反応混合物を脱気し、アルゴン下に置き、その後、撹拌した。これを120℃の油浴に3時間入れた。反応物を加熱浴から取り出し、室温まで冷却した。1-ヨードペンタン(1.57mL、2.38g)を3分間かけて滴加した。反応物を83℃の油浴に30分間入れた。この時点で更に0.313mL(0.5g)の1-ヨードペンタンを添加し、反応物を室温まで冷却させた。1.5時間後、メチルt-ブチルエーテル(10mL)及びジクロロメタン(70mL)を添加して、固相及び液相を得た。これを濾過し、濾液を真空中で濃縮して、濃厚な液体を得た。これを水(150mL)に流して添加して、固体を得た。30分後、固体を濾過により単離し、水で洗浄し、真空中で乾燥させた。固体をエタノール/水から再晶出させて、1.68gの生成物(59%収率)を得た。
【0225】
1HNMR(DMSO-d6)δ11.1(s,1H),8.05(s,1H),4.20(t,2H),3.35(s,3H),1.77(五重線,2H),1.28(m,2H),1.19(m,2H),0.85(t,3H);LRMS(ESI)+ m/z 237.
【0226】
1-ヒドロキシエチル-7-ペンチル-3-メチルキサンチン
【化54】
3-メチル-7-ペンチルキサンチン(3.50g、14.8mmol)及びCs
2CO
3(6.08g、18.7mmol)を、卵形の磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコに入れ、アルゴン下に置いた。DMSO(25mL)をシリンジで添加し、反応混合物を脱気し、アルゴン下に置き、その後、撹拌した。これを120℃の油浴に3時間入れた。反応物を加熱浴から取り出し、室温まで冷却した。2-ヨードエタノール(1.57mL、2.38g)を3分間かけて滴加した。反応物を83℃の油浴に30分間入れた。この時点で更に0.313mL(0.5g)の2-ヨードエタノールを添加し、反応物を室温まで冷却させた。1.5時間後、メチルt-ブチルエーテル(10mL)及びジクロロメタン(70mL)を添加して、固相及び液相を得た。これを濾過し、濾液を真空中で濃縮して、濃厚な液体を得た。これを水(150mL)に流して添加して、固体を得た。30分後、固体を濾過により単離し、水で洗浄し、真空中で乾燥させた。固体をエタノール/水から再晶出させて、1.68gの生成物(59%収率)を得た。
【0227】
1HNMR(DMSO-d
6)δ11.1(s,1H),8.05(s,1H),4.20(t,2H),3.35(s,3H),1.77(五重線,2H),1.28(m,2H),1.19(m,2H),0.85(t,3H).LRMS(ESI)
+ m/z 281.
【化55】
【0228】
反応を、溶媒としてジクロロメタンを使用して、ヒドロキシメチルジメチルキサンチンについて記載した手順に従って、1-ヒドロキシエチル-7-ペンチル-3-メチルキサンチン(3.90g、13.9mmol)、ニコチン酸(1.80g、14.6mmol)、EDAC.HCl(2.95g、15.4mmol)、及びジメチルアミノピリジン(0.170g、1.39mmol)で行った。
【0229】
【0230】
反応を、1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートについて記載した手順に従って、2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-ペンチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネート(4.66g、12.10mmol);1,2,3,5-テトラアセチルリボース(4.04g、12.70mmol)、及びトリメチルシリルトリフルオロメチルスルホネート(2.96g、13.31mmol)で行った。
【0231】
収率=95%;LRMS(ESI)
+ m/z 644.6.
【化57】
【0232】
化合物8.この反応を、1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((3-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)アセトキシ)プロポキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを調製するために使用した様式と同様の様式で、1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-ペンチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム(9.00g、11.35mmol)及び塩化アセチル(6.60g、84.0mmol)で行った。
【0233】
収率=69%;LRMS(ESI)
+ m/z 518.22.
【化58】
【0234】
化合物8P.この反応を、((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素を調製するために使用した様式と同様の様式で、1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-7-ペンチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム(3.00g、4.50mmol)及びオキシ塩化リン(1.38g、9.00mmol)で行った。収率=25.2%.
