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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】シーラント送出システム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20241226BHJP
   B60P 3/16 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
E04G21/04 ESW
B60P3/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538035
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2022084044
(87)【国際公開番号】W WO2023117359
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021134513.8
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519044656
【氏名又は名称】プツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PUTZMEISTER ENGINEERING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, アンスガル
(72)【発明者】
【氏名】オドゥクウェ, デニス
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA33
2E172CA44
2E172CA55
(57)【要約】
本発明は、シーラントポンプによって送出されるべきシーラントを分配するためのシーラント分配ブーム(18)と、送出ライン(17)と、受信ユニット(11)と、処理ユニット(12)と、制御ユニット(13)とを備えたシーラント送出システム(10)に関し、前記シーラント分配ブームは、少なくとも2つのブームアーム(41)を備え、送出ライン(17)は、ブームアセンブリ(40)を横切って延び、シーラントポンプの出口に接続することができる近位端部と遠位端部とを有し、ブームアセンブリ(40)の遠位端部で端部ホース(45)に移行し、受信ユニット(11)は、少なくとも1つの第1の操作情報、少なくとも1つの第2の操作情報、及び少なくとも1つの第3の操作情報を受信し、処理ユニット(12)は、受信した少なくとも1つの第1の操作情報に基づいて現在の負荷トルクを算出し、受信した少なくとも1つの第2の情報と受信した少なくとも1つの第3の情報とに基づいて理論負荷トルクを算出し、算出した現在の負荷トルクが理論負荷トルクよりも大きくなる差分値を決定し、制御ユニット(13)は、決定された差分値が第1の閾値を超える場合に第1の制御信号を出力し、さらに/または、決定された差分値が第2の閾値を超える場合に第2の制御信号を出力し、第2の閾値は、好ましくは、第1の閾値よりも大きい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃厚物質送出システム(10)であって、
少なくとも2つのブームアーム(41)を備えたブームアセンブリ(40)を有する、濃厚物質ポンプによって送出される濃厚物質を分配する濃厚物質分配ブーム(18)と、
前記ブームアセンブリ(40)を横切って延び、濃厚物質ポンプの出口に接続することができる近位端部および遠位部を備えた送出ライン(17)であって、前記送出ライン(17)の遠位端部が前記ブームアセンブリ(40)の遠位端部の端部ホース(45)に移行する、送達ライン(17)と、
少なくとも1つの第1の操作情報と、少なくとも1つの第2の操作情報と、少なくとも1つの第3の操作情報とを受信する受信ユニット(11)と、
受信した少なくとも1つの第1の操作情報に基づいて現在の負荷トルクを算出し、受信した少なくとも1つの第2の操作情報と受信した少なくとも1つの第3の操作情報とに基づいて理論負荷トルクを算出し、算出した現在の負荷トルクが理論負荷トルクよりも大きくなる差分値を決定する処理ユニット(12)と、
決定された前記差分値が第1の閾値を超える場合に第1の制御信号を出力し、さらに/または、決定された前記差分値が第2の閾値を超える場合に第2の制御信号を出力する制御ユニット(13)であって、前記第2の閾値は、好ましくは前記第1の閾値よりも大きい、制御ユニット(13)と、
を備える、濃厚物質送出システム(10)。
【請求項2】
前記受信ユニット(11)は、決定された前記差分値が前記第1の閾値または前記第2の閾値を超える場合に、更新された第3の操作情報を受信するようにさらに設定され、前記処理ユニット(12)は、前記第2の受信された操作情報および前記更新された第3の受信された操作情報に応じて、更新された理論負荷トルクを計算するようにアレンジされ、決定される前記差分値は、計算された現在の負荷トルクが計算された更新された理論負荷トルクよりも大きい更新された差分値に対応する、請求項1に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項3】
前記第1の操作情報は、ブームアーム(41)のブームジョイントの円筒力、特に、前記ブームアセンブリ(40)の全てのブームアーム(41,42,43,44)のブームジョイントのそれぞれの円筒力を示す、請求項1~2のいずれか一項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項4】
前記第2の操作情報は、ブームアーム(41)の傾斜角、特に、前記ブームアセンブリ(40)の全てのブームアーム(41,42,43,44)のそれぞれの傾斜角を示す、請求項1~3のいずれか一項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項5】
前記第3の操作情報は、以下の特性、すなわち、
送出されるべき前記濃厚物質の密度、
前記端部ホースにかかる負荷(45)、
端部ホースの型式(45)、
前記端部ホースの長さ(45)、
負荷取付点(46)における負荷重量、
のうちの1つを示す、請求項1~4のいずれか一項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項6】
前記第1の制御信号が警告信号を出力させ、さらに/または、前記第2の制御信号が濃厚物質分配ブーム(18)の適切な操作を設定させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項7】
前記受信ユニット(11)が、
操作情報を記録するためのセンサユニット、
操作情報を記録するための通信インターフェース、または、
