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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】冷感化合物及び組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20241226BHJP
   C07C 31/27 20060101ALI20241226BHJP
   C07C 47/32 20060101ALI20241226BHJP
   C07C 69/16 20060101ALI20241226BHJP
   C07C 43/115 20060101ALI20241226BHJP
   C07C 69/40 20060101ALI20241226BHJP
   C07C 43/178 20060101ALI20241226BHJP
   C07C 62/04 20060101ALI20241226BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20241226BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20241226BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20241226BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20241226BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20241226BHJP
   A23G 4/06 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
C07C31/27
C07C47/32
C07C69/16
C07C43/115
C07C69/40
C07C43/178 Z
C07C62/04
A23L33/10
A23L27/20 G
A23L27/20 E
A23L29/00
A61K8/49
A61Q11/00
A23G4/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539984
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2023050213
(87)【国際公開番号】W WO2023131667
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】22150584.5
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507038674
【氏名又は名称】ヴェ. マヌ フィル
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】グラッセ ファビエン
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B035
4B047
4C083
4H006
【Fターム(参考)】
4B014GB13
4B014GG08
4B014GK03
4B014GK12
4B014GL03
4B014GL10
4B014GP03
4B014GQ01
4B018LB01
4B018MD07
4B018MD08
4B018ME14
4B035LC01
4B035LG04
4B035LK19
4B047LB08
4B047LB09
4B047LF09
4B047LG05
4B047LG06
4B047LG20
4B047LP16
4C083AC841
4C083CC41
4C083EE31
4C083FF01
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB10
4H006BJ20
4H006BN10
4H006BS10
4H006FE11
4H006GP01
4H006KC12
(57)【要約】
本発明の実施形態は、独特の冷涼感を有する冷感化合物及び冷感組成物、並びに1種以上の一般式(I)を有する冷感化合物を含有する様々な食用製品、飲用製品、及び/又は美容用製品に向けられ、式中、Qは、CR又はCH-CH(CHOR)CHORから選択され、R及びRは、独立に、CHO、COH、CHCHOH、CHR10OR11、及びCHR10OR12からなる群から選択され、R及びRは、独立にHであるか、又は組み合わさってスピロアセタール部分若しくはスピロケタール部分を形成し、各R10は、独立に、H又はCHであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、R、R、R、及びRは、独立に、H、CH、及びCHCHから選択され、Rは、H、イソプロピル、イソプロペニル、及びsec-ブチルから選択されるが、ただし、R、R、R、R、及びRのすべてがHとなることはない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の一般式(I)を有する冷感化合物と、
食用、飲用又は美容用成分と
を含む冷感組成物であって、
【化1】
式中、
Qは、CR又はCH-CH(CHOR)CHORから選択され、R及びRは、独立に、CHO、COH、CHCHOH、CHR10OR11、及びCHR10OR12からなる群から選択され、R及びRは、独立にHであるか、又は組み合わさってスピロアセタール部分若しくはスピロケタール部分を形成し、各R10は、独立に、H又はCHであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、
、R、R、及びRは、独立に、H、CH、及びCHCHから選択され、
は、H、イソプロピル、イソプロペニル、及びsec-ブチルから選択されるが、ただし、R、R、R、R、及びRのすべてがHとなることはない
冷感組成物。
【請求項2】
式(I)において、QはCRであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(II)を有し、
【化2】
式中、R~Rは、請求項1において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項1に記載の冷感組成物。
【請求項3】
式(II)において、R、R、及びRはそれぞれHであり、Rはメチルであり、Rはイソプロピルであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(III)、式(IV)、又は式(IV)を有し、
【化3】
式中、R及びRは、請求項1において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項2に記載の冷感組成物。
【請求項4】
及びRはそれぞれCHOである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷感組成物。
【請求項5】
式(II)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、R10はHであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(VIII)を有し、
【化4】
式中、R~R、R11、及びR12は、請求項1において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項2に記載の冷感組成物。
【請求項6】
式(VIII)において、R11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分又はスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより、前記冷感化合物は、一般式(IX)を有し、
【化5】
式中、R~Rは、請求項1において式(I)に関して定義されたものと同じであり、R13及びR14は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、及び置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールからなる群から選択されるか、又はR13及びR14は、組み合わさって置換若しくは非置換のシクロアルキルを形成する
請求項5に記載の冷感組成物。
【請求項7】
式(III)、(IV)、及び(IV)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(V)、(V)、又は(V)を有し、
【化6】
式中、R10は、請求項1において式(I)に関して定義されたものと同じであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又は
10はHであり、R11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより、前記冷感化合物は、一般式(VI)、(VI)、又は(VI)を有し、
【化7】
式中、R13及びR14は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、及び置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールからなる群から選択されるか、又はR13及びR14は、組み合わさって置換若しくは非置換のシクロアルキルを形成する
請求項3に記載の冷感組成物。
【請求項8】
式(II)において、R、R、及びRはそれぞれメチルであり、R及びRはともにHであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(X)を有し、
【化8】
式中、R及びRは、請求項1において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項2に記載の冷感組成物。
【請求項9】
式(X)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、R10はHであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(XI)を有し、
【化9】
式中、R11及びR12は、請求項1において式(I)に関して定義されたものと同じであるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより、前記冷感化合物は、一般式(XII)を有し、
【化10】
式中、R13及びR14は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、及び置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールからなる群から選択されるか、又はR13及びR14は、組み合わさって置換若しくは非置換のシクロアルキルを形成する
請求項8に記載の冷感組成物。
【請求項10】
式(I)において、QはCH-CH(CHOR)CHORであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(VII)を有し、
【化11】
式中、R~Rは、請求項1において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項1に記載の冷感組成物。
【請求項11】
前記冷感化合物は、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、(7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-7-イソプロピル-3,3,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)-2-メトキシフェノール、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(1S,4R,10S,13R)-1,10-ジイソプロピル-4,13-ジメチル-7,16-ジオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン、(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒド、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン) ジアセテート、(3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、3,8,8,10-テトラメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,3,8,8,10-ペンタメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-プロピル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3,7-ジイソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3-(sec-ブチル)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(2S,5R)-2-イソプロピル-1,1-ビス(メトキシメチル)-5-メチルシクロヘキサン、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3,3-ジエチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(3,3-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、4,4’-((((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(4-オキソブタン酸)、(7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)ピリジン、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(チオフェン-2-イル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(2-(メチルチオ)エチル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,8,8-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(2-(sec-ブチル)シクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、エチル (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート、2,2’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、(2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、7-(sec-ブチル)-3-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、((2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メチル アセテート、7-イソプロピル-3,10,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、2-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール、2-メチル-5-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)-1,3-ジオキサン、2-((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール、((2S,5R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メタノール、(2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸、(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の冷感組成物。
【請求項12】
カルボキシアミド、ケタール、グルタル酸メンチル、コハク酸メンチル、酢酸メンチル、乳酸メンチル、3-メントキシプロパン-1,2-ジオール、イソプレゴール、メントール、及びこれらの混合物からなる群から選択される二次冷感剤をさらに含む請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の冷感組成物。
【請求項13】
口腔ケア製品、鼻腔ケア製品、トイレタリー、パイプタバコ製品、噛みタバコ、噛みタバコ製品、嗅ぎタバコ製品用のフィルタ、可燃紙及びコーティングシート、チューインガム及びチューインガム製品等の外用製品、摂取可能製品、又はタバコ製品から選択される製品組成物であって、
外用ベース製品、摂取可能ベース製品、又はタバコベース製品と、
有効量の請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の冷感組成物と
を含む、製品組成物。
【請求項14】
一般式(I)を有する冷感化合物であって、
【化12】
式中、
Qは、CR又はCH-CH(CHOR)CHORから選択され、Rは、CHO、COH、CHCHOH、CHR10OR11からなる群から選択され、Rは、CHO、CHCHOH、及びCHR10OR12からなる群から選択され、R及びRは、独立にHであるか、又は組み合わさってスピロアセタール部分若しくはスピロケタール部分を形成し、R10はH又はCHであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、
、R、R、及びRは、独立に、H、CH、及びCHCHから選択され、Rは、イソプロピル、イソプロペニル、及びsec-ブチルから選択され、
第1の条件として、R、R、R、R、及びRのすべてがHとなることはなく、
第2の条件として、QがCRであり、R及びRがともにCHOHであるとき、
はHではなく、
、R、及びRのすべてがHとなることはなく、RはCHではなく、Rはイソプロピルではなく、
第3の条件として、QがCRであり、R及びRがともにCHOHであり、Rがイソプロピル又はイソブチルであるとき、R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つ以上はCH又はCHCHであり、
第4の条件として、QがCRであり、RがCHR10OR11であり、RがCHR10OR12であり、R10がHであり、R11及びR12が組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、RがHであるとき、R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つ以上はCH又はCHCHである
冷感化合物。
【請求項15】
式(I)においてQはCRであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(II)を有し、
【化13】
式中、R~Rは、請求項14において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項14に記載の冷感化合物。
