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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】歯科インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537450
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2023050577
(87)【国際公開番号】W WO2023135182
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】22151174.4
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506260386
【氏名又は名称】ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ロヴィス, ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイツェル, イェルク
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA04
4C159AA05
(57)【要約】
本開示は、頂端部、冠状端部、及び外面を有するコア本体を含む歯科インプラントに関する。コア本体は、頂端部と冠状端部との間の長手方向軸に沿って延びる。歯科インプラントは、コア本体の外面から延びる第1のねじ山をさらに含み、第1のねじ山は、少なくとも部分的にコア本体に沿って形成される。第1のねじ山は、頂端側ねじ山端部、冠状側ねじ山端部、及び頂端側ねじ山端部における前面を含む。前面は、少なくとも1つの切刃を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂端部(3)、
冠状端部(4)、及び
外面(5)を有し、かつ
前記頂端部(3)と前記冠状端部(4)との間の長手方向軸(L)に沿って延びるコア本体(2)と、
前記コア本体(2)の前記外面(5)から延び、かつ少なくとも部分的に前記コア本体(2)に沿って形成される第1のねじ山(6)と、
を含む歯科インプラント(1)であって、
前記第1のねじ山(6)は、頂端側ねじ山端部(7)と、冠状側ねじ山端部と、前記頂端側ねじ山端部(7)における前面(8)とを含み、
前記前面(8)は、少なくとも1つの切刃(9)を含む、歯科インプラント(1)。
【請求項2】
前記コア本体(2)は、第1の部分(10)と第2の部分(11)を含み、前記第1の部分(10)と前記第2の部分(11)は、前記長手方向軸(L)に沿って延びており、前記第2の部分(11)は、前記第1の部分(10)の頂端側に位置しており、
前記第1のねじ山(6)は、少なくとも部分的に前記第1の部分(10)に沿って延びる、請求項1に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項3】
前記頂端側ねじ山端部(7)が、前記第1の部分(10)内に位置する、請求項2に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項4】
前記第2の部分(11)が、前記頂端部(3)から前記冠状端部(4)に向かって延びる、請求項2または3に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項5】
前記第2の部分(11)が、実質的にテーパー状、円錐状、または円錐台状の外形を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項6】
前記歯科インプラント(1)が、少なくとも部分的に前記コア本体(2)に沿って延びる螺旋溝(13)をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の歯科インプラント(1)。
【請求項7】
前記螺旋溝(13)は、第2のねじ山(16)の谷底を形成し、前記第2のねじ山(16)は、好ましくは、前記第1のねじ山(6)に対して半ピッチだけずれている、請求項6に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項8】
前記第2のねじ山(16)及び/または前記螺旋溝(13)は、少なくとも部分的に前記第2の部分(11)に沿って延びる、請求項6または7に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項9】
前記第1のねじ山(6)の高さ(h1)は、前記第2のねじ山(16)の高さ(h2)よりも大きい、請求項7または8に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項10】
前記第1のねじ山(6)は、第1のピッチ(p1)で前記コア本体(2)の周りに螺旋状に形成され、前記第2のねじ山(16)は、第2のピッチ(p2)で前記コア本体(2)の周りに螺旋状に形成され、
前記第1のピッチ(p1)は、前記第2のピッチ(p2)と実質的に等しい、請求項7~9のいずれか1項に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項11】
前記歯科インプラント(1)は、切削フルート(14)をさらに含み、前記切削フルート(14)は、少なくとも1つの切刃(15)を含み、
前記前面(8)の前記少なくとも1つの切刃(9)は、前記切削フルート(14)の前記少なくとも1つの切刃(15)の一部を形成する、請求項1~10のいずれか1項に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項12】
前記切削フルート(14)は、前記第1の部分(10)及び前記第2の部分(11)に沿って延びる、請求項11に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項13】
前記切削フルート(14)は、前記頂端部(3)から前記冠状端部(4)に向かって延びる、請求項11または12に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項14】
前記切削フルート(14)は、前記第1のねじ山(6)の3ターン、好ましくは2ターン、最も好ましくは1ターンと交差する、請求項11~13のいずれか1項に記載の歯科インプラント(1)。
【請求項15】
前記第1のねじ山(6)は外半径(r1)を有し、前記前面(8)は、前記外半径(r1)が最小(rmin)となる前記長手方向軸に沿った点に形成される、請求項1~14のいずれかに記載の歯科インプラント(1)。
【請求項16】
前記前面(8)の前記少なくとも1つの切刃(9)は、正または負のすくい角を有し、及び/または、正または負の逃げ角を有する、請求項1~15のいずれかに記載の歯科インプラント(1)。
【請求項17】
前記コア本体(2)は、前記長手方向軸(L)に沿った断面を有し、前記断面が前記長手方向軸(L)に対して垂直であり、
前記頂端部(3)は、実質的に丸い、好ましくは実質的に円形の断面を有する、請求項1~16のいずれかに記載の歯科インプラント(1)。
【請求項18】
