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特表2025-500596非冷却WDM光リンク用のリモート光パワー供給通信のためのシステムおよび方法
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  • 特表-非冷却WDM光リンク用のリモート光パワー供給通信のためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-非冷却WDM光リンク用のリモート光パワー供給通信のためのシステムおよび方法 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】非冷却WDM光リンク用のリモート光パワー供給通信のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20241226BHJP
   H04B 10/564 20130101ALI20241226BHJP
【FI】
H04B10/27
H04B10/564
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540680
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 US2023010491
(87)【国際公開番号】W WO2023137017
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/298,519
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519011669
【氏名又は名称】アヤー・ラブス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AYAR LABS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シサク・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】サン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】アルダラン・シャハブ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】リュー・ソンタオ
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AD01
5K102AH02
5K102AH26
5K102AH27
5K102MA00
5K102MB10
5K102MC01
5K102MD02
5K102MD03
5K102PB18
5K102PC04
5K102PH01
5K102PH11
5K102PH31
5K102PH42
5K102PH43
5K102RB01
5K102RD26
(57)【要約】
【解決手段】光パワー供給装置が、レーザアレイ内に複数のレーザを備える。複数のレーザの各々は、別個の連続波レーザ光ビームを生成するよう構成されている。光パワー供給装置は、レーザアレイに関連付けられている温度を取得する温度センサを備える。光パワー供給装置は、温度センサから温度の通知を受信するデジタルコントローラを備える。光パワー供給装置は、デジタルコントローラによって制御される光パワー調整器を備える。光パワー調整器は、温度センサによって取得されたレーザアレイに関連付けられている温度に関する情報を伝達する光パワー符号化を生成するために、複数のレーザによって生成された連続波レーザ光の1または複数のビームの光パワーレベルを調整する。電気光学チップが、光パワー供給装置から連続波レーザ光ビームを受信して、光パワー符号化を復号する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パワー供給装置であって、
複数のレーザを含むレーザアレイと、前記複数のレーザの各々は、別個の連続波レーザ光ビームを生成するよう構成され、
前記レーザアレイに関連付けられている温度を取得するよう構成されている温度センサと、
前記温度センサから前記温度の通知を受信するよう構成されているデジタルコントローラと、
前記デジタルコントローラによって制御される光パワー調整器であって、前記温度センサによって取得された前記レーザアレイに関連付けられている前記温度に関する情報を伝達する光パワー符号化を生成するために、前記複数のレーザによって生成された1または複数の連続波レーザ光ビームの光パワーレベルを調整するよう構成されている、光パワー調整器と、
を備える、光パワー供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光パワー供給装置であって、前記レーザアレイに関連付けられている前記温度は、前記複数のレーザの各々の温度を含み、前記光パワー符号化は、前記複数のレーザの各々の前記温度に関する情報を伝達する、光パワー供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光パワー供給装置であって、前記レーザアレイに関連付けられている前記温度は、リアルタイムで取得され、前記デジタルコントローラは、前記光パワー符号化をリアルタイムで生成するために、前記光パワー調整器の動作を指示するよう構成されている、光パワー供給装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光パワー供給装置であって、前記光パワー調整器は、前記デジタルコントローラから受信された制御信号に従って、前記複数のレーザの内の1または複数にそれぞれ供給される1または複数のバイアス電流を調整するよう構成されている、光パワー供給装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光パワー供給装置であって、前記光パワー調整器は、前記デジタルコントローラから受信された制御信号に従って、前記複数のレーザによって生成された前記別個の連続波レーザ光ビームの内の1または複数を増幅するよう構成されている、光パワー供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光パワー供給装置であって、前記光パワー調整器は、前記デジタルコントローラから受信された制御信号に従って、前記複数のレーザによって生成された前記別個の連続波レーザ光のビームの内の1または複数を減衰するよう構成されている、光パワー供給装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光パワー供給装置であって、前記光パワー調整器は、前記デジタルコントローラから受信された制御信号に従って、前記複数のレーザによって生成された前記別個の連続波レーザ光ビームの内の1または複数を増幅または減衰するよう構成されている、光パワー供給装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光パワー供給装置であって、さらに、
前記デジタルコントローラへのルート内で、前記温度センサによって取得された前記温度をアナログ信号からデジタル信号へ変換するよう構成されているアナログデジタルコンバータと、
前記光パワー調整器へのルート内で、前記デジタルコントローラによって出力されたデジタル信号をアナログ信号へ変換するよう構成されているデジタルアナログコンバータと、
を備える、光パワー供給装置。
【請求項9】
光データ通信システムであって、
複数の連続波レーザ光ビームを生成して出力するよう構成されている光パワー供給装置であって、前記複数の連続波レーザ光ビームにわたって光パワー符号化を施すよう構成され、前記光パワー符号化は、前記光パワー供給装置に関する情報を伝達し、
前記光パワー供給装置によって出力された前記光パワー符号化を有する前記複数の連続波レーザ光ビームを受信するように光学的に接続された電気光学チップであって、前記光パワー符号化で伝達された前記光パワー供給装置に関する前記情報を取得するために、前記光パワー符号化を復号するよう構成され、変調光信号の生成のためのソース光として前記複数の連続波レーザ光ビームを用いるよう構成されている、電気光学チップと、
を備える、システム。
【請求項10】
請求項9に記載の光データ通信システムであって、前記光パワー符号化は、前記光パワー供給装置のリアルタイムの温度に関する情報を伝達し、前記電気光学チップは、1または複数のリング共振器への前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のそれぞれのインカップリングを容易にするために、前記光パワー符号化から取得された前記光パワー供給装置の前記リアルタイムの温度を用いて、前記1または複数のリング共振器の1または複数の共振波長をそれぞれ制御するよう構成されている、システム。
【請求項11】
請求項10に記載の光データ通信システムであって、前記光パワー供給装置は、複数のレーザを備え、前記光パワー供給装置は、前記複数のレーザの1または複数のリアルタイムの温度をそれぞれ測定する1または複数の温度センサを備える、システム。
【請求項12】
請求項11に記載の光データ通信システムであって、前記光パワー供給装置は、前記複数の連続波レーザ光ビームにわたって前記光パワー符号化を施すために、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数の光パワーを調整するよう構成されている光パワー調整器を備える、システム。
【請求項13】
