(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ガスタービンの燃料ブレンドを制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F02C 9/28 20060101AFI20241226BHJP
F02C 9/40 20060101ALI20241226BHJP
F23R 3/36 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F02C9/28 C
F02C9/40 A
F23R3/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537821
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022082616
(87)【国際公開番号】W WO2023133074
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレイ、ジョージ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】パスティー、ジョスリン イー.
(57)【要約】
【課題】タービンエンジン(12)の燃料ブレンド(26)を制御するを提供する。
【解決手段】方法は、第1の燃料(30)及び第2の燃料(32)をミキサ(34)に供給することと、ミキサ(34)において、第1及び第2の燃料(30,32)を一緒に混合して燃料ブレンド(26)を得ることとを含む。本方法はまた、ミキサ(34)から下流の燃料ブレンド分析器(40)において、燃料ブレンド(26)の組成を示す測定値を受け取ることを含む。本方法はさらに、燃焼器(16)においてブレンド燃料(26)を燃焼させることを含む。本方法はまた、燃焼挙動を示す燃焼信号を受信することを含む。本方法はさらに、コントローラ(42)によって、燃料ブレンド測定値及び燃焼信号の少なくとも一方に基づいて、第1の燃料(30)の流量及び第2の燃料(32)の流量の少なくとも一方を制御することを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン(12)の燃料ブレンド(26)を制御する方法であって、
第1の燃料(30)と第2の燃料(32)をミキサ(34)に供給するステップと、
ミキサ(34)で第1及び第2の燃料(30,32)を混合して混合燃料(26)を得るステップと、
ミキサ(34)の下流の燃料ブレンド分析器(40)で、混合燃料(26)の組成を示す測定値を受け取るステップと、
混合燃料(26)を燃焼器(16)で燃焼させるステップと、
燃焼挙動を示す燃焼信号を受信するステップと、
コントローラ(42)によって、燃料ブレンド測定値と燃焼信号の少なくとも一方に基づいて、第1の燃料(30)の流量と第2の燃料(32)の流量の少なくとも一方を制御するステップと、を含む方法。
【請求項2】
燃焼信号が、燃焼器(16)に結合されたノックセンサ(44)によって受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コントローラ(42)によって、燃料ブレンド測定値及び燃焼信号の少なくとも一方に基づいて制御するステップが、コントローラ(42)によって、ミキサ(34)の上流の少なくとも1つの制御バルブ(36、38)に出力信号(56)を送信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コントローラ(42)により、燃料ブレンド測定値を燃焼器(16)の動作モデル(70)と比較するステップと、
コントローラ(42)によって、比較に基づいて、燃料ブレンド測定に関連する予測燃焼状態を決定するステップと、
コントローラ(42)によって、予測された燃焼状態に基づいて、第1の燃料(30)の流量及び第2の燃料(32)の流量の少なくとも一方を制御するステップと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コントローラ(42)によって、予測された燃焼状態を燃焼信号と比較するステップと、
コントローラ(42)によって、予測された燃焼状態が燃焼信号によって示された燃焼挙動と一致するか否かを判定するステップと、
予測された燃焼状態が指示された燃焼挙動と一致しない場合、動作モデル(70)を更新するステップと、を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ミキサ(34)の上流にある少なくとも1つの燃料センサ(46、48)において、第1の燃料(30)と第2の燃料(32)の少なくとも一方の組成を示す少なくとも1つの測定値を受信するステップと、
コントローラ(42)によって、燃料ブレンド測定値と、第1の燃料(30)及び第2の燃料(32)の少なくとも一方の少なくとも1つの測定値とに基づいて、燃料ブレンド(26)の組成を決定するステップと、
コントローラ(42)によって、決定された混合燃料組成と燃焼信号の少なくとも一方に基づいて、第1の燃料(30)の流量と第2の燃料(32)の流量の少なくとも一方を制御するステップと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コントローラ(42)によって、燃料ブレンド測定値を燃焼器(16)の排出ガスモデル(80)と比較するステップと、
コントローラ(42)によって、比較に基づいて、燃料ブレンド測定に関連する汚染物質の予測レベルを決定するステップと、
コントローラ(42)によって、予測された汚染物質のレベルに基づいて、第1の燃料(30)の流量と第2の燃料(32)の流量の少なくとも一方を制御するステップと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
燃焼器(16)の下流の排出ガスセンサ(52)で、排出ガスレベルの測定値を受信するステップと、
コントローラ(42)により、汚染物質の予測レベルと排出レベル測定値を比較するステップと、
コントローラ(42)により、汚染物質の予測レベルが排出レベル測定値と一致するか否かを判定するステップと、
汚染物質の予測レベルが排出レベル測定値と一致しない場合は、排出レベルモデル(80)を更新するステップと、を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の燃料(30)が天然ガス又は液化石油ガスであり、第2の燃料(32)が水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
タービンエンジン(12)の燃料制御システムであって、
混合燃料(26)を得るために第1の燃料(30)と第2の燃料(32)を混合するミキサ(34)を含む燃料供給システム(29)と、
ミキサ(34)の下流にある燃料ブレンド分析器(40)と、
燃料ブレンド分析器(40)の下流にある燃焼器(16)であって、該燃焼器(16)は燃料ブレンド(26)と共に動作可能である、燃焼器(16)と、
燃焼器(16)に結合されたノックセンサ(44)と、
ノックセンサ(44)及び燃料ブレンド分析器(40)に通信可能に結合されたコントローラ(42)と、
を含み、
コントローラ(42)は、少なくとも1つのメモリデバイスと通信する少なくとも1つのプロセッサを含み、少なくとも1つのプロセッサは、
ノックセンサ(44)から、燃焼挙動を示す燃焼信号を受信し、
燃料ブレンド分析器(40)から、ブレンド燃料の組成を示す測定値を受信し、
燃焼信号と燃料ブレンド測定値の少なくとも一方に基づいて、第1の燃料(30)の流量と第2の燃料(32)の流量の少なくとも一方を調整するように構成される、システム。
【請求項11】
燃料ブレンド分析器(40)が比重センサ又は密度計を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
第1の燃料(30)が天然ガス又は液化石油ガスであり、第2の燃料(32)が水素である、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
光学式火炎センサ(50)、第1の燃料組成物センサ(46)、及び第2の燃料組成物センサ(48)のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
燃焼器(16)が、第1ステージ(58)と第2ステージ(60)とを含む段階式燃焼器(16)である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
