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特表2025-500492特に横方向曲率を有する、非平坦輪郭を創出する鑢
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】特に横方向曲率を有する、非平坦輪郭を創出する鑢
(51)【国際特許分類】
   B24D 15/02 20060101AFI20241226BHJP
   B24D 18/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B24D15/02 Z
B24D18/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538319
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022087527
(87)【国際公開番号】W WO2023118459
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021215021.7
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524236552
【氏名又は名称】エルトル ローター
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】エルトル ローター
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063AB10
3C063BA24
3C063EE40
(57)【要約】
本発明は、工作物(11)に、特に横方向曲率を有する、非平坦輪郭を創出する鑢(1)であって、長手軸(3)と、砥粒加工表面(8)を有する少なくとも1つの鑢要素(5,6)と、非砥粒滑り面(9)を有する深さストッパ要素(7)と、を含み、前記少なくとも1つの鑢要素(5,6)及び前記深さストッパ要素(7)が、前記長手軸(3)と垂直に指向する平面において互いに隣接して配置されている鑢(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物(11)に、特に横方向曲率を有する、非平坦輪郭を創出する鑢(1;1a;1b;1c;1d)であって、
a. 長手軸(3)と、
b. 砥粒加工表面(8)を有する少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)と、
c. 非砥粒滑り面(9)を有する深さストッパ要素(7;7a;7b;7c;7d)と、を含み、
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)及び前記深さストッパ要素(7;7a;7b;7c;7d)が、前記長手軸(3)と垂直に指向する平面において互いに隣接して配置されている、鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)及び前記深さストッパ要素(7;7a;7b;7c;7d)が、互いに、特に2つ一組で、接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項3】
前記砥粒加工表面(8)が凹形であるように設計され、特に、特に前記工作物(11)の元々の曲率半径(R)より大きい、曲率半径(R)を有する曲率を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)は前記長手軸(3)に沿って外形を造られている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項5】
前記加工表面(8)及び/又は前記滑り面(9)の輪郭が前記長手軸(3)に沿って一定である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項6】
前記深さストッパ要素(7a;7b;7c;7d)が、前記少なくとも1つの鑢要素(5a;6a;5b;5c;5d)を挿入するための少なくとも1つの凹部(19;19d)が配置される鑢基体(2a;2b;2c;2d)を形成する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項7】
特に前記少なくとも1つの凹部(19;19d)に、前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)を保持する保持要素(24;24c;24d)を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)が、特に前記保持要素(24;24c;24d)の係合を保持するために、調節溝(22;22c)を有し、前記調節溝(22;22c)は、特に鑢(1;1a;1b;1c;1d)の前記深さ方向(16)に沿って、延在する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項9】
前記調節溝(22;22c)は、鑢(1;1a;1b;1c;1d)の前記深さ方向(16)に可変溝深さ(T)を有する、ことを特徴とする請求項8に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項10】
前記調節溝(22;22c)が、前記深さ方向(16)と垂直な平面においてV形溝プロフィールを有する、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項11】
前記加工表面(8)の最下点(M)が前記滑り面(9)によって定められる平面(17,18)内に位置する又は前記深さ方向(16)における垂直距離だけ前記平面(17,18)から後退するように、前記少なくとも1つの鑢要素(5a;6a;5b;5c;5d)が前記鑢基体(2a;2b;2c;2d)に配置され、前記距離が特に1.0mmより小さい、特に0.7mmより小さい、特に0.5mmより小さい、特に0.3mmより小さい、特に0.1mmより小さい、及び特に0.001mm以上である、ことを特徴とする請求項6~10のいずれか一項に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの鑢要素(5a;6a)が、特に圧縮ばね(21)によって、前記深さ方向(16)に機械的に予め負荷を加えて前記鑢基体(2a)に配置される、ことを特徴とする請求項6~11のいずれか一項に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの鑢要素(5a;6a;5b)は、特に並進ねじによって、特に並進細目ねじによって、前記深さ方向(16)に調節可能であるように前記鑢基体(2a;2b)に配置される、ことを特徴とする請求項6~12のいずれか一項に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの鑢要素(6e;6f)がマルチピースで設計され、特に鑢保持要素(35)及び当該鑢保持要素(35)で保持された鑢インサート要素(36)を含む、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6)が、前記深さストッパ要素(7)が固定される、特に凹部に挿入される鑢基体(2)を形成し、特に前記非砥粒滑り面(9)が少なくとも部分的に凸状であるように設計され、特に、特に局所的な、極値(E)、特に最大値を有し、特に前記極値(E)が、互いに向かい合う前記砥粒加工表面(8)の輪郭端部位置(C,D)によって定義される仮想接続線(10)と垂直に指向する深さ距離(t)を有し、及び/又は特に前記非砥粒滑り面(9)の輪郭が、前記長手軸(3)に垂直に指向する幅(B)を有し、当該幅が特に最大0.2mm、特に最大0.15mm及び特に0.01mm~0.1mmである、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、独国特許出願DE102021215021.7の優先権を主張し、その内容は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、特に横方向曲率を有する、非平坦輪郭を工作物に創出する鑢(やすり)に関する。
【背景技術】
【0003】
弦楽器、特に指板(鍵盤)を有する撥弦楽器の製造において、撥弦楽器を弾くときに弦を押さえることであるピッチを決定するために、いわゆるフレットバーが、スケール長さに依存して、ブリッジに向かってある均等に減少する距離を隔てて指板に取り付けられる。スケール長さは、指板の上端にあるナットと、楽器の共鳴板上のブリッジのブリッジインレーとの間の無拘束弦の長さである。ナットから第1フレットまでの距離は、17.817の除数・約数によってスケール長さの長さを割ることで計算される。この距離は、スケール長さ及び17.817の同じ除数で割られた結果から引かれる。これは、第1フレットから第2フレットまでの距離を与える。他の距離も対応的に計算できる。
【0004】
