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特表2025-500569浮体式プラットフォーム、風力タービン、および傾斜した係留テンドンを含む洋上発電アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】浮体式プラットフォーム、風力タービン、および傾斜した係留テンドンを含む洋上発電アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20241226BHJP
   B63B 75/00 20200101ALI20241226BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20241226BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B63B75/00
F03D13/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539263
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2022074125
(87)【国際公開番号】W WO2023126081
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】21306948.7
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522232558
【氏名又は名称】トタルエナジーズ ワンテク
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES ONETECH
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ル-ゲネック,ステファンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラボワン,ジャン-クリストフ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD61Z
3H178DD67Z
(57)【要約】
浮体式プラットフォーム(12)と、浮体式プラットフォームに固定される風力タービン(16)と、傾斜した係留テンドン(18A、18B、18C)とを含む洋上発電アセンブリ(10)であって、浮体式プラットフォームは:- 鉛直に設計された長手方向軸に沿って延在する、管状の中央の浮力カラム(26)であって、第1の平均外径(D1)を規定する浸漬部分(30)を有するカラム(26)、および- 長手方向軸を中心にして間隔を置いて配置される半径方向軸(R1、R2、R3)に沿ってカラムから突出する、複数の管状の半径方向の浮力ポンツーン(28A、28B、28C)であって、ポンツーンの各々は、第2の平均外径(D2)を規定し、水域(14)に浸漬しているポンツーン、を含む。第1の平均外径は、第2の平均外径よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式プラットフォーム(12)と、浮体式プラットフォーム(12)に固定される風力タービン(16)と、浮体式プラットフォーム(12)を海底(20)に連結する傾斜した係留テンドン(18A、18B、18C)とを含む洋上発電アセンブリ(10、100)であって、浮体式プラットフォーム(12)は、
- 鉛直に設計された長手方向軸(Z)に沿って延在する、管状の中央の浮力カラム(26)であって、第1の平均外径(D1)を規定する浸漬部分(30)を有するカラム(26)、および
- 長手方向軸(Z)を中心にして間隔を置いて配置される半径方向軸(R1、R2、R3)に沿ってカラム(26)から突出する、複数の管状の半径方向の浮力ポンツーン(28A、28B、28C)であって、ポンツーン(28A、28B、28C)の各々は、第2の平均外径(D2)を規定し、水域(14)に浸漬しているポンツーン(28A、28B、28C)、
を含み、
第1の平均外径(D1)が、第2の平均外径(D2)よりも大きい、
洋上発電アセンブリ。
【請求項2】
第1の平均外径(D1)を第2の平均外径(D2)で割った値が、1.4~2.3である、請求項1に記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項3】
カラム(26)の浸漬部分(30)およびポンツーン(28A、28B、28C)が、それぞれ長手方向軸(Z)と半径方向軸(R1、R2、R3)とに沿って一定の横断面外径を有する、請求項1または2に記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項4】
カラム(26)が、ただ1つだけまたは2つの内部区画を画定する、請求項1から3のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項5】
ポンツーン(28A、28B、28C)の各々が、ただ1つだけの内部区画を画定する、請求項1から4のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項6】
