(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ブレーキシステムを動作させるための方法及びブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
B60T 17/22 20060101AFI20241226BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20241226BHJP
B60T 8/92 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B60T17/22
B60T8/17 B
B60T8/92
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538059
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022087308
(87)【国際公開番号】W WO2023118346
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021215005.5
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス シュースター
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ハーグ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス レッフェルマン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン マルクヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュライニッヒ
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D049BB02
3D049BB03
3D049CC02
3D049HH12
3D049HH39
3D049HH47
3D049HH48
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3D049PP02
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3D246BA02
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3D246HA45A
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3D246KA19
3D246LA10Z
3D246LA15Z
3D246LA52Z
3D246LA73Z
3D246MA19
3D246MA23
(57)【要約】
本発明は、第1の制動設定(6a,11a)を起点として駆動される、第1の制御装置(15)を有する1次ブレーキアクチュエータ(2)と、第2の制御装置(16)を有する2次ブレーキアクチュエータ(3)とを備えたブレーキシステム(1)を動作させるための方法に関する。第1の制御装置(15)と第2の制御装置(16)及び/又は別の制御装置(10,21)とは、通信手段(7)を介して相互に接続されている。第2の制御装置(16)及び/又は別の制御装置(10,21)を用いて、第2の制御装置(16)及び/又は別の制御装置(10,21)で第1の制御装置(15)からの信号が受信されるかどうか、又は、第2の制御装置(16)及び/又は別の制御装置(10,21)で第1の制御装置(15)から受信された信号がエラーを有するかどうかが検査される。信号が欠落している場合又はエラーを有する場合、第2の制動設定(6b,11b)に基づく2次ブレーキアクチュエータ(3)の駆動が解放され又は阻止される。(
図1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制動設定(6a,11a)を起点として駆動される、第1の制御装置(15)を有する1次ブレーキアクチュエータ(2)と、第2の制御装置(16)を有する2次ブレーキアクチュエータ(3)とを備えたブレーキシステム(1)を動作させるための方法であって、
-前記第1の制御装置(15)と前記第2の制御装置(16)及び/又は別の制御装置(10,21)とが、通信手段(7)を介して相互に接続されており、
-前記第2の制御装置(16)及び/又は前記別の制御装置(10,21)を用いて、
・前記第2の制御装置(16)及び/又は前記別の制御装置(10,21)で前記第1の制御装置(15)からの信号が受信されるかどうか、又は、
・前記第2の制御装置(16)及び/又は前記別の制御装置(10,21)で前記第1の制御装置(15)から受信された信号がエラーを有するかどうか
が検査され、
-前記第1の制御装置(15)の側からの信号が欠落している場合又はエラーを有する場合、
・第2の制動設定(6b,11b)に基づく前記2次ブレーキアクチュエータ(3)の駆動が解放され又は阻止される、
ブレーキシステム(1)を動作させるための方法。
【請求項2】
前記1次ブレーキアクチュエータ(2)の駆動が、前記第1の制動設定(6a,11a)に基づいて、前記第1の制動設定(6a,11a)と前記1次ブレーキアクチュエータ(2)の調整すべき内部制御量との関係、特に前記1次ブレーキアクチュエータ(2)のロッド距離、伝動力又はモータ電流との関係に対応する第1の特性曲線(18,19)を介して行われる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の制御装置(16)及び/又は前記別の制御装置(10,21)を用いてエラー識別が実行され、代替反応が開始される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記エラー識別のために、