フレットバーは、棒状に構成されて、指板に固定される、すなわちそれらの横方向に湾曲した領域を除いてある位置で指板に沈み込んでおり、よってフレットバーが指板に沿って異なって突出しないようにデコレーションされている。デコレーションの結果、フレットバーの元々丸い外郭が影響を受ける。デコレーション工程によって創出されるフレットバーレベルを保持しながら丸い外郭を後で復元することは、時間を食い、複雑であるが、一方で望まれないブーンという音を回避し、他方で指板と垂直に伸びるフレットバーの横断面中央と、それらによって定められるピッチを保持するために絶対必要である。デコレーション工程によって創出されるフレットバー高さレベルのどんなアンダーカットも回避されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、工作物に既に創出された高さレベルを維持しながら、特に横方向曲率を有する非平坦輪郭を工作物、特にフレットバータイプの工作物に創出することを単純化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1に記載の特徴を有する鑢によって達成される。
【0007】
本発明の本質は、鑢が、砥粒加工表面(abrasive machining surface)を有する少なくとも1つの鑢要素と、非砥粒滑り面(non-abrasive sliding surface)を有する深さストッパ要素を有することである。
【0008】
非砥粒滑り面が本発明に従う鑢に設けられるために、この領域における望まれない材料除去が工作物の加工(機械加工)の間防止されることが保証される。鑢の非砥粒領域は深さストッパとして機能する。
【0009】
これは、飾り付け工程によって創出されるフレットバー高さが指板に係留されたフレットバーにて意図せずに減少することを防止する。しかしながら、少なくとも1つの砥粒鑢要素のために、フレットバーの残りの輪郭を加工することが可能である。このタイプのフレットバーが、鑢で加工できる工作物を形成する。特に、フレットバーは元々、飾り付けの結果、弱められた、特に平坦になった、丸みを帯びた外郭を有する。本発明に従う鑢によって、特に丸い曲率及び/又は横方向曲率を有する非平面輪郭を作ることができる。特に、製造可能な工作物の輪郭は、加工表面の輪郭に依存して可変に決定可能である。工作物の長手軸と垂直な平面において、輪郭はn桁のスプライン、特に4桁のスプラインである。
【0010】
加工すべき工作物は元々、多角形の外郭、特に三角形の断面も有する。
【0011】
鑢はさらに、多数の、特に少なくとも2つの、特に正に2つの鑢要素を含んでもよい。鑢はさらに、多数の深さストッパ要素を含んでも良い。複数の鑢要素及び/又は複数の深さストッパ要素は互いに組み合わされ、深さストッパ機能を有する鑢を形成する。
【0012】
少なくとも1つの鑢要素および少なくとも1つの深さストッパ要素は、特に、互いに取り外し可能に接続される。これにより、少なくとも1つの鑢要素及び/又は少なくとも1つの深さストッパ要素を交換することが容易になる。それに変えて、少なくとも1つの鑢要素及び少なくとも1つの深さストッパ要素を互いに分離不能に接続することが可能である。分離不能は、それら要素が破壊的にのみ分離されることを意味する。それら要素が分離不能に接続されると、鑢は特に堅牢に構成される。
【0013】
少なくとも1つの鑢要素は、特に工具材料で、特に鉄鋼(スチール)で、特に工具鋼で作られている。他の工具材料も可能であり、特にアルミニウム材料である。砥粒加工表面は、特にダイアモンド被覆及び/又はサファイア被覆を備えている。しかしながら、砥粒加工表面はさらに、他のタイプの被覆を用いて設計されても良く、追加的に又は代替的に特に規則的に又は不規則に配置された隆起及び窪みを有する表面構造を有し得る。特に、砥粒加工表面は粗削りされ、特に手で粗削りされる。
【0014】
少なくとも1つの深さストッパ要素は、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリイミド(PI)などの、特に高強度材料で、特に高強度で、加工可能な高性能な及び/又はエンジニアリングプラスチック材料でできている。
【0015】
非砥粒滑り面は、それが特に砥粒・研磨剤コーティングがなく、特に深さストッパ要素の基材によって形成されるように、設計される。深さストッパ要素の基材は、TiAlNなどの層状材料であってよい。非砥粒加工表面は滑らかであるように構成される。滑り面は研磨されても良い及び/又は光沢があっても良い。滑り面は、最大0.4μm、特に最大0.2μm、特に最大0.1μm、特に最大0.05μm、特に最大0.025μmの計算中央粗さ値Raを有する。
【0016】
特に、2つの外側鑢要素は同一に設計され、鑢基体の長手軸を有する中央平面に関して互いに鏡面対称に配置される。2つの異なる鑢要素が鑢基体を作るために提供される必要があるだけなので、これは鑢の製造を単純化する。
【0017】
少なくとも1つの鑢要素及び深さストッパ要素が長手軸と垂直に指向する平面内で互いに隣接して配置される事実のために、フレットバーの加工が簡単化される。鑢は、少なくとも1つの鑢要素によってフレットバーに直接置かれ得、フレットバーはしたがって加工され得る。深さストッパ要素は加工すべきフレットバーに又は横に隣接するフレットバーに直接載る点で、深さストッパ要素は、深さ方向におけるフレットバーの意図しない加工を防止する。特に、少なくとも1つの鑢要素と深さストッパ要素は、長手軸に沿って互いに基本的に平行に及び特に長手軸に沿って互いに平行に指向される。少なくとも1つの鑢要素と深さストッパ要素は、長手軸と垂直に指向する平面内で、互いに距離を隔てて、特に長手軸と垂直に指向する距離を隔てて、配置されている。
【0018】
請求項2に従う鑢は、鑢基体の安定した構造を保証する。鑢の製作及び製造が簡単化される。少なくとも1つの鑢要素と深さストッパ要素が互いに独立して製造され得、特に加工表面が設計され得る。この製造後に、少なくとも1つの鑢要素が別な鑢要素に及び/又は深さストッパ要素に接続される、特に互いにしっかり接続される。接続は、特にねじやクランプによって、取り外し可能である。接続はまた、例えば接着(糊付け)、はんだ付け又は溶接によって、分離不能に構成され得る。接着は、特にエポキシ樹脂に基づく二液型構造接着剤によって実行される。
【0019】
特に、鑢要素間の接続が、確動係止によって、例えばそれら鑢要素を互いに実継ぎ原理に従って鑢の長手軸に沿って又は長手軸に対してある傾斜角でスライドさせることで、特に追加的に、改善され得る。
【0020】
請求項3に従う鑢は、工作物への横方向曲率の製造を簡単化する。特に、砥粒加工表面が全体的に実質的に凹形であり、特に全体的に曲率、特に一定の曲率を有する。これは、鑢がけ運動の間の鑢の対称的な自己調整を可能とし、横方向曲率と特に丸みを取り戻す。指板への元々の丸みの極大値を通る測鉛線(plumb line)と指板への平坦になった工作物の中心を通る測鉛線は、一致する傾向がある。砥粒加工表面の曲率半径が工作物の元々の曲率半径より大きいと有利である。
【0021】
特に、砥粒加工表面の曲率は円の一区分として設計され、中心点に対して少なくとも30°、特に少なくとも35°、特に少なくとも40°、特に少なくとも45°、特に少なくとも50°、特に少なくとも60°、特に最大85°の開口角度を有する。
【0022】
凹形の砥粒加工表面を連続的な曲率を用いずに設計することが追加的に又は択一的に可能である。少なくとも1つの以下の基準が凹形輪郭に合うと、特に以下の基準の全てが合うと有利であると判明した。第1基準は、加工表面の2つの軸方向に延びるエッジ領域の間の横方向距離に関連する。この距離はフレットバーの幅よりも大きくなければならない。第2基準は凹形輪郭の対称性に関連する。輪郭は偶実関数の特性を有する。これは、凹形輪郭が対称面に関して鏡面対称であるように構成され、対称面がフレットバーの幅と垂直に指向し、鑢の長手軸を含むことを意味する。改良されたフレットイントネーションを有するフレットバーを製造することが可能である。凹形輪郭の中央領域では、それは比較的尖って構成され得る。第3基準は、フレットバーの極大値の配置に関する。フレットバーの完全な丸み付けの後、その極大値はフレットバーの表面までよりも、鑢要素の軸方向に延びるエッジ領域の近くに配置されなければならない。これは、フレットバーの最大値から鑢要素の底面までの付加方向の距離がフレットバーの極大値から指板の表面までの深さ方向の距離より小さいことを意味する。
【0023】
特に、加工表面は少なくとも部分的に凹形である。例えば、輪郭はまた、部分的に凸状、特に釣鐘曲線の形状であってもよい。釣鐘曲線は複数の、特に2つの変曲点(turning point)を有する。凹形曲線が鋭い縁の、すなわち不連続なステップのない平行なエッジ領域によって横に制限される(画定される)と有利である。
【0024】
追加的に又は択一的に、V形凹部が実質的に設けられ、凹部が底部で丸みを帯びているように、加工表面はまた設計され得る。このような凹部の製造は簡単である。
【0025】
請求項4に従う鑢は、頑強に設計され、有利な、すなわち簡単化された態様で製造され得る。
【0026】
請求項5に従う鑢は、操作において有利であり、頑強な設計を有し、鑢基体の簡単な製造を可能にする。
【0027】
請求項6に従う鑢は、個々のフレットバーの有利な修理を可能とし、それらは丸み付けられ得、全ての、特に隣接するフレットバーが予め整えられる必要なくそれらのレベルを維持することができる。深さストッパ要素の滑り面が加工すべきフレットバーの外側に、特に隣接するフレットバーの領域に配置され得ると有利であることが確認された。これは、鑢の設計及び構造を簡単化する。製造努力が低減される。深さストッパ要素は、少なくとも1つの鑢要素が挿入される少なくとも1つの凹部を備えた鑢基体を形成する。特に、少なくとも1つの鑢要素は鑢基体の底面に埋め込まれる。少なくとも1つの鑢要素は中空鑢として設計される。