【請求項16】
式(II)において、R、R、及びRはそれぞれHであり、Rはメチルであり、Rはイソプロピルであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(III)、式(IV)、又は式(IV)を有し、
【化14】
式中、R及びRは、請求項14において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項15に記載の冷感化合物。
【請求項17】
及びRはそれぞれCHOである請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の前記冷感化合物。
【請求項18】
式(II)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、R10はHであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(VIII)を有し、
【化15】
式中、R~R、R11、及びR12は、請求項14において式(I)に関して定義されたものと同じである請求項15に記載の冷感化合物。
【請求項19】
11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分又はスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより、前記冷感化合物は、一般式(IX)を有し、
【化16】
式中、R~Rは、請求項14において式(I)に関して定義されたものと同じであり、R13及びR14は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、及び置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールからなる群から選択されるか、又はR13及びR14は、組み合わさって置換若しくは非置換のシクロアルキルを形成する
請求項18に記載の冷感化合物。
【請求項20】
式(III)、(IV)、及び(IV)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(V)、(V)、又は(V)を有し、
【化17】
式中、R10は、請求項14において式(I)に関して定義されたものと同じであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又は
10はHであり、R11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより、前記冷感化合物は、一般式(VI)、(VI)、又は(VI)を有し、
【化18】
式中、R13及びR14は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、及び置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールからなる群から選択されるか、又はR13及びR14は、組み合わさって置換若しくは非置換のシクロアルキルを形成する
請求項16に記載の冷感化合物。
【請求項21】
式(II)において、R、R、及びRはそれぞれメチルであり、R及びRはともにHであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(X)を有し、
【化19】
式中、R及びRは、請求項14において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項15に記載の冷感化合物。
【請求項22】
式(X)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、R10はHであり、これにより、一般式(XI)を有する冷感化合物が提供され、
【化20】
式中、R11及びR12は、請求項14において式(I)に関して定義されたものと同じであるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより、前記冷感化合物は、一般式(XII)を有し、
【化21】
式中、R13及びR14は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、及び置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールからなる群から選択されるか、又はR13及びR14は、組み合わさって置換若しくは非置換のシクロアルキルを形成する
請求項21に記載の冷感化合物。
【請求項23】
式(I)において、QはCH-CH(CHOR)CHORであり、これにより、前記冷感化合物は、一般式(VII)を有し、
【化22】
式中、R~Rは、請求項14において式(I)に関して定義されたものと同じである
請求項14に記載の冷感化合物。
【請求項24】
((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、(7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-7-イソプロピル-3,3,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)-2-メトキシフェノール、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(1S,4R,10S,13R)-1,10-ジイソプロピル-4,13-ジメチル-7,16-ジオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン、(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒド、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン) ジアセテート、3,8,8,10-テトラメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,3,8,8,10-ペンタメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-プロピル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3,7-ジイソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3-(sec-ブチル)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(2S,5R)-2-イソプロピル-1,1-ビス(メトキシメチル)-5-メチルシクロヘキサン、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-3,3-ジエチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-((((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(4-オキソブタン酸)、(7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)ピリジン、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(チオフェン-2-イル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(2-(メチルチオ)エチル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,8,8-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、エチル (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート、2,2’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、(2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、7-(sec-ブチル)-3-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、((2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メチル アセテート、7-イソプロピル-3,10,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、2-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール、2-メチル-5-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)-1,3-ジオキサン、2-((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール、((2S,5R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メタノール、(2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項14から請求項23のいずれか1項に記載の冷感化合物。
【請求項25】
冷感剤又は香料剤としての請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の冷感化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苦味のない快適な冷感効果をユーザに提供する独特の冷感知覚を有する冷感化合物及び組成物に関する。本発明は、1種以上の冷感化合物を含有する製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
摂取時又は身体との接触時に冷涼感を与える様々な化合物が公知である。おそらく、これらの化合物の最も周知であるものはメントールであり、メントールはおそらく、この冷感効果を提供するために神経終末部の冷受容器に作用する。
【0003】
メントールは強いミント臭及び高い相対揮発性を有するため、新規化合物が、様々な外用組成物及び摂取可能な組成物において有用な有望な香料又は付臭剤として開発され報告されている。例えば、米国特許第5,009,893号明細書は、食用製品における冷感剤組成物としてのN-置換-p-メンタンカルボキシアミド化合物と組み合わせたメントールの使用を提案する。
【0004】
国際公開第93/23005号パンフレットは、ケタールと二次冷感剤とを含む食用製品又は外用製品用の冷感剤組成物であって、二次冷感剤はメントール、カルボキシアミド及びこれらの混合物から選択されてもよい冷感剤組成物を提案している。加えて、この特許出願は、メンチルカルビノール、メントールの糖エステル及び様々なアミドを含む、メントールに似た風味を有する化合物を開示するいくつかの他の参考文献に言及する。また、2,3-p-メンタンジオールは鋭い冷感味を有すると報告されている。
【0005】
独国特許出願公開第2339661号明細書は、メントール又は複素環カルボン酸のメントールエステルを含む芳香組成物を開示する。好ましいエステルはメンチル-2-ピロリドン-5-カルボン酸エステルである。
【0006】
独国特許出願公開第2608226号明細書は、生理的冷感効果を示す組成物を開示する。開示される冷感化合物は、C~Cアルキル基でエステル化された、2~6個の炭素原子を有する天然に存在するヒドロキシカルボン酸のメントールエステルを含む。酢酸メンチル及び乳酸メンチルは、この開示の最も好ましい冷感化合物である。
【0007】
国際公開第97/07771A1号パンフレットは、コハク酸モノメンチル、コハク酸モノメンチルのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、及びこれらの混合物を含有する清涼組成物、香味組成物、並びに摂取可能組成物及び外用組成物を開示する。コハク酸モノメンチル及び/又はその塩と組み合わせて使用されてもよい二次冷感剤としては、メントール、カルボキシアミド、ケタール、酢酸メンチル、乳酸メンチル、3-メントキシプロパン-1,2-ジオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0008】
最後に、欧州特許第80148B1号明細書には、冷感特性を有する別の市販の化合物である3-メントキシプロパン-1,2-ジオールが記載されている。
【0009】
このように、様々な化合物が冷感特性を有することが公知であり、多種多様な製品に有用である。しかしながら、改善された冷感効果及び/又は味覚を有する新しい冷感組成物を提供する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,009,893号明細書
【特許文献2】国際公開第93/23005号パンフレット
【特許文献3】独国特許出願公開第2339661号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第2608226号明細書
【特許文献5】国際公開第97/07771A1号パンフレット
【特許文献6】欧州特許第80148B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、改善された冷感組成物を提供することである。本発明の別の目的は、独特の冷涼感及び味覚を有する冷感組成物を提供することである。また、本発明のさらに別の目的は、補完的な冷涼感及び味覚を提供することができる、2種以上の冷感剤を含む冷感組成物を提供することである。
【0012】
本発明のこれら及び他の目的は、以下の詳細な説明及び実施例から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の特定の態様は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本明細書に記載される主題のさらなる特徴及び利点がある。これらは、本明細書が進むにつれて明らかになるであろう。この点に関して、特許請求の範囲は、本明細書に記載される主題の様々な態様の簡単な概要としての役割を果たすことを理解されたい。特許請求の範囲及び様々な実施形態について以下で説明される様々な特徴は、組み合わせて又は別々に使用されてもよい。例えば、特定された範囲は、明示的に除外されない限り、それらの記載された端点を含んでもよい。いかなる特定の実施形態も、上述のすべての特徴を提供する必要はなく、すべての課題を解決する必要もなく、上述のすべての問題に対処する必要もない。
【0014】
本発明の実施形態によれば、有効量の一般式(I)を有する冷感(cooling)化合物と、食用、飲用又は美容用(cosmetic)成分とを含む(又は本質的にそれらからなる)冷感組成物であって、
【化1】
式中、
Qは、CR又はCH-CH(CHOR)CHORから選択され、R及びRは、独立に、CHO、COH、CHCHOH、CHR10OR11、及びCHR10OR12からなる群から選択され、R及びRは、独立にHであるか、又は組み合わさってスピロアセタール部分若しくはスピロケタール部分を形成し、各R10は、独立に、H又はCHであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、
、R、R、及びRは、独立に、H、CH、及びCHCHから選択され、
は、H、イソプロピル、イソプロペニル、及びsec-ブチルから選択されるが、ただし、R、R、R、R、及びRのすべてがHとなることはない
冷感組成物が提供される。
【0015】
本発明の実施形態はさらに、口腔ケア製品、鼻腔ケア製品、トイレタリー(洗面道具、美容用製品)、パイプタバコ製品、噛みタバコ、噛みタバコ製品、嗅ぎタバコ製品用のフィルタ、可燃紙及びコーティングシート、チューインガム及びチューインガム製品等の外用(局所用、topical)製品、摂取可能製品、又はタバコ製品から選択される製品組成物であって、
外用ベース製品、摂取可能ベース製品、又はタバコベース製品と、
有効量の、一般式(I)を有する冷感化合物を含む(又は本質的にそれからなる)冷感組成物と
を含む製品組成物に関する。
【0016】
本発明の実施形態はさらに、冷感剤又は香料剤としての一般式(I)を有する冷感化合物の使用にも関する。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態によれば、一般式(I)を有する冷感化合物であって、
【化2】
式中、
Qは、CR又はCH-CH(CHOR)CHORから選択され、Rは、CHO、COH、CHCHOH、CHR10OR11からなる群から選択され、Rは、CHO、CHCHOH、及びCHR10OR12からなる群から選択され、R及びRは、独立にHであるか、又は組み合わさってスピロアセタール部分若しくはスピロケタール部分を形成し、R10はH又はCHであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、
、R、R、及びRは、独立に、H、CH、及びCHCHから選択され、Rは、イソプロピル、イソプロペニル、及びsec-ブチルから選択され、
第1の条件として、R、R、R、R、及びRのすべてがHとなることはなく、
第2の条件として、QがCRであり、R及びRがともにCHOHであるとき、
はHではなく、
、R、及びRのすべてがHとなることはなく、RはCHではなく、Rはイソプロピルではなく、
第3の条件として、QがCRであり、R及びRがともにCHOHであり、Rがイソプロピル又はイソブチルであるとき、R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つ以上はCH又はCHCHであり、
第4の条件として、QがCRであり、RがCHR10OR11であり、RがCHR10OR12であり、R10がHであり、R11及びR12が組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、RがHであるとき、R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つ以上はCH又はCHCHである
冷感化合物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、上記の本発明の全般的な説明及び以下の詳細な説明とともに、本発明を説明する役割を果たす。
【0019】
図1図1は、WS-3(商標)及びWS-5(商標)に対する化合物1(((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール)及び化合物2((7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン)のいくつかの希釈水溶液の経時的な予備的な比較冷感強度を示すグラフである。
図2図2は、メントール、WS-3(商標)、PHYSCOOL(商標)、及びミネラルウォーターに対する化合物1(((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール)の経時的な比較評価を示すグラフである。
図3図3は、10分間にわたる化合物1(((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール)対PHYSCOOL(商標)の比較評価を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
