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特表2025-500554冷たい飲料水中の酸化還元電位値を低減させるための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】冷たい飲料水中の酸化還元電位値を低減させるための装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20241226BHJP
   C02F 1/68 20230101ALI20241226BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C02F1/68 510B
C02F1/68 520B
C02F1/68 530B
C02F1/68 540E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539029
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 IB2022058107
(87)【国際公開番号】W WO2023126697
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】P.439993
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524241615
【氏名又は名称】ウォーター ラボ スポレチノスト エス ルチェニム オメゼニム
【氏名又は名称原語表記】WATER Lab s.r.o
【住所又は居所原語表記】Olsanska 2898/4h Praha-Zizkov, Ceska Republika
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145218
【弁理士】
【氏名又は名称】川島 曉
(72)【発明者】
【氏名】グルチ,ミロスワフ
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA03
4D061DB08
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB04
4D061EB14
4D061EB18
4D061EB19
4D061EB20
4D061EB31
4D061EB39
4D061EB40
4D061FA12
4D061GA23
4D061GC12
4D061GC14
4D061GC16
(57)【要約】
本発明による冷飲料水の酸化還元電位値を低減させる装置は、入口ポート(2)および出口ポート(3)を備えたフロータンク(1)を備える。タンク(1)はクロムニッケル合金鋼で作られ、少なくとも99.95%の純マグネシウム含有量を有する高純度マグネシウム製のバー(6)を備えた少なくとも2つのカートリッジ(5)を備え、バー(6)は追加の開口部(7)を通ってタンク(1)の内部空間に延び、タンク(1)から絶縁されている。本装置は、さらに、制御ユニット(11)と一体化されたDC電源(10)からなるトリガーユニット(9)を備え、トリガーユニット(9)のプラス極はマグネシウムバー(6)に接続され、マイナス極はタンク(1)に接続される。本装置は、家庭の冷水飲料水システムに設置することができ、マグネシウムバーとタンクの電位差を利用して、人間の飲用に適したアルカリ水(pH 8~9.9)の範囲内で pH を変化させながら、継続的に酸化還元電位値を負の値に下げることができます。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷飲料水の酸化還元電位値を低減するための装置であって、入口ポート(2)および出口ポート(3)を備えたフロータンク(1)を備え、前記タンク(1)はクロムニッケル合金鋼で作られ、少なくとも99.95%の純マグネシウム含有量を有する高純度マグネシウム製のバー(6)を備えた少なくとも2つのカートリッジ(5)を備え、前記バー(6)が追加の開口部(7)を通って前記タンク(1)の内部空間に延び、前記タンク(1)から絶縁されていることを特徴とし、更に、前記装置は、制御ユニット(11)と一体化されたDC電源(10)で構成されるトリガーユニット(9)を備え、前記トリガーユニット(9)のプラス極はマグネシウムバー(6)に接続され、マイナス極は前記タンク(1)に接続される、装置。
【請求項2】
タンク(1)の容積は、2リットル~5リットルの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