【0028】
鑢基体は特に正確に製造され、特に細粉砕され、特にすりつぶされ、特に滑り面を形成する平坦なスライド可能な底面によって研磨される。滑り面はスライド面(sliding face)とも呼ばれる。個々のフレットバーの局所断面最大値によって定められる平面において、鑢基体は、特に指板上の2つの隣接するフレットバーの間の2つの距離の合計より大きい鑢基体長さに沿って延びる。特に、鑢基体は、加工の初めに加工されているフレットバーに隣接されて配置された少なくとも1つの又は複数のフレットに最初に載るように、寸法決めされる。加工の初めに、滑り面は、特に非ばね式鑢要素の場合、滑り面によりまだ到達され得るフレットバーにのみ最初に載る。滑り面がフレットバーの加工の間に、特に加工の終わり頃に少なくとも2つの隣接するフレットバーに載り、作業方向にスライド式に移動する事実のために、望まれない材料除去が確実に防止される。
【0029】
特に、2つの鑢要素が鑢基体に配置されることが考えられる。特に、鑢要素は実質的に同一の幾何学形状を有するが、異なるグリットサイズ(粒サイズ)を有し得る。このタイプの鑢は、例えばまず粗めのグリットの鑢要素で予め加工し、次により細かいグリットの鑢要素での仕上げによって、工作物の加工を簡単化する。2つの鑢要素の1つが摩耗、損傷及び/又は破壊したとしても鑢が使用し続けられるように、2つの鑢要素に同一のグリットサイズを備えることも考えられる。
【0030】
請求項7に従う鑢は、鑢要素の鑢基体への確実な固定・締結を保証する。保持要素によって、鑢要素が確動係止によって及び/又は摩擦係止によって保持され得る。特に、保持要素はねじとして、特に締め付けねじとして、特にボール頭ねじの形態で、通しボルト又は特に並進ねじ山を有する並進ねじとして、設計される。
【0031】
請求項8に従う鑢は、少なくとも1つの鑢要素の確実な保持を可能とする。少なくとも1つの鑢要素が複数の、特に正に2つの保持溝を有すると有利である。これにより、特に、鑢要素の鑢基体上の微調整に関する利益が得られる。
【0032】
請求項9に従う鑢は、少なくとも1つの鑢要素の意図しない紛失を防止し、特に保持要素による少なくとも1つの鑢要素の確実な締め付けを保証する。
【0033】
請求項10に従う鑢は、保持要素による鑢要素の軸方向の固定を可能とする。
【0034】
請求項11に従う鑢は、有利な工作物加工を可能とする。加工表面の最下点が滑り面により定められる平面に対して深さ方向に後退するような、鑢基体に対する少なくとも1つの鑢要素の配置が、材料はみ出しが加工後に加工すべきフレットバーに残ることを保証する。ゆえに、後退配置は、少なくとも1つの鑢要素が比較的大きい粗さ深さを有する鑢に特に適しており、すなわち事前加工又は荒削りのために使用される。したがって、滑り面の平面における最下点の配置が、特に後加工のために、特に仕上げ削り又は微細加工のために使用される、細かい又は小さい粗さ深さを有する鑢にとって有利である。結局、フレットバーはその全長に沿って後加工鑢によって加工され得、それによりその局所断面最大値が滑り面によって定められる平面内に位置する。
【0035】
請求項12に従う鑢は、製造公差の簡単な自動補償を可能にし、それは、特に鑢要素がダイアモンド被覆を備える場合に、特に鑢要素によって生じ得る。
【0036】
請求項13に従う鑢は、微調整による鑢基体に対する少なくとも1つの鑢要素の狙い通りの位置決めを可能とする。
【0037】
請求項14に従う鑢要素の製造は、特に費用効率が高い。鑢要素が果たす様々な機能が互いから分離され得ることが判明した。鑢要素の保持機能は、特に鑢保持要素によって果たされる。有利には、鑢保持要素は、鑢基体に保持され得、そこに取り付けられ得る。特に、鑢保持要素は、鑢基体に保持され及び/又は固定されるための対応する設計特性を用いて設計される。特に、鑢保持要素をダイアモンド被覆などの研磨表面を有する材料で作る必要がないことが判明した。鑢保持要素は、比較的費用効率の高い材料から及び/又は比較的に機械的に加工しやすい材料から作られ得る。
【0038】
特に、鑢インサート要素は鑢保持要素上に及び/又は鑢保持要素内に保持される、及び/又はそこに取り付けられる。鑢インサート要素は、工作物を加工するために使用される研磨表面を有する。鑢インサート要素は鑢保持要素によって保持されるので、鑢インサート要素の特別な設計特性はなくて済む。鑢インサート要素は、比較的簡単な幾何学形状で設計され得、ゆえに高い費用効率で製造可能である。特にダイアモンド被覆を有する、特別な材料が鑢インサート要素のために使用され得る。
【0039】
請求項15に従う鑢は、確実な深さストッパ機能を保証する。非砥粒加工表面の輪郭が少なくとも部分的に凸状に構成される事実のために、特に砥粒加工表面に関して突出した突起が中央鑢要素に形成される。ゆえに非砥粒領域における加工表面の輪郭は、極値、特に極大値を有する。
【0040】
特に、2つの曲率が共通曲率中心を有する、すなわち特に深さストッパ要素によって中断されるだけの共通曲率を形成する、外側鑢要素が鑢基体に配置される。
【0041】
極値が互いに向かい合う砥粒加工表面の輪郭端部位置によって定められる仮想接続線と垂直に指向する深さ距離を有する鑢は、意図しない材料除去がより確実に防止されることを保証する。深さ距離は、特に少なくとも0.02mm、特に少なくとも0.04mm、特に少なくとも0.05mmである。特に、長手軸に垂直に、特に鑢基体の中央平面に垂直に指向する幅に対する深さ距離は、幅の半分から5倍である。
【0042】
非砥粒滑り面の輪郭が長手軸と垂直に指向する最大0.3mmの幅を有する鑢は、鑢が工作物に対して傾斜しているときに望まれない材料除去が回避されることを保証する。幅は特に0.01mm~0.1mmである。
【0043】
特許請求項に記載の特徴と本発明に従う鑢の実施形態の以下の記載の両方ともそれぞれ、それら自体で又は互いに組み合わせて、本発明に従う主題をさらに具体化するのに適している。特徴のそれぞれの組み合わせは本発明の主題のさらなる発展に関して何ら制限を示さず、基本的に単なる例示にすぎない。
【0044】
本発明の付加的な特徴、有利な実施形態及び詳細は、図面に関連して例示の実施形態の以下の記載に示される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】鑢基体の長手軸に垂直な平面における本発明に従う鑢を通る断面を示す図である。
図2図1における詳細IIの拡大詳細図を示す図である。
図3】鑢基体が深さストッパ要素を形成する第2例示実施形態に従う鑢の平面図を示す図である。
図4図3における切断線IV-IVに従う断面表現を示す図である。
図5図3及び4における鑢の側面図を示す図である。
図6図3における鑢の鑢要素の側面図を示す図である。
図7図6における切断線VII-VIIに従う断面表現を示す図である。
図8】第3例示実施形態に従う鑢の下からの眺めを示す図である。
図9図8における切断線IX-IXに従う断面図を示す図である。
図10】通しボルトを有する第4例示実施形態に従う鑢の側面図を示す図である。
図11】分解されたねじ及び鑢要素を有する図10の鑢の鑢要素の側面図を示す図である。
図12】並進ねじを有するねじを備えた第4例示実施形態に従う鑢の拡大断面図を示す図である。
図13】さらなる実施形態に従う図6に対応する他部品鑢要素の眺めを示す図である。
図14図13に従う鑢要素の側面図を示す図である。
図15図13における切断線XV-XVに従う断面図を示す図である。
図16】さらなる実施形態に従う図13に対応する鑢要素の眺めを示す図である。
図17図16における切断線XVII-XVIIに従う断面図を示す図である。
図18】さらなる例示実施形態に従う鑢の斜視図を示す図である。
図19図18における切断線XIX-XIXに従う断面表現を示す図である。
図20図18における鑢の鑢保持要素容器の平面図を示す図である。
図21図20における切断線XXI-XXIに従う断面表現を示す図である。
図22図18における鑢の鑢保持要素ガイドの平面図を示す図である。
図23図18における鑢の保持要素の拡大断面表現を示す図である。
図24】さらなる例示実施形態に従う鑢の鑢保持要素の平面図を示す図である。
図25図24における切断線XXV-XXVに従う断面表現を示す図である。
図26図24における鑢の鑢インサート要素の横断面表現を示す図である。
図27】さらなる例示実施形態に従う可変長さを有する鑢の鑢基体の平面図を示す図である。
図28図27における切断線XXVIII-XXVIIIに従う断面図を示す図である。
図29】表面調節可能な鑢基体を有する図27に一致する断面表現を示す図である。
図30】可変的に調節可能な圧縮ばね予負荷を有するさらなる例示実施形態に従う図27に対応する鑢基体の断面表現を示す図である。
図31】さらなる例示実施形態に従う幾つかの鑢要素を有する鑢の平面図を示す図である。
図32図31における切断線XXXII-XXXIIに従う断面表現を示す図である。
図33図31における切断線XXXIII-XXXIIIに従う断面表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