-前記第1の制動設定(6a,11a)に基づいて前記1次ブレーキアクチュエータ(2)を用いて調整された制動圧(13)が、前記第2の制御装置(16)を用いて又は前記別の制御装置(10,21)を用いて読み込まれ、
-前記第2の制御装置(16)又は前記別の制御装置(10,21)を用いて、前記第2の制御装置(16)又は前記別の制御装置(10,21)に存在する前記第2の制動設定(6b,11b)につき算定された前記制動圧(13)の妥当性検査(302)が行われる、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記妥当性検査(302)は、前記制動圧(13)と前記第2の制動設定(6b,11b)との間の関係を定めた第2の特性曲線及び/又は特性マップ(17)に基づいて行われる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の制動設定(6a,11a)と前記第2の制動設定(6b,11b)とは同一であり、特に、前記第1の制動設定(6a,11a)と前記第2の制動設定(6b,11b)とは同一の供給源(4,5,10)に由来する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記妥当性検査(302)の際に圧力(13)又は予想される圧力(13)が識別されなかった場合、前記エラー識別の範囲において、前記1次ブレーキアクチュエータ(2)の欠陥を示す第1のエラー状態が設定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のエラー状態として、付加的に、前記通信手段(7)の周囲におけるエラー又は前記1次ブレーキアクチュエータ(2)の通信装置におけるエラーが示される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
代替反応(304)としての、前記第2の制動設定(6b,11b)に基づく前記2次ブレーキアクチュエータ(3)の駆動の解放は、
-前記妥当性検査の範囲において圧力が全く識別されなかった場合、前記2次ブレーキアクチュエータ(3)による制動圧調整の完全な引き受けによって行われ、
-予想される圧力(13)が識別されなかった場合、特に圧力(13)と制動設定(6b,11b)との間の特性曲線(17)の許容範囲内の予想される圧力が識別されなかった場合、制動圧調整の少なくとも部分的な引き受けによって行われる、
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記妥当性検査(302)の際に、予想される圧力(13)、特に圧力(13)と制動設定(6b,11b)との間の特性曲線(17)の許容範囲内の予想される圧力(13)が識別された場合、前記エラー識別の範囲において、前記通信手段(7)におけるエラーを示す第2のエラー状態が設定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項11】
代替反応(306)としての前記2次ブレーキアクチュエータ(3)による圧力調整が阻止され、引き続き前記1次ブレーキアクチュエータ(2)による圧力調整が行われる、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ブレーキシステム(1)であって、第1の制御装置(15)を有する1次ブレーキアクチュエータ(2)と、第2の制御装置及び/又は別の制御装置(16,10,21)を有する2次ブレーキアクチュエータ(3)とを備え、前記制御装置は、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、ブレーキシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
独国特許出願公開第102009001135号明細書には、電気機械式ブレーキブースタとホイールスリップコントローラとを備えた液圧式車両ブレーキシステムを操作するための方法が開示されている。当該発明は、例えば、車両速度を制限するために、又は、前方走行車両までの距離を調整するために、又は、駐車時など、ブレーキペダルが操作されていない状況において、車両ブレーキシステムをブレーキブースタによって操作することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009001135号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の開示
本発明は、第1の制動設定を起点として駆動される、第1の制御装置を有する1次ブレーキアクチュエータと、第2の制御装置を有する2次ブレーキアクチュエータとを備えたブレーキシステムを動作させるための方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の制御装置と第2の制御装置及び/又は別の制御装置とは、通信手段を介して相互に接続されている。第2の制御装置及び/又は別の制御装置を用いて、第2の制御装置及び/又は別の制御装置で第1の制御装置からの信号が受信されたかどうか、又は、第2の制御装置及び/又は別の制御装置で第1の制御装置から受信された信号がエラーを有するかどうかが検査される。第1の制御装置の側からの信号が欠落している場合又はエラーを有する場合には、第2の制動設定に基づく2次ブレーキアクチュエータの駆動が解放され又は阻止される。
【0005】
