(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】操作された心筋組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20241226BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20241226BHJP
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A61P 3/10 20060101ALI20241226BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241226BHJP
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A61P 25/14 20060101ALI20241226BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241226BHJP
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A61K 47/56 20170101ALI20241226BHJP
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C12N 15/33 20060101ALN20241226BHJP
C07K 14/015 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N7/01
A61K48/00
A61P9/10
A61P19/00
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A61P25/00
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A61P3/00
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A61P43/00
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A61K31/7088
A61K38/02
A61K35/76
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A61K47/56
C12N5/077
C12N15/867 Z
C12N15/12
C12N15/33
C07K14/015
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537381
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022077628
(87)【国際公開番号】W WO2023060142
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515236259
【氏名又は名称】ザ・ブロード・インスティテュート・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】505028576
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェロウズ オヴ ハーヴァード カレッジ
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】サベッティ パルディス
(72)【発明者】
【氏名】タブボードバー ムハンマドシャリフ
(72)【発明者】
【氏名】イー サイモン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
中枢神経系細胞を標的とするのに有効な標的化部位を含む組成物及びその製剤が、いくつかの例示的な実施形態において記載される。特定の実施形態では、標的化部位は、1つ以上のn量体インサートから構成され、これには、1つ以上のRGDモチーフ、及び/または1つ以上のPモチーフが含まれ得る。また、1つ以上の標的化部位を含むポリペプチドを生成するように構成されたベクターシステムも特定の例示的な実施形態において記載される。また、本明細書では、中枢神経系細胞を標的とするのに有効な標的化部位を生成する方法、ならびに本明細書に記載される標的化部位を含む組成物を使用して、例えば対象にカーゴを送達する、及び/または中枢神経系の疾患、障害、もしくはそのシステムを処置する方法も記載される。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心筋細胞を標的とするのに有効な標的化部位であって、前記標的化部位が1つ以上のn量体インサートを含み、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが表4(配列番号4~500)または表5(配列番号501~746)から選択される、前記標的化部位と、
任意選択で、カーゴであって、前記カーゴが前記標的化部位と連結しているか、またはそうでなければ前記標的化部位と会合している、前記カーゴと、を含む、組成物。
【請求項2】
前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが、1つ以上のRGDモチーフを含むか、またはそれからなり、前記RGDモチーフの少なくとも1つが、X
mRGDX
nを含むか、またはそれからなり、式中、mが0~4アミノ酸であり、nが0~15アミノ酸であり、X
m及びX
nが各々独立して任意のアミノ酸から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記標的化部位が、心筋細胞を標的とするのに有効である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記1つ以上のn量体インサートが、各々3~25または3~15アミノ酸長である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記標的化部位が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、ポリマー、糖、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記標的化部位が、ウイルスタンパク質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ウイルスタンパク質がカプシドタンパク質である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記n量体インサートの1つ以上が、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ及び/または任意選択のRGDモチーフがウイルスカプシドの外部にあるように、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが前記ウイルスタンパク質の2つのアミノ酸の間に位置するように、前記ウイルスタンパク質に組み込まれる、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記ウイルスタンパク質がアデノ随伴ウイルス(AAV)タンパク質である、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記AAVタンパク質がAAVカプシドタンパク質である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記1つ以上のn量体インサートの1つ以上が、前記1つのn量体インサートの少なくとも1つ以上及び/または任意選択のRGDモチーフが各々、AAV9カプシドポリペプチド内のアミノ酸262~269、327~332、382~386、452~460、488~505、527~539、545~558、581~593、598~599、704~714、もしくはそれらの任意の組合せから独立して選択される任意の2つの連続するアミノ酸の間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10カプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、前記AAVタンパク質に組み込まれる、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ及び/またはRGDモチーフがAAV9カプシドポリペプチド内のアミノ酸588と589との間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、前記AAVタンパク質に組み込まれる、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記AAVカプシドタンパク質が、対応する野生型AAVカプシドポリペプチドと比較して、非心筋細胞における取り込みが低減または排除された操作されたAAVカプシドタンパク質である、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記非心筋細胞が肝臓細胞である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記野生型AAVカプシドポリペプチドが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記操作されたAAVカプシドタンパク質が、非心筋細胞における取り込みが低減または排除される1つ以上の変異を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記1つ以上の変異が、前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の
a.267位、
b.269位、
c.504位、
d.505位、
e.590位、
f.もしくはそれらの任意の組合せ、
または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれらに対応する1つ以上の位置にある、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記非AAV9カプシドタンパク質が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の269位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、SまたはXからTへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の504位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の505位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、PまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の590位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、QまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
前記操作されたAAVカプシドタンパク質が、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位、269位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、前記267位における変異がGからAへの変異であり、前記269位における変異がSからTへの変異である、請求項17に記載の組成物。
【請求項25】
前記操作されたAAVカプシドタンパク質が、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の509位に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、前記590位における変異がQからAへの変異である、請求項17に記載の組成物。
【請求項26】
前記操作されたAAVカプシドタンパク質が、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の504位、505位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、前記504位における変異がGからAへの変異であり、前記505位における変異がPからAへの変異である、請求項17に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が操作されたウイルス粒子である、請求項1~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記操作されたウイルス粒子が操作されたAAVウイルス粒子である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記AAVウイルス粒子が、操作されたAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVウイルス粒子である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記任意選択のカーゴが、心筋疾患または障害を処置または予防することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記心筋疾患または障害が、骨格筋疾患、中枢神経系疾患、神経筋疾患、またはそれらの任意の組合せに続発する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記心筋疾患が、自己免疫疾患、がん、筋ジストロフィー、神経筋疾患、糖もしくはグリコーゲン蓄積症、リピート伸長病、ドミナントネガティブ疾患、心筋症、ウイルス性疾患、早老性疾患、心筋症、またはそれらの任意の組合せであるか、またはそれらに続発する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記任意選択のカーゴが、モルホリノ、ペプチド結合モルホリノ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、PMO、治療用導入遺伝子、治療用ポリペプチドもしくはペプチドをコードするポリヌクレオチド、PPMO、1つ以上のペプチド、CRISPR-Casタンパク質、ガイドRNA、もしくはその両方をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、リボ核タンパク質であり、前記リボ核タンパク質が、CRISPR-Casシステム分子、治療用導入遺伝子RNA、もしくはその他の遺伝子改変もしくは治療用RNA及び/またはタンパク質、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記任意選択のカーゴが、遺伝子、任意選択でジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導することができる、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記カーゴがミニジストロフィン遺伝子またはマイクロジストロフィン遺伝子である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記ミニジストロフィン遺伝子または前記マイクロジストロフィン遺伝子が、スペクトリン様リピート1、2、3、及び24を含み、任意選択でnNOSドメインを含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記リピート伸長病が、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィー、または顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である、請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、またはFSHDである、請求項32に記載の組成物。
【請求項39】
前記筋強直性ジストロフィーが1型または2型である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記心筋症が、拡張型心筋症、肥大型心筋症、DMD関連心筋症、拘束型心筋症、またはダノン病である、請求項32に記載の組成物。
【請求項41】
前記糖またはグリコーゲン蓄積症がMPS III型疾患またはポンペ病である、請求項32に記載の組成物。
【請求項42】
前記MPS III型疾患がMPS IIIA型、IIIB型、IIIC型、またはIIID型である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記神経筋疾患がシャルコー・マリー・トゥース病またはフリードライヒ運動失調症である、請求項32に記載の組成物。
【請求項44】
1つ以上のポリヌクレオチドであって、前記1つ以上のポリヌクレオチドの少なくとも1つが、心筋細胞を標的とするのに有効な標的化部位のすべてまたは一部をコードし、前記標的化部位が1つ以上のn量体インサートを含み、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが表4または表5から選択される、前記1つ以上のポリヌクレオチドと、
任意選択で、前記1つ以上のポリヌクレオチドの1つ以上に作動可能に連結された調節エレメントと、を含むベクターを含む、ベクターシステム。
【請求項45】
前記1つ以上のn量体インサートの1つ以上が、1つ以上のRGDモチーフを含むか、またはそれからなり、前記RGDモチーフの少なくとも1つが、X
mRGDX
nを含むか、またはそれからなり、式中、mが0~4アミノ酸であり、nが0~15アミノ酸であり、X
m及びX
nが各々独立して任意のアミノ酸から選択される、請求項44に記載のベクターシステム。
【請求項46】
前記標的化部位が、心筋細胞を標的とするのに有効である、請求項44に記載のベクターシステム。
【請求項47】
前記1つ以上のn量体インサートが、各々3~25または3~15アミノ酸長である、請求項44に記載のベクターシステム。
【請求項48】
カーゴをさらに含む、請求項44に記載のベクターシステム。
【請求項49】
前記カーゴが、カーゴポリヌクレオチドであり、任意選択で、前記標的化部位のすべてまたは一部をコードする前記1つ以上のポリヌクレオチドの1つ以上に作動可能に連結される、請求項48に記載のベクターシステム。
【請求項50】
前記ベクターシステムが、ウイルス粒子、前記カーゴを含むウイルス粒子、またはその両方を産生することができる、請求項48に記載のベクターシステム。
【請求項51】
前記ベクターシステムが、前記標的化部位の1つ以上を含むポリペプチドを産生することができる、請求項44に記載のベクターシステム。
【請求項52】
前記ポリペプチドがウイルスポリペプチドである、請求項51に記載のベクターシステム。
【請求項53】
前記ウイルスポリペプチドがカプシドポリペプチドである、請求項52に記載のベクターシステム。
【請求項54】
前記カプシドポリペプチドがアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチドである、請求項53に記載のベクターシステム。
【請求項55】
前記ウイルス粒子がAAVウイルス粒子である、請求項50に記載のベクターシステム。
【請求項56】
前記AAVウイルス粒子または前記AAVカプシドポリペプチドが、操作されたAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVウイルス粒子またはポリペプチドである、請求項50に記載のベクターシステム。
【請求項57】
前記1つ以上のn量体インサートの1つ以上が、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ、及び/または任意選択の1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つが前記ウイルス粒子のウイルスカプシドの外部にあるように、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ、前記任意選択のRGDモチーフの少なくとも1つ、またはその両方が前記ウイルスタンパク質の2つのアミノ酸の間に位置するように、前記標的化部位に組み込まれる、請求項50に記載のベクターシステム。
【請求項58】
前記1つ以上のn量体インサートの1つ以上が、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ以上及び/または1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つが各々、AAV9カプシドポリペプチド内のアミノ酸262~269、327~332、382~386、452~460、488~505、527~539、545~558、581~593、598~599、704~714、もしくはそれらの任意の組合せから独立して選択される任意の2つの連続するアミノ酸の間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、前記AAVポリペプチドに組み込まれる、請求項54に記載のベクターシステム。
【請求項59】
前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが、前記1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ及び/または1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つが前記AAV9カプシドポリヌクレオチド内のアミノ酸588と589との間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、前記AAVポリペプチドに組み込まれる、請求項54に記載のベクターシステム。
【請求項60】
前記AAVカプシドタンパク質が、対応する野生型AAVカプシドポリペプチドと比較して、非心筋細胞または非筋細胞における取り込みが低減または排除された操作されたAAVカプシドタンパク質である、請求項54に記載のベクターシステム。
【請求項61】
前記非心筋細胞が肝臓細胞である、請求項60に記載のベクターシステム。
【請求項62】
前記野生型カプシドポリペプチドが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである、請求項60に記載のベクターシステム。
【請求項63】
前記操作されたAAVカプシドタンパク質が、非心筋細胞における取り込みが低減または排除される1つ以上の変異を含む、請求項54に記載のベクターシステム。
【請求項64】
前記1つ以上の変異が、前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の
a.267位、
b.269位、
c.504位、
d.505位、
e.590位、
f.もしくはそれらの任意の組合せ、
または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれらに対応する1つ以上の位置にある、請求項63に記載のベクターシステム。
【請求項65】
前記非AAV9カプシドタンパク質が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項66】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項67】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の269位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、SまたはXからTへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項68】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の504位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項69】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の505位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、PまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項70】
前記AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の590位または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における前記変異が、QまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項71】
前記操作されたAAVカプシドタンパク質が、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位、269位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、前記267位における変異がGからAへの変異であり、前記269位における変異がSからTへの変異である、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項72】
前記操作されたAAV9カプシドタンパク質が、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の590位に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、前記509位における変異がQからAへの変異である、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項73】
前記操作されたAAVカプシドタンパク質が、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の504位、505位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、前記504位における変異がGからAへの変異であり、前記505位における変異がPからAへの変異である、請求項64に記載のベクターシステム。
【請求項74】
前記1つ以上のポリヌクレオチドを含む前記ベクターが、スプライス調節エレメントを含まない、請求項44に記載のベクターシステム。
【請求項75】
ウイルスのrepタンパク質をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項44に記載のベクターシステム。
【請求項76】
前記ウイルスのrepタンパク質がAAVrepタンパク質である、請求項75に記載のベクターシステム。
【請求項77】
前記ウイルスのrepタンパク質をコードする前記ポリヌクレオチドが、前記1つ以上のポリヌクレオチドと同じベクター上または異なるベクター上に存在する、請求項75に記載のベクターシステム。
【請求項78】
前記ウイルスのrepタンパク質をコードする前記ポリヌクレオチドが、前記任意選択の調節エレメントに作動可能に連結されている、請求項75に記載のベクターシステム。
【請求項79】
前記ベクターシステムが、請求項1~43のいずれかに記載の組成物またはその一部を産生することができる、請求項44に記載のベクターシステム。
【請求項80】
請求項79に記載のベクターシステムによってコードされるか、産生されるか、またはその両方が行われる、ポリペプチド。
【請求項81】
請求項44~78のいずれかに記載のベクターシステムによってコードされるか、産生されるか、またはその両方が行われる、ポリペプチド。
【請求項82】
前記ポリペプチドがウイルスポリペプチドである、請求項81に記載のポリペプチド。
【請求項83】
前記ウイルスポリペプチドがAAVポリペプチドである、請求項82に記載のポリペプチド。
【請求項84】
前記ポリペプチドがカーゴと連結しているか、またはそうでなければカーゴと会合している、請求項81に記載のポリペプチド。
【請求項85】
請求項79に記載のベクターシステムによって産生される粒子であって、任意選択で、前記ベクターシステムによってコードされるか、産生されるか、またはその両方が行われるポリペプチドを含む、前記粒子。
【請求項86】
請求項44~79のいずれか1項に記載のベクターシステムによって産生される粒子であって、任意選択で請求項81~84のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む、前記粒子。
【請求項87】
前記粒子がウイルス粒子である、請求項86に記載の粒子。
【請求項88】
前記ウイルス粒子がアデノ随伴ウイルス(AAV)粒子、レンチウイルス粒子、またはレトロウイルス粒子である、請求項87に記載の粒子。
【請求項89】
前記粒子がカーゴを含む、請求項86のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項90】
前記ウイルス粒子が心筋指向性を有する、請求項89のいずれかに記載の粒子。
【請求項91】
前記カーゴが心筋疾患または障害を予防することができる、請求項44~79のいずれか1項に記載のベクターシステム、請求項80~84のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項85~90のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項92】
前記心筋疾患が、自己免疫疾患、がん、筋ジストロフィー、神経筋疾患、糖もしくはグリコーゲン蓄積症、リピート伸長病、ドミナントネガティブ疾患、心筋症、ウイルス性疾患、早老性疾患、心筋症、またはそれらの任意の組合せである、請求項44~79もしくは89のいずれか1項に記載のベクターシステム、請求項80~84のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項85~91のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項93】
前記カーゴが遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導することができる、請求項91~92のいずれか1項に記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項94】
前記カーゴがジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導することができる、請求項91~93のいずれか1項に記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項95】
前記カーゴがミニジストロフィン遺伝子またはマイクロジストロフィン遺伝子である、請求項91~94のいずれか1項に記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項96】
前記ミニジストロフィン遺伝子または前記マイクロジストロフィン遺伝子が、スペクトリン様リピート1、2、3、及び24を含み、任意選択でnNOSドメインを含む、請求項95に記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項97】
前記リピート伸長病が、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィー、または顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である、請求項92~96のいずれか1項に記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項98】
前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、またはFSHDである、請求項92~97のいずれか1項に記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項99】
前記筋強直性ジストロフィーが1型または2型である、請求項98に記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項100】
前記心筋症が、拡張型心筋症、肥大型心筋症、DMD関連心筋症、拘束型心筋症、またはダノン病である、請求項92~99のいずれかに記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項101】
前記糖またはグリコーゲン蓄積症がMPS III型疾患またはポンペ病である、請求項92~100のいずれかに記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項102】
前記MPS III型疾患がMPS IIIA型、IIIB型、IIIC型、またはIIID型である、請求項101に記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項103】
前記神経筋疾患がシャルコー・マリー・トゥース病またはフリードライヒ運動失調症である、請求項92~102のいずれかに記載のベクターシステム、ポリペプチド、または粒子。
【請求項104】
前記ポリペプチド、前記粒子、またはその両方が、心筋細胞の効力の増加、心筋細胞の特異性の増加、免疫原性の低下、またはそれらの任意の組合せを有する、請求項81~103のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは粒子。
【請求項105】
a.請求項1~43のいずれかに記載の組成物;
b.請求項44~79もしくは91~103のいずれか1項に記載のベクターシステム;
c.請求項80~84もしくは91~104のいずれか1項に記載のポリペプチド;
d.請求項85~104のいずれか1項に記載の粒子;または
e.それらの任意の組合せ
を含む、細胞。
【請求項106】
前記細胞が原核細胞である、請求項103に記載の細胞。
【請求項107】
前記細胞が真核細胞である、請求項103に記載の細胞。
【請求項108】
a.請求項1~43のいずれかに記載の組成物;
b.請求項44~79もしくは91~103のいずれか1項に記載のベクターシステム;
c.請求項80~84もしくは91~104のいずれか1項に記載のポリペプチド;
d.請求項85~104のいずれか1項に記載の粒子;
e.請求項105~107のいずれか1項に記載の細胞;または
f.それらの任意の組合せと、
薬学的に許容される担体と、
を含む、医薬製剤。
【請求項109】
心筋疾患、障害、またはその症状を処置する方法であって、それを必要とする対象に、
a.請求項1~43のいずれかに記載の組成物;
b.請求項44~79もしくは91~103のいずれか1項に記載のベクターシステム;
c.請求項80~84もしくは91~104のいずれか1項に記載のポリペプチド;
d.請求項85~104のいずれか1項に記載の粒子;
e.請求項105~107のいずれか1項に記載の細胞;
f.請求項108に記載の医薬製剤;または
g.それらの任意の組合せ
を投与することを含む、前記方法。
【請求項110】
前記心筋疾患が、骨格筋疾患、中枢神経系疾患、神経筋疾患、またはそれらの任意の組合せに続発する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記中枢神経系疾患または障害が、フリードライヒ運動失調症、ドラベ症候群、脊髄小脳失調症3型、ニーマン・ピック病C型、ハンチントン病、ポンペ病、筋強直性ジストロフィー1型、Glut1欠損症(De Vivo病)、テイ・サックス病、脊髄性筋萎縮症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ダノン病、レット症候群、アンジェルマン症候群、またはそれらの組合せである、請求項110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記心筋疾患が、(a)自己免疫疾患、(b)がん、(c)筋ジストロフィー、(d)神経筋疾患、(e)糖もしくはグリコーゲン蓄積症、(f)リピート伸長病、(g)ドミナントネガティブ疾患、(h)心筋症、(i)ウイルス性疾患、(j)早老性疾患、または(k)それらの任意の組合せであるか、またはそれらに続発する、請求項109~111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記リピート伸長病が、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィー、または顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、またはFSHDである、請求項12~113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記筋強直性ジストロフィーが1型または2型である、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記心筋症が、拡張型心筋症、肥大型心筋症、DMD関連心筋症、拘束型心筋症、またはダノン病である、請求項112~115のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記糖またはグリコーゲン蓄積症がMPS III型疾患またはポンペ病である、請求項112~116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記MPS III型疾患がMPS IIIA型、IIIB型、IIIC型、またはIIID型である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記神経筋疾患がシャルコー・マリー・トゥース病またはフリードライヒ運動失調症である、請求項110~118のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月5日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第63/252,559号の利益及び優先権を主張するものであり、この内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、2022年10月4日に作成され、939,929バイト(ディスク上942KB)のサイズを有するBROD-5475WP_ST26というタイトルのxmlファイルとして電子形式で提出された配列表を含む。該配列表の内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書に開示される主題は一般に、操作された中枢神経系標的化組成物に関し、これには組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ならびにそのシステム、組成物、及び使用が含まれるがこれらに限定されない。
【背景技術】
【0004】
組換えAAV(rAAV)は、遺伝子治療及び遺伝子編集に最も一般的に使用される送達媒体である。それにもかかわらず、天然のカプシドバリアントを含むrAAVは、細胞指向性が限られている。実際には、現在使用されているrAAVは、全身送達後に主に肝臓に感染する。さらに、天然のカプシドバリアントを含むこれらの従来のrAAVによる他の細胞型、組織、及び器官における従来のrAAVの形質導入効率は限られている。したがって、肝臓以外の細胞、組織、及び器官、例えば中枢神経系に影響を及ぼす疾患に対するAAV媒介ポリヌクレオチド送達は、典型的には多量のウイルス(典型的には約2×1014vg/kg)の注射を必要とし、これは、肝臓毒性をもたらすことが多い。さらに、従来のrAAVを用いる場合、多くの量が必要とされるため、成人患者に投与する必要のある十分な量の治療用rAAVを製造することは非常に難題である。さらに、遺伝子発現及び生理機能の相違のため、マウス及び霊長類モデルでは、ウイルスカプシドに対して応答が異なる。異なるウイルス粒子の形質導入効率は、異なる種間で異なり、結果として、マウスにおける前臨床研究は、ヒトを含む霊長類における結果を正確に反映しないことが多い。したがって、様々な遺伝子疾患の処置において使用するための改善されたrAAVが必要とされている。
【0005】
本出願におけるいずれの文献の引用または特定も、かかる文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものではない。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の特定の例示的な実施形態では、心筋細胞を標的とするのに有効な標的化部位を含む組成物であって、該標的化部位が1つ以上のn量体インサートを含み、該1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが表4または表5から選択される、該標的化部位と、任意選択でカーゴであって、該カーゴが標的化部位と連結しているか、またはそうでなければ標的化部位と会合している、該カーゴと、を含む組成物が記載される。
【0007】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つは、1つ以上のRGDモチーフを含むか、またはそれからなり、該RGDモチーフの少なくとも1つは、XmRGDXnを含むか、またはそれからなり、式中、mは0~4アミノ酸であり、nは0~15アミノ酸であり、Xm及びXnは各々独立して任意のアミノ酸から選択される。
【0008】
特定の例示的な実施形態では、標的化部位は心筋細胞を標的とするのに有効である。
【0009】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートは、各々3~25または3~15アミノ酸長である。
【0010】
特定の例示的な実施形態では、標的化部位は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、ポリマー、糖、またはそれらの組合せを含む。
【0011】
特定の例示的な実施形態では、標的化部位は、ウイルスタンパク質を含む。
【0012】
特定の例示的な実施形態では、ウイルスタンパク質はカプシドタンパク質である。
【0013】
特定の例示的な実施形態では、n量体インサートの1つ以上は、該1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ及び/または任意選択のRGDモチーフがウイルスカプシドの外部にあるように、該1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが該ウイルスタンパク質の2つのアミノ酸の間に位置するように、ウイルスタンパク質に組み込まれる。
【0014】
特定の例示的な実施形態では、ウイルスタンパク質はアデノ随伴ウイルス(AAV)タンパク質である。
【0015】
特定の例示的な実施形態では、AAVタンパク質はAAVカプシドタンパク質である。
【0016】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの1つ以上は、該1つのn量体インサートの少なくとも1つ以上及び/または任意選択のRGDモチーフが各々、AAV9カプシドポリペプチド内のアミノ酸262~269、327~332、382~386、452~460、488~505、527~539、545~558、581~593、598~599、704~714、もしくはそれらの任意の組合せから独立して選択される任意の2つの連続するアミノ酸の間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の(analogous)位置に挿入されるように、AAVタンパク質に組み込まれる。
【0017】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つは、該1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ及び/または任意選択のRGDモチーフがAAV9カプシドポリペプチド内のアミノ酸588と589との間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、AAVタンパク質に組み込まれる。
【0018】
特定の例示的な実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、対応する野生型AAVカプシドポリペプチドと比較して、非心筋細胞における取り込みが低減または排除された、操作されたAAVカプシドタンパク質である。特定の例示的な実施形態では、非心筋細胞は肝臓細胞である。特定の例示的な実施形態では、野生型AAVカプシドポリペプチドは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである。
【0019】
特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、非心筋細胞における取り込みが低減または排除される1つ以上の変異を含む。特定の例示的な実施形態では、1つ以上の変異は、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位、269位、504位、505位、590位、もしくはそれらの任意の組合せ、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する1つ以上の位置にある。特定の例示的な実施形態では、非AAV9カプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の269位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、SまたはXからTへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の504位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の505位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、PまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の590位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、QまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の267位、269位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、267位における変異はGからAへの変異であり、269位における変異はSからTへの変異である。特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の590位に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、509位における変異はQからAへの変異である。特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の504位、505位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、504位における変異はGからAへの変異であり、505位における変異はPからAへの変異である。
【0020】
特定の例示的な実施形態では、組成物は、操作されたウイルス粒子である。特定の例示的な実施形態では、操作されたウイルス粒子は、操作されたAAVウイルス粒子である。特定の例示的な実施形態では、AAVウイルス粒子は、操作されたAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVウイルス粒子である。
【0021】
特定の例示的な実施形態では、任意選択のカーゴは、心筋疾患または障害を処置または予防することができる。
【0022】
特定の例示的な実施形態では、心筋疾患または障害は、骨格筋疾患、中枢神経系疾患、神経筋疾患、またはそれらの任意の組合せに続発する。
【0023】
特定の例示的な実施形態では、心筋疾患は、自己免疫疾患、がん、筋ジストロフィー、神経筋疾患、糖もしくはグリコーゲン蓄積症、リピート伸長病、ドミナントネガティブ疾患、心筋症、ウイルス性疾患、早老性疾患、心筋症、またはそれらの任意の組合せであるか、またはそれらに続発する。
【0024】
特定の例示的な実施形態では、任意選択のカーゴは、モルホリノ、ペプチド結合モルホリノ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、PMO、治療用導入遺伝子、治療用ポリペプチドもしくはペプチドをコードするポリヌクレオチド、PPMO、1つ以上のペプチド、CRISPR-Casタンパク質、ガイドRNA、もしくはその両方をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、リボ核タンパク質であり、該リボ核タンパク質は、CRISPR-Casシステム分子、治療用導入遺伝子RNA、もしくはその他の遺伝子改変もしくは治療用RNA及び/またはタンパク質、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0025】
特定の例示的な実施形態では、任意選択のカーゴは、遺伝子、任意選択でジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導することができる。
【0026】
特定の例示的な実施形態では、カーゴは、ミニジストロフィン遺伝子またはマイクロジストロフィン遺伝子である。
【0027】
特定の例示的な実施形態では、ミニジストロフィン遺伝子またはマイクロジストロフィン遺伝子は、スペクトリン様リピート1、2、3、及び24を含み、任意選択でnNOSドメインを含む。
【0028】
特定の例示的な実施形態では、リピート伸長病は、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィー、または顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。
【0029】
特定の例示的な実施形態では、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、またはFSHDである。
【0030】
特定の例示的な実施形態では、筋強直性ジストロフィーは、1型または2型である。
【0031】
特定の例示的な実施形態では、心筋症は、拡張型心筋症、肥大型心筋症、DMD関連心筋症、拘束型心筋症、またはダノン病である。
【0032】
特定の例示的な実施形態では、糖またはグリコーゲン蓄積症は、MPS III型疾患またはポンペ病である。特定の例示的な実施形態では、MPS III型疾患は、MPS IIIA型、IIIB型、IIIC型、またはIIID型である。
【0033】
特定の例示的な実施形態では、神経筋疾患は、シャルコー・マリー・トゥース病またはフリードライヒ運動失調症である。
【0034】
本明細書の特定の例示的な実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドを含むベクターを含むベクターシステムであって、該1つ以上のポリヌクレオチドの少なくとも1つが、心筋細胞を標的とするのに有効な標的化部位のすべてまたは一部をコードし、該標的化部位が1つ以上のn量体インサートを含み、該1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つが表4または表5から選択される、該1つ以上のポリヌクレオチドと、任意選択で、該1つ以上のポリヌクレオチドの1つ以上に作動可能に連結された調節エレメントと、を含むベクターを含むベクターシステムが記載される。
【0035】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの1つ以上は、1つ以上のRGDモチーフを含むか、またはそれからなり、該RGDモチーフの少なくとも1つは、XmRGDXnを含むか、またはそれからなり、式中、mは0~4アミノ酸であり、nは0~15アミノ酸であり、Xm及びXnは各々独立して任意のアミノ酸から選択される。
【0036】
特定の例示的な実施形態では、標的化部位は心筋細胞を標的とするのに有効である。
【0037】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートは、各々3~25または3~15アミノ酸長である。
【0038】
特定の例示的な実施形態では、ベクターシステムは、カーゴをさらに含む。特定の例示的な実施形態では、カーゴはカーゴポリヌクレオチドであり、任意選択で、標的化部位のすべてまたは一部をコードする1つ以上のポリヌクレオチドの1つ以上に作動可能に連結される。
【0039】
特定の例示的な実施形態では、ベクターシステムは、ウイルス粒子、カーゴを含むウイルス粒子、またはその両方を産生することができる。
【0040】
特定の例示的な実施形態では、ベクターシステムは、標的化部位の1つ以上を含むポリペプチドを産生することができる。特定の例示的な実施形態では、ポリペプチドはウイルスポリペプチドである。特定の例示的な実施形態では、ウイルスポリペプチドはカプシドポリペプチドである。特定の例示的な実施形態では、カプシドポリペプチドはアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチドである。
【0041】
特定の例示的な実施形態では、ウイルス粒子はAAVウイルス粒子である。特定の例示的な実施形態では、AAVウイルス粒子またはAAVカプシドポリペプチドは、操作されたAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74もしくはAAV rh.10ウイルス粒子またはポリペプチドである。
【0042】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの1つ以上は、該1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ及び/または1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つが該ウイルス粒子のウイルスカプシドの外部にあるように、1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ、任意選択のRGDモチーフの少なくとも1つ、またはその両方がウイルスタンパク質の2つのアミノ酸の間に位置するように、標的化部位に組み込まれる。
【0043】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの1つ以上は、該1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ以上及び/または1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つが各々、AAV9カプシドポリペプチド内のアミノ酸262~269、327~332、382~386、452~460、488~505、527~539、545~558、581~593、598~599、704~714、もしくはそれらの任意の組合せから独立して選択される任意の2つの連続するアミノ酸の間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、AAVポリペプチドに組み込まれる。特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つは、該1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つ及び/または1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つが該AAV9カプシドポリヌクレオチド内のアミノ酸588と589との間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、AAVポリペプチドに組み込まれる。
【0044】
特定の例示的な実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、対応する野生型AAVカプシドポリペプチドと比較して、非心筋細胞または非筋細胞における取り込みが低減または排除された、操作されたAAVカプシドタンパク質である。特定の例示的な実施形態では、非心筋細胞は肝臓細胞である。特定の例示的な実施形態では、野生型カプシドポリペプチドは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである。
【0045】
特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、非心筋細胞における取り込みが低減または排除される1つ以上の変異を含む。特定の例示的な実施形態では、1つ以上の変異は、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位、269位、504位、505位、590位、もしくはそれらの任意の組合せ、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する1つ以上の位置にある。特定の例示的な実施形態では、非AAV9カプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の269位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、SまたはXからTへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の504位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の505位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、PまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の590位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、QまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の267位、269位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、267位における変異はGからAへの変異であり、269位における変異はSからTへの変異である。特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の590位に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、509位における変異はQからAへの変異である。特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の504位、505位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、504位における変異はGからAへの変異であり、505位における変異はPからAへの変異である。
【0046】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のポリヌクレオチドを含むベクターはスプライス調節エレメントを含まない。
【0047】
特定の例示的な実施形態では、ベクターは、ウイルスのrepタンパク質をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。特定の例示的な実施形態では、ウイルスのrepタンパク質はAAVrepタンパク質である。特定の例示的な実施形態では、ウイルスのrepタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のポリヌクレオチドと同じベクター上または異なるベクター上に存在する。特定の例示的な実施形態では、ウイルスのrepタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、任意選択の調節エレメントに作動可能に連結されている。
【0048】
特定の例示的な実施形態では、ベクターシステムは、本明細書に記載される組成物またはその一部を産生することができる。
【0049】
本明細書の特定の例示的な実施形態では、本明細書に記載されるベクターシステムによってコードされるか、産生されるか、またはその両方が行われるポリペプチドが記載される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドはウイルスポリペプチドである。いくつかの実施形態では、ウイルスポリペプチドはAAVポリペプチドである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、カーゴと連結しているか、またはそうでなければカーゴと会合している。
【0050】
本明細書の特定の例示的な実施形態では、本明細書に記載されるベクターシステムによって産生される粒子であって、本明細書に記載されるベクターシステムによって産生されるポリペプチドまたは本明細書に記載される組成物を任意選択で含む粒子が記載される。特定の例示的な実施形態では、粒子はウイルス粒子である。特定の例示的な実施形態では、ウイルス粒子は、アデノ随伴ウイルス(AAV)粒子、レンチウイルス粒子、またはレトロウイルス粒子である。特定の例示的な実施形態では、粒子はカーゴを含む。特定の例示的な実施形態では、ウイルス粒子は心筋指向性を有する。
【0051】
特定の例示的な実施形態では、カーゴは心筋疾患または障害を予防することができる。特定の例示的な実施形態では、心筋疾患は、自己免疫疾患、がん、筋ジストロフィー、神経筋疾患、糖もしくはグリコーゲン蓄積症、リピート伸長病、ドミナントネガティブ疾患、心筋症、ウイルス性疾患、早老性疾患、心筋症、またはそれらの任意の組合せである。
【0052】
特定の例示的な実施形態では、カーゴは遺伝子のエクソンスキッピングを誘導することができる。特定の例示的な実施形態では、カーゴは、ジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導することができる。
【0053】
特定の例示的な実施形態では、カーゴは、ミニジストロフィン遺伝子またはマイクロジストロフィン遺伝子である。
【0054】
特定の例示的な実施形態では、ミニジストロフィン遺伝子またはマイクロジストロフィン遺伝子は、スペクトリン様リピート1、2、3、及び24を含み、任意選択でnNOSドメインを含む。
【0055】
特定の例示的な実施形態では、リピート伸長病は、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィー、または顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。
【0056】
特定の例示的な実施形態では、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、またはFSHDである。
【0057】
特定の例示的な実施形態では、筋強直性ジストロフィーは、1型または2型である。
【0058】
特定の例示的な実施形態では、心筋症は、拡張型心筋症、肥大型心筋症、DMD関連心筋症、拘束型心筋症、またはダノン病である。
【0059】
特定の例示的な実施形態では、糖またはグリコーゲン蓄積症は、MPS III型疾患またはポンペ病である。特定の例示的な実施形態では、MPS III型疾患は、MPS IIIA型、IIIB型、IIIC型、またはIIID型である。
【0060】
特定の例示的な実施形態では、神経筋疾患はシャルコー・マリー・トゥース病またはフリードライヒ運動失調症である。
【0061】
特定の例示的な実施形態では、ポリペプチド、粒子、またはその両方は、心筋細胞の効力の増加、心筋細胞の特異性の増加、免疫原性の低下、またはそれらの任意の組合せを有する。
【0062】
本明細書の特定の例示的な実施形態では、本発明の組成物、本発明のベクターシステム、本発明のポリペプチド、本発明の粒子、またはそれらの任意の組合せを含む細胞が記載される。
【0063】
本明細書の特定の例示的な実施形態では、本発明の組成物、本発明のベクターシステム、本発明のポリペプチド、本発明の粒子、本発明の細胞もしくはその集団、またはそれらの任意の組合せと、薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤が記載される。
【0064】
本明細書の特定の例示的な実施形態では、心筋疾患、障害、またはその症状を処置する方法が記載されており、この方法は、それを必要とする対象に、本発明の組成物、本発明のベクターシステム、本発明のポリペプチド、本発明の粒子、本発明の細胞もしくはその集団、または本発明の医薬製剤、またはそれらの任意の組合せを投与することを含む。
【0065】
特定の例示的な実施形態では、心筋疾患は、骨格筋疾患、中枢神経系疾患、神経筋疾患、またはそれらの任意の組合せに続発する。
【0066】
特定の例示的な実施形態では、中枢神経系疾患または障害は、フリードライヒ運動失調症、ドラベ症候群、脊髄小脳失調症3型、ニーマン・ピック病C型、ハンチントン病、ポンペ病、筋強直性ジストロフィー1型、Glut1欠損症(De Vivo病)、テイ・サックス病、脊髄性筋萎縮症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ダノン病、レット症候群、アンジェルマン症候群、またはそれらの組合せである。
【0067】
特定の例示的な実施形態では、心筋疾患は、(a)自己免疫疾患、(b)がん、(c)筋ジストロフィー、(d)神経筋疾患、(e)糖もしくはグリコーゲン蓄積症、(f)リピート伸長病、(g)ドミナントネガティブ疾患、(h)心筋症、(i)ウイルス性疾患、(j)早老性疾患、または(k)それらの任意の組合せであるか、またはそれらに続発する。
【0068】
特定の例示的な実施形態では、リピート伸長病は、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィー、または顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。
【0069】
特定の例示的な実施形態では、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、またはFSHDである。
【0070】
特定の例示的な実施形態では、筋強直性ジストロフィーは、1型または2型である。
【0071】
特定の例示的な実施形態では、心筋症は、拡張型心筋症、肥大型心筋症、DMD関連心筋症、拘束型心筋症、またはダノン病である。
【0072】