操作情報を記録するためのユーザインターフェース、
を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項8】
前記制御ユニット(13)は、決定された前記差分値が前記第2の閾値を超える場合、第3の制御信号を出力するように更に適合される、請求項1~7のいずれか一項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項9】
前記ブームアセンブリ(40)が、別のブームアーム(43、44)、好ましくは2つの別のブームアームを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項10】
濃厚物質を送出する為の濃厚物質ポンプ(16)と、
前記濃厚物質分配ブーム(18)と前記濃厚物質ポンプ(16)とを配置した下部構造体(30)と、
を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項11】
前記下部構造体(30)は、車両(33)上に配置される、請求項10に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項12】
濃厚物質送出システム(10)を操作するための方法(100)であって、前記濃厚物質送出システム(10)は、
濃厚物質ポンプによって送出される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配ブーム(18)であって、濃厚物質分配ブームは、少なくとも2つのブームアーム(41)を備える、濃厚物質分配ブーム(18)と、
前記ブームアセンブリ(40)を横切って延び、濃厚物質ポンプの出口に接続することができる近位端部および遠位端部を備える送出ライン(17)であって、前記送出ライン(17)の前記遠位端部が前記ブームアセンブリ(40)の遠位端部で端部ホース(45)に移行する送出ライン(17)と、
を備え、
受信ユニット(11)と、処理ユニット(12)と、制御ユニット(13)とを備え、
前記方法は、
前記受信ユニット(11)が、少なくとも第1の操作情報、第2の操作情報および第3の操作情報を受信するステップと(111、112、113)と、
前記処理ユニット(12)が、受信した少なくとも1つの第1の操作情報に応じた現在の負荷トルクを計算するステップ(121)と、
前記処理ユニット(12)が、受信した少なくとも1つの第2の操作情報および受信した少なくとも1つの第3の操作情報に応じた理論負荷トルクを計算するステップ(122)と、
処理ユニット(12)が、計算された現在の負荷トルクが計算された理論負荷トルクよりも大きい差分値を決定するステップ(131)と、
決定された前記差分値が第1の閾値を超える場合、前記制御ユニット(13)によって第1の制御信号を出力するステップ(141)と、さらに/または、
決定された差分値が第2の閾値を超える場合、前記制御ユニット(13)によって第2の制御信号を出力するステップ(142)であって、前記第2の閾値は、好ましくは第1の閾値よりも大きい、ステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
決定された前記差分値が前記第1の閾値以上または前記第2の閾値以上である場合に、更新された第3の操作情報を前記受信ユニット(11)が受信するステップ(114)と、
前記処理ユニット(12)が、受信した前記第2の操作情報と更新された第3の操作情報とに基づいて、更新された理論負荷トルクを算出するステップ(123)であって、前記差分値は、更新された差分値に対応し、更新された差分値だけ、算出された現在の負荷トルクが、算出された更新された理論負荷トルクよりも大きくなる、ステップ(123)と、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、濃厚物質送出システムに関し、より詳細には、濃厚物質分配ブームと、送出ラインと、受信ユニットと、処理ユニットと、制御ユニットとを備える濃厚物質送出システムに関する。
【0002】
標準的な濃厚物質送出システムは、従来技術から公知である。設計の範囲内での安全性の観点から、濃厚物質送出システムを操作することができる条件は、予め決定されており、変更できない。ここでの問題は、原理的には、仕様に反してそのような濃厚物質送出システムを操作することが依然として可能であることである。しかしながら、おそらく安全性の観点を無視して、濃厚物質送出システムを操作するためにどの操作パラメータが使用されるかを決定するのは、使用者のみに任されている。たとえば、特に重量のある濃厚物質を送出する場合や、特に重量のある濃厚物質を使用する場合には、濃厚物質送出システムの濃厚物質分配ブームに対して限られた作業範囲しか提供することができない。しかしながら、使用者が濃厚物質送出システムの操作中にこれらの仕様を知らない場合、これは誤った操作をもたらす可能性がある。この場合、濃厚物質送出システムおよび周囲の物体が損傷を受ける可能性があり、最後に重要なことであるが、濃厚物質送出システムの誤った操作中に転倒するリスクのために、使用者および周辺の人々にとってかなりの安全上のリスクがある。
【0003】
さらに、一般的な濃厚物質送出システムの操作オプションは、その設計の範囲内の操作に限定される。通常、基本設計パラメータを変更することによって、一つ又は複数の操作パラメータを適応させることのみが可能である。次に、これは、修正された操作パラメータで濃厚物質送出システムを操作させる場合、安全性の側面の複雑な再評価を必要とする。
【0004】
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の問題を背景とした改良された濃厚物質送出システム及び濃厚物質送出システムを操作するための改良された方法を提供することである。
【0006】
本発明による解決策は、独立クレームの特徴にある。有利な展開は従属クレームの主題である。
【0007】
本発明によれば、濃厚物質送出システムが開示され、この濃厚物質送出システムは、濃厚物質ポンプによって送出される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配ブームであって、少なくとも2つまたは3つのブームアームを備える、濃厚物質分配ブームと、ブームアセンブリを横切って延び、濃厚物質ポンプの出口に接続することができる近位端部および遠位端を備え、送出ラインの遠位端部は、ブームアセンブリの遠位端部で端部ホースに移行する送達ラインと、少なくとも1つの第1の操作情報、少なくとも1つの第2の操作情報、および少なくとも1つの第3の操作情報を受信する受信ユニットと、受信された少なくとも1つの第1の操作情報に基づいて現在の負荷トルクを計算し、受信された少なくとも1つの第2の操作情報および受信された少なくとも1つの第3の操作情報に基づいて理論負荷トルクを計算し、計算された現在の負荷トルクが計算された理論負荷トルクよりも大きい差分値を決定する処理ユニットと、決定された差分値が第1の閾値を超える場合に第1の制御信号を出力し、および/または、決定された差分値が第2の閾値を超える場合に第2の制御信号を出力する制御ユニットであって、第2の閾値は、好ましくは第1の閾値よりも大きい、制御ユニットと、を備える。