請求項12に記載の光データ通信システムであって、前記光パワー調整器は、前記複数のレーザの内の1または複数に適用されるバイアス電流を調整し、もしくは、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数の光パワーを増幅し、もしくは、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数の前記光パワーを減衰するよう構成されている、システム。
【請求項14】
請求項9に記載の光データ通信システムであって、前記電気光学チップは、前記複数の連続波レーザ光ビームが、変調光信号の生成のためのソース光として利用する前に実質的に一様な光パワーのビームになるように、前記複数の連続波レーザ光ビームにわたって施された前記光パワー符号化を元に戻すよう構成されている光パワー調整器を備える、システム。
【請求項15】
光パワー供給装置と電気光学チップとの間のデータ通信のための方法であって、
電気光学チップから離れた光パワー供給装置で複数の連続波レーザ光ビームを生成し、
前記複数の連続波レーザ光ビームにわたって光パワー符号化を施すために、前記光パワー供給装置において前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを調整し、
前記光パワー符号化を有する前記複数の連続波レーザ光ビームを前記光パワー供給装置から前記電気光学チップへ伝達し、
前記光パワー符号化を識別するために、前記電気光学チップにおいて前記複数の連続波レーザ光ビームの各々の光パワーレベルを検出し、
前記電気光学チップにおいて前記光パワー符号化によって表される情報を決定すること、
を備える、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記複数の連続波レーザ光ビームは、複数のレーザの内のそれぞれ対応するレーザによって生成され、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの前記光パワーレベルを調整することは、前記複数のレーザの内のそれぞれ対応するレーザに適用されるバイアス電流を調整することによって行われる、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの前記光パワーレベルを調整することは、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを増幅することによって行われる、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの前記光パワーレベルを調整することは、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを減衰することによって行われる、方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
前記光パワー供給装置の動作に関連付けられている温度を測定するための工程を備え、前記温度は、前記光パワー符号化によって表される、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、さらに、
前記光パワー符号化によって表された前記光パワー供給装置の動作に関連付けられている前記温度に基づいて、前記電気光学チップでリング共振器の共振波長を調整することを備え、前記共振波長は、前記リング共振器への前記複数の連続波レーザ光ビームの内の1つのインカップリングに影響を与える、方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
変調光信号を生成するためのソース光として前記複数の連続波レーザ光ビームを用いる前に、前記複数の連続波光ビームにわたって施された前記光パワー符号化を元に戻すことを備え、前記光パワー符号化を元に戻す工程は、前記電気光学チップによってなされる、方法。
【請求項22】
光パワー供給装置と電気光学チップとの間のデータ通信のための方法であって、
電気光学チップから離れた光パワー供給装置で複数の連続波レーザ光ビームを生成し、前記複数の連続波レーザ光ビームの少なくとも1つは、前記光パワー供給装置に関する情報を提供するために、前記複数の連続波レーザ光ビームの内のその他のビームとは異なって生成され、
前記複数の連続波レーザ光ビームを前記電気光学チップへ伝達し、
前記光パワー供給装置に関して提供される前記情報を決定するために、前記複数の連続波レーザ光ビームの内の他のビームと異なる前記複数の連続波レーザ光ビームの前記少なくとも1つを検出すること、
を備える、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記複数の連続波レーザ光ビームの少なくとも1つは、前記複数の連続波レーザ光ビームの内のその他のビームとは異なる低速の非ゼロ復帰信号として生成され、前記低速の非ゼロ復帰信号は、前記光パワー供給装置に関する情報を提供する、方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、さらに、
複数のリング共振器の内のそれぞれ対応するリング共振器への前記複数の連続波レーザ光ビームのインカップリングを容易にするために、前記光パワー供給装置に関して提供された前記情報を用いて、前記電気光学チップ上の前記複数のリング共振器の動作を制御することを備える、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記光パワー供給装置に関して提供される前記情報は、温度情報である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【0002】
開示されている実施形態は、光データ通信に関する。
【0003】
【背景技術】
【0004】
光データ通信システムは、デジタルデータパターンを符号化するためにレーザ光を変調することによって動作する。変調レーザ光は、光データネットワークを通して送信ノードから受信ノードへ送信される。受信ノードに到達した変調レーザ光は、元のデジタルデータパターンを取得するために復調される。したがって、光データ通信システムの実装および動作は、光信号の伝達、光導波路の間の光信号の結合、光信号の変調、および、光信号の受信のための信頼性の高い効率的なデバイスを有することに依存する。開示されている実施形態は、この文脈で生まれたものである。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態例において、光パワー供給装置が開示されている。光パワー供給装置は、複数のレーザを含むレーザアレイを備える。複数のレーザの各々は、別個の連続波レーザ光ビームを生成するよう構成されている。光パワー供給装置は、さらに、レーザアレイに関連付けられている温度を取得するよう構成されている温度センサを備える。光パワー供給装置は、さらに、温度センサから温度の通知を受信するよう構成されているデジタルコントローラを備える。光パワー供給装置は、さらに、デジタルコントローラによって制御される光パワー調整器を備える。光パワー調整器は、温度センサによって取得されたレーザアレイに関連付けられている温度に関する情報を伝達する光パワー符号化を生成するために、複数のレーザによって生成された連続波レーザ光の1または複数のビームの光パワーレベルを調整するよう構成されている。
【0006】
一実施形態例において、光データ通信システムが開示されている。光データ通信システムは、複数の連続波レーザ光ビームを生成して出力するよう構成されている光パワー供給装置を備える。光パワー供給装置は、複数の連続波レーザ光ビームにわたって光パワー符号化を施すよう構成されている。光パワー符号化は、光パワー供給装置に関する情報を伝達する。光データ通信システムは、さらに、光パワー供給装置によって出力された光パワー符号化を有する複数の連続波レーザ光ビームを受信するように光学的に接続されている電気光学チップを備える。電気光学チップは、光パワー符号化で伝達された光パワー供給装置に関する情報を取得するために、光パワー符号化を復号するよう構成されている。電気光学チップは、変調光信号の生成のためのソース光として複数の連続波レーザ光ビームを用いるよう構成されている。
【0007】
一実施形態例において、光パワー供給装置と電気光学チップとの間のデータ通信のための方法が開示されている。方法は、電気光学チップから離れた光パワー供給装置で複数の連続波レーザ光ビームを生成することを備える。方法は、さらに、複数の連続波レーザ光ビームにわたって光パワー符号化を施すために、光パワー供給装置において複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを調整することを備える。方法は、さらに、光パワー符号化を有する複数の連続波レーザ光ビームを光パワー供給装置から電気光学チップへ伝達することを備える。方法は、さらに、光パワー符号化を識別するために、電気光学チップにおいて複数の連続波レーザ光ビームの各々の光パワーレベルを検出することを備える。この方法は、さらに、電気光学チップにおいて光パワー符号化によって表される情報を決定することを備える。
【0008】
一実施形態例において、光パワー供給装置と電気光学チップとの間のデータ通信のための方法が開示されている。方法は、電気光学チップから離れた光パワー供給装置で複数の連続波レーザ光ビームを生成することを備える。複数の連続波レーザ光ビームの少なくとも1つは、光パワー供給装置に関する情報を提供するために、複数の連続波レーザ光ビームの内のその他のビームとは異なって生成される。方法は、さらに、複数の連続波レーザ光ビームを電気光学チップへ伝達することを備える。方法は、さらに、光パワー供給装置に関して提供される情報を決定するために、複数の連続波レーザ光ビームの内の他のビームと異なる複数の連続波レーザ光ビームの少なくとも1つを検出することを備える。
