(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】美白及びシワ改善用化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20241226BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241226BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q19/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538673
(86)(22)【出願日】2023-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2023007307
(87)【国際公開番号】W WO2024005381
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0081340
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524238682
【氏名又は名称】ダームストーリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DERMSTORY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】A-1608, 17, Gosan-ro 148beon-gil, Gunpo-si, Gyeonggi-do 15850, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,スルヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ナウン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ,ビョン キ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB051
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC332
4C083AC442
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD641
4C083AD642
4C083BB01
4C083BB21
4C083BB44
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC19
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD33
4C083DD41
4C083DD47
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE16
4C083EE17
(57)【要約】
本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、高含量のビタミンCを多量の水分環境で効果的に安定化させ得る化粧料組成物であって、水中油剤型からなり、屈折率が1.35~1.46であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油剤型からなり、
屈折率が1.35~1.46であることを特徴とする、美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項2】
前記美白及びシワ改善用化粧料組成物は、油相部、水相部及び界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項3】
前記油相部は、
カルボン酸基を有するエモリエント;
吸油性粉体;及び
シリコーンオイルを含むことを特徴とする、請求項2に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項4】
前記水相部は、
水;
ビタミンC;
ポリオール;及び
PH調節剤を含むことを特徴とする、請求項2に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項5】
前記水は、前記化粧料組成物の総重量に対して35重量%以上で含まれることを特徴とする、請求項4に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項6】
前記ビタミンCは、前記化粧料組成物の総重量に対して2~30重量%で含まれることを特徴とする、請求項4に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項7】
前記ポリオールは、前記化粧料組成物の総重量に対して3~30重量%で含有されることを特徴とする、請求項4に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤は、前記化粧料組成物の総重量に対して0.1~5.0重量%で含まれることを特徴とする、請求項2に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項9】
前記美白及びシワ改善用化粧料組成物は、3.2~4.0pHを有することを特徴とする、請求項1に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【請求項10】