別段の説明がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、用語の説明を含めて本明細書が優先する。単数形の用語「a」、「an」、「at least one(少なくとも1つ)」、及び「the」は、文脈上明らかに矛盾する場合でないかぎり、複数の指示対象を含む。同様に、「又は」という用語は、文脈上明らかに矛盾する場合でないかぎり、「及び」を含むことが意図される。用語「comprising(含む)」は、「including(含む)」を意味する。従って、「comprising A or B(A又はBを含む)」は、A又はBを含むこと、並びにA及びBをともに含むことを意味する。
【0021】
本発明の実施形態によれば、有効量の一般式(I)を有する冷感化合物と、食用、飲用又は美容用成分とを含む(又は本質的にそれらからなる)冷感組成物であって、
【化3】
式中、
Qは、CR又はCH-CH(CHOR)CHORから選択され、R及びRは、独立に、CHO、COH、CHCHOH、CHR10OR11、及びCHR10OR12からなる群から選択され、R及びRは、独立にHであるか、又は組み合わさってスピロアセタール部分若しくはスピロケタール部分を形成し、各R10は、独立に、H又はCHであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、
、R、R、及びRは、独立に、H、CH、及びCHCHから選択され、
は、H、イソプロピル、イソプロペニル、及びsec-ブチルから選択されるが、ただし、R、R、R、R、及びRのすべてがHとなることはない
冷感組成物が提供される。
【0022】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、香料分野の当業者によって決定されるように、組成物又は製品に統計的に顕著な冷感効果を付与する冷感化合物又は冷感組成物の量を意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「冷感化合物」は、化合物がhTRPM8受容体に対して活性であり、皮膚及び/又は粘膜に対して冷感効果を提供することを意味する。場合によっては、冷感化合物は、嗅覚化学受容体活性を有してもよく、これにより、前記化合物は芳香剤分子としても有用となる。従って、本明細書に開示される各冷感化合物の固有の特性に応じて、冷感化合物は、冷感剤及び/又は香料剤として使用されてもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「置換された」、「置換の」は、エステル部分、酸部分、又はアルコキシ部分から選択される官能基を含有することを意味する。
【0025】
C1~C6アルキルは、1~6個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状(branched)のアルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル及びヘキシルを意味する。
【0026】
シクロアルキルは、式C2n-1の単環式飽和炭化水素基、例えば(限定されないが)シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルを意味する。特段の記載がない限り、シクロアルキル基は、3~8個の炭素原子を含む。
【0027】
アリールは、1つの環又はいくつかの縮合環からなる5~10個の炭素原子を含む芳香族環を意味する。アリールは、好ましくはフェニルである。
【0028】
ヘテロアリールは、4~10個の炭素原子、及びO、S又はNから選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む複素芳香環を意味する。非限定的な例としては、ピリジニル、チオフェニル、又はフラニルが挙げられる。
【0029】
アルカリールは、AlkがC1~C6アルキルであり、Arが芳香環である基Alk-Arを意味する。アルカリールの非限定的な例はベンジルである。
【0030】
アシルは、1~4個の炭素を含むカルボキシル部分を意味する。非限定的な例としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、又はスクシニルが挙げられる。
【0031】
一実施形態では、式(I)において、QはCRであり、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(II)を有することを特徴とする。
【化4】
式中、R~Rは、式(I)に関して定義されたものと同じである。
【0032】
一実施形態では、式(I)において、Rはメチルであり、RはHであり、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(II)を有することを特徴とする。
【化5】
式中、R、R、R、R、及びRは、式(I)に関して定義されたものと同じである。別の実施形態では、R及びRは、独立に、CHO、CHOR11、及びCHOR12からなる群から選択され、R及びRは、独立に、H及びCHから選択され、Rは、H及びイソプロピルから選択され、R11及びR12は、式(I)に関して定義されたものと同じである。
【0033】
一実施形態では、式(II)において、RはCHであり、R、R及びRはそれぞれHであり、Rはイソプロピルであり、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(III)を有することを特徴とする。
【化6】
式中、R及びRは、式(I)に関して定義されたものと同じである。別の実施形態では、R及びRは、独立に、CHO、CHOR11、及びCHOR12からなる群から選択され、R11及びR12は、式(I)に関して定義されたものと同じである。例えば、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(IV)又は(IV)を有する立体異性体であってもよい。
【化7】
一実施形態では、式(IV)及び(IV)において、R及びRはそれぞれCHOであり、これにより、それぞれ、化合物(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒド及び化合物(2R,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒドを提供する。
【0034】
別の実施形態では、式(III)、(IV)又は式(IV)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(V)、(V)又は(V)を有することを特徴とする。
【化8】
式中、R10、R11、及びR12は、式(I)に関して定義されたものと同じである。別の実施形態では、式(V)、(V)、又は(V)において、R10はHである。さらなる実施形態では、R10はHであり、R11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分又はスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより当該冷感組成物内の冷感化合物が一般式(VI)、(VI)、又は(VI)を有することを特徴とすることを提供する。
【化9】
式中、R13及びR14は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、及び置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールからなる群から選択されるか、又はR13及びR14は、組み合わさって置換若しくは非置換のシクロアルキルを形成する。
【0035】
別の実施形態では、式(I)において、QはCH-CH(CHOR)CHORであり、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(VII)を有することを特徴とする。
【化10】
式中、R~Rは、式(I)に関して定義されたものと同じである。
【0036】
さらに別の実施形態では、式(II)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、R10はHであり、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(VIII)を有することを特徴とする。
【化11】
式中、R~R、R11及びR12は、式(I)に関して定義されたものと同じである。さらなる実施形態では、R11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分又はスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(IX)を有することを特徴とする。
【化12】
式中、R13及びR14は、式(VI)、(VI)、及び(VI)に関して定義されたものと同じである。
【0037】
さらなる実施形態では、式(II)において、R、R、及びRはそれぞれCHであり、R及びRはそれぞれHであり、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(X)を有することを特徴とする。
【化13】
式中、R及びRは、式(I)に関して定義されたものと同じである。別の実施形態では、R及びRは、独立に、CHO、CHOR11、及びCHOR12からなる群から選択され、R11及びR12は、式(I)に関して定義されたものと同じである。
【0038】
別の実施形態では、式(X)において、RはCHR10OR11であり、RはCHR10OR12であり、R10はHであり、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(VII)を有することを特徴とする。
【化14】
式中、R11及びR12は、式(I)に関して定義されたものと同じである。さらなる実施形態では、R11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分又はスピロアセタール部分CR1314を形成し、これにより、当該冷感組成物内の冷感化合物は、一般式(XII)を有することを特徴とする。
【化15】
式中、R13及びR14は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、及び置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールからなる群から選択されるか、又はR13及びR14は、組み合わさって置換若しくは非置換のシクロアルキルを形成する。
【0039】
一実施形態によれば、当該冷感組成物は、
1. ((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、
2. (7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
3. (7S,10R)-7-イソプロピル-3,3,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
4. (7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
5. 4-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)-2-メトキシフェノール、
6. (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
7. (1S,4R,10S,13R)-1,10-ジイソプロピル-4,13-ジメチル-7,16-ジオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン、
8. (2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒド、
9. ((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン) ジアセテート、
10. (3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、
11. 3,8,8,10-テトラメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
12. 3,3,8,8,10-ペンタメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
13. (7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
14. (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-プロピル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
15. (7S,10R)-3,7-ジイソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
16. (7S,10R)-3-(sec-ブチル)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
17. (2S,5R)-2-イソプロピル-1,1-ビス(メトキシメチル)-5-メチルシクロヘキサン、
18. (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
19. (7S,10R)-3,3-ジエチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
20. (3,3-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、
21. 4,4’-((((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(4-オキソブタン酸)、
22. (7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
23. 2-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)ピリジン、
24. (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(チオフェン-2-イル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
25. (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(2-(メチルチオ)エチル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
26. 3,8,8-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
27. (2-(sec-ブチル)シクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、
28. エチル (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート、
29. 2,2’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、
30. (2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、
31. 7-(sec-ブチル)-3-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
32. ((2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メチル アセテート、
33. 7-イソプロピル-3,10,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
34. 1,1’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、
35. 2-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール、
36. 2-メチル-5-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)-1,3-ジオキサン、
37. 2-((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール、
38. ((2S,5R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メタノール、
39. (2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸、
40. (3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール、
並びにこれらの組み合わせ及び混合物
からなる群から選択される冷感化合物を含む。
【0040】
一般式(I)~(XII)を有する冷感化合物に加えて、当該冷感組成物は、食用、飲用又は美容用成分、例えば摂取可能製品又は美容用製品に通常使用されるものをさらに含む。例えば、食用、飲用又は美容用成分は、担体材料又は希釈剤材料を含んでもよく、これらの担体材料又は希釈剤材料は、不活性であってもよく、又はその最終用途に関連する他の活性成分を含有してもよい。例えば、極性溶媒、油、脂肪、微粉化固体、マルトデキストリン、シクロデキストリン、ガム、天然若しくは合成の樹脂、又は冷感組成物若しくは香料剤組成物のための任意の他の公知の担体若しくは希釈剤材料を含む、多種多様な担体若しくは希釈剤材料を採用することができる。別の例では、食用、飲用又は美容用成分は、様々な摂取可能(食用又は飲用)組成物及び/又はヒト若しくは動物の身体との接触を予定している組成物(美容用製品)における香料組成物として特に有用であってもよい香料を含んでもよい。香料は、果実フレーバー、例えばイチゴフレーバー、ハーブ油、例えばユーカリ油、ペパーミント油、スペアミント油、並びに摂取可能な組成物、及びヒト又は動物の身体と接触するように設計された組成物において従来から用いられている他の公知の香料又はフレーバーオイル、例えばフレーバーシロップ(例えばソルビトールシロップ)又は他の甘味シロップから選択されてもよい。
【0041】
当該冷感組成物又は香料は、例えば、エチルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、グリセリン、及びこれらの組み合わせ等の極性溶媒で希釈されてもよい。この極性溶媒は、当該冷感組成物を製品に組み込むのを助ける担体材料として機能する。食用、飲用又は美容用成分は、着色剤、潤滑剤、増粘剤、乳化剤、可塑剤、並びに例えばガム、デンプン、デキストリン、及びシクロデキストリン等の封入剤からなる群から選択される1種以上の追加の従来の成分を任意選択で含んでもよい。
【0042】
典型的には、当該冷感組成物は、当該冷感組成物の全重量に基づいて1重量%~99重量%の冷感化合物を含む。好ましくは、当該冷感組成物は、5重量%~90重量%の冷感化合物、及び10重量%~95重量%の食用、飲用又は美容用成分を含む。より好ましくは、当該冷感組成物は、5重量%~50重量%の冷感化合物、及び50重量%~95重量%の食用、飲用又は美容用成分を含む。