【0009】
開示されている実施形態のその他の態様および利点については、開示されている実施形態を例示した添付図面を参照しつつ行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】いくつかの実施形態に従って、リモート光パワー供給装置から電気光学チップへの単方向データ通信のためのシステムの一例を示す図。
【0011】
図2A】いくつかの実施形態に従って、リモート光パワー供給装置と電気光学チップとの間の双方向データ通信のためのシステムの一例を示す図。
【0012】
図2B】いくつかの実施形態に従って、戻りチャネルを通して伝達されるリターン変調光信号を生成するために、リモート光パワー供給装置から受信された連続波レーザ光信号を変調するための電気光学チップ内の変調器の一例を示す図。
【0013】
図3】いくつかの実施形態に従って、リモート光パワー供給装置と電気光学チップとの間のデータ通信のための方法を示すフローチャート。
【0014】
図4】いくつかの実施形態に従って、リモート光パワー供給装置と電気光学チップとの間のデータ通信のための方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、開示されている実施形態を理解できるように、多くの具体的な詳細事項について説明する。ただし、当業者にとって明らかなように、開示されている実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部または全部がなくとも実施可能である。また、開示されている実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略している。
【0016】
高帯域幅、多波長のWDM(波長分割多重化)光データ通信システムが、増大する相互接続データ通信帯域幅の要件を満たすために用いられる。高帯域幅、多波長のWDM光データ通信システムのいくつかの実装例において、連続波光のN個の波長を出力するよう構成されているリモートレーザアレイが、電気光学チップへの伝送に向けて多くの光供給ポートにわたって連続波光の複数の波長の組み合わせを生成するために、光分配ネットワークと組み合わせられる。いくつかの実施形態において、電気光学チップは、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)チップである。いくつかの実施形態において、電気光学チップは、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)チップである。いくつかの実施形態において、電気光学チップは、米国特許出願第17/184,537号に記載されているものなど、Ayar Labs社のTeraPHY(商標)チップである。ただし、本明細書で言及されている電気光学チップは、データを送受信する任意のタイプのフォトニック/電子チップでありうる。
【0017】
コパッケージドオプティクス(CPO)が、データセンタおよびハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)システムの中に実装されつつある。多くのCPO構成は、システムの全体の歩留まりおよび信頼性を改善するために、外部レーザ光源(リモート光パワー供給装置)を利用する。いくつかの状況において、リモート光パワー供給装置は、レーザ光を供給する先の電気光学チップから、かなり離れている(最大2キロメートル以上離れている)。本明細書で開示されているシステムおよび方法は、リモート光パワー供給装置と、それらがレーザ光を供給する電気光学チップとの間にデータ通信を確立するための効果的な方法を提供する。
【0018】
リモート光パワー供給装置(例えば、WDMレーザ源)から電気光学チップへ、および、その逆へ、情報(データ)を通信するためのシステムおよび方法のための実施形態が本明細書に記載されている。リモート光パワー供給装置の温度が電気光学チップに対して未知である通信リンクの始動時、特に、このデータ通信をセットアップすることが重要である。リモート光パワー供給装置と電気光学チップとの間の通信リンクが開始される時、電気光学チップは、典型的には、その最も高いリング共振器(またはリング変調器)チューニング出力および最高温度へ駆動される。リモート光パワー供給装置がこの通信リンクの始動段階中に低温であり、リング共振器(またはリング変調器)の動作波長ロックが完了されている場合、リモート光パワー供給装置の温度がその後に上昇すると、リング共振器(またはリング変調器)の動作波長ロックは、電気光学チップ上のリング共振器(またはリング変調器)に対してもはや波長同調範囲が存在しないので、失われることになる。リモート光パワー供給装置および電気光学チップの両方の未知の温度および関連するチップ動作条件の変化を管理する目的で、リモート光パワー供給装置と電気光学チップとの間での条件情報(データ)(例えば、温度情報(データ))のやり取りを提供するために、リモート光パワー供給装置が単方向または双方向のいずれかで電気光学チップと通信できるシステムおよび方法が本明細書に記載されている。
【0019】
中央処理装置(CPU)および/または、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)および/または任意のその他のタイプのコンピュータプロセッサの間など、プロセッサの間での光信号の変調および伝送をサポートするために、電気光学チップとのリモート光パワー供給装置(例えば、WDMレーザ源)のデータ通信を提供するシステム構成が本明細書で開示されている。様々な実施形態において、リモート光パワー供給装置のレーザアレイからの光信号が、リモート光パワー供給装置に関する温度および関連チップ動作情報を伝達するデータと共に埋め込まれる(符号化および/または変調される)。次いで、埋め込みおよび/または変調されたデータを有する光信号は、情報のやり取りを提供するために、レーザアレイから電気光学チップへ伝送される。
【0020】
いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置から電気光学チップへの単方向データ通信のために、リモート光パワー供給装置のレーザアレイからの各光信号の強度(光パワーレベル)は、電気光学チップにおけるレシーバ側による検出に向けてデジタルデータパターンを伝達するようにデジタル化される。デジタルデータパターンは、電気光学チップによって検出され、デジタルデータパターンは、リモート光パワー供給装置に関するいくつかの条件情報(温度データまたはその他のデータなど)を伝達する。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置によって出力された各光信号の強度は、光信号を生成するために用いられるバイアス電流を調整することによって、もしくは、1または複数の可変光減衰器(可変光減衰器アレイなど)を用いて、1または複数の光信号の強度をその他の光信号に対して小さくすることによって、もしくは、1または複数の光増幅器(可変光増幅器アレイなど)を用いて、1または複数の光信号の強度をその他の光信号に対して大きくすることによって、調整される。
【0021】
図1は、いくつかの実施形態に従って、リモート光パワー供給装置101から電気光学チップ103への単方向データ通信のためのシステムの一例を示す。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101は、連続波レーザ光のそれぞれのビームを出力するよう構成されているN個のレーザ102-1~102-Nのレーザアレイ102を備えたWDMレーザ源である。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101によって出力されるレーザ光のN個の異なるビームは、それぞれ、異なる波長λ~λを有する。いくつかの実施形態において、レーザアレイ102内の各レーザ102-1~102-Nは、実質的に均一な光パワーで、それぞれ異なる波長λ~λの連続波レーザ光のビームを出力する。例えば、ボックス105内に示す矢印の長さは、リモート光パワー供給装置101のレーザアレイ102のレーザ102-1~102-Nによってそれぞれ出力されたそれぞれ波長λ~λを有するN個のレーザビームの相対的な光パワーを表している。
【0022】
