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特表2025-500592レーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】レーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20241226BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20241226BHJP
   B04B 11/04 20060101ALI20241226BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20241226BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20241226BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
G01N1/04 G
B04B5/02 Z
B04B11/04
G01N1/10 H
G01N37/00 101
C12M1/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540658
(86)(22)【出願日】2023-01-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 KR2023000343
(87)【国際公開番号】W WO2023132711
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0002466
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0001116
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523077457
【氏名又は名称】シーティーセルズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CTCELLS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン マン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジョン ミン
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
4D057
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AA33
2G052AD12
2G052AD29
2G052BA05
2G052CA35
2G052DA09
2G052DA21
2G052ED17
2G052HC09
4B029AA09
4B029AA11
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC01
4B029DG08
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4B029HA09
4B029HA10
4D057AA03
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE11
4D057BA21
4D057BA43
4D057BC11
(57)【要約】
本発明の実施例によるレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置は、複数個のチャンバと、複数個のチャンバを連結するチャネルと、を含み、回転によって発生する遠心力によって試料から標的物質を分離させる分離ディスクと、分離ディスクに着脱自在に結合され、チャネル内バルブにレーザを照射して熱を発生させることで、バルブを開閉するレーザダイオードが備えられる印刷回路基板アセンブリと、印刷回路基板アセンブリに貫通されるように備えられ、分離ディスクに印刷回路基板を結合させて固定する結合部と、を含みうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のチャンバと、前記複数個のチャンバを連結するチャネルと、を含み、
回転によって発生する遠心力によって試料から標的物質を分離させる分離ディスクと、
前記分離ディスクに着脱自在に結合され、前記チャネル内のバルブにレーザを照射して熱を発生させることにより、前記バルブを開閉するレーザダイオードが備えられる印刷回路基板アセンブリと、
前記印刷回路基板アセンブリに貫通されるように備えられ、前記分離ディスクに前記印刷回路基板を結合させて固定する結合部と、を含むことを特徴とするレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項2】
前記印刷回路基板アセンブリは、
制御のための第1回路基板と、