第1の燃料(30)の第1の部分(62)が第1ステージ(58)に供給され、第1の燃料(30)の第2の部分(64)が、燃料ブレンド(26)を得るために第1の燃料(30)の第2の部分(64)と第2の燃料(32)とを一緒に混合するのに使用するためにミキサ(34)に供給される、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にガスタービンエンジンに関し、より詳細には、ガスタービンの燃料ブレンドを制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のガスタービンエンジンは、燃焼器セクションで燃料と酸化剤(oxidant、例えば空気)の混合物を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。高温の燃焼ガスはタービンを通って流れ、1つ又は複数のタービン段を回転させて発電機を駆動し、電力を生成する。燃焼ガスには、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素など、さまざまな燃焼副生成物が含まれる。NOxの発生を抑えるために燃焼中の作業温度と利用可能な酸素を低下させると、COや未燃炭化水素のレベルが上昇する可能性があるため、このような排出を低下させることは困難な場合がある。このような排出ガスをさらに低減するために、いくつかの既知のガスタービンは、ドライローエミッション(DLE:Dry Low Emissions)燃焼システムを装備している。DLEシステムでは、燃料と燃焼用空気を燃焼ゾーン又はその手前で混合し、リーンな予混合燃焼燃料を生成することで、燃焼中のNOxガス生成を抑制している。しかし、このようなタービンは、リーンブローアウトを防止するために燃料対空気比を十分に高くする必要がある一方で、望ましくない燃焼力学(エンジンノック:engine knockなど)を防止するために燃料対空気比を十分に低くする必要があるため、通常、比較的狭い運転境界範囲で運転される。
【0003】
いくつかの既知のタービンでは、適切な燃料対空気比を決定することが、天然ガスのような高コストでありながら効率の高い燃料の使用を削減する傾向によって悪化することがある。多くの場合、コスト上の要求から、より低コストでありながら低効率の高炭化水素燃料(higher hydrocarbon fuels)との混合により、これらの燃料の消費量を削減することになる。このような燃料混合は、燃料の加熱特性を変化させ、燃焼力学、ひいてはガスタービンの運転と寿命に影響を及ぼす。DLE燃焼システムが許容範囲内で運転されるようにするためには、燃料スケジューリングによって燃料消費量を調整する必要がある。しかし、燃料スケジューリングは非効率的な場合があり、燃料スケジューリングを継続的に使用すると、燃料の違いによって機器のダウンタイムが発生するため、運転コストが実際に増加する可能性がある。
【0004】
さらに、再生可能エネルギー源(例えば、風力や太陽光)の増加により、予測不可能な出力による新たな課題が導入されている。その結果、燃料の柔軟性の拡大が望まれている。近年、より幅広い燃料の柔軟性を実現するために、カーボンニュートラルな水素ベースの燃料(carbon-neutral hydrogen-based fuels)への関心が高まっている。しかし、水素の反応性が高いため、NOx排出量を低減するために水素を添加した燃料(hydrogen-doped fuel)を空気と混合すると、フラッシュバックの危険性(flashback risks)が高まったり、望ましくない燃焼力学が生じたりする可能性がある。このように、DLE燃焼システムに水素ガスを統合するには課題が残っている。
【0005】
したがって、ガスタービンで使用する燃料ブレンドの制御を改善する必要性が存在する。特に、既存のタービンエンジンハードウェアを大幅に再構成又は再設計することなく、燃料ブレンドの制御を改善することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開2010/0055629A1
【発明の概要】
【0007】
1つの態様では,タービンエンジンの燃料ブレンド(fuel blend)を制御する方法が提供される。この方法は、第1の燃料と第2の燃料をミキサに供給することと、ミキサ内で第1と第2の燃料を混合して燃料ブレンドを得ることとを含む。本方法はまた、ミキサから下流の燃料ブレンド分析器で、燃料ブレンドの組成を示す測定値を受け取ることを含む。本方法はさらに、燃焼器において燃料ブレンドを燃焼させることを含む。本方法はまた、燃焼挙動を示す燃焼信号を受信することを含む。本方法はさらに、コントローラによって、燃料ブレンド測定値及び燃焼信号の少なくとも一方に基づいて、第1の燃料の流量及び第2の燃料の流量の少なくとも一方を制御することを含む。
【0008】
別の態様では、タービンエンジン用の燃料制御システムが提供される。この燃料制御システムには、第1の燃料と第2の燃料を混合して混合燃料を得るためのミキサを含む燃料供給システムが含まれる。燃料制御システムはまた、ミキサの下流にある燃料ブレンド分析器と、燃料ブレンド分析器の下流にある燃焼器と、燃焼器に結合されたノックセンサとを含む。燃焼器はブレンド燃料で作動可能である。燃料制御システムはさらに,ノックセンサ及び燃料ブレンド分析器に通信可能に結合されたコントローラを含む。コントローラは、少なくとも1つのメモリデバイスと通信可能な少なくとも1つのプロセッサを含む。少なくとも1つのプロセッサは、(i)ノックセンサから、燃焼挙動を示す燃焼信号を受信し、(ii)燃料ブレンド分析器から、燃料ブレンドの組成を示す測定値を受信し、(iii)燃焼信号及び燃料ブレンド測定値の少なくとも一方に基づいて、第1の燃料の流量及び第2の燃料の流量の少なくとも一方を調整するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読むと、よりよく理解されるであろう。
【
図1】燃料混合制御を利用する例示的なガスタービンシステムの概略図である。
【
図2】燃料ブレンド制御を利用する代替ガスタービンシステムの概略図である。
【
図3】
図1及び/又は
図2のいずれかに示す燃料ブレンド制御に使用するための例示的なコントローラのブロック図である。
【
図4】燃料ブレンド制御を利用する第2の代替ガスタービンシステムの概略図である。
【
図5】タービンエンジンの燃料ブレンドを制御する例示的な方法のフローチャートである。
【0010】
特に断らない限り、本明細書で提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を説明するためのものである。これらの特徴は、本開示の1つ以上の実施形態を含む多種多様なシステムにおいて適用可能であると考えられる。そのため、図面は、本明細書に開示される実施形態の実施に必要であることが当業者によって知られているすべての従来の特徴を含むことを意味するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、多くの用語を参照するが、これらの用語は以下の意味を有するように定義されるものとする。単数形“a”、“an”及び“the”は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数形の参照を含む。“任意に;optional”又は“任意の:optionally”は、その後に説明される事象又は状況が発生しても発生しなくてもよく、説明には事象が発生する例と発生しない例が含まれることを意味する。さらに、「一実施形態」への言及は、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。さらに、反対のことが明示的に記載されていない限り、特定の特性を有する要素又は複数の要素を「備える」又は「有する」実施形態は、その特性を有しない追加のそのような要素を含むことができる。
【0012】
本明細書で使用する場合、「リアルタイム」という用語は、関連イベントの発生時間、所定のデータの測定及び収集の時間、データを処理する時間、又はイベント及び環境に対するシステムの応答の時間のいずれかを指す。本明細書で説明する実施形態では、これらの活動やイベントは実質的に瞬時に発生する。