特定の例示的な実施形態では、糖またはグリコーゲン蓄積症は、MPS III型疾患またはポンペ病である。特定の例示的な実施形態では、MPS III型疾患は、MPS IIIA型、IIIB型、IIIC型、またはIIID型である。
【0073】
特定の例示的な実施形態では、神経筋疾患は、シャルコー・マリー・トゥース病またはフリードライヒ運動失調症である。
【0074】
例示的な実施形態のこれらの及び他の態様、目的、特色、及び利点は、例示的な実施形態の以下の発明を実施するための形態を考慮することにより、当業者には明らかになるであろう。
【0075】
本発明の特色及び利点の理解は、本発明の原理が利用され得る例示的な実施形態を説明する以下の発明を実施するための形態、及びその添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】導入遺伝子からmRNAが産生される、アデノ随伴ウイルス(AAV)の形質導入機構を示す。
【
図2】AAVバリアントのmRNAベースの選択がDNAベースの選択よりもストリンジェントになり得ることを示すことができるグラフを示す。このウイルスライブラリーは、CMVプロモーターの制御下で発現させた。
【
図3】肝臓におけるウイルスライブラリーと、ベクターゲノムDNA(A)及びmRNA(B)との相関関係を示すことができるグラフを示す。
【
図4】異なる組織において同定されたDNAレベルで存在し、mRNAレベルで発現したカプシドバリアントを示すことができるグラフを示す。この実験では、ウイルスライブラリーはCMVプロモーターの制御下で発現された。
【
図5A】細胞型特異的プロモーター(x軸に記載)の制御下にある異なる組織におけるカプシドmRNAの発現を示すことができるグラフを示す。CMVは例示的な構成的プロモーターとして含まれた。CK8は筋肉特異的プロモーターである。MHCK7は筋肉特異的プロモーターである。hSynはニューロン特異的プロモーターである。細胞型特異的プロモーターからの発現レベルは、各組織における構成的CMVプロモーターからの発現レベルに基づいて正規化されている。
【
図5B】細胞型特異的プロモーター(x軸に記載)の制御下にある異なる組織におけるカプシドmRNAの発現を示すことができるグラフを示す。CMVは例示的な構成的プロモーターとして含まれた。CK8は筋肉特異的プロモーターである。MHCK7は筋肉特異的プロモーターである。hSynはニューロン特異的プロモーターである。細胞型特異的プロモーターからの発現レベルは、各組織における構成的CMVプロモーターからの発現レベルに基づいて正規化されている。
【
図5C】細胞型特異的プロモーター(x軸に記載)の制御下にある異なる組織におけるカプシドmRNAの発現を示すことができるグラフを示す。CMVは例示的な構成的プロモーターとして含まれた。CK8は筋肉特異的プロモーターである。MHCK7は筋肉特異的プロモーターである。hSynはニューロン特異的プロモーターである。細胞型特異的プロモーターからの発現レベルは、各組織における構成的CMVプロモーターからの発現レベルに基づいて正規化されている。
【
図6】(A)種を超えて組織特異的な遺伝子送達のためのカプシドバリアントを産生及び選択する方法の実施形態を示す概略図、ならびに(B)上位選択されたカプシドのベンチマークを示す概略図を示す。
【
図7】AAVカプシドバリアントライブラリーを生成する実施形態、特に野生型AAV、例えばAAV9にランダムなn量体(n=3~15アミノ酸)を挿入する実施形態を示す概略図を示す。
【
図8】AAVカプシドバリアントライブラリーを生成する実施形態、特にバリアントAAV粒子の産生の実施形態を示す概略図を示す。各カプシドバリアントは、ベクターゲノムとして独自のコード配列を内包する。
【
図9】AAVカプシドバリアントライブラリーを生成するためにAAVベクターシステムにおいて使用することができる代表的なAAVカプシドプラスミドライブラリーベクター(例えば、
図8を参照)の概略的なベクターマップを示す。
【
図10】異なる構成的及び細胞型特異的な哺乳動物プロモーターを含む構築物によってもたらされたウイルス力価(AAV9ベクターゲノム/15cmディッシュとして計算)を示すことができるグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本明細書の図は、例示のみを目的としており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。
【0078】
一般的な定義
別段に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。分子生物学における一般的な用語及び技術の定義は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edition(1989)(Sambrook,Fritsch,and Maniatis);Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th edition(2012)(Green and Sambrook);Current Protocols in Molecular Biology(1987)(F.M.Ausubel et al.eds.);the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(1995)(M.J.MacPherson,B.D.Hames,and G.R.Taylor eds.):Antibodies,A Laboratory Manual(1988)(Harlow and Lane,eds.):Antibodies A Laboratory Manual,2nd edition 2013(E.A.Greenfield ed.);Animal Cell Culture(1987)(R.I.Freshney,ed.);Benjamin Lewin,Genes IX,published by Jones and Bartlett,2008(ISBN 0763752223);Kendrew et al.(eds.),The Encyclopedia of Molecular Biology,published by Blackwell Science Ltd.,1994(ISBN 0632021829);Robert A.Meyers(ed.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,published by VCH Publishers,Inc.,1995(ISBN 9780471185710);Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley&Sons(New York,N.Y.1994),March,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 4th ed.,John Wiley&Sons(New York,N.Y.1992);及びMarten H.Hofker and Jan van Deursen,Transgenic Mouse Methods and Protocols,2nd edition(2011)に見出すことができる。
【0079】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかに指示されない限り、単数及び複数の両方の指示対象を含む。
【0080】
「任意選択の」または「任意選択で」という用語は、その後に記載された事象、状況、または置換基が生じても生じなくてもよく、その記載には、事象または状況が生じる場合及び生じない場合が含まれることを意味する。
【0081】
エンドポイントによる数値範囲の列挙は、列挙されるエンドポイントだけでなく、各々の範囲内に包含されるすべての数及び分数を含む。
【0082】
パラメータ、量、時間の長さなどの測定可能な値を指す場合に本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、指定された値の変動及びその値からの変動、例えば、指定された値の+/-10%以下、+/-5%以下、+/-1%以下、及び+/-0.1%以下の変動を、かかる変動が開示された発明において実施するのに適切である限り、包含することを意味する。修飾語「約」または「およそ」が指す値は、それ自体もまた、具体的に、好ましくは、開示されることを理解されたい。
【0083】
本明細書で使用される場合、「生体試料」は、全細胞及び/または生細胞及び/または細胞残屑を含有し得る。生体試料は、「体液」を含有し得る(またはそれに由来し得る)。本発明は、体液が、羊水、房水、硝子体液、胆汁、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ、外リンパ、滲出液、糞便、雌性射精液、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻漏及び痰を含む)、心膜液、腹水、胸水、膿、粘膜分泌物、唾液、皮脂(皮膚油)、精液、喀痰、滑液、汗、涙、尿、膣分泌物、嘔吐物、及びそれらのうちの1つ以上の混合物から選択される実施形態を包含する。生体試料には、細胞培養物、体液、体液由来の細胞培養物が含まれる。体液は、例えば、穿刺、または他の収集もしくはサンプリング手順によって、哺乳動物生物から得てもよい。
【0084】
「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指すために本明細書で同義に使用される。哺乳動物としては、マウス、サル、ヒト、家畜、競技用動物、及び愛玩動物が挙げられるが、これらに限定されない。in vivoで得られた、またはin vitroで培養された生物学的実体の組織、細胞、及びそれらの子孫も包含される。
【0085】
以下に、様々な実施形態を記載する。特定の実施形態は、網羅的な説明として、または本明細書で考察されるより広範な態様を制限するものとして意図されないことに留意されたい。特定の実施形態と関連して記載される一態様は、必ずしもその実施形態に制限されるものではなく、任意の他の実施形態(複数可)で実施され得る。本明細書全体を通して「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特色、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「一実施形態では」、「実施形態では」、または「例示的な実施形態」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではないが、そうであってもよい。さらに、特定の特色、構造、または特徴は、1つ以上の実施形態では、本開示から当業者には明らかであるように、任意の好適な様式で組み合わされ得る。さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特色を含むが、他の特色を含まない一方で、異なる実施形態の特色の組合せが、本発明の範囲内であることを意図している。例えば、添付の特許請求の範囲では、特許請求される実施形態のいずれかを任意の組合せで使用することができる。
【0086】
本明細書で引用されるすべての刊行物、公開特許文書、及び特許出願は、各個々の刊行物、公開特許文書、または特許出願が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されたのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
概要
本明細書に開示される実施形態は、心筋特異性を有する標的化部位(例えば、心筋特異的標的化部位)を提供する。標的化部位は、カーゴ及び/または送達媒体またはシステムと連結し得るか、またはそうでなければそれと会合し得る。本明細書に開示される実施形態は、心筋特異的標的化部位の1つ以上を組み込むことができるポリペプチド及び粒子を提供する。ポリペプチド及び/または粒子は、カーゴに連結、結合、それを内包、またはそうでなければ組み込むことができ、それによってカーゴを標的化部位(複数可)と会合させることができる。本明細書に開示される実施形態は、本明細書にさらに記載されるように、RGDモチーフを含むかまたはRGDモチーフであることができる1つ以上のn量体インサートを含むことができる心筋特異的標的化部位を提供する。
【0088】
いくつかの実施形態では、n量体インサート(複数可)は、表4(配列番号4~500)または5(配列番号501~746)のいずれかにある1つ以上のn量体インサートであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、n量体インサート(複数可)は、1つ以上のRGDモチーフであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、RGDモチーフの少なくとも1つは、XmRGDXnを含むか、またはそれらからなり、式中、mは0~4アミノ酸であり、nは0~15アミノ酸であり、Xm及びXnは各々独立して任意のアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、n量体インサートのC末端及び/またはN末端アミノ酸の1つ以上(例えば、1~3つ)は、n量体インサートが挿入されるポリペプチド(例えば、カプシドポリペプチド)のアミノ酸の1つ以上を置換する。
【0089】
本明細書に開示される実施形態は、細胞特異的及び/または種特異的指向性、例えば心筋指向性を、操作されたウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV))粒子に付与するように操作することができる操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドを提供する。本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載される1つ以上の標的化部位を含むことができる、操作されたウイルスポリペプチド(例えば、カプシドポリペプチド)を提供する。いくつかの実施形態では、操作されたウイルスポリペプチドはウイルス粒子に組み込むことができる。
【0090】
本明細書に開示される実施形態は、バリアントカプシドタンパク質などの、改変された表面構造の多様なバリアントライブラリーの生成を系統的に指示することを含むことができる操作されたカプシドを有する組換えAAV(rAAV)を生成する方法も提供する。操作されたカプシドを有するrAAVを生成する方法の実施形態には、特定の細胞、組織、及び/または器官型を標的とすることができるカプシドバリアントのストリンジェントな選択も含まれ得る。操作されたカプシドを有するrAAVを生成する方法の実施形態には、少なくとも2つ以上の種において効率的及び/または均一な形質導入が可能なカプシドバリアントのストリンジェントな選択が含まれ得る。1つの例示的な実施形態では、n量体インサートは心筋細胞の形質導入の増加をもたらし得る。
【0091】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載される操作されたAAVを産生することができるベクター及びそのシステムを提供する。
【0092】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載される操作されたAAV粒子を産生することができる細胞を提供する。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される1つ以上のベクターまたはそのシステムを含む。
【0093】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載される操作されたカプシドを含むことができる操作されたAAVを提供する。いくつかの実施形態では、操作されたAAVは、細胞に送達されるカーゴポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドは遺伝子改変ポリヌクレオチドである。
【0094】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載される操作されたAAVベクターもしくはそのシステム、操作されたAAVカプシド、操作されたAAVカプシドを含む操作されたAAV粒子、及び/または操作されたAAVカプシド及び/または操作されたAAVベクターもしくはそのシステムを含む本明細書に記載される操作された細胞を含むことができる製剤を提供する。いくつかの実施形態では、製剤には薬学的に許容される担体も含まれ得る。本明細書に記載される製剤は、それを必要とする対象または細胞に送達することができる。
【0095】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、操作されたAAVカプシド、操作されたAAV粒子、細胞、または他の構成要素、及びそれらの組合せの1つ以上の1つ以上、ならびに本明細書に記載される医薬製剤を含むキットも提供する。実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、操作されたAAVカプシド、操作されたAAV粒子細胞、及びそれらの組合せの1つ以上を、組合せキットとして提供することができる。
【0096】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載される細胞特異的指向性を有する操作されたAAVを使用して、例えば治療用ポリヌクレオチドを細胞に送達する方法を提供する。このようにして、本明細書に記載される操作されたAAVは、それを必要とする対象における疾患を処置及び/または予防するために使用することができる。本明細書に開示される実施形態は、操作されたAAVカプシド、操作されたAAVウイルス粒子、操作されたAAVベクターもしくはそのシステム及び/またはその製剤を細胞に送達する方法も提供する。また、本明細書では、操作されたAAV粒子、操作されたAAVカプシド、操作されたAAVカプシドベクターもしくはそのシステム、操作された細胞、及び/またはその製剤を対象に送達することにより、処置を必要とする対象を処置する方法も提供される。
【0097】
本明細書では、操作されたAAVの実施形態のさらなる特色及び利点、ならびに操作されたAAVを作製及び使用する方法についてさらに説明する。
【0098】
標的化部位及び組成物
概して、本明細書では、心筋細胞を効果的に標的とすることができる1つ以上の心筋特異的標的化部位を含む組成物について記載する。いくつかの実施形態では、送達媒体、薬剤、またはそれらのシステムに心筋特異的標的化能力を提供するように、1つ以上の心筋特異的標的化部位を送達媒体、薬剤、またはそれらのシステムに組み込むことができる。例示的な送達媒体としては、ウイルス粒子(例えば、AAVウイルス粒子)、ミセル、リポソーム、エクソソームなどが挙げられるが、これらに限定されない。心筋特異的標的化部位を組み込むことができる例示的な送達媒体については、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される。いくつかの実施形態では、心筋特異的標的化部位は、カーゴに間接的または直接的に連結することができ、したがって、連結されたカーゴに特異的な心筋をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、心筋細胞に対して特異的であり得(例えば、本明細書に記載される心筋特異的標的化部位によって付与される)、非心筋細胞(肝臓細胞を含むがこれに限定されない)に対する特異性は低下し得る。いくつかの実施形態では、心筋特異的標的化部位は、心筋細胞上の1つ以上のAAV受容体と特異的に相互作用するか、またはそうでなければ会合することができ、それにより心筋特異性(または指向性)がもたらされる。心筋特異的標的化部位を生成する方法については、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される。
【0099】
心筋特異的標的化部位
本明細書では、心筋細胞を特異的に標的とすることができる標的化部位について記載する。本明細書の文脈で使用される場合、「標的とする/標的化」とは、標的化部位による標的分子または部位との認識、結合、会合、親和性、アビディティー、伝達もしくは感染、及び/または他の相互作用が、非標的分子または部位との認識、結合、会合、親和性、アビディティー、伝達もしくは感染、及び/または他の相互作用と比較して、標的分子または部位に対してより大きく、より効率的、またはそうでなければより選択的であるように、標的特異的な方法で、標的分子または部位を認識する、結合する、会合する、伝達する、もしくは感染する、またはそうでなければ相互作用する能力を指す。例えば、心筋細胞特異的標的化部位は、非心筋細胞と比較して、心筋細胞の、もしくはそれとの認識、結合、会合、親和性、アビディティー、伝達、もしくは感染、及び/または他の相互作用が増加する、及び/またはより効率的もしくは選択的である。
【0100】
いくつかの実施形態では、標的化部位は、本明細書に記載される1つ以上のn量体インサートであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、n量体インサートは、表4または表5におけるn量体インサートであり得る(からなり得る)か、またはn量体インサートを含有し得る(を含み得る)。いくつかの実施形態では、n量体インサートはRGDモチーフであり得る(からなり得る)か、またはRGDモチーフを含有し得る(を含み得る)。一般に、n量体インサートは短い(例えば、約3~約15、20、または25)アミノ酸配列であり、n量体インサートの各アミノ酸は任意のアミノ酸から選択できる。いくつかの実施形態では、n量体インサートは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25アミノ酸長である。
【0101】
いくつかの実施形態では、n量体インサートは「RGD」モチーフである(からなる)か、または「RGD」モチーフを含む(include)(を含む(comprise))。「RGD」モチーフは、通常、n量体インサート内にアミノ酸RGDが存在することを指す。いくつかの実施形態では、RGDはn量体インサートの最初の3つのアミノ酸である。したがって、いくつかの実施形態では、n量体はRGDまたはRGDXnの配列を有することができ、式中、nは3~15個のアミノ酸であり得、Xは任意のアミノ酸であり得、存在する各アミノ酸は各々任意のアミノ酸の群から他のものから独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、n量体インサートは、RGD(3量体)、RGDX1(4量体)、RGDX1X2(5量体)、RGDX1X2X3(6量体)、RGDX1X2X3X4(7量体)、RGDX1X2X3X4X5(8量体)、またはRGDX1X2X3X4X5X6(9量体)、RGD1X2X3X4X5X6X7(10量体)、RGD1X2X3X4X5X6X7X8(11量体)、RGDX1X2X3X4X5X6X7X8X9(12量体)、RGDX1X2X3X4X5X6X7X8X9X10(13量体)、RGDX1X2X3X4X5X6X7X8X9X10X11(14量体)、またはRGDX1X2X3X4X5X6X7X8X9X10X11X12(15量体)であり得、式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12は、各々独立して選択され得、任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、X1は、L、T、A、M、V、Q、またはMであることができる。いくつかの実施形態では、X2は、T、M、S、N、L、A、またはIであることができる。いくつかの実施形態では、X3は、T、E、N、O、S、Q、Y、A、またはDであることができる。いくつかの実施形態では、X4は、P、Y、K、L、H、T、またはSであることができる。
【0102】
特定の例示的な実施形態では、RGDモチーフは、XmRGDXnの式を有し、式中、mは0~4個のアミノ酸であり、nは0~15個のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、存在する各Xアミノ酸は、任意のアミノ酸の群から他のものから独立して選択される。特定の例示的な実施形態では、RGDモチーフは式RGDXnを有し、式中、nは4または5であり、式中、Xは任意のアミノ酸であり、存在する各Xアミノ酸は、本明細書の他の箇所で説明される任意のアミノ酸または任意の特定の組合せからなる群から他のものから独立して選択される。
【0103】
特定の例示的な実施形態では、n量体インサートのC末端またはN末端アミノ酸の1個以上、例えば1、2、3、4個以上は、n量体インサートが組み込まれているか、またはそうでなければ挿入されているポリペプチドのアミノ酸の1個以上を置換する。n量体インサートが配列XmRGDXnを有するRGDモチーフであり、nが0ではない(すなわち、n=1、2、3、または4)いくつかの実施形態では、Xnのアミノ酸は、n量体インサートが組み込まれているポリペプチドのそれぞれ最大1、2、3、または4個のアミノ酸を置換することができる。いくつかの実施形態では、この方法でのn量体インサートの組み込みは、レシピエントポリペプチドの任意の2つの所望の連続アミノ酸の間に「挿入」として存在する場合に、インサート及び/またはRGDモチーフを配置することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、n量体インサートは、標的化部位による心筋細胞の標的化を容易にする。本開示から分かるように、心筋細胞特異性を有するこのような標的化部位は、心疾患、または心筋細胞が一次的、二次的、または他の病態または症状に関与する疾患/障害を処置するための組成物及び製剤に使用するのに有利であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される心筋細胞特異的標的化部位は、筋肉、神経筋、及び/またはCNS疾患または障害の心筋細胞病態の処置に使用するのに有利である。いくつかの例示的な実施形態では、本明細書でさらに説明されるように、標的化部位は、AAVウイルスカプシドなどのウイルスカプシドであり得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、n量体インサートはRGDインサートではないか、またはRGDインサートを含まない。
【0106】
いくつかの実施形態では、n量体インサート及び/またはRGDモチーフの直前には、標的化部位のAQまたはDGが位置し、これはn量体インサートの一部であってもよく、またはn量体インサートが組み込まれ、挿入される別のポリペプチド、例えばベクター(例えば、AAVベクター)またはウイルスタンパク質(例えば、ウイルスカプシドポリペプチド)の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、AQまたはDGは、RGDモチーフの前のn量体インサートに組み込まれる、及び/またはn量体インサートが組み込まれているポリペプチドの1個もしくは2個のアミノ酸を置換する。いくつかの実施形態では、このようなn量体インサートが組み込まれているポリペプチドは、ウイルスポリペプチド、例えばウイルスカプシドポリペプチド(例えば、AAVカプシドポリペプチド)である。
【0107】
いくつかの実施形態では、任意選択でRGDモチーフを含む心筋特異的n量体インサートは種特異的である。言い換えれば、いくつかの実施形態では、心筋特異的n量体インサートは、ある種では別の種よりも心筋の標的化を容易にする。いくつかの実施形態では、心筋特異的n量体インサートは霊長類に特異的である。いくつかの実施形態では、心筋細胞特異的n量体インサートはヒトに特異的である。いくつかの実施形態では、心筋細胞特異的n量体インサートは非ヒト霊長類に特異的である。
【0108】
いくつかの実施形態では、心筋細胞特異的n量体インサートは、生物内の他の種類の細胞及び組織、具体的には心臓細胞及び組織よりも心臓細胞及び/または組織を標的とすることができる。いくつかの実施形態では、心筋特異的n量体インサートは、非筋細胞よりも、そして骨格筋細胞及び/または平滑筋細胞よりも、心筋細胞を標的とすることができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、標的化部位は、本明細書に記載される心筋特異的n量体インサートなどの複数のn量体インサートを含み得る。いくつかの実施形態では、標的化部位は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のn量体インサートを含み得る。いくつかの実施形態では、標的化部位に含まれるすべてのnモチーフは同じであり得る。複数のn量体インサートが含まれるいくつかの実施形態では、少なくとも2つのn量体インサートは互いに異なる。複数のn量体インサートが含まれるいくつかの実施形態では、すべてのn量体インサートは互いに異なる。
【0110】
いくつかの実施形態では、標的化部位、例えば心筋特異的標的化部位は、カーゴと連結し得るか、またはそうでなければカーゴと会合し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の心筋特異的標的化部位は、カーゴに直接結合される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の心筋特異的標的化部位は、リンカー分子などを介してカーゴに間接的に連結される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の心筋特異的標的化部位は、カーゴに連結、結合、それを内包、及び/または含有するポリペプチドまたは他の粒子に連結、会合される。
【0111】
例示的な粒子としては、ウイルス粒子(例えば、バクテリオファージカプシドを含むウイルスカプシド)、ポリソーム、リポソーム、ナノ粒子、マイクロ粒子、エクソソーム、ミセルなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語には、均質または不均質な物質のナノスケール堆積物が含まれる。ナノ粒子は、形状が規則的であっても不規則であってもよく、複合ナノスケール粒子を形成する複数の共堆積粒子から形成され得る。ナノ粒子は、形状が略球形であってもよく、複数の共堆積された略球形粒子から形成された複合形状を有してもよい。ナノ粒子の例示的な形状としては、球形、棒状、楕円形、円筒形、円盤形などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は実質的に球形の形状を有する。
【0112】
本明細書で使用される場合、「特異的」という用語は、2つの部位の間の相互作用を説明することに関して使用される場合、第1の部位及び第2の部位の非共有結合性物理的会合であって、第1の部位と第2の部位との間の会合が、いずれかの部位と、結合が生じる環境に存在するほとんどまたはすべての他の部位との会合よりも少なくとも2倍強く、少なくとも5倍強く、少なくとも10倍強く、少なくとも50倍強く、少なくとも100倍強く、またはそれ以上強いものを指す。2つ以上の実体の結合は、平衡解離定数であるKdが、用いられる条件下で、例えば、細胞内または細胞生存と調和するものなどの生理的条件下で、10-3M以下、10-4M以下、10-5M以下、10-6M以下、10-7M以下、10-8M以下、10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、または10-12M以下である場合、特異的と見なされ得る。いくつかの実施形態では、特異的結合は、複数のより弱い相互作用(例えば、複数の個々の相互作用であって、各々の個々の相互作用が、10-3Mを超えるKdを特徴とするもの)によって達成され得る。いくつかの実施形態では、「分子認識」と称され得る特異的結合は、各実体上の官能基の相補的配向に依存する2つの実体間の飽和性結合相互作用である。特異的相互作用の例としては、プライマー-ポリヌクレオチド相互作用、アプタマー-アプタマー標的相互作用、抗体-抗原相互作用、アビジン-ビオチン相互作用、リガンド-受容体相互作用、金属-キレート相互作用、相補性核酸間のハイブリダイゼーションなどが挙げられる。
【0113】
いくつかの実施形態では、n量体インサート(複数可)に加えて、標的化部位は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、ポリマー、糖、またはそれらの組合せを含み得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、標的化部位は、レンチウイルス、アデノウイルス、AAV、バクテリオファージ、レトロウイルスタンパク質を含むがこれらに限定されないカプシドタンパク質などのウイルスタンパク質に組み込まれる。いくつかの実施形態では、n量体インサートは、該n量体インサートがウイルスカプシドの外側となる(すなわち、ウイルスカプシドの表面上に提示される)ように、ウイルスタンパク質の2つのアミノ酸の間に配置される。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される心筋特異的標的化部位の1つ以上を含有する組成物は、筋細胞の効力の増加、筋細胞の特異性、筋細胞指向性及び/または形質導入効率の増加、免疫原性の低下、またはそれらの任意の組合せを有する。
【0116】
カーゴは、本明細書に記載される筋特異的標的化部位に連結することまたはこれと会合することが可能な任意の分子を含み得る。カーゴとしては、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、リボタンパク質、脂質、糖、薬学的に活性な薬剤(例えば、薬物、イメージング剤及び他の診断用薬など)、化合物、及びそれらの組合せを挙げることができるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、カーゴは、DNA、RNA、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体、アプタマー、リボザイム、必須腫瘍タンパク質及び遺伝子の翻訳または転写を阻害するリボザイムのためのガイド配列、ホルモン、免疫調節剤、解熱剤、抗不安薬、抗精神病薬、鎮痛剤、鎮痙薬、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗感染薬、放射線増感剤、化学療法薬、放射性化合物、イメージング剤、ならびにそれらの組合せである。
【0117】
心筋特異的n量体インサート及び標的化部位は、ポリヌクレオチドによって全体的または部分的にコードされ得る。コードポリヌクレオチドは、本明細書に記載される心筋特異的n量体インサート(複数可)を含む標的化部位及びその組成物を生成するのに使用され得る1つ以上のベクター(またはベクターシステム)に含まれ得る。例示的なコードポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、及び組換え操作技術は、本明細書により詳細に記載され、及び/または当該技術分野において一般に公知であり、本明細書に記載される標的化部位及びその組成物との使用に適合させることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、カーゴは、心筋疾患もしくは障害、または心筋が影響を受ける1つ以上の心疾患もしくは他の疾患、及び/または骨格筋もしくはCNS疾患もしくは障害を含むがこれらに限定されない疾患病態の一部に関連する心筋細胞病態を処置または予防することができる。例示的な心臓、CNS、神経筋、及び筋肉の疾患及び障害については、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0119】
カーゴ
本明細書に開示される組成物を使用して送達され得る代表的なカーゴ分子としては、核酸、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド/ポリペプチド複合体、小分子、糖、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるシステム及び方法にしたがって送達され得るカーゴとしては、治療剤、イメージング剤、及びモニタリング剤を含むがこれらに限定されない生物学的に活性な薬剤が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。カーゴは、外因性物質または内因性物質であり得る。いくつかの実施形態では、カーゴは、「対象とする遺伝子」であり得る。
【0120】
ポリヌクレオチド
いくつかの実施形態では、カーゴはカーゴポリヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、「核酸」、「ヌクレオチド配列」、及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書において同義的に使用され得、一連の少なくとも2つの塩基-糖-リン酸の組合せを一般に指し得、とりわけ、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖領域と二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、ならびに一本鎖領域と二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくは、より典型的には、二本鎖、または一本鎖領域と二本鎖領域の混合物であり得るDNA及びRNAを含むハイブリッド分子を指す。加えて、本明細書で使用されるポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNA、またはRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指し得る。かかる領域内の鎖は、同じ分子由来であっても異なる分子由来であってもよい。これらの領域は、これらの分子のうちの1つ以上のすべてを含み得るが、より典型的には、これらの分子のうちのいくつかの領域のみを含む。三重らせん領域の分子のうちの1つは、多くの場合、オリゴヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、ポリヌクレオチドのそのような化学的に、酵素的に、または代謝的に改変された形態、ならびにウイルス及び細胞(特に、単純細胞及び複雑細胞を含む)に特徴的なDNA及びRNAの化学形態も包含する。例えば、本明細書で使用されるポリヌクレオチドという用語は、1つ以上の修飾塩基を含有する本明細書に記載されるDNAまたはRNAを含み得る。したがって、わずか2つの例を挙げると、イノシンなどの稀な塩基、またはトリチル化塩基などの修飾塩基を含むDNAまたはRNAが、この用語が本明細書で使用される際のポリヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」及び「核酸」は、PNA(ペプチド核酸)、ホスホロチオエート、及び天然核酸のリン酸骨格の他の変種も含む。天然核酸は、リン酸骨格を有し、人工核酸は、他のタイプの骨格を含有し得るが、同じ塩基を含有する。したがって、安定性または他の理由のために修飾された骨格を有するDNAまたはRNAは、その用語が本明細書で意図する「核酸」または「ポリヌクレオチド」である。本明細書で使用される場合、「核酸配列」及び「オリゴヌクレオチド」は、本明細書の他の箇所で定義される核酸及びポリヌクレオチドも包含する。
【0121】
本明細書で使用される場合、「デオキシリボ核酸(DNA)」及び「リボ核酸(RNA)」は、一般に、非修飾RNAもしくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAであり得る、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指し得る。RNAは、tRNA(トランスファーRNA)、snRNA(低分子核内RNA)、rRNA(リボソームRNA)、アンチセンスRNA、RNAi(RNA干渉構築物)、siRNA(低分子干渉RNA)、マイクロRNA(miRNA)、またはリボザイム、アプタマー、ガイドRNA(gRNA)、またはコードmRNA(メッセンジャーRNA)を含むがこれらに限定されない、非コードRNAの形態であり得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドはDNAである。いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドはRNAである。いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドは、RNA及び/またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)である。DNA、cDNA、cRNA、RNA、タンパク質/ペプチドなどの間の関係に関連して本明細書で使用される場合、「に対応する」または「コードする」(本明細書において同義的に使用される)は、これらの異なる分子間の基礎的な生物学的関係を指す。したがって、当業者であれば、作動可能に「対応する」ことにより、これらの分子と同様の生物学的関係を有する任意の他の分子の配列が与えられた場合に、他の分子の潜在的な基礎となる及び/または得られる配列が決定されるように導かれ得ることを理解するであろう。例えば、DNA配列から、RNA配列が決定され得、RNA配列から、cDNA配列が決定され得る。
【0123】
対象とする遺伝子
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステムは、対象とする遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含む。本明細書で使用される場合、「対象とする遺伝子」という用語は、特定の目的のために選択され、本発明のシステムまたは小胞による送達が望まれる遺伝子を指す。対象とする遺伝子は、標的細胞またはレシピエント細胞で発現されると、それが発現されて所望の遺伝子産物を産生することができ、及び/または本発明の操作された送達小胞内にカーゴとしてパッケージ化されることができるように、ベクター、例えば発現ベクター(操作された送達小胞生成システムベクターの1つ以上を含む)の1つ以上の領域に挿入される。具体的に同定された他のカーゴも、対象とする遺伝子となり得ることが理解されるであろう。例えば、Casエフェクターをコードするポリヌクレオチドは、この文脈において、例えばCasエフェクターを細胞に送達することが望まれる対象とする遺伝子であり得る。
【0124】
一実施形態では、対象とする遺伝子は、疾患の処置のための治療機能を提供する遺伝子をコードする。いくつかの実施形態では、対象とする遺伝子はまた、ワクチン遺伝子(vaccinating gene)、すなわち、ヒトまたは動物における免疫応答を生成することが可能な抗原ペプチドをコードする遺伝子であり得る。これは、ウイルス及び細菌感染に特異的なペプチド抗原を含み得るが、必ずしもそれに限定されず、または腫瘍特異的であり得る。いくつかの実施形態では、対象とする遺伝子は、所望の表現型を与える遺伝子である。本明細書に記載される実施形態は、対象とする遺伝子のパッケージング及び送達のための改良された方法に焦点を合わせているため、特定の対象とする遺伝子は限定的なものではなく、技術は、レンチウイルスシステムを用いて送達可能であると当業者によって一般に認識される対象とする任意の遺伝子を送達するのに一般に使用され得る。当業者は、自身が関心のある任意の遺伝子を含有する構築物を設計することができる。対象とする公知の遺伝子を含有する構築物の設計は、過度の実験を伴わずに行われ得る。当業者は、対象とする遺伝子を日常的に選択する。例えば、GenBank公開データベースは、1982年から存在しており、本発明により特許請求される方法に関連する技術分野の当業者によって日常的に使用される。2019年6月の時点で、GenBankは、213,383,758の報告された配列からの2013,383,758の遺伝子座、329,835,282,370の塩基を含む。ヌクレオチド配列は、300,000を超える生物からのものであり、補助的な書誌的及び生物学的注釈が付されている。配列情報の多くの他の公知のリポジトリが存在するため、GenBankは、例に過ぎない。
【0125】
いくつかの実施形態では、対象とする遺伝子は、例えば、合成RNA/DNA配列、コドン最適化RNA/DNA配列、組換えRNA/DNA配列(すなわち、組換えDNA技術の使用によって調製される)、cDNA配列または部分的ゲノムDNA配列(それらの組合せを含む)であり得る。好ましくは、これはセンス配向にある。好ましくは、配列は、cDNAであるか、cDNAを含むか、またはcDNAから転写される。対象とする遺伝子(複数可)は、本明細書において「異種配列(複数可)」「異種遺伝子(複数可)」または「導入遺伝子(複数可)」とも呼ばれ得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、対象とする遺伝子は、いくらかの治療効果を与え得る。「治療剤(therapeutic agent)」、「治療能力がある薬剤」または「処置剤(treatment agent)」という用語は、同義的に使用され、対象に投与するといくらかの有益な効果を与える分子または化合物を指す。有益な効果は、診断的決定を可能にすること;疾患、症状、障害、または病状の改善;疾患、症状、障害、または病態の発症を低減または予防すること;及び疾患、症状、障害または病状に全般的に対抗することを含む。
【0127】
好ましくは、治療剤は、治療有効量の有効成分中で投与され得る。「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって求められる組織、システム、動物、またはヒトにおける生物学的または医薬的応答を引き起こし得る、特に、処置される疾患または状態の局所または全身症状または特色の1つ以上を予防または軽減し得る量を指す。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、心臓疾患、筋肉疾患、神経筋疾患、及びCNS疾患を含む、心臓もしくはその細胞の疾患もしくは状態、または心臓もしくはその細胞に影響を及ぼすものである。例示的な心臓の疾患及び障害、及び/または心臓に影響を及ぼすもの(主に、または別の疾患もしくは障害に関連して)は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明されている。
【0128】
いくつかの実施形態では、対象とする遺伝子は、標的細胞における変更された発現をもたらし得る。本明細書で使用される場合、「変更された発現」という用語は、細胞による記載された遺伝子産物の変更された産生を特に示し得る。本明細書で使用される場合、「遺伝子産物(複数可)」という用語は、遺伝子(例えば、mRNA)から転写されたRNA、または遺伝子によってコードされたもしくはRNAから翻訳されたポリペプチドを含む。
【0129】
また、本明細書で意図される「変更された発現」は、1つ以上の内因性遺伝子産物の活性を調節することを包含し得る。したがって、「変更された発現」、「発現を変更する」、「発現を調節する」、または「発現を検出する」あるいは同様の語は、それぞれ「変更された発現もしくは活性」、「発現もしくは活性を変更する」、「発現もしくは活性を調節する」、または「発現もしくは活性を検出する」あるいは同様の語と同義的に使用され得る。本明細書で使用される場合、「調節する」または「調節すること」は、一般に、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ、またはin vivoアッセイを用いて測定される際、標的または抗原の活性を低下させるかまたは阻害すること、あるいは代替として標的または抗原の活性を増加させることを意味する。特に、「調節する」または「調節すること」は、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ、またはin vivoアッセイ(通常、関与する標的または抗原に応じて決まる)を用いて測定される際、本明細書に記載される阻害因子/アンタゴニスト剤または活性化因子/アゴニスト剤の存在がない以外は同じ条件下における同じアッセイにおける標的または抗原の活性と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、もしくは90%またはそれ以上、標的または抗原の(関連するまたは意図される)活性を低下させるかまたは阻害すること、あるいは代替として標的または抗原の(関連するまたは意図される)生物学的活性を増加させることを意味し得る。
【0130】
当業者に明らかであるように、「調節する」は、調節剤の存在がない以外は同じ条件と比較して、標的または抗原の、その標的の1つ以上に対する親和性、アビディティー、特異性及び/または選択性の変化(増加または減少のいずれかであり得る)をもたらすことも含み得る。また、これは、任意の好適な方法で、及び/またはそれ自体公知の任意の好適なアッセイを用いて、標的に応じて決定され得る。特に、阻害因子/アンタゴニストまたは活性化因子/アゴニストとしての作用は、意図される生物学的または生理学的活性が、阻害因子/アンタゴニスト剤または活性化因子/アゴニスト剤の存在がない以外は同じ条件下における同じアッセイにおける生物学的または生理学的活性と比較して、各々少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、もしくは90%またはそれ以上、増加または減少されるようなものであり得る。調節は、標的もしくは抗原またはそれが関与する機構もしくは経路を活性化することも含み得る。
【0131】
干渉RNA
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のポリヌクレオチドは、1つ以上の干渉RNAをコードし得る。干渉RNAは、遺伝子発現を抑制することが可能なRNA分子である。干渉RNAのタイプの例としては、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、及びショートヘアピンRNA(shRNA)が挙げられる。
【0132】
特定の例示的な実施形態では、干渉RNAは、siRNAであり得る。低分子干渉RNA(siRNA)分子は、干渉RNAによって標的遺伝子発現を阻害することが可能である。siRNAは、化学的に合成され得るか、またはin vitro転写によって得られ得るか、または標的細胞内でin vivoで合成され得る。siRNAは、15~40ヌクレオチド長の二本鎖RNAを含んでもよく、1~6ヌクレオチド長の3’突出領域及び/または5’突出領域を含み得る。突出領域の長さは、siRNA分子の全長とは無関係である。siRNAは、標的メッセンジャーの転写後分解またはサイレンシングによって作用し得る。場合によっては、外因性ポリヌクレオチドは、shRNAをコードする。shRNAにおいて、siRNAを形成する逆平行鎖は、ループまたはヘアピン領域によって連結される。
【0133】
干渉RNA(例えば、siRNA)は、対象に移植された後、細胞の長期生存及び機能性を促進するために遺伝子の発現を抑制し得る。いくつかの例では、干渉RNAは、TGFβ経路、例えば、TGFβ、TGFβ受容体、及びSMADタンパク質において遺伝子を抑制する。いくつかの例では、干渉RNAは、コロニー刺激因子1(CSF1)経路、例えば、CSF1及びCSF1受容体において遺伝子を抑制する。特定の実施形態では、1つ以上の干渉RNAが、CSF1経路及びTGFβ経路の両方において遺伝子を抑制する。TGFβ経路遺伝子は、ACVR1、ACVR1C、ACVR2A、ACVR2B、ACVRL1、AMH、AMHR2、BMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8A、BMP8B、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、CDKN2B、CHRD、COMP、CREBBP、CUL1、DCN、E2F4、E2F5、EP300、FST、GDF5、GDF6、GDF7、ID1、ID2、ID3、ID4、IFNG、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、LEFTY1、LEFTY2、LOC728622、LTBP1、MAPK1、MAPK3、MYC、NODAL、NOG、PITX2、PPP2CA、PPP2CB、PPP2R1A、PPP2R1B、RBL1、RBL2、RBX1、RHOA、ROCK1、ROCK2、RPS6KB1、RPS6KB2、SKP1、SMAD1、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMAD5、SMAD6、SMAD7、SMAD9、SMURF1、SMURF2、SP1、TFDP1、TGFB1、TGFB2、TGFB3、TGFBR1、TGFBR2、THBS1、THBS2、THBS3、THBS4、TNF、ZFYVE16、及び/またはZFYVE9のうちの1つ以上を含み得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドは、RNAi分子、アンチセンス分子、及び/または遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチド、またはRNAi分子、アンチセンス分子、及び/または遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0135】
本明細書で使用される場合、「遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチド」は、単独でまたは他の遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチドと共に、細胞の内因性機構、分子、タンパク質、酵素、及び/または他の細胞機構または外因性分子、薬剤、タンパク質、酵素、及び/またはポリヌクレオチドを用いて、遺伝子発現、RNAレベル(複数可)、RNA翻訳、RNA転写の全体的または特異的減少または除去を引き起こし得、野生型または好適な対照と比較して、非コードRNAのタンパク質発現及び/または機能の減少または有効な低下をもたらし得る任意のオリゴヌクレオチドを指す。これは、「遺伝子ノックダウン」という語句と同義である。遺伝子発現、RNAレベル(複数可)、RNA翻訳、RNA転写、及び/またはタンパク質発現の低下は、約100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42 41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、~1%またはそれ未満の低下の範囲であり得る。「遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチド」としては、細胞内のRNA干渉(RNAi)経路を刺激するのに使用される任意のアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、任意のオリゴヌクレオチド(一本鎖または二本鎖)(総称してRNAiオリゴヌクレオチド)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA、及びショートヘアピンRNA(shRNA)が挙げられるがこれらに限定されない。市販のプログラム及びツールが、当業者に入手可能な遺伝子配列及び他の情報に基づいて、所望の遺伝子のための遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を設計するために利用可能である。
【0136】
治療用ポリヌクレオチド
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、治療用ポリヌクレオチドである。治療用ポリヌクレオチドは、レシピエント細胞に送達されるとき、治療効果を提供するものである。ポリヌクレオチドは、毒性ポリヌクレオチド(転写または翻訳されるとき、細胞の死亡をもたらすポリヌクレオチド)または溶解性ペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドであり得る。実施形態では、カーゴ分子として毒性ポリヌクレオチドを有する送達小胞は、抗菌剤または抗生物質として作用し得る。これは、本明細書の他の箇所でより詳細に説明されている。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、産生細胞及び/または第1の細胞に対して外因性であり得る。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、産生細胞及び/または第1の細胞に対して内因性であり得る。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、レシピエント細胞及び/または第2の細胞に対して外因性であり得る。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、レシピエント細胞及び/または第2の細胞に対して内因性であり得る。
【0137】
本明細書に記載されるように、カーゴポリヌクレオチドは、真核細胞に対して内因性または外因性の任意のポリヌクレオチドであり得る。例えば、カーゴポリヌクレオチドは、真核細胞の核内に存在するポリヌクレオチドであり得る。カーゴポリヌクレオチドは、遺伝子産物(例えば、タンパク質)をコードする配列または非コード配列(例えば、調節ポリヌクレオチド)であり得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドは、DNAまたはRNA(例えば、mRNA)ワクチンである。
【0139】
アプタマー
特定の例示的な実施形態では、ポリヌクレオチドは、アプタマーであり得る。特定の実施形態では、1つ以上の薬剤は、アプタマーである。核酸アプタマーは、小分子、タンパク質、核酸、細胞、組織、及び生物などの様々な分子標的に結合するように、in vitro選択ラウンドの繰り返し、すなわちSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)によって操作されている核酸種である。核酸アプタマーは、古典的なワトソン・クリック塩基対形成以外の相互作用によって、分子に対する特異的な結合親和性を有する。アプタマーは、それらが抗体と同様の分子認識特性を提供する際、生物工学的及び治療的用途において有用である。アプタマーは、それらの識別力のある認識に加えて、それらが試験管中で完全に操作され得、化学合成によって容易に生成され、望ましい保存特性を有し、治療的用途においてほとんどまたは全く免疫原性を引き起こさないため、抗体を上回る利点を提供する。特定の実施形態では、RNAアプタマーは、DNA構築物から発現され得る。他の実施形態では、核酸アプタマーは、別のポリヌクレオチド配列に連結され得る。ポリヌクレオチド配列は、二本鎖DNAポリヌクレオチド配列であり得る。アプタマーは、ポリヌクレオチド配列の1つの鎖に共有結合され得る。アプタマーは、ポリヌクレオチド配列にライゲートされ得る。ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド配列が、固体担体に連結されるかまたは別のポリヌクレオチド配列にライゲートされ得るように、構成され得る。
【0140】
アプタマーは、ファージディスプレイによって生成されたペプチドまたはモノクローナル抗体(「mAb」)のように、選択された標的に特異的に結合し、標的の活性を例えば、結合を通じて調節することが可能であり、アプタマーは、それらの標的が機能する能力をブロックし得る。典型的なアプタマーは、10~15kDaのサイズ(30~45ヌクレオチド)であり、サブナノモル親和性でその標的に結合し、密接に関連する標的を識別する(例えば、アプタマーは、典型的には、同じ遺伝子ファミリーからの他のタンパク質に結合しない)。構造研究により、アプタマーが、抗体-抗原複合体における親和性及び特異性を駆動する同じタイプの結合相互作用(例えば、水素結合、静電相補性、疎水性接触、立体排除)を使用することが可能であることが示されている。
【0141】
アプタマーは、高い特異性及び親和性、生物学的有効性、ならびに優れた薬物動態特性を含む、研究における、ならびに治療薬及び診断薬としての使用のためのいくつかの望ましい特性を有する。加えて、それらは、抗体及び他のタンパク質生物製剤を上回る特定の競争的優位性を提供する。アプタマーは、化学的に合成され、研究、診断または治療的用途の生産需要を満たすために必要に応じて容易に規模を調整される。アプタマーは、化学的に堅牢である。それらは、熱及び変性剤などの因子への曝露後に活性を取り戻すように本質的に適応しており、凍結乾燥粉末として室温で長期間(>1年)にわたって貯蔵され得る。理論によって制約されるものではないが、固体担体またはビーズに結合されたアプタマーは、長期間にわたって保存され得る。
【0142】
ホスホジエステル形態におけるオリゴヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼなどの細胞内及び細胞外酵素によって急速に分解され得る。アプタマーは、リガンドに改善された特性、例えば改善されたin vivo安定性または改善された送達特性を与える修飾ヌクレオチドを含み得る。このような修飾の例は、リボース及び/またはリン酸及び/または塩基位置における化学置換を含む。修飾ヌクレオチドを含有するSELEXで同定された核酸リガンドは、例えば、米国特許第5,660,985号(これは、リボースの2’位、ピリミジンの5位、及びプリンの8位で化学修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドを記載)、米国特許第5,756,703号(これは、様々な2’修飾ピリミジンを含有するオリゴヌクレオチドを記載)、及び米国特許第5,580,737号(これは、2’-アミノ(2’-NH2)、2’-フルオロ(2’-F)、及び/または2’-0-メチル(2’-OMe)置換基で修飾された1つ以上のヌクレオチドを含有する高度に特異的な核酸リガンドを記載)に記載されている。アプタマーの修飾は、環外アミンにおける修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-ヨード-ウラシルの置換;骨格修飾、ホスホロチオエートまたはアリルホスフェート修飾、メチル化、ならびにイソ塩基イソシチジン及びイソグアノシンなどの稀な塩基対形成の組合せも含み得る。修飾は、キャッピングなどの3’及び5’修飾も含み得る。本明細書で使用される場合、ホスホロチオエートという用語は、1つ以上の硫黄原子で置換されたホスホジエステル結合における1つ以上の非架橋酸素原子を包含する。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、修飾された糖基を含み、例えば、ヒドロキシル基の1つ以上は、ハロゲン、脂肪族基で置換されるか、またはエーテルもしくはアミンとして官能化される。一実施形態では、フラノース残基の2’位は、O-メチル、O-アルキル、O-アリル、S-アルキル、S-アリル、またはハロ基のいずれかで置換される。2’修飾糖の合成の方法は、例えば、Sproat,et al.,Nucl.Acid Res.19:733-738(1991);Cotten,et al,Nucl.Acid Res.19:2629-2635(1991)及びHobbs,et al,Biochemistry 12:5138-5145(1973)に記載される。他の修飾が、当業者に公知である。特定の実施形態では、アプタマーは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO2009012418号、“Method for generating aptamaers with improved off-rates”に記載される改善されたオフレートを有するアプタマーを含む。特定の実施形態では、アプタマーは、アプタマーのライブラリーから選択される。このようなライブラリーとしては、限定はされないが、Rohloff et al.,“Nucleic acid Ligands With Protein-like Side Chains:Modified Aptamers and Their Use as Diagnostic and Therapeutic Agents,”Molecular Therapy Nucleic Acids(2014)3,e201に記載されるものが挙げられる。アプタマーはまた、市販されている(例えば、SomaLogic,Inc.,Boulder,Coloradoを参照)。特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される任意の修飾を含有する任意のアプタマーを利用し得る。
【0143】
特定の他の例示的な実施形態では、ポリヌクレオチドは、リボザイムまたは他の酵素的に活性なポリヌクレオチドであり得る。
【0144】
生物学的に活性な薬剤
いくつかの実施形態では、カーゴは、生物学的に活性な薬剤である。生物学的に活性な薬剤は、直接または間接的に、細胞内で効果を及ぼす任意の分子を含む。生物学的に活性な薬剤は、タンパク質、核酸、小分子、炭水化物、及び脂質であり得る。カーゴが核酸であるかまたは核酸を含む場合、該核酸は、DNAベースの担体とは別個の実体であり得る。これらの実施形態では、DNAベースの担体は、それ自体でカーゴではない。他の実施形態では、DNAベースの担体は、それ自体で核酸カーゴを含み得る。治療剤としては、化学療法剤、抗がん剤、抗血管新生薬、腫瘍抑制剤、抗菌剤、酵素補充剤、遺伝子発現調節剤、及び治療用タンパク質または核酸をコードする核酸を含む発現構築物、及びワクチンが挙げられるがこれらに限定されない。治療剤は、ペプチド、タンパク質(酵素、抗体及びペプチド性ホルモンを含む)、細胞骨格のリガンド、核酸、小分子、非ペプチド性ホルモンなどであり得る。核に対する親和性を高めるために、薬剤は、核局在配列にコンジュゲートされ得る。本発明の方法によって送達され得る核酸は、DNA、RNA、トランスポゾンDNA、アンチセンス核酸、dsRNA、siRNA、転写RNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、核小体低分子RNA、マイクロRNA、リボザイム、プラスミド、発現構築物などを含む、合成及び天然核酸物質を含む。
【0145】
イメージング剤としては、強磁性流体ベースのMRI造影剤及びPETスキャン用のガドリニウム剤、フルオレセインイソチオシアネート及び6-TAMARAなどの造影剤が挙げられる。モニタリング剤としては、レポータープローブ、バイオセンサー、緑色蛍光タンパク質などが挙げられる。レポータープローブとしては、発光化合物、例えば、蛍光体、放射性部分、及び蛍光部分、例えば、希土類キレート(例えば、ユウロピウムキレート)、Texas Red、ローダミン、フルオレセイン、FITC、fluo-3,5ヘキサデカノイルフルオレセイン、Cy2、fluor X、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、ダンシル、ダンシルクロリド、フィコエリスリン、フィコシアニン、スペクトルオレンジ、スペクトルグリーン、及び/または上記のいずれか1つ以上の誘導体が挙げられる。バイオセンサーは、例えば、化学物質の存在または存在の変化を検出することによって、生理学的変化またはプロセスに関連する情報を検出及び伝達する分子である。バイオセンサーによって得られる情報は、典型的に、トランスデューサーを用いて検出されるシグナルを活性化する。トランスデューサーは、典型的に、生物学的応答を電気シグナルに変換する。バイオセンサーの例としては、認識エレメントとして使用される酵素、抗体、DNA、受容体、及び調節タンパク質が挙げられ、これは、全細胞または単離細胞のいずれかにおいて使用され、独立して使用され得る(D’Souza,2001,Biosensors and Bioelectronics 16:337-353)。