前記レーザダイオードが装着される第2回路基板と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項3】
前記印刷回路基板アセンブリは、
前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に備えられ、前記分離ディスクに対する前記第2回路基板の位置及び角度を決定する連結部をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項4】
前記分離ディスクの上面は、中央から外に行くほど下方に傾斜した形状を有し、
前記分離ディスクの上面の傾斜角に対応するように前記連結部は、中央から下方に行くほど傾斜した形状を有し、前記連結部の下面に前記第2回路基板が結合されることを特徴とする請求項3に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項5】
前記チャネルに連結された前記複数個のチャンバが前記分離ディスクの円周方向に沿って合計4セット備えられ、
前記第2回路基板は、4個備えられ、
前記結合部によって前記印刷回路基板アセンブリを前記分離ディスクに結合させるとき、4個の前記第2回路基板と4セットで備えられる前記複数個のチャンバの位置がアライメントされ、前記第2回路基板の前記レーザダイオードと前記チャネル内の前記バルブの位置が一致することを特徴とする請求項4に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項6】
前記結合部は、
前記印刷回路基板アセンブリの中央を貫通して前記分離ディスクの中央に備えられる結合ホールに挿入される貫通部材と、
前記貫通部材の上端部に備えられ、前記貫通部材を加圧して前記結合ホールに挿入した後、前記貫通部材を回すことにより、前記結合ホールに対して前記貫通部材を固定し、前記分離ディスクに対する前記印刷回路基板アセンブリを結合させる回転部材を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項7】
前記分離ディスクに備えられる前記結合ホールには、180度間隔の一字ホールが備えられ、前記貫通部材の下端部には、前記結合ホールの形状に対応する一字突起が180度間隔で備えられ、
前記貫通部材を前記結合ホールに挿入した後、前記貫通部材を回転させることにより、前記貫通部材の前記一字突起が前記結合ホールの下端にかかって固定されることを特徴とする請求項6に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項8】
前記結合部は、
前記回転部材と、前記貫通部材が貫通される前記印刷回路基板アセンブリの上面間に位置されるように前記貫通部材に挟まれ、前記印刷回路基板アセンブリに対して前記回転部材を押す力を発生させて前記分離ディスクに対する前記印刷回路基板アセンブリの結合力を強化する弾性部材をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項9】
前記印刷回路基板アセンブリは、
前記第1回路基板に備えられ、外部装置と無線通信して前記第2回路基板に装着された前記レーザダイオードの駆動を制御するための通信部をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【請求項10】
前記レーザダイオードを介して750~890nmの範囲のレーザが照射されて熱可塑性樹脂または相転移物質からなる前記バルブを溶かすことを特徴とする請求項1に記載のレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置に係り、さらに詳細には、レーザダイオードを用いて分離ディスクのチャンバとチャンバとの間を連結するチャネルに備えられたバルブのワックス温度を上昇させることにより、バルブの開閉作動が正確で円滑になされるレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍に係わる死亡は、ほとんど腫瘍の最初発生地点から離れた組織及び器官への転移によるものである。したがって、転移の早期発見は、癌患者の生存確率に係わる重要な決定要素である。
【0003】
腫瘍の早期発見及び腫瘍の成長をモニタリングすることは、癌患者の成功的な治療において非常に重要な要素とされている。
【0004】
癌の診断は、一般的に組織病理学(histopathology)による診断技法を利用する。組織病理学診断技法は、生検体から得られる組織試料を使用して腫瘍を診断する技法である。このような組織病理学による接近方法は、腫瘍細胞を直接観察可能にする。
【0005】
一方、循環腫瘍細胞(CTCs、Circulating Tumor Cells)は、初めて腫瘍が検出される前に、患者から発見されると知られている。したがって、循環腫瘍細胞は、癌の早期診断及び予測において重要な役割を果たしうる。概して癌は、血液を介して転移されるという点で循環腫瘍細胞は、癌の転移如何を診断することができる標識にもなる。