全体として1で表される図1及び2に示される鑢が、鑢基体2と、鑢基体2に取り付けられた鑢ハンドルを含む。鑢ハンドルは、図の平面の外側に配置され、図1には示されていない。鑢1はまた鑢ハンドルを用いずに設計され得る。鑢1は鑢基体2で直接把持され、これがより正確な作業を可能にする。
【0047】
鑢基体2は、図1に示される平面と垂直に指向した長手軸3と、長手軸3を含む中央平面4を有する。
【0048】
鑢基体2は、図1に示される図面において隣同士に配置された2つの鑢要素5,6によって形成される。鑢要素5,6は特に工具材料で、特に鋼材で、特に工具鋼で、又はそれに変えてアルミニウム材料で作られている。鑢要素5,6は互いにしっかり接続され、例えば共に接着される。特に、2つの鑢要素5及び6の間のそれぞれの接触面は接着面(bonding surfaces)として機能する。接着は、大きな面積にわたって、特に表面全体にわたって行われ得る。このような接着接続は安定的で、特に互いに関して鑢要素の高い位置精度で可能である。特に、2つの鑢要素は2つ一組で互いにしっかり接続される。
【0049】
鑢基体2は、2つの鑢要素5,6の間にスロット型凹部を有する。図示の例示実施形態によれば、スロット型凹部は描写領域全体にわたって延びる。鑢要素5,6が描写領域の外側にある共通の接触面を有することが考えられる。鑢要素5,6はこれら接触面で共に接着され得る。それに代えて、スロット型凹部を有する鑢基体2が一体に製造されること、すなわちスロット型凹部が組み込まれた単一の鑢要素のみからなることが考えられる。
【0050】
鑢基体2は、中央平面4に関して鏡面対称であるように構成される。鑢基体2はプロフィール状設計を有し、長手軸3はプロフィール長手軸に一致する。鑢要素5,6は特に同一に設計され、中央平面4に関して互いに鏡面対称に配置される。
【0051】
2つの外側の鑢要素5,6は、工作物を加工するために使用される砥粒加工表面8を有する。図示の例示実施形態では、砥粒加工表面8はダイアモンド被覆により形成される。
【0052】
深さストッパ要素7が鑢基体2に、特にスロット型凹部に配置される。深さストッパ要素7は特に鑢要素5,6の間に及び特に中央平面4に関して同軸に配置される。
【0053】
深さストッパ要素7は、特に被覆されずに設計された非砥粒滑り面9を有する。非砥粒滑り面9は、特に深さストッパ要素7の基材により、特に鋼材により、特に工具鋼により形成され、研磨され及び/又は艶出しされて設計される。
【0054】
砥粒加工表面8はそれぞれ、特に連続的に、凹形であるように設計され、曲率半径Rを有する曲率を有する。砥粒加工表面8はそれぞれ、曲率半径Rを有する円セグメント輪郭を有し、位置A~C及びD~Bの間で伸びる。湾曲輪郭の中央位置Mに関するそれぞれの開き角度αは、図示の例示実施形態によれば略45°である。中央位置Mは中央平面4内に配置される。
【0055】
非砥粒滑り面9の輪郭は、特に図2に従う詳細図に示されている。非砥粒滑り面9の輪郭は少なくとも部分的に凸状であり、特に完全に凸状である。非砥粒滑り面9は湾曲して構成され、位置C及びDで砥粒加工表面8に対して捩じれのない移行部を有する。仮想接続線10が、砥粒加工表面8の端部位置C及びDによって定義される。接続線10に関して、非砥粒滑り面9は、極値E、特に接続線10に関して深さ距離tを有する極値を有する。深さ距離tは接続線10と垂直に指向する。極値Eと鑢要素5,6で架けられるスプラインの極値が一致する場合、小さい隙間が鑢1の長手軸3と平行に生じ得る。これら隙間によっても、砥粒加工表面8と非砥粒滑り面9の間の捩じれのない移行部が本願の意義の範囲内で設けられる。
【0056】
極値Eは中央平面4に配置される。特に、非砥粒滑り面9の輪郭は中央平面4に対して鏡面対称であるように構成される。極値Eは加工表面から、特に砥粒加工表面8から突出する。極値Eは、鑢1のための深さストッパとして、すなわち鑢1の工作物への接触線として機能する。
【0057】
深さストッパ要素7と、したがって非砥粒滑り面9は、長手軸3に垂直に指向する、特に中央平面4に垂直に指向する幅Bを有し、それは特に最大0.3mmであり、特に0.01mm~0.1mmである。
【0058】
図1では、工作物11が鑢1の下に示されており、弦楽器、特に撥弦楽器12の指板領域にフレットバーとして配置されている。撥弦楽器12の指板領域は指板13を含む。フレットバー11は、中心点Mに対して曲率Rを有する湾曲した輪郭を有する。中心点Mは中央平面4に配置される。フレットバー11の曲率Rは、砥粒加工表面8の曲率Rより小さい。フレットバー11が指板13に係留されると、フレットバー11の元々の湾曲した外形は平坦にされている。フレットバー11の平坦な輪郭は、曲率Rを有する輪郭位置A~Cに沿って、平坦なカーブを有するCからDまで、及び再び曲率Rを有するDから端部位置Bまで生じる。
【0059】
中央平面4に対して垂直に指向する、輪郭端部位置AとBの間のフレットバー11の幅は、輪郭端部位置AとBの間の鑢基体2の幅に一致する。
【0060】
位置CとDの間のフレットバー11を平坦にすることで、最初の工作物高さWが平坦にされた工作物高さWに減少された。平坦にされた工作物輪郭は、鑢1を用いてフレットバー11のフランク14を研磨除去することで鑢1を用いて丸くすることができる。フランク14は、加工表面8及び滑り面9から突出するフレットバー11の材料領域である。図1では、フランク14は、それぞれ交差点S及びSと輪郭端部位置C及びDから始まる輪郭によって形成される。フランク14は、フレットバー11の全長にわたって連続的に除去され、セクションC,Dの幅は幅Bまで減少される。この領域では、鑢1はフレットバー11に極値Eで当接し、よって望まれない材料除去が防止される。極値Eでの接触端15の周りで鑢1を傾斜させることで、すなわち図1,2に示されるように接触端15にて時計回り又は反時計回りに鑢1を回転させることで、残りの残留フレットバーC,Dが最後に丸くされ得る。
【0061】
さらなる例示実施形態を図3~7を参照して以下に記載する。構造的に一致する部品には第1例示実施形態と同じ参照符号が付され、これによってその説明を参照されたい。構造的に異なるが機能的に一致する部品には語尾文字aを備えた同じ参照符号が付されている。
【0062】
第1例示実施形態に比べて顕著な差異は、鑢1aの鑢基体2aが深さストッパ要素7aによって形成される点である。鑢基体2aは本質的に直方体の形状であり、長さL、幅B及び高さHを有する。図示の例示実施形態によれば、幅Bは長さLより小さい。幅Bが加工すべきフレットバーの長さに依存して決定されると有利である。幅Bをフレットバー長さの10%~300%の間、特に30%~200%の間、特に50%~100%の間で選択することが可能である。高さHは、特に幅Bと垂直に及び鑢基体2aの長さLと垂直に指向する深さ方向16に沿って伸びる。
【0063】
鑢要素5a,6aの長手軸3がそれぞれ鑢基体2aの幅Bに沿って延在するように、鑢要素5a,6aは鑢基体2aに配置されている。鑢要素5a,6aは、鑢基体2aの長さLに沿って隣同士に配置される。特に、鑢要素5a,6aは、鑢基体2aの幅Bと同一であるそれらの長手軸3に沿う鑢要素長さを有する。
【0064】
鑢基体2aは、鑢基体2aの高さHを限定する上側17と底面18を有する。上側17は図4において頂部に配置される。底面18は図4において底部に配置される。鑢基体2aは、その重心Gに関して点対称である。図4によれば鑢基体2aを重心周りに180°回転させることで、上側17と底面18は入れ替えられる。鑢基体2aは複数の凹部19を有し、その各々は上側17から又は底面18から深さ方向16に沿って延びる。凹部19は深さ方向16に連続ではなく(繋がっておらず)、鑢基体2aの高さHの略50%にわたって延びる。凹部19は幅Bに沿って連続である。
【0065】
上側17と底面18は、実質的に同一に設計され、2つの外側非砥粒滑り面9と長手方向Lにおいてそれらの間に配置された砥粒加工表面8を含む。それぞれの鑢要素5a,6aによってフレットバーを加工するとき、鑢1aは、滑り面9によって加工されていない隣接するフレットバーに設置され得る。滑り面9は、材料が隣接するフレットバーから除去されるのを防止する。鑢基体2aは深さストッパ要素7aの機能を有する。
【0066】
ばね容器(ばね受け)20が深さ方向16において凹部19に隣接する。幅方向に沿って、複数のばね容器20、特に2つ、特に少なくとも3つのばね容器20が凹部19の下に配置され得る。ばね容器20はそれぞれ、円筒形の止まり穴として設計される。特に、ばね容器20は深さ方向16に連続ではない。
【0067】
ばね要素21が、各々のばね容器20に挿入され、深さ方向16におけるばね容器の底部で軸方向に支持される。図示の例示実施形態によれば、ばね要素21は機械的ばねとして、特に圧縮コイルばねとして設計される。機械的ばねは、板ばねとしても設計され得る。空気圧ばねなどの、ばね要素の他の設計も可能である。
【0068】
圧縮ばね21は、それが無負荷状態ではばね容器20から飛び出し、凹部19に突出するように寸法決めされる。
【0069】
鑢要素5a,6aが凹部19に挿入されている。各々の鑢要素5a,6aは、特に凹形輪郭を有する中空鑢の形状で設計された砥粒加工表面8を備えて鑢基体2aに配置され、それで凹形輪郭は上側17又は底面18からそれぞれ突出する。凹形輪郭はそれぞれ極小値Mを有する。極小値Mが上側17又は底面18に関して深さ方向16に後退される(戻される)と特に有利である。