【0235】
1H NMR(D2O)δ9.43(s,1H),9.33(d,1H),8.97(d,1H),8.27(二重線の二重線,1H),7.90(s,1H),6.15(d,1H),4.71(m,1H),4.64(m,1H),4.55(bt,1H),4.48(t,1H),4.38(m,3H),4.14(bt,2H),4.08(m,2H),3.43(s,3H),1.62(m,2H),1.10(m,4H),0.71(bt,3H);31P NMR(D2O)δ-0.26
【0236】
LRMS(ESI)+ m/z 598.0.
【0237】
【0238】
【0239】
化合物9P
((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチル)カルバモイル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素
【化61】
【0240】
1-(2-クロロエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを以下のように合成した。1-(2-ヒドロキシエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(7.00g、31.25mmol)を500mLの一つ口丸底フラスコに添加し、アルゴン下に置いた。乾燥ジオキサン(150mL)をシリンジで添加し、不均一溶液を撹拌した。トリエチルアミン(3.48g、34.4mmol)を添加し、その後、メタンスルホニルクロリド3.75g、32.8mmol)を5分間かけて滴加した。この反応物を70℃の浴中で一晩(16時間)加熱した。反応物を真空中で濃縮し、結果として得られた固体を水で洗浄し、その後、真空中で乾燥させた。反応が不完全であり、固体を200mLの丸底フラスコに入れ、乾燥ジオキサン(25mL)を添加した。これを撹拌し、0.35g(3.46mmol)のトリエチルアミン、その後、0.38gのメタンスルホニルクロリド(3.32mmol)を撹拌反応混合物に添加した。これを70℃の浴中で2時間再度加熱した。その後、反応物を真空中で濃縮し、固体を水、その後、MTBEで洗浄し、真空中で乾燥させて、6.12g(80.9%収率)の1-(2-クロロエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを得た。
【0241】
LRMS(ESI)
+ m/z 243.
【化62】
【0242】
1-(2-アジドエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを以下のように合成した。1-(2-クロロエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(6.12g、24.6mmol)及びアジ化ナトリウム(1.65g、25.3mmol)を、磁気撹拌子を備えた200mLの丸底フラスコに入れ、乾燥DMF(30mL)をシリンジで添加し、反応物をアルゴン下で、加熱した状態で、120℃の油浴中で1.5時間入れた。反応混合物を熱濾過し、濾液を真空中で濃縮して、白色の固体(6.30g、100%収率)を得た。
【0243】
LRMS(ESI)
+ m/z 250.1.
【化63】
【0244】
1-(2-アミノエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを以下のように合成した。1-(2-アジドエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(6.30g、25.3mmol)及びトリフェニルホスフィン(6.97g、26.6mmol)を、アルゴン下で、磁気撹拌子を備えた200mLの一つ口丸底フラスコに入れた。乾燥THF(80mL)を添加し、これを撹拌した。これが泡になるまで50℃の水浴中で1時間加熱した。水(4.77g、265mmol)を反応物に5分間かけて滴加し、水浴温度を75℃に上昇させた。1.5時間後、反応物を真空中で濃縮して、ゴム状の固体を得た。少量の固体しか存在しなくなるまで固体を熱水で処理した。これを熱濾過し、濾液を真空中で濃縮して、5.23gのわずかに不純な生成物を得た。これは、次の反応に使用するには十分に混じりけのないものであった。
【0245】
LRMS(ESI)
+ m/z 224.