【0008】
本発明による濃厚物質送出システムは、たとえば、トラック装着コンクリートポンプの一部である。
【0009】
本発明は、理論的に許容可能な負荷トルクを動的かつ状況に依存して決定し、その濃厚物質分配ブームに対して、その負荷トルクをその時点で実際に適用される負荷トルクと比較する濃厚物質送出システムの特に有利な実施形態である。現在の負荷トルクと理論的な負荷トルクとを比較する際に2つの閾値を考慮することによって、濃厚物質送出システムは、2つの負荷トルクの接近が検出された場合に、適時かつ適切な反応、たとえば、強度が段階的な反応の可能性を提示する。このようにして、構造構成部品の差し迫った過負荷を早期に検出し、防止することができる。また、急迫した転倒の危険性を早期に検出することができ、操作時、すなわち送出時における濃厚物質送出システムの安定性を確保するための適切な対応を行うことができる。加えて、通常入手可能なセンサを使用することができる。これは、複雑な追加のセンサ技術を提供する費用の増加を回避する。
【0010】
本発明は、濃厚物質送出システム、特にコンクリートポンプの不適切または不適切な使用を早期に検出することを可能にし、濃厚物質送出システム、特にコンクリートポンプの不適切または不適切な使用は、たとえば、荷重を持ち上げることによって、過度の密度を有する重量物を供給することによって、過度に長い端部ホースなどによって、コンクリートポンプの構造的故障または転倒さえも引き起こす可能性がある。必要なパラメータ調整は、作業範囲の制限と組み合わせて、コンクリート密度および/またはエンドピーク負荷パラメータを増加させるなど、自動的に決定することができる。これにより、シームレスな作業が可能になる。
【0011】
まず、幾つかの用語について説明する。
【0012】
濃厚物質とは、搬送しにくい媒体の総称である。粘性材料は、たとえば、粗粒成分を有する材料、腐食性成分を有する材料等とすることができる。濃厚物質はバルク材料であってもよい。一実施形態において、濃厚物質は生コンクリートである。生コンクリートは、30mm以上の大きさの粒子を含有することがあり、硬化し、デッドスペースに堆積物を形成し、これらの理由から搬送が困難である。濃厚物質の実施例としては、比重が800kg/mから2300kg/mのコンクリート、または比重が2300kg/m以上の重いコンクリートがある。
【0013】
ブームアセンブリは、少なくとも2つのブームアームを含むが、3つ、4つまたは5つのブームアームを備えることもできる。通常、ブームアセンブリは、3つから7つのブームアームを備える。1つのブームアームは、その近位端部を濃厚物質送出システムの旋回ギアに接続し、その遠位端部を隣接するブームアームの近位端部に接続することができる。他のブームアームまたは複数のアームは、互いに繋がれ、それぞれその近位端部で隣接するブームアームの遠位端部に接続される。列の最後のブームアームの遠位端部は、その遠位端部にそれ以上の接続を有しておらず、可能な負荷取付け点を画定する。
【0014】
ブームアームは、ブーム接合部を介して互いに接続されており、たとえば、他のブームアームとは少なくとも独立して、少なくとも一次元方向にのみ移動できるようになっている。ブーム接合部は、各ブームアームの近位端部に割り当てられている。
【0015】
1つのブームアームの旋回ギアへの接続は、旋回ギアが軸を中心に回転するとき、このブームアームまたは全てのブームアームも、この軸を中心に回転するように設計することができる。たとえば、ブームアームは、旋回ギアとは独立して、たとえば、垂直方向にのみ移動可能であり、たとえば、ブーム接合部を介して回転可能であるように、旋回ギアに取り付けられる。また、ブームアームに伸縮機能を持たせ、その長手方向に伸縮自在かつ無段階に伸縮可能とすることも考えられる。たとえば、ブームアームは、ブームアームの少なくとも遠位端部が3つの空間方向(x、yおよびz方向)のうちの少なくとも1つに移動できるように調整することができる。
【0016】
代替的または追加的に、ブームアームは、その長手方向軸を中心に回転可能であってもよい。たとえば、ブームアームは、そのブーム接合部のための少なくとも1つのアクチュエータ、たとえば、液圧式または空気圧式シリンダ、電気機械式アクチュエータ、または幾つかの、さらには異なる種類のアクチュエータの組合せを備え、これらのアクチュエータによって、ブームアームは、少なくとも1つの他のブームアーム、特に近位端部に接続されたブームアームに対する位置を変えることができる。アクチュエータは、たとえば、ブームアームを、たとえば、そのブームアーム接合部を通って延びる水平軸の周りに回転させるように、および/または、それを1つ、2つまたは全ての空間方向に平行移動させるように設定することができる。
【0017】
代替的または追加的に、ブームアームは、たとえば、伸縮自在に伸縮または回転させることができる別のアクチュエータを有することができる。
【0018】
送出ラインはブームアームに取り付けることができる。たとえば、送出ラインは、少なくともブームアセンブリの遠位端部、たとえば、負荷取付点でブームアームに接続される。ブームアセンブリの遠位端部における端部ホース内への送出ラインの移行は、送出ラインがブームアセンブリを越えて延び、ブームアセンブリに取り付けられていない端部ホースを有する領域を有することを意味すると理解されるべきである。従って、端部ホースは、ブームアセンブリの遠位端部に自由に吊り下げることができる。端部ホースおよび送出ラインは、別個であっても一体であってもよく、送出されるべき濃厚物質が可能な限り少ない損失で送出ラインから端部ホースに送出されるように設計されてもよい。さらに、端部ホースは、濃厚物質の流れを制御するための端部ホースピンチ弁を有することができる。
【0019】
受信ユニットは、少なくとも1つの第1の操作情報、少なくとも1つの第2の操作情報、および少なくとも1つの第3の操作情報を受信するように設定される。操作情報は、濃厚物質送出システムまたはその構成部品の複数の可能な特性のうちの1つの特性を示す。これは、それがそれぞれの特性を表しており、この特性が操作情報から推論できることを意味する。そのような特性、たとえば、操作パラメータは、たとえば、測定された変数によって特徴付けることができる。これらは、送出の開始前または後にのみ明らかになる特性であってもよい。たとえば、操作情報は、この操作情報に特徴的な測定変数を測定することによって、たとえば、濃厚物質送出システムのセンサユニットを検出することによって、得ることができる。受信ユニットによって受信された操作情報は、たとえば、一つ又は複数の測定変数を含む上流側(upstream)計算の結果であってもよい。このような上流側の計算は、対応して装備された濃厚物質送出システムのユニット内の現場で直接行うことも考えられるが、外部、たとえば、サーバ装置上で行うことも可能であり、このようにして計算された操作情報は、受信ユニットによって受信され、たとえば、濃厚物質送出システムの通信インターフェースに記録される。