前記頂端部(3)は、丸みを帯びた先端(12)として形成される、請求項1~17のいずれかに記載の歯科インプラント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、骨組織に挿入するための歯科インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科インプラントは、歯の修復のための人工歯根として使用される。すなわち、歯科インプラントは、患者の上顎骨または下顎骨に人工歯のための固定を提供する。歯科インプラントが骨に適切に固定されることは、インプラントの安定性だけでなく、インプラントのオッセオインテグレーション、ひいては歯の修復の長期的な成功にとって極めて重要であることが知られている。
【0003】
インプラント手術の際、歯科医は通常、ドリルを使用して骨組織に凹部を形成し、その後、歯科インプラントを予め準備した凹部に挿入する。歯科インプラントを骨組織に挿入するために、歯科インプラントは、通常、歯科インプラントの外面に形成されたねじ山を含み、このねじ山によって歯科インプラントが骨にねじ込まれる。
【0004】
歯科インプラントは、インプラントの頂端部分に形成され、骨組織に切り込むための切刃を有する切削フルートをさらに備え得る。このような切削フルートは、ねじ山の複数のターンと交差し、これらの交差部において、ねじ山が切刃の一部を形成する。インプラントが挿入される過程で、インプラントの回転により切刃が骨組織を切削する。
【0005】
骨の密度、向き、及び質など、骨の状態は患者によって異なる。そのため、歯科医は、治療を受ける患者によって、相対的に高い骨密度や相対的に低い骨密度に直面する場合がある。さらに、歯の状態も同様に治療に影響する。例えば、部分的無歯顎または完全無歯顎の患者の場合、骨の高さが大きく減少することがあり、その結果、短いインプラント、すなわち比較的短い長手方向の長さを有するインプラントが必要となる。特にこのようなインプラントでは、安定した固定が治療の成功に不可欠である。
【0006】
骨が密集している場合、または短いインプラントを使用する場合、標準的な切削フルートを有する歯科インプラントは、挿入中にぐらつく傾向があり、言い換えれば、準備された骨凹部に整列して挿入することが困難である。さらに、既知のインプラントは、所望の挿入経路から逸脱することが示されている。さらに、骨凹部への歯科インプラントの挿入中に、歯科インプラントを締め付け過ぎるリスクがあり、このことは、挿入トルクが急速に減少し、歯科インプラントが最終位置で(長手方向軸周りの)回転自由度、いわゆる空回りインプラントを示すことを意味する。このような影響により、骨凹部が予め準備されている場合でも、これらのインプラントの設置がより困難になる。
【発明の概要】
【0007】
上記の観点から、挿入中及び挿入後のインプラントの安定性を高める歯科インプラントの必要性が依然としてある。したがって、本発明の目的は、観察される上記の悪影響に特に対処する歯科インプラントを提供することである。
【0008】
この目的に答えて、本開示は、独立請求項の主題による歯科インプラントを提供し、これに従属する請求項は、好ましい実施形態を規定する。
【0009】
本開示は、頂端部、冠状端部、及び外面を有するコア本体を含む歯科インプラントを提供し、コア本体は、この頂端部とこの冠状端部との間の長手方向軸に沿って延在する。歯科インプラントはまた、コア本体の外面から延び、かつコア本体に少なくとも部分的に沿って形成される、第1のねじ山とも呼ばれる少なくとも1つのねじ山を含む。第1のねじ山は、頂端側ねじ山端部、冠状側ねじ山端部、及び頂端側ねじ山端部における前面を含む。頂端側ねじ山端部において、前面は、好ましくは半径方向に、第1のねじ山の頂端フランクと第1のねじ山の冠状フランクとの間に延び得る。前面は、少なくとも1つの切刃を形成するか、またはそれを構成する。
【0010】
コア本体は、実質的に、長手方向軸に沿って円筒状、円錐状、または円錐台状の形状を有し得る。コア本体が長手方向軸に沿って異なる形状を有することも可能であり、例えば、コア本体の冠状部分は円筒状であり、コア本体の頂端部分はテーパー状、円錐状または円錐台状の形状を有する。長手方向軸に垂直なコア本体の断面の輪郭は、好ましくは実質的に円であり、より好ましくは実質的に円形または楕円形であり得る。コア本体の頂端部分の断面の輪郭が実質的に円形または楕円形であることが特に好ましい。それにもかかわらず、コア本体の断面の輪郭、特にコア本体の頂端部分の断面の輪郭は、少なくとも1つの直線部分を含んでいてもよい。したがって、輪郭が厳密な円または円形から逸脱する原因となる少なくとも1つの直線部分(以下でさらに説明する溝またはフルートに起因する)を含む場合があるため、実質的にという用語が使用される。
【0011】
コア本体は、長手方向軸に沿った断面を有し得、断面は、長手方向軸に対して垂直であり、頂端部は、実質的に丸い、好ましくは実質的に円形の断面を有する。
【0012】
コア本体の頂端部分、特に頂端部の実質的に丸いまたは実質的に円形の輪郭は、インプラントの案内及びセンタリング効果を容易にする。別の表現をすれば、実質的に円いまたは円形の輪郭は、長手方向軸に垂直な方向に突出する縁部を実質的に全く有さないので、コア本体の頂端部分または頂端部は、骨凹部内でセンタリングまたは案内を達成し得る。さらに、骨凹部内へのインプラントの挿入性が向上する。さらに、実質的に丸いまたは円形の外形は、骨の過度の圧迫をさらに回避する。
【0013】
コア本体の頂端部は、好ましくは丸みを帯びた先端として形成される。
【0014】
丸みを帯びた先端とは、コア本体の頂端面とコア本体の外面とを接続する縁部が実質的に丸みを帯びていることを意味する。言い換えれば、好ましくは、コア本体の頂端面と外面との間に不連続部がない。コア本体の頂端部はまた、実質的に球状に形成され得る。
【0015】
それにより、骨凹部への歯科インプラントの挿入性がさらに向上する。
【0016】
歯科インプラントの第1のねじ山は、コア本体の外面から延びるか、または突出する、すなわち、コア本体から長手方向軸に実質的に垂直な方向(すなわち、半径方向)に外側に突出する。したがって、コア本体の外面は、第1のねじ山の谷底を形成する。
【0017】
さらに、第1のねじ山は、コア本体に沿って少なくとも部分的に形成され、これは、第1のねじ山がコア本体の全長に沿って存在する必要はないことを意味する。それにもかかわらず、第1のねじ山は、コア本体の全長に沿って延びていてもよい。
【0018】
第1のねじ山は、好ましくは、コア本体の周りに螺旋状に形成される。さらに、第1のねじ山は、冠状フランク、外側フランク及び頂端フランクを有して形成されてもよく、外側フランクは、冠状フランクと頂端フランクを連結する。しかしながら、第1のねじ山は、冠状フランクと頂端フランクとが互いに交差するように形成してもよい。この場合、外側フランクは実質的に存在しないか、少なくとも線状に縮小される。第1のねじ山のフランクを、長手方向軸に沿って異なって形成し得ることも可能である。例えば、第1のねじ山の頂端部分において、冠状フランク及び頂端フランクが互いに対してより角度が付けられてもよく、及び/または、第1のねじ山の冠状部分において、半径方向外側フランクがよりも小さくてもよい。
【0019】