浮体式プラットフォーム(12)が浮力(F)を受け、カラム(26)およびポンツーン(28A、28B、28C)が前記浮力(F)の少なくとも90%を提供するように構成される、請求項1から5のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項7】
カラム(26)および風力タービンが重量(W1)を有し、単独と考えられるカラム(26)が浮力(W2)を受け、前記浮力(W2)は前記重量(W1)の85%~115%である、請求項1から6のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項8】
複数のポンツーン(28A、28B、28C)が、3つから5つのポンツーン(28A、28B、28C)で構成される、請求項1から7のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項9】
複数のポンツーン(28A、28B、28C)が、3つのポンツーン(28A、28B、28C)で構成される、請求項1から8のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項10】
半径方向軸(R1、R2、R3)の各々が、長手方向軸(Z)に垂直な横断面(P)との角度(β)を規定し、この角度(β)は80°~100°である、請求項1から9のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項11】
風力タービンおよび係留テンドン(18A、18B、18C)を含まないことを考慮した浮体式プラットフォーム(12)が、横断面(P)と平行な平面(P1)を規定する水線(32)で水域(14)に浮遊するように構成され、この平面(P1)は横断面(P)よりも低く、横断面(P)は複数のポンツーン(28A、28B、28C)の体積の中心(C)を含む、請求項10に記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項12】
ポンツーン(28A、28B、28C)に上向きの力(F1、F2、F3)を加えるためにカラム(26)とそれぞれのポンツーン(28A、28B、28C)のうちの1つとの間に延在する、第1の複数の連結テンドン(22A、22B、22C)または連結補強材(122A、122B、122C)をさらに含む、請求項1から11のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項13】
第2の複数の連結テンドン(24A、24B、24C)または連結補強材(124A、124B、124C)をさらに含み、長手方向軸(Z)を中心にした複数のポンツーン(28A、28B、28C)のうちの任意の2つの連続するポンツーンは、第2の複数の前記連結テンドン(24A、24B、24C)または前記連結補強材(124A、124B、124C)のうちの1つによって互いに連結される、請求項1から12のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項14】
半径方向軸(R1、R2、R3)が、長手方向軸(Z)を中心にして規則的に間隔を置いて配置される、請求項1から13のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)を所定の場所に設置するための方法であって、以下のステップ、
- 浮体式プラットフォーム(12)、係留テンドン(18A、18B、18C)、および風力タービンを別々に提供するステップ、
- 浮体式プラットフォーム(12)を所定の場所に移動させるステップであって、浮体式プラットフォーム(12)は、水域(14)に浮遊し少なくとも1隻の船によって曳航されるか、または浮体式船舶に搭載されて輸送されるステップ、
- 係留テンドン(18A、18B、18C)を海底(20)および浮体式プラットフォーム(12)に連結し、係留テンドン(18A、18B、18C)に張力をかけるステップ、および
- クレーン船から少なくとも1つのリフトを使用して、風力タービンを浮体式プラットフォーム(12)に固定するステップ、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式プラットフォームと、浮体式プラットフォームに固定される風力タービンと、浮体式プラットフォームを海底に連結する係留テンドンとを含む洋上発電アセンブリに関する。
【0002】
本発明はまた、所定の場所にそのようなアセンブリを設置する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
このような浮体式プラットフォームは、緊張係留式プラットフォームまたはTLPとして知られている。このような浮体式プラットフォームは、設置されると、通常、プラットフォーム構造の隅に連結される、テンドンによって恒久的に係留される。TLPは、石油とガスの海洋生産のため、また洋上風力タービンの基礎として使用される。
【0004】
