IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 江▲蘇▼省▲農▼▲業▼科学院の特許一覧

特表2025-500589農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法
<>
  • 特表-農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法 図1
  • 特表-農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/10 20060101AFI20241226BHJP
   C09K 17/32 20060101ALI20241226BHJP
   C08L 97/02 20060101ALI20241226BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20241226BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B09C1/10 ZAB
C09K17/32 H
C08L97/02 ZBP
C08L101/16
C08L101/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540642
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 CN2022122967
(87)【国際公開番号】W WO2023134231
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202210041444.4
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516158068
【氏名又は名称】江▲蘇▼省▲農▼▲業▼科学院
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU ACADEMY OF AGRICULTURAL SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲レイ▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 敬文
(72)【発明者】
【氏名】▲厳▼ ▲ニー▼娜
(72)【発明者】
【氏名】汪 敏
(72)【発明者】
【氏名】蒋 希芝
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ガン▼
(72)【発明者】
【氏名】謝 洪徳
(72)【発明者】
【氏名】馮 敏
(72)【発明者】
【氏名】柳 軍
(72)【発明者】
【氏名】皮 杰
【テーマコード(参考)】
4D004
4H026
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4D004AA41
4D004AB03
4D004AC07
4D004CC15
4H026AA10
4H026AB03
4J002AH00W
4J002CF05X
4J002CF07X
4J002CF18X
4J002CF19X
4J002GT00
4J200AA08
4J200BA07
4J200BA10
4J200BA14
4J200BA15
4J200BA17
4J200BA18
4J200BA19
4J200DA01
4J200EA11
4J200EA16
(57)【要約】
本発明は、生態育成改造、繊維化改造、及び製品完成品の製造などの3つのステップを含む、農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法に関する。本発明は、砂漠化土地及びアルカリ化土地など、やせた汚染した土地の生産能力と土地価値を効果的に高めることができ、砂漠化土地及びアルカリ化土地など、やせた汚染した土地の土壌土質の改良に役立つ。また、複合材料は、優れた分解可能性能を備えるとともに、力学性能と延伸性能をさらに向上させ、従来の完全分解性製品に比べて、複合材料の生産エネルギー消費及びコスト大幅に低減、しかも生産過程の主要原料の1つはバイオマス資源であり、生産段階の「低炭素」及び「マイナス炭素」製品を得る目的を達成することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法であって、
生態育成改造を行うS1ステップであって、まず改良すべき土地を選択し、選択された土地に、高性能で高生産量の植物繊維株を生産できる炭素固定経済植物を栽培して育成するS1ステップと、
繊維化改造を行うS2ステップであって、S1ステップにおいて育成した経済植物に対して定期的に伐採回収を行い、回収した植物原料に対して破砕、篩分け作業を行い、そして篩分けを経て得た植物繊維屑に対して改質活性化作業を行い、活性化された植物繊維を得るS2ステップと、