第1のねじ山は、単一のねじ山として形成され得、これは、冠状側ねじ山端部から頂端側ねじ山端部まで単一のねじ山経路が形成されることを意味する。第1のねじ山が複数のねじ山として、好ましくは二重のねじ山として形成されることもさらに可能である。この場合、第1のねじ山の複数のねじ山経路、好ましくは2つのねじ山経路が冠状側ねじ山端部から頂端側ねじ山端部まで形成される。したがって、頂端側ねじ山端部において、このような多重の第1のねじ山は、複数の前面、好ましくは2つの前面を含む。複数の前面は、好ましくは、コア本体の円周に沿って互いに等間隔に配置される。
【0020】
コア本体の外面に対する第1のねじ山の前面の角度は、75°~105°、80°~100°、85°~95°、または87°~93°の範囲であってもよく、好ましくは実質的に90°であってもよい。角度は、前面によって形成される線と、コア本体の前面線と外面線との交差部におけるコア本体の外面の接線との間の断面外形において測定される。
【0021】
前面の少なくとも1つの切刃は、骨組織を切断するためのものである。切刃は、前面の周縁に沿って延びている。前面は、例えば、第1のねじ部の冠状フランク、頂端フランク、及び外側フランクの(ちょうど)3つの切刃から構成されてもよく、外側フランクは、冠状フランクと頂端フランクとを連結する。あるいは、前面は、(ちょうど)2つまたは(ちょうど)1つの切刃から構成されてもよい。多重ねじ山の形態の第1のねじ山を有する実施形態の場合、各前面は少なくとも1つの切刃から構成され得る。
【0022】
本開示によれば、第1のねじ山は、頂端側ねじ山端部に前面を有する。頂端側ねじ山端部における第1のねじ山の前面は、前面におけるねじ山高さを規定する切刃を形成する。言い換えれば、頂端側ねじ山端部は、コア本体の外面に連続的に接近するのではなく、不連続である。特に、第1のねじ山は、その頂端部において典型的なねじ山振れ、すなわち、歯科インプラントのコア本体に対する第1のねじ山の高さが、ねじ山の少なくとも1/4回転にわたって連続的にゼロに減少する部分を有して形成されない。当業者は、コア本体に対して角度のある前面から生じる第1のねじ山の高さの減少は、本文脈において典型的なねじ山振れとして理解されないことを理解するであろう。
【0023】
これにより、歯科インプラントの挿入時に、骨組織に所定の高さで直ちに切り込む切刃が形成される。これにより、典型的なねじ山振れで形成されるねじ山に比べて、歯科インプラントを骨組織内に固定することが容易になる。より詳細には、第1のねじ山のねじ山経路が所定の高さで骨組織に切り込まれることにより、第1のねじ山のターンの間に骨組織も満足のいく形で着座することが容易になる。さらに、所定の高さを有する前面による切り込みも、そうでなければ第1のねじ山によって及ぼされる骨の圧縮を制限する。
【0024】
頂端側ねじ山端部における第1のねじ山の前面は、インプラントが空回りするリスクをさらに低減する。言い換えれば、このような前面を有する歯科インプラントは、骨凹部内の最終位置において空転、すなわち、最終位置において長手方向軸を中心とする望ましくない回転運動をしにくいことが驚くべきことに示されている。これは、骨組織内に比較的大きな高さを有する切刃で切削する、より積極的な切刃のために促進され、したがって、骨凹部内で(特に回転方向に)より良好に固定されると考えられる。
【0025】
頂端側ねじ山端部における第1のねじ山の前面は、さらに、以下の有利な効果をもたらす。歯科インプラントは、骨片または骨密度の変化により、最終的な挿入位置付近で位置がずれる場合がある。これは、回転中心のずれにより、インプラントの所定の挿入経路からのずれを引き起こし、骨凹部内での歯科インプラントの座面ずれのリスクをもたらす。理論に束縛されることを望むものではないが、前面の切削動作は、このような骨組織部分により容易に食い込み、したがって、インプラントの望ましくない方向への位置ずれを防止する。
【0026】
特に、2つ以上の、すなわち複数の前面及びその結果としての複数の切刃を含む歯科インプラントの実施形態では、コア本体から外側に突出する単一の切刃から生じる場合がある、骨凹部への歯科インプラントの誤挿入のリスクが低減される。
【0027】
歯科インプラントのコア本体は、第1の部分及び第2の部分をさらに含んでもよく、第1の部分及び第2の部分は、長手方向軸に沿って延びている。第2の部分は、第1の部分の頂端側に位置し、第1のねじ山は、第1の部分に沿って少なくとも部分的に延びている。
【0028】
好ましくは、第2の部分は、頂端部から冠状端部に向かって延びている。
【0029】
コア本体に関して前述したように、コア本体の第1の部分及び/または第2の部分は、実質的に円筒状及び/またはテーパー状を有し得る。好ましくは、第1の部分及び/または第2の部分は、実質的にテーパー状、円錐状または円錐台状の形状である。第1の部分及び第2の部分は、異なる外形を有し得る。例えば、第1の部分は円筒状であるのに対し、第2の部分はテーパー状であってもよい。別の例では、第1の部分と第2の部分の両方がテーパー状であってもよい。長手方向軸から第2の部分の外面まで測定したテーパー角は、第1の部分のテーパー角より大きくても、等しくても、または小さくてもよい。
【0030】
また、第1の部分と第2の部分が、同様または実質的に同じ、好ましくは円筒状またはテーパー状の外形を有することも可能である。
【0031】
好ましくは、頂端側ねじ山端部は、第1の部分内に位置する。
【0032】
第1のねじ山、特に第1のねじ山の頂端側ねじ山端部は、好ましくは、コア本体の頂端部から所定の距離に形成される。第2の部分が存在する場合、第1のねじ山は、好ましくは、第2の部分内には延びない。しかしながら、以下にさらに説明するように、第1のねじ山は第2の部分の第2のねじ山に隣接していてもよい。
【0033】
この構成により、インプラントのねじ山が骨組織、特に骨凹部(例えば、いわゆるパイロットホール)を形成した後の骨組織と接触する前に、歯科インプラントを挿入することができる。このような第1のねじ山のない歯科インプラントの頂端部分を、インプラントを回転運動させることなく骨凹部に挿入し得る。
【0034】
インプラントの挿入中、骨凹部に挿入された歯科インプラントの頂端部分は、第1のねじ山が骨組織に接触するまでに、案内及びセンタリング効果を有利に達成し得る。それにより、歯科インプラントの挿入が容易になり、特に、挿入時に歯科インプラントがぐらつくリスクが低減される。
【0035】
さらに、第1のねじ山が歯科インプラントの頂端部分に存在しないことは、所定の挿入トルクを超える可能性が低くなるという効果を有するとともに、第2の部分が、挿入中の案内と、安定性を提供するための表面、特に、移植後の骨の成長のための表面(二次的安定性)とを既に提供する。
【0036】
センタリング及び案内効果を、第1のねじ山、特に第1のねじ山の頂端側ねじ山端部が形成される、コア本体の頂端部からの所定の距離によって、または、例えば、インプラントの良好な案内及びセンタリングが第一に重要である歯科的状況においては、第2の部分の長手方向及び横方向への延長によって、さらに適合させ得る。さらに、長さの異なる歯科インプラントであっても、実質的に同様の第1のねじ山の設計を有する歯科インプラントを形成することが可能であり、すなわち、このような歯科インプラントは、第1のねじ山を有しないインプラントの頂端部分の設計のみが異なっていてもよい。
【0037】
歯科インプラントは、コア本体に沿って少なくとも部分的に延びる螺旋溝をさらに含み得る。
