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特表2025-500505YAP/TAZ-TEADを阻害するためのテトラヒドロベンゾアゼピノン及び関連類似体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】YAP/TAZ-TEADを阻害するためのテトラヒドロベンゾアゼピノン及び関連類似体
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/38 20060101AFI20241226BHJP
   C07D 223/16 20060101ALI20241226BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 31/4704 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C07D215/38
C07D223/16 A CSP
C07D471/04 113
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P19/04
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/55
A61K31/4704
A61K31/4375
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538410
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 US2022082325
(87)【国際公開番号】W WO2023122781
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/293,536
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524236817
【氏名又は名称】ザ・カトリック・ユニヴェルシテイト・ルーバン
(71)【出願人】
【識別番号】521444387
【氏名又は名称】スプリングワークス、セラピューティクス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPRINGWORKS THERAPEUTICS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】512080918
【氏名又は名称】フェーイーベー フェーゼットヴェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バルト・ヴァンダーホイドンク
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・マルシャン
(72)【発明者】
【氏名】オレリー・カンディ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フェルセル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA35
4C084MA36
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA96
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC02
4C084ZC41
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC28
4C086BC32
4C086CB09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA59
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA96
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC02
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、新規化合物に関し、医薬品としての使用のための、より具体的には、YAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患の予防または治療のための、さらにより具体的には、がんまたは線維症の予防または治療のための上記化合物に関する。本開示はまた、新規化合物の使用を含む上記疾患の予防または治療のための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であって、式中、
pは、0、1、または2であり;
は、以下からなる群から選択され、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(b)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、及び
(6)-OZ
(c)C~Cアルキニル、
(iii)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、
(iv)非置換または置換5~9員ヘテロアリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、
(v)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
(vi)非置換または置換C~Cヘテロ環、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
(vii)-S(=O)、ならびに
(viii)-C(=O)Z
及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択されるか;または
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成し;
は、水素及び-NR10a10bからなる群から選択され;
は、水素及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
各R及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択され;
及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択されるか;または
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成し;
10aは、以下からなる群から選択され、
(i)-C(=O)Z
(ii)-C(=O)OZ
(iii)-C(=O)NZ
(iv)-S(=O)
(v)-S(=O)NZ
(vi)-S(=O)(=NZ)Z
(vii)-S(=NZ)(=NZ)Z
(viii)-S(=O)(=NZ)NZ、及び
(ix)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-OZ
(d)-C(=O)OH、
(e)-C(=O)Z
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-S(=O)
(i)-S(=O)NZ
(j)-S(=O)(=NZ)Z
(k)-S(=NZ)(=NZ)Z
(k)-S(=O)(=NZ)NZ、及び
(l)-NZ
10bは、水素及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
各Zは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)C~Cアルキル、
(iii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iv)C~Cアルキニル、
(v)C~Cシクロアルキル、
(vi)C~Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C~Cハロアルキル;
各Zは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ及びC~Cアルキニルからなる群から独立して選択され、
(ii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iii)C~Cアルキニル、
(iv)C~Cシクロアルキル、
(v)C~Cシクロアルケニル、
(vi)C~Cハロアルキル、
(vii)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、及び
(viii)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され;
各Z及びZは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(b)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、及び
(6)-OZ
(c)非置換または置換5~9員ヘテロアリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(d)シアノ、
(e)ヒドロキシ、
(f)-OZ、及び
(g)-NZ
(iii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iv)C~Cアルキニル、
(v)C~Cシクロアルキル、
(vi)C~Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C~Cハロアルキル;
各Z及びZは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)C~Cアルキル、及び
(iii)C~Cシクロアルキル;
Xは、-CR11a=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11b=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11c=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11d=及び-N=からなる群から選択され;かつ
各R11a、R11b、R11c、及びR11dは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、-OZ及び-NZからなる群から独立して選択される、前記化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項2】
式IIの化合物:
【化2】
またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
10aは、-C(=O)Z及び非置換または置換C~Cアルキルからなる群から選択され;かつ
は、以下からなる群から選択され、
(i)C~Cアルキル、及び
(ii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択される、請求項1または2に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項4】
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項5】
及びRは、水素である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項6】
Xは、-CR11a=であり;
は、-CR11b=であり;
は、-CR11c=であり;
は、-CR11d=である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項7】
式IIIの化合物:
【化3】

またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
は、非置換または置換C~Cアルキルである、請求項1もしくは7に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項9】
Xは、-CR11a=であり;
は、-CR11b=であり;かつ
は、-CR11d=である、請求項8に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項10】
は、非置換または置換C~C10アリールであり、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル及び-OZからなる群から独立して選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項11】
N-(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アクリルアミド;
3-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
3-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
7-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン;
7-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン;
N-(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アクリルアミド;
3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン-1-オール;
3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン酸;
1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-アミン;及び
N-(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)プロピオンアミド、からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物、ならびに、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
医薬品として使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、または請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
動物、哺乳動物、またはヒトにおける、YAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害の予防または治療における使用のための、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、または請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
YAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害は、がん、線維症、及びYAP/TAZ-TEAD活性化介在性先天性障害を含む群から選択される、請求項14に記載の化合物、または請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
YAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害は、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵臓癌、胃癌、脳癌、及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫から選択される、請求項15に記載の化合物、または請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
YAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害は、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、気管支原性癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異常増殖変化(形成異常及び変質形成)、胎児性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本能性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、胚芽細胞精巣癌、神経膠腫、グリア芽細胞腫、神経膠肉腫、重鎖病、血管芽腫、肝癌、肝細胞癌、ホルモン非感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、再リンパ内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚及び子宮の悪性腫瘍及び過剰増殖障害、T細胞またはB細胞起源のリンパ球系悪性腫瘍、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中癌(NMC)、非小細胞性肺癌、乏突起神経膠腫、口腔癌、骨原性骨肉腫、乳頭腺癌、乳頭癌、松果体腫、真性多血症、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、脂腺癌、精上皮腫、小細胞肺癌、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、及びウィルムス腫瘍から選択される、請求項15に記載の化合物、または請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
動物、哺乳動物、またはヒトにおけるYAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害の予防または治療のための方法であって、有効量の請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物を、そのような予防または治療を必要とする前記動物、哺乳動物、またはヒトに投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
請求項17に記載のYAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害の治療または予防の方法であって、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、AXL阻害剤、B-RAF阻害剤、及びRAS阻害剤からなる群から選択される1つ以上の他の医薬品と組み合わせた、それを必要とする患者に対する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2021年12月23日に出願の米国特許仮出願第63/293,536号の利益を請求し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、新規化合物に関する。本開示はまた、医薬品としての使用のための、より具体的には、YAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患の予防または治療のための、例えば、がんまたは線維症の予防または治療のための化合物に関する。新規化合物の使用を含む疾患の予防または治療のための方法についても、本明細書で開示される。
【0003】
さらに、本開示は、新規化合物の医薬組成物または組み合わせ調合薬、ならびに、医薬品として使用するための、例えば、YAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患の予防または治療、例えば、がんまたは線維症の予防または治療のための組成物または調合薬に関する。化合物の調製のためのプロセスについても、本明細書で開示される。
【背景技術】
【0004】
Hippoシグナル伝達は、YAP/TAZ-TEAD転写複合体の不活性化を介して器官サイズを制限するのに不可欠である。いくつかの進行性固形癌では、Hippoシグナル伝達が、上流調節因子(例えば、NF2、MST1/2またはLATS1/2)をコードする遺伝子の機能喪失型変異または欠失を介して不活性化され、それにより恒常的なYAP/TAZ-TEAD転写活性が解き放たれ、制御不可能な腫瘍成長及び転移に繋がる。YAP/TAZ-TEADのノックアウト、ノックダウン、または薬理学的不活性化は、YAP/TAZ依存性腫瘍形成を減退させるのに十分である。YAP/TAZ-TEAD複合体は、YAP/TAZ-TEADタンパク質-タンパク質相互作用界面の標的破壊を介して、またはTEAD内のアロステリックなオートパルミトイル化ポケットを介して薬理学的に不活性化することができる。
【0005】
Hippo経路の主要な生理学的機能は、成人組織の組織成長を制限し、発育中の器官における細胞増殖、分化及び遊走を調節することである。Hippo経路のコアは、キナーゼカスケード、転写共活性化因子、及びDNA結合パートナーからなる。哺乳動物では、Ste20様キナーゼ、MST1/2(Drosophila Hippoの相同体)が、大型腫瘍抑制因子1/2(LATS1/2)をリン酸化し、活性化する。NF2は、MST1/2をLATS1/2に結びつけることによってLATS1/2活性化を促進するコアHippoキナーゼの足場である(Lallemand et al.,2003,Genes Dev 17,1090-1100;Yin et al.,2013,Dev Cell 19,27-38)。LATSキナーゼは、次に、2つの相同の高い転写共活性化因子:Yes関連タンパク質(YAP)及びPDZ結合モチーフを有する転写共活性化因子(TAZ)をリン酸化し、かつ14-3-3を介した細胞質隔離によって、かつβ-TRCP E3リガーゼによって誘導されるユビキチン介在性分解によって、それらを不活性化する。Hippo経路が不活性である場合、YAP及びTAZは、核内に移動して、TEAD転写因子ファミリーに結合し、マトリックス再構築、細胞増殖、生存及び遊走を促進する特定の特性の発現を誘導する。TEAD1-4はまた、核内のVGLL4に結合し、転写抑制因子として作用する場合がある。VGLL4は、構造的にYAP/TAZに関連しないが、TEAD上の部分的に重なり合う結合部位に基づいてYAP/TAZと競合する(Johnson and Halder,2014,Nat Rev Drug Discov 13,63-79)。
【0006】
TEADは、心臓形成、筋形成のために、かつ神経冠、脊索、及び栄養外胚葉の発達のために必要とされる進化的に保存されたタンパク質である。哺乳動物では、TEAD1~4と名付けられたTEADファミリーの4つの相同メンバーをコードする4つの遺伝子が存在する。各TEAD遺伝子は、異なるが、互いに排他的ではない発現パターンを有する。全てのTEADファミリーメンバーは、YAP/TAZによって制御される。
【0007】
ショウジョウバエでは、HippoもしくはWartsキナーゼ(哺乳動物ではMST1/2またはLATS1/2)の機能喪失、またはYorkie(YAP及びTAZのDrosophila相同体)の過剰発現により、調節不全の細胞増殖及びアポトーシスに対する耐性の結果として、クチクラの劇的な過成長が生じ、これにより、器官サイズが増大する。マウスでは、YAPの過剰発現、MST1/2もしくはLATS1/2キナーゼ活性の喪失、またはNF2の欠失により、TEAD標的遺伝子のアップレギュレーション及び始原細胞増殖が生じ、結果として、肝臓及び心臓の過成長、ならびに最終的に肝臓、小腸、及び皮膚におけるがん形成をもたらす。対照的に、YAPの94位でのセリンからアラニンへの変異により、すなわち、TEADに結合できず、腫瘍を形成しない(Zhao et al.,2008,Genes Dev 22,1962-1971)。同様に、DNAに結合することができないドミナントネガティブTEAD変異体は、YAPによって駆動される肝臓腫瘍形成を克服する。加えて、NF2変異肝癌は、Yapの異型接合的欠失によって大幅に抑制された(Zhang et al.,2010,Dev Cell 19,27-38)。最後に、YAP-TEAD結合を阻害する小分子であるベルテポルフィンが、これらのモデルにおいてYAPの腫瘍形成の活性を大幅に抑制した(Liu-Chittenden et al.,2012,Genes Dev 26,1300-1305)。
【0008】
YAP1(YAPをコードする)及びWWTR1(TAZをコードする)の遺伝子増幅、ならびにYAP/TAZの恒常的な核局在化が、肝臓、肺、乳房、皮膚、結腸及び卵巣癌を含む多くのヒトの固形悪性腫瘍で報告されており、かつYAP/TAZは、増殖、アポトーシスに対する耐性、浸潤、及び免疫抑制などのいくつかの重大ながん細胞表現型の獲得を(例えば、骨髄由来サプレッサー細胞を誘引することによって)促進する(Wang et al.,2016,Cancer Discov 6,80-95)。加えて、YAP1との遺伝子融合が、上衣腫、血管癌、子宮頸癌、及び汗孔腺癌を含む、いくつかのがん型で特定されており、これは、YAP-TEADの恒常的な活性化をもたらし、マウスにおいて腫瘍を形成する(Szulzewsky et al.,2020,Genes Dev 34: 1-14)。加えて、様々ながん型に関連するHippo経路の成分におけるいくつかの生殖系または体細胞系の変異が、標的及び全ゲノム配列決定研究で発見されている。最も良く研究されている例は、神経線維腫症において高頻度で変異しているNF2遺伝子座である。NF2及びLATS2の欠失もまた、シュワン腫で頻繁に観察されている。NF2、LATS1/2、MST1/2またはSAV1の遺伝子不活性化を介した恒常的なYAP-TEAD活性化に一般に関連する別の腫瘍型(全てのがんの約70%)は、悪性中皮腫である(Bueno et al.,2016,Nat Genet 48,407-416)。現在の研究で、NF2機能喪失型変異を伴ういくつかの中皮腫細胞株が、YAPリン酸化の減少、及びYAP-TEADレポーター活性の増加を示すことが明らかとなっている。NF2変異中皮腫細胞株(ただし、WT中皮腫ではない)のYAP-TEAD転写及び生存能は、YAP siRNAに対して感受性(siRNA耐性YAPの過剰発現により救出される可能性がある効果)があり、かつYAP拮抗薬であるベルテポルフィンによる治療に対して感受性がある(Zhang et al.,2017,J Cell Mol Med 21:2663-2676)。
【0009】
核YAPもまた、WNT依存性結腸直腸腫瘍形成の重要な媒介因子として注目されている。増殖及び幹細胞の再生に関与する遺伝子のYAP-TEADによって媒介される転写は、WNTによって駆動されるβカテニンと協働し、かつYAPは、APC(大腸腺腫性ポリポーシス)不活性化後の腺腫の形成に必要とされる(Azzolin et al.,2014 Cell 158,157-170;Gregorieff et al.,2015 Nature 526,715-718)。近年、TIAM1が、YAP-TEAD転写に対抗することによる進行性の転移性結腸直腸癌(CRC)の抑制因子として特定され、CRCにおいてもYAP-TEADの役割が再度強調された(Diamantopoulou et al.,2017 Cancer Cell 31,621-634)。
【0010】
要約すると、YAP/TAZ活性化が腫瘍形成を促進することが明らかとなっており、かつYAP/TAZは、ヒトにおける多くの様々なタイプのがんで(多くの場合、上流の負の調節因子の機能喪失型変異を介して)活性化過剰となる。YAP/TAZの遺伝子欠失または薬理学的阻害が、様々なタイプのがんの腫瘍発生及び進行を抑制することが明らかとなっている。したがって、Hippo腫瘍抑制因子経路の調節解除が広範囲のがん型及び悪性腫瘍の発生の主要な事象であると考えられている。ゆえに、YAP、TAZ、TEAD、及び/またはYAP/TAZ-TEADタンパク質-タンパク質相互作用の阻害を介したHippoカスケードの薬理学的標的化が、この経路の機能的変化を内包するがんの治療のための有益なアプローチとなるであろう。
【0011】
YAP/TAZ-TEAD活性化はまた、がん以外の他の疾患、すなわち、線維症及び特定の先天性障害などにおいても重要な役割を果たすことが明らかとなっている。線維症の特質は、架橋したコラーゲン線維を含む細胞外マトリックス(ECM)の過剰な沈着であり、これにより、組織の硬化、及び最終的には、作用を受けた器官の機能不全がもたらされる。ECM硬化により、がん関連線維芽細胞、ならびに肝臓、腎臓、肺、及び皮膚の線維芽細胞においてYAP/TAZの核活性が促進される(Mannaerts et al.,2015,J.Hepatol.63,679-688;Piersma et al.,2015,Am.J.Pathol.185,3326-3337)。核YAP/TAZは、筋線維芽細胞分化及びマトリックス再構築の増加などの線維性細胞の表現型を促進する。線維症に関与する主要な分泌因子をコードするいくつかの遺伝子は、YAP/TAZ-TEADの直接的な標的である。これらの遺伝子としては、結合組織成長因子(CTGF)、プラスミノーゲン活性化因子1(PAI-1)、及びコラーゲン架橋酵素のリシルオキシダーゼ(LOX)ファミリーなどの十分に特性決定された線維化促進因子が挙げられる。いくつかのエビデンスにより、YAP/TAZが生体内の線維性疾患の一因であることが裏付けられている。これらには、線維芽細胞、ならびに特発性肺胞線維症の患者の肺胞及び呼吸器上皮におけるYAP/TAZレベル及び転写活性の上昇に関する報告が含まれる(Gokey et al.,2018 JCI Insight 3:e98738)。核YAPの増加もまた、肝損傷の慢性線維性障害である原発性硬化性胆管炎及び原発性胆汁性肝硬変の患者で観察されている。肝臓の導管細胞でのYAPまたはTAZの発現は、非アルコール性脂肪性肝疾患の線維症と並行して、線維症の進行を促進する(Machado et al.,2015,J.Hepatol 63,962-970)。まとめると、これらの研究は、線維性疾患における異常なYAP/TAZ活性を標的とすることで、治療の見込みを保ち得ることを示唆している。
【0012】
神経線維腫症2型は、シュワン腫、髄膜腫、及び上衣腫を含む神経系腫瘍を特徴とする。神経線維腫症2型は、NF2の不活性化が原因の遺伝性の障害である(Striedinger et al.,2008,Neoplasia 10,1204-1210)。NF2の欠失は、YAP/TAZ-TEADの恒常的な活性化をもたらす。スタージ-ウェーバー症候群は、三叉神経の眼分岐の分布における皮膚に影響を及ぼすポートワイン母斑、脳の軟髄膜及び脈絡膜の異常な毛管静脈血管、緑内障、発作、脳卒中、ならびに知的障害を特徴とする先天性神経皮膚性疾患である。スタージ-ウェーバー症候群及びポートワイン母斑は、YAP/TAZ-TEAD転写の活性化をもたらすGNAQにおける体細胞活性化変異によって引き起こされる(Shirley et al.,2013,NEJM,368,1971-1979)。したがって、恒常的なYAP/TAZ-TEAD活性化を特徴とするいくつかの先天性障害は、YAP/TAZ-TEADの阻害剤を用いて治療される可能性がある。
【0013】
いくつかの刊行物が、YAP-TEAD転写活性化の阻害剤について記載している。Inventivaは、WO2020/070181、WO2018/185266、及びWO2017/064277で、YAP-TEADタンパク質-タンパク質相互作用阻害剤について強調している。General Hospital Corporation,Bostonは、WO2017/053706で、オートパルミトイル化阻害剤について記載している。Vivace Therapeutics,Inc.は、YAP/TAZとTEADとの間の相互作用を調節する非縮合三環系(WO2018/204532)、ベンゾスルホニル(WO2019/040380)、ベンゾカルボニル(WO2019/113236)、オキサジアゾール(WO2019/222431)、及び二環式(WO2020/097389)化合物について開示している。The University of Californiaの上級教授、及びVivace Therapeutics,Inc.は、それぞれ、WO2013/188138及びWO2017/058716で、Hippo-YAPシグナル伝達経路を阻害する三環系化合物について記載している。Kyowa Hakko Kirin Co.,Ltd.は、WO2018/235926及びUS2019/0010136で、抗がん活性を呈するアルファ、ベータ不飽和アミド化合物について明らかにしている。Genentech,Inc.は、WO2019/232216及びWO2020/051099で、YAP-TEADタンパク質-タンパク質相互作用の阻害剤として有用なカルボキサミド及びスルホンアミド誘導体について開示している。Dana-Farber Cancer Institute,Inc.は、WO2020/081572で、TEAD転写因子の阻害剤について強調している。Indiana Universityの評議員は、WO2020/087063で、TEADの疎水性パルミチン酸結合ポケット内で結合する小分子について記載している。Wenchao Luらは、共有結合性TEADオートパルミトイル化阻害剤としてビニルスルホンアミドを公表している(2019,European Journal of Medicinal Chemistry,184,p.111767)。Korean Research Institute of Chemical Technologyは、YAP-TEAD結合を阻害するベンゾ[cd]インドール-2(1H)-オン誘導体について開示している。
【0014】
しかし、依然として、他の潜在的な適応症の中でも特にがん及び線維症などの、YAP/TAZ-TEAD活性化によって媒介される疾患の予防または治療のための、新規の代替的な、またはより良好な治療が大いに必要とされている。効力がより良好であり、副作用が少なく、活性がより高く、毒性がより低いか、または薬物動態もしくは動的性質がより良好であるか、あるいはこれらの組み合わせを伴う治療が、非常に歓迎されるであろう。
【0015】
本開示は、YAP/TAZ-TEAD活性化介在性疾患の阻害剤として使用可能な新規化合物のクラスを提供する。
【発明の概要】
【0016】
本開示は、上述の問題のうち少なくとも1つが、後述するクラスの化合物によって解決可能であるといった発見に基づく。
【0017】
本開示は、YAP/TAZ-TEAD転写に対する阻害活性を有することが明らかとなった新規化合物を提供する。さらに、本開示は、これらの化合物が、YAP/TAZ-TEAD転写活性を効率的に阻害することを実証する。したがって、これらの化合物は、動物、哺乳動物、及びヒトにおけるHippo介在性障害の治療及び/または予防に使用可能な、より具体的には、とりわけ、(i)がん、より具体的には、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵臓癌、胃癌、脳癌、及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫、(ii)線維症、ならびに(iii)YAP/TAZ-TEAD活性化関連先天性障害の治療及び/または予防のための、有用なクラスの新規の効力のある化合物を構成する。
【0018】
いくつかの態様では、本明細書に記載の化合物は、動物、哺乳動物、及びヒトにおけるHippo介在性障害の治療及び/または予防に使用可能であり、より具体的には、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、気管支原性癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異常増殖変化(形成異常及び変質形成)、胎児性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本能性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、胚芽細胞精巣癌、神経膠腫、グリア芽細胞腫、神経膠肉腫、重鎖病、血管芽腫、肝癌、肝細胞癌、ホルモン非感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、再リンパ内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚及び子宮の悪性腫瘍及び過剰増殖障害、T細胞またはB細胞起源のリンパ球系悪性腫瘍、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中癌(NMC)、非小細胞性肺癌、乏突起神経膠腫、口腔癌、骨原性骨肉腫、乳頭腺癌、乳頭癌、松果体腫、真性多血症、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、脂腺癌、精上皮腫、小細胞肺癌、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、及びウィルムス腫瘍の治療及び/または予防のために使用可能である。
【0019】
さらに、本開示は、医薬品としてのかかる化合物の使用、及び薬物の製造のための、より具体的には、YAP/TAZ-TEAD活性化介在性疾患、特に、動物または哺乳動物における、より具体的には、ヒトにおける、(i)がん、より具体的には、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵臓癌、胃癌、脳癌、及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫、ならびに(ii)線維症を、治療及び/または予防するための、それらの使用に関する。本開示はまた、かかる全ての化合物の調製のための方法、及び有効量でそれらを含む医薬組成物に関する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示は、医薬品として使用するための本発明の化合物、医薬品としてのかかる化合物の使用、及び薬物の製造のための、より具体的には、YAP/TAZ-TEAD活性化介在性疾患を治療及び/または予防するための、より具体的には、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、気管支原性癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異常増殖変化(形成異常及び変質形成)、胎児性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本能性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、胚芽細胞精巣癌、神経膠腫、グリア芽細胞腫、神経膠肉腫、重鎖病、血管芽腫、肝癌、肝細胞癌、ホルモン非感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、再リンパ内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚及び子宮の悪性腫瘍及び過剰増殖障害、T細胞またはB細胞起源のリンパ球系悪性腫瘍、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中癌(NMC)、非小細胞性肺癌、乏突起神経膠腫、口腔癌、骨原性骨肉腫、乳頭腺癌、乳頭癌、松果体腫、真性多血症、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、脂腺癌、精上皮腫、小細胞肺癌、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、及びウィルムス腫瘍の治療及び/または予防のためのそれらの使用に関する。
【0021】
本開示はまた、1つ以上のかかる化合物を、任意選択で1つ以上の他の医薬品と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することによる、ヒトにおけるTEAD活性化介在性障害の治療または予防の方法に関する。本開示はまた、本明細書に記載の化合物の合成の工程を含む、本明細書に開示する化合物を調製する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
「YAP/TAZ-TEAD活性化介在性疾患」という用語は、hippoシグナル伝達が不活性化され、それにより、YAP/TAZ-TEAD活性化が、このような疾患を、もたらし、駆動し、維持し、可能にするなどの疾患を指す。これは、YAP/TAZ-TEADの上流調節因子(例えば、NF2、MST1/2,LATS1/2、FAT1、またはSAV1)をコードする遺伝子の機能喪失型変異または欠失を介したものであり、それにより恒常的なYAP-TEAD転写活性が解き放たれ、制御不可能な腫瘍成長及び一部のがんの転移に繋がり得るものである。これはまた、とりわけ、YAP1もしくはWWTR1(TAZ)の遺伝子増幅、遺伝子融合もしくは活性化変異、またはYAP/TAZ過剰発現もしくは活動亢進を介したものであり得る。したがって、YAP/TAZ-TEAD活性化介在性疾患はがんを指すが、これには線維症及び特定の先天性障害も含まれる。YAP/TAZ-TEAD介在性疾患に含まれるがんには、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵臓癌、胃癌、脳癌、及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫があるが、これらに限定されない。また、(i)肺、子宮頸部、卵巣、頭頸部、食道、及び/または皮膚の扁平上皮癌、または(ii)上衣腫、髄膜腫、シュワン腫、末梢神経シート腫瘍及び/または神経芽細胞腫などの神経外胚葉由来の組織から生じたがん、または(iii)類上皮血管内皮腫などの血管癌も含まれる。YAP/TAZ-TEAD介在性疾患に含まれる線維性疾患または線維症には、肝臓線維症、肺線維症、及び心臓線維症があるが、これらに限定されない。YAP/TAZ-TEAD介在性疾患に含まれる先天性障害には、スタージ-ウェーバー症候群、及び神経線維腫症2型があるが、これらに限定されない。
【0023】
YAP/TAZ-TEAD介在性疾患には、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、AXL阻害剤、B-RAF阻害剤、RAS阻害剤などの以前の治療に対する耐性が生じたがんも含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「治療」または「治療すること」という用語は、YAP/TAZ-TEAD転写の阻害を介して治療効果または予防効果を生じさせる目的で、化合物または組成物の対象への投与を指すことが意図される。治療することには、疾患、障害、もしくは病態、またはこのようなYAP/TAZ-TEAD転写を介して媒介される疾患、障害、または病態の1つ以上の症状の、進行を逆転させること、緩和すること、軽減すること、阻害すること、重症度を軽減すること、または予防することが含まれる。「治療効果」とは、治療対象となる根本的な障害の、進行を根絶すること、緩和すること、逆転させること、軽減すること、阻害すること、または重症度を軽減することを意味する。また、治療効果は、患者がいくつかの実施形態における根本的な障害に苦しんでいるとしても、改善がその患者に見られるように、根本的な障害に関連する生理学的症状のうち1つ以上を根絶または緩和することにより達成される。予防効果に関しては、いくつかの実施形態では、特定の疾患を発症するリスクのある患者に、または疾患の生理学的症状のうち1つ以上が報告される患者に、該疾患であると診断されていない場合であっても、組成物が投与される。
【0025】
本明細書で使用される「対象」という用語は、動物、例えば、ヒトなどの哺乳動物、治療、観察、もしくは実験の対象となっている患者、またはこのような治療が必要な患者を指す。
【0026】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師、またはその他の臨床医によって求められている、治療対象となる疾患または障害の症状の緩和または部分的緩和を含む、組織系、動物、またはヒトにおける生物学的または薬物反応を誘発する活性化合物または医薬品の量を意味する。
【0027】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、治療有効量の特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含することが意図される。
【0028】
YAP/TAZ-TEAD活性化の阻害剤に関して本明細書で使用される「拮抗薬」または「阻害剤」という用語は、状況に応じて、YAP/TAZ-TEAD活性化の機能的拮抗作用を生じさせることができる化合物を指す。
【0029】
特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、後に列挙される意味に制限されると解釈されるべきではなく、他の要素または工程を除外するものではないことに留意されたい。
【0030】
本明細書の全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれる実施形態に関連して記載されている特定の特性、構造、または特徴を意味する。さらに、特定の特性、構造、または特徴は、本開示から当業者には明らかなように、1つ以上の実施形態で任意の好適な方法で組み合わされてよい。単数形の名詞、例えば「a」または「an」、「the」に言及する際に不定冠詞または定冠詞が使用される場合、これは、他に特に明示されていない限り、その名詞の複数形を含む。
【0031】
同様に、本開示の例示的実施形態の説明において、本開示の種々の特性が、本開示を簡素化し、かつ種々の本発明の態様のうち1つ以上の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図、またはその説明で一緒にまとめられる場合があることを理解されたい。
【0032】
以下の定義のそれぞれにおいて、炭素原子の数は、通常、置換基またはリンカーに最適に存在する炭素原子の最大数を表し、本出願において特に記載がない場合、炭素原子の数は、その特定の置換基またはリンカーでの炭素原子の最適最大数を表していることが理解される。
【0033】
本明細書で使用される「脱離基」または「LG」という用語は、求核試薬によって置換されやすい、または塩基性もしくは酸性条件下で切り離される、または加水分解される化学基を意味する。特定の実施形態では、脱離基は、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I)、またはスルホネート(例えば、メシレート、トシラート、トリフレート)から選択される。
【0034】
「保護基」という用語は、官能基の性質または化合物全体の性質をマスクするか、または変える化合物の部分を指す。保護基の化学的部分構造は、広範にわたって変動する。保護基の一機能は、親薬物物質の合成の中間体として機能することである。化学的保護基及び保護/脱保護の戦略は、当該技術分野において公知である。「Protective Groups in Organic Chemistry」,Theodora W.Greene(John Wiley & Sons,Inc.,New York,1991)を参照されたい。保護基は、多くの場合、特定の官能基の反応性をマスクして、所望の化学反応の、例えば、順序通り、計画された様式で化学結合を生じさせ、かつ切断する効率を補助するために利用される。化合物の官能基の保護は、保護された官能基の反応性に加えて、極性、親油性(疎水性)、及び一般的な分析ツールで測定可能なその他の性質などの他の物理的性質を変化させる。化学的に保護された中間体は、それ自体が生物学的に活性または不活性であり得る。
【0035】
保護された化合物はまた、細胞膜の通過、及び酵素的分解または隔離に対する耐性など、生体外及び生体内で、改変され、かつ場合によっては最適化された性質を示す場合がある。この役割において、目的の治療効果を有する保護された化合物は、プロドラッグと呼ばれることがある。保護基の別の機能は、親薬物をプロドラッグに変換することであり、それにより、生体内でのプロドラッグの変換時に親薬物が放出される。活性プロドラッグは、親薬物よりも高効率で吸収され得るため、プロドラッグは、生体内での親薬物よりも高い効力を有し得る。保護基は、化学的中間体の場合は生体外、またはプロドラッグの場合は生体内のいずれかで除去される。化学的中間体については、生理学的に許容される脱保護後の得られた生成物、例えば、アルコールは特に重要ではないが、一般的に、生成物が薬理学的に無害であるならば、それがより望ましい。
【0036】
本明細書で使用される「アルキル」または「C1~18アルキル」という用語は、不飽和の部位を持たないC~C18直鎖状、第二級または第三級、線状、分岐鎖または直鎖炭化水素を意味する。例としては、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、2-プロピル(iPr)、1-ブチル、2-メチル-1-プロピル(i-Bu)、2-ブチル(s-Bu)、2-ジメチル-2-プロピル(t-Bu)、1-ペンチル(n-ペンチル)、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、及びn-イコシルがある。特定の実施形態では、アルキルという用語は、本明細書上記にてさらに詳しく定義したような、C1~12アルキル(C1~12炭化水素)を指し、より具体的には、C1~9アルキル(C1~9炭化水素)を指し、さらにより具体的には、C1~6アルキル(C1~6炭化水素)を指す。
【0037】
基または基の一部としての「ハロアルキル」という用語は、上記にて定義したような意味を有するアルキル基を指し、ここで、1、2、または3個の水素原子は、本明細書で定義するようなハロゲンでそれぞれ置換される。このようなハロアルキル基の非限定的例としては、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチルなどが挙げられる。
【0038】
基または基の一部としての「アルコキシ」または「アルキルオキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなC1~6アルキルである。好適なC1~6アルコキシの非限定的例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシが挙げられる。
【0039】
基または基の一部としての「ハロアルコキシ」という用語は、式-O-Rの基を指し、式中、Rは、本明細書で定義するようなハロアルキルである。好適なハロアルコキシの非限定的例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、トリクロロメトキシ、2-ブロモエトキシ、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリクロロプロポキシ、4,4,4-トリクロロブトキシが挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される「シクロアルキル」または「C3~18シクロアルキル」という用語は、特に記載がない限り、C3~10単環式もしくはC7~18多環式飽和炭化水素、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロプロピルエチレン、メチルシクロプロピレン、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロオクチルメチレン、ノルボルニル、フェンキル、トリメチルトリシクロヘプチル、デカリニル、アダマンチルなどからなるか、またはそれらを含む、3~18個の炭素原子を有する飽和炭化水素の一価の基を意味する。特定の実施形態では、シクロアルキルという用語は、本明細書上記にてさらに詳しく定義したような、C3~12シクロアルキル(飽和環式C3~12炭化水素)を指し、より具体的には、C3~9シクロアルキル(飽和環式C3~9炭化水素)を指し、さらにより具体的には、C3~6シクロアルキル(飽和環式C3~6炭化水素)を指す。誤解を避けるために、シクロアルキル環と複素環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロ環と見なされる。シクロアルキル環とアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、アリールと見なされる。シクロアルキル環とヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールと見なされる。
【0041】
本明細書で使用される「アルケニル」または「C2~18アルケニル」という用語は、少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を有するC~C18直鎖状、第二級または第三級、線状、分岐鎖または直鎖炭化水素である。例としては、エチレンまたはビニル(-CH=CH)、アリル(-CHCH=CH)、及び5-ヘキセニル(-CHCHCHCHCH=CH)が挙げられるが、これらに限定されない。二重結合は、シスまたはトランス配置であってよい。特定の実施形態では、アルケニルという用語は、本明細書上記にてさらに詳しく定義したような、少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を有するC2~12アルケニル(C2~12炭化水素)を指し、より具体的には、C2~9アルケニル(C2~9炭化水素)を指し、さらにより具体的には、C2~6アルケニル(C2~6炭化水素)を指す。
【0042】
基または基の一部としての「アルケニルオキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアルケニルである。
【0043】
本明細書で使用される「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を有する、5~18個の炭素原子を有し、かつC5~10単環式またはC7~18多環式炭化水素からなるか、またはそれらを含む非芳香族炭化水素基を指す。例としては、シクロペンテニル(-C)、シクロペンテニルプロピレン、メチルシクロヘキセニレン、及びシクロヘキセニル(-C)が挙げられるが、これらに限定されない。二重結合は、シスまたはトランス配置であってよい。特定の実施形態では、シクロアルケニルという用語は、本明細書上記にてさらに詳しく定義したような、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を有するC5~12シクロアルケニル(環式C5~12炭化水素)を指し、より具体的には、C5~9シクロアルケニル(環式C5~9炭化水素)を指し、さらにより具体的には、C5~6シクロアルケニル(環式C5~6炭化水素)を指す。誤解を避けるために、シクロアルケニル環と複素環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロ環と見なされる。シクロアルケニル環とアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、アリールと見なされる。シクロアルケニル環とヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールと見なされる。
【0044】
本明細書で使用される「アルキニル」または「C2~18アルキニル」という用語は、少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を有するC~C18直鎖状、第二級、第三級、線状、分岐鎖または直鎖炭化水素を指す。例としては、エチニル(-C≡CH)、3-エチル-シクロヘプト-1-イニルエン、及び1-プロピニル(プロパルギル、-CH2C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アルキニルという用語は、本明細書上記にてさらに詳しく定義したような、少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を有するC2~12アルキニル(C2~12炭化水素)を指し、より具体的には、C2~9アルキニル(C2~9炭化水素)を指し、さらにより具体的には、C2~6アルキニル(C2~6炭化水素)を指す。
【0045】
基または基の一部としての「アルキニルオキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアルキニルである。
【0046】
本明細書で使用される「シクロアルキニル」という用語は、少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を有する5~18個の炭素原子を有し、かつC5~10単環式またはC7~18多環式炭化水素からなるか、またはそれらを含む非芳香族炭化水素基を指す。例としては、シクロヘプト-1-イン、3-エチル-シクロヘプト-1-イニルエン、4-シクロヘプト-1-イン-メチレン、及びエチレン-シクロヘプト-1-インが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、シクロアルキニルという用語は、本明細書上記にてさらに詳しく定義したような、少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を有するC5~10シクロアルキニル(環式C5~10炭化水素)を指し、より具体的には、C5~9シクロアルキニル(環式C5~9炭化水素)を指し、さらにより具体的には、C5~6シクロアルキニル(環式C5~6炭化水素)を指す。誤解を避けるために、シクロアルキニル環と複素環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロ環と見なされる。シクロアルキニル環とアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、アリールと見なされる。シクロアルキニル環とヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールと見なされる。
【0047】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、それぞれ1~18個の炭素原子(より具体的には、C1~12、C1~9、またはC1~6炭素原子)の飽和した分岐鎖または直鎖炭化水素基を指し、親アルカンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子が除去されることによって誘導される2つの一価の基中心を有する。典型的なアルキレンとしては、メチレン(-CH-)、1,2-エチル(-CHCH-)、1,3-プロピル(-CHCHCH-)、1,4-ブチル(-CHCHCHCH-)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される「アルケニレン」という用語は、それぞれ少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を有する、2~18個の炭素原子(より具体的には、C2~12、C2~9、またはC2~6炭素原子)の分岐鎖または直鎖炭化水素を指し、親アルケンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子が除去されることによって誘導される2つの一価の中心を有する。
