(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】SSTR3を発現する腫瘍の治療におけるソマトスタチン作動薬の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/12 20060101AFI20241226BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241226BHJP
A61K 31/155 20060101ALI20241226BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20241226BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241226BHJP
A61P 5/02 20060101ALI20241226BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241226BHJP
A61P 5/38 20060101ALI20241226BHJP
A61P 5/48 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61K38/12 ZNA
A61K45/00
A61K31/155
A61K31/407
A61P35/00
A61P5/02
A61P25/00
A61P5/38
A61P5/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538373
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2022087485
(87)【国際公開番号】W WO2023118437
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021000032615
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591279294
【氏名又は名称】イタルファルマコ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】ITALFARMACO SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエラ モデーナ
(72)【発明者】
【氏名】ジョバンニ サンドローネ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア スティブナッツィ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ステインクーラー
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア エス.ペレガタ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン シュルツ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
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4C084CA59
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4C206ZA02
4C206ZA15
4C206ZA59
4C206ZA66
4C206ZB26
4C206ZC11
(57)【要約】
本発明は、非機能性下垂体腺腫(NFPA)、または膵臓腫瘍、褐色細胞腫、傍神経節腫、肺カルチノイドまたは乳癌から選択される他の神経内分泌関連悪性腫瘍から選択される、SSTR3発現腫瘍の治療における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物の使用に関する。
より具体的には、本発明は、非機能性下垂体腺腫(NFPA)、または膵臓腫瘍、褐色細胞腫、傍神経節腫、肺カルチノイドまたは乳癌から選択される他の神経内分泌関連悪性腫瘍から選択される、SSTR3発現腫瘍に罹患した患者の治療における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物、ならびに少なくとも1つの生理学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物の使用に供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SSTR3発現腫瘍の治療に使用するための、式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項2】
非機能性下垂体腺腫、ならびに膵腫瘍、褐色細胞腫、傍神経節腫、肺カルチノイドまたは乳癌から選択される神経内分泌関連悪性腫瘍の治療における使用のための、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項3】
患者に毎日投与されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項4】
ヒトに投与されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項5】
0.5~5mg/die、好ましくは0.2~2.5mg/die、より好ましくは0.1~2mg/dieの範囲の量で患者に投与されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項6】
少なくとも1つの生理学的に許容される賦形剤とともに請求項1~5のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を含有する医薬組成物の形態で患者に投与されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項7】
前記医薬組成物が、経口、舌下、直腸、血管内、静脈内、皮下経路、好ましくは静脈内経路により投与されることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項8】
前記医薬組成物が固体または液体の形態であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項9】
前記固体形態が、粉末、錠剤、顆粒剤、凝集剤、圧縮されたピルもしくはコーティングされたピル、硬カプセルもしくはゼラチンカプセルから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項10】
前記液体形態が懸濁液、シロップまたは注射用液体であることを特徴とする、請求項8に記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項11】
少なくとも1つの活性素と組み合わせて患者に投与されることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの活性素が、インスリンの分泌促進薬(a secretagogues of the insulin)、インスリン分泌の促進剤(a promoter of the insulin secretion)、インスリン感作剤、低インスリン用量剤、ドーパミン受容体2作動性を有する薬剤、抗血管新生作用を有する薬剤または化学療法剤から選択されることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項13】
前記インスリン感作活性を有する薬剤がメトホルミンであり、前記インスリンの分泌促進剤がスルホニル尿素またはビンダグリプチンおよびナタグリニドから選択されるインクレチンベースの薬剤、インスリン分泌の促進をする薬剤がGLP-1アゴニストであり、好ましくは前記薬剤はリラグルチドまたはエキセナチドであり、ドーパミン受容体2作動性を有する前記薬剤はカベルゴリンまたはブロモクリプチンであり、前記化学療法剤はテモゾロミドである、請求項12に記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項14】
少なくとも1つの活性素と同時に、別々に、または逐次的に投与されることを特徴とする、請求項11に記載の使用のための化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SSTR3発現腫瘍の治療における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非機能性下垂体腺腫(NFPA)は、ホルモン分泌過多の臨床的証拠とは関連しない良性の下垂体前葉腫瘍である。NFPAは主に性腺刺激ホルモン分泌細胞性の下垂体腺腫であり、すべての下垂体腫瘍の約35%(14~54%)を占める。有病率は7~41.3/100,000人、標準化された発生率は0.65~2.34/100,000人である。発生のピークは30代~70代である1、2。
【0003】
NFPAは、海綿静脈洞および鞍底に広がる圧迫および病変によって引き起こされる頭痛、視覚障害、および/または脳神経障害などの「腫瘤効果(mass effect)」の徴候や症状の発生時にしばしば診断される3。さらに、いくつかの場合、他の目的で行われた画像検査で偶然診断される。それぞれ正常下垂体前葉の圧迫および下垂体茎偏位による下垂体機能低下症および高プロラクチン血症がみられることもある。
【0004】
現在、ほとんどのNFPAに対する標準的な第一選択療法は、内視鏡または顕微鏡を用いた経蝶形骨手術および経頭蓋手術であり、第二選択療法は主に鞍上腫瘍に用いられる4。
【0005】
外科治療後のNFPAはしばしば進行し、手術単独で治療したNFPA患者の再増殖率は15~66%、手術とその後の放射線治療を行った患者の再増殖率は2~28%である5、6。さらに、放射線治療の体系的な使用は、その副作用によって制限されている。
【0006】
したがって、補助的なおよび/または代替的な術語療法は関連する医学的ニーズである。しかしながら、その頻度にもかかわらず、NFPAまたはGPA(性腺刺激ホルモン下垂体腺腫)に対して標準的な薬物療法は現在推奨されていない7、8。
【0007】
NFPAの治療について、3つの腫瘍クラスのペプチド、即ちドーパミン受容体2(DR2)作動薬、ソマトスタチン作動薬(SSA)およびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類似体が試験されている。さらに、いくつかのセンターでは、進行性の腫瘍に対する治療としてテモゾロミドの使用が導入されている。
【0008】
DR2作動薬(カベルゴリンおよびブロモクリプチン)の有効性は受容体の発現と相関しており、いくつかの研究では、薬剤を手術直後に投与した場合にのみ有効性が示された。
【0009】
GnRH類似体の有効性の証拠は示されていない。さらに、いくつかのケースでは、性腺刺激ホルモン分泌細胞腺腫を有する患者の転移性前立腺がんに対する治療としてGnRH作動薬を使用した場合、GnRH作動薬は、腫瘍の増殖を変化せずに性腺刺激ホルモン分泌を増悪し、または下垂体卒中を誘発した9。
【0010】
ソマトスタチン受容体SSTR2に結合し、SSTR5およびSSTR3にはそれほど結合しないオクトレオチドおよびランレオチドのようなSSAは、分泌型下垂体腺腫の治療に有効である10~12が、NFPAでは効果が乏しい13。
【0011】
同様に、SSTR1、2、3、5に結合する汎作動薬(pan-agonist)であるパシレオチドは、最近の第II相臨床試験(NCT01283542-臨床的に非機能性の下垂体腺腫を有する患者の治療におけるパシレオチドLAR(長時間作用型放出(Long Acting Release))の有効性と安全性を評価する-パッションI(NCT01283542 - Evaluate the Efficacy and Safety of Pasireotide LAR (Long Acting Release) on the Treatment of Patients With Clinically Non-Functioning Pituitary Adenoma - Passion I)(非特許文献1))において、わずかな有効性しか示さず、腫瘍サイズが少なくとも20%縮小した患者はわずかに16.7%であった8、14。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許出願WO2009/071460A2(WO2009/071460A2)
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】NCT01283542 - Evaluate the Efficacy and Safety of Pasireotide LAR (Long Acting Release) on the Treatment of Patients With Clinically Non-Functioning Pituitary Adenoma - Passion I
【非特許文献2】Handbook of Pharmaceutical Excipients, sixth edition(2009)
【非特許文献3】Ntali,G.; Wass, J. A. Epidemiology, Clinical Presentation and Diagnosis of Non-Functioning Pituitary Adenomas. Pituitary 2018, 21 (2), 111-118, DOI: 10.1007/s11102-018-0869-3.