【0043】
さらには、本発明の実施形態は、口腔ケア製品、鼻腔ケア製品、トイレタリー、パイプタバコ製品、噛みタバコ、噛みタバコ製品、嗅ぎタバコ製品用のフィルタ、可燃紙及びコーティングシート、チューインガム及びチューインガム製品等の外用製品、摂取可能製品、又はタバコ製品から選択される製品組成物であって、
外用ベース製品、摂取可能ベース製品、又はタバコベース製品と、
有効量の一般式(I)~(XII)を有する冷感化合物と
を含む製品組成物に関する。
【0044】
一実施形態では、一般式(I)~(XII)の冷感化合物は、それらが組み込まれる製品組成物の総重量に基づいて1重量%までの低濃度で使用されてもよく、先行技術の多くの冷感化合物から予想される苦味なしに、心地よい冷感、又は長時間持続する冷感効果を提供する。さらに、1重量%までの濃度では、冷感化合物は、メントール等の他の冷感化合物又は冷感剤が呈するような、口又は喉において強いミント味を発達させない。
【0045】
本発明の実施形態によれば、外用製品としては、トイレタリー製品、例えば、フェイスクリーム、タルカムパウダー、ヘアオイル、シャンプー、バスオイル及びバスソルト、化粧石鹸、コロン、制汗剤、化粧水、香水、シェービングローション及びシェービングクリーム、石鹸、クリーム、歯磨剤、マウスウォッシュ(口腔洗浄剤)、リップバーム、ヘアトニック、並びに他の同様の製品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明の実施形態によれば、摂取可能な(例えば、食用、飲用等)製品としては、アルコール飲料及び非アルコール飲料、菓子錠剤、ハードボイルドキャンディー、チューインガム、チューインガム製品、ペクチンベースのキャンディー、チューイーキャンディー、中心にクリームが入ったキャンディー及びフォンダンを含む菓子組成物;炭酸飲料、粉末飲料ミックス、蒸留飲料、ミネラルウォーター、焼き物、乳製品、フルーツアイス、ジャム、ゼリー、ゼラチン、プディング、及び動物飼料が挙げられるが、これらに限定されない。さらには、本発明の冷感化合物は、アルコール飲料におけるアルコールの味覚を高めてもよい。その結果、本発明の冷感化合物を含むアルコール飲料は、その冷感化合物を含まない同等のアルコール度数のアルコール飲料よりも高いアルコール含量を有するように味覚を与える場合がある。
【0047】
本発明の実施形態によれば、タバコ製品としては、噛みタバコ製品、嗅ぎタバコ製品、並びにパイプタバコ製品のためのフィルタ、可燃紙、及びコーティングシートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
当該冷感組成物に使用するための一般式(I)~(XII)の範囲内の冷感化合物の選択は、ある程度は、化合物の溶解度特性に依存する。例えば、本発明の冷感化合物は、水に難溶性であり、油により可溶性である。従って、本発明の冷感化合物は、油溶性が有利である環境に特に適しているが、これらの冷感化合物は、水溶性限界未満の濃度が採用される場合、水性環境で使用することができる。
【0049】
本発明の冷感化合物及び/又は冷感化合物を組み込む最も好ましい組成物は、圧縮菓子錠剤、ハードボイルドキャンディー、チューインガム、チューイーキャンディー、ペクチンキャンディー、中心にクリームが入ったキャンディー、フォンダン、練り歯磨き、マウスウォッシュ、呼気清涼化剤、アルコール飲料及び非アルコール飲料、炭酸飲料、並びに乾燥飲料ミックスである。
【0050】
これらの提案された製品組成物(又は最終用途組成物)のそれぞれに組み込まれる冷感化合物又は冷感組成物の量は、特定の化合物、冷感組成物内の冷感化合物の濃度、所望の冷感効果の程度、及び組成物中の他の香料の強度等に応じて変化する。典型的には、一般式(I)~(XII)を有する冷感化合物は、最終用途組成物の0.001~1.0重量%を構成する。より好ましくは、当該冷感化合物は、最終用途組成物の総重量に基づいて0.005~0.5重量%を構成する。
【0051】
本発明の冷感化合物は、摂取されたときに、例えば、メントール又はカルボキシアミド系冷感剤とは異なる口及び喉の領域において冷感効果を提供することが見出された。結果として、本発明の冷感化合物は、少なくとも1種の二次冷感剤と組み合わされると、補完的又は相乗的な冷感効果をさらに提供する。例示的であるが非限定的な二次冷感剤化合物としては、カルボキシアミド、ケタール、グルタル酸メンチル、コハク酸メンチル、酢酸メンチル、乳酸メンチル、3-メントキシプロパン-1,2-ジオール、イソプレゴール、メントール、及びこれらの混合物が挙げられる。従って、本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1種の二次冷感剤と組み合わせて、一般式(I)~(XII)を有する冷感化合物を含む冷感組成物が提供される。本発明の冷感化合物と組み合わせて使用されてもよい二次冷感剤としては、カルボキシアミド、ケタール、グルタル酸メンチル、コハク酸メンチル、酢酸メンチル、乳酸メンチル、3-メントキシプロパン-1,2-ジオール、メントール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
カルボキシアミド及びケタール冷感剤は、先行技術から公知であり、例えば、米国特許第5,009,893号明細書及び国際公開第93/23005号パンフレットに記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。残りの二次冷感剤は公知の冷感剤であり、その多くは市販されている。
【0053】
例えば、二次カルボキシアミド冷感剤は、一般式
【化16】
のN-置換-p-メンタン-3-カルボキシアミドから選択されてもよく、式中、R’は、単独の場合、水素又は25個までの炭素原子を含有する脂肪族基であり、R”は、単独の場合、ヒドロキシ又は25個までの炭素原子を含有する脂肪族基であるが、ただし、R’が水素である場合、R”は、10個までの炭素原子のアリール基であってもよく、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、ナフチル、置換ナフチル及びピリジルからなる群から選択されてもよく、R’及びR”は、それらが結合している窒素原子と一緒になる場合、25個までの炭素原子の環式基又は複素環式基を表す。
【0054】
加えて、二次カルボキシアミド冷感剤は、一般式
【化17】
の非環式の第三級及び第二級カルボキシアミド及びそれらの混合物から選択されてもよく、式中、R’及びR”は、独立に、水素、C1~C5アルキル若しくはC1~C8ヒドロキシアルキルから選択され、合計8個以下の炭素原子を提供するが、ただし、R’が水素である場合、R”は、6個までの炭素原子のアルキルカルボキシアルキルであってもよく、又はR’及びR”は、一緒になるとき、6個までの炭素原子のアルキレン基を表し、その基の両端はアミド窒素原子に結合し、これにより窒素複素環を形成し、その窒素複素環の炭素鎖は任意選択で酸素によって割り込まれ(離断され)てもよく、Rは、水素又はC1~C5アルキルであり、R及びRは、それぞれC1~C5アルキルであるが、ただし(i)R、R、及びRは一緒になって合計で少なくとも5個の炭素原子、好ましくは5~10個の炭素原子を提供し、(ii)Rが水素である場合、RはC2~C5アルキルであり、RはC2~C5アルキルであり、R及びRの少なくとも1つは、好ましくは式において印を付けられた()炭素原子に対してα位又はβ位で分岐している。
【0055】
非限定的な二次ケタール冷感剤は、一般式
【化18】
によって表されてもよく、式中、Rは、少なくとも1個であるが3個以下のヒドロキシル基を有するC2~C6アルキレン基を表し、R及びRのいずれかは、互いに独立に、ヒドロキシル、アミノ、及びハロゲンからなる群から選択される1~3個の基によって置換されていてもよいC1~C10アルキル、C5~C7シクロアルキル、好ましくはシクロヘキシル、並びにC6~C12アリール、好ましくはフェニルを表すが、ただし、R及びRの炭素原子の合計は3以上であるか、又はR及びRは一緒になってアルキレン基を表し、このアルキレン基は、基R及びRを担持する炭素原子と一緒になって、C1~C6アルキル基で置換されていてもよい5~7員環を形成する。
【0056】
所望の特定の風味に応じて、当該冷感組成物中の二次冷感剤に対する式(I)~(XII)の冷感化合物の相対量は、広範囲にわたって変動してもよい。例えば、メントールの強いミント味が望ましい場合、より多量のメントールと比較的少量の本発明の冷感化合物との組み合わせが望ましい場合がある。本発明の冷感化合物と二次冷感剤との他の有望な組み合わせは、当業者には明らかであろう。
【0057】
存在する場合には、当該冷感組成物中の二次冷感剤の濃度は、冷感組成物の総重量に基づいて約0.05重量%~約95重量%、より好ましくは約0.1重量%~約70重量%、最も好ましくは約0.5重量%~約50重量%である。典型的には、当該冷感組成物は、一般式(I)~(XII)を有する冷感化合物と二次冷感剤とを従来の方法で混合することによって作製される。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態によれば、一般式(I)を有する冷感化合物が提供され、
【化19】
式中、Qは、CR又はCH-CH(CHOR)CHORから選択され、Rは、CHO、COH、CHCHOH、CHR10OR11からなる群から選択され、Rは、CHO、CHCHOH、及びCHR10OR12からなる群から選択され、R及びRは、独立にHであるか、又は組み合わさってスピロアセタール部分若しくはスピロケタール部分を形成し、R10はH又はCHであり、R11及びR12は、独立に、H、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルカリール、置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリール、及び置換若しくは非置換のアシルから選択されるか、又はR11及びR12は、組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、
、R、R、及びRは、独立に、H、CH、及びCHCHから選択され、Rは、イソプロピル、イソプロペニル、及びsec-ブチルから選択され、
第1の条件として、R、R、R、R、及びRのすべてがHとなることはなく、
第2の条件として、QがCRであり、R及びRがともにCHOHであるとき、
はHではなく、
、R、及びRのすべてがHとなることはなく、RはCHではなく、Rはイソプロピルではなく、
第3の条件として、QがCRであり、R及びRがともにCHOHであり、Rがイソプロピル又はイソブチルであるとき、R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つ以上はCH又はCHCHであり、
第4の条件として、QがCRであり、RがCHR10OR11であり、RがCHR10OR12であり、R10がHであり、R11及びR12が組み合わさってスピロケタール部分若しくはスピロアセタール部分を形成し、RがHであるとき、R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つ以上はCH又はCHCHである。
【0059】
冷感剤又は香料剤としての一般式(I)を有する冷感化合物の使用がさらに企図される。
【0060】
1つ以上の実施形態によれば、当該冷感化合物自体は、式(II)~(XII)によってさらに規定されてもよく、Q及びR~R14は前記式(II)~(XII)において定義され、適用可能であれば上述の4つの条件によってのみ限定される。
【0061】
本発明の実施形態内の例示的な化合物及び組成物は、以下の実施例によって例示される。
【実施例
【0062】
実施例の実験手順:冷感化合物1~40の合成。
【0063】
化合物1:((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール
【化20】
1Lフラスコに、水酸化カリウム(80g、1426mmol)及びエタノール(500ml)を加える。KOHの完全な可溶化後、37%ホルムアルデヒド水溶液(106ml、1426mmol)を15分かけて上記媒体に添加し、この混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-カルボアルデヒド(60g、357mmol)(メンタナール(menthanal)とも呼ばれ、その合成は文献に記載されている)を15分かけて媒体に添加し、次いで混合物を室温で72時間撹拌する。媒体を濃縮し、水相をMTBE(300mL)で抽出する。有機相をNaHCOの飽和溶液(150mL)で洗浄し、水相をメチルt-ブチルエーテル(MTBE)(150mL)で抽出する。有機相を合わせ、ブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(45.93g、218mmol、収率61.1%)が、蒸留(T=122℃、0.3mbar)後に非常に粘稠な液体の形態で得られる。これは、室温で数時間後に白色固体に結晶化した。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 4.07(d,J=10.4Hz,1H),3.87(d,J=1.0Hz,2H),3.39(d,J=10.4Hz,1H),2.69(d,J=1.8Hz,2H),2.27-2.15(m,1H),2.05-1.90(m,1H),1.85-1.71(m,1H),1.67-1.37(m,2H),1.34-1.15(m,1H),1.08(dd,J=12.8,3.5,1.2Hz,1H),0.94-0.85(m,6H),0.87-0.76(m,1H),0.74(d,J=6.8Hz,3H),0.70-0.55(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、清涼感。
【0064】
化合物2:(7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化21】
磁気撹拌機及び冷却器を備えた100mLフラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(5g、24.96mmol)、アセトアルデヒド(2.81mL、49.9mmol)及びパラ-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(0.750g、3.94mmol)を加える。この媒体を周囲温度で一晩撹拌下に置く。NaCO(0.579g、5mol%)を媒体に加え、次いでこれを濾過する。(7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(1.3g、23%)が蒸留後に無色液体として得られる(70℃、0.3mbar;異性体の混合物、2つのGCピーク25/75)。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.61(q,J=5.2Hz,1H),4.09-3.97(m,2H),3.79-3.68(m,1H),3.51-3.31(m,1H),2.65-2.53(m,1H),2.12-1.93(m,1H),1.84-1.70(m,1H),1.63-1.51(m,1H),1.55-1.42(m,2H),1.38-1.20(m,3H),1.25-1.06(m,1H),1.01-0.82(m,7H),0.84-0.71(m,3H),0.71-0.49(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:清涼感、ミント風、フルーティ。
【0065】
化合物3:(7S,10R)-7-イソプロピル-3,3,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化22】
磁気撹拌機及び冷却器を備えた100mLフラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、49.9mmol)溶融物、アセトン(5.80g、100mmol)及びPTSA(0.475g、2.496mmol)を加える。この媒体を周囲温度で一晩撹拌下に置く。NaCO(0.442g、5mol%)を媒体に添加し、次いでこれを濾過し、濃縮する。得られた液体をクロマトグラフィーカラム(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)によって精製する。(7S,10R)-7-イソプロピル-3,3,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(1.81g、14%)が無色液体として得られる。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 3.89(d,J=11.6Hz,2H),3.60(dt,J=11.7,0.9Hz,1H),3.20-3.10(m,1H),2.29-2.08(m,2H),1.75-1.60(m,1H),1.49-1.37(m,1H),1.33(s,3H),1.32(s,3H),1.23-1.00(m,1H),0.99-0.60(m,11H),0.58-0.42(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:弱い、清涼感、木質。
【0066】
化合物4:(7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化23】
磁気撹拌機及び冷却器を備えた100mLフラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(7g、34.9mmol)、プロピオンアルデヒド(5.01mL、69.9mmol)及びPTSA(0.332g、1.747mmol)を加える。この媒体を周囲温度で一晩撹拌下に置く。NaCO(0.185g、5mol%)を媒体に添加し、次いでこれを濾過し、濃縮する。(7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(3.86g、44%)が、蒸留後に無色の液体として得られる(T=80~85℃、0.3mbar;2つのピークGC 23/77)。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 4.44-4.29(m,1H),4.10-3.96(m,2H),3.80-3.68(m,1H),3.50-3.32(m,1H),2.57(ddd,J=13.6,3.4,2.3Hz,1H),2.13-1.93(m,1H),1.83-1.71(m,1H),1.70-1.58(m,2H),1.57-1.41(m,1H),1.38-1.20(m,1H),1.20-1.03(m,1H),1.01-0.83(m,11H),0.78(d,J=6.9Hz,3H),0.67-0.49(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:清涼感、フルーティ、エキゾチック。
【0067】
化合物5:4-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)-2-メトキシフェノール
【化24】