製品完成品を製造するS3ステップであって、S2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維原料を仕上げ加工し、それぞれ低炭素製品を得るS3ステップとを含む、ことを特徴とする農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【請求項2】
前記S2ステップにおいて、改質活性化作業時、酸処理、アルカリ処理、熱処理のうちの1つを用いまたは複数を併用する、ことを特徴とする請求項1に記載の農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【請求項3】
前記改質活性化作業時に用いる改質活性化処理装置は、装置枠、作業チャンバ、輸送ローラ通路、蒸気発生装置、霧化ヘッド、スプレーヘッド、電気加熱装置、還流ファン、薬剤タンク、スプレーポンプ及び駆動回路を含み、前記装置枠は、横断面が矩形で軸線が水平面と平行に分布する枠構造であり、前記作業チャンバ、輸送ローラ通路は、いずれも装置枠内に嵌め込まれ且つ装置枠の軸線と平行に分布し、前記作業チャンバは、横断面が矩形のチャンバ構造であり、前記輸送ローラ通路の両端は、作業チャンバの外に位置し且つ輸送ローラ通路の有効長さの50%~80%の部分は、作業チャンバ内に嵌め込まれ、輸送ローラ通路と作業チャンバの底部との間の間隔距離は、10ミリメートル以上であり、前記霧化ヘッドは、複数であり、作業チャンバ内に嵌め込まれ且つ作業チャンバの底部に接続され、輸送ローラ通路の下方に位置し、各霧化ヘッドの軸線と輸送ローラ通路の下端面とは、30°~90°の挟角をなし、前記霧化ヘッドは、並列接続され且つ蒸気発生装置に連通し、前記スプレーヘッドと電気加熱装置は、いずれも複数であり、作業チャンバ内に嵌め込まれ且つ作業チャンバの頂部において接続され、前記スプレーヘッドと電気加熱装置の軸線は、輸送ローラ通路の上端面に交差し且つ30°~90°の挟角をなし、前記スプレーヘッドは、並列接続され、それぞれ導流管スプレーポンプを介して連通し、前記スプレーポンプは、さらに、導流管を介して薬剤タンクに連通し、前記作業チャンバの上端面には、1つだけの還流口が設けられ、還流口は、導流管を介して還流ファンに連通し、前記還流ファンは、さらに、蒸気発生装置に連通し、前記蒸気発生装置、還流ファン、薬剤タンク、スプレーポンプ及び駆動回路は、いずれも装置枠の外面に接続され、駆動回路は、さらに輸送ローラ通路、蒸気発生装置、電気加熱装置、還流ファン、薬剤タンク及びスプレーポンプに電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【請求項4】
前記電気加熱装置は、電気加熱ワイヤと遠赤外照射加熱装置のいずれかであり、各電気加熱装置は、互いに並列に接続され、スプレーヘッドと間隔をおいて分布する、ことを特徴とする請求項3に記載の農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【請求項5】
前記輸送ローラ通路は、装置枠及び作業チャンバの内側面の両方に昇降駆動機構を介して摺動接続され、前記昇降駆動機構の軸線と装置枠の軸線とは、垂直に分布し、前記昇降駆動機構は、駆動回路に電気的に接続され、前記昇降駆動機構は、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、電動伸縮レバー及び歯車ラック機構のいずれかである、ことを特徴とする請求項3に記載の農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【請求項6】
前記S3において得られた低炭素製品は、バイオカーボン、植物繊維材料と完全分解性材料の複合材料、完全分解性バイオベース材料の3種類の製品である、ことを特徴とする請求項1に記載の農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【請求項7】
前記バイオカーボン製造方法では、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維を酸素遮断環境下で120℃~500℃に加熱し、20~60分間加熱し続け、そして押出成形することにより、バイオカーボン製品を得ることができ、S2ステップにおいて得られた改質活性化された植物繊維の粒径は、いずれも500メッシュ以上である、ことを特徴とする請求項6に記載の農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【請求項8】