【非特許文献4】Drummond, J.; Roncaroli, F.; Grossman, A. B.; Korbonits, M. Clinical and Pathological Aspects of Silent Pituitary Adenomas. J. Clin. Endocrinol. Metab. 2019, 104 (7), 2473-2489, DOI: 10.1210/jc.2018-00688.
【非特許文献5】Lee, M.; Lupp, A.; Mendoza, N.; Martin, N.; Beschorner, R.; Honegger, J.; Schlegel, J.; Shively, T.; Pulz, E.; Schulz, S.; Roncaroli, F.; Pellegata, N. S. SSTR3 Is a Putative Target for the Medical Treatment of Gonadotroph Adenomas of the Pituitary. Endocr. Relat. Cancer 2015, 22 (1), 111-119, DOI: 10.1530/ERC-14-0472.
【非特許文献6】De Divitiis, E.; Laws, E. R.; Giani, U.; Iuliano, S. L.; De Divitiis, O.; Apuzzo, M. L. J. The Current Status of Endoscopy in Transsphenoidal Surgery: An International Survey. World Neurosurg. 2015, 83 (4), 447-454, DOI: 10.1016/j.wneu.2014.12.029.
【非特許文献7】Reddy, R.; Cudlip, S.; Byrne, J. V.; Karavitaki, N.; Wass, J. A. H. Can We Ever Stop Imaging in Surgically Treated and Radiotherapy-Naive Patients with Non-Functioning Pituitary Adenoma? Eur. J. Endocrinol. 2011, 165 (5), 739-744, DOI: 10.1530/EJE-11-0566.
【非特許文献8】Tampourlou, M.; Ntali, G.; Ahmed, S.; Arlt, W.; Ayuk, J.; Byrne, J. V.; Chavda, S.; Cudlip, S.; Gittoes, N.; Grossman, A.; Mitchell, R.; O’Reilly, M. W.; Paluzzi, A.; Toogood, A.; Wass, J. A. H.; Karavitaki, N. Outcome of Nonfunctioning Pituitary Adenomas That Regrow after Primary Treatment: A Study from Two Large UK Centers. J. Clin. Endocrinol. Metab. 2017, 102 (6), 1889-1897, DOI: 10.1210/jc.2016-4061.
【非特許文献9】Vieira Neto, L.; Boguszewski, C. L.; de Araujo, L. A.; Bronstein, M. D.; Miranda, P. A. C.; Musolino, N. R. d. C.; Naves, L. A.; Vilar, L.; Ribeiro-Oliveira Junior, A.; Gadelha, M. R. A Review on the Diagnosis and Treatment of Patients with Clinically Nonfunctioning Pituitary Adenoma by the Neuroendocrinology Department of the Brazilian Society of Endocrinology and Metabolism. Arch. Endocrinol. Metab. 2016, 60 (4), 374-390, DOI: 10.1590/2359-3997000000179.
【非特許文献10】Ilie, M. D.; Raverot, G. Treatment Options for Gonadotroph Tumors: Current State and Perspectives. J. Clin. Endocrinol. Metab. 2020, 105 (10), 3507-3518, DOI: 10.1210/clinem/dgaa497.
【非特許文献11】Keane, F.; Egan, A. M.; Navin, P.; Brett, F.; Dennedy, M. C. Gonadotropin-Releasing Hormone Agonist-Induced Pituitary Apoplexy. Endocrinol. Diabetes Metab. Case Reports 2016, 2016 (June), DOI: 10.1530/edm-16-0021.
【非特許文献12】Theodoropoulou, M.; Stalla, G. K. Somatostatin Receptors: From Signaling to Clinical Practice. Front. Neuroendocrinol. 2013, 34 (3), 228-252, DOI: 10.1016/j.yfrne.2013.07.005.
【非特許文献13】Ben-Shlomo, A.; Melmed, S. Somatostatin Agonists for Treatment of Acromegaly. Mol. Cell. Endocrinol. 2008, 286 (1-2), 192-198, DOI: 10.1016/j.mce.2007.11.024.
【非特許文献14】Grozinsky-Glasberg, S.; Shimon, I.; Korbonits, M.; Grossman, A. B. Somatostatin Analogues in the Control of Neuroendocrine Tumours: Efficacy and Mechanisms. Endocr. Relat. Cancer 2008, 15 (3), 701-720, DOI: 10.1677/ERC-07-0288.
【非特許文献15】Petersenn, S. Medical Therapy of Aggressive Pituitary Tumors. Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 2021, 129 (3), 186-193, DOI: 10.1055/a-1331-6939.
【非特許文献16】Gomes-Porras, M.; Cardenas-Salas, J.; Alvarez-Escola, C. Somatostatin Analogs in Clinical Practice: A Review. Int. J. Mol. Sci. 2020, 21 (5), 1-27, DOI: 10.3390/ijms21051682.
【非特許文献17】Stahl, P. H. Handbook of Pharmaceutical Salts Properties, Selection, and Use; John Wiley & Sons, 2008.
【非特許文献18】Marinoni, I.; Lee, M.; Mountford, S.; Perren, A.; Bravi, I.; Jennen, L.; Feuchtinger, A.; Drouin, J.; Roncaroli, F.; Pellegata, N. S. Characterization of MENX-Associated Pituitary Tumours. Neuropathol. Appl. Neurobiol. 2013, 39 (3), 256-269, DOI: 10.1111/j.1365-2990.2012.01278.x.
【非特許文献19】Lee, M.; Marinoni, I.; Irmler, M.; Psaras, T.; Honegger, J. B.; Beschorner, R.; Anastasov, N.; Beckers, J.; Theodoropoulou, M.; Roncaroli, F.; Pellegata, N. S. Transcriptome Analysis of MENX-Associated Rat Pituitary Adenomas Identifies Novel Molecular Mechanisms Involved in the Pathogenesis of Human Pituitary Gonadotroph Adenomas. Acta Neuropathol. 2013, 126 (1), 137-150, DOI: 10.1007/s00401-013-1132-7.
【非特許文献20】Oystese, K. A.; Casar-Borota, O.; Normann, K. R.; Zucknick, M.; Berg, J. P.; Bollerslev, J. Estrogen Receptor a, a Sex-Dependent Predictor of Aggressiveness in Nonfunctioning Pituitary Adenomas: Sstr and Sex Hormone Receptor Distribution in NFPA. J. Clin. Endocrinol. Metab. 2017, 102 (9), 3581-3590, DOI: 10.1210/jc.2017-00792.
【非特許文献21】Diana Ilie, M.; Vasiljevic, A.; Louvet, C.; Jouanneau, E.; Raverot, G. Gonadotroph Tumors Show Subtype Differences That Might Have Implications for Therapy. Cancers (Basel). 2020, 12 (4), 1-12, DOI: 10.3390/cancers12041012.
【非特許文献22】Shahbaz, M.; Ruliang, F.; Xu, Z.; Benjia, L.; Cong, W.; Zhaobin, H.; Jun, N. MRNA Expression of Somatostatin Receptor Subtypes SSTR-2, SSTR-3, and SSTR-5 and Its Significance in Pancreatic Cancer. World J. Surg. Oncol. 2015, 13 (1), 1-6, DOI: 10.1186/s12957-015-0467-z.
【非特許文献23】Elston, M. S.; Meyer-Rochow, G. Y.; Conaglen, H. M.; Clarkson, A.; Clifton-Bligh, R. J.; Conaglen, J. V.; Gill, A. J. Increased SSTR2A and SSTR3 Expression in Succinate Dehydrogenase-Deficient Pheochromocytomas and Paragangliomas. Hum. Pathol. 2015, 46 (3), 390-396, DOI: 10.1016/j.humpath.2014.11.012.
【非特許文献24】Kanakis, G.; Grimelius, L.; Spathis, A.; Tringidou, R.; Rassidakis, G. Z.;Oberg, K.; Kaltsas, G.; Tsolakis, A. V. Expression of Somatostatin Receptors 1-5 and Dopamine Receptor 2 in Lung Carcinoids: Implications for a Therapeutic Role. Neuroendocrinology 2015, 101 (3), 211-222, DOI: 10.1159/000381061.
