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特表2025-500406好中球エラスターゼ阻害剤としてのトリアゾロン誘導体の塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】好中球エラスターゼ阻害剤としてのトリアゾロン誘導体の塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20241226BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P29/00
A61P11/00
A61P11/06
A61P43/00 105
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537882
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2022087155
(87)【国際公開番号】W WO2023118252
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21217146.6
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591095465
【氏名又は名称】キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221578
【弁理士】
【氏名又は名称】林 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】バッサネッティ,イレーネ
(72)【発明者】
【氏名】アマデイ,フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB06
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA57
4C086MA59
4C086NA13
4C086ZA59
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は一般に、好中球エラスターゼ阻害剤として特に有用な新規トリアゾロン誘導体塩、および医薬としてのその使用に関するものであり;本発明はまた、その合成法およびその医薬組成物に関する。本発明はまた、化合物(I)の結晶化による単離のための方法に関する。本発明はまた、式(I)の化合物の結晶形態に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩化合物。
【請求項2】
式(II)のトリアゾロン誘導体を式(III)のキシナホ酸塩と反応させることにより、請求項1に記載の式(I)の化合物を製造する方法であって:
【化2】
次の工程:
1)(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム塩(II)
【化3】
〔式中、Xは有機または無機アニオンである〕
を水に溶解させる;
2)式(III):
【化4】
〔式中、Yはアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンである〕
のキシナホ酸塩の溶液を添加する
を含む、方法。
【請求項3】
工程1)および2)で得られた式(I)の化合物を1以上の水性または有機溶媒を洗浄する工程3)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
がブロマイド、メタンスルホン酸または酢酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
がナトリウムまたはカリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が次のXRPDピーク:8.6、9.9および23.2±0.2°/2θ[CuKα照射(λ=1.5406Å)]の少なくとも一つにより特徴付けられるものである、結晶形態。
【請求項7】
次のXRPDピーク:8.6、9.9、10.7、11.0および23.2±0.2°/2θ[CuKα照射(λ=1.5406Å)]により特徴付けられる、請求項6に記載の結晶形態。
【請求項8】
次のXRPDピーク:8.6、9.9、10.7、11.0、13.0、15.3、19.3、19.7、23.2および27.6±0.2°/2θ[CuKα照射(λ=1.5406Å)]により特徴付けられる、請求項6または7に記載の結晶形態。
【請求項9】
請求項3~5のいずれか一項に記載の方法により得られた、式(I)の化合物の結晶形態。
【請求項10】
式(I)の化合物および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
式(I)の化合物の結晶形態および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項12】
乾燥粉末の形態で製剤化されたものである、請求項10または11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬として使用するための、請求項6、7または8に記載の式(I)の化合物または結晶形態。
【請求項14】
炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、請求項6、7または8に記載の式(I)の化合物または結晶形態。
【請求項15】
炎症性または閉塞性呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性気腫および嚢胞性線維症から選択される、請求項13に記載の使用のための、請求項6、7または8に記載の式(I)の化合物または結晶形態。
【請求項16】
炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、請求項10~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
炎症性または閉塞性呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性気腫および嚢胞性線維症から選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、好中球エラスターゼ阻害剤として特に有用な新規なトリアゾロン誘導体の塩および医薬としてのその使用に関し;本発明はまた、その合成方法およびその医薬組成物に関する。本発明はまた、化合物(I)の結晶化による単離のための方法に関する。本発明はまた、式(I)の化合物の結晶形態に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト好中球エラスターゼ(HNE)は好中球のアズール顆粒に見られる32kDaのセリンプロテイナーゼである。それは、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、III型およびIV型コラーゲンおよびエラスチンを含む広範な細胞外マトリックスタンパク質の分解における役割を果たす(Bieth, G. In Regulation of Matrix accumulation, Mecham, R.P. (Eds), Academic Press, NY, USA 1986, 217-306)。HNEは長い間、組織構造タンパク質の分解を介した損傷組織の修復と廃棄により、恒常性維持に重要な役割を果たすと考えられてきた。HNEはまた、細菌体の分解による細菌侵入に対する防御にも関係している。マトリックス組織へのその効果に加えて、HNEはIL-8遺伝子発現の上方調節に関与しており、また肺上皮細胞からのIL-8放出を誘発する。タバコの煙への曝露により誘発された慢性閉塞性肺疾患の動物モデルでは、HNEの低分子阻害剤とタンパク質阻害剤の両方が、炎症性反応と肺気腫の発症を抑制する(Wright, J.L. et al. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2002, 166, 954-960; Churg, A. et al. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2003, 168, 199-207)。したがって、HNEは肺組織分解および炎症の重要なメディエーターであり(K.M. Heutinck, I.J. ten Berge, C.E. Hack, J. Hamann, A.T. Rowshani, Mol. Immunol., 47 (11-12) (2010), 1943-55)、好中球流入が特徴である慢性呼吸器疾患におけるマトリックス崩壊と炎症性反応の増幅の両方において役割を果たし得る。実際に、HNEは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、肺炎、肺線維症を含むいくつかの肺疾患における役割を果たすと考えられている。それはまた、組織リモデリングが関与するいくつかの心血管疾患、例えば、急性心筋梗塞後の虚血性組織傷害の発生に関与する。
【0003】
過剰なHNE活性は気管支拡張症(BE)を含む炎症性肺疾患の病理に関与しているため、このタンパク質は薬物開発の標的として特定されている(B. Schaaf, A. Wieghorst, S.-P. Aries, K. Dalhoff, J. Braun, Respiration, 67 (1) (2000), 52-59)。
【0004】
現在までに、当分野においていくつかのヒト好中球阻害剤が開示されている。
【0005】
特に、国際特許出願国際公開第2011/110858号および国際公開第2011/110859号には、ヒト好中球エラスターゼ阻害特性を有するいくつかのピリミジン誘導体および治療におけるそれらの使用が記載されている。
【0006】
国際公開第2014/095700号には、ヒト好中球エラスターゼ阻害性特性を有するいくつかのトリアゾロン誘導体および治療におけるそれらの使用、特に、好中球エラスターゼ阻害剤としての化合物(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムのいくつかの塩が記載されている。
【0007】
上記のとおり、現在までにいくつかのHNE阻害剤が開示されているが、さらなるHNE阻害剤に対する必要性がなお存在する。
【0008】
特に有利なのは、患者の耐容性および局所的な有害作用プロファイルの点においても、特に吸入処置としての投与に適切な、より安全なプロファイルを有するさらなるHNE阻害剤の同定である。
【0009】
本発明は、本発明の化合物、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を提供することにより、上記の必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【0010】
第一の態様において、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を提供する。
【化1】
【0011】
第二の態様において、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩、および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を提供する。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は医薬の製造のための、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩の使用を提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置のための医薬の製造のための、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置のための医薬の製造における、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、有効量の式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置方法を提供する。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置方法を提供する。