磁気撹拌機及び冷却器を備えた100mLフラスコに、バニリン(1.246g、8.19mmol)、オルトギ酸トリメチル(2.73mL、24.96mmol)、PTSA(0.047g、0.250mmol)、次いで((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(1g、4.99mmol)を加える。この媒体を周囲温度で一晩撹拌下に置く。MTBE(50mL)を添加し、次いで媒体を飽和NaHCO(50mL)溶液に注ぐ。有機相をNaCl(飽和)(100mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。得られた液体をクロマトグラフィーカラム(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)によって精製する。4-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)-2-メトキシフェノール(0.53g、31%)が無色の粘性液体として得られる。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 7.10-6.91(m,2H),6.94-6.84(m,1H),5.58(s,1H),5.36(d,J=10.7Hz,1H),4.27-4.16(m,2H),4.01-3.91(m,1H),3.87(s,3H),3.73-3.50(m,1H),2.81-2.69(m,1H),2.21-2.01(m,1H),1.81(dt,J=12.4,3.1Hz,1H),1.71-1.46(m,2H),1.45-1.10(m,2H),1.08-0.98(m,2H),0.98-0.94(m,4H),0.94-0.80(m,4H),0.76-0.55(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、バニラ。
【0068】
化合物6:(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化25】
ディーン-スターク(Dean-Stark)トラップを備えた250mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、49.9mmol)、ジメトキシメタン(22.34ml、250mmol)、シクロヘキサン(100ml)及びPTSA(0.475g、2.496mmol)を加える。この混合物を還流状態で一晩撹拌する。冷却した媒体を飽和NaHCO(50mL)溶液に注ぎ入れ、次いで有機相をブライン(50mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(7.13g、32.9mmol、収率65.9%)が蒸留(74℃、0.4mbar)後に無色液体として回収される。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 4.93(d,J=5.9Hz,1H),4.67(d,J=6.0Hz,1H),3.97-3.87(m,2H),3.82(dd,J=11.4,1.3Hz,1H),3.45-3.29(m,1H),2.43-2.28(m,1H),2.20(p,J=6.9Hz,1H),1.88-1.64(m,1H),1.64-1.36(m,2H),1.19(qd,J=13.1,3.5Hz,1H),0.96(dd,J=3.6,1.2Hz,1H),0.91(d,J=5.0Hz,3H),0.89(d,J=4.3Hz,3H),0.85(dd,J=3.6,1.0Hz,1H),0.80(d,J=6.7Hz,3H),0.67-0.53(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:弱い、赤色果実。
【0069】
化合物7:(1S,4R,10S,13R)-1,10-ジイソプロピル-4,13-ジメチル-7,16-ジオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン
【化26】
ディーン-スタークトラップを備えた100mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(2g、9.98mmol)、l-メントン(1.540g、9.98mmol)、トルエン(50mL)、次いでPTSA(0.095g、0.499mmol)を加える。この混合物を還流状態で一晩撹拌する。冷却した媒体を飽和NaHCO(50mL)溶液に注ぎ入れ、次いで有機相をブライン(50mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。(1S,4R,10S,13R)-1,10-ジイソプロピル-4,13-ジメチル-7,16-ジオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン(1.5g、4.23mmol、収率42.4%)が、クロマトグラフィーカラム(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)による精製後にペースト状白色固体の形態で回収される。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 4.35(d,J=11.1Hz,1H),3.89-3.67(m,2H),3.07(dd,J=11.1,2.6Hz,1H),2.79-2.63(m,2H),2.63-2.47(m,1H),2.14-1.89(m,1H),1.83-1.66(m,3H),1.58-1.47(m,4H),1.28-1.06(m,3H),0.95-0.87(m,18H),0.81(d,J=6.8Hz,4H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:無臭。
【0070】
化合物8:(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒド
【化27】
500mLの三つ口フラスコに、TEMPO(0.234g、1.498mmol)、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(15g、74.9mmol)、酢酸エチル(100mL)及び炭酸水素ナトリウム(12.58g、150mmol)を加える。次いで、水(20.00ml)中の臭化カリウム(1.782g、14.98mmol)の溶液をフラスコに加える。この混合物を激しく撹拌し、0~5℃に冷却する。次いで、温度を15℃未満に維持しながら36°漂白剤(116ml、187mmol)を20分間かけて滴下し、次いで、この混合物を氷浴中で30分間撹拌する。この媒体を水(50mL)で希釈し、水相をEtOAc(100mL)で抽出する。有機相を合わせ、次いで10%HSO水溶液(30mL)及び飽和NaSO(50mL)溶液で洗浄する。KI/デンプン試験では有機相中に残留酸化剤は観察されない。有機相を飽和NaCl(50mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒド(1.5g、7.11mmol、収率9.49%)が、蒸留(T=78~80℃、0.4mbar)後に、93%のGC純度を有する黄色がかった液体として得られる。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 10.12(t,J=0.9Hz,1H),9.64(s,1H),1.96-1.77(m,4H),1.75-1.58(m,2H),1.55-1.34(m,1H),1.12-0.95(m,2H),0.93-0.88(m,9H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:清涼感、ミント風。
【0071】
化合物9:((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン) ジアセテート
【化28】
冷却器を備えた100mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、49.9mmol)、MTBE(30ml)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.610g、4.99mmol)を加え、次いで無水酢酸(14.13ml、150mmol)を滴下する。この混合物を室温で30分間撹拌する。この媒体を10%HCl水溶液(30mL)及び氷の混合物に注ぎ入れ、次いで有機相を飽和NaHCO(30mL)溶液、飽和NaCl(30mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン) ジアセテート(11.2g、38.2mmol、収率77%)が、蒸留(T=106~108℃、0.7mbar)後に透明無色液体として回収される。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 4.26(d,J=11.4Hz,1H),4.08-3.97(m,3H),2.06(s,3H),2.03(s,3H),1.99-1.89(m,1H),1.83-1.58(m,2H),1.58-1.42(m,2H),1.42-1.11(m,2H),1.01-0.90(m,1H),0.88(d,J=6.9Hz,3H),0.84(d,J=6.4Hz,3H),0.82-0.78(m,1H),0.75(d,J=6.8Hz,3H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:無臭。
【0072】
化合物10:(3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール
【化29】
250mlの三つ口フラスコに、水酸化カリウム(21.82g、389mmol)及びエタノール(162ml)を加える。KOHの完全な可溶化の後、37%ホルムアルデヒド水溶液(29.0ml、389mmol)を周囲温度で滴下し、次いでこの混合物を10分間撹拌する。次いで、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボアルデヒド(15g、97mmol)を30分かけて滴下し、この混合物を周囲温度で一晩撹拌する。媒体を濃縮し、水相をMTBE(2×30mL)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO(30mL)溶液、次いでブライン(30mL)で順次洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して白色固体を得る。還流下のシクロヘキサン(50mL)から再結晶させた後、(3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(13.3g、67.8mmol、収率69.7%)が白色固体の形態で回収される。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 3.85-3.66(m,2H),3.45-3.31(m,2H),3.31-3.01(m,2H),1.72-1.46(m,3H),1.41(ddt,J=12.9,3.6,2.1Hz,1H),0.98(s,3H),0.92(s,3H),0.88(d,J=6.4Hz,3H),0.86-0.67(m,2H),0.59-0.46(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:無臭。
【0073】
化合物11:3,8,8,10-テトラメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化30】
100mLの三つ口フラスコに、(3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(8g、42.9mmol)、アセトアルデヒド(7.20mL、129mmol)、次いでPTSA(0.408g、2.147mmol)を加える。この混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次いで炭酸ナトリウム(0.455g、4.29mmol)を媒体に加える。5分間撹拌した後、媒体を濾過し、次いで蒸留して、3,8,8,10-テトラメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(3.34g、15.73mmol、収率36.6%)が無色の液体の形態で得られる(Tb.=54℃、0.4mbar;2つのGCピーク 60/40)。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 4.65-4.45(m,1H),4.42-4.14(m,1H),3.51-3.20(m,3H),2.53-2.20(m,1H),1.62-1.48(m,1H),1.48-1.37(m,1H),1.32(t,J=5.3Hz,3H),1.17-1.07(m,1H),1.04(s,2H),0.94(s,2H),0.92(d,J=6.4Hz,2H),0.88-0.85(m,3H),0.84(s,1H),0.75(ddd,J=19.2,13.2,6.6Hz,1H),0.66-0.40(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:木質、琥珀様、フルーティ。
【0074】
化合物12:3,3,8,8,10-ペンタメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化31】
50mLの二口フラスコに、(3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(5g、26.8mmol)、アセトン(7.95mL、107mmol)及びPTSA(0.255g、1.342mmol)を加える。この混合物を室温で1時間撹拌する。炭酸ナトリウム(0.284g、2.68mmol)を添加し、この媒体を5分間撹拌した後、濾過し、次いで蒸留する。3,3,8,8,10-ペンタメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(2.7g、11.81mmol、収率44.0%)が透明な無色の液体(T=58~62℃、0.3mbar)の形態で回収される。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 3.92(dd,J=11.7,2.0Hz,1H),3.72(dd,J=11.6,1.5Hz,1H),3.52(d,J=11.4Hz,1H),3.23(dd,J=11.4,2.0Hz,1H),2.24-2.11(m,1H),1.81-1.53(m,1H),1.40(d,J=5.3Hz,7H),1.31(dt,J=13.9,2.1Hz,1H),0.95-0.86(m,9H),0.82-0.67(m,2H),0.61-0.44(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:木質、フルーティ。
【0075】
化合物13:(7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化32】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、46.9mmol)、PTSA(0.446g、2.346mmol)及びブタン-2-オン(6.77g、94mmol)を加える。この媒体を周囲温度で一晩撹拌し、次いでディーン-スタークトラップを備えた250mLの三つ口フラスコに移す。ブタン-2-オン(6.77g、94mmol)及びシクロヘキサン(100mL)を添加し、この混合物を1時間還流させる。水(50mL)を添加し、水相をMTBE(2×30mL)で抽出する。有機相を合わせ、飽和NaHCO(40mL)溶液、ブライン(40mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。(7S,10R)-3-エチル-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(5.8g、21.52mmol、収率45.9%)が無色の液体(T=72~77℃、0.4mbar、2つのGCピーク 46/54)の形態で得られる。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.06-3.83(m,2H),3.66(ddd,J=11.8,7.0,1.5Hz,1H),3.29-3.08(m,1H),2.34-2.05(m,2H),1.83-1.57(m,3H),1.57-1.40(m,2H),1.33(d,J=7.9Hz,3H),1.28-1.02(m,1H),0.99-0.80(m,14H),0.64-0.46(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:強力、木質、藻類。
【0076】
化合物14:(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-プロピル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化33】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、46.9mmol)、PTSA(0.446g、2.346mmol)及びブチルアルデヒド(13.53g、188mmol)を加える。この媒体を周囲温度で45分間撹拌し、次いで炭酸ナトリウム(0.497g、4.69mmol)を加える。この混合物を5分間撹拌し、次いで濾過し、蒸留する。(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-プロピル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(9.6g、35.1mmol、収率74.8%)が無色の液体(T=66℃、0.5torr;2つのGCピーク 82/18)として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.44(d,J=5.2Hz,1H),4.07-3.97(m,2H),3.80-3.63(m,1H),3.54-3.31(m,1H),2.89-2.35(m,1H),2.03(七重線,J=6.9Hz,1H),1.88-1.69(m,1H),1.69-1.52(m,3H),1.52-1.36(m,3H),1.36-1.04(m,2H),0.97-0.85(m,10H),0.75(d,J=6.8Hz,3H),0.69-0.52(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:チーズ様、膠。
【0077】