【非特許文献25】Frati, A.; Rouzier, R.; Lesieur, B.; Werkoff, G.; Antoine, M.; Rodenas, A.; Darai, E.; Chereau, E. Expression of Somatostatin Type-2 and -4 Receptor and Correlation with Histological Type in Breast Cancer. Anticancer Res. 2014, 34 (8), 3997-4004.
【非特許文献26】Florio, T.; Morini, M.; Villa, V.; Arena, S.; Corsaro, A.; Thellung, S.; Culler, M. D.; Pfeffer, U.; Noonan, D. M.; Schettini, G.; Albini, A. Somatostatin Inhibits Tumor Angiogenesis and Growth via Somatostatin Receptor-3-Mediated Regulation of Endothelial Nitric Oxide Synthase and Mitogen-Activated Protein Kinase Activities. Endocrinology 2003, 144 (4), 1574-1584, DOI: 10.1210/en.2002-220949.
【非特許文献27】Zatelli, M. C.; Piccin, D.; Vignali, C.; Tagliati, F.; Ambrosio, M. R.; Bondanelli, M.; Cimino, V.; Bianchi, A.; Schmid, H. A.; Scanarini, M.; Pontecorvi, A.; De Marinis, L.; Maira, G.; Degli Uberti, E. C. Pasireotide, a Multiple Somatostatin Receptor Subtypes Ligand, Reduces Cell Viability in Non-Functioning Pituitary Adenomas by Inhibiting Vascular Endothelial Growth Factor Secretion. Endocr. Relat. Cancer 2007, 14 (1), 91-102, DOI: 10.1677/ERC-06-0026.
【非特許文献28】unther, T.; Tulipano, G.; Dournaud, P.; Bousquet, C.; Csaba, Z.; Kreienkamp, H. J.; Lupp, A.; Korbonits, M.; Castano, J. P.; Wester, H. J.; Culler, M.; Melmed, S.; Schulz, S. International Union of Basic and Clinical Pharmacology. CV. Somatostatin Receptors: Structure, Function, Ligands, and New Nomenclature. Pharmacol. Rev. 2018, 70 (4), 763-835, DOI: 10.1124/pr.117.015388.
【非特許文献29】Gatto, F.; Feelders, R. A.; Van Der Pas, R.; Kros, J. M.; Waaijers, M.; Sprij-Mooij, D.; Neggers, S. J. C. M. M.; Van Der Lelij, A. J.; Minuto, F.; Lamberts, S. W. J.; De Herder, W. W.; Ferone, D.; Hofland, L. J. Immunoreactivity Score Using an Anti-Sst2A Receptor Monoclonal Antibody Strongly Predicts the Biochemical Response to Adjuvant Treatment with Somatostatin Analogs in Acromegaly. J. Clin. Endocrinol. Metab. 2013, 98 (1), E66-E71, DOI: 10.1210/jc.2012-2609.
【非特許文献30】Kooistra, A. J.; Mordalski, S.; Esguerra, M.; Mamyrbekov, A.; Munk, C.; Keser, M.; Gloriam, D. E. OUP Accepted Manuscript. Nucleic Acids Res. 2020, 49 (December 2020), 335-343, DOI: 10.1093/nar/gkaa1080.
【非特許文献31】A. Stevenazzi, G. Sandrone, M. Pinori, P. M. NMR and Molecular Dynamics Analysis of SOM230: A Pluripotent Somatostatin Analogue 9th INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON SOLID PHASE SYNTHESIS, COMPLEMENTARY SOLUTION METHODS & COMBINATORIAL LIBRARIES 2nd INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON PROTEOMIC, COMBINATORIAL & OTH; 2007.
【非特許文献32】Lehmann, A.; Kliewer, A.; Gunther, T.; Nagel, F.; Schulz, S. Identification of Phosphorylation Sites Regulating Sst3 Somatostatin Receptor Trafficking. Mol. Endocrinol. 2016, 30 (6), 645-659, DOI: 10.1210/me.2015-1244.
【非特許文献33】Gulde, S.; Wiedemann, T.; Schillmaier, M.; Valenca, I.; Lupp, A.; Steiger, K.; Yen, H. Y.; Bauerle, S.; Notni, J.; Luque, R.; Schmid, H.; Schulz, S.; Ankerst, D. P.; Schilling, F.; Pellegata, N. S. Gender-Specific Efficacy Revealed by Head-to-Head Comparison of Pasireotide and Octreotide in a Representative in Vivo Model of Nonfunctioning Pituitary Tumors. Cancers (Basel). 2021, 13 (12), DOI: 10.3390/cancers13123097.
【非特許文献34】Daniel Benten, Yasmin Behrang, Ludmilla Unrau, Victoria Weissmann, Gerrit Wolters-Eisfeld, Susanne Burdak-Rothkamm, Felix R. Stahl, Martin Anlauf, Patricia Grabowski, Markus Mobs, Jan Dieckhoff, Bence Sipos, Martina Fahl, Corinna Eggers, Daniel Perez, Maximillian Bockhorn, Jakob R. Izbicki, Ansgar W. Lohse, Jorg Schrader. Establishment of the First Well-differentiated Human Pancreatic Neuroendocrine Tumor Model. Mol Cancer Res 16, 496-507, 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、NFPAまたはその他の神経内分泌関連悪性腫瘍に罹患した患者に、低い副作用で、効果的に使用できる新規で効果的な薬物療法が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】
図1はITF2984、パシレオチド、オクトレオチドの構造を表す。 本研究で評価したソマトスタチン類似体(SSA)の構造を示す。(A)ITF2984、(B)パシレオチドおよび(C)オクトレオチド。
【
図1B】
図1はITF2984、パシレオチド、オクトレオチドの構造を表す。 本研究で評価したソマトスタチン類似体(SSA)の構造を示す。(A)ITF2984、(B)パシレオチドおよび(C)オクトレオチド。
【
図1C】
図1はITF2984、パシレオチド、オクトレオチドの構造を表す。 本研究で評価したソマトスタチン類似体(SSA)の構造を示す。(A)ITF2984、(B)パシレオチドおよび(C)オクトレオチド。
【
図2】