このことは、第1の制動圧発生器、例えば電気的に動作させられるプランジャ又はブレーキブースタと、第2の制動圧発生器、例えばESPアセンブリとして知られているような液圧式アセンブリとを含むバイワイヤブレーキシステムにおいて、制動圧を発生させ得る2つのユニットが相互作用において最適化されるという利点を有する。特に、ここでは、2つのユニットが相互に通信可能であること、及び、こうした通信が可能でない又は不能とすべき場合に適当なフォールバックレベルが存在することが重要であり、これにより、車両がさらに引き続き十分に制動可能となる。このようにすることにより、ブレーキシステムの安全性が向上する。このことは、特に、運転者が制動を行うための運転者制動力に基づく機械液圧式のフォールバックレベルが設けられていない場合のバイワイヤブレーキシステムにおいて重要である。通信問題が確認されると、2次ブレーキアクチュエータの駆動が意図的に解放可能となり又は阻止可能となる。このことは、2つのブレーキアクチュエータの状況に応じた運転を可能にする。
【0006】
本発明の構成においては、1次ブレーキアクチュエータの駆動は、第1の制動設定に基づいて、当該第1の制動設定と1次ブレーキアクチュエータの調整すべき内部制御量との関係、特にロッド距離、伝動力又はモータ電流との関係に対応する第1の特性曲線を介して行われる。1次ブレーキアクチュエータが第1の制動圧設定に基づいて駆動可能であり、2次ブレーキアクチュエータが第2の制動設定に基づいて駆動可能であるという事実は、さしあたり通信故障が生じても2つのブレーキアクチュエータを直接に供給されたそれぞれ固有の制動設定に基づいて使用することができ、さらに、通信システムが故障している場合又は信号がエラーを有している場合にそれぞれ制動設定を使用することができる、という利点を有している。このことにより、ブレーキアクチュエータにおける全体的な利用可能性が高められ、制動設定のより信頼性の高い実行可能性ひいてはブレーキシステムの冗長性が得られる。
【0007】
方法の他の特徴として、第2の制御装置及び/又は別の制御装置を用いてエラー識別が実行され、対応する代替反応が開始される。エラー識別によって、検出された通信問題に対する応答を個別に省略することができる。エラー識別の範囲において1次ブレーキアクチュエータがなおまだ無欠陥であることが確認されれば、通信故障であるので、通常の圧力形成のために設けられている1次ブレーキアクチュエータの駆動を中止する必要は全くない。しかし、エラー識別において1次ブレーキアクチュエータにつき又は1次ブレーキアクチュエータの周囲に問題が存在することが判明した場合、状況に適合する状態で2次ブレーキアクチュエータを付加的に利用することができる。
【0008】
有利には、エラー識別のために、第1の制動設定に基づいて1次ブレーキアクチュエータによって調整された制動圧が、第2の制御装置を用いて又は別の制御装置を用いて読み込まれる。読み込まれた制動圧により、第2の制御装置又は別の制御装置を用いて、第2の制御装置又は別の制御装置に存在している第2の制動設定についての制動圧の妥当性検査が実行される。このことは、第1の制動設定を基礎として1次ブレーキアクチュエータによって形成された圧力の妥当性検査を、2次ブレーキアクチュエータによって、そこで受信された第2の制動設定に基づいて行うことができるという利点を有する。このようにすることにより、通信故障に対処可能となる。
【0009】
さらに、方法の有利な構成においては、制動圧と第2の制動設定との間の関係を定めた第2の特性曲線及び/又は特性マップに基づいて妥当性検査を行うことができる。2次ブレーキアクチュエータ又は別のブレーキ制御装置における第2の制動設定によって第1の制動設定から独立に目標制動圧を実現し得る特性曲線を設けることにより、故障安全性が向上する。
【0010】
他の構成においては、第1の制動設定と第2の制動設定とは同一である。特に、第1の制動設定と第2の制動設定とは同一の供給源に由来する。このことは、第1の制動設定と第2の制動設定とが同一の量であり、ただし、それぞれ独立したブレーキアクチュエータの異なる経路において二重に供給されるという利点を有する。したがって、ブレーキシステムの確実性を相応の妥当性検査によって高めることができる。
【0011】
さらに有利には、妥当性検査の際に圧力又は予想される圧力が識別されなかった場合、エラー識別の範囲において、1次ブレーキアクチュエータの欠陥を示す第1のエラー状態が設定される。したがって、圧力が全く存在しないか又は不十分な規模で存在するかという妥当性検査の実行に基づいて、1次制動係数の周囲におけるエラーを対応付けることができる。
【0012】
さらに、第1のエラー状態として、付加的に、通信手段の周囲におけるエラー又は1次ブレーキアクチュエータの通信装置におけるエラーを示すこともできる。これにより、欠陥を有する1次ブレーキアクチュエータの識別だけでなく、通信手段が機能しないという第1のエラー状態の確認も可能となる。
【0013】
有利な構成においては、妥当性検査の範囲において圧力が識別されなかった場合、2次ブレーキアクチュエータによる制動圧調整の完全な引き受けにより、代替反応(304)として、第2の制動設定(6b,11b)に基づく2次ブレーキアクチュエータの駆動の解放が行われる。代替的に、代替反応としての2次ブレーキアクチュエータの駆動の解放は、予想される圧力が識別されなかった場合、特に圧力と制動設定との間の特性曲線の許容範囲内の予想される圧力が識別されなかった場合に、制動圧調整の少なくとも部分的な引き受けによって行われる。これにより、代替反応としての2次ブレーキアクチュエータによる引き受けをつねに必要な規模で解放することができる。
【0014】