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「プロセッサ」及び「コンピュータ」ならびに関連する用語、例えば、「処理装置」、「コンピューティング装置」、及び「コントローラ」は、当該技術分野においてコンピュータと呼ばれる集積回路だけに限定されるものではなく、代わりに、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路、及び/又は他のプログラマブル回路を広く指し、このような用語は、本明細書において互換的に使用される。本明細書で説明する実施形態において、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などのコンピュータ読み取り可能な媒体、及びフラッシュメモリなどのコンピュータ読み取り可能な不揮発性媒体を含み得るが、これらに限定されない。あるいは、フロッピーディスク、コンパクトディスク-リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク(MOD)、及び/又はデジタル多用途ディスク(DVD)を使用することもできる。また、本明細書で説明する実施形態では、追加の入力チャネルは、マウスやキーボードなどのオペレータインタフェースに関連するコンピュータ周辺機器であってもよいが、それだけに限定されない。あるいは、例えば、スキャナのような他のコンピュータ周辺機器であってもよいが、これに限定されるものではない。さらに、本明細書に記載される実施形態において、追加の出力チャネルは、オペレータインターフェースモニタであることのみを含むことができるが、これに限定されない。
【0014】
図1は、本開示に従って燃料ブレンド制御を利用する例示的なガスタービンシステム10の概略図である。
図1は、例示的なガスタービンエンジン12を示しているが、本明細書で説明する燃料ブレンド制御のための方法及びシステムは、いかなる特定のタイプのタービンエンジンにも限定されないことに留意すべきである。当業者であれば、本明細書で説明する燃料ブレンド制御のための方法及びシステムは、本明細書でさらに説明するように、そのようなシステム及び方法を機能させることができる任意の適切な構成で、任意の回転機械と共に使用することができることを理解すべきである。
【0015】
例示的な実施形態では、システム10は、圧縮機14、1つ又は複数の燃焼器16、タービン18、コンピュータ制御システム又はコントローラ42、及び燃料供給システム又はスキッド(skid)29を備えたガスタービンエンジン12を含む。シャフト20が軸方向に延び、圧縮機14をタービン18に結合する。タービンエンジン12は、シャフト20を介して発電機22に連結され、電力を生成することができる。酸化剤24(例えば空気)が圧縮機14に導入され、そこで圧縮され、圧縮酸化剤25として燃焼器16に送られる。燃料ブレンド26が燃料供給システム29から燃焼器16に供給され、そこで圧縮酸化剤25と混合される。混合燃料26と酸化剤25の混合物は燃焼器16で燃焼され、排出される高温の燃焼ガス27は、後続のタービン18で仕事を行うために膨張される。排気ガス28は、排気ダクト(図示せず)を通ってタービン18から出ることができ、例えば、排気ガスから抽出された熱エネルギーから蒸気を生成する熱回収蒸気発生器システム(図示せず)で使用することができる。あるいは、排気ガス28は、排気流から不要な燃焼副生成物(例えば、NOx)を除去するための排出制御処理(例えば、選択的触媒還元:selective catalytic reduction)を受けてもよい。
【0016】
燃料ブレンド26を燃焼器16に供給する燃料供給システム29は、第1の燃料30の流れと第2の燃料32の流れを使用する。第1の燃料30と第2の燃料32はミキサ(mixer)34に供給され、そこで第1の燃料30と第2の燃料32が混合されて燃料ブレンド26が生成される。ミキサ34は、例えばスタティックインラインミキサ(static inline mixer)である。
【0017】
第1の燃料30及び/又は第2の燃料32として使用するために、多種多様な燃料が想定される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の燃料30及び/又は第2の燃料32は、大気圧及び温度で気体状態で存在する炭化水素燃料(本明細書では「炭化水素ガス燃料:hydrocarbon gas fuel」とも呼ばれる)であってもよい。そのような炭化水素ガス燃料の非限定的な例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、及び/又はそれらの組み合わせ(methane, ethane, propane, butane, and/or combinations thereof)が挙げられる。いくつかの実施形態では、第1の燃料30及び/又は第2の燃料32は、天然ガス(すなわち、メタンを主成分とする炭化水素ガス燃料)であってもよい。他の実施形態では、第1の燃料30及び/又は第2の燃料32は、ガスの冷却及び/又は圧縮の結果として液体状態にある炭化水素ガス燃料(本明細書では「液化炭化水素燃料:liquefied hydrocarbon fuel」とも呼ばれる)であってもよい。例えば、第1の燃料30及び/又は第2の燃料32は、液化石油ガス(すなわち、プロパン、ブタン、及びそれらの混合物)、又はペンタン、メタノール、エタノール、及び/又はジメチルエーテル(pentane, methanol, ethanol, and/or dimethyl ether)などの任意の他の液化炭化水素燃料であってもよい。あるいは、第1の燃料30及び/又は第2の燃料32は、大気圧及び温度で液体状態で存在する炭化水素燃料(本明細書では「炭化水素液体燃料:hydrocarbon gas fuel」とも呼ぶ)であってもよい。このような炭化水素液体燃料の非限定的な例としては、ディーゼル、灯油、ナフサ、及び他の留出燃料、原油(石油)、ならびに重油、中質燃料油、及び軽油などの残留燃料(residual fuels such as heavy fuel oil, medium fuel oil, and light fuel oil)が挙げられる。
【0018】
第1の燃料30又は第2の燃料32は、水素であってもよい。これらの実施形態では、水素は第1の燃料30又は第2の燃料32として使用され、第1の燃料30又は第2の燃料32の他方として使用される炭化水素燃料と混合される。水素燃料は、純粋な水素であってもよいし、燃料供給システム29から上流で別の炭化水素ガス及び一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、及び/又は水蒸気などの他の化合物と混合される合成ガス混合物(本明細書では「合成ガス:syngas(シンガス)」とも呼ぶ)で提供されてもよい。一般に、水素は、ガスタービンシステム10内に純粋な形態で貯蔵することができる。さらに、システム10は、水から純粋な水素を生成するための電解ユニット(図示せず)を含むこともできる。
【0019】
一般に、第1の燃料30と第2の燃料32は異なる燃料である。典型的には、第1の燃料30と第2の燃料32は、ミキサ34に供給されて混合されるとき、同じ相である。この点、第1の燃料30が例えば炭化水素ガス燃料(例えば天然ガス)であり、第2の燃料32が異相燃料、例えば液化燃料(例えば液化石油ガス又は液化水素)である場合、ミキサ34に供給されて炭化水素ガス燃料30と混合される前に液化燃料32を気化させる気化器(vaporizer、図示せず)がミキサ34の上流に設けられてもよい。
【0020】
燃料ブレンド26を生成するために異なる燃料30及び32を使用することで、タービンエンジン12における燃料の柔軟性を広げることができる。例えば、反応性の高い燃料を第1の燃料30又は第2の燃料32として使用し、第1の燃料30又は第2の燃料32の他方として使用される反応性の低い燃料と混合することができる。異なる第1の燃料30と第2の燃料32を混合する結果,生成された混合燃料26に関連する燃焼動力学及び/又はエミッションが不明となる可能性がある。例えば、原油や残渣のような低反応性燃料を第1の燃料30又は第2の燃料32として比較的多量に使用した場合のように、燃料ブレンド26の組成が一定の燃料反応性限界を下回る場合、火炎損失(リーンブローアウト)及び/又はエンジンノックのような許容できない燃焼状態、及び/又はCO排出量の増加が生じる可能性がある。あるいは、例えば、比較的多量の水素が第1の燃料30又は第2の燃料32として使用される場合のように、ブレンド燃料26の組成が高すぎる反応性を有する場合、フラッシュバック及び/又は過熱、及び/又はNOx排出量の増加(flashback and/or overheating, and/or increased NOx emissions)のような許容できない燃焼状態が生じる可能性がある。従って、燃料ブレンド26を用いた運転におけるタービンエンジン12の燃焼安定性を促進するためには、燃料ブレンド26の反応度が燃焼器16の運転境界(operational boundaries)内に収まるように、燃料ブレンド26の組成を制御する必要がある。