温度センサ111が、リモート光パワー供給装置101から温度データを取得する。いくつかの実施形態において、温度センサ111によって取得された温度データは、リモート光パワー供給装置101のレーザアレイ102内の各レーザ102-1~102ーNの別個のリアルタイム温度測定値を含む。温度センサ111によって取得された温度データは、デジタルコントローラ115へ伝送される。デジタルコントローラ115は、結果として得られるN個のレーザビームのN個の光パワーレベルのセットが光パワー符号化を規定するように、リモート光パワー供給装置101のレーザアレイ102のN個のレーザ102-1~102ーNによってそれぞれ出力されたN個のレーザビームの内の1または複数のレーザビームの1または複数の光パワーレベルを調整するために、光パワー調整器107の動作を指示するよう構成されている。光パワー符号化におけるN個の光ビームにわたるN個の光パワーレベルのパターンは、温度センサ111によって測定されたリモート光パワー供給装置101の温度に関する情報を伝達する。例えば、ボックス109に示す矢印の長さは、光パワー符号化を生成するために、リモート光パワー供給装置101によって最初に出力された後に光パワー調整器107によって処理された、それぞれ波長λ~λを有するN個のレーザビームの相対的な光パワーを表している。図1の例において、ボックス109内の矢印によって表された光パワー符号化は、N個のレーザビームのセット内の他のレーザビームに対する第2レーザビーム(λ)の光パワーレベルの増大を含んでいる。例として、第2レーザビーム(λ)の光パワーレベルがN個のレーザビームのセット内の他のレーザビームに対して増大したN個のレーザビームにわたるN個の光パワーレベルのパターンは、温度センサ111によって測定されたリモート光パワー供給装置101の温度に関する情報を伝達する光パワー符号化を規定する。レーザアレイ102によって出力されたN個のレーザビームの光パワーレベルの内の任意の1または複数は、特定の光パワー符号化の後の復号がリモート光パワー供給装置101内の特定の温度条件を伝達するように、リモート光パワー供給装置101内の特定の温度条件に関連付けられている特定の光パワー符号化を生成する必要に応じて調整されうることを理解されたい。
【0023】
いくつかの実施形態において、温度センサ111は、リモート光パワー供給装置101からアナログ情報(温度データ)を取得する。いくつかの実施形態において、任意選択的なアナログデジタルコンバータ113が、温度センサ111によって取得されたアナログ情報を、リモート光パワー供給装置101のレーザアレイ102によって出力されたN個のレーザビームの光パワー符号化を生成する目的で光パワー調整器107の動作を指示するためにデジタルコントローラ115によって用いられるデジタルレベルへ変換するために実装される。いくつかの実施形態において、デジタルコントローラ115は、光パワー調整器107の動作を指示するためにデジタル制御信号を出力するよう構成されている。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、アナログ制御信号に従って動作するよう構成されている。これらの実施形態において、光デジタルアナログコンバータ117は、光パワー調整器107へのルート内で、デジタルコントローラ115によって出力されたデジタル制御信号を対応するアナログ制御信号に変換するために実装されている。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、デジタル制御信号に従って動作するよう構成されている。これらの実施形態において、デジタルアナログココンバータ117は、デジタルコントローラ115の出力が光パワー調整器107の制御信号入力に直接伝達されるように、省略される。
【0024】
いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101のレーザアレイ102内の1または複数のレーザ102-1~102-Nのバイアス電流が、所望の光パワー符号化を生成するためにN個の異なる波長λ~λの内の1または複数の波長のレーザ光の光パワーを調整するよう変調される。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、デジタルコントローラ115から制御情報を受信し、所望の光パワー符号化を生成する必要に応じてレーザ102-1~102-Nのバイアス電流を調整するように、レーザアレイ102内に実装されている。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、レーザアレイ102から離れて実装されている。これらの実施形態の一部において、光パワー調整器107は、レーザアレイ102によって出力されるN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光にそれぞれ対応するN個の光増幅チャネルを備え、ここで、N個の光増幅チャネルの各々は、1または複数の光増幅器を備える。これらの実施形態の一部において、光パワー調整器107は、レーザアレイ102によって出力されるN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光にそれぞれ対応するN個の光減衰チャネルを備え、ここで、N個の光減衰チャネルの各々は、1または複数の光減衰器を備える。また、これらの実施形態の一部において、光パワー調整器107は、レーザアレイ102によって出力されるN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光にそれぞれ対応するN個の光増幅チャネルおよびN個の光減衰チャネルの両方を備え、ここで、N個の光増幅チャネルの各々は、1または複数の光増幅器を備え、N個の光減衰チャネルの各々は、1または複数の光減衰器を備える。
【0025】
さらに、いくつかの実施形態において、光パワー調整器107がレーザアレイ102から離れて実装されている場合でも、光パワー調整器107は、デジタルコントローラ115から制御情報を受信し、所望の光パワー符号化を生成する必要に応じてレーザ102-1~102-Nのバイアス電流を調整するように実装されている。したがって、様々な実施形態において、所望の光パワー符号化を生成するために、レーザアレイ102によって出力されたN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光に対応するN個のチャネルの内の任意の1つの光パワーレベルは、対応するレーザ102-1~102-Nを動作させるために用いられるバイアス電流を調整することによって上方または下方に調整可能であり、もしくは、対応する光増幅チャネルを動作させることによって上方に調整可能であり、もしくは、対応する光減衰チャネルを動作させることによって下方に調整可能である。
【0026】
いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、レーザアレイ102によって出力されるN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光にそれぞれ対応するN個の光増幅チャネルを備え、ここで、N個の光増幅チャネルの各々は、1または複数の光増幅器を備える。いくつかの実施形態において、N個のレーザビームの光パワー符号化は、複数のレーザ102-1~102ーNによって出力されるN個のレーザビームの通常の光パワーレベルに対して、N個のレーザビームの内の任意の1または複数のビームの光パワーレベルを上昇させることによってなされる。これらの実施形態の一部において、N個のレーザビームの各々は、N個のレーザビームの光パワー符号化において、2つのパワーレベルの内の一方(すなわち、通常レベルまたは高レベル)を有しうる。その結果として、N個のレーザビームの光パワー符号化を規定するための2個の可能な一意パターンが存在する。したがって、これらの実施形態において、2個の可能な一意の温度データ値が、N個のレーザビームの光パワー符号化によって伝達されうる。
【0027】
いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、レーザアレイ102によって出力される連続波レーザ光のN個の異なる波長λ~λにそれぞれ対応するN個の光減衰チャネルを備え、ここで、N個の光減衰チャネルの各々は、1または複数の光減衰器を備える。いくつかの実施形態において、N個のレーザビームの光パワー符号化は、複数のレーザ102-1~102ーNによって出力されるN個のレーザビームの通常の光パワーレベルに対して、N個のレーザビームの内の任意の1または複数のビームの光パワーレベルを低下させることによってなされる。これらの実施形態の一部において、N個のレーザビームの各々は、N個のレーザビームの光パワー符号化において、2つのパワーレベルの内の一方(すなわち、通常レベルまたは低レベル)を有しうる。その結果として、N個のレーザビームの光パワー符号化を規定するための2個の可能な一意パターンが存在する。したがって、これらの実施形態において、2個の可能な一意の温度データ値が、N個のレーザビームの光パワー符号化によって伝達されうる。
【0028】
いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、レーザアレイ102によって出力されるN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光にそれぞれ対応するN個の光増幅チャネルおよびN個の光減衰チャネルの両方を備え、ここで、N個の光増幅チャネルの各々は、1または複数の光増幅器を備え、N個の光減衰チャネルの各々は、1または複数の光減衰器を備える。いくつかの実施形態において、N個のレーザビームの光パワー符号化は、複数のレーザ102-1~102ーNによって出力されるN個のレーザビームの通常の光パワーレベルに対して、N個のレーザビームの内の任意の1または複数のビームの光パワーレベルを上昇または低下させることによってなされる。これらの実施形態の一部において、N個のレーザビームの各々は、N個のレーザビームの光パワー符号化において、3つのパワーレベルの内の1つ(すなわち、低レベル、通常レベル、または、高レベル)を有しうる。その結果として、N個のレーザビームの光パワー符号化を規定するための3個の可能な一意パターンが存在する。したがって、これらの実施形態において、3個の可能な一意の温度データ値が、N個のレーザビームの光パワー符号化によって伝達されうる。
【0029】