他の構成においては、妥当性検査の際に、予想される圧力、特に圧力と制動設定との間の特性曲線の許容範囲内の予想される圧力が識別された場合には、エラー識別の範囲において、通信手段(7)におけるエラーを示す第2のエラー状態が設定される。このことは、1次ブレーキアクチュエータが機能可能であり、エラーは通信問題のみに由来するとの識別も可能となるという利点を有する。
【0015】
有利な構成においては、この場合、代替反応としての2次ブレーキアクチュエータによる圧力調整は阻止され、引き続き1次ブレーキアクチュエータによる圧力調整が行われる。これにより、通常通りに制動圧を形成する1次ブレーキアクチュエータの動作を続行させることができる。2次ブレーキアクチュエータによる引き受けは、この状況では行われない。
【0016】
本発明はさらに、第1の制御装置を有する1次ブレーキアクチュエータと、第2の制御装置を有する2次ブレーキアクチュエータとを備えたブレーキシステムに関する。さらに、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御装置である別の制御装置を設けることもできる。
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面に即して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】ブレーキシステムにおいて使用される特性曲線を示す図である。
【
図4】1次ブレーキアクチュエータの2つの圧力-体積関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の実施形態
図1には、車両のブレーキシステム1の概略図が示されている。ブレーキシステム1は、1次ブレーキアクチュエータ2と2次ブレーキアクチュエータ3とを備えている。1次ブレーキアクチュエータ2は、例えば、液圧流体を用いて車両のホイールブレーキの制動圧を形成し得る電気機械式ブレーキアクチュエータ2であり得る。電気機械式ブレーキアクチュエータ2は、電気機械式ブレーキブースタ装置の形態で設けられるものとしてもよい。1次ブレーキアクチュエータ2とは、接続されたホイールブレーキにおいて同様に制動圧を形成可能な、電気的に動作させられるプランジャピストンであると理解することもできる。ブレーキブースタとは異なり、このようなプランジャシステムにおいては、電気的に動作させられるプランジャと運転者とが少なくとも通常動作中に同時にホイールブレーキを操作することはない。運転者はむしろペダルシミュレータに負荷を加えることによって制動設定/制動要求を形成し、この場合、こうした制動設定が、電気的に動作させられるプランジャによってホイールブレーキにおいて実現される。
【0020】
液圧は、例えば、自動車のブレーキシステムのマスタブレーキシリンダにおいて形成可能である。通常このようなマスタブレーキシリンダの液圧的な下流に、2次ブレーキアクチュエータ3が配置されている。このような2次ブレーキアクチュエータ3は、例えば制動圧変調ユニットの液圧機構であり得る。制動圧変調ユニットとは、例えばESPシステムであると理解することができる。
【0021】
ブレーキシステム1は、運転者に依存した制動圧も運転者に依存しない制動圧も供給することができる。
【0022】
制動設定11a,11bが運転者に依存しない場合、当該制動設定は車両のシステム10によって形成される。この場合、通常はシステム側の制動要求が実現される。このようなシステムの例は、特に、登坂走行補助部、渋滞走行部又は自動追従走行部である。ただし、例えば運転者によるブレーキペダルを介したブレーキ操作も、直接には制動作用へ変換されないものの、考慮可能である。システム10は、ここでは、ブレーキシステム1に並列配置されたシステム10、例えば、適当な距離センサ装置及び環境検出センサ装置を備えた運転支援システム、又は、上位のシステム10、例えばブレーキシステム及び運転支援システムを含む若しくは通信手段を介してブレーキシステム及び運転支援システムに接続されて通信する車両全体制御システムであるものとしてよい。
【0023】
制動設定6a,6bが運転者に依存する場合、1次ブレーキアクチュエータ2によって形成される制動圧又は2次ブレーキアクチュエータ3によって形成される制動圧は、運転者による操作要素4の操作、例えばブレーキペダル4の操作に依存する。当該操作は、この場合、1次ブレーキアクチュエータ2及び/又は2次ブレーキアクチュエータ3を用いて対応する制動圧へ変換される。運転者の側からの制動要求設定6a,6bは、例えばジョグダイヤル、スライダ又はレバーなどの他の操作要素4を介して行うこともできる。
【0024】
操作要素4を介した制動設定は、運転者による操作要素4の操作の規模の形態で存在し得るものであり、制御ユニット5により、適当なセンサ装置を用いて算定される。運転者設定を算定するための量は、例えば変位距離及び/又は操作力であり得る。また、運転者設定を算定するための量は、変位距離及び/又は操作力に由来する量であるものとしてもよいし、又は、変位距離及び/又は操作力から導出可能な量であるものとしてもよい。
【0025】
制御ユニット5は、運転者に依存する制動設定を1次ブレーキアクチュエータ2及び2次ブレーキアクチュエータ3のそれぞれの制御装置15及び16へ、すなわち、運転者設定6aの形態で1次ブレーキアクチュエータ2の制御装置15へ、また運転者設定6bの形態で2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16へ転送する。制動設定6a及び6bは同一の量であり、冗長化の目的で、1次ブレーキアクチュエータ2及び2次ブレーキアクチュエータ3のそれぞれへ供給される。
