(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】局所的なドームの補強を安定させるための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 70/32 20060101AFI20241226BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20241226BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B29C70/32
B29C70/68
B29C70/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538471
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 US2022052247
(87)【国際公開番号】W WO2023121880
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イェギー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ハンフリー コリン
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC02
4F205AD07
4F205AG03
4F205AG07
4F205AH55
4F205AR02
4F205HA02
4F205HA37
4F205HA46
4F205HB01
4F205HB12
4F205HC02
4F205HC14
4F205HC17
4F205HF23
4F205HK03
4F205HK25
4F205HL03
4F205HL12
(57)【要約】
アセンブリ(20)は、外周及び長さを有する容器(30)上にフィラメントワインディング(26)を形成するためのシステムにおける使用のために構成される。アセンブリ(20)は、エンドレスベルト(24)と、第1及び第2ローラ(22)とを備える。エンドレスベルト(24)は、容器(30)の外表面に配置されるフィラメントワインディング(26)に接触し、圧力を付与するために、容器(30)の外周の周りに部分的に巻き付くように構成される。エンドレスベルト(24)は、第1及び第2ローラ(22)の周りを移動する。システムのフィラメントワインドアイ(32)を、容器(30)の長さに沿って往復運動で移動させることを可能にするために、空間(44)が、第1ローラ(22)と第2ローラ(22)との間に設けられる。フィラメントワインディング(26)を容器(30)上に形成するためのマシン(40)を使用する方法もまた説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周及び長さを有する容器上にフィラメントワインディングを形成するためのシステムにおける使用のために構成されるアセンブリであって、
前記容器の外表面上に配置される前記フィラメントワインディングに接触し、圧力を付与するために、前記容器の前記外周の周りに部分的に巻き付くように構成されるエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトがその周りを移動する第1ローラ及び第2ローラと、
を備え、
前記システムのフィラメントワインドアイが、前記容器の前記長さに沿って往復運動で移動することを可能にするために、空間が、前記第1ローラと前記第2ローラとの間に設けられる、アセンブリ。
【請求項2】
前記エンドレスベルトがその周りを移動する第3ローラ及び第4ローラを備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1ローラ及び前記第3ローラは、前記システムのフレームに接続するように構成される第1アームに取り付けられ、
前記第2ローラ及び前記第4ローラは、前記フレームに接続するように構成される第2アームに取り付けられる、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1アームは、前記第3ローラがそれに沿って転動するように構成されるチャネルを有する、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記第1ローラに取り付けられ、前記システムのフレームに接続するように構成される第1アームと、
前記第2ローラに取り付けられ、前記フレームに接続するように構成される第2アームと、
を備える請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記第1アームと前記フレームとの間に配置される第1の伸縮可能なアクチュエータと、
前記第2アームと前記フレームとの間に配置される第2の伸縮可能なアクチュエータと、
を備える請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記第1アーム及び前記第2アームは、
前記第1ローラ及び前記第2ローラが、前記エンドレスベルトを、前記容器の前記外表面及びその上に配置される前記フィラメントワインディングと接触させて配置する、第1構成と、
前記第1ローラ及び前記第2ローラが、前記エンドレスベルトを、前記容器の前記外表面及びその上に配置される前記フィラメントワインディングとの接触から外す、第2構成と、
の間で移動可能である、請求項3または請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記第1構成において、前記第1ローラ及び前記第2ローラに近接する前記第1アームと前記第2アームとの間の距離は、前記フレームに近接する前記第1アームと前記第2アームとの間の距離よりも短い、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第2構成において、前記第1アーム及び前記第2アームは、同一線上に整列する、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項10】
外周及び長さを有する容器上にフィラメントワインディングを形成するためのマシンを使用する方法であって、
前記容器を、回転軸を中心として回転させることと、
前記フィラメントワインディングを、前記容器の外表面上に堆積させる間に、フィラメントワインドアイを、前記容器の前記長さに沿って往復運動で移動させることと、
前記フィラメントワインディングに接触し、圧力を付与するために、エンドレスベルトアセンブリを、前記容器の前記外周の周りに部分的に巻き付けることと、
を含み、
前記フィラメントワインドアイの通過を可能にするために、空間が、前記容器の前記外表面において、前記アセンブリに設けられる、方法。
【請求項11】