前記植物繊維と完全分解性材料の複合材料を製造する時、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維と完全分解性材料をブレンドし、その後ブレンドした材料をスクリュー押出造粒機に添加して押出作業を行い、押出過程で、スクリュー押出造粒機に複数台のサイドフィード装置を配備し、活性化された植物繊維と完全分解性材料のブレンド材料に補助材料をサイドフィード装置によって添加し、スクリュー押出造粒機によって押出成形を行い、植物繊維と完全分解性材料の複合材料粒子を得る、ことを特徴とする請求項7に記載の農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【請求項9】
前記完全分解性バイオベース材料製造方法では、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維を発酵反応釜に添加して生物発酵を行い、発酵後の生成物に対して分離及び精製作業を行い、最後に精製後の生成物にスクリュー押出造粒機によって押出造粒作業を行い、完全分解性バイオベース材料を得ることができ、S2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維の粒径は、1000メッシュ以上である、ことを特徴とする請求項6に記載の農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法に関し、環境に優しい技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
「二重炭素」戦略の導きの下で、中国の各業界は、すべて炭素排出削減技術の応用とマイナス炭素製品の研究開発と製造を展開した。材料の製造と加工の分野では、石油系原料を使用せず、植物などのバイオマス由来の原料を使用して低炭素/マイナス炭素材料を製造すれば、製品生産段階の原料の炭素排出を節約することができる。また、採用されたバイオマス原料が干潟などの非耕地で栽培された植物由来であれば、製品生産のために炭素為替資源を創造するとともに、土地の経済価値をさらに高め、土壌土質を効果的に改良することができる。また、高効率な加工製造技術と装備を採用し、原料から製品までのエネルギー消費を低減することにより、製品生産と加工段階の炭素排出をさらに低減することができる。
【0003】
現在、関連する研究と試験は、主に関連業界のマイナス炭素/低炭素プロセスの開発と設計に集中しており、最終的なマイナス炭素/低炭素製品に対する研究は、極めて少ないため、成熟した低炭素/マイナス炭素製品の開発、生産及び製造プロセス及び装備も不足している。また、現在使用されている一部のバイオマス原料には、食糧が採用されており、食糧を浪費し、コストが高いなどの問題があり、またその関連生産、加工、製造の技術及び設備には、エネルギー消費が高く、炭素排出量が大きいなどの問題があり、また、重要な利用段階でのコストダウン、効率向上、高価値化製品の製造と応用及び全生産プロセスの炭素排出管理制御などの面で明らかな不足と改善する余地がある。
【0004】
上記課題に対して、低コストでソースの広い農林廃棄物を原料として、先進的な加工プロセスと設備を通じて低炭素/マイナス炭素製品を製造する方法を開発し、実際の使用の需要と業界発展の需要を満たす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術上のボトルネックと不足を解決するために、農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法であって、
生態育成改造を行うS1ステップであって、まず改良すべき土地を選択し、選択された土地に、高性能で高生産量の植物繊維株を生産できる炭素固定経済植物を栽培して育成するS1ステップと、
繊維化改造を行うS2ステップであって、S1ステップにおいて育成した経済植物に対して定期的に伐採回収を行い、回収した植物原料に対して破砕、篩分け作業を行い、そして篩分けを経て得た植物繊維屑に対して改質活性化作業を行い、活性化された植物繊維を得るS2ステップと、
製品完成品を製造するS3ステップであって、S2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維原料を仕上げ加工し、それぞれ低炭素製品を得るS3ステップとを含む。
【0007】
さらに、前記S1ステップにおいて、改良すべき土地は、砂漠化土地、塩アルカリ土地、重金属汚染土地であり、前記高性能で高生産量の植物繊維株は、ユーカリ、ポプラ、ラミー麻、黄麻、青麻、大麻、亜麻、ラフ麻、赤麻、ケナフ、チカラシバ及びホソムギのいずれか1つ又は複数の共同栽培である。
【0008】
さらに、前記S2ステップにおいて、改質活性化作業時、酸処理、アルカリ処理、熱処理のうちの1つを用いまたは複数を併用する。
【0009】
さらに、前記S3において得られた低炭素製品は、バイオカーボン、植物繊維材料と完全分解性材料の複合材料、完全分解性バイオベース材料の3種類の製品である。
【0010】