【0070】
それぞれの鑢要素5a,6aは、凹形輪郭と反対側の底面で圧縮ばね21に支持される。
【0071】
鑢要素5a,6aは、幅方向に沿って互いに離れて配置された複数の横保持溝22を有する。保持溝22は、鑢要素5a,6aを鑢基体2aに保持する及び/又は調節するために使用される。保持溝22は、調節溝とも称される。図示の例示実施形態によれば、一方の調節溝22はV形溝プロフィールを備えて設計され、他方の調節溝22は長方形溝プロフィールを備えて設計される。調節溝22は、深さ方向16に対して傾斜角αで傾斜した傾斜溝方向23に沿って延びる。調節溝22は、深さ方向16に可変溝深さTを有し、最大溝深さTN,maxは砥粒加工表面8に向かい合う表面に形成される。
【0072】
特に深さ方向に沿って及び特に圧縮ばね21のばね力に抗して、それぞれの鑢要素5a,6aを関連する凹部19に保持し、微調節するために、多数の、特にそれぞれ2つの保持要素24が各々の鑢要素5a又は6aのために備えられる。保持要素は、特にねじ山を有する、特に細目ねじを有する微調節ねじ24として設計される。微調節ねじは、特にばね要素21によって加えられるばね力に抗して鑢要素5a,6aを調節する、特に微調節する機能を有する。微調節ねじ24は、特にそれぞれの鑢要素5a,6aの凹形輪郭での極小値Mを深さ方向16に関して位置決めする、特に微細に位置決めする機能を有する。図示の例示実施形態によれば、微調節ねじ24は、グラブねじ版のボール頭ねじ(ball-head screws)として設計される。高さH及び幅Bに沿って延びる2つの対向する端面には、雌螺子を有する横穴(transverse bore)が配置され、その各々は凹部19に開口している。グラブねじ(grub screws)は、それらがそれぞれの調節溝22にそれらのボール頭で係合するまで横穴にねじ込まれる。少なくとも1つの調節溝22がV形に形成されるため、それぞれの鑢要素5a,6aは幅方向に軸方向に及び/又は深さ方向16に沿って位置決めされ、従って固定される。他の調節溝22が長方形又はU形に形成され、鑢要素5a,6aは、長手軸3の長手方向に或る量の遊びを有し、よって公差・許容差を可能にするため、それぞれの鑢要素5a,6aは、深さ方向16に沿う移動の間、特に2°より小さく、特に1°より小さく、特に0.5°より小さい、小さい角度範囲で意図せずに傾く。このような傾斜は軸方向における前述の公差によって補償され得、それで特に鑢基体2aへの鑢要素5a,6aの望まれない詰まりが防止される。
【0073】
微調節ねじ24を操作するために、それらねじは、それらの後端に内部多角形ソケット開口を有する。微調節ねじ24はグラブねじとして設計されないことも考えられる。
【0074】
微調節ねじ24を固定するために、付加的なロックグラブねじ25が使用可能であり、それらは、特に幅方向に延び、特にそれぞれの微調節ねじ24のねじ込み方向と交差して、それぞれの微調節ねじ24を通ってねじ込まれ得る。この目的のために、それぞれの微調節ねじ24は、ロックグラブねじ25の雄螺子に対応する雌螺子を有する貫通穴を有する。
【0075】
微調節ねじ24は、深さ方向16に沿う鑢基体2aに対する鑢要素5a,6aの位置の即時の且つ直接的な微調節を可能にする。この微調節は、特に鑢要素5a,6aの製造中、特に製造交差のために、必要である。
【0076】
加工表面8の凹形輪郭は、特に弧状であり、特に一定の曲率半径Rを有する半円の長さより小さいアーク長を有するピッチ円として設計される。アーク長が半円の長さより小さい事実は、鑢要素5a,6aが指板に載らず、ゆえに工作物の完全な加工を防止し得ることを保証する。アーク長は特に180°、特に最大175°、特に最大170°、特に最大165°、特に最大145°である。特に、それぞれの鑢要素5a,6aは、側端に向かって曲率半径Rを有して端面で幅方向に丸みを帯びている。
【0077】
図3~7に従う先の例示実施形態に実質的に一致する、不図示のさらなる例示実施形態によれば、少なくとも1つの鑢要素5a,6aは平坦な加工表面8を有する。加工表面8はそれゆえ、特に凹形ではなく、凸状でもない。加工表面8は湾曲していない。
【0078】
加工表面が鑢基体の表面と面一に配置されるように、少なくとも1つの鑢要素は鑢基体に配置されている。これは、砥粒加工表面が鑢基体のスライド面によって定められる平面内にあることを意味する。
【0079】
この単一のフレットバーが他のフレットバーの間で指板に挿入される場合、この鑢は特に単一のフレットバーを調製するために使用され得、これら他のフレットバーは既に丸くされている。ここに記載する鑢によって、プリ加工が平坦な鑢要素によって可能であり、特に図1及び2における第1例示実施形態に従う鑢により実行される。
【0080】
第3例示実施形態を図8及び9を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は2つの第1例示実施形態と同じ参照符号を付与され、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字bを有する同じ参照符号を付与される。
【0081】
先の例示実施形態と比べた顕著な差異は、鑢要素5bの位置が微調節ねじ26によって調節される点である。特に、2つの微調節ねじ26は幅Bに沿って互いに離間して配置され、深さ方向16における鑢要素5bの微調節のために使用される。それゆえ、底面18によって定められる平面に対するその長手軸3を有する鑢要素5bの傾斜が排除される。微調節ねじ26は、鑢基体2bにおけるねじ容器28の対応する雌螺子にねじ込まれ得る雄ねじを有するスリーブ状容器27を含む。微調節ねじは、したがって、鑢基体2bに確実に配置され、そこに固定される。
【0082】
鑢基体2bの上側17から突出する半径方向に飛び出るフレットストッパ29が、スリーブ容器27の一体部品として備えられている。フレットストッパ29は、ねじ容器28の内径より大きい外径を有する。スリーブ容器27は、微調節ねじ26のピン30が対応する微細雄ねじによってねじ込まれ得る微細雌螺子を備えた貫通穴を有する。ピン30はボール頭を有し、ストッパまで深さ方向16に鑢要素5bの底壁にねじ込まれ得る。微調節ねじ26は、深さ方向16に沿う鑢基体2bに関する鑢要素5bの位置の即座の且つ直接的な微調節を可能にする。この微調節は、特に製造公差のために、特に鑢要素5bの製造中に、必要になり得る。
【0083】
第4例示実施形態を図10及び11に関連して記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を付与され、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字cを有する同じ参照符号を付与される。
【0084】
先の例示実施形態と比べた顕著な差異は、鑢要素5cが鑢1cの鑢基体2cに直接固定される点である。通しボルトとして設計された保持要素24cが、この目的のために使用される。保持要素24cは、メートルねじ及び内側六角ねじ頭を有するねじ、いわゆるアレンねじとして設計され得る。雌螺子を有する止まり穴として設計される対応する固定ねじ31が、各々の保持要素24cのために鑢基体2cに配置されている。特に、幅方向2に互いに離間した固定ねじ31が鑢基体2cに配置されている。
【0085】
先の例示実施形態と比べてさらなる差異は、複数の保持溝22が保持要素24cから離反する側壁に形成され、特にそこに対向して配置される点である。保持溝22cに対応する複数の突起32が鑢基体2cに、特に一体的に、形成される。保持溝22c及び対応する突起32はそれぞれ、深さ方向16に対して傾斜角αだけ傾斜している。鑢要素5cは鑢基体2cに対して溝方向23に沿って移動できる。
【0086】
図示の例示実施形態では、鑢要素5cはさらに、保持溝22c及び対応する突起32を備えずに設計され得る。鑢要素5cと鑢基体2cの間の保持要素24cによって生成される摩擦接続は、長手軸3に沿う鑢要素5cの軸方向移動を防止する。
【0087】
鑢基体2cへの鑢要素5cのこの柔軟な位置決めを簡単化するために、鑢要素5cにおける貫通穴33が、保持要素24cの外径より大きい間隙幅bを有して、特に幅方向16に設計される。特に、貫通穴33が円形であるように構成されることが考えられる。図示の例示実施形態によれば、貫通穴33は長手延伸部によって深さ方向16に実質的に細長い。幅方向Bにおける間隙幅aは特に、深さ方向16における間隙幅bより小さい。これにより、鑢要素5cが保持要素24cによって幅方向に可変に固定され得る。鑢基体2cへの鑢要素5cの組み立てが簡単化される。特に、細長い貫通穴33は、鑢要素5c及び/又は鑢基体2cの製造中の製造交差を補償することを可能にする。特に、保持要素24cは幅方向における貫通穴33の遊び無しに配置される。
【0088】
ここで、鑢要素の正確な調節が、加工表面8に向かい合う鑢要素5cの表面と鑢基体2cの対応する表面の間の複数の適切な位置に位置決めされ、クランプされた、詳細には示されない鋼箔によって実現される。
【0089】