【0021】
例示的な実施形態では、制御バルブ36及び38は、ミキサ34への個々の燃料30及び32の流れを制御するために、それぞれ第1の燃料30及び第2の燃料32供給ライン上に配置されている。しかし、いくつかの実施形態では、他の流量制御手段を使用してもよい。例えば、第1の燃料30及び第2の燃料32の流量は、それぞれの燃料ライン上の流量センサ(例えば、
図2に示すセンサ46及び48)からのフィードバック制御信号を使用して、燃料ポンプ(図示せず)の速度を調整することによって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、制御バルブ36又は38の一方のみを使用することができる。他の実施形態では、制御バルブ36又は38のうちの1つ、あるいは第3の制御バルブ(図示せず)が、ミキサ34の下流で燃焼器16の上流に設けられてもよい。
【0022】
燃料ブレンド分析器ユニット(fuel blend analyzer unit)40は、ミキサ34の下流にあり、燃料ブレンド26の組成を示す燃料ブレンド26の測定値を得る。このような測定値には、例えば、燃料成分の濃度レベル、及び/又は、引火点、臨界点、比重、密度、分子量、及び/又は発熱量などの燃料ブレンドの他の特性(concentration levels of fuel components and/or other properties of the fuel blend such as, but not limited to, flash point, critical point, specific gravity, density, molecular weight, and/or heating value)が含まれるが、これらに限定されない。この目的のために、燃料ブレンド分析器40は、例えば、ガスクロマトグラフ、比重センサ、密度計、及び/又はWobbeメータ(a gas chromatograph, a specific gravity sensor, a density meter, and/or a Wobbe meter)のいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、燃料ブレンド分析器40は、例えば、燃料圧力、燃料圧力降下、燃料流量、燃料流速、及び/又は燃料温度(fuel pressure, fuel pressure drop, fuel flow rate, fuel flow velocity, and/or fuel temperature)などの燃料ブレンド26の測定値を得るための追加のセンサ(図示せず)を含むこともできる。燃料ブレンド分析器40は、コントローラ42に通信可能に結合され、本明細書でより詳細に説明するように、処理のためにコントローラ42に燃料ブレンド26の測定値を提供する。
【0023】
ノックセンサ44は、燃焼器16の燃焼挙動を示す燃焼信号を得るために燃焼器16に結合される。ノックセンサ44は、音響センサ又は音センサ、振動センサ、加速度センサ、運動センサ、及び/又はそれらの組み合わせ(an acoustic or sound sensor, a vibration sensor, an acceleration sensor, a movement sensor, and/or combinations thereof)を含むことができる。センサ44は、燃焼器16内の燃焼に関連する音響及び/又は振動を監視し、ノック状態を検出する。例えば、ノックセンサ44は、タービンエンジン12の通常運転サイクル中に予期しないタイミングで発生した混合燃料26及び酸化剤24の混合物の燃焼を示す音響及び/又は振動に基づいて、ノック状態を検出することができる。ノックセンサ44は、振動、圧力、加速度、たわみ、又は移動(vibration, pressure, acceleration, deflection, or movement)を感知することができる任意のセンサを含むことができ、本明細書で説明するようにシステム10を機能させることができる。ノックセンサ44は、本明細書でより詳細に説明するように、処理のために燃焼信号をコントローラ42に提供するために、コントローラ42と通信可能に結合される。
【0024】
コントローラ42は、少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)及び少なくとも1つのメモリデバイス(図示せず)を含むコンピュータシステムである。メモリデバイスは、燃料ブレンド分析器40から受信した測定値及び/又はノックセンサ44から受信した燃焼信号に少なくとも部分的に基づいて、燃焼器16に供給される燃料ブレンド26の組成を制御するための動作を実行するためにプロセッサによってアクセスされる非一過性のコンピュータ可読媒体及びプログラムを含むことができる。コントローラ42によって実行される操作は、制御アルゴリズムを適用して、ミキサ34に供給される第1の燃料30及び/又は第2の燃料32の流量を調整することを含む。例えば、コントローラ42は、タービンエンジン12の動作モデルを含む及び/又は生成する(include and/or generate an operational model of turbine engine 12)ことができる。コントローラ42は、燃料ブレンド26の測定値及び/又は燃焼信号をモデルと比較して、制御バルブ36及び38に送信される制御出力を生成することができる。動作モデルは、タービンエンジン12の運転境界を定義することができる。コントローラ42は、混合燃料26の組成が運転境界に違反(violating the operational boundaries)し、許容できない燃焼状態(例えば、リーンブローアウト、エンジンノック、フラッシュバック、及び/又はオーバーヒート:lean blow-out, engine knock, flashback, and/or overheating)を引き起こす危険性があることを特定することができる。この点に関して、コントローラ42は、混合燃料26の組成に関連する燃焼状態を予測することができる。それにより、コントローラ42は、燃料ブレンド26の組成を調整すべきか否かをリアルタイムで決定することができる。これに応答して、コントローラ42は、一方又は両方の制御バルブ36及び38に、ミキサ34に供給される第1の燃料30及び/又は第2の燃料32の流量を調整(例えば、増加又は減少)させる出力信号を生成することができる。
【0025】
ノックセンサ44から受信した燃焼信号(combustion signal)は、混合燃料26の組成を調整するために使用することもできる。例えば、コントローラ42は、ノック状態が検出されたときに燃料ブレンド26の測定値を分析し、それに応じて出力信号を生成することができる。加えて又は代替的に、燃焼信号は、動作モデル(operational model)を更新するためのフィードバックアプリケーションにおいて使用されてもよい。例えば、コントローラ42は、燃焼信号を、燃料ブレンド測定値を動作モデルと比較することによって決定された予測燃焼状態と比較することができる。コントローラ42は、予測された燃焼状態が、燃焼信号によって示された燃焼挙動と一致するかどうかを判定することができる。予測された燃焼状態が燃焼挙動と一致しない場合、コントローラ42は、燃料ブレンド26の測定値を検出されたノック状態と関連付けることによって、燃料ブレンド26の同様の測定値が得られたときに将来のノック状態がリアルタイムで予測されやすくなるように、動作モデルを更新することができる。
【0026】
図2は、本開示に従って燃料ブレンド制御を利用する代替ガスタービンシステム100の概略図である。ガスタービンシステム100は、
図1に示され、ガスタービンシステム10について本明細書で説明される全ての要素及び構成要素を含む。加えて、システム100は、コントローラ42に通信可能に結合される少なくとも1つの追加センサ(例えば、センサ46、48、50、及び/又は52)を含む。代替実施形態では、コントローラ42は、追加のセンサ46、48、50、及び/又は52から追加のセンサ入力を受信し、追加のセンサ入力を使用して、タービンエンジン12の運転パラメータを監視し、ミキサ34に供給される第1の燃料30及び/又は第2の燃料32の流量を調整し、及び/又は燃料ブレンド26の測定値をタービンエンジン12の運転パラメータに関連付けることによって動作モデルを更新することができる。