【0146】
1つまたは2つ以上の異なるカーゴが、本明細書に記載される送達粒子によって送達され得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、カーゴは、本明細書の他の箇所に記載されるように、リンカーによって1つ以上のエンベロープタンパク質に連結され得る。好適なリンカーは、グリシン-セリンリンカーを含み得るが、必ずしもそれに限定されない。いくつかの実施形態では、グリシン-セリンリンカーは、(GGS)3である。
【0148】
いくつかの実施形態では、カーゴは、リボ核タンパク質を含む。特定の実施形態では、カーゴは、遺伝子調節剤を含む。
【0149】
本明細書で使用される場合、「変更された発現」という用語は、細胞による記載された遺伝子産物の変更された産生を特に示し得る。本明細書で使用される場合、「遺伝子産物(複数可)」という用語は、遺伝子(例えば、mRNA)から転写されたRNA、または遺伝子によってコードされたもしくはRNAから翻訳されたポリペプチドを含む。
【0150】
遺伝子改変システム
いくつかの実施形態では、カーゴは遺伝子改変システムをコードするポリヌクレオチドである。遺伝子改変システムには、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、RNAi、及びCRISPR-Casシステムが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0151】
CRISPR-Casシステム
CRISPR-Casシステムは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるMakarova et al.“Evolutionary classification of CRISPR-Cas systems:a burst of class 2 and derived variants”Nature Reviews Microbiology,18:67-81(Feb 2020)に記載され、特に、p.326の
図1のポリヌクレオチド改変システムまたはその構成要素(複数可)に記載される、タイプI、タイプIII、またはタイプIV Casタンパク質を含むクラス1を含み得る。CRISPR-Casシステムはまた、参照により本明細書に組み込まれるMakarova et al.“Evolutionary classification of CRISPR-Cas systems:a burst of class 2 and derived variants”Nature Reviews Microbiology,18:67-81(Feb 2020)に記載される、タイプII、タイプV、またはタイプVIシステムなどのクラス2 CRISPR-Casシステムであり得る。
【0152】
CRISPR-Casシステムには、Casタンパク質を触媒的に不活性にし、他の機能ドメインまたはポリペプチドと融合して新しい機能を誘導する、さらなる改変システムも含まれ得る。改変システムの例としては、塩基エディター、プライマーエディター、及びCRISPR関連トランスポザーゼ(CAST)システムが挙げられる。
【0153】
塩基編集システムの例としては、DNA塩基エディター(Komor et al.2016 Nature.533:420-424;Nishida et a.2016.Science 353;Gaudelli et al.2017 Nature 551:464-471;Mok et al.,Cell.182,463-480(2020);Koblan et al.,Nature 589,608-614(2021);Rees and Liu.2018.19(12):770-788.doi:10.1038/s41576-018-0059-1;Song et al.,Nat Biomed Eng.2020 Jan;4(1):125-130.doi:10.1038/s41551-019-0357-8;Koblan et al.2018.6(9):843-846.doi:10.1038/nbt.4172;Thuronyi et al.,Nat Biotechnol.2019 Sep;37(9):1070-1079.doi:10.1038/s41587-019-0193-0;Doman et al.,Nat Biotechnol.2020 May;38(5):620-628.doi:10.1038/s41587-020-0414-6;Richter et al.,Nat Biotechnol.2020 Jul;38(7):883-891.doi:10.1038/s41587-020-0453-z;Huang et al.,Nat Protoc.2021 Feb;16(2):1089-1128.doi:10.1038/s41596-020-00450-9;Koblan et al.,Nat Biotechnol.2021 Jun 28.doi:10.1038/s41587-021-00938-z;WO2018/213708、WO2018/213726、WO/2019/126709、WO/2019/1267;WO/2019/126762)及びRNA塩基エディター(Cox et al.2017.Science 358:1019-1027,Rees and Liu.2018.19(12):770-788.doi:10.1038/s41576-018-0059-1;Abudayyeh OO,et al.,A cytosine deaminase for programmable single-base RNA editing,Science 26 Jul 2019;WO2019/005883、WO2019/005886、WO2019/071048、PCT/US2018/0579、PCT US/2018/067207)が挙げられる。
【0154】
プライム編集システムの例としては、Anzalone et al.2019 Nature 576:149-157;Gao et al.2021 Genome Biol.22:83;Jang et al.2021 Nature Biomed.Eng.doi.org/10.1038/s41551-021-00788-9;WO2021/072328;WO2020/191248;WO2020/191249;WO2020/191239;WO2020/191245;WO2020/191246;WO2020/191241;WO2020/191171;WO202/191153;WO2020/191242;WO2020/191233;WO2020/191243;及びWO2020/191234に記載のものが挙げられる。
【0155】
CASTシステムの例としては、Klompe et al.2019 Nature 571(7764):219-225;Strecker et al.2019 Science 365:48-53;及びSaito et al.2021 Cell 184:2441-2453;WO2020/131862;WO2019090173;WO2019090174;WO2019090175、及びWO2019/241452に記載のものが挙げられる。
【0156】
非LTRレトロトランスポゾンシステムの例としては、WO2021/102042に記載のものが挙げられる。
【0157】
Cas関連リガーゼシステムの例としては、WO2021/133977に記載のものが挙げられる。
【0158】
本明細書に開示された標的化部位を組み込んだ送達媒体のカーゴ容量を超える改変CRISPR-Casシステムについては、CBE及びABEを再構成可能な半部へと分割するための分割インテイン手法が、参照により本明細書に組み込まれるLevy et al.Nature Biomedical Engineering doi.org/10.1038/s41441-019-0505-5(2019)に記載される。
【0159】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ
ジンクフィンガータンパク質は、機能的ドメインを含み得る。最初の合成ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ZFタンパク質をタイプIIS制限酵素Fok Iの触媒ドメインに融合することによって開発された(Kim,Y.G.et al.,1994,Chimeric restriction endonuclease,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91,883-887;Kim,Y.G.et al.,1996,Hybrid restriction enzymes:zinc finger fusions to Fok I cleavage domain.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93,1156-1160)。切断特異性の増加は、短いスペーサーによって分離された異なるヌクレオチド配列を各々標的とする対合したZFNヘテロ二量体の使用によって低下したオフターゲット活性で達成することができる。(Doyon,Y.et al.,2011,Enhancing zinc-finger-nuclease activity with improved obligate heterodimeric architectures.Nat.Methods 8,74-79)。ZFPはまた、転写活性化因子及びリプレッサーとして設計することもでき、多種多様な生物における多くの遺伝子を標的とするのに使用されている。ZFNを用いたゲノム編集の例示的な方法は、例えば、米国特許第6,534,261号、同第6,607,882号、同第6,746,838号、同第6,794,136号、同第6,824,978号、同第6,866,997号、同第6,933,113号、同第6,979,539号、同第7,013,219号、同第7,030,215号、同第7,220,719号、同第7,241,573号、同第7,241,574号、同第7,585,849号、同第7,595,376号、同第6,903,185号、及び同第6,479,626号において見出され得、これらはすべて、参照により具体的に組み込まれる。
【0160】
メガヌクレアーゼ
いくつかの実施形態では、メガヌクレアーゼまたはそのシステムは、ポリヌクレオチドを改変するのに使用され得る。大きい認識部位(12~40塩基対の二本鎖DNA配列)を特徴とするエンドデオキシリボヌクレアーゼであるメガヌクレアーゼ。メガヌクレアーゼを使用するための例示的な方法は、米国特許第8,163,514号、同第8,133,697号、同第8,021,867号、同第8,119,361号、同第8,119,381号、同第8,124,369号、及び同第8,129,134号において見出され得、これらは、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【0161】
RNAi
特定の実施形態では、遺伝子改変剤は、RNAi(例えば、shRNA)である。本明細書で使用される場合、RNAi分子、例えば、siRNAまたはmiRNAの活性に関して「遺伝子サイレンシング」または「遺伝子サイレンシングされた」は、標的遺伝子の細胞におけるmRNAレベルが、miRNAまたはRNA干渉分子の存在なしで、細胞で見出されるmRNAレベルを少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、約100%減少することを指す。1つの好ましい実施形態では、mRNAレベルは、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、約100%減少する。
【0162】
本明細書で使用される場合、「RNAi」という用語は、siRNAi、shRNAi、内因性マイクロRNA及び人工マイクロRNAを含むがこれらに限定されない、任意のタイプの干渉RNAを指す。例えば、それは、RNAの下流プロセシングの機構にかかわらず、siRNAとして以前に同定された配列を含む(すなわち、siRNAは、mRNAの切断をもたらすin vivoプロセシングの特定の方法を有すると考えられるが、このような配列は、本明細書に記載される隣接配列の文脈ではベクターに組み込まれ得る)。「RNAi」という用語は、遺伝子サイレンシングRNAi分子と、遺伝子の発現を活性化するRNAiエフェクター分子の両方を含むことができる。
【0163】
本明細書で使用される場合、「siRNA」は、二本鎖RNAを形成する核酸を指し、二本鎖RNAは、siRNAが標的遺伝子と同じ細胞内に存在するかまたは発現されるとき、遺伝子または標的遺伝子の発現を低下させるかまたは阻害する能力を有する。二本鎖RNA siRNAは、相補鎖によって形成され得る。一実施形態では、siRNAは、二本鎖siRNAを形成し得る核酸を指す。siRNAの配列は、全長標的遺伝子、またはその部分配列に対応し得る。典型的には、siRNAは、少なくとも約15~50ヌクレオチド長である(例えば、二本鎖siRNAの各相補配列は、約15~50ヌクレオチド長であり、二本鎖siRNAは、約15~50塩基対長、好ましくは約19~30塩基ヌクレオチド長、好ましくは約20~25ヌクレオチド長、例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長である)。
【0164】
本明細書で使用される場合、「shRNA」または「ショートヘアピンRNA」(ステムループとも呼ばれる)は、siRNAの一種である。一実施形態では、これらのshRNAは、短い、例えば、約19~約25ヌクレオチド、アンチセンス鎖、続いて、約5~約9ヌクレオチドのヌクレオチドループ、及び類似のセンス鎖から構成される。あるいは、センス鎖がヌクレオチドループ構造に先行してもよく、アンチセンス鎖がその後に続き得る。
【0165】
「マイクロRNA」または「miRNA」という用語は、本明細書で同義的に使用され、内因性RNAであり、そのうちのいくつかは、転写後レベルでタンパク質コード遺伝子の発現を調節することが知られている。内因性マイクロRNAは、mRNAの生産的利用を調節することができるゲノムに天然に存在する低分子RNAである。人工マイクロRNAという用語は、mRNAの生産的利用を調節することができる内因性マイクロRNA以外の任意の種類のRNA配列を含む。マイクロRNA配列は、Lim,et al.,Genes&Development,17,p.991-1008(2003)、Lim et al Science 299,1540(2003)、Lee and Ambros Science,294,862(2001)、Lau et al.,Science 294,858-861(2001)、Lagos-Quintana et al,Current Biology,12,735-739(2002)、Lagos Quintana et al,Science 294,853-857(2001)、及びLagos-Quintana et al,RNA,9,175-179(2003)(参照により本明細書に組み込まれる)などの刊行物に記載されている。複数のマイクロRNAはまた、前駆体分子に組み込まれ得る。さらに、miRNA様ステム-ループは、miRNA及び/またはRNAi経路を介して内因性遺伝子の発現を調節するために、人工miRNA及び低分子干渉RNA(siRNA)を送達するための媒体として細胞内で発現され得る。
【0166】
本明細書で使用される場合、「二本鎖RNA」または「dsRNA」は、2つの鎖から構成されるRNA分子を指す。二本鎖分子は、折り返して二本鎖構造を形成する単一のRNA分子から構成されるものを含む。例えば、pre-miRNAと呼ばれる、一本鎖miRNAが由来する前駆分子のステムループ構造(Bartel et al.2004.Cell 1 16:281-297)は、dsRNA分子を含む。
【0167】
ポリペプチド
特定の例示的な実施形態では、カーゴ分子は1つ以上のポリペプチドであり得る。ポリペプチドは、全長タンパク質またはその機能的フラグメントもしくは機能的ドメイン、すなわち、全長タンパク質の所望の機能性を維持するフラグメントもしくはドメインであり得る。この節において使用される場合、「タンパク質」は、全長タンパク質ならびにその機能的フラグメント及びドメインを指すことが意図される。幅広いポリペプチドは、分泌タンパク質、免疫調節タンパク質、抗線維化タンパク質、組織再生及び/または移植生存機能を促進するタンパク質、ホルモン、抗菌性タンパク質、抗線維化ポリペプチド、ならびに抗体を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載される操作された送達小胞を用いて送達され得る。1つ以上のポリペプチドはまた、上記の例のクラスのポリペプチドの組合せも含み得る。本明細書に記載されるポリペプチドのいずれも、対応するコードポリヌクレオチドの送達によって本明細書に記載される操作された送達小胞及びシステムを介して送達され得ることが理解されるであろう。
【0168】
分泌タンパク質
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のポリペプチドは、1つ以上の分泌タンパク質を含み得る。分泌は、細胞から能動的に輸送されたタンパク質、例えば、内分泌であるかまたは外分泌であるかにかかわらず、細胞によって分泌されるタンパク質である。分泌経路は、酵母から哺乳動物まで保存されていることが示されており、従来型及び非従来型タンパク質分泌経路の両方が、植物において実証されている。Chung et al.,“An Overview of Protein Secretion in Plant Cells”,MIMB,1662:19-32,September 1,2017。したがって、1つ以上のポリヌクレオチドが挿入され得る分泌タンパク質の同定は、特定の細胞及び用途について同定され得る。実施形態では、当業者は、短い疎水性N末端配列からなるシグナルペプチドの存在に基づいて分泌タンパク質を同定することができる。
【0169】
実施形態では、タンパク質は、分泌経路によって分泌される。実施形態では、タンパク質は、消化管内に酵素を含む、外分泌タンパク質またはペプチドである。実施形態では、タンパク質は、内分泌タンパク質またはペプチド、例えば、血流中に放出されるインスリン及び他のホルモンである。他の実施形態では、タンパク質は、分泌されるシグナル伝達分子、例えば、傍分泌、自己分泌、内分泌または神経内分泌を介して細胞の間または細胞内のシグナル伝達に関与する。実施形態では、分泌タンパク質は、標的細胞の表面で受容体に結合するサイトカイン、キナーゼ、ホルモン、及び成長因子の群から選択される。
【0170】
記載されるように、分泌タンパク質は、ホルモン、酵素、毒素、及び抗菌ペプチドを含む。分泌タンパク質の例としては、セリンプロテアーゼ(例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ及びプラスミノーゲン活性化因子)、アミラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ(例えばデオキシリボヌクレアーゼ及びリボヌクレアーゼ)、ペプチダーゼ酵素阻害剤、例えば、セルピン(例えば、α1-アンチトリプシン及びプラスミノーゲン活性化因子阻害剤)、細胞接着タンパク質、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン及びラミニン、ホルモン及び成長因子、例えば、インスリン、成長ホルモン、プロラクチン血小板由来成長因子、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、インターロイキン、インターフェロン、アポリポタンパク質、ならびに担体タンパク質、例えば、トランスフェリン及びアルブミンが挙げられる。いくつかの例では、分泌タンパク質は、インスリンまたはそのフラグメントである。一例では、分泌タンパク質は、インスリンまたはそのフラグメントの前駆体である。特定の例では、分泌タンパク質は、c-ペプチドである。好ましい実施形態では、1つ以上のポリヌクレオチドは、c-ペプチドの中央に挿入される。いくつかの実施形態では、分泌タンパク質は、GLP-1、グルカゴン、ベータトロフィン、膵アミラーゼ、膵リパーゼ、カルボキシペプチダーゼ、セクレチン、CCK、PPAR(例えばPPAR-アルファ、PPAR-ガンマ、PPAR-デルタまたはその前駆体(例えばプレタンパク質またはプレプロタンパク質)である。態様では、分泌タンパク質は、フィブロネクチン、凝固因子タンパク質(例えば第VII、VIII、IX因子など)、α2-マクログロブリン、α1-アンチトリプシン、アンチトロンビンIII、プロテインS、プロテインC、プラスミノーゲン、α2-アンチプラスミン、補体成分(例えば補体成分C1-9)、アルブミン、セルロプラスミン、トランスコルチン、ハプトグロビン、ヘモペキシン、IGF結合タンパク質、レチノール結合タンパク質、トランスフェリン、ビタミン-D結合タンパク質、トランスサイレチン、IGF-1、トロンボポエチン、ヘプシジン、アンジオテンシノーゲン、またはその前駆体タンパク質である。態様では、分泌タンパク質は、ペプシノーゲン、胃リパーゼ、スクラーゼ、ガストリン、ラクターゼ、マルターゼ、ペプチダーゼ、またはそれらの前駆体である。態様では、分泌タンパク質は、レニン、エリスロポエチン、アンジオテンシン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アミリン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、カルシトニン、グレリン、成長ホルモン(GH)、レプチン、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)、オキシトシン、プロラクチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、サイロトロピン放出ホルモン(TRH)、バソプレシン、血管作動性腸管ペプチド、またはその前駆体である。
【0171】
免疫調節ポリペプチド
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のポリペプチドは、1つ以上の免疫調節タンパク質を含み得る。特定の実施形態では、本発明は免疫状態の調節をもたらす。免疫状態は、T細胞の機能または機能不全を調節することによって調節され得る。特定の実施形態では、免疫状態は、本明細書の他の箇所に記載されているように、IL-10及び/または他のサイトカインの発現及び分泌によって調節される。特定の実施形態では、T細胞は、近接する他の免疫細胞など、全体的な免疫状態に影響を及ぼし得る。
【0172】
ポリヌクレオチドは、免疫抑制タンパク質を含む1つ以上の免疫調節タンパク質をコードし得る。「免疫抑制」という用語は、生物における免疫応答が、減少または低下されたことを意味する。免疫抑制タンパク質は、免疫系または処置される対象の応答の程度を抑制し、減少させ、またはマスキングし得る。例えば、免疫抑制タンパク質は、サイトカイン産生を抑制し、自己抗原発現を下方制御もしくは抑制し、またはMHC抗原をマスキングし得る。本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、刺激に対する、B細胞、T細胞(CD4+またはCD8+)、制御性T細胞、抗原提示細胞、樹状細胞、単球、マクロファージ、NKT細胞、NK細胞、好塩基球、好酸球、または好中球などの、免疫系の細胞による応答を指す。いくつかの実施形態では、応答は、特定の抗原に対して特異的であり(「抗原特異的応答」)、それらの抗原特異的受容体を介したCD4 T細胞、CD8 T細胞、またはB細胞による応答を指す。いくつかの実施形態では、免疫応答は、CD4+応答またはCD8+応答などのT細胞応答である。これらの細胞によるこのような応答は、例えば、細胞傷害性、増殖、サイトカインもしくはケモカイン産生、輸送、または食作用を含み得、応答を生じる免疫細胞の性質に依存し得る。場合によっては、免疫抑制タンパク質は、多面的な機能を発揮し得る。場合によっては、免疫調節タンパク質は、適切な制御性T細胞とエフェクターT細胞(Treg/Teff)バランスを維持し得る。例えば、免疫調節タンパク質は、Tregを増殖及び/または活性化し得、Teffの作用をブロックし、それによって、包括的な免疫抑制なしで免疫調節を提供する。免疫抑制に関連する標的遺伝子は、例えば、PD1、Tim3、Lag3、TIGIT、CTLA-4、及びそれらの組合せなどのチェックポイント阻害剤を含む。
【0173】
本明細書全体を通して使用される場合の「免疫細胞」という用語は、一般に、免疫応答において役割を果たす造血幹細胞に由来する任意の細胞を包含する。この用語は、自然免疫系または適応免疫系の両方の免疫細胞を包含することが意図される。本明細書において言及される免疫細胞は、分化の任意の段階(例えば、幹細胞、前駆細胞、成熟細胞)または任意の活性化段階における白血球であり得る。免疫細胞は、リンパ球(例えば、ナチュラルキラー細胞、T細胞(例えば、胸腺細胞、ThまたはTc;Th1、Th2、Th17、Thαβ、CD4+、CD8+、エフェクターTh、メモリーTh、制御性Th、CD4+/CD8+胸腺細胞、CD4-/CD8-胸腺細胞、γδ T細胞などを含む)またはB細胞(例えば、プロB細胞、初期プロB細胞、後期プロB細胞、プレB細胞、大型プレB細胞、小型プレB細胞、未成熟B細胞または任意のアイソタイプの抗体を産生する成熟B細胞、T1 B細胞、T2、B細胞、ナイーブB細胞、GC B細胞、形質芽球、メモリーB細胞、形質細胞、濾胞性B細胞、辺縁帯B細胞、B-1細胞、B-2細胞、制御性B細胞などを含む)、例えば、単球(例えば、古典的な、非古典的な、または中間単球を含む)、(分葉核または桿状核)好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、組織球、ミクログリアを含み、様々なサブタイプ、成熟、分化、または活性化段階、例えば造血幹細胞、骨髄性前駆細胞、リンパ系前駆細胞、骨髄芽球、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、単芽球、前単球、リンパ芽球、前リンパ球、小リンパ球、マクロファージ(例えば、クッパー細胞、星細胞マクロファージ、M1またはM2マクロファージを含む)、(骨髄性またはリンパ系)樹状細胞(例えば、ランゲルハンス細胞、従来型または骨髄性樹状細胞、形質細胞様樹状細胞、mDC-1、mDC-2、Mo-DC、HP-DC、ベール細胞を含む)、顆粒球、多形核細胞、抗原提示細胞(APC)などを含む。
【0174】
T細胞応答は、より具体的には、T細胞が直接もしくは間接的に媒介するまたはそうでなければ対象における免疫応答に寄与する免疫応答を指す。T細胞媒介性応答は、細胞媒介性効果、サイトカイン媒介性効果、さらにはB細胞が、例えば、T細胞によって分泌されるサイトカインによって刺激される場合にはB細胞に関連する効果にも関連し得る。限定されるものではないが、例として、MHCクラスI拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のエフェクター機能は、サイトカイン及び/または細胞溶解能力、例えば、T細胞受容体(天然TCRまたは遺伝子操作されたTCR、例えば、キメラ抗原受容体、CAR)によって認識される抗原ペプチドを提示する標的細胞の溶解、サイトカイン、好ましくは、IFNγ、TNFα及び/または1つ以上の免疫刺激サイトカイン、例えば、IL-2の分泌、及び/または細胞傷害性エフェクター分子、例えば、グランザイム、パーフォリンもしくはグラニュリシンの抗原ペプチド誘導性分泌が挙げられ得る。限定するものではないが、例として、MHCクラスII拘束性Tヘルパー(Th)細胞の場合、エフェクター機能は、サイトカイン、好ましくは、IFNγ、TNFα、IL-4、IL5、IL-10、及び/またはIL-2の抗原ペプチド誘導性分泌であり得る。限定するものではないが、例として、T制御性(Treg)細胞の場合、エフェクター機能は、サイトカイン、好ましくは、IL-10、IL-35、及び/またはTGF-βの抗原ペプチド誘導性分泌であり得る。B細胞応答は、より具体的には、B細胞が直接もしくは間接的に媒介するまたはそうでなければ対象における免疫応答に寄与する免疫応答を指す。B細胞のエフェクター機能は、特に、B細胞による抗原特異的抗体の産生及び分泌(例えば、抗原の複数のエピトープに対するポリクローナルB細胞応答(抗原特異的抗体応答))、抗原提示、及び/またはサイトカイン分泌を含み得る。
【0175】
持続性の免疫活性化の際、例えば、無制御の腫瘍増殖または慢性感染症の際、免疫細胞、特に、CD8+またはCD4+T細胞の亜集団は、それらのサイトカイン及び/または細胞溶解能力に関して異なる程度に損なわれる。このような免疫細胞、特に、CD8+またはCD4+T細胞は、一般的に「機能不全」または「機能的に疲弊した」または「疲弊した」と称される。本明細書で使用される場合、「機能不全」または「機能的疲弊」という用語は、細胞が、正常な入力シグナルに応答してその通常の機能または活性を行わない場合の細胞の状態を指し、活性化受容体またはサイトカインを介した刺激などの刺激に対する免疫細胞の不応性(refractivity)を含む。このような機能または活性としては、増殖(例えば、IFN-γなどのサイトカインに応答した)または細胞分裂、細胞周期への参入、サイトカイン産生、細胞傷害性、遊走及び輸送、食作用活性、またはそれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。正常な入力シグナルは、限定はされないが、受容体(例えば、T細胞受容体、B細胞受容体、共刺激受容体)を介した刺激を含み得る。非応答免疫細胞は、同じ型の対応する対照免疫細胞と比べて、細胞傷害性活性、サイトカイン産生、増殖、輸送、食作用活性、またはそれらの任意の組合せを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%減少し得る。本明細書に記載される態様のいくつかの特定の実施形態では、機能不全である細胞は、CD8+細胞表面マーカーを発現するCD8+T細胞である。このようなCD8+細胞は、通常、細胞傷害酵素を増殖させ、産生する、例えば、それらは、細胞毒素パーフォリン、グランザイム、及びグラニュリシンを放出し得る。しかしながら、疲弊した/機能不全T細胞は、TCR刺激に対して十分に応答せず、不十分なエフェクター機能、阻害性受容体の持続した発現及び機能的エフェクターまたはメモリーT細胞のものと異なる転写状態を示す。したがって、T細胞の機能不全/疲弊は、感染症及び腫瘍の最適な制御を妨げる。疲弊した/機能不全免疫細胞、例えば、CD8+T細胞などのT細胞は、機能的免疫細胞と比較して、減少した量のIFN-γ、TNF-α及び/または1つ以上の免疫刺激サイトカイン、例えば、IL-2を産生し得る。疲弊した/機能不全免疫細胞、例えば、CD8+T細胞などのT細胞は、機能的免疫細胞と比較して、(増加した量の)1つ以上の免疫抑制転写因子またはサイトカイン、例えば、IL-10及び/またはFoxp3をさらに産生し得、それによって、局所的な免疫抑制に寄与し得る。機能不全CD8+T細胞は、疾患制御に対して保護的にも有害にもなり得る。本明細書で使用される場合、「機能不全の免疫状態」は、対象または対象の微小環境(例えば、腫瘍微小環境)における全体的な抑制性免疫状態を指す。例えば、増加したIL-10産生は、免疫細胞の集団における他の免疫細胞の抑制をもたらす。
【0176】
CD8+T細胞機能は、それらのサイトカインプロファイルに関連する。複数のサイトカインを同時に産生する能力を有するエフェクターCD8+T細胞(多機能性CD8+T細胞)は、制御された慢性ウイルス感染症の患者及び免疫療法に応答するがん患者における防御免疫に関連することが報告されている(Spranger et al.,2014,J.Immunother.Cancer,vol.2,3)。持続性抗原の存在下で、CD8+T細胞は、時間の経過と共に細胞溶解活性を完全に失うことが判明した(Moskophidis et al.,1993,Nature,vol.362,758-761)。その後、機能不全T細胞は、階層的順序でIL-2、TNFa及びIFNgを差次的に産生し得ることが判明した(Wherry et al.,2003,J.Virol.,vol.77,4911-4927)。分離された機能不全CD8+細胞と活性化CD8+細胞の状態も記載されている(例えば、Singer,et al.(2016).A Distinct Gene Module for Dysfunction Uncoupled from Activation in Tumor-Infiltrating T Cells.Cell 166,1500-1511 e1509;WO/2017/075478;及びWO2018/049025を参照)。
【0177】
本発明は、T細胞バランスを調節するための組成物及び方法を提供する。本発明は、T細胞バランスを調節するT細胞調節剤を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、T細胞調節剤、ならびにT細胞型のレベル及び/またはその間のバランス、例えば、Th17及び他のT細胞型、例えば、Th1様細胞のレベル及び/またはその間のバランスを調節し、影響を与え、またはそうでなければ影響するようにこれらのT細胞調節剤を使用する方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、T細胞調節剤、ならびにTh17活性及び炎症可能性のレベル及び/またはその間のバランスを調節し、影響を与え、またはそうでなければ影響するようにこれらのT細胞調節剤を使用する方法を提供する。本明細書で使用される場合、「Th17細胞」及び/または「Th17表現型」などの用語及びそのすべての文法的変化形は、インターロイキン17A(IL-17A)、インターロイキン17F(IL-17F)、及びインターロイキン17A/Fヘテロ二量体(IL17-AF)からなる群から選択される1つ以上のサイトカインを発現する分化したTヘルパー細胞を指す。本明細書で使用される場合、「Th1細胞」及び/または「Th1表現型」などの用語及びそのすべての文法的変化形は、インターフェロンガンマ(IFNγ)を発現する分化したTヘルパー細胞を指す。本明細書で使用される場合、「Th2細胞」及び/または「Th2表現型」などの用語及びそのすべての文法的変化形は、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン5(IL-5)及びインターロイキン13(IL-13)からなる群から選択される1つ以上のサイトカインを発現する分化したTヘルパー細胞を指す。本明細書で使用される場合、「Treg細胞」及び/または「Treg表現型」などの用語及びそのすべての文法的変化形は、Foxp3を発現する分化したT細胞を指す。
【0178】
いくつかの例では、免疫調節タンパク質は、免疫抑制サイトカインであり得る。一般に、サイトカインは、低分子タンパク質であり、インターロイキン、リンホカイン及び細胞シグナル分子、例えば、腫瘍壊死因子及びインターフェロンを含み、これらは、炎症、造血、及び感染に対する応答を調節する。免疫抑制性サイトカインの例としては、インターロイキン10(IL-10)、TGF-β、IL-Ra、IL-18Ra、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、IL-36、IL-37、PGE2、SCF、G-CSF、CSF-1R、M-CSF、GM-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IFN-λ、bFGF、CCL2、CXCL1、CXCL8、CXCL12、CX3CL1、CXCR4、TNF-α及びVEGFが挙げられる。免疫抑制タンパク質の例としては、さらに、FOXP3、AHR、TRP53、IKZF3、IRF4、IRF1、及びSMAD3が挙げられ得る。一例では、免疫抑制タンパク質はIL-10である。一例では、免疫抑制タンパク質はIL-6である。一例では、免疫抑制タンパク質はIL-2である。
【0179】
抗線維化タンパク質
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のポリペプチドは、抗線維化タンパク質を含み得る。抗線維化タンパク質の例としては、細胞外マトリックス構成要素、フィブロネクチン、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチン、TGIF、及びSMAD7の産生を減少させるかまたは阻害する任意のタンパク質が挙げられる。実施形態では、抗線維化タンパク質は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)であるか、または1つ以上のPPARを含み得る。いくつかの実施形態では、タンパク質はPPARαであり、PPARγはデュアルPPARα/γである。Derosa et al.,“The role of various peroxisome proliferator-activated receptors and their ligands in clinical practice”January 18,2017 J.Cell.Phys.223:1 153-161。
【0180】
組織再生及び/または移植生存機能を促進するタンパク質
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のポリペプチドは、組織再生及び/または移植生存機能を促進するタンパク質を含み得る。場合によっては、このようなタンパク質は、膵β細胞再生のための遺伝子の発現を誘導及び/または上方制御し得る。場合によっては、移植生存及び機能を促進するタンパク質は、膵β細胞再生のための遺伝子の産物を含む。このような遺伝子は、膵島細胞新生を刺激するタンパク質またはこのようなタンパク質に由来するペプチドである前膵島(proislet)ペプチドを含み得る。膵β細胞再生のための遺伝子の例としては、Reg1、Reg2、Reg3、Reg4、ヒト前膵島ペプチド、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(1-36)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、エクステンジン-4、プロラクチン、Hgf、Igf-1、Gip-1、アディプシン、レジスチン、レプチン、IL-6、IL-10、Pdx1、Ptfa1、Mafa、Pax6、Pax4、Nkx6.1、Nkx2.2、PDGF、Vglycin、胎盤性ラクトゲン(ソマトマンモトロピン、例えば、CSH1、CHS2)、そのアイソフォーム、そのホモログ、及びそのオルソログが挙げられる。特定の実施形態では、膵B細胞再生を促進するタンパク質は、サイトカイン、マイオカイン、及び/またはアディポカインである。
【0181】
ホルモン
特定の実施形態では、1つ以上のポリヌクレオチドは、1つ以上のホルモンを含み得る。「ホルモン」という用語は、管を有する腺器官によって一般に分泌されるポリペプチドホルモンを指す。ホルモンは、天然源または組換え細胞培養物からのタンパク質、ならびに生物学的に活性のある天然配列ホルモンの等価物を含み、例えば合成により産生された低分子実体ならびにその薬学的に許容される誘導体及び塩が含まれる。ホルモンに含まれるのは、例えば、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH);プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド、インヒビン;アクチビン;ミュラー管抑制因子;及びトロンボポエチン、成長ホルモン(GH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、コルチゾール、エピネフリン、甲状腺ホルモン、エストロゲン、プロゲステロン、胎盤性ラクトゲン(ソマトマンモトロピン、例えばCSH1、CHS2)、テストステロン、ならびに神経内分泌ホルモンである。特定の例では、ホルモンは、膵臓から分泌され、例えば、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド及びグレリンである。いくつかの例では、ホルモンはインスリンである。
【0182】
本明細書におけるホルモンは、成長因子、例えば、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリー、骨形成タンパク質(BMP)ファミリー、血小板由来成長因子(PDGF)ファミリー、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)ファミリー、神経成長因子(NGF)ファミリー、上皮成長因子(EGF)ファミリー、インスリン関連成長因子(IGF)ファミリー、肝細胞成長因子(HGF)ファミリー、造血成長因子(HeGF)、血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF)、アンジオポエチン、血管内皮成長因子(VEGF)ファミリー、及び糖質コルチコイドも含み得る。特定の実施形態では、ホルモンは、インスリンまたはインクレチン、例えば、エキセナチド、GLP-1である。
【0183】
神経ホルモン
実施形態では、分泌されるペプチドは、神経ホルモン、神経内分泌細胞によって産生及び放出されるホルモンである。神経ホルモンの例としては、サイロトロピン放出ホルモン、コルチコトロピン放出ホルモン、ヒスタミン、成長ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチン、ゴナドトロピン放出ホルモン、セロトニン、ドーパミン、ニューロテンシン、オキシトシン、バソプレシン、エピネフリン、及びノルエピネフリンが挙げられる。
【0184】
抗菌性タンパク質
いくつかの実施形態では、1つ以上のポリペプチドは、1つ以上の抗菌性タンパク質を含み得る。細胞が哺乳動物細胞である実施形態において、ヒト宿主防御抗菌ペプチド及びタンパク質(AMP)は、侵入する微生物病原体を防ぐ際に重大な役割を果たす。特定の実施形態では、抗菌剤は、例えば、α-デフェンシンHD-6、HNP-1及びβ-デフェンシンhBD-3、リゾチーム、カテリシジンLL-37、C型レクチンRegIIIアルファである。例えば、参照により本明細書に組み込まれるWang,“Human Antimicrobial Peptide and Proteins”Pharma,May 2014,7(5):545-594を参照されたい。
【0185】
抗線維化タンパク質
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のポリペプチドは、1つ以上の抗線維化ポリペプチドを含み得る。抗線維化ポリペプチドは、分泌されるポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、抗線維化ポリペプチドは、本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の他のポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドと共発現される。抗線維化剤は、分泌され、それと共発現され得る内因性タンパク質及び/または外因性タンパク質の線維化及び/または凝集を阻害するように作用し得る。いくつかの実施形態では、抗線維化剤は、P4(VITYF(配列番号747))、P5(VVVVV(配列番号748))、KR7(KPWWPRR(配列番号749))、NK9(NIVNVSLVK(配列番号750))、iAb5p(Leu-Pro-Phe-Phe-Asp(配列番号751))、KLVF(配列番号752)及びその誘導体、インドリシジン、カルノシン、Wang et al.2014.ACS Chem Neurosci.5:972-981に記載されているヘキサペプチド、Hopping et al.2014.Elife 3:e01681に記載されているD-アミノ酸とL-アミノ酸を交互に有するアルファシートペプチド、D-(PGKLVYA(配列番号753)、RI-OR2-TAT、シクロ(17,21)-(Lys17,Asp21)A_(1-28)、SEN304、SEN1576、D3、R8-Aβ(25-35)、ヒトyD-クリスタリン(HGD)、ポリリジン、ヘパリン、ポリ-Asp、ポリGl、ポリ-L-リジン、ポリ-L-グルタミン酸、LVEALYL(配列番号754)、RGFFYT(配列番号755)、米国特許第8,754,034号に記載されているか、またはそれに記載の方法により設計/生成されたペプチド、及びそれらの組合せである。態様では、抗線維化剤は、D-ペプチドである。態様では、抗線維化剤は、L-ペプチドである。態様では、抗線維化剤は、レトロ-インベルソ修飾ペプチドである。レトロ-インベルソ修飾ペプチドは、側鎖及び3D構造の同じ空間配置を保持するため、L-アミノ酸をそれらのD-同等物に置き換え、元のペプチドを模倣するように配列を反転することによってペプチドから誘導される。態様では、レトロ-インベルソ修飾ペプチドは、天然または合成Aβペプチドから誘導される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、線維化抵抗性タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、線維化抵抗性タンパク質は、修飾インスリンであり、例えば、米国特許第8,343,914号を参照されたい。
【0186】
抗体
特定の実施形態では、1つ以上のポリペプチドは1つ以上の抗体を含み得る。「抗体」という用語は、本明細書における「免疫グロブリン」という用語と同義的に使用され、インタクトな抗体、抗体のフラグメント、例えば、Fab、F(ab’)2フラグメント、ならびにそれらの定常及び/または可変領域のいずれかにおいて変異されている(例えば、キメラ、部分的ヒト化、または完全ヒト化抗体を産生する変異、ならびに所望の形質、例えば、強化された結合及び/または減少したFcR結合を有する抗体を産生する変異)インタクトな抗体及びフラグメントを含む。「フラグメント」という用語は、インタクトなまたは完全な抗体または抗体鎖より少ないアミノ酸残基を含む抗体または抗体鎖の一部または部分を指す。フラグメントは、インタクトなまたは完全な抗体または抗体鎖の化学的または酵素的処理を介して得ることができる。フラグメントはまた、組換え手段によって得ることもできる。例示的なフラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、Fd、dAb、VHH、及びscFv及び/またはFvフラグメントを含む。
【0187】
プロテアーゼ切断部位
上で例示されるように、1つ以上のカーゴポリペプチドは、1つ以上のプロテアーゼ切断部位、すなわち、プロテアーゼによって認識及び切断され得るアミノ酸配列を含み得る。プロテアーゼ切断部位は、所望の遺伝子産物(例えば、他のタンパク質の任意のタグまたは部分を有さないインタクトな遺伝子産物)を生成するために使用され得る。プロテアーゼ切断部位は、タンパク質の一端または両端であり得る。本明細書において使用され得るプロテアーゼ切断部位の例としては、エンテロキナーゼ切断部位、トロンビン切断部位、第Xa因子切断部位、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位、ジペプチジルアミノペプチダーゼ切断部位及び低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)/ユビキチン様タンパク質-1(ULP-1)プロテアーゼ切断部位が挙げられる。特定の例では、プロテアーゼ切断部位は、Lys-Argを含む。
【0188】
小分子
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、小分子である。ペプチドを小分子剤に連結するための技術及び方法は、当該技術分野において一般に公知であり、心臓特異的標的化部位を小分子カーゴに連結するために、本明細書において適用され得る。小分子としては、ホルモン、免疫調節剤、解熱剤、抗不安薬、抗精神病薬、鎮痛剤、鎮痙薬、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗感染薬、放射線増感剤、化学療法薬が挙げられるがこれらに限定されない。
【0189】
好適なホルモンとしては、アミノ酸由来ホルモン(例えば、メラトニン及びチロキシン)、低分子ペプチドホルモン及びタンパク質ホルモン(例えば、サイロトロピン放出ホルモン、バソプレシン、インスリン、成長ホルモン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、及び甲状腺刺激ホルモン)、エイコサノイド(例えば、アラキドン酸、リポキシン、及びプロスタグランジン)、ならびにステロイドホルモン(例えば、エストラジオール、テストステロン、テトラヒドロテストステロンコルチゾール)が挙げられるがこれらに限定されない。好適な免疫調節剤としては、プレドニゾン、アザチオプリン、6-MP、シクロスポリン、タクロリムス、メトトレキサート、インターロイキン(例えば、IL-2、IL-7、及びIL-12)、サイトカイン(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-a、IFN-β、IFN-ε、IFN-K、IFN-ω、及びIFN-γ)、顆粒球コロニー刺激因子、及びイミキモド)、ケモカイン(例えば、CCL3、CCL26及びCXCL7)、シトシンリン酸グアノシン、オリゴデオキシヌクレオチド、グルカン、抗体、及びアプタマー)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0190】
好適な解熱剤としては、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、及びニメスリド)、アスピリン及び関連するサリチル酸塩(例えば、コリンサリチル酸塩、サリチル酸マグネシウム、及びサリチル酸ナトリウム)、パラセタモール/アセトアミノフェン、メタミゾール、ナブメトン、フェナゾン、及びキニーネが挙げられるがこれらに限定されない。
【0191】
好適な抗不安薬としては、ベンゾジアゼピン系(例えば、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、及びトフィソパム)、セロトニン作動性抗うつ薬(例えば選択的セロトニン再取り込み阻害剤、三環系抗うつ薬、及びモノアミンオキシダーゼ阻害剤)、メビカール、アホバゾール、セランク(selank)、ブロマンタン、エモキシピン、アザピロン系、バルビツール酸系、ヒドロキシジン、プレガバリン、バリドール、及びベータ遮断薬が挙げられるがこれらに限定されない。
【0192】
好適な抗精神病薬としては、ベンペリドール、ブロムペリドール(bromoperidol)、ドロペリドール、ハロペリドール、モペロン、ピパンペロン(pipaperone)、チミペロン、フルスピリレン、ペンフルリドール、ピモジド、アセプロマジン、クロルプロマジン、シアメマジン、ジキシラジン(dizyrazine)、フルフェナジン、レボメプロマジン、メソリダジン、ペラジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、ピポチアジン、プロクロルペラジン、プロマジン、プロメタジン、プロチペンジル、チオプロペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、トリフルプロマジン、クロルプロチキセン、クロペンチキソール、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロチアピン、ロキサピン、プロチペンジル、カルピプラミン、クロカプラミン、モリンドン、モサプラミン、スルピリド、ベラリプリド、アミスルプリド、アモキサピン、アリピプラゾール、アセナピン、クロザピン、ブロナンセリン、イロペリドン、ルラシドン、メルペロン、ネモナプリド、オランザピン、パリペリドン、ペロスピロン、クエチアピン、レモキシプリド、リスペリドン、セルチンドール、トリミプラミン、ジプラシドン、ゾテピン、アルストニン(alstonie)、ビフェプルノックス(befeprunox)、ビトペルチン、ブレクスピプラゾール、カンナビジオール、カリプラジン、ピマバンセリン、ポマグルメタッドメチオニル、バビカセリン、キサノメリン、及びジクロナピンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0193】
好適な鎮痛剤としては、パラセタモール/アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、及びニメスリド)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、及びエトリコキシブ)、オピオイド(例えばモルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルヒネ、ペチジン、ブプレノルフィン)、トラマドール、ノルエピネフリン、フルピルチン(flupiretine)、ネホパム、オルフェナドリン、プレガバリン、ガバペンチン、シクロベンザプリン、スコポラミン、メサドン、ケトベミドン、ピリトラミド、ならびにアスピリン及び関連サリチル酸塩(例えば、コリンサリチル酸塩、サリチル酸マグネシウム、及びサリチル酸ナトリウム)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0194】
好適な鎮痙薬としては、メベベリン、パパベリン(papverine)、シクロベンザプリン、カリソプロドール、オルフェナドリン、チザニジン、メタキサロン、メトカルバモール(methodcarbamol)、クロルゾキサゾン、バクロフェン、ダントロレン、バクロフェン、チザニジン、及びダントロレンが挙げられるがこれらに限定されない。好適な抗炎症剤としては、プレドニゾン、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、及びニメスリド)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、及びエトリコキシブ)、及び免疫選択的抗炎症誘導体(例えば、顎下腺ペプチド-T及びその誘導体)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0195】
好適な抗ヒスタミン剤としては、H1受容体アンタゴニスト(例えば、アクリバスチン、アゼラスチン、ビラスチン、ブロムフェニラミン、ブクリジン、ブロモジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルプロマジン、シクリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デスロラタジン、デクスブロムフェニラミン(dexbromapheniramine)、デクスクロルフェニラミン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、ジフェニルヒドラミン、ドキシラミン、エバスチン(ebasine)、エンブラミン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、レボセチリジン、ロラタジン、メクリジン、ミルタザピン、オロパタジン、オルフェナドリン、フェニンダミン、フェニラミン、フェニルトロキサミン、プロメタジン、ピリラミン、クエチアピン、ルパタジン、トリペレナミン、及びトリプロリジン)、H2受容体アンタゴニスト(例えば、シメチジン、ファモチジン、ラフチジン、ニザチジン、ラニチジン、及びロキサチジン)、トリトクアリン、カテキン、クロモグリケート、ネドクロミル、及びp2-アドレナリンアゴニストが挙げられるがこれらに限定されない。
【0196】
好適な抗感染薬としては、抗アメーバ薬(例えば、ニタゾキサニド、パロモマイシン、メトロニダゾール、チニダゾール、クロロキン、ミルテホシン、アムホテリシンb、及びヨードキノール)、アミノグリコシド(例えば、パロモマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、及びネオマイシン)、駆虫薬(例えば、ピランテル、メベンダゾール、イベルメクチン、プラジカンテル、アルベンダゾール(abendazole)、チアベンダゾール、オキサムニキン)、抗真菌剤(例えば、アゾール系抗真菌剤(例えば、イトラコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、及びボリコナゾール)、エキノキャンディン系(例えば、カスポファンギン、アニデュラファンギン、及びミカファンギン)、グリセオフルビン、テルビナフィン、フルシトシン、及びポリエン系(例えば、ナイスタチン、及びアムホテリシンb)、抗マラリア剤(例えば、ピリメタミン/スルファドキシン、アルテメテル/ルメファントリン、アトバコン/プログアニル(proquanil)、キニーネ、ヒドロキシクロロキン、メフロキン、クロロキン、ドキシサイクリン、ピリメタミン、及びハロファントリン)、抗結核剤(例えば、アミノサリチレート(例えば、アミノサリチル酸)、イソニアジド/リファンピン、イソニアジド/ピラジナミド/リファンピン、ベダキリン、イソニアジド、エタンブトール、リファンピン、リファブチン、リファペンチン、カプレオマイシン、及びサイクロセリン)、抗ウイルス薬(例えば、アマンタジン、リマンタジン、アバカビル/ラミブジン、エムトリシタビン/テノホビル、コビシスタット/エルビテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビル、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン、ラミブジン/ジドブジン、エムトリシタビン/テノホビル、エムトリシタビン/ロピナビル/リトナビル/テノホビル、インターフェロンアルファ-2v/リバビリン、ペグインターフェロンアルファ-2b、マラビロク、ラルテグラビル、ドルテグラビル、エンフビルチド、ホスカルネット、ホミビルセン、オセルタミビル、ザナミビル、ネビラピン、エファビレンツ、エトラビリン、リルピビリン、デラビルジン(delaviridine)、ネビラピン、エンテカビル、ラミブジン、アデホビル、ソホスブビル、ジダノシン、テノホビル、アバシブル(avacivr)、ジドブジン、スタブジン、エムトリシタビン、カルシタビン(calcitabine)、テルビブジン、シメプレビル、ボセプレビル、テラプレビル、ロピナビル/リトナビル、ホスアンプレナビル(fosamprenvir)、ダルナビル(dranuavir)、リトナビル、チプラナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、インジナビル、サキナビル(sawuinavir)、リバビリン、バラシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、及びバルガンシクロビル)、カルバペネム(例えば、ドリペネム、メロペネム、エルタペネム、及びシラスタチン/イミペネム)、セファロスポリン系(例えば、セファドロキシル、セフラジン、セファゾリン、セファレキシン、セフェピム、セフタロリン、ロラカルベフ、セフォテタン、セフロキシム、セフプロジル、ロラカルベフ、セフォキシチン、セファクロル、セフチブテン、セフトリアキソン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフジニル、セフィキシム、セフジトレン、セフチゾキシム、及びセフタジジム)、糖ペプチド抗生物質(例えば、バンコマイシン、ダルババンシン、オリタバンシン、及びテラバンシン)、グリシルサイクリン系(例えば、チゲサイクリン)、抗らい菌薬(例えば、クロファジミン及びサリドマイド)、リンコマイシン及びその誘導体(例えば、クリンダマイシン及びリンコマイシン)、マクロライド系及びその誘導体(例えば、テリスロマイシン、フィダキソマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、及びトロレアンドマイシン)、リネゾリド、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、リファキシミン、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、メトロニダゾール、アズトレオナム、バシトラシン、ペニシリン系(アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、アモキシシリン/クラブラン酸、アンピシリン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタム、クラブラン酸/チカルシリン、ペニシリン、プロカインペニシリン、オキサシリン(oxaxillin)、ジクロキサシリン、及びナフシリン)、キノロン系(例えば、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ゲミフロキサシン、モキシフロキサシン、シノキサシン、ナリジクス酸、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、トロバフロキサシン、及びスパルフロキサシン)、スルホンアミド系(例えば、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、スルファサラジン、及びスルフイソキサゾール(sulfasoxazole))、テトラサイクリン系(例えば、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン/サリチル酸、ドキシサイクリン/オメガ-3多価不飽和脂肪酸、及びテトラサイクリン)、ならびに尿路感染症薬(例えば、ニトロフラントイン、メテナミン、ホスホマイシン、シノキサシン、ナリジクス酸、トリメトプリム、及びメチレンブルー)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0197】
好適な化学療法薬としては、パクリタキセル、ブレンツキシマブベドチン、ドキソルビシン、5-FU(フルオロウラシル)、エベロリムス、ペメトレキセド、メルファラン、パミドロネート、アナストロゾール、エキセメスタン、ネララビン、オファツムマブ、ベバシズマブ、ベリノスタット、トシツモマブ、カルムスチン、ブレオマイシン、ボスチニブ、ブスルファン、アレムツズマブ、イリノテカン、バンデタニブ、ビカルタミド、ロムスチン、ダウノルビシン、クロファラビン、カボザンチニブ、ダクチノマイシン、ラムシルマブ、シタラビン、シトキサン、シクロホスファミド、デシタビン、デキサメタゾン、ドセタキセル、ヒドロキシウレア、ダカルバジン(decarbazine)、ロイプロリド、エピルビシン、オキサリプラチン、アスパラギナーゼ、エストラムスチン、セツキシマブ、ビスモデギブ、Erwinia chrysanthemi由来アスパラギナーゼ、アミホスチン、エトポシド、フルタミド、トレミフェン、フルベストラント、レトロゾール、デガレリクス、プララトレキサート、メトトレキサート、フロクスウリジン、オビヌツズマブ、ゲムシタビン、アファチニブ、メシル酸イマチニブ、カルムスチン、エリブリン、トラスツズマブ、アルトレタミン、トポテカン、ポナチニブ、イダルビシン、イホスファミド、イブルチニブ、アキシチニブ、インターフェロンアルファ-2a、ゲフィチニブ、ロミデプシン、イキサベピロン、ルキソリチニブ、カバジタキセル、ado-トラスツズマブエムタンシン、カルフィルゾミブ、クロラムブシル、サルグラモスチム、クラドリビン、ミトタン、ビンクリスチン、プロカルバジン、メゲストロール、トラメチニブ、メスナ、塩化ストロンチウム-89、メクロレタミン、マイトマイシン、ブスルファン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ビノレルビン、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、ソラフェニブ、ニルタミド、ペントスタチン、タモキシフェン、ミトキサントロン、ペガスパルガーゼ、デニロイキンディフチトクス、アリトレチノイン、カルボプラチン、ペルツズマブ、シスプラチン、ポマリドミド、プレドニゾン、アルデスロイキン、メルカプトプリン、ゾレドロン酸、レナリドミド、リツキシマブ、オクトレオチド(octretide)、ダサチニブ、レゴラフェニブ、ヒストレリン、スニチニブ、シルツキシマブ、オマセタキシン、チオグアニン(チオグアニン)、ダブラフェニブ、エルロチニブ、ベキサロテン、テモゾロミド、チオテパ、サリドマイド、BCG、テムシロリムス、ベンダムスチン塩酸塩、トリプトレリン、三酸化ヒ素、ラパチニブ、バルルビシン、パニツムマブ、ビンブラスチン、ボルテゾミブ、トレチノイン、アザシチジン、パゾパニブ、テニポシド、ロイコボリン、クリゾチニブ、カペシタビン、エンザルタミド、イピリムマブ、ゴセレリン、ボリノスタット、イデラリシブ、セリチニブ、アビラテロン、エポチロン、タフルポシド、アザチオプリン、ドキシフルリジン、ビンデシン、及びall-transレチノイン酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0198】
心筋疾患カーゴ
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、単独でまたはシステムの一部として送達される場合、システムの他の構成要素と共に送達されるかどうかにかかわらず、それが送達される細胞のゲノム、エピゲノム、及び/またはトランスクリプトームを改変するように作用し得るポリヌクレオチドまたはポリペプチドであり得、心筋疾患、障害、もしくはその症状、CNS疾患、障害、及び/またはその症状、神経筋疾患もしくは障害、筋肉疾患もしくは障害、またはそれらの任意の組合せの疾患、障害、またはその症状を処置または予防するようなものである。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、システムの他の構成要素と共に送達されるかどうかにかかわらず、心筋疾患、障害、もしくはその症状、CNS疾患、障害、及び/またはその症状、神経筋疾患もしくは障害、筋肉疾患もしくは障害、またはそれらの任意の組合せの疾患、障害、またはその症状を処置または予防するように、それが送達される細胞のゲノム、エピゲノム、及び/またはトランスクリプトームを改変するように作用する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は心筋症である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、早老性疾患(例えば、早老性ラミノパシー)、グリコーゲン蓄積症、免疫障害(例えば、自己免疫疾患)、がん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、6肢帯型筋ジストロフィー疾患(LGMD)、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)、MPS IIIA、ポンペ病、または他のCNS関連疾患、例えば、ハンチントン病及び他のリピート伸長病である。