前記美白及びシワ改善用化粧料組成物は、アンプル、エッセンス、柔軟化粧水、栄養化粧水、トナー、マスクパック、クリーム、ローション、ゲル、軟膏、パッチ、並びに、噴霧剤、ミスト、サンクリームからなる群より選択される剤形であることを特徴とする、請求項1に記載の美白及びシワ改善用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美白及びシワ改善用化粧料組成物に関し、具体的に、高含量のビタミンCが含有された水中油(O/W)剤型の美白及びシワ改善用化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚が紫外線に露出されると、ヒトの皮膚色を決定するメラニン(Melanin)が合成され皮膚表面に放出されて、シミ、ソバカス、ホクロなどといった過色素沈着症を誘発して美容上良くない結果をもたらすことになる。メラニンは、細胞内のチロシン(tyrosine)を基質として、チロシナーゼ(tyrosinase)という酵素がドーパキノン(dopaquinone)を生成させるのであって、ドーパキノンから自動酸化反応と酵素反応を経て、共重合体であるメラニンが生成される。したがって、メラニンの生成過程中の一部の反応を阻害してメラニン合成を減少させることで、皮膚色が黒くなることを防止し、シミ、ソバカスなどの生成を予防することができる。このように合成過程を阻害することが知られている代表的な美白原料としては、コウジ酸、アルブチン、ビタミンCなどがある。
【0003】
ビタミンCは、γラクトン構造を有している化合物であって、不安定なので、空気、特に酸素と、熱、光などの外部環境に敏感に反応して、酸化により容易に分解されるという問題点がある。ビタミンCの酸化反応は、概して、連続的な二つの電子転移過程(electron transfer process)であって、水素イオンの解離により、ビタミンCの酸化中間体(intermediate)であるジヒドロアスコルベートラジカルが作られるのであり、これは、反応性が豊かで、それ自体が2分子で反応して1分子のビタミンCとジヒドロアスコルビン酸を生成することが知られている。このようなビタミンCは、非水溶液中では極少量が溶解する一方、水溶液中では多くの量が溶解するのであるが、速い酸化作用により、十分な量のビタミンCが安定化し得ないので、医薬、食品、化粧品などでは、活性物質(active ingredient)として少量のビタミンCのみが使用可能であると報告されている。
【0004】
これを解決するために、ビタミンCを剤型内で、水ではない多量のポリオールに分散させる形態の剤型が開発されたが、多量のポリオールにビタミンCを分散することになると、剤型がべたつき、肌ヨレ現象があるだけでなく、ビタミンCが剤型内でとけないため美白効果が落ちるという問題があった。
【0005】
そのため、多量の水分環境でも、高濃度のビタミンCが安定化され得る化粧料組成物に対する技術開発が要求される。
【0006】
一方、上述した背景技術は、必ずしも、本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-2350285号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施例は、高含量のビタミンCを多量の水分環境で効果的に安定化させ得る化粧料組成物を提供することに目的がある。
【0009】
また、本発明の一実施例は、使用感が改善され、老化防止効果及び美白効果がある化粧料組成物を提供することに目的がある。
【0010】
上述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、水中油剤型からなり、屈折率が1.35~1.46であることを特徴とする。
【0011】
例えば、美白及びシワ改善用の化粧料組成物は、油相部、水相部及び界面活性剤を含むことを特徴とすることができる。
【0012】
例えば、油相部は、カルボン酸基を有するエモリエント、吸油性粉体、及びシリコーンオイルを含むことを特徴とすることができる。
【0013】
例えば、水相部は、水、ビタミンC、ポリオール及びpH調節剤を含むことを特徴とすることができる。
【0014】
例えば、水は、化粧料組成物の総重量に対して35重量%以上で含まれることを特徴とすることができる。
【0015】
例えば、ビタミンCは、化粧料組成物の総重量に対して2~30重量%で含まれることを特徴とすることができる。
【0016】
例えば、ポリオールは、化粧料組成物の総重量に対して3~30重量%で含有されることを特徴とすることができる。
【0017】
例えば、界面活性剤は、化粧料組成物の総重量に対して0.1~5.0重量%で含まれることを特徴とすることができる。
【0018】
例えば、美白及びシワ改善用の化粧料組成物は、3.2~4.0pHを有することを特徴とすることができる。
【0019】
例えば、美白及びシワ改善用の化粧料組成物は、アンプル、エッセンス、柔軟化粧水、栄養化粧水、トナー、マスクパック、クリーム、ローション、ゲル、軟膏、パッチ及び噴霧剤、ミスト、サンクリームからなる群より選択された剤型であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施例によると、多量の水分中で、ビタミンCが酸化して分解されることを抑制でき、長期間の保管時にも剤型安定性を維持できる、美白及びシワ改善用化粧料組成物が提供され得る。
【0021】
本発明の一実施例によると、高温条件で長期間保管しても経時安定性を維持できる美白及びシワ改善用化粧料組成物が提供され得る。より具体的に、高温条件で長期間保管しても、ビタミンCが酸化して化粧料組成物が変色することを最小化することができる。
【0022】
本発明から得られる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及しなかった他の効果は、下の記載から、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者に明確に理解され得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者が容易に実施し得るように本発明の実施例を詳しく説明する。しかし、本発明は様々な相異なる形態で具現でき、ここで説明する実施例に限定されない。
【0024】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとの用語は、「直接的に連結」されている場合だけでなく、それらの間に他の構成を介在して「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」との用語は、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく他の構成要素をさらに具備できることを意味する。