マグネシウムバー(6)は、少なくとも99.98%のマグネシウム含有量を有する高純度マグネシウムから作製されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
3つのマグネシウムバー(6)を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記マグネシウムバー(6)を有する前記カートリッジ(5)は、前記タンク(1)に形成された追加の開口部(7)にねじ込まれるものであり、絶縁要素(8)は、前記カートリッジ(5)本体と前記マグネシウムバー(6)との間に挿入されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記DC電源(10)は、24Vから40V、より有利には30Vから40V、最も有利には36Vの電圧範囲内で動作するように構成され、電流範囲は350mAから1.5A、有利には350mAから950mA、より有利には500mAから950mA、最も有利には800mAで動作するように構成されることを特徴とする請求項1乃至5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
制御ユニット(11)は、クロックパルスのプログラム可能な発生器として設計されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
タンク内に設置され、タンクの外部に取り付けられたディスプレイに接続された酸化還元電位(ORP)センサーを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷たい飲料水中の酸化還元電位値の低減ための装置に関し、この装置は、飲料水の品質を改善するための家庭用途に特に適している。
【背景技術】
【0002】
家庭用水システムで利用可能な水は、都市ネットワークから供給され、人間による消費に適している。そのような水の品質パラメータは、酸化反応に入る水の傾向、すなわち電子を獲得または失うその能力を定義するいわゆる酸化還元電位を含む。正の還元(酸化還元)電位を有する水は、酸化特性を示す。正の酸化還元電位が高いほど、水の酸化効果が記録され、そのような水はフリーラジカルの存在によりヒト生物に有害である。他方、負の酸化還元電位を有する水は、ヒトの健康にとってより有益である。酸化還元電位の実際のレベルはミリボルト(mV)で表され、酸化還元電位(ORP)センサーで測定され、都市給水網から入手可能な飲料水の平均酸化還元電位は、+180mV~+180mVの範囲である。
【0003】
特許出願PL417820Aは、水中での酸化還元電位の低減方法を開示しており、ここで、+50mV~+250mVの酸化還元電位を有する水は、-75mV~-135mVの酸化還元電位に達するまで、グロー放電に予め曝露された水と混合され、混合水の割合は、0.1%~+10%の範囲であってもよい。さらに、本特許出願は、機能化水または飲料の製造のための成分として、グロー放電に供される水の使用を開示する。
【0004】
特許明細書US2004118775A1は、還元された酸化還元電位を有する水について言及しており、そのような水は、-180°C~-60°Cの温度に予め冷却されたガス状水素を溶解することによって生成され、0.5~500気圧の圧力で、0°C~50°Cの温度に冷却された水に供給される。
【0005】
初期水温および圧力が回復された後、-175mV以下の非常に低い酸化還元電位および中性pHと非常に類似しているがpH=9.0以下のpHを有する水を得ることが可能であった。還元電位が低減したこのような水は、ヒト生物に悪影響を及ぼさずに大量に日常的に、すなわち、飲用および調理のために、使用するのに適している。
【0006】
次に、特許文献US5797216Aは、水中の酸化還元電位を低減するための装置および方法を開示しており、ここでは、水質の改善が、処理のための水供給と、水体積への原子状水素の注入による水中の酸化還元電位の低減との段階をカバーしている。
【0007】
しかしながら、既に知られている装置および方法のいずれも、自治体の水供給ネットワークから家庭用途のために供給される飲料水中の酸化還元電位の迅速で容易かつ効率的な低減を可能にしない。
【0008】