前記エンドレスベルトアセンブリのベルトを、該ベルトがその周りを移動する第1ローラ及び第2ローラの周りに延在させること、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エンドレスベルトアセンブリを、前記容器の前記外周の周りに部分的に巻き付けることは、
前記第1ローラに取り付けられる第1アームを、前記マシンのフレームから延出させることと、
前記第2ローラに取り付けられる第2アームを、前記マシンの前記フレームから延出させることと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ベルトを、前記容器の前記外表面及びその上に配置される前記フィラメントワインディングとの接触から外すために、前記第1アーム及び前記第2アームを後退させること、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1アームを後退させることは、前記第1アーム及び前記マシンの前記フレームに枢動可能に接続されるシリンダを伸長させること、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記容器の前記外周の周りにおける、前記フィラメントワインディングに接触する前記第1ローラと前記第2ローラとの間の前記ベルトの有効長さを変更すること、を含む、請求項12~14の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
圧力容器は、一般に、例えば、水素、酸素、天然ガス、窒素、プロパン、メタン、及び他の燃料などの様々な流体を圧力下で格納するために用いられる。概して、圧力容器は、例えば、あらゆるサイズもしくは構造のもの、重いものもしくは軽いもの、1回使用(例えば、使い捨て)のもの、再利用可能のものであり得、高圧(例えば、平方インチ当たり50ポンド(psi)(344.7キロパスカル)より高い)、低圧(例えば、50psi(344.7キロパスカル)より低い)に晒され得、または高温もしくは極低温で流体を保管するために使用され得る。
【0002】
圧力容器は、例えば、他の物体との衝突、または落下することによって、輸送及び使用中に損傷を受ける。所望の圧力で流体を保持するための容器の能力は、そのような損傷によって損なわれる可能性がある。損傷緩和のための既存のアプローチは、容器の端部に保護キャップを接着することである。しかしながら、容器に単に接着されただけのキャップは、容器の使用中に外れる可能性がある。他のアプローチとして、シェル厚を増加する、エラストマシェルコーティングを塗布する、追加のシェル材料によって完全に被覆される、または密閉される、保護層または端部キャップを追加することを含む。さらなる詳細については、「損傷緩和システムを有する圧力容器(Pressure Vessel with Damage Mitigating System)」として共同所有される米国特許第5,476,189号、及び「圧力容器のための巻き付けられた端部保護部品(Wound-In End Protection Component for Pressure Vessel)」として共同所有される米国特許第10,627,049号を参照されたい。追加のコーティングまたは層は、一般的に損傷緩和部品または容器全体を完全に被覆するので、いくつかのアプローチは、材料の使用量及び製造の複雑さを大幅に増大させるといった欠点を有する。
【0003】
[概要]
1つの態様において、アセンブリは、外周と長さを有する容器上にフィラメントワインディング(フィラメントを巻き付けたもの)を形成するためのシステムにおける使用のために構成される。アセンブリは、エンドレスベルトと、第1ローラ及び第2ローラとを備える。エンドレスベルトは、容器の外表面に配置されるフィラメントワインディングに接触し、圧力を付与するために、容器の外周の周りに部分的に巻き付くように構成される。エンドレスベルトは、第1ローラ及び第2ローラの周りを移動する。システムのフィラメントワインドアイ(フィラメント巻き付け孔部)が、容器の長さに沿って往復運動で移動することを可能にするために、空間が、第1ローラと第2ローラとの間に設けられる。
【0004】
別の態様において、外周と長さを有する容器上にフィラメントワインディングを形成するためのマシンを使用する方法が説明される。本方法は、容器を、回転軸を中心として回転させることと、フィラメントワインディングを容器の外表面に堆積させる間に、フィラメントワインドアイを、容器の長さに沿って往復運動で移動させることと、フィラメントワインディングに接触し、圧力を付与するために、容器の外周の周りに、エンドレスベルトアセンブリを部分的に巻き付けることと、を含む。フィラメントワインドアイの通過を可能にするために、空間が、容器の外表面においてアセンブリに設けられる。
【0005】
本開示は、その様々な組み合わせにおいて、以下に列挙する項目によって特徴付けられてもよい。
1.外周及び長さを有する容器上にフィラメントワインディングを形成するためのシステムにおける使用のために構成されるアセンブリであって、
容器の外表面に配置されるフィラメントワインディングに接触し、圧力を付与するために、容器の外周の周りに部分的に巻き付くように構成されるエンドレスベルトと、
エンドレスベルトがその周りを移動する第1及び第2ローラと、
を備え、
システムのフィラメントワインドアイが、容器の長さに沿って往復運動で移動することを可能にするために、空間が、第1ローラと第2ローラとの間に設けられる、アセンブリ。
2.エンドレスベルトがその周りを移動する第3ローラ及び第4ローラを備える、項目1に記載のアセンブリ。
3.第1ローラ及び第3ローラは、システムのフレームに接続するように構成される第1アームに取り付けられ、
第2ローラ及び第4ローラは、フレームに接続するように構成される第2アームに取り付けられる、
項目2に記載のアセンブリ。
4.第1アームは、第3ローラがそれに沿って転動するように構成されるチャネルを有する、項目3に記載のアセンブリ。
5.第1ローラに取り付けられ、システムのフレームに接続するように構成される第1アームと、
第2ローラに取り付けられ、フレームに接続するように構成される第2アームと、
を備える、項目1または2に記載のアセンブリ。
6.第1アームとフレームとの間に配置される第1の伸縮可能なアクチュエータと、
第2アームとフレームとの間に配置される第2の伸縮可能なアクチュエータと、
を備える、項目3~5の何れか1項に記載のアセンブリ。
7.第1の伸縮可能なアクチュエータは、第1アームに枢動可能に取り付けられ、
第2の伸縮可能なアクチュエータは、第2アームに枢動可能に取り付けられる、
項目6に記載のアセンブリ。
8.第1の伸縮可能なアクチュエータは、フレームに枢動可能に取り付けられ、
第2の伸縮可能なアクチュエータは、フレームに枢動可能に取り付けられる、