【化64】
【0246】
N-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチル)ニコチンアミドを以下のように合成した。1-(2-アミノエチル)-3,7-ジメチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(1.65g、7.40mmol)、ニコチン酸(1.35g、10.97mmol)、及び3-(3-ジメチルアミノプロピル)-1-エチル-カルボジイミド塩酸塩(2.21g、11.53mmol)を、アルゴン下で、磁気撹拌子を備えた200mLの一つ口丸底フラスコに入れた。乾燥ジオキサン(30mL)をシリンジで添加し、これを撹拌した。トリエチルアミン(1.10g、10.9mmol)をシリンジで添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、CHCl3中に溶解させ、飽和NaHCO3及び飽和NaClで洗浄した。合わせた水相をCHCl3で戻し抽出し、これを先の有機相と合わせた。有機相をNa2SO4で乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、3.81gのガラスを得た。これをDCM中に溶解させ、75gのシリカゲル及び0-20%メタノール/DCMの勾配を利用して精製した。生成物画分を収集し、真空中で濃縮して、1.28gの生成物(52.7%収率)を得た。
【0247】
LRMS(ESI)
+ m/z 329.1.
【化65】
【0248】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチル)カルバモイル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを以下のように合成した。N-(2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチル)ニコチンアミド(2.73g、8.22mmol)及び1,2,3,5-テトラアセチル-b-D-リボフラノース(2.91g、9.16mmol)を、磁気撹拌子とともに500mLの一つ口丸底フラスコに添加し、アルゴン下に置いた。乾燥ジオキサン(30mL)及びDCM(45mL)を添加した。トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(2.14g、9.62mmol)を撹拌反応物に3分間かけて滴加した。反応物を室温で6.5時間撹拌した。飽和NaHCO3(30mL)を添加し、これを5分間撹拌した。層を分離し、有機相を飽和NaCl溶液(15mL)で洗浄した。合わせた水溶液をDCMで戻し抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させた。溶液をデカントし、真空中で濃縮して、定量的収率の生成物を得た。この物質を更に精製することなく次の反応に進めた。
【0249】
LRMS(ESI)
+ m/z 587.2.
【化66】
【0250】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチル)カルバモイル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを以下のように合成した。無水メタノール(30mL)を、アルゴン下で、磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコにシリンジを使用して添加した。これを氷/水浴に10分間入れ、塩化アセチル(3.59g、45.7mmol)をシリンジで滴加した。アルゴン下の磁気撹拌子を備えた200mLの一つ口丸底フラスコ内の1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチル)カルバモイル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを-25℃の冷凍庫に10分間入れた。冷HCl/メタノール溶液の準備が整った時点で(塩化アセチルを添加した5分後)、これを出発材料の冷泡に一度に添加した。これを氷水浴中で10分間撹拌し、冷蔵庫(5℃)に一晩(16時間)入れた。反応物を冷蔵庫から取り出し、氷水浴に入れ、MTBE(150mL)を混合物に少量ずつ流して添加し、生成物からなるゴムが生じた。ガムから溶媒をデカントし、これをメタノール(30mL)中に溶解させ、更なる分量のMTBEを添加し、同様の結果が得られた。デカントした後、ガムをメタノール(30mL)中に溶解させ、この溶液を十分に撹拌したMTBE(150mL)に滴加して、乾燥後に3.65gの良好な(nice)固体(72.7%収率)を得た。
【0251】
LRMS(ESI)
+ m/z.461.2.
【化67】
【0252】
((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチル)カルバモイル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素を以下のように合成した。1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチル)カルバモイル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(3.00g、4.91mmol)を、アルゴン下で、磁気撹拌子を備えた200mLの一つ口丸底フラスコに入れ、このフラスコを氷水浴に入れた。乾燥冷(冷蔵庫)TMP(15mL)をシリンジで添加して、不均一溶液を得て、これにオキシ塩化リン(1.51g、9.83mmol)をシリンジで8分間かけて滴加した。4時間後、トリエチルアミン(0.248g、2.5mmol)を滴加した。1時間後、水(2.65g、147mmol)を冷反応混合物に緩徐に滴加した。反応物を冷浴中で10分間撹拌し、その後、-25℃の冷凍庫に一晩入れた。トリエチルアミン(2.73g、27.0mmol)のイソプロピルアルコール(12mL)溶液を調製し、冷反応物に滴加した。これにより、pH3.0の不均一溶液を得た。30分後、固体を濾去し、イソプロピルアルコール(30mL)、その後、MTBE(20mL)で洗浄した。固体を真空中で乾燥させて、4.46gの粗生成物を得た。この一部を、0-30%メタノール/水の勾配で40gの逆相カラムを使用して精製した。適切な画分を収集し、真空中で濃縮し、結果として得られた固体を凍結乾燥させて、0.530gの生成物を得た。
【0253】
LRMS(ESI)+ m/z.541.2.