さらに、特許明細書PL202453Bは、水処理、特に水消毒、その殺菌および微生物の根絶のための装置を開示している。この装置は、処理のために水が供給されるタンクと、タンク内に設けられた電極群とを備える。電極のグループは、言及された電極のグループに供給される電気パルスの外部発生器に接続される。50V未満の最大振幅および1kHz~5000kHzの範囲のパルス周波数を有する交番パルスの発生器には、低電圧電力が供給され、電気パルスの最大振幅、振幅分極、及びパルス波形のデューティファクタを、処理される水の導電率に応じて自動的に調整するように設計された制御装置が備えられる。タンク及びパルス発生器はコンパクトな構造を構成し、電極群は、ワイヤまたはバーの形態の少なくとも単一の電極を含み、または、代替として、タンク壁の内側に提供される伝導性コーティングとして設計される。本発明の一実施形態は、電極のグループがマグネシウム含有材料で作られていると仮定する。しかし、いずれにせよ、本装置は、水からの細菌の根絶のために設計され、処理される飲料水中の酸化還元電位の低減を意図するものでも適したものでもない。
【0009】
本発明の目的は、ユーザによる注意または任意の追加の保守を必要とせずに、負の酸化還元電位を有する水への実質的に中断されないアクセスを可能にするような単純な設計および動作原理による、冷たい飲料水中での酸化還元電位値の低減を意図し、家庭条件下での操作に適した装置を設計することである。
【0010】
本発明は、冷たい飲料水中の酸化還元電位値を低減させるための装置に関する。そのような装置は、入口ポートおよび出口ポートを有するフロータンクを含む。本発明の本質は、タンクがクロムおよびニッケル鋼製であり、少なくとも99.95%の純粋なマグネシウムの含有量を有する高純度マグネシウムで作られたバーを有する少なくとも2つのカートリッジを収容するということにある。これらのバーは、追加の開口部を通ってタンク内部に延在し、タンクから電気的に絶縁されている。装置はまた、制御ユニットと統合されたDC電源ユニットとして設計されたトリガーユニットを含み、電源ユニットのプラス極はマグネシウムバーに接続され、マイナス極はタンクに接続される。
【0011】
本発明に係る装置は、冷たい飲料水を伴うパイプライン上に家庭条件下で設置され、ヒトによる消費のために意図される水に対する酸化還元電位値の中断されない還元を可能にすることができ、還元は、マグネシウムバーとタンクとの間の電位差によって達成される。鉄の含有量が低い材料または完全に鉄を含まない材料で作られたタンクは、14°C~18.5°Cの平均温度で流れる飲料水を収容し、ヒドロキシル(OH)基が水素と酸素に分解される場所となり、分解プロセスは外部電圧によって開始される。粒子の激しい動きによる状態の変化が起こらず、過剰な水素イオンは H2O 粒子中の水素原子の自由原子価軌道に吸収されるため、過剰の水素は拡散を受けない。水粒子中の酸素原子と結合した2つの強分極水素原子は、それぞれ4つの遊離価数軌道を有し、ヒドロキシル(OH)基から放出される後続の水素原子を吸収することができる。前述のプロセスは、-180mV~-260mVの範囲の酸化還元電位値を有する水の生成を可能にした。しかしながら、プロセスが頻繁にトリガーされる場合、例えば、外部電圧を供給することによって数分間のドーズまたは数ドーズ後に、約-800mV程度の低い酸化還元電位値に達することができる。更に、完了したプロセスは、飲料水中のマグネシウムイオン含有量の有意でさらに三倍の増加をもたらし、これは、ヒトの健康へのマグネシウムイオンの有益な影響による望ましい効果であり、水中の他の金属の含有量、例えばクロム、銅又はニッケルは依然として低いままである。このプロセスは、8~9.9の範囲のpHを有する安定したアルカリ反応に対する水のpHのオフセットに関連する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、タンク容量は2リットル~5リットルの範囲であり、これは、水の物理的および化学的処理のための最も有益な条件を達成するために、キッチンシンクの下のキッチンカップボード内にそれを取り付けることを可能にする。本発明の別の用途は、飲料水のバルーンフリーディスペンサに装置を設置することを仮定しており、これはプラスチック微粒子による水の汚染を排除する。
【0013】
更に、本発明の別の好ましい実施形態は、少なくとも99.98の金属含有量を有する高純度マグネシウムで作られたマグネシウムバーの設置を仮定しており、これは、過去の観察から、酸化還元電位低減のプロセスに対するそのようなバーの最も有益な効果が確認されたためである。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、装置は、タンク容積に応じて2つまたは3つのマグネシウムバーを有する。
【0015】
加えて、有益な解決策は、マグネシウムバーを有するカートリッジをタンクに形成された追加の開口部にねじ込み、絶縁要素をカートリッジ本体と各マグネシウムバーとの間に挿入することを仮定する。