【0006】
このため、血液のような試料から循環腫瘍細胞のような標的細胞を抽出するディスクタイプの装置が研究及び開発されつつある。
【0007】
従来のディスク装置は、例えば、複数個のチャンバを備えるディスクを含み、該ディスクを回転させて遠心力を発生させ、該遠心力を用いて血液から循環腫瘍細胞のような標的細胞を分離する方式を採択している。
【0008】
複数個のチャンバは、概略的にメインチャンバと、それにチャネルに連結された分離チャンバなどを含みうるが、チャネル内にバルブが備えられてバルブの開閉動作によって物質の移動が行われうる。
【0009】
ところで、従来のディスク装置においては、バルブが一般的に熱によって反応しうるワックスなどからなっているが、該バルブに熱が十分に伝達されず、バルブの作動にエラーが発生する恐れがあった。
【0010】
これに対して、バルブの作動を正確にし、標的細胞の分離作業を正確かつ円滑に遂行可能ならしめる新たな構成の細胞分離制御装置の開発が要求される実情である。
【0011】
本発明は、科学技術情報通信部傘下韓国研究財団のバイオ、医療技術開発(R&D)課題である量産基盤の標的細胞分離装置の製作及び駆動性能検証及び非侵襲早期産前確診検査のための妊婦血液内の胎児細胞分離用慣性遠心マイクロ流体技術開発課題の一環による結果物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施例は、レーザダイオードを用いて分離ディスクのチャンバとチャンバとを連結するチャネルに備えられたバルブのワックス温度を上昇させることにより、バルブの開閉作動が正確かつ円滑になされるレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置を提供する。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、下記記載から当業者に明確に理解されうるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施例によるレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置は、複数個のチャンバと、前記複数個のチャンバを連結するチャネルと、を含み、回転によって発生する遠心力によって試料から標的物質を分離させる分離ディスクと、前記分離ディスクに着脱自在に結合され、前記チャネル内バルブにレーザを照射して熱を発生させることにより、前記バルブを開閉するレーザダイオードが備えられる印刷回路基板アセンブリ及び前記印刷回路基板アセンブリに貫通されるように備えられ、前記分離ディスクに前記印刷回路基板を結合させて固定する結合部を含みうる。
【0015】
一側面によれば、前記印刷回路基板アセンブリは、制御のための第1回路基板及び前記レーザダイオードが装着される第2回路基板を含みうる。
【0016】
一側面によれば、前記印刷回路基板アセンブリは、前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に備えられ、前記分離ディスクに対する前記第2回路基板の位置及び角度を決定する連結部をさらに含みうる。
【0017】
一側面によれば、前記分離ディスクの上面は、中央から外に行くほど下方に傾斜した形状を有し、前記分離ディスクの上面の傾斜角に対応するように前記連結部は、中央から下方に行くほど傾斜した形状を有し、前記連結部の下面に前記第2回路基板が結合されうる。
【0018】
一側面によれば、前記チャネルに連結された前記複数個のチャンバが前記分離ディスクの円周方向に沿って総4セット備えられ、前記第2回路基板は、4個備えられ、前記結合部によって前記印刷回路基板アセンブリを前記分離ディスクに結合させるとき、4個の前記第2回路基板と4セットで備えられる前記複数個のチャンバの位置がアライメントされ、前記第2回路基板の前記レーザダイオードと前記チャネル内の前記バルブとの位置が一致しうる。
【0019】
一側面によれば、前記結合部は、前記印刷回路基板アセンブリの中央を貫通して前記分離ディスクの中央に備えられる結合ホールに挿入される貫通部材及び前記貫通部材の上端部に備えられ、前記貫通部材を加圧して前記結合ホールに挿入した後、前記貫通部材を回すことにより、前記結合ホールに対する前記貫通部材を固定して前記分離ディスクに対する前記印刷回路基板アセンブリを結合させる回転部材を含みうる。
【0020】
一側面によれば、前記分離ディスクに備えられる前記結合ホールには、180度間隔の一字ホールが備えられ、前記貫通部材の下端部には、前記結合ホールの形状に対応する一字突起が180度間隔で備えられ、前記貫通部材を前記結合ホールに挿入した後、前記貫通部材を回転させれば、前記貫通部材の前記一字突起が前記結合ホールの下端にかかって固定されうる。
【0021】