【0021】
別の態様において、本発明は、式(II)のトリアゾロン誘導体と式(III)のキシナホ酸塩を反応させることにより、式(I)の化合物を製造する方法であって:
【化2】
次の工程:
1)(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム塩(II)
【化3】
〔式中、Xは任意の有機または無機アニオンである〕
を水に溶解させる;
2)式(III):
【化4】
〔式中、Yはアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンである〕
のキシナホ酸塩の溶液を添加する
を含む、方法を提供する。
【0022】
さらなる態様において、本発明とはまた、工程1)および2)で得られた式(I)の化合物を1以上の水性または有機溶媒で洗浄する工程3)をさらに含む、式(I)の化合物を製造する方法をいう。
【0023】
別の態様において、本発明とは、式(I)の化合物の結晶形態であって、前記結晶が、次のXRPDピーク:8.6、9.9、23.2±0.2°/2θ[CuKα照射(λ=1.5406Å)]の少なくとも一つにより特徴づけられるものである、結晶形態をいう。
【0024】
別の態様において、本発明とはまた、式(I)の化合物の結晶形態であって、前記結晶が上記工程1)~3)により得られる、結晶形態をいう。
【0025】
さらなる態様において、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0026】
さらなる態様において態様、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物の結晶形態および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0027】
別の態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置のための医薬の製造のための、上記で定義される式(I)の化合物の結晶形態の使用を提供する。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、上記で定義される式(I)の化合物の結晶形態ならびに1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0029】
さらなる態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置のための医薬の製造のための、上記で定義される式(I)の化合物の結晶形態ならびに1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0030】
別の態様において、本発明は、有効量の上記で定義される式(I)の化合物の結晶形態を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置方法を提供する。
【0031】
さらなる態様において、本発明は、上記で定義される式(I)の化合物の結晶形態ならびに1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】化合物(I)のXRPDを示す。2θ(°)は2θ(度)に対応する。
図2】化合物(I)のH NMRを示す。
【0033】
発明の詳細な説明
定義
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。
【0034】
用語「本発明の化合物」とは、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩をいう。
【0035】
用語「キシナホ酸塩」とは、ヒドロキシナフトエ酸塩または1-ヒドロキシ-2-ナフタレンの塩とも称され、ヒドロキシナフトエ酸アニオンからの塩をいい、ここで、2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾール[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムカチオンとヒドロキシナフトエートアニオンの化学量論比が1:1である。
【0036】
用語「アルカリまたはアルカリ土類金属カチオン」は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムから選択される金属元素のカチオンを示すことが意図される。
【0037】
本発明の化合物は、1個の立体中心、すなわち下記の*を有する炭素原子(1)により表されるものを有するため、複数光学立体異性体として存在し得る。
【化5】
【0038】
炭素原子(1)上で好ましい(R)配置を示す本発明の式(I)の化合物に加えて、ラセミ体およびエナンチオマー(S)が本発明の範囲に包含されることが理解されるべきである。
【0039】
医薬組成物におけるなどの用語「組成物」は、活性成分および何らかの薬学的に許容される賦形剤または担体を含む製品、ならびに任意の2以上の成分の組合せ、複合体化もしくは凝集、または1以上の成分の解離、または1以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用から、直接的または間接的に生じる製品を包含することが意図される。
【0040】