典型的には、浮体式プラットフォームは、アセンブリ(プラットフォームに加えて風力タービン)が、所定の稼働場所まで曳航されるのに十分な安定性をもって自由に浮遊できるように設計され得る。風力タービンをハル上に組み込んだ状態での湿式曳航運転中にハルが安定していなければならないという設計上の制約により、ハルの鋼材重量が増加し、その結果、浮体構造全体のコストが増加する。
【0005】
別の解決策は、剛性構造に連結された一時的な分離浮体式タンクを含むことである。このタイプの浮体式プラットフォームで、アセンブリ(プラットフォームに加えて風力タービン)は、所定の稼働場所まで曳航されるのに十分な安定性をもって自由に浮遊できる。この構成で、浮体式プラットフォームのコストを削減することができるが、しかし一時的な浮体式タンクおよびそれらの洋上での設置および撤去にかかる追加コストにより、全体的なコストとプロジェクトのリスクとが増大する。
【0006】
風力タービンを円滑に稼働し、アセンブリにおける機械的ストレスを軽減するために、設置されたアセンブリの動きも大きな問題となる。傾斜した係留テンドン(互いに平行ではない)を使用することは、特に風力タービンのローターナセルアセンブリの高さでアセンブリの水平方向の動きを減らすための優れた解決策であることが証明されている。しかし、傾斜したテンドンを使用すると、特に極端な条件下で、波によって引き起こされる鉛直荷重に耐える能力が低下する。その結果、係留能力を高める必要がある。
【0007】
したがって、上記の設計の制約が結果として、アセンブリのコストを高くする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的はしたがって、生産コストのより低い洋上発電アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、浮体式プラットフォームと、浮体式プラットフォームに固定される風力タービンと、浮体式プラットフォームを海底に連結する傾斜した係留テンドンとを含む洋上発電アセンブリであって、浮体式プラットフォームは:
- 鉛直に設計された長手方向軸に沿って延在する、管状の中央の浮力カラムであって、第1の平均外径を規定する浸漬部分を有するカラム、および
- 長手方向軸を中心にして間隔を置いて配置される半径方向軸に沿ってカラムから突出する、複数の管状の半径方向の浮力ポンツーンであって、ポンツーンの各々は、第2の平均外径を規定し、水域に浸漬しているポンツーン、
を含み、
第1の平均外径は、第2の平均外径よりも大きい、
洋上発電アセンブリを提案する。
【0010】
別の実施形態において、アセンブリは、個別にまたは技術的に実現可能な任意の組合せの形で考慮される、以下の特徴のうちの単数または複数を含む:
- 第1の平均外径を第2の平均外径で割った値は、1.4~2.3である、
- カラムの浸漬部分およびポンツーンは、それぞれ長手方向軸と半径方向軸とに沿って一定の横断面外径を有する、
- カラムは、ただ1つだけまたは2つの内部区画を画定する、
- ポンツーンの各々は、ただ1つだけの内部区画を画定する、
- 浮体式プラットフォームは浮力を受け、カラムおよびポンツーンは前記浮力の少なくとも90%を提供するように構成される、
- カラムおよび風力タービンは重量を有し、単独と考えられるカラムは浮力を受け、前記浮力は前記重量の85%~115%である、
- 複数のポンツーンは、3つから5つのポンツーンで構成される、
- 複数のポンツーンは、3つのポンツーンで構成される、
- 半径方向軸の各々は、長手方向軸に垂直な横断面との角度を規定し、この角度は80°~100°である、
- 風力タービンおよび係留テンドンを含まないことを考慮した浮体式プラットフォームは、横断面と平行な平面を規定する水線で水域に浮遊するように構成され、この平面は横断面よりも低く、横断面は複数のポンツーンの体積の中心を含む、
- 発電アセンブリは、ポンツーンに上向きの力を加えるためにカラムとそれぞれのポンツーンのうちの1つとの間に延在する、第1の複数の連結テンドンまたは連結補強材を含む、
- 発電アセンブリは、第2の複数の連結テンドンまたは連結補強材を含み、長手方向軸を中心にした複数のポンツーンのうちの任意の2つの連続するポンツーンは、第2の複数の前記連結テンドンまたは前記連結補強材のうちの1つによって互いに連結される、および
- 半径方向軸は、長手方向軸を中心にして規則的に間隔を置いて配置される。
【0011】
本発明はまた、上述の発電アセンブリを所定の場所に設置するための方法であって、以下のステップ:
- 浮体式プラットフォーム、係留テンドン、および風力タービンを別々に提供するステップ、
- 浮体式プラットフォームを所定の場所に移動させるステップであって、浮体式プラットフォームは、水域に浮遊し少なくとも1隻の船によって曳航されるか、または浮体式船舶に搭載されて輸送されるステップ、
- 係留テンドンを海底および浮体式プラットフォームに連結し、係留テンドンに張力をかけるステップ、および
- クレーン船から少なくとも1つのリフトを使用して、風力タービンを浮体式プラットフォームに固定するステップ、
を含む、
方法に関する。
【0012】