【0027】
図2に示すように、コントローラ42は、センサ46及び/又は48の一方又は両方と通信可能に結合され、それぞれ第1の燃料30及び第2の燃料32の測定値を取得する。センサ46及び48はそれぞれ、例えば燃料成分の濃度レベル、及び/又は引火点、臨界点、比重、密度、分子量、及び/又は発熱量などのそれぞれの燃料30及び32の他の特性(concentration levels of fuel components and/or other properties of the respective fuel 30 and 32 such as, but not limited to, flash point, critical point, specific gravity, density, molecular weight, and/or heating value)など、それぞれの燃料30及び32の組成を示す測定値を得ることができるが、これらに限定されない。この目的のために、センサ46及び48はそれぞれ、例えばガスクロマトグラフ、比重センサ、密度計、及び/又はウォッベメータ(a gas chromatograph, a specific gravity sensor, a density meter, and/or a Wobbe meter)のいずれかを含むことができる。代替実施形態では、センサ46及び48は、それぞれ、制御バルブ36及び38の上流に配置される。コントローラ42は、センサ46及び/又は48からそれぞれ得られる第1の燃料30及び/又は第2の燃料32のいずれかの測定値を、燃料ブレンド分析器40から得られる燃料ブレンド26の測定値とともに使用して、燃料ブレンド26の組成を決定する。例えば、コントローラ42は、燃料ブレンド分析器40から燃料ブレンド26の全体組成を示す測定値を受信し、フィードフォワードアプリケーション(feedforward application)において、その入力を第1の燃料30及び/又は第2の燃料32の組成を示す測定値で補足することができる。これにより、コントローラ42は、燃料ブレンド分析器40及びセンサ46及び/又は48から得られた測定値に基づいて、燃料ブレンド26の組成を決定することができる。この点に関して、燃料ブレンド26の組成の測定精度の向上は、対応するセンサ46及び/又は48から受信される第1の燃料30及び/又は第2の燃料32のいずれかの補足的な測定によって促進され得る。
【0028】
他の実施形態では、センサ46及び48は、好適には、対応する制御バルブ36及び38から下流にあり、ミキサ34から上流にあることができる。これらの実施形態では、センサ46及び48は、追加的に、又は代替的に、それぞれ、ミキサ34に供給されるそれぞれの燃料30及び32の流量を示す測定値を得ることができる。例えば、センサ46及び48はそれぞれ、それぞれの燃料30及び32の質量流量又は体積流量の測定値を得ることができる。さらに他の実施形態では、センサ46及び48はそれぞれ、システム100が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の他の測定値を得ることができる。
【0029】
図2に示すように、コントローラ42は、ガスタービンエンジン12の動作パラメータの測定値を取得するセンサ50にも通信可能に結合されている。
図2には単一のセンサ50として示されているが、センサ50は複数のセンサ50を含んでいてもよいことが理解されるべきである。例示的な実施形態では、センサ50は、燃焼器16の燃焼挙動を示す測定値を得るために燃焼器16に結合される。センサ50は、燃焼器16の気筒内の火炎強度を検出する(detects a flame intensity within a cylinders of combustor 16)光学センサであってもよい。光学センサ50は、少なくとも1つのシリンダ内の火炎の強度に対応する信号をコントローラ42に送信する。センサ50は、代わりに、燃焼器入口温度、バーナ温度、及び/又は燃焼器金属温度(a combustor inlet temperature, a burner temperature, and/or a combustor metal temperature)などの燃焼器16内の運転温度を測定する温度センサであってもよい。代替的な実施形態では、センサ50は、局所的なタービン運転温度、タービン入口温度、及び/又はタービン出口温度など、タービン18の運転パラメータを検出するためにタービン18に結合されてもよい。さらに他の実施形態では、センサ50は、燃焼器16及び/又はタービン18内の動作圧力を測定する圧力センサであってもよい。センサ50は、本明細書で説明するようにシステム100を機能させるタービンエンジン12の運転パラメータの他の測定を得るために使用される他のセンサであってもよい。
【0030】
図2に示すように、コントローラ42は、タービン18を出る排気ガス28の測定値を得るセンサ52にも通信可能に結合されている。センサ52は、好適には、タービン18の下流の排気ダクト(図示せず)に結合され得る。加えて又は代替的に、センサ52は、選択的触媒還元(SCR:selective catalytic reduction)処理システム(図示せず)を出る排気ガス28の測定値を得るために、排気スタック(exhaust stack、図示せず)に結合されてもよい。センサ52は、例えば、排気ガス28中の1つ以上の汚染物質(例えば、CO、CO2及び/又はNOx)のレベルを検出する排出ガスセンサであってもよい。センサ52は、追加的に、又は代替的に、排気ガス28中の未燃炭化水素の量を感知してもよい。センサ52は、システム100が本明細書に記載されるように機能することを可能にする排気ガス28の任意の他の測定値を得ることができる。
【0031】
図3は、コントローラ42の例示的なブロック図である。コントローラ42は、燃料ブレンド分析器40から得られる燃料ブレンド26の測定値及びノックセンサ44(
図1に示す)から得られる燃焼信号を含む入力54を受け取る。入力54はまた、センサ46、48、50、及び/又は52(
図2に示す)から得られる測定値を含むこともある。コントローラ42は入力54を処理し、出力56を生成する。出力56は制御バルブ36及び38に伝達される。出力56は、制御バルブ36及び/又は38のいずれかに、ミキサ34に供給されるそれぞれの燃料30及び32の流量を調整させ、その結果、ミキサ34を出る燃料ブレンド26の組成を調整する。
【0032】
コントローラ42は、1つ又は複数のモデルベースの制御アルゴリズムを実行し、燃料ブレンド26の測定値をモデルと比較することによって出力56を生成することができる。例えば、本明細書で説明するように、コントローラ42は、タービンエンジン12の運転境界を定義する動作モデル70を含む及び/又は生成することができる。運転境界は、タービンエンジン12の運転をモデル化することによって、及び/又はタービンエンジン12の運転パラメータを入力54として受け取ることによって、決定することができる。例えば、動作モデル70は、燃焼器16内の燃焼ダイナミクスをモデル化することができる。コントローラ42は、混合燃料26の組成を示す測定値を入力54として受け取り、その測定値を動作モデル70と比較して、燃焼器16内の燃焼ダイナミクスを予測することができる。これにより、コントローラ42は、燃焼器16に供給される混合燃料26の組成が、例えばエンジンノック、フラッシュバック、及び/又はリーンブローアウト事象などの許容できない燃焼状態を引き起こす可能性があることをリアルタイムで判定することができる。これに応答して、コントローラ42は、制御バルブ36及び38の一方又は両方に伝達される制御出力56を生成し、第1の燃料30及び/又は第2の燃料32の流れを調整させ、燃料ブレンド26の組成を調整することができる。この点で、燃料ブレンド26の測定値を動作モデル70と連続的に比較することは、燃焼器16内で有害な状態が発生する前に燃料ブレンド26の組成をリアルタイムで調整することを可能にし得る。
【0033】
さらに、コントローラ42は、ノックセンサ44からの燃焼信号を入力54として受け取る。燃焼信号入力54は、混合燃料26の組成を調整するため、及び/又は動作モデル70を更新するために使用され得る燃焼器16内の燃焼ダイナミクスのフィードバックを提供する。例えば、コントローラ42は、識別されたノック状態に応答して、混合燃料26の組成を調整すべきであると決定することができ、これに応答して、本明細書に記載されるような制御出力56を生成する。加えて又は代替的に、燃焼信号入力54は、燃料ブレンド26の測定値が検出されたノック状態に関連すると判定するために使用されてもよい。これに応答して、コントローラ42は、燃料ブレンド26の同様の測定値が得られたときに、将来のノック状態がリアルタイムで予測されやすくなるように、動作モデル70を更新することができる。