項目6または7に記載のアセンブリ。
9.第1アーム及び第2アームは、
第1ローラ及び第2ローラが、エンドレスベルトを、容器の外表面及びその上に配置されるフィラメントワインディングと接触させて配置する、第1構成と、
第1ローラ及び第2ローラが、エンドレスベルトを、容器の外表面及びその上に配置されるフィラメントワインディングとの接触から外す、第2構成と、
の間で移動可能である、項目3~8の何れか1項に記載のアセンブリ。
10.第1構成において、第1ローラ及び第2ローラに近接する第1アームと第2アームとの間の距離は、フレームに近接する第1アームと第2アームとの間の距離よりも短い、項目9に記載のアセンブリ。
11.第2構成において、第1アーム及び第2アームは、同一線上に整列する、項目9または10に記載のアセンブリ。
12.外周及び長さを有する容器上にフィラメントワインディングを形成するためのマシンを使用する方法であって、
容器を、回転軸を中心として回転させることと、
フィラメントワインディングを容器の外表面に堆積させる間に、フィラメントワインドアイを、容器の長さに沿って往復運動で移動させることと、
フィラメントワインディングに接触し、圧力を付与するために、エンドレスベルトアセンブリを、容器の外周の周りに部分的に巻き付けることと、
を含み、
フィラメントワインドアイの通過を可能にするために、空間が、容器の外表面においてアセンブリに設けられる、方法。
13.ベルトがその周りを移動する第1ローラ及び第2ローラの周りに、エンドレスベルトアセンブリのベルトを延在させること、を含む、項目12に記載の方法。
14.エンドレスベルトアセンブリを、容器の外周の周りに部分的に巻き付けることは、
第1ローラに取り付けられる第1アームを、マシンのフレームから延出させることと、
第2ローラに取り付けられる第2アームを、マシンのフレームから延出させることと、
を含む、項目13に記載の方法。
15.ベルトを、容器の外表面及びその上に配置されるフィラメントワインディングとの接触から外すために、第1及び第2アームを後退させること、を含む、項目14に記載の方法。
16.第1アームを後退させることは、第1アーム及びマシンのフレームに枢動可能に接続されるシリンダを伸長させること、を含む、項目15に記載の方法。
17.容器の外周の周りにおける、フィラメントワインディングに接触する第1ローラと第2ローラとの間のベルトの有効長さを変更すること、を含む、項目14から16の何れか1項に記載の方法。
18.ベルトがその周りを移動する第3ローラ及び第4ローラの周りにベルトを延在させること、を含む、項目17に記載の方法。
19.第1ローラと第2ローラとの間のベルトの有効長さを変更することは、第3ローラを第1アームに沿って移動させること、を含む、項目18に記載の方法。
20.第1ローラと第2ローラとの間のベルトの有効長さを変更することは、第1アームを移動させること、を含む、項目18または19に記載の方法。
【0006】
本概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念を、単純化された形態で紹介するために提供される。本概要は、開示されるか、または特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、開示されるか、または特許請求される主題の、開示される実施形態のそれぞれ、または全ての実施を説明することを意図するものでもない。具体的には、1つの実施形態に関して本明細書において開示される特徴は、別の実施形態にも等しく適用可能であろう。さらに、本概要は、特許請求される主題の範囲を決定する補助として使用されることを意図するものではない。多数の他の新たな利点、特徴、及び関係は、この説明が進むにつれて明らかになるであろう。以下に続く図及び説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。
【0007】
開示される主題は、添付の図面を参照してさらに説明され、同様の構造またはシステム要素は、いくつかの図を通して同様の参照番号によって言及される。全ての説明は、異なる特定がされない限り、いくつかの実施形態を通して、同様の、及び類似の構造に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】圧力容器のアセンブリ、及び圧力容器上の局所的なドームの補強を安定させるための例示的な装置の斜視図である。フィラメントワインディングマシンのワインドアイは、左の位置にある。
【
図3】
図1と類似しているが、中間位置にワインドアイを備えるアセンブリの斜視図である。
【
図4】
図1と類似しているが、右の位置にあるワインドアイを備えるアセンブリの斜視図である。
【
図5】局所的なドーム補強フィラメントバンドの隙間の空いたパターンをその上に有する圧力容器ドーム端部の斜視図である。
【
図6】ドームキャップを形成する、局所的なドーム補強フィラメントバンドの閉じられたパターンをその上に有する圧力容器ドーム端部の斜視図である。
【
図7】説明される安定装置と共に使用するのに適したフィラメントワインディングマシンの斜視図である。
【
図9】
図8と類似しており、追加的に、圧力容器の周りに延出したベルト及びローラアセンブリを備える、説明される安定装置の例示的な実施形態を示す。
【
図10】
図9の左側から見た端部立面図であり、圧力容器及び延出した装置を示す。
【
図11】
図9の右側から見た端部立面図であり、延出した装置を、フィラメントワインディングマシンとの関係において示す。
【
図12】
図9と類似しているが、圧力容器から離れて後退したベルト及びローラアセンブリを備える例示的な安定装置を示す。
【
図13】
図12の左側から見た端部立面図であり、圧力容器及び後退した装置を示す。
【
図14】
図12の右側から見た端部立面図であり、後退した装置を、フィラメントワインディングマシンとの関係において示す。
【
図15】
図9にあるような安定装置を支持するさらなるフレーム構造を備える
図7のフィラメントワインディングマシンの上面図である。
【
図16A】
図9の左側から見た端部立面図であり、小型の圧力容器及び延出した装置を示す。
【
図16B】
図16Aと類似しているが、より大型の圧力容器と、支持アームを、伸長したシリンダの近傍で互いに近づくように配置するための伸長したシリンダを備える装置と、を示す。
【
図17A】
図9の左側から見た端部立面図であり、小型の圧力容器を、支持アームチャネルに沿って移動可能なローラを有する延出した装置と共に示す。
【
図17B】
図17Aと類似しているが、チャネル内で異なる位置にあるローラを、より大型の圧力容器と共に示す。
【
図18A】
図9の左側から見た端部立面図であり、より小型の圧力容器を延出した装置と共に示し、2部品支持アームは、位置決めアクチュエータによって伸長される。