【0254】
【0255】
【0256】
化合物10P
((2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(3-((2-(7-(1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)-1-メチル-2,6-ジオキソ-1,2,6,7-テトラヒドロ-3H-プリン-3-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素
【0257】
3-メチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(8.00g、48.2mmol)及び炭酸カリウム(粉砕、6.66g、48.2mmol)を、磁気撹拌子とともに200mLの一つ口丸底フラスコに入れ、アルゴン下に置いた。乾燥DMF(80mL)を添加し、この不均一反応混合物を100℃の油浴に2時間入れた。これを油浴から取り出し、室温の水浴に10分間入れた。ヨウ化カリウム(粉砕、8.00g、48.2mmol)を添加し、その後、2-クロロメチルプロピオナート(5.90g、48.2mmol)を撹拌冷却反応物に滴加した。これを5分間撹拌し、100℃の油浴に入れ、反応を1.25時間継続させた。反応物を熱油浴から取り出し、室温まで冷却した。これを濾過し、濾液を真空中で濃縮して、固体を得た。固体をMTBEで洗浄し、真空中で乾燥させた。固体を水(20mL)で洗浄し、濾過し、追加の水ですすいだ。固体をアセトニトリル(20mL)と同時蒸発させ、真空中で乾燥させて、7.80gの生成物(64.2%収率)を得た。
【0258】
LRMS(ESI)
+ m/z.253.1.
【化70】
【0259】
2-(1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)プロパン酸メチルを以下のように合成した。2-(3-メチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)プロパン酸メチル(3.5g、13.9mmol)及び炭酸カリウム(粉砕、1.92g、13.9mmol)を、磁気撹拌子とともに200mLの一つ口丸底フラスコに入れ、アルゴン下に置いた。乾燥DMF(35mL)をシリンジで添加し、不均一反応物を85℃の油浴に1時間入れた。反応物を氷水浴中で5分間冷却し、2-クロロエタノール(1.12g、13.9mmol)を3分間かけて滴加した。その後、これを85℃の油浴に2時間に再度入れた。これを油浴から取り出し、室温まで冷却した。更なる分量の2-クロロエタノール(0.55g)を添加し、反応を85℃の浴中で一晩継続させた。反応物を熱濾過し、濾液を真空中で濃縮して、ガラスを得た。ガラスをメタノール及びアセトニトリルと同時蒸発させて、4.61gの生成物を得て、これを更に精製することなく使用した。
【0260】
LRMS(ESI)
+ m/z.297.1.
【化71】
【0261】
2-(7-(1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネートを以下のように合成した。2-(1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)プロパン酸メチル(4.61g、15.6mmol)、ニコチン酸(1.92g、15.6mmol)、3-(3-ジメチルアミノプロピル)-1-エチル-カルボジイミド塩酸塩(3.30g、17.2mmol)、及びジメチルアミノピリジン(0.19g、1.56mmol)を、磁気撹拌子を備えた200mLの一つ口丸底フラスコ内で合わせ、アルゴン下に置いた。DCM(40mL)を添加し、反応物を室温で撹拌した。2日後に反応が完了せず、更に2つの分量の3-(3-ジメチルアミノプロピル)-1-エチル-カルボジイミド塩酸塩を添加した(1.21g、その後、2時間後に更に1.0g)。反応物を一晩撹拌し、飽和NaHCO3(2×30mL)を添加して後処理した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、ガラスを得た。反応が完了しなかったため、更なる分量のニコチン酸(0.94g、7.64mmol)、3-(3-ジメチルアミノプロピル)-1-エチル-カルボジイミド塩酸塩(1.65g、8.61mmol)、及びジメチルアミノピリジン(0.133g、1.09mmol)を残渣に添加し、DCM(50mL)を添加した。1時間後、反応が完了し、飽和NaHCO3(4×15mL)を使用して反応混合物を洗浄した。DCM溶液を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、6.12gの粗生成物を得た。これを、50gのシリカゲル及び0-2%MeOH DCM溶出溶媒を使用して精製した。これにより、3.07gの生成物(49%収率)を得た。
【0262】
LRMS(ESI)
+ m/z.402.1.