従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容される賦形剤および/または担体を混合することにより製造されるあらゆるタイプの組成物を包含する。
【0041】
式(I)で示されるキシナホ酸塩は、物理化学的特徴、患者の耐容性および局所有害作用プロファイルの点でも、投与に特に適した物理化学的特徴を有することにより特徴付けられる。
【0042】
この点において、有利に、本発明の式(I)の化合物によるキシナホ酸塩は、以下のことを示す:
1)生物学的アッセイの実施例2.1に記載のとおり、乾燥粉末として投与したとき、メタンスルホン酸塩に対して、薬力学的モデルにおいて予想外の優れた活性を示す。これは、メタンスルホン酸塩に対してキシナホ酸塩の溶解度が低い点で、特に予想外のことである。
および
2)乾燥粉末として投与したとき、メタンスルホン酸塩、ブロマイド塩および酢酸塩と比較して、意識があるラットにおけるHOP(ヘッドアウトプレチスモグラフィー)試験において極めて良好な刺激性プロファイルを示した。このことは、本実施例2.1に記載しかつコメントしたように、ヒトにおいてもより安全なプロファイルの可能性を示唆している。
【0043】
上記を考慮すると、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムのキシナホ酸塩は、メタンスルホン酸塩に対して低溶解度にもかかわらず、インビボでのHNE阻害において良好な有効性を維持し、乾燥粉末製剤として投与されるときもまた、良好な有効性を維持する。
【0044】
さらに、ヘッドアウトプレチスモグラフィー(HOP)アッセイでは、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの他の塩であるメタンスルホン酸塩、ブロマイド塩および酢酸塩とは反対に、式(I)のキシナホ酸塩は、肺機能パラメーターの改善をもたらす。これは、この塩が、患者の耐容性および局所有害作用プロファイルの点でも、投与に特に適切であることを示唆する。
【0045】
上記を考慮すると、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムのキシナホ酸塩は、インビボでのHNE阻害において良好な有効性を維持し、乾燥粉末製剤として投与されるときもまた、良好な有効性を維持する。
【0046】
上記のとおり、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を提供する。
【化6】
【0047】
本発明とはまた、上記で特定される式(II)の塩を式(III)のキシナホ酸塩を反応させることによる式(I)の化合物の製造方法であって、次の工程:
1)Xが有機または無機アニオンである(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム塩(II)を水に溶解させる;
2)Yがアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンである式(III)のキシナホ酸塩を添加する
を含む、方法をいう。
【0048】
本発明とはまた、Xが有機または無機アニオン、好ましくはメタンスルホン酸、酢酸、アイオダイドおよびブロマイドからなる群から選択されるアニオンである式(II)の化合物を反応させることによる、式(I)の化合物の製造方法をいう。
【0049】
別の好ましい実施態様において、本発明は、Xがブロマイドである式(II)の化合物を反応させることによる、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0050】
別の好ましい実施態様において、本発明は、Xが酢酸である式(II)の化合物を反応させることによる、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0051】
別の好ましい実施態様において、本発明は、Xがメタンスルホン酸である式(II)の化合物を反応させることによる、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0052】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、Yがナトリウムまたはカリウムであり、ナトリウムがより好ましい式(III)のキシナホ酸塩を反応させることによる、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0053】
さらに別の好ましい実施態様において、本発明はまた、式(II)の化合物を式(III)のキシナホ酸塩を反応させることによる式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)および(III)のモル比が1:1である、方法を提供する。
【0054】
別の好ましい実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の製造方法であって、1以上の水性または有機溶媒を用いて工程1)および2)に従って得られた式(I)の化合物を洗浄する工程3)をさらに含む、方法を提供する。溶媒は、好ましくは水、アセトンまたはこれらの混合物である。
【0055】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の製造方法であって、工程1)および2)に従って得られた式(I)の化合物を洗浄するために使用される溶媒が、水性または有機溶媒である、方法を提供する。好ましくは、溶媒は、水、アセトンまたはこれらの混合物である。
【0056】
別の好ましい実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、次のXRPDピーク:8.6、9.9および23.2±0.2°/2θ[CuKα照射(λ=1.5406Å)]の少なくとも一つにより特徴付けられるものである、結晶形態を提供する。