本発明およびその利点は、以下に添付の図面を参照して、単に例として与えられた以下の説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】稼働中の本発明によるアセンブリの概略側面図である。
図2図1に示されたアセンブリの浮体式プラットフォームの概略上面図である。
図3図1および図2に示されたプラットフォームのカラムおよびポンツーンにうねりによって加えられた鉛直荷重を、うねり周期に応じて示しているグラフである。
図4図1および図2に示されたアセンブリの一変形形態を形成するアセンブリの概略側面図である。
図5図4に示されたアセンブリの浮体式プラットフォームの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による洋上発電アセンブリ10を、図1および図2を参照して説明する。
【0015】
アセンブリ10は、水域14に浮遊する浮体式プラットフォーム12と、浮体式プラットフォームに固定される風力タービン16(図1に部分的に示されている)と、浮体式プラットフォームを海底20に連結する傾斜した係留テンドン18A、18B、18Cとを含む。
【0016】
有利には、アセンブリ10は、第1の複数の連結テンドン22A、22B、22Cを含むことができる。例えば、アセンブリ10は、第2の複数の連結テンドン24A、24B、24Cを含む。
【0017】
浮体式プラットフォーム12は、鉛直であることが意図された長手方向軸Zに沿って延在する、管状の中央の浮力カラム26と、長手方向軸Zを中心にして間隔を置いて配置される半径方向軸R1、R2、R3に沿ってカラムから突出する、複数の管状の半径方向の浮力ポンツーン28A、28B、28Cとを含む。
【0018】
浮体式プラットフォーム12は浮力Fを受け、カラム26およびポンツーン28A、28B、28Cは、有利には前記浮力の少なくとも90%、好ましくは浮力Fの95%超を提供するように構成される。言い換えれば、浮力は、他の任意の重要な要素なしに、カラム26およびポンツーン28A、28B、28Cによって達成される。
【0019】
有利には、浮体式プラットフォーム12は、35メートルより小さい、より有利には30メートルより小さい稼働の喫水H1を有する。
【0020】
カラム26は、第1の平均外径D1を規定する浸漬部分30を有する。ポンツーン28A、28B、28Cの各々は、第2の平均外径D2を規定し、ポンツーンは、係留テンドン18A、18B、18Cに張力がかけられているとき、水域14に完全に浸漬している。
【0021】
管状要素の「平均外径」とは、同じ体積を有する円筒管の外径を意味する。
【0022】
第1の平均外径D1は、第2の平均外径D2よりも大きい。好ましくは、比D1/D2は1.4~2.3である。
【0023】
例えば、カラム26の浸漬部分30およびポンツーン28A、28B、28Cは、それぞれ長手方向軸Zと半径方向軸R1、R2、R3とに沿って一定の横断面の直径を有する。その結果、それらの平均外径D1、D2はそれらの外径に等しい。
【0024】
有利には、カラム26は、ただ1つだけまたは2つの内部区画(表示されていない)を画定する。
【0025】
カラム26および風力タービン16は重量W1を有し、単独と考えられるカラムは浮力W2を受け、前記浮力W2は例えば前記重量W1の85%~115%である。
【0026】
有利には、複数のポンツーン28A、28B、28Cは、3~5個のポンツーン、好ましくは3個のポンツーンで構成される。
【0027】
例えば、ポンツーン28A、28B、28Cの各々は、ただ1つだけの内部区画(表示されていない)を画定する。
【0028】
有利には、半径方向軸R1、R2、R3は、長手方向軸Zを中心にして規則的に間隔を置いて配置される。上から見ると(図2)、半径方向軸R1、R2、R3は、それらの数をN個として、360°/Nである、互いの間の角度αを規定する。示されている例において、角度αはおよそ120°である。
【0029】
半径方向軸R1、R2、R3はまた、長手方向軸Zに垂直な横断面Pとの角度βも規定し、この角度は80°~100°である。例えば、角度βは約0°であり、これは、半径方向軸R1、R2、R3が長手方向軸Zに対して垂直であることを意味する。
【0030】
横断面Pは、例えば、複数のポンツーン28A、28B、28Cの体積の中心Cを含む。
【0031】
風力タービン16および係留テンドン18A、18B、18Cを含まないことを考慮した浮体式プラットフォーム12は、有利には、水域14上の所定の稼働場所までの湿式曳航中に、横断面Pに平行な平面P1を規定する水線32で、水域14上に浮遊するように構成される。
【0032】
平面P1は、有利には、横断面Pの下方に位置し、例えば、それらの間に距離Dを規定し、前記距離は、第2の平均外径D2の25%よりも小さい。これにより、湿式曳航の間、風力タービン16が載っていない浮体式プラットフォーム12の安定性が確保される。
【0033】
例において、3つの係留テンドン18A、18B、18Cがある。
【0034】
係留テンドン18A、18B、18Cは、アセンブリ10が稼働しているとき(図1に示されている位置)、張力がかけられている。
【0035】