【0034】
コントローラ42はまた、動作モデル70を更新するため、及び/又は制御出力56を生成するために、センサ46、48、50、及び/又は52(
図2に示す)のいずれかから測定値を入力54として受け取ることができる。例えば、コントローラ42は、それぞれのセンサ46及び48から得られる第1の燃料30及び/又は第2の燃料32のいずれかの測定値を入力54として受け取ることができる。このような入力54は、本明細書で説明するように、燃料ブレンド分析器40から得られる燃料ブレンド26の測定値を補足するためのフィードフォワード信号としてコントローラ42によって使用され得る。センサ46及び/又は48のいずれかがそれぞれの燃料30及び32の流量測定値を取得する実施形態では、コントローラ42は、出力56を生成する際の制御パラメータとして測定値を使用することができる。すなわち、コントローラ42は、制御バルブ36及び/又は38のいずれかに、ミキサ34への第1の燃料30及び/又は第2の燃料32のそれぞれの流量を所望の流量に調整させるために、出力56を生成することができる。コントローラ42はまた、ノックセンサ44によって得られる燃焼信号に加えて、他の測定された燃焼パラメータ(例えば、火炎強度、温度、及び/又は圧力:flame intensity, temperature, and/or pressure)を入力54として受け取ることができる。このような入力54は、本明細書で説明するように、混合燃料26の組成を調整するため、及び/又は動作モデル70を更新するために使用することができる燃焼器16内の燃焼ダイナミクスの連続的なフィードバックを提供する。本明細書に記載されるように、センサ46、48、50、及び/又は52から得られる任意の追加の測定値が、コントローラ42が本明細書に記載されるように機能することを可能にするために使用され得ることが理解されるべきである。
【0035】
コントローラ42は、タービン18を出る排気ガス28中の汚染物質のレベル(例えば、CO、CO2、及び/又はNOxのレベル)をコントローラ42がリアルタイムで予測することを可能にする排出ガスモデル80を生成及び/又は含めることもできる。排出ガスモデル80は、コントローラ42によってリアルタイムでモデル化又は監視されるタービンエンジン12の運転パラメータ(例えば、出力又は負荷)に基づいて生成することができる。コントローラ42は、燃料ブレンド26の測定値を排出ガスモデル80と比較することができる。この比較に基づいて、コントローラ42は、燃料ブレンド26の組成が、排気ガス28中に許容できないレベルの汚染物質を発生させる可能性があるか否かを判定することができる。これに応答して、コントローラ42は、本明細書で説明するように燃料ブレンド26の組成を調整するための出力56を生成して、事前に決定された排出量制限を満たす燃料ブレンド26の適切な組成を達成することができる。
【0036】
コントローラ42はまた、入力54として、センサ52(
図2に示される)から、排気ガス28に関連する排出レベル測定値を受け取ることができる。)排出レベル測定値は、燃料ブレンド26の組成を調整するため、及び/又は排出モデル80を更新するために使用され得る排気ガス28中の汚染物質のレベルのリアルタイムフィードバックを提供し得る。例えば、コントローラ42は、検出された汚染物質のレベルに応答して、燃料ブレンド26の組成を調整すべきであると決定することができ、これに応答して、本明細書で説明するように制御出力56を生成する。本明細書で説明するように、センサ52からの入力54は、SCR処理システム(図示せず)を出る排気ガス28の測定値も含むことができる。この点に関して、SCR処理システム内の変動は、燃料ブレンド26の組成を調整すべきであると決定するためにコントローラ42によって使用され得る。追加的又は代替的に、コントローラ42は、センサ52によって得られ、入力54として受信された測定値を使用して、排出ガスモデル80を更新することができる。例えば、コントローラ42は、汚染物質の予測レベルを排出レベル測定値と比較することができる。コントローラ42は、予測された汚染物質のレベルが、センサ52によって測定された実際の汚染物質のレベルと一致するか否かを判定してもよいし、コントローラ42は、予測された汚染物質のレベルと実際の汚染物質のレベルとの間に差が存在すると判定してもよい。これに応答して、コントローラ42は、燃料ブレンド26の同様の測定に関連する将来の汚染物質の予測レベルの精度を向上させることを容易にするために、排出ガスモデル80を更新することができる。
【0037】
コントローラ42は、排出ガスモデル80を動作モデル70と統合することができる。それにより、コントローラ42は、燃料ブレンド26の測定が、運転境界内の燃焼条件に関連し、排気ガス28中の汚染物質の許容レベルに関連するかどうかを決定することによって、燃料ブレンド26の組成を最適化することを容易にすることができる。この点に関して、コントローラ42は、例えば炭化水素液体燃料のような低コストの燃料、及び例えば水素燃料のようなカーボンニュートラル燃料の使用におけるより広い柔軟性を容易にする。コントローラ42はまた、特定の燃料ブレンド26の使用、及び/又は特定の個々の燃料30及び/又は32の使用に関連する予想コスト及び収益性とともに、動作モデル70及び排出モデル80を組み込んだ全体的な経済モデル(図示せず)を生成及び/又は含むことができる。この点で、コントローラ42は、燃料ブレンド26の組成を最適化し、ガスタービンシステム10の運転寿命にわたって全体的な収益を最大化することを容易にすることができる。
【0038】
図4は、本開示に従って燃料ブレンド制御を利用する第2の代替ガスタービンシステム200の概略図である。ガスタービンシステム200は、
図1及び
図2にそれぞれ示され、本明細書で説明されるガスタービンシステム10及び/又は100のいずれかとしての全ての要素及び構成要素を含む。加えて、第2の代替実施形態では、ガスタービンシステム200は、段階的燃焼器(staged combustor:ステージ燃焼器)16を含む。燃焼器16は、例えば、軸方向段階式燃焼器16又は半径方向段階式燃焼器16(an axially-staged or radially-staged combustor 16)であってよい。一般に、段階燃焼システムは、第1ステージ(第1段)58で予混合された燃料と空気のリーン混合気を導入し、第2ステージ(第2段)60で高い当量比を有する燃料のリッチ混合気を導入することによって動作する。リーン混合気を比較的低い火炎温度を有する第1ステージ58に導入することで、高温燃焼環境(例えば第2ステージ60)における燃料の滞留時間を短縮することが容易になる。従って、段階的燃焼器は、NOx排出を最小化することができ、燃焼効率の向上により、COや未燃炭化水素などの他の汚染物質のレベルをさらに低下させることができる。さらに、燃焼段階化は、燃焼反応を複数のゾーンに分散させることによって、燃焼器16における望ましくない燃焼ダイナミクスを低減することもできる。しかし、反応速度を最適化し、燃焼安定性を向上させるためには、段階的燃焼器の柔軟性を高めることが望まれる。さらに、混合燃料の結果として熱的に誘発される排出及び燃焼ダイナミクスの変化の影響は、依然として課題であり、段階的燃焼システムにおいて実質的なハードウェアの再構成を必要とする可能性がある。
【0039】
図4に示すように、段階燃焼器16に供給される燃料は、第1ステージ58と第2ステージ60との間で分割される。第1の燃料30は、ミキサ34から上流で、第1ステージ58に向けられた第1の部分62と、ミキサ34に供給される第2の部分64とに分割され、燃料ブレンド26は第2ステージ60に向けられる。他の実施形態では、システム200は、燃料ブレンド26を、第1ステージ58に向けられた第1の部分(図示せず)と、少なくとも第2ステージ60に向けられた少なくとも第2の部分(図示せず)とに分離する、ミキサ34から下流の燃料分離器又はマニホールド(図示せず)を含むことができる。第1の燃料30は、好適には、第2の燃料32よりも低反応性燃料(すなわち、相対的に遅い反応速度を有する)であってよい。例えば、第1の燃料30は、天然ガスなどの炭化水素ガス燃料、又は液化石油ガスなどの液化炭化水素燃料であってもよく、第2の燃料32は水素であってもよい。このように、ミキサ34を出る燃料ブレンド26は、低反応性燃料30と高反応性燃料32との適切な混合物から構成され得る。空気(図示せず)は、リーン予混合燃料を生成するために、第1ステージ58で導入するか、又は第1ステージ58に導かれた燃料(例えば、第1の燃料30)と混合することができる。不活性ガス(例えば、窒素)は、第2ステージ60で導入されるか、又は第2ステージ60に導かれた燃料(例えば、燃料ブレンド26)と混合されて、熱管理を改善することを容易にし、及び/又は冷却を提供することができる。