図2は、SRIF-14(青色のチューブ)のベストZDOCKスコアポーズおよびSSTR3およびSSTR2の「活性」コンフォーマーの重ね合わせを示す。EL4 5ループはSSTR2(赤いリボン)ではチャネルの入り口を減少させるが、SSTR3では干渉しない。上下の写真はそれぞれ正面および上から見たものである。右上図はリガンドTrp8側鎖ポケット(右上側)、右下図:内部空間のLys8:ζ窒素原子はk-オピオド作動薬MP1104の3級アミンの近くにある。
【
図3】
図3はSRIF-14のPhe-Trp-Lys-Thrモチーフのベストスコアポーズの詳細、およびI、I’、II、II’βターンの骨格ねじれの参考値をまとめた一般的なスケッチである。Trp-.Lysダイアドの測定された二面角Φ、Ψは理想的なβターンII’型と定性的に一致している。
【
図4】
図4は、ラット下垂体前葉細胞の初代培養を用いたin vitroでのGHRH刺激によるGH放出の阻害を示す。 グラフは、ラット下垂体前葉細胞の初代培養物を用いて、オクトレチド、パシレオチドおよびITF2984により誘導されたin vitroでのGHRH刺激によるGH放出の阻害を示す。結果は3回の実験の平均値±SDで表した。
【
図5】
図5:HEK293細胞におけるITF2984によって誘導されるSSTR3の内在化(インターナリジェーション(internalization))(A、B) 野生型hSSTR3を安定して発現しているHEK293細胞を、1μMまたは10μMのSST14、オクトレオチド、パシレオチドまたはITF2984で30分間処理した。その後、細胞を固定し、抗-HA抗体で染色し、共焦点顕微鏡で観察した。表示されているのは、少なくとも3つの独立した実験を二重に行ったうちの1つからの代表画像である。
【
図6】
図6:U2OS細胞において、SST28、パシレオチド、ITF2984およびオクトレオチドで処理した後のSSTR3の内在化
図6は、SST28、パシレオチド、ITF2984およびオクトレオチドで処理した後のSSTR3の内在化を示す(任意単位(Arbitrary Units)(AU))での内在化された蛍光の平均値)。
【
図7】
図7:HEK293トランスフェクション細胞におけるITF2984選択的SSTR3リン酸化(ホスホリル化(phosphorylation)) (A)ヒトSSTR3受容体の模式図であり、カルボキシル末端テール内のすべての潜在的リン酸受容部位を示す。リン酸化特異的抗体のエピトープを(-P)でマークした。 (B、C)野生型hSSTR3を安定に発現するHEK293細胞を、37℃で10分間、10μMのSST14、オクトレオチド、パシレオチドまたはITF2984に曝露しないか、10
-12~10
-5Mの範囲の濃度で曝露した(B);10μMのSST14、オクトレオチド、ITF2984またはパシレオチドに10
-12から10
-5Mの範囲の濃度で曝露した(C)。その後、リン酸化SST3受容体のレベルを、リン酸化部位特異的(phosphosite-specific)抗-pS337/pT341または抗-pT348を用いて測定した。
【
図8】
図8:HEK293トランスフェクション細胞における作動薬選択的SSTR2リン酸化 (A)ヒトSSTR2受容体の模式図であり、カルボキシル末端テール内のすべての潜在的リン酸受容部位を示す。リン酸化特異的抗体のエピトープを(-P)でマークした。 (B、C)野生型hSSTR2を安定に発現するHEK293細胞を、SST14(=SS14)、オクトレオチド、パシレオチド、またはITF2984に、37℃で10分間、10μMまたは1μMの濃度で曝露しないか、または曝露した。その後、リン酸化SSTR2受容体のレベルを、リン酸化部位特異的抗-pS341/pS343、pT353/T354、pT356/T359抗体を用いて測定した。その後、ブロットを取り除き、UMB1抗体で再プローブ化し、ゲルのローディングが等しいことを確認した。パシレオチドおよびITF2984はS341/S343の選択的リン酸化を誘導する。対照的に、SST14およびオクトレオチドはSSTR2の完全なリン酸化を誘導する。示されたブロットは3つの独立した実験の代表である。分子量マーカーの位置は左側に示した(単位はkDa)。
【
図9】
図9:HEK293トランスフェクション細胞における作動薬選択的SSTR5リン酸化 (A)ヒトSSTR
5受容体の模式図であり、カルボキシル末端テール内のすべての潜在的リン酸受容部位を示す。リン酸化酵素特異的抗体のエピトープを(-P)で示した。(B)野生型hSSTR5を安定して発現しているHEK293細胞を、37℃で10分間、SS14、オクトレオチド、パシレオチド、ITF2984に曝露しなかったか、または曝露した。SSTR5のリン酸化を誘導するSST14、オクトレオチド、パシレオチドおよびITF2984の能力を、リン酸化部位特異的抗-pT333抗体を用いたウェスタンブロットで試験した。ITF2984はSSTR5の部分的なリン酸化を誘導した。パシレオチドはITF2984およびオクトレオチドよりも強力であった。(C)続いて、ブロットを取り除き、抗-HA抗体で再プローブ化し、ゲルのローディングが等しいことを確認した。示されたブロットは3つの独立した実験の代表である。分子量マーカーの位置は左側に示した(単位はkDa)。
【
図10】
図10:HEK293トランスフェクション細胞における、作動薬を介したSSTR3のGタンパク質シグナル伝達 SSTR3を介してGIRK2チャネルを活性化するSST14、オクトレオチド、パシレオチド、ITF2984の能力を蛍光膜電位アッセイを用いて試験した。使用した濃度を示す。ITF2984はSSTR3において強力なGタンパク質シグナルを誘導し、オクトレオチドまたはパシレオチドよりも約5倍強力であった。データポイントは平均値±S.E.M.を表す。
【
図11】
図11:蛍光ベースの膜電位アッセイを用いたマウスAtT-20細胞におけるGタンパク質シグナル伝達(G protein-signalling)の解析 (A)野生型AtT-20細胞において、内因性に発現されたSSTR2およびSSTR5受容体(黒)または外因性に発現されたヒトSSTR3受容体(灰色)を介して内因性GIRKチャネルを活性化するオクトレオチドの能力を試験した。(B)野生型AtT-20細胞において、内因性に発現されたSSTR2およびSSTR5受容体(黒)または外因性に発現されたヒトSSTR3受容体(灰色)を介して内因性GIRKチャネルを活性化するITF2984の能力を試験した。SSTR3の発現は、用量反応曲線の左方シフトをもたらした。
【
図12】
図12:ITF2984またはプラセボを投与したラットの腫瘍体積の変化 5.5ヵ月齢のMENX罹患ラットに、ITF2984を14日ごとに1回、指定用量(12.5mg/kg体重)で注射した。14日ごとにMRIを行い、腫瘍体積を0日目の体積に対して正規化した。雄と雌のラットの腫瘍を別々に示した。データは平均値±SEMである。#は有意でない;*はp値<0.05;**はp値<0.001。
【
図13】
図13:ITF2984またはプラセボを投与したラットにおけるNFPAの増殖 (A、B)ラットの腫瘍における100.000μm
2あたりのKi67陽性細胞数を2群(ITF2984投与群、対照群)および雌雄に帰属した。表示は平均値±SEMである。*はp値<0.05;**はp値<0.001である。
【
図14】
図14:ITF2984またはプラセボで処理したNFPAを有する雌雄ラットにおけるSstr遺伝子の発現 (A)プラセボ処理された雌雄両方の対照ラットにおけるSSTR1,2,3,5遺伝子に対するmRNAコピー数/細胞の絶対定量。(B)対照群と比較したITF2984処理群におけるSstr1,2,3,5遺伝子の相対発現であり、任意に100%に設定した。平均値±SEMで示した。*はp値<0.05である。
【
図15】
図15は、18日間処理したNT-3細胞株スフェロイドに対するITF2984の濃度増加(20~2560nM)の細胞毒性効果である。写真は常に0、4、7、11、14、18日目に同じウェルから取得した。0日目は処理初日に対応する。
【
図16】
図16は、18日間処理したNT-3細胞株スフェロイドに対するオクトレオチドの濃度増加(20~2560nM)の細胞毒性効果である。写真は常に同じウェルから0、4、7、11、14、18日目に取得した。0日目は処理初日に相当する。
【
図17】
図17は、18日間処理したNT-3細胞株スフェロイドに対するパシレオチドの濃度増加(20~2560nM)の細胞毒性効果である。写真は常に0、4、7、11、14、18日目に同じウェルから取得した。0日目は処理初日に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての術語、表記および他の科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解される意味を有することが意図される。場合によっては、一般的に理解される意味を有する用語は、明確化のため、および/または、すぐに参照できるように、本明細書において定義される。したがって、そのような定義を本明細書に含めることは、当該技術分野において一般的に理解されることを超えて実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。
【0017】
本明細書において「生理学的に許容される賦形剤」という用語は、それ自体何らの薬理学的効果を有さず、哺乳動物、好ましくはヒトに投与された場合に有害な反応をもたらさない物質を指す。生理学的に許容される賦形剤は当該技術分野において周知であり、例えば、参照目的で本明細書に組み込まれるHandbook of Pharmaceutical Excipients, sixth edition(2009)(非特許文献2)に記載されている。