化合物15:(7S,10R)-3,7-ジイソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化34】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、46.9mmol)、PTSA(0.446g、2.346mmol)及びイソブチルアルデヒド(13.53g、188mmol)を加える。この媒体を周囲温度で一晩撹拌し、次いでディーン-スタークトラップを備えた250mLの三つ口フラスコに移す。次いでシクロヘキサン(100mL)を添加し、この混合物を1時間還流させる。水(50mL)を添加し、水相をMTBE(2×30mL)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO(40mL)溶液、ブライン(40mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。(7S,10R)-3,7-ジイソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(3.4g、12.29mmol、収率26.2%)が、蒸留後に、黄色がかった液体として回収される(Teb=76℃、0.8torr;2つのGCピーク 65/35)。H NMR(300MHz,CDCl) 主要異性体 δ 4.18(dd,J=15.0,4.3Hz,1H),4.04(dd,J=11.1,2.8Hz,1H),3.99(d,J=10.9Hz,1H),3.85-3.66(m,1H),3.49-3.30(m,1H),2.61-2.48(m,1H),2.11-1.93(m,1H),1.89-1.65(m,2H),1.65-1.43(m,2H),1.40-1.00(m,3H),1.00-0.92(m,6H),0.92-0.89(m,3H),0.89-0.86(m,3H),0.78(d,J=7.0Hz,3H),0.65-0.42(m,1H)。微量異性体(特徴的シグナル) δ 4.35(dd,J=12.0,2.3Hz,1H),2.93-2.70(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:弱い、チョコレート。
【0078】
化合物16:(7S,10R)-3-(sec-ブチル)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化35】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、46.9mmol)、PTSA(0.446g、2.346mmol)及び2-メチルブタナール(16.17g、188mmol)を加える。この媒体を周囲温度で1時間撹拌し、次いで炭酸ナトリウム(0.497g、4.69mmol)を加える。5分間撹拌した後、媒体を濾過し、蒸留する。(7S,10R)-3-(sec-ブチル)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(5.8g、20.53mmol、収率44%)が無色の液体(T=80℃、0.4torr、2つのGCピーク 15/85)として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) 主要異性体 δ 4.39-4.19(m,1H),4.09-3.93(m,2H),3.80-3.64(m,1H),3.49-3.29(m,1H),2.63-2.44(m,1H),2.12-1.93(m,1H),1.84-1.68(m,1H),1.67-1.40(m,3H),1.38-1.04(m,3H),0.97-0.94(m,1H),0.95-0.86(m,12H),0.87-0.83(m,1H),0.83-0.71(m,3H),0.68-0.47(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:弱い、エーテル性。
【0079】
化合物17:(2S,5R)-2-イソプロピル-1,1-ビス(メトキシメチル)-5-メチルシクロヘキサン
【化36】
バブラーを備えた窒素フラッシュした250mL丸底フラスコに、水素化ナトリウム(3.51g、88mmol)、THF(165ml)を加え、次いで((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(8g、39.9mmol)のTHF(35ml)溶液を室温で15分間かけて滴下する。次いでヨウ化メチル(6.24ml、100mmol)を加え、この混合物を一晩還流する。水(30mL)を添加し、水相をMTBE(2×50mL)で抽出した。有機相を集め、ブライン(30mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。(2S,5R)-2-イソプロピル-1,1-ビス(メトキシメチル)-5-メチルシクロヘキサン(6.4g、25.8mmol、収率64.6%)が、蒸留(T=60℃、0.2mbar)後に無色の液体として得られる。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 3.44(d,J=9.2Hz,1H),3.39(d,J=9.3Hz,1H),3.33(s,3H),3.30(d,J=2.5Hz,3H),3.28-3.20(m,2H),2.03(七重線,J=6.9Hz,1H),1.78-1.60(m,2H),1.60-1.03(m,5H),0.99(d,J=12.8Hz,1H),0.90(d,J=6.9Hz,3H),0.86(d,J=6.5Hz,3H),0.74(d,J=6.8Hz,3H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:清涼感、弱い、グレープフルーツ。
【0080】
化合物18:(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化37】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、46.9mmol)、PTSA(0.451g、2.371mmol)及びベンズアルデヒド(5.54g、52.2mmol)を加える。この媒体を周囲温度で1時間撹拌し、次いで炭酸ナトリウム(0.503g、4.74mmol)を加える。5分間撹拌した後、媒体を濾過し、蒸留する。(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(7.8g、25.4mmol、収率53.6%)は無色の粘性油(T=120℃、0.6torr、2つのGCピーク 26/74)として得られる。H NMR(300MHz,CDCl) δ 7.61-7.46(m,2H),7.45-7.29(m,3H),5.44(d,J=8.9Hz,1H),4.29-4.17(m,1H),4.05-3.88(m,1H),3.85-3.41(m,2H),2.86-2.67(m,1H),2.23-2.03(m,1H),1.89-1.74(m,1H),1.74-1.47(m,2H),1.31-1.19(m,1H),1.10-0.93(m,7H),0.92-0.79(m,4H),0.79-0.60(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:弱い、アーモンド。
【0081】
化合物19:(7S,10R)-3,3-ジエチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化38】
ディーン-スターク装置を備えた250mL丸底フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、47.4mmol)、PTSA(0.451g、2.371mmol)、ペンタン-3-オン(16.34g、190mmol)及びシクロヘキサン(100mL)を導入する。この混合物を1時間還流し、次いで冷却し、飽和NaHCO(40mL)、ブライン(40mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、蒸留する(T=100℃、0.7torr)。(7S,10R)-3,3-ジエチル-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(5.8g、20.31mmol、収率42.8%)が無色の液体として得られる。H NMR(300MHz,CDCl) δ 3.99-3.82(m,2H),3.64(dd,1H),3.19(dd,1H),2.35-2.16(m,2H),1.81-1.60(m,5H),1.54-1.37(m,2H),1.20-1.05(m,1H),0.94-0.79(m,17H),0.61-0.46(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:弱い、清涼感、木質。
【0082】
化合物20:(3,3-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール
【化39】
100mlの三つ口フラスコに、水酸化カリウム(0.600g、10.70mmol)及びエタノール(75ml)を加える。KOHの完全な可溶化の後、37%ホルムアルデヒド水溶液(0.796ml、10.70mmol)を周囲温度で滴下し、次いでこの混合物を10分間撹拌する。次いで、3,3-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボアルデヒド(1g、7.13mmol)を30分かけて滴下し、この混合物を周囲温度で72時間撹拌する。媒体を濃縮し、水相をMTBE(2×30mL)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO(30mL)溶液、次いでブライン(30mL)で順次洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィーカラム(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)による精製後、(3,3-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(0.64g、7.13mmol、収率52%)が白色固体の形態で回収される。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 3.67-3.51(m,4H),3.06(s,2H),1.56-1.42(m,2H),1.31-1.17(m,6H),0.94(s,6H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、溶媒。
【0083】
化合物21:4,4’-((((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(4-オキソブタン酸)
【化40】
50mlの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(5g、24.96mmol)、MCH(10ml)、次いで無水コハク酸(5.00g、49.9mmol)を添加する。この混合物を一晩還流し、次いで濃縮する。4,4’-((((2R,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(4-オキソブタン酸)(7.25g、17.20mmol、収率68.9%)が、クロマトグラフィーカラム(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)による精製後に粘性油状物として得られる。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 10.97(s,2H),4.31(d,J=11.4Hz,1H),4.18-3.98(m,4H),2.74-2.53(m,8H),1.99(q,J=6.9Hz,1H),1.84-1.60(m,2H),1.60-1.40(m,2H),1.40-1.30(m,2H),0.89(d,J=6.8Hz,4H),0.84(d,J=6.4Hz,3H),0.75(d,J=6.8Hz,3H)。13C NMR及びIR(cm-1)データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:無臭。
【0084】
化合物22:(7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化41】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、47.4mmol)、PTSA(0.451g、2.371mmol)及びアセトフェノン(6.27g、52.2mmol)を入れる。この媒体を周囲温度で一晩撹拌し、次いでディーン-スタークトラップを備えた250mLの三つ口フラスコに移す。次いでシクロヘキサン(100mL)を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌し、次いで16時間還流させる。冷却した溶液を飽和NaHCO(40mL)溶液、ブライン(40mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。(7S,10R)-7-イソプロピル-3,10-ジメチル-3-フェニル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(3.6g、11.21mmol、収率23.6%)が、蒸留後に粘性の無色の液体(Teb=97℃、0.6torr;2つのGCピーク 61/39)として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) 主要異性体 δ 7.25-7.13(m,4H),7.13-7.00(m,1H),3.93-3.62(m,1H),3.60-3.50(m,1H),3.51-3.03(m,1H),3.03-2.62(m,1H),2.62-2.29(m,1H),1.63-1.34(m,1H),1.29(d,J=9.7Hz,3H),1.24-0.83(m,2H),0.78(d,J=6.9Hz,3H),0.73(d,J=6.4Hz,3H),0.69-0.55(m,2H),0.54-0.48(m,3H),0.46-0.35(m,1H),0.30(d,J=6.8Hz,2H),0.20(t,J=12.9Hz,0H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:粉末状、バニラ、ミモザ。
【0085】
化合物23:2-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)ピリジン
【化42】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、47.4mmol)、PTSA(0.451g、2.371mmol)及びピコリンアルデヒド(5.59g、52.2mmol)を入れる。この媒体を周囲温度で一晩撹拌し、次いでディーン-スタークトラップを備えた250mLの三つ口フラスコに移す。次いでシクロヘキサン(100mL)を添加し、この混合物を一晩還流させる。冷却した溶液を飽和NaHCO(40mL)溶液、ブライン(40mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。2-((7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)ピリジン(4.8g、15.76mmol、収率33.2%)が、蒸留後に粘性の黄色の液体(Teb=110℃、0.4torr;2つのGCピーク 72/28)として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) 主要異性体 δ 8.38(tdd,J=5.9,2.4,1.0Hz,1H),7.52(tt,J=7.7,1.6Hz,1H),7.46-7.30(m,1H),7.10-6.99(m,1H),5.28(d,J=2.2Hz,1H),4.27-3.82(m,2H),3.83-3.63(m,1H),3.36(dd,J=10.9,2.7Hz,1H),2.49(ddd,J=13.6,3.4,2.4Hz,1H),1.62-1.48(m,1H),1.40(dtd,J=12.0,5.7,2.7Hz,1H),1.30(dq,J=13.4,3.5Hz,1H),1.03-0.94(m,1H),0.94-0.76(m,1H),0.72(td,J=6.9,5.8Hz,7H),0.61(dd,J=6.6,4.2Hz,4H),0.47(ddd,J=14.4,12.5,2.1Hz,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:緑、ミモザ。
【0086】
化合物24:(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(チオフェン-2-イル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化43】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、47.4mmol)、PTSA(0.451g、2.371mmol)及びチオフェン-2-カルボアルデヒド(5.85g、52.2mmol)を入れる。この媒体を周囲温度で27時間撹拌する。炭酸ナトリウム(0.503g、4.74mmol)を添加し、次いで水(15mL)を添加する。有機層をブライン(40mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(チオフェン-2-イル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(3.9g、12.37mmol、収率26.1%)が、蒸留後に黄色の液体(Teb=70℃、0.9torr;2つのGCピーク 35/65)として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) 主要異性体 δ 7.32(dd,J=5.0,1.3Hz,1H),7.21-7.10(m,1H),7.01(dt,J=4.8,3.8Hz,1H),5.70(s,1H),4.58-4.13(m,2H),4.03-3.84(m,1H),3.67-3.51(m,1H),2.85-2.67(m,1H),2.10(七重線,J=6.8Hz,1H),1.82(dp,J=12.8,3.4Hz,1H),1.70-1.60(m,1H),1.60-1.50(m,1H),1.23(ddd,J=13.2,4.6,2.5Hz,1H),1.06-0.92(m,7H),0.86(t,J=6.9Hz,4H),0.74-0.59(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:弱い、緑、パンの外皮。
【0087】
化合物25:(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(2-(メチルチオ)エチル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化44】
50mLの三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(10g、47.4mmol)、PTSA(0.451g、2.371mmol)、3-(メチルチオ)プロパナール(9.88g、95mmol)及びシクロヘキサン(7mL)を入れる。この媒体を周囲温度で27時間撹拌する。この混合物を飽和NaHCO(40mL)溶液、ブライン(40mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。蒸留(Teb=77℃、0.8torr)及びクロマトグラフィーカラム(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配、2つのGCピーク 41/59)の後、(7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-3-(2-(メチルチオ)エチル)-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(0.5g、1.653mmol、収率3.49%)が無色の液体として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) 主要異性体 δ 4.61-4.51(m,1H),4.37-3.93(m,2H),3.77-3.63(m,1H),3.50-3.31(m,1H),2.86-2.40(m,3H),2.10(s,3H),2.01(p,J=6.9Hz,1H),1.97-1.81(m,2H),1.75(dh,J=12.6,3.1Hz,1H),1.65-1.39(m,1H),1.39-1.18(m,1H),1.18-0.93(m,3H),0.94-0.66(m,9H),0.66-0.43(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:金属的、ニンニク、イワシ。