【化72】
【0263】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(7-(1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを以下のように合成した。2-(7-(1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エチルニコチネート(3.07g、7.65mmol)及び1,2,3,5-テトラアセチル-b-D-リボフラノース(2.56g、8.03mmol)を、磁気撹拌子とともに300mLの一つ口丸底フラスコに添加し、アルゴン下に置いた。DCM(40mL)を添加し、反応物を撹拌した。トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(1.87g、8.42mmol)を撹拌反応物に3分間かけて滴加した。4.5時間後、反応物が完了しておらず、1,2,3,5-テトラアセチル-b-D-リボフラノース(0.200g、0.63mmol)、その後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.184g、0.83mmol)を添加し、反応物を一晩撹拌させた。飽和NaHCO3(2×20mL)を使用して有機反応混合物を洗浄し、これを硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体から溶液をデカントし、真空中で濃縮して、定量的収率の不純な生成物を得た。
【0264】
LRMS(ESI)
+ m/z.598.2.
【化73】
【0265】
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(7-(1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを以下のように合成した。アルゴン下で磁気撹拌子とともに200mLの一つ口丸底フラスコ内の1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(7-(1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(6.51g、7.65mmol)を-25℃の冷凍庫に入れた。無水メタノール(40mL)を、アルゴン下で、磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコにシリンジを使用して添加した。これを氷/水浴に10分間入れ、塩化アセチル(3.82g、48.7mmol)をシリンジで5分間かけて滴加した。この溶液を、基質を含む冷フラスコに一度に添加し、これを氷水浴中で10分間撹拌した後、5℃の冷蔵庫に一晩入れた。結果として得られた溶液を、500mLのエルレンマイヤーフラスコ内の十分に撹拌したMTBE(350mL0溶液に30分間かけて添加した。これにより、良好な固体を得て、これを静置させ、2つの分量のMTBEで洗浄し、結果として得られた固体を300mLの一つ口丸底フラスコに入れ、高真空下に置いて、4.72gの生成物を得た。
【0266】
LRMS(ESI)
+ m/z.534.2.
【化74】
【0267】
((2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(3-((2-(7-(1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)テトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素を以下のように合成した。1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(7-(1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-プリン-1-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(4.00g、5.85mmol)を200mLの一つ口丸底フラスコに入れ、磁気撹拌子を加えた。これをアルゴン下に置き、氷水冷浴に入れた。乾燥TMP(24mL)をシリンジで添加し、これを10分間撹拌して、薄黄色の均一溶液を得た。オキシ塩化リン(1.79g、11.70mmol)を6分間かけて滴加した。3.5時間後、トリエチルアミン(0.301mg、2.97mmol)を滴加した。更に1.5時間後にHPLCにより反応が完了したとみなされ、水(2.11g、117mmol)を10分間かけて滴加した。反応物を冷浴中で更に5分間撹拌し、その後、5℃の冷蔵庫に一晩入れた。反応物を氷水浴に入れた。トリエチルアミン(3.25g、32.1mmol)を乾燥ジオキサン(50mL)中に溶解させ、これを反応混合物に15分間かけて緩徐に添加した。反応物を冷浴中で1時間撹拌し、その後、室温まで加温させ、pHが3.0になった。固体を濾過し、ジオキサン、MTBEで洗浄した。濾液中に油が生じた。単離した固体が所望の生成物でなかったため、十分な量のMTBEを濾液に添加して、生成物から完全に油を除去させた(200mL)。結果として得られた油から液体をデカントし、これをMTBE(2回)で洗浄した。油をIPA(50mL)で処理して固体を得て、これをスパチュラで分解し、その後、磁気撹拌子を使用して30分間撹拌した。この固体を濾過により単離し、IPA、その後、MTBEで洗浄し、真空中で乾燥させて、3.60gの粗生成物(定量的収率)を得た。この一部を、溶出溶媒として5-30%メタノール/水を使用した40gのC-18カラムを使用して精製して、120mgの精製生成物を得た。
【0268】
LRMS(ESI)+ m/z.614.1.