さらに、前記改質活性化作業時に用いる改質活性化処理装置は、装置枠、作業チャンバ、輸送ローラ通路、蒸気発生装置、霧化ヘッド、スプレーヘッド、電気加熱装置、還流ファン、薬剤タンク、スプレーポンプ及び駆動回路を含み、前記装置枠は、横断面が矩形で軸線が水平面と平行に分布する枠構造であり、前記作業チャンバ、輸送ローラ通路は、いずれも装置枠内に嵌め込まれ且つ装置枠の軸線と平行に分布し、前記作業チャンバは、横断面が矩形のチャンバ構造であり、前記輸送ローラ通路の両端は、作業チャンバの外に位置し且つ輸送ローラ通路の有効長さの50%~80%の部分は、作業チャンバ内に嵌め込まれ、輸送ローラ通路と作業チャンバの底部との間の間隔距離は、10ミリメートル以上であり、前記霧化ヘッドは、複数であり、作業チャンバ内に嵌め込まれ且つ作業チャンバの底部に接続され、輸送ローラ通路の下方に位置し、各霧化ヘッドの軸線と輸送ローラ通路の下端面とは、30°~90°の挟角をなし、前記霧化ヘッドは、並列接続され且つ蒸気発生装置に連通し、前記スプレーヘッドと電気加熱装置は、いずれも複数であり、作業チャンバ内に嵌め込まれ且つ作業チャンバの頂部において接続され、前記スプレーヘッドと電気加熱装置の軸線は、輸送ローラ通路の上端面に交差し且つ30°~90°の挟角をなし、前記スプレーヘッドは、並列接続され、それぞれ導流管スプレーポンプを介して連通し、前記スプレーポンプは、さらに、導流管を介して薬剤タンクに連通し、前記作業チャンバの上端面には、1つだけの還流口が設けられ、還流口は、導流管を介して還流ファンに連通し、前記還流ファンは、さらに、蒸気発生装置に連通し、前記蒸気発生装置、還流ファン、薬剤タンク、スプレーポンプ及び駆動回路は、いずれも装置枠の外面に接続され、駆動回路は、さらに輸送ローラ通路、蒸気発生装置、電気加熱装置、還流ファン、薬剤タンク及びスプレーポンプに電気的に接続される。
【0011】
さらに、前記電気加熱装置は、電気加熱ワイヤと遠赤外照射加熱装置のいずれかであり、各電気加熱装置は、互いに並列に接続され、スプレーヘッドと間隔をおいて分布する。
【0012】
さらに、前記輸送ローラ通路は、装置枠及び作業チャンバの内側面の両方に昇降駆動機構を介して摺動接続され、前記昇降駆動機構の軸線と装置枠の軸線とは、垂直に分布し、前記昇降駆動機構は、駆動回路に電気的に接続され、前記昇降駆動機構は、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、電動伸縮レバー及び歯車ラック機構のいずれかである。
【0013】
さらに、前記バイオカーボン製造方法では、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維を酸素遮断環境下で120℃~500℃に加熱し、20~60分間加熱し続け、そしてスクリュー押出機で成形することにより、バイオカーボン製品を得ることができ、S2ステップにおいて得られた改質活性化された植物繊維の粒径は、いずれも500メッシュ以上である。
【0014】
さらに、前記植物繊維と完全分解性材料の複合材料の製造方法では、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維と完全分解性材料をブレンドし、その後ブレンドした材料をスクリュー押出造粒機に添加して押出作業を行い、押出過程で、スクリュー押出造粒機に複数台のサイドフィード装置を配備し、活性化された植物繊維と完全分解性材料のブレンド材料に補助材料をサイドフィード装置によって添加し、スクリュー押出造粒機によって押出成形を行い、植物繊維と完全分解性材料の複合材料粒子を得る。
【0015】
さらに、前記完全分解性バイオベース材料製造方法では、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維を発酵反応釜に添加して生物発酵を行い、発酵後の生成物に対して分離及び精製作業を行い、最後に精製後の生成物にスクリュー押出造粒機によって押出造粒作業を行い、完全分解性バイオベース材料を得ることができ、S2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維の粒径は、1000メッシュ以上である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下の利点がある。
【0017】
(1)砂漠化土地及びアルカリ化土地など、やせた汚染した土地に高性能で高生産量の植物を導入し、土壌環境整備と植物の高効率炭素固定を実現し、高性能の植物繊維を生産し、砂漠化土地及びアルカリ化土地など、やせた汚染した土地の生産能力と土地価値を効果的に高めることができ、また、砂漠化土地及びアルカリ化土地など、やせた汚染した土地の土壌土質の改良に役立つ。
【0018】
(2)植物繊維と完全分解性材料の複合材料の性能と品質は、中国の関連基準を満たし、長繊維の添加により、材料の力学性能と延伸性能をさらに向上させ、完全分解性バイオベース材料及びバイオカーボンは、バイオマス資源で製造され、従来の化石エネルギー製造プロセスルートと比べて省エネ、消費削減、コストダウン及び効率向上を実現する。
【0019】