いくつかの実施形態において、N個のレーザビームの光パワー符号化は、N個のレーザビームの各々の光パワーレベルを、p個の可能なパワーレベルの内の任意の1つに設定することによってなされ、ここで、Pは、1より大きい整数である。これらの実施形態において、レーザアレイ102によって出力されるN個のレーザビームの各々は、N個のレーザビームの光パワー符号化においてp個のパワーレベルの内の任意の1つを有しうる。その結果として、N個のレーザビームの光パワー符号化のP個の可能な一意パターンが存在する。したがって、これらの実施形態において、P個の可能な一意の温度データ値が、N個のレーザビームの光パワー符号化によって伝達されうる。
【0030】
異なる波長λ~λの連続波長レーザ光の符号化/変調されたパワーレベルによって規定される光パワー符号化は、リモート光パワー供給装置101から光ファイバ110を通して電気光学チップ103へ伝送される。電気光学チップ103は、光ファイバ110から異なる波長λ~λの連続波光を受信して、異なる波長λ~λの各々の光パワーレベルを決定する光パワー検出器119を備える。異なる波長λ~λの連続波レーザ光の各々に対する光パワーレベル情報は、光パワー検出器119からデジタルコントローラ121(デコーダとも呼ばれる)へ伝達される。デジタルコントローラ121は、受信された1セットのN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光によって表される光パワー符号化を決定するために、異なる波長λ~λの連続波レーザ光の光パワーレベルを復号および/または復調するよう構成されている。デジタルコントローラ121は、さらに、復号された光パワー符号化によって表されるリモート光パワー供給装置101に関する温度情報(アナログチップ情報)を決定するよう構成されている。復号された光パワー符号化から取得された温度情報は、矢印122で示すように電気光学チップ103上のフォトニック集積回路127へ伝達される。フォトニック集積回路127は、リモート光パワー供給装置101に関する温度情報(アナログチップ情報)を用いて、異なる波長λ~λの連続波レーザ光が電気光学チップ103によって正確に受信および処理されることを保証するために電気光学チップ103上のリング共振器(リング変調器)の動作パラメータを調整する。例えば、いくつかの実施形態において、フォトニック集積回路127は、(復号された光パワー符号化から取得された)レーザアレイ102内の様々なレーザ102-1~102-Nに関する温度情報を用いて、リモート光パワー供給装置101によって出力されたN個の波長λ~λの連続波レーザ光にわたって発生した対応する波長ドリフトを決定し、次に、連続波レーザ光の異なる波長λ~λがリング共振器(リング変調器)の内のそれぞれ対応する1つへ正確に光学的に結合されるように、決定された波長ドリフトを調整するために電気光学チップ103上のリング共振器(リング変調器)の共振波長のロックを制御する。
【0031】
いくつかの実施形態において、光パワー検出器119で受信された光パワー符号化に存在するそれぞれの光パワーの異なる波長λ~λの連続波レーザ光は、光学的インカップリングおよび処理(例えば、変調)のためにフォトニック集積回路127へ直接伝達される。しかしながら、いくつかの実施形態において、異なる波長λ~λの連続波レーザ光が、フォトニック集積回路127へ入った時に実質的に一様なパワーレベルを有することが望ましい。これらの実施形態において、光パワー検出器119で受信された光パワー符号化に存在するそれぞれの光パワーの異なる波長λ~λの連続波レーザ光は、電気光学チップ103上の光パワー調整器123へ伝達される。光パワー調整器123は、N個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光がフォトニック集積回路127へ入った時に実質的に一様なパワーレベルを有することを保証するために、N個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光の内の1または複数の光パワーレベルを調整するよう構成されている。これらの実施形態において、電気光学チップ103内の光パワー調整器123は、基本的に、リモート光パワー供給装置101内の光パワー調整器107によって適用された光パワー調整を元に戻すよう動作する。例えば、ボックス125に示す矢印の長さは、光パワー調整器123によって出力されたN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光の相対的な光パワーを表している。いくつかの実施形態において、デジタルコントローラ121によって決定された光パワー符号化は、連続波レーザ光のN個の異なる波長λ~λの各々が、リモート光パワー供給装置101内の光パワー調整器107によって適用された光パワー符号化を元に戻すためにどのように調整される必要があるのかを、光パワー調整器123が知るように、矢印124で示すように光パワー調整器123への入力として伝達される。
【0032】
いくつかの実施形態において、光パワー検出器119は、リモート光パワー供給装置101から受信されたN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光からそれらの波長のためのアナログ情報(例えば、発生した光電流に基づいた光パワーレベル)を生成する。これらの実施形態の一部において、光アナログデジタルコンバータ129が、光パワー検出器119によって生成されたアナログ情報を、デジタルコントローラ121によって用いられるデジタルレベルに変換するために実装される。いくつかの実施形態において、デジタルコントローラ121は、光パワー調整器123の動作を指示するためにデジタル制御信号を出力するよう構成されている。しかしながら、いくつかの実施形態において、光パワー調整器123は、アナログ制御信号に従って動作するよう構成されている。これらの実施形態において、光デジタルアナログコンバータ131は、光パワー調整器123へのルート内で、デジタルコントローラ124によって出力されたデジタル制御信号を対応するアナログ制御信号に変換するために実装されている。いくつかの実施形態において、光パワー調整器123は、デジタル制御信号に従って動作するよう構成されている。これらの実施形態において、デジタルアナログココンバータ131は、デジタルコントローラ124の出力が光パワー調整器123の入力に直接伝達されるように、省略される。
【0033】
図1の実施形態例に示すように、リモート光パワー供給装置101に関する関連動作制御情報(温度情報など)をリモート光パワー供給装置101から電気光学チップ103へ伝達する光パワー符号化を生成する目的で、リモート光パワー供給装置101のレーザアレイ102によって出力されたN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光のパワーレベルを符号化および/または変調するために、デジタルアナログ(DAC)変換が用いられる。このように、リモート光パワー供給装置101によって出力されたN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光の光パワーレベルは、電気光学チップ103の適切な動作に関連するリモート光パワー供給装置101の動作に関するデータをリアルタイムで通信するために用いられる少なくとも1つのNビット信号を提供する。
【0034】
光パワー符号化(例えば、NビットDAC信号)は、レーザアレイ102に関するアナログ温度情報および/またはリモート光パワー供給装置101に関するその他の関連チップ情報を符号化し、リモート光パワー供給装置101へ光学的に接続されている電気光学チップ103へその情報を伝達する。いくつかの実施形態において、レーザアレイ102の温度が低い場合、光パワー調整器107は、光パワー符号化(例えば、NビットDAC信号)を生成するために、レーザアレイ102によって出力されたN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光の内の1または複数に、より高い光パワーを適用するよう動作される。電気光学チップ103は、リモート光パワー供給装置101から受信されたN個の異なる波長λ~λの連続波レーザ光の各々別個の1つの光パワーを決定するよう構成されている。電気光学チップ103は、電気光学チップ103内のリング共振器(リング変調器)の共振波長のロック中に、受信されたレーザ光のN個の異なる波長λ~λのどれが、より高い光パワーであるのかを判定するよう構成されている。いくつかの実施形態において、1セットの残りのリング共振器(より高い光パワーの受信レーザ光の波長に対応していないリング共振器/変調器)は、リモート光パワー供給装置101内のレーザアレイ102の温度が変化(例えば、上昇)した場合に、共振波長調整のための余地を残す適切な量のチューニング出力を有するように制御/設定された共振波長を有する。同様に、いくつかの実施形態において、光パワー符号化(NビットDAC信号)が、リモート光パワー供給装置101内のレーザアレイ102の温度が高いことを伝える場合、電気光学チップ103内の1セットのリング共振器(リング変調器)は、リモート光パワー供給装置101内のレーザアレイ102の減少する温度ドリフトを考慮するために、より高いチューニング出力を有するように制御/設定された共振波長を有する。
【0035】