【0269】
【0270】
【0271】
化合物11P
((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((2-(1,3-ジエチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素
【化77】
【0272】
6-アミノ-1,3-ジエチル-5-ニトロソピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを以下のように合成した。ジエチル尿素(11.6g、0.10モル)、シアノ酢酸(8.50g、0.10モル)、及び無水酢酸(12.5mL)を、磁気撹拌子を備えた200mLの一つ口丸底フラスコに入れた。フラスコを80℃の油浴に入れ、3時間加熱した。これを油浴から取り出し、真空中で50℃で濃縮した。結果として得られた油をトルエン(4回)と同時蒸発させて、透明な濃厚な油を得た。5%水酸化ナトリウム溶液(50mL)を油に添加し、発熱が生じ、濃厚な沈殿物が生じた。30分後、反応物を氷水浴に15分間入れた。亜硝酸ナトリウム(8.30g、0.12モル)を水(50mL)中に溶解させた。水(25mL)を濃厚な反応混合物に添加して、混合物の撹拌を可能にした。亜硝酸ナトリウム溶液を濃厚な反応混合物に添加した。酢酸(12.59g、0.21モル)を反応物に滴加した。反応物を500mLの丸底フラスコに移し、水(300mL)を添加して撹拌を助けた。反応物を室温で一晩撹拌させた。これを氷水浴に30分間入れ、その後、濾過し、固体を水、少量のエタノール、その後、MTBEで洗浄した。生成物を真空中で乾燥させて、16.92gの濃紫色の固体を得た。
【化78】
【0273】
5,6-ジアミノ-1,3-ジエチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを以下のように合成した。6-アミノ-1,3-ジエチル-5-ニトロソピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(16.9g、79.7mmol)を、磁気撹拌子を備えた500mLの一つ口丸底フラスコに添加した。濃縮水酸化アンモニウム(85mL)を添加し、これを温水浴に入れて温度を35℃にした。ハイドロサルファイトナトリウム(46.5g、267mmol)を水(211mL)中に溶解させた。この溶液を撹拌基質溶液に20分間かけて添加し、その後、反応物を20分間加熱してほぼ還流させた。1時間後、大量の固体が生じるまで反応混合物を真空中で30℃で濃縮した。反応混合物を氷水浴中で20分間冷却し、その後、濾過した。固体を冷水、その後、MTBEで洗浄した。高真空下で乾燥させて、15.82gの生成物を得た。
【0274】
LRMS(ESI)
+ m/z.199.1.
【化79】
【0275】
1,3-ジエチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを以下のように合成した。5,6-ジアミノ-1,3-ジエチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(4.00g、20.2mmol)を、磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコに添加し、アルゴン下に置いた。乾燥DMF(20mL)をシリンジで添加し、その後、オルトギ酸トリメチル(40mL)を添加した。この溶液を撹拌し、95℃の油浴に一晩入れた。これを真空中で濃縮し、結果として得られた固体を水-イソプロパノールから再晶出させた。これにより、2.25g、53.6%収率を得た。
【0276】
LRMS(ESI)
+ m/z.209.
【化80】
【0277】
1,3-ジエチル-7-(2-ヒドロキシエチル)-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを以下のように合成した。1,3-ジエチル-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(5.20g、25.0mmol)及び炭酸カリウム(粉砕、3.63g、26.3mmol)及び磁気撹拌子を200mLの一つ口丸底フラスコに入れ、アルゴン下に置いた。乾燥DMF(70mL)をシリンジで添加し、撹拌溶液を120℃の油浴中で1時間加熱した。反応物を油浴から取り出し、15分間冷却させた。2-クロロエタノール(2.22g、26.3mmol)を、シリンジを使用して反応物に5分間かけて添加した。反応物を10分間撹拌し、その後、熱油浴に1時間戻した。これを熱濾過し、濾液を真空中で濃縮した。これをメタノール、その後、アセトニトリルと同時蒸発させ、結果として得られた固体をMTBEで洗浄して、5.50g、87.3%収率を得た。
【0278】
LRMS(ESI)
+ m/z.253.