【0020】
処理ユニットは、現在の負荷トルクを計算し、理論負荷トルクを計算し、計算された現在の負荷トルクが計算された理論負荷トルクよりも大きい差分値を決定するように設定されていると理解されるべきである。これは、特に、受信した第1の操作情報、第2の操作情報および第3の操作情報の全てに応じて、少なくとも部分的に実行される。上記負荷モーメントは、いずれも、濃厚物質送出システムの濃厚物質分配ブームの負荷モーメントである。この目的のために、処理ユニットは、たとえば、受信ユニットから受信された情報へのアクセスを有することができ、個々の質量または空間範囲などの、濃厚物質送出システムの構成部品の所定のおよび仮定された一定の特性を考慮して、現在の負荷モーメント、理論的負荷モーメントを計算することができる。さらに、濃厚物質送出システムの安定性、構成部品の風領域の影響及び特定された安全又は制限値のような他の特性も考慮に入れることができる。
【0021】
制御ユニットは、有線または無線信号出力のような制御信号を出力するための適切な手段を備える。記載された方法で制御信号を出力することによって、制御ユニットは、濃厚物質送出システムの少なくとも1つの構成部品を制御し、構成部品の操作パラメータに作用することができる。第2の制御信号は、第1の制御信号の出力の代替として、またはそれに加えて出力することができる。たとえば、第1の制御信号は、警告信号の出力を生じさせ、および/または、第2の制御信号は、濃厚物質送出システムの適切な操作、特に任意の操作を設定させる。したがって、第1の制御信号の出力によっても、正常な動作が継続されると考えられる。
【0022】
さらなる制御信号の任意の出力は、たとえば、濃厚物質送出システムの一つ又は複数の構成部品の操作を、通常の操作と比較して減速された速度で、または濃厚物質送出システムの一つ又は複数の構成部品の操作範囲を現在許容される操作範囲に制限される速度で行わせることができる。濃厚物質送出システムの構成部品の操作範囲を制限することは、それぞれの構成部品の操作パラメータが制限され、制限された操作パラメータに従って構成部品の操作が行われることを意味すると理解されるべきである。このようにして、それぞれの操作パラメータは、決定された差分値に応じて、依然として許容される作用範囲または依然として許容される構成部品の作用強度に制限することができる。特に、許容操作範囲外での構成部品の操作が防止される。制限後の作用範囲または作用強度が、たとえば、通常の操作において、構成部品に意図された最大作用範囲および最大作用強度よりも小さい。たとえば、制御ユニットは、濃厚物質分配ブームの作業範囲に対する現在許容可能な上限を決定することができ、濃厚物質分配ブームが特定された上限未満に偏向されるように濃厚物質送出システムの操作を行うことができる。これにより、たとえば、濃厚物質分配ブームのブームアームの開き角度やアクチュエータ力が所定の限界を超えることを防止することができる。この目的のために、それぞれのアクチュエータは、たとえば、制御ユニットによって出力される適切な制御信号を受信することができる。たとえば、制御ユニットは、このように、アクチュエータによるブームアームの撓みを制限することができる。さらに、濃厚物質分配ブームの作業範囲を制限することは、濃厚物質送出システムの旋回ギアの回転範囲の追加的または代替的な制限としても理解されるべきである。
【0023】
計算された現在の負荷トルクが計算された理論負荷トルクよりも大きくなる差分値は、負または正であり得る。正の差分値は差分値の範囲内にある。負の差分値を有し、かつ差分値の範囲内にあることにより、濃厚物質送出システムの安定性および濃厚物質送出すステムの構成部品の構造的完全性が確保される。差分値範囲の上限は、最大許容差分値によって定義される。この上限を超えると、計算された現在の負荷トルクは、計算された理論的負荷トルクよりもはるかに大きいので、安定性の損失または濃厚物質送出システムの構成部品の損傷のリスクがある。第1の閾値および第2の閾値も差分範囲内で定義され、これは、たとえば、予め決定することができる。たとえば、第2の閾値は、第1の閾値よりも最大許容差分値に近くてもよい。したがって、差分値が増加するにつれて、最初に第1の閾値を超え、次に第2の閾値を超え、次に上限を超える。また、第2の閾値と上限値との値が1つの値で一致するようにしてもよい。
【0024】
一実施形態によれば、受信ユニットは、さらに、決定された差分値が第1の閾値または第2の閾値を超える場合に、更新された第3の操作情報を受信するように設定され、処理ユニットは、第2および更新された第3の受信された操作情報に応じて、更新された理論負荷トルクを計算するように構成され、決定される差分値は、計算された現在の負荷トルクが計算された更新された理論負荷トルクよりも大きい更新された差分値に対応する。
【0025】
更新された第3の操作情報は、第2の時点で受信された第3の操作情報である。更新された第3の操作情報を受信する第2の時刻は、第3の操作情報を受信する第1の時刻よりも後であるべきである。そして、更新された第3の操作情報は、第3の操作情報よりも最新である。更新された第3の操作情報も、更新された理論負荷トルクの計算に含まれる。更新された差分値も、更新された理論負荷トルクを考慮して決定される。このようにして決定された最新の差分値が、決定すべき差分値に置き換えられ、制御ユニットによってアクセスされる。
【0026】
更新された第3の操作情報は、たとえば、センサユニットによって検出されることによって受信することができる。しかしながら、適切なユーザインターフェースで対応するユーザ入力を検出することによって、または通信インターフェースで操作情報を検出することによって、そのような操作情報を受信することも考えられる。次の組み合わせも可能である。第3の操作情報の受信は、センサユニットによって検出することができ、更新された第3の使用者情報は、ユーザインターフェースにおける使用者入力を検出することによって取得される。
【0027】
このようにして、例えば、濃厚物質送出システムの操作中に、操作情報の変化に反応することが可能である。たとえば、端部ホースの長さの変化や、送出される濃厚物質の密度の変動を考慮することができる。
【0028】
