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特表2025-500401水放出性エマルション中のクリーム状保湿性化粧品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】水放出性エマルション中のクリーム状保湿性化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20241226BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 8/45 20060101ALI20241226BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/44
A61K8/92
A61K8/45
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537854
(86)(22)【出願日】2023-01-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 IB2023050123
(87)【国際公開番号】W WO2023119260
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2201205
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クリスチアーノ,ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ウィーダー,ノア
(72)【発明者】
【氏名】ザウ,マーク
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB051
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB331
4C083AB332
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD151
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB21
4C083BB41
4C083BB44
4C083BB45
4C083BB48
4C083BB51
4C083CC05
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE07
4C083FF05
(57)【要約】
油相中に内部水相を有するクリーム状エマルションの形態の化粧品組成物は、少なくとも1つのポリグリセリルエステル、グルタミン酸、またはその誘導体、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオール、少なくとも1つの油、水、及び任意により1つ以上の添加剤を含む。本組成物は、ミネラル及び有機UVフィルターを除外する。クリーム状エマルションは、基層上に組成物をこすり適用したときに、水相の破壊及び放出を示す。組成物は、約5℃~約45℃の範囲の温度において、8週間、及び約-20℃~約25℃の範囲の凍結融解条件下において安定性を示し、ここで、基層にこすり付けない場合、この安定性は、水相と油相との分離がないこと、及び/または時間の経過と共にレオロジー特性を維持することによって明らかになる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品組成物であって、前記化粧品組成物は、
油相中に内部水相を有するクリーム状エマルションを含み、前記クリーム状エマルションは、
i.少なくとも1つのポリグリセリルエステルと;
ii.グルタミン酸、またはその誘導体と;
iii.少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと;
iv.少なくとも1つの油と;
v.水と;
vi.任意により1つ以上の添加物と、を含み、
前記組成物は、鉱物及び有機UVフィルターを除外し、前記クリーム状エマルションは、基層上に前記組成物をこすり適用したときに前記水相の破壊及び放出を示し、前記組成物は、約5℃~約45℃の範囲の温度で、8週間にわたって、及び約-20℃~約25℃の範囲の凍結融解条件下で安定性を示し、基層にこすり付けない場合に、この安定性は、水相と油相との分離がないことによって明らかである、前記化粧品組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルが、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-3(及び)ダイマージリノール酸ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記グルタミン酸またはその誘導体は、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、パルミトイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ベヘノイルグルタミン酸、オリーブ油グルタミン酸、ココイルグルタミン酸、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され、前記少なくとも1つの油は、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、スクアラン、及びそれらの組合せからなる群から選択され、前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、デシレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、エチルヘキサンジオール、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の化粧品組成物であって、前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、前記組成物の約0.01%重量~約2重量%存在し;前記グルタミン酸またはその誘導体は、前記組成物の約0.1重量%~約1.5重量%で存在し;前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、前記組成物の約0.01重量%~約10重量%で存在し;前記少なくとも1つの油は、前記組成物の約0.1重量%~約23重量%で存在し;前記化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、組成物の約0.01重量%~約10重量%の範囲内の量で存在し、これにより、所与の適用張力下で、前記クリーム状エマルションは、前記化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールの量が範囲内で増加するにつれて、より急速に前記水相の破壊及び放出を示し;前記水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせは、前記組成物の約75重量%~約95重量%で存在し、存在する場合、前記少なくとも1つの保湿剤は、前記組成物の約1重量%~約20重量%で存在する;またはそれらの組み合わせである、前記化粧品組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の化粧品組成物であって、前記組成物は、(a)水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせを含む水相、ならびに少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと、ここで、前記水相は、前記組成物の重量に基づいて、約75重量%~約95重量%の範囲で存在する、(b)少なくとも1つのポリグリセリルエステルを含む油相、及び少なくとも1つの油と、を含む、油中水型エマルションであり、前記水相及び前記油相のいずれか一方は、グルタミン酸、またはその誘導体も含み、前記組成物は、前記組成物中に約45~約70の範囲の、前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルの総重量に対する前記水相の総重量の比率を有する、前記化粧品組成物。
【請求項5】
請求項9に記載の化粧品組成物であって、前記油相は、油溶性活性成分、皮膚軟化剤、シリコーン油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の油相成分をさらに含み、前記水相及び前記油相の一方または両方は、任意により、前記任意の添加剤のうちの1つ以上、pH調整剤、キレート剤、皮膚ケア活性剤、防腐剤、充填剤、粉末、香料、染料、顔料、及びこれらの組合せからなる群から選択される任意の添加剤を含む、前記化粧品組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の化粧品組成物であって、
i.前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、前記組成物の約0.01重量%~約2重量%以下で存在し;
ii.前記グルタミン酸またはその誘導体は、前記組成物の少なくとも約0.1重量%~約1.5重量%で存在し;
iii.前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、前記組成物の約0.01重量%~約10重量%で存在し;
iv.前記少なくとも1つの油は、前記組成物の約0.1重量%~約23重量%で存在し;
v.前記水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせが、前記組成物の約65重量%~約95重量%で存在し;
vi.任意により前記1つ以上の添加剤が、pH調整剤、キレート剤、皮膚ケア活性剤、防腐剤、充填剤、粉末、香料、染料、顔料、及びそれらの組合せからなる群から選択される、前記化粧品組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の化粧品組成物であって、
i.前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-3(及び)ダイマージリノール酸ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
ii.前記グルタミン酸またはその誘導体は、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、パルミトイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ベヘノイルグルタミン酸、オリーブ油グルタミン酸、ココイルグルタミン酸、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され;
iii.前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、デシレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、エチルヘキサンジオール、及びそれらの組合せからなる群から選択され;
iv.前記少なくとも1つの油は、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、スクアラン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、前記化粧品組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4を含み、前記グルタミン酸またはその誘導体は、前記水相中に存在するグルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含み、前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、プロパンジオールを含み、前記少なくとも1つの油は、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、スクアランを含み、前記水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒もしくはそれらの組み合わせは、水を含み、前記少なくとも1つの保湿剤は、組成物の約1重量%~約20重量%で存在し、すべての量が、総重量を基にして、重量を基準にする、請求項6に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