【化81】
【0279】
2-(1,3-ジエチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エチルニコチネートを以下のように合成した。1,3-ジエチル-7-(2-ヒドロキシエチル)-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(1.26g、5.00mmol)、ニコチン酸(0.646g、5.25mmol)、3-(3-ジメチルアミノプロピル)-1-エチル-カルボジイミド塩酸塩(1.06g、5.53mmol)、及びジメチルアミノピリジン(0.122g、1.00mmol)を、磁気撹拌子を備えた100mLの一つ口丸底フラスコ内で合わせ、アルゴン下に置いた。DCM(20mL)をシリンジで添加し、反応物を撹拌した。一晩撹拌した後、反応物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3×30mL)で洗浄した。層を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液をデカントし、真空中で濃縮して、黄褐色の泡(1.71g、95.5%収率)を得た。
【0280】
LRMS(ESI)
+ m/z.358.
【化82】
【0281】
1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(1,3-ジエチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを以下のように合成した。2-(1,3-ジエチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エチルニコチネート(1.71g、4.79mmol)及び1,2,3,5-テトラアセチル-b-D-リボフラノース(1.60g、5.03mmol)を、磁気撹拌子とともに100mLの一つ口丸底フラスコに添加した。DCM(20mL)を添加し、反応物を脱気し、アルゴン下に置いた。トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(1.17g、5.27mmol)を2分間かけて滴加した。7時間20分後、飽和炭酸水素ナトリウム(20mL)を添加して反応物を後処理し、二相溶液を10分間撹拌した。相を分離し、このプロセスを繰り返した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮して、3.66gの生成物(定量的収率)を得た。
【0282】
LRMS(ESI)
+ m/z.616.2
【化83】
【0283】
3-((2-(1,3-ジエチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネートを以下のように合成した。1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(アセトキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-3-((2-(1,3-ジエチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(3.66g、4.79mmol)を本明細書に記載したように脱保護して、2.68gの生成物(87.6%収率)を得た。
【0284】
LRMS(ESI)
+ m/z.490.2.
【化84】
【0285】
((2R,3S,4R,5R)-5-(3-((2-(1,3-ジエチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)ピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルリン酸水素を以下のように合成した。3-((2-(1,3-ジエチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-7H-プリン-7-イル)エトキシ)カルボニル)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(1.00g、1.57mmol)を、本明細書に記載した手順を使用してリン酸化して、436mgの粗生成物を得た。これを、40gのC-18カラム及び溶離液として5-30%メタノール/水の勾配を利用して精製した。
【0286】
LRMS(ESI)+ m/z.569.5.