【0088】
化合物26:3,8,8-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化45】
50mLの三つ口フラスコに、(3,3-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(8g、46.4mmol)、アセトアルデヒド(6.14g、139mmol)及びPTSA(0.442g、2.322mmol)を入れる。この混合物を周囲温度で17時間撹拌する。炭酸水素ナトリウム(0.5g)を添加し、この混合物を濾過し、次いで濃縮する。3,8,8-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(9.21g、23.72mmol、収率51.1%)が、蒸留後に無色の液体(Teb=57℃、1.2torr;2つのGCピーク 53/47)として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) 主要異性体 δ 4.58(dq,J=6.6,5.0Hz,1H),3.95-3.76(m,2H),3.42-3.23(m,2H),1.73-1.64(m,1H),1.62(s,1H),1.56-1.47(m,1H),1.46-1.38(m,1H),1.37-1.14(m,6H),1.00-0.97(m,3H),0.87(s,4H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:カンファー、紫、清涼感。
【0089】
化合物27:(2-(sec-ブチル)シクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール)
【化46】
100mlの三つ口フラスコに、水酸化カリウム(17g、10.70mmol)及びエタノール(200ml)を加える。KOHのほぼ完全な可溶化の後、37%ホルムアルデヒド水溶液(19.47ml、261mmol)を周囲温度で滴下し、次いでこの混合物を10分間撹拌する。次いで、2-(sec-ブチル)シクロヘキサン-1-カルボアルデヒド)(11g、65.4mmol)を30分かけて滴下し、この混合物を周囲温度で72時間撹拌する。媒体を濃縮し、水相をMTBE(2×100mL)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO(150mL)溶液、次いでブライン(100mL)で順次洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。(2-(sec)ブチル)シクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(0.9g、4.27mmol、収率6.53%)が、蒸留(Teb=119℃、1torr)、続いてカラムクロマトグラフィー(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)の後、無色の液体の形態で回収される。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 4.18-4.03(m,1H),3.98-3.74(m,2H),3.70-3.44(m,1H),3.44-3.27(m,1H),2.32-2.15(m,1H),1.95-1.70(m,2H),1.69-1.49(m,2H),1.49-1.32(m,1H),1.32-1.06(m,5H),1.06-0.90(m,1H),0.90-0.77(m,5H),0.77-0.66(m,2H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、溶媒。
【0090】
化合物28:エチル (7S,10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート
【化47】
ディーン-スタークトラップを備えた100mLの三つ口フラスコに、((5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(5g、24.96mmol)、トルエン中の50%2-グリオキサル酸エチル(10.19mL、49.9mmol)、及びPTSA(0.237g、1.248mmol)を入れた。この媒体を周囲温度で3時間30分撹拌する。次いでトルエン(300mL)を添加し、この混合物を1時間還流させる。冷却した溶液に炭酸ナトリウム(0.265g、2.496mmol)を添加し、5分間撹拌する。この溶液を濾過し、濃縮する。蒸留(Teb=100℃、0.3mbar)、続いてカラムクロマトグラフィー(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)の後、エチル (10R)-7-イソプロピル-10-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート(0.3g、0.992mmol、収率4%)が無色の液体(2つのGCピーク 48/52)として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.97(s,0H),4.92(s,1H),4.42-3.80(m,5H),3.62-3.44(m,1H),2.68-2.45(m,1H),2.00(七重線,J=7.0Hz,1H),1.76(dq,J=12.5,2.9Hz,1H),1.63-1.42(m,2H),1.33(td,J=7.1,3.5Hz,3H),1.27-1.02(m,2H),0.95-0.87(m,5H),0.84(dd,J=6.5,2.8Hz,3H),0.78(d,J=6.8Hz,2H),0.70-0.54(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:無臭。
【0091】
化合物29:2,2’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)
【化48】
窒素下、0℃で250mLの三つ口フラスコに、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(20.96g、61.1mmol)、THF(100mL)及びカリウム t-ブトキシド(6.86g、61.1mmol)を加える。この混合物は、室温で30分間撹拌すると赤色になった。次いで、THF(20ml)中の(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒド(5g、25.5mmol)の溶液を0℃で20分間かけて添加し、室温で一晩撹拌する。MTBE(100mL)及び10%HCl水溶液(150mL)を加える。水相をMTBE(200mL)で抽出する。有機相を集め、ブライン(30mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。シクロヘキサン(100mL)を添加し、白色沈殿物を濾別する。濾液を濃縮し、蒸留して(0.3mbar、T=66~80℃)、55%GCを占める異性体の混和物として黄色がかった液体として(2S,5R)-2-イソプロピル-1,1-ビス(2-メトキシビニル)-5-メチルシクロヘキサン(2.2g、4.79mmol、収率18.8%)を得る。この生成物をTHF(40mL)で希釈し、10%HCl水溶液(20mL)を加える。この混合物を室温で2時間撹拌し、次いでMTBE(100mL)に注ぐ。有機相を飽和NaHCO(50mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)による精製後、2,2’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジアセトアルデヒド(0.3g、1.244mmol、収率4.9%)を黄色油状物として回収する。この生成物をEtOH(20mL)で希釈し、水素化ホウ素ナトリウム(0.482g、12.74mmol)を加える。この混合物を一晩撹拌し、濃縮する。MTBE(30mL)及び10%NaOH水溶液(20mL)を加える。有機相を飽和ブライン(20mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)による精製後、2,2’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)(0.25g、1.084mmol、収率4.25%)が白色固体として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 3.77-3.58(m,4H),2.15(s,2H),2.06-1.89(m,2H),1.89-1.79(m,1H),1.79-1.69(m,1H),1.69-1.54(m,1H),1.54-1.45(m,1H),1.45-1.40(m,2H),1.38(d,J=3.3Hz,1H),1.35-1.31(m,1H),1.30-1.22(m,1H),1.18-1.09(m,1H),1.06-0.94(m,1H),0.90(d,J=6.9Hz,3H),0.83(d,J=1.9Hz,3H),0.81(d,J=2.2Hz,3H),0.74(dd,J=12.3,4.7Hz,0H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、溶媒。
【0092】
化合物30:(2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール
【化49】
100mlの三つ口フラスコに、水酸化カリウム(7.39g、132mmol)及びエタノール(55ml)を加える。KOHのほぼ完全な可溶化の後、37%ホルムアルデヒド水溶液(9.8ml、132mmol)を周囲温度で滴下し、次いでこの混合物を10分間撹拌する。次いで、2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボアルデヒド(6g、32.9mmol)(国際公開第2016153011号パンフレットに従って合成)を30分かけて滴下し、この混合物を周囲温度で24時間撹拌する。37%ホルムアルデヒド水溶液(9.80ml、132mmol)及び水酸化カリウム(7.39g、132mmol)をさらに1回添加し、この混合物を室温で長時間撹拌する。媒体を濃縮し、水相をMTBE(2×30mL)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO(30mL)溶液、次いでブライン(30mL)で順次洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。((2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(3g、11.20mmol、収率34.0%)が、蒸留(P=0.3mbar、T=120℃)及びクロマトグラフィーカラム(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)による精製後に白色固体の形態で回収される(ジアステレオマーの混合物 5/95)。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 4.06-3.74(m,3H),3.31(dd,J=10.3,1.8Hz,1H),2.79(s,2H),2.04(dd,J=14.1,2.5Hz,1H),1.99-1.85(m,1H),1.56-1.45(m,1H),1.45-1.30(m,2H),1.22-1.04(m,3H),1.02(s,3H),0.93(s,3H),0.89(d,J=6.9Hz,3H),0.77(d,J=6.8Hz,3H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:無臭。
【0093】
化合物31:7-(sec-ブチル)-3-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン)
【化50】
50mLの三つ口フラスコに、(2-(sec)ブチル)シクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール)(3.6g、15.28mmol)、アセトアルデヒド(2.56mL、45.8mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(0.145g、0.764mmol)を入れる。この混合物を周囲温度で一晩撹拌する。炭酸水素ナトリウム(0.5g)を添加し、この混合物を濾過し、次いで濃縮する。蒸留(Teb=64℃、1torr)及びカラムクロマトグラフィー(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)の後、7-(sec-ブチル)-3-メチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(0.6g、2.60mmol、収率17%)が無色の液体(異性体の混合物)として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.65-4.51(m,1H),4.34(ddd,J=15.1,12.0,2.5Hz,0H),4.15-3.93(m,2H),3.82-3.59(m,1H),3.44-3.32(m,1H),2.64-2.50(m,1H),1.84-1.35(m,6H),1.31(t,J=5.3Hz,3H),1.28-0.95(m,5H),0.95-0.87(m,3H),0.87-0.80(m,2H),0.76(d,J=6.9Hz,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:動物的、ブラックカラント、琥珀様。
【0094】
化合物32:((2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メチル アセテート
【化51】
0℃の100mL三つ口フラスコに、((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(2g、9.98mmol)、MTBE(50ml)及びトリエチルアミン(2.087ml、14.98mmol)を加える。塩化アセチル(0.784g、9.98mmol)を5分間かけて滴下し、この混合物を室温で30分間撹拌する。水(20mL)を添加し、有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。((2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メチル アセテート(0.72g、2.94mmol、収率29.5%)(ジアステレオマーの混合物 59/41)が無色の粘着性油状物として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.32-4.02(m,2H),3.79-3.41(m,2H),2.09(d,J=7.0Hz,3H),2.23-1.91(m,1H),2.01(s,1H),1.93-1.60(m,2H),1.60-1.40(m,2H),1.40-1.17(m,2H),0.96-0.82(m,7H),0.80(q,J=3.9Hz,1H),0.75(dd,J=6.8,3.7Hz,3H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、清涼感。
【0095】
化合物33:7-イソプロピル-3,10,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン
【化52】
50mLの三つ口フラスコに、(2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(1g、4.67mmol)、アセトアルデヒド(1.565mL、28.0mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(0.044g、0.233mmol)を加える。この混合物を周囲温度で一晩撹拌する。炭酸ナトリウム(0.049g、0.467mmol)を添加し、この混合物を濾過し、次いで濃縮する。カラムクロマトグラフィー(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)の後、7-イソプロピル-3,10,10-トリメチル-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(0.3g、1.211mmol、収率25.9%)が無色の液体として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.61(q,J=5.0Hz,1H),4.18(dd,J=11.3,3.1Hz,1H),3.90(d,J=10.8Hz,1H),3.77-3.55(m,1H),3.31(dd,J=10.8,3.1Hz,1H),2.43(dd,J=14.3,2.5Hz,1H),2.01(七重線,J=6.9Hz,1H),1.48(dq,J=12.5,3.1Hz,1H),1.43-1.36(m,1H),1.34(d,J=5.1Hz,3H),1.31-1.22(m,1H),1.19-1.06(m,1H),1.03(s,3H),0.94(s,3H),0.92(d,J=7.0Hz,4H),0.88-0.82(m,1H),0.80(d,J=6.8Hz,3H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:木質、汚れ、琥珀様。
【0096】
化合物34:1,1’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)
【化53】
窒素下の500mL三つ口フラスコに、THF(200ml)及びTHF中メチルマグネシウムクロリド 3M(37.8ml、113mmol)を加える。次いで、THF(100ml)中の(2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジカルボアルデヒド(10g、45.3mmol)の溶液を0℃で30分間かけて滴下する。この混合物を30分間撹拌し、飽和NHCl水溶液(200mL)及び氷の混合物に注ぐ。有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。蒸留(P=0.5mbar、T=104℃)及びシクロヘキサン(5mL)中での再結晶の後に、1,1’-((2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(エタン-1-オール)(0.3g、1.314mmol、収率2.90%)が白色固体として得られる。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.58(dd,1H),4.24(dd,1H),2.24(s,2H),2.16-2.00(m,1H),1.80-1.64(m,2H),1.59-1.46(m,1H),1.40(d,3H),1.39-1.27(m,2H),1.15(d,J=6.5Hz,3H),1.12-1.04(m,1H),0.95-0.83(m,9H),0.82-0.66(m,2H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、清涼感。