【0026】
さらなるシステム10は、運転者に依存しない制動設定11a及び11bを1次ブレーキアクチュエータ2及び2次ブレーキアクチュエータ3のそれぞれの制御装置15,16へ、すなわち、運転者設定11aの形態で1次ブレーキアクチュエータ2の制御装置15へ、また運転者設定11bの形態で2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16へ転送する。制動設定11a及び11bも同一の量であり、冗長化の目的で、1次ブレーキアクチュエータ2及び2次ブレーキアクチュエータ3のそれぞれへ供給される。
【0027】
運転者に依存する制動設定6a,6bのケースも、運転者に依存しない制動設定11a,11bのケースも、以下においては制動設定として言及する。
【0028】
1次ブレーキアクチュエータ2の制御装置15及び2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16は、通信システム7、例えば通信バス7を介して相互に接続されている。このような通信システム7を介して、関与するブレーキアクチュエータ2,3が相互に直接に信号を交換することができる。ここで、例えば1次ブレーキアクチュエータ2は、エラー状態8を直接に2次ブレーキアクチュエータ3に伝達することができる。1次ブレーキアクチュエータ2が2次ブレーキアクチュエータ3にエラー状態8を伝達すると、例えば、それまで1次ブレーキアクチュエータ2によって又は1次ブレーキアクチュエータ2を用いて実行されていた制動を、2次ブレーキアクチュエータ3が引き受ける及び/又は続行することができる。こうした機能は、ハイドロリックブーストコンペンゼーションHBCとも称される。ここでは、通信システム7を介して、1次ブレーキアクチュエータ2内に存在する制動設定6a,11aを2次ブレーキアクチュエータ3にも伝送し、これに応じて制動圧調整を引き受けさせることができる。
【0029】
しかしながら、通信システム7を介した通信が途絶した場合、又は、この通信にエラーが発生した場合には、もはや、制動設定を当該経路において確実に転送することができない。
【0030】
このため、2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16は、通信システム7を介した通信の途絶を検出し得る監視機能、又は、通信システム7を介してエラーを有する信号が伝送されたことを識別し得る監視機能を含む。エラーを有する信号とは、所定の量に対して設けられている設定された妥当性値範囲を外れる信号を意味するものと理解されたい。同様に、信号の状態が(例えば、セットされたビット又はインデクスによって)妥当ではないものと特徴付けられる又は定義される場合、当該信号がエラーを有する可能性がある。このように、2次ブレーキアクチュエータ3により、1次ブレーキアクチュエータ2との通信における問題を推定することが可能となる。
【0031】
2次ブレーキアクチュエータ3における情報の受信の欠落又は2次ブレーキアクチュエータ3におけるエラーを有する信号の受信には、複数の原因が存在し得る。一方では、1次ブレーキアクチュエータ2の故障が発生し、この故障によって情報を送信することができなくなった可能性がある。他方では、通信システム7自体が例えば機械的な分離に起因してエラーを生じたり又は故障したりした可能性もある。
【0032】
エラー識別、すなわち、通信システムの故障又は1次ブレーキアクチュエータ2の故障への対応付けは、個々のバス接続のみで行うことはできない。
【0033】
以下においては、このようなエラー識別を可能にする方法について説明する。
【0034】
最初は1次ブレーキアクチュエータ2が単独で圧力形成又は圧力調整を担当し、制動設定6a,11a又は6b,11bが1次ブレーキアクチュエータ2及び2次ブレーキアクチュエータ3のそれぞれへ供給されることを前提とする。ここでは、制動設定が1次ブレーキアクチュエータ2及び2次ブレーキアクチュエータ3に直接に供給されることが見て取れる。
【0035】
第1のステップ301においては、2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16において、1次ブレーキアクチュエータ2から通信システム7を介してそもそも情報が受信されるかどうか、又は、通信システム7を介してエラーを有する信号が受信されるかどうかについての監視が行われる。
【0036】
1次ブレーキアクチュエータ2からの信号が欠落している場合又はこの信号がエラーを有する場合には、2次ブレーキアクチュエータ3に供給された制動設定6b,11bに基づく当該2次ブレーキアクチュエータ3の制動圧調整のための駆動を解放する又は阻止する動作モードへの、ブレーキシステムの移行が行われる。
【0037】
まず、通信故障時又はエラーを有する信号の場合、2次アクチュエータ3の駆動を解放することができる(ステップ301a)。この目的のために、2次アクチュエータ3は、ブレーキシステム1に存在する制動圧13を検出して制動設定6b,11bと比較することができる。これは、以下の段落においてさらに説明するように、特性曲線17に基づいて行うことができ、したがって、ここでは当該特性曲線17の説明は省略する。場合により許容範囲を考慮して、制動設定6b,11b及び特性曲線17に基づいて予想される制動圧から制動圧13が偏差している場合、不足している制動圧を2次ブレーキアクチュエータによって印加することができる。圧力13は、2次アクチュエータの制御装置16内につねに読み込まれて存在するので、これにより、第2の制動設定6b,11bに対応する制動圧をつねに調整することができる。この場合、通信システム7を介した通信がもはや不可能であるのか、又は、エラーなしでの2次アクチュエータとの通信がもはや不可能であるのかという、1次ブレーキアクチュエータ2の状態の様子は、判別できていないままであり得る。