【0199】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、システムの他の構成要素と共に送達されるかどうかにかかわらず、それが送達される細胞のゲノム、エピゲノム、及び/またはトランスクリプトームを改変するように作用し、米国特許出願公開第20190284555号(その内容は、本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれ、本発明での使用に適合させることができる)に記載のもののいずれかなどのGAA遺伝子を改変し得るようなものである。
【0200】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、MHCK7、CK8、または他の筋肉特異的プロモーターに連結されたオリゴヌクレオチドを含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、心臓アルファアクチンプロモーター、心臓トロポニンTプロモーター、心臓トロポニンC、心臓アルファ-ミオシン重鎖プロモーター、TNNI3、MYBPC3、MYH6、または他の心筋特異的プロモーターに連結されたオリゴヌクレオチドを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、タンパク質機能性のために最適化されたジストロフィン遺伝子の選択された領域のみを含有するマイクロジストロフィンオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、選択された領域は、スペクトリン様リピート1、2、3、及び24を含む。例えば、Harper SQ,Hauser MA,DelloRusso C,et al.Modular flexibility of dystrophin:implications for gene therapy of Duchenne muscular dystrophy.Nat Med.2002;8(3):253-261を参照のこと。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンオリゴヌクレオチドは、AAVrh74.MHCK7マイクロジストロフィン遺伝子またはSRP-9001として知られるrAAV剤によって送達されるものであり、これは臨床試験NCT03375164及びNCT03769116の対象である。このマイクロジストロフィン遺伝子構築物は、NT-H1-R1-R2-R3-H2-R24-H4-CR-CTを含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、ABD-H1-R1-R2-R3-H2-R24-H4-CR-CTを含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、ヒンジ領域を表すHを含む。England SB,et al.Nature.1990;343(6254):180-182;Wells DJ,et al.Hum Mol Genet.1995;4(8):1245-1250、Salva MZ,et al.Mol Ther.2007;15(2):320-329;Mendell JR,et al.Neurosci Lett.2012;527(2):90-99;Rodino-Klapac LR,et al.Hum Mol Genet.2013;22(24):4929-4937;Velazquez VM,et al.Mol Ther Methods Clin Dev.2017;4:159-168;Harper SQ,et al.Nat Med.2002;8(3):253-261;Nelson DM,et al.Hum Mol Genet.2018;27(12):2090-2100。いくつかの実施形態では、選択された領域は、少なくともスペクトリン様リピート2及び3を含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、nNOSドメインを含む。いくつかの実施形態では、nNOSドメインは、スペクトリン様リピート16及び/または17から構成される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、スペクトリン様リピート16及び17を含む。いくつかの実施形態では、nNOSドメインは、スペクトリン様リピートR1、R16、R17、R23、及びR24から構成される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、筋肉特異的プロモーターに連結される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンオリゴヌクレオチドは、MHCK7、CK8、SNP18、SP0033、SP0051、SP0173、tmCK、または別の筋肉特異的プロモーターに連結される。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、心臓アルファアクチンプロモーター、心臓トロポニンTプロモーター、心臓トロポニンC、心臓アルファ-ミオシン重鎖プロモーター、TNNI3、MYBPC3、MYH6、または他の心筋特異的プロモーターに連結されたオリゴヌクレオチドを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、カーゴマイクロジストロフィンは、ABD(アクチン結合ドメイン)、1つ以上のヒンジ領域(例えば、H1、H2、H3、H4)、及び1つ以上のスペクトリン様リピート(例えば、R1、R1’、R2、R3、R16、R17、R20、R21、R22、R23、R24、R24’及び任意選択でジストログリカン結合ドメイン(DBD)を含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは、ABD-H1-R1-R16-R17-R23-R24-H4-DBDから構成される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは、ABD-H1-R1-R2-R3-H2-R24-H4-CRから構成される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、ABD-H1-R1-R2-R3-H2-R24-H4-CR-CTを含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、ABD-H1-R1’-R24’-H4-CR-CTを含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、マイクロジストロフィン遺伝子をコードすることができるポリヌクレオチドであり、マイクロジストロフィン遺伝子は、スペクトリン様リピート、R1、R16、R17、R23及びR24を含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、ヒンジ領域(H)4及び/またはH1を含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、N末端アクチン結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、ヒト全長ジストロフィンタンパク質のC末端ジストログリカン結合ドメインを含む。マイクロジストロフィン遺伝子は、nNOSドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、nNOSドメインは、スペクトリン様リピート16及び/または17から構成される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン遺伝子は、スペクトリン様リピート16及び17を含む。マイクロジストロフィン遺伝子は、WO2019118806A1及びWO2016/115543(本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれ、本発明での使用に適合させることができる)に記載されている通りであり得る。いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドは、ヒト全長ジストロフィンタンパク質のN末端からC末端にかけて、N末端アクチン結合ドメイン、ヒンジ領域1(Hl)、スペクトリン様リピートRl、R16、R17、R23、及びR24、ヒンジ領域4(H4)、ならびにC末端ジストログリカン結合ドメインを含有する5-リピートマイクロジストロフィンタンパク質をコードし得る。この5-リピートマイクロジストロフィン及び関連するジストロフィンミニ遺伝子のタンパク質配列は、WO2016/115543に記載されている。いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドは、識別番号NCT03368742を有し、現在臨床試験中であるSGT001として知られる薬剤の一部であるマイクロジストロフィン遺伝子に対応することができる。
【0205】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、minidys遺伝子またはベクターである。いくつかの実施形態では、minidys遺伝子またはベクターは、ABD-H1-R1-R2-R3-R16-R17-H3-R20-R21、ABD-H1-R1-R2-R3-R16-R17-H3-R20-R21-R22-R23-R24-H4-CR、またはH3-R20-R21-R22-R23-R24-H4-CR-CTから構成され得る。
【0206】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子はSCGB cDNAである。いくつかの実施形態では、SGCB cDNAは、MHCK7、CK8プロモーター、SNP18プロモーター、SP0033プロモーター、SP0051、SP0173プロモーター、tmCKプロモーター、または別の筋肉特異的プロモーターに連結される。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、心臓アルファアクチンプロモーター、心臓トロポニンTプロモーター、心臓トロポニンC、心臓アルファ-ミオシン重鎖プロモーター、TNNI3、MYBPC3、MYH6、または他の心筋特異的プロモーターに連結されたオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、ベータ-サルコグリカンcDNA、アルファ-サルコグリカンcDNA、ジスフェルリンcDNA、ガンマ-サルコグリカンcDNA、Calpin-3 cDNA、SGSH cDNA(例えば、LYS-SAF302)、ニューロトロピン3 cDNA、アノクタミン-5 cDNA、またはそれらの任意の組合せである。
【0207】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、システムの他の構成要素と共に送達されるかどうかにかかわらず、それが送達される細胞のゲノム、エピゲノム、及び/またはトランスクリプトームを改変するように作用し、ハンチントン病などのリピート伸長病に関連する遺伝子または遺伝子産物、例えば、米国特許出願公開第20190100755号、米国特許第10066228号(その内容は、本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれ、本発明での使用に適合させることができる)に記載のものを処置、予防、及び/または改変するようなものである。
【0208】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、アンチセンスオリゴマーまたはRNA分子、例えば、米国特許出願公開第20160251398号、同第20150267202号、同第20190015440号、同第20140287983号、同第20180216111号、WO/2017/062835、米国特許第20190177723号、同第20170051278号、同第20180271893号、WO/2016/14965、米国特許第10076536号、WO/2018/00580、WO/2018/11866、WO/2019/059973(その内容は、本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれ、本発明での使用に適合させることができる)に記載のものである。
【0209】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、システムの他の構成要素と共に送達されるかどうかにかかわらず、それが送達される細胞のゲノム、エピゲノム、及び/またはトランスクリプトームを改変するように作用し、一本鎖RNAウイルス、例えば、インフルエンザ、ウエストナイルウイルス、SARS、C型肝炎、デング熱、エボラ、マールブルグ、及び/またはカリシウイルスを処置または予防するようなものである。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、アンチセンス抗ウイルス化合物、例えば、US8703735B2(その内容は、本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれ、本発明での使用に適合させることができる)に記載のもののいずれかであり得る。
【0210】
追加の例示的な遺伝子的及び遺伝子関連疾患、ならびに本明細書に記載されるカーゴ分子によって改変することが可能な遺伝子は、本明細書の他の箇所に列挙されており、例えば、表2~3を参照されたい。
【0211】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、GALGT2遺伝子を付加または改変し得る。欠損ジストロフィンを補充するように作用する代わりに、GALGT2遺伝子療法は、疾患において変異または欠損していないタンパク質の発現を増加させることによって、ジストロフィンの不在を補う方法で筋肉の構造的一体性を強化する。GALGT2は、特定のジストロフィン変異とは無関係にDMDを処置する可能性をもたらすと共に、他の筋ジストロフィーにおいて有用性を有する。
【0212】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、米国特許出願公開第2018/0161359号及び同第2019/0054113号(その内容は、本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれ、本発明での使用に適合させることができる)におけるものなどのモルホリノである。いくつかの実施形態では、モルホリノは、モルホリノオリゴマー(PMO)またはペプチド結合モルホリノPPMOである。PMOベースのプラットフォームは、mRNA転写を変化させることによって遺伝子疾患を処置するために使用され得る。PMOは、RNAの天然フレームワークをモデルにした合成化学構造である。PMOは、RNAに見られる同じ核酸塩基を有するのに対し、それらは、5辺のリボース環の代わりに6辺モルホリン環に結合する。加えて、モルホリン環は、RNAに見られるホスホジエステル結合の代わりにホスホロジアミデート結合によって互いに接続される。PMO及びPPMOは、エクソンスキッピング及び翻訳抑制に使用され得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、例えば国際特許出願公開WO2017106304A1(その内容は、本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれ、本発明での使用に適合させることができる)に記載されているようなペプチドオリゴマーコンジュゲートであり得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、モルホリノは、エテプリルセンに見られるモルホリノであり、これは、ジストロフィンmRNAのエクソン51を標的とするのに有効であり得る。いくつかの実施形態では、カーゴ分子は、例えば米国特許出願公開第2014/0315977A1号及び同第2018/010581号(その内容は、本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれ、本発明での使用に適合させることができる)に記載されているようなDMDの文脈でエクソンスキッピングを生じさせることができる。
【0215】
エクソンスキッピング
いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、エクソンスキッピングを誘導することができる核酸をコードし得る。そのようなコード核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスヌクレオチドシステムであり得る。本明細書で使用される場合、「エクソンスキッピング」という用語は、1つ以上の相補性アンチセンスオリゴヌクレオチド(複数可)(AON)を用いたpre-mRNA内のスプライスドナー及び/またはアクセプター部位の標的化によるpre-mRNAスプライシングの改変を指す。1つ以上のスプライスドナーまたはアクセプター部位へのスプライソソームのアクセスを遮断することにより、AONは、スプライシング反応を防止し、それにより完全にプロセシングされたmRNAから1つ以上のエクソンの欠失を引き起こし得る。エクソンスキッピングは、pre-mRNAの成熟プロセス中に核において達成され得る。いくつかの例では、エクソンスキッピングは、pre-mRNA内のスプライスドナー配列と相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を使用することによって標的とされたエクソンのスプライシングに関与する重要な配列のマスキングを含み得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、ジストロフィンmRNAにおいてエクソンスキッピングを誘導することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスヌクレオチドシステムをコードする。例えば、ジストロフィン遺伝子のエクソンx内のナンセンスまたはフレームシフト変異は、カルボキシ末端切断型非機能性ジストロフィンタンパク質をもたらす。その成熟mRNA転写産物の発現は、エクソンxによってコードされたアミノ酸が欠失しているが、それらの欠失アミノ酸に対してN末端及びC末端の両方にジストロフィンアミノ酸を含む機能性ジストロフィンタンパク質をもたらし得る。
【0217】
ヌクレオチド配列は、エクソン1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、45、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、またはそれらの任意の組合せにおいてエクソンスキッピングを誘導することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスヌクレオチドシステムをコードし得る。ヌクレオチド配列は、エクソン43、44、50、51、52、55、またはそれらの任意の組合せにおいてエクソンスキッピングを誘導することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスヌクレオチドシステムをコードし得る。
【0218】
操作されたウイルスカプシド及びコードポリヌクレオチド
本明細書では、細胞特異的指向性を、操作されたウイルスタンパク質(複数可)を含有する操作されたウイルス粒子(AAV粒子)に与えるように操作され得る、操作されたウイルスタンパク質、(例えば、カプシドタンパク質)、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ウイルスタンパク質(例えば、カプシドタンパク質)の例示的な実施形態が記載される。操作されたウイルスタンパク質(複数可)(例えば、カプシド(複数可))は、操作されたウイルス粒子に含まれ得、細胞特異的指向性、例えば、心筋特異的指向性、低下した免疫原性、または両方を、操作されたウイルス(例えば、AAV)粒子に与えることができる。本明細書の他の箇所に記載されるように、粒子は、カーゴを含み得る。このように、粒子は、カーゴのための細胞特異的送達媒体であり得る。本明細書に記載される操作されたウイルスカプシドは、本明細書に記載される1つ以上の操作されたウイルスカプシドタンパク質を含み得る。操作されたウイルスカプシドタンパク質は、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、またはAAVであり得る。操作されたカプシドは、ウイルスカプシドタンパク質の1つ以上を含有し得る。操作されたウイルス粒子は、操作されたウイルスカプシドタンパク質の1つ以上を含み得、したがって、操作されたウイルスカプシドを含有する。操作されたウイルスカプシドタンパク質、カプシド、及び/またはウイルス粒子は、本明細書の他の箇所に記載される1つ以上のn量体インサートを含有するかまたはそれから構成される1つ以上の心筋特異的標的化部位を含有する。いくつかの実施形態では、操作されたウイルスカプシドタンパク質、ウイルスカプシド、及び/またはウイルス粒子は、そこに含まれる1つ以上のn量体インサートによって付与される心筋特異的指向性を有し得る。
【0219】
心筋特異的n量体インサート及び標的化部位は、ポリヌクレオチドによって全体的または部分的にコードされ得る。操作されたウイルスカプシド及び/またはウイルスカプシドタンパク質は、1つ以上の操作されたウイルスカプシドポリヌクレオチドによってコードされ得る。いくつかの実施形態では、操作されたウイルスカプシドポリヌクレオチドは、操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド、操作されたレンチウイルスカプシドポリヌクレオチド、操作されたレトロウイルスカプシドポリヌクレオチド、または操作されたアデノウイルスカプシドポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、操作されたウイルスカプシドポリヌクレオチド(例えば、操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド、操作されたレンチウイルスカプシドポリヌクレオチド、操作されたレトロウイルスカプシドポリヌクレオチド、または操作されたアデノウイルスカプシドポリヌクレオチド)は、3’ポリアデニル化シグナルを含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナルであり得る。
【0220】
操作されたAAVカプシドは、野生型AAVカプシドのバリアントであり得る。いくつかの実施形態では、野生型AAVカプシドは、VP1、VP2、VP3カプシドタンパク質またはそれらの組合せから構成され得る。言い換えると、操作されたAAVカプシドは、野生型VP1、野生型VP2、及び/または野生型VP3カプシドタンパク質の1つ以上のバリアントを含み得る。いくつかの実施形態では、参照野生型AAVカプシドの血清型は、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-8、AAV-9またはそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、野生型AAVカプシドの血清型は、AAV-9であり得る。操作されたAAVカプシドは、参照野生型AAVカプシドのものと異なる指向性を有し得る。
【0221】
操作されたAAVカプシドは、1~60個の操作されたカプシドタンパク質を含有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたAAVカプシドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60個の操作されたカプシドタンパク質を含有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたAAVカプシドは、0~59個の野生型AAVカプシドタンパク質を含有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたAAVカプシドは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、または59個の野生型AAVカプシドタンパク質を含有し得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、n量体アミノ酸インサート(本明細書において「n量体インサート」とも呼ばれる)を有し得、ここで、nは少なくとも3個のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、nは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、操作されたAAVカプシドは、6量体または7量体アミノ酸インサートを有し得る。いくつかの実施形態では、n量体アミノ酸インサートは、野生型ウイルスタンパク質(VP)(またはカプシドタンパク質)内の2つのアミノ酸の間に挿入され得る。いくつかの実施形態では、n量体インサートは、AAVカプシドタンパク質内の可変アミノ酸領域における2つのアミノ酸の間に挿入され得る。各野生型AAVウイルスタンパク質のコアは、自律性パルボウイルスカプシド中に保存される8本のベータ-バレルモチーフ(ベータB~ベータI)及びアルファ-ヘリックス(アルファA)を含有する(例えば、DiMattia et al.2012.J.Virol.86(12):6947-6958を参照)。構造的可変領域(VR)は、クラスター化してカプシド表面における局所変化を生成するベータ-鎖を接続する表面ループに存在する。AAVは、12の可変領域(超可変領域とも呼ばれる)を有する(例えば、Weitzman and Linden.2011.“Adeno-Associated Virus Biology.”In Snyder,R.O.,Moullier,P.(eds.)Totowa,NJ:Humana Pressを参照)。いくつかの実施形態では、1つ以上のn量体インサートは、野生型AVVカプシドタンパク質内の12の可変領域の1つ以上における2つのアミノ酸の間に挿入され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のn量体インサートは各々、VR-I、VR-II、VR-III、VR-IV、VR-V、VR-VI、VR-VII、VR-III、VR-IX、VR-X、VR-XI、VR-XII、またはそれらの組合せにおける2つのアミノ酸の間に挿入され得る。いくつかの実施形態では、n量体インサート(複数可)は、カプシドタンパク質のVR-IIIにおける2つのアミノ酸の間に挿入され得る。いくつかの実施形態では、操作されたカプシドは、AAV9ウイルスタンパク質のアミノ酸262~269の間の任意の2つの連続したアミノ酸の間、アミノ酸327~332の間の任意の2つの連続したアミノ酸の間、アミノ酸382~386の間の任意の2つの連続したアミノ酸の間、アミノ酸452~460の間の任意の2つの連続したアミノ酸の間、アミノ酸488~505の間の任意の2つの連続したアミノ酸の間、アミノ酸545~558の間の任意の2つの連続したアミノ酸の間、アミノ酸581~593の間の任意の2つの連続したアミノ酸の間、アミノ酸704~714の間の任意の2つの連続したアミノ酸の間に挿入されたn量体インサートを有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたカプシドは、AAV9ウイルスタンパク質のアミノ酸588と589との間に挿入されたn量体インサートを有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたカプシドは、AAV9ウイルスタンパク質のアミノ酸588と589との間に挿入されたn量体インサートを有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたカプシドは、AAV9ウイルスタンパク質のアミノ酸588と589との間に挿入されたn量体インサートを有し得る。配列番号1は、上述される挿入部位を少なくとも参照するための参照AAV9カプシド配列である。n量体インサート(複数可)が、他の血清型のAAVウイルスタンパク質における類似の位置に挿入され得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、前述されているように、n量体インサート(複数可)は、AAVウイルスタンパク質内の任意の2つの連続したアミノ酸の間に挿入され得、いくつかの実施形態では、挿入は、可変領域においてなされる。
【0223】
特定の例示的な実施形態では、n量体モチーフの1つ以上は、1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つ及び/または1つ以上のPモチーフがウイルスカプシド(例えば、AAVウイルスカプシド)の外部にあるように、1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つ、1つ以上のPモチーフの少なくとも1つ、またはその両方がウイルスタンパク質の2つのアミノ酸の間に位置するように、ウイルスタンパク質に組み込まれる。
【0224】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの1つ以上は、1つ以上のRGDモチーフの1つ以上及び/または1つ以上のPモチーフの1つ以上が、各々、AAV9カプシドポリペプチド内の262~269、327~332、382~386、452~460、488~505、527~539、545~558、581~593、598~599、704~714、もしくはそれらの任意の組合せから独立して選択されるアミノ酸間の任意の2つの連続するアミノ酸の間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、AAVタンパク質に組み込まれる。
【0225】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つは、1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つ及び/または1つ以上のPモチーフの少なくとも1つがAAV9カプシドポリペプチドのアミノ酸588と589との間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、AAVタンパク質に組み込まれる。
【0226】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上のn量体インサートの少なくとも1つは、1つ以上のRGDモチーフの少なくとも1つ及び/または1つ以上のPモチーフの少なくとも1つがAAV9カプシドポリペプチドのアミノ酸598~599の間に、またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、もしくはAnc80 AAVカプシドポリペプチド内の類似の位置に挿入されるように、AAVタンパク質に組み込まれる。
【0227】
配列番号1 AAV9カプシド(野生型)参照配列:
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPQPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSAGIGKSGAQPAKKRLNFGQTGDTESVPDPQPIGEPPAAPSGVGSLTMASGGGAPVADNNEGADGVGSSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNSTSGGSSNDNAYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTDNNGVKTIANNLTSTVQVFTDSDYQLPYVLGSAHEGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNDGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYEFENVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSKTINGSGQNQQTLKFSVAGPSNMAVQGRNYIPGPSYRQQRVSTTVTQNNNSEFAWPGASSWALNGRNSLMNPGPAMASHKEGEDRFFPLSGSLIFGKQGTGRDNVDADKVMITNEEEIKTTNPVATESYGQVATNHQSAQAQAQTGWVQNQGILPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGMKHPPPQILIKNTPVPADPPTAFNKDKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSNNVEFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL。
【0228】
いくつかの実施形態では、AAVカプシドは、Pモチーフ、RGDモチーフ、またはその両方を含む1つ以上のn量体インサートを有する1つ以上の標的化部位を含むことができる。PモチーフとRGDモチーフについては、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される。いくつかの実施形態では、AAVカプシドは、各々AQまたはDGが直前にある1つ以上のn量体インサートを有する1つ以上の標的化部位を含むことができる。いくつかの実施形態では、心筋特異的AAVカプシドなどのAAVカプシド中のn量体インサートは、表4及び/または表5に記載される任意の1つ以上における1つ以上のn量体インサートであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、AAVカプシド中のn量体インサートの挿入は、細胞、組織、器官特異的な操作されたAAVカプシドをもたらし得る。いくつかの実施形態では、操作されたウイルスタンパク質、操作されたウイルスカプシドタンパク質、操作されたウイルスカプシド、及び/または操作されたウイルス粒子は、心筋細胞及び/または組織に対して特異性を有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたウイルスタンパク質、操作されたウイルスカプシドタンパク質、操作されたウイルスカプシド、及び/または操作されたウイルス粒子は、心筋細胞及び/または組織に対して特異性を有し得、RGDモチーフを含む。いくつかの実施形態では、操作されたウイルスタンパク質、操作されたウイルスカプシドタンパク質、操作されたウイルスカプシド、及び/または操作されたウイルス粒子は、心筋細胞及び/または組織に対して特異性を有し得、RGDモチーフを含まない。いくつかの実施形態では、操作されたAAVタンパク質、操作されたAAVカプシドタンパク質、操作されたAAVカプシド、及び/または操作されたAAV粒子は、心筋細胞及び/または組織に対して特異性を有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたAAVタンパク質、操作されたAAVカプシドタンパク質、操作されたAAVカプシド、及び/または操作されたAAV粒子は、心筋細胞及び/または組織に対して特異性を有し得、RGDモチーフを含む。いくつかの実施形態では、操作されたAAVタンパク質、操作されたAAVカプシドタンパク質、操作されたAAVカプシド、及び/または操作されたAAV粒子は、心筋細胞及び/または組織に対して特異性を有し得、RGDモチーフを含まない。
【0229】
いくつかの実施形態では、n量体インサート(例えば、7量体インサート)は、AAVベクター内にある2つの連続したアミノ酸の間でAAVベクター中に挿入され得る。いくつかの実施形態では、n量体インサートの直前にあるアミノ酸は、DGまたはAQであり得る。いくつかの実施形態では、DGまたはAQは、n量体インサートがカプシドポリペプチド、特にAAVカプシドポリペプチドに含まれている場合、カプシドタンパク質内のn量体インサートの直前にあるアミノ酸である。理論によって制約されることを意図するものではないが、C末端にDGまたはAQを含むインサート、またはインサート(複数可)がカプシドポリペプチドのAQまたはDGの直後にあるように、AAVカプシドポリペプチドなどのカプシドポリペプチドに挿入されるインサートは、より多くの宿主、例えば、より多くの株または種を形質導入することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、AAVのアミノ酸587及び588またはそれに類似したアミノ酸は、DGであるか、またはn量体インサートのアミノ酸で置換されてDGとなる。いくつかの実施形態では、AAVのアミノ酸587及び588またはそれに類似したアミノ酸は、AQであるか、またはn量体インサートのアミノ酸で置換されてAQとなる。いくつかの実施形態では、AAVのアミノ酸587及び588またはそれに類似したアミノ酸は、AQであり、その後にn量体インサートが続く。いくつかの実施形態では、AAVのアミノ酸587及び588またはそれに類似したアミノ酸は、DGであり、その後にn量体インサートが続く。
【0230】
いくつかの実施形態では、n量体インサートは、宿主ポリペプチド(例えば、ウイルスまたはAAVタンパク質、例えば、カプシドタンパク質)に含まれる場合、宿主ポリペプチドの1つ以上の残基がn量体インサートからの1つ以上の残基で置換されるものである。いくつかの実施形態では、C末端のAQまたはDGがn量体インサートに含まれるが、PまたはRGDモチーフの一部ではない場合、AQまたはDGは、PまたはRGDモチーフが挿入される場所の直前の1つまたは2つのアミノ酸残基を任意選択で置換することができる。例えば、いくつかの実施形態では、RGDまたはPモチーフを、例えばAAV9の588と589の間、または他のAAV内のそれに類似した位置に挿入することが望ましい場合、n量体インサートは、例えば、[AQまたはDG]-[PまたはRGDモチーフ]-XnまたはXmを含み得、ここで、XnまたはXmは、それぞれP及びRGDモチーフに関して本明細書の他の箇所に記載されている通りであり、AQまたはDGは、AAV9の残基587及び588、または他のAAV内のそれに類似した位置を置換し、PまたはRGDモチーフは、AAV9の588位と589位の間、または他のAAV内のそれに類似した位置に効果的に挿入される。このようなアプローチは、AAV以外の他の宿主ポリペプチド及びAAV内の他の位置にも外挿できることが理解されるであろう。さらに、これは、場合によっては、AQまたはDG以外の他のC末端アミノ酸にも外挿できる(例えば、Pモチーフの文脈でXm)。
【0231】
いくつかの実施形態では、AAVまたは他のウイルスカプシドは、心筋特異的である。いくつかの実施形態では、操作されたAAVまたは他のウイルスカプシドの心筋特異性は、操作されたAAVまたは他のウイルスカプシドに組み込まれる心筋特異的n量体インサートによって与えられる。理論によって制約されることを意図するものではないが、n量体インサートは、操作されたAAVまたは他のウイルスカプシドを含有する操作されたAAVの相互作用が、細胞表面受容体及び/または心筋細胞の表面上の他の分子との相互作用を増加または改善する(例えば、親和性の増加)ように、操作されたAAVまたは他のウイルスカプシドのドメインまたは領域にまたはその中に3D構造をもたらすと考えられる。いくつかの実施形態では、細胞表面受容体はAAV受容体(AAVR)である。いくつかの実施形態では、細胞表面受容体は心筋細胞特異的AAV受容体である。いくつかの実施形態では、心筋特異的カプシドを含有する心筋特異的な操作されたAAVは、本明細書に記載される心筋特異的な操作されたAAVまたは他の心筋特異的ウイルスカプシドを含有しない他の細胞型及び/または他のAAVまたは他のウイルスと比較して、心筋細胞内において形質導入率、効率、量、またはそれらの組合せが増加している。
【0232】
また、本明細書では、本明細書に記載される操作された標的化部位、ウイルスタンパク質(例えば、カプシドタンパク質)、及び他のポリペプチド(本明細書に記載される操作されたAAVまたは他のウイルスカプシドが含まれるが、これらに限定されない)をコードするポリヌクレオチドも記載されている。いくつかの実施形態では、操作されたAAVまたは他のウイルスカプシドをコードするポリヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に記載される操作されたAAVまたは他のウイルス粒子を生成するのに使用され得るAAVまたは他のウイルスベクターシステム中のAAVまたは他のウイルスゲノムドナーとなるように構成されたポリヌクレオチドに含まれ得る。
【0233】
いくつかの実施形態では、操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドをコードするポリヌクレオチドは、ポリアデニル化テールに作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、ポリアデニル化テールは、SV40ポリアデニル化テールであり得る。いくつかの実施形態では、ウイルス(例えば、AAV)カプシドをコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは組織特異的プロモーターであり得る。いくつかの実施形態では、組織特異的プロモーターは心筋細胞に特異的である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーターであり得る。好適な組織特異的プロモーター及び構成的プロモーターは、本明細書の他の箇所で説明されており、当該技術分野において一般に公知であり、市販品として入手可能である。
【0234】
好適な心臓特異的プロモーターとしては、心臓アルファアクチンプロモーター、心臓トロポニンTプロモーター、心臓トロポニンC、心臓アルファ-ミオシン重鎖プロモーター、TNNI3、MYBPC3、MYH6、または他の心筋特異的プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0235】
好適な筋肉組織/細胞特異的プロモーターとしては、CK8、MHCK7、ミオグロビンプロモーター(Mb)、デスミンプロモーター、筋肉クレアチンキナーゼプロモーター(MCK)及びそのバリアント、ならびにSPc5-12合成プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0236】
好適な構成的プロモーターとしては、CMV、RSV、SV40、EF1アルファ、CAG、及びベータ-アクチンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0237】
低下した非心筋細胞特異性を有するAAV
いくつかの実施形態では、n量体インサート(複数可)は、1つ以上の非心筋細胞型に対する低下した特異性(または検出不可能な、測定不可能な、または臨床的に関連しない相互作用)を有するAAVタンパク質(例えば、AAVカプシドタンパク質)に挿入される。例示的な非心筋細胞型としては、肝臓、腎臓、肺、心臓、脾臓、筋肉(骨格筋及び平滑筋)、骨、免疫、胃、腸、目、皮膚細胞、脳、ニューロンなどが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、非心筋細胞は肝臓細胞である。
【0238】
特定の例示的な実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、対応する野生型AAVカプシドポリペプチドと比較して、非心筋細胞における取り込みが低減または排除された、操作されたAAVカプシドタンパク質である。
【0239】
特定の例示的な実施形態では、非心筋細胞は肝臓細胞である。
【0240】
特定の例示的な実施形態では、野生型カプシドポリペプチドは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである。
【0241】
特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、非心筋細胞における取り込みが低減または排除される1つ以上の変異を含む。
【0242】
特定の例示的な実施形態では、1つ以上の変異は、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位、269位、504位、505位、590位、もしくはそれらの任意の組合せ、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する1つ以上の位置にある。
【0243】
特定の例示的な実施形態では、非AAV9カプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV rh.74、AAV rh.10、またはAnc80 AAVカプシドポリペプチドである。
【0244】
特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の267位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。
【0245】
特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の269位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、SまたはXからTへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。
【0246】
特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の504位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、GまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。
【0247】
特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の505位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、PまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。
【0248】
特定の例示的な実施形態では、AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)内の590位の変異、または非AAV9カプシドポリペプチド内のそれに対応する位置における変異は、QまたはXからAへの変異であり、Xは任意のアミノ酸である。
【0249】
特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の267位、269位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、267位における変異はGからAへの変異であり、269位における変異はSからTへの変異である。
【0250】
特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の590位に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、509位における変異はQからAへの変異である。
【0251】
特定の例示的な実施形態では、操作されたAAVカプシドタンパク質は、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)の504位、505位、またはその両方に変異を含む操作されたAAV9カプシドポリペプチドであり、504位における変異はGからAへの変異であり、505位における変異はPからAへの変異である。
【0252】
いくつかの実施形態では、n量体インサート(複数可)及び/またはPモチーフ(複数可)が挿入され得るAAVカプシドタンパク質は、国際特許出願公開WO2019/217911(本明細書にその全体が表されているかのように参照により組み込まれる)の配列番号4または配列番号5に対して80~100(例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、から/または100)パーセント同一であり得る。これらの配列はまた、それぞれ配列番号2及び3として本明細書に組み込まれる。肝臓特異性が低下したこれらのAAV9カプシドタンパク質のバリアントを検討する場合、その残基267及び/または269は、関連する変異または同等物を含まなければならないことが理解されるであろう。
【0253】
いくつかの実施形態では、n量体インサート(複数可)が挿入され得るAAVカプシドタンパク質は、非心臓細胞、特に、肝臓細胞に対して特異性が低下したAdachi et al.,(Nat.Comm.2014.5:3075,DOI:10.1038/ncomms4075)に記載されるもののいずれかに対して80~100(例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、から/または100)パーセント同一であり得る。Adachi et al.,(Nat.Comm.2014.5:3075,DOI:10.1038/ncomms4075)は、その全体が表現されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0254】
いくつかの実施形態では、改変されたAAVは、野生型AAVまたは対照と比較して、非心臓細胞に対する特異性が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントまたは倍低下している可能性がある。いくつかの実施形態では、改変されたAAVは、1つ以上の非心臓細胞において、測定可能なまたは検出可能な取り込み及び/または発現を有さない可能性がある。
【0255】
操作されたAAVカプシドを生成する方法
操作されたAAVカプシドを生成する方法も、本明細書において提供される。操作されたAAVカプシドバリアントは、野生型AAVカプシドのバリアントであり得る。
図6A~8は、本明細書に記載される操作されたAAVカプシドを生成することが可能な方法の様々な実施形態を示し得る。一般に、AAVカプシドライブラリーは、適切なAAV産生細胞株において、前述されている操作されたAAVカプシドポリヌクレオチドを各々含有する操作されたカプシドベクターを発現させることによって生成され得る。例えば、
図8を参照されたい。
図8は、AAV粒子産生のヘルパー依存的な方法を示しているが、これは、ヘルパーフリーな方法を介しても同様に行われ得ることが理解されよう。これにより、もう1つの所望の細胞特異的な操作されたAAVカプシドバリアントを含み得るAAVカプシドライブラリーが生成され得る。
図6に示されるように、AAVカプシドライブラリーは、1回目のmRNAベースの選択のために様々な非ヒト動物に投与され得る。
図1に示されるように、AAV及び関連するベクターによる形質導入プロセスにより、細胞を形質導入したウイルスのゲノムを反映しているmRNA分子の産生がもたらされ得る。本明細書における実施例で少なくとも論じられるように、mRNAベースの選択は、細胞を機能的に形質導入することが可能なウイルス粒子を決定するのにより特異的かつ有効であり得るが、その理由は、それが、ウイルスDNAの存在を測定することによって該細胞におけるウイルス粒子の存在を単に検出することとは対照的に、産生された機能的産物に基づいているからである。
【0256】
1回目の投与後、所望のカプシドバリアントを有する1つ以上の操作されたAAVウイルス粒子は次いで、フィルタリングされたAAVカプシドライブラリーを形成するために使用され得る。所望のAAVウイルス粒子は、カプシドバリアントのmRNA発現を測定し、どのバリアントが、所望ではない細胞型(複数可)と比較して所望の細胞型(複数可)において高度に発現されるかを決定することによって同定され得る。所望の細胞、組織、及び/または器官型において高度に発現するものが、所望のAAVカプシドバリアント粒子である。いくつかの実施形態では、該AAVカプシドバリアントをコードするポリヌクレオチドは、所望の細胞、組織、または器官において選択的活性を有する組織特異的プロモーターの制御下にある。
【0257】
1回目で同定された操作されたAAVカプシドバリアント粒子は次いで、様々な非ヒト動物に投与され得る。いくつかの実施形態では、2回目の選択及び同定において使用される動物は、1回目の選択及び同定に使用された動物と同じではない。1回目と同様に、投与後、所望の細胞、組織、及び/または器官型(複数可)において上位の発現バリアントが、細胞におけるウイルスmRNA発現を測定することによって同定され得る。2回目の後に同定された上位のバリアントは次いで、任意選択でバーコード化され、任意選択でプールされ得る。いくつかの実施形態では、2回目の上位バリアントは次いで、上位の細胞特異的バリアント(複数可)を同定するために非ヒト霊長類に投与され得る(特に、その上位バリアントの最終用途がヒトにおける場合)。各回での投与は、全身性であり得る。
【0258】
いくつかの実施形態では、AAVカプシドバリアントを生成する方法は、(a)細胞において操作されたAAVカプシドポリヌクレオチドを含有する本明細書に記載されるベクターシステムを発現させて操作されたAAVウイルス粒子カプシドバリアントを産生する工程;(b)工程(a)において産生された操作されたAAVウイルス粒子カプシドバリアントを採取する工程;(c)操作されたAAVウイルス粒子カプシドバリアントを1以上の第1の対象に投与する工程であって、該操作されたAAVウイルス粒子カプシドバリアントが、細胞における操作されたAAVカプシドバリアントベクターまたはそのシステムの発現、及び該細胞によって産生された操作されたAAVウイルス粒子カプシドバリアントの採取によって産生される、投与する工程;ならびに(d)1以上の第1の対象における1つ以上の特定の細胞または特定の細胞型によって有意に高いレベルで産生された1つ以上の操作されたAAVカプシドバリアントを同定する工程を含み得る。この文脈では、「有意に高い」とは、15cmのディッシュあたり約2×1011~約6×1012ベクターゲノムの範囲であり得る力価を指し得る。
【0259】
本方法は、さらに、(e)工程(d)において同定されたいくつかのまたはすべての操作されたAAVウイルス粒子カプシドバリアントを、1以上の第2の対象に投与する工程;及び(f)1以上の第2の対象における1つ以上の特定の細胞または特定の細胞型において有意に高いレベルで産生された1つ以上の操作されたAAVウイルス粒子カプシドバリアントを同定する工程を含み得る。工程(a)における細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。いくつかの実施形態では、工程(c)、工程(e)、または両方における投与は、全身性である。いくつかの実施形態では、1以上の第1の対象、1以上の第2の対象、または両方は、非ヒト哺乳動物である。いくつかの実施形態では、1以上の第1の対象、1以上の第2の対象、または両方は、各々独立して、野生型非ヒト哺乳動物、ヒト化非ヒト哺乳動物、疾患特異的非ヒト哺乳動物モデル、及び非ヒト霊長類からなる群から選択される。
【0260】
操作されたベクター及びベクターシステム
本明細書に記載される操作されたポリヌクレオチド、(例えば、AAVカプシドポリヌクレオチド)の1つ以上を含有し得るベクター及びベクターシステムも、本明細書において提供される。この文脈で使用される際、操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドをコードすることが可能な本明細書に記載されるポリヌクレオチド及び/または本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドタンパク質をコードすることが可能なポリヌクレオチド(複数可)のいずれか1つ以上を指す。さらに、ベクターが、本明細書に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドを含む場合、該ベクターはまた、特に言及されていなくても、操作されたベクターまたはそのシステムと呼ばれ、操作されたベクターまたはそのシステムであると見なされ得る。実施形態では、ベクターは、本明細書に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドの1つ以上のエレメントをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含有し得る。ベクターは、本明細書に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドの1つ以上の構成要素を発現し得る細菌、真菌、酵母、植物細胞、動物細胞、及びトランスジェニック動物を産生するのに有用であり得る。本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列の1つ以上を含有するベクターは、本開示の範囲内である。本明細書に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシド及びそのシステムの一部であるポリヌクレオチドの1つ以上は、ベクターまたはベクターシステムに含まれ得る。
【0261】
いくつかの実施形態では、ベクターは、3’ポリアデニル化シグナルを有する操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、3’ポリアデニル化は、SV40ポリアデニル化シグナルである。いくつかの実施形態では、ベクターは、スプライス調節エレメントを有さない。いくつかの実施形態では、ベクターは、1つ以上の最低限のスプライス調節エレメントを含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、さらに、改変されたスプライス調節エレメントを含むことができ、改変により、スプライス調節エレメントは不活化される。いくつかの実施形態では、改変されたスプライス調節エレメントは、repタンパク質ポリヌクレオチドと操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドタンパク質バリアントポリヌクレオチドの間でスプライシングを誘導するのに十分なポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、スプライシングを誘導するのに十分であり得るポリヌクレオチド配列は、スプライスアクセプターまたはスプライスドナーである。いくつかの実施形態では、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドである。
【0262】
ベクター及び/またはベクターシステムを使用して、例えば、産生細胞などの細胞において、操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドの1つ以上を発現させ、本明細書の他の箇所に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドを含有する操作されたウイルス(例えば、AAV)粒子を産生することができる。本明細書に記載されるベクター及びベクターシステムの他の使用もまた、本開示の範囲内に含まれる。一般に、及び本明細書全体を通して、この用語は、ある環境から別の環境への実体の移動を可能にするかまたは容易にするツールである。当業者によって理解されるいくつかの文脈では、「ベクター」は、それが連結されている別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を指す専門用語であり得る。ベクターは、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどのレプリコンであり得、その中に別のDNAセグメントを挿入して、挿入されたセグメントの複製をもたらすことができる。通常、ベクターは、適切な制御エレメントと会合している場合、複製が可能である。
【0263】
ベクターとしては、一本鎖、二本鎖、または部分的二本鎖の核酸分子、1つ以上の自由端を含む、自由端を含まない(例えば、環状)核酸分子、DNA、RNA、またはその両方を含む核酸分子、及び当該技術分野において公知である他の種類のポリヌクレオチドが挙げられるがこれらに限定されない。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、標準的な分子クローニング技術などによって追加のDNAセグメントが挿入され得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターは、ウイルスベクターであり、ウイルス由来のDNAまたはRNA配列が、ウイルス(例えば、レトロウイルス、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、複製欠損アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス(AAV))にパッケージングするためのベクター中に存在する。ウイルスベクターはまた、宿主細胞へのトランスフェクションのためのウイルスによって運ばれるポリヌクレオチドも含む。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することが可能である。かかるベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。組換えDNA技術において有用な一般的な発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形態である。
【0264】
組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態で本発明の核酸(例えば、ポリヌクレオチド)から構成され得る。これは、該組換え発現ベクターが、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択され得る、発現される核酸配列に作動可能に連結される1つ以上の調節エレメントを含むことを意味する。組換え発現ベクター内で、「作動可能に連結された(operably linked)」及び「作動可能に連結された(operatively-linked)」は、本明細書において同義的に使用され、本明細書の他の箇所でさらに定義される。ベクターの文脈において、「作動可能に連結された」という用語は、対象とするヌクレオチド配列が、(例えば、in vitro転写/翻訳システムにおいて、またはベクターが宿主細胞に導入される場合の宿主細胞において)ヌクレオチド配列の発現を可能とする様式で調節エレメント(複数可)に連結されることを意味することが意図されている。有利なベクターには、アデノ随伴ウイルスが含まれ、このようなベクターのタイプはまた、所望の細胞特異的指向性を有する操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドを含有する操作されたウイルス(例えば、AAV)ベクターなど、特定のタイプの細胞を標的とするために選択され得る。ベクター及びベクターシステムのこれらの及び他の実施形態は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0265】
いくつかの実施形態では、ベクターは、バイシストロニックベクターであり得る。いくつかの実施形態では、バイシストロニックベクターは、本明細書に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上のエレメントに使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムのエレメントの発現は、好適な構成的または組織特異的プロモーターによって駆動され得る。操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムのエレメントがRNAである場合、その発現は、U6プロモーターなどのPol IIIプロモーターによって駆動され得る。いくつかの実施形態では、その2つが組み合わされる。
【0266】
細胞ベースのベクターの増幅及び発現
ベクターは、好適な宿主細胞における本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステム(例えば、核酸転写産物、タンパク質、酵素、及びそれらの組合せ)などの1つ以上のエレメントの発現のために設計され得る。いくつかの実施形態では、好適な宿主細胞は、原核細胞である。好適な宿主細胞としては、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞が挙げられるがこれらに限定されない。ベクターは、ウイルスベースまたは非ウイルスベースであり得る。いくつかの実施形態では、好適な宿主細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、好適な宿主細胞は、好適な細菌細胞である。好適な細菌細胞としては、Escherichia coli種の細菌からの細菌細胞が挙げられるがこれらに限定されない。ベクターの発現のために多くの好適なE.coli株が当該技術分野において公知である。これらとしては、Pir1、Stbl2、Stbl3、Stbl4、TOP10、XL1 Blue、及びXL10 Goldが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、好適な昆虫細胞である。好適な昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaからのものが挙げられる。S.frugiperda細胞の好適な株としては、Sf9及びSf21が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、好適な酵母細胞である。いくつかの実施形態では、酵母細胞は、Saccharomyces cerevisiae由来であり得る。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、好適な哺乳動物細胞である。ベクターを発現するために多くの種類の哺乳動物細胞が開発されてきた。好適な哺乳動物細胞としては、HEK293、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、マウス骨髄腫細胞、HeLa、U2OS、A549、HT1080、CAD、P19、NIH 3T3、L929、N2a、MCF-7、Y79、SO-Rb50、HepG G2、DIKX-X11、J558L、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、及びニワトリ胚線維芽細胞(CEF)が挙げられるがこれらに限定されない。好適な宿主細胞は、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)においてさらに説明されている。
【0267】