【0025】
本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、老化防止及び美白効果を提供することができる。
【0026】
本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、水相部に油相部が分散された、水中油(Oil in water、O/W)剤型からなる。
【0027】
本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、水中油(O/W)剤型からなるので、使用感がしっとりして柔らかく、伸び性に優れている。
【0028】
本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、アンプル、エッセンス、柔軟化粧水、栄養化粧水、トナー、マスクパック、クリーム、ローション、ゲル、軟膏、パッチ、並びに、噴霧剤、ミスト、サンクリームなどに製造され得る。
【0029】
本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、油相部、水相部及び界面活性剤を含むことができる。
【0030】
本発明の一実施例による油相部は、カルボン酸基を有するエモリエント(emollient)、吸油性粉体及びシリコーンオイルを含むことができる。
【0031】
本発明の一実施例によるエモリエントは、ビタミンCが体内に効率的に吸収される環境を提供するために含まれ得る。具体的に、エモリエントは、ビタミンCが体内に吸収されるとき、溶媒の役目をする水分が蒸発しないように水分膜を形成することができる。したがって、多量のビタミンCは、体内に効率的に吸収され得る。
【0032】
本発明の一実施例によるエモリエントは、カルボン酸基を有し、例えば、ジカプリリルカーボネート(Dicaprylyl Carbonate)、PCAジメチコン、アモジメチコン(Amodimethicone)などが用いられ得る。
【0033】
本発明の一実施例による吸油性粉体は、化粧料組成物の油分が過度に発生することを防止するために含まれ得る。具体的に、吸油性粉体は、化粧料組成物の油分を吸収して、べたつく使用感を改善させ得る。
【0034】
吸油性粉体としては、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー(Vinyl dimethicone/methicone silsesquioxane crosspolymer)、ポリシリコーン-11(POLYSILICONE-11)、ポリシリコーン-13(POLYSILICONE-13)、ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサンクロスポリマー(Diphenyl dimethicone/vinyl diphenyl dimethicone/silsesquioxane crosspolymer)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(Dimethicone/vinyl dimethicone crosspolymer)、ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー(Dimethicone/phenyl vinyl dimethicone crosspolymer)、ポリメチルシルセスキオキサン(Polymethylsilsesquioxane)などが用いられ得る。
【0035】
本発明の一実施例によるシリコーンオイルは、化粧料組成物を体内に効果的に吸収させるために含まれ得る。具体的に、シリコーンオイルは、化粧料組成物に含まれた成分を皮膚内へ効果的に拡散させ得る。
【0036】
シリコーンオイルとしては、メチコン系シリコーンオイル、ジメチコン系シリコーンオイル、シクロメチコン系シリコーンオイル、フェニルトリメチコン系シリコーンオイルなどが用いられ得る。
【0037】
本発明の一実施例による水相部は、水、ビタミンC、ポリオール及びpH調節剤を含むことができる。
【0038】
本発明の一実施例による水は、ビタミンCが溶解され得る溶媒として使用するために含まれ得る。
【0039】
本発明の一実施例による水は、化粧料組成物の総重量に対して35重量%以上で含有され得る。
【0040】
もし、水が化粧料組成物の総重量に対して35重量%未満で含有される場合、水分含量が少ないため水分感が不十分であり得るのであり、剤型が過度にべたつくことがある。また、ビタミンCが十分に溶解されないため、化粧料組成物の老化防止効果及び美白効果が些細となり得る。
【0041】
本発明の一実施例によるビタミンCは、老化防止及び美白効果の機能をするために含有され得る。
【0042】
ビタミンC(Ascorbic acid)は、脂肪、炭水化物、タンパク質、無機質と共に5大栄養素に含まれる人体に重要な必須栄養素の中で一つであって、人体の免疫機能を高め、軟骨、毛細管、筋肉などの構成要素であるコラーゲン(Collagen)の生成を促進する。また、ビタミンCは、紫外線が皮膚に浸透して生ずる化学物質を破壊して皮膚損傷を防ぐ役目をする。それだけでなく、ビタミンCは、抗酸化剤として活性酸素の作用を抑制してシワを防止し、皮膚を健康に維持し、損傷された皮膚組織の治療を助けるのであり、アレルギー反応を起こすものとして知られているヒスタミン(Histamine)の形成、及び、老化過程中に皮膚を退色させるメラニン(Melanin)の形成を防ぐ。
【0043】
したがって、本発明の一実施例によるビタミンCは、化粧料組成物に含有されて老化防止及び美白効果を提供することができる。
【0044】
本発明のビタミンCは、合成アスコルビン酸(ascorbic acid)であって、具体的に、純粋ビタミンCに、糖や脂肪酸、エーテル基など化学成分が結合されたものであって、体内で酵素により純粋ビタミンCに転換され得る。