(3)植物繊維と完全分解性材料の複合材料製品は、価格の低い植物繊維で完全分解性材料の一部を代替し、原材料コストを大幅に下げ、市場で販売されている完全分解性製品と比べて、生産コストの低下が明らかであり、完全分解性バイオベース材料及びバイオカーボン製品は、より低価格で性能の優れた植物繊維を原料として採用し、生産コストを効果的に削減することができる。
【0020】
(4)本プロジェクトの生産過程で採用されたバイオマス資源は、産業の「低炭素」を実現し、「マイナス炭素」製品を生産し、国家の「二重炭素」目標の実現を助けることができる。
【0021】
以下、本発明を図面及び具体的な実施形態を併せて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明方法フローチャートである。
図2】改質活性化処理装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明が実現する技術手段、創作特徴、目的と効果を達成するために、以下に具体的な実施形態を併せて、さらに本発明を述べる。
【0024】
図1に示すように、農林廃棄物を原料として低炭素マイナス炭素製品を製造する方法であって、
生態育成改造を行うS1ステップであって、まず改良すべき土地を選択し、選択された土地に、高性能で高生産量の植物繊維株を生産できる炭素固定経済植物を栽培して育成するS1ステップと、
繊維化改造を行うS2ステップであって、S1ステップにおいて育成した経済植物に対して定期的に伐採回収を行い、回収した植物原料に対して破砕、篩分け作業を行い、そして篩分けを経て得た植物繊維屑に対して改質活性化作業を行い、活性化された植物繊維を得るS2ステップと、
製品完成品を製造するS3ステップであって、S2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維原料を仕上げ加工し、それぞれ低炭素製品を得るS3ステップとを含む。
【0025】
本実施例では、前記S1ステップにおいて、改良すべき土地は、砂漠化土地、塩アルカリ土地、重金属汚染土地であり、前記高性能で高生産量の植物繊維株は、ユーカリ、ポプラ、ラミー麻、黄麻、青麻、大麻、亜麻、ラフ麻、赤麻、ケナフ、チカラシバ及びホソムギのいずれか1つ又は複数の共同栽培である。
【0026】
また、前記S2ステップにおいて、改質活性化作業時、酸処理、アルカリ処理、熱処理のうちの1つを用いまたは複数を併用する。
【0027】
なお、図2に示すように、さらに、前記改質活性化作業時に用いる改質活性化処理装置は、装置枠1、作業チャンバ2、輸送ローラ通路3、蒸気発生装置4、霧化ヘッド5、スプレーヘッド6、電気加熱装置7、還流ファン8、薬剤タンク9、スプレーポンプ10及び駆動回路11を含み、前記装置枠1は、横断面が矩形で軸線が水平面と平行に分布する枠構造であり、前記作業チャンバ2、輸送ローラ通路3は、いずれも装置枠1内に嵌め込まれ且つ装置枠1の軸線と平行に分布し、前記作業チャンバ2は、横断面が矩形のチャンバ構造であり、前記輸送ローラ通路3の両端は、作業チャンバ2の外に位置し且つ輸送ローラ通路3の有効長さの50%~80%の部分は、作業チャンバ2内に嵌め込まれ、輸送ローラ通路3と作業チャンバ2の底部との間の間隔距離は、10ミリメートル以上であり、前記霧化ヘッド5は、複数であり、作業チャンバ2内に嵌め込まれ且つ作業チャンバ2の底部に接続され、輸送ローラ通路3の下方に位置し、各霧化ヘッド5の軸線と輸送ローラ通路3の下端面とは、30°~90°の挟角をなし、前記霧化ヘッド5は、並列接続され且つ蒸気発生装置4に連通し、前記スプレーヘッド6と電気加熱装置7は、いずれも複数であり、作業チャンバ2内に嵌め込まれ且つ作業チャンバ2の頂部において接続され、前記スプレーヘッド6と電気加熱装置7の軸線は、輸送ローラ通路3の上端面に交差し且つ30°~90°の挟角をなし、前記スプレーヘッド6は、並列接続され、それぞれ導流管スプレーポンプ10を介して連通し、前記スプレーポンプ10は、さらに、導流管を介して薬剤タンク9に連通し、前記作業チャンバ2の上端面には、1つだけの還流口12が設けられ、還流口12は、導流管を介して還流ファン8に連通し、前記還流ファン8は、さらに、蒸気発生装置4に連通し、前記蒸気発生装置4、還流ファン8、薬剤タンク9、スプレーポンプ10及び駆動回路11は、いずれも装置枠1の外面に接続され、駆動回路11は、さらに輸送ローラ通路3、蒸気発生装置4、電気加熱装置7、還流ファン8、薬剤タンク9及びスプレーポンプ10に電気的に接続される。
【0028】
さらに好ましくは、前記電気加熱装置7は、電気加熱ワイヤと遠赤外照射加熱装置のいずれかであり、各電気加熱装置7は、互いに並列に接続され、スプレーヘッド6と間隔をおいて分布する。
【0029】
また、前記輸送ローラ通路3は、装置枠1及び作業チャンバ2の内側面の両方に昇降駆動機構13を介して摺動接続され、前記昇降駆動機構13の軸線と装置枠1の軸線とは、垂直に分布し、前記昇降駆動機構13は、駆動回路11に電気的に接続され、前記昇降駆動機構13は、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、電動伸縮レバー及び歯車ラック機構のいずれかである。