【
図18B】
図18Aと類似しているが、2部品支持アームは、より大型の圧力容器に対応するために、位置決めアクチュエータの収縮によって互いに嵌め込まれる。
【
図19A】
図9の左側から見た端部立面図であり、より小型の圧力容器を、後退した位置決めアクチュエータに取り付けられるさらなるベルトローラを備える延出した装置と共に示す。
【
図19B】
図19Aと類似しているが、より大型の圧力容器に対応するために、伸長した構成の位置決めアクチュエータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上で特定された図は、開示される主題の1つ以上の実施形態を説明する一方で、本開示で述べられるように、他の実施形態もまた想定される。全ての場合において、本開示は、開示される主題を、限定ではなく代表として提示する。多数の他の変形及び実施形態が、本開示の原理の範囲内で、当業者によって考案され得ると理解されるべきである。
【0010】
図は、正確な縮尺で描かれていないこともある。特に、いくつかの特徴は、明確にするために、他の特徴に対して拡大されることがある。さらに、上方の(above)、下方の(below)、上に(over)、下に(under)、最上部の(top)、最下部の(bottom)、側の(side)、右の、左の、垂直の、水平の、などの用語が用いられる場合、それらは、説明の理解を容易にするためにのみ用いられると理解されよう。構造物は、他の方向とし得ると考えられる。
【0011】
本明細書において用いられる専門用語は、実施形態を説明する目的のためのものであり、専門用語は、限定することを意図するものではない。別段の指示の無い限り、序数(例えば、第1の、第2の、第3の、など)は、要素またはステップのグループにおいて、異なる要素またはステップを区別する、または識別するために用いられ、その実施形態の要素またはステップについて連続または数値限定を与えない。例えば、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」要素またはステップは、必ずしもその順番で現れる必要は無く、その実施形態は、必ずしも3つの要素またはステップに限定する必要は無い。別段の指示の無い限り、「左の」、「右の」、「前の(front)」、「後ろの(back)」、「最上部の(top)」、「最下部の(bottom)」、「順方向の(forward)」、「逆方向の(reverse)」、「時計回りの」、「反時計回りの」、「上に(up)」、「下に(down)」などのあらゆるラベル、または「上方の(upper)」、「下方の(lower)」、「後の(aft)」、「前の(fore)」、「垂直の」、「水平の」、「近位の(proximal)」、「遠位の(distal)」、「中間の(intermediate)」、などの他の類似の用語は、便宜的に用いられ、例えば、特定の固定された位置、向き、または方向を暗示することを意図するものではない。代わりに、このようなラベルは、例えば、相対的な位置、向き、または方向を示すために用いられる。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数の言及(plural references)を含む。
【0012】
[詳細な説明]
本開示は、信頼性のある、低コストのやり方で圧力容器を損傷から保護することが望ましいと認識している。圧力容器の端部は、それらの配置及びほぼ半球状の形状が原因で損傷を最も受けやすい可能性があるので、圧力容器の端部を保護することは、特に重要である。例示的な実施形態において、ドームキャップは、容器の端部の周りに巻き付けられる樹脂含浸複合材フィラメントによって形成される。ドームキャップは、容器製造時に容器に固定されてもよく、後の時点に既存の圧力容器に後付けされてもよい。開示される概念は、容器全体が複合材の層で被覆されるいくつかの従来の保護システムよりも少ないフィラメント及び樹脂を使用する。さらに、硬化された巻き付けられたフィラメントによる端部キャップの構成は、容器の端部への保護キャップの接着よりも、より安全性が高い。
【0013】
図1は、「損傷緩和システムを有する圧力容器」と題する米国特許第5,476,189号に開示されるような細長い圧力容器30を示す。このような圧力容器30は、通常、加圧流体を保管するために使用される。容器30は、ドーム端部28を有するほぼ円筒状の本体部70を有する。容器30が完全に形成されるとき、ボスは通常、容器30の内部と連通するためのポートを提供するために、容器30の一端、または両端に設けられる。容器30は、外側複合材シェルによって被覆される内部流体不透過ライナで形成され得る。容器端部28は、通常、半球状またはドーム状の形状を有する。
【0014】
適切な圧力容器シェル材料は、例えば、鋼などの金属、または熱硬化性もしくは熱可塑性樹脂によって共に接着される、巻き付けられたガラス繊維フィラメントもしくは他の合成フィラメントのラミネート層(積層された層)で形成され得る複合材を含む。容器の複合材構造は、軽量であること、並びに腐食、疲労、及び突発故障に対する耐性などの多数の利点をもたらす。これらの特性は、複合材圧力容器の構造における主分力の方向に通常向けられる強化繊維またはフィラメントの高比強度に少なくとも部分的に起因する。複合材シェルは、容器への構造上の負荷を解決する。
【0015】
ライナまたはブラダ(bladder)は、流体透過バリアとして機能し、それにより、容器を密閉するために複合材圧力容器シェル内に配置されることが多い。このようなライナは、非金属の(例えば、高分子の)弾性材料で形成されることが多く、内部流体が複合材に接触することを防止する。例示的な圧力容器30の形成に関する詳細は、「フィラメントワインディングプロセス及び装置(Filament Winding Process and Apparatus)」と題する米国特許第4,838,971号に開示される。
【0016】
図1~4に示されるように、圧力容器のための局所的なドームの補強を安定させるための例示的な装置20は、ローラ22及びベルト24を備える。装置20は、フィラメント樹脂バンド26が適用されるときにそれらを把持し、それらを圧力容器30のドーム端部28の外表面に押圧するのに有用である。装置20を使用する例示的な方法において、ワインディングマシン40(
図7及び15に示される)のワインドアイ32は、
図6に示されるように、局所的なドームの補強のためにドームキャップ34を形成するために、樹脂含浸フィラメントバンド26の層の上に層を敷く。フィラメントワインディングは、樹脂の中に含まれる繊維またはフィラメントで製造される複合材を含んでもよく、繊維は例えば、炭素、グラファイト、またはアラミドであってもよい。この場合において、「複合材」は、例えば、フィラメントが巻き付けられた積層構造を形成するための繊維強化樹脂マトリックス材を意味する。