【0038】
換言すれば、各ブレーキアクチュエータ2,3は、当該ブレーキアクチュエータ2,3に供給された固有の制動設定6a,11a又は6b,11bでもって制動圧を形成する。2次ブレーキアクチュエータ3は、ここでは、測定された支配的な制動圧13を考慮して所望の制動圧を調整することができる。この場合、1次ブレーキアクチュエータ2は、1次ブレーキアクチュエータ2の内部量を制御することにより制動圧を形成する。その際、1次ブレーキアクチュエータの操作量に関連する制動設定6a,11aを記述する別の特性曲線を用いることができる。ここでの操作量は、例えば、1次ブレーキアクチュエータのロッド距離(例えば1次ブレーキアクチュエータの出力ロッド)、伝動力又はモータ電流であるものとしてよい。調整可能な内部量は形成された圧力に直接に関連しており、このことは、
図4の2つの圧力-体積特性曲線18,19の例に示されている。ブレーキ操作の際にシフトされる体積Vは、関係式V=A*sに従ってロッド距離sに比例し、ここで、Aは、体積がシフトされるシリンダの面積である。示されている2つの圧力-体積特性曲線はそれぞれ例えば前輪及び後輪に対するものであり、前輪ブレーキ及び後輪ブレーキは、それぞれ、1次ブレーキアクチュエータ2により操作されるブレーキシリンダに接続されている。
【0039】
次の方法ステップ302は、通信故障又はエラーを有する信号が検出された直後に行うことができ、すなわち、ステップ301の後又は既述のステップ301aの後に続けることができる。
【0040】
1次ブレーキアクチュエータ2から出た信号が2次ブレーキアクチュエータ3で受信されていないため、又は、エラーを有する信号が2次ブレーキアクチュエータ3で受信されているため、次のステップ302において、2次ブレーキアクチュエータ3に供給された制動設定6b,11bにより、支配的な制動圧13の妥当性検査の形態で付加的な監視を実行することができる。当該監視も、2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16上で実行される。当該監視は、ブレーキシステム1内のどの箇所にエラーが存在するかの検査、換言すればエラー識別に用いられる。
【0041】
2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16内で、1次ブレーキアクチュエータ2を用いて形成された制動圧13が監視される。ここで、1次ブレーキアクチュエータ2を用いて形成された制動圧は、ブレーキシステム1の圧力センサ12を用いて算定することができ、この圧力センサ12は、マスタブレーキシリンダ内で又はブレーキシステム1の他の適当な位置で得られる圧力13を検出することができる。これにより、例えばESPパイロット圧力センサは、マスタブレーキシリンダに対応する信号を供給する。
【0042】
ここで、検出された制動圧は、2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16において、存在している(運転者に依存する又は運転者に依存しない)制動設定6b,11bと比較可能となる。当該比較は、例えば、車両に事前に格納されていた特性マップ又は特性曲線17を用いて行うことができる。ここでの特性マップ又はここでの特性曲線17は、必ずしも車両に固定的に設けられていなくてよく、動作中に更新することもでき、又は、特定の間隔で、例えばパワーオン時若しくは検査時に更新することもできる。同様に、このような特性曲線又は特性マップの適応化も、車両の運転モードの選択を介して実行可能である。したがって、例えば車両内の選択スイッチを介して、車両をスポーツモード及びコンフォートモードで動作させることができる。
【0043】
特性曲線17の一例は、
図2に示されている。
図2には、制動設定6a,6b,11a,11bに依存する制動圧13の特性曲線17の経過が示されている。制動圧13は、制動設定6a,6b,11a,11bが増大するにつれて増大する。こうした特性曲線17は、運転者に依存する制動設定6a,6bと運転者に依存しない制動設定11a,11bとにおいて同一に設定されるものとしてもよいが、相互に異なるものとしてもよい。ここでは、例示的に1つの特性曲線17のみが示されている。
【0044】
図2において説明している制動設定6a,6b,11a,11bと所期の圧力13との間の関係を示す特性曲線17に基づいて、上述した妥当性検査が行われる。この場合、妥当性検査は、特性曲線を中心としたある程度の許容範囲内にある圧力がなおまだ許容可能であると評価され、特性曲線を下回る領域14においてはじめて許容不能となったと評価されるように行うことができる。
【0045】
次のステップ303における妥当性検査に際して、圧力13が測定されないこと、又は、代替的に、調整すべき目標制動圧を設定した制動設定6b,11bが存在しているにもかかわらず、許容可能な圧力13が測定されないことが判明した場合、1次ブレーキアクチュエータ2の周囲の故障が想定される。換言すれば、圧力が全く得られない又は十分な圧力が得られない場合に、1次ブレーキアクチュエータ2に欠陥が存在していることが想定されるべきである。ここで、同様に、バス通信7又は1次ブレーキアクチュエータ2の通信装置におけるエラーも判別される。このことは、1次ブレーキアクチュエータ2の周囲で欠陥が生じた場合、1次ブレーキアクチュエータ2自体が自身の通信装置及びバス通信7を介して相応のエラーメッセージを2次ブレーキアクチュエータ3、特にその制御装置16に送信しなければならないことによるものである。