【0038】
螺旋溝は、コア本体の外面から内側に凹んでおり、コア本体に沿って少なくとも部分的に螺旋状に延びている。歯科インプラントは、単一または複数、好ましくは2本または3本の螺旋溝を含み得る。
【0039】
螺旋溝は、好ましくは、第2のねじ山の谷底を形成する。特に、コア本体の外面から最も内側に凹んでいる螺旋溝に沿った点を結ぶ線が、第2のねじ山の谷底を形成し得る。螺旋溝の場合、コア本体の外面は、好ましくは、第2のねじ山の外径を形成する。言い換えれば、螺旋溝によって画定される第2のねじ山は、歯科インプラントのコア本体の外面から長手方向軸に垂直な方向に外側に延びることはなく、代わりに、この外面に凹んでいる。
【0040】
螺旋溝の隣接するターンは、好ましくは、第1のねじ山のピッチと同じピッチを有する。
【0041】
第2のねじ山は、好ましくは、第1のねじ山に対して半ピッチだけずれている。あるいは、第2のねじ山は、第1のねじ山の投影経路に沿って、すなわち、第1のねじ山が頂端側ねじ山端部を超えて続いている場合の第1のねじ山の理論的経路に沿って延びていてもよい。
【0042】
第2のねじ山は、単一のねじ山または複数のねじ山、好ましくは2本または3本のねじ山として形成し得る。これは、コア本体に沿って第2のねじ山のための1本または複数本、好ましくは2本のねじ山経路が存在してもよいことを意味し、各ねじ山経路は別個の螺旋溝によって形成される。第2のねじ山の数は、好ましくは、第1のねじ山の数と等しい(例えば、第1のねじ山が二重のねじ山であることは、第2のねじ山が二重のねじ山であることをもたらす)。
【0043】
本開示によれば、第2のねじ山及び/または螺旋溝は、第2の部分に沿って少なくとも部分的に延びていてもよい。
【0044】
したがって、第2のねじ山を、第1の部分、すなわち第1のねじ山の頂端側に形成してもよい。しかしながら、第2のねじ山を、少なくとも部分的に第1の部分内に延びるように形成してもよい。対照的に、第1のねじ山は、第1の部分を越えて頂端側に向かって延びない場合がある。しかしながら、第1の部分と第2の部分との間の境界まで(その頂端フランクとともに)延びていてもよい。
【0045】
好ましくは、第2のねじ山は、コア本体の頂端部までコア本体に沿って延びる。しかしながら、コア本体が、第2のねじ山が存在しない頂端部、すなわち、第2のねじ山が頂端部から離れた位置に存在する頂端部を含むことも可能である。
【0046】
第2のねじ山は、予め準備された骨凹部の骨組織との接触時にインプラントを骨凹部内に引き込むことにより、歯科インプラントの挿入を支持し得る。同時に、第2のねじ山は、インプラントの頂端部分、すなわち第2の部分を、インプラントの回転の有無にかかわらず、骨凹部内に挿入することを可能にし、依然として、第1のねじ山が骨組織と接触する前に、案内として、及びセンタリングのために機能する。
【0047】
さらに、第2のねじ山を有する第2の部分により、骨凹部を準備する手順から骨凹部内にまだ残っている場合がある骨片を移動させて分配することができる。骨片の分配は、骨切り部の底部から集められ、骨切り部に沿って冠状に分配される生物学的に重要な骨片によって引き起こされるオッセオインテグレーションの改善と促進につながる。骨片を軸方向に分布させることで、骨切り部の頂端部において、骨片の堆積により圧迫される範囲の増大を防ぐという利点がある。インプラントの周囲に放射状に骨片を配置することで、最終位置でインプラントが空転するリスクや、インプラントが骨組織に正しく設置されないリスクを低減する。さらに、第1のねじ山と第2のねじ山の組み合わせは、インプラントの両皮質固定につながる。
【0048】
第1のねじ山の高さは、第2のねじ山の高さよりも大きいことが好ましい。
【0049】
本開示による第1及び第2のねじ山の高さは、コア本体の外面に垂直な方向において、それぞれのねじ山の谷底から半径方向外側フランクまで測定される。
【0050】
第2のねじ山は、好ましくは、第1のねじ山の高さよりも小さいねじ山の高さを有する。これにより、インプラントの案内及びセンタリングのためにインプラントを回転させることなく、インプラントの頂端部分を骨凹部内に部分的に挿入することができる。しかしながら、第2のねじ山の高さは、第1のねじ山よりも柔らかい方法で、インプラントの回転時にインプラントを骨凹部内に引き込むことを依然として可能にする。このより柔らかい方法により、計画された挿入経路に向けたインプラントの案内が強化される。
【0051】
好ましくは、第1のねじ山は第1のピッチでコア本体の周りに螺旋状に形成され、第2のねじ山は第2のピッチでコア本体の周りに螺旋状に形成され、第1のピッチは第2のピッチと実質的に等しくてもよい。第1のピッチと第2のピッチは異なっていてもよく、すなわち、第1のピッチは第2のピッチよりも大きくても小さくてもよい。
【0052】
歯科インプラント、特にコア本体は、切削フルートをさらに備えてもよく、切削フルートは、少なくとも1つの切刃を備えてもよい。第1のねじ山の前面の少なくとも1つの切刃は、好ましくは、切削フルートの少なくとも1つの切刃の一部を形成する。
【0053】
本開示の文脈における切削フルートとは、一般に、骨組織を切削するように構成された縁部、すなわち切刃を形成するための、歯科インプラントのコア本体(例えば、長手方向)に沿った凹部または平坦部分を指す。切削フルートは、実質的に直線に沿って形成されてもよく、あるいは、曲線または螺旋線に沿って形成されてもよい。
【0054】
切削フルートは、骨組織への歯科インプラントの挿入を容易にし、インプラントの挿入中に所望の挿入トルクを達成するのに寄与する。同時に、切削フルートは、骨組織を切断することによって、骨組織の圧縮をも制限し得る。
【0055】
切削フルートは、浅いタイプであることが好ましい(すなわち、コア本体の円周に沿ったコア本体の凹部または平坦部分の深さが比較的小さい)。これにより、第1のねじ山の前面の効果が低下せず、頂端部分の断面の輪郭、好ましくはコア本体の頂端部の断面の輪郭が実質的に円形または楕円形のままであることが容易になる。
【0056】
好ましくは、切削フルートは、第1の部分及び第2の部分に沿って延びている。さらに好ましくは、切削フルートは、頂端部から冠状端部に向かって延びており、第2の部分を超えて第1の部分内に延びていてもよい。
【0057】
これにより、歯科インプラントは、第2の部分、すなわち、インプラントの挿入中に骨組織と最初に接触するインプラントの部分から始まる切削能力を備える。
【0058】
切削フルートは、第1のねじ山の3ターン、好ましくは2ターン、及び最も好ましくは1ターンと交差し得る。
【0059】
言い換えれば、第1のねじ山のねじ山経路の3ターン、2ターン、または1ターンが、切削フルートによって中断される場合がある。それにより、中断されたねじ山のターンは、切削フルートの切削挙動に影響を与える切刃も形成する。好ましくは、第1のねじ山のターンは切削フルートから始まる。したがって、第1のねじ山のターンは、後方切削能力を持たずに(すなわち、中断されずに)、前方切削能力のみを有し得る。言い換えれば、第1のねじ山のターンは、インプラントが骨組織にねじ込まれている間のみ骨組織を切削するが、切削線がないため、インプラントを逆方向に回転させる際には切削能力がない。後者は、例えば、トルクが所定値を超えた場合にトルクを低減するために、インプラント埋入中に一時的に行われる場合がある。