【0017】
図1に示されるように、フィラメントバンド26は、ワインドアイ32によってドーム端部28上に敷かれている。
図1、3及び4に示されるように、ワインドアイ32が左右に移動するときに、
図2に示されるように、圧力容器30は、ボス38に取り付けられる軸39(例えば、
図9及び12に表示される)を中心に方向36に回転する。
図2の左側で、最上部のローラ22は、バンド26の一部に対して、それがボス38に近接するドーム端部28のより小径の部分に向かって滑ることを防止するために圧力を加える。
図2の右側で、ベルト24は、バンド26の一部に対して、同様に、それがより小径のドーム端部に向かって滑ることを防止するように圧力を加える。図示及び説明を容易にするために、説明はフィラメントバンドに言及する一方で、例えばモノフィラメントワインディングを含む、フィラメントワインディングのあらゆる構造が用いられ得ると考えられる。
【0018】
図1~4に示されるように、例示的な実施形態において、ベルト24は、2つのローラ22の周りに巻き付くエンドレスベルトとして構成される。例示的な実施形態において、ローラ及びベルトアセンブリは、それらの間に隙間空間44を有する2つの端部42を有する。いくつかの構成において、加圧ベルト24は、ローラ22及び60(
図9~14に示される)の周りで張力が維持されるエンドレスベルトとして設けられる。例示的な実施形態において、加圧ベルト24は、加圧ベルト24と接触する圧力容器30、及び/またはフィラメントバンド26の表面を把持し、押圧するために、圧力容器30と対向する質感(ざらつき)のある表面を有する。このような表面性状は、ベルト上の把持要素の一体成形によって、または例えば表面スパイクなどの追加の構造を設けることによって、設けられてもよい。
【0019】
図1、3及び4に示されるように、ワインドアイ32は、隙間空間44を通る左右の往復運動で移動する。同時に、圧力容器30は、回転軸39(例えば、
図9及び12に表示される)を中心に方向36に回転し、これらは、
図5に示されるように、隙間を空けて重なるバンド26の蛇行ワインディングパターンをもたらす。例示的な方法において、ワインディングは、
図6に示されるように、バンド26が、閉じられたパターンドームキャップ34を形成するために自身に積層するように継続する。図において、特定の回転方向36が描写される一方で、逆の回転方向もまた用いられ得ることも理解されよう。
【0020】
キャリッジ52(
図9)によって実行されるワインドアイ32の左右の往復運動は、
図5に示されるようなドーム補強バンドのパターンを形成するために、
図1~4に示される位置を循環して繰り返される。この方法によりフィラメント材料の堆積が継続されることで、最終的に、
図6に示されるようなドームキャップ34を形成するフィラメントバンド26の閉じられたパターンがもたらされる。
図4に示されるように、例えば、加圧ベルト24は、圧力容器30上のいくつかの位置で、フィラメントバンド26を同時に把持する。
【0021】
ドームキャップ34は、形成の任意の段階において、圧力容器30に適用されてもよい。例えば、ドームキャップ34は、複合材シェルの残りがライナに適用される前に、圧力容器の高分子ライナに適用され得る。他の例において、ドームキャップ34は、既に複合材シェルを備える完成した圧力容器に適用され得る。さらに、ドームキャップ34は、金属の圧力容器、及び多くの異なる材料及び構造のほぼ円筒状の容器に適用され得る。
【0022】
圧力容器の局所的な補強をその湾曲したドーム端部28に設けることは、複合材フィラメントの追加の層で圧力容器全体を被覆する方法と比較してコスト及び製造時間の節減をもたらす。圧力容器30を補強する開示される装置及び方法は、樹脂が加圧ベルト24から除去され得るように比較的長いポットライフ(可使時間)の樹脂を含むフィラメントバンド26で形成されるドームキャップ34の形成において好適に使用される。好適な樹脂は、例えば、アラルダイトエポキシ樹脂LY1135として、テキサス州、ザ・ウッドランズのハンツマンコーポレーションから市販されている。
【0023】
図6に示されるように、例示的な実施形態において、ドームキャップ34は、圧力容器30のドーム端部28を完全に被覆し、2つのドーム端部28の間に配置される圧力容器30のほぼ円筒形の部分70の上に延在する。ドームキャップ34のフィラメントバンド26は、ローラ22及びベルト24のアセンブリによって圧力容器30に押圧され、さらに圧力容器30の上で圧力を伴って硬化されるので、ドームキャップ34は、圧力容器30に確実に接着される。さらに、追加のフィラメント巻き付け複合材樹脂ストランドは、
図6に示される容器を覆うさらに別の複合材シェルを形成するために、ドームキャップ34及び圧力容器30の上に配置され得る。
【0024】
図7は、説明される装置20と共に使用するのに適したワインディングマシン40の斜視図である。通常、ワインディングマシン40は、回転軸39上で圧力容器30を支持するように構成されるフレーム46を備える。ワインディングマシン40は、さらに、圧力容器30のドーム端部28上にフィラメントバンド26を形成するために、ワインドアイ32を支持するキャリッジ52の往復直線運動、回転軸39の回転、及び樹脂含浸フィラメント材料を敷く速度及び体積に関する命令を受け取るためのユーザインタフェース50に操作可能に接続されるコントローラ48を備える。これにより、フィラメントバンド26の様々なパターン及び構造特性は、命令を受けて、設計及び要求されたように形成され得る。
図11、14及び15に示されるように、ワインディングマシン40は、装置20の構成要素を支持するために、フレーム46の追加部材で変形される。
【0025】
開示される安定装置20は、圧力容器30の回転に伴って移動するベルト24を使用することで、容器表面に圧力を加え、ワインドアイ32の経路の局所的な往復運動が、繊維を、例えばフィラメントバンド26の形態で堆積させることを可能にするとともに、繊維が容器表面から滑ることを防止する。このような安定装置は、示されるものとは異なる数のローラ、支持装置、及び運動機構を使用して、多くの異なる形態を取り得る。
図9~19Bは、ワインディングマシン40と共に用いる安定装置20の例示的な実施形態を示し、さらに、ピボットジョイント58で、それぞれの位置決めアクチュエータ56と接続されるアーム54を備える。
図9に示されるような例示的な構成において、エンドレスベルト24の内側層は、圧力容器30の外表面に接触し、隙間空間44に近接するローラ22の周りに巻き付く。エンドレスベルト24の外側層は、ローラ60によって支持アーム54に保持される。
【0026】