一実施形態例において、リモート光パワー供給装置101は、複数のレーザ102-1~102ーNを含むレーザアレイ102を備え、ここで、複数のレーザ102-1~102-Nの各々は、別個の連続波レーザ光ビームを生成するよう構成されている。この実施形態例において、温度センサ111は、レーザアレイ102に関連付けられている温度を取得するよう構成されている。この実施形態例において、デジタルコントローラ115は、温度センサ111から温度の通知を受信するよう構成されている。この実施形態例において、光パワー調整器107は、デジタルコントローラ115によって制御される。光パワー調整器107は、温度センサ111によって取得されたレーザアレイ102に関連付けられている温度に関する情報を伝達する光パワー符号化を生成するために、複数のレーザ102-1~102-Nによって生成された連続波レーザ光の1または複数のビームの光パワーレベルを調整するよう構成されている。
【0036】
いくつかの実施形態において、レーザアレイ102に関連付けられている温度は、複数のレーザ102-1~102-Nの各々の温度を含み、光パワー符号化は、複数のレーザ102-1~102-Nの各々の温度に関する情報を伝達する。いくつかの実施形態において、レーザアレイ102に関連付けられている温度は、リアルタイムで取得され、デジタルコントローラ115は、光パワー符号化をリアルタイムで生成するために、光パワー調整器107の動作を指示するよう構成されている。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、デジタルコントローラ115から受信された制御信号に従って、複数のレーザ102-1~102-Nの内の1または複数にそれぞれ供給される1または複数のバイアス電流を調整するよう構成されている。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、デジタルコントローラ115から受信された制御信号に従って、複数のレーザ102-1~102-Nによって生成された別個の連続波レーザ光ビームの内の1または複数を増幅するよう構成されている。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、デジタルコントローラ115から受信された制御信号に従って、複数のレーザ102-1~102-Nによって生成された別個の連続波レーザ光ビームの内の1または複数を減衰するよう構成されている。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、デジタルコントローラ115から受信された制御信号に従って、複数のレーザ102-1~102-Nによって生成された別個の連続波レーザ光ビームの内の1または複数を増幅または減衰するよう構成されている。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101は、デジタルコントローラ115へのルート内で、温度センサ111によって取得された温度をアナログ信号からデジタル信号へ変換するよう構成されているアナログデジタルコンバータ113と、光パワー調整器107へのルート内で、デジタルコントローラ115によって出力されたデジタル信号をアナログ信号へ変換するよう構成されているデジタルアナログコンバータ117との両方を備える。
【0037】
一実施形態例において、光データ通信システムが、リモート光パワー供給装置101および電気光学チップ103を備える。リモート光パワー供給装置101は、複数の連続波レーザ光ビームを生成および出力するよう構成されている。リモート光パワー供給装置101は、複数の連続波レーザ光ビームにわたって光パワー符号化を施すよう構成されており、ここで、光パワー符号化は、リモート光パワー供給装置101に関する情報を伝達する。電気光学チップ103は、リモート光パワー供給装置101によって出力された光パワー符号化を有する複数の連続波レーザ光ビームを受信するように光学的に接続されている。電気光学チップ103は、光パワー符号化で伝達されたリモート光パワー供給装置101に関する情報を取得するために、光パワー符号化を復号するよう構成されている。電気光学チップ103は、変調光信号の生成のためのソース光として複数の連続波レーザ光ビームを用いるよう構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態において、光パワー符号化は、リモート光パワー供給装置101のリアルタイムの温度に関する情報を伝達する。いくつかの実施形態において、電気光学チップ103は、1または複数のリング共振器への複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のそれぞれのインカップリングを容易にするために、光パワー符号化から取得されたリモート光パワー供給装置101のリアルタイムの温度を用いて、1または複数のリング共振器の1または複数の共振波長をそれぞれ制御するよう構成されている。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101は、複数のレーザ102-1~102-Nと、複数のレーザ102-1~102-Nの1または複数のリアルタイムの温度をそれぞれ測定する1または複数の温度センサ111と、を備える。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101は、複数の連続波レーザ光ビームにわたって光パワー符号化を施すために、複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数の光パワーを調整するよう構成されている光パワー調整器107を備える。いくつかの実施形態において、光パワー調整器107は、複数のレーザ102-1~102-Nの内の1または複数に適用されるバイアス電流を調整し、もしくは、複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数の光パワーを増幅し、もしくは、複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数の光パワーを減衰するよう構成されている。いくつかの実施形態において、電気光学チップ103は、複数の連続波レーザ光ビームが、光データ通信の目的で変調光信号の生成のためのソース光として利用する前に実質的に一様な光パワーのビームになるように、複数の連続波レーザ光ビームにわたって施された光パワー符号化を元に戻すよう構成されている光パワー調整器123を備える。
【0039】
図2Aは、いくつかの実施形態に従って、リモート光パワー供給装置101と電気光学チップ103との間の双方向データ通信のためのシステムの一例を示す。いくつかの実施形態において、WDMレーザ源(リモート光パワー供給装置101)内のレーザアレイ102内のレーザ102-1~102-Nは、連続波レーザ光を出力する。図2Aの例において、光調整器200が、レーザアレイ102と一体化されている。光調整器200は、N個のレーザ102-1~102-Nによって出力された1セットのN個の連続波レーザ光ビームにわたって光符号化を施すために、N個のレーザ102-1~102-Nによって出力された連続波レーザ光のビームの内の1または複数を調整するよう構成されている。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101と電気光学チップ103との間の双方向データ通信のために、光調整器200は、電気光学チップ103におけるレシーバ側による検出に向けて、光パワー供給装置101内のレーザアレイ102のチャネルの1つに低速の強度変調または位相変調のいずれかを適用するよう動作する。例えば、温度センサ111は、リモート光パワー供給装置101(例えば、レーザ102-1~102-Nの各々)の温度データなどチップ情報(アナログ情報)を収集して、このアナログチップ情報を、レーザ102-1によって生成された連続波レーザ光ビームを低速の非ゼロ復帰(NRZ)信号で変調するために用いられるデジタルレベルに変換する。
【0040】
図2Aのシステムは、光分配ネットワーク207のN個のそれぞれの光入力において、リモート光パワー供給装置101からN個のチャネルの光を受信するよう構成されている光分配ネットワーク207を備える。光分配ネットワーク207は、N個の入力チャネル201で受信されたN個の異なる波長λ~λの光の各々を、リモート光パワー供給装置101から光分配ネットワークのM個の出力チャネル211の各々へ伝達するよう構成されている。このように、リモート光パワー供給装置101からN個の入力チャネル201で受信されたN個の異なる波長λ~λの光の各々の一部が、光分配ネットワーク207のM個の出力チャネル211の各々で伝送される。電気光学チップ103は、光分配ネットワーク207のM個の出力チャネル211の内のそれぞれ対応するチャネルを通して伝達された光を受信するように光学的に接続されている1または複数の光入力を有する。例えば、図2Aは、光分配ネットワーク207のM個の出力チャネル211の内のそれぞれ対応するチャネルを通して伝達された光を受信するように光学的に接続されているM個の光入力を有する電気光学チップ103を示している。リモート光パワー供給装置101によって出力されたN個の異なる波長λ~λすべてが、電気光学チップ103の光入力の各々で受信される。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101および光分配ネットワーク207は、複数の電気光学チップ103にサービスするように用いられる。これらの実施形態において、M個の出力チャネル211のサブセットが、各電気光学チップ103の光入力へ光学的に接続される。
【0041】