【0057】
別の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、次のXRPDピーク:8.6、9.9および23.2±0.2°/2θ[CuKα照射(λ=1.5406Å)]により特徴付けられるものである、結晶形態を提供する。
【0058】
別の好ましい実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、次のXRPDピーク:8.6、9.9、10.7、11.0および23.2±0.2°/2θ[CuKα照射(λ=1.5406Å)]により特徴付けられるものである、結晶形態を提供する。
【0059】
別の好ましい実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、次のXRPDピーク:8.6、9.9、10.7、11.0、13.0、15.3、19.3、19.7、23.2および27.6±0.2°/2θ[CuKα照射(λ=1.5406Å)]により特徴付けられるものである、結晶形態を提供する。
【0060】
別の好ましい実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の結晶形態であって、好ましくは、前記結晶が上記で定義される工程1)~3)に従って得られるものである、結晶形態を提供する。
【0061】
別の好ましい実施態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、結晶形態を提供する。
【0062】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性気腫および嚢胞性線維症から選択される、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、上記で定義される結晶形態を提供する。
【0063】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の結晶形態を適切な担体および/または賦形剤との組み合わせで含む、吸入用医薬組成物を提供する。
【0064】
本発明はまた、式(I)の化合物および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0065】
適切な賦形剤は、当分野におけるものから選択され得て、それらは担体、希釈剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、コーティング剤、充填剤、流動促進剤、滑沢剤、崩壊剤、防腐剤、界面活性剤、pH緩衝液物質などを含み得る。賦形剤およびそれらの使用の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th ed. (2006), Ed. Rowe et al., Pharmaceutical Pressで提供されている。
【0066】
最も適切な投与量レベルは、いずれかの既知の適切な方法により決定され得る。しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的な量は、式(I)の化合物の活性、患者の年齢、体重、食事、一般的な健康状態および性別、投与時間、投与経路、排泄速度、何らかの他の薬物の使用ならびに処置される疾患の重篤度を含む多様な因子に依存することが理解される。
【0067】
吸入送達について、式(I)の活性化合物は、好ましくは、微粒子の形態である。それらは、噴霧乾燥、凍結乾燥および微粒子化を含む多様な技術により製造され得る。
【0068】
ある実施態様において、本発明の組成物は、ネブライザーからの送達または液体噴射剤におけるエアロゾルとして、さらに好ましくは加圧式定量吸入器(pMDI)における使用に適切な懸濁液として製造される。pMDIにおける使用に適切な噴射剤は当業者に既知であり、HFA-227、好ましくはHFA-134aおよび、より好ましくはHFA152aを含む。
【0069】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI)を用いた送達のための乾燥粉末形態である。
【0070】
投与による送達のための微粒子は、送達および放出を補助する賦形剤とともに製剤化され得る。例えば、乾燥粉末製剤において、微粒子は、DPIから肺への流入を補助する大きな担体粒子とともに製剤化され得る。適切な担体粒子は当分野で知られており、例えばラクトース粒子を含む。
【0071】
本発明の剤は、吸入形態で投与され得る。エアロゾル生成は、例えば、圧力駆動ジェット噴霧器または超音波噴霧器を用いて、好ましくは噴射剤駆動定量エアロゾル、または例えば、吸入カプセル、または例えば、吸入カプセルまたは他の「乾燥粉末」送達系からの式(I)の化合物の微粒子の、噴射剤を用いない投与を用いて、実施され得る。
【0072】
上記のとおり、本発明は、医薬として使用するための、一般式(I)の化合物に関する。
【0073】
好ましい実施態様によれば、本発明とは、炎症性または閉塞性肺疾患の処置のための医薬の製造のための、式(I)のキシナホ酸塩の使用をいう。好ましくは、疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性気腫および嚢胞性線維症から選択される。
【0074】
本発明はまた、医薬として使用するための、式(I)の化合物および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0075】
好ましい実施態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物に関する。
【0076】
別の好ましい実施態様において、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0077】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、有効量の式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置方法を提供する。