【0049】
本明細書で使用される「アルキニレン」という用語は、それぞれ少なくとも1つの(通常1~3つ、好ましくは1つの)不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を有する、2~18個の炭素原子(より具体的には、C2~12、C2~9、またはC2~6炭素原子)の分岐鎖または直鎖炭化水素を指し、親アルキンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子が除去されることによって誘導される2つの一価の中心を有する。
【0050】
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は、1つ以上の炭素原子が、酸素、窒素、または硫黄原子を含む群から選択される1つ以上の原子によって置換されているアルキルを指す。したがって、ヘテロアルキルという用語は、-O-R、-NR-R、-R-O-R、及び-S-Rを含み、式中、Rは、本明細書で定義するようなアルキレンであり、Rは、アルキルであり、Rは、水素またはアルキである。特定の実施形態では、この用語は、C1~12ヘテロアルキル、C1~9ヘテロアルキル、またはC1~6ヘテロアルキルを指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルは、アルキルオキシ、アルキル-オキシ-アルキル、(モノまたはジ)アルキルアミノ、(モノまたはジ-)アルキル-アミノ-アルキル、アルキルチオ、及びアルキル-チオ-アルキルを含む群から選択される。
【0051】
本明細書で使用される「ヘテロアルケニル」という用語は、1つ以上の炭素原子が、酸素、窒素、または硫黄原子から選択される1つ以上の原子によって置換されている非環式アルケニルを指す。したがって、ヘテロアルケニルという用語は、-O-R、-NH-(R)、-N(R))、-N(R)(R)、及び-S-Rを含み、式中、Rは、本明細書で定義するようなアルキルであり、Rは、アルケニルである。特定の実施形態では、この用語は、C2~12ヘテロアルケニル、C2~9ヘテロアルケニル、またはC2~6ヘテロアルケニルを指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニルは、アルケニルオキシ、アルケニル-オキシ-アルケニル、(モノまたはジ-)アルケニルアミノ、(モノまたはジ-)アルケニル-アミノ-アルケニル、アルケニルチオ、及びアルケニル-チオ-アルケニルを含む群から選択される。
【0052】
本明細書で使用される「ヘテロアルキニル」という用語は、1つ以上の炭素原子が、酸素、窒素、または硫黄原子によって置換されている非環式アルキニルを指す。したがって、ヘテロアルキニルという用語は、-O-R、-N(R、NHR、-N(R)(R)、-N(R)(R)、及び-S-Rを含むがこれらに限定されず、式中、Rは、本明細書で定義するようなアルキルであり、Rは、アルキニルであり、Rは、アルケニルである。特定の実施形態では、この用語は、C2~12ヘテロアルキニル、C2~9ヘテロアルキニル、またはC2~6ヘテロアルキニルを指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニルという用語は、アルキニルオキシ、アルキニル-オキシ-アルキニル、(モノまたはジ-)アルキニルアミノ、(モノまたはジ-)アルキニル-アミノ-アルキニル、アルキニルチオ、アルキニル-チオ-アルキニルを含む群から選択される。
【0053】
本明細書で使用される「ヘテロアルキレン」という用語は、1つ以上の炭素原子が、1つ以上の酸素、窒素、または硫黄原子によって置換されているアルキレンを指す。
【0054】
本明細書で使用される「ヘテロアルケニレン」という用語は、1つ以上の炭素原子が、1つ以上の酸素、窒素、または硫黄原子によって置換されているアルケニレンを指す。
【0055】
本明細書で使用される「ヘテロアルキニレン」という用語は、1つ以上の炭素原子が、1つ以上の酸素、窒素、または硫黄原子によって置換されているアルキニレンを指す。
【0056】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、親芳香族環系の炭素原子から水素が除去されることによって誘導される6~20個の炭素原子の芳香族炭化水素を意味する。典型的なアリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから誘導される、1つの環、または一緒に縮合した2つもしくは3つの環が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アリールという用語は、6~14個の炭素原子で構成された芳香族環を指し、より具体的には、6~10個の炭素原子で構成された芳香族環を指す。アリール環と、シクロアルキル環、またはシクロアルケニル環、またはシクロアルキニル環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、アリールと見なされる。アリール環とヘテロ環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロ環と見なされる。したがって、インドリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェンなどは、本開示に従ってヘテロ環と見なされる。アリール環とヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールと見なされる。
【0057】
基または基の一部としての「アリールオキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアリールである。
【0058】
本明細書で使用される「アリールアルキル」または「アリールアルキル-」という用語は、炭素原子、典型的には、末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、アリールで置換されているアルキルを指す。典型的なアリールアルキル基としては、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリールアルキル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルキル基のアルキル部分は、1~6個の炭素原子であり、かつアリール部分は、6~14個の炭素原子である。
【0059】
基または基の一部としての「アリールアルキルオキシ」という用語は、式-O-R-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアリールであり、Rは、アルキレンである。
【0060】
本明細書で使用される「アリールアルケニル」または「アリールアルケニル-」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、アリールで置換されているアルケニルを指す。アリールアルケニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルケニル基のアルケニル部分は、1~6個の炭素原子であり、かつアリール部分は、6~14個の炭素原子である。
【0061】
本明細書で使用される「アリールアルキニル」または「アリールアルキニル-」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、アリールで置換されているアルキニルを指す。アリールアルキニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルキニル基のアルキニル部分は、1~6個の炭素原子であり、かつアリール部分は、6~14個の炭素原子である。
【0062】
本明細書で使用される「アリールヘテロアルキル」または「アリールヘテロアルキル-」という用語は、炭素原子、典型的には、末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、アリールで置換されているヘテロアルキルを指す。アリールヘテロアルキル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールヘテロアルキル基のヘテロアルキル部分は、1~6個の炭素原子であり、かつアリール部分は、6~14個の炭素原子である。いくつかの実施形態では、アリールヘテロアルキルは、アリール-O-アルキル、アリールアルキル-O-アルキル、アリール-NH-アルキル、アリール-N(アルキル)、アリールアルキル-NH-アルキル、アリールアルキル-N-(アルキル)、アリール-S-アルキル、及びアリールアルキル-S-アルキルを含む群から選択される。
【0063】
本明細書で使用される「アリールヘテロアルケニル」または「アリールヘテロアルケニル-」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、アリールで置換されているヘテロアルケニルを指す。アリールヘテロアルケニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールヘテロアルケニル基のヘテロアルケニル部分は、1~6個の炭素原子であり、かつアリール部分は、6~14個の炭素原子である。いくつかの実施形態では、アリールヘテロアルケニルは、アリール-O-アルケニル、アリールアルケニル-O-アルケニル、アリール-NH-アルケニル、アリール-N(アルケニル)、アリールアルケニル-NH-アルケニル、アリールアルケニル-N-(アルケニル)、アリール-S-アルケニル、及びアリールアルケニル-S-アルケニルを含む群から選択される。
【0064】
本明細書で使用される「アリールヘテロアルキニル」または「アリールヘテロアルキニル-」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、アリールで置換されているヘテロアルキニルを指す。アリールヘテロアルキニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールヘテロアルキニル基のヘテロアルキニル部分は、1~6個の炭素原子であり、かつアリール部分は、6~14個の炭素原子である。いくつかの実施形態では、アリールヘテロアルキニルは、アリール-O-アルキニル、アリールアルキニル-O-アルキニル、アリール-NH-アルキニル、アリール-N(アルキニル)、アリールアルキニル-NH-アルキニル、アリールアルキニル-N-(アルキニル)、アリール-S-アルキニル、及びアリールアルキニル-S-アルキニルを含む群から選択される。
【0065】
本明細書で使用される「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」という用語は、少なくとも1つのN、O、SまたはPを含む3~18個の原子の非芳香族の、完全に飽和の、または部分的に不飽和の環系(例えば、3~7員の単環式、7~11員の二環式、または合計で3~10個の環原子を含むもの)を指す。ヘテロ環またはヘテロシクリルの各環は、N、O、及び/またはSから選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有し得、ここで、N及びSヘテロ原子は、任意選択で酸化され得、Nヘテロ原子は、任意選択で四級化され得、かつヘテロシクリルの少なくとも1個の炭素原子は、少なくとも1つのC=Oを形成するために酸化可能である。ヘテロ環は、原子価が許す限り、環または環系の任意のヘテロ原子または炭素原子に結合され得る。多環ヘテロシクリルまたはヘテロ環の環は、1つ以上のスピロ原子を介して縮合、架橋、及び/または連結され得る。ヘテロ環またはヘテロシクリルとアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロ環またはヘテロシクリルと見なされる。ヘテロ環またはヘテロシクリルとヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールと見なされる。
【0066】
非限定的例示的ヘテロ環または複素環基としては、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、2-イミダゾリニル、ピラゾリジニルイミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、スクシンイミジル、3H-インドリル、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル(別名3,4-ジヒドロベンゾ[b]ピラニル)、2H-ピロリル、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、4H-キノリジニル、2-オキソピペラジニル、2-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、3-ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、2,5-ジオキシミダゾリジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、インドリニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリン-1-イル、テトラヒドロイソキノリン-2-イル、テトラヒドロイソキノリン-3-イル、テトラヒドロイソキノリン-4-イル、チオモルホリン-4-イル、チオモルホリン-4-イルスルホキシド、チオモルホリン-4-イルスルホン、1,3-ジオキソラニル、1,4-オキサチアニル、1,4-ジチアニル、1,3,5-トリオキサニル、1H-ピロリジニル、テトラヒドロ-1,1-ジオキソチオフェニル、N-ホルミルピペラジニル、及びモルホリン-4-イルが挙げられる。本明細書で使用される「アジリジニル」という用語は、アジリジン-1-イル及びアジリジン-2-イルを含む。本明細書で使用される「オキシラニル」という用語は、オキシラニル-2-イルを含む。本明細書で使用される「チイラニル」という用語は、チイラン-2-イルを含む。本明細書で使用される「アゼチジニル」という用語は、アゼチジン-1-イル、アゼチジン-2-イル及びアゼチジン-3-イルを含む。本明細書で使用される「オキセタニル」という用語は、オキセタン-2-イル及びオキセタン-3-イルを含む。本明細書で使用される「チエタニル」という用語は、チエタン-2-イル及びチエタン-3-イルを含む。本明細書で使用される「ピロリジニル」という用語は、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル及びピロリジン-3-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロフラニル」という用語は、テトラヒドロフラン-2-イル及びテトラヒドロフラン-3-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロチオフェニル」という用語は、テトラヒドロチオフェン-2-イル及びテトラヒドロチオフェン-3-イルを含む。本明細書で使用される「スクシンイミジル」という用語は、スクシンイミド-1-イル及びスクシンイミド-3-イルを含む。本明細書で使用される「ジヒドロピロリル」という用語は、2,3-ジヒドロピロール-1-イル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロール-2-イル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル、2,5-ジヒドロピロール-1-イル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル及び2,5-ジヒドロピロール-5-イルを含む。本明細書で使用される「2H-ピロリル」という用語は、2H-ピロール-2-イル、2H-ピロール-3-イル、2H-ピロール-4-イル及び2H-ピロール-5-イルを含む。本明細書で使用される「3H-ピロリル」という用語は、3H-ピロール-2-イル、3H-ピロール-3-イル、3H-ピロール-4-イル及び3H-ピロール-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジヒドロフラニル」という用語は、2,3-ジヒドロフラン-2-イル、2,3-ジヒドロフラン-3-イル、2,3-ジヒドロフラン-4-イル、2,3-ジヒドロフラン-5-イル、2,5-ジヒドロフラン-2-イル、2,5-ジヒドロフラン-3-イル、2,5-ジヒドロフラン-4-イル及び2,5-ジヒドロフラン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジヒドロチオフェニル」という用語は、2,3-ジヒドロチオフェン-2-イル、2,3-ジヒドロチオフェン-3-イル、2,3-ジヒドロチオフェン-4-イル、2,3-ジヒドロチオフェン-5-イル、2,5-ジヒドロチオフェン-2-イル、2,5-ジヒドロチオフェン-3-イル、2,5-ジヒドロチオフェン-4-イル及び2,5-ジヒドロチオフェン-5-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾリジニル」という用語は、イミダゾリジン-1-イル、イミダゾリジン-2-イル及びイミダゾリジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「ピラゾリジニル」という用語は、ピラゾリジン-1-イル、ピラゾリジン-3-イル及びピラゾリジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾリニル」という用語は、イミダゾリン-1-イル、イミダゾリン-2-イル、イミダゾリン-4-イル及びイミダゾリン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ピラゾリニル」という用語は、1-ピラゾリン-3-イル、1-ピラゾリン-4-イル、2-ピラゾリン-1-イル、2-ピラゾリン-3-イル、2-ピラゾリン-4-イル、2-ピラゾリン-5-イル、3-ピラゾリン-1-イル、3-ピラゾリン-2-イル、3-ピラゾリン-3-イル、3-ピラゾリン-4-イル及び3-ピラゾリン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジオキソラニル」別名「1,3-ジオキソラニル」という用語は、ジオキソラン-2-イル、ジオキソラン-4-イル及びジオキソラン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジオキソリル」別名「1,3-ジオキソリル」という用語は、ジオキソール-2-イル、ジオキソール-4-イル及びジオキソール-5-イルを含む。本明細書で使用される「オキサゾリジニル」という用語は、オキサゾリジン-2-イル、オキサゾリジン-3-イル、オキサゾリジン-4-イル及びオキサゾリジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソオキサゾリジニル」という用語は、イソオキサゾリジン-2-イル、イソオキサゾリジン-3-イル、イソオキサゾリジン-4-イル及びイソオキサゾリジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「オキサゾリニル」という用語は、2-オキサゾリニル-2-イル、2-オキサゾリニル-4-イル、2-オキサゾリニル-5-イル、3-オキサゾリニル-2-イル、3-オキサゾリニル-4-イル、3-オキサゾリニル-5-イル、4-オキサゾリニル-2-イル、4-オキサゾリニル-3-イル、4-オキサゾリニル-4-イル及び4-オキサゾリニル-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソオキサゾリニル」という用語は、2-イソオキサゾリニル-3-イル、2-イソオキサゾリニル-4-イル、2-イソオキサゾリニル-5-イル、3-イソオキサゾリニル-3-イル、3-イソオキサゾリニル-4-イル、3-イソオキサゾリニル-5-イル、4-イソオキサゾリニル-2-イル、4-イソオキサゾリニル-3-イル、4-イソオキサゾリニル-4-イル及び4-イソオキサゾリニル-5-イルを含む。本明細書で使用される「チアゾリジニル」という用語は、チアゾリジン-2-イル、チアゾリジン-3-イル、チアゾリジン-4-イル及びチアゾリジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソチアゾリジニル」という用語は、イソチアゾリジン-2-イル、イソチアゾリジン-3-イル、イソチアゾリジン-4-イル及びイソチアゾリジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「チアゾリニル」という用語は、2-チアゾリニル-2-イル、2-チアゾリニル-4-イル、2-チアゾリニル-5-イル、3-チアゾリニル-2-イル、3-チアゾリニル-4-イル、3-チアゾリニル-5-イル、4-チアゾリニル-2-イル、4-チアゾリニル-3-イル、4-チアゾリニル-4-イル及び4-チアゾリニル-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソチアゾリニル」という用語は、2-イソチアゾリニル-3-イル、2-イソチアゾリニル-4-イル、2-イソチアゾリニル-5-イル、3-イソチアゾリニル-3-イル、3-イソチアゾリニル-4-イル、3-イソチアゾリニル-5-イル、4-イソチアゾリニル-2-イル、4-イソチアゾリニル-3-イル、4-イソチアゾリニル-4-イル及び4-イソチアゾリニル-5-イルを含む。本明細書で使用される「ピペリジル」別名「ピペリジニル」という用語は、ピペリド-1-イル、ピペリド-2-イル、ピペリド-3-イル及びピペリド-4-イルを含む。本明細書で使用される「ジヒドロピリジニル」という用語は、1,2-ジヒドロピリジン-1-イル、1,2-ジヒドロピリジン-2-イル、1,2-ジヒドロピリジン-3-イル、1,2-ジヒドロピリジン-4-イル、1,2-ジヒドロピリジン-5-イル、1,2-ジヒドロピリジン-6-イル、1,4-ジヒドロピリジン-1-イル、1,4-ジヒドロピリジン-2-イル、1,4-ジヒドロピリジン-3-イル、1,4-ジヒドロピリジン-4-イル、2,3-ジヒドロピリジン-2-イル、2,3-ジヒドロピリジン-3-イル、2,3-ジヒドロピリジン-4-イル、2,3-ジヒドロピリジン-5-イル、2,3-ジヒドロピリジン-6-イル、2,5-ジヒドロピリジン-2-イル、2,5-ジヒドロピリジン-3-イル、2,5-ジヒドロピリジン-4-イル、2,5-ジヒドロピリジン-5-イル、2,5-ジヒドロピリジン-6-イル、3,4-ジヒドロピリジン-2-イル、3,4-ジヒドロピリジン-3-イル、3,4-ジヒドロピリジン-4-イル、3,4-ジヒドロピリジン-5-イル及び3,4-ジヒドロピリジン-6-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロピリジニル」という用語は、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-2-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-3-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-4-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-5-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-6-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-3-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-5-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-6-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-2-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-3-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-3-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-4-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-5-イル及び2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-6-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロピラニル」別名「オキサニル」または「テトラヒドロ-2H-ピラニル」という用語は、テトラヒドロピラン-2-イル、テトラヒドロピラン-3-イル及びテトラヒドロピラン-4-イルを含む。本明細書で使用される「2H-ピラニル」という用語は、2H-ピラン-2-イル、2H-ピラン-3-イル、2H-ピラン-4-イル、2H-ピラン-5-イル及び2H-ピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「4H-ピラニル」という用語は、4H-ピラン-2-イル、4H-ピラン-3-イル及び4H-ピラン-4-イルを含む。本明細書で使用される「3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル」という用語は、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-イル及び3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「3,6-ジヒドロ-2H-ピラニル」という用語は、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-5-イル及び3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-6-イルを含む。本明細
書で使用される「テトラヒドロチオフェニル」という用語は、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェニル-3-イル及びテトラヒドロチオフェニル-4-イルを含む。本明細書で使用される「2H-チオピラニル」という用語は、2H-チオピラン-2-イル、2H-チオピラン-3-イル、2H-チオピラン-4-イル、2H-チオピラン-5-イル及び2H-チオピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「4H-チオピラニル」という用語は、4H-チオピラン-2-イル、4H-チオピラン-3-イル、及び4H-チオピラン-4-イルを含む。本明細書で使用される「3,4-ジヒドロ-2H-チオピラニル」という用語は、3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-2-イル、3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-3-イル、3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-4-イル、3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-5-イル及び3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「3,6-ジヒドロ-2H-チオピラニル」という用語は、3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-2-イル、3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-3-イル、3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-4-イル、3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-5-イル及び3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「ピペラジニル」別名「ピペリジジニル」という用語は、ピペラジン-1-イル及びピペラジン-2-イルを含む。本明細書で使用される「モルホリニル」という用語は、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イル及びモルホリン-4-イルを含む。本明細書で使用される「チオモルホリニル」という用語は、チオモルホリン-2-イル、チオモルホリン-3-イル及びチオモルホリン-4-イルを含む。本明細書で使用される「ジオキサニル」という用語は、1,2-ジオキサン-3-イル、1,2-ジオキサン-4-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、1,3-ジオキサン-4-イル、1,3-ジオキサン-5-イル及び1,4-ジオキサン-2-イルを含む。本明細書で使用される「ジチアニル」という用語は、1,2-ジチアン-3-イル、1,2-ジチアン-4-イル、1,3-ジチアン-2-イル、1,3-ジチアン-4-イル、1,3-ジチアン-5-イル及び1,4-ジチアン-2-イルを含む。本明細書で使用される「オキサチアニル」という用語は、オキサチアン-2-イル及びオキサチアン-3-イルを含む。本明細書で使用される「トリオキサニル」という用語は、1,2,3-トリオキサン-4-イル、1,2,3-トリオキサン-5-イル、1,2,4-トリオキサン-3-イル、1,2,4-トリオキサン-5-イル、1,2,4-トリオキサン-6-イル及び1,3,4-トリオキサン-2-イルを含む。本明細書で使用される「アゼパニル」という用語は、アゼパン-1-イル、アゼパン-2-イル、アゼパン-3-イル、及びアゼパン-4-イルを含む。本明細書で使用される「ホモピペラジニル」という用語は、ホモピペラジン-1-イル、ホモピペラジン-2-イル、ホモピペラジン-3-イル及びホモピペラジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「インドリニル」という用語は、インドリン-1-イル、インドリン-2-イル、インドリン-3-イル、インドリン-4-イル、インドリン-5-イル、インドリン-6-イル、及びインドリン-7-イルを含む。本明細書で使用される「キノリジニル」という用語は、キノリジジン-1-イル、キノリジジン-2-イル、キノリジジン-3-イル及びキノリジジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「イソインドリニル」という用語は、イソインドリン-1-イル、イソインドリン-2-イル、イソインドリン-3-イル、イソインドリン-4-イル、イソインドリン-5-イル、イソインドリン-6-イル、及びイソインドリン-7-イルを含む。本明細書で使用される「3H-インドリル」という用語は、3H-インドール-2-イル、3H-インドール-3-イル、3H-インドール-4-イル、3H-インドール-5-イル、3H-インドール-6-イル、及び3H-インドール-7-イルを含む。本明細書で使用される「キノリジニル」という用語は、キノリジジン-1-イル、キノリジジン-2-イル、キノリジジン-3-イル及びキノリジジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「キノリジニル」という用語は、キノリジジン-1-イル、キノリジジン-2-イル、キノリジジン-3-イル及びキノリジジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロキノリニル」という用語は、テトラヒドロキノリン-1-イル、テトラヒドロキノリン-2-イル、テトラヒドロキノリン-3-イル、テトラヒドロキノリン-4-イル、テトラヒドロキノリン-5-イル、テトラヒドロキノリン-6-イル、テトラヒドロキノリン-7-イル及びテトラヒドロキノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロイソキノリニル」という用語は、テトラヒドロイソキノリン-1-イル、テトラヒドロイソキノリン-2-イル、テトラヒドロイソキノリン-3-イル、テトラヒドロイソキノリン-4-イル、テトラヒドロイソキノリン-5-イル、テトラヒドロイソキノリン-6-イル、テトラヒドロイソキノリン-7-イル及びテトラヒドロイソキノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「クロマニル」という用語は、クロマン-2-イル、クロマン-3-イル、クロマン-4-イル、クロマン-5-イル、クロマン-6-イル、クロマン-7-イル及びクロマン-8-イルを含む。本明細書で使用される「1H-ピロリジン」という用語は、1H-ピロリジン-1-イル、1H-ピロリジン-2-イル、1H-ピロリジン-3-イル、1H-ピロリジン-5-イル、1H-ピロリジン-6-イル及び1H-ピロリジン-7-イルを含む。本明細書で使用される「3H-ピロリジン」という用語は、3H-ピロリジン-1-イル、3H-ピロリジン-2-イル、3H-ピロリジン-3-イル、3H-ピロリジン-5-イル、3H-ピロリジン-6-イル及び3H-ピロリジン-7-イルを含む。
【0067】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのN、O、S、またはPを含む5~18個の原子の芳香環系であって、一緒に縮合可能であるか、または共有結合的に結合可能な1または2つの環を含有し、各環が典型的には5~6個の原子を含有する芳香環系を指し、上記環のうち少なくとも1つは芳香族であり、ここで、N及びSヘテロ原子は、任意選択で酸化され得、かつNヘテロ原子は、任意選択で四級化され得、かつ上記ヘテロアリールの少なくとも1個の炭素原子は、少なくとも1つのC=Oを形成するために酸化可能である。ヘテロアリール環とシクロアルキル環またはシクロアルケニル環またはシクロアルキニル環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールと見なされる。ヘテロアリール環とヘテロ環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールと見なされる。ヘテロアリール環とアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールと見なされる。このようなヘテロアリールの非限定的例としては、トリアゾル-2-イル、ピリジニル、1H-ピラゾール-5-イル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサジニル、ジオキシニル、チアジニル、トリアジニル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾリル、チエノ[3,2-b]フラニル、チエノ[3,2-b]チオフェニル、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾリル、チエノ[2,3-d]イミダゾリル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、1,3-ベンズオキサゾリル、1,2-ベンズイソオキサゾリル、2,1-ベンズイソオキサゾリル、1,3-ベンゾチアゾリル、1,2-ベンゾイソチアゾリル、2,1-ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-ベンズオキサジアゾリル、2,1,3-ベンズオキサジアゾリル、1,2,3-ベンゾチアジアゾリル、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン、2,3-ジヒドロ-ベンゾフラニル、チエノピリジニル、プリニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、6-オキソ-ピリダジン-1(6H)-イル、2-オキソピリジン-1(2H)-イル、6-オキソ-ピリダジン-1(6H)-イル、2-オキソピリジン-1(2H)-イル、1,3-ベンゾジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニルが挙げられ、いくつかの実施形態では、上記ヘテロアリール基は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、イソオキサゾリル、チオフェニル、イミダゾリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、s-トリアジニル、オキサゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、トリアゾリル及びチアゾリルを含む群から選択され、いくつかの実施形態では、上記ヘテロアリール基は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル及びベンズイミダゾリルを含む群から選択される。
【0068】
本明細書で使用される「ピロリル」(アゾリルとも呼ばれる)という用語は、ピロール-1-イル、ピロール-2-イル及びピロール-3-イルを含む。本明細書で使用される「フラニル」(「フリル」とも呼ばれる)という用語は、フラン-2-イル及びフラン-3-イル(フラン-2-イル及びフラン-3-イルとも呼ばれる)を含む。本明細書で使用される「チオフェニル」(「チエニル」とも呼ばれる)という用語は、チオフェン-2-イル及びチオフェン-3-イル(チエン-2-イル及びチエン-3-イルとも呼ばれる)を含む。本明細書で使用される「ピラゾリル」(1H-ピラゾリル及び1,2-ジアゾリルとも呼ばれる)という用語は、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-3-イルまたは1H-ピラゾール-5-イル、ピラゾール-4-イル及びピラゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾリル」という用語は、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル及びイミダゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「オキサゾリル」(1,3-オキサゾリルとも呼ばれる)という用語は、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル及びオキサゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソキサゾリル」(1,2-オキサゾリルとも呼ばれる)という用語は、イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-4-イル及びイソオキサゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「チアゾリル」(1,3-チアゾリルとも呼ばれる)という用語は、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル及びチアゾール-5-イル(2-チアゾリル、4-チアゾリル及び5-チアゾリルとも呼ばれる)を含む。本明細書で使用される「イソチアゾリル」(1,2-チアゾリルとも呼ばれる)という用語は、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、及びイソチアゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「トリアゾリル」という用語は、トリアゾル-2-イル、1H-トリアゾリル及び4H-1,2,4-トリアゾリルを含み、「1H-トリアゾリル」は、1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル、1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル、1H-1,2,3-トリアゾル-5-イル、1H-1,2,4-トリアゾル-1-イル、1H-1,2,4-トリアゾル-3-イル及び1H-1,2,4-トリアゾル-5-イルを含む。「4H-1,2,4-トリアゾリル」は、4H-1,2,4-トリアゾル-4-イル、及び4H-1,2,4-トリアゾル-3-イルを含む。本明細書で使用される「オキサジアゾリル」という用語は、1,2,3-オキサジアゾール-4-イル、1,2,3-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,2,5-オキサジアゾール-3-イル及び1,3,4-オキサジアゾール-2-イルを含む。本明細書で使用される「チアジアゾリル」という用語は、1,2,3-チアジアゾール-4-イル、1,2,3-チアジアゾール-5-イル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル、1,2,5-チアジアゾール-3-イル(フラザン-3-イルとも呼ばれる)及び1,3,4-チアジアゾール-2-イルを含む。本明細書で使用される「テトラゾリル」という用語は、1H-テトラゾール-1-イル、1H-テトラゾール-5-イル、2H-テトラゾール-2-イル、及び2H-テトラゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「オキサトリアゾリル」という用語は、1,2,3,4-オキサトリアゾール-5-イル及び1,2,3,5-オキサトリアゾール-4-イルを含む。本明細書で使用される「チアトリアゾリル」という用語は、1,2,3,4-チアトリアゾール-5-イル及び1,2,3,5-チアトリアゾール-4-イルを含む。本明細書で使用される「ピリジニル」(「ピリジル」とも呼ばれる)という用語は、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル及びピリジン-4-イル(2-ピリジル、3-ピリジル及び4-ピリジルとも呼ばれる)を含む。本明細書で使用される「ピリミジル」という用語は、ピリミド-2-イル、ピリミド-4-イル、ピリミド-5-イル及びピリミド-6-イルを含む。本明細書で使用される「ピラジニル」という用語は、ピラジン-2-イル及びピラジン-3-イルを含む。本明細書で使用される「ピリダジニル」という用語は、ピリダジン-3-イル及びピリダジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「オキサジニル」(「1,4-オキサジニル」とも呼ばれる)という用語は、1,4-オキサジン-4-イル及び1,4-オキサジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジオキシニル」(「1,4-ジオキシニル」とも呼ばれる)という用語は、1,4-ジオキシン-2-イル及び1,4-ジオキシン-3-イルを含む。本明細書で使用される「チアジニル」(「1,4-チアジニル」とも呼ばれる)という用語は、1,4-チアジン-2-イル、1,4-チアジン-3-イル、1,4-チアジン-4-イル、1,4-チアジン-5-イル及び1,4-チアジン-6-イルを含む。本明細書で使用される「トリアジニル」という用語は、1,3,5-トリアジン-2-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,2,4-トリアジン-5-イル、1,2,4-トリアジン-6-イル、1,2,3-トリアジン-4-イル及び1,2,3-トリアジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾリル」という用語は、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾイ-2-イル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾール-3-イル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾール-5-イル及びイミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾール-6-イルを含む。本明細書で使用される「チエノ[3,2-b]フラニル」という用語は、チエノ[3,2-b]フラン-2-イル、チエノ[3,2-b]フラン-3-イル、チエノ[3,2-b]フラン-4-イル、及びチエノ[3,2-b]フラン-5-イルを含む。本明細書で使用される「チエノ[3,2-b]チオフェニル」という用語は、チエノ[3,2-b]チエン-2-イル、チエノ[3,2-b]チエン-3-イル、チエノ[3,2-b]チエン-5-イル及びチエノ[3,2-b]チエン-6-イルを含む。本明細書で使用される「チエノ[2,3-d][1,3]チアゾリル」という用語は、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾール-2-イル、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾール-5-イル及びチエノ[2,3-d][1,3]チアゾール-6-イルを含む。本明細書で使用される「チエノ[2,3-d]イミダゾリル」という用語は、チエノ[2,3-d]イミダゾール-2-イル、チエノ[2,3-d]イミダゾール-4-イル及びチエノ[2,3-d]イミダゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル」という用語は、テトラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル、及びテトラゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イルを含む。本明細書で使用される「インドリル」という用語は、インドール-1-イル、インドール-2-イル、インドール-3-イル、インドール-4-イル、インドール-5-イル、インドール-6-イル及びインドール-7-イルを含む。本明細書で使用される「インドリジニル」という用語は、インドリジン-1-イル、インドリジン-2-イル、インドリジン-3-イル、インドリジン-5-イル、インドリジン-6-イル、インドリジン-7-イル及びインドリジン-8-イルを含む。本明細書で使用される「イソインドリル」という用語は、イソインドール-1-イル、イソインドール-2-イル、イソインドール-3-イル、イソインドール-4-イル、イソインドール-5-イル、イソインドール-6-イル及びイソインドール-7-イルを含む。本明細書で使用される「ベンゾフラニル」(ベンゾ[b]フラニルとも呼ばれる)という用語は、ベンゾフラン-2-イル、ベンゾフラン-3-イル、ベンゾフラン-4-イル、ベンゾフラン-5-イル、ベンゾフラン-6-イル及びベンゾフラン-7-イルを含む。本明細書で使用される「イソベンゾフラニル」(ベンゾ[c]フラニルとも呼ばれる)という用語は、イソベンゾフラン-1-イル、イソベンゾフラン-3-イル、イソベンゾフラン-4-イル、イソベンゾフラン-5-イル、イソベンゾフラン-6-イル及びイソベンゾフラン-7-イルを含む。本明細書で使用される「ベンゾチオフェニル」(ベンゾ[b]チエニルとも呼ばれる)という用語は、2-ベンゾ[b]チオフェニル、3-ベンゾ[b]チオフェニル、4-ベンゾ[b]チオフェニル、5-ベンゾ[b]チオフェニル、6-ベンゾ[b]チオフェニル及び-7-ベンゾ[b]チオフェニル(ベンゾチエン-2-イル、ベンゾチエン-3-イル、ベンゾチエン-4-イル、ベンゾチエン-5-イル、ベンゾチエン-6-イル及びベンゾチエン-7-イルとも呼ばれる)を含む。本明細書で使用される「イソベンゾチオフェニル」(ベンゾ[c]チエニルとも呼ばれる)という用語は、イソベンゾチエン-1-イル、イソベンゾチエン-3-イル、イソベンゾチエン-4-イル、イソベンゾチエン-5-イル、イソベンゾチエン-6-イル、及びイソベンゾチエン-7-イルを含む。本明細書で使用される「インダゾリル」(1H-インダゾリルまたは2-アザインドリルとも呼ばれる)という用語は、1H-インダゾール-1-イル、1H-インダゾール-3-イル、1H-インダゾール-4-イル、1H-インダゾール-5-イル、1H-インダゾール-6-イル、1H-インダゾール-7-イル、2H-インダゾール-2-イル、2H-インダゾール-3-イル、2H-インダゾール-4-イル、2H-インダゾール-5-イル、2H-インダゾール-6-イル、及び2H-インダゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「ベンズイミダゾリル」という用語は、ベンズイミダゾール-1-イル、ベンズイミダゾール-2-イル、ベンズイミダゾール-4-イル、ベンズイミダゾール-5-イル、ベンズイミダゾール-6-イル及びベンズイミダゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,3-ベンズオキサゾリル」という用語は、1,3-ベンズオキサゾール-2-イル、1,3-ベンズオキサゾール-4-イル、1,3-ベンズオキサゾール-5-イル、1,3-ベンズオキサゾール-6-イル及び1,3-ベンズオキサゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,2-ベンズイソオキサゾリル」という用語は、1,2-ベンズイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンズイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンズイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンズイソオキサゾール-6-イル及び1,2-ベンズイソオキサゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「2,1-ベンズイソオキサゾリル」という用語は、2,1-ベンズイソオキサゾール-3-イル、2,1-ベンズイソオキサゾール-4-イル、2,1-ベンズイソオキサゾール-5-イル、2,1-ベンズイソオキサゾール-6-イル及び2,1-ベンズイソオキサゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,3-ベンゾチアゾリル」という用語は、1,3-ベンゾチアゾール-2-イル、1,3-ベンゾチアゾール-4-イル、1,3-ベンゾチアゾール-5-イル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イル及び1,3-ベンゾチアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,2-ベンゾイソチアゾリル」という用語は、1,2-ベンズイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンズイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンズイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンズイソチアゾール-6-イル及び1,2-ベンズイソチアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「2,1-ベンゾイソチアゾリル」という用語は、2,1-ベンズイソチアゾール-3-イル、2,1-ベンズイソチアゾール-4-イル、2,1-ベンズイソチアゾール-5-イ