いくつかの実施形態において、光ファイバが、リモート光パワー供給装置101から光分配ネットワーク207へN個のチャネルを通して光を伝達するために用いられる。いくつかの実施形態において、光分配ネットワーク207は、光パワー供給装置101に一体化された光導波路が、レーザアレイ102から光分配ネットワーク207へ光を伝達するために用いられるように、リモート光パワー供給装置101に一体化されている。いくつかの実施形態において、光ファイバが、光分配ネットワーク207から電気光学チップ103へM個の出力チャネル211を通して光を伝達するために用いられる。いくつかの実施形態において、光分配ネットワーク207は、電気光学チップ103に一体化された光導波路が、光分配ネットワーク207から電気光学チップ103内のフォトニック回路へ光を伝達するために用いられるように、電気光学チップ103に一体化されている。
【0042】
いくつかの実施形態において、N個のレーザ102-1~102-Nの1つが、情報を伝達するために電気光学チップ103からリモート光パワー供給装置101に送り返される変調光信号を生成する際に電気光学チップ103による利用に向けて特定の波長の連続波レーザ光信号を供給するよう動作される。例えば、図2Aにおいて、レーザ102-Nによって生成された連続波レーザ光は、電気光学チップ103上の変調器215へソース光として供給される。変調器215は、電気光学チップ103からリモート光パワー供給装置101へ情報を伝達する変調光信号を生成するために連続波光のソース光を変調するよう構成されている。戻りチャネル203が、電気光学チップ103からリモート光パワー供給装置101への変調信号の伝達のために、電気光学チップ103とリモート光パワー供給装置101との間に確立されている。いくつかの実施形態において、戻りチャネル203は、光分配ネットワーク207を通過している。いくつかの実施形態において、戻りチャネル203は、電気光学チップ103とリモート光パワー供給装置101との間に別個の光ファイバ接続によって形成されている。
【0043】
いくつかの実施形態において、レーザアレイ102は、光信号検出用の光検出器として機能するように逆バイアスされたダミーレーザ205を備える。逆バイアスされたダミーレーザ205によって規定される光検出器は、戻りチャネル203を通して電気光学チップ103からリモート光パワー供給装置101へ伝達される変調光信号を受信して検出する。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101は、矢印213で示すように、逆バイアスされたダミーレーザ205の光検出器によって生成された光電流を受信するように接続された情報処理ユニット209を備える。情報処理ユニット209は、戻りチャネル203を通して受信されたこのリターン信号を復調して、そこに符号化されている伝達情報を取得するよう構成されている。また、いくつかの実施形態において、電気光学チップ103から戻りチャネル203を通してリモート光パワー供給装置101に送信される変調光信号がレーザ102-1~102-Nの動作と干渉するのを防ぐために、光アイソレータ209が、リモート光パワー供給装置101内に実装されている。
【0044】
図2Bは、いくつかの実施形態に従って、戻りチャネル203を通して伝達されるリターン変調光信号を生成するために、リモート光パワー供給装置101から受信された連続波レーザ光信号を変調するための電気光学チップ103内の変調器215の一例を示す。いくつかの実施形態において、電気光学チップ103は、複数の入力チャネル220-1~220-Pを備える。いくつかの実施形態において、入力チャネル220-1~220-Pの各々は、それぞれ、リモート光パワー供給装置101からの光が伝達される際に通る光導波路222-1~222-Pを備える。入力チャネル220-1~220-Pの各々は、N個のリング共振器224-1~224-Pのセットを備える。N個のリング共振器224-1~224-Pの各セット内の各リング共振器は、その共振波長が、リモート光パワー供給装置101からの入力光のN個の異なる波長λ~λの内の1つに同調されている。いくつかの実施形態において、所与の波長λの光が、N個のリング共振器224-1~224-Pのセット内の所与の波長λに同調されたリング共振器を通り過ぎる時、所与の波長λの光は、所与の波長λに同調されたリング共振器へ実質的にインカップリングされる。
【0045】
いくつかの実施形態において、変調器215へ光学的に接続されている入力チャネル220-P内の1セットのN個のリング共振器224-1~224-Pは、特定の波長の入力光が変調器215に入ることを可能にするように制御される。図2Bの例において、波長λNの入力光が、変調器215に入ることを許容される。いくつかの実施形態において、変調器215は、入力連続波光が受信される第1光導波路231と、第1光導波路231に沿って伸びている第2光導波路233とを含むクロスアーム光導波路構成221を備える。第1光導波路231および第2光導波路233は、第1光導波路231と第2光導波路233との間に第1断熱結合領域227を形成するために、互いに接近するように形成されている。第1断熱結合領域227は、入力光の一部を第2光導波路233に結合させ、入力光の残りの部分は、第1光導波路231を通り続ける。第1断熱結合領域227の後に、第1光導波路231および第2光導波路233は、位相シフト領域228にわたって互いに離れた状態で伸びている。位相シフタ225が、第1光導波路231に沿って実装されており、第1光導波路231内を進み続ける変調光信号を生成するために、位相シフト領域228内で第1光導波路231を通る光信号へ制御された位相変調を施すよう構成されている。位相シフト領域228の後に、第1光導波路231および第2光導波路233は、第2断熱結合領域229を形成するように、再び互いに接近する。第2断熱結合領域229において、位相シフト領域228から第1光導波路231を通して伝達された変調光信号は、変調光信号が、第1断熱結合領域228から第2光導波路233を通して連進み続けた元々の入力光信号の変調されていない部分と組み合わせられてリターン信号を生成するように、第2光導波路233に結合される。いくつかの実施形態において、変調器215は、第2光導波路233から戻りチャネル203へのリターン信号の光伝達を提供するために、リターン信号の光の波長に同調されたリング共振器223を備える。いくつかの実施形態において、電気光学チップ103内の戻りチャネルの部分は、光導波路として形成され、電気光学チップ103の出力光ポートで光ファイバへ光学的に接続されている。
【0046】
変調光リターン信号は、電気光学チップ103からリモート光パワー供給装置101に伝えられる情報を伝達する。前述のように、いくつかの実施形態において、変調光リターン信号は、リモート光パワー供給装置101内の光検出器に結合されている追加の光ファイバを用いて、電気光学チップ103からリモート光パワー供給装置101へ伝送される。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101内の光検出器は、光検出器として動作するように逆バイアスされたレーザである。
【0047】
いくつかの実施形態において、レーザアレイ102は、複数の(N>1)波長チャネル(例えば、N=8以上)を備え、各波長チャネルは、レーザ102-1~102-Nのそれぞれの1つに対応している。また、いくつかの実施形態において、レーザアレイ102は、光学的アライメントのために、少なくとも1つのダミーレーザチャネル(例えば、ダミーレーザ205のチャネル)を備える。より具体的には、ダミーレーザ205のチャネルによって出力されたレーザビームは、外部の光学デバイスに対する(光分配ネットワーク207もしくはその他の電気光学装置またはフォトニック装置などに対する)リモート光パワー供給装置101のアクティブな光学的アライメントに利用される。いくつかの実施形態において、ダミーレーザ205のチャネルによって出力されたレーザビームの外部デバイス内のフォトニクスによる検出は、リモート光パワー供給装置101と外部デバイスとの適切な光学的アライメントを示す。いくつかの実施形態において、アクティブな光学的アライメントのために利用されるダミーレーザ205のチャネルは、光検出器として機能するようにダミーレーザ205を逆バイアスすることによって、光検出器チャネルとしても用いられる。このように、アクティブな光学的アライメントのためのダミーレーザ205のチャネルは、リモート光パワー供給装置101と電気光学チップ103との間の双方向データ通信を可能にするために、光検出(光検出器)チャネルに変換される。
【0048】
いくつかの実施形態において、図2Aおよび図2Bに示すシステムの始動時に、N個の波長λ~λのチャネル201の1つを通して伝達された光が、低速NRZ光信号または位相変調光信号で変調される。いくつかの実施形態において、図2Aおよび図2Bに示すシステムは、高速設計がコストを節約する要件がない場合に用いられる。低速NRZ光信号または位相変調光信号は、リモート光パワー供給装置101から電気光学チップ103への伝送のために、リモート光パワー供給装置101に関する温度情報または関連チップ情報を含む/伝達する。レーザアレイ102内のレーザ102-1~102-Nの別の1つが、変調光リターン信号を生成するために電気光学チップ103内の変調器215によって用いられる特定の波長λの連続波レーザ光信号を生成して伝送するために、連続波モードで動作する。電気光学チップ103が、リモート光パワー供給装置101に提供する何らかのリターン情報を有すると、電気光学チップ103内の変調器215は、リターン情報を含む/伝達する変調光リターン信号を生成するために、特定の波長λのチャネルで受信された連続波レーザ光信号を変調させるよう動作する。変調光リターン信号は、電気光学チップ103から、リモート光パワー供給装置101内で光検出器として機能する逆バイアスダミーレーザ205に伝送される。リモート光パワー供給装置101内の光アイソレータ209は、変調光リターン信号が光検出器として機能する逆バイアスダミーレーザ205のみに入るように、変調光リターン信号がレーザアレイ102のレーザ102-1~102-Nのいずれかに入るのを効果的にブロックする。