係留テンドン18A、18B、18Cは、長手方向軸Z(この案件では鉛直とみなされる)に対して傾斜しており、上方に収束している。例えば、係留テンドン18A、18B、18Cは、浮体式プラットフォーム12が環境負荷(風、波、潮流)なしでバランスが取れているとき、全て7°~17°の長手方向軸Zとの角度を形成する。これらの角度は、浮体式プラットフォーム12の動作に応じて、互いに異なり得、時間と共に変化し得る。図1において、係留テンドン18Bによって形成される角度γのみが示されている。
【0036】
第1の複数の連結テンドン22A、22B、22Cは、ポンツーンに上向きの力F1、F2、F3を加えるために、カラム26とそれぞれのポンツーン28A、28B、28Cのうちの1つとの間に延在している。連結テンドン22A、22B、22Cは、有利には、ポンツーン要素28A、28B、28Cをカラム26に組み付けた後に予張力がかけられる。その機能は、主として、浮体式プラットフォーム12が係留テンドン18A、18B、18Cに連結された時点で、ポンツーン28A、28B、28Cにおける最大曲げモーメントを減少させることである。
【0037】
長手方向軸Zを中心にして続く任意の2つのポンツーン28A、28B、28Cは、第2の複数の連結テンドン24A、24B、24Cのうちの1つによって互いに連結されている。
【0038】
次に、本発明による、アセンブリ10を所定の場所に設置するための方法を説明する。
【0039】
まず、浮体式プラットフォーム12、係留テンドン18A、18B、18C、および風力タービン26が、別々に提供される(組み立てられていない)。
【0040】
次に、浮体式プラットフォーム12は所定の場所に移動され、浮体式プラットフォームは、水域14上に浮遊し少なくとも1隻の船(表示されていない)によって曳航されるか、または浮体式船舶(同じく表示されていない)に搭載されて輸送される。浮体式プラットフォーム12が水域14に浮遊する場合、平面P1に相当する水線42で浮き、浮体式プラットフォームの輸送中に安定性を与える。
【0041】
浮体式プラットフォーム12が所定の場所に入った時点で、係留テンドン18A、18B、18Cが海底20と浮体式プラットフォームとに連結され、張力がかけられる。
【0042】
風力タービン16は、少なくとも1つのリフトまたはクレーン船(表示されていない)を使用して浮体式プラットフォーム12上に設置される。
【0043】
稼働中、係留テンドン18A、18B、18Cは張力がかけられ、浮体式プラットフォーム12は、うねり条件にさらされる。
【0044】
うねりは、ポンツーンに鉛直荷重を生じさせ(図3の曲線C1)、カラムに反対の符号の鉛直荷重を生じさせる(曲線C2)。曲線C3はこれらの鉛直荷重の和VLを表す。
【0045】
曲線C1、C2、C3は以下の実施例を用いて計算される。鉛直荷重は、kN/m(波の振幅1m当たりのキロニュートン)で、秒単位の波の周期Tに応じて表される。浮体式プラットフォーム12は、鉛直荷重VL(曲線C3)が、稼働場所の極端な条件下で遭遇する典型的なうねりピーク周期に相当する周期T1ではゼロに近くなり(いわゆるキャンセル周期)、したがって係留テンドン18A、18B、18Cにおける極端な張力が低下されるように設計される。キャンセル周期T1は、比D1/D2を調整することによってシフトすることができる。
【実施例
【0046】
[浮体式プラットフォーム12]
稼働の喫水 H1 28m
風力タービンブレードエアギャップ/MSL H2 22m
【0047】
[中央のカラム26]
カラム直径 D1 11.0m
横断面積 95.0m
浮力 2725トン
重量 950トン
【0048】
[ポンツーン28A、28B、28C]
ポンツーンの長さ 40m
ポンツーンの直径 D2 6m
横断面積 28.3m
総浮力(×3) 3474トン
総重量(×3) 1018トン
【0049】
[風力タービン16]
考慮される総質量 1800トン
【0050】
アセンブリ10がある所定の場所において、極端なうねり条件(典型的には再発の期間50年を有するうねり)は、例えば、有義な波高12mおよびピーク周期16sに相当する。
【0051】
曲線C3において見ることができるように、その特定のうねりピーク周期では、全鉛直荷重VLはゼロに近い(少なくとも50kNより低い)。直径D1が直径D2より大きく、適切な比率に調整されているおかげで、うねりによってカラム26にかかる鉛直荷重は、うねりによってポンツーン28A、28B、28Cにかかる鉛直荷重を相殺する。このように、キャンセル周期T1は、極端なうねり条件のピーク周期と一致し、係留テンドン18A、18B、18Cにおける極端な張力を最小限に抑える。
【0052】
浮体式プラットフォームに風力タービンを組み込んだ状態で使用前条件において(すなわち係留テンドンへの連結前に)、浮体式プラットフォームが安定していなければならないという制約がなくなるため、カラムとポンツーンとの間のその体積の分布に関する設計をさらに最適化でき、鉛直軸における波誘導加振力(すなわちヒーブ加振力)が低下することへと導く。
【0053】