【0097】
化合物35:2-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール
【化54】
窒素下の250mL三つ口フラスコに、ジメチル 2-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)マロネート(10g、33.5mmol)(Organic Syntheses,Coll.Vol.9、p.310(1998);Vol.71、p.167(1993))及びMTBE(130mL)を加える。トルエン中ナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド 70%(40.2ml、141mmol)を、温度を10℃未満に維持しながら滴下する。この混合物を周囲温度で一晩撹拌する。この混合物を10%HCl水溶液(200mL)と氷の混合物に注意深く注ぐ。水相をMTBE(2×100mL)で抽出し、合わせた有機相を飽和NaHCO水溶液(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。還流シクロヘキサン(10mL)中で再結晶させた後、2-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール(4.4g、19.27mmol、収率57.5%)が無色の液体として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.76(s,2H),3.95-3.71(m,2H),3.70-3.53(m,2H),2.90(s,2H),2.02-1.82(m,2H),1.74-1.66(m,1H),1.65(s,3H),1.62-1.22(m,5H),0.99-0.90(m,1H),0.87(d,J=6.5Hz,3H),0.72-0.53(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、芳香性。
【0098】
化合物36:2-メチル-5-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)-1,3-ジオキサン
【化55】
50mLの三つ口フラスコに、2-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール(2g、9.42mmol)、アセトアルデヒド(1.245g、28.3mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(0.090g、0.471mmol)を加える。この混合物を周囲温度で一晩撹拌する。炭酸水素ナトリウム(0.05g)を添加し、この混合物を濾過し、次いで濃縮する。カラムクロマトグラフィー(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)の後、2-メチル-5-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)-1,3-ジオキサン(0.64g、2.66mmol、収率28.2%)が無色の液体として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.74(s,2H),4.61-4.46(m,1H),4.00(dq,1H),3.80(dq,1H),3.67(t,J=11.3Hz,1H),3.56(t,J=11.1Hz,1H),2.11-1.95(m,1H),1.83(td,J=11.6,3.4Hz,1H),1.71-1.52(m,6H),1.41-1.20(m,6H),0.97-0.78(m,4H),0.68(q,J=12.2Hz,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、溶媒。
【0099】
化合物37:2-((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール
【化56】
工程1:300mLオートクレーブに、ジメチル 2-((1R,2R,5R)-5-メチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキシル)マロネート(8g、29.8mmol)、メタノール(100mL)及び10%Pd/C(1g、0.470mmol)を加える。この混合物を室温でH(5bar(バール))下で24時間撹拌する。この混合物をセライトで濾過し、次いで濃縮する。ジメチル 2-((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)マロネート(5.9g、20.29mmol、収率68.1%)が、蒸留(P=0.3mbar、T=75℃)後に無色の液体として得られる。
工程2:窒素下の250mL三つ口フラスコに、ジメチル 2-((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)マロネート(5g、18.49mmol)及びMTBE(71mL)を加える。温度を10℃未満に維持しながら、トルエン中ナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド 70%(26.4ml、92mmol)を滴下する。この混合物を周囲温度で一晩撹拌する。この混合物を10%HCl水溶液(100mL)と氷の混合物に注意深く注ぐ。水相をMTBE(2×50mL)で抽出し、合わせた有機相を飽和NaHCO水溶液(50mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。還流シクロヘキサン(5mL)中で再結晶させた後、2-((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)プロパン-1,3-ジオール(1.8g、7.98mmol、収率43.1%)が無色の液体として回収される。H NMR(300MHz,CDCl) δ 3.94(t,J=9.7Hz,1H),3.87-3.75(m,1H),3.75-3.62(m,2H),3.02(s,2H),2.21-2.10(m,1H),2.10-1.94(m,1H),1.74-1.59(m,2H),1.57-1.44(m,1H),1.39-1.30(m,1H),1.30-1.18(m,1H),1.13-1.01(m,1H),1.00-0.94(m,1H),0.91(d,J=6.8Hz,3H),0.84(d,J=6.5Hz,4H),0.75(d,J=6.9Hz,3H),0.68-0.53(m,1H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、バラ様。
【0100】
化合物38:((2S,5R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)メタノール
【化57】
[(2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル]メタノール(5.0g、25.0mmol)の乾燥DMF(50mL、[C]=0.5M)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、1.05g、26.2mmol、1.05当量)を0℃で少しずつ添加し、得られた混合物を0℃で1時間撹拌した。臭化ベンジル(2.90mL、24.5mmol、0.98当量)を0℃で滴下し、得られた混合物を室温で20時間撹拌した。ほとんどのDMFを減圧下で除去し、残渣を飽和NHCl水溶液とEtOAcとの間で分配した。層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣(7.50g)をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CyHex./EtOAc、95/5)により精製して、[(2S,5R)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル]メタノール(3.90g、収率51%)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.31-7.36(m,5H),4.43-4.56(m,2H),3.50-4.0(m,3H),3.25-3.36(m,1H),2.14-2.43(m,2H),1.91-1.98(m,1H),1.70-1.78(m,1H),1.45-1.50(m,2H),1.10-1.39(m,2H),0.85-0.89(m,7H),0.67-0.73(m,3H),0.60-0.67(m,1H)。質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、溶媒。
【0101】
化合物39:(2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
【化58】
工程1:[(2S,5R)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル]メタノール(3.18g、10.9mmol)のアセトン(36mL、[C]=0.3M)中の撹拌溶液に、ジョーンズ(Jones)試薬(水中2.1M、11.5mL、24.1mmol、2.2当量)を室温で滴下し、得られた混合物を1時間撹拌した。この混合物をiPrOH(5mL)のゆっくりとした添加によってクエンチし、30分間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣を水に溶かし、EtO(3×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、(2S,5R)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸(3.32g、収率90%)を無色油状物として得た。この粗混合物をさらに精製することなく次の工程で使用した。HPLC/MS(酸):m/z(ES+)=327(M+Na)
工程2:(2S,5R)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸(1.50g、4.93mmol)の乾燥DMF(16mL、0.3M)中の撹拌溶液に、炭酸カリウム(1.36g、9.85mmol、2当量)、続いて臭化ベンジル(0.88mL、7.39mmol、1.5当量)を室温で滴下し、得られた混合物を室温で20時間撹拌した。ほとんどのDMFを減圧下で除去し、残渣を水に注いだ。水層をEtO(3×15mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮した。粗混合物(2.15g)をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CyHex./EtOAc、99/1)により精製して、ベンジル (2S,5R)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボキシレート、1.73g(収率80%)を無色油状物として得た。HPLC/MS(酸):m/z(ES+)=417(M+Na)
工程3:ベンジル (2S,5R)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボキシレート(1.73g、4.38mmol)のiPrOH(22mL、0.2M)中の撹拌溶液に、Ar下、室温で10%パラジウム炭素(93mg、0.877mmol、0.2当量)を添加した。この混合物を水素でフラッシュし、水素雰囲気下、室温で20時間撹拌した。この混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣(1.08g)をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CyHex./EtOAc、9/1~1/1)により精製して、(2S,5R)-1-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸(550mg、収率56%)を無色油状物として得て、これは放置すると固化した。H NMR(400MHz,CDCl) δ 4.14-4.17(d,J=11.3Hz,1H),4.05-4.08(d,J=12Hz,1H),3.68-3.71(d,J=12Hz,1H),3.32-3.35(d,J=11.2Hz,1H),2.14-2.43(m,2H),1.67-1.86(m,4H),1.55-1.57(m,2H),0.92-0.94(m,1H),0.75-0.92(m,9H)。質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭。
【0102】
化合物40:(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール
【化59】
50mlの三つ口フラスコに、水酸化カリウム(0.533g、9.51mmol)及びエタノール(10ml)を加える。KOHのほぼ完全な可溶化の後、37%ホルムアルデヒド水溶液(0.71ml、9.51mmol)を周囲温度で滴下し、次いでこの混合物を30分間撹拌する。次いで、23,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン-1-カルボアルデヒド(0.4g、2.377mmol)(国際公開第2010025142号パンフレットに従って合成)を1分間かけて滴下し、この混合物を周囲温度で4日間撹拌する。媒体を濃縮し、水相をMTBE(2×30mL)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO(10mL)溶液、次いでブライン(10mL)で順次洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(CombiFlash(登録商標)、シクロヘキサン/EtOAc勾配)による精製後、(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル)ジメタノール(0.3g、1.498mmol、収率63.0%)が白色固体の形態で回収される。H NMR(300MHz,クロロホルム-d) δ 3.59(s,4H),3.43(s,2H),1.22(s,2H),1.19(s,4H),0.99(s,12H)。13C NMR、IR(cm-1)及び質量分析データは、得られた化合物の予想データと一致した。嗅覚記述:ほぼ無臭、清涼感。
【0103】
インビトロでの化合物の評価
上記化合物を、hTRPM8イオンチャネルをコードする遺伝子を発現するCHO-K1細胞についてインビトロで評価した(表1)。チャネル活性化は、FLUO-8を用いた細胞外カルシウムの蛍光測定によって決定する。化合物の活性を、イシリン(公知のhTRPM8アゴニスト)に対して測定した。
【0104】
【表1】
【0105】
化合物1~6を試験すると、hTRPM8に対して活性であることが示され、特定の本発明の化合物(1、3及び5)は、比較分子(Physcool(商標)、WS-5(商標)、WS-3(商標)、l-イソプレゴール、l-メントール、乳酸メンチル)よりも大きい活性化を示す。
【0106】
化合物1~40を、WS3を参照化合物として使用して5μMでhTRPM8に対して試験した(表2)。
【0107】
【表2】
対WS3の、5μMでの活性(%)
【0108】
応答曲線を化合物1、3、5及び37について作成し、これによりhTRPM8に対するEC50(半数効果濃度)値を決定し、それらを比較化合物のEC50値と比較することが可能になった(表3)。化合物1及び化合物3は、WS-3(商標)より低くWS-5(商標)に類似するEC50値を有する。
【0109】
【表3】
【0110】
インビボでの化合物の評価
本発明の化合物1、2及び5を、訓練されたパネルによって普通の水において官能特性的に評価した。化合物1は、特に、急速な作用(attack)及び良好な持続性の両方を伴う口内の清涼感を示した。比較化合物WS-3(商標)及びWS-5(商標)に対する評価を行った(図1)。これらの本発明の化合物は、比較化合物と同様に挙動するようである。いくつかの本発明の化合物の等モル比較分析は、Physcool(商標)よりも良好な性能を示した(図2)。より大きいパネルでの10分にわたる等モル比較分析は、化合物1がPhyscool(登録商標)と同様であるがより大きい強度の持続的冷感効果を有することを示す(図3)。
【0111】
実施例1:チューインガム
以下の配合を使用して、風味付けなしのチューインガムペーストを調製した:ソルビトール(52.4重量%)、ガムベース(30.0重量%)、マルチトールシロップ(7.0重量%)、グリセリン(5.0重量%)、マンニトール(5.0重量%)、大豆レシチン(0.4重量%)、アセスルファム-K(0.1重量%)、及びアスパルテーム(0.1重量%)。このペーストを、マイクロ波を用いて1~2分間加温し、混合物を軟化させた。冷感剤(0.20重量%の化合物1)を添加した後、ペーストを混練して生成物を均質化した。次いで、このペーストをシーター(sheeter)を用いて延伸し、厚さ2mmに平らにし、規則的な矩形片(12×42mm)に切断する。チューインガム片をプラスチック袋に詰め、室温で1週間置いてそれらを安定化させる。比較チューインガム試料(A~C)も、それぞれ、0.26重量%のPHYSCOOL(商標)、0.21重量%のWS-3(商標)、及び0.17重量%のWS-23(商標)を使用して調製した。
【0112】
6人の訓練を受けたパネリストによりチューインガム評価プロトコルを実施した。評価では、チューインガムは、パネリストの口を閉じた状態で10分間咀嚼された。冷感強度は、5秒、15秒、30秒、45秒、1分、1.5分、2分、次いで10分まで毎分で、0(知覚されない)から10(非常に強い)まで評価した。平均して、パネリストは、本発明の化合物1を含むチューインガムが、比較試料A(PHYSCOOL(商標))よりも大きい初期冷感強度及びより長い継続時間を有することを見出した。パネリストは、本発明の化合物1が、比較例BのWS-3(商標)及び比較例CのWS-23(商標)によって提供されるものと同様に、10分までの長い冷感強度を提供することも見出した。
【0113】
本発明をその1つ以上の実施形態の説明によって例示し、実施形態をかなり詳細に説明してきたが、それらは添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又は決して限定することを意図していない。さらなる利点及び修正は、当業者には容易に明らかであろう。それゆえ、本発明は、そのより広範な態様において、図示及び記載された特定の詳細、代表的な製品及び/又は方法並びに実施例に限定されない。本明細書に記載される例示的実施形態の種々の特徴は、いずれかの組み合わせで使用されてもよい。従って、発明概念全体の範囲から逸脱しない範囲で、そのような詳細から逸脱してもよい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】