一側面によれば、前記結合部は、前記回転部材と、前記貫通部材が貫通される前記印刷回路基板アセンブリの上面間に位置されるように前記貫通部材に挟まれ、前記印刷回路基板アセンブリに対して前記回転部材を押す力を発生させて前記分離ディスクに対する前記印刷回路基板アセンブリの結合力を強化する弾性部材をさらに含みうる。
【0022】
一側面によれば、前記印刷回路基板アセンブリは、前記第1回路基板に備えられ、外部装置と無線通信して前記第2回路基板に装着された前記レーザダイオードの駆動を制御するための通信部をさらに含みうる。
【0023】
一側面によれば、前記レーザダイオードを介して750nmから890nm範囲のレーザが照射されて熱可塑性樹脂または相転移物質からなる前記バルブを溶かしうる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施例によれば、レーザダイオードを用いて分離ディスクのチャンバとチャンバとを連結するチャネルに備えられたバルブのワックス温度を上昇させることにより、開閉作動が正確かつ円滑になされる。
【0025】
また、本発明の実施例によれば、結合部によって分離ディスクに対する印刷回路基板アセンブリの結合を迅速かつ正確にし、これを通じて、レーザダイオードとバルブの位置を正確にアライメントしうる。
【0026】
また、本発明の実施例によれば、既存のディスクと同期化されて回転されるレーザ制御による開閉方式に対して回転速度と回転方向に制限されず、無線通信を介した全面的なバルブ開閉が可能なので、標的物質分離制御装置の性能改善に効果的に適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例によるレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置の正面図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1の分離ディスクの斜視図である。
図4図1に図示された印刷回路基板アセンブリを下方から見た図面である
図5図1の変形図面として分離ディスク及びそれに結合される印刷回路基板アセンブリの他の構造を示す図面である。
図6図1に図示された結合部によって分離ディスクに印刷回路基板アセンブリが結合されることを示す図面である。
図7図6に図示された結合ホールの内部構造であって、結合部の貫通部材が結合ホールの内部にかかる構造を説明するための順次的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の利点及び/または特徴、そして、それらを達成する方法は、添付図面とともに詳細に後述されている実施例を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現され、単に本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書全体にわたって同一参照符号は、同一構成要素を指称する。
【0029】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施例によるレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置の正面図であり、図2は、図1の分解斜視図であり、図3は、図1の分離ディスクの斜視図であり、図4は、図1に図示された印刷回路基板アセンブリを下方から見た図面であり、図5は、図1の変形図面であって、分離ディスク及びそれに結合される印刷回路基板アセンブリの他の構造を示す図面であり、図6は、図1に図示された結合部によって分離ディスクに印刷回路基板アセンブリが結合されることを示す図面であり、図7は、図6に図示された結合ホールの内部構造であって、結合部の貫通部材が結合ホールの内部にかかる構造を説明するための順次的な図面である。
【0031】
これらの図面に図示されるように、特に、図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施例によるレーザダイオードを用いた標的物質分離制御装置100は、分離ディスク120と、分離ディスク120がその内部に結合されるディスクラック115と、分離ディスク120を固定するためのディスク固定部190と、分離ディスク120に結合される印刷回路基板アセンブリ150と、印刷回路基板アセンブリ150を分離ディスク120に結合させる結合部180と、ディスクラック115に固定される固定ピン112が備えられ、回転力を発生させるモータ(図示せず)を備えるロータ110を含みうる。
【0032】
それぞれの構成について説明すれば、本実施例の分離ディスク120は、図1及び図2に図示されるように、回転のための駆動力を発生させるモータによってロータ110の回転とともに回転され、それにより発生する遠心力を用いて試料から標的物質を、例えば、血液から標的細胞を分離させうる。
【0033】
さらに詳しくは、ロータ110は、固定ピン112によって分離ディスク120が挿入されたディスクラック115に結合され、ロータ110の回転によって結合された分離ディスク120が共に回転されうる。