【0018】
本明細書において、「塩および/または薬学的に許容される誘導体」という用語は、生物学的有効性および塩化もしくは誘導体化合物の特性を有し、哺乳動物、好ましくはヒトに投与した場合に、有害な反応をもたらさない塩または誘導体を指す。薬学的に許容される塩は、無機塩であっても有機塩であってもよく、薬学的に許容される塩の例としては、炭酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩に関するより詳細な情報は、Handbook of pharmaceutical salts15(非特許文献17)に見出されうる。薬学的に許容される誘導体には、エステル、エーテルおよびN-オキシドが含まれる。
【0019】
本明細書において、「同時使用、分離使用、または逐次使用」という用語は、第1および第2の化合物の同時投与、または2つの化合物が患者の体内で同時に作用するような方法での投与、または治療効果をもたらすように一方の化合物を他方の化合物の後に投与することを指す。いくつかの実施形態では、化合物は食事と一緒に服用される。他の実施形態では、化合物は食後、例えば食後30分または60分後に服用される。いくつかの実施形態では、化合物を一定期間患者に投与し、その後、他の化合物を投与する。
【0020】
用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」は、「オープン(open)」用語(すなわち、「~を含むが、~に限定されない」という意味)として理解されるべきであり、「~から本質的になる(consist essentially of)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consist of)」、または「からなる(consisting of)」などの用語をサポートするものとみなされるべきである。
【0021】
本発明における略号「NFPA」は、「非機能性下垂体腺腫」を意味する。
【0022】
本発明における「SSA」という用語は、ソマトスタチン類似体を意味する。
【0023】
本発明における「PAN-作動薬」という用語は、ソマトスタチン受容体(SSTR1、2、3および5)の作動薬を意味する。
【0024】
「肺カルチノイド腫瘍」は、神経内分泌細胞からなる癌性腫瘍の一種である。これらの細胞は肺を含む全身に見出される。ホルモンまたはホルモン様物質を産生および分泌することから、これらは内分泌細胞と考えられている。
【0025】
「褐色細胞腫」は、褐色細胞としても知られるクロマフィン細胞で構成される副腎髄質のまれな腫瘍である。褐色細胞腫と同じ細胞から成る腫瘍が副腎の外で発生する場合、それは「傍神経節腫」といわれる。これらの神経内分泌腫瘍は、大量のカテコールアミン、メタネフリン、またはメトキシチラミンを産生および放出する能力を有し、その結果、高血圧(血圧が高い)、頻脈(心拍数が速い)、発汗(汗をかく)などの最も一般的な症状をもたらす。しかしながら、これらの腫瘍のすべてがカテコールアミンを分泌するわけではない。分泌されないものは生化学的にサイレントと呼ばれ、主に頭頸部に位置する。
【0026】
発明の説明
実験セクションで詳細に開示されるように、本発明者らは、SSTR3に対する高い結合親和性および第一世代のSSAに対して改善された特性を有する新規環状SSA汎作動薬ヘキサペプチドであるITF2984が、ヒトの対応物に酷似しているMENX(ホモ接合変異体)NFPAラットモデルにおいて、NFPAの治療に有効であることを驚くべきことに見出した16、17。
【0027】
ITF2984の分子キャラクタリゼーションの過程で、本発明者らは、パシレオチドおよびオクトレオチドのような他の汎作動薬と構造的に類似している一方で、ITF2984が既知の分子と比較してSSTR3に対してより高い親和性を有することを見出した。分子モデリングにより、ITF2984におけるより高いβ-II’ターンの確率が、より高いSSTR3親和性と相関することが明らかになり、このことは、この分子のユニークな選択性パターンに対する構造的根拠を提供する。
【0028】
特に、得られたin-vitroの結果は、驚くべきことに、ITF2984が2つの異なる細胞株において、パシレオチドまたはオクトレオチドよりも効果的にSSTR3の内在化(インターナリジェーション(internalization))およびリン酸化(ホスホリル化(phosphorylation))を誘導し、さらに薬理学的に適切な濃度範囲においてGIRKの活性化を誘導することを示している。これらのデータから、ITF2984はSSTR3受容体の完全な作動薬であり、受容体の内在化を促進すると考えられる。
【0029】
いくつかの研究によると、SSTR3は性腺刺激ホルモン分泌細胞腺腫で頻繁に強く発現しているが、SSTR2は少数の患者でのみ、SSTR5は例外的にしか発現していない3、8、18、19。
【0030】
さらに、最近の研究では、下垂体腺腫以外にも、膵腫瘍20、褐色細胞腫、傍神経節腫21、肺カルチノイド22および乳癌23などの神経内分泌に関連した多様な悪性腫瘍におけるSSTR3発現の上昇が示唆されている。
【0031】
非機能性下垂体腺腫(NFPA)および膵腫瘍などのその他の神経内分泌関連悪性腫瘍20、褐色細胞腫、傍神経節腫21、肺カルチノイド22および乳癌23などの神経内分泌関連悪性腫瘍は、SSTR3発現腫瘍とみなされる。
【0032】
ソマトスタチン(SST)およびSSAによるSSTR3の活性化は、タンパク質チロシンホスファターゼの活性化と、それに続くRaf1およびMAPKの不活性化を通じて、分裂促進経路を妨害することにより、細胞静止効果と細胞毒性効果を誘導する。さらに、SSTR3の関与は、p53とカスパーゼの活性化を通してアポトーシスを誘導することが提唱された。SSTR3のターゲティングはまた、内皮細胞の増殖、その結果の血管新生を阻害する10、24~26。
【0033】
したがって、SSTR3を認識し活性化する新しいSSAの開発は、以下の事実:
1) NFPAは主にSSTR3を発現しており、これは放射線治療後も維持されること3、そして、
2) SSAに対する下垂体腺腫の応答は、GH分泌腺腫におけるSSTR2にみられるように、特定のSSTRサブタイプの発現に依存すること27、
によって、NFPAの治療に対する潜在的に有望な戦略である。
【0034】
これは、ITF2984がマウスの腫瘍増殖を効果的に抑制し、NFPA細胞の増殖の強力な減少を誘導することを明確に示す、実験のセクションで報告したin vivo試験で得られた結果によって確認された。
【0035】
ITF2984は、見出された受容体親和性プロファイルおよびin vitroで得られたデータと一致して、選択的な抗腫瘍活性を示した。
【0036】
この抗腫瘍活性は、ITF2984で処理した腫瘍の増殖指数(KI67陽性)の低下と合致した。さらに、ITF2984は雌ラットのSSTR3 mRNA発現を選択的に誘導し、代償的なアップレギュレーションを示唆した。
【0037】
従って、得られたデータは、このモデルにおけるITF2984のin vivoでのSSTR3の関与および主にSSTR3駆動性の抗腫瘍活性と一致しており、NFPA、およびSSTR3発現腫瘍(すなわち、膵臓腫瘍、褐色細胞腫、傍神経節腫、肺癌および乳癌)および繊毛病などの他のSSTR3駆動性疾患におけるITF2984の臨床使用の構想をin vivoで証明するものである。
【0038】
最近、MENXモデルにおけるパシレオチドおよびオクトレオチドの活性が報告され28、本発明者らはそれらのデータを本明細書で報告するITF2984の結果と比較した。発表された報告では、パシレオチドはオクトレオチドよりも高い抗腫瘍活性を有することが示され、それは雌雄両方のラットで明らかであったが、雌の方が高い活性を示す傾向があった。この高い活性はSSTR3受容体の関与によるものである。
【0039】
これらのデータは、ITF2984を用いた本発明者らの観察とは異なっていることに本発明者らは注目した。実際に、ITF2984は雌ラットにのみ有意な放射線腫瘍応答とSSTR3 mRNAの代償的なアップレギュレーションを示したが、SSTR3レベルの低い雄ラットでは有意な抗腫瘍効果は観察されなかった。本発明者らは、これらのデータを、試験された実験条件下では、排他的ではないとしても、SSTR3の関与によって主に媒介されるITF2984のより選択的な活性という観点から解釈している。
【0040】
また、治療動物が治療終了時に不快感の兆候を示さないことも観察されている。ITF2984の安全性は、前臨床安全性試験、健常人ボランティアを対象とした2つの臨床第I相試験、および先端巨大症患者を対象とした臨床第II相試験でも確認されており、許容容量での有効性が示されている(39、40)。
【0041】
したがって、本発明の一実施形態は、SSTR3発現腫瘍の治療における、式(I)の化合物:
【0042】
【0043】
またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物の使用である。
【0044】
好ましい実施形態によれば、前記SSTR3発現腫瘍は、膵腫瘍、褐色細胞腫、傍神経節腫、肺カルチノイドまたは乳癌から選択される、非機能性下垂体腺腫(NFPA)または神経内分泌関連悪性腫瘍である。
【0045】