【0287】
実施例B1:生物学的試験
本明細書に記載の化合物によるPDE4阻害の特異性を評価するために研究を行った。結果を
図1に提示する。
【0288】
列1~4の対照:1)阻害剤なし、2)水、3)RLPM 60マイクロモル、4)IBMX 60マイクロモル。0.6mMでの列5~11:5)テオフィリン、6)カフェイン、7)比較化合物、8)NRCl、9)化合物3、10)化合物1、11)化合物6。6mMでの列12~18:12)テオフィリン、13)カフェイン、14)比較化合物、15)NRCl、16)化合物3、17)化合物1、18)化合物6。
【0289】
IBMXは、3-イソブチル-1,7-ビスメチル-キサンチンである。RLPMは、ロリプラムである。NRClは、ニコチンアミドリボシドクロリドである。「TRTなし」は処理なしを意味する。
【0290】
酵素阻害の追加の標的としては、0.4mM~10mMの範囲の濃度のPDE1A1、PDE4A4B、及びPDE5A1が挙げられる。
【0291】
実施例B2:生物学的試験
シスプラチン誘発性急性腎障害(AKI)は、迅速(72時間)であり、再現性があり、ヒト疾患に類似しており、かつニコチンアミド又はNMNの補給に応答するため、許容されるモデルである。研究設計は、6つの処理群(1~6)に無作為化し、かつTran et al.,“PGC1α drives NAD biosynthesis linking oxidative metabolism to renal protection”Nature,24 March 2016,vol 531、528~532貢)に従うシスプラチン誘発性AKI(0日目にシスプラチン25mg/kgを腹腔内投与)に供した48匹の雄C57BL/6マウスであった。比較化合物及び試験化合物を、Tran et al.のプロトコルに基づいて、損傷の24時間前に強制投与し、損傷時に再度強制投与した。結果を
図2に示す。本試験からの読み出しは、(a)胆道尿窒素(BUN)、(b)血清クレアチニン(Cr)、(c)尿細管壊死について評価及び等級付けした腎臓切片の組織病理学、並びに(d)腎臓中のNAD濃度であった。(a)~(d)の各々において、列1はシスプラチンのみであり、列2はナイアシンアミド(Nam)であり、列3はニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)であり、列4は化合物4であった。
【0292】
実施例B3:生物学的試験
化合物を、以下のプロトコルに従って、NAD細胞アッセイで試験した。Jurkat細胞(100マイクロリットルのRPMI培地中50,000個)を、96ウェル円錐底プレートのウェルに添加した。細胞を培養下で3時間回復させた。100mM化合物ストック溶液の16マイクロリットルのアリコートを、784マイクロリットルの培地及び10%FBSで希釈して、800マイクロリットルの2mM化合物処理溶液を得た。化合物処理溶液を、1mMの化合物最終濃度で細胞に添加した(化合物毎にn=6ウェル)。並行対照として、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を、2mMの最終濃度で細胞に添加した(n=6)。プレートを24時間インキュベートし、その後、1000rpmで10分間回転させた。培地を除去し、その後、細胞を新鮮なPBSで洗浄し、再度回転させた。PBS培地を除去し、その後、細胞をPBSでもう一度洗浄し、回転させた。液体を、細胞ペレットに触れないように、ピペットを用いて各ウェルから除去した。細胞を75マイクロリットルの0.5%DTABで溶解した。25マイクロリットルの溶解物を2つの平底プレートの各々に添加した。一方のプレートをBCAタンパク質アッセイに使用し(透明)、他方のプレートをNADアッセイに使用した(透明な底、白色の壁付き)。各ウェル中のNAD濃度を、キット説明書(例えば、Promega NAD/NADH-Glo(商標)アッセイ)に従って、市販のアッセイを使用して決定した。Pierce BCAタンパク質アッセイを、キット説明書(例えば、ThermoScientificカタログ番号23225)に従って実行した。NADレベルを全タンパク質に対して正規化し、未処理の細胞におけるNADレベルの倍数として報告した。
【0293】
他の細胞型を用いたアッセイを、適切な化合物及びNMN希釈液を使用して、同様に実行した。タンパク質及びNADアッセイキットの読み取り範囲内のシグナルを提供するために、必要に応じて細胞数を調整した。
【0294】
NAD上昇アッセイの結果を以下の表に提供する。
【表1】
【0295】
参照による組み込み
本明細書に記載されている全ての米国特許並びに米国及びPCT公開特許出願並びに非特許文献は、各々の独立した特許及び刊行物が参照により組み込まれることが具体的及び個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0296】
等価物
本発明の前述の書面による説明により、当業者が現在その最良の態様であるとみなされるものを作製及び使用することが可能になるが、当業者であれば、本明細書における特定の実施形態、方法、及び実施例の変形、組み合わせ、及び等価物の存在を理解し、正当に評価するであろう。したがって、本発明は、上記の実施形態、方法、及び実施例に限定されるべきではなく、本発明の範囲及び趣旨内の全ての実施形態及び方法に限定されるべきである。
【国際調査報告】