【0030】
本実施例では、前記S3において得られた低炭素製品は、バイオカーボン、植物繊維材料と完全分解性材料の複合材料、完全分解性バイオベース材料の3種類の製品である。
【0031】
さらに、前記バイオカーボン製造方法では、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維を酸素遮断環境下で120℃~500℃に加熱し、20~60分間加熱し続け、そしてスクリュー押出機で成形することにより、バイオカーボン製品を得ることができ、S2ステップにおいて得られた改質活性化された植物繊維の粒径は、いずれも500メッシュ以上である。
【0032】
ここで、酸素遮断環境下で加熱する場合、熱源は、過熱蒸気及び高温窒素ガスのいずれかである。さらに、前記植物繊維と完全分解性材料の複合材料の場合に、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維と完全分解性材料をブレンドし、その後ブレンドした材料をスクリュー押出造粒機に添加して押出作業を行い、押出過程で、スクリュー押出造粒機に複数台のサイドフィード装置を配備し、活性化された植物繊維と完全分解性材料のブレンド材料に補助材料をサイドフィード装置によって添加し、スクリュー押出造粒機によって押出成形を行い、植物繊維と完全分解性材料の複合材料粒子を得る。
【0033】
さらに、前記完全分解性バイオベース材料製造方法では、まずS2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維を発酵反応釜に添加して発酵温度25℃~50℃で生物発酵を行い、発酵後の生成物に対して分離及び精製作業を行い、最後に精製後の生成物にスクリュー押出造粒機によって押出造粒作業を行い、完全分解性バイオベース材料を得ることができ、S2ステップにおいて得られた活性化された植物繊維の粒径は、1000メッシュ以上である、
前記使用される完全分解性材料は、PLA(ポリ乳酸)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PBAT(ポリブチレンアジペート/テレフタレート)、PCL(ポリカプロラクトン)のいずれかである。本発明は、以下の利点がある。
【0034】
(1)砂漠化土地及びアルカリ化土地など、やせた汚染した土地に高性能で高生産量の植物を導入し、土壌環境整備と植物の高効率炭素固定を実現し、高性能の植物繊維を生産し、砂漠化土地及びアルカリ化土地など、やせた汚染した土地の生産能力と土地価値を効果的に高めることができ、また、砂漠化土地及びアルカリ化土地など、やせた汚染した土地の土壌土質の改良に役立つ。
【0035】
(2)植物繊維と完全分解性材料の複合材料の性能と品質は、中国の関連基準を満たし、長繊維の添加により、材料の力学性能と延伸性能をさらに向上させ、完全分解性バイオベース材料及びバイオカーボンは、バイオマス資源で製造され、従来の化石エネルギー製造プロセスルートと比べて省エネ、消費削減、コストダウン及び効率向上を実現する。
【0036】
(3)植物繊維と完全分解性材料の複合材料製品は、価格の低い植物繊維で完全分解性材料の一部を代替し、原材料コストを大幅に下げ、市場で販売されている完全分解性製品と比べて、生産コストの低下が明らかであり、完全分解性バイオベース材料及びバイオカーボン製品は、より低価格で性能の優れた植物繊維を原料として採用し、生産コストを効果的に削減することができる
(4)本プロジェクトの生産過程で採用されたバイオマス資源は、産業の「低炭素」を実現し、「マイナス炭素」製品を生産し、国家の「二重炭素」目標の実現を助けることができる。
【0037】
以上、本発明の基本原理、主な特徴、および本発明の利点を示し、説明した。当業者であれば理解できるように、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、上述の実施例及び明細書に記載されているのは本発明の原理を説明するだけであり、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明はまた様々な変化及び改善があり、これらの変化及び改善はいずれも保護が要求される本発明の範囲内に入る。本発明が保護する保護範囲は、添付の請求項及びその等価物によって規定される。
図1
図2
【誤訳訂正書】
【提出日】2024-07-04
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図1
【訂正方法】追加
【訂正の内容】
図1
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図2
【訂正方法】追加
【訂正の内容】
図2
【国際調査報告】