【0034】
ここで、ロータ110は、制御部の制御によってロータの回転速度などが決定され、回転速度に比例して遠心力が発生するので、それを用いて分離ディスク120内で血液から標的細胞の分離が円滑になされる。
【0035】
本実施例では、分離ディスク120の作動を通じて試料、すなわち、血液から標的物質、例えば、循環腫瘍細胞のような標的細胞が分離される場合について上述しているが、これに限定されるものではなく、本実施例の標的物質分離制御装置100を用いて生物学的試料に含まれた粒子または細胞の分離が可能であり、例えば、その細胞が循環腫瘍細胞(CTCs、Circulating Tumor Cells)でもある。
【0036】
本実施例の分離ディスク120は、図2及び図3に図示されるように、ディスクラック115に挿入結合され、溝状に備えられる複数個のチャンバ132,133,134,135,136からなる複数個の単位チャンバセット130を含みうる。このような構成によって、ロータ110の回転によってディスクラック115に結合された分離ディスク120の回転時に発生する遠心力を用いて各単位チャンバセット130で血液から標的細胞である循環腫瘍細胞が分離されうる。
【0037】
図3を参照すれば、本実施例の単位チャンバセット130は、合計4個備えられ、ディスクラック115内で円周方向に沿って90度間隔で配置されうる。そして、後述するが、印刷回路基板アセンブリ150の一部構造がそれに対応する構造を有することにより、各単位チャンバセット130で循環腫瘍細胞の分離が円滑になされる。
【0038】
前述したように、各単位チャンバセット130は、複数個のチャンバ132、133、134、135、136を含むが、複数個のチャンバは、図3に図示されるように、メインチャンバ132と、プラズマ分離チャンバ136と、混合チャンバ133と、分離チャンバ134と、標的細胞収容チャンバ135などを含みうる。
【0039】
このようなチャンバ構造を通じて、例えば、血液から循環腫瘍細胞を分離することができるが、その過程が円滑に進められるためには、チャンバ132、133、134、135、136を連結するチャネル137のバルブ138の作動が円滑になされる必要がある。
【0040】
さらに、1つのチャンバ132、133、134、135、136と隣接した他のチャンバ132、133、134、135、136を連結するチャネル137には、さらに具体的に、例えば、メインチャンバ132と混合チャンバ133とを連結するチャネル137には、外部から与えられる熱によって開閉されるバルブ138が装着されるが、本実施例では、該バルブ138を開閉するための熱を正確に制御することで、チャンバとチャンバとを連結するチャネル137を介して分離された物質が移動しうる。
【0041】
すなわち、チャネル137のバルブ138の位置に精密にレーザを照射して熱を発生させることで、バルブ138の開閉が正確になされるようにしなければならないが、本実施例の場合、そのために分離ディスク120と一体化されてバルブ138の位置とレーザダイオード175が正確にアライメントされるように備えられた印刷回路基板アセンブリ150を通じて各バルブ138の開閉を精密に制御することができる。
【0042】
まず、本実施例のチャネル137に備えられるバルブ138について説明すると、本実施例のバルブ138は、チャネル137の通路を遮断するときは、固体状態を保持していて、レーザダイオード175を介して熱を加えれば、溶融される熱可塑性樹脂または相転移物質でもある。
【0043】
本実施例の場合、バルブ138は、相転移物質としてワックス(wax)が適用されうる。ワックスとしては、パラフィンワックス(paraffin wax)、マイクロクリスタリンワックス(microcrystalline wax)、ペトロラタムワックス(petrolatum wax)、動物性または植物性合成ワックス(synthetic wax)または天然ワックス(natural wax)のうちいずれか1つが使用されうる。但し、それに限定されるものではない。
【0044】
一方、バルブ138として熱可塑性樹脂が適用されうるが、熱可塑性樹脂としては、COC(cyclic olefin copolymer)、PMMA(polymethylmethacrylate)、PC(polycarbonate)、PS(polystyrene)、POM(polyoxymethylene)、PFA(perfluoralkoxy)、PVC(polyvinylchloride)、PP(polypropylene)、PET(polyethylene terephthalate)、PEEK(polyetheretherketone)、PA(polyamide)、PSU(polysulfone)及びPVDF(polyvinylidene fluoride)などがある。
【0045】