ル、2,1-ベンズイソチアゾール-6-イル及び2,1-ベンズイソチアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「ベンゾトリアゾリル」という用語は、ベンゾトリアゾール-1-イル、ベンゾトリアゾール-4-イル、ベンゾトリアゾール-5-イル、ベンゾトリアゾール-6-イル及びベンゾトリアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,2,3-ベンズオキサジアゾリル」という用語は、1,2,3-ベンズオキサジアゾール-4-イル、1,2,3-ベンズオキサジアゾール-5-イル、1,2,3-ベンズオキサジアゾール-6-イル及び1,2,3-ベンズオキサジアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「2,1,3-ベンズオキサジアゾリル」という用語は、2,1,3-ベンズオキサジアゾール-4-イル、2,1,3-ベンズオキサジアゾール-5-イル、2,1,3-ベンズオキサジアゾール-6-イル及び2,1,3-ベンズオキサジアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,2,3-ベンゾチアジアゾリル」という用語は、1,2,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル、1,2,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル、1,2,3-ベンゾチアジアゾール-6-イル及び1,2,3-ベンゾチアジアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「2,1,3-ベンゾチアジアゾリル」という用語は、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-6-イル及び2,1,3-ベンゾチアジアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「チエノピリジニル」という用語は、チエノ[2,3-b]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル及びチエノ[3,2-b]ピリジニルを含む。本明細書で使用される「プリニル」という用語は、プリン-2-イル、プリン-6-イル、プリン-7-イル及びプリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾ[1,2-a]ピリジニル」という用語は、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-4-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル及びイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,3-ベンゾジオキソリル」という用語は、1,3-ベンゾジオキソール-4-イル、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル、1,3-ベンゾジオキソール-6-イル、及び1,3-ベンゾジオキソール-7-イルを含む。本明細書で使用される「キノリニル」という用語は、キノリン-2-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4イル、キノリン-5-イル、キノリン-6-イル、キノリン-7-イル及びキノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「イソキノリニル」という用語は、イソキノリン-1-イル、イソキノリン-3-イル、イソキノリン-4イル、イソキノリン-5-イル、イソキノリン-6-イル、イソキノリン-7-イル及びイソキノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「シンノリニル」という用語は、シノリン-3-イル、シノリン-4-イル、シノリン-5-イル、シノリン-6-イル、シノリン-7-イル及びシノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「キナゾリニル」という用語は、キナゾリン-2-イル、キナゾリン-4イル、キナゾリン-5-イル、キナゾリン-6-イル、キナゾリン-7-イル及びキナゾリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「キノキサリニル」という用語は、キノキサリン-2-イル、キノキサリン-5-イル、及びキノキサリン-6-イルを含む。
【0069】
本明細書で使用される場合ヘテロアリール及びヘテロ環またはヘテロシクリルとしては、例として、Paquette,Leo A.“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968),特に第1、3、4、6、7、及び9章;“The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York,1950~現在),特に第13、14、16、19、及び28巻;Katritzky,Alan R.,Rees,C.W.及びScriven,E.“Comprehensive Heterocyclic Chemistry”(Pergamon Press,1996);ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載されている基が挙げられるがこれらに限定されない。
【0070】
基または基の一部としての「ヘテロシクリルオキシ」または「ヘテロ環オキシ」という用語は、式-O-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなヘテロシクリルである。
【0071】
基または基の一部としての「ヘテロシクリルアルキルオキシ」または「ヘテロ環オキシ」という用語は、式-O-R-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなヘテロシクリルであり、Rは、アルキルである。
【0072】
基または基の一部としての「ヘテロアリールオキシ」という用語は、式-O-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなヘテロアリールである。
【0073】
基または基の一部としての「ヘテロアリールアルキルオキシ」という用語は、式-O-R-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなヘテロアリールであり、Rは、アルキルである。
【0074】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-アルキル」または「ヘテロ環-アルキル」という用語は、炭素原子、典型的には、末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロシクリルで置換されているアルキルを指す。ヘテロシクリル-アルキルまたはヘテロ環-アルキル基の非限定的例としては、2-ピペリジニル-メチレンがある。ヘテロシクリル-アルキルまたはヘテロ環-アルキル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、アルキル部分は、1~6個の炭素原子であり、かつヘテロシクリル部分は、3~14個の原子である。
【0075】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-アルケニル」または「ヘテロ環-アルケニル」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロシクリルで置換されているアルケニルを指す。ヘテロシクリル-アルケニルまたはヘテロ環-アルケニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、アルケニル部分は、2~6個の炭素原子であり、かつヘテロシクリル部分は、3~14個の原子である。
【0076】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-アルキニル」または「ヘテロ環-アルキニル」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロシクリルで置換されているアルキニルを指す。ヘテロシクリル-アルキニルまたはヘテロ環-アルキニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、アルキニル部分は、2~6個の炭素原子を含むことができ、かつヘテロシクリル部分は、3~14個の原子を含むことができる。
【0077】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-ヘテロアルキル」または「ヘテロ環-ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子、典型的には、末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロシクリルで置換されているヘテロアルキルを指す。ヘテロシクリル-ヘテロアルキルまたはヘテロ環-ヘテロアルキル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアルキル部分は、1~6個の炭素原子を含むことができ、かつヘテロシクリル部分は、3~14個の原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル-ヘテロアルキルまたはヘテロ環-ヘテロアルキルは、ヘテロシクリル-O-アルキル、ヘテロシクリルアルキル-O-アルキル、ヘテロシクリル-NH-アルキル、ヘテロシクリル-N(アルキル)、ヘテロシクリルアルキル-NH-アルキル、ヘテロシクリルアルキル-N-(アルキル)、ヘテロシクリル-S-アルキル、及びヘテロシクリルアルキル-S-アルキルを含む群から選択される。
【0078】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-ヘテロアルケニル」または「ヘテロ環-ヘテロアルケニル」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロシクリルで置換されているヘテロアルケニルを指す。ヘテロシクリル-ヘテロアルケニルまたはヘテロ環-ヘテロアルケニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアルケニル部分は、2~6個の炭素原子を含むことができ、かつヘテロシクリル部分は、3~14個の原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル-ヘテロアルケニルまたはヘテロ環-ヘテロアルケニルは、ヘテロシクリル-O-アルケニル、ヘテロシクリルアルキル-O-アルケニル、ヘテロシクリル-NH-アルケニル、ヘテロシクリル-N(アルケニル)、ヘテロシクリルアルキル-NH-アルケニル、ヘテロシクリルアルキル-N-(アルケニル)、ヘテロシクリル-S-アルケニル、及びヘテロシクリルアルケニル-S-アルケニルを含む群から選択される。
【0079】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-ヘテロアルキニル」または「ヘテロ環-ヘテロアルキニル」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロシクリルで置換されているヘテロアルキニルを指す。ヘテロシクリル-ヘテロアルキニルまたはヘテロ環-ヘテロアルキニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアルキニル部分は、2~6個の炭素原子を含むことができ、かつヘテロシクリル部分は、3~14個の原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル-ヘテロアルキニルは、ヘテロシクリル-O-アルキニル、ヘテロシクリルアルキニル-O-アルキニル、ヘテロシクリル-NH-アルキニル、ヘテロシクリル-N(アルキニル)、ヘテロシクリルアルキニル-NH-アルキニル、ヘテロシクリルアルキニル-N-(アルキニル)、ヘテロシクリル-S-アルキニル、及びヘテロシクリルアルキニル-S-アルキニルを含む群から選択される。
【0080】
基または基の一部としての「ヘテロアリール-アルキル」という用語は、炭素原子、典型的には、末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロアリールで置換されているアルキルを指す。ヘテロアリール-アルキル基の例としては、2-ピリジル-メチレンがある。ヘテロアリール-アルキル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアリール-アルキル基のアルキル部分は、1~6個の炭素原子を含むことができ、かつヘテロアリール部分は、5~14個の原子を含むことができる。
【0081】
基または基の一部としての「ヘテロアリール-アルケニル」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロアリールで置換されているアルケニルを指す。ヘテロアリール-アルケニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアリール-アルケニル基のアルケニル部分は、2~6個の炭素原子を含むことができ、かつヘテロアリール部分は、5~14個の原子を含むことができる。
【0082】
本明細書で使用される基または基の一部としての「ヘテロアリール-アルキニル」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロアリールで置換されているアルキニルを指す。ヘテロアリール-アルキニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、ヘテロアリール-アルキニル基のアルキニル部分は、2~6個の炭素原子であり、かつヘテロアリール部分は、5~14個の原子である。
【0083】
本明細書で使用される基または基の一部としての「ヘテロアリール-ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子、典型的には、末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロアリールで置換されているヘテロアルキルを指す。ヘテロアリール-ヘテロアルキル基は、7~20個の原子を含み、例えば、ヘテロアリール-ヘテロアルキル基のヘテロアルキル部分は、2~6個の炭素原子であり、かつヘテロアリール部分は、5~14個の原子である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール-ヘテロアルキルは、ヘテロアリール-O-アルキル、ヘテロアリールアルキル-O-アルキル、ヘテロアリール-NH-アルキル、ヘテロアリール-N(アルキル)、ヘテロアリールアルキル-NH-アルキル、ヘテロアリールアルキル-N-(アルキル)、ヘテロアリール-S-アルキル、及びヘテロアリールアルキル-S-アルキルを含む群から選択される。
【0084】
本明細書で使用される基または基の一部としての「ヘテロアリール-ヘテロアルケニル」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロアリールで置換されているヘテロアルケニルを指す。ヘテロアリール-ヘテロアルケニル基は、8~20個の原子を含み、例えば、ヘテロアリール-ヘテロアルケニル基のヘテロアルケニル部分は、3~6個の炭素原子であり、かつヘテロアリール部分は、5~14個の原子である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール-ヘテロアルケニルは、ヘテロアリール-O-アルケニル、ヘテロアリールアルケニル-O-アルケニル、ヘテロアリール-NH-アルケニル、ヘテロアリール-N(アルケニル)、ヘテロアリールアルケニル-NH-アルケニル、ヘテロアリールアルケニル-N-(アルケニル)、ヘテロアリール-S-アルケニル、及びヘテロアリールアルケニル-S-アルケニルを含む群から選択される。
【0085】
本明細書で使用される基または基の一部としての「ヘテロアリール-ヘテロアルキニル」という用語は、炭素原子に結合している水素原子のうち1個が、ヘテロアリールで置換されているヘテロアルキニルを指す。ヘテロアリール-ヘテロアルキニル基は、8~20個の原子を含み、例えば、ヘテロアリール-ヘテロアルキニル基のヘテロアルキニル部分は、2~6個の炭素原子であり、かつヘテロアリール部分は、5~14個の原子である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール-ヘテロアルキニルは、ヘテロアリール-O-アルキニル、ヘテロアリールアルキニル-O-アルキニル、ヘテロアリール-NH-アルキニル、ヘテロアリール-N(アルキニル)、ヘテロアリールアルキニル-NH-アルキニル、ヘテロアリールアルキニル-N-(アルキニル)、ヘテロアリール-S-アルキニル、及びヘテロアリールアルキニル-S-アルキニルを含む群から選択される。
【0086】
例として、炭素結合したヘテロアリールまたは複素環(またはヘテロ環)は、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位で、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位で、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位で、ピラジンの2、3、5、もしくは6位で、フラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、ピロール、もしくはテトラヒドロピロールの2、3、4、もしくは5位で、オキサゾール、イミダゾール、もしくはチアゾールの2、4、もしくは5位で、イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位で、アジリジンの2、もしくは3位で、アゼチジンの2、3、もしくは4位で、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位で、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位で結合可能である。さらにより典型的には、炭素結合したヘテロアリール及びヘテロシクリルとしては、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、5-ピリジル、6-ピリジル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル、6-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、2-ピラジニル、3-ピラジニル、5-ピラジニル、6-ピラジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、または5-チアゾリルが挙げられる。例として、窒素結合した複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位で、イソインドール、またはイソインドリンの2位で、モルホリンの4位で、及びカルバゾール、またはβ-カルボリンの9位で結合される。さらにより典型的には、窒素結合したヘテロアリールまたはヘテロシクリルとしては、1-アジリジル、1-アゼテジル、1-ピロリル、1-イミダゾリル、1-ピラゾリル、及び1-ピペリジニルが挙げられる。
【0087】
本明細書で使用される場合、及び特に記載がない限り、「アルコキシ」、「シクロ-アルコキシ」、「アリールオキシ」、「アリールアルキルオキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「ヘテロシクリルオキシ」、「アルキルチオ」、「シクロアルキルチオ」、「アリールチオ」、「アリールアルキルチオ」、「ヘテロアリールチオ」、及び「ヘテロシクリルチオ」という用語は、アルキル基、それぞれシクロアルキル、アリール、アリールアルキルヘテロアリール、またはヘテロシクリル(それぞれ本明細書で定義するようなもの)が、単結合を介して酸素原子または硫黄原子に結合している置換基を指し、例えば、限定はされないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、チオエチル、チオメチル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、メルカプトベンジルなどがある。アルキルの代わりに、アルケニル及びアルキニルにも同じ定義が適用される。
【0088】
基または基の一部としての「アルキルチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアルキルである。アルキルチオ基の非限定的例としては、メチルチオ(-SCH)、エチルチオ(-SCHCH)、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオなどが挙げられる。
【0089】
基または基の一部としての「アルケニルチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアルケニルである。
【0090】
基または基の一部としての「アルキニルチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアルキニルである。
【0091】
基または基の一部としての「アリールチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアリールである。
【0092】
基または基の一部としての「アリールアルキルチオ」という用語は、式-S-R-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアルキレンであり、Rは、アリールである。
【0093】
基または基の一部としての「ヘテロシクリルチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなヘテロシクリルである。
【0094】
基または基の一部としての「ヘテロアリールチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなヘテロアリールである。
【0095】
基または基の一部としての「ヘテロシクリルアルキルチオ」という用語は、式-S-R-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアルキレンであり、Rは、ヘテロシクリルである。
【0096】
基または基の一部としての「ヘテロアリールアルキルチオ」という用語は、式-S-R-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上記にて定義したようなアルキレンであり、Rは、ヘテロアリールである。
【0097】
基または基の一部としての「モノ-またはジ-アルキルアミノ」という用語は、式-N(R)(R)の基を指し、式中、Rは、水素またはアルキルであり、Rは、アルキルである。したがって、アルキルアミノとしては、モノ-アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ及びエチルアミノなどのモノ-アルキルアミノ基)、及びジ-アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ及びジエチルアミノなどのジ-アルキルアミノ基)が挙げられる。好適なモノ-またはジ-アルキルアミノ基の非限定的例としては、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、i-ブチルアミノ、sec-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、ペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジ-i-プロピルアミノ、エチルメチルアミノ、メチル-n-プロピルアミノ、メチル-i-プロピルアミノ、n-ブチルメチルアミノ、i-ブチルメチルアミノ、t-ブチルメチルアミノ、エチル-n-プロピルアミノ、エチル-i-プロピルアミノ、n-ブチルエチルアミノ、i-ブチルエチルアミノ、t-ブチルエチルアミノ、ジ-n-ブチルアミノ、ジ-i-ブチルアミノ、メチルペントイルアミノ、メチルヘキシルアミノ、エチルペンチルアミノ、エチルヘキシルアミノ、プロピルペンチルアミノ、プロピルヘキシルアミノなどが挙げられる。
【0098】
基または基の一部としての「モノ-またはジ-アリールアミノ」という用語は、式-N(R)(R)の基を指し、式中、R及びRは、水素、アリール、またはアルキルからそれぞれ独立して選択され、RまたはRのうち少なくとも1つは、アリールである。
【0099】
基または基の一部としての「モノ-またはジ-ヘテロアリールアミノ」という用語は、式-N(R)(R)の基を指し、式中、R及びRは、水素、ヘテロアリール、またはアルキルからそれぞれ独立して選択され、RまたはRのうち少なくとも1つは、本明細書で定義するようなヘテロアリールである。
【0100】
基または基の一部としての「モノ-またはジ-ヘテロシクリルアミノ」という用語は、式-N(R)(R)の基を指し、式中、R及びRは、水素、ヘテロシクリル、またはアルキルからそれぞれ独立して選択され、RまたはRのうち少なくとも1つは、本明細書で定義するようなヘテロシクリルである。
【0101】
本明細書で使用される場合、及び特に記載がない限り、ハロゲンという用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)からなる群から選択され任意の原子を意味する。
【0102】
本明細書で使用される「任意選択で1個以上のヘテロ原子を含み、上記ヘテロ原子はO、S、及びNからなる原子から選択される」化学基に関する用語は、1個以上の炭素原子が酸素、窒素、または硫黄原子によって置換されており、ゆえに、言及される基に応じて、とりわけ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、シクロヘテロアルキニル、ヘテロアリール、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールヘテロアルケニル、ヘテロアリールヘテロアルケニル、アリールヘテロアルキニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロアリールヘテロアルキニルを含む基を指す。したがって、この用語は、言及される基に応じて、一例として、とりわけ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキル-O-アルキレン、アルケニル-O-アルキレン、アリールアルコキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール-ヘテロアルキル、ヘテロシクリル-ヘテロアルキル、ヘテロアリール-アルコキシ、ヘテロシクリル-アルコキシを含む。したがって、一例として、「任意選択で1個以上のヘテロ原子を含み、上記ヘテロ原子はO、S、及びNからなる原子から選択されるアルキル」という用語は、ヘテロアルキルを指し、炭化水素鎖に1個以上のヘテロ原子を含むアルキルを意味し、一方、ヘテロ原子は、炭化水素鎖の最初、炭化水素鎖内、または炭化水素鎖の最後に位置し得る。ヘテロアルキルの例としては、多数の他の例の中でもとりわけ、メトキシ、メチルチオ、エトキシ、プロポキシ、CH-O-CH-、CH-S-CH-、CH-CH-O-CH-、CH-NH-、(CH-N-、(CH-CH-NH-CH-CH-が挙げられる。したがって、一例として、「任意選択でアルキレン鎖内に1個以上のヘテロ原子を含み、上記ヘテロ原子はO、S、及びNからなる原子から選択されるアリールアルキレン」という用語は、アリールヘテロアルキレンを指し、炭化水素鎖に1個以上のヘテロ原子を含むアリールアルキレンを意味し、一方、ヘテロ原子は、炭化水素鎖の最初、炭化水素鎖内、または炭化水素鎖の最後に位置し得る。したがって、「アリールヘテロアルキレン」としては、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アリール-アルキル-NH-などが挙げられ、例としては、多数の他の例の中でもとりわけ、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、アリール-CH-S-CH-、アリール-CH-O-CH-、アリール-NH-CH-がある。本明細書で使用される「ヘテロアルケニレン」、「ヘテロアルキニレン」、及び他の用語に対しても、「任意選択で1個以上のヘテロ原子を含み、上記ヘテロ原子はO、S、及びNからなる原子から選択される」と言及される場合、同様に適用される。
【0103】
本明細書で使用される化学基であって、「任意選択で上記基の炭素原子またはヘテロ原子に接した2個以上の水素原子が、=Oまたは=Sを形成するために一緒に利用可能である」化学基に関する用語は、上記基の炭素原子またはヘテロ原子に接した2個以上の水素原子が=Oまたは=Sを形成するために一緒に利用される基を指す。一例として、この用語は、「アルキルであって、任意選択で上記アルキルの炭素原子またはヘテロ原子に接した2個以上の水素原子が=Oまたは=Sを形成するために一緒に利用可能であるアルキル」を指し、他の例の中でもとりわけ、CH-C(O)-CH-、CH-C(O)-、CH-C(S)-CH-、CH-S(O)-CH-及び(CH-CH-C(O)-CH-CH-が挙げられる。
【0104】
基であって、「任意選択で1個以上のヘテロ原子を含み、上記ヘテロ原子はO、S、及びNからなる原子から選択され」かつ「任意選択で上記基の炭素原子またはヘテロ原子に接した2個以上の水素原子が、=Oまたは=Sを形成するために一緒に利用可能である」基の組み合わせは、本明細書上記にて記載した2つの態様を組み合わせることができ、かつ基がアルキルについて言及される場合、他の例の中でもとりわけ、CH-C(O)O-、CH-C(O)O-CH-、CH-NH-C(O)-、CH-C(O)-NH-、CH-NH-C(O)-CH-、CH-NH-C(S)-CH-、CH-NH-C(S)-NH-CH-、CH-NH-S(O)-、及びCH-NH-S(O)-NH-CH-が挙げられる。
【0105】
連結基に関して本明細書で使用される「単結合」という用語(すなわち、本明細書における式中で、特定の連結基が単結合から選択される場合など)は、連結基が存在しない分子を指し、ゆえに、連結基によって連結されることになる2つの部位間が単結合を介して直接連結される化合物を指す。
【0106】
置換基に関して本明細書で使用される場合、及び特に記載がない限り、「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換アリール」、「置換ヘテロアリール」、「置換ヘテロシクリル」、「置換アリールアルキル」、「置換ヘテロアリール-アルキル」、「置換ヘテロシクリル-アルキル」などにおける「置換」という用語は、本明細書で定義する化学構造を指し、上記アルキル、アルケニル、アルキニル、基及び/または上記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意選択で1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5または6つ)の置換基と置換され得、1個以上の水素原子が、少なくとも1つの置換基でそれぞれ独立して置換されていることを意味する。典型的な置換基としては、限定はされないが、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、シクロアルキル-アルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロアリール-アルキル、ヘテロシクリル-アルキル、ヘテロアリール-アルケニル、ヘテロシクリル-アルケニル及びヘテロアリール-アルキニル、ヘテロシクリル-アルキニル、-X、-Z、-O、-OZ、=O、-SZ、-S、=S、-NZ、-N、=NZ、=N-OZ、-CX(例えば、トリフルオロメチル)、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-N=C=S、-NO、-NO、=N、-N、-NZC(O)Z、-NZC(S)Z、-NZC(O)O、-NZC(O)OZ、-NZC(S)OZ、-NZC(O)NZZ、NZC(NZ)Z、NZC(NZ)NZZ、-C(O)NZZ、-C(NZ)Z、-S(O)、-S(O)OZ、-S(O)Z、-OS(O)OZ、-OS(O)Z、-OS(O)、-S(O)NZZ、-S(O)(NZ)Z、-S(O)Z、-OP(O)(OZ)、-P(O)(OZ)、-P(O)(O、-P(O)(OZ)(O)、-P(O)(OH)、-C(O)Z、-C(O)X、-C(S)Z、-C(O)OZ、-C(O)O、-C(S)OZ、-C(O)SZ、-C(S)SZ、-C(O)NZZ、-C(S)NZZ、-C(NZ)NZZ、-OC(O)Z、-OC(S)Z、-OC(O)O、-OC(O)OZ、-OC(S)OZが挙げられ、かつ特定の実施形態では、上記置換基は、上記に挙げたものからなる群から独立して選択され、ここで、各Xは、独立して、F、Cl、Br、またはIから選択されるハロゲンであり、かつ各Zは、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、保護基またはプロドラッグ部分であり、窒素原子に結合している2つのZは、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成するために結合される窒素原子と一緒に利用可能である。アルキル(アルキレン)、アルケニル(アルケニレン)、及びアルキニル(アルキニレエン)基もまた、同様に置換され得る。
【0107】
本開示の化合物の2つ以上の部位で見られる任意の置換基の表記は、独立して選択されるものとする。
【0108】
置換基は、任意選択で、結合を伴って、または伴わずに設計される。結合の表示に関係なく、置換基が多価である場合(言及される構造内のその位置に基づく)、置換基の任意の及び全ての可能な配置が意図される。
【0109】
本明細書で使用される場合、及び特に記載がない限り、「溶媒和物」という用語は、本開示の誘導体と、好適な無機溶媒(例えば、水和物)または有機溶媒(例えば、限定はされないが、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ニトリルなど)とによって形成され得る任意の組み合わせを含む。
【0110】
本明細書で使用される「ヘテロ原子(複数可)」という用語は、四級化可能な窒素;酸素;及びスルホキシド及びスルホンを含む硫黄から選択される原子を意味する。
【0111】
本明細書で使用される「ヒドロキシ」という用語は、-OHを意味する。
【0112】
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、二重結合で酸素と結合している炭素原子、すなわちC=Oを意味する。
【0113】
本明細書で使用される「アミノ」という用語は、-NH基を意味する。
【0114】
本開示は、YAP/TAZ-TEAD転写阻害活性を有することが明らかとなった新規化合物を提供する。さらに、本開示は、これらの化合物が、TEAD活性化を効率的に阻害し、それにより、YAP/TAZ-TEAD転写の活性化を阻害することを実証する。したがって、これらの化合物は、対象におけるYAP/TAZ-TEAD活性化介在性疾患の治療及び/または予防に使用可能な、より具体的には、他の疾患の中でもとりわけ、がん及び線維症の治療及び/または予防のための、有用なクラスの新規の効力のある化合物を構成する。
【0115】
さらに、本開示は、医薬品として使用するための化合物に関し、かつがんまたは線維症を治療及び/または予防するための薬物の製造のためのそれらの使用に関する。本開示は、動物、哺乳動物、より具体的にはヒトにおけるがんまたは線維症などのYAP/TAZ-TEAD活性化介在性疾患を治療及び/または予防するための医薬品として使用するための化合物に関する。本開示はまた、かかる全ての化合物の調製のための方法、及び有効量でそれらを含む医薬組成物に関する。本開示はまた、1つ以上のかかる化合物を、任意選択で1つ以上の他の医薬品と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することによる、ヒトにおけるがんまたは線維症の治療または予防の方法に関する。本開示はまた、非ヒト哺乳動物におけるがん及び線維症などの、非ヒト哺乳動物における疾患の予防または治療のための医薬品としての、獣医学的使用のための化合物、及びそれらの使用に関する。
【0116】
一実施形態では、本開示の化合物は、式Iの化合物:
【化1】
またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、
pは、0、1、または2であり;
は、以下からなる群から選択され、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(b)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、及び
(6)-OZ
(c)C~Cアルキニル、
(iii)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、
(iv)非置換または置換5~9員ヘテロアリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、
(v)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
(vi)非置換または置換C~Cヘテロ環、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
(vii)-S(=O)、ならびに
(viii)-C(=O)Z
及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択されるか;または
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成し;
は、水素及び-NR10a10bからなる群から選択され;
は、水素及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
各R及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択され;
及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択されるか;または
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成し;
10aは、以下からなる群から選択され、
(i)-C(=O)Z
(ii)-C(=O)OZ
(iii)-C(=O)NZ
(iv)-S(=O)
(v)-S(=O)NZ
(vi)-S(=O)(=NZ)Z
(vii)-S(=NZ)(=NZ)Z
(viii)-S(=O)(=NZ)NZ、及び
(ix)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-OZ
(d)-C(=O)OH、
(e)-C(=O)Z
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-S(=O)
(i)-S(=O)NZ
(j)-S(=O)(=NZ)Z
(k)-S(=NZ)(=NZ)Z
(k)-S(=O)(=NZ)NZ、及び
(l)-NZ
10bは、水素及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
各Zは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)C~Cアルキル、
(iii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iv)C~Cアルキニル、
(v)C~Cシクロアルキル、
(vi)C~Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C~Cハロアルキル;
各Zは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ及びC~Cアルキニルからなる群から独立して選択され、
(ii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iii)C~Cアルキニル、
(iv)C~Cシクロアルキル、
(v)C~Cシクロアルケニル、
(vi)C~Cハロアルキル、
(vii)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、及び
(viii)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され;
各Z及びZは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(b)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、及び
(6)-OZ
(c)非置換または置換5~9員ヘテロアリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(d)シアノ、
(e)ヒドロキシ、
(f)-OZ、及び
(g)-NZ
(iii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iv)C~Cアルキニル、
(v)C~Cシクロアルキル、
(vi)C~Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C~Cハロアルキル;
各Z及びZは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)C~Cアルキル、及び
(iii)C~Cシクロアルキル;
Xは、-CR11a=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11b=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11c=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11d=及び-N=からなる群から選択され;かつ
各R11a、R11b、R11c、及びR11dは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、-OZ及び-NZからなる群から独立して選択される。
【0117】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IIの化合物:

【化2】

またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、R、R10a、X、X、X、及びXは、式Iに関連して定義した通りである。
【0118】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IもしくはIIの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R10aは、-C(=O)Z及び非置換または置換C~Cアルキルからなる群から選択され;かつ
は、以下からなる群から選択され、
(i)C~Cアルキル、及び
(ii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択される。
【0119】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IもしくはIIの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成する。
【0120】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IもしくはIIの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R及びRは、水素である。
【0121】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IもしくはIIの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、
Xは、-CR11a=であり;
は、-CR11b=であり;
は、-CR11c=であり;
は、-CR11d=である。
【0122】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IIIの化合物:
【化3】

またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R、X、X、X、及びZは、式Iに関連して定義した通りである。
【0123】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IもしくはIIIの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、Zは、非置換または置換C~Cアルキルである。
【0124】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IIIの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、Xは、-CR11a=であり、Xは、-CR11b=であり、かつXは、-CR11d=である。
【0125】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~IIIのうちいずれか1つの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、Rは、非置換または置換C~C10アリールであり、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル及び-OZからなる群から独立して選択される。
【0126】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下からなる群から選択される、式Iの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物である。
N-(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アクリルアミド;
3-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
3-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
7-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン;
7-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン;
N-(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アクリルアミド;
3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン-1-オール;
3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン酸;
1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-アミン;及び
N-(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)プロピオンアミド。
【0127】
本開示の化合物の好ましいまたは特定の記載(特徴)及び実施形態について、本明細書中以下にて説明する。定義する本開示の記載、態様、及び実施形態のそれぞれは、明確に反対の指示がない限り、任意の他の記載、態様、及び/または実施形態と組み合わされてもよい。特に、好ましい、特定の、または有利であるとして示した任意の特徴は、好ましい、特定の、または有利であると示した任意の他の特徴または記載と組み合わされてもよい。本明細書では、本開示は、特に、下記の番号が付された記載及び実施形態のうち1つ以上の任意の1つ、または任意の他の記載、態様、及び/または実施形態(番号が付されていない)との任意の組み合わせによって表現される。
【0128】
実施形態1.式Iの化合物:
【化4】

またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であって、式中、
pは、0、1、または2であり;
は、以下からなる群から選択され、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(b)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、及び
(6)-OZ
(c)C~Cアルキニル、
(iii)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、
(iv)非置換または置換5~9員ヘテロアリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、
(v)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
(vi)非置換または置換C~Cヘテロ環、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C~Cアルキル、
(d)C~Cシクロアルキル、
(e)C~Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
(vii)-S(=O)、ならびに
(viii)-C(=O)Z
及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択されるか;または
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成し;
は、水素及び-NR10a10bからなる群から選択され;
は、水素及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
各R及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択され;
及びRは、水素及びC~Cアルキルからなる群から独立して選択されるか;または
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成し;
10aは、以下からなる群から選択され、
(i)-C(=O)Z
(ii)-C(=O)OZ
(iii)-C(=O)NZ
(iv)-S(=O)
(v)-S(=O)NZ
(vi)-S(=O)(=NZ)Z
(vii)-S(=NZ)(=NZ)Z
(viii)-S(=O)(=NZ)NZ、及び
(ix)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-OZ
(d)-C(=O)OH、
(e)-C(=O)Z
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-S(=O)
(i)-S(=O)NZ
(j)-S(=O)(=NZ)Z
(k)-S(=NZ)(=NZ)Z
(k)-S(=O)(=NZ)NZ、及び
(l)-NZ
10bは、水素及びC~Cアルキルからなる群から選択され;
各Zは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)C~Cアルキル、
(iii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iv)C~Cアルキニル、
(v)C~Cシクロアルキル、
(vi)C~Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C~Cハロアルキル;
各Zは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ及びC~Cアルキニルからなる群から独立して選択され、
(ii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iii)C~Cアルキニル、
(iv)C~Cシクロアルキル、
(v)C~Cシクロアルケニル、
(vi)C~Cハロアルキル、
(vii)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され、及び
(viii)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立して選択され;
各Z及びZは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C~Cアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(a)非置換または置換C~C10アリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(b)非置換または置換C~Cシクロアルキル、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、及び
(6)-OZ
(c)非置換または置換5~9員ヘテロアリール、ここで、1つ以上の置換基が以下からなる群から独立して選択され、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C~Cアルキル、
(4)C~Cシクロアルキル、
(5)C~Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C~Cアルケニル、及び
(8)C~Cアルキニル、
(d)シアノ、
(e)ヒドロキシ、
(f)-OZ、及び
(g)-NZ
(iii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択され、
(iv)C~Cアルキニル、
(v)C~Cシクロアルキル、
(vi)C~Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C~Cハロアルキル;
各Z及びZは、以下からなる群から独立して選択され、
(i)水素、
(ii)C~Cアルキル、及び
(iii)C~Cシクロアルキル;
Xは、-CR11a=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11b=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11c=及び-N=からなる群から選択され;
は、-CR11d=及び-N=からなる群から選択され;かつ
各R11a、R11b、R11c、及びR11dは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、-OZ及び-NZからなる群から独立して選択される、前記化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0129】
実施形態2.式IIの化合物:
【化5】

またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物である、実施形態1に記載の化合物。
【0130】
実施形態3.R10aは、-C(=O)Z及び非置換または置換C~Cアルキルからなる群から選択され;かつ
は、以下からなる群から選択され、
(i)C~Cアルキル、及び
(ii)非置換または置換C~Cアルケニル、ここで、1つ以上の置換基がシアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン、-NZ、4~8員ヘテロ環からなる群から独立して選択される、実施形態1または2に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0131】
実施形態4.R及びRは、それらが結合している炭素原子と共に-C(=O)-基を形成する、実施形態1~3のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0132】
実施形態5.R及びRは、水素である、実施形態1~3のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0133】
実施形態6.
Xは、-CR11a=であり;
は、-CR11b=であり;
は、-CR11c=であり;
は、-CR11d=である、実施形態1~5のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0134】
実施形態7.式IIIの化合物:
【化6】

またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物である、実施形態1に記載の化合物。
【0135】
実施形態8.Zは、非置換または置換C~Cアルキルである、実施形態1もしくは7に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0136】
実施形態9.
Xは、-CR11a=であり;
は、-CR11b=であり;かつ
は、-CR11d=である、実施形態8に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0137】
実施形態10.Rは、非置換または置換C~C10アリールであり、ここで、1つ以上の置換基がハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル及び-OZからなる群から独立して選択される、実施形態1~9のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0138】
実施形態11.
N-(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アクリルアミド;
3-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
3-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール;
7-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン;
7-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン;
N-(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アクリルアミド;
3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン;
3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン-1-オール;
3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン酸;
1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-アミン;及び
N-(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)プロピオンアミド、からなる群から選択される、実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0139】
実施形態12.実施形態1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物、ならびに、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【0140】
実施形態13.医薬品として使用するための、実施形態1~11のいずれか1項に記載の化合物、または実施形態12に記載の医薬組成物。
【0141】
実施形態14.動物、哺乳動物、またはヒトにおける、YAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害の予防または治療における使用のための、実施形態1~11のいずれか1項に記載の化合物、または実施形態12に記載の医薬組成物。
【0142】
実施形態15.YAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害は、がん、線維症、及びYAP/TAZ-TEAD活性化介在性先天性障害を含む群から選択される、実施形態14に記載の化合物、または実施形態14に記載の医薬組成物。
【0143】
実施形態16.YAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害は、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵臓癌、胃癌、脳癌、及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫から選択される、実施形態15に記載の化合物、または実施形態15に記載の医薬組成物。
【0144】
実施形態17.動物、哺乳動物、またはヒトにおけるYAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害の予防または治療のための方法であって、有効量の実施形態1~11のいずれか1項に記載の化合物を、そのような予防または治療を必要とする前記動物、哺乳動物、またはヒトに投与することを含む、前記方法。
【0145】
実施形態18.実施形態17に記載のYAP/TAZ-TEAD活性化介在性障害の治療または予防の方法であって、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、AXL阻害剤、B-RAF阻害剤、及びRAS阻害剤からなる群から選択される1つ以上の他の医薬品と組み合わせた、それを必要とする患者に対する、前記方法。
【0146】
さらに、概して、本開示は、本明細書に記載の式の化合物、ならびに、生物学的活性を有する薬剤として、または診断薬として有用なその実施形態、説明、及び態様に関する。本開示に関して述べた使用のいずれも、非医学的用法、非治療的使用、非診断的使用、または独占的に生体外使用、または動物から離れた細胞に関連した使用に限定され得る。
【0147】
本開示の化合物は、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤である。小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、例えば、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵臓癌、胃癌、脳癌、及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫を含むが、これらに限定されないがんの治療に有用である。その他の実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、肺、子宮頸部、卵巣、頭頸部、食道、及び/または皮膚の扁平上皮癌を特徴とするがんの治療に有用である。その他の実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、上衣腫、髄膜腫、シュワン腫、末梢神経シート腫瘍及び/または神経芽細胞腫などの神経外胚葉由来の組織から生じたがんの治療に有用である。その他の実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、類上皮血管内皮腫などの血管癌の治療に、またはテント上上衣腫または汗孔腺癌の治療に有用である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、YAP1またはWWTR1(TAZ)遺伝子に機能獲得型遺伝子増幅、遺伝子融合、または活性化変異を有する。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、NF2、LATS1/2、BAP1、FAT1、SAV1、及び/またはMST1/2遺伝子に機能喪失型変異または欠失を有する。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、例えば、ブドウ膜黒色腫において、GNAQ及び/またはGNA11遺伝子に機能獲得型変異を有する。いくつかの実施形態では、固形癌は、YAP及び/またはTAZの恒常的な核存内在を特徴とする。いくつかの実施形態では、固形癌は、CTGF、CYR61、AMOTL2、及び/またはANKRD1を含むがこれらに限定されないYAP/TAZ-TEAD特性遺伝子の過剰発現を特徴とする。
【0148】
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、以前の治療に対する耐性が生じたがんを治療するのに有用であり得る。これには、例えば、化学療法または標的療法に対する耐性が生じたがんの治療が含まれ得る。いくつかの実施形態では、これには、EGFRなどの受容体チロシンキナーゼの阻害剤(アファチニブ、塩酸エルロチニブ、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、ネラチニブ、カネチニブ、セツキシマブ)またはAXLの阻害剤(クリゾチニブ、カボザンチニブ、ギルテリチニブ、シトラバチニブ、ベムセンチニブ、デュベルマチニブ)、RAS自体の阻害剤を含むRAS-MAPKシグナル伝達カスケードの成分に対する阻害剤(AMG510、MRTX849、BI1701963、ARS1620など)、B-RAFの阻害剤(ソラフェニブトシラート、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、レゴラフェニブ)、またはMEK1/2の阻害剤(トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ミルダメチニブ)に対する耐性が生じたがんの治療が含まれ得る。
【0149】
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、がんの治療に使用される他の薬剤と組み合わせて、同時投与または連続投与するのに有用であり得る。これには、例えば、EGFRなどの受容体チロシンキナーゼを標的とする阻害剤もしくはモノクローナル抗体(アファチニブ、塩酸エルロチニブ、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、ネラチニブ、カネチニブ、セツキシマブ)またはAXLの阻害剤もしくはモノクローナル抗体(クリゾチニブ、カボザンチニブ、ギルテリチニブ、シトラバチニブ、ベムセンチニブ、デュベルマチニブ)、RAS自体の阻害剤を含むRAS-MAPKシグナル伝達カスケードの成分に対する阻害剤もしくはモノクローナル抗体(AMG510、MRTX849、BI1701963、ARS1620など)、B-RAFの阻害剤もしくはモノクローナル抗体(ソラフェニブトシラート、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、レゴラフェニブ)、またはMEK1/2の阻害剤もしくはモノクローナル抗体(トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ミルダメチニブ)との同時治療が含まれ得る。
【0150】
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、転移性癌を治療するのに有用であり得る。場合によっては、転移性癌は、転移性ブドウ膜黒色腫、中皮腫、食道癌、肝臓癌、乳癌、肝細胞癌、肺腺癌、神経膠腫、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、髄芽腫、卵巣癌、食道扁平上皮癌、肉腫、ユーイング肉腫、頭頸部癌、前立腺癌、及び髄膜腫から選択される。
【0151】
いくつかの実施形態では、治療されるがんは、悪性胸膜中皮腫または肺癌である場合がある。
【0152】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、気管支原性癌、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異常増殖変化(形成異常及び変質形成)、胎児性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本能性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、胚芽細胞精巣癌、神経膠腫、グリア芽細胞腫、神経膠肉腫、重鎖病、血管芽腫、肝癌、肝細胞癌、ホルモン非感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、肺癌、再リンパ内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚及び子宮の悪性腫瘍及び過剰増殖障害、T細胞またはB細胞起源のリンパ球系悪性腫瘍、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中癌(NMC)、非小細胞性肺癌、乏突起神経膠腫、口腔癌、骨原性骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腺癌、乳頭癌、松果体腫、真性多血症、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、脂腺癌、精上皮腫、皮膚癌、小細胞肺癌、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、及びウィルムス腫瘍の治療のために使用可能である。
【0153】
悪性胸膜中皮腫
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、単剤として、またはペメトレキセド二ナトリウム、ラルチトレキセド、カルボプラチン、オキサリプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシンなどの阻害剤、もしくはベバシズマブなどのモノクローナル抗体との組み合わせで、悪性胸膜中皮腫を治療するのに有用であり得る。ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、及び/またはニボルマブなどのチェックポイント阻害剤との組み合わせ。細胞療法、例えば、抗原としてメソテリン(MSLN)を使用し得る、キメラ抗原受容体(CAR)T療法またはCAR NK療法との組み合わせ。例えば、抗原としてメソテリンを認識するモノクローナル抗体、例えば、BMS-986148、BAY 94-9343、アマツキシマブ、及び/またはLMB-100との組み合わせ。
【0154】
肺癌
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、単剤として、またはアファチニブ、ベバシズマブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、塩酸エルロチニブ、オシメルチニブ、ラムシルマブ、ゲフィチニブ、アレクチニブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、イピリムマブ、トラメチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、ダコミチニブ、チバンチニブ、及び/またはオアルツズマブなどの阻害剤との組み合わせで、肺癌を治療するのに有用であり得る。ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、及び/またはニボルマブなどのチェックポイント阻害剤との組み合わせ。シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合型、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、エトポシド、ニンテダニブ、ビンブラスチン、ペメトレキセド、アファチニブ、ベバシズマブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、塩酸エルロチニブ、オシメルチニブ、ラムシルマブ、ゲフィチニブ、ネシツムマブ、アレクチニブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、イピリムマブ、トラメチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、ダコミチニブ、チバンチニブ、オアルツズマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、及び/またはニボルマブとの組み合わせ。
【0155】
いくつかの実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、例えば、先天性障害の治療に有用である。いくつかの実施形態では、先天性疾患は、PDZ結合モチーフを有する転写共活性化因子/Yes関連タンパク質転写共活性化因子(TAZ/YAP)の活性化によって媒介される。いくつかの実施形態では、先天性疾患は、変異体Gaタンパク質を特徴とする。いくつかの実施形態では、変異体Gaタンパク質は、G12、G13、Gq、G11、Gi、Go、及びGsから選択される。いくつかの実施形態では、先天性疾患は、機能喪失型変異またはNF2遺伝子の欠失を特徴とする。例示的な先天性疾患としては、スタージ-ウェーバー症候群、ポートワイン母斑、及び神経線維腫症が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、先天性疾患は、神経線維腫症2型を含むがこれらに限定されない神経線維腫症である。
【0156】
いくつかの実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、例えば、肝臓、肺、腎臓、心臓、または皮膚の線維症などの線維性障害の治療に有用である。いくつかの実施形態では、線維症は、非アルコール性脂肪肝疾患、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性肺胞線維症、慢性腎疾患、及び/または心筋梗塞損傷との関連で治療される場合がある。
【0157】
本開示の化合物は、YAP/TAZ-TEAD転写活性化を阻害することができる。本化合物は、細胞モデル及び動物モデルにおいてYAP/TAZ-TEAD転写活性を阻害することが明らかとなった。本化合物は、YAP/TAZ-TEAD転写活性及び異種移植片がんモデルにおけるがんの成長に依存するがん細胞株に対する阻害効果を有することも明らかとなった。
【0158】
本開示の化合物は、任意選択で不溶性マトリックスに共有結合的に結合し、親和性クロマトグラフィーに使用することができる(化合物の基の性質に応じた分離、例えば、ペンダントアリールを有する化合物は、疎水性親和性分離に有用である)。
【0159】
本明細書で定義するような式の1つ以上の誘導体を使用する場合、
- 化合物(複数可)の有効成分は、治療される動物または哺乳動物(ヒトを含む)に、当該技術分野において公知の任意の手段、すなわち、経口、鼻腔内、皮下、筋肉内、皮内、静脈内、動脈内、非経口手段によって、またはカテーテル法によって投与され得、
- 特に、ヒト及びその他の哺乳動物におけるYAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患(例えば、がん、線維症、及び特定の先天性障害)の治療のための、化合物(複数可)の調合薬の治療有効量は、好ましくは、YAP/TAZ-TEAD転写を阻害する、本明細書で定義するような式、記載、態様及び実施形態の化合物の量であり、YAP/TAZ-TEAD活性化を阻害することができる血漿中レベルを確保する量に相当し、かつ1μg/ml~100mg/mlである。
【0160】
本開示の化合物または組成物の好適な投薬量は、対象における標的疾患を治療または予防するために使用されるべきである。治療される病態及び患者の状態に応じて、上記有効量は、1日あたりいくつかの小単位に分割されてよいか、または2日以上の間隔で投与されてよい。
【0161】
本開示の特定の実施形態によれば、本開示の化合物は、ヒト及びその他の動物におけるYAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患(例えば、がん、線維症、及び特定の先天性障害)の治療または予防のための他の治療剤と組み合わせて使用されてよい。したがって、本開示は、
(a) 本明細書の式及び態様、説明及び実施形態の1つ以上の化合物、
(b) 生物学的活性剤として、同時、個別、または順次使用向けの組み合わせ調合薬の形で、がんまたは線維症の予防または治療のために使用される1つ以上のさらなる治療剤または予防剤を含む組成物の使用に関連する。
【0162】
化合物または組成物は、本明細書に記載の化合物とは異なり、かつ、例えば、組み合わせ療法として有用であり得る1つ以上の追加の治療剤と同時に、その前に、またはそれの後に、投与することができる。
【0163】
組み合わせでの使用のためのそのようなさらなる治療剤の例としては、以下の阻害剤である薬剤が挙げられる。
・ EGFRの阻害剤(例えば、アファチニブ、塩酸エルロチニブ、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、ネラチニブ、カネチニブ、セツキシマブ)、
・ AXLの阻害剤(例えば、クリゾチニブ、カボザンチニブ、ギルテリチニブ、シトラバチニブ、ベムセンチニブ、デュベルマチニブ)、
・ RAS自体の阻害剤を含むRAS-MAPKシグナル伝達カスケードの成分の阻害剤(例えば、AMG510、MRTX849、BI1701963、ARS1620)、
・ B-RAFの阻害剤(例えば、ソラフェニブ、トシラート、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、レゴラフェニブ)または
・ MEK1/2の阻害剤(トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ミルダメチニブ)。
【0164】
本開示による医薬組成物または組み合わせ調合薬は、該調合薬の企図される使用及び予想される効果に応じて、幅広い含有量範囲にわたって本開示の化合物を含み得る。概して、組み合わせ調合薬の本開示の誘導体の含有量は、0.1~99.9重量%、好ましくは、1~99重量%、より好ましくは、5~95重量%の範囲内である。
【0165】
当業者はまた、本開示の化合物が、とりわけ、それらの環境のpHに応じて、多くの異なるプロトン化状態で存在し得ることも認識するであろう。本明細書で提供される構造式は、いくつかの可能なプロトン化状態のうち1つのみの化合物を表しているが、これらの構造は例示にすぎず、本開示はいずれかの特定のプロトン化状態にも制限されず、化合物の任意の及び全てのプロトン化形態も本開示の範囲内にあることが意図されることを理解されよう。
【0166】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書の式の化合物が形成することができる治療的に活性な非毒性の塩形態を意味する。したがって、本開示の化合物は、任意選択で、本明細書の化合物の塩、例えば、Na、Li、K、Ca2+、及びMg2+を含有する特に薬学的に許容される非毒性の塩を含む。このような塩としては、アルカリ及びアルカリ土類金属イオン、またはアンモニウム及び四価のアミノイオンなどの適切なカチオンと、酸性アニオン部分、典型的にはカルボン酸との組み合わせによって誘導されるようなものを挙げてもよい。本開示の化合物は、複数の正電荷または負電荷を有し得る。本開示の化合物の正味電荷は、正または負のいずれかであり得る。いずれかの関連する対イオンも、典型的には、化合物が得られる合成及び/または単離法によって定められる。典型的な対イオンとしては、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、ハロゲン化物、酢酸、トリフルオロ酢酸など、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いずれの関連する対イオンの同一性も、本開示の決定的な特徴ではなく、かつ本開示は、いずれのタイプの対イオンに関連する化合物も包含することが理解されるであろう。さらに、化合物が種々の異なる形態で存在する可能性があるため、本開示は、対イオンに関連する化合物の形態(例えば、乾燥塩)だけではなく、対イオンに関連しない形態(例えば、水溶液または有機溶液)も包含することを意図している。金属塩は、典型的には、金属水酸化物を本開示の化合物と反応させることによって調製される。このようにして調製される金属塩の例としては、Li、Na、及びKを含有する塩がある。可溶性の低い金属塩が、好適な金属化合物の添加によって、より可溶性の高い塩の溶液から沈殿可能である。加えて、塩は、特定の有機酸及び無機酸の、塩基性中心、典型的には、アミンへの、または酸性基への酸付加から形成され得る。そのような適切な酸の例としては、例えば、ヒドロハロゲン酸、例えば、塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;または例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-オキソプロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわち、エタン二酸)、マロン酸、琥珀酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸(すなわち、2-ヒドロキシ安息香酸)、p-アミノサリチル酸などの有機酸が挙げられる。さらに、この用語は、本明細書の式の化合物ならびにこれらの塩が形成することができる溶媒和物、例えば、水和物、アルコラートなども含む。最後に、本明細書の組成物は、本開示の化合物を、それらの非イオン化形態ならびに両性イオン形態で、及び水和物としての化学量論的量の水との組み合わせを含むことを理解すべきである。
【0167】
また、1つ以上のアミノ酸、特にタンパク質成分として見られる天然アミノ酸との親化合物の塩も、本開示の範囲内に含まれる。アミノ酸は、典型的には、塩基性基または酸性基、例えば、リジン、アルギニン、もしくはグルタミン酸、または中性基、例えば、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、イソロイシン、またはロイシンを有する側鎖を有するものである。
【0168】
本開示の化合物はまた、その生理学的に許容される塩も含む。本開示の化合物の生理学的に許容される塩の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類(例えば、マグネシウム)、アンモニウム及びNX (式中、Xは、C~Cアルキルである)などの適切な塩基から誘導される塩が挙げられる。水素原子またはアミノ基の生理学的に許容される塩としては、酢酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、及び琥珀酸などの有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸;ならびに塩酸、硫酸、リン酸、及びスルファミン酸などの無機酸の塩が挙げられる。ヒドロキシ基を含有する化合物の生理学的に許容される塩としては、上記化合物のアニオンの、Na及びNX (式中、Xは、典型的には、HまたはC~Cアルキル基から独立して選択される)などの好適なカチオンとの組み合わせが挙げられる。しかし、生理学的に許容されない酸または塩基の塩もまた、例えば、生理学的に許容される化合物の調製または精製で使用されてもよい。全ての塩は、生理学的に許容される酸または塩基から誘導されるかどうかにかかわらず、本開示の範囲内にある。
【0169】
本明細書で使用される場合、及び特に記載がない限り、「鏡像異性体」という用語は、少なくとも80%(例えば、ある鏡像異性体が少なくとも90%、及び他の鏡像異性体が最大でも10%)、好ましくは、少なくとも90%、及びより好ましくは、少なくとも98%の光学的純度または鏡像異性体過剰率(当技術分野において標準の方法によって測定)を有する、本開示の化合物の各々の個々の光学活性形態を意味する。
【0170】
本明細書で使用される「異性体」という用語は、本明細書の式の化合物が有し得る互変異性及び立体化学的形態を含む全ての可能な異性体形態(ただし、位置異性体は含まない)を意味する。典型的には、本明細書で示される構造は、化合物の1つの互変異性体または共鳴形態のみを例示しているが、対応する代替的構造も同様に企図される。特に記載がない限り、化合物の化学的表記は、全ての可能な立体化学的な異性体形態の混合物を意味し、上記混合物は、塩基性分子構造の全てのジアステレオマー及び鏡像異性体(本明細書の式の化合物が少なくとも1つのキラル中心を有し得るため)、ならびに立体化学的に純粋なまたは濃縮された化合物を含む。より詳細には、不斉中心は、RまたはS立体配置のいずれかをとり得、多重結合は、シスまたはトランス配置をとり得る。
【0171】
上記化合物の純粋な異性体形態は、同じ塩基性分子構造の他の鏡像異性体またはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性的に純粋」または「キラル的に純粋」という用語は、少なくとも約80%(例えば、ある異性体が少なくとも90%、及び他の可能な異性体が最大でも10%)、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも94%、及び最も好ましくは、少なくとも97%の立体異性体過剰率を有する化合物を指す。「鏡像異性的に純粋」及び「ジアステレオマー的に純粋」という用語は、当該の混合物の鏡像異性体過剰率、及びジアステレオマー過剰率をそれぞれ考慮して、同じように理解されるべきである。
【0172】
立体異性体の分離は、当業者に既知の標準的な方法によって行われる。本開示の化合物の1つの鏡像異性体は、光学活性分解剤を使用したジアステレオマーの形成などの方法によって、その相反する鏡像異性体を実質的に含まずに分離することができる(E.L.Eliel,McGraw Hillによる“Stereochemistry of Carbon Compounds,”(1962);Lochmuller,C.H.,(1975)J.Chromatogr.,113:(3)283-302)。混合物中の異性体の分離は、(1)キラル化合物を用いてイオン性、ジアステレオマー塩を形成し、かつ分別再結晶もしくは他の方法によって分離すること、(2)キラル誘導体化試薬を用いてジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、かつ純粋な鏡像異性体へ変換すること、または(3)鏡像異性体は、キラル条件下で直接分離することができる、を含む、任意の好適な方法によって達成することができる。方法(1)では、ジアステレオマー塩は、ブルシン、キニン、エフェドリン、ストリキニン、a-メチル-b-フェニルエチルアミン(アンフェタミン)などの鏡像異性的に純粋なキラル塩基と、カルボン酸及びスルホン酸などの酸性官能基を有する不斉化合物とを反応させることによって形成することができる。ジアステレオマー塩は、分別再結晶またはイオンクロマトグラフィーによって分離するように誘導され得る。アミノ化合物の光学異性体の分離の場合、カンファースルホン酸、酒石酸、マンデル酸、または乳酸などのキラルカルボン酸またはスルホン酸の添加により、ジアステレオマー塩を形成することができる。あるいは、方法(2)では、分解される基質を、キラル化合物の1つの鏡像異性体と反応させて、ジアステレオマー対を形成することができる(Eliel,E.and Wilen,S.(1994)Stereochemistry of Organic Compounds,John Wiley & Sons,Inc.,p.322)。ジアステレオマー化合物は、不斉化合物とメンチル誘導体などの鏡像異性的に純粋なキラル誘導体化試薬とを反応させることによって形成され、続いて、ジアステレオマーを分離し、かつ加水分解して、遊離の鏡像異性的に濃縮した化合物を得ることができる。光学的純度を決定する方法は、ラセミ混合物の、メンチルエステルまたはMosherエステルなどのキラルエステル、a-メトキシ-a-(トリフルオロメチル)フェニルアセテート(Jacob III.(1982)J.Org.Chem.47:4165)を作成することと、2つのアトロプ異性ジアステレオマーの存在についてNMRスペクトルを分析することと、を含む。安定したジアステレオマーは、アトロプ異性ナフチル-イソキノリンの分離の方法(Hoye,T.,WO 96/15111)に従って、順相及び逆相クロマトグラフィーによって分離及び単離することができる。方法(3)では、2つの不斉鏡像異性体のラセミ混合物は、キラル固定相を使用してクロマトグラフィーによって分離される。好適なキラル固定相は、例えば、多糖類、特に、セルロースまたはアミロース誘導体である。市販の多糖ベースのキラル固定相としては、ChiralCeI(商標)CA、OA、OB5、OC5、OD、OF、OG、OJ及びOK、ならびにChiralpak(商標)AD、AS、OP(+)、及びOT(+)がある。上記多糖キラル固定相と組み合わせて使用するのに適した溶出液または移動相としては、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールを用いて改質されたヘキサンなどがある。(“Chiral Liquid Chromatography”(1989)W.J.Lough,Ed.Chapman and Hall,New York;Okamoto,(1990)“Optical resolution of dihydropyridine enantiomers by High-performance liquid chromatography using phenylcarbamates of polysaccharides as a chiral stationary phase”,J.of Chromatogr.513:375-378)。
【0173】
シス及びトランスという用語は、本明細書でChemical Abstracts命名法に従って使用され、環部分上の置換基の位置への言及を含む。本明細書に記載の式の化合物の絶対的な立体化学的配置は、例えば、X線回折などの公知の方法を使用して、当業者によって容易に決定され得る。
【0174】
本開示はまた、1つ以上の原子が自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換されるという事実を除いて、本明細書に記載される式で列挙される化合物と同一である、同位体標識化合物を含む。本開示の化合物内に組み込まれてよい同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clが挙げられる。本開示の化合物及び上記化合物の薬学的に許容される塩、または上述の同位体及び/または他の原子のその他の同位体を含むものは、本開示の範囲内である。本開示の特定の同位体標識化合物、例えば、H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれている化合物が、薬物及び/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化された、すなわち、H、及び炭素-14、すなわち14Cの同位体が、調製の容易さ及び検出可能性に関して特に好ましい。さらに、重水素などのより重い同位体、すなわち、Hでの置換は、より高い代謝安定性から生じる特定の治療利点、例えば、生体内半減期の延長、または必要投薬量の低減をもたらす場合があるため、ある状況では好ましい場合がある。本開示の式の同位体標識化合物は、概して、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬に置き換えることによって、実施例に開示される処置及び本明細書に記載の調製を実施することによって調製され得る。
【0175】
また、PROTAC技術(Schapira M.et al,Nat.Rev.Drug Discov.2019,18(12),949-963)を使用した、式(I)またはその他の式、実施形態、態様の化合物、またはその部分、もしくはその代謝物の変更も本開示の範囲内に含まれる。具体的には、PROTAC技術は、一方の端が、一般式(I)またはその他の式、実施形態、態様の化合物、またはその部分、もしくはその代謝物であり、他方の端が、連結鎖を介してE3ユビキチンリガーゼのリガンドと連結し、標的誘導タンパク質分解複合体を形成する、二機能性小分子を設計する。この分解には、触媒効果があるため、投薬量を減らすことで、効率的な分解を実現することができる。一般式(I)またはその他の式、実施形態、態様の化合物、またはその部分、もしくはその代謝物は、リンカーアーム(例えば、長さ2~10の長鎖エチレングリコール、長さ2~10の長鎖プロピレングリコール、及び長さ2~10の長鎖脂肪アルカン)を介して、例えば、サリドマイド類似体などのE3ユビキチンリガーゼのリガンドに連結可能である。
【0176】
本開示の化合物は、通常の慣例に従って選択される従来の担体及び賦形剤を用いて製剤化され得る。錠剤は、賦形剤、流動促進剤、充填剤、結合剤などを含有する。水性製剤は、滅菌形態で調製され、経口投与以外による送達が意図される場合、一般に等張である。製剤は、任意選択で、“Handbook of Pharmaceutical Excipients”(1986)に記載されているものなどの賦形剤を含有し、かつアスコルビン酸及びその他の抗酸化剤、EDTAなどのキレート剤、デキストリンなどの炭水化物、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などを含む。
【0177】
続いて、本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、例えば、上記組成物を溶解、分散、または拡散させることによって、有効成分が、治療される部位へ容易に適用または伝播するように、及び/またはその有効性を損なうことなく、保管、輸送、または取り扱いを容易にするように製剤化される任意の材料または物質を意味する。薬学的に許容される担体は、固体、または液体、または液体を形成するように圧縮された気体であってよく、例えば、本開示の組成物は、濃縮物、乳濁液、溶液、顆粒、微粉、スプレー、エアロゾル、懸濁液、軟膏、クリーム、錠剤、ペレット、または粉末として適切に使用することができる。
【0178】
上記医薬組成物及びそれらの製剤化における使用のための好適な薬学的担体は、当業者に公知であり、本開示の範囲内でそれらの選択に特に制限されない。それらは、湿潤剤、分散剤、展着剤、接着剤、乳化剤、溶媒、コーティング、抗菌及び抗カビ剤(例えば、フェノール、ソルビン酸、クロロブタノール)、等張剤(糖類または塩化ナトリウムなど)などの添加剤もまた含み得るが、ただし、それらが薬学的業務と整合性がとれており、例えば、哺乳動物に永続的な損傷を与えない担体及び添加剤であることを条件とする。本開示の医薬組成物は、任意の既知の様式で、例えば、単一の工程または複数の工程手順で、有効成分を、選択された担体材料と共に、均一に混合、コーティング及び/または粉砕することによって、調製され得、かつ、必要に応じて、界面活性剤などのその他の添加剤もまた、例えば、それらを、通常直径が約1~10gmの微粒子の形態で得る目的で、すなわち、有効成分の制御放出または持続放出のためのマイクロカプセルの製造のために、微粒子化によって調製され得る。
【0179】
本開示の医薬組成物で使用される好適な界面活性剤、別名排出促進剤または乳化剤は、良好な乳化、分散、及び/または湿潤性質を有する非イオン性、カチオン性及び/またはアニオン材料である。好適なアニオン性界面活性剤としては、水溶性石鹸及び水溶性合成界面活性剤の両方が挙げられる。好適な石鹸としては、アルカリもしくはアルカリ土類金属塩、高級脂肪酸の非置換もしくは置換アンモニウム塩(C10~C22)、例えば、オレイン酸もしくはステアリン酸のナトリウムもしくはカリウム塩、またはココナッツ油またはタロー油から得られる天然脂肪酸混合物がある。合成界面活性剤としては、ポリアクリル酸のナトリウムまたはカルシウム塩;脂肪族スルホン酸塩及び硫酸塩;スルホン化ベンズイミダゾール誘導体及びアルキルアリールスルホン酸塩が挙げられる。脂肪族スルホン酸塩または硫酸塩は、通常、アルカリもしくはアルカリ土類金属塩、非置換アンモニウム塩もしくは8~22個の炭素原子を有するアルキルもしくはアシル基で置換されたアンモニウム塩、例えば、リグノスルホン酸もしくはドデシルスルホン酸のナトリウムもしくはカルシウム塩、または天然の脂肪酸から得られる脂肪族アルコール硫酸塩の混合物、硫酸もしくはスルホン酸エステルのアルカリもしくはアルカリ土類金属塩(ラウリル硫酸ナトリウム)、及び、脂肪族アルコール/エチレンオキシド付加物のスルホン酸の形態である。好適なスルホン化ベンゾイミダゾール誘導体は、好ましくは、8~22個の炭素原子を含有する。アルキルアリールスルホン酸塩の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸またはジブチル-ナフタレンスルホン酸またはナフタレン-スルホン酸/ホルムアルデヒド-縮合生成物のナトリウム、カルシウム、またはアルコールアミン塩がある。対応するリン酸、例えば、リン酸エステルの塩、及びp-ノニルフェノールとエチレン及び/またはプロピレン酸化物との付加化合物、あるいはリン脂質もまた、好適である。この目的のために好適なリン脂質としては、ケファリンまたはレシチン型の天然(動物または植物細胞由来)または合成リン脂質、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リゾレシチン、カルジオリピン、ジオクタニルホスファチジル-コリン、ジパルミトイルホスシャチジル-コリン、及びそれらの混合物がある。
【0180】
好適な非イオン性界面活性剤としては、分子内に少なくとも12個の炭素原子を含有する、アルキルフェノール、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミンまたはアミドのポリエトキシル化及びポリプロポキシ化誘導体、アルキルアレーンスルホン酸塩及びジアルキルスルホ琥珀酸塩、例えば、脂肪族及び脂環式アルコール、飽和及び不飽和脂肪酸及びアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体が挙げられ、上記誘導体類は、好ましくは、3~10個のグリコールエーテル基、及び(脂肪族)炭化水素部分に8~20個の炭素原子、及びアルキルフェノールのアルキル部分に6~18個の炭素原子を含有する。さらに好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレンオキシドとポリプロピレングリコールとの水溶性付加物、アルキル鎖に1~10個の炭素原子を含有するエチレンジアミノポリプロピレングリコールがあり、これらは、20~250個のエチレングリコールエーテル基及び/または10~100個のプロピレングリコールエーテル基を含有する。このような化合物は、通常、プロピレングリコール単位あたり1~5個のエチレングリコール単位を含有する。非イオン性界面活性剤の代表的な例としては、ノニルフェノール-ポリエトキシエタノール、ヒマシ油ポリグリコールエーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコール、及びオクチルフェノキシポリエトキシエタノールがある。ポリエチレンソルビタン(ポリオキシエチレン三オレイン酸ソルビタンなど)、グリセロール、ソルビタン、ショ糖、及びペンタエリスリトールの脂肪酸エステルもまた、好適な非イオン性界面活性剤である。
【0181】
好適なカチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩、特に、任意選択で、ハロ、フェニル、置換フェニル、またはヒドロキシで置換される4個の炭化水素基を有するハロゲン化物;例えば、N置換基として、少なくとも1つのC8~22アルキル(例えば、セチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチル、オレイルなど)を、及びさらなる置換基として、非置換またはハロゲン化低級アルキル、ベンジル、及び/またはヒドロキシ低級アルキルを含有する四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0182】
この目的に適した界面活性剤のより詳細な説明は、例えば、“McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual”(MC Publishing Crop.,Ridgewood,New Jersey,1981)、“Tensid-Taschenbucw”,2 d ed.(Hanser Verlag,Vienna,1981)、及び“Encyclopaedia of Surfactants”(Chemical Publishing Co.,New York,1981)で確認することができる。
【0183】
本開示の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩(以後一括して有効成分と呼ばれる)は、治療される病態に適切な任意の経路によって投与され得、好適な経路としては、経口、直腸、経鼻、局所(眼球、頬側、及び舌下を含む)、膣内、及び非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下腔内、及び硬膜外を含む)が挙げられる。好ましい投与経路は、例えば、レシピエントの状態に伴って変化し得る。
【0184】
有効成分が単独で投与されることも考えられるが、有効成分は、医薬製剤として存在することが好ましい。動物用及びヒト用の両方で、本開示の製剤は、上述したように、少なくとも1つの有効成分を、1つ以上の薬学的に許容される担体、ゆえに任意選択で、その他の治療成分と一緒に含む。担体(複数可)は、最適には、製剤の他の成分と適合し、かつそのレシピエントに有害でないという意味において「許容される」ものである。製剤としては、経口、直腸、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、膣内、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下腔内、及び硬膜外を含む)投与に適したようなものが挙げられる。製剤は、好都合には、単位投与量製剤で提示されてよく、薬学の技術分野において公知の方法のいずれかによって調製されてよい。このような方法は、有効成分を1つ以上の補助成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、製剤は、有効成分を液体担体または微粉化固体担体またはその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
【0185】
経口投与に適した本開示の製剤は、それぞれが所定の量の有効成分を含有する、カプセル、カシェ剤、または錠剤などの個々の単位として、粉末または顆粒として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型乳濁液または油中水型乳濁液として提示されてよい。有効成分はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして提示されてよい。
【0186】
錠剤は、圧縮または成形によって、任意選択で1つ以上の補助成分と共に作製され得る。圧縮された錠剤は、好適な機械で、任意選択で、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、表面活性剤、または分散剤などと混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態の有効成分を圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、好適な機械で、湿った粉末化された化合物と不活性液体希釈剤との混合物を成形することによって作製され得る。錠剤は、任意選択で、コーティングされるか、または分割されてもよく、かつそれらの中の有効成分の徐放性放出または制御放出を提供するように製剤化され得る。眼または他の外部組織、例えば、口及び皮膚の感染症の場合、製剤は、任意選択で、有効成分(複数可)を、例えば、0.075~20%w/wの量(有効成分(複数可)を0.1%w/wずつ増加させて、0.6%w/w、0.7%w/wなどの、0.1%~20%w/wの範囲で含む)で、好ましくは、0.2~15%w/wで、及び最も好ましくは、0.5~10%w/wで、含有する局所軟膏またはクリームとして塗布される。軟膏で製剤化される場合、有効成分は、パラフィン系または水混和性のいずれかの軟膏基剤と共に使用され得る。あるいは、有効成分は、水中油型クリーム基剤と共にクリームで製剤化され得る。所望する場合、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも30%w/wの多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、及びポリエチレングリコール(PEG400を含む)、及びこれらの混合物などの、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含み得る。局所用製剤は、望ましくは、皮膚またはその他の患部を通した有効成分の吸収または浸透を高める化合物を含み得る。このような皮膚浸透増強剤の例としては、ジメチルスルホキシド及び関連類似体が挙げられる。
【0187】
本開示の乳濁液の油相は、既知の様式で、既知の成分から構成され得る。相は、単に乳化剤(あるいは排出促進剤として知られている)を含み得るが、望ましくは、少なくとも1つの乳化剤と脂肪もしくは油との、または脂肪及び油の両方との混合物を含む。任意選択で、親水性乳化剤は、安定剤として機能する親油性乳化剤と一緒に含まれる。油及び脂肪の両方を含むことも好ましい。まとめると、安定化剤(複数可)を伴う、または伴わない乳化剤(複数可)は、いわゆる乳化ワックスを構成し、ワックスは、油及び脂肪と一緒に、クリーム製剤の油性分散相を形成する、いわゆる乳化軟膏基剤を構成する。
【0188】
薬学的乳濁液製剤で使用される可能性のある大分部の油への活性化合物の溶解性が非常に低いため、製剤向けの好適な油または脂肪の選択は、所望の化粧品特性を達成するかどうかに基づく。したがって、クリームは、任意選択で、チューブまたは他の容器からの漏れを避けるために好適な適合性を有する、非油性、非染色性、かつ洗浄可能な製品である必要がある。直鎖または分枝鎖の一塩基または二塩基アルキルエステル、例えば、ジ-イソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、またはCrodamol CAPとして知られている分岐鎖状エステルのブレンドが、使用されてよいが、最後の3つのエステルが好ましい。これらは、必要とされる性質に応じて、単独で、または組み合わせで使用されてよい。あるいは、白色ワセリン及び/または流動パラフィン、または他の鉱物油などの高融解点脂質が使用され得る。
【0189】
眼への局所投与に適した製剤としては、点眼液が挙げられ、ここで、有効成分は、好適な担体、特に有効成分のための水性溶媒中に溶解または懸濁される。有効成分は、そのような製剤中に、任意選択で、0.5~20%、有利には、0.5~10%、特に約1.5%w/wの濃度で存在する。口の局所投与に適した製剤としては、風味付けされた基剤、通常は、ショ糖及びアカシアまたはトラガカント中に有効成分を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリンなどの不活性基剤、またはショ糖及びアカシア中に有効成分を含む香錠;ならびに好適な液体担体中に有効成分を含む口内洗剤が挙げられる。
【0190】
直腸投与向けの製剤は、例えば、カカオバターまたはサリチル酸を含む好適な基剤と共に坐薬として提示され得る。担体が固体である場合の経鼻投与に適した製剤は、例えば、20~500ミクロンの範囲の粒径(5ミクロンずつ増加させて、30ミクロン、35ミクロンなどの20~500ミクロンの範囲の粒径を含む)を有する粗末を含み、これは、嗅剤の形態で、例えば、鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻腔を通した急速な吸入によって投与される。例えば、鼻内スプレーまたは点鼻剤として投与されるような、担体が液体である場合の好適な製剤は、有効成分の水溶液または油溶液を含む。エアロゾル投与に適した製剤は、従来の方法に従って調製され得、他の治療剤と共に送達され得る。
【0191】
膣内投与に適した製剤は、有効成分に加えて適切であることが当該技術分野で既知の担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提示され得る。
【0192】
非経口投与に適した製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び対象のレシピエントの血液で製剤を等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射溶液;ならびに沈殿防止剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、単位用量または反復用量容器、例えば、密閉アンプル及びバイアルで提示され得、かつ使用の直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみが必要とされる冷凍-乾燥(凍結乾燥)状態で保管され得る。即時注射溶液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製され得る。
【0193】
好ましい単位投与量製剤は、有効成分の本明細書で上述した一日用量または一日単位副用量、またはその適切な画分を含有するものである。
【0194】
特に上述した成分に加えて、本開示の製剤は、問題の製剤のタイプを考慮して、当該技術分野において慣習的な他の薬剤を含み得、例えば、経口投与に適したものは、香料添加剤を含み得ることを理解されたい。
【0195】
本開示の化合物は、有効成分の放出が、制御及び調節されて、所与の開示の化合物の、投与の頻度を減らすか、または薬物動態または毒性プロファイルを向上させることができる、有効成分として本開示の1つ以上の化合物を含有する制御放出医薬製剤(「制御放出製剤」)を提供するために使用することができる。別々の単位が本開示の1つ以上の化合物を含む、経口投与向けに適応させた制御放出製剤は、従来の方法に従って調製することができる。
【0196】
追加の成分が、組成物中の有効成分の作用の持続時間を制御するために含まれてよい。したがって、制御放出組成物は、例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミンなどの適切なポリマー担体を選択することによって達成され得る。薬物放出の速度及び作用の持続時間もまた、ヒドロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル、及びその他の上述したポリマー類などの高分子物質の粒子、例えば、マイクロカプセルに有効成分を組み込むことによって制御され得る。このような方法としては、リポソーム、ミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、ナノカプセルなどのコロイド状薬物送達系が挙げられる。投与経路に応じて、医薬組成物には、保護コーティングが必要である場合がある。注射用途に適した医薬形態としては、その即時調製のための滅菌水溶液または分散液及び滅菌粉末が挙げられる。したがって、この目的のための典型的な担体としては、生体適合性水性緩衝液、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0197】
いくつかの有効成分が組み合わせて使用される場合、治療される哺乳動物において同時にそれらが必ずしも共同治療効果を直接もたらすわけではないという事実を考慮して、対応する組成物は、別々であるが隣接するリポジトリまたはコンパートメント内に2つの成分を含有する医学的キットまたはパッケージの形態であってもよい。したがって、後者の文脈では、各有効成分は、他の成分とは異なる投与経路に適した方法で製剤化され得、例えば、それらのうち1つは、経口または非経口製剤の形態であり、一方、もう1つは、静脈内注射用アンプルまたはエアロゾルの形態であってよい。
【0198】
本開示の別の実施形態は、本開示の化合物の種々の前駆物質または「プロドラッグ」形態に関する。本開示の化合物を、化学種の形態で製剤化することが望ましい場合があるが、この化学種は、それ自体は生物学的に有意な活性を持たないが、動物、哺乳動物、またはヒトに送達されると、魚の体の通常の機能、とりわけ、胃または血清中に存在する酵素によって触媒される化学反応を受けることになり、ここで、上記化学反応は、本明細書で定義するような化合物を放出する効果を有する。したがって、「プロドラッグ」という用語は、生体内で医薬品有効成分に変換されるこれらの種に関する。
【0199】
本開示の化合物のプロドラッグは、製剤化する者に好適な任意の形態を有することができ、例えば、エステルは、非限定的な、一般的なプロドラッグ形態である。ただし、この場合、プロドラッグは、共有結合が標的部位に存在する酵素の作用によって切断される形態で必然的に存在し得る。例えば、C-C共有結合は、上記標的部位で1つ以上の酵素によって選択的に切断され得るため、容易に加水分解する前駆物質、とりわけエステル、アミドなど以外の形態のプロドラッグが使用されてもよい。プロドラッグ中の医薬品有効成分の対応物は、アミノ酸またはペプチド構造、アルキル鎖、糖類部分、及び当技術分野において既知の他のものなど、異なる構造を有する場合がある。
【0200】
本開示の目的では、「治療上適切なプロドラッグ」という用語は、本明細書では「単一または複数の生物学的変換によるものであるかどうかにかかわらず、プロドラッグが投与された動物、哺乳動物またはヒトの組織と接触すると、過度の毒性、刺激、またはアレルギー応答を伴わずに、生体内で治療上活性な形態に変換され、かつ目的の治療結果を達成できるような方法で修飾された化合物」と定義される。
【0201】
より具体的には、本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、本明細書に記載の構造式で表されるような、化合物の薬理学的に活性な形態を放出するために、身体内で自然に、または酵素によって変換される化合物の不活性または著しく活性が低い誘導体に関する。包括的なレビューについては、Rautio J.et al.の参考文献が作製されている(“Prodrugs:design and clinical applications”Nature Reviews Drug Discovery,2008,doi:10.1038/nrd2468)。
【0202】
本開示の化合物は、全体として上記化合物を調製するためのプロセスを構成し、かつさらに例示される当業者に公知の一連の化学反応を使用して調製することができる。さらに記載するプロセスは、単に例であることを意味し、本開示の範囲を制限することを意図していない。
【0203】
実施例
一般的な合成
本開示の化合物は、スキーム1で概説される基本手順に従って調製され得る。
【化7】