いくつかの実施形態では、ベクターは、酵母発現ベクターであり得る。酵母Saccharomyces cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldari,et al.,1987.EMBO J.6:229-234)、pMFa(Kuijan and Herskowitz,1982.Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultz et al.,1987.Gene 54:113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)、及びpicZ(InVitrogen Corp,San Diego,Calif.)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「酵母発現ベクター」とは、RNA及び/またはポリペプチドをコードする1つ以上の配列を含み、核酸(複数可)の発現を制御する任意の所望のエレメント、ならびに酵母細胞内で発現ベクターの複製及び維持を可能にする任意のエレメントをさらに含み得る核酸を指す。多くの好適な酵母発現ベクター及びその特色は、当該技術分野において公知である。例えば、様々なベクター及び技術は、Yeast Protocols,2nd edition,Xiao,W.,ed.(Humana Press,New York,2007)及びBuckholz,R.G.and Gleeson,M.A.(1991)Biotechnology(NY)9(11):1067-72に示されている。酵母ベクターは、限定はされないが、セントロメア(CEN)配列、自律複製配列(ARS)、対象とする配列または遺伝子に作動可能に連結されたRNAポリメラーゼIIIプロモーターなどのプロモーター、RNAポリメラーゼIIIターミネーターなどのターミネーター、複製起点、及びマーカー遺伝子(例えば、栄養要求性選択マーカー、抗生物質選択マーカー、または他の選択マーカー)を含み得る。酵母で使用するための発現ベクターの例としては、プラスミド、酵母人工染色体、2μプラスミド、酵母組み込み型プラスミド、酵母複製型プラスミド、シャトルベクター、及びエピソームプラスミドが挙げられ得る。
【0268】
いくつかの実施形態では、ベクターは、バキュロウイルスベクターまたは発現ベクターであり、昆虫細胞におけるポリヌクレオチド及び/またはタンパク質の発現に好適であり得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith,et al.,1983.Mol.Cell.Biol.3:2156-2165)及びpVLシリーズ(Lucklow and Summers,1989.Virology 170:31-39)が挙げられる。rAAV(組換えアデノ随伴ウイルス)ベクターは好ましくは、昆虫細胞、例えば、Spodoptera frugiperda Sf9昆虫細胞において産生され、無血清浮遊培養で増殖する。無血清昆虫細胞は、販売業者、例えば、Sigma Aldrichから購入することができる(EX-CELL 405)。
【0269】
いくつかの実施形態では、ベクターは、哺乳動物発現ベクターである。いくつかの実施形態では、哺乳動物発現ベクターは、哺乳動物細胞において1つ以上のポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドを発現させることが可能である。哺乳動物発現ベクターの例としては、限定はされないが、pCDM8(Seed,1987.Nature 329:840)及びpMT2PC(Kaufman,et al.,1987.EMBO J.6:187-195)が挙げられる。哺乳動物発現ベクターは、哺乳動物細胞において1つ以上のポリヌクレオチド及び/またはタンパク質の発現を制御することが可能な1つ以上の好適な調節エレメントを含み得る。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、シミアンウイルス40、及び本明細書に開示され、当該技術分野において公知である他のものに由来する。好適な調節エレメントに関するさらなる詳細は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0270】
原核細胞及び真核細胞の両方のための他の好適な発現ベクター及びベクターシステムについては、例えば、Sambrook,et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989のチャプター16及び17を参照されたい。
【0271】
いくつかの実施形態では、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型において優先的に核酸の発現を指示することが可能である(例えば、組織特異的調節エレメントが核酸を発現させるために使用される)。組織特異的調節エレメントは、当該技術分野において公知である。好適な組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的、Pinkert,et al.,1987.Genes Dev.1:268-277)、リンパ特異的プロモーター(Calame and Eaton,1988.Adv.Immunol.43:235-275)、特にT細胞受容体のプロモーター(Winoto and Baltimore,1989.EMBO J.8:729-733)及び免疫グロブリン(Baneiji,et al.,1983.Cell 33:729-740、Queen and Baltimore,1983.Cell 33:741-748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター、Byrne and Ruddle,1989.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund,et al.,1985.Science 230:912-916)、及び乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター、米国特許第4,873,316号及び欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。発生的に調節されたプロモーター、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss,1990.Science 249:374-379)及びα-フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman,1989.Genes Dev.3:537-546)も包含される。これらの原核細胞及び真核細胞ベクターに関しては、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,750,059号に言及されている。他の実施形態は、ウイルスベクターを利用することができ、この点に関して、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/092,085号に言及されている。組織特異的調節エレメントは、当該技術分野において公知であり、この点に関して、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,776,321号に言及されている。いくつかの実施形態では、調節エレメントは、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上のエレメントの発現を駆動するように、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上のエレメントに作動可能に連結され得る。
【0272】
ベクターは、原核生物または原核細胞に導入され、増殖され得る。いくつかの実施形態では、原核生物は、真核細胞に導入されるベクターのコピーを増幅するため、または真核細胞に導入されるベクターの産生における中間ベクターとして使用される(例えば、ウイルスベクターパッケージングシステムの一部としてプラスミドを増幅する)。いくつかの実施形態では、原核生物は、例えば、宿主細胞または宿主生物への送達用の1つ以上のタンパク質の供給源を提供するために、ベクターのコピーを増幅し、1つ以上の核酸を発現するのに使用される。
【0273】
いくつかの実施形態では、ベクターは、融合ベクターまたは融合発現ベクターであり得る。いくつかの実施形態では、融合ベクターは、その中にコードされるタンパク質に、例えば、組換えタンパク質のアミノ末端、カルボキシ末端、または両方に、いくつかのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、(i)組換えタンパク質の発現を増加させること;(ii)組換えタンパク質の可溶性を高めること;及び(iii)アフィニティ精製におけるリガンドとして作用することによって組換えタンパク質の精製を補助することなどの、1つ以上の目的を果たすことができる。いくつかの実施形態では、原核生物におけるポリヌクレオチド(例えば、非コードポリヌクレオチド)及びタンパク質の発現は、融合または非融合ポリヌクレオチド及び/またはタンパク質のいずれかの発現を指示する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて、Escherichia coliで行われ得る。いくつかの実施形態では、融合発現ベクターは、タンパク質分解切断部位を含み得、これは、融合ベクター骨格または他の融合部位と組換えポリヌクレオチドまたはタンパク質との接合部に導入されて、融合ポリヌクレオチドまたはタンパク質の精製後に、融合ベクター骨格または他の融合部位からの組換えポリヌクレオチドまたはタンパク質の分離を可能にし得る。このような酵素、及びそれらの同族認識配列は、第Xa因子、トロンビン及びエンテロキナーゼを含む。融合発現ベクターの例としては、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合するpGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith and Johnson,1988.Gene 67:31-40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,Mass.)及びpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が挙げられる。好適な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例としては、pTrc(Amrann et al.,(1988)Gene 69:301-315)及びpET 11d(Studier et al.,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)60-89)が挙げられる。
【0274】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上のエレメントの発現を駆動する1つ以上のベクターは、本明細書に記載される操作された送達システムのエレメントの発現が、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステム(本明細書の他の箇所でより詳細に記載される操作された遺伝子導入剤粒子が挙げられるがこれらに限定されない)の形成を指示するように、宿主細胞中に導入される。例えば、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの異なるエレメントは各々、別個のベクターにおける別個の調節エレメントに作動可能に連結され得る。本明細書に記載される操作された送達システムの異なるエレメントのRNA(複数可)が、動物または哺乳動物またはその細胞に送達されて、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上のエレメントを組み込むかまたは本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上のエレメントを組み込む及び/または発現する1つ以上の細胞を含有する本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの異なるエレメントを構成的にまたは誘導的にまたは条件付きで発現する動物または哺乳動物またはその細胞を産生し得る。
【0275】
いくつかの実施形態では、同じまたは異なる調節エレメント(複数可)から発現されるエレメントの2つ以上は、単一のベクターにおいて、第1のベクターに含まれないシステムの任意の構成要素を提供する1つ以上の追加のベクターと組み合わされ得る。単一のベクターにおいて組み合わされる操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムポリヌクレオチドは、任意の好適な配向で配置され得、例えば、1つのエレメントは第2のエレメントに対して5’(「上流」)に位置しても3’(「下流」)に位置してもよい。1つのエレメントのコード配列は、第2のエレメントのコード配列と同じ鎖に位置しても反対の鎖に位置してもよく、同じ方向に配向されても反対の方向に配向されてもよい。いくつかの実施形態では、単一のプロモーターは、1つ以上のイントロン配列に埋め込まれた(例えば、各々が異なるイントロンに含まれるか、2つ以上が少なくとも1つのイントロンに含まれるか、またはすべてが単一のイントロンに含まれる)1つ以上の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドタンパク質をコードする転写産物の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドは、同じプロモーターに作動可能に連結され、同じプロモーターから発現され得る。
【0276】
ベクターの特色
ベクターは、ベクター、送達されるポリヌクレオチド、それから産生されるウイルス粒子、またはそれから発現されるポリペプチドに1つ以上の機能を付与し得る追加の特色を含み得る。かかる特色としては、調節エレメント、選択マーカー、分子識別子(例えば、分子バーコード)、安定化エレメントなどが挙げられるがこれらに限定されない。当業者であれば、発現ベクター及び含まれる追加の特色の設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望の発現レベルなどの要因に依存し得ることが理解されよう。
【0277】
調節エレメント
実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチド及び/またはそのベクター(本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドなど)は、ポリヌクレオチドに作動可能に連結され得る1つ以上の調節エレメントを含み得る。「調節エレメント」という用語は、プロモーター、エンハンサー、内部リボソーム進入部位(IRES)、及び他の発現制御エレメント(例えば、転写終結シグナル、例えば、ポリアデニル化シグナル及びポリ-U配列)を含むことが意図されている。かかる調節エレメントは、例えば、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)に記載されている。調節エレメントは、多くの宿主細胞型においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示するもの及びある特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。組織特異的プロモーターは、主に所望の対象とする組織、例えば、筋肉(例えば、心筋)、ニューロン、骨、皮膚、血液、特定の器官(例えば、肝臓、膵臓)、または特定の細胞型(例えば、リンパ球)における発現を指示し得る。調節エレメントはまた、時間依存的に、例えば、細胞周期依存的または発達段階依存的に発現を指示し得、これは組織または細胞型特異的である場合もない場合もある。いくつかの実施形態では、ベクターは、1つ以上のpol IIIプロモーター(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上のpol IIIプロモーター)、1つ以上のpol IIプロモーター(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上のpol IIプロモーター)、1つ以上のpol Iプロモーター(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上のpol Iプロモーター)、またはそれらの組合せを含む。pol IIIプロモーターの例としては、U6及びH1プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。pol IIプロモーターの例としては、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(任意選択でRSVエンハンサーを有する)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(任意選択でCMVエンハンサーを有する)(例えば、Boshart et al,Cell,41:521-530(1985)参照)、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、β-アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、及びEF1αプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。また、「調節エレメント」という用語に包含されるのは、エンハンサーエレメント、例えば、WPRE、CMVエンハンサー、HTLV-IのLTRにおけるR-U5’セグメント(Mol.Cell.Biol.,Vol.8(1),p.466-472,1988)、SV40エンハンサー、及びウサギβ-グロビンのエクソン2と3の間のイントロン配列(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,Vol.78(3),p.1527-31,1981)である。
【0278】
いくつかの実施形態では、調節配列は、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,776,321号、米国特許公開第2011/0027239号、及びPCT公開WO2011/028929に記載されている調節配列であり得る。いくつかの実施形態では、ベクターは、最小プロモーターを含み得る。いくつかの実施形態では、最小プロモーターは、Mecp2プロモーター、tRNAプロモーター、またはU6である。さらなる実施形態では、最小プロモーターは、組織特異的である。いくつかの実施形態では、ベクターポリヌクレオチド最小プロモーター及びポリヌクレオチド配列の長さは、4.4Kb未満である。
【0279】
ポリヌクレオチドを発現させるため、ベクターは、細胞における遺伝子の転写及び/またはコードされたタンパク質の翻訳を指示する1つ以上の転写及び/または翻訳開始調節配列、例えば、プロモーターを含み得る。いくつかの実施形態では、構成的プロモーターが用いられ得る。哺乳動物細胞に好適な構成的プロモーターは、当該技術分野において一般に公知であり、SV40、CAG、CMV、EF-1α、β-アクチン、RSV、及びPGKを含むがこれらに限定されない。細菌細胞、酵母細胞、及び真菌細胞に好適な構成的プロモーター、例えば、細菌発現用のT-7プロモーター及び酵母における発現用のアルコールデヒドロゲナーゼプロモーターが、当該技術分野において一般に公知である。
【0280】
いくつかの実施形態では、調節エレメントは、調節型プロモーターであり得る。「調節型プロモーター」とは、構成的ではなく、時間的及び/または空間的に調節された様式で遺伝子発現を指示するプロモーターを指し、組織特異的、組織優先的及び誘導性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、調節型プロモーターは、本明細書の他の箇所で先に説明されている組織特異的プロモーターである。調節型プロモーターは、条件付きプロモーター及び誘導性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、条件付きプロモーターは、特定の細胞型において、ある特定の環境条件下で、及び/または特定の発達段階の間に、ポリヌクレオチドの発現を指示するために用いられ得る。好適な組織特異的プロモーターとしては、心筋組織及び細胞特異的プロモーターが挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0281】
好適な心臓特異的プロモーターとしては、心臓アルファアクチンプロモーター、心臓トロポニンTプロモーター、心臓トロポニンC、心臓アルファ-ミオシン重鎖プロモーター、TNNI3、MYBPC3、MYH6、または他の心筋特異的プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0282】
好適な筋肉組織/細胞特異的プロモーターとしては、CK8、MHCK7、ミオグロビンプロモーター(Mb)、デスミンプロモーター、筋肉クレアチンキナーゼプロモーター(MCK)及びそのバリアント、ならびにSPc5-12合成プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0283】
他の組織及び/または細胞特異的プロモーターは、本明細書の他の箇所で説明されており、当該技術分野において一般に公知であり得、本開示の範囲内である。
【0284】
誘導性/条件付きプロモーターは、正の誘導性/条件付きプロモーター(例えば、活性化された活性化因子、または誘導因子(化合物、環境条件、または他の刺激)との適切な相互作用によりポリヌクレオチドの転写を活性化するプロモーター)、または負の/条件付き誘導性プロモーター(例えば、プロモーターのリプレッサー条件が除かれるまで抑制される(例えば、リプレッサーによって結合される)プロモーター(例えば、誘導因子が、プロモーターに結合したリプレッサーに結合し、リプレッサーによるプロモーターの解放またはプロモーター環境からの化学的リプレッサーの除去を刺激する))であり得る。誘導因子は、化合物、環境条件、または他の刺激であり得る。したがって、誘導性/条件付きプロモーターは、任意の好適な刺激、例えば、化学的、生物学的、または他の分子作用物質、温度、光、及び/またはpHに対して反応性であり得る。好適な誘導性/条件付きプロモーターとしては、Tet-On、Tet-Off、Lacプロモーター、pBad、AlcA、LexA、Hsp70プロモーター、Hsp90プロモーター、pDawn、XVE/OlexA、GVG、及びpOp/LhGRが挙げられるがこれらに限定されない。
【0285】
植物細胞における発現が所望される場合、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの構成要素は、典型的には、植物プロモーター、すなわち、植物細胞において作動可能なプロモーターの制御下に置かれる。異なる型のプロモーターの使用が想定される。いくつかの実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムベクターを植物に含むことは、AAVベクター産生の目的のためであり得る。
【0286】
構成的植物プロモーターは、それが制御するオープンリーディングフレーム(ORF)を、植物のすべてのまたはほぼすべての発達段階の間にすべてのまたはほぼすべての植物組織において発現(「構成的発現」と称される)させることができるプロモーターである。構成的プロモーターの1つの非限定的な例は、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターである。異なるプロモーターは、異なる組織もしくは細胞型において、または異なる発達段階において、または異なる環境条件に反応して遺伝子の発現を指示し得る。特定の実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステム構成要素の1つ以上は、構成的プロモーター、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの制御下で発現され、組織優先的プロモーターは、特定の植物組織内のある特定の細胞型、例えば、葉もしくは根における維管束細胞、または種子の特定の細胞における発現の向上を標的とするために利用することができる。操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムにおいて使用するための具体的なプロモーターの例は、Kawamata et al.,(1997)Plant Cell Physiol 38:792-803、Yamamoto et al.,(1997)Plant J 12:255-65、Hire et al.,(1992)Plant Mol Biol 20:207-18、Kuster et al.,(1995)Plant Mol Biol 29:759-72、及びCapana et al.,(1994)Plant Mol Biol 25:681-91に見出される。
【0287】
誘導性であり、遺伝子編集または遺伝子発現の時空制御を可能にし得るプロモーターの例としては、エネルギー形態を使用し得る。エネルギー形態としては、音エネルギー、電磁放射線、化学エネルギー及び/または熱エネルギーが挙げられ得るがこれらに限定されない。誘導性システムの例としては、テトラサイクリン誘導性プロモーター(Tet-OnまたはTet-Off)、小分子2ハイブリッド転写活性化システム(FKBP、ABAなど)、または光誘導性システム(フィトクロム、LOVドメイン、またはクリプトクロム)、例えば、配列特異的に転写活性の変化を指示する光誘導性転写エフェクター(LITE)が挙げられる。光誘導性システムの構成要素は、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステム、光応答性シトクロムヘテロ二量体(例えば、Arabidopsis thaliana由来)、及び転写活性化/抑制ドメインの1つ以上のエレメントを含み得る。いくつかの実施形態では、ベクターは、PCT公開WO2014/018423及び米国公開第2015/0291966号、同第2017/0166903号、同第2019/0203212号において提供される誘導性DNA結合タンパク質の1つ以上を含み得、これらの文献には、例えば、誘導性DNA結合タンパク質の実施形態及び使用方法が記載されており、本発明での使用に適合させることができる。
【0288】
いくつかの実施形態では、一過性または誘導性発現は、例えば、化学物質調節型プロモーターを含むことによって達成され得る、すなわち、外因性化学物質の適用が遺伝子発現を誘導する。遺伝子発現の調節はまた、化学物質によって抑制可能なプロモーターを含むことによって得ることができ、この場合、化学物質の適用が遺伝子発現を抑制する。化学物質誘導性プロモーターとしては、ベンゼンスルホンアミド除草剤薬害軽減剤によって活性化されるトウモロコシln2-2プロモーター(De Veylder et al.,(1997)Plant Cell Physiol 38:568-77)、発芽前除草剤として使用される疎水性求電子化合物によって活性化されるトウモロコシGSTプロモーター(GST-ll-27、WO93/01294)、及びサリチル酸によって活性化されるタバコPR-1プロモーター(Ono et al.,(2004)Biosci Biotechnol Biochem 68:803-7)が挙げられるがこれらに限定されない。テトラサイクリン誘導性及びテトラサイクリン抑制性プロモーターなどの抗生物質によって調節されるプロモーター(Gatz et al.,(1991)Mol Gen Genet 227:229-37;米国特許第5,814,618号及び同第5,789,156号)も、本明細書において使用され得る。
【0289】
いくつかの実施形態では、ベクターまたはそのシステムは、特定の細胞構成要素または細胞小器官への/中での操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドのトランスロケーション及び/または発現が可能な1つ以上のエレメントを含み得る。このような細胞小器官としては、核、リボソーム、小胞体、ゴルジ体、葉緑体、ミトコンドリア、液胞、リソソーム、細胞骨格、細胞膜、細胞壁、ペルオキシソーム、中心小体などが挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0290】
選択マーカー及びタグ
操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドの1つ以上は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドであり得る、選択マーカーもしくはタグをコードするかまたはそれらであるポリヌクレオチドを含むように作動可能に連結されるか、融合されるか、またはそうでなければ改変され得る。いくつかの実施形態では、選択マーカーポリペプチドが、翻訳されるとき、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリペプチドのN及びC末端の間、または操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリペプチドのN及び/またはC末端における2つのアミノ酸の間に挿入されるように、ポリペプチド選択マーカーをコードするポリペプチドは、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムポリヌクレオチドに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、選択マーカーまたはタグは、ポリヌクレオチドバーコードまたは固有分子識別子(UMI)である。
【0291】
このような選択マーカーまたはタグをコードするポリヌクレオチドが、選択マーカーまたはタグの発現を可能にするために適切な方法で本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上の構成要素をコードするポリヌクレオチドに組み込まれ得ることが理解されるであろう。このような技術及び方法は、本明細書の他の箇所に記載され、本開示を考慮して当業者によって即座に理解されるであろう。多くのこのような選択マーカー及びタグは、当該技術分野において一般に公知であり、本開示の範囲内であることが意図される。
【0292】
好適な選択マーカー及びタグとしては、親和性タグ、例えば、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ポリ(His)タグ;可溶化タグ、例えば、チオレドキシン(TRX)及びポリ(NANP)、MBP、及びGST;クロマトグラフィータグ、例えば、ポリアニオン性アミノ酸からなるもの、例えば、FLAGタグ;エピトープタグ、例えば、V5タグ、Mycタグ、HAタグ及びNEタグ;特定の酵素修飾(例えば、ビオチンリガーゼによるビオチン化)または化学修飾(例えば、蛍光イメージングのためのFlAsH-EDT2との反応)を可能にし得るタンパク質タグ、制限酵素または他の酵素切断部位を含むDNA及び/またはRNAセグメント;スペクチノマイシン、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、Basta、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NEO)、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT))などの抗生物質を含む、耐性がなければ毒性である化合物に対する耐性を提供する産物をコードするDNAセグメント;レシピエント細胞において欠いている産物をコードするDNA及び/またはRNAセグメント(例えば、tRNA遺伝子、栄養要求性マーカー);容易に同定され得る産物をコードするDNA及び/またはRNAセグメント(例えば、β-ガラクトシダーゼ、GUSなどの表現型マーカー;蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン(CFP)、黄色(YFP)、赤色(RFP)、ルシフェラーゼ、及び細胞表面タンパク質);PCRのための1つ以上の新たなプライマー部位を生成し得るポリヌクレオチド(例えば、以前には並置されていなかった2つのDNA配列の並置)、制限エンドヌクレアーゼまたは他のDNA修飾酵素、化学物質などによって作用しないまたは作用するDNA配列;エピトープタグ(例えば、GFP、FLAG及びHisタグ)、ならびに分子バーコードまたは固有分子識別子(UMI)を作製するDNA配列、その同定を可能にする特定の修飾(例えば、メチル化)に必要とされるDNA配列が挙げられるがこれらに限定されない。他の好適なマーカーは、当業者によって理解されるであろう。
【0293】
選択マーカー及びタグは、GSまたはGGほどの短いものから(GGGGG)3(配列番号756)または(GGGGS)3(配列番号757)までのグリシンまたはグリシンセリンリンカーなどの好適なリンカーを介して本明細書に記載される操作されたAAVカプシドシステムの1つ以上の構成要素に作動可能に連結され得る。他の好適なリンカーは、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0294】
ベクターまたはベクターシステムは、1つ以上の標的化部位をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、標的化部位をコードするポリヌクレオチドは、ウイルス粒子が特定の細胞、組織、器官などに標的化され得るように産生されたウイルス粒子(複数可)内及び/または上でそれらが発現されるように、ベクターまたはベクターシステム、例えばウイルスベクターシステムに含まれ得る。いくつかの実施形態では、標的化部位をコードするポリヌクレオチドは、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可)及び/またはそれから発現される産物が、標的化部位を含み、特定の細胞、組織、器官などに標的化され得るように、ベクターまたはベクターシステムに含まれ得る。非ウイルス担体などのいくつかの実施形態では、標的化部位は、担体(例えば、ポリマー、脂質、無機分子など)に結合され得、担体、及び任意の結合したまたは会合した操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可)を、特定の細胞、組織、器官などに標的化することが可能であり得る。
【0295】
無細胞ベクター及びポリヌクレオチド発現
いくつかの実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上の特色をコードするポリヌクレオチドは、無細胞in vitroシステムにおいてベクターまたは好適なポリヌクレオチドから発現され得る。換言すれば、ポリヌクレオチドは、in vitroで転写され、任意選択で翻訳され得る。in vitro転写/翻訳システム及び適切なベクターは、当該技術分野において一般に公知であり、市販されている。通常、in vitro転写及びin vitro翻訳システムは、それぞれRNA及びタンパク質合成のプロセスを細胞環境外で再現する。in vitro転写のためのベクター及び好適なポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチドまたはベクターを転写するために適切なポリメラーゼによって認識され、それが作用し得るT7、SP6、T3、プロモーター調節配列を含み得る。
【0296】
in vitro翻訳は、独立型(例えば、精製されたポリリボヌクレオチドの翻訳)の場合もあれば、転写に連結/連動される場合もある。いくつかの実施形態では、無細胞(またはin vitro)翻訳システムは、ウサギ網状赤血球、コムギ胚芽、及び/またはE.coliからの抽出物を含み得る。抽出物は、外因性RNAの翻訳に必要な様々な高分子構成要素(例えば、70Sまたは80Sリボソーム、tRNA、アミノアシル-tRNA、シンセターゼ、開始因子、伸長因子、終結因子など)を含み得る。アミノ酸、エネルギー源(ATP、GTP)、エネルギー再生システム(クレアチンリン酸及びクレアチンホスホキナーゼ(真核細胞システム))(細菌システムのためのホスホエノールピルビン酸及びピルビン酸キナーゼ)、及び他の補因子(Mg2+、K+など)が挙げられるがこれらに限定されない他の構成要素が翻訳反応中に含められるか、または付加され得る。前述したように、in vitro翻訳は、RNAまたはDNA出発物質に基づき得る。いくつかの翻訳システムは、出発物質としてRNA鋳型を利用し得る(例えば、網状赤血球ライセート及びコムギ胚芽抽出物)。いくつかの翻訳システムは、出発物質としてDNA鋳型を利用し得る(例えば、E coliベースのシステム)。これらのシステムでは、転写及び翻訳は連動され、最初にDNAがRNAに転写され、これが、その後翻訳される。好適な標準的で連動型の無細胞翻訳システムは、当該技術分野において一般に公知であり、市販されている。
【0297】
ベクターポリヌクレオチドのコドン最適化
本明細書の他の箇所に記載されるように、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上の実施形態をコードするポリヌクレオチドは、コドン最適化され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるベクターに含まれる1つ以上のポリヌクレオチド(「ベクターポリヌクレオチド」)は、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの実施形態をコードする任意選択でコドン最適化されたポリヌクレオチドに加えて、コドン最適化され得る。一般に、コドン最適化は、天然配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約または約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50超、もしくはそれ以上のコドン)を、天然アミノ酸配列を維持しながらその宿主細胞の遺伝子においてより高頻度でまたは最も高頻度で使用されるコドンで置換することによって、対象とする宿主細胞における発現の向上のために核酸配列を改変するプロセスを指す。様々な種は、特定のアミノ酸のある特定のコドンに対して特定のバイアスを示す。コドンバイアス(生物間のコドン使用頻度の差)は、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関し、この翻訳効率は、とりわけ、翻訳されるコドンの特性、及び特定のトランスファーRNA(tRNA)分子の利用可能性に依存するものと考えられる。細胞における選択されたtRNAの優位性は、一般に、ペプチド合成において最も高頻度で使用されるコドンを反映するものである。したがって、遺伝子は、コドン最適化に基づいて所与の生物における最適な遺伝子発現のために調整され得る。コドン使用頻度表は、例えば、www.kazusa.orjp/codon/で入手可能な「Codon Usage Database」で容易に入手可能であり、これらの表は、いくつかの方法で適合させることができる。Nakamura,Y.,et al.“Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases:status for the year 2000”Nucl.Acids Res.28:292(2000)を参照されたい。特定の宿主細胞内での発現のために特定の配列を最適化するコドンのコンピュータアルゴリズムも利用可能であり、例えば、Gene Forge(Aptagen;Jacobus,PA)も利用可能である。いくつかの実施形態では、DNA/RNA標的化Casタンパク質をコードする配列における1つ以上のコドン(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、もしくはそれ以上、またはすべてのコドン)は、特定のアミノ酸について最も高頻度で使用されるコドンに対応する。酵母におけるコドン使用頻度に関して、http://www.yeastgenome.org/community/codon_usage.shtmlで利用可能なオンライン酵母ゲノムデータベース、またはCodon selection in yeast,Bennetzen and Hall,J Biol Chem.1982 Mar 25;257(6):3026-31が参照される。藻類を含む植物におけるコドン使用頻度に関しては、Codon usage in higher plants,green algae,and cyanobacteria,Campbell and Gowri,Plant Physiol.1990 Jan;92(1):1-11.、及びCodon usage in plant genes,Murray et al,Nucleic Acids Res.1989 Jan 25;17(2):477-98、またはSelection on the codon bias of chloroplast and cyanelle genes in different plant and algal lineages,Morton BR,J Mol Evol.1998 Apr;46(4):449-59が参照される。
【0298】
ベクターポリヌクレオチドは、特定の細胞型、組織型、器官型、及び/または対象型における発現のためにコドン最適化され得る。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、真核生物、例えば、ヒトにおける発現のために最適化された(すなわち、ヒトまたはヒト細胞における発現のために最適化された)、または別の真核生物、例えば本明細書の他の箇所に記載されているような別の動物(例えば、哺乳動物または鳥類)のために最適化された配列である。このようなコドン最適化配列は、本明細書における説明を考慮して当業者の技能の範囲内である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、特定の細胞型のためにコドン最適化される。このような細胞型としては、心筋細胞、心臓の結合組織細胞(心臓の脂肪及び他の軟組織パディング細胞)、幹細胞及び他の前駆細胞、免疫細胞、胚細胞、ならびにそれらの組合せが挙げられ得るがこれらに限定されない。このようなコドン最適化配列は、本明細書における説明を考慮して当業者の技能の範囲内である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、特定の組織型のためにコドン最適化される。このような組織型としては、心筋組織及び/またはその細胞が挙げられ得るがこれらに限定されない。このようなコドン最適化配列は、本明細書における説明を考慮して当業者の技能の範囲内である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、特定の器官のためにコドン最適化される。このような器官としては、脳が挙げられるがこれに限定されない。このようなコドン最適化配列は、本明細書における説明を考慮して当業者の技能の範囲内である。
【0299】
いくつかの実施形態では、ベクターポリヌクレオチドは、原核細胞または真核細胞などの特定の細胞における発現のためにコドン最適化される。真核細胞は、ヒト、または本明細書で説明されている非ヒト真核生物もしくは動物もしくは哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、家畜、もしくは非ヒト哺乳動物もしくは霊長類を含むがこれらに限定されない特定の生物、例えば、植物または哺乳動物のものでもそれに由来するものでもよい。
【0300】
非ウイルスベクター及び担体
いくつかの実施形態では、ベクターは、非ウイルスベクターまたは担体である。いくつかの実施形態では、非ウイルスベクターは、ウイルスベクターと比較して低下した毒性及び/または免疫原性及び/または増加したバイオセーフティーという利点(複数可)を有し得る。「非ウイルスベクター及び担体」という専門用語は、この文脈において本明細書で使用される場合、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドに結合し、それを組み込み、それに連結し、及び/またはそうでなければそれと相互作用することが可能であり得、該ポリヌクレオチドを細胞に輸送し、及び/または該ポリヌクレオチドを発現することが可能であり得るウイルスまたはウイルスゲノムの1つ以上の構成要素(非ウイルスベクターによって送達及び/または発現される任意のヌクレオチドを除く)に基づかない分子及び/または組成物を指す。これは、送達されるウイルスベースのポリヌクレオチドの包含を排除するものではないことが理解されよう。例えば、送達されるgRNAがウイルス構成要素に対して指向され、それが、その他の点では非ウイルスのベクターもしくは担体に挿入されるか、またはそうでなければ連結される場合、かかるベクターは「ウイルスベクター」とはならない。非ウイルスベクター及び担体としては、裸のポリヌクレオチド、化学ベースの担体、ポリヌクレオチド(非ウイルス)ベースのベクター、及び粒子ベースの担体が挙げられる。「ベクター」という用語は、非ウイルスベクター及び担体の文脈で使用される場合、ポリヌクレオチドベクターを指し、この文脈で使用される「担体」は、送達されるポリヌクレオチド、例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドに結合するか、またはそうでなければ相互作用する非核酸またはポリヌクレオチド分子または組成物を指すことが理解されよう。
【0301】
裸のポリヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドは、裸のポリヌクレオチドに含まれ得る。本明細書で使用される専門用語「裸のポリヌクレオチド」は、多くの場合、環境因子及び/または分解からそれを保護するのを助け得る別の分子(例えば、タンパク質、脂質、及び/または他の分子)と会合しないポリヌクレオチドを指す。本明細書で使用される場合、と会合する(associated with)には、限定はされないが、に連結される(linked to)、に付着される(adhered to)、に吸着される(adsorbed to)、に封入される(enclosed in)、それにもしくはその中に封入される(enclosed in or within)、と混合される(mixed with)などが含まれる。本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドの1つ以上を含む裸のポリヌクレオチドは、宿主細胞に直接送達され、任意選択でそこで発現され得る。裸のポリヌクレオチドは、任意の好適な二次元及び三次元構造を有し得る。非限定的な例として、裸のポリヌクレオチドは、一本鎖分子、二本鎖分子、環状分子(例えば、プラスミド及び人工染色体)、一本鎖の部分及び二本鎖の部分を含む分子(例えば、リボザイム)などであり得る。いくつかの実施形態では、裸のポリヌクレオチドは、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可)のみを含む。いくつかの実施形態では、裸のポリヌクレオチドは、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可)に加えて、他の核酸及び/またはポリヌクレオチドを含有し得る。裸のポリヌクレオチドは、トランスポゾンシステムの1つ以上のエレメントを含み得る。トランスポゾン及びそのシステムは、本明細書の他の箇所でより詳細に記載される。
【0302】
非ウイルスポリヌクレオチドベクター
いくつかの実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドの1つ以上は、非ウイルスポリヌクレオチドベクターに含まれ得る。好適な非ウイルスポリヌクレオチドベクターとしては、トランスポゾンベクター及びベクターシステム、プラスミド、細菌人工染色体、酵母人工染色体、AR(抗生物質耐性)フリープラスミド及びミニプラスミド、共有結合性閉環状ベクター(例えば、ミニサークル、ミニベクター、ミニノット)、直鎖状共有結合性閉鎖型ベクター(「ダンベル形状」)、MIDGE(最小限の免疫学的に定義された(minimalistic immunologically defined)遺伝子発現)ベクター、MiLV(マイクロ直鎖状ベクター)ベクター、ミニストリング(Ministring)、ミニイントロンプラスミド、PSKシステム(分離後殺傷システム)、ORT(オペレーターリプレッサータイトレーション)プラスミドなどが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、Hardee et al.2017.Genes.8(2):65を参照されたい。
【0303】
いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、条件付き複製起点を有し得る。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、ORTプラスミドであり得る。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、最小限の免疫学的に定義された遺伝子発現を有し得る。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、1つ以上の分離後殺傷システム遺伝子を有し得る。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、ARフリーである。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、ミニベクターである。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、核局在化シグナルを含む。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、1つ以上のCpGモチーフを含み得る。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、1つ以上の足場/マトリックス結合領域(S/MAR)を含み得る。例えば、Mirkovitch et al.1984.Cell.39:223-232,Wong et al.2015.Adv.Genet.89:113-152を参照されたい。この技術及びベクターは、本発明における使用に適合させることができる。S/MARは、核マトリックスへのDNAループ塩基の結合を介して染色体の空間的構成において役割を果たすATリッチ配列である。S/MARは、プロモーター、エンハンサー、及びDNA複製起点などの調節エレメントの近くに見られることが多い。1つ以上のS/MARの包含は、非ウイルスポリヌクレオチドベクターを娘細胞内のエピソームとして維持するために、細胞周期につき一度(once-per-cell-cycle)の複製を容易にし得る。実施形態では、S/MAR配列は、非ウイルスポリヌクレオチドベクターに含まれる活性的に転写されるポリヌクレオチド(例えば、1つ以上の本発明の操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド)の下流に位置する。いくつかの実施形態では、S/MARは、ベータ-インターフェロン遺伝子クラスターからのS/MARであり得る。例えば、Verghese et al.2014.Nucleic Acid Res.42:e53、Xu et al.2016.Sci.China Life Sci.59:1024-1033、Jin et al.2016.8:702-711、Koirala et al.2014.Adv.Exp.Med.Biol.801:703-709、及びNehlsen et al.2006.Gene Ther.Mol.Biol.10:233-244を参照されたい。この技術及びベクターは、本発明における使用に適合させることができる。
【0304】
いくつかの実施形態では、非ウイルスベクターは、トランスポゾンベクターまたはそのシステムである。本明細書で使用される場合、「トランスポゾン」(転移因子とも呼ばれる)は、ゲノムにおける位置を別の位置に移動することが可能なポリヌクレオチド配列を指す。いくつかのクラスのトランスポゾンが存在する。トランスポゾンとしては、レトロトランスポゾン及びDNAトランスポゾンが挙げられる。レトロトランスポゾンは、ポリヌクレオチドを新たなゲノムまたはポリヌクレオチドに転移させるために、移動される(または転移される)ポリヌクレオチドの転写を必要とする。DNAトランスポゾンは、ポリヌクレオチドを新たなゲノムまたはポリヌクレオチドに転移させるために、移動される(または転移される)ポリヌクレオチドの逆転写を必要としないものである。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、レトロトランスポゾンベクターであり得る。いくつかの実施形態では、レトロトランスポゾンベクターは、長い末端反復を含む。いくつかの実施形態では、レトロトランスポゾンベクターは、長い末端反復を含まない。いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドベクターは、DNAトランスポゾンベクターであり得る。DNAトランスポゾンベクターは、トランスポサーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含み得る。いくつかの実施形態では、トランスポゾンベクターは、転移がそれ自体では自発的に起こらないことを意味する非自律型トランスポゾンベクターとして構成される。これらの実施形態の一部では、トランスポゾンベクターは、転移のために必要とされるタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列を欠く。いくつかの実施形態では、非自律型トランスポゾンベクターは、1つ以上のAcエレメントを欠く。
【0305】
いくつかの実施形態では、非ウイルスポリヌクレオチドトランスポゾンベクターシステムは、トランスポゾン逆方向末端反復(TIR)によって5’及び3’末端で挟まれた本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可)を含有する第1のポリヌクレオチドベクター、ならびにトランスポサーゼの発現を駆動するためのプロモーターに連結されたトランスポサーゼをコードすることが可能なポリヌクレオチドを含む第2のポリヌクレオチドベクターを含み得る。両方が同じ細胞内で発現される場合、トランスポサーゼは、第2のベクターから発現され得、第1のベクターにおけるTIR間の物質(例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可))を転移させ、それを宿主細胞のゲノムにおける1つ以上の位置に組み込み得る。いくつかの実施形態では、トランスポゾンベクターまたはそのシステムは、遺伝子トラップとして構成され得る。いくつかの実施形態では、TIRは、強力なスプライスアクセプター部位と、それに続くレポーター及び/または他の遺伝子(例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可)の1つ以上)ならびに強力なポリAテールを挟むように構成され得る。このベクターまたはそのシステムを使用して転移が生じる場合、トランスポゾンは、遺伝子のイントロンに挿入され得、挿入されたレポーターまたは他の遺伝子は、ミススプライシングプロセスを誘発し得、結果として、トラップされた遺伝子を活性化し得る。
【0306】
任意の好適なトランスポゾンシステムを使用することができる。好適なトランスポゾン及びそのシステムとしては、限定はされないが、Sleeping Beautyトランスポゾンシステム(Tc1/marinerスーパーファミリー)(例えば、Ivics et al.1997.Cell.91(4):501-510を参照)、piggyBac(piggyBacスーパーファミリー)(例えば、Li et al.2013 110(25):E2279-E2287及びYusa et al.2011.PNAS.108(4):1531-1536を参照)、Tol2(スーパーファミリーhAT)、Frog Prince(Tc1/marinerスーパーファミリー)(例えば、Miskey et al.2003 Nucleic acid Res.31(23):6873-6881を参照)及びその変種が挙げられ得る。
【0307】
化学担体
いくつかの実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可)は、化学的担体に連結され得る。ポリヌクレオチドの送達に好適であり得る化学的担体は、大きく、以下のクラス:(i)無機粒子、(ii)脂質ベース、(iii)ポリマーベース、及び(iv)ペプチドベースに分類され得る。それらは、(1)ポリヌクレオチド(例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可))と縮合複合体を形成し得るもの、(2)特定の細胞を標的化することが可能であるもの、(3)宿主細胞の核またはサイトゾルへのポリヌクレオチド(例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可))の送達を増加させることが可能であるもの、(4)宿主細胞のサイトゾルにおけるDNA/RNAからの脱組み込み(disintegrate)が可能であるもの、及び(5)持続放出または制御放出が可能であるものに分類され得る。任意の1つの所与の化学担体は、複数の分類からの特色を含み得ることが理解されよう。本明細書で使用される「粒子」という用語は、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステム構成要素の送達のための任意の好適なサイズの粒子を指す。好適なサイズは、マクロ、マイクロ、及びナノサイズの粒子を含む。
【0308】
いくつかの実施形態では、非ウイルス担体は、無機粒子であり得る。いくつかの実施形態では、無機粒子は、ナノ粒子であり得る。無機粒子は、様々なサイズ、形状、及び/または多孔度によって構成及び最適化され得る。いくつかの実施形態では、無機粒子は、細網内皮系から回避するように最適化される。いくつかの実施形態では、無機粒子は、トラップされた分子を分解から保護するように最適化され得る。この文脈において非ウイルス担体として使用され得る好適な無機粒子としては、リン酸カルシウム、シリカ、金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、水銀、銅、レニウム、チタン、ニオブ、タンタル、及びそれらの組合せ)、磁性化合物、粒子、及び物質、(例えば、超磁性酸化鉄及び磁鉄鉱)、量子ドット、フラーレン(例えば、炭素ナノ粒子、ナノチューブ、ナノストリングなど)、ならびにそれらの組合せが挙げられ得るがこれらに限定されない。他の好適な無機非ウイルス担体は、本明細書の他の箇所で説明されている。
【0309】
いくつかの実施形態では、非ウイルス担体は、脂質ベースであり得る。好適な脂質ベースの担体も、本明細書においてより詳細に記載される。いくつかの実施形態では、脂質ベースの担体は、送達されるポリヌクレオチド(例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド)における負電荷と結合するか、またはそうでなければ相互作用することが可能なカチオン性脂質または両親媒性脂質を含む。いくつかの実施形態では、化学的非ウイルス担体システムは、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可))などのポリヌクレオチド、及び脂質(例えば、カチオン性脂質)を含み得る。これらは、当該技術分野においてリポプレックスとも呼ばれる。リポプレックスの他の実施形態は、本明細書の他の箇所に記載される。いくつかの実施形態では、非ウイルス脂質ベースの担体は、脂質ナノエマルジョンであり得る。脂質ナノエマルジョンは、非混和性液体を別の安定化された乳化剤中に分散させることによって形成され得、送達されるポリヌクレオチド(例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可))を含有し得る脂質、水、及び界面活性剤から構成される約200nmの粒子を有し得る。いくつかの実施形態では、脂質ベースの非ウイルス担体は、固体脂質粒子またはナノ粒子であり得る。
【0310】
いくつかの実施形態では、非ウイルス担体は、ペプチドベースであり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドベースの非ウイルス担体は、1つ以上のカチオン性アミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸の35~40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99または100%がカチオン性である。いくつかの実施形態では、ペプチド担体は、他のタイプの担体(例えば、これらの担体を機能化するポリマーベースの担体及び脂質ベースの担体)と併せて使用され得る。いくつかの実施形態では、官能化は、宿主細胞の標的化である。ポリマーベースの非ウイルス担体に含まれ得る好適なポリマーとしては、ポリエチレンイミン(PEI)、キトサン、ポリ(DL-ラクチド)(PLA)、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、デンドリマー(例えば、米国特許公開第2017/0079916号参照。その技術及び組成物は、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドとの使用に適合させることができる)、ポリメタクリレート、及びそれらの組合せが挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0311】
いくつかの実施形態では、非ウイルス担体は、外部刺激、例えば、pH、温度、浸透圧、特定の分子または組成物(例えば、カルシウム、NaClなど)の濃度、圧力などに応答して、非ウイルス担体に会合または結合している操作された送達システムポリヌクレオチドを放出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、非ウイルス担体は、本明細書に記載される操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド及び環境刺激要因の応答エレメントの1つ以上、及び任意選択で刺激要因を含むように構成される粒子であり得る。いくつかの実施形態では、粒子は、ポリメタクリレート及びポリアクリレートの群から選択され得るポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、非ウイルス粒子は、米国特許公開第20150232883号及び第20050123596号に記載の組成物マイクロ粒子の1つ以上の実施形態を含み得る。これらの技術及び組成は、本発明での使用に適合させることができる。
【0312】
いくつかの実施形態では、非ウイルス担体は、ポリマーベースの担体であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、送達される負荷電ポリヌクレオチド(例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可))と電荷依存的に相互作用し得るように、カチオン性または主にカチオン性である。ポリマーベースのシステムは、本明細書の他の箇所により詳細に記載される。
【0313】
ウイルスベクター
いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。この文脈において本明細書で使用される「ウイルスベクター」という専門用語は、単独でまたは1つ以上の他のウイルスベクター(例えば、ウイルスベクターシステムにおける)と共に使用されるときにポリヌクレオチド、例えば、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドを発現し、ウイルス粒子内にパッケージングすることができる、かつ該ウイルス粒子を産生することができる、ウイルスからの1つ以上のエレメントを含むまたはウイルスの1つ以上のエレメントに基づくポリヌクレオチドベースのベクターを指す。ウイルスベクター及びそのシステムは、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上の構成要素の送達及び/または発現のためのウイルス粒子を産生するのに使用され得る。ウイルスベクターは、複数のベクターを含むウイルスベクターシステムの一部であり得る。いくつかの実施形態では、複数のウイルスベクターを組み込むシステムは、これらのシステムの安全性を高め得る。好適なウイルスベクターは、アデノウイルスベースのベクター、アデノ随伴ベクター、ヘルパー依存性アデノウイルス(HdAd)ベクター、ハイブリッドアデノウイルスベクターなどを含み得る。ウイルスベクター及びそれから産生されるウイルス粒子の他の実施形態は、本明細書の他の箇所に記載される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、これらのシステムの安全性を向上させるために、複製能力のないウイルス粒子を産生するように構成される。
【0314】
アデノウイルスベクター、ヘルパー依存性アデノウイルスベクター、及びハイブリッドアデノウイルスベクター
いくつかの実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクターであり得る。いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターは、該ベクターまたはそのシステムを用いて産生されたウイルス粒子が、血清型2、5、または9となり得るようなエレメントを含み得る。いくつかの実施形態では、アデノウイルス粒子を介して送達されるポリヌクレオチドは、最大で約8kbであり得る。したがって、いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターは、約0.001kb~約8kbのサイズの範囲であり得る、送達されるDNAポリヌクレオチドを含み得る。アデノウイルスベクターは、いくつかの状況での使用が成功している(例えば、Teramato et al.2000.Lancet.355:1911-1912、Lai et al.2002.DNA Cell.Biol.21:895-913、Flotte et al.,1996.Hum.Gene.Ther.7:1145-1159、及びKay et al.2000.Nat.Genet.24:257-261参照)。操作されたAAVカプシドは、かかる操作されたAAVカプシドを含むアデノウイルス粒子を産生するアデノウイルスベクターに含まれ得る。
【0315】