一方、本実施例の印刷回路基板アセンブリ150は、図1ないし図4に図示されるように、分離ディスク120に結合され、分離ディスク120のチャネル137内のバルブ138の各位置に対応するように、レーザダイオード175が備えられることにより、バルブ138の開閉を行うことができる。
【0046】
さらに、印刷回路基板アセンブリ150の下面に前述したチャネル137のバルブ138の位置に対応するように、複数個のレーザダイオード175が備えられ、それを通じてレーザダイオード175からワックスとして設けられるバルブ138にレーザを照射することにより熱を発生させ、バルブ138を開放すると共に、熱発生を中止することで、バルブ138を固体化してチャネル137を遮断することができる。
【0047】
そのために、印刷回路基板アセンブリ150は、レーザダイオード175を通じてバルブ138に熱を伝達するのに最適化された構造を有しているが、その構成は、次の通りである。
【0048】
本実施例の印刷回路基板アセンブリ150は、図1ないし図4に図示されるように、制御のための第1回路基板151と、第1回路基板151の下部に結合される連結部160と、連結部160の下端部に結合され、レーザダイオード175が装着される第2回路基板170を含みうる。
【0049】
まず、本実施例の第1回路基板151は、図3に図示されるように、分離ディスク120の形状に対応する円形のプレート形状を有し、そこには、制御のための多数の構成が装着されうる。
【0050】
例えば、第1回路基板151には、外部装置と無線通信して第2回路基板170に装着されたレーザダイオード175の駆動を制御するための通信部(図示せず)が備えられうる。例えば、外部装置から通信部にレーザダイオード175の作動のための命令信号を発し、第1回路基板151に備えられた制御部は、通信部によって受信された命令信号に基づいてレーザダイオード175を駆動させてチャネル137内のバルブ138の開閉を制御することができる。
【0051】
併せて、通信部と制御部の相互作動により、例えば、レーザダイオード175の駆動以外にも、ロータの回転速度、回転方向などを制御することができる。
【0052】
一方、本実施例の連結部160は、図1及び図4に図示されるように、第1回路基板151の下端部に結合されることにより、後述する第2回路基板170の位置及び傾斜角を決定することができる。
【0053】
前述したように、本実施例の分離ディスク120には、複数個のチャンバ132、133、134、135、136からなる単位チャンバセット130が90度間隔で合計4個備えられるが、図4を参照すれば、本実施例の連結部160も各単位チャンバセット130の位置に対応するように合計4個備えられうる。
【0054】
すなわち、図1ないし図3に図示されるように、分離ディスク120の上面が扁平に設けられ、一方、図5に図示されるように、分離ディスク120aの中央から外側に行くほど下方に傾斜した形状を有しうる。以下、図4を参照して、分離ディスク120aと印刷回路基板アセンブリ150aの形状及び結合構造について説明する。
【0055】
図5は、図1の変形図面として分離ディスク及びそれに結合される印刷回路基板アセンブリの他の構造を示す図面である。
【0056】
図示されるように、分離ディスク120aの各単位チャンバセット130aにおいて標的物質分離をさらに確かめるために分離ディスク120aは、中央から外側に行くほど下方に傾斜した形状を有することができるが、連結部160aも、それに対応するように中央から下方に行くほど傾斜した形状を有し、よって、連結部160aの下端面に結合される第2回路基板170aの位置及び傾斜角度も分離ディスク120aの傾斜した形状に対応しうる。
【0057】
したがって、分離ディスク120aに印刷回路基板アセンブリ150aを結合すれば、分割された連結部160aにそれぞれ結合された第2回路基板170aが該当する単位チャンバセット130aを緊密に覆い、この際、第2回路基板170aに装着されたレーザダイオード175(図1参照)がチャネル137内のバルブ138の位置に正確に位置されることにより、レーザダイオード175からバルブ138に正確に熱を提供することができる。
【0058】
さらに、レーザダイオード175を通じて照射されるレーザ波長のサイズは、750nmから890nmの波長範囲であり、これを通じて出力されるエネルギーは、0.7~2.5Wの範囲である。
【0059】
ところで、レーザダイオード175からレーザが照射されるとしても、レーザ熱の伝達が不十分であれば、バルブ138の開閉が十分になされないので、印刷回路基板アセンブリ150が分離ディスク120上に正確に結合され、レーザダイオード175とバルブ138との接触が正確になされ、熱伝達が十分になされるようにすることが重要であるが、このために、本実施例では、結合部180をさらに含む。
【0060】
本実施例の結合部180は、図6及び図7に図示されるように、印刷回路基板アセンブリ150に貫通されるように結合されて部分的にディスクラック115に結合される構造を有し、これを通じて分離ディスク120に対する印刷回路基板アセンブリ150の結合及び結合解除が容易になされる。