請求項6に記載の化粧品組成物であって、前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルが、約1.35%で存在するジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4を含み、前記グルタミン酸、またはその誘導体が、前記水相に約0.8%で存在するグルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含み;前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールが、約1.6%~約5%存在するプロパンジオールを含み;前記少なくとも1つの油が、それぞれ約0.1%~約23%で存在するブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、及びスクアランを含み;前記水、または水及び前記水性保湿剤もしくは溶媒またはこれらの組み合わせは、水と、約5%で存在するグリセリンを含む少なくとも1つの保湿剤と、を含む、前記化粧品組成物であって、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸、フェノキシエタノール、酸化クロム緑、PCAナトリウム、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、トコフェロール、カフェイン、ベータカロチン、レチノール、クエン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、前記化粧品組成物。
【請求項10】
水を破壊する化粧品組成物を適用するための方法であって、前記方法が、
a.油相中に内部水相を有するクリーム状エマルションを含む化粧品組成物を選択することであって、
前記クリーム状エマルションは、
i.少なくとも1つのポリグリセリルエステルと;
ii.グルタミン酸、またはその誘導体と;
iii.少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと;
iv.少なくとも1つの油と;
i.水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせと、を含む、選択することと、
b.前記組成物を接触させ、円運動でこすることによって、前記組成物を角質基質に適用させ、これによって、前記クリーム状エマルションは、前記水相の破壊及び放出を示する、適用させることと、を含み、
前記組成物は、ミネラル及び有機UVフィルターを除外し、前記組成物は、約5℃~約45℃の範囲の温度において、8週間、及び約-20℃~約25℃の範囲の凍結融解条件下において安定性を示し、基層にこすり付けない場合、この安定性は、前記水相と前記油相との分離がないことによって明らかになる、前記方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルが、約0.01重量%~約2重量%で存在し;前記グルタミン酸またはその誘導体が、組成物の約0.1重量%~約1.5重量%で存在し;前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールが、約0.01重量%~約10重量%で存在し、前記少なくとも1つの油が、約0.1重量%~約23重量%で存在する化粧品組成物を提供し;前記水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせが、約65重量%~約95重量%で存在し、すべての量は、重量を基準にしており、組成物の総重量に基づき、前記組成物が、pH調整剤、キレート剤、皮膚ケア活性剤、防腐剤、充填剤、粉末、香料、染料、顔料、及びそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の添加剤を任意により含む、前記方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記化粧品組成物中において、前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、前記組成物の約1.35重量%で存在するジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4を含み;前記グルタミン酸、またはその誘導体は、約0.8重量%で存在するグルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含み;前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、約1.6重量%~約重量5%で存在するプロパンジオールを含み;前記少なくとも1つの油は、約0.1重量%~約23重量%で存在し;前記水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせは、約65重量%~約95重量%で存在し、かつグリセリンは、約5重量%で存在し、ここで、前記組成物は、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸、フェノキシエタノール、酸化クロム緑、PCAナトリウム、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、トコフェロール、カフェイン、ベータカロチン、レチノール、クエン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含み、ここでは、前記組成物の重量を基準にしており、前記組成物は、(a)前記水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせを含む水相、前記グルタミン酸、またはグルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含むその誘導体、及び前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと、(b)前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルを含む油相、及び前記少なくとも1つの油と、を含む、クリーム状油中水型エマルションであり、前記組成物は、約45~約70の範囲の、前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルの総重量に対する前記水相の総重量の比率を有し、前記油相は、シリコーン油、油溶性活性成分、皮膚軟化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の油相成分をさらに含む、前記方法。
【請求項13】
油相中に内部水相を有するクリーム状エマルションを含む化粧品組成物を調製するための方法であって、前記方法が、
a.ミネラル及び有機UV活性物質を除外する成分を提供することであって、前記提供された成分が、
i.少なくとも1つのポリグリセリルエステルと;
ii.グルタミン酸、またはその誘導体と;
iii.少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと;
iv.少なくとも1つの油と;
ii.水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせと、
iii.任意により1つ以上の添加物と、を含む、提供することと;
b.前記提供された成分を混ぜることによって、(a)前記水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせを含む水相、ならびに前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと、(b)前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルを含む油相、及び前記少なくとも1つの油と、を提供することと、を含み、
前記グルタミン酸またはその誘導体が、前記水相及び前記油相のうちの一方に存在し、前記組成物は、約5℃~約45℃の範囲の温度で、8週間にわたって、及び約-20℃~約25℃の範囲の凍結融解条件下で安定性を示し、前記安定性は、基層にこすり付けない場合、前記水相と前記油相との分離がないことによって明らかである、前記方法。
【請求項14】
請求項13に記載の化粧品組成物を調製するための方法であって、前記形成された組成物が、(a)水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせを含む水相、ならびに前記少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと、(b)前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルを含む油相と、前記少なくとも1つの油と、を含む、クリーム状の油中水型エマルションであり、前記グルタミン酸またはその誘導体が、前記水相及び前記油相の一方に存在し、前記油相は、油溶性活性成分、皮膚軟化剤、シリコーン油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の油相成分をさらに含み、前記組成物は、約45~約70の範囲の、前記少なくとも1つのポリグリセリルエステルの総重量に対する前記水相の総重量の比率を有する、前記方法。
【請求項15】
請求項14に記載の化粧品組成物を調製するための方法であって、前記化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、約0.01重量%~約10重量%の範囲内の量で提供され、これにより、所与の適用張力下で、前記組成物が基層上にこすり付けられたときに、前記クリーム状エマルションが、前記化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールの量が範囲内で増加するにつれて、より急速に水相の破壊及び放出を示す、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年12月23日に出願された米国特許出願第17/560,328号、名称「CREAMY HYDRATING COSMETIC COMPOSITION IN A WATER RELEASE EMULSION」及び2022年2月11日に出願された仏国特許出願公開第2201205号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
本発明は、化粧品組成物、特に、適用中に高速で水の破壊を呈するクリーム状油中水型エマルションに関する。
【背景技術】
【0003】
消費者は、持続可能な、天然及び/または環境に優しい材料で配合され、特に再生不可能な成分(例えば、鉱油及び石油ベースの成分)ならびに環境に負の影響を有する成分を使用しないか、またはその使用を最小限に抑える化粧品組成物を求めている。いくつかの例では、消費者は、快適なテクスチャと共に保湿効果及び潤いを与える効果をも提供する、例えば、逆相または油中水型エマルション中の高含水量を含む保湿製品及び潤いを与える製品などの組成物を求めている。消費者が求める所望の特徴を少なくともいくつか含むさまざまな製品が利用可能であるが、逆相エマルションまたは油中水型エマルション中に高含水量を含む製剤は、油相中に水相を保持するために用いられる乳化剤系による制限により、従来の使用及び貯蔵では不安定であることが示されている。したがって、本来であれば望ましい特性にもかかわらず、こうした製品は、適用前に製品が破壊した(すなわち、油相から水相を放出し、粘液状のクリーム状態から液体状態に変換する)ときに、顧客の品質の期待を満たさない可能性がある。ここでは、濃厚でクリーム状のテクスチャを失い、薄くて液体になるか、または容器内に水相及び/または油相の貯留が残留する。したがって、顧客が求める環境的特性及び官能的特性をもたらし、貯蔵中及び通常の使用条件下でテクスチャの安定性を維持する製品が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