これにより、浮体式プラットフォームおよび係留テンドンの設計時に、必要とされる浮体式プラットフォームの体積(したがってその重量)と係留テンドンにおける極端な張力とが低下するという好循環が結果として生じる。実際に、係留テンドンの予張力は、極端な環境条件下で負の張力が発生しないよう、十分に高くなければならない。ヒーブ加振力は、係留テンドンの動的荷重の主な要因のうちの一つである。浮体式プラットフォームの設計(すなわち、その体積の分布)を最適化することによってこのヒーブ加振力を低下することは、係留テンドンにおける極端な張力を低下させるだけでなく、予張力を低下させることも可能にする。予張力は浮体式プラットフォームの浮力によって保証されるため、予張力の低下は浮体式プラットフォームのサイズ、例えば稼働喫水H1のさらなる低減を可能にし、ひいてはヒーブ加振力を低下させる。
【0054】
この好循環は、浮体式プラットフォームおよび係留テンドンの設計の最適化につながる。したがって、アセンブリは、より安価に生産される。
【0055】
次に、図4および図5を参照して、アセンブリ10の一変形形態を構成するアセンブリ100について説明する。アセンブリ100は、図1および図2に示されたアセンブリ10に類似している。同様の要素には同じ参照番号を付し、再度の説明はなされない。以下、相違点のみを説明する。
【0056】
連結テンドン22A、22B、22Cおよび連結テンドン24A、24B、24Cの代わりに、アセンブリ100は、第1の複数の連結補強材122A、122B、122Cおよび有利には第2の複数の連結補強材124A、124B、124Cを含む。
【0057】
別の変形形態(表示されていない)によると、連結テンドン24A、24B、24Cは、連結補強材124A、124B、124Cに置き換えられず、そのまま残っているか、または補強材に置き換えられずに単に存在しない。
【0058】
第1の複数の連結補強材122A、122B、122Cは、ポンツーンに上向きまたは下向きの力F1、F2、F3を加えるために、カラム26とそれぞれのポンツーン28A、28B、28Cのうちの1つとの間に延在している。連結補強材122A、122B、122Cは、浮体式プラットフォーム12に構造補強を提供する。
【0059】
例えば、連結補強材122A、122B、122Cは、外径D3を有する管である。
【0060】
有利には、連結補強材122A、122B、122Cの各々は、アセンブリ100の稼働時に深さH3に位置する最上部126を有する。
【0061】
有利には、外径D3は、第2の平均外径D2の半分以下、または3mより小さい。
【0062】
深さH3は、例えば5メートル超、または喫水H1の5~30%超である。これにより、船(表示されていない)が連結補強材122A、122B、122Cにぶつかることなく、カラム26に近づくことができる。
【0063】
本明細書において、海水面に対する高さおよび深さは、「MSL」としても知られる平均海面水位に対するものと理解されたい。
【0064】
連結補強材124A、124B、124Cもまた、浮体式プラットフォーム12に構造補強を提供する。
【0065】
例えば、連結補強材124A、124B、124Cは、外径D4を有する管である。
【0066】
外径D4は、有利には、第2の平均外径D2の半分以下であり、例えば外径D3に等しい。
【0067】
例えば、ポンツーン28A、28B、28Cの各々は、長さL1を有し、連結補強材122A、122B、122Cよりも、有利には長さL1の25%~30%を示す距離L2だけ、半径方向にさらに延びている。
【0068】
アセンブリ100およびその変形形態は、アセンブリ10と同じように稼働し、同じ利点に加えて、テンドンと対比した補強材によってもたらされるさらなる剛性を提供する。
【符号の説明】
【0069】
10 洋上発電アセンブリ
12 浮体式プラットフォーム
16 風力タービン
18 係留テンドン
26 浮力カラム
28 浮力ポンツーン
30 浸漬部分
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式プラットフォーム(12)と、浮体式プラットフォーム(12)に固定される風力タービン(16)と、浮体式プラットフォーム(12)を海底(20)に連結する傾斜した係留テンドン(18A、18B、18C)とを含む洋上発電アセンブリ(10、100)であって、浮体式プラットフォーム(12)は、
- 鉛直に設計された長手方向軸(Z)に沿って延在する、管状の中央の浮力カラム(26)であって、第1の平均外径(D1)を規定する浸漬部分(30)を有するカラム(26)、および
- 長手方向軸(Z)を中心にして間隔を置いて配置される半径方向軸(R1、R2、R3)に沿ってカラム(26)から突出する、複数の管状の半径方向の浮力ポンツーン(28A、28B、28C)であって、ポンツーン(28A、28B、28C)の各々は、第2の平均外径(D2)を規定し、水域(14)に浸漬しているポンツーン(28A、28B、28C)、
を含み、
第1の平均外径(D1)が、第2の平均外径(D2)よりも大きい、
洋上発電アセンブリ。
【請求項2】
第1の平均外径(D1)を第2の平均外径(D2)で割った値が、1.4~2.3である、請求項1に記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項3】