この構成により、エンドレスベルト24の一部は、圧力容器30の直径の周りに延在し、一方、別のより長い長さの部分は、ローラ22の周りに、並びに支持アーム54に、及びそれらの間に延在する。安定装置20のこの構造により、圧力容器30の周りの、且つそれに接触するベルト24の有効長さは、様々な態様で調整され得る。ベルト24の内側層の下でフィラメントバンド26の厚さが増大するときに、このような調整が、圧力容器の直径の変化に対応するために用いられ得る。追加的に、または代替的に、圧力容器30の周りの、且つそれに接触するベルト24の有効長さは、その上にドーム補強フィラメントを受け入れるためにワインディングマシン40に配置される圧力容器の様々な直径に対応するために調整され得る。
図16A~19Bは、装置20が、様々なサイズの圧力容器30の周りの有効ベルト長さの調整機能をもたらし得る4つの異なる方法を示す。これらの実施形態の全ての構造は、装置20が圧力容器30を越えて延在する構成に関連して説明されると理解されよう。これらの構成のそれぞれについて具体的には説明されないが、装置は、
図12~14に示されるように、圧力容器30から後退可能である。
【0027】
第1調整装置が、
図16A及び16Bに示され、より小さな直径の圧力容器30のための構成は、
図16Aを参照して説明され、より大きな直径の圧力容器30に関する構成は、
図16Bに示される構造と関連して示される。
図16Aは、
図10と非常に類似しており、それゆえに、
図10の説明が適用される。
図16Bは、ローラ60の間のベルト24の長さを短縮するために伸長した位置にある位置決めアクチュエータ56を示す。それゆえに、ベルト24の増加した長さが、より大型の圧力容器30の周りに巻き付き得る。
【0028】
第2調整装置が、
図17A及び17Bに示され、より小さな直径の圧力容器30のための構成は、
図17Aを参照して説明され、より大きな直径の圧力容器30に関する構成は、
図17Bに示される構造と関連して示される。
図17Aは、ローラ60の軸74が、チャネル62のスロット72内に摺動可能に収容される構成を示す。
図17Bに示されるように、より大きな直径の圧力容器30に対応するために、ローラ60は、圧力容器30の周りに巻き付けられるベルト24の有効長さを増加させるために、チャネル62内の別の点に摺動する。具体的には示されないが、そのようなローラの運動は、油圧及び/または空気圧シリンダの追加のセットによって支援され得、それによって制御され得る。
【0029】
第3調整装置が、
図18A及び18Bに示され、より小さな直径の圧力容器30のための構成は、
図18Aを参照して説明され、より大きな直径の圧力容器30に関する構成は、
図18Bに示される構造と関連して示される。
図18A及び18Bにおいて、支持アーム54は、相互に摺動し、伸縮するアーム部54a及び54bを有する2部品構成で設けられる。
図18Aは、より小型の圧力容器30と共に装置20を示す。圧力容器30を取り囲むベルト24の長さが比較的短いので、アクチュエータ76は、ローラ24とローラ60との間の距離を増加させるために伸長させられる。支持アーム54のより長い有効長さは、アーム部54bをアーム部54aに沿って摺動させることによって達成される。図示される実施形態において、各アクチュエータ76の端部は、それぞれ支持アーム部54a及び54bに取り付けられる。
図18Bにおいて、アクチュエータ56は、より短いアーム54に対応するために伸長させられる。
【0030】
第4調整装置が、
図19A及び19Bに示され、より小さな直径の圧力容器30のための構成は、
図19Aを参照して説明され、より大きな直径の圧力容器30に関する構成は、
図19Bに示される構造と関連して示される。
図19A及び19Bは、ローラ60の間にわたるベルト24の一部の上にある追加ローラ78を用いる装置を示す。
図19Aに示されるように、ローラ60の間のベルト24の有効長さが、アクチュエータ80の後退によって増加する。
図19Bに示されるように、アクチュエータ80は伸長し、ローラ60の間のベルト24の長さを短縮させ、より大型の圧力容器30の周りのベルト24の有効長さを増加させる。
【0031】
図12~14は、後退した構成の装置20を示し、ローラ22は、
図2に描写される方向64に、圧力容器30から引き上げられる。説明される構成要素の図が不明瞭になることを防止するために、いくつかの描画図においては示されないが、位置決めアクチュエータ56のそれぞれの端部66は、フレーム46または変形されたワインディングマシン40の別の支持部に枢動可能に取り付けられる。例示的な実施形態において、位置決めアクチュエータ56は、例えば、電子機器、または油圧もしくは空気圧流体の使用を含む手段によって駆動し得る伸縮可能なシリンダである。
図12~14に示されるように、位置決めアクチュエータ56が伸長するとき、ローラ22及びベルト24は、圧力容器30から離れるよう後退させられる。例示的な実施形態において、この構成の変化は、フレーム46との連結部における位置決めアクチュエータ56の端部66の枢動、及び位置決めアクチュエータ56の反対側のピボットジョイント58における支持アーム54の枢動によって引き起こされる。
図12~14に示される安定装置20のこの後退した位置は、ワインディングマシン40内での圧力容器30の挿入、取り外し、及び他の位置調整を可能にする。
【0032】
図9~11に示される延出した装置20と、
図12~14に示される後退した装置20との間の位置の変更は、コントローラ48によって実行されるソフトウェアに自動的に影響され得、且つ/またはユーザインタフェース50へのユーザ入力によって手動で制御され得る。具体的には図示されないが、あらゆるユーザインタフェースが用いられてもよく、そのようなものは、例えば、キーボード、モニタ、タッチスクリーン、ノブ、ボタン、またはレバーを含む。
【0033】
図9~11に示されるように、装置20の例示的な実施形態において、エンドレスベルト24の内側層が、圧力容器30の外周の一部に接触するように、ローラ22が延出するとき、アーム54は、接触ローラ22における一対のアーム54の間の距離が、圧力容器30に接触しないローラ60に近接する一対のアーム54の間の距離よりも短くなるように、傾けられる。追加的に、例示的な実施形態において、
図11に示されるように、接触ローラ22に近接する一対のアーム54の間の距離は、フレーム46に近接する一対のアーム54の間の距離よりも短い。
【0034】