保湿製品及び潤いを与える製品、特に高い水相含有量を有する製品に関する技術分野の欠陥に対処するために、本発明者らは、適用中に大きい内部水相を迅速に放出するエマルションからの独自の高速で水の破壊を有する組成物を提供する。組成物は、薄いテクスチャへ移行する実質的に濃厚なクリーム状の初期テクスチャを提供し、ここで、クリーム状エマルションは、安定し、凍結融解及び高温条件下で分離を受けず、品質の観点から望ましいものになる。本開示を通して、本明細書で例示される組成物は、75%を超える高い水相含有量を保持することができ、消費者が好ましいテクスチャを有する、シリコーンフリーの高品質の逆エマルション製品である、さまざまな実施形態を包含する。さまざまな実施形態では、組成物は、持続可能な、天然及び/または環境に優しい材料を用いて、特に、再生不可能な成分及び環境への負の影響を有する成分を使用しないか、またはこれらの使用を最小限に抑えて配合される。
【0005】
さまざまな実施形態によれば、本開示は、油相中に内部水相を有するクリーム状エマルションの形態の化粧品組成物を提供し、クリーム状エマルションは、
i.少なくとも1つのポリグリセリルエステルと;
ii.グルタミン酸、またはその誘導体と;
iii.少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと;
iv.少なくとも1つの油と;
v.水と;
vi.任意により1つ以上の添加物と、を含む。
【0006】
さまざまな実施形態では、組成物は、ミネラル及び有機UVフィルターを除外する。さまざまな実施形態では、クリーム状エマルションは、基層上に組成物をこすり適用したときに水相の破壊及び放出を示し、本組成物は、約5℃~約45℃の範囲の温度で、8週間にわたって、及び約-20℃~約25℃の範囲の凍結融解条件下で安定性を示し、基層にこすり付けない場合、この安定性は、水相と油相との分離がないことによって明らかである。
【0007】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-3(及び)ダイマージリノール酸ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、パルミトイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ベヘノイルグルタミン酸、オリーブ油グルタミン酸、ココイルグルタミン酸、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、スクアラン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、デシレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、エチルヘキサンジオール、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、組成物の約0.01%重量~約2重量%存在する。
【0009】
いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、組成物の約0.1重量%~約1.5重量%で存在する。いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、油相または水相にあり得る。グルタミン酸が、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含む実施形態では、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムは、水相にある。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、組成物の約0.01重量%~約10重量%で存在する。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、組成物の約0.1重量%~約23重量%で存在する。
【0012】
いくつかの実施形態では、化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、組成物の約0.01重量%~約10重量%の範囲内の量で存在し、これにより、所与の適用張力下で、組成物が基層上にこすり付けられたときに、クリーム状エマルションは、化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールの量が範囲内で増加するにつれて、より急速に水相の破壊及び放出を示す。
【0013】
いくつかの実施形態では、水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせは、本組成物の約75重量%~約95重量%で存在し、存在する場合、少なくとも1つの保湿剤は、本組成物の約1重量%~約20重量%で存在する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本組成物は、(a)水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせを含む水相、ならびに少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと、ここで、水相は、本組成物の重量に基づいて、約75重量%~約95重量%の範囲で存在する、(b)少なくとも1つのポリグリセリルエステル、いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体を含む油相、及び少なくとも1つの油と、を含む、油中水型エマルションである。いくつかの実施形態では、本組成物は、約45~約70の範囲の、少なくとも1つのポリグリセリルエステルの総重量に対する水相の総重量の比率を有する。いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、油相または水相にあり得る。グルタミン酸が、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含む実施形態では、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムは、水相にある。
【0015】
いくつかの実施形態では、油相は、油溶性活性成分、皮膚軟化剤、シリコーン油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の油相成分をさらに含み、水相及び油相の一方または両方は、任意により、任意の添加物のうちの1つ以上、pH調整剤、キレート剤、皮膚ケア活性剤、防腐剤、充填剤、粉末、香料、染料、顔料、及びこれらの組合せからなる群から選択される任意の添加物を含む。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、以下である化粧品組成物を提供する;
i.少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、組成物の約0.01重量%~約2重量%以下で存在し;
ii.グルタミン酸またはその誘導体は、組成物の少なくとも約0.1重量%~約1.5重量%で存在し;
iii.少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、組成物の約0.01重量%~約10重量%で存在し;
iv.少なくとも1つの油は、組成物の約0.1重量%~約23重量%で存在し;
v.水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせは、組成物の約65重量%~約95重量%で存在し;
vi.任意により1つ以上の添加物は、pH調整剤、キレート剤、皮膚ケア活性剤、防腐剤、充填剤、粉末、香料、染料、顔料、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-3(及び)ダイマージリノール酸ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、パルミトイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ベヘノイルグルタミン酸、オリーブ油グルタミン酸、ココイルグルタミン酸、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、デシレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、エチルヘキサンジオール、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、スクアラン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4を含み、グルタミン酸またはその誘導体は、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含み、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、プロパンジオールを含み、少なくとも1つの油は、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、スクアランを含み、水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒もしくはそれらの組み合わせは、水を含み、少なくとも1つの保湿剤は、組成物の約1重量%~約20重量%で存在し、すべての量が、総重量を基にして、重量を基準にする。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、約1.35%で存在するジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4を含み、グルタミン酸、またはその誘導体が、約0.8%で存在するグルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含み、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールが、約1.6%~約5%で存在するプロパンジオールを含み、少なくとも1つの油が、それぞれ約0.1%~約23%で存在するブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、及びスクアランを含み;水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒またはそれらの組み合わせが、水を含み、少なくとも1つの保湿剤は、約5%で存在するグリセリンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸、フェノキシエタノール、酸化クロム緑、PCAナトリウム、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、トコフェロール、カフェイン、ベータ-カロチン(ベータカロチンまたは他のプロビタミンAカロテノイド)、レチノール、クエン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加物をさらに含む。
【0020】
さまざまな実施形態によれば、本開示はまた、水を破壊する化粧品組成物を適用するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、油相中に内部水相を有するクリーム状エマルションの形態の化粧品組成物を選択することを含むステップであって、このクリーム状エマルションは、
i.少なくとも1つのポリグリセリルエステルと;
ii.グルタミン酸、またはその誘導体と;
iii.少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと;