好ましくは、前記薬学的に許容される塩および/または溶媒和物は、パモエート、ジアセテートまたはトリフルオロアセテートである。
【0046】
式(I)の化合物のIUPAC名は、(3S,6R,9S,12S,15S,19R,20aS)-9-(4-アミノブチル)-15-ベンジル-12-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-((3,8-ジメトキシナフタレン-2-イル)メチル)-3-(4-ヒドロキシベンジル)-1,4,7,10,13,16-ヘキサオキソイコサヒドロピロロ[1、2-a][1,4,7,10,13,16]ヘキサアザシクロオクタデシン-19-イル(2-アミノエチル)カルバメートまたはシクロ[4(R)-[N-(2-アミノエチル)カルバモイルオキシ]-L-プロリル-L-チロシル-D-3,8-ジメトキシナフチルアラニル-L-リシル-(4-O-ベンジル)-L-チロシル-L-フェニルアラニル]である。
【0047】
式(I)の化合物は、本明細書ではITF2984とも表記され、国際特許出願WO2009/071460A2(WO2009/071460A2)(特許文献1)にすでに開示されている。
【0048】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を、患者に毎日投与する。
【0049】
好ましくは、患者は人間である。
【0050】
さらに好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物は、0.5~5mg/die、好ましくは0.2~2.5mg/die、より好ましくは0.1~2mg/dieの範囲の量で患者に投与される。
【0051】
好ましくは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を、0.1mgを1日2回、好ましくは0.5mgを1日2回、より好ましくは5mgを1日1回の量で、患者に投与する。
【0052】
好ましくは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物は、経口、舌下、直腸、血管内、静脈内、皮下経路で投与され、好ましくは経口経路で投与される。
【0053】
さらなる好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物は、少なくとも1つの生理学的に許容される賦形剤とともにそれを含有する医薬組成物の形態で患者に投与される。
【0054】
好ましくは、前記医薬組成物は、経口、舌下、直腸、血管内、静脈内、皮下経路により投与され、好ましくは静脈内経路により投与される。
【0055】
好ましくは、前記医薬組成物は固体または液体の形態である。
【0056】
より好ましくは、前記固体形態は、粉末、錠剤、顆粒剤、凝集剤、圧縮されたまたはコーティングされたピル、硬カプセル剤またはゼラチンカプセル剤から選択され;前記液体形態は、懸濁液、シロップ剤または注射用液剤である。
【0057】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物は、少なくとも1つの活性素(active principle)と組み合わせて患者に投与される。
【0058】
好ましくは、前記少なくとも1つの活性素は、インスリンの分泌促進薬(a secretagogues of the insulin)、インスリン分泌の促進剤(a promoter of the insulin secretion)、インスリン感作剤、低インスリン用量剤、ドーパミン受容体2作動性(アゴニズム(agonism))を有する薬剤、抗血管新生作用を有する薬剤または化学療法剤から選択される。
【0059】
好ましくは、インスリン感作活性を有する前記薬剤は、メトホルミンであり、これは肝臓における糖新生を低下させる。
【0060】
好ましくは、前記インスリンの分泌促進剤は、スルホニル尿素またはビンダグリプチンおよびナタグリニドから選択されるインクレチンベースの薬剤である。
【0061】
好ましくは、前記インスリン分泌の促進剤はGLP-1作動薬であり、より好ましくは、前記薬剤はリラグルチドまたはエキセナチドである。
【0062】
好ましくは、ドーパミン受容体2作動性を有する前記薬剤は、カベルゴリンおよびブロモクリプチンである。
【0063】
好ましくは、前記化学療法剤はテモゾロミドである。
【0064】
さらなる好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物は、少なくとも1つの活性素と同時に、別々に、または逐次的に投与される。
【0065】
本発明は、以下の実験セクションでさらに詳細に説明される。以下の実施例は本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0066】
実験セクション
ITF2984の構造
新規なSST汎作動薬である環状ヘキサペプチドITF2984(
図1のパネルAで報告されている式)は、第一世代のSSAに対して改善された特性を持つ汎作動薬を同定することを目的とした医薬品化学プログラムで発見された。この化合物は、パシレオチドおよびオクトレオチドなどの他の既知のソマトスタチン類似体に関して、SSTR1、2、3、5について高い結合親和性を示し、すべての受容体に対してナノモル範囲のIC
50値を有した。IC
50の値は、1つの代表的な実験から得られたものである。3つの独立した実験からの信頼区間(表1)。
【0067】
オクトレオチドと比較した場合、ITF2984はSSTR1、SSTR3およびSSTR5に対して高い親和性を示し、SSTR2に対しては低い親和性を示したが、パシレオチドと比較すると、ヒトSSTR1、SSTR2およびSSTR3に対して高い親和性を示した(表1)。
【0068】
表1は、パシレオチドおよびオクトレオチドと比較したITF2984の活性のプロファイルを示している。
【0069】
表1.本研究で出現したITF2984、第一世代(オクトレオチド)および第二世代(パシレオチド)のSSAのプロファイル。カラーコードによる定性的説明:優秀(非常に薄い灰色)、良好/普通(薄い灰色)、普通(濃い灰色)、無視できる(非常に濃い灰色)、悪い(特に濃い灰色)
【0070】
【0071】
特に、SSTR3に対するITF2984のIC50の値は、オクトレオチドまたはパシレオチドで得られた値よりも約1桁低かった。
【0072】
SSTR3に対するITF2984の高い親和性の構造的根拠を合理的に解釈するために、分子モデリングアプローチを用いた。この目的のために、G共役タンパク質受容体の構造に関するオープンアクセスリポジトリであるGPCRdb28のSSTR構造を用いた。受容体SSTR1~4のモデルは、主にκ-オピオイド受容体(またはKOP、配列類似性60~66%、活性および不活性コンフォーマーそれぞれのpdbコード6B73および6VI4)をベースにしている。一方、SSTR5はδ-オピオイド受容体により類似している。このモデリングの実行にオピオイド受容体を用いることの妥当性は、この特定のGPCRファミリーに対するITF2984とパシレオチドの単回用量結合アッセイによって実験的に確認され、この場合、両ヘキサペプチドは10-5Mで作動薬を完全に置換することができる(表2)。
【0073】
表2:10-5MのITF2984およびパシレオチドによって誘導されるいくつかのGタンパク質共役受容体の阻害率(薄い灰色=阻害率25~50%;濃い灰色=阻害率50%超)
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
SSTR2およびSSTR3におけるITF2984とパシレオチドの異なる挙動を説明するために、本発明者らはまず、5%D-マンニトール溶液中のSST14のNMR研究から得られたSST14コンフォーマーを用いて、ソマトスタチンと受容体の相互作用を探索した(10個のコンフォーマーのうち最初のコンフォーマー、PDBコード2MI1)。SST14はSSTR3によくドッキングし、ZDOCKスコアが最も高いポーズは膜貫通ヘリックスTM5、TM6、TM7と相互作用し、TM4とTM5をつなぐ細胞外ループ(EL4-5)の近くにあるらしいPhe7と相互作用している。残念ながら、SRIF-14とSSTR2については、TM4とTM5の間に長い細胞外ループがあるため、同等のドッキング計算を行うことができなかった:このループコンフォメーションは、SSTR2の膜貫通ヘリックスによって区切られた内部空間への入り口を妨害する(
図2)。
【0078】
SSTR3モデルにおけるSST14の結合形状には、一連の興味深い特徴がある:
i) Lys9はAsp123に固定され、κ-オピオイドの活性型(PDBコード6B73)をSSTR3-SST14の最適ドッキングポーズ複合体に重ね合わせると、ζ-窒素原子はKOP作動薬MP1104のNH4
+基と同じ領域を占める。
ii) Trp8は、Leu100、Val299、Tyr295およびPhe273で区切られた疎水性ポケットに適合し、局所的な非共有結合ネットワークに埋もれる。
iii) リガンド残基Phe7-Trp8-Lys9-Thr10は、歪んだβ-II’ターンを生成する。
【0079】
最も可能性の高いSRIF-14結合コンフォーマーに見いだされる歪んだβ-II’ターンは、このような二次構造モチーフの高い安定性を示すペプチド作動薬が好ましいことを示唆している。パシレオチドとL-363、301のNMR研究29により、他の環状ヘキサペプチドに比べてこのコンフォーマーの高い柔軟性が示され、このより大きな自由度がすべての受容体結合部位により良く適合するパシレオチドの能力の理由であると考えられる。