【0060】
その結果、切削フルートが第1のねじ山のいかなるターンも中断しないが、第1のねじ山の前面を有する頂端側ねじ山端部が切削フルートに(直接)隣接して配置される(言い換えれば、切削フルートの切刃が第1のねじ山の切刃と接続される)ことがあり得る。
【0061】
したがって、第1のねじ山は、第1のねじ山の頂端部に前面を有し、切削フルートによって中断される場合がある。それにもかかわらず、第1のねじ山が切削フルートによって中断されず、第1のねじ山の頂端部における前面が切削フルートに位置する場合、第1のねじ山の少なくとも頂端部分は連続したねじ山である。これは、切削フルートが第1のねじ山の頂端部分に影響を与えない場合、または切削フルートが存在しない場合に相当する。いずれの場合も、第1のねじ山は、その頂端部に(1つの)ねじ山面を有する。
【0062】
切削フルートは、第2のねじ山のターンと、好ましくは第2のねじ山のすべてのターンと、さらに交差し得る。第2のねじ山のターンは、好ましくは、前方切削能力及び/または後方切削能力を有する。
【0063】
それによってまた、第2のねじ山のターンは、好ましくは、限定されたねじ山の高さ及びピッチシフトのために、第1のねじ山の中断されたターンに関して異なる切削効果を有する切刃を形成する。さらに、第2のねじ山は、インプラントの挿入中のトルクを低減するのに有利であり得る、前方及び後方切削能力を備え得る。
【0064】
第2のねじ山の切削能力は、そうでなければインプラントのこの部分によって引き起こされる骨組織の圧縮を制限するのに役立つ。このことは、第1のねじ山の切削能力にも当てはまり、特に二次的安定性の確立を支援する。
【0065】
第1のねじ山は、外半径を構成し得、前面は、外半径が最小または最小値である長手方向軸に沿った点に形成される。
【0066】
第1のねじ山の外半径とは、長手方向軸に垂直な方向における第1のねじ山の外側フランクと長手方向軸との間の距離を指す。第1のねじ山は、長手方向軸に沿って一定の外半径で形成され得るが、これに限定されない。また、第1のねじ山の外半径は、冠状端部から頂端部に向かう方向にテーパー状に形成されていてもよい。
【0067】
第1のねじ山は、冠状端部から頂端部に向かう方向に高さが増加する場合がある。後者の場合、第1のねじ山が最大高さを有することによって前面が形成される。
【0068】
外半径及びねじ山高さの大きさ、ならびに第1のねじ山に沿ったその変化により、歯科インプラントの挿入中に生じる骨組織の圧縮を事前に定義することができる。
【0069】
前面の少なくとも1つの切刃は、正または負のすくい角を有し得、及び/または、正または負の逃げ角を有し得る。
【0070】
長手方向軸に垂直なインプラントの断面において、すくい角は、前面を表す線と長手方向軸と切刃とを結ぶ線との間に定義される切刃における角度、すなわちフランク面を表す線の最も外側の点である。その結果、前面がコア本体の外面から外側にコア本体に対して90°の角度(すなわち、前面とコア本体の外面が交差する点における接線に対する角度)で延びる場合、すくい角は0°(中立すくい角)となる。正の(または負の)すくい角が形成されるのは、切削方向において、切刃が前面とコア本体との交点よりも前方(または後方)に位置するか、または傾いている場合である。
【0071】
すくい角は、フランク面の切削挙動に影響を与える。すくい角が正の場合、一般に切刃はより鋭く、より鋭利に作用し、すくい角が負の場合、切刃はより鈍く作用する(すなわち、切刃の作用が切削ではなく圧縮の方向にシフトする場合がある)。
【0072】
また、長手方向軸に垂直なインプラントの断面において、前面を表す線の最外点で測定した場合、逃げ角は、実際のねじ山(半径が減少、一定、または増加するねじ山)のねじ山の外側フランクの接線と、一定の半径を有するねじ山を想定した場合のねじ山の外側フランクの接線との間で定義される。
【0073】
したがって、一定の半径を持つねじ山は0°の逃げ角を持ち、冠状端部から頂端部に向かう方向に半径が減少(増加)するねじ山は負の(正の)逃げ角を持つ。
【0074】
逃げ角はフランク面の切削挙動にも影響を与える。正の逃げ角は切刃をより鋭くし、負の逃げ角は切刃をより鈍くし、上記に既に説明した効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0075】
以下の図は、本開示による歯科インプラントの実施形態を示す。これらの実施形態は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるものではなく、以下の説明との関連において本発明の理解を高めるためのものである。これらの図において、同一の参照符号は、同一または同等の機能及び/または構造を有する図面全体にわたる特徴を指す。これらの構成要素についての繰り返しの説明は、簡潔性の理由から一般に避けることに留意されたい。
【0076】
図1】本開示による歯科インプラントの斜視図である。
図2図1に示す歯科インプラントの頂端部分の斜視図である。
図3図2に示す歯科インプラントの頂端部分の側面図である。
図4】前の図の歯科インプラントの頂端面側を示す頂端-冠状方向の底面図である。
図5】本開示による歯科インプラントの別の実施形態の頂端部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、本開示による歯科インプラントの例示的な実施形態を、添付の図を参照して詳細に説明する。
【0078】
図1及び図2は、本開示による歯科インプラント1の斜視図である。歯科インプラント1は、頂端部3及び冠状端部4を有するコア本体2を含む。コア本体2は、頂端部3と冠状端部4との間の長手方向軸Lに沿って延びている。コア本体2は、長手方向軸Lを取り囲む外面5を有する。この外面(円周面)5は、コア本体2を概ね画定する。以下に説明する歯科インプラントの他の特徴のいくつかは、このコア本体2に関連して定義される(例えば、ねじ山、溝)。
【0079】
冠状端部4において、歯科インプラント1は、歯科代替物のさらなる構成要素(例えば、アバットメント、歯科修復物)と係合するように構成された係合部(図示せず)を含んでもよい。
【0080】
長手方向軸Lに沿ったコア本体2の外形は、特定の形状に限定されない。上述したように、コア本体2は、実質的に円筒状またはテーパー状であってもよい。特に、コア本体2は、円錐形状または円錐台形状を有してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、コア本体2はまた、長手方向軸に沿った複数の、特に2つの部分を含み得る。コア本体2のそのような部分は、実質的に円筒状またはテーパー状、好ましくは円錐形状または円錐台形状の外形を備え得る。コア本体2の各部分は、異なる外形を備えてもよいし、または全ての部分が実質的に同一または類似の外形を備えてもよい。例えば、コア本体2の冠状部分は実質的に円筒状に形成され、コア本体2の頂端部分はテーパー状に形成され得る。しかしながら、上述の形状の他の組み合わせも可能である。別の例では、コア本体2は、長手方向軸に沿って異なるテーパー角度を有するテーパー状であってもよく、すなわち、コア本体2の冠状部分は、コア本体2の頂端部分よりも低いテーパー角度を有してもよい(またはその逆)。また、冠状部分と頂端部分が同じテーパー角度を有することも可能である。