iv.少なくとも1つの油と;
v.水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせと、を含む、ステップと、
本組成物を接触させ、円運動でこすることによって、本組成物を角質基質に適用させ、これによって、このクリーム状エマルションは、水相の破壊及び放出を示す、適用させるステップと、を含む。
【0021】
方法のいくつかの実施形態では、化粧品組成物が提供され、ここで、組成物は、ミネラル及び有機UVフィルターを除外し、組成物は、約5℃~約45℃の範囲の温度において、8週間、及び約-20℃~約25℃の範囲の凍結融解条件下において安定性を示し、基層にこすり付けない場合、この安定性は、水相と油相との分離がないことによって明らかになる。
【0022】
方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルが、組成物の約0.01重量%~約2重量%で存在し;グルタミン酸またはその誘導体が、約0.1重量%~約1.5重量%で存在し;少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールが、約0.01%~約10%で存在し、少なくとも1つの油が、約0.1重量%~約23重量%で存在する化粧品組成物を提供し;水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせが、約65重量%~約95重量%で存在し、すべての量は、重量を基準にしており、組成物の総重量に基づく。方法のいくつかの実施形態では、本組成物が、任意により、pH調整剤、キレート剤、皮膚ケア活性剤、防腐剤、充填剤、粉末、香料、染料、顔料及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加物を含む、化粧品組成物が提供される。
【0023】
方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルが、組成物の約1.35重量%で存在するジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4を含み;グルタミン酸、またはその誘導体が、約0.8重量%で存在するグルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含み;少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールが、約1.6重量%~約重量5%で存在するプロパンジオールを含み;少なくとも1つの油が、約0.1重量%~約23重量%で存在し、水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせが、約65重量%~約95重量%存在する水と、約5重量%で存在するグリセリンとを含む化粧品組成物を提供する。方法のいくつかの実施形態において、化粧品組成物は、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸、フェノキシエタノール、酸化クロム緑、PCAナトリウム、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、トコフェロール、カフェイン、ベータ-カロチン(ベータカロチンまたは他のプロビタミンAカロテノイド)、レチノール、クエン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加物をさらに含む、化粧品組成物が提供され、これは、組成物の重量を基準にする。方法のいくつかの実施形態では、(a)水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせを含む水相、ならびに少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと、(b)少なくとも1つのポリグリセリルエステル、いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体を含む油相、及び少なくとも1つの油と、を含む、クリーム状の油中水型エマルションである化粧品組成物が提供される。方法のいくつかの実施形態では、約45~約70の範囲の少なくとも1つのポリグリセリルエステルの総重量に対する水相の総重量の比を有し、油相が、シリコーン油、油溶性活性成分、皮膚軟化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の油相成分をさらに含む、化粧品組成物が提供される。いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、油相または水相にあり得る。グルタミン酸が、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含む実施形態では、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムは、水相にある。
【0024】
さまざまな実施形態によれば、本開示はまた、油相中に内部水相を有するクリーム状エマルションを含む化粧品組成物を調製するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、ミネラル及び有機UV活性物質を除外する成分を提供するステップであって、ここで、提供された成分が、
i.少なくとも1つのポリグリセリルエステルと;
ii.グルタミン酸、またはその誘導体と;
iii.少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと;
iv.少なくとも1つの油と;
v.水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせと、
vi.任意により1つ以上の添加物と、を含む、ステップと、
【0025】
提供された成分を混ぜることによって、(a)水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせを含む水相、ならびに少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと、(b)少なくとも1つのポリグリセリルエステル、いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体を含む油相、及び少なくとも1つの油と、を提供するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、油相または水相にあり得る。グルタミン酸が、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含む実施形態では、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムは、水相にある。
【0026】
方法のいくつかの実施形態では、化粧品組成物は、約5℃~約45℃の範囲の温度において、8週間、及び約-20℃~約25℃の範囲の凍結融解条件下において安定性を示し、基層にこすり付けない場合、この安定性は、水相と油相との分離がないことによって明らかになる。
【0027】
方法のいくつかの実施形態では、形成された組成物は、(a)水相及び(b)油相を含むクリーム状油中水型エマルションを含み;(a)水相は、水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒またはこれらの組み合わせ、及び少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールを含み、(b)油相は、少なくとも1つのポリグリセリルエステル、いくつかの実施形態では、グルタミン酸、またはその誘導体及び少なくとも1つの油を含み、ここで、油相は、油溶性活性成分、皮膚軟化剤、シリコーン油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の油相成分をさらに含み、ここで、組成物は、約45~約70の範囲の少なくとも1つのポリグリセリルエステルの総重量に対する水相の総重量の比を有する。いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、油相または水相にあり得る。グルタミン酸が、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含む実施形態では、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムは、水相にある。
【0028】
方法のいくつかの実施形態では、化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、組成物の約0.01重量%~約10重量%の範囲内の量で提供され、これにより、所与の適用張力下で、組成物が基層上にこすり付けられたときに、クリーム状エマルションは、化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールの量が範囲内で増加するにつれて、より急速に水相の破壊及び放出を示す。
【0029】
本発明のこれら及び他の態様は、添付の特許請求の範囲において説明され、発明の詳細な説明においてさらに詳細に記載されている。
【0030】
本開示は、一般的な発明概念に従って例となる実施形態を記載するが、本発明の範囲を限定する意図は決してない。実際、本明細書に記載される本発明は、本明細書中に記載される例となる実施形態よりも広く、それによって限定されず、本明細書中で使用される用語は完全に通常の意味を有する。
【0031】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも例示的かつ説明的であるのみであって、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書で使用される「破壊」という用語は、逆(油中水型)エマルション中の油相からの水相の放出、及びエマルションの粘性及びクリーム状態から液体状態への変換の現象を指す。破壊が実証され、視覚的に検出されるエマルションからの水相の放出の程度、または放出された水相の量を測定すること、及びクリームのような固体から液体への変化として視覚的/戦術的に検出されるか、レオロジー測定のいずれかによって検出されるエマルションの流体特性の変化のうちの1つ以上に基づいて測定され得る。「破壊点」という用語は、こする力の適用時に、及び場合によっては、試験器具を使用して測定可能な張力の適用時に破壊が生じる測定可能な点を指す。本明細書に記載のとおり、本発明の組成物の破壊点は、存在する少なくとも1つのジオールの量に基づいて選択することができ、ジオールの量を増やすことにより、ジオールの量が少ない場合と比較して、同じこすり付けまたは張力の適用下でより高速に破壊がもたらされる。
【0033】
本発明の組成物のエマルション構造に関する「安定」及び「安定性」という用語は、クリーム状エマルション状態にとどまる、顕著な流体液滴の形成または分離された相の貯留によって示されるように相分離していない、(例えば、貯蔵中、及び基層をこすることによって力または張力を加えていない)及び/または時間の経過と共にレオロジー特性を維持する組成物を指す。いくつかの実施形態では、安定または安定性には、エマルションから内部水相の放出を示す液滴の形成がないか、または最小限であることが含まれ得る。安定性は、目視検査及び粘度の直接測定の一方または両方によって証明される。さまざまな実施形態では、本発明の組成物は、端点を含む約5℃~約45℃の範囲の温度で、少なくとも8週間(約2ヶ月)の期間にわたって安定を維持し、より長く、例えば、少なくとも3ヶ月間、または少なくとも4ヶ月間、または少なくとも6ヶ月間、最大約3年間、またはそれらの間の任意の値、範囲、もしくは部分的範囲まで、安定を維持し得る。本明細書の実施例に示される本発明の組成物の例示された実施形態は、5℃、25℃、37℃、及び45℃の各々において、8週間、安定性を示した。また、そのような例示された組成物は、-20℃/25℃において、10回の凍結-融解サイクルに対する安定性を示した。
【0034】