【0080】
ITF2984の類似の実験(
図3)は、パシレオチドに比べてITF2984のβ-II’ターンの確率が高いことを示しており、これは、軌道解析で検出された分子動力学スナップショットの数が多いことによる(12%ではなく30%)。化合物ITF2842のβ-II’-ターン確率は、さらに高い(58%)。3分子すべてについてSSTR1~3およびSSTR5に対する結合結果を比較すると(表3)、β-ターンの安定性と対SSTR3の効力(および選択性)との間に相関関係があることがわかる。β-ターンの安定性が高いほど、SSTR3に対する選択性が高い。
【0081】
本発明者らは、SSTR3に対するITF2984の親和性の上昇を説明するもっともらしい構造仮説が存在すると結論づけた。
【0082】
【0083】
本発明者らはさらにITF2984の生物学的活性を特徴付けた:この分子はラット下垂体前葉初代細胞培養からのGH放出を強力に阻害したが、パシレオチドに関しては統計学的な差はなかった(
図4)。ITF2984はさらに、ラットのペントバルビタール誘発GH放出を阻害し、ラットおよびイヌのIGF1レベルを低下させた。
【0084】
ITF2984と他のSSTR作動薬との間のメカニズムの違いを明らかにするために、2つの異なる実験モデル:ヒトSSTRでトランスフェクションされたHEK293細胞、およびヒトGFPタグ付き受容体(SSTR2-tGFP、SSTR3-tGFP、SSTR5-tGFP)でトランスフェクションされたU2OS細胞、を用いてSSTRの内在化を調べた。SST14とSST28は、それぞれ1回目と2回目の実験で参照化合物として含まれた。
【0085】
トランスフェクションされたHEK293細胞において、ITF2984はSSTR3の強い内在化を誘導したが、これはSST14によって誘導されたものと同程度であり、オクトレオチまたはパシレオチドによって誘導されたものよりも有意に高かった(
図5A、5B)。対照的に、SSTR2とSSTR5の部分的な内在化のみが観察された。
【0086】
U2OS細胞では、未処理の対照と比較して、すべての化合物が用量依存的にSSTR2-tGFPの内在化を増加させ、オクトレオチドが最も強力な内在化誘導剤であり、パシレオチドおよびITF2984がそれに続いた。SSTR5-tGFPをトランスフェクションした細胞では、SSAによる処理による受容体の内在化の増加は、SSTの効果は低かった(SST28の約50%)が、SSTの効果と同様であった(表4、
図6)。
【0087】
【0088】
最後に、SSTR3-tGFPを導入した細胞では、ITF2984は最も強力な受容体内在化誘導剤であり、1μMでSST28に匹敵する増加を示した。同じ濃度では、オクトレオチドおよびパシレオチドの効果は著しく低かった。
【0089】
本発明者らは、2つの異なる細胞株において、ITF2984がパシレオチドまたはオクトレオチドよりも効果的にSSTR3の内在化を誘導すると結論づけた。
【0090】
リン酸化部位特異的抗体を用いたヒトSSTR2、SSTR3およびSSTR5受容体のSSAで誘導される活性化の評価
次に、SSAによって誘導されるヒトSSTRの活性化を、以下の残基に対するリン酸化部位特異的(phosphosite-specific)抗体を用いたウェスタンブロットによって試験した:SSTR2について:S341/pS343、T353/T354、T356/T359;SSTR3について:S337/T341、T358;SSTR5について:T333
30。SSTR3は、用量依存的様式および薬理学的に適切なナノモルの用量範囲で完全なリン酸化を誘導した(
図7B、C)が、パシレオチドは、薬理学的に適切なマイクロモルの用量範囲で弱い効果しか誘導しなかった。SSTR2では、両方のシクロヘキサペプチドがS341/S343の選択的リン酸化を誘導したが、SST14およびオクトレオチドは、調査したすべての部位でSSTR2の完全なリン酸化をもたらした(
図8B、C)。最後に、SSTR5のpT333リン酸化部位は、すべての試験化合物によって部分的にしか影響を受けず、パシレオチドが最も顕著な効果を示した(
図9B、C)。
【0091】
HEK293細胞およびAtT20 SSTR3トランスフェクション細胞においてSSTR3の作動薬で媒介されるGタンパク質シグナル伝達。
【0092】
ソマトスタチン受容体のシグナル伝達(シグナリング(signaling))は、Gタンパク質共役型内向き整流カリウム(GIRK)チャネルを活性化することが知られている30。
【0093】
そこで、hSSTR3をトランスフェクションしたHEK293細胞およびAtT20野生型の両方、ならびにhSSTR3をトランスフェクションした細胞で、GIRKベースの蛍光膜電位アッセイを用いて、SSTR作動薬によって媒介されるGタンパク質シグナル伝達を研究した。
【0094】
ヒトSSTR3受容体を安定に発現しているHEK293細胞をSST14、オクトレオチド、パシレオチドおよびITF2984で刺激すると、FMP染料の蛍光シグナルは用量依存的に減少し、ITF2984はオクトレオチドまたはパシレオチドよりも強力であった(
図10)。ITF2984をよりよく特徴化するために、GIRKチャネルの活性化をSSTR2およびSSTR5にも適用した。HEK293-GIRK2-GFP-HA-hSST2では、最も強力な作動薬はオクトレオチドであり、次いでパシレオチドおよびITF2984であったが、HEK293-GIRK2-GFP-HA-hSST5では、パシレオチドによって最も高い活性化が誘導された。HEK293細胞におけるSSTR2、SSTR3、SSTR5の作動薬媒介性Gタンパク質シグナル伝達の結果を表5にまとめた。
【0095】
結果は、3回の独立した実験による二重測定から算出した平均値±SEMで表した。
【0096】
【0097】
さらに、オクトレオチドとITF2984によって媒介されるGタンパク質シグナル伝達を、GIRK1/2チャネルならびにSSTR2およびSSTR5受容体を内因性に発現するマウス大脳皮質腫瘍AtT-20細胞で解析した。SSTR3受容体の外因性発現は、ITF2984で媒介される用量反応曲線の左方シフトをもたらしたが、これらの条件下のオクトレオチドではシフトしなかった。これらのデータは、hSSTR3をトランスフェクションしたHEK293細胞株で得られたデータと一致している。
【0098】
in vivoでの内因性NFPAに対するITF2984の有効性
試験管内研究の結果に勇気づけられ、本発明者らは、ヒトのNFPAに非常によく似たNFPAが完全な浸透性で発達する唯一の自発的内因性モデルであるMENX(ホモ接合変異体)ラットモデルでITF2984のin vitroでの抗腫瘍活性を研究することにした16、17。このモデルで発達するNFPAは、これらのヒト対応体のSSTR発現パターンも再現し、高いSSTR3発現を示した。興味深いことに、MEXラット下垂体腫瘍におけるSSTR3レベルは性別に特異的であり、雌で高い発現が観察された。このパターンはヒトNFPAにも及ぶ可能性がある。男女両方のラットをITF2984またはプラセボで56日間処理し、腫瘍の成長を高解像度MRIを用いて縦断的にモニターした。
【0099】
ITF2984を投与した雄ラットおよび対照群のメンバーでは、相対的な腫瘍体積の急激な増加が認められ(
図12)、二次的な時間効果を持つ線形混合効果モデル(LME)に最もよく適合した対数的な値を示した。対照的に、ITF2984を投与した雌ラットは、処理中の腫瘍体積のわずかな増加のみを示し、代わりに直線的な成長を示した。ITF2984で処理されたラットの雌雄間の時間勾配の差は有意であった(p値=0.0251)。このことは、雌の突然変異ラットは雄と比較してITF2984に有意によく応答したことを示している。意外なことに、2匹の雌ラットは試験開始時にすでに比較的大きな腫瘍を有していたが、ITF2984は腫瘍の成長を抑制し続け、これら2匹は処理終了時に不快の徴候を示さなかった。雌雄の両方を組み合わせた場合、ITF2984を処理したラットにおける腫瘍増殖の全体的な減少(薬物反応の代用として使用)は、最も良く適合したLMEによって評価されたように、対照ラットにおける腫瘍増殖の減少に対して控えめであった。しかし、雌雄を別々に分析すると、薬剤で処理した雌ラットはプラセボで処理した雌ラットと比較して腫瘍増殖の抑制を示し、前者のグループがITF2984に応答したことを示している。
【0100】
NFPAの増殖率に対するITF2984の効果
処理終了時に、生体外(ex vivo)分析用に下垂体組織を採取した。Ki67の染色をプラセボまたはITF2984で処理したラットのすべての腫瘍に対して行い、100.000μm
2あたりのKi67陽性細胞の数を数えた。プラセボ投与(対照)NFPAは、報告されたように、平均して、面積当たり375個(雄)および312個(雌)のKi67陽性細胞を示した(
図13)。驚くべきことではないが、対照群では、雄および雌において、Ki67陽性細胞数と絶対腫瘍容積との間に正の傾向があった。ITF2984で処理したラットの腫瘍では、Ki-67陽性細胞数は、平均して、雄ラットで250個(-33.5%)、雌ラットで134個(-57%)に減少した(
図13)。プラセボとITF2984で処理した雌ラットの間のKi67陽性細胞数の差は有意であった(p=0.031)。腫瘍細胞増殖の変化は、MRIによって決定された腫瘍体積の変化と相関している:ITF2984は雄よりも雌でより効果的に腫瘍増殖を抑制し、これは前者におけるNFPA細胞増殖のより強力な減少と一緒であった。