【0082】
好ましい実施形態では、コア本体2は、長手方向軸Lに沿って延びる第1の部分10及び第2の部分11を含み得る。好ましくは、第2の部分11は、第1の部分10の頂端側に位置する。特に、第2の部分11は、コア本体2の頂端部3から冠状端部4に向かって延び得る。第1の部分10及び/または第2の部分11は、上述したように、連続的な外形形状または外形形状の組み合わせを備え得る。
【0083】
コア本体2は、長手方向軸Lに沿った断面をさらに含んでいてもよい。言及される断面は、一般に、長手方向軸Lに垂直な断面である。コア本体2の断面の輪郭25は特定の形状に限定されない。コア本体2の頂端部3の断面は、(図4に示すように)実質的に丸いまたは実質的に円形の輪郭25を含むことが好ましい。
【0084】
「実質的に」という用語は、コア本体2の断面の輪郭25を、特にコア本体2の頂端部分において、厳密に丸いまたは円形の輪郭25(例えば、少なくとも1つの直線部分を含む)から逸脱させる、さらなる特徴、例えば、以下でより詳細に説明される溝またはフルートが存在し得るので、使用される。
【0085】
実質的に丸くまたは実質的に円形に形成されたコア本体2の頂端部3の断面の輪郭は、骨凹部への歯科インプラント1の挿入を容易にする。さらに、頂端部3の実質的に丸いまたは円形の輪郭は、挿入中にインプラントのセンタリングを容易にする。
【0086】
図5に最もよく示されているように、歯科インプラント1の頂端部3を、丸みを帯びた先端12としても形成し得る。これは、頂端部3におけるコア本体2の面と歯科インプラント1の外面5との間の1つの縁部または複数の縁部が、実質的に丸みを帯びている、及び/または面取りされていることを意味する。頂端部3が球状に形成されることも可能である。いずれにせよ、当業者は、このような実質的に丸みを帯びている、及び/または面取りされている縁部に延びるねじ山6、16が、この領域においてこの形状に従うことを理解するであろう。
【0087】
頂端部3における歯科インプラント1のこれらの縁部は、骨組織またはいわゆるパイロットホールのような予め準備された骨凹部に最初に挿入されるので、丸み及び/または面取りにより、歯科インプラント1の挿入が促進される。
【0088】
歯科インプラント1は、コア本体2の外面5から延びるまたは突出する第1のねじ山6をさらに含む。言い換えれば、第1のねじ山6は、コア本体2の外面5上に雄ねじとして形成され、外面5は、第1のねじ山6の谷底を形成する。
【0089】
第1のねじ山6は、頂端側ねじ山端部7及び冠状側ねじ山端部(図示せず)を含み、少なくとも部分的にコア本体2に沿って形成されている。頂端側ねじ山端部7及び冠状側ねじ山端部は、それぞれ、頂端部3及び/または冠状端部4に一致してもよいし、一致しなくてもよい。さらに、第1のねじ山6は、第1のピッチp1(図3参照)でコア本体2の周りに螺旋状に形成されている。
【0090】
図1に特に示すように、インプラントの頂端部分において、第1のねじ山6は、好ましくは、頂端側ねじ山端部7と連続するねじ山として形成される。それにもかかわらず、第1のねじ山6は、以下にさらに説明するように、切削フルート14によって途切れたねじ山としても形成され得る。このような第1のねじ山6は、頂端部7に前面8を有し、冠状端部を有し、頂端部7と冠状端部との間に断続部を有する不連続なねじ山である。
【0091】
図3からわかるように、第1のねじ山6は、冠状フランク17、半径方向外側フランク18、及び頂端フランク19を備えて形成され得る。半径方向外側フランク18は、直線状及び/または丸みを帯びている場合がある。直線状の外側フランクは、一定または可変の幅を有し、及び/または縁部を形成する(すなわち、頂端フランク19と冠状フランク17とを接続する縁部を形成する)ことによって、少なくとも部分的に画定され得る。
【0092】
第1のねじ山6は、第1のねじ山6の谷底、すなわちコア本体2の外面5と、外面5に垂直な方向における半径方向外側フランク18との間で測定される高さh1を有する。第1のねじ山6の高さh1は、第1のねじ山6の延長に沿って一定であっても、一定でなくてもよい。一定でない場合、第1のねじ山の高さは、好ましくは、歯科インプラント1の冠状端部4から頂端部に向かう方向に増加する。
【0093】
第1のねじ山6はまた、外半径r1を有する。外半径r1は、長手方向軸Lと、長手方向軸Lに垂直な方向の半径方向外側フランク18との間で測定される。第1のねじ山6の外半径r1は、第1のねじ山6の延長に沿って一定であっても、一定でなくてもよい。一定でない場合、外半径は、好ましくは、歯科インプラント1の冠状端部4から頂端部に向かう方向に減少し、すなわち、歯科インプラントは、第1のねじ山6に沿ってこの方向に先細りになる。
【0094】
第1のねじ山6により、歯科インプラント1は、歯科インプラント1の所定の回転方向26への回転時に、準備された骨凹部内に引き込まれる。所定の回転方向26は、歯科インプラント1を骨凹部内に前進させるために歯科インプラント1が回転させられる方向である。一旦挿入されると、第1のねじ山6もまた、骨凹部内で歯科インプラント1の固定を提供する。
【0095】
頂端側ねじ山端部7において、第1のねじ山6は、前面8を含む。言い換えれば、第1のねじ山6は、あるねじ山高さh1、好ましくは第1のねじ山6の最大ねじ山高さh1で頂端側ねじ山端部7において終了する。前面8は、コア本体2の外面5に対して所定の角度で形成される。好ましい実施形態では、外面5に対する前面8の角度は実質的に90°である。しかしながら、前面8は、外面5に対して実質的に80°、85°、95°もしくは100°の角度、または上記で規定された角度範囲のうちの1つ以内の角度で形成してもよい。
【0096】
前面8は、少なくとも1つの切刃9を含む。切刃9は、骨組織を切断するように構成され得る。特に、前面8は、正確に1つ、2つまたは3つの切刃を含み得る。例えば、冠状フランク17の縁部分/縁部全体、及び/または半径方向外側フランク18の縁部分/縁部全体、及び/または頂端フランク19の縁部分/縁部全体が、前面8の周縁部において、前面8に沿って切刃9を形成し得る。
【0097】
3つのフランク17、18、19の間の接続縁部が、前面8において実質的に丸みを帯び、及び/または面取りされていることが可能である。3つのフランク17、18、19の間の移行部が、フランク17の縁部からフランク18の縁部、フランク19の縁部への移行部が前面8の連続的な縁部を形成するように丸みを帯びている場合、単一の切刃9が形成される。それにもかかわらず、切刃は、並置された切刃によって形成されてもよく、この場合、これらの切刃間の移行は不連続である(例えば、面取りまたは頂点におけるフランク間の移行の場合)。
【0098】
頂端側ねじ山端部7に前面8があるため、第1のねじ山6は頂端側ねじ山端部7で連続的なねじ山振れを構成しない。典型的なねじ山振れは、ねじ山の高さが、少なくとも4分の1回転、または8分の1回転にわたって、ある高さからゼロに減少するねじ山の端部分として理解される。したがって、当業者であれば、コア本体2の外面5に対して角度を付けた前面8に起因する第1のねじ山6の高さh1の不連続な減少は、ねじ山振れを形成しないことを理解するであろう。
【0099】