このようにして、隙間空間44は、キャリッジ52の運動を介してワインドアイ32の左右の直線運動を可能にするのに十分な比較的短い距離で維持される。この構成は、エンドレスベルト24の内側層を、圧力容器30の外周の過半の大部分と接触させて配置する。こうして、圧力容器表面上に敷かれたフィラメントバンド26上のローラ22及びベルト24によって圧力が維持されることで、樹脂含浸フィラメントを圧力容器表面上に押圧し、フィラメントバンド26と、下にある圧力容器表面及び下にあるフィラメントバンドと、の間の接着を容易にする。加圧ベルト24を、エンドレスベルトとしてローラ22(及び、いくつかの実施形態においては、ローラ60も)の周りに設けることによって、ベルト表面は、圧力容器30が回転軸38を中心に回転するにつれて、圧力容器30と共にローラ22、60の周りを移動する。そのため、下にある圧力容器表面またはフィラメントバンド26上のベルト24の接触点に相対運動は存在しない。従って、加圧ベルト24と、下にあるフィラメントバンド26または圧力容器30の表面との間に少しの滑りもなく、圧力容器30及び新たに堆積したフィラメントバンド26に均一な圧迫が加えられる。
【0035】
ベルト24と、下にある圧力容器30のライナまたは複合材シェルとの間の滑りは、フィラメントバンド26の複合材を変位させることがあり、材料の強度を損なう場合がある。そのため、ベルト24は、下にある容器30のライナまたは複合材シェルとの接触圧力を比較的高いレベルに保つために張力下で維持される。高い接触圧力はまた、ワインディングバンド26が張力で引き離れるとき、フィラメントバンド26の端部が、ベルト24の下から引き出されることを防止するのに役立つ。容器30に接触するベルト24の有効長さ、及びその圧力付与は、装置20が容器30の周りにどのように配置されるかによって選択される。一実施形態において、全てのローラ22、60は、フリーホイール(駆動されない)状態であり、回転する容器30が、システムに対して駆動回転力を供給するであろう。代替的な実施形態において、ローラ22は、下にある容器30のライナまたは複合材シェルと接触する領域においてベルト24にさらなる張力を生じさせるために、わずかに異なる速度で駆動されて、回転され得る。
【0036】
ベルト24及びローラ22による一定の圧力付与は、可動部分をほとんど有しない製造の容易性及び信頼性をもたらす。安定装置20は、ワインディングマシン40のワインドアイ32が左右に横断しているとき、この一定の延出した位置に留まり、一方で圧力容器30は、
図5に示されるドーム補強パターンを形成するために回転軸38を中心に、回転方向36に同時に回転し、このことは結果として、
図6に示される閉じられたパターンのドームキャップ34をもたらす。
図9~14に示されるように、ローラ22及びベルト24は圧力容器30に対向する位置に、またその位置から移動可能である。ドームキャップ34の形成が完了した後、安定装置20は、
図2に図示されるように、例えば、ローラ22及び取付ベルト24の方向64への後退によって、圧力容器30から取り外され得る。
【0037】
図12~14に示されるような例示的な後退した構成において、支持アーム54は、ほぼ垂直な配置で互いに直線的に整列する。この後退は、取付ローラ22及びベルト24を、圧力容器30の表面から遠ざける。こうして、ワインディングマシン40に対する圧力容器30の位置は、圧力容器30のワインディングマシン40からの取り外しを含めて調整され得る。圧力容器30のドーム端部28を補強する例示的な方法において、一方のドームキャップ34の形成の後、圧力容器30は向きを変えられることで、その他方のドーム端部28が、ワインドアイ32によって堆積されるフィラメントバンド26をその上に受け入れるように配置される。そうして、例示的な完成した圧力容器30は、圧力容器30の2つの対向する端部28のそれぞれにドームキャップ34を有することとなる。別の方法において、ワインドアイキャリッジ52及び装置20は両方とも、容器がマシン40内で再配置される必要がないように、圧力容器30の第2端部28に移動させられる。
図12~14は、
図16A~16Bの調整装置を図示するが、
図17A~17B、18A~18B、または19A~19Bの調整装置は、後退した構成において、支持アーム54がほぼ垂直な配置で互いに直線的に整列するように構成され得る。
【0038】
図15は、安定装置20を支持するように変形された、例示的なワインディングマシン40の上面図であり、これは、
図9~11において図示される延出した位置で示される。キャリッジ52上のワインドアイ32は左右に(方向68に)横断することで、フィラメントバンド26を、例えば
図1~5に示されるような低角度のらせん状のワインディングパターンで圧力容器30上に堆積させる。1つの実施形態において、安定装置20は、これもまた方向68に移動するために、例えばピボット端部66で別のキャリッジに取り付けられ得る。それゆえに、圧力容器30の長さに沿った加圧ベルト24の位置は、圧力容器30のサイズ、及びそのドーム端部28の構成に応じて調整され得る。
【0039】
アセンブリ及び方法の例示的な、限定されない実施形態が説明される。例えば、アセンブリは、外周と長さを有する容器30上にフィラメントワインディング26を形成するためのシステムにおける使用のために構成され、アセンブリは、エンドレスベルト24と、第1及び第2ローラ22とを備える。エンドレスベルト24は、容器30の外表面上に配置されるフィラメントワインディング26に接触し、圧力を付与するために、容器30の外周の周りに部分的に巻き付くように構成される。エンドレスベルト24は、第1及び第2ローラ22の周りを移動する。空間44が第1ローラ22と第2ローラ22との間に設けられ、容器30の長さに沿って往復運動68で移動するように構成される、システムのフィラメントワインドアイ32の通過を可能にする。
【0040】
例示的な実施形態において、エンドレスベルト24は、第3及び第4ローラ60の周りを移動する。例示的な実施形態において、第1ローラ22及び第3ローラ60は、システムのフレーム46に接続するように構成される第1アーム54に取り付けられる。さらに、第2ローラ22及び第4ローラ60は、フレーム46に接続するように構成される第2アーム54に取り付けられる。例示的な実施形態において、第1アーム54は、第3ローラ60がそれに沿って転動するように構成されるチャネル62を有する。
【0041】
例示的な実施形態において、第1アーム54は、第1ローラ22に取り付けられ、且つシステムのフレーム46に接続するように構成され、第2アーム54は、第2ローラ22に取り付けられ、且つフレーム46に接続するように構成される。例示的な実施形態において、第1の伸縮可能なアクチュエータ56は、第1アーム54とフレーム46との間に配置され、第2の伸縮可能なアクチュエータ56は、第2アーム54とフレーム46との間に配置される。例示的な実施形態において、第1の伸縮可能なアクチュエータ56は、第1アーム54に枢動可能に取り付けられ、第2の伸縮可能なアクチュエータ56は、第2アーム54に枢動可能に取り付けられる。例示的な実施形態において、第1の伸縮可能なアクチュエータ56は、フレーム46に枢動可能に取り付けられ、第2の伸縮可能なアクチュエータ56は、フレーム46に枢動可能に取り付けられる。