いくつかの実施形態では、ベクターはヘルパー依存性アデノウイルスベクターまたはそのシステムであり得る。これらは、当該技術分野において「ガットレス(gutless)」または「ガッテド(gutted)」ベクターとも呼ばれ、アデノウイルスベクターの改変世代である(例えば、Thrasher et al.2006.Nature.443:E5-7を参照)。ヘルパー依存性アデノウイルスベクターシステムの実施形態では、1つのベクター(ヘルパー)が、複製に必要なすべてのウイルス遺伝子を含有し得るが、パッケージングドメインにおいて条件付き遺伝子欠陥を含む。該システムの第2のベクターは、ウイルスゲノムの末端、1つ以上の操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド、及び天然のパッケージング認識シグナルのみを含有し得、これにより細胞からの選択的パッケージング放出が可能となり得る(例えば、Cideciyan et al.2009.N Engl J Med.361:725-727を参照)。ヘルパー依存性アデノウイルスベクターシステムは、いくつかの状況において遺伝子送達に成功している(例えば、Simonelli et al.2010.J Am Soc Gene Ther.18:643-650;Cideciyan et al.2009.N Engl J Med.361:725-727;Crane et al.2012.Gene Ther.19(4):443-452;Alba et al.2005.Gene Ther.12:18-S27;Croyle et al.2005.Gene Ther.12:579-587;Amalfitano et al.1998.J.Virol.72:926-933;及びMorral et al.1999.PNAS.96:12816-12821を参照)。これらの刊行物に記載される技術及びベクターは、本明細書に記載される操作されたAAVカプシドポリヌクレオチドの包含及び送達のために適合させることができる。いくつかの実施形態では、ヘルパー依存性アデノウイルスベクターまたはそのシステムから産生されたウイルス粒子を介して送達されるポリヌクレオチドは、最大で約38kbであり得る。したがって、いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターは、約0.001kb~約37kbのサイズの範囲であり得る、送達されるDNAポリヌクレオチドを含み得る(例えば、Rosewell et al.2011.J.Genet.Syndr.Gene Ther.Suppl.5:001を参照)。
【0316】
いくつかの実施形態では、ベクターは、ハイブリッドアデノウイルスベクターまたはそのシステムである。ハイブリッドアデノウイルスベクターは、遺伝子欠失アデノウイルスベクターの高い形質導入効率、ならびにアデノ随伴、レトロウイルス、レンチウイルス、及びトランスポゾンベースの遺伝子導入の長期的なゲノム組み込み能から構成される。いくつかの実施形態では、このようなハイブリッドベクターシステムは、安定した形質導入及び限られた組み込み部位をもたらし得る。例えば、Balague et al.2000.Blood.95:820-828;Morral et al.1998.Hum.Gene Ther.9:2709-2716;Kubo and Mitani.2003.J.Virol.77(5):2964-2971;Zhang et al.2013.PloS One.8(10)e76771;及びCooney et al.2015.Mol.Ther.23(4):667-674)を参照されたい。これらの文献に記載されるその技術及びベクターは、本発明の操作されたAAVカプシドシステムにおいて使用するために改変及び適合させることができる。いくつかの実施形態では、ハイブリッドアデノウイルスベクターは、レトロウイルス及び/またはアデノ随伴ウイルスの1つ以上の特色を含み得る。いくつかの実施形態では、ハイブリッドアデノウイルスベクターは、スプマレトロウイルスまたは泡沫状ウイルス(FV)の1つ以上の特色を含み得る。例えば、Ehrhardt et al.2007.Mol.Ther.15:146-156及びLiu et al.2007.Mol.Ther.15:1834-1841を参照されたい。これらの文献に記載されるその技術及びベクターは、本発明の操作されたAAVカプシドシステムにおいて使用するために改変及び適合させることができる。ハイブリッドアデノウイルスベクターまたはそのシステムにおいてFVからの1つ以上の特色を使用する利点には、それから産生されたウイルス粒子の広範囲の細胞を感染させる能力、他のレトロウイルスと比較して大きなパッケージング容量、及び静止(非分裂)細胞において持続する能力が含まれ得る。例えば、Ehrhardt et al.2007.Mol.Ther.156:146-156及びShuji et al.2011.Mol.Ther.19:76-82も参照されたい。これらの文献に記載されるその技術及びベクターは、本発明の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムにおいて使用するために改変及び適合させることができる。
【0317】
アデノ随伴ベクター
一実施形態では、操作されたベクターまたはそのシステムは、アデノ随伴ベクター(AAV)であり得る。例えば、West et al.,Virology 160:38-47(1987);米国特許第4,797,368号;WO93/24641;Kotin,Human Gene Therapy 5:793-801(1994);及びMuzyczka,J.Clin.Invest.94:1351(1994)を参照されたい。AAVは、それらの特色の一部においてアデノウイルスベクターと同様であるが、それらの複製及び/または病原性がいくらか欠けており、したがって、アデノウイルスベクターより安全であり得る。いくつかの実施形態では、AAVは、観察可能な副作用を伴わずに、ヒト細胞の19番染色体上の特定の部位に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、AAVベクター、そのシステム、及び/またはAAV粒子の容量は、最大で約4.7kbであり得る。AAVベクターまたはそのシステムは、本明細書に記載される1つ以上の操作されたカプシドポリヌクレオチドを含み得る。
【0318】
AAVベクターまたはそのシステムは、1つ以上の調節分子を含み得る。いくつかの実施形態では、調節分子は、プロモーター、エンハンサー、リプレッサーなどであり得、これらは、本明細書の他の箇所でより詳細に記載される。いくつかの実施形態では、AAVベクターまたはそのシステムは、1つ以上の調節タンパク質をコードし得る1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の調節タンパク質は、Rep78、Rep68、Rep52、Rep40、そのバリアント、及びそれらの組合せから選択され得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、前述される組織特異的プロモーターであり得る。いくつかの実施形態では、組織特異的プロモーターは、本明細書に記載される操作されたカプシドAAVカプシドポリヌクレオチドの発現を駆動し得る。
【0319】
AAVベクターまたはそのシステムは、1つ以上のカプシドタンパク質、例えば、本明細書の他の箇所に記載される操作されたAAVカプシドタンパク質をコードし得る1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。操作されたカプシドタンパク質は、AAVウイルス粒子のタンパク質シェル(操作されたカプシド)に組み立てることが可能であり得る。操作されたカプシドは、細胞特異的、組織特異的及び/または器官特異的指向性を有し得る。
【0320】
いくつかの実施形態では、AAVベクターまたはそのシステムは、1つ以上のアデノウイルスヘルパー因子、または1つ以上のアデノウイルスヘルパー因子をコードし得るポリヌクレオチドを含み得る。このようなアデノウイルスヘルパー因子には、限定はされないが、E1A、E1B、E2A、E4ORF6、及びVA RNAが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、産生宿主細胞株は、アデノウイルスヘルパー因子の1つ以上を発現する。
【0321】
AAVベクターまたはそのシステムは、特定の血清型を有するAAV粒子を産生するように構成され得る。いくつかの実施形態では、血清型は、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-8、AAV-9またはそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、AAVは、AAV1、AAV-2、AAV-5、AAV-9またはそれらの任意の組合せであり得る。標的とされる細胞に関してAAVのAAVを選択することができ;例えば、脳及び/または神経細胞を標的化するためにAAV血清型1、2、5、9またはハイブリッドカプシドAAV-1、AAV-2、AAV-5、AAV-9またはそれらの任意の組合せを選択することができ;心臓組織を標的化するためにAAV-4を選択することができ;肝臓への送達のためにAAV-8を選択することができる。したがって、いくつかの実施形態では、脳及び/または神経細胞を標的化することが可能なAAV粒子を産生することが可能なAAVベクターまたはそのシステムは、血清型1、2、5またはハイブリッドカプシドAAV-1、AAV-2、AAV-5またはそれらの任意の組合せを有するAAV粒子を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、心臓組織を標的化することが可能なAAV粒子を産生することが可能なAAVベクターまたはそのシステムは、AAV-4血清型を有するAAV粒子を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、肝臓を標的化することが可能なAAV粒子を産生することが可能なAAVベクターまたはそのシステムは、AAV-8血清型を有するAAVを生成するように構成され得る。Srivastava.2017.Curr.Opin.Virol.21:75-80も参照されたい。
【0322】
異なる血清型が、あるレベルの細胞、組織、及び/または器官特異性を提供することができる一方、各血清型は依然として多指向性であり、したがって、その血清型を使用して該血清型の形質導入効率が低い組織を標的とする場合、組織毒性がもたらされ得ることが理解されるであろう。したがって、特定の血清型のAAVを選択することによって、いくらかの組織標的化能力を達成することに加えて、AAV血清型の指向性が、本明細書に記載される操作されたAAVカプシドによって改変され得ることが理解されるであろう。本明細書の他の箇所に記載されるように、任意の血清型の野生型AAVのバリアントは、本明細書に記載される方法によって生成され、参照野生型AAV血清型のものと同じかまたは異なり得る特定の細胞特異的指向性を有することが決定され得る。いくつかの実施形態では、野生型血清型の細胞、組織、及び/または特異性は、増強され得る(例えば、血清型がすでに偏っている特定の細胞型に対してさらに選択的または特異的となる)。例えば、野生型AAV-9は、ヒトにおいて筋肉及び脳に対して偏る(例えば、Srivastava.2017.Curr.Opin.Virol.21:75-80参照)。本明細書に記載される野生型AAV-9の操作されたAAVカプシド及び/またはカプシドタンパク質バリアントを含めることにより、例えば、脳(または他の非心筋組織または細胞)に対する偏りを減少もしくは排除することができ、及び/または比較すると脳(または他の非心筋組織もしくは細胞)特異性が減少したように見えるように心筋組織もしくは細胞特異性を増加させることができ、これにより野生型AAV-9と比較して心筋組織または細胞に対する特異性が向上される。前述したように、野生型AAV血清型の操作されたカプシド及び/またはカプシドタンパク質バリアントを含むことによって、野生型参照AAV血清型とは異なる指向性を有し得る。例えば、AAV-9の操作されたAAVカプシド及び/またはカプシドタンパク質バリアントは、ヒトにおける骨格筋または脳以外の組織、例えば心筋細胞に対する特異性を有し得る。
【0323】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、ハイブリッドAAVベクターまたはそのシステムである。ハイブリッドAAVは、少なくとも1つの異なる血清型に由来するカプシドにパッケージングされた1つの血清型からのエレメントを有するゲノムを含むAAVである。例えば、産生されるのがrAAV2/5である場合、また、産生方法が上述されるヘルパーフリーの一過性トランスフェクション法に基づく場合、第1のプラスミド及び第3のプラスミド(アデノヘルパープラスミド)は、rAAV2産生について説明されたもの同じとなる。しかしながら、第2のプラスミドであるpRepCapは異なる。pRep2/Cap5と呼ばれるこのプラスミドにおいて、Rep遺伝子は依然としてAAV2に由来する一方で、Cap遺伝子はAAV5に由来する。産生スキームは、AAV2産生について上述したアプローチと同じである。得られるrAAVはrAAV2/5と呼ばれ、そのゲノムは組換えAAV2に基づく一方で、カプシドはAAV5に基づく。このAAV2/5ハイブリッドウイルスによって示される細胞または組織指向性は、AAV5のものと同じとなるはずであることが想定される。野生型ハイブリッドAAV粒子は、前述されている非ハイブリッド野生型血清型と同じ特異性の問題を有することが理解されよう。
【0324】
野生型ベースのハイブリッドAAVシステムによって達成される利点は、操作されたAAVカプシドによって達成され得る向上されたカスタマイズ可能な細胞特異性と組合せることができ、本明細書の他の箇所に記載されている操作されたAAVカプシドを含み得るハイブリッドAAVを生成することによって組合せることができる。ハイブリッドAAVは、操作されたAAVカプシドがそのバリアントである参照野生型血清型とは異なる血清型からのエレメントを有するゲノムを含む操作されたAAVカプシドを含み得ることが理解されよう。例えば、AAV-2血清型からの構成要素(例えば、repエレメント)を含むゲノムをパッケージングするために使用されるAAV-9血清型のバリアントである操作されたAAVカプシドを含むハイブリッドAAVが産生され得る。前述の野生型ベースのハイブリッドAAVと同様に、得られるAAV粒子の指向性は、操作されたAAVカプシドのものとなる。
【0325】
これらの細胞に関するある特定の野生型AAV血清型の表は、Grimm,D.et al,J.Virol.82:5887-5911(2008)に見出され得、表1として以下に再現される。さらなる指向性の詳細は、前述のように、Srivastava.2017.Curr.Opin.Virol.21:75-80に見出され得る。
【表1】
【0326】
いくつかの実施形態では、AAVベクターまたはそのシステムは、AAV rh.74またはAAV rh.10であるか、またはそれらから操作される。いくつかの実施形態では、AAVベクターまたはそのシステムは、Anc80 AAVであるか、またはそれらから操作される。
【0327】
いくつかの実施形態では、操作されたAAVベクターまたはそのシステムは、レトロウイルスベクターに関して記載されているものと同様に、「ガットレス」ベクターとして構成される。いくつかの実施形態では、「ガットレス」AAVベクターまたはそのシステムは、対象とする異種配列(例えば、操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド(複数可))と連結してゲノム増幅及びパッケージングに関与するcis作用性ウイルスDNAエレメントを有し得る。
【0328】
ベクターの構築
本明細書に記載されるベクターは、任意の好適なプロセスまたは技術を使用して構築され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の好適な組換え及び/またはクローニング方法または技術が、本明細書に記載されるベクター(複数可)のために使用され得る。好適な組換え及び/またはクローニング技術及び/または方法としては、米国出願公開第2004-0171156A1号に記載のものを挙げることができるがこれらに限定されない。他の好適な方法及び技術は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0329】
組換えAAVベクターの構築は、米国特許第5,173,414号、Tratschin et al.,Mol.Cell.Biol.5:3251-3260(1985)、Tratschin,et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072-2081(1984)、Hermonat&Muzyczka,PNAS 81:6466-6470(1984)、及びSamulski et al.,J.Virol.63:03822-3828(1989)を含むいくつかの刊行物に記載されている。その技術及び/または方法のいずれかが、本明細書に記載されるAAVまたは他のベクターを構築するために使用する及び/または適合させることができる。AAVベクターは、本明細書の他の箇所で説明されている。
【0330】
いくつかの実施形態では、ベクターは、1つ以上の挿入部位、例えば、制限エンドヌクレアーゼ認識配列(「クローニング部位」とも称される)を有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の挿入部位(例えば、約または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10超、もしくはそれ以上の挿入部位)は、1つ以上のベクターの1つ以上の配列エレメントの上流及び/または下流に位置する。
【0331】
本明細書に記載される操作されたAAVカプシドシステムの1つ以上のエレメントの発現のための送達媒体、ベクター、粒子、ナノ粒子、製剤及びその構成要素は、前述の文献、例えば、WO2014/093622(PCT/US2013/074667)において使用されている通りであり、本明細書でより詳細に説明されている。
【0332】
ウイルスベクターからのウイルス粒子の産生
AAV粒子の産生
本明細書に記載されるものなどのAAVベクター及びそのシステムからAAV粒子を産生するための2つの主な戦略があり、これはアデノウイルスヘルパー因子がどのように提供されるか(ヘルパー対ヘルパーフリー)に依存する。いくつかの実施形態では、AAVベクター及びそのシステムからAAV粒子を産生する方法は、得られるAAV粒子によってパッケージング及び送達されるポリヌクレオチド(例えば、操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド(複数可))を含有するAAVベクターと共に、AAV複製及びカプシドをコードするポリヌクレオチドを安定的に保持する細胞株へのアデノウイルス感染を含み得る。いくつかの実施形態では、AAVベクター及びそのシステムからAAV粒子を産生する方法は、「ヘルパーフリー」方法であり得、これは、適切な産生細胞株を3つのベクター(例えば、プラスミドベクター):(1)2つのITRの間に対象とするポリヌクレオチド(例えば、操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド(複数可))を含有するAAVベクター;(2)AAV Rep-Capをコードするポリヌクレオチドを運ぶベクター;及びヘルパーポリヌクレオチドで共トランスフェクションすることを含む。当業者には、ヘルパー及びヘルパーフリーの両方の様々な方法及びその変形ならびに各システムの異なる利点が理解されよう。
【0333】
本明細書に記載される操作されたAAVベクター及びそのシステムは、これらの方法のいずれかによって産生され得る。
【0334】
ベクター及びウイルス粒子の送達
本明細書に記載されるベクター(非ウイルス担体を含む)は、宿主細胞中に導入され、それにより、本明細書に記載される核酸によってコードされる融合タンパク質またはペプチド(例えば、操作されたAAVカプシドシステム転写産物、タンパク質、酵素、その変異形態、その融合タンパク質など)を含む、転写産物、タンパク質、またはペプチド、及びウイルス粒子(ウイルスベクター及びそのシステムなどに由来する)が産生され得る。
【0335】
1つ以上の操作されたAAVカプシドポリヌクレオチドは、前述されているアデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルスまたは他のプラスミドもしくはウイルスベクター型を使用して、特に、例えば、米国特許第8,454,972号(アデノウイルスのための製剤、用量)、同第8,404,658号(AAVのための製剤、用量)及び同第5,846,946号(DNAプラスミドのための製剤、用量)ならびにレンチウイルス、AAV及びアデノウイルスを伴う臨床試験及び該臨床試験に関する刊行物からの製剤及び用量を使用して送達され得る。例えば、AAVの場合、投与経路、製剤及び用量は、米国特許第8,454,972号におけるもの及びAAVを伴う臨床試験にある通りであり得る。アデノウイルスの場合、投与経路、製剤及び用量は、米国特許第8,404,658号におけるもの及びアデノウイルスを伴う臨床試験にある通りであり得る。
【0336】
プラスミド送達の場合、投与経路、製剤及び用量は、米国特許第5,846,946号におけるもの及びプラスミドを含む臨床研究にある通りであり得る。いくつかの実施形態では、用量は、平均70kgの個体(例えば、成人男性)に基づき、またはそれに外挿され得、異なる体重及び種の患者、対象、哺乳動物に対して調整され得る。投与の頻度は、患者または対象の年齢、性別、全般的な健康、他の状態ならびに対処されている特定の状態または症状を含む通常の要因に応じて、医学的または獣医学的専門家(例えば、医師、獣医師)の技能の範囲内である。ウイルスベクターは、対象とする組織または細胞に注射され、またはそうでなければ送達され得る。
【0337】
in vivo送達の観点で、AAVは、毒性が低いこと(これは、免疫応答を活性化し得る細胞粒子の超遠心分離を必要としない精製方法に起因し得る)、及び宿主ゲノムに組み込まれないため挿入変異を生じる可能性が低いことなどのいくつかの理由から、他のウイルスベクターより有利である。
【0338】
本明細書に記載されるベクター(複数可)及びウイルス粒子は、in vitro、in vivo、及びまたはex vivoで宿主細胞中に送達され得る。送達は、限定はされないが、物理的方法、化学的方法、及び生物学的方法を含む任意の好適な方法によって行われ得る。物理的送達方法は、ベクターの細胞内送達を容易にするために細胞の膜障壁に対抗する物理的な力を用いる方法である。好適な物理的方法としては、針(例えば、注射)、バリスティックポリヌクレオチド(例えば、パーティクルボンバードメント、マイクロプロジェクタイル遺伝子導入、及び遺伝子銃)、エレクトロポレーション、ソノポレーション、フォトポレーション、マグネトフェクション、ハイドロポレーション、及び機械的マッサージが挙げられるがこれらに限定されない。化学的方法は、細胞膜透過性または細胞中へのベクターの進入を容易にする他の特性(複数可)の変化を引き起こす化学物質を用いる方法である。例えば、環境pHを変化させて、細胞膜の透過性の変化を引き起こし得る。生物学的方法は、細胞中へのベクターの輸送(担体を用いるまたは用いない)を容易にする宿主細胞の生物学的プロセスまたは生物学的特性に依存し、それを利用する方法である。例えば、ベクター及び/またはその担体は、細胞におけるエンドサイトーシスまたは同様のプロセスを刺激して、細胞中へのベクターの取り込みを容易にし得る。
【0339】
粒子を介した細胞への操作されたAAVカプシドシステムの構成要素(例えば、操作されたAAVカプシド及び/またはカプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチド)の送達。本明細書で使用される「粒子」という用語は、本明細書に記載される操作されたAAVカプシドシステムの構成要素を送達するための任意の好適なサイズの粒子を指す。好適なサイズは、マクロ、マイクロ、及びナノサイズの粒子を含む。いくつかの実施形態では、操作されたAAVカプシドシステムの構成要素(例えば、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、及びそれらの組合せ)のいずれかは、本明細書に記載される1つ以上の粒子またはその構成要素に結合され、連結され、それと統合され、そうでなければ会合され得る。次に、本明細書に記載される粒子は、適切な経路及び/または技術によって、細胞または生物に投与され得る。いくつかの実施形態では、粒子送達は、ポリヌクレオチドまたはベクター構成要素の送達のために選択され、そのような送達に有利であり得る。実施形態では、粒子送達はまた、本明細書の他の箇所に記載される他の操作されたカプシドシステム分子及び製剤に有利であり得ることが理解されるであろう。
【0340】
操作されたウイルスカプシドを含む操作されたウイルス粒子
また、本明細書では、本明細書の他の箇所でより詳細に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドを含有し得る操作されたウイルス粒子(engineered virus particle)(本明細書及び本明細書の他の箇所において「操作されたウイルス粒子(engineered viral particle)」とも称される)も記載される。操作されたAAVカプシドを有するウイルス粒子は、本明細書において操作されたAAV粒子と称される。操作されたウイルス(例えば、AAV)粒子は、前述されている少なくとも1つの操作されたAAVカプシドタンパク質を含有するアデノウイルスベース粒子、ヘルパーアデノウイルスベース粒子、AAVベース粒子、またはハイブリッドアデノウイルスベース粒子であり得ることが理解されるであろう。操作されたAAVカプシドは、本明細書の他の箇所に記載されるように1つ以上の操作されたAAVカプシドタンパク質を含有するものである。いくつかの実施形態では、操作されたAAV粒子は、本明細書に記載される1~60個の操作されたAAVカプシドタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態では、操作されたAAV粒子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60個の操作されたカプシドタンパク質を含有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたAAV粒子は、0~59個の野生型AAVカプシドタンパク質を含有し得る。いくつかの実施形態では、操作されたAAV粒子は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、または59個の野生型AAVカプシドタンパク質を含有し得る。したがって、操作されたAAV粒子は、前述されているように1つ以上のn量体インサートを含み得る。
【0341】
操作されたAAV粒子は、1つ以上のカーゴポリヌクレオチドを含み得る。カーゴポリヌクレオチドは、本明細書の他の箇所でより詳細に説明されている。ウイルス及び非ウイルスベクターから操作されたAAV粒子を作製する方法が、本明細書の他の箇所に記載される。操作されたウイルス粒子を含有する製剤が、本明細書の他の箇所に記載される。
【0342】
操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド、他のウイルス(例えば、AAV)ポリヌクレオチド(複数可)、及び/またはベクターポリヌクレオチドは、1つ以上のカーゴポリヌクレオチドを含有し得る。カーゴポリヌクレオチドは、1つ以上のポリペプチドをコードし得る。例示的なカーゴは、本明細書の他の箇所でより詳細に記載される。カーゴポリペプチドが記載される場合、それをコードするポリヌクレオチドは、この文脈において記載されるカーゴポリヌクレオチドであり得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、1つ以上のカーゴポリヌクレオチドは、操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド(複数可)に作動可能に連結され得、本発明のウイルス(例えば、AAV)システムの操作されたウイルス(例えば、AAV)ゲノムの一部であり得る。カーゴポリヌクレオチドは、操作されたウイルス(例えば、AAV)粒子にパッケージングされ得、これは、例えば、細胞に送達され得る。いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドは、それが送達される細胞のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子または転写産物)を改変することが可能であり得る。本明細書で使用される場合、「遺伝子」は、染色体上の特定の位置を占め、かつ生物における特性(複数可)または形質(複数可)についての遺伝子的指示を含有するDNAの配列に対応する遺伝性単位を指し得る。遺伝子という用語は、ゲノムの翻訳及び/または非翻訳領域を指し得る。「遺伝子」は、ポリペプチドに翻訳され得るか、または触媒RNA分子(tRNA、siRNA、piRNA、miRNA、長鎖非コードRNA及びshRNAが挙げられるがこれらに限定されない)となり得るRNA転写物へと転写されるDNAの特定の配列を指し得る。ポリヌクレオチド、遺伝子、転写物などの改変は、遺伝子編集及び従来の組換え遺伝子改変技術(例えば、全体的または部分的な遺伝子挿入、欠失、及び変異誘発(例えば、挿入及び欠失変異誘発)技術を含むがこれらに限定されないすべての遺伝子操作技術を含む。
【0343】
かかる操作されたウイルスカプシドを発現する操作された細胞及び生物
本明細書では、本明細書の他の箇所でより詳細に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、及び/またはベクターシステムの1つ以上を含み得る操作された細胞が記載される。いくつかの実施形態では、操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドの1つ以上は、操作された細胞において発現され得る。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、本明細書の他の箇所に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドタンパク質及び/または操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシド粒子を産生することが可能であり得る。また、本明細書では、本明細書に記載される1つ以上の操作された細胞を含み得る改変されたまたは操作された生物も記載される。操作された細胞は、本明細書の他の箇所に記載される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドに依存してまたはそれとは独立してカーゴ分子(例えば、カーゴポリヌクレオチド)を発現するように操作され得る。
【0344】
多種多様な動物、植物、藻類、真菌、酵母など及び動物、植物、藻類、真菌、酵母細胞または組織システムが、本明細書の他の箇所に記載される様々な形質転換方法を用いて、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上の核酸構築物を発現するように操作され得る。これは、操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシド粒子を産生することができる生物を、例えば、生産目的で、操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシドの設計及び/または生成、及び/またはモデル生物のために産生し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上の構成要素をコードするポリヌクレオチド(複数可)は、植物、動物、藻類、真菌、及び/または酵母または組織システムの1つ以上の細胞に安定的にまたは一過性に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムポリヌクレオチドの1つ以上は、植物、動物、藻類、真菌、及び/または酵母または組織システムの1つ以上の細胞中にゲノム的に組み込まれる。改変生物及びシステムのさらなる実施形態が、本明細書の他の箇所に記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムの1つ以上の構成要素は、植物、動物、藻類、真菌、酵母、または組織システムの1つ以上の細胞において発現される。
【0345】
操作された細胞
本明細書では、本明細書の他の箇所に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステムポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、及び/またはベクターシステムの1つ以上を含み得る操作された細胞の様々な実施形態が記載される。いくつかの実施形態では、細胞は、操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチドの1つ以上を発現し得、1つ以上の操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシド粒子を産生し得、これは本明細書でより詳細に記載される。このような細胞は、本明細書において「産生細胞」とも称される。これらの操作された細胞は、細胞が操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシド粒子または本明細書に記載される他の粒子を産生することを可能にする本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドベクターまたは他のベクターのうちの1つ以上を含まない限り、改変細胞は必ずしも産生細胞ではない(すなわち、操作されたウイルス(例えば、AAV)粒子を作製しない)という点で、本明細書の他の箇所に記載される「改変細胞」とは異なることが理解されよう。改変細胞は、操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシド粒子のレシピエント細胞であり得、いくつかの実施形態では、レシピエント細胞に送達される操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシド粒子(複数可)及び/またはカーゴポリヌクレオチドによって改変され得る。改変細胞は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明されている。改変という用語は、レシピエント細胞であることに依存しない細胞の改変に関連して使用することができる。例えば、単離された細胞は、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシド分子を受容する前に改変され得る。
【0346】
一実施形態では、本発明は、非ヒト真核生物、例えば、記載の実施形態のいずれかに従って本明細書に記載される操作された送達システムの1つ以上の構成要素を含有する真核生物宿主細胞といった多細胞真核生物を提供する。他の実施形態では、本発明は、真核生物、好ましくは、記載の実施形態のいずれかに従って本明細書に記載される操作された送達システムの1つ以上の構成要素を含有する真核生物宿主細胞を含む多細胞真核生物を提供する。いくつかの実施形態では、生物は、ウイルス(例えば、AAV)の宿主である。
【0347】
特定の実施形態では、得られる植物、藻類、真菌、酵母など、細胞、または部分は、細胞のすべてまたは部分のゲノムに組み込まれる外因性DNA配列を含むトランスジェニック植物である。
【0348】
操作された細胞は、原核細胞であり得る。原核細胞は、細菌細胞であり得る。原核細胞は、古細菌細胞であり得る。細菌細胞は、任意の好適な細菌細胞であり得る。好適な細菌細胞は、Escherichia、Bacillus、Lactobacillus、Rhodococcus、Rodhobacter、Synechococcus、Synechoystis、Pseudomonas、Psedoaltermonas、Stenotrophamonas、及びStreptomyces属に由来し得る。好適な細菌細胞としては、Escherichia coli細胞、Caulobacter crescentus細胞、Rodhobacter sphaeroides細胞、Psedoaltermonas haloplanktis細胞が挙げられるがこれらに限定されない。好適な細菌株としては、BL21(DE3)、DL21(DE3)-pLysS、BL21 Star-pLysS、BL21-SI、BL21-AI、Tuner、Tuner pLysS、Origami、Origami B pLysS、Rosetta、Rosetta pLysS、Rosetta-gami-pLysS、BL21 CodonPlus、AD494、BL2trxB、HMS174、NovaBlue(DE3)、BLR、C41(DE3)、C43(DE3)、Lemo21(DE3)、Shuffle T7、ArcticExpress及びArticExpress(DE3)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0349】
操作された細胞は、真核細胞であり得る。真核細胞は、植物、あるいは哺乳動物、例えば、限定はされないが、ヒト、または本明細書で論じられる非ヒト真核生物または動物または哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、家畜、または非ヒト哺乳動物もしくは霊長類などの特定の生物のものであるかまたはそれに由来し得る。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、細胞株であり得る。細胞株の例としては、C8161、CCRF-CEM、MOLT、mIMCD-3、NHDF、HeLa-S3、Huh1、Huh4、Huh7、HUVEC、HASMC、HEKn、HEKa、MiaPaCell、Panc1、PC-3、TF1、CTLL-2、C1R、Rat6、CV1、RPTE、A10、T24、J82、A375、ARH-77、Calu1、SW480、SW620、SKOV3、SK-UT、CaCo2、P388D1、SEM-K2、WEHI-231、HB56、TIB55、Jurkat、J45.01、LRMB、Bcl-1、BC-3、IC21、DLD2、Raw264.7、NRK、NRK-52E、MRC5、MEF、Hep G2、HeLa B、HeLa T4、COS、COS-1、COS-6、COS-M6A、BS-C-1サル腎臓上皮、BALB/3T3マウス胚線維芽細胞、3T3 Swiss、3T3-L1、132-d5ヒト胎児線維芽細胞、10.1マウス線維芽細胞、293-T、3T3、721、9L、A2780、A2780ADR、A2780cis、A172、A20、A253、A431、A-549、ALC、B16、B35、BCP-1細胞、BEAS-2B、bEnd.3、BHK-21、BR 293、BxPC3、C3H-10T1/2、C6/36、Cal-27、CHO、CHO-7、CHO-IR、CHO-K1、CHO-K2、CHO-T、CHO Dhfr-/-、COR-L23、COR-L23/CPR、COR-L23/5010、COR-L23/R23、COS-7、COV-434、CML T1、CMT、CT26、D17、DH82、DU145、DuCaP、EL4、EM2、EM3、EMT6/AR1、EMT6/AR10.0、FM3、H1299、H69、HB54、HB55、HCA2、HEK-293、HeLa、Hepa1c1c7、HL-60、HMEC、HT-29、Jurkat、JY細胞、K562細胞、Ku812、KCL22、KG1、KYO1、LNCap、Ma-Mel 1-48、MC-38、MCF-7、MCF-10A、MDA-MB-231、MDA-MB-468、MDA-MB-435、MDCK II、MDCK II、MOR/0.2R、MONO-MAC 6、MTD-1A、MyEnd、NCI-H69/CPR、NCI-H69/LX10、NCI-H69/LX20、NCI-H69/LX4、NIH-3T3、NALM-1、NW-145、OPCN/OPCT細胞株、Peer、PNT-1A/PNT 2、RenCa、RIN-5F、RMA/RMAS、Saos-2細胞、Sf-9、SkBr3、T2、T-47D、T84、THP1細胞株、U373、U87、U937、VCaP、Vero細胞、WM39、WT-49、X63、YAC-1、YAR、及びそれらのトランスジェニック変種が挙げられるがこれらに限定されない。細胞株は、当業者に公知の様々な供給源から入手可能である(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas,Va.)参照)。
【0350】
いくつかの実施形態では、操作された細胞は、心筋細胞、骨細胞、血液細胞、免疫細胞(B細胞、マクロファージ、T細胞、CAR-T細胞などを含むがこれらに限定されない)、腎臓細胞、膀胱細胞、肺細胞、心臓細胞、肝臓細胞、脳細胞、ニューロン、皮膚細胞、胃細胞、神経支持細胞、腸細胞、上皮細胞、内皮細胞、幹細胞または他の前駆細胞、副腎細胞、軟骨細胞、及びそれらの組合せである。
【0351】
いくつかの実施形態では、操作された細胞は、真菌細胞であり得る。本明細書で使用される場合、「真菌細胞」は、真菌界に含まれる任意の型の真核細胞を指す。真菌界の門は、Ascomycota、Basidiomycota、Blastocladiomycota、Chytridiomycota、Glomeromycota、Microsporidia、及びNeocallimastigomycotaを含む。真菌細胞は、酵母、カビ、及び糸状菌を含み得る。いくつかの実施形態では、真菌細胞は、酵母細胞である。
【0352】
本明細書で使用される場合、「酵母細胞」」という用語は、Ascomycota門及びBasidiomycota門に含まれる任意の真菌細胞を指す。酵母細胞は、出芽酵母細胞、分裂酵母細胞、及びカビ細胞を含み得る。これらの生物に限定に限らず、研究室及び工業環境で使用される多くのタイプの酵母は、Ascomycota門に属する。いくつかの実施形態では、酵母細胞は、S.cerevisiae、Kluyveromyces marxianus、またはIssatchenkia orientalis細胞である。他の酵母細胞としては、Candida spp.(例えば、Candida albicans)、Yarrowia spp.(例えば、Yarrowia lipolytica)、Pichia spp.(例えば、Pichia pastoris)、Kluyveromyces spp.(例えば、Kluyveromyces lactis及びKluyveromyces marxianus)、Neurospora spp.(例えば、Neurospora crassa)、Fusarium spp.(例えば、Fusarium oxysporum)、及びIssatchenkia spp.(例えば、Issatchenkia orientalis、別名Pichia kudriavzevii及びCandida acidothermophilum)が挙げられ得るがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、真菌細胞は、糸状真菌細胞である。本明細書で使用される場合、「糸状真菌細胞」という用語は、糸状体、すなわち、菌糸または菌糸体に生長する任意のタイプの真菌細胞を指す。糸状真菌細胞の例としては、Aspergillus spp.(例えば、Aspergillus niger)、Trichoderma spp.(例えば、Trichoderma reesei)、Rhizopus spp.(例えば、Rhizopus oryzae)、及びMortierella spp.(例えば、Mortierella isabellina)が挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0353】
いくつかの実施形態では、真菌細胞は、工業用菌株である。本明細書で使用される場合、「工業用菌株」とは、工業的プロセス、例えば、商業的または工業的規模での製品の生産において使用されるまたはそれから単離した真菌細胞の任意の菌株を指す。工業用菌株は、典型的には工業的プロセスにおいて使用される真菌種を指す場合もあれば、非工業的目的(例えば、実験室研究)のためにも使用され得る真菌種の分離株を指す場合もある。工業的プロセスの例としては、発酵(例えば、食料または飲料製品の生産におけるもの)、蒸留、バイオ燃料の生産、化合物の生産、及びポリペプチドの生産を挙げられ得る。工業用菌株の例としては、限定されないが、JAY270及びATCC4124を挙げることができる。
【0354】
いくつかの実施形態では、真菌細胞は、倍数体細胞である。本明細書で使用される場合、「倍数体」細胞とは、ゲノムが複数のコピーで存在する任意の細胞を指し得る。倍数体細胞は、倍数体状態で天然に見られる細胞型を指す場合もあれば、倍数体状態で存在するように誘導された(例えば、減数分裂、細胞質分裂、またはDNA複製の特定の制御、変化、不活性化、活性化、または改変を介して)細胞を指す場合もある。倍数体細胞は、ゲノム全体が倍数体である細胞を指す場合もあれば、対象とする特定のゲノム遺伝子座において倍数体である細胞を指す場合もある。
【0355】
いくつかの実施形態では、真菌細胞は、二倍体細胞である。本明細書で使用される場合、「二倍体」細胞とは、ゲノムが2つのコピーで存在する任意の細胞を指し得る。二倍体細胞は、二倍体状態で天然に見られる細胞型を指す場合もあれば、二倍体状態で存在するように誘導された(例えば、減数分裂、細胞質分裂、またはDNA複製の特定の制御、変化、不活性化、活性化、または改変を介して)細胞を指す場合もある。例えば、S.cerevisiae株S228Cは、単数体または二倍体状態で維持され得る。二倍体細胞は、ゲノム全体が二倍体である細胞を指す場合もあれば、対象とする特定のゲノム遺伝子座において二倍体である細胞を指す場合もある。いくつかの実施形態では、真菌細胞は、単数体細胞である。本明細書で使用される、「単数体」細胞とは、ゲノムが1つのコピーで存在する任意の細胞を指し得る。単数体細胞は、単数体状態で天然に見られる細胞型を指す場合もあれば、(例えば、減数分裂、細胞質分裂、またはDNA複製の特定の制御、変化、不活性化、活性化、または改変を介して)単数体状態で存在するように誘導された細胞を指す場合もある。例えば、S.cerevisiae株S228Cは、単数体または二倍体状態で維持され得る。単数体細胞は、ゲノム全体が単数体である細胞を指す場合もあれば、対象とする特定のゲノム遺伝子座において単数体である細胞を指す場合もある。
【0356】
いくつかの実施形態では、操作された細胞は、対象から得られた細胞である。いくつかの実施形態では、対象は、健康または非罹患対象である。いくつかの実施形態では、対象は、操作された標的化部位、ポリペプチド、ベクター、ウイルス(例えば、AAV)カプシド粒子が産生される際に、それが所望の生理学的及び/または生物学的特性に関連し得る及び/または所望の生理学的及び/または生物学的特性を改変することが可能であり得る1つ以上のカーゴポリヌクレオチドをパッケージングし得るように、所望の生理学的及び/または生物学的特性を有する対象である。したがって、産生された操作されたウイルス(例えば、AAV)または他の粒子のカーゴポリヌクレオチドは、所望の特性をレシピエント細胞に移すことが可能であり得る。いくつかの実施形態では、カーゴポリヌクレオチドは、操作された細胞が所望の生理学的及び/または生物学的特性を有するように、操作された細胞のポリヌクレオチドを改変することが可能である。
【0357】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のベクターでトランスフェクトされた細胞が、1つ以上のベクター由来配列を含む新たな細胞株を確立するために使用される。
【0358】
操作された細胞は、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド、ベクター、及び/または粒子を産生するために使用され得る。いくつかの実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドポリヌクレオチド、ベクター、及び/または粒子は、産生され、採取され、及び/またはそれを必要とする対象に送達される。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、対象に送達される。操作された細胞の他の使用は、本明細書の他の箇所に記載されている。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、本明細書の他の箇所に記載されている製剤及び/またはキットに含まれ得る。
【0359】
操作された細胞は、後の使用のために短期間または長期間保存され得る。好適な保存方法は、当該技術分野において一般に公知である。さらに、後の使用のために保存された細胞を復元する方法(例えば、解凍、再構成、及びそうでなければ保存後の操作された細胞において代謝を刺激すること)もまた、当該技術分野で一般に知られている。
【0360】
製剤
操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシドシステム、操作された細胞、操作されたウイルス(例えば、AAV)粒子、及び/またはそれらの組合せの構成要素(複数可)は、対象または細胞に送達され得る製剤に含まれ得る。いくつかの実施形態では、製剤は、医薬製剤である。本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上は、それを必要とする対象または細胞に、単独でまたは医薬製剤中などで有効成分として提供され得る。そのため、本明細書では、ある量の本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、またはそれらの組合せの1つ以上を含有する医薬製剤も記載される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、有効量の本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上を含有し得る。本明細書に記載される医薬製剤は、それを必要とする対象または細胞に投与され得る。
【0361】
いくつかの実施形態では、医薬製剤に含まれる本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、ウイルス粒子、ナノ粒子、他の送達粒子、及びそれらの組合せの1つ以上の量は、それを必要とする対象の体重または医薬製剤が投与され得る特定の患者集団の平均体重に基づいて、約1pg/kg~約10mg/kgの範囲であり得る。医薬製剤中の本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上の量は、約1pg~約10g、約10nL~約10mlの範囲であり得る。医薬製剤が1つ以上の細胞を含有する実施形態では、その量は、約1個の細胞~1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010個またはそれ以上の細胞の範囲であり得る。医薬製剤が1つ以上の細胞を含有する実施形態では、その量は、nL、μL、mL、またはL当たり、約1個の細胞~1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010個またはそれ以上の細胞の範囲であり得る。
【0362】
実施形態では、操作されたAAVカプシド粒子が製剤に含まれ、該製剤は、1個~1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017、1×1018、1×1019、または1×1020個の形質導入単位(TU)/mLの操作されたAAVカプシド粒子を含有し得る。いくつかの実施形態では、製剤は、体積が0.1~100mLであり得、1個~1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017、1×1018、1×1019、または1×1020個の形質導入単位(TU)/mLの操作されたAAVカプシド粒子を含有し得る。
【0363】
薬学的に許容される担体及び補助成分及び薬剤
実施形態では、ある量の本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、ウイルス粒子、ナノ粒子、他の送達粒子、及びそれらの組合せの1つ以上を含有する医薬製剤は、薬学的に許容される担体をさらに含み得る。好適な薬学的に許容される担体としては、活性な組成物と有害に反応しない、水、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物、例えばラクトース、アミロースまたはデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0364】
医薬製剤は、滅菌することができ、所望により、補助剤、例えば、活性な組成物と有害に反応しない、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、香味剤及び/または芳香物質などと混合され得る。
【0365】
ある量の本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、操作されたウイルス(例えばAAV)カプシド、ウイルス(例えばAAV)または他の粒子、ナノ粒子、他の送達粒子、及びそれらの組合せの1つ以上に加えて、医薬製剤は、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体、アプタマー、リボザイム、ホルモン、免疫調節剤、解熱剤、抗不安薬、抗精神病薬、鎮痛剤、鎮痙薬、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗感染薬、化学療法薬、及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない有効量の補助活性剤も含み得る。
【0366】
本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、組成物、ベクター、細胞、ウイルス粒子、ナノ粒子、他の送達粒子、及びそれらの組合せの1つ以上に加えて、医薬製剤に含まれる補助活性剤が存在する実施形態では、補助活性剤の量、例えば有効量は、補助活性剤に応じて変化する。いくつかの実施形態では、補助活性剤の量は、0.001マイクログラム~約1ミリグラムの範囲である。他の実施形態では、補助活性剤の量は、約0.01IU~約1000IUの範囲である。さらなる実施形態では、補助活性剤の量は、0.001mL~約1mLの範囲である。また他の実施形態では、補助活性剤の量は、総医薬製剤の約1%w/w~約50%w/wの範囲である。さらなる実施形態では、補助活性剤の量は、総医薬製剤の約1%v/v~約50%v/vの範囲である。さらに他の実施形態では、補助活性剤の量は、総医薬製剤の約1%w/v~約50%w/vの範囲である。
【0367】
剤形
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬製剤は、剤形であり得る。剤形は、任意の適切な経路による投与のために適合させることができる。適切な経路としては、経口(頬側または舌下を含む)、直腸、硬膜外、頭蓋内、眼内、吸入、鼻腔内、局所(口腔、舌下、または経皮を含む)、膣内、尿道内、非経口、頭蓋内、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、皮内、骨内、心臓内、関節内、海綿体内、髄腔内、硝子体内、脳内、歯肉、歯肉縁下、脳室内、及び皮内が挙げられるがこれらに限定されない。このような製剤は、当該技術分野において公知の任意の方法によって調製され得る。
【0368】
経口投与に適合された剤形は、個別の投薬量単位、例えば、カプセル、ペレットもしくは錠剤、粉末もしくは顆粒、溶液、または水性もしくは非水性液体中の懸濁液;食用のフォームもしくはホイップ、または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンであり得る。いくつかの実施形態では、経口投与に適合された医薬製剤はまた、医薬製剤を風味付け、保存し、着色し、またはその分散を補助する1つ以上の薬剤を含む。経口投与のために調製された剤形はまた、フォーム、スプレー、または液体溶液として送達され得る液体溶液の形態であり得る。いくつかの実施形態では、経口剤形は、標的化エフェクター融合タンパク質及び/またはその複合体または本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上を含有する組成物の治療有効量またはその適切な画分を含有する約1ng~1000gの医薬製剤を含有し得る。経口剤形は、それを必要とする対象に投与され得る。
【0369】
適切な場合には、本明細書に記載される剤形は、マイクロカプセル化され得る。
【0370】
剤形はまた、任意の成分の放出を延長または持続させるように調製され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上は、放出が遅延する成分であり得る。他の実施形態では、任意選択で含まれる補助成分の放出が遅延される。成分の放出を遅延させるための好適な方法としては、ポリマー、ワックス、ゲルなどの中の材料に成分をコーティングまたは埋め込むことが挙げられるがこれらに限定されない。遅延放出剤形は、標準的な参考文献、例えば、“Pharmaceutical dosage form tablets,”eds.Liberman et.al.(New York,Marcel Dekker,Inc.,1989)、“Remington-The science and practice of pharmacy”,20th ed.,Lippincott Williams&Wilkins,Baltimore,MD,2000、及び“Pharmaceutical dosage forms and drug delivery systems”,6th Edition,Ansel et al.,(Media,PA:Williams and Wilkins,1995)に記載されているように調製され得る。これらの参考文献は、錠剤及びカプセル、ならびに錠剤及びペレット、カプセル、ならびに顆粒の遅延放出剤形を調製するための賦形剤、材料、装置、及びプロセスに関する情報を提供する。遅延放出は、約1時間~約3ヶ月またはそれ以上の範囲であり得る。
【0371】
好適なコーティング材料の例としては、セルロースポリマー、例えば、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;ポリビニルアセテートフタレート、アクリル酸ポリマー及びコポリマー、ならびにEUDRAGIT(登録商標)(Roth Pharma,Westerstadt,Germany)の商品名で市販されているメタクリル樹脂、ゼイン、シェラック、ならびに多糖類が挙げられるがこれらに限定されない。
【0372】
コーティングは、水不溶性/水溶性非ポリマー性賦形剤を用いてまたは用いずに、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、及び/またはpH依存性ポリマーの異なる比率で形成され得、所望の放出プロファイルをもたらす。コーティングは、錠剤(コーティングビーズを含むまたは含まない圧縮錠)、カプセル(コーティングビーズを含むまたは含まない)、ビーズ、粒子組成物、限定されないが懸濁液形態としてまたはスプリンクル剤形として製剤化された「そのままの成分」が含まれるがこれらに限定されない剤形(マトリックスまたは単体)のいずれかに対して行われる。
【0373】
局所投与に適合された剤形は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油として製剤化され得る。眼または他の外部組織、例えば口または皮膚の処置のためのいくつかの実施形態では、医薬製剤は、局所軟膏またはクリームとして適用される。軟膏に製剤化される場合、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上は、パラフィン系または水混和性軟膏基剤と共に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、有効成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を含むクリームとして製剤化され得る。口内の局所投与に適合された剤形は、ロゼンジ、トローチ、及び洗口液を含む。
【0374】
経鼻または吸入投与に適合された剤形は、エアロゾル、溶液、懸濁液滴、ゲル、または乾燥粉末を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上は、微粒子化(micronization)によって得られるまたは得ることができる低粒径化形態で、吸入に適合された剤形に含まれる。いくつかの実施形態では、低粒径化された(例えば、微粒子化された)化合物またはその塩もしくは溶媒和物の粒径は、当該技術分野において公知の適切な方法によって測定される約0.5~約10ミクロンのD50値によって定義される。吸入による投与に適合された剤形は、粒子ダストまたはミストも含む。担体または賦形剤が鼻腔スプレーまたは点鼻薬として投与するための液体である好適な剤形は、有効成分(例えば、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上及び/または補助活性剤)の水性または油性溶液/懸濁液を含み、これは、様々なタイプの定量式加圧エアロゾル、ネブライザー、または吹送器によって生成され得る。
【0375】
いくつかの実施形態では、剤形は、吸入による投与に好適なエアロゾル製剤であり得る。これらの実施形態のいくつかでは、エアロゾル製剤は、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上の溶液または微細懸濁液、ならびに薬学的に許容される水性または非水性溶媒を含有し得る。エアロゾル製剤は、密閉容器中に滅菌形態で、単回用量または複数回用量の分量で提供され得る。これらの実施形態のいくつかでは、密閉容器は、定量弁を備えた単回用量または複数回用量の鼻腔内またはエアロゾルディスペンサー(例えば、定量式吸入器)であり、これは、容器の内容物が使い果たされた後に廃棄されることが意図される。
【0376】
エアロゾル剤形が、エアロゾルディスペンサーに含まれる場合、ディスペンサーは、圧縮空気、二酸化炭素、またはハイドロフルオロカーボンを含むがこれに限定されない有機噴射剤などの、圧力下にある好適な噴射剤を含む。他の実施形態におけるエアロゾル製剤剤形は、ポンプ式アトマイザーに含まれる。加圧エアロゾル製剤は、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上の溶液または懸濁液も含有し得る。さらなる実施形態では、エアロゾル製剤は、例えば、製剤の安定性及び/または味及び/または微粒子質量特性(量及び/またはプロファイル)を改善するために組み込まれた共溶媒及び/または改変剤も含有し得る。エアロゾル製剤の投与は、1日1回または1日数回、例えば1日2、3、4、もしくは8回であり得、その場合、1回に1、2、または3用量が送達される。
【0377】
吸入投与に好適な及び/または適合された、いくつかの剤形では、医薬製剤は、乾燥粉末吸入可能製剤である。本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上、補助有効成分、及び/またはその薬学的に許容される塩に加えて、このような剤形は、ラクトース、グルコース、トレハロース、マンニトール、及び/またはデンプンなどの粉末基剤を含有し得る。これらの実施形態のいくつかでは、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上は、低粒径化された形態である。さらなる実施形態では、性能改変剤、例えば、L-ロイシンまたは別のアミノ酸、セロビオースオクタアセテート、及び/またはステアリン酸の金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム。
【0378】
いくつかの実施形態では、エアロゾル剤形は、エアロゾルの各定量用量が、所定の量の有効成分、例えば、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上の1つ以上を含有するように構成され得る。
【0379】
膣内投与に適合された剤形は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供され得る。直腸投与に適合された剤形は、坐薬または浣腸を含む。
【0380】
非経口投与に適合された及び/または任意のタイプの注射(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、皮内、骨内、硬膜外、心臓内、関節内、海綿体内、歯肉、歯肉縁下、髄腔内、硝子体内、脳内、及び脳室内)に適合された剤形は、水性及び/または非水性滅菌注射溶液を含むことができ、これは、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、組成物を対象の血液と等張にする溶質、ならびに水性及び非水性滅菌懸濁液(懸濁化剤及び増粘剤を含み得る)を含有し得る。非経口投与に適合された剤形は、密閉アンプルまたはバイアルを含むがこれらに限定されない単回単位用量または複数回単位用量容器中で提供され得る。用量は、凍結乾燥され、滅菌担体に再懸濁され、投与前に用量が再構成され得る。即席注射溶液及び懸濁液は、いくつかの実施形態では、滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製され得る。
【0381】
眼内投与に適合された剤形は、任意選択で注射に適合され得、任意選択で酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、組成物を眼またはそれに含まれるもしくは対象の眼の周りにある流体と等張にする溶質、ならびに水性及び非水性滅菌懸濁液(懸濁化剤及び増粘剤を含み得る)を含有し得る水性及び/または非水性滅菌溶液を含み得る。
【0382】
いくつかの実施形態では、剤形は、単位用量当たり所定の量の本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上を含有する。したがって、いくつかの実施形態では、このような単位用量の所定の量は、1日1回または2回以上投与され得る。このような医薬製剤は、当該技術分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。
【0383】
キット