本開示の化粧品組成物は、少なくとも1つのポリグリセリルエステル、グルタミン酸、またはその誘導体、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオール、少なくとも1つの油、水、及び任意により1つ以上の添加物を含む、油相中に内部水相を有するクリーム状エマルションの形態である。油中水型エマルションは、逆エマルションと呼ばれることもある。この組成物は、鉱油及び/または化石由来成分を含有し、使用後に不快な油性及び脂っぽい皮膚感を残し得る同等の組成物と比較して、「環境に配慮した(green)」またはより「天然ベース」の組成物として製剤化される。本組成物は、ミネラル及び有機UVフィルターを除外する。クリーム状エマルションは、基層上に組成物をこすり適用したときに破壊されることを示す。組成物は、約5℃~約45℃の範囲の温度において、8週間、及び約-20℃~約25℃の範囲の凍結融解条件下において安定性を示し、ここで、基層にこすり付けない場合、この安定性は、水相と油相との分離がないことによって明らかになる。本開示による組成物は、クリーム状のテクスチャを有する油中水型エマルションである。
【0035】
本発明者らは、持続可能な天然及び/または環境に優しい材料で配合され、特に再生不可能な成分(例えば、鉱油及び石油系成分)及び環境に負の影響を有する成分(例えば、重金属を動員するEDTA)を使用しないかまたはその使用を最小限に抑える組成物に対する消費者のニーズなど、当該技術分野における特定の欠陥に対処するために、本発明の組成物を開発した。いくつかの実施形態では、組成物は、再生不可能な成分及び環境に負の影響を与える成分を含まない、または本質的に含まず、いくつかの特定の実施形態では、パラベン、フタル酸塩、シクロメチコン、香料シリコーン、鉱油、合成染料、ゲル化剤、硫酸塩、ポリクオタニウム、マイクロプラスチック、EDTA、シリコーン油、ミネラルUVフィルター剤、有機UVフィルター剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を除外するか、またはそれらを本質的に含まない。いくつかの実施形態では、本組成物は、公称量のみの石油系成分を含み得るか、または石油系成分を含まなくてもよい。
【0036】
本発明者らはまた、逆エマルション、特に、典型的な貯蔵期間中または凍結融解サイクルにさらされたときに相分離を受けやすい、逆エマルション、特に、大きい水相を有する逆エマルションの不安定性に関連する当該技術分野の欠陥にも対処しようとした。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ポリグリセリルエステル乳化剤を含む。
【0037】
典型的には、軽量で低粘度の化粧品製剤(濃厚でクリーム状のエマルジョンではない)に使用されるジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4は、2%を超える量での使用が用いられ、推奨されている。
【0038】
本発明者らは、ポリグリセリルエステル乳化剤を使用する組成物において、例えば、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4を、推奨されるかまたは典型的に使用される量よりはるかに少ない2%未満で使用し、これらの組成物は、分離または貯留なく、本質的に大きい内相のすべてを安定的に保持するが、時間と共に安定性が低下することを示した。本発明者らは、グルタミン酸またはその誘導体を含むことにより、実施例に示すような持続的安定性がもたらされる組成物を予期せずもたらした。さらに、本発明者らは、予期せずに、グリコール、いくつかの実施形態ではジオールを含む及びその量を調節すること、ならびに例示されるように、プロパンジオールを使用することにより、所与の張力において、水の遷移が調節される点を可能にする組成物を提供する。実施例に示すとおり、組成物中のプロパンジオールの重量パーセント量を増加させることによって、少ない量のグリコールを有する同じ組成物を適用した場合と比較して、(特定の張力において)適用中の突然の破壊がより早く、かつ急速に生じる。
【0039】
したがって、本発明者らは、本発明の組成物が、皮膚などの基層上にこすり適用したときに破壊する性質を保持しながら、凍結/融解安定性及び長期(最大8週間)の貯蔵安定性を示す堅牢なエマルションを形成することを実証した。本明細書に開示される本発明の組成物の成分を含まない比較組成物は、凍結/融解及び貯蔵安定性などの材料安定性の試験、ならびに基層上でこすり付けられた場合の水の破壊の試験に適合しない。
【0040】
ポリグリセリルエステル乳化剤
本開示によれば、本組成物の実施形態は、少なくとも1つのポリグリセリルエステル乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、2つ以上のポリグリセリルエステルを含む。
【0041】
「親水性-親油性バランス」または「HLB」という用語は、乳化剤の親水性基と疎水性基との関係に関する経験的表現を指す。この用語は、当業者には周知である。例えば、「The HLB system.A time-saving guide to Emulsifier Selection」(Pub:ICI Americas Inc.,1984)及びUS2006/0217283、[0053]を参照されたい。
【0042】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステル乳化剤は、約10または約10未満、いくつかの実施形態では、約2.5~約10、または約2.5~約9.5または約3~約9を含む範囲にあるHLBを有し得る。いくつかの例では、ポリグリセリルエステル乳化剤は、約2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、~約9.9(それらの中及びそれらの間で約0.1の増加を含む)の範囲にあるHLBを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステル乳化剤は、約10以上のHLBを有し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、約10、または約10を超えるHLB、最大約15または約15を超えるHLBを有する乳化剤を除外し、ここで、組成物は、約10または約10を超えるHLBを有する乳化剤を回避するか、または含まないか、または本質的に含まない。いくつかの特定の実施形態では、組成物は、約10のHLBを有するポリグリセリルエステル乳化剤を除外する。いくつかの実施形態では、組成物は、10より高い、または10より高く約15までの範囲内、または約15より高いHLBを有するポリグリセリルエステル乳化剤を除外する。
【0043】
さまざまな実施形態では、ポリグリセリルエステル乳化剤は、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、カプリン酸ポリグリセリル-10、カプリン酸ポリグリセリル-10、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ヘプタオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、カプリン酸ポリグリセリル-2、カプリル酸ポリグリセリル-2(polyglyceryl-2 caprate,)、カプリル酸ポリグリセリル-2(polyglyceryl-2 caprylate)、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2、カプリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、パルミチン酸ポリグリセリル-3、ポリリシノール酸ポリグリセリル-3、リシノール酸ポリグリセリル-3、カプリン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-4、ジオレイン酸ポリグリセリル-5、ヘキサステアリン酸ポリグリセリル-5、ラウリン酸ポリグリセリル-5、ミリスチン酸ポリグリセリル-5、オレイン酸ポリグリセリル-5、ステアリン酸ポリグリセリル-5、トリミリスチン酸ポリグリセリル-5、トリオレイン酸ポリグリセリル-5、カプリル酸ポリグリセリル-6、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0044】
一部の実施形態では、好適なポリグリセリルエステルは、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、ヘキサステアリン酸ポリグリセリル-5、ヘプタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ヘプタオレイン酸ポリグリセリル-10、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、リシノール酸ポリグリセリル-3、トリオレイン酸ポリグリセリル-5、オレイン酸ポリグリセリル-2、トリミリスチン酸ポリグリセリル-5、カプリル酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-2、パルミチン酸ポリグリセリル-3、ポリリシノール酸ポリグリセリル-3、カプリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルは、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-3(及び)ダイマージリノール酸ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステル乳化剤は、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、好適なポリグリセリルエステル乳化剤は、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-5、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、オレイン酸ポリグリセリル-10、カプリル酸ポリグリセリル-6、カプリン酸ポリグリセリル-4、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-5、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-5、ミリスチン酸ポリグリセリル-5、ラウリン酸ポリグリセリル-5、カプリン酸ポリグリセリル-10、カプリン酸ポリグリセリル-10、カプリン酸ポリグリセリル-3、及びこれらの組合せからなる群から選択され得、本ポリグリセリル乳化剤は、約10または約10を超えるHLBを有する。いくつかのそのような実施形態では、本組成物は、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-5、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、オレイン酸ポリグリセリル-10、カプリル酸ポリグリセリル-6、カプリン酸ポリグリセリル-4、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-5、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-5、ミリスチン酸ポリグリセリル-5、ラウリン酸ポリグリセリル-5、カプリン酸ポリグリセリル-10、カプリン酸ポリグリセリル-10、カプリン酸ポリグリセリル-3、及びこれらの組合せからなる群から選択されるポリグリセリルエステル乳化剤を除外する。
【0048】