【0049】
図3は、いくつかの実施形態に従って、リモート光パワー供給装置101と電気光学チップ103との間のデータ通信のための方法を示すフローチャートである。方法は、電気光学チップ103から離れた光パワー供給装置101で複数の連続波レーザ光ビームを生成するための工程301を備える。方法は、さらに、複数の連続波レーザ光ビームにわたって光パワー符号化を施すために、リモート光パワー供給装置101において複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを調整するための工程303を備える。方法は、さらに、光パワー符号化を有する複数の連続波レーザ光ビームをリモート光パワー供給装置101から電気光学チップ103へ伝達するための工程305を備える。方法は、さらに、光パワー符号化を識別するために、電気光学チップ103において複数の連続波レーザ光ビームの各々の光パワーレベルを検出するための工程307を備える。この方法は、さらに、電気光学チップ103において光パワー符号化によって表される情報を決定するための工程309を備える。
【0050】
いくつかの実施形態において、複数の連続波レーザ光ビームは、工程301において、複数のレーザ102-1~102-Nの内のそれぞれ対応する1つによって生成される。いくつかの実施形態において、工程303で複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを調整することは、複数のレーザ102-1~102-Nの内のそれぞれ対応するレーザに適用されるバイアス電流を調整することによってなされる。いくつかの実施形態において、工程303で複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを調整することは、複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを増幅することによってなされる。いくつかの実施形態において、工程303で複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを調整することは、複数の連続波レーザ光ビームの内の1または複数のビームの光パワーレベルを減衰することによってなされる。
【0051】
いくつかの実施形態において、方法は、リモート光パワー供給装置101の動作に関連付けられている温度を測定するための工程を備え、ここで、温度は、光パワー符号化によって表される。いくつかの実施形態において、方法は、光パワー符号化によって表されたリモート光パワー供給装置101の動作に関連付けられている温度に基づいて、電気光学チップ103でリング共振器の共振波長を調整するための工程を備え、ここで、共振波長は、リング共振器への複数の連続波レーザ光ビームの内の1つのインカップリングに影響を与える。いくつかの実施形態において、方法は、光データ通信のための変調光信号を生成するためのソース光として複数の連続波レーザ光ビームを用いる前に、複数の連続波光ビームにわたって施された光パワー符号化を元に戻すための工程を備え、ここで、光パワー符号化を元に戻すことは、電気光学チップ103によってなされる。
【0052】
図4は、いくつかの実施形態に従って、リモート光パワー供給装置101と電気光学チップ103との間のデータ通信のための方法を示すフローチャートである。方法は、電気光学チップ103から離れたリモート光パワー供給装置101で複数の連続波レーザ光ビームを生成するための工程401を備える。複数の連続波レーザ光ビームの少なくとも1つは、リモート光パワー供給装置101に関する情報を提供するために、複数の連続波レーザ光ビームの内のその他のビームとは異なって生成される。方法は、さらに、複数の連続波レーザ光ビームを電気光学チップ103へ伝達するための工程403を備える。方法は、さらに、リモート光パワー供給装置101に関して提供される情報を決定するために、複数の連続波レーザ光ビームの内の他のビームと異なる複数の連続波レーザ光ビームの少なくとも1つを検出するための工程405を備える。
【0053】
いくつかの実施形態において、複数の連続波レーザ光ビームの少なくとも1つは、複数の連続波レーザ光ビームの内のその他のビームとは異なる低速の非ゼロ復帰(NRZ)信号として生成される。低速NRZ信号は、リモート光パワー供給装置101に関する情報を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、複数のリング共振器の内のそれぞれ対応するリング共振器への複数の連続波レーザ光ビームのインカップリングを容易にするために、リモート光パワー供給装置101に関して提供された情報を用いて、電気光学チップ103上の複数のリング共振器の動作を制御するための工程を備える。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101の温度に関する情報は、工程401において複数の連続波レーザ光ビームの内の異なって生成された1つによって提供される。
【0054】
本明細書で開示されている様々な方法を用いて、レーザアレイ102(さらには、レーザアレイ102内の個々のレーザ102-1~102-N)に関するリアルタイム温度情報をリモート光パワー供給装置101から電気光学チップ103へリアルタイムで伝達できるので、レーザアレイ102が様々な温度条件下で動作することが可能であることを理解されたい。電気光学チップ103は、リモート光パワー供給装置101のレーザアレイ102内の対応するレーザ102-1~102-Nの温度変化による入力レーザビームの波長のドリフトに対応する必要に応じて、電気光学チップ103の様々なレシーバチャネルでリング共振器の共振波長を調整できる。したがって、いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置101から電気光学チップ103へリアルタイムの温度情報を伝達するための本明細書に開示のシステムおよび方法は、非冷却の方法で(例えば、非冷却WDM光リンクで)レーザアレイ102の動作を提供する。これらの実施形態において、レーザアレイ102内のレーザ102-1~102-Nのアクティブな冷却を提供する必要がないことにより、あまり複雑でない方法でリモート光パワー供給装置101を実装することができ、それに対応して、コストおよびエネルギ消費の節約がなされる。また、レーザアレイ102内のレーザ102-1~102-Nをアクティブに冷却する場合でも、リモート光パワー供給装置101と電気光学チップ103との間の温度情報のリアルタイム通信により、電気光学チップ103によるレーザ102-1~102-Nの波長のドリフトの追跡および補償が改善される。さらに、本明細書で開示されている様々な実施形態は、リモート光パワー供給装置101と電気光学チップ103との間の温度データの通信に焦点を当てていたが、本明細書で開示されているシステムおよび方法は、リモート光パワー供給装置101から電気光学チップ103へ、およびその逆へ、本質的に任意のタイプのデータを通信するために利用可能であることを理解されたい。
【0055】
以上の実施形態の記載は、例示および説明を目的としたものであり、包括的であることも限定的であることも意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されず、適用可能であれば、置き換え可能であり、特に図示も記載もない限りは、選択された実施形態で利用できる。このように、本明細書で開示されている1または複数の実施形態からの1または複数の特徴を、本明細書で開示されている1または複数の他の実施形態からの1または複数の特徴と組み合わせることで、本明細書で明示的に開示されていないが本明細書で暗示的に開示されている別の実施形態を形成することができる。この他の実施形態も、多くの方法で変形されてよい。かかる実施形態の変形例は、本開示からの逸脱と見なされず、すべてのかかる実施形態の変形例および変更例が、本明細書で提供されている開示の範囲内に含まれると意図されている。
【0056】
いくつかの方法工程は、本明細書で具体的な順序で記載されている場合があるが、方法工程の処理が、方法の実施が成功するような方法で実行される限りは、他のハウスキーピング工程が、方法工程の合間に実行されてもよく、および/または、方法工程が、若干異なる時刻または同時に実行されるように調整されてもよく、または、処理に関連する様々な間隔で処理工程が実行されることを許容するシステムに分配されてもよいことを理解されたい。
【0057】
本実施形態は、理解しやすいように、或る程度詳しく説明されているが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。したがって、本明細書で開示されている実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、そのため、本明細書に示した詳細のみに限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲および等価物の中で変形されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
【国際調査報告】