また、本明細書では、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または他の構成要素、及びそれらの組合せの1つ以上の1つ以上と、本明細書に記載される医薬製剤とを含むキットも記載されている。実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上を、組合せキットとして提供することができる。本明細書で使用される場合、「組合せキット」または「キット・オブ・パーツ」という用語は、その中に含まれる要素の組合せまたは単一の要素、例えば有効成分の包装、スクリーニング、試験、販売、流通、送達、及び/または投与に使用される化合物、または製剤、ならびにさらなる構成要素を指す。このようなさらなる構成要素は、限定はされないが、梱包材料、シリンジ、ブリスターパッケージ、ボトルなどを含む。組合せキットは、構成要素の1つ以上(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及びそれらの組合せの1つ以上の1つ以上)またはその製剤を含有し得、単一の製剤(例えば、液体、凍結乾燥粉末など)または別個の製剤中で提供され得る。別個の構成要素または製剤は、キット内の単一のパッケージまたは別個のパッケージに含まれ得る。キットはまた、その中に含まれる構成要素及び/または製剤の内容に関する情報及び/または指示、その中に含まれる構成要素(複数可)及び/または製剤(複数可)の内容に関する安全情報、その中に含まれる構成要素(複数可)及び/または製剤についての量、投与量、適用、スクリーニング方法、構成要素設計の推奨事項及び/または情報、推奨される治療レジメン(複数可)に関する情報を含み得る有形の表現媒体での指示書も含むことができる。本明細書で使用される場合、「有形の表現媒体」は、物理的に有形またはアクセス可能な媒体を指し、単なる抽象的思考または記録されていない話し言葉ではない。「有形の表現媒体」としては、限定はされないが、セルロースまたはプラスチック材料上の文字、または好適なコンピュータ可読メモリ形態で保存されたデータが挙げられる。データは、フラッシュメモリドライブもしくはCD-ROMなどのユニットデバイスに、または例えば、ウェブインターフェースを介してユーザによってアクセス可能なサーバに保存され得る。
【0384】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載される構成要素の1つ以上を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、ベクターシステム、及びキットを使用するための指示書を含む。いくつかの実施形態では、ベクターシステムは、本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)送達システムポリヌクレオチドに作動可能に連結された調節エレメント、及び、任意選択で、調節エレメントに任意選択で作動可能に連結され得るカーゴ分子を含む。1つ以上の操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)送達システムポリヌクレオチドは、キット内にカーゴ分子を含有する実施形態において本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)送達システムによって送達可能なカーゴ分子と同じまたは異なるベクターに含まれ得る。
【0385】
いくつかの実施形態では、キットは、ベクターシステム、及びキットを使用するための指示書を含む。いくつかの実施形態では、ベクターシステムは、(a)ダイレクトリピート配列に作動可能に連結される第1の調節エレメント、及び該ダイレクトリピート配列の上流または下流(いずれか適用可能な方)に1つ以上のガイド配列を挿入するための1つ以上の挿入部位(発現されると、該ガイド配列は、真核細胞内の標的配列へのCas9 CRISPR複合体の配列特異的結合を指示し、該Cas9 CRISPR複合体は、該標的配列にハイブリダイズされるガイド配列と複合体形成するCas9酵素を含む);及び/または(b)核局在配列を含む該Cas9酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に連結される第2の調節エレメントを含む。適用可能である場合、tracr配列も提供され得る。いくつかの実施形態では、キットは、システムの同じまたは異なるベクターに位置する構成要素(a)及び(b)を含む。いくつかの実施形態では、構成要素(a)は、第1の調節エレメントに作動可能に連結される2つ以上のガイド配列をさらに含み、発現されると、該2つ以上のガイド配列の各々は、真核細胞内の異なる標的配列へのCRISPR複合体の配列特異的結合を指示する。いくつかの実施形態では、Cas9酵素は、真核細胞の核内に検出可能な量の該CRISPR酵素の蓄積を促進するのに十分な強度の1つ以上の核局在配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR酵素は、V型またはVI型CRISPRシステム酵素である。いくつかの実施形態では、CRISPR酵素は、Cas9酵素である。いくつかの実施形態では、Cas9酵素は、Francisella tularensis 1、Francisella tularensis subsp.novicida、Prevotella albensis、Lachnospiraceae bacterium MC2017 1、Butyrivibrio proteoclasticus、Peregrinibacteria bacterium GW2011_GWA2_33_10、Parcubacteria bacterium GW2011_GWC2_44_17、Smithella sp.SCADC、Acidaminococcus sp.BV3L6、Lachnospiraceae bacterium MA2020、Candidatus Methanoplasma termitum、Eubacterium eligens、Moraxella bovoculi 237、Leptospira inadai、Lachnospiraceae bacterium ND2006、Porphyromonas crevioricanis 3、Prevotella disiens、またはPorphyromonas macacae Cas9(例えば、少なくとも1つのDDを有するかまたはそれと会合されるように変更された)に由来し、Cas9のさらなる変更または変異を含んでもよく、キメラCas9であることも可能である。いくつかの実施形態では、DD-CRISPR酵素は、真核細胞における発現のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、DD-CRISPR酵素は、標的配列の位置で1本または2本の鎖の切断を指示する。いくつかの実施形態では、DD-CRISPR酵素は、DNA鎖切断活性を欠く、または実質的に欠く(例えば、野生型酵素、またはヌクレアーゼ活性を低下させる変異もしくは変更を有さない酵素と比較して5%以下のヌクレアーゼ活性)。いくつかの実施形態では、第1の調節エレメントは、ポリメラーゼIIIプロモーターである。いくつかの実施形態では、第2の調節エレメントは、ポリメラーゼIIプロモーターである。いくつかの実施形態では、ガイド配列は、少なくとも16、17、18、19、20、25ヌクレオチド、または16~30、または16~25、または16~20ヌクレオチド長である。
【0386】
使用方法
一般的な説明
本明細書に記載される心筋特異的標的化部位(例えば、操作された標的化部位システムポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター(複数可)、操作された細胞、操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシド、ならびにウイルス及び他の粒子)を含有する組成物は、一般に、1つ以上のカーゴポリヌクレオチドをレシピエント細胞へとパッケージング及び/または送達するのに使用され得る。いくつかの実施形態では、送達は、含まれる標的化部位(複数可)の特異性に基づいて細胞特異的に行われる。いくつかの実施形態では、細胞特異性は、前述されている標的化部位に含まれるn量体インサート(複数可)を介して与えられる。いくつかの実施形態では、送達は、操作されたウイルス(例えば、AAV)カプシドの指向性に基づいて細胞特異的に行われる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されている操作された標的化部位(複数可)、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシド、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、その組成物、及び/または細胞は、対象または細胞、組織、及び/または器官に投与され、レシピエント細胞へのカーゴポリヌクレオチドの移行及び/または組み込みを容易にし得る。他の実施形態では、操作された標的化部位(複数可)、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシド、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子及び/またはその組成物を産生することが可能な操作された細胞は、操作された標的化部位システム分子(例えば、ポリヌクレオチド、ベクター、及びベクターシステムなど)から生成され得る。いくつかの実施形態では、操作された標的化部位(複数可)、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシド、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子及び/またはその組成物は、対象または細胞、組織、及び/または器官に送達され得る。対象に送達される場合、それらの操作された送達システム分子(複数可)は、対象の細胞をin vivoまたはex vivoで形質転換して、操作された標的化部位(複数可)、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)カプシド、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子及び/またはその組成物(これは、操作された細胞から放出されて、カーゴ分子(複数可)をin vivoでレシピエント細胞に送達することができる)を作製することが可能であり得る操作された細胞を産生し得るか、またはレシピエント細胞を得た対象への再導入のためにパーソナライズされた操作されたポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)粒子、及び/または他の粒子を産生し得る。いくつかの実施形態では、操作された細胞は対象に送達され得、その場合、操作された細胞は、産生された操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)粒子、及び/または他の粒子を放出し得、その結果、次にカーゴ(例えば、カーゴポリヌクレオチド(複数可))がレシピエント細胞に送達され得る。これらの一般的なプロセスは、対象における疾患もしくはその症状を処置及び/または予防し、モデル細胞を生成し、改変生物を生成し、細胞選択及びスクリーニングアッセイを提供するための多様な方法において、バイオプロダクションにおいて、ならびに他の様々な用途において使用され得る。
【0387】
いくつかの実施形態では、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)粒子、及び/または他の粒子、ポリヌクレオチド、ベクター、及びそのシステムは、心筋細胞特異性などの所望の細胞特異性を有するバリアントのために利用され得る操作されたAAVカプシドバリアントライブラリーを生成するのに使用され得る。様々な実施例によって裏付けられる本明細書において提供される説明により、所望の細胞特異性を念頭に置いている者が、本明細書に記載される本発明を利用して、心筋特異性などの所望の細胞特異性を有するカプシドを得ることができるであろうことが実証され得る。
【0388】
治療薬
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された送達システム、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)粒子、及び/または他の粒子、ポリヌクレオチド、ベクター、そのシステム、操作された細胞、及び/またはその製剤の1つ以上の分子は、1つ以上の疾患の治療としてそれを必要とする対象に送達され得る。いくつかの実施形態では、処置される疾患は、遺伝性またはエピジェネティックベース疾患である。いくつかの実施形態では、処置される疾患は、遺伝性またはエピジェネティックベース疾患ではない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された送達システム、操作された標的化部位、ポリペプチド、ウイルス(例えば、AAV)粒子、及び/または他の粒子、ポリヌクレオチド、ベクター、及びそのシステム、操作された細胞、及び/またはその製剤の1つ以上の分子は、疾患の処置または予防として(または処置もしくは予防の一部として)それを必要とする対象に送達され得る。操作された細胞及び/または操作の送達によって処置及び/または予防される特定の疾患は、操作されたAAVカプシド粒子にパッケージングされるカーゴ分子に依存し得ることが理解されるであろう。
【0389】
一般に、本明細書に記載される組成物は、心臓疾患、障害、もしくはその症状、及び/またはその病態において心筋細胞を伴うか、そうでなければ心臓が関与する疾患もしくは障害を処置するための治療において使用され得る。心臓または心筋細胞の疾患または障害とは、その病態が、一次的病態の一部として、または二次的、三次的、もしくは他の病態の一部として、心臓の1つ以上の細胞型に関与または影響を及ぼす任意の疾患または障害を指すことが理解されよう。いくつかの実施形態では、心臓疾患または障害は、その一次的病態が、心臓、特に心筋の1つ以上の細胞型に関与するものである。いくつかの実施形態では、心臓以外の1つ以上の他の細胞型が心臓疾患の病態に関与している。いくつかの実施形態では、心臓疾患または障害は、CNS細胞及び/または骨格筋細胞などの別の細胞型の疾患または障害に続発する。いくつかの実施形態では、心臓、CNS、骨格筋の疾患または障害は、1つ以上の遺伝子異常によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、心臓、CNS、骨格筋の疾患または障害は、遺伝子異常によって引き起こされない。疾患の非遺伝的原因としては、感染症、がん、身体的外傷及び当業者によって理解される他の原因が挙げられる。疾患を処置するための遺伝子改変手法が、遺伝性疾患及び非遺伝性疾患の両方を処置及び/または予防するのに適用され得ることも理解されるであろう。例えば、非遺伝性疾患の場合、遺伝子治療手法を用いて非遺伝性疾患の原因(例えば、がんまたは感染性生物)を改変し、その原因がもはや疾患を引き起こさないようにすることができる(例えば、がん細胞または感染性生物を除去するかまたは非機能性にすることによって)。
【0390】
例示的な心筋疾患としては、心筋症(例えば、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、不整脈源性右室異形成、及び他の分類不能型心筋症)、たこつぼ症候群、アルコールもしくは他の薬物乱用に続発する心臓障害、冠動脈疾患、先天性心疾患、心筋梗塞、心臓弁膜症、不整脈、高血圧、心臓感染症、及びそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0391】
例示的なCNS疾患及び障害には、フリードライヒ運動失調症、ドラベ症候群、脊髄小脳失調症3型、ニーマン・ピック病C型、ハンチントン病、ポンペ病、筋強直性ジストロフィー1型、Glut1欠損症(De Vivo病)、テイ・サックス病、脊髄性筋萎縮症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ダノン病、レット症候群、アンジェルマン症候群、またはそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。他のものが、本明細書の他の箇所に記載され、及び/または本明細書において提供される説明を考慮して当業者によって理解されるであろう)。
【0392】
処置され得る遺伝性疾患は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明されている(例えば、以下の遺伝子改変ベースの治療法についての説明を参照)。他の疾患としては、限定はされないが、以下のもの:がん(例えば、膠芽腫または他の脳もしくはCNS癌)、Acubetivacter感染症、放線菌症、アフリカ睡眠病、AIDS/HIV、アメーバ症(ameobiasis)、アナプラズマ症、住血線虫症、アニサキス症、炭疽、Acranobacterium haemolyticum感染症、アルゼンチン出血熱、回虫症、アスペルギルス症、アストロウイルス感染症、バベシア症、細菌性髄膜炎、細菌性肺炎、細菌性膣炎、Bacteroides感染症、バランチジウム症、バルトネラ症、Baylisascaris感染症、BKウイルス感染症、黒色砂毛、ブラストシスティス症(Blastocytosis)、ブラストミセス症、ボリビア出血熱、ボツリヌス症、ブラジル出血熱、ブルセラ症、腺ペスト、Burkholderia感染症、ブルーリ潰瘍、カリシウイルス感染症、カンピロバクター感染症、カンジダ症、毛頭虫症、カリオン病、ネコひっかき病、蜂窩織炎、シャーガス病、軟性下疳、水痘、チクングニア、クラミジア、クラミジア肺炎、コレラ、黒色分芽菌症、ツボカビ症、肝吸虫症、Clostridium difficile大腸炎、コクシジオイデス症、コロラドダニ熱、ライノウイルス/コロナウイルス感染症(感冒)、クロイツフェルト・ヤコブ病、クリミア・コンゴ出血熱、クリプトコッカス症、クリプトスポリジウム症、皮膚幼虫移行症(CLM)、サイクロスポーラ症、嚢虫症、サイトメガロウイルス感染症、デング熱、Desmodesmus感染症、二核アメーバ症、ジフテリア、裂頭条虫症、メジナ虫症、エボラ、エキノコックス症、エーリキア症、蟯虫症、Enterococcus感染症、エンテロウイルス感染症、発疹チフス、伝染性紅斑、突発性発疹、肝蛭症、肥大吸虫症、致死性家族性不眠症、フィラリア症、Clostridum perfingens感染症、Fusobacterium感染症、ガス壊疽(クロストリジウム性筋壊死)、ジオトリクム症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、ジアルジア症、鼻疽、顎口虫症、淋病、鼠径肉芽腫、A群レンサ球菌感染症、B群レンサ球菌感染症、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症、手足口病、ハンタウイルス肺症候群、ハートランドウイルス病、helicobacter pylori感染症、腎症候性出血熱、ヘンドラウイルス感染症、肝炎(A、B、C、D、E型のすべての群)、単純ヘルペス、ヒストプラスマ症、鉤虫感染症、ヒトボカウイルス感染症、ヒトエーリキア症、ヒト顆粒球アナプラズマ症、ヒトメタニューモウイルス感染症、ヒト単球性エーリキア症、ヒトパピローマウイルス、膜様条虫症、エプスタイン・バー感染症、単核球症、インフルエンザ、イソスポーラ症、川崎病、Kingell kingae感染症、クールー病、ラッサ熱、Leginollosis(レジオネラ症及びポンティアック熱)、リーシュマニア症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、リンパ系フィラリア症、リンパ球性脈絡髄膜炎、マラリア、マールブルグ出血熱、麻疹、中東呼吸器症候群、類鼻疽、髄膜炎、髄膜炎菌感染症、メタゴニムス症、微胞子虫症、伝染性軟属腫、サル痘、ムンプス、発疹熱、マイコプラズマ肺炎、Mycoplasma genitalium感染症、菌腫、蝿蛆症、結膜炎、ニパウイルス感染症、ノロウイルス、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、ノカルジア症、オンコセルカ症、オピストルキス症、パラコクシジオイデス症、肺吸虫症、パスツレラ症、アタマジラミ(Pdiculosisi capitis)、コロモジラミ(Pediculosis corpis)、ケジラミ(Pediculosis pubis)、骨盤内炎症性疾患、百日咳、ペスト、肺炎球菌感染症、ニューモシスチス肺炎、肺炎、ポリオ、prevotella感染症、原発性アメーバ性髄膜脳炎、進行性多巣性白質脳症、オウム病、Q熱、狂犬病、回帰熱、呼吸器合胞体ウイルス感染症、ライノウイルス感染症、リケッチア感染症、リケッチア痘、リフトバレー熱、ロッキー山紅斑熱、ロタウイルス感染症、風疹、サルモネラ症、SARS、疥癬、猩紅熱、住血吸虫症、敗血症、細菌性赤痢、帯状疱疹、天然痘、スポロトリクム症、Staphlococcol感染症(MRSAを含む)、糞線虫症、亜急性硬化性全脳炎、梅毒、条虫症、破傷風、Trichophyton種感染症、トキソカラ症(Tocariasis)、トキソプラズマ症、トラコーマ、旋毛虫病、鞭虫症、結核、野兎病、腸チフス、発疹チフス、Ureaplasma urealyticum感染症、渓谷熱、ベネズエラウマ脳炎、ベネズエラ出血熱、Vibrio種感染症、ウイルス性肺炎、ウエストナイル熱、白色砂毛、仮性結核(Yersinia pseudotuberculosis)、エルシニア症、黄熱病、Zeaspora症、ジカ熱、接合菌症、及びそれらの組合せのいずれかが挙げられ得る。
【0393】
本発明の実施形態を用いて処置され得る他の疾患及び障害としては、限定はされないが、内分泌疾患(例えば、I型及びII型糖尿病、妊娠糖尿病、低血糖症、グルカゴノーマ、甲状腺腫、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、甲状腺癌、甲状腺ホルモン不応症、副甲状腺障害、骨粗鬆症、変形性骨炎、くる病、骨軟化症、下垂体機能低下症、下垂体腫瘍など)、感染性及び非感染性由来の皮膚疾患、感染性または非感染性由来の眼疾患、感染性または非感染性由来の胃腸疾患、感染性または非感染性由来の心血管疾患、感染性または非感染性由来の脳及び神経疾患、感染性または非感染性由来の神経系疾患、感染性または非感染性由来の筋疾患、感染性または非感染性由来の骨疾患、感染性または非感染性由来の生殖器系疾患、感染性または非感染性由来の腎臓系疾患、感染性または非感染性由来の血液疾患、感染性または非感染性由来のリンパ系疾患、感染性または非感染性由来の免疫系疾患、感染性または非感染性由来の精神疾患などが挙げられる。
【0394】
いくつかの実施形態では、処置される疾患は、心臓または心筋関連疾患または障害、例えば、遺伝性の心臓または心筋疾患または障害、あるいはCNS、骨格筋、及び/または神経筋疾患または障害などの非心臓疾患に続発するまたはそうでなければ関連する心臓または心筋の症状、疾患、または障害である。
【0395】
他の疾患及び障害が、当業者によって理解されるであろう。
【0396】
養子細胞療法
一般的に言えば、養子細胞移植は、対象への細胞(自己、同種、及び/または異種)の移植を含む。細胞は、対象への送達の前に改変及び/またはそうでなければ操作される場合もあれば、されない場合もある。操作は、1種以上の遺伝子改変剤による遺伝子改変を含み得る。例示的な遺伝子改変剤及びシステムは、本明細書の他の箇所でより詳細に記載され、当業者によって理解されるであろう。このような遺伝子または他の改変組成物またはシステムは、心筋特異的標的化部位を含有する本明細書に記載される組成物の1つ以上によって養子療法のために改変される細胞に送達され得る。
【0397】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された細胞は、養子細胞移植治療に含まれ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された細胞は、それを必要とする対象に送達され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、対象から単離され、それが本明細書に記載される操作されたAAVカプシド粒子を生成して操作された細胞を産生することが可能となるようにin vitroで操作され、自己移植により対象に戻されるか、または同種もしくは異種移植により異なる対象に送達され得る。単離、操作、及び/または送達される細胞は、真核細胞であり得る。単離、操作、及び/または送達される細胞は、幹細胞であり得る。単離、操作、及び/または送達される細胞は、分化した細胞であり得る。単離、操作、及び/または送達される細胞は、心筋細胞などの心臓細胞であり得る。他の特定の細胞型が、当業者によって即座に理解されるであろう。
【0398】
いくつかの実施形態では、単離された細胞は、本明細書の他の箇所に記載されるように操作された細胞になるように操作され得る(例えば、本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の操作された送達システム分子またはベクターを含有し、及び/または発現する)。このような操作された細胞を作製する方法は、本明細書の他の箇所でより詳細に記載される。
【0399】
遺伝子ドライブ
本発明はまた、1つ以上のカーゴポリヌクレオチドの送達、または遺伝子ドライブを生成することが可能な1つ以上のカーゴポリヌクレオチドを有する操作されたAAVカプシド粒子の産生によって遺伝子ドライブを生成するための、本明細書に記載される操作された送達システム分子、ベクター、操作された細胞、及び/または操作されたAAVカプシド粒子の使用を想定している。いくつかの実施形態では、遺伝子ドライブは、例えば、PCT特許出願公開WO2015/105928号に記載の遺伝子ドライブに類似するシステムにおける、Cas媒介性RNA誘導型遺伝子ドライブ、例えばCasがRNA誘導型遺伝子ドライブを提供するものであり得る。この種のシステムは、例えば、生殖系列細胞中に、RNA誘導型DNAヌクレアーゼ及び1つ以上のガイドRNAをコードする核酸配列を導入することによって、真核生物生殖系列細胞を変更するための方法を提供し得る。ガイドRNAは、生殖系列細胞のゲノムDNAにおける1つ以上の標的位置に相補的であるように設計され得る。RNA誘導型DNAヌクレアーゼをコードする核酸配列、及びガイドRNAをコードする核酸配列は、隣接配列の間の構築物上に提供され得、プロモーターは、同様に隣接配列の間に位置する任意の所望のカーゴコード配列と一緒に、生殖系列細胞がRNA誘導型DNAヌクレアーゼ及びガイドRNAを発現し得るように配置された。隣接配列は、典型的に、選択された標的染色体上の対応する配列と同一の配列を典型的に含み、それによって、隣接配列は、構築物によってコードされた構成要素と共に作用して、相同組換えなどの機構によって標的切断部位におけるゲノムDNAへの外来核酸構築物配列の挿入を促進し、生殖系列細胞を、外来核酸配列に対してホモ接合性にする。
【0400】
このように、遺伝子ドライブシステムは、繁殖集団全般にわたって所望のカーゴ遺伝子を遺伝子移入することを可能にする(Gantz et al.,2015,Highly efficient Cas9-mediated gene drive for population modification of the malaria vector mosquito Anopheles stephensi,PNAS 2015,published ahead of print November 23,2015,doi:10.1073/pnas.1521077112;Esvelt et al.,2014,Concerning RNA-guided gene drives for the alteration of wild populations eLife 2014;3:e03401)。選択された実施形態では、ゲノムにおける潜在的なオフターゲット部位がほとんどない標的配列が選択され得る。複数のガイドRNAを用いて標的遺伝子座内の複数の部位を標的とすることは、切断頻度を増加させ、ドライブ抵抗性対立遺伝子の進化を妨げ得る。切断型ガイドRNAはオフターゲット切断を減少させ得る。特異性をさらに高めるために、対形成されたニッカーゼを単一のヌクレアーゼの代わりに使用してもよい。遺伝子ドライブ構築物(例えば、遺伝子ドライブ操作された送達システム構築物)は、例えば相同組換え遺伝子を活性化するために、及び/または非相同の末端接合を抑制するために、転写調節因子をコードするカーゴ配列を含み得る。標的化部位は必須遺伝子内から選択され得、それにより非相同の末端接合事象が、ドライブ抵抗性対立遺伝子を生成するのではなく、致死性を引き起こし得る。遺伝子ドライブ構築物は、様々な温度で様々な宿主において機能するように操作され得る(Cho et al.2013,Rapid and Tunable Control of Protein Stability in Caenorhabditis elegans Using a Small Molecule,PLoS ONE 8(8):e72393.doi:10.1371/journal.pone.0072393)。
【0401】
移植及び異種移植
本明細書に記載される操作されたAAVカプシドシステム分子、ベクター、操作された細胞、及び/または操作された送達粒子は、カーゴポリヌクレオチドを送達するために使用することができ、及び/またはそうでなければ2人の異なるヒトの間での移植(移植)または種の間での移植(異種移植)のための組織の改変に関与することができる。トランスジェニック動物の生成のためのこのような技術が、本明細書の他の箇所に記載される。種間移植技術は、当該技術分野において一般に公知である。例えば、RNA誘導型DNAヌクレアーゼは、本明細書に記載される操作されたAAVカプシドポリヌクレオチド、ベクター、操作された細胞、及び/または操作されたAAVカプシド粒子を用いて送達することができ、例えば、ヒト免疫系によって認識されるエピトープをコードする遺伝子、すなわち異種抗原遺伝子の発現を破壊することによって、移植のための器官(例えばex vivoで(例えば採取後であるが、移植前)またはin vivoで(ドナーまたはレシピエント中))、動物、例えばトランスジェニックブタ(例えばヒトヘムオキシゲナーゼ-1トランスジェニックブタ株)において選択された遺伝子をノックアウト、ノックダウンまたは破壊するのに使用され得る。破壊のための候補ブタ遺伝子は、例えばα(l,3)-ガラクトシルトランスフェラーゼ及びシチジン一リン酸-N-アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ遺伝子(PCT特許公開WO2014/066505号を参照)を含み得る。さらに、内因性レトロウイルスをコードする遺伝子、例えばすべてのブタ内因性レトロウイルスをコードする遺伝子が破壊され得る(Yang et al.,2015,Genome-wide inactivation of porcine endogenous retroviruses(PERVs),Science 27 November 2015:Vol.350 no.6264 pp.1101-1104を参照)。さらに、RNA誘導型DNAヌクレアーゼは、ヒトCD55遺伝子などの異種移植ドナー動物におけるさらなる遺伝子の組み込みのための部位を標的とするのに使用され、超急性拒絶に対する保護を改善し得る。
【0402】
種間移植(例えば、ヒトからヒト)の場合、本明細書に記載される操作されたAAVカプシドシステム分子、ベクター、操作された細胞、及び/または操作された送達粒子は、カーゴポリヌクレオチドを送達するために使用することができ、及び/またはそうでなければ移植される組織を改変するために関与することができる。いくつかの実施形態では、改変には、1つ以上のHLA抗原または他の組織型決定基を改変することが含まれ得、それにより、免疫原性プロファイルがドナーの免疫原性プロファイルよりもレシピエントの免疫原性プロファイルに類似するかまたはそれと同一となり、レシピエントによる拒絶反応の発生が低減される。関連する組織型決定基は、当該技術分野において公知であり(例えば、器官適合性を決定するために使用されるもの)、免疫原性プロファイル(組織型決定基の発現シグネチャから構成される)を決定するための技術は、当該技術分野において一般に公知である。
【0403】
いくつかの実施形態では、ドナー(例えば、採取前)またはレシピエント(移植後)は、移植された細胞、組織、及び/または器官の免疫原性プロファイルを改変することが可能な本明細書に記載される操作されたAAVカプシドシステム分子、ベクター、操作された細胞、及び/または操作された送達粒子のうちの1つ以上を投与され得る。いくつかの実施形態では、移植された細胞、組織、及び/または器官はドナーから採取することができ、レシピエントに移植された場合に、該採取された細胞、組織、及び/または器官を、例えば、免疫原性が低下するようにまたは何らかの特定の特性を有するように改変されるように改変することが可能な本明細書に記載される操作されたAAVカプシドシステム分子、ベクター、操作された細胞、及び/または操作された送達粒子は、採取された細胞、組織、及び/または器官にex vivoで送達され得る。送達後、細胞、組織、及び/または器官は、ドナーに移植され得る。
【0404】
遺伝子改変、及び心臓に影響を及ぼす遺伝的またはエピジェネティックな具現化(embodiment)を有する疾患の処置
本明細書に記載される操作された送達システム分子、ベクター、操作された細胞、及び/または操作された送達粒子(例えば、本明細書に記載される心筋特異的標的化部位などの1つ以上の標的化部位を有するもの)は、遺伝子もしくは他のポリヌクレオチドを改変する、及び/または遺伝性及び/またはエピジェネティックな原因を有する心臓の疾患を処置するのに使用され得る。本明細書の他の箇所に記載されるように、カーゴ分子は、細胞に送達され得、いくつかの実施形態では、細胞のゲノムに組み込まれ得るポリヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態では、カーゴ分子(複数可)は、1つ以上のCRISPR-Casシステム構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas構成要素は、本明細書に記載される操作されたAAVカプシド粒子によって送達されるとき、任意選択でレシピエント細胞において発現され、レシピエント細胞のゲノムを配列特異的に改変するように作用し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作されたAAVカプシド粒子によってパッケージング及び送達され得るカーゴ分子は、CRISPR-Casに依存しない方法によってゲノム改変を促進/媒介し得る。このような非CRISPR-Casゲノム改変システムは、当業者によって即座に理解され、また、少なくとも部分的に、本明細書の他の箇所に記載される。いくつかの実施形態では、改変は、特定の標的配列におけるものである。他の実施形態では、改変は、ゲノム全体にわたってランダムであるような位置におけるものである。
【0405】
本明細書に記載される操作された送達AAV送達システム分子、ベクター、カプシド、操作された細胞、及び/または操作された送達粒子を用いて改変され得る心臓、筋肉、CNS、脳、及び/または神経疾患に関連する遺伝子及びポリヌクレオチドの例を以下に記載する。
【0406】
いくつかの実施形態では、治療薬または予防薬、例えば、本明細書の他の箇所に記載される操作されたAAVカプシド及びそのシステムは、心臓、脳、ニューロン、神経系、及び/またはCNS疾患または障害を処置するためにそれを必要とする対象またはその細胞に送達され得る。いくつかの実施形態では、心臓、脳、ニューロン、神経系、及び/またはCNS疾患または障害は、正常なまたは非病理学的バリアントと比較して以下の遺伝子の1つ以上における1つ以上の変異によって、直接または間接的に引き起こされ得る:筋萎縮性側索硬化症(ALS)の場合:SOD1、ALS2、STEX、FUS、TARDBP、VEGF(VEGF-a、VEGF-b、VEGF-c);アルツハイマー病の場合:E1、CHIP、UCH、UBB、タウ、LRP、PICALM、クラステリン、PS1、SORL1、CR1、Vldlr、Uba1、Uba3、CHIP28、Aqp1、Uchl1、Uchl3、APP、AAA、CVAP、AD1、APOE、AD2、PSEN2、AD4、STM2、APBB2、FE65L1、NOS3、PLAU、URK、ACE、DCP1、ACE1、MPO、PACIP1、PAXIP1L、PTIP、A2M、BLMH、BMH、PSEN1、AD3);自閉症の場合:Mecp2、BZRAP1、MDGA2、Sema5A、ニューレキシン1、GLO1、MECP2、RTT、PPMX、MRX16、MRX79、NLGN3、NLGN4、KIAA1260、AUTSX2;脆弱X症候群の場合:FMR2、FXR1、FXR2、mGLUR5;ハンチントン病及びハンチントン病様障害の場合:HD、IT15、PRNP、PRIP、JPH3、JP3、HDL2、TBP、SCA17);パーキンソン病の場合:NR4A2、NURR1、NOT、TINUR、SNCAIP、TBP、SCA17、SNCA、NACP、PARK1、PARK4、DJ1、PARK7、LRRK2、PARK8、PINK1、PARK6、UCHL1、PARK5、SNCA、NACP、PARK1、PARK4、PRKN、PARK2、PDJ、DBH、NDUFV2、PINK1、x-シヌクレイン);レット症候群の場合:MECP2、RTT、PPMX、MRX16、MRX79、CDKL5、STK9、MECP2、RTT、PPMX、MRX16、MRX79、x-シヌクレイン、DJ-1;統合失調症の場合:ニューレグリン1(Nrg1)、Erb4(ニューレグリンのための受容体)、コンプレキシン1(Cplx1)、Tph1トリプトファンヒドロキシラーゼ、Tph2、トリプトファンヒドロキシラーゼ2、ニューレキシン1、GSK3、GSK3a、GSK3b、5-HTT(Slc6a4)、COMT、DRD(Drd1a)、SLC6A3、DAOA、DTNBP1、Dao(Dao1));セクレターゼ関連疾患(APH-1(アルファ及びベータ)、プレセニリン(Psen1)、ニカストリン、(Ncstn)、PEN-2、Nos1、Parp1、Nat1、Nat2)の場合;トリヌクレオチドリピート病(HTT(ハンチントン病の診断)、SBMA/SMAX1/AR(ケネディー病の診断)、FXN/X25(フリードライヒ運動失調症)、ATX3(マシャド・ジョセフ病の診断)、ATXN1及びATXN2(脊髄小脳失調症)、DMPK(筋強直性ジストロフィー)、アトロフィン-1及びAtn1(DRPLAの診断)、CBP(Creb-BP-全体不安定性)、VLDLR(アルツハイマー病)、Atxn7、Atxn10)の場合;脳、ニューロン、及び/またはCNSにおける異常なまたは正常でない軸索ガイダンスシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;ITGAM;ROCK1;ITGA5;CXCR4;ADAM12;IGF1;RAC1;RAP1A;EIF4E;PRKCZ;NRP1;NTRK2;ARHGEF7;SMO;ROCK2;MAPK1;PGF;RAC2;PTPN11;GNAS;AKT2;PIK3CA;ERBB2;PRKCI;PTK2;CFL1;GNAQ;PIK3CB;CXCL12;PIK3C3;WNT11;PRKD1;GNB2L1;ABL1;MAPK3;ITGA1;KRAS;RHOA;PRKCD;PIK3C2A;ITGB7;GLI2;PXN;VASP;RAF1;FYN;ITGB1;MAP2K2;PAK4;ADAM17;AKT1;PIK3R1;GLI1;WNT5A;ADAM10;MAP2K1;PAK3;ITGB3;CDC42;VEGFA;ITGA2;EPHA8;CRKL;RND1;GSK3B;AKT3;PRKCA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNSにおける異常なまたは正常でないアクチン細胞骨格シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ACTN4;PRKCE;ITGAM;ROCK1;ITGA5;IRAK1;PRKAA2;EIF2AK2;RAC1;INS;ARHGEF7;GRK6;ROCK2;MAPK1;RAC2;PLK1;AKT2;PIK3CA;CDK8;PTK2;CFL1;PIK3CB;MYH9;DIAPH1;PIK3C3;MAPK8;F2R;MAPK3;SLC9A1;ITGA1;KRAS;RHOA;PRKCD;PRKAA1;MAPK9;CDK2;PIM1;PIK3C2A;ITGB7;PPP1CC;PXN;VIL2;RAF1;GSN;DYRK1A;ITGB1;MAP2K2;PAK4;PIP5K1A;PIK3R1;MAP2K1;PAK3;ITGB3;CDC42;APC;ITGA2;TTK;CSNK1A1;CRKL;BRAF;VAV3;SGK;ハンチントン病シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;IGF1;EP300;RCOR1;PRKCZ;HDAC4;TGM2;MAPK1;CAPNS1;AKT2;EGFR;NCOR2;SP1;CAPN2;PIK3CA;HDAC5;CREB1;PRKCI;HSPA5;REST;GNAQ;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;IGF1R;PRKD1;GNB2L1;BCL2L1;CAPN1;MAPK3;CASP8;HDAC2;HDAC7A;PRKCD;HDAC11;MAPK9;HDAC9;PIK3C2A;HDAC3;TP53;CASP9;CREBBP;AKT1;PIK3R1;PDPK1;CASP1;APAF1;FRAP1;CASP2;JUN;BAX;ATF4;AKT3;PRKCA;CLTC;SGK;HDAC6;CASP3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないアポトーシス調節及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;ROCK1;BID;IRAK1;PRKAA2;EIF2AK2;BAK1;BIRC4;GRK6;MAPK1;CAPNS1;PLK1;AKT2;IKBKB;CAPN2;CDK8;FAS;NFKB2;BCL2;MAP3K14;MAPK8;BCL2L1;CAPN1;MAPK3;CASP8;KRAS;RELA;PRKCD;PRKAA1;MAPK9;CDK2;PIM1;TP53;TNF;RAF1;IKBKG;RELB;CASP9;DYRK1A;MAP2K2;CHUK;APAF1;MAP2K1;NFKB1;PAK3;LMNA;CASP2;BIRC2;TTK;CSNK1A1;BRAF;BAX;PRKCA;SGK;CASP3;BIRC3;PARP1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない白血球の血管外遊走シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ACTN4;CD44;PRKCE;ITGAM;ROCK1;CXCR4;CYBA;RAC1;RAP1A;PRKCZ;ROCK2;RAC2;PTPN11;MMP14;PIK3CA;PRKCI;PTK2;PIK3CB;CXCL12;PIK3C3;MAPK8;PRKD1;ABL1;MAPK10;CYBB;MAPK13;RHOA;PRKCD;MAPK9;SRC;PIK3C2A;BTK;MAPK14;NOX1;PXN;VIL2;VASP;ITGB1;MAP2K2;CTNND1;PIK3R1;CTNNB1;CLDN1;CDC42;F11R;ITK;CRKL;VAV3;CTTN;PRKCA;MMP1;MMP9;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないインテグリンシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ACTN4;ITGAM;ROCK1;ITGA5;RAC1;PTEN;RAP1A;TLN1;ARHGEF7;MAPK1;RAC2;CAPNS1;AKT2;CAPN2;PIK3CA;PTK2;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;CAV1;CAPN1;ABL1;MAPK3;ITGA1;KRAS;RHOA;SRC;PIK3C2A;ITGB7;PPP1CC;ILK;PXN;VASP;RAF1;FYN;ITGB1;MAP2K2;PAK4;AKT1;PIK3R1;TNK2;MAP2K1;PAK3;ITGB3;CDC42;RND3;ITGA2;CRKL;BRAF;GSK3B;AKT3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない急性期反応シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:IRAK1;SOD2;MYD88;TRAF6;ELK1;MAPK1;PTPN11;AKT2;IKBKB;PIK3CA;FOS;NFKB2;MAP3K14;PIK3CB;MAPK8;RIPK1;MAPK3;IL6ST;KRAS;MAPK13;IL6R;RELA;SOCS1;MAPK9;FTL;NR3C1;TRAF2;SERPINE1;MAPK14;TNF;RAF1;PDK1;IKBKG;RELB;MAP3K7;MAP2K2;AKT1;JAK2;PIK3R1;CHUK;STAT3;MAP2K1;NFKB1;FRAP1;CEBPB;JUN;AKT3;IL1R1;IL6;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないPTENシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ITGAM;ITGA5;RAC1;PTEN;PRKCZ;BCL2L11;MAPK1;RAC2;AKT2;EGFR;IKBKB;CBL;PIK3CA;CDKN1B;PTK2;NFKB2;BCL2;PIK3CB;BCL2L1;MAPK3;ITGA1;KRAS;ITGB7;ILK;PDGFRB;INSR;RAF1;IKBKG;CASP9;CDKN1A;ITGB1;MAP2K2;AKT1;PIK3R1;CHUK;PDGFRA;PDPK1;MAP2K1;NFKB1;ITGB3;CDC42;CCND1;GSK3A;ITGA2;GSK3B;AKT3;FOXO1;CASP3;RPS6KB1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないp53シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PTEN;EP300;BBC3;PCAF;FASN;BRCA1;GADD45A;BIRC5;AKT2;PIK3CA;CHEK1;TP53INP1;BCL2;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;THBS1;ATR;BCL2L1;E2F1;PMAIP1;CHEK2;TNFRSF10B;TP73;RB1;HDAC9;
CDK2;PIK3C2A;MAPK14;TP53;LRDD;CDKN1A;HIPK2;AKT1;PIK3R1;RRM2B;APAF1;CTNNB1;SIRT1;CCND1;PRKDC;ATM;SFN;CDKN2A;JUN;SNAI2;GSK3B;BAX;AKT3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないアリール炭化水素受容体シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:HSPB1;EP300;FASN;TGM2;RXRA;MAPK1;NQO1;NCOR2;SP1;ARNT;CDKN1B;FOS;CHEK1;SMARCA4;NFKB2;MAPK8;ALDH1A1;ATR;E2F1;MAPK3;NRIP1;CHEK2;RELA;TP73;GSTP1;RB1;SRC;CDK2;AHR;NFE2L2;NCOA3;TP53;TNF;CDKN1A;NCOA2;APAF1;NFKB1;CCND1;ATM;ESR1;CDKN2A;MYC;JUN;ESR2;BAX;IL6;CYP1B1;HSP90AA1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない異物代謝シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;EP300;PRKCZ;RXRA;MAPK1;NQO1;NCOR2;PIK3CA;ARNT;PRKCI;NFKB2;CAMK2A;PIK3CB;PPP2R1A;PIK3C3;MAPK8;PRKD1;ALDH1A1;MAPK3;NRIP1;KRAS;MAPK13;PRKCD;GSTP1;MAPK9;NOS2A;ABCB1;AHR;PPP2CA;FTL;NFE2L2;PIK3C2A;PPARGC1A;MAPK14;TNF;RAF1;CREBBP;MAP2K2;PIK3R1;PPP2R5C;MAP2K1;NFKB1;KEAP1;PRKCA;EIF2AK3;IL6;CYP1B1;HSP90AA1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないSAPK/JNKシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;IRAK1;PRKAA2;EIF2AK2;RAC1;ELK1;GRK6;MAPK1;GADD45A;RAC2;PLK1;AKT2;PIK3CA;FADD;CDK8;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;RIPK1;GNB2L1;IRS1;MAPK3;MAPK10;DAXX;KRAS;PRKCD;PRKAA1;MAPK9;CDK2;PIM1;PIK3C2A;TRAF2;TP53;LCK;MAP3K7;DYRK1A;MAP2K2;PIK3R1;MAP2K1;PAK3;CDC42;JUN;TTK;CSNK1A1;CRKL;BRAF;SGK;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないPPAr/RXRシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKAA2;EP300;INS;SMAD2;TRAF6;PPARA;FASN;RXRA;MAPK1;SMAD3;GNAS;IKBKB;NCOR2;ABCA1;GNAQ;NFKB2;MAP3K14;STAT5B;MAPK8;IRS1;MAPK3;KRAS;RELA;PRKAA1;PPARGC1A;NCOA3;MAPK14;INSR;RAF1;IKBKG;RELB;MAP3K7;CREBBP;MAP2K2;JAK2;CHUK;MAP2K1;NFKB1;TGFBR1;SMAD4;JUN;IL1R1;PRKCA;IL6;HSP90AA1;ADIPOQ;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないNF-カッパーBシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:IRAK1;EIF2AK2;EP300;INS;MYD88;PRKCZ;TRAF6;TBK1;AKT2;EGFR;IKBKB;PIK3CA;BTRC;NFKB2;MAP3K14;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;RIPK1;HDAC2;KRAS;RELA;PIK3C2A;TRAF2;TLR4;PDGFRB;TNF;INSR;LCK;IKBKG;RELB;MAP3K7;CREBBP;AKT1;PIK3R1;CHUK;PDGFRA;NFKB1;TLR2;BCL10;GSK3B;AKT3;TNFAIP3;IL1R1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないニューレグリンシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ERBB4;PRKCE;ITGAM;ITGA5;PTEN;PRKCZ;ELK1;MAPK1;PTPN11;AKT2;EGFR;ERBB2;PRKCI;CDKN1B;STAT5B;PRKD1;MAPK3;ITGA1;KRAS;PRKCD;STAT5A;SRC;ITGB7;RAF1;ITGB1;MAP2K2;ADAM17;AKT1;PIK3R1;PDPK1;MAP2K1;ITGB3;EREG;FRAP1;PSEN1;ITGA2;MYC;NRG1;CRKL;AKT3;PRKCA;HSP90AA1;RPS6KB1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないwnt及びベータカテニンシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:CD44;EP300;LRP6;DVL3;CSNK1E;GJA1;SMO;AKT2;PIN1;CDH1;BTRC;GNAQ;MARK2;PPP2R1A;WNT11;SRC;DKK1;PPP2CA;SOX6;SFRP2;ILK;LEF1;SOX9;TP53;MAP3K7;CREBBP;TCF7L2;AKT1;PPP2R5C;WNT5A;LRP5;CTNNB1;TGFBR1;CCND1;GSK3A;DVL1;APC;CDKN2A;MYC;CSNK1A1;GSK3B;AKT3;SOX2;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないインスリン受容体シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PTEN;INS;EIF4E;PTPN1;PRKCZ;MAPK1;TSC1;PTPN11;AKT2;CBL;PIK3CA;PRKCI;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;IRS1;MAPK3;TSC2;KRAS;EIF4EBP1;SLC2A4;PIK3C2A;PPP1CC;INSR;RAF1;FYN;MAP2K2;JAK1;AKT1;JAK2;PIK3R1;PDPK1;MAP2K1;GSK3A;FRAP1;CRKL;GSK3B;AKT3;FOXO1;SGK;RPS6KB1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないIL-6シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:HSPB1;TRAF6;MAPKAPK2;ELK1;MAPK1;PTPN11;IKBKB;FOS;NFKB2;MAP3K14;MAPK8;MAPK3;MAPK10;IL6ST;KRAS;MAPK13;IL6R;RELA;SOCS1;MAPK9;ABCB1;TRAF2;MAPK14;TNF;RAF1;IKBKG;RELB;MAP3K7;MAP2K2;IL8;JAK2;CHUK;STAT3;MAP2K1;NFKB1;CEBPB;JUN;IL1R1;SRF;IL6;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないIGF-1シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:IGF1;PRKCZ;ELK1;MAPK1;PTPN11;NEDD4;AKT2;PIK3CA;PRKCI;PTK2;FOS;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;IGF1R;IRS1;MAPK3;IGFBP7;KRAS;PIK3C2A;YWHAZ;PXN;RAF1;CASP9;MAP2K2;AKT1;PIK3R1;PDPK1;MAP2K1;IGFBP2;SFN;JUN;CYR61;AKT3;FOXO1;SRF;CTGF;RPS6KB1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないNRF2を介した酸化ストレス反応経路調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;EP300;SOD2;PRKCZ;MAPK1;SQSTM1;NQO1;PIK3CA;PRKCI;FOS;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;PRKD1;MAPK3;KRAS;PRKCD;GSTP1;MAPK9;FTL;NFE2L2;PIK3C2A;MAPK14;RAF1;MAP3K7;CREBBP;MAP2K2;AKT1;PIK3R1;MAP2K1;PPIB;JUN;KEAP1;GSK3B;ATF4;PRKCA;EIF2AK3;HSP90AA1;PRDX1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないPPAR(例えばPPARアルファ、PPARベータ、PPARデルタ、及び/またはPPARガンマ)調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:EP300;INS;TRAF6;PPARA;RXRA;MAPK1;IKBKB;NCOR2;FOS;NFKB2;MAP3K14;STAT5B;MAPK3;NRIP1;KRAS;PPARG;RELA;STAT5A;TRAF2;PPARGC1A;PDGFRB;TNF;INSR;RAF1;IKBKG;RELB;MAP3K7;CREBBP;MAP2K2;CHUK;PDGFRA;MAP2K1;NFKB1;JUN;IL1R1;HSP90AA1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないFcイプシロンRI調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;RAC1;PRKCZ;LYN;MAPK1;RAC2;PTPN11;AKT2;PIK3CA;SYK;PRKCI;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;PRKD1;MAPK3;MAPK10;KRAS;MAPK13;PRKCD;MAPK9;PIK3C2A;BTK;MAPK14;TNF;RAF1;FYN;MAP2K2;AKT1;PIK3R1;PDPK1;MAP2K1;AKT3;VAV3;PRKCA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないGタンパク質共役型受容体調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;RAP1A;RGS16;MAPK1;GNAS;AKT2;IKBKB;PIK3CA;CREB1;GNAQ;NFKB2;CAMK2A;PIK3CB;PIK3C3;MAPK3;KRAS;RELA;SRC;PIK3C2A;RAF1;IKBKG;RELB;FYN;MAP2K2;AKT1;PIK3R1;CHUK;PDPK1;STAT3;MAP2K1;NFKB1;BRAF;ATF4;AKT3;PRKCA;
心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないイノシトールリン酸代謝調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;IRAK1;PRKAA2;EIF2AK2;PTEN;GRK6;MAPK1;PLK1;AKT2;PIK3CA;CDK8;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;MAPK3;PRKCD;PRKAA1;MAPK9;CDK2;PIM1;PIK3C2A;DYRK1A;MAP2K2;PIP5K1A;PIK3R1;MAP2K1;PAK3;ATM;TTK;CSNK1A1;BRAF;SGK;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないPDGF調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:EIF2AK2;ELK1;ABL2;MAPK1;PIK3CA;FOS;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;CAV1;ABL1;MAPK3;KRAS;SRC;PIK3C2A;PDGFRB;RAF1;MAP2K2;JAK1;JAK2;PIK3R1;PDGFRA;STAT3;SPHK1;MAP2K1;MYC;JUN;CRKL;PRKCA;SRF;STAT1;SPHK2;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないVEGF調節またはシグナル伝達に関連する関与する疾患または障害の場合:ACTN4;ROCK1;KDR;FLT1;ROCK2;MAPK1;PGF;AKT2;PIK3CA;ARNT;PTK2;BCL2;PIK3CB;PIK3C3;BCL2L1;MAPK3;KRAS;HIF1A;NOS3;PIK3C2A;PXN;RAF1;MAP2K2;ELAVL1;AKT1;PIK3R1;MAP2K1;SFN;VEGFA;AKT3;FOXO1;PRKCA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないナチュラルキラー細胞調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;RAC1;PRKCZ;MAPK1;RAC2;PTPN11;KIR2DL3;AKT2;PIK3CA;SYK;PRKCI;PIK3CB;PIK3C3;PRKD1;MAPK3;KRAS;PRKCD;PTPN6;PIK3C2A;LCK;RAF1;FYN;MAP2K2;PAK4;AKT1;PIK3R1;MAP2K1;PAK3;AKT3;VAV3;PRKCA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない細胞周期G1/Sチェックポイント調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:HDAC4;SMAD3;SUV39H1;HDAC5;CDKN1B;BTRC;ATR;ABL1;E2F1;HDAC2;HDAC7A;RB1;HDAC11;HDAC9;CDK2;E2F2;HDAC3;TP53;CDKN1A;CCND1;E2F4;ATM;RBL2;SMAD4;CDKN2A;MYC;NRG1;GSK3B;RBL1;HDAC6;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないT細胞受容体調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:RAC1;ELK1;MAPK1;IKBKB;CBL;PIK3CA;FOS;NFKB2;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;MAPK3;KRAS;RELA;PIK3C2A;BTK;LCK;RAF1;IKBKG;RELB;FYN;MAP2K2;PIK3R1;CHUK;MAP2K1;NFKB1;ITK;BCL10;JUN;VAV3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない細胞死受容体調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:CRADD;HSPB1;BID;BIRC4;TBK1;IKBKB;FADD;FAS;NFKB2;BCL2;MAP3K14;MAPK8;RIPK1;CASP8;DAXX;TNFRSF10B;RELA;TRAF2;TNF;IKBKG;RELB;CASP9;CHUK;APAF1;NFKB1;CASP2;BIRC2;CASP3;BIRC3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはFGF調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:RAC1;FGFR1;MET;MAPKAPK2;MAPK1;PTPN11;AKT2;PIK3CA;CREB1;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;MAPK3;MAPK13;PTPN6;PIK3C2A;MAPK14;RAF1;AKT1;PIK3R1;STAT3;MAP2K1;FGFR4;CRKL;ATF4;AKT3;PRKCA;HGF;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはGM-CSF調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:LYN;ELK1;MAPK1;PTPN11;AKT2;PIK3CA;CAMK2A;STAT5B;PIK3CB;PIK3C3;GNB2L1;BCL2L1;MAPK3;ETS1;KRAS;RUNX1;PIM1;PIK3C2A;RAF1;MAP2K2;AKT1;JAK2;PIK3R1;STAT3;MAP2K1;CCND1;AKT3;STAT1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または筋萎縮性側索硬化症調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:BID;IGF1;RAC1;BIRC4;PGF;CAPNS1;CAPN2;PIK3CA;BCL2;PIK3CB;PIK3C3;BCL2L1;CAPN1;PIK3C2A;TP53;CASP9;PIK3R1;RAB5A;CASP1;APAF1;VEGFA;BIRC2;BAX;AKT3;CASP3;BIRC3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはJAK/Stat調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PTPN1;MAPK1;PTPN11;AKT2;PIK3CA;STAT5B;PIK3CB;PIK3C3;MAPK3;KRAS;SOCS1;STAT5A;PTPN6;PIK3C2A;RAF1;CDKN1A;MAP2K2;JAK1;AKT1;JAK2;PIK3R1;STAT3;MAP2K1;FRAP1;AKT3;STAT1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはニコチン酸及びニコチンアミド代謝調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;IRAK1;PRKAA2;EIF2AK2;GRK6;MAPK1;PLK1;AKT2;CDK8;MAPK8;MAPK3;PRKCD;PRKAA1;PBEF1;MAPK9;CDK2;PIM1;DYRK1A;MAP2K2;MAP2K1;PAK3;NT5E;TTK;CSNK1A1;BRAF;SGK;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはケモカインシグナル伝達調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:CXCR4;ROCK2;MAPK1;PTK2;FOS;CFL1;GNAQ;CAMK2A;CXCL12;MAPK8;MAPK3;KRAS;MAPK13;RHOA;CCR3;SRC;PPP1CC;MAPK14;NOX1;RAF1;MAP2K2;MAP2K1;JUN;CCL2;PRKCA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはIL-2シグナル伝達調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ELK1;MAPK1;PTPN11;AKT2;PIK3CA;SYK;FOS;STAT5B;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;MAPK3;KRAS;SOCS1;STAT5A;PIK3C2A;LCK;RAF1;MAP2K2;JAK1;AKT1;PIK3R1;MAP2K1;JUN;AKT3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害におけるシナプス長期抑圧に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;IGF1;PRKCZ;PRDX6;LYN;MAPK1;GNAS;PRKCI;GNAQ;PPP2R1A;IGF1R;PRKD1;MAPK3;KRAS;GRN;PRKCD;NOS3;NOS2A;PPP2CA;YWHAZ;RAF1;MAP2K2;PPP2R5C;MAP2K1;PRKCA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはエストロゲン受容体調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:TAF4B;EP300;CARM1;PCAF;MAPK1;NCOR2;SMARCA4;MAPK3;NRIP1;KRAS;SRC;NR3C1;HDAC3;PPARGC1A;RBM9;NCOA3;RAF1;CREBBP;MAP2K2;NCOA2;MAP2K1;PRKDC;ESR1;ESR2;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはタンパク質ユビキチン化経路活性、調節、及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:TRAF6;SMURF1;BIRC4;BRCA1;UCHL1;NEDD4;CBL;UBE2I;BTRC;HSPA5;USP7;USP10;FBXW7;USP9X;STUB1;USP22;B2M;BIRC2;PARK2;USP8;USP1;VHL;HSP90AA1;BIRC3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはIL-10調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:TRAF6;CCR1;ELK1;IKBKB;SP1;FOS;NFKB2;MAP3K14;MAPK8;MAPK13;RELA;MAPK14;TNF;IKBKG;RELB;MAP3K7;JAK1;CHUK;STAT3;NFKB1;JUN;IL1R1;IL6;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはビタミンD受容体(VDR)及び/またはRXR調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;EP300;PRKCZ;RXRA;GADD45A;HES1;NCOR2;SP1;PRKCI;CDKN1B;PRKD1;PRKCD;RUNX2;KLF4;YY1;NCOA3;CDKN1A;NCOA2;SPP1;LRP5;CEBPB;FOXO1;PRKCA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはTGF-ベータ調節またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:EP300;SMAD2;