カラム(26)の浸漬部分(30)およびポンツーン(28A、28B、28C)が、それぞれ長手方向軸(Z)と半径方向軸(R1、R2、R3)とに沿って一定の横断面外径を有する、請求項1に記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項4】
カラム(26)が、ただ1つだけまたは2つの内部区画を画定する、請求項1に記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項5】
ポンツーン(28A、28B、28C)の各々が、ただ1つだけの内部区画を画定する、請求項1に記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項6】
浮体式プラットフォーム(12)が浮力(F)を受け、カラム(26)およびポンツーン(28A、28B、28C)が前記浮力(F)の少なくとも90%を提供するように構成される、請求項1から5のいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項7】
カラム(26)および風力タービンが重量(W1)を有し、単独と考えられるカラム(26)が浮力(W2)を受け、前記浮力(W2)は前記重量(W1)の85%~115%である、請求項1からのいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項8】
複数のポンツーン(28A、28B、28C)が、3つから5つのポンツーン(28A、28B、28C)で構成される、請求項1からのいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項9】
複数のポンツーン(28A、28B、28C)が、3つのポンツーン(28A、28B、28C)で構成される、請求項1からのいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項10】
半径方向軸(R1、R2、R3)の各々が、長手方向軸(Z)に垂直な横断面(P)との角度(β)を規定し、この角度(β)は80°~100°である、請求項1からのいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項11】
風力タービンおよび係留テンドン(18A、18B、18C)を含まないことを考慮した浮体式プラットフォーム(12)が、横断面(P)と平行な平面(P1)を規定する水線(32)で水域(14)に浮遊するように構成され、この平面(P1)は横断面(P)よりも低く、横断面(P)は複数のポンツーン(28A、28B、28C)の体積の中心(C)を含む、請求項10に記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項12】
ポンツーン(28A、28B、28C)に上向きの力(F1、F2、F3)を加えるためにカラム(26)とそれぞれのポンツーン(28A、28B、28C)のうちの1つとの間に延在する、第1の複数の連結テンドン(22A、22B、22C)または連結補強材(122A、122B、122C)をさらに含む、請求項1からのいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項13】
第2の複数の連結テンドン(24A、24B、24C)または連結補強材(124A、124B、124C)をさらに含み、長手方向軸(Z)を中心にした複数のポンツーン(28A、28B、28C)のうちの任意の2つの連続するポンツーンは、第2の複数の前記連結テンドン(24A、24B、24C)または前記連結補強材(124A、124B、124C)のうちの1つによって互いに連結される、請求項1からのいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項14】
半径方向軸(R1、R2、R3)が、長手方向軸(Z)を中心にして規則的に間隔を置いて配置される、請求項1からのいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)。
【請求項15】
請求項1からのいずれか一つに記載の発電アセンブリ(10、100)を所定の場所に設置するための方法であって、以下のステップ、
- 浮体式プラットフォーム(12)、係留テンドン(18A、18B、18C)、および風力タービンを別々に提供するステップ、
- 浮体式プラットフォーム(12)を所定の場所に移動させるステップであって、浮体式プラットフォーム(12)は、水域(14)に浮遊し少なくとも1隻の船によって曳航されるか、または浮体式船舶に搭載されて輸送されるステップ、
- 係留テンドン(18A、18B、18C)を海底(20)および浮体式プラットフォーム(12)に連結し、係留テンドン(18A、18B、18C)に張力をかけるステップ、および
- クレーン船から少なくとも1つのリフトを使用して、風力タービンを浮体式プラットフォーム(12)に固定するステップ、
を含む、方法。
【国際調査報告】