図に示すように、第1のねじ山6が典型的なねじ山振れをもって形成されないため、第1のねじ山6の前面8は、所定の高さをもつ切刃9を容易に形成する。したがって、骨凹部内に歯科インプラント1を挿入して回転させると、前面8は直ちに一定の高さ、好ましくは第1のねじ山6の最大高さで骨組織に切り込む。この配置により、歯科インプラントが完全に挿入されたときに空転するリスクが低減された切削挙動が有利に得られることが確認されている。インプラントの空転を防止することにより、すなわち、第1のねじ山6のピッチに従って骨組織内へインプラントを前進させることなく歯科インプラント1を回転させることにより、歯科インプラント1の固定が強化される。
【0100】
さらに、前面8は、歯科インプラント1の挿入トルクにも大きく影響し、歯科インプラント1の初期安定性及びオッセオインテグレーションを促進する。その結果、長さと直径の比が2未満の歯科インプラント1によっても、周囲の骨組織への確実な取り付けのための十分な固定が提供される。
【0101】
さらに、第1のねじ山6の頂端側ねじ山端部7における前面8の切削動作は、骨組織を最適な方法で切削する。これにより、患者の骨組織内での歯科インプラント1の固定が改善される。
【0102】
前面8は、好ましくは、第1のねじ山6の外半径r1が最小(rmin)となる長手方向軸に沿った点に形成される。追加的に、または代替的に、前面8は、好ましくは、最大である第1のねじ山6の高さh1を構成する。
【0103】
これにより、特に比較的短い(例えば、長さと直径の比が約2以下)歯科インプラント1の固定を強化するために、前面8の切削挙動、すなわち前面8が骨組織にどの程度切り込むかを有利に変更することが可能である。
【0104】
第1のねじ山6の前面8は、歯科インプラント1の所定の回転方向26への回転時に前方切削歯27として構成される。さらに、歯科インプラント1及び/または第1のねじ山6は、後方切刃、すなわち、前面8に面するねじ山面を含まない。言い換えれば、歯科インプラント1及び/または第1のねじ山6は、頂端側ねじ山端部7を越えて第1のねじ山6の投影経路に沿って後方切刃を含まない。このことは、第1のねじ山6が2つの隣接する部分に分離され、その結果、後方切刃として機能する別のねじ山面を確立するような第1のねじ山6の中断によって前面8が形成されないことを意味する。
【0105】
前方切刃は、本文脈では、歯科インプラント1が所定の回転方向26に沿って回転されたときに骨組織を切断するように構成され、しかしながら、歯科インプラント1が所定の回転方向26と反対の方向に回転されたときに骨組織を切断しないように構成される刃として定義される。
【0106】
図1及び図2において、第1のねじ山6は、単一のねじ山として図示されている。言い換えれば、第1のねじ山6は、冠状側ねじ山端部から頂端側ねじ山端部7までの単一のねじ山経路のみを構成する。代替実施形態では、第1のねじ山6は複数のねじ山、特に二重のねじ山として形成してもよい。これは、冠状側ねじ山端部と頂端側ねじ山端部7との間に複数のねじ山経路、特に2つのねじ山経路が形成されることを意味する。言い換えれば、第1のねじ山は複数の平行なねじ山経路に沿って形成される。
【0107】
このような実施形態では、第1のねじ山6は、複数の、好ましくは2つの前面8を含み、各前面8は、少なくとも1つの切刃9を含む。複数の前面8は、好ましくは、コア本体2の円周に沿って均等に分布している。
【0108】
複数のねじ山を含む第1のねじ山6は、よりバランスのとれた切削挙動をもたらし、したがって、挿入時に歯科インプラント1が意図せずに傾き得るリスクを低減する。
【0109】
好ましくは、第1のねじ山6は、第1の部分10に沿って少なくとも部分的に延びている。第1のねじ山6の頂端側ねじ山端部7は、第1の部分10内に位置してもよい。言い換えれば、第1のねじ山6は、第1の部分10内で、好ましくは第1の部分10の頂端部で終わり得る。したがって、「内」という用語は、本文脈において、長手方向軸に沿った第1の部分10の端部も包含する。
【0110】
特に、第1のねじ山6は、歯科インプラント1の頂端方向において第1の部分10を越えて延在しない。さらに、第1のねじ山6は、好ましくは、コア本体2の頂端部3まで形成されていない。言い換えれば、歯科インプラント1は、好ましくは、第1のねじ山6が存在しない頂端部分、好ましくは第2の部分11を含む。
【0111】
この構成により、第1のねじ山6が骨組織と接触することなく、歯科インプラント1の頂端部3を骨凹部に挿入することができる。さらに、歯科インプラント1のこのような頂端部分を、歯科インプラント1を回転させることなく骨凹部に挿入してもよい。このことは、第1のねじ山6が周囲の骨組織と接触したときに、骨凹部に挿入された歯科インプラント1の頂端部分が、歯科インプラントの回転運動中に既に案内及びセンタリングを提供するという有利な効果をもたらす。これにより、骨凹部に対する歯科インプラント1の位置ずれのリスクが低減される。
【0112】
さらに、歯科インプラント1の頂端部分は、歯科インプラント1の案内及びセンタリング効果を高めるために、第2の部分11として異なる形状(例えば、異なる形状、テーパー角度)に形成してもよい。
【0113】
骨凹部に既に挿入されているときの歯科インプラント1の頂端部分の案内及びセンタリング効果により、歯科インプラント1の「ぐらつき」の動きのリスクを著しく低減することができる。
【0114】
図1及び図2に示すように、歯科インプラント1は、コア本体2に沿って少なくとも部分的に延びる螺旋溝13をさらに備え得る。螺旋溝13は、好ましくは、コア本体2の外面5に対して内側に凹んでいる。螺旋溝13の延在方向に垂直な断面輪郭または外形23は、特定の形状に限定されないが、好ましくは円形、特に実質的に円形または実質的に楕円形である。螺旋溝13は、コア本体2の周囲を通る螺旋状の経路に沿って形成される。図に示す例示的な実施形態では、コア本体2には(ちょうど)1本の螺旋溝13が形成されている。しかしながら、コア本体2が1本より多い、好ましくは2本の螺旋溝13を備えることも可能である。
【0115】
螺旋溝13は、好ましくは、第2のねじ山16の谷底24を形成する。より詳細には、第2のねじ山16の谷底24は、外面5から最も凹んでいる点に沿った螺旋溝13の線によって形成される。螺旋溝13は、コア本体2の外面5から凹んでおり、好ましくはコア本体2の周りを螺旋状に延びているため、第2のねじ山16を形成し得る。例えば、螺旋溝13の1つのターンの一部は、第2のねじ山16の冠状フランク20を形成し、螺旋溝13の隣接するターンの一部は、第2のねじ山16の隣接する頂端フランク22を形成する。
【0116】
第2のねじ山16の半径方向外側フランク21は、好ましくは、コア本体2の外面5によって形成される。これは、第2のねじ山16が、長手方向軸Lに垂直な方向において、コア本体2の外面5から外側に延びていなくてよいことを意味する。
【0117】
第2のねじ山16は、螺旋溝13と同様に高さh2で形成されており、高さh2は、長手方向軸Lに垂直な方向において、第2のねじ山16の谷底24と半径方向外側フランク21との間で測定される。第2のねじ山16の高さh2は、第2のねじ山16の延長に沿って一定であっても、一定でなくてもよい。螺旋溝13に関連して既に説明したように、第1のねじ山6の高さh1は、第2のねじ山16の高さh2よりも大きいことが好ましい。
【0118】