【0045】
例えば、ビタミンCは、リン酸アスコルビルナトリウム(Sodium ascorbylphosphate;SAP)、リン酸アスコルビルマグネシウム(Magnesium ascorbylphosphate;MAP)、リン酸アスコルビルカルシウム(Calsium ascorbylphosphate)、アスコルビン酸ポリペプチド(Ascorbic acid polypeptide)、エチルアスコルビルエーテル(Ethyl ascorbyl ether)、アスコルビルジパルミテート(Ascorbyl dipalmitate)、アスコルビルパルミテート(Ascorbyl palmitate)、アスコルビルステアレート(Ascorbyl stearate)、アスコルビルグルコシド(Ascorbyl glucoside)、アスコルビルエチルシラノールペクチン(Ascorbyl ethylsilanol pectinate)などが用いられ得る。
【0046】
本発明の一実施例によるビタミンCは、化粧料組成物の総重量に対して2~30重量%で含有され得る。
【0047】
もし、ビタミンCが化粧料組成物の総重量に対して2重量%未満で含有される場合、ビタミンCの量が少ないため化粧料組成物の老化防止効果及び美白効果が些細であり得る。反対に、ビタミンCが化粧料組成物の総重量に対して30重量%を超過して含有される場合、ビタミンCの剤型内の含有量が飽和してビタミンCによる化粧料組成物の機能性向上効果が30重量%以下で含有された場合に比して大きくないことがある。
【0048】
本発明の一実施例によるポリオールは、ビタミンCを安定化させるために含まれ得る。
【0049】
本発明の一実施例によるポリオールとしては、グリセリン、プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ブチレングリコール、カプリリルグリコール(Caprylyl Glycol; 1,2-Octanediol)などが用いられ得る。
【0050】
本発明の一実施例によるポリオールは、化粧料組成物の総重量に対して3~30重量%で含まれ得る。
【0051】
もし、ポリオールが化粧料組成物の総重量に対して3重量%未満で含有される場合、ビタミンCが安定化されず容易に酸化して分解され得る。反対に、ポリオールが化粧料組成物の総重量に対して30重量%を超過して含有される場合、化粧料組成物の剤型がべたつき、皮膚上でのヨレが生じて使用感が落ちるのでありうる。
【0052】
本発明の一実施例によるpH調節剤は、ビタミンCが一層安定化されるように水相部のpHを調節するために含有され得る。
【0053】
pH調節剤としては、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、グリコール酸、マロン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、アスパラギン酸、マレイン酸、グルタル酸、グルタミン酸、グルコン酸、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸、トリエタノールアミン、アルギニン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが用いられ得る。
【0054】
本発明の一実施例による界面活性剤は、水相部と油相部とを均一に混ぜるために含まれ得る。
【0055】
界面活性剤としては、疎水性非イオン界面活性剤又は親水性非イオン界面活性剤などが用いられ得る。疎水性非イオン界面活性剤としては、ラウリルポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-10ジメチコンなどが用いられ得る。親水性非イオン界面活性剤としては、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60及びポリソルベート80のポリソルベート物質が用いられ得る。
【0056】
本発明の一実施例による界面活性剤は、化粧料組成物の総重量に対して0.1~5重量%で含まれ得る。
【0057】
もし、界面活性剤が、化粧料組成物の総重量に対して0.1重量%未満で含有される場合、水相部と油相部とがよく混ざらず、二つの物質の間で層分離が起こり得る。反対に、界面活性剤が化粧料組成物の総重量に対して5重量%超過で含有される場合、皮膚を乾燥させたり皮膚に刺激を与えたりし得る。
【0058】
本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、ビタミンCが皮膚内に吸収されるための、最適化された酸度を有することができる。具体的に、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、3.2~4.0のpHを有することができる。
【0059】
もし、美白及びシワ改善用化粧料組成物のpHが3.2未満である場合、非常に強い酸度により皮膚に刺激となり得る。反対に、美白及びシワ改善用化粧料組成物のpHが4.0超過である場合、アスコルビン酸が、アスコルビン酸塩の形態へと平衡が移動して、還元された形態であるアスコルビン酸の含量が減ることで抗酸化効果が低下しうる。
【0060】
また、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、ビタミンCが多量の水中で安定化し得る屈折率を有する。具体的に、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、1.35~1.46の屈折率を有する。
【0061】
本発明の発明者らは、油相部、水相部及び界面活性剤を含む、水中油剤型の美白及びシワ改善用化粧料組成物の屈折率が特殊な範囲に該当する場合、多量の水分内でもビタミンCの剤型安定性を誘導することで、長期間保管時にも活性が低下しないことを発見した。
【0062】