好ましくは、第1の操作情報は、ブームアームのブーム接合部のシリンダ力を示す。しかしながら、第1の操作情報は、ブームアセンブリの幾つかの、特に全てのブームアームのブーム接合部のそれぞれのシリンダ力を示すこともできる。
【0029】
ブームアームのシリンダ力は、ブーム接合部に作用する力である。これは、とりわけ、ブームアセンブリの総重量、風負荷、送出されるべき濃厚物質の重さ、またはブーム先端負荷に対応するブームアセンブリの第1のブームアームの遠位端部に作用する重さに依存する力である。シリンダ力は、たとえば、それぞれのブームアームのアクチュエータに作用する力を測定することによって特徴付けることができる。伝達関数を用いて、シリンダ力は、それぞれのブームアームのブーム接合部の接合モーメント及び接合角度に変換することができる。
【0030】
代替的または追加的に、第2の操作情報はブームアームの傾斜角度を示す。これは、地球の重力場に対するブームアームの絶対角度とすることができる。あるいは、互いに対するブームアームの相対角度を決定し、加算することもできるが、これはより複雑であり、精度も低いことが判明している。しかしながら、第2の操作情報は、ブームアセンブリの幾つかの、特に全てのブームアームのそれぞれの傾斜角を示すこともできる。
【0031】
たとえば、隣り合うブームアームの傾斜角を比較することにより、開き角度を求めることができる。ブームアームのそれぞれの傾斜角を考慮することにより、処理ユニットは、リアルタイムで特に正確に理論的な負荷モーメントを決定することができる。全てのブームアーム角度は、第1の操作情報の測定点から決定されることが好ましい。測定点が最後のブームアーム接合部に位置する場合は、最後のブームアームの傾斜だけが要求される。精度を高めるために下部の接合部で測定を行う場合は、他の全ての(外部)ブームアーム角度が決定される。
【0032】
別の実施形態において、第3の操作情報は、送出されるべき濃厚物質の密度、端部ホースの負荷、端部ホースのタイプ、端部ホースの長さ、または負荷取付点での負荷重量を示す。
【0033】
濃厚物質の種類は、たとえば、送出される濃厚物質の材料組成または粘度として理解されるべきである。特に、受信ユニットは、端部ホースの対応するRFIDタグを読み出すことにより、端部ホースの種類に特有の操作情報を受信するように構成することが考えられる。たとえば、濃厚物質分配ブームが1つの負荷取付点のみを有し、この負荷取付点において、送出ラインも端部ホースに移行する場合、端部ホースの負荷は、負荷取付点における負荷重量に対応する。
【0034】
変化しない他のパラメータ、特にブームアームの重心とその重量と長さを計算に含めることができる。
【0035】
一実施形態によると、受信ユニットは、操作情報を検出するためのセンサユニット、操作情報を検出するための通信インターフェース、または操作情報を検出するためのユーザインターフェースを含む。
【0036】
センサユニットを使用することにより、受信ユニットは、使用者入力から独立して自動的に操作情報を検出することができる。センサユニットは、同じタイプまたは異なるタイプの一つ又は複数のセンサを備えることができる。センサの実施例は、力及び圧力センサ(例えば、ブームアームのブーム接合部のシリンダ力、ブームアームのアクチュエータに作用する力又は端部ホースの負荷を検出するためのもの)、位置センサ(例えば、GPS、GLONASS又はGalileoのような衛星ベースの測位システムのセンサ)、配置センサ(例えば、ブームアームの傾斜角度を検出するためのアルコール水準器又は傾斜センサ)、電気センサ(例えば、誘導センサ)、光学センサ(例えば、レーザセンサ又は2Dスキャナ)又は音響センサ(例えば、超音波センサ)であり、たとえば、送出されるべき濃厚物質の密度を検出するためのものである。同様に、操作情報は、センサユニット内の幾つかのセンサの組み合わせによって記録することもできる。
【0037】
代替的または追加的に、それぞれの受信ユニットは、一つ又は複数の(例えば、無線)通信インターフェースを備えてもよく、それを介して(例えば、外部から)取得された操作情報が、当技術分野で周知の方法で受信ユニットによって受信される。
【0038】
操作情報を捕捉するためにユーザインターフェースが提供される場合、これは、たとえば、少なくとも1つのボタン、キーパッド、キーボード、マウス、ディスプレイユニット(例えば、ディスプレイ)、マイクロホン、タッチセンシティブディスプレイユニット(例えば、タッチスクリーン)、カメラ、および/またはタッチセンシティブ表面(例えば、タッチパッド)として設計することができる。たとえば、操作情報は、ユーザインターフェースにおける使用者入力を検出することによって受信される。
【0039】
特に、制御ユニットは、決定された差分値が第2の閾値を超える場合に第3の制御信号を出力するように設定することもできる。
【0040】
特に、第3の制御信号の出力は、濃厚物質送出システムの適切なまたは任意の操作の設定を表す報告情報の提供を引き起こすことができる。このようにして提供された情報は、次に、たとえば、適切なユーザインターフェースによって使用者に提示するか、または濃厚物質送出システムの通信インターフェースを介して適切な使用者端末に送信することができる。
【0041】
一実施形態において、ブームアセンブリは、更なるブームアームを備える。ブームアセンブリにおけるブームアームの総数は3である。また、2つから4つの更なるブームアームがブームアセンブリに提供され、ブームアセンブリが4つ、5つまたは6つのブームアームを備えることも考えられる。
【0042】
ブームアームを追加することにより、濃厚物質分配ブーム、従って濃厚物質送出システムの最大作用範囲を容易に拡大することができる。特に、個々のブームアームを互いに接続するために関節式接合部を実施する場合、ブームアセンブリの設計は、特にコンパクトであり続けることができる。
【0043】
一実施形態において、濃厚物質送出システムは、特に、濃厚物質送出システムの送出ラインを通して濃厚物質を送出するための濃厚物質ポンプと、濃厚物質分配ブームおよび濃厚物質ポンプが配置された下部構造体とを備える。
【0044】
濃厚物質ポンプは、2つ、たとえば、正確に2つの送出シリンダを有するコアポンプを備えることができる。次に、第1の送出シリンダから第2の送出シリンダへ、および第2の送出シリンダから第1の送出シリンダへ交互に切り換えられる。S字管は、送出シリンダ間で周期的に切り換えることができる。さらに、追加のシリンダを設定して、各移行を橋渡しすることもできる。S字管は、送出シリンダが交互に濃厚物質ポンプの出口に接続される可動パイプセクションである。パイプセクションおよび追加シリンダは、濃厚物質ポンプに着脱可能に接続される構造ユニットの要素とすることができる。これにより、濃厚物質ポンプのメンテナンスや洗浄が容易になる。
【0045】