さらに、螺旋溝13の配置によれば、第2のねじ山16は、第2のピッチp2でコア本体2の周りを螺旋状に延びている。第2のピッチp2は、第1のねじ山6の第1のピッチp1と実質的に同じであってもよい。好ましくは、第2のねじ山16は、第1のねじ山6に対して半ピッチだけずれている(図1及び図2に示すように)。その結果、第2のねじ山16の谷底24は、第1のねじ山6の頂点と同じらせん線上にある。
【0119】
それにもかかわらず、第2のねじ山16は、第1のねじ山6に対してずれない場合もある。後者の場合、第2のねじ山16は、第1のねじ山6の投影経路(すなわち、螺旋線)に沿って形成される。言い換えれば、第2のねじ山16は、第1のねじ山6と同じ経路に沿って延びていてもよいし、延びていなくてもよい。
【0120】
第2のねじ山16及び螺旋溝13は、少なくとも部分的に第2の部分11に沿って延びている。さらに、第2のねじ山16及び/または螺旋溝13は、好ましくは、第1のねじ山6の頂端側にのみ形成される。第2のねじ山16及び/または螺旋溝13は、冠状方向に第2の部分11を超えて延びる場合があることに留意すべきである。したがって、第2のねじ山16及び/または螺旋溝13は、第1の部分10に存在してもよく、第1のねじ山6と少なくとも部分的に重なっても重ならなくてもよい。好ましくは、第2のねじ山16及び/または螺旋溝13は、少なくとも冠状方向に延びて第1のねじ山6に隣接する。この点で、第1のねじ山6から第2のねじ山16及び/または螺旋溝13への移行は、好ましくは突然であり、すなわち連続的な変形がなく不連続である。
【0121】
第2のねじ山16は、歯科インプラント1の回転時に、歯科インプラント1を準備された骨凹部内に少なくとも部分的に引き込むという有利な効果を達成する。同時に、第2のねじ山16の限られたねじ山の高さにより、歯科インプラント1を、回転させることなく骨凹部内に少なくとも部分的に挿入することができる。上述したように、これにより、第1のねじ山6が周囲の骨組織と接触する際のセンタリング効果及び/または案内効果及び/または両皮質固定効果が達成される。
【0122】
この効果を得るためには、第2のねじ山16及び/または螺旋溝13が、少なくとも8分の1回転、4分の1回転、3分の1回転、2分の1回転、1回転、2回転、または3回転分形成されていると有利である。回転数が多いほど、第2のねじ山16及び/または螺旋溝13の有利な効果が顕著になる。それにもかかわらず、第2のねじ山16及び/または螺旋溝13は、第2の部分11の周囲を8分の1回転未満分だけ延びていてもよい。
【0123】
第2のねじ山16及び/または螺旋溝13が、歯科インプラント1の頂端部まで実質的に延びている場合も有利である。この文脈における実質的にとは、第2のねじ山16及び/または螺旋溝13が歯科インプラント1の頂端部3できっかり終わらないように、歯科インプラント1の最も頂端側の先端が丸みを帯びていてもよいことを意味する。
【0124】
第2のねじ山16は、さらに、例えば、骨凹部を準備する工程から凹部内に残される場合がある、予め準備された骨凹部内の骨片を除去または有利に配置することを可能にする。これにより、歯科インプラント1の挿入中に、骨片が歯科インプラント1の位置ずれを引き起こしたり、最終位置でインプラントが空転したりするのを防止する。
【0125】
本開示による歯科インプラント1の別の実施形態では、図2に最もよく示されているように、歯科インプラント1は、切削フルート14を備え得る。切削フルート14は、コア本体2に沿った外面5からの凹部分または外面5上の平坦部分であってよく、特に、第1の部分10及び第2の部分11に沿って少なくとも部分的に延びている。切削フルート14は、好ましくは、歯科インプラント1の頂端-冠状方向に長手方向を有する。切削フルート14は、骨組織を切削するように構成される少なくとも1つの切刃15を備える。好ましくは、前面8の少なくとも1つの切刃は、切削フルート14の切刃15の一部を形成し、さらに好ましくは、フルート14の切刃と連続している。
【0126】
切削フルート14は、骨組織の圧縮の所定の制限を可能にし、したがって、歯科インプラント1のオッセオインテグレーションを促進するように適合され得る。
【0127】
好ましくは、切削フルート14は、コア本体2の頂端部3の断面の輪郭が実質的に円形のままとなるように形成される(切削フルート14による直線状または曲線状の中断を除く)。それにより、第1のねじ山6の前面8の効果が減少せず、歯科インプラント1の頂端部分が依然として案内及びセンタリング効果を達成することが保証される。
【0128】
好ましい実施形態では、切削フルート14は、頂端部3から冠状端部4に向かって延びている。特に、切削フルート14は、第1のねじ山6の3ターン、2ターン、または1ターンと交差する場合がある。交差したターンのフランク17、18、19と第1のねじ山6の前面8との間の縁部は、好ましくは切刃15の一部を形成する。したがって、前面8は、切削フルート14の一部を形成し得る。
【0129】
切削フルート14はさらに、第2のねじ山16の少なくとも1つのターンと、好ましくは第2のねじ山16のすべてのターンと交差し得る。第1のねじ山6と同様に、フランク20、21、22と第2のねじ山16の前面28との間の縁部も、好ましくは、切刃15の一部を形成する。したがって、第2のねじ山16の各ターンの前面28も、切削フルート14を形成する結果となり得る。
【0130】
図2から最もよく分かるように、第2のねじ山16は、骨凹部内への歯科インプラント1の挿入過程における歯科インプラント1の所定の回転方向26に従って、前方切刃15だけでなく後方切刃29も形成し得る。前方切刃15及び後方切刃29は、切削フルート14の切刃15の一部を形成し得る。しかしながら、後方切刃29は、好ましくは、負のすくい角を有し、その結果、後方切刃は、前方切刃15と比較して鈍い。
【0131】
歯科インプラント1の挿入過程における歯科インプラント1の回転中(所定の回転方向26)、前方切刃15は、骨組織を切削するように構成される。歯科インプラント1の所定の回転方向26とは逆の回転中、例えば、歯科インプラント1に加えられるトルクが所定の値を超える場合、後方の切刃29は、骨組織に切り込まれたねじ山を切断及び/またはトレース(圧縮)することによって、増大したトルクの原因となった可能性のある骨材料を挿入の螺旋状経路から取り除く役割を果たす。
【0132】
切削フルート14の切刃15及び/または前面8の切刃9は、正または負のすくい角及び/または正または負の逃げ角を有し得る。
【符号の説明】
【0133】
1 歯科インプラント
2 コア本体
3 頂端部
4 冠状端部
5 外面
6 第1のねじ山
7 頂端側ねじ山端部
8 前面
9 切刃
10 第1の部分
11 第2の部分
12 丸みを帯びた先端
13 螺旋溝
14 切削フルート
15 切刃
16 第2のねじ山
17 第1のねじ山の冠状フランク
18 第1のねじ山の半径方向外側フランク
19 第1のねじ山の頂端フランク
20 第2のねじ山の冠状フランク
21 第2のねじ山の半径方向外側フランク
22 第2のねじ山の頂端フランク
23 輪郭
24 第2のねじ山の谷底
25 輪郭
26 所定の回転方向
27 前方切削歯
28 前方切削歯/前面
29 後方切刃
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】