【0061】
図6を参照すれば、本実施例の結合部180は、印刷回路基板アセンブリ150の中央を貫通してディスクラック115の中央に備えられる結合ホール140に挿入される貫通部材181と、貫通部材181の上端部に備えられて貫通部材181を加圧して結合ホール140に挿入した後、貫通部材181を回すことにより、結合ホール140に対する貫通部材181を固定し、結局には分離ディスク120に対する印刷回路基板アセンブリ150を堅固に結合させる回転部材185を含みうる。
【0062】
図7を参照すれば、結合ホール140の内部には、一字ホール145と垂直方向を有する一字の固定溝146が備えられるが、貫通部材181の一字突起183が一字ホール145を貫通するようにした後、貫通部材181を90度回した後、貫通部材181に対する加圧を解除すれば一字突起183が結合ホール140内に備えられた固定溝146に固定されうる。
【0063】
図7に図示されるように、ディスクラック115の中央に備えられる結合ホール140には、180度間隔の一字ホール145が備えられうる。
【0064】
そして、貫通部材181の下端部には、結合ホール140の形状に対応するように一字突起183が180度間隔で備えられる。そのような構成によって、貫通部材181を結合ホール140に挿入した後、貫通部材181を回転させれば、貫通部材181の一字突起183が結合ホール140の下端にかかって固定され、そのような原理によって結合部180を介して印刷回路基板アセンブリ150がディスクラック115に固定されうるものである。
【0065】
一方、本実施例の結合部180は、印刷回路基板アセンブリ150と分離ディスク120との結合を堅固にするために、弾性部材187をさらに含みうる。本実施例の弾性部材187は、図6に図示されるように、回転部材185と、貫通部材181が貫通される印刷回路基板アセンブリ150の上面間に位置されるように、貫通部材181に挟まれて回転部材185を上方に押し付ける力を発生させ、これにより、分離ディスク120の方向に印刷回路基板アセンブリ150が加圧される効果を発生させることにより、分離ディスク120と印刷回路基板アセンブリ150との結合力を強化できるものである。
【0066】
すなわち、結合部180を用いて分離ディスク120に対する印刷回路基板アセンブリ150の結合を完了すれば、チャンバ132、133、134、135、136を連結するチャネル137内に備えられるバルブ138の位置に、第2回路基板170のレーザダイオード175の位置が一致し、これを通じて、レーザダイオード175からバルブ138に熱を正確に伝達することにより、バルブ138を用いたチャネル137の開閉を正確に遂行することができる。
【0067】
但し、結合部180による分離ディスク120と印刷回路基板アセンブリ150の結合構造は、それに限定されるものではなく、例えば、スクリュー結合方式、嵌合方式、磁性体による結合方式などが適用されうるということは言うまでもない。
【0068】
このように、本発明の実施例によれば、レーザダイオード175を用いて分離ディスク120のチャネル137に備えられたバルブ138のワックス温度を上昇させることにより、バルブ138の開閉作動が正確かつ円滑になされる。
【0069】
併せて、結合部180によって分離ディスク120に対する印刷回路基板アセンブリ150の結合を迅速かつ正確に遂行し、これを通じて、レーザダイオード175とバルブ138の位置を正確にアライメントすることができる。
【0070】
また、既存のディスクと同期化されて回転されるレーザ制御による開閉方式に対して回転速度と回転方向に制限されることなく、無線通信を介した全面的なバルブ開閉が可能であるため、標的物質分離制御装置の性能改善に効果的に適用されうる。
【0071】
以上、本発明による具体的な実施例について説明したが、本発明の範囲から外れない限度内で様々な変形が可能であるということは言うまでもない。そのため、本発明の範囲は、説明された実施例に限って決定されてはならず、特許請求の範囲だけではなく、該特許請求の範囲と均等なものによって決定されなければならない。
【0072】
前述したように本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたとしても、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、これは、本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば、そのような記載から多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明の思想は、特許請求の範囲によってのみ把握されなければならず、それらの均等であるか、あるいは等価的変形は、いずれも本発明の思想の範疇に属すると理解されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】