【0046】
これに続くステップ304においては、相応の代替反応を起動することができる。当該代替反応においては、制動圧が全く存在しない場合、圧力形成が2次ブレーキアクチュエータ3によって完全に引き受けられる。しかし、特性曲線17及びその許容範囲を基準としたときに許容不能である制動圧が存在する場合の代替反応においては、2次ブレーキアクチュエータ3は、制動圧形成又は制動圧調整を少なくとも部分的に引き受け、特性曲線17に対応して存在する制動圧13が、2次ブレーキアクチュエータ3に供給される制動設定6b,11bに対応して調整され又は制御される。制動圧13を調整するために、2次ブレーキアクチュエータによって制動圧信号13を調整することができる。このように、2つのブレーキアクチュエータ2,3による少なくとも部分的な制動圧調整の解放は、妥当性検査に結合させることができ、全ての動作状況で使用されるわけではない。
【0047】
ステップ305における妥当性検査に際して、正しい圧力13が調整されていること、又は、特性曲線17及び存在する許容範囲を考慮して正しい圧力13が調整されていることが示された場合には、バス通信7内のみのエラーが判別される。この場合、1次ブレーキアクチュエータ2は無欠陥であることが想定される。ここでは、代替反応306として、制動圧形成が1次ブレーキアクチュエータ2において維持され、2次ブレーキアクチュエータ3による引き受けは行われない。すなわち、2次ブレーキアクチュエータ3による引き受けが阻止される。上述した方法は、時間的に限定されずに車両内で実行可能でありかつ使用可能である。
【0048】
ここまで説明してきた実施形態においては、制動圧13の監視と、2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16におけるエラー識別とが行われることが前提とされている。
【0049】
他の実施形態においては、1次ブレーキアクチュエータ2を用いて形成され、2次ブレーキアクチュエータ3及び対応する制動圧センサ12を用いて算定された制動圧13が制動設定6b,11bに適合するかどうかの分析が、2次ブレーキアクチュエータ3の制御装置16とは異なる制御装置上で行われることも可能である。同様に、説明している方法の他のステップを別の制御装置上で動作させることもできる。さらに、所定の方法ステップを制御装置上で動作させ、他のステップを少なくとも1つの別の装置上で動作させることもできる。この目的のためには、関与する制御装置に必要な信号を供給しなければならない。
【0050】
一方では、車両内に設けられている別の制御装置、例えば、本来は運転者支援機能を担当する制御装置10、又は、代替的に、例えば、車両の中央コンピュータである上位の制御装置が、方法ステップを少なくとも部分的に引き受けることができる。別の制御装置上で分析を実行するために必要となるデータ、例えば制動圧13及び制動設定6b,11bは、適当な通信チャネルを介して、例えば通信ネットワーク7(バスシステム)を介して、また同様に車両内の無線データ伝送を介して、別の制御装置10へ供給することができる。
【0051】
同様に、達成された制動圧13が制動設定6b,11bに対応しているかどうかの分析を行うこと、及び、車両外部において、例えば車両外部の制御装置21内又は車両外部のコンピュータ内で、当該車両外部の制御装置21又は車両外部のコンピュータが車両の対応するデータへアクセスして別の方法ステップを実行することも考えられる。ここでのデータは、得られた制動圧13及び制動設定6b,11bである。この場合、このために、制動要求設定6b,11bを車両外部の制御装置21又はコンピュータへ直接に供給することもできる。また、制動設定6b,11bを引き続き2次ブレーキアクチュエータ3へ供給し、2次ブレーキアクチュエータ3から車両外部の制御装置21又は車両外部のコンピュータへ伝達することも可能である。この場合、車両外部の制御装置、例えばクラウドへのデータ伝送は、適当な通信手段、例えばインターネットを介したデータ接続によって行うことができる。
【0052】
ここで、第1の実施形態に示したような、1次ブレーキアクチュエータ2が故障した場合の代替反応は、(車両内の別の制御装置10の場合でも、車両外部の制御装置21又は車両外部のコンピュータの場合でも)2次ブレーキアクチュエータ3によって引き続き実行することができる。同様に、1次ブレーキアクチュエータ2がなおまだ部分的に制動圧を形成している場合に、2次ブレーキアクチュエータ3による部分的な代替反応を実行することもできる。換言すれば、第1の実施形態において既に説明したように、目標制動圧と1次ブレーキアクチュエータによって形成された制動圧との間の差が、2次ブレーキアクチュエータ3によって補償される。
【0053】
ブレーキシステム1が、液圧式の調整素子又はアクチュエータのほかに、すなわち、1次ブレーキアクチュエータ2及び2次ブレーキアクチュエータ3に加えて、別のブレーキ要素を含む場合、これらのブレーキ要素も同様に代替反応のために使用することができる。このような別のブレーキ要素は、例えば、電気的に動作可能なパーキングブレーキ、制動すべき少なくとも1つの車輪に配置された電動ブレーキ、又は、回生時に制動作用を発生させる電気車両若しくはハイブリッド車両のジェネレータであり得る。代替反応のために別のブレーキアクチュエータ、例えばパーキングブレーキ、ジェネレータ又は電動ブレーキを利用する場合、状況によっては、1次ブレーキアクチュエータ2及び2次ブレーキアクチュエータ3からの液圧の共通の圧力調整を部分的にのみ行うことができる。この場合、別の調整素子への完全な補完寄与又は少なくとも付加的な補完寄与が考慮されなければならない。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制動設定(6a,11a)を起点として駆動される、第1の制御装置(15)を有する1次ブレーキアクチュエータ(2)と、第2の制御装置(16)を有する2次ブレーキアクチュエータ(3)とを備えたブレーキシステム(1)を動作させるための方法であって、