別な例示実施形態を図12に関連して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を付与され、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字dを有する同じ参照符号を付与される。
【0090】
先の例示実施形態と比べた顕著な差異は、鑢要素5dが深さ方向16に保持要素24dによって直接保持される点である。保持要素24dは、この目的のために上側17に設けられた切り欠き34に締め付けねじとして配置され、鑢要素5dが配置される凹部19の限り深さ方向16に貫通穴に沿って延びる。凹形の加工表面8に向かい合うその底面に、鑢要素5dは、保持要素24dの雄ねじに対応する雌螺子を備えた収容穴を有する。
【0091】
先の例示実施形態と同様に、鑢要素の正確な調節が鋼箔を使用して実現される。
【0092】
複数の保持要素24dが幅方向に沿って設けられ得る。鑢1dの設計及び特に鑢要素5dの鑢基体2dへの取り付けが特に簡単化される。
【0093】
さらなる例示実施形態を図13~15を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を付与され、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字eを有する同じ参照符号を付与される。
【0094】
先の例示実施形態と比べた顕著な差異は、鑢要素6eが複数のピースで作られる点である。鑢要素6eは、鑢保持要素35と鑢保持要素35によって保持される鑢インサート要素36を含む。
【0095】
鑢保持要素35は実質的に開いた長方形の中空ストリップとして、すなわち特に実質的にU形状に設計される。鑢インサート要素36は、鑢保持要素35に挿入され、少なくとも1つの保持要素37によって深さ方向16に保持される。図示の例示実施形態によれば、複数の、特に2つの保持要素37が存在する。保持要素37は、特に鑢保持要素35の凹部の底部に配置された、特に鑢保持要素35に一体化された特に永久磁石として設計される。特に、鑢インサート要素36は、強磁性物質で作られ、磁気保持要素37によって鑢保持要素35に保持される。
【0096】
鑢インサート要素36が幾何学的に簡単な設計を有すると有利である。鑢インサート要素36の製造が簡単化される。
【0097】
鑢基体2との接続のために設けられる保持溝22は鑢保持要素35に設計される。
【0098】
鑢保持要素35上の鑢インサート要素36の長手軸3に沿う軸方向固定を保証するために、深さ方向16に指向したロックピン38が配置され、鑢インサート要素36を鑢保持要素35に接続する。ロックピン38はまた、特に工作物の加工中に長手軸3に沿って生じ得るせん断力を吸収する機能を有する。
【0099】
刻み目39が鑢要素6eの縁領域に及び特に鑢保持要素35と鑢インサート要素36の間の分離平面の領域に配置されると有利である。特に楔形状の設計を有する、刻み目39は、鑢インサート要素36を磁気保持力に抗して鑢保持要素35から分離するために、工具開口として、特にレバー工具を適用するために機能する。
【0100】
別な例示実施形態を図16及び17を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を付与され、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字fを有する同じ参照符号を付与される。
【0101】
この例示実施形態は先の例示実施形態に基本的に一致し、鑢要素6fは鑢保持要素35及び鑢インサート要素36により設計される。深さ方向16に沿って延びる複数の十字ねじが、鑢インサート要素36と鑢保持要素35の接続を保証するために保持要素37fとして機能する。特に、鑢インサート要素36は貫通穴を有し、鑢保持要素35は、保持ねじ37fの雄ねじに対応する固定雌螺子を有する。
【0102】
特に、ねじ37fは、湾曲した工作物加工領域の外側に鑢インサート要素36に配置される。特に、保持ねじ37fは、皿ビスとして設計され、外側表面18に関して後退している。これは、工作物加工がねじ接続のために否定的に損なわれないことを保証する。
【0103】
さらなる例示実施形態を図18~23を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を付与され、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字gを有する同じ参照符号を付与される。
【0104】
鑢1gでは、鑢要素6gは、鑢保持要素35gに保持された、特にそこにねじ留めされた鑢インサート要素36gを有するマルチピース設計を有する。
【0105】
鑢インサート要素36gはワンピースで作られており、突出したストリップ状の加工ウェブ40を有する。加工ウェブ40は砥粒加工表面8を含む。加工ウェブ40は凹形表面を備えて設計される。
【0106】
鑢インサート要素36gは複数の、図示の例示実施形態によれば4つの貫通穴を有する。鑢インサート要素36gを鑢保持要素35gに固定する複数の保持ねじが貫通穴を通してねじ込まれ得る。
【0107】
鑢保持要素35gは複数ピースで設計され、鑢保持要素容器41及び鑢保持要素ガイド42を含む。鑢保持要素ガイド42はウェブの形状に設計され、ウェブ長手軸43と垂直な平面において長方形の、特に正方形の断面領域を有する。
【0108】
ウェブ長手軸43と垂直な方向に、鑢保持要素ガイド42は2つのガイド穴44を有し、その各々に、スライドブシュ45が挿入され得る。特に、ガイド穴44は連続であり、すなわちそれら穴は鑢保持要素ガイド42の高さ全体にわたって延びる。合わせピン(dowel pin)46がスライドブシュ45の各々に挿入され、鑢基体2gの凹部に保持される。合わせピン46は、鑢1gにおいて深さ方向16に沿って指向される。鑢保持要素ガイド42は合わせピン46に沿って、すなわち深さ方向16に沿って、特に鑢基体2gに対して、合わせピン46上を移動可能である。
【0109】
複数の圧縮ばね21が鑢保持要素容器(受け)41の底面に配置される。圧縮ばね21は、鑢基体2gと鑢保持要素35gの間に予め負荷を加えて配置され、それにより作動力が鑢保持要素35gに加えられ、それでそれが鑢基体2gから離れて凹部19の外に押し出される。
【0110】
鑢保持要素ガイド42は横断貫通穴47を有し、そこに横断ピン49を有する横断滑り軸受ブシュ48が挿入される。横断貫通穴47は、ウェブ長手軸43と垂直であってガイド穴44と垂直である方向に指向している。鑢保持要素ガイド42は、横断滑り軸受ブシュ48に設けられた横断ピン49によって鑢保持要素容器41に保持される。鑢保持要素容器41は、鑢保持要素ガイド42上で横断ピン49の周りに回転可能であり、すなわちそれは関節により連結されている。この目的のために、鑢保持要素容器41は、細長い穴形状の切り欠き50を有する。ガイド穴44と垂直な平面において、鑢保持要素ガイド42は、細長い穴形状の切り欠き50に対応する外面形状を有する。鑢保持要素容器41は、鑢インサート要素36gに対向するその上側に4つのねじ穴を有し、それらは鑢インサート要素36g上の固定開口に対応する。横断ピン49を収容するために、鑢保持要素容器41は、切り欠き50の向かい側に配置された整列した横断孔51を有する。ねじ穴75が、各々の横断孔51に関して垂直方向に配置されている。横断ピン49をそれぞれの横断孔51に固定するために、グラブねじ(不図示)がねじ穴75にねじ込まれ得る。この目的のために、円筒状の基本形状を有する横断ピン49が少なくとも部分的に平坦にされ得る。
【0111】
2つの保持溝22gは、鑢保持要素容器41の1つの側壁に備えられる。保持溝22gは円筒形であるように構成される。保持溝22gはまた、特に溝長手軸52と垂直な平面において長方形であるように構成され得る非円形の内側輪郭を有し得る。保持溝22gは、止まり穴として設計される。穴長手軸52は、横断孔51の横軸に対して傾斜角nで傾斜している。傾斜角nは特に10°より小さく、特に2°~8°であり、特に4°~7°であり、特に5°~6°である。特に、傾斜角nは5.7°である。
【0112】
保持要素24gが保持溝22gの各々に係合する。保持要素24gは拡大して示されている。保持要素24gは、ねじセクションA、円柱セクションA及び円錐セクションAを有する調整ねじである。ねじセクションAの雄ねじは、鑢基体2gの貫通穴内の対応する雌螺子に対応する。鑢基体2gにおける保持要素24gの軸方向位置を固定するために、ロックグラブねじ25が横断孔にそれに向かって指向して配置され得る。
【0113】
円柱セクションAは、ねじセクションAのねじ径より小さいコア径を有する。円柱セクションAのコア径から出発して、円錐セクションAは、特に保持溝22gの傾斜角に一致し、特に傾斜角nと同一である外側円錐角kを有する。微調節ねじとして設計される保持要素24gを用いて、鑢要素6gを鑢基体2g上で1/1000mm~5/10000mmの精度で深さ方向16に沿って調節することが可能である。
【0114】
特に、合わせピン46とスライドブシュ45の間のスライド面が塵や切り屑からより良好に保護されるので、スライドブシュ45及び合わせピン46の使用は鑢要素6gの調節を改善する。その移動がより正確に、特により高い解像度で可能である。保持要素24gと、鑢基体2g内の、特に作業方向の、対応する穴への水平荷重が減少され、特に無視できるほど小さくなる。
【0115】