スキーム1:R、R10a、R10b、X、X、X及びXの全ては、本発明の化合物ならびにその実施形態及び式について記載した通りである。Zはハロゲンであり、RはH、アルキルであり、PGは保護基である。
【0204】
置換3アミノ-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン1は、当業者には既知の手順(例えば、PGがBocまたはPMBである)に従って一般式2の中間体を得るためにN保護され得る。より多くの情報は、Organic Chemistry,3rd edのT.W.Greene and P.G.M.Wuts in Protective Groups,John Wiley and Sons,1999で確認することができる。一般式2の中間体を、限定はされないが、ハロ(ヘテロ)アリール、ボロン酸、ボロン酸エステルから選択される適切なカップリング剤と、対応するPdまたはCu触媒と組み合わせて反応させて、一般式3の化合物を得ることができる。一般式4を有する目的の化合物は、一般式3の誘導体から、還元して(例えば、BH.THFまたはBH.SMeなどを用いた処理)、保護基を除去し、続いて、好適な溶媒(例えば、CHCl、1,4-ジオキサンなど)内にて塩基(例えば、TEA、DIPEA、NaHCOなど)の存在下で塩化アシルと反応させることによって、または非プロトン性溶媒(例えば、CHCl、ACNなど)内にて塩基(例えば、KCO、TEA、DIPEAなど)の存在下でハロゲン化アルキルと反応させることによって得ることができる。一般式5を有する目的の化合物は、一般式3の誘導体から、保護基を除去し、続いて、好適な溶媒(例えば、CHCl、1,4-ジオキサンなど)内にて塩基(例えば、TEA、DIPEA、NaHCOなど)の存在下で塩化アシルと反応させることによって、または非プロトン性溶媒(例えば、CHCl、ACNなど)内にて塩基(例えば、KCO、TEA、DIPEAなど)の存在下でハロゲン化アルキルと反応させることによって得ることができる。
【0205】
別の実施形態では、本開示の化合物はまた、スキーム2で概説される基本手順に従って合成され得る。
【化8】

スキーム2:R、X、X、X及びZの全ては、本発明の化合物ならびにその実施形態及び式について記載した通りである。Zはハロゲンであり、RはH、アルキルである。
【0206】
置換1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン6を、限定はされないが、ハロ(ヘテロ)アリール、ボロン酸、ボロン酸エステルから選択される適切なカップリング剤と、対応するPdまたはCu触媒と組み合わせて反応させて、一般式7の化合物を得ることができる。一般式8の中間体は、一般式7の中間体のブロム化(例えば、NBSなどによる処理)によって得ることができる。一般式8の中間体を、適切な置換アミンと、対応するPdまたはCu触媒との組み合わせと反応させて、一般式4を有する目的の化合物を得ることができる。
【0207】
別の実施形態では、本開示の化合物はまた、スキーム3で概説される基本手順に従って合成され得る。

【化9】

スキーム3:R10a、R10b、R11a、R11b、R11c、R11d、及びRの全ては、本発明の化合物ならびにその実施形態及び式について記載した通りである。Zはハロゲンであり、RはH、アルキルであり、PGは保護基である。
【0208】
市販されているか、または当業者に既知の手順によって1-メチル-2-ニトロベンゼン10から合成される一般式11の置換1-(ハロメチル)-2-ニトロベンゼン(Zは、Cl、Brである)を、好適な溶媒(例えば、MeOH、EtOH、DMFなど)内にて塩基(例えば、KOH、NaOEt、NaH、KCOなど)の存在下で、50℃から100℃まで温度を上昇させて2-アセトアミドマロン酸ジエチルと反応させて、一般式12の中間体を得ることができる。一般式13の二環式化合物は、好適な溶媒(例えば、MeOH、EtOH、DMFなど)内にて、50℃から100℃まで温度を上昇させて、一般式3の中間体のニトロ部分を還元し、その後、濃縮酸(例えば、HClなど)で還流させることによって得ることができる。より多くの情報は、WO2010/116270で確認することができる。一般式13の中間体を得るためのN保護基の導入は、当業者に既知の手順(例えば、PGがBocまたはPMBである)に従って行われ得る。より多くの情報は、Organic Chemistry,3rd edのT.W.Greene and P.G.M.Wuts in Protective Groups,John Wiley and Sons,1999で確認することができる。一般式13の中間体を、限定はされないが、ハロ(ヘテロ)アリール、ボロン酸、ボロン酸エステルから選択される適切なカップリング剤と、対応するPdまたはCu触媒と組み合わせてさらに反応させて、一般式14の化合物を得ることができる。より多くの情報は、Synlett 2008,614及びOrganic and Biomolecular Chemistry 2017,9288で確認することができる。一般式15の中間体を得るためのN保護基の除去は、当業者に既知の手順(例えば、PGがBocまたはPMBである)に従って行われ得る。一般式16を有する目的の化合物は、一般式15の誘導体から、好適な溶媒(例えば、CHCl、1,4-ジオキサンなど)内にて塩基(例えば、TEA、DIPEA、NaHCOなど)の存在下で塩化アシルと反応させることによって得ることができる。あるいは、一般式16を有する目的の化合物は、一般式15の誘導体から、好適な溶媒(例えば、CHCl、ACNなど)内にて塩基(例えば、KCO、TEA、DIPEAなど)の存在下でハロゲン化アルキルと反応させることによって得ることができる。一般式16のスルホンアミド誘導体は、一般式15の誘導体から、好適な溶媒(例えば、CHCl、ACNなど)内にて塩基(例えば、TEA、DIPEAなど)の存在下で塩化スルホニルと反応させることによって得ることができる。
【0209】
あるいは、本開示の化合物はまた、スキーム4で概説される基本手順に従って合成され得る。
【化10】

スキーム4:R、R10a、R10b、X、X、X及びXの全ては、本発明の化合物ならびにその実施形態及び式について記載した通りである。Zはハロゲンであり、RはH、アルキルである。
【0210】
市販されているか、または当業者に既知の手順によって合成される一般式17のニトロヘテロアリールカルバルデヒドを、テトラメチルグアニジンの存在下で、好適な溶媒(例えば、THF、1,4-ジオキサンなど)内にて、-78℃から室温まで温度を上昇させてメチル2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(ジメトキシホスホリル)酢酸と縮合させて、一般式18の中間体を得ることができる。より多くの情報は、WO2005/020987及びWO2006/059164で確認することができる。一般式19の二環式化合物は、好適な溶媒(例えば、MeOH、EtOHなど)内にて室温で、一般式18の中間体の触媒(Pd/C)水素化によって得ることができる。一般式19の中間体を、限定はされないが、ハロ(ヘテロ)アリール、ボロン酸、ボロン酸エステルから選択される適切なカップリング剤と、対応するPdまたはCu触媒と組み合わせてさらに反応させて、一般式20の化合物を得ることができる。一般式22を有する目的の化合物は、一般式20の誘導体から、当業者に既知の手順を介してN保護基を除去し(例えば、酸(例えば、HCl、TFAなど)による処理)、続いて、スキーム3で説明したように反応させることによって得ることができる。
【0211】
上述した基本スキームは、非限定的な例と見なされるべきである。本発明の化合物は、当業者に既知の他の方法を介して得られてよいことを理解されるであろう。
【0212】
本明細書で、特にスキーム及び実施例で使用される略称は、以下の通りである。Ac-アセチル、ACN-アセトニトリル、aq-水溶液、AIBN-アゾビスイソブチロニトリル、BH.SMe-ボランジメチルスルフィド錯体、BINAP-2,2′-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1′-ビナフチル、Boc-tert-ブチルオキシカルボニル、BocO-二炭酸ジ-tert-ブチル、BPO-過酸化ベンゾイル、CCl-四塩化炭素、CsCO-炭酸セシウム、CDCl-重水素化クロロホルム、CHCl-クロロホルム、Conc-濃縮、CuI-ヨウ化銅、Cu(OAc)-銅(II)アセテート、DCM-ジクロロメタン、DEA-ジエチルアミン、DIPEA-N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DMAP-4-ジメチルアミノピリジン、DMF-N,N-ジメチルホルムアミド、DMF-DMA-N,N-ジメチルアミノホルムアミドジメチルアセタール、DMSO-ジメチルスルホキシド、DMSO-d-重水素化ジメチルスルホキシド、En-鏡像異性体、EtO-ジエチルエーテル、EtOH-エタノール、EtOAc-酢酸エチル、Eq-当量、FA-ギ酸、Fe-鉄、h-時間、HCl-塩化水素、KCO-炭酸カリウム、KI-ヨウ化カリウム、LAH-リチウムアルミニウムハイドライド、LiOH.HO-水酸化リチウム一水和物、MeOH-メタノール、min-分、NaBH-ホウ化水素ナトリウム、NaOEt-ナトリウムエトキシド、NaOtBu-ナトリウムtert-ブトキシド、NaCO-炭酸ナトリウム、NaHCO-炭酸水素ナトリウム、NaIO-過ヨウ素酸ナトリウム、NaSO-硫酸ナトリウム、NBS-N-ブロモスクシンイミド、(NH)HCO-重炭酸アンモニウム、NHCl-塩化アンモニウム、Pd/C-パラジウム炭素、Pd(OAc)-パラジウム(II)アセテート、RF-保持因子、RT-室温、sat-飽和、SFC-超臨界流体クロマトグラフィー、TEA-トリエチルアミン、p-テルフェニル-1,4-ジフェニルベンゼン、THF-テトラヒドロフラン、TFA-トリフルオロ酢酸、TLC-薄層クロマトグラフィー。

【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0213】
これらの例は、本開示を例示するために提供されるものであり、決して、本開示の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0214】
パートA:実験的化学手順
明確に記載されていない全ての出発材料は、市販のもの(例えば、Acros、Avocado、Aldrich、Fluka、FluoroChem、MatrixScientific、Maybridge、Merck、Sigmaなどの供給業者の詳細は、例えば、SciFinder(登録商標)データベースで確認することができる)のいずれかとしたか、またはそれらの合成は、専門文献に正確に既に記載されているか(実験ガイドラインは、例えば、それぞれ、Reaxys(登録商標)データベースまたはSciFinder(登録商標)データベースで確認することができる)、あるいは、当業者に既知の従来の方法を使用して調製することができる。
【0215】
必要に応じて、反応を不活性雰囲気(大半がアルゴン及びN)下で行った。使用した試薬の当量数及び溶媒の量ならびに反応温度及び時間は、類似の方法によって行われる異なる反応間でわずかに変えることができる。研究及び精製方法を、各化合物の特徴特性に従って適応させたが、類似の方法に対してわずかに変えることができる。調製した化合物の収率は最適化しない。
【0216】
表示「当量」(「eq.」または「eq」または「equiv.」)は、モル当量を意味し、「RT」または「rt」は、室温T(23±7℃)を意味し、「M」は、mol/lである濃度の意味であり、「sol.」は、溶液を意味し、「conc.」は、濃縮を意味する。溶媒の混合比は、通常、体積/体積比で記述される。
【0217】
マイクロ波放射下で反応を行うために、CEMマイクロ波(Discover SP)を使用した(加熱速度:2~6℃/秒;温度:30~300℃、体積非依存性赤外線(IR)及び80~300℃の光ファイバー(FO)温度測定;圧力:0~435psi、ActiVent(商標)技術;電力:0~300W;マグネトロン周波数:2450MHz;反応撹拌:電磁撹拌;空冷:≧25psi(20L/分流量);システム制御:Synergy(商標)ソフトウエア)。
【0218】
H-NMR分光法及び/または質量分析法(MS、[M+H]及び/またはM-H]のm/z)によって、全ての例示的な化合物及び選択した中間生成物について、主要な分析的特性評価を行った。特定の場合において、例えば、位置異性体及び/またはジアテレオマーが反応の間に形成する可能性がある/形成した場合、13C NMR及びNOE(核オーバーハウザー効果)NMR実験などの追加の分析を、場合によっては行った。
【0219】
利用した分析機器は、例えば、NMR分析用に、BRUKER AVANCE 400MHz(Software Topspin)またはVARIAN MR 400MHz(VNMRJ Sofware)機械を使用した。LC/MS分析については、例えば、Acquity UPLC H-Class,Mass:Acquity SQD2 Detector(ESI)、Acquity UPLC,Mass:Quatro premier XE Detector(ESI)、Acquity UPLC,Mass:Waters Xevo TQ-S Detector(ESI/ ESCI)、またはAlliance Waters 2695,Mass:Quattromicro(商標)(ESCI)マルチモードイオン化を利用した。分析HPLCを、例えば、Alliance Waters 2695で測定した。分析SFCを、例えば、PICソリューション(Software:SFC PIC Lab Online)、WATERS-X5(Software MASSLYNX)、またはWATERS-UPC2(Empower)で行った。
【0220】
分取HPLCを、例えば、Waters 2545(Software Empower)、Gilson(Software Trilution)、またはShimadzu(Software LC Solution)で行った。分取SFCを、例えば、Waters Thar SFC-80(Software Chromscope)、Waters Thar SFC-150(Software Chromscope)、Waters Thar SFC-200(Software Chromscope)、またはPIC SFC-175(Software SFC PIC Lab Online)で行った。
【0221】
立体中心を含有する例示的化合物の構造を、既知である場合、絶対立体化学を用いて描き、かつ命名した。絶対立体化学が未知の場合、化合物は、ラセミ、ジアテレオマーの混合物、未知の立体化学の純粋なジアステレオマー、または未知の立体化学の純粋な鏡像異性体のいずれかである場合がある。Dia1及びDia2は、ジアステレイソマーが分離されたが、立体化学は未知であることを意味する。En1及びEn2は、両方の鏡像異性体が分離されたが、絶対配置は未知であることを意味する。化合物コードの後に接尾辞が与えられていない場合、立体中心を含有する化合物は、化合物の化学名が正確な立体化学を明示しない限り、それぞれ、ラセミ混合物またはジアテレオマーの混合物として得られたことを意味する。
【0222】
実験パートで言及したLC/MS分析もまた、質量分析計Waters Quattromicro(ESCI、マルチモード、イオン化)に接続したAlliance Waters 2695 HPLC(PDA検出器を装着した)で行った。(下記表の方法L)。
【0223】
実験パートでHPLC分析に用いた条件。実験パートで言及したLC/MS分析を、質量分析計Waters Quattromicro(ESCI、マルチモード、イオン化)に接続したAlliance Waters 2695 HPLC(PDA検出器を装着した)で行った。分離を、サーモスタットで30~35℃に調温したAcquity BEH C18(1.7μm、2.1×50mm)カラム、及びX-Bridge C18(3.5μm、4.6×75mm)カラムを用いて行い、かつPDA取得波長を、210~400nmの範囲で設定した(Acuisition Software:MassLynx)(下記表の方法L)。溶出を、下記表に記載されている方法を用いて行った。方法L1の場合、溶媒A:milliQ水中の0.05%のLC-MSグレードFA。溶媒B:LC-MSグレードACN中の0.05%のLC-MSグレードFA。方法L2の場合、溶媒A:milliQ水中の5mMのNHHCO。溶媒B:LC-MSグレードACN。方法L3の場合、溶媒A:milliQ水中の0.05%のLC-MSグレードTFA。溶媒B:LC-MSグレードMeOH。

【表2-1】
【表2-2】
【0224】
実験パートでSFC分析に用いた条件。実験パートで言及したSFC分析を、Acquity PDA及びAcquity QDa Detectorを装着したWATERS Acquity UPC2 QDa(Empower-3 Sofware)で行った。分離を、Chiralpak AD-3(3μm、4.6×150mm)及びChiralcel OD-3(3μm、4.6×150mm)カラム;移動相としてCO、及び共溶媒としてMeOHを用いて行った。カラムを、サーモスタットで30℃に調温した。溶出を、下記表に記載されている方法を用いて行った。
【表3】
【0225】
本実験パートで言及した分取HPLC精製を、以下のシステム、すなわち、Waters 2545(Empowerソフトウエア,2996 PDA検出器,2707オートサンプラー)、Gilson(Software Trilution,171 DAD検出器,GX-271オートサンプラー)、またはShimadzu(Software LC Solution,CMB-20A検出器,SIL-10APオートサンプラー)を用いて行った。分離を、Luna C18(5μm、21.2×250mm)、X-Bridge C18(5μm、29×250mmまたは5μm、19×150mm)及びPrimesep(5μm、20×120mm)カラムを用いて行った。溶出を、下記表に記載されているカラム及び溶媒を用いて行った。表に記載の溶媒を使用して、個々の化合物ごとに勾配システムを採用した。検出波長は、210及び254nmに固定した。
【表4】
【0226】
実験パートで言及した分取SFCを、以下のシステム、すなわち、UV/PDA検出器を装着したWaters Thar SFC-80またはThar SCF-200(Software Chromscope)、及び改質剤ストリーム注射モードを用いて行った。分離を、Chiralpak AD-H(5μm、30×250mm)カラム;移動相としてCO、及び共溶媒としてMeOHを用いて行った。カラムを、サーモスタットで30℃に調温した。検出波長は、214nmに固定した。溶出を、下記表に記載されている方法を用いて行った。
【表5】
【0227】
実施例1:1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-アミン(化合物番号001)の合成
【化11】