SMURF1;MAPK1;SMAD3;SMAD1;FOS;MAPK8;MAPK3;KRAS;MAPK9;RUNX2;SERPINE1;RAF1;MAP3K7;CREBBP;MAP2K2;MAP2K1;TGFBR1;SMAD4;JUN;SMAD5;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはToll様受容体活性、調節、及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:IRAK1;EIF2AK2;MYD88;TRAF6;PPARA;ELK1;IKBKB;FOS;NFKB2;MAP3K14;MAPK8;MAPK13;RELA;TLR4;MAPK14;IKBKG;RELB;MAP3K7;CHUK;NFKB1;TLR2;JUN;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはp38 MAPK活性、調節、及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:HSPB1;IRAK1;TRAF6;MAPKAPK2;ELK1;FADD;FAS;CREB1;DDIT3;RPS6KA4;DAXX;MAPK13;TRAF2;MAPK14;TNF;MAP3K7;TGFBR1;MYC;ATF4;IL1R1;SRF;STAT1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはニューロトロフィン/TRK活性、調節、及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:NTRK2;MAPK1;PTPN11;PIK3CA;CREB1;FOS;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;MAPK3;KRAS;PIK3C2A;RAF1;MAP2K2;AKT1;PIK3R1;PDPK1;MAP2K1;CDC42;JUN;ATF4;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはFXR及び/またはRXR活性、調節、及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:INS;PPARA;FASN;RXRA;AKT2;SDC1;MAPK8;APOB;MAPK10;PPARG;MTTP;MAPK9;PPARGC1A;TNF;CREBBP;AKT1;SREBF1;FGFR4;AKT3;FOXO1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはシナプス長期増強に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;RAP1A;EP300;PRKCZ;MAPK1;CREB1;PRKCI;GNAQ;CAMK2A;PRKD1;MAPK3;KRAS;PRKCD;PPP1CC;RAF1;CREBBP;MAP2K2;MAP2K1;ATF4;PRKCA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはカルシウム調節及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:RAP1A;EP300;HDAC4;MAPK1;HDAC5;CREB1;CAMK2A;MYH9;MAPK3;HDAC2;HDAC7A;HDAC11;HDAC9;HDAC3;CREBBP;CALR;CAMKK2;ATF4;HDAC6;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはEGFまたはEGFR調節及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ELK1;MAPK1;EGFR;PIK3CA;FOS;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;MAPK3;PIK3C2A;RAF1;JAK1;PIK3R1;STAT3;MAP2K1;JUN;PRKCA;SRF;STAT1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはLPS/IL-1によるRXR機能、調節及び/またはシグナル伝達の阻害に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:IRAK1;MYD88;TRAF6;PPARA;RXRA;ABCA1;MAPK8;ALDH1A1;GSTP1;MAPK9;ABCB1;TRAF2;TLR4;TNF;MAP3K7;NR1H2;SREBF1;JUN;IL1R1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはLXR/RXR機能、調節及び/またはシグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:FASN;RXRA;NCOR2;ABCA1;NFKB2;IRF3;RELA;NOS2A;TLR4;TNF;RELB;LDLR;NR1H2;NFKB1;SREBF1;IL1R1;CCL2;IL6;MMP9;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/またはアミロイドプロセシングに関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;CSNK1E;MAPK1;CAPNS1;AKT2;CAPN2;CAPN1;MAPK3;MAPK13;MAPT;MAPK14;AKT1;PSEN1;CSNK1A1;GSK3B;AKT3;APP;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないIL-4活性、シグナル伝達、及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:AKT2;PIK3CA;PIK3CB;PIK3C3;IRS1;KRAS;SOCS1;PTPN6;NR3C1;PIK3C2A;JAK1;AKT1;JAK2;PIK3R1;FRAP1;AKT3;RPS6KB1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない細胞周期:G2/M DNA損傷チェックポイント調節活性、シグナル伝達、及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:EP300;PCAF;BRCA1;GADD45A;PLK1;BTRC;CHEK1;ATR;CHEK2;YWHAZ;TP53;CDKN1A;PRKDC;ATM;SFN;CDKN2A;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないプリン代謝そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:NME2;SMARCA4;MYH9;RRM2;ADAR;EIF2AK4;PKM2;ENTPD1;RAD51;RRM2B;TJP2;RAD51C;NT5E;POLD1;NME1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないcAMPを介したシグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:RAP1A;MAPK1;GNAS;CREB1;CAMK2A;MAPK3;SRC;RAF1;MAP2K2;STAT3;MAP2K1;BRAF;ATF4;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないミトコンドリア機能に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:SOD2;MAPK8;CASP8;MAPK10;MAPK9;CASP9;PARK7;PSEN1;PARK2;APP;CASP3;AIF;CytC;SMAC(Diablo);Aifm-1;Aifm-2;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないnotchシグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:HES1;JAG1;NUMB;NOTCH4;ADAM17;NOTCH2;PSEN1;NOTCH3;NOTCH1;DLL4;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない小胞体ストレス経路活性、シグナル伝達、及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:HSPA5;MAPK8;XBP1;TRAF2;ATF6;CASP9;ATF4;EIF2AK3;CASP3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないピリミジン代謝、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:NME2;AICDA;RRM2;EIF2AK4;ENTPD1;RRM2B;NT5E;POLD1;NME1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないパーキンソン病シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:UCHL1;MAPK8;MAPK13;MAPK14;CASP9;PARK7;PARK2;CASP3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない解糖/糖新生活性、シグナル伝達、及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:HK2;GCK;GPI;ALDH1A1;PKM2;LDHA;HK1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないインターフェロン活性、シグナル伝達、及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:IRF1;SOCS1;JAK1;JAK2;IFITM1;STAT1;IFIT3;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないソニック・ヘッジホッグ(sonic the hedgehog)活性、シグナル伝達、及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ARRB2;SMO;GLI2;DYRK1A;GLI1;GSK3B;DYRK1B;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないグリセロリン脂質代謝、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PLD1;GRN;GPAM;YWHAZ;SPHK1;SPHK2;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないリン脂質分解、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRDX6;PLD1;GRN;YWHAZ;SPHK1;SPHK2;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないトリプトファン代謝、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:SIAH2;PRMT5;NEDD4;ALDH1A1;CYP1B1;SIAH1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないリジン分解、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:SUV39H1;EHMT2;NSD1;SETD7;PPP2R5C;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/
または正常でないヌクレオチド除去修復経路活性、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ERCC5;ERCC4;XPA;XPC;ERCC1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないヌクレオチドデンプン及びスクロース代謝、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:UCHL1;HK2;GCK;GPI;HK1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないアミノ糖代謝、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:NQO1;HK2;GCK;HK1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないアラキドン酸代謝、そのシグナル伝達、及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRDX6;GRN;YWHAZ;CYP1B1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない概日リズムシグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:CSNK1E;CREB1;ATF4;NR1D1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または凝固システム活性シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:BDKRB1;F2R;SERPINE1;F3;PAR(例えばPAR1、PAR2など)PLC、aPC;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないドーパミン受容体シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PPP2R1A;PPP2CA;PPP1CC;PPP2R5C;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないグルタチオン代謝シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:IDH2;GSTP1;ANPEP;IDH1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないグリセロ脂質代謝シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ALDH1A1;GPAM;SPHK1;SPHK2;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないリノール酸代謝シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRDX6;GRN;YWHAZ;CYP1B1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないメチオニン代謝シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:DNMT1;DNMT3B;AHCY;DNMT3A;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないピルビン酸代謝シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:GLO1;ALDH1A1;PKM2;LDHA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないアルギニン及びプロリン代謝シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ALDH1A1;NOS3;NOS2A;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないエイコサノイドシグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRDX6;GRN;YWHAZ;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないフルクトース及びマンノース代謝シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:HK2;GCK;HK1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない抗原提示経路活性、シグナル伝達及び/または調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:CALR;B2M;脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないステロイド生合成に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:NQO1;DHCR7;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないブタン酸代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ALDH1A1;NLGN1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないクエン酸回路に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:IDH2;IDH1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない脂肪酸代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ALDH1A1;CYP1B1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないグリセロリン脂質代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRDX6;CHKA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないヒスチジン代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRMT5;ALDH1A1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないイノシトール代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ERO1L;APEX1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないフェニルアラニン代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRDX6;PRDX1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないセレノアミノ酸代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRMT5;AHCY;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないスフィンゴ脂質代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:SPHK1;SPHK2;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないアミノホスホン酸代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRMT5;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないアンドロゲン及び/またはエストロゲン代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRMT5;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないアスコルビン酸及びアルドン酸代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ALDH1A1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないシステイン代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:LDHA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない脂肪酸生合成に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:FASN;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないグルタミン酸受容体シグナル伝達に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:GNB2L1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないペントースリン酸経路に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:GPI;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないレチノール代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ALDH1A1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないペントースとグルクロン酸の相互変換に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:UCHL1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないリボフラビン代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:TYR;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないチロシン代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRMT5、TYR;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないユビキノン生合成に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRMT5;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないバリン、ロイシン及びイソロイシン分解に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ALDH1A1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないグリシン、セリン、及びトレオニン代謝に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:CHKA;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でないリジン分解に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:ALDH1A1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害における異常な、病的な、及び/または正常でない疼痛または疼痛シグナル伝達または疼痛シグナル生成に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:TRPM7;TRPC5;TRPC6;TRPC1;Cnr1;cnr2;Grk2;Trpa1;Pomc;Cgrp;Crf;Pka;Era;Nr2b;TRPM5;Prkaca;Prkacb;Prkar1a;Prkar2a;異常な、病的な、及び/または正常でない心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNSの発達及び/またはその疾患または障害に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:BMP-4;コーディン(Chrd);ノギン(Nog);WNT(Wnt2;Wnt2b;Wnt3a;Wnt4;Wnt5a;Wnt6;Wnt7b;Wnt8b;Wnt9a;Wnt9b;Wnt10a;Wnt10b;Wnt16);ベータ-カテニン;Dkk-1;Frizzled関連タンパク質;Otx-2;Gbx2;FGF-8;Reelin;Dab1;
unc-86(Pou4f1またはBrn3a);Numb;Reln;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害のまたはそれにおけるプリオン病に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:Prp;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNSの活性に関与する物質または活性付加の場合:Prkce(アルコール);Drd2;Drd4;ABAT(アルコール);GRIA2;Grm5;Grin1;Htr1b;Grin2a;Drd3;Pdyn;Gria1(アルコール);心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害におけるPI3K/AKTシグナル伝達及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;ITGAM;ITGA5;IRAK1;PRKAA2;EIF2AK2;PTEN;EIF4E;PRKCZ;GRK6;MAPK1;TSC1;PLK1;AKT2;IKBKB;PIK3CA;CDK8;CDKN1B;NFKB2;BCL2;PIK3CB;PPP2R1A;MAPK8;BCL2L1;MAPK3;TSC2;ITGA1;KRAS;EIF4EBP1;RELA;PRKCD;NOS3;PRKAA1;MAPK9;CDK2;PPP2CA;PIM1;ITGB7;YWHAZ;ILK;TP53;RAF1;IKBKG;RELB;DYRK1A;CDKN1A;ITGB1;MAP2K2;JAK1;AKT1;JAK2;PIK3R1;CHUK;PDPK1;PPP2R5C;CTNNB1;MAP2K1;NFKB1;PAK3;ITGB3;CCND1;GSK3A;FRAP1;SFN;ITGA2;TTK;CSNK1A1;BRAF;GSK3B;AKT3;FOXO1;SGK;HSP90AA1;RPS6KB1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害におけるERK/MAPKシグナル伝達及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;ITGAM;ITGA5;HSPB1;IRAK1;PRKAA2;EIF2AK2;RAC1;RAP1A;TLN1;EIF4E;ELK1;GRK6;MAPK1;RAC2;PLK1;AKT2;PIK3CA;CDK8;CREB1;PRKCI;PTK2;FOS;RPS6KA4;PIK3CB;PPP2R1A;PIK3C3;MAPK8;MAPK3;ITGA1;ETS1;KRAS;MYCN;EIF4EBP1;PPARG;PRKCD;PRKAA1;MAPK9;SRC;CDK2;PPP2CA;PIM1;PIK3C2A;ITGB7;YWHAZ;PPP1CC;KSR1;PXN;RAF1;FYN;DYRK1A;ITGB1;MAP2K2;PAK4;PIK3R1;STAT3;PPP2R5C;MAP2K1;PAK3;ITGB3;ESR1;ITGA2;MYC;TTK;CSNK1A1;CRKL;BRAF;ATF4;PRKCA;SRF;STAT1;SGK;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害におけるグルココルチコイド受容体シグナル伝達及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:RAC1;TAF4B;EP300;SMAD2;TRAF6;PCAF;ELK1;MAPK1;SMAD3;AKT2;IKBKB;NCOR2;UBE2I;PIK3CA;CREB1;FOS;HSPA5;NFKB2;BCL2;MAP3K14;STAT5B;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;BCL2L1;MAPK3;TSC22D3;MAPK10;NRIP1;KRAS;MAPK13;RELA;STAT5A;MAPK9;NOS2A;PBX1;NR3C1;PIK3C2A;CDKN1C;TRAF2;SERPINE1;NCOA3;MAPK14;TNF;RAF1;IKBKG;MAP3K7;CREBBP;CDKN1A;MAP2K2;JAK1;IL8;NCOA2;AKT1;JAK2;PIK3R1;CHUK;STAT3;MAP2K1;NFKB1;TGFBR1;ESR1;SMAD4;CEBPB;JUN;AR;AKT3;CCL2;MMP1;STAT1;IL6;HSP90AA1;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害におけるエフリン受容体シグナル伝達及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:PRKCE;ITGAM;ROCK1;ITGA5;CXCR4;IRAK1;PRKAA2;EIF2AK2;RAC1;RAP1A;GRK6;ROCK2;MAPK1;PGF;RAC2;PTPN11;GNAS;PLK1;AKT2;DOK1;CDK8;CREB1;PTK2;CFL1;GNAQ;MAP3K14;CXCL12;MAPK8;GNB2L1;ABL1;MAPK3;ITGA1;KRAS;RHOA;PRKCD;PRKAA1;MAPK9;SRC;CDK2;PIM1;ITGB7;PXN;RAF1;FYN;DYRK1A;ITGB1;MAP2K2;PAK4;AKT1;JAK2;STAT3;ADAM10;MAP2K1;PAK3;ITGB3;CDC42;VEGFA;ITGA2;EPHA8;TTK;CSNK1A1;CRKL;BRAF;PTPN13;ATF4;AKT3;SGK;心臓、脳、ニューロン、及び/またはCNS及び/またはその疾患または障害におけるB細胞受容体シグナル伝達及び/またはその調節に関連するかまたは関与する疾患または障害の場合:RAC1;PTEN;LYN;ELK1;MAPK1;RAC2;PTPN11;AKT2;IKBKB;PIK3CA;CREB1;SYK;NFKB2;CAMK2A;MAP3K14;PIK3CB;PIK3C3;MAPK8;BCL2L1;ABL1;MAPK3;ETS1;KRAS;MAPK13;RELA;PTPN6;MAPK9;EGR1;PIK3C2A;BTK;MAPK14;RAF1;IKBKG;RELB;MAP3K7;MAP2K2;AKT1;PIK3R1;CHUK;MAP2K1;NFKB1;CDC42;GSK3A;FRAP1;BCL6;BCL10;JUN;GSK3B;ATF4;AKT3;VAV3;RPS6KB1。
【0407】
疾患関連遺伝子及びポリヌクレオチドの追加の非限定的な例ならびに疾患特有の情報は、ワールドワイドウェブで利用可能なMcKusick-Nathans Institute of Genetic Medicine,Johns Hopkins University(Baltimore,Md.)及びNational Center for Biotechnology Information,National Library of Medicine(Bethesda,Md.)から利用可能である。これらのいずれもが、本明細書に記載される方法の1つ以上によって処置されることが適切であり得る。いくつかの実施形態では、疾患は、心臓疾患もしくは障害、神経筋疾患もしくは障害、またはCNS疾患もしくは障害である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、以下のうちの任意の1つ以上から選択される:(a)自己免疫疾患、(b)がん、(c)筋ジストロフィー、(d)神経筋疾患、(e)糖もしくはグリコーゲン蓄積症、(f)リピート伸長病、(g)ドミナントネガティブ疾患、(h)心筋症または他の心臓疾患もしくは障害、(i)ウイルス性疾患、(j)早老性疾患、あるいは(k)それらの任意の組合せ。
【0408】
いくつかの実施形態では、リピート伸長病は、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィー、または顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。いくつかの実施形態では、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、またはFSHDである。いくつかの実施形態では、筋強直性ジストロフィーは、1型または2型である。いくつかの実施形態では、心筋症は、拡張型心筋症、肥大型心筋症、DMD関連心筋症、またはダノン病である。いくつかの実施形態では、糖またはグリコーゲン蓄積症は、MPS III型疾患またはポンペ病である。いくつかの実施形態では、MPS III型疾患は、MPS IIIA型、IIIB型、IIIC型、またはIIID型である。いくつかの実施形態では、神経筋疾患は、シャルコー・マリー・トゥース病またはフリードライヒ運動失調症である。
【0409】
より具体的には、これらの遺伝子及び経路における変異は、不適切なタンパク質、または機能に影響を及ぼす不適切な量のタンパク質の産生をもたらし得る。遺伝子、疾患及びタンパク質のさらなる例は、2012年12月12日に出願された米国仮出願第61/736,527号から参照により本明細書に組み込まれる。かかる遺伝子、タンパク質及び経路は、本発明のCRISPR複合体または他の遺伝子改変法の標的ポリヌクレオチドであり得る。疾患関連及び/または細胞機能関連遺伝子及びポリヌクレオチドの例が表2及び3に列挙されている。さらなる例は、本明細書の他の箇所で説明されている。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【表2-22】
【表2-23】
【表2-24】
【表2-25】
【表2-26】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【0410】
したがって、本明細書では、本明細書で説明されている真核細胞または原核細胞(in vitro、すなわち、単離された真核細胞内)における1つ以上の変異を誘導する方法であって、細胞に、本明細書に記載されるベクターを送達することを含む方法も記載される。変異(複数可)は、細胞(複数可)の標的配列における1つ以上のヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。いくつかの実施形態では、変異は、該細胞(複数可)の各標的配列における1~75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。変異は、各標的配列における1、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。変異は、該細胞(複数可)の各標的配列における5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。変異は、該細胞(複数可)の各標的配列における10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含む。変異は、該細胞(複数可)の各標的配列における20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。変異は、該細胞(複数可)の各標的配列における40、45、50、75、100、200、300、400または500ヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。変異は、該細胞(複数可)の各標的配列における500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600、5700、5800、5900、6000、6100、6200、6300、6400、6500、6600、6700、6800、6900、7000、7100、7200、7300、7400、7500、7600、7700、7800、7900、8000、8100、8200、8300、8400、8500、8600、8700、8800、8900、9000、9100、9200、9300、9400、9500、9600、9700、9800、または9900~10000ヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。
【0411】
いくつかの実施形態では、改変は、CRISPR-Casシステムによって媒介されるものなどの、核酸構成要素(例えばガイド(複数可)RNA(複数可)またはsgRNA(複数可))による細胞(複数可)の各標的配列におけるヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。
【0412】
いくつかの実施形態では、改変は、非CRISPR-Casシステムまたは技術によって該細胞(複数可)の標的またはランダム配列におけるヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。このような技術は、本明細書の他の箇所、例えば、操作された細胞、ならびに操作された細胞及び生物を生成する方法が説明されている箇所で説明されている。
【0413】
CRISPR-Casシステムを用いる際に毒性及びオフターゲット効果を最小化するために、送達されるCas mRNA及びガイドRNAの濃度を制御することが重要であり得る。Cas mRNA及びガイドRNAの最適な濃度は、細胞または非ヒト真核生物動物モデルにおいて異なる濃度で試験し、ディープシーケンシングを使用して潜在的なオフターゲットゲノム遺伝子座における改変の程度を分析することによって決定され得る。あるいは、毒性及びオフターゲット効果のレベルを最小化するために、CasニッカーゼmRNA(例えばD10A変異を有するS.pyogenes Cas9様)が、対象とする部位を標的とする一対のガイドRNAと共に送達され得る。毒性及びオフターゲット効果を最小化するためのガイド配列及び戦略は、WO2014/093622(PCT/US2013/074667)におけるもの;または本明細書にあるような変異を介するものであり得る。
【0414】
典型的に、内因性CRISPRシステムの文脈において、CRISPR複合体(標的配列にハイブリダイズされ、1つ以上のCasタンパク質と複合体形成されるガイド配列を含む)の形成は、標的配列においてまたはその近傍(例えば、標的配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、またはそれ以上の塩基対以内)において一方または両方の鎖の切断をもたらす。理論に制約されることを望むものではないが、野生型tracr配列のすべてまたは一部を含むかまたはそれからなり得るtracr配列(例えば、野生型tracr配列の約または約20、26、32、45、48、54、63、67、85超、もしくはそれ以上のヌクレオチド)はまた、ガイド配列に作動可能に連結されるtracrメイト配列のすべてまたは一部への、tracr配列の少なくとも一部に沿ったハイブリダイゼーションなどによってCRISPR複合体の一部を形成し得る。
【0415】
一実施形態では、本発明は、真核細胞内で標的ポリヌクレオチドを改変する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、カーゴ分子として遺伝子改変剤(CRISPR-Casシステムまたはシステム構成要素を含むが、これらに限定されない)を有する、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せを、対象及び/または細胞に送達することを含む。送達されるCRISPR-Casシステム分子(複数可)は、複合体形成して標的ポリヌクレオチドに結合し得、例えば、該標的ポリヌクレオチドの切断を行い、それにより標的ポリヌクレオチドを改変し得、そのCRISPR複合体は、該標的ポリヌクレオチド内の標的配列にハイブリダイズされるガイド配列と複合体形成されるCRISPR酵素を含み、そのガイド配列は、tracrメイト配列に連結され得、ひいてはtracr配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、該切断は、そのCRISPR酵素によって標的配列の位置において1つまたは2つの鎖を切断することを含む。いくつかの実施形態では、該切断は、標的遺伝子の減少した転写をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、外因性鋳型ポリヌクレオチドを用いた相同組換えによって、切断された標的ポリヌクレオチドを修復することをさらに含み、該修復は、該標的ポリヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含む変異をもたらす。いくつかの実施形態では、該変異は、標的配列を含む遺伝子から発現されたタンパク質における1つ以上のアミノ酸変化をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のベクターを真核細胞に送達することをさらに含み、1つ以上のベクターは、CRISPR酵素を含み、1つ以上のベクターは、tracrメイト配列に連結されたガイド配列、及びtracr配列の1つ以上の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、該CRISPR酵素は、tracrメイト配列に連結されたガイド配列、及びtracr配列のうちの1つ以上の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、そのようなCRISPR酵素は、対象における真核細胞に送達される。いくつかの実施形態では、改変は、細胞培養物中の真核細胞において行われる。いくつかの実施形態では、本方法は、改変の前に対象から真核細胞を単離することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、真核細胞及び/またはそれから誘導される細胞を、対象に戻すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、単離された細胞への、本明細書に記載される1つ以上の操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せの送達の後に対象に戻され得る。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、本明細書に記載される操作された送達システムの1つ以上の分子を、単離された細胞に送達した後に対象に戻され得、それによって、単離された細胞を、前述されているように操作された細胞とする。
【0416】
スクリーニング及び細胞選択
本明細書に記載される標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せは、スクリーニングアッセイ及び/または細胞選択アッセイにおいて使用され得る。本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せは、対象及び/または細胞に送達され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞である。細胞は、in vitro、ex vivo、in situ、またはin vivoであり得る。本明細書に記載される標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せは、外因性分子または化合物、例えばカーゴを、それらが送達される対象または細胞に導入し得る。細胞及び/またはその属性の同定を可能にし得る、外因性分子または化合物の存在が、検出され得る。いくつかの実施形態では、送達された分子または粒子は、遺伝子または他のヌクレオチド改変(例えば、変異、遺伝子またはポリヌクレオチド挿入及び/または欠失など)に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド改変は、シークエンシングによって細胞において検出され得る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド改変は、細胞における検出可能な表現型変化をもたらす細胞への生理学的及び/または生物学的改変をもたらし得、これが、細胞の検出、同定、及び/または選択を可能にし得る。いくつかの実施形態では、表現型変化は、細胞死であり得、例えば、標的ポリヌクレオチドへのCRISPR複合体の結合により細胞死がもたらされることの具現化である。本発明の実施形態は、選択マーカー、またはカウンターセレクションシステムを含み得る2段階プロセスを必要とせずに、特定の細胞の選択を可能にする。細胞(複数可)は、原核細胞または真核細胞であり得る。
【0417】
一実施形態では、本発明は、1つ以上の細胞(複数可)における遺伝子において1つ以上の変異を導入することによって1つ以上の細胞(複数可)を選択する方法を提供し、該方法は、本明細書の他の箇所に記載されている1つ以上の操作された送達システム分子またはベクターを含み得る1つ以上のベクターを細胞(複数可)に導入することを含み、該1つ以上のベクターは、CRISPR酵素を含み得、及び/またはtracrメイト配列に連結されたガイド配列、tracr配列、及び編集鋳型のうちの1つ以上;または細胞及び/またはそのゲノムに挿入される他のポリヌクレオチドの発現を誘導し得;例えば、CRISPR酵素及び/または編集鋳型によって内部で発現され、in vivoで発現されるものは、含まれる場合、CRISPR酵素切断を無効にする1つ以上の変異を含み;編集鋳型と細胞(複数可)における標的ポリヌクレオチドとの相同組換えが選択されることを可能とし;CRISPR複合体を標的ポリヌクレオチドに結合させて、遺伝子内の標的ポリヌクレオチドの切断を行うことを可能とし;該CRISPR複合体は、(1)標的ポリヌクレオチド内の標的配列とハイブリダイズされるガイド配列、及び(2)tracr配列にハイブリダイズされるtracrメイト配列と複合体形成されたCRISPR酵素を含み、該標的ポリヌクレオチドに対するCRISPR複合体の結合は、細胞死を誘導し、それにより1つ以上の変異が導入された1つ以上の細胞(複数可)が選択されることを可能にする。好ましい実施形態では、CRISPR酵素は、Casタンパク質である。本発明の別の実施形態では、選択される細胞は、真核細胞であり得る。
【0418】
1つ以上のCRISPR-Casシステム分子を細胞に送達するものを含むがこれに限定されない、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せを伴うスクリーニング方法は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などの検出方法において使用され得る。いくつかの実施形態では、触媒的に不活性なCasタンパク質を含む操作されたCRISPR-Casシステムの1つ以上の構成要素は、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せによって細胞に送達され、FISH法において使用され得る。CRISPR-Casシステムは、DNA二本鎖破断をもたらす能力を欠く不活性化Casタンパク質(dCas)(例えば、dCas9)を含み得、マーカー、例えば、蛍光タンパク質、例えば、高感度緑色蛍光タンパク質(eEGFP)と融合され、ペリセントリック、セントリック及びテロメリックリピートをin vivoで標的とするために低分子ガイドRNAと共発現され得る。dCasシステムは、ヒトゲノムの反復配列及び個々の遺伝子の両方を可視化するために使用され得る。本明細書に記載される標識されたdCas、dCas CRISPR-Casシステム、操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せのこのような新しい用途は、特に核体積が小さい場合または複雑な3次元構造を有する場合において、細胞のイメージング及び機能的な核構造の研究において使用され得る。(Chen B,Gilbert LA,Cimini BA,Schnitzbauer J,Zhang W,Li GW,Park J,Blackburn EH,Weissman JS,Qi LS,Huang B.2013.Dynamic imaging of genomic loci in living human cells by an optimized CRISPR/Cas system.Cell 155(7):1479-91.doi:10.1016/j.cell.2013.12.001.(その教示は、本明細書に記載されるCRISPRシステムに適用及び/または適合させることができる)。マーカー(例えば蛍光マーカー)に融合されるポリヌクレオチドを含む同様の手法は、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えばAAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せによって細胞に送達され、細胞のゲノムに組み込まれ、及び/またはそうでなければFISH分析のために細胞のゲノムの領域と相互作用し得る。
【0419】
他の細胞小器官及び他の細胞構造を研究するための同様のアプローチは、細胞に(例えば、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せを介して)、マーカー(例えば、蛍光マーカー)に融合された1つ以上の分子を送達することによって達成され得、マーカーに融合された分子は、1つ以上の細胞構造を標的とすることが可能である。マーカーの存在を分析することによって、特定の細胞構造を同定及び/またはイメージングすることができる。
【0420】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せは、細胞の内部または外部でスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。いくつかの実施形態では、スクリーニングアッセイは、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えばAAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せによって、CRISPR-Casカーゴ分子(複数可)を送達することを含み得る。
【0421】
スクリーニング、例えば、機能獲得型スクリーンにおける本発明のシステムの使用も、本発明によって提供される。遺伝子を過剰発現するように人工的に強制された細胞は、例えば、負のフィードバックループによって、時間と共に遺伝子を下方制御することができる(平衡状態を取り戻す)。スクリーニングを開始するまでに、調節されていない遺伝子は、再び減少する可能性がある。他のスクリーニングアッセイは、本明細書の他の箇所で説明されている。
【0422】
一実施形態では、本発明は、in vitro送達方法からのまたはin vitro送達方法の細胞を提供し、該方法は、送達システムを、細胞、任意選択で真核細胞と接触させることであって、これにより送達システムの構成要素を細胞に送達する、該接触させることと、任意選択で該接触からデータまたは結果を得ることと、該データまたは結果を伝達することとを含む。
【0423】
一実施形態では、本発明は、in vitro送達方法からのまたはin vitro送達方法の細胞を提供し、該方法は、送達システムを細胞、任意選択で真核細胞と接触させることであって、これにより送達システムの構成要素を細胞に送達する、該接触させることと、任意選択で該接触からデータまたは結果を得ることと、該データまたは結果を伝達することとを含み、細胞産物は、送達システムと接触していない細胞と比較して変更され、例えば、接触がなければ細胞の野生型であったであろうものから変更される。一実施形態では、細胞産物は、非ヒトまたは動物である。いくつかの実施形態では、細胞産物は、ヒトである。
【0424】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載される1つ以上のベクターで一過性にまたは非一過性にトランスフェクションされる。いくつかの実施形態では、細胞は、対象において自然に生じるようにトランスフェクションされ、任意選択でそこに再導入される。いくつかの実施形態では、トランスフェクションされる細胞は、対象から採取される。いくつかの実施形態では、細胞は、対象から採取された細胞から得られるか、またはそれに由来にするもの、例えば、細胞株である。標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せの送達メカニズム及び技術は、本明細書に記載されている。
【0425】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された標的化部位、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクターシステム、粒子、ウイルス(例えば、AAV)粒子、細胞、またはそれらの任意の組合せの1つ以上を宿主細胞に直接導入することが想定される。例えば、操作されたAAVカプシドシステム分子(複数可)は、操作されたAAV粒子にパッケージングされる1つ以上のカーゴ分子と共に送達され得る。
【0426】
いくつかの実施形態では、本発明は、操作されたウイルス(例えば、AAV)粒子にパッケージングされる操作された送達分子及びカーゴ分子を細胞において発現させる方法を提供し、これは、本明細書に開示されるベクター送達システムのいずれかによるベクターを導入するステップを含み得る。
【0427】
本発明は、以下の実施例においてさらに説明されるが、これらは特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【0428】
さらなる実施形態は、以下の実施例において例示され、これは、例示のみを目的として示され、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【実施例】
【0429】
実施例1-mRNAベースの検出方法は、AAVバリアントの選択についてよりストリンジェントである。
図1は、mRNAの産生をもたらすアデノ随伴ウイルス(AAV)の形質導入メカニズムを示す。
図1に示すように、AAV粒子による細胞の機能的形質導入は、mRNA鎖の産生をもたらし得る。非機能的形質導入は、ウイルスゲノムがDNAベースのアッセイを使用して検出可能であるにもかかわらず、かかる産物を産生しない。したがって、形質導入(例えば、AAVによる)を検出するためのmRNAベースの検出アッセイは、よりストリンジェントであり得、細胞を機能的に形質導入することができるウイルス粒子の機能性についてフィードバックを提供し得る。
図2は、AAVバリアントのmRNAベースの選択がDNAベースの選択よりもストリンジェントになり得ることを示すグラフを示す。このウイルスライブラリーは、CMVプロモーターの制御下で発現させた。
【0430】
実施例2-mRNAベースの検出方法は、カプシドバリアントライブラリーからAAVカプシドバリアントを検出するために使用され得る。
図3A~3Bは、肝臓におけるウイルスライブラリーと、ベクターゲノムDNA(
図3A)及びmRNA(
図3B)との相関関係を示すことができるグラフを示す。
図4A~4Fは、異なる組織において同定されたmRNAレベルで発現したカプシドバリアントを示すことができるグラフを示す。
【0431】
実施例3-カプシドmRNA発現は、組織特異的プロモーターによって駆動され得る。
図5A~5Cは、細胞型特異的プロモーター(x軸に記載)の制御下にある異なる組織におけるカプシドmRNAの発現を示すことができるグラフを示す。CMVは例示的な構成的プロモーターとして含まれた。CK8は筋肉特異的プロモーターである。MHCK7は筋肉特異的プロモーターである。hSynはニューロン特異的プロモーターである。
【0432】
実施例4-カプシドバリアントライブラリーの生成、バリアントスクリーニング、及びバリアントの同定。
一般に、AAVカプシドライブラリーは、適切なAAV産生細胞株において、前述されている操作されたAAVカプシドポリヌクレオチドを各々含有する操作されたカプシドベクターを発現させることによって生成され得る。例えば、
図8を参照されたい。これにより、もう1つの所望の細胞特異的な操作されたAAVカプシドバリアントを含み得るAAVカプシドライブラリーが生成され得る。
図7は、AAVカプシドバリアントライブラリーを生成する実施形態、特に野生型AAV、例えばAAV9にランダムなn量体(n=3~15アミノ酸)を挿入する実施形態を示す概略図を示す。この実施例において、ランダム7量体が、AAV9ウイルスタンパク質の可変領域VIIIのアミノ酸588~589の間に挿入され、ベクターにつき1つのバリアントを有するベクターを含有するウイルスゲノムを形成するのに使用された。
図8に示されるように、カプシドバリアントベクターライブラリーを用いて、AAV粒子を生成し、ここで、各カプシドバリアントは、ベクターゲノムとしてそのコード配列を内包した。
図9は、AAVカプシドバリアントライブラリーを生成するためにAAVベクターシステムにおいて使用することができる代表的なAAVカプシドプラスミドライブラリーベクター(例えば、
図8を参照)のベクターマップを示す。ライブラリーは、組織特異的プロモーターまたは構成的プロモーターの制御下で、カプシドバリアントポリヌクレオチドにより生成され得る。ライブラリーはまた、ポリアデニル化シグナルを含むカプシドバリアントポリヌクレオチドにより作製された。
【0433】
図6Aに示されるように、AAVカプシドライブラリーは、1回目のmRNAベースの選択のために様々な非ヒト動物に投与され得る。
図1に示されるように、AAV及び関連するベクターによる形質導入プロセスにより、細胞を形質導入したウイルスのゲノムを反映しているmRNA分子の産生がもたらされ得る。本明細書における実施例で少なくとも論じられるように、mRNAベースの選択は、細胞を機能的に形質導入することが可能なウイルス粒子を決定するのにより特異的かつ有効であり得るが、その理由は、それが、ウイルスDNAの存在を測定することによって該細胞におけるウイルス粒子の存在を単に検出することとは対照的に、産生された機能的産物に基づいているからである。
【0434】
図6Aにさらに示されるように、1回目の投与後、所望のカプシドバリアントを有する1つ以上の操作されたAAVウイルス粒子は次いで、フィルタリングされたAAVカプシドライブラリーを形成するために使用され得る。所望のAAVウイルス粒子は、カプシドバリアントのmRNA発現を測定し、どのバリアントが、所望ではない細胞型(複数可)と比較して所望の細胞型(複数可)において高度に発現されるかを決定することによって同定され得る。所望の細胞、組織、及び/または器官型において高度に発現するものが、所望のAAVカプシドバリアント粒子である。いくつかの実施形態では、該AAVカプシドバリアントをコードするポリヌクレオチドは、所望の細胞、組織、または器官において選択的活性を有する組織特異的プロモーターの制御下にある。
【0435】
1回目で同定された操作されたAAVカプシドバリアント粒子は次いで、様々な非ヒト動物に投与され得る。いくつかの実施形態では、2回目の選択及び同定において使用される動物は、1回目の選択及び同定に使用された動物と同じではない。1回目と同様に、投与後、所望の細胞、組織、及び/または器官型(複数可)において上位の発現バリアントが、細胞におけるウイルスmRNA発現を測定することによって同定され得る。2回目の後に同定された上位のバリアントは次いで、任意選択でバーコード化され、任意選択でプールされ得る。いくつかの実施形態では、2回目の上位バリアントは次いで、上位の細胞特異的バリアント(複数可)を同定するために非ヒト霊長類に投与され得る(特に、その上位バリアントの最終用途がヒトにおける場合)。各回での投与は、全身性であり得る。
図6Bにさらに示されるように、2回目の選択の後、公知の、対照、及び/または標準(例えば、ベンチマーク)バリアントに対するベンチマークを任意選択で含み得る3回目の選択が行われ得る。
【0436】
図10は、異なるプロモーターを使用して生成されたライブラリーによってもたらされたウイルス力価(AAV9ベクターゲノム/15cmディッシュとして計算)を示すことができるグラフを示す。
図10に示されるように、ウイルス力価は、異なるプロモーターの使用によって有意に影響を受けなった。
【0437】
実施例5-心筋特異性を有するモチーフバリアント。
心臓特異的インサートを、AAV9カプシド中の7量体インサートを、例えば実施例4に記載されている選択アプローチを用いて最適化することにより生成した。これらについては、インサート内に示されるアミノ酸のいずれもが、カプシドプロリルペプチド内のいずれのアミノ酸も置換しない。得られたインサートバリアントをランク順に表4に示す。心臓特異的インサートはまた、固定されたRGDモチーフ選択アプローチを使用して生成された。この場合、カプシドバリアント選択は、XXXRGDXXXXをAAV9カプシドに挿入することによって行った、ここで、Xは任意のアミノ酸であり、「RGD」の前の最初の3つのアミノ酸はAAV9カプシドポリペプチドのアミノ酸586、587及び588を置換し、それにより「RGDXXXX」はAAV9カプシドポリペプチドのアミノ酸残基589の直前に挿入される。この選択方法による心筋特異的バリアントは、以下の表5にランク順に示されている。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【0438】
本発明の記載される方法、医薬組成物、及びキットの様々な修正及び変形は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明は、特定の実施形態に関連して記載されているが、さらなる変更が可能であり、特許請求される本発明は、かかる特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるであろう。実際に、当業者に明らかである本発明を実施するための記載される形態の様々な変更が、本発明の範囲内であることが意図される。本出願は、一般に、本発明の原理に従って本発明の任意の変形、使用、または適応を網羅することが意図され、本開示からのかかる逸脱の包含は、本発明が属する技術分野における既知の慣習的慣行の範囲内で含まれ、以前に記載された本明細書の本質的な特徴に適用され得る。
【配列表】
【国際調査報告】