-前記第1の制御装置(15)と前記第2の制御装置(16)及び/又は別の制御装置(10,21)とが、通信手段(7)を介して相互に接続されており、
-前記第2の制御装置(16)及び/又は前記別の制御装置(10,21)を用いて、
・前記第2の制御装置(16)及び/又は前記別の制御装置(10,21)で前記第1の制御装置(15)からの信号が受信されるかどうか、又は、
・前記第2の制御装置(16)及び/又は前記別の制御装置(10,21)で前記第1の制御装置(15)から受信された信号がエラーを有するかどうか
が検査され、
-前記第1の制御装置(15)の側からの信号が欠落している場合又はエラーを有する場合、
・第2の制動設定(6b,11b)に基づく前記2次ブレーキアクチュエータ(3)の駆動が解放され又は阻止される、
ブレーキシステム(1)を動作させるための方法。
【請求項2】
前記1次ブレーキアクチュエータ(2)の駆動が、前記第1の制動設定(6a,11a)に基づいて、前記第1の制動設定(6a,11a)と前記1次ブレーキアクチュエータ(2)の調整すべき内部制御量との関係、特に前記1次ブレーキアクチュエータ(2)のロッド距離、伝動力又はモータ電流との関係に対応する第1の特性曲線(18,19)を介して行われる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の制御装置(16)及び/又は前記別の制御装置(10,21)を用いてエラー識別が実行され、代替反応が開始される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記エラー識別のために、
-前記第1の制動設定(6a,11a)に基づいて前記1次ブレーキアクチュエータ(2)を用いて調整された制動圧(13)が、前記第2の制御装置(16)を用いて又は前記別の制御装置(10,21)を用いて読み込まれ、
-前記第2の制御装置(16)又は前記別の制御装置(10,21)を用いて、前記第2の制御装置(16)又は前記別の制御装置(10,21)に存在する前記第2の制動設定(6b,11b)につき算定された前記制動圧(13)の妥当性検査(302)が行われる、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記妥当性検査(302)は、前記制動圧(13)と前記第2の制動設定(6b,11b)との間の関係を定めた第2の特性曲線及び/又は特性マップ(17)に基づいて行われる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の制動設定(6a,11a)と前記第2の制動設定(6b,11b)とは同一であり、特に、前記第1の制動設定(6a,11a)と前記第2の制動設定(6b,11b)とは同一の供給源(4,5,10)に由来する、
請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記妥当性検査(302)の際に圧力(13)又は予想される圧力(13)が識別されなかった場合、前記エラー識別の範囲において、前記1次ブレーキアクチュエータ(2)の欠陥を示す第1のエラー状態が設定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のエラー状態として、付加的に、前記通信手段(7)の周囲におけるエラー又は前記1次ブレーキアクチュエータ(2)の通信装置におけるエラーが示される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
代替反応(304)としての、前記第2の制動設定(6b,11b)に基づく前記2次ブレーキアクチュエータ(3)の駆動の解放は、
-前記妥当性検査の範囲において圧力が全く識別されなかった場合、前記2次ブレーキアクチュエータ(3)による制動圧調整の完全な引き受けによって行われ、
-予想される圧力(13)が識別されなかった場合、特に圧力(13)と制動設定(6b,11b)との間の特性曲線(17)の許容範囲内の予想される圧力が識別されなかった場合、制動圧調整の少なくとも部分的な引き受けによって行われる、
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記妥当性検査(302)の際に、予想される圧力(13)、特に圧力(13)と制動設定(6b,11b)との間の特性曲線(17)の許容範囲内の予想される圧力(13)が識別された場合、前記エラー識別の範囲において、前記通信手段(7)におけるエラーを示す第2のエラー状態が設定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項11】
代替反応(306)としての前記2次ブレーキアクチュエータ(3)による圧力調整が阻止され、引き続き前記1次ブレーキアクチュエータ(2)による圧力調整が行われる、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ブレーキシステム(1)であって、第1の制御装置(15)を有する1次ブレーキアクチュエータ(2)と、第2の制御装置及び/又は別の制御装置(16,10,21)を有する2次ブレーキアクチュエータ(3)とを備え、前記制御装置は、請求項
1に記載の方法を実施するように構成されている、ブレーキシステム(1)。
【国際調査報告】