さまざまな実施形態では、少なくとも1つのポリグリセリルエステルの各々は、約0.01%~約10%、いくつかの実施形態では、約0.1%~約5%、いくつかの実施形態では、約0.1%~約2%、約0.5%~約1.5%、もしくは約1.35%、または、組成物の重量に基づいて、重量による任意の好適な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、もしくは部分的範囲の濃度で組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、本組成物は、2つ以上のポリグリセリルエステル乳化剤を含み、その組み合わせは、組成物の重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の濃度で組成物中に存在し、2つ以上のそれぞれは、約0.01%重量%~約5重量%、またはその任意の適した組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、もしくは部分的範囲の濃度で組成物中に存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0049】
いくつかの代表的な例では、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6を含むポリグリセリルエステル共乳化剤は、組成物中に、約0.1%~約1%の範囲で、または約0.2%で存在し得る。
【0050】
したがって、さまざまな実施形態において、少なくとも1つのポリグリセリルエステル乳化剤の各々が、その間の増分及び範囲を含む約0.01.0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9から約10重量パーセントで、本開示による組成物中に存在する。
【0051】
グルタミン酸、またはその誘導体
本開示によれば、本組成物の実施形態は、少なくとも1つのグルタミン酸またはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、グルタミン酸またはその誘導体以外を含む。
【0052】
さまざまな実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、パルミトイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ベヘノイルグルタミン酸、オリーブ油グルタミン酸、ココイルグルタミン酸、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0053】
いくつかの特定の実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含む。
【0054】
さまざまな実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、組成物の約0.01重量%~約5重量%、または約0.1%~約1.5%、いくつかの実施形態において、約0.4%~約1.2%、いくつかの実施形態において、約0.4%~約1%、いくつかの実施形態において、約0.5%~約0.9%、または約0.8%、または、組成物の重量に基づいて、重量による任意の好適な組み合わせ、下位の組み合わせ、範囲、もしくは下位の範囲で存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0055】
したがって、さまざまな実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、本開示による組成物中に、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.20%、0.30%、0.40%、0.50%、0.60%、0.70%、0.80%、0.90%、1.0%、2%、3%、4%から約5%(それらの間の増分及び範囲を含む)存在する。
【0056】
化粧品的に許容されるグリコールまたはジオール
本開示によれば、本組成物の実施形態は、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、ジオールであり、いくつかの特定の実施形態では、アルカンジオールである。いくつかの実施形態では、本組成物は、複数の化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、デシレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、エチルヘキサンジオール、及びそれらの組合せからなる群から選択されるジオールである。
【0058】
いくつかの特定の実施形態において、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、プロパンジオールを含む。
【0059】
さまざまな実施形態では、化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールは、組成物の約0.01重量%~約10重量%、いくつかの実施形態において、約0.8%~約8%、いくつかの実施形態において、約1%~約7%、いくつかの実施形態において、約2%~約5%、いくつかの実施形態において、約5%、もしくは約2%、または、組成物の重量に基づいて、重量による任意の好適な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、もしくは部分的範囲で存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0060】
したがって、さまざまな実施形態において、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールのそれぞれ1つまたはその組み合わせは、その中及びその間の増分及び範囲を含む約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9から約10重量パーセントで、本開示による組成物中に存在する。
【0061】

さまざまな実施形態によれば、組成物は、少なくとも1つの油を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、水不混和性油である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、2つ以上の油を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、バター、ワックス、及び植物または植物起源の炭化水素系油からなる群から選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、油は、スクアラン、パーセリン油(セトステアリルオクタノエート)、ヘミスクアラン(hemisqualane)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12~C15アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸トリデシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、アルコールまたはポリアルコールオクタノアート、デカノエートまたはリシノール酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル及びコハク酸2-ジエチルヘキシル、コグリセリド、シクロメチコン、ジメチコン、炭酸ジカプリリル、マレイン酸ジカプリル、カプリル酸/トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、リノール酸イソステアリル、ラノリン油、ココナッツ油、カカオ脂、オリーブ油、アボカド油、アロエ抽出物、ホホバ油、ヒマシ油、脂肪酸、オレイン酸、ステアリン酸、脂肪族アルコール、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アジピン酸ジイソプロピル、ヒドロキシ安息香酸エステル、C9~C15アルコールの安息香酸エステル、アルカン、鉱油、シリコーン、ジメチルポリシロキサン、エーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、C12~C15安息香酸アルキル、安息香酸アリールアルキル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、及びそれらの任意の組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態では、油は、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリリルエーテル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、エチルヘキサン酸セテアリル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、ココヤシカプリル酸塩/カプリン酸塩、ジイソプロピルアジピン酸、イソヘキサデカン、C15~19アルカン、イソドデカン、ウンデカントリデカン、ドデカン及びそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態では、シリコーン油、合成油及び石油系油は除外される。いくつかの特定の実施形態では、組成物は、鉱油、シリコーン油、石油系油、またはそれらの組み合わせを除外する。
【0063】
さまざまな実施形態によれば、少なくとも1つの油は、約0.01%~約20%で存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、少なくとも1つの植物バターを含み得、少なくとも1つのバターは、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、テオブロマカカオ(ココア)種子バター、アーモンドバター、アロエバター、アプリコットカーネルバター、アボカドバター、ココナッツクリームバター、クプアスバター、デュプバター(dhupu butter)、ヘンプバター、ホホババター、コクムバター、マカダミアナットバター、マンゴバター及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバターは、約30℃~約45℃の範囲の融点を有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、少なくとも1つのワックスを含む。いくつかの特定の実施形態において、少なくとも1つのワックスは、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、キャンデリラワックス、ヒマワリワックス、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0066】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、スクアラン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0067】
例示的な実施形態では、少なくとも1つの油は、ブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、コペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、ペルセアグラティシマ(アボカド)油、及びスクアランを含むブレンドを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、組成物の重量に基づいて約0.01%~約23%、または約1%~約12%、または約1%~約10%、または約2%~約8%、またはその任意の適切な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲もしくは部分的範囲で存在し得る。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0069】
いくつかの実施形態では、植物バターの量は、組成物中に存在する場合、組成物の重量を基準にして、少なくとも1%、あるいは、約1%~約23%、あるいは、約2%~約9%、あるいは、約3%~約8%、あるいは、約4%~約7%、あるいは、約5%~約6%、またはその任意の適切な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲もしくは部分的範囲であり得る。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0070】