下部構造体は、たとえば、シャーシのようなベースフレームであり、その上に濃厚物質分配ブーム及び/又は濃厚物質ポンプを配置することができる。たとえば、濃厚物質分配ブーム及び/又は濃厚物質ポンプが下部構造体に取り付けられる。下部構造体は、たとえば、プラットフォームとして固定されていてもよく、または、たとえば、車両として移動可能であってもよい。下部構造体は、たとえば、少なくとも1つの水平および垂直に移動可能な支持脚部を備えた支持体のための支持構造体を含むことができる。このような下部構造体上に濃厚物質分配ブームと濃厚物質ポンプを配置すれば、濃厚物質分配システム全体を支持することができ、操作時の安定性が向上する。
【0046】
本発明によれば、濃厚物質ポンプによって送出される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配ブームを備え、濃厚物質分配ブームは、少なくとも2つのブームアームを備えたブームアセンブリと、ブームアセンブリを横切って延び、濃厚物質ポンプの出口に接続することができる近位端部および遠位端部を含み、送出ラインの遠位端部がブームアセンブリの遠位端部の端部ホースに移行する送出ラインと、受信ユニットと、処理ユニットと、制御ユニットとを有する濃厚物質送出システムを操作する方法であって、受信ユニットによって、少なくとも第1の操作情報、第2の操作情報及び第3の操作情報を受信するステップと、処理ユニットによって、受信した少なくとも第1の操作情報に応じた現在の負荷トルクを算出するステップと、処理ユニットによって、受信した少なくとも第2の操作情報および受信した少なくとも第3の操作情報に応じた理論負荷トルクを算出するステップと、処理ユニットによって、算出された現在の負荷トルクが算出された理論負荷トルクよりも大きくなる差分値を決定するステップと、制御ユニットによって、決定された差分値が第1の閾値を超える場合に、第1の制御信号を出力するステップと、および/または、制御ユニットによって、決定された差分値が第2の閾値を超える場合に、第2の制御信号を出力するステップであって、第2の閾値は、前記第1の閾値よりも大きいことが好ましいステップと、を含む方法も開示される。
【0047】
1つの実施形態において、この方法は、受信ユニットによって、決定された差分値が第1の閾値または第2の閾値を超える場合に、更新された第3の操作情報を受信するステップと、処理ユニットによって、計算された現在の負荷トルクが計算された更新後の理論負荷トルクよりも大きくなる更新後の差分値に対応する、第2及び更新後の第3の受信操作情報に応じた更新後の理論負荷トルクを計算するステップであって、差分値は、計算された現在の負荷トルクが計算された更新後の理論負荷トルクよりも大きくなる更新後の差分値に対応する、ステップと、を更に含む。
【0048】
本方法の更なる有利な実施形態のより詳細な説明については、上述の濃厚物質送出システムの実施形態を参照されたい。
【0049】
また、本発明は、コンピュータプログラムがプロセッサ上で実行されるときに、プロセッサに本発明の方法を実行および/または制御させるためのプログラム命令を有するコンピュータプログラムを含む。本発明によるコンピュータプログラムは、たとえば、コンピュータ読み取り可能なデータキャリアに記憶される。
【0050】
上述の実施形態および構成は、単に例示的なものとして理解されるべきであり、いかなる方法によっても本発明を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
以下、添付の図面を参照して、有利な実施形態に基づいた実施例として、より詳細に本発明を説明する。
図1図1は、本発明による濃厚物質送出システムの例示的実施形態の略図を示す。
図2図2は、本発明による濃厚物質送出システムの例示的実施形態の更なる概略図を示す。
図3図3は、本発明による方法の例示的な実施形態の概略フロー図を示す。
【0052】
【発明の詳細な説明】
【0053】
図1および図2は、例示的な濃厚物質送出システム10の概略図である。濃厚物質送出システム10は、濃厚物質ポンプによって送出される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配ブーム18を備え、濃厚物質分配ブームは、ブームアセンブリ40と、送出ライン17とを有する。
【0054】
ブームアセンブリ40は、第1のブームアーム41と、第2のブームアーム42と、第1の更なるブームアーム43と、第2の更なるブームアーム44とを備える。第1のブームアーム41の近位端部は、ブームアセンブリ40の近位端部に対応し、第2のブームアーム42の近位端部は、ブームアセンブリ40の近位端部に対応する。
【0055】
さらに、濃厚物質送出システム10のオプションの旋回ギア19は、破線で示され、垂直軸の周りに、即ち、画像の平面内の軸の周りに回転可能であることが意図される。
【0056】
第1のブームアーム41は、その近位端部のブームアーム接合部を介して旋回ギア19に接続されている。ブームアーム接合部を介した接続は、関節式接合部による取り付けとして設計されている。第1の追加ブームアーム43は、その近位端部において第1のブームアーム41の遠位端部にブームアームジョイントを介して接続され、このブームアーム接合部も関節式接合部として設計されている。第2の更なるブームアーム44は、それに従って続き、関節式接合部を介して同様に第1の更なるブームアーム43に接続される。第2のブームアーム42は、その近位端部において、関節式接合部を介して第2の更なるブームアーム44の遠位端部に接続される。
【0057】
さらに、濃厚物質分配ブーム18が配置される下部構造体30が破線で示されている。下部構造体30は、例えば、点線で示す車両33に配置されている。
【0058】
送出ライン17(明確にするために完全には示されていない)は、近位端部を有し、この近位端部は、濃厚物質ポンプ(図示せず)に接続され、旋回ギア19に沿って下部構造体30から、さらに、ブームアセンブリ40の近位端部からその遠位端部まで延びる。ここで、送出ライン17は端部ホース45に移行する。移行部の場所は、たとえば、ブームアセンブリ40がアイレットを有することもできる負荷取付点46を提供する。
【0059】
また、この濃厚物質分配ブーム18には、たとえば、受信ユニット11、処理ユニット12及び制御ユニット13が設けられている。しかしながら、ユニットはまた、濃厚物質送出システム10の一つ又は複数の他の構成要素内に個々にまたは様々な組み合わせで配置されてもよく、たとえば、下部構造体30内に統合されてもよい。
【0060】