【0078】
別の好ましい実施態様において、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩、および1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置方法を提供する。
【0079】
さらに別の好ましい実施態様において、上記の炎症性または閉塞性呼吸器疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性気腫および嚢胞性線維症から選択される。
【0080】
哺乳動物、特にヒトに式(I)の化合物の有効量を提供するために、あらゆる適切な投与経路が利用され得る。
【0081】
式(I)の化合物の予防または治療用量の程度は、当然、処置される状態の重篤度の性質およびその投与経路により異なり、一般に、医薬の分野で必要とされる治験により決定される。
【0082】
それはまた、個々の患者の年齢、体重および応答に応じて異なる。
【0083】
治療的使用において、式(I)の化合物は、いずれかの都合の良い、適切な、または効果的な経路で投与され得る。
【0084】
適切な投与経路は既知のものであり、経口、静脈内、直腸、非経腸、局所、眼、経鼻、頬側および肺(吸入による)を含む。
【0085】
式(I)の活性化合物は、使用される吸入器系に応じて、記載されるとおりに投与され得る。活性化合物に加えて、投与形態は、例えば、噴射剤(例えば定量エアロゾルの場合はFrigen)、界面活性剤、乳化剤、安定化剤、防腐剤、風味剤、充填剤(例えば、粉末吸入器の場合はラクトース)などの賦形剤、または、適切であれば、さらなる活性化合物をさらに含む。
【0086】
吸入の目的のために、最適な粒子径のエアロゾルが生成し、患者に適切な吸入技術を用いて投与され得る数多く利用の系が利用可能である。定量エアロゾル、特に粉末吸入器の場合、アダプター(スペーサー、エキスパンダー)およびナシ型容器(例えば、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))およびパファースプレーを放出する自動デバイス(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、数多くの技術的解決策が利用可能である(例えば、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)、または例えばEP-A-0505321に記載の吸入器)。
【0087】
より好ましい実施態様において、本発明は、下記のスキームAに示される一般的合成経路による、本発明の式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【化7】
スキームA:Xが有機または無機アニオンであり、好ましくはメタンスルホン酸、酢酸およびブロマイドからなる群から選択され、Yがアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンであり、好ましくはナトリウムおよびカリウムからなる群から選択される、本発明の好ましい実施態様による式(I)の化合物の製造方法。
【0088】
実施例1に示すとおり、本発明の式(I)の化合物は、例えば、国際公開第2014/095700号に記載の方法に従って、式(II)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-メタンスルホン酸塩から製造され、水などの水性または有機溶媒に溶解し、機械的撹拌下、適切な水性または有機溶媒中、好ましくは水中の式(III)のナトリウムまたはカリウム キシナホ酸塩を添加することによりキシナホ酸塩の沈殿を得て、これをろ過し、水またはアセトンなどの水性または有機溶媒で洗浄し、その後水性または有機溶媒、好ましくはアセトンを、好ましくは2~10mlの範囲で添加し、適切な時間、好ましくは5~20分の間隔で超音波処理し、減圧下に乾燥させ、結晶形態を得ることにより、得られ得る。
【0089】
同様に、本発明の式(I)の化合物の塩は、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの任意の水溶性塩を用いて得られ得る。
【0090】
使用でき、そして実施例に記載され、示される方法は、本発明の化合物の製造に利用可能な合成法の範囲を限定するものとして認識されるべきではない。
【0091】
出発物質または中間体として使用される化合物は、商業的に入手可能であり得るか、それらの製造は文献に具体的に記載され得るか、またはそれらは文献で利用可能または当業者に既知の方法に従って製造され得る。
【0092】
記載される方法は、本発明の所望の化合物を得るために、当業者に知られている任意の適切な変形により、所望の生成物の合成純度に達するように適切に調節され得るので、特に有利である。このような変形は本発明の範囲内に含まれる。
【0093】
以下の実施例は、範囲を限定することなく本発明を説明するものである。
【実施例
【0094】
【表1】

【0095】
X線粉末回折(XRPD)
Cu照射源(CuKαλ=1.5406Å)を備えたX線粉末回折(Empyrean V2.0、Panalytical)によりサンプルの結晶状態を調べた。サンプルを、回転時間4秒で回転するSiゼロバックグラウンドサンプルホルダーに置いた。測定は、反射モード、1.5~45°の2θスキャン、ステップ幅0.02°、ソーラースリット0.02ラド、発散スリット1/8°、散乱防止スリット1/4°で実施した。
【0096】
核磁気共鳴分光法(H NMR)