これは、ビタミンCを含む化粧料組成物の屈折率が、水相部の屈折率と油相部の屈折率との間の範囲にマッチングされることによって、ビタミンCの光分解酸化反応を抑制することに起因したものと思慮される。特に、このような光分解酸化反応は、低いpH(例えば、pH4.0以下)でさらによく誘導され得るのであり、それによって、pH3.2~4.0範囲にてビタミンCを含む化粧料組成物の剤型安定性を向上させることは難しい技術的課題である。しかし、本発明の美白及びシワ改善用化粧料組成物は、その屈折率について、油相部と水相部との間の屈折率に制御することによって、光の屈折、散乱による光分解酸化反応を抑制することができ、低いpH範囲内でも優れた剤型安定性を提供することができる。
【0063】
また、本発明の美白及びシワ改善用化粧料組成物は、多量の水中にてビタミンCが安定化しているため、体内に效果的に吸収されて、老化防止及び美白の効果を提供することができる。
【0064】
<発明の実施のための形態>
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
【0065】
本発明の発明者らは、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物についての、屈折率と、ビタミンCに対する経時安定性との相関関係を調べるために次のような実験を実施した。
【0066】
まず、化粧料組成物に含まれる成分の含量を、それぞれ相異なるようにして、実施例1~12及び比較例1~5を製造した。
【0067】
具体的に、本発明の実施例1~12は、表1のような成分及び含量で製造した。
【0068】
【0069】
比較例1~5は、表2のような成分及び含量で製造した。
【0070】
【0071】
表1及び表2を参照すると、油相部のシリコーンオイルとしては、ジメチコンが用いられ、カルボン酸を有するモリエントとしては、ジカプリリルカーボネートが用いられた。
【0072】
また、水相部のポリオールとしては、グリセリンが用いられ、pH調節剤としては、水酸化ナトリウムが用いられた。
【0073】
実施例1~12及び比較例1~5の製造を完了した後、それぞれの組成物の屈折率を測定した。この際、屈折率は、Reichert AD200デジタル屈折計を利用し20℃で試料を積み置きして測定したのであり、3回繰り返し測定した後に、平均値を求めた。測定結果は、下記表3に示した。
【0074】
【0075】
表3を参照すると、実施例1~12は、1.35~1.46の屈折率を有することを確認することができる。それと異なり、比較例1~5は、1.35~1.46から外れた範囲の屈折率を有することを確認することができる。
【0076】
次に、実施例1~12及び比較例1~5の化粧料組成物30mlを、インキュベーターにて50℃にセッティングして保管した後、時間に応じたビタミンCの含量分析、及び変色の有無を、表4のように確認した。
【0077】
【0078】
表4を参照すると、実施例1~12の場合、4週経過時にも変色が発生しなかったことを確認することができる。それと反対に、比較例1~5は、4週経過時、変色が発生したことを確認することができる。
【0079】
また、実施例1~12の場合、長期間保管時に、ビタミンCの力価減少が少ないことを確認することができた。
【0080】
具体的に、実施例1~12は、2週経過時にもビタミンCの含量が3.0%以下で減少したことを確認することができた。
【0081】
それと反対に、比較例1~5は、2週間経過時に、ビタミンCの含量が7.5%以上減少したことを確認することができた。
【0082】
また、実施例1~12の場合、4週経過時にもビタミンCの力価減少が少なかった。具体的に、実施例1~12は、4週経過時にもビタミンCの含量が5.9%以下で減少した。
【0083】
それとは反対に、比較例1~5の場合、4週経過時にビタミンCの含量が18.8%以上減少したことを確認することができた。
【0084】
これを通じて、実施例1~12は、1.35~1.46の屈折率を有するので、ビタミンCが酸化して分解されることが抑制され、それによって、長期間保管時にもビタミンCの力価減少が最小化されることを確認することができた。
【0085】
また、実施例1~12は、1.35~1.46の屈折率を有するので、ビタミンCが酸化して化粧料組成物が変色されることが最小化されることを確認することができた。
【0086】
それとは反対に、比較例1~5の場合、1.35~1.46から外れた範囲の屈折率を有するので、ビタミンCが酸化して分解され、それによって、長期間保管時、ビタミンCの力価減少が最小化されることを防げず、変色を防止できないことを確認することができた。
【0087】
すなわち、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、1.35~1.46の屈折率を有するので、光によりビタミンC及び水が光分解されてビタミンCが酸化することを防止し得ることが分かる。
【0088】
特に、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、3.2~4.0範囲の低いpHでも優れた剤型安定性及び経時安定性を維持することができる。具体的に、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、長期間にわたって保管しても、ビタミンCの含量が減少することを最小化することができ、化粧料組成物が変色されることを防止することができる。
【0089】
また、本発明の一実施例による美白及びシワ改善用化粧料組成物は、高含量の水分及びビタミンCを含有するので、しっとりして伸び性に優れており、老化防止効果及び美白効果に優れた化粧料組成物を提供することができる。
【0090】
本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示されるであり、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、美白及びシワ改善用化粧料組成物に関するもので、化粧料組成物が適用される様々な産業分野に利用可能である。例えば、化粧品、スキンケア、医療産業など多様な産業分野に用いられ得る。
【国際調査報告】