個々の構成部品の製造公差及び/又は組み立て公差が、鑢保持要素35gの移動平面において狙い通りに補償され得る。1/100mm~3/100mmの範囲内の公差が、研削材でのワイヤ腐食又は微細フライス加工のために及び/又は凸凹の厚いコーティングのために加工ウェブ40の製造時に生じることが認められた。鑢インサート要素36gを交換するとき、調節の零点位置(zero position)での変化が、特に深さ方向16と垂直に整列された加工ウェブ40の製造に関して及び深さ方向16における加工ウェブ40の最深位置に関して、必要とされ得る。加工ウェブ40の研削材の層厚さの摩耗に関連する変化に起因して、再調整もまた必要であり得る。図示の例示実施形態において、深さ方向16における制御された鑢保持要素ガイド42を用いて及び特に軸方向に設置された傾斜可能な鑢インサート要素容器及び微調整のために、再調整が可能である。
【0116】
保持要素24gが円錐セクションAを有することにより、保持溝22gには点接触がなく、むしろ線接触がある。ゆえに、保持要素24gと保持溝22gの間の圧力は減少される。これは、保持要素24gとしての調整ねじと保持溝22gとしての調節開口の間でより均一な荷重及び摩耗を生じさせる。
【0117】
さらなる例示実施形態を図24~26を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を有し、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字hを有する同じ参照符号を付与される。
【0118】
先の例示実施形態に比べて、鑢保持要素35hがワンピースで設計される点に変化がある。
【0119】
鑢インサート要素36hは、鑢保持要素35hにこの目的のために備えられた切り欠き39に挿入され得る。2つのねじ穴66が切り欠き39に横に隣接して形成されており、その各々に、保持ねじ37hがねじ留めされ得、鑢インサート要素36hにこの目的のために備えられたショルダー53に係合し得る。鑢インサート要素36hは、不図示の保持ねじによって鑢保持要素35hに締め付けられる。鑢インサート要素36hの鑢保持要素35hへの取り付け及び特に取り外しが簡単である。鑢インサート要素36hは、迅速かつ時間効率良く交換され得る。
【0120】
さらなる差異は、鑢保持要素35hが、特に加工方向において鑢基体2h又は鑢保持要素35hの中央に配置された単一の保持溝22hしか有さないことである。したがって、先の例示実施形態に従う鑢保持要素35hの関節による設置が省略できる。
【0121】
別な実施形態を図27及び図28を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を付与され、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字iを有する同じ参照符号を付与される。
【0122】
鑢において、鑢基体2iは2つのピースで設計され、閉じた鑢基体2iが形成されるように、凹部19が形成される第1鑢基体部分と第2鑢基体部分が配置されている。分割平面が傾斜角sで加工方向54と交差して延びており、傾斜角sは、特に1°~45°、特に2°~30°、特に5°~15°である。分割平面に向かい合う第1鑢基体部分と第2鑢基体部分の分割表面は互いに一致する。特に、分割表面はそれぞれ、平坦であって、それら鑢基体部分の互いに対する簡単な位置決めが可能であるように設計されている。
【0123】
2つの横断孔55が、鑢基体2iの長さ調節可能な設計のために鑢基体2iの一方の端面に配置されている。この目的のために、横断孔55はそれぞれ、穴長手軸56に沿う内側ねじ山セクション57、隣接する嵌合セクション58及び端面に向かって解放した外側切り欠きセクション59を有する。対応的に製造された調整ねじ(fitting screw)が、ねじ山セクション57のねじ山にねじ込まれ得、鑢保持要素部分の互いの確実で正確な接続を可能とし、特にそれにより鑢保持要素部分の分割表面が互いに接触する。異なる長さの鑢基体2iを形成するために、様々な第2鑢基体部分に第1鑢基体部分とは異なる長さ寸法を与えることが考えられる。これにより、異なる長さ寸法を有する鑢基体を可変に調節することが可能となる。
【0124】
さらなる例示実施形態を図29を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を付与され、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字jを有する同じ参照符号を付与される。
【0125】
先の例示実施形態と比べて、鑢基体2jは、特に鑢インサート要素を備えた鑢保持要素が挿入され得る凹部19jの横に隣接する領域において、非砥粒滑り面9の変形の狙い通りの調節を可能とする。これにより、凸曲面又は凹曲面を有する表面領域において鑢基体2jを設計することが可能となる。
【0126】
これは、特に、鑢基体2jが、2つの向かい合うウェブ壁60とウェブ壁60を接続する天井壁61によって、加工方向54と直交して指向する平面において扉状に設計されることで実現される。滑り面9は天井壁61に配置されている。鑢基体2jにおける応力ピークを軽減し、特に避けるために、解放ノッチ(relief notch)が、滑り面9の反対側の天井壁61の底面に、特にウェブ壁60への移行領域に配置され得る。
【0127】
天井壁61から距離を隔てた下側ベース領域で、ウェブ壁60は、特にねじ棒の形態の、張力/圧縮要素62によって互いに機械的に接続される。張力/圧縮要素62は、ウェブ壁60のうちの1つにある内側ねじ穴に固定され、ナットの形態の付加的な並進要素63によって適所にさらに保持される。ねじ穴は止まり穴として設計される。
【0128】
貫通穴を有する反対側のウェブ壁60では、張力/圧縮要素は貫通穴を通してガイドされ、貫通穴の互いに反対側に配置された2つの締め付け要素63によって固定される。張力/圧縮要素62は、張力又は圧縮力をウェブ壁60に加えるために使用され得る。張力/圧縮要素62は、ウェブ壁60の機械的連結を可能とする。張力が加えられると、凸曲面が非砥粒滑り面9に形成される。圧縮力がウェブ壁60に加えられると、凹曲面が非砥粒滑り面9に形成される。
【0129】
別な実施形態を図30を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を有し、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字kを有する同じ参照符号を付与される。
【0130】
鑢基体2kは、鑢基体2kの底面にこの目的のために備えられた開口に並進ねじとしてねじ込まれ得る予荷重要素64を有する。荷重要素64は、圧縮ばね21の底面に、すなわち鑢保持要素35の反対側に配置された、穿孔ディスクの形状の調節要素65と作用する。荷重要素64のねじ込み深さに応じて、調節要素65は移動され、よって圧縮ばね21のための切り欠きの深さが減少する、すなわち圧縮ばね21への予荷重が増加する。荷重要素64及び調節要素65によって、特に、圧縮ばね21に与えられ得る予荷重を可変に調節することが可能である。
【0131】
別な実施形態を図31~33を参照して以下に記載する。構造的に同一な部品は先の例示実施形態と同じ参照符号を有し、その記載がこれにより参照される。構造的に異なるが機能的に一致する部品は語尾文字lを有する同じ参照符号を付与される。
【0132】
鑢基体21は、複数の鑢要素6lを収容する機能を有する少なくとも1つのガイド溝67、特に複数のガイド溝67、特に3つの平行に指向したガイド溝67を有する。ガイド溝67の長手方向に、鑢基体2lにおける対応する穴又はガイドブシュに配置された複数のフレットバー距離印及び/又は内側合わせピンがあってよく、それらは長手方向に関して定められた距離を隔てた鑢要素6lの位置決めを簡単化する。特に、これにより、鑢要素6lを長手方向に互いに隣接して配置することが可能となり、それにより異なるフレットバーが鑢1lによって同時に加工することができる。視覚化の理由のため、鑢要素6lは、長手溝67に沿って互いに同じ距離を置いて配置された図31及び32に示されている。鑢要素6lが目盛り長に従って配置されると、2つの隣接する鑢要素6lの間の距離は対応的に異なる。鑢要素6lの位置決めを簡単化するために、複数の印が鑢要素6lの各々に設けられても良い。幾つかの印が、特に異なる目盛り長のために、鑢基体2lに作られても良いと理解される。
【0133】
鑢要素6lはそれぞれ、鑢保持要素35l及び鑢インサート要素36lを有する。
【0134】
鑢1lは、1つの楽器に複数のフレットバーを同時に加工することを可能にする。特に、鑢要素6lは、互いに対して可変的に鑢基体2lに固定され得る。鑢要素6lはそれぞれ、アバットメント74を介して鑢保持要素35lによって鑢基体2lに締められる。それぞれの鑢要素6lは、その鑢保持要素35lに、ガイド溝67に突出した複数の締め付けウェブ70を有し、締め付けウェブ70の各々に、2つの締め付けねじ68が係合する。少なくとも1つのばね要素71が、締め付けウェブ70の反対側の底面に鑢保持要素35lに配置されている。特に、2つのばね要素71があり、それぞれ、鑢インサート要素36lの対応する凹部に係合するばね式圧力ボールを有する、特に圧力ばねねじの形態の、弾性圧力ピースとして、設計される。ばね要素71は、それぞれの凹部に押し込まれ得る又はねじ込まれ得る。鑢インサート要素36lのばね移動が保たれる。鑢保持要素35lのその滑り落ちが、組み合わされた確動及び摩擦係止(positive and frictional locking)によって防止される。