工程1:DCM(50mL)中の3-アミノ-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン塩酸塩(5.3g、25mmol)、BocO(8.18g、37.5mmol)、DMAP(10mg)及びTEA(6.37g、62.5mmol)の溶液を、室温で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の5%のMeOH、RF:0.43、TLC検出:UV。反応混合物をHO(300mL)で希釈し、DCM(300mL)で抽出した。有機層をブライン(300mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(7.5g、LC/MS 81%)を40gのカラム(シリカ)及び溶出液としてDCM中の0~2%のMeOHの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル(2-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)カルバメート(5.3g、69%、LC/MS 90%)を白色固体として得た。(LC/MS;m/z 277.0 [M+H])。
【0228】
工程2:1,4-ジオキサン(20mL)中のtert-ブチル(2-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)カルバメート(2.3g、8.3mmol)、1-ヨード-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(4.5g、16.6mmol)、KCO(2.4g、17.43mmol)、CuI(0.315g、1.66mmol)及び(±)-トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン(0.189g、1.66mmol)の溶液を、90℃で16時間撹拌した(密封管)。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の20%のEtOAc、RF:0.52、TLC検出:UV。反応混合物をHO(200mL)で希釈し、EtOAc(200mL)で抽出した。有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(3g、LC/MS 74%)を40gカラム(シリカ)及び溶出液として石油エーテル中の0~6%のEtOAcの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)カルバメート(中間体1)(2g、63%、LC/MS 99%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 421.3 [M+H])。
【0229】
工程3:THF(10mL)中の中間体1(1.9g、4.5mmol)の溶液を、窒素雰囲気下にて0℃でBH.SMe(11.2mL、22.5mmol)を用いて処理し、室温で6時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の20%のEtOAc、RF:0.52、TLC検出:UV。反応混合物を0℃まで冷却し、10%のNaCO水溶液(10mL)でクエンチし、EtOAc(100mL)及びHO(100mL)で希釈した。有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(2g、LC/MS 30%)を24gカラム(シリカ)及び溶出液として石油エーテル中の0~6%のEtOAcの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)カルバメート(750mg、38%、LC/MS 94%)を白色固体として得た。(LC/MS;m/z 407.1 [M+H])。
【0230】
工程4:DCM(10mL)中のtert-ブチル(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)カルバメート(750mg、1.84mmol)の溶液を0℃まで冷却し、1,4-ジオキサン中の4MのHCL(4.6mL、18.4mmol)を用いて処理し、室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の5%のMeOH、RF:0.09、TLC検出:UV。反応混合物を減圧下にて濃縮し、1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-アミン塩酸塩(中間体2)(600mg、99%、LC/MS 99%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 307.1 [M+H])。中間体2(100mg)を2MのNaOH水溶液中に溶解させ、DCM中の10%のMeOH(2×20mL)で抽出した。混合した有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮し、1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-アミン(化合物番号001)(24mg、LC/MS 95%)を薄黄色固体として得た。(LC/MS;m/z 307.1 [M+H])。
【0231】
実施例2:3-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン(化合物番号002)の合成
【化12】

工程1:この工程は、化合物番号001に対する工程4と同様の方法(当業者に既知の適切な試薬及び精製方法を使用)で行った。中間体1(850mg、2.02mmol、LC/MS 99%)から3-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン塩酸塩(中間体3)(700mg、97%、LC/MS 99%)を得た。(LC/MS;m/z 321.2 [M+H])。中間体3(100mg)から、3-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン(化合物番号002)(14mg、LC/MS 99%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 321.2 [M+H])。
【0232】
実施例3:2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール(化合物番号003)の合成
【化13】

工程1:ACN(2mL)中の中間体2(220mg、0.64mmol、LC/MS 99%)及びKCO(222mg、1.60mmol)の溶液を、ACN(1mL)中のエチル2-ブロモアセテート(106mg、0.64mmol)の溶液を用いて処理した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の5%のMeOH、RF:0.56、TLC検出:UV。反応混合物をHO(30mL)で希釈し、EtOAc(30mL)で抽出した。有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(170mg、LC/MS 70%)を12gカラム(シリカ)及び溶出液としてDCM中の0~2%のMeOHの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、エチル(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)グリシネート(110mg、43%、LC/MS 99%)を薄黄色ゴムとして得た。(LC/MS;m/z 393.1 [M+H])。
【0233】
工程2:THF(2mL)中のエチル(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)グリシネート(100mg、0.25mmol)の溶液を、-5℃まで冷却し、LAH(THF中2M)(0.12mL、0.25mmol)を用いて処理し、窒素雰囲気下で10分間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の5%のMeOH、RF:0.33、TLC検出:UV。反応混合物を飽和NHCl水溶液(1mL)でクエンチし、HO(10mL)で希釈し、EtOAc(10mL)で抽出した。有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(65mg、LC/MS 99%)を分取HPLC法H2によって精製した。収集した画分を凍結乾燥して、2-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)エタン-1-オール(化合物番号003)(38mg、42%、LC/MS 98%)を薄黄色ゴムとして得た。(LC/MS;m/z 351.1 [M+H])。キラルSFC精製:110mgの化合物番号003を、分取SFC方法K1によって精製し、化合物番号003-En1(29mg)及び化合物番号003-En2(25mg)をどちらも薄黄色固体として得た。(LC/MS;m/z 351.1 [M+H])。両方の鏡像異性体のキラル純度を、分析SFC方法S1で評価したところ、化合物番号003-En1、99.7%ee;化合物番号003、98.8%eeであった。
【0234】
化合物番号004(中間体3から;工程2でEtOH中のNaBHを使用)を、化合物番号003と同様の方法(当業者に既知の適切な試薬及び精製方法を使用)で調製した。
【0235】
実施例4~5:3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン-1-オール(化合物番号005)及び3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン酸(化合物番号006)の合成

【化14】

工程1:この工程は、化合物番号003に対する工程1と同様の方法(当業者に既知の適切な試薬及び精製方法を使用)で行った。中間体2(120mg、0.35 mmol、LC/MS 99%)から粗生成物(120mg、LC/MS 33%)を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶出液としてDCM中の0~2%のMeOHの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、エチル3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパノエート(中間体4)(40mg、24%、LC/MS 85%)を薄褐色液体として得た。(LC/MS;m/z 407.2 [M+H])。
【0236】
工程2:この工程は、化合物番号003に対する工程2と同様の方法(当業者に既知の適切な試薬及び精製方法を使用)で行った。中間体4(40mg、0.098mmol)から粗生成物(40mg、LC/MS 73%)を得、これを、分取HPLC法H1によって精製し、3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン-1-オール(化合物番号005)(11mg、34%、LC/MS 94%)を薄黄色ゴムとして得た。(LC/MS;m/z 365.3 [M+H])。
【0237】
工程3:THF(1mL)、MeOH(1mL)及びHO(1mL)中の中間体4(120mg、0.29mmol)及びLiOH.HO(49mg、1.18mmol)の溶液を、室温で3時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の10%のMeOH、RF:0.01、TLC検出:UV。反応混合物を減圧下にて濃縮し、HO(10mL)で希釈し、2MのHCl(pH約7)で酸性化した。水層をDCM(2×10mL)中の10%のMeOHで抽出し、NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(110mg、LC/MS 77%)を分取HPLC法H3によって精製した。収集した画分を凍結乾燥して、3-((1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アミノ)プロパン酸(化合物番号006)(41mg、43%、LC/MS 99%)を黄色固体として得た。(LC/MS;m/z 379.3 [M+H])。
【0238】
実施例6:3-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン(化合物番号007)の合成
【化15】

工程1:DMF(2ml)中の中間体3(200mg、0.56mmol、LC/MS 99%)、CsCO(365mg、1.12mmol)及び3-ブロモプロパン-1-オール(94mg、0.67mmol)の溶液を、室温で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の10%のMeOH、RF=0.23、TLC検出:UV。反応混合物をHO(20mL)で希釈し、DCM(50mL)で抽出した。有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(310mg、LC/MS 68%)を分取HPLC法H2によって精製した。収集した画分を凍結乾燥して、3-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[b]アゼピン-2-オン(化合物番号007)(22mg、10%、LC/MS 97%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 379.5 [M+H])。
【0239】
実施例7:N-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アクリルアミド(化合物番号008)の合成
【化16】

工程1:1,4-ジオキサン(2mL)及びH2O(0.2mL)中の中間体2(150mg、0.43mmol、LC/MS 99%)及びNaHCO(110mg、1.31mmol)の溶液を、0℃まで冷却し、1,4-ジオキサン(1mL)中の塩化アクリロイル(43mg、0.48mmol)の溶液を滴下して処理し、0℃で15分間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の5%のMeOH、RF:0.54、TLC検出:UV。反応混合物をHO(20mL)で希釈し、EtOAc(20mL)で抽出した。有機層をHO(20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(100mg、LC/MS 86%)を分取HPLC法H2によって精製した。収集し画分を凍結乾燥して、N-(1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-3-イル)アクリルアミド(化合物番号008)(26mg、16%、LC/MS 99%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 361.2 [M+H])。キラルSFC精製:110mgの化合物番号008を、分取SFC方法K1によって精製し、化合物番号008-En1(33mg)及び化合物番号008-En2(37mg)をどちらもオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 361.2 [M+H])。両方の鏡像異性体のキラル純度を、分析SFC方法S2で評価したところ、化合物番号008-En1、99.9%ee;化合物番号008、99.9%eeであった。
【0240】
以下の化合物を、化合物番号008と同様の方法(当業者に既知の適切な試薬及び精製方法を使用)で調製した:化合物番号009(DCM中の塩化プロピオニル及びTEAを使用)、及び化合物番号010(中間体3から)。
【0241】
実施例8:7-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン(化合物番号011)の合成

【化17】

工程1:トルエン(80mL)中の1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン(10g、62.1mmol)、Pd(OAc)(2.1g、3.1mmol)、p-テルフェニル(3.3g、14.28mmol)及びBINAP(3.87g、6.21mmol)の溶液を、40℃で10分間撹拌した。溶液に、1-ヨード-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(10.2g、37.26mmol)及びNaOtBu(8.35g、86.94mmol)を添加し、反応混合物を110℃で3時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の20%のEtOAc、RF:0.57、TLC検出:UV。反応混合物をHO(100mL)で希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。混合した有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物を48gカラム(シリカ)及び溶出液として石油エーテル中の0~10%のEtOAcの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン(3.4g、17%、LC/MS 96%)を褐色固体として得た。(LC/MS;m/z 306.0 [M+H])。
【0242】
工程2:CHCl(10mL)中の1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン(1g、3.3mmol)、NBS(470mg、2.64mmol)及びAIBN(54mg、0.33mmol)の溶液を、60℃で8時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の20%のEtOAc、RF:0.63、TLC検出:UV。反応混合物をHO(20mL)で希釈し、CHCl(2×20mL)で抽出した。混合した有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(750mg)を24gカラム(シリカ)及び溶出液として石油エーテル中の0~10%のEtOAcの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、7-ブロモ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン(中間体5)(400mg、29%、LC/MS 87%)を薄黄色固体として得た。(LC/MS;m/z 384.2 [M+H])。
【0243】
工程3:DMSO(5mL)中の中間体5(100mg、0.26mmol)、2-アミノエーテル(24mg、0.39mmol)、CuI(99mg、0.52mmol)、及びL-プロリン(120mg、1.04mmol)の溶液を、100℃で1時間撹拌した(密封管;マイクロ波照射)。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の20%のEtOAc、RF:0.2、TLC検出:UV。反応混合物をHO(10mL)で希釈し、EtOAc(2×15mL)で抽出した。混合した有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(100mg、LC/MS 26%)を分取HPLC法H1によって精製した。収集した画分を凍結乾燥して、7-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン(化合物番号011)(11mg、13%、LC/MS 99%)を薄黄色固体として得た。(LC/MS;m/z 365.2 [M+H])。
【0244】
化合物番号012(中間体5から;工程3で3-アミノプロパン-1-オールを使用)を、化合物番号011と同様の方法(当業者に既知の適切な試薬及び精製方法を使用)で調製した。
【0245】
2-(ブロモメチル)-1-フルオロ-3-ニトロベンゼン(R1)の合成
【化18】

工程1:CCl(100mL)中の1-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼン(5.0g、32.2mmol)、BPO(390mg、1.61mmol)及びNBS(5.7g、32.2mmol)の溶液を、60℃で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の5%のEtOAc、RF:0.6、TLC検出:UV。反応混合物を0℃まで冷却し、濾過し、フィルタをDCM(20mL)ですすいだ。濾液をHO(2×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(8.5g)をシリカゲル(100~200メッシュ)及び石油エーテル中の0~1%のEtOAcの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、2-(ブロモメチル)-1-フルオロ-3-ニトロベンゼン(R1)(6.0g、64%)を薄黄色固体として得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm: 7.86 (d, 1H), 7.46-7.54 (m, 1H), 7.38-7.42 (m, 1H), 4.83 (s, 2H)。推定H NMR純度:80%。生成物をさらに精製することなくそのまま使用した。
【0246】
tert-ブチル(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-イル)カルバメート(中間体6)の合成
【化19】
工程1:2-アセトアミドマロン酸ジエチル(11.0g、50.6mmol)を、新たに調製したNaOEtの溶液(1.2gのNa金属を0℃で50mLのEtOH中に溶解させた)を用いて処理し、50℃で1時間撹拌した。反応混合物を、1-(クロロメチル)-2-ニトロベンゼン(8.6g、50.6mmol)及びKI(0.4g、2.5mmol)を用いて50℃で処理し、70℃で2.5時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の30%のEtOAc、RF:0.2、TLC検出:UV。反応混合物を氷HO(100mL)で希釈し、EtOAc(3×70mL)で抽出した。混合した有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(13.0g、LC/MS 79%)を80gカラム(シリカ)及び石油エーテル中の0~50%のEtOAcの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、2-アセトアミド-2-(2-ニトロベンジル)マロン酸ジエチル(10g、55%、LC/MS 97%)を薄黄色固体として得た。(LC/MS;m/z 352.9 [M+H])。
【0247】
工程2:EtOH(50mL)及びTHF(25mL)中の2-アセトアミド-2-(2-ニトロベンジル)マロン酸ジエチル(10.0g、28.4mmol)、飽和NHCl水溶液(20mL)及びFe粉末(6.3g、113.3mmol)の溶液を、90℃で3.5時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の50%のEtOAc、RF:0.5、TLC検出:UV。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、MeOH(100mL)で洗浄した。濾液を減圧下にて濃縮し、EtOAc(100mL)で希釈し、HO(2×100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮して、エチル3-アセトアミド-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-カルボキシレート(7.0g、86%、LC/MS 97%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 277.1 [M+H])。
【0248】
工程3:エチル3-アセトアミド-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-カルボキシレート(8g、28.98mmol)を、濃縮HCl(40mL)中に溶解させ、110℃で3.5時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の50%のEtOAc。反応混合物を室温まで冷却し、HO(50mL)で希釈し、DCM中の10%のMeOH(2×50mL)で抽出した。水層をNaOH水溶液(pH>12)で塩基性化し、DCM中の10%のMeOH(3×40mL)で抽出した。混合した有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮し、3-アミノ-3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン(1.5g、31%、LC/MS 97%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 163.0 [M+H])。この化合物と共に、3gのN-(2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-イル)アセトアミドを単離した。(LC/MS;m/z 205.1 [M+H])。
【0249】
工程4:THF(16mL)中の3-アミノ-3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン(2.0g、12.3mmol)及びTEA(3.5mL、24.6mmol)の溶液を、THF(4mL)中のBocO(2.6mL、12.3mmol)の溶液を用いて処理した。溶液を室温で1時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の50%のEtOAc、RF:0.53、TLC検出:UV。反応混合物をHO(20mL)で希釈し、EtOAc(20mL)で抽出した。有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(1.9g)を40gカラム(シリカ)及び石油エーテル中の0~50%のEtOAcの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル(2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-イル)カルバメート(1.5g、45%、LC/MS 97%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 263.1 [M+H])。
【0250】
工程5:1,4-ジオキサン(20mL)中のtert-ブチル(2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-イル)カルバメート(2.1g、8mmol)、1-ヨード-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(4.3g、16mmol)、(±)-トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン(182mg、1.62mmol)、CuI(304mg、1.6mmol)及びKCO(2.42g、17.6mmol)の溶液を、100℃で16時間撹拌した(密封管)。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の30%のEtOAc。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、EtOAc(30mL)で洗浄した。濾液を減圧下にて濃縮した。粗生成物(2.5g)を40gカラム(シリカ)及び石油エーテル中の0~50%のEtOAcの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-イル)カルバメート(中間体6)(1.3g、39%、LC/MS 97%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 407.2 [M+H])。
【0251】
中間体の中間体7を、中間体6と同様の方法(当業者に既知の適切な試薬及び精製方法を使用)で調製した(試薬R1を使用)。
【表6】
【0252】
tert-ブチル(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル)カルバメート(中間体8)の合成
【化20】
工程1:DMF(35mL)中の3-メチル-4-ニトロピリジン1-オキシド(10.0g、64.9mmol)及びDMF-DMA(12.5g、105.1mmol)の溶液を、140℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下にて濃縮し、残渣を得、これをTHF(50mL)中に溶解させた。溶液を、THF(300mL)及びHO(350mL)中のNaIO(41.6g、194.7mmol)の撹拌溶液に0℃で添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の5%のMeOH、RF:0.32、TLC検出:UV。反応混合物をHO(500mL)で希釈し、EtOAc(2×150mL)で抽出した。混合した有機層をHO(2×200mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(10.0g)をさらに精製することなくそのまま使用した。
【0253】
工程2:THF(80mL)中のメチル2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(ジメトキシホスホリル)アセテート(17.67g、59.5mmol)の溶液を、-78℃まで冷却し、THF(10mL)中のテトラメチルグアニジン(7.18g、62.47mmol)の溶液を用いて処理し、30分間撹拌した。THF(10mL)中の3-ホルミル-4-ニトロピリジン1-オキシド(10g、59.5mmol)の溶液を、-78℃で添加した。反応混合物をゆっくりと加温し、室温で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の70%のEtOAc、RF:0.29、TLC検出:UV。反応混合物をHO(200mL)で希釈し、EtOAc(2×200mL)で抽出した。混合した有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(14g、LC/MS 85%)を80gカラム(C18)及び溶出液としてHO中の0~70%のACNの勾配を使用して逆相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、(Z)-3-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-4-ニトロピリジン1-オキシド(3.2g、2工程にわたって13%、LC/MS 89%)を黄色固体として得た。(LC/MS;m/z 340.2 [M+H])。
【0254】
工程3:EtOH(35mL)中の(Z)-3-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-4-ニトロピリジン1-オキシド(3.20g、9.40mmol)及び10%のPd/C(960mg)の溶液を、水素雰囲気下(30psi)にて室温で72時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の10%のMeOH、RF:0.34、TLC検出:UV。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、MeOH(50mL)で洗浄し、濾液を減圧下にて濃縮した。粗生成物(2.8g)を中性アルミナ及び溶出液としてDCM中の3%のMeOHの勾配を使用して順相カラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル(2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル)カルバメート(450mg、19%、LC/MS 93%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 264.2 [M+H])。
【0255】
工程4:DCM(10mL)中のtert-ブチル(2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル)カルバメート(450mg、1.71mmol)、(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ボロン酸(1.30g、6.84mmol)、Cu(OAc)(778mg、4.27mmol)、及びDIPEA(1.32g、10.26mmol)の溶液を、酸素雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:DCM中の10%のMeOH、RF:0.47、TLC検出:UV。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、DCM(500mL)で洗浄し、濾液を減圧下にて濃縮した。粗生成物(1.0g、LC/MS 16%)を24gカラム(シリカ)及び溶出液としてDCM中の0~4%のMeOHの勾配を使用して順相フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル)カルバメート(中間体8)(180mg、27%、LC/MS 99%)を薄褐色ゴムとして得た。(LC/MS;m/z 408.3 [M+H])。
【0256】
実施例9:N-(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-イル)アクリルアミド(化合物番号013)の合成
【化21】
工程1:DCM(6mL)中の中間体6(250mg、0.615mmol、LC/MS 97%)の溶液を、0℃まで冷却し、1,4-ジオキサン(1.5mL、1.23mmol)中の4MのHClを用いて処理し、室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の30%のEtOAc、RF:0.1、TLC検出:UV。反応混合物を減圧下にて濃縮し、3-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン塩酸塩(200mg、96%、LC/MS 98%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 307.3 [M+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま使用した。
【0257】
工程2:1,4-ジオキサン(8mL)及びHO(2mL)中の3-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン塩酸塩(200mg、0.584mmol)の溶液を、0℃まで冷却し、NaHCO(147mg、1.75mmol)及び1,4-ジオキサン(1mL)中の塩化アクリロイル(63mg、0.700mmol)の溶液を用いて処理した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLC移動相:石油エーテル中の30%のEtOAc、RF:0.4、TLC検出:UV。反応混合物をHO(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。混合した有機層をHO(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下にて濃縮した。粗生成物(250mg、LC/MS 63%)を分取HPLC法H2によって精製した。収集した画分を凍結乾燥して、N-(2-オキソ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-3-イル)アクリルアミド(化合物番号013)(70mg、33%、LC/MS 99%)をオフホワイト固体として得た。(LC/MS;m/z 361.2 [M+H])。
【0258】
以下の化合物を、化合物番号013と同様の方法(当業者に既知の適切な試薬及び精製方法を使用)で調製した:化合物番号014(中間体7から)及び化合物番号015(中間体8から)。

【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【0259】
パートB:実験生物学手順
実施例10:YAP/TAZ-TEAD転写の阻害を測定するためのレポーター遺伝子アッセイにおける本開示の化合物の活性
Hek293T細胞を、10%のウシ胎児血清、ピルビン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、L-グルタミンを補充したDMEM中で培養する。細胞を回収し、TEAD-応答性エレメントルシフェラーゼレポーターを用いて一過性にトランスフェクトする。トランスフェクトした細胞を、事前に希釈した化合物を含有する384ウェルプレートにプレーティングする。37℃/5%CO2での24時間のインキュベーション後、アッセイプレートを室温まで冷却し、ウェルごとに等量となるように均一化し、その後、25uLルシフェラーゼ基質SteadyLite(Perkin Elmer)/ウェルを添加した。プレートを600rpmで10分間振盪させ、500rpmで1分間遠心分離にかけ、Envisionリーダー(PerkinElmer)で測定した。TEADレポーターによって生じる相対的な光単位の量を使用して、阻害の割合を計算する。
【0260】
レポーター阻害の割合を、レポーターのビヒクル基礎活性が存在する条件(0%阻害)に対して、陽性対照阻害剤の存在下(100%阻害)で計算した。この活性を阻害する試験化合物の活性を、次のように決定した。
【0261】
阻害のパーセンテージ=[1-((ビヒクルの存在下で決定されたRLU - 試験化合物が存在するサンプルに対して決定されたRLU)÷(ビヒクルの存在下で決定されたRLU - 陽性対照阻害剤が存在するサンプルに対して決定されたRLU))]×100
【0262】
試験した例示的化合物の活性を表3に示す。活性範囲A、B及びCは、レポーター遺伝子アッセイでのIC50値を指し、「A」:IC50<1μM;「B」:1μM≦IC50≦20μM;及び「C」:IC50>20μM;NT=試験せず、である。
【表8】
【0263】
実施例11:中皮腫細胞株増殖アッセイにおける本開示の化合物の活性
中皮腫細胞株、NCI-H226及びNCI-H2052(全て、ATCC細胞培養物収集から供給)を、96ウェルプレート(Corning(登録商標)96 Well White Polystyrene Microplate透明平底、白色ポリスチレン(TC-処置済))に、完全培地(L-グルタミン、HEPES、フェノールレッド、ピルビン酸ナトリウム、高グルコース、低炭酸水素ナトリウム、及び10%のウシ胎児血清で改質されたRPMI 1640 ATCC)中、1500細胞/ウェルでプレーティングする。細胞を、5% CO2を含むインキュベータ内で37℃で一晩インキュベートする。次に、DMSOに溶解させた化合物を、用量-応答で添加する。細胞を、5% CO2を含むインキュベータ内で37℃でさらに6日間、化合物を希釈しながらインキュベートする。ATPliteキット(Perkin-Elmer)を使用して、細胞生存率を定量化し、Envision機器(Perkin-Elmer)を使用して発光を読み出す。ATPliteキットを使用して生じる相対的な光単位の量を使用して、阻害の割合を計算する。
【0264】
いくつかの例示的化合物の活性を表4に示す。活性範囲A、B及びCは、記載するような中皮腫細胞株増殖アッセイでのEC50値を指し、「A」:EC50<1μM;「B」:1μM≦EC50≦10μM;及び「C」:EC50>10μM;NT=試験せず、である。
【表9】
【国際調査報告】