受信ユニット11は、少なくとも1つの第1の操作情報、少なくとも1つの第2の操作情報、及び少なくとも1つの第3の操作情報を受信するように設計されている。このため、これは、ブームアーム41,42,43,44のブーム接合部に複数のセンサを配置し、第1の操作情報として各ブームアームのブーム接合部の円筒力を、第2の操作情報として各ブームアームの傾斜角度を検出するセンサユニットを備えている。従って、第1の操作情報は、ブームアセンブリ40の全てのブームアーム41,42,43,44のブーム接合部のそれぞれの円筒力を表示し、第2の操作情報は、ブームアセンブリ40の全てのブームアーム41,42,43,44のそれぞれの傾斜角を表示する。さらに、センサユニットは、力センサ48も備えるが、この力センサ48は、負荷取付点46における負荷重量を表示する第3の操作情報を検出するように設定され、この目的のために端部ホース45の重量力を測定する。
【0061】
処理ユニット12は、受信した第1の操作情報、即ち、検出した各ブームアームのブーム接合部のシリンダ力に基づいて、濃厚物質分配ブーム18の現在の負荷モーメントを算出する。さらに、処理ユニット12は、受信された第1の操作情報および受信された第3の操作情報、即ち、それぞれ検出されたブームアーム41、42、43、44の傾斜角、および負荷取付点46における検出された負荷に依存して、理論的な負荷モーメントを計算する。また、処理ユニット12は、算出された現在の負荷モーメントが算出された理論負荷モーメントよりも大きくなる値として差分値を決定する。
【0062】
このようにして決定される差分値は、第1の閾値および第2の閾値が特定される差分値の範囲内にある。制御ユニット13は、処理ユニット12が第1の閾値以上の差分値を決定した場合、第1の制御信号を出力する。決定された差分値が第2の閾値を超える場合、制御ユニット13は、代替的または追加的に第2の制御信号を出力する。たとえば、説明した実施形態において、第1の制御信号は、第1のブームアーム41に配置されたサイレンによって音響警告信号を発することができる。一方、第2の制御信号は、濃厚物質送出システム10の操作を完全に停止させる。警告信号は、説明したように音響的に発することができるが、点滅信号またはユーザディスプレイ上の出力のように光学的に発することもできる。
【0063】
なお、受信ユニット11は、決定した差分値が第1の閾値を超える又は第2の閾値を超える場合に、更新された第3の操作情報を受信するようにしてもよい。本実施例において、センサユニットは、そのような更新された操作情報を検出するように設計することができる。図示の実施形態において、力センサ48は、端部ホース45の重量力を再び測定し、従って、負荷取付点46における負荷重量を表示する更新された操作情報を検出する。この更新された操作情報は、更新された第3の操作情報に対応する。
【0064】
図2は、さらなる例示的な濃厚物質送出システム10を示し、このシステムは、その上に濃厚物質分配ブーム18および濃厚物質ポンプ16が配置される下部構造体30を備える。濃厚物質分配ブーム18は、図1のものに対応する。下部構造体30は、車両33に配置される実施例として再び示される。送出ライン17も示されている。
【0065】
図3は、濃厚物質送出システムの10を操作するための方法100の例示的実施形態のフロー図を示す。
【0066】
方法ステップ111において、受信ユニット11は、少なくとも第1の操作情報を受信する。同様に、受信ユニット11は、方法ステップ112および113において、少なくとも第2の操作情報および少なくとも第3の操作情報を受信する。ステップ111、112および113は、連続的に、または少なくとも部分的に並列に実行することができる。たとえば、第1の操作情報は、ブームアーム41,42,43,44のブーム接合部のシリンダ力を表示し、第2の操作情報は、ブームアーム41,42,43,44の傾斜角度を表示し、第3の操作情報は、負荷取付点46における負荷重量を表示する。
【0067】
ステップ111で受信された第1の操作情報に応じて、処理ユニット12は、方法ステップ121で現在の負荷トルクを計算する。方法ステップ122において、ステップ112および113で受信された第2および第3の動作情報に応じて、理論負荷トルクが処理ユニット12によって計算される。
【0068】
ステップ121および122で計算された負荷トルクに基づいて、方法ステップ131において、計算された現在の負荷トルクが計算された理論負荷トルクよりも大きい差分値が、処理ユニット12によって決定される。
【0069】
次に、ステップ141において、制御ユニット13は、ステップ131で決定された差分値が第1の閾値を超えている場合には、第1の制御信号を出力する。ステップ131で決定された差分値が第2の閾値よりも大きい場合、ステップ142において、ステップ141の代わりに、またはそれに加えて、第2の制御信号が制御ユニット13によって出力される。たとえば、第1の制御信号は、第1のブームアーム41に配置されたサイレンにより音響警告信号を出力させる。一方、第2の制御信号は、濃厚物質送出システム10の操作を完全に停止させる。
【0070】
任意選択で、ステップ142の後に、方法ステップ114および123が続いてもよい。ステップ114において、受信ユニット11は、更新された第3の操作情報を受信する。本実施例において、受信ユニット11のセンサユニットは、負荷取付点46における負荷重量を表示する、そのような更新された操作情報を検出し、この目的のために、力センサ48による端部ホース45の重量力の別の測定を行うように設計することができる。次に、この更新された操作情報は、更新された第3の操作情報に対応し、それに応じて、更新された理論負荷トルクがステップ123で計算される。
【0071】
次にステップ131で決定される差分値は、ステップ121で計算された現在の負荷トルクがステップ123で計算された更新された理論負荷トルクよりも大きくなる更新された差分値に対応する。次いで、ステップ141および142は、上述のようにステップ131で実行することができる。
【0072】
本明細書に記載された本発明の実施形態、およびこの点に関して言及されたそれぞれの任意の特徴および特性も、互いとのすべての組み合わせにおいて開示されていると理解されるべきである。特に、実施形態によって包含される特徴の説明は、明示的に反対のことが述べられない限り、その特徴が実施形態の機能にとって不可欠または必須であることを意味すると本明細書において理解されるべきではない。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃厚物質送出システム(10)であって、
少なくとも2つのブームアーム(41)を備えたブームアセンブリ(40)を有する、濃厚物質ポンプによって送出される濃厚物質を分配する濃厚物質分配ブーム(18)と、
前記ブームアセンブリ(40)を横切って延び、濃厚物質ポンプの出口に接続することができる近位端部および遠位部を備えた送出ライン(17)であって、前記送出ライン(17)の遠位端部が前記ブームアセンブリ(40)の遠位端部の端部ホース(45)に移行する、送達ライン(17)と、