【0042】
例示的な実施形態において、第1及び第2アーム54は、
図9~11及び15に示される第1構成と、
図12~14に示される第2構成との間で移動可能である。第1構成において、第1及び第2ローラ22は、エンドレスベルト24を、容器30の外表面及びその上に配置されるフィラメントワインディング26に接触するように配置する。第2構成において、第1及び第2ローラ22は、エンドレスベルト24を、容器30の外表面及びその上に配置されるフィラメントワインディング26との接触から外す。例示的な実施形態において、第1構成では、第1及び第2ローラ22に近接する第1アーム54と第2アーム54との間の距離は、フレーム46に近接する第1アーム54と第2アーム54との間の距離よりも短い。例示的な実施形態において、第2構成では、第1及び第2アーム54は、同一線上に整列する。
【0043】
例示的な実施形態において、外周及び長さを有する容器30上にフィラメントワインディングを形成するためのマシン40を用いる方法が説明される。例示的な実施形態において、本方法は、回転軸39を中心として容器30を回転させることと、容器30の外表面上にフィラメントワインディング26を堆積させる間に容器30の長さに沿ってフィラメントワインドアイ32を往復運動68で移動させることと、フィラメントワインディング26に接触し、圧力を付与するために、エンドレスベルトアセンブリ22,24を容器30の外周の周りに部分的に巻き付けることと、を含む。例示的な実施形態において、容器30の外表面において、アセンブリ22,24に空間44が設けられることで、フィラメントワインドアイ32の通過を可能にする。
【0044】
例示的な実施形態において、本方法は、ベルト24がその周りを移動する第1及び第2ローラ22の周りに、エンドレスベルトアセンブリのベルト24を延在させることを含む。例示的な実施形態において、エンドレスベルトアセンブリを容器30の外周の周りに部分的に巻き付けることは、第1ローラ22に取り付けられる第1アーム54を、マシン40のフレーム46から延出させることと、第2ローラ22に取り付けられる第2アーム54を、マシン40のフレーム46から延出させることと、を含む。例示的な実施形態において、本方法は、ベルト24を、容器30の外表面及びその上に配置されるフィラメントワインディング26との接触から外すために、第1及び第2アーム54を後退させることを含む。例示的な実施形態において、第1アーム54を後退させることは、第1アーム54と、マシン40のフレーム46とに枢動可能に接続されるシリンダ56を伸長させることを含む。
【0045】
例示的な実施形態において、本方法は、フィラメントワインディング26と接触する容器30の外周の周りの第1ローラ22と第2ローラ22との間のベルト24の有効長さを変更することを含む。例示的な実施形態において、本方法は、エンドレスベルト24がその周りを移動する第3及び第4ローラ60の周りにベルト24を延在させることを含む。例示的な実施形態において、第1ローラ22と第2ローラ22との間のベルト24の有効長さを変更することは、第3ローラ60を第1アーム54に沿って移動させることを含む。
【0046】
本開示の主題が、いくつかの実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。さらに、1つの実施形態に関して開示されるあらゆる特徴は、別の実施形態に含まれてもよく、その逆もまた同様である。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
第3調整装置が、
図18A及び18Bに示され、より小さな直径の圧力容器30のための構成は、
図18Aを参照して説明され、より大きな直径の圧力容器30に関する構成は、
図18Bに示される構造と関連して示される。
図18A及び18Bにおいて、支持アーム54は、相互に摺動し、伸縮するアーム部54a及び54bを有する2部品構成で設けられる。
図18Aは、より小型の圧力容器30と共に装置20を示す。圧力容器30を取り囲むベルト24の長さが比較的短いので、アクチュエータ76は、ローラ2
2とローラ60との間の距離を増加させるために伸長させられる。支持アーム54のより長い有効長さは、アーム部54bをアーム部54aに沿って摺動させることによって達成される。図示される実施形態において、各アクチュエータ76の端部は、それぞれ支持アーム部54a及び54bに取り付けられる。
図18Bにおいて、アクチュエータ56は、より短いアーム54に対応するために伸長させられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
このようにして、隙間空間44は、キャリッジ52の運動を介してワインドアイ32の左右の直線運動を可能にするのに十分な比較的短い距離で維持される。この構成は、エンドレスベルト24の内側層を、圧力容器30の外周の過半の大部分と接触させて配置する。こうして、圧力容器表面上に敷かれたフィラメントバンド26上のローラ22及びベルト24によって圧力が維持されることで、樹脂含浸フィラメントを圧力容器表面上に押圧し、フィラメントバンド26と、下にある圧力容器表面及び下にあるフィラメントバンドと、の間の接着を容易にする。加圧ベルト24を、エンドレスベルトとしてローラ22(及び、いくつかの実施形態においては、ローラ60も)の周りに設けることによって、ベルト表面は、圧力容器30が回転軸39を中心に回転するにつれて、圧力容器30と共にローラ22、60の周りを移動する。そのため、下にある圧力容器表面またはフィラメントバンド26上のベルト24の接触点に相対運動は存在しない。従って、加圧ベルト24と、下にあるフィラメントバンド26または圧力容器30の表面との間に少しの滑りもなく、圧力容器30及び新たに堆積したフィラメントバンド26に均一な圧迫が加えられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
ベルト24及びローラ22による一定の圧力付与は、可動部分をほとんど有しない製造の容易性及び信頼性をもたらす。安定装置20は、ワインディングマシン40のワインドアイ32が左右に横断しているとき、この一定の延出した位置に留まり、一方で圧力容器30は、
図5に示されるドーム補強パターンを形成するために回転軸3
9を中心に、回転方向36に同時に回転し、このことは結果として、
図6に示される閉じられたパターンのドームキャップ34をもたらす。
図9~14に示されるように、ローラ22及びベルト24は圧力容器30に対向する位置に、またその位置から移動可能である。ドームキャップ34の形成が完了した後、安定装置20は、
図2に図示されるように、例えば、ローラ22及び取付ベルト24の方向64への後退によって、圧力容器30から取り外され得る。
【国際調査報告】