【0016】
更に好ましい本発明の実施形態は、DC電流のソースが24V~40V、より有利には30V~40V、最も有利には36Vの電圧範囲内であり、350mA~1.5A、有利には350mA~950mA、より有利には500mA~950mA、最も有利には800mAの電流範囲で動作するように構成されると仮定する。
【0017】
周波数が達成される水パラメータに影響を与えるので、クロックパルスの周波数を調整する可能性を有するプログラム可能なクロック発生器として制御ユニットを設計することが正当化される。
【0018】
本発明の最も好ましい実施形態は、装置がタンク内に取り付けられた酸化還元電位値のセンサーを含むと仮定する。センサーは、タンクの外部に取り付けられたディスプレイに接続され、水中の酸化還元電位値の瞬時表示のために設計される。しかし、このような解決策は単なるオプションであり、水パラメータの有益な改善に特化したプロセスとは無関係である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、添付の図面を参照して、発明の一実施形態の説明においてさらに詳細に説明される:
図1図1は、タンクの縦断面を示す図である;
図2図2は、タンクの斜視図である;
図3図3は、マグネシウムバーを有する完全なカートリッジをその長手方向断面で示す;
図4図4は、トリガー回路の概略図である
図5図5は、3つのマグネシウムカートリッジを有するタンクを示す。
【0020】
冷たい飲料水における酸化還元電位値の低減のための装置は、2~5リットル、例えば3リットル、の容積を有するタンク1を含み、入口ポート2および出口ポート3によって家庭用水供給システムと接続するように設計される。本装置は、例えば、シンクの下の台所のカップボードの内側に取り付けることができ、ブラケット4によって壁に固定することができる。タンク1は、クロム-ニッケル合金鋼、特にAISI304で作られているが、鉄を含まないクロム-ニッケル合金鋼で作ることも可能である。タンク1は家庭用水供給システムに組み込まれ、約14°C~18.5°Cの温度を有する冷たい飲料水がタンクを通って流れる。タンク1は、純マグネシウムの含有量が少なくとも99.95%、特に99.98%である高純度マグネシウム製のバー6を備えた2つのカートリッジ5を備える。カートリッジ5は、追加の開口部7を通ってタンク1の内部空間内に延在し、そこでタンク1にねじ込まれ、絶縁要素8によってタンク1から絶縁される。
【0021】
図5に示される本発明の別の実施形態は、タンク1がマグネシウムバーを有する3つのカートリッジを備えることができると仮定する。
【0022】
加えて、本装置は、プログラマブルクロック発生器として設計された制御ユニット11と統合されたDC電圧の低電流源10として設計されたトリガーユニット9を備え、トリガーユニット9はマグネシウムバー6に接続される(図4参照)。DC電圧源10のプラス極はバー6に接続され、マイナス極はタンク1に接続される。DC電圧源10は、24V~40V、より有利には30V~40V、最も有利には36Vの電圧範囲内で、また、350mA~1.5A、有利には350mA~950mA、より有利には500mA~950mA、最も有利には800mAの電流範囲で動作するように構成される。
【0023】
本装置は、タンクの内側に設置され、タンクの外部に搭載されるディスプレイとインターフェースされ、水中の酸化還元電位値の瞬時表示のために設計される酸化還元電位値の随意のセンサーを備えてもよい。
【0024】
トリガーユニットには、安全レベル内の低電圧が供給される。水処理プロセスは、例えば、36Vの電圧および800mAの電流で、約1分~約10分の期間中にトリガーされ得る。トリガーの後、本プロセスは、マグネシウムバーとタンクの電位の差、ならびにH2O解離の自然電位により、自発的に継続される。水の消費がかなり中程度であり、タンク1の容積が約5リットルである場合、還元電位が低減した水は約8時間利用可能であるものとする。しかしながら、2リットル/時間を超えるレベルで負の酸化還元電位(ORP)を有する水の消費が予想される場合、適切に短い時間間隔内でのトリガーユニットの起動が必要である。
【0025】
また、本発明を理解するためのいかなる障害も避けるために、添付の図面には示されていないが、本装置は、水のさらなる機械的、化学的または生物学的除染のための様々なタイプの周知の水フィルタを備えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】