いくつかの実施形態では、ワックスの量は、組成物中に存在する場合、組成物の重量に基づいて、約0.05重量%~約5重量%、または約0.05重量%~約1重量%、または約0.1重量%、またはその任意の適切な組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲もしくは部分的範囲であり得る。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0071】
したがって、油のいずれか1つまたは組み合わせは、組成物の総重量に基づいて、その中及びその間の増分及び範囲を含む約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19から約20重量パーセントで存在する。
【0072】

さまざまな実施形態によれば、組成物は、約75%~約95%の範囲で存在する水相を含み、ここで、水相は、水、または水及び水性保湿剤、もしくは溶媒、もしくはこれらの組合せ、少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオール、及び任意によるあらゆる好適な水相添加物を含む。
【0073】
さまざまな実施形態によれば、水、または水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせは、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、水は、組成物の重量に基づいて、約65%~約95%、いくつかの実施形態では、約60%~約85%、いくつかの実施形態では、約70%~約80%、いくつかの実施形態では、約70%~約77%の範囲、またはその任意の適した組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、もしくは部分的範囲で存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。したがって、水は、組成物の総重量に基づいて、約65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94~約95重量パーセント(その中及びその間の増分及び範囲を含む)で存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0074】
使用される水は、滅菌脱塩水及び/またはフローラルウォーター、例えば、ローズウォーター、コーンフラワーウォーター、カモミールウォーターもしくはライムウォーター、及び/または天然の温泉水もしくはミネラルウォーター、例えば:Vittelの水、Vichy盆地の水、Uriageの水、La Roche Posayの水、La Bourbouleの水、Enghien-les-Bainsの水、Saint Gervais-les-Bainsの水、Neris-les-Bainsの水、Allevar-les-Bainsの水、Digneの水、Maizieresの水、Neyrac-les-Bainsの水、Lons-le-Saunierの水、Eaux Bonnesの水、Rochefortの水、Saint Christauの水、Les Fumadesの水、Tercis-les-Bainsの水もしくはAveneの水であってもよい。水相はまた、再現された温泉水、すなわち、温泉水の特徴を再現する亜鉛、銅、マグネシウムなどの微量元素を含む水を含んでもよい。
【0075】
組成物のpHは、油中水型エマルジョンの内部の水相においてpHを測定することに関する実務上の難題を避けるために、特に組成物の水相において、油相を水相と混ぜる前に調節されてもよい。さまざまな実施形態では、pHは、生理学的に許容可能なpHである。いくつかの実施形態では、乳化前の水相のpHは、塩基(有機または無機)、例えば、水酸化ナトリウムアンモニアまたは第一級、第二級もしくは第三級(ポリ)アミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンイソプロパノールアミンまたは1,3-プロパンジアミンを組成物に添加することによって、代替的には、無機酸または有機酸、有利にはカルボン酸、例えばクエン酸を添加することによって、pH調整剤を用いて、約5~約6の範囲のpHに調整され得る。
【0076】
保湿剤及び溶媒
本開示によれば、組成物の実施形態は、少なくとも1つの保湿剤、少なくとも1つの溶媒、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、2つ以上の保湿剤、2つ以上の溶媒、またはそれらの組み合わせを含む。保湿剤は、ポリオールであり得る。いくつかの実施形態において、保湿剤は、グリセリンを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、本開示に従って使用可能な適した保湿剤は、例えば、グリセリン、グリセロール、グリコール、例えば、カプリリルグリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール及びポリエチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコールを含むポリオール;グリコールエーテル、例えば、モノプロピレン、ジプロピレン及びトリプロピレングリコールアルキル(C1~C4)エーテル;スクアラン;トリアセチン;糖、例えば、グルコース、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、ペンタエリスリトール、イノシトール;ピロリドンカルボン酸(PCA);乳酸;塩化リチウム;アセトアミドMEA;乳酸ナトリウム;尿素;ジシアナミド;ヒアルロン酸;アロエベラ;ハチミツ;海藻抽出物;及びそれらの組み合わせの1つ以上から選択されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、本開示に従って使用され得る適切な溶媒は、モノアルコール及びポリオール、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコール、及びフェニルエチルアルコール、またはグリコールもしくはグリコールエーテル、例えば、モノメチル、エチレングリコールのモノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールまたはそのエーテル類、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールのアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールのモノエチルエーテルまたはモノブチルエーテルから選択され得る。有機溶媒の他の好適な例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロパンジオール、及びグリセリンである。
【0079】
さまざまな実施形態において、少なくとも1つの保湿剤、溶媒、またはその組み合わせは、組成物の重量に基づいて、組成物の約1重量%~約20重量%、いくつかの実施形態では、約2重量%~約15重量%、いくつかの実施形態では、約3重量%~約10重量%、約4重量%~約8重量%、いくつかの実施形態では、約5重量%、またはその任意の適した組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、もしくは部分的範囲で存在する。いくつかの実施形態において、本組成物は、2つ以上の保湿剤、溶媒、その組み合わせを含み、その組み合わせは、組成物の重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の濃度、いくつかの実施形態では、約5重量%、またはその任意の適した組み合わせ、部分的組み合わせ、範囲、もしくは部分的範囲の濃度で、組成物中に存在する。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0080】
したがって、さまざまな実施形態において、少なくとも1つの保湿剤、溶媒、またはその組み合わせは、その中及びその間の増分及び範囲を含む約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19~約20重量パーセントで本開示による組成物中に存在する。
【0081】
任意の添加物
本組成物はまた、本発明による組成物の特性に影響を及ぼさない、化粧品分野で使用される少なくとも1つの添加物、例えば、香料、防腐剤/抗微生物剤(例えば、クロルフェネシン、サリチル酸、フェノキシエタノール、ソルビン酸カリウム、及びカプリリルグリコール);活性物質(例えば、ヒドロキシアセトフェノン、ビタミン、パンテノール、トコフェロール);油溶性活性成分(例えば、ビタミンA、ベータカロチン、トコフェロール/ビタミンE)及び皮膚軟化剤;着色材料/顔料;精油;抗酸化物質;ヒドロキシ酸;クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム;中和剤、キレート剤またはpH調整剤(例えば、トリエチルアミン(TEA)、二コハク酸エチレンジアミン三ナトリウム、EDTA、及び水酸化ナトリウム)、及びその組み合わせなどの少なくとも1つの添加物を含んでもよい。いくつかの特定の例では、油相は、ビタミンE、ビタミンA、ベータカロチン、レチノール、レスベラトロール、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される油溶性活性成分をさらに含み得る。また、いくつかの特定の例では、水相は、ビタミンC、ナイアシンアミド、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される水溶性活性物質をさらに含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、組成物は、pH調整剤、キレート剤、皮膚ケア活性剤、防腐剤、充填剤、粉末、香料、染料、顔料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加物を含み得る。いくつかの特定の実施形態では、組成物は、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸、フェノキシエタノール、酸化クロム緑、PCAナトリウム、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、トコフェロール、カフェイン、ベータ-カロチン(ベータカロチンまたは他のプロビタミンAカロテノイド、またはレチノール)、クエン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含み得る。
【0083】
任意の添加物が例として示されているが、当然のことながら、化粧品組成物に適した当該技術分野で既知の化粧品用途に適合した他の任意の構成成分が使用されてもよい。
【0084】
さまざまな実施形態によると、単独または組み合わせで1つ以上の活性物質及び添加物の量は、本開示による組成物中に存在する場合、組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%から約20重量%、一部の実施形態では、約0.005重量%から約0.01重量%、一部の実施形態では、約0.01重量%から約0.1重量%、一部の実施形態では、約0.15重量%から約5重量%、一部の実施形態では、約0.40重量%から約4重量%、一部の実施形態では、約0.5重量%から約2.5重量%、一部の実施形態では、約0.1重量%から約0.5重量%、一部の実施形態では、約1重量%から約2重量%の範囲、またはその任意の適した組み合わせ、下位の組み合わせ、範囲、もしくは下位の範囲で存在してもよい。しかしながら、当業者であれば、他の範囲が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0085】
したがって、活性物質及び添加物の任意の1つまたは組み合わせが存在してもよく、それぞれ1つまたは組み合わせは、その中及びその間の増分及び範囲を含む約0.0001、0.0005、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19から約20重量パーセントで存在する。