【0135】
それに代えて、ばね要素71を、鑢インサート要素36lを鑢保持要素35lに支持する板ばねとして設計することが可能である。板ばねは、締め付けウェブ70の反対側の底面に締め付けられる、特にねじ留めされる、リベットで留められる及び/又は溶接され、ガイド溝67の長手方向に垂直な平面において起伏のある輪郭を有し得る。その輪郭は、少なくとも1か所で鑢インサート要素36lの対応する凹部に突出し、それにより対応する確動係止がばね要素のために実現される。
【0136】
ばね要素71は、鑢インサート要素36に、鑢保持要素35lに確動係止され摩擦係止された鑢インサート要素36lを保持する締め付け力を加える。
【0137】
鑢基体2lが、特に指板の長い側面と平行な、すなわち加工方向と垂直な十分な可撓性を有すると有利である。特に、これにより鑢基体2lを凸凹な楽器ネックに適合させることが可能となる。
【0138】
鑢インサート要素36lは、特に第1例示実施形態の鑢要素と類似に設計されている。特に、これら鑢要素6lの深さストッパ機能は隣接するフレットバー高さに依存せず、加工すべきフレットバーの高さのみを、すなわち直接、重視する。鑢基体2l上の鑢要素6lの微調整は、鑢1lにとって必要ではない。特に、非砥粒波頂線の高さの違いが、ばね要素71により鑢インサート要素36lにばねを付けることで補償され得る。高さの違いは、製造公差によって及び/又はそれらの同時の加工中の異なるフレットバーの異なるストック除去速度によって生じ得る。
【0139】
蟻継ぎを具備した鑢インサート要素36lは、鑢保持要素35l内を特に対応する蟻継ぎガイド72によって加工方向54に沿ってガイドされる。
【0140】
加工方向54に沿う鑢インサート要素36lの容認できない移動も、鑢基体2lの加工方向54に沿って鑢基体2lの前後に及び/又は鑢保持要素35lに配置された機械的ストッパ要素(不図示)によって防止され得る。特に、固定されたストッパ要素が設けられる。特に、取り外し可能なストッパ要素が、鑢基体21に及び/又は鑢保持要素35lに固定される。追加的に又は択一的に、複数の凹部が鑢インサート要素36lに設けられてもよく、凹部によってばね要素71が係合できる。
【0141】
ストッパ要素は、特に皿小ねじとして設計され、その頭部は、一方の側で頭部直径の略1/3まで真っ直ぐにつぶされており、鑢インサート要素36lが、特に皿頭の丸い部分によって、引き出されたり押し出されたりすることを防止する。鑢インサート要素36lのばね移動を妨げないために、ねじ頭の底面がそれぞれ、この位置で鑢インサート要素36lから略0.1mm~0.2mmの距離を有し得る。
【符号の説明】
【0142】
1;1a;1b;1c;1d 鑢
2a;2b;2c;2d 鑢基体
3 長手軸
5,6;5a;6a;5b;5c;5d 鑢要素
7;7a;7b;7c;7d 深さストッパ要素
8 砥粒加工表面
9 非砥粒滑り面
11 工作物
16 深さ方向
19;19d 凹部
21 圧縮ばね
22;22c 調節溝
24;24c;24d 保持要素
35 鑢保持要素
36 鑢インサート要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物(11)に、特に横方向曲率を有する、非平坦輪郭を創出する鑢(1;1a;1b;1c;1d)であって、
a. 長手軸(3)と、
b. 砥粒加工表面(8)を有する少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)と、
c. 非砥粒滑り面(9)を有する深さストッパ要素(7;7a;7b;7c;7d)と、を含み、
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)及び前記深さストッパ要素(7;7a;7b;7c;7d)が、前記長手軸(3)と垂直に指向する平面において互いに隣接して配置されている、鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)及び前記深さストッパ要素(7;7a;7b;7c;7d)が、互いに、特に2つ一組で、接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項3】
前記砥粒加工表面(8)が凹形であるように設計され、特に、特に前記工作物(11)の元々の曲率半径(R)より大きい、曲率半径(R)を有する曲率を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)は前記長手軸(3)に沿って外形を造られている、ことを特徴とする請求項1に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項5】
前記加工表面(8)及び/又は前記滑り面(9)の輪郭が前記長手軸(3)に沿って一定である、ことを特徴とする請求項1に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項6】
前記深さストッパ要素(7a;7b;7c;7d)が、前記少なくとも1つの鑢要素(5a;6a;5b;5c;5d)を挿入するための少なくとも1つの凹部(19;19d)が配置される鑢基体(2a;2b;2c;2d)を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項7】
特に前記少なくとも1つの凹部(19;19d)に、前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)を保持する保持要素(24;24c;24d)を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6;5a;6a;5b;5c;5d)が、特に前記保持要素(24;24c;24d)の係合を保持するために、調節溝(22;22c)を有し、前記調節溝(22;22c)は、特に鑢(1;1a;1b;1c;1d)の前記深さ方向(16)に沿って、延在する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項9】
前記調節溝(22;22c)は、鑢(1;1a;1b;1c;1d)の前記深さ方向(16)に可変溝深さ(T)を有する、ことを特徴とする請求項8に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項10】
前記調節溝(22;22c)が、前記深さ方向(16)と垂直な平面においてV形溝プロフィールを有する、ことを特徴とする請求項8に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項11】
前記加工表面(8)の最下点(M)が前記滑り面(9)によって定められる平面(17,18)内に位置する又は前記深さ方向(16)における垂直距離だけ前記平面(17,18)から後退するように、前記少なくとも1つの鑢要素(5a;6a;5b;5c;5d)が前記鑢基体(2a;2b;2c;2d)に配置され、前記距離が特に1.0mmより小さい、特に0.7mmより小さい、特に0.5mmより小さい、特に0.3mmより小さい、特に0.1mmより小さい、及び特に0.001mm以上である、ことを特徴とする請求項6に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの鑢要素(5a;6a)が、特に圧縮ばね(21)によって、前記深さ方向(16)に機械的に予め負荷を加えて前記鑢基体(2a)に配置される、ことを特徴とする請求項6に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの鑢要素(5a;6a;5b)は、特に並進ねじによって、特に並進細目ねじによって、前記深さ方向(16)に調節可能であるように前記鑢基体(2a;2b)に配置される、ことを特徴とする請求項6に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの鑢要素(6e;6f)がマルチピースで設計され、特に鑢保持要素(35)及び当該鑢保持要素(35)で保持された鑢インサート要素(36)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの鑢要素(5,6)が、前記深さストッパ要素(7)が固定される、特に凹部に挿入される鑢基体(2)を形成し、特に前記非砥粒滑り面(9)が少なくとも部分的に凸状であるように設計され、特に、特に局所的な、極値(E)、特に最大値を有し、特に前記極値(E)が、互いに向かい合う前記砥粒加工表面(8)の輪郭端部位置(C,D)によって定義される仮想接続線(10)と垂直に指向する深さ距離(t)を有し、及び/又は特に前記非砥粒滑り面(9)の輪郭が、前記長手軸(3)に垂直に指向する幅(B)を有し、当該幅が特に最大0.2mm、特に最大0.15mm及び特に0.01mm~0.1mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の鑢(1;1a;1b;1c;1d)。
【国際調査報告】