全てのH NMRスペクトルは、600MHz(プロトン周波数)で動作するBruker AVANCE III HD 600スペクトロメーターで実施した。スペクトロメーターは、TCI INVERSE TRIPLE RESONANCE CRYOPROBE H-C/N-D-0.5-Z ATMAを備えたものであった。プローブは、アクティブにシールドされた単軸Z勾配を備え、13Cや15Nなどの複数のX核の同時デカップリングと、自動チューニングとマッチングを可能にした。
【0097】
実施例1
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩
【化8】
国際公開第2014/095700号に記載のとおりに製造した(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩(IV)(50mg;0.08mmol)を水(2ml)に溶解し、機械的に撹拌しながらナトリウム キシナホ酸塩(V)(15mg、0.08mmol)の水(1ml)溶液を添加し、キシナホ酸塩の沈殿を非晶質固体として得た。非晶質固体を3mlの水で2回洗浄し、その後、5mlのアセトンを添加し、10分間超音波処理した。白色固体が沈殿した。固体をろ過し、減圧下25℃で乾燥させ、55mgの固体(収率95%)を得た。(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムカチオンとキシナホ酸アニオンの化学量論比は1:1であり、これはNMRおよびXRPDにより確認される。
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 2.16(s、3H)、3.21(s、9H)、3.35-3.44(m、1H)、3.51(s、3H)、3.64-3.79(m、2H)、3.93-4.03(m、1H)、6.22(s、1H)、6.91(d、J=8.38Hz、1H)、7.28(ddd、1H)、7.37(ddd、1H) 、7.64-7.78(m、4H)、7.79-7.86(m、2H)、7.88-7.98(m、2H)、8.09(s、1H)、8.14(d、1H)、11.26(s、1H)
XRPD:8.6、9.9、10.7、11.0、13.0、15.3、19.3、19.7、23.2、27.6±0.2°/2θ
【0098】
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩(IV)の水溶解度
室温で、200mgの(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩(IV)を1mlの水に入れた。物質の完全な溶解を目視で観察した。
瞬間的な溶解の目視観察を、式(IV)のメタンスルホン酸塩が溶解度>200mg/mlであることの指標とした。
【0099】
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩(I)の水溶解度
2mgの(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩(I)を1mlの水に入れ、溶解するまでさらなる水で希釈した。物質の完全な溶解を目視で観察した。この実験から、キシナホ酸塩は0.05mg/ml未満の溶解度を有する。
【0100】
溶解度試験の結果を次の表1に要約する。
【表2】

【0101】
上記表1は、キシナホ酸塩に対するメタンスルホン酸塩の顕著に高い溶解度を明確に示す。
【0102】
生物学的アッセイ
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの種々の塩の有効性を、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)により誘発された肺傷害のインビボモデルにおいて評価した。
【0103】
さらに、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの各々の塩の潜在的な局所的有害作用を比較するために、肺機能パラメーターに対する種々の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム塩の影響もまた、ヘッドアウトプレチスモグラフィーによってラットで評価した。
【0104】
実施例2.1/比較例
HNE誘発性肺傷害アッセイ
雄性Sprague Dawleyラットに、ビークル(ラクトース)、乾燥粉末として得た(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩または(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩を鼻部吸入投与し、3時間後にリン酸緩衝化食塩水(PBS)(対照群、PBSのみで処置した動物)またはHNEを気管内(i.t.)投与(100U/ラット)した。PBSまたはHNE投与の1時間後、動物を屠殺し、ヘモグロビン濃度として測定されるHNE誘発性肺傷害を評価するために気管支肺胞洗浄(BAL)を実施した。BAL液サンプルを4℃、800gで15分間遠心分離した。上清を回収し、ペレットを3mLの蒸留水に再懸濁した。溶解した血球の元溶液(stem solution)から、既知量の溶解血球を用いて標準曲線を作成した。150μLの標準品とサンプルを96ウェルプレートにデュプリケートで移し、412nmでのODを測定した。
【0105】
化合物の有効率(BALF中のHNE誘発性ヘモグロビン含量の阻害として評価)を次の式に従って計算した:100-[(HNE曝露ラットを処置した試験化合物の平均ヘモグロビン濃度)-(PBS曝露ビークル処置ラットの平均ヘモグロビン濃度)]/[(HNE曝露ビークル処置ラットの平均ヘモグロビン濃度)-(PBS曝露ビークル処置ラットの平均ヘモグロビン濃度)]×100。
【0106】
結果