【0101】
ラットNFPAにおけるSSTRの発現
様々なSstr遺伝子の発現レベルは、定量的RT-PCRにより各転写物のコピー数(絶対定量)を測定することで、処理終了時のラット腫瘍で評価された。また、2動物群からの腫瘍を免疫組織化学(IHC)を用いてSSTR1、2、3および5に対する抗体で染色し、その結果を、雌ラットにおけるSSTR3の高発現で確認した
31。ITF2984を投与すると、雌雄ともにSSTR5の発現がダウンレギュレーションされ、SSTR3のmRNAが増加した(
図14)。この雌性ラットにおけるSSTR3の高発現は、雌性におけるITF2984の効果が大きいことを説明する。
【0102】
ヒトの女性においても、SSTR3の発現が統計学的に有意に高いことは示されていない。
【0103】
T-3細胞株スフェロイドに対するITF2984の活性と、オクトレオチドおよびパシレオチドとの比較
方法 - NT-3細胞株スフェロイドの作製と処理
NT-3高分化膵神経内分泌(PanNET)細胞株(32)は、膵腫瘍のin vitroモデルである。
【0104】
前記細胞は、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、20ng/mlのEGF(AF-100-15、ペプロテック社製)、10ng/mlのFGF(100-18B、ペプロテック社製)を含むRPMI1640培地GlutaMAX(商標)で培養された。
【0105】
3Dスフェロイドは、96ウェルULAプレート(コーニング(Corning))に2000細胞/ウェルを播種して作製した。各条件について4つの複製を播種した。
【0106】
スフェロイド形成には処理開始前の4日を要した。
【0107】
ITF2984、パシレオチド、オクトレオチドのストック溶液は100%DMSO中で調製され、0.5%DMSOを含有する完全増殖培地で2560、1280、640、320、160、80、40、20nMの作業溶液が調製された。
【0108】
培地の50%を(スフェロイドの除去を避けるため)、所望の薬剤濃度の2倍を含有する新しい培地に交換し、処理を3日ごとに繰り返した。
【0109】
スフェロイドの形態は処理中毎日モニターし、0、4、7、11、14、18日目に写真を撮った。0日目は処理初日に相当する。写真は各時点で同じウェルから撮影した。
【0110】
結果 - NT-3スフェロイドに関するITF2984の細胞毒性活性
最近開発されたNT-3細胞株は、高レベルのSSTR、特にSSTR3を発現する、よく分化したPanNETである(32)。
【0111】
ITF2984は、オクトレオチドおよびパシレオチドと並行して、NT-3スフェロイドに関する細胞毒性活性について用量応答で試験した。スフェロイドの成長/生存を18日間追跡した。
【0112】
図15に示すように、ITF2984は、スフェロイドの体積を減少させ、これは濃度≧640nMで7日目から始まった。2.56μMでスフェロイドは完全に破壊された。同じ現象はオクトレオチドとパシレオチドで処理したスフェロイドではあまり明確ではなく、最高濃度でもその形態を依然として維持している(
図16と17)。
【0113】
従って、NT-3スフェロイドで観察された細胞毒性活性が抗腫瘍活性に対応することを考慮すると、前記結果は、ITF2984が膵臓癌の治療により効果的な薬剤として使用できることを示しうる。
【0114】
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(特許文献28)(26) Gunther, T.; Tulipano, G.; Dournaud, P.; Bousquet, C.; Csaba, Z.; Kreienkamp, H. J.; Lupp, A.; Korbonits, M.; Castano, J. P.; Wester, H. J.; Culler, M.; Melmed, S.; Schulz, S. International Union of Basic and Clinical Pharmacology. CV. Somatostatin Receptors: Structure, Function, Ligands, and New Nomenclature. Pharmacol. Rev. 2018, 70 (4), 763-835, DOI: 10.1124/pr.117.015388.
【0141】
(特許文献29)(27) Gatto, F.; Feelders, R. A.; Van Der Pas, R.; Kros, J. M.; Waaijers, M.; Sprij-Mooij, D.; Neggers, S. J. C. M. M.; Van Der Lelij, A. J.; Minuto, F.; Lamberts, S. W. J.; De Herder, W. W.; Ferone, D.; Hofland, L. J. Immunoreactivity Score Using an Anti-Sst2A Receptor Monoclonal Antibody Strongly Predicts the Biochemical Response to Adjuvant Treatment with Somatostatin Analogs in Acromegaly. J. Clin. Endocrinol. Metab. 2013, 98 (1), E66-E71, DOI: 10.1210/jc.2012-2609.
【0142】
(特許文献30)(28) Kooistra, A. J.; Mordalski, S.; Esguerra, M.; Mamyrbekov, A.; Munk, C.; Keser, M.; Gloriam, D. E. OUP Accepted Manuscript. Nucleic Acids Res. 2020, 49 (December 2020), 335-343, DOI: 10.1093/nar/gkaa1080.
【0143】
(特許文献31)(29) A. Stevenazzi, G. Sandrone, M. Pinori, P. M. NMR and Molecular Dynamics Analysis of SOM230: A Pluripotent Somatostatin Analogue 9th INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON SOLID PHASE SYNTHESIS, COMPLEMENTARY SOLUTION METHODS & COMBINATORIAL LIBRARIES 2nd INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON PROTEOMIC, COMBINATORIAL & OTH; 2007.
【0144】
(特許文献32)(30) Lehmann, A.; Kliewer, A.; Gunther, T.; Nagel, F.; Schulz, S. Identification of Phosphorylation Sites Regulating Sst3 Somatostatin Receptor Trafficking. Mol. Endocrinol. 2016, 30 (6), 645-659, DOI: 10.1210/me.2015-1244.
【0145】
(特許文献33)(31) Gulde, S.; Wiedemann, T.; Schillmaier, M.; Valenca, I.; Lupp, A.; Steiger, K.; Yen, H. Y.; Bauerle, S.; Notni, J.; Luque, R.; Schmid, H.; Schulz, S.; Ankerst, D. P.; Schilling, F.; Pellegata, N. S. Gender-Specific Efficacy Revealed by Head-to-Head Comparison of Pasireotide and Octreotide in a Representative in Vivo Model of Nonfunctioning Pituitary Tumors. Cancers (Basel). 2021, 13 (12), DOI: 10.3390/cancers13123097.
【0146】
(特許文献34)(32) Daniel Benten, Yasmin Behrang, Ludmilla Unrau, Victoria Weissmann, Gerrit Wolters-Eisfeld, Susanne Burdak-Rothkamm, Felix R. Stahl, Martin Anlauf, Patricia Grabowski, Markus Mobs, Jan Dieckhoff, Bence Sipos, Martina Fahl, Corinna Eggers, Daniel Perez, Maximillian Bockhorn, Jakob R. Izbicki, Ansgar W. Lohse, Jorg Schrader. Establishment of the First Well-differentiated Human Pancreatic Neuroendocrine Tumor Model. Mol Cancer Res 16, 496-507, 2018.
【配列表】
【国際調査報告】