【0086】
本発明による以下の実施例は、説明のために示され、限定する性質はない。名称は、化学名またはINCI名である。特に断りがない限り、そこでは、量は重量%として示される。
【0087】
実施例
実施例1:組成物:
本発明及び比較組成物のさまざまな代表的な実施形態が本明細書に例示される。
【0088】
表1:発明の組成物1~2及び比較組成物1~3
【表1】
*グルタミン酸誘導体は47.5%活性である。
【0089】
比較組成物1~4を、以下の実施例に示すように、発明の組成物と共に試験で使用した。ここで、比較組成物1は、異なる一般配合を有し、ポリグリセリルエステル乳化剤を含まず、異なる乳化剤を含み、プロパンジオールを含まず、グルタミン酸塩または誘導体を含まない。化合物2及び3は、発明の組成物1及び2に類似した塩基を有するが、グルタミン酸塩または誘導体を含まない。
【0090】
本発明の組成物実施例を調製する際には、水相(A)成分を、油相(B)成分とは別に混合し、これらを加熱下でブレンドし、次いで、水相にバッチで加え、ブレンドした後、粘度を測定する。
【0091】
本開示による代表的な実施形態では、組成物は、約1.35%で存在するジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4;約0.8%で存在するグルタミン酸二酢酸四ナトリウム;約1.6%または約5%で存在するプロパンジオール;約3%で存在するブチロスペルマムパーキーイ(シア)バター、約0.1%で存在するコペルニシアセリフェラ(カルナウバ)ワックス、約3.5%で存在するペルセアグラティシマ(アボカド)油、約6.5%で存在するスクアラン、より一般的には、それぞれ、0.1%~約23%で存在する;約70%~約76%で存在する水、約5%で存在するグリセリンを含み、すべての量は、組成物の重量に基づく。この組成物には、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸、酸化クロム緑、PCAナトリウム、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、トコフェロール、カフェイン、ベータカロチン、及びクエン酸も含まれる。本組成物は、(a)水、もしくは水及び水性保湿剤もしくは溶媒、またはそれらの組み合わせを含む水相、ならびに少なくとも1つの化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールと、(b)少なくとも1つのポリグリセリルエステル、いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体を含む油相、及び少なくとも1つの油と、を含む、クリーム状の油中水型エマルションである。本組成物は、約45~約70の範囲の、少なくとも1つのポリグリセリルエステルの総重量に対する水相の総重量の比率を有する。いくつかの実施形態では、グルタミン酸またはその誘導体は、油相または水相にあり得る。グルタミン酸が、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムを含む実施形態では、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムは、水相にある。
【0092】
実施例2:凍結融解の安定性
表1を参照して、示された発明の組成物及び比較組成物を、-20℃/+25℃の10回の凍結-融解サイクルにさらした。
【0093】
本発明の組成物のみがこれらの条件下で安定であった。
【0094】
両方ともグルタミン酸塩または誘導体を含まない比較組成物2及び3は、わずかな分離を示した。ポリグリセリルエステル乳化剤、プロパンジオール及びグルタミン酸塩または誘導体を含まない比較組成物1は、分離を示した。
【0095】
実施例3:熱安定性
ここでも表1を参照すると、示されている発明の組成物及び比較組成物を25℃及び45℃に2ヶ月さらした。
【0096】
ポリグリセリルエステル乳化剤、プロパンジオール及びグルタミン酸塩または誘導体を含まない比較組成物1は、45℃の条件下で、分離を示した。この配合物はまた、室温でのより長期(約6ヶ月)の評価において分離を示した。
【0097】
グルタミン酸塩または誘導体を含まない比較組成物2は、45℃条件下で分離を示さなかった;しかし、実質的に濃厚なクリームの代わりに、テクスチャがローションへと柔軟になるため、安定ではなかった。
【0098】
実施例4:遷移テクスチャの定量化
本発明の組成物の独自の遷移テクスチャを定量化するために、レオロジー試験を行った。試験した組成物を、それらの初期時点及び2ヶ月後において、破壊特性及びレオロジー特性について、25℃及び45℃での安定性について評価した。ポリグリセリルエステル乳化剤、プロパンジオール及びグルタミン酸塩または誘導体を含まない比較組成物1は、経時的な軟化及び早期破壊を示し、これにより、実施例2及び3に示すように、最終的に分離が不安定になった。発明の組成物は、経時的な安定性を示し、初期破壊点及びレオロジー特性を経時的に維持した。少ない量の化粧品的に許容されるグリコールまたはジオールを有する発明の組成物1は、グリコールの量が多い発明の組成物2よりも高い張力(すなわち、破壊前により長くこする必要がある)で、破壊を示した。本試験では、本開示による組成物において、プロパンジオールを使用して、組成物の破壊点を調節できることが示された。したがって、本発明の組成物は、エマルションを薄くして水相を放出する前に、適用時に組成物をある程度こする必要があるように設計することができ、ここでは、プロパンジオールの量が多いほど、同じ力または張力で適用された、少ない量のプロパンジオールを有する同じ組成物と比較して、変換に必要とされる張力が少ないことによって、より早い遷移が可能になる。
【0099】
本開示は記載されている実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行ってもよく、また等価物がその要素の代わりをする場合もあることは当業者に理解されるであろう。さらに、本開示の必須の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために多くの改変を行ってもよい。したがって、本開示は、本開示を実施するために考えられる最適な形態として開示される特定の実施形態に限定されることなく、本開示が、添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図される。
【0100】
本明細書で使用する場合、冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び特許請求の範囲に記載される本開示の実施形態における任意の特徴に適用される場合、1つ以上を意味する。「a」及び「an」の使用は、限定することが特に明記されていない限り、その意味を単一の特徴に限定するものではない。単数または複数の名詞または名詞句の前にある冠詞「the」は、特定の指定された機能を示し、使用する文脈に応じて単数または複数の意味を有し得る。「いずれか」という形容詞は、なんらかの量のうちの1つ、いくつか、またはすべてを無差別に意味する。
【0101】
本明細書で使用される「少なくとも1つ」は、1つまたは1つ以上を意味し、これには、2つまたは2つ以上を含み、したがって、個々の成分ならびに混合物/組み合わせを含む。
【0102】
もとの形態及び修正された形態の「含むこと」、「~から本質的になること」及び「~からなること」という移行句は、添付の特許請求の範囲において使用される場合、あれば、どの列挙されていない追加の請求要素またはステップが請求項(複数可)の範囲から除外されるかに関して請求範囲を定義する。「含むこと」という用語は、包括的または制限がないことが意図され、いかなる追加の、列挙されていない要素、方法、ステップまたは材料も除外しない。「~からなること」という用語は、請求項において特定されたもの以外のいかなる要素、ステップまたは材料も除外し、後者の場合、不純物は通常、特定されている材料(複数可)と関連づけられる。「~から本質的になること」という用語は、請求項の範囲を、特定された要素、ステップまたは材料(複数可)及び本特許請求の開示の基本的な新規の特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。本開示を具現化する本明細書に記載されるすべての材料及び方法は、代替の実施形態において、「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」の移行用語のいずれかによってより具体的に定義することができる。
【0103】
「含まない」及び「欠く」という用語は、測定可能な除外物質が確実に組成物中に存在しないことを示し、通常、組成物の総重量に基づいて0重量%である。用語「本質的に含まない」とは、組成物中に除外物質が存在しないことが好ましいが、これらの量が組成物の有効な特性に実質的に影響を与えないことを条件として、本発明の組成物中に非常に少量の除外物質が含まれ得ることを意味する。特に、「本質的に含まない」は、除外される材料が、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%未満の量で組成物中に存在してもよいことを意味する。
【0104】
「約」という用語は、示された数の10%以内を意味する(例えば、「約10%」は、9%~11%を意味し、「約2%」は、1.8%~2.2%を意味する)。
【0105】
別途示されない限り、すべての百分率及び比率は重量で計算される。すべての百分率は、別途示されない限り、組成物全体に基づいて計算される。一般に、本明細書で別段の明示的な記載がない限り、成分のパーセント量に関して本明細書で使用される「重量」または「量」は、成分を含む原材料の量を指し、原材料は、成分の100%未満及び最大100%の活性を含むと本明細書に記載され得る。したがって、組成物中の活性物質の重量パーセントは、使用される活性物質を含有する原材料の量として表され、活性物質の最終的な百分率を反映しても反映しなくてもよく、活性物質の最終的な百分率は、原材料中の活性物質の重量パーセントに依存する。
【0106】
「重量パーセント」及び「重量%」という用語は、同義に使用することができ、例えば、組成物、物品または材料の構成要素である相、または系に対しての特定を除いて、組成物、物品または材料の総重量に基づく重量によるパーセントを意味する。本明細書において示されるすべての範囲及び量は、任意の開示されている点を端点として使用する下位の範囲及び量を含むことが意図される。したがって、「1%~10%、例えば、2%~8%、例えば、3%~5%」の範囲は、「1%~8%」、「1%~5%」、「2%~10%」などの範囲を包含することを意図している。「約1%から10%」の示す範囲は、1%及び10%の両方の端点を修飾する「約」という用語があることが意図される。さらに、範囲は、明示的に別段の定めがある場合を除き、範囲内の端点及び範囲内のすべての数値を含むことを意図する。更に、成分の量が示される場合、特に明記しない限り、活性物質の量を表すことが意図されていることを理解されたい。
【0107】
本開示の広い範囲を示す数字範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、別途示されない限り、特定の実施例中に記載される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それらの各試験計測中に認められる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含有する。続く例は、本開示の実施形態を説明するのに役立つが、本質的に限定するものではない。
【0108】
本明細書において引用されるすべての刊行物及び特許出願は、あたかも各個別の刊行物または特許出願が、明確かつ個別に参照により援用されることが示されているように、参照により、ならびに任意かつあらゆる目的において本明細書に援用される。本開示と、参照により本明細書に援用される刊行物または特許出願との間に矛盾がある場合、本開示が優先する。

【国際調査報告】