本モデルにおいて、対照群と比較したとき、HNEのi.t.曝露は、BAL液ヘモグロビン含量の顕著な増加を誘発する(対照群について0g/dL、およびHNE群について0.19g/dL、p<0.001)。3種の用量(メタンスルホン酸塩およびキシナホ酸塩について0.03、0.3および0.6mg/kg)で乾燥粉末製剤として吸入により投与された(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩およびキシナホ酸塩は、BAL液ヘモグロビン含量の用量依存的阻害を示した。具体的には、HNE処置ビークル対照と比較したとき、メタンスルホン酸塩は、0.3mg/kgで20%から0.6mg/kgで25%の範囲で阻害を示した。同様に、キシナホ酸塩は、HNE処置ビークル対照と比較して、0.3mg/kgで35%(p<0.05)から0.6mg/kgで80%(p<0.001)の範囲でBAL液ヘモグロビン含量を低減した。
【0107】
これらのデータは、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの2種の塩がインビボでHNEを阻害でき、驚くべきことにキシナホ酸塩がこのモデルにおいてメタンスルホン酸塩より優れた有効性を示すことを示す。
【0108】
HNE誘発性肺傷害アッセイの結果を次の表2に要約する。
【表3】

【0109】
上記表2は、キシナホ酸塩とメタンスルホン酸塩の両方がインビボでHNEを阻害できることを示す。さらに、低い溶解度にもかかわらず、キシナホ酸塩は上記薬力学モデルにおいて、メタンスルホン酸塩に対して優れた活性を示す。
【0110】
実施例2.2/比較例
ヘッドアウトプレチスモグラフィー(HOP)アッセイ
雄性Wistarラットに、乾燥粉末形態で得た(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩(国際公開第2014/095700号に記載される)、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩(I)および(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム酢酸塩(国際公開第2014/095700号に記載される)、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ブロマイド塩(合成は国際公開第2014/095700号に記載される)またはラクトース(ビークル)を鼻部吸入経路で投与した。エアロゾル曝露時間は60分間であった。投与日に、動物を少なくとも投与30分前からプレチスモグラフチューブに入れ、呼吸パラメーター:呼吸速度、一回換気量およびPenHを少なくとも投与前30分間、投与(曝露)中60分間および曝露後90分間、継続的に記録した。EMMS eDacqシステム(PLY231、EMMS、ボードン、イギリス)を用いて、一分間ごとに呼吸パラメーターを合計3時間記録した。肺機能パラメーターに対する試験化合物の効果をビークル(ラクトース)分に対する%変化として測定し、ピーク効果(すなわち、観測された最大の効果)を報告した。
【0111】
結果
乾燥粉末としての(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩の2つの用量(0.6および6mg/kg)の単回吸入投与は、分析された3つ全ての呼吸パラメーターにおいて統計的に有意な変化を示し、これらの効果は主に曝露中に観察された。具体的には、ビークル(ラクトース)処置したラットと比較して呼吸速度の有意な増加が観察され、0.6mg/kgの用量でピーク効果の32%の増加が観察され、6mg/kgの用量により54%の最大増加が誘発された。(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩の吸入中に観察された呼吸速度の増加は、35%および39%(それぞれ0.6および6mg/kgの用量でのピーク効果)の一回換気量の有意な減少と関連し、ビークル群と比較して、低用量では約8倍、高用量では16倍、有意かつ用量依存的に増加した。
【0112】
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ブロマイド塩(0.55および5.5mg/kg)で同様の効果が観察され、ビークルと比較したとき、一回換気量の統計学的に有意な減少を生じ、最大減少は高用量群の38%であった。一回換気量におけるこの減少はまた、低用量ではビークルと比較して約8倍、高用量では20倍のPenH面積における統計的に有意な増加および同様に吸入中の呼吸数の有意な増加と一致し、低用量ではビークルと比較して59%の最大効果に達した。
【0113】
同様に、単回鼻部吸入で7mg/kgで投与された(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム酢酸塩は、ビークルと比較したとき、ビークル対照と比較して最大50%の有意な一回換気量の減少を示した。この塩はまた、呼吸速度の統計的に有意な増加を誘発し、51%の最大効果に達した。これらの変化は、約9倍のPenH面積における有意な増加と相関した。
【0114】
3つ全ての(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム塩について、ピーク効果が化合物吸入の20~50分後に観測され、投与直後にベースライン値に戻った。
【0115】
対照的に、乾燥粉末として8および25mg/kgで、鼻部吸入みで投与された(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム キシナホ酸塩は、投与中または投与後にいずれの肺機能パラメーターも変化させなかった。
【0116】
ヘッドアウトプレチスモグラフィー(HOP)アッセイの結果を次の表3に要約する。
【表4】

【0117】
これらのデータは、他の塩とは対照的に、キシナホ酸塩はいずれの肺機能パラメーターにも影響を与えないことを示し、これは患者の耐容性および局所的な有害作用プロファイルの点でもまた、この塩が投与のために特に適切であることを示唆する。
図1
図2
【国際調査報告】