【0040】
本明細書で説明するように、燃料ブレンド分析器40は、燃料ブレンド26の組成を示す測定値を得る。コントローラ42は、この測定値を受信し、混合燃料26の組成が、予め決定された運転境界から外れた燃焼力学を生じさせる可能性があるか否かを判定する。例えば、コントローラ42は、混合燃料26の組成が、第2ステージ60の火炎温度に耐えられず、早期燃焼につながる可能性のある燃料組成を示していると判定することができる。あるいは、コントローラ42は、混合燃料26の組成が、リーンブローアウトを引き起こす可能性のある燃料組成を示していると判定することもできる。コントローラ42はまた、第1ステージ58及び/又は第2ステージ60におけるノック状態を検出し得るノックセンサ44から燃焼信号を受信する。
【0041】
予め決定された運転境界から外れている燃焼ダイナミクス(combustion dynamics)を示す燃料ブレンド測定値を識別すること、及び/又はノック状態を検出することに応答して、コントローラ42は、制御バルブ36、38にそれぞれ第1の燃料30又は第2の燃料32の流量を調整させるための出力56(
図3に示す)を生成することができる。この点で、コントローラ42は、滞留時間を最小にして迅速に燃焼するように、第2ステージ60に供給される混合燃料26の組成を調整することができる。これにより、コントローラ42は、第2ステージ60に供給される混合燃料26の組成を制御して、段階的燃焼の反応速度及び燃焼ダイナミクスの最適化を容易にする。
図2に示すセンサ46のような追加の燃料分析器は、ミキサ34及び第1ステージ58に供給される第1の燃料30の測定値を得ることができる。コントローラ42は、この測定値を受信し、これに応答して、制御バルブ36に第1の燃料30の流量を調整させて、第1ステージ58と第2ステージ60の両方における燃焼条件を最適化させる出力を生成することができる。本明細書に記載されるように、センサ46、48、50、及び/又は52から得られる任意の追加の測定値が、コントローラ42が本明細書に記載されるように機能することを可能にするために使用され得ることが理解されるべきである。
【0042】
図5は、ガスタービンエンジン12の燃料ブレンド26を制御する例示的な方法300のフローチャートである。第1の燃料30と第2の燃料32がミキサ34に供給302され、それによって第1の燃料30と第2の燃料32が混合304されて燃料ブレンド26が得られる。本明細書で説明するように、ミキサ34の下流に位置する燃料ブレンド分析器40は、燃料ブレンド26の組成を示す測定値306を受け取る。コントローラ42は、燃料ブレンド分析器40に通信可能に結合され、燃料ブレンド分析器から燃料ブレンド26の測定値を受信する。コントローラはまた、ガスタービンエンジン12の燃焼器16に結合されたノックセンサ44に通信可能に結合されている。混合燃料26は燃焼器16に供給され、燃焼される308。ノックセンサ44は,燃焼器16の燃焼挙動を示す燃焼信号を受信する310。コントローラは、ノックセンサ44から燃焼信号を受信する。コントローラ42は、第1の燃料30の流量及び/又は第2の燃料32の流量の少なくとも一方(at least one of a flow of first fuel 30 and/or a flow of second fuel 32)を制御する312ための制御出力56を生成する。特に、コントローラ42は、燃料ブレンド26の測定値及び/又は燃焼信号に基づいて制御出力56を生成し、それによって燃料ブレンド26の組成を調整する。
【0043】
上述のシステム及び方法は、検出された混合燃料の組成及び/又はタービンエンジン内の監視された燃焼力学に応答して、第1の燃料及び/又は第2の燃料の流量を調整することによって、タービンエンジン用の混合燃料のリアルタイム制御を容易にする。これにより、本明細書に記載のシステム及び方法は、広範囲の可変燃料で運転可能なタービンエンジンの耐久性、排出、及び出力(メガワット)の最適化を容易にする。さらに、混合燃料の組成を示す測定値を得るために混合燃料分析計をミキサの下流で使用することにより、コントローラが混合燃料の燃焼前又は燃焼中に燃焼条件及び/又はエミッションの予測アルゴリズムを実行することが容易になる。これは、コントローラが燃料ブレンド組成の変更を引き起こす前に許容できない燃焼状態が発生する可能性がある、燃焼器内の燃焼ダイナミクスのフィードバックのみを使用する燃料ブレンド制御システム及び方法と比較して、例えば、燃料の利用可能性や負荷スケジュールの変更に起因する燃料ブレンド組成の変更にコントローラが迅速に反応することを容易にする。さらに、個々の燃料の混合から下流で混合燃料の測定を行うことで、決定された混合燃料の組成の精度を向上させることが容易になる。これは、例えば、水素燃料が炭化水素燃料と混合される場合に有利であり、燃料ブレンドの測定値(例えば、比重又は密度の測定値)のわずかな変化であっても、燃料ブレンド中の水素含有量の変化に対応する。個々の燃料の混合から下流で燃料ブレンドの測定値を得ることで、より少ない測定値及び/又は機器を使用して燃料ブレンドの組成を決定することも容易になる。
【0044】
本明細書に記載のシステム及び方法の例示的な技術的効果としては、(a)燃焼信号フィードバックと組み合わされた予測アルゴリズムを使用して、燃料ブレンドで動作可能なエンジンにおける燃焼ダイナミクスの改善(improvements in combustion dynamics)を促進すること、(b)燃料ブレンド検出の改善(improvements in fuel blend detection)及び燃料ブレンド組成の変化に対するより速い応答時間(faster response time to changes in a fuel blend composition)を促進すること、(c)低排出ガスタービンにおけるより広い燃料の柔軟性(wider fuel flexibility)を可能にすること、及び(d)より信頼性の高い燃料ブレンド(more reliable fuel blending)によるコストの最適化(cost optimization)を促進することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本開示のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
[実施形態1]
タービンエンジンの燃料ブレンドを制御する方法であって、第1の燃料及び第2の燃料をミキサに供給するステップと、ミキサにおいて、第1の燃料及び第2の燃料を混合して燃料ブレンドを得るステップと、ミキサから下流の燃料ブレンド分析器において、燃料ブレンドの組成を示す測定値を受信するステップと、燃焼器において燃料ブレンドを燃焼させるステップと、燃焼挙動を示す燃焼信号を受信するステップと、燃料ブレンド測定値及び燃焼信号の少なくとも一方に基づいて、コントローラによって(コントローラが)、第1の燃料の流量及び第2の燃料の流量の少なくとも一方を制御するステップと、を含む方法。
[実施形態2]
燃焼信号が、燃焼器に結合されたノックセンサによって受信される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
コントローラによって(コントローラが)、燃料ブレンド測定値及び燃焼信号の少なくとも一方に基づいて、制御するステップが、コントローラ(コントローラが)、ミキサから上流にある少なくとも1つの制御バルブに出力信号を送信するステップを含む、実施形態1または2に記載の方法。
[実施形態4]
コントローラによって(コントローラが)、燃料ブレンド測定値を燃焼器の動作モデルと比較するステップと、コントローラによって(コントローラが)、比較に基づいて、燃料ブレンド測定値に関連する予測燃焼状態を決定するステップと、コントローラによって(コントローラが)、予測燃焼状態に基づいて、第1の燃料の流量及び第2の燃料の流量の少なくとも一方を制御するステップと、をさらに含む、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態5]