少なくとも1つの第1の操作情報と、少なくとも1つの第2の操作情報と、少なくとも1つの第3の操作情報とを受信する受信ユニット(11)と、
受信した少なくとも1つの第1の操作情報に基づいて現在の負荷トルクを算出し、受信した少なくとも1つの第2の操作情報と受信した少なくとも1つの第3の操作情報とに基づいて理論負荷トルクを算出し、算出した現在の負荷トルクが理論負荷トルクよりも大きくなる差分値を決定する処理ユニット(12)と、
決定された前記差分値が第1の閾値を超える場合に第1の制御信号を出力し、さらに/または、決定された前記差分値が第2の閾値を超える場合に第2の制御信号を出力する制御ユニット(13)であって、前記第2の閾値は、好ましくは前記第1の閾値よりも大きい、制御ユニット(13)と、
を備える、濃厚物質送出システム(10)。
【請求項2】
前記受信ユニット(11)は、決定された前記差分値が前記第1の閾値または前記第2の閾値を超える場合に、更新された第3の操作情報を受信するようにさらに設定され、前記処理ユニット(12)は、前記第2の受信された操作情報および前記更新された第3の受信された操作情報に応じて、更新された理論負荷トルクを計算するようにアレンジされ、決定される前記差分値は、計算された現在の負荷トルクが計算された更新された理論負荷トルクよりも大きい更新された差分値に対応する、請求項1に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項3】
前記第1の操作情報は、ブームアーム(41)のブームジョイントの円筒力、特に、前記ブームアセンブリ(40)の全てのブームアーム(41,42,43,44)のブームジョイントのそれぞれの円筒力を示す、請求項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項4】
前記第2の操作情報は、ブームアーム(41)の傾斜角、特に、前記ブームアセンブリ(40)の全てのブームアーム(41,42,43,44)のそれぞれの傾斜角を示す、請求項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項5】
前記第3の操作情報は、以下の特性、すなわち、
送出されるべき前記濃厚物質の密度、
前記端部ホースにかかる負荷(45)、
端部ホースの型式(45)、
前記端部ホースの長さ(45)、
負荷取付点(46)における負荷重量、
のうちの1つを示す、請求項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項6】
前記第1の制御信号が警告信号を出力させ、さらに/または、前記第2の制御信号が濃厚物質分配ブーム(18)の適切な操作を設定させる、請求項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項7】
前記受信ユニット(11)が、
操作情報を記録するためのセンサユニット、
操作情報を記録するための通信インターフェース、または、
操作情報を記録するためのユーザインターフェース、
を更に備える、請求項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項8】
前記制御ユニット(13)は、決定された前記差分値が前記第2の閾値を超える場合、第3の制御信号を出力するように更に適合される、請求項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項9】
前記ブームアセンブリ(40)が、別のブームアーム(43、44)、好ましくは2つの別のブームアームを備える、請求項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項10】
濃厚物質を送出する為の濃厚物質ポンプ(16)と、
前記濃厚物質分配ブーム(18)と前記濃厚物質ポンプ(16)とを配置した下部構造体(30)と、
を更に備える、請求項に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項11】
前記下部構造体(30)は、車両(33)上に配置される、請求項10に記載の濃厚物質送出システム(10)。
【請求項12】
濃厚物質送出システム(10)を操作するための方法(100)であって、前記濃厚物質送出システム(10)は、
濃厚物質ポンプによって送出される濃厚物質を分配するための濃厚物質分配ブーム(18)であって、濃厚物質分配ブームは、少なくとも2つのブームアーム(41)を備える、濃厚物質分配ブーム(18)と、
前記ブームアセンブリ(40)を横切って延び、濃厚物質ポンプの出口に接続することができる近位端部および遠位端部を備える送出ライン(17)であって、前記送出ライン(17)の前記遠位端部が前記ブームアセンブリ(40)の遠位端部で端部ホース(45)に移行する送出ライン(17)と、
を備え、
受信ユニット(11)と、処理ユニット(12)と、制御ユニット(13)とを備え、
前記方法は、
前記受信ユニット(11)が、少なくとも第1の操作情報、第2の操作情報および第3の操作情報を受信するステップと(111、112、113)と、
前記処理ユニット(12)が、受信した少なくとも1つの第1の操作情報に応じた現在の負荷トルクを計算するステップ(121)と、
前記処理ユニット(12)が、受信した少なくとも1つの第2の操作情報および受信した少なくとも1つの第3の操作情報に応じた理論負荷トルクを計算するステップ(122)と、
処理ユニット(12)が、計算された現在の負荷トルクが計算された理論負荷トルクよりも大きい差分値を決定するステップ(131)と、
決定された前記差分値が第1の閾値を超える場合、前記制御ユニット(13)によって第1の制御信号を出力するステップ(141)と、さらに/または、
決定された差分値が第2の閾値を超える場合、前記制御ユニット(13)によって第2の制御信号を出力するステップ(142)であって、前記第2の閾値は、好ましくは第1の閾値よりも大きい、ステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
決定された前記差分値が前記第1の閾値以上または前記第2の閾値以上である場合に、更新された第3の操作情報を前記受信ユニット(11)が受信するステップ(114)と、
前記処理ユニット(12)が、受信した前記第2の操作情報と更新された第3の操作情報とに基づいて、更新された理論負荷トルクを算出するステップ(123)であって、前記差分値は、更新された差分値に対応し、更新された差分値だけ、算出された現在の負荷トルクが、算出された更新された理論負荷トルクよりも大きくなる、ステップ(123)と、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【国際調査報告】