コントローラによって(コントローラが)、予測された燃焼状態を燃焼信号と比較するステップと、コントローラによって(コントローラが)、予測された燃焼状態が燃焼信号によって示された燃焼挙動と一致するか否かを判定するステップと、予測された燃焼状態が示された燃焼挙動と一致しない場合に、動作モデルを更新するステップと、をさらに含む、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態6]
ミキサの上流の少なくとも1つの燃料センサにおいて、第1の燃料及び第2の燃料の少なくとも一方の組成を示す少なくとも1つの測定値を受信するステップと、燃料ブレンド測定値及び第1の燃料及び第2の燃料の少なくとも一方の少なくとも1つの測定値に基づいて、コントローラによって(コントローラが)、燃料ブレンドの組成を決定するステップと、決定された燃料ブレンド組成及び燃焼信号の少なくとも一方に基づいて、コントローラによって(コントローラが)、第1の燃料の流量及び第2の燃料の流量の少なくとも一方を制御するステップと、をさらに含む、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態7]
コントローラによって(コントローラが)、燃料ブレンド測定値を燃焼器の排出モデルと比較するステップと、コントローラによって(コントローラが)、比較に基づいて、燃料ブレンド測定値に関連する汚染物質の予測レベルを決定するステップと、コントローラによって(コントローラが)、汚染物質の予測レベルに基づいて、第1の燃料の流量及び第2の燃料の流量の少なくとも一方を制御するステップと、をさらに含む、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態8]
燃焼器の下流の排出量センサにおいて、排出量レベル測定値を受信するステップと、コントローラによって(コントローラが)、汚染物質の予測されたレベルを排出量レベル測定値と比較するステップと、コントローラによって(コントローラが)、汚染物質の予測されたレベルが排出量レベル測定値と一致するか否かを判定するステップと、汚染物質の予測されたレベルが排出量レベル測定値と一致しない場合に、排出量レベルモデルを更新するステップと、をさらに含む、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態9]
第1の燃料が天然ガスであり、第2の燃料が水素である、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態10]
第1の燃料が液化石油ガスであり、第2の燃料が水素である、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態11]
第1の燃料が炭化水素ガス燃料であり、第2の燃料が液化炭化水素燃料である、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態12]
液化炭化水素燃料をミキサに供給する前に、液化炭化水素燃料を気化させるステップをさらに含む、任意の先行する実施形態による方法。
[実施形態13]
タービンエンジンの燃料制御システムであって、第1の燃料と第2の燃料とを混合して燃料ブレンドを得るために使用するミキサを含む燃料供給システムと、ミキサの下流にある燃料ブレンド分析器と、燃料ブレンド分析器の下流にある燃焼器であって、燃料ブレンドで動作可能な燃焼器と、燃焼器に結合されたノックセンサと、ノックセンサ及び燃料ブレンド分析器に通信可能に結合されたコントローラと、を含み、コントローラは、少なくとも1つのメモリデバイスと通信する少なくとも1つのプロセッサを含み、少なくとも1つのプロセッサは、ノックセンサから、燃焼挙動を示す燃焼信号を受信し、燃料ブレンド分析器から、燃料ブレンドの組成を示す測定値を受信し、燃焼信号及び燃料ブレンド測定値の少なくとも一方に基づいて、第1の燃料の流量及び第2の燃料の流量の少なくとも一方を調整するように構成されている、システム。
[実施形態14]
燃料ブレンド分析器が、比重センサ又は密度計を含む、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態15]
第1の燃料が天然ガスであり、第2の燃料が水素である、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態16]
第1の燃料が液化石油ガスであり、第2の燃料が水素である、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態17]
コントローラに通信可能に結合されたセンサをさらに含み、該センサは、排気ガス排出センサ、排気ガス温度センサ、燃焼圧力センサ、燃料ブレンド流量センサ、第1の燃料流量センサ、第2の燃料流量センサ、第1の燃料組成センサ、第2の燃料組成センサ、及び光学式火炎センサからなる群から選択される、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態18]
センサが光学式火炎センサである、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態19]
センサが、第1の燃料組成センサ又は第2の燃料組成センサである、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態20]
燃焼器が、第1ステージと第2ステージとを含む段階式燃焼器である、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態21]
第1の燃料の第1の部分が第1のステージに供給され、第1の燃料の第2の部分が、混合燃料を得るために第1の燃料の第2の部分と第2の燃料とを一緒に混合するのに使用するためにミキサに供給される、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態22]
段階的燃焼器が軸方向段階的燃焼器である、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態23]
第1の燃料が炭化水素ガス燃料であり、第2の燃料が液化炭化水素燃料である、任意の先行する実施形態によるシステム。
[実施形態24]
炭化水素ガス燃料が天然ガスであり、液化炭化水素燃料が液化石油ガス又はペンタンを含む、任意の先行する実施形態によるシステム。
【0046】
本明細書に記載の方法及びシステムは、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。例えば、各システムの構成要素及び/又は各方法のステップは、本明細書に記載された他の構成要素及び/又はステップとは独立して、且つ別個に利用することができる。例えば、本方法及びシステムは、他のタービンシステムと組み合わせて使用することもでき、本明細書に記載のガスタービンエンジンによる実施のみに限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、他の多くのタービン用途に関連して実施及び利用することができる。
【0047】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されないことがあるが、これは便宜のためだけである。本開示の原理に従って、図面の任意の特徴は、他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照及び/又は請求することができる。
【0048】
本明細書では、実施例を用いて、最良の態様を含む本発明を開示するとともに、任意の装置又はシステムの製造及び使用、ならびに組み込まれた任意の方法の実行を含め、当業者であれば誰でも本発明を実施できるようにする。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
10、100、200:ガスタービンシステム 12:ガスタービンエンジン 14:圧縮機 16:燃焼器 18:タービン 20:シャフト 22:発電機 24:酸化剤/空気 25:圧縮された酸化剤 26:混合燃料 27:燃焼ガス 28:排気ガス 29:燃料供給システム/スキッド 30:第1の燃料 32:第2の燃料 34:ミキサ 36、38:制御バルブ 40:燃料ブレンド分析器 42:コンピュータ制御システム/コントローラ 44:ノックセンサ 46、48、50、52:センサ 54:入力 56:出力 58:第1ステージ 60:第2ステージ 62:第1の部分 64:第2の部分 70:動作モデル 80:排出ガスモデル
【国際調査報告】